07/01/19 第4回新型インフルエンザ専門家会議の掲載について(議事録) 第4回新型インフルエンザ専門家会議      平成19年 1月19日(金) 10:00 〜 12:00 厚生労働省7階 専用第15会 議室 議  事  次  第 1.開  会 2.議  題   1)新型インフルエンザに関するガイドライン(フェーズ4以降)について   2)その他 < 資 料 >  資料1   新型インフルエンザに関するガイドライン概要集 資料2−1 新型インフルエンザ発生初期における早期対応戦略(案)     ・・・・・・・・・・・・P. 1  資料2−2 新型インフルエンザ積極的疫学調査ガイドライン(案) (パンデミックフェーズ4〜6) ・・・・・・・・・・・・P. 27 資料2−3 新型インフルエンザに関する検疫ガイドライン(案)   ・・・・・・・・・・・・P. 39  資料2−4 事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン(案)                       ・・・・・・・・・・・・P. 55  資料2−5 個人及び一般家庭・コミュニティ・市町村における         感染対策に関するガイドライン(案) ・・・・・・・・P. 61  資料2−6 埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン(案) ・・・・P. 71  資料2−7 新型インフルエンザ対策(フェーズ4以降)における         サーベイランスに関するガイドライン(案) ・・・・・P. 79 資料2−8 医療体制に関するガイドライン(案) ・・・・・・・・・P. 97  資料2−9 医療施設における感染対策ガイドライン(案) ・・・・・P.107 資料2−10 医療機関における診断検査ガイドライン(案)     (作成中)  資料2−11 新型インフルエンザワクチン接種に関するガイドライン(案) ・・・・・・・・・・・・P.129  資料2−12 抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン(案) ・・・・・・・・・・・・P.139 資料2−13 情報提供・共有(リスク・コミュニケーション) に関するガイドライン(案) ・・・・・・・・・・・・P.145 ○杉江課長補佐 それでは、定刻でございますので、まだお見えになられていない先生方 もいらっしゃいますけれども、ただいまより「新型インフルエンザ専門家会議」の全体会 議を開会いたします。 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとう ございます。 本日の専門家会議でございますけれども、前回会議で各分野ごとに部門別会議で御議論 いただくことになっておりました、新型インフルエンザのフェーズ4以降の各種ガイドラ インにつきまして、その案として、現時点でおつくりいただいたものがお手元にございま す。これにつきまして、委員の皆様方に事務局の方から御説明し、また先生方から補足の 御説明をいただいた後に御議論いただくというように予定しているところでございます。 どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、会議に入らせていただきますが、その前にお手元の資料の確認をさせていた だきたいと思います。 お手元のホチキス止めの「第4回新型インフルエンザ専門家会議」が資料となっており ます。この資料でございますけれども、議事次第と一緒になっておりまして、本日の議事 としまして、フェーズ以降のガイドラインに関しての議題と下に資料の内訳を書いてござ います。 まず、資料ですけれども、資料1といたしまして、今回おつくりいただいておりますガ イドラインの案。これを概要としてまとめたものを資料1といたしまして、最初に付けて おります。 資料2といたしまして、各分野ごとのガイドラインの案という形で、合計13種、資料 2−1から2−13という形で作成しておりまして、それにつきましては、下の方にページ 数を書いておりますけれども、全体をこの1冊という形でまとめております。もし落丁、 乱丁等ございましたら、事務局の方までお知らせいただければと思います。 それでは、座長の岡部委員、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡部議長 おはようございます。それでは、議事に入ります。 幸いに普通のシーゾナルインフルエンザは比較的静かにスタートしているという一方で は、宮崎県で残念ながらH5N1感染症が起きたという状態です。いずれにせよ、この新 型インフルエンザなどによるパンデミックは、「もし大流行として来るならばどういう想 定をするか」ということが進んでいるわけですけれども、今日は、各ワーキンググループ の先生方にお集まりいただいて、これまで議論したことについて、一堂に会してそれにつ いて討議をする、ということが目的です。 WG発足の最初の段階では、WHOのレベルで言うと現状は3なわけですけれども、そ の次に4、そして5、6という段階でガイドラインをつくっていった方がいいんではない かという案や要請もあったわけですけれども、レベル6が一番パンデミックとして最大級 に広がるわけですから、それを想定した上で、では4、5に対してどうするかということ で行った方が良いのではないか。自然災害で言えば、震度8ぐらいを最初に想定しておい て、震度5だったらどうしましょう、4だったらどうしましょうという応用問題で作り上 げていったらどうか、ということになりました。 また今日、これから議論していただくわけですけれども、多分決してこれで完璧なもの ができるわけではないだろうと思います。一昨年に出された行動対策計画よりはかなり進 んだわけですけれども、現実には新型インフルエンザというウイルスはどこにもないし、 起きてもいないわけなんで、起きるとするとそれによって事実を得て、そしてかなりの応 用問題を行っていく必要があるだろうと思います。 さらに前提として、本日討議されたことがこれで完璧でリジッドで当分これでずっと使 うということではなくて、また今日の議論を踏まえて、多分訓練といったこともやるでし ょうから、そういったときに現実性はどうなのかといったことなどのの問題点をこれに取 り入れていくということがあります。 それから、今回の議論を各WGで行ったのは、どちらかというと医学的な専門家が集ま っての議論ですから、極めて医学的な部分であるということはありますけれども、それが 社会的にどうやって受け入れられるのか、それぞれの担当のところでもっとやらなければ いけないのか、あるいはそれが本当にできるのかどうかというようなことも、今後の議論 の中に入っていくと思います。私としては、繰り返しになりますけれども、これでコンプ リートなものができるのではなくて、今後、そういう議論を踏まえながら、より現実的、 より有効性のあるものにしていっていただければという思いでいます。 今日はもうたくさんここに資料があるんで、これが全部本日でまとめ切れられるかどう かというところもなかなか難しいところですけれども、しかしそれにしても一歩一歩進め て行きたいと思います。 それでは、今回の進め方ですけれども、いろんな部門がありますが、事務局の方で全体 の概要といったことを説明していただいた上で、各ワーキンググループで検討していただ いたことについての総まとめをやっていただいて、それからそこのそれぞれの部門の担当 の方などから補足的に説明を加えていただいて議論をしていくというふうにしていきたい と思います。 事務局はそういう形でよろしいですか。 ○感染症対策企画調整官 はい。 ○岡部議長 それでは、早速議事に入ろうと思います。 先ほど資料確認はされたわけですから、事務局の正林調整官の方から全体の御説明とい うことで、よろしくお願いします。 ○感染症対策企画調整官 皆さん、おはようございます。よろしくお願いします。 そうしましたら、非常の数多くのガイドラインでありますけれども、概要集をつくって ございます。それにのっとって、時々本文を参照しながら説明を進めていきたいと思いま す。 まず最初に、新型インフルエンザ発生初期における早期対応戦略についてのガイドライ ンです。概要集では、2、3ページ目をごらんください。 まず、今回のガイドラインの案では、主に抗インフルエンザウイルス薬、いわゆるタミ フルを予防投与として使う、それを柱とした1つの方策が提案されています。その使い方 として3とおり示されていまして、1つは「家庭・施設内予防投薬」。 もう一つは「接触者予防投薬」。 もう一つは「地域内予防投薬」。 「家庭・施設内予防投薬」というのは、その症例の家庭だとか保育施設・学校・職場と いったところの方々全員にタミフルを予防投与する。 「接触者予防投薬」というのは、後で説明しますが、その症例が積極的疫学調査を行っ て、接触したと思われる方々に予防投与を行う。 3つ目は「地域内予防投薬」ですけれども、これはその方が居住されている場所、地域 を決めて、そこの地域にいらっしゃる方々に対してタミフルの予防投与を行う。 そういった、抗ウイルス薬を使用したやり方として、3通りのことが示されていまして、 この薬以外の感染拡大防止策として、移動の制限とか、学校の臨時休業とか、あと職場の 中の対策、あるいは集会、社会活動の自粛、リスクコミュニケーションといったもろもろ の感染拡大防止策を行う。最初の(1)、(2)、(3)のやり方に(4)を加えてそれぞれ作戦名を立て ています。 例えば、(1)+(2)+(4)で「家庭・施設内予防投薬作戦」とか、(2)+(3)+(4)で「地域封じ込 め作戦」とか、(2)+(4)で「接触者予防投薬作戦」とかといったことが提案されています。 その具体的なやり方が3ページ目です。 「第一期対応」「第二期対応」と示されていますが、最初に症例がサーベイランスの結 果見つかったときに、主に都道府県ですけれども、まずその症例の方を入院させて、いわ ゆる隔離を行う。勿論、病院の中では院内感染対策を行い、そしてこの段階から接触者の 調査を行って、その方々には予防投与を行う。それから、先ほど提案のあった「家庭・施 設内予防投薬」を最初の段階で行ってしまう。 ほかにも、個人・家庭・コミュニティーあるいは職場の感染拡大防止とか、リスクコミ ュニケーションとか、対策の実施状況の監視とか、さまざまなことを行いつつ、評価を行 います。さまざまなデータを集めて、封じ込めの可能性とかいうことをいろいろ議論して、 何とか最初の3日以内に結論を出す。 それで第二期対応に移るわけですが、第一期対応の段階からここに書いてある(1)家族・ 施設内予防投薬とか(2)接触者予防投薬は、もう既に実施されているわけですけれども、初 期評価の段階で意思決定するのは、(3)の地域封じ込め作戦を実施するのかどうかというの を決める。 この地域封じ込め作戦というのは、勿論第一期でやられていることを強化することが前 提ですけれども、更に交通の制限をかけて地域を封鎖するとか、集会自粛、学校の臨時休 業とか、地域外からの出入りを制限するとか、この地域に住まわれている方々に一斉に予 防投薬を行う。あと住民に対する支援を行うとか、そういったことが提案されています。 この地域封じ込め作戦については、いろいろ部門別会議の中でも議論がありました。私ど も事務局で先生方の議論を聞いた限りでは、これを日本国内で実施するというのは、かな りハードルが高いんではないか。やる可能性というのはそんなに高くはないけれども、1 つの選択肢としては考えられなくはないので、一応、ガイドラインの案には載せておこう ということでありました。 特に、やるやらないの条件、どういう場合だったら成功するのかという条件が本文の中 の18ページ目です。 ここでは、地域封じ込めが成功するための条件というのが羅列されています。読んでい ただくとわかるんですが、かなりハードルが高い。発生の症例数とか感染力とか、発生す る場所、例えば大都市のような場所では、仮に見つかった場合にこの地域封じ込めをやる 確立は恐らく低いだろうとか、社会的条件なども、人権の侵害とか社会活動の停滞といっ たような大きな問題も起こすおそれがあって、やることによるメリットがデメリットを上 回らない限りは、ちょっと実施は勧められない。 あと、よく議論になったのは、特に海外から次から次へと患者さんが国内に流入してき ている場合に、幾ら地域を封じ込めて一生懸命タミフルを配ってやったとしても、それは 海外から続々と入ってくる場合には全く意味がないとか、部門別会議の中でもかなりこの 地域封じ込め作戦については、やや否定的な御発言が多かったかなと感じております。 以上が早期対応戦略です。 続きまして、積極的疫学調査についてのガイドライン。概要集の4ページ目をごらんく ださい。 最初に、医療機関から新型インフルエンザの発症を疑わせるような患者の通報があった 場合に、あらかじめ症例定義というものは既に策定されていると予想されますけれども、 その症例定義に合致するかどうかを判断し、もしも要観察例だと判断されたら、積極的疫 学調査を開始する。この調査は、まずその症例が具体的にどういう症例なのか、臨床症状 はどういうものなのかとか、そういうことをきちんと調査するとともに、またその症例の 方がどういう行動をとってきたのかということを細かく調査をいたします。 検査の結果、疑似症以上と確定されたら、接触者のリストアップを行って、リストアッ プされた接触者に対しては、先ほどの早期対応でも触れましたが、タミフルの予防投薬を 行いながら経過観察を行っていくということが提案されています。 次に、検疫に関するガイドライン。5ページ目をごらんください。 飛行機を例に御説明したいと思います。例えば海外のどこかでヒト−ヒト感染が起きた ことになれば、フェーズ4になるかと思います。WHOがフェーズ4宣言をして、どこの 国とか地域とかに指定をすると思いますが、そこからの帰国者について、飛行機で帰って くる場合に、まず機内から検疫所に対して連絡が入ります。症状を持った人があるかどう かということが連絡が入って、検疫所の職員は飛行機の中に乗り込んで行って、有症者が いるかどうかを確認します。もし有症者がいらっしゃれば、その方が症例定義に合致する かどうかを判定して、合致すれば検査を行います。各検疫所では、PCRまでは検査を行 えますので、そこで仮にプラスとなれば、検疫法上「停留」という言葉を使っていますが、 感染症指定医療機関にとりあえず一旦入院していただく。更に国立感染症研究所に検体を 送って、もし完全な確定だとなれば、同じ医療機関に入院することになるんですけれども、 この段階では検疫法15条に基づく隔離という措置をとることになります。 一方、機内に乗っていて濃厚に接触したと思われる方々も空港近くの医療機関に停留を していただくことが提案されています。 更に、濃厚接触者ではないけれども、同じ飛行機に乗っていたという方々は、一旦御自 宅にお帰りいただきますけれども、毎日健康監視を行っていただいて、とにかく毎日報告 をしていただくということを考えております。 空港の段階で、すべての乗客の方には紙を渡して、必ず報告をするようにということと、 万が一症状の発現があったら、保健所に直ちに連絡をしていただくとか、そういったこと。 もし症状があって、保健所が連絡を受けたら、直ちに感染症法に基づくような措置をとっ ていくということがこのガイドラインの中では示されております。 次に、事業者・職場におけるガイドライン。6ページ目をごらんください。 まず最初に、新型インフルエンザとはそもそもどういうものなのかという基本的な知識 であるとか、国とか地方自治体が今、どんなことをやっているかという対策を簡単に紹介 した後に、ヒト−ヒト感染が発生する前、まさに今の段階でどんなことを準備しておくの かということが記載されています。 例えば危機管理体制の確認。対策本部を設置するとか、連絡体制を構築する。 情報収集、あるいは従業員に対する周知方法の確立。 事業運営体制を検討しておく。 従業員等へ感染の予防のためにとっておくべき措置、手洗いの励行とか、あるいは在宅 勤務等の業務形態をあらかじめ検討しておく。 特に、社会機能の維持に関わるような事業の場合、電気とかガスとか水道といったライ フラインに関係するような事業者の方々は、まずその業務を継続する観点からどのような 事業運営体制をとったらいいのか、そういうことを検討するとか、そんなことが準備段階 のところで記載がございます。 ヒト−ヒト感染が発生した後の対応について、同じように情報の収集とか運営体制とか 拡大防止については記載がございます。例えば重要でない会議、会合、研修は中止または 延期するとか、電話会議とかビデオ会議など、直接近距離で接しないような形の会議の形 式を行うとか、そんなことが提案されています。 海外勤務の方々、恐らく退避勧告なども出るかと思いますので、そういったときにどう するかとか、海外出張の是非について検討するとか、そんなこともあります。 あと、いわゆる「咳(せき)エチケット」を心がけたりとか、従業員の健康状態を自己 把握するとか、そういった従業員等への予防的措置の指導。 先ほども申し上げた社会機能維持に関わる事業については、継続するためにどういう体 制をとったらいいかということの記載がございます。 個人、一般家庭、コミュニティー、市町村における感染対策ガイドライン。7ページ目 をごらんください。 ここでも、まず新型インフルエンザとはどんなものなのかとか、国や自治体がどんな対 策をとっているかということが簡単に触れられています。 ヒト−ヒト感染が発生する前の段階、まさに今、どんなことを準備しておいたらいいか ということが、個人、家庭のレベル、例えば「うがい・手洗い」を励行するとか、ヒト− ヒト感染が発生してしまった後に、不要不急の外出を控えるということが提案されていま すので、自宅にこもった場合に、特に食事とか、恐らく普通の水道は止まらないと思いま すけれども、日用品といった買い物に行く機会が減ると思われますので、あらかじめこう いった食料・水・日用品などを備蓄しておく。 発熱があった場合にどう対処するか。 「咳(せき)エチケット」ということが個人・家庭レベルのところで記載がございます。 コミュニティーのレベル。日ごろから地域連帯を確立しておくとか、独居の家庭がどん なところにあるかも把握するとか、市町村のレベルでも同様のことが記載がなされていま す。 場合によっては、独居の家庭などで食事に困るような方々に対しては、食事をどうやっ てそういう方々に調達するのかということも準備段階で考えておく。 いざヒト−ヒト感染が起きてしまった場合に、それぞれ個人・家庭、コミュニティー、 市町村レベルでどんなことをしたらいいかということが記載が書いてございます。 8ページ目、埋火葬についてのガイドラインです。 本当のパンデミックになって、毎日何万人という方が亡くなるような事態になった場合 に、火葬が間に合わなくなるとかといったことも念頭に置いてガイドラインが記載されて ございます。 まず最初に、今のフェーズ3の段階では、火葬能力がそれぞれどのぐらいあるのかとい ったものを調査して把握しておく。 フェーズ4、5になれば、まず火葬体制について、最新の情報を都道府県が市町村と共 有しておくとか、火葬作業従業員、従事者の感染防止のための物資を確保しておくとか、 パンデミック時の職員体制、消耗品の確保等について検討・準備しておくということ。 御遺体の保存をどうしたらいいかということも記載がございます。 そういった御遺体の処理に携わる方々の防疫面での留意事項ということで、遺体接触の 仕方、消毒についてどうしたらいいかとか、葬送文化とか宗教感情へどう配慮するとかと いった記載がございます。 フェーズ6のパンデミックになってしまった場合に、可能な限り火葬炉が稼働するよう に要請するとか、物資の確保、遺体の保存。公共施設とか保冷機能を有する施設等を確保 するとか、埋葬についても、十分な消毒等を行った上で墓地に埋葬するとか、近隣に適切 な用地がない場合には、公共用地の転用も検討するという記載もございます。 9ページ目、サーベイランスであります。 サーベイランスは、とにかく一刻も早くそういった症例を疑いの段階から見つけて、早 急な対応がとれるようにということで、特に医療機関から報告をしていただく仕組みにつ いて、数多くのサーベイランスのやり方が提案されています。 例えば症候群サーベイランス。症例が確定した段階での報告ではなくて、ある程度の症 状がある段階で、その症状を持っている方についての報告をしていただく。 あるいはクラスターサーベイランス。クラスターというのは英語で群れという意味です けれども、3人ぐらいの似たような症状の方がたまたま医療機関に来て、その3人のうち お一人が例えば医療従事者だということになれば、1つの集団としてとらえて、そういっ た方を報告していただくといったやり方も提案されています。 そのほか、そういったサーベイランスの結果、症例が疑われるケースが出てきたら、早 期対応戦略をとるわけですけれども、早期対応戦略によって感染拡大を防ぐことができな かった場合には、患者数や死亡者数とか、仮に予防接種を行っていればその副反応の状況 とか、ウイルスの抗原性とか遺伝子型とか抗ウイルス薬への感受性などについても、各種 いろいろ報告していただくような仕組みをつくって、早めにそういうことを探知し、それ を医療従事者とか国民の方々に情報提供していくといったことがこのサーベイランスのガ イドラインで提案されています。 10、11ページ目、医療体制についてのガイドラインをごらんください。 医療部門の中で御議論いただいていたときに、既存のというか、WHOのフェーズの4、 5、6という分類、あるいは日本の行動計画の4、5、6という分類にのっとって医療体 制を考えようと思ったら、非常に難しくて、むしろ現場に即した形で議論は進みました。 ここでは、10と11ページ目の2つのステージに分けて記載がございます。 最初のステージでは、患者さんの第一号が見つかってから、あらかじめ用意されている 都道府県知事が指定する感染症病床とか、患者さんが増えてきた場合には、結核病床の空 床の病床を利用する。あるいは一般病床ではあるけれども、例えば50床の病棟でそこに いらっしゃる方々はどこかほかの病棟に丸々移っていただいて、その病棟を新型インフル エンザ専用の病棟にしてしまってということを考える。そういったもろもろの新型インフ ルエンザ用の病床をあらかじめ考えておいて、そこの病床が新型インフルエンザの患者で 満床になってしまうまでが最初のステージです。そういったあらかじめ用意された感染症 病床が完全に満床になってしまった後が、セカンドステージと考え方を分けています。 最初のファーストステージの段階では、感染拡大を防ぐとという観点に立って、患者さ んについてはできるだけ入院をしていただく。まさに感染症法に基づき、一言で言うと強 制入院という措置をとりながら、積極的に入院を勧奨していくという考え方で進めるのが 最初のステージです。 一方、セカンドステージの方は、いよいよベッドが新型インフルエンザの患者で満床に なってしまっていますので、ここでは考え方を変えて、少なくとも法律に基づく入院勧告 というものはやめて、いわゆるトリアージです。重症の方だけに入院していただいて、軽 症の方は新型インフルエンザの患者さんといえども、御自宅で静養していただくというふ うに方針を転換していくということが提案されています。 特に、これを実施するに当たって、いずれのページにも真ん中辺りに「発熱外来」とい う記載がございますけれども、そういうものが提案されています。 最初のステージでの発熱外来は、例えばヒト−ヒト感染がどこかで起こって、熱のある 方が通常の診療所とか病院を受診されて、検査の結果、後で実は新型インフルエンザの患 者ということがわかった場合に、もう既にその段階では待合室で一緒に待っているほかの 患者さん10名、20名、あるいは30名の方にうつしてしまっているかもしれない。そう いったことを極力防ぐために、あらかじめ熱のある方を専ら見るような場所を指定してお いて、ここではネーミングを「発熱外来」としていますけれども、発熱外来を銘打って、 一般住民の方にもし熱のある方は、一般の外来ではなくて、こういった発熱外来をお訪ね くださいということを啓発する。そうすることによって、通常の医療機関での普通の患者 さんと新型インフルエンザの患者さんとの混在を極力避けるというやり方が提案されてい ます。 この発熱外来の形態について、医療部門の先生方でいろいろ御議論いただいたん ですけれども、それぞれ先生方によってイメージが大変異なっているということが御議論 を聞いていてよくわかりました。ある先生は、学校の体育館のようなところをイメージさ れて、ドクターなりナースなりにそこで診察をしていただく。トリアージですので、そん なに長時間かけてじっくり診察するというものではなくて、本当にごくごく簡単な診察で 入院が要るか要らないかということを判定していただくものなんですけれども、ある先生 は体育館のような場所を提案されておられました。 また別の先生は、医療機関のどこか大きな病院の通常の外来の玄関口とは別の玄関口を 設けて、そちらに来ていただいて、熱のある患者さんを専用に見ていくという形態も提案 されていました。どういう形態でというのは、少なくとも医療部門の中では十分なコンセ ンサスは得られていなかったかなと思います。一応、形態については考えられた例をそれ ぞれ挙げてございます。 一方、もう少しステージが進んで、セカンドステージです。いよいよ新型インフルエン ザの患者さんでベッドが満床になってしまった場合に、重症の方は入院していただいて、 軽症の方は自宅にというトリアージを発熱外来で行っていく。したがって、ファーストス テージでの感染拡大を防ぐという観点の発熱外来という意味に加えて、重症化、軽症化と いうのを判定していくといったトリアージの意味合いもこのセカンドステージの発熱外来 は行っていくといったことが提案をされています。 更にどんどんステージが進んで、入院のベッドがいよいよ重症の患者さんで満床になっ てしまった。かといって御自宅に患者さんをお帰しするにはあまりにも危ないという場合 に、行動計画では大型施設と書かれていましたけれども、ここでは公共の施設が提案され ています。トイレがあるとか、何となくイメージがわくようなものがガイドラインの中で 示されていますけれども、そういった公共の研修施設とか宿泊施設なども活用することも 提案がなされています。 12ページ目は、医療施設などでの新型インフルエンザ感染対策ガイドライン。 実は、フェーズ3の段階でも同様のガイドラインはあったわけですけれども、フェーズ が4、5、6になった場合も、やはりきちんと感染対策をとっていく必要がある。特にフ ェーズ6になった場合に、若干3、4、5とは対応の仕方が違うということで、ガイドラ インの案が示されております。 標準的な予防策とか、感染経路別の予防策といったことが外来の部門とか、急性期病院 の入院病棟部門、長期ケア部門、在宅ケア、あるいは小児科病棟等々でどのように院内感 染対策をとっていくかということが事細かに示されてございます。 13ページ目、診断検査のガイドライン。 実はこれについては、前回の会議ではこういったガイドラインについては事務局として はお示しはしておりませんでした。これは医療部門の作業班の中で、特に医療機関におい てどのように検査をしたらいいかということを、やはり現場に即した形でガイドラインを つくっておいた方がいいんではないのかという提案がなされました。 今日の段階では、ガイドラインの案はまだ作成できていません。とりあえず目次だけ作 成していただいていますので、それが13ページ目に示されています。 その中では、医療従事者の保護とか、検体の採取の方法、採取の時期、検体の保管場所、 検体のラベリング、あるいは梱包、輸送、消毒、交差汚染の防止といったことがとりあえ ず目次として提案がなされております。これについては、小田切先生にとりあえずのたた き台をつくっていただいて、医療部門の中で御議論を今後していただけたらと考えており ます。 14ページ目、ワクチンの接種に関するガイドラインの概要です。 まず、プレパンデミックワクチンをいつから開始するのか。このガイドラインの中では、 フェーズ4Aの段階で医療従事者、社会機能維持者へプレパンデミックワクチンを専門家 会議の意見を聞いた上で接種を開始するということが提案されております。 この中では、フェーズ4B、すなわち国内で第一号が発生してからでは遅過ぎるという ことが記載してございます。国内でとにかく第一号が見つかったというと、直ちに感染が 広がってしまって、それから医療従事者、社会的機能維持者にプレパンデミックワクチン を打ったのでは間に合わないではないかという懸念から、フェーズ4Aの段階でというこ とが提案をされております。 プレパンデミックワクチンについては、行動計画では医療従事者と社会的機能維持者と されていたのですが、社会的機能維持者というのはどういうものなのかということが議論 なされまして、現段階では電気・ガス・水道・食料供給・通信・交通・警察等ということ で例示が並べられて、国民生活や社会機能の破綻を防止するために最低限必要と考えられ る業務に従事する社会的機能維持者と記載がございます。 パンデミックワクチン。まさに世界のどこかでヒト−ヒト感染が起きたら、その株を使 って製造するワクチンですけれども、一応、全国民を対象にすることが提案されています。 しかし、ワクチンの製造工程にかなりの長期間を要しますので、直ちに国民全員にという わけにはいきませんので、優先順位をあらかじめ考えておかないといけない。提案がなさ れていまして、勿論、最初に医療従事者、社会的機能維持者に打つわけですけれども、そ の次のステップで、着眼点として、死亡者を極力少なく最小限にするということに重きを 置く。これを一応原則として考えるわけですが、別の考え方で、我が国の将来を守るとい う視点、平たく言うと子どもを守るといったことも1つの視点として考えることも提案さ れています。 どちらかというと、死亡者を最小限にということに若干ウェートを置いて提案されてい ますけれども、例えば死亡者を最小限にすることに視点を置いた場合に、今度はヒト−ヒ ト感染を起こすウイルスのタイプを考えて、また場合分けをしながら提案がなされていま す。 参考資料を1枚付けてあります。ウイルスのタイプというのは、通常、我々はシーズナ ルインフルエンザを念頭に置きますと、何となく高齢者が常にターゲットになっているよ うなイメージを持ちがちなんですけれども、参考資料で付けているのはスペイン風邪、ス ペインインフルエンザのときの年齢別の死亡者です。 スペイン風邪の場合は、割と若い方々がターゲットになったというデータがございます ので、ウイルスのタイプによって高齢者がターゲットになる場合と、若い方々がターゲッ トになる場合、成人の方が重症化しやすいタイプと両タイプを分けて考えて、医学的なハ イリスク者、成人、小児、高齢者と4つのグループに分けて、かつ本文の中では、例えば 医学的ハイリスク者の方が成人よりも重症化しやすいと仮定した場合とか、そういう仮定 を置いたらどういう優先順位になるのかということが提案されています。 供給、接種体制についても事細かに記載がございます。 接種の実施方法についても、集団接種の形態をとるということが事細かに記載がござい ます。 15ページ目。抗インフルエンザウイルス薬、いわゆるタミフルについてのガイドライン です。 ここでは、予想される事態として、特定の医療機関がタミフルを買い占めてしまう。そ の結果として、タミフルの不足が生じ、更にその結果として値段が高騰するとか、あるい はそれを奪い合うといった憂慮される事態も念頭に置かれますので、そういったことを極 力防いでいくことがいろいろ提案されています。 例えば極力そういう買い占めをしないように指導していくとか、先ほど医療体制の中で ございました発熱外来とか感染症指定医療機関とかといった医療機関に極力タミフルにつ いては集中して卸していくような仕組みとか、もし買い占めを行われている医療機関のよ うなものがわかったら、そういう医療機関を公表するとか、そういったことが提案されて います。 備蓄しているタミフルの使用の方法についても記載がございます。 あと、予防投与についていろいろ御議論をいただいて、やはり早期対応戦略とか、濃厚 に接触したと考えられる疫学調査員あるいは救急隊員といった方々に対して、タミフルの 予防投与は必要であろうという記載がございます。 ただ、この場合に十分に情報提供をして、同意を得て行うということ記載がございます。 あと、いよいよ薬剤が不足してしまった場合に、優先順位も検討しておくべきだという ことで、優先順位についての記載もございます。 最後ですが、16ページ目。リスクコミュニケーションについてのガイドライン。いかに して一般国民の方に適切な情報を提供していくかということについてのガイドラインです。 基本的な考え方としては、正確な情報を早急に適切な手法によって伝える。個人のプラ イバシーとか人権にも配慮しながら伝えるといったことが基本的考え方で示されて、特に フェーズ1〜3、今の段階で何をしておくべきなのか。 例えば定期的な記者会見を開いて国民の方々に対して情報提供を積極的に行っていくと いうこと。 情報の収集の仕組みとか、情報の共有を国とか自治体が行っておくということを今から 行っておく。 フェーズ4になって、まさにヒト−ヒト感染が始まった段階では、まず厚生労働大臣を トップとする対策本部を開催して、本部長から宣言を行う。毎日複数回、定時に記者会見 を実施して、きちんと情報提供を行っていくとか、一般国民からいろんな問い合わせなり 相談なりを受けると思います。それは国も自治体もそうなんですけれども、対策立案部署 にそういった電話が殺到すると、場合によっては対策の実施が滞ることがありますので、 コールセンターのようなものを設置するようなこともガイドラインの中では提案されてい ます。 どこまで公表するか。こういった感染症というのは、基本的考え方でも申し上げました が、プライバシーとか人権に配慮するということと、公衆衛生上の問題の両者をてんびん にかけながら情報提供をしていく必要がありますので、どこまで公表するのかという基準 について考え方が示されています。 例えば公表に当たっては、市町村名までを公表することとするけれども、感染者との接 触者への感染危険性を考慮し、当該接触者への公衆衛生対策上必要な場合は、その程度に 応じて接触者の感染が疑われる場所、時期、移動先等を発表するということがガイドライ ンの中で提案がなされております。 全部で155 ページにわたる非常に膨大なガイドラインでありますけれども、とりえず事 務局として大ざっぱな概要を御説明させていただきました。 以上です。 ○岡部議長 どうもありがとうございました。 それぞれの方は、各部門での話には参加されていたと思うんですけれども、全体として 見るのは委員の中でもこれが初めてという方もあるので、細かいことを議論していくと、 これからまた更に半日以上、1日ぐらいかかるかもしれませんので、今回は全体のところ での討議にとどめざるを得ないことをご了承下さい。 まず、それぞれの部門の委員長をやっていただいた方からの追加、補足があったらお願 い致します。ます予防と封じ込め部門というところは私が委員長をやっていたんですが、 正林調整官の方からも先に話がありましたけれども、徹底的な封じ込めをするかどうかと いうことに一番最初の議論がありました。 資料2−1「(案)新型インフルエンザ発生初期における早期対応戦略ガイドライン」 の2ページ目の「はじめに」に書いてあるんですけれども、WHOはかなり封鎖的なこと を行うことを示しています。ただし、それは世界中のどこにおいても起きた場合といった ことが前提で、詳細は各国がやるようにということも書いてあります。 したがって、WHOが勧めている、例えばある1か所で新型インフルエンザと思われる 患者さんが発生したときには、その周囲にある限定的な地域では、全員に抗インフルエン ザウイルス薬の予防投与を行い、そしてそこを地域封鎖するという形が想定されています。 私たちも一番最初に、我が国にとってこれが適当かどうかというこの議論を行いました。 それが正林さんがおっしゃった、方法としては書いておくけれども、多分やれたとしても 極めて短期間にしか過ぎないし、それは効率が悪いだろうということで、この早期対応戦 略という形で厳重な封じ込めを行うことは我が国は非常に実施しにくい状況ではないか言 うことになりました。これは他の部門でも前提になりますので、そういったことが議論さ れたということが一番大きいことであると思います。 検疫も全面的にここで水際作戦を厳密に行って、水も漏らさぬというのは無理だけれど も、でき得ることをやるということが議論されました。 検疫の方は内田委員、早期対応については中島委員が大きく関与していたと思うので、 それぞれ一言ずつおっしゃっていただければありがたいです。 では、内田委員いかがですか。 ○内田(幸)委員 検疫のやり方はいろいろあるわけなんですけれども、ただ全国合わせ ても検疫官は400 名しかいないという非常に人的不足の中で、最大限の効果を上げながら、 国内でのパンデミックが急速に進むのをとにかく抑えていきたいと考えました。 もう一つは、IHRという世界保健規則の中では、物流の阻害を妨げてはならないとい う条約規定もありますし、また、日本の場合の食料事情を考えると完全鎖国的なことをや れば、多分1か月で国内の食料は枯渇するという状況もありまして、何とかある程度窓口 を狭めながら最大限の効果を上げる方法ということで、今回の検疫ガイドラインを書かせ てもらっています。ただ、まだ細かいことはいっぱい詰めなければいけないと思っていま す。○岡部議長 中島委員、いかがですか。 ○中島委員 早期対応戦略と話が出ると、どうしても封じ込めをするのかしないのか、封 じ込めをできるのかできないのかという議論になってしまいますけれども、フェーズ6の 流行が一番大きいときにどうするのかということが骨格にあって、その中で国内に侵入し てきたときにどういう対応が行われるのかというのをプラスアルファで考えるという視点 が最も大事だろうと考えております。その中で、フェーズ6も通した基本的な対応という のを置いて、それにオプションを加えるという形で書かせていただいています。 恐らく、この感染拡大防止策は、一見抗ウイルス薬タミフルをいかに使うかという形で 分離されているように見えますけれども、本当の骨格にあるのは薬に頼らない感染対策予 防策をいかにやっていくか。それにプラスアルファして薬をどういうふうに使うのかとい う形で理解していただいた方がいいのではないかと思います。 それと併せて、最も基本となる、最もとり得る可能性の高い対策というのは、決して地 域を完全封鎖するということではなくて、恐らくできるだけ行動の自粛等を促しながら、 感染拡大をいかに抑制していくのかということが骨格になるであろうと思っております。 以上、補足です。 ○岡部議長 ありがとうございました。 サーベイランスの方は谷口委員、お願いします。 ○谷口委員 サーベイランスにつきましては、まず当初は、第一例目を探知するサーベイ ランス。 それが破れて集団となった場合に把握するサーベイランス。 そして、それでも把握できなく、コミュニティーのトランスミッションが起こった場合 に把握するサーベイランスという3段階のサーベイランスを設けるということが最初の戦 略なわけです。 ただ、その後、フェーズ6になりまして、国内で拡大が始まった場合に、どこまで精度 の高いものをやるか。国民の皆様は市町村単位で自分のところで起こっている状況を、例 えば1日単位で知りたいのか、1週間単位でいいのか、2週間単位でいいのか。これが1 日単位で知りたいとあれば、1日単位での情報収集はそれなりに負担がかかります。つま りいかに情報を提供するか、そのバランスがありますので、これはまだ議論の部分があり ます。 ただ、現状ではその段階においても可能な限り有効な地域レベルの情報が国民に伝わる ようにという形で設定しております。 以上でございます。 ○岡部議長 ありがとうございます。 ワクチン及び抗ウイルス薬は、田代委員お願いします。 ○田代委員 先ほど、正林さんから説明があったとおりなんですけれども、14ページに概 要が書かれていますが、この予防接種の実施に関して議論がありました。その内容につい ては、任意接種になるのかどうかということです。それはプレパンデミックのワクチンの 接種においてもそうですし、実際のパンデミックのワクチンにおいてもそうなのです。 その場合に、これは予防接種法の中で臨時の予防接種として行われるのか、それ以外の 全く任意の接種になるのか。それがなぜ問題になるかといいますと、費用負担の問題とか、 もし万一事故が起こった場合の補償を国が行うのか、医薬品機構で行うのかという細かい メカニズムというか、それに違いが生じてくるので、その辺をどちらにするかということ が議論になっていました。 あと、プレパンデミックの備蓄用ワクチンですけれども、これの保存期限がどのぐらい なのかということは、まだはっきりわからないわけです。恐らく、半永久的には不可能な わけですし、実際に鳥の中での流行株もどんどん抗原変異を起こしていくということで、 この株についても更新、更にアップデートをしていく。そのためには、できれば毎年必要 量を新たに開発して、製造して、備蓄を更新していくことも必要なのではないかと考えら れます。 これは、フェーズ4以降になってからでは間に合わないので、今回のガイドラインその ものはフェーズ4以降ということですけれども、是非、それ以前のフェーズ3の段階でこ れを継続していけるように、そういう政策が必要なのではないかという議論がありました。 抗ウイルス剤のガイドラインですけれども、これも先ほどお話がありましたように、買 い占めをするとか、必要なところに行き渡らないという事態を防ぐために、流通して市場 にある分については、なるべく指導していくということ。 もう一つは、国及び都道府県で備蓄している分については、都道府県が指定する医療機 関に配送するということで、具体的には指定医療機関、もしくは仮称ですけれども、発熱 外来というところでしかタミフルを処方できないような体制を一応考えております。 すべての医療機関で自由に購入して、処方するとか、一般の薬局に配布されて、処方箋 でそこから購入するという体制は、恐らくとれないんではないだろうかと思います。そこ が通常の薬の処方の場合と大きく違ってくるわけですけれども、その辺についても更に検 討が必要であろうということになりました。 予防投与の問題としては、早期対応戦略において、いろんな疫学調査員とかその他、封 じ込めの場合などに予防投与するというプランが考えられていますけれども、この場合の 費用の負担とか、これについては備蓄分から回すのかどうか。新たにそれと別枠に備蓄と いうか、いろいろ準備をしておくのかどうかということについても議論がありました。 以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。 このガイドラインでは、一応タミフルという名前で出ていますけれども、現状としてタ ミフルが一番多くあるのと、ストックパイルとしてもタミフルが中心になっているけれど も、割合から言えば少ないがザナミビルもストックの対象になっていること、現時点でア ベーラブルなものが抗インフルエンザウイルス薬としてはその2種ですけれども、時間が 経ってくれば新しい薬剤も出てくる可能性があるというのは、後で書き替える可能性があ るということも含まれているので、一応御承知おきください。 田代先生、どうぞ。 ○田代委員 先ほどのパンデミック時のワクチンの対象者です。カテゴリー分けとして、 目的として死亡者といいますか、被害者を最小限にとどめるのか、それとも次のジェネレ ーションというか、若い人、お子さんを中心にしてその人たちの健康を確保していくのか という大きく2つの話が出ましたけれども、従来、公衆衛生的な考え方としては、年齢と かいうことを余り考慮せずに、リスクを少しでも減らす。最終的に死亡する人、重症化を 減らすということが考えられていたわけです。 これまでの厚労省の委員会でも恐らくそういう議論で進んできたと思いますけれども、 これについて昨年来、アメリカを中心にして、医療倫理学者といいますか、そういう人た ちから、極端なことを言うと、先行きの短い寝たきり老人に接種するよりは、確かにそう いう方はリスクは高いとは思いますけれども、若い子どもとか、これから社会を担ってい く人たちを中心に検討しなければいけないのではないかという議論が起こってきまして、 アメリカで今、非常に大きな議論になっています。 そういうことを含めて、この我々の専門家グループの中でもかなりディスカッションが ありました。これを我々だけでどちらの方針を選ぶのかというのを決めることは、とても 難しいし、当然できません。大きな問題なので、私個人的には、このガイドラインの中に 書き込むというよりは、むしろ広く社会的なパブリック・コメントを求めて、国民にこう いう問題があるのだということを認識していただくということが、まず第一の段階として 必要なのではないかと考えます。 以上です。 ○岡部議長 ありがとうございます。 今、パブリック・コメントの話が出ましたが、これは一番最後の方でもうちょっと議論 をするようにしたいと思います。冒頭にも申し上げましたように、この全体のガイドライ ンすべてが、これで完璧でゴーサインというのではなくて、むしろこれは提案であって、 それについていろいろな方面の議論が必要だということが、各部門でのディスカッション における認識であったと思います。 それでは、次は医療部門の川名委員、お願いします。 ○川名委員 医療部門の川名と申します。 医療部門の中では、勿論いろいろ意見が出ました。基本的にはWHOのパンデミックフ ェーズ分類が1〜6という形であるわけですけれども、むしろそれにこだわらずに、感染 症に対応する医療機関が対応可能な時期、そこがいっぱいになった後、そして、最終的に は、既存の医療機関がいっぱいになった段階という形で策定しているところが、ひとつ特 徴であります。 内容につきましては、先ほど正林調整官の方からお話があったことでも十分ですけれど も、2点だけ追加させていただきます。 1点は、発熱外来です。発熱外来につきましては、恐らく必要であろうということにつ いてはコンセンサスが得られております。 ただし、そのイメージにつきましては、先ほどもお話がありましたように、委員の中で もいろいろなイメージが出ました。恐らく最初の段階、封じ込め時期、パンデミックにな るまでの間というのは、恐らくトリアージですとか、あるいは感染防止といったような役 割が中心のフィーバーアセスメントセンターというイメージではないかと思います。 パンデミックに入ってからは、恐らく交通整理、プライマリーケア、場合によってはタ ミフルの処方といったクリニック機能も要求されてくるのではないかといったイメージで す。 ただ、もう既に地方自治体の方でつくられているマニュアルの中でも、発熱外来につき ましてはいろいろなイメージが記載されていますので、今回はあえて絞り込まずに、少し 可能性を残した状態になっております。 第2点目ですけれども、基本的には感染症指定医療機関、結核病床、あと協力医療機関 ということになっていますけれども、決してそれ以外の病院がインフルエンザ診療と無関 係でいられるということはあり得ないわけであります。勿論、インフルエンザ診療に直接 関わらない病院においても、例えばインフルエンザの余波のために早期退院を余儀なくさ れたような慢性の患者さんですとか、長期療養中の患者さんで退院を余儀なくされた患者 さんの往診診療に当たっていただくとか、あるいは発熱外来に出向して腕を振るっていた だくとか、そういった形で協力していただくことが不可欠だろうと思います。 以上ですけれども、医療部門の中では感染対策というところがありますので、森兼委員 から何か追加ありますでしょうか。 ○森兼委員 医療部門の森兼と申します。感染対策のガイドラインに関しては、正林調整 官から一通り御説明がありましたけれども、基本的な考え方として1つだけ追加させてい ただきますと、フェーズが進みますと、病院内だけで高いレベルの感染制御をやっていて も、市中といいますか、家といったところでの感染伝播はどんどん起こりますので、余り 病院の中での高いレベルの対策というのは、恐らく意味がないであろうということは、新 型インフルエンザがまだ起こっていない現在でも、大体想像がつくことでありますので、 その辺りを織り込んだ現実的な対策が病院でとれるようなガイドラインにしたつもりでご ざいます。 以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。今のが医療部門からのことです。 リスクコミュニケーションを含めた情報提供・共有というところで、丸井委員お願いい たします。 ○丸井委員 先ほど正林調整官からお話があったとおりですけれども、幾つか付け加えて おきたいと思います。 先ほど、田代委員からもお話がありましたけれども、感染症のときに社会を守るのか、 個人を守るのか。これは、情報を出すときにも、個人のプライバシーや人権をどこまで考 えるかということも影響してくる非常に大きい問題でもあります。 我々のところで幾つか話をしたことで、3つほど足しておきたいと思います。 1つは、ここではフェーズ1〜3をまだ載せておりますけれども、これはやはり情報提 供だけではなく、情報の共有という意味でフェーズ4に入る前からの日常的な連携が非常 に大事です。ここにいらっしゃる先生方のそれぞれの分野、あるいは国と自治体の間で情 報を日常的にきちんと共有しておいて、そしていざというときに備えるということで、い ざとなってからでは遅いということで、フェーズ1〜3の段階でやっておく仕事が非常に 多いだろうということがございます。 2つ目は、フェーズ4以降のところで、コールセンターを設置しようということも書い てあります。これは先ほども御説明がありましたけれども、実際に意思決定をしていく、 例えば厚生労働省の感染症担当のところに問い合わせが殺到するということではいけない ので、コールセンターを別途設けようということであります。これは単に対応する場所だ けではなくて、もう一つ、国民全体、あるいは現場、一般の国民の方からの情報を一元的 に集めるという意味もありますし、実際にさまざまなところで何が起きているのかを直接 聞ける場所としても機能するということです。単に説明をするのではなくて、情報を集め つつ説明するという両方の機能を持つので、これをきちんと設置したいということでもあ りました。 3つ目は、概要の下の方にもありますけれども、公表です。これは、基本的には隠さな いということで、公表していくべきであろう。また、わからないことはわからないという ことをしつつ行くということで、特に、従来マスメディアと行政、専門家の間は何か相手 という感じですが、実際にこういう状況に至りましたら、そうではなくて、一緒に行動す るということです。これまた問題が起こる以前から、勿論先ほどのと同じようにきちんと 情報を共有しながら、いざというときがもしあれば、そのときにはこのようにしていこう ということを平時から準備していくという意味で、マスメディアは決して、言わば敵では なく、仲間で一緒にやっていくという気持ちを持っていきたいということです。 初めのように、社会全体を守っていくのか、個人を守るのか。それは、例えば病院や事 業体、あるいは子どもの場合には学校、その辺のところをどの辺まで特定するかという問 題とも関係していきます。恐らくこれから問題が起こる以前からマスメディアの皆さんと 了解をきちんととっていくことが混乱を招かない一番の準備であろうという話をしており まして、先ほど御報告いただいたような概要としてまとめさせていただきました。 ○岡部議長 ありがとうございました。 そのほかにも、特に社会的には、事業をしているところへの事業者、あるいはコミュニ ティーでの対策等々というのもあるんですけれども、これは冒頭に申し上げましたように、 医学的な考え方のみでは解決できない部分もあるので、恐らくそこからいろんな議論が出 てきて、実際にどの程度までできるのかといったことが、これから議論の出てくる中で多 分最終的な結論に向かっていくのであろうと思います。 一応、これが今回のガイドラインのざっとしたところでありますけれども、委員の中で、 自分のところの部門よりもほかの部門の方がむしろ気になるところもあると思いますので、 ここから先は自由な議論をいただきながら進めていきたいと思います。どうぞ御意見のあ るところからお願いいたします。 内田委員、お願いします。 ○内田(幸)委員 今日、隅々まで全部見ていないから、もしかしたら抜けていないのに 話をすることになるかもしれないんで、それはお許し願いたいと思います。 こういう大事な大きな問題をいろいろ検討する中で、いろんな人権についての話は、い つも伝病法の改正以来よく出ているんですが、特に、検疫の問題は、国民の協力が得られ なければほとんど成就しない。 特にそういう意味で、国民の協力とか言葉が強くなるかもしれないけれども、責務とい うことも含めて、やはりすべて日本中がこの新型インフルエンザに向かって対応するんだ という表現を、もう少し入れてもいいんではないかと思っています。どこにもそれが載っ ていない。検疫ガイドラインでは少し載せてもらいましたけれども、特に検疫などではけ 飛ばしていく入国者が今は2、3割いるわけですから、そういう状況では、とても水際防 止は達成できないだろうと思っています。ですから、マスメディアの人たちは、その辺は いろいろ考えて動いてほしいものです。 やはり、責務なり協力なり、何かもう少し権利が主張されるのであれば、義務も何とか 果たすというところも、これがいい機会だと思うので、盛り込みながら、国民一人ひとり に御理解していただき協力していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。 ○岡部議長 確かに、これを見てもわかるように、パンデミックとなった場合には一般の 方に今の状況と同じ生活様式が行くわけではなくて、ある程度、場合によってはかなりき つい制限が出てくる可能性があるという意味では、御理解をいただかないといけないので はないかと思います。大いにそこは議論をしていただく、あるいは意見を言っていただく という部分であります。 前田委員、どうぞ。 ○前田委員 私たちの部会でもその話が少し出ました。やはり、今回は少し技術的なガイ ドラインでしたので、そういう形は盛り込まれてはいないんですけれども、恐らく国民の 方がまだ多少冷静に受け止められるフェーズ1〜3のこの時期に、やはり今回のパンデミ ックインフルエンザの対策は、個人の予防と社会の防衛。防衛という言葉が余りいいかど うかわかりませんけれども、社会機能維持。恐らくフィフティー・フィフティーぐらいの 割合で必要なものであって、場合によっては一部個人の行動が制限されることも出てくる けれども、結果としては国民全体の利益になるんだということをもう少し明確なメッセー ジで積極的に発信していくことが必要ではないかという議論はありました。 ○岡部議長 今のに関連していかがでしょうか。 なかなか言いにくいことではあるけれども、しかし個人だけの迷惑ではなくて、それが 全体で社会を抑えるということをもうちょっとアピールした方がいいんではないかという ことは、非常にいい御意見だと思います。 それでは、ほかの話題でもお願いします。田代委員、どうぞ。 ○田代委員 今のことに関連するんですけれども、やはり国民に対する大事なメッセージ というのは、国とか自治体が全部面倒を見てくれるから、任せておけば大丈夫だというの が一番問題だと思うんです。やはり、今の科学的なレベルからしても、ワクチンにしても、 薬にしてもそうですけれども、オールマイティーではあり得ないんで、最終的には国民一 人ひとりが自分たちを守るということが一番大事です。そのためにはどういうことが必要 かという情報を国、ないし自治体がきちっと伝えていく、それをアシストしていくという、 一番基本的な取組み方というか、考え方が基本にあるべきだと思います。 ○岡部議長 ありがとうございます。 医学部門というか、医療関係者ではよく話が出るんですけれども、例えば抗インフルエ ンザウイルス薬の備蓄に関しても、タミフルという薬があれば絶対に防げるとか、絶対に 治療ができるというものでもないし、ワクチンも現状の市販されているワクチンでも決し て100 %予防を担保できるものではない。そこら辺が、今の我々の持っている医学の限界 でもあるんですけれども、そこら辺も誤解がないようにしとく必要があろうかと思います。 これさえやっておけばいいんだということではなくて、これは一つひとつの積み重ねであ って、それぞれの方に守っていただいて、協力をしていただいてということだろうと思い ますので、アピールするに当たってはいいお話だと思います。それをいろんな方法で伝達 をしていただきたい、あるいはいろんなところでディスカッションしていただきたいとい うことだと思います。 事務局の方は何かありますか。 ○感染症対策企画調整官 今の国民お一人おひとりの意識の問題だと思うんですけれども、 ちょっと事務局の方で検討してみたいと思います。場合によっては、どこかのガイドライ ンに盛り込んだ方がよければ、直してみたいとは思います。 ○岡部議長 それでは、ほかのことで結構です。どうぞ御自由にお願いします。 ○中島委員 先ほど、田代委員から御指摘というか、御質問のありました、初期対応での 予防用のタミフルは、今、備蓄しているものから切り売りするのかという話ですけれども、 まず最初に、予防投薬を大規模でやるためには、それ専用の備蓄を別途考えなければいけ ないというのを前提に議論しておりますし、今の治療用を切り売りしてできる範囲のもの ではないとは考えています。 ○岡部議長 今のは、現在のストックしてあるタミフル及びその他の抗インフルエンザウ イルス薬を、その目的で使うということではなくて、それ以外にプラスアルファが必要に なる可能性があるということですね。 ○中島委員 プラスアルファが必要だと思います。 ○岡部議長 これを議論したときも、このガイドラインで盛り込んだのは、現状の範囲内 でどうするんだということではなくて、よりいいものをやるためには、このぐらいのもの が必要で、それについては、現実にはこれから予算措置であるとか、人の確保、あるいは コンセンサス、場合によっては法の改正などが必要なんで、そこをやってくださいという 意味ですね。 ○中島委員 そうですね。初期対応のことを考えるときに、現状で何ができるのかという ところからスタートすると、手足が縛られて何も議論できなくなる。特に、パンデミック インフルエンザはどういうことが起こるかわからない。そして、現行体制ではできない災 害時対応という考え方で、将来起こることを予想した上で何が必要かというところから議 論を始めようというということでスタートしております。 なので、特にこの封じ込めの部分を読まれると、こんなことは今の体制ではできないだ ろうというお話になると思いますけれども、そうではなくて、何が必要かということがあ って、その中に予防用のタミフルの備蓄も書いてありますので、「何ができるのか」から とは逆の流れであります。 ○岡部議長 発想の切替えも必要であるというところだと思います。いかがでしょうか。 先ほどからしばしば申し上げているように、これまでは医学関係者での議論が多かったわ けですけれども、例えば田崎委員、何か全体を見て御意見がありましたらお願いします。 ○田崎委員 確かに、専門家の皆さんのお話が非常に多くて、そういうことだと思うんで す。 リスコミの話でいけば、やはりいつも何を情報発信するかという視点にポイントが集中 しがちかなと思います。先ほど、丸井先生からもありましたけれども、国民が今どういう ふうに思っているのか、マスコミがどう思っているのか、この辺りをいかに情報収集して いくか。そういった辺りも、平時または緊急時にいかにやっていくかということが結構ポ イントになってくるかなと思います。 特に非常時に関しては、リアルタイムで日々、どういう誤解が生じているかとか、何が 今、必要なのかということをキャッチしていくためのシステムは今、いろいろありますし、 そういった面も考えていくべきなのかなと思います。 そういった意味で、情報の収集と共有をもっと深めるべきかなと思います。 ○岡部議長 ありがとうございます。 これは、一応厚生労働省の中から発信するわけですけれども、自治体側がこれを受け止 めてというのは随分あると思うんです。今度は自治体の立場では、神谷委員、前田委員、 何かございますか。前田委員、お願いします。 ○前田委員 先ほどからの中島委員のお話にも、今、できること、何が可能か、必要かと いうレベルでこのガイドラインは書かれたという話ですけれども、やはり自治体の立場か らいくと、いかにこうしたパンデミックの時期とかより、すべてが超法規的措置という形 での対応というのは、やはり非常に困難になってきますし、どういう形で規律していくの かというところも出てくると思います。ですので、やはり法的なバックグラウンドが欲し いというところがあります。 ただ、恐らく感染症法を幾ら改正しても、これに対応できるのかという気もいたします。 ちょっと私うろ覚えですが、国民保護法ができたときに、緊急事態基本法が今後、こうし た災害、あるいは感染症のパンデミックも含めて保護するという法をつくっていくという 話が、たしかあったような気がするんですが、もう少しそういう全体的な形で、こういう ことに対処できる法的な裏づけを持っていただけないかという気がいたします。 ○岡部議長 それは自治体の方では、今は大首都圏の方からの御意見と一応伺っておけば、 例えば泉委員、中村先生、お願いします。 ○中村委員 では、2つよろしいでしょうか。 1つは、社会的機能維持者に関わる御検討をいろいろいただいておりますけれども、こ の方々がある意味濃厚接触者という位置づけにして見たときに、その方々の家族、同居者 ももっと挙げる必要についての議論はどんなものになっているのかということは気になり ます。 あと、全体の議論なんですけれども、先ほど議長の冒頭のお話にもありましたけれでも、 この感染で重篤な方をどこまで想像したらいいかといいますか、そこからさかのぼって、 最終的には死亡ということが結果としてありますけれども、どうすればそれを避けられる かといいますか、レベルをもう少し共有したいなというのがあります。 というのは、今回、発熱外来という形でかなり絞っていますけれども、実際に医療提供 体制を発熱外来を絞った形でこれから構築し直していくというのは、関係者の協力を求め ていくには相当な時間がかかるようなイメージを今、持っております。そこまでするため のパンデミック時の重篤度についての共有がもう少しできないかなと思っています。 ○岡部議長 言わば、被害の想定というところになるんでしょうか。 ○中村委員 医療提供体制の資料の、例えば重症などで入院勧告をしますが、そこから先、 ある程度こういう医療サービスが受けられれば、相当レベル死亡という最悪のものは避け られるんだということがイメージできれば、そういうことになりますけれでも、その医療 水準がまたA、B、Cランクあって、ある相当の医療水準がまた要求されることがあると なると、また話が変わってくると思うんです。 今、私が勝手に共有しているのかもしれませんけれども、多くの医療提供者の方々に協 力を求めて、こういう重篤な方々でも一定程度は入院環境を整えれば、救命措置まで行け るだろうという前提の下に入院勧告なり、何なりをするということを想定しているわけで あります。そのことももし前提とすることがおかしいのであれば、発熱外来のような形で 考えを絞っていくということに関してのことについても、また説明の仕方が変わってくる ように思っております。 入院にたどり着けば、相当救命率は高くなる。そのときのトリアージといいますか、判 断が実は重要で、そういう意味での発熱外来のような機能を特化していくことが必要だと いうのと、微妙なんですけれども、何か違いがあるように感じております。 ○岡部議長 医療体制の中では、正林調整官からも説明があったように、発熱外来という のはかなり重きをなしていながら、かなり委員の中でもいろんな意見が出ていたようです。 発熱外来について、川名先生、説明をしていただけますでしょうか。 ○川名委員 発熱外来につきましては、やはりこれもいろいろ意見があるのですけれども、 恐らくコンセンサスとして共有できることとしては、パンデミック前のフェーズです。 例えばフェーズ4とか5の段階においては、恐らく本当の患者さんの数はまだ少ないは ずです。ただし、不安を感じる方ですとか、あるいは感染地域から帰ってこられた方が非 常に心配して来られる。患者さんの数は増えてくる可能性があるけれども、本物の人は非 常に少ないだろうと予想される時期です。 ですから、こういう時期は、もし万一本物の人が入ってきたときに、待合室などでほか の人にうつすことがあってはいけないということで、自分が新型インフルエンザかもしれ ないという形で外来を受診する人を、まず病院の一般の患者さんのエリアと分けようとい うことです。そこで、この人がどのぐらいの信憑性があるかというアセスメントをして、 疑わしい人はそれなりの対応をする。そうでない人は一般の医療の中で対応していくとい う、恐らくアセスメントが中心になってくるのだろうと思います。 パンデミック期の発熱外来というのは、恐らくこれは本当の新型インフルエンザの患者 さんがあふれてくる時期になりますし、このときは入院勧告といった法的な縛りも外れて くる時期になりますので、この時期は限られ医療リソースをいかにして重症患者さんに振 り分けていくかということが問題になってくると思います。このときは、ある程度のクリ ニック機能を設けて、この方は自宅でも治療が可能であるとか、あるいはこの方はしっか り病院を受診してもらう必要があるということにも機能を果たしていただく必要があると 思います。 あと、先ほどお話がありましたけれども、例えばタミフルの有効利用という点でも、発 熱外来といったところにタミフルの処方機能を持っていただいて、ここで本当に疑わしい 人には処方して自宅療養する人に持って帰っていただくとか、そういうこともできる機能 を考えています。 非常に漠然とはしていますけれども、パンデミックの前にはアセスメント、トリアージ。 そして、パンデミックになったら交通整理とクリニック機能というイメージだろうと思い ます。 ○岡部議長 同じ発熱外来という言葉であっても、機能としては前段階の場合と後段階の 場合では違ってくるということですね。 ○川名委員 そうですね。特に委員の方から、例えばパンデミックの前はどちらかという とフィーバーアセスメントセンター。パンデミック期になったら、それこそフィーバーク リニックという言葉で置き換えられるんではないかといったサジェスチョンもありました。 ここは、まだ一応「発熱外来」ということで統一してありますけれども、そういうことで す。 ○岡部議長 ただ、そういうときの切替え、例えば法律に基づく入院勧告をしないという スイッチはどこが押すんでしょうか。事務局の方がいいと思います。 ○感染症対策企画調整官 都道府県知事になるかと思います。 ○岡部議長 中村委員、どうぞ。 ○中村委員 同じ部会の中で議論をまだ煮詰めていないんで大変恐縮なんですけれども、 医師会の先生方といろいろお話をしていると、地域の医療機関でこれまでのインフルエン ザの流行などを何度も経験をされているので、相場観がある。流行した場合に、大体今年 の流行はこのぐらいの患者さん、流行があるとこのぐらいの患者さんが来るだろうという ものを持って、例えばタミフルなり何なり用意をする。この新型インフルエンザではなく て、普通のインフルエンザの流行などについて、医療提供体制を整えているという話を聞 いています。 それを超えて、そういう患者さんの動きがある中で、発熱外来ということで、その患者 さんの動きとはまた別の動きでどこかに来てください、そこでタミフルを渡しますという のは、どういうふうにそれを構築していったらいいのかというのが、これから大きな議論 になるような気を持っております。 そういう既存の勘といいますか、地域の医療に従事されている方々に、まず普通に協力 をしていただく体制の上にどう構築していくかというのが自然なのではないかというのは、 自治体にいると感じております。 ○岡部議長 ありがとうございます。 発熱外来、あるいは入院医療にしても、大きい病院レベルの話と、多くの開業していら っしゃる先生のレベルで随分受け取り方、あるいは対応策も違うと思うんですけれども、 飯沼委員、医師会の立場ということでは何かございます。今のことと、それに関連しない ことでも結構です。御意見をお願いいたします。 ○飯沼委員 この冊子の100 ページ「(2)発熱外来の設置とその後の体制」に今の御議 論等々が書かれているんですが、ステージによって数といいますか、これは「二次医療圏 内に1つ程度」と書かれているんですけれども、初めのぽつぽつという段階では1つでも いいと思いますが、パンデミックに近くなる状況のときには、これははっきり数をもう少 し増やして、そこへ集めてしまった方がやりいいのではないかと思います。 そのためには、よほど都道府県が啓蒙、教育、広報といいますか、それはどういう言葉 でも構いませんけれども、今度の新型インフルに関しては、徹底的に分けて物を考えない と危ないんだということをはっきり言っていただいて、何回も広報していただいて、熱が ある人は一般の医療機関には行かないぐらいのことをしっかり広報していただくことが、 その感染がどんどん広がることを抑える最大の方策ではないかとかねてから思っているわ けでありますので、こういうところにお書きになるときも、発熱外来は2つに分けるんだ ということをはっきりお書きいただいて、そのときには大体、二次医療圏内ではこのぐら いいるんだとか、そういうこともお書きいただければ、少し具体性が出てくるのではない かと思います。 いずれにしろ、パブリック・コメントでどういうお答えが出てくるかということも参考 にしながらだと思いますので、開業医がこういうときに行って、手伝える状況にあるかど うか。新型インフルがいつごろ来るかというシーズンにもよると思いますけれども、今は 慢性疾患に関してはいいんです。1か月でも2か月でも処方できるシステムができており ますので、それは余り心配しませんけれども、合併症が起きたら、必ずしも大病院に初め に行くという雰囲気ではなくて、地域の我々かかり付け医を頼ってくる人の方が圧倒的に 多いわけでありますので、それのトリアージも大事になるので、広報をしていただくこと と、はっきり開業医がそこへ出ていけるかどうかという議論は、これから日本医師会でも したいと思いますけれども、なかなかそこら辺は難しいと思います。 ○岡部議長 中島委員、どうぞ。 ○中島委員 今の一連の議論は、すごく大きな課題を提示していると思うんですね。とい うのは、先ほど中村委員もおっしゃったように、地域レベルで医師会等と話をしていると、 パンデミックについて現在のシーズナルインフルエンザがちょっと大きくなったというイ メージを持たれている事がある。 一方で、こういう委員会で議論されているのは、通常 のインフルエンザとは全く違う感染症が来るということ。パンデミックの先はシーズナル インフルエンザに格下げになるとしても、だれも免疫を持っていない中で、新しい感染症 が飛び込んでくると、恐らく医療機関でも医療従事者が多く感染する。新型インフルエン ザが起こったときに、どういうふうになるのかという絵が共有できていないということが、 新しい対策に踏み込むときの大きな壁になっていると思うんです。 それは医療体制でもそうですし、早期対応戦略の中でも、何でこんなことまでするのか。 何でこういう現在の法制度でできない新しいことまで議論することになるのかという、そ の根本には、新型インフルエンザがピークになったときにはどういうことが起こるんだと いうイメージの共有が、国民もそうでしょうけれども、実際にこの対策を担っていく人た ちの中で共有していくということがまず必要で、このフェーズ4以降の議論を具体的に進 めていって、詳細な雇用計画を都道府県で立てていくためには、少なくともその関係者、 巻き込む人たち、医療専門家だとか公衆衛生専門家の中で、このイメージだけは共有しよ うというものをつくって啓発していかないと、この先の議論は同じような議論が、つまり こういうことをやる必要はないとか、やる意義は何なんだとか、そういう議論が各レベル で起こっていくと思いますので、将来どうするかということを議論するときに、このイメ ージだけは共有しようというものをつくって、少なくとも地域の専門家、担う人たちの中 で共有していくということが、まずやるべきことなのではないかと思います。 ○岡部議長 それともう一点は、これが対策としてできているけれども、その体制がずっ と2年、3年、4年と続いていくわけではなくて、今、中島委員が言いましたけれども、 パンデミックインフルエンザは格下げになるというか、シーズナルインフルエンザになり さがってしまうわけですね。ただから、その逃げのときの段階をどれだけ緊張感を持って やるかということになるんだと思うんです。 川名委員、どうぞ。 ○川名委員 今の中島委員のお話とも関係するのですが、例えば医療部門でいろいろな対 策を考えるときに、一般的に今は、新型インフルエンザ対策は、WHOのパンデミックフ ェーズ分類1〜6までという時間軸で物事が考えられることが多いのですけれども、その 一方では、パンデミックの規模という軸もやはりあると思います。 例えば香港風邪程度のもので済むかもしれない。あるいはスペイン風邪程度のものにな るかもしれない。もしかすると超スペイン風邪的な、スペイン風邪を超えるはるかに大き な規模のものになるかもしれない。そういうことで、恐らくそれぞれのバージョンで立て るべき対策はかなり違ってくる可能性があると思います。 私の理解としては、今、考えられるのは、多分スペイン風邪以下、あるいはスペイン風 邪未満ぐらいのところで議論がされているのではないかと思いますけれども、恐らくこれ からはそういった規模という軸でも考える必要があるだろうと思うし、それを委員の間で 共有しながら検討していく必要があると思います。その規模に対する想定に、委員の間で の不一致が若干あるということは、私も感じております。 ○岡部議長 ありがとうございました。今のは規模を想定ということですけれども、患者 数から言えば、簡単に言えば普通の外来が倍になるとか、入院患者さんが倍になるという ことです。重症化率は実際にはわからないわけですね。 ですから、そこが先ほどのフェーズ6で、少なくとも今の致死率の10倍以上のものを 想定した場合ということになっているんだと思うんですが、これが50%致死率などという ことになってくると、これは絵に描けないぐらい悲惨な状況になって、何も手が出ないと いう虚無感ばかりが出てきてしまうと思うんです。 しかし、現状のものよりは、かなり高いものを想定しておかないと準備ができないわけ で、それが今の枠組みでできないからやりましょうという部分だと思うんです。 ほかにどうぞ。 ○前田委員 もう一点、自治体の立場ということです。マニュアル等の中に一部書かれて いますけれども、専門的な対応は、自治体の中で言えば、都道府県の役割かと思うんです が、例えば社会機能の維持ということで、高齢者の方の見守りですとか食料の供給、ある いは専門的な部分でも予防接種等になりますと、恐らく保健所ではなく、市町村の保健セ ンター、保健部局単位での実施だと思うんです。 そうすると、市町村にももう少し、このインフルエンザ対策について、明確に責任と役 割と必要性があるんだということ強調していただいて、市町村のそうした基盤の上に乗っ て、都道府県が対応していくというところを打ち出していただければという気がいたしま す。 いわゆる専門的な部分では、市町村は弱い部分もありますが、一般防災対策ということ では、例えば先ほど出た要援護者のリスト等は、市町村ではかなり備えておりますし、そ うしたものに基づいて対応できればと思います。 ○岡部議長 泉委員、先ほどの自治体という言葉の関連では、何か御意見がありましたら、 どうぞ。 ○泉委員 幾つかお話が出ていますが、追加で言いますと、やはり自治体の中でも私たち 保健福祉部門だけではなくて、教育部門があり産業部門があり、それぞれの協力を求めて いかなければいけないんですが、やはり自治体組織も残念ながら縦割りの面が強いので、 是非、関係省庁と連携を取っていただきまして、内閣全体で取り組む。その各省庁の縦の ルートでも、きちんと都道府県に指示が行くという形を是非、とっていただきたいと思っ ております。 ○岡部議長 ありがとうございます。田代委員、どうぞ。 ○田代委員 論点が違うかもしれませんけれども、ここのガイドラインで書かれているの は、厚労省が直接関与するような内容が中心になって、具体的なことが書かれていますけ れども、パンデミックの問題というのは、先ほどお話がありましたように、健康問題だけ では終わらない、社会全体の問題である。それについて、きちんとどういうような対策を 取る必要があるのかということが一番大事だと思うんです。 例えばパブリックヘルス・インターベンションについても、スペインインフルエンザの ときに、フィラデルフィアとセントルイスの大きな違いがありましたけれども、あれも早 い時期にそういう介入をかけたために、結果的には一時期に大量の患者が出ることが防げ て、社会機能への負荷が減って、医療機能が破綻しなくて済んだという教訓があります。 そういうことがこれには具体的に書かれていないと思っているんですけれども、その点に ついて、そういうことを考えるのか考えないのか。もし考えるのであれば、恐らく厚労省 だけではできないことだと思いますので、政府全体の問題として、今、泉さんからお話が ありましたように、そういうことできちんとした国のガイドラインとして、そういうもの をつくっていただきたいと思います。 それに関連しまして、今回のガイドラインに書かれている内容で、幾つか気が付いたと ころです。例えば事業者とか職場に対する新型インフルエンザ対策のガイドラインにつき ましても、ここでもパブリックヘルス・インターベンションの必要性とか、それによる影 響とかがきちんと検討されなければいけません。 特にアメリカのガイドラインとかを参考にしますと、アメリカは日本と違って週休制と いうこともありますけれども、社員を待機させた場合の身分保障とか給与保障をどうする かという問題が事業者側の責任として、きちんと検討しなければいけないということが書 かれています。 また、交通とか物流機能が低下したり、交通機関に何らかの規制がかかった場合に、そ れによっても当然、各企業の企業活動に影響を受けるとになりますから、それに対してど ういう対応をとるか。これは感染した人ではなくて、非発症者についてもそういう大きな 影響が出るということです。 更には、事業の継続については、ここにも通信などに介入する人は社会機能の維持者と いうことをカテゴリーに書かれていますけれども、特に自宅待機で在宅で仕事を続けると いうことになった場合、今の時代はインターネットのラインの確保は絶対に必要になって いますので、それに関するバックアップというのも、きちんとどういうふうにするかとか です。 あとは、文科省から、昨年の秋に学校教育の現場に対するガイドラインの方針が出され ましたけれども、それを読んでも、学校閉鎖やその他についてのタイミングというのは、 私個人としては非常に遅いのではないか。現行の考え方ではちょっと間に合わないのでは ないかという気がします。 職場閉鎖で自宅待機で仕事をするとか、学校閉鎖になって、子どもが自宅にいる場合に 対する教育の対応とか、日本ですと学校を休んだら塾に行ってしまって、学校閉鎖の意味 が全然ないということが起こりかねない。これは厚労省だけのガイドラインの範疇を超え るかと思いますけれども、これは一例ですが、こういうことを含めて、国全体の大きな枠 の中で考えていただきたいです。是非、それをお願いしたいと思います。 ○岡部議長 前回のこの委員会の中でも、デシジョンメーカーの問題であるとか、どこが 議論するんだ、あるいは健康だけの問題ではないだろうという問題点が随分いっぱい出て いたと思うんです。 今後の問題、あるいはこれからすぐに取りかからなくてはいけないところとしては、今、 田代委員がおっしゃったような、ほかの健康以外の部分との連携であったり、あるいは問 題点提起だと思うんですけれども、この辺については事務局の方はいかがでしょうか。 ○感染症対策企画調整官 大変重要なことを御指摘いただいたかと思います。勿論、厚生 労働省だけで、こういう新型インフルエンザ対策は到底できないことです。 今も関係省庁の対策会議とか連絡会議とかがいろいろあります。ときどき開かれて、実 はこのガイドラインのことも各省に情報提供をしたりしております。また、いいきっかけ にもなりました。今後も関係省庁とは今まで以上に連携を深めて、どんどん議論を進めて いきたいと思っております。 ○岡部議長 丸井委員、どうぞ。 ○丸井委員 今のお話とも関係しますけれども、実際にこのガイドラインを出すというか、 パブリック・コメントに出すときも含めて、これは先ほど来、議論がありましたように、 技術的な部分が多くて、これの上に何かを載せるかですね。 つまり、公衆衛生を守る厚生労働省として、新型インフルエンザはどういうふうに認識 していて、そのときはどういうような体制を取るのかという基本的な姿勢が、はっきりと メッセージとして伝わるようなものを1枚なり2枚なり書いて、その中の個別の具体的な 方策として、こうするというのが後ろに付くので、この上に1つわかりやすいメッセージ。 先ほど来のように規模の想定であり、そのときに公衆衛生対策として、場合によっては 個人の行動なり人権の制限、どこまであり得るのかというようなことをはっきりと言わな くても、それがそういう意図でつくられているというのを、国民に対するメッセージをで きるだけ立場をはっきりさせていただく。 その上で、ほかの省庁との連携がうまくてできてくると思いますので、是非、これを何 で包むかですね。先ほど、お考えていただくというような話がありましたけれども、そこ がとても大事なところで、この使い方がはっきりすると思いますので、言わばこのガイド ラインのマニュアルの1ページ目に何を書くかというのを、方針としてはっきりさせてい ただけたらと思います。 ○岡部議長 ありがとうございます。そうすると、これに前書きのようなもの、あるいは これからの予定というようなものを付けての議論が、これからまたいくということなんで すけれども、先ほど来、田代委員、中島委員あるいは丸井委員からも、パブリック・コメ ントという言葉が端々に出てきていますけれども、一番最初に申し上げましたように、今 日の議論が最終版ではないということであろうと思います。 この委員の中でも、あるいは細部にわたってさらに議論が出てくるかもしれないという ことも含めて、今後の予定としてパブリック・コメントを得るということについては、こ の中の委員の合意もいただきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。 では、どういう内容がパブリック・コメントに載るべきか。どのように対応するかとい うことも含めて、今日の議論の中から事務局あるいは、それぞれの委員長と私といったよ うなところでまとめていきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。ではこれか らのスケジュール等々について、ちょっと御紹介いただけますか。 ○感染症対策企画調整官 今日も幾つか御意見をいただきましたので、まずこの修正もし なければいけないかなとも思いました。 今日は委員の先生方は、自分の部門以外のガイドラインを見るのが、恐らくほとんどの 方が初めてだと思います。一応、昨日メールではお送りしたんですけれども、夕方でした ので、ほとんど見る時間はなかったと思いますから、御一読いただいて、気になるところ とかあったら、御指摘をいただけたらと思います。それを来週の24日水曜日くらいまで に事務局の方にお寄せいただけたらと思います。 先ほど、パブリック・コメントの御提案をいただきましたので、いただいた御意見は反 映させて、あとは岡部座長と話し合いをさせていただいて、これでパブコメにかけていい んだろうかということを御判断いただいた上で、パブリック・コメントをかけたいと思い ます。 通常ですとパブリック・コメントは1か月くらいを要しますので、ある程度パブコメが 終わった段階で、次回、再度この親会議を開かせていただきたいと思いますので、また日 程の調整をさせていただきたいと思います。 同時並行的ですけれども、現場の意見というのも大事かと思います。例えば都道府県、 保健所とか、あるいは検疫所とか、場合によっては市町村ですね。そういったところが実 際にどうなのかということも興味のあるところですので、そういったところとは事務局と して、個別にヒアリングなり何なりをさせていただければと思っております。 必要に応じて、場合によってはパブコメの最中にでも、部門別会議を開かせていただい て、先生方の御意見をまたいただくようなこともあるかもしれません。いずれにしても、 次回のこの会議の日程調整をさせていただきたいと思います。 以上です。 ○岡部議長 今、言ったようなプロセスで進むということについて、よろしいでしょうか。 全員が一堂に会して話をするというのは、日程的にもなかなか難しいと思うんですけれど も、是非、それぞれのところで、場合によっては個別に、あるいはワーキンググループ単 位といった形で、コミュニケーションを取りながら、このガイドラインをよりいいものに していきたいと思います。 その中では健康以外の部門とか一般の方の御意見も反映させていきながらということに なります。 大体時間になりましたので、限られた時間ですから、細部については検討がなかなかで きないのと、またあと少し残された時間でほかの部門のところにも目を通していただいて、 是非、御意見を事務局の方に寄せていただければ、それが次のディスカッションにまた結 び付いていくと思います。 特に市民生活に影響が及ぶということでは、必ずしも医学的な面だけで見るわけにもい かないので、是非、その点も含めてお願いしたいと思います。 最後ですけれども、パンデミックプランはあちこちでやっていますけれども、新型イン フルエンザ対策だけに使えるものではないと思います。こういうものが進んでいくことが、 結局は感染症対策全体の底上げにもつながっていくという意味で、非常に重要であると思 います。未完成の部分は少しずつ熟したものに持っていきたいと思います.また一方パン デミックが起こってしまったら、ほかの感染症対策がおろそかになってしまうというので は片手落ちになりますから、今のうちにできることをほかの部門でやっておく必要がある と思いました。 それでは、そろそろ時間になりますので、今後の予定は先ほど、事務局でおっしゃって いただきましたけれども、そのほかに事務局の方から何か、杉江補佐あるいは局長の方か らも御意見がありましたら、お願いします。 ○健康局長 今日はどうもありがとうございました。それから、係りの先生には、年末年 始を返上してこの作業に御協力いただきまして、本当にありがとうございました。 会議の中で御指摘がいろいろありましたけれども、この新型インフルエンザの問題とい うのは、不確定要素が大変多いわけでございます。どのぐらいの規模なのか、どのぐらい の感染力なのか、あるいはどのぐらいの重篤度なのか。いろいろな場合を想定して準備を 進める必要がありますので、どうしてもいろいろな場合分けをしたりとか、一部において は、ある程度抽象的な表現しかできないところもあるわけですけれども、そうは言っても、 いつ起きてもおかしくない状況でありますので、それはそれとして、できるだけの準備を 進める必要があると思っております。 いろんな場合を想定して、訓練や演習を続けていけば、仮に想定外のことが起きたとし ても、できるだけ被害を軽くすることができるのではないかと思います。 御指摘にありましたような各省庁との連携。これは前回の訓練をやってから、かなり連 携はよくなっておりますので、引き続き充実させていきたいと思います。 自治体との関係も、今度、自治体も参加しての訓練を予定しております。また、近々に 担当課長会議もありますので、そういったことも含めて、自治体との連携。より具体的な 自治体ごとの施策づくりということについても、私どもも進めていきたいと考えておりま す。 今日、メディアの方も多く来られると思いますけれども、国民お一人おひとりが協力し てくれる、あるいはしっかり認識していただくということがかぎでありますので、これは メディアの方に是非とも御協力をいただきたいと思います。 今後とも、この作業を次々によりよいものに変えていくわけでございますけれども、ど うぞ引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○岡部議長 では、司会としての私の役割は、今日は終わりということで、あとは杉江補 佐の方からお願いします。 ○杉江課長補佐 長時間にわたり、どうもありがとうございました。 事務的な御連絡になりますけれども、先ほど正林の方から申し上げましたとおり、今日 お配りした資料につきまして、パブリック・コメントにかける前の御意見がございました ら、24日までに我々事務局、健康局結核感染症課の方にお寄せいただけましたら、でき得 る限りの反映を試みたいと思っております。 パブリック・コメントの最中でありましても、先生方からの御意見は大変御貴重でござ いますので、併せていただければと思います。 また、次回の日程につきましては、別途、御連絡いたしますとともに、今日の御連絡に ついて、一部不手際がありましたことを、改めてこの場をお借りしておわびを申し上げた いと思います。 今日は本当にどうもありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課特定感染症係 (内線2379、2386)