06/10/27 未承認薬使用問題検討会議 第10回速記録            第10回未承認薬使用問題検討会議 速記録                               平成18年10月27日(金)                         於・東海大学校友会館「阿蘇の間」 ○中垣審査管理課長   定刻となりましたので、ただいまより第10回未承認薬使用問題検討会議を開催させて いただきます。議事に入る前に、本日の構成員の先生方の出欠の状況について御報告させ ていただきます。本日は大澤先生、後藤先生、浜田先生、吉田先生が御欠席です。また本 日、議論をお願いする個別品目の検討に当たっては、事前に堀田座長よりワーキンググル ープの専門家6名を御指名いただいています。本日の会議で検討結果を御報告いただくた めに、国立がんセンター中央病院の藤原康弘先生、国立成育医療センターの奥山虎之先生 のお二人に参考人として御出席を賜っています。  また、議事に先立って、9月1日に事務局に人事異動があったので紹介させていただき ます。医薬食品局長の高橋です。医政局研究開発振興課長の新木です。私は審査管理課長 の中垣です。よろしくお願いします。  それではまず、高橋局長からごあいさつさせていただきます。 ○高橋医薬食品局長   本会議は昨年1月の発足と伺っていますが、今日で10回目の開催ということです。こ れまでの会議で御議論いただいた個別の未承認薬に関しては、その検討結果を受けて多数 の品目について治験が開始されるとともに、既に幾つかの抗がん剤など重要な医薬品につ いては承認に至ったと承知しています。そろそろ2年になるわけですが、順調な運営がな されていると考えていて、皆様方の御協力には心より感謝を申し上げます。  さて、こういった個別医薬品の審査の迅速化、優先審査に付すということのほかに、こ のたび、私どもとしてシステム全体というか、日本ではまだ承認になっていないけれども 外国ではかなり使われているといった新しい医薬品の供給の迅速化について、それを早く 患者さんの手に届けるということのために、システム全般の見直しをするということで、 大臣の検討会として「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」を設置したと ころで、第1回の会議を来週の月曜日に発足することになっています。  そこでは、開発段階から治験、あるいは承認に至るプロセス、あるいは市販後の調査に 至るまでの全体のシステムをもう一度よく見て、いろいろ指摘が出されている承認までの 時間が大変にかかるというような問題について、もう一度見直しをして、できるだけ早く 患者さんの手元に届けられるように努力していきたいと。そのための検討会をこれからや ろうとしています。  それはそれとして、この会議では個別の品目について、今のシステムの中でできるだけ 早く届けていくということがぜひとも大切なわけですから、それについてこの会議でさら にいろいろ検討を重ねていただきたいということをお願いする次第です。簡単ではありま すが、最初のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○中垣課長   それでは堀田先生、以降の議事進行をお願いします。   ○堀田座長   それでは、まず事務局から本日の配布資料の確認を行っていただきます。 ○事務局   それでは、配布資料の確認をさせていただきます。資料1として、横長のワーキンググ ループで御検討いただいた医薬品についてのリストです。それから、資料2−1から2− 3ですが、3品目についての検討結果の報告です。それから資料3ですが、この7月から 9月の間に欧米4カ国で我が国に先立って承認された医薬品のリストです。資料4は、こ れまでの検討会議において御検討いただいた品目のアップデートの情報をまとめたもので す。資料5はワーキンググループの専門家のリストです。  参考資料として、1から5までは毎回配っている資料です。参考資料6は、ただいま局 長からのごあいさつで申し上げた新しい検討会の開催についての資料が入っていますので、 御参照いただければと思います。そのほか、構成員の先生方のお机の上には、今回個別に 御検討をお願いする資料2と資料3、計6つの医薬品の欧米での添付文書、英文で恐縮で すが、置かせていただいています。傍聴されている方々の中でこの資料を希望される方は、 会議終了後、事務局まで声をかけていただくようお願いいたします。  一番下には、次回以降の会議の日程調整のための表をお配りしていますので、御確認を お願いいたします。 ○堀田座長   ありがとうございました。資料の欠落がありましたら、お申し出いただきたいと思いま す。今、参考資料の中にあった新しい枠組みでの迅速に安全な薬を届けるための検討会は 新たに、この検討会とは並行して、枠組み、仕組みとしての検討がなされる予定です。こ の会は元々、重要な未承認薬についてはできるだけ海外との時差をなくしていこうという ことであります。本来ならこの会議がなくなっていくのが一番望ましい姿なのですが、過 渡的にはこの会議で個々の品目について、急ぐもの、重要なものをピックアップして、で きるだけ促進したいと考えています。  それでは議事に入りたいと思いますが、個別の検討に入る前に、前回7月の会議で検討 され、早期の治験開始や早期の承認申請を行うべきと結論された品目について、現在まで の状況を事務局から報告していただきます。 ○事務局   それでは事務局から、前回の検討会議で御検討いただいた4つの医薬品についての状況 を御説明します。資料4の2ページ目ですが、ナンバー27〜30が前回御検討いただいた 品目ですので、こちらを御参照いただきながら御報告します。  まず一つ目ですが、スニチニブです。これはGISTと進行性腎細胞がんの効能で御検 討いただいたものです。本剤については、ファイザー社に対してこれまでの外国臨床試験 成績、それから現在進行中の国内の第2相試験成績を基に、早期の承認申請に向けた準備 を行うように要請しました。ファイザー社からは、できるだけ早く承認申請を行えるよう に社内のリソースを注入して努力をしたいという回答をいただいています。  次の28番のソラフェニブです。こちらは進行性腎細胞がんの効能で御検討いただいた ものです。本剤については、前回の検討会議でも御紹介しましたが、バイエル薬品から今 年6月末に承認申請があったところです。厚生労働省としては、本剤を優先審査の対象品 目に指定し、審査を行っているところです。  3つ目のフォスフェニトイン、てんかんの効能の薬です。本剤については、米国で本剤 の承認を持っているファイザー社に対して、本剤の国内での開発を検討するように要請し ました。ファイザー社からは、本剤は元々他社からライセンスの供与を受けてアメリカで の開発、承認取得が行われたという少し複雑な経緯があって、日本国内での開発販売権を どこが所有しているかという調査をした上で、適切に対応したいという回答をいただいて います。  最後のデフェラシロックスです。慢性鉄過剰症の経口剤です。こちらはノバルティスフ ァーマ社に対して、これまでの外国臨床試験成績の活用も考慮した上で、本剤の早期の承 認申請に向けた検討を要請しました。ノバルティス社からは、現在進行中の国内臨床試験 成績を早期にとりまとめ、できるだけ早く承認申請を行えるように努力したいという回答 をいただいています。  このデフェラシロックスに関しては、前回の検討会議において、本剤の外国での臨床試 験の成績を御紹介したときに、その試験では本剤群の比較対照薬に対する有効性の非劣性 が証明されなかったというふうな御指摘があって、それにもかかわらず本剤が承認された 経緯について、少し調査するように検討会から御指示をいただいた経緯がありますので、 事務局からその後の調査結果を御報告させていただきます。  事務局でアメリカのFDAの審査レポートを調査しました。アメリカにおける承認に当 たっての主要な試験、01−07試験というものがあります。それは前回御紹介した試験 ですが、その試験では確かに事前に規定した有効性の基準、対照群に対する非劣性は満た されなかったということでした。  ただ、本剤と鉄の排泄の間には用量の相関性がきちんと見られていたと。それから、今 御紹介した主要な試験のほかにも幾つかの試験をやっていて、それらの試験において統計 的に有意な肝臓組織中の鉄濃度の低下が複数の試験で示されていたというふうなことなど から、有効性は確認できるという評価がFDAでなされていて、こういった評価をもって アメリカで承認されたというふうに、調査の結果わかりましたので御報告します。以上で す。 ○堀田座長   ありがとうございました。この件に関して、今の4つの品目について、何か御質問ある いは御意見はありますか。デフェラシロックスの臨床試験の成績の解釈への質問を前回検 討会でいただいたのは、どなたからでしたか。有吉先生でしたか。よろしいでしょうか。 事務局が調べていただいた範囲内では現在のような内容だったと聞いています。  元々、私が聞くところによると、米国では先行薬との比較試験は必ずしも必須ではなく て、プラセボ対照で有効かどうかということが一番重要なポイントになるということのよ うです。したがって用量の相関性とプラセボとの有意差がありますので、先行薬とで必ず しも非劣性が証明されなくても一応、FDAとしては承認事項に当たるという解釈ではな いかと聞いています。  よろしいでしょうか。それでは、本日の具体的な議事に入りたいと思います。まずは、 前回の会議においてワーキンググループで検討を行うべきとされた品目、あるいは学会、 患者団体からの追加での検討要請のあった品目について検討したいと思いますので、事務 局から資料1について説明していただきます。 ○事務局   それでは御説明します。資料1です。3品目記載してありますが、そのうち1と2につ いては、前回の7月の検討会議において今年の4〜6月の3カ月に欧米で承認された薬を 紹介した際に、今回の検討会議でワーキンググループでの検討結果を御報告いただくとい うことになった品目です。それから3番目のイデュルスルファーゼについては、元々患者 団体から御要望をいただいていましたが、今年7月にアメリカで承認されたという医薬品 です。これら3つの医薬品について、ワーキンググループで検討結果の報告書をまとめて いただいたので、これに基づいて議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○堀田座長   これらの薬剤についてワーキンググループの報告をまとめていただいているので、順次、 検討に移ります。まずは資料2−1、デシタビンについて藤原先生から説明をお願いしま す。 ○藤原参考人   資料2−1、デシタビンについて御説明します。これは骨髄異形成症候群というものを 対象にした注射剤です。骨髄異形成症候群は多能性幹細胞起源の単クローン性造血障害で あり、その異常クローンが骨髄を占拠し、成熟血球まで分化するものの、無効造血、アポ トーシスを種々の血球系の組み合わせで生じ、患者は貧血、2血球減少、または汎血球減 少を生じ、造血不全そのものによる合併症、感染症と出血が多いのですが、あるいは白血 病への転化ということによって死亡されることが多い病気です。  対象疾病の最後の方に書いてあるのは現状の治療法ですが、治療法は多岐にわたります が、輸血療法が主な治療法で、明らかに予後が悪い比較的若年者の患者でドナーが見つか った場合には、同種造血幹細胞移植が根治療法として選択可能ですが、造血幹細胞移植自 体は非常に致死率の高い方法です。  こういう中でこのデシタビンが出てきたわけですが、この薬の作用メカニズムとしては、 細胞内のメチルシトシンを枯渇することによって、間接的にDNAのハイポメチレーショ ンを引き起こし、そのためにこの薬が効いてくると言われています。これは米国の添付文 書のメカニズム・オブ・アクションのところにも書いてあります。  今回の欧米での承認の申請の最初の最も大事な根拠になったのは、第3相比較試験で、 これはベスト・サポーティブ・ケアを対照群としたものです。奏効率について非常に大き な差が出ていて、この奏効率についてはお手元の米国の添付文書の中にもクリニカル・レ スポンスのクライテリアという表がついており、詳細はそちらで参照していただければよ いのですが、奏効率について見てみると、デシタビン群で17%、対照群で0%というこ とで、統計学的にも臨床的にも、明らかにこのデシタビン投与群の方が有意に優れていた という結果でした。  それから、奏効期間の中央値は288日です。副作用ですが、好中球減少、血小板減少、 発熱性の好中球減少、白血球減少といった血液系の障害が主なものです。論文についても、 添付文書以外に今年3月の『Cancer』誌に既にこの第III相比較試験等の試験成績が発表さ れています。  以上の検討結果を踏まえ、検討結果というところを読んでいただければよいのですが、 これらの上記試験では、本剤群における急性骨髄性白血病への転化、または死に至るまで の期間が有意な差までは至らないものの、ベスト・サポーティブ・セラピー群より長いこ とが示されており、さらにこれまで本疾患に対して、ベスト・サポーティブ・セラピーを しのぐと報告された薬剤としては類似のアザシチジンというものがありますが、このアザ シチジンも米国では承認されているものの、日本では承認されていない薬ですが、こうい う少ないオプションの中で本邦で本疾患に対して、白血病に準じてアラCが殺細胞効果を 利用して使用されている現状を考えると、このデシタビンという薬を早期に治験開始する ことが望ましいのではないかと考えるというのが、ワーキンググループの結論です。  御審議をよろしくお願いします。 ○堀田座長  ただいまの報告の内容について先生方に御検討いただきたいのですが、どうでしょうか。 よろしくお願いします。 ○有吉構成員  今回、資料を今日初めて見たものですからこの薬が出ることを知らなかったのですが、 私は実はある雑誌の編集で、最近3カ月ごとに『The New England Journal of Medicine』とか『The Lancet』『JCO』などの雑誌で新しい治療薬のレビューをしなけ ればいけないので読んでいると、今年の『JCO』8月号にアザシチジンのアメリカのオ ンコロジーグループのCLGBが全く同じようなデータ、ほとんどこれと同じようなデー タが出ているのですが、こちらの薬とアザシチジンというのは、ほぼ同じような薬でしょ う。  私はこれが学会が、特にMDSというのはほとんど悪性腫瘍と同じように考えてよいの ではないかと思うのですが、この間、PDQを見てみると、アメリカのPDQでは標準薬 がアザシチジンになっているのです。それで、5月に検討されたレナリドミド、あるいは これが今試験中というようなPDQの今年の6月の段階での評価になっているのですが、 藤原先生、その辺のことはいかがでしょうか。 ○藤原参考人  アザシチジンについては、確かに非常に貴重な薬だと思っていて、この報告書の中にも 一応さらっと触れてみたのですが、そこは堀田先生が多分前からおっしゃっていて、差別 化についてはこれからのことだと思うのですが、アザシチジンの必要性については、座長 の堀田先生が多分いろいろお考えもあると思います。 ○堀田座長  アザシチジンの方が、むしろ開発としては早く進んでいて、既に米国では一昨年くらい から市販されていると承知しています。第3相試験でベスト・サポーティブ・ケアに対し て初めて優位性が証明された薬なのです。従来、いろいろな薬がありますが、そういった 証明がなかったところで、アザシチジンが一番そういう意味では基準となる薬ではあると 思います。  この検討会が始まるころに、過去に海外で承認しているけれど日本では承認が得られて いない薬の一覧表の中に載っていたのですが、そのときにはたくさんの検討品目があった ものですから、そこでは十分な検討をできていなかったということですので、有吉構成員 のおっしゃるように、同列の薬として評価すべきものであろうと思います。 ○有吉構成員   日本ではまだ治験は。 ○堀田座長   治験は動いていませんね。デシタビンの方も、治験はこれからどうするかということで す。   ○有吉構成員   どちらがよいかはわからないですか。   ○堀田座長   それは比較試験がないと思います。ほかの先生方、いかがでしょうか。そうしますと、 骨髄異形成症候群、特にハイリスクの白血病に移行しやすいタイプのものに対して、有効 な治療法がない現状ですから、開発すべき品目であろうと思いますが、デシタビンについ ては治験開始を促すということでよろしいでしょうか。 ○林構成員   結論として、要請すべきだろうということについては私も、ワーキンググループの先生 方に調べていただいたとおりだろうと思います。別の機会にも申し上げたことがあるので すが、この書類がホームページ等で公開されることも含めて拝見したときに、オルタナテ ィブの部分で考察してある「同種造血幹細胞移植を手法として選択するのであるが、致死 率の高い方法である」という表現の部分について、「移植関連死も少なくない」というふ うな表現の方が、移植をされている先生方も含めて中立な表現ではないかと思うので、御 一考いただけたらいかがと思いますが、いかがでしょうか。   ○堀田座長   そうですね。藤原先生。 ○藤原参考人   はい。全然。そのとおりに。   ○堀田座長   では、公開するときにはそのような資料にさせていただきたいと思います。ほかに御意 見はありますか。よろしいですか。それでは、デシタビンについてはそのようにさせてい ただきますが、アザシチジンについてはいかがでしょうか。事務局で何かお考えがありま すか。   ○事務局  デシタビンとアザシチジンは両方とも国内でまだ治験が始まっていないという状況です。 ただ、これは不確かな情報なのですが、開発に関心を示している企業もあるように聞いて いますので、そのあたりの事情を調べて、アザシチジンの方もこちらの会でそういうふう な御意見をいただきましたので、うまく前に進むように少し調整をしてみたいと思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。私の印象としても、どちらがよいかというのはまだはっきり しない部分もありますが、日本でこういう種類のものが何かは欲しいという状況です。患 者さんも待っていらっしゃるという状況だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと 思います。ありがとうございました。  それでは、2番目の品目に移りたいと思います。2番目はダサチニブです。これも藤原 先生からお願いします。 ○藤原参考人  お手元の資料2−2です。ダサチニブは経口の薬です。外国での承認状況は、FDAで 今年6月28日に承認されていますし、きのうEMEAのサイトを確認したのですが、欧 州でも9月21日にCHMPがよい薬であると。承認とは書いていなくて、多分、承認の 推奨勧告を送るという形になって、今後承認になるのではないかと思いますが、EUでも よい評価を与えられている薬です。  対象疾患について簡単に御説明しますが、慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア陽性 急性リンパ性白血病は、第9番染色体のABL遺伝子と第22番染色体上のBCR遺伝子 の間の組み換えによってBCR/ABLキメラ遺伝子が形成され、正常なABL遺伝子が 核に存在するのに対して、BCR遺伝子と融合することによって細胞質にも移行し、活性 型としてチロシンキナーゼとして働き、これが種々のがん化のメカニズムとして働いてい る病気です。そのBCR/ABLのところのカイネース活性を抑えるということが、この 薬の本態です。  本剤の医療上の有用性について目を移していただくと、CML等に対してはグリベック という既存の薬が非常によく効くことが知られているのですが、慢性骨髄性白血病ではイ マチニブ(商品名グリベック)が使用されるようになって、移行期あるいは急性転化とな る割合は激減し、慢性骨髄性白血病の治療内容は激変したわけですが、一定の割合で抵抗 性を獲得した腫瘍クローンが出現することがわかっていて、その原因として、ABL遺伝 子の点突然変異の獲得ということがいろいろなサイエンティフィックジャーナルに報告さ れています。  この本剤、ダサチニブですが、SRCファミリーを初めとする、最初はマルチプル・カ イネース・インヒビターとして開発が始まったのですが、開発の過程で慢性骨髄性白血病 で生じるABL遺伝子の点突然変異のある細胞に殺細胞効果があるということがわかって きて、グリベックというCMLの今標準的な治療で使われている薬、イマチニブ耐性の慢 性骨髄性白血病でもしかしたら効くのではないかということで、臨床試験が始まったとい う歴史があります。  第I相試験は今年6月15日号の『New England Journal of Medicine』で報告されてい ますが、それでは非常にイマチニブ耐性の患者さんに対して有効例があって、よい薬とい う手ごたえがあったと報告されていて、まだ公表論文はありませんので、添付文書等で報 告されているデータをさらに詳しく見てみると、第II相試験で見た結果で見ると、慢性期 の慢性骨髄性白血病患者における細胞遺伝学的な反応率というのは45%。あるいは、フ ィラデルフィア陽性の急性リンパ性白血病、これも非常に難治な疾患ですが、それで血液 学的な反応率が42%と、非常に多剤耐性が予想されるようなものに関してよい成績が出 ているという結果でした。  副作用としては、体液貯留、重篤なものとしては発熱、胸水、発熱性好中球減少症、消 化管出血、肺炎、血小板減少。それから、心電図上のQTC延長。それから、不整脈が重 篤になって心臓の死を招く可能性がある非常に注目すべき病態ですが、QTCの延長も認 められているということで、注意が要るということです。  イマチニブはフィラデルフィア陽性急性白血病に対しては寛解期間が短期であったため に、米国では承認されなかったという経緯がありますが、本剤はより長く奏効が持続して いるということから、初めてフィラデルフィア陽性急性白血病にFDAの承認が与えられ ているものです。  なお、同様の効果を期待されて開発していた薬剤として、ノバルティスのニロチニブと いうものがあります。これも今年6月15日号の『New England Journal of Medicine』で ダサチニブの1相試験の公表論文に引き継いだペーパーとして掲載されていますが、ニロ チニブについても注目されていて、これは現在、米国で治験中です。  以上のいろいろなデータを見て、ワーキンググループとしての検討結果を以下に述べさ せていただきます。慢性骨髄性白血病は、進行している時期には正常造血能は抑制されて おり、薬剤が有効であった場合にはフィラデルフィア陽性細胞に起因するクローンの消失 は汎血球減少となって観察され、薬剤による血液毒性と区別できない。本剤は用量決定が 血液毒性で行われているため、病態によっては推奨用量が少ない可能性がある。すなわち、 真の意味でMTDが求められていない。  にもかかわらず、一定の割合で分子遺伝学的な寛解を導くことが可能な本剤は、移植し か選択肢のないイマチニブ耐性の慢性骨髄性白血病、あるいはフィラデルフィア陽性急性 白血病に対する有効な治療手段となり得るものであり、毒性管理も心電図を初めモニタリ ングを十分に行うことにより可能となると考える。  本剤については現在、国内で第I/II相試験が行われているところであり、これまで述 べてきた外国臨床試験成績並びに国内の治験成績を基に、早期の承認申請が行われるべき であると考えています。なお、将来的には本疾患におけるイマチニブとの位置づけを切り 分ける必要があり、そのためには米国で計画されている第III相試験の結果を待たなくては ならないと思っています。以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。それではダサチニブについて、御検討いただきます。御意見 をよろしくお願いします。 ○堀内構成員  この薬はイマチニブ耐性にも有効であるということですが、この薬自体は有用な薬であ ると考えますが、ただ、これはマルチカイネース・インヒビターということで、SRCフ ァミリー、C−KIT、PDGFレセプターとか、いろいろなところのリン酸化を阻害す るという特徴を持っているわけなので、マルチカイネース・インヒビターというのが何を やるかというのは、なかなか難しいだろうと思っています。生体内の調節機構の中で重要 なところに作用しています。  そうすると、ここで副作用の検討がされていますが、トータル100症例くらいでやられ ているということだと思います。42%が36例ですから。ですから、ここは慎重にという か、十分に注意してどのような副作用があらわれるかということを見ていく必要があるの ではないかと思います。それをかなり慎重に見ながらですが、これは有用な薬だと考えま すので、ぜひ進める方向で検討していただいたらと思います。 ○堀田座長  貴重な御意見、ありがとうございました。確かに、マルチ・カイネース・インヒビター は腫瘍だけではなくて正常細胞も当然持っているシグナルや、細胞の代謝を阻害するわけ ですから、がんだけに効くわけではなくて、ほかの細胞にも影響を与えますし、それがど ういう形で出てくるかというのは、多数例で長期的に観察しなければわかりません。ここ では一定の副作用、毒性が評価されていますが、慎重に観察すると今まで見ないものが出 てくる可能性があるという意味合いだと思います。 ○有吉構成員  先ほどのMDSの薬と一緒なのですが、ダサチニブと同じ号だったか同じころに、 『New England Journal of Medicine』にニロチニブの成績が出て、成績としては余り大 きな差はなかったと思うのです。ダサチニブの方がアメリカではもう承認されているとい うことですので、当然、日本でも慎重な臨床、特にフェーズIの毒性、トキシックプロフ ァイルをきちんとすることも重要であると同時に、やはりニロチニブはどういう薬かわか りませんが、あらかじめこういう薬もできるだけ早い評価ということをしておいた方が、 もしダサチニブは上手に使えない場合に、こちらの方が日本では使いやすいというような ことがあり得るかもしれないので、私はここに名前が出たということでよいと思うのです が、ニロチニブにも、それなりの治験促進のアプローチがあってもよいのではないかと思 います。 ○堀田座長  はい。今回、ニロチニブについては、諸外国でも承認が得られていないということで、 対象にはなりにくいのですが、延長上の薬として視野に入れておきたいと思います。この ものは心電図上の変化も来るようですが、篠山先生、その辺で何か御意見はいただけます か。 ○篠山構成員  心電図の変化として、特にQT延長が考えられます。この場合一番重要なのは、心室性 不整脈、特に心室細動を来たす可能性があることです。  日本で開発されたある強心薬が、QOLは非常によく改善したのですが死亡を増加させ たという理由でアメリカでは承認されなかったことがありました。この薬物の臨床試験の 結果が『New England Journal of Medicine』に初めて公表されたときに、Letter to editorにたくさんの意見が寄せられました。その中に、不整脈をきたして心室細動のよ うな致死的な不整脈をきたす可能性があるにしても、症状に対してこれだけ有効であるな ら不整脈を誘発するという理由だけで世の中から葬り去る必要は無いのではないか、例え ば、インプランタブルな除細動器を併用すればその危険が防げるのではないかという意見 もありました。  確かに、不整脈の合併があっても、それに対する対処法はあると思うのです。ですから、 副作用と有効性の重要度に応じて対応を考えるべきで、どうしても使えないということは 無いのではないかという気がします。 ○堀田座長  ありがとうございました。藤原先生、肺炎などがありますが、これは好中球減少に起因 するいわゆる細菌性肺炎でしょうか。間質性肺炎のようなものではないですか。 ○藤原参考人  いろいろな資料を基にすると、pneumoniaとしか表現されていないものが多いので、そ このところは実際に審査をやっているところで見てみないとわからないと思いますが、ア メリカのFDAのレビューレポート等でも、間質性肺炎に注意しろというようなセーフテ ィアセスメントはされていません。 ○堀田座長  わかりました。栗山先生、この辺についてコメントをいただけませんか。胸水も貯まる ようですが。 ○栗山構成員  胸水の中身はわかりませんが、今お話のあった肺炎は6%ですから、間質性肺炎だとす れば非常に高い値で、これは確実にそういう警告がだされると思います。ですからこれは、 おっしゃったように好中球減少とかそういうことによって起こってきた細菌性肺炎ではな いかと思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。それでは、ほかに御意見はよろしいでしょうか。それでは、 このダサチニブについても、先生方の御検討をいただき、ワーキンググループの報告のと おりすでにI/II相試験が進んでいますから、早く承認申請をしていただくように事務局 から要請してください。ありがとうございました。  それでは次はイデュルスルファーゼですが、これは前回検討の一覧にはなかったのです が、患者団体から御要望をいただいていたので、今回少し前倒しになりますが、ワーキン ググループに検討していただいて今日出したという経緯です。ではこれについては、奥山 先生から御説明いただきます。 ○奥山参考人  薬品名はイデュルスルファーゼ、米国での販売名はエラプレースです。注射用の酵素製 剤で、対象疾患はムコ多糖症II型、別名ハンター症候群です。対象疾病についてですが、 このムコ多糖症II型(ハンター症候群)は、ライソゾーム酵素の一つであるイズロン酸2 スルファターゼの先天的欠損によって、全身の細胞のライソゾーム内に分解できないムコ 多糖が蓄積し、細胞障害及び臓器障害を来たすX連鎖性の劣性遺伝病です。そのため、原 則的には男児にのみ発症するということになります。  症状は、精神運動発達遅滞、舌の肥大、難聴、呼吸不全、閉塞性無呼吸、肝脾腫大、心 臓弁膜症、関節可動域の制限、骨格変形及び高度の低身長など全身に及びます。2〜3歳 ごろまでに典型的な症状が出現し、多くの患者さんは20歳前に死亡する大変に重篤な病 気です。ムコ多糖症は7病型に分類されますが、日本ではムコ多糖症II型が最も頻度が多 い。それでも患者数は推定でわずか100〜150名くらいです。  治療は個々の症状に即した対症療法が現在は主体ですが、病態の進行をとめることはで きません。根治的な治療を目指して骨髄移植など造血幹細胞移植が、欠損酵素であるイズ ロン酸2スルファターゼを体内に補充するという目的で行われていますが、治療成績には ばらつきがあり、しかも重篤な副作用、移植に関連する死亡ですが、これで死亡すること もまれではありません。  本剤の医療上の有用性について御説明します。本剤は遺伝子組み換えの手法により、ヒ ト線維芽細胞に産生させたイズロン酸2スルファターゼタンパクそのものです。これまで ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症VI型、糖原病II型、これらのラ イソゾームの酵素製剤が開発されていますが、これらに次ぐライソゾーム病の酵素製剤で す。  海外での臨床試験のデータをサマリーします。主要試験(TKT024)は、欧米を中心 に行われた無作為化二重盲検プラセボ対照多施設多国籍共同第II/III相試験です。本試験 成績に基づいて本年7月に米国で承認されています。対象は努力肺活量の予測値に対する 百分率(%FVC)が80%未満のハンター症候群患者96名、年齢は5〜31歳でした。本 剤は、プロキロ0.5mg毎週、あるいは隔週、あるいはプラセボ、それぞれ32症例ずつい ずれかが投与されています。試験期間は約1年、53週間でした。  有効性の主要評価項目は、6分間歩行試験の歩行距離及び%FVCのベースラインから 53週目までの変化量をスコア化した2成分合成スコアで、3群間で統計的有意差が見ら れました。この差は、プラセボ群と本剤毎週投与群との間で最大であり、プラセボ群の 50±8に対し、本剤毎週投与群では69±7、調整後群間差は18±6ということでした。  個別評価になりますが、6分間歩行で共分散分析モデルに基づいた平均値であらわすと、 35mの増加が見られました。また、%FVCの変化には有意差はありませんでしたが、F VCの絶対値には有意な改善が見られました。また、蓄積物質である尿中グリコサミノグ リカン濃度の低下、及びMRIによって測定された肝臓及び脾臓の容積の減少も著明であ り、肝腫大に見られた実薬投与群50例中40例は、53週目までに肝容積が正常化しまし た。  TKT024試験の中で出現した有害事象のほとんどは、原疾患に関連する、あるいは一 般小児集団で予測される事象であって、毎週投与群の主な有害事象は発熱、頭痛、関節痛、 四肢痛、掻痒症、視覚障害等でした。なお、その頻度はそこに示してあるとおりです。本 試験中、15例から高度の有害事象が報告されましたが、このうち実薬投与群で治験薬と の因果関係が否定できない有害事象は不整脈、肺塞栓症、頸部痛、ビリルビン増加、それ ぞれ1例ずつでした。  さらに、本試験及びその非盲検継続試験において、本剤投与群63例中32例(51%)で 抗イデュルスルファーゼ(IgG)抗体が陽性となり、32例中4例に中和抗体の発現を認 めています。IgG抗体が出現した患者では、投与関連反応の発現頻度が高く、尿中グリコ サミノグリカンの濃度低下が少ないことも認められています。  米国の申請資料に含まれるTKT024試験を含む臨床試験における本剤投与例で経験し た主な投与関連反応は、頭痛、発熱、皮膚障害、及び高血圧でした。投与を続けるうちに 発現頻度は低下しています。なお、呼吸窮迫、低酸素症、低血圧などの重篤な過敏反応が 108例中11例、8274回の投与回数のうち19回、0.2%に相当しますが、この頻度で見ら れていますが、投与前あるいは投与中の抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン剤の使用、あ るいは本剤の投与時間の延長、あるいは重篤な症状が認められた際の早期の投与中止など の対応により、その後にこの治験を中止しなければならないような症例は見られませんで した。  検討結果を示します。本剤は、これまで有効な治療法のなかったムコ多糖症II型の諸症 状を改善し、さらにその進行も抑制すると考えられる現在のところ唯一の治療法です。重 篤な過敏反応に対する注意を払う必要はありますが、造血幹細胞移植などに比べるとはる かに安全性の高い治療法と言えます。また、今回米国で承認された治験データには、日本 人の患者さん4名が約1年半にわたり、米国に渡って治験に参加したと。そのため、同薬 剤の開発に貢献したということも、特記すべきことであると思います。  日本人患者を含む欧米での臨床試験データをもって承認申請を認め、承認後は長期にわ たる製造・販売後調査などで可能な限り国内情報を収集することが望ましいと考えます。 疾患は重篤であるだけでなく、早期の治療開始が予後を大きく左右する可能性があります ので、迅速な審査による早期の承認を期待します。  また、製薬企業に対しては、人道的・倫理的見地から、審査期間中であっても治験や学 会等の研究組織による治療研究を通じて、国内患者に対する本剤の供給を希望するととも に、研究・治療に当たるドクターにおいては、本剤の治療経過、特に安全性面を重点的に 科学的に分析し、学術誌等に報告することが望ましいと考えます。以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。それでは、この品目について御検討いただきます。御意見は いかがでしょうか。 ○堀内構成員  日本人の患者4名が含まれているというお話でしたが、この主要試験TKT024に含ま れていると考えてよろしいのですか。 ○奥山参考人  はい、そうです。 ○堀内構成員  いわゆる国際共同治験の中に日本人が全国でも少ない症例数の中で4症例入っているの ですから、この様な場合には日本で治験をやらなくても承認する方向性が考えられないか ということを提案します。できるだけ早期に投与を開始することが重篤化しないことにな ると思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。これまでもこういう非常に希少な疾患で、しかもそれが唯一 の治療法でほかに代替治療が全くないというものに対しては、かなり踏み込んだ対応をす るというふうにこの検討会でもなってきて、海外のデータで申請して、その後きちんとフ ォローするという形をとるという提案の一つだと思います。特にこのケースの場合には、 ほかのものに比べると少し日本人の患者さんは多いのですが、治験をやるとなると大変に 厳しい患者数なので、今のような対応をぜひとっていただきたいと思っています。この辺 は、事務局はどのようにお考えですか。 ○事務局  今、奥山先生から御報告いただいたワーキンググループのこの結果をこのまま御了解い ただければ、堀田座長がおっしゃったように、今あるデータで承認申請をまずしていただ いて、市販後にきちんとフォローアップをしていただくということです。  日本人患者さん4名ということですが、実はこの4名の方はわざわざ渡米されて治験に 入っているという少し珍しいケースで、日本人の患者さんのデータですから、そこはきち んと申請書の中でも評価していきたいと思っています。 ○堀田座長  本来の国際共同治験とは違う枠組みで、実際にそこに行って治験の中に入ったという意 味合いですね。 ○篠山構成員  この点に関しては何回もこの会議で申し上げたことがあるのですが、循環器系でもマル チナショナルな臨床試験が多く行われています。それに参加できない状況で、海外のデー タを待った上で、それをサポートするようなデータを日本で作り上げるということしかで きないのが現状です。  この会議で外国で承認されたからそれを日本でも使えるようにしようということを検討 するより、むしろ初めからそういう治験に参加できるような方法を検討することが出来な いものでしょうか。このケースは非常にまれな疾患で、なかなか日本で治験が出来ないこ とが分かっているわけですから、初めからこのような国際共同治験に日本が参加すること が出来ればよいと強く思います。 ○堀田座長   ありがとうございました。 ○中垣課長   一般論でお答えすると、国際共同治験の流れというのは、今活発化してきているのだろ うと思います。それに参加する日本の施設というのも、また増えてきていると。状況を申 し上げると、既に国際共同治験の成績に基づいて3品目は承認していますし、今我々が承 知している範囲で申し上げると、10の医薬品について日本の施設を含む国際共同治験が 行われていると。さらに医薬品機構に、つい最近までの集計で申し上げると30件弱、日 本を組み込んだ形での国際共同治験実施について相談が来ています。  そういう意味で申し上げると、国際共同治験への参加というのも活発化してきていると 思いますし、我々としては、国際共同治験に参加するときの留意事項のようなものを早く、 先生方の御意見もいただきながら作っていくことによって、この流れを確実なものという か、適正なものとしていきたいと考えているところです。 ○篠山構成員  私はかつてある薬物の国際共同治験が行われたとき日本も参加するように誘われて準備 委員会に参加していたのですが、結局、日本では新薬の治験で第III相にはいきなり参加で きないということで、やむなく断念したことがあります。日本人における第I相の毒性試 験、第II相の用量設定試験をやった上でないとだめだということでした。現在市販されて いる薬物の適応拡大であればかまわないのだそうです。今は、このような日本人を対象に した第I相、第II相の試験をしなくてもよくなったのですか。 ○中垣課長  御質問の第I相あるいは第II相試験をしなくてよいかどうかというのは、個々の薬物ご とに議論していくべき問題なのだろうと思います。先生も御承知のとおり、PK/PDが 日本人と、例えば白人あるいは黒人との間で違う薬物というのも多々あるわけです。感覚 的な話になりますが、現在承認しているものの中で、恐らくは3分の1、4分の1くらい のものというのはPK/PDが合わないというものがあるのだろうと思います。  したがって、得られているデータから見て、第III相に飛び込んでと申しますか、第I 相・第II相をパスして行くだけの倫理性・科学性があるのかどうかというのが、個々の薬 物について議論される必要があるのだろうと思います。一概に、I相・II相はなしでIII相 でよいという話でもないのかなと考えています。 ○堀田座長  できるだけ時差のない開発を日本もやっていかなければいけないという方向性にはある と思います。つい最近でも新聞報道で、そのようなことが取り上げられていたと思います。 これも来週月曜日に始まる「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」等で取 り上げられる問題だというふうに思います。 ○有吉構成員  グローバルなトライアルに日本が参加するのは、一つの傾向として非常によろしいかと 思いますが、一番の問題点は、日本のいろいろな施設が治験のためのインターナショナ ル・リクワイヤメントを満足しているかどうかということが、一番の大きな問題点だろう と思うのです。  抗悪性腫瘍薬などを藤原先生も一所懸命に努力されていると思いますが、大きなスタデ ィはともかくとして、このようなオーファンドラッグ的なものは、国内で拠点病院を決め ていただいて、そこは厚生労働省の指導ないしはサポートで、例えばCRCのきちんとし た存在とか、そういうシステムを少し厚生労働省が財政的なサポートも含めて考えていか ないと、なかなか。ただインターナショナルのトライアルに日本が入れるかどうかという ことになると、非常に大きな問題を含んでいると思いますので、その辺をぜひお考えいた だかないと、なかなか簡単にグローバルなトライアルに入っていくということはできない。  ですから、こういうオーファンドラッグはできるだけ早くやるためには、やはりある程 度施設を限定するというようなことも必要ではないかと思いますし、多数の症例が必要な トライアルに関しては、ぜひその施設、あるいはシステムの充実ということをぜひ厚生労 働省でお考えいただきたいと私は思います。 ○新木医政局研究開発振興課長  ただいま御指摘いただいた治験ができる、特に国際共同治験も含めて高度な治験ができ る環境の整備というのは、大変に重要な課題だと我々も考えていて、現在、治験の環境整 備を検討会で検討していますが、その中でも、国内で拠点的にそういう高度な治験ができ るような体制を基盤的に整備したいということで議論していただいていて、来年度から国 内でそういうところを指定して、やっていける体制を組んでいきたいというふうに考えて います。 ○川西構成員  ムコ多糖症の薬としては、ここで取り上げたのが3つ目だと思います。どれも非常に患 者さんにとっては深刻な病気ですし、今ここで議論されている方向は全く正しい方向かと 思いますが、私はこの製品に関して、我々がそう思っても、会社が余り私にはなじみがな い会社で、実は1つ目のラロニダーゼの場合は幸い、比較的大きな会社で、審査のときに 私は専門委員をやってかかわりましたが、ラロニダーゼは比較的品質はそれなりにあった のですが、血清のところでは少しひっかかったりとかいろいろしたわけです。  これの場合は、国内のそういういろいろな体制というのは、もちろん使えるようにする ということはできたとしても、国内の体制はどうなのでしょうか。 ○堀田座長  事務局からお願いします。 ○中垣課長  それは先生の御指摘のとおりで、この薬はSHIREというところでやっているわけで す。ほかの薬でも、やはりアメリカのベンチャー企業が開発したということで、アメリカ で承認を取っているのはそのベンチャー企業であると。当然、日本に支社はないと。モノ は先生方の評価も高くて、何とか日本へということになると、その企業とのライセンス交 渉みたいなところからやっていかないといけないところで、そこが日本への導入を急ぐ上 での大きな問題の一つになっているところもあるのだろうと思います。  また、先生も御指摘のとおり、品質の確保という点からも、こういうことを言うのはあ れですが、いわゆる大企業に比べると知識と経験が足りないというところもあるのだろう と思います。このものについては、聞くところによると引き受け先というか、日本での開 発先が決まりつつあると聞いていますし、我々としても今日の結論を基に、そういった活 動をより活発化することによって、できるだけ早く承認申請にこぎつけるということでや っていきたいと思っています。 ○川西構成員  ここでコメントすべきことではないのかもしれませんが、私は実際に審査に入って早期 に承認せよということで私などもかかわったときに、それは極力そうするのですが、しば しばあるのは、申請資料が非常に整理が悪かったりするとか、いろいろなことがあります ので、そういうことを総合的に含めてやらないと、恐らく機構のせいだと言われても困る と、機構の担当者は思っているのだろうと思います。 ○堀田座長  全くそうだと思います。よく、審査機関の審査が長いと言われますが、機構が審査して いる期間よりは、照会事項に対する答えが来るのに時間がかかるとか、書類が不備だった りすると、それだけで時間を食ってしまって審査期間が延びてしまうということもあるも のですから、その辺は相互関係だと思います。その辺も機構側、あるいは審査管理課から も指導をよくしていただいて、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございまし た。 ○岩砂構成員  先ほどのムコ多糖症の治験で、4人の日本の方々が参加されたと。これは非常によいこ とで、これはよいのでしょうが、やはり人種別にいろいろな素質があって、それはあらわ れてきていませんが、この薬はよろしいのでしょうが、ほかの薬においては相当に慎重に やっていただかないと、我々は患者さんと一緒に急ぎますが、何かあったときには大変だ ということだけは頭に置いて、慎重に行くべきところは慎重にと。このムコ多糖症の薬に 関しては問題ないだろうと私は思いますが、その辺のことも十分に御注意願いたいとお願 いします。 ○堀田座長   その御意見は十分に考慮して、今後の指導に努めていただきたいと思います。 ○林構成員  全体の議論の流れは全くそのとおりだと思います。一つ教えていただきたいというか、 補強しておいた方がよいかなと思ったのが、この疾患が2〜4歳ころに典型的な症状が出 現してということで、年齢の区切りがあると思います。一方で、TKT024、つまり主要 試験において参加した患者さんは5〜31歳ということで、5歳以下はどうなっているの だろうかというところが1点、あるのはあるのだと思います。  一方で、リプレースメントセラピーと言いますか、ヒト線維芽細胞に産生させたイズロ ン酸2スルファターゼを補充していくわけですから、基本的には早く治療開始してあげた らよいのだろうと思うのですが、米国の添付文書を見ても「5歳以下は安全性と有効性は 未確立である」というような表現も出ています。  そうすると、現場では早く助けてあげたい、一方5歳より若いところはどうなっている のだろうと。もしそこで既に専門の先生の間ではそういう情報が入っているようなら、こ こでコメントしていただくとさらに、この会で判断するのに心強いと思います。もしそう した情報が少なかったとしても、会社に開発を急いでいただく段階で、その後のフィール ドに出てからの5歳以下の情報をうまく収集していただいて、早期の安全で安心な治療に うまく結びつくとよいなと思いました。 ○堀田座長  ありがとうございました。その辺について奥山先生、コメントをお願いします。 ○奥山参考人  まず、なぜ5歳以後になってわかるかということですが、これはたまり病で、蓄積が 徐々に進んできて、それが症状として見えるのがこのくらいの年齢だということなのです。 ただ、最近は遺伝子診断ができます。これはX連鎖病なので、例えば発端者の方に関して は、確かに症状が出る前には診断はできないのですが、その家族の次のお子さんとか、そ ういう場合にはもっと早く診断できるということになります。  例えば動物実験で、生まれた直後から酵素補充療法や遺伝子治療などをすると、症状の 改善が明らかです。ただ、この主要試験はあくまでも6分間歩行とかいうことで、歩けな い子はできないわけです。ですから、エンドポイントの関係で5歳以上になったというふ うに理解していますが、例えばI型のラロニダーゼは先週承認されましたが、これにおい ても主要試験が終わった後に5歳以下の症例で実際に臨床試験が現在行われていて、その データは蓄積されて、これは発達も含めて非常によい結果が出ているということもありま すので、このエラプレースに関しても今後、次の試験としては、そういう若い子の試験が 行われるようになるだろうと思っています。 ○堀田座長  ありがとうございました。そのほかの先生はいかがでしょうか。 ○堀内構成員  今のお話では、30歳くらいとかなり年を取って既にムコ多糖が蓄積していても有効で あると、逆にそう考えてよろしいのですね。ある程度既に蓄積したムコ多糖が分解されて くるということでしょうか。 ○奥山参考人  はい、そうです。ただ、これは残存酵素活性が人によって少しずつ違うので、残ってい る活性が少しでもあると、割と軽症のまま経過する方もいて、非常に症状には幅があるの で、30歳でも比較的軽症、2歳でもすごく重症という方まで、病態としてはあるという ふうに考えています。 ○堀田座長   よろしいでしょうか。それでは、先生方にいろいろ御検討いただきましたが、これにつ いては代替治療もない、疾患の重篤性その他からいって、あるいは日本人が国際治験の中 に組み込まれているという状況も踏まえて、そのデータを基に承認申請してもらうという 形で働きかけていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  これで個々の品目の検討を終了し、次に資料3を御参照いただきたいのですが、この7 〜9月の間に欧米4カ国のいずれかの国で承認された医薬品リストです。これについて検 討に移りたいと思います。事務局から簡単に説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料3について御説明します。全部で今回は4つあって、1番についてはた だいま既に御審議いただいたイデュルスルファーゼで、前回7月28日に検討会議があり ましたが、その3、4日前に承認されたことを前回の会議で御報告し、以前より患者団体 からご要望をいただいていましたので、今回急遽取り上げていただいたという経緯ですの で、こちらは省略させていただきます。  2番は成分名がカルベトシン。フランスで7月6日に承認されたヒトオキシトシンの合 成アナログの注射剤です。効能・効果は、硬膜外または脊髄麻酔下での帝王切開による分 娩後の子宮弛緩及び過剰出血の防止という内容です。ヒトのオキシトシンのアナログとい うことで、同種同効薬ありというふうに書かせていただいています。国内では開発はされ ていません。  それから3番目のシタキセンタンです。これはエンドセリン受容体拮抗薬の錠剤で、肺 高血圧症患者さんにおける運動能力の改善という効能です。疾病としては重篤ですが、同 じエンドセリン受容体拮抗薬としてボセンタンという薬が日本でも、去年4月だったと思 いますが承認していますので、そのあたりとの位置づけがどうかということでコメントを 書かせていただいています。国内での開発はまだなされていないという状況です。  最後の4番目は配合剤で、ビスカルシトレートカリウム、メトロニダゾール、塩酸テト ラサイクリンの配合剤です。カプセル剤です。これはオメプラゾールとの併用でヘリコバ クター・ピロリの除去に使うということで、アメリカで9月28日に承認されたというこ とです。国内で除菌療法の薬は幾つか承認されているところです。このもの自体は、国内 開発はなしということです。以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。類型Iに挙げられた4つの品目の1番目は、先ほど既に御検 討いただきましたので、2番目のカルベトシンについていかがでしょうか。オキシトシン の合成アナログということで、既にオキシトシンとしては日本で使える状況にあるわけで す。いかがでしょうか。 ○堀内構成員  これは既にオキシトシンがありますから、メーカーが開発するなら、その時点で比較検 討すればよいことではないかと思います。 ○堀田座長  ほかの先生はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。既に同類薬があるということで、 これは通常どおり開発していただくということでよろしいでしょうか。はい、ありがとう ございました。  それでは、次のシタキセンタンですが、これは先ほど事務局からの紹介にもありました ように、ボセンタンというのがこの会でもリストはされたということです。既にボセンタ ンは承認済みという状況ですが、篠山先生、このあたりはどうでしょうか。  篠山構成員 現在、肺高血圧症、特に原発性肺高血圧症の治療としては、フローランと いう注射薬とボセンタンという経口薬の2つがあります。最近、肺高血圧症に対する治療 ガイドラインがヨーロッパとアメリカで確立されて、重症のIV度ではフローラン、III度の 場合には経口薬、場合によってはフローランというはっきりした使用方法が確立しつつあ ります。  そういう意味で経口的エンドセリン受容体拮抗薬は治療上、非常に重要な意味を持って おり、ボセンタンが発売されてから肺高血圧症の治療に大きな展開があったと思います。  一方、1981年にNIHが原発性肺高血圧症に対するレジストリーを開始しましたが、 その結果を見ると本症の発症率は100万人に1人か2人ということになっています。そう すると、わが国における原発性肺高血圧症の患者数は非常に限られることになります。今 は強皮症やその他の膠原病に合併するもの、外国ではエイズに合併した肺高血圧症が治療 の対象になっています。これらの患者が日本でどのくらいいるかは私自身よく知りません が、ボセンタンは当初から非常に少ない患者を対象にしたオーファンドラッグとして開発 されました。発売されてからまだ1年半ですので、今、ここで同系統の新しい薬物を追加 承認する意義に関しては予測が立たないところがあります。  今は少しボセンタンの成り行きを見て、フローランと経口薬による治療法が日本でも確 立されるのを、待った方がよいのではないかと考えます。 ○堀田座長  ありがとうございました。同類薬があるということ、それから注射薬との使い分けは日 本ではこれから位置づけがはっきりするということでしょうか。 ○栗山構成員  ボセンタンの開発に関しては篠山先生が班長になって、今おっしゃったように非常に少 ない症例を集めてきちんとしたトライアルをされて認められたということです。ただ、ボ センタンはエンドセリンの拮抗薬ですが、AとB両方の受容体をブロックします。それも 関係しているかもしれませんが、肝障害が少しあります。それで、人によっては経口剤と いうことで一番最初にトライアルをするのですが、肝障害があるためにフルドーズは使わ れないという状況があって、その場合にはフローランに行くか、あるいは別の経口薬を使 うかということでいろいろやられているわけです。  さらに変法として、シルデナフィルのようなものも使うということが現場ではやられて います。このエンドセリンの拮抗薬としてはボセンタンのほかにも幾つかありますが、こ のシタキセンタンはAレセプターだけをブロックするという薬剤なのですが、同じような 薬剤でアンブリセンタンというのがあります。これが肝障害が少ないと言われていて、ア ンブリセンタンについては日本でグラクソだったと思うのですが、来年中にも治験を開始 したいという状況になっていると聞いています。  したがって、シタキセンタンは肝障害については、アンブリセンタンよりは少し出る可 能性があるという海外の論文があるので、Aのレセプターブロッカーとしては国内ではア ンブリセンタンが既に先行しているようですから、その状態を見てでも十分ではないかと 思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。ほかの先生方、よろしいですか。それでは、このシタキセン タンについては、通常の開発のルートでやっていただいて、ここで取り上げるということ は特にしないという形でよろしいですか。では、そのように対応していただくようにお願 いします。  それでは最後のビスカルシトレートカリウム、メトロニダゾール、塩酸テトラサイクリ ンの3剤の併用について御検討いただきたいと思います。日本ではちなみに、ヘリコバク ター・ピロリの除菌については、プロトンポンプ・インヒビターとクラリスロマイシン、 アモキシシリンのこの3剤が一応スタンダードとなっていて、それに対して抵抗性を示す ような場合に、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに切りかえるというような。これ は治験としてやっているのですか。そういう動きがあると聞いています。 ○事務局  御説明します。今おっしゃったように、プロトンポンプ阻害薬とアモキシシリンとクラ リスロマイシンの併用療法は承認されています。その除菌でうまく除菌できない耐性の方 が何割かいらっしゃって、そういう方に対してはクラリスロマイシンのかわりにメトロニ ダゾールを使うというやり方がスタンダードになりつつあって、今関係の企業から承認申 請がなされていて、審査をやっているところです。 ○堀田座長  そうすると既に審査中ということであり、メトロニダゾールについては日本でも使える 状況が目前にあるという状況で、アメリカで承認された3剤の併用といったものが今必要 かどうかというお話です。ちなみに、このビスカルシトレートカリウムというのは粘膜保 護剤と聞いていますが、その辺はどうですか。 ○事務局  最初に御説明するのを忘れたのですが、今回、添付文書をお配りしているのですが、本 剤だけは承認が直前だったということもあって正式な添付文書が事務局でも入手できませ んでした。それでかわりというわけではないのですが、承認を取得した企業のプレスリリ ースの関係の紙を配布させていただいていますが、本当の詳細は事務局でも把握できてい ない状況ですが、そういう作用機序を期待して使われているのかなという推測です。 ○堀田座長  そうすると、この3つの薬の中でもキーになるのはメトロニダゾールであって、粘膜保 護剤はむしろ胃内環境の修正というか、pHなどに関係する可能性がありますね。ですか ら、そういうことで言うと、日本でもメトロニダゾールは今承認申請中ということである とすると、このあたりは特にこれの早期の承認を推奨しなければいけないという状況でも ないように思いますが、いかがでしょうか。 ○岩砂構成員  おっしゃるとおりだと思います。 ○堀田座長  ほかの先生はいかがですか。よろしいですか。それでは、これについては日本の状況か ら、メトロニダゾールの申請中であるということも踏まえて、ここでは取り上げないとさ せていただきたいと思います。そういうことになると、次回までにワーキンググループの 報告のものはないということになります。今後については、患者団体からの要望等も来て いますので、それも踏まえてまだ審議していただきたいと思います。それでは、この4品 目についてはそのような対応にさせていただくということにします。  それでは、本日の議題は以上ですが、事務局から追加のお知らせをお願いします。 ○事務局  ありがとうございました。資料4でこれまでの品目の今までの状況をアップデートしま したので、少し時間をいただいて簡単に御報告したいと思います。前回から特に進捗のあ ったものを中心に、御報告します。前回までの会議で計30の医薬品について治験の早期 開始等の検討結果をいただいたわけですが、最近の進捗として、2番目のペメトレキセド。 これはアスベストの関係の中皮腫の抗がん剤ですが、これは審査に入っていますが、安全 性確認試験ということで審査中の治験が始まりましたことを御報告させていただきます。  それから、その下のサリドマイドですが、こちらは今年8月上旬に藤本製薬から承認申 請があり、審査に取りかかっています。  それから4、5のボルテゾミブ、多発性骨髄腫の薬、これは販売名はベルケードです。 それからI型のムコ多糖症の薬であるラロニダーゼですが、こちらは2剤とも10月20日 に薬事法上の承認をしました。  それからその下の6、ジアゾキサイドですが、前回までは治験の準備をしていますとい う御報告をしましたが、治験が始まりましたので、御報告させていただきます。  それから8のセツキシマブ、アービタックという販売名ですが、こちらは前回の報告で は治験進行中というお話をさせていただきましたが、治験が大体終わって申請の準備に取 りかかっているということです。  それから14のリポソーマルドキソルビシンですが、こちらは効能が2つありますが、 エイズ関連のカポジ肉腫の方が作業が先行していて、こちらの承認申請がつい最近なされ、 今は審査に取りかかっているという状況です。  それから、2ページの27〜30は先ほど御報告しました。そのほかのものは前回からの 表現上の進展はないのですが、それぞれの薬について少しずつですが前に進んでいます。 また次回の会合において、このあたりのアップデートをさせていただきたいと思っていま す。以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。それでは、本日御検討いただいた品目について、会議の結論 を事務局から当該企業に伝達していただくということにしますが、次回のことを含めて事 務局からの伝達をお願いします。 ○事務局  ありがとうございました。次回の会議の日程ですが、定例では来年1月に開催させてい ただくことになるので、日程調整をさせていただきたいと思います。先生方のお机の上に ファックスの送信票という形で日程調整の紙を置かせていただきましたので、お持ち帰り いただいて事務局にファックスをお願いできればと思っています。  それから、次回の検討品目ですが、先ほどの4つのものについては特に必要ないという ことでしたので、そのように対応します。それから最近、学会や患者団体から御要望いた だいたものがあるので御紹介します。1つ目は、滅菌タルクの製剤で、これは悪性胸水の 再発防止に使うものだということです。2つ目はアレムツズマブという製剤ですが、慢性 リンパ性白血病の効能ということで御要望がありました。最後に、ヒトパピローマウイル スワクチン、子宮頸がんの予防ワクチンですが、そちらについても御要望がありましたの で、次回に御議論いただくように準備させていただきたいと思っています。  次回は、この10〜12月の3カ月間に欧米4カ国で承認された恐らく幾つか出てくると 思いますので、そのあたりについてまた今回と同様の形でリストを提示させていただき、 御検討いただく予定です。以上です。 ○堀田座長  次回の予定も含めて、何か先生方から御意見をいただけますか。特にありませんか。 ○林構成員  この会のルールでは、今御紹介のあった団体から要望のあったものというのは、ワーキ ンググループの先生にお願いするようなところになるというイメージを持ってよろしかっ たでしょうか。それとも、ここで決めてからだったでしょうか。 ○堀田座長  基本的には、ここで優先順位、あるいは迅速性を判断していただきますが、重要なもの についてはそれを待っていると遅くなるということで、一部は前倒しで検討していただい ているということです。よろしいですか。3カ月後になってしまうということもあります ので、その辺は臨機応変に対応したいと思っています。よろしいでしょうか。  それでは、きょうはこれで終了にしたいと思います。どうもありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111