07/05/28 第1回国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議議事録     第1回国立高度専門医療センターの     今後のあり方についての有識者会議     開催日時:平成19年5月28日(月)15:15〜17:15     開催場所:厚生労働省 専用第12会議室 ○ 関山国立病院課長  定刻でございますので有識者会議を始めさせていただきます。本日はお忙しい中お集 まりいただきまして、誠にありがとうございます。僭越でございますが座長選出まで私、 国立病院課長でございますが、司会を務めさせていただきます。なお辻厚生労働事務次 官におきましては所用がございまして、後ほどこの会に参画させていただくことにして おります。それではさっそくでございますが、座長の選出に入らせていただきたいと思 っております。事務局からの提案でございますが、座長につきましては日本医学会の会 長でございます高久先生にお願いしたいと思います。なお座長代理につきましては日本 学術会議の会長でございます金澤先生にお願いしたいと思いますが、皆様いかがでござ いましょうか。ありがとうございます。それではご賛同いただけたということでござい ますので高久先生、座長席へお移りいただき、以後の進行についてよろしくお願いいた します。 ○ 高久座長  ご賛同いただきましたので座長を務めさせていただきます。国立高度専門医療センタ ーの今後のあり方ということで、日本の医療の将来にとって極めて重要な会議だと思い ます。精一杯のことをやりたいと思っています。皆様方にもよろしくお願いいたします。 また金澤先生、私がいない時にはよろしくお願いします。それでは、まず資料の説明を 簡単にしていただけますか。 ○ 関山国立病院課長  お手元には本日の式次第がございます。式次第に応じまして資料1、2、3、資料4-1、 資料4-2、それから参考資料ということで皆様方の机に配布させていただいております。 もし不都合がございましたら私どもの方にお申し出いただけたらと思います。以上でご ざいます。 ○ 高久座長  それではさっそく進めさせていただきます。最初に事務局の方から国立高度専門医療 センターの今後のあり方についての有識者会議の進め方について説明よろしくお願いし ます。 ○ 関山国立病院課長  資料1をご覧ください。この有識者会議の進め方についての案でございます。開催の趣 旨ということでございますが、国立高度専門医療センターにつきましては平成22年度か ら独立行政法人化することになっておりまして、この6つのナショナルセンターに共通す る役割等の基本骨格について、有識者の8名の委員の方々によりご議論いただき、国民医 療の進展に寄与できるナショナルセンターの果たすべき役割等についてご検討いただき たいということでございます。スケジュールでございますが、3回程度このように設定さ せていただいておりまして、予備日を7月2日に設けさせていただいているということで ございます。会議は原則公開とするということでございます。以上でございます。 ○ 高久座長  今、事務局の方から説明がありましたように、ナショナルセンターに共通する役割の 基本骨格について議論いただくということになっていますが、最終的にはナショナルセ ンター、高度専門医療センターのあるべき姿について皆さん方の意見をお伺いすること になると思います。また、今日が最初ですが、だいたい一ヶ月ぐらいの間に議論をまと めるとありますから、非常にbusyなスケジュールです。よろしくお願いいたします。こ の進め方についてどなたか意見がおありでしょうか。なければそういう方向で進めさせ ていただきます。続きまして各国立高度専門医療センターの現状について事務局からよ ろしくお願いします。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長でございます。お手元の資料2をご 覧いただきたいと存じます。「各国立高度専門医療センターの現状」についてと題して いる資料でございますが、まず1ページ目のところに、各国立高度専門医療センター、 ナショナルセンターあるいはNCというふうに呼ばせていただきますが、独立行政法人化 が懸案になっているわけでございまして、それでこのようにその経過をまず記させてい ただいております。平成17年の12月に閣議決定された後に平成18年6月2日の行政改革推 進法で国立高度専門医療センター特別会計につきましては平成22年度において廃止する ことが決められ、その第2項といたしまして、各センターについて「特別会計の負担に 属する借入金に係る債務の処理その他これらの機関の事務の事業の適切、かつ安定的な 運営を維持する必要な措置を講じた上で、独立行政法人に移行させるもの」というふう になっているわけでございまして、またその下の50条のところですけども、いわゆる非 特定独立行政法人、国家公務員の身分を有しない独立行政法人になるということが書い てございます。一番下にございます特別会計に関する法律のところで平成21年度末に特 別会計が廃止されることになりますので、平成22年4月から独立行政法人化することが 逆にいえば決まっているということでございます。2ページをお開けいただきまして、 横の表でございますが、「現状と非特定独立行政法人との主な相違点」ということでご ざいまして、国家行政組織と非特定独立行政法人との対比をしたものでございますけど も、そもそも独立行政法人というのは国民生活あるいは社会生活の安定等の公共上の見 地から確実に実施されることが必要であるが、国が自ら主体となって直接実施する必要 がないもののうち、民間に委ねた場合に必ずしも実施されないおそれがあるものを効率 的かつ効果的に行わせるということで独立行政法人の制度ができたものでございまして、 そういう目的に沿いまして責任体制、業務運営等の違いが国家行政組織と出てきている ものでございます。一番上の「責任体制」のところを見ていただきますと、右の方の非 特定独立行政法人の方を見ていただいたらと思いますけども、「法人の長に裁量を与え、 主務大臣の関与を最小限にして業務運営の責任の所在を法人の長に明確化」したという ことでございまして、「業務運営」については中期目標を主務大臣が設定し、独立行政 法人の方では中期計画に沿って業務運営を行うということでございます。また「評価」 の方も一回一回の評価というよりは独立行政法人評価委員会が毎年評価を行うというの が基本となり、総務省の評価委員会も評価を行っておるということでございます。また 「会計制度」につきましては、企業会計的な手法が導入されます。「予算」については 中期計画に従いまして国は独立行政法人の運営の財源にあてるため「渡し切りの交付金」 を交付している。交付金の使途については特定せずに行うという仕組みになっているわ けでございます。また「定員」につきましても法定定員の制度外であります。ただし国 家公務員に準じた人員削減の規制の対象にはなっているところでございます。また「労 働三権」が与えられ、また「給与」については独立行政法人の実績等が反映される仕組 みになっているということでございます。3ページをご覧いただきますと、そうしたも ので非特定独立行政法人、公務員の身分を有しない形の行政法人となった場合の主なメ リットを簡単に図の形にしてございますけども、一番左は雇用形態、給与形態、勤務時 間等について柔軟、弾力的なものが可能で、独法の実績あるいは職員の業績の反映がし やすいというメリットがございます。それから行政組織では制約のある営利企業の役員 等を含む兼職、民間資金の導入、幅広い人材交流等が行えて、そういうものを相持って 一番下にございます「自主的、自立的な法人運営が可能」になると、そういうことでご ざいます。表題に即した骨格、「国立高度専門医療センターの概要」ということでござ いまして、6つのセンターがあるわけでございまして国立がんセンター、循環器病セン ター、精神・神経センター、国際医療センター、成育医療センター、長寿医療センター に沿いましてそれぞれ創設の年月日、所在地、組織運営、定員等につきまして簡単にま とめたものが4ページ、5ページでございます。6ページの方をおめくりいただきますと、 「研究・医療の均てん化・人材育成・情報発信・その他」という4つの柱にわけまして 各ナショナルセンターごとの現状、それと課題といったものを私どもなりに整理したも のでございまして、6ページは国立がんセンターの担っている主な役割ということでご ざいまして、「研究」面では「革新的ながんの予防法、高度先駆的ながんの診断や治療 等の研究開発」に始まり、「我が国における臨床研究等の体制整備」、「がん検診にか かる研究推進」、「医療の均てん化」については「標準化・均てん化」、「がんの実態 把握と有効な予防法の実践」、「人材育成」については「がん医療を推進する人材育 成」、「情報発信」、「その他」ということで研究資金配分機能であるとか国際協力の 推進といったことが現状として整理されてございます。次に7ページをご覧いただきま すと、こうした現状を踏まえ、また各NCについてどんな「強み」なり「弱み」なりがあ って、また医療政策上、あるいはナショナルセンターの直面する「機会」だとか「脅威」 だとかがあり、それらを元にすると国立がんセンターにはどんな課題があるのかを整理 したものが7ページ以下、整理させていただいております。ここの「強み」というとこ ろを見ていただきますと、少し字が小さくて恐縮ですが、がんセンターの例で書いてご ざいますけれどもがんセンターを含めましてNCは特定分野の患者集積性が高い、特定分 野の専門家集団である、病院と研究所が隣接していることによる総合力があるといった ような「強み」があって、「研究、医療、人材育成、情報発信」について、それぞれ例 えば研究の組織力、継続性がある、医療における豊富な臨床実績があるといったような 「強み」を持ってございます。また「弱み」と私たちがとらえているものにつきまして 申し上げますと、特定分野に専門分化したことによる医療ニーズの把握が困難である、 研究成果と臨床応用との連携がまだ弱いのではないかというようなこと、寄付・投資の 受け皿が少ない、そういうことがあります。「研究、医療、人材育成、情報発信」に沿 ってのこうしたことが課題なのではないか、例えば研究面においては医学外の集学的研 究体制が弱い、企業との連携が未成熟である、医療の均てん化に関係していうと都道府 県等との連携が弱く医療提供の「支援」なり「指導者」なりとして位置づけが未成熟で あるということなどがございます。今度は上の方になりますけども、医療政策上あるい はNCの直面する「機会」と「脅威」ということで今、イノベーション促進の機運がある だとか、非公務員型独法化による産学の連携の促進が図られようとしているというあた りが「機会」でしょうし、「脅威」の方といいますと少子高齢化がさらに進んでいる、 医師確保難などが起きているあたりが「脅威」の一面であるし、NCとしては財政基盤が 脆弱化しかねない、また絞り込めていない総花的医療・研究といった側面もあるのでは ないかといったあたりが「脅威」となってそのセンターの課題として先駆的医療等の研 究・医療の均てん化・人材育成・情報発信・その他といったことで整理させていただい ております。こうしたことがこれからの課題ではないか、特にがんセンターであればこ うではないかというのが今、私どもの方が整理したもので、治験・臨床研究の強化等、 あるいは均てん化についても最新の科学的知見に基づく標準的治療法の開発・実践・普 及といったようなこと、あるいは人材育成についても高度先駆的がん医療技術の基礎を 担う人材の育成等といったことが今、がんセンターの課題として考えております。8ペ ージをご覧いただきますと、同じような整理の仕方で国立循環器病センターの現状の役 割、それから次のページには取り巻く環境と課題といった整理をしてございまして、8 ページの方でいえば「研究」面でこうした循環器対策についてさらなる救命率、QOL向 上といったことに向けての基礎・基盤研究から応用研究までといったようなことを研究 にしておりますというようなものが、あるいはもっと先端的な研究まで含めて整理させ ていただいておりますし、「医療の均てん化」についても高度先駆的な医療、モデル医 療をどのように標準化、普及しようということが出ておりまして、「人材育成」につい ても全国の大学等への教授の輩出などの機能を果たしている、「情報発信」についても 全国ネットワークシステムを運用しているというようなことが挙げられております。9 ページの方をご覧いただきますとこうした国立循環器病センターの先ほどと共通するよ うな「強み」なり「弱み」なりがあり、また「機会」なり「脅威」なりを踏まえると、 国立循環器病センターの課題として、役割を明確化して産学、拠点病院等との連携を形 成していく、循環器病医療クラスターというようなことが書いてございます。また基礎 研究成果、臨床との連携を活かしたトランスレーショナルリサーチといったようなこと、 それから医療の均てん化の方においても拠点病院ネットワークを構築する、データベー スを構築するといったような、人材育成、情報発信等こういうことが課題ではないか。 こういうふうに位置づけているものでございます。それから10ページでございますけど も、国立精神・神経センターにつきましても同様な整理をしてございまして、高度先駆 的な医療技術の研究から始まり、「医療」の側ではモデル医療・標準的医療の普及、 「人材育成」についても精神・神経・筋疾患・発達障害・各範囲・分野にわたる専門医 等の「人材育成」、「情報発信」をして国内外の最新知見の収集・評価・情報提供とい ったことが今の現状としてあります。11ページに国立精神・神経センターの課題という ことで同様の枠組みのもので整理していくと「先駆的医療の研究」ということで精神、 神経、筋、発達障害の各分野におきます医療クラスターの形成、トランスレーショナル リサーチの推進、データバンク等、「医療の均てん化」、「人材育成」についても同様 の各分野の専門医・研究者を育成するキャリアパスの構築、指導医等専門家の育成、 「情報発信」、「その他」ということで医療観察法、自殺対策等についての提言機能と いったことが今後の課題ではないかという整理がなされているところでございます。12 ページを見ていただきますと、国立国際医療センターの担う主な役割といたしまして、 多岐にわたり生活習慣病、感染症、免疫についての「疾病メカニズムの解明」、「予防 法開発」、「診断治療技術の開発」、「医薬品・医療機器のTR・治験」等、あるいは感 染症のアウトブレイク等の際の対応といったことを含めた研究、「医療の均てん化」、 「人材育成」、「情報発信」、「国際協力」としてユニバーサルな保健医療サービスの 実践、WHOコラボレーティングセンターとしての協力といったようなことが現状として 行われているというのを踏まえた上で13ページに主な役割といたしまして「先駆的医療 等の研究」、「医療の均てん化」、AIDS・肝炎を中心とした診療ネットワークの構築、 標準的治療法の確立といったようなものを感染症・糖尿病を中心とした代謝症候群・免 疫難病を中心とした免疫・アレルギー・リウマチ性疾患等について構築あるいは確立し ていくということ。それから「人材育成」について全診療科を有する診療体制を活かし た高度専門総合医療のできるスタッフの育成等これからの課題であろうということで整 理させていただいているところでございます。時間が押しますので少し簡単にさせてい ただきますが、14ページをお開きいただきまして国立成育医療センターが担う主な役割 ということで「生殖・初期発生・胎児発育・妊娠母体生理」、「安全効果的な不妊・不 育・周産期」等といったことの研究、あるいはeメディシン等を通じた「均てん化」、 「人材育成」、「情報発信」、「その他」というようなことが現状として行われており まして、国立成育医療センターの課題として15ページでございますけども、「先駆的医 療の研究」、それから先ほど申し上げたような各分野について、「医療の均てん化」、 これは小児難病・難治性疾患等、それから実施困難な病気の臨床研究推進等を含めまし ての均てん化、「人材育成」、中核病院あるいは拠点施設における総合的診療能力の優 れた小児科医・産科医等ということでございます。それから「情報発信」、「その他」 ということでございます。それから国立長寿医療センターについて16ページでございま すけれども、こちらについても「先駆的医療の研究」、「均てん化」、「人材育成」、 「情報発信」と整理してあり、現状としてアルツハイマー病の予防・早期診断等の開発 に始まり医学的・工学的アプローチによる医療・介護の質の向上、「均てん化」におい ての認知症の早期診断、標準的治療法の普及等が現状として行われております。スピー ドを上げて恐縮ですが、17ページの方に国立長寿医療センターの主な課題ということで、 「先駆的医療等の研究」として長寿医療の確立のための研究の総合的推進、アルツハイ マー病のワクチン療法の開発等、骨・運動器疾患、医学・工学的・社会医学的アプロー チによる医療介護等の質の向上、「医療の均てん化」、終末期医療あるいは在宅医療の 推進といったこと、「人材育成」、「情報発信」として整理させていただいているとこ ろでございます。18ページをご覧いただきますとこの有識者会議においてはそれぞれの NCというよりはNC全体としての課題なりを整理していただく方に重点があるわけでござ いまして、今申し上げた「強み」、「機会」なり「脅威」なりをまとめてみればNC全体 としての主な課題として、基本的方向性としてみると政策医療の牽引車としての役割で はないかと、研究所と病院との相互連携による臨床研究機能の強化、医療の「実践者」 から「調整・支援・指導者」へ重点を移行させるという観点に沿って先駆的医療等の研 究ということで先程来の医療クラスター、トランスレーショナルリサーチ、データバン クの整備、在宅医療・モデル医療などの手法の開発、それから「均てん化」として疾患 別のネットワークを構築するなど医療の均てん化の道筋を確立する、均てん化の進捗状 況を評価する、地域医療の体制構築に助言をする、「人材育成」についてはNCに有能な 医療人、研究者を惹きつけ育成するキャリアパスを構築する、全国へのモデル医療の均 てん化のための高度専門家や指導医等の育成をする、「情報発信」として社会的な情報 を含め患者本位・地域の医療機関本位の情報を発信する、「政策提言」として医療研究 の成果を踏まえ、医療政策への政策提言機能の発揮を行う。こういうことがNCの課題で はないかというふうに整理させていただいております。19ページではこういうことを検 討する際の前提として大学医学部との「強み」・「弱み」の比較をしたものでございま して、後で見ていただければと思いますけども、大学医学部と比べると特定分野の高い 患者の集積性がある、研究の組織的・継続的な取り組みがあるとか、あるいは臨床研究 に重点があるといったようなあたりで強みというようなものがございますけども、一方 で医学外の集学的研究体制の構築が難しいですとか、日々の診療の方が優先される傾向 があるといったようなこととか、「均てん」のところにおいても都道府県との連携強化 がまだNCの方に少しできていない、一方、大学医学部の方では医局人事を通じた医療機 関との連携といったことができているんではないかといったような整理をさせていただ いているところでございます。20ページはこうしたことを踏まえながら具体的に今、担 っている大学・民間部門が参入しがたい、またNCの強みを発揮できる分野としてという ことで先程来説明してきたことを整理したようなものに近いものでございますけれども、 「研究」、「医療の均てん化」、「人材育成」、「情報発信」においてそれぞれ疾病メ カニズムの解明、予防法の開発、診断・治療技術の開発、TR、医療の均てん化手法の開 発、データバンクの整備等の研究、医療の均てん化、モデル医療・標準医療の普及とい ったようなこと、高度専門家の育成、新たな専門分野の人材の育成等というふうに整理 したものでございまして、これをもちまして各NCの現状の説明とさせていただきます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして主な医療政策において国立 高度専門医療センターの果たしている役割について、これも事務局の方から引き続いて 説明していただけますか。 ○ 平子高度・専門医療指導官  それでは、高度・専門医療指導官でございますが、ご説明させていただきます。資料 3をご参照いただければと存じます。1ページめくっていただきまして、この資料は、高 度専門医療センター、いわゆるナショナルセンターが中核になって取り組んでいる主な 医療政策課題でございます。国立がんセンターをはじめ、それぞれのセンターにおきま しては、例えばがんであるとか、循環器病、精神・神経疾患、感染症及び糖尿病、ある いは成育医療、長寿医療など、様々な切り口で6つの山という形で対応しているところ でございます。こういった政策医療を行うにあたりましては、様々な形で根拠と申しま すか、国の責務であるとか根拠になるものがございます。1ページめくっていただきま して、ここから少し資料の見方についてご説明させていただきたいと思いますけども、 これからご案内させていただきますのは、11の政策医療分野につきまして、まず、2ペ ージのところでがんの上のところを見ていただきますと、まとめの部分、「国の責務」 の部分、あるいは「施策概要」というところがございます。こういった「施策概要」の ところにつきましては、「医療」、「研究」、「研修」あるいは「情報発信」について 根拠となる法令であるとか、指針であるとかについて整理したものでございます。また、 真ん中の列になりますけども、ここにつきましては、国の役割等々、NCと関連のありそ うな具体的な条文であるとか、指針の中身であるとかというものを左に対応して整理し てございます。また、さらに右側には具体的にNCにおいて、どのような事業を施策レベ ルで実施しているのかというものを纏めたものでございます。従いまして、こういった 関係を整理することによって、具体的に国が果たすべき役割のどの部分をNCが担ってい るか、あるいは今後担っていくことを検討しなければいけないかということが整理され ていくと考えております。まず、1ページ目のがんでございますが、がんにつきまして は、昭和59年度から3次にわたる「がん戦略事業」等を推進してきているところでござ いますが、例えば「健康日本21」であるとか、あるいは「健康フロンティア戦略」、 「がん対策基本計画」といった様々なレベルのものがございますけども、国の責務と致 しましては、平成18年に成立致しました「がん対策基本法」の中に、国の責務として明 記されているものでございます。まず、例としてでございますけれども、医療としては 一番下の医療のところでございますが、「がん対策基本法」の中に第15条の2項として、 医療として、国立がんセンター等ですね、連携協力体制の整備を図り、必要な施策を講 ずるという形でございますけども、さらにその右側のところでは、「標準化」、「均て ん化」という形でいくつかの項目をがんセンターが施策レベルで実施しているというも のでございます。この2ページから9ページにつきましては、がんの関係でございますけ ども、パラパラっとめくっていただきますと、「新健康フロンティア戦略」、これは平 成19年4月18日に新健康フロンティア戦略賢人会議で纏められたもの、あるいは「健康増 進法」、「新たな治験活性化5ヶ年計画」等々ですね、様々なレベルで出ておりますけど も、こういったものに具体的に対応していくということが求められているものでござい ます。次に、少し内容が多いので飛ばしていきたいと思いますけども、10ページをめく っていただければと存じます。10ページにつきましては、循環器病関係になります。こ れは、国立循環器病センターが中心となって対応しているものでございますけれども、 この主な根拠と致しましては国の責務として「健康増進法」のなかに定められている、 あるいは「臓器移植に関する法律」のなかに定められているものでございます。また、 国家戦略と致しましては、「健康フロンティア戦略」であるとか、「新健康日本21」で あるとかですね、あるいは「治験活性化5ヶ年計画」等々ですね、こういったものに対応 してそれぞれ検討がなされているところでございます。続きまして、15ページの方をご 参照いただければと存じます。15ページにつきましては、精神疾患関係ということで、 「発達障害」、「自殺対策」も含んだ形で国立精神・神経センターが対応している主な 政策分野でございます。ここにつきましては、平成16年9月に「精神保健医療福祉改革ビ ジョン」等におきまして、全体像というものが示されているところでございますけれど も、平成26年度までの達成目標として、精神疾患についての認知度を90%以上に上げる などの目標値が定められているものでございます。また、平成18年10月に施行されまし た「自殺対策基本法」におきましても、例えば、国の責務のところを見ていただきます と、具体的な責務と致しまして、国の基本理念として「自殺対策を総合的に策定し及び 実施する責務を有する」などが定められているところでございます。また、さらに国の 責務と致しまして、「医療の実施」が掲げられております、いわゆる「医療観察法」が あったり、あるいは「発達障害者支援法」、これは平成18年4月に施行されております が、乳幼児期から成人期までの地域における一貫した支援の促進等が明記されていると ころでございます。施策の概要としては、同様の見方でございますので、また次のとこ ろに移らせていただきたいと思います。次につきましては、24ページをご参照下さい。 24ページにつきましては、神経・筋疾患関係でございますが、国立精神・神経センター を中心に対応していただいておりまして、ここにつきましては、国の責務として、「難 病対策要綱」と申しまして、昭和47年10月に、当時厚生省のプロジェクトチームが取り 纏めたものを基礎と致しまして、「調査研究の推進」、「医療施設の整備」、「医療費 の自己負担の解消」等が定められてございます。続きまして、26ページをご参照下さい。 内分泌代謝疾患でございますけれども、これは国立国際医療センターを中心として、例 えば、「健康増進法」あるいは「健康フロンティア戦略」等に基づきまして、具体的に 実施されております。特に、糖尿病、メタボリックシンドローム対策等を中心に、例え ば糖尿病については、発生率の20%減少を目標などですね、こういったものを具体的に 実施しているというものでございます。続きまして、29ページをご参照いただければと 存じます。29ページにつきましては、国際医療協力という形ですけれども、これにつき ましては、特に国が実施しているものでございますけれども、国の責務としては、例え ば「政府開発援助大綱」、「政府開発援助に関する中期政策」、「国連ミレニアム開発 目標」などを基礎と致しまして、それに対応できる「人材育成」、「研究」、「医療の 提供」等を実施しているものでございます。続きまして、31ページをご参照下さい。同 じく国際医療センターでございますが、エイズの関係でございます。これにつきまして は、今まで申し上げた法令等に基づくもの、あるいは国家戦略に加えて、「エイズ訴訟 和解確認書」に基づきまして、具体的な対応が行われているものでございます。特に、 エイズ和解確認書については、その中身を35ページ、36ページというもので、その原文 を添付させていただいておりますけれども、国際医療センターでは、エイズクリニカル センター・ACCと我々呼んでおりますけれども、ACCを中心と致しまして、医療研究等に、 あるいはさらなる人材育成に取り組んでいるところでございます。続きまして37ページ、 肝疾患でございますが、肝疾患につきましては、「C型肝炎対策等の一層の推進につい て」というものが平成17年7月27日にC型肝炎等に関する専門家会議で取り纏められてお ります。これにつきましては、国際医療センターを中心と致しまして対応がされている ものでございます。続きまして、40ページをご覧下さい。感染症でございます。感染症 対策については、感染所研究所等、他の機関とも連携しながら、国の責務としては「感 染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づきまして、医療的な対 応について、特に対応しているものでございます。また、そういったものに対応するた め、国際疾病センター等を設置し、具体的な人材育成、医療の提供等を行っているとこ ろでございます。続きまして、46ページをご参照下さい。46ページには、国立成育医療 センターの関係でございます。成育医療、周産期医療も含みますが、こういったものに つきましては、「健やか親子21」であるとか、「新健康フロンティア戦略」を柱として 期待されているところでございます。法律と致しましては、国の責務としては、「母子 保健法」、あるいは「発達障害者支援法」、「次世代育成支援対策推進法」などが関連 してくるものと考えております。続きまして、長寿医療の関係ですが、53ページをご参 照下さい。53ページにつきましては、長寿医療という形で整理しておりますけれども、 国の責務として、「高齢者の医療確保に関する法律」の中に、具体的な国の責務、ある いは「高齢社会対策基本法」という中に書かれている内容を基本と致しまして、長寿医 療として、高齢者医療制度、あるいは介護制度等、時代の要請に応えながら検討を行っ ているものでございます。例えば、高齢者の心身の特性に配慮した全人的・包括的医療 の実現あるいは在宅医療の推進等を具体的には推進をしているところでございます。個 別の内容につきましては、時間の関係上、省かしていただきましたが、また、ご質問等 いただければ幸いでございます。以上でございます。 ○ 高久座長  どうもご苦労様でした。今、事務局の方から国立高度専門医療センターの現状と現在 果たしている主な役割ということで、非常に膨大な資料を説明していただきましたが、 どなたでもご質問、この二つのテーマでもどれでも結構ですが、何かご質問・ご意見お ありでしょうか。急に言われてもなかなか大変ですが。当たり前のことですけども、非 特定独立行政法人になると、業務と運営の責任者は法人の長ですから、理事長になるわ けですね。そういうことですね。 ○ 関山国立病院課長  その通りでございます。 ○ 高久座長  よろしいですか、どなたかご質問。では、なければ引き続いて、今後の医療政策にお ける国立高度専門医療センターの役割。今までは、現状と果たしてきた役割でしたが、 今度は、今後どういう役割を果たすかということを、まず事務局から資料の説明をして いただきまして、この資料の4になると思います。この役割について、各項目ごとに議 論を進めていただきたいと思います。それでは、説明していただけますか。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長でございます。資料の4-1を中心に見 ていただき、4-1がいわば文章編、そして、4-2としてイメージ図という束を2つご用意さ せていただいております。今回、有識者会議開催にあたりまして、今まで、この独法化 が決まってから事務局なりに考えてきた役割等、あるいはその論点のような形で、私ど もなりに整理してきたものをご説明させていただいて、それを基にまたご議論いただこ うという趣旨でございます。4-1の方の1ページをお開けいただきますと、今後の医療政 策におけるNCの役割等ということで、このペーパーでは、国立高度専門医療センターの ことをNCと略してございます。「今後の医療政策におけるNCの役割について」というの を1番と致しまして、その際の「視点」というのをまず(1)として設けてございます。NC は平成22年度に独法化されるわけでございますけれども、今後の役割を検討するにあた って、医療政策におけるNCの位置付けや官民の役割等を踏まえ、NCの「強み」・「弱み」 とその特性を整理し、産学等との連携強化を含め、患者の視点に立った総合的な観点か ら検討を進める必要があるのではないかということでございます。我が国の政策医療は、 世界に例を見ない少子高齢化が進行するという大きなうねりのなかで、国民本位の総合 的かつ戦略的な展開が求められていて、NCは我が国の保健医療の水準の向上につながる 「政策医療の牽引車」となることが必要なのではないかと、政策医療という言葉はなん ぞやというのをやりだしますと、また議論もありますのでここのペーパーにおいては、 ※に書いてありますけれども「国民の健康に著しく影響を与えるもので、その時代にお いて国として政策的に取り組むべき医療」をここでは政策医療と呼ぶことにさせていた だいているわけでございます。で、国際レベルの研究競争に互して、成果を継続して生 み出せる仕組みが必要ではないかという視点を持った上で、基本的方向性として、今申 し上げました「政策医療の牽引車」ということが役割ではないかと、それをとりわけ、 「臨床研究の推進」、「医療の均てん化」等の推進が2つの柱になり、臨床研究の推進 の方では、臨床研究推進のための「統括・調整者」へ、それから基礎研究の成果を臨床 の実用化へつなげられるよう、治験を含む臨床研究の強化をしていく必要があるのでは ないか、NCの施設全体として、より臨床研究指向を高めていく必要があるのではないか ということであります。医療につきましては、「医療の均てん化」等の推進ということ で、医療の均てん化のための「医療の実践者」から都道府県中核拠点病院等に対する 「調整・支援・指導者」へということで重点を移行させるのではないかというのが基本 的方向性ではないかというふうに考えています。今後、NCが求められる主要な役割と致 しまして、「研究」、「医療の均てん化」、「人材育成」、「情報発信」の他、「国に 対する政策提言機能」が求められるのではないかということで、具体的方向性として、 非公務員型独法になる利点も活かして、民間等外部資金の導入や人材の交流、産業界、 学会等との連携を強化し、高度先駆的医療の研究開発につなげる新たな仕組みを作るべ きではないかということでございまして、先程来、紹介させていただいていますが、NC が有する研究機能、豊富な症例蓄積の実績を活かして、特に医薬品、医療機器の分野に おいて、ベンチャー等の産業界、大学等の研究機関、国立病院機構等の大規模治験拠点 との連携を深めて「医療クラスター」を形成し、先駆的な医療の開発・実用化につなげ られるようにしてはどうかということでございます。それから、「医療の均てん化」に ついては、各医療政策における都道府県の中核的医療機関との連携を図り、先駆的医療 や標準的医療の普及を図る。とりわけ、社会の高齢化を踏まえ、高齢者の在宅医療シス テムの構築とその均てん化は重要な課題であり、NCがこれの主導的な役割を担うように すべきではないかと。「人材育成」については、「政策医療の牽引車」となるべく医療 ・研究の専門家の育成を行うとともに、医療の均てん化を推進するため、地域医療の指 導的役割を担う人材の育成を担うようにしてはどうかということで、また、我が国の政 策医療に関して国内外の有為な人材のネットワークの拠点となる必要があるのではない か。それから、「情報発信」については、診断・治療法等の国民向け・医療機関向けの 広報を行うとともに、EBM情報等、国内外の知見の収集・評価とその公表を担うべきで はないか。「政策提言」については、NCが国の医療政策と一体となって推進していくこ とが求められることから、NCから国に対して政策提言ができる仕組みを整備すべきでは ないか。なお、(6)ですけど、「病院機能」については、主たる役割が医療提供の「実践 者」から「調整・支援・指導者」に重点を移すことから、求められる臨床研究、医療の 均てん化及び人材育成に必要な一定規模の病床及び機能を有して、EBMに基づき良質か つ安全な医療提供の確保が必要ではないか。(7)として、「国際医療協力」については、 国際医療センターが中核的役割を担うことになりますけども、各NCでも担当する領域の 特性に応じて対応することでいいかということであります。ということを踏まえて、NC が具体的に担う主な分野ということで、NCの活動分野、役割を果たす分野は、時代の要 請に応じて見直す必要はあるものの、「医療の均てん化」は、それに伴う「人材育成」 や「情報発信」と併せて、NCが率先して果たすべき役割を担うべきではないか。それか ら「研究」に関しては、大学や企業との競合、連携を考慮すれば、以下における分野を 集中的にNCが直接主体となって成果を出していくことが必要ではないかということで、 疾病のメカニズム等々、7つの項目を出しておりますけれども、疾病のメカニズム、予 防手法の開発等から稀少性疾患又は市場規模の小さい疾患分野、高い開発リスクを有す る新規市場分野を中心に対応してはどうか、それから患者への医療に対する理解を支援 する手法の開発をしてはどうかといったようなことを課題として掲げさせていただいて おります。以下、3ページでございますけども、それぞれ成果を継続的に生み出せる研 究のあり方、人材育成の構築から均てん化等について、それぞれの整理をさせていただ いてございまして、3ページの(1)「視点」のところは、今まで述べてきたところでござ いますが、目標として、先程来申し上げております特定分野の患者集積性が高いという ような、あるいは専門的集団であるといった「強み」を生かして、研究開発の「主導的 役割」を担えるようにしてはいかがかということで、トランスレーショナルリサーチや 治験を推進して、医薬品等の実用化につなげる「調整的な役割」を果たしてはどうかと いうことでございます。ちょっと横に資料の4-2の1ページを置いていただきますと、NC の役割と産業界、大学等との医療クラスター形成と地域医療支援をこのように進めては どうかということで、緑の矢印が色々出ておりますけども、それぞれに例えば大学との 関係で言えば、NCは特定の疾患の豊富な症例蓄積という基盤を有している、大学であれ ば大規模な研究設備、研究費を有しているといったようなこと、それから産業界との関 係では、NCは臨床現場を豊富に持っている、産業界の方は製品アイデア、具体化の場へ の魅力があるといったようなことを色々組み合わせながら、クラスターを形成し、その クラスターの結果として、中核拠点病院方式などを導入しながら、地域医療と連携した 国民医療の推進をしていく、こういうことではないだろうかということを申し上げてい るものでございます。次の2ページのところを見ていただきますと、これは類似のこと でございますけども、経済財政諮問会議に柳沢厚生労働大臣が提出した資料をお出しさ せていただいているものでございます。4-1の方に戻りまして、「人材育成」というこ とでございますけども、「政策医療の牽引車」、「国内外の人材ネットワークの拠点」 となるよう、指導的な研究者や臨床家を指導する者(いわゆる指導者の中の指導者)の 育成をすべきではないか、あるいは「医療の均てん化」に必要となる地域医療の指導的 役割を担う人材の育成をすべきではないかというところでございます。という目標を持 ちつつ、「主な具体策」と致しまして、3ページの下のところに「研究」と「人材育成」 とに分けて書かせていただいております。今、4-2の資料の方を先に説明させていただ きましたけれども、「研究」の方でいきますと臨床研究の統括・調整機能の構築、それ から医療クラスターに必要な体制の整備と多施設共同臨床研究の活用といったことがご ざいます。4ページの方をお開けいただきまして、治験中核病院の整備、それから診療 ガイドラインやクリティカルパス等による標準的医療やモデル医療など、医療の均てん 化手法の開発等といったこと、それからエビデンス構築のためのデータバンク、優秀な 人材を確保するための外国人幹部の登用など、人材のグローバル化にも対応する、それ からNC職員によるベンチャー等私企業への経営参加等、連携大学院、NCにおいて研究開 発が継続的・安定的に行われるよう、運営費交付金の確保、民間等外部資金の導入、知 的財産管理等について仕組みの整備といったことがございます。それから人材育成の方 について申し上げますと、研究、TR(トランスレーショナルリサーチ)、臨床の各領域 において、指導者の中の指導者を輩出できるキャリアパスの構築が必要になる、特にTR や治験に必要となる、研究、臨床領域に精通した人材育成システムを構築する必要があ るのではないかということでございます。4-2の方へ行きますと、今のところで申し上げ ますと6ページのところ開けていただきますと、各国立高度専門医療センターにおいて、 医師の場合というイメージとして、キャリアパスを示させていただいておりますけども、 Basic Research Course、Clinical/Translational Research Course、それからClinical Specialist Courseといったようなことに分けつつ、どういったキャリアパスが描けるよ うにしていったらいいだろうかということをそれぞれにまた検討していく必要があると いうことのイメージを書いたものでございます。それから、「医療の均てん化」に関し て申し上げますと、その前のページの5ページのところにございますけれども、各国立 高度専門医療センターが学会等と連携をしつつ、都道府県に置かれるような拠点病院を 通じて、また地域の医療機関の人材育成にまでつなげていくというような手法なのでは ないかということでございます。次に、資料の4-1の5ページの方をご覧頂きたいと存じ ます。「地域医療との連携など医療の均てん化と情報発信のあり方」ということでござ いまして、国民が適切かつ良質な医療が受けられるよう、高度先駆的医療や標準的医療 等について、医療の均てん化を進めるべきではないかということで、また、国民が適切 な医療の選択が可能となるよう、また、医療従事者においても適切な医療が提供できる よう、情報発信を担うべきではないかということでございます。そして、「目標」とし て、そもそもNCと都道府県の間の中核的医療機関等とのネットワークを構築すべき医療 分野というのが、今、必ずしもできてない分野が多いわけでございまして、そこの分野 を明確にした上で、医療の均てん化のための情報伝達、人材育成、均てん化の進捗状況 の確認等にNCが中心的な役割を担えるようにすべきではないか、そして、こうしたネッ トワークを活用しつつ、情報発信等の機能を整備すべきではないかということでござい ます。具体的にはということで、都道府県の中核的な医療機関等を通じて、先駆的医療 や標準的医療の普及、医療の均てん化の評価手法、ちゃんと均てん化したかを開発して、 必要な情報の収集・分析を行い、その評価を実施するという機能、それから必要があれ ば、中核的な医療機関等に対する技術的助言や指導の実施という機能、こうした医療の 均てん化を推進していくためのNC内の体制整備、都道府県の中核的な医療機関に対して 国内外での最新知見を収集・評価し、最良の情報提供を進めるとともに、国民に対して も、インターネット等による特定疾病についての幅広い情報発信を実施しようというも のでございます。資料の4-2の方で申し上げますと、7ページのところに政策医療分野に おけますネットワークの整備状況というものがございます。がん、あるいはエイズにつ いては、NCそれから都道府県の中核的な位置付けの医療機関、それから地域の医療機関 といった体系ができているものでございますけれども、その他については、概ねあまり ない部分が多うございまして、こうしたものについてどのようにネットワークといった ものを作っていくかというのが一つの課題になります。8ページの方をご覧いただきま すと、医療の均てん化のイメージということで、これも都道府県なりの中核的な医療機 関を通じて二次医療圏ごとの医療機関に均てんをさせていくということではないかとい うことでございます。また、9ページをご覧いただきますと、情報提供体制の構築とい うことでございまして、NCは都道府県なり都道府県拠点病院なりに対する情報提供とい うのを中心に、またインターネット等により幅広い情報提供を行いつつ、都道府県ある いは都道府県の拠点病院等を通じて国民に二次医療圏ごとの医療福祉あるいは医療機関 等の情報発信をするといったような体制が構築されていくというのがイメージでありま す。4-1の方へお戻りいただきまして、独立行政法人化したNCに対します国の関与等の あり方ということでございまして、独法においては、本日最初にご説明申し上げました ように、法人の自立性・自主性を重視する観点から、大臣の指示、監督は原則的に排し て、大臣の関与は必要最小限のものとして、個別に法令に規定されるということになっ ているわけでございます。独立行政法人化された後のNCは基本的には、大臣に認可を受 けた中期計画に沿いつつ、自主的な運営を行うというものでございますが、中期計画に 規定される通常業務よりも優先してでも対応すべき必要性があるような場合の大臣要求 の対象とすべき内容というのを検討していくべきではないかということでございます。 (3)のところに主な具体例というのを書いてございますけれども、例えば、災害が発生 した場合や公衆衛生上の重大な危害が生じた場合等について、厚生労働大臣からNCに対 して業務の実施を要求することができるようにすべきではないかということでございま して、緊急かつ一時的な場合、あるいは緊急かつ一時的でない場合等、本来業務の中か 外かということで分けて、このマトリックスのように、その下に絵が書いてございます けども、本来業務の中であれば、大臣が指揮命令しつつ、必要に応じて中期目標等を見 直すといったこともできるわけですけど、緊急かつ一時的な場合で本来業務でないよう な場合に、どういった時に大臣が指揮命令をするのか、災害医療等の想定されるものに ついては、大臣の要求事項として個別法に位置付ける必要があるのではないかというこ とでございまして、類例なども見ながら検討する必要があるのではないかということで ございます。独立行政法人と国との関与のあり方については、4-2の資料の10ページの ところに出てございまして、中期目標、中期計画等、法人の長及び監事の任命と解任、 違法行為等の是正措置の他に、右のところに赤字で書かせていただいてございますけど も、緊急の必要がある場合の主務大臣の要求というのが、独法個別法により規定される ということを図示したものでございます。4-1の資料の7ページにお戻りいただきまして、 「医療政策におけますNCの提言機能のあり方」ということで、各NCが担当する対象疾患 は、国民の健康に重大な影響を有する疾患であり、NCがその機能を一層効率的に発揮で きるよう、国の医療政策を一体となって推進していくことが求められるということから、 NCから国に対して、政策提言できる仕組みを構築すべきではないかということで、具体 的な仕組みとして、NCの医療政策に対する提言機能が確実に実施されるよう、(3)です が、NCの提言機能を法令上位置付けるということとともに、NCの医療政策における位置 付けを踏まえ、各NCの代表を主たる構成員として提言ができる審議会あるいはその部会 といったものを検討してはどうだろうかということでございます。それから6番といた しまして、課題達成に相応しいNCのあり方等ということでございます。各NCが上記の研 究、医療の均てん化等について「政策医療の牽引車」としての役割を十分に果たせるよ うに、既存の体制を見直しつつ、各NCが担う疾病分野において的確に機能が発揮できる 組織と効率的な運営管理体制を構築する必要があるのではないか、各NCの活動成果に関 して的確に評価できるよう、評価方式について検討すべきではないか、国民本位の政策 医療となるよう、患者等からの声を受け止め、NCの運営に役立てる仕組みを設けるべき ではないか、必要とされる医療の均てん化のあり方については、医療政策の中で順次整 理していく必要があるのではないか、NCは国の責務を果たすために政策医療の牽引車で あり続けることが必要であるけれども、求められる役割等が時代の要請に適応するよう 必要に応じて見直す必要があるのではないか、新たな政策医療については、現在NCが 担当している領域から見て、どこにも属さないようなものに関しては、基本的には国立 国際医療センターが担ってはどうか、独立行政法人化後の各NCの名称や中期目標の設定 については、本有識者会議の議論を踏まえ、検討に役立てることとしてはどうかという ことでございます。資料の4-2の3ページ、4ページのところを飛ばしてしまいましたけ れども、先ほど説明したことでございまして、3ページのところに医薬品の場合のイメ ージということで研究開発のプロセスとして、基礎研究から治療薬を作るところの臨床 研究への橋渡し機能、それから治験の統括・支援といったところが特に、稀少疾患・疾 病等を中心にNCが担うべきところではないかということの図でございます。それから4 ページの方は、医療機器の場合ということで、これもイメージと書いてございますが、 現行医療の不具合、精密機器など基礎研究の発展状況に応じての、また統括・支援とい ったことがNCの役割の中心にある意味なるのではないか、それからまた治験の方に入っ ていくのではないかということでございます。以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。最後に、国立高度専門医療センターの役割等という ことでかなり詳細な説明がありましたが、この問題についてどなたかご質問、その前の 概要あるいは現在の役割ということでも何でも結構です。私の方からお伺いしたいのは、 この資料の2の「現状」で独立行政法人はどういうふうになるのかとあります。気にな るのは渡し切り交付金がありますね、国立大学ではこれが毎年1%ずつ減るということが 決まっているようですが、ここでも決まってるのですか、それは。まだわからない、将 来予測はできない? ○ 関山国立病院課長  運営費交付金については実際には平成22年度、ナショナルセンターが独立行政法人化 しますので、したがって21年度の予算作業において、どのように整理をするかというこ とで、具体的に決まっていくだろうと思っております。 ○ 高久座長  毎年決まっていくわけですか。 ○ 関山国立病院課長  運営費交付金がその時点で決まればですね、今後、これは国立病院機構の例でありま すけれども、毎年1%減ということで効率化係数が掛けられていくというわけでございま す。そういったような状況でございます。 ○ 高久座長  可能性が高いわけですね。どうぞ、金澤委員。 ○ 金澤委員  今のこととも関係するのですが、全体のことでよろしいでしょうか。「ナショセンの 役割等」という4-1を拝見しておりますと、これは私も前におりました時より役割が増 えているんじゃないかという気がいたします。しかし、それはそれで非常に大事なこと だと思いますし、もっといろいろなことをやる組織であってもいいんじゃないかと思い ます。ただそう考えますと、少なくとも3つの問題点があると私は思います。1つは運営 費交付金のことですが、自民党の中でも、研究を主にやる独立行政法人で、今のままの 運営交付金が年々減少してゆくのでは研究が本当にうまくいかなくなるということを真 剣に考えておられるようであります。つまり、今後の運営費交付金のあり方について議 論されているようですので、厚労省としても、ここは一つ少なくともナショセンについ ては、いわゆる通則法ではない形で特別扱いを求めてはいかがかというのが1つです。 それから第二に、先ほど高久先生がおっしゃった資料の2の2ページに比較の表がありま したけれども、その下から4つ目に「定員」というのがございます。これもまた非常に 大きな問題で、非公務員型でありながら、どうしてこの枠を受けなきゃいけないのか、 ここは先ほどのことと同じですが、例外の中に入れてもらうことを強く主張すべきでは ないかと思っています。そうしないとやはりこれだけの機能は果たせない。それから第 三は、病院経営についてです。どうしても今のままいきますと経営状態改善が義務付け られます。そして病院の規模についても、借金が返せるかということで大変問題になる わけであります。考えてみると、国際的にも日本国として恥ずかしくない医療ができる 国の病院が一カ所二カ所あってもいいんではないかと思うんですね。現状では、そうい う国として恥ずかしくない医療をやるには、嫌な言い方ですが私立とか国立大学の一部 とかにお願いをせざるをえない状況というのがやっぱり現実にあるわけです。そういう ことを考えますと、やはり厚労省の幹部の方々に本気になってここは「特別扱い」をや はり許していただくことを考えていただきたいと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。他にどなたか。今後の役割には私も賛成で、医療の 均てん化のための「調整・支援・指導」はぜひ重要だと思います。その前の「医療の実 践者」から「調整・支援・指導者」というのは確かにそうなのですから、現実にはがん センターでも循環器病センターでも患者さんがたくさん来られていて診療責任が当然あ るわけですね。私自身も頼まれてがんセンターに紹介状を良く書いているのですが、今 のように診療責任がある時に理論的には確かにNCは「実践者」からむしろ「調整・支援 ・指導者」になるべきなのですが、「実践者」の割合をうまく調整できるかどうか、そ このところが少し心配なのですが、こういうことについてどなたか意見がおありでしょ うか。私が指名して申し訳ないのですが、廣橋先生、がんセンターにたくさん患者さん が来られている。この4-2を見ますとがんセンターは多くの役割を全部果たしておられ ますが、その中で病院の診療の比重はどのくらいあるか教えていただけますか。 ○ 国立がんセンター総長  今回、がんセンターの、あるいはナショナルセンターの役割を明確にするということ が1つ大きい課題と思いますが、研究開発をするため、あるいは標準的医療を開発する ためにも最高の医療をまず実践しているということが基盤になるわけですね。それから 人材を育成したり、情報を配信していくためのソース、現場も最高の医療を行っている 現場であるわけなんですね。だから一定の規模のという表現はよく考えなければいけな いと思うんですけれども、やはりそこの医療がいいものでなければですね、国民からの 信頼を失って、研究開発の面でもあるいは均てんの面でも、その根っこが失われてしま うということがあるので、やはりそこはある程度しっかりした医療をきちんと提供する ということが必要であろうと私は思いますけれども。 ○ 高久座長  事務局の方からこの資料の4-1で、今後の医療政策におけるNCの役割で、この順番で 議論していただきたいという要望がありましたので、この資料の4-1の(1)の「視点」と いうことで、ここには政策医療の定義もありますが、このことに関してはどなたでしょ うか、特にご議論・ご異論があるでしょうか。これはあるべき姿ですから、その次は基 本的な方向性ということで、政策医療の牽引車ということで基礎的、臨床研究ですね、 臨床研究の「統括・調整者」ということ、それから臨床研究の強化、これには当然トラ ンスレーショナルリサーチということも入ってくると思うのですが。それから医療の均 てん化の推進ということで議論しました「医療の実践者」から中核拠点病院における 「調整・支援・指導者」ということが、挙げられています。この基本的方向性について どなたかご意見ございますか。どうぞ、本田委員。 ○ 本田委員  この「医療の均てん化等の推進」のところの「『調整・支援・指導者』へ」というと ころなんですけれども、先ほど廣橋先生の方からもお話ありましたけれども、確かに研 究開発とか標準治療とかを作っていくためには最高の医療を行っているのが必要だとお っしゃるのは確かにわかるんですけれども、その一方で例えばがんセンターの場合、NCI とかを見ても別にそんなすごい大きな病院を持っているわけではないですよね、研究所 として。それなりの今まで各地にきっちり患者さんを診るレベルの高いところが整備が 十分でなかったから、がんセンター本体がいっぱいの患者さんを診なければならなかっ たのかもしれないですけれども、拠点病院側でどんどん地域にそういうところを育てて いくという視点で見ると、がんセンターでどんどんどんどん患者さんを集める必要があ るのかどうかちょっと疑問に私は感じています。そして、がんのことしかわからないの でちょっとあれなんですけれども、現実問題がんセンターなら最高の治療を受けられる だろうと思って患者さんが殺到しているんですけれども、一方で何が最高の治療かとい うことなのかわからないですよね。臨床研究にそぐわない状況になった時に、患者にし てみれば追い出されると思ってしまっているのが現実で、逆に過剰期待からそれが過剰 な不満と反発に陥っているというのが現状にあると思います。だから今回このNCの役割 等ということで役割を明確にされていくというのはとても素晴らしいことだし、私は一 定の規模というのは慎重に考える必要があるというのは大変そう思いますけれども、や っぱり「調整・支援・指導者」という形になっていくというのはこれから必要な立場で はないかと感じます。 ○ 高久座長  ありがとうございました。どうぞ次。 ○ 和地委員  医療機器の立場から質問があるのですが、前段で、この開催趣旨でですね、6つのNC に共通する役割の基本骨格と、こういう風に定義しているんですが、やはり医療機器が 非常にすんなり入る、例えば国循さんとかですね、非常に密接に入るわけですし、6つ 必ずしも共通にですね、議論するのはなかなか難しいかなと思ってるんですね。特に医 療機器というのはご承知のようにこの数年でやっと光が当たってきたものですが、シス テム作りがですね、これからと、いってみればいろいろ努力いただいてますけど、緒に ついたばかりという状況の中でですね、いわゆる治験とか人材の育成とか、あるいは審 査の方法とか教育システムとかちょうどこのNCのですね、新しいアドバルーンの中に入 る余地がかなりあるんじゃないか。ただし6つのNCに共通するというのはなかなか難しい と思うんです。この辺はどういう風にお考えですか。 ○ 高久座長  これは私の個人の考えですが、共通の役割が今議論されていますが、当然個々のNCに よって、重点などが変わってくると思うのですが、方向性ですね。廣橋先生、どうぞ。 ○ 国立がんセンター総長  先ほど本田委員からのご発言がありましたが、米国にはですね、NCIのような小さな 実験型の病院を持った国の研究所だけではなくてですね、M.D.Anderson等のようにかな り大規模な施設で研修をやったり治験をやったりするようなところもあるんですね。日 本の中ではまだまだそういった施設が十分ではありませんので、両方の役割を持った国 立がんセンターあるいはその将来の役割であるべきで、その中でもちろんミッションを よく見直しながらやっていくというのが現実的かなと思います。 ○ 高久委員  ありがとうございました。それでは時間的な問題もありますので今後NCに求められる 主要な役割の基本的な方向性ということで政策医療の牽引車として臨床研究、さらに均 てん化への指導的な役割を果たす。この基本的方向性についてはおそらく皆さん方ご異 存はないと思います。具体的なことについてはいろいろあると思いますが、主な役割と して人材の育成、情報発信、それから国への政策提言の3つ、研究をあわせて、4つです ね。研究は、臨床研究が主になると思うのですが、それから医療の均てん化、人材育成、 情報発信、それからかなり新しいことと思うのですが国に対する政策提言ということが 挙げられていまして、そこで研究の推進では今までの蓄積もありますがさらに独立行政 法人としての利点を活かして民間等の外部資金の導入とか民間・大学あるいは他の施設 ・産業界との連携を強化すると言うことが挙げられています。それから非常に重要なこ とは2ページ目に「医療クラスター」を形成する。要するにNCが中心となってそこでベン チャー等の産業界、先ほど和地委員からもお話ありました医療機器も当然入るわけです が、大学、それから国立病院機構などと連携を深めて「医療クラスター」を形成する。 先駆的な医療の開発ということでして、独立行政法人の利点を活かすということですね。 先駆的医療や標準的医療の普及を図るということは医療の均てん化ということで非常に 重要ですが、高齢者の在宅医療システムの構築と均てん化についても指導的役割を果た すべきではないかとの議論が出されています。これは従来のNCがやってきた役割と少し 新しい展開だと思います。それから人材育成に関してはこの通りであると思いますが、 指導的な人材を育成すべきである。これは最初の基本的な方向性の中で「調整・支援・ 指導者」の育成といわれていますし、情報発信についても今までの資料の説明にもあり ましたように、がんセンター、長寿医療センターですか、ナショナルセンターが情報発 信を国民、医療提供者に対して行っている。それから、国際医療協力は国際医療センタ ーが中心になってやっておられますし、最後の政策提言では、NCの全ての組織が1つの 委員会、あるいは審議会のようなものを作って政策提言をすべきではないかという7つ の項目が具体的な方向性として出されています。これについてどなたかご意見おありで しょうか。どうぞ。 ○ 金澤委員  やはり2ページ目の(6)と、さきほどの1ページ目の(2)の医療の均てん化のところに出 てきた文言の関連がやはり問題だと私は思います。2ページ目の(6)では実践者から何々 に「重点を移す」ということが既に確定してしまっているわけです。モデル事業ある いはモデル的な医療をやってみるにしても、それは実践者でないとできないわけであり ます。しかも、NCは豊富な臨床実績を持っている、という利点があると評価しているわ けです。この点は先ほど高久先生おっしゃったとおりです。ですから、こういう風に書 かれてしまうと、良い臨床医が非常に集まりにくくなり、しかも臨床的な活動をしにく い状況になるんじゃないかということを恐れます。 ○ 高久座長  この点についてはどなたか。笹月先生、いかがですか。 ○ 国立国際医療センター総長  お話のようにやはり病院というものを見た時に、大学の病院はまず学生の教育が first-priorityだろう。一方ナショナルセンターの病院というのは医療のレベルそのも のを上げるための開発研究あるいはEBMのための情報を収集する、そこに主目的を置い たとすれば当然最高の医療がなされていなければなりませんけども、目標はあくまでも 新しい先駆的治療法開発のための病院だと、大学病院に来た患者さんは必ずまだ免許を 持っていないけども学生が診療の場に立ち会います、あるいはいろんな質問をするかも しれない、そういう了解をした上できてもらう、我々の病院は新しい治療法開発のため に来るわけですから、はじめからインフォームド・コンセントをとって例えばゲノム解 析とかアンケートなどができるような、そういうことがきちんと保証された病院にする ことが大事なんだと思います。 ○ 高久座長  私もここのところで先ほど基本的な方向性のところで医療提供の実践者から云々とい うよりは高度の医療を提供するということと「調整・支援・指導者」の育成ということ の両方をやる必要があるのではないかと思います。重点を移してしまうと本当にシフト できるのかという心配があるのですが。どうぞ、青木委員。 ○ 青木委員  私も同様の意見です。きっちりとした医療の実践の上に立たないとエビデンスに基づ く研究はできないと思います。ただ、日常の診療があるなかで、さらに研究をやろうと すると、それなりの資源の投入が必要です、毎年5%ずつ人を減らすとか予算の制限をか けることだけ考えておられるように思えますが、まず人員と予算といった資源の相当な 投入が必要です。独法化に当たってそれができないんだったらこういうことを考えるの は全く無意味なような気がします。何か新しいことをやる場合、企業ですと必ず必要な 人間と予算を考えて、それから仕事がスタートするわけですが、そういった視点での提 案になっていないと思います。財政状況から国の政策上仕方がないところはあるとは思 いますが、必要な資源投入をするという前提がないと議論が非常に空虚なものになる恐 れがあると思います。 ○ 高久座長  どうですか、笹月先生。短く。 ○ 国立国際医療センター総長  先行している各種独法の人たちの話を聞きますと、この運営費交付金じゃなくて、外 部資金から来たお金で人を雇ってもそれはやはり定員の中に組み込まれる。ということ はいろんな努力をして外部資金獲得を努力するインセンティブもなくなるということで すので、ぜひこのナショナルセンターの独法化に際しては、5年間で5%削減の時に外部 資金からの定員というものは別枠として認めてほしいということを主張して法律に書き 込んでいただきたい。 ○ 高久座長  まだ循環器病センターのご意見を聞いていないので、どうぞ、北村先生。 ○ 国立循環器病センター総長  今回は有識者の方々のご意見にお答えするという形でありまして、あまりナショセン の方から言うべきかどうかわかりませんが、結局形としては既に国立大学が先行してい るんですね。その形態の問題点というのは厚生労働省もよくつかんでおられると思いま すけども、また厚生労働省の研究主体機関における独立行政法人化した組織の問題点も よくご存じと思いますけど、やっぱり同じことを繰り返そうという結果になってしまっ てるんですよね。ここで大学がどういうことをしているか、ご存じのように、やはり病 院機能をしっかりさせない限り存続し得ないということで、東京大学でも看護師さんの 保険の点数がちょっと変わればあれだけ看護師確保に走らなければならないと、そうい うことが現実に起こっておりましてですね、医療の均てん化とか人材育成といっても医 師を育てるにはしっかりとした最高の医療の提供できる組織体がやはり必要であるとい うのは金澤先生あるいは青木先生がおっしゃった通りだと思うんです。ですからここに は予算の削減と人材の削減が従来通り盛り込まれた上でこのような形でどのようにして いくか、笹月先生が言われましたように何らかの外部資金とかで導入して頑張れば頑張 るほど交付金が減っていくというような形態であれば、独法化する本当の意味とかメリ ットとかがどこになるのか。もしこのような形であれば独法化せずにNIHのような形で 全て治験とかそういうものにいけばいいんですけど、独法化する以上は病院の収益が上 らない状況で、交付金が削減されるのでは研究費を削減せざるをえない状況になる。そ れを外部資金で調達すればさらに交付金が減ると、そういう構造体ではやはりこの機会 に考え直していただくことが必要と思います。 ○ 高久座長  むしろ厚労省の方にというよりも財務省や政治家の先生方にお願いしたいと思います。 こういう意見が出たことは記録に留めていただきたい、そのための委員会ですので。金 澤委員はじめ青木委員、それからナショナルセンターの方からもそういう意見があり、 私自身もまさしくおっしゃる通りだと思います。繰り返しになりますが、「NCが具体的 に担う主な分野」ということが書いていますね。疾病のメカニズムの解明、予防手法の 開発、高度先駆的な診断治療技術の開発、たくさんあって大変ですが、これについてど なたかご意見おありですか。基本的にはこういうことを担う、ナショナルセンターとし て期待されているんだと思うのですが。どうぞ、本田委員。 ○ 本田委員  (4)のところではなくて、その前の先ほどの医療提供実践者の部分なのですが、先生 方がおっしゃることは大変よくわかるのですが、ふつうの日常診療と最高の医療を提供 するということが患者に、国民にはわからない。さきほどおっしゃっていましたが、新 しい標準治療や開発は非常に大事で、それに協力するということを国民も理解していく べきだと私は思っていますが、現実、そういうことを言われないまま、すごく良い治療 をしてもらえるのだと思って、疾病にもよるとは思いますが、最高の治療を受けられる のだと思ってがんセンターに行ったら、実は色々な抗がん剤など開発のなかの治療であ って、その後放り出されるといった何をちゃんとしてもらえる病院なのかという標準治 療を開発するための最高の治療をする病院なのだということを明確にした医療提供の 「実践者」を残すことはとても大事なのでそれはよいのですが、何でもありの素晴らし い何でも聞いてくれる治療してくれるところなのだという誤解があるので、書き方を大 事にして欲しいと思います。 ○ 国立成育医療センター総長  お言葉をお返しするようで申し訳ないのですが、やはり情報の発信の必要性があろう かと僕は思います。成育医療では、全部が全部とは申しませんが、情報発信致しますと 全国から患者さんが集まってきて、うちでなくてはできない患者さんもたくさんござい ますので、さきほどがんセンターとおっしゃられましたけども、それはがんセンターが がんセンターなりの情報発信をしていただければ、ご質問にお答えになれるのではない かと思います。 ○ 高久座長  いずれにしても、医療の実践というところと、「調整・支援・指導者」の育成あるい は具体的に支援ということについての表現を少しうまく考えましょう。 ○ 辻本委員  (4)の「具体的に担う主な分野」という一番下のところに、「患者への医療に対する 理解を支援する手法の開発」というこの一文があることに非常に胸をわくわくさせてい ます。ただ、その一方で、先程来のお話からパターナリズムの復権になるのではないか というようなある種の恐れを感じながらお話をずっと伺っておりました。今確かに患者 の権利意識の高まりに、あるいは受診行動にも問題が出てきているということの一方で、 一部医療者の腰の引けた姿勢っていうことも問われている。だから、国としての医療の ありよう、最高の医療のありようということをこうして責務を持って担っていくという ことを明らかに、高らかに宣言されることに私は患者としてはありがたいという気持ち でずっとご報告をお聞きしておりました。ただ、そのなかで「調整・支援・指導者」の 育成ということの「牽引車」という言葉が「権威者」と聞こえてしまいました。そこに 大きな不安を感じてなりませんでした。もちろん、私個人としてもドクターのカリスマ 性すべてを否定するものではありません。そのことに私ども患者がどんなに支えられる か。「調整・支援・指導者」ということの育成のなかで「牽引車」であって欲しいとい うことの思いと、それがなぜか「権威者」に聞こえてしまったことでパターナリズムに また戻っていくのではないかというような一抹の不安を感じたことをまず申し上げてお きたいと思います。在宅医療の情報発信あるいは支援を患者が理解をしていく一方で、 今、患者の期待が過度になっている私たちが引き受けるべきはやはり医療の限界性、不 確実性ということの問題ではないかと思います。ですから、最高の医療のなかで牽引車 の方々と患者がいかに情報の共有し、インフォームドコンセントやコミュニケーション がモデル的な展開としてNCで行われるということに大きく期待したいということをあえ て申し上げておきたいと思います。 ○ 高久座長  ありがとうございました。それでは、3ページの「成果を継続的に生み出せる研究の あり方と人材育成の構築」ということで、「視点」については当然であると思いますが、 「目標」のなかの「研究」・「人材育成」についてどなたかご覧になってご意見おあり でしょうか。地域医療で指導的役割を担う人材の育成や、トランスレーショナルリサー チや治験を推進するということは、NCとして当然期待をされていることだと思います。 それでは、主な具体策ということで、研究については、「臨床研究の統括・調整機能の 構築」・「医療クラスターに必要な体制の整備と多施設共同臨床研究の活用」というこ とで、前にも出てきましたが「医療クラスター」という新しい言葉が出てきたと思いま す。NCが「医療クラスター」の中心になるということは今後、独立行政法人になるとさ らに強く望まれることになると思います。医療クラスターを形成するにあたって、医薬 品・医療機器それぞれにおいてどのような点に留意していく必要があるかということに ついて青木委員の方から何かご意見おありでしょうか。 ○ 青木委員  「クラスター」について若干疑問を持ちました。「クラスター」は自然発生的に各NC の力量に応じて自然発生的に集まって形成されるものなのか、それとも国の方で地域ご とあるいは疾患領域ごとに形を作るものなのかがよくわからない。自然発生的というこ とになればこれは非常に大変で、各NCの力量によってできる場合もできない場合もあ ると思います。それから、企業の立場から申し上げますと、企業は基本的に自分だけが 先に走りたいわけです。株主からの非常に厳しい目にさらされて仕事をしておりますの で、常に「抜け駆け」が我々のキーワードです。従って、同じレベルで同じことをやる ことはできません。ですから、公的な研究のレベルを一律に上げることなどを目標とし て企業からの資金導入ということを言われても我々はウンとは言いがたいわけです。外 部からの資金の導入ということをお考えになる時は、こうした基本スタンスを頭に入れ て理解しておいていただきたいと思います。 ○ 和地委員  人材の育成で一番大事なのは、色々な現場を知るということが非常に大事だと思いま す。今までは、色々な規制がありましたが独法化になると民間とNCとの交流が人材を育 てる近道だと思いますので、是非実践のプログラムに入れていくことが必要だと思いま す。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。 ○ 金澤委員  育てられる側から考えますと、何がインセンティブかということをもう少し出してい ただけたらと思います。つまり、何らかのNCからのエバリエーションといいますか、こ のような課程を修了したという証明とかないのかなと思います。「人材育成」というの はよくこういう文書には出てくる言葉なのですが、育てられる人が次のステップに行く ときにプラスになるような何かを用意してやれないのかなという意味です。 ○ 高久座長  均てん化や均てん化のために醸成支援等、そうした人にとってキャリアパスになれば 良いのではないですか。 ○ 金澤委員  何か足跡のようなものを残してやれれば彼らにとってはプラスになって次のステップ に行けるのではないかという意味です。 ○ 高久座長  それは、当然評価されるようになるとは思います。理事長がそのような方向性を考え て、それに従事される方を実績として評価されればよいと思います。大島委員、何かあ りますでしょうか。 ○ 国立長寿医療センター総長  先ほどのクラスターの問題ですが、必ずしも個別のことを考えるのではなくて、あく まで非常にパブリシティの高いところですから、ある地域あるいは日本全国考えてもよ いと思いますが、どこにどういう技術あるいは研究があるかというようなことはNCなら NCの専門領域のなかできちっとした情報収集を行って、それを企業の方とお見合いとい いますか、いろんな機会を構築するという役割をNCが担っていくということも非常に大 事なことではないかと思います。 ○ 高久座長  独立行政法人化した大学でも同じことが言えると思います。それから、研究のところ で治験中核病院の整備、診療ガイドラインやクリティカルパス等による標準的医療やモ デル医療など、医療の均てん化手法の開発の推進とありますが、NCによって、又病気に よって、各NCの役割として少しずつ違うと思いますがそういうことは言えると思います。 それから、NCの職員によるベンチャー等私企業への経営参加ということも独立行政法人 になると可能になります。また、人材の育成ということで、色々挙げられていますが、 この点について何かご意見おありでしょうか。廣橋先生何かありませんか。 ○ 国立がんセンター総長  人材育成だけではなく、人材育成から情報の発信、医療の均てん化全体に関わること です。先ほど研究開発に関しても、交付金のなかで行うのは非常に問題がある、競争的 資金もあるけれども問題があるとの話がありました。ところが、人材育成、均てん、情 報発信というものには外部資金があるわけではなく、むしろ国の医療政策と一体となっ てやらなくてはいけない分野であるわけです。これを交付金のなかでやるというのでは、 とても実際に実現できないと思うので、こういう国の政策と一体となってやるような分 野については特別な仕組みが必要ではないかと考えております。 ○ 高久座長  おそらくNC全体として新しい政策医療を打ち出すときには、そのためのお金が出てく るのだろうと期待をしています。そうしないと、両方はできないと思います。 ○ 青木委員  NIHのなかには、National Center for Research Resourcesという機関があります。 ここはNIH予算の約4%、1000億円超の予算を持っていて、リサーチのインフラに投資 をしています。例えば、general clinical centerを何十の大学病院のなかに作る場合、 そこからお金が出るという仕組みです。日本のなかでも、これは官庁にお願いをしたわ けですが、こういうことを検討するに当たって、是非ともresearch resourcesを担当す る部門を作って、そこできちんと予算的な資源を用意するという仕組みを作っていただ きたいと思います。 ○ 国立国際医療センター総長  資料4-2の3ページの「研究開発のプロセスとNCの役割」のところで、標的分子からリ ード化合物までのところがNCの役割のような絵になっていますけども、この標的分子と いうことはわかっているのではなくて、研究者が勝手にそう思っているだけであります。 だからそこには企業はお金を出さないわけなので、これが本当に標的分子だということ を証明するために、構造解析からの右へのステップを行うところについて、NCとして行 う組織を作るのがよいのではないかと思います。 ○ 青木委員  おっしゃる通りなのですが、この標的分子から化合物結合解析までのプロセスは、各 企業とも自分の研究開発のノウハウの一番中核なのです。これを公共の場で協議したり 全てをオープンにしたりはしたくはないわけです。ですから、基本的には、各医療をや っていらっしゃる方と個々の研究協力によってやっていくことになります。ここのプロ セスの成果を全てプラットホームにしてしまうということは、企業の競争力がなくなっ てしまうということにつながります。 ○ 高久座長  ここはなかなか議論のあるところだとは思います。 ○ 関山国立病院課長  事務局としては、3ページ、資料4-2のイメージ図ですが、標的分子のお話も出てきま したが、果たしてNCというのは、どういう分野をターゲットとしてこういう研究活動を やっていったらいいのか、では、今のように企業として、あるプロセスにおいて、それ はなかなか企業秘密があるので難しいということであるならば、このプロセスのなかで どういった役割をNCが担った方がいいのか、企業との関係でそういう役割分担がどうい う分野で出てくるのかということが一点と、非常にマーケットが小さい稀少性疾患につ いて、マーケットが小さければ、企業も非常に参入しにくいという分野について、こう いった場合は医師主導などの面がでて参りますけども、そういうことについてもどのよ うに考えて整理していったらいいのかもご意見いただけたらと思います。 ○ 青木委員  最初の質問についてですが、我々の方も絶えず研究動向をウォッチしておりまして色 々な論文等をサーベイしています。ある病院で臨床が始まってこういったような知見が あるというようなことがあったら、個々の企業として該当する医療機関の医学研究者と 組んで、自分たちの間で知的財産権等の確保につながるような情報を作り出すというこ とが、産業のなかにおける競争力になります。ですから、本当に良い医療をベースにし て、得られた知見を良い基礎研究につなげている先生方がいらっしゃったら企業は必ず 自分からオファーします。モノに直接つながるところは公共のベースでやるのではなく て、個々の会社のベースでやりたいと思っていることを申し上げておきたい。 ○ 高久座長  NCにベーシックなことがわかって、臨床がよくわかっている良い研究者がいれば、企 業の方から頼みにくると思いますから個人的な問題になってくるのではないかと思いま すが、臨床研究者は企業の開発に注目をしていくといった。これは最終的にはTRになっ てくると思います。また、稀少性疾患に対しては医師主導にならざるを得ないし、医師 主導の治験というと、がんセンターでもいろいろやっておられることを知っています。 医師主導の治験は一般的には大変なので、NCの非常に大きな役割になると思います。 ○ 青木委員  稀少疾患の場合ですが、患者数は日本で5万人以下、アメリカでは20万人以下で定義 されていると思いますが、一国での患者数が少なくても私ども企業としては世界的に営 業を展開すれば収益的にはペイすると思っています。世界で患者が数十人しかいないよ うな疾患でない限り、企業は事業対象として興味を持つと思います。 ○ 国立国際医療センター総長  標的分子と書いてしまったので誤解があったと思うのですが、研究者が何か新しい非 常に興味あるものを見つけたが、それは企業からみたらとても薬の標的になるかわから ないという、それが本当に標的となりますよということをするためにこの右の数プロセ スが必要なんじゃないかと思う。そこはおそらく企業はやられてないのではないかと私 は理解しております。 ○ 青木委員  企業はやります。まず自分で最初に取り組みたいと思っており、絶えず臨床から基礎 へつないでいらっしゃる先生方の業績はウォッチしているつもりです。 ○ 高久座長  いろいろとケースバイケースとなると思います。5ページ目の地域医療との連携など 医療の均てん化と情報発信のあり方ということが最後のテーマですが、次官が来られま したのであとの数分でご挨拶と締めくくりになります。最後の5ページ目についてどなた かおありでしょうか。 ○ 矢崎委員  独法化して私ども3年経って、今までの政策医療ということで、評価委員会その他、 辻本委員からも厳しい評価を受けていますが、独法化したときの世の中の風は相当厳し いものになると思います。今、このなかでNCをなんとかサポートしようという気持ちが 入ってるのですが、実際には先ほど議題になった「医療クラスター」にしろ、それから 先ほど「牽引車」ではなく「権威者」と言われましたけども、厚労省がこういうシステ ムで育ててそれを地方にというトップダウンではこれからは難しく、がんの医療はがん センターが一番良いといった世の中で支えるサポーターがないと難しいので、やはりこ れからは今までのNCの財産を活かして発展をするように頑張っていただかないと、なか なか地位が低下してしまう。そこはなんとか頑張っていただきたい。エールを送ると同 時に、独法化後の風は厳しいので覚悟しておいて頂きたい。 ○ 高久座長  国立病院機構の先輩としてのアドバイスだと思います。ちょうどあと5分になりまし た。次官よろしくお願いします。 ○ 辻事務次官  大きく申しまして、私自身この立場におりまして、一つは日本の今後のあり方という ことですが、内閣のいわば今後の成長力(イノベーション)ということが大変大きな政 策戦略の柱になっております。その一丁目一番地に医薬品、医療機器が掲げられている という状況で、お話にもあったと思いますが、「医療クラスター」の位置付け、そして アジアあるいは世界にも発信していこうではないかという大きな話になっているなかで、 NCの役割がいわばシンボルであるといってもいいくらいの状況になっているという背景 があります。それからもう一方において少子高齢化が進んでおり、少子化の問題は正念 場に近づいておりまして、これから本当に少子化対策をやらなければ21世紀の第二四半 期の日本の姿というのは描けないということで、少子化対策をこれから本気でやること になりますが、そのときにいわば本当によりよく生み育てるというお子さんを大切にす るという形での医療のあり方と、もう一つ大きなことは日本の高齢化はどんどん進むが、 若齢人口に対する高齢人口の割合というのはこれから延々と上がり続けるのだが、日本 の絶対人口における高齢化の姿というのは、実はこれから25年間で75歳以上人口が 1,000万増えてあとは横ばいという超高齢化社会が起こります。その場合における日本 の医療というのはどのように展望すればいいのかと。おそらく私の達観でありますが、 これから10年から15年間の間に日本の医療というものの姿は、死亡する方の大部分は老 人であり、その老人が激増します。そのときの医療は一体何なのかということが問われ ているということで、本当に国民のための全国に優れた医療が津々浦々に均てん化して いくために、政策医療のセンターであるNCの役割は極めて大きいものだと思います。こ のような大変な状況の下で、この御議論を頂き、来年にはNCの独立行政法人化の法案を 出すということでございまして、今お話にも出ましたけれども、中途半端ではこの二つ の大きな役割は果たせないということで、この有識者会議で本当に踏み込んだ議論、強 いご提案を頂き、それを背にして私どもは、本当に機能できる独立行政法人というもの を発足させるということが義務だと考えております。従いまして、まだ何回か議論して いただくなかで、何卒、なすべきあるべき方向をご提示していただきますようにお願い 申し上げる次第です。何卒、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○ 高久座長  ありがとうございました。そろそろ予定の時間になりましたので、第1回目の会合は 終わらせていただきます。テーマが多岐にわたっており、なかなか消化しきれないとこ ろもあったのですが、まだ2回ありますので議論したいと思います。次回は6月11日(月) 午後12時半からになりますのでよろしくお願いします。事務局の方から次回にどういう ことを議論してもらいたいということを短くてもいいので予め各委員の方に一枚の紙等 で配っていただくと、皆さんが準備をされてご発言願えると思いますので、簡単なもの でいいので用意していただきたいと思います。  照会先:  厚生労働省医政局国立病院課  TEL 03-5253-1111(内線2633、2676)  担当 岩下、岩城