06/12/14 集中治療室(ICU)における医療安全管理指針検討作業部会 第6回議事録    第6回集中治療室(ICU)における医療安全管理指針検討作業部会 日時 平成18年12月14日(木) 14:00〜 場所 厚生労働省専用第21会議室 ○医療安全推進室長   ただいまから、「第6回集中治療室(ICU)における医療安全管理指針検 討作業部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい 中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。私、医政局総務課の 医療安全推進室長の佐原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今 日の出席者は、中島委員は若干遅れますが全員出席でございます。 議事に入る前に、お手元の資料の確認をお願いします。今日ご議論いただく 資料は、資料1は報告書案です。別添1は集中治療室(ICU)における安 全管理指針案です。別添2は、重症患者のうち集中治療を要する患者の安全 管理指針案です。  それでは、平澤部会長に議事進行をお願いいたします。 ○部会長(平澤)  委員の皆様方、お忙しい中をご出席いただきましてありがとうございます。 前回までの計5回の議論において、集中治療室などの重症患者を取り扱う部 門における安全管理指針の作成を目的として、集中治療を要する患者に安全 に医療を提供するための安全管理指針の作成について検討を重ねてまいりま した。 計5回の議論を経て、ようやく前回、本作業部会の「集中治療室における安 全管理について」の報告書案、前文といいますか、その部分の内容について は概ね承認が得られました。また、今日はそれを踏まえ、別添1の「集中治 療室(ICU)における安全管理指針案」についても議論を始めていただき たいと思います。  はじめに、報告書案の前文の所に関しては、前回までこれについてはかな り時間を割いて議論をしてまいりましたが、前回の議論で概ね承認は得られ ていると理解しておりますが、その最終確認をまずしたいと思います。 では、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○医療安全推進室長   事務局より簡単にご説明いたします。ご議論いただくのは資料1です。平 澤部会長からご説明いただいたとおり、本作業部会の報告書案については、 その方向性については前回の作業部会において概ね承認されたものと考えて おりますが、その後、若干の文言修正を行い、現在のバージョンに至ってお ります。前回の議論の後、細かい「てにをは」等について直しております。 ○部会長   このことについては前回もご承認いただいているところですが、これはこ れで、今回で最終確認としたいと思いますが、何かご意見はございますか。 ○飯田委員   資料1、報告書案の3頁の上から3つ目の○で「科学的根拠となる報告」 とありますが、これは言い回しが少しおかしいので、この趣旨に沿うのであ れば「科学的根拠に基づいた報告」だと思います。 ○部会長  「科学的根拠に基づいた報告」ですね。 ○飯田委員   はい。その下の4−1の1行目に「本指針は、急性臓器不全等の重症患者 を」とあり、その下のポツに解説が書いてあります。これだと誤解を招くの で、本文でもそうなっていますが「本指針は、急性臓器不全を発症している、 あるいは、その可能性の高い重症患者を」としたほうがよろしいと思います ので、訂正をお願いしたいと思います。意味は同じですが、これだと分かり にくいので明確に書いていただきたいと思います。 ○部会長   それでは1つずつご議論をいただきたいと思います。最初は、3の上から 3つ目の○の所ですが、その言い回しはいかがでしょうか。事務局は、そこ の修正はよろしいでしょうか。 ○医療安全推進室長   確認させていただきますと、「安全管理に関連する科学的根拠に基づいた報 告が限られていたためである」ということですね。 ○飯田委員   そうです。 ○部会長   もう1つ飯田委員からご提言があった、「急性臓器不全等の重症患者を収容 して」という所に、下の説明文があるが、ここを「急性臓器不全及び臓器不 全を発症する可能性の高い患者等」と、それでまた「等」が入るのですか。 ○飯田委員   違います。「急性臓器不全を発症している、あるいは、その可能性の高い重 症患者」です。そして、ポツ以下の2行は削除です。 ○部会長   この点についてはいかがでしょうか。 ○武澤委員   これを削除しますと、別添2でも書かれています、経過観察目的だけで入 っている場合の患者が入ってこない可能性もあると思うのですが。 ○飯田委員   それは別添2で検討すればいいのであって、ここに「別添1」と書いてあ りますね。別添1に関しては、それでいいと思います。 ○武澤委員   それでポツ以下は削除していいということですね。 ○飯田委員   そうです。 ○部会長   この点について、事務局、いかがでしょうか。 ○医療安全推進室長   前回までにこのようになりました経緯は、いわゆるICUの中には、基本 的に急性臓器不全を現に発症している患者を主としていて、プラス、その可 能性の高い人もいる場合もあるし、いない場合もあるだろうと。この両者が 並列というよりは、前者のほうに重きがあるのではないかという議論の流れ があり、最初の○で「急性臓器不全等の」と書いておいて、下に注のように 書くと、前回ご了解いただいたと思っております。 ○部会長   飯田委員、いかがでしょうか。 ○飯田委員   それだと不明確ですので、ポツ以下を削除して、本文にはっきり書いたほ うが誰も誤解しない、誰が見ても分かるようにしていただきたいということ です。ここで議論した人は覚えていますが、議論をしていない人には分かり ません。 ○部会長   私が今までの議論を思い返してみると、最初に出たのは、基本的にはIC Uで治療を受けているのは急性臓器不全を発症しているような患者である、 というのがアメリカなどでは定義として成り立っているという話であります。 そうすると、術後でICUに入っている患者で臓器不全を発症していない人 はどうなのだという議論がありました。それに対しては、そういう人は臓器 不全を発症する可能性の高い患者であるから入っているのだということにな りました。基本的には、ICUというのは急性臓器不全を発症している患者 が入る所というので、こうなったのだと思います。それを「及び」で括って しまうと、重さが同じになってしまうので、今の表現になっているのではな いかと思うのです。 ○飯田委員   繰り返しになりますが、そういう議論を踏まえた上で、ICUにはそうい う患者だけではないですよという議論があったと思います。それで最初は合 意したはずです。前回はどういう議論になったか分かりませんが、そういう 文言になったのだとすれば、私は元に戻していただきたいと思っているわけ です。 ○部会長   ほかの委員の方々、いかがですか。 ○武澤委員   私は最初クレームをつけたのですが、臓器不全というのは1つの病態とい うか診断に近いものです。しかし、疾患名ではなく、重症な患者で適切な医 療を提供すれば回復する可能性のある患者を収容するのがICUだと思うの です。患者の重症度と、生命予後から判断して患者を収容するのがICUだ と思うのです。臓器不全とかその可能性と言ってしまいますと、例えば軽症 な急性臓器不全もあるわけですから、それも入れるのですかということにな ります。 ○部会長   それも入っているんです。 ○武澤委員   重症度による入室患者の選択というのはどういうことかと言うと、生命予 後に問題があるが適切な治療をすれば回復する可能性があるというのが、そ もそもの定義だと思うのです。あまり疾患名で限定してしまうと、そこから 外れる患者が出てくるので、重症度は必ず考慮しないといけないと思うので す。軽症の患者は入室適応はないのです。 ○部会長   そこで「重症患者」と書いてあるのですね。 ○武澤委員   ちょっと無理かなという気がします。 ○部会長   ここは今までさんざん議論して、こういうことになったのだと思うのです。 重症度と言っても、その重症度は何で測るのかという議論もありましたし、 SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)でいくかAPACHEでい くのかとか。それは、ここでは前文というか総論的な中ではとても表現に入 れられることではないです。例えばAPACHE score 25以上の重症患者とか。 だから、こういう表現になったのだと思います。 ○織田委員   私も「等」という言葉のほうが広い意味にとれるので、そのほうがいいの ではないかという気がします。 ○部会長   落合委員、いかがですか。 ○落合委員   先生の意見に賛成で、発症している方と発症していないが、発症の可能性 の高い方を同値に置くのは無理があると考えますので、ポツ以下はなしで構 わないと思います。「急性臓器不全等」ですべて言い表わされているのではな いかと思います。逆にポツ以下があるから内容が非常に不明瞭になっている。 だから取ったほうがいいのではないかというのが私の意見です。 ○部会長   今いろいろな意見が出ましたが、落合委員と織田委員は本文は残しておく、 そして説明は取ってしまうという意見ですが、いかがでしょうか。 ○前川委員   説明文は取ったほうがほかのバランスもよくなるのでいいと思います。飯 田委員が言われた「急性臓器不全を発症している、あるいは、その可能性の ある」と。「あるいは、その可能性がある」というのは、サージカルICU的 な要素があると思うのですね、発症していないという形で。ですから「等」 で全部括るのはちょっと厳しいかなと。だからこの付帯文書が付いたと思う のです。可能性のあるという形であればポストサージカルも全部入ると思う ので。飯田委員の言われたことでも特に問題ないと思います。 ○落合委員   同じウエイトで扱うのは無理があるのだと思います。 ○飯田委員   併記しておくというのは漏れないということが大事で、限定してほしくな いということを言っているわけです。同じに扱っているということとは意味 が違います。 ○部会長   同じに扱っているのではなくて、そう書いてしまうと、同じようなウエイ トにとられそうですよね。 ○飯田委員   そう言われるのでしたら、最初の議論で急性臓器不全という言葉はおかし いのではないかという議論があったと思うのです。それで「及び」が入った から、それでよろしいでしょうという議論だったはずです。だったら急性臓 器不全と限定しないほうがいいと思います。当初は重症患者管理ということ から始まったはずです。それであれば私も納得しますが。そういう意味では 武澤委員と同じ考えです。 ○部会長   それだと、この指針全体の前文の中で具体性を持たせるのはなかなか難し いですよね。 ○武澤委員   なるべく大きく包括しておいたほうがいいのではないでしょうか。この議 論はあまり意味がないではないですか、臓器不全がどうのこうのというのは。 重症で回復する可能性のある患者を収容するというようにすれば、不整脈と か臓器移植後の患者も監視が中心ですが生命予後の観点からは、きっちり診 なければいけないわけですし、術後患者も当然に入るわけです。 ○部会長   重症患者だけとするとあまりにも漠然としていますよね。 ○武澤委員   では、急性でなくて、重症でない臓器不全患者もICUに入るのかという 議論になるではないですか。 ○部会長   臓器不全を発症していれば重症なんですよ。 ○武澤委員 そんなことはないです。 ○部会長   いや、そうです。これの元になったのはBuchmanという人の論文で、そ ういう定義が書いてあったのです。少なくとも1つの急性臓器不全を発症し ている患者を、ある程度以上集めてやるところがICUであると。 ○武澤委員   医療上必要なICUとか、病院経営的に必要なICUとか、それから政策 上必要なICUとかがいろいろあります。だから、そのどこに立って定義し ているかを考えなければいけないので、ここでは医療安全の観点からICU を定義し直すのではないでしょうか。 ○部会長   ここで想定しているのは、メディカルなインディケーションがある人を主 に扱っているようなICUを想定しているのではないですか。 ○武澤委員   もちろんそうですけれども、重症度評価も経済的なことが関係するわけで す。もともとAPACHEスコアは、医療効率の観点から出てきているので す。要するに重傷度の高い患者を収容するということでICUの有効利用と いう意味ですから。 ○部会長   そういうことに持ち出すと変なことになりますよ。 ○武澤委員   だから、大きく包括しておいたらどうですかということです。ここでそう いう議論になるのは消耗ですから。 ○部会長   ここは先生が言われるように、議論を一生懸命やってもしようがないとこ ろではあるのですが、「等」でみんな括って、これでいけばそれでいいのでは ないかという意見と、何か事例を挙げるという意見が出ているところだと思 うのです。 ○武澤委員   だから、包括しているということが理解できるのであればそれでいいと思 うのです。 ○石井委員   要するに別添1を説明するために言っているわけですね。 ○部会長   そうです。 ○石井委員   別添1の2頁の上から4つ目の○、網掛けがしてありますが「本指針は、 これらの部門の中でも特に」と。それと次の○、この2つは、結局それと同 じことを言っているのですよね。 ○部会長   こちらのほうは前文を受けて作ってありますのでね。 ○石井委員   だから、これはざっと書いてあって、その中身を、詳しくは別添で説明す る形をとらないと、同じことを2カ所で言ってもしようがないわけですから、 こちらはアバウトな話でいいのではないでしょうか。 ○部会長   いま、そういう意見もいただきましたが。それでは、ここはいろいろ議論 してきましたが、こういうことにしていただきたいと思いますがいかがでし ょうか。  いま言っているのは、報告書案4−1の最初の○の、いま議論になってい るところについての話ですが、「本指針は、急性臓器不全等の重症患者を収容 して、集中治療を提供する集中治療室(ICU)を対象とする」と、「等」と いうことだけにしておいて、その下の所は削除してしまう。そういうことで いかがですか。それでは、ここはそういうことにさせていただきたいと思い ます。 ○飯田委員   私は反対意見を述べさせていただきましたが、そのことを明記しておいて 下さい。 ○部会長   はい、分かりました。ほかに、この報告書案についてはいかがでしょう。 ○前川委員   2頁の2−2の2つ目の○、「集中治療室(ICU)」云々の所の2行目の 最後で「ヒヤリ・ハット事例や医療事故が発生しやすい危険な場所である」 とありますが、ここは「危険な」を取っても文書は通じますので、「ヒヤリ・ ハット事例や医療事故が発生しやすい場所であると考えられる」で、いかが でしょうか。 ○部会長   前川委員の意見は、2頁の2−2の所の2つ目の○の2行目、「医療事故が 発生しやすい危険な場所である」というのを、「危険な」を取ると。これはよ ろしいかと思いますが、よろしいですね。  ほかにございませんでしょうか。 ○織田委員   その上の最初の○の5行目に「各種処置・検査室、手術室病室ではなく『病 室』」と書いてありますが、「手術室」の後の「病室」はいらないのではない でしょうか。 ○部会長   それは誤植でしょうか。「救急外来や各種処置・検査室、手術室ではなく『病 室』と称する」と。「手術室」の後の「病室」というのは、後ろに括弧できて いるのでいらないのではないかと。これは調べさせていただいて、そうだっ たらこれを削除するということでよろしいですか。 ○織田委員   はい。 ○部会長   ほかには何かありますか。 ○前川委員   2頁のいちばん最後の○です。そのいちばん最後の行で「この内容を踏ま えて個々の医療機関毎の実情に応じて実施することを推奨する」。何を実施す るのかという目的がないので、「安全管理を実施することを推奨する」という のはいかがでしょうか。特に上にあるからいらないですか。 ○部会長   実施することというのは、この指針をという意味ではないのですか。 ○前川委員   何か目的語がなくてもよろしいのでしょうか。 ○部会長   ここは前の文章から流れていて、「安全管理指針(別添1及び2)は、医療 機関が、重症度の異なる患者に医療を提供するに当たって、医療安全を確保 するために参考となる内容をまとめたものである」、それを受けて、「この内 容を踏まえて個々の医療機関毎の実情に応じて実施することを推奨する」と いうことで、この安全管理指針ということだと思います。 ○前川委員   分かりました。 ○部会長   ほかにはよろしいでしょうか。特段のご意見がなければ、いろいろご意見 を賜り、これが固まったということで、作業はほとんど終わったようなもの なのですが、これで完成版にしたいと思いますがよろしいでしょうか。先ほ どの文言の微調整については、委員の皆様のご意見をいただきましたので、 部会長と事務局とで調整していただくことがあるかもしれません。でも大筋 を変えることはありませんので、これでご承認いただきたいと思います。  報告書案について承認が得られましたので、続いて、それぞれの指針の内 容について検討してまいりたいと思います。このことについては、今まで細 かい点にまでわたって討論はしておりませんので、今日はこれを討論してい ただくことが主な作業ですので、どうかよろしくお願いいたします。では、 事務局からご説明をお願いいたします。 ○医療安全推進室長   別添1と2をご覧ください。別添1は「集中治療室(ICU)における安 全管理指針案」です。これは急性臓器不全を発症している患者等の重症患者 に対して、集中治療を提供するような集中治療室における安全管理指針とい うことで作成しております。  別添2は「重症患者のうち集中治療を要する患者の安全管理指針案」です。 前者に対して比較的重症な患者に医療を提供している部門を対象としており、 いわゆるHCU(High Care Unit)のようなところについての指針となって おります。  これら2つの指針については、概ね同じ項目立てとなっておりますが、具 体的な内容が異なる部分については両者に網掛けをして、議論がなるべく分 かりやすくスムーズにいくようにと現段階ではしております。これら2つの 指針案は、いずれも前回の検討会において提出した資料を基に、その後、各 委員の方々から寄せられたご意見に従って加筆・修正をしたものとなってお ります。 ○部会長   いまご説明いただきましたように別添1のほうは、いわゆるICUです。 別添2は、それよりも緩めで、HCUという言葉は使っていませんが、IC U以外のところで集中治療を必要とするような重症患者を診る場合の安全管 理指針というスタンスであります。したがいまして、別添1に書いてあるこ とで別添2に書いてないことが幾つかあります。  最初に別添1の「集中治療室(ICU)における安全管理指針」について ご発言いただいて、それが終わりましたら別添2に移りたいと思いますので、 どうかよろしくお願いいたします。別添1に関しては、少しずつはまとめま すが、各項目ごとに意見を出していただき議論をしたいと思います。  まず項目的に、最初の「1.目的」「2.基本的考え方」「3.本指針が対 象とする集中治療室について」、この3つについてご議論をいただきたいと思 います。1の「目的」は、先ほどの前文を受けておりますので、これでよろ しいでしょうか。  2の「基本的考え方」、括弧の中をお読みいただきたいと思いますが、これ も前文を受けておりますので、それでよろしいでしょうか。 ○飯田委員   四角の中の2行目で「一般の病棟における安全管理に加え」という言葉は 必要ないと思います。これは集中治療室の話をしているわけですから、いき なり「集中治療室の安全管理において」で十分だと思います。かえって分か りにくいと思います。 ○部会長   寄せられた意見の中に、これに載っていることでICUに特化したことで はなくて、一般病棟でも当てはまるようなこともあるのではないかというご 意見もあったので、そこの整合性をどうするかということでこういう文言に なっていると思います。それはなくてもよろしいですか。 ○飯田委員   あるとかえって混乱すると思います。 ○部会長   文書的にはどうでしょう。「参考となる内容をまとめたものである。集中治 療室の安全管理において必要な事項について記載する」。そうするとちょっと 言葉が流れませんね。 ○前川委員   この指針全体で、集中治療に特化した部分をかなり書いてあると思うので す。だから、集中治療室の中で一般的なものは基本としてあるという考え方 か、どう取るかなのですけれども。 ○部会長   電気の配線や給水などについては、一般病棟のこととICUのこととでは、 給水などは特に大きく変わるわけではないですが、ここにはリストアップし てあるのです。それはICUに特化しないから外してしまうかというと、そ れも難しいところがあるので、そこを微妙にバランスを取ってあるというと ころがあると思います。 ○前川委員   文言としてはいらないかもしれませんが、少しそういう背景を含んでいる のかなと思って読んだのです。 ○飯田委員   それを始めると、何が一般病棟で、どの部分がICUだということになり ます。当然、一般病棟以上のことをやらなければいけないので、医療を提供 しているわけですから含んでいるわけです。あえて書く必要はないと思いま す。かえって混乱することになる。何が一般病棟と違うのかという話があり ますから、それは書かないほうがいいと思います。少なくとも、ICUでは これはやりなさいということを書いているわけです。 ○部会長   書かないとすると、文章はどうしたらいいでしょうか。「参考となる内容を まとめたものである」。そして、「集中治療の安全管理において必要な事項に ついて記載する」。 ○飯田委員   「参考となる」を後にして、はっきり書いたらいいのではないですか。 ○部会長   ちょっとおっしゃってみてください。 ○飯田委員   「本指針は、集中治療室において」ということをはっきり書けばいいので はないですか。 ○部会長   「目的」の所でも、集中治療室におけるということに限定してありますか らね。 ○飯田委員   それであれば書く必要はないわけです。叩き台の本文を尊重して言いまし たが、重複するとかえって混乱するから削除してほしいということを言って いるわけで、修文は後でしなければいけないと思います。 ○落合委員   特に集中治療室だけに限った内容を書くよということをどこかに明記した いということで、一般の病棟で行われていることは書かないよということを 明らかにしたいわけですよね。「基本的考え方」の四角で囲った内容と、その 下の○がダブっているのですね。全く内容が同じです。だから、何が基本的 に書いてあるのかということがこの四角の中にあればいいので。  もし一文にするのでしたら、「本指針は、重症患者に集中治療を提供するに あたって、集中治療室の安全管理において必要な事項について記載する」と いうのでいいのかなと。その中には、一般病棟の内容は下に○で、この四角 と違うものが書いてあれば分かりやすいと思います。 ○部会長   落合委員から、飯田委員のご提案をさらに拡大したようなご提案をいただ きました。では「本指針は、重症患者に集中治療を提供するにあたって、医 療の安全を確保するために参考となる内容をまとめたものである。」、これだ けでどうでしょうか。 ○飯田委員   結構です。 ○部会長   では、そうさせていただきます。ほかにはいかがでしょうか。 ○飯田委員   いまの所で、2のいちばん最後の○で「患者情報管理システム」という言 葉を使っていますが、これは何を言っているのかよく分からないのです。新 しい用語を使われると、具体的に何を示すのか分からないと思います。  もう1点は、そのいちばん最後に「改訂をしていくなどの対応が考えられ る」とありますが、「考えられる」のではなくて「対応する」と、言い切って よろしいのではないですか。 ○部会長   2つ提案いただいたので順次いきたいと思います。「基本的考え方」の○の 4つ目「患者情報管理システムなどを活用して」、この患者情報管理システム というのは意味ある言葉ではないですか。医療情報というのは、医療情報部 というのがあって一般的な言葉ですよね。飯田委員は、このうちのどこの部 分が全体ですか。 ○飯田委員  「患者情報管理システム」というのは何を指しているのですかと、意味が分 かりませんと言っているのです。 ○武澤委員   ペイシェント・データ・マネジメント・システム(Patient Data Managemnt System)ですから、普通でいうとPDMSです。患者のICUでの診療情報 を集めてそれでデータベース化する。そこからいろいろな情報を抜き出して、 例えば予後に関するもの、医療内容に関するものが分析できる。最終的には、 ICUで起こった事故も含め、また治療内容も含めて検証できるというのが PDMS(ペイシェント・データ・マネジメント・システム)です。今、そ ういうものがないと、ICUの医療の質の管理や安全性も検証できないと言 われています。電子カルテのICU版と考えてもらっても良いと思うのです。 より、安全性とか、治療成績のデータベース化に関して特化していると考え てもらったらいいと思います。 ○部会長   分かりました。その前に、この患者情報管理システムというのは、コンセ プトあるいは言葉としては適切であるということでよろしいのですか。 ○武澤委員   英語を訳せばこうなると思います。 ○加納委員   商品化されたものは「情報」とか「データ」となっているものが多いです ね。英語ではペイシェント・データ・マネジメント・システム、日本語では 患者データ・マネジメント・システムであったり。 ○部会長   同じ意味ですね。 ○加納委員   同じです。ですから、これでいいと思います。 ○部会長   飯田委員、そういうことなのですがよろしいですか。 ○飯田委員   そういうことをどこかに書いておいたほうがいいと思います。 ○部会長   言葉の意味を付けるということですか。 ○飯田委員   はい。 ○部会長   注を付ける形になると、どこに注が付くのですかね。 ○落合委員   手段を特定する必要はないので、そこを全部削って「本指針を運用するに あたって、今後は実際の患者情報を収集・解析して、有効性を検証し改訂を する」と。PDMSを使わなくてもいいわけですので。 ○武澤委員   それは無理だと思います。 ○落合委員   それは手段にすぎないのです。 ○武澤委員   ほかにそういうのがあればいいけれども、今は他にはないのです。 ○落合委員   それを使うなと言っているのではなくて、方法ではなく、ゴールを記せば よいのでは。 ○部会長   中島委員、どうですか。 ○中島委員   私は患者情報管理システムという言葉を英語の略語で言うとこうなのだと 言うことを今日初めて知りました。この指針を読まれるICUに従事される 人たちがすぐイメージできるのであればいいのですが、もし、そうでないの であれば、落合委員がおっしゃられたように、無理に略語を使わなくても、 患者情報を集めてデータベース化して、それを活用して、この指針の改訂に 使うのだということが示唆されていたら良いのではないかと思います。 ○部会長   先生が分からないというのでは、皆さんはなかなか分からないですよね。 ○織田委員   2つ方法があると思います。落合委員が言われたように、この言葉自体を 削るか、あるいは、よく指針とかにあるのですが、この指針を一般の人が読 んでも分かるように後付けで「用語解説」というようなものを付けるかです。 急性臓器不全にしても一般の人にはあまり馴染みのない言葉です。そうした 用語を解説するものを後ろに付けて、これも載せるという形でもいいかと思 います。 ○部会長   先生が言われている一般の人というのは、医療関係者以外の一般の人とい うことですか。 ○織田委員   ICUの専門家ではなくても、医療従事者の中でという意味です。 ○部会長   ICU以外の医療従事者。 ○織田委員   はい。 ○部会長   それを付けるのはなかなか難しいですよね。 ○道又委員   PDMSに関しては、医療業界に定着しているかというと、わりと新しい 言葉なので、注釈は付けておいたほうが親切かもしれません。時代の変遷と ともに削除すればいいと思うのですが。 ○部会長   それほど定着していない言葉をこの中に入れて注釈を付ける方法と、そう いうところは取って一般論化して記述しておくかのどちらかだと思うのです。 ここを「本指針を運用するにあたって、実際の患者情報を収集・解析して、 本指針の有効性を検証し改訂をしていくなどの対応を行うこと」としたらど うでしょうか。「てにをは」がおかしければ直しますけれども。最初に飯田委 員が言われた「考えられる」というのではなくて、もっとそれを積極的にや れというニュアンスも出てきますし、まだそんなに普及していない、あるい はコンセプトとして行きわたっていないという意見もありましたので、落合 委員が言われたように、手段というのはどうであれ、実際の患者情報を収集・ 解析して、要するに検証して改訂していくなどの対応をしなさいよというこ とが書いてあればいいので、そういうことでよろしいでしょうか。  はい、ありがとうございます。そうすると、3はいかがでしょうか。「本指 針が」、これは先ほどの本文のところを受けていますので、よろしいでしょう か。だいぶ○の注釈が次の頁にありますけれども。よろしいでしょうか。  次に4の「医療従事者」に移りたいと思います。ここは項目別に、医師、 看護師、薬剤師、臨床工学技士とあり、あとは職種別ではなく医薬品管理の 責任者、医療機器の管理・保守点検の責任者という6つの項目に分かれてい ます。それについて順次やっていきたいと思います。  まず、医療従事者の括弧の中の総論的なところです。「医療機関は、集中治 療室(ICU)で勤務する医療従事者の労働環境や処遇の改善、および知識・ 技術などの専門性の向上により、重症患者に安全に医療を提供する業務環境 を整備すること」。ここはいかがですか。 ○飯田委員   1行目で「労働環境や処遇」とありますが、人事労務管理はここで述べる 必要はないので、「労務環境の改善」でよろしいと思います。処遇の話はここ でやるべきではないと思います。 ○部会長   当直がすごく多く、過酷な労働条件でやっているのを改善するというよう なものも労働関係に含まれるということでいいのですね。 ○飯田委員   そうでしょうね。 ○部会長   そういうことを皆さんイメージしていたのだと思いますが、どうですか。 ほかには括弧の中はよろしいですか。そうすると、これは横断的に次の、医 師、看護師、薬剤師、臨床工学技士のすべてについて各々検討するときに生 きてくるということなのですが、まず(a)「医師」については、いかがでし ょうか。 ○織田委員   医師の2番目の○で「継続的に研鑽を積む機会を与えること」としか書い てないのですが、看護師では、例えば4つ目の○で、「重症集中ケア」とか「救 急看護」といった、いわゆる資格の要件みたいなものまで書いてありますの で、できれば医師に関しても、「集中治療専門医の資格を得ることが望ましい」 とか、そういう形の文言を。ICUの安全管理指針ということですので、資 格のこともある程度謳ったほうがいいのではないかと思います。 ○部会長   資格を挙げるとして、具体的なものとして日本集中治療医学会集中治療専 門医というのもありますが、例えば、日本救急医学会の認定医もクリティカ ルケアに関してはある程度知っているというところがあるわけです。それか ら日本循環器病学会の専門医も、コロナリーのケアユニットについてのクリ ティカルケアを知っているというところもあるわけです。そうすると、1つ 「等」にしますか。特定の学会の認定医についてここで挙げることは、法律 的というか、問題はどうなのでしょうか。 ○石井委員   法律よりも、いま日本医師会で専門医の見直しというか、整理の話を認め ながらやっていこうということを進行中です。ちょっと待っていただけると 有難いですね。そうでないと、これをほかに全部当てていきますと、リウマ チは何学会が認めるのだとか、常にその話になるのです。それを全部持ち帰 って日医で整理するとなるとどうしようもなくなるのです。生涯教育・生涯 学習というのは当然やるべきことですから、その中で、それぞれのポジショ ンでやっていただくと。そのためにも学会もあると。それはそうなのですが、 最後に保険点数医をどうするのだという話まで結びつきますので、今日この 時点では、ここまででとどめてもらえると。あまりここに書き込みますと、 ほかのセクションでの議論と整合性が、とれなくなる。 ○織田委員   今まではそういうことが、国から出す指針のようなものには謳われていな いという。 ○石井委員   これはそういうことには反映しないということになっていますが、しかし ながら、こういうのが世に出ますと、これが日本の指針ですから。そうする と病院の指導に行ったときに、こうだとか、監査のときにどうであるとか。 そういうことも全部含めますと、ここはこの辺でやっていただけると、私と しては有難いのです。 ○部会長   参考までに申し上げれば、特定集中治療室管理加算を取るための要件の中 には、日本集中治療医学会の集中治療専門医がいるということは入っていな いのです。 ○前川委員   厚労省は専門医を、基本的に進めていく方向なのかどうかですね。その辺 が影響してくると思うのです。今回は入れないにしても、次の改訂では考え るとか、全体の方向性に従うほうがいいと思います。 ○武澤委員   つまり、ICU専門医、日本集中治療医学会が認定した専門医がいるほう が、ICUは安全だと、治療成績がいいという客観的データは日本ではない わけです。 ○部会長   アメリカにはあるのですね。 ○武澤委員   そうです。だけど日本にはないので、それをここに書くのは無理だと思い ます。保険局関連の研究班で、ICUの機能評価のデータをいま取っていま す。そこで、専門医がいる所、認定看護師がいる所は、本当にアウトカムが いいかどうかというデータが出てくるので、この次の改訂にはデータが揃う と思いますので、そのときに反映させるということで、エビデンスのないこ とを言うのは問題があります。いくらなんでも、アメリカのデータだけで日 本にそのまま適用するというのも、問題があると思うので、このぐらいの言 い回しで良いと思います。日本医師会が専門医の整理をどこまでやっていた だけるか分からないけれども、それとは別に、とりあえずこの表現でいいと 思います。 ○石井委員   それは結果で見てもらうしかないので。ただ、日本医学会と今回連動で、 認めながらどうやっていくかという議論をいま進めていますので、それだけ はご理解いただきたいと思います。 ○部会長   次の改訂で云々というのは、これには具体的に書き込まれていませんよね。 ○武澤委員   次の改訂は学会がやるのでしょう。 ○部会長   そこはどうなるか分かりません。分かりませんが、いま皆さんが認識した としても、いまと同じ委員の方が改訂の作業に就かれるかどうか、私も含め て全然わかりません。議事録は残るのですか。 ○医療安全推進室長   はい、残ります。 ○部会長   では、議事録に残るということで。 ○飯田委員   議事録ではなくて、科学的根拠に基づいた報告に基づいて見直しをすると はっきり書いてあるのですから。 ○部会長   具体的な内容についてですよ。 ○飯田委員   いや、それは決めてはいけないのであって、データに基づいてどこを変え るかというのは、その後の方が決めるわけで、ここで決めてはいけない。 ○部会長   それを前川委員は、次回にやっていただくように提案をなさったので、そ れを文章として残すかどうかということです。それは前川委員のご意見が議 事録に入っていれば。 ○前川委員   議事録に入っていれば。この中に残すのは難しいと思うのです。 ○部会長   では、「医師」のところはよろしいでしょうか。次は(b)「看護師」のと ころです。道又委員、これをお読みになってどうですか。 ○道又委員   ICUに関しては、これでよろしいと思います。 ○部会長   ICUに関してはというのは。 ○道又委員   この網掛けの所が別添2では外れるので、別添1では、この文言で問題に なるところはないと解釈しています。 ○部会長   ほかの委員の方々、ご覧になっていかがでしょうか。 ○落合委員   ガイドラインというのは、いちばん最初に「集中治療室(ICU)」と謳っ てあっても、それを毎回繰り返してずっと書かなければいけないのですか。 読んでいてうるさくてしようがないのです。1回定義してしまえば、あとは 「ICU」ではまずいのでしょうか。 ○部会長   どうなのでしょうか。それは自ずからスタイルというものがあると思いま すので。 ○医療安全推進室長   委員の方々がそれでよければ問題ないと思います。 ○部会長   それでいいですか。 ○落合委員   はい。 ○部会長   その辺は、あとで文言を整理させていただきます。「看護師」については、 道又委員もご意見はないということですが、これでよろしいですか。 ○落合委員   単純な日本語ですが、網掛けの「常時患者の重症度等に応じて」と書いて ありますが、この「常時」というのは、「1人以上常時配置する」か何か、配 置にかかってくるので、どこか適切な場所に移していただければと思います。 ○部会長   そうすると、「患者の重症度等に応じて患者2人に対して看護師1人以上常 時配置すること」のほうがいいですか。 ○落合委員   それが日本語としては正しいかもしれません。これだと、常に重症度を調 べるから、それに応じてということになります。 ○部会長   分かりませんからね。「常時配置すること」でよろしいでしょうか。  それでは、次の(c)「薬剤師」です。内野委員、ご意見ありますか。 ○内野委員   これでよろしいかと思います。先ほどの「常時」というのと「専任」とい うところの区別、そこのところがよく分かりません。看護師のところの2つ 目の○で「当該集中治療室(ICU)勤務に専念できるよう専任すること」 とあります。ここで「常時勤務」するというのは、日本語的にどう違うので しょうか。こちらの場合は、ICUに薬剤師が常に1人いるという読み方で すよね。上の「常時配置」するところは、常時2人いて、そのうちの集中治 療室勤務に専念できるよう専任することというのは、そこの部分は看護師の 2つ目の○と、この辺の文言は合っているのかなという。 ○落合委員   専任というのは、特定の人をそこに割り当てるのであって、常時というの は誰でもいいからそこにいるということです。だから、あなたはICUだけ だよという。 ○内野委員   ICUしか勤務しない人が常時1人いるという考えが、看護師の読み方で すね。 ○落合委員   薬剤師のほうは誰でもいいから常にいろという、そうとしか取れませんね。 ○内野委員   そういうように読むのですね。分かりました。文言としてはよろしいかと 思います。 ○部会長   後でいくつかの所で問題になるので、ここでも委員の方の意見をお聞きし ておきたいのです。薬剤師の大きい○の下に黒ポツが2つ並んでいます。つ まり、この頁の下から5行目に「望ましいが」というのが、ほかの所でも「こ と」とか「望ましいが」というのが出てくるのです。先ほどいろいろ打合せ をしておりましたが、「望ましいが」というのが、「何々することがより望ま しい」というか、”preferable”であるということなのか、少し無理だけれども そういうことが”if possible”ならやってもらいたいという意味なのか、どっち なのかという意見があったのです。そのことについて各委員のご意見を伺っ ておきたいと思うのです。  例えば、次頁の臨床工学技士の所でも、「臨床工学技士が関与することが望 ましい」というのが、より望ましいということなのか、希望的にそうしてい ただくことを、このあれでは提案しますということなのか、少しはっきりし ないようなところがあるのです。事務局では、この辺はいかがでしょうか。 ○医療安全推進室長   私どもの理解では、例えば、次の臨床工学技士の最初の○ですと「臨床工 学技士が関与することが望ましい」となっており、それ以外の所は「するこ と」となっております。これに比べると、現実性はいまの現状からするとな かなか難しいのだけれども、もしできればと、部会長が言われましたが”if possible”、もしできるのだったら、これができると更にいいのだけれどもな というニュアンスであって、まずこれをやれということではないのではない かというように理解しております。 ○加納委員   人数を豊富にすると、望ましいではなくて断定的でもいいと思うのですが、 現実問題はいま言われたように、少ない人数でやっている所が多いので。本 当は常時。これも専任がいちばんいいのでしょうけれども、専任というほど 人数もいないし、必ずしも専任でなくてもいいかもしれない。でも誰かいな ければいけない。やはり緊急対応ができないだろうということがあるわけで す。それでも、常時いることも更にできない場合でも、オンコールでも院内 から駆けつけてこれる。そういうことで、望ましいという表現にしてあるの です。 ○部会長   臨床工学技士のところまで実際には議論が進んでいないのですが、薬剤師 のところでも「望ましい」というのは、もし可能ならばそうしていただきた いよという意味なのか、こちらのほうが、よりあるべき姿ですよと言ってい るのか。 ○加納委員   それは、あるべき姿という意味だと思います。 ○内野委員   あるべき姿は、常時いたほうがいい、と私は読んでいるのです。そうしな いと非常に消極的です。何か、どちらでもいいという形になって。 ○部会長   はっきりさせておいたほうがいいと思います。落合委員、何か。 ○落合委員   ICU学会でガイドラインを作ったときには、やはり断定している言葉と、 推奨するという言葉と、望ましいという、この3段階の意味を最初に謳って あります。もし用語を使い分けるのであれば、メインの報告書案に、表現の 意味をきちんと定義しておいたほうがよろしいかと思います。 ○前川委員   研究班で作らせていただくときに、いちばん強いのは「べきである」、それ から「する」、それと「望ましい」という使い分けをいたしました。現実的に 無理なことを「べきである」とはできません。ですから、現状を踏まえなが ら言葉の使い分けをしたわけです。いま落合委員が言われたように、どこか にそういうことをきちんと入れておいたほうが、読まれる方は分かりやすい と思います。 ○部会長   事務局ではそういうことはどうでしょうか。 ○医療安全推進室長   ご指摘のように注釈を付けたほうが良いというご意見ですので、そういう ようなものを入れてはと思います。もし入れるのであれば、例えば別添2の 安全管理指針の「基本的考え方」の最初の四角の下に○があり、ここに「本 指針は、参考となる内容をまとめたものである」と。その下に、なお、望ま しいと書いてある場合については、現状から鑑みてすぐにはなかなかできな いものを、そういうふうに書いているといったような注を付けるということ ではいかがでしょうか。 ○前川委員   こういうガイドラインを作りますと、いざ裁判とか、いろいろなことが起 こってきたときに、その文書の解釈をどうするのかというのがかなり大きな 要素になってくる可能性があると思うのです。ですから、わざわざそういう 使い分けをしたのです。ですから、きちんと定義をしていただいたほうがい いと思います。ガイドラインというのは非常に微妙で、現場が良くなること を目的に作っていますが、独り歩きすることがありますので、どうかよろし くお願いします。 ○部会長   そういうことにしまして、先ほどのところに戻ります。内野委員、薬剤師 のところはそれでよろしいですか。  では、次の臨床工学技士の最初の○の「臨床工学技士が関与することが望 ましい」は、この表現でよろしいですか。 ○加納委員   人数的なことで先ほどの話と同じで、実際問題は全部関与しているわけで はないという現実もありますし、「望ましい」ということでいいかと思います。 ○部会長   望ましいというか、将来はそうしてもらいたいということですね。 ○加納委員   そうです。将来はこうしてもらいたいと。 ○武澤委員   ということは、今はなくてもいいと。 ○加納委員   なくてもいいというか、現実がそうだということです。実際にICUで、 常にこういう生命維持管理装置の操作は全部臨床技士がやっているわけでは ないし、現実を見ると望ましいということで、将来的には。 ○武澤委員   病院経営が難しくて、患者は危険にさらされていて、その中で経営を圧迫 してもなおかつ臨床工学技士を配置するのが重要であれば、「望ましい」とい うことはとても強い意味になるわけですね。患者の安全に影響がなくて、な いよりはあったほうがいいという話だったら、つまり推奨のレベルは低いわ けです。クリニカルプラクティスガイドラインのときには、必ずエビデンス の強さに基づいて推奨の度合が決まってくるわけです。けれども、医療安全 の場合はエビデンスがないから難しいわけです。それをどうするかというと、 普通はコンセンサスカンファレンスといって、専門家が集まって、エビデン スがないことを前提にして、どの程度みんなが推奨するのかでレベルを決め るわけです。レベルの1からレベルのどこまで分けるかは知らないけれども、 高いレベルのリコメンデーションなのか、あったほうがいいぐらいのリコメ ンデーションか、本当はこういう会議で合意しなければいけないのです。そ れをしないと表現がバラバラになって、根拠も曖昧で、合意も形成されない で、単なる言いっぱなしの無責任なガイドラインになってしまいます。先ほ ど厚労省の方が書いてもいいとおっしゃったけれども、どの推奨レベルでど う表現するかを決めておく必要があります。私の質問は、推奨のレベルづけ をするのですかということです。 ○部会長   でも、推奨のレベルづけをするのは、エビデンスがないとなかなか難しい ですよね。 ○武澤委員   合意でもいいと思います。これだけの専門家がいるのですから。 ○部会長   ここをエキスパートオピニオンのエキスパートの集まりとすれば、それは それでいいのですが。 ○加納委員   私は、レベルの高いものと思います。どちらでもいいということではない です。 ○武澤委員   ということがわかるように、ステートメントが表現されないといけません。 ○加納委員   そういうことです。生命維持管理装置に関するトラブル処理は、はっきり 言って医師、看護師にはできないと思います。トラブルのものにもよります が、機械的なものであったらまずできないと思います。能力がないと。 ○武澤委員   オペレートもできないでしょう。 ○加納委員   オペレートもあやうい人も多いので、私は高いレベルで望ましいだろうと いうことです。 ○部会長   先生方、手元にこれがありますよね。これを見ていただけますか。これは 落合委員も入っていらして、日本集中治療医学会で策定したもので、2002年 に発表されたものです。それの後ろの1頁目の右側に、「指針における述語表 現について。指針では主として『であること』、『推奨する』、『望ましい』と いう3段階の表現を用いた。厚生労働省基準や日本集中治療医学会の専門医 認定施設基準に記載されている内容のほか、集中治療用語として最低限必要 な条件である場合には『であること』といった断定的表現を用いた。設備の 購入は日本規格協会などにより義務づけられているものが多く、これらは『で なければならない』などの断定的表現とした。最低限必要とまではいかない が、患者の安全性や治療の確実性などを確保するために強く望まれる条件に は、『推奨する』という表現を用いた」。「望ましい」という表現は、3段階の 中でいちばん軽いというか、あれですよね。 ○加納委員   そうですね。「推奨する」ぐらいがいいのかもしれません。 ○部会長   その前に総論的なことで先生方にお諮りしたいのですが、そういう表現に、 この安全管理指針のすべてのところを書き直すかどうかですよね。 ○飯田委員   この2002年の提言は私は理解できないというか、一般の考え方とは違いま す。この説明の「推奨する」は、かなり強い表現です。「推奨する」というの は、そうではないです。この提言はおかしいと思います。だから、この意味 で使われたのでは困るわけです。ですから「望ましい」がいいと思います。 順番がおかしいです、普通の日本語ではこうは使いません。 ○落合委員   ハードウエアのガイドラインを作っていますが、それは定義すればいいわ けで、「推奨」が「望ましい」より強いか弱いかはどこにも書いていないわけ で、それをどこかできちんと定義してあげればそれでよろしいかと思います。 国語の授業をやっているわけではないので、そういうことではないでしょう か。先ほど武澤先生がおっしゃったみたいに、この中で皆さんが合意して、 レベルを3つぐらいにして、その強さを何らかで表わせばいいのではないか という感じがします。 ○部会長   それは、かなり大変な作業を伴う提案をしていただいているのですが、先 ほど私が問いかけましたように、この一つひとつの項目にグレード・オブ・ リコメンデーションを定義して、語尾をそれでいちいち改訂して、きちんと したものにする作業をこれからやるかということと、私としてはこの作業部 会の冒頭で申し上げたように、今までこういう形で厚生労働省や我々専門家 が寄って指針を作ったことはありませんでしたので、「望ましい」と「こと」 の2つぐらいの表現で、「こと」と「望ましい」では、「望ましい」のほうが 軽いですが、そういうニュアンスでやっていくかということについて、まず 方針を決めたいと思います。それは、これからの作業量をかなり左右します。 1つは、例えばAHAの2000ACLSガイドラインのようにガイドラインと 言う以上は、エビデンスに基づいているということでたくさん書いてあって、 後ろにグレード・オブ・リコメンデーションのA、B、C、D、Eと書いて ありますが、これは医療内容ではなくて、なんとなくフィロソフィカルのも のも含んでいますよね。そういうのをエビデンスで裏打ちというのは、なか なかできないと思います。 ○石井委員   私は、このままでよろしいのではないかと思います。というのは、例えば 臨床工学技士という項立てを今回やりましょうということで、皆さんで合意 してやったわけですよね。それが、とても大切なことではないかと思います。 仲間ですと、ここに入るわけですから。まずその段階から、その次にこうあ るべきだというレベルが来るのではないでしょうか。 ○部会長   どうでしょうか。第一報ですからね。 ○加納委員   そう思います。 ○部会長   そうすると、先ほどの提案をまた修正して、基本的な考えのところにグレ ード・オブ・リコメンデーションの説明はしないことにしまして、「望ましい」 と「こと」ということで作業を進める。認識としては「望ましい」というの は、先ほど事務局の方がおっしゃったように、インポッシブルという意味で の望ましいということであるという認識でいきたいと思いますが、それでよ ろしいですか。 ○落合委員   先ほど前川委員から、活字になってしまうといろいろ法的な強さが出てき てしまうような可能性を指摘されましたが、それは今回、私たちとしては扱 わないということですね。 ○部会長   とにかく、そういうことであれしていただきたいと思います。そうすると 加納委員、(d)臨床工学技士のところは内容的にはよろしいですか。 ○加納委員   はい。これは私がほとんど文案を作ったので、むしろほかの先生方がこれ を認めていただければ、私としては、これがいいと思って作りました。 ○武澤委員   「こと」というのは、絶対的にやらなければいけないことだということで すね。ということは、かなり強い強制ですが、それでいいのですね。「こと」 というのがたくさん入っていますが。 ○部会長   ただ、これはもっと元に帰れば、参考にしてくださいと言っているわけで すから。 ○武澤委員   ガイドライン自身はね。法的なものは、そんなに気にする必要はないと思 います。 ○部会長   だから、元に戻れば参考ということの位置づけですから、それはいいので はないですか。 ○武澤委員   本当に、これだけ「こと」と強制する項目の多い指針になっていいのかと いうことが1つ。  それと、ガイドラインでいちばん大事なのは、リコメンデーションのレベ ルを決めるところです。外国でガイドラインを作る時も、エビデンスがない 時はすごい時間をかけるわけです。皆さんの意見を聞きながら、パブリック コメントを聞きながらやるわけで、それを例えば1日か2日の2時間の会議 で決めて本当にいいのか疑問を感じます。もう少し時間を費やして、よく吟 味しないと。しかも、これだけたくさんの「こと」という言葉を本当に出し ていいのか。エビデンスがなかった場合に、どういう合意を取ったのですか ということが議事録の中に残っていないと、「これでいいですか」「はい」「じ ゃあ、意見がありませんから次にいきましょうか」で、本当にいいのかと。 とても問題があると思います。 ○部会長   2時間とおっしゃるけれども決して2時間ではなくて、先生方にお配りし てご意見を求めてまた書いてという作業を何回かやっていますから、決して 2時間でやったわけではないのです。 ○武澤委員   もちろん、そうです。外国でもそうです。みんなで議論する時間が2時間 だけでは足りないと言っているわけで、皆さんそれぞれ家に持って帰って検 討し、意見を出していることを前提としてです。 ○加納委員   「望ましい」の前2つは、マンパワー的なことと関係があって「望ましい」 ということなので、あと2つの「整備すること」と「記録で残すこと」は一 般的に言われていることです。そもそも医療機器にはそう書かれていますし、 厚生労働省としてはいろいろな形でこういうことを言ってきていると思うの で、私は後ろ2つは仕事の内容に関して、こういうことをやっていくことと いうので、これは「望ましい」だとおかしいかなと思います。 ○部会長   議論が、一般論とここで限ったことと交錯していて整理をしないといけな いのですが、武澤委員がおっしゃったことは先ほど私が申し上げましたよう に、「これは参考にしてください」ですから、ここに書いてあることは表現が 強くても弱くても、拘束力をすごく持っているわけではないのですね。この 中の拘束力をあまり持っていないという前提の下に、この指針の中ではリコ メンデーションのグレードが強いものは「こと」と書いてあって、そうでな いものは「望ましい」と書いてあるという解釈でいいのではないでしょうか。  そうすると臨床工学技士のところは、下の2つが「こと」、上の2つが「望 ましい」ということでよろしいですか。一つひとつエキスパートが集まって 議論するのは、2時間は短いということをおっしゃいます。そう言われれば 確かにそのとおりで、それこそ集中治療に関係したいまいちばん大きなガイ ドラインは”Surviving sepsis campaign guideline”がありますが、この前、私 は日本の代表で行ってきましたが、リバージングコミティだけでも9時から 夜6時ぐらいまでやっていました。その前に何カ月にもわたってメールでや り取りをしたあとにです。それはそうですが、日本で現時点でこの内容でと いうことになれば、自ずからいまの時点では、いまのやり方でしかしょうが ないなというところがあると思います。 ○前川委員   これは、本当にいちばん最初のガイドラインです。そういう意味で、ガイ ドラインであって、「何々すること」というのも独り歩きしないように、実は 「何々すること」の後ろに「重要である」という意味合いが含まれていて、 絶対的なことを言われると医療従事者そのものが自分たちで首を絞めるとい うか、人もそんなに現場にはいない。けれども、「こと」ということを絶対視 されますと、不可能なガイドラインを作ってしまう話になるので、先ほどか ら出てきているようにガイドラインという意味合いをしっかりと周知してい ただいて、それからやっていかないと。作ったわ、雁字搦めになったわ、ど うしようもないという話にならないようにだけお願いしたいと思います。 ○部会長   それは、報告書案の「指針の作成にあたっての基本的考え方」の2頁のい ちばん下の○に、「これら二つの安全管理指針は、医療機関が、重症度の異な る患者に医療を提供するに当たって、医療安全を確保するために参考となる 内容をまとめたものである。この内容を踏まえて個々の医療機関毎の実情に 応じて実施することを推奨する」と書いてあります。そこで、ある程度の取 捨選択してくださることを担保していますので、内容的にはこういうことで。 ○加納委員   言葉のことで前川先生のご指摘に関係しますが、臨床工学技士の4つ目の ○に「生命維持管理装置の操作」と書いてありますが、操作もいろいろある と思うので、「重要な」という言葉を入れさせていただきたいのです。そうで ないと、簡単な操作もいちいち記録に残すのは大変で、むしろ実際にやって いられない部分もあると思います。 ○部会長   わかりました。いちばん下の4つ目の○を「生命維持管理装置の重要な操 作」と。 ○加納委員   「設定変更」ということが括弧してあります。 ○武澤委員   これは、医師がやったとき、看護師がやったとき、それとも臨床工学技士 がやったとき、誰がやったときですか。 ○加納委員   それは、臨床工学技士が必ずしもやるとは限らないですね。それは、いい と思います。ただ、記録に残すことが。 ○武澤委員   臨床工学技士がチェックしなさいということですか。 ○加納委員   そうですね。臨床工学技士の項目ですから、そういう意味では。 ○武澤委員   医療従事者全体を対象として言っているのか、臨床工学技士だけを対象と しているのかですが。 ○加納委員   一応、これは臨床工学技士を対象ということでいいのではないかと思いま す。 ○落合委員   最初の○に「操作は、臨床工学技士が関与することが望ましい」と書いて ありますが、その主語を引いているわけですね。 ○加納委員   はい。 ○部会長   やってくださるといいですよね。よろしいですか。(e)の「医薬品管理の 責任者」ということで、内野先生、ここは。 ○内野委員   ICUの医薬品の責任者を定めて、そのあとの2つ目のポツ、「責任者は当 該医療機関内における医薬品安全管理責任者」というのが決まっていたよう ではないのです。ですから、「医薬品管理の責任者」ですか。 ○部会長   「医薬品安全管理」ではなくて。 ○内野委員   「安全」を取って、「管理の責任者」。文言としては上と合わせて。そうで ないと、たぶん薬剤部長というあれにはなっているのですが、医薬品安全管 理責任者というのが、病院の中に医療安全管理責任者というのがいるので、 そこと見間違う部分がある。 ○武澤委員   医薬品管理責任者というのがいちばん上にいるのですか。 ○内野委員   そうです、病院のですね。 ○武澤委員    ICUの中では医薬品管理責任者は誰ですか。 ○内野委員   普通のセクションの主任みたいなものです。 ○武澤委員   それは何というのですか。 ○内野委員   病院によって違います。先ほど「常時いること」というので、「今日は君が ICU担当だよ」とか、ローテーションで回っているところもありますし、 大きければそこへ配属してしまうところもありますし、結構それは病院によ ってかなり違う。だから1人だけ置いておいて、もう1人支援が入っていく。 時間帯に入るとか。 ○部会長   大きい○は、ICUの中の医薬品管理の責任者、ポツは病院全体の医薬品 管理責任者で、その人の下に入ってやりなさいということですよね。 ○内野委員   はい。 ○武澤委員   両方とも薬剤師ですね。 ○内野委員   はい。 ○武澤委員   それならいいと思います。当然だと思います。「この責任者は、薬剤師であ ることが望ましい」と。 ○内野委員   「こと」でもいいですが、薬剤師以外はできないと思います。 ○部会長   でも、麻薬管理は医師がやっていますよね。 ○内野委員   麻薬管理の一部です。 ○部会長   いつも本数を数えて、薬局に報告に行っていませんか。 ○武澤委員   それはICUの中です。それを上で管理しているのが薬剤師ですから。 ○内野委員   それも、現実にやっている所もあります。そこまで全部セットにして。I CUの中で、混合までやっているところもあるわけです。だから、ものすご くきちんと書く。形態が違うから、非常にケース、ケースが出てきてしまう。 ○部会長   先生、それは最大公約数的な表現で書くよりしょうがないと思います。そ うすると、こういうことになりますが、それでよろしいですか。 ○内野委員   ですから、当該責任者は兼任でも。例えば、主任が調剤室にいる人とIC Uにいる人に、「今日は当番だよ」と言ってもと。そう読めるように書いてお かないと、ものすごく縛ってしまう形になると思います。ただ、その中で管 理の責任者は薬剤師であるということで。 ○織田委員   薬剤師のところで、「医薬品の取り扱いにあたっては薬剤師を管理責任者と すること」というのが1つあります。この管理責任者と、ここで言っている 医薬品管理の責任者というのは別のことを言っているのですか。薬剤師のい ちばん最初の○に、「ICUにおける医薬品の取り扱いにあたっては薬剤師を 管理責任者とすること」と書いてありますよね。 ○内野委員   いらないということですか。 ○織田委員   いや。ですから、これは別のことを言っているから2つ書いてあるのかな と思ったのです。 ○内野委員   そうではないです。 ○織田委員   そうすると、これはダブっているので、どちらかを削ってもよろしいとい うことですか。 ○部会長   それは、このままでいいと思います。というのは、(a)、(b)、(c)、(d) は、各職種の人たちがやる仕事が書いてあって、(e)、(f)、(g)は内容に ついて、誰がやるかということを念のために書いてある。そうでないと、薬 剤師の方から見ると、医薬品管理を危なっかしい医師がやったりすると困る よ、ということで書いてあるのだと思います。 ○織田委員   わかりました。 ○部会長   よろしいですか。(f)の「医療機器の管理・保守点検の責任者」というと ころの多くは、臨床工学技士の方に関係してきます。ポツの「この責任者は、 医療機関全体における医療機器保守管理責任者と兼任でも構わないが、緊急 時に適切に対応できる体制であること」。これは「望ましい」ではなくて「こ と」でいいですよね。 ○加納委員   はい。 ○部会長   その次は網掛けがしてありますが、「この責任者は、医療機器管理に精通し た者であることとし、臨床工学技士の他、医師・薬剤師・看護師なども考え られる」、これはこれでいいですか。 ○加納委員   ここは、薬剤師は除外したほうがよろしいのではないでしょうか。医療機 器の管理は医師・看護師はあり得ますが、薬剤師はあり得ないのではないで すか。内野委員、どうでしょうか。 ○内野委員   医療機器というのは、すべて薬事法の縛りが入っているので、「薬剤師」と いう文言が入ってきているのですが、現実的にはほとんどやっている人はい ないと思います。ですから、並びを変えるか落とすか。 ○道又委員   シリンジポンプは、薬剤師がやっている病院もありますね、実際には極め て少ないでしょうが。 ○内野委員   セットしているのがありますよね。 ○道又委員   非常に少ないですが、行っている施設があるということが事実ですね。 ○内野委員   重さから言えば変えて。 ○部会長   そうすると、「臨床工学技士の他、医師・看護師・薬剤師なども考えられる」 でいいですか。 ○武澤委員   「考えられる」とは、どういう推奨ですか。 ○加納委員   もう1歩言うなら、例えば「この責任者は、医療機器管理に精通した臨床 工学技士であることが望ましい」と。でも、その場合も「望ましい」ですか ら、他の医師。要は、医療機器の管理ということだけですと、必ずしも法的 には医療職を持っていなくてもできるのです。そういう意味でもあると思い ます。ですから、場合によっては事務方でもいいかもしれません。「など」の 中に入ってくると思いますが、ここでは医療職だけが出ていますが。 ○内野委員   3頁に薬剤師の部分があります。「本来は薬剤師が当該ICU内に常時勤務 することが望ましいが、関与の方法によっては、薬剤部の薬剤師による関与 でも可能とすること」という表現があるので、同じような形にしたほうが望 ましいが、こういうケースも考えられると、可能にするとか。 ○部会長   すると、どうなりますか。 ○加納委員   ある意味で、そういうことはあると思います。 ○道又委員   「この責任者は、医療機器管理に精通した者であること」では駄目なので すか。例えばが入らないと駄目なのですか。本当は別に、医療職でなくても いいのでしょう。 ○加納委員   そういう意味を含めると、いまおっしゃられたように「精通した者である こと」で。ただ、臨床工学技士を入れておいたほうがいいのではないかとい う気がします。精通した者とは誰なのだということもあると思いますので。 ○部会長 そしたら、「この責任者は、臨床工学技士等、医療機器管理に精通 した者であること」とすれば満足ですか。 ○加納委員   そうですね。 ○武澤委員   「こと」でいいですか。 ○部会長   それで「こと」ですね。あとは取ってしまう。「この責任者は、臨床工学技 士等、医療機器管理に精通した者であること」。機器管理のところはよろしい ですか。 ○石井委員   この後ろの文章を全部取ってしまうということですか。 ○内野委員   はい。 ○石井委員   この場で議論すべきことではないですが、薬剤師の業務拡大の範囲という 議論がありますよね。だから、全部外せばアップ・トゥ・デートになるかと いうと、私にはそうも思えないのです。ですから、薬剤に関連する機器は薬 剤師がどんどん入るべきである。これから6年制にもなり、人数も増え、と いう概念が片方にありますね。 ○部会長   ただ、医療機器管理に関して、臨床工学技士と共に薬剤師をここに例示す るほどまで、そのことは成熟していないのではないですか。 ○石井委員   成熟はしていません。そういうディスカッションが始まっているというこ とです。情報としてお話しました。ですから、取ってしまわないで列記する のが現状かなというのが私の認識です。 ○内野委員   薬事法の規定があるので、特に厚労省はそうですが、薬剤師がほとんど医 療機器を認可しているわけですよね。そういう点で結局、薬剤師というのは 取るなら元の文章で順番を変えるか、そういう形しかないのかなと思ってい ます。 ○飯田委員   薬事法は全然関係のない話で、そんなことを言うと放射線機器も全部そう ですよ。CT、MRI全部薬剤師がやるのですかという話で、それは違うの で、これは削除したほうがいいです。 ○道又委員   ICUなので、現実というかそこに即した形で持っていかないと駄目かな と思います。薬剤師が管理の責任者になるということは、可能性としてはあ るのかもしれませんが、ほとんどないと考えて差し支えないのではないです か。 ○内野委員   臨床工学技士がいるICUを持った病院のほうが多いのですか。 ○加納委員   ICUを持っている所だと、臨床工学技士を配置している所が多いかもし れません。病院全体で見ると、中小にはゼロという所が多いですが、少なく ともICUを持っている病院で臨床工学技士がいない病院は、かなり少ない はずだと思います。正確なデータはあれですが。 ○武澤委員   データはないでしょう。 ○石井委員   そうであれば、「こと」ではなくて「望ましい。」でいいではないですか。 後ろを全部削除する代わりに。 ○部会長   いろいろご意見が出まして、各お立場があることはわかりましたが、「この 責任者は、臨床工学技士等、医療機器管理に精通した者であること」という ことでいかがでしょうか。 ○武澤委員   かなり強いメッセージですよね。 ○部会長   いま、(f)のところを議論しているつもりですが、ほかにありますか。 ○中島委員   (f)のポツのいちばん下ですが、ここだけ「記録を残し、定期的に病院 管理者に提出すること」とあるのは、何か特段の意義づけがあるのでしょう か。 ○部会長   確かに横並びにしたほうがいいですよね。 ○加納委員   元々の文章にあったのをそのまま残したのですが。 ○部会長   例えば、臨床工学技士の(d)の○のいちばん下に「実施については記録 で残すこと」とありますので、記録に残しておいて、必ずいつもいつも病院 管理者に提出するわけではないですよね。定期的に提出しているのですか。 ○加納委員   大体そういう傾向にありますが、完璧にそうだとは。必ずしもやっていな い所もあるとは思いますが、ただ、こういうことは言われているわけです。 かなりマストになってきているとは思いますが、定期的でなくてもいいかも しれないですね。「記録を残すこと」までにしてもいいかもしれません。 ○落合委員   定期的に報告するのではなくて、定期的に点検するのではないですか。 ○加納委員 定期的に点検するのですね。 ○部会長   そしたら、「この責任者の管理の下に定期的に保守点検を行い、記録を残す こと」でよろしいですか。 ○加納委員   そうですね。 ○織田委員   その上にも「監視し、病院管理者に報告すること」とありますが、それも 「監視し、記録に残すこと」でよろしいわけですね。 ○内野委員   そうですね。そうでないと合わない。 ○部会長   では、「残すこと」にしたいと思います。次に(g)はいかがでしょうか。 ○織田委員   順番が逆のような気がします。まず、いちばん最後の「安全に対する意識 を高めるための研修を医療従事者に行うこと」が、全体のいちばん最初に来 ないといけないのではないかと思います。 ○部会長   (g)の中の3つの○のうちのいちばん下の○を最初に持ってくると。 ○織田委員   はい。それで、2番目が「研修項目には」として、最初にある○がいちば ん最後に来てもいいのかなと。 ○部会長   どうでしょうか。 ○道又委員   そのほうが、しっくりします。 ○部会長   そこは、そう変えさせていただきます。 ○加納委員   「製造販売業者と協力して」とありますが、協力はもちろんするでしょう けれども、別に何もここで謳わなくてもいいような気はします。 ○落合委員   唐突な感じがします。 ○武澤委員   例えば、外国で人工呼吸器を売るときには、必ず職員に対してメーカー側 がきちんと説明して、操作性等を教えないと売ってはいけないのです。日本 は厚生省がどこまで厳しくやっているかは知らないけれども、そういうこと はきちんとやらないといけません。 ○部会長   「製造販売業者」という言い方は、それでよろしいですか。 ○加納委員   いまは、この言葉になったのですね。ですから、この言葉はこれで正式な 言葉です。 ○部会長   薬剤についてはいいのですね。これは機器についてですが。 ○加納委員   医療機器だけ出ていますね。 ○武澤委員   2番目の○の「考えられる」というのは何ですか。 ○内野委員   保留せず薬剤師会に行ったら、ものすごいあれになってしまうのです。1 個1個何がいいか。 ○織田委員   「研修項目には」というところに「薬剤や投薬」ということも入っていま すので。 ○部会長   研修項目に薬剤等が入っていると、最初の「医療機器の製造販売業者と協 力して」というところは。 ○織田委員   ここは、たぶんこの意味としては、おそらく生命維持装置に関して書いて あるのかなと思ったのです。ですから、頭に例えば「生命維持装置に関して は」とか、「人工呼吸器」とか、そういう重要なものに関してというのを入れ て。 ○部会長   そうすると、先ほどの「安全に対する意識を高めるための研修を医療従事 者に行うこと」がまず最初に来て、2番目は「生命維持装置等の医療機器等 に関しては」でいいですか。 ○織田委員   2番目に「研修項目には」というのがあるのです。 ○部会長   それは全くひっくり返りますか。2番目に「研修項目には、・・・等が考え られる」と。3番目に「生命維持装置に関しては、医療機器の製造販売業者 と協力して」と、下から上に上がってくる並びでよろしいですか。 ○落合委員   2番目、3番目は1個段落が下がるのではないですか。 ○部会長   総論のうち、各論、各論ですから。それは総論をパッと言って、あとはそ の下にということでお許しください。だいぶん皆さんに熱心に討論していた だいていますので、別添1の4はこれでよろしいですか。 ○加納委員   言葉ですが、字の確認です。「生命維持装置の」というのは付くわけですか。 「医療従事者に対する研修」のところのタイトル。 ○部会長   違います。3つ目の○の、医療機器の製造販売業者と協力してやらなけれ ばいけない研修内容の対象となるものは生命維持装置ということだと思いま す。そうでないと、医療機器の製造販売業者と協力して、この研修項目すべ てをやれるわけではありませんから。薬剤とか、そういうものまで入ってい るので。 ○加納委員   (g)のタイトルが、「医療従事者に対する研修」とありますよね。そうい う意味では、研修の範囲はいろいろ広いですよね。 ○部会長   だから「研修項目には」というところで、いろいろあるではないですか。 2番目の○。 ○加納委員   そういうことですね。それでいいということですね。 ○部会長   はい。下から上がっていって、研修をやりなさいよと。研修項目には、こ ういうものがありますよと。その中で、特に生命維持装置に関してはこうだ ということです。 ○加納委員   その場合、この中に入っているのは研修項目には「生命維持装置」という 言葉と、「生命維持管理装置」という言葉を先ほど臨床工学技士のところで使 いましたが、実は「生命維持装置」がたぶん一般的な言葉で、「生命維持管理 装置」というのは臨床工学技士をつくる資格の上で出た、ある意味では新し い言葉です。「管理」となって。そこはどうしましょうか。 ○部会長   どちらが広いですか。 ○加納委員   もちろん、生命維持装置のほうが一般的だと思います。ただ、臨床工学技 士の定義が、「生命維持管理装置の操作及び保守点検」と定義されています。 つまり、「管理」が入ることで、いわゆる生命維持装置と、それを使う患者に するモニター装置とか輸液ポンプというものも入ってくるのです。これは臨 床工学技士という職種を定義するときに作った、ある意味では造語なのです。 この中に両方出てきていて、私自身も使い分けていますが、ここはそういう ことなのです。ちょっとその辺が気にはなります。あまり気にしなくてもい いというなら気にしなくてもよろしいですが。 ○武澤委員   おっしゃっているのは、生命維持管理装置のほうがいいということですね。 ○加納委員   そういうことです。 ○武澤委員   では、それにまとめたほうが良いです。 ○加納委員   そういうことで統一していただければ、それでよろしいです。 ○部会長   文言の整理として、「生命維持装置」と書いてあるところは「生命維持管理 装置」ということで、より広い範囲を包含するような言葉にしたいと思いま す。  いろいろご発言をありがとうございました。4までは、先生方のコンセン サスを得たことになりますので、ご了承ください。それを踏まえて、次は「運 用と仕組み」に移ります。順次1つずつやっていきたいと思いますが、まず は「責任と権限」というところです。最初の網掛けがしてある「集中治療室 (ICU)において」というのが「ICUにおいては」となると思いますが、 そのことを踏まえた上で、(a)「責任と権限」のところでご意見はあります か。 ○飯田委員   その前に、四角の中の冒頭に「患者情報」と書いてありますが、「患者」は いらないと思います。患者情報だけでなくて、共有しなくてはいけないのは いろいろな情報がありますので。 ○部会長   では、「医療情報」としますか。情報というと、またものすごい広いような。 ○飯田委員   医療情報もあれば患者情報もあれば、その病院の仕組みに関する情報もあ りますし。 ○部会長   情報というと、今日は天気か雨かというのも情報になります。 ○飯田委員   患者情報と限定するのでは困りますということです。 ○部会長   何か良い言葉はないですか。医療情報といったら、患者情報も入るのでは ないですか。 ○飯田委員   医療情報といったときに、病院のいろいろな仕組みの情報がありますね、 指針も含めて。この指針も含めて、医療情報と言うのかと。普通は言わない ですよね。 ○部会長   それを何か良い言葉があればいいと思います。 ○飯田委員   教育研修の情報もそうだし、患者情報と限定してしまうと少し違います。 ○部会長 それはわかりました。ただ、それ以外のものも含めた何々情報と いう言葉はありますか。 ○落合委員   このままで、患者情報を共有するのがこの文章の目的ではないのですか。 ○部会長   そういう考えもあるかもしれませんね。 ○落合委員   私は唐突にこの文章が出てきた背景を知りませんが、お互いに1人の患者 についての情報を共有できていれば、安全が高まるというニュアンスではな いのですか。 ○飯田委員   違います。安全確保するためには、当然患者情報もそうですが、安全の確 保の手段として大事なのは情報の共有と標準化です。そういう意味で言うな らば、情報共有です。何を情報かというと列記してもいいし言わなくてもい いし、もし簡単にするのだったら「患者」を取る。そうしたら「情報を共有」 でいいと思います。情報の共有と標準化です。それが基本です。 ○部会長   「患者」を取って「情報を共有し」というと、あまりに漠然としている気 がするのです。医療情報部がある所が多くて、「医療情報を共有し」では駄目 ですか。 ○飯田委員   医療情報は、意味が全然違うのです。 ○部会長   患者情報も医療情報の中に含まれるとか。 ○飯田委員   ですから何回も言っているように、いろいろな仕組み、教育研修、この指 針も含めて、すべて大事な情報ですから、その共有が必要なわけです。患者 情報だけを共有すればいいのではないのです。患者情報を共有するのは当然 です。そういうことを申し上げているわけです。そうしないと、安全確保は できません。 ○部会長   おっしゃることはわかりますが、あまりにも漠然としているような感じが しますが、いかがですか。 ○中島委員   私は患者情報よりは診療情報のほうが好きですが、それはどちらでもいい と思いますが。「また」以下のところが非常に曖昧な表現です。「事故対策、 感染対策についても特に注意すること」とあるので、医療安全や感染制御に 関する情報も共有したほうがいいのではないですか。 ○飯田委員   結構です。 ○部会長   もっと具体的にご提案をいただけますか。最初の「患者情報」の文言は、 どうすればいいですか。 ○中島委員   個人的には、診療情報という言葉が好きです。患者情報でも、ほとんど同 等だと思います。しかし、医療情報にすると違う意味になると思います。 ○道又委員   これは、患者の安全管理に関する情報を共有すればいいという話ではない のですか。違いますか。 ○飯田委員   そう書かないと、「患者情報」と「患者の安全に関する情報」とは全然違う ということです。 ○部会長   漠然としておいたほうが、最大公約数的ですから、患者は取りましょうか。 「情報を共有し」でいきたいと思います。「役割と業務手順を明確にした指揮 命令系統の下、標準化された手順で業務を遂行すること」。その後段は、いま 中島委員は何とおっしゃったのでしょうか。もう1回ご提案いただけますか。 ○中島委員   「また、医療安全及び感染制御に関する情報に関しても共有すること」。 ○武澤委員   いらないのではないですか。 ○中島委員   「特に注意すること」は曖昧ですし、対策のことだけが書いてありますが、 防止と対応の両方の中身が書いてあると思うので。 ○武澤委員   「注意する」は、いちばん使ってはいけない言葉だよね。 ○部会長   取ってしまいますか。「情報を共有し、・・・業務を遂行すること」でよろ しいですか。 ○道又委員   (e)のところにも「感染制御」が出てくるので、いらないのではないで すか。 ○部会長   これは、たぶんICUの安全管理を考える場合に、特にこのことを重要視 しようというご意見があったから、こういうことが入ったのだと思います。 でも、議論を重ねていただいた上で「情報を共有し、・・・で業務を遂行する こと」という、この部分での全く総論的なことでよろしいという意見なら、 そうしたいと思いますが、よろしいですか。  それを踏まえた上で、(a)「責任と権限」はどうでしょうか。よろしいで すか。(b)「情報共有と標準化」は、先ほど飯田委員がおっしゃったことだ と思いますが、ここはどうでしょうか。 ○飯田委員   下から4行目が少し変です。「患者情報や引き継ぎ(情報共有)」と書いて ありますが、これは「情報の共有」でいいと思います。 ○部会長   すると、どうなりますか。「このため、治療方針、病態評価、治療結果」、 この情報共有というのはどこからどこまでが入るのでしょうか。 ○落合委員   治療方針から全部が、情報共有にかかっているのですね。 ○部会長   そしたら、「このためには、情報の共有と手段の標準化が必要である」でい いですか。 ○飯田委員   むしろ、そのほうがいいです。しかし、「手段」では、ほかの言葉との繋が りがわからなくなります。 ○落合委員   具体的には下に書いてあるのですね。 ○部会長   そうです。 ○飯田委員   「情報の共有や標準化」でいいのではないですか。 ○部会長   「や」がいいですか、「と」がいいですか。 ○飯田委員   「情報の共有と標準化が必要である」。 ○部会長   それでいいですね。「具体的には以下のような対策が考えられる」。よろし いですか。特段のご意見がなければ(c)「運営」にいきたいと思います。4 つの○がありますが、どうでしょうか。業務フロー図というのは、こういう 中に使われる言葉としては普通ですか。 ○飯田委員   いま、かなり一般化しています。業務工程とも書きますが、いまは業務フ ローのほうが一般的です。 ○武澤委員   これは、医師とか看護師とかの種別なのか、患者疾患別なのか、業務フロ ーというのはどういうフローなのですか。 ○飯田委員   疾患別ではなくて、普通は業務の機能別です。機能別ということは、手術 なら手術でいいですが、手術するときはどういう業務フローなのですか、投 薬するときはどういう業務フローなのですかということです。 ○武澤委員   例えば、クリニカルパスには、標準化できないところがたくさんあるわけ です。どちらかといったら多様な患者がたくさん入ってくるわけで、病態も 重症度も違うような。ですから、急性期医療ではパス的なことを作るのは結 構難しいと思います。 ○部会長 その最大公約数的な総論のところだけでいいのではないですか。 それのフローが作ってあれば。 ○飯田委員   要するに一般化ができませんので、一般化した業務フローモデルを我々は 厚生科研費研究で作っているのです。それを参考にして、自分の病院の業務 フローを書いてくださいということです。書くことが目的ではなくて、書い ている経過で自分の業務を見直しますから、それが大事だと思います。 ○部会長   「することが有用である」と書いてあるから、そういうニュアンスなので すね。 ○武澤委員   「することが望ましい」ぐらいに。 ○飯田委員   そうですね。それとも、意味としては「推奨する」ですね。ここまではい かない。 ○部会長   表現としては「望ましい」としてきましたので、「有用である」でもいいと 思いますが、「作成することが望ましい」でいいですか。 ○飯田委員   そういうことでもいいではないですか。 ○部会長   「運用」のほかのところはよろしいですか。 ○武澤委員   「当該」は必要ですか。 ○部会長   これはいいですね。 ○内野委員   ここだけ責任者の職種が決まっていないのです。責任者なのか管理者なの かという面でいえば、業務に対する責任者ですよね。 ○部会長   それは医師ですよね。 ○内野委員   「責任医師は」とか「責任医師を1人置く」とか、双方がスキッと何か書 いて考えなければならない。責任者というので。 ○__委員   誰でもいいみたいな感じになってしまいますね。 ○内野委員   当たり前というように思います。 ○部会長   そうすると、(1)「運営」のところに「ICUに責任者として医師1名を 配置し」ですかね。それではおかしいですか。「ICUに医師責任者を1名配 置し」ですか。それとも「責任者(医師)」にしますか。 ○道又委員  医師ではない所もあるのですよね。 ○部会長   ICUの責任者がですか。 ○道又委員   ええ、やはり新しい考え方です。医師は責任者ではありませんよとしてい る病院もあります。そういう所もあるということです。 ○部会長   日本にですか。 ○道又委員   そうですね。 ○部会長   管理責任者でなく、ICU全体の責任者ですよ。 ○道又委員   そうですね。診療に対する責任者は医師だけれども、運営は医師でなくて もいいですよということで、それを担当させている所があるのです。だから 難しいなと思っているのです。 ○武澤委員   安全性の観点からが強いのですか。 ○道又委員   いや、それは管理運営だけです。治療方針の決定は医師が責任を持ってい ます。 ○部会長   でもそれは少ないですよね。 ○道又委員   少ないです。 ○部会長   ここはそういう可能性もあるということがわかりましたので、「ICUに責 任者を1名配置する」のままのほうがいいと思います。 ○道又委員   はい。 ○部会長   よろしいでしょうか。 ○落合委員   「指揮命令系統」というのが、少し違和感があります。 ○部会長   何と言えばいいですか。飯田委員、こういう所は一般的には何と言うので すか。 ○飯田委員   正しい表現だと思います。 ○部会長   正しい表現ですか。 ○飯田委員   組織管理の基本ですから。 ○部会長   「命令」でいいのですね。 ○飯田委員   命令です。「指揮命令」。 ○部会長   ではこのままにしておきましょう。 ○前川委員   患者さんがいるわけですから、やはり責任者は医師だと思うのです。やは り病院の責任者は医師でないといけないわけですから、経営者は理事でもい いわけですが、病院長は医師でないといけないという規定がありますから、 患者さんがいる所の基本的な責任者は医師だと思います。だから「責任者(医 師)」でいいのではないでしょうか。 ○部会長   現実に医師でない人が責任者としてやっている所があるとおっしゃるので。 ○前川委員   いや、それは経営などいろいろなことを考えて、たまたまそういう形でな さっているかもしれませんが、ICUに患者さんがいるかぎりは、基本的な 責任者は医師だと思います。 ○部会長   いかがでしょうか。 ○武澤委員   診療責任者となると自動的に医師がなります。 ○部会長   医師以外のところはまだマイノリティだとは思うのですが。ではこの指針 の段階ではまだ、「ICUに責任者(医師)を1名配置し」にしましょう。い ろいろ紆余曲折しましたが、よろしいですか。ではそういたします。  次に(d)の「医療事故等の情報収集・分析」はいかがでしょうか。 ○飯田委員   最初の○ですが、「未然防止」は1つの熟語ですから、「防止対策」を「未 然防止対策」にしていただきたいと思います。 ○部会長   ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○武澤委員   決意表明ですか、それともリ推奨ですか。 ○部会長   「重要である」という意見ですよ。 ○武澤委員   ガイドラインには意見を述べるものではないですから、「皆さんでこういう ことを守りましょう」というのがガイドラインです。 ○部会長   「未然防止対策」。 ○武澤委員   「を行うこと」とか。 ○飯田委員   「努めること」とか。 ○部会長   「未然防止対策に努めること」ですかね。あとはいかがでしょうか。 ○武澤委員   安全管理責任者とICUの責任者、診療責任者というのは別なのですよね。 ○織田委員   リスクマネジメントですね。 ○武澤委員   という意味ですね。 ○部会長   よろしいでしょうか。 ○武澤委員   4つ目の○の「適切に」という言葉はいらないと思います。「適切に」や「よ りよく」などの形容詞は使わないほうがいいと思います。やるかやらないか、 それがどの程度の強さなのかを言えばいいのです。 ○部会長   「安全管理者は専門研修を受けること」。よろしいでしょうか。 ○武澤委員   大丈夫かな。 ○部会長   最初に担保してあるから、もうそれは持ち出さないでください。 ○飯田委員   いまのところで、「専門研修」とは何ですか。 ○部会長   安全管理に関するでしょうか。そういう意味ですよね。 ○飯田委員   それならば「専門研修」と書かないで、「安全管理に関する研修」と書かな いと、わからないです。 ○部会長   「安全管理者は安全管理に関する研修を受けること」。 ○石井委員   そうすると具体的に何を指すのですか。 ○部会長   研修というのがある。 ○石井委員   どこかにあるのですか。 ○武澤委員   医師会などでやっているのではないですか。 ○飯田委員  四病協の医療安全管理者養成研修できちんとやっています。 ○__   医療安全セミナー教室を、いろいろな所で定期的にやっています。 ○石井委員   ではいろいろなという意味ですか。 ○前川委員   いろいろなことでは、たぶんないと思いますので。 ○武澤委員   学会ではまだ実施してないですね、医療安全セミナーのようなのは。 ○部会長   限ったことでないとなると、ほかの所もアレなので、一般論としての安全 管理に関する上にICUのものが特化してあるわけですが、それでも一般論 の中でも大切なことはいろいろな所にバラまいてありますので、それはそれ でご了承いただきたいと思います。 ○石井委員   では「安全管理の」ということですね。 ○部会長   はい、「安全管理の」です。よろしいでしょうか。あとはいかがでしょうか。 ○中島委員   下から2つ目の○の趣旨がよくわからないのですが。 ○部会長   「医療事故及びヒヤリ・ハット事例に関する情報の収集・分析を行うこと の重要性を当該部門内の職員には特に重点的に教育すること」。要らないとい うことですか。 ○中島委員   これはICUの医療安全担当者は、他の部門の人への教育はともかくとし て、自分の部門のスタッフにはしなさいという意味で書いてあるのか、日常 の業務に加えて、医療安全に関する情報の収集や分析も大切ですよという重 要性を教育しなさいと言っているのか、この文章ではよくわからないのです。 ○落合委員   誰が誰にということが書いてないですね。 ○中島委員   「重要性を特に重点的に」というのは、一体何をどう強調しているのか。 ○前川委員   ICUの中で、安全管理に関して周知するために、きっちりと定期的に教 育をしなさいという意味合いではないでしょうか。 ○中島委員   生命維持装置の使い方やいろいろな手技をマスターするのも大切だけれど も、ヒヤリ・ハットなどの医療安全も大切だということを教育しなさいとい う意味ですか。 ○前川委員   そうですね。 ○中島委員   わかりました。 ○前川委員   いや、文章はもっと短くてもいいかもしれません。 ○部会長   ではどのようになりますでしょうか。 ○前川委員   その下にも書いてあるので、この文章はいらないのではないですか。統一 した報告様式でもって報告をして、事例の要因分析をきちんとして改善策を 示しなさいということでしょう。だから真ん中の文章は要らないのではない ですか。 ○部会長   下から2番目の○ですね。では削除しましょう。(d)の最後、「RCAや FMEAを実施することが望ましい」というのは、これでいいですか。 ○中島委員   重大な事例は、詳しい分析を行って個人の批判にとどまらず、原因を深く 掘り下げなさいというのが、この文章の趣旨だと思うのですが、RCAやF MEAに関しては批判的な論文も発表されています。ですから、ここで取り 立てて、この2つの方法だけを具体的に「実施することが望ましい」とは書 かないほうがいいと思います。 ○部会長   そういう意見もありますが、いかがでしょうか。 ○飯田委員   この前、中島委員が欠席のときに議論をしたのですが、いま四病協でもや っておりまして、全国から1,000人以上受講して、もう一般化しています。 もちろん看護協会、日本医療機能評価機構でも実施しており、このプログラ ムはずっと進んでいるわけです。それをこれからどんどん広げていきたいと いう趣旨があって、敢えて言っているわけです。ほかにも手法はたくさんあ ります。いろいろ問題点をおっしゃったけれども、それはきちんとわかって いない人が変なふうにやって、うまくないという話であって、これは手法そ のものが悪いわけではないのです。それを誤解されては困ります。きちんと した手法をやれば、これは使えるということです。RCAに関しては、セー フティマネジャーの質向上の作業部会でも議題になりましたが、いま、一般 産業界でも見直しされて、医療界に学べということで、教わりに来ているわ けです。ですから、これは是非入れていただきたいと思います。やり方が悪 いから、うまくいかないのです。 ○部会長   中島委員、いかがですか。 ○中島委員   飯田委員がおっしゃる意味はよくわかっていますし、我が国における現状 もよく理解はしております。要するに根本の原因をきちんと分析しなさいと いう趣旨であればいいと思いますが、この2つに関してはかなり議論がある ところです。個人の見解としては、ここだけ具体的に書く必要があるのかな と思っています。 ○飯田委員   ですからこのRCAとFMEAの2つが、医療界で一般的に行われて、定着 しているわけです。外国の真似をしたというわけではなく、日本でいろいろ 開発してやっている手法を、いまやっているわけです。それがいま四病協も そうだし、日本医療機能評価機構も看護協会もやって、全国展開している最 中です。もう丸4年やっているのです。丸4年やったということは、実績が あるわけです。エビデンスがあるわけです。そう言っているわけで、いろい ろ批判をしている人はきちんとやっているかどうか。批判している人の業界 でも、いま見直しが起こって、学びに来ているわけです。そういうことを理 解していただかないといけません。 ○部会長   このことは専門でないのでわかりませんが。 ○中島委員   そういうものを十分理解した上で、諸外国の現状や論文をふまえて発言し ています。 ○部会長   武澤委員、この意味はわかりますか。 ○武澤委員   それならば、「等を実施するのが望ましい」で良いのだろうと思います。こ ういう要因分析方法があるということを知らないで、「分析を行うこと」と書 くと、どのようにして分析していいかわからないことがあります。例として 挙げておいて、注目をしてもらうという意味ではいいと思います。これをや れという意味ではなく、こういうものもきちんとありますよという意味です。 どうしてもこだわるのならば、「等を実施することが望ましい」ぐらいに書い ておけばいいかなと思います。 ○加納委員   言葉の問題ですが、私の分野のシステム安全ならば、例えば、たぶんRC Aというのは、FTA(Fault Tree Analysis)という故障の木分析と同じこ とかなと思うのです。この辺はRCAのほうが一般的なのですか。 ○飯田委員   FTAはデータがないとなかなか難しいです。確率のデータを持っていな いと難しいです。データがなくてもできるのですが。一般産業界でもそうで すが、FMEAなどいろいろな手法がありますが、医療界の人たちに理解し ていただく手法は、RCAがいちばん簡単なのです。これでも難しいです。 だから講習会をやっているわけです。 ○加納委員   では「RCA等」にしたほうがいいのかなと思います。 ○飯田委員   それは構いません。 ○部会長   わかりました。「等」を入れるのですが、「等」が入って、なおかつ「具体 的には」というのがあり、文章としてよろしいですか。 ○飯田委員   「具体的」を外して、「RCAやFMA等を」のほうがわかりやすいかもし れません。 ○部会長   では「具体的には」を外して、「等を実施することが望ましい」。 ○落合委員   最初から具体的な手段に関しては問わないということでガイドラインを作 ってきたので、ここだけ非常に違和感があります。先ほど中島委員がおっし ゃったような、きちっと解析をしなさいというぐらいのニュアンスでいいの ではないかなという気もいたします。 ○部会長   どうでしょうか。 ○武澤委員   それを言ってしまうと、骨抜きのガイドラインになってしまうのです。総 論だけで、それで「マニュアルを作りましょう」、「実施しましょう」、「評価 しましょう」では、具体的に何をやったらいいか全然わからなくなります。 従って、具体的な方法も織り込んだガイドラインのほうがレベルは高いので す。しかし、具体的な項目について議論があるとか、評価が定まっていない ときには、抽象的な表現にならざるを得ないわけです。それは本当はこの会 議で決めなければいけないのです。しかし、この数分の間で決めることは不 可能だと思います。 ○落合委員   今日、専門の方が2人いて、私たち素人が見ると、意見が食い違っている のです。2人がそれぞれご意見をお持ちというのはわかりますが、だったら 具体的に本当に出してしまっていいのかなという印象を持ちました。 ○武澤委員   その議論は先ほどやりました。部会長が、仕方ないからこれでいきましょ うということになったのですから。 ○落合委員   大局的な判断をしていただくのがいちばんなのですが。 ○武澤委員   落合委員がおっしゃるのはよくわかるし、私もそういう意味では不満だけ れども、時間的な制約もありますから。 ○部会長   ここが深掘りしていると言われれば、そういう感じもありますが、「等」も 付けましたし、ここは「望ましい」という表現ですので、こういうことにさ せてください。 ○織田委員   それ以下の文章は、このガイドラインには必要ないのではないですか。 ○部会長   そうですね。 ○武澤委員   しかも「こと」だから。 ○部会長   よろしいですね。 ○武澤委員   調整してください。 ○部会長   それは省きたいと思います。私の不手際で少し延びていますが、今日は(e) まで時間を延長して議論して、それ以下はキャリアオーバーしたいと思いま すが、事務局はそれでよろしいですか。それとも何時までかかるかわかりま せんが、別添1は今日終らせてしまいますか。 ○医療安全推進室長   一応4時までということになっています。 ○部会長   それでは6はご意見がいろいろあると思いますが、(e)の所までやって、 今日は終りにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ここは終っ ているはずなのですが、私の不手際もあり申し訳ございません。では(e) の「感染制御」についていかがでしょうか。 ○内野委員   (ア)の2番目の○ですが、インフェクションコントロールドクターやイ ンフェクションコントロールナースで、実は薬剤師でも、要は感染制御専門 薬剤師というのができたので、並べるなら入れていただきたいと思います。 ○部会長   それはなっているでしょう。 ○内野委員   感染制御専門薬剤師。 ○武澤委員   ICファーマシストですか。 ○内野委員   英語は付いていないのです。 ○部会長   そのインフェクションコントロールナースの後に、感染制御専門薬剤師で すか。 ○内野委員   はい。 ○武澤委員   ICUに配置することということもできますか。 ○石井委員   少し難しいです。 ○__   例えばインフェクションコントロールドクターというのは何人いるのです か。ナースは何人いて、薬剤師は何人いるのですか。 ○武澤委員   2,000人ぐらいです。もしかしたらもっといるかもしれないです。ナースは 日本看護協会の認定ですが、200人ぐらいですか。 ○内野委員   まだそんなにいないのではないですか。 ○__   どうしても入れるならば、「望ましい」ではないですか。 ○部会長   「配置することが望ましい」にしましょう。 ○武澤委員   その次の「更に注意を要する」というのは何ですか。その下の「留意する こと」というのも。 ○内野委員   「制御専門薬剤師」という名前になってしまう。 ○石井委員   そういう人は何人いるのですか。 ○内野委員   今年から始めましたから、45人ですか。 ○部会長   でも、それは3人が横並びでいなくてもいいわけです。このうちの誰かが いてという話だと思いますが。「具体的には、患者が易感染性宿主であること が多いので、予防策や抗菌薬の選択に更に注意を要する」。「更に」ですか、「特 に」ですか。それともこの文章はいらないですか。 ○武澤委員  「注意」という言葉は禁句です。 ○落合委員   2つは要らないですね。人工呼吸器関連肺炎に。 ○部会長   それならカテーテル関連敗血症するも注意してもらいたいということにも なります。 ○加納委員   関連肺炎が出てきてしまうと、その前に戻りますが、医師、看護師、薬剤 師、検査技師、その後に臨床工学技士も入れたほうがいいかもしれません。 医療機器を媒介とした感染も結構あるのです。ですから「等」に入るかとい うことでもいいのですが。人工呼吸器などが出てくると、入れたほうがいい のかなという気がします。 ○部会長   確かにVAPに注意しろと言われたら、カテーテル関連敗血症、バクテリ アル トランスロケーションにも注意しろということもあれですから、では 下2つの○は削除してよろしいですか。 ○武澤委員   削除はいいのですが、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業のデ ータでは、人工呼吸器関連肺炎はICUの院内感染の3分の2を占めている のです。カテーテル感染は極めて少ないのです。尿路感染はほとんどゼロで す。だからICUをターゲットとすべき院内感染は何かと言われたら、人工 呼吸器関連肺炎なのです。そのことをきちんとわかって、感染制御をやって ほしいというのが趣旨なのです。 ○部会長   武澤委員の意見は、これは置いておいたほうがいいということですか。 ○武澤委員   「留意すること」というのが何だかわからないです。 ○部会長   留意するのですよ。いろいろな意見が出ましたが、どうでしょうか。 ○落合委員   そういう内容が、最初の○の特化したマニュアルに書いてあるのではない ですか。 ○武澤委員   国立大学附属病院ICU協議会が作成したICUの感染制御というマニュア ルには書いています。 ○部会長   ここはICUにおける感染制御を言っているわけですから、それに書いて あればいいのです。人工呼吸器関連肺炎に関しては、武澤委員のご意見を活 かして、削除しないということにしておきたいと思います。その上はどうで すか。易感染性宿主に関しては。これは言わずもがなですか。やはりICU の特殊性として残しておいたほうがいいですか。 ○武澤委員   これはどういう意味で書いているのですか。ICUの専門医以外の内科や 外科の医師に抗菌薬の選択を任せるなということですか。 ○部会長   そういうことだけではないでしょう。特にICUの中では、感染に十分注 意しなさいということです。 ○前川委員   最近のCritical Care Medicine(英文誌)に、敗血症性ショックになって、 抗生物質の選択が予後に断然影響があるというのが出ましたので、やはり大 事なことではあると思うのです。 ○部会長   エンペリックに使った抗菌薬が、当たっているかどうかによって予後が違 うということですね。 ○前川委員   時間単位で予後は違っているというようなものが出ましたので。 ○部会長   いろいろ考えがあって書いてくださっているので、では残しましょう。「予 防策や抗菌薬の選択に更に注意を要する」と、「更に」ではなく、「特に注意 を要する」でよろしいですか。 ○落合委員   最初の○は、ICUに特化したマニュアルを作りなさいと書いてあります ね。その下に段落を下げて、その中には抗生剤のことも含むこと、バップの ことも含むこと、とされたらいかがでしょうか。そうするとあまり唐突な感 じがしないかなと思います。 ○部会長   どちらにしても今日で最終ではありませんので、後で文言を整理しますが、 (ア)の下2つの○の言葉を整理して、いちばん上の○に含むということで よろしいですか。 ○加納委員   検査技師の後に臨床工学技士も入れておいたほうがいいと思います。 ○部会長   そうするとみんなですね。 ○武澤委員   「配置することが望ましい」で本当にいいのですか。 ○部会長   そうしたら2番目の○の所は、「各職種を横断的に統合して」などでいいの ではないですか。どちらにしても出てくる人数はこれだけなのですから、一 つひとつ挙げないで、「各職種を統合して、有効に院内感染対策を行う」。 ○武澤委員   これはおそらくリンクナースやリンクドクターのイメージだと思います。 ○部会長   そうです。 ○武澤委員   そうするとやはりICUに勤務している人なので、24時間勤務している人 というのは医師か看護師なのです。そして中央のインフェクションコントロ ールチームと連絡を取りながら、その部分の責任を担ってくださいというこ となので、私は医師か看護師でいいような気がします。 ○部会長   そうすると、「医師や看護師などを統合して、有効に院内感染対策を行う、 インフェクションコントロールドクターやインフェクションコントロールナ ースのような感染制御の専門的知識を有する専門家を配置することが望まし い」。 ○武澤委員   インフェクションコントロールドクターやインフェクションコントロール ナースから始めたらどうですか。インフェクションコントロールナースを入 れないで、「感染制御の専門的知識を有する専門家を配置することが望まし い」と。 ○部会長   ではそうしましょう。 ○中島委員   感染制御の専門家を置くという部分ですが、武澤委員がおっしゃったよう に、これはICUに特化したリンクドクターやナースをイメージしているの であれば、いま書いてある文章は病院全体にそういう専門家を置きなさいと いうのではなく、ICU内にという話ですよね。 ○部会長 だから「ICU内に」ということを入れたほうがいいということ ですか。 ○中島委員   先ほどの医療安全だと、病院全体の医療安全管理者がいて、ICU内にも いて、連携しながらやりなさいということですから、それとパラレルの表現 のほうがいいのではないですか。 ○部会長   そうすると(ア)「感染対策に関する指針」の2番目の○の所に、「ICU 内にインフェクションコントロールドクターやインフェクションコントロー ルナースのような感染制御の専門的知識を有する専門家を配置することが望 ましい」でよろしいですか。次の○2つは、最初の所に組み込むということ です。(ア)を終って、(イ)はいかがですか。 ○武澤委員   「感染制御の専門家を配置すること」でいいのではないですか。「専門的知 識を有する専門家」はおかしいのではないですか。 ○部会長   「感染制御の専門家を配置することが望ましい」。ほかはいかがでしょうか。 ○飯田委員   (d)のいちばん最後ですが、「専門研修システム」ということはおかしい ので、「研修プログラム」です。それから「職能団体、病院団体、関連学会」 というのはおこがましいという話がありましたが、私はむしろ入れたほうが いいので、「職能団体、病院団体、関連学会などが提供するように努めること」 と。そのように努力規定にするべきだと思います。そうしないと、これを書 くのがおかしいということであれば、報告書案の4頁でも、「学会・病院団体・ 職能団体等が中心となって」とはっきり書いてあるわけです。ですからそれ とパラレルで、やはり「こと」となると義務になりますから、「進めること」 として提案します。 ○部会長   少し前に戻り、(d)の最後の○の最後の所、「また、そのための研修プロ グラムを職能団体、病院団体、関連学会などが提供することが望ましい」と 復活していただきたいというご意見ですね。前のとリンクするということで、 それはよろしいですか。 ○武澤委員   大賛成です。 ○部会長   よろしいでしょうか。 ○道又委員   感染制御の(ウ)「サーベイランス」の2つ目の○が、「厚生労働省や学会 などの全国サーベイランスに参加し、・・・客観的に評価すること」で、「参 加する」ということが、これは結構強いですね。 ○武澤委員   ここは気になったのだけれども、「こと」では強いですよね。 ○道又委員   強いかなと思うのです。 ○武澤委員   おそらくできないので「望ましい」でいいと思います。 ○部会長   わかりました。よろしいでしょうか。それでは、今日の部分はこれで終り たいと思います。このまとめ役として委員の皆さんにお願いしておきたいこ とは、こんなに意見が出るのであれば、前もって見せて、ご意見を募ってい るので、是非そのときにおっしゃっていただきたいのです。今日になって後 出しで言われても時間ばかりかかります。こういう時間で能率的にやるため に、そういう作業を事務局は多大な時間を用いて早めに準備をしてやってい るわけです。委員の皆さんもお忙しいでしょうが、ここに来てそのようなご 意見を言っていただいても困ります。言っていただかないでもっと不完全な ものだと余計困るわけですが、どうかその作業を、次回は1月ですが、それ までの間に別添1の6以下と別添2を熟読していただき、ご意見がある方は、 いまから決める時間までにお寄せいだきたいと思います。それでやり取りを して、できるだけ委員の方々のご意見を反映した形のドラフトをここに出す ようにさせていただきたいと思います。それにご協力いただきたいと思いま す。いまの調子で1項目、1項目やっていると、あと5、6回やらなければ 終らないような気がして、3月までに終りません。どうかその点はよろしく お願いいたします。熱心にやっていただいたのは大変よろしいのですが、私 の不手際もあり、作業が遅々として進まず、次回に持ち越しになったという ことです。時間になりましたので、今日の議論はこれまでとしたいと思いま す。次回以降のスケジュールを含めて、次務局からご連絡をお願いします。 ○医療安全推進室長   長い時間どうもありがとうございました。次回の日程については、1月31 日(水)、午後3時から午後5時ということで予定しております。場所はまだ 決まっておりませんので、決まり次第お知らせいたします。  部会長からご指摘がありましたように、次回までの資料については、本日 ご指摘いただいた点は、事務局で反映させていただき、なるべく早く各委員 に送付したいと思います。あるいはそれと並行して、6番以降についてのご 意見をいただければと思います。その点の詳細の日程については、別途メー ル等でお知らせしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○部会長   ありがとうございました。それでは委員の方々、大変お忙しい中をお集ま りいただきありがとうございました。本日はこれで閉会したいと思います。 どうもご苦労さまでした。  (紹介先)  厚生労働省医政局総務課医療安全推進室  主査 小川  03−5253−1111(2580)