07/02/05 第14回がん検診に関する検討会議事録 第14回がん検診に関する検討会 議事次第 1.開  会 2.議  題   (1)参考人によるプレゼンテーション     胃がん検診における胃X線検査の撮影技師と読影医師の現状について   (2)がん検診に関する検討会 中間報告書 骨子(案)について   (3)がん検診の事業評価のための点検表について   (4)その他 3.閉  会 ○鈴木課長補佐 定刻より若干早いですが、委員の先生方が皆さんおそろいになりましたので、 第14回がん検診に関する検討会を開催させていただきます。  本日は、すべての委員の先生方に御出席いただいております。  本日の会議におきましては、胃がん検診における胃X線検査の撮影技師と読影医師の現状 についてプレゼンテーションしていただくこととしており、プレゼンテーションをしていただく参考 人の先生を御紹介させていただきます。福岡県対がん協会付設クリニック院長、北川先生で す。 ○北川参考人 北川です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 その後、案内にはその他ということでなっておりましたけれども、次回が胃が んに関しますがん検診に関する検討会の最終回ということになりますので、その前に、がん検 診に関する検討会中間報告書骨子(案)について御議論していただき、最終報告の参考とさせ ていただければと思っております。  また、本日会議の一番最後になりますが、事業評価のための点検表について、斎藤委員か ら御説明の後、質疑を行う予定としております。  それでは、垣添座長に進行をお願いいたします。 ○垣添座長 皆さん、こんにちは。年度末の大変お忙しい中、委員の皆様には全員御出席い ただきまして、誠にありがとうございます。  それから、今、御紹介されました福岡県対がん協会の北川参考人には、お忙しい中御参加い ただきまして、誠にありがとうございます。  本日は胃がん検診の検討会の3回目でありますが、中間報告書の御議論も含めて2時間よ ろしくお願い申し上げます。  では、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りさせていただ いておりますが、まず「第14回がん検診に関する検討会議事次第」という1枚のペーパーがご ざいまして、その次が委員の名簿、それから「第14回がん検診に関する検討会資料一覧」とい うことで、資料1から資料3及び、参考資料の4点を次からつけさせていただいているところでご ざいます。資料等に落丁もしくは不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。  以上です。 ○垣添座長 よろしゅうございましょうか。  それでは、まず議題1として「胃がん検診における胃X線検査の撮影技師と読影医師の現状 について」ということで、北川参考人からプレゼンテーションをお願いいたします。よろしくお願い します。 ○北川参考人 それでは、スライドで、説明します。お手元の資料に活字の方はすべてコピー が行き届いているようですのでご参照ください、胃の画像を少しだけ加えております。  今日の私に与えられましたテーマはスライドの通りです。スライドは胃がん検診におけるの私 ども消化器がん検診学会が把握しております集計でございまして、皆さん御存じのとおりでござ います。  撮影法について、今日は余りしゃべらなくていいのかなと思っておりましたが、概略を述べま す。今まで1983年から標準撮影法がずっと続いておりまして、次の新しい標準撮影は平成14 年にできたわけですけれども、その間約二十年ほとんど変わっておりません。第2回、これは市 川先生がつくられたんですけれども、それが続いておりました。要するに、7枚撮影ということで すね。  どういう問題があったかと申しますと、これは体上部の前壁にがんがあるんですけれども、内 視鏡ではここになりますが、2枚の左の間接の写真では全く写っていないんですね。しかも、こ れは粘膜下層するまで入っているがんなんですけれども、こういうものが写らないのは問題で はないかということで、体上部にしかも前壁に問題がありそうであるというのが、私どもが感じて いた1つです。  それから、これは体下部の前壁にIIcがあるわけですけれども、これは問題なく描出されてお りますが、実は前庭部の後壁にもがんがございまして、直接撮影ではちゃんと出るんですけれ ども、実は同じ日の間接で全く写っていないのです。だから、何でこんなものが、しかも後壁で 写らないのか。  やはりバリウムの付着とかそういう問題があるのだろうということで、これは1つの事例ですけ れども、間接にも問題があるということで、がん検診学会の方で撮影法を見直したらどうかとい うことになりました。これは今村先生が委員長をされておられた委員会だったんですが、新しい 撮影法ということで高濃度低粘性バリウム、これはプリントにも書いておりますが、180〜220%、 量は150ml前後。撮影体位は二重造影像を主体とする8枚程度。これは平成14年の熊本の 総会のときに報告されまして、学会の答申ということになっております。いわゆる新撮影法と呼 ばれております。  これはすべて間接撮影なんですけれども、直接につきましては、まだちょっといろいろ難しい 問題がございまして、はっきりしたものは出ないということで、先延ばしになっております。  これが8枚法なんですけれども、基本的にこれを取り入れてやるというのは変わりないと思い ます。あとは枚数が増えているというのが直接法の違いだと思っていただければいいと思いま す。  特にこの新しい撮影法で変わった部分は、充満像がなくなったということです。これは、早期 胃がん検診協会の馬場先生、細井先生辺りが一緒につくられた案なんですが、二重造影ばか りでやるという画期的といいますか、撮影方法であります。先ほど見にくいと言った上部に特に ウエートを置いているということで、高濃度で付着もよくしようという撮影法であります。既にいろ いろな報告が出ておりまして、新しい撮影法の方が明らかにがん発見率がよいという報告も出 ております。  これは馬場先生が考えておられた撮影の1つの体位でございます。正面です、第1斜位。そ れから、頭を下げた第2斜位。腹臥位の上部の少し第1斜位ぎみなんですが、上部の前壁。こ れが頭低位の前壁、胃角から前庭部、下部を表した前壁、少し第2斜位ぎみが多いんですけ れども、これが右側臥位です。それから、振り分け、立位の第1斜位。これは、最後の8枚目を 正面にするか、第1斜位にするかで、2つの案が出ておりました。一応最終的な案としては第1 斜位というのを取り入れております。  撮影の実態ですけれども、これは平成16年度の私どもががん検診学会で全国集計をしてお るんですが、まず、誰が撮っているか、これは皆さんよく御存じのとおり技師がほとんどてござい ます、私は九州ですが、まれに九州と関東でも数施設だけ両者で撮っている施設があるという のが間接でございます。  それから、直接になりますと、やはり人間ドックとかそういうものが含まれているせいだと思う んですが、医者がしている範囲も若干増えております。それでも9割方は全国的に技師さんが 撮影しておると。先ほどと傾向は一緒でございます。九州と関東が、少し医者の割合があると。  これは、間接撮影8枚法というのが平成14年に出たわけですが、実際の流れを見てみますと、 ほとんどが7枚以下で撮られておりまして、平成15年以降もなかなか、平成16年が一番新し いデータなんですが、8枚撮りはまだ半数以下でございます。平成17年度はもう少しで出るん ですけれども、まだ集計が間に合っておりませんが、まだ半数いっていないかもしれません。な かなか経費の問題などで8枚にしていただけないというのが現状のようでございます。  これを地区別に見ますと、8枚以上はグリーンで書いておりますが、九州とか近畿等、西日本 の方が8枚撮りの割合が多いようです。関東、東北、北海道というのは逆にまだ7枚以下が多 いと。後でも何回か出しますけれども、地域による格差がいずれの場合も非常に目立っており ます。  次に、直接撮影の枚数ですが、直接はこの1枚だけで触れておりますけれども、要するに枚 数が多いと。9枚以上が青から上ですので、半数近くは9枚以上であるというのはごらんいただ ければとおわかりかと思います。  次に、濃度ですけれども、先ほど平成14年で180%以上と推奨したんですけれども、ごらんの とおり濃度については問題なく80%近くが180%以上という濃度で使われております。  これも地域の格差を見てみたんですが、なべて200%以上が一番多くなっておりますので、大 体浸透してきているのではないかと思っております。  濃度とバリウム量は密接に関係してくるんですけれども、こういうバリウムですとお金が高くな るものですから、量を少なくしようということで130cc以下というのが最近増えております。ほと んどが150cc未満であるという状態ですね。  これも地域間の格差はさほどございませんで、東北地区で量が多い割合がちょっと多いんで すかね。それ以外はそう差はないと思います。  撮影をされる技師さんの胃がん検診専門技師認定制度というのを、私どもの学会で平成12 年5月に作成しております。胃がん検診に携わる診療X線技師に対して、資格認定を行うという ことです。3年以上の会員とか、いろいろな資格要件があるんですけれども、そういうことで審査 をして、試験を年1回やっております。現在8年で6回やりました。  これは、事務局で私が問い合わせて調べたんですけれども、平成18年6月現在の支部別の 専門技師さんの数でございまして、合計1,324名。当然、関東は人口も多いわけですから、関 東、東海、近畿が一番多いということです。  括弧で書いておりますけれども、いわゆる診療放射線技師さんと言われる方は、この技術学 会に書いてあると思うんですが、トータルの数はホームページを見たので正確な数字はわかり ませんが、1万6,950人ということですから、約1割弱の方が専門技師の資格を持っておられる と。この地域間の格差の割合は調べておりません。  それから、今日の問題にもなろうかと思うんですけれども、実際の読影ですが、現在は撮影す る医者が少なくなっておりまして、読影はかろうじて何とか医者がやっているのが現実ですけれ ども、その前に、技師チェックということを技師さんの方でされておられます。これは、今日も早 期胃がん検診協会の木村さんがお見えですけれども、その木村さんからデータをもらったんで すが、7割、これは各支部で余り差がないと思います。私は九州ですが、九州は医師が読影す る例が高いものですから、ちょっと低めですけれども、大体7割前後は技師チェックがなされて おると。その運用については、また細かいことがアンケート等ありますので、今日は触れており ませんが、時間があったら触れてみたいと思います。  これは、一つの読影委員会といいますか、福岡地区を一つの例として皆様に呈示しているわ けですけれども、いろいろな流れがあって、ダブルチェックがあったり、精検結果との照合、それ から、判定基準、読影の方法、モデルフィルムを使った、テストフィルムの読影とかいろいろなこ とを皆さんどこの地域でもやっていると思いますが、こういうことが現実の読影委員会ではされ ておるということでございます。  福岡は割と、読影医師が頑張っている方だと思いますけれども、これはちょっと古いですが4 年ぐらい前で108名の読影委員からなっておりまして、現在は88名ぐらいです。大学と勤務医 と開業医という三者からなっておりまして、医師になって5年以上、消化管研修2年以上したら 推薦しますということで、大体問題なくやっております。  あと、読影は大体1回150人ぐらい、時々モデルフィルムを読影していただく。それから、検討 会とか研修会に出ていただくということでございます。  読影委員が高齢化しているというのを最後にも結論で触れますけれども、福岡でも30代はわ ずか1名でございました。40代が25〜26名、一番多いのは50代ですね。私もこの中にかろう じて入っておるんですが、60代がこの程度。平均が53.8歳ということでございます。  では、全国的にどうかといいますと、これは2001年にアンケートをパネルディスカッションでや ったんですが、残念ながらこれ以降の調査がございませんで、これが私が知っている中で一番 新しいものです。いろいろ問題があるというのは、すぐおわかりいただけると思います。まず、年 齢から言いますと、平均年齢が50歳です。これは約6年前ですので、今は56歳と。ここでも既 に26〜85歳と書いてありますように、非常に高齢の方も読影に参加なさっておられるというの がおわかりいただけると思います。  問題は、読影の精度管理システムがあると返事があったのが28.9%しかない。読影医育成シ ステムがあるかという問いに対しては、わずか7.8%しかないというのが、この時点の現状であ りまして、恐らくそれ以降も医師に関しては余り変わっていないんじゃないか、むしろ悪くなって いる可能性もあるのではないかと思っております。  認定医というのは、がん検診学会が認定をしているわけですけれども、胃と大腸、肝胆膵と3 つに分けておりますが、ほとんどが胃でございます。  一応条件もあるんですが、技師さんの場合も3年以上でしたが、3年以上というのが認定の条 件ということでございまして、残念ながらさほど厳しいものではございません。  現在の数を指しておりますが、今900名です。青で示した胃だけの認定医に限っていえば、ほ とんど変わりがないというのはおわかりいただけると思いますが、ただ、地域間の差も少しはご ざいます。こういう現状でございます。  これは読影の程度がどのくらいかというのは非常にバラバラであるという私どものお恥ずかし い話なんですが、こういう実験的にテストフィルムをつくって、すべてがんとわかった症例を皆さ んに読んでもらったわけです。1例ごとの正解を10点としているわけですが、残念ながら、平均 点は6.9という割合でございました。  満点は400点なんですけれども、まさしく正規分布に近い状態でありまして、いかに読影委員 の読影能力にばらつきがあるかと。福岡は85名なんですけれども、全国的にこういうことはさ れている施設もありますが、余りデータは出ていないようですので、1つの参考としてお出しいた しました。  どういうものが見逃しやすいか、事例だけをお見せいたしますと、これは正診率が37%だった んですが、よく見ないとわからないぐらいですけれども、ここにがんがあるんですが、内視鏡で はここです。透視では実はこれになるんですけれども、パッと気づいていただければ非常にいい んですが、なかなか気づいていただけないと。これは1枚しか写っておりません。  それから、これも正診率が非常に低かった22%。これは写真がよくないのもあるんですけれど も、ちょうどここに隠れております。これは撮影が旧標準撮影法ですので、これは精密検査です が、ちゃんと出せばばっちり出ているんですけれども、進行がんなんですが、進行がんでも撮り 方が悪いとこういうふうにうまく出ない。しかも、わずかしか出ないという、読影も少ししか引っ掛 けていないという結果でございます。  現実の読影状況、これもがん検診学会の集計に基づきますけれども、ダブルチェックは当然 皆さんしていると思っておりましたら、1割ぐらいしていないということですね。それから、認定医 も当然おるだろうと思ったら、4割ぐらいはいないと。なかなか問題だなと思います。しかも、これ は私どもが把握している施設だけですので、返事を書いてくれない機関もあるはずですので、 実際にはもっと多い可能性がございます。  これは各地区別にダブルチェックしている、していないという割合を出しているだけですが、こ れも少し差がございます。東海や北陸、近畿はちょっと低いようです。  それから、認定医がいる、いないという割合ですけれども、中・四国が9割を超えておりますが、 東海、北陸、近畿はちょっと低めであるという現状でございました。  これは関係ないかもしれませんが、胃がんの検診の精度を図る指標として言われます的中度 を各支部別に出しているんですけれども、これを見ていただきましても、いかにばらつきがある かというのがおわかりいただけると思います。これは職域とか住民検診の割合が違うとかそう いうものがあるので、一概には言いがたいところはあるんですが、地域の格差もかなりあるとい う事例として出しております。  参考までに、平成16年度の的中度の上位10県と、低い方から10県を出しております。  ということで、私が感じました現状としては、撮影はほとんどが胃がん検診の専門技師さんが 施行しておられます。読影はがん検診学会認定医が7割ぐらい中心にやっておりますけれども、 その学会も高齢化が非常に進んでおると。その反面、専門認定技師による技師チェックが7割 ぐらいは全国的にも広がっておるようでございます。  今後の課題といたしまして、若手医師の読影委員の養成と、専門技師の読影の参加、法的 な整備も含めて望まれるのではないかということです。各支部での実態にはかなり格差があり、 今後の課題の1つと思われます。  以上でございます。 ○垣添座長 北川先生、どうもありがとうございました。  それでは、ただいまのプレゼンテーションに関して御質問あるいは御発言がありましたらお受 けしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○森山委員 ダブルチェックというのは、技師を入れてではなくて医者だけと解釈してよろしいで すか。 ○北川参考人 そう理解しております。 ○森山委員 あと、1日に150人読影していると言ったのは、これは1人で150人という意味な のか、それとも施設全体で150人ということなんですか。 ○北川参考人 いえ、1人の読影委員が読むのが150人です。 ○森山委員 大体どのくらいの時間で読むんですか。 ○北川参考人 1時間ですね。 ○森山委員 1時間で150読むんですか。 ○北川参考人 1時間掛からない先生もおられますけれども。 ○森山委員 平均にしても1時間で150というのは、私なども非常に早い方なんですけれども、 それはフィルムの出し入れ、ロールフィルムであれば巻き取る時間を入れると強烈に早い。果 たしてそれで…。150読むこと自体が問題かもしれないですね。 ○北川参考人 これは福岡地区が平均150ぐらいということで、ほかの施設はもっとたくさん読 んでおられるところもあろうかと思いますけれども。 ○森山委員 15秒ぐらいで全部読むんですね。 ○北川参考人 そうですね。 ○垣添座長 それでどのくらい見落としているかというのは、チェックされているわけですか。 ○北川参考人 だから、見落としというのが、はっきり数値としては出しにくいところがございま す。ただ、翌年に受けて発見されたがんなどはわかっておりますけれども。 ○森山委員 先ほど診断率20%というのを2例出ていましたが、見た瞬間にあそこはそうだな とわかったわけですが、ただ、さっき出たのは両症例とも病変が写っているところを出したから 0.1秒ぐらいでわかるんですけれども、それが8枚法であったとすると1枚を数秒で読むというこ とと、もう一つは、余り早いパターンで読んでいくと人間は疲労しますよね。例えば、5例を数秒 で読むというのはすごく集中してできるかと思いますが、150を…。その短い時間で読まなけれ ばいけないという理由がちょっとわからないんですけれども。 ○北川参考人 ですから、1つは時間的な問題です。大体年間私ども10万人ぐらい読んでいる わけですけれども、それを週に5日間で2時間の枠しかとれませんので、余りゆっくり読んでもら うと数がさばけないという実情はあるんですけれども。 ○垣添座長 認定専門技師1,324名ですか、これは高齢化という問題はあるにしても、福岡地 区ではこれだけの人がいると一応要望に対してはきちんと応えられているということですか。 ○北川参考人 福岡の場合は十分対応できると思います。ただ、全県的に見ると、ほかの県で はかなり高齢の方が読影されているというのは聞いておりますので、その方たちがお辞めにな られたら、その下がどうなるのかは私どもも全くわからないですね。 ○垣添座長 丸山委員、何か御発言ありませんか。 ○丸山委員 私も、北川先生が理事をしている日本消化器がん検診学会の監事をしておりま すので、あまり意見の違うことを言うのも問題かと思いますが、私の考えていることを言わせて いただきます。まず読影医の問題ですが、東京都を例にとりますと、専属の読影医なのか、パ ートタイムで働きに来て読影を行っている読影医なのかという区別が全然わからないです。これ は半分くらいしか証拠はありませんが、ダブルチェックする医師が本当に検診機関の専属医師 であるかどうかを調べることは、大変難しいことです。ですから、先ほどの北川参考人が1時間 と言われたのは、要するに、そのぐらいの時間しか割けないような状態で読影をしなければなら ないということの一つの証拠でもあると思います。  それから、もう一つは技師の方ですけれども、今「消化器がん検診学会」と社団の名称を変え ましたけれども、私ども地方会を持っておりまして、1都9県、関東甲信越地方会というものを設 けておりまして、私はこれの支部長をしておりますが、認定技師の更新をこの間行いましたとこ ろ、3割強の医師たちは更新をしませんでした。例えば、私どもの施設でも、1人を除いてあとは 全員更新しておりません。なぜかと聞きますと、全くメリットがないからだと答えるわけです。確 かに、全くインセンティブがない形で学会が認定技師制度を決めましたので、初めはよかったん ですけれども、3年後の更新の時期になったら何のことでもないと。一度取ったからいいやとい う感覚で、余りこれが機能していないと私自身は感じております。  一方では、乳がん検診のマンモグラフィを撮影する技師は、たしか厚労省の方で認定技師の 資格を持っている技師がやるべきであるという勧告を出しておりますよね。ただし、胃がん検診 はそういう言葉を厚労省の方で掛けていただけないということも、あるいはこれを無視されてお られるのか、学会のそういう活動がよくないのか、私自身も監事としては非常にじくじたる思い がありますけれども、そういった同じ検診を行っている側であっても、胃がん検診と乳がん検診 では技師の扱いが厚労省でも違っているというところも非常に問題があると思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。  ほかに何かございますか。 ○大内委員 消化器がん検診学会の今後の読影医師、撮影する技師の問題で大きな問題を 抱えておられることはわかっておりますが、今後、消化器がん検診学会としては、そのような若 手医師の育成とかあるいは教育研修システムというものを具体的化されるのでしょうか。 ○北川参考人 残念ながら、そういう話は出てきますけれども、実際にどういうふうにやったら いいかというのは、全く出ていないというのが正直なところだと思います。実際のところ非常に 難しいですね。御存じのとおり、主な大学でも消化器の画像診断というのはバリウム診断をほ とんど医者がやっておりませんので、私は放射線科医ですけれども、放射線科医は細々とやっ ておるんですが、内科のそうそうたる面はこちらにもおられますけれども、余り教育を込めて一 生懸命診断をやるというのは、そういう実情ではなかなかないのではないかと私も思っておりま す。 ○大内委員 でも、先生はそういう教育システムは必要だと思っていらっしゃいますよね。結論 のところを見せていただきますと。 ○北川参考人 はい。 ○芳野委員 北川参考人に追加させていただきます。日本消化器がん検診学会はがん検診 精度管理をめざして、胃X線検診精度管理委員会を作りました。さらに、NPO法人「日本消化 器がん検診精度管理評価機構」を設立し、教育及び評価検定を行っていく予定です。また、法 人化に際しては、他の関連学会の参加を呼びかけていくように進められています。 ○垣添座長 精度管理という意味で、斎藤委員、後ほど御発言いただきますけれども、今の北 川参考人の御発表に対して何か御意見はありますか。 ○斎藤委員 特に追加できることはないです。 ○垣添座長 それでは、一応時間もありますので、北川参考人からのプレゼンテーションに関し てはこれまでとさせていただきまして、2番目、がん検診に関する検討会中間報告書骨子(案) について、事務局から説明をお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 それでは、がん検診に関する検討会の中間報告書骨子(案)について御説 明させていただきます。  資料につきましては資料2がメーンになりますが、参考資料といたしまして第12回、第13回 の検討会におきまして、委員、参考人の先生方からこの会におきまして発言していただきました 内容を、それぞれ事務局でカテゴライズ化させていただきまして、取りまとめておるところでござ います。基本的には先生方からの御発言をもとに、今回中間見直しの骨子案を作成させてい ただいているところでございます。ですので、発言要旨も横に見ながら御説明させていただけれ ばと思います。  資料2ですが、1枚めくっていただきますとまず表題がありますが、一番最初に「I.はじめに」、 それから「II.検討の視点」というものがございます。これは他のがん、これまで中間報告を出 しております乳がん、子宮がんまたは大腸がん、それと同様の並びのものを最終的には記載 するということですので、今回はあえてこの部分については触れているところではございませ ん。  「III.現状と課題」、これは一般的な胃がんに関する現状と、老人保健事業に基づく胃がん検 診の現状と課題をそれぞれつけさせていただいております。これにつきましては、後ほどごらん いただければと思っているところでございます。  今回御議論していただきたいと事務局が思っているところは、2ページ目の「IV.検討及びそ 結果に基づく提言」というところでございます。ここにつきまして、従来の中間報告書を参考に、 大きく1〜7まで割り振りをしております。  まず、概略といたしましては、1、胃がん検診のスクリーニング検査の方法について。2、検診 間隔について。3、検診の対象年齢について。4、精密検査の方法について。5、受診率の向上 について。6、検診従事者の養成について。7、国の定める指針の遵守についてということで、 大きなカテゴリーとして7つ設定させていただきまして、それぞれの中でまた更に細分化させて いただいております。  特に「1.胃がん検診のスクリーニング検査の方法について」ということで、これまで御議論し ていただきました各方法、(1)〜(4)までございますが、まず(1)胃X線検査についてでございます が、硫酸バリウムと発泡剤を造影剤として撮影する二重造影法が基本である。X線透視画像を フィルム・増感紙系で撮影する直接撮影と透視画像をイメージ・インテンシァイアーで映し、スポ ットカメラで撮影する間接撮影がある。間接撮影の方が被曝線量が少なく、フィルムも小さくで きる。胃X線検査にはバリウム誤嚥、排便遅延、バリウムによる便秘・イレウス等の偶発症があ る。胃X線検査による胃がん検診については、死亡率減少効果を示す相応なエビデンスがあり、 対策型及び任意型検診として実施することが適当であるということでまとめさせていただいてい ます。  (2)胃内視鏡につきましては同様の並びですが、胃内視鏡を用い、食道・胃・十二指腸球部ま での観察を行う。胃内視鏡検査には出血・穿孔等の偶発症がある。胃内視鏡検査による胃が ん検診については、死亡率減少効果を示すエビデンスが不十分であるため、対策型検診とし ては不適当である。胃内視鏡検査については、胃X線検査に比べて発見率が高く、より大きな 死亡率減少効果が期待されることから、質の高い研究による評価を実施する必要があるという ことでございます。  (3)ペプシノゲン法につきましてですが、胃の粘膜でつくられる消化酵素ペプシンの前駆物質 であるペプシノゲンの血中濃度を測ることで、胃がんの高危険群である萎縮性胃炎の進行度を 判定する方法である。血液検査のため、受診者に対する身体的負担はほとんどないが、要精 検率が高い。また、ペプシノゲン法陰性がんの場合は見逃してしまうことになる。これら検査法 については、死亡率減少効果を示すエビデンスが不十分であるため、対策型検診としては不 適当である。検診の対象を集約することも非常に重要であり、対象者の絞り込みに有効である か否かについても評価研究を実施することが望ましい。  (4)ヘリコバクターピロリ抗体法。ヘリコバクターピロリ菌は胃粘膜萎縮の進展に関与し、発が ん原因とされている。ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかの測定方法には、胃内視鏡 検査による生検材料に基づく迅速ウレアーゼ法、鏡検法、培養法と生検材料を必要としない血 清・尿中抗体測定、尿素呼気テスト、便中抗原測定がある。そのうち、血清・尿中抗体測定、便 中抗原測定については、検診で利用される可能性が高いと考えられる。これら検査法について は、死亡率減少効果を示すエビデンスが不十分であるため、対策型検診としては不適当であ る。検診の対象を集約することも非常に重要であり、対象者の絞り込みに有効であるか否かに ついても評価研究を実施することが望ましい。  これらが、いわゆるスクリーニング検査法についての大まかなまとめでございます。  「2.検診間隔について」ということで、これつきましては、これまで御議論していただきました が、明確な方向性というのが出ていないという印象を事務局では持っておるところでございます ので、本日ここの部分については御検討いただきたいと思っております。  ちなみに、参考でこれまでの意見ということで、下に「・」として書かせていただいているところ でございます。  同様ですが、「3.検診の対象年齢について」、「4.精密検査の方法について」、「5.受診率の 向上について」につきましても、本日重点的に御議論をしていただきたいと考えているところで ございます。  また、「6.検診従事者の養成について」につきましては、本日参考人からプレゼンテーション が行われましたが、それも含めましてどういうことを盛り込むべきかということを御議論していた だければと思っております。  最後の「7.国の定める指針の遵守について」ということでございますが、国の定めるがん検 診に関する指針と現実に行われている施策との間に乖離があることが珍しくないため、この乖 離をなくすために、指針の基となるガイドラインを十分に理解してもらう必要があり、そのための ノウハウやツールを開発しなければならない。  最後に、中間報告としての終わりを取りまとめとして書く予定にしているところでございます。  5ページ目でございますが、従前でありますとがん検診の事業評価につきましても御議論して いただいているところでございます。今回はがん検診の事業評価につきましては、この後、斎藤 委員から胃がんの事業評価並びにこれまでの乳がん、子宮がん、大腸がんにつきましても若 干の変更があるということがございますので、事業評価の手法については改めて別の報告書と して出させていただければと思っているところでございます。  これにつきましても、「I.はじめに」というものがありまして、「II.事務局評価に用いるデータ の把握について」ということ、「III.事業評価に用いる点検表について」につきましては、後ほど 斎藤委員から御説明があると考えているところでございます。最後に「IV.おわりに」、こういう 構成で中間報告の骨子を作成させていただきまして、これを最終的に肉付けして中間報告とさ せていただければと思っているところでございます。  以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。  中間報告の骨子案を御説明いただきましたけれども、今日の議論をベースにして次回に案を まとめる予定でいますが、自由に御発言ください。  自由にとは申しましても時間の関係もありますし、かなり多方面にわたっていますので、まず 「1.胃がん検診のスクリーニング検査の方法について」、ここから入ってまいりたいと思います が、これまでの議論の中であるいはいろいろデータのプレゼンテーションをいただきましたけれ ども、胃のX線検査が相応のエビデンスがあると。それ以外の内視鏡、ペプシノゲンあるいはヘ リコバクターピロリ法は、死亡率減少に関するエビデンスが十分にないという議論だったかと思 いますが、いかがでしょうか。 ○森山委員 スクリーニング方法については、これでよろしいかと思うんですけれども、やはり 問題は教育システムです。方法論だけがあるんですけれども、方法論と言っても、ただバリウム を飲ませて空気を飲ませて撮ればいいというものではないんですね。先ほど北川先生の方から もありましたが、教育システムを持っているところは7%ということで、やはり教育システムを広 げないと、私自身も医師会の指導などをしていますと、全くローテーションしていない写真など が平気で出てくるので、教育を取り入れていく必要があるのではないかと思いました。 ○垣添座長 誠にもっともだと思います。今日、北川参考人から非常に詳しく撮影技術のことを 御説明いただきましたけれども、ああいったことがきちんとそれぞれの現場で実施されていると いうことと、それを実施する技師、読影する医師の教育を含めて、研修体制というのは非常に 重要だと私も思いますが、それを胃X線検査という中に書き込んでおくということはよろしゅうご ざいましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○垣添座長 では、そのようにさせていただきます。  あと、これまで度々議論がありましたけれども、現実には胃内視鏡検査はどんどん検診に取 り入れられているけれども、胃内視鏡検査が死亡率減少効果を示すエビデンスがないというこ とでありますが、これに関しては質の高い研究による評価が望ましいということがありますけれ ども、これに関しては学会としては芳野委員、もう一度確認させてください。 ○芳野委員 日本消化器がん検診学会では、「がん検診方式検討研究会」という名称の付置 研究会が作られました。日本消化器内視鏡学会でも、「胃内視鏡検診の有効性評価に関する 研究会」という付置研究会ができました。これらは、本年春から実際に活動を始めることになっ ています。また、内視鏡検診に関しては学会だけでなく、内視鏡医自体も非常に危機感を持っ ています。その一つの県立福井病院では以前より内視鏡検診を行っており、さらに福井県では がんの登録を行っておりますので、それらは併せて内視鏡検診に関する死亡率減少効果にお けるエビデンスを作ろうとする動きがあると聞いております。 ○垣添座長 それは、いつごろ結果が得られるという予定で計画されているのでしょうか。 ○芳野委員 これは知見は3年が一応期限となっていますけれども、この知見がどれだけのこ とをやれるかどうかというのは、現状ではわかりません。 ○垣添座長 それは、胃X線検査と内視鏡検査をランダムで比較するという。 ○芳野委員 付置研究会の期間は3年ですので、その間に一定の結論を出すように努力する と思いますが、その成果がどこまで行えるかについては分かりません。方法についてはまだ検 討中です。 ○斎藤委員 その点に関しては、前回の議論で出尽くしたと思うんですが、学会で新しく研究会 を発足させるのはいいんですが、そこでやる研究の中身が問題で、エビデンスというのは何回 も言うように、死亡をエンドポイントにしたものですから、それに限定しておっしゃっているかと思 いますが、それは確認しておいた方がいいと思います。がん対策基本法の附帯決議の中にも、 最新の知見に基づき有効性が高いと認められるがん検診を位置付けるということが明記され ておりますので、これは是非確認していただきたいと思います。 ○芳野委員 この場でも何回も出てまいりまして、エビデンスに基づくということは大事だという ことは皆存じていますので、それを目標に頑張ろうということになっています。 ○垣添座長 そういうふうに報告書の中にも書き込むということになろうかと思います。 ○丸山委員 内視鏡検査の文言の確認ですが、最後の「胃内視鏡検査については、胃X線検 査に比べて発見率が高く、より大きな死亡率減少効果が期待されることから」とありますが、発 見率が高いことが死亡率の減少効果につながるということでよろしいでしょうか。もう一度専門 家の意見をお聞きしたいと思います。例えば、これは臓器が違いますけれども、大腸がん検診 のミネソタスタディの結果だと33%の死亡率の差を引き出しているのは検診群と対照群におけ るステージDの発見率の差であって、他のステージの病変については二つの群で差がありませ ん。斎藤委員が後から言われるのかもしれませんけれども、偽陰性率を把握しないで、ただ、 内視鏡検査はX線検査よりも小さな病変をたくさん見つけることができるから、発見率が高いと いう発想につながっているのであれば、この文言は正しくないとは言えませんけれども、本当で もないというようなニュアンスに響きますが、いかがですか。 ○祖父江委員 ですから、高い発見率というのは死亡率減少効果の必要条件ですけれども、 十分条件ではありません。 ○丸山委員 では、そこをちゃんと明記しないと、やはり内視鏡がいいんだけれどもエビデンス がないということになりかねませんし。 ○祖父江委員 ですから、質の高い研究でもって確認する必要がある。 ○丸山委員 いや、期待すること自体が間違いではありませんか。 ○祖父江委員 期待はしていいんじゃないですか。 ○丸山委員 いや、私はそれはちょっと過大評価だと思います。実際に内視鏡検査による胃癌 検診の偽陰性率が存在しません。それから、発表されているものに関して言えば、X線と内視 鏡の偽陰性率は細川データではほとんど差がありません。 ○斎藤委員 提案です。これは解決策として文言を変えればいいと思います。「死亡率減少効 果が期待されるが有効性の指標にはならないことから、死亡率をエンドポイントとした質の高い 研究による評価を実施する必要がある」と。 ○垣添座長 ちょっとこのままですと言い過ぎている感じがありますので、今の修文を取り入れ ることにいたしましょう。よろしゅうございますか。  あと、ペプシノゲンとヘリコバクターピロリの抗体法は、対象者のハイリスクの人を絞り込むの には役立つかもしれないという議論がたしかあったかと思いますが、これは「○」で書かれてい る幾つかの意見の中でどう扱いましょうか。それに関しても更に研究が必要ではあるんですけ れども。 ○斎藤委員 ヘリコバクターに関しては内視鏡よりも更に前段階で、スクリーニングテストとして の位置付けがまだ全然明確でありません。もっと1〜2歩手前のまるっきりこれからの研究課題 であるという位置付けだと思います。  ついでに言いますと、(4)の「○」の3つ目「検診で利用される可能性が高いと考えられる」とい うのは非常に誤解を招き易い表現なので、これはやめていただきたいですね。 ○垣添座長 御指摘のとおりですね。それは私も言い過ぎだと思います。 ○笹子委員 「可能性を持つ」ぐらいですか。 ○斎藤委員 「検診で利用される可能性を今後研究するべきである」でしょうね。研究もされて いない。 ○垣添座長 それでは、今のような修文あるいは意見を加えて、取りまとめることにいたしたい と思います。  次に、「2.検診間隔について」はいかがでしょうか。 ○祖父江委員 がん検診をやる目的というのをまずは確認すべきと思うんですけれども、がん 対策基本法ができて、その目的とするところは国民全体の胃がん死亡率をいかに減らすかと いうところで、その一つの施策としてがん検診は非常に大きなものだと思うんですが、検診の間 隔を考える際に、受診者あるいは対象者個人のリスクを下げるという意味でいくと、できるだけ 間隔は狭めた方がいいんですが、国民全体の死亡率を下げるという意味でいくと、医療資源が 限られたものである、あるいは予算が限られたものであるという状況で行きますと、ある程度間 隔は開けて全体をできるだけカバーするような間隔を考慮するという考え方もあると思うんです。 現に、外国では乳がん検診にしても2年に1回やっていますし、子宮頸がんに関しても5年に1 回というようなところもあります。有効性に関しての議論というのもありますけれども、医療資源 を的確に最大限効率的に活用するという観点から、検診間隔を議論するということも必要では ないかと思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。今の議論は私も大変重要だと思います。つまり、今回まと めようとしている胃がんに関する中間報告と、これまでまとめてきた乳がんと子宮頸がんと大腸 がんに関するものとの違いは、この4月からがん対策基本法が施行されるということです。今、 祖父江委員が言われたように、がん対策基本法の精神にのっとれば、日本人ががんで亡くな るのを減らす、あるいはがんになる人を減らすという観点からすると、この法律の裏付けがあっ て進めていくときに、がんで亡くなる人を減らす上で最も効果的なのは、やはり検診だろうと思 います。それをいかに国民全体に広げていくかというときに、毎年受けている人たちは、初年度 はある程度高いレベルでがんが発見されますが、2年度以降発見率はぐっと下がるというデー タはたくさんあります。ですから、財源の問題もあるから2年に一遍とか3年に一遍とか検診間 隔を開けてもいいのではないかという御発言ではないかと思いますが、ほかにいかがでしょう か。 ○芳野委員 北川参考人が委員長となってまとめている日本消化器がん検診学会の消化器 がん検診全国集計があります。それによると、X線検査で発見された胃癌のうち、逐年検診す なわち前年にX線検査を受診していた被験者の割合は約50%を占めます。2年連続して検診 を受診してやっと発見される癌が50%を占めることになります。もちろん、その中に進行癌も含 まれています。検診が2年毎になると、発見が手遅れになる例が多数出る恐れがあります。 ○祖父江委員 確認ですけれども、今の50%というのは、検診で発見された胃がんの患者さん の過去の検診歴を見ると50%という意味ですか。ということは、症状で発見された、いわゆる検 診とは関係なく発見された方の中で見ると、もっと低いということでいいですか。 ○丸山委員 芳野委員の説明が不十分だったのかもしれません。日本消化器がん検診学会 のレポートによれば、発見されるがんは年間である一定の数が大体決まっています。その中で 発見されたがんを見ますと、前の年に検診を受けていて今度見逃されたという人の割合も必ず 52〜53%です。北川先生、60%まではいかないんですね。 ○北川参考人 ちょっと正確な数字はあれですけれども、大体4割から5割ぐらいだと思いま す。 ○丸山委員 その中で、早期がんが占める割合というのも一定になっていまして、大体64〜 65%です。ですから、もしも早期がんの中のsmがん率はちょっと記憶にないんですが、smが ん率が半分あるとすれば、smがんの平均寿命といいますか、これは別の研究ですけれども、 粘膜下層に浸潤したがんの寿命というのは約1年という計算になっています。mがんは6〜7年 ぐらいという臨床データがあります。ですから、smがんであった場合に1年間放っておくと進行 がんになる危険は非常に高いわけですので、やはり2年というのは問題かなと私自身は考えて いますけれども。 ○笹子委員 今の御説明ですと、1年前にも検診を受けているのだけれども、そのときに何らか のものがあって振り返ればがんだとわかったということですか。 ○丸山委員 そうです。 ○笹子委員 それが半分もあると。 ○丸山委員 常に半分以上あります。 ○北川参考人 いや、すべてではないですよ。 ○丸山委員 いや、あのデータはそうでしょう。 ○北川参考人 発見されたがんが前年も受けていたという割合が40〜50%前後あるということ です。 ○笹子委員 要するに、前の年は何もなかった、写っていなかったという人も含まれているわけ ですよね。 ○北川参考人 はい。 ○笹子委員 だから、前の年のは結局やっていなくても同じということだったら、2年に1回でも いいということも考えれますよね。 ○丸山委員 いや、でも毎年そういう事象は続いて起きているわけですから。 ○北川参考人 先ほども言いましたけれども、やはり見つかるにはいろいろな条件があって、 写真をきちんと撮らないといけないし、あるいは読影もきちんとされなければいけないし、精密 検査もきちんとされなければいけないという3つのプロセスがありますので、そのどれかが欠け る可能性があるんですよね。こう言うのは失礼ですけれども、私ども臨床する方にとっては毎年 受けていただいた方がより発見しやすくなるとは思っております。 ○垣添座長 坪野委員、この点いかがですか。 ○坪野委員 基本的にどういう観点からこの受診間隔を決めるのかというときに、1番目は死 亡率減少効果に関する有効性、2番目に限りある資源をいかに配分するかという観点があると 思います。私自身は祖父江先生と結論は一緒なんですが、途中の筋道は違っています。つま り、確かにがん対策基本法ができたということはあるにしても、今までの検討会は基本的に資 源の効率配分という観点ではなくて、死亡率減少効果に関する科学的な根拠に基づいて決定 してきたと私は理解していますので、もし、今回も整合性を持ってやるのだとすれば、あくまでも 有効性という観点から判断すべきではないかと思います。  では、死亡率減少効果に関する有効性という点で見たときにどうかということですが、今話に 出たような、集検発見がんに占める過去の受診歴の割合などの指標も勿論重要ですけれども、 これはあくまでもプロセス指標です。最終的に集検がどのくらいの間隔で効果を挙げるのかと 判断する場合には、やはり、死亡そのものをアウトカムにした研究によって判断すべきだと思い ます。胃がん死亡をアウトカムにして行われた研究で、受診間隔別の研究を行ったものについ ては、前回、私がレビューしたとおりですけれども、それは祖父江班のものと同じデータを使っ て、1年でも2年でも有効性に差があるという結論は得られなかったということになっています。 そういう順序から考えていくと、今の1年に1回を2年に1回に延ばすことで、死亡率減少効果 が大きく変わるということを積極的に言う根拠はないのではないかということです。  しかし同時に、やはり懸念されることは、今の検診の実施体制がそのままの状態で、単純に 今の1年に1回を2年に1回に延長したからといって、単純な足し算で受診率が倍になることは 期待できないわけであります。ですから、そこのところはむしろ有効性に基づく受診間隔の設定 とは別に、今の検診の制度とか実施主体そのもの、今の市町村が税を出してやる方式でいい のか、あるいは前回言ったような保険者の枠の中でやるべきなのかということで、もう少し本格 的に検討すべき問題であって、そこは若干分けて検討した方がいいのではないかと考えていま す。 ○垣添座長 極めて本質的な御発言かと思います。 ○祖父江委員 まず、検診間隔を検診発見例というような観点から見ます際に、見落としの率 を下げることが目的ではなくて、国民全体の死亡率を下げることが目的だと。ですから、ある程 度見落としというのは発生するものであるという前提のもとに考えた方が私はいいと思います。  坪野先生の話でほとんど賛成なわけですけれども、間隔を延ばすという議論と必ず同時にし なくてはいけないのが、いかにして受診率を上げるかという話でありまして、今の検診の提供体 制でそのまま間隔を2倍にするとか3倍にするということはあり得ないというか、そんなことのた めに延ばすわけではなくて、今検診を受けていない人をいかに検診に引き込むか、集団の受 診率をいかに上げるかという話が連動しない限り、間隔を延ばすなどということはあり得ないわ けです。そこに向けて資源を投入するために、検診の間隔を開けてそちらに重点を置くべきで はないかというのが主張であります。 ○垣添座長 そのためには。 ○祖父江委員 そのためには、余りいいアイデアはありませんけれども、提供体制として保険 者が受診管理を行って、まずは欧米のやっていることに学ぶとすれば、検診の対象者名簿をき ちんと把握し、その中での受診管理を徹底的に行うということが基本だと思います。これを誰が するかというところで、今市町村では行いにくいので、それを保険者の方がやるべきではないか。 だから、そこは選択の問題だと思いますけれども、基本は検診対象者の名簿をきちんと把握し て、それを管理するということだと思います。 ○垣添座長 仮に2年に一遍とした場合に、受診率が2倍になるには今のようなことが最低限 実施されないといけないと思います。 ○坪野委員 発言の機会をいただいたので、ついでに一点要望させて頂きたいのですが、今の 有効性に基づく検診方式の設定ということと、受診率を飛躍的に向上させるための体制の整備 というのは、区別しながらも合わせて議論すべき問題ではないかと思うんです。この検討会は 臓器別に順番にやっている形になっていますが、がん対策基本法ができて、がん検診の在り方 を再考する時期でもありますので、次は別の臓器のがんを対象にルーチンにやるよりは、国民 全体のがん死亡を下げるような検診の在り方は、実施体制とか実施主体を含めてどうすべき かということを、例えば、この検討会を初めとするしかるべき場で、余り時間を開けないで集中 的に議論すべきではないかという考えを持っています。 ○垣添座長 大変いい御提案をいただきました。実は、私は予定としては平成19年度は残っ ている肺がんを検討して、最後に全体の5つのがんに関してもう一度見直しを掛けるということ を考えておりましたが、そうすると1年以上間が開いてしまうということで、今の御提案は大変考 慮するに値する話ではないかと思いました。 ○内田委員 今回の制度改正で、これまで検診というのは老人保健法にのっとって行われてい たのが、生活習慣病対策に関しては特定健診という形で保険者の義務化になり、がん検診に 関しては従来どおりの行政が行う検診になって、二本立ての制度になっているというところが非 常に問題が大きいところだと思います。これを根本的に解決するのは、全部保険者に持ってい くか、あるいは予防保険制度みたいな形で新しいシステムを立ち上げる、そういうことも検討す る必要があるのではないかというのを、今の坪野先生の御発言の後で感じました。 ○垣添座長 ありがとうございます。坪野委員、内田委員の御発言は、いずれも極めて本質的 な話で、我が国のがん検診の在り方に関する根本的な問題提起ではないかと思います。  それでは、この検診間隔については中間報告案として文章はどういたしますか。医療費の観 点からは議論しないというのは当初からのこの検討会の基本的な方針ですから、それはよろし いと思いますが、検診を2年に一度にしても結果は変わらないという推計もあるということで、2 年に一度にして、ただし、それが受診率の向上につながるための施策をどうするかということを ここに書き込むかどうかということですけれども、いかがでしょうか。 ○斎藤委員 坪野委員や祖父江委員の御指摘は非常に重要なことで、今我々は実際に死亡 率を下げなくてはいけないというところに来ているわけです。ですから、例えば、そういった選択 肢を広げるという意味で、死亡率減少の観点から、2年に一度の検診の実施についても検討す るという文言にしてはいかがでしょうか。今までそういうものは全部切り捨てられて、単一なオプ ションなしで決められてきたんですね。そういう観点で、それも検討に含めるという文言でいか がでしょうか。 ○大内委員 いや、検討に含めるのではなくて、ここは検討会ですから決めなくてはいけないん ですね。今までは2年に一回とするということで乳がんとか子宮がんは決めてきたわけですので、 その点までやるかどうかですね。提案だけで終わるのかどうか、そのために議論していると思う のですが、坪野委員や祖父江委員がおっしゃっているように、やはり死亡率減少効果に基づい てまず決定すべきだと思っています。ですから、検診間隔を1年を2年に延ばしたときに、どれ だけ効果がなくなるかとかそういったことについて、より精細に調べる必要があるのですが、前 回までの委員からの意見を確認しますと、受診間隔が長くなっても有効性が低下するわけでは ないということが幾つか言われていますね。この点について、もし皆さんが納得されるのであれ ば2年に1回でもいいと思いますが、いかがでしょうか。 ○垣添座長 これまでの議論では、まさにそういうプレゼンテーションが幾つかあったということ だと思います。 ○森山委員 祖父江班でやったのが2年に1回で下がらないという事実があれば、2年で1回で いいと思います。それから、個々についてはまた別として、勿論この会としてはそのデータがし っかりしたものという前提ですけれども。 ○笹子委員 2年に1回ということをはっきり出して、その代わり受診率を上げる。つまり、別の 人が間の年にはかなり受ける率が上がって、受けてもらうということと対にした方がいいと思い ます。毎年受けられるというと、今年でなくてもいいやと思う人は多々いるのですけれども、2年 に1回となると気持ち的には、ここは逃さずにという人が増える可能性がありますよね。 ○垣添座長 これは台帳管理というのが原則なのだと思いますけれども。 ○森山委員 これは胃がんだけではなくて、私は前から言っているんですが、学校教育に取り 込まなければいけないんですよ。交通事故が7,000人で、がんが32万人で、実に交通事故の 50年分の人間が死んでいるわけですよね。だけれども、学校で横断歩道は手を挙げなければ いけないとか、交通事故については物すごくやりますが、がんについては少なくとも私は全く教 育を受けなかったですし、外国から帰ってきた人に聞くと、結構教育を受けているんですね。実 際に必要なものであるにもかかわらず、教育が何もされていないというところに、胃がんにかか わらず踏み込まなければいけないことではないでしょうか。 ○垣添座長 もっともだと思います。 ○内田委員 私は、学校保健も担当しておりますので、その辺の健康教育に関してはこれから 重要な課題だと思っています。文部科学省ももっと予算を使っていいと思います。  それから、もう一点は、2年に1回というこれまでの議論で、そういう流れでいいと思うんです が、もし胃がんに関してハイリスクグループというのがあるのであれば、その方については逐年 でもいいのではないかということを思いますが、そういうのはないのでしょうか。例えば、乳がん であれば家族歴があるとか。 ○祖父江委員 個人が毎年受けるということを妨げるわけではないんですよ。対策として、ある 程度費用を公的なところから持ってきて行う検診については、2年に1回にする。心配な人は別 に毎年受けたっていいわけですから、自分でハイリスクだと思う方は個人的に検診を毎年受け ると。 ○垣添座長 そういうことですね。対策型検診としては2年に一度というものを採用しても、効果 は変わらないというこれまでの議論で、ここの検討会としては2年に一度とすると。ただし、その 結果として受診率が倍になることを目指して台帳管理その他手を打つということは、やはり併 記しておかないといけないということになろうかと思います。 ○斎藤委員 2年に1回は個人的には実は賛成なんです。ただ、この検討会のロジック、段取り を考えると、大腸がんでは隔年にエビデンスがあるのにそれを採用しなかったという経緯がある んですね。一応、附帯的に書いてはいますが。ですから、それと齟齬がないのであれば、私は2 年に1回ということでいいと思います。 ○垣添座長 それで私が申しましたように、最後に全体を見直して整合性を図るということを言 ったんですが、先ほど坪野委員からの御提案で、つまり5つのがんが全部終わってからやると いうのでは、場合によると少し遅いかもしれない。ですから、胃がんに関して一応ここを取りまと めた後で、がん対策基本法が成立した中での我が国のがん検診の在り方みたいなものを少し 議論する必要があるかもしれません。これは事務局ともいろいろ相談してみたいと思います。 ○大内委員 2年に1回にすることによって、初回受診者が増えないと受診者数が減ります。そ れががん検診機関にとってかなり大きな問題で、経営的な基盤も危うくすることになります。こ れは先ほどの国民ががん検診を受けるように努めなければいけないという、がん対策基本法 をいかに理解するようにするか、あるいは教育するかなのですが、それとともに受診率が上が るように仕組みをつくっていただかないといけないと思います。1つは、先ほど議論のあった保 険者負担にするのかどうか、今の市町村財政のままで、がん検診の費用を賄うような形では受 診率は絶対に伸びないと思います。ただ、2年に1回にしますと、同じ人数を検診すれば当然な がら受診率は2倍になります。昨年から厚生労働省から乳がん、子宮がんについては、受診率 の計算式が改められました。つまり、2年に1回受けた受診者数をカウントするわけです。例え ば、1年に20%だったものが、2年に1回にすると2倍になって40%の受診率になるのですが、 そのまま20%に留まる可能性もあります。つまり、2年に1回に分散するだけであって、受診者 数が毎年半分になってしまうということが懸念されるわけです。ですから、そういうことのないよ うに、今まで受診していない方々に受診していただくようなことを検討するということは、是非明 記していただきたいと思います。 ○垣添座長 それは明記しないと、これを2年に一遍にするという意味はないと思います。です から、一応エビデンスに基づいて2年に一遍と書いて、その結果として受診率が落ちないように 文章上の表現は事務局と相談させていただきます。  あと、時間がかなり迫ってまいりましたが、検診の対象年齢について何かありましょうか。 ○祖父江委員 対象年齢についても、今の日本における受診率が20%、30%程度というもの を欧米並みの70%、80%というレベルに持っていくためには、ある程度年齢を絞ってターゲット を絞って、そこに集中的に資源を投入するという態度が必要なんだと思います。ですから、年齢 の下限上限というのを決めて、そこに資源を集中すると。胃がんの場合は恐らく50歳、60歳代 というのが一番ターゲットとなる中心的な年齢だと思いますので、そこに絞って、何もそこから外 れた人は受けるなと言っているわけではなくて、受けるのはいいんだけれども、集中的に受診 勧奨するというところは、その年齢層を絞った方がいいのではないかということです。 ○垣添座長 その場合、例えば今40歳以上としているのを50歳に引き上げる根拠は、これま で示されましたか。 ○祖父江委員 根拠というのは、有効性に持っていくとなかなかはっきりとは言えないと思いま すけれども、一番効率的な年齢層という意味合いで、罹患率なり死亡率なりの高さで判断する ということが一つ考えられるとは思います。ただ、今までそういう形で年齢層の制限という設定 をほかの臓器ではしてきていないので、そこは考え方の変更というのを明確にしないと、そうい うことはできないと思います。 ○垣添座長 その点に関して坪野委員、いかがですか。 ○坪野委員 今回、この報告書については死亡率減少効果の年代差がはっきりしないという知 見に基づけば、あえて現行の40歳以上を変えるという強い根拠はないのではないかと思いま す。ただし、祖父江先生が御指摘のように、有効性の有無に関するロジックとは別に、重点的 にやるべき年代を設定するということはあり得ると思います。もし、次回に横並びの検討をやる というのであれば、他の臓器にも同じ考え方を適用しながら、集中的に強化すべき年代の議論 をして、場合によってはそれを設定するという形がいいんじゃないかと思います。 ○垣添座長 おっしゃるとおりだと思います。この厳しい時間の中で今の議論をするのは難しい と思いますので。 ○大内委員 対策型ということでよろしいですね。であれば、検診対象の上限年齢というものを 検討していただきたいと思います。 ○垣添座長 要するに、今後議論するときですね。そうですね、上限も下限も両方含めて議論 するということで、ここは従来どおり一応40歳ということにしておきます。  あと、受診率の向上に関して。これも保険者に義務付けるのが最も効果があると思われると いう、先ほど内田委員の御指摘もありましたが。これは次回以降の検討に延ばすことになりま すね。  それから、検診従事者の養成については、今日御報告いただいた内容も含めて、研修の必 要性ということを書き込むということに先ほどしたと思います。  それから、国の定める指針の遵守については、結局今まで報告書を出しても、それが必ずし も実施されてこなかったということがありますので、ここではこれ以上は触れないようにしておき ます。  それで時間が大変厳しくなってまいりましたけれども……。 ○笹子委員 4番目が飛びました。 ○垣添座長 精密検査の方法について。失礼しました。これに関して何か御発言ありますか。 ○森山委員 方法論もあるんですけれども、先ほどもあったんですが、検診で異常と言われて いるのに、要するに、精密検査を受けなさいと言っているにもかかわらず、23%の方々が来な いということも、方法論のプラスアルファで1回だけ手紙を出して終わりなのか。その群が一番 危ないわけですよね。一応、精密検査の後の方法論と、最終的に連絡についてもちょっと触れ ていただければと思います。 ○垣添座長 わかりました。  ほかにいかがでしょうか。 ○笹子委員 精密検査は直接X線というのもあり得ますけれども、それでもし、また何かあれば、 結局は内視鏡ですから、内視鏡としてしまっていいのではないかと思います。  あと、先ほどの議論で要精検者の受診率が低いというのをどう高くするかということの中に、 次の検診は2年後ですよと、先ほどのsmがんは2年経つとどうなるかわからんということを情 報としてきちんとお伝えするということが、要精検者の受診率を高くするということになるのでは ないかと思います。 ○垣添座長 これは報告書の中にそれを書き込めるかどうかは別として、今のような情報を提 供するというのは、非常に重要な点だと思います。  精密検査の方法に関して内視鏡というのはよろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○垣添座長 ありがとうございます。 ○森山委員 方法論はいいんですけれども、現実問題として、検診で来ると場所が書いていな いものが随分あるんです。内視鏡を見たときに体上部の大弯なんていうのは結構内視鏡で落 ちているんですよね。だから、場所を書くことも必要ではないかと思います。 ○垣添座長 でも、それはここには書き込めませんね。  申し訳ありませんが、先に行かせてください。がん検診の事業評価のための点検表について、 斎藤委員からお願いします。 ○斎藤委員 点検表ですが、これまでの経緯から簡単にお話しして、今回の胃がんのチェック リストの位置付けを御説明したいと思います。  まず、経緯は2004年にこの検討会で子宮がん、乳がんについてつくられました。そのときに、 市町村と検診機関版の2つがつくられました。次いで2005年に大腸について新たにつくられま して、このときにはそのフォーマットの上に更に都道府県版が追加されました。このときに、何点 か乳がん、子宮がんにない項目が加わりましたが、1つは対象者の把握です。先ほどの祖父 江委員の指摘にもありましたが、いわゆるオーガナイズド・スクリーニングの基本条件は、対象 者を把握しておくことで、これによって先ほどの対象の絞り込み等ができるわけです。その対象 者に関する記述の項目が1個加わったことと、あと、偶発症に関する項目が加わっています。こ の2点です。  今回、胃がんに関しましては、その大腸がんバージョンにのっとって市町村版、検診機関版、 都道府県版と3つのバージョンをつくってあります。それともう一つは、これまでの3がんの分を 全部レビューいたしまして、それから、対がん協会支部等で実際に使用してもらった意見を取り 入れまして、大腸がんより以前の3がんについての改訂案も取り入れて、胃がんバージョンを 作成しております。  資料をごらんください。一番上の数ページに胃がん版が示してありまして、5枚目辺りから大 腸がん版、乳がん、子宮がんという順でとじてあります。  2番目の大腸がん以降は、すでに承認されているこれまでのオフィシャルな指針との改訂す べき点あるいは既に改訂した点などを、色付けで対照表として示してあります。  胃がん版ですが、2ページ目、まずこれは検診機関用です。これは機械に関するプロセス管 理の撮影と読影に関する基準が書いてあります。ちなみに、こういった項目は全部厚労省研究 班の斎藤班で検討いたしました。検診機関用は、まずプロセス管理に関するものが示されてい ます。  次に、1枚めくっていただくと市町村版がありまして、これはまず検診対象者、先ほど言及しま したが、網羅的な名簿をつくっているかどうかというような項目が最初はなかったんですが、大 腸がん版からつくっておりまして、胃がんはそれに倣ってつくっております。受診者の情報管理、 要精検率、精検受診の有無、精検結果の把握。  都道府県版は次のページにありますが、1〜4までは市町村版と同じものです。5は精密検査 に関する項目が市町村版のうち最初の3つをとったものです。これは市町村版では精検機関か ら報告を受けているかとか、そういったことが書かれているんですが、この部分をはしょった4項 目が書いてあります。  その後、6番以降は都道府県版に固有のものでありまして、偽陰性の把握をがん登録で行っ ているかとか、不利益の調査というのが大腸がん以降加わった項目であります。  それから、新たに事業評価に関する検討について、詳しく9番、10番に書いてあります。  こういった構成でありまして、この内容の議論については、既に大腸がんで行っておりますの で、ここでは割愛させていただきます。  以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。  今の市町村用の冒頭に書いてあります対象者の網羅的な名簿を住民台帳などに基づいて作 成しているか、それから、対象者に均等に受診勧奨を行っているかというこの2点が、先ほどの 2年に一遍としたときの受診率を下げないというために非常に重要なポイントではないかと思い ますが、今の斎藤委員の御報告に関して何か御発言ありましょうか。  点検表に関しては、胃がんとこれまで既に出されてきた乳がん、子宮頸がん、大腸がんに関 してもこれでよろしゅうございましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○垣添座長 ありがとうございました。  それでは、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、本日の会議を終了したいと思います。 (「6時半までですよ」という声あり) ○垣添座長 そうか、よかった。安心しました。時間を勘違いしていました。  それでは、今の斎藤委員からの御説明の内容について、もう少し議論いただければと思いま す。 ○大内委員 このチェックリストは、事業評価ということで取りまとめられつつあるものですけれ ども、既に乳がん、子宮がん、大腸がんでも作成されています。もとは平成12年度の研究班か らスタートしているものですが、ようやく今回、全国的に均一な精度指標をつくって展開しましょ うということで、今年度、斎藤先生が班長を務められて、でき上がってきたと思います。これをい かに運用するかということで、唐突で申し訳ないのですが、厚生労働省としてこの具体的な運 用の仕方を何か考えておられるかどうかお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。 ○鈴木課長補佐 このチェック表につきましては、これを私どもとしては市町村、都道府県、検 診機関の方に事務連絡という形で通知させていただいて、これをもとに自己点検をしていただ きたいということでさせていただいておるところでございます。  もう一つ、もともとこれをシステム化して自動集計ではないですが、そういった自分たちの評価 というものが自分たちでわかるような形のシステムを開発しようということで実は予算をとってい たところでございますが、それが実際のところ別の事業でもう開発されつつあるということがござ いますので、そういった事業を活用しながら、そのシステムを今後普及させていきたいとは考え ているところでございます。  ちなみに、そのシステムにつきましては、今現在、斎藤先生のところで基本的な作成をしてい ただいて、それを今、私どもが聞いているところによれば、モデル事業という形で一部モデルと してやっていただいて、その有効性を見ていただいているということがございますので、それを 少しずつ発展させていくものだと私どもとしては考えているところでございます。  以上です。 ○大内委員 がん対策基本法の中に、がん検診の実施に関して具体的な項目が明記されて いますね。事業評価を行って、検診が正しく行われているかどうかをチェックする項目がありま す。そのがん対策基本法が4月1日に発効するに当たって、このチェックリストの位置付けはど うなりますか。 ○鈴木課長補佐 最終的には、がん対策室の方と調整させていただきたいと思います。 ○大内委員 例えば、宮城県においては生活習慣病検診管理指導協議会、いわゆる都道府 県に設置された委員会がございますね。その中で、このようなチェックリストが作成されたがん 検診においては、各市町村がチェックして、それを県に報告することになっています。その上で、 精度指標に満たないところについては勧告を行うような形になっていますけれども、これを国全 体として行うことを目指す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木課長補佐 先ほどの検診の受診率をいかに向上させるかということも触れられると思い ますが、こういったがん検診全般につきましては、この評価につきましてもそうですが、やはり全 国規模で行われるべきものだと考えているところでございます。それにつきまして、実は私ども 今は関係課と調整をさせていただくということしか答えられないんですけれども、今現在、老人 保健課では実際にどういうことをやっていくかということを検討させていただいておりまして、ま た全体的なそういった大きな流れにつきましては、今後引き継がれますがん対策基本法の中で どうするかというのは、実際の担当課と詰めさせていただければと思います。  済みません、回答になっていないかもれしませんが、今の段階ではそういうことになっておりま す。 ○森山委員 これは肝がん研究会の例なんですけれども、入れる項目を全部決めたようなもの があるんですね。そうすると、全国的であるのであれば、これを見て一個一個が勝手にやるより も、入力用のソフトウェアはそんなに難しくないと思うんですけれども、ソフトウェアは今つくって いるんでしょうか。 ○斎藤委員 私からお答えします。実はこれは完成しています。プロトタイプ以上のレベルにま で来ていまして、サーバーも立てまして、一応実用に耐えると考えております。  今幾つかのモデル県から実際にデータをサブミットしてもらってチェックするという段階です。 勿論フォーマットは決まっていますし、そのように標準化されたフォーマットでWeb上でサブミッ トできるというところまで来ていると認識しています。 ○垣添座長 先ほど言われたモデル事業というのは、そのことを指しているわけですか。 ○斎藤委員 それはまた別の話で、これは班研究で行ったものです。ちなみに補足しますと、 ルーツは大内班、辻班でつくったものを土台にして実用できるものを目指してつくりました。 ○垣添座長 それが市町村に配られているわけですか。 ○斎藤委員 いえ。市町村に配るためには、やはり老人保健課あるいはがん対策推進室なの かどこかわかりませんが、御許可がないと混乱を生じる可能性があるので、今は研究班レベル で限定した地域から試験的に行っていくという段階にとどまります。 ○垣添座長 わかりました。そうすると、今の話は先ほど坪野委員から御指摘の、要するにこ の胃がんが一応まとまった後、我が国におけるがん検診の在り方みたいなものを少し議論する ことになれば、そこでどういう扱いにするかということを議論していただくことになろうかと思いま す。  ほかに今の事業評価に関して御発言いただくことはありますか。よろしいでしょうか。  では、一応この席上では今、斎藤委員から資料3に沿って説明いただいた、胃がんとこれまで の大腸がん、乳がん、子宮がんに関する見直し両方併せて、これでよろしゅうございますか。 ○斎藤委員 1点だけ追加の提案をしたいと思います。大内委員から出たがん対策推進法が 決まった時点でこのチェックリストをどうするかということなんですが、それはいろいろ役所の事 情はあるのでしょうが、やはり全国の遵守状況を調べるということぐらいは、それほど支障なくで きるのではありませんか。それをこの検討会で分析した上で、次のステップを決めるということ が、今できることではないかということで調査を提案したいと思います。 ○垣添座長 それはデータを簡単に得られるんですか。把握しておられるんですか。 ○鈴木課長補佐 それは、こちらの方で調査することは可能だと思いますので、その調査につ いては検討させていただければと思います。 ○内田委員 これもやはり制度設計にかかわることだと思うんですが、一般財源化して国が金 を出さなくなったから、行政に関しても、これは行政が実施主体である限り、金も出していない のに何で報告するんだという話が一部にはあるんです。そこのところは、やはりきちんと制度設 計も含めて検討しなければ、いつまでもこの問題は解決しないと思います。 ○丸山委員 すごく基本的な疑問なんですけれども、厚労省のお膝元であり、また、がんセンタ ーのお膝元である東京都の場合は、大腸がん、乳がんに関してはどうなっていますか。私も東 京都の中央区のオフィスなんですけれども、このようなことに関して東京都は何のアクションも 起こしていないのではないかという認識なんですが。勿論がん登録などは何もやっていません よね。ですから、これはどうなるんですか。がんセンターで何か把握しておられることがあるんで すか。あるいは厚労省でもいいんですけれども。 ○祖父江委員 斎藤先生の方が把握されておられるのではないですか。森先生のやっている こと……。 ○斎藤委員 都道府県の中の一つという位置付けである程度把握しています。都としての骨太 の方針とかそういうようなことは承知していません。東京の場合は相当ハードルがいろいろある のですが、善戦していろいろなことをやっているようです。というのは知っていますが、ただ、都 としての骨太の方針とかそういうようなことは承知していません。いろいろな精度管理の試みを やっているという実態は承知しております。 ○丸山委員 つい1週間前ですけれども、東京都のさる区の先生からも相談を受けたんですが、 区のレベルでも何もできていないという認識なんです。だから、これから一体どうしたらいいんで しょうかという認識のようでしたけれども。  逆に、全国都道府県の中でがん登録が斎藤委員の目から見て、これならいいだろうと評価で きるようながん登録がなされている都道府県というのは、一体どのくらいあるんですか。 ○斎藤委員 それは祖父江委員の範疇です。 ○祖父江委員 実は、今日も午後一番でその会議をやってきたところなんですけれども、昨年 8月に第2回目の実態調査をしました。やはり日本のがん登録で一番問題なのは登録精度の 話なんですが、昨年8月の段階で32道府県1市で地域がん登録やっていますけれども、DCO とかDCNという形での登録制度を図るわけですが、それがある程度全国推計値を測る際に使 えるデータとなるところは、やはり10〜15府県市のデータに限られます。残りの県は、届出の精 度が悪くて、かなり漏れが多いと判断さぜるを得ないと思います。ですから、そういうものに基づ いて見落としとか感度を測定するということは、相当慎重にしないといけないと思います。 ○垣添座長 何とも辛い話ですね。 ○笹子委員 がん対策基本法の附帯部分には、がん検診の事後評価を推進することというの が書いてありますけれども、結局は個人情報を一切無視して、しっかり診断をつけた病院は全 部データを出しなさいということを徹底して法律自体に書き込まない限りは、推進せよと言って もできないわけです。それをいつをめどに変える気でいるのか、書き込んでいくかということだと 思います。 ○垣添座長 ようやくがん対策基本法ができて、この4月から施行ということですけれども、この 中に明確にがん登録という言葉が入らなかったのは非常に残念なことでありますが、これは結 局、がん対策基本法を求めるのと同じように、がん登録法とでも言うような法律に基づいたがん の実態把握というのが必要であるということが繰り返し言われていながら、今回には言葉の上 では抜けてしまったということがあります。ですから、次のこういうがん行政にかかわる、あるい はがん診療、がん研究にかかわる我々の目標は、やはりいかにがん登録法をいかに成立させ るかということではないかと私は個人的に考えています。 ○内田委員 関連して。この会議にがん対策推進室が、やはり参加すべきではないでしょうか。 行政の縦割りは超えるべきでしょう。 ○垣添座長 全くおっしゃるとおりだと思います。特に、重要ながん対策基本法が動き出す直 前のこういう状況で加わっていただくのは非常に重要だと思いますし、それから、あえて言わせ ていただければ、課長がこの席におられないのも大変残念であると思います。  それでは、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、本日の会議は終了したいと思いますが、 大変活発な御議論をありがとうございました。  次回は一応、今日御議論いただきました内容を含めて……。 ○笹子委員 よろしいですか。中間報告書の骨子は、今日皆さん直さなかった部分の前置きみ たいなところで大分間違いというか、正しくない部分があるので、一応各委員にメールで送って いただいて、修正意見が出せるようにしていただきたいと思います。 ○鈴木課長補佐 それでは、今回の中間報告の骨子案につきましては、今会議終了後、各委 員の先生方にお配りさせていただきますので、もし、事実誤認または追加事項等ございました ら追加をしていただきまして、事務局に御返答いただければと思います。 ○垣添座長 それを踏まえて、今日議論いただいた中身を取り込んで、検討会の中間報告書 の案を次回に提示して最終的に話をまとめることにしたいと思います。それ以降のこの検討会 の動き方に関しては、事務局といろいろと相談したいと思います。  あと、今後のスケジュールに関して事務局からお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 どうもありがとうございました。  次回の検討会につきましては、3月8日木曜日、16時30分からということで予定しております。 詳しい日時と場所につきましては、決まり次第追って御連絡させていただきますので、よろしく お願いいたします。  なお、先ほど申しましたとおり、本日がん検診に関する検討会中間報告書骨子案のファイル を本会議終了後、各委員の先生方に送らせていただきますので、それにつきまして加筆修正 等がございましたら、事務局まで御返答いただきたいと思っております。  なお、この返答でございますが、今回事務局で報告書案を座長と御相談させていただいて最 終案を御提示させていただくという時間の関係上、できましたら1週間ぐらいをめどに御意見を いただければと思っております。また、その締め切り等につきましては、メールに記載させてい ただきますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 ○垣添座長 是非御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。  それでは、私の勘違いで時間の配分を誤りまして、ちょっと変なことになりましたけれども、お 許しください。  それから、北川参考人にはわざわざ御意見をいただきまして、ありがとうございました。  これをもちまして、検討会を閉じさせていただきます。ありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐 鈴木(内線3941)      課長補佐 古元(内線3942)