07/01/31 第5回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会議事録 第5回「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」議事録 1  日時 平成19年1月31日(水)13:30〜15:30 2  場所 厚生労働省共用第8会議室 3 出席者  ○参集者    今野委員、金子委員、倉知委員、小林委員、佐藤委員、藤原委員、    堀江委員、村上委員、輪島委員                      (五十音順、敬称略)  ○事務局    岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、大隈企画課長補佐、    土屋障害者雇用対策課長、浜島障害者雇用対策課調査官、    白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課長補佐、    澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官 4 議題 (1)  中小企業における障害者雇用の現状と課題について (2)  その他 5 配付資料  資料1 平成18年障害者雇用状況報告の集計結果について  資料2 中小企業における障害者雇用状況 −障害者雇用状況報告に基づく分析−  資料3 企業規模別にみた障害者雇用に関する考え方      −「障害者雇用に係る需給の結合を促進するための方策に関する研究」中間      報告書より−  資料4 「中小企業における障害者雇用実態調査」調査結果概要(暫定版)  資料5 中小企業における障害者雇用の現状 ○今野座長(以下「座長」)  ただいまから、第5回「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」を開 催いたします。まず、委員の出欠ですが、小川委員、原川委員、森戸委員がご欠席です。 小川委員の代理としては社会福祉法人日本身体障害者団体連合会の森常務理事に、原川 委員の代理としては全国中小企業団体中央会の秋葉調査部長代理にご出席をいただいて おります。また、岡崎部長が国会の関係で中座をされるということです。  本日の議題に入ります。本日の議題は、1つ目は「中小企業における障害者雇用の現 状と課題」について、議論したいと考えています。もう1つは「その他」になっており ますが、前回ご提案したとおり、論点整理に向けたフリーディスカッションをしたいと 考えておりますので、よろしくお願いいたします。早速、第1番目の議題に入りたいと 思います。今日は資料がたくさん配付されておりますので、まず資料の説明からお願い いたします。今日は事務局と、中央会で調査をされたデータもご紹介いただきますので、 秋葉代理からもご説明いただくことにしたいと思います。最初は、事務局からよろしく お願いします。 ○障害者雇用専門官(澤口)   資料の説明をさせていただきます。お手元に資料1から資料5ということで、配付を しております。途中、落丁等ありましたら、事務局まで教えていただければと思います。  前回の研究会で最新の雇用状況報告の状況を説明できませんでしたので、この場で説 明させていただくことになっています。資料1ですが、障害者雇用状況報告の集計結果 についてです。平成18年6月1日現在の障害者の雇用状況です。1頁が民間企業の状況 です。最初の○にあるように、実雇用率1.52%ということで、前年に比べて0.03ポイン ト上昇。法定雇用率達成企業割合ですが、43.4%ということで、前年に比べ1.3ポイント の上昇です。雇用されている障害者の数ということで、これは実雇用率上のカウント数 ですが、約28万4,000人ということで、前の年に比べて約1万5,000人増加しているとい う状況です。これについては、その下に書いてあるように、障害者雇用が公的義務化を されたのは昭和51年ですが、それ以来、実雇用率が1.5%台になったのは初めてです。  実雇用率の内訳を障害種別に見ていった場合ですが、身体については1.28%、知的に ついては0.23%、精神障害者については今回から実雇用率にカウントできるという形に なりましたが、精神障害者については0.01%となっております。これについては改善を 要する点も多いということで、この研究会の場でもご議論いただいているように、中小 企業において引き続き苦戦をしているという状況です。また、1,000人以上規模、大企 業においては、実雇用率は高い水準ですが、法定雇用率達成企業の割合で見ると低い水 準ということです。今回から実雇用率の算定対象とされた精神障害者については、雇用 されている数、雇用者数ということで見ると、これも実雇用率上のカウント数というこ とですが、約2,000人ということです。  2頁の公的機関の状況です。公的機関については、おおむね全体として法定雇用率を 達成しているわけですが、この資料にあるように、特に教育委員会であるとか、3に特 殊法人と書いてありますが、この辺りで未達成のところもまだまだ多いということで、 我々としても指導・徹底していきたいと考えております。  3頁以降は、いま申し上げた数値を表なりグラフなりでお示ししております。次に雇 用状況報告の記者発表資料本体を付けておりますので、ご参照いただければと思います。  続きまして、資料2として中小企業における障害者雇用状況ということです。1頁の 「はじめに」ですが、9月の第2回目の研究会において法定雇用障害者数が同一となる 企業区分ごとに、分析をさせていただきました。これについて、平成18年6月1日現在、 ただいま説明申し上げた最新の雇用状況を踏まえて、こうした数字も入れ込んで分析を したのがこの資料です。  2頁は企業規模ごとに実雇用率の推移を見たものです。平成11年、平成14年、平成17 年、平成18年というスパンで取っております。以下の資料も同様です。これを見ると、 特に56人から111人規模の企業において、実雇用率の低下が著しいという状況です。また、 112人から166人規模の企業については、引き続き低下傾向であるということです。167人 から222人の3人雇用のところ、223人から277人、4人雇用のところですが、こうした企 業については、平成18年において、実雇用率が若干改善しておりますが、引き続き最も 低い水準で推移をしているという状況です。また、334人以上の企業については改善傾向 が続いており、ほかの企業規模と比べても最も高い水準で推移をしております。  3頁ですが、ただいま実雇用率の推移をご覧になっていただいたわけですが、第2回 の研究会でも説明申し上げたように、企業規模の小さい企業のところほど、低い実雇用 率で法定雇用を達成できるケースが生じるということです。資料の表にあるように、例 えば法定雇用数、障害者を1人雇用しなければならない企業規模のところが56人から111 人規模ということになるわけですが、これについては実雇用率ということで算定をする と、実雇用率0.9%でも達成するケースが生じてくるということです。この表にあるよう に、企業規模が大きくなるほど、こうした最小の雇用率は上がっていくわけですが、企 業規模の大小による影響を除去しつつ分析をしたいということで、資料の下のほうの※ で「実雇用/法定雇用比率」という言葉を出しております。要するに、法定上、雇用し なければならない数に対して、実際どの程度雇っているのか。そういう比率とご理解い ただければと思います。法定雇用数に対して、実際どのぐらい雇っているか。こうした 比率を出して、分析をしたいということです。また、いちばん下のように、法定雇用率 達成企業割合というものも用いて、以下、分析をしたいと思っております。  4頁は、ただいま説明申し上げた法定の雇用数に対して、実際どの程度雇っているか という比率の資料です。平成11年の状況から比べると、333人規模以下の企業については、 各企業区分とも低下傾向が見てとれるわけです。56人から111人規模のところ、1人雇用 のところです。この企業については、低下幅は大きいものも依然として1を超える水準 となっております。167人から222人規模のところ、223人から277人の企業規模のところ については、直近18年では若干改善はしておりますが、引き続き最も低い水準というこ とです。一方、右側の334人以上の企業、大企業については、上昇傾向が続いており、直 近でも比率を見ると0.93となっております。1にだんだん近付きつつある、こうした状 況です。  5頁は法定雇用率達成企業割合で見たものです。56人規模から166人規模のところ、1 人雇用、2人雇用の企業は、若干低下傾向ではありますが、全体平均やほかの企業区分 に比べると、引き続き高い水準で推移をしております。一方、167人規模から333人規模 のところについては、平成11年から平成17年にかけて低下をしており、直近18年で若干 改善をしておりますが、依然として低い水準ということです。特にグラフのいちばん下 ですが、334人以上規模については改善傾向がずっと続いており、直近の平成18年で見 ると、223人規模から277人規模のところ、278人から333人のところを抜かしているとい うことで、223から333、いま申し上げたところについては最も低い水準になってしまっ ているという状況です。  6頁ですが、法定雇用数に対して、実際どれだけ雇っているかといったところの比率、 いま申し上げた達成企業割合ということで、平成11年と平成18年の比較をしてプロット した図です。簡単に申し上げると、右上のほうに矢印が向いていれば改善傾向、左下に 向いていれば低下傾向ということで見ていただければと思います。333人規模以下のと ころについては、すべての企業区分で矢印が左下を向いておりますが、低下傾向という ことです。特に56人から222人規模までのところについては矢印も長くなっており、低 下傾向が強い傾向で出ているということです。左下の167人から333人規模のところに ついては、ほかに比べるとより低い水準にあるということです。一方、334人以上、大 企業のところについては、水準としてはまだ高い水準とは言えないわけですが、改善傾 向にあり、その方向性も強いという状況が読み取れるかと思います。  7頁は企業規模別に雇用障害者数を見た場合です。これについては、実雇用率のカウ ント数ということでの雇用障害者数ということでご理解いただければと思います。雇用 障害者数については、全体を見ても、各企業区分で見ても、総じて増加傾向にあります。 ただ、各企業区分で見ていったときに、全体に占める割合、各企業規模別に見ていった ときのシェアという言い方をしておりますが、こうした全体に占める割合で見ていくと、 334人以上の企業において若干増加傾向ということで、割合的に見ても平成18年におい ては約7割を占めるという状態です。他の企業規模については横這い傾向ということで す。  8頁は参考情報ですが、ただいまお話申し上げている平成18年の雇用状況報告におい て、企業規模別に見ていったときの企業数の分布、常用労働者数の分布です。企業規模 で見ていったときには、やはり56人から111人のところ、1人雇用のところが全体の4 割強を占めるということです。一方、常用労働者数ですが、規模が大きいので当然とい えば当然なのですが、334人以上のところに労働者数が、61.1%、6割を占めるといっ た状況になっております。これはご参照いただければと思います。  9頁です。ただいま雇用障害者数ということで見ましたが、新規雇用障害者数、新た に雇い入れた障害者数ということで見ていったものです。これも実雇用率上のカウント ということで見ていただければと思います。これについても、全体数また各企業区分で 見ても、総じて増加傾向ということです。これについても、各企業規模別のシェアで見 ると334人以上の規模のところが全体のシェアが高まっているということで、平成16年 以降は7割を超えているということです。他の企業については横這い傾向です。  10頁です。先般2回目の研究会で資料をお出ししたときに、障害種類、また程度別に 分析できないかというお話がありましたので、障害種類別、程度別に分析をした実雇用 率の推移をお示ししております。まず、身体障害者実雇用率です。身体障害者の実雇用 率ということで見た場合、333人以下の企業については総じて低下傾向ということで、 全体の平均値と比べても低い水準で推移をしております。一方、334人以上のところに ついては上昇傾向で、最も高い水準で推移をしております。  11頁は知的障害者の実雇用率ということで見たものです。これについては、逆に小さ い規模のところ、56人から111人のところの企業において、若干低下しつつも最も高い 水準で推移をしております。また、334人以上、大企業のところについては上昇傾向が 続いており、直近の平成18年ではほかの企業区分とほぼ同じ水準まで追い付いてきてい るという状況です。  最後になりますが、障害程度別で見た場合ということで、雇用している障害者のうち、 重度障害者がどれだけいるか、重度障害者の割合を取ったものです。これを見ると、56 人から222人のところ、グラフでいうと下のほうですが、重度障害者の割合が相対的に低 い状況で、5割弱ということで推移をしております。一方、334人以上の企業については、 重度障害者の比率というのが最も高い水準で推移をしており、6割に近い状況となって います。以上、資料2でした。  続きまして、資料3です。企業規模別に見た障害者雇用に関する考え方です。高齢・ 障害者雇用支援機構のほうで、障害者雇用にかかる需給結合に関する研究ということで やっているわけですが、中間報告の中から抜き出したものです。企業において、障害者 雇用についてどう考えているのかといったものですが、このグラフにあるように、1,000 人以上のところについては法定雇用率以上を目指す、また法定雇用率を目指す、こうし たところが合わせて9割以上を占めるという状況になっております。また、301人から 999人のところは、こうした法定雇用率を意識しているといった部分を合わせると、約 8割ということになっております。ただ、一方、56人から300人のところについては、 こうした雇用率以上、また雇用率を目指すといったところが約43%。赤系統の色で示し ている、特に目標は決めていないとか、障害者を雇用しないといったところが54%とい うことで多くなっているということです。55人以下のところで見ると、こうした目標を 定めていない、また雇用しないといったところが86%ぐらいを占めるということで、企 業規模が小さくなると、こうした法定雇用率といった観点でいうと、意識という面で難 しい面があるのかといったところは、このグラフから見れるのではないかと思います。  続きまして、資料4について、秋葉代理からよろしくお願いいたします。 ○原川委員代理秋葉氏(以下「秋葉代理」)  全国中小企業団体中央会の秋葉と申します。私どものほうで調査をした資料4につい て説明申し上げたいと思います。1頁ですが、いま厚生労働省からもお話があったと思 いますが、中小企業において、障害者雇用がいまなお低い水準にとどまっている。そう いったことから、中小企業における障害者雇用の現状と問題点等を明らかにし、中小企 業における障害者の雇用促進・安定就労のための基礎資料を目的として調査を行ってお ります。本調査については、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構からの委託事業と いうことで、私ども全国中小企業団体中央会が実施しております。  調査の対象については、従業員が1人以上300人以下の企業5,000社を無作為に抽出し て行っております。その内訳については真ん中の表のとおりですが、55人以下、これは 法定雇用率の対象とならない企業になろうかと思いますが、こちらを1,000社、56人か ら100人規模の会社が1,500社、同様に101人から200人が1,500社、201人から300人が 1,000社、合計5,000社を対象として、その社に対して今回お配りしている緑色の調査票 をお送りして、企業において記入してご返送いただくという形での調査となっておりま す。この調査票等については、私どものほうで学識経験者、あるいは障害者を雇用され ていて非常に障害者雇用にご理解のある中小企業の経営者、あるいは中小企業団体、こ ういった方々からなる委員会を作って、調査票の質問項目の検討、あるいは回答しやす いようにどのようにすればいいかといったことを考慮して実施しております。その結果、 5,000社に調査票をお送りして、ご回答いただいたのが1,305社ということで、回答率は 26.1%となっております。これまでこういった1,000社を超えるほどの中小企業から障 害者雇用に関する回答を得た調査はおそらくないのではないかと思いますので、そうい った意味ではこういった調査結果は初めてではないかと考えております。  調査結果について説明いたします。今回ご回答いただいた1,305社の属性といいます か、概要になりますが、業種で見ると製造業が約32%、サービス業が20%、建設・運 輸・卸売・小売がそれぞれ10%といったことになっております。従業員数で見ると、55 人以下が18.2%、56人から100人が27.4%、101人から200人が28.4%、201人から300人 が17.9%ということで、おおむね実際の調査対象の比率とほぼ近似した形でご回答いた だいているのではないかと思います。  3頁以降になりますが、ご回答いただいた調査結果について説明いたします。まず、 法定雇用率ですが、これはほぼ調査票の順番になっておりますので、調査票と一緒に見 ていただければと思います。これは調査票の問1に対する答えになりますが、「法定雇 用率を満たしている」と回答いただいた企業が38.8%、「満たしていない」というお答 えが57.6%、「わからない」、「法定雇用率を知らなかった」とご回答いただいた企業 がそれぞれ1.4%、1.5%ということになっております。  それを業種別に見ると、製造業、運輸業で法定雇用率を満たしているというお答えが 多かった反面、卸売、小売、情報通信、サービス業といったところで「満たしていない」 というご回答が多かった状況にあります。企業規模別では、201人から300人規模の企業 で、「満たしていない」とのご回答が多いということになっております。これは法定雇 用率に関するご回答ということで、総数1,305社のうち56人以上の企業1,052社からの回 答を分析しております。  4頁は現在の障害者の雇用状況ということで、調査票でいうと問2に当たります。こ れは55人以下の企業も含めての分析になりますが、ご回答いただいた1,305社のうち、現 在、障害者を雇用している企業が56.7%、現在は障害者を雇用しておりませんが、過去 雇用していたというお答えの企業が14.9%、これまで一度も障害者を雇用したことがな いといったお答えをなさった企業が27.8%になっております。これはパーセントの分析 ですが、実数でいうと現在障害者を雇用している企業が739社、過去雇用していた企業 が195社、これまで障害者を雇用したことがないという企業が363社ということになって おります。  これを業種別に分析したのが下段ですが、製造業で現在障害者を雇用なさっておられ るという回答が多い反面、建設業あるいは情報通信業といったところでは、これまで一 度も障害者を雇用したことがないというご回答が多くなっております。企業規模別で見 ると、これは当然のことだと思いますが、現在、障害者を雇用している企業の割合が高 くなっております。これは必ずしも法定雇用率を満たさなくても、1人以上でも雇用な さっておられれば、現在、障害者を雇用しているという所に○が付くかと思いますので、 当然のことであると思います。  先ほど申し忘れましたが、今回、無作為に5,000社を選んで、1,300社にご回答いただ いている。これについては、ご回答いただいた方に特段メリットなどというものは全く ないものですから、今回ご回答いただいた企業は比較的障害者の雇用に、ご理解、ご関 心をお持ちの企業が多いということが想定されますので、必ずしもこの比率が中小企業 の平均値ではない可能性もある。そういったこともお含みの上、ご覧いただきたいと思 います。  5頁は、今後の障害者の雇入れのご意向についてということで、調査票の問3になり ます。その中で、まず、現在、障害者を雇用している企業にお伺いしたのが調査票の問 3の1です。現在、障害者を雇用なさっておられる企業のうち、73.6%の企業が、いま 雇用されている人数をこれからも維持していきたいということです。さらに、今後、障 害者の方の増員をお考えの企業は25.2%という状況にあります。業種別で見ると、情報 通信業、小売業で、これから増員を考えているという企業が多いです。企業規模別では、 規模の大きい企業で増員を考えておられるという企業が多い状況です。  これを法定雇用率を満たしているか、満たしていないかで分析したのが下段の右にな ります。既に法定雇用率を満たしている企業では、おおむね9割がこのまま現状の人数 を維持したいというご回答です。満たしていない企業においては、半数においては増員 をお考えであるというご回答をいただいております。  6頁は、現在は雇用していないが、過去雇用していた企業、あるいはこれまで障害者 を雇用したことがない企業にお伺いしたものです。調査票では問3の2に当たります。 これで見ると、新規雇用を考えている企業が約4分の1強であるのに対して、新規雇用 は考えていらっしゃらないという答えが66.3%ということで、非常に多い結果になって おります。業種別に見ると、情報通信業等では新規雇用を考えておられるという割合が 高いのですが、建設業、卸売業では新規雇用を考えていないという企業の割合が多いで す。企業規模別で見ると、やはり規模の大きい企業ほど新規雇用を考えているというご 回答が多くなっております。  7頁は、いまご説明申し上げた考え方の理由について伺ったものです。調査票では問 4の1になります。まず、「増員を考えている・新規雇用を考えている企業」というこ とで、これは円グラフでいえば調査結果の5頁の右上の水色の部分の25.2%の企業と、 6頁の水色の26.9%、この企業の方がどういう理由でそういうことをお考えなのかを分 析したものになります。増員を考えておられる、あるいは新規雇用を考えておられると いった企業に、その理由を伺ったところ、これは調査票の中から1つを選んでいただく わけですが、「企業としての責任・義務」とお答えなさった企業がおおむね半数、「法 定雇用率を満たすため」というお答えが4割弱という状況になっており、「経営上メリ ットがあるため」というお答えは2.1%にとどまっております。それを企業規模別に見 ると、規模の大きい企業ほど、やはり「法定雇用率を満たすため」という回答が多くな っております。  法定雇用率を満たしている企業では、「企業としての責任・義務」のご回答が多い反 面、満たしていない企業では、法定雇用率を満たすために、今後、増員を考えたい、あ るいは新規雇用を考えたいという答えが半数近くを占めているという状況になっており ます。  8頁は現状の人数を維持する、あるいは減らすことを考えている、または新規雇用は お考えではないというお答えをなさった企業に対して、その理由を伺ったものです。調 査票では問4の2になっております。これについては、調査票で12の選択肢を示して、 そこからいくつでも選んでくださいということにしているものですから、かなり回答が ばらついておりますし、足して100にはならない状況になっております。その理由とし ては、いちばん多いのは「担当業務の選定が難しい」、それから障害者のみならず、企 業における従業員全体の増員が難しい、あるいは障害者を雇用するに当たって、ハード 面での職場設備を改善するのが困難である、あるいはもう既に法定雇用率を満たしてい る、あるいは作業の効率性が心配であるといった答えが比較的多くなっております。こ れを業種別従業員規模で見ると、すべての区分で担当業務の選定が難しいといった回答 が多いわけですが、小売業などにおいては「職場設備の改善が必要」というご回答も多 くなっております。55人以下の企業では、現下の景気情勢等も反映されているのかもし れませんが、障害者のみならず従業員全体の増員が難しいといった声が非常に多くなっ ております。  9頁は雇用されておられる障害者の区分になります。調査票の2頁の2の問5になり ます。今回1,305社からご回答をいただいているわけですが、そこで現在雇用されてお られる障害者数は1,980人ということでご回答いただきました。その内訳は、身体障害 者が74.1%、知的障害者が24.4%、精神障害者が1.5%です。ただ、お1人の方で複数 の区分に該当なさる方もいらっしゃるということで、全部足すと1,985名になるのです が、いわゆる人数ベースでは1,980人という集計結果になっております。そのうち、重 度障害者については、身体障害者が414人、知的障害者が118人といったご回答の結果 になっております。  業種別に見ると、この1,985人のうち約半数が製造業で雇用されておられるというこ とになっております。これは例えば1社当たりの雇用者数を見ても製造業が多いという 状況です。区分で見ると、比較的、製造業では知的障害者の雇用が、全体の平均と比べ ると多くなっているという状況にあります。1社当たりの雇用数は、企業規模が大きく なれば多くなるのは当然ですが、企業規模別で見ると、意外と101人から200人のところ の企業での雇用が多くなっております。  10頁は雇用している障害者の年齢の分布です。比較的、高齢の方の割合が高いという ことが結果上、読み取れるかと思います。50歳から59歳、あるいは40歳から49歳、60歳 以上という状況です。業種別に見ると、運輸業、建設業で高齢者の割合が高い反面、製 造業、情報通信業、小売業では比較的低いという結果になっております。  問5の3ですが、調査結果では11頁になります。現在、雇用しておられる障害者の週 所定労働時間を伺ったものですが、断然、週30時間以上、通常の労働者とほぼ同じ時間 の方が9割を超えておられるということで、短時間の方はごく少数であると。ですから、 多くの方が一般の勤務時間どおりに勤務なさっておられるということが言えるのではな いかと思います。業種別に見ると、サービス業・小売業等で比較的、短時間勤務の方が 多いという状況です。ただ、この辺については、こういった業種の特性で短時間のパー トの方が多いなどということもあろうかと思いますので、一概に障害者雇用からきてい るということは何とも言えないのではないかと思います。企業規模別で見ると、比較的、 55人以下の企業で短時間の方が多いということが言えようかと思います。  それから、現在、雇用している障害者の就業業務についてです。これは調査票では問 6に該当するわけですが、問6の中から該当するものすべてに○を付けていただくとい うことです。例えば、ある会社で一般事務と製造技能職、1と2に○が付いていたとし ても、その1と2が1人ずつなのか、1が1人で2が10名なのかということがわからな いものですから、必ずしも人数の分布ではないということにご留意いたただきたいと思 います。これで見ると、製造技能職、あるいは一般事務といったところが多い反面、い わゆるコンピューター関係は少ない状況になっております。残念ながら「その他」につ いては記載いただいていないものですから、何とも言えないのですが、書いていただい たものを見ると、いわゆる庶務的なお仕事などをなさっておられる方もいるようです。 企業規模別で見ると、55人以下の小さい会社では製造技能職の割合が高くなっており、 一方、規模の大きな企業では一般事務に○が付いているケースが多い状況です。  9、「採用する際に利用した経路等について」ということで、問7に対する集計です が、これは現在、障害者を雇用している企業からのご返答です。採用する際に利用した 経路では、ハローワーク(公共職業安定所)が最も多く、次いで縁故、あるいは盲・ろ う・養護学校といったところを通じての採用が多くなっているという状況です。業種別 に見ると、製造業ではハローワークによる採用が多い反面、建設業、運輸業などでは、 縁故などが多い。企業規模が大きくなると、ハローワークを通じて採用する割合が高い のですが、規模の小さい企業では、縁故などによる採用が比較的多いといった状況にな っております。  14頁、障害者を雇用するに当たり課題となった事項、これを現在障害者を雇用されて いる企業からお伺いしているわけですが、担当業務をどのように選定するか、あるいは 作業の効率性、周囲とのコミュニケーションといったものが課題になったとのお答えが 多い一方、別に課題は特にないとお答えになった企業も相当数あります。これも複数回 答ですから、例えば担当業務の選定、作業の効率性、周囲とのコミュニケーションの3 つに○を付けるケースもあると思いますが、「課題は特にない」という答えの方は、こ こだけになりますから、課題は特にないとお考えの企業もかなり多いということが言え るのではないかと思います。  業種別に見ると、小売業、製造業などで担当業務の選定を挙げていらっしゃる企業が 多い。企業の規模が大きくなるほど、担当業務の選定、あるいは周囲とのコミュニケー ションなどを課題とお考えの企業が多い状況です。この辺は社長さんの目が届かなくな る、だんだん企業が大きくなると、必ずしも社長さんだけではやっていけないといった ことではないかと思います。  15頁、障害者を雇用するにあたり配慮している事項についてということですが、これ は問9に該当します。配置転換・担当職務など人事管理面でご配慮をなさっている、あ るいは通院・服薬など、あるいは業務遂行を援助する者の配置などを挙げている企業が 多い一方、配慮している事項は特にないと。いわゆるほかの従業員、障害のない従業員 と全く同様に考えていらっしゃるという企業も、相当数存在しております。製造業にお いては、工程の単純化など職務内容の見直しに取り組んでいらっしゃる企業が多いです。 規模が大きくなると、業務遂行を援助する者を配置するようなことを行っていただいて いる企業が多いとの結果になっております。  16頁は、今回お答えいただいているのはほとんど経営者、あるいは管理者ですが、現 在雇用している障害者に対するその方たちの評価です。現在雇用している障害者につい ては、満足している、あるいはおおむね満足しているというお答えが大多数を占めてお ります。そういった意味では、現在雇用している障害者の働きぶり、勤務状況について は良好な評価がなされているのではないかと思われます。業種別に見ると、総じて満足 度は高いのですが、比較的、小売業でやや低い。それから、法定雇用率を満たしている 企業よりも、むしろ満たしていない企業で、より満足度が高いという結果になっており ます。これは何とも言えませんが、法定雇用率を満たしていない企業では人数は少ない のですが、満足のいく方がいま現在お仕事をなさっているということではないかと思い ます。  17頁は、よく知っている支援施策についてということで、厚生労働省、あるいは高齢・ 障害者雇用支援機構では、いろいろな支援施策のメニューを用意されておられます。そ れについて、この調査票の問12の1で、よく知っている支援施策を伺っております。 次に、問12の2で、活用したことのある支援施策を伺っております。さらに、問12の3 で、活用し役立ったと思える支援施策を伺っております。要するに、知っているだけ、 あるいは知っているから、さらに使ってみたことがある、あるいは使ってみて本当に良 かったものはどれかということを伺っております。  この支援施策については、パッと見てご回答いただく方がわからない可能性もあるも のですから、今回お配りしているオレンジ色の支援施策の解説や簡単な説明書を調査票 に同封して、これを見ながらお答えいただくことにしております。まず、よく知ってい る支援施策については、各種助成金、トライアル雇用、セミナー、職場適応訓練といっ たものを挙げる企業が多いです。これも複数回答になっていますが、よく知っている支 援施策がないのではないかと考えられますが、無回答の企業も約4分の1強存在してお ります。規模の小さい企業ほど、無回答が多い状況です。特に55人以下は、法定雇用率 の対象にならないということかもしれませんが、なかなか支援施策が浸透していないと いうことが言えようかと思います。  18頁、19頁については、法定雇用率の有無、現在の障害者の雇用状況、あるいは増員 を考えておられるといったご意向などで分析しておりますが、ここの説明は割愛したい と思います。  20頁は、先ほどの問12の2に対応するところです。そのうち、実際に活用したことの ある支援施策は何でしょうということを聞いたところ、17頁のグラフと見比べていただ くとわかるのですが、非常に活用している施策は少ないということで、その中で各種助 成金、あるいはトライアル雇用、セミナー等が比較的多いのですが、無回答が7割弱と いうことで、あまり活用したことがないとのお答えが非常に多くなっております。規模 の大きい企業においては、比較的、各種支援施策の活用度が高いという状況になってお ります。  21頁は、法定雇用率を満たしている企業、あるいは現在、障害者を雇用している企業 のほうが活用度が高いということが言えますので、こういった支援施策を知っていただ いて、活用していただくことによって、より障害者の雇用が進展するのではないかとい うことがうかがわれるのではないかと思います。  23頁は、活用し、なおかつそれが有効であった、役立ったと思える支援施策について 伺ったものです。残念ながら、さらに評価はちょっと低くなっており、各種助成金、ト ライアル雇用といったところが比較的高いのですが、全体の7割以上がこれに対して無 回答であり、役立ったと思える施策がないと捉えられるのではないかと思うのですが、 そういった状況です。当然ながら、先ほどと同じように法定雇用率を満たしている企業、 現在、障害者を雇用している企業のほうが、それ以外の企業よりもこういった施策の活 用度、評価は高くなっております。  26頁、調査票の問13になりますが、障害者雇用の阻害要因となる事項ということで聞 いたものです。お答えとしては、障害者に適した職務がない、あるいはハード的な問題 で、建物のバリアフリー化などが進んでいない。これはソフト的な問題だと思いますが、 障害者雇用のノウハウが乏しい、あるいは企業側が求める知識・技能を有する障害者が 少ない。これは知識・技能を有するかどうかがわからないということも当然含まれるの ではないかと思いますが、そういったお答えが多くなっております。これを業種別に見 ると、運輸業、建設業においては、障害者に適した職務がないとのお答えが多い。 それから、卸売業、製造業では、ハード的に建物のバリアフリー化が進んでいないとい うお答えが多くなっております。また、規模の大きい企業ほど、職場の従業員の理解を 得るのが難しいというお答えが多くなっております。これは先ほどの障害者を雇用する に当たり課題となった事項での周囲とのコミュニケーションなどといったところと、相 通ずるものではないかと思います。  それから、法定雇用率を満たしていない企業、あるいは現在、障害者を雇用していな い企業においてどのように考えているかというと、障害者に適した職務がない、建物の バリアフリー化が進んでいない、障害者雇用のノウハウが乏しいといったことを挙げて おられる企業が多い状況です。  29頁の15、調査票では問14になりますが、これから障害者雇用を拡大していくための 公的支援についてはどのようなものを期待されるか、という質問に対するお答えです。 やはり各種助成金の拡大、障害者の作業能力に関する情報提供、障害者雇用に係る好事 例の提供、あるいは障害者への職業指導、カウンセリングの充実、入社後の研修・訓練 への支援といったものを挙げる企業が多い状況になっています。こういったものについ ては、これに類するいろいろな支援策も既に用意されているものですから、先ほどの支 援施策がさらに浸透すれば、十分対応していくものではないかと思います。  業種別に見ますと、情報通信業では障害者の作業能力に関する情報提供、入社後の研 修・訓練への支援、障害者の就業環境整備に関するコンサルティングなどのニーズが高 い状況になっていますし、規模の大きい企業においては、障害者への職業指導、カウン セリングの充実のニーズが高くなっています。  30頁です。法定雇用率を満たしていない企業、あるいは現在、障害者を雇用していな い企業においては、障害者の作業能力に関する情報提供や、障害者雇用にかかる先進事 例、他社でうまくいっている事例を求める声が多い状況です。  積極的に増員を考えておられる企業、あるいは新規雇用を考えておられる企業では、 その障害者がどのような作業能力をお持ちなのかの情報を知りたいという声が高くなっ ています。これが31頁です。これで簡単ですが説明を終わります。 ○障害者雇用専門官  ありがとうございました。資料5ですが、時間の関係もあるのでごく簡単に説明した いと思います。ただいま私どもや、秋葉代理からご説明いただいた資料について、ポイ ントを簡単にまとめたものが資料5です。雇用状況、障害者雇用に関する認識・意欲、 2頁は中小企業が抱えている問題点ということで整理をさせていただきました。特に2 番目の認識・意欲は規模の小さい所ではなかなか難しい点があるのではないか。2頁の 3の課題としては、いまの秋葉代理からご説明いただいたような課題をポイントとして 挙げさせていただいています。ご参照いただければと思います。 ○座長  ありがとうございました。今、資料について御説明いただきましたので、これについ て御質問、あるいは御意見ございますでしょうか。どこからでも結構です。 ○小林委員  5,000以上アンケートを送って、調査を行った結果が、回答率が26.何パーセントだと いうことで、1,305社ということですが、この数字については、素人目には非常に低い 感じがしますが、これはこれで、もちろんこの種の調査の結果は他にはなく、今回初め てということですので、これはこれで評価したいが、数字的に見て、いかがなものでし ょうか。 ○秋葉代理  5,000社に対して1,305社の回答ということで、低いのではないかという御指摘ですが、 通常私どものような1団体が、こうした形で郵便で送って、記入して、封筒に詰めて、 郵便で御返送いただいたものですが、特に、何の謝礼も全くないという意味で、通常、 一般的に2割も回答が上がらないのではないかと、委員会でも危惧しておりました。 今回、26%の回答をいただけたという意味では、かなり関心が高く、私どもとしては思 った以上に回答を得られたと考えておりました。 ○座長  多分、最近、こういう調査が多くて、会社にいっぱい調査票が来るものですから、会 社の方も嫌になっていまして、回収率が低いものですが、25%あったらいいのかなと思 います。 ○倉知委員  2点あります。1点は、障害者雇用状況報告の件です。精神障害者が今回初めて上がっ てきて、2,000人ということですが、これは年間の職業紹介件数よりも少ない数になっ ています。ということは、もちろん就職の時の障害のカウントの仕方と、この雇用状況 報告のカウントの仕方が違うということもあると思いますが、なかなか定着していない と捉えていいのかなと思いますが、その辺について、どのように感じられておられます か。  もう1点は、実態調査の件です。ハローワークのところで、どこを利用して就職をし たかとありますね。9番の、採用する際に利用した経路というところですが、これは非 常に捉え方が難しいと思っています。ハローワークを利用していなくても、ハローワー クを通しているケースが非常に多いということと、ハローワークだけども、実はいくつ かの機関が絡んでいるとかがあって、これをこのまま捉えるのは難しい。縁故というの は別にして、それ以外のところは、ちょっと捉え方が難しいと思っているのですが、い かがですか。 ○障害者雇用専門官  1点目についてですが、職業紹介の精神障害者の就職件数ということでみると、17年 度で、大体4,700件です。人数ではないので、必ずしも人数と一致しないということは ありますが、そのような数字になっています。そのようなところと比較しますと、実際 ハローワークで紹介をする時に、障害をクローズで紹介している部分も若干ありますし、 そういった部分で、雇用率のカウント上は2,000人で0,01%になっているのですが、そう いう精神障害者の把握という部分で、お話のようにまだつかみ切れていない部分もある のかなと感じています。紹介の方は、就職件数でみると、大体4割ぐらいが55人以下の ところに就職をしているということで、そういったところが影響しているのかなと考え ております。 ○秋葉代理  今、御質問があったのは、採用する際に利用した経路ということで、調査票でいうと 問7になります。ここは、複数回答になっております。ですから、例えば1人しか採用し ていないのですが、複数の機関を経由した場合には、複数に丸印が付いている可能性も あります。もう1つは、こういった際に、厳密に、例えば、ハローワークの事業評価す る場合ですと、かなり厳密に経路の定義をしなければいけないと思いますが、今回は、 なるべく答えていただきたいということで、経営者の方が、これを見て、あの人を採用 する時はハローワークに頼んだなとか、ハローワークから紹介があったなとか、そうい う場合はここに丸印をしていただく。そういう意味で、ある程度経営者の感触的なもの になっているのではないかと思います。 ○倉知委員  この人を採用する時に一番援助してくれたとか、相談してくれたとか。そういうとこ ろと考えたらいいですか。 ○秋葉代理  そうですね。例えばハローワークの方が相談に見えられたというのが頭に残っておれ ば、ハローワークに丸印をされると思います。 ○倉知委員  分かりました。 ○小川委員代理森氏(以下「森代理」)  日身連の森でございます。実態調査の方ですが、全体的に見て、大変貴重な資料では ないかと思います。5番目の雇用している障害者の区分で、いわゆる身体障害者と知的 と、精神と分けてあるわけですが、それ以降の分析が全部を括った形で出ているので、 おそらく身体障害者と知的障害者と精神障害者では、それぞれ条件が違うのではないか と考えます。せっかくですから、その辺も分析していただければと思っています。 ○座長  要望ですけれども、どうですか。 ○秋葉代理  ただ、調査票を見ていただくと、2ページ目のところに、5番で、身体障害者、知的 障害者、精神障害者と、ここに人数を書いていただいています。これと、例えば、問6 とクロスさせるということが、ちょっと技術的にはなかなか難しい部分がございます。 私どもとしても、今のお話のように、例えば身体障害者の方はどういった業種が多いか とか、あるいは、身体障害者を雇っておられる企業ではどういった担当業務がいいかと か、そういうことだと思うのですが、実際に、例えば、問5で、複数の区分の障害者を 雇っておられる場合、それと例えばこの問8と、どのようにリンクさせるかというのが なかなか難しいということで、私どもも今回の分析の時、そこを断念してしまったとい う経緯があります。 ○座長  報告書は出来上がったのですか。 ○秋葉代理  まだです。 ○座長  それだったら、これは、各企業の身体障害者比率みたいにしてしまえばいいのです。 身体障害者の方が相対的に多い会社はどういうふうにやっているかというのは、どのよ うにやっているかというのを引っ繰り返せば、知的が多いところということですから、 そうやれば大丈夫です。集計を頑張ってください。 ○秋葉代理  委託事業ということもありますので、別に相談させていただきたいと思います。 ○森代理  私がそれを言ったのは、この研究の目的は、最終的には障害者の雇用の問題です。雇 用がどんどん上へ上がらないかということですから、非常にこの分析のところがいいな と私は思ったのです。それをしないと、例えば、労働時間の問題にしても、身体障害者 の人と精神障害者の人は違います。だから、そういうものもあるし、バリアフリーもそ うだし、いろいろ、相当、要素はこの中に出ているやつで、3障害それぞれ違うところ が出てくるのではないか。そんな気がしているのですが、もったいないなという気持ち でいるのです。 ○座長  ただ、精神障害者の方だけをみますと、精神障害者の人がいるとどうなるかという分 析は、数がこれだけ少ないと不可能ですね。 ○秋葉代理  そうですね。29人ですから。 ○座長  ですから、身体と知的だったらできるので、私も興味があるので、ちょっと相談され れば簡単だから。パッケージを回せばいいだけだから。頑張ってください。 ○藤原委員  この質問の中に、困った時に相談するところとか、何かそんな感じがなかったと思い ますので、継続就労について、どういうことを企業がお考えになっているかというよう なことがなかったように思いますが。 ○秋葉代理  強いて言えば、問12の選択肢の11番で、障害者の雇い入れや雇用管理などに関する相 談というのがあるのですが。 ○藤原委員  そうですか。雇用管理のところですね。それから、私どもはもう1つ、途中のトラブ ルとか、そういう時の相談があってですね。継続就労が実現するというか、そういうと ころの質問があった方が良かったかなと思ったりしています。 ○座長  それはもう手遅れですね。調査は終わりましたから。 ○藤原委員  それから、もう1つは、私も小企業の経営者をしておりますが、要するに、100人以下 のところは、多分、障害者担当とかという役割分担がなかなかないと思うのです。そう すると、社長が1人でオールマイティーでやっているものですから、もう忙しい。まず 資金繰りやら、そちらの方が忙しい。ということで、私も商工会の役員などを過去にや ったことがありますが、そこに行きましても、なかなか福祉とか、その他のことは、あ まり提案されないというのが現実だと思います。ですから、その現実をどうやるかとい う方向性をここで提案しなかったら、現状分析で終わってしまう。そうしたら、これは 進まないと思いますので、その辺はよろしく方向性をお願いしたいと思います。 ○金子委員  この調査の期間からいうと、まだ精神障害者の雇用が進んでいない段階だと思うんで すね。それで、この研究会は今回は時期的に間に合わないかも知れないけれども、もう ちょっと続けて、精神の方の雇用がどうなっているかみたいなことを何らかの形で調べ ていただき、どうですかということを考えていかないと、やはり対策を打ちにくいので はないかと思いますので、どうぞその辺を皆さんで検討してください。 ○座長  それは中央会は困りますよね。どこからかお金をもらわないといけないからできない ですよね。 ○障害者雇用対策課長  その意味では、別な形で精神障害者の雇用についてのいろんなケーススタディみたい なものは、例えば、特例子会社でのケーススタディとか、そういう形で、別のところに お願いしている部分もありますので、今回は、中央会さんの方には、今回こちらで御審 議いただいているような中小企業の雇用の促進という観点から、会員の企業をたくさん お持ちの中で、その実状をまずは調べていただくということで、委託事業の中でやって いただいています。その範囲で受けとめていただけると、私どもとしても助かると思い ますので、よろしくお願いいたします。 ○座長  他にございますでしょうか。 ○輪島委員  資料1のところでお伺いをしたいのですが、去年の6・1報告の結果から、21ページの 表が去年と今年の2年連続数字が出ています。不足数の関係の未達成企業数というのが 出てきたのですが、できれば、全体56人以上の企業規模が何人不足しているのかという 数字も別途出す必要があるのではないか。結局、そこが全体のターゲットというんです か。何人雇用されれば、56人以上の今の法定雇用率が達成されるのかという、そのボリ ューム感がここからでは分からないので、この表ではないのでしょうけれども、別に出 す必要があるのではないかと思っています。  それから、資料2ですが、3ページに新しい指標で、法定雇用率達成企業割合というの を出していただきました。これはこれで参考になるのだろうと思います。先ほど藤原委 員がおっしゃったように、この中小企業の研究会を、最初の300人以下というところを どうしましょうかということです。その中で、この資料2の分析は、法定雇用率がかか っている全て、56人以上の企業規模の状況がどういうふうになっているのかというのは、 明らかになったんだと思います。その点でいうと、5ページ目にあるような、223人から 277人であるとか、228人から334人とか5人というようなところをどうするのかという話 と、先ほどの資料1の21ページにあるような0人雇用企業や、1人不足、2人不足、特に前 回の議論の中では、1人不足、2人不足が38,000社の中の20,000社ですから、そこからや っていくのかという、優先順位をどうやって付けるのかというものを、支援策の中では 組み合わせるのかということをしないと、全部は一遍にはできないと思いますので、ど ういうふうにするのか。  あと、藤原委員の御指摘のように、商工会の55人以下のところがどういうふうになっ ているのかというところを、考えるのか、考えないのか。そこを決めておかないといけ ないのではないか。その点をどういうふうに議論の中で整理をするのか、議論する必要 があるのではないか。  それから、資料2の7ページ目ですが、そういう観点からいうと、平成18年のところ で、283,750カウウントということは、これはよく分かるのですが、つまり、これは、 56人以上のところで28万カウントあるということを示すわけですけれども、55人以下 のところで全体で雇用されているのが何人いるのか。多分、調査が合わないと思うので、 そこら辺のすりあわせは難しいと思うのですが、全体の中でどういう位置付けで、56人 以上はどういう状況なのかということも、整理としては、数字を押さえておく必要があ ると思うので、それは次回で結構ですから、少し資料を御提供いただきたいと思います。 以上です。 ○座長  何点かありましたが、課長からお願いします。 ○障害者雇用対策課長  御要望のありましたデータについては、次回までに、用意でき次第お渡しをしたいと 思います。今お話のあった、特に不足数の累計といいますか、どのぐらい不足数がある のかということと、それから、55人以下を含めての雇用者数、これは実態調査の結果に 基づく推計では、5人以上の企業に雇用されている方は約50万人というのが推計ですが、 それもデータとしてお出ししたいと思います。  それから、今、御意見としてもあった1人不足あるいは0人雇用というところをどうす るのかということについては、確かに私どもの指導の面からみても、優先順位をある程 度考えていく必要があります。ただ、0人雇用という中にも、規模が小さくて、法定数 が1で、そして0だという、つまり、あと1人雇っていただければというようなところで0 という場合と、それから、規模がある程度あって、つまり法定数が3人とか4人とかとい う、企業規模でいえば200人を超えるような規模での0というところとでは、同じ0でも、 0の考え方も違うかと思います。そこは、指導の中でも変えているところですが、その 辺りの優先順位といいますか、あるいは、施策の考え方の仕分けといいますか、そう いったものは、この場でも是非御議論いただければと思います。  それから、もう1つ、55人以下の部分についてですが、ここももちろん障害者雇用を 進めていく上では非常に重要な部分ですし、そこで実際に雇用が進んでいるという、先 ほどの職業紹介のデータで申し上げましたように、ハローワークの紹介による就職件数 の約4割は、その層にいっているということを考えますと、非常に重要です。ただ、一 方で、私どもが課題として大きなものとして感じておりますのは、法律で雇用義務、雇 用率制度ということでお願いをしている部分において雇用が進んでいないということの 問題意識というのもございますので、その意味では、どちらかといえば、56人以上のと ころで進んでいない部分についてどうしたらいいかという点を中心に御議論をいただく ということではないかと思っております。 ○輪島委員  その点ですけど、結局、その0人雇用企業の中の、5人法定雇用で0人雇用と、0人のと ころの0人雇用企業は、性格が多分違うと思う。窓口の指導とか、企業側の雇用の仕方 というのは、持って行く際には全く違って、5人だと378人以上ですから、それなりに 大きな会社です。そのところに、多分ハローワークで指導すれば、こういう仕事は清掃 がありますね、こういう仕事はメールがありますね、ということで切り分けられる余裕 があるけれども、そのことに気が付いていない企業です。それと、1人のところで、本 当に1人雇うことができるのか、できないのかという、そういう企業の話だと思う。 そこのところは、アプローチの仕方が変わるわけですから、そこのところで、どっちも やるなら、どっちも必要ですけれども、優先順位というものが自ずと付いてくるわけで、 それによって、支援策は変わってくるだろう。その点について、どうやって整理して、 議論するのかということが重要だろうということだと思います。 ○座長  今の点でちょっと思い付いたんですが、この調査票の、例えば今、輪島委員が言われ たような会社をピックアップできるわけですね。だから、もし、そういう問題意識が少 しはっきりしていれば、これを少し組み替えると、こういうパターンの会社はこういう ことを要望しているというのが出るかも知れませんね。また仕事をつくって申し訳ない ですけど。確かに、どこをターゲットに論議するかということと、そのターゲットにど ういうアプローチをかけるのかというのは、一番基本ですから、そういうのに参考にな る情報だから、取れればいいですね。秋葉さん、いいですね。その点も、御検討くださ い。私が今しゃべってしまいましたけれども、今の件で何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  今、座長がおっしゃったような点では、ちょっと私どもも十分に読み込めていない点 がございますが、中央会の調査の中でも、雇用していないところが、例えば、疎外要因 とか、課題とか、それから支援策として求めるものとか、何を求めているかというよう なことは、このデータでも取れる部分がありますので、今いただいているこういう成果 をまずは最大限に生かして、少し私どもの方でも分析的な視点で、課題を整理してみた いと思います。 ○座長  それでは、どうでしょうか。今の輪島委員の議論は、内容的に「その他」に入ってい ますので、時間も時間ですので、その他に自動的入るということにします。論点整理の ためのフリートーキングですので、今日の資料に基づいた議論でも結構ですし、これま で行われたヒアリングをベースにした御意見でも結構です。自由に御意見を出していた だければと思います。 ○堀江委員  私は就労支援者として日々現場に出ていますので、現場で感じていることと、今日、 調査報告していただいたことが、本当に一致しているというところでは、自立支援法の 絡みもありまして、ノウハウがない就労支援者と、ノウハウのない企業さんの中で、大 変なミスマッチが現場では起きているわけですので、早急にモデル事業でも何でもいい んですけれども、1つ形になるものをつくれたらいいと感じています。やはり、感じて いることとしては、お金の問題で解決できる、比較的大きいところは、お金で解決でき るところがあるのではないかと感じます。ただ、そのお金についても、周知活動という か、いろんな施策を知らないということが、このデータからはあるというところで、や はり中小企業の場合は、市区町村の課題でもあるわけです。地域振興の中で中心になっ ているのは、どうしても中小企業が主たる団体としてやっている市区町村が多いと思い ますので、そういったところの連携をどうされるのか。あるいは、就労移行型の事業所 の支援をする人たちが、このサービスをどれぐらい説明をできるのかとか、その辺の人 の養成も、併せてしておかないといけないのではないか。  それから、もう1つは、ここでは中小企業ということなんですが、一方では、1,000 人以上が1.69といっても、36.9%という低い水準というところで、中小の場合は、お金 がないとか、仕事がないという課題があって、でも、一方では、何とかお金があって、 雇用はできる。この課題を、別々に解決するのではなく、新しい仕組みをつくってみる というのもどうかなと思うのです。例えば、特例の中小企業イメージというんでしょう か。何社かで協同組合のような形にして、そこにいろいろな条件設定はしないといけな いと思うのですが、そういったものですとか、あるいは、大手企業さんで、特にこれは 業種を限定しなければいけないと思うのですが、人材派遣業などはとても採用が進んで いない。進んでも、進んでも、達成できないとか、そういった背景があるので、カウン トのシェアができるような仕組み、委託で仕事を出して、それをカウントに入れていく だとか、そういう具体的な、今困っている人たちの「困った」を合わせていくと、両者 が「困った」が解決できる方法が採れるのではないか。そういうことを現場で感じてい るところです。是非、中小の場合については、やはり、私は中野区を今活動エリアにし ているわけですが、市町村の活性化にとても必要なことで、そこが元気になってこない と、活性化しないということもあるので、もう少し、ハローワークが中心になって、も っと市区町村と連携ができるような活動もしていった方がいいのではないかと感じてい ます。現場からしかものが言えなくて、申し訳ないです。 ○座長  いいえ。ありがとうございました。 ○藤原委員  2つほどあります。障害者自立支援法ができまして、私は地域移行と就労支援が一番 大きな理念であるが、その中で、就労支援というのが、厚労省は本気でやるというよう なこと言っているわけです。各講演とか、いろんなところへ行った時にですね。結局、 こういう3つの研究会の名の下に、本当に就労に力を入れているからというふうに言っ ておりますので、必ず結果を出して欲しいと思います。これは1つの大きな要望です。  もう1つは、他の2つの研究会の進み具合です。今も人材派遣のことが出ていましたけ れども、いわゆる多様な雇用形態とか、その報告をちょっと一度、短い時間でいいです から、やはり中間報告的なものを聞かせていただいて、整合性といいますか、要するに 障害者の就労をどう進めていくかという、こちらは中小企業ですけれども、その辺、他 の研究会の報告もして欲しいと思います。  それから、私が、以前も言いましたが、要するに自営とか、在宅就業ですね。という か、稼得収入といいますか、結局、障害者の稼得収入が増えれば、私にとってはいいわ けです。だから、そういうことで、雇用促進法に当たらないけれども、家業とか、そう いう自営業ですね。そういうところで進む方向性も制度としてつくっていただけないか と思っています。 ○座長  就業促進でいいということですね。 ○藤原委員  そうですね、雇用ではなくて就業促進ですね。今、法律は雇用促進ですから、就業促 進というふうになったらいいかなと思います。 ○座長  今日は、事務局に論点をつくっていただくために、我々は勝手なことが言えるという 趣旨ですから、事務局のお答えは得ないというふうに思っているんですが、ただ、他の 研究会の進行状況の報告についてはどうでしょうか。 ○障害者雇用対策課長  この研究会でも先ほど座長に御紹介いただきましたように、次回20日は、論点整理の 資料を私どもからお出しをして、御議論を深めていだくというつもりでおりますが、あ と2つの研究会ですが、1つは「多様な雇用形態等に対応する雇用率制度の在り方につい ての研究会」ということで、内容的には、短時間労働と派遣労働に関する検討をしてい ただいているものです。それから、もう1つは、「教育、福祉との連携による就労支援 の在り方に関する研究会」ということで、これは名前の通りです。この2つの研究会に つきましても、同じように、今までヒアリングを進めてきたりしております。進み具合 も大体似たような状況になっております。多様な雇用形態に関する研究会の方は、来週 には論点整理のペーパーを私どもが事務局としてお出しをする。それから、連携による 就労支援の研究会の方は、再来週13日に開かれる予定ですが、その時に、これまでに出 た意見の集約はお出しをする。こんなような形になってまいりますので、次回20日の際 に、そういった他の研究会での集約したペーパーを参考の資料として御報告できると思 いますので、そうさせていただければと思っております。 ○倉知委員  今回の調査で感じたことが3点あるのでお話させていただきます。1つは、未達成企業 の半分が達成を考えていないとか、障害者雇用未経験の企業の7割が雇用を考えていな いということは、まだまだ雇用意識のところが十分でないという感じがします。今回、 厚労省は今回、厚労省は雇用率達成指導をかなりやっていますが、やはりもう1つ、も っと必要なのかも知れない。まず、困る前に考えていないところを何とかしなければい けない。まず困ってもらわなければいけないのかなというのが1点です。  2点目が、やはり必要な支援です。困っていることですが、技術的なことが多いです ね。職務開発とか、雇用管理とかというところで、実はかなり困っている。まずは、そ こを増やさなければいけないんですが、では、どんな支援が必要というところでは、困 っていることに対する解決の方法ではない。先ほど、堀江委員もおっしゃっていたよう に、お金絡みがあります。ということは、まだそれを何とかしてくれるような仕組みは ない。と思っていない。だから、もうちょっと、そういう企業の中に入っていって、雇 用管理だとか職務開発だとかということを、かなり専門的にやる。そんな支援がこれか ら必要なのかと思います。  でも、その前に、まず雇用意識を何とかしないといけない。困らなければ、企業も動 かないので、そこら辺を、どういうふうに制度をつくっていくのか。  3点目は、それでも、もう雇えないという限界のデータも出ていると思うのです。で すから、これも先ほど堀江委員がおっしゃったように、企業組合方式の特例子会社をつ くるとか、あと、労働者の派遣のあり方をどうこれから考えていくのかとか、そういう 限界をもう一歩広げていける柔軟なやり方をとっていかないと、それだけでは限界があ るのかなと思いました。その3点を感じました。 ○座長  今の2点目ですが、職務開発とか雇用管理について、会社に入ってサポートする人は、 どこにいるのですか。 ○倉知委員  そこをどうやってこれから作っていくのかが大事かなと思います。 ○座長  多分、職務開発などというのは、かなり現場を知っていて、ノウハウも知っていて、 技術も知っている人でないといけないですね。 ○金子委員  私も最近、精神の関係の方を雇っている方なんかにもお会いしたりしているんですが、 そういうことでいうと、中高年とか、定年退職した、そこの企業の中で働いた経験があ って、そうして、そういう仕事のことが分かっていて、ある程度の柔軟性がある人たち を、中高年の働き場ということも含めて、何かその辺で、もっとそういう力を生かす方 法はないかと、先ほどちょっと考えました。 ○座長  これから大量に登場する団塊の世代を使いますか。 ○金子委員  はい。そういう方法で、両方にとっていいと思います。やはり、社会経験のある人と、 その障害の人が一緒にやるということで、そして、経費的にも、フルタイムで健常者が 動くというのではない方法でできないかと、ちょっと考えていました。 ○堀江委員  私は、ここのところ、特例子会社の設立などの手伝いをさせていただいているのです が、最初は、私どもの方で、そういった職務の開発ですとかをやりながらやってきたの ですが、だんだん企業さんの方もノウハウを蓄積されてきて、最近お手伝いした企業さ んの時は、やはり今、金子委員がおっしゃったように、会社の中の業務をよく分かって いる方が出てこられて、それに対し、私どもが障害特性をお伝えしています。でも、こ れはまだまだできる企業さんは少ないと思っています。これも、今ある制度との兼ね合 いだと思うのですが、第2号ジョブコーチという制度がありますが、これは企業の中の ジョブコーチです。ジョブコーチというのは、いわゆる職域の開発から定着まで一貫し て行うというようなことですが、第2号の場合は、自社の中で活用される制度で、そこ の雇用が終わると、もう使えない。使えないというか、その会社の中で制度を使うとい うか、とてももったいない話だなと思っています。私たちが支援を受けようとしたり、 支援をしようとする時に、やはり先に取り組みをされた企業さんに企業さんを御紹介を して、企業さん同士で連携したりしてもらつたりするとよい。やはり、福祉は分からな いところがたくさんあるので、そういったものを柔軟に、制度が活用できるような、第 2号ジョブコーチのあり方についても少し整理していただくといいのかなと思います。 ○倉知委員  障害者を支援する専門家というのは結構出てきていると思います。これはやはり、仕 組みがあるから、できてきたと思います。今、私も同じようなことを言おうと思ったん ですが、例えば、企業に第2号ジョブコーチのようなものを派遣する企業が、本当に仕 組みとしてできたら、私はできてくるだろうと思います。やはり、仕組みがないと、そ ういう専門家は育たないし、やはり、そういう仕事もないとできていかないのかなと思 う。今は、障害者を支援する方が、プラスアルファで企業の方を支援している。やはり 企業を支援する専門家を、どう仕組みとしてつくっていくのか。そういうのがあれば、 私は変わっていくのかなという気がしています。 ○座長  それと、先ほどおっしゃった1点目の、その気がないところをその気にさせるという 方法は何かないですか。 ○倉知委員  これは、今の厚労省がやっている達成指導を強化していくしかないだろうと思います。 やはり、そこはある程度、上から強くやっていかないと。まず、困ってもらわないと、 次の、解決する人がいますよと言っても、飛びついてこないですから。そこが必要なの ではないかという気がします。 ○藤原委員  私はちょっと違った面からですが、中央会の資料の13ページですが、要するに、就職 する場合に利用した経路です。この中で、福祉作業所はものすごく低いですね。だけど、 考えたら、求職している、働きたいという障害のある人は、養護学校かこの福祉作業所 にいるわけです。ところが、実際は、この福祉作業所がほとんど出てこないというのは 何故か。ここをもっと解明しなければいけません。何故かというと、福祉作業所の職員 は、これでいいという今の意識の問題ですけど、そんな人が多いです。私の近隣の事例 ですが、そこにものすごく職場開拓をする支援者がきたために、本当にびっくりするほ どの数値が上がっているんですね。だから、福祉作業所はノウハウよりも人によるから 困っていると思うのですが、ただ、実際、人材は養護学校と作業所だけです。在宅には ほとんどないわけです。ですから、この2つをどう進めるかということと、今言われた ように、受け皿の方の企業の問題ですから、やはり私は、本人たちの方にどう進めるか ということもあるのではないかと思います。 ○座長  まだ学校の方がましですか。 ○藤原委員 そうです。これは、病院やあれと同じで、施設に5年いたら、はっきり言って駄目で す。私は施設も経営したことがありますし、関係もしていますが、それに慣れきってし まうのです。そして、親というのは、どちらかといえば、学校やら、企業と、通所施設 ですね。入所施設ではないですよ。通所施設の場合は、理屈は一緒なんです。朝起きて、 どこかへ行って、そして、帰ってきてという、生活のリズムは一緒なんです。問題は、 受け取るお金だけが違うんですね。それだけの違いですから、それだったら、親がこの 頃、ある程度若くて元気ですから、お金を持っていたら、企業の厳しいところへという ことですから、やっぱり親の意識改革と、福祉施設の職員の、その職員も施設長以下で す。ですから、こんなことを言ったら悪いですが、天下りの施設長が3年とか5年、無難 に施設長をやってというような、公立のところなんかはとてもではないけど駄目です。 はっきり言って。その辺があります。だから、やっぱり今言われたように、意識という のは、送り出す側の意識、それから、受け入れ側の意識、それから、親の方ですね。 本人よりも親ですね。知的の場合は、親がほとんどリードしてしまいますから、親が安 穏としていることがあるのではないかと思います。 ○金子委員  今、倉知委員が困ってもらわなければと言いましたが、それも1つで、そちらのサイ ドからの攻め方もあると思うのですが、ただ、やっぱり役に立ってもらえる人もいるの で、最近も、スーパーの関係の経営者の方で、精神障害者の方を多く受け入れていらっ しゃるところがあって、そこで、健常者と同じにやってもらえるから大丈夫ですよとい うふうに言っていらっしゃるところもある。そういう経営者の方たちのお話なんかも聞 いてもらう。実際どうやっていらっしゃるとか。そういうノウハウが広がると、ちょっ と二の足を踏んでいらっしゃる方たちのところにも入ってもらえる。やっぱり、役に立 つところがあるんだなということは、一般のパートの方と同じようにやってもらえるの ではないかということが出てくればいいので、その辺がより進むような形の施策です。 それから、その企業の方にそういう情報が届くようにとか、そういった経験のある方に 話してもらうとか、いろんな形のことが、もっとスムーズにいくようにする。それから、 中小企業の経営で苦しい方たちに、すぐ役に立つような方法を考えていただくというこ とがあれば、違ってくるのではないかと思います。 ○座長  締めるだけでは駄目ということですね。やはり、太陽政策がいいですね。 ○倉知委員  締めないと、提案しても聞いてもらえないということがあるので、両方ないと駄目で すね。ただ、今、いろんなところで企業に当たっていて、301人以上の企業と、300人以 下の企業は全然対応が違います。というのは、やっぱり納付金を払わなければいけない 企業というのは、やはり既に意識があるんです。そうすると、話は聞いてもらえる。 300人以下の企業は、話しすら聞くことも全く考えていないし、障害者雇用なんて、自 分のところは関係ないという意識があります。ものすごくその差は大きいと思います。 ○座長  では、締めるのだったら、納付金を払ってもらえばいいですね。 ○倉知委員  だから、それも1つの方法だと思います。それで気付いてもらって、そこで手を差し のべてあげるための仕組みをつくる。両方ないと、それはとてもかわいそうだと思いま す。 ○小林委員  今、福祉作業所の話がちょっと出ましたので、私はそんなに深くは関わっていないの ですが、全く関わっていないというわけでもないので、経験上言わせていただきます。 現在の福祉作業所の問題ですけれども、補助金等のことで、どうしても一定の頭数を揃 えるということに四苦八苦していて、作業所間で綱引きをやっているようなものです。 うちに来て欲しい。いやいや、こっちに来て欲しいというような。そんなようなことで、 そこにもいろいろと雇用が進まない問題があります。つまり、結局、雇用できるような 障害者がいても、離したがらない。というようなこともありますので、やはり作業所と 企業との連携というか、その繋がりのことについて、目を向けていく必要があるのでは ないかと思います。 ○堀江委員  それに関連して、先週、広島と大阪に就労支援の関係で行って来たんですが、本当に 今、そういうことが現場で起きています。それは、自立支援法の絡みでもあるんですが、 就労を頑張ろうとすれば、頑張ろうとするほど、都内については市区町村事業があるの で、比較的財源確保して就労支援ができるというところがあるんですが、地方に行くと、 今まで90人定員のところは募集しなくても人が集まってきた。就労を頑張れば、頑張る ほど定員割れを興して、広島のある就労支援センターだったんですが、60人しか人がい ない。日割り計算でも、これではやっていけないというか、それでも就労を頑張るとい う。その中で、例えばいろんな形、少し補助金を出そうとか、そんな動きがちらほら出 て来ている時に、現場でやっている人たちは、本当に就労支援をやっても評価されない。 それでもやるんだという人たちがとてもいるので、その自立支援法の絡みの中で、併せ て見ていっていただかないと、企業からニーズがあったとしても、いませんかと声をか けても、出てこないんです。それは、作業所の中に、みんな運営のために囲われている 人たちがたくさんいるというところを、もう1度洗いだしをしてもらいたいと思います。 大阪でも同じような状況が起きていました。 ○座長  なるほど。 ○輪島委員  その最後の話からすると、やはり先ほどの法定雇用率を達成するには何万人なのかと いうところで、どこから何万人という答えを持ってくるか。マンパワーとしてどういう プールがあって、どこからどうやって出すのか。出す仕組みをどういうふうにするのか。 ということを考えないと、最終的な目標は達成できない。  もう1つは、就労をどういうふうに考えるのかということです。雇用一辺倒でいくの かどうかということを、もう1度考えないといけないのだろうと思う。工賃が月1万円 の世界と、最低賃金の11万ないし12万の、そこのギャップをどうするか。中間的なも のをつくるのか、つくらないのかというのを、雇用で埋めるのかどうかということと、 それが雇用なのか、短時間の就労なのかということの、雇用率とは全く関係のない世界 をつくるのかどうかということになる。その点をどういうふうにするのか。そのことを つくるのであれば、企業側が社会福祉法人等へ事業の発注だとか、仕事を出すというこ とによって、そこの工賃を上げるだとか、または、短時間だけれども、雇用保険上30時 間とか20時間にならないけれども、一定程度の雇用関係によって収入を得られるように なるのか。そこで地域で働くことができるのかどうかということを、設計するのか、設 計しないのかという、非常に大きな曲がり角なんだろう。雇用なのか、福祉なのかとい う2つのことではない、第3の道をどういうふうに設計するのかといことが、その中間で 落ちてしまっているので、どうしてもできないんだろうなと思います。  それから、2号ジョブコーチの件ですが、この間の法律改正の設計上、どうしてそう いうふうになっているのか、今、少し不思議ですけれども、1号ジョブコーチと2号ジョ ブコーチは、やはり1号ジョブコーチの方が偉いということになると、2号ジョブコーチ が1号ジョブコーチにはなれない。何時間か研修しないと、2号ジョブコーチは1号ジョ ブコーチになれない。それの制度的な歪みというのを直さないといけないだろう。  それから、独立行政法人の高齢・障害者雇用支援機構なので、企業の中のOBのノウハ ウ、団塊の世代のノウハウを、企業のノウハウを、企業支援という形で障害者雇用に向 けるような仕組みというのは、おそらくその中ではできると思うので、縦には割れない でしょうけれども、高齢者雇用の促進と障害者雇用の促進だけではなくて、ブリッジを 架ける事業をするということが重要なんだろうと思います。とりあえず以上です。 ○座長  他にございますか。 ○佐藤委員  今後の論点に関係してということなんですが、以前、ヒアリングで来ていただいた方 のお話からなんですが、今までの皆さんとの話とはまた違う観点からなんですが、中小 企業で障害者の方を雇用する時に、企業のトップの意識が大きいという話をされていま した。今の時点で、具体的なアイディアは持ち合わせていませんが、そういう観点から も議論ができればと思っているのが1つあります。  それともう1つ、今の企業の意識を変えるというお話があったんですが、ただ、背景 としてちょっと考えないといけないと思っているのは、今日、中央会さんで出していた だいた資料でいくと8ページなんですが、現状の人数を維持、減らすことを考えている、 あるいは新規雇用を考えていない企業の理由で、障害者のみならず従業員全体の増員が 難しいという答えが大きい。ここで、特に55人以下の企業で非常に多いというのがあり ましたが、それより規模が大きい企業でも、やっぱり、301人以上を抜かせば、4割前後 がそういうことを挙げている。景気全体が良くなっているとはいえ、やはり中小企業の 中で、まだまだ厳しいところも多いものですから、実態としてこういうのもあるという のを踏まえて、こういう観点を入れながら議論させていただければと思っています。 ○村上委員  今まで皆様がおっしゃったお話と重複するんですが、今日の資料を拝見しまして、前 回のヒアリングで伺った印象と同様の傾向が出ていると思いまして、やはり、そういう 施策が大事なんだと感じております。特に企業において困っていることということでは、 やはり障害を持つ方がどういう作業能力を持っていて、どんな仕事に就いていただける のかというところがお困りなんだということがありましたので、そこの支援が必要だと いうことは認識いたしました。  また、7ページにあったんですが、どうして障害者を増員するのか、新規雇用を考えて いるのかというところでは、法定雇用率を満たすためとか、企業としての社会的責任と いうところを重視されている企業が多いということで、やはり法定雇用率という制度の 有用性というものがここでは出ているので、引き続き強化していかなければいけないと 思います。一方で、今の佐藤委員のお話にもありましたけれども、障害者を企業で受け 入れるということが、本当にメリットがあるんだということを、やっぱりもっと広げな くてはいけない。前回、トップの判断によるというお話もありましたので、そこをどう 好事例を周知していくのかというところが大事なのではないかと思いました。  あと、産業別のところでよく分からなかったのは、情報通信産業のデータをずっと見 ていますと、その情報通信産業では障害者の雇用が進んでいないということですが、IT 化が障害者の職域を拡大したといわれつつも、なぜここが進まないのか。疎外要因がな いというような答えもありながら、情報通信のところで進まないのはなぜなのか、疑問 に思いました。何か答えがあれば教えていただければと思いました。  最後に、雇用か就労かという話がありましたけれども、全体に障害を持つ方がそれぞ れの能力を社会的に発揮しながら自立に向かっていくような方向にしていかなければい けないという中で、やはり雇用に結びつく方については雇用を重視してやっていかなく てはならないのではないか。そこに、間のところをつくることについては、やはり少し 慎重な検討が必要ではないかと思っております。 ○座長  それでは、調査について、情報通信だけ何か変だということについて。 ○秋葉代理  ここは冒頭申し上げたように、若干調査にも限界があって、1,305票なんですけれど も、そのうち情報通信業は54票なので、必ずしも業界の実態を反映しているか。統計的 に有意かとなると、ちょっと何ともいえない。それと、私どもがこの調査を実施するに 当たって、やはり回収できないと何もならないので、なるべく簡単に丸印を付けて答え てもらおうということだったものですから、なかなかそれ以上の、何故とかという条項 が設けられていないというのが現状です。 ○障害者雇用対策課長  今の点について、補足をさせていただきますが、6・1調査の方から見ても、実は情報 通信業は対応が遅れているという面がございます。今日の資料の「1、障害者雇用状況 報告の集計結果について」という資料ですが、その7ページに産業別のグラフが載せて あります。左側が実雇用率で、右側が達成企業割合です。何れも最下位にランクされて いるという状況です。その状況が、中央会のデータにも反映されていることではないか と思います。あと、なぜ情報通信業が遅れているかという点ですが、これはデータ的な 捕捉はできていませんが、現場から聞こえてくる声などを考えますと、1点は、情報通 信業における雇用環境といいますか、それが障害者雇用を進めるに十分な環境的な面で のゆとりがないというと語弊があるかも知れませんが、そういう状況があるということ です。もう1点は、割と最近の成長産業でもありますので、若い会社が多くて、労務管 理の面で、まだ障害者雇用まで目がいっていないという面があるのではないかという気 がしております。 ○座長  あるいは、やる気がないか。 ○障害者雇用対策課長  そこは、先ほどの倉知委員の話からも、指導という意味では、特に大きな規模の情報 通信産業の企業には、こちらでも強い指導をかけさせていただいているという状況です。 ○金子委員  私ども精神障害者に関わっているところですと、身体の方ですと、車椅子に象徴され るような職場環境の改善とか、建て直しとかあると思うのです。知的障害者の方ですと、 そういった業務分析的な指導とか支援があると思うのですが、精神の場合は、やはり不 安感をどうサポートするかということで、仕事のやり方を教えるのではなくて、仕事は 本当はできるんだけど、その不安感を支える話し合いだとか、そういう相談相手とかと いう感じのサポートがあれば、かなり続く人が多いと思いまして、その辺のことをもう ちょっと企業の方に分かっていただくと、違うのではないかという気がします。 ○座長  大分御意見をいただきましたので、そういう点を踏まえて、自由に議論させていただ きましたので、次回までに論点を整理しておいていただきたいと思います。それでは、 今日はこの辺にさせていただき、次回の日程だけ確認していただけますか。 ○障害者雇用専門官  次回でございますが、2月20日(火)10時から12時までとなっています。場所は今回 と同じこの6階の共用第8会議室を予定しています。また、お手元に第4回研究会の議 事録を配付させていただいています。内容をご確認いただいた上でホームページ上で公 開したいと思いますので、ご意見等がございましたら、2月14日(水)までに当方事務 局までご連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部  障害者雇用対策課 雇用促進係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL  03(5253)1111(内線5855)  FAX  03(3502)5394