07/03/19 第5回がん対策の推進に関する意見交換会議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             佐々木(内線2945)     小 山(内線2946) 第5回 がん対策の推進に関する意見交換会 日時 平成19年3月19日(月)15:00〜17:00 場所 東海大学校友会館 望星の間 ○武田室長 定刻になりましたので、ただいまより第5回がん対策の推進に関する意見 交換会を開催いたします。  本日は、田島委員及び門田委員が御都合により御欠席との連絡を受けております。  それでは早速ではございますが、垣添座長、よろしくお願いいたします。 ○垣添座長 皆さん、こんにちは。年度末の大変お忙しい中をお集まりいただきまして、 ありがとうございます。この意見交換会も、回を重ねてまいりまして第5回となりまし た。大変ハードなスケジュールで御検討いただきましたけれども、さまざまな意見を集 約してまいって本日に至ったわけでありますが、何とか本日でまとめに入りたいと思い ます。どうぞ、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。  では、議題に入ります前に事務局から資料の確認をお願い申し上げます。   ○事務局 本日は、「がん対策の推進に関する意見交換会」提言(案)という資料が一つ でございます。なお、各委員には第1回から第4回までの資料を集めたファイルをお手 元にお配りしております。資料の過不足等がございましたら、事務局までお申し出をお 願いいたします。  特にないようでしたら、ではここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御 協力のほど、よろしくお願いいたします。   ○垣添座長 では、提言(案)の検討に入りたいと思います。提言(案)については、 事務局に協力してもらい、私がまとめさせていただいた案を、前もって委員の皆様にお 配りいたしまして、それに対する御意見をいただいて修正したものを、本日、お配りし たということであります。それでは、これはそんなに長くはありませんので、事務局か ら全文、朗読いただけますでしょうか。   ○事務局 では、読ませていただきます。  「がん対策の推進に関する意見交換会」提言(案) I はじめに  がんは、我が国において昭和56年より死因の第1位となっているなど、国民の生命及 び健康にとって重大な問題となって久しい。現在では、年間30万人以上の方々が亡くな っていることから、3人に1人はがんで亡くなる計算であり、また、生涯のうちにがん に罹る可能性があるのは、男性の2人に1人、女性の3人に1人に上るとも推計されて いる。  がん対策については、20年以上にわたって着実に実施されてきた政府の対がん戦略に より、がんのメカニズムの一端を解明するとともに、各種がんの早期発見技術や標準的 治療法の確立など、その診断・治療技術も目覚ましい進歩を遂げてきた。  しかしながら、がんの疾病構造は極めて多岐にわたっており、がんの種類によっては、 最近10年間で死亡率や罹患率の増加が頭打ちに転じているものの、高齢化の進展と共に 未だ多くの部位のがんによる死亡数や罹患数は増加傾向を示している。  このため、画期的な治療法の開発や全国どこでも標準的ながん医療を受けることがで きる体制の整備、また、がん医療を充実させていくに当たってその費用を誰がどのよう に負担するのかといったことを国民全体で議論していくことが求められている。  本意見交換会では、平成18年11月以降、がん対策をめぐる様々な問題点や課題等の 抽出を目的として、がん患者や家族、がん医療従事者、有識者等それぞれの視点から、 今後のがん対策について、計○回にわたって情報の共有を行うと共に幅広い議論を重ね てきた。  ここに示す提言は、患者団体や学会等各種団体からのヒアリング、更には広く国民か ら募集した意見も踏まえた上で、本意見交換会での議論の成果を取りまとめたものであ り、がん対策に関わる様々な方々の多面的な意見を集約したものといえる。  厚生労働省には、本提言がなされた背景、意義及びそれに込められた国民の願いを踏 まえ、これまでのがん対策をより一層発展、推進することにより、全ての国民にとって 希望を託すことができる「新しいがん対策の時代」への道作りを行っていくことを期待 したい。 II がん予防・早期発見 1 現状  ○がんの原因については、様々なものがあり、喫煙、食生活及び運動等の生活習慣や 肝炎ウイルス等の感染症もその一つである。がんについては、こうした様々な原因に関 する大規模コホート研究等の推進や、その成果を踏まえた「21世紀における国民健康づ くり運動(以下「健康日本21」という。)」に基づく普及啓発など、予防対策が行われて いる。  ○がん検診については、昭和57年度に老人保健法に基づく市町村の事業として、胃が ん検診、子宮頚部がん検診が開始された。その後、子宮体部がん検診、肺がん検診、乳 がん検診、大腸がん検診が追加・拡充されてきたところ、平成10年度に一般財源化され、 現在は法律に基づかない市町村事業として整理されている。  ○企業における福利厚生や健康保険組合等における独自の保健事業の中で、がん検診 を実施している場合やがん検診受診の補助を行っている場合がある。また、任意で受診 する人間ドック等の中で、がん検診を受けている場合もある。  ○がん検診の受診率は、あらゆる実施主体によるものを含め、男女別がん種別でみた 場合、13.5%〜27.6%となっている。  ○国は、がん検診について、対象年齢、受診間隔、検診項目、精度管理等に関する指 針を示している。また、国は「がん検診に関する検討会」を設置し、平成15年12月か らがん検診の在り方について見直しを図っており、現在まで「乳がん」、「子宮がん」、 「大腸がん」に関しての検討結果を指針に反映させている。  ○平成20年度以降、がん検診等については健康増進法に基づく事業として引き続き市 町村が行い、糖尿病等の生活習慣病に着目した健康審査については医療保険者が行うこ ととなる。 2 提言  ○がんの予防について、国は、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」や健康 日本21に位置づけられているたばこ対策をより一層推進すべきであり、特に未成年者等 を中心とした喫煙対策・受動喫煙対策について重点的に取り組む必要がある。  ○大規模コホート研究など、国の施策として位置づけて実施すべき研究の体制整備を より一層推進するとともに、こうした研究のデータを分析することによって得られる科 学的根拠に基づくがんの予防対策について、既に得られている知見も含め、国立がんセ ンターのがん対策情報センター(以下「がん対策情報センター」という。)等を通じて、 医療機関はもとより広く国民へ普及啓発し、周知するべきである。  ○受診率の抜本的な向上を図るため、がん予防・がん検診について、その普及啓発も 含めた総合的な対策を推進すべきである。  特に、受診者を台帳管理し、未受診者に対する普及啓発や受診勧奨を行うなど、未受 診者を無くすことに重点を置いたより効率的ながん検診の推進を図るとともに、都市部 や町村部といった地域の特性に合わせたモデル的な取組を評価・普及すべきである。  ○市町村によるもののほか、人間ドックや職域での受診を含め、実質的な受診率を把 握できるような制度の創設を行うべきである。  ○有効性の確認されたがん検診を実施するため、科学的根拠に基づくがん検診の手法 の評価を、定期的に行う体制を今後とも維持していくべきである。また、精度管理・事 業評価についても十分検討すべきである。  また、これまでの研究成果を応用に結びつけるため、がんの早期発見の手法の改良や 開発に関する研究についても、より一層の推進を図ることが重要である。  ○市町村におけるがん検診と老人保健法における基本健康診査については、市町村に おいて同じ会場で実施されている場合があるが、平成20年度以降、実施主体が別になっ ても、受診日、受診場所、費用負担などについて受診者の利便性が損なわれないように 配慮する必要がある。  ○国民は、喫煙、食生活及び運動等の生活習慣とがんとの関係について勉強し、がん 検診を受診するように努めるべきである。 III がん医療 1 現状 (1)放射線療法、化学療法の推進及び医療従事者の育成  ○がんに対する主な治療法としては、局所療法として行われる手術療法及び放射線療 法、全身療法として行われる化学療法がある。治療に当たっては、がんの病態に応じ、 これら各種療法を組み合わせた集学的治療を実施する必要がある。  ○日本においては、胃がんなど、早期発見が確立し、また、手術や内視鏡手術等医師 の技術が高いとされる部位のがん種については、欧米より生存率が明らかに優れている という評価がある。一方で、放射線療法や化学療法は、専門家の不足等もあり、欧米に 比べて実施件数も少なく、質も担保されていないのではないかという指摘がある。  ○がんの専門医認定は、関係学会が各学会独自の基準(勤務した施設や期間、経験し た症例数、セミナーへの参加など)を定め、自主的に養成が行われている。  ○国においては、国立がんセンター等における検診を実施するとともに、がん診療連 携拠点病院(以下「拠点病院」という。)の指定要件として集学的治療の実施を義務づけ、 その推進を図っている。  看護師、薬剤師等については、国や学会等において、各種研修を実施している。  ○医師の養成段階では、各大学において、がんに関する教育内容の充実に努めている が、がん診療に関する教育を専門的に行う教育組織(講座)を設置していくことが必要 との指摘がある。 (2)診療ガイドラインの作成  ○国は、医療安全・医療技術評価総合研究事業(厚生労働科学研究費補助金)におい て、学会等が行うEBMの手法による診療ガイドラインの作成に対して支援を行ってい る。がんに関してはこれまでに、乳がん、肺がん、肝がん、胃がん及び前立腺がんにつ いてのガイドラインが完成している。  ○財団法人日本医療機能評価機構の医療情報サービス事業(通称:Minds)にお いて、診療ガイドライン等をデータベース化し、インターネットを介して広く情報提供 を行っている。また、米国国立がん研究所の大規模がん情報ページの日本語版も財団法 人先端医療振興財団が毎月更新・配信している。 (3)緩和ケア  ○緩和ケアについては、身体症状の緩和や精神心理的な問題への援助など、終末期だ けでなく、治療の初期段階から積極的な治療と並行して行われることが求められており、 がんが根治する状態か根治が困難な状態かに関係なく、適切に提供される必要がある。  ○がん性疼痛の緩和等に医療用麻薬が用いられているが、欧米先進諸国に比べると我 が国の消費量はまだ数分の一程度にとどまっている。また、がん患者及びその家族の心 のケアを行う医療従事者の配置も不十分である。  ○平成18年12月、適切な管理を図りつつも、医療用麻薬を使用しやすいようにする ため、医療用麻薬の管理マニュアルの改訂を行った。  ○緩和ケアチームの設置を拠点病院の指定要件としている。また、従来、緩和ケア診 療加算を算定している緩和ケアチームの専従である医師は外来診療を行うことができな かったが、入院中に診療した患者については、退院後も外来で診療を行っても差し支え ないこととし、より多くの患者に対して緩和ケアを提供できる体制の整備に努めている。 (4)在宅医療  ○がん患者の希望を踏まえ、住み慣れた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅 医療の充実を図ることが求められている。  ○国においては、平成16年度より、訪問看護推進事業を実施し、在宅ホスピスケアに 関する看護師の資質向上を図っている。また、平成18年度より、がんを含めた専門分野 における質の高い看護師育成事業として、症状緩和も含めた臨床実践能力の向上に向け た実務研修を実施しているほか、がん患者の在宅での療養にも資する在宅療養支援診療 所について診療報酬上の加算を行っている。  ○平成18年度より、介護保険において、がん末期の40歳から64歳までの者に対して 介護保険の保険給付を可能とするとともに、療養通所介護サービスの創設など、がん末 期患者を含めた在宅中重度者へのサービスの充実を図っている。しかしながら、介護認 定の手続きに時間を要し、利用を希望しているがん末期患者が実際には利用できないケ ースがあるとの指摘がある。 2 提言 (1)放射線療法、化学療法の推進及び医療従事者の育成  ○現状は、手術を担当する医師が、外来診療から化学療法まで行っていることが多い が、医師それぞれの専門性について国民の理解を得るように努めつつ、手術、放射線療 法、化学療法の各々を専門的に行う医師が協力し治療に当たる体制とすべきである。  ○手術、放射線療法、化学療法の各々を専門的に行う医師の養成を促進するためには、 大学において、放射線腫瘍学などがん診療に関する教育を専門的に行う教育組織(講座) を設置し、また、拠点病院において、がん治療を専門的に行う部門を設置するなど、意 欲を持って専門性が発揮できる環境整備に努める必要がある。特に、人材養成の拠点と なる大学では、大学病院との有機的かつ円滑な連携のもとに行われる大学院のプログラ ムとして、専門的にがん診療を行う医師、看護師、薬剤師、放射線技師等を養成すべき である。  ○化学療法については、根治を期待できる白血病等のがんもあるが、現状では完全に 治すことができないがんも多く、主として延命効果を期待して実施されることについて 理解を促進していく必要がある。なお、抗がん剤の多くは副作用を伴うことが多く、化 学療法を安全に行うためには、抗がん剤の効果と副作用を熟知している専門医による治 療が必要である。また、その際には副作用を抑える支持療法が適切に行われる必要があ る。  ○がんの専門医の養成については、がんの専門医認定に関係する学会等が協力する必 要がある。また、がん患者の意向を十分尊重した治療が適切に行われるよう、がんに関 する主な治療法の知識を持った医師の養成を行う必要がある。  ○がん医療における告知等の際には、がん患者に対する特段の配慮が必要であり、医 師のコミュニケーション技術の向上が必要である。また、告知を受けた患者の精神心理 的サポートを行う人材の育成など、体制の整備に向けた研究も必要である。  医療は、医師等の医療従事者と患者やその家族のより良い人間関係を基盤として成り 立っており、相互に信頼関係を構築することができるように努力すべきである。  ○専門的ながん医療の推進のためには、専門的にがん診療を行う医師や看護師、薬剤 師、診療放射線技師等の医療従事者が協力して診療に当たる体制を整備することが必要 である。特に、放射線療法については、近年の放射線療法の高度化等に対応するため、 放射線治療計画を立てたり、物理的な精度管理を専門的に支援する人材が必要である。 (2)診療ガイドラインの作成  ○国においては、引き続き、学会等の診療ガイドラインの作成に対して支援を行って いくべきである。また、学会は患者団体等との協力により、専門的見地にとどまらず、 患者の視点も加えた診療ガイドラインの作成を進めていくべきである。なお、診療ガイ ドラインも含めたがん医療について、新薬等の最新情報を収集し、がん対策情報センタ ーのホームページ等に掲載することにより、医療従事者及び一般国民に向けた周知を可 能な限り迅速に図っていくべきである。  ○全国の拠点病院が連携し、化学療法のレジメン等治療に関する情報を共有するとと もに、それらを広く公開すべきである。 (3)緩和ケア  ○緩和ケアについては、治療初期の段階から充実させ、診断、治療、在宅医療など、 様々な場面において切れ目なく実施されるべきである。そのためには、拠点病院を中心 として、緩和ケアチームやホスピス・緩和ケア病棟、在宅療養支援診療所等による地域 連携が必要である。その際には、一般病棟や在宅医療との間に垣根を作らないホスピス・ 緩和ケア病棟や、在宅における緩和ケアの在り方について検討していく必要があり、緩 和ケア病棟には、一般病棟や在宅では対応困難な症状緩和、在宅療養の支援及び終末期 のケア等の機能をバランスよく持つことが期待される。また、在宅においても適切な緩 和ケアを受けることができるように専門的な緩和ケアを提供できる外来を拠点病院等に 設置していく必要がある。  ○全国どこでも緩和ケアをがん診療の早期から適切に提供していくためには、がん診 療に携わる全ての医師が緩和ケアの重要性を認識し、その知識や技術を習得しなければ ならない。このため、医師を対象とした普及啓発を行い、緩和ケアの研修への参加を促 していく取組を推進していくべきである。  ○より質の高い緩和ケアを実施していくためには、緩和ケアに関する専門的な知識や 技術を有する医師等についても育成していかなければならない。このため、地域の緩和 ケアを支える緩和ケア医、精神腫瘍医、緩和ケアチームに対する教育や研修を行う必要 がある。また、身体的な苦痛に対する緩和ケアだけではなく、精神心理的な苦痛(心の ケア)等を含めた全人的な緩和ケアを、患者の療養場所を問わず提供できる体制を整え ていく必要がある。  ○緩和ケアを必要とする患者に対して緩和ケアが適切に提供されているか、拠点病院 において実施状況を評価する指標の作成を含めたシステムの整備が必要である。 (4)在宅医療  ○がん治療を継続する患者の退院時の調整を円滑に行うため、病院の医療従事者が、 情報提供、相談支援、服薬管理、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーション・薬局と の連携など、在宅医療を踏まえた療養支援を適切に行っていくために必要な体制を整備 していく必要がある。  ○地域連携クリティカルパスの整備や在宅医療のモデルの紹介等により、各地域にお いて、在宅医療が実施できる体制を計画的に整備していく必要がある。また、国立がん センター等においては、今後の我が国が目指す在宅医療の提供体制のあり方についての モデルを示していくよう努めていくべきである。  ○がん患者の在宅での療養生活の質の維持向上を図るためには、十分なケアを提供し ながら外来化学療法を実施する必要があるが、現状では外来化学療法部門に配置される 人員が不足しているとの指摘がある。このため、外来化学療法を提供していくための体 制について検討していくべきである。  ○在宅医療においては、訪問看護の果たすべき役割が大きいことから、訪問看護師の 確保を推進するとともに、訪問看護の24時間連絡体制の整備や事業所の充実等を一層推 進し、看護師の専門性を十分に発揮できるような体制を整備していく必要がある。  ○がん性疼痛管理や医療用麻薬に詳しい専門職等の育成や確保を図るため、在宅にお ける緩和ケアの関係者(医師、看護師、薬剤師、介護関係者等)に対して、それぞれの 業務内容に応じた専門研修を実施すべきである。  ○在宅医療に必要となる医薬品等の供給体制を確保するため、医薬品等の供給拠点と なる薬局の機能強化など、より一層の充実を図っていく必要がある。  ○在宅医療に必要となる医療機器の供給体制のより一層の整備を図っていく必要があ る。  ○在宅緩和ケアを行っている医師も最新のがん医療全般について、その知識を得てい く必要がある。 (5)その他  がん患者は病状の進行により、日常生活動作に次第に障害を来し、著しく生活の質が 悪化するということがしばしば見られる。このため、がん患者に対しても療養生活の質 の維持向上を目的として、運動機能の改善や生活機能の低下予防に資するよう、がん患 者に対するリハビリテーションについて積極的に取り組んでいくことが重要である。  ○小児がんについて、長期予後のフォローアップを含め今後より一層の対策を講じて いくべきである。 IV 医療機関の整備 1 現状  ○がん医療においては、拠点病院が、地域におけるがん医療の連携の拠点となり、自 ら専門的な医療を行うとともに、連携体制の構築や医療従事者への研修を行うこととな っている。また、地域のがん患者等に対する情報提供や相談支援を実施することとなっ ている。  ○平成18年度の医療制度改革においても、医療機能の分化・連携を推進し、地域にお いて切れ目のない医療の提供を実現することが打ち出されており、特にがん等について、 連携体制の早急な構築が求められている。このため、都道府県は、平成20年度からの新 たな医療計画において、がん等に係る地域ごとの医療連携体制について記載し、連携を 推進することとされている。 2 提言  ○標準的治療や先進的な医療の提供、術後の経過観察、在宅医療の実施及び集約的な 臨床研究の実施など、医療機能の分化・連携を推進する必要がある。  また、がん診療を行う医療機関は、地域連携クリティカルパスの整備など、医療機関 の連携体制を構築し、切れ目のない医療の提供を実現すべきである。その際には、医師 会など関係団体等と協力していくことが望ましい。  さらに、地域における連携体制の状況や各医療機関の専門分野等を情報提供すること により、がん患者の不安や悩みを解消していく必要がある。  ○拠点病院について、がん患者の視点も加えた評価の仕組みの導入や放射線治療が実 施できることを指定の要件とするなど、更なる機能強化に向けた検討を進めていく必要 がある。なお、実施している手術件数等が少ない拠点病院が存在するという現状を踏ま え、拠点病院の役割を整理し、その見直しを引き続き行っていくべきである。  拠点病院については、活動状況を適宜把握し、必要に応じて指導を行うべきである。 なお、指導により改善できない場合や都道府県内に拠点病院としてより適切な医療機関 がある場合は、その指定について取り消しを含めた検討を行う必要がある。  ○がん対策情報センターについては、専門家及びがん患者の意見を聞きつつ、企画立 案、医療情報提供、がんサーベイランス、臨床試験支援、診療支援、研究企画の業務を 実施し、その機能を更に充実させるべきである。  ○拠点病院を中心として、緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、在宅療養支援診療所等が 連携すること等により、地域ごとの連携強化を図っていくことが望ましい。  また、がんの種類等によっては、がん患者がその居住する県では必要とする治療を受 けられない場合もあることから、県を超えた医療機関の連携を図ることも重要である。  診断においても適切な医療が提供されるためには医療機関の連携が必要である。この ため、バーチャルスライドによる遠隔病理診断支援等を用いて医療機関の連携を推進し ていくべきである。  ○医師は、受診した患者についてがん診療が必要である場合には、必要に応じ、より 専門的な診療が提供できる医療機関を紹介するなど、適切ながん医療が受けられるよう、 日頃より注意を払うことが望まれる。 V がん医療に関する相談支援等及び情報提供 1 現状  ○患者及びその家族の不安や疑問に適切に対応できるよう、拠点病院に相談支援セン ターを設置している。さらに、様々ながん対策に関連する情報の効果的・効率的な収集、 分析、発信等に不可欠な中核的組織として、がん対策情報センターを設置し、両者によ る「情報提供ネットワーク」により、情報提供体制の整備に努めている。  ○相談支援センターでは、電話による相談のほか、面接による相談にも対応している。 また、がん対策情報センターにおいては、相談支援センターにおける相談を支援するた めのがん医療に関する総論的な情報を提供するとともに、相談支援センターの相談員に 対する研修を行っている。  ○がん対策情報センターにおいて、相談支援センターの相談員に対する研修を行うと ともに、国及び都道府県が実施するがん対策に関する国民の理解を促進するため、各都 道府県と協力し、がん情報サービス向上に向けた地域懇話会(以下「地域懇話会」とい う。)を開催している。  ○学会、患者団体、社団法人日本医師会、財団法人日本対がん協会、財団法人がん研 究振興財団等において、一般国民向けのがんに関する普及啓発、がん患者や家族からの 相談への対応といった活動が行われている。 2 提言 (1)相談支援等  ○がん患者や家族等が、心の悩みや体験等を語り合うことにより、不安が解消された、 安心感につながったという例もあることから、こうした場を自主的に提供している活動 を促進していくための検討を行う必要がある。  ○がん患者や患者団体、一般国民は、がん医療には限界があることも含めたがん医療 等の知識を今以上に得ていく必要がある。また、患者は自身のがんに対する治療及びそ の結果について、責任を共有することを再確認する必要がある。  ○がん患者及び患者団体等は、がん対策において担うべき役割として、医療政策決定 の場に参加し、行政機関や医療従事者と協力しつつ、がん医療を変えるとの責任や自覚 を持って活動していくべきである。また、各患者団体が必要に応じて議論を重ね、より よい医療体制を実現するために連携して行動すること等も必要ではないか。そのために は、行政や医療関係団体をも含んだ社会全体が患者団体の支援を行っていくべきではな いか。  ○いかなる医療を受けても心のケアが十分でなければ、よい医療とはいえない。がん 患者本人はもとより家族に対する心のケア(精神的支援)が行われる診療体制・相談支 援体制が必要である。  ○がん対策情報センターにおいて、引き続き相談支援センターの相談員に対して研修 を行うなど、相談支援を行う者を育成していくべきである。  がん患者の生活には、療養上様々な困難が生じることから、適切な指導助言を行うた め、相談支援センターに相談員を複数以上専任で配置するなど、相談支援を行う者を適 正に配置する必要がある。なお、その際には、既に相談に携わってきた看護師等の医療 従事者や十分訓練を受けた相談員を持つ患者団体等との連携についても検討する必要が ある。また、担当医に遠慮せず相談ができるよう、必要に応じて他の医療機関において も相談を受けられる体制を整備していくことが望ましい。 (2)情報提供  ○国民が、がんをより身近な病気として受けとめるとともに、がん患者となった場合 でも適切に対処することができるようにする必要がある。また、がん医療、がんの再発 患者や末期患者に対する誤解を払拭することも重要である。このため、国は、国及び都 道府県が実施するがん対策に関する国民の理解を促進するため、引き続き地域懇話会を 開催するとともに、地方公共団体や企業等とも協力しつつ、がんに関する知識を国民全 体に普及する必要がある。  ○がんに関する情報は、がん患者の立場に立って、様々な手段を通じて提供されるべ きである。また、インターネットを利用する者と利用しない者により、得られる情報に 差が生じないように配慮することが重要である。このため、がん対策情報センターの「が ん情報サービス」の内容を充実するとともに、相談支援センターにおける電話やファッ クス、面接による相談等を着実に実施していく必要がある。また、がんに関する情報を 掲載した冊子及びこれをリストにしたパンフレット等を作成し、拠点病院等に置くこと を検討すべきである。 ○がん患者は、適切な医療を受けられるよう、拠点病院を含めた各医療機関における治 療内容や治療結果など、医療機能情報の提供を望んでいる。このため、国は、今般の医 療制度改革を踏まえ創設した医療機能情報の提供制度により、医療機能情報をわかりや すく提供していくべきである。  ○がんの医療機関に関する情報をわかりやすく提供するため、分散された状態の提供 ではなく、がん対策情報センターから一元化して提供していくことが望ましい。  ○「いわゆる健康食品」については、正しい知識の普及、健康被害の未然防止や拡大 防止のため、科学的根拠のある情報を継続的に収集・蓄積などし、幅広く情報提供して いくべきである。  また、抗がん剤に関する安全性情報の提供等を行っていくべきである。  ○がん対策情報センターからの情報提供を更に促進するため、関連機関との連携強化 など、同センターによる情報収集が円滑に実施できる体制整備を推進する必要がある。  ○生存率等の情報公開に関しては、意見が様々であり、その入手を望まないがん患者 及びその家族の心理面等に配慮し、がんに関する情報公開の在り方を工夫する必要があ る。 VI がん登録 1 現状  ○がん登録は、がん患者のがんの罹患、転帰その他の状況を登録・把握し、分析する 仕組みであり、がん罹患率及びがん生存率など、がん対策の企画立案と評価に際して基 礎となるデータを把握・提供するために必要なものである。  がん登録には、当該都道府県内のがんの罹患状況等を把握する「地域がん登録」と当 該医療機関内のデータを把握する「院内がん登録」がある。  ○海外では、法律に基づき、全国的に実施している国も少なくないが、日本では一部 の地域(現在32道府県1市で実施)に限られており、罹患数については全国推計値が厚 生労働省研究班により推計されているのみである。  ○「地域がん登録」については、厚生労働省研究班において標準登録項目・標準的手 順を検討し、報告書として取りまとめ、がん対策情報センターのホームページ等を通じ て自治体に対し周知を行っている。  ○「院内がん登録」については、標準登録様式に基づく院内がん登録の実施及び地域 がん登録への積極的な協力を拠点病院の指定要件としている。  ○なお、健康増進法に基づく地域がん登録事業において、民間の医療機関等が都道府 県へがん患者の個人情報を提供することは、個人情報保護法等の適用除外の事例に該当 すると整理されている。 2 提言  ○がん登録の実施に当たってはまず、がん患者を含めた国民の理解が必要であり、そ の意義と内容について、広く周知を図る必要がある。  ○がんに関する情報を正確に把握するため、引き続き、実施体制の標準化について検 討を進めていくべきである。  予後調査に当たっては、住民基本台帳等の閲覧が有効であるものの、民間の医療機関 がその閲覧を行うには、多くの労力を必要とすることから、その方策を検討していく必 要がある。  ○拠点病院の指定要件として「院内がん登録の実施及び地域がん登録への積極的な協 力」が追加されたことに伴い、平成18年度から新たにがん登録を実施する拠点病院があ ることを踏まえ、既に実施されている取組みを情報提供するなど、拠点病院間の連携を 強化するとともに、個人情報の保護に万全を期することが重要である。  また、がん登録に関する国民の理解を促進するためには、第三者評価の仕組みや、が ん登録に従事する職員への教育や研修など、個人情報の保護に関する取組をより一層推 進するとともに、その取組を国民に広く周知することが重要である。  ○がん登録の実施に当たっては、医師の協力も必要であるが、その負担軽減を図りつ つ、効率的に行っていくためには、実施担当者の育成が必要である。このため、国立が んセンターにおける研修を着実に実施していくべきである。  ○地域がん登録は、統一的な基準により、国民の合意を得て全国で実施することが望 ましいが、個人情報を適切に保護することが必要であり、登録対象の範囲や予後調査の 方法を含め、諸外国では法律に基づき実施されていることも参考としつつ、地域がん登 録の実施手法について更なる検討を行う必要がある。 VII がん研究 1 現状  ○がんに関する研究については、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携し、基 礎研究、予防法の開発、診断薬・診断機器の開発、治療薬・治療機器の開発、標準的治 療の確立など、様々な側面から推進している。  ○臨床研究の基盤整備については、がん対策情報センターが、多施設が共同して臨床 研究を実施する際のデータセンターとして機能し、新しい治療法の確立を支援している。  ○文部科学省においては、大学病院勤務者を対象として、治験コーディネーターの養 成研修を平成10年度から実施している。  ○厚生労働省及び文部科学省は、がん等に関する治験・臨床研究の活性化のため、共 同で「新たな治験活性化5カ年計画」を策定し、平成19年4月から実施することとして いる。  ○GCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)においては、治験を実 施する医師は、当該治験が試験を目的とするものである旨を記載した説明文書を治験参 加者に交付し説明を行い、同意を得なければならないと規定されている。 2 提言  ○臨床研究グループへの支援や拠点病院等における臨床研究の積極的実施、治験コー ディネーターの増員・定員化や生物統計家の養成など、治験及び臨床研究の基盤整備・ 強化が必要である。  ○治験及び臨床研究については、情報の提供や公開を積極的に行うことにより、国民 の理解を得られるよう努めていかなければならない。  また、国民も、がんに関する治験及び臨床研究の意義を理解し、積極的に参加するこ とが必要である。  ○がんに関する研究については、基礎研究とともに、患者等からの期待が大きい臨床 研究に重点を置きつつ、難治がんに関する研究、患者のQOL(生活の質)の向上に資 する研究など臨床的に重要性の高い研究やがん医療の均てん化など行政的に必要性の高 い研究を実施することが必要である。  なお、研究を実施する際には国民の意見をより一層反映するように取り組んでいく必 要がある。  ○国は、研究成果が国民に対しわかりやすく伝わるように努めるとともに、臨床研究 の意義を広く国民に周知し、比較対照研究が、がん患者からの協力などを得て実施され るようにする必要がある。また、がんに関する研究がどういう場所やどれぐらいの額で 行われているのかについて、患者代表も参加した会議等で報告するなど、透明性を確保 するとともに、効率的な研究の実施体制を構築することが重要である。   ○垣添座長 どうも佐々木補佐、大変御苦労さまでした。やはり全文読むのは大変でし たね。御苦労様でした。  これで、過去4回議論してきた内容が大体盛られているとは思いますが、これから約 1時間20分ぐらいありますので、この時間を使いまして順次御意見をいただきたいと思 います。  まず、1ページの「はじめに」の部分は何かありましょうか。これは前文に当たる部 分ですが、しっかり書き込まれていて……。   ○山田委員 がん治療の均てん化のときからあったと思うのですが、がん対策について は全省をあげてやるということになっていたと思うのです。しかし、最後の3行目は「厚 生労働省には」ということになっているのですが、「厚生労働省を中心にして」とかその ような文言にかえていただいた方がいいかなと、今、思いました。   ○垣添座長 例えば文部科学省とか関係省庁があるということですね。   ○山田委員 そうです。   ○垣添座長 わかりました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか……。 よろしゅうございましょうか。では、先にまいります。  2番目、「がんの予防・早期発見についての1の「現状」と2の「提言」の両方、1ペ ージから3ページにわたって御意見をいただきたいと思います。   ○海辺委員 「提言」の最初に「たばこの規制について」というところでたばこについ て言及されているのですが、たばこががんに対してかなり影響があるというのは本当に よくわかっていることですので、もう一歩踏み込んで、もっと路上や公共の場での完全 禁煙とか罰金みたいなことを盛り込むような、例えばたばこ税の増税で肺がんの研究の 資金にするというようなことですとか、もっと具体的に踏み込んでもいいかなと。せっ かくがんの予防に関するものなので、そのように思ったのですが。   ○垣添座長 ここに関して、いかがでしょうか。   ○武田室長 たばこ対策に関してでございますが、委員、御指摘のように、予防の対象 となる疾患としてがんももちろんそれは大きなものでございますが、全般的にがんに限 らず、循環器疾患であるとかそのほか、広くたばこ対策を進めていくという議論が別途 行われているところでございます。それはこちらにも記載させていただきましたが、2 ページに、例えば「21世紀における国民健康づくり運動、健康日本21」というところで、 総体的に総合的、系統的にたばこ対策についての議論を進めているということから、こ こに特に絞り込んで改めてなる、という書き方ではないのではないかと理解しておりま す。  つまり、特に健康日本21というところで広くさまざまな角度から行っているというと ころから、特にがんに特化して行うのではなく、一元的にたばこ対策を進める中でみて いてくことが、より効果的なのではないかと理解しておるところでございます。   ○垣添座長 確かにそちらで検討されているのはわかりますが、がんに特化してがん対 策の推進に関する意見交換会でありますから、やはりここにもう少し踏み込んでもいい のではないでしょうか。   ○内田委員 私も賛成でございます。   ○垣添座長 価格の設定とか、「等について重点的に取り組む必要がある」くらい、これ はここに盛り込んでもそんなに大きな影響があるとは思えないのですが、どうでしょう。 がんに関してたばこの問題は1対1の対応がつく一つの明確な原因でありますから、そ れに対する対策はしっかり書き込んでもいいのではないかという感じがしますが、いか がでしょうか。   ○本田委員 私も賛成です。これはこの意見交換会からの提言ということなので、それ はきっちり書いてもいいのではないでしょうか。   ○角田委員 賛成です。   ○垣添座長 ありがとうございます。それではここは、文言はちょっと検討させていた だきますが、もう少ししっかり書き込むようにさせていただきたいと思います。ありが とうございます。  ほかにいかがでしょうか。   ○山田委員 四つ目の○の「市町村によるもののほか」、これで私はいいと思うのですが、 ただ、日本の場合、国民皆保険で、一般の病院に受診した人が例えば検診のような格好 でサーベイされて、肺がんの小さなものとか食道がんの小さなものが見つかってきてい る。これは国民皆保険でやっている日本の医療のいいところでもあると思うのですが、 それがアンダーというか、公には認められていない仕組みで行われています。そこら辺 のところにちょっと踏み込んで、実数を把握したり、あと、主たる症状ではなくてされ ている検査について、国として支援していく方向で考えていただいた方がいいかなとい う気がします。、例えば「人間ドックや職域での受診など」という表現で、少しそういっ た余地を残していただければいいかなと思います。   ○垣添座長 今の山田委員の御指摘は、提言の……。   ○山田委員 人間ドックや職域での受診は正式ながん検診の一部だと思うのです。では なくて、実質的に病院の中ではある程度、そういう検診的な業務がなされていると思う のです。そこでの調査とか今後それをどうするのかも含めて検討するという意味を含め て入れて「人間ドックや職域での受診などを含め」というような、「など」という言葉を 入れていただきたいということなのです。   ○垣添座長 病院で診療の一部として検診が行われている部分も含めてほしいというこ とでありますが、そこまで書き込んでしまうとお困りの部分もあるとは思いますので、 「など」ということで含ませましょうか。  ほかにいかがでしょうか。   ○上家参事官 今、山田委員がおっしゃった部分は、検診という視点ではなくて、早期 受診の結果、何か症状がある、もしくはインシデンタルなものもあるにしても、なにが しかの医療行為に伴う発見ということでございますよね。   ○山田委員 はい。   ○上家参事官 ここで書き込んでおりますのは、そういう何かきっかけがある、早期受 診としてなされるものではない段階で受ける、つまり何も症状もなく疑いもない段階で のがん検診という視点を書いておりますので、そこまで踏み込むというのはちょっと趣 旨がずれてくるのかなということもあります。  ただ、今、先生がおっしゃったような部分、早期受診の勧奨、早期受診の状況の把握 というものは、別の観点で書き加えることは可能ではないかと思うのですが、一緒にす るというのは、具体的に取り組むべき方向がはっきり見えにくくなるおそれがあるので はないかと考えますが。   ○山田委員 各国の受診率等を比較した場合、日本の受診率は非常に低いのですが、実 際に私どもが診察しているときにかなり早期の患者さん、普通では見つからない、症状 がない人がくるのですね。そういう検診でなくて見つかっている人がかなりいます。主 たる症状ではなくて無症状のうちに見つけるのが検診だろうと思いますので、そこら辺 も含めて「など」という言葉を入れていただいて、実態調査なり、例えばそういったと ころに支援することで、今まで検診を受けていない方が医療機関に来たおりに受診する ような仕組みもつくれるのではないかと思うのです。   ○垣添座長 多分それはなかなか今の段階では難しいような感じがしますけどね。ただ、 早期に病変を発見することの重要性みたいなことは確かに書き込めると思いますが、そ れは少しここでは難しいかもしれません。  ただ、私は、今のことと関連して、提言の後ろから二つ目の○ですが、「市町村におけ るがん検診と老人保健法における健康調査について、市町村において同じ会場で実施さ れている場合があるが、平成20年度以降云々」とあります。これは、がん対策基本法の 中にも、必要に応じて国民は検診を受ける必要があるということがうたわれていますが、 今、だれが検診の責任を持つのかというのが明記されていない感じがするのです。つま り、国なのか市町村なのか、それとも保険者なのか。つまりメタボリックシンドローム の20年以降のことを考えればですね。ですから、これは「検診の責任の母体を明記すべ きである」とか「明らかにすべきである」とか何か書き込めないでしょうか。  つまり、このがん対策の推進に関する意見交換会は、やはり我が国におけるがんにな る人を減らす、あるいはがんで亡くなる人を減らすことを最終目標として議論を重ねて きたと思うのですが、ここの部分がしっかりしていないと、確かに事務局としてはお困 りの部分もあるかもしれませんが、ある程度それが書き込まれていないと大きな成果に つながってこないのではないか。つまり、これが多分もとになって国の基本計画が定ま っていくと思いますので、何らかそういう方向が書き込めないだろうかと私は思うので ありますが、いかがでしょうか。   ○事務局 事務局の御説明をさせていただきます。本日、委員の先生方のお手元にあり ますバインダーにとじた資料にも入っておりますが、がん検診に関しては、平成20年か ら健康増進法に基づく努力義務、これは市町村の努力義務の事業ということで、一応ど こがということになると市町村の努力義務がかかっているという意味では、位置づけは 決まっておるということでございます。   ○垣添座長 位置づけは。それは、では私が誤解していました。ただし、だとすると、 現状を大きくクリアすることはできないのではないでしょうか。つまり、今ですら市町 村の財政が悪くてなかなか検診の受診率が上げられないとか精度管理ができていないと いう現状は繰り返し指摘されていながら、依然として市町村を実施主体とするというこ とであると、なかなか現状を大きく乗り越えていくことにはつながらないような気がす るのですが。   ○角田委員 努力義務ということだとなかなか達成されないことになってしまうと思う ので、何か目標値を設定するようなことを盛り込むような書き方はいかがなのでしょう か。   ○海辺委員 私も、2ページの受診率が現在13.5%から27.6%というのが現実であって、 この受診率が何%まで上がればがんの5年生存率であるとか死亡率が下がったりとか、 そういうことが研究結果としてもうあるわけです。せっかくがんの対策の提言なのです から、踏み込んでそこの数値目標まで入れていただけたらいいのではないかと思ってい るのですが。   ○垣添座長 ほかに御意見ありましょうか。   ○大江委員 これは私の感想ですが、3ページの一番上の、「特に受診者を台帳管理し」 という部分は何となくひっかかります。確かに受診率を上げることは大事ですが、これ はどういうことを想定されているのでしょうか。皆さん、違和感がなければ別にいいの ですが、私はこの「台帳管理」という言葉がちょっとひっかかりました。   ○垣添座長 これは事務局から答えていただいた方がいいかな。要するに受診対象年齢 の人たちをきちんと、例えば隔年で2年にいっぺん受けようとしたら、一度も受けてい ない人をきちんと検診に呼び込むということをうたっているのだと思います。つまり、 この地域の対象人口はこれだけあるときに、今年はこの群の人たちが受け、翌年は全く 別なこの人たちが受ける、ということを指しているのだと思います。ですから、多分こ れは検診の人たちにとっては違和感のない話ではないかという気がしますが、よろしい でしょうか。事務局の方でありましょうか。   ○武田室長 今の未受診者の台帳ということに関しては、委員の先生方からいただいて いる御意見としては、今、座長がおっしゃられた御趣旨というふうに理解いたしており ます。 ○上家参事官 ただ、「台帳管理」という言葉が確かに、関係者には違和感がなくても一 般の人にとって違和感があるかもしれないという意味では、今、座長に解説していただ いたような趣旨がわかるような形での書き換えということも考えてみるべきかなと思っ ております。   ○垣添座長 わかりました。そういたしましょう。   ○上家参事官 それから、海辺委員のおっしゃった受診率について目標を掲げるべきと いう部分は、3ページでいう三つ目の○ではなくて、1個目の○ですね、「市町村による もののほか、人間ドックや職域での受診を含め、実質的な受診率を把握できるような制 度の創設を行うべきである」、ここにさらに、あるべき姿、目標設定も検討すべきではな いか、ということを入れるということであれば、内容としては一致しているものだと思 われますが、3番目の○は、検診の体制が変わることで後退しないようにしたいという 意味のことを書いたつもりであります。  その意味で、「実施主体が別になっても」という言い方が少しわかりにくいのかもしれ ませんので、ここの部分は、先ほど事務局の佐々木が申し上げましたように、市町村が これまでどおりがん検診について責任を持ち、基本健康診査が今度、保険者が責任を持 つようになるという部分をもう少しかみ砕いて書くような形で、趣旨がもう少し伝わり やすくなるように工夫をしたいと思います。   ○垣添座長 ここは確かにわかりにくいですから、書き改めた方がいいと思いますが、 そうするとどこへつけ加えるとおっしゃっていましたか。   ○上家参事官 受診率については、3ページの1個目の○です。「市町村のよるもののほ か、人間ドックや職域での受診を含め、実質的な受診率を把握できるような制度の創設 を行うべきである」、このフレーズの続きのようなものに、その受診率が期待できる効果 があがるだけのところに目標設定をしていくという流れになるのかなと思われますが、 いかがですか。   ○垣添座長 だったら、一応趣旨は入りますね。それでよろしいですか。では、ここに 追加の文章を加えていただきたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。   ○海辺委員 あと、最後の○の「国民は喫煙、食生活及び運動等の生活習慣とがんとの 関係について勉強し、がん検診を受診するように努めるべきである」、その検診の部分は もちろんそれでよろしいのですが、あと、普及啓発という意味においては、後ろの11 ページのあたりの情報提供の場面でも似たようなことがあるのですが、広く国民にとい うことであったら、やはり先進国のほかの国がやっているように、学校教育の場でもが んに対しては子供のころから勉強していくことが大切であるという取り組みがなされて いますので、ここの部分で「学校教育の場でもがんについての知識を得るように努める べきである」というか、そういう文言を加えた方がいいのかなと思ったのですが。   ○垣添座長 たしか、検討会の何回目かでそういう議論があったと思いますから、これ は加えても別に問題はありませんね。小さいうちからきちんとがんに関する教育をする。 ぜひこれを加えたいと思います。  それから、最後の○の一番後ろ、「勉強し」というのはちょっと具合が悪いでしょうか ら、これは「知識を得ることに努め」とか何かそんな形に改めましょう。  ほかにいかがでしょうか……。よろしいでしょうか。  では、3番目にまいります。「がん医療」。1番が「現状」、4ページが「診療ガイドラ イン」「緩和ケア」「在宅医療」。  では「現状」から、何か御意見がありましたら。少し長くなりますので……。よろし いでしょうか。  では「提言」に入ります。5ページから8ページまでで、まず「放射線療法、化学療 法の推進及び医療従事者の育成」、「診療ガイドラインの作成」「緩和ケア」「在宅医療」 「その他」ということでありますが。   ○大江委員 提言の2番目の○ですが、手術、放射線療法、化学療法のあとの2行目に 「大学において放射線腫瘍学などの診療に関する教育を」というところで、放射線腫瘍 学も確かに大事ですが、腫瘍内科学というのも同じぐらいに大事と思いますので、併記 していただきたい。   ○垣添座長 「など」ではなくて、併記していただきたいと。そうすると、それ以外に もまだあるというから、放射線腫瘍学、臨床腫瘍学?   ○大江委員 腫瘍内科学にしてください。   ○垣添座長 「腫瘍内科学など」としますか。これはよろしいですね。   ○海辺委員 それに関しては、何回目かのときに、腫瘍学というがんに関するまとまっ た縦割りでない学問というふうなものの創設みたいなお話が出なかったかなと、今、ち ょっと思ったのですが、記憶違いだったら済みません。   ○垣添座長 がんに関する統一した講座みたいなものがないという議論は確かにありま したけどね。それの中には、当然、がんの一般から放射線腫瘍学とか腫瘍内科学とかそ ういうものを全部含めたものということに理解されると思いますが、ここの部分では一 応腫瘍内科学などということで、もう一言加えることにいたしましょうか。  ほかはいがかでしょうか。  (「その後ろに……」の声あり)  その後ろに書いてあるのですね。「がん診療に関する教育を専門的に行う教育組織(講 座)を設置し」と。   ○本田委員 同じ二つ目の○ですが、「特に、人材養成の拠点となる大学では、大学病院 との大学院のプログラムとして」というところなのですが、当たり前かとは思うのです が、大学病院だけではなくて、もちろん拠点病院との連携もあって養成も進められるも のだと理解しているので、「拠点病院」という言葉を入れるべきかどうかはわからないの ですが、それの確認と思いまして。   ○垣添座長 ここは一応大学のことが中心に書かれているのですね。ですから、別立て にしないといけないのかな。人材養成に関しても、大学病院が拠点病院になっている場 合もありますが、臨床ができるお医者さんを育てていくという意味では拠点病院との連 携も視野に入れてやっていただきたいということを感じました。  これは大学における話と拠点病院における話と両方ありますから、特に反対される委 員はおられないと思いますので、文言の修正だけ一、二、加えるようにいたしたいと思 います。   ○海辺委員 その次の○ですが、「化学療法については根治が期待できる白血病等のがん もあるが、現状では完全に治すことができないがんも多く、主として延命効果を期待し て実施されることについて理解を促進していく必要がある」と、再発したり転移した固 形がんについてそういう部分もあるのですが、化学療法の果たしているかなり大きな役 割としては補助化学療法という部分もあって、それに関しては延命というよりは治癒を 期待して行われるものですので、一概にこのように書くのはいかがなものかなと多少感 じたのと、日進月歩でどんどん変わっていきますので、ここまでばっちり書いてしまっ て、そうでなくなったときにいかがかなというところで、私はこれには疑問を感じたの で意見とさせていただきます。 ○垣添座長 補助化学療法とかあるいはアジバント、あるいはネオアジバントといった 化学療法は治癒を目的とするという部分がありますが、ここの文章とはちょっと別なあ れになりますが、それを加えるとすると、つまり積極的な意味合いでの化学療法と延命 医療を中心とした部分と、両方書き分ける必要があるかもしれませんね。ただ、学問の 進歩の結果、化学療法に積極的な意味合いが出てきたということを書き加えることは、 恐らく問題がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。では、ここは文章を 変えて何か加えるようにしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。   ○海辺委員 私ばかり済みません。6ページの2番の診療ガイドラインの作成のところ で、これを読んでいて私はかえって不思議に思いましたのが、診療ガイドラインという のは専門家が専門家の視点でつくったガイドラインというふうに解釈しておりまして、 「抗がん剤適正使用のガイドラインについて」というところもホームページでもう一度 確認いたしましても、ASCO(アスコ)にしてもザンクトガレンのコンセンサスとい うものにしても、それは専門家が出しているガイドラインという認識でしたので、診療 のガイドラインに患者の視点も加えた診療ガイドラインというのが疑問に感じたので、 これは「専門的見地にとどまらず、患者の視点も加えた診療ガイドライン」というのが どういうものなのかなということで質問したいのですが。   ○本田委員 ここは私がリクエストした部分なのですが、書き分ける部分は整理し直す 必要があるのかもしれませんが、確かに専門家の治療としての部分もありますが、今、 ガイドラインというのは、患者さん、家族にも治療の理解ができるようにということで、 患者向けのガイドラインなどが患者が参加してつくられる、それを進めていくべきだと 私は考えていますし、さらには本来の診療のガイドライン本体の、医療者向けのガイド ラインに対しても患者が入って作成しようという動きもあるので、そういう点を進めて いくべきではないかと考えてリクエストしました。  それは患者さんが参加することで何がいいかということは、もちろん患者向けのガイ ドラインに関しては、医療者が考えてではなくて、患者みずからがこういうことを知り たいということを言って、それをガイドラインとしてはまとめていくことが必要だと思 います。医療者向けに関しても、私はこの場でそれを詳しく言うことはなかなか難しい のですが、現実に医療者向けのものに対しても患者さんに入ってもらって、どういう診 療を望むのかという視点を加えて診療ガイドラインをつくろうという疾患も出てきてい ますので、それを応援していくべきではないかと思って入れましたが。富樫委員も参加 されているので、御意見があればぜひ。   ○富樫委員 乳がんの方の患者向けの診療ガイドラインに参加させていただいたのです が、あくまでも海辺委員がおっしゃったように診療ガイドラインというのは医者向けが 基本だと思うのです。それを、もちろん患者さんが読んでもいいことはいいのですが、 なかなか難しい、理解するのに時間がかかりますので、患者の視点も加えた診療ガイド ラインというのではなくて、患者向けの解説版という感覚でこれを書いていただいたら、 今の疑問はなくなると思いますが。   ○垣添座長 本田委員は、もう一歩踏み込みたいと思うのですね。ですから医師がつく るガイドラインに患者の視点も反映してほしい、そういう疾患も出てきたという意味が あるのだと思うのですね。 ○海辺委員 いわゆる診療ガイドラインというものが、ASCO(アスコ)であるとか いろいろな世界標準のガイドラインと比べると、日本の場合、どうしてもスピードが追 いついていなくて現場が大変混乱しているという現状があると思うのです。なので、い わゆる診療ガイドラインというものと患者さん向けのガイドラインというのは趣が違う のではないかと思うのです。上手に話せなくて申しわけないのですが、例えば今度、ザ ンクトガレンがあって、いろいろ日本の乳がんのお医者様などが参加されていても、そ こで発表されたよいものが日本ではすぐに使えない、そういうジレンマがあるので、も っと素早く日本で使えるガイドラインにしていくことがまず求められているのではない かと感じているのです。だから患者の視点が入るものというのは、どちらかというとそ れはクリティカルパスみたいなイメージなのかなと思ったのですが。   ○本田委員 医療者ではないので何ともあれなのですが、素早く入れるとかそういうの は臨床所見とかそちらとあわせての部分だと思うので、私も診療ガイドラインの分け方 はわからないのですが、大江先生。   ○大江委員 診療ガイドラインというのは、どちらかというと専門家が過去のデータを まとめてつくるものなので、そこに患者さんの意見をどうやって反映したらいいのかと いうのは素朴な疑問です。患者さん向けのガイドラインというのは別です。我々が使う ガイドラインというのは、あくまでも過去の臨床試験のデータをもとにつくるもので、 我々の意見でつくるわけではないのです。そこへ患者さんが入ってこられてどういう役 割をされるかというのは、よくわかりません。   ○垣添座長 確かに本田委員が指摘されたような動きがあることは承知しておりますが、 今の日本の現状では、国内のデータに基づいたガイドラインはなかなかつくれないとき に、少なくともこの領域のがんに携わる医師はこれだけの情報はきちんと把握してやっ てほしい、そういう意味としてのガイドラインをつくっている、という段階ですよね。 ですから、専門的見地に立つ診療ガイドラインというのはそういうことになると思うの ですが、その結果を患者さんや家族もできるだけ理解してほしいという意味では、私は 今、この時点では、患者さん用の理解しやすいようなガイドラインの作成にも努めるべ きだろうといった、そういう別な文章にするのでどうでしょうかね。   ○内田委員 書き分けてもらった方がいいと思いますね。   ○垣添座長 ありがとうございます。   ○本田委員 私も書き分けていただくことには全然、その方がわかりやすいと思うので 賛成なのですが、一言追加させていただくと、患者がなぜそういうことに入っていくか。 当然、患者向けのガイドラインもしくはガイドラインの改正といわれるものに対して患 者が入っていくことの意義は、皆さん、御理解されていると思うのです。  しかし、例えば一般の先生向けの患者ガイドラインにというのは、まだまだこれから 議論がされるテーマではあると思うのですが、今回の乳がんのガイドラインなどで先生 方の意見をちょっと伺ってみると、患者さんにとってはホルモン治療の副作用に対して すごく悩んでいて、それのしんどさをすごく訴えられている方が多いのだけれども、お 医者さんの方はそれの対応策の必要性を余り感じていらっしゃらなかった。そして、患 者さんの訴えをもとにいろいろ文献検索をしたら、実は欧米ではホルモン治療に対する 支持薬とか補助療法、そういうものがいろいろ出ていて、やり方みたいなものがあった そうなのです。でも、日本はそういうことを余り医者の側では考えていなかったので、 医療者向けのガイドラインにもそういう項目がなかった、みたいなことをおっしゃった もので、なるほど、そういう考え方も今後はあり得るのかなという意味合いで、それを 強く推進するというほどでもないのですが、新しい考え方として出てきているという意 味合いです。   ○垣添座長 いずれはそういう方向にいくのは、私は間違いないと思いますが、現状で は一応書き分けるということでお願いできますでしょうか。  ほかに、その先も含めていかがでしょうか。   ○山田委員 その前の(1)の最後の、放射線療法については治療計画を立てたりとい う所ですが、前の文章だと「物理士などの人材が必要である」という言葉が入っていた と思うのですが、ここのところははっきりさせておいていただかないと、後でうやむや になってしまう恐れがありますので、ぜひ入れていただきたいと思います。   ○事務局 その点につきましては、事務局から御説明をいたします。医学物理士さんと いうのは、いわゆる医師、薬剤師さん、放射線技師さんのような法定の資格ではないも のですから、今回、例示として挙げても、具体的にこういう業務をやる人という定義が できないものですから、そういう意味合いで落とさせていただきました。  ただし、この文章では放射線治療計画とか物理的な精度管理を専門的にということで、 かなり業務の内容について特定の能力を持つ人を指すような書き方にさせていただいて おります。それは、座長とも御相談の上、このような書き方にさせていただいておりま す。   ○垣添座長 いろいろ難しい事情があるようなので、これで一応内容的には書き込まれ ていますので、御理解いただければと思います。   ○山田委員 そうすると、うやむやにはしないということで理解してよろしいですね。   ○垣添座長 はい。山田委員、御指摘の意味はよく理解しているつもりです。  ほかはいかがでしょう。緩和ケア、在宅医療。   ○角田委員 日本語の問題なのですが、7ページの二つ目の○「より質の高い緩和ケア を実施していくためには」というところの「精神心理的な苦痛」の括弧の中に「心のケ ア」というのは言い換えになっていて、これは苦痛の心のケアではなくて、「精神的な苦 痛に対する心のケア等」と、括弧を外していただいた方がいいのではないかと思うので すが。   ○本田委員 そうです。   ○垣添座長 そのとおりですね。では、括弧を取って「精神心理的な苦痛に対する心の ケア等を含めた」にいたしましょうか。よろしいですね。  ほかにいかがでしょう。   ○海辺委員 前回、外科医のことなどについて出てきましたが、今回、手術療法のこと に関しては全くなくなってしまっております。日本ががんの外科に関しては本当にトッ プレベルであって、手術で対応できるものに関しては非常に治療成績がいいということ は、ぜひ落とさずにこのレベルをキープしていただきたいと思っているのです。前回、 外科医が足りなくて大変なことになりつつあるという門田先生の御指摘があって、それ に関して御説明いただけるようなお話だったのですが、全く外科の部分に触れられてい ないのですが、これでいいのかなと思いまして、振り返れたらと思ったのですが。   ○垣添座長 確かにちょっと議論がありましたね。   ○事務局 これは事務局から御説明いたします。5ページに戻っていただきたいのです が、提言の最初、(1)の一つ目の○ですが、現在の日本の状況は、外科医の手術をやら れる先生が外来科をやられて、手術をやられて、術後管理をやられて、それから化学療 法もやられているという実情がある。そういうことを、手術は手術、放射線療法は放射 線療法、化学療法は化学療法という形でおのおのの技量をもっと発揮できるようにとい う趣旨で、この最初のを入れております。今の御指摘の事項、ちょっとわかりにくかっ たと思いますが、そういう書き方で対応方向を示させていただいておるということでご ざいます。   ○垣添座長 今、海辺委員が言われようとしているのは、ここではないですよね。つま り、手術療法の意義はちゃんと評価しているのだということがきちんと書かれていない と、がん治療……。   ○事務局 そういうことであれば、3ページの「がん医療の現状」(1)の二つ目の○で、 「日本においては胃がんなど」ということで、手術、内視鏡手術等のところでは生存率 が明らかに高いということで評価をさせていただいているところでございます。   ○垣添座長 わかりました。これでよろしいですよね。   ○海辺委員 では、提言のところにはその部分に関しては、引き続きこの質を確保する というようなことも書いてもいいのかなと思うのですが。というのは、外科医が不足し ているとか、実は不足していないのだという部分に関しては、私は門田先生のおっしゃ っていることが本当だったら非常に怖いことだと思いまして、それが大問題になってか ら対応するのではなくて、きちんと将来も見据えた提言であってほしいと思ったもので すから、そのように申しました。   ○事務局 手術に関しましても、もちろん今、御説明いたしましたとおりに、現状とし て手術療法に関して、それから今までの歴史的なものに含めまして、その意義というよ うなものは別個きちんとしてあるということでありますので、ここについて、あくまで 提言のところでは、今まで足らざるものに関して今後どのようにしていくのかというこ とをおまとめいただいたと考えておりますので、そういう意味合いで、これについて引 き続き、手術が一番であるという部分もものによってはあるわけでございますが、その ような意味を含めてその体制についても引き続きということは、入れておくことは当然 可能であると考えております。   ○垣添座長 提言の○の最初の部分に「手術の重要性は変わらない」といような一文を 加えれば、海辺委員の言われる意味は入ると思うのですが、それでよろしゅうございま すか。   ○山田委員 恐らく患者さんが今一番知りたい情報というのは、どの外科の先生に自分 の手術を頼んだら良いのか、そういう情報が必要なので、がん登録といったところから 出てこないかとか、あるいはこの先生がいい、あの先生がいいという評判を頼りにがん 難民になっていくという現実があると思います。手術の方は技量の差が余り表に出てき ていないし調べにくいところがありますので、例えば専門性を高めるような努力をした 方がいいとか、今のレベルをすべての医師が維持できるような努力をした方がいい、と いうくらいの提言はあってもいいかなと思います。   ○上家参事官 今、山田委員がおっしゃったことは二つの部分があると思うのです。後 段の技術水準を下げない、提供される技術が少なくならないようにするべきであるとい うのは、先ほど海辺委員がおっしゃった部分に重なって、座長にまとめていただいたよ うに医療の部分で書き込めばいいと思うのですが、もう一方で、患者さんたちが情報を 欲しているという部分は、医療情報提供に関して手術件数等も既に4月以降、公表にな ることになっておりますので、その情報の部分まで含めてここに書くのはちょっと難し いのかなと。分けて考えていただいた方がいいのではないかと思うのですが。  分けて考えると、5ページの「提言」の(1)にあります最初の○に「手術療法の重 要性が引き続きある」ということを書き加えることが1点。そして医療情報そのものに 関しては、9ページ以降のがん医療に関する相談支援等及び情報提供の部分で改めてみ ていただければいいのではないかと考えます。   ○垣添座長 私もそう思いますが、よろしゅうございましょうか。先へ進んでよろしい でしょうか。   ○海辺委員 あと、「その他」のところですが、治癒した人の晩期障害や社会適応に関し てということが全く今回の提言にはどこにも触れられていないのですが、そういうもの に関して、現状がどうであるのかという把握もなされていないような部分があるかと思 いますので、提言ですから、そういう部分を調査することも盛り込んでいただけたらと 思ったのですが。   ○垣添座長 8ページの(5)の「その他」の「運動機能の改善や生活機能の低下予防 に資するとともに、その実態を把握し」とかなんとかという言葉を入れるということで すね。   ○海辺委員 はい。小児がんの部分には「長期予後のフォローアップを含め」となって いるのですが、ほかのがんはフォローに関しては全く取り組みがおくれているのではな いかと思いまして、その部分も触れていただけたらと。   ○垣添座長 わかりました。「実態を把握する」という言葉を入れること自体は、その必 要性は十分わかりますし、差し支えないと思いますので、入れたいと思います。  ほかにいかがでしょうか……。角田委員、緩和ケアとか在宅医療のところはよろしい ですか。  よろしければ先へ進みまして、今度はIVの「医療機関の整備」で、「現状」「提言」と いうことで、8ページから9ページまで含めて、いかがでしょう……。  これはどこに書き加えるのが適当なのか、私はよくわからないところがあるのですが、 こういう提言をずっと実行して本当に形あるものにする上で、どうしても財政的な配慮 は必要だと思うのですが、財政的というようなことはどこかに書いてありましたっけね。   ○角田委員 私もそのことは気になっていて、8ページの2の「提言」の1番目の○で、 「連携を推進する必要がある」とか、「各関係団体等と協力していくことが望ましい」と か書かれていても、実際にはそこで連携や協力するためには時間が必要ですし人材が必 要なので、これは理想論とか精神論ではなかなか患者さんの切れ目のない療養生活の支 援にならないと思うので、そういったものに経済的支援をつけるようなものをここに記 載してはいかがかと思いますが。   ○垣添座長 私は、診療報酬加算とかあるいは財政的配慮とか、何らかそういう金銭的 な面が書かれていないとこういうことは動かないような気がしているのですが。   ○海辺委員 賛成です。   ○垣添座長 では、事務局とも相談しながら、何らかの言葉を加えるようにさせていた だきます。   ○上家参事官 検討はさせていただきますけれども、今、かなり遠い将来のような御発 言だったと伺ったのですが、実際には平成20年からの医療計画においては、地域連携ク リティカルパスはちゃんとつくってくださいとか、特にがんという領域を設定して都道 府県ごとに医療計画をつくってくださいということもいっております。最終的につなが っていった先の在宅での支援という意味では、診療報酬の加算も既に行われております し、さまざまな制度が既に走り始めている部分がございます。ですから、これから人材 を確保して、その遠い先ということではなく、9ページの2行目の「また」以降につい ては、相当近い将来のことを想定して書いたものであるつもりではおりますし、そうい うことについては、ここにどれだけ書けるかは別として、そういう医療政策と診療報酬 の制度はタイアップして進めていこうという流れは大きくできております。  ただ、それをここにそういう形で明言して、これに診療報酬をこういう点数でつけろ という形はなかなか限界があると思っておりますので、工夫する検討はさせていただき ますが、なかなか個別具体的な話にはしにくいかなと思います。   ○垣添座長 ここに個別具体的な話を入れてくださいとは申しませんが、やはり財政的 な配慮がないとことは動かないというところをどこかに書き込んでほしいなという気が するのですが。   ○角田委員 もちろん、それぞれが整備されることは大事なのですが、それぞれが整備 された上でつながることが大事だと思うのです。ですから、今、具体的には、例えば午 前中にIVHをつけて帰った患者さんが、では午後からだれがみるのかといったときに、 病院にいらっしゃれば、午前中にも患者さんのところに医師も看護師もラウンドにくる。 午後にも医師も看護師もラウンドにくる。だけど、今の診療報酬では午前中に病院にい らっしゃった者は、午後は在宅の医療スタッフが入っても算定できない。こういったと ころで切れ目ができてしまうのです。  ですから、一つ一つつくることは大事なのだけれども、連携に対しても何か経済的な 評価が、財政的な基盤ができるようなことを、別にここに具体的に書けということでは ないのですが、その方向につながるような書き方ができないものかと、私も文章として は具体的にあがらないのですが、御検討いただけるならうれしいと思います。   ○宮坂審議官 財政的な措置の話について、がん対策基本法の8条に、法制上の措置な り財政上の措置を政府としてはとらなければいけないというのが明確になっております。 ある意味で、法律上、政府にそういう義務がかかっているというのは大前提になってい る中での今回の御意見の提言ということでございますので、その辺は1点、申し上げて おきたいと思います。  それから、先ほどの御議論の中にございましたが、最初の「はじめに」で、厚生労働 省だけというのではだめだ、関係各省と、というのもございますので、そこはもちろん ワーディングの問題ではありますが、厚生労働省とか文科省とか、先ほどは経産省まで しかお名前が出ませんでしたが、それらのところについても法律上は特にそういう義務 はかかっておりますから、そういうワーディングということは可能ではないかと思いま す。現状としてはそういうことでございます。   ○垣添座長 ありがとうございます。がん対策基本法の中に財政上の配慮ということも 書き込まれているのは、よく承知の上で申し上げていることではありますが。医療の現 場に身を置く人間として、こういう立派な提言がまとまっても、それを後押ししてくれ るものがないと動かないということを常に感じているものですから、どこかにとにかく。 これは事務局とよく相談しながら考えさせていただきたいと思います。では、先へいっ てよろしいでしょうか。  5番目「がん医療に関する相談支援及び情報提供」、9ページから12ページまでです。   ○海辺委員 10ページの「相談支援等」の○の2番目ですが、ここに「がん患者や患者 団体、一般国民は、がん医療には限界があることも含めたがん医療等の知識を今以上に 得ていく必要がある。また、患者は自身のがんに対する治療及びその結果について責任 を共有することを再確認する必要がある」。この「がん医療には限界がある」に関しまし ては、私は第3回のときにも申し上げたのですが、もちろんお金の問題とか人的資源と かいろいろな部分で医療に限界があることは患者としても承知しておりますが、今、こ こで話し合っているのは、限界値の政治的な部分が余りにもがんの医療に対して障壁と なっているというところもあるので、今の段階でこの提言にこの文言が入ることに関し ては、私はもう一度疑問を呈したいと思います。  あと、もちろん自分自身の責任をとっていくことはがん患者にとって大切なことなの ですが、であるからこそ、誤解しないように正しい知識を普及する作業が求められるの で、ここの書き方はもちろんわかるのですが、もうちょっとかみ砕いたと申しますか、 患者自身が責任をとるためにも「情報提供及び支援の体制を早急に整備すべきである」 ということが加えられたその上で、その情報を活用して患者も自分自身のことに責任を とるという方向にしていただけたらと思うのですが。   ○垣添座長 今御指摘の点は、多分どこかで文章を修飾することによってうまく取り入 れられるのではないかと思いますが。   ○本田委員 私もそこの部分は文章自体に違和感があって、言いたいことはすごくわか るのですが、がん医療の限界のところも、医学的な限界のことも多分言いたかったのだ とは思うのです。だから、先ほど海辺さんもおっしゃったように、責任が共有できるた めにもちゃんと相談をして知識を得るべきである、みたいな能動的な方向に書いていた だいた方が、この欄だったらいいのではないかと思うのですが。   ○垣添座長 ここの文章をもう少し直せば、皆さんに受け入れていただけるような形に。 限界があることは皆さんはもう承知しておられますから、これは工夫させていただきま す。   ○角田委員 その点では、富樫さんにもここの文言を患者さんたちがお読みになったと きにどんな印象を受けられるか、御感想をお聞きしたいのですが。   ○富樫委員 現実とは大分違うところがあるので、なかなか診察室で医師と患者が責任 を共有するという状態では今はないと思います。ただ、少しずつはそういうふうには変 わってきてはいると思います。中にはそういう医師、患者の人たちがいっぱい出てきて いますので。  ただ、患者自身というと、小児がんだったり老齢者とか、自分自身でははっきり把握 できない患者もおりますので、できればここは「患者及び家族」というふうに入れてい ただいた方がいいかなと思いますが。今、この時代でも本人には告知はしてほしくない という家族もいますので、それを足していただければと思います。   ○垣添座長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。   ○本田委員 12ページの最初の○ですが、「入手を望まない患者の心理面に配慮して情 報のあり方を工夫する必要がある」という部分はもちろんそうだと思うのですが、この 文章だけだと、だから生存率の情報公開について後ろ向きに読めなくもないので、今後、 情報提供していくことを前向きに検討していく必要があるのだということがわかるよう な前置きを一言入れてほしいと思ったのですが。   ○垣添座長 わかりました。それはおっしゃるとおりだと思います。「けれども、その伝 え方には工夫をすべきである」とかいうような修文はできると思います。   ○大江委員 細かいことですが、10ページの下から2番目の○の最後の文章二つは、語 尾が「何とかではないか」「何とかではないか」になっているのですが、提言でほかのと ころと比べると違和感があるので、直していただいた方がいいと思います。   ○垣添座長 そうですね。これは言葉の問題で訂正できると思いますので、お預かりし ます。   ○富樫委員 本当に細かいことで済みません。11ページの情報提供の2番目の○で、す ばらしいパンフレットができた場合は、「等」でいいのですが、拠点病院とかそういう主 な病院だけではなくて津々浦々に患者はいますので、これははっきり「各病院」と入れ ていただきたいと思いますが。どういう病院であっても、医院であっても、診療所であ っても置いてほしいなと思います。   ○垣添座長 拠点病院とがんの診療に当たる病院とかなんとかということでしょうか。   ○富樫委員 いや、がんの拠点病院だけではなくて。   ○垣添座長 がんの診療に当たる病院。   ○富樫委員 そうですね。   ○垣添座長 拠点病院とがん診療を担当するような病院に置く、ということでしょうか ね。これは検討させていただきます。  それでは6番目「がん登録」。「現状」と「提言」。13ページまで。   ○海辺委員 がん登録についてですが、今は「拠点病院の指定要件として」と、拠点病 院が頑張ってまずやることという方向になって、それはもちろんそれでよろしいのです が、実はがんの治療をしているところは拠点病院以外にもたくさんありますので、拠点 病院以外でもがんの治療をしているところは積極的にがん登録を行っていく、という言 葉もほしいかなと思ったのですが。   ○垣添座長 これに対して、事務局、何かおありですか。   ○事務局 「提言」で書かせていただきましたが、現状については拠点病院のみで行う という趣旨ではございませんで、まずは少なくとも拠点病院は中心となってがん検診を 進めていくという観点から、そこは完全な指定要件ということでさせていただいた。も ちろん当然のことながら、ほかの医療機関においても、それはがん診療を行っていると ころもございますし、そういうところにおいても必要な最低限のものとしてがん登録は 進めていただきたいということは当初よりございましたので、そういうことについても あわせて付記することは可能ではないかと思います。   ○垣添座長 では「拠点病院を中心として」とか何か、今の趣旨がわかるような修文は 可能かと思います。   ○上家参事官 拠点病院では最低限、絶対に院内がん登録をしてほしいということを、 ここでは指定要件にするぞ、これをやらないなら拠点病院を取り消すぞ、という決意を もって臨んでいる文章なので、これとは別に、地域がん登録とかいろいろなすべての診 療機関に協力してほしいという努力義務みたいな部分と絶対やってもらいたい部分は、 少し書き分ける必要があると考えております。   ○垣添座長 大変大事な御指摘です。おっしゃるとおりだと思います。   ○内田委員 13ページの上から二つ目の○の「第三者評価の仕組み」というのはどうい うことをイメージするのでしょうか。   ○事務局 今、御指摘のところは、13ページの一つ目の○の「また」から続くところの 最後の方の「第三者評価の仕組み」というところだと思います。これは、病院内でこう いうことをやっていますということではなく、例えば個人情報保護の認証等、そういう のを外部的な評価を受けるような、そういうイメージで記載されているものだと理解し ています。   ○内田委員 実際にがん登録をやっている医療機関では、その評価に関しては実施して いることではないのでしょうか。第三者的な機構もつくって評価した方がいいというこ とでしょうか。   ○事務局 少なくとも今は拠点病院に関して申し上げますと、院内がん登録でございま すので院内できっちり守れているかどうかいうことで、この場合には、全体的には地域 も含めてということですので、外部に情報を出すという場合に特にそういう試みが必要 ということで記載していると理解しております。   ○内田委員 そういうことであれば、がん登録だけではなくて、全体的に拠点病院なり なんなりの第三者評価という形にした方が、がん登録だけの第三者評価というのは、新 たにそういう機構をつくるのかという印象を持ってしまうので、いかがでしょう。   ○垣添座長 確かにわかりにくいかもしれませんね。唐突に出てくる感じがありますか ら。これはちょっと工夫いたしましょう。  私は13ページの二つめの○ですが、「がん登録実施に当たっては、医師の協力も必要 であるが、その負担軽減を図りつつ効率的に行っていくためには、実施担当者の育成が 必要である」。育成が必要なのも当然なのですが、今の医療の現場のことを考えますと、 「雇用等も含めた」というようなことを入れていただくと大変ありがたいのですが。そ うでないと、なかなかがん登録が動かないということがあるものですから。   ○海辺委員 今の部分の質問なのですが、がん登録士が必要であるとか、アメリカでは がん登録士が2000人だか4000人だか、済みません、数があれですが、いるので、人口 比からいったら日本でもその半分ぐらいは必要であろうというようなこともいわれてい ると思うのですが、これは、がん登録士の研修をがんセンターが行うという意味なので しょうか。   ○垣添座長 ええ、実施担当者、言葉はいろいろではあると思いますが、そういう人た ちを含めた育成。それから私はそれにプラス、そういう人たちを採用して実際に実務に 当たっていただかないと、医療現場の負担が増すだけであるという状況に対する発言で す。今も定期的にこういう研修は国立がんセンターで行っていますが、それをさらに強 化していくことはもちろんのこと。   ○海辺委員 済みません、またそれについての質問なのですが、がんセンターで行うと いいますと、かなりな数の専門職の方を養成していかなければいけないということが想 像される中では、がんセンターの中でどのぐらいの人数を養成していくとか、将来的に どのぐらいの需給ですとかということでいくと、がんセンターだけで行うというのはち ょっと難しいのかなと思うのですが、それはとりあえず今回、研究として育成の研究を するという意味合いなのでしょうか。   ○垣添座長 これは、実際にそういう人たちをふやそうとしてやっていることだと思い ます。事務局、どうぞ。   ○事務局 今年度については800人実施いたします。   ○垣添座長 かなり飛躍的にふえてきていますよね。これまで、年に3回か4回、1回 当たり20名とか30名くらいでやってきたのが、ずうっとふえてくるということだと思 います。よろしゅうございましょうか。  では最後の7番「がん研究」ということで、13ページの「現状」から14ページの「提 言」まで、いかがでしょうか。   ○本田委員 「提言」の二つ目の○で、「治験及び臨床研究については情報の提供や」と ありますね。「国民も理解して積極的に参加することが必要である」とあるのですが、そ れはそうでいいとは思うのですが、このページの一番上にあるGCP省令の「交付し、 説明を行い、同意を得なければならないと規定されている」とありますが、ここの提言 の二つ目の○に「これを遵守する」とか「徹底する」とか、そういう言葉をきっちり入 れていただきたいと思います。最近はどんどんそういうことが徹底されてきているとは 思うのですが、現実としてそうではない現場の声も聞いたりしますので、あえてここに 徹底していただけないでしょうか。   ○垣添座長 どこにどうつけ加えますか。   ○本田委員 「GCP省令の規定、参加、検討する方への文書による説明とか同意を得 るということを徹底することに対しても努めていかなければならない」と、あえてここ に繰り返していただければと思ったのですが。   ○垣添座長 国民の理解を得ることと同時に、そういうことが必要であるということで すね。これは修文できると思いますが。   ○角田委員 「提言」の一つ目の○ですが、この中の「コーディネーターの増員・定員 化や生物統計家の養成など」という言葉に何となく違和感があって、これを患者さんた ちがお読みになったときにわかりやすいのだろうかと思うのですが、もう少し説明した かみ砕いた表現ではいかがかと思いましたが。   ○垣添座長 わかりました。これは多分、これこれのようなということで治験コーディ ネーターとかあるいは生物統計家という、これは説明できると思います。   ○海辺委員 「国民が治験及び臨床研究の意義を理解し、積極的に参加する」というの は、本当に必要なことだと思うのですが、またその国民がそうであるのと同じように求 められることとしては、今度は研究側ももっと研究に対するシビアな取り組みといいま すか、例えば治験に参加した人の協力がそのまま、30人参加してくれたけれどもその結 果がどうであったかというようなことが、例えば余り思わしくないような結果があった ときにはうやむやに終ってしまっているような部分もあるかと思うのですが、そういう ものに対して、この結果はこうであるということをきちんと公表していく、それがわか りやすい形で開示されていくことも求められると思います。  あと、今、どこでどのような研究が行われているかというようなことが非常にわかり にくい状態でして、最後の○のところに「患者代表も参加した会議等で報告するなど、 透明性を確保するとともに、効率的な研究の実施体制を構築することが重要である」と 書いてあるのですが、さらにちょっと踏み込んだ表現をしていただけたらと思いました。  あと、続けていろいろ申し上げるのですが、今の現状だと似たような研究が重複して いろいろな場所でちょっとずつ行われているのではないかと想像されておりまして、一 元管理といいますか、どこにどのようなことが行われているかということをきちんとマ ッピング管理するといいますか、そういうこともわかりやすくここの文言に入れていた だけるといいなと思いました。   ○垣添座長 大江委員、ネガティブデータの扱いに関して御発言いただけますか。   ○大江委員 確かにそれはおっしゃるとおりの部分が若干あると思います。どうしても 発表されるデータは、いいデータが出たときは発表しやすいですし、それがネガティブ なデータというのは論文などにはアクセプトされづらい。そういう場合は当然あるので、 何か方策を考えなければいけないと思います。   ○海辺委員 もう一つ、患者からすごく期待される取り組みなどが途中まで発表されて いて、それが何年たっても更新されないような場合がございます。具体的に申しますと、 例えば胃がんの腹膜播種に対して、腹水の手術時の洗浄水を遺伝子レベルで解析すると、 腹膜播種で再発する人については遺伝子レベルで播種があるというようなことを見て、 でもそれは12例に関する例だったりするとエビデンスレベルとしてはかなり怪しくな るのですが、私はずっとそれに関して期待して、そのホームページが更新されるのを待 っているのですが、もう3年たっても変わらなかったりするものですから。これはだめ だったというのならだめだったでいいのですが、ずっとそのままそこにあり続けると非 常にもったいないなと思いまして、いい取り組みに対してはもっと研究費もつけて大き く発展させていくというようなことがあると、非常にいいと思ったのですが。   ○垣添座長 御指摘の点はよくわかりますが、なかなか書き込むのは難しいですね。   ○本田委員 そういうことも関連してなのですが、私は何度か発言させていただいたか もしれないのですが、「提言」の三つ目の○で、「なお、研究を実施する際には国民の意 見をより一層反映するように取り組んでいく必要がある」とありますが、そこに「反映 できるような何らかの仕組みを設けることを検討すべきである」というようにしていた だけないでしょうか。  というのは、例えばどういう研究をどういうふうにしていくかという予算づけとか、 今回はがんに関してはがん対策情報センターの研究とか立案をされると理解しています が、そういうところの情報をもう少し透明にしていただくことで、あれはどうなってい るのかとか、患者とか国民とかが意見を言う。決定するのは確かに行政、がん対策情報 センターなどなのでしょうけれども、そこに意見を言う場を設けることでそういうこと も解決というか、何らかの意見が言えることが重要なのではないかと思うのですが。   ○垣添座長 ありがとうございます。それは多分何らかの形で取り込むことは可能だと 思いますが。  それでは、そろそろ時間がいっぱいになってまいりましたので、大変活発な御意見を ありがとうございました。ただいまちょうだいしましたたくさんの御意見を、大部分は 何らかの形で提言に取り込むことができると思いますが、それに関しては座長一任とさ せていただいてよろしゅうございましょうか。そして、それをもって意見交換会の意見 といたしますが、それで御了承いただければ、事務局と相談しながら私どもでとりまと めて、もちろん提言につきましては、事務局から皆さんに公表する前にもう一度お目通 しいただくということでよろしゅうございましょうか。  それでは、あとは事務局からどうぞ。   ○事務局 先生方、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。  では最後でございますが、宮坂審議官より一言ご挨拶申し上げます。   ○宮坂審議官 昨年6月にがん対策基本法が成立をされまして、がん対策についてより 一層の取り組みをということで法律までできたわけでございます。それを具体的にどう いうふうにやるのかということにつきまして、忌憚のない意見交換会ということで、今 日を含めて都合5回開催をさせていただいたわけでございます。毎回、活発な御意見を 賜りまして、また、最終回であります今日も最終的にいろいろな御議論が出ました。大 変ありがとうございました。  いよいよ、あと2週間足らずでがん対策基本法が施行の運びとなります。今回、これ から最終的な整理をいただきます御提言につきましては、本がん対策基本法の中で基本 計画というのを策定することになっておりますが、その際の参考とさせていただきたい と考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。本日はどうもあり がとうございました。   ○垣添座長 以上をもちまして、第5回の検討会を閉じさせていただきます。どうもあ りがとうございました。                                    (終了)