07/03/28 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 第6回議事録 第6回 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会議事録                  日時:平成19年3月28日(水)                      13:00〜15:00                  場所:厚生労働省専用第22会議(18階)   照会先:保険局総務課医療費適正化対策推進室 (内線3181) ○出席委員(敬称略・五十音順)  赤星慶一郎、内田健夫、押野榮司、小島茂、草間朋子、久代登志男(田村政紀代理)、 櫻井正人、白川修二、田中一哉、谷口正一(小池啓三郎代理)、辻一郎、津下一代、対 馬忠明、中村嘉昭、奈良昌治、松岡正樹、水口忠男、峯村栄司    ○厚生労働省出席者  白石大臣官房審議官、岩渕保険局保険課長、神田保険局国民健康保険課長、深田保険 局総務課医療費適正化対策推進室長、山本保険局総務課老人医療企画室長、大島保険局 総務課医療費適正化対策推進室企画官、梶尾保険局総務課医療費適正化対策推進室企画 官、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、勝又健康局総務課保健指導室長、金井労働 基準局安全衛生部労働衛生課長 ○次第 1.開会 2.議題  (1)「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」について(報告)  (2)特定健康診査等実施計画における参酌標準等に関する論点  (3)特定健康診査等基本指針(案)について  (4)特定健診・特定保健指導の準備状況(日本経団連)  (5)その他 3.閉会 ○梶尾企画官 ただいまより、第6回「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策 に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方には、ご多忙の折お集まりいただき ましてありがとうございます。本日は、局長、審議官、課長等、国会の関係等で欠席し ましたり、あるいは出入りがあったりしますことをお許しいただければと思います。  出欠の確認ですが、本日は、小池委員、河内山委員、田村委員、山本委員から事前に ご欠席の連絡をいただいています。なお、小池委員の代理として、日本私立学校振興・ 共済事業団の谷口様、田村委員の代理として、日本総合健診医学会の久代様にご出席を いただいています。  それでは以降の進行を辻座長にお願いいたします。  ○辻座長 議題に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○梶尾企画官 資料ですが、式次第と座席表、名簿の後に配付資料一覧として、資料が 1〜4あります。資料1が2分冊と1枚紙で3枚、資料2が2分冊、資料3、4です。 あと参考資料が1〜6までございます。なお、このうちの参考資料の3〜6については、 特に本日の会議の中で説明の時間を設ける予定はありませんが、実務的な様式について、 ワーキンググループにおける議論を踏まえて整理したものを、本日お配りさせていただ いている程度のものです。資料について、もし不足がありましたらお申し出いただけた らと思います。また、落丁、乱丁等がございましたら、随時ご指摘いただければと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○辻座長 では議題に入りたいと思います。議題の(1)「『標準的な健診・保健指導 プログラム(暫定版)』の見直し」について、事務局から説明をお願いいたします。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 お手元の資料1−1に基づきまして、健康局の検討 会で検討してまいりました「標準的な健診・保健指導プログラム」について概要を報告 させていただきます。  まず「特定健康診査の項目」ですが、1頁、「必須項目」として質問票の中にありま す服薬歴、喫煙歴等です。身体計測については、身長、体重、BMI、腹囲です。理学 的検査、血圧測定、血液検査です。従来の総コレステロールの検査に代りまして、LD Lコレステロールをここに入れています。血糖検査については、空腹時血糖又はHbA1c ですが、なるべくHbA1cのほうが望ましいという考え方です。それから検尿。  それから「詳細な健診の項目」で心電図、眼底検査、貧血検査があります。  「保健指導対象者の選定と階層化」ですが、まずステップ1として、腹囲が男性の場 合には85cm以上か、女性の場合には90cm以上かということ、これが(1)のグループ です。腹囲が男性85cm未満、女性が90cm未満であっても、BMIが従来の肥満の対象 である25以上の方々も対象にするということです。  ステップ2として、血糖、脂質、血圧の項目を、ここにあるような形で判定をして、 リスクが1つ以上あった場合には、質問票で喫煙歴をチェックしてリスクの数に加えま す。  それを踏まえてステップ3で、そのリスクの数に応じて保健指導の対象者を積極的支 援レベル、動機づけ支援レベル、情報提供レベルの形で階層化をいたします。  ステップ4では、服薬中の対象者については、医療保険者による特定保健指導の対象 とはしないという考え方です。  前期高齢者(65歳以上75歳未満)については、積極的支援の対象となった場合でも、 むしろQOLの低下に配慮した生活改善のほうが重要であるということで、動機づけ支 援とするという考え方です。  4頁、「動機づけ支援の内容」です。面接による支援の形で、次のいずれか。1人20 分以上の個別支援又は1グループ80分以上のグループ支援の形で、6カ月後の評価とし て電話又はe-mailにより、その成果の評価をするという考え方です。  支援内容はここに書いてある内容です。従来の考え方と変わっていません。  5頁、「積極的支援の内容」です。これについても、初回時の面接における支援とい う形で、これは動機づけ支援における面接による支援と同様なものです。3カ月以上の 継続的な支援という考え方でして、個別支援、グループ支援、電話もしくはe-mailの形 です。ポイントの合計が180ポイント以上になるという考え方で、支援Aの積極的に関与 するタイプと、励ましタイプの支援Bという2つの考え方があります。6カ月後にも同 じく評価をする形です。  「積極的支援における支援形態のポイント数」ですが、これについては、一覧表にあ る考え方で、これは従来から説明をしているものと変更はありません。  7頁、「望ましい積極的支援の例」です。これも、従来の考え方から変わっていませ ん。  8頁は「後期高齢者(75歳以上)に対する健診・保健指導」ですが、基本的な考え方 は、生活習慣病の改善による疾病の予防というよりも、QOLの確保・介護予防が重要 であるということです。糖尿病等の生活習慣病の早期発見のための健康診査は重要とい うことです。健康診査については、高齢者医療法に基づいて、広域連合において実施し ますが、これは努力義務です。健診項目については、75歳未満の健診項目のうち、必須 項目のみを実施するという考え方です。保健指導についても、市町村において、本人の 求めに応じて、健康相談等の機会の提供ができる体制を確保するということです。  資料1−3は、いま説明させていただきました階層化の方法で、「特定保健指導対象 者の推計」数です。実は、先日開かれました健康局の会議のときの資料にちょっと誤植 がありまして、本日のほうがきちんとしたものです。健康局のほうは、後ほど訂正させ ていただきますが、本日の資料のほうが正しいもので、2日前のものは誤植がありまし た。それで推計をしますと、ここにあります男女合計のところで、40歳〜74歳、動機づ け支援、積極的支援の合計で、24.9%、4人に1人、約1,400万人が特定保健指導の対象 者となるという推計です。  ○勝又健康局保健指導室長 引き続きまして、資料1−2で保健指導の第3編の所の追 加をした項目について説明させていただきます。2頁です。「保健指導の対象者の優先 順位の付け方の基本的な考え方」ということで、保健指導対象者に優先順位をつけて、 最も必要なところで、効果のあがる対象者を選定して保健指導を行うことが重要である ということです。その優先順位の付け方としては、年齢が比較的若い対象者。健診結果 の保健指導レベルが情報提供レベルから動機づけ支援レベル、あるいは動機づけ支援レ ベルから積極的支援レベルに移行するなど、健診結果が前年度と比較して悪化し、保健 指導レベルでより緻密な保健指導が必要になった対象者というように位置づけています。 さらには、標準的な質問票がありますが、その回答によりまして、生活習慣改善の必要 性が高い対象者に対して優先順位を高くしていくということ。もう1つは、前年度、積 極的支援とか、あるいは動機づけ支援の対象者であったにもかかわらず、未受診であっ た者とか、途中で中断した者が、優先順位の高い順位ということで記載いたしました。  5頁は「保健指導のプロセスと必要な保健指導技術」ということで、保健指導をやっ ていく際のプロセス、どういう技術が必要なのかを記載しています。(1)は効果的な保健 指導の準備、(2)で対象者との信頼関係の構築、(3)でアセスメント、(4)で気づきの促し、 (5)で対象者の自己の健康行動と、科学的根拠のある方法の理解の促進、(6)として教材の 選定および改善、(7)で目標の設定、(8)として継続フォロー、(9)として評価ということに なっています。これらについては、3月26日の健康局の検討会の中でもご意見があった ところですが、もう少し文言を整理して記載したいと考えています。  13頁の(6)「支援ポイント」です。これまで議論をしてきた中では、支援Bについては 電話とe-mailの2つでしたが、例えば、対象者が市町村保健センターや健康増進施設等 に出向かれることもあるだろうということで、個別支援Aと個別支援Bを新たに設定を しました。これは電話Bやe-mailBとポイント数としては同様ということで、新たにつ けさせていただいています。  15頁の(6)の「保健指導の未実施者及び積極的支援の中断者への支援」です。黒ポ ツは6つありまして、1つ目の黒ポツは電話、e-mail、FAXなどによって、保健指導 の実施日から1週間以内ぐらいに、保健指導をお受けにならなかった方については、連 絡をして保健指導を受けるように促すのがいいのではないかということと、医療保険者 も保健指導を受けるように促していただきたい。もし、動機づけ支援や積極的支援の初 回時において、計画上の保健指導実施日及び連絡をしたにもかかわらず、保健指導対象 者が保健指導を受けない場合は、「情報提供」支援は必ず行ってくださいということを 書いています。  さらに、対象者が十分に納得することにより、保健指導の終了時まで継続的に支援が できるように工夫をしていただいたり、あるいは、最終的に動機づけ支援や積極的支援 において、保健指導が未実施になった者については、次年度の保健指導実施時に、保健 指導を優先的に実施することが望ましい。さらには、医療保険者については、保健指導 の実施者と医療保険者が話し合いをすることなどによって、保健指導を受けない理由を 明確にしていただきまして、次年度からの保健指導につなげていくことが必要であると いうことで記載をしました。以上でございます。 ○辻座長 先日開催されました健康局での検討会で、この「標準的な健診・保健指導プ ログラム」の確定版(案)が提示されたわけですが、その概要についてご報告いただい たわけです。ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問があればいただきたいと思 います。 ○白川委員 本日のご説明にはなかったのですが、特定健診・保健指導を行った場合に、 1年に一度、支払基金等に報告をする手順になっているかと思うのですが、その報告の 中身が少し詳細に過ぎるという意見を持つ者もいるのです。例えばレセプトに関する、 あるいはレセプトと突合した結果であるとか、個人ごとの保健指導の内容についても報 告するというような考えもあるようですが、その辺、健康局はどのようにお考えでしょ うか。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 当日はご説明させていただいたのですが、支払基金 に関する報告の様式は、検討会で、保険局からご提示があるというふうに説明をさせて いただきました。 ○梶尾企画官 補足させていただきます。いま矢島室長からございましたように、一昨 日の検討会に出ているものは、保険者から支払基金に出すものとは別なものとしての様 式です。今日冒頭に、本日は説明しませんがと申し上げてお配りしています参考資料4 が、医療保険者から支払基金、国に報告するデータのイメージということで、これは従 来からの議論の延長線上にある形で、プログラムのように拡大しているという整理です。 これは、こちらの場面での議論で調整をしていきたいということです。 ○櫻井委員 いまご質問がありましたので確認なのですが、数回前の検討会で、支払基 金に対する保険者からの報告というのは、法律の142条でしたかに基づいて、要するに 支援金の算定、具体的に言えば加算・減算に必要なデータを提供するということでよろ しいですね、という確認をさせていただいていますが、いまご説明が若干あった参考資 料の4とか5というのは、そういう範囲のものであると、保険局としては認識をされて いるということでしょうか。 ○梶尾企画官 そういうことでございます。 ○櫻井委員 それにしてはちょっと詳細かなという感じを持っています。 ○対馬委員 後ほど出てくるのかもしれませんが、事業主健診との関係で、一応報告書 としては、特に腹囲については整合がとれたと聞いているのです。ただ、まだ厚生労働 省などのほかの審議会、分科会でしょうか、そういった場があるというふうにも聞いて いるのですが、この辺りの現状と、今後の見通しみたいなことがわかればと思います。 ○金井労働衛生課長 ご指摘のとおり、我が方で「労働安全衛生法における定期健康診 断等に関する検討会」を10月から開催しまして、3月6日に一応最終回ということで、 方向性はまとまっている状況です。この中に、腹囲を定期健康診断の項目に追加するこ と、あるいは総コレステロールの代りにLDLコレステロールを入れる。あと、いまま で尿糖検査の省略基準があったのですが、その省略基準を削除するといった方向性が検 討会で示されたということです。その検討会は、あくまでも医学的あるいは労働安全衛 生法上の観点ということで検討を進めていただいたものです。仮に、定期健康診断の項 目に追加をする場合は、労働安全衛生法の規則、労働安全衛生規則ですが、そこに項目 を追加するという手順が必要になるわけですが、その場合は、労働政策審議会の安全衛 生分科会という審議会に諮問答申をしなければいけない状況です。  我が方としては、3月6日にまとめていただきました検討会報告を、4月2日に開催 される分科会に報告する予定をしています。4月2日の分科会における審議あるいは議 論の状況を踏まえて、引き続き対応をする予定にしています。現状は以上です。 ○対馬委員 是非、合わせてくるように、よろしくお願いしたいと思います。 ○櫻井委員 先ほどデータの話が出ましたので、関連して確認させていただきたいので す。今回、大変膨大なデータを保管したり提供したりしなくなりますので、この検討会 で言われているように、最初から電子化されたデータが保険者なり、いわゆる代行機関 に出てくることが必須だと思うのです。提供をするときには電子化されたもので提供し なければいけない、来るときには紙で来るということになると、膨大な入力業務が、保 険者なり代行機関で生じますので、初めからそういった形で健診機関なり保健指導機関 から出していただくことが必須だと思うわけです。  理屈の話をしますと、法律を読みますと、既に保険者における管理については、「厚 生労働省令に定めるところにより」ということで、そこに電子化された形で保存をしろ ということが書かれるのだと思いますが、健診機関や保健指導機関から提供される部分 については、特に法令上の根拠というのはないような気がしますので、そこをどのよう に担保していただけるのかということについて、是非担保していただかないと、保険者 なり代行機関の膨大な入力業務が発生をしてしまうので、是非その辺はお聞きしておき たいと思います。 ○梶尾企画官 いまの法律上及び委任されている省令の場面で、データの形式というの は、なかなか出てこないところですが、その辺、アウトソーシング基準の中で、これは 直接省令になるわけではないのですが、そういった電子化された形で出すようにしまし て、担保という言葉が適当かどうかはわかりませんが、実際に、電子化された形で提供 されるように進めていきたいと思います。 ○櫻井委員 医療保険とか介護保険では、いわゆる請求省令というものがあって、その 中で電子媒体なりオンラインでということを、法令上義務づける仕組みがあるわけです が、それがいまの説明のようなガイドライン的なものだと、どれだけ徹底していただけ るのかわかりません。いずれにしても、基金に提供する部分は必ず電子的なものでなけ ればならないと思いますので、その間に入力業務が発生しないように、是非、国のほう のきちんとした担保をお願いしたいと思います。 ○白川委員 いまの櫻井委員の意見と関連した話なのですが、今回、特定健診をやるに 際して、健康局でいろいろお骨折りいただいて、試薬を揃えるだとか、いわゆる標準化 されたと思うのですが、残念ながら、法定健診のほうはそこまで進んでいない、あるい は、いま櫻井委員が言われたように、電子化が義務づけられていないという問題がある かと思います。この際、例えば特定健診の項目だけ電子化して、他の法定健診の項目は 電子化しないなどというのは、非常に非効率ですし、データ管理上もいろいろ問題があ るかと思いますので、どちらの所管になるかは私はよくわからないのですが、事業主健 診であるとか、広く捉えますと、人間ドック等のデータまで含めて、国で標準化の動き を是非やっていただければ、併せて電子化の動きをやっていただければと要望いたしま す。以上です。   ○矢島健康局生活習慣病対策室長 例えば健康局の関係ですと、がん検診等もあります ので、そういうことも含めて、ご指摘を踏まえて検討させていただければと思います。 ○辻座長 ほかにございますか。ただいま「標準的な健診・保健指導プログラム」の確 定版(案)についてご報告をいただいて、ご審議いただいたわけですが、今後、これは 細部の修正を加えられた後、確定版として公表されることになっています。今後、この 確定版プログラムについて、保険者には特定健診・特定保健指導の実施に向けて準備を していただくことになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして議題の(2)に入ります。「特定健康診査等実施計画における参酌標準等 に関する論点」について、事務局から説明をお願いいたします。  ○梶尾企画官 資料2−1、2−2を使って説明いたします。まず資料2−1は、この 1月来、参酌標準あるいは加算・減算に関してご議論・ご検討をいただいたわけですが、 その際に挙がってきた論点を一通り整理しております。1番の参酌標準についての、No. 1は、保険者の種別ごとの参酌標準を考えるべきかどうかということで、健診について は3区分をする。保健指導と該当者・予備群の減少率は差を設けないという整理をして います。2番の参酌標準の健診実施率についてですが、No.2は、年度途中の異動ですが、 3番の健診の実施率の関係について、今日、新しい説明をしたいと思います。  資料2−2、2頁に、「健診実施率の参酌標準案の算定の考え方」の下から3分の1 ぐらいの所にありますように、前回のこの会議で健診の実施率については、単一健保・ 共済は80%、総合健保等は70%、市町村国保は65%という数字を申し上げました。ただ、 その際に論点としても書いていたのですが、1頁に、実は被保険者・被扶養者の構成、 加入者の中に被扶養者がどれだけいるかという割合が保険者によってばらつきがある。 それを一律にこの数字で定めていいのかどうか。ここは同じ努力で達成ができる、でき ないという不公平な面があるのではないかと、被扶養者割合の高い保険者は苦労をする のではないかという論点を、上の四角の1つ目のポツに書いています。その点について、 各健保組合、共済組合等の被扶養者割合をちゃんと見合わせて考えたところですが、箱 の中の2つ目、特に、保険者目標80%としたグループ、これは被保険者について85%、 被扶養者について65%ということなのですが、このグループは1,500ほどあるのですが、 実は被扶養者比率が5%という低い保険者もあれば、47%という保険者もあります。実 は10倍近いばらつきがあるので、一律に目標を定めるのはあまり適当ではないのではな いかと考えた次第です。  矢印の下にありますが、実は、被扶養者比率が25%というときに、ちょうど80とい う計算になるわけです。それを超える場合については、加重平均値が80を下回ることに なりますので、その比率が25%を超える保険者については、実際の被扶養者比率を用い た加重平均値を参酌標準としてはどうかということを考えています。  その下の◆ですが、一方、保険者目標を70%と定めたグループ、ここは被保険者75%、 被扶養者65%のグループになりますが、ここは被扶養者比率のばらつきは、相対的には 小さくて、11〜42という4倍程度の開きということと、もともと75と65の間を分ける 話なので、ここに仕切りをした場合にも、そう大きな差は出ないということがあるもの ですから、こちらについては、参酌標準としては一律の数字というほうが、むしろわか りやすいのではなかろうかと考えています。  2頁のいちばん下の所にありますが、80%と定めたグループについては、被扶養者比 率に応じて、25%未満であったら80%、25%以上であったらその比率で算出をする。こ れは、例えば被扶養者比率が30%であれば、ご本人が85、それが0.7割、65の人が3 割ということで、計算をすると79%という数字が出るわけです。それが参酌標準だとい うことにしてはどうかと考えています。右の2欄は70、60がそのままの形で、前回の提 案を修正させていただければと思っています。  資料2−1に戻ります。いま申し上げたことが2−1の1頁のNo.3に書いてあった、 「比率で参酌標準を設定」とゴシックで書いています。ゴシックで書いている部分は、 本日2−2があるという意味です。  資料2−1の1頁目の3番で、保健指導実施率の参酌標準については、年度またぎの 人の扱いがNo.4です。2頁目、動機づけ支援と積極的支援は別々に算定すべきではない かという論点はあったのですが、これは施行当初については合算した形でやりたい。今 後、よりどちらを重く評価するかは、今後の検討課題にしてはどうかということを前回 申し上げたところです。  4番、メタボ減少率の参酌標準についてです。No.6は年齢構成等による集団としてど うかという一定の補正をした上で、健診結果による生の保健指導をする人の率ではなく て、補正した推定値を用いるということでやる。No.7とNo.9ですが、該当者から予備群 に変わったということについても評価がいるのではないかとか、No.9で、該当者、保健 指導が必要な人であったのが、服薬中になることによって、形式的に該当者でなくなる のは適切ではないのではないかという論点があります。これについての資料が資料2− 2の4頁の3番「該当者・予備群の減少率の算定について」です。論点としては繰り返 しになりますが、「該当者」、つまり保健指導の対象者から「服薬中」に変化したら、 「該当者」から消えてしまうということは問題ではないか。これは、「該当者」でなく なったので改善したと評価されてしまうのではないか。  あと、「該当者」から「予備群」に変化した場合の評価がされないということの問題 点があるのではないか、というご指摘が前回、前々回あったわけです。ただ、これにつ いては論点はあるのですが、次の理由から、治療中までを含めた人数の減少率というこ とにはしないのが妥当ではないか。というのは、保険者の努力による保健指導によって 減少を図った者がどれだけかをみるのが適当だろうということ。保健指導と関係なく受 療中の人が増えた減ったとか、あるいは保険者の努力とは無関係に受療中に変わったと いう部分を、保険者の責とまでいって、目標の評価、達成評価としていいのかどうか。  3つ目の◎は、第一期についての限界的なこともあるのですが、第一期の基準値とな る20年度、そして実際の評価、20年度の比較もそうなのですが、健診の実施率が特に 初年度は低いということで整合した推計値を用い、個人ごとを追いかけるのではなくて、 集団としてどれだけいたかをみるものですから、少なくとも第一期については、個人の 変化を捕捉する評価方法は、そういうのが望ましいのだという議論は当然あるのですが、 採用ができないという技術的な問題もあります。もちろん、各保険者がそういった取組 みをして、次にどういうアプローチをするかという考えが大事なことだということを括 弧の中に書いています。  なお、◆で、目標値としては使わないのですが、該当者だけみたときにどの程度増え たか減ったか、あるいは服薬中の人をみたときにどれだけ増えたか減ったかは把握がで きるような形にして、それで今後どのような加算・減算、あるいは評価の仕方を検討す るかは後ほど申しますが、2年間の事業をやってからの検討になりますが、そういった 場面での活用も可能にするようにしておいてはどうだろうか。それを評価に入れるかど うかは将来の検討課題ですが、把握はできるようにしておくことが適切ではなかろうか と思っています。  5頁、今回の結論の案ですが、該当者・予備群の減少率の式については、1月以来、 式をいろいろ出して動いていますが、表の中ほどにある全数分で、該当者及び予備群の 数を分母・分子に置いているのを1から引いているのが全数分ということで、そのほか に該当者だけの減少が出る、あるいは服薬中のものだけの減少が出るという式はあり得 るのですが、これを3つ置きますと、どれが目標でどれで評価するかという議論も出て くることもありますし、政策目標が該当者・予備群を27年度に25%という合計数でい っているということもありますから、第一期の目標に使い、そしてそれを評価に使うも のについては、現在の整理としては、「評価に使用」と書いている、全数分該当者・予 備群の合計数、これでは服薬中に変わったのがわからないとか、あるいは該当者から予 備群に変わったのが評価されないとかいう限界はあるのですが、一定の補正をした集団 としての数字で使うということで、第一期は始めざるを得ないということがありますの で、そういう形で整理をしたいと思っています。  6頁ですが、個人を追いかけることは、保険者によっては、データの取り方とか、可 能な部分は当然あるわけですが、それを報告してもらうとか、評価に使うとかは別の話 です。6頁の下にマトリックスを作っていますが、保険者においては去年の階層化でど うだった人が今年どうなっていると、その動きがどうなっているか。例えば、このマト リックスも一例ですので、これはさまざまな研究もいただき、また保険者で工夫をして いただくことも大事だと思います。例えばの一例ですが、前年は予備群に当たって指導 対象になって実施をしたのを黒い太い線で囲っています。その結果、非該当で健常にな っていれば○ということで、これは指導の効果があったということです。むしろ悪くな っていたり、あるいは服薬中に移ったりした人たちが、人数でどうであったかをみてい くことによって、保健指導のやり方がよかったかどうか、あるいは保険者としても何か 改善の道がないかということを考える。いろいろなやり方はあるのだろうと思いますが、 こういったことも必要なのではないだろうかということを提案しています。  資料2−1の4番のNo.7、9の話を先ほど申し上げました。No.8のところは年齢補正 を行うということです。  資料2−1の3頁、5番の加算・減算についてということで、主要な指標は国の参酌 標準を使用するということです。あと、No.11で、前回、26年度以降、第二期の契約の評 価については、第一期とは違って、前年度比でみる理由はなかなか理解し難いというこ とがあり、それについて一応お答えはしているのですが、うーんという感じでした。若 干、ここの整理がいると思っていまして、私どもの考えとしては、第一期は最初のうち の健診の実施率なども低いので、最終年度がどうであったかという1回だけの評価なの ですが、第二期以降については、毎年評価をしていく必要があるだろうということで、 前回そういう提案をしました。  ただ、毎年評価をするといっても、その際の評価の基準年を必ずしも前年にしなくて も、例えば全部、基準年は計画のスタートの前年にして、毎年それでどうであったかと いう見方をするやり方もあります。常に前の年とだけ比べていくやり方がいいのか、あ るいは基準年を決めて、そこから比べて26はどうであったか、27はどうであったかと いう見方もあります。ここについては、もっと検討をさせていただきたいと思っていま す。ただ、第一期は最終年だけですが、第二期からは毎年評価をしていく方針でやりた いということでお受け止めいただければと思っています。  No.12とNo.13は加算・減算の評価の方法についてで、これもさまざまな論点、ご議論を いただきました。これについては右側に書いてありますように、さまざまな考え方があ りますし、実績もなかなか分からないということもありますから、事業開始が20年度で、 20年、21年とやって実績も出てきた、健診と該当者・予備群の減少率はまだ実績が出難 いと思いますが、健診をどれだけやった、保健指導をどれだけやったというのは、2年 ありますと大体それが出てくると思います。22年度に、その実施状況を踏まえ、参酌標 準も含めて、保険者の契約の目標も含めた見直しの議論、そしてその際に、では加算・ 減算をどういう議論をするのか、また再開するのが適切ではなかろうかということで整 理をしています。  資料2−2ですが、3頁は、26年度以降のローリングがどうかというところで、先ほ どNo.11で説明したものです。7頁に書いてあるのは、最後に申し上げた22年度以降の 検討ではどうかということを書いています。説明がダブりますので省略いたします。以 上です。 ○辻座長 ただいまの説明につきまして、ご質問あるいはご意見をいただきたいと思い ます。 ○久代氏(田村委員代理) 効果の評価は難しいと思います。個人を縦断的にみた場合 には、加齢により検査結果は悪くなってしまうということが起こり得るので、適切な対 照群を選ばなければいけないという問題があります。現状では年齢調整をして、横断調 整をするのが適当と考えます。その場合に、対象の選択にバイアスが入らないという前 提が必要です。。予測の受診率が7割から8割とすると皮肉な見方ですが、検査結果が 改善していると考えられる対象者には次年度に積極的に受診を勧誘するが、検査結果が 悪くなりそうな対象者には勧誘しないということが起こるかも知れません。バイアスの 有無を知るために、例えば前年度の指導区分別の再診率なども評価してもよいように考 えますが、如何でしょうか。 ○梶尾企画官 特に第一期の初年度については、スタート時ということで、健診率につ いては低いと思われます。前回申し上げたのですが、第一期をあまり細かくやると、年 齢補正のやり方も、特に20年度を基準年にするわけですが、70、80のころになるとだ いぶよくなっているのかもしれませんが、20%、30%のところに、あまり丁寧にやりま すとどうかというのがありますので、前回の指標で20年度の年齢補正については、男性 を2区分、女性を2区分、40〜74歳を、40〜64歳と64〜74歳の2区分ぐらい、かなり 粗いメッシュでの補正をする形にすること。それ以降は毎年やる。今年はやめて来年に 回したりするとバレるはずなのです。だから、そういったことをやっていく必要がある のだろうと思います。 ○津下委員 いまの久代様の話にも近いところなのですが、前回、受療者の扱いをどう するのかとお尋ねしましたところ、今回整理をしていただいて、保険者において、資料 2−2の6頁の参考2の形で評価をきちんと行うことが明記されました。その数値だけ をどうこうするということではなくて、この特定健診・保健指導という1つのツールを 使って、生活習慣病の予防が本来の目的であることだとか、医療費を適正化することが 目的なのだというところをしっかり押さえて、特定健診・保健指導の実施計画や評価を 行うということであれば、問題はないと思いますが、数字だけの操作はやろうと思えば 簡単にできるところもあるかと思います。参考2のような方法でしっかりと評価をして いただきたいということを、保険者の皆様にもお願いしたいと思っています。  また、5頁にありますように、当面、予備群と該当者の全数分で評価するけれども、 該当者が予備群に減る積極的支援が奏功した場合の効果がきちんとみえる形も、将来的 に使う可能性があるということを明言していただいただけでも、かなりここの部分に力 が入ってくるということも期待しています。このような評価の仕組みで保健指導がうま く軌道に乗るように、活用していくことが求められると思います。言葉は悪いのですが、 先ほど久代委員からもありましたが、悪用例というのも実際には出てくるのだろうなと 思いますので、その辺りも丁寧に情報収集していかれることを、是非お願いしたいと思 います。 ○辻座長 ほかにご意見ございますか。 ○内田委員 いま情報収集というお話が出ましたが、情報収集をやる機関というのは、 どこで考えているのですか。そういう機関はあるのですか。  ○梶尾企画官 保険者については、高齢者医療確保法に基づいて、「保険者は厚生労働 省令で定めるところにより、健康診査、保健指導をやらなければならない」となってい ます。保険者に対する一般的な監督は行政にあります。どういった形で行っていくのか は、常時監視するみたいな話にはならないのですが、一般的な機能としては、我々のほ うでみていく形になろうかと思います。     ○内田委員 いまの話にも関連するのですが、これは前から申し上げているのです。今 回の事業がうまく運用されるかどうか、成果をあげるかどうかに関しては、やはり保険 者と実施者、それから受診者、その辺の関係者がお互いに連携し、信頼関係を築くとい うのが最も大事なことだと思うのです。今回のシステムの中には、保険者が全面的にデ ータを集め、資料を集め、またはその評価もするということから、その辺の連携を進め るという仕組みが足りないような印象をもっています。  そこで、立ち上げに当たっては、その辺の受診者、あるいは実施担当者、保険者のと ころで、さまざまなレベルでの不満であるとか、問題点であるとかが出てきますから、 そこのところを率直に受け入れる窓口みたいなもの、そして、それを意見交換して解決 していくような組織が必要になってくるのではないかと考えています。これは、おそら く都道府県あるいは二次医療圏に設置される地域・職域連携推進会議であるとか、その ような場で設けていけばいいのかなという印象はもっていますが、そこのところでのし っかりとした、保険者に対しても評価できるような仕組みが必要になってくるのではな いか、ということを強く思っています。 ○田中委員 資料2−1の加算・減算についてということで、項目で言えばNo.12です。 主な論点の所、評価方法についてという黒ポツの3つ目に、いわゆる「同じ参酌標準と なっている保険者グループ内での相対評価とし、そのグループ内で加算・減算するべき ではないか」という意見が出ていました。私もそういった意見を述べたわけです。その 方向性としては、そこには触れられないで、いわゆる、なかなか難しい状況の中で2、 3年後にということが載っていますが、いずれにしても、それぞれ保険者、特に国保と 被用者保険、健保組合の置かれている状況、これはさまざまな要件があります。例えば 地理的な要件とか、対象者の年齢構成の層の問題とか、健診や保健事業に関わる医師、 保健師、管理栄養士、運動士といったマンパワーの充足の状況とか、これはかなり格差 があります。そういった背景の中で、いわゆるガラガラポンでやるのかというところで、 それはやはり妥当ではないのではないかということで、我々は意見を申し上げたのです。 やはりそこは、2、3年後にそういった方向性として整理されるだけのことが、20年、 21年ぐらいで出てくるのかどうか、その辺りも懸念されるし、私は同一グループ内での 加算・減算は、もう一度強く主張したいと思っています。 ○大島企画官 データが20年、21年と電子的に集まりますので、22年の段階では、そ れを分析し、数字を基にした議論を、また皆さんのご意見を伺いながら行っていきたい と考えています。現時点では、評価の方法については、いろいろな方法があって、それ ぞれに良さ悪さがあると思いますので、結論を出さずに、22年のときの議論の中で、 具体的なご相談をもう一度したいということで、進めてまいりたいと考えます。 ○田中委員 最初のテーマに一言だけ戻ります。最初の話題のときに、最後に辻座長が、 この標準プログラムの確定版に基づいて対応していただきたいという話をされたわけで すが、確認したいのは、標準プログラムの性格・位置づけですが、これは何なのだと。 要するに、これに基づいて保険者はやれということなのか。基づくのか、参考にするの か。少なくとも私どもは、保険局の省令通知等には基づかなければいけないという認識 は持っています。ですから、この確定版がそのまま省令通知になるのかどうかはよくわ かりませんが、少なくとも確定版に基づいて保険者はやっていけ、という認識は私ども は持っていません。その辺は間違っていれば教えていただきたいのです。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 たぶん、ちゃんと確定してやる部分と参考にする部 分と両方入っていると思います。基本的にそういうところが望ましいという形で使い分 けをさせていただいていますので、例えば健診項目だとか、そういうように確定したと ころについては、それは保険局の政省令でそのまま担保されるという形で理解していま す。私どものほうでその辺のところは、望ましいものは望ましいという形で整理をさせ ていただいています。 ○内田委員 そもそも、この参酌標準を用いて加算・減算をすることに関して、そうい うインセンティブが働くのかどうかというところを、保険者に聞きたいのです。保険者 によっては、この加算・減算覚悟の上で、健診そのものに取り組まないでペナルティを 払ってもそのほうが安上がりだ、という意見を言われている方もおられると伺っていま すが、その辺はいかがなのでしょうか。 ○辻座長 どなたか勇気のある方。 ○対馬委員 別に代表して申し上げるわけでも何でもないのですが、まさにこれは国民 的な形でやっていくわけで、保険者としてもその一翼を担ってやっていくのだというこ とだと思うのです。加算・減算を付けるのが本当にいいのかどうかは、基本論としてあ るのだろうと思っています。そこはいま議論をしていても、もう全体に枠組みが決まっ ていますので、我々これから議論する中では、22年度あたりにいろいろなデータも出て きますし、また実際にやってみると実感が湧いてきますので、そこで議論させていただ きたいとは思っているのです。  ただ、加算・減算について言いますと、例えば我々1,500の健保組合があるのですが、 1番から1,500番まで順番を付けますか。例えば1.001、1.002、1.003、逆に0.99とか ですね。そういうのはたぶん違うのだろうなという感じがします。普通のところは1.0 平均、本当によくやっている所は例えば0.9なり0.95と。全くやらない所にはある程度 厳しくてもしようがない。そんなイメージではないのかなと思うのですが、まだやって いないので、あくまで頭で考えていることです。ほかの保険者の方もご意見があればと 思います。 ○辻座長 ほかの方々でもご意見をいただければと思います。 ○中村委員 この件については、まず保険者として今までも保健事業をやってきたわけ なので、義務化があるからこうするということではなくて、本来私ども義務化という言 葉自体がどうかなと。健診事業をやっていくわけで、したがいまして、組合としては、 この機に、国民の健康を守るという意味も含めて、保険事業を積極的に推進すべきであ って、義務化されたからどうかということではないという方向で、いま検討の方向とし ては進めています。 ○櫻井委員 いま中村委員の言われたとおりで、加算・減算だからどうこうというわけ ではなくて、やはり国保の保険者は引き続き一生懸命保健事業に取り組むと思うのです。 むしろ問題は、基本的に国保の場合、住民保険ですので、通知を出して受診をしていた だくという構造は、基本健診の時代と変わりませんので、そういった中で加算・減算と いうような、これはペナルティなのかインセンティブなのかはよくわかりませんが、そ ういうものが課されている中で、かなり戸惑いをもっていることは間違いないと思いま すが、いずれにしても一生懸命にやるということは変わらないと思います。 ○奈良委員 加算・減算について、これ諸刃の剣になりますので、実施したところで何 年かの後に、もう一度きちんと見直しをしないと危ないかなと思っていますので、この 辺りもよろしくお願いいたします。 ○大島企画官 いま内田委員がおっしゃいましたように、そもそもペナルティを払った ほうが安上がりで、健診・保健指導を一切やらないという保険者が仮に出たとすれば、 高齢者の医療の確保に関する法律の規定に反することになります。それについては、保 険者に対する指導・監督権が、地方厚生局、あるいは国保であれば都道府県にあります ので、法の遵守をしないような保険者に対しては、厳しく指導をさせていただきたいと 考えます。 ○辻座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それではこの参酌標準等に関す る論点ということで、今回ご意見をいただきましたが、この後、報告があります「特定 健康診査等基本指針(案)」におきまして、この目標についての記載がされるというこ とです。これの大筋につきましては、委員の皆様からご理解が得られたということでよ ろしいでしょうか。                   (了承) ○辻座長 ありがとうございます。また、加算・減算については、奈良委員も言われま したが、平成20年度以降の特定健診・特定保健指導の実施状況を踏まえて、また改めて その都度その都度検討を行うということでご了承いただきたいと思います。  ただいまの論点の整理結果も反映した形で、これまでご議論をいただいた内容を踏ま えた「特定健康診査等基本指針(案)」につきまして、ご説明いただいて、ご議論をい ただきたいと思います。 ○梶尾企画官 資料3「特定健康診査等基本指針(案)」について説明したいと思いま す。1頁目は「背景及び趣旨」ということで、第一で、1つ目のパラグラフ5行は、今 回の医療制度改革の趣旨・背景が書いてあります。2つ目のパラグラフ7行に書いてい るのが、健康法改正の内容です。その次のパラグラフ、「本指針は」という所ですが、 法というのは高齢者の医療の確保に関する法律ですが、法第十八条第一項に基づいて、 特定健診及び特定保健指導の実施要綱に関する基本的な事項、特定健康診査等の実施及 び成果に係る目標に関する基本的な事項並びに特定健診の実施計画の作成に関する重要 事項を定める。法律で、厚生労働大臣はそういう指針を定めるとなっています。それを 定めますと、法律の第十九条で、各保険者は、本指針に即して、5年ごとに、5年を1 期とする特定健康診査等実施計画を定め、これを20年度からのスタートということで、 5年契約で5年ごとにやっていくことが法律で定められています。その作成に当たって 即すべき指針です。  その下の「なお」の所ですが、なお、高齢者医療確保法の第十一条で、全国の医療費 適正化計画及び都道府県の医療費適正化計画については、その作成年度(20年度)の翌 々年度(22年度)に、当該契約の進捗状況に関する評価が行われることになっています。 この指針もそのうちの一翼にある生活習慣病対策ですので、その評価の時期に合わせて 検討を行う。22年度に検討を行って、必要があると認められるときには、これを変更す るということ。そして5年ごとに今後とも検討を行って、必要があるときには変更をす る。保険者の契約も5年1期ですが、特定健康診査等基本指針も、5年ごとの見直しを 考えていくということを書いています。  最後の2行も法律に書いてありますが、健康増進法の健康診査等指針との整合性をと らなければ駄目だということです。  2頁からは、まず「特定健康診査等の実施方法に関する基本的な事項」で、一が「特 定健康診査の実施方法に関する基本的な事項」で、1に(一)(二)(三)(四)があ りますが、「特定健康診査の基本的考え方」です。生活習慣病対策に取り組んで、国民 の生活の質の維持・向上を図りながら医療費の伸びの抑制に資する。(二)で内臓脂肪 症候群の概念に基づいた健診です。(三)で、メタボリックシンドロームに着目して、 該当者・予備群を減少させるための特定保健指導を必要とする者を、的確に抽出するた めの健診です。(四)は、田中委員からもご指摘がありましたが、この健康診査の項目 については、法第二十条に厚生労働省令がありまして、そこで健診の項目等を定める形 になっています。ここについては、議題1で出たプログラムの健診項目等を定める。保 険者は厚生労働省令で定めるところにより健康診査を行わなければならないというもの で、省令に記載をします。  2の「特定健康診査の実施に関する留意事項」については、(一)で利便を考慮し事 情を踏まえてやる、(二)で精度管理が重要である、(三)で研修の実施等が必要だと いうことを書いています。  3頁の3番で、「事業者等が行う健康診断との関係」。これについては、議題1の際 に状況の報告をいたしましたが、若干の未調整部分がありますので、Pにしていますが、 この中には、いろいろな保険者と事業者との情報のやり取りですとか、利便のよい健診 をやるための連携方策といったことを記載しますが、健診の議論が整理された段階で記 載したいと思っています。  4番で「その他」ということで、記録の保存期間について、これまでこの検討会でご 議論いただいたようなことを記載します。  二は「特定保健指導の実施方法に関する基本的な事項」で、基本的な考え方が1で、 (一)(二)とあります。(二)に階層化の基準と、積極的支援・動機づけ支援の内容 というのは、先ほどのガイドラインを踏まえ、厚生労働省で定めるということです。2 は実施に関する留意事項ということで、利便よくということ、支援内容、方法、頻度等 についての記載、研修のことが書いてあります。3は事業者等が行う保健指導との関係 で、同じくペンディングにしております。4は保存期間です。4頁の(二)で、特定保 健指導以外の保健指導も、保険者は被保険者、被扶養者の状況を把握した上で、必要が ある者には実施するように努めると記載しています。  三で個人情報の保護についての記載をしています。以上が「特定健康診査等の実施方 法に関する基本的な事項」です。  5頁の第三は、「特定健康診査等の実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事 項」で、先ほどの議題(2)でご説明した部分です。「特定健康診査の実施に係る目標」 ということで、全国で70%、各保険者の目標は3区分をして、80%、70%、65%。80% については括弧で、被扶養者比率が高い所についてはというような式で記載しています。  二で、特定保健指導の実施目標は45%、各保険者の目標も、それを踏まえてください。  三では、メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率については10%以上と いうことで、各保険者もこれを踏まえて定めてくださいということになります。  「踏まえて」と申しましたが、6、7頁は各保険者における「特定健康診査等実施計 画の作成に関する重要事項」ということで、それぞれ契約を定めてくださいということ です。一では「達成しようとする目標」で、健診の実施率、保健指導の実施率、該当者 ・予備群の減少率に係る目標を、第三の各号に即して、また、各保険者の実情はそれぞ れ違いがありますので、参酌すべき標準としてそれに即しますが、実際には、各保険者 の判断で平成24年の目標を定めると。その際に、第三の一及び二というのは、健診と保 健指導ですが、これについては毎年度の実施計画の目標値も定めてくださいと記載して おります。  二は対象者がどれだけいるか、三は実施方法で、1で、どこでやるか、契約形態をど うするか。3で、受診券を利用するのか、4は代行機関を使うのか、5は保健指導につ いての抽出・重点化をする場合の記載、6はスケジュールということです。  四は個人情報の保護、五が計画の公表・周知のやり方、六は評価・見直しのやり方等 々ということで、6、7頁については、1月の第4回の検討会で、特定健診と実施計画 にはこういう内容を定めてくださいということで、表の形で健診と実施計画の内容とい う資料を配付しました。その内容を文章にしたという位置づけです。以上です。 ○辻座長 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。 ○津下委員 文言のことだけになろうかと思いますが、2頁の一の1の(二)「糖尿病 等の生活習慣病は、内臓脂肪の蓄積に起因するものであり」と、やや断定的に書いてあ りますが、「する場合が多く」などのように、内臓脂肪型肥満以外にも糖尿病は起こり 得るものですから、その辺りの配慮をお願いしたいと思います。 ○梶尾企画官 「起因する場合が多く」がよろしいですね。そのように調整したいと思 います。 ○対馬委員 少し細かくなり申し訳ないですが、6頁の下から10行目ぐらい、2の集合 健診です。全国組織との健診契約の締結等ですが、これは集合的な契約をするときには 被扶養者だけだとも言われるのですが、一方では、いま現在も人間ドック協会などとは、 本人も含めて契約をしているのです。ですから、ときどき、これは被扶養者だけ、これ は本人も含めてだなどと使い分けがあるようですので、これも被扶養者だけであるなら ば被扶養者だけにしていただきたいと思います。私は、どちらかと言えば全体に広げて おいて、しかし、被扶養者は間違いなくそうだ、としたほうがはっきりすると思います。 ○奈良委員 全く同意見です。 ○梶尾企画官 6頁の三の2ですね。ここの被保険者は、市町村国保が被保険者に対し て用意する健診の枠組みというワンフレーズで被保険者を使っているだけなので、被用 者保険の保険者の健診の対象の話は書き分けて、書き分けは何も書いてない状態です。 ここの被保険者は、市町村の国保がその被保険者に対して用意する特定健診の枠組みと いうワンフレーズという、そういうことで、この被保険者は市町村国保の被保険者とい う趣旨です。 ○対馬委員 ここはわかりましたが、その前も、ということは、特段被扶養者だけでも ないのですね。 ○梶尾企画官 はい。 ○対馬委員 ここはわかりました。ただ、資料の中で、そのように被扶養者と書いてな い所もあれば、これは被扶養者だけですからと書いてある所もあります。そこは気をつ けて作っていただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。 ○辻座長 ほかにご質問、ご意見はないでしょうか。 ○田中委員 基本指針に盛り込まれることではないかもしれませんが、通知という意味 に関連してお願いしたいのですが、この検討会でも何度か申し上げましたが、我々保険 者は強制されるとは思いませんが、義務化されるわけで、結局、本来、医療保険者はメ インには医療サービスを提供するということでやってきました。そうすると、ヘルスを これだけ徹底してやる体制が不足していることは、皆さんは何度もおっしゃっています。 ですから健診機関・保健指導関係者の養成、質的向上、量的確保、そういうことに対し て国から何らかの一定の通知等を出していただくということは望めないのかなと思いま す。 ○大島企画官 全国の医療費適正化計画がございまして、そちらには国が果たすべき役 割を書く項目が入っておりますが、内容はまだ検討中です。国として、あるいは都道府 県として、保健指導に携わる方々の養成の支援を位置づける予定で考えています。保険 者の中の人材養成についても国の役割はあると思いますので、そういう中で位置づけを 検討したいと思います。 ○辻座長 この問題は非常に重要な問題だと思いますが、実際に制度を作っても、教育 をきちんとするようなスタッフの数と質の問題などいろいろあると思います。そういっ たことと話は少しずれるかもしれませんが、今日は看護協会の草間委員、栄養士会の押 野委員がいらしていますが、何かその辺りでコメントをいただけますか。 ○草間委員 まず保健指導の一翼を担う保健師に関しては、昨日、保健師の国家試験の 発表がありましたが、少なくとも毎年1万2,000人近くが国家試験を通っておりますの で、資格を持っているという点では、持った者が不足するということはないとお考えい ただいていいかと思います。  ここの中にもありますように、「保険者は研修の実施等により」とありまして、私は、 研修のあるモデル化を是非していただいて、こういった研修を受けるべきであると。も う既にその研修をどうするかなどというのは、各都道府県やさまざまな団体等で検討さ れているようですので、少し研修のモデル等を示していただく必要があるのではないか と思います。  保健師に関しましては、人材養成という点では問題ないと考えています。 ○辻座長 押野委員何かございますか。 ○押野委員 栄養士会ですが、管理栄養士のマンパワーについては、毎年4,500人から 5,000人の国家試験の合格者が出てきます。先般も国試が終りました。そして栄養士会 として、職能としての管理栄養士の質の確保については、先にもお話しましたが、基本 的な第一ステップは東京・大阪会場で1,000名の受講者があった。そして、その受講者 が各都道府県の栄養士会で行う研修の指導者になっていくという形をとっています。そ して、今回の実践的な指導の部分についても、職能団体として質の確保について、最善 の努力をしていきたい。  今回、この保険者の検討会に日本栄養士会として参加させていただき、保険者の皆さ んの質に対する思いというのは非常によくわかりました。日本栄養士会としても質の確 保について、最善の努力をしていこうと思っていますし、マンパワーの確保に努めてい きますので、保険者の皆さん方に、逆に、管理栄養士の雇用、そして活用をお願いした いと思っております。 ○辻座長 ありがとうございます。 ○勝又健康局保健指導室長 先ほどの草間委員からのお話ですが、標準的な健診・保健 指導のプログラムの最後に、健診・保健指導の研修ガイドラインということで、確定版 を策定させていただき、国における指導者の育成のプログラムと、一定の研修というこ とでプログラムを示しておりますので、それらを参考にしていただき、研修をお願いし たいと考えております。 ○内田委員 草間委員に教えていただきたいのですが、病院の看護師不足が大変な騒ぎ になっていますが、過去何年かにおいて、毎年1万2,000人の保健師を養成していると いう実態があるのですが、実際に、その方々のうちで何割ぐらいが、一体保健師として の業務に従事されているのかを教えていただければと思います。 ○草間委員 現在、1万1,000人から1万2,000人が保健師の免許を取得しているわけ ですが、実際に保健師になれる人は、行政保健師あるいは企業等で産業保健師という形 でいくつかの企業では保健師を採用している所がありますが、バブル崩壊後に経済状態 が悪くなってからは、個々の企業が保健師を採用するというのではなく、集団でという ような形になっておりますので、実際に産業保健師として活躍できる場がかなり制限さ れてきたということもあります。実際に昨年では、保健師として業務に就けた新卒者は 800人です。ですから、実際には国試で1万1,000人から1万2,000人が通るわけです が、保健師として働ける者は800人ぐらいですので、先ほど管理栄養士学会からもお願 いがありましたように、やはり保健師をさまざまな所で保険者が採用していただくこと が、大変重要なことではないかなと思っております。 ○内田委員 そういうことですと、今後、もし保健師としての業務に就業される方が増 えてくるということは、非常に望ましい実態だとは思います。ただ、そうなりますと、 これまで保健師さんが病院に勤務するということで、看護師がある程度充足されていた というところがまた非常に大きな影響を受けるのではないかと思います。 ○草間委員 看護協会としては、そうなっていただけば大変うれしいのですが、第3回 の検討会で必要な保健師を試算していただいたときに、確か1,340人くらいということ だったと思います。今年、国家試験に受かる看護師は5万8,000人でしょうか。ですか ら、5万8,000人からみると、1,300人というのは必ずしもリーズナブルな数字ではな く、もう少し多いのではないかと思っております。仮に2,000人くらいあったとしても、 5万数千人の中の2,000人というのは、それほど看護師不足、あるいは確保の難しさに 影響するとは思っておりませんが、いかがでしょうか。 ○辻座長 ほかにいかがですか。 ○内田委員 もう1つ、以前の検討会で、保健指導に必要な保健師さんの数の概算が健 康局から出されたと思いますが、今回このように階層化の見直しなどいろいろなファク ターが変ってきましたので、現状でその辺りのところはどのようにお考えなのか、数が もし出ていたら教えていただければと思います。 ○勝又健康局保健指導室長 基本的な数字は変わらないと思いますが、保健指導の実施 率20%等に合わせて、これから試算をしていきたいと思います。 ○辻座長 ほかに何かございますか。この指針全体を通して、何か保険者の方。 ○草間委員 健診項目に関しては厚生労働省の省令で定めるということで、先ほど1− 1でご説明いただき、これはすでに『医事新報』とか、さまざまなものに出ているよう ですが、例えば、先ほど血糖値に関しては、HbA1cのほうがどちらかと言うと先にとい うことだとすると、まさに体裁だけの問題ですが、空腹時血糖またはHbA1cというより も、これは逆にしていただくほうが。いまここで議論を聞いていればいいですが、これ だけが独り歩きするときは、どちらをドミナントにするかというと、ドミナントにする ほうを先に書いていただくほうが、これだけを見る人にとってはわかりやすいと思いま す。形式的な問題ですが、いかがでしょうか。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 草間委員にはまた必要があれば詳しくご説明をさせ ていただきますが、実はとても議論があったところです。そもそもメタボリックシンド ローム診断基準は空腹時血糖を使っていて、HbA1cを使っていないという事実がありま す。それから保健指導対象者を選ぶときと、実際に評価をするときとでどのようにやる かと。HbA1cは、評価をするにはいいのですが、ピックアップするときには、やはり空 腹時血糖がいいのではないかという議論もあるのです。ですから、そこの議論も踏まえ て、このような形になっております。また必要があれば詳しくご説明に上がります。 ○草間委員 わかりました。ただ、私も欠席していたのでなかなかわからないのですが、 2、3回出てもその程度しかわからないとすると、これしか見ない人はもっとわからな いかなと思います。 ○辻座長 これから制度として全国的に広がっていくわけですから、できるだけ正確な 情報が全国津々浦々のすべての保健所に伝わり、そしてそれが実施されるというのは相 当なエネルギーが要求されますので、その辺を含めて、これからのコミュニケーション、 伝達の問題はよろしくお願いします。 ○津下委員 いまの伝達という話ですが、いまは保険者・保健指導機関にはかなり情報 が行きつつあるところですが、実際に当事者である加入者全体に、この制度が変わると いうことをどのように通知されるのか。各保険者が積極的にされることは当然想定され ますが、国としてもこの制度の大きな改変について、メッセージを発信していただけれ ばと思います。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 来年度の予算も通りましたので、なるべく国民運動 も含めて、このようなことの普及啓発をこれから図っていきたいということで、予算も 認められていますので、なるべく普及啓発をしていきたいと考えております。 ○辻座長 その点よろしくお願いします。これは基本的にハイリスクアプローチですが、 それをバックアップするような国民全体のキャンペーン、あるいはいろいろな意味で国 民全体の無関心期を関心期にしていくような、そういう取組みがあって初めてこれは生 きてくると思いますので、どうぞよろしくお願いします。ほかに何かございますか。 ○櫻井委員 技術的な質問で恐縮ですが、資料3の「基本指針(案)」の6頁の下のほ うの3、「2の場合において、特定健康診査の受診券又は特定保健指導の利用券を交付 する場合には」という書き方がしてあります。この資料3と参考資料3の関係がよくわ からないのです。例えば参考資料3のような受診券を発行してくださいということにな るのだろうと思いますが、先ほどの対馬委員のご質問とも関係しますが、この3という のは「2の場合において」ということで、2に関連づけているので、国保の被保険者に 対する特定健診というのは、基本的には従来の適正化室のご説明では、基本健診のやり 方をそのまま受け継いでいただければできるのではないかというお話でしたので、従来 の住民基本台帳から40歳以上を選ぶのではなく、国保の被保険者台帳から40歳以上を選 ぶという所は変わりますが、それ以外のいろいろなシステム、やり方をできるだけ使い ながら、新たな設備投資をしないでやりたいというように考えることが多いと思います。 そこは基本的にそのように考えておいてよろしいのかどうか。要するに、この参考資料 3のような新しい形の受診券なり何なりを発行するということを、国として奨励すると いうお考えは特にないと考えておいてよろしいのでしょうか。個々の被保険者に対する 場合です。 ○梶尾企画官 まず参考資料3のほうは、特に被用者保険の被用者を念頭に置いた集合 契約をやる場合には、標準的なものとしてこういうもので統一したらどうでしょうかと いうワーキングでの成果ということです。例えば、市町村国保なりのそれ以外の場面で、 受診券なりを発行するかしないか、発行する場合にどうするかというのは、基本的には そこは、もともと参考資料3自体は、ある意味でガイドライン的なところがありますが、 任意という形になろうかと思っています。  いまご指摘いただいたので考えてみますと、3の「2の場合において、」は必要ない と思います。その保険者が受診券・利用券を発行する場合は、その様式を定めてくださ いということを書けばいい話ですから、ちょうどご指摘いただきましたように、「2の 場合において、」は削除したいと思います。 ○辻座長 「2の場合において」という文字だけを削除ですか。 ○梶尾企画官 はい。2の場合に限らず、使う場合はその様式を定めるということです。 ○久代氏(田村委員代理) 必須項目に尿蛋白が入りましたが、メタボリック症候群と は直接関係なく陽性になる場合も多いと思います。尿蛋白陽性者に対して、メタボリッ ク症候群の指導の枠組みでどのようにして指導していくかというのは、現場で混乱する のではないかという気がしますが。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 このことにつきましては、腎臓病学会等をはじめと して、きちんと治療ガイドラインを作っていただきたいということをお願いしておりま す。 ○辻座長 ほかによろしいですか。それでは、いまご説明があったように、今後、この 保険者の方々におかれては、この「特定健診等基本指針(案)」に基づいて、計画策定 等の準備を進めていただくことになります。  それでは、本指針案について若干の修正がありましたが、本検討会での議論を経たと いうことで、整理させていただきますが、よろしいでしょうか。  特に異議がないようですので、そのようにさせていただきます。どうもありがとうご ざいます。  次に議題(4)に入ります。前回の検討会で、健診機関等の準備状況についての報告 をいただきましたが、その際、保健指導の実施に向けた民間企業の取組み状況について 報告したいというご要望が、日本経団連の赤星委員からありましたので、お話を伺いた いと思います。赤星委員お願いします。 ○赤星委員 それでは報告をさせていただきます。資料4に従ってご説明いたします。 1月に示されたポイントモデルを踏まえ、株式会社型保健指導事業者がどのような準備 を行っているか、当部会の参加企業約30社を中心に行った調査結果をご紹介したいと思 います。本調査では当部会の企業を中心にしましたが、部会以外で希望される会社にも 入っていただきました。6事業者です。ケースとして15の事例が寄せられました。  まず、お手元の資料にありますが、支援ポイントの分布ですが、積極的支援の最低ポ イントが180ポイントであるのに対し、今回の事例では180ポイントから580ポイント と多岐にわたっております。250ポイント以下に事例が集中はしておりますが、株式会 社型が最低限の内容しか考えていないわけではないことをご理解いただけるかなと思い ます。  一方、価格の分布は、資料では20,000円、正確に申し上げると21,000円から85,000 円と非常に幅広いものとなっております。中心となる価格帯は30,000円から35,000円 で、45,000円を超えるような事例も多く、価格は二極化になっております。この理由と しては、2頁に記載していますが、いろいろな価格を構成する項目があります。そうい う項目をどの程度提示費用に含んでいるかについて差があります。非施設型事業者にお いては、面談会場代や交通費等は別途実費を請求しているケースも多く見られます。さ らに、標準的な健診・保健指導プログラムに示されている支援ポイントには直結しない ような業務、例えば参加の勧奨、各種事務連絡、督促等においてもかなりの業務量が発 生すると予想されることから、単に支援ポイントと実施金額が比例するものではないと いうことをご理解いただければありがたいと思います。  3頁以降に具体的なプログラム例を示しております。表のいちばん左側は、施設型、 非施設型の区分。中段は初回面談から6カ月後評価までの加入パターン。いちばん右端 が事例における支援ポイント数です。詳細の説明については時間の都合で割愛しますが、 ぱっと見ますとほぼ同じに見えますが、一つひとつやはり特徴があります。前回の検討 会において、積極的支援においては、所定の支援を勘定しなければ、参酌上積極的支援 を取り扱わない旨の回答をいただきましたが、今回の事例を見ておわかりいただけるよ うに、途中でやめたとしても、すでに180ポイント以上取られているというようなケー スもあります。このようなプログラムにおいて設定したポイントには達していないもの の、180ポイントを超過している場合には、積極的支援を実施したと参酌上は取り扱わ れるのかどうかをお聞きしたいと思っております。一律に未勘定とすると、非常に熱心 な加入をしようとしている事業者ほど不利になるようなケースが出かねません。  保険者の皆様には申し訳ないことですが、実は価格と言いましても、先ほど申しまし たように、どの項目が価格の中に算定されているか、実費請求になるのかが統一がとれ ませんでした。当然のことではありますが、それは各社の事業戦略上の問題ということ で、明確になりませんでした。そうなると、適正な競争が行われるためには、どのよう な項目を含めて比較を行われたいのか、このままでいくと保険者ご自身でご検討されね ばならないという形になるかと思います。そうならないように、一定の項目については 必ず価格中に含める、それ以外は、別途実費請求などというような基準を事務局でお示 しいただけたら、比較的、いろいろ各社が提示した価格をそのまま比較できるのかなと 思います。それについてもご意見をいただければと思います。以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。この議題に関連して、前回までの検討会でも健診 ・保健指導の事業者団体における保健指導サービスの価格について伺いたいという要望 が、委員から多数ありました。この件について事務局で資料を用意いただきましたので、 ご報告いただき、その後に一括して議論をいただきたいと思います。 ○勝又健康局保健指導室長 参考資料1をご覧ください。「事業者団体における積極的 支援の価格」です。1は「プログラムの支援パターンに基づく試算」ということで、支 援パターンが保健指導の実施要件ということで示されておりますが、その1〜3ですが、 支援パターン1が初回面接プラス個別支援Aを2回やったもの。支援パターン2が初回 面接と個別支援のAを1回やるというもの。それ以外は全部e-mail、電話などです。支 援パターン3は初回面接だけを個別でやり、その後は電話、e-mail。そういうようなパ ターンで分けております。  まずAですが、支援パターン1としては、31,500円〜61,500円。支援パターン2では 22,000円〜55,000円。支援パターン3が21,000円〜66,000円となっています。これの 積算の根拠としては、新規のシステム開発費以外は、すべて場所代、あるいは教材費、 通信費、人件費等も含めた金額で、東京近郊での実施をイメージして作られたものです。 価格に格差が生じている原因としては、受託人数、あるいは開催の状況、受託歴の差に よる事務コストの差、あるいは営業活動のコスト、忙しい時期、忙しくない時期などの 受託時期を考慮すると、これくらいの差が出てくるということです。さらに中断者、欠 席者等への対応については、現在検討中で、試算の中には含まれていないということで 積算をしているのがAです。  Bは支援パターン1で19,950円、支援パターン2で34,650円、支援パターン3で 20,160円となっておりますが、ここは算出根拠としては、保健師等の支援にかかる単価 を半日4時間50,000円ということで、これには実際に保健指導をされている時間数、さ らには準備、記録、データ分析、事前の打合せ、通信費なども含まれており、交通費、 教材費等については別途実費をいただくということで、含まれていません。そういうこ とで計算され、19,950円などという数値が出ております。  次にCは、C−1とC−2の2つに分かれております。C−1が、基本的には算出の 基準は、診療報酬の点数表に準ずるということで、初回4,000円で、この4,000円とい うのは初診料270点、外来栄養指導料130点を足したものです。継続的支援については 1万円ということで、再診料と外来栄養指導料を6回掛けて、10,000円という数字を出 されています。生活習慣病管理料を10,000円追加され、それにより、特定保健指導の料 金24,000円という計算をされています。支援パターン2、3で3,000円ずつ減っている のは、個別の支援が1回ずつ減っていくということで、その分で3,000円ずつマイナス をされているという計算です。  C−2は、17,000円、10,000円、9,300円ですが、これは電話、e-mailなどの単価を 積み上げていかれており、基本的には、以下の診療報酬の点数表の解釈によるというこ とで積算をされている状況です。  2番目は、「事業者団体の独自の支援パターンによる試算」で、支援形態としては初 回の個別支援、継続的な支援ということで電話A、電話B、電話Aと個別支援Aという ことで、最終的に評価を、面接をされて個別支援をするというパターンですが、これは 18,709円です。特定保健指導利用者の1日当たりの見込みを10.3人ということで、利 用者の数を出していて、それらの方々に対して保健指導をする人員として、保健師1人、 事務職1人分の人件費、設備費、通信費、材料費を見込んで計算をされて、18,709円と なっています。  3番目は、「特定健診・特定保健指導の実施に関するアンケート調査からの試算」で、 これはEの事業者ですが、これはアンケートで、大体いくらぐらいにされるのかをお聞 きになった結果からということで、動機づけについては7,000円〜12,000円、積極的支 援については30,000円〜60,000万円という数値をいただいております。以上です。 ○辻座長 確認のためお聞きしますが、A、B、Cというのは何ですか。 ○勝又健康局保健指導室長 事業者A、事業者B、事業者Cということです。 ○辻座長 つまり、それぞれ単体の事業者ですね。サービス提供事業者ですね。Aで幅 があるのはどうしてですか。 ○勝又健康局保健指導室長 Aで幅があるのは、先ほどご説明しましたが、受託人員、 あるいは開催の状況、営業コスト、受託時期などによって差が出てくるので、そういう ものを見込んでいるということです。 ○辻座長 つまり、1つの事業者であっても、サービスを提供している対象によりこれ だけ幅が出ますということですね。 ○勝又健康局保健指導室長 はい、違ってきます。 ○辻座長 わかりました。何かご質問、コメントはございますか。 ○梶尾企画官 先ほど赤星委員からのご説明の中で、事務局への質問が入っておりまし たのでお答えします。1点目の、例えば500何ポイントのプログラムを用意していて、 途中で止まって、その時点で180ポイントが発生している場合というお話ですが、質問 の際に頭にある話ですが、それは、例えば6カ月間で580ポイント分のプログラムを想 定したけれども、2、3カ月やって、中間評価をしたらきちんと達成できていたと。よ って、その計画の変更もして、そこで終って、それでもそれ以降のことはやらずに6カ 月分の評価をやるけれども、200何十ポイントぐらいで終りましたという話をされてい るのか、あるいは途中で来なくなってしまったのだけれども、それまでの間に200ポイ ントはやっていましたという話をされているのかにより、お答えが少し違ってくるとこ ろがあります。 ○赤星委員 当然問題になるのは後者だと思います。 ○梶尾企画官 後者でしたら、やったことにならないという整理になろうかと思います。 ○大島企画官 もう1点、価格の出し方ですが、それぞれの事業体の特色もあると思い ますし、統一的な出し方を一律に決めてしまうのは難しい面もあろうかと思います。た だ、もう少し何か比較しやすさの点で工夫できないか、考えてみたいと思います。併せ て、いまのご指摘に関連しますが、それぞれの保健指導機関はホームページなりで自分 の事業内容の重要事項を公開することになっており、その項目の中に費用の課金体系と いうことで、価格が従量単価なのか、あるいは固定費を入れたものか、などを示すこと になっておりますので、そこのところで、例えば今日ご指摘があった場所代・教材費が 別途かかるのかどうか、といったことが見えるような形で、修正する方向で考えたいと 思います。 ○赤星委員 ありがとうございます。 ○辻座長 ほかに何かご意見ございますか。 ○奈良委員 私ども人間ドック健診を続けてきた者にとりましては、ガン検診なども全 部含めて、人間ドックで大体このぐらいという線を出しています。実際にその中には、 原則として指導、あるいはアドバイスのないドックはない、健診はないと思っておりま したので、全部そういうものを含めてやっていたのですが、交通費・会場費などは計算 しなくてもいいのではないかという感じがいたします。そのように見てくると、私ども ではCパターンあたりが比較的馴染みがあるかなと思っております。価格の問題を討議 するのは非常に難しい問題があるので、これはこういう所であまりやらないほうがいい のではないかと思います。 ○辻座長 たぶん、具体的にどのパターンがいいと決めるのは、この検討会の目的では ないと思いますが、むしろ幅があることの要因がどこにあるのか、その辺は考えてみた いと思います。対馬委員、何かありますか。 ○対馬委員 いまの話と関係するのですが、いま口頭で説明していただいたのである程 度はわかったのですが、この場でやるのがいいかどうかはあると思いますが、もし然る べき別途の場でやるのであれば、もう少しこれのコメントというか、これだけでは本当 にわからないです。わかりやすくということをもう少しやっていただければありがたい と思います。 ○勝又健康局保健指導室長 事業者も試行錯誤されているという段階でして、積算の内 訳についても、ここまでは公表してもいいが、ここまでは、というようなこともあり、 もう少し経ったら出てくるのかもしれないのですが、そういうような状況ということだ けご理解をいただきたいと思います。 ○赤星委員 メーカー等でしたら、原価の構成というのはほぼ決まっていてわかるので すが、今回はそうではなくサービスの中身でもありますし、初めてやることですので、 言えたとしても、このような項目を入れてください、その区分けは要りませんというよ うにしないと、話が進まないと思います。ただ、これだけは入れるという、マスト条件 で入れる項目とそれ以外は別だということをはっきりしていただくだけでも、結構なメ リットがあるかなと考えます。 ○田中委員 何となくこういう数字を見始めると、数字をいじりたくなるのですが、要 するに5,600万人を健診する。そうすると健診費用はいくらか知りませんが、10,000円 なら5,600億円。保健指導の費用が真ん中を取って30,000円としたら、1兆6,800億円。 データ管理費がいくらになるかわかりませんし、各保険者は人的な整備もしなければい けない。そうするとやはり1,000億円、2,000億円かかる。そうすると2、3兆円の金 がかかります。そうすると生活習慣病の総医療費は、平成15、16年の数字では10兆円 程度でしたね。生活習慣病対策として、医療保険者だから言っているわけですが、2、 3兆円の金をかけるということは、いわゆる医療費10兆円が7兆円以下に下がらなけれ ば駄目ですね。その辺りを考えるわけですが、そこを政府はどのように試算されている のでしょうか。 ○大島企画官 健診の受診率は7割ですが、保健指導は引っ掛かった方の45%で、引っ 掛かった方が先ほど資料にありましたが、大体25%。その25%も、積極的支援と動機づ け支援に分かれ、動機づけ支援は1回きりの面接なので、もう少し単価は落ちるとは思 いますので、保健指導を実際に受ける方の人数や費用は絞られてきます。それで費用対 効果としては、確かに費用として、健診や保健指導という新たな事業のために必要にな りますが、そこは国も、一部ですが助成を行ったり、利用者も一部負担をしていただい たり、あるいは事業主健診で優先される部分もありますので、そういう費用を組み合わ せて、残りを保険者に保険料から負担していただくことになります。トータルとして長 期的に見れば、中身の適切な保健指導が行われれば、医療費の削減と投入した効果は見 合うのではないかと考えております。ただ、それが本当にそうかと言われると、それは やはりデータを見て、中間時の検証、あるいは5年後の検証の時点で、果たしてどうな のかという評価をしていかなければならないと考えます。 ○田中委員 5年経って、効果がどうも見込めなかったらやめる、ということは考えな いわけですね。 ○大島企画官 5年は少し短いのかなと思うのですが、10年スパンぐらいでみて、効果 が出なければやり方をどう考えるか、根本的な検証をしなければならないと思います。 ○辻座長 よろしいですか。始める前から、うまくいかなかったらやめるという議論は なかなか馴染まない部分があります。  もう一度価格に戻りますと、やはりあまりにも違いすぎるので、何かこれが参考にな るかというと、少し厳しいかなという感じがします。例えば支援パターン1と支援パタ ーン2の相対的な関係で見ると、Bはかなり支援パターン2のほうが高いのですが、C では安かったりなど、根本的なところが食い違っていますので、それはたぶん、それぞ れの事務コストとしての適正的なレベル、あるいはイニシャルコストが入っていたり、 入っていなかったりなどいろいろありますので、先ほど赤星委員がおっしゃったように、 基本的なパッケージを明確にした上で、それぞれの単価を出していくような形で、少し その幅の要因が明らかになって、どの辺が許容できる範囲なのかということが出ないと、 おそらく各保険者もアウトソーシングのときになかなか決めかねると思いますので、そ の辺については、これからまた詰めていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ほかに何かございますか。 ○津下委員 いま田中委員から、これがうまくいかなかったらということがありました が、うまくいくかいかないかが評価できる仕組みが入るということが、とても大きいの ではないかと思います。いままでは老人保健事業も効果を見せることがなかなか難しい 仕組みだったと思うのですけれども、今後、この生活習慣病対策をやっていくにあたっ て何を重点化するのか、そういう戦略を考えるという意味では、対象疾患が今後移って いくかどうかは、やはりそういう健診データ、医療の状況を見ながら戦略を立てていけ る、評価をして次にどういう手を打っていくかを考えられる仕組みづくりという点では、 大きな財産になるのではないかなと期待しています。そういうようなデータの使い方が できるように、仕組み、制度を作っていただきたいと思っております。 ○辻座長 全くおっしゃるとおりだと思います。ほかに何かございますか。よろしけれ ば議題の(5)「その他」です。事務局から報告をお願いします。 ○梶尾企画官 参考資料2は、「特定健診等を実施するための集合契約について」とい うタイトルでわかりにくいのですが、前回の検討会の際に、集合契約のやり方でやるも のが独禁法上の問題はどうなのかというご質問がございました。その前から公正取引委 員会と話をしておりましたが、この検討会に報告をするという前提で、このように考え ていますがどうでしょうか、ということで調整し、担当課と調整済みということで、こ の検討会で今日は報告いたします。  1は、特定健診、保健指導の概要はこういう仕組みですということです。  2は「代表保険者と医師会等の地域の健診機関との集合契約の概要」ということで、 (1)で現在市町村が地区医師会と老人保健の健診については、市町村が予算で決めた 価格で、健診機関のうち希望するものを実施機関として健診を行っている、というのが 現在の状況です。これについては独禁法上の問題は生じていない。次の頁で、平成20 年度以降は同様のやり方で、市町村国保と地区医師会とが契約をする。(3)は、その やり方を代表保険者を定めて、それと医師会等の地域の健診機関との契約をするという 形で、こうなるのですけどということを説明しまして、(3)の最後にありますが、た だちに独占禁止法上の問題は生じないと考えるということです。  2頁の3は、「代表保険者と日本病院会等の事業者団体との集合契約」。いま、健保 連と人間ドック学会等との契約がありますが、(1)が、現在そういうものがあります と。 それについては改定がある健保連で価格を決めているということで、価格表も健保連会 で作っているということで、独禁法上の問題はないと理解しております。そういうやり 方を今後も代表保険者等と日本病院会等との間での集合契約という形であれば、ただち に独禁法上の問題はない考えであるという整理です。  もちろん、仕組みはそうだということの上で、実際のところで問題あることが行われ ていれば、実態判断は当然あり得ますが、仕組みとしてこういう形であれば、ただちに 独禁法上の問題が生じるものでないということを確認いただいているということの報告 です。以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。この報告について何かご質問ございますか。 ○対馬委員 公取との関係を整理いただきありがとうございました。おそらく、あとは 問題ないのでしょうが、例えば2頁の下から4行目ぐらいの所は微妙に最後の結論が書 いてありますが、「ただちに云々」というのは同じなのですが、「問題は生じないと考 える」と言っておいて、3頁の真ん中辺りでは、「生じないと理解している」と書いて います。いちばん最後には「問題はないと考えている」と、微妙に変えているのですが、 これは特段意味はないですね。いずれも同じことですね。 ○梶尾企画官 特段の使い分けはしておりません。 ○対馬委員 わかりました。 ○奈良委員 実は2頁のいちばん下に「人間ドッグ学会」と書いてありますが、「グ」 は「ク」に直していただきたいと思います。 ○梶尾企画官 間違いなく直します。 ○辻座長 ほかによろしいですか。若干時間が残っていますが、用意された議題は以上 で終了としたいと思います。  本検討会は、平成20年度からの特定健診・特定保健指導に向けて、来年度は各保険者 が具体的な作業を本格化しなければいけませんので、平成18年度中に急いで検討すべき 論点について議論することを目的として、昨年8月から計6回にわたり開催してまいり ました。皆様のご協力をいただき、今回でひとまず現時点までの検討内容を取りまとめ たことになりますが、改めて委員の方々のご協力に御礼申し上げたいと思います。つき まして、本検討会の今後について事務局からご説明ください。 ○深田医療費適正化対策推進室長 辻座長はじめ関係の委員皆様方にはお忙しい中、6 回にわたる検討会にご参加いただき、ご意見を賜り、誠にありがとうございました。  座長からもお話がありましたように、月1回ペースでかなり長い時間ご議論いただい てまいりましたこの検討会ですが、取りあえず決裁やデータ送信、あるいは代行機関と いった自主体制の問題、あるいは今日議論に出た基本指針や加減算の論点の整理、問題 点の整理など、今後やっていかなければならないことの重要なご議論をいただいたと理 解しております。  この検討会は、取りあえず平成20年から実施する上で準備に入る、という前提で論点 を整理して議論してきましたので、検討はひとまず中締めになり、今後、各保険者、あ るいは健診機関をはじめとする関係者の皆様方で準備作業に入っていただく段取りにな り、本格的に動いていくと思っております。準備に入って進んでいく中で、どうしても 状況を把握しなければいけないことになったり、問題が生じたり、あるいは議論が必要 となるといった事態もあるのではないかと考えております。状況を見ながらですが、座 長とも相談をして、円滑な実施が進められるよう、必要があれば、またご議論いただく ことで運営を考えていきたいと思っております。また、この検討会の下にはワーキング チームを置いていただいており、今日も資料をいただいていますが、実務的な議論、あ るいは調整を行ってきており、これについては今後も作業チームとして活動していきた いと思っておりますので、各委員の皆様、あるいは各団体におかれては、今後もご協力 いただきますよう、お願いをいたします。ありがとうございました。 ○辻座長 それでは、以上で本検討会を終了いたします。どうもありがとうございまし た。   (了)