06/12/20 がん対策の推進に関する意見交換会 第3回議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             佐々木(内線2945)     小 山(内線2946) 第3回 がん対策の推進に関する意見交換会 日時 平成18年12月20日(水)9:00〜12:00 場所 厚生労働省 講堂 ○武田室長 おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまより第3 回「がん対策の推進に関する意見交換会」を開催いたします。  それでは以後の議事を垣添座長、よろしくお願いします。 ○垣添座長 皆さん、おはようございます。委員の皆様には先週に引き続きまして早朝 からお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。それから、本日も学会、 あるいはがん医療関係等のさまざまな団体の代表、20団体の方にお集まりいただきまし て、まことにありがとうございます。本日はこうした学会等からのヒアリングを実施す ることになりますが、1団体5分という大変制限された時間でありますが、よろしくお 願い申し上げます。その後、質疑及び意見交換を行うことにしたいと思います。全体で 3時間の長丁場ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、議題に入ります前に事務局から資料の確認、及びヒアリングの進行方法等につ いて説明をしてください。   ○武田室長 はい、では御説明をします。本日の資料でございますが、資料1としまし て、ヒアリング実施団体の提出資料でございます。それから資料2としまして、実施団 体の概要でございます。資料3がこれまでの主な論点、暫定版でございます。  本日のヒアリングには20団体に御協力いただいております。ヒアリングの進行方法で すが、団体名のアイウエオ順で発表していただきます。パワーポイントの使用に関しま しては事務局で操作しますので、そのままお席でお話いただきますようお願いします。 スライドを変更する場合には合図をお願いします。なお、パワーポイントを御自分で操 作されるというお申し出のあった団体につきましては、順番が来ましたら発表者席に移 動していただきお話をしていただきますようお願いします。また、お一人5分程度でお 話をしていただきたいと存じます。終了の1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴 らさせていただきますので、進行に御協力をお願いします。  なお、ここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほどよろしくお 願いします。   ○垣添座長 それでは、まず日本医療機器産業連合会からお願いします。   ○日本医療機器産業連合会   おはようございます。日本医療機器産業連合会の猪俣でございます。本日はこのよう な発言の場を与えていただきまして、ありがとうございます。早速ですがスライドにま いります。  がんとの闘いでは早期発見、早期治療、低侵襲、安全ということが大事なポイントで あり、そのための予防、検診、診断、治療のすべてにおいて医療機器は活躍しておりま す。診断においてはX線で肝臓がんの血流を見たり、超音波で乳がんの硬さを見たり、 CTやMRI、肺や脳の腫瘍を見つけることができます。また、最近はPETが普及し、 従来では難しかった小さながんが見つかるなど目覚ましい進歩を遂げております。がん のできる部位や状態はさまざまですので、特徴を生かした機器による、例えばX線、M RI、超音波といった複数の異なる手段の組み合わせによる検査が早期発見に有効と思 いますが、医療の現場では種々の制約があり実施し難いと聞いております。  また、がんの治療においてもこのような数多くの治療装置や支援システムが医療に貢 献しております。例えば、これまでの外科的な摘出手術に加えて、皮膚の上から針を刺 してがんを焼いたり、凍らせたり、また身体の外から放射線を当てて、がんをより侵襲 度の低い方法で治療することもできます。がんのできる部位や状態に応じて治療の選択 肢を広げることにも医療機器は貢献しております。ただ、医療現場ではその医療機器が 薬事承認済みかどうか、保険適用の有無などで希望する選択ができないといった場合も ございます。  また新しい開発の例としまして、手術室にオープンMRI、ナビゲーターなどを設置 したものがございます。これは術中MRI画像による脳腫瘍の摘出手術で、術中に肉眼 では判断しにくい残存腫瘍をMRIで確認し、より精密で安全な手術を実現しておりま す。しかし、このようなシステムで行われた手術も、そうでないものも、診療報酬上は 大差なく普及へのインセンティブが働いていません。  このように、がんの診断・治療の上、医療機器が貢献するところは大きいと考えてお りますが、新しい技術の普及には多くの障害があります。ここに提示させていただいて おりますのは、医療機器の開発から普及拡大までのロードマップですが、新しい医療機 器を導入するには各フェーズに壁が存在しています。人における医療効果判定の評価基 準の壁、大規模試験に伴う時間のリスク、コストの壁、混合診療の壁、適正な点数設定 という壁などが存在するわけでございます。ここまで述べてきましたように、新しい医 療機器導入において存在するこのような6つの壁を乗り越えるために、国としても厚労 省、経産省、文科省が連携をとってさまざまな施策を打ち出していただいております。  一方、産業界でもこの医療技術産業戦略コンソーシアムに代表されるさまざまな取り 組みや、各学術機関、医療機関と共同の研究活動などがなされております。しかし、国 や各業界が連携しての取り組みにもかかわらず、6つの壁は依然として存在しておりま す。この壁を低くするために、一つには必要とされる諸規制の運用に当たって、実情に 即したものとしていただきたい。例えば臨床研究において、我が国では薬事未承認の材 料・機器を企業が医療機関に提供して進めることは認められておりません。  2つ目は、全体として機器開発には長い時間とリソースが投入されているわけですが、 これを考慮した診療報酬上の適正な評価を与え、産学の取り組みにインセンティブを働 かせる必要があります。  3つ目です。がん克服のための新しい試みには、アドバンテージとリスクの2面があ ります。新しい医療機器の導入推進には、リスク分担の枠組みが明確になっていること が重要と考えます。  以上のような現状を踏まえ、さまざまな諸問題を解消し産官学を取り巻く環境に変化 を与え、それを必要とされる患者様、医療従事者の方々に提供できるようにするために は、皆様の御理解と御支援が不可欠でありますことを最後につけ加えさせていただきま して、日本医療機器産業連合会の発表とさせていただきます。ありがとうございました。   ○垣添座長 どうもありがとうございました。続きまして日本医療政策機構、お願いし ます。   ○日本医療政策機構  日本医療政策機構の埴岡です。早速始めさせていただきます。  基本的な考え方を述べますが、まず均てん化の結果を出すということが一番大切だと 思います。そのためには、がん診療に品質保証の傘をかけるということ。それからがん 診療に関する医療の質が見えるようにするということ。そもそも、がん難民が出ないよ うに、言い換えれば医療の不良品が出ないようにするということ。そして、そのために はむだを省きながらがん診療に健全な投資をすることが必要だと思います。  日本医療政策機構が行った調査によりますと、がん難民が68万人ないし33万人発生 していますが、がん難民は医療費が5割増、あるいは7割増といった特徴がございます。 がん難民を解消すれば5千億円、あるいは3千500億円といったような医療費が節約さ れる可能性があります。こうした節約できるはずの資金を前向きな投資に振り向けるこ とも必要だと考えられます。現在、がん拠点病院ネットワークの整備ががん戦略の最も 重要なコアとなる政策になっておりますが、がん拠点病院で行われるがん診療を整備し ただけでは問題解決にはなりません。なぜならば、がん拠点病院で治療されている患者 さんはごく一部だからです。例えば大阪の場合、大阪府が開示している地域がん登録の データから見ますと、それは20%に過ぎませんし、大学病院を含めても3割に過ぎませ ん。  拠点病院間の格差も大きな問題で、その解消はもちろん必要です。そして、地域医療 圏、二次医療圏間の格差も、これも大きな問題であることは間違いございません。ただ、 最大の問題は、拠点病院の成績と拠点病院以外の病院の成績のギャップであります。大 阪府のデータを解析しますと、大腸がんだけで11の診療圏で8.1%の患者さんの救済可 能性が残されています。5つのがんを合わせますと、大阪だけで6千人、患者さんの 8.4%に救済可能性があります。これを全国に敷衍すると実に5万人の患者さんの救済可 能性があるわけです。こういうことを見ますと、拠点病院間の格差も問題です。二次医 療圏間の格差も問題です。ただ、拠点病院とその他の病院との間の格差の問題が、人命 の救済数という点において、その他の二つの問題のおよそ10倍の大きさの問題であるこ とがわかります。  よって、打つべき対策は明らかです。まず、がん拠点病院内に患者を集中すること。 そして、拠点病院以外の病院は拠点病院と連携するということです。拠点病院の患者受 け入れを増加し、がん診療の採算性の向上によって拠点病院のキャパシティを拡大する ことが必要です。そして、一方では、がん拠点病院以外の病院では診療するがん患者を 減らし、拠点病院と連携すること。そして、すべてのがん患者さんをがん拠点病院のネ ットワークの傘の下に入れるためには、実際に全ての診療が拠点病院で行われなくとも、 拠点病院以外のすべての患者さんを拠点病院にひもづければいいのです。例えば、拠点 病院外の患者さんに対して拠点病院で受けるセカンドオピニオンを診療報酬化する。あ るいは病病連携治療計画書をつくるり、拠点病院外の患者さんに行われている治療を拠 点病院がチェックする。また、病病連携パスを作って拠点病院から拠点病院外に患者さ んが移動しても、医療品質チェックの仕組みが継続されるといったようなことが必要だ と思われます。がんの患者さんは様々な転帰・経過をたどりますけれど、いろいろなと ころで難民化する落とし穴が待っています。それを防ぐためには、がん患者のライフコ ースを一貫して情報とケアをつなぐ仕組みが必要です。「母子手帳のようながん手帳の作 成」「セカンドオピニオン受け入れの診療報酬点数化」、「がん地域連携パスの必須化」 「病病連携治療計画書フォームの決定と作成の必須化」「サバイバーシップ・ケアプラン (前医と後医と患者が共有する治療計画書)と5つ列挙しましたけれど、このような5つ の対策が必要だと思われます。  次に、がん患者さんへの情報提供について述べます。がん患者さんの悩みは多様でご ざいます。具体的に見ますと、既存のアンケートによりますと、最も求められているの は、医師に関する情報や病院選択の情報です。多様な情報ニーズにどう対処するかです が、例えば米国ですと、医療者、ナース、ソーシャルワーカーなどいろいろな職種の人 が潤沢にいて、それが患者さんをチームとして手厚くサポートしています。日本では全 くそのような状況はございません。患者さんが必要な情報に関して、患者さんはさまよ ってその情報が取れたり、取れなかったりという状況が発生しています。情報が取れな くてがん難民となることも多くなっているわけです。  日本のように医療現場で患者サービスをする体制が十分にできていない環境で患者さ んに必要な情報を提供するためには、図に示すような情報サービスの三角形の基本構造 が必要だと思われます。中央データベースを作成する。そして、それぞれの病院におい てマンツーマンで相談に対応する。そして全国どこからでも相談ができるコールセンタ ー。これら3つが患者さんを取り巻く形になるのです。それに対する必要な投資を考え ますと、こういう形が考えられます。一部のラフな試算ですが、データベースに30億円、 相談支援センターに125億円、コールセンターに20億円といった規模の金額です。また、 そもそも、がん難民を発生させないために、すべての患者さんに幅広い情報を掲載した 冊子を配布する仕組みを構築するようなことが必要です。   国立がんセンターの役割を明確にする必要があると思います。がん対策の司令塔にし ていく。そのためには現業部門をできるだけスリムにして、戦略機能に集中していくこ とが必要だと思われます。図に各部門について投げかけられている問いを示しました。 戦略部門となるがん対策情報センターに関しましても、図に6分野に分けて指摘しまし たようないろいろな問題点を検討して、資源と戦力を集中していくことが必要だと思わ れます。  これからがん診療の強化に対して資源を投入していくわけですが、それがうまいサイ クルに働くとは限りません。図に現在検討にあがっている施策が行われた場合に、悪い サイクルが働いた場合と、良いサイクルが働いた場合を示しました。ただ、施策を列挙 して総花的、ばら撒き的に実施するのでは、悪いサイクルとなる危険性が大きいです。 例えば、拠点病院間での資源の奪い合いの可能性もあります。拠点病院間のすみ分けを することが必要です。例えば、全国6ブロックそれぞれへのがん診療資源の配分は公平 になるようにする。そしてブロック内、ブロック間で競わせ、それをモニターするとい ったようなこと。国立がんセンターがその配分、モニター、分析、管理、戦略企画など をすることで、成就な資源配分を実現して、集中と分散の両面のバランスをよく進めて いく必要があると思います。以上です。ありがとうございました。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。続きまして日本緩和医療学会、お願いし ます。   ○日本緩和医療学会  日本緩和医療学会の江口です。資料5、6ページにがん緩和医療の概要と日本緩和医 療学会の取り組みが書いてあります。きょうは学会として教育体制、資格制度について どのように取り組んでいるか、あるいはガイドライン作成などについて簡単に触れたい と思います。  まず、統一カリキュラムによる教育体制です。がん緩和医療に携わる医師は各診療科 出身の医師が中心になっております。また、多職種のチームワークが診療の前提になっ ているので、認定看護師、薬剤師、ケースワーカーも医療スタッフとして積極的に参加 しています。  学会では昨年より米国の緩和医療のテキストを参考として、教育カリキュラムをつく りました。それに基づいて、トレーナーズワークショップと会員全体の教育セミナーと の2本立てで、統一された教育体制を築きつつあります。トレーナーズワークショップ というのは、各都道府県で教育・研修を指導できる人を養成することが目的です。また、 会員に対する教育のみならず、地域の関連する医療関係者に対する教育企画も、来年か ら開始する予定になっております。  トレーナーズワークショップは1回の定員を約60名に制限し、緩和医療の従事歴を 参考に対象者を限定しています。2日間の合宿形式でロールプレイも組み込み、教育技 術も含めて研修させるプログラムです。  学会では体系化した教育体制のもとに、緩和医療の専門資格制度設置を準備しつつあ ります。緩和医療の医師は、先に述べたように、各診療科出身の医師で構成されており、 従来は個人的な経験医療が中心でしたが、今後は情報医療へ進化する必要があること、 臨床腫瘍医などとの密接な連携が必要であること、多職種の緩和ケアチームのリーダー 的な存在になる必要があることなど、専門的資格の質を保証することが要求されます。 学会で作成しました教育カリキュラム全課程を習得した医師を対象に、また地域モデル となる緩和医療機関での実地研修を義務化し、その資格、研修歴を持った医師に試験を して専門医資格とするということを考えています。3年後をめざした専門医資格制度を 考えています。  次に、症状別の診療ガイドラインの作成ですが、現在までの医学論文などを体系的に 調査し、現行の診療基準を明示化するということを考えています。既に米国臨床腫瘍学 会(ASCO)などでは症状別のガイドラインがあり、これらも参考にしながら日本国内で 使えるものということで、現在、緩和医療で最もニーズの多いがん疼痛とか、鎮静、終 末期補液、呼吸困難、せん妄、腸管運動障害などについて作成中です。完成したものに ついては随時、冊子として配布するほか、ホームページでなどで公開する予定にしてい ます。各症状ごとの小委員会が現在活動中です。  次に、地域緩和ネットワークの連携強化ですが、院内緩和ケアチームは、全国で約60 チームが動いています。これは主に入院患者さんを対象としています。今後、緩和医療 外来の設置により、外部からのコンサルテーションに対して緩和ケアについての専門的 な助言・指導を行うことが必要になります。後ほど関係団体からの御発言もあると思い ますが、在宅緩和ケアについても連携を強化して指導的な役割を担わなければいけない と考えています。24時間体制のケアチーム、地域の中の各医療機関の人材育成と教育研 修、緩和医療地域モデルの研究と実施後のアウトカム評価などを計画しています。  以上です。どうもありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本がん看護学会、お願いします。   ○日本がん看護学会  日本がん看護学会の小松でございます。よろしくお願いします。  がん患者さんの周りにおります看護師というのは全体で75万程度の看護師が存在す るわけです。それで、がん治療が行われる200床以上の病院と言いますのは大体2,900 ぐらいあると思います。そこで一番がん患者さんたちの医療に身近に携わるがん看護師 というのは、さまざまな専門技術、知識というものを日本がん看護学会等の学会活動を 通じて切磋琢磨しているということがございます。会員数は3,229名おりまして、目指 すところというのは、がん医療に関するさまざまな研究、特に看護に関する研究・教育 及び実践を向上していくこと。がん医療の発展、それから患者さんたちの健康・安寧、 幸せに寄与するということを目指してさまざまな活動を行っております。  次をお願いします。それで、さまざまにがん看護というのは専門性がございまして、 がん疼痛看護、がん化学療法看護、それからホスピスケア等々幾つかあるわけでござい ます。それで学会の活動の3本柱と申しますのは、がん患者様たちのさまざまなニーズ に呼応したがん看護実践・研究を発展させること。それから、がん看護専門看護者、今 お話をしたようにがん看護の専門領域というのは多様にございます。そういう人たちが 生涯にわたってレベルアップしていくということをバックアップしていくということ。 それから、がん看護に関して学術的知見の集積と発信ということを行っております。  次のスライドをお願いします。それで、今書きましたようにそれぞれ学会活動を通し て3本柱ということを介して、今非常に力を入れておりますのはやはり最も患者さんた ちの身近にいる専門技術を持った人材としての資源、そういうことを学会としてバック アップしてがん医療を底上げしていくということに貢献したい、ということが一つ大き な事業としてございます。それで現在、実はがん看護学会はこれまで看護の領域におき ましてはさまざまな専門看護者というのが、看護協会の認定を受けた者として大きく2 つございます。認定看護師、がん専門看護師ということがございます。この認定看護師 の中には、がんの専門領域が今は4つございまして、がん化学療法看護の認定看護師、 がん性疼痛看護、ホスピスケア、乳がん看護というものが今、専門の領域として認定さ れているわけです。この領域の中に現在では695の認定を受けた看護師が、それぞれが ん拠点病院等々でがんの看護のレベルアップに努めているということの認定の領域を申 請するということに非常に大きな力を割いてきたという歴史がございます。  もう一つは、大学院教育を受けたがん専門看護師が79名が全国におりますが、そうい う方々が全国のがん拠点病院においてがん看護のレベルアップに努めているということ がございます。そのほか、学会としてはそれぞれ専門職者として技術性を持って勉強し ていくというグループ、SIGというような関心グループを昨年度より立ち上げまして、 そこで実地的な活動をしてもらっていること。それから、厚生省が進めておりますがん に強い看護師に対するカリキュラムを考えていくということで、そういうがんの看護を 推進していくこと。それががん医療の底上げにつながっていくというようなことに大き な力を割いているということでございます。  次のスライドをお願いします。もう一つは、そこに書きましたように、これからの取 り組みも含めて4つのことを提案したいというか、課題として取り組んでいくというこ とをお伝えしておきたいと思っております。一つは、だれでも、どこでも標準的ながん 看護ケアを受けられるということが大きな課題だと思います。それに関しては今年既に 発刊されると思いますが、『がん看護コアカリキュラム』というのを北米のがん看護学会 のものの日本語版をまずは作成して、それを広めていくということをしたいと思ってお ります。2月にできる予定でございます。それから、研究に関しましてはそこに書きま したように、がん看護の中で特にセルフケアブックとか、ケアガイドラインというのは 個々の病院、あるいは研究の団体でつくっておりますが、それを集積してちゃんとした 診療報酬につながるような動きにしていくということが求められていると思います。先 ほどお話をしたがんのプロ、がん看護のプロのレベルアップということはこれからも 脈々と行っていきますが、専門領域としては放射線療法看護の認定看護師の領域に関し ての申請を進めているところでございます。それで、ともにつくるがん医療、これは世 界ともそうですし、がん看護学会は国際学術集会を2月に第2回目を持ちますが、世界 のがん看護のネットワークを広げながら我が国のがん医療に関するレベルアップに貢献 したいということと、ホームページ等を通じてがん体験者の方々とも相互交流をしてい くということが、大きな学会としてのこれからの発展しなければならない部分だと思っ ております。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本口腔外科学会、お願いします。   ○日本口腔外科学会  日本歯科医学会の分科会の一つでございます日本口腔外科学会の小村でございます。 本日はこのような席にお招きいただきましてありがとうございます。  日本口腔外科学会が現在までに実施してまいりました口腔がん対策について少し御報 告させていただき、その後、提言をさせていただきたいというように思っております。  スライドをお願いします。口腔がんというのは、口腔に発生するがんでございますが、 口腔の機能と申しますと、摂食、咀嚼、嚥下、口音という非常に人が生きていくために 日常生活上、非常に大切な臓器でございまして、そこに発生するがんというのはそうい うようなことを非常に悪くします。それで、口腔がんの発生頻度は非常に低うございま して、現在2006年段階では年間で約6千人ぐらいが発生しているというように考えられ ておりまして、2015年には約1.5倍の9千人ぐらいが発生するだろうということが予測 されております。  次をお願いします。口腔外科学会はこれまで行ってまいりました対策としましては、 禁煙推進運動でございます。これは御承知のように、口腔がんのリスクファクターとし ては最も大きなものとしては喫煙というものが挙げられておりますし、既往危険度は 58%というように推定されておりまして、すなわち喫煙しなければ約6割ぐらいの口腔 がんは防げるだろうというような推定がなされております。ということがございまして、 日本口腔外科学会では会員、国民に対する禁煙の啓蒙とその推進を行ってまいりまして、 2003年に宣言をいたしております。  それから、日本歯科医学会の支援をいただきまして、口腔がん検診のガイドラインを 本年作成しております。これは一般歯科医を対象とするものでございまして、趣旨は先 ほどの喫煙に対する高危険群、あるいは歯科受診時の検診を行うというターゲッティン グのスクリーニング、あるいはオポチュニスティックな検診を進めるというガイドライ ンでございます。次に行ってまいりましたのは、地域口腔がん検診の実施でございます けれど、これは地域の歯科医師会、あるいは自治体、あるいは学会と共同して行ってお ります。最近はだんだんとこのような地域がふえてまいりまして、従来は千葉県、ある いは福岡県等が盛んに行われておりましたけれど、最近では横浜市などもするようにな っておりまして、その効果が期待されるところでございます。このような検診等の実施 に伴いまして、これは舌がんを示しているものでございますが、早期のがんの発見率が 非常に高うなっております。  次のスライドをお願いします。それから、口腔がんの診断治療に関して学会としまし て、会員に対する教育研修会を実施しておりまして、これは診断精度の向上、あるいは がん治療の標準化、地域治療成績の向上を目指しております。  それから、次は口腔がん治療のガイドラインを作成してまいりました。これは日本口 腔腫瘍学会との共同作業によるものでございますが、2005年には下顎歯肉がん、本年は 舌がんについてのガイドラインを策定し、治療の標準化を目指しております。  それから、疫学調査も行ってまいりまして、実はその実態調査を行っているわけでご ざいますが、これは日本頭頚部がん学会と共同で行っておりますが、昨今の個人情報問 題等がございまして、今後どのような形で行くのかということを現在検討中でございま す。  次をお願いします。こういうことがございまして提言でございますが、歯科医学教育 における口腔腫瘍学に関する教育の充実を今後図っていかなければならないということ を考えております。我々としましては、コアカリキュラムの充実を図る、あるいは給与 試験に登用する、あるいは国家試験への採用を拡大する等が必要ではないかと思ってお ります。  次に口腔がん検診に関する研修体制の整備でございますが、歯科医師会を中心としま して全国8万人がいる開業歯科医の研修体制を整備することによって、より早期の口腔 がんの発見につながるのではないかと考えられております。口腔がん及び前がん病変の 啓蒙と口腔がん検診の実施についてでございますけれど、歯科医師会が行っております 「8020運動」というのはかなりその成果を発揮しているところでございますけれど、 これに連動させて口腔がんの検診を進めることが必要ではないかと考えられます。それ で従来の口腔がん検診というのは、湿疹、あるいは擦過細胞診等が行われておりますが、 これより簡便な口腔がん検診の開発が必要ではないかというように考えられております。  それから、口腔がん診療の拠点病院における口腔外科の設置でございますが、これは 現在、全がん協の病院なんかにおきましても口腔外科の設置は非常に設置率は低うござ います。今後の口腔がん治療、あるいは口腔ケア等が非常に大切になってまいりますの で、こういう拠点病院には口腔がん治療を行う、あるいは情報を発信するという意味で 口腔外科の設置が望まれるところでございます。  あとはスライドのとおりでございます。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本在宅医学会、お願いします。   ○日本在宅医学会  日本在宅医学会の川島でございます。資料は11ページと12ページがスライドがあり ますので、御参照ください。  11ページを(1)を見ていただきますと、そのスライドには国民のニーズが今どこにある のかということで、生の終わりを迎える理想の場所としましては、左側に書いてありま すように、HOT在宅酸素療法、HEN移動経管栄養、HMV人工呼吸器、HPN中心 静脈、このような在宅でのいろいろな療法を行っている方々の最後を迎えたい場所とい うのが、ほとんど居宅であるということが判明しておりまして、既に在宅医療を行って いる主治医の間でも居宅で最後を迎えさせたいというように考えられているというデー タがございます。  そして2番目のスライドを見ていただきますと、そこにおいてこの国民のニーズに対 して医療者がどのように答えているかというと、大抵は説明責任と言いましても症候論 や疾病論を展開するということになりまして、その方々がどのように生きていきたいの か、そしてその結果としてどのように最後を迎えたいのかという生き方の説明を十分に しているという現状ではないというのが、我々在宅医療を行っている医学会の検討した 立場でございます。そうしますと、そのような不十分な説明によってつくられたものは 事前指示書やリビングウイルとしては不適切である場合が非常に多ございますので、こ の点に留意していかなければならないということがあります。  3番目のスライドを見ていただきますと、これは医療提供体制について書いてある図 でございますが、従来は病院は病棟・外来、それから診療所は外来だけというように在 宅との三角構造になっておりましたが、大きな矢印の下の方にありますように、2000年 以降は病院は病棟病院化して、救急・急性期高度医療型、それから療養型の2極に分か れました。そしてそれによって在宅の方も従来の寝たきりの軽症在宅だけでなく、がん の患者さん、それから人工呼吸器、中心静脈等をつけてそのまま帰らなければならない 重症在宅の方がふえてきまして、この2006年からは診療所の改革が始まりまして、重症 型に対応できるような24時間、365日の在宅療養支援診療所ができたという経緯がござ います。  スライドの4番を見ていただきますと、それを簡便に書いたものがこれでございます が、病院では重症型と療養型に分かれ、それから在宅は重症型と軽症型の患者さんたち の場となって、診療所は従来型の9時〜5時タイプの外来診療所のほかに、重症型の在 宅療養支援診療所が今回制度として発足したということになります。  次のページを見ていただきまして、スライドの5を見ていただきますと、では返す側 の病院の立場はどのように変化していくかというと、入院日数削減等、DPCの導入に よりまして、a)b)c)と書いてありますように、回復可能なものは治癒して返す、 現状維持はゴールを見極めて返す、回復不能なものは生活の中でみとることを視野に入 れて返す、この3点が病院の医者に課せられた使命でございますので、当然、病院死を 極力回避する、そして説明責任を果たすということが求められます。そうしますと、返 す場としての在宅療養支援診療所の周知の徹底が必要になってくるということになりま す。  それで6番目は飛ばしまして、7番目に移ります。これは現状、全国でどのぐらい在 宅でみとられているかという見取り図を示したものでございますが、一番左端を見てい ただきますと、全国では14.5%が平均値でございますが、そこに書いてある各県ごとの 一番下を見ていただきますと、高知県はわずか11.0%に過ぎません。そして、これが次 第に日本での死亡者率がふえていきますので、これをどのようにふやしていくかという ことが喫緊の課題でございます。仮に2008年から2012年までのこれからの医療提供体 制に関して在宅死率を25%に引き上げた場合に、どのぐらいの在宅療養支援診療所が必 要かと言いますと、右側に書いてありますように、届出件数が現在約1万カ所、それに 対して足りないのが約6千カ所ございまして、まだまだ不足しているということでござ います。  8番目のスライドを見ていただきますと、そのみとり率と充足率をそれぞれスライド にして提示したのがそれでございまして、各県の不均等分布がございますので、みとり 率を向上して支援診の充足率をふやしていかなければならないというのがこれからの課 題であるというように考えております。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本小児がん学会、お願いします。 ○日本小児がん学会  日本小児がん学会の麦島でございます。よろしくお願いします。  小児がんは15歳未満の小児の死亡原因の第2位でございます。病死としては第1位を 占めるということで、発生数は年間2,500人から3,000人です。死亡率は30%で、逆に 70%の患者さんは長期生存、あるいは治癒するという疾患でございます。疾患としては 白血病、脳腫瘍、神経芽腫が多い頻度となっております。これらの長期生存、あるいは 治癒したお子さん方は今後70年、あるいは80年と生存され、国を支える大変大事な力 になるわけでございます。集学的治療が進歩しますと、小児がんの場合は成人と比較し て化学療法、あるいは放射線療法が極めて有効でありますので、欧米では75%の患者さ んが5年以上生存しているという状況でございます。  小児がん医療について今回3つの問題点についてまとめさせていただきました。一番 目は、疾患横断的な研究基盤の整備が必要であるということ。二番目は、登録システム の構築と、長期フォローアップ体制の確立。三番目に、若手医師の育成、専門医制度の 確立でございます。  小児がん臨床研究組織の現状と展望ということで、左側に現状、右側に望ましい形と いうことで表示させていただきました。現在の状況では疾患別、あるいは疾患特異的、 あるいは班研究ベースでこの組織が運営されております。しかし、望ましい形としまし ては、より効率的に、あるいは有効にこの機能を発揮させるために、統合あるいは融合 するということが大事ではないかと考えております。例えばオペレーションセンターや データセンターを統一する、あるいはレファレンスセンターや組織バンクを共有化する ということが極めて重要な問題と考えております。  時間がないので割愛させていただきますが、現在、小児の固形腫瘍に関してはジャパ ンペディアトリック・オンコロジーグループという構想を我々は考えております。この ような組織を構成することによって各研究グループの基盤を共通化するということで、 管理側の負担及び経費を軽減することも可能になりますし、研究費獲得のための共同戦 略を図ることもできるようになるわけでございます。  米国の最も大きな臨床研究グループ、これはチルドレンズ・オンコロジーグループと いうのがございますが、ここでの年間予算は約60億でございます。すべての小児がんの がん種をカバーしまして、包括的な治療開発を行っております。一方、我が国ではどう いう状況かと言いますと、現在3つの研究班が国の公的資金の援助を得て活動しておる わけでありますが、その額は年間2億円規模ということでございます。実際には1課題 で1臨床研究のために基盤を維持するための公的な研究費がありませんので、是非とも 恒常的な研究費の援助をお願いしたいと考えております。  2番目に登録システムの構築と長期フォローアップ体制の確立でございます。我が国 では小児がんの罹患率、あるいは罹患数について正確な情報は全くございません。この 点においては先進国の中で最もおくれている国でございます。これに対しまして学会指 導で一昨年度から小児がん全数把握登録を開始しました。インターネットを用いて予備 登録に移行する計画を進めております。現在7つの関連学会と連絡会を定期的に開催し、 支援を得てデータベースの構築を行い、またクリーニングなどを実施して信頼性を高め るということを目標に活動をしております。さらに今年度からは、小児がん登録キャン ペーンを行いまして、小児がんの重要性について広く国民、あるいは医療従事者、さら には行政の方のご理解を得たいというように考えております。将来的には是非とも法整 備をしていただきたいと思います。これによって小児がんの罹患数が正確にわかれば、 標準的な治療の開発にも結びつくと考えております。  もう一つは、多くの小児がんの患者さんが長期に生存し、あるいは治癒するという状 況でありますので、この患者さんたちの長期フォローアップをしっかり実施できるよう な体制整備を行う必要があります。フォローアップ中に身体的障害や精神的障害につい て相談できたり、障害を早期に発見あるいは予防できるシステムの開発も重要な問題で あります。その為の専門職員の人的支援もお願いしたいと考えております。  最後に、小児がん専門医制度でございますが、日本小児がん学会は平成19年4月に NPO法人化される予定でございます。がん治療認定医機構の発足を待ちまして、がん 認定医制度に参加し、さらに2階建ての部分として小児がん専門医としての独自の体制 を構築していきたいというように考えております。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本製薬工業協会、お願いします。   ○日本製薬工業協会  日本製薬工業協会、医薬品評価委員会の中島でございます。本日はこのような場を与 えていただきまして、どうもありがとうございました。きょうはがんの領域の専門性を サポートしていただくために、横に第一製薬のがん領域の担当をされておられます鈴木 部長にアテンドしていただいております。  それでは資料を御説明させていただきます。きょうお示しいたします資料は、日本製 薬工業協会、74社ほど加盟しておりますが、その中で比較的抗がん剤の開発に継続的に 取り組んでおられる何社かから意見を募集しまして、今回の趣旨に沿いそうなところに つきましてまとめて御提示させていただいております。  まず一つ目でございますけれど、がん臨床試験の推進でございます。一番上のポツで ございますが、やはりがん治療におきましては個別化医療、パーソナライズド・メディ スン、これは特に重要だというように考えておりまして、そのために効果・安全性予測 因子、あるいは予後予測因子の研究振興を図る必要があるのではないかというように思 っています。具体的にはトキシコゲノミクス、さらには広くファーマコジェノミクスか らのアプローチ、あるいはバイオマーカーの探索といったこと。これにつきましては企 業が取り組むことには限界がございますので、ぜひこの辺は公的な面からの研究振興を 図っていただきたいというように思っております。  それから2つ目のポツでございますけれど、公的な研究費を拡大していただきまして、 医師が実施される臨床試験の活性化を図っていただきたいということと、新しい考え方 でございますけれど、医師が実施していただいた臨床試験の研究成果、これをもって承 認申請の資料としていただきたいということでございます。承認申請ということでござ いますと治験というものが必要でございますが、その枠を外しまして医師による臨床試 験データをもって承認申請用の資料とできる、そういう新しい枠組みを効能追加、ある いは用法用量の追加といったいわゆる一変申請、そういうところを主体に実施していた だいてそういう枠組みをつくっていただく必要があるのではないかということでござい ます。  3つ目のポツでございますけれど、医師主導臨床試験の基準の整備による試験品質の 保証ということでございますが、これはやはり承認申請資料ということですと品質保証 ということが前提になります。そういうことでGCPを治験だけでなく、臨床試験全体 に適用することによって品質の保証とする必要があるのではないかということでござい ます。さらに、GCPということですと現状、医師主導の治験で経験されておりますよ うに、医師側の負担というものが大変でございます。そういうことでその軽減を狙うと いうことでICH−GCP、これは運用を含みますけれど、そこに一度戻っていただい て簡素かつ実務的なものにしていただきたいということでございます。こういうことで 欧米並みにグローバルスタンダードによりますグローバルスタディの基盤整備を図って いただきたいということでございます。  2つ目でございますが、次のパワーポイントをお願いします。抗がん剤開発におけま す治験相談・承認審査の充実ということでございます。これは現在、PMDAで実施し ていただいておりますが、一つ目のポツ、今まで開発戦略についてはなかなか応じてい ただけなかった。最近、開発戦略については相談に応じていただけるようになりました が、抗がん剤につきましてはそこに書いてございますようなさまざまな課題がございま すので、それに的確に対応していただきたいということでございます。  2つ目のポツ、そういうことのためにも審査要員の増員といったような体制強化を図 っていただく。そのことによって治験相談、あるいは審査のスピードアップ、治験相談 のタイムリーな実施ということが図られるのではないかと思います。また、最後のポツ でございますが、審査基準のグローバル化と透明化の2)でございますが、今年から抗 悪性腫瘍薬開発フォーラムというものがアカデミア、がん研を中心に開始されておりま す。また同様に、がんではございませんが、医薬品評価フォーラム、やはりアカデミア を中心としまして来年から立ち上げるべく準備が進められております。こういうところ での医薬品の研究開発にかかわる課題のディスカッションをぜひ審査基準、治験相談と いったものに積極的に反映していっていただきたいというように思っております。以上 でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きましてSoCRA日本支部、お願いします。   ○SoCRA日本支部  SoCRA日本支部の山下と申します。本日はこのような機会を与えていただきまし て、ありがとうございます。私はお手元の資料で説明をさせていただきたいと思います。  まずCRCからのがん対策についての意見を申し上げる前に、私どもの団体につきま して簡単に御紹介させていただきたいと思います。私どもは米国に本部を置くSoCR Aという学会の日本支部でございまして、臨床試験にかかわる多様な専門職で会員が構 成されています。職種はCRCに限りませんので、CRC認定は日本において行ってお りませんが、臨床試験専門職CRPとしての認定試験を行っております。  本日はCRCの視点で発表させていただきたいと思っておりまして、その内容を2枚 目の資料でお示ししています。まずは、がんの治療開発における臨床試験の重要性を、 がん治療の特徴から御説明させていただきまして、それにおけるCRCの必要性につい て触れさせていただきます。そして、CRCが抱える問題点と、CRCに対する継続教 育の必要性を最後に挙げさせていただきたいと思います。  まずは、3枚目と4枚目の資料で一般薬の開発とがん治療の開発を比較させていただ いておりますが、まず一般薬は企業が行う第III相比較試験を経て市場に出てきますので、 この段階で新治療は新しい標準薬の一つとして位置づけられるといえます。一方、抗が ん剤では、多くの場合が第II相のデータで承認を得、市場に出てから第III相が行われる ことになります。また、がんの治療は単剤による薬物療法であることの方が少なくて、 多剤併用療法や、薬物療法に手術や放射線治療を組み合わせた集学的治療として行われ ることが主流となっております。この集学的治療のいずれが最も有用かを調べる臨床試 験を企業が行うことはなかなか難しいため、実際には医師を初めとする研究者がその担 い手になっているのが現状です。  5枚目の資料に入りますが、このような集学的治療の臨床試験を正しい結果に導くた めには、綿密な計画のもとに作成されたプロトコルを遵守して臨床試験を行わなければ いけないのですが、日常業務に多忙な医師だけで複雑ながん治療のプロトコルを遵守す ることはなかなか難しく、CRCを始めとする臨床試験専門職の協力が必要不可欠と言 えます。しかしながら実際はCRCの関与は不十分と言われています。そのデータを6 枚目と7枚目の資料でお示ししたいと思います。  そこで私の所属するJCOGというがんの研究グループで行ったCRCに対するアン ケート結果がありますので、それを使わせていただきたいと思います。まず左のグラフ になりますが、CRCにJCOG研究への関与の有無を聞きましたところ、「関与してい る」と答えたのは3割未満でした。そして「関与していない」と回答した方にその理由 を聞いたところ、施設の規定で治験が優先されているために関与することができない、 研究者主導研究には関与することができない、あるいは、業務を限定されているために できない、と答えた方が9割近くいらっしゃいました。これは治験にはCRCが配置さ れているものの、研究者主導の研究に関与するCRCはまだまだ少数に止まっていると いうことが言えると思います。  次に、7枚目の資料に入りますが、こちらではCRCの雇用状況をお示ししています。 左の上のグラフの勤務形態では、フルタイムの方が3/4を占めているのに比べ、左の 下のグラフで雇用形態を見ますと正職員の数は半数を超えるに止まっています。この比 較により、非常勤の立場であって、常勤並みにフルタイムで働いている方の存在が少な くないことがわかるかと思います。右側はSoCRAが行ったアンケート結果ですが、 回答者はCRCに限りませんため、本日は割愛させていただきます。  最後の資料では具体的な問題点を挙げさせていただいております。CRCが非常勤職 員として雇われている場合の問題点は、給与レベルが低いということはもちろんのこと、 1日の勤務時間の制限や、雇用期間の制限があることが挙げられます。また、教育の機 会が常勤の方ほど与えられないということが挙げられまして、これはCRCのモチベー ションの低下につながってしまっていると言えます。また常勤につきましても問題がな いわけではありません。異動による新しい配属先が臨床研究関連部署ではないために、 せっかく何年もかけて積んだ臨床研究に関するキャリアが断たれてしまった、という声 をよく聞きます。CRCの専門性は臨床研究全体にわたるコーディネーションと言えま すので、そのコーディネート力を最も発揮するためには、施設内で顔が利き発言力もあ る常勤スタッフというポストがCRCの雇用形態としては最も望ましいと考えます。  これまでのお話をまとめたものが8枚目の資料の四角の枠の中になります。CRC不 足の原因の一たんは、不安定な身分と充分でない雇用条件にあると考えられますので、 優秀な人材の確保のためには雇用の安定化と処遇の改善が急務と言えます。また質の高 い臨床試験を行うためには常勤、非常勤にかかわらず人材に対する継続教育が大変重要 でありまして、CRCのモチベーション維持という視点でも継続教育は大きな意味があ ると思います。  私どもSoCRA日本支部では、そういった継続教育に対する要望に応えるために、 教育プログラムを提供させていただいております。以上です。ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本対がん協会、お願いします。 ○日本対がん協会  日本対がん協会でございます。本日は日本のがん検診の問題点という観点から若干意 見を述べさせていただきます。資料の19ページから20ページに沿って御説明申し上げ たいと思います。日本対がん協会は東京をのぞく全国46の都道府県に支部がございまし て、そのうち41の支部で市町村が行うがんの住民検診を実施しております。全国の住民 検診に占める割合はそこに示していますが、平均して大体6割から7割程度をカバーし ています。これまでの実績は累計受診者は2億4千万人にのぼっています。発見がん数 は25万人を超えております。  次に最近の受診率の推移を示していますが、平均で20%に達しない状況が続いていま す。さて問題点でございますが、この低すぎる受診率と、後に述べます精度管理の軽視 ということが最大の問題ではないかと思っております。日本対がん協会としましても受 診率向上に向けてさまざまな取り組みをしてまいりました。休日、夜間検診、そこに書 いてあるとおりでございますが、しかし、なかなか目に見える成果が挙がっていないの が現状でございます。  次のページをお願いします。この受診率低調の原因はやはり1998年のがん検診費用の 一般財源化と、自治体の財政難にあると思っております。こうした影響のために検診費 用の個人負担分が増額したり、実施主体である市町村が積極的に広報活動や受診勧奨を しなくなっています。従来行ってきた未受診者への勧奨を中止するというところも出て きています。また最近の介護保険事業の拡大によりまして保健師さんが不足しまして、 がん検診の推進を支えてきた足腰が弱ってきたということも挙げられます。このことは 行政主導型の検診から自己責任型検診への転換ができていないことを物語っていると思 っております。また、日本の検診にはインセンディブが働いていないことも、これも大 きな原因ではないかと思っております。受診者に検診を受けることによって、例えば医 療費が安くなるといったようなメリットがございませんし、実施主体である市町村にも 受診者がふえたことによるプラスαのようなものがございません。  次に精度管理の問題ですが、がん検診事業競争入札が導入され、価格競争が激化して おります。この結果、一定の精度を保つには無理と思われるような価格での落札が目立 っています。また、従来の市町村の窓口が保健衛生部門だったのが、最近は財務部門に 変わり精度管理の重要性に対する認識が希薄になってきております。最近の大合併によ りまして、低い方の検診が拡大するという、いわゆる悪貨が良貨を駆逐する現象が出て きています。これは精度管理のために昨年からスタートしました事業評価制度が十分機 能していないのではないかと思っております。市町村は入札に当たっては検診の質にか かわらず、価格のみで落札されることを防ぐために仕様書に委託基準を明確に示すこと になっていますが、これも十分に実行されておりません。また、都道府県は精度管理上 適切でないと判断する検診機関を、検診実施機関と認めない措置を講ずることができる ことになっていますが、これも余りなされておりませんし、また各自治体の成人病検診 管理指導協議会が、この検討結果を積極的に公表するように求められていますが、こう した措置も十分にとられていないのが現状でございます。  この結果、国民の健康を守るがん検診にゆゆしき自体が起きていることも報告されて おります。福岡県の例でございますが、胃がん検診で検診機関によってはがん発見率に 4倍の差があるという調査結果が発表されました。質のいい検診には当然、価格も高く なるわけですが、3割近くの市町村が精度管理に問題があるにもかかわらず、価格の安 い検診機関にくらがえをしていたということでございます。  こうした現状を踏まえまして最後に提言というか、要望をさせていただきたいと思い ますのは、受診率向上を国の政策としてきちんと位置づけて、インセンティブのある検 診制度の構築が必要ではないかという点でございます。もう一点は先ほども述べました が、検診の質の向上のために事業評価の実効性が確保されるよう、国が本来の役割を果 たすのはもちろんですが、県市町村がそれぞれの役割をきちんと果たすよう強力に指導 していただきたいという点でございます。以上でございます。ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に地域がん登録全国協議会、お願いします。 ○地域がん登録全国協議会  地域がん登録全国協議会を代表して、岡本が報告させていただきたいと思います。資 料は21ページにございます。それから、追加資料として後で配布されました図を御参照 ください。  21ページに従ってまいりますと、第3次対がん総合戦略のキャッチフレーズで、がん の罹患と死亡の激減を目指してということで研究が始まっております。それから来年か ら始まりますがん対策基本法の中で、がん対策推進基本計画、並びに都道府県のがん対 策基本計画の策定、それの見直し、あるいは有効に動いたかどうか、やはり診断するた めにはがんの実態をきちんと把握しておく必要があることだろうと思います。そのため 健康増進法やがん対策基本法の中で、「がんの実態把握」ということを条文化していただ いております。  それから第3次対がん総合戦略の分野7においても、地域がん登録や院内がん登録を 標準化というようなことでサポートをしていただいているところでございますが、地域 がん登録は昭和30年代から始まっているんですけれど、我が国の地域がん登録で測定さ れる罹患数や率の精度は、信頼性を考えた場合には国際的な基準は今のところクリアし ているのは一部の登録数しか過ぎません。その要因としましては、地域がん登録への届 出の法的な裏づけがありませんで、医師や医療施設の篤志で行われていることでござい ます。最近では地方公共団体の一部におきまして個人情報保護条例の縛りで、届出を困 難にしている事例も生じてきております。一方、がん医療の均てん化に関しましては、 がん診療連携拠点病院に認定されつつありますが、その中に院内がん登録の実施が挙げ られております。しかし、多忙な臨床医に負担を強いる形では適正な院内がん登録の実 施は非常に困難であろうと思っております。米国ではがん専門施設の認定要件として、 がん登録に関する専門の資格を持った「CTR」という院内がん登録士、約4千名以上 が認定されて働いておられます。このように院内がん登録や地域がん登録を十分に機能 させるためには、我が国におきましてもぜひがん登録の作業を専門とする、仮称でござ いますが「腫瘍登録士」を早急に養成して、適正に配置していただければと思っており ます。  ちょっと簡単に図を見ていただけますでしょうか。現行では上の図のように、各病院 の診療科別のがん登録のデータがあがってきたり、あるいは小さな病院ですと、がんの 主治医の先生が登録票に記入してそれを届けていただいております。非常に忙しい中、 大変な作業でございますのでなかなか難しいということで、これを下段のように院内が ん登録を充実させまして、そこに腫瘍登録士という方がいらっしゃれば非常にスムーズ に行くのではないかということで、ぜひ御検討していただきたいと思っております。  この地域がん登録や院内がん登録におきましては、非常に個人情報を扱いますので非 常に個人情報保護法等の下で私どもはガイドラインを作成しまして、その徹底を図って おります。それをさらに強固なものにするために、例えば第三者機関がそれを認定する ような形をとっていただけるようなこと、それからがん登録に従事する職員の教育研修 などが十分にできるようなシステムを考えていただければと思っております。  以上をまとめてみますと、がん罹患、あるいは率、あるいは生存率を適正に把握する ためにはこういう院内がん登録、あるいは地域がん登録が非常に重要でございますので、 その手法としましては腫瘍登録士を養成するシステムというものが十分に構築される必 要があるのではないかと思っております。それから院内からとか病院からの届出に関し ましては、諸外国では法的支援がきちんとできておりますので、そういうことを参考に して届出がスムーズにできますように、ぜひ具体的な対策を示していただいて、がん対 策基本計画の中に盛り込んでいただければと期待するところでございます。以上でござ います。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に全がん協の代表として、栃木県立がんセン ター、お願いします。   ○栃木県立がんセンター  栃木県立がんセンターの児玉と申します。どうぞよろしくお願いします。一応、代表 ということですが、現在私たちの施設の状況をお話をして、抱える問題点も御紹介させ ていただければと思います。  御存じのように現在は全国に179のがん診療連携拠点病院が承認されておりますが、 来週の水曜日には新たな施設の認定を行うというように聞いております。このがん診療 連携拠点病院は、先ほどもありましたが、がん医療の均てん化に果たす主たる舞台とい うように認識しております。  次をお願いします。それで私たちの栃木県立がんセンターですが、栃木県は人口は約 200万人で、5つの医療圏があります。ですから、県としては一つの都道府県のがん診 療連携拠点病院と、5つの地域がん診療連携拠点病院を早急に整備していかなければい けない状況にあります。  次をお願いします。これは私たちの診療概要ですが、ちょうど20年前に病院が設立さ れて紹介予約制で、現在は324床で運用しております。病床稼働率が84%ぐらいですが、 実は北関東の私たちの施設はがんの専門病院でもありますが、時期変動がすごく患者さ んの入院につきまして、夏の多い時期は90数%に達するということで、かなり時期的な 患者数の変動というところが一つ大きな問題としてあります。平均在院日数は21日ぐら い。当センターは院内がん登録を設立時より実施しております。それで今年の1月から 外来患者の登録も開始しました。  診療の基本方針は臓器別の診療グループということで、臓器に内科・外科系一緒に診 療しようということで行っています。また、治療方針を決めるときには、多部門のドク ターが集まって治療方針をディスカッションし、実際に診療の経過中には多職種の方に 集まっていただき、いろいろな面からサポートするチーム医療ということを基本的に掲 げております。当センターの場合は検診も少し試みておりますが、一応早期から終末期 までの一貫した診療体制を整えております。  この会でも問題になっておりますが、やはり専門職の積極的雇用ということで、いろ いろと働きかけを行っています。それで臨床試験・治験も積極的に推進するということ で、臨床試験管理室の体制、及び臨床試験の審査委員会も既に5〜6年前から立ち上げ て運用しております。  次をお願いします。これは診療の実績なんですが、大体、外来患者が年間10万人、紹 介率が90%、退院患者さんで約4千人/年間、そのうち、がん患者さんが3,700数名と いうことで、当センターはほとんどの患者さんががんの診療のために入院されていると いう状況です。検査は画像診断と検査部門という形ですが、治療部門としては外科治療、 化学療法、放射線、緩和医療という形で、さまざまな面から診療を行っています。それ で外科については約20名ぐらいのスタッフで各種のがんの診療を行っていますが、化学 療法としては基本的には腫瘍内科、主に消化器、乳腺、婦人科などの固形がんを扱う腫 瘍内科と肺がんを扱う呼吸器内科、及び血液内科。あとはマイナーな科としては各専門 の臓器グループの外科医のドクターが化学療法も行っているという状況に残念ながら現 在はまだあります。あと放射線治療は専門医2名で診療を行っていますし、緩和医療も 緩和ケア病棟と緩和ケアチームをスタートさせて運用しております。  次をお願いします。これは院内がん登録の状況です。先ほどからお話をしましたよう に、当初から行っております。  次をお願いします。これは患者サービスの部門で、病院がスタートしたときから患者 相談を始めておりますが、約7〜8年前から本格的な患者サービス・相談支援ということ を行って、ここに掲げたような形でいろいろ行っております。  次をお願いします。これは実際の相談件数です。資料をごらんください。  次をお願いします。これは栃木県のがん総合対策のモデル案ということで、今検討を 行っているところです。昨年の12月に県がん総合対策検討会を立ち上げて、現在協議を 行っておりますが、先ほどもお話がありましたように、がん患者さんのがん診療連携拠 点病院への集中と分散という形で、県内のさまざまな施設との連携をこれから築いてい かなければいけないというように考えております。  次をお願いします。当センターとしては、やはりがん患者さんへの情報提供、あるい は相談支援が重要になってきますので、それらを集中して行うということで今、体制の 整備を行っている状況です。  次をお願いします。最後ですが、当センターは県立の施設でありますので、やはり県 民の立場を最重要視して考えなければいけないということがあります。特にここに掲げ ましたいろいろな課題がありますが、がん患者さんが求める地域独自の情報をいかに集 めて発信するかというところが、今後の非常に大きな役割ではないかというところを認 識しております。ただ、問題は一番下段に書きましたが、北関東も看護師不足の非常に 厳しい状況にありまして、その中でどうやって安心した医療、診療レベルの一定化、あ るいは向上を保つかということが今後の大きな課題ではないかなというように認識して おります。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本病院薬剤師会、お願いします。   ○日本病院薬剤師会  日本病院薬剤師会の内野と申します。どうぞよろしくお願いします。日本病院薬剤師 会のがん対策に対応した取り組みについて述べさせていただきます。スライドをお願い します。  がん薬物療法を実施していく上で注意が必要な薬剤、あるいは配合変化、休薬期間が 必要な薬剤、あるいは臨床検査値のチェックをしなければいけない薬剤の一覧を示しま した。詳細については略させていただきますが、これらを遵守しなかったため致命的な 事故があることが報告されています。  次をお願いします。これはある大学病院の処方せん中に疑義のあった報告です。図中 の一番上の発行された処方せん8万枚中、真ん中の抗がん剤の処方は3千枚、薬剤師が 疑義照会した件数は131件中、投与量、あるいは投与薬剤の違い、休薬期間の違いなど 28件の処方が訂正されました。このように薬剤師が処方監査に関与することによりリス クが回避された例でございます。  次をお願いします。そのため日本病院薬剤師会では左の理由から、右に示した専門薬 剤師の養成と、図には示しませんが、使用指針の作成が急務と考えました。  次をお願いします。これは昨年作成した使用指針に則った薬剤師による抗がん剤の注 射剤の混合風景です。抗がん剤そのものは細胞毒性があるので、調整者が抗がん剤に曝 露しないようにこのような環境で調整されています。  スライドをお願いします。日本病院薬剤師会では抗がん剤の安全な使用体制を確立す るため、前に述べましたように使用指針をつくりました。さらに、この業務は安全に実 施するためには、図に示した内容を理解し、技術を持ったがん薬物療法に精通した専門 薬剤師の養成が不可欠です。  次をお願いします。がん専門薬剤師の養成事業の内容を示しました。本年度から図中 の左の日本病院薬剤師会が認定事業を管理し、右の病院薬剤師会が認定した研修施設に おいて3カ月の研修を義務づけております。これらの事業に対して幸いなことに国から の補助金をいただきました。  次をお願いします。研修事業の流れを図の(1)〜(6)に示しました。図中の太い矢印で示 しました厚生労働省からいただいた補助金は日本病院薬剤師会が管理して、研修施設の 研修のために活用させていただいております。  次をお願いします。以上、現在進行中の日本薬剤師会が養成しているがん薬剤師専門 制度のまとめを示しました。がん薬物療法に精通した薬剤師とは、図中の真ん中の実務 に精通したがん薬物療法認定薬剤師と、その上の指導的なレベルの高度な専門性を持つ がん専門薬剤師として構築しました。それぞれ右側は活動の内容、左側は認定資格を示 しました。この事業が推進されればより安心で安全ながん患者さんのがん薬物療法が実 施されると思います。  今年度はがん薬物療法認定薬剤師とがん専門薬剤師が誕生します。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本病理学会、お願いします。 ○日本病理学会  日本病理学会の深山です。日本病理学会としては病理診断の重要性について強調した いと思っております。スライドをお願いします。  左の上に病理標本ができるまでの流れを図示しています。いろいろな身体の中から得 られた生検組織を病理標本にして、これをがんか、がんでないかというのを組織診断を しているのが病理であります。病理は組織診断以外にも手術摘出標本の分析であるとか、 術中迅速診断ということで、がんの診断に非常に深くかかわっております。また、右の 方には前立腺がんの組織構築パターンを示しております。前立腺がんのグリーソンスコ アのような組織構築パターンを分析することによって、がんの悪性度診断ということに ついても重要な情報を提供しています。  スライドをお願いします。さらに、左の方には乳がんのハーセプテストを示しており ます。分子標的治療に向けた分子遺伝子解析などが、こうした生検組織に応用されてい くことが予想されます。このように、治療の個別化、自己決定というところにも病理診 断が深くかかわっていくことが期待されております。  スライドをお願いします。実際にがんの罹患数は10年後には1.7倍になるというよう に言われております。これに伴って病理診断も非常に増加されることが予想されている のですが、病理専門医は現在1,900人ということでございます。これがどういう数字か と言うことを、麻酔科医と比較したデータで示してみます。日本・アメリカの人口10 万人当たりの指数です。病理医は麻酔科医の不足に比してもさらに不足している。アメ リカの1/5以下であるということがわかります。  スライドをお願いします。これを二次医療圏で見てみますと、病院20施設、診療所 200施設、病床4床のところに医師数が688、麻酔科医17人ですが、病理はわずかに5 人である。しかも、著しい地域格差があるということが知られています。単位人口当た りで4倍。病院数当たり8倍の地域格差があります。こういうことで病理医を増加させ る施策が必要である。それから現在、中期的な展望としては、集約的な配置と効率的な ネットワークの形成が必要不可欠であるということがわかります。  スライドをお願いします。病理医の増加に向けた対策ですが、長期的には臨床医学に おける病理ということを位置づけるために、病理標榜科を実現することが必要であると 考えています。それから、集約的配置のための促進策でありますが、拠点病院への複数 病理医の配置を誘導するための何らかの政策的な誘導が必要である。診療報酬による優 遇措置なども考慮すべきである。こうした集約的な配置とともに、遠隔病理診断テレパ ソロジーの活用を促進していく必要があると考えられます。  スライドをお願いします。同時に病理診断には非常に専門的な知識が必要です。日本 病理学会では難しい病理診断に対してコンサルテーションシステムを構築しております。 こうしたコンサルテーションシステムへの何らかの資金的な援助などが必要だろうと考 えております。さらに現在、顕微鏡のコンピュータ上で倍率をさまざまに変えるバーチ ャルスコープというものが開発されております。こうしたものを用いてコンサルテーシ ョンシステムを構築することによって、安全で精度の高い診断を確保することが可能に なってまいります。したがって、こうしたバーチャルスコープセンターを設置し人員・ 予算措置をしていくことががんの医療を促進するには非常に重要であろうと考えており ます。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本放射線技師会、お願いします。 ○日本放射線技師会  (社)日本放射線技師会の成田と申します。よろしくお願いします。日本放射線技師 会は診療放射線技師が組織する、会員数として31,500名を抱える、設立は昭和22年の 厚生労働省所管の公益法人でございます。日本放射線技師会は47都道府県に地方技師会 として社団法人格を持つ放射線技師会を持ち活動展開をしておりまして、がん診療に関 しましては検診から放射線治療まで幅広い診療業務を担っております。左上にあります マップが日本放射線技師会のマークですが、右上にありますのが世界放射線技師会とい うところのマークでございまして、日本放射線技師会は世界放射線技師会の中でもリー ダーシップをとって活躍しております。右下は御存じのとおりWHOのマークでござい ます。  次をお願いします。日本放射線技師会の事務局は浜松町の貿易センタービルに構えて おりまして、左上のところに写真がありますが、世界貿易センタービルは非常に古いビ ルでございますけれど、最近のIT化に伴いまして刷新されており、全会員のデータベ ースを地下にありますITサーバーセンターで一元管理しておりまして、生涯学習シス テムを構築しているということになります。また、右上の写真にありますが、教育セン ターという施設も持っておりまして、三重県の鈴鹿市に宿泊施設103室、125名収容可 能とする教育センターを設置しております。この中では超音波実習やRI、CR、X線 テレビ、CT、また放射線治療に用いますリニアックを用いて線量測定を行うなど、実 際の研修を行うことが可能です。こういうこともありまして、WHOからアジア地域で は唯一となります国際放射線技師の研修センターとして指定いただいております。また、 IAEAのトレーニングコースも開設しております。  次をお願いします。我々の本会としての動きですが、御存じのようにX線を発見した レントゲンにちなんで、左側の写真は先月、日経新聞に掲載されたものですが、がん検 診受診を呼びかけようということで毎年行われております。右上のところに日本科学未 来館でのレントゲン週間のイベントということで、乳がん検診はこうやってやりますよ とか、実際の体験をしていただくということを国民に訴えかけているというところでご ざいます。真ん中の下のところはブレストケアという、こちらの会場でも御存じの方は たくさんおられると思いますけれど、乳がん検診をしましょうという啓発運動の中で乳 房のファントムを用いた自己検診のやり方とか、放射線被曝に関するカウンセリング力 を持った放射線管理士という認定をした方を派遣しまして、啓発をしているというとこ ろでございます。またその左側にありますリニアックを用いて精度管理、放射線治療と いうものは非常に精度管理が重要なものでございまして、放射線治療専門技師を中心に して実測の研修を行っているというところでございます。  次のスライドをお願いします。技師会が行うスキルアップ事業としまして、左側のと ころでは他団体との共同認定ということで、放射線治療専門技師、放射線治療品質管理 士、核医学専門技師、MR専門技術者というものを認定しておりまして、また本会独自 に右側の方に示します放射線治療や核医学等検査技能検定を行っておりまして、画像診 断技能に関しての研修も行っております。  次のスライドをお願いします。非常にいろいろなお願いや支援・協力をお願いしたい ところですが、スライドの3点にまとめました。がんの診断治療に関する専門教育の徹 底並びに人材育成の支援をお願いしたいこと。検診制度を向上させるということが非常 に大事だと思いますので、ぜひこの辺をお願いしたいと思っております。また、高度化 する放射線治療の現状把握と安全で安心できる治療を行うために人材配置をお願いした いこと。非常に人材不足ということで、なかなか放射線治療自体も一人で行うところも 多ございますので、必ず2人で行うというツーマンルールを推奨しております。ぜひお 願いしたいと思います。最後に、がん診断や治療に特化した専門技師を認定しておりま すので、研修を受ける機会をぜひ設けていただき、専門技師の活用を推進していただけ ればと思っております。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本ホスピス緩和ケア協会、お願いします。 ○日本ホスピス緩和ケア協会  日本ホスピス緩和ケア協会の山崎でございます。私どもの協会は緩和ケア病棟、緩和 ケア診療加算を届けております緩和ケアチーム、在宅療養支援診療所など、日常的にホ スピス緩和ケアに取り組んでいる臨床の団体であります。  特に厚生労働省の緩和ケア病棟診療施設基準を満たした緩和ケア病棟、現在は163施 設ございますが、そのほとんどが参加しておりますので、そのような意味では現在の我 が国におけるホスピス緩和ケアの経験、知識、実績が最も集約された臨床の団体である というように考えても過言ではないと思います。  さて現在、日本では年間33万人の方ががんで亡くなっておりますが、最近の厚生労働 省と厚生労働科学研究費による国民を対象としたがん終末期の療養場所の選択に関する 調査では、例えば痛みがある末期状態ではホスピス緩和ケア病棟50%、病院33%、自宅 11%。苦痛のない末期状態では、ホスピス緩和ケア病棟30%、病院15%、自宅55%と いう結果でございまして、ホスピス緩和ケア病棟や自宅での療養を望む人が多いという 結果でありました。このような結果を踏まえまして、今後の我が国のホスピス緩和ケア のあり方を考えますと、ホスピス緩和ケア病棟、そして在宅療養支援診療所、緩和ケア チームが緊密な連携を組んで緩和ケアに取り組んでいく必要があると考えます。  スライドをお願いします。これが私どもが考えているものでございますが、今お話を しましたように、緩和ケアを国民の望むような緩和ケア病棟や在宅で提供していくため には、このようなネットワークの構築が必要だろうと考えております。一つは、がん診 療拠点病院、そしてホスピス緩和ケア病棟を有する病院、さらに在宅療養支援診療所、 訪問看護ステーションなどがスライドのように連携を保ちながら患者さん、御家族にケ アを提供していくということになると考えております。しかしながら現実としまして、 がん診療拠点病院、あるいは在宅療養支援診療所等で緩和ケアに関する経験・知識など がまだ不十分なところがございますので、例えばホスピス緩和ケア病棟、在宅療養支援 診療所、緩和ケアチーム等が相互に交流し合いながら研修・教育をしていくことが欠か せないものと考えております。  次のスライドをお願いします。そして、そのためにはどうしてもケアの質の保証とい うことが当然必要になってまいりますので、例えば協会としては緩和ケアの基準、ある いは緩和ケアの質の評価などを実質的に行ったり、あるいは遺族等の調査を行いまして その質の保証を行おうとしておりますが、人材を育成するためには例えば関連団体であ ります日本緩和医療学会等では高度な緩和ケアの教育、そして緩和ケア病棟などでは基 本的な緩和ケアの教育研修等を提供していく必要があると考えております。  以上が私たち日本ホスピス緩和ケア協会からの提言となります。ありがとうございま した。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。次にマンモグラフィ検診精度管理中央委 員会、お願いします。 ○マンモグラフィ検診精度管理中央委員会  マンモグラフィ検診精度管理中央委員会代表の森本でございます。このような機会を お与えくださいましてどうもありがとうございました。本日は我々の委員会、「精中委」 と略しますけれど、活動の一端を御紹介し、後半では現在の乳がん検診の問題点を指摘 したいと思います。  次のスライドをお願いします。このスライドは我が国の乳がん検診の歴史を示してお ります。昭和62年に触診検診の乳がん検診が導入されまして現在に至っているわけです が、この中で平成9年に我々の「精中委」を設置しました。まず、日本乳がん検診学会 の中に設置し、その後、乳がん検診関連の5学会の協力を得て現在に至っています。こ の精中委設立の趣旨は、厚生省がん研究助成金研究班で検討したものを、実際に実践し た検診精度管理システムでございます。  次のスライドをお願いします。これが我々の精度管理システムでございます。主にプ ロセス評価ですが、個人と施設の評価を行っております。個人に関しましては、医師、 技師になるのですが、これは教育研修委員会がやっております。そして施設に関しては、 施設画像評価委員会がやっており、さらにマンモグラフィレビュー委員会というのを最 近立ち上げました。  次をお願いします。10月末現在の認定状況でございますが、読影・技術部門ともに1 万人を超えております。仮にこの数でもって受診率50%、2年に1回をそれぞれが担当 するとしますと、一人の医師・技師が各々2,300人、1,400人の人数をこなせれば良いこ とになります。数の上ではかなりカバーできたものと考えております。  次に、撮影台数に関しましての統計ですが、日本の乳房撮影装置は、実際に3千台以 上ありますが、まだ900台ぐらいしか稼働しておらず、30%ぐらいの認定しか行ってい ないというのが現状です。  次に、これからの精中委の課題ということでまとめました。米国ではMQSAという 法的な規制がございます。我が国では老健法による第65号の通達によって、我々の「精 中委」がかろうじて位置づけされているにすぎません。今後、老健法がさらに健康増進 法になるとするならば、「精中委」等の精度管理システムへの法的な整備を望みたいと思 います。  次のスライドをお願いします。今後の乳がん検診の課題を少し述べさせていただきま す。これは御承知のとおり、欧米では乳がん死亡率が減少傾向にあります。これには2 つの要因が挙げられておりまして、マンモグラフィ検診の普及と標準的治療の推進とい うことでございます。現在、日本の乳がん検診を見てみますと、マンモグラフィ検診受 診率というのは4.6%です。これを50%に上げるには大変な努力が必要だということで す。仮に受診率50%とするならば、現在が110万人のところ900万人の方が受診しなけ ればいけないということになります。  これはアメリカの例でございますが、28.8%から66.9%に向上した事実がございます。 それから学ぶことということでまとめていますが、アメリカと日本とでは違う点がかな りございます。MQSAという法的拘束力があること。施設に対して経済的なインセン ティブがあること。それから受診率に対して財政的な支援があるというようなこと。こ れらの点は、日本でも学ぶべきことではないかと思います。  もう一つ、プロセス評価に関して提言したいと思います。現在、住民検診が主になさ れているわけですが、対策検診の中にはもう一つ職域検診というのがございます。この 職域検診というのが全く精度管理されておりません。  次のスライドを。これは福井県の例をとったものでございますが、検診対象者22万人 で、その中で検診を受けている方が22%います。これは、国民生活基礎調査でわかりま す。これの内訳を見てみますと、住民検診は12.9%、職域検診は5.9%で、住民検診の 約半分でございます。これはアンケートでわかったわけですが、そのほかに診療検診と いうのがございます。現在のところは、住民検診の受診率のみが把握できるわけですが、 ぜひ職域検診に関しても正確な受診率、そういうのを把握できるシステムが必要ではな いかと思います。  次のスライド。これが最後でございますが、職域検診にかかわる法整備が急務である と考えます。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に日本薬剤師会、お願いします。   ○日本薬剤師会  日本薬剤師会の安部でございます。私からは地域薬局や薬剤師会の現状や取り組みに ついて御説明をさせていただきます。お手元の資料、34ページをお開きいただきたいと 思います。  上のグラフでございますが、こちらは処方せんの枚数と受取率の推移でございます。 現在、処方せんの受取率は全国で50%を超え、処方せんの発行枚数も6億5千枚を超え ているという状況でございます。院外処方せんの増加に伴いまして、いわゆる地域薬局 の小規模な薬局におきましても、抗がん剤を調剤するということは非常に日常的な業務 となっておるわけであります。地域薬局では平成9年の薬事法25条の2、施行に基づき まして医薬品の適正使用を確保するために薬剤師が服薬指導ですとか、文書を用いた情 報提供に積極的に実施しておるところでございますが、この取り組みにつきましては抗 がん剤の調剤においてももちろん例外ではございません。むしろ薬の特性を考えますと、 一般の医薬品にも増して服薬のコンプライアンスですとか、副作用モニタリングなど適 切な情報提供が必要になるわけであります。  随分以前には、抗がん剤というのは病名告知の問題があるために情報提供が難しいと 言われた時代もございますが、現在では薬局に処方せんをお持ちになる患者さんのほと んどがインフォームドコンセントを十分に受けており、地域薬局で期待できる効果です とか、副作用について情報提供が十分に可能になってきております。ただし、御家族が 告知を受けておりますが、御本人は受けていないとか、逆に御本人は告知を受けていま すが、処方せんをお持ちになって薬を受け取りになる御家族が知らないというような状 況もたまにはございます。したがいまして、薬局の窓口では主治医の先生からどのよう な説明を受けているかということを患者さんに慎重に確認した上で情報提供をする対応 をとっておりますが、その情報提供の確認が不十分な場合にはときとして薬局から情報 提供の範囲が限られてしまうということもあり得るわけでございます。  そういうことで、今後の課題としましては抗がん剤の調剤に関しましては、患者さん により確実で適切な情報提供を行うために、医療連携の一環として処方医と薬剤師の間 の情報の連携のあり方について今後検討する余地があるのではないかというように考え ております。  続きまして35ページ、次のページをお開けいただきたいと思います。こちらの資料は 今年の9月15日に日本薬剤師会が公表しました「新薬剤師行動計画」というものでござ います。その中から在宅医療と終末期医療への貢献という部分について抜粋した資料で ございます。概略を御説明させていただきますと、まず(2)の在宅医療というところでは、 個々の薬局・薬剤師の取り組みとして訪問看護ステーションなどとの連携の下に、訪問 薬剤管理指導を通じて在宅医療に対して積極的に取り組むということが今後の行動計画 として明記しているところでございます。また、薬剤師会の取り組みとしましては、薬 剤師が在宅医療に対して積極的に取り組むために必要なさまざまな環境整備、それから 啓発資料、マニュアルなどの作成というものが行動計画になっております。(3)の終末期 医療の貢献というところでは、個々の薬局・薬剤師の取り組みとして在宅で疼痛管理に 欠くことのできない医療用麻薬の供給を可能とするために、麻薬の免許の取得をすると いうことがございます。  ここで1ページ戻っていただきまして、34ページの下のグラフをごらんください。こ のグラフは麻薬の取得比率でございます。取得率は少しずつふえておりますが、これま で大きく伸びなかった背景としましては、そもそも麻薬処方せんがそれほど発行数が多 くなかった。それから、麻薬免許を取得した場合に非常に事務手続きとか管理が煩雑で ある。また、麻薬が入手しにくいという状況などがございました。しかしながら、現在 では多くの優れた麻薬製剤が開発されて、在宅での麻薬使用の機会がふえており、また 薬局間での譲渡ですとか、廃棄手続きの見直しなどが検討されております。そういう環 境整備がされているところでございます。  このような状況を踏まえて、日本薬剤師会では基準薬局という制度がございますが、 その要件見直しを行っておりまして、麻薬小売業の免許を取得することを基準薬局の必 須要件とする方向で議論が進んでおります。このような環境整備や基準薬局の見直しに よって麻薬免許の取得が加速するのではないかと期待しております。  最後でございますが、日本薬剤師会はかかりつけ薬局が、その機能として疼痛管理を 含む在宅医療に貢献できるような基盤づくりを目指しております。行政及び医薬品の関 係企業の皆様には医療麻薬の取り扱いですとか、流通、包装形態などについてさらに御 理解と御協力をお願いしたいところでございます。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に四病院団体協議会、お願いします。   ○四病院団体協議会  四病協から参りました日本病院会常任理事の宮崎でございます。よろしくお願いしま す。パワーポイントの資料はございません。  病院団体としては、現在の病院の厳しい経営環境からがん診療に対してさらに資源の 投入をしていただきたいということ、これは当然のことであります。また、緩和ケア等 の人材不足、また現在の医師不足というようなことで、その人材の育成と教育研修、こ ういうことも大事でございます。また病院間で比較できる院内登録システム、やはり一 つにはなかなか整備しにくいということがございまして、こういうことを国として整備 して各病院に配備するような形、あるいは情報を配備するということは必要だと思って おります。あるいは、また連携体制の充実ということも望まれております。  これらの問題というのは今まで既に十分に議論されて進んでおりますので、ここでは 取り上げませんが、本日はその中で身近な問題、具体的な問題2点に絞って意見を申し 上げます。資料1の36ページでございます。まず一つは、緩和ケアチームによる緩和ケ ア外来の兼務の認容についてということでございます。現在、緩和ケア診療加算という ものが診療報酬がついているわけですが、これには医師と看護師が専従であることが必 要とされております。この緩和診療加算に関する施設基準というのが下の注1のところ にございますが、この1のところに「3名から成る緩和ケアにかかる専従のチーム」と いうことでございますが、これは報酬が伴っているものでありますからいたし方のない 条件ではあると思いますが、ただ、こういう人が緩和ケアを院内で行って、緩和ケア病 棟と違いまして、院内ではがんの診療が始まったと同時に緩和ケアが始まるという考え で先に進んでいるわけでございますが、こういう方が退院されたときにそこで緩和ケア が途切れてしまうと。緩和ケア外来が行えないと。ただ、もともとの主治医がおります ので、そちらとコンサルトするような形はある程度は可能ですけれど、なかなか十分な 直接的な緩和ケアの継続ができないということがございます。そういう意味では、やは り少なくとも緩和ケアの部分に関してのみでいいんですが、その緩和ケアを外来におい ても続けていける体制が欲しいと。そういうことで緩和ケアチームによる外来というよ うなものを認めていただければ、非常によろしいのではないかと思っております。  また、地域におきましては在宅の中でなかなかまだ現在、開業医の先生方も緩和ケア に対する理解・能力も十分とは言えませんので、その辺を一つの緩和ケア外来を窓口に して開業の先生方と連携して在宅医療に取り組んでいく必要があるであろうということ で、緩和ケアに関してのみ緩和ケア外来の従事を容認していただきたいということです。  それから2番は、がん診療拠点病院の指定に関して厚生労働省は責任を持って実績の ある病院を指定することということでございます。現在は、がん診療拠点病院というの は県が推薦して、検討会で決定するということになっておりますが、実際の窓口として は地域の保健医療対策協議会等でやるんですが、そこのまたさらに病院等機能部会とい う小さい会議で決めるわけですが、そういうところは今までの経緯でいきますと、ほと んど医師会の先生が委員をやられておりまして、そこで決定権を持っていらっしゃると。 ただ、医師会の先生方はその中でいろいろな機関・施設等と利害関係を持っておりまし て、なかなか実情はわかっていても決めにくいというようなことがございまして、結果 的にがん診療拠点病院としては必ずしも適当とは言えない病院も一緒に推薦するような ことがございます。そういうことが生じています。そういうことは、がん診療拠点病院 というのはがん診療の推進に非常に重要な役割を持っているわけですから、これをきち んと国が責任を持って指定するような、そういう体制をつくっていただきたいというこ とでございます。以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。それでは最後に日本臨床細胞学会、お願いしま す。 ○日本臨床細胞学会  日本臨床細胞学会の加藤でございます。よろしくお願いします。がん対策の推進に関 して私の学会からどのような形で協力できるか提言させていただきたいと思います。  日本臨床細胞学会は我が国におけます臨床細胞学の学術研究の発展を図るとともに、 細胞診専門医の認定、細胞診検査士の認定、そして特にがんの細胞診断実務に従事する 者に対して、細胞診断の教育指導に関する事業を行い、国民の医療と福祉に寄与してま いりました。  次のスライドをお願いします。特に細胞診の意義とか重要性について御高配願いたい と思います。  次のスライドをお願いします。学会といたしまして協力できる点を申し述べたいと思 いますが、この本学会は過去40数年にわたりまして細胞診業務を通じて、がん検診を中 心としました予防医学、及び医療の両面におきましてがん対策に貢献してまいりました。 細胞診はがん検診の中でも最も歴史の深い、子宮頚部がんを筆頭に、子宮体がん、肺が んの分野で重要な役割を担ってまいりました。がんの予防及び早期発見の推進における 細胞診の果たす重要性は、今後もますます高まっていくものと思われますので、学会と いたしましても国の政策に協力体制をとってまいる所存でございます。  次のスライドをお願いします。細胞診は病理検査とは一線を画する独自の診断学とし て発展してまいりました。実際、がんの確定診断上、組織学的検査が不可能な場合にお きましても、内視鏡的な技術及び針穿刺技術による細胞診検査が極めて有用な場合が多 くございます。術中細胞診はがん手術の適切な術式の決定に大変有用でもあります。組 織学的検査に比べ、侵襲の少ない細胞診は繰り返しの検査が容易でございまして、がん 治療効果の判定にも極めて有用なツールでございます。最近では分子生物学的なもの、 例えば子宮頸がんにおけるヒトパピローマウィルス、DNA検査とか、あるいは新手法、 例えば液状細胞診システムの導入などの新しい展開を見せておりますが、さらにはゲノ ミクス・プロテオミクスの導入も注目されておりますが、この新たな展開が見られてお りまして、その重要性は一段と高まっておりまして、より精度の高いがん対策ができる と思っております。  次のスライドをお願いします。このようなことから、がん診療連携拠点病院の整備充 実を考える際に、細胞診部門を充実させていくことが地域住民のがん発見、診断、治療 上、極めて重要なことと思われます。しかしながら現在、都道府県がん診療連携拠点病 院及び地域がん診療連携拠点病院に指定されております179病院におきまして、本学会 による細胞診施設認定を受けた病院は70%ほどに過ぎません。学会としまして細胞診業 務の充実化に取り組み、御協力させていただきたいと思っております。がん対策推進に 対して、よりよきがん診断が施行できるための細胞診の重要性を述べさせていただきま したが、細胞診断を通して御協力できる場を与えていただければ幸いに存じる次第であ ります。  スライドをお願いします。このようなことで、II地域がん連携拠点病院の指定要件の 中に、1診療体制の、(1)診療機能、(1)(注)各医療機関が専門とする分野に、「細胞診 断」の追記を希望するわけでございます。  次のスライドをお願いします。II1(1)(5)地域の医療機関への診療支援や病診連携の 体制、イの中の診断依頼等の()内に病理診断につづいて「細胞診断」という言葉を追 記していただきたく存じます。  次のスライドをお願いします。II1(2)診療従事者(1)専門的ながん医療に携わる医師 の配置として「ウ細胞診断医(細胞診専門医)が1人以上配置されているか、又は他の 医療機関から協力を得られている体制が確保されていること。」を追記していただきたく 存じます。  次のスライドをお願いします。II1(2)(2)専門的ながん医療に携わるコメディカルス タッフの配置の項に「ウ細胞診専門医との共同作業で実施される細胞診断業務を専門と する臨床検査技師(細胞検査士)が1人以上配置されていることが望ましい」の追記を ご高配下されば幸いです。  次のスライドをお願いします。そこで、II1(3)医療施設に「(2)専門的検査室の設置 ア 病理部門が設置されていることが望ましい、イ細胞検査部門が設置されていることが望 ましい」の追記をご高配下されば幸いです。専門的な検査士が関与する細胞診の検査室 が必要であろうということも重要かと思います。  スライドをお願いします。そして、IV都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件につ いて、1(1)に「臨床検査技師」を追加していただきたくお願いをする次第でございま す。そして臨床検査士などを対象とする研修を実施していきたいというように思います ので、がん診断に重要な細胞診に関して御高配をいただき、日本臨床細胞学会としてが ん対策の推進に全面的に支援していきたいと思いまして、本日提言させていただきまし た。どうもありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。以上で学会及びがん医療関係団体、20団体から のお話を聞かせていただきました。皆様方の御協力によりましてほとんど予定された時 間内に収まって、大変ありがとうございました。これから約1時間ありますが、各学会 等に対する質問、あるいは意見交換にこれから入らせていただきたいと思います。委員 の皆さんからどうぞ御自由に御発言ください。 ○海辺委員 おはようございます。きょうは大変貴重なお時間をたくさんいいお話を聞 かせていただいてありがとうございました。まず、全体を通して非常に感じましたのが、 どこでも頻繁に出てきました言葉としては「インセンティブ」、とにかくインセンティブ ということがよく出てきまして、機器の開発でも、治験でも、看護でも、がん登録でも、 検診でも、とにかく今はインセンティブがない状態だからこんなになってしまったんだ ということだったので、まずそのあたりの保険の診療報酬のことですとかそういうこと に関してはもっと具体的にきちんと機能するような体系を考えていかなければいけない だろうなと思いました。  それで、ちょっときょう感じましたのは、やっぱり患者の中では今非常に緩和の問題 とかも大きくなっておりますが、それできょうも緩和に関係する学会の先生方がたくさ んお出でくださったんですけれど、非常に私が感じましたのは縦割りだなというか、そ れぞれが個別に存在していらっしゃるような印象を受けました。患者からしましたら別 に在宅に時期が来ましても、病院で積極的治療を受けている段階におきましても、それ 自体は受け手の側からすれば区別して考えているものではないので、今それぞれに個別 に存在していらっしゃる学会同士がもっと連携していただいて、質の評価とか監視とか そういうものに対しても具体的に指標をつくって管理してくださるようになるといいな と感じました。  それと、あと在宅のことに関しましては、ちょっと今年の7月ごろに朝日新聞か何か で発表されたものが、ペインクリニックの研修か何かで行った調査では、非常に知識が 麻薬の疼痛管理の使い方ですとか、あとはWHO方式のがん性疼痛管理に関してとか、 非常に誤った認識を持った方がたくさんいらっしゃるというようなことが発表されてお りまして、それで私が住んでおります自治体の保険や医療・福祉、病院などの担当者の 方に聞きましたら、やっぱり研修してみたら非常に在宅のがんの疼痛管理をお願いする にはちょっとそのレベルに不安があるということをお聞きしましたので、その部分に関 しましては各学会の先生方が共同でレベルの管理というのを徹底していただけたらなと 思いました。  あとは長くなってあれなんですが、あと検診に関してはやっぱりインセンティブとい うことがあったんですけれど、やっぱり進行がん患者が明らかに多く発生しているよう な地域に関しては、ちゃんと国側が指導に行くとかそういうシステムを管理しない限り はちょっと無理かなというように思いました。  あとは、がん登録に関しましては、先週、患者団体の発表があったときにも非常に要 望する声が多かったんですけれど、登録士などがない状態で現場の先生がやるにはちょ っと項目が細かいと難しいとかいろいろなことが発生すると思いますので、もっと本当 に役立つがん登録のあり方というようなものを考えるということも必要だなと思いまし た。  それで、あと統計をとる項目などに関しては、統計調査のプロとかシンクタンクなど にもどんどん入ってもらって、そういうような活用をしていくべきではないかなという ように思いました。  あと、臨床のいろいろな人材育成に関してもきょうはたくさん出たと思いますが、や っぱり臨床の現場でユースフルな人材の育成ということを第一に考えていただきたいな と思いました。たくさん論文を発表したということだけでなく、たくさん患者さんを診 て本当に患者さんのためになる方の育成ということも考えていただきたいなと思いまし た。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。インセンティブとか診療報酬上の配慮というこ とは確かにいろいろ御指摘がありましたが、これはきちんと記録に留めておいて、埴岡 さんの発表の中にもありましたが、やっぱりがん医療の質を向上させていく上でお金が かかるという観点からすると、やっぱり長期的な課題として記録させていただきたいと 思います。  それから各団体が縦割りではないかという御発言が、あるいはレベル管理をしてほし いという御発言がありまして、これに関して何か御発表された各団体の中で何かござい ますか。江口先生。 ○日本緩和医療学会 今回は重点ポイントをしぼって発表しましたが、実際にはきょう 御出席の小島先生、山崎先生などと教育研修などについて連携を保っています。教育カ リキュラム作成や教育セミナーの実施に際して、企画スタッフの先生方が現実的には関 連学会にも参加しておられたり、普段から交流していたりということがあります。専門 資格などについては今後とも各関連団体と調整に努めたいと考えています。 ○日本医療政策機構 個別の分野で不足している点を強化するといった個別の問題への 対処と同時に、全体の計画性が必要だと思って、分散と集中ということを申し上げまし た。例えば放射線腫瘍の専門医が100人育成されて、それが100カ所に分散されて、放 射線の技師の方は100人育成されたが20カ所に集中して配置されるというようになれば、 ちぐはぐになってしまいます。やはりチーム医療として必要な数を算定していただいて、 いま検討されているたくさんの必要な人材をチームとしてパッケージにして配置してい く。また、資源が限られている間はたくさんに分散し過ぎずに波及効果を生むところに 集中的に投下されて、そこで質の高い医療が行われてその地域に広がっていく。そうい う波及経路を合わせて考えていただければと思いました。 ○垣添座長 放射線治療というのは非常にいいモデルかと思います。今の点に関して放 射線技師会の方は何か御発言はありますか。   ○日本放射線技師会 放射線技師会ですけれど、縦割りということもありますが、最近 は学会横断的にほかの学会と共同認定をしておりましたり、機構をつくって第三者的な ことで専門技師を養成しているという現状でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。では手が挙がっておりました方。先に後ろの方。 ○日本病院薬剤師会 日本病院薬剤師会ですが、私どものがん専門薬剤師の認定事業に 関しましては、臨床腫瘍学会の先生方とがん治療学会の先生方が出題とか、試験問題の 出題、あるいはそういうことに協力していただいて試験問題の出題をしております。さ らに今、研究施設において3カ月の研修に関しましては、非常に日本で今66施設を一応 認定しているんですが、その中でやはりがんの専門医の先生方にやはり必要な講義、あ るいはそういう注意すべき点というものに対して座学で講義をしていただいたりしてお りますので、かなりそういう横断的な養成事業を行っております。 ○垣添座長 ありがとうございます。がん看護学会の小松先生。 ○日本がん看護学会 学会の縦割りということに関しては、看護の方もさまざまな認定 に関して関連学会の方々とのさまざまなサインをしていただくという形をとっておりま す。もう一つ特徴的なのは、看護の場合には日本関係学会協議会というのがございまし て、さまざまながん以外の医療、保険の領域に関した看護に関しての連携がございます ので、そういうことも大事なことの一つかなというように思っております。  もう一つ、人材育成に関しては現場での研修が非常に大事だということで、がん看護 学会が取り組んでおりますがんに強い看護師というものの教育プログラムに関しては、 実地研修というようなことを中心に全体の底上げをしていくということを大事にしてや っていきたいと考えております。 ○垣添座長 ありがとうございます。では山崎先生。 ○日本ホスピス緩和ケア協会 日本ホスピス緩和ケア協会の山崎でございますけれど、 先ほど海辺委員が御指摘されましたように、がん性疼痛などに関しての取り組みに関し ては在宅、あるいは一般病院の中での取り組みはまだ不十分であると認識しております。 しかし緩和ケア病棟などでは日々そのことに取り組んでおりますので、協会としまして も病棟だけでなく在宅療養支援診療所、在宅療養支援診療所は在宅での緩和ケアも任さ れるような制度になっておりますので。それから緩和ケアチーム、そのような方たちに ぜひ協会に参加していただきながら、いわゆるホスピス緩和ケア病棟を一つの研修の場 としまして一緒に交流を図っていきたいと。これから例えば在宅療法支援診療所を開設 して緩和ケアを担っていくのであれば、あるいは緩和ケアチームを育てていくのであれ ば、緩和ケア病棟での一定期間の研修などを義務づけていくようなことが必要かなと感 じております。ただ、実際の緩和ケア病棟での人員配置というのは精いっぱいで、皆さ んも疲弊するぐらい働いておりますので、研修体制のためには行政の施策としてそうい う教育的な人材配置というものを財政的な裏づけをもってしてくだされば、かなりいい 役割を果たせるのではないかと思っております。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。では先に進ませていただきます。ほかに。内田 委員。   ○内田委員 医師会の内田でございます。きょうはいろいろな御意見を聞かせていただ いてありがとうございました。まず最初に厚労省に言いたいんですけれど、この会場は ちょっと聞き取りにくいんですね。音響が悪くて。ぜひ、いい会場を設定していただく ようにお願いしたいと思います。  それから、対がん協会の御発言があったんですが、私もこの検診に関しては非常に危 惧しているところです。受診率が低迷しているということ、それから質の低下。特にこ の質の低下に関しては、平成10年の一般財源化によって市町村の単独事業になったとい うところから、特に集団検診において負のインセンティブが働いているというように考 えています。この辺のところは非常に危惧しております。  それからもう一点は、今回、平成20年の4月から検診保健指導が保険者による義務化 ということになりました。そうすると、基本検診とがん検診が分離されて実施者が異な るということになりますので、これによってさらに受診率が低下するのではないかとい うことを危惧しております。この点に関しまして対がん協会、それから厚労省の対応と いうのをちょっとお聞かせいただければと思います。 ○垣添座長 では、まず対がん協会の関戸さんから。 ○日本対がん協会 ただいま内田委員がおっしゃった点はまことにそのとおりでござい まして、今それぞれの現場でもそのことを大変危惧しております。基本健康診査では若 干のインセンティブの導入が図られるやに聞いておりますので、がん検診でも実施主体 が保険者になるよう望んでいる支部が多くございます。その点はぜひ御検討いただきた いと思っているところです。 ○垣添座長 では、武田室長、お願いします。 ○武田室長 厚労省でございます。がん検診につきましては御案内のとおり20年度より、 老健法に基づくというか、それの世界のものから健康増進法において規定するものとい うように移行していくと。それにつきましても実質的には基本的に市町村で実施してい くがん検診、市町村の努力義務ということは引き続き変わらないということではござい ますが、今、内田委員の方から御指摘がございましたように、それぞれ実施主体が異な るというようなそういう事情も含めまして、さらにそのような複数の種類の検診がござ いますが、それが有機的に非常に受診率を高くできるよう、なおかつそれはとりもなお さず受診者の方の利便性というようなことも考えつつ、そこのところは取り組みであり ますとか、その組み合わせでありますとか、そういうようなシステムというものを考え ていかなければならないというように考えてございます。今現時点におきましては老健 局の方でがん検診の方は担当しているということでございますが、20年度に向けまして 関係の部局におきまして今後は密接に連携をとりながら今後の新しい仕組みというもの に関して考えてまいりたいと思っておりますので、また御意見等をよろしくお願いしま す。 ○内田委員 平成20年度からスタートしますので、時間はそんなにありませんので、ぜ ひよろしくお願いします。もう一点よろしいでしょうか。  きょうは在宅医療とか緩和ケアとかいろいろ話が出ましたけれど、これにはやはり医 師同士の連携、それから多職種の連携というのが非常に重要になってくると思います。 結局そういうチーム体制をしっかり組まないと、地域でのしっかりしたがんに対する医 療提供というのはできないと思いますし、患者さんが地域に帰ったときに非常に不安を 覚えると。そういう選択肢が現実的にはないというところが非常に出てくると思います ので、その点の質の担保という点では医師会もこれから取り組んでいかなければいけな いと思いますが、現状で質・量・コーディネート、何が一番問題があるとお考えでしょ うか。これは山崎先生に。 ○日本ホスピス緩和ケア協会 現状ではすべてが足りないと思っております。現在、33 万人の方ががんで亡くなっておりますけれど、緩和ケア病棟は163施設で、年間約2万 人の方にしかケアを提供できておりません。それから在宅で亡くなっている人も、がん で亡くなる人の約5%ぐらいですから、一般的な病院で亡くなる方が9割近いというの がまだ現実にあるわけですね。しかも、なおかつ緩和ケア病棟、あるいは緩和ケアチー ムでもその緩和ケアの経験を持った人材が不足しておりますので、形はありますけれど 具体的なケアが十分でないということも危惧されているところなんですね。ですから急 務なものは、やっぱり人材の育成だろうと思います。人材の育成があって初めて、地域 の中で患者さんたちが家に戻っても安心して暮らせるということ。在宅療養支援診療所 は24時間体制を求められておりますが、やはり痛みの緩和とか、もう一つは訪問看護ス テーション等のいわゆる多職種間とのチームの取り方ということの、これもまだまだ不 十分でございますので、目に見える形のチームはありますけれど、具体的な場面ではま だ不十分ですから、その辺のところがこれからの課題でございますが、そういう意味に おいても例えば私どものような協会を十分に活用していただければなと思っているとこ ろです。   ○垣添座長 ありがとうございました。在宅医学会の方、何か御発言はありますか。   ○日本在宅医学会 在宅医学会の仙台往診クリニックの川島でございます。在宅療養支 援診療所の前は旧在総診、それから在医緩、在医総というのがありまして、在総診で大 体2万2千カ所、それから在医緩で6千カ所、在医総で5千カ所の診療所が、ダブって はおりますがありました。それで大体12万人ぐらいの方々が亡くなられて、これはがん だけではなく、その他も多く含まれております。その数から割り算してみますと、大体、 在医総と在医緩をとっておった診療所、5〜6千カ所が平均で多分10人ぐらいのみとり を年間していたのではないかというように。みとりだけの話になってしまってどうも済 みません。在総診だけとっていたところは、多分2〜3人ではなかったかというように 考えています。その在医総と在医緩をとっていた診療所が、多分かなりの数が在宅療養 支援診療所に移行しているということから考えますと、それに大体10人ぐらいをかけて、 やはりみとれるような体制が整っているというのは、やはり10万人程度ではないかとい うように考えている次第でございます。  そうすると、これが御存じのように2038年には170万人亡くなる時代になりますし、 意外にスロープの角度が高くなるのがこれから2015年までのこの数年間で急激にふえ ていって、大体2011年から15年までの5年間での平均の日本の年間死亡者数が130万 人を越しますので、それにどのように対応していくか。つまり、がんだけの問題じゃな いということが非常にクローズアップされていますね。それに対して、もし平均10年み とれる診療所が対応するとなると、多分3万カ所ぐらい必要になってしまう。それで、 がんも含めてかなり在宅医療に特化して、在宅医療だけを行っているような診療所が、 我々の算定数では大体全国に数百カ所はあるだろうと。多分200ぐらいだと思いますけ れど、そこの平均値が大体年間20人ぐらいみとっておりますので、すべての在宅療養支 援診療所がうまく機能してくれると、多分15,000〜16,000カ所ぐらいで何とか今度の5 年の医療計画の最後のときには何とかなるのかなと。しかし、そのためには数を担保し なければならない、質を担保しなければならないという、早急な計画がこれから稼動し ていかなければいけないというそういう瀬戸際になっているのではないかと考えており ます。   ○垣添座長 ありがとうございました。 ○内田委員 確かに今お話がありましたけれど、在宅療養支援診療所は実は手を挙げて いるだけで、ほとんど機能していないというところもたくさんありますし、ちゃんとし たチームを組めないで非常に個人的に対応している先生もたくさんいらっしゃるという ように思いますので、その辺の連携のモデルをぜひ全国的に展開するような形で取り組 んでいただければと思います。 ○垣添座長 極めて重要なポイントだと思います。ありがとうございます。では次に角 田委員。 ○角田委員 先ほど、質・量・コーディネート、どれも足りないということで、それで も人材育成が必要だというような御発言がありましたけれど、実際に質も量も足りない ところで人材育成をつくる指導者の確保とか、指導される側の指導を受けるだけの教育 を受けるだけの時間の確保、そういうことは具体的に考えていかないと、それこそ絵に 描いたモチになってしまうのではないかと思うんですが、これについて在宅医療にして も、緩和医療にしても、訪問看護にしても、組織そのものが小さくてなかなかそういう ものを組めないと思うんですが、それについて具体的な人材育成の新しいやり方の提案 をいただけたらありがたいと思いますが。どなたか御意見をいただけないでしょうか。 ○垣添座長 では緩和医療学会の江口先生。 ○日本緩和医療学会 人材の不足は確かに否定できません。緩和医療学会では先ほど御 紹介したように、会員に対する教育セミナーなどと併行して、各地域で核となる人材を 育てることを重視しています。トレーナーズワークショップもその一環です。このワー クショップには医師が主体ですが、薬剤師、看護師など他職種の方も約3割参加してい ます。知識の教育のみならず、教育の方法まで教えるようなプログラムです。ワークシ ョップ経験者が各地で核となって教育を広げるという形を考えています。ただし、専門 医資格としては教える、教わるだけでなく、実習経験が非常に大事になりますので、緩 和医療の中心的な施設を今後認定し、そういうところで実習をするということも資格取 得の実績につなげたいと考えています。  それから先ほどの地域での緩和医療に関した議論のことですが、確かに地域内の緩和 医療がうまくいっているところもあります。それがなぜうまくいくのか、リソースは何 か、サービス内容は何か、というようなうまくいっている理由を分析すべきと考えます。 各地のモデル地区のようなところを選び、そういうところでの特色を、整理して標準化 し、いくつかの緩和医療モデルとして提示する作業を今後はやっていこうと思っていま す。決して全国一律でよいモデルができるわけではなくて、やはり地域特性というのは かなりあると思います。 ○垣添座長 ありがとうございました。どうぞ。小松先生。 ○日本がん看護学会 今、御指摘がございましたように、時間がないところに質と量を 上げていくというようなことは、看護師の場合も随分考えなければいけないというよう に思っております。それで標準化した実際に教育プログラムを算定していくということ は学会の一つの役割だと思っておりまして、今も取り組んでいるところでありますが、 特に既に認定の看護師とか、あるいは専門看護師がいる、それから地域に複数いるとい うようなところが核になっていくということは、具体的に学会で特に看護の関心グルー プというところで寄り集まれるようなところで吸引していくというところも一つの大事 な点かなと思っております。  あとは教育プログラムをコスト少なく、どう提供していくかということは、どの学会 でも大事でして、Eラーニングとかさまざまなものを日本の中で、病院もコンピュータ を持っているわけですからそこで学習できるようなことも考えていかなければならない なと思っております。   ○垣添座長 ありがとうございました。では山崎先生。 ○日本ホスピス緩和ケア協会 人材育成は非常に大変な課題だと思いますけれど、毎日 現実、患者さんがおりますので、少しでも展開していくためにはいろいろな方策が必要 かと思います。例えば在宅療養支援診療所は現在の時点では開業の先生、私もそうなん ですが、一人でやっているところが結構多いわけですね。しかし一般外来の合間に、例 えば在宅を診ていくという形では十分な教育、研修もできません。ですから、例えば在 宅療養支援診療所の中で在宅特化型で、しかも医師一人ではなくて複数以上の医師がい るようなところには、先ほどから出ておりますインセンティブというようなものをつけ て、そしてそこで集中して例えば緩和ケア、緩和医療学会等が提示している標準的な緩 和医療というプログラムができておりますので、そういうことをベースにした形で在宅 療養を展開していくようなことをしていかないと、ただ従来の診療体制のところが在宅 療養支援診療所という制度に乗っただけでは基本的には在宅ケアは進まないだろうと。 例えば訪問看護ステーションが24時間特化して、そして在宅を支えるのと同じように、 在宅療養支援診療所も在宅特化型で今お話をしたように、少なくとも複数の医師がいて 交代で現場を診させて、研修に来たドクターたちに対して同行研修をしていくようなこ とを24時間体制でやっていく。この辺のところを押さえていくことによって初めて展望 が開けるのではないかと。ですから、従来のままでは多分在宅ケアは進展しないだろう と思っております。  そしてまた在宅に特化していきますと、私も昨年10月に開業したんですけれど、大体 今は医師二人の体制で、年間に70〜80人のがんの患者さんたちを在宅で診ることが可能 だと思っておりますので、これは例えば3名体制ぐらいの特化型の診療所になりますと、 年間100名ぐらいのがんの方たちを十分に在宅でみとれる体制ができるんじゃないかと いうように今考えております。 ○垣添座長 ありがとうございました。ほかに。 ○山田委員 がん登録についてですが、がん登録士とか診療録登録士で補助するにして も、恐らくがん登録の基礎データというのは医者がつくらなければいけないと思います。 やっぱりそれに対して労力がそれだけふえるんですね。この間のがんの患者さんの会の 話でも、やっぱり治療成績を公表してほしい、しかもきちんとしたものをという意見が あったと思います。がん登録だけは恐らく何とか労力をふやせばできると思うんですけ れど、治療成績公表にはどうしても生死の確認とか、予後調査が非常に大事なんですね。 この基本法の中では県が予後調査をやることになっているんですが、私どもも治療成績 を公表したくていろいろ予後調査をするんですけれど、それは非常に大変で、恐らく6 割とか7割ぐらいしか生死とかがどうなったかわからないんですね。やっぱり国全体で、 少なくとも生死については、我々ががん登録をある程度担わなければいけないので、そ のフィードバックではないんですが、そのデータを何らかのある資格を持った人だけで も個人情報に注意してフィードバックしてもらう仕組みをつくってもらわないと、なか なかきちんとしたデータが出せないし、インセンティブも働かないのではないかと思い ます。第三者が生死のデータだけで治療成績を出されたときに、自分たちでもそれを再 チェックしてとか、あるいは研究にとってもこのデータは非常に大事なので、ぜひそこ ら辺は国を挙げて予後調査、少なくとも生死についてのデータを還元していただけるよ うな仕組みを、患者さんの要望に応える意味でもつくってほしいなというように思いま す。 ○垣添座長 今おっしゃったように、予後調査が非常に大変であるということは、個人 情報保護法との関連ですか。 ○山田委員 要するに、生存率を出すには生死が絶対に必要ですね。そのデータが現在 はどこからも手に入らなくて、自分たちでしか調べようがなくて、かなり不十分です。 栃木のデータでは不明率が何千人の中で数十人と非常に少ない。ああいうきちんとした データをどこのがん拠点病院でも、治療成績を出さなければいけないところはどこも持 っていなければいけないんじゃないかなと思いますので、その仕組み作りをお願いしま す。 ○垣添座長 ありがとうございました。栃木がんセンターで何か秘訣があるかどうか、 その辺の御発言をいただけますか。 ○栃木県立がんセンター 一つは開院当初からがん登録の意義を職員が十分に認識して きたということがありますが、あとは公的医療機関であるということで、市町村の予後 調査というのが法的にも比較的申請すれば認められやすいということがありまして、そ の辺のところが調査の予後判明率が高いことになっていると思います。その辺が民間の 医療機関ではかなりいろいろ法的な制約があると思いますので、その辺をもっと共通的 に可能な体制を整えることが必要ではないかなと思います。 ○垣添座長 もう一点、地域間登録を全国協議会の岡本先生はいかがでしょうか。 ○地域がん登録全国協議会 地域がん登録全国協議会としましては、がん登録では住民 基本台帳を閲覧させていただきまして追跡調査を可能な限りやるように努力しておりま す。それをできるだけ病院の方へお返ししたいと思っているんですが、実はがん登録は 都道府県の中でも32ぐらいしかやっておりませんで、例えば東京はやっておりませんの で、拠点病院にデータを返すということが非常に難しいと思います。そういう意味では、 国が持っている死亡データを何らかの形で、WISHに載っていますデータを各病院に だれか担当者を決めて、それを閲覧できるようなシステムをこれからつくっていってい ただきたいと思っております。  それから住民基本台帳に関しましては、今年ちょっと変わりまして、非常に審査が厳 しくなっております。それで、先ほど栃木の方でお話がございましたが、申請すれば公 的機関ならある程度OKなんですけれど、やはり公的機関でもお金を取るところもござ います。1件300円を取るところもございます。それで私立の病院ですと、これはなか なか難しいのではないかと思いますので、この点はやはり国の方から何らかの対策を立 てていただかないと、山田委員がおっしゃったように生存率が全く出てこないというこ とになると思いますので、ぜひここら辺をよろしくお願いしたいと思います。 ○垣添座長 今度のがん対策基本法の中には「がん登録」という言葉は入っておりませ んけれど、ただ実質的にはその重要性というのがありますが、今実際問題としていろい ろ問題点がある点は御指摘いただきましたので、これもきちんと記録に留めておきたい と思います。ほかに。どうぞ、田島委員。 ○田島委員 愛知県の現状も踏まえて今の問題について申し上げます。院内がん登録、 あるいは地域がん登録というのは皆さんがもっともっとその意義を認識する必要がある と思うんですね。特に地域がん登録の一番大きな目的はこういうがん対策の効果が本当 にあがっているのかどうか、これを客観的に評価する基本情報、一次予防によって罹患 率が下がったのか、あるいは早期診断治療によって死亡率が下がってきたのか、あるい は治療が改善されて5年生存率が本当に向上しているのか、これは医師の側で解析する のではなくて、第三者が納得できるような解析が必要です。それは地域がん登録、ある いは院内がん登録の情報をしっかり整備されてできることす。そのために一つは人的整 備として腫瘍登録士のような、医師ではカバーできない仕事をする人員の確保が必要で す。それからやっぱりこれは個人情報保護と登録の義務化ということを考えますと、法 的整備はどうしても不可欠になると思うんですね。医療従事者だけでなく、国民の方に もその意義をちゃんと理解していただいて、協力していただく体制をつくるということ が大事になると思います。  ついでに申し上げますと、先ほどから問題になっております検診の問題ですが、これ も愛知県の現場で抱えている問題として、やはり未受診者にいかに検診を受けてもらう か。これは受診率向上以上に大事だと思います。未受診者のがん発見率はリピーターに 比べたらはるかに高いです。そこで進行がんも見つかる。だから、そこに一つはインセ ンティブを設け、検診を受けてがんが早く見つかったら得するんですよということをも っと理解してもらう。特に未受診者に対して地方自治体がより検診の補助を強化すると 未受診者が受診する促進効果があると思うんです。  もう一つは、検診の品質管理が非常に重要で、愛知県でも検診事業そのものの品質管 理をどのように進めていくかということで、アンケート調査をやっており、今後もいろ いろ検討しなければいけないと思います。がん検診の品質管理をぜひ図っていくべきで はないかと思います。  最後にもう一点だけ。パリアティブケアは本当に大事なんですが、そのために先ほど から地域ネットワークが重要であるということがあります。前回の報告にもあったと思 いますが、ボランティア活動が日本でも充実しつつあります。これは患者家族、あるい はがん生還者が非常にふえてきたということだと思います。そういうネットワークの強 化、家族ネットワーク、あるいは地域におけるボランティアネットワークの強化も平行 してやっていかないと、これから10年後のパリアティブケアは、医療従事者だけではや っていけないと思います。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして本田委員、お願いします。 ○本田委員 どうもいろいろ大変勉強になる報告をありがとうございました。それで質 問なんですが、2つありまして、一つはがん検診のところなんですけれど、対がん協会 から受診率の98年からの推移という資料が出ていますが、その次のページに受診率低調 の原因で一般財源化の問題なんかも挙げていらっしゃいますけれど、98年以前もこのぐ らいの低レベルだったんでしょうか。ちょっと不勉強なので教えていただきたいなと思 います。  もう一つ、これは意見なんですけれど、例えば乳がんなんかは若い女性も実は罹患す るということを私自身は余り知らないまま、検診は関係ないと思っていたんですけれど、 最近は検診があることは知っていても怖いから受けたくないという意見がすごく多く耳 にします。若い人も年配の人もそうで、検診を知っているけれど、怖いし知りたくない しと。そういう気持ちの人の背中を押すような何かがあれば、何か特典があるというか、 ヘンな意味ではなくても何かインセンティブというのは本当に必要だなと感じています。 ○垣添座長 では対がん協会の関戸さんお願いします。 ○日本対がん協会 これはそんなに変わってはおりません。若干、がんの部位によって は伸びているものもありますが、ほとんどこの傾向はこの10年ぐらいは変わっていない と思います。  それから先ほどおっしゃいましたが、受けるのは怖いという話、おっしゃるとおりで す。私どもも機会あるごとに、受けることがプラスになる、受けて見つかるということ は助かることなんだということを前面に出して、ピンクリボン活動のシンポジウムやキ ャンペーンのときでも訴えてきましたし、これからもさらに訴えていこうと思っており ます。  それから、がん検診の制度につきましては、せっかくがん対策推進室ができたわけで すから、我々検診の方は老健局の老人保健課が担当していますが、その辺の連携が、先 ほど武田室長から密接な連携とおっしゃっていただいたんですが、さらに深めていただ いて、よりインセンティブが働いて多くの人が受診できるようにやっていただきたいと 思っております。 ○本田委員 もう一つ済みません。もう一つは全体的に伺っていて、緩和ケアにしても、 がん登録にしても、すべて人材、人が足りないというか、不足だということを皆さんお っしゃるんですけれど、それがもう一つ具体的に、特に数字的にどれぐらい必要なのか とか、そういう全体像のようなものがわからない。ただ単に足りない、足りないとおっ しゃっていても、確かにそうなんでしょうけれど、具体的に何にどれくらいの人員がい れば何ができるようになるが、今は何ができないなど、そういうものを一緒に発表して いただければ、より切迫感イメージもつかめたと思うし、解決への方策を考えるきっか けがつかめるのかなと感じました。例えば、12ページに、平均20人をみとる在宅療養 支援診療所がこれだけあればという、こういう数字はとても参考になるんですけれど、 もしそういうものを持ち合わせて、病理医の場合とかいろいろあったら、また別にきょ うではなくてもいいので教えていただけたらいいなと思いました。  あとは人材不足という中でも2つというか、幾つか違いがあるのかなと感じたのは、 そもそもそれに充足されるべき人はいるんだけれど、研修とか教育の機会が足りていな くて不足しているという場合と、そもそもそういう職種、例えば登録士のようなそもそ も規定がちゃんとされていなくて、これからつくっていかなければいけないという場合 には、その解決の方策も違ってきますよね。そういう提案をしていただければよかった と思います。人を病院の中で配置するために財源の問題とかもあるので、不足ばかりが 強調された割には、私の中でもう一つ具体的なイメージが持てなかったので、そういう こともまた出していただければなと感じました。 ○垣添座長 ありがとうございました。今の本田委員の後段の、人が足りない、という ことの具体的な姿ということに関して何かきょうお話をいただいた方で御発言いただく ことはありますか。 ○日本放射線技師会 日本放射線技師会ですが、医師・看護師・薬剤師等に関しては、 例えば処方せんの枚数、あるいは入院患者の数とかで定数が決まってきますが、放射線 技師の場合には定数というのが決まっておりません。例えば放射線治療に配置させられ る診療放射線技師というのは非常に少なくなっております。全国に750施設ぐらいの放 射線治療施設がありますが、その中で放射線治療の質がピンからキリまでございまして、 非常に頑張っているところは高度で安全な医療を提供していますが、下の方に行きます と他の診療をしながら、胃の検査をしながら午後は放射線治療を行うといったような技 師の配置をされております。そういう状況で先ほどからツーマンルールというのを提唱 しておるんですけれど、放射線治療の一つの機械に必ず2人の放射線技師を配置してい ただいて行うというようなことをお願いしております。数というのが放射線技師の場合 には定数が決まっておりませんので、必要数ということでその病院の運営次第となりま す。放射線治療に力を入れたいところは人を配置してますとか、おざなりになっている ようなところは人を配置しないで事故を起こしてしまうというようなことが最近表に出 ておりますので、先ほど質なのか量なのかという話がありましたけれど、量を確保する にはそういう定数をきちんと確保する。質を上げることに関しては、我々も頑張ってお りますけれど、勉強しなさいと言ってもなかなか勉強してくれる人はいない。勉強する 人は何も言わなくても勉強してくれます。そういう方が放射線治療専門技師とか取って いくのですが、例えば免許証の更新制度をこれから議論していくことになれば、質は多 少上がると思いますけれど、専門性を確保していくためにはそういう特化した専門的な 研修をきちんと受けていただくような仕組みを確保していかなければいけないのかなと 思っています。 ○垣添座長 ありがとうございました。では病理学会。 ○日本病理学会 私は先ほど具体的な数値を少しあげさせていただきましたけれど、ア メリカと比べて1/5程度の病理の人数しかいないということです。これをがん対策だ けに限らず、確実に1.5倍化しなければいけないと考えております。この問題は病理学 会でも非常に問題になっておりまして、どのようにして病理医をふやすかということで いろいろ話をしております。まず大きくは医学教育において病理診断の重要性をよく語 っていくことであります。がんの問題についてもそうでありまして、医学教育の中でが ん診療の実態というのがなかなか詳しく語られていないという現状があります。いろい ろな職種の方と連携してがん診療をやっていくんだということが、医学生にも余り知ら れていないのではないかと危惧しております。がん対策の方でも、そういう教育面を多 少考慮していただいたらいいのではないかと考えます。この病理医をいかに増やすかと いう話に関連して一つ考えていただきたいと思います。  もう一つは、さらに私どもが病理医のリクルートに関して議論している間に話題にな ることですが、医学、あるいは病理学というものの重要性というのを、もっと若い時期 から何か宣伝できないかという点です。そういう関連で、人の死というものを高校生以 前の段階で皆がフリーに話をしたりする経験がないんじゃないかということを指摘した いと思います。そういう広い意味でのがん教育というものをもう少し前の方からやって いくことも、このがん対策の中で考えていくべきじゃないかなということ、ちょっとこ れは本題からはみ出ましたけれど、その点を指摘したいと思います。 ○垣添座長 ありがとうございました。最初のヒアリングのときに、文部科学省からも 教育の問題でそのことを触れられておりますので、では、どうぞ。 ○マンモグラフィ精中委 がん検診の話に戻ります。先ほどの日本対がん協会の資料の 中の受診率ですが、2004年(平成16年)、11.3%とあります。しかし過去のデータはす べて視触診検診のデータであり、マンモ検診では4.6%なのです。この辺はちょっと誤 解のないようにしてほしい。実際には、マンモグラフィ検診はこのデータまで行ってい ないということを御理解ください。平成16年からマンモ検診は40歳以上になりました ので、これから受診率はもっと上がってくると思いますが、マンモグラフィ検診自体は 4.6%なのです。ですからマンモ検診の受診率を上げることが必要な訳であります。 ○垣添座長 今のことに関連して、本田委員から乳がんを例にして検診のことを御発言 いただきましたけれど、マンモグライフィの精中委は非常に大きな成果を挙げておられ ますが、先ほどの御質問に対して何かお答えありますか。 ○マンモグラフィ精中委 我々はかなり努力してきた結果、検診のシステム作りという 受け皿は随分できました。しかし、受診率が上がらない。我々にはできないことなので すが、この受診率を上げるための施策作りをぜひお願いしたい。  そしてもう一つ強調したいことは、正確な受診率を知るシステム作りをやってほしい と思います。老健法に基づく検診は、住民検診ですね。これ以外の検診は随分やられて いるわけですが、トータルの受診率を知るシステム作りが必要なのです。 ○垣添座長 それは最もほしいデータなんですが、なかなか手に入らない。 ○マンモグラフィ精中委 そういうシステム作りをぜひやってほしいと思います。職域 検診というのを強調しましたが、同じ厚労省でありながら、住民検診は老健局、職域検 診は昔の労働省の管轄というように縦割りなので、がん対策基本法に基づく精度管理シ ステム作りを望みます。先ほどのがん登録もそうなのですが、法整備がぜひほしいと思 います。 ○垣添座長 ありがとうございました。では山崎さん。 ○日本ホスピス緩和ケア協会 今、本田委員の質問で具体的でないというお話がありま したけれど、若干具体的にお話をしますと、例えば年間33万人ががんで亡くなっており ます。そして、緩和ケア病棟がケアを提供できる方は、全体の約6%ですね。そして例 えばその6%の緩和ケアを担っている緩和ケア病棟が163施設ございますが、その中で 例えば緩和ケアはチームケアが重要なわけですが、専任のホスピス緩和ケア病棟の医師 がいるところと、専任医師がいなくて一般病棟の業務と兼任して緩和ケア病棟を診てい るところがあるという実情なんですね。わずか163しかないのに、具体的にそこで専任 としていないということは、看護婦さんたちの連携が十分にとれなかったりしますので、 そういうようなものが一つ実情としてございます。  当然、そのためには緩和ケアを目指す医師をふやしていかなければならないと思って いるんですが、それは卒前の医学教育、あるいは卒後の研修制度の中でしっかり組んで ほしいんですけれど、実際に医学教育は文科省ですね。そして卒後は厚労省ですね。そ の辺のところもつながっていかないと、なかなかうまくいかないんじゃないかなと。当 然これからがん死はもっとふえていきますので、かなり大胆な緩和ケアに対する施策を していかないと、多くの人たちが不十分な緩和医療、終末医療の中でやっぱり最後を迎 えざるを得ないという現実は当面変わらないんじゃないかなと。それはもう国民にとっ てもとても不幸なことですので、がん対策基本法もありますので、かなり大胆に医学の 卒前・卒後教育に、それから具体的な診療現場に対して予算的な裏づけをしていく必要 があると感じています。 ○本田委員 済みません、一つ質問は、それは緩和ケア医自体もいないし、それを拠点 病院で雇うだけの報酬手当も出せないしと、両方ともないということなんですか。 ○日本ホスピス緩和ケア協会 今、緩和ケア病棟の診療報酬、もうちょっと上がればい いなと思っておりますが、実際は緩和ケア医になる医師が少ないということですね。 ○垣添座長 では大江委員。 ○大江委員 きょうの議論でもいろいろな専門医が不足しているということが盛んに言 われているわけですけれど、少ない専門医の数で効率的な診療をしようと思うと、どう しても他職種の方の協力というのは不可欠だと思うんです。私どもは抗がん剤の化学療 法を専門にしておりますけれど、米国ではメディカルオンコロジストが1万人いて、な おかつオンコロジーナースという職種の方がいらっしゃる。つまり、メディカルオンコ ロジストがデシジョンメイキングをして、こういう患者さんにはこういう化学療法を使 うということはオンコロジストが決めるとして、それを実際に投与するのはオンコロジ ーナースがするわけですね。  それで我が国の状況でも、看護師による静脈注射というのは既に認められております ので、それは法律的には恐らく可能だと思うんです。ただし、そういうオンコロジーナ ースを導入しようというような取り組みが少しおくれているような感じがするんですが、 がん看護学会がこれに該当するかどうかわかりませんが、もし看護師サイドのお考えが あれば御意見をいただきたいんですが。 ○日本がん看護学会 今おっしゃったオンコロジーナースというのは北米の腫瘍看護学 会が認定している人たちだと思います。その方たちは非常に多くの方々でございます。 私ども看護協会が認定している先ほどお話をした認定看護師とがん専門看護師とおりま して、がん専門看護師は大学院教育を受けて、今おっしゃったようなオンコロジーナー スに匹敵するような活動ができる人たちだと思います。それはまだ79名でございますが、 大学院教育は今非常にそこに力を入れてきているということを実態をつかんでおります し、私も従事しておりますので、そこをやはりふやしていくということが急務ではある かなと思っております。  あともう一つは、がん化学療法認定看護師が148名いるわけです。それで、これもか なりの規模でふえていくということがありますが、この認定の教育に関しては学会もサ ポートをしていく必要があると思っております。実際にいる人たちがどの程度役割を果 たしていくかということも、今は調査をしているところでございます。その調査を元に、 どちらかというと診療報酬に匹敵するような技術がどういうものかということを出して きて、そこをきちんとしたものにしていくということが、よりもっと専門的な看護とし てやっていくには必要な部分ではないか、いろいろな裁量権をもらっていくというとこ ろでも必要かなと思っています。今、そういうデータとか経験ということを集積してい るということも学会の大きな事業でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。では埴岡さん。 ○日本医療政策機構 先ほどの各分野で医療支援が不足しているという話ですけれど、 私も全く同感で、これまで不足していたものをたくさん補っていかなければいけないと 思います。そういう意味で、がん診療に対して大巾な投資が必要だと思います。また、 そうした投資は国民へのメリットとして還元されていくものと思います。そして、その 場合にやはりその必要性を社会に説得していく必要があると思います。個別の分野でた だ自分たちの要望数を述べるだけでなく、同時にそれによる効果というものをぜひ訴求 していただきたいと思います。その場合の観点としては、例えば「均てん化余地率」と か、「均てん化による改善度」が考えられます。評価方法としては、例えば人命換算でど れぐらい、QOLの向上でどれぐらい、といった考え方ができます。それから今後シス テムを維持するに当たってそれをやらないとシステムが崩壊するかもしれないというリ スク、そういうもので評価ポイントを付けることもできます。求められる施策を一つひ とつ評価換算すると同時に、関連する施策を施策パッケージとして評価し、実行計画策 定に当たって施策の優先付けを行っていく。そして大切なのは、冒頭申し上げましたが、 がん診療の質を上げると医療費が節約できる側面が多々あるはずであるという点です。 医療資源を100節約したので200の投資を認めてほしい、これだけの投資で均てん化が これだけ進んだ、だからさらに次の各施策や投資をしたい・・・。そういう形で社会に認め ていただいて、がん対策を盛り上げていくというやり方があるのではないかと思います。 ○垣添座長 ありがとうございました。では内田委員。 ○内田委員 先ほどの関連で、病院薬剤師会と薬剤師会の方にちょっとお聞きしたいん ですけれど、薬剤師が薬の専門家として医療の現場にもっとかかわっていく必要がある。 今度は6年制になりますし、専門的な教育がさらに進むと思いますので、そういう点も 含めて医療の現場にさらにかかわってくる。例えば病院での、今は看護師さんが注射剤 を調合していますが、そういう現場に立ち会うとか、あるいは患者さんのベッドサイド に行って薬の説明をするとか、そういうものまで業務を拡大するというようなことが少 し議論になっているみたいなんですが、薬剤師会としてはどういうお考えをお持ちかち ょっとお聞かせください。 ○日本薬剤師会 薬剤師会、地域薬局の場合には基本的に従来は薬局で患者さんをお待 ちして、薬局の中で調剤し、服薬指導をするというのが中心だったわけですが、在宅訪 問管理指導、もしくは介護での居宅管理指導というものに今積極的に参加しようという 試みを行っているわけであります。それで、これはちょっと個人的なことでございます が、昨日私自身も私の地元で終末期のターミナルをおやりになっているグループのとこ ろに行きまして、1年間に十数人の方をみとった先生と、それから訪問介護の方、それ からヘルパーの方、それから私と看護師の方、40人ぐらい集まりまして反省会を含めて 今後どういうような努力をしていくかということでお話をさせていただきました。そこ で、これは私個人で申し上げましたことですが、ぜひ地域の薬局というものが単に薬局 で仕事をするだけでなく、より積極的にそういう患者さんのお宅に伺う。それから医師、 その他のコメディカルの方が薬に関してさまざまな疑問・質問がある場合には、我々の ところにその御質問をいただければいつでもお答えするという形で、今のところはお答 えしています。全体としましても、先ほど申し上げましたように、今後の薬剤師会の新 行動計画の中にも在宅に積極的に取り組むということで、研修会等を積極的にやってい くということでございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。 ○日本病院薬剤師会 日本病院薬剤師会ですが、先ほど御指摘いただきました例えば薬 剤師が服薬指導を、いわゆる病棟薬剤管理指導業務というのは、日本の病院で約8割ぐ らいが今実施されている。服薬指導、あるいは病棟の医薬品管理とかそういうものに関 しては約8割ぐらい。それから注射薬の混合に関しては、注射薬の調剤というのもやは り薬に伴って、いわゆるそろえる方はかなりの部分やって、混合でもやはり20%ぐらい 実施している病院があると思います。ですから、これからはますますそういうようない ろいろな人員の問題もありますけれど、やはりそういう方向で当然、医療の中で参画し ていく。それでもっと言えば、病棟に常駐するという方向が一番方向性としては近未来 にあるんじゃないかというように進んでいくのではないかと思っております。  それから先ほど専門性についてありましたけれど、薬剤師でいわゆる実際に専門薬剤 師というのは今年度制度上誕生しますので、かなりがん治療に対しても薬剤師の活躍と いうのは期待してもらってよろしいかと思っています。以上です。   ○垣添座長 ありがとうございました。大変活発な御議論がございましたが、そろそろ 予定された時間がほとんど目いっぱいになってまいりまして、最後に資料3についてお 話をしたいと思います。これはこれまでの意見交換会で主な論点を事務局にまとめてい ただいたものです。それで委員の皆様には事前に送付しておりまして、12月22日まで に訂正等の御意見があればFAXで事務局宛に連絡いただくということにしております。  それで本日も大変活発な意見交換がなされましたので、次回の第4回の意見交換会に おいてはこちらの資料にさらに本日の議論も加えたものを用意するという予定でおりま す。それで資料3の内容について、この場で何か委員の皆さんで御発言がありましたお 受けしたいと思います。 ○大江委員 よろしいですか。まず、「がん医療について」の一番上のところですけれど、 確かに化学療法とか緩和ケア、いろいろな育成が大切だということなんですが、今日も お話がありましたように、ほとんどの専門医が少ないということで、どこかに余ってい る医者がいるわけではないですね。そうすると必要な医師の総数の見直しを考えなけれ ばいけないと思います。小さなパイをどのように切り分けるかという問題ではなく、そ こが大事ではないかと思います。  それから「がん研究」、2枚目の下のところですが、ここの「治験コーディネーターの 増員」というところですが、先ほどもありましたように、やはりこれは増員だけでなく 優秀な人材を集めるにはそれなりの待遇が必要ですので、増員及び定員化。それからG CPの運用の改善ということですが、ぜひここに「弾力的な」という言葉を入れていた だきたいと思います。  それから、下から3番目の「治験と治療は一線を画し、治験は治療の一環ではないこ とを明確にすべし」、確かにこれはそういう御意見は出ましたけれど、必ずしもこの文言 は私は正しくないと思います。それで、趣旨としては、治験は研究目的であることをよ り明確にすべきというように理解しましたので、その方が望ましいと思いました。以上 です。 ○垣添座長 ありがとうございました。ほかに。海辺委員。 ○海辺委員 私は裏返して2枚目の、「一般国民に対する普及啓発」のところなんですが、 「医療にも限界があることを国民が知ることが必要」という部分なんですが、私は「医 学には限界がある」と非常に思うし、それは本当に患者は理解しなければいけないと思 うんですけれど、「医療」といった場合には非常に、実は今の限界というのは制度上とい うか、政治的な部分で限界が来てしまって、本来、医学の部分では解消できるところが 受けられないというところが患者の不満ですので、ここは「医療にも限界がある」では なくて、「医学にも限界がある」ならいいんですけれど、医療にも限界があるというのは 私はちょっとクエスチョンマークを感じました。 ○垣添座長 わかりました。ありがとうございました。ほかに御意見は。山田委員、角 田委員。 ○山田委員 放射線腫瘍学会からなんですが、この間、患者さんの会の方からも、がん 拠点病院は必ず放射線治療機器の整備と、あとは常勤医をという言葉を入れてほしいと いう話が出て、我々放射線治療医の数は今は少ないんですけれど、恐らくディマンドが ないとふやすのも非常に難しいので、ぜひ「常勤医」という出た言葉をつけ加えていた だきたいと思います。 ○角田委員 先ほど専門医が少なくて、総数の見直しというお話があったんですが、で すから逆に言えばコメディカルの活用ということをもっと強調してもよろしいんじゃな いかと思いました。 ○垣添座長 それでは、まだ御意見もあるかと思いますが、今いただいた意見を取り入 れさせていただいて、この資料3をまた訂正させていただきたいと思います。それから 本日の活発に御議論いただいた分も含めて、次回の資料とさせていただきたいと思いま す。  それでは時間がそろそろまいりましたので、本日の意見交換会はここまでにさせてい ただきまして、最後に事務局の方から今後のスケジュールについて御説明をお願いしま す。   ○武田室長 ありがとうございました。今後のスケジュールですが、次回の第4回は1 月29日の月曜日、15時〜17時までということでございます。会場等これに関しまして はまた聞こえづらくないようなところで考えさせていただきたいと思います。それに関 しての詳細についても後日事務局より連絡させていただきたいと思いますので、よろし くお願いします。 ○垣添座長 よろしゅうございますか。それでは時間がまいりましたので、本日の意見 交換会を終了したいと思います。委員の皆様方、それから貴重な御意見を賜りました20 団体の皆様方、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 (終了)