07/05/10 第8回「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」議事録             厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第8回 今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会 議事録 日時:平成19(2007)年5月10日(木) 18:00〜20:10 場所:厚生労働省共用第8会議室(6階) 出席者:  委員   柏女座長、奥山委員、榊原委員、庄司委員、西澤委員、松風委員、山縣委員  事務局   藤井家庭福祉課長、川並家庭福祉課専門官、鈴木家庭福祉課措置費係長   伊原虐待防止対策室長 議題:  1. 中間とりまとめについて  2. その他 資料:  資料1 「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」中間とりまと め案(たたき台)  資料2 児童虐待防止対策の現状 ○鈴木家庭福祉課係長  それでは時間となりましたので、ただ今から第8回「今後目指すべき児童の社会的養 護体制に関する構想検討会」を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれまし ては、お忙しい中お集まりいただき、厚くお礼申し上げます。  本日の検討会の委員の出席者は7名です。吉田委員は欠席ということで伺っています。  それでは議事に入りたいと思いますので、柏女座長よろしくお願いします。 ○柏女座長  それでは、お集まりいただいて、ありがとうございました。2月にこの検討会ができ てからかなり精力的に検討を続けて参りまして、今日は事務局の方で連休を挟んで、そ れこそ精力的に中間とりまとめのたたき台を作成していただいています。今日はこれを 基にご議論いただくということになるかと思います。  初めに、今日、お手元にお配りしています資料について、事務局より説明をお願いし たいと思います。 ○鈴木家庭福祉課係長  それでは、最初に資料のご確認をさせていただきます。上から順番に「第8回議事次 第」、「配付資料一覧」、それから資料1として「今後目指すべき児童の社会的養護体制 に関する構想検討会中間とりまとめ案(たたき台)」、資料2として「児童虐待防止対策 の現状」となっています。お手元に資料がない場合はお知らせください。事務局の方か らお渡しします。なお、委員の皆さま方につきましては、里親ファミリーホーム全国連 絡会からの資料として、お手元に「里親ファミリーホーム運営・生活マニュアル 第1 回里親ファミリーホーム全国研究協議会報告書」を配布しているところです。資料の確 認は以上です。 ○柏女座長  よろしいですか。この「里親ファミリーホーム運営・生活マニュアル」は私も編集に 携わっていました。参考にしていただければと思います。  それでは今日の討議に入ります前に、虐待防止法の改正案が今国会に出されています ので、虐待防止対策室より資料2の「児童虐待防止対策の現状」に基づいてご説明をお 願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○伊原虐待防止対策室長  虐待防止対策室長の伊原です。座ってご説明させていただきます。資料2に「児童虐 待防止対策の現状」というのがありますので、簡単に昨今の動きをご説明させていただ きたいと思います。今日の委員は皆さまお詳しいと思いますので、バックグラウンドは 省略させていただき、去年から今年にかけて児童虐待で京都府長岡京市事件、福島県の 事件等々がありまして、改めて見直しを行いました。この見直しの視点と考え方につい て、ご説明させていただきたいと思います。  1ページにありますように、大きく三つの見直しを行ってきました。一つは、児童相 談所や市町村の体制整備をさらに強化するということ。それからもう一つが、昨年の事 件を踏まえて、児童相談所運営指針等の見直しを行いました。それから、衆議院で平成 19年4月26日に可決され、今参議院で審査されていますけれども、児童虐待防止法の 見直しを行っています。  2ページをご覧いただきまして、これは三つのアプローチ別に、法律改正によるもの とそれ以外のものと整理した表を示しています。三つの領域と申しますと、「発生予防」 「早期発見・早期対応」「保護・支援」というテーマで、今日ご議論いただいています社 会的養護はこの「保護・支援」の部分ですが、大きく虐待防止対策の昨今の見直しでは この「早期発見・早期対応」の部分を中心に実施してきました。まず「発生予防」につ きましては、平成19年4月から「生後4か月までの全戸訪問事業」というのを創設し ています。それから「早期発見・早期対応」という観点でいきますと、まず法律改正で 申しますと、今までは虐待通報を受けた場合に、児童相談所が安全確認をするというこ とが努力義務となっていたのを義務化しました。これはその右にありますように、48時 間ルールを導入するという運用面での基準の明確化も併せて図るということをして、ま ず何よりも虐待通報に対する対応をきちんとしていくことを制度化しました。それから 2番目に、「市町村等が立入調査・一時保護の実施が適当と判断した場合の児童相談所長 等への通知を制度化」するということを行っています。これはお手元の資料の5ページ を少しご覧いただきたいのですが、要は市町村と児童相談所が今2層構造で児童虐待に 対応するということになっていますが、その間で、その関係がまだそれぞれなじんでな いことや、はっきりしていないということがあるのですが、特に安全確認に関しまして は立入調査・一時保護というのは児童相談所の専権事項で、ここが自分で判断して自分 で動くということです。現場の声としては市町村の方でリスクを発見する場合があるの ですが、一時保護・立入調査が必要ということがあればその旨を児童相談所に通知し、 さらに児童相談所が動かない場合は都道府県に対しても通知ができると。こういう形で、 児童相談所に発動の警告を鳴らすということを可能にしました。逆に今度は児童相談所 の側から市町村に対しては、育児支援家庭訪問事業や保育所の利用など、実際の現場へ の支援、親や家庭への支援ということについて要請する、文章で通知するという制度を 明確にしています。これを法律でも今度の児童虐待防止法で書いていくということにし ています。  それから同じく児童虐待防止法の安全確認に関しましては3ページにありますが、「立 入調査」に関しまして新たな司法介入による制度を設けることにしました。3ページに もありますように、黒い部分は新たな制度ですが、まず「知事の出頭要求」という制度 を設けるということと、それから従前の警察の援助を受けた立入調査では、保護者が安 全確認をさせてくれなかったような場合には、再度の「再出頭要求」を行った上で今度 は裁判所の令状を得て、強制的に鍵を開けることまで可能にした上で、安全確認を行う 制度を導入することとしています。それから、立入調査を拒否した場合の罰金額の引き 上げをこれと同時にし、もう一つは2ページに戻っていただき、児童虐待の死亡事例等 の検証を国は既に行っていますが、地方自治体も児童福祉審議会の場で行うということ を法律上明記することになっています。  それから同じく「市町村の機能強化」ということです。2ページの左の方にあります が、要保護児童対策地域協議会を今までは市町村は設置できるとありましたが、これを 努力義務にしています。それから「保護・支援」の領域に、「面会・通信制限」を新たに 拡大するということを行っています。  これは4ページの資料をご覧いただくとおわかりになると思いますが、今までですと 保護者に対する「面会・通信制限」は強制入所、いわゆる第28条措置の場合のみ、法 律上「面会・通信制限」ができるとありましたが、今回の虐待防止法改正案では、一時 保護や同意入所の場合も「面会・通信制限」が可能となっています。さらに、こうした 面会・通信制限を保護者が遵守しないというような場合で、特に必要があると認められ る場合は、第28条の場合ですが、接近禁止命令を出せるというような担保措置があり ます。一時保護や同意入所の場合で接近禁止命令が必要と判断されるようなケースは、 第28条に移行した上で接近禁止命令をかけるという案としてあります。  それからもう一つが2ページに戻っていただいて、「保護者が指導に従わない場合の 措置の明確化」という問題です。現在も都道府県知事が、児童相談所が行った保護者指 導に対して従わないケースに関しては勧告をするという規定がありますが、発動例が今 のところないという状態です。それに対し第28条措置の申請を行って、裁判所が都道 府県知事に対して勧告するというケースについては発動例が結構あり、その発動した結 果、効果があったというケースも報告されています。その一つの要因として指摘されて いますのが、都道府県知事が勧告しても、その後どうなるか、何ら法律上決められてい ないし、ルールもないということが問題ではないかという議論があり、今回の法律改正 では保護者指導に従わない、いわゆる勧告に従わない場合は、さらに次のステップ、一 時保護や施設入所措置、さらには親権喪失の宣告の請求を行うことを法律上明記してい ます。以上が「保護・支援」の関係です。あともう一つ、親権者がいない子どもの場合 に児童相談所長が家庭裁判所に未成年後見人の選任を申し立てた場合には、それまでの 間、職権で児童相談所長が親権を行使できるという規定を設けることとなっています。 以上が、児童虐待防止法の改正です。これに関連して、先ほど申し上げました市町村や 児童相談所の体制整備をやっていますが、社会的養護の検討会と関係があることとして、 一時保護所の問題があると思います。  それは6ページをご覧いただきたいのですが、6ページに「一時保護施設等緊急整備 計画」という表があります。これは現在一時保護所も児童養護施設と並んで非常に混み 合った状況で、実は一時保護所の中では入所率が100%を超えている施設が約1割ある という状況です。小さい子どもと中高生が一緒になったり、被虐待児と非行児が同じ環 境の中でケアを受けたりしている状況があり、こうした状況を1日も早く解消していこ とが必要であると。こういう問題認識に立って、平成19年6月末までに定員を超える 状況にある自治体は、緊急整備計画を作ってほしいと言っています。遅くとも平成21 年度までには、一時保護施設の定員不足を解消してほしいという要請を行っていて、そ の下にありますように、その計画をやっていただかない場合には、一種の補助制度にお けるペナルティーを考えているという意味で、ぜひ緊急整備計画を作ってほしいと申し 上げています。それに伴って、恐らく一時保護所の方も、少なくとも入所定員が増えて くるのではないかと考えています。  それから最後に7ページですが、今回の児童虐待防止法改正案の附則に、今後の政府 に対する宿題事項として、社会的養護に関して量的拡充に係る方策、それから施設内の 虐待防止を含む施設の運営の質的向上に関する方策、それから児童養護施設等に入所し た子どもに対する教育・自立の支援のさらなる充実に関する方策ということについて、 速やかに検討して必要な措置を講ずるという規定が設けられていて、こちらの検討会も そうした宿題に対する回答に向けた準備ではないかと考えています。以上です。 ○柏女座長  ありがとうございました。幾つかご質問はあるかとは思いますが、時間の関係もあり ますので、ご報告、ご説明を承ったということにさせていただきたいと思います。今の お話にもありましたように早期発見、早期対応のシステムが充実すればするほど、社会 的養護の受け皿のところの整備が待ったなしの状況になってくるわけでありますが、私 どもの検討会に課せられた役割は大きいということを改めて思った次第です。  それでは藤井家庭福祉課長より、資料1の「中間とりまとめ案(たたき台)」について ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○藤井家庭福祉課長  それでは、資料1につきましてご説明をさせていただきます。これまで7回にわたり ご議論をいただきました内容につきまして、事務局なりに整理を試み、若干事前に委員 の方からもご意見をいただきながら、たたき台としてまとめてみたものです。本日さら にご意見をいただければ、ありがたいと思っています。  「はじめに」ということで、幾つか書いてあります。2段落目辺りをご覧いただきま すと、「近年、社会構造やライフスタイルの変化等により、児童相談所における虐待相談 対応件数や一時保護を必要とする子どもが増加し、結果として社会的養護を必要とする 子どもの数が増えていること」あるいは「虐待等子どもの抱える背景が多様化している ことなどその社会的状況は大きく変化してきており、このような状況に対応できる体制 にすることが強く求められている」。このため、平成15年に社会保証審議会児童部会の 方で専門委員会が設置されまして、私ども厚生労働省においては、同年10月にとりま とめられた同委員会の報告に基づき施策を展開してきたわけですが、しかし、未だこの 社会的養護に関する体制は、近年の状況に十分対応できるだけの質・量を備えていると は言い難いと、本検討会委員の一致した認識としては、危機的な状況と言えるのではな いかということをお聞きしています。本検討会は、このような状況に早急に対応して、 今後の目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想とともに、その実現のための具体 的施策について検討するために平成19年2月に設置され、今日まで9回の議論を行っ てきた、以下はその中間的なとりまとめである。こういった導入部にしています。  大きな1番「今後の社会的養護の基本的方向」というところがいわば総論のところで、 総論を少し書き込んだような形で5ページまで続いています。まず「(1)社会的養護の必 要性」ですが、ここは2段落目の「そもそも子どもの養育とは」というような段落があ りますが、この辺りで養育というものがこういう機能を果たしている、果たすべきでは ないかということを記した上で、1ページ目の最後の段落の「こうした『養育』は、家 庭を中心として行われてきたが、虐待をはじめとして様々な理由により家庭において適 切な養育を受けられない子どもについては、子どもの権利擁護とともに、次世代育成支 援という観点からも、『子どもは家庭だけではなく地域社会の中で育つ』という認識の下、 地域社会が家庭の機能を補いながら、協働して子どもの養育を支え保護していくととも に、家庭の支援を行っていくことが必要である。ここに、社会的に子どもを養育し保護 する『社会的養護』の意義と重要性が存在する」というようにしています。その下で、 いわゆる虐待等の「世代間連鎖を断ち切るためにも、子どもが受けた傷を回復し、良き 人生へのスタートを切ることができるよう、社会的養護は十分な機能を果たす必要があ る」  それからなお書きとして「社会的養護は、家庭や地域で適切な養育が行われない子ど もに提供されるものであることから、引き続き、公的責任の下で行われるべきものであ るが、従来の供給者主体の発想から、子ども主体の支援体制の構築へと発想の転換を図 ることに加え、保護者の状況を踏まえ、国、都道府県、児童相談所、市町村、里親や施 設、関係団体等の関係主体が、それぞれの責任を適切に果たすとともに、関係主体間の 連携と協働を緊密なものとすることが必要である」こういったことを(1)の中に記してい ます。  それを踏まえて「(2)社会的養護の目指すもの」ですが、ここは二つ目の段落辺りで、 「その提供体制を検討するに際し、その目指すもの、すなわち社会的養護が子どもに対 して提供すべき支援を整理すると、以下の二つの機能となる」のではないかというよう な、いわば頭の整理をしています。かなり割り切った整理ではないかというようなご意 見もあろうかと思いますが、私どもとしては今後この社会的養護の必要性を国民全体に 広くアピールしていく上でも、この辺りの社会的養護のニーズとはどんなものなのだ、 社会的養護の機能とはどんなことをやればいいのかというようなことを、できるだけわ かりやすく説明をしたいという思いもあり、整理したものです。すなわち二つあります が、一つは「子どもの育ちを保障するための養育機能」「基本的にはどの子どもも必ず必 要とする生活支援・自立支援の機能であり、すべての子どもに保障されるべきものであ る」これは「家庭的な養育環境の中で特定の支援者との安定した愛着関係の下、年齢に 応じて子どもの自己決定権を尊重しつつ、個々の子どもの状態に応じた生活支援・自立 支援を行うことが重要となる」そういった部分です。[2]の方が「適切な養育が提供され なかったこと等により、受けた傷を回復する心理的ケア等の機能」ということで、「虐待、 発達障害などの様々な背景の下で、適切な養育が受けられないことにより子どもが心身 に受けたダメージを癒す機能や、障害等による様々な課題に対して必要な専門的ケアを 行う機能である。社会的養護を必要とする子どもたちは、子どもの発達の状況や抱える 問題によって、その必要性の度合いが異なるものの、それぞれに愛着の問題やこころの 傷を抱えており、子どもが適切な愛着形成に基づき他者に対する基本的信頼を獲得し、 安定した人格を形成する等の発達を保障するため、専門的な知識や技術を有する者によ るケアが必要となる。このようなケアのニーズへの対応は、近年の虐待の増加等により、 ますますその必要性が増しているものである」というように記しています。  その次の段落は、[1][2]と分けましたが、これはお互いにで単純に切り離されるもので もないですし、3ページ目の上から4行目辺り「両者が一体的に提供される必要があり、 その提供に当たっては、子どもの状況に応じて、研修等による一定の専門性や高度の専 門性が求められるものである」です。  その下の図ですが、これもわかりやすいように図示したものです。[1]と[2]の境界や ABCの境界など、この辺りは、そうそう厳密に明確に分けられるものではないというこ とはもとより承知の上ですが、こういった整理をしてみるのも、わかりやすさという観 点からすると一つのやり方ではという思いで整理をしてみたものです。いずれも[2]の方 の「心理的ケア等の機能」の必要性の度合いに応じて分けてみているわけですが、Aの 辺りですと「家庭に代わる機能の提供を基本とした対応が必要な子ども」ということで、 家庭的な形態、すなわち里親あるいは小規模なグループ形態の住居施設で生活し、必要 に応じて心理的ケア等のスタッフを有する施設から支援を受けるということではないか。 それから真ん中のBのところは、「精神的不安等が落ち着くまでの一定期間心理的なケ アが必要な子ども」や「被虐待や障害等により、一定の心理的なケア等が必要な子ども」、 こういった子どもにつきまして、「一定の専門的なケアを受けることができる施設で生 活」「施設において可能な限り、小規模な単位でのケアを受ける」「必要に応じ、より治 療的な機能を持つ施設から支援を受ける」また「一定程度落ち着き、心理的ケア等のニ ーズが減じられた場合は、里親等のもとで」すなわちAの方へ向かうということだと思 いますが「生活し、支援を受ける」さらにCの方は「発達障害や被虐待、情緒機能の障 害、自傷・他害、非行等の行動化が著しいなど、高度な治療的・専門的な対応が必要な 子ども」ということで、この辺りは「専門施設において心理療法などの高度な治療的・ 専門的ケアを集中的に受ける」もちろん状態が落ちつきましたら、BやAの方で生活支 援を受ける。全体としてこういうイメージではないかという整理をしてみたところです。 また改めてご批判、ご意見をいただければと思います。  それからその下ですが、「当然のことではあるが」としながら、「子どもにとって必要 な権利とその最善の利益が基本に置かなければならない」ということです。その次の段 落から4ページの上のほうにかけては、いわゆる狭義の社会的養護だけではなく、広義 も考えるということで、家庭にいる子どもに対して、できるだけその家庭で生活を送る ことができるように家族再統合へ向けた支援を行う。あるいは家族における問題が顕在 化する前に、早期発見・早期対応するために、相談支援等の支援の充実を図るというよ うなことをここに記しています。  そういった社会的養護の目指すものを踏まえて、「(3)現行の社会的養護の課題」です。 一番上の段落は、「家庭や地域において適切な養育を受けられていない子どもの数が増加 していること」に改めて触れ、二番目の段落は対応すべき課題が多様化・複雑化してい るということを触れた上で、3段落目の3行目の終わり辺りから、羅列的で恐縮ですが、 必ずしも網羅しているというつもりはありませんが、代表的な課題を幾つか並べていま す。その課題を受けて(4)基本的な方向とあり、5ページに・で10項目掲げております。 一番上の・は、「子どもの養育においては、家庭的な環境の下、地域の中でその個別性を 確保しながら、社会へ巣立っていけるよう支援していくという観点が重要であることに 鑑みれば、里親委託や小規模グループ形態の住居・施設、児童養護施設等の施設におけ るケア単位の小規模化・地域化をさらに推進することが必要ではないか」それから、「家 庭支援の機能や地域における施設退所後の支援も含め、地域全体で子どもの養育を支え る社会的擁護の地域ネットワークの確立が必要ではないか」子どもの課題に応じて、施 設体系も含めて支援体系の全体のあり方について検討を行う必要があるのではないか。 「子どもの課題を的確に把握し、これに応じた支援を実施するための児童相談所におけ るアセスメント機能の充実強化を図るほか、里親や施設に措置された後も、継続的なア セスメントとこれに基づくケアを提供するための体制強化が必要ではないか」「治療・専 門的ケア機能の強化や家庭支援等を行う地域における拠点としての機能の強化等、施設 機能の充実が必要ではないか」社会的擁護の質の向上を図るに当たっては、職員の確保 とその専門性の確保のための施策が必要ではないか。自立支援になりますが、「就労や進 学の支援等年長児童の自立支援のための取組を拡充すべきではないか」「子どもに必要な 支援に関するアセスメントの手法や支援の実践方法を確立することが必要ではないか」 「施設内虐待の防止等子どもの権利擁護を強化すべきではないか」最後に、社会的養護 の提供には、自治体間の格差が大きいわけですが、今後、虐待防止対策などで見過ごさ れてきた虐待が発見される可能性が高いことに鑑みると、十分な提供量が確保できてい ないのではないか。したがって提供体制を計画的に整備する仕組みの構築が必要ではな いか。  こういった課題を掲げており、それぞれの課題を引っ張ってくるような形で、5ペー ジの下の方から、2に具体的施策をそれぞれ各論で記しています。「(1)家庭的養護の拡 充」ということで、まず「ア 里親制度の拡充について」です。各論それぞれ項目によ って記述に粗密があると思います。こうやって改めて見ると、里親のところはいろいろ な意見をいただいたこともあり、ほかの項目に比べて具体的な施策まで踏み込んでいた だいているような意見が多かったこともあり、具体的な施策レベルの整理もしておりま す。6ページの上の方に、わが国に里親制度が普及しない要因についてということで、 宗教的背景を含む文化的要因のほか、幾つか掲げています。この要因を受ける形で、そ の下に具体的な方向を示しています。そこをご覧いただくと、まず里親制度が十分に知 られていないのではないかということで、「退職直後の世代をターゲットとしたPR、フ ァミリーサポート事業の登録会員や福祉施設職員退職者等の児童福祉分野に関わってい る者への啓発、福祉分野を学ぶ学生や福祉関連の資格取得を目指す者への里親に関する 教育、里親になることの不安等を軽減するため、まず週末だけ子どもを預かり、子ども に少しずつなじんでいけるようにする、いわゆる『週末里親』の活用等、里親制度の普 及啓発を国民運動として進める」また、「里親候補者の掘り起こしの業務を民間の主体が 行うこともできるようにするなどにより、里親を増やすための取組を進める」「養育里親 と養子縁組を前提とした里親を明確に区別する」必要があるのではないか。「里親手当て や地域の身近な資源の活用等による研修・レスパイトの充実、通所機能の活用等による 専門機関の支援等里親に対する支援を拡充する」里親と里子のマッチングや里親家庭の 支援については、時間も手間もかかるということで、「児童相談所の体制を確保したり、 あるいは、児童相談所だけではなく、民間の主体においても実施が可能となるようにす ること等」により、里親関連業務を円滑に進めるようにする。「障害児等専門性の高いケ アが必要な子どもであっても、里親委託ができるよう、専門里親の拡充を図る」といっ たことを記しています。その下のなお書きですが、里親候補者の掘り起こしの業務を、 住民に身近な市町村が実施すべきではないかという意見がありましたが、その際には、 里親認定を行う主体、委託をする主体が都道府県なので、そちらとの関係の整理を行う 必要があるという意見もありました。ここは両論併記的にしています。以上が里親関係 です。  イが「小規模なグループ形態の住居・施設のあり方について」ということで、今日も 資料が配布されていますが、いわゆる「里親ファミリーホーム」です。どのようにする かというような議論も含めて、7ページの2段落目にあるように、「小規模なグループ形 態での住居・施設のあり方について制度的な位置づけを含め、検討する必要があるので はないか」というふうにしています。まだ、具体的な姿等、議論はこれからだと思いま すが、こういった方向で議論していただくのではないかと思っております。  ウが「施設におけるケア単位の小規模化の推進方策」ということで、「専門的なケアを より個別性を高めて実施するという観点から、以下のような課題の検討を進めた上で、 ケア単位の小規模化を進めるべきではないか」ということで、「小規模化することによっ て、子どもに対する個別的な対応が可能となり、個々の子どもが抱えている課題を把握 しやすくなる一方、密な人間関係の中で子どもの自己表現が顕著になる」ということは 当然ありますので、「これらの子どものニーズに的確に対応できる職員の専門性の確保や 職員をスーパーバイズするための仕組みが必要である」また、「個別的な対応となること 等により、ケアの体制が従来と変わることから、これに伴う職員配置やケアの手法につ いての研究が必要である」「小規模化に伴い、ケアが実施される場所が密室化することが ないよう、ケアの質の向上や透明化を図るため、第三者評価や子どもが意見を言えるよ うな権利擁護体制の整備が必要である」こういったこと指摘していただいています。  (2)の「地域ネットワークの確立」のところですが、8ページの図をご覧いただければ と思います。このように縦に割ったり横に割ったりすると誤解を招くことがあるかもし れませんが、ここは「社会的養護を必要とする子どもの支援プロセス」ということで、 こういった幾つかの段階がある。その段階の中でいろいろな主体が連携し協働していた だかなければいけないわけですが、その中でもどこが中心となり責任主体としてやって いくかということは、改めて整理をしておいた方がいいのではないか。と言うのも、た だ単に連携・協働というだけでは、責任体制に落ちがないとも限りませんので、そうい った頭で整理をしたものです。こういった整理を前提として、それぞれのプロセスごと に、8ページの2段落目、「各プロセスにおいて、以下のような課題を解決する必要があ るではないか」ということで、課題を記しています。[1]の子育て支援・相談(虐待予防 等)については、市町村の協議会などの関係機関の連携により、体制作りを一層進める とともに、デイケアやレスパイトケア等を含んだ具体的な支援方法の確立などが必要で ある。[2]の一時保護所においては、養育環境の改善等の適切な処遇の確保が必要であり、 今後の子どもの支援の方向性を決めることになるアセスメントあるいはケアプランの作 成は特に重要で、子どもの課題を的確に把握し、これに応じた支援を提供するために、 児童相談所のアセスメント機能の充実強化を図る必要がある。[3]の里親・施設等への措 置後のフォロー、措置先の変更のところですが、児童相談所のフォローやアセスメント は、現に措置された子どもに対して適切なケアが行われているかどうかを適時把握し、 支援を提供するためにその充実強化を図る必要がある。保護者に対する指導についても、 標準化作業あるいは民間団体の活用等を含めた体制整備を図る必要がある。これに加え て、市町村と里親、施設についても連携を図ることが重要であると記してあります。そ の下は学校との連携も記しています。[5]については、このように図に書いてもどこが中 心だということが明確ではない世界だと思います。いずれにしても、こういったさまざ まな主体が連携を図りながら支援を行う体制が必要であるということです。その下の段 落は、各主体がそれぞれの役割の充実強化を図るとともに、子どもの自立支援に向けて そのニーズに応じ、互いの連携強化を図る必要がある。最後に記しているのは、現在は 養護の責任主体として都道府県(児童相談所)が中心になっていますけれども、「虐待の 予防等、より身近な実施主体が行ったほうが適切な支援については、市町村が行うこと となっていること等を踏まえ、都道府県と市町村も含めて支援プロセスに応じた各主体 の役割分担と協働のあり方を検討する必要があるのではないか」と記しています。  「(3)施設機能の見直し」ですが、4段落目に「今後、家庭的養護の拡充を進めていく 中で、個々の子どもの課題を的確に捉えて子どもに対して最も適切な支援を提供できる ような施設体系のあり方についてあらためて検討する必要があるのではないか。また施 設体系のあり方の見直しを踏まえ、設備基準を含めた児童福祉施設最低基準についても 必要な見直しを行う必要があるのではないか」この辺りは、委員の強いご意見・主張が あったと思いますのでこのように記しています。ただ、具体的にそれをどうしていくか というところは、今後の議論と理解しています。当面の対応としてということで、それ ぞれの施設類型ごとに必要なことが記してあります。ご覧いただければと思います。  10ページの下、「(4)年長児童の自立支援」ですが、ここも具体的な方向性として幾つ か示しています。下から3番目の・で、自立支援計画を充実させる必要があり、子ども の進路選択に当たっては、学校と施設等が緊密に連携を図るとともに、就職に当たって はハローワークや職業訓練機関等の関係機関において円滑に支援を受けられるように、 施設等において必要な支援や関係機関との連携を図る等、就労支援の充実を図る。また、 身元保証人の確保対策や就職、進学の際の支度金など自立した生活を始める際に必要な 支援策の充実を図り、奨学金制度を積極的に活用する。さらに自立援助ホームについて は、11ページになりますが、そのあり方について検討する必要があるという指摘にとど めています。施設を退所した後も、いろいろなことで自信が持てない、相談する相手が いない子どもも多いので、相談先として児童養護施設等がいわゆる「実家機能」の役割を 果たす必要があるとしています。里親や児童福祉施設に措置されている子どもについて は、現行制度においても満20歳に達するまで措置を継続できる仕組みとなっています が、十分に活用されていないのではないかというご指摘が強くあったと思います。した がって、子どもの状況を踏まえつつ、積極的に活用すべきであるということです。その 下は両論併記にしています。このほか、現在の措置の解除年齢の上限(20歳)を引き上げ るべきとの意見がある一方で、漫然と措置を延長するのでは意味がなく、むしろ子ども の社会的自立にむけた支援の強化について検討すべきではないかという意見があった、 と整理しています。  (5)が「人材の確保と資質の向上」です。ここにも幾つか・を並べています。「資格要 件の明確化」、「社会的養護に関する専門職や資格のあり方等について検討する必要があ る」こと、人材の育成については「都道府県が主体となって行うべきであり、そのため の体制整備を図るべきである」それから、「児童福祉施設の職員による子どもの支援に関 し、専門性を持って支援プログラムをマネージメントできる基幹的な職員の育成等を図 る」「キャリア形成やOJTのあり方等を、個人の資質だけによるのではなく、組織的に 担保する仕組みが必要である。このため、施設と児童相談所等の間において交換研修を 実施する等の方策の検討や国立の児童自立支援施設や子どもの虹研修情報センター等に おける養成・研修、研究機能の拡充を図るべきである」「職員が長く勤められるよう環境 の整備を図る」とともに、「他の社会福祉に関する分野も経験できるようにする等の工夫 も検討する必要がある」といったことを記しています。  (6)が「ケアの方法論の構築」です。3行目の、「子どもや家庭の抱える課題やそれぞ れに対して必要とされる具体的な支援策に関するアセスメント方法を確立するとともに、 これに基づいた支援の実践方法を確立し、これを広めることが必要である」といった指 摘をいただいています。  大きな3は権利擁護の関係です。具体的な方向として、「高齢者虐待防止法等の他の 分野の施策も参考として、こうした事件の再発防止に有効な仕組みを検討すべきではな いか」、ほかの制度的な措置も含めてということで記しています。「虐待の事例について 検証するとともに、虐待を受けた子どもに対する適切な対応方法、再発防止のための方 策等について調査・研究を行う必要があるのではないか」「第三者評価の義務づけ・情報 開示、都道府県等における監査機能の強化、当事者である子どもが意見を表明する機械 の担保等、施設・里親における子どもの権利擁護の強化とケアの質を確保するための仕 組みの拡充を図るべきではないか」「児童相談所における措置内容に関する児童に対する 説明のあり方や措置委託先に関する児童の選択権のあり方について検討する必要がある のではないか」「なお、一時保護所においても、養育環境の確保のほか、児童の権利擁護 に関し、児童養護施設等と同様に取り扱うべきではないか」といったような記述をして います。  大きな4は量的な整備のところです。「社会的擁護体制の拡充方策」ということで、 12ページの下ですが、「具体的には、以下のような仕組みが必要ではないか」としてい ます。「社会的擁護に関しては、自治体間の格差が大きい現状なども踏まえると、あらか じめ、都道府県などにおいて社会的養護の提供体制に関する整備計画を立て、計画的に 需要に応えられる体制を整備する必要がある。特に、一部の児童相談所の一時保護所に おいては既に定員不足を生じているが、これは、里親・施設等の社会的養護に関する資 源が不足していること等によることから、早急に社会的養護の提供体制の整備を進める べきである」「整備に当たっては、社会的養護のあり方として、家庭的養護の推進を基本 的な方向とすることに鑑みれば、里親や小規模グループ形態の住居等を中心とした対応 を目指すべきである」ということです。  その下のところですが、前回、前々回から議論があり、事務局に対する宿題という形 になっています。社会的養護の需要量の推計あるいは整備の目標値といったものを、ど のように考えるかということであったと思いますが、私どももいろいろと悩んだ末にこ のような整理はどうかと考えています。まず、社会的養護の需要量に関しては、将来推 計を行うべきという意見がありましたが、その需要量に影響を及ぼす要因は多様かつ複 雑であることから、将来的な需要量について的確に把握することは困難である。しかし ながら、都道府県が整備目標を検討するに当たっては、現在の不足数に加え、潜在的な 需要も考慮することが必要です。例えば、現在の不足数という意味では、社会的養護に 関する資源が不足しているために、一時保護所等で長期にわたって一時保護されること を余儀なくされている児童数。参考として記していますが、才村先生の調査研究による と、虐待を理由に一時保護された子どもの中で、「児童福祉施設が満床で入所できなかっ たという理由により一時保護所の入所日数が2ヶ月を超えた子どもが約200人」いたと いうデータがあります。こういう子どもたちについては、当然児童養護施設等が必要な ので、まさに現在の不足数ということで、都道府県の方で勘案しなければいけないとい うことです。さらに、潜在的な需要を考慮するという意味では、一つは「現在策定作業 が進められている一時保護施設等緊急整備計画に基づく今後の一時保護児童数の見通 し」これは、これまで一時保護が必要であるのに需要が満たされなかった分を掘り起こ して数えるような作業ですから、そこで出てきた数字は当然勘案されてしかるべきでは ないかということです。もう一つが、「児童人口に占める里親・施設に措置された要保護 児童数の他地域との比較」です。これまでも何回か議論がありましたが、県ごとに見た 場合、児童人口当たりの要保護児童数は大きな開きがあります。検討会では、全部新潟 県であったらどうなるのかなどという話もありましたが、ここで参考として提示してい るのは、例えば一つの試算として、平成16年度の児童人口1万人当たりの里親・施設 に措置されたいわゆる要保護児童数の上位10県の平均が27.6人ですが、これを今年の 全国の推計児童人口に乗じて試算すれば、約5万8,000人という数字が出てきます。ご 案内のように平成17年度の里親・施設に措置された要保護児童数は約4万人です。あ くまで一つの例示としての試算ですが、これくらいの開きが出てくるわけですから、都 道府県が整備目標を検討するに当たっては、こういったやり方も考え合わせながら、必 要量を見込むという方法もあるのではないか、といった整理をしています。  説明が長くなって恐縮ですが、最後に「5.その他」ということで三つ書いています。 一つは、「里親・児童福祉施設の施設長の監護権との関係や児童相談所の指導に従わない 保護者に対する対応の観点から、民法上の親権に係る制度の見直しについて検討を行う 必要があるのではないか」二つ目に「社会的養護の重要性に関する啓発についてどのよ うに進めていくのか、さらに検討する必要がある」三つ目に「施設間の格差を縮めるこ とは、個々の施設等の努力だけでは限界がある」ので、「里親や児童福祉施設等に係る関 係団体は、支援のためのノウハウなどの情報交換や交流研修等により、会員等に対する 働きかけを強め、人材の育成やケアの質の向上に積極的に取り組むべきではないか」と いうことで、団体に対する要望が記してあります。以上です。 ○柏女座長  ありがとうございました。これまで7回にわたる多様な意見を、一つのストーリーに 沿って要領よくまとめていただきました。ご尽力に感謝したいと思います。課長からお 話がありましたように、わかりやすさ、アピールのしやすさということも考えて、かな り割り切った書き方になっている部分も確かに見受けられると思いますが、これまで社 会的養護という枠の中で、専門的な議論を続けてきた成果を踏まえて、今度は外に国民 の社会の理解を得ていくということを考えると、ある意味でそうした割り切った視点も 必要なのかと感じながら聞いていました。研究者の論文ではないので、政策的に実行の ある報告書になればと願っています。  それでは、1時間ほど時間があり、大きく五つありますので、できれば今日は全体に わたってレビューをしたいと思います。そう考えると、1を約20分、2を20分、そし て3、4、5、を合わせて20分程度というような時間配分で考えていければと思いまし た。それから、これは中間とりまとめですから、ここに盛り込まれていればその後の議 論には生かされていくという形になると思いますので、ここに書かれていることを加筆 修正すべきである、あるいは新たに入れる必要があるのではないか、そういったことを 中心に議論していただきたい。ここに書かれていることをもっと具体的な提言としてい く具体論については、この中間とりまとめの後で入っていくのではないかと思います。 このたたき台を中間とりまとめとして整理するにはどうしたらよいかという観点からご 意見をいただければうれしいと思います。よろしいでしょうか。  はい、それでは1番のところからご意見をいただきたいと思います。どうぞよろしく お願いいたします。 ○庄司委員  その前に、「はじめに」の最後のところで、「要保護児童を支える」とありますけれど も、「要保護児童とその家族を支える」とする方がいいと思います。それから、2ページ の「(2)社会的養護の目指すもの」の[1]の下から2行目「特定の支援者との安定した」 というところで、「継続的で安定した」というように継続性ということをぜひ重視してほ しいと思います。  ついでに、5ページ上の方の「(2)で述べたような」の次の・ですが、「ケアを提供す るための体制強化が必要ではないか」というところで、ここはぜひ「抜本的な体制強化」 としてほしいと思います。その後の「施設機能の充実」「職員の確保」「専門性の確保」 というのが入っていることはとてもありがたいことだと思います。以上です。 ○柏女座長  具体的な提言をありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。奥山委員どうぞ。 ○奥山委員  3ページ目の図のAのところが気になります。やはり家庭から施設に移ったという時 に、その代替だけすればよいということはあり得ないと思います。ここのところを、例 えば一時的にせよ家庭から離れる子どもに対する心の傷を回復して、上に書いてあるよ うな自立に向けた育ちを保障する機能の提供を基本とした対応が必要な子どもというよ うに、その辺りのことを少し加えてほしいと思います。それから、その右のBのところ に「一定期間心理的なケア等が必要」と書いてありますが、心理的なケアはどのレベル でも全部必要だと思うので、「特別な心理的なケア」というふうな形を入れたほうがいい と思います。それから4ページ目ですけれども、これは簡単な誤字ですが、(3)の2段落 目の「また」から4行目のところの「障害」はディスアビリティの方の障害だと思いま す。それからその後に、多様性・複雑化した子どもたちに対してのケアは、オーダーメ ードもしくはテーラーメードのケアが必要だということをできれば1行入れていただき たい。その次に「社会的養護は」という段落の中の3行目「最も家庭的な環境で養護を 行っていると言える里親委託」というのは、何か奥歯に物が挟まった感じがするので、 「と言える」は要らないのではないかと思います。できれば「最も」もあまり必要ない と思います。「家庭的な環境で擁護を行っている里親委託」でいいのではないかと思いま す。それから私も庄司委員と同じですけれども、この(3)の一番最後に「これらの課題の 一つ一つを解決すべく努力」というのもいいですけれど、「一つ一つ解決する」だけでは なくて「抜本的に体制を見直す」ということが入った方がいいのではないかと思いまし た。1に関しては以上です。 ○柏女座長  ありがとうございます。確認ですが3ページのAのところですか。 ○奥山委員  それは言葉をどうしようかと思っていました。 ○柏女座長  Aのところでおっしゃりたいことは、家庭で育てられている子どもはその家庭がなく なったからといって、すぐに里親家庭が代替できるものではなく、別れることによって いろいろな傷を負うので、それをケアする必要があるということは入れてほしいと。そ こを強調しておかないと単に家庭を失った子どもは里親が養育すれば済むという話では ないということですね。 ○奥山委員  Aという家庭からBという家庭に子どもがポンと移されて、普通でいいということは あり得ないということです。 ○柏女座長  あり得ないということですね。今まで育てられてきた人との別れを経験したりあるい は虐待されたりしているということですね。わかりました。そこは少し工夫が必要です ね。 ○藤井家庭福祉課長  いい知恵があるといいのですけれど、AもBもみんな心理的ケアが必要であると強調 すると違いがわからなくなるし、里親といってもみんな心理的ケアをしなければいけな いのではないかなど、すごくレベルが高くなるというかハードルが高い印象になってし まいます。わかりやすさやアピールの仕方を考えると、あまりそこを強調するのはどう かという気が正直しています。また図の中で言うと心理的ケアというのは隅から隅まで みんなカバーしているので、当然どんな子どももそういうニーズがあることは認識した 上で作っているつもりです。けれども、心理的なケアがすごく必要で、Aは心理的ケア、 Bは特別な心理的ケアとなると、だんだん分ける意味がなくなりますから、うまい知恵 をお願いできればありがたいなと思います。 ○柏女座長  何かありますか。 ○奥山委員  もしそうだとすればここのところは残して、「必要な子ども」という下にただし書きで 「ただし移行に伴う心理的なダメージに対するケアは必要」などと入れるのはどうでし ょうか。 ○山縣委員  私も一般の人が読んだときにどう思うかというときに、「心理的ケア」という言葉では、 恐らく一般の人は心理専門職によるケアと読み込むのではないかと思います。そうする と奥山委員の説が何となく出てくるのですけれども、保育士や児童指導員による心理的 ケアが現場では必要です。その辺は幅で出てきているのではなくて、結果としては図の 右に行けば行くほどより専門家のところに行くという構造になっているだろうと思いま す。その辺の表現をうまくできたらいいのかなと思っていました。これだけ読むと、心 理的ケア、イコール心理専門職によるケアと読み込まれてしまうのではないかというの が、今のことに関する私のもう一つの意見です。 ○柏女座長  はい。松風委員どうぞ。 ○松風委員  私も奥山委員のおっしゃることは非常に共感しますが、この図の役割、単純化して区 別することで何をわかっていただけるかということを重視するならば、奥山委員の主張 についてはその前の文章の中に入れ込んだらどうかと思います。もう一つは先ほどのB のところで「特別な心理的ケア」というお話がありましたが、私は社会的な配慮も含め て必要だと思います。例えば学校との調整や家庭との調整などが起こってくるので、「心 理的なケア等特別な配慮が必要な子ども」と表現した方が、より幅の広い配慮として書 き込めるのではないかと思います。 ○柏女座長  はい。ありがとうございます。では奥山委員、今の意見を踏まえてどうぞ。 ○奥山委員  先ほどの山縣委員のおっしゃったことを明確化しておいた方がいいと思います。つま り「心理的ケア」という場合、私はどちらかというと心理士のケアではなくて、ケアワ ーカーの心理的ケアというイメージでとらえていたのですけれども、ここで言う「心理 的ケア」とは心理士のケアのことなのか、それとも全体的な中で誰がやろうとも心理的 にケアがされればいいのだという機能という形なのかを明確にしておかなければいけな いのではないかと思います。 ○西澤委員  私は元心理士でもう心理はやめましたが、実際に治療的養育という養育ケアワークの 中に組み込まれたセラピューティクなものは原則にすべきだろうと思うし、それをどこ かで本文に書き込む必要があるのではないかと思います。そのためにはどこにお願いし たらいいのかわかりませんが、養護施設の養育というのが戦後のレジュームの単純養育 から治療的養育という形での治療的養育に関して説明するのなら説明を付けるとして、 パラダイムの転換を図らなければいけないだろうということをどこかで宣言してほしい と思います。その関係で治療的養育と位置付けて、すべての家庭外の社会的養育は治療 的養育をベースにして、ABCという分割表がいいかどうかは別にして、子どものニーズ に合わせてさまざまなグループ療法や個別心理療法や家族療法などを組み合わせていく というイメージ、基本には治療的養育を置くイメージを私は現場にいると感じます。そ れと、併せて一ついいですか。 ○柏女委員  どうぞ。 ○西澤委員  この点に関してあと幾つか感じたことは、まず今の点が一点と、今さらのようですが 「社会的養護」という言葉が最後まで理解の足を引っ張ってしまうということです。狭 義の社会的養護と広義の社会的養護というようなこと。国際的な子ども家庭福祉の流れ からいくと、社会が行う養育を社会的養育と言って、その中で社会的養育は常にどんな 子どもにも必要なわけですね。例えば保育所を利用したり、あるいはちょっとした育児 相談をしたり、どんな子どもも社会が養育するわけだから、その中で家庭外に措置され る子どものことを、アウト・オブ・ファミリー・プレースメントというのが英語の言い 方ですけれども、家庭外養育という言い方をする。そういう整理の仕方をした方がいい。 社会的養育と家庭養育があって、これは常に初めから協働、コラボレーションですよと。 その社会的養育をする中で、家庭外養育を必要とする子どもがいて、これが今の児童養 護施設等が当たっていますよという整理をした方が、もし市民が読むのであればわかり やすいのではないかなと思います。狭義・広義というとわからなくなってしまうことが あります。  それともう一つ、これも受け入れてもらえないのかもしれませんが、「家族再統合」と いうのはやはりすごく気になっている。独り歩きするので、きちんとしたケアも治療も しないで再統合というのが今の児童相談所の動きになっているところを見たら、やはり 再統合の原点は何かというと家庭の養育機能の回復だと思います。その結果再統合が起 こると考えると、「家庭の養育機能の回復に向けた援助や支援」などの方がまだ独り歩き しないかなと思っています。  それからいろいろ気になるのですが、これは行政用語かもしれませんが、「課題」とい う言葉は日本語的にいうと問題を与える、与えられた問題という意味だと思います。「子 どもの課題」というのはないのではないか。課題を抱えているのは社会であって、子ど もが課題を抱えているわけではない。ですから少なくとも子どもあるいは家族の課題と いう言い方は、多分「問題」というと問題になるので、ポリティカルな意味で「課題」 という言葉を使っているのではないかと私は勝手に行政的なところで推測しますが、や はりこれは言葉としてはおかしいです。課題はあくまでも我々が抱える課題、社会の課 題であるとは思いますが、子どもが課題を抱えることはないだろうと思います。  それからもう一つ、「自傷」「他害」という言葉は日本語にはありません。他害という 言葉は精神保健福祉法で作られた言葉だと思うので、あえて日本語でないその精神保健 福祉業界の造語を使う必要はないのではないかと思います。ほかにもたくさんあります が、とりあえずそんなところにしておきます。 ○柏女座長  ありがとうございます。庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  今社会的養護について言葉の問題があるというお話でしたけれども、少し教えてほし いのは、社会的養護を英語では何というのでしょうか。 ○西澤委員  社会的養護という概念はないと思います。 ○庄司委員  イン・ケアとか。 ○西澤委員  イン・ケアという言い方は、チルドレン・イン・ケアと言えば、要するに社会が特別 に目を配っている子どもという意味ですよね。それをイン・ケアというのは日本では施 設養育のことを意味しているのでずれます。すみません。私はすぐには思いつきません。 ガバメント何とかチルドレンという言い方をするかも。政府がかかわっている子どもと いう言い方をしますかね。すみませんちょっと。 ○柏女座長  ただその場合には、保育所などいわゆる広義の社会的養護は入ってこないでしょう。 ○西澤委員  そうなりますね。それは確かにそうですね。 ○奥山委員  教科書を訳したときに、フォスターケアしかないのです。だから家庭外養育に関して はフォスターケアと出てきてしまいます。 ○西澤委員  まあ、治療施設もありますけれどもね。 ○奥山委員  「レジデンシャル・トリートメント・センター」にはなるけれども、結局生活をする 場所としてはフォスターケアが中心になります。 ○西澤委員  それは家庭外養育でしょう。社会的養育というのはあくまでも。 ○奥山委員  養育という言葉ではなくて保育だったという気もしますが、よく覚えていません。 ○庄司委員  養育と養護も違うでしょうし、それから社会的養護というのは、使っているけれども やはりわかりにくい言葉ですよね。 ○西澤委員  特に狭義と広義と言われるとわからなくなってしまう。 ○川並専門官  すみません、よろしいですか。 ○柏女座長  どうぞ。 ○川並専門官  西澤委員のおっしゃるように、最初はここの「課題」のところは「子どもの問題」と なっていたのですけれども、やはりそれでは少し具合が悪いだろうということで「課題」 と置き換えたのです。適切な言葉があったら教えていただきたいです。 ○西澤委員  「問題」がどうしていけないのかがわからないのですが、それはどうなのですか。 ○藤井家庭福祉課長  日本語の語感かもしれませんが、川並専門官が今言ったとおりでむしろ「問題」と書 くよりもいい。どう言いましょうか。 ○柏女座長  子どもの状態ではいけないですか。 ○奥山委員  子どものニーズではいけないですか。 ○西澤委員  ニーズや、文脈にもよると思いますが、例えば子どもの症状という言い方をしてもい いかもしれないし、子どもの反応という言い方にしてもいいかもしれない。例えば不適 切な養育に起因する子どもの症状という言う方もあるでしょう。「課題」というと、要す るに解きなさいという問題を出されること、あるいは出された問題のことを言うと思い ます。 ○藤井家庭福祉課長  要するに「問題」という方が、どう言うのでしょうか。 ○西澤委員  プロブレム。 ○藤井家庭福祉課長  プロブレムですよね。そのプロブレムなのかということなのだと思うのですね。子ど もの問題なのかということですね。まさに先ほど西澤委員がおっしゃったように、「課題」 よりもむしろ「問題」の方が、子どもに問題があるわけではないでしょうと。問題があ るのはむしろ社会であり親ですから。 ○西澤委員  しかし子どもの問題行動はあります。精神症状もあります。 ○藤井家庭福祉課長  「症状」という言い方も、多分あまり適切ではないのではないかなと思います。 ○西澤委員  確かに言葉にこだわることは変かもしれませんが、ただ子どもの「課題」と言われる と、私は日本語として全然頭に入ってこない。 ○藤井家庭福祉課長  ニーズなのかな。 ○西澤委員  それはあくまでも「課題」という方がいいというのであればそれは構いません。ただ 今の話の中で私が一番お願いしたいのは、どこかでパラダイムの転換や、それこそ安倍 首相自身が戦後レジュームの脱却と言っているわけですから、それに乗ると単純養育か ら治療的養育への転換などをどこかに入れておかないと全体のトーンが決まらないので はないかという気がします。 ○柏女座長  少し議論を整理してみましょう。それについては(2)か(3)の最後の辺りに挿入すること は可能だろうと思います。また「課題」については「問題」等も含めて別の用語で対応 できるような気がしますので、少し考えてみましょう。それから先ほどの3ページの心 理的ケアの話ですけれども、これは松風委員がおっしゃるように2ページの[1]のところ、 つまり「どの子どもも必ず必要とする」養育機能のところに「養育環境が変わることに 伴うケアを含む」などを入れておいたらどうでしょうか。[1]というのは3ページの図で 言えば、ABCすべてにわたって必要なケアということになりますので、そこに入れてお いたらいかがでしょうか。よろしいですか。 ○藤井家庭福祉課長  [1]ですか。 ○柏女座長  はい。2ページの「[1]子どもの育ちを保障するための養育機能」のところに、養育環 境が変わることに伴うさまざまなケアがあるわけですけれども、そのケアを含むという 形でここに入れておいたらどうでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  我々は[2]に入っているというような頭の整理をしているのですが。 ○柏女座長  3ページの図を見ると、[1]はすべてにわたって必要なわけですよね。 ○藤井家庭福祉課長  [2]もそうですけれども。すべてにわたって必要です。 ○柏女座長  はい。 ○藤井家庭福祉課長  ですから。 ○柏女座長  軽重はありますけれどね。私は心理的なケアとは言っていないですよ。 ○藤井家庭福祉課長  でもそれは心理的なケアではないのでしょうか。 ○柏女座長  そういう意味では心理的なケアだけではなくて特別な配慮ということを。松風委員も おっしゃっていましたが、友だちと別れたりなどしていましたよね。 ○藤井家庭福祉課長  確かにおっしゃるようなことはわかりました。 ○柏女座長  そうした形で整理をすると、ABCのところはそんなにいじらなくても明確化できるの ではないかと思います。奥山委員どうぞ。 ○奥山委員  逆に今の藤井課長のお話のように移行期のケアというのはやはり特別なケアでもある ので、もしかしたら[2]の方に入れておいて、移行期のケアは必要だけれども基本として は家庭に代わる機能の提供なのだということを述べてもいいのかもしれません。ですか ら[2]の三角形の小さいところの方なのかもしれないですね。ただ移行期のケアというの は特別なケアとして、もう少しプロセスのところに含まれるのかなという感じもします。 ○柏女座長  はい、どうぞ。 ○松風委員  前回配った大阪府の取り組みの中でアドミッション・ケアと位置付けている、それは 施設だけではなくて児童相談所も含めて行うべきものだと考えるべきではないかと思っ ています。 ○山縣委員  文章を読んだ上で議論しているのでこうなるのかもしれませんが、[2]の第2段落にも 書かれているように専門職によるケアを書いていますよね。それで[1]に保育士や児童指 導員がやる心理的なかかわりということを恐らく事務局はイメージしているのではない かと思って、私の先ほどのような発言につながっています。[2]は図を見てもここを見て も事務局は心理専門職をイメージされているのではないですか。専門機関なり専門職な り、そういう流れで読んだので、先ほどのような意見を言わせていただいたということ になります。 ○柏女座長  はい。心理専門職だけではなくて心理専門職と保育士と児童指導員が作る治療的な環 境などになると思います。 ○西澤委員  そうだとしたら、やはり治療的な養育をベースにするということをどこかに入れてお かないと、保育士やケアワーカーは日常の単純養護をやって、今までの専門職・心理職 が治療をやりますということは絶対に避けたいです。 ○柏女座長  そうですね。おっしゃるとおりそれは絶対避けたいですね。 ○山縣委員  いいですか。1番のところで1点だけですが。 ○柏女座長  1番というと。 ○山縣委員  今議論しているところです。これも文章の構成上ですけれども、1の(2)のところで突 然「発達障害」が出てきますね。社会的養護の必要性の中では一言も出ていないのに突 然そこから発達障害がどんどん出てきているので、そこの流れに違和感がありました。 ○西澤委員  これは文部科学省に対する配慮です。 ○柏女座長  1の(2)はどこですか。 ○山縣委員  発達障害はたくさん出てきますが、発達障害のスタートは(2)の[2]の「虐待、発達障害」。 ○柏女座長  何ページですか。 ○山縣委員  2ページです。2の(2)の[2]の1行目に出てきて、以下発達障害は比較的繰り返し出て きます。それにもかかわらず必要性というところでは発達障害の子どもがいることでい ろいろな問題があることについては触れていないから、なぜ突然「発達障害」が課題に なってくるのかということです。 ○柏女座長  はい。それは少し配慮しましょう。榊原委員どうぞ。 ○榊原委員  今の関連で、1のところですが、いわゆる素人というか専門家でない一般国民の立場 で読ませていただいたときに、議論した内容をとても誠実にまとめて下さったと敬意を 感じる一方で、4年前の報告書との違いがわかりにくい面があります。大きな方向性と しては同じ方向を目指している。それをより詳細に、または議論をさらに深めて活用し て、いろいろな考え方を整理してということはありますが、一般国民は多分わからない だろうなと。私にも読んでいたときに冒頭のところでまだわかりにくいなという感じが しています。先ほどから皆さんは抜本的という言葉を使っていますが、やはりこの子ど もの養護の政策の大転換が必要になっているという、宣言的なくだりが冒頭に必要だと 思います。虐待防止の取り組みは、法律を作ったり、4年前の検討会でも方向性を出し たり、取り組みはしてきているけれども、それにもかかわらず、子どもを取り巻く状況 はさらに危機的になってきているというファクトを踏まえた上で、基本的に60年前に 作った戦後体制で来ている子どもの児童福祉または養護を含む政策は、今大きな抜本的 な転換が必要になっているという認識は、明確にしておいた方がいいと思います。  4年前に出した方向性を、さらにここでは検討しているということも言及しながら、 この過去4年間で現状が改善されていないということも、何らかの形で、例えば12ペ ージの「4.社会的養護を必要とする子どもの増加に対応した社会的養護体制の拡充方策」 の1行目〜3行目にあるような記述、「虐待の早期発見・早期対応により今まで見過ごさ れてきた虐待が発見される可能性が高いことに鑑みれば、今後も社会的養護を必要とす る子どもは増加していく可能性がある」と書いてあるように、今後はもっと踏み込んだ 対策が必要だという問題意識も一番最初から持ってきて、思い切った資源の投入とシス テムの手直しが必要だと、この初めのところで言い切った方がいいのではないかと感じ ます。その上で、せっかく支援プロセスを図にまとめていただいたので、予防から保護・ ケア・自立支援といった、子どもを養護し育て上げ自立させていく切れ目ないシステム も作っていかなくてはならないということも、入れば言及するというような、今回の議 論の特徴の部分、4年前との違いをもう少しはっきり出した方がいいのではないかと思 いました。  あともう少し細かいところですけれども、2ページ目上から4行目の「虐待を受けた 子どもが親となったときに、今度は自分の子どもを虐待するケースが多いという指摘も あり」というところです。ここは虐待を受けた子どもは虐待をするという見方を固定化 するというか、誤解を招く読み方をされては困るので、「虐待を受けた子どもで十分なケ アを受けられずに親となった場合に、虐待をしてしまうケースがある」というように、 もう少し言葉を補った方がいいのではないかと思います。 ○柏女座長  よろしいでしょうか。ありがとうございます。数人の委員からやはりもう少し「はじ めに」のところか、「社会的養護の必要性」のところか、「今後の方向性」のところか、 「基本的な方向」のところか、その辺りにパラダイムの転換、あるいは抜本的な改革と いった踏み込みをした方がいいのではないかというご意見をいただきましたが、よろし いでしょうか。少し書きぶりを工夫していただくとしても、そうしたものをもう一歩、 今回の議論の特徴を浮き立たせるために入れていただくということで、事務局の方には ご尽力をお願いできればと思います。この部分いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 では奥山委員どうぞ。 ○奥山委員  先ほどの山縣委員からのご質問の発達障害は、確かに発達障害と虐待の関係性がある ので、一般の人口よりも多いのかもしれないのですが、慢性疾患にしても発達障害にし ても一般に増えてきてしまっているので、社会的養護の目的としてではなくても、現実 的に多くなっているということは言えるのではないかと思いました。 ○山縣委員  少し誤解があったかもしれませんが、私も同じような認識をしています。かかわりが 難しい子どもたちが社会的ケアの中に入ってきていることは認めているので、それをむ しろ必要性のところに書くべきではないかということです。そこに書かないと後ろが生 きてこないのではないかという意味です。 ○柏女座長  はい、では西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  本当にしょうもないことで、言葉だけなのですが、例えば5ページ目の一番上の・の ところですが、「(1)で述べたところを踏まえれば」うんぬんと、「に鑑みれば」と条件文 が二つも付いていて、私の処理機能はダウンしてしまうので、もう少し日本語らしい書 き方をしていただければと思うのと、1の一番下のところで「処遇」が出てきますが、 「処遇」という言葉はやめた方がいいと前から思っていました。処遇の処という言葉は もともと罰を下すことの意味でしたから、監獄法がもともとの出自だと思うので、処刑 の処になりますのでやはりケアや支援などという言葉に替えていただきたいと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。それでは1のところはよろしいでしょうか。今日すべてご意 見を伺えるとも思っていませんので、また宿題としてペーパーを出していただくことが あるかもしれません。2番に移りたいと思いますがよろしいでしょうか。2番もとても 大切な具体論の部分ですので、ご意見をいただければと思います。どうぞ。 ○奥山委員  7ページのウのところですけれど、「可能な限り家庭的な環境で養護を行う」という「可 能な限り」というのはやめた方がいいと思います。それから少し議論しなくてはいけな いと思うところは、7ページの(2)の[4]「措置先の変更」というのが出てきますが、措置 変更が当たり前というのはいいのかなと少し疑問に思うところです。それから、先ほど 藤井家庭福祉課長がおっしゃった8ページ目の[5]の退所後の支援はどこが担うのかとい うお話ですけれども、確かにこれはどこが中心とも書いていないですが、恐らく児童相 談所や市町村が少なくとも最初のうちは一時期的にケアをするだろうと思いますけれど も、いかがなものでしょうか。それともう一つ、11ページの「(5)人材の確保と資質の 向上」の二つ目、人材の育成は都道府県が主体というのには疑問があります。本当は、 人材の育成は大学ではないかと思いますので、その辺が具体的に何を指しているのか、 何を充実させることを指しているのかをもう少しわかりやすくしたほうが良いと思いま した。それだけです。 ○柏女座長  今のところで言えば7ページの措置先の変更は措置変更のことで、取り立てて入れる 必要はないのではないかということですね。措置変更は当然行われているわけですが、 ここでやるとぎらついてしまうということですね。 ○奥山委員  要するに、簡単に措置変更を行う方が問題なのではないかと思います。措置変更を簡 単にしていくことで子どもが傷ついていく部分があるので、そこはあまり安易に出して くるのはと思います。子どものニーズに応じたならいいかなと思いつつ、そこは皆さん の意見を聞きたいと思います。 ○西澤委員  私も措置先の変更というのは公式に入れるのは絶対問題だと思っています。措置変更 はできるだけ避けたいです。ただ子どものニーズに応じた何だと言われれば、私だった らケアプランの改定とかケアプランの見直しとか、何かそういう言葉にしたいと思いま す。 ○柏女座長  そういう形で書き直すのは可能ですね。アセスメントと必要に応じたケアの再検討な どにして、その中にはもちろん措置変更が含まれる可能性はあります。 ○藤井家庭福祉課長  ただここも気持ちとしては、施設間の措置先の変更というか、施設から別の施設へと いうのがあるかもしれませんが、里親ですと結構合う合わないというのがあると私自身 も思いますし、そういったときに逆に児童相談所との関係を躊躇されて、児童相談所の 方もいったんお願いしたのだから最後まで面倒見てよというのもあまりよくないという こともあって、あえて書いた方がいいのかなとも思ったのです。 ○柏女座長  それももちろんありますが、逆の意見もありますので、両方包含するのがケアの再検 討という形になると思います。おっしゃるとおりだと思います。それからもう一つ意見 を聞きたいということがありましたね。 ○奥山委員  人材育成の主体。 ○柏女座長  都道府県と書けばわかりやすいかもしれませんね。 ○奥山委員  これは研修のことなのですか。 ○柏女座長  ということですよね。 ○藤井家庭福祉課長  そうですね。 ○奥山委員  研修と人材育成は少し違うと思いますが。 ○西澤委員  ポイントは福祉教育のカリキュラムの整備だと思います。大学なのか専門学校は別に して、臨床福祉教育、子どものソーシャルワーカー、子どものケアワーカーといった臨 床福祉職のカリキュラムの検討と整備のような言葉が欲しいと思います。 ○柏女座長  それは資格の再検討というところに入っています。福祉の施設職員の資格の再検討が 入っていますので、そこで読み込んでいけると思います。 ○奥山委員  資格の問題ではなくて、大学教育の充実というのをどこかに入れてほしいと思います。 大学だけではないかもしれませんが、高等教育の充実です。やはり大学の中でこれを目 指した教育というのがあまり充実していないのが問題です。ソーシャルワークも含めて 充実していません。ケアワークやソーシャルワークの高等教育の充実は必要なのではな いかと思います。 ○柏女座長  わかりました。それではそうしましょう。今の二つ目の・のところを少し変えましょ う。養成教育の話を入れていくことにしたいと思います。ありがとうございます。西澤 委員どうぞ。 ○西澤委員  これは何としてでもお願いしたいと思うのですが、7ページのウのところで、「施設に おけるケア単位の小規模化の推進方策」となっていて、具体的には二つ目の・で「個別 的な対応となること等により」うんぬんで、「職員配置やケアの手法についての研究が必 要である」。研究で止まるのかと思います。研究も必要だと思います。その上に恐らく、 中長期的には、その小規模の単位の施設が中心になっていくように誘導する仕組みが必 要だろうと私は思う。どこか一歩を踏み出すところを作っておかないと、ずっと研究ば かりしているという状態にならざるを得ないと思います。 ○柏女座長  わかりました。時間の関係もあるので細かいことについてはあとでペーパーでご意見 をいただければと思います。 ○榊原委員  7ページの下の(2)のところで、子どもへの支援のプロセスをこういうふうに明確に出 したのはとてもいいと思っています。その中の[4]のところで、先ほどの措置先の変更で はなくてケアプランの見直しというところは大賛成です。ここの中に、ケアプランの定 期的な見直しをするケアカンファレンスを開催していくのというが行間に入っているの でしょうか。というのは、子どもは成長がすごく速い。家族の状況も変わる。それに応 じたプランの見直しは必要なはずだと思います。それをぜひ、ケアカンファレンスとい う書き方がいいのかどうかはわかりませんが、定期的にプランの見直しをしていくとい うことを入れていただきたい。その中に自立支援、自立支援プランというものにも発展 させていくという流れで位置付けていただければと思います。 ○柏女座長  これは自立支援計画の策定の義務と定期的見直しが制度的に担保されていますので、 それをしっかりと実施していくという形になると思います。庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  6ページの下から15行目ぐらいで、「里親と里子のマッチングや」というところの2 行目で「児童相談所の体制を確保したり」とあります。これでいいのかもわかりません が、本当はこれが不可欠である、児童相談所が充実しないと里親はうまくいかなくなる と思います。それから10ページの一番上の・で情緒障害児短期治療施設がありますが、 ここの最後のところで「乳幼児期から思春期まで」と書かれているけれども、ここは就 学前からぐらいの方が無難ではないかなと思います。それから、どこがというのはあれ なのですけれども、デイトリートメントセンター、これは仮称ですけども、その創設の 検討みたいなことを。デイトリートメントは西澤委員が結構言っていたと思います。 ○西澤委員  今度はデイケアではないですか。どちらを取るか。治療的デイケア。 ○庄司委員  もう一つ、11ページの(5)に入る前の上のところですが、20歳までの措置を継続でき る、積極的に活用できる、大変ありがたいと思いますが、それに加えて、これは入るか どうかわかりませんが、生活基盤が脆弱なので社会的養護の下にいる人が、むしろ積極 的に学歴とか資格が取得できるような方策ということを考える必要はあるのではないか と思います。以上です。 ○柏女座長  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。西澤委員。 ○西澤委員  細かいことは省いて皆さん教えてほしいのですが、9ページの2段落目の一番最初に 「同じ施設の子どもが同じ学校に通うのではなく、別の学校へ分散して」うんぬんとい う話になりました。「同じ学校に通うのではなく、別の学校へ分散して通うようにするな ど、施設入所児童の学校教育のあり方について検討が必要ではないか」。 ○柏女座長  私です。前回申し上げました。要するにサテライト型になって小規模児童養護が固ま ってあるのではなく、いろいろなところにあれば。 ○西澤委員  あるから、学校が変わるから当然と。このまま読んでしまうと同じ施設の子どもたち が全然違うところにばらばらに通うようなイメージが浮かんでしまって。 ○庄司委員  地域小規模ができれば。 ○柏女座長  そういうことです。今は50人の子ども全員が一つの小学校に行ってしまうために、 いろいろな学校で問題が起こっているのです。 ○西澤委員  それはわかります。地域小規模を前提にしないとこの文は成り立たない気がしている のです。 ○庄司委員  それを進めればそうなる。 ○柏女座長  書きぶりを。 ○西澤委員  もう一つ教えてほしいのは、10ページの一番下のところ、「自立援助ホームは、中学 校を卒業後、施設を退所して」うんぬんと。もともと高校中退した子どもの施設退所後 ということでの施設なのですか。 ○柏女座長  施設というか事業です。 ○西澤委員  中卒とか、実態として20歳代くらいまでたくさんいるし、この書き方は実態とかけ 離れていませんか。今、家庭裁判所から来るとか、少年院を退所後の子どもたちがたく さん来るとか、少なくとも東京ではそういう子どもが増えていて施設とは無関係です。 ○柏女座長  そういう子どもも受けているのではないですか。これは児童相談所の措置です。 ○西澤委員  児童相談所だけではないです。家庭裁判所からの。 ○柏女座長  それは補導委託で別に受けていると思います。 ○西澤委員  東京都の場合は少なくともそちらの方が現状として多いのです。 ○柏女座長  それはそういうやり方があるのだろうし、児童養護施設も補導委託で受けたりしてい ます。 ○山縣委員  私もそう思ってヒアリングのときに聞いたのですが、児童相談所の方が多いという回 答でした。西澤委員の認識に近かった。 ○西澤委員  何かこう書かれるとかなり現状と違う感じで、高校進学する者が9割養護施設にいる のだから検討しなくてはいけないと、現実とはかけ離れた根拠による再検討というイメ ージがすごくするということです。 ○柏女座長  ぜひこれは、中間まとめの後、自立援助ホームをどうするかといったことについては、 そうした実態も踏まえて、つまり児童福祉ではないところから入ってきている方々も多 いという現実を踏まえながら、考えていくことにしましょう。そういう意味で対応のあ り方を検討する必要があるという形、かなり漠然とした形で書いていますが、そういう ことも含めてということで、そういう理解でいいですか。 ○山縣委員  書きぶりで、ここから最後のページまで共通しているのですが、「必要ではないか」と か「検討すべきではないか」という半疑問、投げかけ型。この検討会の中間報告だから、 とりあえず投げかけてみて反応を聞いて、最後に「必要であろう」と最終報告で書くと いうスタイルを取るのか。一定の判断をする必要があると思います。 ○柏女座長  書けるものは断定でも。 ○西澤委員  「必要である」でいいような気がする。何か配慮があるのですか。 ○柏女座長  私もそれを最後に言おうと思っていた。 ○山縣委員  ところどころ「必要である」ならばいい。 ○柏女座長  論点整理であれば「何々ではないか」ということだと思います。この長さは論点整理 ではないので、基本的に「である」で、意見が分かれたりしているものについては、「な いだろうか」という意見があると、そういう書き方。 ○藤井家庭福祉課長   このレベル、段階まで十分に議論が尽くされていて、コンセンサスとしていけるもの だということであれば。 ○柏女座長  次回その形で出していただいて、次回の議論のときに、これは「である」ではだめだ という意見があればそこは直すというやり方にしましょうか。ありがとうございます。 松風委員どうぞ。 ○松風委員  一つは5ページの下から4行目の「里親制度は、家庭的養護の最も有効な手段として」 と言い切っているのですが、有効な手段であることは間違いありませんが、最もという のはいかがかと思います。  もう一つ、次の6ページの里親の掘り起こしとマッチングのところですが、要するに 児童相談所の体制の確保とともに、それを強化するような仕組みをつくったらどうかと いうご提案だと思うのですけれども、それは後半の議論にゆだねられるのかもしれませ んが、里親認定に関する里親の掘り起こしや調査と、委託を区別して考えるほうがいい。 里親の質の担保といったところと子どものいわゆる権利擁護とを区別して考えながら仕 組みを考えていくことが要るのではなかろうかと思いました。 ○柏女座長  わかりました。後半の議論に向けて大事なところです。 ○松風委員  もう一つこの図ですが、私はこの図はわかりやすくていいと思います。この従来の話 の中からすると、8ページ「[1]子育て支援・相談」というところで里親施設というとこ ろが空白になっているのです。ショートステイとか児童家庭センターとかという役割が 既にありますので、これを細い線で入れておくべきかと思いました。 ○柏女座長  ありがとうございました。庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  「施設体系のあり方の見直しを踏まえ、設備基準を含めた児童福祉施設最低基準」と なっているところ。最低基準のことが書いてあるからこれでいいとも言えますが、ぜひ これを最後のまとめにおいて、具体的に議論されればいいと思います。 ○西澤委員  庄司委員が言いたいのは、設備基準を含めるのではなくて職員の配置基準を含めてほ しいという思い。 ○柏女座長  決めることはできるのではないですか。 ○藤井家庭福祉課長  ここはむしろ最低基準というと職員の配置基準ばかりという印象になる。かつ割と外 から批判を受けることだと3.3平米は狭いとかそういう設備基準のところもいろいろ言 われるので、あえて明示したほうがいいかと思っているのですが、妙な誤解を招くよう であれば、むしろ落としてもいいのかもしれません。 ○西澤委員  かつて最低基準の変更が行われると私たちが興奮したときに、結局代表が来ているだ けだったという話があった。いつも煮え湯を飲まされているので、それはそう反応しま す。 ○奥山委員  もっと明確にするのであれば、「職員配置基準はもとより設備基準も含めた」という形 にした方が良いのではないでしょうか。 ○柏女座長  それでいいです。 ○山縣委員  このことで最後ですが、本文に書かれていますが、議論の中、あるいは今後を考えた ときに、場合によっては見出しにまで起こしてもいいのではないかと思うのものが、家 族再統合のプログラムの確立などです。そこがないままに、先ほど西澤委員が言われた、 帰さないといけないだけの話になる。家族との決別も含めたそういうところの手法とか 技術、あるいはそういう中での母子生活支援施設のような親もセットでケアできるもの。 在宅指導という発想ではなくて、そのものを取り込んだ機能、そういうものが出てくる のではないかと思っていまして、書いてあるというのを認めつつも、もう少し強調した らと思います。 ○柏女座長  家族再統合という言葉はかなり独り歩きしているので、これは使わないということで、 例えば家庭の養育機能の回復支援とか、家族関係調整支援とか、そういう言葉を使って、 なおかつそのプログラムなどが必要であると、重要性をもう少し際立たせてア、イ、ウ、 エという形で1個起こして、そこに書いてあるものをまとめてもらったらどうだという 話ですね。 ○山縣委員  とりあえず見出しを作っておけば最終報告のときに出すことができる。 ○柏女座長  わかりました。 ○榊原委員  関連なのですが、家族再統合が前のめりで最初に出てくるよりも、家庭にいる段階か ら虐待をしかけてしまっている親とか、適切な養育ができない親を支援するとか、親教 育という言い方がいいのかどうかは考え方があると思いますが、例えばNPOの人たち は親のエンパワメントといういい方をしています。親が本来持っているべき、持ってい るはずの力を適切に引き出し、虐待という不適切な行為を行っている人たちにその過ち に気付かせた上で適切な行為を教えてあげるという、親たちのエンパワメント、再教育 というものがある。別に分離されないままの家族も必要だし、分離のままの状況が続く にしても必要だし、統合があってもというところで、親への支援という形で入れていた だきたいと思います。 ○柏女座長  わかりました。今の山縣委員がおっしゃったような項目を起こしていただいて、その 中の一つに恐らく入れていただけると思います。時間の関係もあるので西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  11ページの(5)の一つ上の措置年齢ですが、両論併記になっていてそのまま突き放さ れた感じがするので、今後も持続して継続した検討が必要であるとか、そういう温かい 見守りをいただきたい。本当は小さい点なので言わないでおこうと思ったのでが、どう しても我慢ができない。(1)の家庭的養護の拡充、5ページの4行目「鑑みれば」という 言葉が大嫌いなのですが、百歩譲ったとしても、「に鑑みれば」で「を」は文法的に無理 だと思います。鑑みるというのは鑑の動詞形なので、映すという意味です。何々を映し てみればという意味なので、を映すという言葉ではもともとないのです。 ○藤井家庭福祉課長  それはおっしゃるとおりです。 ○西澤委員  でも「鑑みれば」はなるべくやめてほしい。考えればくらいでいいではないですか。 ○柏女座長  文言上の修正については考えてみます。 ○榊原委員  9ページの(3)の一つ上の最後のパラグラフですが、「社会的養護の責任主体」のとこ ろで、都道府県と市町村が出てきます。実施主体として都道府県と市町村はそのとおり だと思いますが、責任主体には何らかの形で国に対する言及もあるべきと思います。法 制度を整備したり、財源を確保したり、サービス基準の見直しをしたり、人材を養成し たりと、国の果たすべき役割もあると思いますので、責任主体には国への言及も何がし か入れてもらいたいと思います。 ○柏女座長  わかりました。これは国に対する提言ですので、それは入れられると思います。あり がとうございます。少し先を急いですみません。 ○藤井家庭福祉課長  一つだけ、いろいろいただいたご意見の中の反論ではないのですが、7ページのウの 「ケア単位の小規模化の推進方策」のところで、「可能な限り家庭的な環境養護を行うと ともに」と書いてあるのですが、「可能な限り」を落とした方がいいのではないかと、奥 山委員か西澤先生でしたか意見がありました。ここは実は悩ましいところです。ある意 味では家庭的な環境というのをどこまで家庭的な環境と言うのか。里親があってホーム グループケアがあって、さらに小規模施設、ウはまさに施設の小規模化です。地域小規 模ではなくて小規模グループケア。それも家庭的な環境だと言い切っていいのかという ところに若干躊躇があって、「可能な限り」と付けたという気持ちなのですけれども、ど ういう感じですか。 ○奥山委員  小規模ケアにしても家庭的な環境以上のものが必要と思うのです。「可能な限り家庭的 な環境で養育を行う」ことが、あたかもいいことだというような、家庭に近づけばいい という印象を与えてしまうのではないかと懸念しました。 ○藤井家庭福祉課長  そちらですか。 ○西澤委員  「家庭的な環境」が何なのかの定義がない。それぞれのイメージが違うので、イメー ジ論になってしまう。私は使わないでいいのであればできるだけ「家庭的」という言葉 を使わない。 ○柏女座長  これは使っていないのではないですか。「家庭に近い環境」と。 ○西澤委員  「可能な限り家庭的な環境で」となっていますね。 ○山縣委員  7ページ、ウの2行目。 ○西澤委員  今これをつき比べると、人によって配布されている文章が違います。 ○柏女座長  私は「家庭に近い」になっている。 ○西澤委員  私のものは「可能な限り家庭的な環境で養護を行うとともに」になっていて、庄司委 員は「可能な限り家庭に近い環境」になっている。 ○柏女座長  事前に送ったものをプリントアウトしているわけです。だから違うのです。 ○西澤委員  今日配っているものを私は見ています。 ○柏女座長  私は事前に送ってきていただいたものを見ていますので、「家庭に近い」という形では だめですか。 ○山縣委員  奥山委員の趣旨が入らない。 ○庄司委員  家庭以上の。 ○西澤委員  だから必要でない限り家庭という言葉を飛ばした方がいい。小規模とか小集団でまと めていった方が、それぞれのイメージによる誤解がないと思います。 ○山縣委員  今の西澤委員のイメージで、小規模の中に里親は入っていますか。 ○西澤委員  入っています。 ○山縣委員  ほかの方はどうですか。 ○西澤委員  里親を含む小規模の集団。 ○奥山委員  ただここは施設におけるだから。 ○西澤委員  文脈によると思います。 ○藤井家庭福祉課長  ここは確かにあえて家庭的な環境と言わなくてもいいのではないですか。 ○松風委員  確かにおっしゃるとおりのところもありますが、小規模で何が達成できるのかと考え ますと、例えば買い物とか地域活動とか、小規模であればできるのかということです。 何を重視するべきかと考えると、家庭的というあいまいさはあるのですが、もう少し具 体的に例えばお金を使うこととか、おかずを自分たちで選ぶこと、メニューを考えると か、行事を考えることをもう少し書くなりする。そういう意味での家庭的といったよう なことは小規模だけではなくて機能的に必要と思います。 ○柏女座長  それは父親が晩酌しているところを見るとか、そういうことですね。 ○西澤委員  それは議論があると思いますが、施設の方でいえば小舎制というのは小規模でかつ一 家庭単位という言い方をします。それが一つの家庭単位の基本になっている。大集団の 中にあるユニットではないという書き方をするのも可能と思います。 ○柏女座長  これは施設のところですから、ここでは家庭という言葉にこだわる必要はないと思い ます。全体から削除してしまうことには慎重でなければならないと思います。  それでは見切り発車ですみません。3番、4番、5番について。権利擁護、量的な拡充 の問題、その他。奥山委員。 ○奥山委員  12ページ3番ですが、前のところは指摘をしていて、指摘し忘れだったかもしれませ んが、職員の資質の問題だとの決め付けはまずいだろうと思います。子どもの問題の複 雑性の増加に伴った専門性の担保ができない、要するに職員に対する教育の問題ととら えた方がいいのではないかと思います。 ○柏女座長  庄司委員。 ○庄司委員  4で、先ほど榊原委員が言ったように、自治体間の格差のときに自治体に整備計画を 立てろというだけでは格差はいつまでたっても縮まらない。もう少し国が積極的にある ラインを示すとか、そういったことが必要と思います。 ○柏女座長  いわゆる国としての整備計画を立てるためのガイドラインなり指針が必要だというこ とですね。 ○山縣委員  奥山委員に対して趣旨を教えてほしいのですが、資質の問題があったということは消 してしまいなさい、それで教育的なことに書き替えた方がいいということなのか、新た にもう一つ入れた方がいいかどちらですか。 ○奥山委員  資質に問題があったという決め付けはどこで決まったのかもわからないわけで、職員 が子どもの複雑性が増加したことに対応しきれない、そういう専門性を向上できなかっ た教育に問題があるだろうという書き方でいいと思います。資質というと持っているも のです。その職員が個人として持っているものに問題があったということですね。その 言い方はまずい。 ○山縣委員  今非常につらい立場で話をしていて、本当は発言したくない部分ですが、今世の中で 児童養護の現場等で起こっている問題に対して、資質問題としてとらえられる事例もあ ると思っています。奥山委員が言われる事例が多い。 ○奥山委員  違います。私は資質の問題がある人がきちんとそれに気づいて、去っていくのも教育 だと思います。 ○西澤委員  施設内虐待の要因はいろいろだから、一方にまとめることに無理がある。 ○山縣委員  並列するのだったらいいのだけれどもという問いかけです。 ○奥山委員  そうだとすると山縣委員がおっしゃりたいのは、資質に問題がある人をどう省くかの 制度を作れということですか。 ○山縣委員  極端に言うと資質に問題のある人はそのフィールドから出てもらうと。 ○奥山委員  そうですね。それはどのようにやるかということですね。私は教育をやる中で省いて いく以外にないのではないかと思います。 ○柏女座長  その問題とは別ですね。 ○松風委員  それも含んでいます。一つは私のところでのわずかな取り組みからですが、確かに性 的な害を加えた人についての資質の問題は非常に重要視して考えるべきだと思うのです けれども、それが教育の段階ではわからない。現場で事件に至るまでの間にどう発見す るかというところに非常に重要なポイントがあるということ、そしてそれを個人の責任 として省くということも必要な場合がありますが中には体罰などにおいては資質の問題 だけでは解決できない問題があります。要するに施設の中でのケアを高めていく仕組み の問題。子どもと向き合ったときに自分では対応しきれない状況が起こったときに、ど のように援助を求めるかとか、どのように組織として対応するかというところが非常に 不明確になっているということが、問題を分析していく上でわかった事例が幾つかあり ます。その点について施設の仕組みの問題としても考えておく必要があると思います。  もう一つは先ほどの虐待の今回の法改正の説明の中にもありましたが、事例の分析と 報告、これは非常に重要だと思っています。資質の問題なのか、組織の問題なのか、教 育の問題なのかといったことは事例によってさまざまですので、分析を都道府県の責任 できちんとやるべきと思っています。もう一つそれを含めて、このところでは権利擁護 という非常に抽象的な書き方だけではなくて、発見と調査・診断・分析、それと指導勧 告、それから再発防止といった具体的な仕組みとして、もう少し具体的に書くべきでは ないか。その責任はどこにあるのかといったようなことも含めて書いておくべきと思っ ています。 ○柏女座長  はい、奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  今の教育というのは広い意味で使い過ぎたかもしれないのですけれども、やはり私は 資格化していく中でかなり解決できる部分もあるのではないかと思うのです。本来は資 格をきちんと与えるというその教育の中で、資格を与える人が、本当にその資格に適合 する人なのかどうかということを見極めて、その資格を与えなければいけないのです。 性の問題に関しても性のことをきちんと教育していないが故に出てきていない問題もあ ると思います。だから、性の問題だから資質だとは言えないと思います ○柏女座長  ここは、堂々巡りになってしまうので、資質についてはそれをどう理解するかという のはありますが、最低基準そのものに職員の資質の向上ということは書いてあります。 行政用語になっているので、そういう意味ではここは資質ということで私は構わないの ではと思います。もう一つ奥山委員がおっしゃった養成教育の問題や資格の問題などは、 そこは含めて資質の問題とは別に併記することは可能だろうと思いますので、そういう 形で引き取らせていただいてよろしいですか。ありがとうございました。では、そのよ うにさせていただきます。庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  そうすると今のことに関係して、里親も当然含まれるのですか。 ○柏女座長  そうです。 ○西澤委員  それをお任せするとしたら、資質というものは生まれつき、生来のものですから、向 上はないのです。言葉の使い方は、市民が読むということを前提にしなければいけない と思いますが、それはお任せします。3番の「権利擁護」の中で、2番目の・の「虐待 の事例について検証するとともに」は文脈から言えば施設内虐待ということだろうと思 うのですが、わざわざ「虐待」と短くしなくても、「施設内で起こった虐待」などと書い た方が明確ではないかということ。それから需要数ですが、需要量に関して結果的にこ ういうことになって、これはこれで5万8,000人を整理しようと思っていたのですが、 50人定員にしていたら360カ所も要るわけだから、それこそ大きな数字になるのでい いのですが、継続して需要予測の研究はしなければいけない。例えば、うちの方でやっ ているもので出てきているのは、一つは生活保護率と関係しています。それから、なぜ かわからないけれども、少子化の子どもの減少率と通報率は全くと言っていいくらい、 逆相関。負の相関、非常に高い相関です。それは何を意味するのかはわかりませんが、 ここは継続した研究が必要ではないかと思います。 ○柏女座長  それは入れていくことは可能ですし、継続的な課題として認識しておくことは大切な ことだと思いますので、入れていただくことにしたいと思います。そのほかにはいかが ですか。 ○奥山委員  もう一つ言葉でいいですか。資質というのは行政用語だとどういう意味になるのです か。つまり、今、私も「資質の向上とは」と言って、おやっと思ったのですが。 ○松風委員  資をとって質にしたらいいのでは。 ○柏女座長  職員の質の向上。 ○庄司委員  行政用語ではその人の持っている能力とか、専門性をいうのでは。 ○西澤委員  市民に読んでもらうようにしよう。行政の中だけの文章ではないようにしよう。 ○柏女座長  わかりました。それでは、そういうこともいいかと思います。よろしいですか。ほか にはいかがですか。はい。どうぞ。 ○榊原委員  難しかった将来的な需要のはじき出し方について、このように整理していただいたの は、私は良かったのではないかと思います。現場を持っている自治体の方で割り出して 見通しを出してもらうときに、参考の考え方としてこういうものがあると出していただ いて、良かったのではないかと思っています。それを踏まえて、これから計画的に支援 を整備していくべきであるということを、ここではっきり言おうとしているのであれば、 やはりセットとして、3番目の1段落目のところにあるのですが、「施設におけるケアを 外部から評価・検証する仕組み」のところで、「制度的な措置も視野に入れて検討する必 要がある」というように慎重に書いているのですが、社会的な資源を施設も含めた子ど もたちの育つ場への支援に投入していくというのでしたら、ここは「制度的な措置を視 野に入れ」ではなく、「制度的な措置の導入に向けて検討する」というぐらいの書き方で いいのではないか。 ○柏女座長  制度的な措置の。 ○榊原委員  制度的な措置の導入に向けてというぐらいの書き方で、釣り合うのではないかと思い ます。 ○柏女座長  よろしいですか。はい。ありがとうございます。そのほかにいかがですか。少し最後 の方を急がせてしまって申し訳なかったのですが、大きな点ということは、これでよろ しいですか。それでは時間を5分過ぎてしまいましたので、今日はこの辺りで議事を終 了させていただきたいと思います。次回は今日の議論を踏まえて、また事務局にご尽力 をいただいて、中間とりまとめの案を事務局の方から出していただいくことにしたいと 思います。なお先ほど申し上げましたように、細かい点は後日ご意見をという形にさせ ていただきましたので、さらにご意見がある場合には恐縮なのですが、今週中でよろし いですか。 ○藤井家庭福祉課長  できれば。 ○西澤委員  少し待ってください。今週中というと、つまりは明日のことですか。 ○藤井家庭福祉課長  今週は、明日までです。 ○西澤委員  神は確か、6日間働いて最後に休んだ。だから、週の終わりは日曜日です。 ○柏女座長  そういうことで明日ぐらいまでに、今日帰りの電車の中で少し読み込んでいただいて、 事務局の方までメールその他でお伝えいただければありがたいと思います。次回の予定 につきまして事務局よりご連絡をお願いしたいと思います。 ○鈴木家庭福祉課係長  次回、第9回の検討会ですが、来週5月18日金曜日午後6時から8時までです。委 員の皆様には文章で正式に依頼を出していますが、5月18日金曜日午後6時から8時 まで、2階の共用第6会議室で行うこととしています。次回の予定は以上です。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。できれば次回で中間とりまとめについて、とりまとめ をここで提言をしたいです。細かなところがもしあれば少しその調整をしてという形で、 次回でとりまとめたいと思いますので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。それで は今日はこれで終了します。各委員におかれましては、お忙しいところありがとうござ いました。お疲れさまでした。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 連絡先 03−5253−1111(内線7888) 40