06/12/11 平成18年度特定疾患対策懇談会 第3回議事録 平成18年度第3回特定疾患対策懇談会 平成18年12月11日(月) 厚生労働省専用第18・19・20会議室 出席委員  朝倉  均   内田 健夫   大野 良之  ○金澤 一郎          神崎  仁   桐野 高明   猿田 享男   田中 靖彦       辻  省次   中村 耕三   埜中 征哉   本田 孔士          溝口 秀昭 武藤 輝一   矢崎 義雄   矢野 正子                              ○:座長 1.開 会 2.議 事  (1)特定疾患治療研究事業の対象範囲の見直しについて (2)新たな対象疾患の選定の考え方について (3)その他       3.閉 会 ○金澤座長 ただいまから第3回特定疾患対策懇談会を始めさせていただきたいと思いま す。本日はお忙しい中を、委員の先生方には遠いところからもお集まりいただきまして、 まことにありがとうございました。  それでは会に先立ちまして、外口健康局長から一言ごあいさつをいただきたいと思いま す。よろしくお願いします。  ○外口局長 特定疾患対策懇談会の開催にあたりましてごあいさつを申し上げます。委員 の皆様方におかれましては、御多忙のところを特定疾患対策懇談会に御参加いただきまし てまことにありがとうございます。また、日ごろから難病対策の推進に格別の御理解御協 力を賜り、重ねて御礼を申し上げます。  本年8月より平成14年度に行われた厚生科学審議会難病対策委員会の中間報告で指摘 されております希少性の要件を超えている疾患の検討という課題について審議を行ってお ります。前回の9月11日に行われた懇談会では、患者団体の方からヒアリングを行い、患 者さんの御意見をお伺いして議論いたしたところであります。  本日は今までの議論を踏まえまして、特定疾患の対象者の範囲の見直しの取りまとめに 向けた議論がされることとなっております。本日の会議におきましても、先生方の忌憚の ない御意見を御期待申し上げ、簡単ではございますが、あいさつとさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○金澤座長 どうもありがとうございました。それでは議事に入ります前に事務局から委 員の方の出席状況をお話しください。 ○日下補佐 本日は工藤委員、齋藤委員、谷口委員、長谷川委員、秦委員から御欠席の御 連絡をいただいております。 ○金澤座長 それでは配布資料についての御説明、御確認をお願いします。  ○日下補佐 それでは配布資料の確認をさせていただきます。  まず資料1、平成18年度第1回特定疾患対策懇談会議事要旨について  資料2、平成18年度第2回特定疾患対策疾患対策懇談会議事要旨について  資料3、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病の重症度分類について  資料4、特定疾患治療研究対象疾患の対象範囲に限定のある疾患  資料5、関連する社会保障制度について  資料6、増悪時の取り扱いについて  資料7、難病患者に対する就労支援に関する事業(仮称)(案)  資料8、特定疾患対策懇談会における議論の整理について  参考資料1、特定疾患治療研究費補助の概要  参考資料2、難病対策委員会中間報告(平成14年8月)への対応状況  参考資料3、難病対策委員会中間報告(平成14年8月)等を踏まえた特定疾患対策の主        な課題  参考資料4、厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望書等が提出されている疾患  参考資料5、特定疾患治療研究事業疾患別受給者件数の推移  参考資料6、特定疾患治療研究事業疾患別受給者件数構成比(平成16年度末)  参考資料7、特定疾患治療研究事業疾患別公費負担額構成比(平成16年度)  参考資料8、特定疾患治療研究事業予算額の推移  参考資料9、特定疾患治療研究事業の推移  参考資料10、潰瘍性大腸炎 重症度分類による患者数の変化  参考資料11、パーキンソン病 L−Dopa導入による治療効果の変化、  以上おそろいでしょうか。不足しているものや乱丁等ございましたら、事務局までお申 しつけください。 ○金澤座長 ありがとうございました。それではこれから議事を始めたいと思いますが、 まず初めに今確認のありました、その資料について事務局から説明をお願いします。 ○日下補佐 それでは資料の御説明をさせていただきます。まず、これまでの議論の経過 について、まとめて御説明させていただきます。資料1及び資料2を併せて御説明させて いただきます。  まず、第1回目の特定疾患対策懇談会の議事要旨でございますが、今年8月9日に開催 されました第1回の特定疾患対策懇談会については、平成14年8月の厚生科学審議会疾病 対策部会難病対策委員会の中間報告のうち、残された課題として、希少性の要件、これは 患者数がおおむね5万人ということですが、これを超えている3疾患、潰瘍性大腸炎、パ ーキンソン病、全身性エリテマトーデスの取扱いについて議論がなされました。  この第1回目の議論と致しましては、全身性エリテマトーデスについては、5万人を超 えているものの、ここ数年の患者の伸びが5万人の近傍でほぼ横ばいとなっていることか ら、引き続き患者数の動向を見守るということ。  そして希少性の要件を大幅に上回る潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病の取扱いについて は、希少性の要件非該当ではありますが、未だ原因が不明であることなどから、特定疾患 の除外は今回は行わず、特定疾患治療研究事業の対象者の範囲が希少性の要件に該当する 方向で検討する。そして希少性の要件を大幅に上回る疾患の見直しを行った後に、新規疾 患の追加を行う必要があるというふうな御意見がございました。  また、この第1回目の時には、次回第2回目の時に潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病の 代表的な患者団体からヒアリングを行い、その後10月ごろに取りまとめの議論を行うとい うふうな取り決めがなされました。   引き続きまして資料2に移らせていただきます。9月11日に開催されました第2回目 の特定疾患対策懇談会において、第1回目の議論で希少性の要件を超えている潰瘍性大腸 炎及びパーキンソン病の2疾患について、特定疾患治療研究の対象の範囲が希少性の要件 に該当する方向で検討されたことを踏まえまして、ヒアリングを実施致しました。  ヒアリングの対象となったのは、潰瘍性大腸炎についてはIBDネットワーク、パーキ ンソン病については全国パーキンソン病友の会、この二つの団体からヒアリングを実施致 しました。両団体からは難治性疾患克服研究事業の今後について、また、特定疾患治療研 究事業の対象範囲の見直しについて意見を聴取し、意見交換が行われたところでございま す。  引き続きまして資料3に移らせていただきます。潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病の重 症度分類についてです。資料の重症度分類については、現在、臨床調査個人票において用 いられているものを取りまとめたものでございます。  まず潰瘍性大腸炎でございますが、軽症とは、1日の排便回数が4回以下、便潜血が+ から−、発熱がなく頻脈もなく、貧血もなく、赤沈が正常なもの全てを持たすものを軽症 というふうに分類をしております。また重症については、排便回数が6回以上、顕血便が +++、発熱が37.5度C以上、頻脈が1分間90回以上で、貧血がヘモグロビンが10グラ ム/?以下、そして赤沈が30mm/時以上あるものについて、一つでも当てはまるものを重 症と分類しております。中等症とは、重症及び軽症に分類されない、中間のものというふ うに現在分類されております。  引き続きまして次はパーキンソン病の重症度分類でございます。現在パーキンソン病の 重症度分類はヤールの重症度分類というもので分類されておりまして、0度から5度まで 存在します。0度はパーキンソニズムがないもの、1度は一側性のもの、2度は両側性の もので、姿勢反射障害がないもの、3度は軽から中等度のパーキンソニズムで姿勢反射障 害があるもの、及び日常生活に介助が不要なもの、4度は高度障害を示しますが、歩行は 介助なしにどうにか可能なもの、5度は介助なしにはベッドまたは車いす生活を送らねば ならないものとなっております。  重症度分類にはこれらの他に生活機能度障害も加味されております。この生活機能障害 度は1度から3度までございます。現行の特定疾患治療研究事業におけるパーキンソン病 の対象範囲は、先ほど申しましたヤールの重症度分類の3度以上かつ生活機能障害度が2 度から3度のものを指します。  次に患者の状況ですが、これまで臨床調査個人票において用いられている重症度分類及 び年齢、生活状況についてまとめたのがこの3枚目のグラフでございます。潰瘍性大腸炎 については、66%が軽症でございます。28%が中等症、重症は4%で、不明が2%ござい ます。年齢については、各年齢層、広範囲にほぼ均等に分布しておりまして、60歳未満が 78%ございます。  生活状況に移りますが、軽症については、就労、就学、比較的年齢が若いということも ございまして、就労・就学及び家事労働をされている方を合わせて87%ございます。中等 症についていえば、85%でございます。  次のページにまいりますが、パーキンソン病については、ヤールの重症度分類の3度が 51%、4度が23%、5度が26%でございます。年齢については、やはり発症年齢が高いと いうこともありまして、60歳未満が10%しかございません。生活状況でございますが、3 度においてはやはり年齢が高いということも反映いたしまして、通勤、通学及び家事労働 されている方が33%ございまして、潰瘍性大腸炎よりはやや少ない傾向にございます。4 度、5度においては通勤、通学、家事就労をしている者は、あわせて4%、5度において はほとんど存在しないというという状況でございます。  引き続きまして資料の4、特定疾患治療研究対象疾患の対象範囲に限定のある疾患でご ざいますが、先ほど申しましたパーキンソン病については現在ヤールの分類で3度以上か つ生活機能障害度が2度以上が対象となっておりますが、これ以外にもアミロイドーシス、 後縦靱帯骨化症、広範脊柱狭窄症、原発性胆汁性肝硬変、重症急性膵炎、特発性間質性肺 炎、網膜色素変性症、神経線維腫症I型、バッド・キアリ症候群等については、特定疾患 治療研究事業の対象となるために、重症度の範囲に限定が現在もございます。   引き続きまして資料の5に移ります。関連する社会保障制度についてですが、これは前 回の懇談会で座長から御質問があったものでございます。この関連する社会保障制度につ いては大きく三つございます。一つ目が高額療養費制度、二つ目が自立支援医療等、三つ 目が介護保険制度でございます。  まず高額療養費制度について御説明を申し上げます。高額療養費制度は一定の限度額を 超えて保険医療費の自己負担分を支払った場合に、その超えた支払い部分を請求により払 い戻す制度でございます。特定疾患のような医療補助が何もなかった場合について、どの 程度になるのかというのが下の表でございますが、70歳未満の場合、月収が53万円以上 の上位の所得者に対しては、まず1カ月目から3カ月目までは上限が月額15万円+医療費 の1%、4カ月目以降になりますと83,400円となります。  低所得者、これは住民税非課税者でございますが、この低所得者に対しては自己負担の 限度額が現在35,400円となっておりまして、これが4カ月以上続く場合においては24,600 円となります。この上位所得者と低所得者の間の収入があるものについては一般というカ テゴリーになりまして、月額の上限が80,100円+医療費の1%、これが4カ月以上になり ますと44,400円になります。70歳以上については、まず現役並所得と書いておりますが、 これは同一世帯内に現役並の所得を有する課税所得145万以上の70歳以上、または老人保 険の対象者がいる場合のことを指しますが、この現役並所得者においては、外来が月額 44,400円が限度額となっております。入院した場合においては80,100円+医療費の1%、 これが4カ月以上になりますと、月額40,200円が限度額となります。  低所得者については、このうち市町村民税の非課税世帯で、所得が一定基準に満たない ものについては、外来の限度額が8,000円、入院の場合の限度額は15,000円となります。 所得は一定基準を達していて、なおかつ市町村民税の非課税世帯の場合については、外来 が8,000円、入院の自己負担額の限度額が24,600円となります。現役並所得者と低所得者 の間が一般となりますが、この一般については外来が12,000円、入院については44,400 円となります。  引き続きまして自立支援医療について御説明を申し上げます。障害者自立支援法に基づ く自立支援医療、いわゆる更生医療は、身体障害者福祉法に基づく障害認定を受けて身体 障害者手帳が交付されている者が対象となります。自己負担は課税状況等に応じて設定さ れており、原則1割負担でございます。自立支援医療の対象となる障害は、臨床症状が消 退し、その障害が永続するもの、つまり症状が固定しているものに限られており、一般的 に外科手術による障害の除去が目的となっております。内部障害についても一部、例えば 心臓病とか腎臓とか呼吸器、膀胱、直腸、小腸、HIVウイルスによる免疫機能の障害に ついては更生医療の対象となっておりますが、内科的治療のみによるものは対象外となっ ております。  給付される医療の例としては、肢体不自由で人工関節の置換術や、切断端形成術等を行 ったもの、内部障害としては人工透析を行っているもの、ペースメーカーの埋め込み手術 を行ったもの、あるいは中心静脈栄養法等を行っているものが対象となります。  なお身体障害者手帳の交付を受けている者に対しては、重度心身障害者医療給付事業が ございますが、これは市町村で実施されている単独事業でございまして、この重度心身障 害者医療給付事業においては、自己負担が軽減される措置がございます。これはおよそす べての障害者、例えば1級から2級においては全額の1割が負担されておりまして、市町 村によってこの負担額が異なってきます。  最後に介護保険制度について御説明申し上げます。介護保険制度については、40歳未満 の者については介護保険制度の対象外でございます。40歳から64歳の場合については、 パーキンソン病を含みます特定疾病について対象が限定されております。65歳以上につい ては原因疾患等による限定はなく、要介護認定がなされればこの制度が利用できます。  それではどの程度パーキンソン病患者等が社会保障制度へ認定されているのかというこ とをお示ししたのがこのグラフでございます。パーキンソン病の認定状況でございますが、 3度が身障者1級から4級以下も含めまして約14%、4度が38%、5度が54%ございま す。要介護認定の状況でございますが、ヤールの重症度分類3度では自立をしているもの が60%でございますが、要支援、要介護1、2、3、4、5を含めまして約26%でござい ます。4度については自立している者が23%、5度については11%ございます。なお、潰 瘍性大腸炎については、こういった身体障害者認定や要介護者についてはほとんど存在し ておりません。  引き続きまして資料6、増悪時の取扱いについて。これは、第2回の懇談会において潰 瘍性大腸炎の患者団体からお話があったかと思いますが、症状が軽いために対象とならな くなった場合に、将来その病状が増悪した場合に心配だという御意見があったかと思いま すが、現在軽快者については次のような措置、取扱いがなされておりまして、こういった ことが今後軽症者については取り扱うことが可能ではないかということでお示ししたもの でございます。  具体的に言いますと、(1)特定疾患の治療の結果、疾患特異的治療が必要としないもの、 (2)そして臨床所見が認定基準を満たさず、(3)著しい制限を受けることなく就労等を含む日 常生活を営むことが可能であり、なおかつ治療を要する臓器合併症がない、この三つの要 件を1年以上満たした者については、医療費の公費負担を受けることができませんが、こ うした方には軽快者として特定疾患登録者証というものを現在お渡ししております。この 特定疾患登録者証は、特定疾患の患者であることを証明し、症状が悪化した際の申請手続 を円滑化、簡略化を図るために発行されるものであります。特定疾患登録者証により次の ような取扱いを受けることができます。  すなわち、(1)医師に症状が悪化したと確認され、都道府県に公費負担の対象と認定され た場合には、症状の悪化が確認された日から公費負担の対象となる。(2)ホームヘルプサー ビスの利用申請など、特定疾患の患者であることを伝える必要がある場合に、当該登録者 証を示すことによって利用申請を行うことができる。事務的には以上と同様な扱いを軽症 者に対しても増悪時に対して扱うことができるのではないか、可能ではないかというふう に考えております。  今回の特定疾患の対象者の見直しの結果、医療費の公費負担の受給者が軽症であるため に医療費の公費負担を受けられなくなる場合には、軽快者と同様に特定疾患登録者証を発 行することが考えられますが、これにより増悪した場合に症状の悪化が確認された日にさ かのぼって医療費の公費負担を受けることが可能となります。  それでは実際にどのぐらいの潰瘍性大腸炎で患者さんが症状の移り変わりがあるのかと いうのをお示ししたのがこのデータでございますが、このデータは2年連続して特定疾患 受給者に登録があった者について、その変化をお示ししたものであります。死亡した方、 あるいは軽快した方、あるいはこのデータからドロップアウトされた方については除外さ れております。  平成16年度軽症であった者は67.6%でございましたが、このうち、17年度については 89.6%の方が引き続き軽症であり、中等症に移られた方は9.5%、重症となられた方は0.8 %でございました。また中等症の方は全体の28.5%でございましたが、このうち軽症とな られた方は34.6%、引き続き中等症であった方は61.9%、重症となられた方は3.2%、劇 症となられた方は0.3%でございました。  平成16年度重症であった3.6%の方については、軽症となられた方が33%、中等症と なられた方が35.6%、引き続き重症であった方は31.0%で、劇症となられた方は0.5% おられました。劇症であった0.3%の方については、ほぼ重症であった方と同じように約 3分の1の32.7%が軽症、中等症も同じく約3分の1の34.7%、重症となられた方が18.4 %、引き続き劇症であった方が14.3%おられました。  引き続きまして資料7についてご説明申し上げます。難病患者に対する就労支援に関す る事業ということで、現在すべての都道府県にそろっている訳ではございませんが、難病 支援相談センターというものがございます。現在41都道府県に設置されておりますが、就 労支援協議会を設置したり、専門家で構成される協議会等を設置しまして、現在患者につ いてその支援を行っているところでございます。今後、障害者に対する就労支援等を参考 に、都道府県及びこの難病支援センターが中心となって難病患者に対する就労支援事業を 実施評価することとして、ここで得られた結果を各都道府県に還元し、各都道府県単独で の取り組みを促進するという、約3年間のモデル事業を平成19年度の概算要求として現在 要求中でございます。こういった事業を行うことによって、現在就労にお困りの難病患者 さんを何とか少しでも就労が可能となるよう、現在19年度概算要求に盛り込んでいるとこ ろでございます。  引き続きまして資料8に移ります。この横表については、特定疾患対策懇談会による議 論の整理ということで、座長からの御指示によりましてまとめさせていただいたものでご ざいます。この右側の(1)から(4)については、第1回、第2回目の議事要旨等を参考といた しまして取りまとめたものでございます。  次のページにまいりまして、右側の(5)(6)(7)(8)(9)(10)につきましては、各委員の先生方に口 頭で意見をお聞きし、それを左側にまとめたもので、その御意見を集約して事務局でまと めたものが右側に記載しております。  まず(1)から順に読み上げさせていただきますが、平成14年8月の難病対策委員会中間報 告において、患者数が希少性の要件である5万人を上回った疾患について、引き続き特定 疾患として取り扱うことが適当かどうか、定期的に評価を行うことを検討することとされ ていることから、平成18年8月から特定疾患対策懇談会において具体的な取扱いについて 専門的な検討を行った。  (2)特定疾患治療研究事業の対象は、(1)症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を 行わなければ対策が進まない(希少性)、(2)原因不明、(3)効果的な治療法、(4)生活面の長 期にわたる支障の4要求を満たす必要があるが、患者数が5万人を上回り希少性を満たさ なくなった疾患を引き続き事業の対象とすることは、事業の対象以外の疾患との公平性を 欠いている等のため、希少性の要件を上回った疾患について見直しを行うことが適当であ る。  (3)患者数の増加により、希少性の要件を超えている3疾患のうち、全身性エリテマトー デスについては、5万人を超えたものの、ここ数年の患者の伸びでほぼ横ばいとなってい ることから、引き続き患者数の動向を見守る必要がある。  (4)希少性の要件を大幅に上回る潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病については、診断治療 技術の普及や治療成績の改善が見られるもの、未だ原因が不明であることなどから、特定 疾患からの除外を行わず、希少性の要件に該当するよう特定疾患治療研究事業の対象の範 囲を見直す。  (5)以下は各委員の先生方からいただいた意見が左側でございますが、読み上げさせてい ただきますと、○重症度分類を用いるのが一番よい。○臨床的重症度が、簡便で広く用い られている唯一の重症度分類である。○中等症・重症だけを対象とすれば希少性の要件を 満たす。○診断・治療法の進歩により軽症者が増えており、特定疾患の本来の目的からす ると治療に反応しない、中等症以外のものを対象とすべき。○軽症は6項目のいずれも満 たさない日常生活への支障は少ないため、対象としなくてよい。○中等症、重症を対象に するのがよいと考える。○重症のみを対象としてはどうか。○高価であると患者さんが心 配している治療の多くは中等症以上を対象としている。○治療をやめて重症化することが ないようにも配慮すべきという意見がございました。  これを事務局で整理させていただきますと、(5)の潰瘍性大腸炎については、臨床的重症 度を認定基準として用いることとし、臨床的重症度が中等症以上のものを特定疾患治療研 究事業の対象とするというふうにまとめさせていただきました。このまとめさせていただ いたものについては、この特定疾患対策懇談会の中で議論をしていただき修正等いただけ ればと思っております。  引き続きましてパーキンソン病について、各先生方からいただいた意見でございます。 左側を読み上げさせていただきます。○重症度という視点から要件を少し強めることが適 当ではないか。○患者さんも大変なので、5万人にできるだけ近いところで考える方がよ いが、患者数を考えると、ヤール4、5度だけを対象とせざるを得ない。○基準を設ける となると介助の必要性が目安となり、ヤールの4度以上、生活機能障害度2度以上を対象 とするのが適当。○介助を要するヤール4度以上を対象とするのがよい。○ヤール4度以 上、生活機能障害度2度以上の人を対象とすることを考えられるが、ヤール3度の患者の 状況なども十分に踏まえることが望ましい。○4度、5度を対象とするというのが最も考 えやすい。次善の案として可能ならば、3度を二つに分けることも考えられるか。○ヤー ルの4度以上を対象とするということになろうが、薬代が比較的高いことが悩ましい。○ 薬代が高い患者がいることから、見直しの影響について十分に配慮すべきである。○治療 をやめて重症化することがないようにも配慮すべきである。○健康保険の制度が理解され ていないために必要以上に不安を招いているのではないか。○現在の対象疾患以外の患者 にも経済的に苦しい人はいることから、公平性の点からは5万人という基準は守る必要が ある。  これを事務局でまとめさせていただいたものが右側でございますが、パーキンソン病に ついては、これまでと同様、ヤールの重症度分類及び生活機能障害度を認定基準として用 いることとし、ヤール重症度が4度以上で、生活機能障害度が2から3度のものを特定疾 患治療研究事業の対象とする、とまとめさせていただきました。  次のページにまいりまして、○潰瘍性大腸炎の疾患が活動性が変化することから、重症 化した際にはできれば迅速に特定疾患の治療研究事業の対象とできることが望ましいとい うことで、事務局でまとめさせていただきましたが、特定疾患の治療研究事業の対象から はずれる軽症者が増悪した際には迅速かつ円滑に対象とすることができるよう留意するこ とが望ましい。  次は重症度の基準について、○潰瘍性大腸炎の重症度に排便の回数など、患者から見た 指標があるので、将来は客観的な指標を超える努力も必要ではないか。○パーキンソン病 は日内変動があるなど、ヤール3度と4度の間のグレーゾーンの人がいるので、現場の運 用で不公平にならないように配慮することが望ましい。  これを事務局でまとめさせていただきますと、重症度の基準を特定疾病治療研究事業の 認定基準として用いることから、基準が適正に運用されるよう、評価を行うことが望まし い、というふうになります。  引き続きまして、○2疾患は患者数が増えていることから、研究に関してはこれまで以 上に十分な対応が必要。○特定疾患治療研究事業と難治性疾患克服研究事業のうち、難治 性疾患克服研究事業の研究費の割合を増やす努力が必要。○特定疾患治療研究事業の対象 者が研究に協力するという趣旨をより徹底して、共通に使える研究基盤の努力に努めるべ き。○「治してください」という患者からの言葉を非常に重く受け止めている。難病の克 服に向けた展開をどうするかという、将来に向けての展望をもった施策の展開もぜひ考え ていただきたい。  これを事務局でまとめさせていだたいものが右側でございますが、疾患の克服に向けた 研究を一層推進できるよう、難治性疾患克服研究事業の研究費の確保に努めることが望ま しい。  次のページにまいりまして、最後に、○極めて症状の重い難病の中に、特定疾患として 指定されてないものが現状を改善する必要がある。○研究事業という面からは、単に困っ ているだけではなくて、未解決な度合いが強くて、かつ今後の研究により解決の道筋が見 えてくる疾患を選ぶべき。○新たな疾患の選定については検討した上、慎重に決めていく 必要がある。○現在の要件だけで判断しにくい場合は、より研究成果の期待できるものを 設定するなど、疾患の選定前に基準を検討してはどうか。○新規の疾患を選定する際にも 希少性を重視する必要があり、その後も継続的に評価する必要がある。  これを事務局でまとめさせていただいものが(10)ですが、新規に特定疾患治療研究事業及 び難治性疾患克服研究事業の対象とする疾患について検討すべきであるとの意見があった ことを踏まえ、今年度中に特定疾患対策懇談会において、疾患の選定について議論を行う こととする。以上が資料8でございます。  参考資料については、これまで第1回と第2回の特定疾患対策懇談会の中でお示しした 資料でございます。このうち参考資料4、厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望が 提示されている疾患については、前回お示しした時点では13疾患しか要望が提出されてい なかったのですが、この平成18年11月末日現在においては、さらに5疾患、腹膜偽粘液 腫、スティーブンス・ジョンソン症候群、プラダ・ウィリー症候群、色素性乾皮症、ミト コンドリア病の、この五つの疾患が11月末現在で追加されております。これ以外にも12 月に入りまして、お手紙等において新たに要望が出されている疾患もございます。資料の 説明は以上です。 ○金澤座長 はい、御苦労さまでした。かなり総括的に説明があったわけですが、何か資 料及びその説明につきまして御質問などございますでしょうか。かなり積み上げがあった と思いますので、よろしいかとは思いますが。よろしいですか。はい、ありがとうござい ました。  それでは本日の議論に入りたいと思いますが、要するに特定疾患の対象範囲の見直しと いうことにつきましては、これまで大変長い間議論を重ねてまいりましたし、また患者さ んの団体からも御意見を伺ったところでありますし、前回もお話をいたしましたとおり、 きょうはそのまとめの議論をしないといけないということでございます。大変な作業では ございますが、よろしくお願いしたいと思います。  議論をいたしますために、資料8、特定疾患対策懇談会の委員の方々から御意見をいた だきまして、それを整理いたしましたものをさらに事務局で整理しておりますが、本日は これにそって議論を進めていきたいと思うのでありますが、1枚目の(1)〜(4)につきまして、 先ほどの資料の1、2で出ておりますので、その次からいきたいと思いますが、それでよ ろしいでしょうか。  それでは(5)以下で御議論をいただければと思います。まずは(5)の潰瘍性大腸炎につきま して、その認定基準と対象者の範囲ということについて、事務局案が右側にのっておりま すが、いかがでございましょうか。御意見、御議論をいただければと思いますが。 ○朝倉委員 先ほどの資料3をごらんになっていただくと、現在、潰瘍性大腸炎の66%が 軽症ということです。これはこの前の懇談会でも説明いたしましたように、一つは昭和48 年に特定疾患と指定された時の治療法から、現在、この領域では治療法が非常に改善され てきた、いろんな方法が出てきました。それによって反応する方が出てきて、いわゆる難 治性ではないという患者さんも出てきたということ、それからもう一つは、平成10年ごろ でしょうか、内視鏡が非常に発達いたしまして、一般の開業医も内視鏡を用いて診断する ことによって、非常に軽症者が見つかってまいりました。この二つの因子によって軽症の 比重が66%になったわけです。  そしてその生活状況を見ていただくと、多くの方は学校に行ってたり、仕事をしていた り、また家庭の家事をやっているわけです。家庭の家事をしている患者さんを見ておりま すと、主婦の方などが結構多いかと思います。この中に軽症で入院と書いてあるのは、軽 症の潰瘍性大腸炎は入院する必要がないので、多分こういう方は他の合併症、最近は治療 によって60歳、70歳になられる方が、他の疾患を合併することがありますので、そのよ うなことで入院しているのではないかと思います。しかしこれはまだ実態を調査してみな ければわからないということになります。  あと心配なのは、軽症者の行方がどうなるかということが、この間患者さんの団体から 質問がありました。それで資料の6を見ていただきますと、潰瘍性大腸炎の軽症者の9割 は大体軽症の段階に止まっております。これはもちろん薬物療法のおかげもあるかと思い ます。そういうことで潰瘍性大腸炎に関しては、治療に抵抗する、いわゆる難病といわれ る中等症及び重症、劇症などを対象に、今後特定疾患の研究目標を絞っていくのが一番い いかと思います。  事実、欧米でもこのように潰瘍性大腸炎でも治りいい人と治りにくい人、すなわちステ ロイド依存性、ステロイド抵抗性という患者さんがいるわけです。欧米では早くから免疫 抑制剤を使って、それを治していたわけですが、今年日本でも6月から免疫抑制剤、調整 剤といった方がいいでしょうか、そういうものも保険に適用になってまいりましたので、 かなりの方は軽症を維持できるのではないかと私は考えております。以上です。 ○金澤座長 ありがとうございました。先ほどはまた再び悪くなられてしまったような場 合には、あるいは軽症から中等症以上になられた時にはさかのぼってサポートしていただ けるという話もございましたが。 ○朝倉委員 そうですね。私も潰瘍性大腸炎の患者さんのいろんな会にボランティアで何 回か出ました。やっぱり一番は、現状の病気よりも将来への心配の方を皆さんは強調され ておりますので、やはり将来への心配をとってあげるということも一つ重要だということ です。 ○金澤座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 ○武藤委員 今、朝倉先生が大体おっしゃってくださったので、変わりはありませんが、 最近は内科的治療がかなり進歩しましたので、この軽症という方がふえてはいるかもしれ ませんが、実際には中等症以上はそうは多くはないということでありまして、それから診 断の仕方が、昔に比べますと先生方は大変上手になりまして、間違いなく診断できる、そ れだけにまた一生懸命内視鏡検査などをされますので、それだけ発見率が高くなったとい うところがあるように思っています。   重症で手術をするという症例は、最近はそうふえてはおりません。時にはありますが、 やはり薬物療法などが大変よくなりましたので、中等症が多いというところであろうかと 思っています。軽症の場合は、他の疾患でもこのような症状が出ることがありまして、他 の疾患と間違いやすいというようなところもありますし、それから審査機関で見ておりま すと、先ほど来お話がありましたように、いったん軽症になりまして、また中等症以上に なった場合には申請してまた適用してもらっていますので、この辺では軽症は対象外とし ていただいてよろしいのではないかというふうに思っております。 ○金澤座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。大体そのような方向でよ ろしいでしょうか。事務局の提案を今の段階ではよろしいのではないかという御意見とみ なさせていただきましょうか。  それでは次の(6)のパーキンソン病についての認定基準と対象者の範囲についてというこ とでございますが、これは資料8の(6)のところをごらんいただきますと、1ページにわた っていろいろな御意見を頂戴しておりますが、それをまとめたものが右側に事務局の意見 として書いてございます。重症度4以上、生活機能障害度が2、3のものというふうに提 案されておりますが、いかがでございましょうか。 ○辻委員 先ほどの資料の3を拝見しますと、パーキンソン病の場合の生活状況というと ろの資料ですが、ヤール3度の方が在宅療養、入院、入所、不明というのを含めて7割近 いというような状態なんですね。病気は種類が違うので、直接の比較はできないかもしれ ないんですが、潰瘍性大腸炎の場合の軽症の方々のところで、在宅療養、入院、入所、不 明を合わせて10%ちょっとということになりますので、生活状況はやはりパーキンソン病 の場合には3度とはいってもかなり負担が大きいのではないかなというのが実際だと思う んですね。  今、議論になっている3度というところについて、逆に見ますと通勤、通学ができてい る方は3割ちょっとですから、やはり御負担の大きさはかなりものがあるかなというふう に思いますので、もちろんこれまでの希少性の議論とか5万人とか、そういった議論はず っと積み上げてきていますので、それ自体は私もよく理解できるのですが、ただ、実際の 状況として、やはり御負担の大きいところにその3度の方々がいらっしゃるということは、 そのとおりなんだろうと思うんですね。  しかもパーキンソン病の場合には、これまでも議論に出ておりますが、お薬自体は今い いお薬が出ているのですが、薬価が比較的高いということもあって、御負担が非常に大き いということがありますので、やはりこの3度のところの扱いというのは、例えば認定基 準からはずすことになりますと、やっぱり相当な負担が実際に起るのではないかなという ふうに懸念されますので、その点に関しては最大限の配慮といいますか、慎重な検討は必 要なのではないかなというように思います。  それからもう一つ、これはちょっと違う視点からの発言になりますが、例えば仮に事務 局案にありますように、4度5度というところでいったとしますと、ある意味でパーキン ソン病のかなり重症の部分のところのみが含まれるということになりますから、治療研究 事業で、例えば臨床調査個人票などによる調査ということに関しても、その半分ぐらいで しょうか、全体を合わせればそれ以下ですね、一部しか情報としては集積できないという ことが起こりますので、治療研究事業と見た場合に、本当にパーキンソン病の研究をでき るだけ強力に推進するという立場からみて、治療研究事業のあり方も考えていかなくては いけないかなと思います。  つまり、全体像が把握をしにくくなるし、病気はどういう形で進行するかという自然歴 というのも把握が難しくなり、ある意味で治療上の研究とか、いろんな介入研究とか、あ るいは臨床治験とか、最もそれが必要な階層というのは3度のグループかもしれないとい うことがありますので、そういう意味でそういったところが除外されるということは、そ ういう面から見てもかなり心配なところはある。治療研究事業が十分な成果を得るために も、そこのところが問題ではないかと思います。もちろん一方で希少性の議論とか、ずっ と来ているのはよく理解できますので、なかなか板挟みで難しいところなんですが、パー キンソン病に限りましては、今申し上げたような2点が心配する要素として考えられると いうことを申し上げたいと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 ○埜中委員 今の辻先生の御意見はよくわかるのですが、パーキンソン病はやっぱり年齢 が高うございます。だから潰瘍性大腸炎とは余り就労とか何とかというのは比較になりに くいのではないかなというふうに思います。それと確かに3度の人達のことも何とか考慮 しなくてはいけないと思うんですが、今日、一覧表にみるように研究対象として配慮すべ き病気がいっぱいあります。申請されているが認定されていない疾患の中には非常に重症 の方で希少性があって、研究が必要な重要な病気というのがあるわけです。  そういうことを考えると、パーキンソン病の場合には、バサッと線を引く引かないはち ょっと問題があるかと思いますが、やはり4度以上というのは私は妥当な線ではないかな というふうには思います。今後次々と申請されている病気を考慮すると、やはりパーキン ソン病の介助の要らない方たちというのは、ちょっと御遠慮願ってもいいんじゃないかと いう気がいたします。 ○金澤座長 ありがとうございました。他に御意見はございますでしょうか。辻先生がお っしゃるのはもっともなんです。資料5に社会保障制度について、三つほどあるというこ とを示してくれておりますが、パーキンソン病の方の少なくとも3度の方にもこの一部は 適用になるかなと思って理解しているわけですが、そういうことをアスペスリックに1人 の患者さんを考えてどうだということではなくて、比較的高齢者が多いパーキンソン病に ついてはという見方もできないわけではないわけですね。そういうことを全部含めまして いかがでしょうか。 ○神崎委員 ちょっと事務局の方にこういう資料があるかということでお伺いしますが、 今の話に関連して、パーキンソン病は70代以上の人が45%ということなんで、これは例 えば定年で仕事をされない人も普通の人よりもいるわけですから、年齢と重症度の関係と いうのはすぐに出るんですか。例えば60代の人の重症度、70代の人の重症度というよう な分け方でそれは可能ですか。 ○日下補佐 現在、データを持ち合わせておりません。 ○神崎委員 出ることは出るんですか。 ○林補佐 原理的には可能だと思います。ちょっと考えてみたいと思います。今はちょっ と難しいです。 ○辻委員 逆に言うと、むしろ若い人の方をカバーする制度が少ないのではないかなとい う気はするんですが。それから60歳未満の就労が十分期待される年代において、実は御負 担が非常に大きいのではないかなということがありますので、いろんな制度でカバーでき るのは、むしろ高齢でより重症の方の方であるというように思われます。 ○金澤座長 今の点についてはいかがですか。多分一つの方法でカバーするのは難しいで しょうね。いろんな配慮をしないといけないと思いますが。単純な切り捨てではなくて、 丁寧な対応が必要なんだと思いますね。今の点についてはいかがでしょうか。他に御意見 ございますか。  いろいろ配慮すべき点をいくつか御指摘いただいたと思いますが、基本的には辻先生も 今までの議論の積み重ねからいくとこうなるのかなという御意見であったようですが、配 慮するところは配慮することにして、とりあえずはこの方針を一応受け取ったということ にした上で,次の(7)(8)(9)のポイントはいかがでしょうか。(7)は潰瘍性大腸炎、重症化した 場合は迅速かつ円滑に対象とすることができるようにということですね。これはおそらく 反対の方はいらっしゃらないと思いますので、このまま受け取らせていただきます。(8)は いかがでしょうか。 ○朝倉委員 潰瘍性大腸炎の重症度分類ですが、今アメリカでもさまざまな分類がありま す。しかし便の回数というのはどの重症度分類にも入っております。腸の病気ですから、 これを除くことはなかなか難しいということがあります。それからアメリカでよく使われ ている重症度分類は、多くは治験の時のデータの指標として考案されていますので、治験 の評価をするには非常に便利がいいのですが、なかなか難しい問題があります。  それからもう一つは、使われている重症度分類の中に内視鏡検査が入っております。潰 瘍性大腸炎の患者さんは内視鏡をやろうというと、皆さん嫌な顔をして拒否反応が出てく る人が多いのです。事実、内視鏡をやることによって悪くなる人もいます。ですからそう いう内視鏡をこの重症度分類に入れるということはなかなか難しいと思います。  そうするともう30何年前の今のツゥルーラブ・ウイットの基準が一番信頼度が高いので はないかということで、30何年たっても欧米の教科書には一応のっています。普通は欧米 の教科書はだんだん古くなると、みんな診断基準が消えていきますが、唯一これは何十年 たっても残っている診断基準です。以上です。 ○金澤座長 ありがとうございました。今の点、誰か他に御意見はございませんか。特に 潰瘍性大腸炎の分類につきまして。これも(8)にありますように、基準が適正に運用される よう評価を行うことが望ましいということに対しては、誰も反対はないだろうと思います ので、客観的な何か指標を加える努力もというのは、そのまま受け取らせていただきます が、表現としてはこの(8)の方でいかがでしょうか。  それではパーキンソン病についてはいかがですか。いわゆる3、4のグレーゾーンの方 がおられるので、これは確かにそのとおりだと思いますが、先ほども一例一例で見ていき ますといろいろ考慮すべき点はあろうかと思いますので、この程度の基準が適正に運用さ れるようにという程度で止めて、私はよろしいのではないかと思いますが。御了承いただ けますでしょうか。ありがとうございました。  それでは(9)にいきましょう。疾患の克服に向けた研究を一層推進できるよう、難治性疾 患克服研究事業の研究費の確保、これもおそらく反対の方はいらっしゃらないと思います が。 ○辻委員 僕は単に研究費の確保というだけではないと思うんですね。例えば臨床調査個 人票にしても、現在やはり入力は必ずしも十分でないところがございますし、そういう前 向きな疫学的な研究が十分に生かしきれてないというところもあるし、また臨床調査個人 票というのは、ある意味で広く浅くというところがありますから、こういう臨床研究にそ れがすべてだということではないかと思いますが、やっぱり治療研究事業のあり方という んでしょうか、その内容を今の世の中で、今の医学研究の状況にあって、何をなせば本当 に病気の克服に向けていい展開ができるかということを、もっと突っ込んだ形で具体的に 展開する必要が僕はあろうかと思うんですね。単に予算をどれだけとるかというだけの問 題じゃないと思うんですよ。  これまでの伝統的な研究班の活動を継承すればいいという問題ではなくて、やはり今の 研究の発展を受けて、どういう展開なり、どういう新しいパラダイムというものをチャレ ンジすることが本当に役に立つかということを僕は議論すべきだと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。大変大事な御意見をいただきましたが、この難関 を乗り越えましたら、次の議論の時にぜひしたいと思います。よろしくお願いします。他 にいかがでしょうか。 ○大野委員 研究の観点からいいますと、受給者証をいただいておられる患者さんだけを 研究対象としているわけじゃない。軽症な人から重症までの疫学も臨床も全部研究してい ると思います。重症度の4度3度とか、人数を若干絞ったとしても、研究面では軽症から 自然史をまず見ていただかなきゃあいけないわけです。そこの点に注意してほしいという 御指導をきちんとするということが大切だと思います。  私は今研究計画書の事前の評価、中間の評価、終了時の評価というところに関わってお りますが、真剣に先生方はやってらっしゃいます。この懇談会としての提言を何か取りま とめて提示するということも必要であろうかなとも思っております。 ○金澤座長 これは今回この中で言うべきですかね。 ○大野委員 議論があったということを知っておいていただかないといけないと思いま す。 ○金澤座長 よくわかりました。これは記録にとどめておいてください。これは今の報告 書の中に入れるかどうかは別として、大事な御議論だと思いますので、辻先生の御意見も 含めて、両方きちんと述べておいてください。ありがとうございました。他にいかがでし ょうか。  それでは最後になりますが、(10)ですが、これは大事なことでありまして、本来の目的な んですが、3年ほど待っていただいて、新しく加わっていただくのを待っていたわけです。 つまり新規に特定疾患治療研究事業に、あるいは難治性疾患克服研究事業の対象とする疾 患を選ぶことをモラトリアムといいましょうか、延ばしていきました。  これは今やっているこの議論の結論を待ってからということでございましたので、こう いう結果になっていたわけでありますが、先ほどいくつかの病気の名前が出てまいりまし たが、今年度中にこの懇談会におきまして新しい疾患の対象を選ぶという議論をしたいと 思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。今日というわけではあり ませんが。どういう手続でとか、どういう基準でとか、そういうことになるかと思います が。  さて、それでは一応皆さん方からの議論の論点を整理させていただいたものをもう一度 皆さんに御意見を伺ったわけでありますが、この資料8の右側、(1)から(10)まで、これを本 日の議論の結論にしたいと思いますが、どうしてもここは修正すべきである、しなければ いけないという御意見がございましたら、ぜひいただきたいと思いますが。配慮すべき点 についてはいくつかちょうだいいたしました。  それではおおむね皆さん方の御意見をいただけたと思いますので、右側の論点整理とい うものの内容をこの懇談会としての取りまとめとしたいと思いますので、清書したものが あれば事務局から配ってください。それでは事務局からもう一度読み上げてください。 ○日下補佐 それでは読み上げさせていただきます。特定疾患治療研究事業の対象範囲の 見直しについて、平成18年12月11日、特定疾患対策懇談会。  (1)平成14年8月の難病対策委員会中間報告において、患者数が希少性の要件である5万 人を上回った疾患について、引き続き特定疾患として取り扱うことが適当かどうか、定期 的に評価を行うことを検討することとされていることから、平成18年8月から特定疾患対 策懇談会において具体的な取り扱いについて専門的な検討を行った。  (2)特定疾患治療研究事業の対象は、(1)症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を 行わなければ対策が進まない(希少性)、(2)原因不明、(3)効果的な治療法、(4)生活面への 長期にわたる支障の4要求を満たす必要があるが、患者数が5万人を上回り希少性を満た さなくなった疾患を引き続き事業の対象とすることは、事業の対象以外の疾患との公平性 を欠いている等のため、希少性の要件を上回った疾患について見直しを行うことが適当で ある。  (3)患者数の増加により、希少性の要件を超えている3疾患のうち、全身性エリテマトー デスについては、5万人を超えたものの、ここ数年の患者の伸びで5万人の近傍でほぼ横 ばいとなっていることから、引き続き患者数の動向を見守る必要がある。  (4)希少性の要件を大幅に上回る潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病については、診断治療 技術の普及や治療成績の改善が見られるもの、未だ原因が不明であることなどから、特定 疾患からの除外は行わず、希少性の要件に該当するよう特定疾患治療研究事業の対象の範 囲を見直す。  (5)潰瘍性大腸炎については、臨床的重症度を認定基準として用いることとし、臨床的重 症度が中等症以上のものを特定疾患治療研究事業の対象とする。  (6)パーキンソン病については、これまでと同様、ヤールの重症度及び生活機能障害度を 認定基準として用いることとし、ヤールの重症度が4度以上で、生活機能障害度が2から 3度のものを特定疾患治療研究事業の対象とする。  (7)特定疾患の治療研究事業の対象からはずれる軽症者が増悪した際には、迅速かつ円滑 に対象とすることができるよう留意することが望ましい。  (8)重症度の基準を特定疾病治療研究事業の認定基準として用いることから、基準が適正 に運用されるよう、評価を行うことが望ましい。  (9)疾患の克服に向けた研究を一層推進できるよう、難治性疾患克服研究事業の研究費の 確保に務めることが望ましい。  (10)新規に特定疾患治療研究事業及び難治性疾患克服研究事業の対象とする疾患について 検討すべきであるとの意見があったことを踏まえ、今年度中に特定疾患対策懇談会におい て、疾患の選定について議論を行うこととする。以上です。 ○金澤座長 それではこのような形で議論を取りまとめさせていただくということにいた します。どうもありがとうございました。  この懇談会の次の議題といたしましては、先ほども少し予告をいたしましたけれども、 新たな疾患の選定に向けた検討に入っていくことになります。具体的な議論は次回といた しますが、選定を進める上でどういう視点が必要か、どういう視点が大事かというような 点につきまして、少し時間がございますので、御自由な御意見をいただければと思ってお ります。いかがでしょうか。 ○桐野委員 選定は大変難しいと思うのですが、最初から疾患名を出して選定作業を始め るとものすごく混乱すると思うので、まず疾患名は完全に伏せて、基本的にどういう原則 でこの疾患を入れていくかということを、まず総論として議論していただくのがよいかと 思います。そのようにされた上で、それが煮詰まった段階でいよいよ具体的疾患の選定作 業に入るという手順が一番妥当じゃないかと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。大変重要な御指摘なんですが、例えば参考資料4 と今ありますね、一応病気の名前があがっているものですが、これについてどういう資料 が必要か、例えば現時点でどのぐらいの患者数があるか、あるいはどういう重症度がある か等々、具体的にこういう資料ということをおっしゃっていただけると大変ありがたいん ですが、いかがでしょうか。他の方でも結構です。 ○大野委員 ここで資料として要望が出ているのは、患者さんの視点です。研究の視点、 行政的な視点というような視点もたてて、それらを合わせてどういう基準にしたらという 議論をしておかないといけないと思います、もちろん、その中に希少性というのは出てく るわけです。そういう原則的な視点を前に私は研究班の方で提示したこともあります。今 も疫学班で新しく検討が行われていると聞いておりますので、これらを参考にしていただ いて、まず事務局案をつくっていただけたら議論が早く進むんじゃないかと私は思います。 ○金澤座長 わかりました。ちょっと中身がわかりにくいので、今お答えはしにくいので すが、おそらくありますね。先生がおっしゃるんですから、まず間違いないと思うんです けど。 ○林補佐 現在におきましては、疫学班と、あとはいくつかの研究班でその疾患の選定の ための要件に資するようなデータを収集するような作業も一部行っていただいております ので、それも含めて参考となる資料を御提示させていただきたいというふうには思ってお ります。 ○金澤座長 ありがとうございます。だぶっても構いませんから、どうぞこういう資料と おっしゃってください。 ○溝口委員 資料ではないのですが、治療研究と一緒に大抵どの班も調査研究の対象疾患 がございますね。それはどういう形で選ばれたのか、それとの関係はどう考えているのか というところも大事かなと思うんですが。 ○金澤座長 事務局今の時点で答えられますか。 ○林補佐 おっしゃるとおりでございまして、次に御議論いただきたいのは、難治性疾患 克服研究事業というふうに呼んでおりますが、昔の調査研究の対象疾患と、それから特定 疾患治療研究事業の対象疾患と、いずれも御議論いただきたいというふうには思っており ます。 ○金澤座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 ○辻委員 可能であれば、やはり原因究明の研究が具体的にどう展開できるかという点が 大切で、治療法なり、臨床治験なり、そういった治療面での研究が具体的に展開できるよ うな状況にあるのかとか、そういった医学的な観点というのは私は大切ではないかなと思 います。そういうところが展開できるような見通しが出てきているということも重要では ないかと思います。  一方では、例えば生活面での支障とか、そういったものを評価できるような資料もある と参考になると思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。 ○本田委員 今の辻先生の御発言と関係しますが、この研究費は文部科学省の研究費とは 明らかに違うんですね。だから治療に結びつく、あるいはある程度見込みがある、要する に病気の本質を100年かかっても200年かかっても追求するというのは文部科学省的な研 究だと思うので、具体的な成果を求めていくということが大切ではないかと思いますね。 これが厚生労働省としての研究費の特色だと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。どうぞ辻先生。 ○辻委員 今おっしゃることはそのとおりだと思うんですが、ただ、米国のNIHを見て みると、もっともっとこういう生命科学なり、疾患研究にコミットしてますよね。ですか らこれはこの懇談会の議論の枠をはるかに超えることだと思いますが、僕は今本田先生が おっしゃったような、基礎研究的な面も含めて、実は厚労省がその研究費をもっととって、 そういった研究自体もリードしていただいた方がよいと思うんですね。結局、多少基礎的 な観点の疾患研究というのは、ちょうどそのボーダーゾーンに入ってしまいます。かえっ てそれが明確じゃないというのがあって、私はむしろNIH型になってほしいという強い 希望がありますが。 ○金澤座長 これはいろいろお考えがあるところですね。他にいかがでしょうか。 ○武藤委員 先ほど出てきておりました対象疾患というのは4種類規定がありますので、 それをまずお考えくださって、その中である程度セレクトしていただきながら、また今お 話があったようなことを入れて、そこでまとめるというのではどうでしょうかね。 ○金澤座長 ありがとうございます。 ○猿田委員 やはり先ほどからの病気の程度の問題がございますので、特にスティーブン ス・ジョンソン症候群、あるいはミトコンドリア病の程度によって、どのぐらいの数が分 布しているかということもぜひとも出してもらいたいと思います。 ○溝口委員 この対象となる疾患と関連する他の研究事業がございますね。例えば血液疾 患でいうと、再生医療の骨髄移植などの研究グループがありまして、それが相まって動い ているところもあったんですが、新たな疾患を選ぶときにそういう研究班の動きも知りた いなという気がします。 ○金澤座長 ありがとうございました。他にどうでしょうか。大体御意見はいただきまし たですかね。おそらくお帰りになる途中で、あっ、これも言っておけばよかったなどとい うのを思いつかれる方もないとは言えないと思います。どうぞ御遠慮なく事務局の方にお 話をいただきたいと思います。  また、患者さんからの御要望というのは、先ほどもありましたように、いくつか追加さ れているようであります。ただ、追加していただくのはいいんですが、先ほどの情報を集 めることもあって、議論するまでにまだかなりの時間がかかりますので、もしも御存じの 中で患者さんの団体から要望があるようなことをお聞きになった場合には、速やかに事務 局の方にお知らせいただきまして、なるべく早く討議ができるような状態にしたいと思っ ております。よろしくお願いしたいと思います。  それでは本日の議題はこれまででございますが、事務局から次回の日程などについて、 何かありますか。 ○日下課長補佐 次回の日程については、御指示のあった情報の整理をさせていただきま して、先生方の日程を調整しました上で御案内申し上げます。 ○金澤座長 それでは本日の懇談会はこれまでということで閉会いたします。ありがとう ございました。 (終了) (照会先)  厚生労働省健康局疾病対策課 TEL 03(5253)1111 内線 2351・2353 - 1 -