07/01/22 未承認薬使用問題検討会議 第11回速記録          第11回未承認薬使用問題検討会議 速記録                           平成19年1月22日(月)                       於・東海大学交友会館 「望星の間」 ○審査管理課長  それでは定刻になりましたので、ただいまより第11回未承認薬使用問題検討会議を開 催させていただきます。議事に入ります前に、本日の構成員の先生方の出席状況につい て御報告します。本日は有吉先生、岩佐先生、栗山先生が御欠席ですが、9名の先生方 に出席をいただいているところでございます。  それから本日御議論をお願いします、個別品目の検討に当たりましては、事前に座長 の堀田先生より、ワーキンググループの専門家を御指名いただいているところでござい ます。本日の会議で検討結果を御報告いただくために、藤原康弘先生に参考人として御 出席をいただいておりますことを御報告申し上げます。  それでは堀田先生、以降の議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○堀田座長  はい。それではまず事務局から本日の配布資料の確認を行っていただきます。 ○事務局  それでは配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、配布資料一覧。  資料1としまして、学会・患者団体から追加で、検討要望があった医薬品のリストを 配布しております。  資料2-1、2-2が、ワーキンググループの検討結果報告書でございます。  資料3が昨年10月から12月の間に、欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医 薬品のリストでございます。  資料4として、未承認薬使用問題検討会議での検討結果等についてということでござ います。  資料5として、ワーキンググループの専門家リストでございます。  参考資料につきましては、1〜5まで配っておりますけれども、これは毎回配ってお りますものでございます。そのほか構成員の先生方のお机の上には、資料を1〜3に出 てまいります10の医薬品の欧米の添付文書、英文で恐縮でございますが、コピーを置か せていただいております。ちょっとボリュームが多くて、かつ英文でございますが、傍 聴されている方々の中で、この資料を御希望の方は、恐縮でございますが、会議終了後、 事務局まで声をかけていただきたいと思います。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。資料の欠落等がございましたら、お申し出ください。よろし いでしょうか。  それでは議事に入りたいと思いますが、個別の検討に入る前に、前回10月の会議で検 討が行われ、早期の治験開始、もしくは承認申請を行うべきと、この会議で結論された 品目について、現在までの対応状況を事務局から報告していただきます。  事務局 それでは事務局から前回御検討いただいた3つの品目の状況について、御説 明します。資料4番の3枚目のページをごらんいただければと思います。前回3品目御 検討いただきました。  まず1番のデシタビンでございます。こちらは骨髄異形成症候群の対象疾病の薬とし て、御検討をいただきました。これにつきましては、アメリカで承認を取得しました、 MGIファーマというところがございますが、そこから国内開発に関するライセンスの 供与を受けた、ヤンセンファーマ社に対しまして、本剤の国内での早期治験の開始を要 請いたしました。同社からは、早いうちに国内での臨床開発を開始したいという回答を いただいております。  次の2品目目のダサチニブでございます。成人慢性骨髄性白血病、成人急性リンパ性 白血病という対象疾病について御検討いただきました。こちらについては、ブリストル・ マイヤーズ社に対しまして、これまでの外国臨床試験成績及び現在進行中の国内第I/ II相試験成績をもとに、早期の承認申請に向けた準備を行うように要請いたしました。 同社からはできるだけ早く承認申請が行えるよう、社内リソースを注入して努力をした いという回答をいただいております。  それから3品目目でございます。イデュルスルファーゼ、ムコ多糖症II型に対する医 薬品でございます。こちらは米国のシャイア社から本剤の国内開発に関するライセンス 供与を受けました、ジェンザイム・ジャパン社に対しまして、日本人患者を含む欧米で の臨床試験データをもって、早期の承認申請を行うこと、承認後は長期にわたる製造販 売後調査等で可能な限り、国内情報を収集するよう準備を行うということを要請いたし ました。それから前回の報告書にもございましたように、治療研究等を通じた審査期間 中の本剤の供給について、検討をお願いしております。ジェンザイム・ジャパン社から は、要請を受けまして、できる限り早期に承認申請が行えるよう努力をしたいという回 答をいただいております。同社から近々承認申請を行う予定というふうに、報告を受け ております。  それから本剤につきましては昨年の12月14日付で、稀少疾病用医薬品、オーファンド ラッグの指定を行っております。そういうことで、今後申請があれば、優先的に審査を 行うというふうな扱いになります。  それから審査期間中の本剤の供給につきましては、本社とも相談しながら期待にこた えられるように検討中であるという回答をいただいております。  以上が3品目でございますが、実は1番目のデシタビンの前回の検討のときに、委員 の先生方から、同種薬でございますアザシチジンという薬について話がちょっと出まし たので、この薬の国内の開発状況につきまして調査をいたしましたところ、国内の日本 新薬株式会社が国内で開発を行うべく、準備を進めているということがわかりました。 この情報を本日のこの会議で御説明をすることにつきまして、同社の了解が得られまし たので、本日はこの形で報告させていただきます。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。前回の検討会議以降の対応について報告をいただきました。 この点につきまして、何か先生方から御質問等ありますでしょうか。  デシタビンとダサチニブですね。ダサチニブは既に治験が進行中ということでござい ます。それからイデュルスルファーゼ、ムコ多糖症II型が大変稀少で重篤な疾患だとい うことで、日本で治験を行うこと自体が非常に困難であるということを踏まえて、従来 より一歩踏み込んで、海外データでもって申請を行い、その後慎重にフォローアップす るという対応に踏み込んだわけでございます。よろしいでしょうか。  もし特になければ、本日の具体的な議事に入りたいと思います。前回の会議では過去 3カ月間に、欧米4カ国のいずれかで承認をされた新薬について、ワーキンググループ で検討を行うべきというものは、特に前回の会議では指摘しなかったのでありますが、 その後学会・患者団体から追加の検討要望があった薬品が、幾つかあったようです。こ れについて事務局で整理していただいていますので、まず資料1を説明していただきま す。 ○事務局  それでは資料1番につきまして御説明を申し上げます。今堀田先生の方から御紹介が ございましたように、この4つの医薬品につきまして学会・患者団体から検討の要望を いただいたということでございます。  簡単に御紹介しますけれども、1つ目がアレムツズマブでございます。これはヒト化 抗CD52モノクローナル抗体でございます。B細胞性の慢性リンパ性白血病という効能 効果でございます。実はこの薬は、国内では別の適応で治験が進行しているという状況 でございます。  それから2つ目がタルクでございます。これは胸膜癒着剤ということで、がん性の悪 性胸水に使うというものでございます。こちらについては、国内での開発というのは、 まだ始まっていないということでございます。  それから3番目でございますが、ヒトパピローマワクチンでございます。これは子宮 頸がんの予防という効能でございます。この薬につきましては、実は昨年7月の本検討 会議におきまして、4月から6月の間に欧米4カ国で新たに承認された新薬の1つとい うことで、当時御紹介をしております。その際には、本剤が予防薬であることですとか、 国内で今治験が進行中であるということから、ワーキンググループでさらなる検討を行 うまでは必要ないという結論であったということでございます。  4つ目でございます。ビガバトリンという、これは抗てんかん薬でございます。てん かんの中でも、難治性のてんかんの薬でございます。実はこちらはちょっと経緯がござ いますので、こちらの方から説明させていただきます。このビガバトリンという薬です けれども、90年代の初めに、国内での臨床試験が開始されました。その臨床試験は進行 し、97年になりまして、本剤での投与例、海外の症例で視野狭窄が発生したという報告 がございまして、企業の方で本剤の開発申請の準備作業が中断されて、最終的には開発 の中止の判断に至っているというふうな薬でございます。  ただ当時の治験に参加されました患者さんの一部の方が、現在でも個人輸入により本 剤の服薬を続けているという状況でございます。  外国の状況をちょっと御紹介しますと、アメリカでは、先ほど申し上げた副作用の報 告が、FDAの審査中にございまして、成人てんかんに関しましては、not approval 承 認不可というふうな結論になりました。その後小児の方のてんかんの開発も断念されて いるということで、アメリカでは承認に至っていないということでございます。  一方欧州では89年にイギリスで承認を受けた後、各国で承認をされております。その 後この副作用の報告が起こったという時間関係になっています。この副作用報告を受け まして、リスク、ベネフィットの再検討が行われた上で、現在でも成人のてんかん患者 さんでは他剤無効例に限って、それから小児では難治性てんかん、ウェストシンドロー ムの適応にて承認販売が今も継続されているということでございます。本日、イギリス の添付文書をお配りしておりますのでそちらを御参照ください。  今御紹介したイギリスの添付文書によりますと、この視野狭窄という副作用は、本剤 服用患者の大体3分の1ぐらいの方に発現するということであります。機序とか危険因 子など、いろいろ当時検討がされたようですけれども、いまだ不明です。それから投与 中止によっても不可逆的というふうに言われているという記載があるという薬でござい ます。  以上4つの品目について御紹介をいたしましたけれども、これらのうち、座長の掘田 先生とも事前に御相談の上で、本日の会議では、1番のアレムツズマブと2番のタルク につきまして、ワーキンググループの方に検討の結果報告書をまとめていただいたとい う経緯でございます。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。今御紹介ありましたように、4つの品目が、患者団体もしく は学会から検討要望があったわけです。事前の打ち合わせで、1、2を検討会議で指摘 はありませんでしたが、今回この会を待たずにワーキンググループに報告書をまとめて いただくという対応にさせていただきました。したがって1、2につきましては、個々 にこの後、議論をさせていただきますが、現在この4つに挙がりました3番ヒトパピロ ーマワクチン、それとビガバトリン、これにつきましての対応を少し確認させていただ きたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。  ヒトパピローマワクチンにつきましては、昨年7月に一度検討した経緯がありますが、 その時は予防薬であるということで、この検討会に少し目的としてはなじまない、保険 承認という形にもっていくための検討としては、少し論点が違うのではないかというこ ともあり、検討をワーキンググループにおろさないという形をとったわけです。今回患 者団体、あるいは学会から要望もあるわけであります。その辺の整理が大変微妙なとこ ろだということです。何か御質問、御意見ありますでしょうか。 ○吉田構成員  むしろお聞きしたいんですけれども、この検討会で取り上げる必要、取り上げるには まだ十分でないというのはわかるんですけれども、こういう予防薬、ワクチン、これか らたくさん出てくると思うんですけれども、本省側の仕切りとしては、どういうふうな 形で考えておられるのでしょうか。  というのは学会等々でもこういうワクチンを広くフィールドワークでやりたいという ことがあったりします。その場合、企業として例えば保険収載する見込みがないとすれ ば、治験をやるインセンティブが働かないということがあると思うんです。その辺が、 どういう整理になるのかということをちょっとお知らせいただければ、私たちとしても 非常に対処しやすいと思うのですが。   ○審査管理課長  まず一般論で申し上げますと、こういったがんに限らず、いろいろな疾患の予防とい うような行動と申しますか活動につきましては、省全体として力を入れるべき分野の1 つというふうに整理されているものだというふうに考えております。  確かに医薬品の承認審査という点から申し上げますと、インフルエンザでございます とか、日本脳炎でございますとか、ワクチンを取り巻いて、幾つか過去に事例もござい ました。そういう意味で申し上げますと、健康な人に投与するというような観点から、 その安全確保に、普通の医薬品にも増して、審査をしてきているという現状があるんだ ろうと思います。  そういうふうな安全の確保ということは、当然のことながら、省と申しますか、予防 のワクチンに代表されますような薬物を使ったものも含めて、予防活動を行っていくと いうのは積極的に取り組んでいく方向だろうというふうに考えております。  これを医療保険の中でどのように扱うかという点でございますけれども、これは所管 外ということで参考までというふうに、御了解の上で申し上げたいと思いますが、その 予防給付というのを医療保険の中で取り入れていくべきかどうかについては、恐らく相 当議論があるんだろうというふうに考えております。今医薬品の承認審査という点から 申し上げますと、予防あるいはワクチンというようなものについても、積極的に取り組 んでいきたいというふうに考えているところでございます。 ○堀田座長  ほかにありませんか。コメントがありますか。大丈夫ですか。全般としては本省当局 としては、予防薬であっても積極的に取り組むという姿勢でありますが、この検討会で どこまで踏み込むかというのは、ちょっと微妙な点があります。もともとこの検討会議 は混合診療とのかかわりの中で検討が始まってきた。すなわち患者さんに早く届けるべ きものが、日本では承認が進んでいないというものに対して、超法規的に、それに少し でも追いつくために、特に重篤性、緊急性の高いものについて拾っていくというスタイ ルであります。その辺とこういった予防薬をどのように絡めていくのかということにつ いては、この検討会を超えた少しもっと幅広い検討をしなければいけないという形にな ろうかと思います。  予防薬についての要請があれば、どこかでは受けないといけないのですが、この点に ついて、この検討会でどこまで踏み込むか。今すぐにそこまで踏み込むと、いろんな問 題点が出てくるので、整理をさせていただきたいというのが実情であります。どうぞ。 ○審査管理課長  今吉田委員から、省としてのとしての政策、あるいは厚生労働省としての政策という 観点からお答えさせていただいたわけでございますが、この検討会という点から申し上 げますと、今座長が整理されたとおりと私どもも考えております。また個別具体的にこ のヒトパピローマウイルスのワクチンについてでございますが、もう既に2社、2製品 について、昨年の夏から治験が実施されております。この治験について私ども厚生労働 大臣も、きちんと早く治験を進めるようにというような指示を出しているところでござ います。  そういう点から申し上げますと、このヒトパピローマのワクチンにつきましては、既 に治験を急ぐ、また治験の結果をまとめて承認申請を出していただくというような形で 動いているというふうに整理しているところでございます。この検討会の中で、今改め てこのものについて取り上げていただくような必要性は、そういう意味から申し上げま すと、座長の整理のとおり、この検討会の役割が、最初に申し上げたような混合診療と の関係であるというようなことから考えても、今このパピローマウイルスワクチンにつ いて議論をしていただく必要もないのではないか。もう既に治験について、始動してい るような状況であるということ御報告したいと思います。   ○堀田座長  はい。ほかに。吉田先生、今の件ですね。 ○吉田構成員  私が懸念したのは、この手のたぐいの薬が、これから多分かなり出てくるだろうし、 がんの予防という話の中には、本当かうそかわからないようなところまで、いろんなも のが言われてくるようになると、それに対してどういうふうに対応したらいいのかとい うことをちょっと思っただけです。 ○堀田座長  ありがとうございます。大変重要な指摘でありまして、今後こういった、この検討会 では直接の対象にはなりがたくても、国民衛生上、大変重要な課題はいろいろあるわけ です。そういう点で、本省としてはこの検討会とは別途でも、それは推進していただく ということでやっていただいております。この検討会としては、直接の対象にはならな いけれども、国民に重要な薬について、積極的な対応をお願いしたいという付帯事項と いうか、そういう形にしたいと思います。よろしいでしょうか。  それではビガバトリン、抗てんかん薬で、先ほどいろいろ経緯があって、日本では開 発がとまったという状況で、ヨーロッパの方では、限定した形で今でも適応が一部残っ て続いているという状況のようです。このものにつきましても、特定の患者さんにとっ ては大変重要な薬で、これでないとなかなかコントロールしにくいというケースがある ようです。このものにつきましては、先生方の御意見をいただいて、先ほどの事務局か らの提案でよろしいかどうか、御検討いただきたいと思います。大澤先生。 ○大澤構成員  この薬剤に関しましては、過去に日本てんかん学会及び日本小児神経学会の方からも、 何らかの形で要望をお出しさせていただいていると思います。ただそれが正式な場所に 届かなかったのかなというふうに、懸念しております。現在も改めてもう一度、要望書 を出させていただこうということで、まとめているところでございます。  一部の患者さんにとりましては、この薬剤があるのとないのでは、その方の人生の質 といいますか、それがかなり変わってくる可能性がございます。ただ視野狭窄が副作用 としてあることも事実でございますので、その辺の使用をどのようにするかというとこ ろの条件は、厳しくする必要があるかと思いますけれども、やはりぜひ日本でも正式に 使えるようにしていただければ幸いというふうに考えます。  その場合に、今現在は個人輸入の形で、患者さんが使っていらっしゃいます。中には 海外に行って処方してもらってというような方もおられる現状というふうに聞いており ます。そういうことをしなくても、きちんとした形で手に入れられるルートをつけてい ただければと思います。  またこの会議ででも、私どもも資料を準備させていただきますので、ぜひ御検討をお 願いしたいと思います。 ○堀田座長  という御意見ですが、ほかの先生方、何かございますでしょうか。事務局として、今 の御意見、いかがですか。 ○審査管理課長  正直申し上げて、この薬は非常に難しいと思います。もう開発した会社というのは、 アメリカでもあきらめましたし、日本でもやる気はないと、はっきりそれは言っており ます。  と申しますのも先ほどの説明の中にございましたが、3分の1ぐらいの患者に視野狭 窄が出て、しかもそれは不可逆的で戻らないというような点からいうと、これを例えば 承認とかいう、あるいは一般的な販売というものに乗せるというのは、非常に後ろ向き でございます。  あらかじめ、視野狭窄が出る人と出ない人を遺伝子か何かで分けられるとか、もっと 対象を絞る合理的な手段でも出てくれば、もちろんこの薬の価値が、全く変わってくる ようなところはあるんだろうとは思いますけれども、そのあたりも含めて、学会として も何か手があるのか、もし学会の中から非常に強い御要望があるということでございま すれば、そのあたりも含めてぜひ御論議をいただきたいと思います。  やりたくないと言っている会社を、無理やりやらせるというのも、なかなか骨の折れ ることでございます。現実問題としてどのようなことが考えられるのか。私どもとして ももっと知恵を出したいと思いますが、ぜひ学会としても、今申し上げたような視野狭 窄が出ない患者に絞ることができるのか。どうやって、どういう手段でそれは絞れるの か。少なくとも英国の添付文書を見ただけでは、全くそのあたりは触れられていないわ けです。ぜひ一度、また緊密に協議をさせていただいて、議論をさせていただければと 思っております。 ○篠山構成員  今のお話を聞いて、会社が開発する気がないというのは、この薬物の問題点を意識し た上で、開発すべきでないと言っているのか。それともこういう副作用があると、適用 患者が極めて限られるということと、患者自体の数が少ないために、開発しても商売に ならないというような、モラルハザード的な背景があるのか。それによっては、この薬 がどうしても必要だという患者さんがいて、もしその人がたとえ副作用があっても、こ のてんかんを治療することによって、より豊かな生活が受けられるというような意思を 表示すれば、やはり提供すべきであると思うのですが。 ○審査管理課長  直接お答えになっているかどうかわかりませんが、いわゆる経済的な問題であるとか、 そういう問題から企業が消極的であるのであれば、それを解決する手段というのは、幾 つもあるだろうと思います。例えば優先的な審査をするとか、というようなことも、当 然そういった経済的な問題を解決する、1つの手段になるでしょう。場合によっては、 オーファンドラッグの助成制度に乗せていくというようなこともあるんだろうと思いま す。  ただ私が聞いている範囲内で申し上げますと、この薬については、3分の1に不可逆 的な視野狭窄が出る。それがとめられないというところをもって、企業としてもう開発 を断念しているという状況だろうと聞いております。 ○大澤構成員  現状ではウェスト症候群の一部の患者さんに、非常によく効くんですけれども、その 方たちはこの薬がないと1日数十回の発作に悩まされ続けるという状況があります。そ ういう意味ではもちろん視野狭窄はない方がいいですけれども、食事もとれないような 状況で過ごす可能性もあったりします。そういう状況からかんがみますと、視野狭窄が やむを得ず出てしまっても、やはりこの薬剤があった方が、患者さんにとっては楽であ るというような現状はあるかと思います。 ○堀田座長  いろいろ御意見があって、一部の患者さんにとっては大変必要で、生活の質を維持す る上で不可欠な薬である状況があり、もう1つはこの薬の持っている視野狭窄という問 題点が、どこまでそれを許容できるかというところで、非常に微妙な判断を必要として いると思います。これは患者団体の方から前回から今回の間に検討要望をいただいてお るわけです。今後どうでしょうか。これについて大澤先生に、学会としてもどういう対 応するかということを少し御意見としてまとめていただけますでしょうか。 ○大澤構成員  はい。 ○堀田座長  次回以降準備が整い次第ということにさせていただきたいと思います。それではこの 件につきましてはよろしいでしょうか。  それは本日の具体的な検討事項に入らさせていただきたいと思います。それではワー キンググループで報告書をまとめいただいた検討品目が2つあります。まず資料2-1を 御参照いただきたいのですが。アレムツズマブにつきまして藤原先生から説明をお願い します。   ○藤原参考人  はい。では資料2-1、アレムツズマブ、商品名キャンパスについて御説明申し上げま す。欧米では、対象疾患としては、B細胞性の慢性リンパ性白血病というもので、承認 が得られている薬でございます。慢性リンパ性白血病は、本邦では白血病に占める割合 は3%ほどであって、非常にまれな疾患です。疾患自体は、緩徐な経過をたどって、病 期によっては治療を控えるべきであるけれども、治療を行っても、不応となることも多 く、Richter症候群と呼ばれるび慢性の大細胞型リンパ腫への移行も10%程度ありまして、 また臨床上では、続発性の免疫不全による易感染性及び二次性悪性腫瘍の出現もかなり あり、重篤な疾病と考えられております。このような疾患に対するお薬として本剤があ ります。  2つ目、第2パラグラフを見ていただきますと、本剤の医療上の有用性等について記 載しておりますので、読み上げさせていただきます。  CD52は正常T細胞リンパ球、B細胞リンパ球、単球、マクロファージ、精管上皮、 精子、腫瘍化T及びB細胞性腫瘍に存在しまして、機能不明の糖タンパク質であり、ヒ ト型抗CD52抗体である本剤は、抗体依存性の細胞障害、補体依存性の細胞障害によっ てこれらのCD52陽性細胞に、殺細胞効果をもたらすことが、薬効の機序と考えられて います。  欧米で行われました第II相試験の成績を見てみますと、アルキル化剤既使用で、かつ フルダラビンに対して、難反応、再発例であった93症例が報告されております。この添 付文書は、お手元の英語の文書ですけれども、添付文書のスタディー1に相当するもの ですが、公表論文としては2002年のBloodに出ております。これは93症例を対象に行われ たII相試験ですけれども、結果としてはNCIのクライテリアで、33%の奏功率がござ いまして、さらに臨床上のベネフィットも、症状消失、脾腫の消失、貧血改善が約半数 で認められております。  このほかの第II相試験も踏まえまして、FDAではアルキル化剤フルダラビン耐性の 慢性リンパ性白血病に対して、迅速承認 accelerated approvalが行われております。  昨年のASCO、承認後に行われた第III相試験が発表されておりまして、まだ抄録形 式でしか公表されておりませんが、そこに書いてある抄録abstr6511番で、第III相試験の 結果が出ています。対照群であるアルキル化剤であるクロラムブチルと比べて、有効率 では本剤群の方が明らかに勝っていたというふうな成績が出ています。  ただし安全性については骨髄毒性で白血球好中球減少が本剤群の方がより高度。ある いは感染症の発症率では、サイトメガロウイルス感染が本剤群で多かったことが、報告 されています。しかしいずれも管理可能というふうに述べられています。  また本剤は、T-cell prolymphocytic leukemiaとか、T-cell larage granular lym phocytic leukemiaとかATL、皮膚のT細胞リンパ腫やperipheral T-cell lymphoma といったT細胞系の腫瘍に対しても散発的に使用されて、有効例が報告されております。  さらにリンパ球を抑制するため、移植片の拒絶とGVHDの双方の抑制が、造血幹細 胞移植の際の予防、治療薬剤として期待されているのも事実でございます。  ページをめくっていただきましてワーキンググループの検討結果でございますけれど も、本剤はフルダラビンと全く異なった作用機序の薬剤であり、交叉耐性がなく、その 無効例ででも有効性が報告されております。安全性に関して注目すべきは、抗体薬に割 とよく出ていますinfusion reactionと免疫不全に帰する感染症でありますけれども、い ずれも予防法が確立してきており、難治難反応性の慢性リンパ性白血病に対して、臨床 上のベネフィットはあると考えております。  本剤については、国内では、造血幹細胞移植療法に関する医師主導治験が行われてい ますが、慢性リンパ性白血病に関する臨床開発は行われていないことから、B細胞性慢 性リンパ性白血病に対する治験が早期に開始されることが望ましいと考えます。  なお本剤は、将来的には本邦において、諸外国に比して多いT細胞性のリンパ腫に対 しての評価も行われるべきと、ワーキンググループは考えています。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御質問がありますでしょうか。  これは、ここに書いてありますように、血液細胞のTもBも、あるいは、単球もマク ロファージでも発現している比較的ブロードな抗原で、機能ははっきりしないですけれ ども、これを標的とした治療薬として開発されております。免疫の抑制剤でありますの で、考えられることとしては、やはり感染症、特にサイトメガロウイルスの再活性化が 少し報告されているというふうに思います。  対象としては、欧米では比較的ポピュラーな慢性リンパ性白血病が、アメリカでの承 認になっています。日本では少し対象としては少ないのは事実です。いかがでしょうか。 ○堀内構成員   有効性は今のお話でわかるんですけれども、心臓系に対する副作用で死に至る場合が あるとか、血球系、血液、血管に対する副作用があり、血圧が低下するなどが少し出て いるようですけれども、その辺の副作用は、どのように評価をしたらよろしいのでしょ うか。   ○藤原参考人  一応、添付文書公表のいろんな論文のデータから見たら、血液内科の先生方の意見も 聞きましたけれども、十分対処可能ではないかというようなことは、おっしゃっておら れました。 ○堀田座長  抗体医薬ですので、infusion reactionという場合、点滴を落とす段階で、いろんなこ とが起こり得るとは思います。あとはやはり血管内皮に対する一定の障害もあり得ると 思います。  従来のアルキル化剤やプリンアナログとは、全然違う作用機序ですので、将来的には そういうものとの併用とか、そういった展開になっていくんだろうというふうに思いま すが、いかがでしょうか。吉田先生、何かコメントございますでしょうか。 ○吉田構成員  ワーキンググループの言うとおりだと思うんですけれども、将来的には、T細胞性リ ンパ腫に対してもというふうなことで、コメントがされているんですけれども、こうい うのはやはり1つずつやらないとどうしようもないものですか。ショットガンじゃない けれども慢性のATLとT-cell lymphomaと両方をターゲットにしてやってもらうと、 一気に片付いていいんじゃないかなと思ったりもしますが。 ○堀田座長  おっしゃるとおりだと思います。どうぞ。 ○事務局  T細胞性の方については、まだ諸外国で承認になっていないということで、こういう 扱いにさせていただいたんですけれども、本日このような形で、御了解をいただければ、 企業に本日の結果を伝えるときには、今の御議論も踏まえて、T細胞性の方もあわせて 早く始めていただくような話をさせていただきたいというふうに思います。 ○堀田座長  ということでよろしいですか。このものは、ある程度日本での特徴を生かして、Tで どうかという事前の議論もあったのですが、グローバルの開発の順序からいうと、慢性 リンパ性白血病を先行させることになっています。特に欧米で新規に承認されたという 対象が、B-cellであったということでこのような扱いであります。今の御指摘を踏まえ て、企業にはその辺も検討するように伝えていただきたいと思います。よろしいですか。 ありがとうございます。  それではこのアレムツズマブにつきましては、ワーキンググループからの報告のとお り、早期に治験が開始されるように、企業に、あわせてほかの適応についても検討する ように要請していただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは続きまして資料2-2、タルクにつきまして、これも藤原先生から説明をお願 いします。 ○藤原参考人  資料2-2、タルクについての御説明を申し上げます。これは悪性胸水に対する胸膜癒 着剤としての適用でございます。対象疾病でございますけれども、がん性胸膜炎、悪性 胸水というのは、悪性腫瘍でしばしば認められるものでございまして、肺がん、あるい は乳がん、リンパ腫、卵巣がん等では臨床上非常に問題になる病態でございます。  近年、アスベスト関連で問題視されている悪性胸膜中皮腫における重要な合併症の1 つでもございます。  欧米特に米国では年間、10万人ほど悪性胸水が診断されているという報告もございま すし、本邦では2005年度、推計からすると、2万人ぐらいの方が、この悪性胸水の患者 さんとして存在するのではないかというふうに考えられております。  これまで私どもの国では、主にピシバニールというOK-432と書いてありますけれど も、そのような製剤が、胸膜癒着、胸水がたまった患者さんに、細いチューブを刺して、 胸腔から胸水を排除した後に、医薬品、こういうOK-432のようなものを入れて、胸膜 を炎症反応を起こさせてくっつけるということを、臨床の上では非常に広くやっていた んですけれども、従来の製剤というのは、胸膜の刺激痛や発熱痛が強くて、苦痛がかな りございました。一度やっていただくと、すごく痛いというのを皆さんおっしゃると思 うんですが。  一方で日本でも、一部の施設でもやっていたんですけれども、有害事象が割と少ない、 こういう苦痛が割りと少ないといわれている調整滅菌タルクというのが、アメリカとか 欧州では広く使われております。特に今日お示ししますように、米国では、Sterile Talc powderとかsclerosol、EUではSteritalcというような製品が、悪性胸水コントロール 用に商品として存在しています。  しかしながら我が国では体腔への投与を目的とした製剤というのは、実際のところ販 売されておりません。私どものがんセンターでも、ある製薬会社さんがつくっている、 日本薬局方の賦形剤のタルクを滅菌して患者さんに散布をしているというような現状、 実態でございます。  本剤の医療上の有用性について申し上げます。タルクは化学的に不活性で安定な特性 を有する物質でありまして、日本薬局方に収載され、錠剤等の賦形剤、潤沢剤等として 使用されていますけれども、治療目的で体腔への投与をすることは、薬事法上の承認が ないというふうに理解しています。  近年、粒子の大きさを調整した滅菌タルクが、欧州に続いても米国でも、米国の場合 2003年12月ですけれども、FDAに既存文献のデータで、II相、あるいはランダム化比 較試験の結果で承認されております。さらに欧米では、胸水コントロールの標準薬であ ったテトラサイクリンが、製造中止になったということも踏まえて、さらに我が国でも、 少し使われていますブレオマイシンによる胸水コントロールとのランダム化比較試験で、 このタルク群の方がいい成績が出たということを踏まえて、タルクが非常に広く使われ ております。  本邦ではタルクを実際に使う場合には、薬局方の薬とか輸入したタルクを使っている 施設がありまして、ここでは1つ紹介しますけれども、輸入した滅菌タルク製剤、これ はフランスのステルタルク社の製品を輸入したと聞いておりますけれども、20例の使用 経験が、日本呼吸器学会の雑誌に抄録の形で、報告されています。これは実際にプレゼ ンテーションのときには、口演でなされたというふうに聞きました。  それから10μ以下の粒子を除去した調整タルクでは、通常のタルクよりも炎症反応が 低くて、肺胞での酸素交換能が保たれて、有害事象の発生が抑制されたという報告も、 American Journal of Respiratory and Care Medicine、これはアメリカの呼吸器学会の 学会誌ですけれども、そこに報告もございます。  非常にたくさんのタルクを用いた臨床成績は、世界中にあるので、それらを踏まえま して、ワーキンググループといたしましては、以下のように結論づけました。  調整滅菌タルクは悪性胸水の治療に用いる薬剤として、従来用いられてきた薬剤に比 べて、奏効率が高く有害事象も軽度である。欧米では既に標準的に用いられており、臨 床試験のエビデンスも多く、一般臨床で安全性が認められている。本剤を導入すること で従来よりも悪性胸水の制御が向上し、有害事象が少なく、進行がんの患者さんの緩和 ケアが行われることになり、本邦の標準治療が転換することが予想されることから、本 剤について国内での治験が早期に開始されるべきというふうに考えます。以上でござい ます。 ○堀田座長  ありがとうございました。それではこのタルクについて、御検討いただきたいと思い ます。いかがでしょうか。これは粒子の大きさによって、かなり有害事象の出方が違う というふうなことが書いてあります。海外で、胸膜癒着用のものについては、あるサイ ズ以上のもので、整理されているのですか。 ○藤原参考人  海外のものは、製剤として悪性胸水の効能を持っているものは、そういうふうに、割 と非常に小さなパーティクルのやつは除いた製品になっているというふうには、理解し ているんですけれども。 ○堀田座長  日本で先生方が、自家製造みたいな形で、使用しているというのは、通常のすべり粉 みたいなものを、滅菌して使っているということですか。 ○藤原参考人  はい。調整ではなく、多分非常に粒子径は不揃いなもののタルクで、うちの場合は、 賦形剤という、錠剤なんかを固めるときに使うようなタルクを別途滅菌して使っている というふうに、胸部外科の先生はおっしゃっていました。 ○堀田座長  ということで臨床の現場では、いろいろな工夫で、こういったものが胸膜癒着術の薬 として使用されています。ピシバニールが一方ではありますが、発熱や痛みの副作用が あるので、現場はこういう工夫をしているというのが現状のようです。いかがでしょう か。 ○後藤構成員  今お話がありましたように、例えば、肺がんの患者さんで、がん性胸膜炎になったと きに、今いろんな選択肢があるわけです。ここに書いてありますようなOK−432もあり ますし、あるいはアントラサイクリン系の薬を使うこともあるし、あるいは、ビブラマ イシンを使うこともあります。そういうことは逆に言えば、現在標準的な胸膜癒着術の 薬剤に決定的なものがまだないという、こういう状況の中で大きなメリットは、2つだ と思います。  1つは、胸膜癒着の効果自体が強力かどうかという問題。それからもう1つは、サイ ドエフェクトです。発熱とか胸痛が出にくいかどうか。この2つの点で、この薬剤が従 来の薬剤と比べて有用性がありそうだというようなことは、この薬剤が今後治験にもっ ていかれるべき十分な資格がある、というふうに考えてよろしいかなというふうに思い ます。  もう1つは副作用の問題で、これはここにも書いてありますけれども、国内の使用経 験でも、ARDSが認められたというふうなこともございますが、これに関しても用量 をある程度気をつけることによって、このような副作用に関しては、ある程度管理でき るというような報告もあるようです。その辺も含めて、治験の段階では検討いただくと いうことと。  それからもう1つは、今お話をしたように、いろんな薬剤が使われるわけですけれど も、これらに関する用法用量に関しては、胸腔内の投与というものをはっきり明記した ものは少ない状況です。そういう状況の中にあって、我が国でこういう用法用量を、効 能としてきちんと認められている薬剤が、臨床現場で使える状況になる。これは非常に 大きな意味があると思いますので、ワーキンググループの報告にありますように、この 薬剤の、国内での治験が早期に開始されるということが、非常に大事だというふうに思 います。 ○堀田座長  ありがとうございます。ほかの先生方はいかがでしょうか。これは、気胸の場合でも いいんですね。胸水だけではなくて。 ○藤原参考人  EUの方の製剤は、気胸も適応に入ってございます。 ○堀田座長  よろしいでしょうか。私もこの辺のところは余り明るくないのですが、現在OK−432 にしても、ブレオマイシンにしても、胸腔内投与は適応としてはあるんですか。それは 別にそんな細かいことを言わないで使用しているという程度の話になっているのでしょ うか。 ○事務局  ただいまの先生の御質問のピシバニールでございますけれども、現在の効能効果です が、消化器がん患者及び肺がん患者におけるがん性胸腹水の減少という効能を持ってい るので、恐らくこの一環で使われているのかなと思います。 ○堀田座長  ということです。代替薬は一応あることはあるということですが、そういうものに比 べて、有用性が高いのではないかというのがワーキンググループの検討結果でございま すが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それではこのタルクにつきまして は、早期に治験を開始するように要請をしていただきたいと思います。 ありがとうございました。本日、用意した議題は、以上でございます。 次に資料3としまして、この10月から12月に欧米4カ国のいずれかの国で承認された 医薬品のリストが配布されています。これについての検討に移りたいと思いますが、事 務局から簡単に整理して説明をお願いします。 ○事務局  はい。それでは資料3につきまして、御説明を申し上げます。昨年の10月から12月の 3カ月間に欧米4カ国のいずれかで、新たに承認された薬が資料3のとおり6つござい ました。簡単に御紹介をします。  1つ目が、アルフォルモテロールでございます。これはアメリカで昨年10月6日に承 認されています。吸入剤でございまして、COPDの気管支攣縮に対する長期管理とい う効能効果でございます。作用機序が選択的β2受容体刺激薬ということでございます。 こちらにつきましては、同種同効薬というものがあるのではないかということで、整理 をさしていただいております。国内状況は、開発はされていないということです。  2番目のボリノスタットでございます。これは米国で昨年の10月6日に承認をされて おります。経口剤カプセル剤でございまして、効能効果が皮膚T細胞性リンパ腫(CT CL)の皮膚症状ということでございます。作用機序でございますが、ヒストン脱アセ チル化酵素の阻害ということでございます。こちらは作用機序としては、新しい抗悪性 腫瘍薬に当たるというふうに考えております。国内の状況でございますが、治験が進行 中ということでございます。  次のページに行っていただきまして、3番目でございます。シタグリプチンでござい ます。10月16日にアメリカの方で承認されています。経口の糖尿病の薬でございまして、 作用機序がジペプチジルペプチターゼIVの阻害、DPP-4と訳されますが、DPP-4 の阻害薬ということでございます。糖尿病の薬は幾つもございますが、DPP-4阻害薬 はこれまでになかったということでございます。こちらの方も国内で治験が進行中とい うことでございます。  4番目に行かせていただきます。テルビブジンでございます。経口の抗ウイルス薬で ございまして、慢性のB型肝炎を効能効果としております。作用機序がB型肝炎ウイル スのDNAポリメラーゼの阻害ということでございます。この作用機序の薬は、国内で もあるということで、同種同効薬ありというふうに書かせていただいております。国内 で治験実施中ということでございます。  5番目でございます。クネカテキンというお薬でございます。尖圭コンジローマにお ける軟膏剤でございまして、茶葉からの抽出物、カテキンの混合体というものでござい ます。  国内では、尖圭コンジローマというような効能を持つ薬は承認されていないというこ とでございます。国内での開発は特にされていないということでございます。  最後の6番目でございますけれども、パリペリドン、経口の統合失調症のお薬でござ いまして、作用機序が、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体拮抗作用と いうことでございまして、リスペリドンというお薬が、既に国内でも承認販売されてい ますけれども、それの活性代謝物ということでございます。国内で治験が実施されてい る薬ということでございます。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。というわけで、I類と申しましてこの3カ月で、新たに欧米 4カ国のいずれかで承認を得たもののリストでございます。一つずつこれをこの検討会 として早期の治験に、あるいは承認に結びつけていくかどうかという検討をお願いした いと思います。  最初にアルフォルモテロールです。これにつきましてはいかがでしょうか、慢性気管 支炎、あるいは慢性肺気腫対象の長期管理ということです。選択的なβ2受容体の刺激 薬ということであります。 ○篠山構成員   栗山先生がいらしたら詳しくお話をいただけると思うのですが。確かに代替薬はある と思うんです。サルブタモールなどがそうだと思うのですが。これは、β2刺激薬なの ですが、同時に心臓に対する刺激効果が非常に強くて、かつて今みたいに強心薬が十分 でなかったころに、これを強心作用に使ったことがあります。  逆にそれが今の代替薬として問題点となっているのではないかと思います。今市場に あるβ2刺激薬が持っている副作用を、この薬物がどれだけそれを代償しているかとい うことを一応検討した上で、栗山先生の実際の臨床の場で、どの程度必要かということ をお聞きいただければと思うのですが。 ○堀田座長  ということは、この検討会で取り上げるのではなくて、事前に栗山先生のご意見を伺 ってから次回に検討をということですね。 ○篠山構成員  今代替薬があるというお話だったのは、必ずしも完全なものではないのではないか。 副作用がある程度問題になっているのではないかという、これは私の印象であります。 ○堀田座長  わかりました。ほかの先生はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ここでは同種 同効薬ありというふうな整理になっているのですが、それが先生が今おっしゃったこと ですね。いかがでしょうか。  そうしますと篠山先生の御意見では、検討に取り上げてもいいのではないかというこ とですか。 ○篠山構成員  そうですね。 ○堀田座長  取り上げるから治験の要請がすぐに始まるというものでもなく、その意味があるかど うかということについて、ワーキンググループに1回おろすという、そういう意味合い かと思いますがいかがでしょうか。よろしいですか。何か事務局の方でありますか。 ○事務局  1点だけ確認ですけれども、この会議で検討いただく薬について、重篤な疾病でかつ 医療上の有用性が高そうだということでございますけれども、COPDという疾患の長 期管理ということなんですけれども、そこはある程度重篤であるという整理でよろしい ですか。 ○堀田座長   重篤ということで、整理できると思います。ただ開発の状況は今のところないですね。 治験実施中とかというんだったら見守るというのが妥当な線かなと思いますけれども。 ○後藤構成員  COPDの薬剤というのは、これから重要な薬剤になると思います。それで特にβ2 の刺激薬に関しては、長時間作用型という薬剤が最近開発されてまいりまして、今篠山 先生がおっしゃったようなサイドエフェクトに関しても大分改善された薬剤が、だんだ ん使われるような状況にもなりつつあるような傾向にあると思います。  ですから一度、栗山先生と事前に少しお話し合いをされて、それでもし必要なようで あれば、ワーキンググループに乗せるという、もう一段階あってもよろしいかなと。 ○堀田座長  ありがとうございます。ほかの先生はよろしいですか。それでは、きょうは栗山先生 が御欠席ですので、取り扱いについて打ち合わせをさせていただいて、また検討させて いただきます。これは宿題ということにさせていただきたいと思います。  それではその次です。ボリノスタットです。これはいかがでしょうか。新しい抗がん 剤といいますか抗腫瘍薬で、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤という、日本ではまだこ の種のものはないと思います。これは現在、フェーズIスタディーが行われており、疾 患を余り限定しない形に多分なっているんだと思います。このものにつきましていかが でしょうか。吉田先生、いかがですか。 ○吉田構成員  既に行われているということなので、どうでしょうか。知りたいことは知りたいんで すけれど、どれぐらい変わるかなという。ここで取り上げてです。 ○堀田座長  もう既に治験が動いているから。 ○吉田構成員  ええ。 ○堀田座長  ほかの先生、いかがですか。 ○川西構成員  私は細かいことは知識もありませんし、ただ感じるのは、ここでの委員会で、推薦す るというのは、やはりある程度重篤度とか、その辺をよく勘案した上でということにな ろうかと思います。ですからこの場合は重篤であるということと、それから新しい作用 機序ということで、ひょっとすると有効なお薬になり得るということなので、やはりち ょっと検討していただいて、その結果を報告するという、そういう判断が今のところ妥 当なのではないかというふうに考えます。 ○堀田座長  林先生、もしくは堀内先生、浜田先生、何かありますか。 ○堀内構成員  ヒストンの脱アセチル化酵素の阻害は、分子標的薬の1つのターゲットとしていろい ろ言われておりますので、それが本当に有効かどうなのか、検討してみたらよろしいの ではないかと思いますが。 ○堀田座長  林先生、いかがですか。   ○林構成員  同じです。 ○堀田座長  浜田先生もいいですか。 ○浜田構成員  治験実施中ということですが、やはりこれは新規の薬剤で、新しいメカニズムの薬剤、 重篤な疾患ですから、本検討会議でやはり対象とするような薬剤ではないかと思います。 ○堀田座長  はい。ということで大体皆さんの御意見は、これはワーキンググループにおろして検 討してもらいたいということと判断します。   ○吉田構成員  ワーキンググループも大変だと思うんです。何でもかんでもというのは、ちょっと大 変ではないかと思ったのですが、わかりました。   ○堀田座長  私もこの薬剤については、新しい薬剤で、期待も高いので、評価をしていただくのは、 意味があることだと思っています。  それでは申しわけありませんが、お忙しいと思いますけれども、また藤原先生の担当 に多分なると思いますけれども、ワーキンググループに検討をお願いしたいと思います。  それでは3番目のシタグリプチンです。これはいかがでしょうか。経口の糖尿剤であ ります。疾患としては、代替薬はいろいろあるんですけれども、今のところ、この阻害 薬は新規であるということのようでございます。これもう既に治験実施中ということの ようです。事務局、どうぞ。 ○事務局  資料の訂正とお詫びをさせていただきます。3番のシタグリプチンなんですが、効能 効果のところで2行目で、PPARγと書いてあります。この後に、作動薬という言葉 を補ってください。英語の添付文書を見ましたら、agonistとございましたので、PPA Rγ作動薬でございます。  同じ2行ぐらい下で作用機序等のところですけれども、括弧の中がDDP-4と書いて しまいましたがこれは、DPP-4が正しかったので、申しわけございません。そこを訂 正させていただきます。 ○堀田座長  ということです。これについてはどうなんでしょうか。作用機序は新しいのでありま すが、治験実施中でもありますし、これが今ないと患者さんが救えないという状況とは ちょっと違うというふうに思います。そのような整理でよろしいでしょうか。これは通 常どおり、治験を実施していただきたいというふうに思います。  ではその次ですが、テルビブジンです。これはいかがでしょうか。慢性のB型肝炎に 対する抗ウイルス剤です。これも治験実施中ではございます。 ○事務局  たびたびで申しわけございません。この4番のテルビブジンでございますけれど、資 料の訂正ミスがございまして、一番下の国内状況でございますが、治験実施中と書いて ありますが、正しくはこれはまだ開発されておりませんので、開発なしというふうに。 申しわけございませんが、訂正をさせていただきます。 ○堀田座長  未実施、準備はしているという状況ですね。 ○事務局  検討の俎上には上がっているぐらいのような感じだと思います。 ○堀田座長  わかりました。では未実施という状況を御理解いただきたいと思います。B型肝炎に ついての治療薬というのは、望まれてはいると思いますけれども、どのような整理にい たしましょうか。林先生。 ○林構成員  現在、医療現場で幾つかの選択肢はあるんですが。各薬剤とも抗ウイルス薬独特の問 題として、常に耐性ウイルスの問題を抱えていますので、すべてが将来に向かって全く 問題がないというわけではないので、治験実施中であれば、私もそれを待ってもいいの かなというふうに思ったのですが。まだであれば少し後押しをするようなサジェスチョ ンがあってもいいのかなというふうに感じました。 ○堀田座長  これは作用機序的に、ラミブジンとかそういうものとの交叉耐性というのはどんなも のかという情報は何かありますか。 ○事務局  詳細な情報までは持っていないですけれども、作用機序としては、既存のラミブジン とかそういうものと同じような機序というふうに理解しています。 ○堀田座長  いかがでしょうか。まだ未実施だということであり、今の林構成員の御意見では、そ れであれば一度検討に値するのではないかという結論でした。いかがですか。川西先生。 ○川西構成員  これに関して格別知識がある方ではないのですが。今回のものの中で考えると、先ほ ど吉田先生がおっしゃったように、ワーキンググループの方は、非常に大変だろうと思 うんですけれども、これはひとつやはり検討していただいて報告していただきなという ものの1つです。 ○堀田座長  という御意見で検討品目がだんだんふえてくるようで、大変ですけれども、これはい かがですか。 ○吉田構成員  治験をするかしないかの瀬戸際だというのであれば、やはりプッシュするか、引くか、 考えてあげるべきだと思います。 ○堀田座長  わかりました。では事務局としては、ワーキンググループに検討を要請してください。  その次です。5番目になりますが、クネカテキン。これも新しいといえば非常におも しろい薬で、カテキンの混合体であります。塗り薬です。これは、重篤性とか緊急性と いうのは、余りないかもしれませんが。まだ開発はされていないという状況でございま す。いかがでしょうか。どのような整理にしましょうか。川西先生。 ○川西構成員  疾病の性格等々から考えて、また特に要望もないという状況を見ると、これは特にこ こで推すというような状況ではないと思います。 ○堀田座長  はい。ほかの先生も、大体そんなところでよろしいですか。緊急性、重篤性という点 から、ここで特に取り上げてプッシュするほどではないというのが、大体の皆さんの御 意向のようであります。それではクネカテキンはそのような対応にさせていただきたい と思います。  それでは最後です。パリペリドン、これにつきましては、いかがでしょうか。経口の 統合失調症の治療薬です。これは既に治験実施中ということでよろしいですね。この種 類のものは一応、同種同効薬ありというふうな整理になっております。ということであ れば、治験を速やかにやっていただき、それを見守らせていただくという整理でよろし いですか。ありがとうございます。  そうしますと第1番目のアルフォルモテロール、これにつきましては、代替薬との関 係を少し整理して検討すべきかどうかを事前に栗山委員と、調整させていただくという ことで、次回報告させていただきます。  あとはボリノスタットとテルビブジン、この2つをワーキンググループに検討を要請 したいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、ここまでよろしいですか、最後に資料4の方に参ります。これまでの検討 会議での検討品目の現在までの対応状況について、まとめた表がございますので、事務 局から説明をお願いします。 ○事務局  はい。それでは資料4につきまして、御説明申し上げます。毎回お配りしている資料 でございますけれども、またアップデートして報告させていただいております。ちょっ と小さい字で申しわけございません。進展のあった品目を中心に御紹介を申し上げます。  上から2つ目、2番のペメトレキセドでございますが、これは今年の1月4日に承認 をいたしました。19日、先週金曜日に薬価収載されております。悪性胸膜中皮腫という アスベストが原因で発症するとされる疾患の抗がん剤でございます。  それから4番、5番でございます。前回の検討会議で、承認の事実については御報告 申し上げましたけれども、その後薬価収載が12月1日にされておりますので、御報告申 し上げます。  下の方12番でございますが、ガルスルファーゼというムコ多糖症VI型に対する、酵素 補充療法のお薬でございます。この疾患は、ムコ多糖症の中でも特に患者数が少ない疾 患でございまして、日本の法人がいなかったものですから、いろいろ苦労しておりまし たけれども、このたびアンジェスMGという国内の企業と先方のアメリカの企業との契 約が、めでたく成立をしたということで、これから承認申請に向けまして、準備がなさ れるというふうなことでございますので、御報告させていただきます。  続きまして14番でございます。リポソーマルドキソルビシン、こちらは2つの効能に ついて、当時御検討いただきましたが、そのうちエイズ関連のカポジ肉腫の効能でこの 薬は今年の1月4日に承認、1月19日に薬価収載をされているということでございます。  1枚おめくりいただきまして、2ページ目を見ていただきますと、16番のクロファラ ビンでございます。こちらも前回までは(調整中)と書かせていただいて、企業が決ま っておりませんでしたが、このたびバイオエンビジョンジャパンという、もともとアメ リカのバイオエンビジョンという会社が承認を持っていましたけれども、その日本法人 が最近設立されまして、そちらの方で本剤の開発をするというような報告を受けました ので、本日御報告をさせていただきます。  次ですけれども21番でございます。ポサコナゾールという侵襲性真菌感染症でござい ます。こちらはシェリング・プラウという企業によりまして、治験が開始されました。 前回までは治験準備中ということで報告をしておりましたけれども、治験が開始されま した。  それから下の方に行っていただきまして27番でございますけれども、スニチニブでご ざいます。こちらは承認申請がなされましたので、私どもの方で審査にとりかかってい るという状況でございます。  最後3ページ目は冒頭、前回の検討品目ということで、御紹介申し上げましたので、 説明は省略させていただきますけれども、先生方による御検討の結論に沿いまして、企 業に検討していただいて、承認にたどり着いた品目が幾つか出てきておりますし、治験 が始まったものもございますので、今後もこういった形で毎回アップデートの報告をさ せていただきたいというふうに思っております。以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。ただいまの資料4につきまして、何か御質問はございます でしょうか。本検討会議では具体的な成果を少しずつ着実に拾っていくというスタイル でやっております。ほかの検討会のように総論だけをやって終わりみたいなものに比べ れば、確実に少しずつでも拾っているという自負を持ってやっているわけです。  全体としてもう少し時間がありますので、検討会の進め方等々で御意見があれば、伺 いたいというふうに思います。  先ほど吉田委員から提案されたような予防薬はどうするかとか。あるいは非常に稀少 で、重篤なんだけれども、余りにも少なくて、開発の意欲がないようなものについては 治験なしで海外データだけでも承認するというところまで踏み込んではおります。こう いったいわゆる未承認で、個人輸入をしているものについて、できるだけ拾うという体 制ではありますが、まだまだもちろん十分とは言えないわけです。こういったものにこ の検討会がどこまで踏み込めるかは別にして、できるだけ積極的に取り上げていきたい と思います。その辺で何か御意見をいただけますか。   ○篠山構成員  特に具体的ではないのですが、先ほどもちょっと話がありました、副作用があっても ぜひ欲しいという薬が、世の中にあるわけです。その場合に副作用があってもどのぐら い欲しいと思っているかということを、数値的に表現するのは非常に難しい。  1つの例なんですが、強心薬というのは心不全の治療に今まで使われてきたんですが、 やせ馬をむちでひっぱたくというようなことをすると、かえって死亡率を増大するとい うことがわかってきました。慢性の心不全の治療に強心薬は使われていないというのが、 今欧米の一般的な指針だと思うんです。  ところが日本で開発されたある強心薬がアメリカで治験をされまして、やはり死亡率 を増大したということで認可されなかった。死亡率がふえたという論文が、The New England Journal of Medicineに出たんですが。その後たくさんletter to editorへのコ メントが寄せられました。その中にQOLと死亡率に対する考え方を示した意見があり ました。心不全患者のQuality of lifeを評価するのに、Minesota living with Heart Failure Questionnaireという21項目の質問票があります。それぞれの項目を5点で評価 しておりまして、一番いいのが105点。最低が0ということなんですが。その項目が5点 改善するのであれば、40%の患者が自分は命と、quality of lifeをトレードオフして もいいと考えているというデータも紹介されていました。  これはquality of lifeが、場合によっては優先されるということを説得している論文 なんですが、同じように、何かそういったきちんとした形で、たとえ副作用がこれだけ あっても、もしこれがよくなるのなら、その薬が欲しいという具体的なデータ、あるい はサーベイができればいいなと思うんですけれども。これは直接関係ないかもしれませ ん。今そういう話が出ましたのでちょっと。 ○堀田座長  大変重要な御指摘だと思います。例えば大規模な比較試験をやっても5%ぐらいの差 だとすると、95%の人にはベネフィットはないんだけれども、臨床的な意味があるのか というのは、いつも議論になるんです。ベネフィットとリスクをどういうふうに見てい くかという問題は、大変重要だと思います。  大澤先生、小児の領域では大変重篤で、しかも緊急性が高くて、患者さんが少ないと いう病気が多いですね。こういったものに対して何かこういった開発とか、承認といっ たことで何か先生のお考え、御要望はございますか。 ○大澤構成員  そうですね。小児で未承認薬とは別個に適応外使用というような形でも薬剤が大変多 く、そういうものを認めていただくのに、やはり小児は一緒に、成人と同じようにもう 一度治験をやり直してやっていただくというところは、なかなか難しいということは、 現実問題としてございます。  やはり企業の方にしてみても、薬剤を開発するために非常に高いお金を使って、でも 実際には、採算がとれなくなってしまっては困るわけですから。そのところのインセン ティブをもっと強い形でつていただくようにしていただかないと難しいかと思います。  それと先ほどビガバトリンのことを申し上げましたけれども、やはりエビデンスをど こまで求めるかというときに、ほかの薬剤を全部試して、それと実際にその方の一生を 比較するというようなことはできないので、そのあたりがやはりとても難しいというふ うに思いますけれども。  ただ、できれば成人にある薬剤を使われるときに、小児でも一緒に使っていただいて、 治験を進めていただいてというような形で、最初に認めていただければいいなというの が、小児科関係のものの立場ですけれども。まだそこまでいかない薬剤については、場 合によってはcompassionate useのような形の道を開いていただくとか。そういうことも 1つの方法かなというふうには考えます。   ○堀田座長  ありがとうございます。小児の場合、大抵の薬は、「なお小児については安全性は確 認されていない」という一言がついているという現状があります。今おっしゃったよう な必要性については、大人でも子供でも同じであります。そのあたりの整理は、これは ここで議論をすることではないかもしれませんが、大変重要な問題だと思います。  ほかに先生方で何か、この検討会で検討すべき事項、あるいは進め方について、何か 御意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。  藤原先生、ワーキンググループの方ですけれども、いろいろ宿題がいっぱい来てどう ですか。たまらんと思っているか。まあまあというふうか。 ○藤原参考人  必要な人がいるので、別に書くのは構いませんけれども、先ほどからの議論を踏まえ て、ワーキングとして一言言わせていただけるのであれば、今は医師主導治験という方 法もあるので、欲しい方はぜひ医師主導治験にもチャレンジしていただければ、企業が 嫌でも自分たちで使える方策はあると思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。先ほどの抗てんかん薬も、いざとなればそういう対応もあ り得るという御指摘だと思います。よろしいでしょうか。  どうぞ、課長さん。 ○審査管理課長  どうも本日はありがとうございました。評価基準の問題、延命だけではなくQOL的 なものというのをもう少し考えられないのか、あるいは新しい評価基準のあるべき姿を 考えるべきだというのが、恐らく先生の御主張だろうと思います。また経済的なインセ ンティブを考えられないのかと、経済的な問題が、大きな要素をこの問題の中で占めて いるというお話だろうと思います。  さらにはまたcompassionate useのお話もあったわけでございます。我々としてもその ような点について、一つずつ考えているわけですが。  もう1つ、恐らく考えなければならないのは、企業の責任とそれを承認する厚生労働 省の責任。はたまた検討会の責任というのが、当然のことながら法的に定められている わけです。その中で、よりよい薬をいかに患者さんのところに早く届けていくかという ようなことを考えていく必要があるんだろうと思います。  本日は座長の手配で、いろんな意見が聞けて、本当にありがとうございました。今後 ともよろしくお願い申し上げます。 ○堀田座長  ありがとうございました。本日の議題は以上でありますけれども、最後に事務局の方 からアナウンスがあります。 ○事務局  どうもありがとうございました。本日、御検討いただきました品目につきましては、 会議の結論を事務局の方から、企業に伝達いたしまして、その後の状況等、また次回の 検討会議で、報告させていただきます。  次回の日程でございますが、既に御案内させていただいておりますが、4月26日木曜 日午後2時から開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。次回は本日 の会議で、個別に検討すべきとされた品目につきまして、また、先ほどの一品目につき ましては、座長先生・栗山先生とも御相談の上で必要があれば、ワーキンググループで の検討結果を報告の上で、御検討をお願いしたいと思います。  それから今年の1月から3月の3カ月で承認される薬について、またリストアップを いたしまして御検討いただきたいと思います。  それから本日は特に資料3につきまして、資料の不備がございましたので申しわけご ざいませんでした。配布資料は、厚生労働省のウェブサイトに毎回公表しておりますけ れども、公表するときには、先ほど申し上げた訂正をした上で公表させていただきます ので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○堀田座長  はい。それでは特に議論がなければ、これで本日の検討会議を終了いたします。どう も御協力ありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111