06/11/06 労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会第2回議事録 第2回労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会 日時 平成18年11月6日(月)  12:30〜 場所 厚生労働省本館共用第8会議室(6階) ○和田座長 ただいまより、第2回労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検 討会を開催いたします。なお、保険局の深田医療費適正化推進室長と大島企画官、健康 局の勝又保健指導室長は、現在別の会議が行われており、少し遅れます。  議事に入ります。本日は健康診断の項目の考え方と保健指導のあり方、この2つにつ いて議論を進めていきたいと思います。まず、前回検討会の議事概要が提出されており ますのでご説明いただきます。 ○衛生専門官(一戸) 資料1が第1回検討会の議事要旨です。冒頭に事務局から今回 の検討会の必要性が説明され、健康局の検討会から提出されている標準的な健診・保健 指導プログラムの内容を労働安全衛生法においてどのように取り扱うかを検討していた だきたい、とこちらから申し上げました。委員の方々からは、事業者が医療保険者に対 して定期健診の医学的データを求める場合の取扱いや健診項目の意義などについて質疑 が行われました。  その中で、まず、標準的な健診・保健指導プログラムで示されている項目と安衛則で 規定されている定期健康診断の項目との間で一致していないものについて個別の検討を 行う必要があるとされております。2つ目に、保健指導については、労働者が同じよう な保健指導を2回受けることがないように、努力義務で行われている労働安全衛生法に 基づく保健指導と、これから保険者に義務づけられる特定保健指導との整理をする必要 があるのではないか。3つ目に、産業保健の場で労働者に対する保健指導や健康管理の 中心になっている産業医の活用について、どのように考えるか。もう1つは、産業保健 スタッフとしてこれまで養成されてきた人材について、活用するべきなのではないか。 このような意見が出され、今後検討を行うこととされております。これを踏まえて、今 回は健診項目と保健指導を中心に議論を行うこととしております。 ○和田座長 前回検討会の議事概要の中で、標準的な健診・保健指導プログラムで示さ れている健康診断項目と安衛則における定期健康診断項目との間で一致していない項目 について個別の検討を行う、となっておりますので、まずそちらから始めさせていただ きます。資料が提出されておりますので説明をお願いいたします。 ○衛生専門官 資料2と参考資料1と2を中心に説明いたします。参考資料1は、現在 標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)で示されている健康診断の項目と安全衛 生規則に記載されている健診項目を比較した表です。赤で書いてある所は、プログラム で必須項目あるいは存在している項目であるが安衛則ではない、もしくは対象となって いないもの、青い所は安衛則だけにある項目、黄色い所は標準的な健診・保健指導プロ グラムで医師の判断により実施する項目と3つに分かれております。これをもとに個別 の項目の考え方について資料を作りましたので、それについて説明いたします。  資料2は「健康診断の項目の考え方について(案)」です。考え方として、今回は内臓 脂肪症候群に着目し、生活習慣病患者や脳・心臓疾患患者等の減少のために行う標準的 な健診・保健指導の内容について、最新の医学的知見を踏まえて検討が行われ、今般「標 準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」が発表されました。その中に示されている 主な健診項目については、労働安全衛生的な観点で項目の必要性等について検討したい ということです。  次からが個別の項目です。問診項目の(1)は喫煙歴です。喫煙歴については、喫煙 者の虚血性心疾患や脳卒中による死亡の危険度が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなるな ど、喫煙は脳・心臓疾患の強いリスクファクターであることが明らかになっております。 喫煙本数や喫煙年数をどんどん重ねていきますと、脳・心臓疾患のリスクも上昇するこ とも明らかとなっており、喫煙歴を聴取することで脳・心臓疾患のリスクの高い者を把 握し、適切な対応をとることが可能となるのではないか。受動喫煙といった観点も一方 にあるのではないかということです。  (2)は服薬歴です。降圧薬や高脂血症薬などの服薬を確認することにおいて血圧や 血液検査などの健診結果をより的確に評価し、労働者の健康状態を把握することができ るので重要ではないかということです。服薬歴については、これまでの安衛則の項目の 中で既往歴というものがあり、その中でもチェックされている場合が多いと考えられて おります。  次からが健診の項目です。まず1つ目が腹囲です。内臓脂肪の蓄積が高血圧、高脂血 症、高血糖など脳・心臓疾患のリスクファクターの増加と密接に関係していることから、 内臓脂肪の量と相関関係にある腹囲を測定することが、ほかの健診項目から得られる情 報と合わせて脳・心臓疾患のリスクファクターをより適切に把握することが可能になる のではないかということです。  次はLDLコレステロール及び総コレステロールです。LDLコレステロールは動脈 硬化の強いリスクファクターであるため、脳・心臓疾患のリスクを評価する上で重要な 項目であると考えております。現在、安衛則の中で測定されている総コレステロールは LDLと代えることができるのではないかと考えております。  次の頁はヘモグロビンA1cです。これは糖尿病と関連するわけですが、糖尿病は脳・ 心臓疾患を含めてさまざまな合併症を引き起こすために、糖尿病の疑いのある者を早期 に把握することは非常に重要となります。糖尿病の疑いのある者を現在把握するために は、いま安衛則の項目である空腹時血糖(食後10時間以上経過した際の血糖)が用いら れておりますが、健診受診者の状況によっては必ずしも正確な値が得られない。つまり、 健診の当日に食事をしてきたり、前日夜中まで酒を飲んで正確な値が測れないという方 も多いということがありますので、空腹時血糖だけで糖尿病の疑いのある者を正確に把 握することは難しいと言われています。一方で、ヘモグロビンA1cは過去1〜3カ月 間程度の平均血糖値を反映している検査項目ですので、採血の前日や当日の食事の摂取 状況に影響を受けないということから、空腹時血糖に加えてヘモグロビンA1cを測定 することで糖尿病の疑いのある者を正しく把握することが可能となるのではないかとい うことです。現在の安衛則に基づく定期健康診断では、血糖値検査もしくはヘモグロビ ンA1cのどちらか1つを行うことでよいという規定になっています。  次は血清クレアチニンです。腎機能に関する健診の項目は、安衛則上、現時点では尿 蛋白の測定のみが腎機能と関係するわけですが、血清クレアチニンというのは腎機能の 低下に伴い上昇する検査項目であり、近年の腎機能の低下あるいは人工透析の導入患者 の中でも糖尿病の合併症の方が非常に多くなっておりますので、腎機能の低下を早期に 発見し、原因となっている生活習慣病や糖尿病を改善することで労働適応能力の低下を 遅らせることが可能となるのではないか。例えば、血清クレアチニンが上昇してから、 適切な食事制限を行うことで透析導入までの期間を延ばすことができると言われており ます。  次は血清尿酸です。血清尿酸は、内臓脂肪の蓄積に伴う代謝状況を反映し、内臓脂肪 が蓄積した場合には尿酸合成も促進するため、内臓脂肪症候群のリスクマーカーとして 重要であるわけです。最近では動脈硬化性疾患の独立したリスクファクターであるとも 指摘されております。このため、腹囲等いろいろありますが、ほかの健診項目から得ら れる情報と併せて、脳・心臓疾患のリスクファクターの状況をより適切に把握すること が可能なのではないかというものです。  次は尿潜血です。尿潜血検査は簡便な検査であり、腎・尿路系の異常を現行の尿蛋白 等とともに評価することで、より適切に把握することが可能になるわけです。  次はヘマトクリット値です。ヘマトクリット値は貧血検査等に関係するわけですが、 易疲労など労働適応能力の低下を来たすことが問題であり、そのことに対処するために、 血色素量と赤血球数という2つの項目が平成元年に追加されております。そして、貧血 は分類に応じて対策をとる必要があるとされています。鉄欠乏性なのか等いろいろな分 類があり、その分類を行う上で、血色素量と赤血球数に加えてヘマトクリット値を測定 することが必要であり、それにより適切な対応をとることが可能となるのではないかと 考えられております。  最後は眼底検査です。眼底検査は、血管を視覚的に観察する唯一の方法であり、眼底 動脈の高血圧性変化や動脈硬化性変化を把握することができ、脳・心臓疾患を発症する リスクが高いと考えられる者を視覚的に確認することができます。このため、血圧測定 時に高血圧などを認める受診者に対して、医師の判断に基づいて眼底検査を実施するこ とが血管病変等の異常を適切に把握することが可能なのではないかということです。健 診項目の考え方についての説明は以上です。 ○和田座長 前回の議論を踏まえて、趣旨を中心にお話いただいたわけですが、今日は 各委員のご意見をいろいろ伺いたいと思っております。まず、趣旨その他に関して今回 いろいろお話いただいているわけですが、全体として何かご意見はございますか。いま のところご意見はないようですが、何かありましたら後で伺うことにして各論に入りま す。各項目ごとに意見をいただくことにしたいと思います。まず、問診の項目で喫煙歴、 服薬歴等があるわけですが、これに関しては何かありますか。現在でも既往歴や現病歴 は聞くことになっているわけで、本来であれば聞く項目ですが、これを明記するかどう かだと思いますが。 ○堀江委員 喫煙歴が脳・心臓疾患のリスクを検討する上で重要であるということには 全く異論がないのですが、今回の特定健康診査あるいはそれに基づく保健指導というも のは、おそらく、こういった項目が本人と医療関係者以外に知られることを前提には検 討されていないのではないかと思います。これを労働安全衛生法に入れるということに なりますと、当然、事業者がこれを知ることができるようになるというのが現状のやり 方です。記録も保存しなければいけないし、本人の受診義務もあるということで、言い 換えれば、国が労働者に命じて喫煙歴を事業者に教えなさいと言うことになるわけです ので、かなりの根拠を持って、また、慎重な情報の取扱いをしていく上でないと、受診 者側からして非常に受けづらい、あるいは言いづらいという印象を与えるのではないか と思います。したがって、現状ですと健康診断で個人結果通知表を事業者の手元に記録 するわけですが、そこに今回これを入れますと、新たに喫煙歴というのが入る。どんな 労働者でも、そこにタバコを吸っているかどうか、あるいは何本吸っているかというこ とが記録されるわけですが、記録にまでそんなものを入れる必要はないのではないかと 私は考えています。医療関係者の記録としては重要だと思うのですが、事業者として、 いちいちどの労働者がタバコを吸っているのかを把握し、それを保存していく、そこま での必要はないと思いますし、また、そういうことが記録されることが前提であるとす ると、労働者の受診意欲や申告意欲をそぐのではないかと思っています。 ○和田座長 それに対する意見、その他ございませんか。 ○相澤委員 喫煙については、保健指導をする上でどうしても必要な情報だと思うので す。以前じん肺健康診断のハンドブックの改訂のときに、喫煙歴を入れるべきだと私は 主張したのですが、それは受診者の不利益になる可能性があるので、どうしても駄目だ ということになりました。もし一般健康診断で喫煙歴を聞きますと、当然、それをじん 肺健康診断のときにも見る可能性があることが想定されます。どうして不利益になるか というのはなかなか理解しにくいところもあるのですが、肺機能の判定のときに、喫煙 をしている人の場合は落ちていても何とかだと言う可能性もあるようなので、その辺も 十分考えていかなければいけないことだと思います。  服薬歴につきましては、いろいろな精神疾患の可能性もありますので、本当のことを 書かない可能性もあると思うのです。そういった場合に、法定で定められたものの場合 には書かない、あるいは申告しないことが労働者にとってどのように不利になるか懸念 はするわけです。いずれにしろ、保健指導にはそういった情報が必須であると考えてお り、職場でそれをやるか、やらないかということは少し慎重に考えたほうがいいのでは ないかと思います。 ○今村委員 前回も堀江委員からご意見を伺って、なるほどと思ったのですが、喫煙歴 に限らず、そもそも個人の病気の情報が事業主に伝わるということがある。例えば、糖 尿病があるということは、ある人にとっては知られたくない情報だということもあるわ けですが、そういうものも従来は健診の中でもちゃんと事業主には行っているわけです。 そう考えれば喫煙歴も、それをどう扱うかというきちんとした仕組みは大事だと思うの ですが、今回の特定健診あるいは保健指導の意味合いから考えれば、こういう問診はな いとまずいのかなと思っています。  服薬歴については、メタボリックシンドロームに関わるような薬剤についてはきちん と聞いたほうがいいと思うのですが、それ以外の、いま相澤委員からお話があったよう な精神神経系の薬だと、本人が言いたくないという部分もかなりあると思うので、本当 に今回の健診・保健指導に必要かどうか、事業主にまで知られる必要があるのかどうか は少し検討したほうがいいのではないかと思っています。  一般的に、我々が診療していると、通常の診療の中でも、どんな薬を飲んでいますか と聞いたときに、血圧の薬を飲んでいます、糖尿病の薬を飲んでいますとお答えになる のですが、それがどういった薬かということまで皆さんがきちんと理解されているわけ ではないのです。今回の保健指導というのは、自分の責任で健康を管理するという意味 合いでは、それがただの血圧の薬ではなくて、どういう薬かということまで分かってい るぐらいになっていただくことも大変重要なのだと思います。ただの既往歴を聞くとい うことではなくて、実際の薬の名前、あるいはどんな薬を飲んでいるかということを本 人が意識しているかどうかを確認する意味でも、服薬歴は大変重要なのではないかと思 っています。 ○和田座長 慎重にすべきだという意見と、臨床的に考えれば当然聞いたほうがいいと いう考えとがあるわけです。確かに喫煙歴も、本来であれば問診のところで聞いている 項目と理解していいのではないかと思います。喫煙歴の場合、適正配置、労働起因性と いうことになると、特定の業務に関しては特殊健診でやっていますが、一般的な非特異 的な呼吸器疾患を、アメリカではCOPDと同じような感じで非常に重視しております。 職業性の疾患ということも考えた場合は、職業の中での適正や、労働起因性について考 える意味で非常に重要な情報になるのではないかと思うわけです。  服薬歴に関しても当然そうです。既往歴や現病歴は当然問診で聞いているはずですか ら、薬を飲んでいるか飲んでいないかを聞くことがプライバシーに反するかどうかとい うことが一応問題になるのではないかと思います。特に、向精神薬を飲んでいる場合、 職業に対する適正というのは非常に重視しなければいけない場合もあるので、産業医と しては知らないといけない情報になるのではないかという気もするのですが、この辺は どうでしょうか。聞くときに絶対聞けと言うのではなくて、本人が話してくれたら記入 する、本人の了承があればという前提を付けて、一応非常に重要な情報であると考えれ ばいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。労働起因性、適正配置について、 特に労働安全衛生法では脳・心疾患を重視しており、それに関連することが定期健康診 断で重要な対象になっているということにも関係してくるわけです。 ○堀江委員 臨床的に人の病態を把握する上で、喫煙歴は、年齢や性別と同じぐらいに 重要な、非常に多くの項目に影響を与える検査だということは私もよく理解しているつ もりです。また、健康診断を実施する医療職の立場からすれば、喫煙歴は通常聞いてい るのが現状だと思います。ただ、現在は、労働者の喫煙歴については事業者の手元に残 る台帳には記載されていないということが重要なのであって、それを、もし喫煙をして いるなら就業上就けない仕事があるとか、就業上の措置が異なるというようなことがあ る場合は別ですが、そうでないものまで含めて喫煙歴の情報を事業者の手元に残すとい うのは、かえって正直に喫煙歴を申告させる際の阻害因子になるのではないかという懸 念があるのです。 ○和田座長 堀江委員のご意見によりますと、LDLにしろ血糖にしろ全部個人情報で す。自分が糖尿病であることを知られたくないということになれば、それを全部抹消し なければいけなくなるのではないでしょうか。 ○堀江委員 検査データというのは、自己申告によるものではなくて客観的に得られる ものです。 ○和田座長 堀江委員のご意見は、それを出していいかどうかということは本人の了承 を求めなければいけないということですね。 ○堀江委員 一昨年出た「雇用管理における健康情報の取扱いに関する留意事項」にお いては、なるべく検査の生データは医療職が加工した上で伝えるということになってお ります。その考え方を進めますと、座長がおっしゃったように、生データはすべて、本 来事業者が閲覧すべきものではないという考え方も成り立つのです。現行法上、そうい う項目が従前からありまして、記録用紙にもそうなっているので数値が書いてある。喫 煙歴は、吸っているか吸っていないかというような状況は素人でもよく分かるわけです が、一つひとつのLDLの値がいくつだったらどういうことになるのかということにつ いては、ある程度医学的な解釈を加えないと分からない。それだけに、喫煙歴のほうが むしろ偏見が強い情報になるのではないかと私は個人的に考えております。 ○和田座長 むしろ喫煙歴のほうが軽く考えられるのではないでしょうか。普通のデー タの解釈なんて、いっぱい本が出ていますし、保健師が「あなたは糖尿病の値です」な どと言いますから、当然そういうものが出てくるわけです。 ○堀江委員 最終的には、どちらがプライバシー性が高いかというのは個人ごとに判定 されるものだろうと思います。 ○相澤委員 近ごろ生命保険会社で、既往歴を書かなかったために給付金が出なかった ということがありましたが、問診で書かなかったとか嘘を書いたとかということがどの 程度の不利になるかというようなところはどうなのでしょうか。例えば、答えなくても いいわけですね。 ○和田座長 ええ、もちろんです。それだと、せいぜい生活指導をしてもらえないとい うことぐらいです。 ○相澤委員 あまり堅く考えると。 ○堀江委員 私は、必須項目にするという考え方でいたのですが、違うのですか。 ○労働衛生課長 いま安衛則の中に問診項目というのがあって、既往歴と業務歴が入っ ていますが、もし労働安全衛生法上必要であるということになれば、喫煙歴や服薬歴を それに追加することになると思うのです。 ○今村委員 その辺は先ほど堀江委員が言われたように、血液の検査や腹囲は、項目と して入れたら嫌でも数字が出てくるのですが、喫煙歴というのは、もし本人がどうして も自分の情報を知られたくないと思えば、吸っていないと言ってしまえばそれで終わる ことです。そこで嘘をついてもいいという話ではないのですが、知られたくない情報で あれば、どうにでもなってしまうような情報かなという気はするので、基本的には入れ てもいいのかなという気が私はいたします。ただ、それをどう取り扱うかというのは、 もし別の扱いができるのであれば、新たに加わった項目だけは事業主に知らせる義務が ないのだとかとなればいいのですが、法律的にそれは不可能なのでしょうか。それを教 えていただければと思います。 ○衛生専門官 基本的に、安衛則で示した項目については個人表という別表があって、 それを事業主に提出するというのが大体だと思うのですが、そこに項目が羅列されてい るものについては、ほぼ提出しなければならないとなっています。安衛則で法定で取ら なければいけない項目となったものをこの別表に書かなくてもいいのか、というのは検 討しなければいけないのかもしれませんが、いまのところ、はっきりとしたお答えはで きないのです。 ○和田座長 両方の意見があったということですね。もし入れたとしても、もちろんプ ライバシーに関しては何らかの条件をつけないといけない、ということは当然書かなけ ればいけない、その辺に落ちつくのではないかという感じがします。今日は結論を出す わけでなくて、皆さんの意見を聞くということですので。  次に進みます。いま問題になった腹囲に関しては何かご意見がございますか。腹囲が 90cmと言われるのは嫌だ、これはプライバシーだなどと労働者が言いますか。おなかを 見れば腹囲などというのは分かるわけですし、メタボリックシンドロームなどというの はみんなが関心を持っていて、基本は腹囲だということはみんなが知っていますから「そ れをやらないでどうして生活指導ができるの」などと言われてしまうこともあるかもし れないですね。 ○堀江委員 メタボリックシンドロームということで健康局、保険局の改正が行われて いる以上、腹囲はかなり必要性の高い項目であると思います。ただ、先ほどと同じよう に、腹囲を知られたくないという人も相当いる可能性があるだろうとも思います。そう なった場合、特定健康診査の場合、受診義務はないわけですから、知られたくなければ 受診しない、という行動もとれるわけですが、安衛法の場合は労働者に受診義務を課し ていて腹囲を測定せよと国が命じることになるわけで、やはり、それなりに受診させる ことの根拠は必要だと思います。特定健康診査の場合、測定法が7学会の基準に基づい て行われているわけですが、安衛法の場合、全員に測る、強制的に受診義務をかけると いうことからすれば、例えば自己申告制にするというようなことは、情報として、折り 合いをつけるという意味ではいかがでしょうか。測定法について多少緩和するというこ とで、強制義務をかけるようなことがあってもやむを得ないのではないかとも思います。 ○和田座長 もし、これを外すとすると、新健診ではもう一回健診をやらなければいけ ないということになり、非常に煩雑になりますが。いまはメタボリックシンドロームと いうことでみんなが関心を持っています。むしろ知っているべき事項であると思うし、 プライバシーのことをあまり重視すると、体重は測るわけですから、体重も駄目だ、削 れということになり非常に煩雑になります。先ほどの問診に関してもそうですし、本人 のプライバシーをきちんと守るということをもとに測る、そのことが非常に重要ではな いかと思うのです。本人が嫌がって腹囲を測らないとなったら、新健診ではどうされま すか。もう一回測るわけですか。基本的な情報ですからね。 ○堀江委員 例えば、自己申告制にする、あるいは85cm、90cmという値を超えている かどうかだけの結果を出すといったことでは特定保健指導は成り立たない、やはり数値 が必要だというお考えがございますか。 ○今村委員 数字を入れる意味は、保健指導をしたときに、それがどう改善したか。例 えば88cmが86cmになった、85cmは超えているが保健指導の効果があったという判断に 使うという考えなのではないかと見ているのですが、いかがですか。 ○生活習慣病対策室長 保健指導の成果のところは、いま仮に腹囲が90cmを超えていて も目標とする数値を書いて、それに対して自分はどういう計画を立て、それが達成でき たかどうか、というところまで評価をすることを一連で考えているものですから、まさ にご指摘のように、目標に対してどれだけ達成できたのかということは、すごく大事な 指標になるのかなと思います。 ○堀江委員 それは確かに保険者あるいは労働衛生とは関係のない一般的な健康管理で は重要なことだと認識しますが、それを事業者が数値として保存する意義があるのか。 国が強制力を持って労働者に受診させることと比べた場合、そこまで言えるのか。すな わち、腹囲が何センチだから就業上の措置がどうなるのかというような因果関係は考え にくいわけです。 ○生活習慣病対策室長 メタボリックシンドロームは腹囲だけではなくて、血糖、血圧、 それとコレステロールの組合せのリスクの数で見ます。リスクの数が多いか少ないかと いうときのリスクの数として腹囲を見るということで、腹囲だけで判断するものではな いのです。 ○堀江委員 そういうわけですので、85cm以上とか90cm以上というのがスクリーニン グ基準だったら、それで足りると考えたわけですが、保健指導で経過を見る上では数値 が必要だという議論になりましたので先ほどのようなことを申し上げたわけです。一般 的な健康管理に必要なものは医療職としては是非必要だし、今回の特定健康診査には是 非必要だということもよく分かるわけですが、問題は、これを労働安全衛生法に従って 事業者が管理し、就業上の措置を加える基礎データとすべきかと言われると、そこまで の意義はないのではないかと思います。プライバシーのことも考えますと、医療職とし ては健診の結果としてこれを持っていても、事業者にそこまで伝える必要はないのでは ないかと思います。 ○和田座長 これは、ただ事業者の保存のために測っているわけではなくて、産業医が 保健指導をしたり、産業保健スタッフが保健指導をするためのデータとして重要である、 そのためのデータと考えるべきではないかと思うのですが。 ○生活習慣病対策室長 あくまでもリスクが多ければ心疾患の発症率が高くなる、とい うことがエビデンスとして出ているわけですから、リスクの数がそれだけ多くなってい る、心疾患の危険、そのようなリスクがあるということは大事なことなのだと思うので す。 ○堀江委員 安衛法の健診というのは、そのリスクを就業上の措置によって減らすこと ができるものを項目に入れるべきだと考えております。 ○生活習慣病対策室長 それはまさにこちらのあれですが、心疾患だとか、そういうふ うなところとの関係で、どのように考えていくかというのは非常に大事なことだと思い ます。少なくとも、心疾患にならないほうがいいわけですから、その観点は大事なポイ ントだと我々は思っています。 ○和田座長 喫煙歴にしろ、向精神薬の服薬にしろ、腹囲にしろ、それらは事業者の一 種の安全配慮義務の中に含まれるのではないかと思うのです。そういうことによって、 ちゃんとした対応をとっていくことが必要であると考えています。 ○生活習慣病対策室長 年々悪くなっているのか、改善しているのかということもすご く大きな流れだと思うのです。同じあれでも、悪化しているというのは危険に近づいて いることになるわけですから、そこも含めて、この辺もよくご議論いただく必要がある のではないかと思います。 ○堀江委員 就業上の措置によって悪化しているのか、よくなっているのかというのが 測れる項目であれば、入れることに賛成します。 ○和田座長 必ずしも労働に限ったものではない。もちろん労働起因性、適正配置とい うことが非常に重視されるわけですが、脳・心疾患がいつもいちばんの問題になってい て、そのために衛生指導などもやっているわけです。そのような意味から言えば、必ず しも労働起因性でなくても、労働者に非常に多い病気ということで対策を立てるべきだ と考えるわけです。 ○労働衛生課長 先ほどから出ているように、腹囲だけですべてを判断する、保健指導 あるいは事後措置に活用するということではなくて、ここにも書いてあるとおり、ほか の項目と合わせて就業上の措置を勘案する。逆に言うと、トータルコレステロールだけ で就業上の措置はできないと同じで、メタボリックシンドロームという新しい概念が出 てきて、それを労働安全衛生法の中でどのように考えていくか、労働安全衛生法が今ま で以上にそういう安全配慮義務を果たせるようにすべきなのか、そのような観点からご 議論いただきたいと考えております。腹囲は就業上の措置に合わないということではな いのです。 ○和田座長 喫煙歴、服薬歴、腹囲に関しましても産業保健指導上は非常に重要なデー タを与えてくれるが、問題はそれがプライバシー保護に引っかかるかどうかです。です から、非常に重要な項目であること、プライバシーに関しては何らか気をつける対策を 十分とるということであれば、むしろ、そういう情報はあったほうがいいと思うのです。 同じ結論でやっていくだろうと思いますので、この話はこの辺にとどめます。  LDLコレステロールに関してはいかがですか。確かに総コレステロールよりもLD Lのほうがはるかに信頼性があるし、現在では計算式でやらなくても測定可能になりま した。そういったことで、項目を総コレステロールの代わりにLDLにしたらどうかと いうことになるわけですが、時代の流れから言って、これは当然ではないかと思います。  ヘモグロビンA1cに関して先ほど説明がありましたが、それについて何かご意見が あれば伺います。現在の定健ではどちらかを測ることになっており、新健診では両方を 測ることになっていますが。確かに、産業現場の定健では食事をして来られる方が非常 に多いと思います。ですから、食後何時間でいくつと言っても、人によってかなり違い ます。そういう意味でヘモグロビンA1cは非常によい指標になるのではないかと思い ます。もともとは糖尿病のコントロールがうまくいっているかどうかというときの検査 項目として入れられたわけですが、最近では、ヘモグロビンA1cが5.6%以上では糖 尿病のリスクは将来非常に高くなるというデータもあります。空腹時血糖あるいは食後 の血糖だけでは不十分であり、特に労働者の頻度もこれから多くなるのではないかと思 われるので、その辺のところでどうかを考えていただければと思うのですが。 ○今村委員 良心的な保健指導プログラムが作られるときに専門の方から議論が十分あ ったものだと思いますが、実際に私どもが外来で診ていると、空腹時血糖は基準より少 し多い程度でそれほど高くない。ところが、食後の過血糖でヘモグロビンA1cが非常 に高いという人を経験する機会が多いので、そういう意味では、きちんとした糖尿病の リスクを把握するためには両方が必要なのではないかと思います。 ○和田座長 空腹時の高血糖障害ではなくて、食後の高血糖がいま非常に問題になって おりますので、今村委員が述べられたような意味では必要な項目であると思います。そ の辺のところで考えておいていただくということでよろしいですか。  血清クレアチニンに関してはどうでしょうか。そこに書いてあるようなプラスの面も ある。確かにほかの症状がなくて何でもないようでも、パッと上がってクレアチニンが 高い人も稀にあるのです。この前も申し上げたように、これはあくまでも三次予防に属 する項目で、かなり腎不全が進行しないと上がってこないということがあり、これを測 ることが安衛法の趣旨に合うかどうかです。メタボリックシンドロームで腎障害が起こ ることは明らかですし、それは当然重視しなければいけない項目ですが、安衛法の項目 としてどうかです。 ○労働衛生課長 事務局から説明いたします。いままでの項目につきましては、脳・心 臓障害の予防なり就労上の措置という面に活用できるという観点からご議論いただいた わけですが、血清クレアチニンについては、労働適応能力の観点ということで、ちょっ と異質なことではないかと思います。今までも、貧血検査等につきましても易疲労性、 まさに労働適応能力の観点から入っていたということもありますので、こちらとしても 労働安全衛生上必要だとは考えているのですが、いまの時点で必要なのかどうか。いま 脳・心臓障害を優先している段階においてどうするかということで考えています。 ○和田座長 どんな病気でも易疲労性が出てくるわけですから、すべての疾患について チェックしろということになる可能性もあるわけで、あとは頻度の問題ですが、こんな にクレアチニンが高くて普通の状態で何の障害もなく、医者にもかからず働いている人 がどのぐらいいるかです。 ○今村委員 もしこの項目をこちらで入れないとすると、受診者はもう一度この項目の ためだけに受けるという形になると考えてよろしいのですか。 ○和田座長 たぶん、いろいろ折衝してお互いの意見を決めていくことになるだろうと 思います。我々の立場はこうであるということを今日は出していただいて、あとは、生 活習慣病対策室ではこういう考えである、それではこれをどうしましょうかというよう に次の段階になるわけです。そういうこととして認識していただくことにいたします。  次に、血清の尿酸はいかがでしょうか。確かに頻度はクレアチニンよりははるかに高 く、7ぐらいの人も来ますから。 ○今村委員 外来の印象ですが、メタボリックシンドロームのある方は高尿酸の方が多 いですね。だから1つのリスクマーカーにはなり得るのではないかと私は思います。 ○和田座長 労働安全衛生法の立場から見ると、労働者にわりと多い。また、長い間高 値が続くと腎障害が来るし、労働起因性になる可能性もある。もちろん痛風発作があれ ば労働できませんが、最近は珍しいのです。 ○相澤委員 飲酒もかなり関係があり、生活指導の必要がある。 ○和田座長 そうですね、飲酒もかなり関係するわけで、生活指導には非常に重要な項 目であると考えていくことにいたしましょう。  尿の潜血はいかがでしょうか。現在の定期健康診断では、腎臓系の検査は蛋白だけで す。最近は腎盂腎炎とか、いろいろな腎炎が含まれるとなると蛋白と潜血は非常に重要 です。一般の外来でも、初めからクレアチニンを測ることはしません。尿の検査で潜血、 蛋白、血圧、それから一応現病歴などを聞いて判断して、必要に応じてクレアチニンを 測るという形をとるのではないかと思います。メタボリックシンドロームに関しては、 現在はむしろミロンアルブミンを測ったほうがいいという感じになってきておりますが、 これは新健診の項目にも入れてありません。それと同時に、現在は大体試験紙で蛋白も 潜血も一遍にサッと測れるわけです。そういう意味で、初期の腎障害はなるべく拾いた い、また、測定法も非常に簡易である、コストもそんなにかからないのではないか、そ のように考えておいてはどうでしょうか。  ヘマトクリット値はいかがでしょうか。 ○相澤委員 貧血があった場合に、小球性かどうかというときには計算に必要ですね。 ○和田座長 大抵の場合、労働者で注目しなければいけないのは、どちらかと言うと鉄 欠乏性のものです。そういう意味で分類は二の次という意見もあるわけです。とにかく 貧血があるかどうかだけを見て、あとは医療ということになってしまいますからね。そ のときに、ヘマトクリットが赤血球とヘモグロビンだけで判断できるかどうか。もちろ んヘマトクリットがあれば、より重要な情報になるし、いまは電子計算法で同時にパッ と数値が全部出てくるわけです。平均ヘモグロビンとか、全部一緒に出るようになって いますから、あれば非常に重要な情報になるということはありますね。赤血球、ヘモグ ロビン、ヘマトクリットは、ただ単に貧血だけではなくて、最近はストレス性の多血症 とかでわりと見るので、そういうものを判定する意味でも重要ではないかと感じるわけ です。 ○今村委員 確認なのですが。特定健診の必須項目と医師の判断に基づき選択的に行う という項目をいま同時に議論しているように思うのですが、安衛法の健診においてはそ れらを必ずやるという位置づけでいま議論しているのですか。 ○和田座長 必ずしもそうではなくて、医師の判断なども入って構わないということで す。 ○堀江委員 この表で言うと、いまのものについてはマルではなくて四角という位置づ けで書き込むということですね。 ○和田座長 そうですが、年齢的なものがあるわけです。貧血は若い女性が多いわけで すから、40歳以下でもある。向こうは40歳以上の人しか対象にしていませんから、む しろ、がん等による貧血を多くしてあると思うのです。 ○堀江委員 記載の問題で、非常に細かいことで恐縮なのですが。いま座長が言われた ように、貧血検査でヘマトクリットは、労働安全衛生法の中ではマルとして位置づけら れる、そういうふうに考えられているわけですか。 ○和田座長 ええ、そうしても向こうには全然差し支えないわけです。 ○堀江委員 おっしゃるとおり、出せば一緒に出てきてしまうので。 ○和田座長 そうです。  次に、眼底検査に関してご意見をいただきたいと思います。新健診では、医師が必要 であるという判断に基づいて行う検査となっていて、こちらが取らないとなった場合、 向こうでは、診た医師が検査をしたほうがいいということになれば再検査しなければな らない。こちらで取ってあれば、向こうの判断にかかわらず、データとしては存在する わけです。労働安全衛生法の趣旨から考えて、眼底検査について何かご意見はございま すか。 ○堀江委員 前の頁の項目も含めて、いろいろ新しい項目が議論されているわけですが、 いずれもそれなりの臨床的な意義は十分あると思います。また、職場における保健指導 においても十分活用できると思うわけですが、就業上の措置に伴う事業者の安全配慮義 務ということになりますと、考え方はやや違うと思います。そうであれば、健診を増や すよりも、労力や資金等投入すべきものがほかにあるのではないか。眼底検査といいま すと、資金的にも労力的にも負担がかかります。また、労働者の時間をそぐ。さらに、 これは無散瞳でやるのかもしれませんが、もし散瞳するとその日の就業はできない。そ ういうことから相当大きな影響がある項目です。労働安全衛生法を守るためのエネルギ ーをここに投入してしまっていいような優先項目かと言われると、そこまでの意義はな いのではないかという気がします。医師がどうしても必要と認めた場合にどうするかと いうのはまた別の議論かもしれませんが、もし、40歳以上の人がこれを毎年全員行うと いうことになりますと相当のエネルギーが必要であって、現状もそれには追いついてい ないのではないかと思います。 ○和田座長 いま議論しているのは労働安全衛生法上医学的な意味で必要かどうかとい うことで、実際にどんな負担がかかるかとか、使用者がそんなにお金を掛ける掛けない というのは、次回ヒアリングでいろいろお聞きして、それを判断材料にしたいと思って いるわけです。もちろん、負担が非常にかかることは事実です。検査をやるとなれば、 当然機械は揃えられるでしょう、いま良い機械もありますし。それだけ種類が多くなる わけですから、それを拒否することはおそらくないと思うのですが、むしろ使用者側が 経費の問題で何か言われる可能性はありますね。 ○今村委員 私はこの件に詳しくないので教えていただきたいのです。これは年齢も関 係してくるので全労働者対象ではないと思うのですが、ある程度以上の年齢の方ですと、 生活習慣病だけではなくて、眼圧が上がらないタイプの緑内障からくる失明というのは 一定の割合で必ず出てくる。視力障害が産業の中でどういう影響があるのかということ が私にはよく分からないのですが、実際にそれがどのぐらいの割で起こっているかとい うようなデータはあるのでしょうか。 ○和田座長 視力そのものは測っていますから、そちらで引っかかる可能性はあります。 一般の健診で眼科の先生が入ってくると、乳頭が総白化しているだけで緑内障あるいは ヨウ……、ときてしまうわけです。そういうものを入れると頻度はかなり多くなります が。  もう1つは、50歳以上になると、緑内障だけではなくて黄斑変性症が増えていますか ら、むしろ、そちらのほうが重要ではないかという気がしますが、眼底を見ることによ って、それをある程度検出できるというメリットはありますね。いずれにしても一定年 齢以上を対象とする。あとはヒアリングの結果を聞いて判断するということでよろしい でしょうか。最後の検討会で、じっくりヒアリングの結果など全部を含めて最終的な決 定をしたいと思います。  次に、保健指導のあり方について議論したいと思います。事務局より資料が提出され ておりますので説明をお願いいたします。 ○衛生専門官 資料3と参考資料3〜5を使って説明いたします。まず、資料3は保健 指導の考え方についての案です。労働安全衛生法に基づく保健指導については、事業者 の 努力義務として位置づけられていますが、一方、高齢者医療法では医療保険者に特定 保健指導等の実施が義務づけられているということです。労働安全衛生法に基づく保健 指導については、例えば視力・聴力に関わる保健指導も、併せて必要に応じて行われて いるわけですが、特定保健指導については、健診項目においては視力・聴力等の項目は 必要としていないために、メタボリックシンドロームといったところに特化した保健指 導が行われており、こういった労働安全衛生法で行われている保健指導の一部分につい ては行われないのではないかと考えられます。その中で、高齢者医療法に基づく特定保 健指導と、労働安全衛生法に基づく保健指導の実施方法が整理されない場合には、平成 20年の4月以降、高齢者医療法に基づく特定健診、特定保健指導が実施された以降は、 労働者が一部重複した保健指導を、労働安全衛生法に基づく保健指導と、特定保健指導 という形で2回受けることも想定されております。  なお、現在健康局で示している標準的な健診・保健指導プログラムの暫定版には、特 定保健指導を行う事業所の考え方などについては記載されているわけですが、事業者の 労働安全衛生と言いますか、産業保健という観点で行う保健指導については、事業所の 行う特定保健指導に該当するのかどうかといったところが整理されていないという現状 があります。  もう1つの論点と言いますか、大きなポイントとしては、労働安全衛生法に基づく保 健指導は産業医を中心にして行われているわけですが、あとは労働安全衛生法に基づく 「事業場における労働者の健康の保持増進のための指針」、我々これを通称THPと呼ん でおりますけれども、こういった指針により行われている保健指導については、事業者 または労働者健康保持増進サービス機関、THPのもとで認定されている機関ですけれ ど、そういった所で保健指導・栄養指導・運動指導等を行っている専門的な人材の提供 がされているのがいまの現状です。  こうしたことを踏まえて、保健指導のあり方について考えていきたいと思います。1 つ目の白マルは、特定保健指導と労働安全衛生法に基づく保健指導との関係についてで す。これは先ほどの説明の繰り返しになりますが、特定保健指導は医療保険者に実施が 義務づけられております。これは健診とは逆で、高齢者医療法が優先となっています。 労働安全衛生法に基づく保健指導は、生活習慣のみならず、労働者の作業環境等の背景 も考えた包括的な保健指導となっています。  先ほども言いましたが、労働者が一部重複した保健指導を2度受ける手間などを考え ると、その労働者を対象とする高齢者医療法に基づく特定保健指導については、可能な 限り労働安全衛生法における保健指導と併せて実施できないかを検討する必要があるの ではないか。当然、この場合は労働者の作業環境等も踏まえて保健指導を行うというこ とは、ひいては労働者の健康確保につながると考えております。  こういったところから、現在位置づけが明確になっておりませんけれども、医療保険 者が特定保健指導も含めてできるという、希望する事業者に対しては特定保健指導の委 託ができるようにする必要があるのではないかと我々としては考えています。この場合 のいろいろな条件は細かく詰めていかなければいけないだろうと思っています。  もう1つは人材の活用です。先ほども言いましたように、労働安全衛生法においては、 産業医を中心とした、産業保健スタッフが労働者の健康確保のために保健指導を行って いる状況です。事業者またはその委託を受けた、先ほども言いました労働者健康保持増 進サービス機関、THP機関ですけれども、こういった所においてはTHPという事業 で養成した保健指導・栄養指導・運動指導の専門的な人材でサービスが提供されていま す。こういったことを踏まえて、多くの労働者に保健指導を実施するためには、こうし た専門的な知識を持っている人材の活用を考えていく必要があるということです。 ○和田座長 今日はご自由に意見をいただきたいと思います。 ○衛生専門官 少しだけ資料の説明の補足をさせていただきたいと思います。参考資料 3と参考資料4をご覧ください。これは健康局で作った「標準的な健診・保健指導プロ グラムの暫定版の概要」というスライドから一部抜粋したものです。参考資料3は保健 指導をどのように行うかという選定と階層化の手順について書いてあります。ステップ 1から4まであり、ステップ1には先ほど健診の項目でも問題になった腹囲がいちばん 最初に出てきて、これでまず分けていくという考え方です。次のステップはその腹囲を 踏まえた上で血糖、脂質、血圧、LDLコレステロール、質問票の喫煙歴ありなし、そ れから尿酸、この6つの項目の多寡と言いますか、項目の数で下のステップ3にいき、 保健指導のレベルを決めていく流れになっています。ステップ4については、更にステ ップ3の中から詳細な問診項目で保健指導のレベルを更に細かく決めていく流れになっ ています。  では、保健指導のレベルの違いとはどういうものかと言いますと、3枚目にあります ように情報提供、動機づけ支援、積極的支援と、この3通りがあるわけです。青枠、点 線で囲んでいる部分が後に特定保健指導になると聞いているのですが、こういう積極的 に介入していかなければならない対象を選ぶために健診を行うのが今回の健診です。積 極的支援は、字が小さくて恐縮ですが、上から3段目に3カ月から6カ月程度と、これ が保健指導を行う期間ということで半年程度定期的にかつ頻回に行っていく。動機づけ 支援は原則1回で30分から1日程度行うという違いがあります。  参考資料4については、保健指導を保険者が自ら実施できないと言いますか、数の問 題でできない場合にはアウトソーシングができることになっており、アウトソーシング をする先の実施機関の基準というものがある程度示されております。その中で、上から 2つ目のマルに人員に関する基準とあり、その実施機関の事業所の管理者は医師、保健 師、管理栄養士などで、動機づけ支援や積極的支援の初回の面接、計画についても医師、 保健師、管理栄養士が望ましい。あとは積極的支援プログラムの中の食生活に関すると ころは管理栄養士、その他専門的な知識を持つ者、運動に関するところは運動健康指導 士などが列挙されているわけです。先ほど言ったTHPなどで養成されている人材につ いては、いまのところ明示されていません。産業医の記載もいまのところないのが現状 です。  参考資料5以下については現在のTHPでどのようなことが行われているかです。参 考資料5の3頁では、それぞれ専門的な専門研修を受けた方がいて、運動指導ができる 専門の方、心理相談ができる方、5番目には栄養指導、いちばん下には保健指導と。こ れを受講する資格として保健師、看護師、管理栄養士、こういった受講資格を基に研修 を受けて、一定の専門的知識を得ているということです。 ○和田座長 特に論点的なことをまとめていただいたのですが、ご自由にご発言をいた だきたいと思います。 ○今村委員 資料3の下3分の1ぐらいの矢印のところなのですけれども、ちょっとこ この文章を教えていただきたいのですが、「医療保険者が、希望する事業者に対して特定 保健指導の委託ができるようにすることが必要ではないか」というのは、これは既にア ウトソーシングできるという位置づけでいまご説明いただいたお話と理解しているので すけれども、これ新たに何か別の会議なのでしょうか。この矢印、これは既にできるこ とになっているのではないでしょうか。 ○衛生専門官 私の認識が間違っていなければ、現在示されているアウトソーシングの 基準については、実施機関の事業所の管理者が医師、保健師、管理栄養士でなければで きないとなっているのですが、事業所の中の産業保健部門が行う保健指導については、 会社の社長さんが医者、保健師、管理栄養士であるわけではないので、いまのままのア ウトソーシング基準でいくと、事業所の中で行う保健指導については宙ぶらりんになっ てしまうということです。 ○生活習慣病対策室長 いまの補足ですが、いままでの産業医と同じように事業所でや る場合にも委託ができないかということです。 ○今村委員 一般的なアウトソーシングのことではないですね。この矢印の文章だけを 読 むと、従来のアウトソーシングと何が違うのかちょっとよくわからなかったのです。 ○労働衛生課長 文言上、いちばん上の黒マルの2段目のなお書き以降に対応するとい うことです。 ○今村委員 わかりました。 ○和田座長 まだこれはこれからいろいろお互いに折衝して決めていく必要があると思 うのですね。作業の問題にしろ、その他の問題にしろ、アウトソーシングをできるよう にしなければいけないということですけれど。基本的なところでは、保健指導は保険者 が中心的に行い、データを向こうに渡すという形になる。アウトソーシングの先に、ち ゃんとした事業場であればそういうスタッフがいるでしょうから、そういうことをして もよろしいのではないかということですね。ただ、スタッフがいなくてできないような 所はアウトソーシングをしなければいけないだろうと。しかし、アウトソーシングをし た先で労働衛生に関する指導ができないのではないかということですね。したがって、 基本的にはいままでやってきた定期健康診断に基づく保健指導をして、労働環境関係と いうのは産業医や産業保健スタッフがやって、その他の重要なメタボリックシンドロー ム関係などはアウトソーシングをするか、スタッフ、あるいは自分の所でやるという感 じになると思うのですけれど、どうでしょうか。 ○今村委員 なかなか現実的には難しいと思うのです。いま座長がおっしゃったような、 いままでは、いわゆる労働者の保健指導を行っていない機関でも、例えば、それなりの 人材を揃えたらそういうことを委託できるという位置づけはあり得るのでしょうか。特 に民間事業者とか。 ○和田座長 基準が合っていれば。 ○今村委員 構わないということですね。 ○和田座長 どうするかはまた。 ○医療費適正化推進室長 おそらく、いま言っているのは参考資料4の2つ目のマルの 人員に関する基準のところで、最初が黒ポツで事業者の管理者は云々となっているので、 このままだったら無理ですねと。だから、どういう体制と中身が、人がいるのだったら 委託を受けることができないだろうかと、多分そういうこと。 ○和田座長 意味的にはそうでしょうね。 ○医療費適正化推進室長 おそらく産業医を中心とした体制ができているということが 必要だと思います。 ○和田座長 そういう意味ではある可能性はあるということですね。普通の中小企業に おいてはそれは大変でしょうから、やっぱりアウトソーシングをせざるを得ないと思い ますし、それが新しいほうなのですけれど、ただ、労働衛生に関するものはいままでど おり産業医でやっておいたほうがいいのではないか。2本立ては構わないのですよね。 ○堀江委員 いま座長がご指摘の点についてですが、従来から行っている労働安全衛生 法に基づく健康診断の結果に基づく保健指導というのは、当然作業環境のことを知る立 場の人間が保健指導をするわけですし、そこで気が付いた異常等は産業医に返して、産 業医が総合的に意見を述べて、事業者がそれに伴って必要な措置を講じるという流れに なっていきますので、その部分は今回変更する必要はないと思っております。  逆に、事業場外で保険者が行った保健指導の中で、万が一、事業所で行っている保健 指導と齟齬が生じるようなときがちょっと心配なのですが、わかりやすい例で言うと、 非常に肉体労働をしている人が筋肉質で肥満傾向にあるというデータがあったときに、 これが事業場外でそういう作業環境、あるいは作業の実態を知らずに「もっと運動をし なさい」という保健指導を受けても困るわけですね。やはり、保健指導といっても医学 的な内容に少しかかるアドバイスを行うわけですから、就業者に対して保健指導をする 場合は、最終的に産業医が情報を集約して事業者に伝えるという流れが望ましいのかな と感じております。 ○今村委員 その辺の問題については産業医と外部で指導する医師という関係と同じよ うに、疾病を持っている方のかかりつけ医がいる方が、どこかの保険者で健診を受けて、 保健指導を受ける場合の指導が違って、齟齬が生じてくるのではないかという議論も相 当あったと思うのですね。ですから、その辺の連携はすごく大事になってきて、誰がい ちばん中心になってきちんと指導できるか。そういうことは産業保健の問題だけではな く、今回の制度全体の問題なのかなと思っています。 ○堀江委員 もう1つ付け加えると、産業保健の場合は一般的な医療と違って職場起因 性のある病態、あるいは就業適正といった部分で、仕事のことを知らずに保健指導をす るのは非常に危険なことだろうと思うのですね。ですから、ある程度被保険者と言いま すか、労働現場にいる方を保健指導をされる際には職場の健康管理、あるいは産業保健 と言いましょうか、産業医学と言うのでしょうか、そういった部分について多少基本的 な知識のある方が保健指導をしていただくのが望ましいのではないかと思います。 ○和田座長 その辺のところは産業医の職務にもきちんと明記してありますからね。 ○医療費適正化推進室長 すみません。それはあれですかね、いまでも行われているこ とですよね。 ○堀江委員 いまは健康診断に基づく保健指導をしております。 ○医療費適正化推進室長 だから、いまでも行われていることですよね。 ○堀江委員 そうですね。 ○医療費適正化推進室長 ですから、努力義務として行われていて、それは事業主さん の責務として行われているということですよね。 ○和田座長 努力義務ですね。本来であればきちんとそれもやっていなければいけない のですが、あまりちゃんとやっていない所も多いのではないでしょうかね、保健指導を。 ○堀江委員 産業医がきちんといると言いますか、アウトソーシングにしても、事業場 のことをある程度継続的に理解している所だと、健康診断をやった最後に保健指導を担 当医がするということもよく行われていると思います。 ○医療費適正化推進室長 資料3の下から2つ目の矢印のところですが、委託として構 成しようかというのがいま事務局の出している資料だと思うのですが、行われているも のがどう位置づけるかというのがまたもう1つあるということでしょうかね、努力義務 として行われているということですから。 ○堀江委員 私の発言はこの矢印に基づいておりません。もう1つ上の作業環境の背景 を踏まえた保健指導という議論でして、逆に事業者がやっている作業環境に基づく現状 の保健指導というものを、保険者側で特定保健指導と呼べるかどうかというのが多分矢 印のお話だと思います。 ○医療費適正化推進室長 そうすると、2回やるということですか。 ○和田座長 限定して、いままでのように労働関係のやつは産業医に。 ○医療費適正化推進室長 1つにまとめてやるように考えたらどうかということだと思 うのですが。 ○堀江委員 そこに議論を及ばせるとすれば、私どもの現場は1回で済ませたほうが絶 対いいと思います。そのほうが徹底もするし、受診もすると思います。ですから、むし ろ矢印にありますように、事業者が行っている作業環境を含めた保健指導というのが行 われていれば、保険者のほうでそれを特定保健指導とお認めいただいて、メタボリック のこともきちんとそこで指導をしていれば、それでやったことにすると、やったことに するというのは変ですけれど、その中に含めてやるということが最も望ましいのではな いのかなと思います。ただ、先ほどの参考資料4のような基準があると、一般の事業所 ではこれに該当しないので、現状の基準からいくと矢印の部分はできないのかなと。 ○医療費適正化推進室長 整理をして1回の保健指導でできるような仕組みを考える。 その1つは特定保健指導であり、と同時に職場環境も踏まえた、背景も踏まえた保健指 導でもある。そういうものを目指して整理をしていったほうがいいという考え方でいい のでしょうか。 ○今村委員 要するに、どちらが包含関係で大きいかと言うと、事業主の健診のほうが 特定健診を核として、更に事業主独自の保健指導があるという考え方ですよね。ですか ら、保険者がアウトソースできるという仕組みに今回はなっていると。だから、事業主 の保健指導の場がそうなればいいということだと思うのですが、そのときの条件が、産 業保健に関わっている人たちが先ほどの参考資料4の中に位置づけられていないので、 それを位置づければそれは可能になるという考え方でいいわけですね。 ○医療費適正化推進室長 だから、こちらの特定保健指導はメタボリックだけですので。 ○今村委員 小さい枠ですね。 ○医療費適正化推進室長 それを含めてやっていただけるという仕組みが要るのではな いのかと。問題はその後の費用など、その分担をどうするかということが次にあります ね。 ○和田座長 それが問題ですよね。だけれど、実際にいま現在、保険者の指導で、特に 積極的支援は専門家が3カ月から6カ月定期的にやると書いてありますね。そんなこと を産業医はいままでやっていないし、やれる能力というか、時間も多分、おそらくでき ないと思うのですね。ですから、基本的には労働衛生関係は当然産業医がやらないとい けないし、産業医はそれがなくなると、もちろん、嘱託産業医でこれは仕事が楽になる と喜ぶところもあるかもしれませんけれど、むしろ、労働者との接触が少なくなるし、 産業医として労働者との信頼関係は非常に重要ですから、接触すべきだと思うのですね。 そういう意味で、労働衛生に関するいままでどおりの保健指導は産業医、産業スタッフ が中心になってやらなければいけないだろうと思うのですね。それが全部、ここに書い てあるようなことが、保健指導ができる体制があればそこで一緒にやってしまえばいい し、おそらく中小企業では無理でしょう。となると、メタボリックシンドロームだけは 別立てで、こちらに頼まざるを得ないだろうと。2本立てにせざるを得ない場合もある のではないかということですね。といって、そちらに全部、労働衛生側にいろいろな指 導をしてもらうのも、おそらく無理だろうと。いまの健康診断をやったあと、産業医が 一応呼んでチェックしたりしていますけれど、そんなに大きな仕事でもないですよね。 やっぱりきちんとやっておかないと、産業医と労働者の接触は非常に重要ですから、そ れがなくなってしまうと非常に困るのではないでしょうかね。 ○堀江委員 細かい話ですけれど、特定保健指導という言葉なのですが、労災保険の二 次給付の後にやる保健指導を労働の世界では特定保健指導と呼んでいますので、これも 局が違うと言えばそれまでかもしれませんが、現場は大変混乱すると思いますから、そ の名称を混乱しないようにご検討いただきたいと思います。 ○衛生専門官 これは委員のおっしゃったとおり、労災の担当部局にこのお話はもうお 知らせしており、そちらはそちらで内部的に検討を進めていると聞いております。 ○和田座長 2番目の点ですけれども、人材の活用で、これは当然産業医、それから現 在のTHPで養成した専門的な人材は当然活用してほしいと。そうしないと産業医がタ ッチできなくなってしまいますと、実際の産業保健はできないですから、これは当然だ ということでよろしいですか。  ほかに何かございますでしょうか。時間がきましたので、とりあえず今日の議論はこ こまでで、特に決定するという意味ではありません。次のヒアリングの結果、最終回で 最終的な結論を出したいと考えております。したがって、次回は使用者側、労働者側、 健診機関のヒアリングを行いたいと考えております。そして、同時に次回にもう一度整 理をして、方向性を決めていろいろな意見を伺いたいと、その2つを次の回でやりたい と思っておりますので、よろしくお願いします。次回の日程等について事務局からお願 いします。 ○衛生専門官 次回の第3回目は11月27日月曜日5時から7時まで、場所は6階の共 用第8会議室で行う予定です。次回は、座長のご説明にもありましたとおり、事業者側、 労働者側、健診機関の代表からヒアリングを予定しております。 ○和田座長 それでは、本日の検討会はこれで終了したいと思います。どうもありがと うございました。 労働基準局安全衛生部労働衛生課(TEL03−5253−1111内線5495,5181)