07/04/26 未承認薬使用問題検討会議 第12回速記録             第12回未承認薬使用問題検討会議 速記録 平成19年4月26日(月)                      於:厚生労働省専用第18・19・20会議室 ○ 中垣審査管理課長  定刻になりましたので、ただいまから第12回の未承認薬使用問題検討会議を開催させ ていただきたいと存じます。議事に入ります前に本日の構成員の先生方の出席状況につ いて、御報告させていただきます。本日は、岩砂先生が御欠席ということで11名の先生 方に御出席をいただいているところです。どうもありがとうございます。  それから本日の御議論をお願いする個別品目の検討に当たりまして、事前に座長の堀 田先生より、ワーキンググループの専門家を御指名いただいております。資料5にござ いますけれども、この中で本日の会議で検討結果を御報告いただくために、国立がんセ ンター中央病院の藤原先生、広島大学医学部の消化器内科の川上先生、さらに国立成育 医療センターの奥山先生、お3方に参考人として御出席をいただいております。どうも ありがとうございます。  それでは議事に入らせていただきますけれども、議事に入ります前に1点事務局より 御報告をさせていただきたいと思います。皆様方新聞報道等において、既に御承知のこ ともあろうかと思いますけれども、4月23日に薬事食品衛生審議会の薬事分科会を開催 させていただきまして、そのときに信越化学の爆発事故による添加物の供給停止に伴い ます医薬品の供給をどうするかという問題とともに、いわゆる利益相反問題について、 御議論を願ったところでございます。  その結果として薬事分科会としては、年内を目途に利益相反について薬事分科会とし てのルールをつくるという方針といたしました。そのために、ワーキンググループを設 置するということを決めるとともに、当面の間の措置としてアメリカのルール、あるい はヨーロッパのルールをもとに、過去3年間のいずれかの年において寄付金等の額が 500万円を超えるものについては、御退出いただくなどの当面の暫定ルールを作成した ところでございます。  そこでこの検討会議をどのような形で進めるかという点について申し上げますと、こ の検討会議というのは、薬事審議会が承認の可否を決定するのに対しまして、いわば治 験を奨励するであるとか、早期の承認申請を奨励するであるとか、いわゆる決定権限を 持っているわけではないのだというようなことから考えますと、現段階において、薬事 分科会と同じようなルールをこの検討会議に当てはめる必要もまたないのではなかろう か。事務局としては、薬事分科会におけます正式なルールの策定とともに、この検討会 議をどのような形でお願いするのが適当かというのは、引き続き検討していきたいと思 います。現段階でそのように考えておることだけ御報告させていただきたいと思います。 申しわけございません。座長、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  ということでございますので、この会は自由に発言していただいても構わないという ことの仕切で参りたいと思います。それでは、まず事務局の方から本日の配布資料の確 認をお願いいたします。 ○ 事務局  それでは配布資料の確認をさせていただきます。お手元にまず議事次第の1枚紙。そ れから座席表、その次に配付資料一覧があります。  資料1、前回検討会議の結論に基づき、ワーキンググループで検討が行われた未承認 薬。  資料2−1、ボリノスタットに関する検討結果報告書。  資料2−2、テルビブジンに関する報告書。  資料3−1、学会・患者団体から追加で検討要望のあった未承認薬のリスト。  資料3−2、平成19年1月から3月までに提出された未承認薬の早期承認に関する要 望書等。  資料4、平成19年1月から3月に欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬 品、類型Iのリスト。  資料5、未承認薬使用問題検討会議での検討結果等についてのリスト。  資料6、未承認薬使用検討会議ワーキンググループの専門家の先生方のリスト。  参考資料1、会議の開催要項。  参考資料2、構成員の名簿。  参考資料3、対象医薬品の類型について。  参考資料4、医療上特に必要性が高いものに関します考え方。  参考資料5、ワーキンググループの設置について。 でございます。  また、先生方の机上には、本日の資料1〜4に出てきます11品目の医薬品の欧米の添 付文書の、英文のままで恐縮でございますが、コピーを置かせていただいております。  またあわせまして本日資料3のところで御説明をいただきます、ビガバトリンに関し ます日本小児神経学会、日本てんかん学会からの要望書がお席に置いてあるところだと 思います。資料の欠落等ありましたら、事務局までお知らせお願いします。以上でござ います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。それでは資料の欠落がないかどうか御確認いただいて、もし あれば事務局にお願いいたします。それでは議事に入りますが、個別の検討に入る前に 前回4月の会議で検討された、そしてその場で早期の治験開始、承認申請を行うべきと この会で結論された品目についての現在までの対応状況を事務局から報告をお願いしま す。 ○ 事務局  お手元の資料の5番、未承認薬使用問題検討会議での検討結果についての横の表をご らんください。3ページ目になります。前回第11回に議論いただきました品目、No.34 アレムツズマブでございますけれども、こちらは日本シエーリング社に対しまして、B 細胞性慢性リンパ性白血病に対する治験を早期に開始するよう要請し、同社からは検討 結果を受け、本疾患に対する治験を早期に開始できるよう進めたいとの回答があったと ころでございます。またあわせて、検討会議で御指摘のありましたT細胞性リンパ腫に ついても積極的な対応をお願いしたところでございます。  次にNo.35、タルクでございますが、米国及び欧州での承認取得企業の支社が日本に はないということから、国内開発に取り組んでいただける企業探しには苦労したところ でございますけれども、昨日ノーベルファーマ社より、欧州の承認取得企業との契約締 結に向け、交渉がもう進んできているという旨の報告をいただきましたので、その旨御 報告させていただきます。以上でございます。 ○ 堀田座長  順次対応が行われておりますが、この件に関しまして、何か御質問ございますでしょ うか。それではもしなければ、次の本日の具体的な議事に入りたいと思い出す。まずは 前回の議事においてワーキンググループで検討を行うことを要請いたしました医薬品に ついての検討を行いたいと思います。事務局から資料1についてお願いします。 ○ 事務局  資料1でございます。2品目ございますけれども、前回1月の検討会議におきまして、 昨年10月から12月に欧米4カ国で新たに承認された医薬品を紹介した際に、ワーキン ググループで詳しい検討を行った上で、今回の検討会議に報告をすることとされた医薬 品でございます。これら2医薬品につきまして、ワーキンググループに検討結果報告書 をおまとめいただきましたので、本日はこれに基づきまして御検討をお願いしたいと考 えております。  なおこの2品目のほか、昨年10月から12月に欧米4カ国承認された医薬品の中に、 アルフォルモテロールというCOPDに対しますβ2刺激薬の吸入剤があり、これにつ いてワーキンググループで検討すべきか否か、当日御欠席であった栗山先生に相談の上 取扱いを決めるとされたところでございますけれども、資料をお送りの上御検討いただ いて結果、総じて本剤の有用性はそれほど高そうではないとのコメントをいただいたた め、座長とも相談の上ワーキンググループでの検討は行わないことといたしましたので、 報告させていただきます。以上でございます。 ○ 堀田座長  という対応でありまして、前回を思い出していただきますと、このβ2刺激薬につき ましては、栗山先生の御意見を伺うということでしたが、改めて栗山先生、何か御発言、 あるいは御追加ございますか。 ○ 栗山構成員  同種の薬剤が既にあるということと、それから使用をするに当たって、いわゆるネブ ライザーという、昔私どもが液体のもの吸入させるときに使っていた、ああいう器具を 必要とすることというようなことがありまして、現時点で早急に導入すべきということ ではないだろうという判定をいたしたわけです。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。この会議では、重篤性あるいは緊急性を重んじて、検討に持 っていくということでありますので、今のような御発言で特段急ぐ必要はないだろうと いうことで、提案のような整理にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがと うございます。  それではワーキンググループで、報告書をまとめていただいた医薬品の検討に移りた いと思います。  まずは資料2−1、ボリノスタットについて藤原先生から御説明をいただきます。 ○ 藤原参考人  資料2−1のボリノスタットでございます。米国メルク社の製品、商品名Zolinzaと いうものでございます。まず対象疾病が皮膚のT細胞性リンパ腫ということで、それに ついて簡単に説明させていただきます。お手元のワーキンググループの報告書に大体は 沿ってお話いたします。  皮膚T細胞リンパ腫は、菌状息肉症とセザリー症候群からなる皮膚病変を主体とする T細胞リンパ腫の一型で、このCTCLの大半を占める菌状息肉症は紅斑期、扁平浸潤 期という緩慢に経過する時期を経て、多発性の皮膚腫瘤を主体とする腫瘤期に至ります。 ステロイド外用剤、紫外線照射、放射線治療などがしばしば一時的には奏効するのです が、治癒に至ることはありませんで、化学療法も不十分な効果であるために、腫瘤期の 多くの患者さんが臓器浸潤とか感染症などのために死亡される難治性の疾患でございま す。  欧米では比較的多いんですけれども、日本のCTCLの発生頻度は海外に比べて、10 〜20%、そんなに多いものではありません。しかし日本にも厳然として、CTCLの患 者さんはいらっしゃいますので、その方々にはこの薬の導入というのが非常に必要では ないかというふうに推察されます。  この薬ボリノスタットでございますけれどもSAHAともいわれまして、FDAが承 認しました、初のヒストン脱アセチル化酵素阻害薬HDACのInhibitorでございます。 そのFDAの承認の審査の根拠になった主な治験が2つございまして、これはお手元の 英語の添付文書、これは現在FDAのサイトにアクセスとしても、Full prescribing informationという普通のPDFの書式ではなく、簡単な書式でしか手に入りませんけ れども、その中でピボタルと言われているトライアルと、それからサポーティブと言わ れているトライアルの計2つでございます。  そのうちのピボタルなトライアル。これはプロトコール001ともFDAの審査報告書 には書いてありますけれども、400 mg/dayの連日経口投与の用法用量で74名のCTC Lの患者さん、しかもこれは前治療として全身療法のレジメン数が大体3ぐらい入って いる、フレッシュな患者さんではない患者さんですけれども、そういう方を対象に米国 で、ピボタルな第II相試験が行われております。  奏効の評価は、特殊な、通常のRECISTのようなクライテリアではありませんで、皮膚 病変主体なので、mSWATと呼ばれる特殊な評価法で評価されております。全奏効割合と いうのは、30%。Time to progressionの中央値が148日というあたりでございました。  これは公表文献としましては、ここに書いてありますように昨年のASCO、アメリ カ臨床腫瘍学会の7,500番のアブストラクト、これはASCOのサイトに行くとスライ ドも見られます、それから先週4月15日号のClinical Cancer ResearchにFDAの審 査のまとめとしてもその成績が出ましたので、それらをご参照下さい。  2つ目の治験ですけれども、これは、MD Anderson Cancer Center、アメリカのヒュ ーストンにある大きながんセンターですけれども、そこで実施された。第I/II相試験 で、これは複数のドーズ、3つのドージングスケジュールのレジメンを比較したトライ アルでございます。特に注目すべきなのは、掻痒感の改善というのが評価可能31名中、 14名に認められたというところだと思います。  副作用につきましては、ここには余り詳しく書きませんでしたけれど、疲労感、下痢、 吐き気、味覚障害、食欲不振、体重減少とかそれから臨床検査値上では血糖の上昇とか クレアチニンの上昇が認められておりますけれども、注目すべきなのは肺塞栓とかさま ざまな血栓系の疾患というか、有害事象が認められているということです。これは米国 の添付文書等のワーニングのところに種々取り上げられています。  以上を踏まえまして検討結果としましては、そこに書いてありますような結論をワー キンググループとしては持ちました。読み上げさせていただきます。  上述したように、CTCL患者に対する本剤の医療上の有用性は明らかであり、再発・ 再燃非ホジキンリンパ腫に対して国内第I相試験において400 mg/dayの2週連日、3 週毎反復経口投与の実行可能性が確認され、濾胞性リンパ腫とマントル細胞リンパ腫に は奏効例が認められています。しかし本薬剤の臨床開発を行っている米国メルク社と萬 有製薬は、我が国では、CTCL患者が少ないことを理由に、非ホジキンリンパ腫に対 する国内II相試験実施には消極的であり、より患者数が多い非小細胞肺がん、急性骨髄 性白血病の臨床試験を先行させようとしております。この状況では我が国のCTCLの 患者さんに、本剤が投与可能になる時期が遅延することが懸念されますので、本検討会 議での討議がきっかけになって、CTCLを含む非ホジキンリンパ腫に対する国内第II 相試験が1日でも早く実施されることを期待したいというような結論に達しました。御 検討よろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。ただいまのワーキンググループからの報告書について、御 検討をお願いいたします。御意見はいかがでしょうか。まずは御質問等ありましたらど うぞ。 ○ 栗山構成員  重要な副作用の1つとして、肺塞栓ということを先生はコメントされたんですけども、 それによって死亡した症例というのは、やはり何例かあるんでしょうか。 ○ 藤原参考人  はい。この4月15日号のClinical Cancer Researchに出たFDAの審査のまとめを 見ますと、3例の死亡例が、スタディーでは認められているんですけれども、いずれも 肺塞栓ではなくて、1例はischemic stroke、1名はprogressive deceaseですので疾 病の進行ですね。それからもう1例はunknownとなっていますので、必ずしも肺塞栓で 亡くなられた方はないというふうな記載になっております。 ○ 堀田座長  ほかはいかがでしょうか。大変珍しいというか、日本では頻度の少ない病気なもので すから、なかなか治療薬というのが開発されていない状況でもあります。一方CTCL は欧米では日本よりも頻度が高いこともありまして、最近はT細胞性のリンパ腫に対す る薬の開発が行われまして、その中の有力なものの1つとして現在位置づけられている と思いますけれども、いかがでしょうか。有吉構成員、いかがですか。 ○ 有吉構成員  私自身の経験でも、今まで2〜3例しか経験がないのは、主に皮膚科などが扱ってい らっしゃると思うのですが。やはりいわゆるオーファンドラッグとしての立場から考え ると、これは必要だろうというふうに考えます。 ○ 堀田座長  ほかはいかがでしょうか。吉田構成員、いかがですか。 ○ 吉田構成員  そこはわかるんですけど、具体的に動けるんですかね。検討会議として要望すること に、私にも異議はないんですけれども、それを国際的にやるというふうな格好にすると か症例をそろえる手立てを考えてあげないといけないのかもしませんね。 ○ 堀田座長  恐らくこのメルク社と萬有製薬はほかのもっとポピュラーな疾患にターゲットを持っ ていこうということだと思うんです。このHDAC inhibitorそのものは、リンパ腫だ けに効くということではなく、もう少し広い適用があり得る薬だと思います。堀内先生、 いかがですか。 ○ 堀内構成員  今お話がありましたように、ヒストンのdeacetylase inhibitorということで新しい メカニズムです。ご説明の通り有効性はあるとは考えられますので、ぜひできるだけ早 く、日本でも使える形にするのが妥当だと思います。作用メカニズムから推測しますと、 日本でどれだけ治験が早急にできるか心配ですが、外国の症例の有効性と安全性につい てできるだけ配慮しながら、さらにオーファンドラッグですのでその辺も考慮して、で きるだけ早く使えるようにすべきではないかと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。ほかの先生方、いかがですか、藤原先生にちょっとお伺いし ますけれども、日本でメルクとしては別の対象を考えているようですが、CTCLにつ いての動きというのは今のところなしと、あるいはリンパ腫をもう少し広目にとっても いいかと思いますが。 ○ 藤原参考人  詳細には把握していなくて、審査管理課の方が詳しいかと。 ○ 堀田座長  いかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  今、責任を持ってお答えするほど、このCTCLについて情報を持っているわけでは ございません。先ほど吉田委員からございました、何ができるんだろうかというのは、 確かに一番の悩みでございます。先生方も御承知のとおり、民間企業が医薬品を供給す るということを前提に、我が国だけではなく、世界中そういった制度を行っているわけ でございます。したがいまして、あくまでもできるのは勧奨と申しますか、やってくれ ないかというようなお願いをするということになるんだろうと思います。  仮にこの検討会議において、そういう方向でまとまるのであれば、きょうは研究開発 課長が欠席させていただいておりますが、研究開発課とも連絡をとって、萬有社に対し て検討会議でこのような議論があったと。ついては早く治験をやってもらえないだろう かというようなお願いをして、うまくいかないようであれば、またこの検討会議に御報 告させていただくような形で進めていくのが、現段階におけるルールとしては精いっぱ いだろうというふうに考えております。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。この疾患の希少性とそれから、標準的な治療法もありません し、いろんな治療が、トライアルはされていますけれども、十分な効果が得られていな いという現状では、開発の意味はあるということかと思います。ただ現実的にそれが進 められるかどうかということについては、もう少し検討が必要かと思いますが、この検 討会議としては、本品目の開発を期待したいということについてはよろしいでしょうか。 その程度にとどめておきたいというふうに思いますが、よろしいですか。ありがとうご ざいました。  それでは2番目の抗ウイルス剤であります、テルビブジンについてお願いしたいと思 います。これにつきましては川上先生の方からお願いしたいと思います。 ○ 川上参考人  資料2−2をごらんいただきたいと思います。テルビブジン、米国での販売名は Tyzeka、ノバルティス社でございます。この薬はB型慢性肝炎に対する抗ウイルス剤の 経口剤でございます。  まず、対象疾患について、御説明させていただきます。B型慢性肝炎は、小児期に肝 炎を発症しない、無症候性キャリアとして経過し、思春期になると免疫能が発達し、免 疫寛容状態が解除されるため、肝炎が発症いたします。しかしその多く約8割ですけれ ども、その患者さんたちは、経過観察にて30歳までに臨床的治癒状態となり、治療する 必要はございません。  一方思春期より肝炎の増悪を繰り返し、急速に肝硬変へ進展する症例や、またセロコ ンバージョンを起こしても、ウイルスの急激な増殖により高度の急性増悪を来すことも あり、このような症例が治療の対象となります。  まず治療目標としては、HBVのウイルスを排除するが、ウイルス増殖を抑制して、 肝機能、ALTでございますけれども、それを正常に保つことであります。これにより 肝硬変や肝がんへの進展を阻止し、生命予後を改善いたします。  本邦におきましては、B型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬として、2000年9月に核酸 アナログ製剤でありますラミブジンが、承認されております。ただ、このラミブジンは 有効性が十分あるのですけれども、耐性株の出現によってbreakthrough hepatitisが問 題となっております。  一般にこのラミブジンによる変異株というものは、大体5〜6カ月ごろより出現いた しまして、年率10〜15%で出現してまいります。このbreakthrough hepatitisに対し ては、2004年10月にアデフォビルという核酸アナログ製剤が承認され、救済処置の薬 剤として使用されております。ただこれは本邦においては、ラミブジンのbreakthrough に対してだけ適用が通っております。海外においては単剤で使用されております。また B型肝炎に対して現在アデフォビルが、海外ではファーストラインとなっております。  さらに第3の核酸アナログ製剤として昨年の7月に、エンテカビルが承認されました。 エンテカビルはラミブジンの1500倍もの強力な抗ウイルス効果を示しまして、臨床試験 においても未治療例では、2年間の治療中に耐性株の出現を認めておりません。ただし、 ラミブジン耐性株をお持ちの患者さんに対しては2年で10%と、高率にエンテカビルの 変異を示すことが報告されています。  今回の報告時点では未治療例に対する治療におけるエンテカビルの耐性出現というの は、観察期間が短いせいもありまして認めておりませんけれども、恐らくこういった系 統のお薬に対して、耐性株は出現すると考えられます。薬剤耐性を起こさないためには、 HIVと同様な多彩併用療法が必要となることから、新たな薬剤の登場が待たれている というのが、現在の状況であります。  本剤の医療上の有用性についてですけれども、これは、海外FDAで認められたフェ ーズIIIの試験の結果から御説明いたします。この試験では、本剤とラミブジンの比較試 験を行っております。本剤600 mgとラミブジン100 mgを52週間投与いたしましたとこ ろ、HBe抗原陽性においてはウイルス量の低下、陰性化率、セロコンバージョン率、 HBe抗原の低下率、改善率、すべてにおいて、両剤において同等性を示しました。ま たHBe抗原陰性患者における有効性においても、ウイルスの陰性化率、ALTの正常 化率、肝臓の線維化率、両剤において差異を認めておりません。  本剤における耐性株の出現頻度は1年間で5%であり、ラミブジンが10〜15%、1年 間で認めることを考えますと、かなり低率であります。ただしこの変異株というのは、 ラミブジン耐性株と同部位に認めております。  以上の結果から、本剤はラミブジンと同等の有効性があり、また耐性株の頻度は年間 5%と、ラミブジンの10〜15%より低い結果であり、本剤はB型慢性肝炎患者に対して 有用であると考えられます。  またこちらにはちょっと記載いたしませんでしたが、副作用について追加で御報告申 し上げます。グレード2〜4の有害事象ですけれども、両剤とも22%であります。内容 でありますけれども、消化管の感染、倦怠感、腹痛、頭痛など、内容、起こった事象に おいてもほぼ同等の成績で、有害事象に大きな差は認めておりません。  ただし、血液データのグレード3〜4に関して言えば、本剤においてCPK上昇が9% と高値を認めまして、投与中もやはりラミブジンよりも、本剤の方がCPKの数値が上 昇するという現象が見られております。ただしこのCPKが上昇したから、筋肉痛があ るとかそういった症状は全く全例認めてはおりません。  以上の結果から本ワーキンググループの検討結果を御報告いたします。現在本邦では B型慢性肝炎患者の未治療例に対して、エンテカビルが第1選択薬として、またラミブ ジン耐性例に対してはアデフォビルが第1選択薬として使用されております。本剤はラ ミブジンより有用性にすぐれていると考えられますが、エンテカビルあるいはアデフォ ビルとは直接的な比較がなされていないため、判断することはできません。  現在3種類の核酸アナログ製剤の使用可能な状況下では、急務とはいいがたいのです が、今後、B型慢性肝炎の治療には、薬剤耐性ウイルスの出現を防止するため、作用機 序や耐性プロファイルの異なる薬剤を組み合わせて、抗ウイルス効果を最大限に発揮す る多剤併用療法が必要であると考えられています。そこで第4の治療薬として医療上の 必要性はあると考えております。本剤において、国内での治験が開始されることが望ま れると思います。よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。ただいまの報告に対して御検討いただきたいと思います。 何か質問あるいは、御意見をいただけますでしょうか。 ○ 川西構成員  この薬剤は、ノバルティスのようですけれども、ノバルティスの方はどういう予定で いるのでしょうか。 ○ 川上参考人  すいません。私はそこまでちょっと把握していないので。 ○ 事務局  ノバルティス社の方にも確認をしておりますけれども、このものについてまだ少し検 討しているような段階だと。今回議論にかけることは承知しているので、この議論を踏 まえて考えたいというような説明でした。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。川上先生、ちょっと整理をしたいんですけれども、日本で は第1選択薬というのは、エンテカビルですか。ラミブジンではない。 ○ 川上参考人  エンテカビルが発売されるまでは、ラミブジンがファーストラインでしたけれども、 ことしの5月に新しいガイドラインが出ると思います。新しいガイドラインでは、エン テカビルの変異の出現率がかなり違いますので、変更になって、ファーストラインはエ ンテカビルになる予定です。 ○ 堀田座長  このエンテカビルに対する耐性に対しても、テルビブジンは有効だと。どうなんでし ょう。この辺に関しては。 ○ 川上参考人  この辺がまだはっきりわからないところです。ですから今後さらに検討が必要なとこ ろではありまして、今わかってはいません。 ○ 堀田座長  逆に海外で、アデフォビルがファーストラインになっているという。この違いという のは、どんなところにあるんでしょうか。 ○ 川上参考人  それは開発された順番の違いだけだと思います。最初はラミブジンから始まりまして、 アデフォビル、エンテカビルという順番でありますので。そういう順番の違いだけで、 ファーストラインが、決まっていると、国の事情で決まっていると思います。 ○ 堀田座長  わかりました。ほかの先生方はいかがでしょうか。 ○ 有吉構成員  ということはFDAが、これを承認しているのですね。本来FDAというのは、同じ 系統の薬は余り承認しなかったのが、抗悪性腫瘍薬ではそういう傾向があったのですが、 これが承認されたという大きな理由は、何でしょうか。 ○ 川上参考人  やはりラミブジンとしか比較されていないということから考えますと、ラミブジンと 全くほとんど系統が同じだと思っていただいていいと思います。そしてラミブジンより も耐性株の少ない薬が期待されていまして、ラミブジンにかわる薬ということで開発さ れ、それで承認を得ていると思われます。  ただ、なぜどんどん薬が承認されているかということに関しては、私はちょっと資料 もございませんので、明確な答えはできません。申しわけございません。 ○ 中垣審査管理課長  有吉委員がおっしゃられたのは、恐らくはFDAの優先審査のルールだろうと思いま す。FDAの優先審査のルールというのは、1つ指定すると同じようなものについては もう優先審査しないというルールがあるやに聞いています。しかしながら一般の承認審 査という点から申し上げますと、申請されたものが、前に同じようなものがあるのかと いうようなことは抜きにして、淡々と審査をしていっているというのが、FDAにおい ても現状だろうと思います。  そういう面で申し上げますと、何もこういった分野に限らず、NSAIDにしても何 にしても、高血圧にしても、同じようなのが申請されれば、淡々と審査をしていってい ると、承認されていっている。もちろん問題のあるものは承認されないということだろ うと思います。  これについて、私はちょっと川上先生にお聞きしたいのですが。ポイントは急務とは いいがたいが、第4の治療薬としてはあっていいんじゃないかという御主張だろうと思 うわけでございますけれども、FDAが今有吉先生の御質問にお答えしたように、最初 のものは優先審査するけれども、それをしないといっているのも、FDAといえどもマ ンパワーの問題、リソースをどう割り振るかということで、同じようなことではなくて、 異なる分野、異なる分野、異なる分野ということにして、全体としての国民というか、 全体としての患者さんが新しい医療に裨益するようにという考え方があるんだろうと思 います。そういう考え方で来た場合に、先生、あるいはワーキンググループの結論とい うのは、急務とはいいがたいが望まれるということが、まさしくそういえているのかな と。要するに、あるかないかと言われるとあった方がいいけれども、急務じゃないよと いうふうに受けとればいいのかなと思っているのですが、いかがでしょうか。 ○ 川上参考人  そこら辺が難しいところでございまして。私も、ワーキンググループでこういうふう に書かせていただいたのは、まずやはりラミブジンという薬が非常によくて、効果がい い。でも問題が耐性株であるということから考えると、本剤はラミブジンと全く同じ効 能を持って耐性株が少ないという点が非常にいい薬であります。  あとは現在ありますアデフォビル、エンテカビルは、ラミブジンとは耐性株ができる 場所が違います。ラミブジンは耐性株が高率にできるので、もうこれからは使われない と思いますけれども、それではアデフォビルとエンテカビルが残った場合、ラミブジン と同じような、つまりアデフォビルとエンテカビルと少し違う作用がある薬が必要であ るという観点から考えますと、この薬は必要だと思います。  ただし、現在ファーストラインがエンテカビルとなって、この使用経験年数が少ない ので、まだ十分な検討ができていませんけれども、2年で耐性株が出ていませんので。 ずっとこのままうまくいけば、エンテカビルさえあればいいのではないかという考えも できます。ただし将来のことはわからないので、早目にこういう薬を通しておけば、何 かあった場合の対応が後手に回らずにいけるのではないかという意味合いを込めて、こ のような、「急務とはいいがたいが、第4の治療薬としてはあってよいのではないか」と いった書き方になっております。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。ほかの先生どうぞ。後藤先生。 ○ 後藤構成員  川上先生がおっしゃる内容が本当によくわかるのです。本当にそのとおりだと思いま す。確かに慢性肝炎の患者に抗ウイルス薬が出てきて、ラミブジンの時代があって、そ れから今のエンテカビルまできているわけですけれども、すると現在の問題は何かとい うと、やはり耐性株の問題で、YMDDに対してどういうふうに対応するかという問題 になってくると思います。  ですからこの新薬として、YMDDに有効であるというふうなものが明らかになって いる、そういう証拠があれば、それを一応未承認薬使用問題検討会議としては、ぜひ治 験に対して前向きにという形のコメントを出すべきだと思うんですけれども。今のお話 のようにかなり現時点で、エンテカビルとか新しい薬があって、それで一応臨床的な治 療ができるフィールドがある中で、これがどれぐらい急務かということは、今川上先生 のお話をいただいたような状況にあるということで、せっかくワーキンググループで審 査をしていただいたんですから。一応そういう方向から、今度はその結果として、やは りそれほど早急の必要がないという形の考え方も可能かと思うんですけれども。 ○ 堀田座長  結論から言うと、急ぐ必要はないと。はい。ほかはどうですか。 ○ 林構成員  似ている質問になってしまうのかもしれないんですが、ちょっと考えをする意味でも う一度教えていただきたいのですが。ラミブジンと耐性を生じる部位が同じ部位である、 M204がIだということは基本的には、YMDD変異を生じた株にはかなり効きが悪い というふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○ 川上参考人  といいますか、この薬もYMDDの変異が生じるということなので、YMDDに変異 が生じてしまったやつは効かないということになるのですね。 ○ 林構成員  先生のワーキンググループの検討結果で、ほぼ効果は同じで、耐性化しにくいんじゃ ないかという御結果をいただいたのですが、2005年のHepatologyか何かを見ると、H BマイナスDNAのログでどれだけディクリースするかというのは1ポイント違ってい て。つまり10倍ぐらい落としていくスピードは速いし、52週時点でのPCRネガティ ブになる率は60%と40%で有意差がついていたような気もするのですが、その辺は肝臓 の御専門の先生ではイコールだという御評価で、検討会議ではよかったのかどうか、あ わせてちょっと教えていただけるでしょうか。 ○ 堀田座長  その点、何かありますか。 ○ 林構成員  多分国際共同研究か何かでHepatologyに載った2005年の文献だと思うんですけれど も。 ○ 川上参考人  すいません。そこは見ていませんので、今明確にお答えできないのですけれども。 ○ 堀田座長  ワーキンググループとしては、効果はほぼ同様であろうと考えている。範疇に考えて いるわけですね。 ○ 川上参考人  範疇に考えましたので書かせていただいたのですけれども、先生に御指摘いただいて、 また文献等を十分検討したいと思います。 ○ 堀田座長  ほかにいかがですか、堀内先生。 ○ 堀内構成員  違う観点で、安全性の面から考えてみたのですが、これは作用機序としてB型ウイル スのDNAに、リン酸化されたものを取り込んで、DNA合成を阻害するわけですが、 EC50が0.2μmolとなっています。人の場合ですと100μmol以上ですので500倍くら い高いことになります。  ということですと、人にとってはかなり安定であると考えてよろしいでしょうか。安 全であれば開発をすることは必要なことだろうと考えます。 ○ 堀田座長  副作用についてここには書いてありませんが、CPKが少し高目に出るが、臨床症状 を伴わないということでした。これは、ラミブジンと比較してと理解してよろしいです か。 ○ 川西構成員  私は、例えば、今までこの検討会議で、こういう形で、選択肢を増やすという形で推 奨したものもあったという記憶があります。だが、実は私はここで未承認薬として、こ の検討会議が推進すべきだというものを、実際に審査の方の専門委員としてかかわった ことがありますので、意外とそこは圧力になるんです。  だから私はやはりどうかなというものに余り乱発をしない方がいいのではないか。と いうのは実際に、特に安全性何かの評価がその辺に関して、多少慎重であるべきという ことは、この薬の場合も、確かに疾病の重篤さはありますし、確かに、ひょっとすると いいかなという、私も素人なりに思う部分はあるのですが、この委員会として選択肢を 増やすというカテゴリーの中では、余りふやさない方がいいのではないかという印象を 持っております。以上です。 ○ 堀田座長  貴重な御意見ですね。ただ、今までそういう圧力になるのは既に開発が始まっている ものであって、まだ何もやっていないというものに対しては、圧力のかけようがないと いう状況です。この品目はまだ始まる気配はないんでしょうか。その辺ちょっとわかり ますか。 ○ 事務局  ノバルティスファーマが権利を有しているという状況ではありますけれども、この議 論も含めてというふうに聞いております。 ○ 堀田座長  そうしますと審査の過程にプッシュするというよりは、メーカーさんの方に少しこう いうことを開発の視野に入れてもらえるかどうか。こういうことだと思います。 ○ 中垣審査管理課長  非常にざっくばらんに申し上げますと、最近特に外資系企業の中で、どういう動きが 出ているかということなんです。この検討会議で言ってもらったということを流布した 上でやろうというような動きすら出てきているのが、現状でございます。もちろん我々 としては例えば国際共同治験のガイドラインをつくるとか、機構の人を増やすといった ことで、欧米と遅れることなく開発が行われ、承認審査が行われる状況というのを早く つくらないといけないと考えております。そういうことを目標にして、5年程度でそこ までいこうと思っています。その目標を念頭におきまして、正直申し上げると、こうい う検討会議というのはなくなってしかるべきだと。ある意味で申し上げますと、最初に 申し上げたような検討会議の意向をかさにきて進めていこうというような動きもないわ けではない。  それがいいとか悪いということでなしに、本当に真に必要なものであれば、検討会議 での御議論を踏まえて進めていくというのはあってしかるべきだろうと思うわけでござ います。  今のうちの担当からの話を聞いてみると、この検討会議を見ながら判断をしていこう というようなことも、ちょっと担当課長として言い過ぎているような気がしますけれど も、そういった動きもあるんだということは、御承知いただけるとありがたいと思いま す。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。この検討会議がある程度、こういう海外との承認の時期が遅 れているものを少しでも取り戻すという意味合いで、ある一定の力を発揮できるという のは、それはそれでいいことだと思うのです。しかし、個別の品目に余り立ち入ってと 言うわけにもいかないところもございます。  それではこのテルビブジンにつきましての取り扱いについて、いかがいたしましょう か。これはワーキンググループとしては急務といいがたいけれども、あっていいんじゃ ないかというニュアンスのもので、ぜひ進めろということではないように受け取れます。 そのような表現ぐらいでとどめておきましょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょ うか。ぜひ進めてほしいというほどのトーンではないのですが。ちょっと曖昧で申しわ けない。この検討会議としては、第4の抗ウイルス薬としてあっていいというくらいで しょうか。 ○ 有吉構成員  未承認薬を治験対象とする場合の考え方として、参考資料の4に、これは私も前から それを言ってきたつもりなんですが。やはり特に医療上の有用性というもの3つが書い てございますが、それに合致しないものについて、我々がプッシュするような動きはす るべきではないと。  だから問題は、そういう位置づけがあるかどうかということを私たちは知りたい。で すからワーキンググループの先生方にも、この辺のところの結論的なことを教えていた だければという、今後のことですね。  要するに、既存の治療法とか用法がないとか、明らかに優れているとか。あるいは標 準的治療法に位置づけられるような立場のものかということ。こういうものに合致する ものは、できるだけ日本で早く承認されたいというのが、この会議の設置目的だと思い ますので、そういう視点から考えるべきではないかと私は思います。 ○ 堀田座長  この品目の扱いについての有吉先生の御意見はいかがですか。 ○ 有吉構成員  今までのお話を聞きますと、淡々と製薬メーカーがやるならば、やってほしいという 程度でいいんじゃないんですか。ぜひという感じではない。 ○ 堀田座長  という御意見ですが、そのような形でよろしいでしょうか。積極的にぜひそういう形 ではないと。製薬メーカーがその気があるならば、粛々と進めてほしいと。そういうこ とですね。よろしいでしょうか、ありがとうございます。ちょっと行ったり来たりしま したけれども、そのようなことで整理したいと思います。  それでは次に資料3を御参照いただきたいのですが。ことしの1月から3月の間に、 学会・患者団体からの追加で、検討要望のあった未承認薬のリストがございます。これ についての検討に移りたいと思います。事務局の方からまず簡単に御説明をお願いしま す。 ○ 事務局  それでは資料3−1と、3−2でございます。本年1月から3月の3カ月間に追加で 検討要望のありました未承認薬のうち、現在申請中、あるいは治験中ではないものは、 3品目。この資料3−1にお示ししたものでございます。またそのほか現在申請中であ る未承認薬であるとか、そのほか承認薬で効能追加等の要望につきましては、資料3− 2という形で一覧にまとめさせていただいております。  まず1番目のビガバトリンでございますけれども、前回の検討会議におきまして、学 会の意見をまとめた上で、再度検討していただきたいとの御要望があったものでござい ます。それから、ベタイン及びシステアミンにつきましては、日本先天代謝異常学会よ り要望があったものでございます。本日参考人といたしまして、奥山先生にも御出席を いただいているところでございます。  まずこれらの医薬品の中で、ワーキンググループで詳しい検討を行うべきものがある かについて、御意見を伺いたいと考えています。よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  というわけでこの3品目について、まず御検討いただきたいと思います。1つずつ参 りたいと思います。ワーキンググループにさらに検討してほしいかどうかということで ございます。まずビガバトリンでありますが、前回議論の俎上に上がりまして、大澤委 員に学会の意見の調整をしていただければということがございました。大澤先生、いか がでしょうか。 ○ 大澤構成員  本日お手元に小児神経学会及び日本てんかん学会からの要望書が、出されて、お配り されているかと思います。  このビバガトリンは点頭てんかんに対して非常に有効で、しかも点頭てんかんの中で も特に予後の不良である、3カ月未満に発症した症例ですとか、基礎疾患に結節性硬化 症という病気を持っている患者さんの点頭てんかんに対して、非常に有効であると言わ れています。  一般に今私たちが点頭てんかんの患者さんを拝見した場合に、典型的にはACTHホ ルモンを使うわけなんですけれども、大体それで最初の反応としては70〜80%ぐらいの 反応があることが多いのですけれども、大抵すぐに再発してしまいます。特に今申し上 げたような結節性硬化症の患者さんですとかは、かなりの率で再発をいたします。  日本でも1990年にビガバトリンの治験が始まったわけですけれども、御承知のように、 視野狭窄という副作用が出るということで、治験が途中でとまってしまいました。治験 の段階で約200名の患者さんがその治験に入っていたのですが、途中で治験が中止にな って、最終的に現在その治験に加わっていた28名の患者さんが、なお継続的にビバガト リンを使用しているというふうに聞いております。それ以外にも新しい患者さんでも、 個人輸入の形でビバガトリンを使用しているという方が、少しずつですけれども、毎年 点頭てんかんの患者さんが発症しますので、出ているというふうに伺っております。  基本的には、ACTH療法で無効であった患者さんなどに対して、ビガバトリンを使 用して約75〜80%のケースが反応しているというようなデータもございまして、一部の 患者さんに対しましては、やはり非常に有用というふうに考えます。  したがいまして、学会といたしましては、いろいろな状況があって難しいかと思うの ですけれども、できればこの薬剤の治験をぜひ促進していただいて。そして使用に当た っては、点頭てんかんの中でも特に重症度の高い患者さんに限って行うと。そして視野 狭窄の副作用の発症ということに関しましては、Retinogramを行うというような形で登 録制にして、詳しく見ながら見ていくというような形でのフォローアップをすることに よって、治療していくことが可能ではないかというふうに考えております。以上でござ います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。今回は学会の要望書という形で出てまいりまして、これは1 つの形だと思います。問題になったのは、前回でも視野狭窄の頻度が結構あって、その うちの50%が不可逆的であるということであります。そういうことがあって開発が途中 でとまったという経緯があるということです。これはメーカーが再度やるのかどうかと いうのは残された問題になるわけです。この要望書に基づいて、さらなるワーキンググ ループでの検討をお願いするかどうか。ここに御意見をいただきたいと思います。大澤 先生は当然やってほしいとお考えですね。 ○ 大澤構成員  お願いしたいと思います。 ○ 堀田座長  ということですが、いかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  この件はもう2回目ですか、3回目ですか。ですから先生方よく御存じだろうと思い ますけれども、視野狭窄の問題でアメリカでたしか承認が取り消されたもので、しかも 国内での治験もそれとともにやめたという経緯があるわけです。我々、企業とも接触を しておりますけれども、企業としてはもう安全性に責任が持てないので、国内での開発 を考えるというのは、やりたくないと言っているわけです。  今大澤先生の方から、学会での考えというのを述べていただいて、また書面も書かれ ているわけですが、残念なことにアメリカで取り消されたというのは、なぜか書かれて いない。それはそれでいいんですけれども、正直申し上げて、薬事法上安全性確保の義 務というのは、やはり一義的に企業にある。それをチェックするのが厚生労働省にある。 厚生労働省は、専門的な知識をこういった検討会議にゆだねているというところをどう 考えるのかというのが、大きな問題としてあるんだろうと思います  正直申し上げて、企業が、特に安全性の問題、さらにはアメリカで取り消されたとい うような状況をどう考えるのかという点については、これを引っくり返していくという のはなかなか、多分やるべきではないという領域であるのではないか。要するに、薬事 法上の責任を本当にとれるのかという問題があるんだろうと思います。  一方において患者さんは個人輸入という非常に不便な形態であるというのは、私も 重々承知はしているわけでございますけれども、患者さんが使えない状況ではないんだ と。もう少しこの個人輸入というのを、例えばアメリカ、ヨーロッパで言われるところ のcompassionate useのようなもう少し制度化されたものにしたらどうかというような 検討は並行して行っておりますけれども、いずれにしても申し上げたいのは、使えない という状況ではないんだという点でございます。  この2つで、前者の薬事法上の責任問題と、個人輸入で使えないという状況ではない という2つの問題を考えますと、ワーキンググループにゆだねる前に、一度きょうの大 澤先生のお話、さらには学会の要望書を企業に手渡しして企業の方で自主的に再整理を して文書で報告してもらうというような手続きをやっていただいた方が、ワーキンググ ループでの作業をむだと申しますか、にすることなくお願いできるのではないかと考え るものでございますが、いかがでございましょうか。 ○ 堀田座長  ワーキンググループに検討を依頼する前に、このものについては、企業に1回意思を 確認する。それからもし企業が乗らない場合、その予想もかなり立つわけです。そうい ったときにそれをどのように整理して、個人輸入なり何なりという形が、もっとスムー ズに安全性を確保をしながらやれるかという仕組みの方に持っていった方がよろしいか と思います。  今、日本では、compassionate useという方法がきちんとした形ではありませんので、 結局は治験という形で持ってくるしかないという現状の中で、少し踏み込んで、これは 別の会議の方で御検討願えるというふうには聞いております。その議論も並行して、進 み具合を確認しながら参りたいというふうに思います。そのような整理でよろしいでし ょうか。 ○ 篠山構成員  こういう問題が出てくるたびにいつも思うんですけれども、やはりこれを企業にこれ をそのまま戻すと、それこそ危険なことには手を出したくないという、安全性をとると 思うんです。  でも必要な患者がいる限りは、やはり国としてあるいは、医療機関としてすべてそれ になるべく最善の方法で対処していくという方向を考えるのも、1つの方法ではなかろ うかと思うんです。  結局モラルハザードで、お金にならないものには手を出さない。危ないものには手を 出さないというような形で、すべて逃げていくという、そういう態度が本当に正しいか どうかということに関して、ちょっと疑問を持ちます。 ○ 中垣審査管理課長  反論するわけでもなんでもないんですけれども、これはアメリカで承認が取り消され ているわけです。そういう意味で申し上げますと、ちょっと趣旨が違うのではないかと。 我々も、いわゆるsocial responsibilityというのか、社会的責任というのか、何も企 業をかばうわけではありません。先ほど企業のことをものすごく悪く言ったわけですが、 一部のものについては、いわゆる採算割れでもやっているのが現状だろうと思います。 もうかる薬しかやらないということになると、恐らく1〜2割の薬品というのは、すぐ になくなってしまうだろうと。それはそれでやっているんだけれども、今の社会システ ムの中で無理やり押し付けるというのはできないんだというのが1つ。  一方ではこれを使うというのは禁止されているのではないんだと。確かに個人輸入と いう制度の中ではありますけれども、禁止はされていないんだという点は、御理解を賜 れば幸いだと思います。 ○ 堀田座長  大澤委員どうぞ。 ○ 大澤構成員  課長さんがおっしゃること、厚労省として責任のあるお立場で当然のことだと思いま す。先ほど私は申し上げなかったんですけれども、実際に確かにFDAで、1回取り消 されたという状況があるにしても、現在また再度申請をしようという動きがあるやに伝 え聞いております。ただその辺に関しては、紙なり何なりの証拠がないので、先ほどは 申し上げなかったのですが、一応そういう動きもあると。難治性のものに対してそうい う動きもあるというふうに聞いております。  ですから視野狭窄という非常に強い副作用があるということに関しましては、隠すつ もりも何もなく、3分の1にありますという現状は事実なわけです。それから小さいお 子さんで、視野狭窄をきちんと見るためには、やはり普通の視野の検査ではできないの で、網膜電図をとらなければうまくいかないということは、事実としてあって、患者さ んへの負担はあるのですが。ただ1日に何十回もの発作が起こって、そしてお子さんが 寝たきりのような状態になってしまわれて過ごされるというような現状。  割とこの会議の中の薬剤というのは簡単に動くというか、がんの薬剤に対しては、か なり強い動きがあると思うんですけれども、同じ難治性疾患の中でも点頭てんかんとい うのは、どちらかというとそれと同じくらい、かなり重篤な状況なので、その辺できれ ば、もちろん企業に差し返していただいて御検討いただきたいと思いますが、よろしく お願いしたいと思います。 ○ 堀田座長  一方では、企業がしない場合でも、医師主導治験という形もあり得るわけですが、そ れに関して先生はどんなふうにお考えですか。 ○ 大澤構成員  医師主導治験に関しましては、最悪の場合はそういう動きも起こると思いますけれど も、ただ現状の医師の生活の中での医師主導治験が、企業の協力がなくて行うという現 状は、かなり厳しいものがあるかなというふうには考えております。 ○ 堀田座長  確かに大変な労力でありますけれども、現在そういう希少薬の医師主導治験に対して 研究費の補助というシステムもできておりますので、そういう形も一方では検討いただ けるかということは思います。 ○ 大澤構成員  ありがとうございます。 ○ 堀田座長  それではこれを検討会議にゆだねる前に、そのあたりの可能性を、例えば企業、それ から医師主導治験の方でできるかどうかということも含めてもう1回御検討していただ きたいと思います。 ○ 中垣審査管理課長  それでは大澤委員、あるいは篠山委員のお言葉も踏まえた上で、検討会議として前向 きに検討してくれないかというような意見だということを添えて、この学会の要望書を 添えて、企業にもう1回アプローチをしてみて、その結果を次回の検討会議にお返しを するという形で説明させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○ 堀田座長  はい。それではそのような対応でよろしくお願いいたします。2番目に、ベタインで ございます。その次のシステアミンも、日本先天代謝異常学会からの検討要望でありま す。まずはベタインにつきまして御検討いただきたいのですが、ホモシスチン尿症の治 療薬として、これは日本ではどれぐらいの患者さんがいたのでしたか。どこかに資料が ありましたか。これは奥山先生がいらっしゃいますのでコメントいただきたいと思いま す。 ○ 奥山参考人  先天代謝異常学会の方から要望が出ています、ホモシスチン尿症のベタインでござい ますが、ホモシスチン尿症というのは、ホモシスチンが蓄積する疾患です。シスタチオ ニンβ合成酵素というのの欠損症が、その他3種類の欠損酵素によって、起こる疾患で、 水晶体脱臼、知能障害、骨格系の異常、血栓症などの症状が既告されます。  ただ1977年に開始されました。新生児マススクリーニングの対象疾患となっておりま す。マススクリーニングになっておりまして、低メチオニン食事療法というのを続ける ことによって有効であるということがわかっておりますが、なかなかこの食事療法を厳 格にすることは困難であるということで、ベタインを併用することによって有害なホモ シスチン、あるいはホモシステインを低下させることができるということが知られてお りまして、1998年、既に米国で標準的治療薬として承認されております。商品名は Cystadaneというものです。  しかし我が国におきましては、約10年経過しておりますが、まだ日本では開発が全く 行われていないということであります。理由はいろいろあると思いますが、ウルトラオ ーファンということで、開発に興味を持つ企業があらわれないということが、1つござ います。それからもう1つは、これの方が重要かもしれませんが、無水ベタインという 試薬です。研究用とか実験用試薬を転用するということで、医療現場では一応の対応が できているということもありまして、患者様、あるいはドクターサイドからの強い要望 がないということもありまして、開発が全く進んでいないという現状であります。  ただし、味、においなど、子供さんが内服するには、若干問題もあると思いますので、 剤形の問題等も含めまして、やはりこのようなしっかりした治療薬として開発を望みた いというのが、先天代謝異常学会からの要望でございます。 ○ 堀田座長  という要望がございまして、現状対応は一応変則的だけれどもできているという状況 のようであります。これは費用的には、どんなものですか。 ○ 奥山参考人  そんなに高いものではない。ひと月数千円で済む問題です。 ○ 堀田座長  それは国内で普通に試薬として手に入れているんですか。 ○ 奥山参考人  そうです。病院としましては、一応倫理委員会にかけまして、御両親の同意を得て、 この薬を使うという、そういうようなシステムをとっているということです。 ○ 堀田座長  院内調整みたいな。院内調剤ですね。 ○ 奥山参考人  病院によっては病院がかぶっている。薬を病院が購入して無料で患者さんに手渡して いるところ。あるいは患者さんに直接買っていただいて使っているとか、いろいろ対応 は、まちまちのようであります。 ○ 吉田構成員  そうすると、GLP、GMPは全然らち外ということになるのですか。要するに試薬 を服用しているということで、感心したことではないですね。 ○ 奥山参考人  はい。全くそのとおりでございます。 ○ 堀田座長  大澤委員、何かありますか。 ○ 大澤構成員  小児科では、しばしばそういうことがあるので、よくわかります。やはりホモシスチ ン尿症そのものの臨床症状を考えますと、血管障害など後からどんどん起こしてきたり とかもございます。できれば正式な形で、正々堂々とお薬が使える環境ができればいい なと思います。 ○ 堀田座長  これは海外ではちゃんとしたGMP基準にのっとったものが、医薬品として既に販売 されているわけですね。 ○ 奥山参考人  そうです。 ○ 堀田座長  それを個人輸入すると、非常に高額になってしまうのですか。 ○ 奥山参考人  多分そうだと思いますが、実際のところ、個人輸入をしているというのは、聞いてい ないです。 ○ 堀田座長  現状は試薬で対応しているようです。こういう現状はどうしたらいいんでしょうか。 行政側としてはいかがですか。 ○ 中垣審査管理課長  正直申し上げてなかなか難しい話であると思います。個人輸入をするというのも、制 度上から申し上げますと、あくまでも輸入をする方の責任でもってやっていくというこ とが前提になっているわけでございます。ですから一部の薬で申し上げますと、具体的 な名前を言うと差し障りがありますけれども、同じような薬がアメリカ、ヨーロッパで 売られているにもかかわらず、経済的な理由から、大丈夫かなというようなところから 輸入をされている例もないわけではございません。  そういうものと比較をしたときにこの試薬を同じ方の責任で投与する。もちろんその ときには厳格な意味での患者さん、恐らくこの場合には御家族だと思いますけれども、 とのインフォームドコンセントの中でやっておられることだろうというふうに信じるわ けでございますけれども、その個人輸入がいいのか、試薬がいいのかというのは、そう いう意味で申し上げますと、一概に判断できるような話ではないんだということだろう と思います。 ○ 堀内構成員  病院でのこういう未市販の剤形のもの、あるいは薬剤師や医師が薬をつくって患者に 投与するということは往々にしてあることです。市販されているものがあれば、それは やる必要がないわけですし、今お話がありましたように、管理上の問題もあります。病 院によってでしょうけれども、例えば薬事委員会、あるいはIRBにかけて、病院とし て責任を持つというような形でやっているところも多いのではないかと思います。これ らは病院側の責任でやるということになりますので、やはりできればきちんとした市販 のものがあるのが妥当であると考えます。 ○ 堀田座長  そうしますと現状はとりあえず試薬を使用することによって、患者さんの日々の治療 には、困っている状況ではないけれども、ちゃんとした日の目を見る形にもっていくか どうかというこういうことですね。この辺に対して、これをどのように扱うかというこ とにつきましては、どうしましょうか。ワーキンググループの検討におろすかどうか。 日本ではこれを開発する企業はあらわれそうにもないんでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  正直に申し上げて、患者が数例しかいないムコ多糖症にすら、立候補をしてくれたあ りがたい会社もあるわけでございます。そういう意味で申し上げますと、これについて も、この場でこういう議論があったんだということを紹介すれば、赤字覚悟でやってく れるところも出てくるかもしれないというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、医学的、薬学的な検討は、今さら必要ないということであれば、ワ ーキンググループにおろすことなく、これについては、どこかの企業がやってくれると ありがたいというような検討会議の意思であるということをお示し願えれば、我々とし ては、どういう企業が立候補してくれるのか、してくれないのかわかりませんけれども、 そこは動きをまたこの検討会議に御報告させていただくという形にさせていただければ と思っております。 ○ 吉田構成員  今の中垣課長の御意見、私も賛成です。さらに言わせていただくと、実際問題として そういうふうなことがアンダーグラウンドで行われていたということも踏まえて、ある いはベタインの有効性というものも踏まえた上で、いわゆるウルトラオーファンである ということもあるし、エイズ等々の薬では日本では治験をやらなくても通すということ もあるわけです。そういった行政的な立場で判断すべきものではないかなというふうに 思うんですけれども、よろしく御配慮をいただきたいと思います。 ○ 堀田座長  この会としては当然こういうのは、患者さんにとっては、数が少ないけれども、大変 必要な薬で、対応はできているといっても、大手を振ってというわけではないので、そ の点で、今吉田構成員のおっしゃったように、少し超法規的にはなるけれども、そうい った踏み込んだ対応ができるということ。どうでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  吉田構成員のおっしゃっておられるのは、企業が集まった後の話だろうと思いますし、 逆に申し上げますと、そういう点も含めて考えているんだというメッセージを送らない と、企業が立候補しないのかもしれないです。そのあたりあわせてやっていきたいと思 いますが、超法規的なものではないんだろうと。そういう例というのは、ムコ多糖でも ございますし、我々行政官として超法規という言葉だけは、勘弁していただきたいと思 います。 ○ 堀田座長  では法に触れない形で積極的にこういったもの、現場の患者さんにできるだけこたえ られるような形で血の通った対応をしていただきたいというふうに思います。 ○ 有吉構成員  これは、この疾患に限らず、やはりいわゆるcompassionate use のシステムを、私は むしろ確立する方向でお考えいただいた方がよろしいかと思うんですけれども、課長さ んはいかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  私も、あるいは医薬食品局としても、compassionate use といわれる、いわゆるほか に治療薬がないような、あるいは命にかかわるような疾患の薬についての特例と申し上 げればよろしいんでしょうか。そういうことの検討をしてみたいというふうに考えてお りまして、有効で安全な薬を迅速に提供するための検討会という非常に長ったらしい名 前ではありますが、昨年の10月に厚生労働大臣の指示のもと、そういった検討会をつく ったところでございます。その検討会で制度的な検討するにはどういうことが必要なの かという論点整理を今しております。  ただ御承知おき願いたいと思いますのは、アメリカにおいては、Treatment INDと いう形でINDの一部で運用がされておりますけれども、これもやはりうまく動いてい ないと。改正をすべきだというようなかなり強い意見がございます。すなわち治験の中 で処理するというのは、無理なのかもしれないと思っております。  ヨーロッパでございますけれども、ヨーロッパも法律と申しますか、制度が一応でき ておりますけれども、各国にゆだねられている部分があって、フランスではかなり使わ れているようでありますが、イギリスその他の国では、余りそういった制度がまだ使わ れていない。各国ともありますのは、承認か個人輸入かというようなところでございま す。そういう意味で申し上げますと、簡単なのは、アメリカとかヨーロッパに制度があ って、その制度の考え方等を輸入してするという考え方は、よく我々もやりますし、そ れは行政的に簡単なんですが、どうも今回の場合には、compassionate useという言葉 が使われておりますけれども、実情を探ってみますと、どちらもまだ検討途上にあると いうようなところでございます。  そういう意味で申し上げますと、すぐにこの制度が確立できるとは思っておりません が、我々としては精力的に検討していきたいというふうに考えております。 ○ 堀田座長  有吉委員、よろしいですか。こういう議論をしていますと、どうしてもそこのところ にいつもこういう稀少疾患で、ほかに治療法がないとなると、しかも開発はなかなか企 業も乗りにくいというような状況だと、そういった受け皿が何かないと、いつまでもこ こが置き去りになっちゃうということですので、それに対応する対応を今厚労省として も、検討を始めているというふうな整理で、この場ではちょっとそれ以上は突っ込めま せんので、よろしくお願いしたいと思います。  そうしますと、このベタインにつきましては、先ほどのように、企業に一度打診して、 次にこの進捗をもう1回御報告いただくという形で参りたいと思います。  その次のシステアミンについてはいかがでしょうか、これも奥山先生の方から御説明 をいただけますか。 ○ 奥山参考人  シスチノーシスに対する、システアミン製剤のことでございますが、シスチノーシス という疾患はリソゾーム膜に存在するシスチン転送体、シスチノーシンといいますが、 この障害により組織細胞のリソゾーム中に遊離シスチンが正常の1,000倍ぐらいの濃度 で結晶上に蓄積する疾患で主に腎臓の尿細管が障害されます。代謝性アシドーシス、電 解質異常、低リン血清くる病、発育障害などを呈する疾患です。  これにつきましても似たような状況がございまして、1994年米国で、あるいは1997 年EUでシステアミン製剤、商品名Cystagonというのが承認市販されており、本症治療 の教科書的なスタンダードな治療薬として位置づけられております。  しかし日本では開発の計画は全くなく、現状においても経過しているところでありま すが、こちらも試薬でありまして、塩酸システアミンという試薬があるんですけれども、 これを保護者の承諾のもとで使用しているというのが現状です。  この薬の場合は、吸湿性が強く、かつ特有のにおいというのがございまして、しばし ば服薬が困難になるということがございます。やはり剤形等の問題を考えますと、医薬 品として売られているもので対応するのが本当であろうというふうに思います。以上で す。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。そうしますと頻度としては、どのくらいですか。 ○ 奥山参考人  これは非常に少なくて、多分日本全体で10人前後ではないかと思います。 ○ 堀田座長  となるとなかなか治験というスタイルは難しいですね。このものは先ほどのベタイン と同じような取り扱いということで、次回までに企業にあたっていただいて、開発状況 を踏まえて御報告いただきたいということでよろしいでしょうか。ありがとうございま す。  そうしますと資料3−2の方に、今御検討いただいた3品目は、網かけになっており ます。それ以外のものは、早期承認に関する要望書等がありますが、現在既に承認申請 中であるということで、審査中のものでございます。あとは1つだけ治験実施中となっ ていますが、この腫瘍崩壊症候群に対する治療薬のラスブリカーゼはまだ審査には入っ ていないのですか。 ○ 事務局  まだ申請前です。 ○ 堀田座長  申請前の段階ですね。ということで、この中でとりわけ、何かプッシュする必要があ るというものがございましたら、御意見をいただきたい。既に承認審査中、もしくは実 施中でありますので、基本的にはそれにのっとってやっていただきたいというふうに考 えていますが、いかがでしょうか。何かありますか。  特になければ、このほかのものにつきましては、通常の承認審査、もしくは早期に自 主的にやっていただきたいということでお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。 ありがとうございました。 ○ 篠山構成員  一言ちょっと追加させていただきたいのですが。実は、この3薬以外にもう1つ、要 望書が循環器学会から出ているんです。それが4月になってしまったために今回は上が っていませんが、ぜひここで御検討いただきたいと思うのであります。これはバレニク リンという新しい禁煙治療薬でありまして、実はこれは昨年の7月4日にこの会で出て きたのでありますが、既に治験が終わりまして、申請中であるということで、その経過 をなるべく早く認可されるように働きかけようということで終わったわけであります。  その後既に1年近くがたとうとしているのでありますが、何ら動きがないということ で、循環器学会の方は今フラストレートしておりまして、今回もう一度要望書を出した いということで出したものであります。  これはいわゆるニコチンのリセプターに対するアンタゴニストでありまして、今まで ある禁煙治療薬はどちらかというと、ニコチンのリプレースメントであったわけです。 ニコチンのリプレースメントというのは、例えば交感神経活性を非常に亢進しますので、 循環器系疾患の中で例えば心筋梗塞や脳卒中、急性期でありますが、あるいは不整脈な どで使いにくいところがあります。リセプターをブロックするということで、さらに非 常にリーズナブルな作用機序であると思うわけです。  これに関しては実は欧米では一昨年の11月に申請がなされましてアメリカでは優先 審査が行われて6カ月後の昨年の5月に認可されております。ヨーロッパでもその後9 月に認可されておりまして、今広く使われているところであります。我が国は欧米に比 べて7カ月後に申請したにもかかわらず、まだ何ら動きがないということで、何とかし てほしいというのが、循環器学会を初めとして、禁煙10関連学会があるわけであります が、そこが強く望んでいるところであります。  黒川さんとは段階から電話でお話をいたしまして。この会にぜひ出してほしいと言っ たのですが、黒川さんもタミフルで非常にお忙しくて、なかなか具体的なお話ができな かったので、私がここへ来てと言ったんですが、なかなか時間がとれなかったんです。  そのときに黒川さんともお話をしたのですが、ここで取り扱う疾患というのは生命に 関係があるものということが優先されているわけです。禁煙こそ生命に最も重要な課題 でありまして、1本たばこを吸うと13分命が短くなる。35歳で禁煙をすると、7年間 命が長引くわけです。そういう点を考えると、やはりこれも1つの人の命にかかわる重 要な治療法であると考えていただいて、外国でこれだけ早く優先審査が行われて、認可 をされている薬でありますので、ぜひ我が国でも早くこれを認可する方向で動いていた だきたい。もし必要があれば、ワーキンググループでも、この薬の特徴その他に関しま して、細かいデータを一遍ここで次回にでも審議していただければと思うわけでありま す。 ○ 堀田座長  今のご発言は、禁煙薬剤は、既に昨年1回俎上に乗ったということでありますけれど も、その後動きが鈍いので何とかならないかという御意見だと思うのですが。これはど うですか。 ○ 中垣審査管理課長  この参考資料4のところの適応疾病の重篤性というのをどう考えるかという点でござ います。すなわちこの検討会議の俎上に乗るかどうかというのは、この検討会議が医療 保険の混合診療のところから出てきていますから、その医療保険の混合診療というとこ ろの問題というのと、それとこの適応疾病の重篤性のこの2つがかかわってくるという ことでございます。今の篠山先生のたばこ1本10何秒という説で行くと。 ○ 篠山構成員  13分です。 ○ 中垣審査管理課長  その説で行けば、関係ない疾患というのは恐らくないんだろうと思うわけです。正直 言うと、常識的にはかなり限定された部分というのを、ここは考えているのではなかろ うかというふうに考えるわけでございます。なぜそうなっているかというと、先ほども ちょっと申し上げましたけれども、マンパワーが無限にあればいいわけでございますが、 先ほどFDAの取り扱いも申し上げたとおり、どこもやはりマンパワーあるいはリソー スをより多くにもたらすということで考えると、どうしてもプライオリティをつけなく てはいけないという考え方が後ろにあるんだろうと思います。  一方におきまして、先ほど篠山先生の方からFDAは優先審査をした、ヨーロッパも 優先審査をしたというお話がございました。FDAのルールもヨーロッパの優先審査の ルールも日本の優先審査のルールも同じでございます。どこが違うかと申し上げますと、 そのルールは何かと申し上げますと、企業間の申請、優先審査をしてくれという申請が まずあるということでございます。なぜそうなのかというのは、私は直ちに答えられま せんけれども、日本には企業から優先審査をしてくれという要望は来ていません。  だからそういう意味で、法律上のことから申し上げますと、優先審査をしてくれとい う要請、申請が来て初めてここではなく、この場ではなく、機構の審査を経て外部専門 家の意見を聞いて決めていくというのがルールでございますので、そういう意味でこれ は優先審査の対象に入っていないということでございます。  最後に、いろいろ申し上げたわけでございますが、とは言いながらも、やはり禁煙を 進めていくというのは、省全体の1つの方向性であることもまた間違いないわけでござ います。昨年の8月の議事録を見てみますと、私はある面でいくと非常に冷たく、「この 検討会議の対象とはなかなかならないんです。ただそういった御発言も要望書もいただ いていますので、会議の記録としてテークノートとさせていただきたい」と、こう冷た く申し上げているわけでございます。そんな冷たい対応ではまずいのかなと。省全体の 方針が禁煙にあるということで、そこで役立つというものであれば、もう少しまた企業 から優先審査の申請が出ていないとはいえ、もう少し何か対応がとれないのかなという ことで、本日の篠山先生から御示唆いただいたわけでございます。学会からも要望も出 ているわけでございますから。そういう点で少し至急考えてみたいと思います。申しわ けございませんでした。 ○ 篠山構成員  こういう問題は企業のためではなく、治療する医者の立場として何とかしたいという 強い要望があるわけです。この禁煙関連10学会というのは、いろいろ大きな運動を今展 開しています。保険適用になったのも、この学会の働きかけの1つでありますし、それ から新幹線が、これはもう前から何回も全車禁煙という働きかけをしてきたのですが、 なかなかうんと言わなかったのが、最近ちょっとその方向が、こちら側に傾いてきた。 これもこの学会が一生懸命そういう社会活動をやってきた結果だと思うんです。  そういう中で、やはりこういうどこの国も認めている薬をぜひ使いたいというのが、 この学会の本音であります。企業の利益うんぬんではなくて、国民の健康のためにとい う点でぜひお考えいただきたいと思うわけです。 ○ 堀田座長  どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  私の説明が企業の利益ということに受け取られたとしたら。 ○ 篠山構成員  決して企業の利益ではありません。企業から言ってこないからというのではなくて。 ○ 中垣審査管理課長  それはルールを説明しただけで、アメリカでもヨーロッパでもそういうルールになっ ております。ただ、今あるいは御説明を縷々いただきましたとおり、また要望書を出し ていただいておりますとおり、我々も、先ほど申し上げましたように、テークノートを するという言い方というのは、少し反省すべき点があるのかなと。もう少し前向きに何 ができるのかというのを至急考えたいと思っておりますので、そういうことで、よろし くまた御協力をお願いする部分もあろうというふうに考えますけれども、御協力を賜れ ばと思っております。ありがとうございました。 ○ 堀田座長  ということで、この問題は決着をしたいと思います。いずれにしても、審査が長引い ているというのは、一方的に審査側の問題だけではありません。企業側がちゃんときち んとした対応をとらないから、ずるずる延びるということもあります。企業側への指導 もぜひお願いしたいというふうに思います。 ○ 有吉構成員  課長さんにちょっと今の件で関係あるのかもしれませんので、質問させていただきた いのです。私は婦人科学会の方からちょっと質問を受けたのでございますが、昨年FD Aが承認をしたパピローマウイルスのワクチンでございます。これはアメリカがん学会 のレビューによりますと、2006年でFDAが承認した最も偉大な薬であるという、そう いう評価をしているワクチンなんです。  ただ、性質上、保険医療かどうかという問題がございますが、こういう薬剤に、私は 前にこの話をしたかどうか、ちょっと記憶にないのですが、こういうものはこの未承認 薬の検討会議の俎上に上げることは、不向きなのでございましょうか。 ○ 中垣審査管理課長  この件について、この検討会議でも一度議論をしていただいたことがあったかと思い ますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、この検討会議の任務というのは医療保 険の混合診療から出てきている。すなわち医療保険の混合診療の議論であって、一般的 な開発促進とか承認促進とかというようなものではないんだと。それをやり始めますと、 薬事審議会の役割と役割がぶつかってしまうというのが1点。  2点目は、例えばこのHPVというのは、先生から今御紹介をいただいたわけでござ いますけれども、私が知っている限り、あるいは前この場で議論をしていただいたとき においても、相当高い評価を得ているというふうに考えております。したがいまして、 私の立場から申し上げますと、検討会議で御議論をいただくまでもなく、これは何とか 早くできないだろうかと。  一方においては当然のことながら、こういう予防のワクチンでございますから、健康 な10代、10代といっても10代の初期のころから注射をすると。すなわちもう単純に申 し上げますと、セックスをする前に打つということ。いわゆる一度感染したら効果がな いとも聞いていますから、そういう意味で申し上げますと、セックスをする前に打つと いうのが重要な要素になっているということの2つを踏まえますと、安全性には気を配 りながらやっていかないといけないんだろうということです。  具体的には2社が国内でもやろうということで、もう既に治験に着手し、相当程度進 んでおりますけれども、医薬品医療機器総合機構にもお願いして、その2社とどうすれ ば安全、さらには日本人における有効性を担保しながら、先ほどの吉田先生の話ではご ざいませんが、外国のデータも織りまぜながら、最終的に安心した形で、これを使える 形にできるかというのは、もう既に取り組ませていただいているところでございます。 もちろんその取り組みに十分ではない点もあるんだろうと思いますけれども、先生方お 気づきになられたら御遠慮なく教えていただければありがたいと思いますけれども、私 どもの気持ちとしてはそういうことで取り組ませていただいていることを報告させてい ただきたいと思います。 ○ 有吉構成員  ありがとうございました。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。先般この問題については一度議論が先ほどの御紹介のよう にありました。この会議の趣旨としては、対象としてはちょっと仕切が違うだろうと考 えます。しかし、ことの重要性から考えて、特別にその枠とは別に対応をとらせていた だきたいということで決着したかと思っています。  時間も迫ってまいりましたので、その次の議題に移りたいと思います。資料4を見て いただきますと、この3カ月の間に、1月から3月の間に欧米4カ国のいずれかの国で 新たに承認された医薬品の類型Iに属するものの御検討をお願いしたいと思います。こ の中で、ワーキンググループに検討を依頼するかどうかということを御検討いただきた いというふうに思います。それでは事務局の方から、まず説明をお願いします。 ○ 事務局  それでは御説明いたします。資料4でございます。1番のパニツムマブにつきまして は、昨年9月に初めて米国で承認されたものでありまして、本来もっと早く報告すべき だったのですが、調査の段階で漏れておりまして、本日報告させていただくものであり ます。失礼いたしました。  そのほか、本年1月から3月の間に、欧米4カ国のいずれかで、新た未承認された医 薬品が五つでございます。  まず1点目パニツムマブでございますけれども、こちらは、フルオロピリミジン、オ キサリプラチン、イリノテカンを含む化学療法によっても進行したEGFR陽性の転移 性結腸・直腸がんに用いる薬でございます。  適応疾病の重篤性につきましては、重篤な疾病である。また、医療上の有用性につき ましては、同種同効薬はないとされております。またこのものにつきましては、既に国 内で治験が実施中であると聞いております。  次にスチリペントールでございますが、こちらは、EUでことしの1月9日に承認さ れたものでございまして、対象となる疾患は乳児重症ミオクロニーてんかん患者の難治 性全身強直間代発作であって、クロバザム及びバルプロ酸との併用というものでござい ます。  作用機序はGABAの再取り込みの阻害やP450の阻害によります他の抗てんかん 薬の代謝を阻害することによって、効果を持続させるという説明でございます。  適応疾病につきましては重篤な疾病であると考えられております。また関連学会より、 平成17年に、当時まだ欧米4カ国の承認がまだありませんでしたけれども、要望があっ たものでございますが、国内においては開発状況がないというふうに聞いております。  3点目ルフィナミドでございます。こちらは本年2月1日にEUで承認されたもので ありまして、効能・効果はレノックス・ガストー症候群に伴います発作の治療における 補助療法4歳以上というものでございます。これはナトリウムチャネルの調節による不 活動状態の延長をその作用機序としております。  この適応疾病につきましては重篤な疾病であると考えております。また同種同効薬は なく、国内においてもまだ開発状況はないという状況であると聞いております。  次に4点目でございますけれども、リスデクスアンフェタミン ジメシラート、こち らは本年2月23日に米国で承認されたものでございます。  効能は注意欠陥・多動性障害、いわゆるADHDに用いるものでございます。  作用機序は、これはデキストロアンフェタミンのプロドラッグでございます。  重篤性につきましては、必ずしも重篤とはいえない。  また同種同効薬はないと考えております。  国内状況についても、開発はないと伺っております。  次にページをおめくりいただきまして、5点目アリスキレンでございます。こちらは、 本年3月5日に米国にて承認されたものでありまして、高血圧に用いるものであります。 このものはいわゆるレニン・アンジオテンシン系のレニンに、直接阻害という作用で効 くというもので、新規の作用機序を有するものと考えております。  こちらにつきましては現在国内で治験を実施中と聞いております。  次に6点目ラパチニブでございます。こちらは本年3月13日に米国で承認されたもの です。功能・効果はアントラサイクリン系、タキサン系、トラスツズマブの治療歴のあ るHer2が過剰発現している転移・進行性の乳がんであってカペシタビンとの併用療法 に用いるというものであります。  作用機序はEGFRとHer2受容体のチロシンキナーゼ阻害であります。  こちらにつきましては、重篤な疾病でありますけれども、現在国内承認申請中である というふうに聞いております。以上でございます。 ○ 堀田座長  では、この6品目につきまして御検討いただきたいのですが、最初のパニツムマブに つきましては、疾患の重篤性はありますが、既に治験実施中であります。学会あるいは 患者団体からの要望は特にないという状況ですが、いかがいたしましょうか。これは既 に治験実施中ということであって、もうかなり進んでいるのですか。 ○ 事務局  まだそこまでは至っていないというふうに聞いています。 ○ 堀田座長  既に治験をやっておられますから、これはそのまま予定どおり進めていただくという ことでよろしいですか。はい、ではそのようにさせていただきます。  その次のスチリペントールにつきましては、いかがでしょうか。 ○ 大澤構成員  これは乳児重症ミオクロニーてんかんの患者さんというのは、けいれん重積、すなわ ちけいれんがずっと長くとまらないという状態の発作を非常にしばしば起こすのですけ れども、その方たちに対して非常に有効であるというふうに、論文では拝読しています。 ぜひともこれは治験を進めていただきたいと思っているのですけれども、以前にこの要 望をいたしましたときに一応てんかん学会の方でも、医師主導治験の申請の薬剤として も提出したことがあるんですけれども、できれば企業の方でやっていただければ、非常 に助かると思います。 ○ 堀田座長  学会からの要望が、以前ではありますけれども出ているという状況でございます。疾 患の重篤性もありますし、同種同効薬がないという状況のようですが、このものの扱い について御意見ありますでしょうか。これはワーキンググループに検討をお願いすると いうことでよろしいですか。ではそのようにさせていただきたいと思います。  それでは3番目のルフィナミドにつきましてお願いいたします。これは重篤な疾患で はありますが、今のところ開発状況がなくて、要望も特にないという状況です。 ○ 大澤構成員  すいません。不勉強で、申しわけなかったと思いますけれども、このレノックス・ガ ストー症候群そのものは、私たちがてんかんの患者さんの治療をするときに、非常に苦 労する疾患群であります。つまり特効薬はないです。ですから、そういう意味で、患者 さんによっては外科手術に回っていただいたりとか、そういう方もあるような状況でご ざいます。もう少しこの薬剤の有効性について、私自身今すごくよく効くかどうかとい うところについて不勉強だったので、申し上げられないのですが、できることならばぜ ひお願いしたいというふうに考えます。 ○ 堀田座長  という御意見ですが、どうでしょうか。大澤先生、申しわけありませんが、学会とか 関連の方面でぜひ治験を進めてほしいという要望があるかどうかということを打診いた だけますか。 ○ 大澤構成員  薬事委員会の方で検討させていただきます。 ○ 堀田座長  学会からの要望を受けて、次回検討させていただきたいというふうに思います。よろ しいでしょうか。 ○ 大澤構成員  この4番のリスデスクアンフェタミンに関してですけれども、これもできれば学会の 方で検討させていただいて、次回。と申しますのは、注意欠陥多動性障害の患者さんに 大手を振って使える薬剤が、まだきちんとしたものがございません。重篤とは言えない とは書いてございますけれども、御承知のように、長年の間いろいろな形で患者さん自 身がしかられる場面が多くて、大人になったときにいろいろな点で社会的な問題もあっ たりもいたします。ですからちょっと検討させていただきたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。今のような形で次回までに意見をまとめていただくというこ とにしたいと思います。  その次のアリスキレンですが、これはいかがでしょうか。 ○ 篠山構成員  これはレニン・アンジオテンシン系を一番上流でブロックするという薬物でありまし て、レニン・アンジオテンシン系というのがいろんな循環系疾患の非常に大きな病態に 関与するということで、非常に今後発展する可能性があると思うんです。  今はどちらかというと、高血圧が中心になっていますけれども、ほかにも心不全を初 めとしていろいろレニン・アンジオテンシン系がかかわってくる疾患に関係があるので はないかというふうに思います。  私は今アメリカ心臓学会の機関誌のアソシエイツエディターをしていまして世界中か らいろんな論文を受けつけているのですが、これに関する論文が、過去2年間の間に数 編、3編くらいだったと思います。ですから、今非常にホットな話題となって研究が行 われているものだと思います。今治験が行われている最中だということでありますので、 一番最初の薬物と同じような対応でいいと思うのでありますが、将来的には非常に発展 性がある、さらに高血圧以外にも適用があるのではないかというふうに考えております。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。大変将来有望な薬のようでありますが、疾患の重篤性、ある いは代替薬があるかないか、そして現在治験の実施中ということを勘案すると、このま ま治験の推移を見守りたいということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは6番目のラパチニブでありますが、これも既に承認申請中という状況でござ います。このものにつきましていかがでしょうか。特別に急ぐ必要性があるかというこ とですが、有吉構成員、いかがですか。 ○ 有吉構成員  今までの阻害剤とどう違うかちょっとわかりませんけれども、そのまま見守ってもい いんじゃないかなと私は思います。 ○ 堀田座長  吉田構成員いかがですか。 ○ 吉田構成員  二重標的というところに特徴があるんだろうと思いますけれども、承認申請中ですか ら、特に取り上げなくてもと思います。 ○ 堀田座長  ではこのものにつきましては承認申請中でありますので、承認の状況を見守るという 形にしたいと思います。  そのほかにこれまでの資料5の方ですね。これまでの検討会議議での現在の状況の説 明をよろしくお願いします。 ○ 事務局  それでかいつまんで説明をさせていただきます。まず1ページ目でございますけれど も、7番目、ベバジズマブでございますけれども、4月18日付で承認されましたので御 報告させていただきます。  それから8番のセツキシマブにつきましては、承認申請中となっております。  それからおめくりいただきまして26番アルグルコシダーゼアルファ、糖原病II型の医 薬品でございますけれども、こちらも、平成19年4月18日付で承認となりましたので、 御報告させていただきます。  主だった前回からの変更点は以上でございます。 ○ 堀田座長  どうもありがとうございました。順次そういう形で毎回報告をさせていただきたいと 思います。ありがとうございました。何かほかに御意見ございますでしょうか。もしな ければ、本日の議題は以上にしたいと思いますが、事務局から何か報告がございますか。 ○ 事務局  本日御検討いただきました品目につきましては、会議の結論。先ほどもお話がありま したけれども、該当企業に伝達する。また少し取り扱わせる企業等を探しまして、また 今後の状況につきまして次回御報告させていただきたいと考えております。  また次回の会議でございますけれども、既に御案内のとおり7月30日月曜日午後2時 より、開催することとさせていただいております。また次回につきまして、引き続き御 検討いただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  ほかに何か御意見ございますが、よろしければ、本日はどうもありがとうございまし た。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111 1