07/02/09 第6回 市町村保健活動の再構築に関する検討会議事録 第6回 市町村保健活動の再構築に関する検討会 議事録 厚生労働省7階専用第15会議室 日時:平成19年2月9日(金)16:00〜18:00 場所:厚生労働省7階共用第15会議室 照会先:健康局総務課保健指導室(内線2398) ○出席構成員(五十音順・敬称略)  有原一江、井伊久美子、伊藤雅治、大橋範秀、尾島俊之、佐伯和子、迫和子、 曽根智史、田上豊資、長谷部裕子、藤山明美 ○厚生労働省関係出席者  上家大臣官房参事官(健康、医政担当)、勝又健康局総務課保健指導室長、清野健康局 総務課生活習慣病対策室栄養専門官、加藤健康局総務課保健指導室主査 ○次第 1.開会 2.議題 (1)専門技術職員の分散配置における活動体制及び人材育成体制に関する調査結果に ついて (2)市町村保健活動の今後の在り方について (3)市町村保健活動の推進方策について (4)その他   3.閉会 1.開会  加藤主査  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回市町村保健活動の再構築に関 する検討会を開会いたします。本日、鏡構成員、田尾構成員、藤内構成員、本田構成員、 山野井構成員からは御欠席の連絡をいただいております。田上構成員は少々おくれて御 出席の予定でございます。  続きまして、資料の御確認をお願いいたします。お手元にお配りいたしました資料で ございますが、座席表、構成員名簿、議事次第の後に、資料1、「専門技術職員の分散配 置における活動体制及び人材育成体制に関する調査結果」、大変申しわけございませんが、 この資料は1ページ抜けておりまして、お手元の資料の7ページの後に、後からお配り いたしました1枚の資料が入るような形になっております。資料2、「市町村保健活動の 今後の在り方及び推進方策」、資料3、「市町村保健活動推進のための取り組み(有原構 成員作成資料)」、資料4、「市町村保健師の活動状況」、以上でございます。不足、落丁 等がございましたら、事務局までお願いいたします。  それでは、この後の進行は伊藤座長にお願いいたします。 議題(1)専門技術職員の分散配置における活動体制及び人材育成体制に関する調査結 果について  伊藤座長  それでは、議事に入らせていただきます。初めに議題の1でございますが、「専門技術 職員の分散配置における活動体制及び人材育成体制に関する調査結果について」でござ います。このことにつきましては、ワーキンググループの座長であります曽根先生から 御報告をお願いします。  曽根構成員  それでは、資料1の方を御報告させていただきます。「専門技術職員の分散配置におけ る活動体制及び人材育成体制に関する調査結果」でございます。2〜7ページが結果を 要約したものでございますので、これに沿って御説明させていただきます。また、それ 以降はそれぞれの元になるデータでございますが、一々参照しておりますと大変時間が かかりますので、まずは結果の方を要約に沿って述べさせていただきます。  まず、調査対象数は1,758市町村、回収数は1,665市町村で、回収率は94.7パーセン トということで、大変高い回収率でした。  Q1で、市町村の属性につきましては、図を見ていただければわかりますが、人口1 万人未満が28%、5万人未満が72%、10万人以上が12%でした。なお、この要約にお いては小数点以下は四捨五入させていただいております。また、65歳以上人口割合が 30%以上の市町村は22%でした。合併状況については、合併済みが30%という結果で した。  Q2ですが、施設の状況については、支所があるのが26%、保健(福祉)センターが あるのが82%、保健センター類似施設があるのが26%でした。そして、地域包括支援 センター(直営)を持つものが65%、同(委託)を持つものが28%となっております。  引き続きまして保健師についての質問項目を述べさせていただきます。以下、人口規 模によって分析したものについては、一々述べますと大変ですので、▽が人口規模が小 さいほど数値が大きいもの、△が人口規模が大きいほど数値が大きいものということで、 この辺の分析は26ページ以降に人口規模別の各問いの分析が載っておりますので、ま たのちほど参照していただければと思います。結果を述べさせていただきます。  Q3、保健師の雇用ありは、ほぼ100%でありました。  Q5で、組織を超えて保健師全体を統括する保健師、ここでは統括保健師と呼ばせて いただきますが、これがいるのは20%▽でした。この20%は▽ですので、人口規模が 小さいほどこの数値は高いということになっています。その所属は保健部門が58%、保 健福祉部門が23%、地域包括支援センターが8%でした。兼務ありという方が20%。 職位ですが、係長(級)が38%、課長補佐(級)が30%、課長(級)が20%でした。 年代は、40歳代が31%、50歳代以上が64%で、やはりベテランの方ということです。 同じく行政保健師としての経験年数は21年以上が87%でした。この統括機能が事務分 掌に記載されているのが、20%のうちの34%ということになっております。  分散配置されている保健師の連携状況ですが、多いもの3つを上から挙げますと、「共 同で事業を実施」しているものが56%▽、「共同で勉強会・事例検討(会)を実施」し ているものが36%、「定例的な業務連絡会や検討会を実施」しているものが35%となっ ておりました。  保健師の分散配置によって生じている課題について、これは複数回答で聞いておりま すが、多いもの3つを挙げますと、「他の部署の業務内容を理解することが困難」が59% △、「地域全体や保健活動全体をとらえることが困難」が50%△、「調整に時間がかかる」 が42%△で、これらはいずれも△ですので、人口規模が大きいほどそういう割合が大き くなっております。  新任保健師のOJTを実施しているのは40%△の市町村でした。  3ページに移りますと、中堅保健師のOJTを実施しているのは16%△です。その内 容についてはそこに書いてあるとおりで、「事業の企画・立案・評価(予算書の作成を含 む)」が80%、「連携・調整」が70%、「政策立案のプロセス(検討会の運営を含む)」 が49%という割合になっております。  次に、保健師の行政能力の向上を目的とした0ff-JTを受講させる仕組みがあるかと いうことですが、新任期については84%△、中堅期には78%△、管理期には74%△と いうことになっておりました。  今度は、保健師の専門能力の向上を目的とした0ff-JTを受講させる仕組みについて ですが、階層別研修に関しては新任期64%△、中堅期53%△、管理期45%△、業務別 研修に関しては多少高くなりまして、新任期については80%△、中堅期80%△、管理 期72%△で、これは階層によっては余り違わないと思います。  Q12ですが、このような保健師の企画能力の向上のための方策をとっているのは73% △の市町村で、その内容につきましては複数回答で、「研修への派遣」が最も多く80%、 その次が「新規事業企画・予算取りへ参画させる」が57%△となっておりました。  Q13、保健師の自己研鑽を支援する仕組みについては、内容についてはそこに書いて ありますように、「研修会・学習会への参加」が最も多く、次に「学会への参加」という ことになっております。  保健師の人材育成を意識したジョブローテーションを実施しているのは、19%△でご ざいました。  都道府県保健所から受けている保健師の人材育成に関する支援ということで、複数回 答で求めましたところ、「特に支援はない」が26%、ある中で最も多いのは「研修会の 開催」で71%でした。  資質向上にかかわる課題につきまして、複数回答で聞いたところ、「人手が足りないた め、研修の時間がとれない」が69%、「スーパーバイザーがいない」が50%△、「人材 育成のための予算がない、もしくは少ない」が43%でした。  ここまでが保健師に関してです。  次に管理栄養士・栄養士ですが、まず管理栄養士・栄養士の雇用があると回答した市 町村は72%△でした。これは△がついておりますので、人口規模が大きくなるほど雇用 の割合が高くなっているということです。  組織を超えて管理栄養士・栄養士全体を統括する管理栄養士・栄養士、以下統括栄養 士と呼ばせていただきますが、いるのは5%でした。その所属は、保健部門が59%、保 健福祉部門が27%でした。兼務については15%があり、職位については、係長(級) が26%、課長補佐(級)が14%、課長(級)が5%でした。年代は、40歳代が26%、 50歳代以上が44%、経験年数はやはり21年以上が30%でしたが、保健師に比べやや ばらつきがありました。統括機能が事務分掌に記載されているのは、統括栄養士がいる 中での20%となっております。  分散配置されている管理栄養士・栄養士の連携状況については、先ほどの保健師と内 容的には同じですが、パーセンテージはそこに書いてあるようにやや少なくなっており ます。  分散配置によって生じている課題につきましては、やはり同じような項目が挙がって おります。  新任管理栄養士・栄養士のOJTを実施しているのは15%△でした。  中堅の管理栄養士・栄養士のOJTを実施しているのは9%△で、その内容につきま しては、先ほどの保健師の場合とほぼ同じになっています。  行政能力の向上を目的とした0ff-JTを受講させる仕組みについては、新任期、中堅 期については7割を超えておりまして、管理期については62%△となっております。  次に、専門能力の向上を目的とした0ff-JTを受講させる仕組みについて同じように 聞いておりますが、階層別に関しては新任期は39%、中堅期は33%、管理期は27%と なっております。業務別に関しては、やはり階層別よりも高目の数字が出ております。  管理栄養士・栄養士の企画能力の向上のための方策というところでは、66%△がとっ ているということで、内容的には先ほどと同じような形になっております。  自己研鑽につきましてもほぼ同じ内容となっております。  人材育成を意識したジョブローテーションを実施しているのは10%△ということで、 これも人口規模が大きくなるほどパーセンテージが高いという結果になっております。  次は5ページの上ですが、Q29で、都道府県保健所から受けている人材育成に関する 支援では、「特に支援はない」が6割を占めておりました。  資質向上に関する課題については、同じく「人手が足りないため、研修の時間がとれ ない」「職場内に適切な指導者がいない」「スーパーバイザーがいない」ということにな っております。  ここまでが管理栄養士・栄養士に関する結果でございます。  次に、今後の組織体制ですが、Q31のところでまとめて聞いておりますので、それを ご報告したいと思います。平成20年度までの組織改編予定があるのは11%。ある場合 の予定している組織について最も多いのは「未定」45%ということで、「国保・衛生一 体型」が31%、「衛生引き受け型」が15%となっておりました。特定健診・保健指導の 実施方法につきましては、「未定」あるいは「検討中」というところがほとんどでしたが、 「直営」が14%△、「委託(部分委託+全面委託)」が9%という回答がありました。国 保部門に保健師が配置されているのは7%、この中で1人配置が65%、2人配置が19% で、専任がいるのは約半数でした。国保部門に管理栄養士が配置されているのは1%で、 これは数が少ないので余りパーセンテージは参考になりませんが、1人配置が88%で、 専任がいるのは29%でした。平成20年度までに国保部門へ保健師または管理栄養士を 配置する予定があるのは3%ということです。在宅保健師、在宅管理栄養士の把握につ きましては0人と答えているところと、まだ把握していないという回答を合わせ、両方 とも8割を数えておりました。  次に保健師の配置状況、Q4のところで横長の表で示しております。これは先ほど別 紙としてお配りいたしました別表1の方を見ていただきたいと思います。これは各市町 村について、そこに所属している保健師をすべて挙げていただくという形でありますの で、市町村のパーセントではなくて、全体の保健師の中の何%がここにいるかという数 字になっております。これを見ますと、保健部門は人口30,000人までは増加して、そ れ以上は65%程度ということです。保健福祉部門は人口規模が大きくなるほど減少して おります。保健部門と保健福祉部門を合わせますと、5,000人未満が79%になりますが、 あとはすべて大体70%台の前半という数字になっていますので、これは一つのものとみ てもそう大きい間違いではないと思います。地域包括支援センターにつきましては、 5,000〜20,000人の規模の市町村が最大で14%台ということで、それ以上では人口規模 が大きくなるほどそこに配属されている保健師の割合は減少しておりました。介護保険 部門については、5,000〜100,000人が5〜6%台でほぼ一定でありました。  次に6ページですが、介護保険部門と介護予防部門を合わせますと、人口規模が大き くなるほど増加傾向にあり、100,000人以上ですと10%が大体この介護保険部門、介護 予防部門に配属されているということになります。障害福祉部門、児童福祉部門では、 人口規模が大きくなるほど増加傾向にあり、100,000人以上では7%がこちらに配属さ れているという結果になりました。  以上のような結果を、統括保健師、ジョブローテーションに注目してクロス表で分析 したのが次の項目でございます。人口規模が大きくなるほど、統括保健師の割合が減少 していたというのは先ほど示したとおりです。統括保健師がいる市町村の方が、分散配 置における連携、幾つか挙げておりましたが、いずれの連携方法でも多いということに なっております。それから、統括保健師がいる市町村の方が、新任保健師、中堅保健師 のOJTを実施している傾向が見られました。それから、人材育成を意識したジョブロ ーテーションを実施している市町村の方が、新任保健師、中堅保健師のOJTを実施し ている傾向が見られました。  続きまして、保健師の産休・育休についてもQ4の方で聞いておりまして、これも人 口規模で見ますと、すべての人口規模において調査時点で産休・育休中である者の割合 は8〜10%でした。人口規模が大きくなるほど、産休・育休の代替えありの割合が増加 しておりまして、5,000人未満では代替えがあると答えた保健師が38%でしたが、 100,000人以上では81%が代替えがあるということでありました。  続きまして管理栄養士・栄養士の配置状況ですが、これは、別表2を見ていただいて、 これも人数ベースのパーセントでございます。兼務する者がいない市町村が、これは別 の質問で聞いたのですが85%△、全員が兼務しているところが9%▽でした。それから 配置状況を見ますと、保健部門は人口50,000人までは50%台で、それ以上では減少し ておりました。保健福祉部門は、人口規模が大きくなるほど減少しておりました。児童 福祉部門は、一番右端ですが、人口規模が大きくなるほど増加し、人口100,000人以上 では16%が児童福祉部門に属していると回答しております。  同じように、統括栄養士とジョブローテーションについて聞きましたところ、統括栄 養士がいた方が分散配置における連携を行っていたということです。ただ、統括栄養士 の有無で、新任管理栄養士・栄養士、中堅管理栄養士・栄養士のOJTの実施状況に差 は見られませんでした。ただ、人材育成を意識したジョブローテーションを実施してい る市町村の方が、新任管理栄養士・栄養士、中堅管理栄養士・栄養士のOJTを実施し ている傾向が見られました。  これは一応数字的なものをまとめたものですが、91ページから自由記載のところをま とめておりますので、そちらの方をごらんいただきたいと思います。特に91ページは、 分散配置によって生じている課題についての対策を自由記載していただいたところです が、会議や打ち合わせ等の開催ということをいろいろ書いてあります。  統括する保健師、統括保健師につきましては、そこに2つほど書いてありますが、統 括する保健師が人事異動に関与しているとか、あるいは市全体の保健師研修会では、統 括保健師を中心に研修委員会を設置し、企画している、というような回答が、実際の対 策としてありました。  業務につきましては、地域の実態把握のため業務分担と地区分担をあわせてとってい るということ。あるいは、先ほどのお答えにもありましたが、共同で事業を実施してい るというところもありました。それから、91ページの下から4番目の丸のところですが、 PDCAサイクルを回すために、テーマごとに実務担当者レベルの職員(事務職+保健 師等専門職)で構成する会議を開催している、というな対策をとっているという回答が ありました。  次の92ページに行きますと、人材育成についての対策の自由記載が書いてあります。 一番上のところ、保健所管内での研究会の通知は、各所属長あてに出し、参加しやすい よう配慮してもらっているという回答もありましたし、同じ項の下から2番目のところ ですが、部の異動職員、あるいは新規採用職員(職種を問わず)を対象とした研修を実 施しているというところもありました。それによって組織方針や方策の理解、サービス 提供の現場体験プログラムを実施しているという対策が見られました。  それから、その下のところですが、保健師の研修会や打ち合わせ会を開催する場合に は、保健衛生部門の担当課長名で他の部署の担当課長あてに出席依頼の文書を出してい るという回答もありました。  さらに99ページに管理栄養士・栄養士の自由記載がございますが、この中で特に「業 務について」というところの上から4番目に、食育の推進の観点から、保健部局(保健 センター)、福祉部局(保育所)、学校等の管理栄養士が連携し、打ち合わせや事業等を 行っているという工夫をしているところがあるということが書いてありました。  104ページのところですが、先ほど数字で述べました、国保部門と衛生部門の連携の 方策について具体的に述べてくださいというところがありましたが、実施体制のところ では、衛生部門の専門技術職員が国保部門、介護予防部門、衛生部門を併任している、 あるいは国保部門の保健事業部分、介護保険の介護予防事業部分を衛生部門へ移行して いるという御意見もありました。  その下の2番のところで、検討体制の構築については、これは恐らく1つの市町村だ と思いますが、検討内容としてこういうことをいろいろ検討していると。その中で特に、 検討メンバーの中に担当者だけではなくて、財政担当課であるとか、健康増進関連協議 会のメンバーであるとか、大学のメンバーを含めた検討メンバーで、そこに書いてある ようなさまざまな内容を検討しているという回答がありました。  大変駆け足で申しわけないですが、詳しい数値などはまたのちほど突き合わせながら 見ていただければいいかと思いますので、とりあえず報告は以上です。  伊藤座長  どうもありがとうございました。ただいまの報告につきまして、御質問がありました らどうぞ。それでは、またありましたら後ほどでもひとつよろしくお願いします。  議題(2)市町村保健活動の今後の在り方について   続きまして、議題2に入りたいと思います。これは「市町村保健活動の今後の在り方」 及び、議題3として「推進方策」となっておりますが、まず資料2に基づきまして、「市 町村保健活動の今後の在り方及び推進方策」につきまして、事務局からまとめて説明し ていただきます。よろしくお願いします。  加藤主査  それでは御説明いたします。資料2でございますが、「市町村保健活動の今後の在り方 及び推進方策」。このことにつきましては、これまで検討会の中で先生方から出されまし た意見をまとめ、そして先生方には既に送付をさせていただいたところでございますが、 今回それをまた要約したような形で資料として提出させていただきました。  それではまず1番ですが、「市町村保健活動のあるべき姿に関する主な御意見」という ことでは、格差社会を少しでも少なくしようとするのが行政の役割である。組織には、 経済的合理性と社会的合理性があるが、社会的合理性は行政が手放してはいけない。官 と民の役割が非常に近くなっているということで、多様な主体がそれぞれの役割分担を して担っていくことが求められているのではないか。サービスの提供は民間でも行うこ とが可能である。行政主体としての市町村でしか行うことができないものは4点という ことで、潜在している課題を顕在化させること、地域資源を掘り起こすこと、地域全体 を動かすこと、民間サービスの質を評価し、質を担保すること。業務多忙ということで アウトソーシングするという考え方ではない。協働についてですが、協働の取り組みの 前に、どこを市場化できるか、NPOに協働していく部分を行政の中で整理していくこ とが今後必要であるということ。最も目指すべきは市民の力が生かされる市民参加とい うことで、参加によって議論が行われ、そして結果が出されるということを保証する、 それが本来の行政の役割であって、そういった場を提供することが必要なのではないか。  2番は「市町村における保健活動の在り方に関する主な御意見」ということで、保健 活動は予防活動であるので、そういった部分を委託した場合、うまくいなかければ医療 費は高騰し、非効率になる。行政において地域保健活動と地域保健サービスは異なる。 地域保健活動が地域保健サービスに矮小化されているのではないか。地域保健活動の基 盤は、ポピュレーションアプローチである。行政において保健活動を企画立案すること が必要である。しかしその際には、これから民間委託もございますが、直接的なサービ スを提供していなければ仕様書が書けないということがある。質の保証のために専門性 を発揮できるかということにかかわっていくということである。今後は、どの分野も同 じだと思いますが、団塊世代の大量退職もあり、保健指導技術も継承できるよう考慮す る必要があるということ。保健活動を企画立案する際に、地域の実態を把握することが 非常に必要である。あと、沖縄県の事例で出ていたのですが、コンサルタント業者をう まく活用する方法を県や保健所がうまく支援した例もある。今後は、そのコンサルタン トの事業者をどう効果的に活用するのかという視点も必要なのではないかということで す。  3番は「市町村保健活動の推進方策に関する主な御意見」ということで、まず「PD CAサイクルに基づく保健活動に関する主な御意見」としまして、1)が市町村の組織 横断的な体制の構築に関することということです。組織全体でPDCAサイクルへ取り 組む体制を構築することが必要なのではないか。現場で把握した情報を共有していける 体制が必要なのではないか。実際に保健所の支援により、市町村庁内で横断的なチーム をつくることができた、というような内容のことが御意見としていただけております。  2)が関係機関・地域住民に関することということで、関係者との話し合い等、協働 は、保健活動を行っていく上では不可欠である。住民が評価をする段階では、参加した 参加度がどれだけかというのではなく、住民自身の達成感が出たか、自己の健康管理が 維持できるようになったか、どのように変わったか、ということを評価することが重要 であるということです。  3)は実態把握に関することということで、このPDCAサイクルに基づく保健活動 を行っていくためには、実態把握をしっかりすることが重要であるということで、実態 把握については、課内、庁内でのコミュニケーションが円滑に行える体制づくりが必要 である。保健と保険のタイアップで課題が見え、評価もしやすくなる。個から地域全体 へつなぐプランニングがとても大事ではないかと思う。地域住民や関係者と一緒に考え ることや事業から地域の実態を把握することができるのではないか。こういった内容が 出されております。  4)評価に関することですが、都道府県全体と市町村のデータを比較する仕組みを、 都道府県がつくることも必要なのではないか。2番目、3番目につきましては、量的な 側面、あるいは質的なデータから保健活動について把握すること、現場をよく見ること が必要なのではないか。こういった内容が出されております。  続きまして2.「分散配置における保健活動体制に関する主な御意見」、これにつきま しては大きく分けて3点にまとめさせていただいております。  1)が統括者の配置ということで、分散配置の際にはマネジメントする人、組織横断 的な連携ができるポストを設置することが必要なのではないか。また、縦割りの行政を 横に横断的に見ていくような企画調整部門にも保健師が必要なのではないか。こういっ た御意見が出ております。  2)が分散配置されている課、係との共同事業ということで、分散配置されている課 が保健衛生部門に課題を持ち込み、共通の検討をする。最終的には共同事業を実施する ことも一つの方策なのではないか、といったような御意見がございます。  3)は課題の共有ということで、定期的な会議、打ち合わせ、こういったものを持つ ことが挙げられております。  続きまして3.「事務職と技術職の連携に関する主な御意見」といたしましては、専門 技術職員が事業の根拠を持つことやニーズを把握する。専門用語を使わずに事業を事務 職に説明できる、こういった能力を持つことが重要なのではないか。こういった御意見 が出ております。  4.「保健所(都道府県)との連携に関する主な御意見」です。  1)保健所の職員に求められるものとして、都道府県民のために市町村と一緒に保健 活動を実施するというスタンスを持つことが大切であるということ。  2)連携・協働するための体制整備といたしましては、これは具体的な事例でござい ますが、市町村は事業の実績について毎年都道府県に報告しているので、現状を分析し、 現在の状況を一緒に考える体制をとることが必要である。例えば岡山県の事例では、市 町村の保健師及び保健所の保健師を統括する役割を持つと同時に、本庁が保健所の機能 を考える役割を持つ。また、全市町村から保健活動に関する情報が提供される。こうい ったシステムができております。  3)の連携・協働の在り方では、保健所が市町村に対してできることを提示すること などにより、保健所と市町村の役割分担を明確にしておくことが必要である。そのため には、事業を進める中でお互いにどのようにしていくかということを詰めて、共有して いく作業をしていくなど、お互いの役割を明確にしていくことが重要である。  4)保健所が行う具体的な方策ということでは、具体的な事例で、岡山県では保健所 が市町村に出向き、保健と福祉の関係者を集めて、何の問題があるのかという話し合い をする場を設けていることですとか、大分県の事例なども挙げられております。  5)市町村が都道府県に対して自ら行うこととして、市町村も自分たちだけではでき ないことで都道府県にしてほしいという要望を出すべきである、こういった御意見も出 されております。  5.「住民組織、NPOとの連携に関する主な御意見」の中では、1)組織をつくるこ とということで、政策決定プロセスの中に各領域の行政の組織をつくることが必要であ るという御意見ですとか、また協働の関係というのは、責任も横軸を刺せるような組織 がとれることであり、意志決定の仕組みを変えていく、横軸の組織をつくること、とい ったような御意見も出ております。  2)行政が行うべきものとして、行政の中でどういったものをNPO、市民セクター にやってほしいかということをきちっと出して、話し合いのテーブルを持つことですと か、市民に権限を渡して市民がすることを手伝う、こういったことが必要だろうという ような御意見が出ております。  3)に市民が行うもの、4)にNPOと行政の中立的なコーディネーターを置くこと、 5)に自治組織ということで、地方では地域の自治的な組織をつくっていくこと、地域 の自治会や町内会の人たちが、行政の下請的なことをしているのをやめてNPO的に改 革するというのも一つ。地域自治組織と協働していくことが求められるということです。 こういった御意見が出ております。  最後に、「人材育成体制に関する主な御意見」でございます。  ここでは1)に人材育成のシステムの整備ということで、中堅のことが幾つか出てお りまして、中堅からリーダーになるための物差しを持つことですとか、3つ目、4つ目 には中堅の指導者が育っていない、こういった現状も考えることが必要なのではないか。  2)に人材育成についての都道府県、国のサポート体制ということで、一般的には人 員増が見込めない状況の中で、既存の人材をどのように育成していくのか。体制づくり をきちっと示して、都道府県、あるいは国のサポート体制を考えることが必要なのでは ないか。他の組織を知る、個人的なパーソナルネットワークを持つことが大切であり、 5年目以降の者に県、あるいは国レベルでステップアップ研修を開催する状況にならな いか。また、保健所など身近なところで、Off-JTが受けられる仕組みをつくることも 考えていかなければならないのではないか。  3)人事交流です。岡山県は23市町の44人が県と市町村の人事交流をしている。こ ういった御意見が出ております。  続きまして資料4でございます。これは保健師の部分だけになりますが、「市町村保健 師の活動状況」ということで、保健指導室が調べているもので、平成9年〜平成17年 までに活動内容がどのように変化しているかをまとめたものでございます。特に保健福 祉事業につきましては、全体的に減少する傾向がございまして、特に家庭訪問では平成 9年の11.1%から平成17年の7.5%といった形で減っておりますし、健康相談、健康 教育、機能訓練、予防接種、こういった事業が減っております。一方、間接的な業務に なっていきますが、コーディネートは個別、地域のコーディネートとも多少であります が増加傾向にありますし、今回事務職のことについても触れさせていただきましたが、 業務連絡・事務というところでは、平成9年の8.2%から平成17年は12.7%という増 加が見られております。  説明は以上でございます。  伊藤座長  ありがとうございました。それでは、この議題2、議題3に関連いたしまして、有原 構成員より資料の提出がありますので、引き続き御発言をお願いしたいと思います。  有原構成員  やむにやまれず取り組んだ「市町村保健活動推進のための取り組み」です。  平成13年まで、実は何もしていませんでした。平成13年になりましたら、50歳代 と40歳代後半の職員が退職し、どうしようもない状況になり、何とかしなくてはいけ ないと考え始めたのが始まりです。次をお願いします。  平成13年から何をしたかですが、継続したことは、業務担当制と地区分担制。それ から月1回のカンファレンス、事例検討会とセンター会議。センター会議は、センター の中で情報の共有を図るものです。地域ケア会議は高齢介護課との会議であって、児童 福祉課との協議も月に1回続けました。その次に、保健師の連絡会という形式で、横を つなぐことをしました。そして、平成15年に、たまたま、すこやか訪問事業が降って わいたように起こったのです。そのときに課長に進言いたしまして、プロジェクトチー ムをつくらせていただくこととしました。次をお願いします。  現在の保健師は、10年以上が3名、5年以上が9名です。が、現実には5年、6年の 経験者がほとんどです。ですから、若い人が多いのです。こういった中で、中堅がリー ダーとしていろいろ指導的立場にたつことはなかなか難しい状況にありました。現場で の育成という意味で、ここにあります5つのプロジェクトというか、チームを作ったも のです。その中で、きょうは3番目の狭山市すこやか訪問事業推進チームについてお話 をさせていただきたいと思います。次をお願いします。  事業を通して実践しようという考え方に立っております。平成13年に、非常に嘆か わしいことですが、1件の虐待死亡事件と、1件の心中事件と、そして傷害事件があり ました。その3件の振り返りを保健センター内でかなり行いました。その中で、現実は 容易に変えられないし、縦割り行政でなかなか難しい。しかし、相手だけを悪いと責め るのはやめよう。自分たちの方にも責任の一端はがあるわけで、「知っている」とか「わ かっている」ではすまないのです。共働ということが本当にできているかどうかという ことが疑問だと思いましたので、そこができるように、そして、考えて日常的にできる ように頑張ろうという観点から、このローラー作戦という、すこやか訪問事業に取り組 みました。次をお願いします。  「PLAN DO CHECK ACTION」と書かせていただきましたが、最初の年の平成15 年だけ100万円の補助金がつきました。それから後は補助金がありません。その状況で 継続していくためにはどうしたらいいか。そして、先に説明した3件の死亡事故でキー ワードとして出した、「地域力」「連携」「資質の向上」の3点をどうやって生かすか、何 ができるかということを、そのグループに問いかけていったのです。このすこやか訪問 事業は、乳幼児健診の未受診者、年間200件の全数把握です。そこで未受診者情報の集 中・一元化と、訪問を主任児童委員にお願いをすることとしました。そのためにはなぜ 主任児童委員か、その根拠は何か、説明と理解と協力要請と、関係各課との調整があり、 福祉課と児童福祉課、障害者福祉課等の課長への説明などいろいろなプロセスを踏みま した。次をお願いします。  そして、職員には、6月から次の年の3月までの10カ月間の青写真を描くようにと。 彼女達は、それを3期に分け、1期の準備期、2期の始動期、3期のステップアップ期 と計画を出してきました。そして、1期にはこういうことを、2期には、3期にはこう いうことをやりたいと提案してきましたので、これに沿った形で事業を進めたという状 況です。2期の実際に事業を開始しましてからは、お願いしている主任児童委員とは月 に1回、2時間程度の話し合いを積み重ねました。主任児童委員からは、月に1回であ っても2時間というのは非常に難しい、なぜこういうことをやらなければいけないのか 等、疑問が出たのですが、それを乗り切って彼女たちは頑張ってくれました。そしてそ の次は、どのように改善していくかということを、主任児童委員と話し合いをすること の積み重ねを行っていきました。次をお願いします。  事業を進める中で、専門職一人一人のマネジメント能力を高めることが必須ですが非 常に難しい状況でした。しかし、それをしていかないとどうしようもない、ということ はわかりました。それで、とにかく1人1件でもいいから困難事例と徹底的につき合い ましょうと。アセスメント→課題分析→マネジメントの方向性と実際→担当者会議、そ のプロセスを行政だからできるのだからやってみようということで、実践してきました。 それから、連携ということでは、関係機関特に専門職以外の事務職が多いのですが、種々 の提案や申し出について、前提は断らない。断らないでそれを一旦受ける。断るときに は明確な理由が示せる場合だけだと。保健師だとわかるけれども、なかなかわかっても らえなくてというのはわからないことなのだということを認識することが必要でした。 次をお願いします。  これは、職員の1人がつくった「行動記録シート」です。この事例は、折った鉛筆を 自分の首に突きつけるという、自傷行為を繰り返し、学童保育の中での困難事例だった のですが、関係者にご理解いただくためにこれだけのことを、膨大な資料の中から準備 をしたものです。係わりの実践事例の一例です。次です。  今回実感できたことは、身近で成功体験を共有していかないと、なかなかできないん だなということです。こういう成功体験を共有しますと、メンバーは学習して次のステ ップへ進んでいくことができます。限られたマンパワーの中で仕事がふえていきますと、 経験年数が高いからリーダーになれる状況ではないということがわかってきます。です から、どうしても隠れたリーダーを発掘する必要性に迫られます。そういった意味でも、 グループ内の相互啓発というところを頭に入れまして、担当者→グループ内検討→リー ダー報告→全体協議または課長報告、というようなこのプロセスをとることとしたもの です。実施しているだけというのは何も考えないことだ、ということを意識するという ことで、そのチームの中での話し合いをしてもらいました。次をお願いします。  これが保健師の担当表ですが、実際地区担当は地域包括支援センターの5圏域に分け ています。介護保険法改正後は、地域包括支援センターと一緒に行動するということを 前提として、地区を分けています。なおかつ、一つの地区に地区リーダーを指名し、そ の地区リーダーがその地域の困難事例というものを一応把握して、答えられるようにし ています。また、例えばAの保健師は成人の事業と母子保健の事業を持っています。成 人を縦に見ていただきますと、赤の○がついていて、その下の方にJが赤の○がついて いますが、その2人は同じ事業を持っているのです。ですから、2人で事業を1つ持っ ているという形式になります。必ず2人で相談をしつつ、改善していく流れを想定して います。そして、これからわかりますように、成人保健と母子保健と教育・相談の3つ のグループに分かれておりますが、固定しているわけではなくて、保健師がその事業ご とに、例えばの話ですが今回のすこやか訪問事業ですと母子保健グループの中の赤丸の 人間と紫の人間だけが集まるとか、種別に関連している者がそのグループを結成し、そ の中でまた、リーダーを決めていくという形にしています。リーダーがたくさんいるみ たいな感じになりますが、その中で切磋琢磨していくという状況になります。次をお願 いします。  「他課との連携の場」としまして、子育て支援課や高齢介護課との検討会など、続け ております。この中で、特に高齢介護課との隔月検討会というのは、事業者、ケアマネ ジャー、訪問看護ステーションなど、民間の専門家との事例検討会ですから、その中で きちんと話しをするには、アセスメントしていかないとなかなかできない状況です。そ れから、その次の介護予防事業につきましても、保健センターだから介護予防事業は対 象外ということではなくて、連携をするという中で積極的にかかわっております。次を お願いします。  「保健師定例会」ですが、これが形骸化しては困ってしまいます。最近の検討課題と しましては、高齢介護課の介護予防事業と保健センターの機能回復訓練事業、これは似 て非なるものではなく、目的は同じ、課題も同じで、どう連携するかが大切なのではな いかということが、担当者から出ましたので、これを定例会の検討課題として出しまし た。みんなの意見を聞いて、目的や課題等の情報の共有や同じ認識を持つよう協議した ところです。このように少しずつですが、リーダーが課題認識を持って行動している状 況にあります。業務分担とか地区担当という厳しい分け方をしていないものですから、 それができたのかなとも思っております。次をお願いします。  「今、これから」ということですが、狭山の場合は卒業したばかりの新人は少ないで す。ほかの職場を経験した人が多い職場ですから、こうしたことができたのかなと思っ ています。ことし入った新人2人に「最近どう?」ということをよく聞いているのです が、彼女たちが言うのは、「だれに聞いても教えてもらえます」「だれに聞いても教えて もらえるからとても助かります」、なおかつ、「1対1で指導してもらえるからとてもい いです」と言っています。教えるということは、教える側も教えることに対して責任が あるわけですから、学習していくという、環境ができてきているのかなと思います。た だ、これからは、「評価が課題」と書きましたが、いままで述べましたことが自己満足で はなくて、果たして本当に機能しているかどうかというのは、はっきり申し上げまして 私にはわかりません。たまたま事業がうまくいっているものですから、成果が上がって いるように見えますが、本当にこれが機能しているか、こういう体制が本当に保健師の 人材育成なりOJTに合っているかどうかというところについては、評価できているか わかりません。ですから、最後に書きましたが、県への期待という点で、本当に機能し ているかどうかの分析、成功しているところがあったとしたら、その要因等をお示しい ただいて、悪いところは直していく、いいところは伸ばしていくというような支援シス テムがあれば本当にいいなと。そうした支援があると、専門職も安心してこの仕事を続 けていけるのではないかなと思っております。  大変駆け足ですが以上でございます。御清聴ありがとうございました。  伊藤座長  どうもありがとうございました。それでは、これからの議論の進め方を御説明いたし ますと、「市町村保健活動の今後の在り方」と「推進方策」に分けて議論していきたいと 思います。最初に、この資料2の「市町村保健活動の今後の在り方及び推進方策」に沿 ってディスカッションしていきたいと思いますが、これは次回、報告書の骨子をきょう の議論をもとに整理していただいて、出していただいて、そして次次回に最終報告書と いうような形で取りまとめたいと思っています。したがいまして、この資料2は今まで の議論を事務局の方で整備していただいたわけでございますが、最初に1ページの「市 町村保健活動の今後の在り方」を中心にまず御議論いただき、その後「推進方策」につ いて論点ごとに整理をする議論、ディスカッションをしていただきたいと思います。  最初に、1ページに「市町村保健活動のあるべき姿に関する主な御意見」「市町村にお ける保健活動の在り方に関する主な御意見」とありますが、ここのところを対象に、報 告書を取りまとめるのを頭にイメージしていただいて、そしてこの中で最終報告書にど ういう観点で盛り込んでいったらいいかということを中心に、御意見をいただきたいと 思います。いかがでしょうか。どうぞ。  田上構成員  個別のことに入ります前に、最終報告をイメージしたときに、この検討会は、「今、な ぜ、だれに対して、何を発信しようとしている検討会なのか」というところが、いま一 つ私の中で整理ができません。おまとめいただいたものを見ていますと、非常に全般多 岐にわたっている。詳細なものを出していくことも大事ではありますが、何が一番のポ イントなのかというところを、きちっと絞ってまとめていかなければいけないのではな いかなと思います。  それで、私の意見ですが、なぜ今なのかというところでは、一つは介護保険が見直し をされて、包括の方に今保健師さんたちはたくさんシフトしていっています。また、こ のたびは国保の方に移っていく。そういう中で、パーソナルケアサービス、パーソナル ヘルスサービスの方に、パブリックヘルスの保健師さんたちが大きくシフトをしていく 方向性にある。そうした中で、パブリックヘルスそのものが一体これからどうなるんだ ろうというところに、大きな危機感を私は持ちます。そういう意味で、このことにポイ ントを当てたときに一番大切なことは、市町村長さんに単なるパーソナルケアサービス やパーソナルヘルスサービスだけではなくて、それらを包含したもっと大きなものが大 切なんだというところの御理解をいただく。もっと言えば、それを担保するものとして、 健康増進計画という大きな器の中に、特定健診等の計画もその一部として位置づけてい くべきであると。その計画づくりというのを一つのプロセスとして、ポピュレーション とハイリスクをうまくつないでいく枠組みを今しっかりつくらなければいけない、そん なときにあるのではないかなと思います。それが、今は、ともするとハイリスクアプロ ーチとポピュレーションというふうに分かれて、分断されるような誤った理解がされて いる。むしろポピュレーションというよりも、ヘルスプロモーションという大きな器の 中にハイリスクアプローチというのがあるというところの基本の理解をしていただく必 要があると思います。  そういう意味で、いま一度健康日本21に振り返って文章を読ませていただいたので すが、その中で明確に書いてあったのが、「健康を実現することは、一人一人が主体的に 取り組むべき課題であるが、個人の力とあわせて社会全体として、個人の行動変容を支 援していく環境を整備することが不可欠である。健康状態の良否についての責任を、本 人のみに帰するのではなく、個人を取り巻く環境を改善することを通じて健康水準を向 上させていくことが大切だ」という趣旨のことが書いてあります。ここの部分の基本の 理解が、大変今ぐらついているときにあるのではないか。そういうことをしっかりと発 信していかなければいけないのではないかと、私は思っております。そういったことの 大きな枠組みがあって、そのための組織内の横断的な仕組みが必要なんだよ、人材育成 が必要なんだよ、地域の実態を把握しなければいけないんだよ、というところにつなが っていく。その入り口のところをしっかり整理すべきではないかなと思います。  伊藤座長  大変重要な御指摘です。次回の報告書骨子(案)の中で、御指摘の点はきちっと盛り込 んでいきます。この検討会設置の目的、背景、市町村の保健活動を取り巻くいろいろな 最近の状況の変化、そういうものを踏まえて、今後市町村がどういう方向を向いて保健 活動をやっていくのか、その指針となるような報告書を想定していますが、今の田上構 成員から御指摘の点に関連して他の委員の皆さん、いかがでしょうか。  大橋構成員  県の保健所の在り方の議論をすると、権限が市町村に移っていく、そうするとその中 で県に残る仕事は何か、みたいな議論にすぐなるんですね。それで、保健所は一生懸命 組織防衛の議論に陥りかねない。今、田上先生のお話を聞いていて思ったのは、ここに もありますが、サービスは官民どちらでもできると。それで、官にできるのはここだけ ですみたいな議論をしていくと、言いわけみたいな形になってくる。そうではなくて、 「今まさに市町村保健活動に何が求められているのか。だから何をするんです。」、とい うような議論にしていかないと、民にこっちが移ってしまったから官はここだけやりま すとやると、本来何をしなければいけないという部分は抜け落ちていく。県の保健所で も今そういう議論にどうしても陥っているような気がしますので、今の田上構成員の御 指摘は重要なことだと思いました。  伊藤座長  今の議論に関連して、今後の推進方策のところに非常に関連してくるわけですが、例 えば県の保健所のことを書いてあるのですが、これはどういう立場で書いていくか。で すから、市町村の立場から保健所に対してどういう……。その辺のところも次に御議論 いただきたいと思っています。そのほかいかがでしょうか。  それからちょっと事務局に、この「市町村保健活動の今後の在り方」というところで、 「市町村保健活動のあるべき姿に関する主な御意見」というのと、「市町村における保健 活動の在り方に関する主な御意見」、これを1と2に分けた理由は、どういう視点で分け たのかなと思っていたのですが、いかがでしょうか。  加藤主査  済みません。事務局の方のミスでして、1の方は行政を主体としての市町村のあるべ き姿、2が今度保健活動に特化した場合の在り方ということでございます。  伊藤座長  これは余り分けなくてもいいのではないか。要するに、一番基本の考え方のところを、 少し項目を整理していくということでいかがでしょうか。はい、どうぞ。  曽根構成員  今、田上構成員の御意見で、もう一つ、だれに対してこれを出すのかというところは、 全体としてちゃんと確認しておく必要があるのではないかなと思います。今、田上構成 員のお話だと、首長さんに理解を求めるというようなことで出すべきで、そうじゃない と、何となく内輪の議論に終始してしまうと、やはり外の理解が得られない。そういう 意味でゼネラルな理解を得られるような言い方にしていかないといけないのではないか なと思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。  藤山構成員  私もヘルスプロモーションの考え方で、社会全体の枠組みの中のポピュレーションア プローチの部分は、現在医療制度改革の中で検討している中でもとても大事な部分だと 思っておりますが、実際にはこの部分が今は非常に評価が求められる時代の中で、予防 的な総合対策の評価をどうやっていくかというものが見えてこないと、行政内部での企 画であるとか、中枢の方々の御理解を得ることがなかなか難しいというところが、大事 な部分ではあるけれども、説得性というところの指針を明確に出せない、説明をすると きに大変難しいなというふうに現場では感じています。  有原構成員  同じ意見でして、予算の額からいいますと、狭山市の場合ですと衛生費が45億円の 中で、保健センターの予算は10億円ぐらいです。民生費は百何十億円あるわけで、ど うしても額の高い方に目がいってしまうという状況です。予算の額での理解なのかと思 うこともあるわけです。ですから、今回の医療制度改革に合わせまして、ヘルスに関係 する事業というものはとても大事であり、行政施策の中で第一番に置いてもいいぐらい なんだという御理解をいただけると、私たちとしては仕事が非常にやりやすいかなとい う思いはあります。  伊藤座長  それで、「市町村保健活動の今後の在り方」というこの部分で、ですからどういうこと を書き込んでいったらいいのかということです。私たちが仕事をやりやすいようにして ください、という書き方はちょっとおかしいわけですね。  佐伯構成員  市町村保健活動の保健のとらえ方ですが、いわゆる狭い意味のヘルスでとらえるのか。 それともこの中では分散配置の問題や介護保険のこと、障害保険のこと等も含まれます ので、狭くとらえないで、保健師、栄養士、その他、いわゆる地域保健従事者が活躍で きる場を総合的にとらえて、広い意味で市町村保健活動ととらえていく必要があるので はないかと思いました。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。  迫構成員  今の御意見に賛成ですが、そこの中で市町村と保健所、都道府県の関係に中で、都道 府県や保健所の役割というのが「市町村の求めに応じて支援」という、あそこのところ からすごくスタンスが変わってきているような気がしますので、そこをもう一回再構築 するんだというようなところをきちっと書き込んでいかないといけないのではないかと 思います。  伊藤座長  今のところで、再構築するのはだれですか。国ですか。ですから市町村の立場から都 道府県や国に対してそういう注文があったときに、そこをどのように書くかですね。  迫構成員  具体な書き方というのはちょっと混乱してしまうのですが、国の立場から推進してい ただく、表現を書いていただくということも、もちろん非常に大事なところだと思いま す。それから、やはり現場がそれを求めているというところをきちっと書き出していか ないと、それは形としてできたとしても、機能していかないことになるかと思います。 あと、都道府県、それから保健所の役割というところで、先ほど大橋構成員の方からお 話がありましたように、やはり組織防衛とか後ろ向きの議論ではなくて、前向きに書け る、今そのために県、保健所に何ができるのかというところをきちっと、保健所の立場 では書き込んでいってほしい、書き込みたいというふうに思っております。  伊藤座長  どうぞ。  田上構成員  保健所の役割というところが出てまいりましたので、私の意見を少し述べさせていた だきたいと思います。このたびの健診や保健指導のサービスという狭い範囲ですとなか なか見えにくいのですが、ヘルスプロモーションの観点で整理すると、市町村に対して 保健所が支援する部分と、もう一つ都道府県固有の責務としてやっていく部分の整理が しやすくなります。特に医療機関が、ハイリスクのところには大きな役割を果たしてい ます。その医療機関に対するアプローチ、これは保健所の大変重要な役割であり、責任 だと思っております。  それから、環境整備や啓発というところの具体例で申しますと、例えばせんだってや り始めたのですが、散髪屋さんのところへ皆さん月に1回は必ず行きます。その散髪屋 さんの業界は、保健所が日ごろから大変懇意にしております。その散髪屋さんたちに、 メタボリックシンドロームの啓発等に御協力をいただく。また、食品衛生の関係の事業 者に御協力をいただく。そういったところは、私どもの役割だと思っております。そう いうものと市町村が独自にやるものが合わさって、また、都道府県の増進計画と市町村 の増進計画が合わさって、トータルでヘルスプロモーションを推進していく。そういう 関係性をきちっと持たなければいけないのではないか。今は市町村の仕事で、都道府県 は後方支援をしますという位置づけばかりになっているので、都道府県の仕事が見えに くくなっているように思います。 議題(3)市町村保健活動の推進方策について  伊藤座長  それでは、時間もかなり限られておりますので、次に2ページの「推進方策」の方に つきまして、論点ごとに御議論いただきたいと思います。最初に論点の一つといたしま して、「PDCAサイクルに基づく保健活動に関する主な御意見」とありますが、これに は全体として4点ございます。まず初めに、このPDCAサイクルについてどういう形 で整理をしていったらいいかということで、御意見をお伺いしたいと思います。いかが でしょうか。  藤山構成員  市町村の立場として、このPDCAサイクルの中の評価に関するところになりますが、 ここには都道府県全体と市町村というふうに書かれておりますけれども、もう一つの評 価の方法としては、大学であるとか、他の評価機関のようなところからのデータ分析な どが市町村に与えられれば、もっと専門的なところの評価の仕組みができるのではない かなと思いますので、それを入れていただければなと思います。  伊藤座長  ありがとうございました。これは、さっき田上構成員からも、報告書を市町村の首長 や市町村の保健行政の幹部や関係者が読んで、市町村はこれから保健活動を展開してい くために、PDCAサイクルをどういうふうに自分たちの市町村の保健活動に取り入れ ていったらいいんだろうかという、市町村の立場から読んでわかるような形で整理する 必要があると思います。どのように項目を整理して最終報告書の中に入れていくのか実 際イメージして御意見をお伺いしたいと思います。はい、どうぞ。  田上構成員  具体にPDCAをどういうふうにやっていくのかということの前に、市町村の首長さ んたちは、保健師等は単にサービスをする人という理解をされている場合が大変多いで す。そういう意味では、地域住民の健康ニーズ、特に潜在化されているニーズをしっか り把握する。それを市町村行政の政策に反映していく。また、その政策がうまく市民に 機能しているかどうかをチェックする。それが大変重要なミッションなんです。そこの 入り口のところが、特に保健師等の重要なミッションなんだというところを明確に位置 づけるというか、御理解をいただく。その上で、個々のサービスについては官と民との 分担の話ですよ。というところを、大切な基本理解として、明確に御理解いただけるよ うに打ち出していく必要があるのではないかと思います。  伊藤座長  もしそうだとすれば、このPDCAサイクルをいきなり出してきて報告書をまとめる よりは、まず今住民、市町村にとって何が課題なのか。実態把握からどういう事業をし ていくのか。そしてその評価、それを書いて、その一つの手段というか方法としてこの PDCAサイクル、例えばそういう書き方がいいのか。そのあたりはいかがでしょうか。  田上構成員  具体的なところまではまだよく整理ができませんが、まずはミッションを明確化する。 そのミッションに基づいて、PDCAのベースになるプランのところは健康増進計画で あり、特定健診等の計画であり、その計画にきちっと反映する。反映したことの進行管 理をする。その進行管理は実際に地域に出ていって、情報を把握して、チェックして、 それをフィードバックする。そういったことの説明になるのではないかと思います。  伊藤座長  曽根さん、この点はいかがでしょうか。  曽根構成員  その辺をもっとわかりやすく理解していただくために、もしこういうのを知っていな いとどんな弊害があって、皆さんの市町村はこうじゃないですかみたいな、そういう例 を提示すると、首長さんにも理解していただきやすいかなと思います。  大橋構成員  一般的には行政も今はもうPDCAサイクルが県レベルでは当然で、市レベルでもそ うなっていると言われていますが、果たして本当にすべての市町村レベルで、PDCA と言われて「は?」というふうになることがないのかどうかという疑問があるので、や はり今行政にもPDCAが絶対必要なものであって、それで保健活動ではPLAN DO CHECK ACTIONのそれぞれでどういう課題、視点が必要なのかというような項目にし ていくのも、一つの手なのかなと思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。尾島先生。  尾島構成員  市町村長にアピールするということから考えますと、計画の最終目的や評価指標とし て健康というのはあるのですが、その上位目的として幸福ですとか行政への満足度とか、 そういうことも含めて考えていくべきだ、ということを入れるといいのではないかなと 思います。  井伊構成員  私はPDCAが筋道だって進む、あるいはきちんとした計画ができて、それが評価で きるから得ですよということはあると思います。しかし、やはり今日的な健康課題、虐 待の問題とか生活習慣病予防の問題とか、どういうことが解決できる、そのためにこう いう配置が必要であったり保健師が活用できるんだという、それをまず明確にしておく 必要があると思います。  それともう一つは、これはきのうのヒアリングで伺ったことですが、合併等による地 域課題で、コミュニティーの再構築があげられ、地域で住民もいろいろな問題を抱えて いて、行政もそういう地域が再編していく中で、何をどのように使っていくのが一番行 政課題に直結していくかという問題に直面している。その時に、健康というものを一番 に出すと住民ニーズがつかみやすい、あるいは保健師は地域住民とフェース・ツー・フ ェースの関係があり、いろいろな組織とのつながりがあり、それが横につながっていく ことで行政全体にもメリットがあると。そういう書き方にしていかないと、これだとち ょっと形から理解してもらおうという感じになるので、ぴんとこないのではないかなと いう印象を持っています。  伊藤座長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。はい、有原さん、どうぞ。  有原構成員  今回医療制度の構造改革という観点で振り返りましたときに、保健センターはサービ スの提供だけをしてきたという思いが非常にありました。それが果たしてよかったのか どうかというところから始まるのかなと思いました。事業自体が医療費の適正化にはも うほとんど結びついていないという現状があり、その要因がどこにあったのかというこ とが問題です。保健と国保が分断していた組織的な問題もあったのでは。そういったと ころからそれを変えていくことが必要かもしれませんし、そういう切り口でいきますと、 受け取った人間の方は自分の市の状況というものがよく理解できるのではないかなと思 うのですが、いかがでしょうか。  伊藤座長  今の有原さんの意見は、今まではそうだったけれども、これからの市町村保健活動の あるべき姿はこうですよという、そういうふうにつなげていったらいいのではないかな と思うのですが、特にそれはこのPDCAサイクルのところだけではなくて、もっと前 段のところに入るのかなという感じがします。これは私が余り発言するというよりは、 皆さん方の意見をお聞きしたいと思います。  それでは、ちょっと時間の関係がありますので、次の論点ですね。4ページで「分散 配置における保健活動体制に関する主な御意見」と出ておりますが、つまり分散配置に おける保健活動の体制について、どういう問題点の指摘なり提言をしていくかという観 点から、ぜひ御意見をお伺いしたいと思います。はい、どうぞ。  田上構成員  市町村に対して、市町村内の組織の体制のありようについて細かく物を申していくと いうことは、地方分権の流れからしておかしいのではないかと思います。最も大切なこ とは、何のためにという、最初に申し上げた目的を明確にして、目的を達成するために は組織横断的な取り組みが必要ですね。だから横軸のつながり、組織体制が必要なんで す。でも、その方法論については、いろいろな選択肢がありますから、そこから先は市 町村の実情に合った形で、市町村が選択して判断されるべきことだと思います。ですか ら、余り方法論に入り過ぎない物の言い方をした方がいいのではないかと思います。  伊藤座長  きょうまず冒頭で曽根先生から御報告がありましたが、分散配置の場合、統括責任者 がいる場合はうまくいっているようだという、例えば報告書の中でそこを具体的に提示 するのか。それとも今、田上さんがおっしゃったように、余りそこまで踏み込んで書か ない方がいいと。その辺はいかがでしょうか。  田上構成員  組織横断的にうまく連携をとってやっていくことが大切であり、それがうまくいって いる事例としてこういうものがあります、という表現であれば問題ないのではないかと 思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。  井伊構成員  この統括者の配置については、そういうことが必要だということすら全く意識してい ない自治体もあると思います。そういう意味で、モデルを示せばいいかはよくわかりま せんが、こういう例もあるというような提示というのは、あった方がよろしいのではな いかと思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。  曽根構成員  やはりよいモデル的な事例として、そういう統括者がいて、物事がスムーズにいって いる、連携がうまくいっているという事例を取り上げることで、統括者の有用性を示せ るのではないかと思います。ただ、注意しなければいけないのは、やはり内向きで、要 するに保健師が固まって何かするからいいんだという論理ではなくて、むしろいろいろ な部分が横ぐしで連携するのにぜひこういう体制は重要なんだというようなことでない と、結局何をやっているんだという話になりがちだと思うので、この話題はやはり言い 方に十分気をつけなければいけないと思います。  大橋構成員  内向きにならないためにも、前段の在り方のところで、今そういうあるべき姿を目指 すときに、例えば問題解決のためにこういう課題がある、組織体制的には分散配置でこ ういう課題がある、内部で事務と技術との連携でこんな問題があると、最初のところで 課題みたいなものを押さえておけば、言いわけ的にならないというか、きれいな報告書 になっていくのかなと思っております。  伊藤座長  はい、どうぞ。  迫構成員  分散配置という視点ですが、基本的に分散配置されるべきであるという方向性があろ うかと思うのです。今こういう時代、それぞれのところで部署にきちっと人が配置され て業務が推進されていく。これが重要なことですので、まず分散配置が進むべきである。 そして、その中でどういうふうに連携をしていくのかという、そういう書きぶりがやは り必要になってくるのではないかと思っております。  伊藤座長  ありがとうございました。はい、尾島さん。  尾島構成員  総論的には田上構成員がおっしゃったように、余り細かいことを言わない方がいいん だと思いますが、でも各論としては、こういう場合はこう考えられるのではないかとい うことを突っ込んだ方がいいと思います。それで、まず総論としては、一人一人の職員 の士気が高く、潜在能力が100%発揮できるような体制が大事だろう、ということは絶 対言えるのだと思います。それから、分散配置については、組織ということから考える と分散配置がいい面もあると思いますが、分散配置で職員が能力発揮できるためには、 統括者がいたりジョブローテーションがあったりということが前提だろうと思います。 逆に、統括者やジョブローテーションが当面無理だという市町村については、4つの類 型のうち、分散配置しないような形の方がいいのではないかと私は考えております。  伊藤座長  ありがとうございました。それでは、もし何か意見がありましたらまた戻りますので、 次に5ページの「事務職と技術職の連携に関する主な御意見」、これはあえてこういうテ ーマで取り上げるかどうかということも、実は御意見をお伺いしたいと思いますが、い かがでしょうか。  田上構成員  少なくとも事務と技術の連携というのを公式に外に向いて出すというのは恥ずかしく て…。「役所の中で何をやっているんだ」ということになりますから、この項目自体がど うなのかと思います。  伊藤座長  これは項目からは落とすということで、中身についてはどこか適当なところがあれば 触れさせていただくという、そういう整理でちょっと考えていきたいと思いますが。  それから6ページ、次は「保健所(都道府県)との連携に関する主な御意見」でござ います。ここの書き方も、例えばこの検討会が市町村の保健活動の再構築という立場か ら、保健所にこうしてくれという形で書くのか、それとも全体のスタンスとして市町村 の保健活動を進める立場から、都道府県や保健所に対してこういうふうにしてほしいと か、すべきだという、そういう視点で書くのか。ちょっとその辺のことも含めて、御意 見をお伺いしたいと思います。  田上構成員  基本的には市町村の保健活動が基軸にありますので、市町村の立場でどうなのかとい うことで書いていくべきだと思います。ただ、そこで市町村が身近なところでヘルスプ ロモーション、健康増進計画を推進していくに当たっては、市町村だけではできない部 分としてこんな部分があります。その部分は保健所と力を合わせて協働してやっていく 必要がありますねと。これは県の仕事と市町村の仕事が合わさって、トータルで一人前 なんだという考え方ですね。それと、市町村が自立してやっていくための、自立の支援 を必要とする自治体も中にはあると思います。そこのところを、市町村支援の部分と協 働でやっていく部分をしっかりと書き分けておく必要があるのではないかと思います。  伊藤座長  大変重要な御指摘だったと思います。そのほかいかがでしょうか。では、尾島先生、 どうぞ。  尾島構成員  市町村を軸にするというときに、市町村事業が円滑にできるというところまでにして おくのか、市町村の住民が最終的に健康や幸福になるというところまで見据えるかによ って、またちょっと違うかなと思います。市町村住民がヘルスプロモーションの恩恵を 受けられるということから考えると、一つは啓発などのために都道府県の広い圏域のメ ディアを使ったりとか、県の条例をつくったりとか、そういうことも含めてヘルスプロ モーションを展開することを考えると、県の役割というのも非常に重要だと思います。 この検討会としてそこまで入れるか入れないかというところはあると思いますが、県や 保健所の役割としてそういうことも重要かなと思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。  田上構成員  今の範囲のことにつながるのですが、一つ具体の事例を申し上げたいと思います。私 の管内のある市のヘルスの課長さんから私にこんな話がありました。それは、国保では ないんだけれども、政管健保の人たちにたくさんの健康問題があって、その人が退職者 という形で大きな健康問題を抱えて入ってくる。また、介護保険の方にも入ってくると いうことで、その問題は大変重たい問題として認識をされておられました。確かにその とおりなんですね。そういう意味で、市町村(保険者)の守備範囲というだけでは完結 できない部分が多々ございますので、そのあたりの御認識をいただく必要があるのでは ないかなと思います。  伊藤座長  はい、井伊さん、どうぞ。  井伊構成員  5)に市町村が都道府県に対して行うべきことというか、保健所が何をしてくれるか というだけの発想では多分再構築ということにならなくて、この辺が去年のヒアリング でも少し聞き切れなかったというか、実情をつかみ切れなかった部分ですが、本当に保 健所が助けるだけ市町村は助けられるだけの関係ではもうないわけですので、そういう 見きわめ方を市町村がどうやって身につけていくのかというのが大事なのではないかと 思います。  田上構成員  済みません、あと1点細かなことですが、保健所という言葉を使いますと、都道府県 型の保健所の場合とそれ以外では全く意味が違ってきますので、記述するときに、今私 が申し上げましたことは都道府県型の場合でございますので、そこは御留意いただきた いと思います。  伊藤座長  はい、尾島先生、どうぞ。  尾島構成員  先ほど市町村の求めに応じて保健所が動くというところが一つ岐路だったというお話 しがあったと思いますが、市町村の必要性というときに、市町村が自分で感じるディマ ンドとしての必要性と、自分で必要性は顕在的に感じてはいないのだけれども、大局的 に見ると必要だということとあると思いますので、そういう客観的に見て必要なことと いうのも保健所として支援していくべきではないかというところは、非常に重要だと思 います。  藤山構成員  済みません。保健所の立場だけではなく、都道府県に求めたいことというのも市町村 の方ではあるかと思うのですが、今回の医療制度改革などでの健診・保健指導の在り方 であるとか、医療費の削減の問題であるとかは、単に市町村だけではできない部分が大 変大きいかと思います。その中での都道府県の在り方などが市町村からは求められるこ とも大変大きいと思いますし、先ほどの健康増進計画などについても、連動させていく には県の保健所ではなく、県としての方向性などがトータルとして見えるようなものに していただきたいなというふうに、書き加えていただく方がいいのではないかと思いま す。  伊藤座長  わかりました。都道府県の保健所の場合は、さっき田上構成員から支援と協働を分け て考えるべきである指摘がありました。それで、この支援の中には、さっき尾島先生か らあったようにディマンドとニーズがあって、それに気がついていない場合、要は専門 的な視点からきちっと、言ってこなくても支援すべきだと。そういう中身ではないかな と思います。だから、市自体が保健センターと保健所を持っている場合は、そこの関係 は県の場合と少し違った関係で、保健センターと保健所が一つのシステムとして対処し ていくという、その辺の整理の仕方があると思いますが、きょうの御意見を参考にして、 事務局の方とちょっと整理をさせていただきたいと思います。  井伊構成員  市町村が保健所を助けている部分というのが現実にはかなりあると思います。そうい うことも文章として出していっておくことが必要なのかなと思います。  長谷部構成員  先ほどの目的のところ、だれに何をというところのことで、この項目はどういう表現 になっていくのかなというのが、ちょっと今すごく頭の中でもやもやしているところで、 市長もしくは保健分野のトップの方に表現するに当たり、どういう表現になっていくの かなということと、保健所と言ったときに先ほど言った都道府県側の保健所というもの と、市で保健所を持っているところと、その表現を整理しないといけないのかなと思い ました。  伊藤座長  そこは一つの見出しで両方が入る書き方というのはなかなか難しいと思いますが、ち ょっとそれは検討していただくことにします。  それでは、ちょっと時間の関係もございますので、7ページ、「住民組織、NPOとの 連携に関する主な御意見」とございます。これもどういう立場でということでいろいろ 考えていくと、整理しなければいけないことが出てくるのですが、この住民組織、NP Oとの連携についていかがでしょうか。  曽根構成員  用語についても、前回の世古先生の考え方と一般的な私たちの認識とは多少乖離があ るのではないかなと思いました。言葉の使い方一つとってみても、その辺をどういうふ うにとらえるべきかも、考えないといけないと思います。  伊藤座長  ですから、どういう書きぶりにするかというのは、ここはかなり難しいと思うんです ね。佐伯さん、いかがですか。  佐伯構成員  地域に実存する住民組織とNPOは実際にはどのようなものがあり、どの程度機能し ているのかという実態を、まずきちんと記載する方がいいのではないかと思います。そ の上で、地域保健として育てていく部分と、実際に世古先生がおっしゃったように、協 働できる部分がどれぐらいあるのかということを示し、協働については未来的な方向性 を含めて記載していく必要があるのではないかと思います。  伊藤座長  私は前回、実例としてどんなものがありますかといろいろお聞きしたのですが、実例 としてほとんどなければ、大学で講義する教科書みたいなことを書いても、市町村は困 ると思いますね。ですから、ここはかなり実態を踏まえて。その後、埼玉県の坂戸市で 事例の報告がありましたが、今後の住民組織やNPOとの連携という視点から、現実を 踏まえた方向でまとめる方がいいのではないかと思います。その辺は皆さんいかがです か。  大橋構成員  前回は参加していないのですが、ここにこの項目を持ってくると、恐らくこの項目だ けでも一つの報告書ができるぐらいの議論になると思うんですね。やはりこの検討会が 市町村の保健活動の再構築というのであれば、そこの地域資源としての住民組織、NP Oさんとの連携も考えていかなければいけない。それを先ほど私が言いましたが、総論 のところで最初に課題があるというふうに置いておいて、それでその課題に対して例え ば先ほど座長がおっしゃったように、こういう連携の仕方もあるよねというふうに置い た方がよく、ここであるべき論ばかりやってしまうと、受け取った市長さんは困ってし まうと思います。  田上構成員  私もそれに賛成でございます。余り事細かく入る必要はないのではないかと思います。 なぜNPO、住民組織との連携なのかといったところの基本のところを、入り口のとこ ろでヘルスプロモーションの理念と絡ませながら、それを明確に位置づける。首長さん の立場で一番関心が高いのは、今扶助費がどんどん大きくなっているというのが大変大 きな悩みですので、その問題に対してはインシュアランスの中だけで解決するには限界 がある。やはり自助、共助の仕組みというところがとても大事で、その共助の仕組みの 中で、この部分がとても大切な部分だと。ここに力を入れることが扶助費の拡大に対し ての重要な方策であるというところの位置づけを明確に論じる。できればいい実例があ れば、そういうことをやっていることによって効果が上がっている事例の紹介でもでき れば、一番いいのではないかと思います。  伊藤座長  ありがとうございました。それでは、ちょっと時間の関係で、最後の「人材育成体制 に関する主な御意見」ですが、この点はいかがでしょうか。  これは私がちょっと感じたのですが、保健師、管理栄養士と市町村保健活動に従事す る人材の育成で、まず基本的には市町村の責任ですよということをきちっと書くべきで はないのかなと思うのですが、その点はいかがでしょうか。そして、その市町村独自で やれないことについては、県なりがいろいろ支援をする。まず第一義的に、市町村職員 の人材の育成というのは市町村に責任がありますよということ、そこを明示した方がい いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  有原構成員  そこの明示があって、それで市長をはじめ部長とか上司を含め認めて、言ってみれば 定例会があったり時間内にOJTがあったり研修があったりということができるわけで、 自前で育てていくことの必要性というものはここで非常に大切になってくると思ってお ります。  伊藤座長  はい、どうぞ。  田上構成員  大切なことは、市町村の責務であるということを明確に位置づけるとともに、市町村 の保健師等に対してどんなミッションを期待するのかといったところだと思います。そ のミッションを発揮できるための人材育成、それは市町村さんの責任ですねということ だと思います。  伊藤座長  はい、どうぞ。  大橋構成員  先ほどのミッションという言葉でいえば、市町村の保健活動、地域保健活動をしてい く上では、当然のことながらその体制づくりが必要ですよと。体制をつくるためには、 人材育成の前に人材を確保することも必要です。採用を含めて計画的に人材を確保して、 その人たちのマンパワーを高めていく人材育成が次にくるということを明確にしていく べきだと思います。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。  曽根構成員  そもそも論になるかもしれませんが、やはり人材というのはシステマチックに育てな いと育たないということですね。ただ種をまいておけば、あとは雨が降って、日が照っ て、そのままで育つというわけではない。ちゃんと剪定をしてやって真っすぐしないと、 ちゃんと実をつけないというようなことが、余り認識されていないのではないか。そも そも論でありますが、そこのところも明記していただければと思います。  伊藤座長  井伊さん、どうぞ。  井伊構成員  この人材育成は、私などの立場は当然専門職の人材育成というふうに思うのですが、 昨年度のヒアリングの中では、この保健領域に異動してくる行政職の方、そういう保健 従事者の人材育成というのも必要で、特に保健センター長が事務職の方の場合などは、 その方が保健のことを全く何も知らないで課長職を持ったりしているところの弊害とい うのもあるなというのを、昨年度実感として見てきたところですので、そういうことも 一つ入れていただきたいと思いました。  伊藤座長  そのほかいかがでしょうか。  佐伯構成員  人材育成のシステムについては、市町村はそれなりの形を持っていらっしゃるところ も多いと思います。ただ、それが事務職に合うようにできていて、専門職は受けてはい るのですが、専門職にぴたっとくるような研修になっていないために、結果が有効に生 かされていないということを感じます。行政の職員として必要な研修と、プラス専門職 としてそれをさらにどうかみ砕いて研修をしていくかということを考える必要があると 思います。  それと、調査では中堅の人たちの育成が課題に挙げられています。新卒は新卒で問題 になっていますので体制ができつつありますが、中堅についてはOJTも余りされてい ませんし、Off-JTの対象にもなっていません。中堅に必要な能力というのは専門的な 目だけではなくて、どう組織を見ることができるかということと、全体に視野を広げて 見ることができるかということだと思います。それで、一つ例として、北海道では中堅 職員を対象に、事業の企画から評価という研修を1年かけて行っています。それは大学 や教育機関が参加して、個別の指導をしながら自分の事業を見直すという、OJTと Off-JTとを合わせたような研修をしています。そういうのも参考になるのではないか と思います。  伊藤座長  ありがとうございました。尾島先生、どうぞ。  尾島構成員  今の中堅ですとか上の方のクラスの人材育成まで考えますと、その市町村内で1人、 2人の人をどう育てるかということになりまして、市町村としてノウハウを持っていな いことが多いかなと思います。総論として、大原則は市町村に責任があるのだけれども、 人材育成のノウハウがない場合には、積極的に保健所や都道府県の支援を受けるべきだ ということも重要かなと思います。  田上構成員  今、何が問題かと考えたら、当の保健師等が自分はこういう役割を果たしたいと思っ ていることと、首長さんや課長さんたちが保健師たちに期待することのミスマッチがあ るのではないか。それがいろいろな人材育成といったところの部分に、大きな問題を起 こしている最大の原因ではないかと思います。先ほどミッションということを申し上げ ましたが、専門技術職にどういう人材に育っていただくことを期待するのかといったと ころを、一番大切にしなければいけないのではないかと思います。  伊藤座長  藤山さん。  藤山構成員  人材育成については、市町村の方では確かに一般事務職の方たちと同じような研修体 制が、既にあるところは本当に多いと思いますが、専門能力をどう高めていくかという ところは、最近では本当に1人採用されるかされないかというような実態の中で、市町 村の責務と言われても、実際にはできない部分も多く出てくるかと思いますので、やは り都道府県単位でのそういったシステムを使えるような方法を構築することが必要だと。 連携をするというようなことが。特に専門能力のところにおいては言えるのではないか なと思います。  伊藤座長  それでは、全体を通じて、項目の立て方ですとか、もし何かお気づきの点があればお っしゃっていただきたいと思いますが。  井伊構成員  1ページの言葉の使い方ですが、当初から田上構成員の御発言でも、ヘルスプロモー ションという言葉がずっと出てきていたかと思うのですが、ここで「地域保健活動の基 盤は、ポピュレーションアプローチである」と。これはやはり現在、医療費適正化とか 健診・保健指導の関連の中で、ハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチと いうのは手法というか方法論として語られている部分だと思いますので、ここは「地域 保健活動の基本は、ヘルスプロモーションである」と明記していただいて。この「ポピ ュレーションアプローチである」という表現は誤解を生じるかなと思います。  伊藤座長  はい。そのほかいかがでしょうか。それでは、大変いろいろ御意見をいただきまして ありがとうございました。そろそろ時間でございますので、一応きょうの議論はこの辺 で終了させていただきたいと思いますが、今後のスケジュールにつきまして、事務局の 方から御説明をお願いします。  加藤主査  今後のスケジュールでございますが、第7回検討会は2月23日、13:30〜15:30、 報告書骨子(案)についてを検討予定です。第8回検討会は、3月13日、17:00〜19: 00、報告書(案)について検討する予定となっております。場所等、詳細につきまして は、後日改めて御案内いたします。  事務局からは以上です。  伊藤座長  次回の報告書骨子(案)、これは23日ですから、なかなか骨子(案)をつくるのは大 変ですかね。もし事前に送付することができればそういうふうにしたいと思いますが、 場合によっては当日ということになるかもわかりません。ぜひディスカッションいただ いて、それで最終的には3月13日に、報告書(案)について御検討いただくという形 でお願いしたいと思います。  そのほか何か。それでは5分ほど早いですが、きょうの検討会はこれで終了させてい ただきたいと思います。どうもありがとうございました。 <了>