07/05/11 第9回研修・技能実習制度研究会議事録 第9回 研修・技能実習制度研究会 日時 平成19年5月11日(金) 10:00〜 場所 職業安定局第1会議室13階 ○今野座長 それでは第9回の「研修・技能実習制度研究会」を始めます。本日は、北浦委 員と森永委員がご欠席です。今回はこれまで議論していただいた内容を中間報告としてとり まとめを行いたいと思っております。まず、事務局から説明をしていただきまして、議論をした いと思います。それでは、よろしくお願いします。 ○外国人研修推進室長 本日の資料は「中間報告(案)の概要」と「中間報告(案)」の本文 を用意いたしました。これまでの議論、先生方のご意見を踏まえて、事務局で案としてとりま とめを示したものです。「中間報告(案)の概要」を、先に通してご説明いたします。  「研修・技能実習制度研究会中間報告(案)」です。この制度については研修生が実質的 に低賃金労働者として扱われている等の実態を改善するとともに、技能移転を通じた国際 協力という制度本来の目的が適正に実施されるよう、以下の方向で必要な見直しを行うこ ととする。なお、制度見直しについては、「遅くとも平成21年通常国会までに関係法案提 出」(規制改革会議第3次答申)とされており、今後関係省庁との間において、具体的な制 度設計について調査を行っていくこととしています。具体的な内容のポイントを7点ほどまと めてありますが、2頁以降で説明します。  次の頁です。1のポイントは「『実務研修』中の研修生の法的保護のあり方」です。規制改 革会議からも検討事項として示されている点です。研修の実態を見ますと、「実務研修」中 の研修生が実質的に低賃金労働者として扱われ、残業までさせられている等の問題が生じ ているが、組織的な労務管理体制が不十分な中小零細企業(団体監理型による受入れ) が中心で、これらを中心に労働とならないよう「研修」の性格を担保することは困難である。 また現行の「研修」+「技能実習」は実態的には「実務研修」から「技能実習」まで一連のも のとして捉えられているということから、研修生の法的保護を図る観点から、「研修」+「技 能実習」については、これを統合し、最初から雇用関係の下での3年間の実習とし、労働関 係法令の適用を図ることとしてはどうか、という提言です。  次の頁です。2は「技能実習の実効性の確保」です。1つ目は、現行制度上、技能実習中 は実習計画の作成・履行を義務づけられているものの、実習指導員の配置や実習修了時 の評価試験は義務づけられておりません。こうしたことから次の事項について義務づけを図 ることにしています。(1)実習指導員の配置。(2)1年経過時の技能検定基礎2級レベルの受 験。これは現行制度を維持する。(3)実習修了時(3年経過時)の技能検定3級レベルの評 価。評価方法については今後検討すると本文のほうでは書き込んでいます。  2つ目は、現行の技能実習の職種の問題ですが、対象職種・作業範囲については、評価 制度が整備されている職種・作業に限定されていることから、実習生の幅広い技能の修得 や、効果的なOJTを可能とする観点から見直しを行うとしております。  例えば、関連する複数職種について実習することを可能とし、評価制度については、中心 となる職種が整備されていればよいこととする、としてはどうかということです。  3点目は、受入れ人数の問題です。受入れ人数については、研修生・実習生の数が日本 人従業員を大きく上回り、実習生を適正に指導できる体制が確保されていない例が見られ ることから、受入れ人数の在り方について今後検討する、としております。  次の頁です。3「受入れ団体の役割・責任」です。現行制度上、研修中については、受入 れ団体に監理責任がありますが、技能実習中については、受入れ団体に監理責任がなく、 実習の実施責任は受入れ企業のほうに委ねられています。実習の実効性や労務管理体制 を確保する観点から、技能実習中において、受入れ団体が企業の実習を補完するとともに、 受入れ企業に対する実習の適正実施に係る指導、監査等の監理責任を負うこととしていま す。  2点目は、受入れ団体の中には、研修生・実習生の受入れによる営利のみを目的として 事業協同組合を設立し、ブローカー的に中間搾取を行っているケースがあります。本来、実 習生を受入れ、的確な実習を実施するためには一定の事業基盤が確立し、事業活動を適 正に実施している実績が必要であることから、受入れ団体について、本来の事業協同組合 等としての活動実績(例えば、5年以上)を要件として、営利のみを目的とした受入れ団体の 新設を防止してはどうか、という提言です。  4「同等報酬要件の実効性の確保」です。現行制度上も、技能実習中については、日本人 との同等報酬要件が課されていますが、何をもって同一労働とみなすかが難しく、実態とし て、比較対象となる日本人労働者がいない場合には、この要件は機能しない。一方で受入 れ企業の一部には、専ら人件費の削減を目的として、あえて日本人を採用せず、技能実習 生を低賃金労働力として悪用しているケースも見られ、労働市場への悪影響が懸念されて おります。  このため、同等報酬要件の判断の前提となるガイドライン(目安)(例えば、都道府県別高 卒初任給平均額等)を設定し、実習生の賃金が目安に照らし、著しく低い場合にはJITCO 等が同等報酬要件の遵守状況を調査し、必要な措置を講ずることとしてはどうかという提言 です。  次の頁で、5「より高度なレベルの技能実習」です。使用者団体や、受入れ団体から、一 旦帰国した実習生の再入国による実習(再技能実習)の要望があります。当研究会におい て行ったヒアリング等においても要望がありました。再技能実習については、一般にトータ ルの滞在期間が長期化することによる失踪・定住化のおそれがあること。長期に渡って家 族の呼び寄せを制限することは人権上の問題が生じるおそれがあること。現行の技能実習 制度において、団体監理型を中心に、技能移転の実効性や、労働条件の確保などの問題 点が指摘され、その適正化が求められている実態があること等を踏まえる必要がある。  そのうえで再技能実習については、現行制度において技能移転や適正な運営がなされ ていること、帰国が担保されていることが前提であり、概ね技能移転や適正化が図られ、失 踪率も低い、「企業単独型」に限り、現地法人におけるさらなる技能向上のためなど、個別 の審査によって再実習の必要性が認められた場合に、2年間に限定してこれを認めることと してはどうか、ということでまとめてあります。  次の頁で、6「ブローカー対策等」です。まず、国内の受入れ団体の問題ですが、1点目で、 受入れ団体の中にはブローカー的に不当な仲介手数料や管理費等を徴収するケースもあ りますが、最初から雇用関係の下での実習とすることによって、実習生のあつせん行為に ついて、職業紹介事業の許可なり届出が必須の条件となります。したがって、紹介に係る 手数料も透明化されることとなります。他方、受入れ管理費、研修費用等を名目として挙げ るいろいろな管理費がありますが、この受入れ管理費については、その使途を透明化し、チ ェックしていく仕組みを検討する。  2点目は、不正行為等の問題も団体監理型において多く発生しており、特に異業種組合 において問題が見られる割合が高いということですが、不正行為を行った場合の規制、現 行では3年間の新規受入れ停止について、例えば受入れ停止期間を5年以上に延長する など厳格化することとしています。  3点目です。受入れ団体の中には、研修生・実習生の受入れによる営利のみを目的とし て、事業協同組合を設立し、ブローカー的に中間搾取を行っているケースもあります。中間 搾取という用語については、ここでは便宜的に使っていますが、本文では少し噛み砕いて 書いてあります。本来、実習生を受入れ、的確な実習を実施するためには、一定の事業基 盤が確立し、事業活動を適正に実施している実績が必要であることから、受入れ団体につ いて、本来の事業協同組合等としての活動実績を要件として、営利のみを目的とした受入 れ団体の新設を防止することにしています。  国外の送出し機関です。送出し機関の中には受入れ企業・団体から必要以上に高額な送 出し管理費を徴収したり、本人から高額の保証金等を徴収するケースもあることから、送出 し国政府に対し、送出し機関の適正化を強く要請するとしております。  最後に7「チェック機能の強化」です。現状においてもJITCO等において、適正化のための 対応を行っております。チェック機能の強化については、JITCOについては自主点検・巡回 指導を抜本的に強化するとともに、アウトソーシング等、業務の見直しを図り、管理・指導業 務への集中化を図る。具体的には、実習の実施状況の点検・改善指導や実習の評価、労 働基準監督機関、出入国管理機関に対する情報提供・連携の強化。さらには実習生本人 に対する相談・援助に重点を置く方向で抜本的に見直すべきではないか、としております。 以上、概要です。  併せて本文について読み上げは省略させていただきますが、全体の構成、主立った点に ついて、引き続きご説明いたします。  中間報告(案)の1頁の「はじめに」から始まり、Iで「外国人研修・技能制度の現状と課 題」の1の現行制度の仕組み、2の現状と問題点で最近のデータを並べています。7頁の3 で企業単独型と団体監理型の違いについて説明をしています。団体監理型については平 成2年8月に研修ビザの要件の中で導入されていますが、そういった事実関係も記載して います。  8頁以降は、ブローカー等、受入れ団体、送出し機関の問題について述べた上で、9頁の IIに、現在の「適正化に向けた取組」ということで、JITCOにおける巡回指導の強化、ある いは全受入れ事業場に対する自主点検を昨年から実施しましたので、そういった関係の状 況と労働基準監督機関や、出入国管理機関、入国管理局の取組について記載していま す。  10頁のIIIは「現行制度の評価と見直しの方向性」です。ここで総論的な部分を述べてい ます。この部分についは、若干読み上げます。  「現行制度については、技能移転を通じた国際協力を目的としているにもかかわらず、上 記Iの2にあるように、一部において研修生・実習生が実質的に低賃金・単純労働者とし て扱われ、人権侵害等の問題も生じている。他方、現行制度の対象職種・在留期間等が、 国内における産業・企業の受入れニーズに十分応えるものになっていないとの指摘もあ る。  このような中、現行制度は制度目的が形骸化しているとして、これを一旦廃止した上で、 新たな労働力受入れの仕組みを創設すべき、との意見もあります。  しかしながら、これまで受入れを行ってきた団体・企業の中には、制度の趣旨に則った適 正な研修・実習が行われているものも少なくない。研修生・実習生の帰国後の状況を見て も、職場の主任や責任者に登用され、技術指導や品質管理を任されたり、日本企業との取 引・交渉担当者に抜擢されるなどの例が報告されている。  また現行制度は、研修・実習としての性格を担保するため、以下のような仕組みを設けて おり、それによって上記の例に代表されるように一定の実習の実効性や管理に係る効果を もたらしていると考えられる。  (1)職種の設定に当たって、同一作業の反復によって修得できる技術・技能等等(単純作 業)ではないこと、公正な評価制度、技能の評価制度を設けることを前提条件としているこ と。  (2)受入れ企業は、修得技能の目標と修得方法等に関する研修計画・技能実習計画の作 成・履行が義務づけられているとともに、研修から技能実習に移行する際には、研修生は 公正な技能評価試験に合格することが条件となっていること。  (3)研修期間当初に、日本語、日本の生活習慣等を教育することにより、その後の技術・技 能の修得や、日本での生活面への適応が円滑に図られる仕組みとなっていること。  (4)は、研修期間中は受入れ団体が、企業に対する研修の適正実施に係る指導、監査等 の監理責任を負うとともに、JITCOにおいて、技能実習計画等の履行を担保するための巡 回指導、相談・援助を相当の頻度で行っていること。  このほか、現行制度は、次のような点で研修・実習制度として仕組まれていることによっ て、定着を避け、一定期間で帰国することが、ほぼ実現できている。  (1)修得した技能を母国に移転するため、国内の労働力需給動向にかかわらず、研修・技 能実習を合わせて最長3年で必ず帰国する仕組みとなっていること。  (2)3年の年限を限って研修・技能実習を受け、帰国することが予定されているため、家族 滞同を認めていないこと。  (3)行政機関による監督以外にJITCOによる巡回指導等が行われていることです。  さらに、近年、アジア諸国との経済連携が強まる中で、アジア諸国の若者を単なる労働力 として受け入れるのではなく、来日した労働者に技能を付与し、帰国後、その成果を活かし てもらうことにより、これらの国の技術向上に寄与するという制度の趣旨は、今後益々重要 になるものと考えられる。  したがって、こうした技能実習制度のメリットを考えると、現行制度について、技能移転を 通じた国際協力という目的は、今後とも維持した上で、一部に見られる劣悪な労働環境・実 習環境の改善を図りつつ、技能移転の実効性を一層高めるための措置を講ずる方向で制 度の見直しを行うことが適当である」とまとめています。  11頁の下から各論に入ります。IV「各論」。1「実務研修」中の研修生の法的保護の在り 方です。以下は概要に沿った内容を書き下しています。13頁の上のほうで「したがって」と あり、研修生の実態を踏まえた上で、研修生の法的保護の実効性を図るためには、「研修」 +「技能実習」について、これを統合し、最初から雇用関係の下での3年間の実習として法 律関係を明確にした上で、労働関係法令の適用を図ることとし、入管法上においても、技能 実習に係る新たな在留資格を設けることが適当である、としております。  13頁の後半部分の「この場合には」ということで、当初から雇用契約を締結し、労働関係 に入ることになりますので、次のような制度面での見直しが必要だということで、「第一に」 のところを少し書き込んでおります。1つは「最初から雇用関係での実習とすることによって、 入国後のトラブルを防ぐ措置についての検討が必要である」とした上で、まずは職業紹介に なりますので、実習生の募集に当たっては、職業安定法上の労働条件等の明示が義務づ けられている。これに加えて、当然雇用契約を結んでいただくことになりますので、労働基 準法上の労働条件明示義務等についても、その履行をしっかりと担保する方法についても 検討する必要がある。  また実習生を応募する際には、実習受入れ企業の実習計画や技能評価試験の合格率の 状況等、その実施機関の質にかかわる事項についても、入国前に明示させることによって 選択を与えるということを検討する必要がある、ということを書き込んでおります。  14頁に、なお書きがあります。ここは研修のみで1年以内で帰国する場合についての取 扱いが課題として残ります。研修のみで1年以内に帰国する場合にも「実務研修」が行われ ており、「実務研修中の研修生の法的保護を図る」べき必要性に変わりはないということで、 「研修」のみの場合について、今後労務管理上、「研修」と「労働」の区別が明確に出来る体 制の有無などを踏まえ、その法的関係の整理と受入れ体制の明確化も併せ、その取扱いを 検討することが求められようと課題としました。  14頁の2の技能実習の実効性の確保です。(1)技能移転の実効性の確保ということで、 ここで実習指導担当者の配置、実習修了時の評価についての義務づけといった点を記載し ています。  16頁の(2)受入れ人数・実習体制ということで、ここでは受入れ人数の枠の問題について 検討課題ということで、18頁で、今後、受入れ人数の在り方について検討課題にしていくこ とが必要とした上で、前半のなお書きで「制度全体としても非常に数が増加している中で、 我が国の労働市場において無視できない存在となっていることから、上記のような受入れ 企業単位の人数枠の在り方に加えて、受入れ人数の総枠をコントロールすることなど、労 働市場への影響を考慮する方法についても中長期的な課題として検討していく必要があろ う」としています。  (3)が受入れ団体の役割・責任です。ここで技能実習中について、「受入れ団体が監理責 任を負うこととすべき」ということを記載しています。  19頁で事業基盤が確立していることが受入れの条件だろう。また不正行為を認定を受け て、研修生の新規受入れを停止された団体が、新たに別の団体を創設して、脱法的に受入 れを継続するケースもあると言われていますので、脱法行為の防止という観点からも受入 れ団体について、一定の事業実績要件を課すことが必要ではないかとしています。3は、同 等報酬要件の実効性の確保です。  20頁の4は、より高度なレベルの技能実習で、先ほど概要でご説明したとおりです。21頁 の5は、受入れ機関・送出し機関のあり方で、概要には書いてありませんが、受入れ企業 についても、当然不正行為認定を受けているケースが多く、不適正な事案を排除するため にはペナルティーを強化していくことが必要だということから、不正行為を行った企業に対す る規制、新規受入れ停止期間について、例えば5年以上に延長するなど、厳格化すること が必要だとしています。  22頁以下は、国内の受入れ団体の問題、送出し機関の問題で、ここは概要でご説明した とおりです。  23頁の6のチェック体制等の再構築ですが、ここはJITCO等の取組を記載した上で、24 頁の2つ目のパラグラフで、これまでの問題点を踏まえ、その適正な運用を確保するために は、上記のような巡回指導や相互の連携の強化に加え、出入国管理機関における実態調 査等の強化を図るとともに、次のような方向でチェック体制の再構築を図っていくことが必要 とした上で、第一に、JITCOの抜本的な自主点検・巡回指導の強化。第二に、労働基準監 督署の監督指導の実施。第三に、職業紹介事業の許可又は届出が必須の条件となること によっての安定法令のルールの適用。  25頁の上のほうに注書になっていますが、また今国会に外国人雇用状況報告の義務化 を内容とする雇用対策法の改正案が提出されており、その報告対象には技能実習生も含 まれますので、そういった観点での監理体制も、法案が成立すれば整うことになります。  第四として、受入れ団体についての監理の責任が掲げてあります。  そして最後に、こういったそれぞれの各機関の役割を適切に果たした上で、出入国管理 機関等と相互に連携し、重層的に監視していく体制づくりが重要である。そのため、JITCO による巡回指導の結果等、受入れ企業・受入れ団体の情報の共有化を進めて、緊密な連 携体制を構築することが必要としています。  25頁のV「我が国の産業構造等の問題」です。ここは研究会の中でも議論になったよう に、産業政策的な観点からも留意が必要だということで、問題意識として書いています。  26頁で「おわりに」としてまとめています。最後の部分を読み上げますと、「以上、当研究 会におけるこれまでの議論を中間的に取りまとめた。研修・技能実習制度は、アジア諸国の 若者に我が国の技術・技能を付与し、これらの国の技術向上に寄与することを目的としてお り、21世紀の国際社会、とりわけアジアにおいて指導的地位に立つことが期待される我が 国にとって、益々重要な意義を持つ制度としてその発展が期待される。その一方で、一部 の受入れ企業において、研修生・実習生が劣悪な居住環境・就労環境の下で、拘束的な 労働を強いられていたり、中にはセクハラ、暴力等の人権侵害を受けているなどの事案も発 生している。こうした事態は、一刻も早く根絶する必要がある。  これら現在発生している問題事案については、これをいたずらに放置することなく、迅速に 対応することが必要であり、制度の適正化に係る提言内容については、可能なものから順 次実行に移していくことを強く希望する。  本報告においては、各論として具体的な見直し内容の提言までに至らず、検討の方向性 を示すにとどまったものもあり、これらの課題については、今後引き続き議論を深めていくこ ととする。  上記の見直しを契機に、研修・技能制度が本来の趣旨に立ち返って、アジア全体の技術 力向上・経済成長に貢献する制度として発展することを期待するとともに、そのためには政 府、地方公共団体、労使団体、業界団体、個々の企業経営者等関係者の真摯な努力が不 可欠であることを最後に指摘しておきたい」とまとめてみました。説明は以上で。よろしくお 願いします。 ○今野座長 それでは、ご意見、ご質問をお願いします。 ○樋口委員 これまでの議論の中で、現在の制度自身が持っている問題と、制度の問題と いうより、それの運用上の問題、特にチェック機構の問題と大きく2つあったのだろうと思い ます。今回の中間報告の中で、私は概ねこういった案でいいのではないかと思っております が、いくつか個別の質問をさせていただきたいと思います。  例えば、中間報告(案)の14頁の「研修」の位置づけについての図というか表で、今回の 制度が、従来の「研修」+「技能実習」(最長3年)について、こういった新たなものを出した わけです。従来から研修1年のみについては、検討が必要というところで、まだ答えが出て いないと考えています。これについても、例えば研修ということについて1年のみであったと しても、それを実習制に変えるということを考えておられるのか、今回、「検討が必要」で終 わっているのはどういうことを意味するのだろうかということをお聞きしたいと思います。  といいますのも、例えば、わかりやすい概要のほうで言いますと、2頁に1の法的保護の あり方ということで、これも3年を想定した場合が書いてあるわけで、これは3年でなければ いけないということになるのでしょうか。例えば「研修生の法的保護を図る観点から云々を 統合し、最初から雇用関係の下での3年間の実習とし」と書いてあります。ここに「最初から 雇用関係の下での最長3年間の実習」ということで「最長」を入れるとすれば、これまでの1 年の研修も、こちらで移行できることになると思いますが、この点は中間報告をどのように 解釈したらいいのか、教えていただきたいと思います。  もう1つは、チェックのところで、8頁の「チェック機能の強化」で、新たに設けた出入国管理 機関と、新たに設けた労働基準監督機関と書いてあり、新たに設けるというのは、従来の出 入国管理機関あるいは労働基準監督機関とは別のものを想定しているという意味で「新た な」と言っているのか、どういう意味なのかをご説明いただけたらと思います。 ○外国人研修推進室長 2つ目のご質問の「新たな」というのは書き方が誤解を招いたかも しれません。これは昨年の6月から出入国管理機関と労働基準監督機関の相互通報制度 を設けており、既に新たに昨年に設けたという意味で、既に始まっている制度を解説したつ もりです。 ○樋口委員 新たに設けたというのは、相互通報制度のほうにかかるだけで機関のほうに かかるのではないということですか。 ○外国人研修推進室長 そうです。 ○樋口委員 もう1つ新たに作るのかと思いました。 ○外国人研修推進室長 まずは作ったのを一生懸命やるということでご理解いただきたい と思います。  最初の研修の位置づけのところです。便宜的に1年+2年、3年ということで、技能実習は 今でも最長2年ですから、最長3年という枠組で、当然研修生受入れ企業の合意の下に実 習1年で帰る場合もありますので、その場合は新技能実習でも2年で帰ることは想定され ますので、表現としては「最長」と書いたほうがいいのかもしれません。  それはそれとして、いわゆる1年以内で帰る研修ビザの扱いです。ここについては、少し 組織的なことを申し上げて恐縮ですが、厚生労働省としては、雇用関係のある技能実習に ついての制度について所管はしていますが、研修の扱いをどう制度上、仕組むかについて は法務省の所管というのが1つあります。  その上で、そうはいっても、研修生・実習生はつながっている話ですので、我々としてはど う考えているかということはあります。少なくとも研修+実習については、最初から技能実習 として雇用関係を結ばせるべきだという提言をいただければ、そういう考え方を我々としても 受け止めて、1年以内で帰る研修についても、この提言を踏まえた考え方で今後検討がさ れるべきだということを、法務省等に伝えていきたいと思っております。 ○樋口委員 厚いほうの3頁を見ると、グラフがあって、技能実習のところに在留資格で研 修で入ってくる人が9万2,000人、約半分以下が移行しているわけです。ということは残りの 人たちは1年の研修で帰るとなっていて、そこのところは何か言わないと、それはまたそれ だけで残っていき、1年+2年のところだけが最初から実習制度ということになると、問題で はないかと思いますので、役所として扱いにくいところもあるかもしれませんが、少なくとも研 究会の意見としては、1年のところについても最初から実習という扱いをするのだということ は、できれば明記していただきたいと思います。 ○審議官 そこのところはいろいろ考えがあり得るわけで、いまの1年の研修、2年の実習、 特に実務研修については、あとの実習と一連のものという捉え方がどうしてもして、そういう 考えが強いという実態があります。  ただ、単独の研修については、例えば企業単独型ですと、現地法人の従業員を呼んでき てやる。大企業が多いですから、労務管理も比較的しっかりしているという体制だと、実務 研修と労働を区別して、ちゃんとやっていることが可能な体制がある場合が多いわけです。 ただ、団体監理型のような中小企業ですと、労務管理上、区別することは困難だろう。いろ いろ問題も発生している。そこの違いをどう考えていくかというのが1つあります。  我々としては実務研修を労働に持っていくというのが基本だろうとは思いますが。そういう 考えで一律にやってしまっていいかというところを、少しアローワンスを持ちながら、可能性 を考えていくことが必要ではないか。現段階でそれを全部技能実習にしなさいと言い切れる かどうかという問題があろうかと思います。ですから、その辺の含みを置いて、こういう表現 にしています。今後、これもその違いを念頭に、どのような構成にしていくかということを必要 によっては、この研究会でもさらに議論をしていただくこともあるかもしれませんが、関係省 庁と話し合いながら詰めていく必要があるなと。現段階では事務局としては、なかなかこう だと言い切れないところではないかと考えています。 ○今野座長 研究会として、ここを想定した議論はしていないのです。ですから、ここでは検 討中と書いておくほうがいいと思います。 ○樋口委員 もしそうであれば中間報告という形ですから、今後ここについて、この研究会 で検討するということにしないとどうなるかわかりませんよ、どうぞと。検討中というのがそう 受け止められると困ると思います。 ○今野座長 論理的にいうと、これは中間報告だから、最終報告によって我々が議論しな ければいけないようなことがあれば、これは検討中だから、重要なテーマの1つとしては上 がるということではありませんか。 ○樋口委員 だから、残っている課題を、むしろ「これは残っていますよ」ということを明記し た上で、この検討会で最終報告に向かって検討していくのだということを書いていただいた ほうがいいと思います。 ○丹野委員 そこが……するまで考えましょう。ボリュームでいちばん大きい所が、手付か ずに残るというのはいいことではないですよね。 ○山川委員 今回のところは、これまでの議論を踏まえてということで結構だと思いますが、 5頁の研修中の問題事例を見ますと、研修生のことが非常に書かれていて、技能実習とい うよりも、研修中の問題事例がほとんどのようで、かつ、先ほど審議官が言われた団体監理 型が多い。この辺りが、この報告書の中での研修と労働の区別が明確にできる体制の有 無などを踏まえてというところにガイとして含まれているのかなという感じもします。  その場合に法的環境の整理と受入れ体制の明確化の辺りについては、例えば、労働と研 修というのが企業の単独型などについて、研修ということ自体は全くなくなるわけではない。 とすれば、いずれにしても研修と労働とどう違うのかということは検討しなければいけない。 その辺りがこの研究会でも検討してもいいのではなかろうかという感じがします。あるいは 受入れ体制とはどういうものがあり得るかということで、一定の労務管理と人の管理に関わ る事柄ですので、そういう意味で先生方が言われている方向には私も賛成します。  質問ですが、入管法上の問題がいろいろあって、そちらとの調整をしなければいけないと いうことは多々出てくるかと思います。規制改革会議の中で、特定活動とされている技能実 習に係る在留資格を新設すると。それは私も含めて委員の中では、あまり異論がなかった ところだと思いますが、そういった技能実習に関して在留資格を創設するという前提で理解 してよろしいのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 概要のほうには書かなかったものですから誤解を招きましたが、 13頁の上の「したがって」で、「研修・実習について3年間の実習として、労働関係法令の 適用を図ることとし」以下で、「入管法上においても、技能実習に係る新たな在留資格を設 けることが適当である」と。 ○山川委員 すみません、見落としていました。 ○上林委員 技術的なことですが、研修と実習との差がよくわからない方が多いと思います。 そのときに研修と実習を一緒にしたことの意味がわからないので、最初の実態のところのグ ラフに法務省データが出ており、これで9万2,000人の研修生と実習の移行が半分という意 味ですが、移行の結果、この2倍の数がストックとしているのだということをもう少し言ってお かないと実習生の意味の重大さがわからないのです。これがフローで移行者で、その結果 として2倍以上の人が年間いるぞというのを、どこかでもう少し強調しておいたほうがいいと 思います。 ○渡邊委員 ストックの数をね。 ○上林委員 今日の新聞のグラフを見ていても、このグラフを見せられたら研修生のほうが ずっと多いのだから、実習生の人数がこんなに少ないのに、なぜ大騒ぎするのかと誤解し てしまいますので、ストックについて入れておいたほうがいいと思います。 ○今野座長 難しいことではないですよね。 ○上林委員 そうです、技術的な問題です。 ○今野座長 これにもう1本棒グラフを付ければいいのです。 ○外国人研修推進室長 実はそういうことはちょっと難しいのです。 ○上林委員 特定活動の人しかないのです。 ○外国人研修推進室長 フローは流れている数としてはわかるのです。入管の数字として 年末一時点で切ったストックの数というのもありますが、ただそれも実態の一部でしかない ものですから、ここで例えば4万1,000人に実習移行者が上っていると、そして括孤して最 長2年の在留期間のため、ほぼその倍の数がストックとして在留しているという注を入れる とか、そういう感じで。 ○上林委員 そのようにしないと研修生のほうが多いのに、なぜ実習生のほうに焦点を当 てているのだという誤解を生みやすいと思います。 ○今野座長 文章変更ですね。 ○上林委員 はい。 ○今野座長 推定ストック数というのは出ないのですか。平均の実習期間というのは無理 ですか。 ○外国人研修推進室長 大体倍です。 ○今野座長 つまり、ほぼ2年だと決まれば倍でいけばいいわけだから。 ○審議官 隔年で移行者がいると、その直近2年を足し合わせれば大体の数ということは 言えます。 ○渡邊委員 推定でもいいと。  ○外国人研修推進室長 細かいことをいえば、1年で帰る人がいますから、全貌が把握で きないところはありますが、ほぼ倍の数ということで、そこは書きたいと思います。 ○丹野委員 1つだけですが、全体として見ると、受入れ団体の責任と就労場所の責任に ついては、比較的明確化する方向が定まったと思うのですが、技能実習生に変わったとき も、労働者の権利保護と言った場合には、あくまでも権利を主張できるのは個人であると思 うので、雇っている側をコントロールするだけではなく、本来、権利を主張してくれる人々に 対しての保護を具体的にどうするのか。要するに、今のやり方だとどちらかというと、間接的 に保護するというやり方ですが、そうではなくて、ダイレクトに権利を主張してくる可能性をど こかで担保することによって、初めて本来の権利保護ができるのではないかと、私などは考 えるのですが、そういう観点をどこかに入れてほしいのです。  というのは、すべてが外国人の雇用報告義務などと関連しているのだと思いますが、研修 生の問題に限らず、外国人を雇用する側の論理からいえば、もともとバレないようにしたい から外国人を雇うわけです。報告したくないから雇うというのが、たぶん本音にあるのだと思 うのです。そうすると、管理できる、コントロールできるという発想だけではたぶん無理で、 管理できない部分については、下から上がってくる声を拾い上げるという仕組みをどこかに 設けないと、結局のところ手付かずが残ってしまうという話になると思うのです。その部分を どうやってするのかです。 ○渡邊委員 JITCOの相談などについてはやられていますが、それ以外のことが。 ○今野座長 既にいくつか対応が入っていると思うのですが。 ○外国人研修推進室長 ちょっと説明を省略してしまいました。24頁のJITCOの機能強化 で、「第一に」ということで、JITCOによる云々とあって、次のパラグラフで「また、研修生・実 習生は受入れ企業等から不当な扱いを受けても、帰国させられることを恐れて泣き寝入り するケースが多いとの指摘もある。このような問題について率直に相談できて必要な支援 を受けられるよう、相談・援助体制を強化する必要がある」。現状としてはJITCOは巡回指 導に行って、受入れ企業に入ったときに研修生・実習生にを声を掛けるということはしており ますが、そこの相談援助体制をしっかりさせていくことは必要ではないか。例えば、技能の 修得状況を研修生・実習生本人に対して確認する機会を設けて、併せて本人との相談会を 実施するなど、企業や団体を通すのではなく、研修生・実習生と直接接触して支援する仕組 みを検討することが必要だと書いています。 ○丹野委員 ただ、JITCOに限る必要はないと思います。 ○渡邊委員 実際にはNPOやそういったところが関係している場合が多いですから、そう いったものも含めてシステムの中に入っていけばいいのです。 ○外国人雇用対策課長 一言いわせていただきますと、実習生といえども労働者であると いう観点からすれば、監督署もあれば安定所もあるということなのです。ただ、実習生だと いう観点から、特にJITCOもかかわっているという意味では、逆にJITCOがかかわることで、 そこは手厚くなっている。監督署には外国人のための労働相談のコーナーもありますし、安 定所は安定所で通訳を付けて職業紹介やいろいろなことをやったりしている。そういう体制 もあって、さらにJITCOもこういうことをやるということなので、あえて書いてはないのですが、 ご理解いただければと思います。 ○丹野委員 たぶんこの部分は、具体的にどう制度設計をするのかということのほうが重要 な問題になるので、問題意識を持っていただければ十分です。 ○山川委員 若干関連するのですが、13頁にトラブル防止について書いてあり、紹介時の 労働条件明示と雇入れ時の明示、技能実習計画等の入国前の明示ということで、ある程度 こういう取扱いというか、労働条件ないし技能実習であることが明確に情報開示されていれ ば、それと話は違うというときに持っていきやすいというか、先ほど尾形課長からお話のあっ た個別紛争解決促進制度の相談制度も、だんだん外国人が増えて、そちらが相談を受け 付ける体制をより充実させていくという方向があり得るかと思います。  表現の問題ですが、13頁の下から9行目の「実習先選択に係る情報」というと、何か限定 されてしまうみたいで、選択というのは取っても内容的にあまり変わらないと思います。実際 上、どのぐらい選択の余地が送出し機関の関係であるのかというのもありますが、むしろ実 習全体を見渡せるような意味のほうが多いと思いますので。 ○今野座長 「選択」がないほうがいいですね。 ○樋口委員 今さらという感じですが、もともとこの研究会が「・技能実習制度」となっていた ときに、これは従来からの1年間の研修及び1年の研修+技能実習制度の両方をやります という趣旨だろうと思うのです。今回はそのうちの1年+2年のほうをやりましたという項目 と、項目によっては1年の研修制度のところにもかかわってくる項目もあるのです。そこのと ころが、すべて検討と書れると、1年の研修のほうは、この中で検討していないという印象を 持たれるのです。例えば、24頁の第一、第二、第三のチェック機構、チェック体制ですが、第 二、第三は労働関係ですから、少なくとも実習を対象にしているだろう。第一のほうは1年 で終わる研修生についてもかかわってくるわけです。そうすると、何となく、実は入国して半 分の研修生が1年で帰る仕組みになっている。そこについて触れているところと、触れてい ないところと併存しているという感じがするのですが、それは私の誤解でしょうか。 ○今野座長 そのとおりです。今回、3年間の研修1年+2年の技能実習を想定して議論し たので、そこの内容が1年の研修にもそのまま当てはまる部分と、技能実習特殊な部分と、 今度は研修だけを考えたときに研修特殊な部分が出てくる心配があるので、1年の研修の 場合は特殊な部分があり得るので別途きちんと検討したほうがいいかなと思っています。だ から、もし樋口さんがそのように思われるのだったら、位置づけを明確にするような、そのよ うな検討方針にしたという文面を入れるということですかね。これだと何となく両方やってい るようでやっていないような文章なのです。 ○審議官 そうですね。正直言って、単独の研修についてはそれほど深く議論していないの で、その中で、今こうするということは言い難いわけです。ですから、そこは慎重に議論する ならする必要があるので、今回は中間報告ですから。 ○樋口委員 Iの現状と問題点というのは、1年間だけの研修にかかわることが多く入って いるわけです。 ○審議官 ただ、研修・技能実習に移行する前提の研修ということでもあるわけです。 ○樋口委員 それも入っていますし、同時に1年だけで終わる研修にかかわることも入って いる。 ○今野座長 どうですか、「はじめに」の文章で、「限定しました」ということを明確に書いてお けばいいのではないかと思うのですが。 ○審議官 その趣旨は文言上ちょっと。 ○今野座長 「はじめに」がいいですね。 ○渡邊委員 最初に書いたほうがわかりやすくなりますね。 ○今野座長 それを書いておかないと、確かに読み手は混乱するかもしれませんね。 ○樋口委員 研修生がなくなってしまうという意図かもしれない。 ○山川委員 例えば、1頁の制度見直しの方向性というのは、端的には技能実習制度の見 直しの方向性を、ここでは明示しているという理解でよろしいのでしょうか。ここで研修制度 の見直し自体はまだ触れていないから、そういう意味では限定した報告書という位置づけ は可能ですね。 ○今野座長 それで何か工夫をしてください。 ○職業能力開発局長 報告書の7頁に関連することで、団体監理型の中小企業における 研修実施機会の拡大ニーズに応えるというのは、平成2年8月に導入したと書いてあります。 技能実習制度は平成5年に創設されていますので、こちらが先に出来てしまっていたので す。11頁に技能実習制度のメリットということでいくつか整理しております。特に(1)ですが、 「職種の設定に当たって、同一作業の反復によって修得できる技術・技能等(単純作業)で はないこと、公正な評価制度を設けることを前提条件とした」ということで、研修からこういう 評価制度がちゃんとあるものについては実習に移行できるという形で技能実習制度ができ たのです。  逆にいうと、研修でとどまってしまうものについては、実習に移行できないというか、移行 するための評価制度がないもの。またそれが単純作業にとどまっているものということで、 樋口委員がおっしゃるように確かにそちらのほうがより大きな問題がある可能性があるの ですが、私どもは十分な把握ができないというか、研修という資格で入ってきていますので、 ここについてはJITCO経由でいろいろな情報を取りますが、実習に移行するものに関して、 私どもにかなり詳細な情報があります。前段階でとどまっているものについては十分な情報 が把握できない状況で、非常に大きな検討課題だと我々も思っています。 ○今野座長 いずれにしても、先ほどのような整理をしていただいて。 ○外国人研修推進室長 「はじめに」のところで、研修だけのものも検討対象だが、今回は 研修+実習制度についての見直しについて一定の。 ○今野座長 その範囲の研修は扱うのですね。ほかにありますか。 ○渡邊委員 この研究会でも、今までも議論になっていたのですが、実習の効果が検定や 試験などで非常に低い。それをもう少し明確に高い受験率できちんと技能を修得させるとい う本来の目的を図るために、何らかのシステムを考えられないか、インセンティブにつなが るような方法はないかを考えながら議論するのがいいのではないかと思います。中間報告 ではふれられていませんが、長期的にはそうしたことについて取り組んでいくことが人材育 成という意味でも有益になるのではないかと考えています。 ○今野座長 3年目の修了時点で3級程度の評価制度は入れるということは書いてあるわ けですが、具体的な制度設計を前面に出して、ここに書けと。でも、研究会でそこまで検討 していないのです。これは研究会の中間報告だから、具体的にどうするかは今後の我々の 検討課題として残っていると、私は理解しています。 ○上林委員 1%を切るぐらいの受験率のときに、それを前面に出しても。 ○今野座長 かなり工夫しないとちゃんとしたのができないから。 ○山川委員 再実習が入るとインセンティブにはなりますね。 ○今野座長 これは技能検定3級をそのまま使うとは書いておらず、その程度のレベルを 考えるという書き方なのです。 ○審議官 できていない職種も多いですし、技能検定というのは、ペーパーテストをやって、 かなりがっちりしたものをやる。こちらの対応能力という問題が現実的にはあるので、もちろ ん3級レベルでしっかりしたのをやることが目標ですが、どこまで実際に事務的にもできる かということの兼ね合いもありますので、考え方としてはそういうものを義務化で何らかのも のをやるというのをはっきりさせた上で、どこまで可能かということで決めていく必要がある のではないかと思っています。 ○今野座長 今後ここで継続的に検討が行われるときに、重要な議題の1つだとは思いま す。  ○丹野委員 先ほどの局長のお話を聞いていて思ったのですが、1年の研修についても、 在留資格ですから、当然法務省の管轄としても、特定活動だからこそ、少なくともどこの会 社で働いているかわかるわけです。単純作業に就いている人なのかどうなのかはわかるは ずなので、単純作業に就いていると判定できる者については、1年の研修の技能実習の枠 の中に入れることを要望するぐらいは法務省に伝えてもいいのではありませんか。研修の 中で官庁の研修や大企業の研修なども当然あると思いますが、そうではなく、明らかに単 純作業でしかない研修は研修生なのだが、実質的に単純労働のほうのウェイトが高い研修 生というのは。 ○今野座長 実務研修込みの研修という意味ですね。つまり、OJT込みの研修ですね。 ○丹野委員 それは本来的には就労先がどこかで大体わかるわけですよね。 ○外国人研修推進室長 法務省入管局に聞きますと、研修ビザも研修ですので、単純労働 力の受入れは基本的には認めていない。そこは結構はねられているケースも多いと聞いて います。とにかく実務研修させるからということで申請をしたからと言って、認められるとは限 らないと言っていました。そこは入管としても意識はしております。 ○今野座長 丹野委員が言われたのは、本文にもありましたが、OJT込み研修をどうする かという話ですよね。1つは、ここでもさらっと方向が書いてありますが、この制度の中に入 れる可能性は考えられるというのですが、私としても特殊な問題があり得るかもしれないか らゆっくり考えたいと思います。 ○丹野委員 もちろんそうです。一律にこうとは書けないと思います。 ○外国人研修推進室長 表現ぶりのことでしかないかもしれませんが、14頁の研修の位置 づけで、事務局としても研修ビザの問題でなかなか踏み込めないという意識が働いたもの ですから、最後の語尾が「検討することが求められよう」と書いてありますが、「その取扱い を検討することが必要である」とさせていただきたいと思います。 ○今野座長 もう少し強く書く。はい。 ○樋口委員 これは厚労省の研究会であるということは、そこに限定が付くわけですが、た だ、それだからそこに問題がないということを指摘しないというのは、ある意味では問題を放 棄してしまうと思いますので、ほかの省庁とも調整するということも含めて、やはり問題はあ るのだというのは、事実みんな認識しているわけですから、書いたほうがいいと思います。 ○審議官 実務研修中の研修生の法適用を図るべき必要性に変わりはないということで、 それは保護を図らなければいけないというのは、我々として考えていますので、それは明確 に書いています。その上で最終的にどうするかということはここにあります。 ○樋口委員 2年目3年目に就かない、1年だけで終わる者についても、保護を図るという のは同じですね。 ○審議官 ここに書いてあるのはそのことで、1年目だけの者について、1年以内に帰国す る場合の取扱いについて実務研修中の研修生の保護を図るべき必要に変わりはない。 ○樋口委員 ただ、その取扱いを検討することが必要であるとだけで終わると、ここでやる という保証は何もないわけです。誰かがやらなければいけないということで終わってしまう 可能性があるのです。 ○今野座長 「我々がやる」と入れたいわけですね。 ○樋口委員 そういうことです。まだ中間報告のあと残っているのだということであればね。 ○今野座長 でも、いずれにしても最終報告でいろいろな状況があって、どう書けるかは別 にして。 ○審議官 ご議論いただくということですから。 ○丹野委員 9万2,000人は大きいですよね。 ○今野座長 1年間のOJT込み研修の場合、技能実習との関係を考えると、1年目が終わ った段階で技能検定試験をするのですか。 ○山川委員 するのです。 ○今野座長 1年終わった段階でですか。 ○山川委員 はい。 ○今野座長 論理的に言うと、そうなりますね。そうすると基礎2級レベル。 ○山川委員 2級と書いてあります。 ○今野座長 移行ではなく、1年間で終わってしまう人ですよ。  ○上林委員 論理的には同じことです。 ○今野座長 だって3年でやるのに、なぜ1年でやらないのかという話もいろいろ出てきそ うですね。 ○山川委員 就労ではないことを前提にしつつ、技能検定を研修修了時に課すということに なると何となく。 ○今野座長 またやりましょう。 ○樋口委員 これ別の話ですが、問題点のところで、これはあくまでも技能実習生について の問題点なのです。これは研究会でも申し上げたと思いますが、日本人労働者への波及効 果、あるいはワーキングプアの問題と言ってもいいわけですが、これはかなり目立つように なってきているという話が、ここでも出てきたと思うので、できればそこのところも入れてほ しい。どこかに入っていましたか。 ○今野座長 同等報酬のところですね。 ○外国人研修推進室長 19頁のいちばん下に、「受入れ企業の一部には、あえて日本人 を採用せず、低賃金労働力として悪用しているケースもあり、国内労働市場への悪影響が 懸念される」と明記しています。 ○樋口委員 前のほうの現状と問題点の2の項目の中は制度の話で閉じているようですが、 そこには書けないのですか。 ○審議官 5頁の(問題事案の発生)辺りで、研修生の問題とか、そういうことで労働市場 への悪影響が懸念されるという趣旨は書きます。 ○樋口委員 よろしくお願いします、ありがとうございます。 ○今野座長 この中では総量規制についても、今後検討しなければいけないというのは、 それで対応になっていますね。 ○渡邊委員 総量規制については検討するというだけにとどめて、それ以外に、どこに割り 当てというか、そういうのは今後の検討課題ということで、特には触れないということです ね。 ○今野座長 議論していませんものね。またそれだけで大変ですね。 ○山川委員 いろいろ方法があって、たしか労働市場テストみたいな話も若干出ていたと 思いますので、それをやるとかなり議論を必要としますので、一応労働市場への影響を考慮 すると18頁に書いてあるので、いろいろな方法があり得るということは含まれているかなと 思います。 ○今野座長 ほかにございますか。 ○樋口委員 再実習制度も今度は入ったわけですから、縛る一方ではなく、片方ではいい ところは伸ばしていこうという趣旨も入っているわけです。 ○上林委員 現状はということで、あまり再実習が必要な人で、団体監理型が駄目だと言 われましたから、どれだけ再実習で、人数がそこから出てくるかというのは難しいところだと 思います。 ○今野座長 大体意見をいただいたということでよろしいですか。今日で9回目ですよね。8 回延々やって、同じ議論をかなり繰り返しつつ、だいぶやった議論を踏まえて中間報告にし ていただきましたので、この内容をもって中間報告としてまとめることとします。今日、ご意見 いただいたので、それについては修正をして、私に一任していただき終わりということにさせ ていただければと思います。 ○審議官 本文のほうは修正ということにして、概要のほうはこれでよろしいですか。 ○今野座長 もちろん本文を直して影響するのだったら、概要のほうも直していただいても いいのですが。 ○山川委員 室長が言われましたが、中間搾取では労働基準法上、特殊な用語ですので、 そこは工夫していただいて。 ○審議官 ここの表現だけ直していただいて、ほかは。 ○今野座長 「新たに」で大丈夫だと思います。 ○樋口委員 「新たに」だともう1つできるのかと思います。 ○審議官 そこは修正で、これは一応基本的ということにいたします。こちらのほうはもう少 し修正して、ご相談したいと思います。 ○今野座長 相談させていただくということにいたします。ということで本研究会はこれでひ と区切りということにさせていただきます。また必要に応じて集まっていただくことになると思 いますが、そのときは改めてお願いいたします。最後に事務局から一言お願いいたします。 ○職業能力開発局長 いま座長からもございましたが、今日は第9回ということです。第1 回は昨年10月18日からですので、半年以上にわたる期間に9回ですから、かなり密度の 濃い議論をいただきました。ほぼ今日のご議論で中間報告がまとまったと思います。今後こ の報告を受けまして、この内容に沿って関係省庁とこれから折衝していくことになると思いま すが、最初にございましたように、研修・技能実習制度が、技能移転を通じた国際協力とい う制度本来の目的を果たせるような制度として、今後とも維持・発展できるように努力してい きたいと思います。引き続きのご指導をお願い申し上げまして、とりあえず中間的な報告に させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○審議官 ありがとうございました。 ○今野座長 それでは、終了いたします。ありがとうございました。 (照会先) 職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室 TEL:03-5253-1111(内線5952) 03-3502-6804(夜間直通) FAX:03-3502-8932 - 1 -