07/02/06 第6回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第6回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会 1 日時   平成19年2月6日(火) 15:30〜17:30 2 場所   厚生労働省 共用第8会議室(6階) 3 出席者  ○ 参集者   岩村委員、片岡委員、北浦委員、斉藤委員、鈴木委員、舘委員、松友委員、   宮武委員、村上委員、輪島委員  ○ 事務局    岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、    浜島障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、    手倉森障害者雇用対策課課長補佐、澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官 4 議題  (1) 論点整理について  (2) その他 5 資料  多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理 ○岩村座長  時間になりましたので、ただ今から第6回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率 制度の在り方に関する研究会を開催いたします。委員の御出欠についてですが、本日は、 八木原委員が御欠席でございます。それから、松友委員がまだお見えになっておりませ んが、追ってお見えになることだろうと思います。それでは、早速本日の議事に入るこ とにいたします。  本日の議題は、論点整理についてでございます。本日は、これまでの議論やヒアリン グなどを踏まえまして、この研究会としての論点の整理をいたしたいと存じます。これ までの議論やヒアリングでの意見などに基づきまして、論点の整理を事務局の方で行っ ていただいておりますので、その整理を元に議論を進めていきたいと存じます。  それでは、まず最初に、事務局の方から、多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率 制度の在り方に関する論点整理につきまして、資料を御用意していただいておりますの で、御説明をいただきたいと思います。 ○事務局  それでは、御説明させていただきます。資料でございますが、「多様な雇用形態等に 対応する障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理」ということでまとめております。  まず、1ページ目をおめくりください。まず、1といたしまして総論でございます。大 きな論点といたしまして、多様な働き方について、障害者雇用対策について、どのよう に位置つけ、どのように評価すべきか。具体的には、1から3までございます。  まず、[1]点目でございますが、働き方が多様化している状況の下において、多様な働 き方のなかで、障害者の雇用機会を確保していくことについて、考えていく必要がある のではないか、という点でございます。[2]点目でございますが、障害者にとって、多様 な働き方が福祉的就労から一般雇用へ移行していくための段階的な働き方として有効と 考えるか。[3]点目でございますが、障害者の職業的自立という観点から、多様な働き方 はどのように評価すべきか。以上、3点、総論としておまとめしております。  2ページ目をおめくりください。2番目といたしまして、障害者の短時間労働について まとめております。論点1といたしまして、短時間労働について、障害者雇用対策にお いて、どのように位置づけ、どのように評価すべきか、でございます。1から4までござ います。  [1]でございますが、短時間労働者の雇用全体に占める割合が高まっており、かつ、障 害者の短時間労働者も増加しているなか、障害者雇用における短時間労働の位置づけに ついて考えていく必要があるのではないか。[2]点目ですが、障害特性や加齢によって生 じる問題を踏まえると、短時間労働は、障害者の働き方の選択肢の1つとして、有効な 面があるのではないか。[3]点目でございますが。障害者にとって、短時間労働が福祉的 就労から一般雇用へ移行していくための段階的な働き方として有効と考えるか。 [4]点目でございます。障害者の職業的自立という観点から、短時間労働はどのように評 価すべきか、としております。  3ページ目でございます。短時間労働の論点2でございますが、障害者の短時間労働を 障害者雇用率制度の対象とすることについて、どのように考えるか、と設定しておりま す。[1]から[4]までございます。  まず、[1]でございますが、短時間労働者の雇用全体に占める割合が高まっているなか で、短時間労働においても、社会連帯の理念に基づき、障害者の雇用機会を確保する必 要があるのではないか。[2]点目でございます。短時間労働についても、障害者の雇用義 務の対象とすべきかどうか。具体的には、短時間労働者を雇用労働者数に算定するとと もに、障害者の短時間労働者を雇用障害者数に算定することについてどのように考える か。[3]点目でございますが、[2]のような形で雇用労働者数、雇用障害者数に短時間労働 者の方を算定することとした場合、算定する人数の評価についてどのように考えるか、 でございます。例えばといたしまして、雇用労働者数には、短時間労働者数を0.5カウ ントとして、雇用障害者数には、障害者である短時間労働者数に0.5カウント、そして、 重度の身体障害者及び重度の知的障害者の場合は1カウントとして算定するということ について、どのように考えるか。最後、[4]でございますが、短時間労働者を雇用労働者 数に算定しないまま、短時間労働である障害者を雇用障害者数に算定することは考えら れるか、といたしております。  続いて、4ページ目でございます。短時間労働の最後でございますが、論点3といたし まして、障害者の短時間労働について、雇用義務制度の対象とする場合、円滑な移行の ための一定期間の経過措置を講ずるべきかどうか。また、経過措置を講ずる場合、どの ような方法が考えられるか、といたしております。  続きまして、5ページ目でございますが、大きな3といたしまして、障害者の派遣労働 についてまとめております。まず、論点1でございますが、派遣労働について、障害者 雇用対策においてどのように位置づけ、どのように評価すべきか、としております。[1] から[4]までございます。  [1]でございますが、派遣労働者の雇用全体に占める割合が高まっているなかで、派遣 労働者としての障害者の雇用状況について、どのように評価すべきか。[2]点目でござい ます。障害者の多様な働き方の選択肢として、派遣労働は、障害者の雇用機会の確保の 観点から、どのように評価すべきか。また、その場合に、障害者が職場定着に相当の配 慮や時間を要することについて、どのように考えるか、としております。[3]点目、障害 者の派遣労働について、派遣元事業主が支援の態勢を整備し、継続的に支援を行うとす れば、労働者派遣を通じた障害者の雇用機会の確保につながる面があるのではないか。 [4]点目でございます。派遣元事業主の労働力需給調整機能に着目すれば、派遣労働が福 祉的就労から一般雇用へ移行していくための段階的な働き方として有効と考えるか、と いたしております。  続きまして、1ページ飛びまして、7ページ目をお開きください。派遣労働の論点2で ございます。障害者の方が派遣労働で安心して働けるようにするために、派遣元事業主 と派遣先の役割分担をどのように考えるべきか、としております。  [1]でございますが、障害者が派遣労働で安心して働けるようにするためには、派遣元 事業主は雇用関係に基づき、支援態勢を整え、必要な支援を充実させる必要があると考 えるがどうか。また、その場合、必要な支援とはどのようなものが考えられるか、でご ざいます。[2]でございますが、雇用関係と指揮命令関係が分離しているという派遣労働 の特徴を踏まえ、指揮命令関係が派遣先にあることにより、障害者雇用という観点から 派遣先において配慮すべき事項はあるかどうか。あるとすればどのような事項について 配慮すべきか。[3]点目でございます。派遣労働者が配慮を必要とする障害者であるかど うかについて、派遣元事業主が派遣先に対して伝えることにより、派遣先においても当 該配慮事項を把握できるようにしておく必要があるのではないか、といたしております。  続きまして、8ページ目でございます。論点3でございます。障害者である派遣労働者 を派遣先が円滑に受け入れるために、派遣先の取り組みを支援する施策が必要と考える がどうか、としております。  [1]でございますが、働く場所が派遣先であることを考慮し、派遣先が障害者が働きや すいように施設及び設備を整備する場合に、支援策を設けることについてどのように考 えるか。[2]点目でございますが、派遣先において、障害者が職場に適応するために必要 な人員を配置する等した場合に、支援策を設けることについてどのように考えるか。  続きまして、9ページ目でございます。労働者派遣事業にかかる障害者雇用率制度の 適用について、現在は、派遣元事業主に算定され、派遣先には算定しないこととなって いるが、現状のままでよいと考えるか。派遣元事業主及び派遣先双方において、算定す ることとすべきかどうか。  [1]でございますが、派遣労働者及び障害者である派遣労働者を派遣先の雇用労働者数 や雇用障害者数に算定することとした場合、派遣元事業主の雇用責任を前提とした現行 の障害者雇用率制度の考え方との関係を整理する必要があると考えるがどうか。[2]でご ざいますが、派遣労働者及び障害者である派遣労働者を派遣先の雇用労働者数や雇用障 害者数に算定することとした場合、別紙のとおり、いくつかの案が考えられるが、どの 案が適当か。  別紙でございますが、次のページにございますので、10ページをお開きください。今 回、案1から案3まで掲示しておりますが、現行についてですが、現行は派遣元事業主に 雇用労働者数、雇用障害者数のカウントがなされております。案1から案3でございます が、案1については、派遣元事業主については、雇用労働者数、雇用障害者数ともに0.5 ずつカウントいたしまして、派遣先にも同様に、雇用労働者数、雇用障害者数を0.5ず つカウントするという方法でございます。案2でございますが、派遣元事業主に雇用労 働者数、分母の方は残しつつ、分子の雇用障害者数について、派遣元事業主、派遣先に それぞれ0.5ずつカウントするという方法でございます。案3でございますが、案3につ いては、派遣元事業主に分母の1を残しながら、派遣先に雇用障害者数、分子のカウン トを1移すという方法でございます。以上、3案提示しております。  前後いたしますが、9ページにお戻りいただきまして、[3]でございます。派遣先におい て、障害者雇用率の算定対象とすることとした場合、算定方法及び時点についてどのよ うに考えるか、と設定をしております。  続きまして、1枚飛ばしまして、11ページ目でございます。大きな4番といたしまして、 障害者の紹介予定派遣についてでございます。まず、論点1でございますが、障害者の 紹介予定派遣について、障害者の雇用促進の観点から、派遣元事業主の有する労働力需 給調整機能をどのように評価すべきか。  [1]でございますが、障害者の雇用促進の観点から、派遣先での雇用に移行する可能性 のある紹介予定派遣は有効ではないか。[2]は、者及び派遣先にとって、一定期間の派遣 労働を通じて雇用に移行していく紹介予定派遣は、不安感の解消等の観点から有効では ないか、としております  続きまして、12ページ目でございます。論点2でございますが、障害者の紹介予定派 遣が有効に機能するために、派遣元事業主において支援体制や相談体制が十分に整備さ れる必要があるのではないか、でございます。  [1]でございますが、紹介予定派遣の場合、派遣先での円滑な雇用への移行及び雇用後 の定着のために、派遣元事業主において積極的な支援が必要ではないか。また、支援に ついてはどのようなものが必要か。[2]でございますが、紹介予定派遣の前後の段階も含 め、必要な支援が継続的に行われるためには、派遣元事業主と就労支援機関等との連携 も必要と考えるがどうか。[3]でございますが、障害者の紹介予定派遣に関して、派遣元 事業主に対して、どのような支援策が考えられるか、でございます。  続きまして、紹介予定派遣の最後でございます。論点3といたしまして、紹介予定派 遣を活用した障害者雇用を促進する観点から、派遣先における受け入れを進めるために 派遣先にメリットをつけることについて、どのように考えるか、といたしました。  続きまして、14ページ目でございます。大きな5といたしまして、その他としてござ います。まず、1つ目でございますが、週20時間未満の短時間労働やグループ就労につ いて、障害者の雇用促進の観点からどのように評価すべきか、といたしました。  [1]として、障害者にとって、このような働き方が福祉的就労から一般雇用へ移行して いくための段階的な働き方として有効と考えるか。[2]でございますが、障害者の職業的 自立の観点から、このような働き方について、障害者雇用率制度において評価すること についてどのように考えるか。  もう1つの論点でございますが、特例子会社で雇用されている障害者について、親会 社で働くことを通じてスキルアップを図るなど、働く場の拡大につながるような支援を 考えてはどうか、といたしております。  以上が、論点整理についての資料でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。ただ今御説明をいただきました多様な雇用形態等に対応す る障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理につきましては、これから具体的な議論 を進めていく上での検討項目ということになります。そこで、この論点整理のなかで、 今日御紹介いただいた論点の設定というのが適切なものかどうか、御自由に御意見を頂 戴したいと思います。また、今日の時点で、全体を通しまして、これらの論点に係る御 意見でありますとか、御提案といったようなことがございましたら、是非御発言をいた だきたいと思います。それでは、どなたからでも結構でございますので、どうぞ御自由 にお願いしたいと思います。 ○輪島委員  論点に入る前に1つ確認だけさせてください。派遣のところですが、5ページの論点1 の[1]で、派遣労働者の雇用全体に占める割合が高まっていると書いてありますが、派遣 の全体は、常用換算で100万人から120万人ぐらいです。全段のパートは1,200万人とか、 ボリウム自身が全然違うということと、雇用全体に占める割合というのは、確かに高ま ってはいるのですが、その高まり具合と、労働市場におけるウエイトというのは全く違 うので、表現として、雇用全体に占める割合が高まっているというのは、少しバランス の悪い書き方ではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。 ○岩村座長  では、事務局の方で、いかがでしょうか。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用対策課長の土屋です。今、御指摘があった点は確かに短時間と派遣と、そ れぞれボリウム感が違うことは確かでございまして、その意味では、同じ表現を使って いるということについて、整理を要するかなということはあるかも知れませんが、一方 で、派遣そのものの割合ないしは絶対数が伸びてきているというところも、それはそれ で確かでございます。そのなかで、前回のアンケート調査でもご覧をいただきましたよ うに、派遣元事業主における雇用率の状況、あるいは派遣労働者ということで、その状 況を見ると、さらに非常に低い水準にあるということは、これもまた数字の上で明らか になってまいりました。そういった前提で、全体のボリウム感が違うということは確か にありますが、派遣の部分についても、どう対応していくかということについて、御議 論をいただければと思っております。 ○輪島委員  そのことは全く否定しないのですが、表面が雇用全体に占める割合が高まっていると いうことは、0.001から0.002というように、割合自身が高まっているものを、同じ表現 のなかでは、おそらくこれを全体のなかで占める割合が高まっているとか、とても言え る状況ではないのではないかということですが、これはコメントです。  それから、2番目ですが、前回、アンケート調査で、派遣の状況を御披露いただいたわ けですが、そのところでちゃんと確認をしなかったのですが、この3番の論点に入る前に、 やはり派遣元会社は基本的に一般の実雇用率から比べると、やはり、かなり未達成状況 がひどく、なかなか水準が上がっていないというか、そのことをきちんと確認していな かったような気がします。まず、そういう状況を踏まえて、派遣元の雇用を増やすため にどういうふうにするのかということと、それから、1つのツールとしての紹介予定派 遣が使えるのではないか。それは、外に出していく仕組みとして、そういうものがある のではないかという整理だと思うのですが、その辺が、論点1の前提なのかも知れませ んが、ちゃんとそれを踏まえる必要がむしろあるのではないかと思いますが、いかがで しょうか。 ○障害者雇用対策課長  前回の資料のなかにデータも含まれておりまして、ちょっと前回の御議論のなかで明 確にその点を御指摘申し上げていなかったかも知れません。その点は申し訳ないのです が、ちょっと今、口頭で御紹介申し上げますと、前回のアンケート調査では、派遣元事 業主553社からデータをいただいたわけですが、その553社について、「61報告」でいた だいているのと同じ形で、会社としての雇用状況も、アンケートという実態調査のよう な形でお聞きをしたわけです。その結果、お答えをいただいた派遣会社全体の平均の実 雇用率が0.93%で、達成企業割合が22.8%ということになりましたので、全産業の「61」 そのものの平均値が1.52%で、達成企業割合は43.4%ということですので、それに比べま すと、かなり低い状況にあります。さらに、実雇用率の部分について、派遣労働者とし ての状況をみると、先ほど会社としては0.93%と申し上げましたが、派遣スタッフだけ の方でみると、0.35%まで下がってしまいますので、その意味では、派遣労働者として 働いている障害者の方というのは、雇用率の関係でみれば、かなり少ない状況にあると いうことではないかと思っております。   ○岩村座長  コメントとしては、先ほどの派遣労働者の雇用全体に占める割合が高まっているとい うところについては、ちょっと短時間労働者のところと同じ表現になっているので、や はりウエイトというもの自体がかなり違うということからすると、ここはちょっと問題 の在り方がやはり違うということで、少し表現を別の形で、もう少し短時間労働者との 違いが分かるような形での表現にしていただいた方がよろしいかと思います。  それから、派遣元について、雇用率が低いというのは前回の資料でもあったところで して、輪島委員のおっしゃる通りなんです。ただ、この研究会のペーパーのなかで、派 遣元の雇用率が低いというのをどういう形で取り上げるかというのは、ちょっと考えな いといけない。というのは、産業別にみても、雇用率の低いところというのは、前に御 紹介いただいたように、あるので、障害者の派遣労働についてという角度から取り上げ る時に、派遣元の雇用率が低いというのがどういう形で絡んでくるのかというのが、や やよく分からない。もし、それを言い出すと、多分、他の産業分野についてもどうする んだという話に繋がっていってしまうので、ちょっとそこもまた、御指摘いただいたと ころではありますので、そういったところも踏まえて、少し次回以降に向けて、事務局 でもお考えいただければと思います。  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  御指摘の通りで、雇用率の低い業種はまだ他にもたくさんあるわけですが、多様な雇 用形態というなかで派遣を取り上げて、何がしかの雇用支援策をするということには、 現状の問題意識があって、必要性があるからやるわけなので、その点はきちんと、何の ためにやるのかは明確にする必要があるのではないかという趣旨です。 ○岩村座長  分かりました。では、片岡委員、どうぞ。 ○片岡委員  最近の傾向として、在宅雇用というのが大きくなってきているようです。特にIT関係 だとか、資料などを見ますと出てきます。これが、雇用形態なのか分からないけれども、 その企業のPR誌とか、その他などを作っている。それを雇用とみなすのかどうかとい うことも、やはり検討材料に入れて欲しい。多様な雇用形態だから、そういうものが雇 用形態のなかに入ってくるのではないかと思いますので、御検討をお願いします。 ○岩村座長  在宅の場合は、おそらくいろいろな形態がありまして、在宅で働いていても、ある仕 事を請け負う形でやる場合がありますが、それはちょっと雇用というふうにはなかなか いえないと思います。あと、家内労働ということもあるんですが、家内労働の場合も、 これもなかなか一般には企業との間での雇用とはいえません。だから、在宅の場合、や っぱり企業が雇って、就労場所として自宅というケースでないと、ちょっと入ってこな いのかなと思います。それ以上に広げるということになると、多分、雇用率の考え方自 体をかなり変換しなくてはいけない。そもそも派遣が既にそこが問題であるので、さら にということになると、相当検討しなくてはいけないのかなと、直感的に思います。せ っかくの問題提起ですので、考えてみる必要があるかと思いますが、ちょっとそこは事 務局の方でお願いします。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった在宅で働くという部分ですが、実は、この前の平成17年に行った 法改正の時に、そこの部分の制度を新しく創ったり、拡充をしたりということをやって おります。1つは、在宅でも御指摘の通り、企業と雇用関係を結んで、働く場所が自宅 であるという形で働いている方がいらっしゃいますので、それは、従来から制度として も、雇用率制度にも乗って、カウントの対象になるということになっておりましたが、 さらにまた、そういう働き方を広げていくために、助成金の部分で、例えば、そういう 在宅勤務をコーディネートする人を企業が配置した場合、助成金を出すというような新 しい制度を創ったりしてまいりました。それから、もう1つは、雇用の形ではなく、企業 から仕事を請け負ったり、あるいは委託というような形で、これも今片岡委員が御指摘 になられたように、ITやパソコンの発達により、自宅でそういう仕事がやりやすくなっ てきているということで、そういう部分も出てきているものですから、この部分も伸ば していこうということで、これは在宅就業という言い方で呼んでおります。この部分に ついては、新しい仕組みを創って、その在宅就業に仕事を発注した企業に対して、納付 金制度のなかで、特例調整金、あるいは特例報奨金という形の給付を、メリットとして 企業にお付けをするという制度を創ったところです。併せて、そういう在宅就業をサポ ートする団体も出てきておりますので、こういった在宅就業支援団体の登録の制度を創 りまして、この団体を経由して企業が発注した場合も、制度の対象にするというような 形も採って、現在、この団体の登録は全国で15団体ほどになってきております。そうい った意味で、前回の法改正で対応して、今、17年10月あるいは18年4月から、新しい制 度が動き出したところですので、この場でも御意見を賜りながら、その状況をみてまい りたいと思っているところです。 ○岩村座長  どうぞ、松友委員。 ○松友委員  多分、第1回の時も話したかと思うのですが、今の話の若干延長なんですが、いわゆ る福祉制度のなかでの就労継続A型ですが、昔の福祉工場と呼ばれていたものです。 これは、雇用保険など完全に労働法を適用されたりしていますが、他の部分は、ほとん ど皆、いわゆる雇用というか、あれと同じ条件だというように、5階の方でおっしゃっ ています。これは、雇用率のカウントは、どこかの企業と雇用関係を結んで、いわゆる A型を利用するということはできませんでしたか。そこはどうでしたか。 ○障害者雇用対策課長  今お話があった福祉工場あるいは新しい自立支援法の体系では、就労継続事業のA型と いわれているものですが、これは、この事業を行う事業者、多くは福祉施設、社会福祉 法人であろうかと思いますが、そこと雇用関係を結んで働くという形になっております。 その部分にある程度福祉のサポートが入っているという制度なんですが、私どもの方か らみると、そこの社会福祉法人と雇用関係がありますので、社会福祉法人の雇用率を計 算する時、あるいは納付金のなかで調整金や報奨金、ないしは納付金の計算をするなか で、カウントの対象にしていただくということで、いわば、雇用の制度の方からも評価 をしておりますし、福祉の方からもサポートが入っているという制度になっているとい うことです。 ○松友委員  分かりました。そこのいわゆる経営施設といいますか、その日中活動事業を経営して いる法人の雇用率にカウントされるわけですね。B型もそうですか。 ○障害者雇用対策課長  整理としては、B型は雇用関係を結んでいませんので、従って、払われているものも 賃金ではなくて、工賃という形になっています。ですから、B型は私どもの雇用率制度 ないしは納付金制度の対象にはなっておりません。 ○松友委員  しつこく言ってごめんなさい。そうしたら、今度は、社会福祉法人でなくても、A型の 経営はできますね。ということは、ある企業がそのA型を経営しているところを全部入れ てしまえば、企業の雇用率になるということですね。 ○障害者雇用対策課長  おっしゃるようなケースもあろうかと思いますが、基本的に法人であれば、自立支援 法上の指定サービス事業者になれるとなりましたので、営利企業であってもA型の事業 を行うことは可能であります。その時に、会社の計算に入れるということも可能だとい うことになります。ただし、私どもは、そこは雇用の方の特例の制度である、例えば特 例子会社とA型と混じらないように、A型については基本的にその法人だけで計算をして いただく。つまり、親子関係や関係会社というような形で、グループ適用を企業全体と してやっていくというようななかに、A型は混じることができないようにするというよ うな制度の仕訳はいたしましたので、企業がA型そのものを経営をするということであ れば計算の対象になりますが、特例子会社的にそこを使うということは、特例子会社の 制度の兼ね合いで認めていないという形になっております。 ○宮武委員  関連してよろしいでしょうか。例えば、A型で、派遣元がそのA型をやる。そして、そ の工場がよく福祉工場といわれましたけれども、それは可能ですか。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘あった点は、A型がいわば雇用しているわけです。ですから、そのA型の会 社が、会社でなくて社会福祉法人でもいいかと思いますが、労働者派遣事業の届け出な いしは許可を取っていただいて、他社に派遣をするというのは可能であろうかと思いま す。その形で、例えば福祉から雇用への送り出し機能としてそれを活用するとか、そう いう場面もある程度考えられるかも知れません。その点は、是非、この研究会でも御議 論いただければと思っています。 ○岩村座長  ただ、所管が違うので、あれなんですが、派遣事業ということで、自立支援の方の事 業所の指定が受けられるんですかね。  ちょっと、何となく事業者としての指定ということになると、そこで何か事業をして いる。要するに就労しているということが、多分、基準がいっぱいあるので、それとの 関係で、派遣事業というように、そこで働くのではなく、どこかに労働者を派遣すると いうのが、指定の要件、様々な運営基準の要件を満たすのかどうか。そこがまた別途問 題になるような気がいたします。 ○松友委員  それは是非、役所サイドで調べていただいて、厳密に法解釈等は必要かと思いますが、 ただ、この委員会は、この間ずっと議論していましても、いわゆる本当に従来の枠のラ インの流れのなかの議論しかできていないんですね。今のぐらいのことを含めて、もう ちょっとパラダイムシフトしていかないと、つまり、場によって、もし駄目であったら、 そちらの方も調整して、今の従来の法解釈は別として、今度の委員会としてジャンプア ップするには、少し今までとは違う形を出していかないと、1%ぐらいしか福祉から一般 にいかないのに、二桁まで持っていこうなんて、とても無理だと思うので、是非その辺 りを、場合によっては、いろいろな調整あるいは法改正も含めて、少し先駆的なあれを 出して欲しいという考えがあるのです。 ○障害者雇用対策課長  私どももその点については、自立支援法の新しい流れで、福祉サイドでも就労支援と いうことが大きな柱として掲げられてきておりますし、また、福祉から雇用へという流 れを着実なものにしていこうというのは、福祉サイドも雇用サイドも思いは一緒という 状況になってきております。そういったなかで、この派遣なり短時間の部分についても、 一方で、働き方としてどう評価するかという問題もありますけれども、先日御議論いた だきました際にも出ておりましたように、ステップとして、福祉的就労から雇用へのス テップとしてどう評価をし、活用していくかという部分についても御議論が出ておりま すので、そういった点から、是非、積極的な御議論をいただければと思っております。 ○岩村座長  どうぞ、宮武委員。 ○宮武委員  5ページですが、論点1の[4]で、派遣元事業主の労働力需給調整機能に着目すればとあ りますが、この機能というのは、具体的にはどういう内容なのか。後段のところとどう 繋がりがあるのか。ちょっと御説明していただきたい。それが1点です。  それから、10ページなんですが、案の1ですか。これは、雇用労働者数を派遣元で0.5、 それから障害者雇用数が0.5で、0.5で全部分け合う形ですね。派遣先で0.5というのは、 雇用労働者数が0.5になっていますが、0.5としてみなすということなんですか。 雇用されていないわけですね。派遣元で雇用されているということだと思いますので。 ○岩村座長  お答えはいただくとして、ちょっと全体の議論の整理なんですが、今日は一応論点ペ ーパーについて、全体についてなるべく御意見を伺いたいと思っておりまして、個々の 論点については、また次回以降、より突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います。 ですので、今、派遣労働に関心が集中しておりますし、それも私は無理もないと思いま すが、個別の論点のより突っ込んだ検討は、また次回以降させていただこうと思います。  内容についてお話しなさったこと自体は理解できます。御質問の趣旨自体分かります が、少しまた他の部分についても是非御意見をいただければという趣旨で、ちょっと申 し上げているだけでございます。別に派遣について意見を述べるなという趣旨ではござ いませんけれども、全体として、今日はバランス良く御議論をいただければと思ってお ります。  では、すみませんが、課長の方でお願いいたします。 ○障害者雇用対策課長  今、御質問のあった2点ですが、まず1点目は、5ページの[4]に関してですが、労働者 派遣というのは一種の労働者の需給調整を担っている部分があるわけでございますが、 その際に、派遣先で働く、つまり働く場所にマッチングをさせるという機能を派遣が担 っている部分がございます。そこで、それを活用すると、派遣先での雇用に繋がるとい う面があろうかということで、それを制度としてシステム的に進めていくことができる のは紹介予定派遣だろうと思うのですが、場合によっては、この一般の労働者派遣のケ ースでもそういった機能が発揮できる部分があるのではないかという思いから、こうい う論点を設定させていただいているところです。  それから、10ページの案の[1]について、これはいわゆる分母も分子も0.5ずつ分け合 うということにしているわけですが、今、宮武委員から御質問のあった点に関しては、 前の9ページの論点4の[1]で申し上げておりますように、先日こちらでの御議論のなかに も出ておりましたようにも元々雇用関係を前提として雇用率が設定されているわけです が、今、宮武委員からお話しがありましたように、派遣先においてカウントするという ことになれば、そこは考え方の変更に繋がる部分があるのではないか。それは、整理が 必要ではないかと私どもも前日の御議論を踏まえて、考えているところですが、この場 での御意見も踏まえながら、考え方を整理していきたいと思っております。 ○岩村座長  おそらく10ページの案の[1][2][3]というのは、カウントの仕方として、こういう考え方 があるでしょうということを、多分お示しいただいたものだと思います。派遣先で、例 えば0.5というのを付けるというのを、これは非常に法律的なテクニックになってしまい ますが、雇用したものとみなすという扱いにするのか、何かまた別のロジックを考える かというのは、別の議論だろうと思います。ですから、アイディアとして、現段階で御 理解いただこうとするアイディアとしては、こういう3つぐらいのアイディアがあるんで はないでしょうかというような趣旨のものとして、御理解いただくのがよろしいのかな と思います。  あと、派遣の労働力需給調整機能というのは今課長から御説明いただいた通りでござ いますが、あまり適切でない言い方をすると後で大変なことになるんですが、派遣の場 合、やや職業紹介と似ているようなところがあって、だからこそ議論になるんですが、 一方で派遣を使って労働者を探したいというところと、他方で派遣を使って勤め先を探 したいという人たちがいて、その場を設定して、お仕事をしているのが派遣事業である というふうにみることができます。そうだとすると、全くパラレルではありませんが、 かなり職業紹介と似たところがあります。そういう意味で、労働力の需給調整という機 能を労働者派遣は持っているでしょう。そういうことであると御理解いただければよろ しいかと思います。  片岡委員、どうぞ。 ○片岡委員  基本的な問題ですが、今、簡単に雇用、雇用という話ですけれども、雇用というのは 最低どこまで窓口にしておけば、雇用という言葉が当てはまるのか。今言いましたよう な、職業紹介というのは雇用ではないと私は思っているですが。在宅や、いわゆる作業 所にしても然り。通所して作業をしているわけですから。雇用はしていないですね。雇 用ではないのに、雇用という条件は、どこまでを雇用というのか。どうすれば雇用とい う言葉というのが生まれてくるのか。その辺が、読んでいて理解できないのですが、そ の辺はどうなのですか。 ○岩村座長  大変お答えは難しいとは思うのですが、一応、厚生労働省としての立場として、雇用 率ということを考える前提になっている雇用というものが、どういう捉え方になってい るのかという御質問だろうと思いますので、その趣旨でちょっとお答えいただければと 思います。 ○障害者雇用対策課長  今の御質問に、雇用の方から説明していくのはなかなか難しい面があるかと思います。 ただ、一般的に申し上げれば、雇用については、企業と働く労働者の方が労働契約、雇 用契約を結んで、その下で働くということが雇用の形で、それを雇用率でも対象として いるということだと思います。具体的にもうちょっと申し上げれば、労働基準法の適用 があったり、あるいは雇用保険に加入したりというような形で、いわゆる労働保護法規 の適用の対象になって、企業との報酬の支払いの関係は、労働時間に見合って賃金が支 払われるというのが原則であるという形になるのではないかと思います。一方、それと 近い形態としては、契約の形でいえば、請負とか、委託という形があって、請負・委託 の場合は、一定の作業の完了を約束して、契約を結んで、その作業の段取りなり完了の 仕方なりについては、特に発注元からの指揮命令を受けずに、御本人の責任で行う。な いしは、それらに使う作業の道具なり、機械なりは、御本人の負担で配備をするという ような形で、その完成した完成品の納入に対する報酬を代金という形でもらうのが、請 負や委託の形であろうかと思います。  作業所、授産施設での工賃をもらう働き方がどちらに属するのかというのは、なかな か難しいところがありますが、少なくとも雇用契約を結んだり、労働法規の適用を受け たり、あるいは雇用保険に入ったりと、こういうことがないという観点から、逆に考え ていきますと、作業所での今の工賃をもらうような働き方というのは、雇用契約という ことを結んでいる状態ではないので、雇用率の対象にはしておらないという状況になろ うかと思いますし、先ほど話題になりました在宅就業については、基本的には請負ない しは委託で契約を結んでいるケースが多いと思いますので、これも労働契約を結んでい る形ではないので、雇用率の対象にはしないということです。ただし、仕事の発注につ いては、一定の奨励策が必要だろうということで、前回、そこの部分については法改正 をして、新しい制度を創ったという形になっているのではないかと思います。 ○岩村座長  ものすごく単純化していけば、イメージとしては、基本的には、ある企業、事業主な ら事業主の設けている職場に、基本的には毎日決まった時間に行って、そこで企業の施 設や何かを使って、予め割り当てられた仕事を行い、所定の時間が来たら帰るというも ので、それに対して、一定の賃金を支払うというのが、多分、基本的な雇用というもの のイメージなんだと思います。当然のことながら、使用者の方は、事業主の方は、その 労働者が仕事場にやって来て、そして、使用者が決めた仕事をして、ということをすれ ば、それに対して賃金が払われる。ただ、他方で、今、課長の方から御説明がありまし たけれども、契約という形を採りますので、契約をどう考えるかということもあります けれども、他方で、労働者の側も、例えば使用者のいろいろな指示とかというものに対 して、従わなければいけない。それに従わないで、職場の秩序を乱したり、あるいは勝 手に会社に来なかったりということがあると、賃金がカットされる他に、懲戒処分とか という制裁も加えられる。そういう世界に入るというのが、一般に雇用だというふうに お考えいただければ、多分よろしいのだと思います。  そこからずれたものがいろいろあるので、それが非常に問題になるんですが、多分、 その福祉的労働の場合の工賃の世界というところになってくると、今日は来ないから何 か処分をするとかというような形には、多分なっていない。というようなことで、やは り雇用という世界とは違うものだという、そういう理解の仕方であろうと思います。非 常に単純に考えるというか、おおざっぱなイメージとしては、そういうものだと思うの ですが、実は、その中間にいろいろなものがあるので、先ほど、片岡委員がおっしゃっ たような在宅の場合はどうなのかとか。いろいろなものがあるので、雇用の外縁という のは、いろいろと難しい問題がありますけれども、そこに立ち入ると、話が多分混線す る可能性がありますので、雇用という者の、元々のオリジナルなイメージはそういうも のだとちょっとお考えいただいて、多分そこからずれる距離によって、この雇用率のな かに入れてくるのか、こないのか。だから、短時間雇用というのは、基本的にはさっき のイメージに非常に近いわけですね。決められた日に、決められた時間に、職場にやっ て来て、仕事をして、決められた時間に帰る。賃金は払うし、指示とか何とかに従わず に勝手なことをすれば、それは処分があったりとか。という意味では、短時間の雇用と いうのも、やはり雇用のイメージに当てはまる。派遣になると、ややずれてくる。つま り、雇っている人と、仕事をしている企業というのがずれてしまう。指示をするという のも、派遣先の方が指示をするということになりますので、そこでずれてきてしまいま す。今申し上げた最初のイメージから既にずれているということになりますし、さらに 在宅就労も、請負型になってくると、先ほどの課長の御説明の範囲より、完全に雇用の イメージからもずれてしまうということになるので、そういう元々のイメージとのずれ 方なり、距離との関係で、どこまで今回の、例えば、この多様な雇用形態というのをど こで捉えるのかということを、御議論いただくということになると思います。  舘委員、どうぞ。 ○舘委員  前回の帰り道にいろいろ考えたんですけど、1つは、輪島委員がおっしゃっていたよう に、派遣業界の障害者の雇用率が低いということ。今、課長がおっしゃったように、派 遣も紹介も似たようなところがあって、国ではハローワークが、例えば、地域の職業セ ンターとか、能開施設と連携しながら、かなり一生懸命やっている。紹介もそうだし、 サポートもそうなんですね。じゃあ、派遣業界でそういうことが本当に促進されるのか。 実効あるのか。ということを考えると、結局、雇用率というインセンティブがなければ、 やはりあえて障害者を雇おうということは、なかなかない。ましてや、精神の人を雇う というのは、これはちょっと考えられないかなと思ったんです。そうすると、まず、や っぱり派遣先にいかに雇用率を持ってもらって、ただし、精神はまだ雇用義務化されて いないわけです。まだ、わが国の雇用促進施策の根幹というのは、雇用率制度と雇用納 付金制度で、これが両輪になっているわけですけれども、それにすら精神はまだ到達し ていないんです。そういう時に、障害者全体の雇用促進が、その派遣で一歩でも進めば 私はいいと思うのですが、そのためにどうするかという議論なんだと思うのです。ただ、 多分、精神という場合は、なかなかうまくいかない。それから、もう1つは、格差の問 題もそうなんですが、多様になればなるほど、公的なサポートというものが、だんだん 得られなくなるのではないかという心配を私はとてもしているので、その辺りのことを 派遣業界にどういうふうに行政側が、あるいは行政側がそういうところが富み栄えると だんだん後退していくというのは、私はもう1つとても心配なところなんです。こんなに 一生懸命、すごく雇用の紹介数が増えているんですよ。ハローワークさんも一生懸命頑 張ってくださって。そういうように置き換えられるかというと、ちょっと派遣がこの雇 用率ではなあと、これはすごく感じたことです。  もう1つ、私は精神の代表をしているんですけれども、派遣に対してはちょっと後ずさ りというか、やってもいいでしょうけれども、余程のことを考えないと、ただやりまし たというだけではどうにもならない。ただ、短時間は、私はとてもいいと思います。短 時間だったらみんな働ける方がとても多くなるわけですし、私はいいと思うのです。た だし、前回、精神だけに20時間、30時間を0.5のハーフカウントにするという特例だっ たんですね。ところが、それが身体も知的も特例措置というのはないんです。それがな れば、別に特例ではなくなるわけですけれども、そのように考えると、カウント自体と 逆に、精神の場合は、重度であってもダブルカウントがないんです。そういう具体的な ことをまず私はやってもらいたいなということと、もう1つ、やっぱり時間と抱き合わ せで、グループ就労の問題と在宅就労の問題を、前回の法改正で、在宅就労は在宅支援 団体ということで、特例報奨金や特例調整金に換算するという形になったんですね。で は、それともう1つは、前回の法改正で、グループ就労訓練という制度もできました。 これは、委託した場合に、確かサポーターの雇い上げの助成金だったですね。ですから、 先ほど座長がおっしゃったように、少しこの我々が議論している雇用促進制度、雇用率 制度、雇用納付金制度でオーソライズできるかという議論だと思うのです。  一方で、そういうところが半分進んでいる。それを雇用率にうまく持って行けないの だろうか。在宅就労、あるいはグループ就労も、雇用率も、雇用納付金では特例で認め られていますので、それを雇用率にうまくチェンジできないのかというところも、もう ちょっと議論を深めていただきたいというのが私の願いです。 ○岩村座長  ありがとうございました。多分、今の御議論は14ページの「その他」のところにも関 係する御議論だろうと思います。そこで、ちょっと全体のことなんですが、今日お示し いただいたペーパーでは、一番最初にまず総論というのが立っていて、それから2ペー ジで障害者の短時間労働についてという項目が立ち、それから5ページで障害者の派遣 労働についてというのを立てて、それから、11ページで障害者の紹介予定派遣という項 目で、最後に14ページで、その他という構成になっておりますけれども、この全体の構 成について、何かご意見ありますか。項目の立て方とか何かで、例えば、別のもう少し 独立した項目を立てた方がいいのではないかとかですね。逆に統合した方がいいのでは ないかとか。そういう御意見があれば、伺っておきたいのですが、いかがでございまし ょうか。 ○松友委員  その他として一括して1ページというのもちょっとなあという感じです。というか、要 するに短時間労働と派遣だけのことが、この委員会で最初から検討する予定だったのか なあという感じがするのでね。それはもちろん重要で、それがポイントなんでしょうが、 いろんな議論のなかから、今の館先生の話も含めて、どういう表現をしたらいいか分か りませんが、今までの雇用政策、あるいは福祉政策のなかで、雇用率とに入っていなか った部分をどうするかという、それを「その他」というタイトルだ、何か若干淋しい感 じがします。ちょっとその辺りをもう少し整理して、項目が立てられるのは立てていく 必要があるんではないか。結論としては、今回出るかどうかは別としましても、こうい う問題意識として、次の時代に送るとしてもですね。ちょっとやはり必要ではないかな という気がするんですね。それが1つです。  それから、1つ教えていただきたいのは、先ほどの片岡委員の議論の続きなんですが、 私も素人で恐縮なんですが、要するに、ここでいう雇用というのは、雇用関係というか、 労働関係というか、それが結ばれていることをもって、いうなれば雇用というふうに呼 ぶわけですね。どんな職種であろうと、業種であろうと。例えば、今、ソーシャルファ ームとか、協同組合とか、いろいろな働き方というよりも、組織形態的なものが話題に なっていて、つまり中間的なオルターナティブな傾向があって、それが出てきているわ けなんです。昔から一部あったんだけれども、最近特にいろんな意味で、出てきていま す。それも、例えば生活協同組合等であっても、それはそこの職員とその生協という組 織の間に協力関係があるから、そこに働く人は、いわゆる被雇用者だということなんで すよね。その形は別にしましてもですね。分かりました。ありがとうございました。 ○岩村座長  宮武委員、どうぞ。 ○宮武委員  1つは、キーワードになっていることが、福祉的就労から一般雇用への移行というこ とで、自立支援法か今発足して、これから通所施設等が就労移行支援事業あるいは継続 支援事業へ切り換えていく段階なんですね。ですから、19年度あるいは20年度という形 で、ちょうどこの雇用率の改正等が出る状況と合っているんですね。そういう背景のな かで、やはり自立支援法関連の部分というのが非常に大きなウエイトを占めると思うの ですね。そこで、多様な雇用形態という意味は、やはり障害者の方の多様な生活形態と いいますか、生活のスタイルを広げ、もっと社会参加を進めるというようなところでの 有効性というのは、非常に大きいものがあると思うのです。ですから、福祉サービスを いかに使うか。ヒアリングのなかで、石巻のケースで、短時間労働を複数の事業所で組 み合わせるとか、そういう例のお話しも伺いました。あるいは、短時間労働と福祉サー ビスを組み合わせるとか、週3回は働きに行って、週2日は福祉サービスを受けるとか、 可能性としては徐々に広げていくためには、私は前回お話ししましたように、福祉的就 労の安心感をやはり広げていくためには、そういうステップアップというか、多様な形 態が必要だと思うのです。そういう意味では、1つは、自立支援法との福祉サービスと の関連で、項目として立てることはできないものでしょうか。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  まず、松友委員と館委員のおっしゃった点ですけれども、分からないわけではないの ですが、前回の労働政策審議会での結論、つまり、前回の法改正での宿題についてどう いうふうにするのかということで、持ち越されているのが派遣労働と短時間労働の取り 扱いだったということで、それをどういうふうに議論するのかということが、多様な雇 用形態のこの研究会に課せられた宿題だと認識しています。ターゲットは2つはっきりし ていて、それの点については、議論をしてきましたということなので、これだけなのか ということではなくて、この2つについては、テーマがはっきりしていたので議論をし てきたという経過だと私どもは思っております。ですから、その点でいうと、今お話し があったような福祉的就労との組み合わせをどういうふうにするのかということを、具 体的に議論すべきではないかということをおっしゃるのではなくて、この点について、 どういうふうに考えるべきなのかという具体的なテーマをお出しになって、それに沿っ て議論をした方がむしろ建設的なのではないか。ですから、「その他」の方でひとくく りにしているというような意味ではなくて、もし福祉的就労と一般的な雇用との繋がり をどういうふうにするのかということで あれば、それは今、総論のところでも一部書いてあって、福祉的就労から一般雇用へと いう流れをどういうふうにするのかというのは、議論は全然妨げているわけではないの で、その点のなかから、何か出てくるものを具体的に議論するというのがいいのではな いかと思います。 ○松友委員  私は前回の法改正の時の記憶は定かでなかったということと、あの法改正の後に、基 本的には自立支援法が全面施行されたということで、やはりちょっと状況が変わったな あという意味で、今、宮武委員も含めておっしゃったようなことについて、急浮上して きた面があるという視点があったので発言いたしました。ただ、具体的な、プレゼンテ ーションとか問題提起について、今、委員がおっしゃったようなきちんとした項目を立 てるというような形で、問題を整理していく必要はあろうかと思いますので、そういう 意味では、大変いい御指摘だと思います。以上です。   ○岩村座長  今の点ですが、「その他」というくくりかたがいいかどうかということも含めて、ち ょっと事務局とも検討させていただきたいと思います。ただ、他方で、正直、率直なと ころを申し上げると、派遣労働のところをどうするかというのは、かなり重たい宿題で ございまして、今日、「その他」と書いてあるところの問題とか、先ほど館委員や松友 委員や宮武委員がおっしゃった問題が、非常に重要である。とりわけ、自立支援法との 関係をどう整理するかというのは重要であるということも分かりますので、一応、議論 ということで、取り上げてはいきたいと思いますが、今回の議論でどこまで踏み込める かということについては、その点も含めて、事務局とも御相談させていただければと思 います。  北浦委員、どうぞ。   ○北浦委員  その点で1点、関連して申し上げれば、全体的にそうだと思うのですが、この研究会 果たしかに雇用率制度の在り方であって、どのように雇用率制度を変えなければならな いのか。これが主題であるわけですが、もう1つは、やはり今の議論にも出ているよう に、雇用率制度を実効あらしめるにはどうしたらいいのかという議論もあるわけで、む しろ、そういった角度から、ただ今のお話しなんかも、少し将来に残すものとして発展 させていただければいいのではないかと思います。それぞれに、そういう問題はあるん だろうと思うのですが、全体として絡めた時に、例えば、福祉的就労から移す時に、ど のものをどのように活用していくのか。それによって、この実効をどうあらしめるのか。 というような角度で最後にまとめていただければ、そういうような議論は出てくるのか なという気がいたしました。 ○岩村座長  ありがとうございました。あと、もう1つだけつけ加えさせていただくと、例えば、福 祉的就労から一般就労への移行ということで、例えばグループ就労の問題であるとか、 それから、20時間未満の短時間労働の問題をどう扱うかという話はあるんですが、御指 摘の通りなんですが、ただ、それと雇用率をどう結びつけるかというのが結構難しい。 うまく仕組まないと、要するに、今まで雇用率でカウントされていた人たちから、グル ープ就労や何かの方に移ってしまうという別の反作用も起こりかねないものですから、 企業にしてみれば、自分のところの事業所に来てもらうよりは、ひょっとすると、自宅 でやってくれる方が、いろんな障害者のためのアコモデーションをやらなくて済むとい う部分もあるので、それで、カウントしてもらえるなら、そちらがいいやということも 起こりかねません。ですから、それが駄目だという趣旨ではありませんが、もう少し深 い考察もちょっとしておかないと、なかなかグループ就労なり、20時間未満の短時間労 働を特に雇用率の関係で、どう取り上げるかというのは、何かもう少し議論を深める必 要があるかも知れないと思っております。  あと、それから、もしよろしければ、ちょっと1ページ目に戻っていただいて、その 総論のところで、論点としては、大きな論点ということで、多様な働き方についてどう いう評価をすべきかということで、さらにそれをブレイクダウンして、[1][2][3]というふ うに出ているんですが、総論については、この大きな論点と、その3つの論点というよ うな形で整理するということで、皆様よろしいですか。何か皆様、気が付いたことがお ありですか。  村上委員、どうぞ。 ○村上委員  論点1の[1]なんですが、これは短時間労働や派遣労働の論点のところでもそうなんで すが、そういった働き方が増えているから、障害を持つ方の雇用もそういう形態を増や していくというような流れから出ているような感じもするのですが、もし、別にそうい う働く人が増えている、増えていないに拘わらず、障害を持っている方の雇用をどう促 進するかという観点から、そういう短時間労働や派遣労働をどういうふうに考えるのか ということで考えるべきではないかと思います。ちょっと、言葉遊び的なことになりま すけれども、そういうようにした方がよいのではないかと感じました。ちょっと総論と 離れるのですが、短時間労働や派遣労働について、ヒアリングなどの意見を見ています と、メリット、デメリットいろいろ御意見が出されておりますので、そこは障害を持つ 方にとってのメリット、デメリットというのを整理した議論がこれから必要なのではな いかというふうに感じました。 ○北浦委員  今のところの下の[2]のところなんですが、先ほどの御説明にもあったんですが、ステ ップ論というのが大分出ているんですね。多様な働き方が1つの一般的就労へのステッ プだというような言い方です。ここの書き方が、一般雇用に移行していくための段階的 な働き方なんだというような書き方になりますと、これが、例えばパートタイムで働く ということが、もうそれ自身が一般雇用で、その形が一番いいんだという方にとっては、 何か段階的な中途で止まっているような感じにとられてしまいます。ですから、そこは、 2つあるわけで、やはり、そのようにさらに時間を伸ばして働くような場合もあるでしょ うし、違う形態に移る場合のステップになる場合もあるし、あるいは、パートタイムと いうのが極めて短時間の場合のものであって、さらに変わる場合の段階のものもあるけ れども、場合によっては、その派遣でいいとか、派遣が一番望ましい、段階的なそのパ ートタイムという形が非常に自分の身体の関係からいって、一番適切であるとか、そこ に一番最適な雇用形態を見いだした場合もあります。何かそういうことを考えますと、 あまり段階という言葉で、全てそれでくくってしまうと、ちょっと危険かなという感じ を私は持ちました。しかし、そこのところは2つあっていいわけで、何れにしても、どっ ちも安定した働き方でなければいけないことは間違いないのですが、そういう段階的に なる場合もあるでしょうと、それ自体が、それ自体として、安定した働き方にして、認 めていくという場合もあるでしょうし、そういう両方の意味合いを含んでいると捉えた 方がいいのかなと思いました。ちょっと段階という言葉の使い方が、随所に出てくるん ですが、そこは何か注意深く書いた方がいいのかなという感じを持ちました。特に短時 間就労については慎重にする必要があるのかなという気がいたしました。 ○高齢・障害者雇用対策部長  全体を通じての話ですが、皆様方それぞれの立場から御発言なさっているわけです。 やはり、研究会としては、いろいろな立場、視点から議論していただきたいと思ってお ります。1つは、やはり雇用率制度そのものがそうだと思いますが、企業の社会的責任 といった観点、ようするに企業の側からみて、企業の側に対してといった方がいいのか も知れませんが、それをどういうふうに見ていくか。そこで、パートタイム労働につい て、数からすれば輪島さんがおっしゃったように、派遣は数としてはそんなに多くない かも知れませんが、今ではパートタイム労働は全体の4分の1ぐらい占めるという状況に なっています。そういうなかにおいて、どう考えていくかというのが、1つの視点とし てあるだろうと思います。それから、もう1つは、やはり障害者の方の観点というのが 当然あるわけです。今、北浦委員から言われましたように、そういう働き方が、その方 の障害の程度、状況からして適当という場合があります。それから、前回のこの研究会 でも出ていましたけれども、むしろここで留まるのは適当ではないという議論と、両方 あったわけです。  1番のところは、どちらかというと、社会全体がパートや派遣が増えていくなかで、そ もそもそういったものをどう見るのか。そういうなかで、企業の社会的責任をどう考え るか。という議論だろうと思います。それから、2と3の書き方がちょっと悪いのかも知 れませんけれども、2は、むしろ最終的には一般の常用雇用へという方について、派遣や パートが増えてきたなかで、それを活用できるかどうかという議論だろうと思います。3 番目は、むしろ最終的な形として、パートとか派遣という形でもいいかどうかという議 論だろうと思っています。ちょっと書き方がうまくいっていないのかも知れません。そ こは、これは結論を出したつもりではなくて、いろいろな視点があるということを前提 に議論していただきたいということを考えております。また、企業側から見るか、障害 者側から見るか、いろんな観点があると思います。それから、あるべき姿をどう実現し ていくか。それは、論点の書き方もありますし、むしろ議論のなかで、その辺をうまく こなしていただければ幸いです。 ○岩村座長  どうぞ、松友委員。 ○松友委員  しつこく言ってごめんなさい。今、部長さんとか、いろいろな委員の方が言われて、 だんだん整理できてきました。特に、輪島委員から、先ほど御指摘いただいて、よく分 かるんです。だから、パートというか短時間にしても、いわゆる派遣にしても、一歩間 違うと、確かに正規雇用よりも不安定云々であって、そこでそれを雇用率にカウントし て固定化するのではないかという批判も当然出てくる可能性もあると思います。これは、 特例子会社ができた時も、やはり同じ議論があったと思います。だから、多分、私はそ ういう批判をして、叱られた覚えがあるんです。だから、何らかのいわゆる福祉的就労 といわれている、要するに雇用率と関係のない部分と、いわゆる雇用率にカウントする 部分との間の差が、あまりにも離れすぎているので、そこにやはりいろいろな形で入れ 込ませていこうというのは、企業にとって雇用率のカウントになるし、企業にとっても いいし、事業所にとってもいい。そして、障害者である働く人にとっても、給料等にお いての条件が良くなるかということで、ある面では、やはり両者のニーズが一致してい ます。また、そういう制度でなければいけないと思うのです。そういう視点からみると、 やはり今、また福祉の話に戻って恐縮ですが、やはり一番大きな問題は、かなり障害の 重い人たちを、ある程度の賃金というか、工賃というか、何といってもいいですが、ど う持っていくか。別に、全く別の手当等における所得保障の議論は、全く机上の空論で しかないなかで、やはり、B型ぐらいの、最低賃金の3分の1ぐらいまで保障できないか。 しかし、実際問題として、それを保障する方法とかアイディアは何もないわけです。と したら、その辺りを、何かB型との組み合わせで、雇用率の3分の1カウントみたいな形 で、企業側の雇用率との間で、相乗りできないかなという辺りが、実は現場サイドでか なりニーズとして高いものがあります。これが、実際、まさにもろに労働と福祉と違う のかも分かりませんが、これはやはり、企業サイドからみても、障害者サイドからみて も、非常に利害は一致するのではないかという面もあります。今回、どこまで踏み込む か別として、やはり、結局は、雇用というと軽度の人だけを相手にしているのではない かといわれているので、特に重度知的等の親御さんたちのイメージからみると、やはり 現実に対応できる、ベストの理想を持っていけば一番いいんですが、なかなかそういう 生活支援とか、いろいろなものをかなりサポートを受けながら、そして、そこそこの収 入となっていくと、宮武さんが言っていたように、かなりその辺りの制度的な重なり合 いを大胆に持っていかないと、現実的にはいかないのではないかという思いがあります。 今回、議論するかどうかにしても、ちょっと項目的に問題提起ぐらいはして欲しいとい う感じはします。 ○障害者雇用対策課長  こちらからも再三申し上げて恐縮なんですけれども、雇用率制度をもって、今、松友 委員がおっしゃったような問題定期ですが、雇用率制度をもって企業に社会的な責務、 責任として何を求めていくかという議論であろうかと伺いました。私どもの今の雇用率 の制度は、雇用契約がある働き方で、企業で働きたい障害者の方の雇用機会を確保する ために、どの企業においても1.8%という雇用率を実現していただくことによって、それ が実現するので、それを目指して、各企業で雇用機会をきちんと確保していただきたい。 こういう制度になっているわけです。ただ、現実には、それが1.52%ということですから、 そういった働き方を企業ではまだ十分に御用意していただけていないという状況がある ということだろうと思います。そこで、この研究会でも御議論いただきたいと思ってお りましたのは、1つは、派遣労働に関して申し上げれば、今までの議論の経過のなかで も、派遣労働という働き方のなかで障害者の方の働く機会が確保されていないという意 味で、いわば雇用率が1.8届いていない1つの要因になっているのではないかという問題 意識があったということがあります。それから、もう1つは、短時間労働に関していえば、 企業で働くということの働き方が広がっているなかで、短時間労働の部分については、 義務の対象にしておりませんので、短時間労働という働き方での確保が、これもまた、 制度の外に、同じ企業で働くということであるのに、はみ出しているという状況をどう 考えるか、という観点であろうかと思います。  そういった意味で、その周辺領域で、雇用率制度との兼ね合いで、どこまでの範囲を カバーするのかというのは、雇用率制度をもって、どこまで企業に、何を求めていくの かということを、御議論いただくということではないかと思うのですが、仮に今お話し が出ているような福祉的な就労の部分まで含めてカバーしていくというお話しが出てく るとすれば、それは逆に求める範囲が広くなるということでございますので、1.8%とい う設定自体をどう考えるかということにもなってまいりますから、そのことも含めて御 議論いただくということではないかと、今、御意見を伺って、思っていたことでござい ます。 ○岩村座長  ありがとうございます。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  先ほど、松友委員と宮武委員がおっしゃった点ですが、福祉的就労と一般雇用との兼 ね合いは、課長がおっしゃったように、全体的なことだと思うのです。先ほどは雇用の 定義の話がありましたけれども、雇用の周りの多様な雇用形態というところを、今、ど ういうふうにするのかという議論と、ここの福祉的就労から一般雇用へというのは、い わゆる就労というものをどういうふうに考えるのかというのは、やはり別の次元で整理 をして考えなくてはいけない議論だろうと思っていますので、まず、別な議論だという 整理が必要だということと、それを本気で議論する場はどこなのかということは、そこ も考えないといけないと思います。少なくとも、障害者雇用政策と障害者福祉政策とは 分けてきたわけですから、福祉と雇用の連携と福祉と雇用との連携というふうに言い始 めていますけれども、その中間に落ちているいわゆる福祉的就労というものを、本当に どういうふうな位置づけにするのか。具体的にいえば、工賃の1万円の世界と、最賃の 11万円、12万円の世界とのギャップを、どういう形態で埋めるのかという議論をどこで するのか。ここでもするのか。他でもするのか。そこはどうなのかというのは、整理を しなくてはいけないのではないか。  それから、北浦委員がおっしゃった点で、企業側で一番思うのは、段階的というのは、 一方通行ではなくて、帰る方向、つまり、一般的な雇用からむしろ加齢に伴って、かな り高齢になって、60歳定年という法的な枠組みも当然かかってきますけれども、そうで はなくて、ある程度の余力をもって福祉的就労に帰って行くというようなルートも、別 途つくるべきなのではないかと思っています。ワンウェイで昇っていくだけではなくて、 階段を降りていく仕組みも、一般雇用から福祉的就労へというルートもつくっておく必 要があるのではないかと思っています。その点だけでいうと、階段は昇るだけではなく、 降りる方法も是非御検討いただきたいと思っています。 ○岩村座長  ありがとうございます。先ほど来の宮武委員や松友委員や館委員の、「その他」の部 分については、基本的には私が先ほど申し上げた通りでありまして、この検討会でどこ まで踏み込むかということは、それ自体、今後議論していく必要はあるとは思います。 問題提起は受けとめて、この場で議論はさせていただきたいと思いますが、ただ、是非 御承知おきいただきたいと思うのは、今の輪島委員の御発言とも関係しますが、福祉的 就労との組み合わせということを考えると、雇用率の在り方そのものを考え直さなけれ ばいけない部分がどうしても出てきてしまいます。その意味で、この検討会で、どこま でやれるかということは、やや限界があるかも知れないということだけ、御理解いただ きたいと思います。 ○松友委員  輪島委員の問題整理は本当にその通りだと思うのですが、それ故に、社会はこの委員 会を注目しているわけなんです。といいますとは、さっきも言っているように、去年、 自立支援法が全面施行されて、そこで打ち出されたのは就労支援と地域生活支援だ、こ れが柱だということで、私たちの団体はこれに賛成して、推進した立場です。何故かと いうと、就労支援で、いよいよ働けるではないかといった時に、では、中身は何だとい った時に、いやいや、この前の法改正は、精神の問題と、もう1つは重度者の問題だけだ った。あれは、時間的になかったから、次の改正で一気にその問題を議論するんだから といってできたのが3つの委員会なんでしょう。そうすると、教育との連携の委員会とか、 中小企業と、それと、この委員会です。これらの委員会だけで、いわゆる雇用の拡大と いうか、今既に働いている人、例えば短時間労働とか、あるいは派遣労働とかで働いて いる。しかし、カウントされていないから、カウントをどうしましょうかというのであ れば、現実的に就労は伸びないわけです。一般雇用は、逆にいうとですね。つまり、何 らかの雇用率を使うことによって、一般雇用が伸びる。即ちもっとはっきりいうと、工 賃から賃金に移る人たちを増やすとなると、別の委員会とか、別の仕掛けをつくるか、 ここでやるかでないとですね。いわゆるまた5年間、この就労と地域地域生活で立派な 自立支援法だと言ったことは、絵に描いた餅で終わってしまうということになる。そう 感じるものですから、何らかの形をここに出していかないと、行政としても、あれは5 階の責任だと言えばそうかも分かりませんが、労働省と厚生省が合体した統合効果、あ るいはその間における、この法的な大きな改正からみた場合、かなり社会の関心と期待 が、この問題にかなり大きくあると私は思います。ですから、結論は出さなかったとし ても、今、輪島委員のおっしゃったように、何らかの形で、「その他」ではなくて、や はりちょっと出して、次に問題を先送りしてもいいんですが、これが十分に議論され、 関心が持たれ、そして、討論されたということを出していかないと、ちょっと、やはり 次もきついかなという感じがしますので、先ほどからしつこく言っております。 ○障害者雇用対策課長  再三申し上げて恐縮です。今、松友委員がおっしゃっているような問題で、福祉的な 就労と一般雇用の間のギャップが非常に大きいというのは、私どももそれは制度の上で も大きな課題として感じているところです。その点について、新しい自立支援法との兼 ね合いでいいますと、先ほど御紹介もいたしました就労継続支援事業のA型という新しい タイプが出てきて、福祉の事業のなかで雇用されて働いていくというような、中間的な タイプも出てきたわけでございます。従来、福祉工場については、箇所付けが限られて いて、広がりがなかったのに対して、このA型については、基本的に事業に参入すること が自由な形になってきていますので、私どもは今の自立支援法と、私どもの雇用の対策 との兼ね合いで考えますと、このA型みたいなものがより広がっていって、松友委員が今 おっしゃったような中間的な働き方として、1つの形になっていくということができてい ければという思いもございます。ですから、そういった点も含めて、この場で御議論い ただくことができれば、その点は、例えば、これからの自立支援法の運用に生かしてい くとか、そういった面での福祉サイドとの連携をもっていきたいと思っております。幅 の広い御議論ということであれば、そういった辺りも御議論をいただければと思います。     ○岩村座長  それでは、今の問題は一応一区切りにいたしまして、もし後でまた御発言があれば承 りたいと思います。  私からの質問でちょっと申し訳ないんですが、1ページ目のところの論点1のところで、 多様な働き方とか、「働き方」という言葉になっているんですが、検討会自体が、多様 な「雇用形態」というふうになっていて、1ページに出てくる多様な働き方と多様な雇 用形態というものとが、どういうふうに関係しているという理解なのかというところを、 ちょっと承りたいのですけれども。 ○障害者雇用対策課長  今、「多様な雇用」と「多様な働き方」という言葉の使い分けの問題を御指摘いただ いたと思います。そこのところは、大変恐縮ですが、ある意味、あまり深い整理をせず に、使い分けずに使っている面があります。論点の設定に当たっては、やや、多様な雇 用形態というのが固い言い方かなと思ったものですから、多様な働き方というのをもっ ぱら使わせていただいたような形になっています。 ○岩村座長  というのは、何故そのようなことを言うかというと、今、先程来議論になっていた、 例えば、福祉的就労との関係とか、そういったものとの関係を考えた時に、例えば、あ るいは、20時間未満の非常に短い短時間労働を組み合わせるというようなことを考えた 時に、それをその捉え方として、どちらで捉えていくのか。つまり、要するに多様な働 き方ということでみるのか、それとも、多様な雇用形態ということでみるのか。それに よって、1つは、総論のところで一体どこまで我々が視野に置いて議論をするのかとい うことと関係してくるという気がするのです。例えば、これでいえば、[3]のところは多 分職業的自立ということの表現が適当なのかどうかも、多分障害者団体の方にちょっと お伺いした方がいいのか。ただ、これは雇用政策の問題なので、文体としては職業的自 立になるのだと思うのですが、それから考えた時には、多分、多様な働き方という表現 の方が適切であろうという気もします。例えば、[2]のところをみた時には、これは、多 様な働き方が福祉的就労から一般雇用へというふうに書かれてしまっているので、多様 な働き方と雇用の関係というのが、今1つぼやけているなと思います。例えば、先ほどの 北浦委員の議論からいえば、一般雇用と書くとちょっと問題がありますね。だから、一 般を除けばいいのかという気がするんですね。そうすると、まさに多様な雇用形態も含 めた形での雇用への移行ということになるので、そうすると、多様な働き方がの、「が」 というのが、どういう意味を持つのかとか、いくつか細かいところがあるような気がす るので、ちょっとそこが少し、いわば議論の視野の広げ方の問題と、焦点の絞り方の問 題と、用語の問題といえば用語の問題とも関係するように思いますので。  はい。課長、お願いします。 ○障害者雇用対策課長  それでは、その点について、事務局としてこのペーパーを整理した立場での考え方を 申し上げますと、働き方という言葉を使っておりますが、ここで御議論いただきたいと 思っている点は、雇用形態というふうにお読みをいただいた方が、むしろよろしいので はないかと思います。その意味は、先ほど申し上げましたように、雇用率制度を中心に ここでは御議論いただくわけですが、雇用率制度が今、企業に求めているものは、雇用 の形での障害者の働く場の確保であって、それを1.8%という形で実現をすると、障害者 の方で働きたいと思っている方の働く機会が十分に確保されるということを目指してい るわけですから、その雇用率制度のなかでいろいろな雇用形態が出てきているというこ とについての対応を、どのように考えていくかということを、検討事項としていただく ことができればと思います。その場合、1つは派遣の問題があり、それから短時間の問 題があるということであろうかと思いますし、仮に福祉的な就労やステップ論でいえば、 先ほどのA型による雇用形態というのはどう考えるかというは確かにあろうかと思います。  そういった部分と、あとは、その延長線上にございます福祉的な就労との位置づけの 部分については、そこは非常に大きな御議論でもございますので、まず議論の中心軸と しては、雇用形態のところに着目をしていただいて、御議論いただくということではな いかと思っております。 ○岩村座長  そうしますと、先ほどの部長の御発言もあり、あと、宮武委員、松友委員、館委員等 の御発言もあって、基本的には、短時間雇用と派遣だというのは、前回この委員会に課 せられた宿題としてあります。多分、その先を考えた時には、先ほど問題提起があった ような、その福祉的就労との問題ということをどうするかということもあります。そこ で、ちょっと御検討いただきたいのは、総論のところで、下のところで短時間雇用と派 遣といったことを視野に入れて、あるいはA型というところまで視野に入れて、多様な 雇用というところでターゲットを設定するとして、「その他」というくくりにするのか どうかはまた別として、もう1つ、雇用形態というものからもうちょっと越えたところ の多様な働き型というものがどういう意味があるのかということを、総論のところで少 し出しておくということも有意義ではないかなという気がするんですが、いかがでしょ うか。そこまで踏み込むのは、ちょっと難しいという感じですか。  松友委員。 ○松友委員  要するに雇用率にどうカウントするかというのは最終的なターゲットなので、それは 雇用関係が多様化しているから、それにどう合わせるかというのが、基本的にこの委員 会の目的なのでよく分かります。だから、逆にいうと、雇用形態に乗らない限りは雇用 率の話にはならないわけですね。簡単に言うと。そうすると、いわゆる福祉的就労とい われている部分を雇用関係にどう乗せるかというのが、私はさっきから言っているのは そういうことかなという感じがするのです。別な変な言い方をすると、ダブル関係、ダ ブル国籍的な形で、そういう形のパラダイムシフトができないのか。別な言い方をしま すとですね。そうすると、雇用率の関係が、雇用になるわけで、雇用でなければ、変な 言い方をすると、自営とか、さっきから出ているのは、内職とか、いくらあれしていて も、雇用でなければ雇用率の議論に元々乗りませんから。だから、先ほど在宅就労であ っても、これは雇用に乗れれば、まさに雇用率のあれとしては、入りますよね。何か、 先日、日経新聞なんかを見ていたら、政府は在宅雇用の率をものすごく増やすと書いて ありました。何か、何百万まで増やすとか書いてありました。だから、その辺りがなれ ば、これは障害者であろうと、なかろうと、関係なく、いわゆる雇用という関係でやり とりできるので、いわゆる福祉的就労という形で、平たくいうと、雇用から切り放され ている人たちを雇用に、いわゆる完全ないわゆる正規雇用とか派遣とか、その延長のな かで、何とか仕掛けができないかという辺りが、多分私が言っている期待かなという感 じがしました。ですから、そのタイトルを付ける時も、ちょっと福祉的就労をどうする かとしてしまうと、ちょっと言語矛盾というか、元々議論に入らないというのは当然で すので、ちょっと切り込み、タイトルの付け方とか、その辺りはどうかなという感じが しました。 ○岩村座長  部長、お願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部長  用語の整理等については、させていただきたいと思いますが、私どもとしては、基本 的には、福祉的就労のなかでもA型みたいに雇用に位置づけているものもありますけ れども、福祉的就労の姿そのものをより安定的、報酬が高いものにしていくためにどう するかという議論は、これ自体否定するつもりは全くありません。ただ、一方では、や はり企業の社会的責任等とのなかで、障害者を企業としてどうやっていただくかという、 そちらのサイドとの関わりの議論というのは、やはり大きな論点だろうと思っています し、そういうなかで、前回からの宿題として、パートと派遣が残っている。だから、こ れはこれとして、企業との関わりというなかで、是非議論していただきたい。ただ、そ ういうなかで、福祉的就労をよりグレードアップしていくというものは、企業との関わ りによるのか、あるいは企業とは少し切り放した観点からの障害者の自立という観点で やっていくのか。むしろ私は、それは企業という観点から少し離さないとうまく議論が 進まないような気もしていますし、その議論を進めるなかで、企業にどういうサポート をしてもらうかというふうな関わり型が、企業との関係かなと思っています。もちろん、 労働分やだから企業との関わり以外のものはやらないというつもりはありません。ただ、 やはり主たる論点と、そこから発生してきた問題というのは、少し分けて議論していた だかないといけません。あまり焦点がぼけすぎると、やはり残っていた宿題が生煮えに なるのも困るなと思っています。何れにしましても、今日の議論を踏まえて、座長とも 相談しながら、言葉遣いを含めて整理をさせていただきたいと思っています。 ○岩村座長  宮武委員、どうぞ。 ○宮武委員  福祉的就労ということが今、自立支援法では就労継続のB型という形になると思うの です。従来は、そういう形態はなかったわけです。今、自立支援法のなかでは、就労 移行支援事業がベースになるわけです。ですから、通所施設の施設体系の見直しのな かでまず就労移行支援事業が、移行支援としてあって、それで就労継続A、Bというよ うな形になっているわけです。だから、今議論になっている福祉的就労という範囲が、 自立支援法の解釈では非常に狭まっている形なんです。やはり、一挙に作業所イコー ル福祉的就労から一足飛びに一般雇用へというような形ではなくて、その就労移行支 援事業というものがあるわけですから、それを使ってということになるんですね。だ から、その辺を少し整理といいますか、自立支援法を前提として議論をする場合は、 もう少しそういう視点から議論が必要かなと思っています。 ○岩村座長  ありがとうございます。舘委員、どうぞ。 ○舘委員  さっき松友委員は、結局雇用の問題かとおっしゃったんですが、私は必ずしもそうは 思いません。この題を見ますと、雇用率制度の在り方なんですけれども、もう1つ、や はり雇用納付金との関係というのもあるわけです。やはり、そちらの方も、例えば、こ の前、補完なのか、要するに保障するのか、プラスアルファなのかという話もありまし た。そうなった場合、例えば、派遣先に助成金を出せばいいのではないかとか、いろい ろな問題があります。それは大事な条件ですけれども、例えば雇用納付金、あるいは、 逆に助成金、報奨金の制度というものも、もう1つ視野に入れた議論というのが必要か なと思うのですが、いかがでしょうか。 ○岩村座長  それは、むしろ先程来おっしゃっていた福祉的就労の問題とか何かとの関係でいうと、 私がお話しを伺っていての感じとしては、例えば福祉的就労といったものを、より雇用 の世界に近づけていくということを考える時に、それのためのいわば政策のツールとし て、雇用率というものを使うのか、それとも、例えば、報奨金とかそういったものを使 うのかとか、いくつかのいわば政策のツールというのはあるように思うのです。ですか ら、雇用率を使うというのは、ある意味ではかなり大きなインパクトはあるのですが、 それだけに、やや従来の制度との整理とかというようなことで、議論が大がかりになっ てしまう。そういう面はどうしてもあると思うのです。それは、先ほど私が申し上げた 通りだし、課長がおっしゃっていたのも、そういう趣旨だろうと思います。ですから、 宮武委員などがおっしゃっていたようなことについては、私としても十分受けとめたい と思っています。受けとめようと思いますが、ただ、この場での議論のなかで、どうす るかというのは、ちょっと事務局とも御相談させていただければと思っております。雇 用率という世界だけで議論するということになると、ちょっと大がかりな議論で、いろ んなリバカッションその他も考えた上での議論をしなくてはいけません。雇用率制度そ のものの在り方に、場合によっては関わる話になるものですから、ちょっとこの検討会 でやるのには重た過ぎるという気もいたします。とりわけ短時間と派遣について何とか しなければ、要するに宿題としては答えを出さなければいけないということがあります。 その辺もちょっと御理解いただいた上で、後でまた、事務局と私の方で御相談させてい ただければと思います。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  もっとシンプルに、さっきから一生懸命頭を悩ましていたんですけれども、要は、雇 用をする人をどうやって増やしていったらいいかという考え方を進めていくなかで、先 ほど短時間というのと派遣というのをどういうふうにしたら雇用率を上げていくかとい うところを話し合うのは分かってきたのですが、ただ、1つここで伺いたいのは、この 雇用のパーセンテージを出す時の単位というのは、従来の大中小とか零細とかという区 分での雇用率の算定の仕方なんですか。その辺のところが分からないと、例えば、一生 懸命短時間労働者とかパート労働者が30人ぐらいの会社にいっても、それは雇用率に算 定されないとか何とかという話になってきてしまうと、ちょっと、その辺の見直しもす るのかなというところがあって、その辺の確認をしたいのですが。 ○障害者雇用対策課長  今、法定雇用率1.8%で設定しておりますので、この割合というのは、逆算しますと、 56人に1人という形になります。従って、規模で申し上げますと、56人以上の企業に具 体的には雇用義務が発生するという形になっております。今、御指摘あった点でいうと、 55人以下は、実は雇用義務そのものは事実上かかっていないという形でございます。 先程来、全国の平均での、全業種の平均が1.52%と申し上げているような、この実雇用 率の数字は、これは56人以上の規模、つまり雇用義務がかかる対象の企業から年に1回 必ず報告をいただくことになっておりますので、その報告を集計したものがそのデータ となっていて、つまり、本来であれば、これが1.8をクリアできれば、基本的には必要 な機会が確保されるということになるわけです。それがまだ十分に確保できている状 態にないということになります。  それから、では55人以下のところには何も手が打たれていないのかということにな ろうかと思います。その点については、1つは、助成金の制度は規模を問わず対応をし ておりますので、30人とか20人、あるいは10人というような小さな規模の企業でも、障 害者の方を雇いになった時の施設の改善とか、あるいは雇い入れに係るいわゆる特開金 というようなものとか、そういう助成金は対応しております。それから、ハローワーク の職業紹介の場面でも、もちろん雇用率との兼ね合いで大きな企業からの求人が多く出 ているということもありますけれども、小さな規模の企業の求人もいただいております ので、全体でみれば、4割ちょっとぐらいの就職は、ハローワークの就職でも、小さな 55人以下の企業に就職が実現しています。こういった意味で、ハローワークでの職業紹 介も56人というような部分での境目を問わずやらせていただいているという状況です。 ○岩村座長  鈴木委員、よろしゅうございますか。 ○鈴木委員  それは理解しました。ただ、ここで雇用率とかというふうに出てきてしまうと、その 辺のところも踏まえて考えた方がいいかなというのが1つと、それともう1つ、今の話で 分かったというか、やはり就業というところの、いわゆるさっきの働くということにつ いて、雇用されるという、いわゆる56人以上の企業だけでなくて、いろいろなところで 働いている人たち、特に先程来、福祉的就労といっていた人たちというのは、そううっ たところが多いわけで、その辺のところもちょっと視野に入れて考えないといけないと 思います。 ○岩村座長  松友委員、どうぞ。 ○松友委員  よく分かりました。ワーキンググループとしての小委員会としての目的と云々に対し ての回答ということで、それとは別に、先ほど輪島委員から御指あったように、どこか で一度、きちんと議論していかないといけないだろうと思います。その雇用率も含めて ですね。というのは、ご存知のように、前の法改正と今度の法改正の間に起こったのは 自立支援法の問題と、もう1つは、国連の障害者権利条約の問題が起こってきました。 この権利条約の議論のなかに雇用率制度の問題も若干議論があったはずです。これはこ れとして、クリアしたんですが、かつて教育が修学義務制ができるまでは、入所施設等 における子どもたちの教育も、みなし教育ということで、そこで教育をやっていると言 っていました。福祉がイコール教育だと言っていて、ところが今、雇用形態とか労働に おいては、何か福祉的就労という訳の分からない、かつての施設における福祉学習と同 じようなことを主張して、雇用との間でキャッチボールをしている。これは、やはり本 質的におかしいのではないかと思います。やはり、これは国連の世界的な流れからみる と、ボケーショナルなサポートとなると、これは旧労働省が全部担う。そのなかから、 担えるような、そして、わが国がもし雇用率制度をベースにしているんだったら、雇用 率にどうカウントするか。そういう発想と戦略でいかないと、私は権利条約も批准でき ないのではないかと思います。そういう大きな流れは、この小委員会でやらないのはよ く分かりましたので、もうやめますけど、是非、今度の法改正の時、それが絶対に出て くるし、我々は当然それを期待もしますので、ちょっとその辺りの整理を、場合によっ ては、法改正を含めたパラダイムシフトを期待したいということで、私の発言を終わり ます。よろしくお願いします。 ○岩村座長  では、御意見として承るということにしたいと思います。  あと、私の方から1点だけお尋ねしたいんですが、派遣に関して、今回のペーパーで は、障害者の派遣労働についてと、紹介予定派遣とを別の章立てにしております。これ は、それでよろしいでしょうか。ヒアリングなどで伺っている限りでも、普通の派遣の 場合とちょっと紹介予定派遣の場合とでは、そもそも制度の枠組みが違うということも ありますし、障害者の方にとっては、その意味も違うように私としては理解しましたの で、こういう形で、両者を分けるという立て方でもいいかとは存じますが、いかがでご ざいましょうか。 (「異議なし」) ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。  その他にございますか。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  今回は細かい具体的なことまでは立ち入らないということでしたが、どうしても少し お聞きしておきたいので、お願いします。まず、10ページの分け方ですが、分け方の案 はこういう通りだというふうには分かりますが、派遣元のモデルですが、派遣元は常用 雇用者で、例えば1,000人いますとします。登録型が4,000人いますとします。それで、 4,000人になった時、4,000人を分けた時に、0.5になるとして、2,000人にして、それに 1,000人プラスする。1,000人プラス2,000人で3,000人掛ける1.8で出すんですか。そこ ら辺、テクニカルにどういうふうになるのですか。  それから、例えば0.5に分けた時に、不測数がどれぐらいになって、結局、ここで0.5 で派遣先にインセンティブを与えることによって、派遣元のアップを狙っているわけで すけれども、それが実現可能性があるのかどうか。全くよく分からないのですが、それ がどうなのか。  それから、同じことは短時間労働で、例えば、イトーヨーカ堂の方にヒアリングを受 けていただきましたが、そこも、常用雇用者が、例えば10,000人で、短時間労働者が 40,000人で、50,000人の会社だとすると、そこで今カウントしているのは、10,000人に ついて、2.0%の実雇用率を持っているけれども、この間の試算でいけば、1.6まで落ちる という、そのスキームがどういうふうになっているのかということをもう1度見せていた だきたい。  それから、その他のところにグループ就労の件がありますが、先ほど館委員がおっし ゃったように、前回の法改正以降、グループ就労の助成金とか、制度があるはずなので、 去年1月に施行されて、1年経っているわけなので、その点の適用状況とかの数字がある のかどうかというようなことについて、次回でも結構ですので、参考までにお示しをい ただいて、具体的に議論する時の材料をいただきたいと思います。 ○岩村座長  そういう御意見、御要望ですので、事務局の方でそれはお願いしたいと思います。  その他、いかがでございましょうか。今日はいろいろ突っ込んで議論していただきま して、大変ありがとうございました。論点整理の入り口の議論としては、非常に実のあ る議論だったように思います。どうもありがとうございました。  それでは、そろそろ時間も近づいてまいりましたので、今日はこの辺りで終了すると いうことで、皆様よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。  そこで、次回ですが、次回は今日の論点整理で整理した論点のうち、第3の派遣の問 題ですね。障害者の派遣労働についてというところと、それから、第4の障害者の紹介 予定派遣につきまして、より具体的な議論をしたいと思います。今、輪島委員からも情 報の提供、資料の提供の御要望もありましたので、それも事務局の方で御用意をいただ いた上で、派遣の問題について議論をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたし ます。  そこで、最後に日程などにつきまして、事務局の方から御説明をいただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  次回は3月27日の火曜日、15時30分から17時30分まで、場所は厚生労働省内の会議室を 予定しております。また、お手元に次回研究会の出欠確認の用紙を配付しておりますの で、御記入いただきまして、お帰りの際に机の上に残していただくか、あるいは3月13日 の火曜日までにファックスで返信していただきますようにお願い申しあげます。また、 第5回の研究会の議事録の未定稿を配付させていただいておりますので、内容を御確認 いただきまして、ホームページに公開したいと存じます。メールでも同じものを御案内 いたしますので、御意見等ありましたら、今月中に事務局まで御連絡ください。以上で ございます。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。最後に、本日の議事についてでございますが、議論の 中身につきましては、特に公開に差し支えるようなものはなかったと存じますので、議 事録は公開という扱いでよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうござ いますか。 (「異議なし。」) ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、これをもちまして、今日の研究会は終了させて いただきます。どうもお忙しいところをありがとうございました。     【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課  雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL  03(5253)1111(内線5855)  FAX  03(3502)5394