07/01/19 医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会 第3回議事録 第3回 医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会 日時 平成19年1月19日(金) 15:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室 ○ 医療安全推進室長   ただいまから、第3回「医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会」を開催い たします。委員の皆様におかれましては、お忙しい 中をご出席いただきまして誠にあ りがとうございます。 議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。資料1から資料4と、参考資 料1から参考資料5があります。 以後の議事進行につきましては福永部会長にお願いいたします。 ○福永部会長   議事に入ります。議事の1番目「医療安全管理者の研修プログラム作成のための指針 (案)」です。 事務局から説明をお願いいたします。 ○ 医療安全推進室長   前回(第2回)の作業部会において、医療安全管理者の業務指針の案についてご検討 いただきました。今回は、この業務指針に合わせた 、医療安全管理者の研修プログラム 作成のための指針(案)についてご検討いただきます。資料の中の業務指針(案)につ いては前回検 討し ていただいたものですが、本日資料としてお示しをしております。 次回ご検討いただくこととしておりますが、研修プログラムの指針(案)をご検討いただ く際に、参考にしていただくように付けてあります。  それから、研修プログラム作成のための指針(案)、これは本日ご議論いただく部分で すが、これについては事務局でたたき台を作り、事 前に各委員のご意見をいただき、資 料3としております。全体の目次としてはIIIとして位置づけております。簡単ですが以 上です。 ○ 福永部会長   検討の進め方ですが、ご覧のように内容は5項目に分かれております。特に、4の「研 修において習得すべき基本的事項」については、 具体的な研修の内容ですので、各事 項ごとに検討していただきたいと思っています。委員の方々には、事前に指針(案)を お送りしていま すので、ここでは改めて読み上げません。  まず1の「本指針の位置づけ」の部分についてご意見をいただきます。 ○鮎澤委員  個別でよろしいでしょうか。 ○福永部会長  一応1、2、3と分けていきます。 ○ 鮎澤委員 「本指針の位置づけ」に書かれている「医療安全管理者とは」ですが、「業務指針」の 表現とは異なっています。整合性を取っていくこと を考えていくならば、同じ文章のほ うがわかりやすいと思います。 「業務指針」では、「・・・医療の安全の確保のために、必要な権限」云々とありますが、 「本指針の位置づけ」では、「・・・医療の質 の向上と安全の確保のために、医療安全 管理に係る必要な権限の委譲」であったりしています。  前回、私は欠席させていただきましたので、議論の過程がわかっていない中での発言 があるかもしれません。その点はどうぞご指摘くださ い。議論されて、「業務指針」の 削げた表現になったのだと思います。趣旨としては大きく変わっていないと思いますが、 「医療の質」と いう言葉についての議論がどう反映されるのかは大事だと思います。 ○福永部会長  この部分は、事務局のほうで検討して、整合性が取れるような形でお願いいたします。 ○医療安全対策専門官  わかりました。 ○福永部会長  また、後でご意見がありましたらどうぞ。2の「研修プログラムの企画についての考 え方」についてご意見をいただきます。ここでは飯田委員から、最後の2行ですが、研 修方式についての文言を追加してあります。2の部分についてご意見をお願いいたしま す。「講義のみならず演習を加えることが必要である」という部分です。 ○嶋森委員  それについては、前にも議論があったと思いますので、「演習」を入れるというのはい いのではないかと思います。追加していただいたほうがいいと感じます。 ○福永部会長  そういうご意見ですけれども、ほかの委員の方々はいかがでしょうか。 ○楠本委員  私もそれでいいと思います。表現として一文がたらたらと長いので、少し切りながら 簡素に一文一義ぐらいで書いていただけないかと思います。案を差し上げますと、「内容 を盛り込む」で切ったり、少しわかりやすくしていただいたほうがいいと思います。 ○福永部会長  その言い回しについての、表現はよろしくお願いいたします。 ○医療安全対策専門官  はい、わかりました。 ○福永部会長  最後の2行の「演習を加えること」を追加したいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○ 鮎澤委員  私も、演習のことについては異議ありません。もし、いままでに議論があったら申し 訳ないのですが、楠本委員がおっしゃられたように、項目別に少し明確にする形で文章 を整理していく必要があると思います。2の「研修プログラムの企画についての考え方」 というのは、これから企画していく人たちにとってはとても大事なメッセージになると 思います。どういうところに注意をして企画していかなくてはいけないのかということ を大きく捉えるところなので、もう少し書き込んでいいのではないかと思うところがあ りました。  たぶん、これだけの項目をきちんと研修内容に織り込んでいこうとすると、多くの講 師がそれぞれの研修内容を担当することになります。いまある研修を見ていると、結果 として多くの講師が集まっただけの整合性のないパッチワークのような研修になってし まっていることが少なくないのです。それから、この研修が一体何をする研修なのか、 ということをきちんとわかって臨んでくださる講師でなければ困ります。例えば、定量 分析・定性分析というのが後ほど出てきますが、研究職を育てるためにアカデミックに 論じていただくことが必要なのではなく、安全管理担当者を育てていくことなのだとい うことを理解して論じていただくことが必要なわけです。 「そういう講師であり、そういう研修に参加する講師間できちんと連携を取って、プロ グラム全体を構成していくことを考慮していくべきである」というようなことが織り込 まれていると、研修の企画者にメッセージになって伝わるのではないかと思います。 ○嶋森委員  いま鮎澤委員がおっしゃったことの意味はわかるのですけれども、文言としてこの2 に入れるということでしょうか。 ○ 鮎澤委員  まず、最初に出てきているのが内容に関する記述です。「研修プログラムの企画につい ての考え方」というタイトルがあって、「研修プログラムの内容については、少なくとも 次に述べる習得すべき内容をすべて盛り込むものとする。構成に当たっては、医療安全 管理者の業務を想定しつつ、講師間の連携を取りながら」というような形で文章に織り 込んでいく。それから次に、「定期的に集中する方法と・・・」という展開の方法に関す る記述があって、次にそういったときの修了の要件に関する記述が続く。そのような形 で織り込むことができるのではないかと思うのです。 ○嶋森委員  そうすると、研修をしっかり見る担当者のような、全体を企画して、展開する人をき ちんと置いたほうがいいということの一文が足りないということですか。 ○鮎澤委員  全体を統轄する人を置く、と書くかどうかかは別にして、各者にその視点が必要であ る、ということを、です。 ○嶋森委員  なるほど、そこは確かに入っていない感じがします。 ○鮎澤委員  後ほどお話をしようと思っていたのですが、評価の件、講義内容の評価と講師の評価 の件は大事な項目だと思います。ただ、それをここに織り込むのか、最後のほうで別項 目を立てていくのかは検討が必要ですが。どこか第三者機関が評価するようなことがで きないわけですから、まずは、自分たちの中で評価の仕組みをちゃんと作っておきなさ い、ということは織り込んでおいていいのではないかと思います。 ○福永部会長  確かに、鮎澤委員が言われたようにしたほうがすっきりするかと思います。 ○ 飯田委員  いまのご意見には全く賛成です。四病院団体協議会で、いま鮎澤委員がおっしゃった ような視点で私自身が講習会を企画してやっています。1つのフィロソフィーを持って やっていますし、受講者にアンケートを取って評価を受けて、できるものは改善してや っています。  今の議論で、心配なのは、一気通貫で1つの組織の中で完結すると考えるのか、ある いは講義なら講義、演習なら演習があって、それぞれ別々で良いと考えるのかでかなり 違うと思うのです。その辺は、できれば一気通貫で、講義も演習も1つのフィロソフィ ーに則った研修プログラムが望ましいと思います。私どもは、そのようにやっておりま す。  そうは言ってもなかなかできない組織もあると思います。そうすると、例えば、この 部分だけやります。その代わり、最低限この考え方で、こういう内容でやってください、 こういう評価をしてください、ということの組合せもあり得るのかとも考えております。 そこまでの議論はなかなか難しいと思いますが、できれば私も、いまご意見にあったよ うな方法でやっていただきたいと思います。 ○ 福永部会長  確かに重要な視点だと思います。具体的に研修プログラムを組むとなると、全体とし て一貫した流れの中でやることが必要になります。その辺りの文言は表現として加えて いただけたらと思います。後でご意見がありましたらどうぞ。  次は、3の「研修の対象者」についての部分です。ご意見をお願いいたします。  特に問題はないかと思いますがよろしいでしょうか。1から3の部分で言い足りなか ったことがありましたらどうぞ。 (特に発言なし) ○福永部会長  4は、「研修において習得すべき基本的事項」についてです。ここの部分は量的に非常 に多いですので、全体の構成から見て一つひとつご意見をいただきます。4の中の前書 きの部分について、飯田委員から前書きの最後3行の「従って」の部分からですが、具 体的な演習方法・期間等について盛り込むべきというご意見をいただいております。4 の前段の前書きの部分についてご意見をいただきます。 ○嶋森委員  演習が必要というのは、私は2のところでも必要だと思いました。ただ、以前の議論 のときに河野委員からもご指摘がありましたように、RCAが適切かどうかということ の議論があったりしますので、あまり具体的な手法を何日というふうに限定すると、非 常にプログラムの展開が難しいのではないかと思うのです。上のところで「演習を加え る」と入れておりますので、何を入れるかということについては、主体的にプログラム 作成者が考えるということでいいのではないかと感じます。 ○鮎澤委員  私も「演習」が入ることには大賛成です。ただ、その演習が分析の演習だけに限定さ れてしまっているようなところが気になりました。演習というのは、研修のスタイルで あって、いろいろなものに演習が可能です。事故発生時の対応をケーススタディとして いけば演習になり得るし、安全管理体制を構築するにあたって、組織の中で障害になっ ている問題をどう解決していくのかというケーススタディも演習になり得ます。分析モ デルだけを使った分析だけが演習ではない。  それどころか、これから先いろいろな教材が出てきて、いろいろな演習の形が出てく る可能性を視野に入れて検討していったほうがいいと思います。そういう意味で言うな らば、演習は大賛成です。「分析・演習など」という表現で、これから先の演習のいろい ろな可能性を皆さんの心の中にも描いていただいたほうがいいのではないかと思いなが 読んでいました。 ○ 飯田委員  前回も全く同じ議論があって、「など」を入れてやりましょうということになりました。 いま医療界の中では、少なくとも未然防止対策と事後対策に関しては、それぞれここに 書いてあるFMEA及びRCAがスタンダードになっています。デファクトスタンダー ドになっているということです。特定しないで「など」を入れましょう、ということで 入れた経緯があります。  いま鮎澤委員がおっしゃったのはいいご意見ですから、分析手法だけではなくて、組 織管理の演習もいろいろありますので、そういうことを入れることは問題ないと思いま す。前回も前々回も申し上げたように、デファクトになってきているものを、より普及 するという啓蒙の意味から、具体的な名前を挙げようということで、前回、意見が一致 したと思います。また議論が戻るような気がします。追加すること自体は問題ないと思 いますが、これは「など」ということを入れて、皆さんの意見を入れて追加したつもり です。 ○ 石川委員  これを入れることは賛成ですが、日数を入れるのはちょっと厳しいかと思いました。 確かに飯田委員がおっしゃるような1日というのは標準的なやり方と思います。例えば 3日間かけたり、逆に半日しかかけることができないこともあります。  もう1つはFMEAは非常に重要なことですが、日数を入れてしまうとあちこちでか なりご苦労される所が出ると思います。2日間というのは確かにベストだと思いますが、 この文言はあえて入れなくてもいいと思います。 ○木下委員  全く同じような考え方です。具体的なことではなくて、総論的に方向性を示すことが ここの基本的な事項ということですので。具体的な日数等はいまお話のとおりだと思い ます。「従って」から「必要である」のところまでは、各論的にその必要があればやると いうレベルにして、方向性としてはこの文章の3行は要らないと思います。 ○ 飯田委員  第1回のときにも申し上げたと思いますが、ごく短時間で何百人も集めて講義形式に ちょっと毛が生えたものをやって、演習と称している講座があるのです。質を担保する ためには、この様なことは是非避けたいので、なんとかしてほしいという意見を言った と思います。  それを踏まえて、あえて1日必要かというと、よほど優秀な人が小人数でやれば半日 でいいと思いますけれども、なかなか難しいです。1日にこだわらず、もっと多い分に は構いません。ただ、何百人も集めて、ほんの2時間ぐらいやって、それを演習と称し ているのがあるので、その辺はきちんとしておかないと、やったというアリバイ工作に 使われることを非常に危惧しています。やるのならきちんとやってほしいということで す。もちろん、これは何時間以上やらなくてはいけないということはありませんので、 せめて1日程度でも結構ですけれども、それはお願いしたいと思います。  ほかのいろいろなプログラムによって、分析だけではなくて鮎澤委員が言ったような プログラムを入れれば、全部やるには3日間では無理だということもあるかもしれませ ん。それはわかった上で話をしていますので、厳密に1日という意味ではなくて、質の 低いプログラムを排除するという目的がありますので、そういう趣旨は残していただき たいと思います。明記しなければ、やはりこの指針でやったということにされると困る のです。こういう事実がありますから。 ○福永部会長  演習を加えることに関しては、皆さん合意されているわけですが、内容に関してはい ろいろなご意見があるようです。これはどうしましょうか。 ○医療安全対策専門官  できれば、皆様のご意見のまとめをいただければと思います。 ○ 鮎澤委員  私も飯田委員と全く同じ懸念を持っています。演習と称して単なるおしゃべりで終わ ってしまうこともあります。演習を本当に意義ある時間にしていこうと思ったら、ファ シリテーターや、構成メンバーや、テーマなどを、かなりきちんと練ってからかからな ければいけないことにります。  ですから、演習の大事さを謳って「・・・加えることが必要である。演習の開催に当 たっては・・・」というような形で、いま懸念されているようなことにならないように 「・・・に注意すること」「・・・を考慮すること」というような文章で書いてしまうの はいかがでしょうか。何日とかではなくて、人を集めて、ただやったふりをしては駄目 だ、ということがわかるような文章。 ○福永部会長  そうですね、演習の内容とか期日はちょっと記載するとか。 ○鮎澤委員  それをどのように書くかはまた皆さんのご意見をいただくこととして、まず1回書い てしまってはいかがでしょうか。 ○飯田委員  まず文案を出していただければありがたいです。 ○福永部会長  そうしなければ、曖昧な形になりかねないですね。演習の内容に関しては少し検討し ていただきましょうか。 ○河野委員  演習をやる必要がないという意味ではないのです。いまお話のような文章で、少し幅 広く読めるようにしておいたほうがいいかなという意味です。 ○福永部会長  そうですね。大体そういうことで、ここの部分は合意できるかと思います。 ○医療安全対策専門官  確認ですけれども、ここでは何日という内容ではなく、演習についてはしっかりした 演習をするということについて、文言を盛り込むということでよろしいのですね。 ○福永部会長  鮎澤委員も言われましたけれども、演習の内容についてはいくつかあると思います。 だから、そういう具体的な内容を少し盛り込むことになるのでしょうか。 ○医療安全対策専門官  そうしますと、演習の内容についてはこの中で書いていくということでよろしいので しょうか。それとも、演習の内容をしっかりするべきという書き方ということでしょう か。 ○石川委員  私もそれには賛成です。鮎澤委員と飯田委員が言われたことは非常に重要なことです。 FMEAやRCAは、業務指針に書いてあります。拾えばわかるということを考えると、 医療事故の対応に関する危機管理の演習や、安全管理の分析手法の演習など、危機管理 の演習と安全管理の演習とを入れればいいのではないかと思います。 ○医療安全対策専門官  わかりました。 ○ 福永部会長  そういうことでいきたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。 (特に発言なし) ○ 福永部会長  それでは、一応前書きの部分は終わったということで、次は1)から6)までありま すので、討論の都合上1)から3)と、4)から6)に分けて議論していただきます。 1)から3)の中で、飯田委員から2)の(2)ですけれども、「職種横断的な組織作り に関すること」において、(1)「組織運営に関する知識」を加えています。また、佐藤委 員より、(3)の(2)のところで「医療安全管理者の役割と業務」については、項目として 適切だろうかという意見をいただいております。1)から3)の部分について、どこか らでも結構ですがご議論をお願いいたします。  「組織運営に関する知識」を加えることに関しては特に問題はないかと思うのですけ れども、よろしいですよね。それから(3)の(2)の「医療安全管理者の役割と業務」は 適切か、というのはどういう意味でしょうか。 ○ 佐藤委員  これは業務指針ですよね。これから何を学ぼうとするか、どういう研修を受けようか、 という目的に当たるわけです。要するに、医療安全管理者とは、こういう仕事をして、 こういう役割を担っているから、以下のようなプログラムを組んで研修をするのですよ、 ということなのかと私は考えたのです。いちばん最初のイントロで、医療安全管理者と は、こういう役割と、こういう業務をするのだ、というふうに最初にボンと言っておく と、後の研修の進行が非常にわかりやすいのではないかと考えたのです。  もう1つは、院内安全管理体制にかかわるということであって、各組織との関係を学 ぶわけですけれども、これだけは別個に独立しているわけです。要するに個人になるわ けです。それを、あえてここに(2)項として入れるのは、プログラムを組む上で非常に無 理が出てくるのではないかと思ったのです。それならば、その概念を前にボンと入れて しまって、いちばん最初にこうだと言って、そして医療安全とはこうだとか、ああだと か、こういう仕事をするためにこういう知識が必要だ、技術が必要だというふうに進め ていったほうがいいのか、ということで意見を述べさせていただきました。 ○ 福永部会長  確かに最初の部分で言っているわけですからね。そのようなご意見ですけれども、ほ かにはいかがでしょうか。細かいことでも結構です。 (特に発言なし) ○福永部会長  寺井委員は、実務者として何かご意見はありませんか。 ○寺井委員  1)、2)、3)のところは、これまでの研修の中にも盛り込まれていたかと思われる 内容だと思います。もう一度佐藤委員に教えていただきたいのですが、2)の中に「医 療安全管理者の役割と業務」というのが入っていますけれども、それを別立てにという ご意見だったのでしょうか。 ○佐藤委員  いちばん最初にボンと、医療安全管理者とはどういう仕事をするのか、ということを 一応講義して、それから次の段階に入っていったほうが、後から習得する上においてわ かりやすいのではないか。講義を聞いていても、こういう役割がある、こういう業務が あるからこういうことを学ぶとか、その流れの中で聞いているほうはわかるかと思って、 それならいちばん最初にボンと持ってきたほうがいいかなということで意見を述べさせ ていただきました。 ○福永部会長  全体の構成ですけれども、業務指針のところに一応書かれているわけです。今回の場 合は、この研修プログラムだから、また別立てとして書く必要があるかどうかというこ とでしょうけれども。 ○医療安全対策専門官  理解が間違っていたら申し訳ないのですが、「医療安全管理者の役割と業務」という言 葉を2)の「医療安全のための体制の構築に関する事項」のいちばん上に盛り込むとい うお考えでよろしいでしょうか。 ○佐藤委員  私は、それでもいいと思います。 ○医療安全対策専門官  それとも、もう少し前のところに盛り込むということなのでしょうか。 ○佐藤委員  概念が先か、研修の業務内容が先かという問題になってくるのですが、私はどちらで も構わないと思います。ただ、いちばん最初の具体的な実践編ですか、基礎編と実践編。 1)は基本的に概念ですから基礎編です。その次に実践編の講義に入ったときに、やは りそのいちばん最初に位置づけたほうが、後は非常にわかりやすいかということです。 ○医療安全対策専門官  「医療安全管理者の役割と業務」というものを、(1)の「医療安全の確保のための体 制の構築に必要な法令や指針等」よりも前に1つ独立して、位置づけるようにというこ とですね。 ○佐藤委員  そのほうがいいかなと思います。 ○飯田委員  いろいろお話を伺っていると、原案どおりのほうがわかりやすいと思います。階層構 造としてIIとIIIは別に考えなければいけないということですので、一緒だったらIIに書 いたほうがいいという話になります。別に書くのであれば、基本的な考え方からずっと 飛び越して分けてありますので、私は原案のほうがわかりやすいように思います。別立 てに出すと、階層構造を組み直すのはかなり大変だろうと思います。 ○福永部会長  書き方のことなのですけれども、いかがでしょうか。 ○嶋森委員  私も、飯田委員のご意見に賛成です。佐藤委員のおっしゃったこともなるほどと思っ たのですが、佐藤委員がおっしゃった意味では、この全体が医療安全管理者の役割と業 務について述べていることです。いま検討している研修指針も業務指針も全部そうです ね。だから、むしろ医療安全管理体制に関して、委員会の役割と委員の役割と、他部門 との連携ということについて、それぞれ学んで、そうやって構築するのだということを ここで学ぶという意味では、ここに入れたほうが座りがいいのではないかという感じが しました。 ○ 佐藤委員  安全管理者も、実際活動している、行動している人を対象とするなら、これで別にい いと思います。改めてもう一度それを見直すということで。しかし、要するに、全くこ れから安全管理者になろうとする人にとって難しさがあると思ったのです。  最初の指針の3番目の研修の対象者が、もう安全管理者になっている人と、これから なろうとする人が対象になっている。どちらにウエイトを置いたプログラムを組むべき かと考えたときに、全く何も知らない人、要するに実務経験のない方を対象としたプロ グラムを組む必要性があるのか、こちらを優先したほうがいいのかなと。そうなったと きに、まず初めに医療安全管理者とはどういう役割で、どういう仕事をする人なのです と。そういう基本的な概念をまず講義した後、この実践プログラムに入っていったほう がわかりやすいのかと考えたのです。それが最初からわかっているのだったら、これで 全然問題ないと思います。  この2つの対象者を対象としたときに、それをどのようにうまくプログラムを作るか というときに、やはり、わからない人のほうを優先したほうがスムーズだろうと考えた のです。 ○嶋森委員  なんとなくわかってきたのは、医療安全管理者として、研修に入れるべき内容をいま 検討しているのですけれども、その展開の仕方は佐藤委員がおっしゃったような展開で いいかと思うのです。つまり、入れるべき内容というのは、塊ごとにある程度こういう ふうに書いておいて、実際に展開するときには、医療安全管理者とは何かということを いちばん初めに話をして、それから始まったらいいとか。つまり、展開方法を気にして いらっしゃるのかなと思ったのです。 ○佐藤委員  これを順番にやるのかなと思ったのです。 ○嶋森委員  いやいや、これは。 ○佐藤委員  これとは違うのですね。 ○嶋森委員  たぶん、これは塊でわかりやすくどのようなことをやったらいいかを書いておいて、 展開のところではいまおっしゃったように、そういう展開がいいかと思います。 ○福永部会長 1つの構成として、最初の業務指針のところで受けるのですね。これは 一緒に付いて回るわけですので、改めて佐藤委員のおっしゃるように話を展開すると、 ちょっと重複したりすると困るのかと思います。そしたら、このままでもいいでしょう か。 ○佐藤委員  はい、よろしいです。 ○嶋森委員  寺井委員の質問を途中で取ってしまってすみませんでした。 ○寺井委員  よくわかりました。ここの3)番までは整理されていると思います。ただ、いま佐藤 委員がおっしゃったこともかなり重要で、この並びで見ると、ここの部分が中に埋もれ てしまうといった違和感を感じます。もしできましたら注などにしていただいて、展開 の際には、医療安全なんと書いたらいいかは思案のしどころだと思います。「展開の仕方、 重みづけ、時間配分については考慮する必要がある」と書くと、佐藤委員のご意見がよ く伝わると思いました。 ○福永部会長  そういうことでよろしくお願いいたします。 ○河野委員  全体のバランスなのですけれども、これを見ると「医療安全の概念等に関する事項」 というのは薄い感じがします。ここは最も大事なところだと思うので、もう少し具体的 に広げる必要はないでしょうか。量的な問題です。ほかのはいっぱい細かく書いてある のに比べて、最も基本的なところがスッスッと書いてあるので、プログラムを作るとき にここが少なくなって、後のほうが非常に大きくなってしまうかもしれません。ところ が、本当はここがしっかりわかっていれば、自動的に、なぜ体制をつくらなければいけ ないかとか、なぜヒヤリ・ハットを集めなければならないのか、というのはすぐ出てく るはずです。ところが、全体のバランスからいってここが非常に弱いように思いました。 ○福永部会長  確かに、1)の部分がバランス的に少ないように感じます。 ○ 木下委員  ただ「業務指針」のところもそうですし、そこに「医療安全管理者の業務」というの もありますし、「研修において習得すべき基本的事項」というところにも医療安全管理者 はこういうことをするのだということが再三にわたって出ております。そういうことを 知った上でのプログラムですから、いまさら改めて繰り返すことはないのではないかと 思います。  ご心配のように、既にそういう活動をなさっている方々は、もちろんある程度の知識 はあるかもしれませんけれども、そういうことは関係なしに、知っている方はダブって 講義を受けるかもしれませんけれども、初めてであっても大丈夫な内容にしておくのが こういう指針だろうと思うのです。これで、何ら不自然な感じは受けないです。 ○ 石川委員  私も、木下委員のご意見に賛成です。ここがすごく重要だというのは、他の委員の意 見と全く同感です。しかし、ここを作り込みすると何頁かになってしまいます。「概念」 のところであまり長くなってしまうと、次の展開がなかなか難しくなります。原案は必 要十分なこと非常に簡潔に述べていると思います。 ○嶋森委員  私は、河野委員が言われたことは、なるほどという印象があって、もう1行ぐらい足 したいという気分があります。すごく感覚的で申し訳ないです。しかし、それをいい始 めるとすごく長くなってしまいます。医療安全の基本概念というのが変わってきている ということ。以前にも医療安全と言っていたのだけれども、あまりに当たり前のことで、 良く考えていなかった部分もあります。それが、99年以降こういうことになっているわ けです。そういうような、医療安全の基本概念が少し違ってきているというか、そんな ことを現すキーワードになるようなことが1行ぐらいで書けたら非常にいいなと思いま す。全く、感覚的な言い方ですが、そういうことについて良い意見は河野委員はないで すか。 ○河野委員  いや、ちょっとわかりません。わからないけれども、なんとなく少ないと、どうして も人間は量に目が行ってしまいますので。 ○嶋森委員  もう一工夫を皆さんから1行ずついただいて、追加するぐらいのことができたらと思 います。ただ、長くなりすぎると、それだけで5日の研修が終わりそうな感じもします。 ○石川委員  案になるかはわかりませんが、例えば、現在の我が国の医療安全対策の動向などを知 ることなどがよいかと思いますが、如何でしょうか。 ○ 福永部会長  委員の中で、適切な言葉が見つかりましたら事務局に知らせていただいて、また事務 局で悩んでほしいと思います。1)から3)の部分はそれでよろしいでしょうか。また、 最後に意見がありましたら伺うことにいたします。  次は4)から6)の部分です。ここでは5)の(1)の(3)に「事故発生時の法的知識」 ということを加えたほうがいいのではないか、ということを石川委員からいただいてお ります。飯田委員からは、4)の(3)「リスクの評価を行うための方法」としてRCA を入れること。それから5)の「事故発生時の対応の基本」についての詳細は別途検討 すべきということで、「医療事故情報の取扱と情報管理」「医療事故調査に係る体制」に ついては削除すること。6)の医療の安全の確保における「患者、家族の参加」という 表現については適切ではないという意見を事前にいただいております。一応そういうご 意見を踏まえながらご議論いただきたいと思います。  石川委員の「事故発生時の法的知識」というのはどうでしょうか。 ○石川委員  自分で書いた後に気がつきましたが、その前の頁の2)の(1)に「医療安全の確保 のための体制の構築に必要な法令や指針等」というのがあります。これに入っていると 思いますので、この文言の追加は不要で原案通りでよろしいかと思います。 ○福永部会長  そうですね、ここに書いてありますね。それは事前に触れてありますので、一応削除 ということにいたします。飯田委員のご意見に対してはいかがでしょうか。4)の(3) の「リスクの評価を行うための方法」としてRCAというのが、いまこれには加えてあ りますけれどもいかがですか。 ○木下委員  (2)の「医療事故が発生した場合の関係者、関係機関への対応を円滑に行うために 必要な事項」というのがありますけれども、これだけですと管理者がイニシアティブを 取って中心になってやるような印象を受けてしまいます。家族への説明であるとか、警 察への報告であるとか、率先してというニュアンスにも取れないことはないです。  これは、あくまでも所属長と申しますか、そこの指導の下にとか、そういうことの位 置づけで動くほうがいいのではないでしょうか。その意味で、すべてのことを把握しな ければいけませんけれども、こういうことは当事者としてはなかなか行き届かないとこ ろがありますから、こういう問題は大丈夫でしょうかということのサポーターとしての 役割のほうが大事ではないかと思います。 ○ 飯田委員  同じ趣旨の発言を前回もしましたし、今回も書きましたが、リスクマネジメントの知 識は必要ないとは言っていません。大事だし、セーフティマネージャーがリスクマネー ジャーを兼ねてもそれは構いません。構いませんが、今回の指針はセーフティマネージ ャーの指針ですので、リスクマネジメントに関して知識は必要なので教育しても結構で すけれども、それはセーフティマネージャーの仕事であるというようにはしないほうが いいと申し上げたと思います。  いまの発言は全く同じで、こういう業務をやるのは所属長の責任の下にやるべきであ って、彼らを支援することに関しては構いません。情報提供したり、緊急の場合にそこ にいればそういう情報収集をするのは結構ですけれども、家族への説明も含めて、警察 その他への情報提供もセーフティマネージャーの仕事ではないとはっきりしておかない と混乱します。兼ねてはいけないということを言っているのではなくて、兼ねても結構 ですけれども、セーフティマネージャーの仕事はこうであるということではっきりした いために削除していただきたいと申し上げました。  それから(3)の「事故発生後の精神的ケア」に関しても全く同じ趣旨です。これは セーフティマネージャーの仕事ではありません。ですから、これは削除すべきだと思い ます。 ○福永部会長  いま飯田委員が言われたのは、(3)の部分ですか。 ○飯田委員  (2)と(3)を合わせて申し上げました。 ○福永部会長  皆さんはどうでしょうか。ここの部分は最初と2回目のときに、医療安全管理者の業 務の範囲ということで議論したかと思います。 ○ 嶋森委員  業務指針のときにもその議論がありました。「支援をする」とか、「確認をする」とい う表現に変えたような気がします。確かに、そういう意味では主体的にやることではな いのですけれども、ただ、そういうことが行き届いているかどうかということを、もち ろん管理者は知っていなければいけないのでしょうけれども、それを支援する役割はあ るような気がします。もし業務指針の前半に合わせるとすると、以下のことについては 理解をしておいて、管理者に支援をする上で必要な知識として、こういうふうなことが 必要だということで並べておいたらと思っています。  何も書かないと、それはしなくても良いことになってしまうように思います。そのこ とについていま飯田委員がおっしゃったように、(3)の(1)と(2)というのは確かにセーフ ティマネージャーがすることではないと思われますけれども、セーフティマネージャー しかいないときに、当事者や家族への支援が必要であって、病院として何らかの対応を しなければいけないということを知っておく必要はあるかという気がします。 ○飯田委員  何度も申し上げていてちょっといやになってしまったのですが、セーフティマネージ ャーは兼任してはいかんとは言っていないのです。宜しいですか。 ○嶋森委員  それはわかっています。 ○ 飯田委員  だから、誰もいなかったら、その人が兼任しても結構です。それはセーフティマネー ジャーとしてではなくて、リスクマネージャーなり何なりとしてやっているわけですか ら、セーフティマネージャーの仕事と分けてくださいと言っているのです。そうしない と混乱するのです。  組織の大きい所、小さい所いろいろあります。セーフティマネージャーの能力もあり ます。ですから、そういう所に応じてやればいいのであって、セーフティマネージャー はセーフティマネージャーの仕事をやって、余力があったりいろいろなことがあれば兼 任しても結構です。それはセーフティマネージャーの仕事ではない、ということをはっ きりしないと困ります。いまの発言だと、ゴチャゴチャになってしまっているのです。 それは明確に分けてください。仕事が違うのです。リスクマネジメントが重要であるこ とはわかっています。それはそれでまた別のテーブルで議論していただかなければ困る のです。 ○ 石川委員  この文言に関しては、前回の業務指針で、「医療事故が発生した場合は、医療機関の管 理者の指示の下、医療機関内の関係者の事故への対応についての支援を行う」というの がでています。実際に、安全管理者に対して、医療機関で求められているのは、安全管 理はもとより、危機対応の事故発生時のこともあると思います。 今後は、コンフリク トマネジメントやメディエーションなども入ってくるようになるとすると、飯田委員の きちんと分けるという考えは私も賛成です。ただ、事故発生時の流れを知識等で知って おくことは大切なことと思います。  事故発生時の指示系統というのはもちろん医療機関の管理者が中心となることですけ れども、誰かそこに要になる方がいないと対応が難しいことがあります。そう思うので、 このことに関しての知識や理論に関しては、医療安全管理者がどうしたらいいのかを知 っておくべきと考えますので、この項目は外せないと思います。 ○ 木下委員  飯田委員がお話になったことは極めて大事なことです。本来の医療安全管理者という のは、事故を起こさないようにいかにマネジメントしていくか、というところが主な役 割だろうと思います。しかしながら、一度何か起これば、おそらくその方にも話は来る だろうし、ある程度のことはしなくてはいけません。  しかし、そのことが同じ比重でもって事故のこともすべてということになると、これ はかなり大きな仕事になってしまいます。役割としては、果たしてそこまでやらなくて はいけないのかという思いがあります。あくまでもこういう内容について、「医療事故発 生時の対応の基本」というところの各論ではありますが、一度携わればこういう話はあ るだろうと思いますが、これを具体的に管理者そのものがどれだけ関与していくかとい う問題は、現場サイドのことを考えれば、普通はあり得ない話です。大部分は主治医で ありますとか、院長でありますとか、そこでの内々の相談としては当然あったとしても、 対応としてはそういうチームが必ずできるはずですから、そこでの対応になると思いま す。そこでの位置づけとして、こういうことを知るべきだ、というレベルの表現にして おいていただくほうがいいのではないかと思います。 ○ 福永部会長  この中で「患者、家族への説明」、例えば外部組織、特に警察等への報告は、院長とか 管理者が当然行うことです。ここでいうと、医療安全管理者の仕事外のこともあるかと 思います。そういうことで、ここの表現の仕方として、すべて医療安全管理者の仕事と いうふうに、これだけ書いてしまうと取られかねないので、そこは考えてくださればい いかと思います。  ただ、全体として、現実には石川委員がいま言われたようなことの一部をやっている のが事実です。その辺りは現実を踏まえた形で表現できればいいかと思います。 ○ 寺井委員  業務指針のほうを見ていただきますと、前回議論があって、現在の状況ですが、医療 安全管理者は初動対応を中心とした関与をしているということから、業務指針には「初 動対応として、次のことを行う」という文言を加えたという経緯があったと思います。  こちらの研修プログラムだけが独り歩きすると、いまのような議論が発生します。こ こはボリュームが結構ありますので、ここだけに重きを置いた研修になるのも問題だと 思います。初動対応を医療安全管理者が特に行うために必要な事故又は事故発生時の全 体像については勉強しておく、という位置づけで研修プログラムに盛り込むというふう にはっきり書いていただくのも1つの方法かと思います。  ただ、現実はリスクマネージャー又は医療安全管理者という人たちが、この分野にか なり入り込んでいるという施設もあるように聞いていますので、教育プログラムには項 目として盛り込んでいただきたいと思います。 ○木下委員  初動ということで、先の対応としてこれだけのことをすべきだと。私はまだ内容を詳 しく見ておりませんけれども、そのような視点でいまのところをクリアにしておけばい いのではないか。これをやるなというのではなくて、どうしても避けて通れない部分で あると思います。かなり大きな部分を占めるということよりは、初動のときの役割とし てこういうのが大事だから、そういうことについては理解するように、というレベルの 内容にしたほうが全体像からするといいのではないかと思います。 ○福永部会長  そういう形で整理し直してほしいと思います。ほかの部分はいかがですか。 ○ 鮎澤委員  いまのと絡むのですが2点あります。  1点目ですが、先ほど、河野委員から、最初の1)だけなにかさっぱりしているとい うお話がありましたが、その言い方をお借りすれば、ここは妙に細かく書いてあります。 1)から(1)から黒ポツまで書いてあります。これが(1)(2)(3)だけさらりと書か れていたら、この議論にはたぶんならなかったと思うのです。バランスよく書いていく ことも大事なことではないかと思います。まず、それが先ほどの議論に関連する1点目 です。  2点目ですが、5)の(1)の(2)の「シミュレーションの方法」というのがよくわか りませんでした。一つひとつの項目について、自分が講師になったらどういう講義をや るのだろうということを考えたときに、これは何をすればいいのかがよくわからなかっ たのです。これは何でしょうか。  ○嶋森委員  医療事故が発生したときなど、たぶんいろいろな形でありますよね。映像を見たり、 シナリオを作ってみんなでやってみたり、実際の対応策を事前に立案してやるときに、 いろいろなシミュレーションの方法を使って、演習に近いような形でそういう方法を学 ぶということで理解しています。 ○鮎澤委員  医療安全管理者の研修というのはいくつかの切り口があると思うのです。自分が業務 をしていくために学ぶ研修もあるし、自分がファシリテーターになって現場の職員に学 ばせるための研修もあります。いまおっしゃっているのは、どちらかというと、現場の 職員に学ばせるための研修というイメージですか。 ○嶋森委員  そうではないかと私自身は理解しています。自分が学習するのと、学習したことを教 えていかなければいけないです。明確に分けてここは入っていないので、そういうこと を学習しておかなければいけないのではないかと理解しています。 ○鮎澤委員  現場に帰ってどうやって教えるかという方法論の必要性は、研修の全部の項目に共通 する課題です。事故発生時については、記者会見を想定したりしてシミュレーションで 教育していくやり方があります、あのイメージなのかと思いながら、実は読んできたの ですが。 ○嶋森委員  私もそのように理解しています。 ○鮎澤委員  要するに、ここは「シミュレーションの方法」。事故発生時の対応を具体的にみんなで 想定しながらやっていきましょう、というやり方の方法を学ぶ、という意味ですね。 ○嶋森委員  そのように理解していますけれども。「シミュレーションの方法」という言い方があま り適切ではないと思います。そういう具体的な事例などを通して、シミュレーションし ながらどうしたらいいかということを考える、ということを教えていかないといけない のではないかと思っています。 ○佐藤委員  シミュレーションは、事故発生時を想定して、各職員がどう動くかをどういうふうに 教えるか、そのための知識だと私は思っております。 ○福永部会長  これは書き方の問題かもしれませんね。 ○嶋森委員  そうですね。事故が発生したときにとるべき行動を事前に学習するというのが(1) なので、シミュレーションの方法などを使ってそういうことを学んでおくことだと理解 しています。 ○石川委員  確かに、これは医療安全管理者を養成するための教育手法だとすると、3)の(4)に「医 療安全のための教育教材とその活用法について」というのがありますので、ここにシミ ュレーションの方法も入ると思います。そうすると、鮎澤委員がおっしゃったように、 ここでの記載は不要かとも思います。 ○佐藤委員  シミュレーションの方法ではなく、事故発生を想定したときに、皆さんがどう動くか を教育・指導する。 ○石川委員  ええ、知識ではなく、教育・指導のことを言っているのです。教え方を学ぶというこ とだと思います。 ○佐藤委員  あなたはこうしなさいと言うようにということです。 ○石川委員  そうしますと、研修計画の上のほうに入ってしまうのかもしれませんね。つまり、事 故が起きた時に、連絡が必要な場所はどこか、ということを考えるということですね。 ○楠本委員  フォースに沿ってどう動くかをみんなでやってみるための方法というか、教え方です ね。 ○石川委員  教え方を学ぶということであれば、研修計画に入ると思います。 ○医療安全対策専門官  そういう形でシミュレーションは(4)に入るということで、ここからは削除するという ことですか。 ○佐藤委員  基本的に、指針案に載るということは、項目ごとになって分けていますね。一つひと つの片括弧で内容が違ってくるわけです。その1つの片括弧の中の教育方法ですよね。 それはやはり5)に入れておいたほうがわかりやすいのではないかと思います。5)に 関しては、(2)の(1)の「医療機関内部への説明」、「外部組織への報告」などは、実際に 私が講師になったらどうやって教えるのかなという感じです。要するに、これは業務指 針と同じなのです。研修プログラムと業務指針が、ここの部分が非常に類似しているの です。書き方も、「患者、家族への説明」、「医療機関内部への説明」、「外部組織への報告」、 これは、説明の仕方、報告の仕方をプログラム研修の講義の中に入れるということなの かどうか、ちょっと曖昧かなというふうに感じます。 ○福永部会長  これは業務の内容に関することですが、この「シミュレーションの方法」というのは、 何かもっと適切な表現はありますかね。 ○ 鮎澤委員  先ほど話したように、自分が学ぶ話と、現場に帰ってどう学ばせるかという話、この 2つをちゃんと教える研修にしなければならないということを、どこかで謳ったほうが いいのではないかと思います。例えば、先ほどのいちばん最初の「考え方」の辺りで、 そのようなことをきちんと視野に入れて研修を企画しなさい、ということを謳っておく べきではないでしょうか。  私自身は、この(2)「シミュレーションの方法」という所に、流れとしてちょっと違和 感がありました。あなたが研修でシミュレーションを使って学ぶことなのか、現場に帰 って、あなたがシミュレーションを使ってみんなを学ばせることなのか、どっちの話か がわからなかったのです。  ○福永部会長  全体としては、鮎澤委員が言われますように、自分が学ぶことと、学んだことを教え ることと、その辺が曖昧になっていますね。 ○鮎澤委員  書き方の整理で揺れているところがあると思います。ただ、どのように整理するかは また議論すべきことだと思います。 ○嶋森委員  鮎澤委員のおっしゃっていることだと、(1)の(1)の次は何になるのですか。いま具体 的に提案しないといけないかなと思っているのですが。 ○福永部会長  基本方針の次。シミュレーションの所ですね。 ○嶋森委員  そうです。ここの(1)は、「医療事故が発生した場合にとるべき対応策を事前に立案 し周知するために必要な事項」で、基本的なことを理解するというのと、事前にそのよ うなことについてきちっとしておくということを自分も学習しなければいけないし、組 織の人たちにも教えていかなければいけないという項目を、ここに入れ込まなければい けないかなと思っています。そうすると、どういう表現がいいかなと。 ○飯田委員  余力の話もあったのですが、セーフティマネージャーになる人も、内容もやり方も教 わらないといけないというのはまさにそのとおりです。しかし、普通はそう明確に意識 していなくて、実際に自分が、演習も含めて講習を受けた場合には講師がいるわけで、 その講師のやり方を学んで、自分が受けたものをまた反省なり評価なりして、それを自 分の病院に持ち帰って展開しているわけです。そういうことは全部の所にあるというの はまさにそのとおりなのですが、全部に書き込むわけにはいかないので、10頁の3)に それはもう書いてあるので、私もそれでいいだろうと思います。全部にそれをいちいち 書き始めたら、すべてに対してどう学ぶの、どう教えるのと書かなくてはいけません。 ここでは、シミュレーションの項目は削除して、なくしてしまったほうがむしろすっき りするのではないかと思います。 ○福永部会長  こういうご意見ですが、いかがでしょうか。 ○石川委員  飯田委員の意見と同感です。これは確かに3)に教育する方法について書かれていま す。シミュレーションには、事故発生時のシミュレーションや苦情対応のシミュレーシ ョンなど、たくさん種類があります。ここでは教え方を教えるということで統一したほ うがよいと思います。 ○鮎澤委員  事故発生時の対応というのは、基本的には毎回異なるので、事前にやれることという のは、一般論としてはこうですよということしかないと思うのです。実は(1)の「医 療事故が発生した場合にとるべき対応策を事前に立案し」という所から、違和感があり ました。事故発生時の対応というのは毎回バリエーションに富んでいて、もう「基本的 なことはこういうことです」ということしかないと思うのです。基本的な知識、一般的 な解を一応知っておくというのがここの趣旨なのではないでしょうか。だから、基本の 方針とか、医療事故発生時の対応の一般的な対応とか、基本的な対応とか、そのような ことを書くにとどまるのでも十分なのではないかと思っています。というか、そのくら いしか書けないのではないかと思います。そこから先は、もう少し踏み込んだ次のレベ ルのような気がします。 ○嶋森委員  意見ですが、医療事故が発生したときの具体的な対応というのは、個々で全然違うと 思います。ただ、事前に対応策を検討しておかないとうろうろするので、やはり事前の 対応策は必要で、ここに(1)だけしか書かないとすると、先ほど木下委員がずっとおっし ゃっていましたけれども、(2)が、非常にボリュームが多いし細かすぎるように思いま す。それを考えると、ここの5)の(1)(2)(3)(4)ぐらいに、今日の議論を集約 した形で整理し直したほうがいいかなと思います。つまり、事前に考えておく必要があ りますよということと、実際起きたときの対応は、業務指針の前に書いてありますから、 そういうものを用いて管理者と相談しながら具体的な対応をする必要がありますという ようなことです。その後は、当事者たちの精神的なケアも必要という、そういう大まか な項目に整理し直したほうがいいのかなと、いま議論を聞きながら、確かにボリューム が多くて、粒度も違うという感じがします。 ○福永部会長  ここの部分は非常にたくさん議論がありましたので、整理し直すことにしましょうか。 それでは次に、6)の「患者の参加」はいかがでしょうか。いちばん最後の頁です。こ れは、表現については適切でないという意見をいただいていますけれども。 ○嶋森委員  これは前に議論しましたが、私は、是非「参加」を入れていただきたいと。「今後の医 療安全対策検討」のときにも、「国民への情報提供と一般の方の参加」というのを、その 趣旨もありますから、是非入れていただきたいなと思います。 ○福永部会長  また繰り返しになるかもしれませんが。 ○飯田委員  前回と全く同じことしか言うことはないのですが、「参加」というのはおこがましい話 であって、患者から見れば冗談ではないと思います。要するに、参加する人もいやいや 参加するわけです。どうしても書きたければ、協力をお願いをするという形にしなけれ ばおかしいと思います。私たちが、患者が参加しなかったら安全の確保はできないよと、 そこまで言わないのはわかっていますが、ここにいるメンバーはそんな方ではないとい うのは分かっていますが、やはりこれを読んだ患者とか一般国民は、これをそう受け取 ります。安全確保も質の向上も医療従事者の仕事でしょうと。患者や家族に責任を押し つけるのですかと言われかねないです。しがって、参加という言葉は困るのです。です から、私は削除すべきだと思いますが、どうしても書くのであれば、「患者の協力をお願 いして」という表現にしていただかないといけません。この表現は適切ではありません。 他の委員会でどう決めたか知りませんが、ここではそうしたほうがいいと思います。 ○福永部会長  そういうご意見ですけれども。内容に関してはあまり差がないと思うのですが、表現 の仕方というか、そういう部分で。 ○飯田委員  私は削除すべきだと思いますが、どうしても入れるとおっしゃるのであれば、そのよ うにしてくださいということです。 ○嶋森委員  前回申し上げたのですが、私は、主体的に参加したいという人はたくさんいらっしゃ ると思っていまして、おこがましいとは思いません。むしろ参加が主体的でないと理解 することのほうが違っているのではないかと思います。 ○飯田委員  患者が参加したいと、そうおっしゃることは、それはいいのです。それは構いません。 私が患者だったら、とんでもないとそう思いますということです。そういうことをおっ しゃる人は他にもいるわけです、この話ではなくても。安全確保はあなた方医療者の仕 事でしょうという患者はいるわけです。いろいろなことに関して、知りたくないという 人もいるわけです。そういうことを言っているのです。ですから、患者が求める場合に はいいのです。患者が、自分が知りたい、参加したい、一緒にやりたい、確認したい、 それは結構です。この間も同じことを申し上げましたが、点滴をするたびに、患者に一 緒に確認しましょうといえば、患者は怒りますよ。毎回毎回、名前言わせて。「この点滴 あなたのですか」、「そうです」と。また来るのですよ、毎日毎日。患者は怒りますよ。 そういうことを現時点でやっている病院があるわけです。「患者の参加」という言葉に乗 っかって。そういうことが現実に起こっているわけです。患者から見れば、これはおか しいです。 ○河野委員  私は、日本の医療体制を考えたとき、安全なシステムを構築するためには、やはり患 者に参加してもらったほうがリスクは下がると思っています。すべて参加するのは不可 能かもしれないが、少しでもリスクを下げるという観点では、日本の皆保険制度の中で は非常に少ない人数で医療体制が組まれていて、そのため、影響が医療従事者に全部き ているわけです。これが本当にお金がたっぷりあるのだったら、たっぷりリソースを増 やすことはできるのですけれども、日本の場合は皆保険制度なので、ある程度のところ でお金を抑えて、ある程度の医療をやっていくとなると、当然、患者も医療安全に協力 してもらっていいのではないかと思います。このことを医療関係者から一般の人にどん どん言わなければいけないのではないかと、私は思っています。 ○石川委員  全く同じ意見です。今後は患者の主体的参加を抜きにして医療者だけでは、医療安全 を構築するのはかなり厳しいと思います。「参加」という言葉が、何か他に適切な言葉が あるかどうかわかりませんが、平成17年6月8日の医療安全対策検討会議の報告書では、 「主体的参加」ということが出ていますので、この文言は入れたほうがいいと思います。 ○木下委員  いまのご時世はそういう方向なのかなということもあるのですけれども、医療安全と いう意味は、いわゆる医療事故をなくしていきましょうという視点で、では、患者とか 家族はどういう視点で加わっていくのかなと。どこの場面で一緒に参加するのかは、ま だよくわからないです。だから、各論的に病院であれ何であれ、医療安全をそれこそ我々 は負託されてやるべきというか、担当者も、国民というか患者のため、文字どおり皆さ ん方の安全のために我々がやるのであって、それに対して何かご意見を伺うということ に対しては全く問題ないと思います。会議にしょっちゅう参加する方というのは、特殊 と言ったら変ですが、患者団体というのもあって、そういった方々が入ってくる道を開 いてあげるというのも1つあるのかもしれませんし、もう1つは、医療安全というのは 実は広い意味で考えれば、最近は、患者に対する防御を我々はしていかなくてはいけな いような時代でもあるわけです。そのためにはこの患者のグループが入ったほうが、あ なた方の仲間はこういう横暴なことまで言うのですよということだってあり得る話なの で、そういうことも踏まえて、やはり家族というのは、ある程度何らかの形で参加して いくという方向性はありかなと思うのです。ただ、各論的に、どの段階でどういうふう な形で入って、どういう役割を演じてもらうかについては明確ではないので、観念的に はわかりますが、具体的にどういうことを先生方がイメージされているのか、どの場面 でどういう役割を持たせたいのかということをちょっと伺いたいのです。 ○福永部会長  どうでしょうか。それぞれイメージとしては異なるかと思いますが。患者参加という ことはよく言われるのですが、具体的なイメージとしてはいろいろとあるかなと思いま す。木下委員の意見に対してはいかがでしょうか。 ○鮎澤委員  私は入れていただきたいと思います。患者参加ということがいわれるようになったの はごく最近で、患者参加のフレームワークがようやく整理されようとしているところで す。自分が外来受診中や入院中に自分の安全について何ができるかということもあるし、 自分が患者であることを通して病院全体の安全や社会にどのように寄与できるかという こともあります。例えば、病院で、ここでこういうことがあってヒヤリとしましたとい うように、患者の体験を活かすことができればそれも寄与の形です。患者団体のような 形で社会に大きく寄与することもできるでしょう。飯田委員のおっしゃる意味も、前回 の議事録を拝見し、そこでの議論も読ませていただいているので、わかります。ただ、 これはいかがでしょう。レストランに来て、一緒にお皿を洗ってくださいと言われたら 私も怒る。でもお皿を洗ってくれと頼んでいるのではなくて、頼んだものと違う食事が 運ばれてきたら、おかしいなと思いながら黙って食べるのではなく、これは僕のじゃな いよと言って欲しい・・・ということでしたら、先生も「僕のじゃないよ」とおっしゃ いますよね。○飯田委員  それは、参加ではないです。 ○鮎澤委員  でも、その辺りのことから実はやれることがありますよというのが、JCAHOがやって いるスピークアップ、おかしいと思ったら声に出してくださいという、そういう話です よね。 ○飯田委員  いや、それを否定しているのではないのです。先ほども事例を挙げましたが、点滴を 患者と確認しましょう、名前を言わせましょう、点滴も自分のものかどうか確認しまし ょうと、そうやっている病院があるのです。そこまでやるのが参加だと思っている人も いるわけです。そんなことではないでしょう。もちろん、何か問題があったら言ってく ださい、いつでもこちらは聞きます。間違いあれば訂正します、ご協力お願いしますと いうことです。ご協力お願いしますというのはまだいいですが、主体的な参加などとい うのはあり得ないという人もいます。積極的に参加したい人はごく一部であって、大多 数はそんなことを主体的にはしたくないのです。受動的にいやいや、自分の身が危ない からやるのです。そういう現実があるのかもしれません。だから、そういうことを認め ては困る。もし認めるのであれば、私たちは至りませんからご協力お願いします、そう いう趣旨なら私はいいですと言っているのです。患者に、何かあったら言ってください、 間違いがあれば訂正します。申し訳ないけれども毎回お名前を確認させてくださいと。 そう言うのであればまだいいのですが、この文脈からは、そうは受け取れません。 ○ 石川委員  具体的にという話がありましたけれども、患者誤薬対策における名前の確認などでの 参加をイメージしています。いろいろな方法論はあると思いますが、そういう意味での 参加と考えております。  飯田委員のおっしゃるように、文言で「参加」と書いてしまうと、問題が生じるので あれば、「患者の協力を得て」という表現もあると思いますが、一緒に取り組んでいくと いう意味での参加ということを、文言として入れたほうがいいと思います。 ○ 木下委員  いまのようなイメージですと、医療現場からすると、そんなことが可能かと。患者に いろいろな処置をするに当たって、一般の素人の方が入ること自体が。病気というのは 特殊でございますから、そういうような患者の氏名からすべてのことを正しいかどうか チェックするなどというのは、それは逆に何のために医療安全管理者がいるのかと。そ んなことで間違いなど絶対起こさないように、看護師も我々も含めてやろうとしている わけで、そこに患者の力を借りなくてはいけないなどというのは論外でして、やはり、 我々はもうちょっと信頼されなくてはいけないだろうと思います。逆に、我々は報告す るというか、きちっと情報を開示して、こんな取組みをしている、疑問があるならば是 非ご指摘ください、というふうな形の参加のレベルではないかなと。チームマネジメン トという表現になりますと、何か1つの安全のために参加して、専門職である看護師や ら薬剤師やら、そういう方たちと一緒になってやっていくという、これはまた現実的に 煩雑でありまして、とてもそんなことはできる話ではありません。  いまの世の中、何でも情報開示しながら一緒にという気持はわかるのですが、やはり こういった医療安全とかで大事なことに関しては、むしろ任されたなら責任を持ってや るというふうな、それぞれ餅は餅屋の役割を演ずることのほうが、現実的で効果がある のではないかという気がしますので、私は、情報開示というレベルで、常に我々だけの 世界だということで、対応させていただくほうがいいと思っています。 ○石川委員  そのご意見はよくわかります。ただ、患者は素人だというご意見には、私はあまり賛 成できません。患者さんの中には非常によくわかっておられる方もたくさんいらっしゃ います。  以前より医療者は誠心誠意、医療を行ってきている中で、医療事故やヒヤリ・ハット が起きていると思います。次は、患者さんにも少しご協力をいただいて、という意味だ と思います。バーコードやコンピューターなどでの対策でも防げないこともあるので、 身近な本人確認などのことから、患者さんのお力を借りて行っていくということを考え て、参加という文言は必要かと思います。 ○河野委員  私の認識は違っています。私の考え方は、パーフェクトな人間はいないという前提の 下にシステムを組もうという考え方です。どうやってリスクを下げるかとなると、もち ろん医療者は、できるだけそれを下げる努力は必要なのですが、それでも、人間はある 状況の中でエラーをするという前提の下で多重の防護壁を考えるとするならば、使える リソースは何でも使いましょうということです。頭の非常にクリアな患者は立派なリソ ースなのです。それをリスクを低くするために利用すべきではないかと思います。全体 にそのシステムのリスクを下げようではないかという考え方です。私は、人間はエラー をするものだという前提でやるべきだと思います。 ○嶋森委員  私も、飯田委員がおっしゃっている、いちいち注射の確認に患者が大変な思いをされ ることについては、それは配慮しなければいけないと思います。リストバンドを、患者 が「はい」って出すようになった病院もあります。だから、参加の仕方についても患者 の意見を聞かなければいけないわけで、そういう意味での、医療安全についてのいろい ろな患者の意見、自分が主体的に参加したいのか、もう参加したくないのかということ も含めて、チームの1人として患者としての意見を言う、という形で参加していただく ということは抜けないかなという気がするのです。ただ、この「チームマネジメント」 という言葉は、ちょっと違和感があるかなと思います。患者家族の参加を得て医療安全 について一緒に検討するということでいいのではないかと思います。先ほど木下委員が、 チームマネジメントにわざわざ全部入れなくてはいけないかという、そういう違和感は あるので、ここの表現はちょっと考えてもいいかなという気がしました。 ○木下委員  いまの石川委員のお話で、別に、患者のレベル云々しているわけではないのです。要 は、こういった指針に書いていくときに、それが当たり前の方向性だというのはまだ早 いかなと。もしもそれを実際にやってみて、本当に有効であるという事例でもあるなら ば、それは次の段階で考えてもいいのではないかと思うのです。少なくとも、我々現場 で考えていますのは、どんなに注意をしても事故というのは起こるではないかと。それ はそういうこともあるわけですけれども、やはり、我々はこういった責任を持ってやる 以上は、皆さん方に応えようというふうなことでやっているわけですから、そういった ことに対して患者にまで力を借りていこうという気はさらさらございません。方向とし てはそういうこともやってみて、これはうまくいくぞということであれば、それもあり かもしれませんが、当面、これはまだこれからのことですから、まず情報開示をして、 きちんと意見も伺っていくというレベルにとどめていただくほうが、全体としてはあり がたいと思います。 ○福永部会長  いろいろご意見をお聞きしましたが、これは多数決で決めるわけでもないのでどうし ましょうか。「参加」という言葉自体、皆さんそれぞれイメージが違っていますし、おそ らく次回の最後の検討会でもこの言葉について議論になるかもしれませんけれども、こ れを入れるか入れないかについてはどうしましょうか。 ○佐藤委員  いま飯田委員たちがお話になったことは、基本的にはチーム医療の中での患者との関 わりで、この点滴が私の点滴だよ、これは違うんだよとか、それは基本的には医療の流 れの中での患者の反応ですよね。安全文化の醸成という視点で言えば、患者に参加して いただくためにも、医療安全管理者は、患者の医療安全に対する意識の昂揚とかそうい う体制づくりをすべきではないかと。医療の一つひとつの細かいことに関わるのではな くて、全体的に、将来的に、患者参加型の医療にもっていく1つのステップ、前段階と して、いままで全く患者に医療の安全というイメージがなかったものを、今後、医療安 全管理者を中心としてその意識を高めていく。それによって、例えばチーム医療の中に 関わってくるという流れかなと私は思うのです。この時点では、安全文化の醸成とする ならば、やはり「患者家族の医療安全に対する意識の向上」とか、そういう文言を入れ ておいたほうが、何となく私はいいような気がするのです。 ○福永部会長  最近一般的には「患者参加」という言葉が、議論した上で使われているのかどうかは 別として、よく使われていますね。だから、その延長線上の使い方なのかもしれません が、この「参加」という言葉を入れるか入れないかというのは、ある意味で非常に重要 なことかなと思います。 ○石川委員  いまの佐藤委員のお話をお聞きして思いましたが、確かに参加というのは、先ほど申 し上げましたように、一緒に確認するということ等、色々な方法がありますが、医療機 関の安全文化や質に関連して、患者満足度調査などへの参加、ということもあると思い ます。安全文化の醸成ということに、主体的な参加をお願いするということもあると思 います。ですから、いまのご意見は非常にいいご意見だと思います。 ○福永部会長  大体意見は出尽くしたかと思います。また事務局と相談しながら、「参加」という言葉 を入れるかどうかについては検討したいと思います。今日のところはこれでよろしいで しょうか。 ○木下委員  (1)の「事故やヒヤリ・ハットの報告が効果的に行われる体制の整備」、この「効果 的に行われる」というのはどういうことかというと、こういった報告を、その当事者止 まりにせずに、そういうものを病院全体で共有するということなのです。共有する文化 をつくってもらいたいということだと思うのです。それはどういうことかというと、何 か起こったときに、中傷したり、いろいろ邪推があったりしては困るので、我が身のこ ととして1つの事例を共有していくという、そういう文言を入れてもらいたいなという 感じがいたします。 ○福永部会長  はい、おっしゃられるとおりです。これ、よろしくお願いします。  次に、「おわりに」の部分を含めてご検討をいただきたいのですが。ここでも飯田委員 から、5のところで、本指針の対象者については、初任者かベテランかは関係ないとい う意見をいただいております。5について、何かご意見ありますでしょうか。私も、初 任者かベテランかは関係ないような気もしますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか。 ○石川委員  おっしゃるとおり、初任者であってもどなたであっても必要なことだと思いますので、 これは要らないと思います。 ○福永部会長  では、ここは省くということで、よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。 あと若干時間がありますので、全体を通して何か言い足りなかったことなどございまし たらよろしくお願いします。 ○木下委員  7頁の医療事故の所です。4)の最後の所で、「と同時に、関連機関への対応や事故に 際し医療機関が社会的責務を適切に果たすことの支援」と。「社会的責務を適切に果たす」 というのは極めて抽象的でして、いま何か起こったら警察に届けよということ自体、ち ょっといろいろと考えているだけに、何か、そこの所の表現は別に要らないのではない かなという気がします。「事故によって生じる他の患者への影響拡大を防止するための対 応策を行う」ということ、それから、後の各論の所ですが、いまご議論のあったような 医療機関への対応とか他の管理機関への対応というのはあるわけなので、「と同時に」以 下は、私は、本当はなくても十分通ずるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○福永部会長 そこはまた事務局で最後のまとめをと思いますが、いまのご意見いかが でしょうか。それでよろしいでしょうか。 ○医療安全対策専門官  皆様がそれでよろしければ。 ○福永部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○鮎澤委員  全体を通してですが、確かにいまの時点ではこれが第一線で仕事をされていらっしゃ る皆さんで検討した第一線の項目ということになるわけですけれども、この医療安全の 領域にはいま次々新しいことが出てきています。来年これが改定されるわけではないと すると、「次々出てくる新しい知見を常に織り込んでいくような研修プログラムにしてい かなくてはいけない」ということを、どこかに1行入れておいていただきたいと思いま す。最後の所になるのか、2の考え方の中になるのか、どこかに文章として入れていた だければと思います。 ○ 福永部会長  「おわりに」の部分かどこかに入れてください。ほかにいかがでしょうか。よろしい でしょうか。  では、研修プログラムの指針案については、今日の議論を踏まえ、細かい書きぶり等 については部会長に一任していただくということでよろしいでしょうか。  では、時間もまいりましたので、本日の議論はこれで終わりにしたいと思います。次 回の3月9日を最終回にしたいと思っております。そのときに医療安全管理者の業務指 針案と研修プログラム作成のための指針案について、最終的な議論を行いたいと考えて います。  では、検討部会の次の日程等について事務局からお願いいたします。 ○医療安全推進室長 どうもありがとうございました。それでは、次回の最終回に向け て、本日の議論を踏まえて座長と相談の上、最終的に文言を詰めまして、事前にまたお 送りしたいと思います。次回の日程につきましては、3月9日の午後3時から午後5時 までとなっております。よろしくお願いします。本日はお忙しいところありがとうござ いました。 ○楠本委員  これはパブリックコメントに出したりはなさらないのですか。 ○医療安全推進室長  そういうことは、いまのところ考えておりません。 ○ 福永部会長  どうもありがとうございました。 (紹介先)  厚生労働省医政局総務課医療安全推進室   医療安全対策専門官 小林  03−5253−1111(2579)