07/03/16 第12回「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」議事録 第12回 子どもの心の診療医の養成に関する検討会 日時:2007年3月16日(金) 10:00~12:00 場所:中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 ○齋藤母子保健課長補佐 定刻となりましたので、ただ今から第12回、最終回の「子どもの心の診療 医」の養成に関する検討会を開催いたします。 まずお手元に配りました資料について、そろっているか確認をお願いしたい と思います。お手元にない場合はお知らせ下さい。座席表の下に2種類の資料 のつづりがあります。資料1は会議次第が1枚目にある資料のつづりで、この 検討会の開催要項とその別紙として検討会委員名簿、逆三角形の「子どもの心 の診療医」イメージ図、検討会のスケジュールが付いています。資料2として 本日最初にご討議いただく「子どもの心の診療に専門的に携わる医師の養成の ために行うべきこと」という資料があります。同じつづりの中には日本小児心 身医学会の冨田委員から「小児科医のための不登校診療ガイド」という資料を いただいております。また、本日ご欠席の杉山委員からは「あいち・こころの 診療医研究会の取り組み」という資料をいただいており、もう一点は、全国医 学部長病院長会議が重なりご欠席の吉村委員からぜひ紹介してほしいという ことでいただいた資料「全国医学部長病院長会議の取り組み」です。その中で 一点ご紹介させていただきますが、全国医学部長病院長会議では平成19年5 月に定例総会が開催されることになっており、この会で医学部・医科大学の基 本問題に関する委員会、医学教育委員会カリキュラム調査専門委員会を中心に 小児の精神疾患に関する医科大学の教育と診療の現状について全国の状況を 調査し、必要な対応を検討する予定だということです。そしてもう一点、資料 3のつづりとして本検討会の『「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会 の報告書(案)』です。前回の第11回検討会議事録に関しては、厚生労働省 のホームページにアップロードしております。 出欠状況ですが、本日は12名の委員がご出席で、杉山委員、西田委員、星 加委員、保科委員、宮元委員、吉村委員の6名の委員がご欠席です。それでは よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長 それでは早速ですが、議事次第に沿って議事を進めてまいります。本日は最 終回の検討会ということで、報告書の最終的な取りまとめという重要な機会で すので、ぜひご協力をお願い申し上げたいと思います。 最初に、前回に引き続き逆三角形の頂点の部分である「子どもの心の診療に 専門的に携わる医師」の養成方法について最終的な検討を行いたいと思います。 次に、それを含めて検討会の最終報告書の案を検討し、本日取りまとめたい と考えております。 それでは、「子どもの心の診療に専門的に携わる医師」の養成について検討 したいと思います。前回までの検討を踏まえて事務局が検討会の全体の報告書 案を作成しておりますが、その中の「子どもの心の診療に専門的に携わる医師」 の養成について議論を行ってから、報告書案の方に行きたいと思います。議論 すべきことがわかりやすいように、全体的な報告書案の中から「子どもの心の 診療に専門的に携わる医師」の該当部分を抜粋して資料2としてまとめていた だいていますので、これを用いて議論をしていったらどうかと思います。これ について事務局から簡単にポイントの説明をお願いします。 ○齋藤母子保健課長補佐 資料2ですが、座長からご説明がありましたように、この後、検討・確認し ていただく報告書案の中から抜粋しており「子どもの心の診療に専門的に携わ る医師」の養成のために行うべきこととして、今回の検討を踏まえて提言に絞 り込んだ形で整理しています。前回からこの案を作成し、委員の皆さまからご 意見を賜り、それをさらに齋藤委員、奥山委員、西田委員にもご覧いただいて 構成なども変えています。提言が目立つような形に構成を変更しています。 まず前文の中で、こういった領域の医師を増やしていくためには子どもの心 の診療態勢自体を確立しなければいけないということを、はっきりした形で設 定しました。 その後には、具体的に人材養成という観点から、医療機関では2~3年間レ ジデント研修が必要であり、患児を扱っている施設での一定期間の実習修練が 不可欠であるということを述べた上で、それを実行するために4点ほど具体的 な取り組みとしてまとめられる具体例をむしろ主張しているところです。それ が1枚目から2枚目のところで、人材養成で必要な取り組みを設けた上で、と はいっても現状ではそのような研修を受け入れる施設である高度な専門医療 機関は不足しています。それを勘案した場合、地域の実情に合わせて心の診療 態勢自体を計画的に整備する必要があり、そのためには(1)から(4)までの4 点を必要な事項として述べています。 1点目は、子どもの心の相談診療態勢の整備というところで、各都道府県に 少なくとも2カ所はこのような治療ができる施設、研修ができる施設が必要で あるということを中心にしています。2点目は、そういった心の診療及び研修 を支える医療機関の経済的支援の必要性です。3点目として、専門資格につい ては前回議論していただいたところであり、これは将来的に関係学会で検討す る課題としております。4点目として、さらに調査研究の充実ということで、 研修の内容につながるさまざまな研修の充実と、こういった領域を専門とする 医師のために子どもの心の診療の研究に関する研修を受ける機会が必要とい うことと、こういった領域に関して人材養成に関する基礎調査を継続的に実施 し、情報発信を行い、相互連携をさらに促すべきであるという構成にしていま す。以上でございます。 ○柳澤座長 どうもありがとうございました。今ご説明いただいたところは、今年度の検 討会の報告書として最も重要な部分ですから、これからいろいろ議論していた だきたいと思います。前もって委員の皆さまには目を通していただき、それに 対する意見を入れてここに出されているということを伺いました。しかし、そ れでも細かい言葉遣いというような点で修正すべき点はあるように思います。 そういった細かいところに関しては、最終的に事務局と私で相談の上で修正さ せていただくということも、あらかじめご了承いただいた上で内容的な点に関 してご意見があれば活発にご発言をいただきたいと思います。 順を追って見ていくと、子どもの心の診療医の養成方法について「1.子ども の心の診療に専門的に携わる医師の養成のために行うべきこと」とありますが、 ここでいう「子どもの心の診療に専門的に携わる医師」というのは、いつも示 されているイメージ図の逆三角形の先端部分である高度に専門性を持った医 師の養成ということです。これが現在の検討会の一番重要な課題となっていま す。 この最初の段落までの部分に記載してあることで何か質問等はありません か。事務局からも追加的に説明することがありましたら随時言ってください。 ○齋藤委員 先ほど事務局から説明があったことに関して、事務局と多少相談をした臨床 の立場から、同じことですが言わせていただきます。今回の1の2枚余にわた る文章の一番大事なところは最後の提言でありますが、その前提になる現状認 識というところが大事な部分で、ここを皆で一生懸命に練ったと思います。 第1点は、虐待に関する問題、発達障害に関する問題、そして精神疾患が、 従来ばらばらに取り扱われる傾向があったり、あるいは全く独立の問題である ように扱われてきたりしました。実際に臨床の現場においては、これらは複雑 に絡み合っている現象であり、絡み合えば絡み合うほど処遇や対応が困難な症 例になっていくという現状がありましたので、これらはそれぞれ独立した現象 であると同時に深く絡み合っている問題であって、それらを全体として診療対 象とし、受けて立っていく態勢を作るということが大事だという前提をまず確 認したということにあります。 第2点は、どのくらいの大きさを地域と呼ぶかという議論は別にして、それ を行うために地域において診療のシステムをつくらないと駄目だということ です。一機関がある・なしの問題ではないという認識をここで書いてあります。 外来だけのクリニックから重症のケースを受けて立つ入院機能を持つ専門的 な医療機関に至るまで、さらにいえば教育・福祉・保健の関連機関との連携と いったものを含めた地域システムを打ち立てるということです。そのためには、 臨床の現場で専門的に子どもの心の診療を行ってきた中核医療機関が現在あ まりにも乏しいために、地域におけるシステム形成のための厚みがでてきませ ん。そういう地域が今のところ過半数を占めています。それを充実させる必要 があるということと、もう一つは、そこに人材とエネルギーを保障していく意 味で、大学の果たす役割が非常に大きいということを現状認識としてまとめた 文章だとご理解いただけるとありがたいと思います。 ○柳澤座長 どうもありがとうございます。こういう文章をまとめた背景として、現状認 識が非常に重要だという観点で最初の部分がつくられているということをご 説明いただきました。報告書自体にも、現状認識や提言という見出しがあった 方が全体を把握しやすいと思いますが、どうでしょうか。今のご説明を聞いて の私の思い付きですが。 齋藤母子保健課長補佐、齋藤委員から説明いただいたことに関して、ご意 見・ご質問はありませんか。 そういう現状認識の下に、次の「子どもの心の診療に専門的に携わる医師の 養成のために」は、子どもの心の診療を専門的に実施している医療機関におけ る2~3年間のレジデント研修が必要であるといった具体的な研修システムに ついての提言が書かれていますが、ここに関してはどうでしょうか。これにつ いても追加的に説明があればお願いします。 ○今村委員 座長、よろしいですか。若干、門外漢のものが発言するということで申し訳 ありません。真ん中ほどにある「医育機関である医科大学(医学部)には、小児 精神疾患の診療部門や講座が設置されることが望ましく」とありますが、具体 的なイメージはすでにあるのでしょうか。例えば、小児科の中に小児神経科と いうような形で、という検討がされているのか教えていただきたい。 ○柳澤座長 それは説明していただきたいと思います。 ○齋藤委員 私が説明できるのは一部ですが、私が知っている範囲で申し上げると、すで に精神科単独で、もしくは小児科と精神科の合同で、主に診療と医育を含めて 幅広くやっているところは6、7カ所、医学部の中にそういった単位をつくっ ているところがあります。もう少し小規模な児童の診療部門を持っているのは、 小児科にしても精神科にしてもかなり多数に及んでいるようです。 ○今村委員 そうすると、講座というとそこにプロフェッサーがいらっしゃる。兼務され ているということですか。 ○牛島委員 私の方から説明いたします。日本児童青年精神医学会は20年以上前から、 内科・外科・精神科・小児科と同じレベルでの児童精神医学講座をつくってほ しいという要望書をいろいろなところへすでに出してきました。一つは、現実 にこのような問題が起こっていることと、もう一つは、すでにヨーロッパ、そ の他台湾や韓国でも児童精神医学講座というものがあるのです。しかし、日本 だけが立ち遅れているのでやってほしいということを言い続けて現在に至っ ています。これはまだ終わっていません。私は、恐らくこの文章の中にその思 いが入っているのではないかという気がします。 ○今村委員 そうすると、その出発点・ベースは精神科から専門化されたものというよう に出てきたということですか。 ○牛島委員 精神科と小児科とも独立した一つの講座です。そのような要望がここに入っ ていると思います。 ○柳澤座長 そういった要望が長年にわたって行われているということは、私も承知して おりましたし、一方で、精神科と小児科と合同で、大学病院の中にある程度独 立した子どもの心の問題を扱っている診療部門が徐々に増えつつあり、今6、 7カ所の大学病院にはそういう診療部門が設置されているということも事実 です。 ○今村委員 前回も少し申し上げて、私どもの責任でもありますが、この分野における医 師会のかかわりが他の分野に比べてやはり希薄だったと思います。十分注意し ながら見ていきたいと思っています。ありがとうございました。 ○森委員 2枚目の方になりますが、少し文言を教えてほしいのですが。 ○柳澤座長 順番を追って見ていっていますが。 ○森委員 今提言のことを言われたので、提言のほうを続けてよいかと思ったのですが、 後にしますか。 ○柳澤座長 順番を追ってみていった方がよろしいと思います。 ○牛島委員 資料2の1のところについて、よろしいでしょうか。 ○柳澤座長 資料2の1枚目の中ごろのところを現在見ていただいて、それに続いて文頭 に「・」を打って具体的な提言が書かれています。その辺も含めて。 ○齋藤委員 森委員が資料3とおっしゃったのは資料2のことではありませんか。 ○森委員 資料2です。 ○齋藤委員 そうですね、今扱っているものです。 ○柳澤座長 森委員からのご質問も具体的な提案の中に含まれているところでしたら、ど うぞ。 ○森委員 最初の2段についてですから、後でまたご説明します。その後の(1)につい てお話をしようと思いますが、もう少し待ちましょうか。 ○山内委員 大学等で、専門的な診療あるいは講座等をつくるということが今、話に出ま したが、そこの部分が、本当に専門に携わる医師の養成を考えるということが 各県に必要なのか、ある地域にあればよいのかという辺りが明確ではない。一 般医の養成が各大学に求められているということは承知していますが、専門的 に携わる医師の場合はどうなのか、その辺はどうでしょうか。 ○柳澤座長 その辺についてのお考えを。 ○齋藤委員 多少の試算をしたことがありますので、やはり各都道府県で20歳未満の子 どもの10万人におよそ12人ほどの入院患者が専門的な医療機関に入ってくる という、今ある地域からの推計ができます。これをやるとおおむね40病床前 後ぐらいの専門病棟が、およそ一つの県に平均的にいえば一つ、都市部の都道 府県だともう少し多くなるという規模が必要ですので、大学が一都道府県に一 つの病院の役割を果たすというのは、少しきついのではないかと思います。む しろ、全国児童青年精神科医療施設協議会ないし小児科系の協議会に含まれる ような規模のところに一病棟ないし二病棟設置するぐらいがちょうどよいか と思います。 ○山内委員 そうなると、この報告書を受けた側がどのように対応するかというときに、 どこまでどういう枠で求められているかはっきりしている方がよいと思いま す。 ○柳澤座長 特に、自治体・都道府県としてどのように受けたらよいかということが、も う少し明確な方がよいということですね。 ○森委員 今のことと関連して、少しわかりにくいのですが、私はそのように読んでは いません。「医育機関である医学部にはこういった講座を作ることが望ましく」 というのは、教育の話と理解しました。臨床的にベッドが要る・要らないとい う問題ではなく、教育する場をまずきちんと確保しようではないかという意味 に私は読んでいました。そういう解釈ではないのでしょうか。臨床的なことも 含めてなのですか。 それでは最初から、多分これから先の大学の機能からいっても難しいと思い ます。ですから、教育的な機能を大学は持ちなさい、講座を持ちなさい、そこ でこれからたくさんの児童精神科医と小児科医をつくっていきますよという ことを言っていると理解していました。 ○柳澤座長 このような専門的医師の養成ということを考えた場合に、診療と研修という のは密接不離だと思います。その点について、これを書かれた委員あるいは牛 島委員から何かあればお願いします。 ○牛島委員 医学部は教育で病院が診療だという分け方というのはあまり現実的ではな いと思います。おっしゃるように、ある意味では我々が嫌というほど思い知ら されてきたことは、現実では非常に難しいということです。医学部の講座の数 を減らすことに一生懸命になっている最中に、新たに講座をつくれということ 自体が無理だということは承知しています。しかし、子どもの精神医学講座と いうのは教育に関しても卒前・卒後に、診療に関してもきちんと一つの機能体 として絶対に必要だという思いは、現実性があろうとなかろうと進めていって ほしいというのは当然あると思います。 ○森委員 それは、おっしゃる通りだと思っています。ただ、病棟を持つ・持たないと いうことは別の話だと思ったものですからコメントさせていただきました。 ○奥山委員 先ほど齋藤委員がおっしゃったように、まず診療態勢を充実しないと研修の 場所もないということが一つあります。診療態勢の方から見ていくと、地域に よっては大学病院がその県をほとんど賄っているところが結構あり、そこには あまり小児病院がないという事情があるところもあります。ですから、病棟を 持つ・持たないに関しても恐らく地域の事情で変わってくると思います。その 病院に行くドクターを育てるのは大学の役割が非常に大きいわけで、もし大学 病院がベッドを持たなかったとしても、ベッドを持っている病院へ派遣してで も研修をさせることもできると思います。 ○森委員 私が言いたいのはそういうことです。要するに、中心になる教育機関として 大学がきちんとあるわけですが、臨床はもちろんやらなければいけないかもし れないけれども予算の問題もいろいろありますので、それを地域に枠を広げて そこへ出て行ったり勉強に来られるようにしたり、地域の特有なところや教育 してくれるところで臨床をやったりというような広がりを持ったシステムの 方が受け入れられやすいと思います。財源の問題もあり、あるところに集中し ようというのはかなり難しいので、地域ぐるみでどうしていくかということの 方がよいかと思って発言をしています。 ○奥山委員 ここの書きぶりは、どちらかというとこの検討会が医師の養成なので、養成 の方が先に書かれてしまってシステムが後回しになっているので、少しわかり づらさが残ったと思います。 ○柳澤座長 今、森委員が言われたことはその通りだと思いますし、そういう観点で書か れていると私は受け取っていました。 ○桃井委員 大学の立場から申し上げると、講座というものが大きく変わりつつあります し、先ほど牛島委員から「講座の数が制限される中で」というお話がありまし たが、これは単に制限ということもあると思いますが、大講座制になるなど、 より機能的にしようという動きが出てきている中で、私どももそうですが、診 療部門と講座が今後横並びになってくるような動きをしている大学もあると 思います。そういうことが大学以外の方にはなかなかわかりにくい点がありま すが、ここは診療部門と講座が併記されていますので大変良い書き方をしてい ると思います。報告書の中に、どういう形があり得るかというような支援の提 案のようなものを含めて入れるとわかりやすいのではないかと思います。幾つ もの形があり得て、私どものところには子ども医療センターの中に診療部門の 病床があり、なおかつ講座をつくらずに大学院の部門をつくり、大学院生を入 れられるようにし、小児科医は小児科学講座を兼務し、精神科医は精神医学講 座を兼務するという形にしましたが、いろいろな形があり得ると思います。児 童精神医学という高度専門医療の中で、なおかつ他の精神科・小児科と色々な 領域を広く持ちつつ、非常に高度な医療ということを考えると、固定した講座 よりは、いろいろな形の教育体系があってよいのではないかと思います。そう いう具体例として、図式で入れていただくとより明確な形になると思います。 この文章は、診療部門、講座と併記されましたので2項で非常に明確になって います。 ○柳澤座長 ありがとうございます。山内委員。 ○山内委員 先ほどの発言で真意が伝わらなかったようですが、私が質問したかったのは、 もっと医学的に専門的に携わる医師を、どのくらい必要と考えているのか。そ れは80大学すべてに求めているのか。東京都あるいは他の県のように複数の 大学があるときにも、各大学に求めるのかどうかということを、もし明確にで きればしていただきたいという意味です。 ○柳澤座長 今、山内委員が言われた高度に専門性を持った医師の数がどのぐらい必要な のかという推定というのは、齋藤委員が研究班の方で検討していますので、そ れについてここで話していただいてよろしいでしょうか。 ○齋藤母子保健課長補佐 前回その辺りは、ご説明したのですけれども。 ○齋藤委員 では、簡単に。前回のところに正確な資料がありますけれども、これは全国 児童青年精神科医療施設協議会や日本小児総合医療施設協議会の中で20弱ほ どの専門病棟を持つ医療機関がありますけれども、そこで専門的に携わってい る医師の数から地域での必要数を推定するという形でやっていますので、あく まで最小限の水準にある現状を基盤にした推定になっています。現時点で最低 の数として200名を超えるぐらいの人間は常に必要であるという数字です。た だし、今の全児協病院の活動を前提としていますので、実はもっと何倍も大き な人数で立ち向かわなければならないと考えております。一応、そのような数 字です。 ○山内委員 そのように考えたときに、果たして各大学それぞれに専門性の高い医師の養 成を求めるのか、あるいは連携の際に各大学がどうすればよいのかということ など、そこまで書き込まなくては、我々、受け手の立場で考えると、それが行 動に結びつかないということがあります。 ○柳澤座長 どうも、ありがとうございます。 はい、どうぞ。 ○市川委員 前回の会議で、「大学に多くは期待できない」と逆説的に申し上げました。 10数年前に、日本学術会議から「子どもの精神科の講座を作るべきである」 という勧告がなされましたがそのままでした。「この分野の医師が少ない」理 由は、子どもの精神科の医療施設が少ないからです。その理由は、「経営が成 り立つだけの診療報酬が得られない」からです。その理由は「子どもの精神科 としての標榜が出来ないから」です。「医学部に子どもの精神科講座を作る」 ということで努力がなされてきましたが、「医学部のカリキュラムに入れるの も難しい」現状があります。発達障害者支援法を検討する過程で「各都道府県 に最低一つは専門の医療機関が必要である」とされました。「必ず大学の医学 部になければならないというわけではない」と思います。 ○柳澤座長 どうもありがとうございます。今、ご議論いただいている部分に関してどの ように修正が必要か、あるいはこのままでよいか。その辺は、もう一度よく考 えさせていただくとして、めくっていただいて、その先の(1)、(2)、(3)、(4) と順番を追って書いてあります課題についてはどうでしょうか。 ○森委員 最初に申し上げようと思いましたのは(1)です。質問ですが、まず「各都道 府県について、子どもの心の診療体制に関して整備計画を策定することが求め られる」の「整備計画」というのは、何を指しているのでしょうか。 子どものことだけで整備計画をつくれといっても、それはなかなか難しいで す。例えば、地域の医療計画の中にそれを入れるなど、もう少し具体性のある ものを県や市に言わなければ、「そうですか」と言われて終わってしまいます。 もしくは、「予算がつかないから無理です」と言われてしまうので、どこか に入れ込むという議論は出なかったのでしょうか。それが第1点です。 ○柳澤座長 その点に関しては、どうでしょうか。 ○齋藤母子保健課長補佐 こちらのイメージとして持っているのは、例えば医療計画のようなものに関 して位置付けができるかどうかということであり、小児疾患・小児医療・周産 期医療に留まらずに全体的な医療に関して、今後、整備指針といったものを構 築していく予定です。この中で、現時点でははっきり申し上げられないのです が、どういう形で位置付けが可能かということを検討していければと思ってい ます。 ○森委員 その辺は誤解を受けるといけないので、今後出される整備計画の中でそうい った文言を付けられるとよいかと思います。今、幾つかある整備計画とこれの 整合性がなくなってしまうと難しいと思うのですが。 ○牛島委員 その後に、都道府県云々というのは5、6行ありますが、これでは不十分だ ということですか。 ○森委員 これは、2番目に質問しようと思っていたのですが。 ○齋藤委員 「各都道府県は」というところからですね。 ○牛島委員 これは、説明ではない。 ○森委員 この各都道府県において整備計画を策定するというのは、行政がかかわる整 備計画、2番目のところは実際にはどういう動きをするかという話ですか。そ のように私は解釈をしました。ついでに言ってしまいますけれども、2段目の ところで、「各都道府県は地域の実情に応じて、これらの中核的な医療機関」 この「中核的な」というのが引っ掛かるのですが。これは医師会の先生の方が 詳しいですが、一時期そういう地域の計画の中で頻繁に中核的な医療といわれ たのですが、実際にはその通りにはなっていない。そうなっていないところで、 突然ここで「中核的な」という言葉を使ってしまってよいのかということが2 点目です。 中核的な医療機関が、なぜ公立病院・大学病院の小児科、精神科や小児病院 なのかがよくわからないのですが。どういう基準でこれを中核というのか教え ていただきたい。 ○柳澤座長 これはどうでしょうか。 ○齋藤委員 これは、従来述べられてきた医療システムの中の中核病院という意味ではな いのです。いわゆる子どもの。 ○森委員 「中心的役割を果たす病院」という文言にしていただいた方がよいのではな いでしょうか。「中核的」という言葉は行政でも使われている言葉ですので、 その方がよいと思います。 ○齋藤委員 わかりました。いずれにしても、先ほどの地域における子どもの心の診療ネ ットワークの中の中心になる病院という意味合いで使った言葉です。 ○森委員 そこは少し変えていただければよいかと思います。 その後に「ここを中心として、小児病院、大学病院あるいは、公立病院の小 児科精神科、民間クリニック、精神保健センター、児童相談所、発達障害支援 センター、情緒障害というものなどをはじめとする」とあるのですが、精神科 病院はなぜ入れられていないのか、何か意図があってそう書いたのか。という のは、子どもの研修会をやっているのですけれども、大体6割は民間の精神科 の病院の先生方が、最近子どもの診療をたくさん見なければならないというこ とで勉強したいという意欲があって受講されている。多分これを見た途端に 「やってはいけないんだ」ということを思ってしまいますよね。 なぜ民間クリニックは入っているのに、一番病床数が多くていざという時に 頼りになるかもしれない民間の精神科病院を抜いたのかという理由を教えて いただきたい。 ○奥山委員 特に抜いたという意識ではなかったのですが。その「公立」というのは省け ばいいですか。 ○森委員 そうですね。その通りだと思います。 ○奥山委員 要するに、高度な専門医を育てるためには、現在医療システムがきちんとし ていないためにうまく育てるところに結びついていないのではないかという ことが最初に書かれていて、その医療システムをつくるにはどうしたらよいの かということなのです。 つまり最初に書いてあるように、医療システムができていないので、いわゆ る高度と考えられている所にさまざまな患者が集まってしまって、長い待ち時 間ができて。そして一般の小児科の先生方が診た患者の送り先がないなど、い ろいろな問題が起きているということが大前提にあります。 こういうことを、もう少し表に見えた、患者が行きやすく選びやすいような システムをきちんとつくりましょうということがここに書かれているという ことなのです。これは「民間クリニックなどが全部の機関」ということではな いです。 ○山内委員 なるほど。せっかく我々は、三層という頭で考えているわけです。それでジ ェネラルな姿としては高度のプライマリーも全部入れたものとしてこういう ものが必要だというものがここに入ってくると、読み分けるのに困難ではない かと思ったものですから。ここは高度専門的に携わる医師の養成はどうするの かということで書くべきだと。もしそういう大きな意味のシステムが必要とい うことであれば、もっと総合的な意味で書いた方がわかりやすいのではないか と思います。 ○奥山委員 確かにご指摘ごもっともでございまして、最初この部分は、むしろ前文に近 いような位置付けで書かれていたものを一緒にしたものですから、少しわかり にくくなったかと思います。(1)の前半のところは、やはり人材養成などもで きるような機能を持った中心的な役割を果たす医療機関ということで、その後 はもっと全般的な地域レベルでの診療体制の構築という文章ですので、むしろ 最初の前文の所に入れると収まりがいいように思います。 ○山内委員 それであれば、精神科病院も入れないといけないと思うのですけれども。 ○齋藤委員 よろしいでしょうか。少し追加ですけれども。要するに、この提言の部分は、 専用病棟をきちんと持った中心的な役割を果たす病院をきちんと地域に作っ て、それを中心にしたネットワークをつくっていくべきだという提言です。で すからおっしゃる通り、これは総論的な部分が混ざってしまったかなと思いま した。 ○柳澤座長 その辺をもう一度工夫してみたいと思います。 ○牛島委員 その辺を検討される時にもう一つご検討願いたいのが、子どもの相談・診療 体制の整備の中で、例えば精神科クリニックというのは該当しないのか。精神 科病院もそうだということになりかねない。 ○柳澤座長 それは、どう位置付けるかというようなことですか。 ○牛島委員 小児病院、大学病院、公立病院、小児科、精神科とこうなっています。民間 クリニックなどで子どもを専門にしている先生たちは決して少なくないので す。精神科の先生たちも有力な診療体制の一員だろうという気がするので、そ の辺も考慮に入れていただきたい。 ○奥山委員 民間クリニックという中には、小児科、精神科両方入れているつもりだった のですが。分けて書いた方がよろしいですか。 ○牛島委員 公立病院の小児科、精神科の次に民間クリニック。 ○柳澤座長 精神科の病院に関しては、公立病院の「公立」を取って両方含むという捉え 方もできないかということです。 ○冨田委員 この(1)の(1)の3であれば、虐待や発達障害などが多いということが前面に 出ているのですが、やはり子どもの心の問題として、最初の窓口あるいはその 数の多さから言えば、ひきこもりというよりもまず、不登校の問題があるので はないかということ。あるいは、当然ある心身症が全く入っていませんが。摂 食障害というのもあります。そういうものをここで1、2、3と規定するのであ れば、例えば、「4」として入れていただかないと。これでは、何か非常に偏 っているように思うのですが、いかがでしょうか。 ○柳澤座長 その点は、いかがでしょうか。 ○齋藤委員 これに関しては、長く項目を挙げていくと読みづらくなるので、一番象徴的 な現象として「ひきこもり」という言葉を使わせていただいたことと、このひ きこもりは、決して青年期のひきこもりを意味しておらず、漠然としたレベル の不登校から明らかにひきこもりが明確なグループまで含んで、特に精神疾患 と関連するのは「ひきこもりを伴う不登校」であると思いましたので、その辺 りはこのひきこもりで代表したつもりです。 他の摂食障害等を含んで精神疾患というのは、それらを全部含んだ大きなく くりとして、虐待・発達障害という注目を集めている2大課題と同じくらいの 重さ、あるいはその二つと非常に密接に関わりあって絡み合っている要因とし て精神疾患があるということを言いたかったのが、この趣旨です。 ○森委員 少し今の所に追加してよいでしょうか。ここであまり議論をすると長くなっ てしまうと思うのですが、番号を付ける必要はないのではないかと思うのです。 番号がなければ「など」に含まれるのですから。番号を付けたばかりに、何か 「3」にしかかからないということが起きてしまったのではないでしょうか。 ○柳澤座長 おっしゃる通りだと思います。 ○桃井委員 この「各都道府県においての整備計画」という文言ですけれども、都道府県 で医療計画の委員会が立ち上がっていて、都道府県によっては小児科、産婦人 科医療計画を中心になってやっているところもありますけれども、委員会をバ ラバラに置きますと、都道府県の中で連動しない形で起きることが気になりま す。特に、小児医療については都道府県の行政計画が拠点病院中心で進んでい るところですので、「各都道府県において小児医療の整備計画、精神医療整備 計画等に連動した」というような文言をぜひ入れていただくと、全体を見なが らということが出てきて、小児医療、精神医療ともそのような形で整備計画が 出されてよろしいかと思います。 ○柳澤座長 今日の主要な検討課題である資料2に関しては、いろいろな活発なご意見を いただきましたけれど、今いただいたさまざまなご意見を踏まえて、もう一度 修正したものを委員にお示しして最終的なものにしたらどうかと思うのです が、いかがでしょうか。 最後のところを含めて、多少意見をいただいておきたいと思いますが。 ○今村委員 よろしいですか。(2)の最後のところで「診療報酬表の適正な評価」という ところがあります。これは、この中に書き込むかどうかということは別にして、 具体的にどういうことを要求されるのでしょうか。私ども医師会としての一番 の関心事ですので、何かお考えがあれば教えていただきたいのですが。 ○柳澤座長 この点についてはいかがでしょう。今までこういった領域の診療報酬が不当 に低いということは、何度も発言がありました。 ○今村委員 大ざっぱにはわかりますが、もう少し詳しい部分で、具体的な要求があるの か、わかっていれば教えていただきたいと思うのですが。 ○柳澤座長 それについてはどうでしょうか。事務局。 ○齋藤母子保健課長補佐 学会などからのご要望ということで、今後そういう話が続いていくわけです が、この中間報告の段階での意見集ということで、県からのご意見を集約した ものを、今回、報告書案の中に入れ込む形で、そのご要望としては、どのよう な話になっているかといいますと、精神の方にかかる診療報酬の評価に関する 課題と診療に要する時間が子どもを対象としたものだと大変かかるので、なか なか採算という面で難しいこと、虐待への対応などが現在の中間報告の中では 述べられたところです。また、実際にどのような形で入院医療を支援していく のかということについては、今後、さまざまな学会とすり合わせをしていくよ うな状況です。 ○市川委員 私が感じているのは、「精神科の診療報酬体系は、統合失調症などを中心に 作られている」ということです。統合失調症と発達障害を同じに扱うのは難し いことです。例えば、作業療法を行うとして、統合失調症では一度に20数名 を対象にしますが、発達障害ではマンツーマンということもあります。診療報 酬では、疾患上の特徴をもう少し考慮していただきたいということです。 ○齋藤委員 この点で申し上げますと、今、子どもの心の診療ということで小児科・精神 科両方がこの領域に関わる専門家として、この世界をつくっていこうとしてい るわけですが、診療報酬上の問題で言いますと、双方が不満と矛盾を抱えてい るわけです。一つは精神的な問題・心の問題に関わる場合、外来においては、 小児科は精神科並みの診療報酬を求めて、子どもの心の問題にかかる時間とマ ンパワーということを考えた時に、どうしてもと希望しておられます。その一 方で入院医療になりますと、今度は、精神科は小児科並みに手のかかる、それ からかなり医療に関する持ち出しを必要とする小児科並みの手当てをと望ん でいます。その「小児科並み」と言いましても、いろいろなレベルがあります が、せめて小児慢性病棟並みの包括点数を、子どもの心の診療を専門とした病 棟は小児科であろうと精神科であろうと、算定できるようサポートしていただ かないと維持できないと考えていますので、その辺りの調整をと願っていると ころです。 ○柳澤座長 この件に関しては、さまざまなご意見があると思います。それから、今まで の議論の中にも度々出てきましたので、今回の最終報告書における本文の中で の記載上はこの程度に留めさせていただければと思います。 はいどうぞ、簡単に。 ○別所委員 今のところとあまり関係ないのですが「システムの総合的な計画整備を進め る必要がある」というところですが、何か整備する方向性があった方がよいと いう気がするのです。例えば、診療する場は身近になければならないというこ とがありますけれど、養成する高度な専門家におけるとなると、ある程度規模 が大きくなると思うのです。それは、小さいものをたくさんつくるという方向 ではなくて、やはりある程度まとまった施設をつくっていく必要があるし、そ のために、全国にどのくらい必要なのか、都道府県にそれぞれに任せるという ことだけではその方向性が出てこないのではないかと。小児救急の問題の取り 組みの中で、集約化や重点化というのが迫られているので気になるのですが、 それと同じような意味で、整備する方向はどういう方向で進めていくのかとい うことを書いた方がよいのではないかと思います。 ○柳澤座長 ある程度、ニュアンスとしては、そういう点を示しているとは思いますけれ ども。今の別所委員の質問に対して、ご意見は。 ○齋藤母子保健課長補佐 こちらでは、そもそも高度な診療に携わる医師の養成に資するような体制づ くりを、どのように総合的に計画・整備していくかという視点で書かれていま す。そういった意味では、その後に続く診療体制の整備の中で、先ほどご質問 いただいた中心的な役割を果たす施設の整備を目指すといった観点から書い ています。 ○柳澤座長 そろそろ、これについての議論は終わりにしたいと思います。 ○森委員 一言だけ。今言われた集約化などという方向の話というのは、要するに効率 化の話ですが、ここで議論されているのは、いろいろな所でやっていたものを 効率化するということです。ですから、少しそこまで行くことができなかった のではないかと私は理解しています。 ○柳澤座長 ありがとうございます。大変さまざまなご意見をいただきました。それに基 づいて、かなり修正すべき点が出てきたと思います。修正については事務局で 作業を進めていただき、また私と協議の上でまとめ、改めて委員の方にお示し することにさせていただきたいと思います。日数が非常に限られておりますの で、十分なことができるかどうかというのは問題ですが。そういう形で、この 部分に関しては、私が責任をもって事務局と必要な調整をした上で、報告書に 反映させたいと思います。よろしいでしょうか。 それでは次に本検討会最終報告書案の検討を行いたいと思います。 ○牛島委員 一ついいですか。これは専門資格。 ○柳澤座長 専門資格に関しては、(3)のように書かせていただきました。 ○牛島委員 これは恐らく、この委員会でも、例えばこの逆三角形の専門的な領域という 意味においては必ずしも明確ではないような気がしないではないのですけれ ども。周辺の医療関係者ないしは一般市民から見た専門的な技能のある人たち というイメージを、もう少し明確にしても良いという不安は残ります。 ○柳澤座長 この検討会における議論として、この領域の専門医制度というものをここで は議論しないと。それは学会の立場で、関係する学会もたくさんありますので、 そういうところでの協議でそういう方向に進むということが望ましいという ことを、繰り返し申し上げております。 ○牛島委員 それはわかっていますが。ここでなくてもよろしいのですが、講習会を開い たなどというときに、例えばきちんと講習会を受けたというものを出す、出さ ないなど、そのようなことは決めてありますか。 ○柳澤座長 それは今まで十分に検討しています。奥山委員、例えば研修会などについて お願いします。 ○奥山委員 前にお話した通り、明日、子どもの心の診療関連医学会連絡会(6つの医学 会の連絡会です)で初めての研修会を行います。テキストを編集しています、 牛島委員にも日本児童青年精神医学会の代表としてご承認いただいたもので す。そこで、今年度は第1回研修会を行うことになりました。そこでは修了証 を出すことになっています。 ○牛島委員 その辺のことはよくわかっておりますが、表現上、この辺りは明確にしてお かなくてよいのかと思いましたが、時間の関係もありますので、引っ込めます。 ○柳澤座長 それでは先ほど申し上げたように、本検討会の最終報告書案の検討を行いた いと思います。これは平成17年度の中間報告書の内容を踏まえて、事務局が 原案を作成したものです。前回の検討会の後に報告書案を委員の皆さまに郵送 してご意見をいただき、それらを反映させたものとなっております。本日はこ の内容を最終的に確認して、これをもって本検討会の最終報告書として取りま とめたいと思います。 その中でも、先ほどの「子どもの心の診療に専門的に携わる医師の養成のた めに行なうべきこと」の部分に関しては、改めてもう一度きちんとしたものを お示しすると申し上げたところですが、それ以外のところに関して、事務局か ら、意見集約後にどのような部分を修正したかを中心にして説明をお願いした いと思います。 ○齋藤母子保健課長補佐 それでは報告書案をご覧いただけますでしょうか。こちらの目次をご覧くだ さい。今、委員の皆さまに最終的に議論いただきましたのが、6ページのIIIの 『「子どもの心の診療医」の養成方法について』で、その最初の「子どもの心 の診療に専門的に携わる医師の養成のために行うべきこと」が今ご検討してい ただいた部分です。その後の「2、3」につきましては、中間報告で平成17年 度にご検討いただいた内容で、こちらに関して変更はありません。 順番では、最初に、そもそもこういう高度な専門的な領域の医師がいないこ とには、一般的な医師の人材養成も難しいという観点から、これまで一般小児 科医より精神科医、次に定期的に診療を行っている医師、そして3番目に専門 的に携わる医師の養成という形で挙げさせていただきました。本日そこが終了 しましたので、その順番を逆にしております。このポイントとしては、この報 告書の中では具体的な提言が、まさにこの三つの類型の医師の養成のために行 なうべきことという部分です。これが6~13ページの図解までですが、そこが まさに転換部分です。 それに付随して、今回最初に前文というお話がありましたが、「はじめに」 については、これも中間報告に文章上重複などがありましたので、そこを精査 し、より端的な形で問題点がわかるように示しました。それが1ページです。 その後の、どのような心の問題がこの検討会において対象としてとらえられた のかということが、表1・表2です。これは中間報告のままです。 4~6ページまでは、この検討会で議論されたことの概観ということで概括 的に述べています。そもそも3類型に分類して、議論したことや時間をかけて 到達目標を定義したこと、また今回はさらに1類型と2類型向けの医師用のテ キストを作成したということを概括的に述べた部分です。それが前段という形 で、また概要ということで、導入部分に入れてあります。 その後6~13ページまでは、実際の具体的な提言が続くという構成になって います。これがまず本文ということで、直させていただきました。 その後に、養成の現状を非常に丹念に委員の皆さまに見ていただき、そこを 今回、平成17年度の中間報告から最新の情報に更新しています。今、申し上 げた到達目標が参考1で、14~16ページにわたって記載されています。参考2 は17~23ページにわたって、到達目標を活用していただけるようにというこ とで記載しております。 資料としては、目次の2枚目の真ん中を見ていただいていますが、中間報告 にも掲載されたもので、委員からのご意見・周辺課題などを資料1として、ま た資料2としては、これまでの関係者が代表されている組織で、どのような「子 どもの心の診療医」の養成に関する取り組みがされているのか、中間報告の段 階からさらに情報を最新のものに更新しています。それを参考資料2として掲 載しております。また、資料3、4は委員会の名簿、そして開催の経緯という ことで、この2年間にいつ、どのようなことを議論したかというものを付けて おります。最後に別添で、現在3種類のテキストを作成していただいておりま すが、それに関して報告書の中に目次として示しています。簡単ですがこのよ うな構造になっております。 ○柳澤座長 ありがとうございました。最終的な報告書に関しては、今の説明のような構 成になっています。多くの部分に関して、中間報告書を下敷きに作られている という説明がありました。ある程度、順番を追って見ていきたいと思います。 最初に1ページの「はじめに」から始まって、表1、表2、そして4ページ に我々の議論のよりどころとなっている「子どもの心の診療医」の3類型・三 つのカテゴリーを示しています。それを前提にして養成に関しての検討を行な ってきたということです。平成17年度は到達目標を作成し、今年度・平成18 年度はテキスト、あるいは研修会なども行われるという運びになっています。 この問題の5ページまでのところで、どれも今までに議論されたところではあ りますが何か問題点などはありますか。 6ページの「子どもの心の診療に専門的に携わる医師の養成のために行なう べきこと」が、今日の検討会の前半で非常に活発に十分に議論していただいた ところになりますが、それに続く「子どもの心の診療を定期的に行っている小 児科医・精神科医の養成ために行なうべきこと」そして「一般の小児科医・精 神科医の養成のために行うべきこと」については、平成17年度の検討会の中 間報告書を踏襲しています。 ざっと見ていただいて、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。先 ほど牛島委員から質問のあった研修会などのクレジットに関しては8ページ の辺りに書いてあります。 ○奥山委員 8ページの半ばに「※」としてあるところですが、ここは「中間報告を見て こういうものが設立された」という書きぶりの方がよいのではないでしょうか。 この書き方では、もともとあったような感じに見えてしまうと思います。 ○柳澤座長 これは全体が中間報告を受けているといえば、その通りだと思います。です からこのことだけ改めて書く必要があるのかどうか。検討会の報告書としては、 ある意味で、この最終報告書が唯一の報告書となるわけです。 ○齋藤母子保健課長補佐 中間報告を飲み込んだ形で踏まえて、これが最終報告という扱いになります。 ○奥山委員 特にそうでなくてはならないと言っているわけではなく、せっかくなのでそ うした方がよいかと思いました。 ○柳澤座長 今、奥山委員が言われたようなことが、流れとして不自然でなければよろし いのですが。 ○南委員 委員の方がそれぞれ専門の立場から、この診療の体制や養成の体制をどうし たら充実できるかと、主張されていることは一つ一つごもっともで、報告書も 非常にきれいにまとめられていると思います。 ただ、一般の国民の視点からすると、先ほど牛島委員が少しおっしゃいまし たが、子どもの心の診療にかかわる検討会として期待されるのは、それをどう いう形で国民に見えるように示すことができるか、どこに行けばよいのかが国 民に見える形になるかという部分です。今回の報告書の中で到達目標などがき ちんと示されて、指導的立場が期待される団体名もきちんと示されているとい うことは、ホームページなどを通して、十分に国民にも見えると思います。 次の段階は専門医ということだと思いますが、そこのところが一寸気になり ます。ここまでしか書けない現状は十分理解はします。しかし、結局このよう にしか書けない理由があるわけで、現状はまだとてもそこまでは行っていない ということです。今後、子どもの心の診療が担える医師がきちんと養成される ことが第一で、専門医というのは、さらにその次の課題であるということが、 漠然とでもわかるような表現が必要なのではないでしょうか。国民の間には専 門医ということへの期待値が高いので、その辺のことを示す必要があるのでは ないでしょうか。 ○柳澤座長 今の南委員がおっしゃったことは、私としては内心全くその通りだと思って います。この検討会で話すのも変ですが、専門医制度ということに関して今の 状況を少し申し上げます。各学会で作っている専門医制度を束ねる日本専門医 認定制機構というものがあるわけですが、私はその役員を長年続けていて、そ こでの議論の状況などを見ると、専門医制度に関して、専門医認定制機構があ り、それから一方で日本医師会・日本医学会がある。そういった中で、従来は 日本医師会はこの専門医制度に対して後ろ向きの状態だったのですが、最近は 大変積極的に前向きに捉えてくださっているように受け止めています。しかし 現在、60以上の学会が加盟している日本専門医認定制機構のもとにある専門 医制度はすべて学会が作り上げてきたものです。これは国が出す報告書です。 国からこういった領域の専門医制度が必要だということを出したことは、現在 ある専門医制度の中では今まで一つもありません。ですから、そういう受け取 られ方をするような国としての提言は、今までの専門医制度に対する厚生労働 省の立場からすると、いろいろ議論を呼ぶところであろうと考えておりますの で、先ほど申し上げたようなことを、この場では繰り返し話してきたわけです。 ○山内委員 今の南委員の発言は、ユーザーというか一般の人からすれば当然のことなの で、例えば「はじめに」というところの一番下の下線が引いてある2行があり ますが、その上のところに「この報告書によって医師が養成されれば、プライ マリーケアについては、小児科医・精神科医であれば対応できることになる。 その上で専門性の高い人ができていくことが期待される」などという表現があ れば、我々がどういうことをイメージしてきたかということが、一般の人にも 受け取れるのではないかと思います。 ○柳澤座長 山内委員から、示唆に富んだご意見をいただきました。 ○牛島委員 私が先ほど言いたかったことはこのことです。専門医資格という言葉につい て、もう少しいろいろ説明があってもよいのではないかという気がしました。 というのは、専門医制度と国家資格とが別物であることを専門家はよく知って いますが一般の市民はそれを知りません。しかも厚生労働省からこういう答申 が出たということになると、しかも専門的な知識がいると盛んに繰り返し言わ れると、あたかもここで専門家が養成されているかのような錯覚に陥ります。 ですからこの辺りの説明は、あと3~4行くらいあった方がわかりやすいので はないかという意味で申し上げました。どうしても期待が出てきて、国家資格 みたいだけれども専門医制度は国家資格ではないということを、当然我々はわ かっていますが、一般市民はわかりません。そこら辺りのことを含めて、ここ での目標達成というのは大体こういうところに絞っているけれども、専門医制 度とは一線を画しているなどということを少し入れればわかりやすいのでは ないかという意見です。 ○森委員 南委員が言われたことは、今回の専門医制度の見直しが起こって、先生が中 心となってやられていることですが、情報公開と関連しています。情報公開が できるようになるということは、専門医制度で「○○専門医」と書いてあれば、 民間の人たちはそれを信用することになります。看板に書けるわけです。この ことを言われているのだと思います。 ○柳澤座長 今、森委員が言われたのは、数年前に専門医ということを広告できるように なったということで、それは情報公開といいますか、規制緩和の流れの中でそ ういう制度になったわけですが、それと今ある専門医制度との関係は、非常に 微妙でいろいろな議論があります。 ○森委員 そこのところが牛島委員が言われたように、現状の専門医制度をそのまま本 来の国民が求める専門医制度に移行してよいのかどうかということは、もちろ ん例の中間法人で考えられることだと思います。その点の矛盾を国民は知らな いのです。ですから、この答申の文章だけでは、誤解をするのは、確かにそう だと思います。そこはデリケートなところです。 ○柳澤座長 その辺を書こうと思うと、かえって非常にわかりにくくなってしまう。 ○森委員 わかります。 ○南委員 私は、それほど深い意味で申し上げたわけではなくて、この問題は当事者に とっては切実な問題なので、こういう会議が政府として持たれたのですから、 患者はどこに行ったらよいのか、どこに専門の先生がいるのかということがわ かるということを一番期待するので、先ほど山内委員が言われた形でよいと思 います。この報告書とは別に、専門医制度をめぐっては、もう少し医療提供側 が一枚岩になっていただかないと、国民に理解できるようにはとてもならない ということを、いろいろなところで実感しております。 ○柳澤座長 ただいまのご議論・ご意見に関しては、山内委員が言われたような形で「は じめに」の最後にアンダーラインを引いてあるところの前に、そういう内容の ことを記載することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○奥山委員 今の南委員がおっしゃったことを勘案すると、医療の地域システムをつくっ た方がよいという話の中に、それを市民に見やすくすることを、どこかに一文 を入れた方がよいと思います。 また、特にこの子どもの心の問題の課題の一つが、この委員会の課題でもあ ったわけですが、小児科の中の一つの分野、精神科の中の一つの分野で埋もれ ていきがちな分野です。この検討会では、小児科も精神科も一緒になって子ど もの心のことを考えようという方向性は多少出たと思いますので、それが専門 医制度の中でどうかというのは別問題ですが、小児科のサブスペシャリティ、 精神科のサブスペシャリティという中で動いていると、難しい課題は持ってい る分野なのだということを認識しておく必要があると思います。 ○柳澤座長 全くその通りだと思います。この最終報告書の案に関して、13ページまで のところに関しては、今の議論に加えて修正するところがあると思います。そ の点に関しては、先ほどと同じように事務局と相談した上で修文し、それをお 示しするようにしたいと思います。 ○別所委員 8ページの(2)、一番下の「短期研修コース」の「続けて3日間以上の休暇が 取りにくい」というところですが、これはやはり休暇を取ってやるということ になるのですか。医師の需給に関する検討会などでは自己研修は勤務時間に入 れるのはおかしいというような考えで必要な医師数をいうときは、都合で医師 数を計算しています。本当にそれでよいのかどうかが非常に気になるところで す。「休暇でもって」ということを書かなくてはいけないのかどうかというこ とです。 ○柳澤座長 「1回に3日間以上続けて参加しにくい」とでも書けばよろしいですか。 ○別所委員 そうですね。 ○柳澤座長 わかりました。その後に、参考1として『「子どもの心の診療医」の養成の 現状』、参考2では「子どもの心の診療のための教育・研修の到達目標につい て」この辺りは中間報告の内容をほとんど転記しておりますので、よろしいか と思います。 ○齋藤委員 その参考1のところですが、『「子どもの心の診療医』の養成の現状」の最 初の「子どもの心の診療を専門的に携わる医師の研修」というところで、こう いうことが行なわれているという場所だけ記載されておりますが、今後は新た にレジデント制度をつくろうとしている機関も多くあるように見受けられま すので、柳澤班で我々がやらせていただいた、現時点でレジデント研修を行っ ているモデルを、この参考1の後ろに付けるなど、そういったことはいかがで しょうか。 ○柳澤座長 それは、どうでしょうか。 ○齋藤委員 見えやすいとは思います。 ○齋藤母子保健課長補佐 もし報告書が年度末に最終的に固まる段階で、その情報を頂ければ参考の部 分に盛り込むようにいたしますが。 ○齋藤委員 それは来週辺りに送ります。 ○柳澤座長 班研究の中でそういうことが示されていますので、それを齋藤委員から送っ ていただき、それを加えることができるかどうか検討してください。 ○奥山委員 参考で、前回の検討会に出ていた資料がありましたね。 ○齋藤委員 新たにお送りします。 ○柳澤座長 研修スケジュールのような表のようなものではなかったですか。 ○齋藤委員 2週間票に加えて、1年間・3年間の内容についても答えてくれた病院が幾 つかありましたので、それを送ります。 ○柳澤座長 資料として「委員からの意見」というのがありますが、これも中間報告で指 摘された委員からの意見が転記されています。 資料2は、各専門団体からのアンケート調査結果です。資料3は「子どもの 心の診療医の養成に関する検討会」の委員名簿です。資料3と4はこれでよい として、別添1は「一般小児科医のためのテキスト目次」で、仮題として「一 般小児科医に望まれる子どもの心の診療」という表題を付けて、現在作成の最 終段階に至っています。ここには目次とそれぞれのページ数、分担執筆者の名 前が表示されていますが、全体が既に原稿としては集まっていて、一定のフォ ーマットで整理をしたものが、実は昨日できあがって事務局へ届けたので、間 に合えばこの会議の資料として出せるかと思いましたが、無理でした。ですか ら、これに関しては本年度中にまとまった冊子にできます。 ○牛島委員 一つよろしいですか。15ページ、2の子どもの心の診療を定期的に行ってい る云々の(1)です。それから同じ15ページ(2)の3の一般の小児科医・精神科 医のための研修事業、生涯教育の現状(2)の1)以下、内容が同じものですね。 ○柳澤座長 そうですね。 ○牛島委員 これは、どちらをどう取るのですか。 ○齋藤母子保健課長補佐 これは2種類。厚生労働省のものですが、2種類やっています。 ○牛島委員 2種類と言いますが同じものですよ。内容も同じで文章も一緒です。精神科 医の勉強会をやっているのは一応同じものです。 ○齋藤母子保健課長補佐 アドバンス研修というものも始まったとお聞きしています。 ○柳澤座長 15ページの2の上の方の(1)と、3の下の方の(2)の1)というのが同じこと が書いてあります。 ○齋藤母子保健課長補佐 二つ分けて両方に書いていますので、重複しない形で整理をするようにさせ ていただきます。 ○柳澤座長 それは森委員が一番かかわっておられますけれども、もし間違っているとこ ろがあれば修正をしていただきたいと思います。 ○森委員 今期からアドバンスコースを作ったので、多分アドバンスコースの話が2 番になって、3番が基礎のコースの方、それが同じところに一緒に書かれてし まったのだろうと思って見ていました。人数もお送りしたものの中に全部細か く分かれています。アドバンスコースが何人などというのが多分資料の中にあ ると思いますので、そこで分けて書いていただければいいと思います。 ○柳澤座長 それは失礼しました。一部書き間違いであって、きちんと区別した形で。 ○牛島委員 私が思うには、日本児童青年精神医学会の認定医と厚生労働省事業の精神科 勉強会がやっているアドバンスコースというのは、講習の結果を同じ次元のも のだとされたら、恐らく日本児童青年精神医学会の会員は黙ってはいないと思 います。かなり次元が違う。その辺、ご検討を願いたいと思います。 ○柳澤座長 もしこれが不適当な記載であるとすると、どのように直したらよいでしょう か。 ○牛島委員 夜間アドバンスコースは、どちらかというと3の方に入るのではないかとい う気がします。森委員どうですか。 ○森委員 大変ありがたい意見ですが、そういうことではなくて、これは現状やってい るものを無理やり当てはめるとこういうことになるという理解をしていたの ですが。だから、これと同じ意味だということではないのでしょうか。 例えば基礎コースをずっと日本精神科病院協会でやってきたのですが、常時 子どものことをやっている先生や何度も研修を受けられた先生、実際にアドバ ンスコースにこられる先生は常時子どものことをやっておられるクリニック の先生なども多いのです。そういう先生たちが専門的なことをもう一回ディス カッションしようと来られる場合が多い。実際にはそういう人を対象にしてい るのですが、それが子どもの研修として役に立つかどうかは別の問題です。 ○牛島委員 ただ、これをいわゆる日本児童青年精神医学会の認定医の資格を取った人た ちが見たら黙っていないと思います。というのは3日間くらいのアドバンスコ ースといっても、せいぜいケースカンファレンスのケースの検討会をやる程度 で、そのくらいのことでいわゆる2の部類に属するという形になっていったら、 少しバランスが取れないという気がするのです。 ○森委員 これは私が入れたわけではないのですが、事務局の方でどちらでも結構です ので。おつくりになった方から意見を。 ○柳澤座長 奥山委員。 ○奥山委員 今日は保科委員がおられないのですが、小児科医会の方でも似たような研修 会をやっておられますが、保科委員のこの会でのご発言をいつも伺っていると、 あくまでも一般小児科医のレベルアップを目標としているのだというところ で3の方に入っています。目標によってかなり違いが出てくるのかと思います。 ○森委員 ここに障害保健課の方がいらっしゃるので、あまり大きい声で言えないので -すが、もともとこの事業を日本精神科病院協会が受けたときに、「これは専 門研修としてやってください」ということを言われているので、実は基礎研修 などという名称が使えないのです。表紙も全部専門研修と書いているのです。 それを各都道府県に名簿として渡しなさいと。各都道府県の小児精神科をやっ ている人が非常に少ないので、そういう名簿が欲しいという要請のもとに、日 本精神科病院協会が受けてやりだしたものですので、今の議論とは違うところ の議論としてスタートしているのです。かみ合わせが悪いということがあるの ではないかという気がします。ですから3の方にまとめていただいても良いと 思います。 齋藤委員どうでしょうか。 ○齋藤委員 小児科医会の姿勢がそうであるならば、こちらも同じでよいと思います。 ○柳澤座長 わかりました。その点に関して今ご議論をいただいた点に関しても修正をす るということにしたいと思います。 中断しましたが、山内委員から一般の精神科医のための研修テキストの作成 の進捗状況について簡単に報告いただけますか。 ○山内委員 内容につきましては別添2の資料にあるようなことを書いていただいてい ますが、大体7割強は原稿をいただいていると思いますので完成するようにし たいと思います。 ここでご判断いただきたいのは、実際にはコアのメンバーによっていろいろ な方の名前を挙げて書いていただいたのですが、原稿に多少の差があります。 手を入れると失礼ですし時間がかかるので、あまり問題がなければそのまま載 せる形にしています。実はこれは研修テキストの第一歩としては非常に意味の あることだと思うのですが、今後は改訂を重ね、よりよいものにしていくとい うことで考えればと思います。これが決定版みたいになっても困るという感じ がします。 ○柳澤座長 その点は一般小児科医向けのテキストについても全く同じ状況だと思いま す。記載されたものをずっと目を通してみますと、濃淡というか、レベルに少 しでこぼこがありますし、そういった点を修正していく必要が。そのような作 業がこれから継続的に必要だと思いますし、これからずっと継続的な研修が必 要だということがあってのテキストですから、これから継続的にこれをリバイ スしながら長期にわたって利用し活用していくということが大変重要だと思 います。 ○山内委員 もう1点、先ほど奥山委員も言っていましたが、最初から小児科か精神科か 問題になっていたのですが、テキストの上で多少差はあるかもしれませんが、 できれば将来的には合体したような形で、プライマリーケアで小児科・精神科 の医師はこういうことがわかっていないといけないというような形になって いくべきと思います。最初の入り口のところで小児科用、精神科用というのは、 引っ掛かるのです。 ○柳澤座長 大変重要な、貴重なご意見をいただいたと思います。こういったテキストの 将来的な運用の仕方として、そういう方向で進めていきたいと私も全く同感で す。次は子どもの心の診療を定期的に行っている小児科医・精神科医のための 研修テキストです。奥山委員どうですか。 ○奥山委員 子どもの心の診療を定期的に行っている小児科医・精神科医のための研修テ キストに関しましては、スタートが遅くなって申し訳なかったのですが、ここ に目次があがっております。ただ、メールのやり取りの中で、なぜか行がずれ てしまうという問題が生じて、若干まだずれているのですが、きちんと訂正し た形で出したいと思います。なお、こちらの方も集まっているのが7、8割近 くなのです。あともう1歩というところです。 おっしゃる通り、編集の作業が追いついておりません。今のところ問題のあ る表現だけはなくす方向で考えていますが、今後、整合性に関しては、ぜひリ バイスで対応していきたいと思っています。 ○柳澤座長 これについては、ボリュームも今までの一般小児科医・精神科医のためのも のに比べると、倍以上ありますし、内容的にもここでは類型の2、「第二のカ テゴリーの医師を対象に」という形になっていますが、より高い専門性を持っ た医師のためのテキスト・参考書としても役に立つような内容と考えています。 それでよろしいでしょうか。 このような形で報告書をまとめたいと。それについてもいろいろご議論・ご 意見をいただきました。ただ今いただいたさまざまなご意見については、私に 一応一任いただいた上で事務局と調整をして必要な修正を行った上で、改めて もう一度お示しをし、それをもって最終的に決定ということで公表をさせてい ただくという運びにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ではご了承を いただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。 残された時間はそれほどないのですが、前回の検討会の際に冨田委員から資 料のご提出をいただいています。今日もそれが委員提出資料として配布されて います。その他に、杉山委員と吉村委員からもご意見を提出いただいています が、杉山委員と吉村委員は欠席ということで、委員の先生方にはお目通しいた だいておくということで、冨田委員は出席ですのでこの提出資料について簡単 に説明をいただけますでしょうか。 ○冨田委員 この会主導でテキストが作られているところですが、日本小児心身医学会で はすでに独自に完成させたガイドラインがあります。現在、起立性調節障害の ものは発刊済みで、不登校のものは近日中に出ます。その他に企画中のものと して摂食障害があります。起立性調節障害のガイドラインは小児科医が子ども たちの不定愁訴に対して、起立性調節障害をどのように診ていくべきなのかを 詳しく書いています。 今日、お手元にお渡ししたのは「不登校ガイド」と「不登校ガイドブック」 で、前者は一般医が外来で、とにかく「不登校」を診るのに、この程度の知識 は最低限必要という線を示しています。A4一枚にまとめたのがミソで、この ぐらいの量であれば「忙しくても見てもらえるのでは?」と考えて作成してい ます。その後、興味をもったり、詳しく勉強したいと思ったりした時にみてい ただくのが冊子になった「ガイドブック」です。不登校というのは、言うまで もなく、精神病から甘えや怠けに至るあらゆる状態が背景にあるものですから、 最もガイドラインは作りにくいものです。しかし、あえて私たちの学会で作っ たのは、心身症的な面が強く、わが国で最も多い問題であると考えるからです。 もちろん、作成するにあたり、委員の中でも議論が多く出たのですが、とにか く一回、出すことに意義があり、不備はそれから直して改定版を出していこう という姿勢です。 私たちとしてはこの会に各学会の先生方がたくさんいらっしゃいますので、 これを見ていただいて、このように直せ、こうした方がよいのではないかとい うご意見をいただいて変えていければ、さらによいのではないかということを 考えています。不登校は、まもなく出版で、摂食障害については次に出す予定 です。 ○柳澤座長 どうもありがとうございました。小児心身医学会の方から出していただいた 資料ですが、お目通しいただいて、もしさまざまな専門の立場で、何かご意見 があれば学会の方に伝えてほしいということだと思います。 ○森委員 この取り扱いですが、これはコピーすることは可能なのですか。 ○冨田委員 起立性調節障害は、やがてホームページでダウンロードできるようにしよう と検討しています。基本的にはどなたにでもお使いいただきたいということに なります。付け加えますと、この委員会でつくっていくテキストの少し詳しい 各論のような格好になればよいかと思っています。そのためには各先生方から いろいろなご意見もお伺いしたいと思っています。 ○柳澤座長 どうもありがとうございました。他の委員の方から何か。もう最終回ですし、 残された時間は10分間ですが、ご意見・ご提案があれば承りたいと思います。 ○森委員 確認です。最後のテキストが大体3月中にはできるという話なのですが、4 月以降の研修には、どういう形でこのテキストを発表するかという案を幾つか 教えていただければ。 ○柳澤座長 その点はどう考えますか。我々編集を担当したものとしては、まとまった形 でそれを提出するというところで役目は終わりと思っていました。ですから、 どのような形で活用するかは。 ○齋藤母子保健課長補佐 この場で作成していただいたものですので、なるべく広く社会に使っていた だけるようにということで、平成19年度に事業として予算を確保しておりま して、そのための印刷や製本をするための準備をさせていただくことにしてい ます。ですから、目標としては全ての精神科・小児科の先生に何らかの形で。 どのようなルートでというのは、委員の先生方にご相談させていただきますが、 配布できればということと、インターネット上でも厚生労働省のホームページ などでPDFなど活用できるような形で、非常に広く使っていただけるようにし たいと考えているところです。 ○柳澤座長 小児科医・精神科医には原則的にすべてにわたるというようなものとしたい。 その上でさまざまな場で行われる研修会で活用してほしいということだと受 け止めました。 ○奥山委員 これは厚生労働省だけではなくて国への希望です。今回の検討会の中の最後 の方でも国などが現状の調査研究をすることが書かれているのですが、例えば 1年前に文部科学省で、小児科および精神科に予算を付けましたと非常に明る くおっしゃっていただいたのですが、それが実際どのように使われ、どのよう に子どもの心の診療医の育成に役立っているのかが私たちには全然見えない のです。国立病院の先生方にお聞きすると、現実には、小児科医や精神科医の 知らないところで使い道がきまっていることすらあったという情報もありま す。その辺の情報公開をぜひ進めていただきたいと思っています。よろしくお 願いいたします。 ○柳澤座長 南委員、最後に何かありますか。 ○南委員 特別にありませんが、二年度にわたって参加して、あまりにも長い間繰り返 しされた小児科か精神科かという出自をめぐる議論と国のこの問題に対する、 早くいえば予算だと思うのですが、取り組みの遅さ、認識の薄さを感じてまい りましたので、この会議で関係する方々が共通の認識を持てたということは非 常に大きな意義があったと思います。それを報告書に書くかどうかは別として も、本当に大きな一歩です。ですから、この本当に困っている方に役に立つよ うに、この報告書を役立てていただきたいと思います。 ○柳澤座長 どうもありがとうございました。この検討会として最終報告書が一応取りま とめというところまできました。それを了承していただきましたので、最後に あたって母子保健課長から一言ごあいさつをいただきたいと思います。 ○千村母子保健課長 本来であれば雇用均等・児童家庭局長から委員の方々にご検討をお願いした ものですので、局長からごあいさつを申し上げるべきところですが、今日は、 たまたま国会関係の用があり、そちらに行っているので、代わりまして私母子 保健課長からお礼のごあいさつを申し上げたいと思います。 まず平成17年度、18年度の2年間にわたり、柳澤座長をはじめ委員の皆さ まにおかれましては大変活発なご議論をいただきまして、また今日もいろいろ ご指摘いただきましたが、関係者が集まって議論いただいたということで、ま ずそこのところが非常に意義深いと私たちは思っています。今日はいろいろ最 終報告書についてご議論いただきました。細部にわたって、少し検討すべきと ころが残っていますが、この報告書の全体のスタンスというか考え方につきま しては、委員の皆さまからいただいたものと思っており、これについても大変 ありがたいと思っています。 この報告書を取りまとめいただいた上で、報告書については関係者に周知す るということ、あるいはこの検討会の中で作成いただいたテキストについても、 先ほど担当から申し上げたように、小児科医・精神科医の先生方を含めた関係 者の皆さまに広く周知するということにまず我々としては取り組んでいきた いと思っています。またその上で、今後関係者の皆さんには、なお一層のご協 力をいただき、この子どもの心の診療医の養成あるいは子どもの心の診療につ いて取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。大 変ありがとうございました。 ○柳澤座長 ありがとうございました。終わりにあたって、座長の私からもあいさつ申し 上げたいと思います。委員の皆さまにおかれましては、2年間にわたり非常に 活発な議論を尽くしていただき、また絶大なる協力をいただきましてありがと うございました。座長として十分な議論の進め方ができたかどうかは内心忸怩 たるものがありますけれども、一応報告書の取りまとめというところまで行っ たことは、私としても大変うれしく思います。 子どもの心の診療に関しては、長い間、小児科あるいは精神科が、それぞれ 別個にさまざまな取り組みをしてきましたが、このように一つの検討会で一堂 に会して議論をする。そして一つのものをつくり上げていくというようなこと が行われたことは、非常に画期的だと思いますし大変うれしく思います。そう いった中で、今奥山委員に取りまとめていただいているテキスト、あるいは明 日行われる研修会が、小児科の分科会である関係学会と精神科の分科会として の学会との六つの学会が合同で行われるようになったということで、それがこ れからもさまざまな連携・協働していくという動きにつながっていくと大変画 期的なことだと思いますので、検討会がそういう形でも役に立ったとすれば大 変うれしいことです。 この報告書、またその成果物としての到達目標やテキスト、そういったもの がぜひ活用されて、子どもの心の診療に携わる医師、本当は医師だけではなく てその他のさまざまな職種もあるわけですが、人材の養成が進められていくと いうことを希望し、それについて委員の皆さま方、もちろん厚生労働省・国と しても十分力を尽くしていただければありがたいと思います。どうもありがと うございました。 これをもちましてこの検討会を閉会させていただきます。 ―終了― 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 電 話:(代表)03-5253-1111 齋 藤(内線:7933) 佐々木(内線:7938)