06/12/08 先進医療専門家会議 第15回議事録 06/12/08 第15回先進医療専門家会議 議事録 (1)日時  平成18年12月8日(金)10:00〜 (2)場所  厚生労働省専用18〜20会議室 (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        赤川安正構成員 飯島正文構成員 岩砂和雄構成員        加藤達夫構成員 金子剛構成員 竹中洋構成員        辻省次構成員 坪田一男構成員 福井次矢構成員       <事務局>        医療課長 企画官 歯科医療管理官  他 (4)議題 ○先進医療の届出(9月受付分)について       ○先進医療の科学的評価(10月受付分)について       ○先進医療の届出状況(11月受付分)について       ○先進医療の新規届出様式の一部変更について       ○先進医療の施設基準の見直し等について (5)議事内容 ○医療課長  定則数が過半数となっておりますので11名の構成員に御出席いただかなくてはなりませ んが、現在のところ1名不足しております。とりあえず懇談会という形で進めていただい て、数がそろったところで正式な会議という形でやっていただきたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○猿田座長  そういうことですが、ただいまより第15回の先進医療専門家会議を開催いたします。  まず、構成員の出欠状況ですが、新井構成員、越智構成員、笹子構成員、田中憲一構成 員、田中良明構成員及び谷川原構成員から欠席の届けをいただいております。  また、白石審議官におきましては公務のため欠席するということを承っております。  辻構成員がお見えになりましたので、正式な会議とさせていただきます。  それでは、早速ですが議事に入らせていただきます。  まず先進医療の届出についてですが、初めに9月に届出のありました新規技術につきま して事務局から説明をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−1をごらんいただきたいと思います。先進医療新規届出技術(9月 受付分)ですが、ここにお示ししてありますように2件ございました。  整理番号47番「WT1ペプチドを用いた癌の免疫療法」と48番「膵疾患に対する腹腔鏡 下尾側膵切除術」です。  「その他」の欄をごらんいただきますと、47番につきましては、当該技術に係るペプチ ドが薬事法の承認を受けていないため返戻となっております。  48番につきましては、既に高度先進医療として評価されている「膵腫瘍に対する腹腔鏡 補助下膵切除術」と同様の技術であるため、返戻となっております。  9月受付分は2件ありましたが、ここで御審議いただくものはありませんでしたので、 11月は先進医療専門家会議の開催を見送らせていただきました。以上です。 ○猿田座長  今お話がありましたように、47番はペプチドが薬事法未承認ということ、48番は既に先 進医療として認められている技術と同種のものだということですが、御意見等はございま すか。  それでは、お認めいただいたこととさせていただきます。  続きまして、10月に届出のありました新規技術について事務局より説明をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−2をごらんいただきたいと思います。まず1ページは先進医療の届 出状況(10月受付分)の一覧表ですが、2件ございました。  1件目は49番「陰茎プロステーシス移植術」という先進医療名で、適応症としては器質 的陰茎勃起不全症(薬物治療法禁忌又は無効例に限る)ということです。先進医療費用、 保険外併用療養費につきましてはそこにお示ししているとおりです。技術の概要につきま しては、後ほど担当構成員の先生から御説明いただきます。  2件目は50番「眼底3次元画像解析」という先進医療名で。適応症としては加齢黄斑変 性、糖尿病黄斑症等、こちらにお示ししているものです。費用につきましてもこちらにお 示ししているとおりです。  次に2ページですが、上記2件の新規技術に対する事前評価結果等について御報告申し 上げます。それぞれ事前評価の担当構成員の先生に評価をしていただきまして、49番につ きましては総評として「否」、50番につきましては「適」となっております。詳しい内容 につきましては担当構成員の先生から御説明いただきたいと考えております。以上です。 ○猿田座長  ただいまの説明について、何か御質問等はございますか。よろしいでしょうか。  それでは、まず49番について吉田先生から説明をお願いいたします。 ○吉田座長代理  最終的には事務局と話し合いをしまして「否」になってるんですが、歴史がございまし て、バイアグラが認可された時に、もともと学会の病名はEDという言葉は勃起不全じゃ なくて勃起障害なんですね。勃起不全というとEIになるんですね。あの当時、バイアグ ラが認可されると健常者もおもしろ半分で使うのではないかとい懸念があったんですが、 当時の尾崎課長と話をしまして、勃起不全という広い範囲の病名にして認めていこうとい うことになりました。  今回のプロステーシスはインプラントですから挿入術なんですね。何をやっても勃起し ない人、要するに病的なEDに対しては最終的にインプラントしかないものですから一応 出したんですが、EDは病気じゃないという考えが上の方にあるんですね。「否」という ことですが、先生方の御意見を伺って保留にしていただくか、あるいはまた厚生労働省と 詳しく相談したいと思います。  EDに関してはバイアグラが先行して出ましたので、世間的にもおもしろ半分で取り扱 われるんですね。しかし実際に脊損患者は非常に深刻な病的状態でして、脊損団体からも 再三依頼を受けるんですが、EDに関する認識を日本でも認めていただきたい。日本以外 ではEDに関する手術療法、検査法が保険で認められてるんですが、日本ではEDに関す る検査すら認められていません。  裁判の時にうそをついて、EDだというのがいっぱい来るんだそうですよ。診断をつけ てくれというのが4事例ぐらいあるんですが、EDの場合とEDではない場合とで罪が違 うんですね。強姦罪なのか痴漢罪なのか違うんだそうです。それがあるので裁判所から専 門家としてEDかどうかの検査をしろということを再三いわれてますので、学会でそうい う事例をまとめて、昨年、本を出したんですが、労災の方では障害の程度としてEDの検 査をきちんとして届け出ろということが昨年決まったもんですから、よろしくお願いした いと思っています。  後で先生方の御意見をお伺いして、できれば保留にしていただいて、今後、厚生労働省 側と交渉していきたいと思います。よろしくお願いします。 ○猿田座長  今のようなお話ですが、何か御質問等はございますか。 ○坪田構成員  非常に前向きな御意見であると拝聴したんですが、否にする理由がよくわかりませんで した。なぜ否なんですか。 ○吉田座長代理  厚生労働省にはED自体が病気じゃないという考えがずっとあるんだそうです。バイア グラの時からそういう観念がずっと医療課長さんにあるんですよ。厚生労働省としてはE Dは病気として認めたくないということらしいんですね。しょうがなくて否にしたんです。 ○猿田座長  バイアグラは病的なものに対する治療薬として認められてないんですね。 ○坪田構成員  バイアグラは医薬品として認められてるんじゃないですか。 ○福田企画官  ここは2つ段階がありまして、まず1つは薬事法上安全で使えるものであるのかという 部分と、もう1つは、それが健康保険の対象になるのか。疾病を治療していくものに対し て適正な給付を行うという保険診療の枠組みと2段階あるということです。薬については 薬事法で承認されていますが、保険収載されているかというと、そうではないという取り 扱いになってるということです。  例えば眼鏡の場合、視力が低いからかけるわけですが、眼鏡代は保険給付にはならない。 今のところEDについても疾病の治療というよりは当該の方々に対して日ごろの生活をよ りよく維持をすることを目的にしている。そういう位置づけに整理上なってるということ です。先進医療の場合、次に保険診療にいくのだということがコンセンサスとして固まっ ている枠内のものについて御議論いただいて、保険外併用の扱いをしていく。この技術な りこのものが保険の枠組みに入っていくのかいかないのか、そこの議論があるものについ ては別の場で議論させていただく。  社会的な環境が変わりますと変わってくるものがありして、従来はたばこを吸うのは本 人の嗜好じゃないか、そんなものを疾病とするのは吸ってる方も迷惑だし、そんなものに 医療費を保険から出すことも嫌だ、両方の考え方がありまして、ずっと保険の外にあった わけです。ただ、ニコチンパッチは薬事法上で認められている。今回、生活習慣病対策を きちっとやっていきましょう、その根幹となる禁煙対策はニコチン依存症に対する治療と いう観点から個人の嗜好という話ではないですねというふうに議論の上での転換があった ということです。  陰茎プロステーシスに係るものにつきましてもいろいろな御議論があるわけですが、こ こで先進医療に入った場合には、次の改定に向けてデータを集めて保険診療の議論をする んですというコンセンサスが全体としてあるのかどうか。その部分について事務局として はまだないと考えています。技術として役立つ、役立たないという話ではなくて、先進医 療の制度的な枠組みの中に今の時点では乗りにくいのかなということで整理をさせていた だいてるということです。 ○猿田座長  保留の形にしておいた方がよろしいでしょうかね。 ○福田企画官  考えが変わった時点で、もう一度再提出いただいて、御議論いただくという形になると 思いますが、取り扱いはどういう位置づけがいいのか考えさせていただければと思います。 ○吉田座長代理  学会には専門家しかいないので、日本人の疾病の状態というのがなかなか伝わらないん ですね。特殊な性機能学会でしかやってませんので、泌尿器科一般についてもなかなか浸 透してない。我々は十数年前からやってるんですね。どうしようもなくて、なんとかして ほしいという患者がいっぱいいるもんですから、プロステーシス自体は薬事法で全部認可 されています。技術だけがだめなんですね。現場にいて患者さんの意向を聞いてますと、 切実なものなんですね。  前々回、西山さんの時に脊損団体がここに来まして、いろいろ説明したんですよ。脊損 の患者が非常に特殊な状況で非常に困ってるんですね。自分たちは結婚してるけど、ED になってしまって結婚生活がうまくいかないという切実な訴えがあったんです。そういう ことがありまして、今回、出したいという医療機関がありましたので、一回出して、皆さ んの御議論を得よう。コンセンサスが得られれば認められるし、まだ時期尚早という場合 にはしょうがない、もうしばらく我慢しましょうということで話をしています。別の場で 医療機関と我々と事務局とで話し合いができれば一番いいと思うんですが、いかがでしょ うか。 ○坪田構成員  保留にしないで、ここでもっとディスカッションをしたらいいんじゃないかと思います。 私も切実だと思いますし。  病気かどうかというので決めるということで、先ほど眼鏡の話が出ましたが、眼科では 近眼というのは近視という病名なんですね。老眼も老視という病名です。眼鏡やコンタク トレンズは保険でカバーされませんが、医療施設で処方します。そして患者さんはお金を 払いますが、「そこは先進医療をやってたんですかね、僕たちが知らないうちに」という ところがあります。  ここでニーズをしっかりやっていくのが必要じゃないかというのがあるんですけど、も う一つは、将来的に保険収載が見えてるものしかやらないとなると狭められてしまうので、 保険収載されるかされないかわからないものも可能性としてはここで入る。それで最初か らエクスクルージョンしてしまうというのは僕はちょっとわからないんですけど。 ○福田企画官  後段の部分は坪田先生がおっしゃるとおりでして、つまり前提の部分のコンセンサスの 有無ということで、そこがクリアされていれば、先進性とか効率性が認められる可能性が 高いものについてはここで御議論いただいて進められる。  そもそも保険に入れる入れないの議論の中で現状の整理を踏まえた場合には、こういっ たものについて議論するのはこの場がふさわしいのかどうかというところがある。従来は こういう場がなかったんですが、現在、保険に入っていないものについて到達する部分を どうするかということになってくる。フィールドの問題なんですけど、フィールドの線の 引き方についてはいろいろあって、矯正で視力を順次よくしていくという部分については 今回の改定でも弱視の人たちの子供用の眼鏡については療養費の形になりますけど少し見 ているという形になっています。安定して日常生活の通常のものとして使われているもの については日常生活の質の改善に資するということで、ここは保険給付とは違う形で整理 されているということです。 ○岩砂構成員  命にかかわることとは少し離れてると思うんですね。眼鏡もそうでしょうけど。脊損の 方々は大変だと思いますけど、33万円払っていただければできないわけじゃないんですか ら、少し我慢していただいて、もうちょっと日本の医療費が潤沢になった時にということ にしたらいかがでしょうか。 ○医療課長  バイアグラの適用の時にもいろいろ議論があったようです。その時に諸外国の状況も見 ておりますが、保険で償還している国もあればしていない国もあります。理由はさまざま で、大きいのは保険財政の問題と、疾病として必要としない人のリクリエーショナル的な ものへの処方が心配だから非償還にしたという国もあります。あるいは限定して保険給付 をする。バイアグラは週1回1錠とか、そういう形の給付の仕方をとっている国もありま す。  我が国においては財政状況も含めてだろうと思いますが、疾病の治療というよりは生活 の質の改善というものではないか。薬ですので、根本治療じゃなくて一時的な作用だけで すので、そういう意味からもバイアグラの場合は保険適用はしないということに決めたよ うであります。その時も引き続き諸外国の状況、関係団体の意見等を聞きながら今後とも 検討していくことになっていたようです。  ちなみに、その時の性機能学会のアンケートですが、50歳代で50%、60歳代で60%、70 歳代で70%にEDがあるということでした。70歳代でEDの人が70%ということは、ED の人が病気なのか、70歳でも元気な人が病気なのか、どちらが病気なのかという問題が出 てきました。  今回申請された方々の年齢分布を見てみますと、20例のうち50歳未満が3例、50歳代が 9例、60歳代が7例、70歳代が1例であります。70歳代の人まで本当に適用するのか、65 歳はいいのか、60歳はいいのか。50歳代で50%がEDだという統計もありますので、年齢 では区切りにくい。労災によって脊損が起こったとか、交通事故によって起こったとか、 その場合、医療保険は適用されないわけです。糖尿病が原因の場合もあるのかもしれませ んが、原因を限定する必要があるのではないかということを中で議論いたしました。  保険適用に対して議論していただく材料が十分ではありませんので、今回は保留という 形にしていただいて、申請の方々ともお話をして、周辺的なデータを集めまして、その上 で次回、再度御議論いただくということではいかがでしょうか。 ○猿田座長  今の御意見は大切な意見かと思いますが、吉田先生、そんな形でよろしいでしょうか。 ○吉田座長代理  よろしいと思います。71歳というのが1例ありますよね。患者サイドと医療サイドは違 いまして、本人にとっては80でも深刻だという人がいるんですからね。その辺を限定して 議論していただいて、学会としても議論します。改めて事務局に相談しますので、よろし いですか。 ○猿田座長  この委員会としても保留にして、継続して考えていくことにして、バイアグラのことも 考えながら状況に応じてやっていくということでよろしいでしょうか。 ○飯島委員  保留にする理由として、保険導入を前提とした議論でないものは門前払いをするという 姿勢なんですか。機能的とか器質的なEDという区別をして、場合によっては適用があり 得るから保留にするという意味に解釈してよろしいんでしょうか。 ○医療課長  今回、吉田先生に「否」という意見を書いていただいたのは、現段階では、将来的に保 険適用にはならないだろう、そういうものを導入するわけにはいかないということです。 先進医療ですから、もともと入ってないわけですが、将来的には技術的に保険適用して、 広く行き渡らせるべきだという方向性が見えるものは入れてもいい。今回の保留は、バイ アグラの例からいっても将来的に難しいだろうという前提でやったわけですが、適用もあ りうべしということで議論しろということですので、もう少しデータを集めた上で再度議 論していただくということです。 ○猿田座長  それでは、この問題は保留ということで、将来的なことは議論していくことにさせてい ただきたいと思います。  それでは続きまして、50番「眼底3次元画像解析」について、坪田先生から説明をお願 いいたします。 ○坪田構成員  眼科の場合は視覚情報を用いた診断が非常に重要になっておりまして、現在、眼底カメ ラや蛍光眼底撮影などにより加齢貴斑変性や糖尿病網膜症の診断または病態の時期の判定 を行っています。近年になりまして新しい機械が眼科領域でたくさん開発されておりまし て、光の干渉やレーザー光を用いた非侵襲的な眼底検査法があります。従来では考えられ なかったことなんですが、眼底写真の網膜の断層写真が数ミクロン単位で、昔でいったら 病理と同じようなレベルで非侵襲で簡単に測れるようになってきました。光で撮った病理 画像をもとにして、かなり正確に診断と病期の判定、手術適用の有無などを決めることが できるようになってきました。  しかしながらOCTという光干渉断層撮影などですと、私たちも使っていますが、1台 1,500万円という非常に高価な機器でありながら、これについては今まで保険でカバーさ れていませんで、眼科の領域では非常に困っていたわけです。今回、先進医療のシステム ができまして、どなたかがこれを出してくれたと思うんですが、かなり行われている非侵 襲的なものに対して先進医療を認めてくださいという依頼であります。  先進医療としての適格性ですが、適応症としては、実際に使っていますので妥当です。  有効性は確立しています。  安全性は問題ありません。  技術的成熟度は、実際にそれを使っている専門医であれば問題ないと考えます。  倫理問題、罹患率なども問題ありませんし、将来は保険収載の必要性があると考えます。  医療機関の要件については、診療科としては眼科が必要です。  資格としては眼科学会専門医が必要です。  当該技術経験年数は5年、当該技術の経験年数は1年としました。  当該技術の経験症例数については、助手は不要、術者は10例以上ということです。  その他については7ページをごらんいただければと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。診断法としても治療法としても効果的なものだということで すが、かなりのところでやられ始めてるんですか。 ○坪田構成員  かなりのところでやられていると思います。 ○猿田座長  どなたか御意見はございませんでしょうか。なければ、お認めいただくということでよ ろしいでしょうか。  それでは、認めたということにさせていただきたいと思います。  そのほか10月の提出分として「骨髄由来幹細胞を用いた歯槽骨再生療法」というのがあ ったんですが、書類上の不備があって戻ったということです。これについて何かございま すが。 ○竹中構成員  私は耳鼻科ですが、耳鼻科と形成外科と歯科口腔外科学会で平成8年に歯科医師の境界 領域における医行為ということについて話し合いをしております。それは厚生労働省のホ ームページにも載ってると思います。それと病院長という立場という両方から言いますと、 歯科医師の医行為を、麻酔も含めて、どのようなものが妥当だと考えるかを、どこかでラ インを出していただけるのか。ラインがないまま、こういう形で骨髄穿刺等を含めたもの も歯科医師の医療行為ということで普遍的なものとして認めていくのかということが気に なるというか、今回は出ませんでしたが、出てきた場合に審議をしていただきたいという ことです。 ○猿田座長  きょうは書類が出ておりませんが、前もって先生方にお配りした書類に載っておりまし た。この次に出てくると思いますが、竹中先生のおっしゃったことは宿題事項としたいと 思います。  それでは、10月の届出分2件のうち49番は保留にさせていただいて、50番は認めること とさせていただきたいと思います。  それでは次に、11月の受付状況について事務局から報告をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−3をごらんいただきたいと思います。11月受付分の概要を1枚紙で お示ししております。表にありますように、51番から53番まで3件でございます。現在、 薬事法の関係の回答待ちなどの状況で少し移動があるかもしれませんが、現時点での状況 としてごらんいただければと思います。以上です。 ○猿田座長  51番が「血管内超音波後方散乱波解析による冠動脈プラーク組織性状診断」、52番が 「脳・脊髄神経機能保護のための術中運動機能モニタリング」、53番が「血管新生療法 (虚血性疾患への自己造血幹細胞移植術」、この3件ですが、受付状況について御意見は ございますでしょうか。  もし御意見がなければ、こういった形で11月は受け付けているということで、細かいこ とは先生方に依頼があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。  続きまして、先進医療の新規届出様式の一部変更について、事務局より説明をお願いし ます。 ○福田企画官  お手元の資料、先−4をごらんいただきたいと思います。先進医療における施設要件届 出様式を一部変更したらどうかという提案です。  1ページは変更内容を文字で説明したもので、2ページは変更案という形で、それを具 体的に現在の形式に落としたものです。3ページは現行の様式です。  まず1ページですが、1.今回の一部変更の背景です。現在の先進医療における施設要 件の届出様式については、先進医療に係る記載要領通知より定められています。しかし、 現行の届出様式の一部において適切な記載ができないとの指摘等があることから、届出様 式の一部を変更してはどうかということで御提案申し上げるものです。  具体的には実際に評価いただいてる先生方とか、医療機関からアプライする際の疑義と か、中医協に私どもから結果について御報告するんですが、その際に、記載内容を現場に 徹底するような形のものにしたらどうかとか、各方面から御意見がありまして、まず対応 すべきと思われる点について整理をさせていただいたということです。  2.検討事項ですが、変更案のところをごらんいただきたいと思います。  (1)「実施責任医師の要件」についてです。  最初のころを思い出していただきますと、相当な件数がくる可能性があるということも ありまして、先生方の事務負担を減らすという議論をさせていただきました。あらかじめ 表に年数なり項目なりをポイントとして出しておいて、それに○なりチェックなりをして いただければ迅速に審査ができるということも御議論いただいた上で当初の様式を決めて いたわけです。  実施責任医師要件としては、従来は不要、1、3、5年、10年以上という形で一つの目 安を数字で示していましたが、変更案としては必要か不要かと大きく分けて、何年以上と いうところは数字を入れていただくような形でいかがかということです。  専門医の要件は学会によって奇数年のものもあれば複数年のものもあっていろいろです ので、そういった実情も踏まえて、ここのところは自由記載というか、そういった数字を 入れる形でいかがかということです。  (2)「当該技術の経験症例数」ですが、従来は助手と術者と分かれていました。高度先進 の場合は助手で何件、術者は何件となっていまして、術者として相当やっているのに、助 手として改めてやらなくてはいけないのかという疑義も出てきますので、そこを改善しま した。  「当該技術の経験症例数」について、「助手としての経験症例数」を「助手又は術者と しての経験症例数」に変更し、「術者としての経験症例数」を明確化するため、「実施者 (術者)としての経験症例数」に変更するということです。  (2)「実施医療機関の要件」です。今回、遺伝子関係の検査や診断、それを踏まえての 先進医療の適用についてここでも議論されましたが、それを中医協に報告した際に指摘を いただいた部分でもあります。  (1)「倫理委員会による審査体制」について従来は要・不要というだけで具体的な担保の 部分が薄かったんですが、先進技術についてはもう少しきめ細やかな情報を整理できる形 に届出様式上も整理をした方がふさわしいのかという考え方に基づいて、変更案ではもう 少し踏み込んだ形にしております。  「要」の場合は具体的な倫理委員会の開催条件を記入していただいたらどうか。  例としては、各症例の実施前に倫理委員会による審査を実施する、又は倫理的に問題の 起きる可能性のある症例に関して適宜、倫理委員会による審査を実施する、等です。  さらに、倫理委員会による審査体制が必要であると判断された場合は、委員会の開催要 項を届出資料に添付することとしたらいかがかということです。  (2)「その他」の項目では届出の医療技術を実施する際に必要なその他の要件で、付記す る必要の内容(遺伝子カウンセリングの実施等)を記載することとします。以上です。 ○猿田座長  この書類に書き入れていただく時にいろいろ問題がありましたが、時がたってきたこと もありまして、こういった形で直していっていいかどうか、ここでお決めいただくことに なります。倫理委員会のことはこれから問題になってくるだろうということと、術者と助 手との経験年数をはっきりしておいた方がいいだろうということです。皆様方からよく御 意見があったところが直されたということかと思いますが、何か御質問等はございますか。 ○辻構成員  最後の「その他」のところで「遺伝カウンセリングの実施等」となっていますが、より 望ましいのは、遺伝カウンセリングの体制とか診療体制を整備してるというか、病院とし てそういう診療体制を持ってるということを担保させることの方がより重要ではないかと 思うんですが。 ○福田企画官  大変貴重な御意見をありがとうございます。様式の部分と、これにあわせて通知を出す ことになりますので、そういうところで趣旨が徹底するように担保させていただきたいと 考えております。 ○猿田座長  ほかにはございますでしょうか。それでは、そういった形でお認めいただくことにした いと思います。  続きまして、先進医療の施設基準の見直し等につきまして事務局より説明をお願いしま す。 ○福田企画官  お手元の資料、先−5をごらんいただきたいと思います。既存技術における実施医療機 関要件等の見直しですが、今回、こういう考え方で検討を進めていきたいということで提 案させていただきます。  1.概要ですが、現在の先進医療は、平成18年10月1日より高度先進医療と統合しまし た。その際、高度先進医療で承認された全医療技術が移行されるとともに、実施医療機関 の要件等も同様に移行し、適用されています。  過去の高度先進医療においては、1年間の実績を報告させ、これを踏まえて既存技術に おける実施医療機関の要件等に関する見直しを行ってきました。  そこで今般、高度先進医療と同様に、高度先進医療から移行してきた技術も含め、高度 医療において、一定のインターバルで施設要件の見直しを行ってはどうかと考えました。  2.既存技術における実施医療機関の要件等に関する見直しですが、先進医療として認 められている全医療技術(平成18年12月8日現在で112種類)について、下記のような作 業で見直しを行っていってはどうか。  (1) 見直しにあたり実施要件の基本的な考え方を先進医療専門家会議の場で検討してい ただく。基本的な考え方については先生方と相談させていただき、議論のポイントを事務 局で整理をして、それをこの会議にお出しして、そういう考え方でいいかどうかを御議論 いただきます。  技術の要件として、高度先進医療の場合、内科的な技術は3年とか、外科的な技術は5 年というのを目安にしましょうという考え方の基準がありましたが、同じようなルールの 目安等をここで御議論して決めていただき、それを念頭に置きながら全体の整合をとるよ うな形で要件の見直しにあたっていただくということです。  (2) 検討された見直しの要点及び基本的な考え方を踏まえ、各医療技術に最も専門の近 い先生にごらんいただき、実施医療機関の要件等の見直しが必要であるかどうかについて 検討していただく。  (3) 各構成員は担当した医療技術について、評価用紙に実施医療機関の要件等の見直し の要否について記載していただき、見直しが必要と判断された場合は具体的な見直し案を 記載していただきます。なお、担当した医療技術以外でも実施医療機関の要件等に意見が ある場合は、別途評価用紙に記載して事務局に提出していただきます。  (4) 見直しが必要と判断された医療技術については、見直し案を事務局で取りまとめ、 先進医療専門家会議において、見直し案について各構成員から説明いただきながら検討し、 見直しを実施したいと考えております。  本日は、こうした形で進めてよろしいかどうかをお諮りしたいと存じます。御了解いた だければ、年明け以降、なるべく早い段階で(1)から始めさせていただきたいと思います。 来年度の真ん中以降になりますと、この技術について保険に向けての評価の議論になって きますので、評価の議論が始まる前までには基準の見直しについて整理をしたいと考えて おります。お忙しい中とは思いますが、御協力いただければと思います。以上です。 ○猿田座長  10月1日から高度先進医療と先進医療が一緒になりまして、高度先進医療としては技術 の問題と施設の問題を検討してきました。先進医療が始まる時に当該技術の実施医療機関 の基本要件という形で議論したのを覚えてらっしゃるかと思いますが、まれな疾患の遺伝 子診断とか悪性腫瘍の遺伝子診断とかいろいろ先進医療がありまして、その時に施設の要 件を検討していただきました。それと同じような形で、高度先進にはたくさんの技術があ りますが、先生方の専門的なことを考えながら施設の要件を見ていっていただきたい。古 い書類がありましたら見ていただきますと、先進医療の施設を決めていく時に、こういっ た形でやっていくことになるのではないかと思っております。  何か御意見はございますでしょうか。 ○吉田座長代理  我々は高度先進医療の方の委員はわからないんですが、高度先進医療の委員の構成と先 進医療の委員の構成とどう違うんですか。 ○猿田座長  あちらの委員は私だけです。 ○吉田座長代理  それでは高度先進でやったことを改めてここでやってもいいと思いますけどね。 ○猿田座長  高度先進の場合は非常に難しい技術が入ってまして、特殊な施設ができないということ があったもんですから、それをどうしていくかというのはこれからの問題かと思います。  そういう方向で議論していくということで、お認めいただいたということでよろしいで しょうか。この次から議論させていただくことにしたいと思います。  こちらで準備した案件は以上ですが、何か御意見はございますでしょうか。 ○辻構成員  既に議論されたことかもしれないんですが、高度先進医療の時のコンセプトというか、 レアなもので高度なものを提供するというものがなくなっちゃったわけですよね。そうい う枠を改めて設定するとか、薬事の問題にしても非常に高いハードルになってますよね。 限られたものかもしれないけど、本当に高度で、しかも薬事の問題も関係してくるような、 そういうものについて何らかの道をつけるような議論もあってもいいのかなと感じてるん ですけど。 ○猿田座長  非常に特殊な技術に関する問題ですけど、事務局としてはいかがでしょうか。 ○福田企画官  この場でも何回か議論があったかと思いますが、適用外のものを使った技術について、 臨床研究と治験のコンバインしたような枠組みを医政局で検討しています。高度先進のう ちで適用外の入っているものについては、そちらの枠組みができたらそっちに移行してい ただこうという形なので、一つはそれがあるかと思います。  もう一つは、医療機器の未承認のものの促進の部分については、1ヵ月か2ヵ月前に医 薬局において「承認の促進のための枠組み」という検討会議を新たに立ち上げています。 きょうは御欠席ですが、ここの構成員の北村先生が座長をしておられます。臨床的な意義 の高いものを優先的にいくつか進めいきましょうというコンセプトで第1回の議論が進ん でおります。関係学会から要望を取りましょうということで、学会に既に届いていると聞 いております。担当の医薬局の者が本日は別の会議と重なって出席しておりませんが、必 要があればいつでも御説明に上がるという話は聞いておりますので、報告させていただけ ればと思っております。  治験の推進というのは常に大きな課題でして、そうしたところのビジョンや考え方につ いても逐次更新がなされていると聞いておりますので、タイミングをみて報告させていた だきたいと思っております。 ○猿田座長  先生がおっしゃったことは非常に重要ですが、実際に議論してみないとわからないとこ ろもありますので、年明けからということにさせていただきたいと思います。ほかにござ いませんでしょうか。 ○金子構成員  以前から時々あることですけど、送っていただいた資料に載ってたものが、ここに来て みると削除されてるというか、全くなくなってるものがありますよね。今回も「骨由来幹 細胞を用いた歯槽骨再生療法」というのを楽しみにして来たんですけど、これは返戻前と いうことなんですか。いくつかの段階があるので、どういう内容になってるのかなという のが気になるんですけど、今回また保留という新しい段階ができましたし、その辺の整理 がわからないんですが。 ○福田企画官  3ヵ月ルールというのがございまして、走りながら考えてるものですから、先生ご指摘 のような問題が発生してしまうと考えております。結論を出さずに宙ぶらりんのままとい うのが今までの役所の一番悪いところという強い指摘を受けておりまして、時間を意識し ながら、結論を出していこうというスタンスの下、事務局での整理が十分でない段階で先 生方に発送しないと、時間的に間に合わないというところがあります。ここで問題意識な どを事前に出していただきますと我々も関係局と調整がしやすくなりますので、疑問に思 っている点とか御意見を教えていただければありがたいと思います。 ○猿田座長  私もそれは十分注意してまして、保留になったものは将来どうなるのか、あるいは否定 されたけど、もう少し直せば大丈夫だというのは施設に言って、出し直してもらうとか、 そういうことをやっておりますので、これからも注意していきたいと思います。ほかには よろしいでしょうか。  それでは、第15回の先進医療専門家会議を終了いたします。本日はお忙しい中をありが とうございました。 −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)