07/01/25 特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会 第3回議事録 第3回 特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会 日時:平成19年1月25日(木) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省2階共用第6会議室 ○齋藤母子保健課長補佐  定刻となりましたので、ただ今から第3回特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的 な運用に関する検討会を開催いたします。それでは議論に先だちまして事務局から委員 の出席状況と資料の確認などをさせていただきます。  本日は10人の委員全員がご出席となっております。次にお手元にお配りしました資 料につきまして、順番に簡単にご確認をさせていただきたいと思います。もし手元にな いものがありましたら、ご指摘いただければと存じます。  まず綴りで左の方にクリップ止めで一式ご用意していますが、議事次第がありまして、 それから資料の一覧表が2枚目に配付資料4ということで付けています。右肩に(資料 1)とあります。こちらは本事業の全国的な実績・成果の把握について(案)という資料で す。またその次に(資料2)ということで横置きの資料ですが、こちらは日本産科婦人科学 会の個別調査票の登録ページとなっています。こちらの二つにつきましては、また後ほ どご議論いただきます際に詳しくご説明をさせていただきます。  また今度はA3で折り込み式になっています大きな(資料3)がありますが、こちらは本 事業の実施医療機関における設備・人員等の指定要件について、これもご議論いただく 際に詳しくご説明を申し上げます。  また(資料4)ということで、不妊治療の成果・予後の検証方法について(案)という資料 です。それから(資料5)としまして、平成19年度の母子保健対策関係予算(案)の概要と いう資料です。こちらは特定不妊治療費助成事業の来年度の予算についてで、後ほど母 子保健課長の方からご説明を申し上げます。  また(資料6)ということで、横置きになりますけれども、こちらの方は特定不妊治療費 助成事業の要綱(案)ということで、前回までのご議論を踏まえまして要綱の改正案を作 成しているものですが、まだ案の段階のものです。  またその他の参考資料といたしまして、前回・前々回と検討会でお配りした資料をピ ンクのファイルにご用意させていただいております。適宜ご覧ください。以上です。 ○田邊座長  はい、それではただ今から第3回の検討会を始めます。座ったまま失礼します。それ ではただ今のご説明にありましたように、最初に母子保健課長から次年度の予算等につ いて、少し概要をご説明いただければと思います。よろしくお願いします。 ○千村母子保健課長  それでは資料5をご覧いただければと思います。「平成19年度母子保健対策関係予算 (案)の概要」です。「母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)」とあります。この 中で(1)に「不妊治療に対する支援」ということで特定不妊治療費助成事業の助成額の 増額、それから所得制限を緩和することとしています。  内容について少しご説明します。まず助成額としましては、1年度当たり上限額が現 行10万円ですが、平成19年度から上限額1回当たり10万、年間で2回までというこ とで、最大限20万円までということになります。  それから所得制限についてですが、所得制限を650万円から730万円に緩和する予定 です。こういった形で来年度以降の特定不妊治療費助成事業の拡充をしていきたいと考 えているところです。  このように来年度以降、事業を充実する予定ですので、実施医療機関の指定基準を明 確化し、事業の充実を図っていきたいと考えます。この検討会におきます議論を参考に させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○田邊座長  ありがとうございました。何かご質問はよろしいですか。これは予算をこれから国会 で討議していただいて、通ればということです。  それでは早速本日の議事に入りたいと思いますが、まず最初に課題の1ですが、特定 不妊治療費助成事業の全国的な実績・成果の把握について、前回もご検討いただきまし たが、引き続き本日もご検討いただきたいと思います。  資料等の説明について、事務局の方よろしくお願いいたします。 ○齋藤母子保健課長補佐  それでは資料1と2についてまずご説明を申し上げます。(資料1)ですがこちらは議 論を進めていただくに当たりまして、前回の委員の皆さま方からのご議論・ご意見を踏 まえまして整理をし直したものです。  ポイントとしましては、1点目として「事業の実績・成果の把握方法」というところ ですが、これは日本産科婦人科学会の個別調査票登録システムで、都道府県単位で情報 収集ができるようにお願いをしました。このIの(1)にありますように、実施医療機関が 直接学会の個別調査票に登録をいたしまして、Iの(2)にありますように、行政側はこの 収集した情報から行政として把握が必要な項目について解析を行うといった方法とさせ ていただきました。  2点目ですが、行政として把握が必要な項目を精査するようにというご意見がありま したので、こちらのIIに挙げましたような形で項目を整理いたしました。  また3点目のところですが、前回ご議論いただきました行政が実績成果の把握を行う ことの説明に対しまして、これは本事業の実施医師および都道府県などの両方から、患 者さんに対してインフォームド・コンセントを取っていただくこととしました。  次に(資料2)の説明を申し上げます。(資料2)は横置きの資料ですが、こちらは今申し 上げました日本産科婦人科学会の個別調査票の登録ページです。学会では今月よりこの 登録ページによる個別調査票の登録を開始されたと伺っております。またここにお示し しています案につきまして、事業の実施のために都道府県等に示す要綱ですとか、また 申請書類の改正案を作成いたしましたのが、この後続けて参りますが(資料6)というもの です。これはイメージということで今回ご用意させていただいています。まだ当然、案 の段階ですが、このような要綱という形に最終的にはまとめさせていただく予定です。  今の患者さんに対する説明の部分ですが、この申請書類の一式の中には、本事業につ いて行政が受給者に対して実績・成果を把握するという説明・同意を入れるための書類 といったものも考えているところです。  今ご紹介させていただきました(資料6)ですが、これは案の段階ですので本日ご意見を いただきましてということではありません。議論を踏まえまして、こちらの方で作成す る予定ですので、もし現時点で何かお気づきの点がありましたら次回検討会までに事務 局にご意見をお寄せいただければと存じます。以上です。 ○田邊座長  はい、ありがとうございました。(資料6)の方はこのような格好で要綱が使われるとい うイメージだそうですので、この次までにご意見がありましたらお寄せいただければと 思います。  それでは早速資料1と2について検討を始めたいと思いますが、まず全般的なご質問 はありますでしょうか。 ○石原委員  1点お伺いしたいのですが。今回収入の上限が上昇したわけですが、この上昇によっ て対象となるカップルが年間どの程度増えるという目安をお持ちなのか教えていただけ ますでしょうか。 ○田邊座長  いかがでしょうか。国の方でお持ちですか。 ○中込母子保健課係長  はい、担当です。具体的に何組という積算はしていないのですが、これまで全体の85% の世帯を対象としていたところですが、90%まで支給対象の世帯を引き上げるという考 え方です。 ○田邊座長  石原委員よろしいですか。ありがとうございました。その他全般的なご質問はありま すか。よろしいですか。  それでは、この(資料1)に沿ってご検討いただきたいと思うのですが、(資料1)「事業 の実績・成果の把握方法」です。前回出席された委員はおわかりだと思いますが、かな り複雑だったのが、今回事務局のご努力でだいぶ簡潔になったように思います。要する に1番として実施医療機関が学会の個別調査票に登録するということだけでよろしい。 あとは患者さんが都道府県の方に申請するということです。そういうことになったよう ですが、齊藤委員、前回の委員会のときにお示しいただいたものと少し変わっています よね。ご説明いただけますか。 ○齊藤委員  前に吉村委員から指摘されたように、少し変わっているところがあるだろうといわれ たので、最新のものを提出いたしました。この(資料2)の1枚目の1番上、患者識別No. というのが、前は注意書きがなくてただ入れるだけでしたが、これを都道府県等99の 自治体が把握できるように各施設の患者識別番号プラスその患者さんの住まわれている 都道府県名と市名まで入れていただくと99を分けて集計できるということで、このよ うな形式にいたしました。  もう1点変わった点は、3枚目の最後の「次へ進む」の前ですけれども、この事業、 特定不妊治療費助成制度の利用。「施行」、「非施行」と、選択肢の名前がシステム上の問 題でおかしいのですが、このような項目を付けてこのシステムを使ったか使わなかった かが把握できるようにいたしました。そこが大きな点であとは変わっておりません。 ○田邊座長  ありがとうございました。そういうことで原則として不妊治療の施設は全員、患者さ んに治療をしたらこれを入れるという原則ですので、学会の方からデータをいただけれ ば自動的に国の方にデータが来るということになったわけで、前回のような複雑な方法 でなくなったということです。入れる側の先生方、それから都道府県の側としていかが でしょうか。何かご意見がございましたら。 ○齊藤委員  その先のところですか。 ○田邊座長  1番だけで。 ○齊藤委員  1行目ですか。 ○田邊座長  これはよろしいですか。ではよろしいですね。2番目の「行政として把握が必要な調 査項目」です。これは行政の側が決めることだとは思いますけれども、受給人数・治療 周期総数・年齢分布・妊娠数・採卵あたり妊娠率・多胎妊娠数・生産分娩数・採卵あた り生産率・出生児数・低出生体重児数・妊娠後経過不明数というデータを集め、これを 公表するということですが、何かご意見は。こういうものも入れたらどうかというのが ありますか。 ○鈴木委員  項目自体は特に異論があるわけではないのですが、目的はどのように表示するのでし ょうか。つまり何のために都道府県が集めるのですかという話が、前回の委員会の中で も随分議論になっていたと思うのです。つまり調査目的が今の段階ではきちんとわかる ようなことがあった方がいいと思うのと、これですと学会の方からは、都道府県別では ないにしても、こういう同じような数字が出てくるわけですので、その違いがどういう ことになるのか。  それから(資料2)についての素朴な疑問をいいでしょうか。先ほどの最後の項目、助成 制度を利用したかしないか、いつのタイミングで記入するもので、かなり正確な把握に なるのかどうか、ちょっとその辺が疑問なのです。ご本人がこれから申請しますという ふうに言えば、ここにチェックが入るのか。その辺はどんなイメージなのでしょうか。 あまり大したことではないのかもしれませんが。 ○田邊座長  まず目的の方、いかがでしょうか。 ○齋藤母子保健課長補佐  目的のところですが、そこがまさに重要なご指摘の点でして、行政としての最終的な 目標としましては事業の充実・発展を図ることで、国民の皆さまにそれを還元していく ということです。ですので、具体的には特定不妊治療の内容とか結果、妊娠の経過につ いてという項目を列記させていただいておりますが、これらを集計して分析することで、 厚生労働省としましては助成事業の成果を把握し、充実を図っていく。そのための検討 材料として蓄積していくということができる。そういったことをご説明することを考え ております。 ○田邊座長  ありがとうございました。将来的なレジストリーも見込んだということだと思うので すが、その他、もう一つ入力の件は、齊藤委員どうでしょうか。 ○齊藤委員  入力の方は患者さんが申請書を各都道府県等の窓口からいただいてきて、各治療実施 施設でこれを記入していただくことになると思うのです。それはなぜかというと、多分 後でご説明があるかと思いますけれども、このシステムに登録したということを証明す るような番号がその申請書に書かれていないと、受給できないことになります。その時 点が、申請の時点ではないのかなと思われますが、よろしいでしょうか。 ○石原委員  ちょっと違うと思います。追加ですが、この補助金のシステムは今も行われているの です。医療機関が把握しているのは、個別の患者さんが特定不妊治療費の助成に応募し たいとおっしゃって、紙を持ってきたときに、はいわかりましたと言って書いて渡すと ころまででして、それが本当に出ているかどうかの把握のしようは医療機関としては全 くないと思います。今おっしゃられた通りで、最終的に正しいかと言われると医療機関 の側で把握することは原理的に不可能だと思います。   ○田邊座長  ですから、それ以上は仕方がないです。都道府県の方に申請が出た番号とこちらの番 号と両方が一致するかどうかというところでやるしか仕方がないという気がします。あ るいは都道府県の方でそれを集計するかどうかですね。 ○齊藤委員  番号というか人数という意味ですか。人数が違うという意味ですか。それはこの番号 からいってもその方が申請に持っていくか持っていかないかはわからないということに なりますね。そうすると逆に言うと、これを利用したとして、登録しないと番号が出ま せん。ところが医療機関はそれで登録したと思っていても、それを持っていかない場合 は出てこないのですね。そういうケースはあり得ますね。 ○田邊座長  いかがしましょうか。それ以上のことは実施医療機関では無理だと思います。ですか ら、あとは都道府県でどうするか。 ○千村母子保健課長  今ご指摘になった点は非常に重要な点だと思います。かつデータとして、この事業の 効果という議論をするとすれば、事業の対象になった方と対象にならなかった方という のはある意味ではきちんと分けられない。データが役に立たないとはいえないと思いま すが、細かい方法についてはもう少し検討させていただく必要があると思っております。 今日の時点ではそういったことでご理解をいただければと思います。 ○田邊座長  わかりました。ありがとうございます。それではまたご検討いただいて、この次にま た考えたいと思います。 ○鈴木委員  一つ確認ですが、もう既にこのフォーマットにより入力が始まっているということで したね。先ほど聞き逃したのですが、正確にいつから始まっているのですか。 ○齊藤委員  この1月1日からの治療に関しては、この資料2の1、2、3ですが、ここにある形で 入れています。ですので、治療終了時にすぐ入れる施設と、かなりまとまってから入れ る施設とありますので、何ともいえませんが、今年1月1日からのデータはこれで集め ています。 ○田邊座長  その他ございますか。はいどうぞ。 ○楠田委員  生まれた子どもの予後ということが多少かかわってくるので、行政として把握が必要 な調査項目に低出生体重児数が入っているのだと思いますけれども、ここだけ低出生体 重児数となっているのです。全出生数のうち、恐らくこれだと低出生体重児の数が出る ので、いわゆる通常の出生と比べてそれが多い少ないという数字だけがどうも動いてし まいそうな気がします。新生児の医学的な意味から言えば、性別・在胎期間・出生体重 がかかわってきますし、そういう医学的な予後は学会の方で調査されているので、特に 今回、いわゆる事業としての成果だけを含めるというのであれば、この低出生体重児数 というのを公表すること自身が多少、数字だけひとり歩きする危惧はあると個人的には 少し思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。この件に関しては、まだ今すぐここで決める必要はないの ですね。 ○齋藤母子保健課長補佐  さようでございます。また詳細は、実際いろいろと要綱や説明書類を作りますので、 そのときまでに詳細を詰めたいと思います。それと、今楠田委員からご指摘がありまし たけれども、長期予後は3番とも関係いたしますので、どちらの方で何を取るかとか、 そういったところもまさに運用の段階で整理しながらと存じます。 ○田邊座長  そういうことで、これはデータさえ入ってくれば幾らでも取りようはありますので、 何をどういうふうに公表するかはまた考えてもよろしいような気がします。  それでは3番の方に移ります。インフォームド・コンセントを実施医師と都道府県等 とが取るということに関してですが、実施医師と都道府県、ユーザー代表と、それぞれ のご意見はいかがでしょうか。まず実施医師として石原委員はどうですか。 ○石原委員  医療機関は現在体外受精・顕微授精などの治療を受けられる患者さんに対して、イン フォームド・コンセントを行う場合に、その結果について学会に報告する義務がある。 それは匿名化されて個人が特定される可能性は全くない。ここにあります通り、名前も 住所も生年月日も入りませんので、そういう形でインフォームド・コンセントを取って いるわけです。  今回のお話というのは、それが行政の段階で例えば年収であるとか、どこに住んでい るとかという情報と、この結果がある意味結びつけられるわけです。ですからそのこと についてのインフォームド・コンセントというのは、本当はお金を申請する段階で、自 治体の側で取っていただくべき性格のものなのではないかと思います。我々の側として は、わからないわけです。細かいことは全くわからないので、先ほど申し上げましたよ うに申請するかしないかまだ確定していない段階で医療機関でインフォームド・コンセ ントを取るというのはちょっと難しいというか、適切でないのではないかという印象を 受けるのですが、いかがでしょうか。 ○田邊座長  その他、実施医療医師として齊藤委員どうでしょうか。 ○齊藤委員  石原委員と同じ意見で、この間、日本産科婦人科学会でこのことをどう考えるかとい う話し合いがあったとき、日本産科婦人科学会側としてはこの事業をする自治体の方で 取っていただければいいのではないかと一応考えております。 ○田邊座長  吉村委員もそれでいいですか。 ○吉村委員  いいと思います。 ○田邊座長  それでは県としてはどうでしょうか。 ○泉委員  まず石原委員がおっしゃったことですが、個々の患者さんの結果については県は入手 しないということですので、年収のデータとその方の治療経過についてのマッチングは 県ではできないと思います。その前提での意見ですが、同じデータを登録して、それが 一つは学会に行き、一つは集計されて県に行くということなので、患者にとってはもと は一つのデータです。同じことの説明を違う場面で2回やりますと、同じことだという ことがわかっていただけない可能性がありますので、県の方でも2番目の「また」のと ころにあるように、もう一度同意を得るのですが、できれば医療機関で学会に対する登 録のことと説明の資料と併せて、なおこのデータは行政の方にも集計した形で行きます ということを、一言書いていただいた方が患者さんの理解がいいのかなと思いました。 ただ、どちらにしても都道府県等の受給申請のところでもう1度同意いただくという手 続きを入れる。そこで質問なのですが、都道府県等の方はこのデータの利用について同 意が得られない場合は、申請が受けられないということになっていいのでしょうか。そ この考えを教えていただけますでしょうか。 ○田邊座長  はい、どうぞ。 ○齋藤母子保健課長補佐  その点ですけれども、最後のご質問のところから答えます。現時点で仮に実施主体の 方で同意が得られない場合でも、難しい点ですが助成ができないということはいえない と考えております。それが1点。  あと泉委員がおっしゃったことと同じになりますが、先ほどの個人情報の保護の関係 です。行政の方ではあくまでも集計あるいは報告してもらうデータはこちらの項目IIに 記しているような内容ですので、それを個人情報、氏名ですとか年収のリンクというこ とで集計報告を求めないことを考えているところです。 ○田邊座長  はい。鈴木委員、何かありますか。 ○鈴木委員  治療の場面で少しイメージしていたのですが、一般のクリニックの体外受精の同意書 で、例えばデータが全て学会に行っていますという一文、実は2、3行で済む話だと思 うのですが、あまり現実に見たことがないということがまず一つ。いろいろなところが ありますので、きちんとやっているところは書いているのかもしれませんが。  それと、基本的にまず文書できちんと示していただくようなやり方を徹底していただ きたい。それから先ほどおっしゃっていた、生まれてきた赤ちゃんのフォローアップに 関しては、かなり患者さんの任意というのか協力がないとできないことですので、その 辺をもう少し、患者自身がそのことの大事さをわかるような文章なりインフォメーショ ンをきちんとしていくようなやり方が必要ではないかと思っています。 ○田邊座長  ありがとうございました。今、鈴木委員から耳の痛い話がありましたが、これから体 外受精をするときにはインフォームド・コンセントを必ず取っていただくということで、 そのときに、もし助成事業を受けた場合にはそのデータは国の方に、あるいは行政の方 に行きますという文章を入れていただくかどうかというところで、実施医療機関として はどうでしょうか。 ○齊藤委員  鈴木委員からご指摘のあった、この登録を行っているかというと、今まで初期のころ に登録された施設の説明書にはあまり書かれていませんでした。今回、我々日本産科婦 人科学会の治療を行っている施設に再登録をお願いして、去年の12月で締めておりま すけれども、再登録していただくときに、申請書以外に説明書・同意書をもう一度きち んと出していただいて再登録を行っています。  その中では、治療成績は日本産科婦人科学会に報告するという言葉が入っていないと 再登録を認めないという方向で審査しておりますので、それが完了した段階ではどの施 設の説明書の中にも治療成績は日本産科婦人科学会の個票に登録されるという説明がな されると確信しております。  それから県への事業に関しては、これは今回この説明書の中にも入りませんし、どう 考えていこうか私たち一存ではわからないので、吉村委員にご意見がいただけると一番 ありがたいと思うのですが。 ○齊藤委員  吉村委員、どうですか。 ○吉村委員  一応軌道に乗ってくるということであれば、そういったことをこれからも言わなくて はいけないと思います。我々としては、行政の方で、自治体の方でどういうふうにした らどうかというものをいただければ、同じように患者さんに対してインフォームド・コ ンセントを取ることができますから、逆に言っていただければ。ただそれが、行政だけ で新たにそこだけは取りなさいというのは、私もあまりプラクティカルでないような感 じがします。 ○田邊座長  はい、今吉村委員からお話がありましたように、この次インフォームド・コンセント のある程度の見本を作っていただいて。 ○齋藤母子保健課長補佐  申し訳ございません。説明をはしょりすぎました。こちらの(資料6)ですが、事業の実 施要綱ということで実際に事業の実施主体に対してお示しをする要綱の案一式をお付け しています。詳細になりますのでと思いましたが、これの9ページ目をご覧いただけま すでしょうか。9ページ目に先ほどご意見ちょうだいいたしましたインフォームド・コ ンセントに当たっての説明書ということで、未定稿、イメージということで作成してい るものをご用意しております。先ほどのような報告をしていただくことの目的ですとか、 患者さんご自身はこういったことを報告するのではなくて、実施医療機関がする、そう いう一連のご説明をご用意させていただいておりまして、それを読んでご理解いただい た上で署名をしていただくという、そういった書式をご用意させていただいているとこ ろです。これにつきましては、ぜひまた後ほどでも、次回までにご意見などを賜ればと 思っています。 ○田邊座長  今日、今ここでとは難しいですかね。この次までにこれを読んでいただいて、それま でにご意見いただければと思います。ここに見本を出してくださったそうですので。こ れは自治体の方ですね。医療機関の方がもしやるとすればどうするか、事前にご検討い ただければ幸いです。  それではこの第1の検討課題の1についてはこのようなものでいいですか。ご意見ご ざいますでしょうか。はい、どうぞ。 ○鈴木委員  次回ということで今すぐでなくていいのですが、今読んだ限りの素朴な疑問として、 学会のデータベースに載るのはいいけれども厚生労働省の方は嫌だという方はどうなる のか。そういうこともあり得るのかなと。その辺もちょっと考えないといけないですね。 ○田邊座長  ご意見ありがとうございます。 ○齊藤委員  この調査項目なのですけれども、以前ちょっと疑問に思ったところというか、これを 出すのはいいのですが、私たち日本産科婦人科学会でも出生児の状態まで出すのは治療 し始めてから2年半ぐらいたたないと全体の数字が出てこないのです。事業の評価をさ れるといったのですが、2年半後の評価で十分対応できるというものなのでしょうか。 年度ごとの評価とかそのようにされていますよね。それが2年半後に出てくる。この下 の方のデータはそうなのですが。 ○田邊座長  どうでしょうか。 ○千村母子保健課長  ここに羅列させていただいていますのは、全体的にこのような項目が必要だというこ とでありまして、すべて同時に出てくるかというと、まさに齊藤委員がおっしゃったよ うに、ものによっては相当期間がたってからでないとわからないというのもあると思い ます。それは、それがそろうまですべてデータがなくてもいいということではなくて、 例えば他のものは先行して取れるものは取りたいということですが、時間がかかるもの についてはそれ相当の時間を待つ必要があると思います。 ○田邊座長  はい。よろしいですか。それではこの次の課題の2の方に移らせていただきたいと思 います。「本事業の実施医療機関における設備・人員等の指定要件について」ですが、ま ず課長の方から資料の説明をお願いいたします。 ○千村母子保健課長  それでは次の議題でございます。(資料3)をご覧いただきたいと思います。これは実施 医療機関の設備ですとか人員等の要件については、前回いろいろ議論いただいたわけで すが、その後委員をはじめ関係者の方々からご意見をいただいております。そういった ご意見等を反映させた形で今日この資料をお出ししております。具体的に変更した点に ついては網掛けがしてあるところ、それから、これは取り消し線が引いてあるところで す。  順番に参りますが、まず1点目の「実施医療機関の指定方法」についてです。地域の 周産期医療全般との兼ね合いという観点もありますので、「不妊治療の実施医療機関及び それを指定する都道府県の長は、地域の周産期医療確保および不妊治療実施医療機関と 周産期医療機関の連携に十分配慮すること」を加えたいと思っています。  それから同じような観点から、次の「(2)実施医療機関の具備すべき施設・設備要件」、 ここにつきましても「(3)その他の施設要件」のところで「自施設の不妊治療の結果によ る妊娠に関しては、妊娠から出産に至る全ての過程において分娩施設と適切な連携を行 い、その妊娠及び出産の経過の把握および報告を行っている機関であること」とし、不 妊治療をした施設は、その後の妊娠経過、出産の経過に至るまできちんとフォローをし ていること、またフォローの結果については報告をいただいていることということを条 件として付け加えていきたいと考えているところです。  それからその下の「他施設に比べ、報告が極端に少ない場合、指定が取り消される場 合もある」という一節ですが、報告をいただくことを担保するために、例えば報告数が 少ないところについては、指定をしない、あるいは取り消すという考え方も当然あるわ けですが、これにつきまして具体的に例えばどのくらいの報告をされていれば、まあま あのところかというスタンダードがなかなか現時点で作りづらいということもありまし て、ここは考え方としては将来的にこういったものを含めるということも残しながら、 現時点では削除してはどうかということを考えているものです。  2枚目をご覧いただきたいと思います。「実施医療機関に必要な人員要件」、それから 「実施責任者の要件」の部分です。三つまとめてご説明申し上げますが、この基準の中 に看護、これは日本看護協会不妊看護認定看護師、それからその他の要員として日本哺 乳動物卵子学会認定生殖補助医療胚培養士、また実施責任者の要件としまして日本生殖 医学会生殖医療指導医、それぞれこういったスタッフが必要であるという考え方の下に、 それぞれ望ましいという形で入れさせていただいておりました。これにつきましては、 例えば望ましいとしてもなかなか現時点で必要数を考えるとすると、必要数が相当程度 確保できないという実態があるものもありますし、その他必要性の議論は残っていると いうこともあり、この3点につきましては現時点ではとりあえず削除をしてはどうかと 考えているところです。  しかしながら、これにつきましてはこれまでの議論でもありましたが、不妊治療の質 の向上ということを考えますと望ましいという考え方もありますので、必要に応じて検 討し、将来的に必要な条件とする可能性を残しながら、今回は削除するというような考 え方ではいかがかと今考えているものです。  それから網掛けしておりませんが(5)として「必要に応じ適宜見直す」ということを書 き込んでおくということで、今までいろいろ申し上げました、例えば今回はいろいろな 諸条件があって含めなかったものについても、状況の変化に応じて検討をし直し、必要 なもの、あるいは可能なものについては条件としていくという考え方をここに示しては どうかということです。前回からの変更点として検討しておりますのが以上です。この 点を中心にして議論をいただければと思います。 ○田邊座長  はい、ありがとうございました。前回ご議論いただいた案を基に作っていただいて、 それ以後、いろいろな委員の方々その他からのご意見をちょうだいして、事務局でこの ように作っていただいたのですが、前回休まれた方もいらっしゃいますので、とりあえ ず一つずつやっていただきたいと思います。  まず「(1)実施医療機関の指定方法」の中に、「周産期医療機関との連携を十分に配慮 する」ということと、「(3)その他の施設要件」の中に同じような文章を入れたということ で、これは推察するにご存じのように多胎妊娠等がたくさんでき、周産期施設に迷惑を かけているということ。いつも迷惑をかけて楠田委員に怒られているのですが、その辺 のところをよりはっきりさせようということだろうと思うのです。具体的に何かという ことは今のところないですね。ただこういう文章で、十分多胎妊娠等をつくらないよう に実施施設は注意してほしいということです。これに関していいですか。実施医療機関 としてはもちろん、楠田委員も、それから。 ○鈴木委員  すみません。質問です。これは具体的によくわからないのですが、前回今村委員もご 指摘されたのではなかったかと記憶しているのですけれども、自治体によっては日本産 婦人科医会が指定に関与しているところもあるし、現状ではいわゆる登録のところはほ とんど指定にしているところもありますし、その辺が結局バラバラだからということで 今話し合っていると思うのですが、そこはどうなるイメージでここをお書きになってい るのでしょうか。 ○田邊座長  はい、課長。 ○千村母子保健課長  今のご質問は具体的に指定行為をどうやってやるのかというご質問と理解すればいい のでしょうか。具体的に要件をこの検討会でご検討いただいた上で、具体的な指定行為 をどうしていくか。運用等々につきましては、事務局サイドで関係者とも協議させてい ただきながらご相談をしていきたいと思っております。少なくとも各自治体でそれぞれ のご事情があると思うのですが、あまり自治体でバラバラの実施方法にならないような 形でうまく運営ができるように、関係者とご相談をしながら考えていきたいと思ってい ます。 ○田邊座長  それは後で要綱ができた場合に、ある程度もっとはっきりするということですか。 ○千村母子保健課長  要綱を作成する過程で。 ○石原委員  関連する質問ですが、この要綱というのは例えば厚生労働省の省令とか、どういう形 で、どういう性格の文書になるのか教えていただけますでしょうか。 ○千村母子保健課長  これは(資料6)にありますが、局長通知という形で雇用均等児童家庭局長から各都道府 県知事、政令市の市長等々にあてた文書としてお出しをするということでやっています。 ○石原委員  それに含まれるということですか。 ○千村母子保健課長  はい。 ○田邊座長  その他、指定のことですけれども、周産期施設とのことはよろしいですか。楠田委員。 ○楠田委員  我々新生児をやっている者としては、こういう要綱が文章として入っているというの は非常にありがたいことで、今までいわゆる不妊治療をされておられる施設と我々とい うのはどちらかというとほとんど接点がありませんでした。そういう意味でこういうも のが入っていることに関して我々としては歓迎ですので、問題がなければぜひ入れてい ただきたいと思います。 ○田邊座長  はい、森委員。 ○森委員  こういった局長通知というのは一般の方が簡単に見ることができるのでしょうか。 ○千村母子保健課長  厚生労働省のホームページ上で公開しますので、ご覧いただける文書です。 ○森委員  そのホームページ上で見ればわかるということを、一般の方にもなるべくわかるよう な形で示していただけたらと思います。どのような要件で医療機関が定められているの かということを、できるだけ当事者の方もわかりやすく理解できるような形にしていた だけたらと思います。 ○田邊座長  わかりました。それは国の方で確認していただければと思います。周産期との連携と いうことに関してはよろしいですね。次に行かせていただきます。「(2)実施医療機関の 具備すべき施設・設備要件」ということで、「(1)基準施設、○採卵室・胚移植室、○培養 室、○凍結保存設備、○診察室、○処置室」ということで、これは前回ご議論いただい てこれでお受けいただいたのですが、よろしいですか。 ○齊藤委員  前回何も言わないで過ぎてしまったのですが、この柳田先生がまとめてくれた一番右 側の一番下の方に、確かに採卵施設の清潔度、培養室についての清潔度が手術室レベル の施設が45施設しかないというのが後になって少し危惧されました。現在この状態で ここまで決めてしまうと少し制限が強く出るのかなと思われたのですが、他の医院、産 婦人科医の先生方と話したところ、原則としてはこのレベルまで持ち上げていくような、 高い理想を持った方がよいのではないかといったことがありました。なるべくそういう 方向で持っていくということで、これを運用していただければありがたいと思っており ます。 ○田邊座長  原則という言葉でよろしいですか。その他何かございますか。よろしいですか。  それでは「(2)その他の望ましい施設」として採精室とカウンセリングルーム、検査室、 これはよろしいですか。「(3)その他の施設要件」で、今の周産期のはこれで済んだという ことで、その他「本事業の実績・成果の把握のための調査に協力する施設」、それから「個 別調査票の登録に協力する施設」、「倫理委員会を設置することが望ましい」ということ です。これもこの前の皆さまのご議論をいただいて作成していただいたのですが、これ でよろしいですね。 ○鈴木委員  すみません。ここに赤線が入ったのですよね。これは質問なのですが、報告というの は他施設に比べて胚移植数が少ないという意味なのか、移植はたくさんしているのに報 告をちゃんとしてないという意味なのか、わからなかったのですが。 ○田邊座長  はい。課長。 ○千村母子保健課長  申し訳ございません。表現が舌足らずですね。後者です。要するに実施している数と 報告している数を比べて、相当程度実施しているものについてはきちんと報告してほし いという趣旨です。要するに実施しているものを分母にして報告数を分子にしたときに、 あまりその数が少ないといけない。例えば何%、何割報告しているかということを見た ときに、割合が少ないところはということです。 ○鈴木委員  それは報告をしないと、もともとわからないのではないでしょうか。 ○田邊座長  そういうことです。ですので、県に申請した数と日本産科婦人科学会に登録した数と の差しか出ないのではないかと私も思うのですが。 ○千村母子保健課長  そこのところは実際に実施し、具体的にどうデータが取れるのかを考えながら整理を していきたいと思っていることもあって、今回削っています。 ○田邊座長  そういうことです。これから原則として全例を学会の方に登録するということなので、 それをきちんとやっていただければ全く心配ないということです。学会の方としてはそ の次の施設指定をそれで考えるということですので、100%ということを考えたいと思 います。 ○村本委員  (3)の1番目のところですけれども、「妊娠及び出産の経過の把握および報告を行って いる機関であること」とありますが、そういう報告を行っている機関であるかどうかの 把握はどのようにされるのでしょうか。 ○田邊座長  いかがですか。今までのところは、齊藤委員、どうなのですか。 ○齊藤委員  この治療を行っている全ての施設が、今、登録を行ってくれていると思っています。 この事業が出る前は、何施設かは全く登録しないでやっていたところがあったのですが、 この補助事業が出てくるとそれを申請できなくなってしまう。各都道府県が日本産科婦 人科学会の登録施設を見ながらその施設を登録していましたので、各施設が報告せざる を得なくなってきているというのが現状です。 ○田邊座長  妊娠・出産までの経過の把握および報告という部分はいかがですか。 ○吉村委員  これは少し違うのです。ご質問の意図は、そういった妊娠・分娩ができる施設でない と登録はできない、要するに助成事業は受けられないという意図です。現実において今 まで子どものデータが取れなかったというのはどういうことかというと、フォローアッ プされていなかったと認識してくださって結構です。今後はこういった特定不妊治療費 を受けるというインセンティブを持つためには、出産や分娩の子どものデータを採るよ うな施設でないと駄目ですと認識していただきたい。今後ということでよろしいかと思 います。 ○田邊座長  今までのところではフォローアップできなかった症例が結構あったと思います。私か らの追加で申し訳ないのですが、最初の(資料1)、「特定不妊治療費助成事業の全国的な 実績・成果の把握について(案)」のIIの最後に「妊娠後経過不明数」と出ていますが、 これがそれを担保するというか、この数があまりにも多くてすべて不明だというような データが出てきたら、その施設をどうするかということを何年か後に考えるということ になるのだろうと想像しています。それでよろしいでしょうか。  それでは次に進ませていただきます。「(3)実施医療機関に必要な人員要件」というこ とで、「(1)必要不可欠な基準要員、○実施責任者(1名)、○実施医師(1名以上、実施責任 者と同一人でも可)、○看護師(1名以上、生殖補助医療に精通した看護師であることが望 ましい)」、そして先ほど課長からご説明があったように、この下の部分は取るというこ とです。  後でまた詳しくやりますけれども、まず大きなところをディスカスしたいので先に進 ませていただきます。「(2)その他の望ましい要員、○泌尿器科医師、○胚培養士、○コー ディネーター、○カウンセラー」です。それから、「(4)実施責任者の要件」ということ で、「○日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であること」と「○不妊症治療に2年 以上従事し」ていること、「○日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設 において1年以上勤務、又は1年以上研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した 者」、それから「○常勤医師である」ということ、それから日本生殖医学会生殖医療指導 医を削除したらどうかという提案ということです。そこで、一括して、看護師が「日本 看護協会不妊看護認定看護師であることが望ましい」ということ、それから「日本哺乳 動物卵子学会認定生殖補助医療胚培養士であることが望ましい」ということ、「日本生殖 医学会生殖医療指導医であることが望ましい」ということに関して、委員の方々のお考 えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。石原委員お願いします。 ○石原委員  今後の日本の生殖医療をより良いものにしていくためには、外国では既にそうである ように、専門性の高い不妊症の知識、その他経験を持った看護師、さらに培養室におけ る胚培養に責任を持てる胚培養士(エンブリオロジスト)、そして不妊症の専門知識・経 験を持った専門医、その三つの職種がそろうことが必要であるという認識は、恐らく生 殖医療にかかわる者すべてが共通に持っていると思います。ただ問題点は、現実にそれ だけの要件・資格を擁した人がどれだけいるのかというところが最大のネックなので、 これを削除することになったと、先ほど課長の話を伺って了解したわけでありますが、 不妊看護認定看護師は現実に多分50人くらいしかいないはずですので、既に600施設 ある状況で間に合わない。エンブリオロジストといわれる人は実際にはかなりたくさん いらっしゃるのですが、これをきちんと認定するための国家資格がない。さらに統一さ れた専門性をベリファイするシステムがまだできていないという問題があります。日本 生殖医学会の生殖医療指導医というのは数年前に立ち上がりまして、既に数百人がこの 資格を取得しております。近い将来には恐らく各クリニックを充足するだけの数が満た される可能性があります。その可能性のことを考えますと、この三つのものが全く同じ 状況ではないということだけはご理解いただきたい。先ほども適宜見直すというお話が ございました。遥か先の将来のことを考えますと三つとも必要なのですが、できるとこ ろから手をつけていくというような考え方も必要なのではないでしょうか。特に人員の 確保を何としてでもやらなくてはいけない、不妊専門看護師をどうやって増やしていく かということに対する政策的な配慮をお願いできればと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。その他にご意見はございますか。 ○鈴木委員  単純に患者の立場から言うと、なぜこれを外してしまうのかがわからないのです。三 つとも確かに人員の状況の違いはあるにしても、病院なり医療施設が良い医療を提供す るためにということで、ここ何年にもわたって努力してきた事柄なのだと思うのです。 受ける人たちにとっても三つがそろっていくということは望ましいことなので、バッサ リないというよりは、例えばその下に「必要に応じ」とありますが、いつ見直してくれ るのかということも担保されているわけではありませんし、あるいはそれが何になった ら「望ましい」と書き加えてくれるのかも今の話では全然わからないし、釈然としませ ん。だから書き方としては例えば「将来的には」とか、この文面なり単語自体は削らず、 むしろぜひ残しておくべきであろうと思います。やはり今こういう取組が進んでいると いうことも周知徹底していった方が患者サイドにとっては望ましいと絶対思うので、外 していただきたくない。何とかしてこの単語自体というか、「将来は望ましい」なりの文 面にするなどして残していただきたいと感じます。 ○田邊座長  ありがとうございました。今村委員、どうぞ。 ○今村委員  これは指定するか、しないかということですね。望ましいといえば望ましいけれども、 先ほど森委員からもご指摘があったように患者サイドからいつでもアクセスできる情報 だということで、望ましいけれどここには全然いないということが、治療を受けるとき にネガティブな感じになってきて、指定されても実際にはたいしたことはないのだとい うイメージが先行するのはどうかという感じがします。  それから、こういう看護師がいたら、あるいはこういう指定医がいたら明らかに治療 成績がいいのだというエビデンスは、確かまだ出てきていないと思います。このデータ を見ていくうちに、こういうところがやはり治療成績がいいのだということになれば、 そのときには指定医要件の中に「望ましい」ということを入れて、自分のところにはい るという情報を公開をすることもあり得るかとは考えます。 ○田邊座長  ありがとうございました。 ○鈴木委員  反論するようですけれども、例えば患者の病院選びの基準とか物差しというのはそれ ぞれにありまして、心理カウンセラーがいるところがいいという方も当然いらっしゃい ますし、凍結していないところは自分の考え方や目的にそぐわないという方もいらっし ゃいます。選択肢という意味では、こういった要員がいる・いないというのも明確にし ていくことはあり得るかと思います。根拠があるわけではありませんが、それがネガテ ィブ情報になるとは思っていません。現実には今、例えば不妊カウンセラーがいる・い ないということを病院自体が売り物にしているところもありますので、こういう情報は むしろ出してもいいと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。その他のご意見はございませんか。 ○鈴木委員  それからもう一つ、今の話に付け足しです。例えば、胚培養士に関してはその扱いが 受精率などに影響することがあるのかもしれませんけれども、少なくとも看護に関して は、看護師がいるから妊娠率が上がるというエビデンスなど取りようがないと思います。 これはむしろメンタルケアに近い部分だと思いますし、妊娠率が良くなるために不妊カ ウンセラーや看護師がいるとは、少なくとも私たちは認識していません。 ○田邊座長  その他にありませんか。森委員、何かありますか。 ○森委員  エビデンスということで妊娠率を持ってこられますと、やはり看護で妊娠率を上げる ことができるかということは今すぐお答えできないことです。看護だけでなく、エンブ リオロジストや医師の場合もこのように具体的に挙がってきたということで言いますと、 できるだけそれは残してほしいということは基本的にあります。ただ、この認定看護師 は数の上では一番少ない。だから、確かに望ましいといわれてもとても達しないという ことも非常によくわかります。ですので、先ほど出た話ですけれども、もう少し濃淡を つけて、「将来的には」というような形で考えていただけたらと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。村本委員、何かございますか。 ○村本委員  私も森委員と同じような考え方なのですけれども、気持ちとしては残してもらいたい と思いますが、今の数的な問題等を出されてきたときに、その辺を全面的にやっていく ことがどうかというのもあります。今後、石原委員がおっしゃったように、政策的配慮 としてそれをどのように入れていくのかというところをぜひ考えていただきたいと思い ます。それからもう一つ、ここに書いてあります「生殖補助医療に精通した看護師」と いう言葉が何を指すのかというところが、非常にまた曖昧模糊(あいまいもこ)としてい る言葉ですが、それぞれ受ける人たちがそこのところをどのように解釈するのかという こともあります。 ○田邊座長  これを入れるか、入れないかということは、後で議論させていただきます。 ○村本委員  そういうところがありますので、今後に向けてはぜひそのように政策的にお願いした いと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。泉委員、どうぞ。 ○泉委員  基準ですので、運用する県から見ればある線の内に入るのか外に出るのかの線なので す。本来、その線のところに「望ましい」などの曖昧な言葉は入っていない方がいいと 思います。あまりにも実現の可能性の低いものは基準には入れないで、むしろ将来的な ことであれば、この検討会として最終的に報告書などを取りまとめるのかどうかわかり ませんけれども、その中で基準についてはこういう議論があって、将来的にはこういう ことも検討した方がいいということであったというように報告書として残すべきで、基 準の中に将来的な方向まで入れるのは不適切ではないかと思います。また、これを見た 方が、「望ましい」と書いてあれば当然そういう方がいる方がいいと感じるし、なぜうち の県の施設にはいないのですか、県はなぜ確保しないのですかと言われたときに、それ に答えられないという心配もありますので、遠い将来の話は分けていただいた方がいい かと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。その他にありますか。森委員、どうぞ。 ○森委員  望ましいのになぜ入れないのですかと言われたときに、養成していただけるような方 向で、県で考えていただけたらと私は思います。 ○田邊座長  吉村委員、どうぞ。 ○吉村委員  日本産科婦人科学会で看護師を1人入れるというのは前の会告には入っていませんで した。看護師1名と入れたのは、そういった意味があります。やはりそのときに不妊看 護認定看護師がいなければならないということが通るためには、まだ5、6年はかかる でしょう。あと10年ぐらいすると日本にも不妊看護認定看護師があらゆる施設に出て くると思います。しかし、そういったことを予測して看護師1名以上は絶対必要だとい う基準を日本産科婦人科学会は入れました。  厚生労働省が何をしたいかといいますと、要するに日本には体外受精におけるデータ がなかった、子どものデータがなかった、子どものデータをどうしても取ってほしいと いうことです。今は日本の生殖医療に関しては、クリニックと分娩する施設が全然違っ たところで行われている。元に戻して初めからやり直しましょうといってもできない状 況なので、厚生労働省が特定不妊治療費のようなインセンティブを与えることによって、 こういった日本のデータを取っていこうという主旨だと思うのです。これは私たち生殖 医療に携わる者にとってはありがたいことで、この生殖医療指導医というのは倫理面に おいても生殖医療においても指導的な役割をするという点でかなり厳しい試験をクリア してきているわけです。その方が、日本の体外受精の恐らく9割ぐらいの症例をやって いる施設、約150施設の長は、この生殖医療指導医をされているわけです。だから、そ ういった方がデータを取らなくてはいけないのだというようなことを思われて、教育が できるのであれば、日本の今後のこういったデータは取りやすくなるのではないかと思 います。この事業を実りあるものにするためには、今後のデータを取っていくためには この指導医というものがあることは本当に望ましいと思います。あと3年も経てば恐ら くすべての施設に指導医がいるようになると思います。学会では400〜500名くらいを 考えているのですけれども、そういった施設でないとこういう治療はできないというこ とがあってもいいのではないかと思います。「望ましい」ですから、行政の方のご意見も 非常によくわかりますので今回は除いてもいいと思います。そういった意味で必要に応 じて適宜見直すというようなことが実行できるように行政では考えていただきたいと思 います。 ○田邊座長  何年後に見直すというような具体的な数字はまだ出ませんか。これは経過を追って見 ていかないとわかりませんね。 ○千村母子保健課長  現時点では事務局として案は持っていないのですが、ただ、今いろいろな委員からご 意見をいただいていますので、その辺を具体的にどう対応できるかということは検討さ せていただきたいと思います。 ○田邊座長  それでは、大方の意見は出たようなのですが、齊藤委員と楠田委員はよろしいですか。 ○楠田委員  話が少し元に戻るかもしれません。これは医師の立場だけの話なのですけれども、今、 厚生労働省でいう専門医というのは、広告が可能な専門医と各学会がやっている専門医、 あるいは日本専門医認定制機構でやっている専門医などいろいろありますけれども、結 局その専門医の資格を取ったとしてもそれをどう生かせるかというのが今のところ見え ていないのです。麻酔医に関しては指導医などという立場で専門医としての技術を認め るというようになっていますけれども、こういういろいろな指導医であるとか認定看護 師であるとか認定胚培養士などがあったとしても、こういうものが具体的に生かせる場 所がなかなかない。せっかくある資格なのでこういう要綱などに入れていただいて、そ ういうものを取ろうとする人たちに対してはそれなりの資格として誇れるものになるこ とが、個人的には望ましいと思います。いわゆる専門医ということも厚生労働省で今後 何か予定のようなものがあれば、わかる範囲内でお知らせいただければ、我々としても こういうものを入れることに対してもっと積極的に賛成できると考えています。 ○田邊座長  ありがとうございました。齊藤委員、よろしいですか。  それでは、委員の方々のご意見をお聞きいたしましたところ、とりあえずこの三つと も取るということで。ただし報告書を作るときに、ぜひ将来的に見直していただくとい うことと、その中にこういうものを必ず入れてほしいということが、この検討会の要望 としてあったということを入れていただくという方向で、とりあえずこの場はこれで終 わらせていただいてよろしいでしょうか。まだ何かありましたら。 ○鈴木委員  三つとも取ってしまうのですか。 ○田邊座長  どうでしょうか。それも議論していただいていいと思います。三つとも取る、あるい は上の一つ、真ん中の二つまで、あるいは下の三つまでと、それぐらいの選択肢はある かと思うのですが。どうでしょうか。ご意見をお願いします。バランスからいうと三つ ということになるかもしれませんが。吉村委員はこの生殖医療指導医はというようなご 意見でしたが、どうでしょうか。齊藤委員、石原委員、今村委員、産婦人科ということ でこの指導医ということはいかがですか。 ○今村委員  今回は全部取って、そしてその他の指定医要件がありますので、必要に応じて適宜見 直すということであれば、吉村委員がおっしゃったようにこれは必要だということが1、 2年後にあれば、生殖指導医というのは入れましょう。実際にプラクティカルにはどう いうところで指定していくか、どんな人が指定していくかというようなこともかなりか かわってくると思うのです。実際問題には。 ○田邊座長  かなりこれは難しいですね。 ○今村委員  そういう問題もありますので、今回は取っていただいた方がいいのではないかと思い ます。   ○田邊座長  その他にご意見はありませんか。それでは、ここでこういう検討がされたということ と、近い将来に見直していただいて、そのときにはもう一度検討していただきたいとい うことを、報告書を作る場合には入れるということで収めさせていただけますか。よろ しいですね。ありがとうございました。  それから、「その他の望ましい要員」のところで、泌尿器科医師、胚培養士、コーディ ネーター、カウンセラーの後ろに説明が書いてあるのですが、この場でただ今読まれた 方はわからないと思いますので私が読みます。泌尿器科医師のところでは、「精巣内精子 生検採取法、精巣上体内精子吸引採取法等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携 が取れるようにしておくことが重要である」ということが入っていますが、よろしいで すか。実施機関として、吉村委員、齊藤委員、石原委員、よろしいですか。問題ないよ うな気もしますが。  もう一つ忘れていました。その上の看護師1名以上のところで、「生殖補助医療に精 通した看護師であることが望ましい」というのが入っていますが、これはどうしましょ う。先ほど、どういうものかわからないというご意見も出ていましたけれども。これも また「望ましい」なのですが。 ○石原委員  これだけあっても意味がよくわからないですね。   ○田邊座長  わからないですね。では、今回はこれも取らせていただくということでよろしいです か。「日本看護協会不妊看護認定看護師であることが望ましい」ということが将来的に入 ってくれば、これは当然のことなので。では、そういうことにさせていただきます。泌 尿器科医師のところはそれで終わらせていただきます。  胚培養士のところは、「配偶子、受精卵、胚の操作、取扱い、及び培養室、採精室、移 植室などの施設、器具の準備、保守の一切を実際に行うARTに精通した者で高い倫理 観をもつ技術者」ということです。よろしいですか。泉委員、どうぞ。 ○泉委員  倫理観というところなのですが、次のコーディネーターのところにも出てくるのです が、これは外形的にわからないことです。倫理観は必要ですが、基準の中に入るのは違 和感を覚えるのですが、いかがでしょうか。 ○田邊座長  ただ今のご意見はいかがでしょうか。どうしましょうか。高い倫理観は当然皆さん持 っているのでしょうけれども、「精通した者」で切りますか。鈴木委員、異論があります か。「高い倫理観をもつ」とうたっておきますか。  それは考えておいていただいて、次にコーディネーターです。「患者側(家族を含む) が納得して不妊治療を受けることができるように、不妊治療を提供する側と患者側の、 あるいは不妊医療チーム内の機能が円滑に働くようにメンバー相互間の調整を図る、 ARTに精通し高い倫理観をもつ者」。それからカウンセラーが、「心理学・社会学に深い 造詣を有し、臨床におけるカウンセリング経験を持ち、不妊患者(家族を含む)を側面か らサポートできる技術を持つ者。なお、生殖医学、遺伝学の基礎的知識、ARTの基礎的 知識を持つことが望ましい」といっています。一括していかがですか。鈴木委員、どう ぞ。 ○鈴木委員  これは今気がついたのですけれども、コーディネーターというのは資格としてそもそ もあるものではないのですね。いったい誰のことを指しているのか。この話ですと一般 に不妊カウンセラー、不妊コーディネーターという民間資格に近いものがあるわけです が、それぞれの病院のホームページに、うちには不妊カウンセラーがいます、IVFコー ディネーターがいますと書いているところもとても多いですし、その肩書きでお仕事を なさっているナースの方も随分いらっしゃるわけです。逆に先ほどの不妊看護認定看護 師の話とクロスすることなのですが、それならこのコーディネーターもむしろ外すべき ではないかと思います。後者のカウンセラーが心理カウンセラーということであるなら、 心理カウンセラーときちんと書いた方が、混乱がなくて良いと思います。不妊カウンセ ラーというのは現場で確立されたものではないですから、患者側から見ると実は非常に 曖昧な立場の看護職になっている現状があります。 ○田邊座長  いかがですか。課長、何かご意見はありますか。 ○千村母子保健課長  今の各委員のご指摘のそれぞれにごもっともなところがあります。ある意味ではここ は要件といいながらも、泉委員からもご指摘がありましたように要件というのは白黒を 決めるものですので、明確でないと運用するのは非常に難しくなる。そういう観点でも う一度見直すとすれば、確かに鈴木委員がおっしゃったコーディネーター、これはコー ディネーションをすることができる職員が必要であるという意味だろうとは思うのです が、少しそういう意味で整理はしなければいけないかと思います。ここで整理をしてい ただいたものを具体的に要件に落としていきますので、その段階でもう少しきちんと、 資格との関係など、その辺を整理させていただいて、例えば今日の時点では、ここに挙 げてあるような資質というのか能力というのか、資格である部分もありますが、職員が いること望ましいという考え方についてご了解をいただければ、具体的には書き方等に ついてはもう少し工夫はさせていただきたいと思います。事務局としては今そのような 考え方を持っております。 ○田邊座長  いかがですか。ただ今の課長の説明に対してよろしいですか。それではまたこれは検 討するということでよろしくお願いいたします。ここも終わりまして「(4)実施責任者の 要件」はこれでよろしいですね。それから(5)が適宜見直しということで、とりあえずこ の「本事業の実施医療機関における設備・人員等の指定要件について」は、これで議論 を終わらせていただきたいと思います。  それでは、この次に新しく今後我々が課題として与えられた3、「不妊治療の成果・予 後等の検証方法について」に関する検討を進めて参りたいと思いますが、資料等の説明 をよろしくお願いいたします。 ○齋藤母子保健課長補佐  それでは(資料4)をご覧いただけますでしょうか。今回新たにご議論いただきたいもの といたしまして「不妊治療の成果・予後等の検証方法について」という課題がございま す。資料をご説明させていただきますが、まず、なぜこの課題についてということでご ざいます。まず現状といたしましては、ここにございますように、体外受精、顕微授精 の不妊治療が一般的に行われるようになって久しいにもかかわらず、我が国では今まで 不妊治療の予後などに関する系統的な調査が行われておりませんので、不妊治療の短期 的、中長期的な予後やまた次世代への影響については必ずしも明らかではない部分がご ざいます。こうした中でこの検討会の議題でございます特定不妊治療費助成事業を平成 16年度から開始しているところなのですが、その全国的な実績・成果の把握に加えまし て、さらに不妊治療の成果・予後などについても検証する必要があると考えており、系 統的にデータを収集・解析できる仕組みを構築する必要があると認識しているところで ございます。  そこで「II.今後の対応」のところです。まずは次のページに別紙ということでお付け しておりますが、厚生労働省で厚生労働科学研究費という研究の枠組みを持っておりま すので、この中の子ども家庭総合研究事業におきまして、まず不妊治療によって出生し た子どもの予後の検証を行うための方法などについて検討を行うこととしております。 また今後、特定不妊治療費助成事業の受給者に対しまして、この予後の検証にご協力を 求めていくことを通じまして、この事業との連携を図ることでより効果的な調査を実施 していくという方法を一つ考えているところでございます。  この(資料4別紙)にございますように、平成19年度の厚生労働科学研究、子ども家庭 総合研究で研究の公募をいたしておりまして、この下の方に下線で示しておりますよう な内容で「生殖補助医療の医療技術の標準化、安全性の確保と生殖補助医療により生ま れた児の長期予後の検証に関する研究」というテーマを掲げているところでございます。 これにつきましては研究公募を行っております。厚生労働科学研究では評価委員会とい うものがございますので、その評価・審査を受けて、年度内には研究を採択し、平成19 年度の新年度からスタートする予定でございます。基本的にこのような形でまずは厚生 労働科学研究費の中で、長期予後について検討を行っていくということを予定はしてお りますけれども、何かこの点につきましてご意見やコメントなどがございましたら、そ れをご教授いただきまして、この研究事業に反映させていただくことを考えているとこ ろでございます。 ○田邊座長  ありがとうございました。私どもに与えられた最初の課題として、この検証をどうす るのかということがもともとあったわけですけれども、かなり大変な問題だということ で、今ご説明がありましたように、厚生労働科学研究、子ども家庭総合研究の方で、と りあえずどんなふうにしたらいいのかを検討するということです。この委員会としては、 それに対して我々もある程度の報告書を入れなくてはいけません。どうか委員の方々に、 こういうものをやったらいい、あるいはこんなこともどうだという忌憚のないご意見、 何でも結構でございますので、ぜひいただけたらと思うのですが、よろしくお願いいた します。皆さん、いかがですか。では泉委員からずっと回っていただけますか。 ○泉委員  県としてどのようにかかわれるのかと思いながら見ておりましたので、特に具体的な 意見はございませんけれども、こうした形でやっていただくことには県としてもできる 限り協力させていただくことになると思います。 ○田邊座長  はい、石原委員。 ○石原委員  もちろんこれは生殖医療だけではないと思うのですが、やはり長期的データ収集シス テムに、残念ながらまだ不十分な部分が多々あるのが今の日本の現状だと思いました。 一つはこの手のものの場合、研究期間が1〜3年と書いてありますが、中長期的予後を うんぬんというお話になりますと、やはり最低5年です。できれば10年ぐらいの長期 のスパンで一定の費用を付け続けるようなプロジェクト的な発想が、やはり根本的にこ れから必要になってくるのではないかというのが一つ。それと、実際の話、このような システムが現実にうまく機能している外国がたくさんあるわけですから、やはりゼロか ら始めるのではなくて、何かまねするところから始めた方が楽な場合が多いと思います。 その辺りのシステムづくりにおいては、そういった参照すべき事例というのをやはり見 つけるのが重要なのではないかという感想です。以上です。 ○田邊座長  今村委員、いかがでしょうか。 ○今村委員  とても大事な事業だと思います。私ども日本医師会としても、これはもうやっていか なければいけない問題なのかなと思いますし、また内外の比較というのも大事な問題だ ろうと思います。私どもとしてもどういう方法でこういうものがフォローできるのだろ うかということを研究してみたいと考えます。 ○田邊座長  ありがとうございました。楠田委員、お願いいたします。 ○楠田委員  一番私がかかわるところだと思いますけれども、ここに書いてありますように「長期 予後」それから「世代を超えた影響」ということになりますと、本当に長い期間のフォ ローアップになります。我々が低出生体重児をフォローアップして一番困るのは、フォ ローアップできずにドロップアウトしていくのが必ず多くて、例えば1,000g未満の子 どもを1,000名で始めても、大体3歳になりますと7割ぐらい。6歳になりますと50% ぐらい。9歳までやりますけれども、やはりもう3割、2割となってしまいます。我々 にとってそこがいつも大きな問題点です。これは非常に重要だと思いますので、ぜひ最 初にシステムを十分構築してほしい。それと日本では最近、住居を移されるということ は比較的よく行われていることなので、我々がやっていて郵便でお知らせしても転居先 がわからずに返ってくるということも多々あります。非常に重要だとは思いますけれど も、ぜひこれを遂行するための最初のシステムづくりが非常に重要だと思いますので、 そういうことも含めて研究課題として十分練ってからやっていただけるようなシステム が始まればと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。齊藤委員、お願いいたします。 ○齊藤委員  日本産科婦人科学会では、最初のときは妊娠率などがこの医療に対しての一番の大き な関心事ではあったのですが、最近この妊娠が高まるにつれて、やはり安全性が一番大 きな問題となって、我々も登録に関してそういうところを中心に取ろうというふうに変 わって参りました。各委員が言われたように、やはりこれは中長期的に取る場合には、 システムの構築というのが一番大きな問題になりますので、その辺を今回の研究費の課 題として、長く、それもたくさん集められるような方向として確立していければという ところを中心に進めていければ一番いいのではないかと思っております。 ○田邊座長  はい、ありがとうございました。これは結論を出す問題ではないので私も一言。私も 前からいろいろと不妊治療の制度に関して厚生科学研究などとも関係して来ましたけれ ども、やはり日本はこういうレジストリが全然ないということで、先ほどからありまし たように、予後等に関して何もわかってないわけですよね。この間のニュースで、ルイ ーズ・ブラウンが子どもを生んだというのが出ていましたけれども、そういう例がだん だんと出てきていますし、先ほど楠田委員からもお話があったように、世代を超えてと いうことで、特に顕微授精などの場合はさらにその次の世代がやはり重要な問題だと思 うのです。国によってだいぶ違いますけれども、石原委員からあったように、よその国 はレジストリができている所がたくさんあります。私が思うにはやはり半官半民で、固 有名詞を出せば国立成育医療センターが一番いいのだろうと思いますけれども、今回学 会の方で全症例を登録することになりましたので、これをやはり半官半民のところでや っていただくと。それでこういう生殖医療に関するものも、今、代理母に関して日本医 学会の方でやっていただいていますけども、そういうところにアドホックでポンと放る のではなくて、やはりきちんとしたそういうシステムをつくっておくべきだと私は思い ます。国立成育医療センターの中に、絶対に官だけでなくて半官半民で、この検討会の ようにいろいろな委員が出ているような、しかも常設の委員会をつくって、そして施設 の登録など、そういうものからすべてそういうところでやる。そして生殖医療に関して いろいろな問題が出た場合にはそこでやはり議論していただく。そしてもちろんパブリ ックコメント等も当然取るわけですけれども、そういうものをやっていただく。そうい うものをやはりつくっておかないと、今まで学会が主導でやってきて、いろいろな意見 が学会内でもございます。学会が全部規制しているのはおかしいという意見などいろい ろ出てきております。これはやはり、学会は一法人であって、それがやるべきところで はないだろうと私も思っておりますので、やはり常設の機関、半官半民のところでやは り全例を登録して、しかも全例最後までフォローするということ。住基ネットは個人番 号ですが、アメリカでいうソーシャルセキュリティー番号ですけれども、そういうよう なものを本当は使わないといけないのかなと思いますけれども、厚生労働省の方でもい ろいろ今後考えていただいて、やはり一番いいレジストリの方法というものを、この次 の子ども家庭総合研究で検討していただくのでしょうけれども、そういうことも頭の中 に入れてやっていただければと思っています。私からは以上です。 ○鈴木委員  こういう研究をきちんとやっていただくのは大歓迎という感じなのですけれども、私 が言うことではありませんけれども、多分既にフォローアップという意味では先行調査 というのは基本的には他国のものが随分あると思いますので、基本的に内外とおっしゃ っていましたけれども、やはり他国との比較なり、レビューに耐えるような質の高いも のをぜひやっていただきたいということ。それからどうしても次世代ということであれ ば、長い期間になるでしょうから、多分本当は最初に5,000人ぐらいからスタートしな いと結果として数量的にデータにならないのではないかという気がしますので、その辺 は受ける私たちの側に、先ほど言った十分なインフォメーションをすることで、ぜひお 願いしたい。むしろ私たち自身もやはり今後のために協力したいと思いますので、その 辺をお願いしたいと。  それから子どものこんな研究もということで言えば、子どもだけではなく不妊治療を 受けた女性たちの予後、卵巣がんの問題なども随分気になさっている方が多いので、そ の辺のこともぜひお願いしたいですし、長期予後、更年期に影響するのではないかと心 配なさっている方もすごく多いです。子どもということであれば、むしろ女性自身のこ とも併せてフォローアップできるような研究というのもデザインとしてはあり得るので はないかということ。あと、前に吉村委員の本などにも書かれていたのですが、本当に 不妊治療をしたからこの人ができたのかなというような話も実はありまして、そもそも 例えば外来に最初に初診に来た方たちの日本における不妊治療のヒストリーがどういう ふうになっているのかも、私としては非常に興味深いところです。こういった全体のこ とができるのであれば、そういった研究も今後可能なのかなと例えば思ったりもします。 その辺もぜひ、予算がやはり必要なことだと思うので、ぜひ行政の方もお願いしたいと 思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。村本委員、お願いいたします。 ○村本委員   今、看護の方では不妊治療後の妊娠の母親の問題が比較的個人的な研究でかなりされ ているところで、これは文部科学省等の科学研究費をもらってやっている先生もたくさ んいらっしゃるところですが、このように全国規模でやる、もしくは海外との関係性で やることになりますと、やはりシステムを相当しっかりしたものにしていかないと、こ のようにここに挙がっている学童期までも念頭に置いたということになりますと、本当 にどんどん減っていってしまって、先細りになっていくのではないだろうかと思います。 個人研究ですと、一対一の関係でずっと行きますので、非常に継続して3年ぐらいまで やっていけるのですが、その辺のところが大きい組織を使っていきますと、だんだん減 っていくことが考えられますので、その辺のシステムづくりをしっかりやってほしい。 そしてぜひ不妊治療後の女性の問題もですけれども、今まで児の予後のようなところは、 看護のところでそんなにたくさんはないと思いますので、ぜひこの辺を一緒にできてい ったらいいのではないかと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。森委員、お願いいたします。 ○森委員   石原委員もおっしゃっていましたけれども、海外ではもうレビューはどんどんされて いますので、ようやく日本もできるようになっていくのかなと感じています。今、村本 委員も話しましたけれども、看護でも幾つか関心があるテーマのなかに、治療後の女性 の健康ということもありますし、子どもの予後ということになると小児看護との連携も 必要になってきますし、できる範囲で協力してやっていけたらと思っています。 ○田邊座長  ありがとうございました。吉村委員。 ○吉村委員  もう皆さんがおっしゃったのでそれに尽きますけれども、私は日本産科婦人科学会が 中心となってまとめてきたデータというのは、施設は世界で一番多いのに、調査・登録 に関しては非常に恥ずかしい状況であった。これを嘆いてばかりいても仕様がないので、 とにかく3分の1しか集まっていない個票を何とかして集める。臨床の手間で臨床のそ ういった仕事が増えるわけですから、これはお願いするにもやはり非常に難しいところ がある。だからあなたたちがやらなくてはいけないと怒っても、これは仕様がないので あって、上手に集めていくというのは大人の知恵だと思うのです。やはりそういったこ とをやっていかなければいけない。そしてまたこういったインセンティブが出てくる。 今後はこのシステムはやはり学会でやっていくことが少し難しいと私は思います。やは り5年後、10年後の子どものデータをどうするのかというのを、一学会がやっていくな どということは、これはもう不可能だと思います。やはりぜひとも国立成育医療センタ ーみたいなところで厚生労働省がお金を出し、そして日本のデータとして使っていただ くと。我々はそのシステムの基礎づくりをしたので、これにどういったことを増やして いくのか、そういったことを考えていっていただきたい。そして、我々もそのデータを 使える、小児科の先生もそのデータを使えるというような状況にしていただいた方が、 理想的ではないかと思います。 ○田邊座長  ありがとうございました。その他ございませんか。よろしいですか。それでは少し時 間が早いですけども、今日いただいたご意見等を、この次報告書を作っていただいて、 その中に落とし込んでいただいて、それでまたディスカスしていきたいと思いますので よろしくお願いいたします。それから先ほどご意見があったように意見書みたいなもの を作っていただいて、またそれも検討したいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは最後に事務局の方から連絡をお願いします。 ○齋藤母子保健課長補佐  次回の第4回目で一応最終回と考えておりますが、第4回検討会につきましては、2 月22日木曜日、15時から17時とさせていただきますので、また会場などが決まりま したらご案内させていただきます。またお手元のピンクのファイルにつきましては、机 の上に置いていただければと存じます。ありがとうございました。 ○田邊座長  ありがとうございました。これで第3回の検討会を終わらせていただきます。熱心な ご討議ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 電 話:(代表)03−5253−1111 阿部(内線:7939)