07/02/16 労災医療専門家会議(平成18年度)第4回議事録 第4回労災医療専門家会議  日時 平成19年2月16日(金)14:00〜 場所 中央合同庁舎第5号館専用第17会議室 ○笹川係長 定刻になりましたので、これより「第4回労災医療専門家会議」を開催し ます。なお、伊地知先生、川城先生、木村先生、黒木先生、保原先生、三上先生におか れましては、本日はご都合によりご欠席です。  次に資料の確認をお願いします。本日の資料は、「アフターケアに関する検討報告書 (案)」になっています。資料はよろしいでしょうか。それでは、柳澤座長、進行をよ ろしくお願いいたします。 ○柳澤座長 今日は、この専門家会議の最後として整理させていただければと思います。 「アフターケアに関する検討報告書(案)」の取りまとめについての方針ですが、既に 専門家会議でご審議いただいてご承認されたもの、あるいはそれぞれの先生方からのご 意見を踏まえて作成されたものということになっています。それらをご検討いただきた いと思います。  報告書(案)の検討に先立ち、事務局から前回の検討に関しての報告がありますので、 そちらを最初に伺いたいと思います。 ○長嶋医療監察官 前回の専門家会議の終わりに、本日ご欠席ですが、伊地知先生から、 脊椎の骨折や脱臼について、脊椎インストゥルメンテーションという内固定材を埋め込 んだものはアフターケアの対象となるのではないか、というお話がありました。この話 は、場合によっては、脊椎骨折・脱臼に係るアフターケアを新たに設けるということに なりますので、後日事務局において、伊地知先生からお話をお聞かせいただいた上で、 対応をご報告させていただくこととしていました。  伊地知先生からお話をお聞きしたところでは、脊髄損傷に至らない程度の脊椎の骨折 ・脱臼により胸椎や腰椎といった脊椎に内固定材を留置した者にあっては、内固定材を 留置したまま症状固定に至るというものが相当数あるだろうということ。症状固定後に おいて、一定の年数が経過することにより、内固定材のゆるみや折損等により、後遺症 状が増悪するおそれがあるということ。また、定期的にエックス線検査で状態を確認す ることにより、後遺症状の増悪を予防することができるであろうということから、アフ ターケアの対象となり得るものではないか、と思われました。  しかしながら、アフターケアを新たに設けるためには、治ゆ後における後遺症状の動 揺等の状態やその対象者数等を十分に把握した上で、アフターケアの必要性、また、そ の必要性が認められた場合には措置内容等の詳細について検討することが必要となりま すので、検討に必要な資料の準備等、スケジュール的にも今回の検討には間に合わない 状況にあります。  伊地知先生からも、「継続して検討していくということでよろしいのではないでしょ うか」というお話をいただきましたので、この件については、引き続き検討課題とし、 後程ご説明申し上げます「アフターケアに関する検討報告書(案)」の最後に、その旨 を記載させていただきました。以上です。 ○柳澤座長 伊地知先生から提起された課題ですが、前回の内容をご審議いただく中で、 確かに検討に値するものであります。ただ、いろいろ調査をする期間その他、今回の検 討報告書に含めることは少し無理であろうということで、最後にそれを記しておくとい う取扱いにしたいということです。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 そのようにいたします。それでは、報告書(案)の検討に入りたいと思い ます。事務局から、報告書(案)についての説明をしてください。 ○長嶋医療監察官 「アフターケアに関する検討報告書(案)」について、ご説明申し 上げます。なお、本日お示ししています検討報告書(案)については、前回、柳澤座長 からご指示のありましたとおり、事前に検討報告書の素案を全ての先生方にお送りし、 お目通しいただき、先生方からいただいたご意見を踏まえたものとしています。  報告書(案)の構成については、表紙をお開きいただきますと、専門家会議の報告書 の前例に倣い、まず報告書の前文を載せています。前文の内容としては、「現在の医療 技術を考慮した見直しを行うことが望まれる」という提言、専門家会議の開催状況、検 討部会の設置等になっています。それから、報告書の報告日、ご参集いただいた先生方 のお名前等を記載しています。  次に、「目次」をご覧いただきたいと思います。先生方にご検討いただいた内容・結 果を取りまとめ、報告書として整理しています。記載の順序としては、まず検討部会に おいて検討いただいた「アフターケアの基本的考え方に関する検討結果」を「第1」と し、その検討結果を踏まえてご検討いただいた「措置内容等に関する検討」を「第2」 としています。「第2 措置内容等に関する検討」においては、「検討事項」としてご 検討いただいたものを「1 検討結果」に記載し、先程ご説明申し上げました継続検討 事項を「2 その他」に記載しています。また、その後に、報告書に添付します関係資 料(本専門家会議の開催要綱及び参集者名簿)を記載しています。  次に、報告書の記載内容について、ご説明申し上げます。1頁からの「第1 アフタ ーケアの基本的考え方に関する検討」の記載については、第2回の専門家会議において、 資料1としてお配りし、検討部会の先生方に代わりまして、事務局において読み上げる 形でご報告させていただいたものです。この内容については、既にご了承いただいてお りますので、ご説明は省略させていただきます。  6頁からの「第2 措置内容等に関する検討」の記載については、主に第2回及び第 3回の専門家会議でご検討いただいたものを事務局において取りまとめました。少しお 時間をいただくこととなりますが、読み上げさせていただきます。  第2 措置内容等に関する検討。1 検討結果。  第1の2の検討部会における検討結果を踏まえ、アフターケアの措置内容等について 検討した結果は、下記のとおりである。  (1)実施期間。ア 実施期間の見直し。  実施期間については、従来からの検討の経緯によって、対象傷病ごとに、治ゆ後2年 ・3年及び制限がないものと定められている。  この実施期間については、検討部会における検討によって、「原則として対象傷病ご とにアフターケアを必要とする期間(その期間の終了をもってほとんどの事例がアフタ ーケアを終了することができる期間)とすることが適当」とされ、また、「実施期間に 制限がない対象傷病も含め、21傷病の全てについて、現在の医学等の進歩を踏まえて病 態を検討し、実施期間を見直すことは適当」とされたことから、全ての対象傷病につい て見直しを行ったところであるが、現状においては、対象傷病ごとに定められた実施期 間の根拠が大きく変わったという状況は認められず、実施期間を変更する特段の事由は ないことから、現行の実施期間とすることが適当である。  なお、実施期間の見直しについては、必要に応じて継続して検討することが適当であ る。  イ 実施期間の継続。  現在、手帳の有効期間は、実施要領によって、実施期間と同じ期間(実施期間が2年 のアフターケアについては2年間、3年のアフターケアについては3年間)とされてい るが、実施期間は、原則として当該期間におけるアフターケアの実施をもって、それ以 降のアフターケアの継続を必要としない期間であることから、それを継続する必要があ るというときに、同じ期間とすることは不適切である。  治ゆ後2年・3年の期限が定められているアフターケアの継続については、診断書に よって適切であるか否かを判断することが適当であり、継続年数に制限を設けるという ことではないが、実施期間が定められているアフターケアの手帳の更新は、アフターケ アの趣旨から、1年単位とすることが適当である。  一方、せき髄損傷等実施期間が定められていない対象傷病については、現在、手帳の 更新が3年ごとに繰り返されている。アフターケアを必要とする期間が定められていな いにもかかわらず、3年ごとに手帳の更新を繰り返すというのは少し頻繁すぎることか ら、更新に係る手帳の有効期間を現行の3年間よりも長い期間(例えば5年間)に変更 することは適当である。  (2)「頭頸部外傷症候群等」の整理及び「脳の器質性障害」の新設。  現行の頭頸部外傷症候群等に係るアフターケアの実施要綱には、頭頸部外傷症候群の 他に「等」として、頸肩腕症候群、腰痛、一酸化炭素中毒症(炭鉱災害によるものを除 く。)、外傷による脳の器質的損傷、減圧症がまとめられている。この一つのアフター ケアの中に複数の傷病が雑多にまとめられている状況を分かりやすく整理することは適 当である。  具体的には、頭頸部外傷症候群等に係るアフターケアに含まれる六つの傷病を次の二 つに分類する。  (1)痛みによるもの。頭頸部外傷症候群、頸肩腕症候群、腰痛。  (2)脳の器質性障害によるもの。一酸化炭素中毒症(炭鉱災害によるものを除く。)、  外傷による脳の器質的損傷、減圧症。  「痛みによるもの」として分類した頭頸部外傷症候群、頸肩腕症候群、腰痛について は、引き続き頭頸部外傷症候群等に係るアフターケアとする。  また、「脳の器質性障害によるもの」として分類した一酸化炭素中毒症(炭鉱災害に よるものを除く。)、外傷による脳の器質的損傷、減圧症については、有機溶剤中毒等 (一酸化炭素中毒症(炭鉱災害によるものを含む。)を除く。)及び脳血管疾患ととも に統合し、新たに「脳の器質性障害」に係るアフターケアを新設することは適当である。  (3)「頸肩腕症候群」の名称変更。  「頸肩腕症候群」の名称については、昭和50年2月5日付け基発第59号「キーパン チャー等上肢作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」において、「頸肩腕 症候群とは、種種の機序により後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手及び指のいずれ かあるいは全体にわたり「こり」、「しびれ」、「いたみ」などの不快感をおぼえ、他 覚的には当該部諸筋の病的な圧痛及び緊張若しくは硬結を認め、時には神経、血管系を 介しての頭部、頸部、背部、上肢における異常感、脱力、血行不全などの症状をも伴う ことのある症状群に対して与えられた名称である」とされていたものが、平成9年2月 3日付け基発第65号「上肢作業に基づく疾病の業務上外の認定基準について」により、 「頸肩腕症候群は、出現する症状が様々で障害部位が特定できず、それに対応した診断 名を下すことができない不定愁訴等を特徴とする疾病として狭義の意味で使用している ものである」とされ、行政における定義が変更されている。  このことを踏まえ、アフターケアの対象傷病名として「頸肩腕症候群」を用い続ける ことの適否について考えるに、「頸肩腕症候群」というのはその疾病も含むと広く解釈 されるが、アフターケアの対象者は業務災害等によって生じた障害のある者なので、対 象をより限定できる「頸肩腕障害」に変更することが適当である。  なお、「頸肩腕障害」という新しい文言を用いるに当たっては、混乱を生じさせるこ とのないよう、平成9年2月3日付け基発第65号に基づき、「頸肩腕障害」とはどのよ うなものかを明らかにする必要がある。  (4)精神療法・カウンセリング等。ア 「外傷による脳の器質的損傷」への精神療 法の追加。  精神療法・カウンセリング等については、サリン中毒及び精神障害に係るアフターケ アについては認められているが、外傷による脳の器質的損傷に係るアフターケアについ ては認められていない現状にある。  精神療法・カウンセリング等は治療の範ちゅうであるとの見解から、これまで認めら れてこなかった経緯があるが、精神科の「精神療法」というものは、非常に広い範囲の ものであり、アフターケアの時期におけるものは生活指導や行動にかかわるものなどが 中心になる。「精神療法」の中にも、後遺症状の動揺(増悪)を防ぐためのものがある ので、外傷による脳の器質的損傷に係るアフターケアについても、精神療法・カウンセ リング等を実施することは適当である。  なお、アフターケアとして行われる精神療法は後遺症状の動揺(増悪)を防ぐための ものであって治療とは異なるものであることを明らかにすることが必要であり、例えば 「生活指導に重点をおいた精神療法」というような表現を用いて取り扱うことが適当で ある。  また、「カウンセリング」の文言については、精神療法の内容を明確にすることによ って、これを削除することもできるが、一般に普及している言葉であり、文言を変える ことによって不必要に混乱を起こすことは避けたほうがよいとの観点から、残すことが 適当である。  イ 精神科作業療法及び精神科デイ・ケアの削除。  現行の運用上の取扱いにおいては、精神療法・カウンセリング等の「等」として精神 科作業療法及び精神科デイ・ケアの実施が認められている。  しかしながら、精神科作業療法及び精神科デイ・ケアについては、社会生活機能の回 復を目的とするものとされており、その内容からアフターケアとして実施することは不 適当であるので、削除することが適当である。  (5)精神薬の名称の整理。  現行のアフターケアでは、対象傷病ごとに精神薬の名称が異なっている(炭鉱災害に よる一酸化炭素中毒症、せき髄損傷及び外傷による脳の器質的損傷に係るアフターケア については「精神安定剤」。虚血性心疾患等、サリン中毒、循環器障害(心臓弁を損傷 した者及び人工弁に置換した者)に係るアフターケアについては「向精神薬」。脳血管 疾患及び有機溶剤中毒等に係るアフターケアについては「向精神薬(内服)」。精神障 害に係るアフターケアについては「向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬)」) ことから、これを整理する必要がある。  炭鉱災害による一酸化炭素中毒やせき髄損傷に係るアフターケアについても向精神薬 を投与することはあるし、精神障害においても抗躁薬など記載していない薬を使用する ことがあることから、全て「向精神薬」に統一することが適当である。  なお、睡眠薬は向精神薬に含まれることから、削除することが適当である。  (6)画像検査の範囲の明確化。  画像検査について、現行の実施要綱上、頭頸部外傷症候群等(脳の器質的損傷)につ いては「頭部コンピューター断層撮影」、大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折に ついては「コンピューター断層撮影等」、慢性化膿性骨髄炎については「CT、MRI 等」と表記されている。  頭頸部外傷症候群等(脳の器質的損傷)及び大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨 折に係るアフターケアの画像検査についても、慢性化膿性骨髄炎に係るアフターケアの 画像検査と同様、「コンピューター断層撮影」の表記について「CT、MRI等」とす ることが、検査内容を明確にするという観点から適当である。  (7)尿路系障害に対する措置。ア 腎機能検査の変更。  前の専門家会議において、尿路系障害(旧「尿道狭さく」)について、腎機能検査に 関しては、腎クリアランスやPSP検査より血中の尿素窒素量等の確認が重要であるこ とから、血液一般・生化学検査に包括することが適当であるとの見解が示されている。  尿路系障害に関する腎機能検査の中で、腎クリアランスやPSPの検査は、現在、ほ とんど行われておらず、腎機能検査を血液一般・生化学検査に変更することは適当であ る。  イ 残尿測定検査の追加。  残尿測定検査は、超音波を用いると簡単にできるので、最近は超音波を用いる方法に よることが多いが、カテーテルを用いて残尿量を測定する方法によることもある。 残 尿測定検査を「超音波検査」としてしまうと、カテーテルを用いて残尿量を測定する方 法によることは認められなくなってしまうので、超音波検査を含めて残尿測定検査と理 解することが適当である。また、残尿測定検査については、「残尿測定検査(超音波検 査を含む)」というような表記とすることが適当である。  ウ 尿培養検査の追加。  せき髄損傷及び尿路系腫瘍等については、神経因性膀胱がある場合には残尿があり、 上部尿路感染を起こす危険があることから、尿検査に「尿培養検査」を含めることが適 当である。また、「尿検査(尿培養検査を含む)」と表記することが適当である。  エ 排尿障害改善剤及び頻尿治療剤の追加。  尿路系障害に係るアフターケアとして、排尿障害改善剤及び頻尿治療剤を追加するこ とは、現在アフターケアの措置と認められ、支給されている他の薬剤の内容との均衡か ら考慮して適当である。  (8)CRP検査の追加。  CRP検査については、個別事案ごとの判断において、「炎症部位が確定できないた め、必要性は認めがたい」とされてきたが、平成18年4月に新設された呼吸機能障害に 係るアフターケアにおいて、気道感染や肺炎等の有無や程度を診断するという理由で、 必要に応じて1年に2回程度の範囲内で行うことが認められている。  CRP検査は、ある障害が出た場合、それが細菌性感染によるものか否か、何によっ て症状が出たかを知るための検査であるので、炎症部位が確定できるわけではないが、 個別に感染を繰り返しやすいリスクを持った状態において、これを指標として用いるこ とは適切である。  また、呼吸機能障害に係るアフターケアでは、感染が状態を悪化させるリスクになる 確率が高い(易感染性が認められている状態である)ことから、CRP検査が認められ た経緯からすると、医学的に考えて、感染性の病態を引き起こすリスクが非常に高い(易 感染性が認められる)傷病についても、呼吸機能障害が感染を起こすリスクレベルとの 整合性を図る観点から、CRP検査をアフターケアの措置に含めることは適当である。  具体的には、せき髄損傷は、神経因性膀胱を生じる確率が非常に高く、尿路系感染の 率が高い。尿路系障害は、もちろん尿路感染の確率が高い。人工関節・人工骨頭置換術 では、ある一定の割合で遅発性感染が生じ、いったん感染が生じると、人工関節・人工 骨頭の抜去に至る可能性が高く、感染のリスクが非常に大きい。慢性化膿性骨髄炎は、 化膿性炎症そのものであり、当然に炎症の消長を調べるということでCRP検査は必要 となるものである。循環器障害(人工弁又は人工血管に置換した者)については感染の リスクがある。  よって、せき髄損傷、尿路系障害、人工関節・人工骨頭置換、慢性化膿性骨髄炎及び 循環器障害(人工弁又は人工血管に置換した者)の五つの傷病に係るアフターケアにC RP検査を追加することは適当である。  なお、CRP検査の実施回数については、呼吸機能障害に係るアフターケアと同様に、 「必要に応じて1年に2回程度の範囲内で行うもの」とすることが適当である。  (9)併用剤。ア 健胃消化剤としての潰瘍治療剤の支給。  潰瘍治療剤は、治療薬に該当するため、原則としてアフターケアでは認められないも のと取り扱っているが、鎮痛薬を使ったときには誰でも抗潰瘍薬を飲むものである。む しろ健胃薬を使わずに、主に抗潰瘍薬を使うことから、併用薬として支給する場合には、 抗潰瘍薬を健胃消化剤に含めることは適当である。また、「健胃消化剤(抗潰瘍薬を含 む)」と表記することが適当である。  イ 抗てんかん剤に対する肝臓用剤の削除。  平成元年3月20日付け基発第127号通達には、傷病別アフターケア実施要綱に定める 薬剤の投与に関して、医学的に併用することが必要と認められる薬剤の例として「抗て んかん剤に対する肝臓用剤」を掲げているが、現在では、肝臓用剤(肝疾患治療薬)の 併用が肝障害を予防するとする医学的根拠はなく、アフターケアの範囲と認めて差し支 えないとしている医学的に併用することが必要と認められる薬剤から「抗てんかん剤に 対する肝臓用剤」を削除することは適当である。  (10)鎮暈剤の追加。  鎮暈剤は、感覚器官用薬に分類されるが、内耳の血流量を改善し、めまいを抑える薬 であることから、これを循環改善剤又は神経系機能賦活剤に含まれるものとして取り扱 うことは適当である。  (11)末梢神経障害治療剤の追加及び微小循環系賦活剤。  末梢神経障害治療剤については、現在支給されている他の薬剤の内容との均衡から考 慮して、アフターケアの措置として認めることは適当であるが、微小循環系賦活剤につ いては、現在、中枢神経系、末梢神経系を含め、神経系の障害、疾患に対する適用は認 められていないので、せき髄損傷及び外傷による末梢神経損傷に係るアフターケアの措 置として認めることはできない。  (12)血液一般・生化学検査の名称変更。  血液一般・生化学検査という名称は、アフターケア制度において独自に使用されてい るものである。医科点数表上では、血液一般検査は末梢血液一般検査、生化学検査は生 化学的検査であることから、この名称を「末梢血液一般・生化学的検査」に変更するこ とは適当である。  (13)バクロフェン髄注療法に伴う薬剤再充填の支給。  バクロフェン髄注療法(ITB療法)とは、平成18年度診療報酬改定により健康保険 適応となったものであり、中枢神経系の抑制性神経伝達物質バクロフェンを専用の埋込 型ポンプシステムを用いて作用部位であるせき髄へ直接投与することにより、脳・せき 髄疾患に由来する重度の痙性麻痺に対し痙縮改善効果を示すものである。  なお、現行のせき髄損傷に係るアフターケアにおいては、筋弛緩剤(鎮痙剤(バクロ フェン錠剤)を含む)の支給を認めており、また、外傷による脳の器質的損傷、せき髄 型の減圧症、脳血管疾患、有機溶剤中毒等に係るアフターケアでは、四肢麻痺が出現し た者で必要な場合には、せき髄損傷に準じて薬剤を支給できるものとしている。  バクロフェン髄注療法は、現在、それほど一般化してはいないが、内服による抗痙縮 薬では効果が十分でない場合に使用されることから、これによりメリットのある者がい ることは確かである。  よって、バクロフェン髄注療法に係る重症痙性麻痺治療薬髄腔内持続注入用埋込型ポ ンプ設置後の当該ポンプ薬剤再充填について、アフターケアの措置として認めることは 適当である。  (14)「熱傷」の対象者の追加。  熱傷に係るアフターケアの対象者については、労災保険法による障害等級第12級以上 の者のうち、医学的に早期にアフターケアの実施が必要であると認められる者とされて おり、現在、「女性の外ぼうに醜状を残すもの」(障害等級第12級)はアフターケアの 対象者となるが、「男性の外ぼうに醜状を残すもの」(障害等級第14級)はアフターケ アの対象者となっていない。障害等級の認定において、外ぼう(頭部、顔面部、頸部の ごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。)の醜状についてのみ男女の区 別があり、女性の方が上位に格付けされているのは、社会生活において醜状により受け る精神的苦痛を考慮し、女性のそれが男性に比較して大であるという社会通念に基づく ものである、とされている。  一方、外ぼうにおける単なる「醜状」とは、原則として、「頭部にあっては、鶏卵大 面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損」、「顔面部にあっては、10円銅貨大以 上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕」、「頸部にあっては、鶏卵大面以上 の瘢痕」のいずれかに該当する場合であって、人目につく程度以上のものをいう、とさ れており、後遺障害の程度に女性と男性の違いはない。  よって、後遺障害の程度が「男性の外ぼうに醜状を残すもの」に該当する者について は、現在「女性の外ぼうに醜状を残すもの」をアフターケアの対象としていることとの 均衡上、医学的に早期にアフターケアの実施が必要であると認められる者について、ア フターケアの対象者とすることは適当である。  (15)白内障等の眼疾患に係るアフターケア。ア 眼瞼内反による睫毛乱生の処置の 追加。  白内障等の眼疾患に係るアフターケアの対象者については、「白内障、緑内障、網膜 剥離、角膜疾患等の眼疾患の傷病者」とされており、外傷による眼瞼内反がその範囲に 含まれるか否か、必ずしも明確にされていない。  外傷によりまぶたが変形し眼瞼内反になった場合、睫毛乱生(逆さまつげ)が生じ、 痛みの発生や角膜上皮剥離、角膜潰瘍をつくることがあり、睫毛抜去の処置が必要とな ることから、白内障等の眼疾患に係るアフターケアとして眼瞼内反による睫毛乱生の処 置は必要であることから、これを認めることは適当である。  また、当該傷病の実施要綱の対象者の範囲について、眼瞼内反を白内障、緑内障、網 膜剥離、角膜疾患と同様に、明記することが適当である。  イ 外用薬、内服薬の支給。  現在、白内障等の眼疾患に係るアフターケアとして支給される薬剤は、点眼剤と眼圧 降下剤となっている。アフターケアの対象として眼瞼内反による睫毛乱生のようなもの があることから、外用薬として眼軟膏を認めることは適当である。  また、内服薬として眼圧降下剤は必要であり、これを支給していることは適当である。  (16)精神障害に係るアフターケア。ア 非定型向精神薬服用者に対する尿検査。  非定型向精神薬の中には、血糖値を上げる薬剤があり、糖尿病の既往がある者や肥満 の者などは、血糖に注意しながら投薬しなければならないとされているが、現行のアフ ターケアであっても、向精神薬を服用している場合には、血液一般・生化学検査が認め られており、血糖測定を行えることから、尿検査を追加する必要は認められない。  イ 特定薬剤治療管理料の追加。  現在、アフターケアの実施要領によって、抗てんかん剤の継続投与を行う場合には、 特定薬剤治療管理料をアフターケアに要する費用として請求できることとしている。  労災認定されるものは「うつ病」によるものが多いが、非定型の精神病も発症し得る (件数は少ないと思われる。)ことから、ハロペリドール製剤又はブロムペリドール製 剤を使用する可能性もある。  よって、統合失調症に対しハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を、躁うつ 病に対しリチウム製剤を、また、躁うつ病又は躁病に対しバルプロ酸ナトリウム又はカ ルバマゼピンを継続投与している場合についても、抗てんかん剤の継続投与の場合と同 様に、特定薬剤治療管理料の請求を認めることは適当である。  (17)呼吸機能障害に係るアフターケア。ア 保健指導における禁煙指導の明記。  検討部会の検討結果においても「保健指導には対象者に対する適正な生活習慣の指導 を含めることが望ましい」としていることから、呼吸機能障害に係るアフターケアの保 健指導について、特に喫煙者については禁煙を指導する旨の指導を明記することは適当 である。  イ 呼吸器用貼付剤の追加。  気道攣縮に対してβ2刺激薬の貼付を用いることは、日常臨床であることから、呼吸 機能障害に係るアフターケアで支給する薬剤に「呼吸器用貼付剤」を追加することは適 当である。  2 その他(継続検討事項)。  「脊椎の骨折・脱臼に対して、近年、脊椎インストゥルメンテーション(脊椎の骨折 や脱臼に対する脊椎固定術に際し、骨癒合の促進と早期離床のために開発された脊椎に 使用する器具の総称であり、基本的には、プレートやロッドを椎体に刺入した裸子で固 定する方法と椎弓と横突起に固定したフックをロッドで固定する方法がある。)という 治療法が開発され、脊椎に内固定材を留置したまま症状固定し、早期に社会復帰する者 が増えてきている。脊椎はもともと動く箇所であることから、一定の年数が経過するこ とによって、内固定材のゆるみや折損等が生じ、これによって後遺症状が増悪するおそ れがあり、人工関節・人工骨頭置換と同様に、症状固定後についても定期的にエックス 線検査を行い、状態を確認する必要があるので、アフターケアの対象となり得るのでは ないか。」との意見が出された。  このような進歩する医学等への適応については、検討部会において、「医学等の進歩 に適応するため、アフターケアを必要とする対象傷病の措置範囲等を見直す必要がある 場合には、適時、専門家会議を開催し、検討・見直しすることが適当である」としたこ とを踏まえ、当該意見による「脊椎骨折・脱臼に係るアフターケア(仮称)」について は、治ゆ後における後遺症状の動揺等の状態や対象者数等を十分に把握した上で、アフ ターケアの必要性、また、その必要性が認められた場合には措置内容等の詳細について 検討を要することから、継続して検討していくことが適当である。  以上です。 ○柳澤座長 ご苦労様でした。それでは、順次、検討してまいりたいと思います。最初 の頁にお戻りください。「目次」をご覧いただくと、「第1」の「アフターケアの基本 的考え方に関する検討」、これは、実際にこの内容について既に検討して、了承をいた だいていますので、よろしいと思います。先生方、改めて見直してみて特段に訂正を要 するところ、あるいは表現を変えたほうがいいところはありますでしょうか。 ○山口先生 ちょっと証文の出し遅れの感があるのですが、2頁、第3段落の「このよ うに、21傷病が」というところから、いちばん最後の段落の「対象傷病については、」 までの3つの段落の位置付けは非常に分かりにくいと思います。うまくつながっていな いような気もします。ここでどうこうということはありませんが、事務局でもう1度検 討いただければと思います。座長にお任せしますから、ちょっとお考えいただけないで しょうか。  というのは、これがものすごく目立つのです。下から2段目、「従来の制度の運用に おいて、特に問題となることがなければ、制度の基本を変える必要はない。」というの は、上からずっと流れてきているものにうまくつながっていないと思います。 ○柳澤座長 例えば、この2行を削除することはいかがですか。 ○山口先生 削除するというのが1つです。私は、それでもいいと思います。 ○柳澤座長 事務局、どうでしょうか。これはそれほど大きな問題ではないと思います。 「対象傷病の追加、変更及び削除」というタイトルのところで扱われていることですか ら、21傷病がどうであるかいろいろ検討した。一般論としては、対象傷病は追加・変更 することはあるだろう。どうでしょうか、今ここで検討しますか。 ○山口先生 いや、中身が変わることではないから、お任せしていいと思います。先生 がおっしゃった前のほうが重要で、この2行は果たして要るのだろうか。 ○柳澤座長 「基本を変える必要はない」ということは、改めてここで述べる必要はあ るでしょうか。 ○山口先生 もし書くのだったら、もっと前、第1段落か第2段落のどこかに付けた方 がいいかなと思います。中身に影響があることではありませんからお任せします。 ○柳澤座長 削除することでよろしいと山口先生がお考えならば、それで検討してみま しょうか。全体の文章の流れが問題だろうと思います。この点、何か事務局で意見はあ りますか。 ○長嶋医療監察官 座長とご相談させていただきながら詰めていきたいと思います。 ○柳澤座長 削除するかどうか、いま山口先生がおっしゃったような点を念頭に置いて もう一遍見てみましょう。よろしゅうございますか。ほかにございませんか。  もしないようでしたら、6頁の「措置内容等に関する検討」に入りたいと思います。 これは全体として17の項目、それからその他の継続検討事項から成り立っています。検 討されて、各専門領域の先生方からのご意見を伺った上で作られた文章であります。基 本的な内容はよろしいと思いますが、表現などの点について、お気付きの点があれば、 おっしゃっていただければと思いますので、逐次検討していきたいと思います。  (1)の「実施期間」ですが、ご検討いただきましたように、2年、3年、無期限と いうことなのですが、これは現在の医学の進歩の段階から見ても特段に変える必要はな いだろう。しかし例えば、2年、3年と言ったときには、それによってアフターケアが 終了するというのが基本的な考え方であるために、その後の継続については1年ごとに 診断書を出していただいて検討しましょうということであります。  もう1つ、制限のないものについても3年ごとに手帳を出していただいているのです が、はっきり固定した障害があるわけですから、それについて特段の変化が考えられる 場合はあまりないので、期間をもう少し長くしたらどうか。例えば5年ということで検 討するということですが、よろしいですか。  「例えば5年」という言葉をここで表現として入れます。そうすると、それから後は どうなるのですか。専門家会議の報告書として、そういうものが出てきたというと、行 政の方で、いろいろ手続上の点を検討して、5年にすることがあり得るということです か。 ○長嶋医療監察官 前回の検討では、現実的には5年程度かなということで、ここで「5 年」と入れています。検討報告書の内容を踏まえて通達を改正することになります。報 告書の中に5年ということがあれば、その年数を踏まえて通達を見直していくことにな ります。 ○柳澤座長 よろしいでしょうか。よろしければ次にまいります。(2)「頭頸部外傷 症候群等」の整理及び「脳の器質性障害」の新設、これは大分ご議論いただきました。 障害の内容に沿った形で2本に分けようということで、「痛みによるもの」と「脳の器 質性障害によるもの」に整理する。 ○馬杉先生 文言のことでちょっと伺います。一酸化炭素中毒のことで、「症」が付い ているもの、2頁の最初の方にあったものは「症」が括弧になっています。これはどの ように使い分けているのですか。真ん中辺に「一酸化炭素中毒[症]」とあるのですが。 ○柳澤座長 このことは議論しましたよね。 ○馬杉先生 7頁にたくさん出てくるのですが。 ○長嶋医療監察官 この点については、検討部会において「症」があまり適当ではない ということで、括弧書きで表記しましょうということでした。その検討結果を踏まえて、 前の頁のものは括弧書きしてあります。本検討会においても、表記として「症」を括弧 書きするということであれば、そのように直したいと思います。 ○馬杉先生 2頁のところに出てくるのだから、統一しておいたほうがよいでしょう。 ○柳澤座長 検討部会では、やはり「症」という言葉は現在の用語としては使わないの で括弧書きにしたのです。しかし、個々の検討項目では、現在ある規則や法律に則って 表現されているのでそのまま「症」としました。これはどうですか。 ○長嶋医療監察官 現行はこの表現になっていますが、それが医学的検討ということで、 そのまま使うのはどうかというお話でした。そうはいっても、現行の表現がそうなって いますので、括弧書きという話がでて、前の頁は「症」を括弧書きにしました。  「症」については、括弧を付けた形で全体を統一したいと考えます。 ○柳澤座長 やはり、統一したほうがいいのではないでしょうか。経過を見たときに、 なぜ違うのかが問題になりますし。現在、「症」は医学用語としては一般的には付けま せんので、後のほうも括弧書きということにしましょう。そのほかにありますか。  その次は(3)、8頁です。「「頸肩腕症候群」の名称変更」、これもいろいろ議論 していただきました。「頸肩腕障害」という表現にした方がいいのではないか。「頸肩 腕症候群」という言葉がかなり特殊な、曖昧な概念として使われるようになってきてい るということから考えて、もう少し整理した方がいいという趣旨だと思います。  この項目の最後にあるように、平成9年の通達にあるような形で「「頸肩腕障害」と はどのようなものか」を明らかにしておくことが必要だということであります。(3) はよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、そのような形にいたしましょう。  (4)、「精神療法・カウンセリング等」です。「「外傷による脳の器質的損傷」へ の精神療法の追加」、これも実際には精神療法を行うことがアフターケアの中であるこ とがある場合を入れましょうということです。  9頁のイ、「精神科作業療法及び精神科デイ・ケア」というのは、「精神療法・カウ ンセリング等」の「等」となっているけれども、これは実際に社会生活機能の回復を目 的としているということがある。アフターケアのあり方としてはちょっと趣旨にそぐわ ないのではないかということで、「作業療法及びデイ・ケア」は削除したほうがいいの ではないかということでこのような結果になっています。ご検討いただきました岡崎先 生、よろしゅうございますか。 ○岡崎先生 はい。 ○山口先生 3頁にアフターケアの要件が書いてあって、「アフターケアにおける社会 復帰については、少なくとも次の(1)から(3)を満たす」ということで、「社会生活を続け ること」が2番目に載っています。そうすると、社会生活機能の回復を目的とするとい うことなら、(2)の要件に当てはまっているのではないですか。合っているかどうかわか りませんが、「社会生活の復帰への指導」などということなら理由になるかという気が します。この表現だと社会復帰の点に当てはまっているような気がするので、落とす理 由としてはよく理解できないような気もします。 ○柳澤座長 これはいかがですか。アフターケアの状態というのは症状固定、あるいは 治ゆということが前提にあるものですから、社会復帰を目標とした治療が行われている 状況というのは治ゆ、症状固定には当たらないのではないか。そういうことから、おそ らくここでは外したほうがいいのだろうという議論があったように記憶しています。そ ういった理解でいいですか。 ○岡崎先生 私も当初、山口先生と同じように理解していました。ただ、いま座長から お話があったように、デイ・ケアや作業療法というのは治療期の目標、課題を果たすと いう位置付けです。そこに精神療法を追加して、それに対する生活指導等を主とする精 神療法が行われればアフターケアの維持、あるいは動揺に対する対処というのは可能な のではないかと考え、両方合わせてこれでよろしいのではないかと思いました。 ○柳澤座長 というようなことでよろしいでしょうか。「精神療法」も理解にかかわっ てくると思いますので。基本的に、アフターケアを実施する上で必要なものは行えるだ ろうということだと思います。よろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 次にまいります。次は(5)、「精神薬の名称の整理」です。これは歴史 的な経過で、アフターケアに入ってきた傷病によって、いろいろな使われ方をしていた ものを「向精神薬」に統一することが適当であろうということからこのようにまとめま しょう。睡眠薬も向精神薬に含まれるということで理解して、「向精神薬」に統一する ということであります。これもよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 次は(6)、「画像検査の範囲の明確化」です。これもやはりいくつかの 表現があるわけです。現段階においてはCT、MRI等、「等」の中にはそれに準ずる 形で新しい方法も加わるという理解で「等」という言葉が残ったと理解します。「コン ピューター断層撮影」の表記として、「CT、MRI等」としたほうが明確ということ で、これもよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 その次、(7)、「尿路系障害に対する措置」として、「腎機能検査の変 更」です。かつてはクリアランス、PSPというものが行われていたわけですが、現在 は一般に行われていないということで、「血液一般・生化学検査」とまとめて行うこと でよろしいだろうということであります。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 その次、イは「残尿測定検査」です。残尿量の測定というのはいろいろな 方法がありますけれども、いくつかの方法が含まれ得る。いちばん下にあるような「残 尿測定検査(超音波検査を含む)」という表記にしたほうがいいだろうということです。  その次の「尿培養検査」、これも感染に対する検査ということで必要だろうと思いま すし、「尿検査(尿培養検査を含む)」と表記することが適当であろうと。イとウはよ ろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、このようにいたします。  次のエは「排尿障害改善剤及び頻尿治療剤の追加」です。これはアフターケアにおい ても、他の領域での薬剤との均衡から考えて適当であろう、ということで表記するとい うことであります。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 次は(8)、「CRP検査の追加」です。少し議論しましたが、CRP検 査は、呼吸機能障害について最近認められたものです。そのほかにも、感染のリスクが かなり高いほかの病態を含める必要があるのではないかということから、ここにあるよ うな説明を加えた上で、せき髄損傷、尿路系障害、人工関節・人工骨頭置換、慢性化膿 性骨髄炎及び循環器障害、これは人工弁を使った者と人工血管に置換した者ですが、そ れについてはCRPを認めましょう。ただし、無制限ということではなくて、一応モニ ターをするという点では、年に2回程度の範囲での検査でいかがだろうかということで す。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 その次は(9)の「併用剤」、ア、「健胃消化剤としての潰瘍治療剤の支 給」です。「健胃消化剤(抗潰瘍薬を含む)」と表記した方がいいだろうということで す。ただ、これを読んでいて、11頁の今の項目の2行目なのですが、「鎮痛薬を使った ときには誰でも抗潰瘍薬を飲むものである」という表現を、もう少し報告書に適当な言 葉に変えたほうがいいかなと思います。「鎮痛薬を使うときには、抗潰瘍薬を併用する ことが多い」などという表現にしていただけますか。ほかによろしいでしょうか。 ○戸田先生 イのところなのですが、「現在では」とありますね。これでは、昔はよか ったのかとなるのですが、医学的に考えて肝臓病剤の予防、あるいは抗てんかん剤によ る肝障害の予防、あるいは治ゆに有効であるという証拠はどこにもないわけですね。で すから、「現在では」というのは取っていただければ。うっかり言ってしまったのです が。 ○柳澤座長 何となく、昔は漠然と使っていたと。 ○長嶋医療監察官 平成元年の通達で認めていたという状況があるものですから。 ○柳澤座長 やはり、変更という場合には、現在ではそのようなことはなくなりました という表現があったほうがいいわけですね。 ○戸田先生 昔はあったのかと、医学的根拠はあったのかと取られると困るなと思った ので、考えていただくようにですね。 ○長嶋医療監察官 その部分は削除するということで。 ○柳澤座長 あとはよろしいですか。抗てんかん剤に対する肝臓用剤は、削除するとい うことです。  次は、12頁の(10)ですが、「鎮暈剤の追加」、「鎮暈剤は、」うんぬんとあります が、その作用の上から循環改善剤又は神経系機能賦活剤に含まれるものとして扱うこと が適当であると。これもよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 次は(11)で、「末梢神経障害治療剤の追加及び微小循環系賦活剤」です が、末梢神経障害の患者に対してこういった治療剤は、アフターケアとして認めること はいいだろうということなのですが、微小循環系賦活剤というのはユベラニコチネート やATP製剤というものなのでしょうか。健康保険では、これは適応は認められていま せんので、せき髄損傷及び外傷による末梢神経損傷に係るアフターケアの措置として認 めることはできないということですが、これも議論いただいたところでよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 この医学用語は、下から2行目の「適用」とありますが、これは「適応」 なのですよね。もし適応と変えることで差し支えないなければ、そのようにしましょう。 ○長嶋医療監察官 「適応」ということで。 ○柳澤座長 インディケーションという言葉の日本語として。  次に(12)「血液一般・生化学検査の名称変更」です。先程も出てきた言葉ではあり ますが、健康保険の点数表の上では別の表記をしているものですから、それに合わせる ということで、血液一般検査という言葉を「末梢血液一般検査」、生化学検査は「生化 学的検査」と変更するということで、これは用語だけの問題ですからよろしいと思いま す。  次は(13)「バクロフェン髄注療法に伴う薬剤再充填の支給」です。バクロフェンの 髄注療法というのは、平成18年度の診療報酬改定で健康保険の適応になりました。これ については、これから上がってくる脳・せき髄疾患に由来する重度の痙性麻痺の患者に 対しては、一応レフィリングという形での措置が13頁の上から2行目にありますが、埋 込型ポンプ設置後の当該ポンプ薬剤再充填について、アフターケアの措置として認める ということは適当であるということです。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 (14)は「熱傷」の対象者の追加ですが、これも障害等級によってアフタ ーケアを認定するということがあるわけです。障害等級第12級以上のもののうち、医学 的に早期にアフターケアの実施が必要であると認められるものと言われているのです が、女性の場合には「外ぼうに醜状を残すもの」というのは障害等級第12級なのですが、 男性の場合にはこういう言葉で示せるものは障害等級第14級であると。しかし、男性の 場合でもアフターケアの対象では、女性の場合と差をつけるべきではないのであろうと 思うわけです。これは具体的にはどのような形になりますか。障害等級を言葉の中から 取ることになるのでしょうか。 ○長嶋医療監察官 現行が障害等級第12級とありまして、そのほかの障害の状態にも関 わってきますので、この「男性の外ぼうに醜状を残すもの」を現行のアフターケアの範 ちゅうに含める形で変えていきたいと考えています。 ○柳澤座長 そうすると、多分もっとひどい障害の場合には、男性の場合の12級という ものもあるわけでしょうね。 ○長嶋医療監察官 醜状の状態がもっと著しいものがあります。 ○柳澤座長 それは当然のことながら認められるけれども、14級であってもやはりこれ だけの規定に合致する場合には、男性でも認めるという意味で追加するという形を取る わけですか。 ○長嶋医療監察官 はい。 ○山口先生 内容的には、皆さん異論はないと思うのですね。男性は喜びますし、女性 は女性の顔のほうがもっと重要だとは言わないと思うからいいのですが、形式的には障 害等級表の12級以上だけをアフターケアの対象とするというのは、何か根拠規定がある わけですよね。それは、何ですか。 ○長嶋医療監察官 通達上の取扱いになっています。 ○山口先生 それは通達だけですか。 ○長嶋医療監察官 はい。 ○山口先生 それならいいですが、規則か何かで書いてあるのなら、障害等級表を変え ないでこれをやったら、ちょっとそれと抵触するかなと。通達だけなら問題ないと思い ます。 ○長嶋医療監察官 障害等級表には関わりません。 ○山口先生 わかりました。 ○柳澤座長 では、そのような理解でよろしいですか。次は(15)「白内障等の眼疾患 に係るアフターケア」。眼瞼内反による睫毛乱生の処置の追加です。これは眼瞼内反を 対象者として明記することと、そのような方に対しては睫毛乱生に対する処置として睫 毛抜去が必要であろうということで、これはアフターケアであっても当然必要となるこ とですから含めるということです。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 眼瞼内反を対象者の中に明記するということと、睫毛乱生の処置を追加す るということです。  イは、「外用薬、内服薬の支給」です。これは、今のことに関わるわけですが、眼軟 膏が今まで明記されていなかったということで、外用薬として眼軟膏を含めるというこ とで、これも当然の措置だと思いますがよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 では、そのようにしましょう。  (16)は、「精神障害に係るアフターケア」です。アは、「非定型向精神薬服用者に 対する尿検査」です。これは、血糖値の変化に問題があるものですから、尿糖が出てい るかどうかが入っていたのでしょうか。しかし、今は向精神薬を服用している場合には、 血液一般・生化学検査の中で血糖測定が行われていることから、尿検査をあえて追加す る必要はないという考えですが、これはよろしいですか。 ○岡崎先生 すみません、ここは見落としたのですが、用語が間違っています。非定型 向精神薬とは言いませんで、これは非定型抗精神病薬ですね。 ○柳澤座長 こうが、はむかうの抵抗の抗で、精神病薬になります。非定型抗精神病薬 と表現を変えてください。 ○山口先生 これは次の段落でも出てくるのですが、非定型というのはどういうことな のですか。 ○岡崎先生 従来あったものを定型と呼んでいるものですから、それに対して非定型と いう、内容的には作用が違ってきています。第二世代といったほうが本当はよろしいの ですが、あるいは新規といって済むのですが。 ○柳澤座長 これは、非定型をやめて抗精神病薬だけにしたらいかがですか。 ○岡崎先生 それでも、私は矛盾しないと思います。ただ、血糖値が上がったり体重が 増えるのは、新規のほうが強いのですね。従来の中でも一部はあるのですが、新規のほ うが強いと思います。 ○山口先生 医学のほうで使われているのなら何も問題はないのです。ただ、私は「非 定型」というのが使われているのかどうか。 ○岡崎先生 使われていますが、山口先生が疑問を抱かれたように、やはり問題ではな いかという意見もあります。第一世代、第二世代という言い方、あるいは従来型、新規 という言い方もしています。 ○柳澤座長 第一世代、第二世代ということであるならば、まとめて抗精神病薬でもい いわけですよね。 ○岡崎先生 そうですね。抗精神病薬の中には、そのような薬剤があるのでという表現 をしていただければ、第一と第二も触れなくても済むかもしれません。 ○柳澤座長 わかりました。歴史的というか、言葉が出てきた結果、何となく私たちは そのまま使ってはいますが、私などの理解では定型というのは必ずそれまでの抗精神病 薬はパーキンソン症候群という錐体外路症状を出すのですが、非定型というのはそうい うものを出さないから非定型だという理解だったように我々は思ったのですが、そうい う意味もあるのですか。 ○岡崎先生 はい、そういう意味もあります。作用が少ない。 ○柳澤座長 そういう意味もあって、新しい形の薬ということなのですが。 ○山口先生 労災認定のところで、精神障害の認定基準などはICD−10を使っていま すよね。ここではそのような表記ではなく、うつ病というような表記でいいのでしょう か。ICD−10はどのように使っていますか。 ○柳澤座長 大うつ病とか何か。 ○岡崎先生 DSMのメジャーデプレッションなのですが。最初に、DSMの訳で大う つ病という訳が出てしまいまして、少し反対したのですが、それがある程度定着したも のですから、ICDにも反映しているのでしょう。いろいろ議論はあるのでしょうが。 ○柳澤座長 DSMのほうは、やはりメジャーを使うのですか。 ○岡崎先生 メジャーデプレッションですね。それが最初だったわけですね。 ○柳澤座長 むしろ、アフターケアで扱ううつ病は、メジャーではないですよね。 ○岡崎先生 そうです。ですから、これはうつ病でいいと思います。 ○谷島先生 質問してもよろしいでしょうか。「よって統合失調症に対して」という段 落のところですが、後半で「躁うつ病又は躁病に対してバルプロ酸ナトリウム又はカル バマゼピンを継続投与している」というところなのですが、バルプロ酸ナトリウムとカ ルバマゼピンは躁うつ病、躁病に対しても、医療保険適用になっているのですか。 ○岡崎先生 バルプロ酸は適用になりました。 ○柳澤座長 カルバマゼピンはどうですか。 ○岡崎先生 カルバマゼピンも適用だったと思いました。実態としてはものすごく使わ れています。 ○柳澤座長 前のアに戻りますが、非定型抗精神病薬というのは、今までの通達や規則 の中にそのような言葉は使われていますか。使われていると、勝手に直してしまうわけ にいかないので。 ○岡崎先生 カルバマゼピンも実際保険の適用の中に入っていますので、これを入れた わけですが。 ○柳澤座長 それは問題ないということですね。 ○岡崎先生 はい。 ○柳澤座長 先程のアのほうの非定型抗精神病薬という文言は、いままでの通達などに 入っていますか。つまり、非定型という言葉をこの段階で報告書で削ってしまっても、 問題はないかということなのですが。 ○長嶋医療監察官 現行の通達では用られていません。 ○柳澤座長 いかがしましょうか。もし、数年のうちに非定型という言葉が精神医学の 領域で取り去られてしまう可能性がかなりあるならば、いまのうちから取ってしまって も別に内容には変わりはないわけですから、よろしいかと思いますが。 ○岡崎先生 「抗精神病薬の中には」と書いていただいて、その後に血糖値を上げる薬 剤ありと書いておけば、それで正確だと思いますが。 ○柳澤座長 では、そうしましょうか。非定型を取って、原文にある向精神薬を抗精神 病薬にして、したがって抗精神病薬服用者に対する尿検査ということで、抗精神病薬の 中には血糖値を上げる薬剤がありうんぬんと。その次の「現行のアフターケアであって も、向精神薬を服用している場合」というのは、これは現行のアフターケアでの薬は何 と記載されていますか。向精神薬ですか。何かたくさん薬が書いてあった表がありまし たね。 ○長嶋医療監察官 現行は抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬となっているものを、今回 の見直しで向精神薬としています。 ○岡崎先生 すそ野を広げた表現をしているわけですか、向精神薬という。 ○柳澤座長 この向かうほうの向精神薬の中には、抗精神病薬は入るわけですよね。 ○長嶋医療監察官 抗精神病薬は入ります。今回、薬の名称の統一ということで検討し ていただいたものですから、そこで統一していただいた向精神薬の文言をここで使って いるものです。 ○柳澤座長 しかし、一応改定の趣旨からいいましたら、広い範囲を含むことはあって も少し意味が曖昧になりますので、もしこの向精神薬という言葉を抗精神病薬と変えて 差し支えない場合には、そうしたほうがいいか、それとも向精神薬でいいのでしょうか。 ○岡崎先生 3行目は、従来の経緯が書いてあるわけですね。 ○柳澤座長 ええ。向精神薬では検査できるから、抗精神病薬でもいいという意味です から、これはこのままでよろしいでしょうか。 ○岡崎先生 そういうことですね。 ○柳澤座長 では、この下から3行目はこのままにしましょう。そうしますと、タイト ルの非定型と1行目の非定型のところだけを直します。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 次に、イの「特定薬剤治療管理料の追加」です。先程から議論がありまし たが、これは一応ハロペリドール、ブロムペリドール、リチウム製剤、バルプロ酸ナト リウム、カルバマゼピン、これはよろしいのでしょうか。 ○岡崎先生 はい。 ○柳澤座長 特定薬剤治療管理料の請求を認めることは適当だということで、このイに ついては文言どおりとしましょう。 ○明治補償課長 薬の関係は今の説明でわかったのですが、イの4行目「労災認定され るものは」という書き出しのところですが、この「非定型の精神病も」というところの 非定型というのは、いかがでしょうか。 ○岡崎先生 それは、ICDやDSMはないのですが、非常に簡単に言いますと、うつ 病を含む躁うつ病と統合失調症との両方の特徴をもったような病体を、日本では非定型 精神病と呼んでいます。国際的にも一部にはあるのですが、そのような病態が表れると いう説明ですね。その場合には、両用の薬を使うわけですね。 ○柳澤座長 これは、上の非定型抗精神病薬の非定型とは、全く意味が違うのです。こ れは、別の言い方だと境界型精神病と言われるものもこれに当たるのですか。 ○岡崎先生 ちょっと違うのですが。 ○柳澤座長 いまはそのような言葉は使いませんか。よろしいですか。では、今の文言 どおりとしましょう。  次に(17)「呼吸機能障害に係るアフターケア」。禁煙の指導は、対象者も今は非常 に禁煙が大きな問題になっていますので、生活習慣の指導を含めるということです。イ は、最近使われるようになった貼付薬、貼付剤を用いることは、日常診療でよくありま すので、アフターケアの薬剤の中にも呼吸器用貼付剤を追加することは適当であると。 これは、表現としては呼吸器用貼付剤でよろしいのでしょうか。内科の先生方、保険の ほうにはそのような表現がありますか。あるいは、その薬の使用に関するいろいろな本 の中ではいかがでしょうか。何となく医学用語としては、呼吸器用貼付剤という言葉は なさそうな予感がするのですが、ありますか。 ○長嶋医療監察官 確認をさせていただきたいと思います。 ○柳澤座長 では、これは用語の問題ですから確認して、事務局と私でもっと適当な用 語があれば使うということで、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 以上で(17)までが終わりました。  次に、2の「その他(継続検討事項)」ですが、これは先程説明がありましたように、 脊椎の手術の中でスクリューやいろいろな人工産物、特にこれは金属とは限らないので しょうか。しかし、物を入れるということで、年月が経つとその周りの骨が吸収された りしてグラグラしてくるということから、アフターケアの対象にすべきではないかとい うことです。これは、人工関節や人工骨頭と同じような意味合いであろうということで、 それは確かに今の医学の進歩による治療の変更によって新たに出てきたものであるの で、当然アフターケアの対象として審議すべきものであろうと考えられますが、今回は 基礎になるデータがまだ得られてないことから、先延ばしにするという意味でこのよう な形で表記したということです。 ○谷島先生 これは、脊椎のインストゥルメンテーションと人工関節とは、少し考え方 が違うと思うのですね。脊椎のインストゥルメンテーションをする場合には、やはり基 本的には自分の骨、自家骨による癒合を完成するまでの間の支えという考え方が一般的 ですよね。ですから、その場しのぎというか、2、3カ月間で骨が着く間にインストゥ ルメンテーションするということで、人工関節とは根本的に少し違うと思うのですね。 ですから、数年経ってそれが緩んできたからといって、自分の骨で癒合が完成している のが普通ですので。 ○柳澤座長 自分の骨を使うのなら、あまりあれですね。 ○谷島先生 ですから、それが症状に同様に直線的に結び付くということは、私はない のではないかという印象を持ちます。ですから、特別アフターケアで検討する必要はあ るのかなという印象は持ちます。 ○柳澤座長 はい、わかりました。ありがとうございます。私は、いまの脊椎外科はい ろいろなビスなどを使って整形をしてしまうものですから、あれはおそらく年月が経つ とどんどん周りの骨が溶けてきてガタガタになるのではないかと思って心配しています が、そういうものなのかなと思っていました。これは、三上先生からのお話しでしたか。 ○長嶋医療監察官 これは、伊地知先生からのご提案です。 ○柳澤座長 やはり、自分の骨を使った場合、例えば脳外科などでリプレースするとき に自分の骨を使うというのとは、少し違うものですね。 ○谷島先生 ですから、インストゥルメンテーションだけで支えるという概念は、整形 外科の先生方もないはずなのです。必ず自分の骨で補って、付くまでの間の一時的な考 え方が基本だと思います。 ○長嶋医療監察官 治ゆする前にというか、どの時点まで療養で見ていくかというよう な話をさせていただいて、治ゆする状況でもう既に癒合してしまって抜けてしまうもの については、もちろん対象外だと。そういう状態ではなくて、入れたまま治ゆとせざる を得ないというようなものがあるということを前提にお話をいただいたものです。そう なってくると、治ゆ後の措置としてアフターケアの土俵に乗ってくるのではないかとい うことでした。 ○柳澤座長 その趣旨はわかりますし、谷島先生のお話に沿って、もう一度伊地知先生 とこの項目の表現について少し文言だけ整理しましょう。 ○長嶋医療監察官 今回表記しているところで、人工関節・人工骨頭置換と同様にとい うところは、エックス線検査が同じように必要だということで、状態が同じだというこ とではないのだろうと思います。ですから、そこが混乱するというのであれば、「人工 関節・人工骨頭置換と同様に、」を削除するというようなことでいかがでしょうか。 ○柳澤座長 谷島先生、これは削除したら大丈夫そうですか。 ○谷島先生 そうですね。検討していただくのはよろしいのではないでしょうか。 ○柳澤座長 では、それで削除することも含めて検討しましょう。それはお任せいただ きたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、その文言もですね。それから、開催 要綱と参集者名簿は、これはそのものですからよろしいかと思います。そうしますと、 一応この措置内容等に関する検討は、最終的に文言についても検討は終了しましたが、 何か最後にこの報告書案全体について、意見はありますでしょうか。 ○山口先生 最初の文章は、もういいのですか。 ○柳澤座長 いちばん最初ですか。前文ですか。前文は読んでいないので、これは9月 28日から平成19年何月何日までの間に計何回というのは、全部実際の回数を入れてい ただくわけですね。 ○長嶋医療監察官 終了すれば、そこには数字を入れます。今回の検討の大本は、前の 医療専において取りまとめられた報告、前の医療専については障害等級の認定の関係で、 それに絡むところだけ検討を行ったものですから、そのときに、期間が経っているとい うことで、全体的に見直しする必要があるのではないかということがありまして、そこ から始まっているものですので、まずそれを記載しました。その次に、実際の検討の回 数がどのくらいかと、今回は検討部会がありましたのでそれを含んだ回数ということで、 最終的な検討の期間と回数を入れたいと思います。今回は、特別に検討部会を設けたと いうこともありますので、その点については報告書の中身に背景等については詳しく書 いてあるのですが、前文でも触れておきたいということで入れています。今回の措置内 容等の検討については、検討部会の検討結果を踏まえて、整理した考え方にのっとった 形での検討を行ったというまとめをさせていただいています。 ○柳澤座長 そのようなことでよろしいでしょうか。 ○山口先生 違和感があるのは、第2段落で「等」とありますね。「何々等について何 々等とすべく」というのは、正確なのかもしれませんが、日本語としては少し違和感が あります。その次の段落は、社会福祉事業の見直しの動向を考慮してというのは、いい ですか。「なお」は、「また」とか「さらに」というぐらいの表現にしてあった方がい いのではないかという感じがします。 ○柳澤座長 その文言については少し意見をいただきましょうか。いまの措置内容等に ついてというのは、措置内容についてでは駄目ですか。 ○山口先生 それは、私はいいと思うのですが、「医療水準に見合うもの等」の「等と すべく」というのは。 ○長嶋医療監察官 これは、関係資料の1で付けているところの開催要綱の文言が、「措 置内容等について、最新の医療水準に見合うもの等とすべく」というものから取ってい ます。 ○山口先生 正確なのはいいと思いますが、何となくちょっと違和感があると思います。 ○柳澤座長 むしろ、「見合うもの等とすべく」というものを、「見合うものとすべく」 ではいかがでしょうか。よろしかったら、そのほうがいいですね。ですが、実際は開催 要綱の中のこの点について行ったということなのですから。 ○長嶋医療監察官 要綱は付いていますので、「等」を取っていただくということで。 ○柳澤座長 では、その上の見合うものとすべくというのは、この等は取りましょう。 そして、「なお」を「さらに」にすると。  あとはよろしいですか。それでは、一応今回検討いただいた中で、2箇所ほど文言を 整理する必要なところがありますが、それは全体の趣旨に大きく変わるところではあり ませんので、事務局と私で整理させていただくということで、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 そうしますと、かなり短い期間にいろいろと検討いただきまして、特に検 討部会に参加していただいた先生方には、いろいろ細かい点も審議いただいてありがと うございました。皆様方のお陰で、一応報告書を年度内に作成することができましたの で、座長としてお礼申し上げます。  検討すべき内容は以上ですので、専門家会議を終了したいと思います。事務局からお 願いします。 ○園田課長補佐 どうもありがとうございました。専門家会議の終了に当たりまして、 補償課長からごあいさつを申し上げます。 ○明治補償課長 本日はどうもありがとうございました。労災医療専門家会議の終了に 当たり、一言ごあいさつ申し上げます。柳澤座長をはじめ、本会議にご参集いただきま した各先生方におかれましては、大変お忙しい中、実に精力的にご議論、ご検討いただ いたところでして、また本日こうして報告書を取りまとめていただいたことに対して、 感謝申し上げます。昨年の9月に第1回の会議を開催して以降、本日まで5か月足らず ですが、こうした短い期間において正に集中的に、効率的にご検討いただいた結果、こ の会議が終了できたと考えています。これも、ひとえに先生方のご指導とご協力の賜と 考えています。  労災保険のアフターケアについては、これまでもご説明していますが、昭和43年の制 度創設以来、対象傷病が逐次追加、変更されてきています。その時期や経緯等について もまちまちであり、我々もかねてより制度全体を通じた整理、検討が是非とも必要とい う認識でいました。このようなことから、私どもの行政としては異例かとは思いますが、 特に今回は、この専門家会議の中にアフターケアの基本的考え方に関する検討部会を設 けさせていただきまして、法律専門家の先生にも参加をいただいて、この制度全体を通 しての基本的な考え方について医学的な面、そして法律学的な面の双方から整理、検討 していただいたところです。  柳澤座長をはじめ、各先生方におかれましては、この会議の開催要綱にもございます 検討の目的をご理解いただきまして、それぞれの専門分野において関係する学会等の動 向をも踏まえた最新の医学的知見に基づいて、的確に判断をいただいたと思っています。 本日取りまとめていただきました報告書を踏まえ、今後、通達改正作業へ入っていきま すが、この報告書は、地方労働局あるいは監督署における、アフターケア制度の考え方 の基本あるいは拠り所として、大きな影響をもって運用されていくことになると認識し ています。  本日をもって、この専門家会議は終了するわけですが、ご参集いただいた各先生方に おかれましては、引き続き労災補償行政に対するご指導、そしてご協力を賜りますよう お願いを申し上げまして、簡単ではございますがごあいさつに代えさせていただきます。 本日はどうもありがとうございました。 ○柳澤座長 どうもありがとうございました。 (照会先)                      厚生労働省労働基準局労災補償部補償課福祉係     TEL  03(5253)1111(代)内線5566 03(3502)6796(夜間直通)    FAX  03(3502)6488