06/12/12 小児薬物療法検討会議 第3回速記録                       開催日:平成18年12月12日(火)                       場 所:はあといん乃木坂「フルール」 ○事務局  先生方がお揃いになりましたので、ただいまより第3回小児薬物療法検討会議を開催 させていただきます。本日は師走のお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにあ りがとうございます。本日の先生方の出席状況でございますが、本日は17名の先生全 員にご出席いただいております。また、本日はアセトアミノフェンの関係で、日本外来 小児科学会から慶應義塾大学の関口先生にお越しいただいております。  議事に先立ちまして、前回8月下旬に第2回の検討会議が開催されて以降、事務局に 人事異動がございましたので、ご紹介いたしたいと思います。医薬食品局審査管理課長 の中垣でございます。 ○中垣医薬食品局審査管理課長  中垣でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○事務局  それでは秦先生、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○秦座長  まず事務局から、本日の配付資料の確認をしていただきます。 ○事務局  それではお手元の配付資料の確認をさせていただきます。  議事次第  配付資料一覧  資料1 小児薬物療法検討会議 ワーキンググループについて  資料2 小児薬物療法検討会議(個別報告書の検討とその後の進め方等)  資料3−1 小児薬物療法報告書に記載すべき事項  資料3−2 小児薬物療法検討会議 報告書の書式案  資料4−1 「小児薬物療法検討会議」において検討を開始する薬物療法  資料4−2 報告書:酢酸フレカイニド  資料4−3 報告書:アセトアミノフェン  参考資料1 「小児薬物療法検討会議」開催要綱  参考資料2 「小児薬物療法検討会議」委員リスト  参考資料3 酢酸フレカイニド及びアセトアミノフェンの添付文書  その他、本日ご出席の伊藤先生と中村先生の方から、先週7日に開催されました「第 2回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」の団体ヒアリングに関する資 料を、先生方のお手元にお配りいただいております。この資料につきましては、後日、 厚生労働省のホームページでも公開される予定となっております。  そのほか先生方のお手元には、来年の3月、4月の日程をお伺いする紙を置かせてい ただいておりますので、会議終了後、事務局の方へお渡しいただくか、後日ファクスを いただければ幸いでございます。以上でございます。 ○秦座長  資料の欠落などはございませんでしょうか。それでは議事に入りたいと思います。前 回の会議でワーキンググループの設置をご了解いただきまして、そのメンバー選定など については、藤村先生と私に一任いただけるということでございました。ワーキンググ ループの位置づけなどについては、事務局の方でまとめていただいているようですので、 事務局からご説明いただきたいと思います。 ○事務局  資料の1に基づきましてご説明したいと思います。ワーキンググループにつきまして は、報告書に記載されるエビデンスのレベルや、報告書の記載ぶりを統一するという観 点から、すべての報告書について内容のチェックを行うコアメンバーと、個別報告書を 作成いただいた先生方をその都度、お呼びいたしまして検討するという場でございます。 このワーキンググループには、私ども審査管理課の担当者のほか、安全対策課あるいは 医薬品医療機器総合機構からも、必要に応じ会議に出席しております。  コアのメンバーといたしましては、審査経験のある先生や抗がん剤併用療法に関する 検討会にて報告書作成の経験のある先生をメンバーとして、成育医療センターの土田先 生、滋賀医科大学の中川先生、成育医療センターの中村先生、国立がんセンター中央病 院の牧本先生、この先生方をコアメンバーとして、座長を中村先生にお願いしている次 第でございます。  これまでのワーキングの開催状況ですが、11月14日に第1回のワーキングを開催 し、11月27日に第2回のワーキンググループを開催しております。ワーキングにつ いては以上でございます。 ○秦座長  ただいまワーキンググループについてご説明いただいたわけですが、何かご意見はご ざいますでしょうか。よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございました。  次の議題は、個別報告書の検討とその後の進め方について、ワーキンググループや本 検討会議での検討を経た後の具体的な進め方について、事務局からご説明いただきたい と思います。 ○事務局  それでは本検討会議で各医薬品についてご議論いただいた後の進め方であるとか、剤 型追加に関しての基本的考え方につきまして、資料2に基づいて説明をさせていただき たいと思います。  まず、「承認申請又は使用上の注意を改訂するスキーム」についてです。小児科学会 からの要望を踏まえ、この検討会議で優先的に検討すべきとされた医薬品について、個 別のレポートの作成をお願いするとともに、ワーキングで検討の後、この会議での検討 後の取り扱いを整理したものです。  エビデンスが十分ある医薬品につきましては、基本的に[1]の方向とし、そこまで十分 なエビデンスがないが、一定のエビデンスがあって、これを医療現場に情報提供するこ とが有用であるということであれば[2]の方向へ進むという基本的考え方です。[1]の方向 に進みますと承認事項の一部変更へ、[2]の方向に進みますと、添付文書の改訂といった ような方向づけが考えられるかと思います。品目によってはこの[1][2]の複合といったよ うなことも考えられるかと思いますが、基本的にこの[1][2]の振り分けについては、ワー キンググループでその案を検討して、この検討会議でご議論いただくという考え方です。 また[3]として、エビデンスが不十分であるといったようなことにつきましては、その後 の検討を進めないといったような選択肢もあろうかと思います。  (2)には、この検討会議で検討するものの範囲を示しております。例えば米国で錠 剤について承認があって、注射剤について小児に関する承認がないといったような状況 の中、日本での錠剤に関するデータを十分に集めて、錠剤に関する適応拡大の検討を行 うことはこの会議の検討の対象ですが、錠剤に関するデータの外挿により、注射剤につ いても小児の適応を拡大するということは、原則不可といったような考え方で整理して はどうかと考えております。  それから、2.として、この検討会議により剤型の追加あるいは投与経路の追加を求 める場合の基本的な考え方を少し整理させていただいております。基本的には「あった らいいな」というものは対象ではなくて、むしろ「必要不可欠」といったようなことを どこまで精査できるかといったようなところがポイントではなかろうかと思っておりま す。仮に剤型の追加といったようなことを行うとなると、製剤の設計であるとか、規格 の設定であるとか、安定性の試験、同等性の試験といったようなことを行う必要もござ いますし、メーカーによっては製剤設計をした上で、製造ラインの追加などの投資も考 えなければならないといったような状況が生じるかと思います。この検討会議において 必要不可欠と判断したものについて、規格設計、安定性試験、同等性試験の実施等々の 検討を行うよう製薬企業へ要請し、その検討結果を厚生労働省に報告していただくとい うようなことを考えております。以上でございます。 ○秦座長  ただいまの小児薬物療法検討会議の今後の進め方について、何かご意見はございます でしょうか。いかがでしょう。 ○横田委員  この場でどうかというふうにも思うのですが、薬剤によって例えば今日関口先生が発 表されるアセトアミノフェンというのは旧来からあって、場合によっては何百万人が使 っているお薬だと思います。それから私どもが今申請に出しているメトトレキサートと いうのは対象疾患も少ないですけれども、それでも数千人から1万人ぐらいは使う、あ るいは使っている薬剤なのですね。かたや代謝の疾患なんかで全国で5人しかいないと、 3人しかいないというような疾患もあって、そういうものに対応する薬剤というのはあ ると思います。そうしますと、対象疾患とそれから患者さんの数によって、ここで言わ れているエビデンスのこの仕分けが随分と違ってくるのじゃないかと思うのですね。そ の辺をどう考えられるかということを、ちょっとお聞きしたいと思いました。 ○秦座長  事務局、いかがでしょうか。 ○事務局  基本的な考え方としては、どの程度のエビデンスがあるかといったことではないかと 思っております。対象の患者がどれだけいるかということによって、もしかしたら先生 ご指摘のとおりに、十分なエビデンスがなかなかないとか、十分なエビデンスがあると いう話はあろうかと思います。そのときにやはりまずワーキングなりにおいて、個別具 体の事例に基づいて、我々の出口としては承認という方向に行った方がいいのか、添付 文書の改訂といった方向に行って情報提供した方がいいのか、あるいはその複合を考え た方がいいのかということを、個別に考えていくということが求められるのかなという ふうに考えますがいかがでしょう。 ○横田委員  エビデンスというものが例えば、アセトアミノフェンなんか例えば何百万人が使って いて、古い薬でもあって、なかなかそのエビデンスを集めるのだって至難の技だと思う のですね。論文等も、もはや出ていないという時代になります。それから例えば4、5 人しかいない患者さんについて使っているものは、ある意味でトライアルとしてかとら えられないような場面があると思うのですね。そのエビデンスの違いというのは、もの すごく大きいと思うのですが、それもワーキンググループで、それも中に入れてお考え になるというふうに理解してよろしいですか。 ○事務局  ある程度やはりそこは検討の上、方向づけについても考えていくということになろう かと思います。 ○秦座長  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。 それでは次に進ませていただきます。  議題3は報告書の書式についてでございますが、当検討会の報告書の書式について、 事務局からご説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料の3−1及び3−2に基づきまして、ご説明させていただきます。前回、 第2回の検討会議におきまして、報告書作成に当たり留意すべき点などについて案をお 示ししたところでございます。資料3−1と書いております資料は、前回配付させてい ただいたものでございます。これを踏まえまして、ワーキングにおきまして、報告書の 書式を資料3−2として整えさせていただいております。  前回、3−1の資料の中でも触れておりますけれども、まず医療上の必要性などにつ いて一番最初に書いていただくであるとか、あとはその文献の検索方法その他、有効性 ・安全性の総合評価などを記載していただくといったようなところが、報告書記載のポ イントとして挙げられております。  今後の報告書作成に当たりましては、資料3−2を参考に、基本的にこの書式に統一 することとしてはいかがと考えます。 ○秦座長  この報告書の書式に関していかがですか。よろしいですか。こういう形で報告をする ということでよろしいでしょうか。それではありがとうございました。  次はワーキンググループの検討状況についてであります。個別医薬品のワーキンググ ループにおける検討状況について、ご報告いただきたいと思いますが、皆さんご存じの とおり、現在、資料4にある8種類の医薬品について、先生方のご協力を得て報告書作 成を詰めております。の本日の議事の進め方でございますが、まずワーキンググループ の座長の中村先生から、8品目のワーキンググループでの検討状況について総括的にご 報告いただきたいと思います。その後、後ほど詳細にご説明いただく酢酸フレカイニド とアセトアミノフェンを除いた6品目について、必要な議論を行った上で、3番目に酢 酸フレカイニド及びアセトアミノフェンそれぞれについて、中川先生、あるいは関口先 生にご報告いただいた上で議論をするという形でしたいと思います。それではワーキン ググループの座長の中村先生、8品目の検討状況についてご報告をお願いいたします。 ○中村委員  ありがとうございます。そうしましたら資料4−1の順番で、簡単に検討状況につい てご報告させていただきます。まず酢酸フレカイニドでございますが、これにつきまし ては本日報告書を作成中の中川先生より報告いただき、議論いただくことになると思い ますが、効能・効果が頻脈性不整脈(房室結節回帰頻拍、房室回帰頻拍および機序不明 の上室頻拍を含む症候性の発作性上室頻拍、持続性心室頻拍などの明らかな心室性不整 脈)となっております。用法・用量、現状の要望内容は、酢酸フレカイニドとして1〜 4mg/kgを1日2回に分けて経口投与。医療上の必要性としましては、本邦におけ る小児不整脈の治療薬はジギタリス製剤のみで、ジギタリス製剤で効果が見られない心 室性頻拍等に用いる医薬品は我が国には存在しないということでございます。海外での 承認取得国ですが、米国で経口剤について承認があります。検討の基本的な方向性でご ざいますが、基本的には十分なエビデンスが存在するというふうに認識しております。 安全性に関して、患児が器質的心疾患を伴う場合など、致死的な不整脈のおそれがあり、 投与開始時や増量時の注意深いモニターや小児不整脈の専門医の監督下での使用等を行 えば、リスク回避が可能であろうと考えております。用法・用量です。これはちょっと 海外の添付文書等と実際の要望で乖離がございますが、それと国内使用実態調査の方法、 剤型などについて、さらにワーキンググループでの検討を要するかと考えておりますが、 本日ご報告いただきます。  次にメチルフェニデートについてですが、効能・効果は注意欠陥及び多動性障害でご ざいます。これにつきましては、まだワーキンググループで検討するまでに至っており ませんで、次回の検討会議以降にご報告できるかと考えております。  次にシプロフロキサシンでございます。効能・効果の要望がβ−ラクタム剤無効の重 症感染症でございます。これにつきましてもまだ検討に至っておりませんで、次回以降 の検討会で検討されることになります。  次にメトトレキサートでございますが、効能・効果が若年性特発性関節炎。用法・用 量がメトトレキサートとして10mg/m2の体表面積あたりを1週間単位の投与量と して、初回は12時間間隔で3分割した量を、2回目以降は1回投与とし、残りの期間 は休薬するという形で出されております。医療上の必要性としましては、若年性特発性 関節炎に対する標準的治療法として諸外国で本剤が利用されているにもかかわらず、本 剤では小児に対する適応がないというので、米英独仏すべてで承認がございます。現在、 用法・用量のところを少し詰める作業を行っております。本邦の成人に対する用法・用 量は、1週間単位の投与量を6mgとし、本剤を12時間間隔で3回経口投与し、残り の5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返すというものでございます。他方、諸 外国での小児に対する処方方法は、これを3分割しませんで、1回で1週間当たりの投 与量を経口投与するということで、本邦の小児に対してどちらの投与方法をとるべきか ということを、使用実態調査の結果等を勘案して、今後検討を行うことにしております。 また追加の情報でございますけれども、学会としては本剤の使用についてのガイドライ ンも作成しているということでございます。  続きましてシクロホスファミドでございます。シクロホスファミドにつきましては、 効能・効果が全身性エリテマトーデス、若年性皮膚筋炎、血管炎症候群、全身性強皮症 等の小児リウマチ性疾患。用法・用量としてシクロホスファミド500mg/m2、単 位面積当たりを初めの6カ月は月1回、その後6カ月は2〜3カ月に1回、静脈内注射 するというものでございます。ドイツでの承認がございまして、これにつきまして詳細 についてまだ報告書の内容を現在修正いただいているところでありますので、詳しいこ とについては次回以降の検討会でご報告させていただけると考えております。  次にアセトアミノフェンでございますが、これは本日、作成者の関口先生より、もう 最終の案をご報告いただき議論をいただくことになります。効能・効果が小児領域にお ける解熱鎮痛、用法・用量としてアセトアミノフェンとして1回、10〜15mg/k gを使用する。使用間隔は4〜6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度 とするというものでございます。医療上の必要性は本邦で小児に対する解熱鎮痛薬とし て第一選択薬として用いられているが、現在承認されている用法・用量では期待される 効果を得るには不十分であるということでございます。米英独仏すべてで承認されてお りまして、ワーキンググループでの判断でございますが、承認事項の一部変更承認申請 に必要なエビデンスが十分存在すると考えられ、その方向で本日議論いただくというこ とです。国内での使用実態は文献等から十分存在する、あるいは先生方にきょうご議論 いただくことで十分に評価できるということで、さらに国内使用実態調査を行う必要は ないと考えております。  次に7番目のA型ボツリヌス毒素でございます。効能・効果は脳性麻痺患者の2歳以 上の下肢痙縮の改善でございます。用法・用量は罹患している腓腹筋の内側及び外側頭 のそれぞれ2カ所に投与する。推奨総投与量は、片麻痺の場合は4単位/kg、両麻痺 の場合は6単位/kgとして、両肢に分割投与するというふうに要望がなっております。 医療上の必要性でございますが、脳性麻痺による下肢痙縮により歩行困難、歩行不能と なった場合、本邦では治療法が存在せず、本剤の投与により下肢下腿の痙縮が軽減され れば、歩行機能が改善するというものでございます。これにつきましては英独仏で承認 されております。この薬について、ワーキンググループでの検討の内容ですけれども、 本剤の承認要件の関係で、承認されていない適応での小児に対する国内使用実態がほと んど把握できないということで、公知扱いとして、効能・効果及び用法・用量の一部変 更の方向性を打ち出すことは困難ではないかということでございます。承認条件としま して、本剤についての講習を受け、本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、本剤の施 注手技に関する十分な知識経験のある医師によってのみ用いられるよう、必要な措置を 講ずることとございます。このようなことを受けまして、学会としてガイドラインを作 成いただくということ。これが可能かどうかということもございますが、そのことと、 それから我が国での使用実態は、何らかの使用実態を蓄積できるか等のことを勘案した 上で、方向性を判断すべきであると考えております。  最後に8番目のアシクロビルでございますが、効能・効果は新生児単純ヘルペス感染 症。用法・用量は1回10mg/kgを1時間かけて8時間ごとの点滴静脈注射でござ います。医療上の必要性ですけれども、単純ヘルペスウイルスによる全身型感染症は予 後が不良でして、添付文書上で特に新生児低出生体重児に対する安全性は確立していな いとも記載されておりますが、本邦においては実態として、新生児単純ヘルペス感染症 に対しては、本剤が主に使用されているということでございます。米英独で承認がござ います。検討内容ですけれども、本剤については新生児のみを対象に適応拡大を目指し ておりますけれども、実態としては新生児以外の他の適応といいますか、小児に幅広く 使用されていることもあり、対象を新生児に限定して報告書を作成するのが、果たして 適切であるかと。成人の用量とか他の小児の用法・用量とのバランスというところも必 要になるかということで、本会議で議論していただいた上で、詳細についてワーキング グループで検討すべきでないかと考えております。また、用量設定のところについて、 まださらなる検討が必要であると考えております。以上8品目につきまして、ご報告さ せていただきました。 ○秦座長  ありがとうございました。それではただいまの説明に基づきまして、酢酸フレカイニ ドとアセトアミノフェンを除いた6品目について、手短に議論をしたいと思います。ま ずワーキンググループで検討中のメトトレキサート及びシクロホスファミドについてで す。メトトレキサートについてはワーキンググループより小児の用法・用量について、 我が国での成人に対する用法・用量と小児に対する用法・用量との関係について検討中 というコメントがありましたが、この点を含めてこの2剤について何かご意見はござい ませんでしょうか。それではワーキンググループで引き続き検討をいただくようお願い します。  次にA型ボツリヌス毒素についてですが、ワーキンググループから、本剤について国 内での使用実態が理論上なく、まずは学会でのガイドライン作成、企業への講習会協力 などによって使用実態を蓄積し、それを検討した上で、評価が必要ではないかというご 意見をいただいたわけですけれども、この点も含めて何かこのA型ボツリヌス毒素に関 して、ご意見がございますでしょうか。 ○大澤委員  大澤でございます。今の件につきまして質問でございますけれども、学会としてガイ ドラインを作成するということは、現在も準備中でございますし、ほぼでき上がってい るかと思います。そして今先生の方から企業のバックアップも得て講習会をというよう なご指導があったかと思うのですけれども、その点に関しまして、実際に効能・効果が きちっと認められていない状況において、企業のバックアップを得て講習会を実際に行 って実績をつくるということは、許されるのでしょうか。 ○事務局  ご指摘の点でございますけれども、非常に重要な点だというふうに思っております。 この薬剤についてのポイントとなると思われますのが、本剤の承認条件との関係、効能 ・効果との関係も含めてだと思うのですけれども、どういったような形で行うと、スム ーズに学会が作成する小児ガイドラインに基づいた使用ができるのかということを、法 令上の問題がないかどうかについても含めまして、スキームを検討していく必要がある と考えております。ガイドラインの作成を検討中と伺いましたけれども、私どもとして は今後、スキームの検討を考えたいと思いますので、学会としてどのような形でご協力 いただけるかということについて、今後ご相談をお願いしたいと考えております。 ○大澤委員  はい。学会といたしましても、是非ご指導いただきながら、ガイドライン作成及び講 習会ということに全面的に協力させていただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○秦座長  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは今大澤先生がおっしゃ ったように、小児神経学会で本日の議論を含めて対応について、ご検討をお願いすると ともに、その結果については事務局の方にご連絡いただければと思います。ありがとう ございました。次にアシクロビルについてですが、ワーキンググループでは、本剤は新 生児のみの適応拡大を目指して、検討会議で検討を進めているが、実態としては新生児 以外の小児にも幅広く使用されており、新生児に限定して拡大を検討すべきか、要検討 であるという意見でございます。この検討会議で検討を優先すべき品目を選定するに当 たり、各学会からプライオリティーリストのご提出をいただきました。アシクロビルに 関しては、小児感染症学会からはあまり高いプライオリティーをつけていないと理解し ておりますが、この点を中心にいかがでしょうか。 ○伊藤委員  香川大学の小児科の伊藤です。未熟児新生児学会の薬事委員長もやっておりますけれ ど、1つは、これは実態調査をやった方がいいかどうかというのは、いつもこれで思っ ておりますけれども、要するに未熟児新生児学会以外の小児医の方は多分困っていない のではないかなという気はしますけれどもね。ネルソンの一般小児の投与量から言って も、15〜30mg/kg/dayというのが書いてあり、投与日数は書いてありませ ん。ただ、違いは投与日数だけですね。現状は投与日数がやっぱり長く使われていると 思うのですよ。日本での投与日数が7日間でというのは多分おかしいと思いますけれど、 そこら辺が問題ではないのかなと思います。  それで未熟児新生児学会において提出したのは、ほかの4カ国で新生児単純ヘルペス ウイルス感染症で承認されているのに、日本だけ承認されていないはやはり製薬企業は 怠慢ではないのかなと思って、これを提出した次第でございますから、それをどのよう な形でまとめるかということをワーキングの方で決めて欲しいです。1点だけ。実態調 査をやるか、やらないかだけちょっと出していただければ、すぐその方には取りかかり たいとは思います。 ○秦座長  ほかにいかがでしよう。中村先生、何かコメントはありますか。 ○中村委員  新生児だけを対象にするのか、小児の方での用量との整合性をとってまとめるかによ っても、使用実態調査の仕方が少し変わってきますので、まずよろしければ岩田先生の ご意見をお聞かせいただければと思いますが。 ○岩田委員  実際確かにこの会議に上がってきたのは新生児領域でということなのですけれども、 実際には新生児を超えた小児においてもかなり使用されている薬剤ではございますので、 多分公知の事実というような形での上げ方になるのではないかということが予想されま すが、そうなるとやはり小児も含めた上での実態調査というのが必要になってくるのか なというふうには思いますけれども、いかがでしょうか。 ○秦座長  いかがでしょうか。新生児だけを対象とした方がいいというご意見でしょうか。それ とも。 ○伊藤委員  まず新生児のところの適応症をしっかり書いていただくというのがよいと思って申請 しました。新生児単純ヘルペス感染症を適応症に書いていただいて、小児の適応症と用 法・用量を記載したらどうですか。そうしないとなかなか解決できないのではないか。 例えばヘルペス脳炎の小児というのは非常に年齢幅が広くて、長く投与されていること が結構多いのですね。学会の発表を見ていましても、かなり長く投与しないといけない という症例もありますし、これを決められるかどうかは、岩田先生もおわかりだと思い ますが、多分困難だと思います。 ○秦座長  岩田先生よろしいですか。今のご意見も。 ○中村委員  あとこれが小児の方でほかの適応があるということと、それから小児も含めて評価し た方が評価しやすい理由としまして、成人の用量というのは国内外でずれがあるという。 感染症でともするとそういったことがございますけれども、そこの中で海外の成人用量 というか、海外の用法・用量を全部まとめて日本に持って来るのか、海外での成人用量 と日本人での成人用量の違いというものを勘案して持ってくるのか。そこあたりを見比 べるのに、新生児だけで評価するのは、評価が非常に難しいところがありまして、小児 全体についての評価というものをある程度踏まえた上で、全体の用法・用量の評価をし ないと、ちょっとワーキンググループとしても、これ以上の検討は難しいのではないか と思っております。 ○秦座長  今のコメントについて、岩田先生、何かございますか。 ○岩田委員  自分たちで使う場合は、外国の教科書とかガイドライン的なものを参考にして使って いるわけなのですけれども、それで確かに困っていないと言えば困っていないというか、 それを使ってしまっているので、まあ、そういうことになってしまっているので。ただ、 やはりきちっとした日本の中での用法・用量というのは、やはりもちろんあるに越した ことはないですし、それは必要だと思いますので、新生児だけで固めるというお考えも あるかとは思いますけれども、その中でやはり小児まで含めた上で決めていった方が、 現実にはそうしているのかなという気はするのです。確かに作業としては新生児だけで も大変なのに、さらに大変になってしまう可能性はあると思うのですけれども、その辺 は小児感染症学会の方でもいろいろお手伝いはできるかとは思います。 ○中村委員  必要です。 ○宮坂委員  ちょっと議論がかみあっていないような気がするのですけれど、やっぱりこれは一緒 にやらなくてはいけないのではないでしょうか。それが本来この会議の目的だというふ うに思います。 ○秦座長  いかがでしょうか。 ○中村委員  作業的にはどうしましょうか。 ○事務局  ただいまのご議論を伺っておりますと、やはり新生児だけでなく、小児全般に拡大し て検討を進めていくべきではないかといったふうに認識いたしましたけれども、もしよ ろしければ、小児感染症学会におかれましても、どなたかレポートの作成に関しまして ご協力いただく方のご指名を是非お願いしたく、その結果につきまして事務局へご連絡 いただけますよう、よろしくお願いいたします。 ○岩田委員  了解いたしました。 ○事務局  どうぞよろしくお願いいたします。 ○秦座長  そのほかではメチルフェニデート及びシプロフロキサシンについては、ワーキンググ ループの見解ではまだということでございますが、今後、順次検討されると思いますの で、次回以降よろしくお願いいたします。  議題4はワーキンググループでの検討状況についてで、引き続いて個別医薬品に関す る報告でございます。酢酸フレカイニドについて報告書をいただいた中川先生からです。 ○中川委員  中川でございます。小児循環器学会からこの検討会で検討品目として挙げさせていた だきました酢酸フレカイニドの報告書の内容について、説明させていただきます。最初 にお断りしておかないといけないのですけれども、今回、お手元の資料は、本日配付さ れております資料3−2の形にまだはまっていない段階のものでございまして、少しそ の形に合致していないところがございますので、ご了承いただきたいというふうに思い ます。それでは始めさせていただきます。  最初に本剤、酢酸フレカイニドの医療上の必要性でございますが、小児の不整脈は心 臓性急死の主たる原因の1つでございますが、残念ながら我が国で小児の不整脈の治療 薬として、効能・効果を有するものはジギタリス製剤のみであるというのが現状でござ います。しかもこのジギタリス製剤は心房細動・粗動による頻脈と、発作性上室性頻拍 の効能・効果を有するのみでございまして、最も致死率の高いと言われております心室 性不整脈に関しましては、効能・効果がございません。すなわち乳幼児期の心室頻拍あ るいはジギタリス抵抗性の上室性頻拍に対しまして、効能・効果を有する薬剤は現在の ところございませんで、小児循環器病の分野では不整脈治療に当たり、適応外使用を余 儀なくされているというのが現状でございます。  そこで小児での使用経験が比較的多ございまして、海外の特に米国で小児の上室性不 整脈あるいは心室性不整脈に対し、効能・効果を有する酢酸フレカイニドを今回の検討 品目として上げさせていただいた次第でございます。  剤型としましては、現在国内に錠剤と注射剤がございますが、先ほど事務局からの説 明にございましたように、注射剤は海外で小児の承認適応症を持っているところはござ いませんので、この検討会での対象としましては、錠剤のみというふうにさせていただ きまして、以下の話は錠剤のみに限定したものであるということを、ご理解いただきた いと思います。  まず予定効能・効果でございますが、錠剤の対象年齢は15歳以下ということで、効 能・効果としましては、頻脈性不整脈としています。カッコ内の下線部分は米国での添 付文書に書かれてございます効能・効果を、そのまま当てはめたということでございま す。  予定用法・用量ですが、これも錠剤の対象年齢は15歳以下で、酢酸フレカイニドと して1〜4mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。体重当たりでいきますと大体 投与量を規定されるのですが、一応年齢症状により重症度により適宜増減ということを 入れ入れさせていただきました。なお、後ほどもう少し詳しくお話しさせていただかな いといけないのですが、米国の添付文書では、体表面積当たりの投与量が設定されてご ざいまして、その辺の整合性を少し考えていかなければならないというふうに思います。  参考情報としましては、使用上の注意としまして「小児に対する本剤の使用は、すべ て小児の不整脈治療に熟練した心臓病専門医が直接監督すること」ということにしてお きたいというふうに思います。それと基礎心疾患のある心房粗動及び心室頻拍では、有 益性がリスクを上回ると判断される場合のみ投与することというのを付加しておきたい と思います。  その次に2の文献情報等について欧米4ヶ国での承認状況ですが、現在ドイツ、フラ ンス、イギリス、アメリカで錠剤の承認取得がございます。しかし小児で承認されてい るのはアメリカにおける錠剤のみというのが現状です。  剤型・規格は飛ばしまして効能・効果ですが、錠剤のアメリカというところをごらん いただきたいと思います。器質的心疾患がない場合、下記の予防に適応があるというこ とで、先ほどの効能・効果の下線部分に当たるのが、ここにすべて記載されているとい うことです。イギリス、ドイツ、フランスは飛ばしまして、その次の用法・用量に入り たいと思います。  これもアメリカの添付文書の記載なのですが、特に小児に対する本剤の使用はすべて 小児の不整脈治療に熟練した心臓病専門医が直接監督すべきであるという文言が入って ございます。生後6カ月未満での本剤の初回投与量は約50mg/m2で、これは体表 面積当たりの投与量ですが、それを1日当たりで2〜3回の等間隔で分割投与するとい うふうに規定されてございます。生後6カ月以上での初回投与量は100mg/m2/ 日まで増量してもよろしいということが記載されています。推奨される最大用量は20 0mg/m2/日である。一番最後の行のところに、「本剤の投与開始か用量変更かい ずれかの後に、推定定常状態(少なくとも5回投与後)で最低血漿中フレカイニド濃度 (投与前1時間未満)及び心電図を測定すべきである」という記載も、注意書きとして なされております。  イギリス、ドイツ、フランスは小児の用法・用量の記載がございませんので、飛ばさ せていただきまして、[2]の無作為化比較試験等の公表論文としての報告状況とそれぞれ のエビデンス評価に移らせていただきます。残念ながらコクランレビュー、MEDLI NE、医学中央雑誌で無作為化比較試験の検索を行いましたが、小児でこの試験がなさ れたという文献的な報告は、1つもございませんでした。ということで、ここの項目は 該当するものはございません。  [3]の教科書等への標準的治療として記載状況とそれぞれのエビデンス評価でございま すが、まず1番目に、私たち小児科医のバイブルと言うべきNelsonの教科書です が、ここには上室性頻拍及び心室性不整脈の治療薬として、酢酸フレカイニドの投与が 書かれてございます。錠剤と書かれた後に、これは粉末化という錠剤変更のことも記載 がなされてございました。投与量ですが1〜3mg/kgということで、これは体重当 たりの投与量で、最大12mg/kgまで増量可能というようなことも記載されてござ います。あとは腎不全のことなどは警告としてかかれていますが、これは割愛させてい ただきます。  その次の2番、3番、4番は、小児循環器領域の標準的な教科書での記載でございま す。2番目のNADAS’の教科書でもNelsonと同じように、上室性頻拍心室性 不整脈の治療薬としての記載がございまして、経口で2〜6mg/kgを1日を分2あ るいは分3というふうに書かれてございます。  3番目のMoss and Adams’の3番目なのですが、これは上室性不整脈。 頻拍症に対しましての効能として書かれてございます。投与量は2〜5mg/kg/日 という記載がございました。  4番目のGarsonの教科書なのですが、これも投与量としまして3〜8mg/k g/日。その後はちょっとミスプリントでございまして、115〜230mg/m2/ 日の間違いです。これを分2あるいは分3と記載されてございました。  国内の小児循環器領域の教科書として、最もよく利用されてございます臨床発達心臓 病学には、投与量といたしまして、これも後でお話しさせていただきます国内のガイド ラインに沿っているのですが、1〜4mg/kg/日。あるいはこれは米国の添付文書 そのまま用いた50〜100mg/m2というような記載がございます。  それからpeer−review journalの総説、メタ・アナリシス等です が、これはMEDLINEでの検索で、残念ながらメタ・アナリシスは1つも該当する ものがございませんで、総説レビューとして9編ございました。その内訳を大体[1]から [4]に書かせていただいたのですけれども、その中でも特に必要とする小児の上室性及び 心室性頻拍症への有効性と安全性について、比較的多くの症例数を集積して記載された ものが、1番でLuedtkeという人の論文ですね。それと2番のPerryの論文、 3番目のPaulの論文がございまして、これをここに挙げさせていただきました。  特に2番目のPerryの論文は、フレカイニドを使用した704例すべてを対象に、 総説的な解析を行ってございまして、ある程度の有効性、安全性が担保されているとい うような記載がございました。安全性に関しましては死亡例が基礎疾患のあるものに認 められたということが記載されているのも事実でございます。投与量としましては、有 効量としまして、100〜200mg/m2、または1〜8mg/kg/日というよう な記載がございました。  日本語の論文としましては、中村らの論文が1編、総説的なものとしてございました が、ここに記載されています投与量は米国での添付文書に載っていたものでございます。 あと臨床研究論文をいくつか挙げさせていただきましたが、詳細も割愛させていただき まして、大体投与量としましては、プロキロ当たりの記載が多ございました中に、体表 面積当たりの記載がございます。特に1つだけ、10番の論文なのですけれども、Pr iestleyによりますとちょっとこれだけ突出した投与量になっているのですけれ ども、用量として1日1〜11mg/kgというような投与量が記載されてございまし た。  あとは割愛させていただきまして、16ページ、[5]の学会又は組織・機構の診療ガイ ドラインへの記載状況とそれぞれのエビデンス評価。これは2つございまして、1つは 小児循環器学会からの小児不整脈治療のガイドライン。ここにフレカイニドの投与量と 副作用注意点、対象不整脈というのが記載されています。この場合の経口での投与量は 1〜4mg/kgという格好で、これが現在、小児循環器の医師が標準的に用いている 投与量にはなってございます。対象不整脈は発作性上室性頻拍、非発作性上室性頻拍( 心房頻拍を含む)、特発性非持続性心室頻拍、特発性持続性心室頻拍という記載で、上 室性心室性の頻拍はすべてここに含まれてくる記載の内容になってございます。  2の方が、これは不整脈薬物治療に関するガイドラインで、児玉先生が委員長を務め られておりますが、それのガイドラインの記載はこれはおそらく1の小児循環器のをそ のまま引用されているのだろうと思うのですけれども、全く記載内容が同じということ でございました。  あとは[6]のその他で症例報告なんかを見ておりますと、大体投与量はほぼ一定の投与 量で使用されているのでございますが、そんなにきちんとした投与量が記載されている 論文が多くございませんで、これぐらいの記載内容になってございます。  19ページの3の国内使用実態についてでございますが、その[1]国内での使用状況に ついて、2003年に実は一度、小児循環器専門医のいる施設112施設を対象にアン ケートを行いまして、100施設から回答があって、そのうちの43施設においてフレ カイニドが使用されたことがあるという結果が得られてございます。しかしこれ以上の 情報はこのときのアンケートでは得られませんで、情報としては十分ではないというこ とで、今回新たに使用実態調査をやらねばならないと考えたのは、ここに本来の基がご ざいます。  [2]に移らせていただきますが、国内での使用実態に基づく用法・用量の情報について です。実際、症例論文とか学会発表の抄録を見ておりますと、小児不整脈治療のガイド ラインに記載されている投与量、あるいは米国の添付文書における記載で投与されてい るものが多いということで、無効な場合に増量されているというのが現状かと思います。 この最初のパラグラフの下から3行目の最大投与量についてなのですけれども、これは 18ページ3.の布山らの論文なのですが、10mg/kgで投与された症例報告は実 はございました。でも一応Nelsonの教科書に基づきますと、最大投与量が12m g/kgまでということで、一応それをはみ出た量ではないということになってござい ます。  その次の住友らの論文なのですが、次のページの上から2行目ですね。有効血中濃度 200ng/mL以上を得るには、80mg/m2/日以上あるいは3mg/kg/日 以上が必要であったというような投与に関する論文もございました。  [3]国内での使用実態に基づく有効性の情報でございますが、WPW症候群を含む上室 性頻拍症、持続性心室頻拍に対して有効であることが、大体論文を読むと示されている のではないかというふうに思います。先ほど申しましたように、エビデンスレベルとし て高いという論文はございませんが、有効性は個々の論文で大体みんなあるという記載 が多ございました。  [4]の国内での使用実態に基づく安全性の情報についてですが、決して重篤な副作用あ るいは有害事象ベースで論じられたものはないわけでございますが、それを割り引いて 考えなければならないのは事実でございますけれども、2行目に書かれていますように、 重篤な有害事象の報告はなされていないというのが本当のところかなと思います。もち ろん器質的心疾患を伴うものには注意を払う必要があるということと、もう1つ、肥厚 性幽門狭窄症に伴う哺乳不良児の低栄養状態でフレカイニドを使用した場合に、wid e QRS tachycardia を認めたという報告もございましたので、この 辺はちょっと注意すべきかなというふうに思います。  [5]対象疾患治療における位置づけでございますが、ガイドラインに記載されていると おりで、一応頻拍症の上室性、心室性を問わず、すべての頻拍症にこの薬剤は使われて いる。ファーストチョイス、第一選択薬として使われている場合もございますし、他剤 との併用で使用される場合もございます。必ずしもジギタリスがこの場合に使われてい るというのに限ったわけではないのですけれども、この辺の縛りをどうつけていくかと いうのも、1つ問題かなというふうに思います。  ということで、4.の1.から3.を踏まえての総合評価に移りたいと思いますが、 [1]用法・用量に関する総合評価としまして、まず米国の添付文書として、今回のこの事 業の最も基本となってございます外国での承認状況として、承認されているということ を前提に考えますと、本来はこういう体表面積当たりの記載をすべきなのだろうという ふうに思いますが、実際、Nelsonの教科書とか小児の国内でのガイドラインを見 ますと、体重当たりの投与量が設定されてございまして、実際に小児循環器の領域では そういう投与法が実用的であってなされているのかなというふうに考えました。しかし やはりこれはどうしても検討すべき課題と考えますので、とりあえず標準体表面積と標 準体重を新生児期、6カ月児、1歳児、6歳児、12歳児で出したそれの標準投与量を ここに挙げておきました。参考にしていただければというふうに思います。  それから[2]有効性に関する総合評価といたしまして、残念ながら高いエビデンスレベ ルでのメタ・アナリシスを含む論文は見当たらなかったということです。しかし実際の こういう総説あるいは症例報告を見ていますと、国内外を問わずかなり多く使用されて いて、その報告があるというのも事実でございまして、臨床現場において一般的に使用 され、致死的となる小児不整脈を治療する上で、有効な薬剤であるというふうには判断 されるかと思います。米国では小児に対する効能・効果が承認されていることからも、 わが国において小児に対する用法・用量の追加または添付文書にその状況を記載して、 情報提供するに足りるだけの有効性に関するエビデンスはあるのではないかと思われま す。  [3]の安全性に関する総合評価なのですが、これも小児に投与した場合の安全性を解析 できるだけの規模で実施された臨床試験は、残念ながら見当たりません。問題となりま すのは、器質的心疾患に伴う上室性頻拍、心房粗動、心室性頻拍への治療、あるいは哺 乳が不十分な場合の乳児への投与なのですが、この辺は不整脈が起こりうる薬剤である というのは、循環器医は大体理解していると思われますし、また添付文書の記載もござ います。  それをわきまえた上で投与開始時とか増量時には、入院の上、モニター監視下に置く などの厳重な注意を払うということ。それと器質的心疾患のない小児や哺乳が順調な乳 児においては、成人と比較して特に問題となるような副作用はないということで比較的 安全なのですが、やはり小児の不整脈治療に熟練した心臓病の専門医が直接監督して使 用することというようなことを、条件としてつけていきたいなというふうに考えた次第 です。今回の投与量でのこの総合評価に書いたような条件で使用実態調査をやって、そ のエビデンスというものを担保していきたいというふうに考えてございます。以上です。 ○秦座長  非常に詳細な報告をありがとうございました。この報告書に関して、何かコメントは ございますか。どうぞ。 ○横田委員  1ページ目の参考情報の使用上の注意に、「小児に対する本剤の使用はすべて小児の 不整脈治療に熟練した小児病専門医が直接監督すること」ということが注意書きで述べ るようにということを要望されているわけですけれど、これをどういうふうに担保しよ うとしているのか教えてください。 ○中川委員  まず使用実態調査に当たりましては、小児循環器の専門医がいる施設を対象に調査を 行うということです。それと実際の臨床の場におきまして、上室性不整脈ですとこれも 実は適応外なのですが、ATP製剤でとめた上、それでとまらない場合に限り、こうい う薬剤を使うことになるわけですが、そのときにはやはり小児循環器医への相談、コン サルトがなされているのが一般的かと思っております。したがいまして、こういう記載 をすることで、このフレカイニドというお薬は、一般の小児科の先生はなかなか使われ た経験も少ないと思いますし、おそらくその段階では小児循環器医がかかわっているも のというふうに考えてございます。 ○秦座長  よろしいですか。 ○櫛田委員  こういう記載がなされたときに、厚生労働省の側はどういうふうに評価するのですか。 ○事務局  評価と言いますか、要するに専門医が使っていただくために、添付文書上の記載とし てどういう書き方あるいは注意喚起のレベルとしてどのような手段があるのかというこ とだと思います。そこは過去にもいろいろな薬剤におきまして、専門の先生に限定して 使っていただくといったような記載ぶり、あるいはそれについての承認条件をつけると いったようなものもあると思います。そこはどの程度専門家への限定をかけた方がいい のかということも含めまして、是非専門の先生とも今後ご相談しながら、検討していき たいというふうに考えております。 ○秦座長  横田さん、よろしいですか。中川先生、何かコメントはございますか。 ○中川委員  大体そのとおりなのでございますが、私ども小児循環器の分野は比較的スペシャリテ ィーが高いといいますか、なかなか小児循環器の領域のお薬を使いこなせる人は少ない というのも事実なのでございまして、私の知る範囲でこれは経験なので申しわけないの ですけれども、見ておりますと、やはり小児循環器医がこのお薬を使っているのが大半 だというふうな認識をいたしております。 ○秦座長  ほかにいかがでしょう。 ○田中委員  ちょっと教えていただきたいのですが、小児循環器の専門医というのは、小児循環器 学会で出している。 ○中川委員  まだ専門医制度というのは確立してございません。それで小児循環器の造詣が深いと いいますか、学会員というようなことでも私はいいかなと思っていますが、正式な正確 な縛りというものは、本来は専門医とか認定医であるべきだと思うのですけれども、ま だ学会そのものがやっとこの前、そういう認定ができる組織になったばかりでございま して、正式な認定が下りるのは、まだ2年先ということになっています。 ○秦座長  田中先生、いいですか。いかがでしょうか。 ○村山委員  用法・用量設定の総合評価のところなのですが、結論としましては、体表面積で算出 した投与量と体重で算出した投与量は、よく近似しているというふうに判断されており ますけれども、結構新生児につきましても体重の幅があると思うのですが、その幅も含 めて標準偏差等も含めて、よく近似しているという判断でよろしいのですよね。この数 字を生で見ますと、やっぱりちょっとずれているのかなという気がしますので、これは 統計処理をしたその幅の範囲で、よく近似されているというふうに理解すればよろしい でしょうか。 ○中川委員  実は6カ月未満の米国の添付文書が、50mg/m2という限定した書き方でござい ます。ところが国内のガイドラインは1〜4mgという幅を持たせた書き方でございま して、そういうことを考えた上で、幅をある程度見たということでございます。もう1 つは、この6カ月のところなのですが、17.5〜18と7.5〜31と非常に乖離し たように見えるのですが、これは6カ月以上が実は100mg/m2という範疇に入り まして、最大用量17.5〜36までということになってまいりますので、まず31と いうのは入るかというふうには考えております。統計処理はしていません。 ○村山委員  ありがとうございました。 ○秦座長  ほかにいかがでしょうか。 ○櫛田委員  薬剤師の立場からお尋ねしたいのですけれども、これは事務局になるのかなと思うの ですけれども、今後、この検討会を進めていく中でどうしても避けて通れないのが、剤 型変更なのかなというふうに思います。これについてはフレカイニドにつきましては、 先ほど中川先生からお話がありましたように、海外では粉砕するということを添付文書 に記載されているということで通っておりますけれども、海外では粉末そのものが使わ れていないという事実がありますから、それでいいのかもわからないのですけれども、 我々薬剤師からすると、実際に成育では、現在約200品目の錠剤やカプセル剤を粉砕 をしているということです。そのうち、常時使われている30品目ぐらいは、製剤室で つくらないと対応できないという状況がありますので、これをすべて添付文書に書けば、 それで済んでしまうということであれば、ちょっとこれは問題なのかなと。  やはり調剤をする上でどうしても製剤をつくっていただきたいものは、やっぱりつく っていただくと言いますか、その辺のところをきちっと整理をしていかないと、ただ添 付文書に粉砕について書けば済むということではないのかなというふうに思いますので、 その辺のところのご検討を是非よろしくお願いしたいと思います。 ○中川委員  そのとおりだと思います。実はこれは添付文書に粉砕化という文言は出てまいりませ んで、教科書に記載があるだけなのですね。ですから添付文書でもそれは記載がありま せんので、多分、粉砕したときの薬物動態的なデータはないのだろうと考えております。 ○櫛田委員  ここにいらっしゃる先生方は、おそらくそういうことはないと思うのですけれども、 処方される先生方が実際にどういう形態でもって患者さんに渡っているかというところ が認識されていない先生方が結構いっぱいいらっしゃいまして、どういうことかと言い ますと、苦いためにフィルムコーティング錠、いわゆる必要があってコーティングして あるというものを、潰して投薬した場合については、子供にとっては苦くて飲めないと いう事実もあるわけですね。このフレカイニドみたいにいわゆる素錠でもって、裸錠の 場合ですと、味については一応問題がないということでコーティングしていないわけで すね。ですからその辺のところを全部一緒にしないで、粉砕で対応可能か否かについて を精査して、患者さんが飲みやすい形態でもって投薬できるようにしていただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○秦座長  中川先生、よろしいですか。 ○藤村座長代理  このフレカイニドは大変な力作で、今後の検討会のひとつ報告書のモデルになってい くと思うのですけれども、その意味で文献の検索条件と言いますか、サーチストラテジ ーというのを明記しておいた方が、後続のいろいろな薬でやはりそういう手順を踏むと いう意味で、方法を明確にする意味で大事かなと。それとこれは後で読んだ人がどこま でサーチしたのかはっきり言ってわからないという面も逆にありますので、その辺も先 生はもちろんきちっと押さえておられると思うのですが、ここに書かれておられません ので、その辺はいかがでしょう。 ○中川委員  すみません。一応文献検索の検索式としてきちんと記載しなかったのですけれども、 例えば5ページの[2]のところで、こういうところにコクランは全然フレカイニドという 言葉も引っ掛かってこなかったのですけれども、MEDLINE上でのフレカイニド、 それからすべての年齢の小児という検索のパターンを記載いたしまして、それで引っ掛 かった件数をここに挙げさせていただいたということです。 ○藤村座長代理  確かにこの特に公表論文というのは我々は使いますので、一定にそうかなと思うので すが、例えば添付文書とかそのほかのここに盛られたいろいろな資料をどのように、例 えば何年版かということもありますね。そういうふうなすべての資料のドキュメンテー ションをしておいた方がいいのではないかなという気がするのです。大変だと思うので すが、使われたものについてはもう新たに探す必要はないわけですから。それは次の薬 をやるときに、すごく参考になるのじゃないかと思うのですね。 ○中川委員  おっしゃるとおりだと思いますが、できるだけ新しいもので代用できたらという格好 でさせていただいたということです。そこまでのなかなか労力は割けなかったというの が正直なところです。 ○秦座長  大体議論も出尽くしたように思いますので、今後、国内使用実態調査を踏まえた上で、 今後の対応を検討していただくということで、さらにこのワーキンググループ及びこの 会議で検討していきたいと思います。ではどうもありがとうございました。  次にはアセトアミノフェンでございます。報告書を作成していただいた関口先生に概 要を説明していただきます。よろしくお願いいたします。 ○関口参考人  日本外来小児科学会を代表してまいりました関口です。前回、第2回の検討会議でも 報告をいたしました。その議論とワーキンググループの先生方からのご指摘、厚生労働 省の方々からのご指摘などをあわせて書きかえましたのが本日の報告書で、資料4−3 というのがございますので、ごらんください。前回も同様の内容を報告している部分に 関しましては割愛しながら、変えたところをかいつまんでご説明を申し上げます。  まず1ページの医療上の必要性に関しまして、ここはかなり前よりも書きかえており ますが、発熱や痛み自体が子供にとっては大変なストレスであるし、それをケアする家 族にとっても負担である。ただ、発熱は生体にとっては防御反応だから、むやみに下げ なくてよいのだという意見もあるわけですけれども、一方では呼吸循環器系への負担を 増すという、生体にとって不利益な影響もありますし、何より発熱や痛みというのがそ れ自体苦痛であって、子供にとっては不快感をもたらしたり、子供が不機嫌になったり、 食欲がなくなったりするということなので、必要に応じて熱を下げるあるいは痛みを和 らげるということは、一時的な効果であっても子供やそのケアをする家族にとっては有 用なものであるということで、解熱鎮痛薬というのは必要性があると考えられています。  そしてなぜアセトアミノフェンなのかというお話を次のパラグラフで解説しているわ けですけれども、小児における解熱薬として欧米で認められているのは、アセトアミノ フェンとイブプロフェンの2剤だけであります。いろいろな解熱薬の筆頭として挙がっ ているわけです。一方では強い解熱鎮痛効果を持つということで、ほかの薬剤として非 ステロイド系抗炎症薬のジクロフェナク、インドメタシン、メフェナム酸なども過去に は用いられたわけですけれども、これらは欧米では小児に対して認可されていない。国 内でもインフルエンザ脳炎や脳症との関連から、これらの薬剤の使用は慎重にすべきで あるという日本小児科学会からの見解が出されております。このように国内では小児の 発熱に対しての第一選択薬はアセトアミノフェンなのであります。そしてアセトアミノ フェンには、熱を下げる作用のほかにも鎮痛作用がありまして、実際には小児に頭痛、 咽頭痛、術後の痛みなどに対してアセトアミノフェンが使用されてきております。海外 の文献では、低出生体重児、新生児、乳児の鎮痛薬としても、アセトアミノフェンが使 われているということが書かれております。  2ページにまいりますけれども、このようにアセトアミノフェンは広く小児の発熱や 痛みに対して用いられていて、有効かつ安全な解熱鎮痛薬であるということは、小児科 医にとっては自明なのでありますけれども、我が国でこの薬剤を使おうとするときに、 いくつかの問題点があるというのを4つ示してあります。1つは多くの剤型があるので すけれども、小児に対する効能・効果が明示されているのは3つの剤型で、ドライシロ ップ、シロップ、坐剤だけであります。しかもその内容が小児科領域の解熱に限られて いるという問題があります。  第2点はその用法・用量なのですが、ドライシロップ、シロップの経口投与の場合に は原則1日2回、座剤の場合には通常1日1回と記載されております。1回の投与で効 果が持続する時間は4〜6時間と言われておりますので、1日1回ないしは2回の投与 で十分な薬理学的効果が得られない可能性があるということです。  第3点は添付文書の使用上の注意のところに、小児等に対する安全性は確立していな いという記載がある。あるいは末や細粒、錠については、小児に対する用法・用量は明 示されていないという部分でありまして、これらはエビデンス等を踏まえた適切な記載 が可能であろうと考えております。  それから第4点は添付文書に記載されている小児用量が、経口投与の場合と座剤とで 異なっていて、座剤の用量が少ないという点があります。今挙げた4点について、既存 のエビデンスや医療現場での使用実態を踏まえて、より適切な記載が可能であろうと考 えています。もともとは解熱についてのみ学会からは要望を出しましたけれども、実際 の現場では痛みに対する鎮痛薬としても用いられておりますし、海外の添付文書や成書 において、発熱や軽度から中等度の痛みの緩和を対象とした効能・効果が明記されてい るということから、それを裏付けるエビデンスや使用実態の調査をして、そのエビデン ス、使用実態が十分存在すると判断いたしまして、報告書にまとめました。  3ページ目をごらんください。今回提示する予定用法・用量の範囲に、アセトアミノ フェンの予定効能・効果は、解熱及び鎮痛といたしました。予定用法・用量は通常、乳 児、幼児及び小児にアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mgを 使用する。使用間隔は4〜6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とす る。ただし成人の用量を超えないというものを提案いたします。  そして参考情報に関しましては、この用法・用量が小児に使用される可能性のあるす べての剤型に反映されることが望ましいということが1点。第2点目は、低出生体重児、 新生児及び3カ月未満の乳児に対する使用経験がなく、安全性が確立していないという 現行の記載ぶりなのですが、国内の文献や教科書では確かに使用されているような記載 が見当たらないのですが、海外の文献あるいは教科書においては、鎮痛を目的とした使 用方法が明記されております。  一方では3カ月未満の乳児の発熱に対して、熱を下げる目的でアセトアミノフェンを 投与するということは、その原因である可能性のある重症の感染症を見落とす可能性が あるので慎むべきとされておりますが、こういう事情を勘案しまして、使用上の注意の 記載ぶりをちょっと書きかえていただいて、頭に「国内では」という言葉を付けて「国 内では低出生体重児、新生児及び3カ月未満の乳児に対する使用経験がなく、安全性は 確立していない」と書きかえていただくのがどうかなと思っております。第3点目は、 アセトアミノフェン過量投与による肝障害に関してなのですが、すでに肝障害に関する 記載はあるわけですけれども、それに対する治療がアセチルシステインを投与すること によって可能であるということがわかっておりますので、過量投与の際に使用する薬剤 についての情報提供という意味で、アセトアミノフェン過量投与時の解毒(肝障害の軽 減)等には、アセチルシステインが有効であるというような内容をつけ加えてはどうか と考えております。  前回の会議でもご報告いたしましたが、欧米での承認状況につきましては、米国、英 国では承認はされているのですが、添付文書情報を手に入れるのが困難でありました。 ドイツとフランスにつきましては、4〜5ページに示したような内容でございます。そ の他の文献情報につきまして、海外の文献、国内の文献ということで、まとめたものが 5ページ以降にありますけれども、文献データベースを用いてアセトアミノフェンに関 する文献を調べますと、クリニカルトライアルだけで730件ございます。それを全部 リビューするのは到底大変な作業でしたので、まずコクランレビューであるとか、メタ・ アナリシスの対象となった文献を中心にレビューいたしたものが、文献として並んでお ります。  6ページの最初のところに、後に示すコクランレビューで対象となった文献12編の うち、文献を入手できた11編だけを最初解説したのですが、その後、この報告書を書 きました後に残りの1点も手に入りまして、ブリューワーという方たちがやった14歳 以下の小児223例に対して、プラセボとインドメタシン、アセトアミノフェンをそれ ぞれ投与して、解熱効果を比較したという文献があります。インドメタシンは1mg/ kg、アセトアミノフェンは体重1ポンド当たり3mgですので、体重1kg当たりお よそ7mg程度だと思いますけれども、それを投与して、その結果としてはインドメタ シンほどの解熱効果はないけれども、プラセボに対しては有意な解熱効果が認められて いるという内容です。  安全性については眠気がアセトアミノフェンで1で、インドメタシンで2で、プラセ ボでは0というようなことが書かれております。その他の論文に関しましても、それぞ れアセトアミノフェンが有効であることは、十分示されているというふうに考えており ます。  解熱以外に8ページの一番上には、小児の片頭痛に対してアセトアミノフェンやイブ プロフェンを使って、その有効性を証明した試験であるとか、咽頭痛に対するアセトア ミノフェンの効果を検証した試験、それから新生児の疼痛に対して有効性を検証した試 験。あと術後の疼痛ですね。9ページの真ん中に口蓋形成術後の疼痛に関して、アセト アミノフェンを投与したものなどを書いてあります。中には鎮痛に対して有効でないと いうものもありますけれども、投与の仕方であるとか効果を評価する時期などが、それ ぞれ文献によって様々ですので、痛みを全く軽減していないというわけではないと思っ ております。それからアセトアミノフェンの用法や用量に関する文献も、文献の19番 から後にいくつか並べております。これに関しては後で総合評価というところでお示し します。  12ページ以降が国内に関する文献でございます。これもそのうち幾つかを抜き書き しておりますけれども、それぞれ発熱と鎮痛を目的に使ったものをお示ししました。そ の他、14ページからはメタ・アナリシスとPeer−reviewed journ alの総説ですけれども、メタ・アナリシスに関してこの間も述べましたけれども、1 4ページに挙げられた発熱に対する安全性と有効性に関するコクランレビューにおいて は、アセトアミノフェンの解熱効果がプラセボや物理学的な方法と比較して解熱効果が 高いかどうか、熱性痙攣のリスクを減少させるかどうかの、十分なエビデンスはないと いう評価をされてはおります。  ただ、個々の論文を見てみますと、アセトアミノフェンの解熱効果というのは、はっ きり差が出ているのであります。これはメタ分析するリビューアーが書いていることで ありますけれども、それぞれの比較試験のデータが少ない、あるいは評価する項目がそ れぞれの文献によって違う。研究デザインもそれぞれ違っていて評価指標も様々である ということが、その結果に影響しているということであって、アセトアミノフェンが有 効でないということを言っているのではないというようなことが書かれておりました。  それから術後の疼痛に関するアセトアミノフェンの有効性と安全性に関するものは、 小児のものはないのですが、成人を対象とするコクランレビューでは、アセトアミノフ ェンの有効性が証明されたものがあります。急性咽頭痛におけるアセトアミノフェンの 治療効果も、メタ・アナリシスがありました。解熱鎮痛効果でアセトアミノフェンとイ ブプロフェンの効果を比較したメタ・アナリシスもありますけれども、最近ではいわゆ る非ステロイド系抗炎症薬の効果を評価するために、アセトアミノフェンをその比較対 照薬剤として用いているような文献が多々ありまして、アセトアミノフェンの解熱効果 はすでに確立されたものと認識されているようであります。  17ページ以降は教科書的な記載をそれぞれ書いて、抜き書きしてあります。これに 関しては前回とほぼ変えておりませんので、解説は割愛させていただきますけれども、 25ページまで少し飛ばさせていただいて、国内での使用実態に付いて少し述べさせて いただきます。  文献や我が国の教科書の記載から、国内ではどういう状況であるかということは、1 つは発熱に対するアセトアミノフェンの使用状況は海外と大きく異なるものではなく、 今回提案している用法・用量にほぼ一致している。ただし座剤の用量は添付文書上では、 おおむね5〜10mg/kgに相当し、一方で内服薬のドライシロップ、シロップの添 付文書の量は10〜15mg/kgということで、添付文書上では座剤は経口投与に比 べて、低用量に設定されているということがあります。これは海外ではむしろその逆で、 経直腸投与の場合、経口投与の場合と同じ、あるいは高用量を用いることが多いという ところが、少し食い違いがございました。  第2点目は小児の一般的な疼痛、頭痛、片頭痛、抜歯後の痛み、手術後の痛みなどに 関して、アセトアミノフェンは海外とほぼ同様の使用状況である。  3点目は未熟児、新生児に対する鎮痛目的の使用は、国内ではまだ一般的ではないよ うである。国内の新生児学の教科書などいくつか見ましたけれども、アセトアミノフェ ンに関する記載はありませんでした。  4点目は副作用に関しまして、海外では問題とされていない低体温のことが記載され ておりましたが、国内の文献ではいずれも特別な処置をせずに自然に回復しており、重 篤なものではありませんでした。そのほか国内文献で報告されている副作用などは、す べて既知のものであって、特に日本人に特有あるいは日本人に表われやすいような副作 用はないと判断いたします。  26ページの5.有効性の総合評価に移りますが、小児の発熱に対するアセトアミノ フェンの有効性に関しては、多くの臨床試験がなされていて、有効性・安全性は証明さ れていると判断できますが、メタ・アナリシスをするときはに、試験によって研究デザ インが違っていて、有効性の評価基準が異なるということがその分析を困難なものにし ていて、アセトアミノフェンの効果が少しネガティブに評価されているような部分もあ るかと思っております。  解熱薬を使用する目的が、体温の変動で評価されることが多いのですが、実際は患者 さんの不快な症状の軽減というのが主な目的です。ところが臨床試験において、そうい う質的な評価をされることが少ないという現状がございます。あとは最近の臨床研究に おいては、ほかの薬剤の解熱効果を検証するために、対象薬剤として用いられていると いうこともありますので、アセトアミノフェンの解熱効果はすでに確立したものと考え られています。  鎮痛に対する有効性に関しては、必ずしも小児に対する臨床試験が多いとは言えない のですが、おおむね軽度から中等度に対する痛みに対しては、アセトアミノフェンは有 効であろうということは言えるだろうと思っております。それからアセトアミノフェン の有効性に関する臨床試験における用量に関しては、おおむね1回10〜15mg/k gの1回あるいは反復投与であることが多いということなので、今回提示した用法・用 量の範囲内で、適切な解熱鎮痛効果が得られるだろうと判断しています。  それから6.安全性の総合評価に関してですけれども、安全性に関しては今回の文献 の検索などで、特に小児において重篤だと考えられるようなデータはありませんでした。 ただ、過量投与によって危惧すべき肝障害のことがありますので、併用薬剤や肝障害を 起こしやすい病態については、十分に注意喚起しなければなりませんし、過量投与した 際の肝障害の軽減などにおいて、アセチルシステインの有効性に関して記載した方がよ いだろうと考えております。  28ページの7.用法・用量の妥当性に関しまして少し解説いたします。今回、用法 ・用量でお示ししました1回10〜15mg/kgという用法・用量は、フランスとド イツの添付文書情報とおおむね一致しておりますし、海外の教科書とも一致するもので す。フランスとドイツでは1日の最大の用量というのが60mg/kg。ただしドイツ では坐剤において50mg/kgというふうになっております。ただ、海外の教科書や 論文においては、その1日最大用量を超える記載もあるのですが、必ずしもその数値が 一定しているとは言えません。一方で、小児では最大投与量をわずかに上回る量を数時 間から数日かけて投与されて、アセトアミノフェン中毒を起こしたというような報告も ありますし、国内での使用経験や使用実態を勘案して、安全性の観点から1日最大用量 60mg/kgというのでよいのではないかと考えています。  坐剤の用量に関しては、その吸収が不安定で遅延するということから、1回量をさら に高用量にした方がいいだろう、あるいは投与間隔を延長すべきであるというような海 外の文献があります。ただ、その記載がガイドラインあるいは文献、教科書によって一 定ではありません。ドイツでは坐剤の1日最大用量を50mg/kgというふうに設定 されているのですが、そのほかの海外の文献、教科書は、1回用量は経口と同じまたは それよりも多く、1日最大用量は経口とほぼ同量とされたものが多いので、ドイツのよ うに坐剤の1日最大用量を抑えた方がよいというものはほかにありませんでした。した がって、今のところ、添付文書上で経口薬と坐剤で用量を変えた方がよいとするような 十分なエビデンスはないということと、フランスやドイツの添付文書情報との整合性を 考えまして、座剤の用量はほかの剤型と同量でよかろうというふうに判断しています。  未熟児、新生児に関することは、今回調べた限りにおいては、国内においては使用経 験はないということで、今のところ、その用法・用量、投与間隔などは、海外の文献や 教科書、ガイドラインでも異なっておりまして、一定の結論ではありませんので、今回 は未熟児、新生児、3カ月未満の乳児に関しては、あえて特別な用法・用量を書いてお りません。  以上のような状況で、今回報告書をまとめさせていただきました。少し長くなりまし たが、解説を終わりにいたしたいと思います。 ○秦座長  大変詳細な報告をどうもありがとうございました。今の報告について、何かご意見は ございますでしょうか。 ○五十嵐委員  いくつか教えていただきたいと思います。まず3ページ目の予定用法・用量で、今、 先生のお話でいくつか疑問点が消えたのですけれども、それでも少し気になるところは、 「乳児、幼児、小児にアセトアミノフェンとして、1日総量60mg/kgを限度とす る」ということになっています。本当に乳児と小児は上限を同じ量でいいのかどうか。 それが1つです。それから成人の用量を超えないというこの成人の用量というのが、日 本では1500mg/kgになっておおりますけれども、フランスなどは4000mg /kgですね。これについても、できれば数字を表して出した方が親切なのではないか と感じました。  それから直腸に投与するのと経口的に投与するのと、エビデンスがないので分けてい ないということですけれども、本当にそれでいいのかどうか2点目として私はちょっと 気になります。  それから細かいことですけれども、22ページの真ん中の「小児薬用量」の出版社は、 医学書院ではなく診断と治療社ですので、これは直していただきたい。以上です。 ○関口参考人  失礼いたしました。乳児、幼児、小児に、1日最大用量を変えた方がよいかというこ とに関してなのですが、一般に変えた方がいいのは未熟児と新生児に関しては、最大用 量をより制限した方がいいという記載は各教科書や論文であるのですが、乳児以上に関 しては、最大用量はほぼ同じに設定しています。ただ、その設定の仕方が60という文 献もあれば、100と書いてある文献もあるというのが実際のところです。  それから成人の用量は確かに先生のおっしゃるように、欧米は1日4g、3gという のが限度になっております。日本は1.5gなのですが、このアセトアミノフェンの成 人用量の上限は、今、成人領域で見直しが進んでいるということを聞いております。で すので、そちらが解決されれば、成人用量まで使っていいということで、ここではあえ て設定をしておりません。  それから経口と坐剤で用量を変えなくてよいだろうというのは、今回、調べたものの 範囲内で教科書的な記載を中心に判断すると、ほぼ同量で設定してある教科書から、さ らにそれを多くした方がいいという意見もあるというような書き方になっております。 ですから基本的には「経口、経直腸で同様の設定があって、ただし最近の研究では、坐 剤の場合あるいは経直腸投与の場合には、1回量を多くしたり、投与間隔を長くした方 がよいというような論文がありますので、そういうところが教科書の中にも記載がある けれども、いまだ一定の結論が出ていないというのが海外の教科書の書きぶりです。以 上です。 ○秦座長  ほかにいかがでしょう。 ○藤村座長代理  ちょっと細かいことなのですけれども、先ほど米国、英国の添付文書が入手できなか ったというのがあったと思うのですけれども、先生、非常にご努力いただくに当たって、 例えば日本における製造業者の協力は得られなかったのでしょうか。その辺からちょっ とお伺いしたいのですが。 ○関口参考人  アセトアミノフェンは国内ではいろいろな会社から出されていますが、その関連の企 業にも協力をいただいて調査をしました。ただ、アセトアミノフェンが余りに古い薬剤 でありまして、どうも承認状況であるとか、医薬品としての添付文書がなく、一般薬と してはたくさん出回ってはいるのですが、いわゆる日本で言えばOTCの薬剤の箱に書 いてあるような、そういう情報しか手に入らないというのが現状であります。ですから FDAであると。 ○藤村座長代理  処方薬として病院に納品される薬に添付文書が付いていないという意味ですかね。 ○関口参考人  そこまでわかりませんが、少なくとも米国、英国のいわゆる医薬品添付文書情報に当 たるものというのは入手ができませんでした。これは私だけではなくて、製薬企業の方 とそれから成育医療センターの先生方にも、それぞれ力を尽くして調べての結果でござ います。 ○藤村座長代理  PDRですね。それは一応はきちっと書いてあるわけですね。 ○関口参考人  PDRに書かれている記載は、その製品に関するものであって、アセトアミノフェン 自体の医薬品添付文書には相当しないという一般薬としての書き方で、例えば用法のと ころはテーブルスプーン2分の1杯というような書き方になっているわけです。 ○藤村座長代理  ありがとうございました。大変ご苦労なさったと思います。 ○秦座長  ほかにいかがでしょう。どうぞ。 ○橋本委員  橋本です。私は素人なのであれなのですが、この検討会というのは新たな国内臨床試 験をやらないで、承認申請あるいは情報提供しようということですから、その意味では エビデンスについて、かなり神経質に対応する必要があるのだろうというふうに考えて います。今回、大変な労作で大変きちんとまとめられているのですが、特にこのエビデ ンスの中でも、コクランレビューというのは一番重要なものですから、その意味でもう 少し神経質なまとめていただく必要もあるのではないかというふうに感じます。  例えば14ページのところのPeer−reviewed journalの総説、 メタ・アナリシスの報告状況の14ページの一番下あたりを見ますと、著者らが云々と 書きながらも、何となく判断をここでかなり加えた文面のようにも受け取れる印象があ ります。ここはやはり報告状況ですから、客観的な記述ということで、特にここはコク ランレビューのところですから、神経質にやっていただきたいと思います。  それから26ページの有効性の総合評価においても、コクランレビューが云々という のは具体的にはこの中には出てこないのですけれども、やはりそういうものを具体的に 挙げて、そうであってもということで、もう少し丁寧に書いていだく必要があるのでは ないかというふうに思います。  もう1点違うことなのですが、今回取り上げた先ほどのフレカイニドの場合は臨床試 験がないと。今回はもう非常にたくさんの臨床試験があるという、非常に両極端の薬な のだというふうに思っていますが、まとめ方に当たっては、問題点の方を総合評価のと ころでは是非丁寧に「ないからどうだというのは、しょうがないじゃないか」ではなく て、やはりエビデンスがあるのだということを強く強調する必要があるわけで、ですか らなぜないのだとか、そういういろいろなことをもう少し書いていただいたほうが、私 なんかの素人にとっては、それを受け入れやすいというふうに思います。  一方、アセトアミノフェンの場合はものすごくたくさんあるわけですから、その中で 特にこういうものに注目して集中して議論をしているということについての正当性も、 是非もう少し丁寧に書き加えていただいたほうが、素人としては非常に受け入れやすい と、そういうふうに思います。すごい何か大変な注文を出しているのですけれども、ご 検討いただければと思います。 ○秦座長  関口先生、よろしいでしょうか。何かコメントを。 ○関口参考人  いえ、特にございません。 ○中村委員  1点、ワーキンググループの座長の方から。14〜15ページのメタ・アナリシスの 記載ですが、これは15ページの第1行目「アセトアミノフェンの小児の発熱に対する 有効性を否定するものではない」と、これは曖昧な表現になっておりますが、これは「 筆者らがアセトアミノフェンの小児の発熱に対する有効性を否定するものではないとし ている」ということでございます。ちょっと書き直しということの指摘を受けましたの で、確認させていただきたいのですが、これはもし可能でしたら、もうちょっと具体的 にご指摘をいただけると、後の作業がしやすくなるかと。  逆を言いますと、すべてのところについてパーフェクトな情報を記載することは不可 能でございます。最低限、海外で承認されている解熱と鎮痛についての情報については、 海外でも承認されているし、それをサポートするに足る情報があるであろうということ の書き方ということはできますけれども、今回非常に関口先生がご苦労なさって、いろ いろな情報を盛り込んでいただいた分、少し論点がぼけたかと思いますが、そこを「解 熱と鎮痛についてはこれだけの根拠がある」とか、あるいは「コクランレビューではこ う書いているけれども、個々の論文では有効性について個々の論文を見ると、どれも有 効性を否定するものではなくて、解熱という観点から見ればむしろ有効性が肯定的であ る」と、そういうまとめ方でよろしいでしょうか。 ○橋本委員  はい。私は全くそういうつもりで、そういう意見を申し上げたということです。 ○秦座長  ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。それでは基本的にこの報告書 は了承していただけますでしょうか。どうもありがとうございました。それでは本剤に ついては、承認事項の一部変更に向かうべきだという、そういうご意見ですので、事務 局は必要な手続きをとっていただきたいと思います。最終的な報告書の様式そのほか書 きぶりは、座長の私に任せていただいてよろしいでしょうか。ではどうもありがとうご ざいました。  本日の議題は以上でございますが、事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局  ありがとうございます。次回の日程につきましては、本日、先生方のお手元の方にお 配りいたしました3月、4月の日程につきましてお伺いしまして、改めまして事務局の 方で調整させていただいてご連絡を差し上げたいと存じます。以上でございます。 ○秦座長  少し予定の時間まで時間もございますが。 ○大澤委員  小児神経学会の関連でございますけれども、本委員会とは必ずしも直接は関係しない ことなのですけれども、実は小児神経学会といたしまして、国内で開発された成人で認 められている薬剤で、小児の適応を認めてほしい薬剤としてエダラボンという薬剤を挙 げたのですね。その状況もあって、製薬企業の方も小児の治験拡大といいますか、小児 例でのことをやってもいいと思って動かれたようなのですけれども、成人の脳梗塞と小 児の脳梗塞は原因が異なるからという理由で、それは認められないというふうに判断を 受けたということを聞いております。  確かに成人の脳梗塞は動脈硬化とかがあって、小児の場合には先天性の要因や血管炎 のようなものがあって、梗塞が起こるところは違うかもしれないのですけれども、梗塞 が起こった後、組織に血流が行かず酸素が行かず、いろいろなことが起こってきて神経 細胞が冒されていくという過程では、大体同じメカニズムだと私たちは解釈しているの ですけれども、それが「原因が違うから」ということで、認められないというようなご 判断があったというような事例も、小児神経の仲間の中では非常につらいことというふ うに考えております。  私自身はこの医薬品の承認に関連する会議、例えば未承認薬問題検討会議、有効で安 全な医薬品を迅速に提供するための検討会、この会議に出させていただいているのです けれども、未承認薬で例えば小児科関連の薬剤が、是非これはやっぱり使って欲しいか ら、企業にも申請を出してもらって、治験もやっていただきたいという薬剤でも、企業 にとって小児の薬剤は儲からないので、企業がなかなか動いてくださらなくて、延び延 びになっているという状況があります。  そういう中でこちらが要望として是非欲しいと言い、企業も是非小児もやってみまし ょうかということを言ってくださるような薬剤があっても、実際にはそれが拒否されて しまうという状況ですと、子供の薬剤の適応拡大というものがなかなか進んでいかない。 将来が非常に暗いかなというふうに思っているのですけれども、その辺いかがでしょう か。 ○中垣課長  全くの誤解だと思います。小児の適応拡大を拒否するなんて、そんなことをやる気は 全くありません。我々は企業にどちらかと言うと督促している方でございまして、それ を拒否するなんていう考えは全く持っておりませんので、それは学会内部にもよろしく 先生からもお伝えいただければありがたいと思っております。先ほど剤型追加のところ で、櫛田委員からもご発言がありましたけれども、いろいろな現場から欲しいという声 と、必ずしもそれが採算に乗らないというような企業べースの考えと、この右と左の間 の中でやっていかざるを得ないというふうに考えておりますけれども、そのあたりは先 生方にもご無理を申し上げることもあるのだろうと思いますし、製薬企業にもまた無理 を言って聞いてもらうというところもあると思っておりますけれども、今後ともコミュ ニケーションをよくして、そのあたりのすり合わせができればというふうに考えている ところでございます。よろしくお願い申し上げます。 ○伊藤委員  1つ思っていますのは、この会議のことなのですけれども、薬に対して小児の用法・ 用量を決めるものなのか、やっぱり薬はあるが適応症がなくて困っている疾患があって、 それに対して薬をどうするかという両方の方向づけがあると思うのです。私たちが出さ せてもらったのは、新生児単純ヘルペス感染症に対してアシクロビルがどうかという話 で出したわけなのです。そうすると日本未熟児新生児学会では藤村先生がちゃんとうま いシステムをつくられて、希少疾患サーベランス事業というのがあって、そこのところ である程度、実態調査はやれるわけなのです。だからそういう意味合いで、例えばアシ クロビルが出たら、結局未熟児新生児以外の小児にもどうかという話になるとまとめる のが大変です。他方、ある疾患に対してアシクロビルが適応症になっていないのでどう するかということ、適応症と薬の用法・用量を決めるということの2点があると思うの です。そこら辺をはっきりさせていただきたいと思います。 ○秦座長  中村先生どうですか。 ○中村委員  私に振られても何ですけれども、私が審査管理課の人間だったらという言い方をして もいいのでしょうか。すみません。元審査をしていた視点から見ますと、その薬につい てどういった形できちっと効能・効果と用法・用量を整えるかという視点で見てしまい ますので、薬の中には1つの効能書きをいじって適応拡大をすると、全体のほかの小児 のほかの効能がある場合に、非常にアンバランスになるという点は、ある程度判断せざ るを得ないのではないかと認識はしています。 ○伊藤委員  それはわかりますけれど、新生児の単純ヘルペス感染症というは1つの疾患単位です から、やはりそれが小児のところに広がるという。例えば小児の方だったら、やっぱり ヘルペス脳炎の形で出ることが多くて、使われるのは多いと思うのです。だからそれを 疾患単位でやるというのは非常に難しいところがあると思うのです。だからそこら辺を どう整合性を整えるかというのは非常に難しい話で、どうしていったらいいか、私の頭 の中でうまいこと整合性ができないものですから、質問しているのですけれども。 ○秦座長  何か事務局の方でございますか。 ○事務局  1つの考え方としては、新生児の適応拡大を1つのきっかけとして検討を進めていっ た場合、果たして新生児だけでいいのかという疑問が生じたり、場合によっては全く違 う疾患に対する適応の拡大の必要性に気付くことがあるかもしれない。そういったとき に、薬剤を1つの単位として考えるならば、そういったような拡大の検討を同時並行的 に行った方が効率的と考えますけれども、いかがでしょうか。 ○伊藤委員  だからそれはわかりますけれども、やっぱり疾患単位が違う場合のときには1つ解決 しておいて、その両者をやってみて、それで整合性を合わせるという方が簡単に解決つ くと思うのです。両者を合わせてやるとなると、非常にどういう切り口でやるかと非常 に難しいところがあるのじゃないかなと僕は思うのですが、またいい切り口がございま したら教えていただいたらいいと思います。 ○中村委員  前回、伊藤先生はご出席でないところでのワーキンググループでの検討でしたので、 次回、ワーキンググループの際に、実際に伊藤先生にご出席いただいた席で、もうちょ っと細かいご説明を。ちょっと今ここでは公開の場ですので、具体的な細かい点につい てご説明しづらいところがありますので。そちらでご説明できるかと思いますので。 ○藤村座長代理  子供たちが普段投与を受けている未承認薬で、保険審査という問題がありますよね。 それが実際は地方においては、承認されていないのでというので、審査を通っていない という事実がいろいろと起こっているわけです。未承認薬で話をしているとき、そうい う現象も目配りしておかないと、国民や一般診療科のニードと遊離してしまうおそれも あるということで、これはコメントですけれども、我々はそういう目配りをしながらや らないといけないなと思っておりますので。 ○横田委員  先ほどの大澤先生の話に対する課長のお答えで、ちょっと確認をしたいのですけれど も、ICHの子供の治験のためのガイドラインというのがございますね。その中で成人 の薬剤として治験が行われているものでも、小児にも広がるものがあればそれはやるべ きであると。これは新薬の話だと思いますけれど、それをやらない場合には、認可に関 して多少問題が起こる可能性があるよというのが書いてあると思うのですが、それは新 薬に関して今後もそのことを僕らは信じてやっていっていいわけですね。 ○中垣課長  なかなかその点は難しい話だろうと思います。現実問題として、ICHのガイドライ ンのそこの点を正確に私は覚えていないわけでございますけれども、例えばアメリカで 承認になったもの、ヨーロッパで承認になったものというのも、やはりこんなことを言 うと先生方には恐縮なのですけれども、また倫理的な問題も当然あるかとは思うのです が、小児は後追っかけみたいな形になっているのが現実論なのだろうと思います。また それを優遇するために、例えばアメリカですと、データ保護的なものを設けるというよ うなことも、制度としてやっているわけでございますが、またそのデータ保護がある面 でいくと悪用と申しますか、確かコレステロールの関係の薬で、小児用を開発する必要 があるのかどうかというのが、かなりレビューされていたと思いますけれども、そうい ったことも現象として見られないわけではないというような状況にあるのだろうと思っ ております。  ただ、正直申し上げて、国内の小児の薬物療法の状況を、とりあえず急ぎ現状をまず 少しでも改善しようというのが、この今回の試みなのだろうと思っておりまして、そう いう面で申し上げますと、先生方にご協力をいただいて、この列車だけでもスムーズに 最初に走らせて、1回走らせると少しはその道に慣れていくのではなかろうかというの が、正直な今の私の気持ちでございます。何分取り組み始めて余り例がないところでご ざいまして、先生方にいろいろお手数をかけざるを得ないと思っていますけれども、よ ろしくお願い申し上げたいと思っております。 ○秦座長  ちょうど時間になりましたので、きょうの会議は終わらせていただきます。どうもあ りがとうございました。 <了> 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111 1