07/06/07 第3回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録 第3回医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会         日時 平成19年6月7日(木)         16:00         場所 厚生労働省専用第15会議室                   照会先:医薬食品局審査管理課                       医療機器審査管理室                       担当:広瀬・木下                       電話:03-5253-1111(内2912) ○北村座長 それでは定刻となりましたので、第3回医療ニーズの高い医療機器等の早 期導入に関する検討会を始めます。本日は各委員の先生方、ご多忙な中お集まりいただ きまして、誠にありがとうございます。まず会の出席確認と配付資料確認を事務局にお 願いいたします。 ○事務局 出席委員の確認をいたします。本検討会の委員は資料2に名簿がございます が、本日は飯沼委員、田野委員、平岡委員、渡邊委員がご欠席でございます。本日の検 討に合わせて、ワーキンググループの専門家として、2名の先生に参考人としてご出席 いただいておりますので、ご紹介いたします。国立循環器病センター臨床試験開発部臨 床試験室長山本晴子様でございます。続いて、済生会中央病院付属乳児院院長整形外科 顧問の鈴木信正様でございます。よろしくお願いいたします。資料2におきまして、吉 田茂昭委員のご所属に誤りがありましたので、こちらで訂正をさせていただきます。国 立がんセンター東病院長となっておりますが、青森県立中央病院長と改めさせていただ きます。大変失礼いたしました。  続きまして、配付資料の確認をいたします。まず、お手元に議事次第と座席表、それ から資料1、開催要領。資料2、委員名簿、資料3本検討会の進め方、資料4ワーキング グループの設置について、資料5早期導入の検討対象医療機器の状況について、資料6 ワーキンググループ報告書、人工心臓のものでございます。それから、資料7としまし て、ワーキンググループ報告書、小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具について でございます。それから資料8としまして、新たな医療機器等の使用に係る体制等の要 件の作成について(案)ということで、お配りしております。委員の先生方の机上には 人工心臓と小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具についての資料をお配りしてお ります。過不足などありましたら、お知らせいただきたいと思います。以上です。 ○北村座長 資料の過不足、欠損の方はおられませんか。よろしいですか、ありがとう ございました。早速議事に入りたいと思います。本日の議事、「早期導入の検討対象医療 機器等について」となっていますが、事務局から検討する議事について、ご説明をお願 いいたします。 ○医療機器審査管理室長 まずワーキンググループの専門家追加ですが、資料4です。 資料4は第1回の検討会におきまして、ワーキングの設置についてお決めいただいたの ですが、1枚めくっていただきますと、ワーキンググループの専門家のリストが付いて います。下線を付けました5名の先生方に前回の検討会以降、参加をいただいておりま す。前回13種類の医療機器につきまして、早期導入を優先的に検討すべしということで、 お選びいただきまして、その評価報告書の作成作業に入っておりますが、それに当たり まして、ご参加いただくべき適切な先生を追加させていただいたものです。それが1つ ご報告でございます。  次に、本日は前回お選びいただきました13種類のうち、人工心臓と小児の胸郭不全症 候群の矯正機器についての個別の評価結果につきまして、ご報告、ご検討をいただく予 定ですが、個別の品目に関する検討に入るに当たりまして、検討品目に関する関与の関 係について、確認をさせていただきたいと思います。資料4の1頁に戻りまして、その いちばん下に、「検討会の委員は検討品目に関して、関与又は特別な利害関係を有する場 合は検討会の座長に申し出ることとし、関与等がある場合は、当該品目について発言す ることができない」ということで、確認をしていただいているところですが、本日検討 予定としております人工心臓等VEPTRにつきまして、その関係をご報告いたします。  人工心臓についてですが、個別に応募のありましたサンメディカル社のEVAHEARTにつ きまして、北村座長、中谷委員、テルモ社のデュラハートにつきまして、中谷委員がそ れぞれ開発等に関与されたことがあるということで、申し出をいただいておりますので、 それぞれの関係の品目についてのご発言はいただけないということです。ただし、一般 的な人工心臓又はその関連の治療等についてのご発言は是非いただければと思います。 したがいまして、北村座長も関連ありということですので、人工心臓の検討に当たりま しては、座長代理の吉田委員にその部分については、座長をお務めいただければと考え ております。  そのほか、VEPTRについては、特に関与ありということで、お申し出をいただいてい る先生はおりません。もしありましたら、審議の前にお申し出をいただければと思いま す。以上でございます。 ○北村座長 ありがとうございました。いまのやり方で皆さんよろしいですか。 (異議なし) ○北村座長 よろしいですね。それでは議事に入らせていただきます。前回早期導入の 検討対象医療機器としてご検討いただいた13種類はご存じのとおりですが、その現状に ついて、事務局からご説明いただけますか。室長からです。 ○医療機器審査管理室長 資料5、2枚にわたる資料ですが、ここに挙げておりますのが 前回の検討会で優先的に導入を検討すべきということでお選びいただきました13種類 です。いちばん左端にAAまたはBAとなっていますが、前回ご検討いただいた疾患の重 篤性、医療上の必要性についての検討の結果です。胸部大動脈ステントグラフトと頚動 脈ステントにつきましては、既に申請をいただいている品もありますので、当該品目に ついて優先的に審査を進めるべく対応させていただいています。  植込み型人工心臓につきましては申請中品目がありますが、前回のご検討の中でも申 請中の品目だけでは、我が国での医療ニーズに応えきれないということで、公募をかけ る必要があるということでしたので、公募の結果、このいちばん右の欄にありますよう に3社から応募がありまして、本日その結果をワーキングでご評価いただいたものが報 告される予定です。  血管内塞栓物質につきましても申請中の品目がありますが、適用部位の関係で要望を すべて満たすことができませんので、これにつきましても公募をかけて、2社からの応 募があったもので、これは次回以降検討をお願いする予定です。  5番目の小児の右室流出路再建に用いる人工血管ですが、これは公募の結果、1社から 応募をいただいています。その次の小児の胸郭不全症候群の胸郭矯正器具につきまして は、1社から応募をいただきまして、本日ご評価をいただく予定です。カプセル内視鏡 につきましてはその後4月に承認が行われています。  次頁ですが、CYP450の遺伝子多型の診断薬ですが、これも申請中の品目がありまして、 優先的に審査を進めているところです。放射線治療装置につきましても、申請中の品目 がありますので、これを進めているところです。植込み型のホルター心電計につきまし ては1社応募いただいていまして、次回以降、ご検討をいただく予定です。  それから骨セメントですが、これも公募しましたところ、3社からの応募がありまし て、次回以降ご検討をお願いする予定です。放射線治療補助材、いわゆる金属マーカー ですが、これについても3社からの応募をいただいていまして、次回以降ご検討をいた だく予定です。エキシマレーザを用いましたリード抜去システムにつきましては、申請 中の品目がありますので、優先的な審査を進めているところです。以上でございます。 ○北村座長 ありがとうございました。いまご説明をいただいたとおりですが、ご質問 がありますか。 ○吉田(茂)座長代理 承認されたカプセル内視鏡に関しては、もう取り上げないとい うことで、いいのですね。申請中のものに関してはどういうことになるのでしょうか。 ここではもう、これも取り上げないのですか。 ○医療機器審査管理室長 はい、申請中のものについては、その品目について審査を進 めます。 ○吉田(茂)座長代理 基本的には公募のものだけ、ここで検討するということでよろ しいのですか。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○吉田(茂)座長代理 ありがとうございました。 ○北村座長 ほかにご質問はございませんか。13品目の申請中というのは、あと総合機 構のほうで優先審査という形で検討していただくのですね。既にカプセルの内視鏡は薬 事法で承認されたということです。それから、吉田先生がおっしゃったように、この委 員会で対象とするのは、「公募」と書かれているもので、いちばん最後の「申請中」とい うものも。これは、笠貫委員がおっしゃっていた件は、もう既に申請されているのです ね。わかりました。ほかにご質問はありませんか。それでは公募をいただいた医療機器 のうち、人工心臓と小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具について、ワーキング グループをもとに議論をしていただくことになります。  まず人工心臓のほうですので、これから座長を吉田先生にお任せいたしますので、よ ろしくお願いいたします。 ○吉田(茂)座長代理 人工心臓の検討につきまして、ワーキンググループの専門家で あります山本晴子参考人からレポートの説明をお願いします。 ○山本参考人 ワーキンググループの報告書につきまして、ご説明します。資料6です。 検討しました機器の名称ですが、一般名称植込み型補助人工心臓です。対象疾患は重症 心不全患者で、従来の治療法にも関わらず、継続した代償不全に陥っており、心移植以 外には救命が困難と考えられる症例に対する循環改善に使用されると、これは既承認医 療機器の性能・使用目的・効能又は効果です。今回検討しました機器ですが、公募のあ りました3種類に現在申請中の1種類を加えて、全部で4種類を検討しています。申請 中のものはニプロ社のHeartMate XVELVAS、公募のありましたものはテルモ社のデュラ ハート左心補助人工心臓、センチュリーメディカル株式会社のJarvik2000Heart Assist System、株式会社サンメディカル技術研究所のLVAS-C01通称EVAHEATです。  まず海外承認状況ですが、HeartMateにつきましては心移植までのブリッジ使用と移 植以外の最終治療としてのデスティネーションセラピーというものですが、DT使用の使 用目的にて、米国欧州両方で承認を取っています。デュラハートにつきましては、欧州 にてブリッジ使用の適応で承認済ですが、米国では承認はまだありません。Jarvikです が、欧州におきまして、ブリッジ使用とデスティネーション使用の両方の承認が取られ ていますが、米国では臨床試験を実施中です。LVAS-C01ですが、これは海外においては 承認の取得がありません。  対象医療機器の概要ですが、いずれのものにいたしましても、左室側に流出路を挿入 して、それからポンプにつながっておりまして、そのポンプから今度は流入路を経由し て、胸部大動脈に血流が流れるというシステムは基本的には同じです。また、そのポン プからケーブルを経由して、体外にありますコントローラー、また電源部分と接続をし ていまして、本体外につながる、このケーブルが皮膚を貫通する部分があります。  まずHeartMateですが、これは拍動型ポンプと言われるものです。お手元のHeartMate の開発状況の資料の2頁にイメージ図があります。これは拍動型ポンプで流入・流出路 に生体弁が1つずつあります。詳細は省きますが、ポンプの血流量は最大10L/minとさ れています。ポンプ拍動数のモードの調整も可能です。本件機器は若干大きさは大きく してありまして、体表面積が1.5平方メートル以下の患者さんへの使用が禁忌とされています。  続きまして、デュラハートですが、デュラハートは定常流型ポンプといわれるもので す。その中でも、遠心ポンプといわれる種類のものになります。こちらはテルモ社が提 出されています資料の次頁に全体の写真、また各部品の写真があります。こちらは大き さが拍動型ポンプに比べまして、小さくなっていまして、体表面積1.1平方メートルの小柄な患者 さんにも埋め込みが可能とされています。ポンプ流量は4〜7L/minということになって いますが、こちらはモーター電流回転数とヘマトクリット値から流量を推定するという 形になっています。  続きまして、Jarvikですが、これも定常流型ポンプです。こちらは遠心ポンプではあ りませんで、軸流ポンプといわれる種類のものになります。こちらのイメージ図としま しては、提出資料の9/26という頁にあります。実際の写真と埋め込んだときのイメー ジ図があります。こちらは、ちょっとほかの品目と違いまして、流入路がありませんで、 直接ポンプが左室心尖部に埋め込まれた形になっています。こちらも非常に小さくなっ ておりまして、市販後調査によります埋め込み症例の最小体表面積が1.15平方メートルというふう に報告されています。こちらは電源ケーブルが2種類ありまして、デスティネーション セラピーのときと、ブリッジ使用で異なる電源ケーブルを使うようになっています。こ の違いは体外に出ていくケーブルの皮下貫通部の部分が変わるということのようです。  次にLVAS-C01ですが、こちらも定常流型ポンプです。こちらはその中でも、遠心ポン プといわれるものです。こちらもこの提出資料の表紙の次頁に、全体の写真と体外のコ ントローラー部分の写真があります。その次の頁には携帯されたときのイメージ図等が ありますので、ご覧ください。こちらにつきましては、ポンプ流量は11L/min以上とさ れまして、小型軽量とされてはいますが、現在走っています国内治験での選択基準では、 体表面積の下限を1.4平方メートルとしています。対象疾患ですが、国内外を問わず対象疾患群は 末期心不全で従来の治療、(薬剤療法、また他の循環補助等)によって病状の改善及び延 命が望めず、NYHA心機能クラス分類でIII〜IVという著しくQOLが障害された症例となっ ています。こういう方々は、診断確定後5年以内に50%以上が死亡するといわれていま すし、また死亡するまでの数カ月間が非常にQOLの低い、ほとんどベッドレストの状態 で過ごされていると言われています。  国内治験におきましては、ブリッジ用としての使用のみですが、欧米では、臓器移植 の基準から外れた患者さんに対する最終治療としての使用も行われています。これにつ きましては、2001年にNew England Journalに掲載されました。REMATCH研究のもので、 これは申請中のHeartMateのもう少し古いバージョンの人工心臓を使ったものですが、 内科治療よりもDestinatioy Therapy、このHeartMateを使ったもののほうがQOL、心機 能状態のいずれもが有意に優れたというふうに報告をされています。なお、国内既承認 の同種医療機器といたしまして、1種類「ノバコア左室補助人工心臓システム」があり ますが、こちらは国内承認機器が第1世代であるのに対しまして、海外ではほぼ第4世 代が主要機器になっています。第1世代のバッテリが環境保全等の関係で2004年に製造 が中止されていまして、その代替の品の開発がありません。ですから、国内では使用中 の患者さんに対するバッテリ在庫は確保されていますが、新規患者への供給目処は立っ ていませんで、実質的には国内で使用不能の状況になっています。  医療上の有用性ですが、REMATCH研究におきまして、内科的治療群の1年生存率は約 25%と報告されています。これは1998年〜2001年に実施されたものですが、この状況 が大きく変わっているというものではないと思われます。また心移植ですが、日米欧ど ちらでも末期心不全に対する医療行為として実施されてはいますが、どの国におきまし ても、慢性的ドナー不足の状態でして、特に我が国では非常に待機期間が長いことが知 られていまして、現在では登録例の約3分の1が待機中に死亡しているという事実があ ります。  ということで、心不全に対して、移植以外に予後とQOLを改善する治療方法、または 移植を待つ間のQOLを上昇させ、長期間待機できるという治療方法が現場では切望され ている状態と思われます。国内では既に2001年に先ほどご説明しましたノバコアが本カ テゴリーの同種の医療機器としまして、初めて承認されまして、臨床使用もされていま すので、本カテゴリーの医療機器を用いた治療に関する一般的有用性につきましては、 国内においても公知の事実と考えてよいのではないかと思われます。ただ、一方で長期 使用時の耐久性と操作性、不具合、また補助人工心臓においては、皮膚貫通部がありま すので、重篤な感染症を起こすこと、また異物が入っておりますので、血栓塞栓症、ま たそれを防ぐために使用する抗凝固療法に伴う出血等、生命予後、またQOLに直結する 影響、有害事象が多数ございます。  この出現頻度は個々の製品で異なるために、個別の確認が必要だと思われます。また 拍動型のポンプにおきましては、人工弁がありますので、そこの人工弁の不全、また定 常流型におきましては、ポンプが停止した途端に血行動態が破綻などポンプ形式特有の 問題点もあります。欧米との生活環境、家屋構造等が著しく異なることから、そういっ た医療環境にも違いがありますので、個々の製品につきまして、それに適した本邦用の 在宅治療プログラムの必要性が専門家からは指摘をされています。  諸外国での使用状況ですが、HeartMateは以前は空気駆動型でしたが、現在は電気駆 動型ということになっています。この電気駆動型におきましては、報告書に上げている 世界各国で使われていまして、全世界での植込み数は2006年末時点で3,925といわれて います。デュラハートにおきましては、2007年3月31日時点で、臨床試験では26例を 被験者として、組み入れていまして、それに加えて7例、計33例の植込み症例がありま す。このデュラハートですが、臨床試験の実施中に2症例で計3回のポンプ停止事例が 発生しまして、このため臨床試験中に一度モータを改良したということがあります。改 良前の機器を植え込まれたのが16例、試験再開後改良機器を植え込んだのが10例、さ らにCEマークの申請後に7例ですので、改良機器を植え込まれた症例は17例というこ とになります。  臨床試験の主要評価項目である「13週目の生存」または「13週目以前の心移植までの 生存」に達した症例は改良機器症例だけ言いますと、10例中の8例、80%、このときは 残り2名がこの時点で生存していたけれども、まだ13週経過していなかったために、数 えられていないということがあります。1年のカプラン・マイヤー推定生存率も改良機 器症例で100%となっています。Jarvikですが、こちらは2007年4月現在までで、178 例に対して使用されています。欧州での臨床試験では42例、そのうち35例の成績では 生存率が1年目で56%、2年目48%、3年目24%ございます。米国パイロットでは63 例に使用されていまして、6か月後の生存率が64%、ただし、これは心移植後の生存も 含んでいます。一方LVAS-C01は先ほど申しましたように海外における使用成績はありま せん。  我が国における開発状況ですが、HeartMateは先ほども申し上げましたように日本で6 例の治験が行われまして、2004年2月に承認申請をされています。現在審査中と聞いて います。デュラハートにつきましては国内臨床試験準備中ということで、国内での使用 経験はないと聞いています。Jarvikですが、こちらは治験はありませんが、個人輸入で 3例が使用されています。この3例はいずれも生存していまして、1例は心移植を受けた というふうに聞いています。LVAS-C01ですが、こちらは現在日本で治験中でして、パイ ロットスタデイで3例、主試験スタディで8例に実施されまして、パイロットスタディ の3名は全員生存、全員退院しているということです。主試験の8例ですが、8例中7 例が生存しています。  ワーキンググループの検討結果ですが、既承認製品が臨床現場で現在使用できないと いう状況もありますので、使用可能な機器を早急に導入する必要があると考えています。 患者群というか、効能効果ですが、既承認製品に記載されている効能効果の記載で問題 はないかと考えています。ただし、承認前ではありますが、このカテゴリーの医療機器 は生体適合性が重要な埋植型の医療機器でありまして、かつ未だ十分に定着していない、 新しい治療法ですので、我が国における医療・生活環境における有効性・安全性を確認 するために国内治験は必要ではないかと考えます。またそれぞれの機器におきまして、 在宅プログラムの提供も必要です。また、市販後ですが、経験ある医師の存在と適切な 医療機関で適正使用が確保されるような措置が講じられるべきではないかと思われます。  HeartMateにつきましては現在審査中ですので、審査を早急に進めていただくという ことで問題ないかと思います。デュラハートですが、国内での使用経験がありませんし、 米国でもまだ承認取得に至っていませんので、欧州での臨床試験の詳細を確認し、国内 治験を行った上で、国内の導入を検討すべきではないかと思われます。Jarvikは欧米両 方で使用されていますが、2国における臨床試験の詳細を確認し、国内治験を行った上 で、国内導入を検討すべきではないかと考えます。この場合、Jarvikにつきましては、 既に使用経験3例がありますので、これも参考例として使用できものと考えています。 LVAS-C01ですが、こちらは主試験が予定症例数16例として計画されていますので、こ の主試験を完了していただいて、この成績を確認する必要があろうかと考えます。以上 でございます。 ○吉田(茂)座長代理 ありがとうございました。事務局から何か補足することはあり ますか。 ○医療機器審査管理室長 特にありません。 ○吉田(茂)座長代理 ご質問ご意見等ありましたら、お願いしたいと思います。いか がですか。よろしいですか。ワーキングのご指摘にありましたが、国内での治験はこの 4つの機械すべてに対して必要だというご意見ですが、そうするとまた導入が遅れると いうことになりませんか。 ○山本参考人 HeartMateにつきましては、現在、申請審査中ですので、そちらは特に 遅れることはないと思います。 ○千葉委員 いまの先生がおっしゃったとおり、既承認製品が臨床現場で使用できない 状況、これはおそらく大変な状況ではないかと思うのです。ですから、治験とか、当然 これは必要かと思いますが、それに関しては一定の配慮といいますか、そういったこと はご提案いただかないと、また座長がおっしゃったとおり時間的な問題もあるのではな いかと思いますが、そこは具体的にどのようにお考えですか。 ○医療機器審査管理室長 事務局からです。個別の製品については、今日、委員の方々 の机の上にご用意させていただいたとおり、公表できる範囲の情報でワーキングでご評 価をいただきましたが、国内の治験をどう組むか、委員がおっしゃる、例えば症例数を どうするかとか、また観察期間をどうするかということかと思われますが、これについ ては、個別に企業と総合機構でこれまで得られている外国および国内での使用経験のデ ータも踏まえて、個別にご相談をしていく必要があると考えています。その際には今日 のご審議も踏まえて、どうしたら早期に導入ができるかを、もちろん念頭に優先的に相 談をしていくということだと理解をしています。 ○吉田(茂)座長代理 一般的に医療機器の場合は、今回は埋め込み型というか体内に 入りますので、なかなか難しい微妙な問題もありますが、一般的に医療機器というのは、 海外の治験成績をもって国内で許可するというやり方は通っているのですか。 ○医療機器審査管理室長 基本的に人種差的なものはあまりないものが多いので、そう いったものについては、例えばペースメーカーのようなものについては、基本的国内で の臨床試験はほとんど行われていないので、海外データを基に承認が行われていますし、 基本的には外国データが使えると思います。ただ、例えば血栓のできやすさという問題 とか、または抗血小板薬とか、その他わが国と諸外国で使用できる薬の範囲が違うとい うことの場合には、それが大きな影響を与えるものについては、国内での何らかの補助 的な補完的な臨床データが必要になる場合もある、ということだと理解しています。 ○吉田(茂)座長代理 いちばん気になるのは、わが国では心臓移植がとにかく圧倒的 に少ないので、DTユースがあるのでしょうが、症例がかなり確保できるかどうか難しい のではないかと思いますが、そのあたりはどうですか。 ○医療機器審査管理室長 国内の症例確保につきましては、私の知る範囲では、現時点 で治験を行っているサンメディカルのEVAHEARTにつきましては、国内の4施設ですか、 一応心移植がバックアップとしてあるというのも施設選定の基準にしておられるのがい ままでの状況ですので、まず患者というより施設が限られてくるという問題はあります。 ○吉田(茂)座長代理 心臓移植が新聞ネタになるぐらいだから、そうするとそれが例 えば8例とか16例とか待っているのは相当大変だと思うのです。 ○医療機器審査管理室長 はい、大変だとは思います。 ○吉田(茂)座長代理 だから、むしろ検討会としては少し現実的な対応も必要かと、 アシストしてあげたいという気もするのですが、循環器関係はいかがですか。 ○笠貫委員 ご指摘がありましたように日本ではドナーが非常に少ないという現状で、 この人工心臓に求められているのが、ブリッジ使用よりもデスティネーションセラピー として期待されているところは大きいと思います。ノバコアが植込み型として導入され たときには、大きな期待を持ちました。しかし、それが非常に大きくて、血栓の問題等 も含めると、効果としては認められるものの、実際に普及してない、患者に利益をもた らすことはできなかった。今日の4機種は、それに比べたら非常に大きな進歩があると いうことで、できるだけ早期に導入していただくということについては、異論が全くな いところだと思います。  ただし、どういう患者にいま緊迫したニーズがあるのかということについては、厳し い適応を決めなくてはいけない。心臓移植の施設に認定されている所に重症患者が集め られているというのが日本の現状ですし、そこで重症の心不全の患者がドナーの方が現 れるのをお待ちしているという現状からいきますと、その方々にこの4機種を、 HeartMateはすでに申請中ということでしたが、2番目、3番目、4番目についても、十 分な適応のある方には国内治験として使用可能ではないかと思います。その症例数をど の程度にするかは、いまご報告をお聞きした中では、アメリカでの成績、ヨーロッパで の成績、あるいは日本での成績はそれぞれ個別によって違いますから、どの程度の治験 件数にするかについては、個別に検討していただくことでよいと思います。  ただし、第一には、重症な心不全の患者のブリッジということよりも、デスティネー ションセラピーとして、優先するという何かの枠組みさえ作っていただければ、治験と いう言葉に縛られず、拡大解釈すればそれだけ緊急避難的なもので、それで症例数も限 られたものということになれば、それぞれの個別のきちんとした評価と対応を決めてい ただければ、国内治験は可能だろうと思います。特にノバコアで感じましたのは、血栓 と出血の問題ということは、日本人にとって大きな闘いでした。また、日本人は体格が 欧米と比べて小さいのですが、今度の小型化されたもので十分な効果とノバコアで得た 不利益が解決されるかどうかということも、国内治験でなければわからないところです し、あるいは国内の在宅プログラム、これも個々の機械によって多少特徴がありますか ら、それぞれのプログラムについても十分出していただいて、実際に国内での治験とい うプロセスは踏むべきだと思います。それによって治験の導入とデスティネーションセ ラピーとして必要な患者にも不利益をもたらすことは避けられるのではないでしょうか。 私は基本的には国内治験はそれぞれ必要ということの意見に賛成です。 ○千葉委員 いまの笠貫委員のお話は、治験という言葉を使うと何かイメージが少し違 うイメージだけれども、DTのものであるということであれば、患者への不利益は緊急避 難的には避けられるということですか。 ○笠貫委員 治験ではないということではなくて、治験という原則は変えないで、しか しここにお書きいただきましたデスティネーションセラピーとして、しかも緊急度が高 い患者も含めて、それぞれの個別のアメリカとヨーロッパと日本のデータを基にして、 心臓移植の施設として認定されている施設で十分治験の適応を決めていただければ、治 験としてで、克服できるのではないかという意味です。 ○吉田(茂)座長代理 私の理解では、ブリッジ使用に関してもし症例が少なければ、 それはそれでいいでしょうと。デスティネーションセラピーのデータをその治験として まとめていただいて、もう1つは心臓移植をされる施設であればかなりの症例が集積さ れているだろうから、そういった症例を早急に上手に使って早く承認してほしいと、こ ういうことだと思います。よろしいですか。 ○千葉委員 現時点でも相当これは緊急の方がいっぱいおられるわけですよね。将来で なくていま緊急の方はおられるはずです。そういう場合に、例えばいま現場で臨床の既 承認のノバコアが現場では使用不能になっているということであれば、この話はきっと さらに相当急ぐ話でしょうね。ですから、あまり悠長なことではないのだろうと、私も 専門外ですが想像つく話だと思います。とすれば、いま笠貫委員がおっしゃったとおり、 DTということと治験の区別、これは言葉の問題として、DT的な考えで治験を導入すると いうことは、これは急ぐべきだと思います。  もう1つ、ただその間時間がない患者がおられた場合には、これはバッテリが輸入で きないノバコアに関して緊急でバッテリを入れて、時間を稼ぐといいますか、時間を買 うといいますか、そういったことも同時に考えた上での治験、DTでないといけないので はないかと思うのですが、ここはいかがでしょうか。 ○笠貫委員 私もノバコアに対しては同意見です。いまの緊急という場合に、日本では 心不全の患者を扱っている病院の中で、重症患者を心臓移植の施設に送るというシステ ムは、ほぼ出来上がりつつあると思うのです。長く重症患者を持ち過ぎないで、その可 能性のある患者をできるだけそういった心臓移植のできる施設、そのブリッジとして、 あるいはデスティネーションセラピーとしてできる施設に搬送するということが非常に 大事なことです。当面は非常に早い導入だとしても、日本の患者に有効かつ安全に使う という方法が確立するまであまり長い期間ではないと思います。日本の病院で心臓移植 施設に搬送するということがシステムとしては行われつつあるという中で、この施設で はこういった治験ができますということになれば、さらにその患者の転送というものが 早急に行われる、患者にとってもプラスになるのではないかということで、委員のご懸 念なされている患者への不利益は最小限度にできて、早期に治験が終わるのではないか と思います。その治験の条件はできるだけ最小限度にしてほしいと思いますが、短期間 にできる方法は模索できるのではないかと思います。 ○山本参考人 ノバコアのバッテリについてですが、第1世代のバッテリで使われてい た成分が環境汚染につながるということで、製造が停止していまして、環境にあまり影 響のない代替品を作るかということで、国内での使用数は非常に少なくて、開発するメ リットがないということで、現在は海外におきましても製造中止ですので、つまり海外 から輸入できるという状況ではないということです。 ○吉田(茂)座長代理 手に入らないということですか。 ○山本参考人 はい、手に入らないということです。ただ、これは植込み型の補助心臓 ですので、ポータブルユースができるということですが、現在は体外式のLVASはありま すので、現時点で緊急性のある患者は体外式のものを使われていると。ポータブルユー スのものは在宅を目標にして開発されていますので、セルフメンテナンスといいますか、 使われる方とその周囲の方がご自身で、皮膚の貫通部の消毒とか、機器のメンテナンス とか、そういう使い方に習熟していただかないといけないことがありますので、それと 個々の機器ごとにシステムが違いますので、例えば病院の主治医とか使われる医療従事 者のほうもそれに習熟する必要がありますので、早急の導入は必要ではありますが、そ れに習熟して、さらに在宅でも使用が可能になるような在宅のプログラムを開発すると いうことは、絶対に必要であろうと考えています。 ○吉田(茂)座長代理 わかりました。在宅がメインだということなので、生命云々の ことに関しては体外式でも十分対応できるということですね。 ○山本参考人 はい、何とか。ただ、非常に外側に大きな機械が付きますので、なかな か患者のQOLとしては上がりませんが、循環状態を安定させるためということだけであ れば、体外式の補助循環システムも現在は使われているということです。 ○北村座長 一般的なことは言ってもよいと言われていますので、笠貫委員が言われた デスティネーションというパーマネントユースの問題をここに持ち込むと難しい点があ ります。こういうデスティネーションに使ってよいという許可を得たポンプが世界中に まだないわけです。アメリカでREMATCH臨床研究が行われたことは紹介がありました。 ですから、あくまでこの委員会を通して早期導入するポンプは、ブリッジユースという ことを明確にする必要があるのではないかと。パーマネントユースの条件を入れていき ますと、今後の問題で大変難しい。先ほど紹介された在宅プログラムは在宅待機という ことで、在宅のデスティネーションという意味ではないので、私はこの委員会での検討 はブリッジユースという形に止めないと、まだ難しいと思います。ただ、日本では待機 時間が非常に長いために、それ同等の期間が待機しているのではないかという意見はあ りますが、機器の導入についてはブリッジユースとして限定しないと、永久使用の条件 を考慮するのは現状では難しいのではないかと思います。 ○吉田(茂)座長代理 DTが難しいというのは、どういう人に使うかという適用を決め るのが難しいということですか。 ○北村座長 いまアメリカのNIHでも検討している第3、第4世代の人工心臓は、最低5 年間の機械的なフェーリアがないものでない限り、パーマネントユースという限定の使 用を認めるのは難しかろうということで、いろいろ新しい機器の研究がされているわけ ですが、移植なしに、つまり65〜70歳の人には心臓移植をほとんどしないので、そうい う人にこれを使っていくかという問題は、いま米国等における臨床研究のテーマの最中 です。我々の機器導入を早期に行うという目的は、ブリッジユースに限定しないと、機 器の性質もメカニズムも多種多様であり、その辺が少し違うのではないかと思います。 ○中谷委員 いまの北村座長に補完する形ですが、デスティネーションセラピーそのも ののコンセプトが、まだわが国では固まってないということがあります。そのためここ でデスティネーションセラピーの話を持ってくると、非常に混乱が生まれる可能性があ ります。心臓移植が日本では行われていないときに組まれたノバコアの治験は長期使用 という形でした。  そのような形でブリッジとはいいながら実質的には長期使用になるのですが、ただデ スティネーションとしてしまうとどの患者を選ぶかなど大きく変わってきます。という のは、移植の対象患者である場合には、いつかは心臓移植ができる可能性があります。 ということは機器に対して何か問題が起こったときに、移植で逃れられる可能性がある ということになります。デスティネーションの場合、それがないということになります から、基本的にはそこのところを十分考えないといけません。今回デスティネーション の議論をしだすと、いま北村座長が言われましたように非常にコンプロマイズしてしま いますので、長期使用ということで括りまして、デスティネーションも十分考えるけれ ども当面はブリッジということで話を始めないと、かえってもっと時間がかかると考え られます。 ○吉田(茂)座長代理 心臓移植を予定している人ということで、それがファイナルに 移植されるかどうかは関係なしにですね。そういう適応でいったほうが間違いないと。 ○中谷委員 そのとおりで、在宅治療があれば、家へ帰って生活しているわけですから、 実質的にはブリッジであれデスティネーションであれ何であろうが、補助人工心臓で日 常生活ができるということですから、行われていることは基本的には変わりません。た だ、患者の選択とか対象が変わってきますから、いまここでディスカッションを取り上 げるのは却ってかかると思われます。 ○吉田(茂)座長代理 時間も迫っていますのでまとめに行きたいのですが、笠貫委員 がもう1点言われたのは、治験をやっている、こういうことをやっているということを 皆さんに知っていただいて、そこへできるだけそういう患者を集めるようにすれば、治 験そのものの対象患者は増えてくるし、それはスピードアップになるだろうというので すが、治験の受入れ、こういう薬を治験していますとか、あるいは、機器メーカーが、 例えばホームページなどでこういう施設でこういうことをやっていますということは言 えるものですか。あれはどういう扱いなのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 それは可能です。 ○吉田(茂)座長代理 そうすると、例えばテルモならテルモがこういう機械をいま治 験していますと。治験は国立循環器病センターでやっていますとか、そういうことを宣 伝して、普通には別に問題ないですね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○吉田(茂)座長代理 そういうことも含めて早期に承認されるような工夫を企業と、 治験を受ける側の施設なりグループなりに努力していただいて、検討会としてはとにか く早期導入に努めると。もう1つは、DTユースというとなかなか難しいので、基本的に はブリッジ使用になるのだろうけれども、長期使用も含めて幅広くブリッジ使用という 概念をできるだけ触れて、でもとにかく早期に導入できるようにしてほしいということ の結論でよろしいでしょうか。 (承認) ○吉田(茂)座長代理 なければ、そういうことで植込み型補助人工心臓の件を終了し まして、続きまして小児の胸郭不全症候群に対する胸郭矯正器具の検討に移りますので、 北村座長にお願いします。 ○北村座長 小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具の検討ということで、ワーキ ンググループの専門家であります鈴木信正参考人からレポートをお願いしたいと思いま す。 ○鈴木参考人 胸郭矯正器具は全く新しいもので、大変画期的といえるものです。名前 をVertical Expandable Prosthetic Titanium Ribと。これを略しましてVEPTRと呼ん でいます。外国の承認状況では、2004年に米国FDAでHumanitarian Use Deviceとして すでに認可されています。  この概要ですがVEPTRの資料の1〜12頁まで、カラーで図が出ています。このように 非常にシンプルな形状の何の変哲もない器具ですが、こういう形状に至ったところに開 発者であるDr.Campbellの心血が注がれているわけです。  これは骨格が未成熟な患者における胸郭不全症候群を適応とするというのは、未成熟 な患者といいますと、大体1〜5歳、このぐらいになりますとこういう病気の方は5歳、 6歳でこの世からいなくなってしまうわけです。ですから、そういうふうに致死的な病 気を改善させる見込みを作った器具です。  胸郭不全症候群とは、胸郭が正常な呼吸または肺の成長を支持することができない状 態です。そういう患者の胸郭に体軸方向に伸展可能な金属性ロッドを設置することで、 胸郭の変形がギューッと短くなってしぼんだように小さくなることを防ぐ道具です。そ れに非常に単純な構造ですが、いろいろな種類の部品を組み合わせることが必要になり ます。製品はチタン合金ないしは純チタンです。当然ながら1回限りの使用です。  対象疾患ですが、この開発者であるDr.Campbellは、胸郭不全症候群の概念を胸郭が 正常な呼吸または正常な肺の発育を支持できない病態と定義づけました。潜在的な胸郭 不全症候群患者に見られる症候群は、ここに書いてありますFlailed Chest症候群、拘 束性胸郭症候群、胸郭低形成症候群、その中ではJeune's症候群、先天性のものすごい 危険なものですが、その他軟骨形成不全、Jarcho-Levin症候群、Ellis van Creveld症 候群など、いろいろな症候群がある。それに加えて肋骨異常を伴わない先天性あるいは 神経原性の極めて速い進行性の側弯症、こういうものが胸郭不全症候群を来す素因を持 っている症候群です。  このような病態を持つ患者は、成長の過程で側弯が進行したり、胸郭の短小化が進行 したりしまして、胸壁の運動低下及び胸腔容積の減少が生じます。その結果肺が圧迫さ れて機能する肺容量が減少することで呼吸困難を生じ、その生存に必要な動脈血酸素濃 度を維持するために酸素補給又は人工呼吸器が必要となり、呼吸不全に至ります。それ とともにこういう状態ですと、頻回に肺炎、気管支炎、肺炎を起こして、致死性になる 場合が高いわけです。  またJeune's症候群など先天的な短肋骨症候群の患者では、胸郭の成長障害が見られ、 小児期では生存できても、成人で必要とされる肺の大きさを支持する程度には胸郭が成 長しない場合があります。いずれの場合にも肋骨形成不全によって胸郭形成不全は、新 生児期より呼吸機能不全が強く、死の転帰をとることが多い、生命を脅かす病態です。  胸郭の成長と健康という関係を考えますと、肺の性状は、肺胞数が増加していって成 長します。肺胞の数の増加は大体9歳までです。ですから、9歳以前に著しい胸郭の変 形、短小化がありますと、肺胞の数が増えない。したがってそれ以降にいくら胸郭容積 を増しても、肺がそれ以上膨らまない。肺機能が改善されないという状況です。したが って、できるだけ早期に、そして胸郭変形を著しくさせないという治療が絶対に必要な わけです。これらのうちでも禁忌などを考えると、本医療機器の適用となる患者数は非 常に希であると考えられます。正確に推定することは困難です。私自身、ここにあった 症候群はいままで実物は見たことはありません。ただし、それは患者がたまたま来なか っただけで、たぶん埋もれている、治療を受けないままに消えさっている、これが相当 数いるのではないか。ところが、そういう中でも親御さんがこういう子でも是非生きて ほしいという気持を強く持つような状態が増えてきていて、だんだん施設によってはポ コポコ散見するという状況のようです。  米国では15年間で247症例が対象となって、IDE試験を行っており、年間症例4,000 例未満のHUDに指定されています。わが国の対象患者数を推定することは非常に困難で すが、米国のIDE試験対象者数から推測すると、年間でせいぜい10症例未満でしょうと いうことが言えると思います。  医療上の有用性につきましては、体幹、すなわち脊椎ないしは肋骨の変形が非可逆的 に進行し、胸郭変形のために肺機能及び肺の成長が阻害され、呼吸器障害を頻発するTIS の幼小児患者は決して症例数は多いわけではないのですが、今回、日本側弯症学会の死 亡例調査において、過去5年間に少なくとも7名の10歳未満の側弯症患者が主に呼吸器 疾患で死亡しています。  そのうちの2名は特発性側弯症で、1歳未満で90度近く、1歳2、3カ月で100度にな りまして、1歳8カ月で死んでいるのです。私自身、1歳5カ月で新潟からわざわざ来た 方ですが、東京に来るだけであった。そういう方には、従来の方々で背骨を矯正すると いう金具を装着して治すことは可能ですが、まず骨とメタルの関係が全然弱い、強いで す。だから、長持ちしない。  したがって、まず骨移植をして骨を強化して、2、3カ月経ってからその金属を入れる。 でもそれをやっているのを待っているうちに亡くなってしまう、ということが考えられ ます。そうしますと、そういう方にVEPTRでとりあえず肋骨間を伸ばしておいてやる。 そして骨を埋める、というある意味で救命措置にもなり得るものです。ですから、こう いう命を脅かす疾患に対して、いままで存在しなかったものがここに存在している。そ して、それが外国でも試験的に行われ、非常によい結果が得られている。当然ながら有 害現象は相当数ある。しかし、それによってもたらされる有用性は、極めて高いという ものが、このまとめになると思います。  これまでの病態の患者では、先ほど申しましたようにインストルメンテーション手術 で矯正範囲を骨癒合させる矯正固定術、ないしは子どもには、部分的な矯正固定で、間 は骨移植をせずに伸ばしていくことが行われています。ところが、そういうものを取り 付けることができない年齢に対して、この器具が有用性というものが非常に高いという 現況です。  この問題は、胸郭というのはあくまでも三次元ですので、三次元的形状に合わせたイ ンプラントを組み合わせていくことによって、呼吸のための容績を改善し、正常な肺の 成長を促すことができるということです。  諸外国においての使用状況では、2003年に欧州でCEマークを取得、2004年にFDAよ りHUDとして認可され、現在世界25カ国で使用実績がございます。当然、現在日本も含 まれておりますが、この時点では医師による個人輸入のみということです。  主に欧米で行われているわけですが、2004年から2006年の3年間の総手術件数は954 症例です。そのうち5割以上が、米国にて行われています。米国においては、1989年か ら2003年までに、フィージビリティ試験として、33症例に多施設共同試験として、7 施設224例の計257例に使用されました。臨床試験の有効性評価として用いたAVR (Assisted Ventilation Rating:補助換気評価)スコアの安定又は改善は、フィージビ リティスタディの84.4%の患者、多施設共同試験の93.4%患者、両試験で92.0%の患 者で示されました。そして、生存率は95.1%でした。  一方、多施設共同試験の解析対象の214例において、累積1,051回の追加術が行われ、 これは成長とともに少しずつ伸ばしていくというのが追加手術です。1症例当たりの追 加手術は約5回、そのうち75%は本品の伸展術でありました。安全性については、フィ ージビリティ試験33症例のうち29例、408件、多施設214例のうち119例、1,051件の 有害事象が認められました。その一番頻度の高いものは、デバイスマイグレーション、 これは固定していませんので、成長とともに固定した所が左右にずれる、肋骨に沿って すべるということです。これは当然起こり得ることで、それを考えて多数回手術になっ ているという性質のものです。ですから、これは重篤な障害ではないと私は考えていま す。もちろんフック、S−フック、脊椎に掛けたり、骨盤に掛けたりするフックの所で外 れるとか、そういうことが多かったです。  また、デバイスの折損はフィージビリティ試験では7例13件、多施設共同試験では5 例6件です。これは非常に頻度が少ないと思います。骨移植をしていない固定でしたら、 金属疲労が起こりますから、あるときに折れても当然であるとお考えいただいて差し支 えないと思います。  本品の供給に当たっては、米国をはじめ各国においては、世界共通の医師トレーニン グの受講を原則としており、米国添付文書においても「本品の使用前に医師のトレーニ ングを推奨している」とあります。これは推奨というよりも必須であると思います。  我が国における開発状況では、2004年11月に、日本側弯症学会がDr. Cambellを招 待しまして、そして日本に紹介されました。もちろん米国での学会に出席して実物に接 したり、結果の発表を聞いたりしていましたが、本邦で実物が紹介されたのは、この2004 年が初めてでした。  この本製品が医療ニーズの高い医療機器の早期対象導入候補になったことを受けて、 シンセス株式会社は米国のIDE試験成績を基に、本邦での申請を検討しています。  米国の臨床試験成績を使用する際に、人種差の問題と言いますと、日本人と欧米人を 比べると体格が小さいというのは確かにあるのですが、これはもともと小さい人が相手 ですから、その辺については全く問題がないと考えています。また、本品の特徴として、 成長に合わせて延長術又はより大きいサイズに入れ換えておりますので、そういうデザ インですから、サイズの問題はないと考えられます。  これまで本邦における本品の使用は、医師の個人輸入により2004年に2例、2007年4 月に3例の計5例の使用がありました。  検討結果としては、胸郭変形のために肺機能及び肺の成長が阻害され、呼吸器障害を 頻発する胸郭不全症候群の幼小児患者は、新生児期から呼吸機能不全の傾向を示し、死 の転帰をたどることが多い。その治療として、胸郭に直接作用し、変形を矯正する医療 器具はこれまでにございません。VEPTRはその疾患を治療し得る唯一のデバイスである と考えられますので、早期の導入が望まれる由縁でございます。  その対象患者は、胸郭不全症候群の患者と限定されるべきであるのは言うまでもない のですが、その中には先ほど申し上げた疾患だけでなく、先天奇形のない特発性側弯症 でもごくごく限られた場合には、使用もやむを得ざるを得ないことがあるのではないか と思います。  導入に当たっては、本品は構造的に新しい医療機器ではなくて、フックだとか、いま まであったものを、これに合ったように形状変更しているとお考えいただいて差支えご ざいません。そして、対象が小児における極めて重篤な疾病であること、かつ我が国で の対象患者が極めて少数であることを考えると、米国で実施された臨床試験データ及び 我が国における使用経験などのデータを利用して、検討するべきであると考えています。 これは通常ではこれだけの治験数は、絶対にやれません。そうすると、いつまで経って も認可が得られないことが確実に起こるのです。  FDAが供給に際して課している条件ですが、処方使用に制限されること、使用前に医 師が本機器に必要な訓練を受けること、IRBが設置される病院のみでの使用、かつ継続 審査を受けること、出荷記録、病院IRBとの連絡記録の保管・管理、年次報告、Medical Device Reportingに基づく有害事象などの報告、これらと同等のものが我が国の市販後 においても確保されるよう、学会等と協力しつつ、施設、使用者の限定、使用者のトレ ーニング、対象患者の評価の統一、全例調査等の適正使用のための基準作り、その徹底 が必須であると私は考えています。それに伴って、学会との協力関係、これはまず問題 なく行えるものだと申し添えたいと思います。以上です。 ○北村座長 ちょっと教えていただきたいのですが、FDAのHUDとHumanitarianという のは、日本の希少疾患に対するようなものとよく似ているのですか。 ○鈴木参考人 オーファンドラッグ的なものです。 ○北村座長 それに似たものですか。 ○医療機器審査管理室長 対象患者数が極めて少なくて、4,000人以下のものについて はHumanitarian Use Deviceということで、対象群を置いたようなウェルコントロール の臨床試験でなくても、有効性についてそういった試験での確認ができなくても、通常 のapprovalをexemptionするということで、HUDのHDEとして承認が、Humunitarain Device Exemptionということで、一応approvalのexemptionというような位置づけで、 通常の承認とは少し違う位置づけになっていますけれども、承認をして使えるようにな っています。 ○医薬食品局長 日本流の承認ではありません。有効性と安全性をきちんと確認したと いう意味での有効性ではありません。 ○北村座長 日本語に直訳すると、人道主義的となるわけですか。 ○医療機器審査管理室長 そうなるかと思います。 ○北村座長 日本もそうしたほうが通りやすいかもしれませんね、わかりました。他に 事務局から追加することがありますか、よろしいですか。それではご意見、ご質問等が あれば出してください。日本での5人というのは一施設で5人ということですか。 ○鈴木参考人 一施設です。 ○北村座長 それは先生のところですか。 ○鈴木参考人 違います。名古屋の名城病院です。 ○北村座長 それはなぜ一施設で多施設ではどうしてないのでしょう。 ○鈴木参考人 トレーニングと、私自身で言いますと、こういう難しいのはもう気力が ないという辺りのことがありまして。 ○医療機器審査管理室長 話に聞いているところでは、開発者のCambell先生が実際に 立ち会うか、またはCambell先生の立ち会った手術をご経験なさって、実際に手術をし たことのある先生が立ち会うというのが基本的には条件になっていて、日本の5例につ いても、Cambell先生の立ち会いで実施されたと聞いています。  器具自体は簡単なのですが、適応対象を適切に選ぶということと、適切なところへ適 切に留置することが重要で、先ほど報告がありましたように、アメリカでもトレーニン グ、実際の立会いを条件として実施されていると聞いています。 ○北村座長 もしこの委員会で早期導入が成功した場合には、FDAが課しているような 同じ条件を、我が国に課していいということですか。 ○鈴木参考人 それでよろしいかと思います。 ○千葉委員 このトレーニングには、動物を使った実験などという意味ですか、それと も臨床例ですか。 ○鈴木参考人 臨床例ですね、具体的にはCambell先生に来てもらうか、Cambell先生 のところへ行って一定期間のトレーニングを受ける、それとともに我が国内でのセミナ ー、その他、デバイスを自分で手で持って慣れる、そういったトレーニングプランを作 図していくことが必要だと思います。 ○千葉委員 例えば対象疾患にはかなり高度な漏斗胸といったものを。 ○鈴木参考人 漏斗胸はちょっと違います。 ○吉田(純)委員 手術されている先生は名古屋の先生で、私も個人的に知っています。 対象疾患は致死性の疾患で、治療法は本外科手術しかないと言っておられました。本日、 本手術が一施設のみで行われているとうかがいましたが、今後は施設が増えていく可能 性は十分にあるのでしょうか。彼は側湾症の外科手術の専門家ですが、他に側弯症をや っている人はたくさんおられると思うのですが、施設はどのぐらいになるのでしょうか。 ○鈴木参考人 側弯症の数だけで言いますと、私と川上君が年間100例以上です。あと はみんなパラパラ程度です。  この疾患に対する施設ですと、術後の呼吸管理が非常に難しいです。ですから、小児 ICUがあるところでないと駄目ですし、非常に熱心な麻酔の先生の協力を得られるとこ ろでないと駄目ですので、現在の日本の状況では、そういう施設がある小児病院では背 骨の専門科はほとんどありません。だから、本当に限られた数施設ぐらいは、当座でき るところなのではないかと思います。  患者側で言えば、従来はそのまま放っておいたのを、この子に是非生きてほしいとい う気持を持つ親御さんが、治療を求めていらっしゃいます。そうしますと、そういう方 は日本中どこへ行くのも厭わないぐらいの熱意があります。また、そういう熱意がある くらいの方でないときは、これはやらないほうがいいのではないかと考えています。 ○北村座長 この5人の方々は、すべてお一人の先生が個人導入をされて、個人訓練を 受けられてやっておられるというのが日本の現状ですか。 ○鈴木参考人 はい。 ○北村座長 これの早期導入をすれば、そういう訓練をした上で、我が国でいくつかは 施設で行える可能性が出てくるということですね。この機器自身は高いものなのですか。 ○鈴木参考人 よくわかりません、すみません。 ○吉田(茂)座長代理 いまの点ですが、いまの5人やられた先生というのは、小児ICU がある施設でやられたのですか。 ○鈴木参考人 はい。それと、麻酔科その他のチームワークです。 ○吉田(茂)座長代理 いま言われた条件は、いままでやった治療もそういう条件でや っていたということですか。 ○鈴木参考人 はい、そうです。 ○北村座長 その資料を機構に参考資料として提出するだけのものは残っていて、持っ ておられるのですね。 ○鈴木参考人 はい。 ○北村座長 そこはしっかりやっておられるわけですね。 ○鈴木参考人 はい。 ○笠貫委員 先ほどの人工心臓とは違った意味合いで、このデバイスの場合には、ここ で承認した場合には、むしろ機器よりも施設と施術者をどうするかということの、枠組 みをつくっておくこと、日本で何人ぐらい患者がいて、どこに、どれぐらいやれる人と 施設を置いておくかのデザインをつくることがたいへん大事だと思うのです。  そういう意味では、ニーズの高いという場合に、医療機器というものだけではなくて、 その後の普及システムをどうするかを、最初に決めておいて導入を早期にする、そちら のほうを急いで適切な方法を決めていただけたらと思います。Cambell先生が全部行け るのですかといったら、そんなことはあり得ないので、Cambell先生のお弟子さんは何 人いて、その人たちがどのくらい来てやっていけるのかということが問題になります。 ○鈴木参考人 その点に関しては、トラベリングフェローシステムなどをつくりつつあ りまして、トレーニングは原則Cambell先生のところへ行って実際に見てきなさいとい うのを必須条件にしようかと考えています。やはりCambell先生のところへ行って見な い限り、これは無理です。  それから、いまでこそ1人の人なのですが、このシステムに興味を示している熱心な 若い先生が10名近くはおります。そういう方が拠点になって、そしてしっかりしたトレ ーニングを受け、学会の指導、監督の下にこれを行う、そういうことをやりたいと思い ます。  そうなった暁には、いままで来なかった患者がポツポツ浮かんできて、かなり数が出 てくるような時期がいずれくると思います。そのときまでに、きちんとした監督体制を 固める構想でおります。  ですから、学会としては日整会はもちろんそうですが、日整会というより、脊椎脊髄 病学会、ないしはこれはインプラントですので、日本脊椎インストルメンテーション学 会といったところにそういった委員会をつくって、そこで十分に検討と監督の活動をす る、そこまでは煮詰まってきています。 ○北村座長 前回の笠貫委員からの同様のご質問もあったかと思うのですが、そのとき 検討したときにも、早期導入が実現した場合の適正使用の施設と報告のあり方等は、学 会、整形外科学会の協力を得てやっていくということで、皆さんのご意見をいただいた ところなのですが、施設要件等、学会との協力関係等について事務局は、今後これが承 認を受けた場合はどうするかをお示し願えますか。 ○医療機器審査管理室長 それでは資料8の議論に入っているようですので、資料8に ついてご説明させていただきます。資料8に入る前に、資料3のいちばん最後のフロー をもう一度ご確認いただきたいと思います。  資料3ですが、第1回目にこの検討会の進め方についてご議論いただいて、お決めい ただいたことですが、この検討会の流れのいちばん最後のところですが、市販後の適正 使用の確保のために、学会の協力をいただきまして適正使用の確保ということで、施設 の要件、研修等については学会の協力を得て適切に行われるよう図っていきましょうと いうことだったかと思います。  また、ちょうどこの紙の真ん中ですが、WGのレポートに基づき、早期導入の妥当な製 品の検討をいただくに当たって、早期導入後の適正使用の確保策の検討を含むというこ とで、この検討会でも、市販後の適正使用についてのご意見もいただくということにな っていたかと思います。  本日、資料8で、市販後の適正使用環境を確保するためにどのような対策を取ってい く必要があるかということで用意をしておりますので、研発課からご説明いただきます。 ○医政局研究開発振興課(中谷補佐) 資料8の1番目の趣旨はいま室長から説明があ ったとおりです。具体的に適正使用の確保策として、2のところに(1)から(3)まで、 案として記載しています。  まず(1)関係学会等の協力による要件の作成ということで、本検討会で選定されてい る医療技術のうち、特に高度な技術を要すると思われるリスクの高い新医療機器等につ いては、別紙1の手順により、医療機関の体制などの要件を関係学会等の協力を得て、 作成することを検討するということです。 (2)として、この要件と薬事法上の承認条件との関係としては、まずその要件が設定 された新医療機器等の薬事法上の承認条件として、製造販売業者に対して、「本医療機器 の使用についての講習を受け、本医療機器を用いた医療技術に関する十分な知識・経験 を有する医師にのみ使用されるよう、必要な措置を講じること」といった趣旨の承認条 件を課すことを検討する。またその場合に、使用者である医師等に対して、その内容が 適切に情報提供されるように添付文書にも記載をするというのを検討する。 (3)として、この要件と保険償還との関係ですが、(1)及び(2)により、要件及び 薬事法上の承認要件が追加された新医療機器等については、保険償還についても、この 要件の範囲内にするように検討するということです。ただ、別途、経済的な理由から保 険上の算定要件が追加されることもあり得るというのを追加しています。  どのように要件を作成するかの手順について、2枚目の別紙1のほうでご説明します。 まず、要件を作成すべき対象技術の選定としては、いま先生方にもご議論いただいてい ますが、特に高度な技術を要すると考えられる医療機器等について作成するということ です。  2番目として、どの学会に依頼するかということです。ご要望をいただいている学会 は当然ながら、できるだけ多くの関係者の意見を踏まえて要件を作成する必要があると 考えられますので、例えば学会の活動内容とか、認定制度を有するといった基準を満た す主立った学会で、その医療機器に関係する分野の学会とも協力をさせていただいて、 開発する医療機器の内容に応じて、どちらの学会にまず原案をお願いするかというのを 厚労省と調整させていただきたいと思っています。なお、すでにそのような活動をされ ている学会があるということであれば、そちらを優先的にさせていただきたいと考えて います。  また、要件の原案ができましたら、厚労省と協議をさせていただいて、適当だという ものについては、この医療機器の使用要件として、厚生労働省より、医療機関及び製造 販売業者などに、周知をさせていただくということで考えさせていただいております。  また、この使用基準のフォローアップとしては、要件を作成していただいた関係学会 などと協議をさせていただきながら、必要に応じて見直しなども行っていくことができ るような手順でと考えています。以上が事務局の案です。 ○北村座長 まず、この委員会としては、いまご説明いただいた案の内容の是非をここ で問うのですか。これは医政局の。 ○医療機器審査管理室長 協力してやってまいります。 ○北村座長 ここで意見をいただいてもいいのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 これについて追加でいろいろサジェスチョンいただけるので あればいただきたいと思います。基本的には学会とご相談させていただきながら、そう いったガイドラインを作成していこうと思いますが、それは審査の過程の中でそれぞれ の機器について、設定の必要があるかないかということも含めて、検討していくことに なろうかと思います。 ○北村座長 こういった体制を敷いた上で、FDAの承認の資料と、我が国での5例の資 料等を添えた形、この委員会でそれをもって承認するという形で、機構のほうに回して いただくということで、ご異論ございませんか。 ○四宮委員 この医療機器は整形外科学会からでております。一般的にこの部会で承認 する医療機器の使用の指針を作成するのは、責任ある学会であるべきだと思います。法 人格のない任意の学会というのは何ら社会的に責任がないわけですから、社団法人とか、 専門医制度を持っている学会とか、社会に責任を持つような学会と協議をして、決定し ていくというのがいいと思います。幸いにして、我々整形外科学会は、日本脊椎脊髄病 学会や側弯症学会は整形外科学会のグループとして活動しておりますので、作成は日本 脊椎脊髄病学会や側湾症学会で良いと思いますが、提出は日本整形外科学会からおこな います。他の材料においてそういうことがあり得るのではないかと危惧します。ぜひと も責任ある学会に使用指針を作成してもらうことを希望します。 ○笠貫委員 いくつかご質問したいのですが、まず薬事法の承認条件のところで、医師 のみ使用するようにということで、情報提供を医療機器のメーカーに義務づけをしてい るわけです。医薬品については、医療情報提供者がきちんとした認定を受けるようにな っていますが、医療機器に関しては、そういうシステムはなく医薬品行政のような意味 で医療機器行政においては、医療情報提供者の質の担保はないと思います。ですから、 こういう文書が本当に徹底されるかどうかということについて、何かお考えがあるかど うかということが1つです。  次に、薬事法の承認条件で、必ずしも十分に徹底できないところを、3番の保険償還 で縛ろうというのは、非常に強く、医療現場で規制する形としては徹底されるのだろう と思います。しかし、できることなら保険償還ではなくて、薬事法で医療情報提供者の ところでできればいいと思うのですが。  最後は、関係学会の定義づけは、いま専門医制度の問題等含めて、何が学会として国 民に信頼されるのかということが非常に難しい問題であり、これから最先端の医療機器 になればなるほど、難しい問題が含まれてくると思います。複数の学会に跨ったときに どうするのかというときに、その関連学会で原案を作成して、厚生労働省と協議して、 使用要件を決めることになるのですが、このプロセスの情報の開示がどこまでなされる のか、あるいは学会と厚労省との協議の中で、結果が知らされるというのか、その課程 の情報開示をどの辺までなされるのかというのをお教えいただけたらと思います。 ○医療機器審査管理室長 いちばん初めの情報提供者と言いますか、医薬品でいうとこ ろのMRの問題については先生のご指摘のように、医療機器についてはそのような資格制 度もございませんが、製造販売業者の責務として、情報提供が課されておりますので、 そういった今後の課題としてはご指摘の点についてご意見をいただいたのかなと思いま すけれども、承認条件として課して、添付文書へ情報提供して、先生方、またはその学 会を通じても情報の徹底を図っていくことが必要かと考えています。  それから、学会との検討状況の開示の問題ですが、ニーズの検討会の対象品目につい ては、先ほどの資料3のフローにあるように、審査に入った後の進捗状況についてはフ ィードバックをさせていただく予定にしていまして、その中で学会との検討状況につい ても、ご報告させていただければと考えています。 ○笠貫委員 最初の問題でいきますと、これから積極的にMRという形での医療機器の医 療情報提供者を、何らかのレベルに高めていくという方向は、この委員会で推奨すべき だということを出すことは可能でしょうか。 ○審査管理課長 一般論でお答え申し上げますと、そういった医療機器に関する必要な 情報を提供する責務というのが、製造販売企業にあるのですし、その第一線で働かれる 方々の質を上げることは重要なことだと思います。したがいまして、この委員会で推奨 していただいても、いただかなくても、我々としてはそう考えているというところです。  どのような手法を使っていくかを考えると、医薬品分野においては、あくまで民間の 制度として、財団法人が主体となって膨大なカリキュラムを作って、そこにリソースと マンパワーを入れてやっているわけです。医療機器はもうありとあらゆるものがあるわ けで、それを一気にどうのこうのというのは、私の頭の中では正直申し上げて、どうし ていいかわからない。針の類からMRの類まで、どう考えればいいんだ、それぞれに応じ ていろいろと考え方が違うのだろうと考えるわけです。しかしながら、貴重な問題提起 ですから、業界団体にも、そういう意見があった、厚生労働省としても重要なことと考 えている、何か考えられないのかというような問題提起をしてみたいと考えています。 ○北村座長 1つは企業の方というより、企業に属しておられる場合でも、臨床工学士 あるいは病院で雇用している臨床工学士が新しい機器、おそらく以前はペースメーカー を1つ入れるにも、新しい機種は企業が手術の場に入り込んで、いろいろやるというこ とは避けようという形で、それは随分臨床工学士の仕事として移ってきているというこ とですし、そういう面では、いろいろと質向上のための手段は講じられているとも言え るかもしれません。当然のことで、頑張りたいという課長のご意見でございます。 ○中谷委員 いまの資料8の体制のところの2の要件との関係で、「十分に経験している 医師のみ」という、医師だけに注目されているのですが、鈴木委員も言われたと思うの ですが、当然医師は必要ではありますが、それだけでは駄目だということです。人工心 臓のノバコアの導入のときの検討においては、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学 会、日本人工臓器学会でワーキングをつくりましたが、ノバコアによる治療はチーム医 療であり、看護等も含めたという形で認定という形が適当だと思いますが、医師のみと するとそういうコンセプトが吹き飛んでしまっているように思うのですが、いかがなも のでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 ご指摘のとおり、施設または人工心臓についても、チーム医 療で医師だけでフォローできるものでもないので、ご指摘の点が、こういった趣旨の承 認条件を課すということで、具体的なそのときの条件についてはまた審査の中で検討し たいと思います。ご指摘の点については十分に理解いたしました。 ○千葉委員 笠貫委員のご指摘にあった保険償還の件に関しては、いま議論にならなか ったと思うのですが、この点に関してはどうなのでしょうか。それを要件の範囲内に入 れるかということです。 ○医療機器審査管理室長 案としては、保険償還についても要件の範囲内にするように 検討するということで考えていますが、先ほどの笠貫先生のご指摘は、とは言ってもき ちんとしたMRに該当するような人が徹底できたほうがいいというご指摘だったのかと 思いましたので、そこについては特にお答えしませんでした。 ○北村座長 当然ではないでしょうか、保険になったからといってどこでもというわけ にはいかないです。 ○鈴木参考人 このVEPTRに関してはこのとおりだと思います。これがアリの一穴にな って広まることは大変危惧いたします。ですから、是非そういうことがないようにお願 いしたいと思います。 ○北村座長 こういった新しい医療機器の適正使用にかかわる体制の整備をして、本日 出されたVEPTRという希少器具を我が国の5例とFDAの資料をもって、早期導入という 形で機構のほうにお願いするという形でご了承いただけますか、よろしいでしょうか。                   (了承) ○北村座長 ありがとうございました。それでは、この機種に関しましてはそのように 取り扱っていただいて。 ○医療機器審査管理室長 企業のほうにも協力をお願いして、機構の相談を受けていた だいて、迅速に承認に持っていけるように、今日のご議論も踏まえて進んでいくように したいと思います。  いまの資料8については、VEPTRに限らず、このニーズの検討会の対象品目において、 必要な場合においてはこういう流れで進めていきたいと考えているものです。 ○北村座長 これがこの委員会の目的としたことの、いちばん早期にできたケースかも しれません。これはFDAの承認が下りていること、それから非常に希少価値品目である こと、条件づけも厳しく行われているのを踏襲する、医療機器としては複雑で、体内で 爆発するとか、中のものが溶け出した場合はどうなるのかとか、そういった問題はほと んどないというような、いろいろな条件を鑑みて、むしろ参考人本人からも「何でもこ うなっては」というご意見もあったようですが、この機種に関して、この委員会として は早期導入を承認するという形で、次のステップに進ませる形にします。どうもありが とうこざいました。  今日予定している件はこれで終了だと思うのですが、事務局から次の予定、その後の 機種について、聴衆のお聴きになっている方にも、うちのはいつ頃になるのだろうと思 っている方もいるかもしれませんので、次の予定も含めてお願いします。 ○事務局 次回の日程です。7月20日(金)の14時から16時を予定しています。場所 等は追ってご連絡いたします。次回の検討課題は、資料5をご覧ください。このうち上 から4つ目のAAである血管内塞栓物質、その下のAAの小児の右室流出路再建に用いる 人工血管、次の頁の下から2つ目のBAの放射線治療補助材、3つの種類の医療機器につ いてご検討いただく予定としています。  本日の議事録については、作成次第ご確認をお願いしまして、その後公開させていた だきますので、よろしくお願いします。以上です。 ○北村座長 他に何かご意見がなければ、第3回のこの委員会を終了させていただきま す、どうもありがとうございました。