06/10/26 第1回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録 第1回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会 日時 平成18年10月26日(木) 14:00〜 場所 九段会館鳳凰の間 照会先:医薬食品局審査管理課                           医療機器審査管理室                           担当:広瀬・木下                           電話:03-5253-1111(内2912) ○事務局 定刻になりましたので、第1回「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関す る検討会」を始めたいと思います。本日は、ご多忙のところお集まりいただき、ありがとう ございます。議事に入ります前に、医薬局長の高橋より、一言ご挨拶をさせていただきます。 ○高橋局長 医薬食品局長の高橋でございます。本日は、ご多忙の中この「医療ニーズの高 い医療機器等の早期導入に関する検討会」のためにお集まりいただきまして、ありがとうご ざいました。検討会に先立ちまして、一言ご挨拶を申し上げます。  この検討会は、我が国の医療の場においてニーズの高い医療機器などを選定して、迅速に 医療の現場に導入するための方策について検討することを目的としております。主要欧米諸 国において既に医療の現場で使用されていて、実際に治療に役立っている医療機器の中で、 まだ我が国に導入されていないものがあるという指摘がよくあるわけで、またそれは事実で す。このために、治療する側からも、患者の方々からも、早期の導入を求める声があるわけ です。この検討会においては、そうした医療ニーズを見極めて、そうした医療機器を迅速に 導入し、国民に最高水準の医療の恩恵に浴していただこうということが狙いであるわけです。 こうした目的を達成するために、こうした検討の場を設けて、一線でご活躍の先生方のお知 恵を拝借して、こういった方向で進めるようにご協力をお願いするということです。  この検討会の詳細については後ほど説明申し上げますが、本検討会の成果が国民にとって 有益なものとなりますよう、どうぞ忌憚のないご意見をお願い申し上げたいと思います。簡 単で恐縮でございますが、開催に当たりましてのご挨拶とさせていただきます。よろしくお 願いいたします。 ○事務局 なお、恐縮ですが、医薬食品局長はこのあとの予定がありまして、多少早めに失 礼させていただくことを、あらかじめお詫び申し上げます。  議事に入りますが、座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきます。 まず、委員の皆様を五十音順にご紹介いたします。委員名簿は資料2となっております。飯 沼委員、梅田委員、笠貫委員、加納委員、北村委員、佐藤委員、四宮委員、田野委員、千葉 委員、土屋委員、中谷委員、吉田茂昭委員、吉田純委員です。渡辺委員はご出席の予定です が、到着が遅れるとご連絡をいただいておりますので、後ほどご紹介いたします。本日、釘 宮委員、平岡委員はご欠席となっております。  続いて、事務局側の出席者をご紹介いたします。大臣官房医薬担当審議官の黒川です。医 薬食品局総務課長の中澤です。審査管理課長の中垣です。医療機器審査管理室長の俵木です。 安全使用推進室長の山田です。医政局経済課長の武田です。研究開発振興課長の新木です。 医療機器・情報室長の宇都宮です。どうぞよろしくお願いいたします。  配付資料の確認をいたします。議事次第、次に座席表があります。資料1は開催要綱、資 料2は委員名簿、資料3はこの検討会の進め方の案、資料4はWGについての案、資料5は 選定WGの作業の進め方の案となっております。過不足などありましたら、お知らせいただ ければ幸いです。  座長の選出に移りたいと思います。委員の皆様から特段のご推薦がなければ、事務局とし ては国立循環器病センター総長の北村委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○事務局 ありがとうございます。北村委員、座長席への移動をお願いします。  座長代理の委員の先生をご推薦いただきたいと思うのですが、こちらは座長をお願いしま した北村委員にご推薦をお願いしたいと思います。 ○北村座長 私は循環器系ですので、がんのほうの専門の先生にお願いしたいというのが本 音ですので、国立がんセンター東病院長の吉田茂昭委員にお願いできますでしょうか。 ○事務局 吉田(茂)委員、座長代理席への移動をお願いいたします。それでは、北村委員、 吉田(茂)委員、よろしくお願いいたします。以降の議事は北村座長にお願いしたいと思い ます。 ○北村座長 「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を新しく医薬食品 局で設けられて、その座長を務めさせていただくということで、私も勝手がつかめているわ けではありませんが、先ほど高橋局長が申された趣旨に沿って、国民のニーズ、そして医療 側のニーズの高い医療機器を、とにかく早く我が国にも導入していこうというのが目標の検 討会と考えている次第です。委員の先生方のご理解、あるいは活発なご支援をもって、その 趣旨に向かって進め、役に立つ検討会になってほしいと感じている次第です。早速ですが、 議事を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。まず、資料について、説明を お願いします。 ○俵木室長 私から、資料1、資料3、資料4を使って説明いたします。資料1ですが、本 検討会の開催要領です。先ほど局長のご挨拶の中で、本検討会の設置の趣旨についてはお話 がありましたとおりで、1の目的に書いてあるとおり、例えばアメリカなどでは臨床での使 用が行われているもので、国内、我が国では未承認又は適用外の医療機器及び体外診断用の 医薬品も対象と考えておりますが、これについて特に我が国の医療ニーズの高いものについ て、それらの迅速な医療現場への導入を検討するというのがこの検討会の目的です。  2ですが、このため、主な検討事項としては、医療ニーズの高い未承認医療機器等として、 どのようなものが早期導入を進めるべきなのかということで、学会等からご意見をいただい て、医療ニーズの把握をすること。それから、それらについて臨床上の必要性等の評価をい ただき、早期導入のための方策についてご議論いただきたいと思います。  検討会の構成については、先ほど先生方のご紹介をさせていただいたとおりですが、(3) で検討会には必要に応じて、個別の検討事項に関するWGを設けることができるという規定 を設けております。また、運営について、本日も多くの傍聴の方に入っていただいておりま すが、本検討会は原則公開とするとして、議事録についても公表させていただきたいと思い ます。検討会の庶務は、医療機器審査管理室で行いますが、特に学会等からのご要望の収集 などについて、医政局研究開発振興課のご協力を得て進めていきたいと考えております。  資料3ですが、本日は第1回目の検討会ということで、今後のこの検討会の進め方につい てご議論をいただければと考えております。4頁は進め方のフロー図ですが、1枚目2枚目 がそれを文字にしたもので、図を見ながら説明いたします。検討会の初めの作業として、学 会等からのご要望を収集することをしたいと思います。検討会の目的としては、我が国で医 療ニーズが高い医療機器等について、優先して早期導入を進めていこうということで、医療 ニーズの把握をして、学会等を通して要望を聞いていきたいと思います。  その対象としては、*のように、主要な諸国において実際に臨床の場で使用されているも のであって、生命に重大な影響がある疾患であること。これに該当するような医療機器等に ついて、ご要望を挙げていただくよう、広く学会に呼びかけをしたいと考えております。寄 せられた要望について、優先して検討すべきものを決定するために、情報の整理をしていた だく必要があると考えております。そのために、検討会の枠のいちばん左に選定WGがあり ますが、対象医療機器を選定するためのWGを設置いただけないかと考えております。この 選定WGにおいて、学会等からのご要望の内容を整理して、疾患の重篤性、または我が国の 医療における有用性、または諸外国での承認状況等について整理をして、優先度の検討をい ただきたいと考えております。  ここで検討対象として考える医療機器ですが、資料3の3頁の「検討会における対象医療 機器等の選定の考え方(案)」のような考え方で、対象の医療機器を選定していきたいと考 えております。これについてもご議論をいただければと思います。以下のa)からc)のい ずれの条件も満たす医療機器を、検討の対象としたいと考えております。a)は学会等から の要望があるものということで、これは我が国の医療ニーズを反映すると考えております。 b)は我が国と同等の審査制度のある国において、承認されている種類の医療機器であるこ と。c)は医療上特に必要性が高い、優先度が高いと認められるものということで、これに ついては疾病の重篤性、医療上の有用性といった観点から、総合的に評価をいただきたいと 考えております。疾病の重篤性については、生命に重大な影響がある疾患、または病気の進 行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること。また、その他についても 総合的に評価いただける点があろうかと思います。医療上の有用性については、我が国での 既存の治療法、予防法または診断法がないか、または欧米において標準的に使用されていて、 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担といった観点から、医療上の有用性が我が国既 存の治療法よりも優れているかどうか。そういった点から、総合的に医療上の必要性につい てはご評価をいただきたいと考えております。このような観点から、検討会において検討の 対象とする医療機器の種類を選定していただきたいと考えております。  選定WGにおいては、そのような観点からの情報の整理をして、WGの検討結果をもとに、 検討する医療機器等の種類を決定していただきたいと考えております。そこで決定いただい た医療機器について、さらに詳細に医療上の必要性等についての評価をいただくことになり ますが、決定された検討対象とする医療機器の種類ごとに、複数の同種機能を持った製品が ある場合があろうかと思いますので、厚生労働省のホームページ等を通じて、開発協力・資 料提供いただける企業を公募したいと考えております。そういったご協力いただける企業か ら資料・情報をいただいて、検討に入りたいと思います。  資料のイメージですが、製品の概要、臨床データの概要、または諸外国での使用状況・承 認の取得状況、また国内での治験の状況と開発状況などについて資料の提供をいただいて、 個別の製品についての我が国導入に当たっての実現可能性等について評価をしていきたい と思います。  そのような評価をするために評価WGを設置し、情報の整理、評価をしていただきたいと 考えております。医療機器等の種類ごとに、個別の製品の提供をいただいた情報から、医療 上の必要性等について評価レポートを作成いただきたいと思います。評価のポイントとして は、我が国での臨床上の必要性、また我が国への早期導入の実現可能性について評価をいた だきたいと思います。  次の段階ですが、評価WGのレポートに基づいて、早期導入の妥当な製品を検討会で選定 いただきたいと考えております。ここまでが検討会のご議論といいますか、ご検討をお願い したい件で、そうやって検討会で早期導入が妥当な、可能な製品を選定いただいたあと、個 別の製品について薬事法に基づいた審査をして、市場に導入していくことになります。その 部分は、各個別の製品ごとに関係企業の申請をいただくことに入って、必要により医薬品医 療機器総合機構と個別の相談をしながら、既存のデータをできる限り活用できる方策を探し つつ、場合によって、必要であれば治験を実施いただくこともあるかもしれませんが、既存 データの活用を第一に考えながら、早期申請をしていただけるようお願いをしていきたいと 思います。申請企業から申請がありましたら審査の段階に入りますが、審査の段階について は速やかな審査を実施していきたいと考えており、ここの審査の進捗状況については、適宜 検討会にご報告、フィードバックをしたいと思います。  審査が終了して承認となりますが、市販後の問題として、適正使用の確保を図ることは当 然で、場合によっては市販後の臨床試験、または市販後の調査を実施する、場合によっては 使用の施設についての一定の要件が必要になったり、または使用いただく先生についての研 修が必要になったりする場合があるかもしれないと考えております。それらについては学会 のご協力もいただきながら、適正使用の確保を進め、そういったことも踏まえて迅速な審査 をして、早期導入に結び付けていきたいと考えております。以上、検討会の流れですが、ピ ンクで囲った部分を検討会でご検討いただき、そのあと個別の製品についての迅速な審査へ 結び付けていきたいと考えております。  資料4ですが、いま説明したように、この検討会のご検討を進めるに当たり、選定WG、 個別製品についての評価をいただく評価WGを設置することが適切ではないかと考えてお りますが、そのWGについてです。WGは、学会等から医療ニーズが高いとして要望をいた だく医療機器等の種類を踏まえて、複数の領域の専門家で構成をしていただければと考えて おります。WGの専門家については、各領域における医療機器の研究開発、または臨床使用 の状況に精通した方を検討会の座長が指名するという形で、メンバーについては検討会にご 報告をする形を考えております。WGの専門家ですが、メンバーの先生方については、検討 品目の検討のために、いろいろな資料をご検討いただくことになりますが、この必要な資料 については事務局等から入手することを基本として、検討対象となる個別品目の開発企業又 は個人からの直接の資料の提供を受けることはできないという規定を設けることが適当で はないかと考えます。また、WGの専門家は、検討品目に関して、関与又は特別の利害関係 を有する場合にあっては、検討会の座長に申し出ていただくこととして、関与等がある場合 は、当該品目についての検討を行わない。また、発言ができないという規定を設けておくこ とが適当ではないかと考えています。当然のことですが、検討会の先生方におかれても、個 別の検討品目になった段階で、検討品目に関して関与又は特別な利害関係を有する場合には 座長に申し出て、関与等がある場合についてはご発言ができないという規定をするのが適当 ではないかと考えております。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○北村座長 どういう理由で医薬食品局が事務局となって、皆さんとともに新しく導入の機 器を検討していこうかという、この検討会の趣旨についてのご意見、あるいはご質問等があ りましたらどうぞ。 ○俵木室長 不手際で申し訳ありません。そのときにご紹介すればよかったのですが、渡辺 委員がご到着されましたので、ご紹介させていただきます。 ○北村座長 渡辺委員、ちょっと遅れてこられましたので、簡単にご挨拶をお願いします。 ○渡辺委員 国際医療福祉大学の渡辺でございます。私は臨床検査のほうをやっております。 体外診断薬のほうでということでなったのだと思いますが、よろしくお願いいたします。遅 れて申し訳ございません。 ○北村座長 議事に戻りますが、この検討会の趣旨、その他について、いろいろご質問があ るのではないかと思いますが、遠慮なくどうぞ。 ○田野委員 これは語弊があるかもしれないのですが、欧米諸国と我が国と、いわゆる厚生 労働省の考え方で非常に大きな違いがある点は、我が国の厚生労働省は、生命に重大な影響 があるということを第一義的に必ずおっしゃいまして、欧米諸国は必ずしも生命に重大なと いうことだけではなくて、人としての生活に重大な影響がある疾患すべてを、重要な、ある いは重篤な疾患として捉えている。私は眼科ですが、例えば感覚器の重大な、重篤な疾患に ついては、生命保険でもそうですが、両眼失明は死亡と同等の扱いがあるということで、む しろ生命保険の考え方はより進んだ考え方です。是非この部分、今後、生活に重大な影響が あるということで、全科的に共通して、どの科でもそれなりに非常に重篤な疾患はあると思 いますので、ご考慮いただければと思います。 ○北村座長 大変ごもっともな田野委員のご意見だと思いますが、室長どうですか。 ○俵木室長 資料3の3頁の対象の医療機器ですが、考え方としてはc)の「医療上特に必 要性が高いと認められるもの」の評価で、(1)「疾病の重篤性」のイ「病気の進行が不可 逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること」ということで、田野委員からご発 言がありましたような疾患についても考慮できると考えております。当面、優先的に第1号 として考えていくものについて、優先的に生命に重大な影響がある疾患について、まずご検 討いただきたいと考えているものです。この検討会は1回で終わるということではありませ んので、このような観点の疾患についても、必要により考えていきたいと考えております。 ○北村座長 いまの3頁の考え方のc)の(1)のイは、田野委員のおっしゃられたことに 該当する項目ということですね。よろしいですか。ほかにご意見はありますか。 ○笠貫委員 循環器内科領域として意見を言わせていただきたいのですが、循環器内科領域 の医療機器は、国産のものではなくて海外のものが非常に多いということで、臨床現場から、 海外での医療機器の早期導入は、非常にニーズの高い領域だと思います。そういう意味で、 この全体のスキームをご説明いただいて、臨床現場にとって、すなわち患者にとっては非常 に大事な検討会であるという認識は持たせていただいたところです。  早期導入という場合、スピードとはどういうものかを考えるとき、最初にグランドデザイ ンをどのようにするかというときに、私がいま考えても、たくさんの医療機器が頭の中に浮 かぶわけです。その中で、モデルケースとしてどういったものを選んで、それをどこで評価 をして、その品目数を増やしていくのかという段階的なスキームを作っていくことになるの だろうと思うのです。そういう意味で、いま言った生命に重篤か、あるいは各領域によって 生活という問題を取り上げる場合、いろいろなものが出てくると思うのです。  いま日本で医療機器について各学会、各領域で早期導入を望んでいる機器がどれぐらいあ るかという全体像がまず見えないと、先ほどの段階的なグランドデザインが描けないのでは ないかと思います。そういったことについて、いままで何らかのデータが存在するのかどう か、事務局にお聞きしたいのですが。 ○俵木室長 いまご指摘のようなデータといいますか、リストみたいなものはないのではな いかと考えております。いろいろお話はお聞きしますが、いま先生にご発言いただいたとお り、まず全体を確認といいますか、把握するために、第1の段階として広く学会に対してど ういうものがあるのか、ご意見をお伺いするのが重要なのではないかと考えている次第です。 ○笠貫委員 先ほど田野委員から出たご質問もそうなのですが、まず全体を集めてから、も う一度細かい先ほどの段階的というところで何から入っていって、モデルケースとしてどの 品目がいいのかいくつか選んで、それを4頁のスキームに載せて、それがどの程度のスピー ド感で進んでいくかということを出す。そして、それが市販後のところまでいったところで、 それをフィードバックして評価をするのに、どのぐらいの時間をかけるのかということだと 思うのです。その時間をみるときに、例えばいくつかの代表的なものを選ぶときに、どのぐ らいの希望があって、その中でいくつを選ぶのが妥当性のあるところであり、それを進めな がら今度は平行して第2段階のものを進めることもできるのかと思うのです。  そういう意味では、例えば私どもの循環器内科領域でいったら、例えば100とか200ぐらい ニーズがあるかもしれません。というのは、医療機器の新規のものと薬と違うところは、改 良されるものはどんどん出てくるのです。薬ですと、一度開発されて、それが特許を取って と、認可ということで固定されるのですが、医療機器は新規のものが出て、特にMEの進歩 は早いですから、どんどん改良されたものが出てきます。それを早期に導入するときにどう するのというのまで含めると、非常に数の多いものになるのではないでしょうか。そういう 意味で、私は是非、学会等の要望を広い意味で早急に集める必要があるのではないかと思い ます。次のいろいろなステップに入る上で、そこが大きな意味を持つかと思います。 ○北村座長 このスキームの色のついたものですよね。これがこの検討会の流れの案ですが、 実際にピンクの所の時間ですね。1件の審査にこの検討会がかけられる時間的なものなどの、 もう少し具体的な数や時間といったものがお答えになられるようでしたら、ご説明いただく のがわかりやすいのではないかと思います。 ○俵木室長 いま笠貫委員からお話がありましたように、まずどういった要望があるのかを 把握しないと、適切にいまのご質問にお答えすることは難しいと思っているわけです。循環 器領域だけで100も200も出てくるとなると、事務局の想定と若干の乖離があるところがある のですが、ご要望がどのぐらい出てくるか整理をさせていただいたところ、このニーズの把 握の所には、1カ月か1カ月半、2カ月、年内にはご要望を把握することができればと考え ております。その出てきたものについて、選定WGで作業をしていただいたあとに、もう一 度、第2回目の検討会を年が明けて1月の終わりごろか2月に入るか、できるだけ早く作業 ができたところで調整をさせていただきたいと考えております。そのあと、200も300も出て きたときに、そこからいくつ選ぶのかというのは難しいのですが、その200や300をすべて迅 速に審査に回していくことは現実的には難しいことで、まず第一陣といいますか、先頭を走 っていただく品目としては、医療機器の種類として4つか5つを選んでいただくことができ れば、事務局としてはやりやすいと考えているのが正直なところです。それらのものについ て、Webを使って情報集めをさせるのに、関係企業のほうもいろいろなお考えがあること もありますし、資料をまとめていただくこともありますので、若干のお時間をいただいたあ と、評価WGを経て第3回目の検討会を開くということで、当面のスケジュールとしては考 えております。 ○北村座長 医薬食品局としては、右から2つ目の水色のバーの「承認審査」が「承認」と あって右側に矢印になっていますが、これまでの期間が理想的に流れれば、1年ぐらいにし たいというお考えと理解してよろしいですか。 ○俵木室長 トータルの審査期間として、そのぐらいにできればとてもハッピーなのではな いかと思いますが、いまタイムクロックが新医療機器については1年です。そのタイムクロ ックというのは、審査側の持ち時間で、企業側の持ち時間としても1年というのが通常考え られております。1年で、通常の処理時間としては2年ですが、それをもっと早める必要が あるというのが認識です。 ○中垣課長 事務局ばかり発言して申し訳ありません。どのぐらいのタイムスケジュールと いう点について、医薬品の例で説明したいと思います。医薬品においても、これと同じよう なスキームで、未承認医薬品検討会という検討会を開催させていただいているところです。 そこで、やはり先生方に集まっていただいて、WGでレポートも作っていただいて、その上 で検討会全体のご意思として急ぐべきだと言われたものが、いままで30品目あります。  その30品目を見ると、そのうちの4品目はたしかもう既に承認になっております。と申し ますのも、その決定した段階でどのステージにあるのか。例えばもう承認申請が出ていた。 あとは承認審査を急ぐというものもあれば、いちばん難航しているのは、アメリカのベンチ ャー企業がアメリカで承認を取ったのですが、そのアメリカのベンチャー企業は日本支社は 疎か、日本と契約をしている企業すらないということで、企業探しから始めなければならな いようなものもあるわけです。それにより、最後の承認までのステージはかなり大きく異な っておりますが、いままでの経験から申し上げると、幸いなことに各企業、やはりこういっ た検討会で、導入を急ぐべきだという結論が出たものについては、彼らとしても精一杯リソ ースを割いて、資料の申請の準備、試験の実施等をやっていただいているところです。我々、 あるいは医薬品医療機器総合機構においても、審査を急いでいるというのが1点です。  もう1点、お話させていただきたいと思っておりますのは、資料3の4頁の検討会のピン クの枠囲み、学会等の要望を聴取して、それを選定WGに委ねるというスキームを出させて いただいております。先ほど笠貫委員からご発言もありましたように、循環器内科だけでも 100、200出てくるということですと、このスキーム自体を少し考えなければいけないのかと。 いわば、モデルケース的にどれを選ぶかみたいな話を選定WGにお願いするのも少し考えな ければいけないのかということで、学会等の要望の結果にもよるのかもしれませんが、学会 等の要望が集まった段階で、場合によってはこの検討会自体を一度、間に挟んで、今後の処 理の仕方を検討会自体にもう一度ご議論願うことも必要なのかと。それは学会からの要望の 結果、場合によっては座長に一任していただいて、要望がある程度絞れているのであれば選 定WGに直ちに入ることもあると思いますし、100、200となると、事実上こなしきれないと ころがありますから、それは検討会をもう一度開いて、どういう形で進めるかを、最初から また議論を願うのも必要なのかといま感じている次第です。恐縮でございます。 ○笠貫委員 私の100、200という数が問題を混乱させたことをお詫びします。私が100、200 という例として挙げたのは、医療ニーズの捉え方はいろいろな意味を持っていて、例えば先 ほど改良という話が出て、あとは医療機器メーカーによっては、リードのちょっとした使い やすさの工夫がされています。そういうものを含めて、これも使いたい、あれも使いたいと いうものを全部出していくとなると、そういう数字として上がってくる可能性があるのでは ないかということです。  そういう中で、医療ニーズの高いもののところに少し絞り込んだ形で、学会に要望を出す のといまの医療の現場から、患者に対する医者のニーズを全部汲み取るという作業を、1度 国として実施してもいいのではないかという意味で、先ほど100、200というのを挙げました。 ここで議論するところにそれほどあるかというと、学会としては当然絞込みという作業をし てくるのだろうと思います。  そのとき、現場としてニーズがあるという問題と、いまお話の出たベンチャーという問題 と、それから先ほど室長からもお話がありましたどこの国で認可をされているかアメリカか、 ヨーロッパかという問題では、国の認可と民間の認可で違ってくると思うのです。その辺を どこまで求めたところで出してくるのか、そして、ニーズを出してくるときにその縛りも可 能だと思うのです。どのように学会要望を出すかによって、あるいは目的によって、この数 字は変わってくるのではないかという感じがします。 ○千葉委員 成育医療センターの千葉でございます。この医療機器というお話をする場合に は、これは全体的な傾向でしかないと思いますが、製薬メーカーに比べると、医療機器メー カーは、どちらかといえば会社の規模がそう大きくはないわけです。しかし、これは私もあ ちこちでお話させていただくことがありますが、我が国の医療機器の開発の技術は、世界的 にみて極めて高い、現在も高いと思っております。したがって、折角この検討会をされるの であれば、国内の医療機器を開発されるモチベーションを大きく上げることを重要な概念に 加えていただけないか、というのが私の第1の基本の考えです。  その観点から見たときに、比較的規模が小さい医療機器メーカーが、新しい医療機器をど んどん出せないでいるという現状は日本にはあると私は思います。その大きな要因の1つは、 やはり薬事審査です。先ほど室長がおっしゃったとおり、これは検討会を経たあと、必要に 応じて薬事審査もとおっしゃいましたので、これは名前のとおり薬のための審査で、必ずし も医療機器とマッチするものではない部分も、残念ながらあるかと思います。  したがって、その部分に関する検討、できる範囲の検討を同時に加えながら、つまり検討 会が終わったあと移行していくであろう審査の過程を、既に検討していく途中の中で、その 辺の対応もある程度考えながらいかなければ、折角ピンクの欄で終わった検討が、その次の ところでストップ、あるいは停滞しかねないと私は危惧しております。これが薬事の審査の 一部の部分でありますが、日本の比較的規模の小さい医療機器メーカーのモチベーションを 下げる原因の1つです。  もう1つは、これも大事なことですが、診断機器と治療機器を比べた場合に、これは日本 の大企業も含めてなのですが、診断機器は比較的、医療事故があっても、それは軽く済むけ れども、治療機器の場合には、何かあるとメーカーにすぐくるのではないかということがあ ります。これが大きく腰を引かせている原因になっていると私は信じております。したがっ て、そういうことも考えた場合には、例えばある一定期間、もちろんある最低の安全性を確 保された場合でしょうけれども、これは先ほど室長もおっしゃったとおり、施設の要件と言 いますが、施設を選んで、ライセンスを与えて、一定期間使ってみてもらうなど、そういう 方向も考えた上で検討会に入るという姿勢も必要かと思っております。  3番目に、循環器のようにたくさんの患者がおられる分野と違って、私の場合には、例え ばまだ妊娠しているお母さんのお腹の中にいる胎児に対して直接手術を行うという分野で、 ある意味では日本ではほとんどなされていない。しかし、それに対する医療機器は明らかに 必要であるということで、それをやっておりますが、その場合に各施設ごとに必ず問題とな るのは倫理委員会の問題です。したがって、未承認の医療機器ということで、倫理委員会と いう、これはもちろん必ずクリアしなければいけない重要なハードルでありますが、未承認 医療機器であるから倫理委員会で問題になって時間がかかるようなことは、なるべく避けて あげられるような配慮も、できればこの検討会からなされればよろしいのではないかと考え ております。大きく考えると、このようないくつかの問題があるのかと感じた次第です。 ○北村座長 大変大きな問題を千葉委員からおっしゃっていただいて、日本の医療機器のこ とを考えた検討会の心を忘れるなというご注文だったかと思いますが、経済課のほうから何 かありますか。この検討会の本来の目的から少し外れるかもしれませんが、もしご意見があ ればお願いします。 ○武田課長 直接の答えにならないかもしれませんが、医政局経済課のほうでは医療機器産 業の今後の国際競争力の強化という観点で、産業ビジョンの見直しも視野に入れて考えてい きたいと思っております。そういった観点は、私どものほうで忘れずに施策に活かしていき たいと思いますので、こちらはこちらで、医療ニーズの観点からご議論していただければあ りがたいのではないかと思います。 ○北村座長 3つ目について、私も千葉委員と同じようなことを思うのですが、オーファン 機器といいますか、オーファン・ドラッグという規定がありますね。開発しやすいような方 法が講じられておりますが、オーファン機器、特に非常に難病、希少病、あるいはいま胎児 の手術とおっしゃいましたが、そういったものに使う器具類を治験に持っていくのが非常に 難しいという場合、特にこういう流れに沿ってそれを考えていただくことは、やはり含めて いただきたいという気は私もするのです。オーファン機器の取扱いということで、医薬局、 何かご意見はありますか。 ○俵木室長 千葉委員からいくつかいただいた中で、オーファン機器の問題ですが、この検 討会で早期導入の必要性の高い機器として、例えばオーファン機器のようなものが上がって くることも考えられますが、先ほど千葉委員からもお話がありましたように、例えば一定期 間、使用の施設を限定するなどの市販後の対策も考えながら、必要なデータの範囲、また迅 速な審査を考えていくこともできるのではないかとしております。先ほど小さな会社が薬事 審査のハードルが高くて、データを取り揃えるのも難しくて、早期導入に持っていけないと いうお話もありましたが、早期導入するために、この検討会で優先的に早期導入を考えるべ きだとされたものについては、一つひとつ、どのようにすれば早期導入に持っていけるかと いうことを単純にレールに乗せるのではなくて、これについては市販後、こういう条件であ るとか、追加の試験であるとか、ああいうことを考えながら承認に持っていける。または国 内の治験が必要だとしても、どのぐらいの症例数を集めればいいかということは、個々の品 目について考えて、早期導入の必要性の高い、医療ニーズの高いものについては、個別にご 指摘いただいたような観点も含めて考えていきたいと考えております。また、その対応につ いては、先ほどもご説明させていただきましたように、進捗状況についてフィードバックを させていただきたいと考えております。  我が国の開発品の問題ですが、この検討会の観点から若干説明しますと、我が国で未承認 で、例えばアメリカなどで承認のある医療機器などの早期導入ということで説明をさせてい ただいたところです。早期導入を考えていく機器について、必ずしもアメリカでの承認がな ければ検討の対象にならないということではありません。優先的に検討すべき医療機器の種 類としては、アメリカ等で既に医療の現場で使われていることが条件として必要だと考えて おりますが、そういった種類の医療機器で、国内で開発が進んでいる、同じ機能を持った医 療機器が国内で開発が進んでいるという場合もあるかもしれませんので、そういった場合に は国内での医療実態、我が国の医療の現場を反映した開発が、より外国製品よりも進んでい る可能性もありますので、そういった場合には国内開発品であっても、もちろん検討の対象 になると考えております。  ですから、初めに学会のご要望を広く集めさせていただきますが、その中で我が国の医療 ニーズから考えて、早く導入すべきものの種類を選んでいただいたあと、個別の製品を選定 いただいた上で、個別の製品の抱えるいろいろな問題を勘案しながら、早期導入へつなげて いくということで、場合によってはいろいろ先生方にもご相談をさせていただくこともある かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○吉田(純)委員 私の専門は脳神経外科で、各種の頭蓋内病変の外科手術をしていますが、 私の領域でもやはり医療ニーズが高く、海外で使用されている医療機器で、早期導入してい ただきたい機器はたくさんあります。一方、先ほど千葉委員からご発言があったように、日 本における医療機器開発ということも念頭に置きながらこの事業を検討することが必要だ と思うのです。私も関与しておりますが、いま厚生労働省と経済産業省の合同で、日本の先 端医療器械開発の評価指標ガイドライン委員会という両省合同委員会があります。この委員 会ではまず5分野を選定し、国産の医療機器開発で迅速に進めようとしています。できれば、 この委員会とも連携をとって、当該事業を進めていただきたいと思っております。 ○中谷委員 いまの5分野のところの1つに、私も関与している補助人工心臓、あるいは人 工心臓がありまして、ここで気になったのは、日本と海外での承認作業が現在ちょうどコン ピートしたりしている。それについて、どう扱うのかということです。要するに、いま種類 ということでしたら、そういう補助人工心臓、あるいは人工心臓ということで、それが必要 である、海外で使われているとして検討できるかということです。そうすると、個別のもの ではなくて、そういうものすなわち補助人工心臓としての導入をどうするかという観点で、 この検討会として検討していく。その際国内のものも同じような土俵に立っているという認 識で、この検討会は進んでいくのかどうか、その辺がちょっと気になったのです。 ○俵木室長 いま先生がご指摘のとおり、第2回目のというか、選定WGのあとにお願いす る予定であります優先的に検討すべき医療機器の種類を決定していただくところは、例えば 埋め込み型の新型の人工心臓というものは種類、そういった種類の機器にはいくつもの製品 があるという状況があると事務局は考えております。それらについては、Webを経由して 公募して、関係の企業、国内導入を早期導入するためにご協力いただける企業から情報をい ただいて、そこにはいくつもの製品が出てきますし、その中には海外製品もあるし、国内製 品もあり得る。ご提供いただいた情報を基に、評価WGで優先的に国内への早期導入を実施 できる、実施実現可能性・妥当性を評価して、ここの検討会でご議論をいただくというよう に考えております。 ○梅田委員 私は現在、ここの図にも載っております医薬品医療機器総合機構(PMDA) で新規医薬品及び新規医療機器の開発に際し、どのように開発していったら良いかの筋道を 国の立場も踏まえ、客観的なアドバイスを行っております。医療機器では私の専門とする消 化器関係の機器、特に内視鏡機器に関し、早期に導入したいものが幾つかあります。その中 には非常にユニークで、臨床上是非我が国へ導入したい医療機器もあります。アメリカでは FDAが有用な機器を速やかに承認し、臨床に使用されていますが、そのような機器を日本 に早期に導入しようとするときに、日本のエージェントが小規模で不慣れなためにその対応 がお粗末で、なかなか進まない欠点があります。そのような場合、機器の開発に関し、積極 的にPMDAに相談し、その指導を受けた方が合理的かつ効率よく開発でき、早期に認可さ れる可能性が高いと思われます。そのような面での啓蒙をしていかなければいけないと思っ ております。 ○北村座長 このフローチャートの真ん中よりちょっと右よりの白い枠の中に、個別のPM DA、これは医薬品医療機器総合機構のことですが、相談を進めて迅速化を手助けにする。 (1)に書いてあるここが、この検討会の大きなポイントではなかろうかと私は認識しているの ですが、既存データの活用による申請を認めていこうと。これには制限がいろいろ加わって、 例えばいまは米国のFDAが承認しているものをしようということがあろうと思います。し かし、それではどうしても承認しがたいものについては、数を制限しても治験をお願いする という形。その辺の判断がこの検討会でも任されてくる大きなポイントであろうと思います。 とにかくスタートラインに立って、左端の学会の要望という形で、学会にどのようにそれを して、どのように取りまとめていくかということがスタートラインになるわけですが、これ は先ほど早速12月中にはまとめたいというお話がありました。これについて、担当の医政局 のほうから、何かご説明をお願いできますか。 ○新木課長 医政局の研究開発課長です。本日のご意見を踏まえて、早速、学会にお願いし て、できるだけ早く要望を出していただく。それを我々のほうで取りまとめて、検討会へ提 出したいと思っております。そういう意味では、これから我々は学会へ強くお願いしていき たいと思っております。 ○北村座長 どれだけの学会を含めるか、あるいはそれに優先順位を付けさせるのかなど、 そういう具体的なことまで決まっているのでしょうか。まだ、それはいまからでしょうか。 ○新木課長 学会としては、内科系、外科系、内保連・外保連等を通じて、各学会にお願い をしたいと思っております。その中での優先順位の付け方については、こちらでご議論をい ただくことになろうかと思いますので、必ずしも学会で1番から100番という形で付けると いうものではないと思っております。 ○北村座長 時間は、大体どのぐらいのタイムスケジュールでこの左端を。 ○新木委員 11月いっぱいまでには各学会から我々のほうに送っていただき、それを12月に 取りまとめるというタイムスケジュールでいま考えております。 ○土屋委員 基本的なことをお伺いします。このことはすごく重要だということで優先審査 が増えると、従来、審査をするキャパシティーが決まっていたときには、普通のものはどん どん遅れていくという話になりかねないのです。そういったところは、体制が出来てこない と、優先順位がついたものは確かに早く出るようになったけれど、そのほかのものは時間が かかってしまったということにもなりかねないので、そういった体制はどうなっているので しょうか。また、承認までの時間は、基本的なタイムクロックやステージによって違うとい う話は先ほど聞いたのですが、そういったところは現状、海外に比べて遅れのようなことが あるのかどうかお伺いしたいのです。 ○俵木室長 審査の体制についてですが、16年4月に医薬品医療機器総合機構が立ち上がり まして、それまでいくつかに分かれていた機器についての審査体制も1つになりました。治 験相談という新しい相談システムも入れましたし、審査担当者についても数を随分増やし、 工学系の審査官も大幅増員を図っていただきました。タイムクロック自体については、例え ば平成17年度の新医療機器についての審査側のタイムクロックとして、中央値で7.7カ月と、 タイムクロックとして規定されている12カ月を下回っております。ただ、土屋委員がおっし ゃるように、迅速に、速やかに審査をする品目が膨大な数に上れば、キャパシティーという 問題がもちろん出てきますので、私たちとしても適正な品目の考え方が必要だと思っており ますので、そこもご相談させていただきたいと思います。  また、定型的な審査ができるような確立した技術の医療機器については、大臣の承認が必 要なものについても、承認基準を作るとか、承認のためのガイダンスを作ることでで定型的 な審査に回していくといいますか、コースに乗せることにより、できるだけ審査官の負担を 減らしつつ、重要な医療機器に審査をシフトしていく。方向性としてはそういうことで進め させていただいております。  先ほど笠貫委員から、学会の要望を集めるときの諸外国での承認状況についてご質問があ りました。アメリカで承認を受けているのか、EUでの民間の第三者認承を受けているのか ということですが、例えばEUの第三者認承しか受けていなくて米国の承認がない場合に、 そういったものを排除するかというと、いまのところ排除するとは考えておりません。しか し、学会からご要望をいただく場合、アメリカでの承認がどうであるか、EUでの認承がど うであるかを正確に把握することは難しいのではないかと聞いております。主要な諸国、欧 米の臨床で一般的に使用されているという実態は先生方が把握されていることだと思いま すので、そういった事実があるものについて要望を上げていただければ、選定WGの作業の 中で、アメリカでの承認がどういう状況にあり、EUの承認がどういう状況にあるか確認し ていきたいと考えております。 ○笠貫委員 全体のところで確認したいのです。薬の場合には人種差で日本での臨床試験の 重みが非常に高いと認識するのですが、医療機器の場合には人種差はありません。そう考え たときに、医療機器を早期に導入したときのリスクはどこにあるかというと、どこの施設で 誰が行い、それをどう評価するかにあります。4頁のフローチャートでいきますと、適正使 用の確保というところまで含めたグランドデザインが必要だろうと思います。医療機器の特 異性からいきますと、この検討会は、適正使用の確保というところの評価まで含めるべきで はないかと思うのです。ニーズが高いがFDA許可はまだなく、EUの第三者認証はあると いう機器をもし日本で入れる場合には、施設基準を厳しくする、実施する医師を厳しくする、 そして、その評価を厳しくしてそれをフィードバックする、必ずしもFDAが認めたものだ けではなくするというときに、なおさらそこが大事になるのです。この検討会の枠組みはP MDAのところまでなのですが、医療機器の場合には市販後の評価のところまでが大事かと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○俵木室長 この検討会のピンクの枠を外れたところ以降は、薬事法に基づく申請者と審査 ということで審査フェーズに入っていくわけです。最終的な承認条件といいますか、市販後 どうするかについても審議会での審議に委ねることになり、笠貫委員にもご参加いただいて いるとおりです。評価WGで個別の製品について評価をいただく中で、評価いただく資料は Webを経由して公募してご提供いただいたものですので、ここについては必ずしも詳細な 性能試験や臨床試験のフルレポートなどが出てくるわけではないのです。そこで、例えばこ ういった機器については施設の限定についても考えることが必要である、というようなご提 案をもしいただけるものであれば、そういった提案を十分に活かして審査をしていくことが できるのではないかと考えます。 ○北村座長 私も、笠貫委員の意見は大変重要だと思うのですが、このフローチャートの右 端に書いてある適正使用の確保(施設要件・研修等)を決めることは、今どこの組織がやっ ているのですか。 ○俵木室長 最終的には承認行為の中で決めていく、審議会の医療機器の担当部会でご了解 をいただくようなことになると思います。ただ、ここに書いてあるように、関係学会のご協 力をいただいて、例えば施設のガイドラインまたは研修の要件、そういったもののガイドラ インを作っていただくとか、関係学会の先生方のご協力をいただいて検討していくことが適 切だと考えております。 ○北村座長 「適正使用の確保」の素案づくり的なものを、ピンクの枠の「早期導入の検討」 の枠の中のいちばん下に加えていただくことはできますか。施設基準や、それを使う医師が どのような研修を受けた人でないと、この機器の使用そのものに危険性を伴うという判断は、 絶対的にその導入を早くしてほしいという品種の決定と同時に重要なことだと思うのです。 ここの組織はお医者さんもたくさんおられますので、適正使用の確保の項目について、最低 条件はピンクの中からも意見出しをさせていただくという形の構造をとっていただくこと ができれば、笠貫委員の注文は解決し得るのではないかと思いますが。 ○俵木室長 わかりました。検討会でのご提案をいただければ、審査の中で反映していきた いと思います。 ○北村座長 最終的には分科会とか専門のところに行くのは理解しておりますけれども、そ の中で我々の考え方を示す1つの形でピンクの枠のところに書き足していただくことはで きますか。 ○俵木室長 わかりました。 ○笠貫委員 学会要望を医政局のほうで集めていただくということは、日本の臨床現場の医 師にとっても患者にとっても非常にいいチャンスなのですが、できるだけ幅広く取っていた だいたほうがいいという感じがいたします。そういう意味でどういうものを選ぶか。生命の 危機に関係するもの、代替品の無いもの、改良型だけのもの、国産機器に対して要望がある のか、あるいはオーファンであるかどうか等、日本の医療の現場でどういった医療機器のニ ーズが今あるのかという全体をつかんでいただき、そして、輸入品をどうするか、その導入 を早くするか、また、日本での医療機器の開発をどのようにしたらいいか、何が求められて いるか、あるいはオーファン機器がどれぐらいあるか等について情報が得られ、共有できる ことは大変意義のあることですので、是非広く集めていただきたいと思います。さらに、学 会、外保連、内保連とかという組織での順番づけはしないで、是非この選定WGで全体を見 た上で自由にプライオリティーを決めていただきたいということです。また、いろいろな角 度から議論していただくときに、必要な情報を含めて要望書を作って、各学会にできるだけ 広く出していただくのがよろしいと思いますので、お願いしたいと思います。 ○北村座長 ほかにご意見やご注文はありませんか。 ○渡辺委員 議論が少しずれるかもしれませんが、私は臨床検査のほうから出ていますので。 目的のところに、「国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断用医薬品」と書いてあ ります。これは医療機器が主だと思うのですが、感染症の新しい検査や遺伝子検査などは、 たぶん私のほう、体外診断薬に属すると思うのです。いまのは全部医療機器のお話ですし、 薬剤は別にあるというお話だったのですが、医薬品については、この場合、医療機器と全く 同じ形で流れを考えていけばいいのか、それとも少し違う部分があるのか、この辺をお聞か せいただきたいのです、ちょっと物が違うものですから。 ○俵木室長 体外診断用医薬品は医薬品ですが、私ども医療機器審査管理室で所管しており ますし、審査のフェーズについても、医薬品医療機器総合機構において、医療機器の審査部 で審査をしておりまして、名前は医薬品ですが、このフローについては医療機器と同じよう に進めていきたいと考えております。 ○北村座長 それでは、実際に今のように学会の要望を受けていただきまして、選定WGで その優先度や重要性の検討をして、数件ぐらい最優先させるべきものを選ぶ。そして、例え ば米国のような所での使用歴がすでにある、というようなものを既存のデータの活用によっ て申請を推奨していこうという流れにおいて、WGを私も是非つくりたいと思っております。 WGのメンバーについては、事務担当をしてくれる医薬食品局とも相談をして決めたいと思 います。選定WGがどういう作業をし、どういう考え方で進めていくかということで、北里 大学の佐藤助教授にそのWGの座長をお務め願えればと私は思っておりますが、いかがでし ょうか。   (異議なし) ○北村座長 資料4で説明がありましたが、各WGの専門家のほうは当方で選ばせていただ きたいと思っております。また、それぞれに必要な資料を入手する必要がありますが、例え ば開発企業の日本部の担当等から直接的にその委員に渡って「お願いいたします」という言 葉が入ると大変煩わしい。最近のConflict of Interestの問題にも関与いたしますので、す べて事務局を通して資料を請求していただくということがWG案にも書いてあります。また、 特にその機械の開発に関与した先生がWGに入っておられますと、やはりこれも問題があり ますので、そういう方々は自ら申し出ていただいて、その審査や検討には参加しないという ことで透明性を確保したいと考えております。それでは佐藤委員から、さしあたって資料5 に基づいてWGの進め方についてご説明いただきたいと思います。 ○佐藤委員 ご承認いただきました、北里大学医学部の佐藤です。私の専門は疫学及び保健 医療政策学です。この度この検討会を進めるに当たって、私のいままでの経験、知識に基づ いて若干の提案をさせていただきたいと思います。  資料5をご覧ください。先ほど来事務局から説明もありましたように、まずは数が多いも のですから、学会等の要望によって絞込みをさせていただきますが、その際、諸外国の承認 の取得状況等も含めて選定WGの作業に入らせていただこうと思っております。  二次情報収集については、先ほど来出ているような有用性の検討について、専門が各分野 にわたっておりますので、客観性を有するようなデータを選定WGで用意する。そして、こ のようなデータに基づいてデータリストをつくり、有用性、客観性データについてより具体 的な数値化をして、検討会における優先順位付けの資料としていただこうと考えております。  次の頁は優先順位付けに関わる因子をリストアップした案ですが、Aがスクリーニングと 言いましょうか、絞込みのための学会等からの要望、Bが他国での承認の有無、そしてCが 適応疾病の重篤性と医療上の有用性。これについては先ほど説明がありましたので省略させ ていただきますが、そのほかにDとして、導入により将来更にこのような新たな医療機器が 出てくるということも含めてここに挙げました。そのほか公平性、あるいは社会的なインパ クト(ニーズ)と書いてあります。さらに、医療上の有用性を考える上でデータを取り扱い ますが、データというのは必ずしも信頼できるものかどうかについては大小あるかと思いま すので、この辺も考慮しなければなりません。さらに、機器使用に対するスキルや特殊性、 こういったものも含めなければいけないと思っております。  次頁に移ります。先ほども議論の中で、重篤性と言ったときに、死んでしまう人が多いか ら重篤なのかというようなご議論もありました。英語で“disease burden(疾病負担)”とい う言葉が最近よく使われますが、重篤性を考える上で、そういった考え方からどのような指 標があるかを示しました。やはり死亡率というものが最初に出てきますが、医療費という観 点からも疾病負担を考える場合がございます。そのほか有病率(病気にかかっている人の割 合)や罹患率(病気になる人の割合)。さらに4番目として、ちょっと聞き慣れない言葉か もしれませんが、統合健康指標という言葉がございます。これは死亡だけではなく、生きて いる際の障害の大きさを加味した指標であり、DALY(Disability-adjusted Life Year(s))あるいはQALY(Quality-adjusted Life Year(s))が最近よく使われておりま す。  DALYについて若干説明させていただきます。この言葉は最近WHOでもよく使われて、 毎年の『世界保健白書』でもDALYによる数値が用いられています。それだけではなく、 世界中のいろいろな所で、疾病負担を表す統合健康指標としてDALYが使われているのが 現状です。因みに日本語では「障害調整生存年」と訳されております。  この図はDALYの概念を示したものですが、横軸が年齢、縦軸がパーセント、集団の中 でどのぐらいの人が残っているかを示したものです。  赤い曲線を見ていただきますと、生まれたばかりのときは当然100%の方が生きているわ けですが、生後間もなく死んでしまう人がいるということで曲線は下に下りてきます。そし て、若いうちはあまり死ぬ人がいないわけですが、60歳以降死ぬ方がどんどん増えて、最終 的に100歳に至るまでにはほとんどの人が亡くなる、という生存曲線を示したものです。一 方黄色い曲線は、完全な健康で残っている人の割合を示したものですが、当然死んだ人の割 合より下に来ます。では面積、部分で表すとどうなるかと言うと、赤い曲線の上のCは死ん でしまった人、Aは完全な健康でいる人、真ん中にはさまれたBの部分は、何らかの障害を 有しながら生きている人ということになるわけです。  集団の理想的な状態は、ある日100歳になったとき、その集団の全員が完全な健康で何も 障害を持たずに亡くなることです。すなわち、図でいうと、このほぼ正方形の面積が理想的 な状態なのですが、早期に死んでしまう人たちのために損失を受ける部分がCです。Bは、 生きてはいるのだが障害を持っており、そのために損失を受ける部分ということになります。 このCの部分をYLL(Years of Life Lost)、Bの部分をYLD(Years with life lived with disability)です。YLDの部分、つまり障害を持った人は、例えば完全な死を0、 完全な健康を1としますと、0から1の間で障害の程度に応じてさまざまな数字を持ちます。 これをそれぞれの障害を持つ人々の割合と掛け合わせてYLDを計算します。すなわちDA LYはC+Bの関数f(B)、障害の重みづけ係数は0〜1になります。先ほど議論の中で、 失明をしてしまうと限りなく死に近いということでしたが、例えば、両眼失明の場合は0.1 というようなことになるわけです。  次頁はDALYを使った例です。1999年の「New England Journal of Medicine」にNI Hの疾患別の研究費とDALYとの関連ということで出ていたグラフですが、疾患別のDA LYと縦軸、NIHの疾患別の研究費には緩やかな相関がある。例えば、直線から外れてい るエイズは、疾病負担の割に研究費が非常に高いのですが、これは先ほど申し上げた社会的 なインパクトが加味されていると考えたほうがよいかと思います。一方でPeptic ulcer(胃 潰瘍)は疾病負担のわりには研究費が少なく、今後これについて研究をする必要性はどうな のか。もう、ある程度治療が確立されているので低いのではないかと考察されるわけです。  次に、DALYを算出するには具体的にどういうデータが要るのかということですが、そ れは死亡に関するデータ及び、どのぐらいの人がどの程度の障害を負っているのかというこ とが分からなければなりませんので、2番目の疾患別、性、年齢階級別の罹患率、罹患して いる期間が分からなければいけない、病気ごとにどういった障害を有するのか、どの程度の 障害を有するのかに関して、それぞれの重み付け係数を有していなければならない、あるい は決定しなければならないということになります。  死亡率のデータに関しては我が国に非常にたくさんあるわけですが、非死亡のデータはあ まりないということで、我が国において疾患別のDALYを計算することは、現状では非常 に難しいということになっています。  次頁ですが、いま言った理由で、我が国のDALYを精密・精緻に計算するのは非常に難 しいので、簡便法を使って諸外国のデータを日本に当てはめて出した例です。データは1990 年のもので古いのですが、上が男性、下が女性、そして男性の上のほうがDALYの値、下 が疾患別の死亡数です。ご存じのように、循環器の悪性新生物が死亡数は非常に大きいので すが、DALYではなかなか死なない精神疾患がトップになってしまいます。これについて も、障害係数は先ほどの重み付けについて、諸外国のものをそのまま使っておりますので多 少議論の余地がありますが、こういった形になります。つまりDALYを使いますと、死亡 のみのデータではなく、生存している時の障害の大きさを加味することができるということ で昨今よく使われているのです。  最終頁に移ります。今回の選定WGの作業として、主にDALYを用いた重篤性について のデータを提供することを考えているわけですが、その際に、先ほど説明した図において推 定できること、つまりその医療機器を導入することによって、性や年齢別に死亡数がどのぐ らい減少し得るのか、さらに障害をどの程度軽減できるのかを、これまでのデータを用いて 推定しようということを考えているわけです。 ○北村座長 この理論を使って一つひとつ学会から出てきたものに当てはめていこうとい うことで、研究会になってきましたが、ご質問、ご意見等がございましたらお願いします。 ○田野委員 私が最初に申し上げた議論に戻るのですが、逆にこれをQALYで計算します と、感覚器疾患は非常に高いところに上がってきますが、DALYですと障害ということに なりますので、これが出てこないのです。これを暴言ととられて誤解されるといけないので すが、死を無くして100歳まで長寿を保つことが社会全体として大切かどうかという議論を 考えてみますと必ずしもそうではない。費用対効果あるいは社会に対する経済効果その他を 考えますと、DALYではなくQALYで考えないと、実際に厚生労働省として求める目標 には至らないと私は思うのです。確かに死というのは非常に重要ですがそれ以上の、例えば 高齢者が残されたところで、どれだけクォリティーの高い生活が送れるか、どれだけ社会に 貢献できるかということのほうがもっと重要ではないかという議論が必ずあると思うので す。ですから、その点も含めて今後お考えいただければと思うのです。 ○北村座長 佐藤委員、いかがですか。 ○佐藤委員 先ほどQALYの説明をしなかったのですが、DALYは Disability-adjusted、QALYはQuality-adjustedです。Quality-adjustedは主観的な値 です。それに基づいてこういう状態、例えば両眼失明の場合はこのぐらい大変なのだという ことを実際に数値化するわけですが、DALYはより客観性を持ったものです。客観性と言 うのはなかなか難しいのですが、疾病とその状態、これは当然両眼失明あるいは片眼失明も 入りますが、いろいろな状態について障害の重み付けをするということで、DALYでもQ ALYでも、生存している障害の状態あるいはいろいろな健康状態を加味するという点では 同じです。ですので、委員がご指摘のとおり、QALYとDALY両方を使って考えてみる というのも必要なのかもしれませんが、そんなに極端な差を生むとも思えないと考えており ます。 ○中垣課長 田野委員のご意見に対して先ほど俵木室長から、資料3の3頁、検討会におけ る対象医療機器等の選定の考え方のc)の(1)のイに記述があって、これで田野委員がご 指摘のところが読めると申し上げたのですが、一方では4頁の最初の「ニーズの把握」の「学 会等要望」のところには、生命に重大な影響のある疾患であることだけが書かれております。 逆に言うと、3頁のc)の(1)のアだけが書かれているがイは書かれていない。これは不 手際でございまして、3頁と4頁の最初のニーズの把握の学会等要望のところは合わせたい と考えておりますので、そういうことで論議を進めていただければと思います。 ○田野委員 私はその点に気付いておりました。私が申し上げたのは、例えば資料3の1頁 に「生命に重大な影響がある」とだけ書いてあるのです。それから、資料3の最後の頁で、 学会等の要望で、生命に重大な影響のある疾患であることと言うのは片落ちなのです。 ○中垣課長 すみません。資料3の4頁の最初の「学会等要望」のところだけ申し上げたの ですが、当然のことながら、資料3の1頁の1も、3頁のc)の(1)のアとイ、この両方 が読めるように両方とも変えさせていただきます。すなわち1頁の1の「学会等の要望の把 握」のところ、4頁目の最初の「学会等要望」の*については、3頁のc)の(1)のアと イが読めるような形で両方を変えるということでお願いをいたします。 ○北村座長 修正をよろしくお願いいたします。 ○四宮委員 私は整形外科ですが、いま田野委員がおっしゃったことに近い意見を持ってい ます。生命に関係がある疾患よりは、機能を扱う科の立場といたしましては、大変有効であ る機器、と書いていただきたいと思います。そのようにすれば、ここに出ていない生命に比 較的関係ない学会からも要求が出るのではないかと思うのです。そこで佐藤委員にお聞きし たいのですが、障害係数というのは何とでもなりませんか。両眼失明だったら死亡と一緒ぐ らいにするとか、世の中の情勢を見て臨機応変に何とでも変更できると思うのですが。  そこで佐藤委員にお聞きしたいのですが、障害係数というのは何とでもなります。両眼だ ったら死亡と一緒ぐらいにするとか、何とでもできると思うので、その辺はどうなのでしょ うか。 ○佐藤委員 障害調整係数については、WHOが現在使っている障害調整係数をそのまま用 いている場合が多いようです。それぞれの国において独自の障害調整係数を作成しようとい う動きもありますが、我が国ではいまのところありませんので、諸外国で一般に用いられて いる障害調整係数をそのまま、今回の場合は使わざるを得ないのではないかと考えておりま す。 ○田野委員 先ほど佐藤委員がDALYについては客観性が高いとおっしゃいましたが、Q ALYについてもエビデンスに基づいた、もちろん主観が主なのですが、それに非常に高い 客観性を持たせた判定法でQALYを計算していると私は理解しております。先ほど申し上 げましたが、そうなると、感覚器疾患は非常に高いところに来ます。  もっと端的に卑近なことを申し上げますと、例えば先生方が80歳になられて両眼失明して いたら、あとは生きていても仕方がないと、ほとんどの方がそう思われるのではないかと思 うのです。そうすると、そこでQALYが0に近づいてしまうのです。ですから、それは日 本全体の社会を考えたとき、あるいは対費用効果、経済効果などを考えますと、それは非常 に重要な指標で、私自身はDALYなどよりはるかに重要である。これは暴言に近いのです が、人は早く死んだほうが社会にとっていいという一面もございますので、その議論は加味 しないといけないのではないかと思います。 ○北村座長 もっともなことだと思いますので、佐藤WG長におかれましても、新しいメン バーとともに、田野委員の申されたようなところも加味して機種の選定をしていただく。100 出てくると、物理的にとても扱えない。数件ということになると、どこを入れるかというの は、もちろんこの検討会でも議論することになるわけですが、WGの選定委員会での仕事、 よろしくお願いいたします。そのほかにご質問等ございませんか。 ○千葉委員 佐藤委員のDALYについての説明は大変勉強になったのですが、私の専門と する医療から見て私自身違和感を覚えますのは、5頁の表は、生まれた後0歳0日から始ま っているわけです。ところが、おぎゃあと生まれたその日に障害が発生することはないわけ で、これは生まれるかなり前からあります。  法的にどうかという議論はあるかと思いますが、アメリカの現状を申し上げますと、脊髄 髄脈瘤、二分脊椎の手術を生まれる前、妊娠5〜6カ月の間にしてしまいますと、生まれた 後の医療費とQOLが相当変わることは、数百例の生まれる前の子どもの手術でわかってお ります。ですから、DALYを考えるときには、生まれる前の経過を加味した上で出生後の 経過を見るという視点も、今後は大事ではないかと思います。それは少子化のように我が国 に重篤な問題にも関連してくると思われますし、医療経済的にも、治療成績から言いまして も、こういった視点は今後おそらく重要になるだろうと私は思っております。現に1999年に NIHは、21世紀に入る前の見通しとしてどういう医療が一般的に広がるだろうかという見 通しを立てて、これは皆様ご存じかもしれませんが、2020年までには、生まれる前の子ども の診断及び治療が日常的、一般的な医療になるであろう、ということを明確に予想しており ます。また、単に予想するのではなく、そういう方向で国の医療機器あるいは治療技術の開 発にアメリカは乗り出す、ということを宣言した文章かと理解しております。したがって、 当面は当然ながらDALYの、生まれた後ということでいくのかと思いますが、そこには必 ず生まれる前の数カ月間にすでに始まっている病態が存在し、その病態の経過を何らかの形 で変えることが、実は生まれた後数十年の人生を医療費も含めて変えるのだという視点も何 とか加えていただければありがたいのです。 ○笠貫委員 いまの佐藤委員の疾病の重篤性と医療上の有用性の議論というのは、次のステ ップの問題ではないかと思います。最初は4〜5品目として11月にアンケートを取り、選定 WGや評価WGを通り、PMDAに行くという早期導入プロセスをまず行ってみるためには モデルケースが必要で、そのときにどういったモデルを選ぶかが1回目の選定WGのときに は大事ではないかと思うのです。そういう意味で、生命でもDALYでもいいのですが、そ こで代表的なものをいくつか選ぶ、FDAで認められているものを選ぶ、それからEUのみ で認められていて日本で治験をやらなければいけないというものを選ぶ、あるいは企業に問 題があるというものをどのように選ぶか、オーファン機器としてどういうものを入れるのか、 国産機器もあるものはどうするかといった、むしろ違った目的で機器を選んで、そのスピー ドはどういうふうにできるのか、そして、それぞれについて、こういうケースでは早期導入 のときにどういう問題があるかという問題抽出をしていくというのが最初の選定WGの機 器の選び方ではないかと思います。それができてくると、その次にたくさんの機器の要望が 出てきたときに、佐藤委員の疾病の重篤性と医療上の有用性ということから選んでいくとい う問題になってくると思うのです。いろいろなことを想定したモデルケースの中で、最初は 機器を選ぶということを是非選定WGのほうで考えながら選んでいただきたいと思うので すが、そういう考え方でよろしいのでしょうか。 ○中垣課長 いま笠貫委員からご提案のあった最初に選ぶものというのは、いくつかの典型 的なケース、例えばFDA承認のものからこれを選ぼう、あるいはEU認証でFDAでは承 認されていないものから1つ選ぼう、あるいは国内で盛んに行われていて欧米と肩を並べて いるものからも選ぼう、というような典型的なケースを選んだらどうだというご提案だった と思います。非常に示唆に富むご提案だと思いますし、我々も、実はそこまで気が回りませ んでした。  もう1つ考えなければいけないのは、例えばFDAで承認されたものから選ぶときに、医 療ニーズの大きさをいろいろな分野の中からどれを選ぶのか、というのが難問の1つなのだ ろうと考えております。佐藤委員からご提案のあった方法というのは、私の解釈が間違って いなければ、FDA承認品目の中から選ぶときの医療ニーズを測る1つの尺度であると思い ます。もちろん、これがすべてではなく、そういうものなのだろうと思いますが、それだけ でいいとも思いませんし、笠貫委員のご提案とマッチングさせたような形で進めるというの は1つの方法としてあるのかなと今感じているところです。 ○北村座長 いろいろなことが机上では考えられるわけですが、まずスタートを切って、そ れぞれの問題、難題が出てくる可能性は多分にあるわけですから、皆さんの英知で、この検 討会でどれを進め、どれを早くするかと。目的の1つは、早く医療ニーズの高いものを承認 していただくという形で、医薬局の薬事の問題、それからPMDAでの審査の問題、それぞ れの担当の係の専門家の方も委員に入っておられますし、いろいろな部分での遅れ、特に企 業側の遅れということも十分考えられるわけですが。最後にちょっと聞かせていただきたい のは、黄色の枠に入っている、Webで企業を公募するという項目がありますが、この企業 というのは、日本代理店を持った企業でないといけないのか、その辺りはいかがですか。つ まり、日本のほうは市場が狭くて扱えないといった場合、直接的に外国から購入しても、そ の機器は薬事承認し得るのかどうかですが、いかがですか。 ○俵木室長 この段階で情報提供いただける企業が日本法人でないと駄目、ということでは ないと思いますが、最終的には薬事法に基づく申請をしていただくことになりますので、そ の段階では、少なくとも日本側にそれを販売できる人がいる必要がありますので、ここの黄 色の段階でその人が見つかっていないということが、もしかしたらある。例えばアメリカの ベンチャーで、日本の相手が決まっていないという人がもしいたととすれば、その人を排除 するわけではありませんが、国内へ導入するには審査・承認という手続が必要なので、そこ をどうするかは個別のご相談になるのかもしれません。 ○北村座長 薬でも実際に、アメリカでは認められている薬が、日本は市場が狭いために、 日本の薬業界が取扱うことはできないと言っている薬剤もあるのです。ですから、そういっ たことは医療機器でも十分起こり得るのかと思いますが、それはそのときに考えなければ仕 方ない点は残るのかもしれません。 ○吉田(茂)座長代理 その点ですが、基本的には医師主導治験という道も残すのでしょう。 ですから、医師がいろいろな交渉をして機器を手配する。それで、医師主導で治験して、医 師が申請するという道も残っていれば何とかなるかと思うのです。北村座長がおっしゃるよ うに、機器メーカーというのは、薬と違って、ほとんど承認のインセンティブが働かないの です。この機械が売れれば何億も儲かるというようなことがないのです。かなり限定的にし か売れないというものが多いので、どうしてもお金をかけて申請するというインセンティブ が働かないと思うので、その辺も少し工夫したほうがいいのではないかと思います。 ○北村座長 その辺の工夫の点もまた考えていただきたいと思います。 ○千葉委員 資料4にあるとおり、これから座長がWGの専門家を指名されることになろう と思いますが、ある程度この検討会の中で心当たりがある場合にご推薦申し上げることにつ いて、可能性はありますか。 ○北村座長 この検討委員会で、是非こういう領域の方というのがございましたら推薦して いただければと思います。WGの人数の制限というのは特に書いてありませんし、やり方に よっては、どの医療機器を取り扱うことが必要かによって、それぞれの専門家を領域ごとで 使い分けさせていただく、そういうこともWGでは可能なのですか。それとも固定させてし まうのですか。人数は決まっていませんね。ですから今のように、例えば特殊な眼科の機器 が新しく出て網膜剥離には非常に役に立つので早く使うべきだというようなときには、その 専門の人たちも入れたいと思います。一方、人工心臓のようなものがあれば、その専門の方 も入れたいと思いますので、ある程度数が増えてよいのであれば、ストック制のような形で、 佐藤WG長とともに選任していただくということも可能でしょう。ですから、具体的には先 に候補の名前でもいただいたほうがいいのでしょうか。 ○俵木室長 学会からの要望の後、座長と相談させていただければと思います。 ○北村座長 それでは学会のほうの集計が出てきたときに応じて考えるということでよろ しいですね。時間が残り少なくなってまいりましたので、議論のまとめ的なものを事務局か らお願いし、また、次回の予定等についての連絡事項をお願いいたします。 ○俵木室長 本日は、資料3の「進め方」について基本的にご了解いただいたと理解してお りますが、学会からご要望いただく対象については、資料3の3頁のc)のア・イというこ とで正確に資料を作り直しておきたいと思います。  それから、承認後の適正使用確保の問題について、例えば施設限定の必要性など検討会に おいてもご提案をいただくということで、このフローの中にそういったことも入れて修正を 図りたいと思います。進め方について、いただいた修正点については、できるだけ早く、修 正を入れたものを委員の方々にご確認いただきたいと思います。また、議事録とともにWe bにも掲載したいと思います。  それから、選定WGと評価WGを設置し、作業に入るということでご了解をいただいたと ころです。そのメンバーについては、学会の要望の集まり方を踏まえて座長と相談させてい ただくことになると思います。  次回の検討会ですが、選定WGの作業をどう進めるかということで、学会のご要望を見つ つ、1回検討会を開くのか、選定WGの作業に入って、どの段階で検討会として集まってい ただくのか、北村座長と相談させていただければと思います。当初事務局が予定しておりま した、学会の要望をいただいた後選定WGでの作業をいただいて検討会を開催するというス ケジュールですと、おそらく、次回の検討会が1月の終わりか2月の頭ぐらいになるのでは ないかと想定しておりましたが、そこはぶれるかもしれませんので、それは学会の要望の集 まり方を見つつ相談させていただきたいと思います。 ○北村座長 最後にこれだけは言いたいというようなことがあれば伺いますが、よろしいで すか。それでは、早速第1回の検討会で踏まえたことで作業を開始していただきたいと思い ます。目標・目的は、先ほど局長が言われたとおりのことで、検討会一同よろしくお願いい たします。第1回の検討会をこれで終わらせていただきますが、ありがとうございました。