07/02/09 第2回今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会議事録 第2回 今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会 議事録 日時:平成19(2007)年2月9日(金)10:00〜12:10 場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出席者:  委員   柏女座長、奥山委員、榊原委員、庄司委員、西澤委員、松風委員、吉田委員  厚生労働省   藤井家庭福祉課長、佐藤家庭福祉課専門官、鈴木家庭福祉課措置費係長 議事:  1. 本検討会の検討課題について  2. 「今後の社会的養護の基本的方向」について  3. その他 配布資料:  資料1 「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」検討課題(案)  資料2 「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」第1回検討会 における委員からの主な意見  資料3 児童人口1万人当たりの施設定員・里親定員(登録里親数×平均委託児童数) 及び在籍(委託)児童数(県別)  資料4 母子生活支援施設の概要等  資料5 「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」ヒアリング候 補(案) ○鈴木家庭福祉課係長  定刻となりましたので、ただ今から第2回「今後目指すべき児童の社会的養護体制に 関する構想検討会」を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれましては、お 忙しい中お集まりいただき、厚く御礼申し上げます。本日の検討会の委員の出席者は7 名です。山縣委員は欠席と伺っております。  前回、各委員の皆さま方から自己紹介をしていただいておりますので、前回参加でき ませんでした吉田委員におかれましては、大変恐縮ですが、簡単で結構ですので自己紹 介をお願いします。 ○吉田委員  駿河台大学の吉田と申します。どうぞよろしくお願いします。前回は所用で欠席させ ていただきまして失礼しました。  私は児童福祉の問題を法律の方から勉強して参りまして、特に民法・児童福祉法とい う観点で、これまでさまざまな形でかかわらせていただきました。ただ、児童福祉の現 場に身を置いたことがない人間ですので、この委員会において、どの程度適切な発言が できるかわかりませんけれども、一つ距離を置いたところで、法律や子どもの権利の視 点から皆さまと一緒に議論ができればと思っています。どうぞよろしくお願いします。 ○鈴木家庭福祉課係長  それでは、議事に入りたいと思います。柏女座長、よろしくお願いします。 ○柏女座長  おはようございます。年度末のお忙しいところ2週続けてということで、特にご遠方 からおいでの方にはご迷惑をおかけしております。本当にありがとうございます。  まず初めに、今日お手元にお配りしている資料について事務局からご確認をお願いし て、その後議論に入っていきたいと思います。よろしくお願いします。 ○鈴木家庭福祉課係長  それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。上から順番に「第2回議事次第」、 「配付資料一覧」、それから資料1として「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関 する構想検討会」検討課題(案)、資料2として「今後目指すべき児童の社会的養護体制 に関する構想検討会」第1回検討会における委員からの主な意見、資料3として「人口 1万人当たりの施設定員・里親定員(登録里親数×平均委託児童数)及び在籍(委託)児童数 (県別)」、資料4として「母子生活支援施設の概要等」、資料5として「今後目指すべき 児童の社会的養護体制に関する構想検討会」ヒアリング候補(案)となっています。お手 元に資料がない場合はお知らせください。事務局の方からお渡しします。資料の確認は 以上です。 ○柏女座長  ありがとうございます。よろしいですか。  続きまして、前回第1回の議論や委員の皆さま方から出していただいたペーパーなど も落とし込んでいただいた資料、あるいは各委員から「こんな資料があれば」と追加資 料の要請がありましたが、それらを用意していただいていますので、それに基づいて事 務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○佐藤児童福祉専門官  それでは、お手元の資料2と3について説明させていただきます。資料2「今後目指 すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」第1回検討会における委員からの主 な意見、ということですけれども、これは委員の皆さまに事前にメモをいただいていま した。それに加えて、前回の検討会での意見をまとめさせていただいたものです。可能 な限り網羅したつもりですけれども、後ほどの議論の中で補足していただければと思い ます。また、このまとめは検討課題(案)の項目に沿って、いただいた意見を落とし込ん でみましたけれども、必ずしも落とし場所が適切でないところもあります。これについ ても議論の中で改めていただければと思います。  続いて資料3は、第1回検討会でリクエストがあったものを用意させていただきまし た。「児童人口1万人当たりの施設定員・里親定員(登録里親数×平均委託児童数)及び在 籍(委託)児童数(県別)」というタイトルになっています。No.1〜4まで全都道府県の分が あります。これは全都道府県においての児童人口1万人当たりの、1万人に換算した場 合の施設・里親の供給量と入所状況・委託状況を表したものです。参考に北海道のとこ ろで見ていただきたいと思います。赤色の斜線の部分は施設定員ということで、子ども 人口1万人に対して、約21人の受け入れ定員となっています。それから、その上の赤 色の部分は、里親が受け入れることができる児童数になっています。北海道の場合は、 これが約11人となっています。これに対して、その隣の棒グラフを見ていただきたい のですけれども、これは実際の入所状況・委託状況を表したものです。児童人口1万人 当たりの網掛けの部分ですけれども、北海道の場合は約20人の子どもが施設に入所し ている。その上の黄色の部分では、里親には約4人の子どもが委託されているというこ とがわかります。それから、赤色の三角がついたラインは、施設と里親を合わせた社会 的養護の定員、供給量の全国平均です。下の青い丸のラインは、在籍児童の利用状況の 全国平均を表わしたものです。少し訂正があります。4枚目の上のラインですけれども、 丸がついているラインになっていますけれども、これは三角です。ここは訂正というこ とでお願いします。  続いて資料4は、前回山縣委員からご意見等があり、今回「母子生活支援施設」につ いて資料を追加させていただいたものです。以上です。 ○柏女座長  ありがとうございます。資料3は私がお願いしたものですが、この図を少し見ただけ でも、社会的養護についてさまざまなことを物語っているように思います。こうした議 論を進めていければと思っています。  それでは、討議に入る前に、前回ペーパーのみで欠席されていた吉田委員、補足があ りましたらぜひ。前回は、各自5分程度で話をしました。最大5分までは使えますので、 よろしくお願いします。 ○吉田委員  前回お休みさせていただきましたので、私のメモに沿って、社会的養護のあり方につ いてどう考えているのかを簡単に説明させていただきたいと思います。私の主な関心は、 子どもの権利を社会的養護の中にいかに実現するかということです。社会的養護の目的 というのは、まさに子どもの権利実現にあるのだと。その狙いは、子どもの権利条約の 趣旨をいかにして社会的養護の中で反映させていくのかということです。その考え方は、 あくまでも子どもが主体であると。子どもの権利主体性または権利行使をどのようにサ ポートしていくのかと。これを通じて社会的養護における子どもの権利を実現していき たいと思っています。  もう一つ下の、親の第一次的養育責任です。これも今児童虐待防止法改正で議論され ているようですけれども、これはやはり親に子どもを養育する責任があり、その責任を 果たすことができるよう、国や自治体がこれを支援するというスタンスです。これが権 利条約の意味しているところであり、決して親のみに責任を課すということではありま せん。そして必要に応じてこのような養育責任を親以外の者とシェアする。協働して責 任を果たすという仕組みが必要だろうというわけです。  そのために必要な人材・環境を確保することが、その次であります。子どもの権利実 現に関する「制度」「人」「環境」と分けましたけれども、制度の点では、特に子どもの 権利を具体的に明示するということも考えてよいのではないだろうかということです。 特に、2番目のところですけれども、権利の話をすると、大人もそうですけれども「そ れほど難しいことは自分は考えていない」ということがあります。そうではなくて子ど もに「こういうことを言ってよい」とか、「こういうときには他人に相談してよい」とか 「こういうことをされてはいけない」ということを、しっかり教える。そして、自ら権 利を行使し、それを享受するようにできる教育が、あらゆる場で必要になってくるだろ うということが前提です。  もう一つ重要なのは、子どもの権利保障という点で意見表明・参加。これは児童養護 の世界ではさまざまな場面で必要になってくると思います。措置手続における子どもの 意見表明・参加。現在、児童福祉法の中で子どもの意向を聴取するという仕組みがあり ますけれども、これがどの程度実際に確保されているのか。またその前提として、子ど もが自分の意見を言いやすいような状況にあるのかどうか。そうした仕組みがあるのか どうかということです。これがまさに子どもの当事者性を保障するということです。そ れが不可能な場合または困難な場合には、子どもの意向を代弁する機関というのが必要 になるだろうということも検討したいと思っています。  さらに、子どもの権利を保障するという意味では、これも最低基準の中にあるような 苦情受付の仕組みですけれども、これがどの程度、実質的に機能しているのか。前回い ただいた資料の中に設置状況はありましたけれども、これが本当に子どもにとって使い やすい制度になっているのかどうかということです。幾つかの施設でヒアリングをした ことがありますけれども、子どもからすると、そういうことを言っても反映されないと。 言っても無駄だとか、また場合によっては犯人探しにつながるということがあります。 こうしたことのないように、適切に本来の子どものための制度として機能できるような 第三者機関が必要だろうということです。  次のページの一番上の養育責任については、先ほどお話しした第一次的養育責任に関 連して、親責任の協働というところです。その次の体罰の禁止も、頻繁に新聞などで出 ますけれども、残念ながら後を絶たない状況です。現在、最低基準で体罰禁止はありま すけれども、これをより明確にするために法律で規定するということを考えてもよいの ではないか。この点に関しては、民法の懲戒権規定というのが現にありますけれども、 これとの関係も大きな影響があるかと思います。それから、施設内での虐待の問題につ いては、高齢者の施設内虐待の問題と同じように、これを通告した者の身分保障という ことを考え、そして、より風通しの良い施設運営を目指すことが必要ではないかという ことです。  3の「人の確保」ですけれども、こうした権利擁護・権利実現をしていくためには、 十分な余裕を持って子どもに接することができるような人の配置が当然必要になってき ます。そこでは施設の中での人の確保と同時に、今度は子どもが施設を退所した後に家 庭との関係を持つわけですけれども、それを円滑に行うことができるような人の確保。 この辺りは既に議論されているところだと思いますので簡単にいきます。  それから「施設長・施設職員の資格・責任」ですけれども、先ほど申し上げたような 施設内での人権侵害ケースなどを見ると、この辺りの資格等について、また責任に関し て、もっと重くする、厳格にするということを考えてもよいのではないだろうか。  また「研修の強化」というところですけれども、人の手当てを前提とした上で、どれ だけ質を高めるかということです。児童虐待に関する知識・対応など施設内外の研修を 充実させることで、一つの施設だけにとどまることなく施設間での人材交流や、他の福 祉関係の施設への人事交流などの形で、幅広く施設職員の方に見聞を広めていただくこ とも研修のあり方としてはあってもよいのではないかということです。  次のページの「環境」についてですけれども、これは従来から言われている居住環境 を、せめて老人福祉施設並みにしてほしいということ。また、虐待ということで心身に 障害のある子どもの環境についてはそれに適した環境をということで、これは前回お話 しされているようなところかと思います。  最後の「児童養護施設の機能」ですけれども、ソーシャル・ワーク機能と今までのケ アワークにとどまることなく、アウトリーチ機能を果たすことができるというのは、専 ら親子再統合を目的とするというようなことが考えられますけれども、それ以外にも施 設の持っている高い専門性を地域で生かすことが必要だろう。それから「ケアの計画化、 客観化、評価」とありますけれども、これも従来から自立支援計画で言われているとこ ろですけれども、なかなか中身が見えてこない。特に前回の児童福祉法改正によって2 年更新制度が設けられたということは、福祉の場面において養護の内容を第三者、特に 裁判所に説明できるようにしなければいけないということです。これは児童相談所だけ の責任ではなくて、児童相談所が家庭裁判所に説明するときに必要な資料は、現に子ど もを養護している施設等で作ることが必要になってきます。そのためには、やはりどれ だけ第三者に納得させられる養護をし、それを説明できるようにするかということが必 要になってくるわけですから、単に「勘でやる」とか「経験に基づいて」という世界と は違ってきているだろう。ここをもっと徹底する必要があるということで最後に掲げま した。以上、5分でよろしいですね。 ○柏女座長  ありがとうございました。失礼しました。前回配付された資料については、バインダ ーに綴じてありますので、また随時「自分は何を提出したのだろう」と思われる方は、 こちらを参照していただいてご発言いただければと思います。どうも失礼いたしました。  それでは、討議に入っていきたいと思います。今日の資料にもありますように、社会 的養護について前回あるいはペーパーで出していただいた各委員の考え方について、事 務局で作成した検討課題(案)に沿って、主な意見として取りまとめていただいています けれども、今日は、できれば二つのことをしたいと思います。  一つは、資料2の左側の検討課題のところです。具体的には、それだけを取り出した ものとして資料1があるわけですけれども、この課題だけでよいのかどうかという点。 つまりこれをもう少し広げることが、あるいは見落としている論点があるのではないか ということが1点。大体1時間半ぐらい時間がありますので、できましたら30分ぐら い、それについてのご意見をいただければと思います。  それから残された1時間については、本来ならばこの検討課題(案)の一つ一つについ て議論をしていくことになるわけですけれども、全部をしている時間はありませんので、 できましたら検討課題として「今後の社会的養護の基本的方向」を中心にしながら、も ちろん各論に入っていただくことは全然構わないですけれども、その一つ一つの論点に ついて、特に今日は総論部分ということで基本方向についてご意見を賜りたいと思って います。それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、その方向で進 めていきたいと思います。  それでは、この検討会の検討課題(案)として1番〜5番「その他」までということに なっていて、それぞれ委員のご発言を落とし込んでいただいたところではもちろん濃淡 が出てきていますけれども、この検討課題(案)に何か追加すべきことがあれば。あるい はこの問題について少し詳しくやった方がよいのではないかというようなことがありま したら、順次ご発言をいただきたいと思います。ここからは順番ではありませんので、 どなたからでも結構です。 ○奥山委員  課題そのものは、これで結構網羅されているのではないかと思うのですけれども、こ の委員会は専門家の集まりで、前回、庄司委員が「危機状態にある」と言われれば、皆 「そうだ危機状態だ」と分かるのですが、どこがどう危機状態にあるかという辺りを、 もう少し明確に出しておいた方が、この先どう対応しなければいけないかを見出す点で は良いのではないかと思います。 ○柏女座長  わかりました。これらの検討をしていく上で、基本的な問題点や現状の課題をもう少 し明確化しておいた方が良いのではないかということですね。大事な視点だと思います。 ○榊原委員  今のご意見と関連して、全く同じことなのですけれども、恐らく、ここで議論された ものを何らかの報告の形でまとめていくことになると思うのです。これが世間に出たと きに、社会的養護とはそもそも何なのか、なぜ今これが議論されているのかというとこ ろが、例えば私なども伝え手の立場に立ったと考えたときに、多分そこからまず皆さん が入って来られないところがあると思うので、社会的養護とは一体どういうもので、そ れをなぜ今これだけ議論しなければいけないのか、専門家が集まった場で危機的な状況 にあるという認識で一致するというのはなぜなのかというところが、やはり冒頭のとこ ろに若干あった方が良いのかなと。特にこの社会的養護という言葉自体に少しなじみが ないものなので、社会的養育・社会的育成とどこが違うのか違わないのかというところ の整理も若干あった方が良いのではないかという気がします。 ○柏女座長  ありがとうございます。現状分析をもう少ししっかりと、この中でも押さえておくこ とが必要なのではないかということだと思います。 ○松風委員  「社会的養護の質の向上」というところで、家庭的養護の拡充や家庭支援の拡充・強 化という方向については異論のないところですが、現実にある児童養護施設や情緒障害 児短期治療施設等々の枠組みについて、前回も、障害のある子どもや病気を持っている 子どもについて、または情緒的な問題についてのケアの枠組みをどのように考えていく のかというところが少し提案されたと思います。その辺りをもう少し出していくことが 要るのではないかと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。貴重なご提案だと思います。吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員  先ほどの発言と共通するところがあるのですけれども、検討課題(案)の3の(2)「家庭 支援の拡充・強化」と関連する部分です。今、施設等で生活している子どもは圧倒的に 親がいる子どもです。その親との関係をどう考えるのか。家族再統合や引き取りなどと 言われていますけれども、それを実現する場合には、施設入所中から親との関係を考慮 しておかなければいけない。ですから、それを引き取ることができるようにするための 親への支援があると同時に、それを今度は法的に見た場合に、施設入所中の子どもに対 する親の権利、また施設長の権利とは、どういうものなのだろうか。虐待の場合などで 医療ネグレクトが議論されていますけれども、例えば施設に入っているときの子どもの 医療に関して、親と施設長はどういう関係にあるのかということ。これは、長い時間か けて議論しているけれども、まだ答えが出ていないところなのです。こういう点で、親 と施設という面での法的な整理が必要になってくるだろう。前回の改正で里親について も施設長と同様の権限が認められましたけれども、果たしてそれでよいのかどうか。そ の専門性であったり資源の問題であったりというのがある。果たしてそれだけの権利を 行使できる、またそれを支えるものがあるのかどうかという点でも、こうした家庭支援 という問題を、権利構成、法律構成の面から見ていく必要があるだろうと。これは、先 ほどの懲戒権の問題とも関連してくるところですので、ぜひ議論したいと思います。家 庭支援が不可能、家庭引き取りが不可能である場合、今度はどうやって親の権利を制限 し剥奪していくのかというプロセスまで視野に入れた権利構成が大事になっていくので はないかと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。プロセスの問題は、どこかに入っていますか。親と施設の法 的な整理などは、この家庭支援との関係で考えていけるとよいのですが。 ○吉田委員  そこでいいと思います。 ○柏女座長  社会的養護の中にどうやって子どもたちが入ってくるかというプロセスの話ではない のですか。 ○吉田委員  それもありますけれども、子どもが施設に入所しているときから。それから、一方で は引き取り、もう一方では長期ケアになっていくという二つの場面を想定しながら、親 の権利制限をどうやって進めていくかということです。 ○柏女座長  やや発言に語弊があるかもしれませんけれども、社会的養護という袋があったとする と、その中にどうやって子どもたちが入ってくるのか、そして子どもたちがそこからど うやって出ていくのか。そのことについての論点・検討課題というのはこの中に入って いますか。もし不透明なようならば、そのプロセスについても。今回はその袋の中を論 じるのかもしれませんが、どこまでできるかはわかりませんけれども、入り方や出方な ども、出方は自立支援ということがあると思いますけれども、やはり念頭に入れておい た方がよいのかなということは、吉田委員のご発言を伺いながら思いました。他には、 いかがでしょうか。 ○西澤委員  これを初めて見たので、あるかどうかわからないのですが、一つは1番の「今後の社 会的養護の基本的方向」の一番下の「施設体系の検討が必要である」というところにも しかしたら関係するのかもしれませんが、要は措置体系、一律の措置というのは考え直 した方が良いのではないかと前回申し上げたつもりです。前にも言いましたから重ねま せんけれども、そういった、例えば一生懸命頑張っているところには、より多くの社会 的資本がいくような構造になった方が良いのではないかと言ったと思います。  それからもう一つ、一番最後の「その他」のところで、これは文言のことだけだと思 うのですが、上から7行目辺りの「社会的養護を必要としている子どものコホートスタ ディー」ではなくて、「社会的養護を受けた子どものコホートスタディー」ではないかと 思うのです。必要としている子どもを、そのまま放り出してコホートスタディーをやる などと、訳のわからないことにはならないと思うのですが。これは言葉の問題だけかも しれません。 ○柏女座長  はい。ありがとうございます。他には、いかがですか。今のは措置体系に、施設の運 営改善あるいは子どもの意見尊重等の改善についてのインセンティブが働くような仕組 みをもう少し検討すべきではないかということですね。 ○西澤委員  ケアなど。 ○柏女座長  ケアなどということですね。ありがとうございました。他は、いかがですか。全体を 通して見にくければ、前回も配っています資料1が全体の検討課題になっていますので、 これをふかんしていただきながら、この辺が少し抜けているということがあればお願い したいと思います。  特によろしければ、また次の総論の議論をしているうちに、「これはやらなければなら ない、これも少し踏まえなければいけない」ということが出てくると思うので、先に進 みたいと思いますが、よろしいですか。藤井家庭福祉課長、何か。 ○藤井家庭福祉課長  事務局としては、今幾つかいただいた意見をどう落とし込めばいいのかというのを考 えながら聞いていました。最初の奥山委員や榊原委員の基本的な課題を整理するという のはおっしゃる通りでいいと思うのですが、総論の「今後の社会的養護の基本的方向」 に大きな項目がありました。三つほど○を書いてありますが、「社会的養護の必要性」や 「社会的養護の目指すもの」はまさにそもそも社会的養護の「必要性」、「目指すもの」 ですから、ゴールとしてどのようなことを目指していくのかは大きなところなのだと思 うのですが、そこに持っていくために現行の制度や現場の現状と照らし合わせて、どう いうことが基本的課題に挙がるのかということが幾つか具体的にあって、それを受ける 形で「社会的養護体制拡充の方向」が出てくるというイメージで三つ並べてあります。 確かにおっしゃるように基本的課題はどこで整理するのだというところがありますが、 「目指すもの」と「拡充の方向」の間ぐらいに基本的な課題をいったん整理してみると いうのがあるのかなと思いながら聞いていました。そんな形でいいのかどうか、ご意見 がありましたら、いただければありがたいと思います。  松風委員がおっしゃった施設の枠組みうんぬんのところは、多分「施設機能の拡充」 のところでご議論いただくことかと思いました。  それから吉田委員がおっしゃった親の権利や施設長の権利などというところは、確か にそうなのですが、親の権利制限は「(2)家庭支援の拡充・強化」のところで「家庭支援 のあり方」という少し広い課題設定をしていますが、その中でご議論していただくイメ ージがありました。ですが、入り方や出方というところは確かにあまりイメージをして おりませんでしたので、どのような整理ができるか少し検討させていただきたいと思い ます。  それから、西澤委員がおっしゃった一律ではなく措置の体系の中でもインセンティブ が持てる仕組みというのは、明確にここの項目でというのは、今のこの項目の中には存 在していません。従って私どものイメージとしては、むしろ何にインセンティブをかけ るのかというところです。例えば、家庭支援の強化にインセンティブをかけるべきだと いう議論がこの「家庭支援の拡充・強化」のところで出てくれば、それを実現していく 手段として措置に少しバイアスをかけるようなことが手段として出てくるのではという ことです。恐らく項目ごとに何をやろうとするかと議論していく上で、それを実現する 手段としてそういったことが出てくるというイメージだと思うのですが、何か独立した 項目などを立てた方がいいものかどうか、少し検討しなければいけないと思ったという ことです。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。はい、庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  資料3などに示されているのですが、自治体間の格差。多分いい所はそのままにして、 低い所は底上げしていくことなどが必要だと思うのですが、自治体間の格差についてを 一つ。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。これも大事な視点だと思います。 ○奥山委員  この課題(案)という意味ではないのですが、課題(案)をどう結びつけてどう考えていく のかという辺りを、少し議論をしておいた方がいいのではないのかと思います。例えば 人材育成に関して、すぐに施設保育士の資格化といっても難しい話なので、例えばある 時期まではスーパーバイザーの資格をつくるなど、タイムスケジュールも必要になると 思います。それからもう一つは、やはり「こうすべき、こうすべき」では非常に漠然と してしまうのです。だから、いつまでにどういう目標を持つかという指標も必要でしょ う。子ども・子育て応援プランの中で里親15%というのは、かなりきつい目標になって いるのかもしれないのですが、何かそういうところがある程度見える目標も必要だと思 います。例えば小規模に入所している子どもが何%など、そういう目標を立てて、さら にそれを具体的にどうしていくのかという議論にした方が、実際に動いていくのではな いかと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。  今の奥山委員の視点で言えば、この検討会自体がまさに前回の話にありましたように、 近未来を想定した制度改善と、それから将来構想を検討するという二つの役割を担わさ れているものですから、今奥山委員がまさにおっしゃったように短期的に解決・対応す べき方途と、中長期的に課題として残しておくというか、次に議論する方向性を示すと いう二つの記述の仕方が必要になってくるのではないか。そして中長期的な方向につい ても、目標値をできる限り設定をしていく、あるいはタイムスケジュールを設定してい くような報告のスタイルが必要なのではないかというご意見がありまして、まさにその 通りかと思います。 それから、まさに庄司委員がおっしゃった自治体間格差の問題ですけれども、今のこ の図を見る限り、この図が語っているのは、施設入所児童の割合というのは社会的な養 護の供給量にまさに左右されると。虐待の発生率の高い低いの問題ではなく、その県に どれだけ社会的養護のキャパシティーがあるかによって決定されているということが読 み取れるわけです。そうしますと空いているところは空いている、空いていないところ は空いていない。あるいは同じ状況とアセスメントされた子どもが、供給量の少ないと ころの県で発生すれば在宅になる。そして、供給量の多いところにいれば施設にいると いう、供給者サイドの、供給者が中心になったシステムになっている。その場合に、こ の自治体間格差が生じてしまっている、供給量の格差が生じているということは、子ど もの処遇についての格差が生じていることにならざるを得ない。これをどう解決してい くのか。広域措置などが一つの方法としてはあり得るのだろうと思いますが、家族再統 合等を考えた場合に広域措置が本当に適切なのかどうかといった課題もあると思います ので、こうした自治体間格差の問題をどうしていくかというのは一つ大きな検討課題に なってくるだろうと思います。  他には、いかがですか。はい、どうぞ。 ○西澤委員  今のことに関連して、細かい話になるかもしれないのですが、データを読み込んでい って何でこのようなことが起こっているのだろうということがあります。例えば、この 前もらったデータの中でも、乳児院の充足率が低いところは、必ずしも養護施設の充足 率は低くないのです。両方とも低いのかと思って比較してみると案外そうではなくて、 乳児院がとても低いのに養護施設は90何%など、この都道府県では一体何が起こって いるのだろうというのがある。あるいは、最近ボーダーレス時代と言われていますが、 いただいた資料で養護施設の子どもたちの背景や児童自立支援施設、情緒障害児短期治 療施設を比較してみると一致する部分と特徴的に違う部分があって、例えば児童自立支 援施設は、虐待よりもネグレクトの子どもの構成比が他に比べると高いのです。こうい った基礎的なデータを基に、今の社会的養護がどのようなことをやっているのかという ところもしっかり見る。あるいはこの数字で不思議なところをなぜだろうかと明らかに していくようなこと、いわゆる現状のデータで見る実態も基礎としては押さえておく必 要があると思いました。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。現状の問題点・課題あるいは現状の分析をもう少し詳 しくするべきではないかというところに入ってきていますので、できましたら次の話題 に替えて、総論的な部分、つまり今の論点で言えば資料2の1ページのところですが、 社会的養護の「必要性」、「目指すもの」それから「拡充の方向」、拡充と言っても何かを 縮小し何かを拡充するということもあるだろうと思いますので、この辺について今西澤 委員がおっしゃったような現状分析のための参考意見もちょうだいできれば。事務局の 方にまた宿題をさせてしまうことになって申し訳ないのですけれども、資料をご用意し ていただいたり、あるいは場合によっては自治体にヒアリングなどもしていただいたり して、実情をつまびらかにすることも必要かもしれません。  よろしいですか。もちろん総論的な問題に関連して各論の問題に入っていただいても 構いません。  いかがですか。はい、奥山委員どうぞ。 ○奥山委員  今、西澤委員から現状の数字の分析の話があって、確かにそれはやらないといけない ことだと思うのですけれども、その数字の前提として、ほとんどの養護施設や乳児院が 虐待を受けた子どもたちがこれほど多くなるということを想定していない段階で、どん どん入れてきたということがあるわけです。つまり、それは他にないので仮に入れてい たと考えるべきでしょう。虐待を受けて心に傷のある子どもたちをケアする場所として は少し不十分だけれども、入れる所がないから入れていたという部分があるにもかかわ らず、それが当たり前になってこの数字が出てきているということを、とらえておかな いといけないのではないかと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。私もそれを申し上げようとしていました。児童人口に比べて 供給量の高い所の児童養護施設がなぜ廃止にならないのか。そして、児童養護施設や社 会的養護のキャパシティーが圧倒的に足りないところが、なぜ増えないのか。それはま さに、この社会的養護の問題の本質、そこに横たわる構造的な問題。つまり社会福祉法 人制度の問題やそうした構造的な問題が背後に横たわっているのだろうと思っています。  他は、いかがですか。総論関係のところですが、ぜひご意見をちょうだいできればと 思います。はい、どうぞ。 ○榊原委員  この場で議論を深めるべきということではないのですが、今、国会の方でも政府の方 でも、少子化対策という形で子どもたちの政策を議論しています。社会的養護が必要な 子どもたちは、狭義の意味での少子化対策の対象ではない。もう生まれている子どもた ちであって、これから頭数をどう増やすかという話とは違うのだけれども、しかし広い 意味できちんと子どもたちを社会全体で広げるという中のとても大切な部分であるとい う意味で、今、国会の方で少子化対策という形で議論しているときに、こぼれがちなこ の話をどうつなげていくかという視点もやはり必要であると思うのです。  まさに今日、官邸の方で「子どもと家族を応援する日本」というタイトルで少子化対 策をこれから本格的に検討していく重点戦略検討会議が発足するというタイミングでも あり、そうした広い子育て全体の中で、どの部分を扱うのかを念頭に置いた議論と外の 所とのつながりです。これからも社会的養護を必要とする子どもたちが増えていくだろ うというご指摘があったのも、つまり子育て支援や親たちの支えがどれぐらい社会とし てできるかというところとつながっている話です。例えばNPOなどには、既に虐待を 水際で食い止めているような作業をしてくれている人たちがいっぱいいる。そういうと ころにつながっているわけで、例えば親教育プログラムのようなものがもっと出てきた ら、そこが親子の再統合にもつながるかもしれないということも考えれば、どの部分を 私たちは願い、どの部分はここでは議論しないけれども外に向かってこういうことをも っとやっていくべきだと発信していくかという仕分けも若干必要かと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。外とのつながりの問題、そういう意味では社会的な養 護の問題を検討するときに、常に社会に開かれた議論もしていかなければならないとい うことだと思います。  いかがでしょうか。その他にどうですか。 ○奥山委員  また一つだけ、項目の細かいところに戻るのですけれど、大きな3番の中の「(6)科学 的根拠に基づくケアモデルの構築について」には、「研究体制」しか入っていないのです けれども、実は研究に時間をかけていられないという状態でもあると思いますので、ケ アをどうすべきかというのをきちんと出していくというのは、早急にやらなければなら ない問題として意識しておいた方がよいのではと思います。 ○西澤委員  反論ではないが、実際、研究も行われていないのです。「研究体制」ではなく研究の推 進だと思います。例えば、このようなケアや心理教育のプログラムやグループワークの プログラムなどをやってみて、ある程度その実効性を確かめるということすら今はない わけです。まずそこです。「研究体制」ではない。 ○奥山委員  研究体制というよりも、それを現実にやっていかなければならない状態であると思い ます。何を言いたかったというと、ハードとソフトという言い方がいいのかどうかはわ からないのですが、システム全体をどうするのかという議論と同時に、現実に起きてい る施設内でのケア、本当に子どもたちにとって必要な質のケアが行われているかという ところを、やはり両側を見て議論していかなければならないということを言いたくて、 少しそこの話をしたのですが。 ○柏女座長  はい、ありがとうございました。他にありませんか。はい、どうぞ。 ○西澤委員  榊原委員が先ほど言われた「社会的養護の必要性」に関しての部分なのですが、私た ちのような中にいる人間としては、どの程度、世の中にそれを発信していかなければい けないのかというのをよくわかっていない部分もある。そこはまず「このことを発信し たらいい」と整理した方がいいと思います。  今の少子化対策との関係で言うならば、私はどういう関係なのかよくわからない部分 もあるけれど、少子化対策というのは要するに子どもの数をどうやって増やしていくか ということだと思う。でも生まれた子どもを粗末に扱っているという現状があって、そ このところにリンクしていくのだろうと思うのです。だからコホートスタディーが必要 だと思うのですが、養護施設の子どもたちは卒園していくと、プロダクティブな市民に なっていく子どもの割合がやはり一般人口よりは少ないのです。生活保護を受けたり、 障害年金あるいは精神病院に入院したりなど、いろいろな形で社会的コストを食ってい るという子どもたちです。一方で、ある限定的なリサーチなのだけれども、施設に入っ ている子どもの世帯の兄弟数は一般よりもかなり有意に多いのです。そこは、多子化が 起こっているのです。  そういうことを踏まえて、だから社会的養護は必要なのだというデータなどを基に出 していけば、少し客観性が担保されるのではと思います。 ○柏女座長  はい、どうぞ。 ○榊原委員  私は本当に断片的な知識なのですが、今おっしゃったような話、施設を出た子どもた ち、施設できちんと育て上げ、18歳になり外に送り出したはずの子どもたちが、しかし 高等教育を受けられなかったから実は社会に出たときにまた失敗して、施設との関係を またつくってしまうということや、その子どもたちをもう一回施設の方で育てるという ことになったりという状況も起きているという話を聞くと、やはり社会全体としてでき るだけ自立を応援し、きちんと育て上げて送り出していくところまでが責任なのだとい うところを明確にした養護のシステムが必要だろうと思うわけです。  そうするとそこで、少子化対策ではないけれども、広い意味で次世代育成支援という 中の非常に重要な部分という位置付けがはっきりすると思いますし、例えば、大阪教育 大学附属池田小学校での宅間守や奈良県の小学校1年生の女の子を手に掛けてしまった ケースにしても、育った環境に問題があったということははっきりしているわけです。 その人たちも子ども時代から振り返ってみれば、社会的養護が十分に注がれなかった中 の被害者と見ることもできると考えれば、言い方としては語弊があるかもしれないので すが、ある種、犯罪者をつくらないという社会全体のメリットにもつながっているのだ、 実はそこまで来ているのだというメッセージも込めた取り組みにしていくことで、社会 からもっと大きな資源が取り付けられるのではないかという感じがするのです。  例えば、カナダなどで子育て支援をやっている人たちの話を聞くと、結局移民が多い 社会だということもあると思うのですが、「きちんとしたカナダ人、納税ができ社会保険 料も払えるようなカナダ人の国民をつくっていくというところにお金をかけることは将 来のリスクを減らすという意味で、みんなの利益にかなっているのだ。そういう視点で、 自分たちはこれだけの投資をしている」という話をしていました。そこまでの視点を持 たないと、多分慈善だとか、子どもたちがかわいそうだというような論法では、これま での資源を大幅に拡大していくというところは少しブレイクスルーできるかどうか難し くなるであろうし、子どもたちの置かれている状況の厳しさはやはりそういうところに まで来ているのではないかと感じます。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。はい、どうぞ。 ○奥山委員  少子化対策というのは社会を多子化にするというだけではないだろうと思います。 ○西澤委員  それはもちろんそうです。 ○奥山委員  少ない子どもたちでも社会全体が幸せになっていくにはという方向性も考えなければ いけないというのが、一つです。もう一つは、少子化が進んでいる中で保護を求める児 童の数が増えている。そこの問題は押さえなければいけないと思います。 ○柏女座長  他には、いかがですか。ここに提示されているご意見を少し補足していただいても構 いません。それによって議論が深まっていくこともあるかと思います。はい、どうぞ。 ○吉田委員  当たり前のことかもしれませんが、やはり量が質を確保するのだということです。今 の制度の見直しがあります。児童相談所や施設の人と話をしていますと、制度改変でい ろいろな仕事がまた増えてくる。書類を作ったりアレンジが増えたりする。しかし、い かんせん受け皿がない。いいプログラムがあることもわかるけれども、それを実践しよ うにも時間がないし、必要としている子どもも受け入れられない。まず、やるべきはそ こではないかという切実な訴えがあります。特に私などのように現場を知らないと、そ の辺りを見過ごしがちになってしまう。ですから、本当に当たり前で仕様がない意見な のですが、まずそこからではないのかという気がするのです。 ○柏女座長  社会的養護に携わる人材の量を増やしていくということですね。 ○吉田委員  量もそうですし、受け皿もそうです。以前に青森県で児童福祉司の数が大きく増えま した。あのときの所長がおっしゃっていたのが、「まさに量が質を確保している」と。児 童福祉司が増えたことで、入所件数も減っている。それだけ在宅にきめ細かなケアがで きるようになってきているのだという表れです。そういうことを踏まえていくと、いろ いろと先ほどの話に出たプログラムの問題や仕組みの問題はありますが、やはりそこか らスタートしたいというところです。 ○柏女座長  はい、どうぞ。 ○松風委員  総論的なところでのお話だと思いますので、先ほど榊原委員がおっしゃった社会の発 信というところで、社会的養護を必要としている子どもたちまたは施設入所している子 どもたちだけの問題ではない。むしろその子どもたちは特別な存在なのかというと決し てそうではなくて、虐待通告を受けて対応している子どもたちの8〜9割方が、在宅で 生活しているわけです。要するに施設入所している、または分離しなければならない子 どもたちだけの問題として考えるのではなくて、いわゆる養育の質を高めるということ は、在宅でケアしている要支援・要援護の子どもたちに波及していくものであると。い わゆる児童養護施設がデイケアをやることや相談機能を持つといったことは、私は非常 に重要な機能だとは思うのですが、短絡的にそこに結びつけるだけではなくて、もう少 し幅広い議論として影響を与えていくのだという視点が要るのかと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。今、「社会的養護の必要性」についての多様な意見が出 てきていますが、「社会的養護の目指すもの」については、いかがですか。はい、どうぞ。 ○奥山委員  本当に基本的なところを押さえておく必要があるのだろうと思うのですが、「社会的養 護の目指すもの」が変わってきているということを、やはりとらえておくべきなのでは と思います。「目指すもの」は、かつてはどちらかというと親が一時的に養育できないか ら、その間の補完をするというだけでした。  それが今は、虐待などで傷付いた子どもが入ってこられて、施設や里親から自立され ていくのか、家庭に引き取りになるのか、どちらにしてもその子どもの回復をさせて癒 しをしてから引き取りや自立という形になっていくという機能が非常に強く求められる ようになってきたということは、とらえておかなければいけないと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。その他には、いかがですか。  私からも、一つ発言させていただいてよろしいですか。「社会的養護の目指すもの」の 一番下のところですが、「家庭で暮らす子どもと施設・里親のもとで暮らす子どもの格差 是正(フェアスタート)が必要」の問題を庄司委員が今挙げられたと思いますが、施設で 社会的養護の下にある子どもたちは自分の責任で施設に入ったわけではない、いわば被 害者として施設に入所しています。被害者で入所している子どもたちの生活と一般社会 の子どもたちの生活の中に、あまりにも格差があります。昔はそれほど格差がなかった かもしれません。しかし今は進学率も上がり、社会も非常に複雑になって、いわば一般 家庭の子どもたちは大きなモラトリアムの中にいるわけで、自立の年齢が高まったりし ているわけです。社会が求める若者像に対する格差が広がってきているわけですが、児 童養護施設に入所している子どもたちは、ほとんどそれが戦後のスタイルから変わって いないのです。そこで、出発点から非常に大きな格差が生じてしまっています。しかも それは自分自身の問題ではなく、自分の一番大切な親や社会の状況によって生み出され てしまっている。  この格差をできるだけ解消していく方向に向かう必要があるのではないか。これが、 社会的養護が目指すものとして考えていかなければならないだろうと思っています。  他には何かございますか。   ○奥山委員  「目指すもの」としてもう一つ大きなくくりで入れておかなければいけないと思った のは、ここでの議論はそこまで至らないかもしれないのですけれども、家庭の機能向上 です。在宅ということにもいろいろな影響を及ぼす社会的養護ということを考えたとき に、やはり社会的養護が必要になった家族にしても、その家族の機能アップというもの をどうするのかということを入れておいた方がいいのではないかと思います。 ○柏女座長  はい、大事な視点です。その他にはいかがですか。 ○庄司委員  先ほど奥山委員がおっしゃったことと同じですけれども、こういったことについての 認識というのは随分明確になってきた、あるいは明確になるだろうと思いますけれども、 その後どう実現していくかというところを、少なくとも道筋は明確にする必要があると 思います。   ○柏女座長  はい、大事な視点です。他にはいかがでしょうか。「社会的養護体制拡充の方向」のと ころに入っていただいても結構です。 ○奥山委員  社会的養護体制の拡充とは量と質との両方の拡充という意味だと思うのですけども、 社会的養護のシステム、つまり乳児院、養護施設、情緒障害短期治療施設、児童自立支 援施設、このシステムの体系に手をつけるのかつけないのかということが重要な問題で あると思います。全体をがらりと変えるのは現状ではなかなか難しいかもしれないけれ ども、かなり歴史のある体制ですので、それを新しい問題に対応するような体制にどう 変えていけるのか。一気に変えるのではなくても、どういうタイムフレームで何をどう 変えていく方向性を持つのかというところまで議論を深めるべきだと思います。 ○柏女座長  この議論は、施設体系の再編成についても先送りすべきではなく、ここの中でしっか りと取り上げるべきではないかということです。これはかなり大きなご意見だと思いま す。全国社会福祉協議会も10年ほど前に幾つか試案を出されておりますし、私なども 試案を出していますけれども、そこに踏み込むとかなり近未来の議論と将来的な議論で かなり具体的な議論ができるかと思うのですが、事務局としてはどのようにお考えでし ょうか。 ○藤井家庭福祉課長  そこはタイムフレームも含めて実現性にはいろいろな議論があると思いますけれども、 議論としてはもちろん深めていただければありがたいと思います。 ○柏女座長  そういうことですが、いかがでしょうか。 ○吉田委員  これはどこに入るかわかりませんが、社会的養護の位置付けというか法的な位置付け についてです。今、特に社会福祉法人が行っているような社会的養護というのが、果た して法人が行うべきものなのか、それとも本来国が行うべきものを法人が行っているの か。というのは、ご承知の方も多いと思いますけれども、愛知県の暁学園事件の最高裁 判決が出ました。確か国家賠償の責任を愛知県が負うのであって、暁学園は法人として の損害賠償責任を負わないという結論になったのですけれども、そういう判決が出たと いうことは、その社会的養護というのは私的な営みではないということになってくるの でしょうか。この判決の持っている影響というのはとても大きいと思うのです。そうい う中で今後の社会的養護のあり方というものをどう考えていけばよいのか。決して施設 長の責任を軽減するものではないと思うのですけれども、大きな契機になると思います。 ○柏女座長  社会的養護というのはどういう位置付けにあるのかをしっかり押さえておかなければ ならないということですね。わかりました。ありがとうございます。  他はいかがでしょうか。 ○奥山委員  そこの確認なのですけれども、つまり子どもの養育が家庭で難しかったり、いろいろ な問題があったりする場合に、その子どもの育ちの権利を保障するのは公的なところで あって、民間の福祉法人というのはそれを手伝っているという考え方でよいということ ですか。 ○藤井家庭福祉課長  よいかどうかということですか。 ○奥山委員  少なくとも最高裁はそう言っているということですか。 ○藤井家庭福祉課長  公務員類似のような、公の手足であるかのような位置付けをしています。 ○柏女座長  それはあくまで現行制度ではということですね。 ○藤井家庭福祉課長  そうです。 ○柏女座長  現行制度が変われば社会的養護の位置付けも変わることはあり得るということですね。 ○藤井家庭福祉課長  そうです。 ○柏女座長  先ほどの奥山委員のご発題については、そこも視野に入れていく形でよろしいですか。 そうしますと、事務局の方にぜひお願いしたいのは、施設再編にかかわるこれまでの議 論と提案、政策的なものとしては児童養護施設と乳児院が重なるところが出てきたり、 あるいは虚弱児施設が児童養護施設になったり、幾つか制度的にも政策的にも施設再編 をしてきていますけれども、その経緯であるとか、それから民間なり研究者等の提言で 施設再編について言及しているものなどの整理をしていただければと思います。また、 委員の中でも施設再編についての提言等について知見があれば、事務局の方にぜひご紹 介をしていただければと思います。  庄司委員、どうぞ。 ○庄司委員  その議論には賛成なのですけれども、ただ、施設再編なのか社会的養護のあり方再編 なのか、要するに里親を含めるかどうかというところが議論になるかと思います。 ○柏女座長  それは社会的養護ということで、里親も視野に入れていただければと思います。 ○榊原委員  施設の再編の議論をするときに、施設の体系を見直すための見直し議論にならないよ うに、現状の中で一体どういう福祉サービスが抜け落ちているのか、どこに不都合があ るのかというところから議論を進めていく必要があるだろうと、別の分野の議論などを 見ていて思います。  それから、基本知識がないので教えていただきたいのですが、社会的養護といったと きに、対象になっているのは18歳までの子どもということになるのですか。それとも ここではもっと広く議論の対象に含めているのでしょうか。 ○柏女座長  それはいかがですか。 ○藤井家庭福祉課長  今の児童福祉法を前提にすれば18歳までということになっております。ただ、措置 の延長として20歳までは施設にいられることになっております。議論としては延長措 置としての20歳というのが20歳でよいのかという議論もあるでしょうし、さらにさか のぼればそもそも18歳とか20歳とか、先ほど柏女座長からもありましたように、一般 家庭とのフェアスタートを考えたときに、もう少し先に延ばせばよいのではないかとい う議論もあるかと思います。そこはまさに議論の一つの課題としてご意見をいただけれ ばありがたいと思います。 ○榊原委員  私が知り得た非常に少ない事例の中でさえも、18歳までということなので施設から出 してみたら、家に帰れない子どもの場合、就職先の方で住むところまで見つけてもらえ ればいいけれども、転職したらとたんに住むところさえもない。そうすると就職活動に もつながらないというような、非常につまずきやすい、危ない状況で施設から出さなけ ればならないとか、いつまでも施設長が身元引受人をやらなければならないというよう な状況があって、18歳までで自立できるような産業構造・社会だったときにはよいと思 うのですけれども、これだけ高度に産業が発達している時代に18歳まででぽんと押し 出すような仕組みでは非常に足りていない。それがまた次の再チャレンジをさらに難し くしているというようなところを、個々の施設の中では独自にいろいろな形で補うよう な取り組みもあるようなのですけれども、制度・政策としても見直すべきところかと思 います。 ○西澤委員  全体を見るとこの中でその議論が出てくるのは自立援助ホームのところだけですね。 やはりそれだけでは不十分だと思います。施設の子どもたちを見ていても、例えば4年 制大学に進学した子どもたちをサポートするために22歳まで延長できればいいのです が、それは認められないので20歳まで延長してその後は施設の持ち出しでサポートし ているというような実態がある。前にも言いましたようにすべての子どもに一律にはで きないかもしれないけれども、例外としてそういう措置が認められる範囲を広げていく ことが大事だと思います。ここの議論ではないのかもしれないけれど、例えば高校に進 学しないと18歳までいられないとか、児童福祉法は決してそうは言っていないはずな のに、児童相談所が、子どもが中学卒で働き始めたら収入があるから措置は切りますと いうようなことが行われているのが実態です。あるいは、進学もせず就職先もなければ 出ていってください、家庭に戻しますというようなこともあります。そういう意味では 現の制度で児童福祉法が保障している子どもの社会的養育を受ける権利さえ現に侵害さ れているという実態があるのも見ておかなければならないかと思います。ここで議論す ることかどうかはわかりませんけれども。   ○藤井家庭福祉課長  あえて付け加えさせていただきますと、今まさに現行制度を前提にしてなぜ18歳ま でなのか、あるいはなぜ20歳までしか延長を認めないのかということをいろいろな方 から聞かれたときにお答えするのは、これはかなり役人的かもしれませんが、どこまで やればよいのかというところなのです。税金を使ってやる仕組みなものですから、きり がなく自立するまでずっと税金でケアをするのがよいのかどうかということがあります。 語弊のある言い方かもしれませんが、無理やり社会に出ていくような形になって、そこ でまた生活保護を使うようなことになれば、結局また税金を使うわけなのですが、そう いう意味では一つの考える切り口として、社会的養護という形でどこまでケアをするの が適切なのか。その後うまく自立できる方もいらっしゃいますが、そうではない方もい らっしゃるということで、公のケア全体としてどんな体制あるいは仕組みで臨めばいい のかというような、幾つかの視点があると思います。 ○柏女座長  社会的養護が何を基準にしていくべきなのかということですが、一つの基準としては 生活保護で、例えば地域の住民100人の内何十人がいたらその者については認めていく というように考えていくというようなこともあり得るだろう。つまり社会的養護でどこ まで保障すべきなのかというのは、何か類似の制度を基準にして作っていくということ も考えられるのではないかと思います。そういう意味では、高齢者の施設の1人当たり の10平方メートルに子どもを合わせるべきではないかという議論もその一つだろうと 思います。何かの基準を基にしてその類似で考えていくということはあるだろうと思います。  では、西澤委員の次に庄司委員お願いいたします。 ○西澤委員  よろしいですか。今の藤井家庭福祉課長に対しての私の意見ですけれども、まず福祉 原理的に言えば子どもの人権保障としての社会的養護と考えると、やはり一般家庭で生 活する子どもたちの平均的な状況と合わせていくような努力というのが一つあると思い ます。それはあくまでも原論の部分なので、個別の各論になるとその子どもの自立支援 計画をまず土台になくてはいけないだろう。この子どもにとって大学進学あるいは夜間 の大学にでも進学していくことが将来の自立にどうプラスになるのかということを、理 想論ですが、ケアする側が立案して審査する。例えば児童相談所がそれをアセスメント して合同でそれでいいということになった場合に20歳、22歳となる。今、20歳までの 措置延長というのも、そんなにきちんとした審査や自立計画に従ってやっているという のではなくて、ある意味、児童相談所と施設の力関係のようなところで決まっている。 そうではなくもう少しその子どものアセスメント等を踏まえた上での自立計画で、これ でいいというようなシステムを作っていくことが、今のところ具体的には必要になって くるのかと思います。 ○柏女座長  はい。では庄司委員、どうぞ。 ○庄司委員  今のこととも関係するのですれけども、先ほど自治体間の格差といいましたけれども、 国と自治体の温度差というようなところもある。20歳までの措置延長という条文を素直 に読むとできそうな気がするのですけれども、自治体ではほとんど実施していません。 いろいろな制度があっても活用されないというところをもう少し整理して活用できるよ うにと思います。 ○松風委員  今のお話の流れの中で、15歳を超えた子どもたちの社会的養護、それから18歳を超 えてというときに、この子どもたちのテーマというのが、それまでの子どもたちと重な る部分もありますし、つながっているものもあるのですが、社会的自立というところに 非常に大きなテーマがあるというように考えますと、単に措置延長という議論なのかど うか。新たに社会的養護としての機能として強化していくものを議論するかどうかとい うとところにかかっているのではないかと思います。特に4年制の大学に入学している 子どもたちの延長もさることながら、社会的に自立できなくて失敗している子どもたち へのケアを考えますと、従来の児童養護施設の機能だけではやはり対応しきれない。そ れから、子どもたちのアイデンティティーですとかパーマネンシーとのバランスをどう 考えていくかは非常に難しい問題だろうと思いますけれども、いわゆる家庭に代替して 子どもたちを育てていくという非常に漠然としたものだけでよいのだろうかと思います。 ○奥山委員  二つあります。一つは里親も含めてかもしれませんけれども、里親の場合はその後の リービングケアが割合にやれている部分があるのだと思うのですけれども、この議論の 前提になるような、施設を出られた子どもがどうなっているかという調査すらないのが 現状なのです。大体自分がかかわった子どもたちのことを考えると退所後も大変だろう という思いはあるのですけれども、本当はどうなっているのかというその調査すらない というのは大きな問題だろうと思います。もう一つは先ほどから出ている15歳、18歳、 20歳、22歳という流れです。前回も多様性という話をしましたけれども、私が書いた 点でこの項目の中には落とし込まれていないのですが、例えば週に何回か泊まりにくる ような実家機能のようなもの、つまりほっとできる実家のような機能は何らかの形で考 えてもいいのではないかと思うのです。それは単にお金だけの問題ではない、心理的な 意味でも実家になれるような部分というものもあるかもしれません。社会的に生きてい る人たちもたいていはそういう安全基地のようなものを持って生きていると思うのです。 そこの部分も社会的養護としては、単に養育を与えるというだけではなくて、その後の 自立機能という意味でとても必要になってくるのではないかと思います。 ○榊原委員  今、奥山委員がご指摘されたことを一点受けると、施設を出た子どものフォローもな いというのは私も取材をしていて驚いたのですけれども、ある施設の関係者の方に伺う と「うちの方から送り出して家庭に戻ったはずの子どもが、施設同士の交流会で別の施 設の子どもとして出てきていてびっくりした。けれどもそんなことはこちらにも知らさ れていないから、その子どもに深くかかわった職員さえもそのことを知らされていない という実態がある」というような話を聞いて、どうしてそんなことになっているのだろ うかという感じがしています。一つは多分、戻った子どもたちへの支援が足りないとか、 もう施設が足りなくて空いているところにコロコロと回しているような実態もあるので はないかという話も聞いたりするのですけれども、そういったところで子どもたち一人 一人に対するフォローが全然足りていないと感じています。それから、どこまで社会的 養護で見るべきなのかというところの話ですと、少なくとも18歳まででは全然足りて いないということは明確だと思います。18歳で施設にいる子どもたちにしてみれば、18 歳で送り出されていった先輩たちがうまくいっていないということが、また自分たちの 生活をさらに苦しくするということがある。逆に言えば、社会にうまく飛び立てていけ た先輩たちが戻ってきたことで、それなら勉強を頑張ろうと非常にいい循環が生まれて いるケースもあると聞くと、やはり送り出す子どもたちがしっかりと自分の足で立てる ようにするところまでは見るということは社会的養護の施設に残っている子どもたちの ためにも非常に大事であるというところは欠かせない視点だと思います。ただ、今、家 庭の中で40歳まで引きこもっているような子どもを子どもとして面倒見ているような ことまで施設がするというのは全く違うはずで、そのときに大事になると思うのは、社 会保障のシステム全体のつながりというところだと思うのです。例えば、国民健康保険 は20歳から払わなければならないということにはなっているけれども、今は自立が難 しいのであれば大学生は親が払っていいとか、大学を出るまでは免除するということま で議論されていて、ある意味子どもと認められる期間がさらに長くなったというところ もある。国民健康保険や年金や納税であるとかいうような自立した社会人になるところ までを、切れないように社会保障のどこかのシステムの中できちんと見る。社会的養護 は18歳プラスαにしても、その後は例えば再チャレンジといわれるような何かシステ ムができるのであれば、そこできちんと見ていくというように、途切れない流れの中に きちんと位置付けるということが必要であるし、それは厚生労働省のように社会保障シ ステム全体を持っているところであればできるはずなので、そういった中できちんと見 ていけたらと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。 ○西澤委員  確かにおっしゃる通りで、正の循環がなければ負の循環が起きてくるのです。出てい った女子の間では水商売ネットワークというのができてしまって、そちらの方に流れて いくというようなことで、社会がきちんとサポートしないとそういうことが起こると思 います。話は変わりますが、1の最後の○の「社会的養護体制拡充の方向」の中に、施 設におけるケアの質の向上というか、今の子どもたちの成育歴に由来するような心理的 な困難さとか行動上の問題の解決に向けた施設ケアのあり方というようなことが全然な い。一番大事な部分ではないかと思うのですが。 ○柏女座長  おっしゃる通りです。ここが抜けています。他にございますか。もしよろしければ、 3番からは割と各論になっておりますので、総論にかかわってくる2番の「要保護児童 の増加に対応した社会的養護体制の拡充方策」というところについてもご意見がござい ましたらお願いします。前回、奥山委員の方で、社会的養護についてはある程度需要に ついて予測ができるのではないかというご意見がありましたけれども、それについては いかがですか。 ○奥山委員  その辺も研究の少なさを反映していて、実際やればきっとできるだろうと思うのです が、ではそれを誰がやるのかということになるとなかなかできないのが現実なのです。 ただ、現在の施設は不足からところてん式に対処させてしまうという問題が一つあって、 例えば少なくとも児童相談所の一時保護所もしくは児童相談所として本来入所や里親が 必要な人がどれくらいいて、その方たちの実際の新規の数がどれくらいというようなこ とはある程度出せるかと思います。実際にはその後のプログラムが充実していないので、 親と子どもを別々にすると良く見えてしまって、本当に再統合したときの危険性という のがあまり把握されないうちに、入所が必要な子どもが多いために再統合してしまうこ とも少なくありません。本来必要な養護が本当に与えられているかどうかという問題は あるのですが、とにかくその入り口のところの数字を調査することは不可能ではないと 思います。   ○吉田委員  全く同感でありまして、児童相談所の現場の方がよくおっしゃるのは、一時保護した いのだけれども入れなくて、かなり冷や冷やしながら在宅のままやっていて十分なネッ トワークができないまま児童福祉指導をしているという話です。本来のニーズがどれく らいあるかということをきちんと押さえるところからまず始めるべきではないかと思い ます。 ○柏女座長  はい、庄司委員、どうぞ。 ○庄司委員  本来のニーズではなく現状がどうなっているかというのはこの厚い資料の88ページ に要保護児童の状況ということで、児童人口に占める割合が95年は757人に1人だっ たのが、最近では550人に1人という数字が出ています。これは、ここに来ていないケ ースもあるということになりますが。 ○西澤委員  この前はいろいろな変数を入れて何とか割り出せないかということを言いました。今 回、このデータが出てきてみたら、それこそ柏女座長がおっしゃるように、要するにキ ャパシティーによって措置数が決まっているという傾向があるのでしょうが、ちなみに 平成17年の通報件数との関係を見てみようと思ったのですが、やはり全然関係ないで す。北海道は虐待通報が617件なのですが、埼玉県は1,843件あるのです。それなのに こんなに少ないのです。だから、やはりそういう意味ではそちらの方の説明変数として はやはりキャパシティーなのだろうと思います。ただ、一時保護とか一時保護の待機、 聞くところによると東京都では一時保護所にいる子どもの中で20名ほどを年度内にど こかの施設に入れなければならない。でないと待機している、保護を必要とする子ども を保護できないという状態にあって、今児童相談所から各施設にとにかく入れてくれな いかという打診があるという状況を考えると、一時保護の状況とか児童相談所が待機と 呼んでいる部分の数字をある程度把握すれば、そこそこの将来予測はできるのかもしれ ないとは思います。 ○柏女座長  資料3の図を見ると一番入所率が高いのは3枚目の鳥取で、児童人口1万人中30人 が施設に入所している。一番少ないのが2枚目の新潟で人口1万人中7名ないし8人と いうことで、最大4倍の開きが出ている。これが本当に必要な子どもが入所すれば鳥取 のように30までいくのか。あるいは7で止まるのか、一番しっかりとアセスメントし ているのかわからないけれども、何らかの形で全体としては伸びてきているわけです。 ただ伸びてきている中でも、高校進学率が高くなれば在留率が高くなりますから、子ど もが伸びなくても社会的養護の下にいる子どもたちは増えてくるということなので、新 規入所児童とかいろいろな数字があるかと思いますけども、そうしたものの伸び率等、 それから今西澤委員がおっしゃった一時保護の待機といっていのかどうかわかりません が、そうしたものを勘案すれば、それからそれに人口減の変数をいれていかなければい けませんが、ある程度の需要予測・将来予測は、できないことはないと思います。  私は前回にも少し申し上げましたが、ある県で社会的な養護の需要予測というものを 10年間に限ってやったときも、どんなやり方をしたかといいますと、将来人口推計が人 口研で出ていますので、そこで1年ごとの児童人口減少率を出している。それに関東県 の社会的養護の施設入所児童数、里親委託児童数それから一時保護所の滞留児童数、そ の10年近くの年間増加率の平均値を取ると、2.9%が社会的養護の伸び率。それから、 それに児童の減少率がありますから、それを掛け合わせる。それに今度は社会的養護を 増やす要因と減らす要因。増やす要因としては例えば「こんにちは赤ちゃん事業」など があって、発見と気付きの網の目が細かくなっていけば、社会的養護の下にある子ども は増えるだろう。それから家庭の養育機能が低下することによって増えるだろう。減る ということもあり得る。家族再統合等のプログラムが進展していくことによって、その 研究や実践が進んでいけば減るだろう。それをどのくらいの変数として見込むかは非常 に難しくて、アバウトにしたわけですけれども、こうしたことを見込みながら将来需要 をある程度見ていくことは可能なのかなと思うのです。そうしたことも併せてしていっ たらどうだろうかということなのですが、いかがでしょうか。 ○松風委員  そのときに、入所期間のばらつきが非常にあると思うのです。先ほど奥山委員がおっ しゃったように、再構築のプログラムがもっと有効に機能するようになれば短期間でと いう仮定もありますけれども、現実に例えば長期的に見ると、児童養護施設で乳幼児期 から社会的自立まで継続してずっと育っていく子どもの割合が、非常に少なくなってき ている。ではどれぐらいの入所期間の子どもたちが、どれぐらい割合としているのかと いったようなことも、変数値の中に入れておく必要があるのではないかと思います。 ○柏女座長  おっしゃる通りだと思います。そういう変数値をどれだけ実際の数字として入れ込め るのかというのが難しいのですが、おっしゃる通り、そうした視点は考えておかなけれ ばいけないと思います。  それから今ここで話が出ていたように、児童養護施設で大学進学を認め、20歳までの 措置延長の制度をフルに活用したとすれば、これはまたキャパシティーが足りなくなる ということも起こり得ると思います。 ○奥山委員  数字を出すときの一つの概念図として、社会的養護の三角形みたいなものを考えて、 本当に生活全部をケアしていかなければならない一番トップの下に、例えばこの間の法 改正で保育園に優先入所ができるようになったから保育園に優先入所させて、そういう 資源を入れることで何とか支えている部分とか、そういうことを三角形で少し考えてみ ないと、こちらか普通の家庭かだけではないと思うのです。その辺の概念を少し図にし てみてもいいと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。他にお知恵はありますか。外国の状況から推測するというの もある。 ○西澤委員  このデータではありませんが、虐待死の推計に関して、身体的虐待の発生数に対する 死亡数をヨーロッパとアメリカから出してみて、日本で推計値を個人的に出してみたと いうやり方をやったこともあります。イギリスは日本に近いような状況があると思うの で、それは一つ考えられる。こういうデータを出すときにいつも思うのですが、少し話 がずれるかもしれませんが、全体にデータを処理していく際に困るのが、例えばこの前 出していただいた資料の中に、児童養護施設に占める虐待の割合というのが、虐待・酷 使・放任・怠惰・遺棄とか、いわゆる今の虐待概念と合わない。虐待でもネグレクトで も幾つか合わせないと虐待と計算できないが、それでも足してみたら30%ぐらいで、実 感と全然合わないです。多分、分類するときに母親の精神障害とか父親の精神障害だと まずそちらに分類する。あるいは拘留があったらまずそちらに分類する。精神障害があ っても、例えば虐待を受けている子どもというのはたくさんいると思うし、拘留される 前にはネグレクトがあった子どももたくさんいると思うのだけれども、虐待とかネグレ クトが最後の落としどころになっているような感じがする。だから20%、30%という実 態とは全くかけ離れた数字になっている。それを実態にそぐわせるにはどうしたらいい のかといつも思います。  例えばこの前いただいた87ページの表でも、虐待は入っていないです。養護・保健・ 非行・育成・その他になっていて、多分虐待の相談件数、対応件数は養護に入っている と思うのですけれども、そういうので統計が少しずれると分析もなかなかできないとい う問題点はあると思います。細かい話ですみません。 ○柏女座長  庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  推計に役に立つかどうかは別にして、その三角形に関係して、ここだと要保護児童が 0.18%になっていますけれども、2000年ぐらいに栃木県の下泉先生が五つの県の全保育 所を調査したときは、虐待より少し範囲が広いですけれども保育所側が親への援助が必 要だと思ったのは1.4%という数でした。 ○西澤委員  関西のある県の学校調査で2%。 ○奥山委員  この委員会の問題ではなくて、先ほどの社会保障全体の話ともつながるのかもしれま せんが、何しろ日本は統計が弱いです。数字を引っ張ってこようと思っても、統計がき ちんと出ていないというのは非常に大きな問題だと思うのです。例えば今、虐待総数と いうのでいつも出てくるのは相談件数です。児童相談所への相談件数が果たして本当に 通告件数で、転居による重なりもないきちんとした統計なのかというとそうでもないで すし、さらに地域が窓口になってしまったために、本当に日本の中でどのぐらいの子ど もたちが虐待として通告される状況にあるのかが逆にわからなくなってしまったという 状況もあります。もう少し統計の体制をきちんとしないと、次の施策をどうするかとい うときに非常に困るといつも思っています。前回の虐待に関する委員会のときに統計を きちんとした方がよいと提言させていただいたのですが、やはり社会的養護に関しても 今後いろいろな形での統計がきちんと取れるような体制というのが必要になってくるの ではないかと思います。 ○柏女座長  ありがとうございます。かなり時間も押してまいりました。あと4、5分でこの議論 を終わりたいと思いますが何かありますか。よろしいでしょうか。  今1時間半近く総論部分や今後の検討課題について議論を進めてきました。実態を少 しつまびらかにすることが大事だという視点が出てきたと思います。それは将来予測、 統計が弱いといったことも含めて、社会的養護という入れ物という表現をして恐縮です が、そこの中の実態そのものを明らかにすることが必要なのではないか。  もう一つはその社会的養護という入れ物の中の実態だけではなく、今度は外の社会と の中で、この中の入れ物自体がどうなっていくのか、その関係性についてのデータも必 要なのではないか。あるいはそこが切れているのではないか。そこは榊原委員のご指摘 がありましたけれども、そうした実態を明らかにする。それから、社会的養護の中の入 れ物自体の中でも各県によってばらつきがあったりする。各県にばらつきがあるという ことが、とりもなおさず児童相談所の措置基準のばらつきということになるわけです。 その措置基準のばらつきそのものは、戦後ずっと続いてきたそれぞれの県のいわば文化 の問題にもなってくる。このくらいだったら施設入所だなという文化と、これくらいな らまだ在宅でやれるという文化の違いにもつながってくるだろうと思います。  それから社会的養護の中を充実させるためには、他の類似施策との比較も必要なので はないかという意見もあったように思います。この辺はデータを出していただかないと 難しいのですが、例えば大学進学率というか高校を卒業して次の上級学校への進学とい うことを考えますと、一般家庭ですと専門学校や予備校も入れると私の計算だと70%を 越えています。つまり10人中4分の3の子どもたちが高校を卒業して何らかの上の学 校に入っている。しかし児童養護施設に入所している子どもはそんなに多くはない。で は例えば生活保護だとどういう基準で、いろいろなものを持ってもいいとなっているの か。それを比較していくこともあるだろう。それから高齢者施設と児童養護施設の1人 当たりの面積の格差の問題。こうしたことについてはさまざまなデータをお示しいただ くことで、見ていくことができるだろうということがあるかと思います。  その他、実態という意味では、施設を退所した子どもたちのフォローアップも必要な のではないかといったようなことがあります。  次に実態ではなく今度は入れ物の中をどうやって再編成するか、社会的養護全体をど う再編成するかということも必要だという意見もありました。入れ物自体をどう増やす のか、減らすのかという議論も必要ですが、中をどうやって、それから中の配分をどう するのかということも必要だろうと、さまざまなご意見がありました。  恐縮ですが事務局の方でこれらに関連する追加資料等で、資料の少ない中でお願いを するということは恐縮ではありますし、委員の方にもお手伝い、お知恵を出していただ きたいのですが、できる限りバックデータをご用意いただければありがたいと思います。 それでは時間になりましたので、今日の議論はこの辺りにしたいと思いますが、何かあ りましたら。はい、庄司委員どうぞ。 ○庄司委員  議論ではなくてこの資料3なのですけども、数字でもらえませんか。 ○佐藤専門官  わかりました。 ○庄司委員  可能ならば政令市を分けていただけると。例えば神奈川県と、横浜市、川崎市は随分 違うのです。横浜は人口300万人いますので、それはすぐにできるかどうかわかりませ んけれども、可能ならば。 ○佐藤専門官  はい、わかりました。 ○西澤委員  関連していいですか。私はいつも困るのですが児童人口というのは18歳未満人口で すよね。そのデータというのはどこで手に入るのですか。 ○佐藤専門官  国勢調査です。 ○西澤委員  国勢調査のデータはウェブサイトで見られますか。 ○佐藤専門官  見られます。 ○西澤委員  ありがとうございます。 ○柏女座長  よろしいでしょうか。では榊原委員。 ○榊原委員  要保護児童の将来予測についても議論するなら、この報告書をまとめるまでに可能か どうかは別の話ですが、実態調査、いわゆるニーズ調査のようなものは必要なのではな いかという感じがするのです。体制を改めて構築し直すというぐらいの大構えの議論に 持っていくのだとしたら欠かせないはずで、例えば厚生労働省でも介護保険を作る前の 高齢者の福祉制度を立て直すときには、全市町村を巻き込んでニーズ調査をされて、そ れで非常に思っていた以上の数字が出てきたということが確かあったと思うのですが、 子ども関係ではこの要保護児童にかかわらず本当にニーズが把握されてないがゆえに国 会でも空回りの議論がとても多い。こんなことをして本当に使う人がいるのかとか、子 どもに経済的支援をしてもパチンコに使われるだけではないかという空回りの議論がと ても多くなっているのは、ニーズがきちんと把握されていないからだということ考えて います。特に緊急にきちんとした施策を講じる必要がある、こうしたリスクのある子ど もたちの実態というのは、地域ごとに事情が違うので、この場で大づかみに議論をして、 今後の将来予測を立てるというのは限界があるはずで、市町村・都道府県を巻き込んだ ニーズ調査というものをする必要があるのではないか。その中で、自治体の関係者の中 で実はこれだけのニーズがあったと行政ニーズに気がつかれて、取り組みが進むという ような副産物も期待してやってもらうことが必要なのではないかと思います。 ○柏女座長  はい、ありがとうございます。新たなニーズ調査を行っていく、あるいはそれの設計 をするということも必要だと思いますし、要保護児童等実態調査が5年ごとに行われて いますので、私は以前、要保護児童等実態調査のデータをお借りしてクロス分析をした ことがあります。そういうこともやり、既存のデータを有効活用しながら、クロス分析 をするとかなり見えてくるところがありますので、そうしたことも含めてデータの収集 ということが必要と思いました。ありがとうございます。他にはよろしいでしょうか。 はい、どうぞ。 ○藤井家庭福祉課長  代表的な実態調査も含めまして、確かに私どもも平素この関係の仕事をしていまして、 データはないと言いますか、有効な施策決定につながるようなデータが不足している。 さらに言えばどうやってそういうニーズを捕まえればよいのかというのも、例えば先ほ ど介護保険を作る議論との関係をおっしゃいましたが、高齢者とか障害者に比べまして も、なかなかとらえにくい世界なのかという実感も正直あります。率直に言えば私自身 もそもそもそのニーズをどうやってとらえたらいいのかというところから難しい。その 辺りから先生方のご意見を伺いたいと思うくらいなのです。ですからこの調査結果・デ ータにつきまして、もちろん私どもは手元にあるデータはすべてお出しするようなかっ こうで考えておりまして、実際前回出したこの分厚いものは、基本的に私どもが今持っ ているデータを全部ここに出したつもりなのです。ですからもちろん全体的な調査を設 計して大きな枠組みで広くデータを集めて、そこから個別の問題点を絞り出して、議論 を収斂させていくというアプローチはもちろん必要だと思いますし、おいおいやらなけ ればいけないと思います。多分かなり長いタイムスパンを考えざるを得ないと思うので す。それを欠席するわけではありませんけれども、この検討会はある意味では検討課題 (案)で並べて、さらにご意見をいただいて、加除修正をいたしますけれども、事務局の 勝手な希望かもわかりませんが、この検討課題(案)で言えば2番とか3番とか、具体的 なアプローチの仕方・切り口として幾つか思いつく限り示しているつもりなのですけれ ども、その辺が基本的課題で、課題に対する対応への一種の仮説みたいなものなのです。 家庭的養護の拡充が必要なのではないか。あるいはその中でも里親制度の拡充が必要で はないか。家庭支援が必要ではないか。施設の機能強化が必要ではないかとか仮説のよ うなものを切り口として出しているわけです。どちらかというとこの機能的なアプロー チというのは正確ではないのですが、そういう具体的な切り口からある意味で仮説を立 てて、仮説を何か証明するためのデータというのがどういうものがあればいいのかとい うような具体的なリクエストなりそういったものもいただければ、そこに向けて何がし か私どももできる限り情報収集をして整理をしてお出しをするということはできると思 うのです。漠然と言われても事務局としても困ってしまうところがあるので、できるだ け具体的な方向を見定めた上での議論になればありがたいと思っています。これはあく まで事務局としての希望です。  それから若干個別案に当たるのですが、アフターケアとか施設から出た後のフォロー などは私自身の問題意識として確かに施設もやらなければいけませんが、施設だけがそ れを認識することでよいのかというのはあると思います。その辺の問題意識が、この検 討課題(案)で言えば大きな3番の「(3)社会的養護に関する地域ネットワークの構築」と ありますけれども、施設だけではなくて児童相談所とか若干施設に付置されていますけ れども、児童家庭支援センターとかいろいろな資源がある中で、全体として子ども自身 を見たときのトータルなケアはどんな役割分担でやっていけばいいのか、タイムスパン も含めてですが、タイムスパンというのは措置に至る以前から措置されている間、その 後を含めてタイムスパンというかヒストリーというか、全体を見てどんな役割分担で、 どういう主体がどんなかかわりをしていけばよいのかという視点でご議論いただければ ありがたいと思います。 ○柏女座長  はい。ありがとうございました。今日はいわば総論的な社会的養護全体を視野に入れ た議論をして、そこから論点を提示させていただきました。今藤井課長がおっしゃいま したように、議論の仕方としては総論から入ってくる帰納的な方法と、演繹的な方法の 両方あると思いますので、次回以降はかなり各論、実態から入っていくという形になる と思います。報告書を頭の中に思い描きながら今日の報告を聞いていたのですが、いわ ば前書きの部分と後ろの最後の今後の課題の部分に当たるところが議論されたというイ メージでいますけれども、その議論は各論の議論の中で常に行ったり来たりしながらし ていかなければならないことではないかと思っています。それでは今日の議論はこれで 終わらせていただきまして、次回の予定について事務局の方からご連絡をお願いしたい と思います。 ○佐藤専門官  はい。次回は予定通り3月2日金曜日、午前10時から12時という予定になっていま す。場所については今調整中ですので追って連絡をさせていただきたいと思います。そ の次が3月16日金曜日、時間は午後1時半から3時半、本省で行います。その次が3 月22日木曜日になります。これは夕方になります。午後6時から8時、本省で行いま す。 ○柏女座長  中身についてはヒアリングという議論が出ていましたが、それでいいですか。 ○佐藤専門官  次回からの3回についてはヒアリングということで予定をしています。 ○柏女座長  資料5についての説明はよろしいですか。 ○佐藤専門官  ヒアリングの団体ですが、ここに候補団体名ということで現在考えているのが、全国 里親会、全国乳児福祉協議会、全国児童養護施設協議会、全国児童自立支援施設協議会、 全国情緒障害児短期治療施設協議会等々を考えております。次回は全国里親会、全国乳 児福祉協議会、全国児童養護施設協議会を考えています。 ○柏女座長  ご報告はそれでよろしいですか。 ○奥山委員  ヒアリングの時間の問題もあると思うので、できれば前もって質問を挙げて、それの 答えを用意していただくということもあってもよいのではないかと思います。 ○藤井家庭福祉課長  そうですね。 ○柏女座長  事務局の方で今考えているのは、ここの論点がありますね。挙げていただいた検討課 題を提示して、それについてのご意見をちょうだいするということなのですが、委員か らの個別のご質問を事前に集めてお願いをするという形も取るということですか。 ○奥山委員  将来構想だけではなくて現状の部分でお聞きしたいこととか、そういうことを含めて、 こちらから聞きたいことがあったら、少し集めていただくというのも一つ方法はあるの ではないかと思っています。 ○柏女座長  いかがしましょうか。 ○藤井家庭福祉課長  期限ですね。1回目が3月2日ですから、忙しいかもしれませんが来週早々にでも、 何日かに締め切りを設定させていただいて。  先ほど座長からもありましたように、基本的には体系的な話を検討課題に沿ってお話 しいただければと思っています。もちろん団体によって項目ごとの濃淡はあると思うの ですが、それに加えて個別に何かこういう実態がわからないかとか、ここについて特に 意見をいただけないかとか、そういうところが各団体についてありましたら、恐縮です が、メールで結構ですので至急事務局へ送っていただけますか。勝手ですが、来週の半 ば、2月14日ぐらいまでに。多分、2日に来られる団体は、結構準備の関係もあると思 いますので。 ○奥山委員  それに加えて、この検討課題(案)に関してのご意見をいただくのですよね。もしでき れば、ある程度紙に書いてきたものがあったら、事前にお配りいただくと少しは読んで きて質問をすることができるのではないかと思います。 ○藤井家庭福祉課長  はい。了解しました。 ○柏女座長  それでは、来週の14日までに、もし個別にこの問題について聞きたいということが ありましたら、事務局の方にお寄せいただきたいと思います。基本的には、これらの検 討課題(案)に沿って比較的自由にご意見を述べていただいて、そしてご質問をいただく ような時間も取らなければならないと思っています。そのようなことで進めていきたい と思っています。もし事前に資料・レジュメ等がいただけるようでしたら、委員にご送 付いただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  もう一つ、委員の先生方にお願いで恐縮なのですが、ずっと議論を伺っていて、今日 の資料2は、冒頭で佐藤児童福祉専門官が説明した通り、1回目の委員の先生方の意見 を項目ごとに整理したものです。抜けがあるのではないかというご意見もありましたの で、恐縮ですがもう一度ご覧いただいて、何か言い足りないとか、少し趣旨が違うので はないかとか、全体のボリュームの関係もあって、もしかしたら少し大胆にまとめすぎ ているところがあるかもわかりませんので。これは今日ここでお配りするということで したので、どなたが発言されたかというのは書いていないのですけれども、発言者名を 入れたものを後ほどメールでお送りして手を入れていただく方がよろしいでしょうか。 ○柏女座長  それでは恐縮ですけれども、発言者の名前を入れたものを送っていただいて、ご覧に なって言いたいことを追加していただいても結構です。そういうことですね。よろしく お願いいたします。  それでは、次回は3月2日ということで、関係団体の方々に来ていただいてヒアリン グをさせていただくということになりました。関係団体の方にはご足労をおかけします けれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、今日はこれで終了させていただきたいと思います。大変お忙しい中ご意見 をいただきましてありがとうございました。 ○藤井家庭福祉課長  ありがとうございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 03−5253−1111(内7888)