06/10/25 全国C型肝炎診療懇談会 第2回議事録 第2回全国C型肝炎診療懇談会 平成18年10月25日(水) 厚生労働省共用第7会議室  事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまより第2回全国C型肝炎診療懇談 会を開催いたします。委員の先生方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまし てまことにありがとうございました。なお、本日は廣瀬委員、村田委員は都合により御 欠席となっております。小俣委員は遅れて来るという御連絡が入ってございます。  それでは、議事に先立ちまして、本来であれば外口健康局長からごあいさつ申し上げ るところでございますが、本日国会の関係で呼ばれておりまして、かわりまして梅田疾 病対策課長よりごあいさつ申し上げます。  梅田課長 9月1日付で健康局疾病対策課長を拝命いたしました梅田と申します。本 来ですと健康局の外口局長がごあいさつ申し上げることになっていたんですけれども、 急遽国会用務で本日は参加することができませんので、かわりまして一言ごあいさつ申 し上げたいと思います。  委員の皆様方におかれましては大変お忙しいところ御参加くださいましてありがとう ございます。  肝炎対策につきましては、何よりも感染者の早期発見・早期治療の促進、並びに治療 水準の向上により、患者さんの健康保持・増進及び不安の解消を図ることが最も重要と 考えております。  こうした観点から厚生労働省では、受診者の利便性に配慮した検査体制の強化ですと か、専門医療機関とかかりつけ医が連携した地域における治療体制の構築等、総合的な 肝炎対策の一層の充実を図るべく、平成19年度概算要求において18年度の約1.5倍の 予算を要求させていただいているところでございます。  特に肝疾患の診療をめぐっては、かねてより地域偏在等の問題点等が指摘されてまい りましたけれども、診療体制の充実や治療水準の均てん化を図るべく、検討の場として 本年度よりこの全国C型肝炎診療懇談会が設けられ、委員の皆様方に御協力いただいて いるところでございます。  第2回となります本日の会議におきましては、当懇談会のもとに設けられた作業班に おいて作成いただいた、都道府県における肝疾患診療体制に関するガイドライン(案) をお諮りするという趣旨で開催させていただきました。林先生を初め、作業班の先生方 にはお忙しい中御尽力をいただき、ガイドライン(案)の作成に御尽力くださいました こと、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思います。  前回に引き続き、委員の皆様方の活発な御議論を期待し、ごあいさつとさせていただ きます。よろしくお願いいたします。  事務局 それでは、以降の進行を久道先生にお願いいたします。  久道座長 それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認、説明をお願いいた します。  正林調整官 それでは資料の確認です。資料は、都道府県における健診後肝疾患診療 体制に関するガイドライン。参考資料として、肝炎対策の一層の推進についてというこ とで、来年度の概算要求をまとめたものをつけてございます。  このまま説明に入らせていただいてよろしいでしょうか。  久道座長 どうぞ、お願いいたします。  正林調整官 それでは、都道府県における健診後肝疾患診療体制に関するガイドライ ン(案)について御説明したいと思います。この作成に当たっては、この懇談会のもと に作業班を設けまして、林委員に取りまとめ役をお願いして大変精力的に御議論いただ き、かつ、作業班のメンバーに分担執筆をお願いして、このガイドライン(案)ができ 上がったところです。今日はこの案について御議論いただいて、できればおまとめいた だければと思っております。  事前に送らせていただいて、御意見や御質問等もいただきました。説明に当たっては 一度お読みいただいているという前提で、詳しい説明は省略しながら、どんな御意見が 出たか、それに応じてどんな修正をしたかという点を中心に御説明したいと思います。  では1ページ、「はじめに」のところは、このガイドラインの趣旨です。都道府県で 肝炎診療協議会というものを立ち上げていただく予算もとっているわけですけれども、 協議会を開催するに当たってこのガイドラインを参考に活用していただきたいという趣 旨が書いてあります。今回のガイドラインはC型肝炎の懇談会ということでつくってい ますが、B型肝炎とC型肝炎というのはウイルスは違いますし、性格も異なるものです けど、診療体制ということでは共通するものも多いということで、B型肝炎の方も診療 体制についてはこのガイドラインを活用されたいということの記載がございます。  それでは中身に入ってまいります。要診療者に対する保健指導、ここではその方法、 内容、留意点、受診勧奨後の要診療者の状況把握についてといったことを記載してあり ます。この中で先生方にお配りしたバージョンとの違いですが、4ページの留意点のB の3行目に、「肝臓病教室や肝臓病相談会等を通じて」という文言をつけ加えておりま す。これは村田委員から、正しい知識の普及活動の実施例として、肝臓病専門医による 肝臓病教室や肝臓病相談会をあわせて実施するということを入れてみてはどうかという 御意見をいただきました。それから、西村委員からも、「肝臓病教室」という文言を入 れてほしいという御要望をいただきましたので、今回のバージョンではそれを反映すべ く、そういう文言も追加しております。  6ページ、肝疾患診療体制−かかりつけ医と専門医療機関との連携というタイトルで、 肝疾患における診療体制、要診療者に対する受診勧奨に際する留意点、肝疾患診療に関 する医療機関の情報収集と提供ということで、それぞれ記載がございます。ここでは、 かかりつけ医と専門医療機関との連携が大事ですということを強調しながら、そのため の留意点とか、情報収集・提供、インターネット、広報誌、ポスター等、さまざまな媒 体を活用しながら、しっかり住民に周知することが重要だということを記載してござい ます。  8ページ、肝疾患診療に関する医療機関に求められる役割及びその要件。ここでは、 かかりつけ医、肝疾患に関する専門医療機関、肝疾患診療連携拠点病院、それぞれの役 割とか機能、どういうところかということをそれぞれ記載してございます。小俣委員か ら、8ページの一番下にある、2次医療圏に1カ所以上存在することが望ましいが、肝 疾患に関する専門知識を有する医師の常勤施設ということが書いてあって、ここに例示 として日本肝臓学会や日本消化器病学会の専門医等としてありますが、ここに日本肝が ん研究会をつけ加えたらどうかという御意見が出ております。日本肝がん研究会という のは学会ではないということのようです。ここについては後ほど御議論いただければと 思います。  9ページ、肝疾患診療連携拠点病院(仮称)のところで、これは事務局からの提案で 追加させていただきたいと思っているのは、2パラグラフ目の、「これらの医療機関に おいては」の次に、「肝疾患に関する専門医療機関との連携を図りながら」という文言 を追加させていただいております。これは委員から意見があったというわけではなくて、 事務局として、こういった拠点病院というのは肝疾患に関する専門医療機関と連携を図 るというのが大変重要なことだと思いましたので、あえて追加させていただきました。 このことについても後ほど御議論いただければと思います。  10ページ、人材育成というところで、都道府県、市町村等が研修会を開催したり、講 演会を開催したり、あるいは肝疾患診療連携拠点病院が医療実施者や地域住民を対象と した研修会、講演会を開催するというようなことが書いてあって、こうした診療にかか わる人材育成についてまとめていただいております。  このほか、去る10月12日に都道府県感染症担当課長会議というものがございまして、 そこでもこのガイドライン(案)を配付させていただいて、何か御意見があったら下さ いということを伝えてありますが、特段このガイドラインについて修正をしてください というような意見がありませんでした。幾つかの点についての質問があったのみであり ました。  それから、西村委員からガイドライン全体について御意見があるということですので、 それについては後ほど御意見をいただければと思っております。  事務局からは以上です。  久道座長 概算要求の件はいいですか。  正林調整官 特に説明するつもりはなかったんですが。  久道座長 特にいいですか。  正林調整官 先ほど課長のあいさつで1.5倍の予算という文言がありましたので、そ れは一体どんなものかということがおわかりいただけるようにということで参考までに つけた資料であります。  久道座長 それでは、もし関連して質問があればお答えいただくということにします。  今説明いただきましたガイドライン(案)なんですが、既に皆さんには読んでいただ いていろいろ御意見をいただきましたので、今日はできればまとめたいと思います。項 目ごとに御意見をいただきたいと思います。その後、全体を振り返って改めてもう一度 御意見をいただくという手順でやりたいと思います。  1ページ、「はじめに」というのがありますが、これは御意見ございませんか。  西村委員 「はじめに」の部分ですけれども、今回のガイドラインについて総論的な ことなんですけれども、都道府県のガイドラインということで事細かに示されておりま して、このこと自体に反対とかそういうことじゃないんですけど、今後検討していただ きたいことということで何点かお話しさせていただきたいと思います。  一つは、都道府県診療協議会なりガイドラインという形で進められていくわけですけ れども、国として全体的にどういうふうに進んでいるのか。進まないところはどういう 点が問題なのかというような評価をする場をつくる必要があるのではないかと思いま す。といいますのは、10月12日の全国感染症主管課長会議の中で示された資料の中で、 これまでの都道府県別のウイルス健診の受診状況などについても示されているわけです けれども、埼玉県の半分以上の受診率のところから、47番目は9.4%ということで非常 にアンバランスになっているという問題がありますので、高いところはどういうふうに して高くしているのかということを、教訓として全都道府県に資料として示すべきでは ないかと。それができるかどうかという問題もありますし、地域の実状などもあると思 うんですけれども、そういう意味で、国として情報発信をしていく、それを準備する機 関が必要なのではないかということが一つあります。  それともう一つは、ウイルスが見つかったけども、要診療として診断されたものが医 療機関を受診しないことがあると書かれているわけですけれども、実際そのとおりで、 都市部ではいいんですけども、第1回の折にも広島の例を取り上げて、広島はフォロー アップ事業がきちっとつくり出されているという紹介がありましたけれども、その実態 が郡部ではどうなっているのかということをお聞きしたいと思うんですけれども、例え ば関西でしたら奈良県の吉野の方とか、割と不便なところから保健センターの健診で見 つかった高齢者の方が医療機関にかかって、週2、3回肝炎治療を受けてくださいと言 われても、そこへ行く手立てが週3回もないと。月1回行くのがやっとという状況の方 もおられると聞いていますし、大阪でも交通不便なところでは要治療者が専門医療機関 にかかりにくいという問題がありますから、そういう点をどうサポートしていくかとい うことも検討する必要があるのではないかと思います。  B型肝炎についてですが、基本的にはこれでいいと思うんですけれども、C型肝炎よ りもB型肝炎の方が治療方法の判断が難しくて、専門医の間でもいろいろな御意見があ ると言われております。抗ウイルス療法についてのガイドラインは確立されつつあるん ですけれども、肝がんの早期発見・治療、肝硬変の患者さんに対する栄養療法や運動療 法についてのガイドラインが未確立でありますし、患者会の方に相談があるのでも、む くみが出たり腹水がたまってから薬を出されるということですけど、栄養療法を専門に やってる先生方からは、アルブミンが3.5を下回ったらそういうものを用意すべきだと いう御意見もありまして、その辺が現場と専門の先生の間で違う場面がいっぱいあるん じゃないかなと思います。そういう場面も含めたガイドラインを準備していくべきだと 思いますので、そういう検討の場も設けてほしいと思います。  以上です。  久道座長 どうもありがとうございました。今のお話は、ガイドラインのここをどう 直してくれということよりも、むしろもっと大きな立場で、例えばこういう対策を行っ た場合の評価をする組織はどうなのかとか、そういうことだろうと思います。事務局か ら御意見をお願いします。  正林調整官 御指摘ありがとうございます。1点目の、国としての肝炎対策の方向性 を議論する場でありますけれども、参考資料を見ていただきたいんですが、肝炎対策の 一層の推進についてというところに、総合的な推進体制の強化というところがございま す。ここでは検査・治療・普及啓発に係る総合的な肝炎対策が推進されるよう、国にお いて全国肝炎対策懇談会を設置するとともにということで書いてございますが、今年度 はC型肝炎の懇談会ということで、この懇談会のノルマは今回のガイドラインづくりだ ったわけですけれども、来年度はBとかCとかいうことではなく、肝炎としてこうした 懇談会を設けて、今後の肝炎対策をどうしていったらいいかというようなことを御議論 いただくようなものを今予算要求中であります。そうしたところで先ほどのようなこと を議論していただくのかなと思っています。  それから、地域によって状況がさまざまで、特に専門医の配置であるとか、いただい た御意見では消化器科の受診体制の立て直しというようなことをいただいていたわけで すけれども、確かに、診療体制を充実するためにも専門医というものが重要であると思 っております。行政として何ができるのかというのはこれから考えてないといけないと 思いますが、きょうは学会をリードされているような先生方が何人かいらっしゃいます ので、林先生、小俣先生、宮村先生、日本全国の専門医をどうしていったらいいかとい うことをお考えいただくようなお立場の方にいろいろ御検討いただけたらと思います。  それから、ガイドラインについては、これまでも厚生労働省の研究費を活用していた だいて、さまざまな先生にさまざまなガイドラインをつくっていただいてまいりました。 今後もその研究費は続けていきたいと思っていますので、状況に応じて、あるいは必要 に応じてテーマをいろいろ考えながら、必要なガイドラインをつくっていただくべく研 究をしていただければと思っております。  久道座長 どうもありがとうございました。先ほど広島の例が出ましたけれども、何 か御意見ありますか。  迫井委員 アクセスの問題は非常に重要な話で、広島は日本の縮図のようなところが ございまして、都市部ではかなりのアクセスがあるんですが、医師確保の問題でも象徴 されるようなこともございますので、今回こういったガイドラインをまとめられる一つ の理由は、私の理解では、各都道府県がそれぞれの実状を踏まえてどういったことに留 意すべきかということでまとめられていると思いますので、大前提は各都道府県がアク セスについては課題を抱えておりますので、そういったことを念頭に各自治体が工夫し ていくということに尽きるのかなと思っています。ちなみに広島県の場合は、全体で協 議会があるのに加えて、県全体を7つの地域に分けてさらにフォローアップするような システムが確立されていますので、そういった点では多少工夫がされていると、若干宣 伝になりますが、申し上げておきます。  久道座長 どうもありがとうございました。「はじめに」のところはこの形でよろし いでしょうか。  それでは次の目次、これはよろしいですね。  3ページ、要診療者に対する保健指導という項目、5ページまでわたっておりますが、 この範囲で御意見ございませんでしょうか。  西村委員 患者支援ということなんですけれども、糖尿病療養指導士のような例を肝 炎についても、栄養療法とか運動療法とか、インターフェロンの副作用だとか、そうい う支援も必要だろうと思います。看護師さん、栄養士さん、お医者さんと一緒に仕事を される方々にも専門的な勉強をしていただいて、そういう指導にかかわれるような体制 をつくっていただけたらなと思っております。がん対策の方でも、抗がん剤の専門薬剤 師さんとか、がん治療専門のナースを配置するというようなことも検討されております ので、肝炎についても医療従事者の専門性を高めていただいて患者支援に生かしていた だく体制をとっていただけたらなと思っております。  久道座長 これは人材育成のところにもかかわる話ですね。糖尿病療養指導士のよう な専門知識を持った方をつくれとか。いかがでしょうか。  林委員 西村委員のおっしゃるとおりです。そういう趣旨で、専門医療機関では看護 師、保健師の肝炎あるいは肝がんに対する知識の啓発を図ろうということで、何カ所か 書かせていただいています。  それから、先ほどの御質問でガイドラインの件ですけれども、肝がんについては厚生 労働省の班会議で幕内先生におつくりいただきました肝がんのガイドラインを肝臓学会 の方で引き継ぎまして、近々ホームページにバージョンアップしたものを掲載すること にしておりますので、それを活用していただければと思います。肝硬変については、消 化器病学会の方でガイドラインを作成中でございますので、できましたらそれを御活用 いただければと思います。  久道座長 西村委員からは、今何か文言を加えてどうこうということではないですね。  西村委員 今後の問題です。  久道座長 今後も問題ですよね。ほかに御意見ございませんでしょうか。  委員の方から御意見はいただいたんですよね。  正林調整官 はい。4ページの留意点のところで、「肝臓病教室や肝臓病相談会等を 通じて」という文言を加えていますので、これを追加してよろしいかどうか御議論いた だければと思います。  久道座長 これは村田委員から提案されたことを事務局の方で加えた文です。これは よろしいでしょうね。特に問題ないと思いますし、よろしいですか。  小俣委員 今の日本の医療体制の中での肝臓病の専門医の数というのは、世界的に見 ると非常に多いんですね。肝臓学会員が1万人で人口が1億2000万というのは圧倒的な 数なんです。専門医の先生方、肝臓学会に来られている先生方は非常に御熱心に専門的 な知識を身につけていらっしゃるというのは間違いないと思います。ただ、今の西村委 員の御指摘のように、それがどういう形で流布されているかという点に問題点があると 思います。確かにガイドライン等もたくさん出てるんですけれども、もう少しわかりや すくて、例えば外来で患者さんに御説明するときに使えるような感じの、C型肝炎の自 然史はこうであるとか、その中で医療機関はこうやらなくてはいけないという部分がち ょっと欠けてると思うんです。  ガイドラインの多くは非常にハードなエビデンスに基づいたところも求められていま すね。文献的に発表されていて、そのクオリティが検証されているものから、エキスパ ートオピニオンまでが非常に差があるんですね。それがガイドラインとしてなされたと きに、果たして患者さんにとれだけ役に立ってるのか。専門医の数、多数のガイドライ ン、でも患者さん側からは御不満が残りそうだ。外来の診察でやるような御説明をする ようなパンフレットとかそういうのをつくられたらどうか。  それからもう一つは、コメディカルの方々に知識普及をしていただけたらと思うんで すが、一方多くの学会はコメディカルの方が積極的に入っていただいてるんですね。我 々の学会は非常に技術的、専門的なところなので、余りそういう方の参加がないんです ね。そういう方々に来ていただくと、患者さんと専門家の間のブリッジ的な役割を果た してもらえるんじゃないかなというふうに思っております。  久道座長 実際に外来臨床で役に立つ、わかりやすいような説明というのは実際はで きてますよね。そういう意味じゃないんですか。  小俣委員 できてるんですけど、例えばこの方は5年間で発がんの率が0.5〜8%ま でと差がある。8%といいますと5年間で40%がんになる方と、20年追ってもがんにな らない方というのを我々は一生懸命区分けしながら医療行為をやっているわけです。そ の辺の具体性がないわけです。C型肝炎はがんになるというんですが、患者さんを拝見 しますと、日常臨床の情報だけでテーラーメイド医療が既に可能なんです。特に日本は C型肝炎の自然史に関しては世界をリードする情報を皆さん出されていますので、それ が本当にそしゃくされて患者さんに伝わってるのかなという感じがするんです。一方、 Bは意見が分かれるというのは、特にアジアではB型肝炎が多くて、アジアの専門家の 間でも分かれるというような非常に微妙なところがございます。ですから、微妙なとこ ろは微妙で総論的でいいんですが、C型の各論の部分でまだまだ不十分だなと思います けど。  久道座長 何か御意見ございませんか。このガイドラインは都道府県でどうするかと いうガイドラインですよね。ですから、小俣先生の御意見は、このガイドラインそのも のをそのように直すのではなくて、参考資料のような形でできないかという……そうい うことでもないんですか。  小俣委員 例えば図を一つ入れれば患者さんに極めてわかりやすい、C型肝炎発がん へのプロセスもわかりますし、特にコメディカルの方に御理解いただくためにはそうい う資料が必要なんじゃないでしょうか。C型肝炎は症状が出ないから、がんになりやす いから、定期的に受けなさいと言いますけど、一体患者さんはどのくらいの頻度で、ど こに何を検査に行ったらいいのか。そのときにその患者さんに対して先生が言われたこ との、何を注意すればいいのか。お酒はどうなのかとか、かなり具体的な指導が現場で はされてると思うんです。ですからパンフレット的なものは多く流布してるんですが、 C型肝炎に対する理解というのがまだまだ十分じゃない。かなりエビデンスが出ている のに、それをそしゃくする形で患者さんに流れていないと感じるんです。C型肝炎対策 は、治療とかスクリーニングとか、世界的に見ても高齢化と疾病の進展というかなり瀬 戸際まで来ているので、総論的なパンフレットもいいんですけど、もう一歩踏み込んだ 各論的なパンフレットをつくっていただきたいと思う。  正林調整官 パンフレットとかリーフレットの予算は今年度もありまして、今作成中 であります。非常に難しいのは、余り簡単ではまずいわけですね。  小俣委員 エビデンスがあったり、先生方は皆さん大体コンセンサスが得られるとこ ろはかなり明確に数字を出してもいいと思うんです。一方で、血小板の数を見てトラン スアミナーゼが正常なものでも治療したらどうかというのは、かなり踏み込んでますよ ね。片方でそういう踏み込んだものがかなりあるわけなので。お役所の出されるガイド ラインは非常にジェネラルで間違いはないんですけど、各論の点でもう少し踏み込んで 具体的に出したらどうかなというのが僕の意見なんです。  林委員 小俣先生がおっしゃっているのは、陽性者がわかったときに都道府県で看護 師さんなんかが説明する場合に使うときに、患者さんがわかりやすいものがあったら患 者さん側も理解しやすいということで、今までつくっているリーフレットは少し難しい 面が多いと私も感じます。そういう資料を都道府県単位でつくっていただくのもいいん ですけど、国レベルでおつくりいただくと、都道府県ではそれを利用しやすいのではな いかという気はします。  小俣委員 ですから、今までの繰り返しではなくて、今まで御努力されているのはす ばらしいと思うんですね。ただ、まだ御不満が残るという理由は何にあるのか。その辺 をつかんでこういうものをつくられたらいいと思うんです。  それから、都道府県単位というのがよくわからないんですけど、それは財政措置とか そういうのを全部都道府県にお願いするということですか。それとも国がある程度責任 を持ってやるということですか。  正林調整官 国もつくる予算はとってありますし、都道府県がつくる予算もとってあ ります。まずとにかく国の方でつくろうと思っていまして、今案をつくりつつあります。 もしあれでしたら先生に一回見ていただくのが一番いいかなと思いましたけど。  小俣委員 これからの御議論は、自治体がどこまで決められて、国がどこまで決めら れるかということも、地方という非常に重要な問題がありますので、多分それの帰結す るところは、その自治体の持っている予算的な能力とかそういうことに依存しない形で この対策ができるのか、そこにかなり依存するのか、そこから派生することとして、知 識普及のための材料の普遍性があるのかないのか、その辺をちょっと教えていただきた いんですけど。  正林調整官 非常に難しい質問でしたけど、実際に住民と接するのは地方自治体だと 思いますので、主体的には地方自治体が主体でリーフレットなりポスターなりをつくっ て、一般の国民に説明していくということだと思うんですが、国の役割としては、きょ うお集まりのような英知を結集できるような形がとれますので、さまざまな専門家の先 生にすぐ相談してリーフレットなり何なりをつくることが可能ですので、まず国でモデ ル的なものをつくってみて、都道府県にそれをお配りし、都道府県はそれを参考にしな がら地域の実状に合ったようなものをつくられるという形になるかと思いますけど。  久道座長 イメージがわいてきたんですけど、厚生科学審議会の健康増進栄養部会の 中でメタボリックシンドロームの予防とか治療に関するガイドラインをつくっていまし て、これはまさしくこんな厚い、具体的な食事の絵もかいたり、運動するときにはこう いうふうにやるとか、小俣先生がおっしゃるのは、これだけではよくわからないからと いうことを指摘されて、ちゃんとつくりなさいということだと思うんですね。ここには、 下記の内容が含まれた媒体、パンフレット等を用いてということで項目が書いてありま すよね。つくれとは書いてあるけどつくってはいないわけですね。いずれはそれをしな くちゃいけないんだろうと思います。そして国の考え方を都道府県にも提示してという イメージを持ったんですが、そういうことなんですよね、小俣先生がおっしゃるのは。  小俣委員 要するに言いたいのは、ある患者さんが来ますね。そうすると、大学です ので御専門の先生が既に診られても来られることもありますし、飛び込みで来られるこ ともあるんですけど、その患者さんと15分過ごすとそのC型肝炎に関する知識を非常に 素早く理解していただけて、非常に頼もしい限りなんです。帰っていくときは我々専門 家以上に詳しくなって帰っていくという現場をいろいろ見ているわけです。それはどう いう知識とどういう会話が行われていたかというと、できるだけ患者さんにわかりやす いけども、しかしそこには最新のニュースが何らかの形で織り込まれているわけです。 一方、お役所の出すものというのは、公平で、比較的インダイレクトで、後で問題が起 こらないような文面が多くて、それを読み終わった後に患者さんは納得して帰っていた だいているのかという感じがするわけです。  久道座長 小俣先生に御指導いただいてつくるという方向でよろしいんじゃないでし ょうか。  小俣委員 ほかの専門の先生方がどうお感じなのか、国が出すパンフレットというと 私はそんな感じがして一言言わせていただいたんですけど。  久道座長 宮村先生、何か御意見ございますか。  宮村委員 そういうことに踏み込んで、ここに書かれている内容の@〜Gまでのこと が必要にして漏れなく、かつ、くどくなく、わかりやすく書かれていればよろしいんじ ゃないかと思います。小俣先生に伺いたいのは、この@〜Gまでに具体的に、こういう ところに注意した方がいいとか、これは必要ないとか、そういうことがあったらお教え 下さい。  小俣委員 まさしく今言われたことで、これは漏れがなくてお役所的でいいんですが、 これを何度読んでも私はよくわからない。漏れもないです。完璧です。ですからこれを 逐次やっていくと思うんですね。でも、具体的な各論に踏み込んだときに、Aという患 者さんが発がんするリスクはどうであって、それをGOT、GPTをどのくらい上げた らこうであったというのは、林先生も八橋先生もみんな持っていらっしゃるんです。最 近では、体重をどうしたらどうなるというのもみんな出てるわけです。C型肝炎はがん になるからという以上のメッセージが織り込めるはずなんですね。それをできるだけわ かりやすく書いて、もしそれが多少の不確定要素があれば、それはコメ印をつけて、こ こはまだ学会で議論があるとか、この薬剤は外国では認可されてるけど日本では認可さ れてないとか、私はいろんな情報がまだまだ提供できるんじゃないかと思います。  久道座長 それでは、逆に小俣先生が強調されているところを留意点に加えるとか、 実際にやるときにはこういう具体的なやり方でとか、そういう文言があればこの留意点 あたりに加えると、それでどうですか。@〜Gに漏れはないと。かといって具体的にこ こでやるわけにいかないということなので、これはこれでよろしいんじゃないかと思う んですが。そこまでいいですか。この懇談会の先生の発言が議事録として残っていて、 国もその意見に添った形で専門の先生方に相談しながらいろんなものをつくっていくと いうことで、よろしいですよね。  それでは時間の関係もありますが、いかがでしょうか。保健指導に関するところなん ですが。ほかに御意見ございませんか。  西村委員 4ページの留意点のA、要診療者の疑問・不安について丁寧に対応すると あるんですけれども、患者さんが多過ぎて物理的に対応できないということをよく聞く んです。地域保健センターなどにウイルスが見つかったと言われたということで、いろ いろ聞いても担当の方がよく理解していなくて具体的な説明を受けられないという問題 で、そういう相談が患者会には時々ございます。その辺をどうしていくかということが 今後の問題として大切なんじゃないか。特に地域保健センターと保健所のあたりの業務 がたくさんあり過ぎて、このことに十分精通できるかどうかという問題が懸念されるん ですけども。  久道座長 これは当たり前の話だね。丁寧に対応するというのは。人が足りなければ なかなか丁寧にはできないという現実があることも確かなんでしょ。そのことをおっし ゃってると思うんですが。かといってこの文言を省く必要はないね。丁寧に対応しても らわないと。何か具体的に入れるということでもないんですか。  西村委員 相談を受けて、保健センターにもお尋ねして、担当の方に話を聞くんです けど、事務的にはきっちりやっておられるんです。陽性者には地域の専門医療機関のリ ストを渡して、ここを受診しなさいということまではやっておられるんですけど、患者 さんが高齢者になってるから独力でその医療機関に行けない。例えばだんなさんに送っ てもらわないといけないとか、息子さんに送ってもらわないといけないという問題が出 てきたときに、介助者がいないために医療機関を利用できないというときに、それで保 健センターとかそういうところに相談したら、介護保険へのお手伝いとか、そういうサ ービスまで対応してもらえないという問題があったんです。  正林調整官 大変重要な御指摘だと思います。市町村保健センターとか保健所のスタ ッフがしっかりとした知識を持つことが重要かなと。その意味では、関係が深いのは人 材育成のあたりかなと思うんですけれども、担当の方向けの研修会、これは国でも開催 しようと思っていますが、例えば相談の応じ方とか、知識を持っていただくことも重要 ですので、そうした研修の機会をもっとふやして、しっかりとした知識、しっかり対応 できるような能力、そういうものを身につけていただいて、こういった疑問・不安につ いて丁寧に対応することができるのかなと思います。  小俣委員 肝臓病の対応というのは、かっては食後2時間休みなさいとか、余り運動 をしないようにということだったんですが、実はそれはアルコール性肝障害とか、いわ ゆる生活習慣病的な時代の話でして、B型肝炎が1960年に見つかって、C型肝炎が1989 年に発見されて、がらっと変わってしまったんですね。C型肝炎は発見されてまだ10 数年ですけど治療法もどんどん進歩してますし、肝臓病に対する対応というのが生活習 慣病的発想ではなくて感染症としての対応ということで、例えばこういう事例があるん です。食後2時間休みなさいと言われたものですから、日本の方はまじめですので朝4 時ごろ起きて仕事に行って、朝4時に仕事に出かけると、ある意味かえって体を壊して しまうと思うんですね。多くの教科書が欧米から輸入されて、そういうものに対する療 養の仕方が喧伝され過ぎたんですね。一方ウイルスというのが発見されてみると、療養 しなさいと言われると患者さんは考えちゃうんですね。サイコロジカルにそうなると体 の中のいろんなホルモンはネガティブに働くかもしれない。そうするとかえってウイル スが増殖するかもしれない。ですから、その辺のパラダイムが変わってしまったという ところがまだまだ流布されていなくて、かつ、自然史もC型肝炎という病因がはっきり わかったものは、どなたが研究なさっても同じようなデータが出てくる。パラダイムが 完全に変わってるというところをある程度理解していただくようなチャンスが、我々専 門家と一般の方の間で、コメディカルの方とか、保健所の方とか、そういうところでさ れると非常に効率よくなるんじゃないかなという印象を受けました。実際私も、足立区 とか江東区とかの保健所に行って話をさせていただくんですけども、確かにお忙しいん ですよね、現場の方は。糖尿病もあれば高血圧もありますし、C型肝炎だけではないわ けですから。ただし、わかりやすくなった肝臓病は、そういうチャンスさえあれば我々 はいつでも出ていきますし、お手伝いをさせていただく。実際、地元の患者さんという のは保健所から来る患者さんが結構いらっしゃるんですね。特に足立の方はそういう患 者さんが非常に多いです。一つのポイントは、保健所に肝臓学会の専門医とか肝がん研 究会の方が行ってお話をするチャンスをもうちょっとふやすと、もう少し違った意味の、 丁寧とかそういう問題以外のサービスができるのかなとも思うんですが。  久道座長 今の話は人材育成のあたりとも関連することだと思うんですが、いかがで しょうか。ほかにこの第1項目に対して御意見がなければ、次に移って、また何かあっ たら戻りますので、そのときにまた御意見をいただければと思います。  6ページから7ページにかけて、肝疾患診療体制−かかりつけ医と専門医療機関との 連携ということで、ここはいかがでしょうか。飯沼委員、何かございますか。  飯沼委員 ここはよく書けてると思います。  久道座長 ほかにございませんでしょうか。  西村委員 私は大阪の南部の方の市に住んでるんですけど、7月号の広報に2ページ、 市立病院のことがいつも紹介されているんです。7月から当分の間、消化器内科を休診 しますと。市立病院では、医師不足の中、市民の皆さん云々と書いてあって、これは専 門医療機関に指定されているところなんです。病院に聞いても、しばらくというのはい つまでなのか、2〜3カ月ですかと聞いたら、今年度はなかなか手当てできない可能性 があるということで、近隣の市やいろんなところへ応援を求めているところですという お話で、具体的になってないんですね。最近マスコミでも取り上げられて、肝臓だけじ ゃないですけども、いろんなところで医師不足で、地域の基幹病院が診療科を休診やら 閉鎖するという事態が多くなってきているので、これは国の方でガイドラインをつくら れる以上、その対策、医師の確保、配置の問題について根本的に検討していただく必要 があるのではないかと思うんですけれども。  久道座長 今の意見は全くそのとおりで、地域偏在、診療科偏在、ただ、病気によっ てどっちが優先度が高いかということはなかなか言えないんだろうと思うんですが、現 実はそうなってますよね。今回のガイドラインをつくるに当たって、今の医師不足をど うするかという話をこれに入れるということはちょっと問題が違うだろうと思うんです が、西村委員はそういう意見をこの場でも一応言っておきたいということなんでしょ。 このガイドラインにその問題を……  西村委員 といいますか、都道府県にガイドラインを示したところで専門医がいなけ ればその地域ではかかりようがない。  久道座長 それは何でもそうですよね。産科にしろ、小児科にしろ。  西村委員 ガイドラインをつくっても医療機関がなければ何もならない。  久道座長 それは両面ですね。片方だけじゃできない。片方がつくったら、もう片方 の問題を意識してもう一つの対策を考えていかざるを得ない、これは当然ですね。  西村委員 事務局の方で関係部局と相談して御努力いただくしかないと思います。  小俣委員 例えばこういう事例があったんですね。保健所に話しに行った帰りに、東 大病院に患者さんを送ろうとしたら、東京都の方では東大病院は専門医のリストに載っ てないと言われたんです。単純なミステイクかなと思って都に電話したら、書類を書く 数が一定ないとだめだということなんですね。今のお話を聞いてると、せっかく資源も あって人もいるんですけど、ちょっとお役所的に処理されていて、申請書の数が何枚か ないとだめというところもあると思うんですね。学会等と連携して、そういう先生がい らっしゃるところはこれだけあるというようなチェックだけはしていただいてもよろし いんじゃないかと思うんですけど。  久道座長 ただ、西村委員が言ったのはそういう問題じゃなくて、本当に足りないと いう現実が地域の中核病院でもあるということですよね。  小俣委員 林先生、いかがですかね。肝臓の専門医は……  林委員 西村委員のおっしゃるとおりでありまして、大阪でも肝疾患は南の方に多い んですけど、特に和歌山の近辺の専門医が足りないというのはそのとおりです。大阪南 部の専門医の数が足りないということについては西村委員のおっしゃるとおりだと思い ます。ただ、その対策はなかなか難しい問題なので、どうすればいいのか私もすぐお答 えできません。非常に難しい問題だと思います。  迫井委員 御議論いただいているところはすごく大事ですが、私の立場は、これを受 けて宿題としてやっていくものでもございますので、なかなか悩ましいポイントを御指 摘いただいているように思うんです。全般に思うんですが、冒頭のアクセスの問題の御 指摘もありましたし、医師確保の問題も現実のものとして、東京とか大阪は別かもしれ ませんが、基本的にどの道府県も悩んでいることで、これを事務局がどうまとめられる かにもよるんですが、この内容を実際に都道府県が取り組むときに、全般的に留意すべ き事項として、専門医の確保に留意するとか、地域のアクセスの問題を踏まえて、現実 のものとなるようなガイドラインの実施なり導入なりに留意するとか、そういった留意 点みたいなものをまとめていただければ、各都道府県が取り組むときに、単純にこの紙 をそのまま使うとかそういうことではなしに、特に留意すべき点というのをメッセージ として出されれば、受け手の都道府県の立場としては特にそこに目が行くんじゃないか なと思います。  久道座長 今のは最後に入れてもいいですよね。これは最後の人材育成のところで終 わるわけじゃないでしょ。  正林調整官 もしきょうこれをおまとめいただければ、これは都道府県に配付します。 その際は事務連絡のような形で配付しますので、そこに何か文言を加えながら各都道府 県に配付することになりますが、そのときに今のようなことを考えながら。ただ、なか なか都道府県に専門医の確保に留意しろといっても多分難しいと思いますので、文言は こちらの方で考えます。  それから、先ほど来出ている医師の不足、地域偏在等、主に担当しているのは医政局 というところなんですけど、きょうのような議論があったことは伝えたいと思います。 また、最近はマスコミで毎日のように医師不足、医師の地域偏在をさんざんやってます し、この前もNHKで特集を組んでやってましたので、医政局もこういった問題は重々 承知しているとは思います。  一つ感じたのは、診療科の偏在ということ、あるいは医師全体の数がどうとかいうの は確かに医政局があれするんですけど、専門医の数がどうとか、地域偏在がというと、 これは主に専門医というのは学会が出しているものですので、やはり学会が主体となっ ていろいろお考えいただく問題かなとは感じています。  小俣委員 必ずしも学会医であるから専門医であるということはないと思うんです ね。地域でも本当によく患者さんを診ていらして、しかもいろんな講演会に出られてい る方の肝臓に対する知識の豊かさというのは、この15年間非常に目覚ましいものがある と思うんですね。偏在というのは、極端に難しい手術ができるとか、一般の外来診療で できないような高度な技術というのは偏在の可能性があると思うんですが、肝炎の患者 さんをある程度の知識を持って診られる方というのはそんなに偏在してないというのが 私の認識です。一方では、国が行われたスクリーニングの患者さんが専門的な医療を受 けてないんじゃないかという御議論があるのも承知しています。ただ、一般的に日本で 開業されている先生方、アクセスということはありましたけど、何をスケールに考える かですけど、諸外国から比べたら非常にレベルが高いなと私は思ってますけど。  久道座長 それでは議事を進めます。かかりつけ医と専門医療機関との連携について はいかがでしょうか。よろしければ御理解いただいたことにさせていただきます。  それでは3番目、8ページから9ページにかけて、肝疾患診療に関する医療機関に求 められる役割及びその要件という項目ですが、ここについては、8ページの一番下、肝 疾患に関する専門知識を有する医師(日本肝臓学会や日本消化器病学会の専門医等)の ところで、事前の御意見として小俣先生から、ここに日本肝がん研究会もどうかという 御意見があったという説明がございました。9ページの方で、3)の2番目のパラグラ フのところ、「肝疾患に関する専門医療機関との連携を図りながら」という文言を入れ たというので、これも御意見をいただきたいと思います。小俣先生からの意見、これは 入れた方がいいんですか。  小俣委員 いえ、これでよろしいと思います。  ちょっと前の方に戻ってよろしいでしょうか。2)のBなんですけど、肝疾患を診る 専門医といいますか、肝炎を診る部分と、肝がんを診る部分というのをセパレートして いる傾向があると前から思っていまして、自分自身はどちらかというと肝炎の領域なん ですけど、実は患者さんはお一人でして、しかも疾病の連続性があるわけです。高度先 進的な医療で本当に必要とされるのは、むしろ肝炎の領域よりは肝がんの医療機関の方 が必要じゃないかと思うんですね。これから啓蒙活動等々をしていってコメディカルの 方というのは、例えばICU管理をしながら高度な技術を持って手術をやっているとい うのは別で、これはなかなか広めろといっても難しいので、そういう意味で、今後もし 拠点病院云々の御議論が出たら、ぜひ肝がんというものを視野に入れた選択を考えてい ただきたいと思います。拠点病院構想は非常にすばらしいんですが、一番心配なのは予 算措置の問題。先ほどから議論が出ています偏在というのを助長しないかどうか。アク セスをかえって奪われはしないか。私はそこが懸念されるところなんです。くどいよう ですけど、日本には1万人もの肝臓学会の専門医、肝がん研究会に至っては数千人が集 まって、微に入り細にわたり患者さんの高度な技術に関して議論されている集団がいる わけでして、戦後の何もないところに診断・治療の拠点をつくってやっていくというの はいいんですが、ここまでレベルアップしてきた日本で本当に拠点というのをつくって やっていく方がいいのか、あるいはもうちょっときめ細かいネットワークをつくって啓 蒙していった方がいいのか、皆さんの御意見を賜った後に、次に具体的にどういうふう にするのがいいのか。これを既成事実としてこの委員会をやっていくのかどうか。そこ をきょうはぜひ聞かせていただきたいと思って参ったんですけど。  久道座長 今のは3)のことですね。  小俣委員 2)に関しては、超音波検査などによる肝がんの診断というだけでは非常 に単純でして、高危険群の設定を踏まえて、その患者さんを診て、過去の文献、知識等 からこの患者さんは発がん率が0.1%未満、10万に当たり100前後から10万人当たり 8000即ち、年8%の超高危険の集団なのかというのがわかる時代に来ているわけです。 そういうものを踏まえた上で、さらに超音波なり必要な腫瘍マーカー等々をどうやって 駆使するか。単に超音波をやるかやらないかという問題ではないと私は思うんですね。  久道座長 なるほど。でも肝がんの診断は必要ですよね。ですから、これは要らない ような感じですか、超音波検査などによるという……  小俣委員 肝がんの高危険群の設定と、早期診断というところが私自身は重要じゃな いかなと思います。確かに超音波検査などによる肝がんの診断ですけれども、その前に 患者さんを診て、この方は本当に危ないのか、それとも高危険群の設定をせずに、単に 超音波をしなさいと力説するのか、その辺が大分日本からのデータで明らかになったと ころではないかなと私は思うんですが。  久道座長 今の先生の説明ですと、このBを、「肝がんの高危険度群の設定と肝がん の早期診断」という項目にすればすっきりするんじゃないでしょうかね。  小俣委員 そうですね。それでいいと思います。  久道座長 特に超音波を入れなくてもね。  小俣委員 超音波は要らないです。  久道座長 もう一度言います。Bは、「肝がん高危険度群の設定と肝がんの早期診断」 という言葉に変えていただきます。それから、肝がん研究会のことはよろしいというこ とで、原案どおりということにします。  それから、9ページの3)肝疾患診療連携拠点病院、これはがん診療都道府県連携拠 点病院をイメージしているわけですか。  正林調整官 確かにがん診療連携拠点病院があって、それをお手本にしたのは事実で す。若干違うのは、がん診療連携拠点病院の方は2次医療圏に1カ所程度ということで やっていますが、今回の方は都道府県に1カ所程度の連携拠点と。2次医療圏の方は2) の専門医療機関が複数あるというイメージであります。予算については肝疾患診療連携 拠点病院の方は都道府県に原則1カ所ということで予算要求中であります。  小俣委員 何をどのくらい使うかという予算請求の際の、どういうことを考えて何を 要求されているのか、ちょっと教えていただければありがたいんですけど。  正林調整官 なかなか公には言いづらいので……  小俣委員 わかりました。ただ、がんというのも、例えば最近ですと、病院治療ラン キングというのを見ますと、胃がん、大腸がん等々はがんセンターが拠点病院になって るんですね。ところが肝臓だけは必ずしもがんセンターが中心ではないんです。なぜか というと、肝炎から派生してがんが出て、一本の道なんです。果たしてがん拠点病院的 な発想というのが横並びで、肝がんも同じだからということでアプライできるのかどう かということ。がん拠点病院という発想は日本のように全般的にレベルが高くなったと きに、突出した幾つをつくるという発想なのか、全体のレベルを上げていこうというこ となのか、肝炎の領域というのは肝炎から肝がんへある日突然できるわけではないので、 国民のための福祉と考えたときには拠点化することが本当にいいのかどうか。その持っ てるメッセージは非常に大きいと思うんですね。ですから、予算措置をしていただいて 従来ないようなものが圧倒的にくれば、肝炎の患者さんのために予算が投入されるわけ ですからそれはいいんですが、実際のお金はそんなに出ないのにメッセージだけが、例 えば長崎県の拠点病院だということになると、それは果たしていいんですかね。  久道座長 八橋先生、どうですか。  八橋委員 ただ、拠点はまだつくってないわけですよね。どのくらいのスケールで、 予算も含めて、名称も含めて、どのくらいの仕事量かというのは今から検討しながら、 今までないことですので、私自身は拠点をやってみて、いろいろな問題はまた議論して はどうかと。つくられないと今までと一緒かなと思いますけどね。  林委員 その点、小俣先生のおっしゃるようにワーキンググループでも実は議論にな りました。東京、大阪と岩手県とはかなり事情が違うだろうということで、東京、大阪 ですと1つの病院だけですべてカバーできるわけじゃございませんし、複数の施設が要 るだろうと。ただ、岩手県の先生がおっしゃるには、岩手県で肝がんの治療が十分にで きるのは1病院しかないということで、そういう意味では岩手県では逆に指定していた だいた方がいろいろなメリットが多いだろうということで、各都道府県の事情をある程 度勘案しながら拠点病院をつくっていった方が基本的にはいいだろうと考えます。ただ、 東京と岩手県では事情が変わってくるのではないかという気はいたします。  梅田課長 拠点病院の機能について御議論いただいていまして、それについていろい ろと先生方から御意見をいただきながら輪郭をはっきりさせていく必要があるかと思っ ているんですが、9ページの3)の肝疾患診療連携拠点病院(仮称)とある中で、作業 班の中で文章化していただいている中のキーワードに、医療情報の提供ですとか、相談 支援に関する業務というところがございます。先ほどからの議論の中でも、例えば医療 のアクセスの問題、人材育成のことなど御指摘いただいているところでございますが、 各都道府県単位できめ細かなネットワークをつくっていく。そのネットワークの中心に なってリードしていただくような機能を考えているというのが私どもの意見でもあり、 作業班でも御意見をいただいたというところでございます。また、人材育成ということ に関しては、この拠点病院でコメディカルの方々の研修ということも必要かと考えてお ります。  小俣委員 ちょっと混乱したんですけど、そもそも高度先進的な医療をやる拠点病院 的なものなのか、人材育成あるいは知識の普及を行うのか。一方では各都道府県に1カ 所というのはかなり踏み込んだ文章ですよね。ここがまたそれでいいのか。今マスコミ にはいろんな情報が流れていまして、どこで手術をやって、生存率がどうだというのが Webで出ますね。そういう情報で一方では高度先端医療は国がお墨つきをつけたと。そ の乖離がもしあったときは患者さんは非常に迷うのではないかと思うんですね。どの領 域でも皆さん一生懸命やっていらっしゃっていて、あるときぽんと判こだけ押されてこ れは拠点病院であると。しかも財政的な支援は余りない。私は反対しているわけではな いし、ある意味すばらしいと思っています。実を結ぶためにはもうちょっと議論が要る し、都道府県に1施設というのも、ほかが練れてない割にはここだけがぽんと出てくる と。それは都道府県依存型なので1つくらいにしたという背景があるのかどうか。  林委員 今のことですが、「原則1カ所」と書いてありますが、都道府県単位で決め ていただくことになっていますので、都道府県の事情を勘案してお決めいただくという ことになると思います。御指摘の点は確かに議論のあるところなんですけど、必ず都道 府県に1カ所だと限定しない方がいいと私も思います。  久道座長 これを選定するのは国でしょ。  林委員 いいえ、都道府県の肝炎協議会が決定するということですので、拠点病院は 国が決めるとはどこにも書いていないと思います。  久道座長 がん診療連携拠点の場合は国の委員会ですね。  林委員 それとは事情が違うと思います。  久道座長 それを小俣先生が心配してるんだと思うんですけど。  小俣委員 がんの場合はどういう形で決められたんですか。  正林調整官 実はがん診療連携拠点病院をつくったときに私が担当していました。が んの場合は確かに国が指定することになっています。それは都道府県が推薦して、それ を厚生労働大臣が指定するという形をとっています。今回はそうではなくて、作業班の 報告書としては、都道府県がみずから指定すると。厚生労働大臣は関与しない形になっ ています。  それから、これを都道府県にお見せしたときに質問が集中したのは、この「1カ所」 という言葉です。人口の少ない県と大阪や東京と同じ1カ所なのかという御指摘、これ は作業班でも一番議論になったところですけど、そこは地域の実状に応じながら、表現 は「原則1カ所」としてありますので、原則というのは例外があるという意味ですから ……  小俣委員 それでしたらトップダウンではまずいんじゃないですか。ボトムアップに して、我々のところは国民の福祉のために協力したいと。多分お金はそんなにもらえな いだろうと。でもうちはやりたいんだというところにはチャンスを与えて拠点病院をや るということが、トップダウンでやりますと、逆に協力しようという気持ちがなえる可 能性がありますよ。公募制にして透明性を出して、実績を積んで、それでまた2年後に 見直すとか。これはいかにもトップダウン的な発想ではないかなと思って読ませていた だいたんです。やはり公募制にして、患者団体の方々、あるいは医師会の先生方の御意 見も聞いて、それで選んでいくと。発想自体は前向きで非常にいいと思います。ですが、 そのセレクションプロセスは慎重にされて、オープンで透明であるべきだと私は思いま すけど。  久道座長 これは国が決めるような誤解も受けるので、そこははっきりと書いた方が いいですね。文言を加えた方がいいと思います。  林委員 それは肝炎診療協議会において選定すると書いてあります。  小俣委員 どこが決めるにせよ、やっぱりオープンに公募してやったらどうでしょう。 診療実績というのはかなりはっきり出てますので、そういうものでないと、例えば肝炎 協議会の選定がトップダウンであれば、それはトップダウンになるわけです。  久道座長 連携拠点病院というのは原則1カ所、いろんな診療情報を収集してまとめ るとか、ネットワークをつくる中心になるわけですよね。それはそれで原則1カ所でい いと思うんですけれども、ただ、小俣先生が心配されたように、そこだけが専門の病院 なんですよという誤解を招く心配があるわけですよね。原則1カ所だから例外もあると いっても、やっぱり1カ所なんですよね。実際にやるときには。がん診療連携拠点病院 の場合は「原則1カ所」じゃなくて、「1カ所程度」となってるんですよ。宮城県は2 カ所で、いろんな事情があって2カ所設定してもらいましたけども、人口規模300万以 上だとか、地域によって事情があると思うんですね。ですから、この表現だけで残して おくとちょっと心配ですかね。  小俣委員 拠点病院構想はいいと思うんですね。ただ、それ以外に例えば医師会レベ ル、中小の病院、トップをつくるのもいいですけど、中小病院を元気に、教育するよう なシステムをつくるべきだと思うんです。実はかなり明確にもう出てるんですね。例え ば肝がんの治療実績なども、外科系ですと一番多いところは297なんです。トップから 50位まで全部出てまして、患者さんはそれを見ながら、うちの病院はそこに入ってるか ということを見ながら来るところもあるわけです。5年生存率はどのくらいだとか、コ ンプリケーションの率まで全部出してるわけです。そういったものと厚生労働省が決め た拠点病院というのは一体どういう整合性を持つのか。日本というのは情報がかなり行 き届いています。ですから拠点病院の役割を、どれだけ知識を普及する、どれだけ技術 を普及するかという、そこがまずわからない。地方で頑張っていて遠くからの患者さん を一生懸命診ている病院が外された場合、じゃあどこかの施設に行くのか。トップダウ ンのお墨つき的な発想でものが動くというところが見え隠れしているので、そこをボト ムアップにして透明性を出してやるべきだと。データも既にオープンに出ているわけで すから、それに基づいて粛々と決めればいいんじゃないかと。それは肝炎協議会が決め るんだと言うんですが、肝炎協議会でもトップダウンなわけです。  迫井委員 小俣先生の御指摘は私も非常に大事なことだと思うんですね。私はてっき り、協議会で議論されて選定という意味ではコミュニティベースだと思って安心し切っ ていたんですが、よくよく読むとそういう御懸念があるようなあっさりした書きぶりに も読めます。ただ、47都道府県ありますとそれぞれ実状がありまして、現にそういう協 議会を持っている県もあるし、そうじゃないところもある。その中の御議論もさまざま あるものですから、選び方をこの場で縛って決めていただくのもいかがなものかなとい うことも思いますので、小俣先生のせっかくの御指摘ですから、そういう懸念が出ない ような、協議会の役割のところをわかるようにうまく書いていただいて、地域の実状を 踏まえてフェアに選んでいただくということをしっかりしていただければ御懸念の解消 になるんじゃないかなと思います。  正林調整官 実際にはまだ予算要求中の段階ですので、年度を越した段階、3月くら いになれば予算が国会で承認されてということになります。その段階で連携拠点病院な るものをお認めいただいてあれば、来年度早々に要綱をつくって、国から各都道府県に お示ししますので、その際に今御指摘のあったようなことをるる記載しながらというふ うに考えます。  それから、私も小俣委員と大体考え方は同じでありまして、がんのときもそうだった んですが、診療連携拠点病院というのは、その名前をもらって患者を集めるということ が目的ではなくて、一般の患者さんや住民に対する情報提供とか、相談に乗るとか、県 下の専門医療機関等のボトムアップのための研修とか、そういうことをやるのが拠点病 院の役割だと思っていまして、それを決めるときのメルクマールにがんをやってとかな んとかということを書かないといけないんですけれども、思いはそういう思いでありま す。  小俣委員 がんという切り口からいえばそういう考えがあってもいいと思うんです が、肝炎というのは高血圧であり糖尿病なんですね。そうしたら高血圧の拠点病院をつ くるか、糖尿病の拠点病院をつくるか、私は異論が出ると思うんですね。高血圧、糖尿 病のようなたくさんの患者さんがいるのは全体のレベルアップで、一つ二つつくっても 果たしていいのかというのは絶対議論があると思います。ですから、がんという切り口 で出されたと思うのですが、肝炎という切り口で果たしてそれがいいのかどうかという のも私が懸念するところなんです。  宮村委員 予算獲得とかそういうことに関しましては、例えば連携拠点とかいうのは 非常にいいキーワードですけれども、一連の議論を伺っていますと、先行のがん診療連 携拠点病院の場合の非常に先端的な高度な治療が人材的も施設的も前提であるというよ うな場合の連携拠点病院と、今ここで肝炎のキャリアーの人たちが最終的にこういう機 能を持った病院に行くということを考えたときには、「(仮称)」と書いてあるように、 そこの病院の意味づけがわかるような形に工夫する必要があると思いますし、拠点病院 ということになる以上は、実際のネットワークが確立していて初めて中心となる拠点と いうのができるわけですから、拠点のところが先行するのではなくて、ネットワークが できるということを案の中に組み込まれていくことが大切なのではないかと思います。  林委員 先ほどの議論から、実際の診療をするのはあくまでも専門医療機関で診療を やっていただくということで、何も拠点病院が中心になって診療をやるという考え方で はないんですね。都道府県に1病院じゃもちろんできないわけですので、実際の医療行 為については専門医療機関を中心にやるわけです。あくまでも拠点病院というのは肝疾 患診療連携拠点病院なので、連携の中心病院だという発想なので、これは都道府県単位 でお決めいただきたいということで、がんの拠点病院とは感じが違うんですね。それを 御理解いただいた方がいいのではないかと思います。  飯沼委員 今林先生がおっしゃったのは、診療は……?  林委員 実際の高度な肝がんの治療については専門医療機関を中心にやっていただく と。  飯沼委員 肝がんはそれでいいと思うんですけど……  林委員 肝がんのことです。その診療は専門医療機関でやっていただくと。拠点病院 については診療連携の中心になっていただくというだけの意味で書いていますので、が んの拠点病院とはニュアンスが違うものだと御理解いただいた方がいいのではないかと 思います。  小俣委員 行政当局の話と今の話では、最初は高度先端医療を行う施設としてやりた いという話でスタートしたと思う一方、知識の普及というところも必要であると言い出 して、今度はそこでは診療を行わないということになると、一体何がねらいでここに挙 がってきたのかというのをお聞きしたいんですが。  正林調整官 高度先端医療云々という話はこちらからはしたことがないと思うんです けど。繰り返しになりますけど、あくまでもこの診療連携拠点病院に期待するのは、情 報提供とか研修、相談、他の医療機関との連携です。  小俣委員 選ぶ基準は何をもって選ぶんですか。高度先端医療となれば大学、がんセ ンター、専門病院等を選ぶんですが、患者さんを集めて治療をやる、そうすると患者さ んは多数そこに行くわけですか。  正林調整官 いや、患者さんを集めるんじゃないということを先ほど申し上げたつも りです。  久道座長 連携拠点病院の最初の定義の中に2行書いてありますよね。「肝疾患に関 する治療ができる専門医療機関の条件を満たし、かつ、肝がんに対する集学的治療を行 うことのできる医療機関のうち」ですから。  林委員 「医療機関のうち」ですので、集学的肝がん治療を行うのは専門医療機関の 方でやるということで、何も肝がんの先端的な治療をこの拠点病院に集めてやろうとい うことではないです。  小俣委員 ただ、ここには、「肝がんに対する集学的な治療を行うことのできる医療 機関のうち、特に中心的な役割を果たしている医療機関」ですから、このまま読みます と……  林委員 何を中心的に行うかということを文章としてつけ加えていただいた方が御理 解いただきやすいと思います。  久道座長 誤解を招きますね、これだけだと。  小俣委員 もう一度聞きますけど、何をやられるんですか。肝がんの治療をやるとい うことで議論が進んだのではないということを言われたんですが、そこでは診療をやら ないんだと、肝炎も含めて……  林委員 診療をやらないとは言ってません。やるんですけど、いろんな情報提供など を中心的にやっていただくと。もちろん診療はやるわけですよ。  久道座長 都道府県の肝疾患と肝がんに関する医療情報の提供とか相談事業をメイン にというのが拠点病院の役割のようなんだけども、この文章だと誤解を受けるわけです。 基準を集めるという。がんのイメージになってしまうんですね。  小俣委員 知識の啓蒙も、糖尿病の啓蒙と同じく患者さんも多数おられるわけです。 それを拠点病院1カ所でやっていいのかどうか。もしつくるのであれば、先ほどから申 し上げているように、うちは予算がなくても拠点病院として患者さんのために協力する というところがあれば、公募制にしてたくさんふやして10も100もと。しかし予算の範 囲はこれしかないと。そこをなぜ1つに絞るのか。  八橋委員 専門医療機関の機能をどうイメージされているのかが委員間で違うのかな と思ったんですね。このイメージ図によると、専門医療機関はがんの診断までで、がん の診療は拠点病院でするというニュアンスになってます。今の議論を踏まえると、専門 医療機関の医療レベル自体を、がんの集学的治療まですると定義して、拠点病院の方は それプラス、ネットワークとか支援事業ということでいけばある程度まとまるのかなと 思ったんですけど。  小俣委員 この文章はそうではないですね。  八橋委員 専門医療機関の役割と拠点病院の役割というのがちょっと混乱してる印象 です。専門医療機関では医療としてかなりのレベルまでやっていただき、国とのつなが りとかネットワークは拠点病院の機能と定義すればよいと思います。  小俣委員 ただ、医療と知識の普及とは不可分だと思います。患者さんを拝見し、そ の中から生まれてくるものが普及につながるし、一方ではグローバルな知識を手に入れ るという努力も同時にしなくちゃいけないわけで、建前はそうですけど、この文章をこ のとおり読めば、高度先端医療をやって、かつ、人材も大勢いて、同時に患者さんのた めの普及、教育をやるというイメージじゃないかと僕は見たんですけど。ただ、御議論 を聞いてると、この背景にあるものがちょっと見えてこなくなったので、委員の間の議 論というよりは、提案自体に不統一なものがあるのではないかなと。  久道座長 専門医療機関の定義の問題で、8ページに、@〜Bのいずれも行うことが できる必要があると書いてありますよね。先ほどBの文言を修正して、肝がんの高危険 度群の設定と肝がんの早期診断と、ですから肝がんもやらなきゃいけないという意味で すよね。こういうことがやれる病院が専門医療機関であるということについては、委員 の皆さんの御理解はよろしいんでしょうか。よろしいですね。その上で連携拠点病院と いうのは……どうぞ。  梅田課長 ちょっと委員の先生方にお聞きしたいんですが、@〜Bで、Bの書き方が 変わるということになりますと、その次の文章が、「いずれも行うことができる必要が ある」ということで、すべてを満たさなければ専門医療機関と言えないと。例えば@と Aはしっかりやってるけれども、肝がんまではやっていないというところがここに入っ てこれなくて、逆に患者さんのアクセスが狭まってしまうという問題がないかどうかお 聞きしたいんですが、いかがでしょうか。  久道座長 小俣先生、これはちょっと問題になるね。  小俣委員 そもそも肝疾患診療連携拠点病院のアイデアをもう一回教えていただきた いんですが、がんの場合はどうだったんでしょうか。どういう選択で、どういう点を考 慮されながら行われたのか、また今度はがんは入らなくなるんだということになってく ると、一体がんの拠点病院構想というのは何に由来して、どういう形で選択されたのか、 それを教えていただきたいんですが。  正林調整官 これも繰り返しになりますが、がん診療連携拠点病院の役割としては情 報提供とか研修、相談、そういうものを、あのときは2次医療圏に1カ所指定して、そ ういう機能を果たしながら圏域全体のレベルを上げていくということでした。今回も発 想は大体同じであります。違いは、都道府県に1カ所か、2次医療圏に1カ所かの違い であります。  小俣委員 そうすると、やはりがんに対する知識と治療経験のあるところが結果的に 選ばれたんでしょうね。  正林調整官 そうだと思います。  小俣委員 御経験のないところでがんについて語るということはできませんからね。 そうなりますと、その発想から出たのであれば、これは肝がんを見据えて拠点病院構想 が動いたのであれば、肝がんの診療が行えないところが拠点病院になるということは現 実的には無理ですね。一方、肝炎という領域でやろうとしたら、これは肝炎拠点病院構 想というのを立ち上げた際に、それが果たしてコンセンサスが得られるかどうか。特に 糖尿病拠点病院がコンセンサスが得られるかどうか。あくまでも行政当局の発案は、肝 がんというものを見据えて何か対策を立てたいと。それは知識の啓蒙であり、一方では そこで行われた医療行為によっての特殊性、中心的役割というのを希望されているとい うふうに理解しますけど。  そうすると課長の御質問に移りますが、Bの肝がんに対する知識と技術があるという のは必須だと私は思いますけど。専門医療機関の中の中心的役割を拠点病院にしようと。 ですからその要件は満たさないとまずいと思いますけど。  梅田課長 確認なんですが、3)の最初のパラグラフに、そこのところをより明記す るために、「肝がんに対する集学的治療を行うことのできる」というふうに特に書いて いるわけなんですけれども、8ページのBとして、肝がんの治療というのも専門医療機 関の必須としておく必要があるかどうかということをお尋ねしたいんですが。  小俣委員 先ほどはあくまでも高危険群の設定と肝がんの早期診断というところで踏 みとどまっていますので、課長のおっしゃるように、ここにさらに「治療」を入れるか どうかということですね。それはまだ議論されてないんじゃないですか。それによって 専門医療機関の中にはがんの治療をしないでたくさんの患者さんを診ている方も大勢い らっしゃいますので。ただ、不可分なものであることには違いないので、よって診療拠 点病院としては、そういう中から肝がんを中心にしてやるところを選んだらどうかと。 それは患者さんのニーズでもあるし、先生方の中で、実は私のところでは肝がんの治療 ができないと、しかしたくさん肝炎の患者さんが出てくる、お願いしたいということで 拠点病院構想だというふうに私はずっと理解してたわけです。  林委員 文章上は、専門医療機関はそうなってるんですが、専門医療機関は多数なけ れば実際対応がとれないわけなので、がんの診断までできて肝がんの治療ができなくて も専門医療機関になりますし、がんの診療ができるところもなります。そういうふうに 文章はなっていますので、両方含まなければ実際は対応がとれないということで、それ は文章上もそうなっております。  小俣委員 課長の御質問に答えると、ここはあえて入れなくていいんじゃないかなと 思っています。  林委員 3)の方は、基本的には情報の連携、がんの診療の中心的な医療機関が実際 はそうなるだろうと思います。文章上はそう書いてあると思いますが。  小俣委員 逆に連携病院が特に中心的や役割を果たしている医療機関というのは、こ れはなかなか難しいんですね。みんなそれぞれ自分のところで一生懸命やっているとい う努力を、逆にそこに順番をつけると。しかもそこはお墨つきだということにならない かどうか。それで果たしていいのかどうか。むしろ地方のアクセスが不十分であるとか、 いま肝がんの患者さんの平均年齢は70歳なんですね。慢性肝炎の治療を受ける方の平均 年齢は60歳なんです。果たしてこういう構想だけでいいのか。だんだん糖尿病外来、慢 性肝炎外来、高血圧外来、ほとんど高齢者の方の通ってくる病院という感じであるわけ です。もし本当にこの構想を動かすのであれば、ただ患者さんを集めない、普及だけを するんだというのがどういうイメージなのか僕にはわからないんですね。ここに書いて あるとおりであれば肝がんを中心にしてやるんですけども、一方では肝炎の拠点病院的 なニュアンスで知識の普及だけを図るんだということになると、しかも特に中心的なと いうと、何をもって特に中心的なのか。  久道座長 これはがん診療連携拠点病院のときもいろいろ問題になっていて、実際に まだ拠点病院が指定されてないところがほとんどですよね。東京はもちろん、そう簡単 に決められません。愛知も大阪も京都も決まってません。岩手とか地方の都道府県です と割と自他ともに認めるような大きな病院がありますので大体決まるんですけど、小俣 先生がいるような大都会とかそれは簡単じゃないんですね。特に中心的な役割というと、 おれのところだって中心だというのがいっぱいあるわけですね。ですからがんの方はま だかなりの部分は決まってないんです。がん診療連携拠点病院というのは2次医療圏に 1カ所ということで250くらいは決める予定だと思うんですが、都道府県連携がん診療 連携拠点病院というのは決まってるところはまだ非常に少ないはずです。  小俣委員 皆さん医者として患者さんを一生懸命診ていて、そこに順番をつけようと。 それで予算措置はどうなんだというと、本当にお金が来るのか。今までも何も変わらな いのに順番だけつけて、そこで要らぬフラストレーションが起こったりする可能性もあ るし、本当に前向きに厚生労働省が取り組むんでしたら、私はこれ以外の幾つかの案を 出して議論すべきだと思います。1つだけ持ってきて限られた時間の中でこれをやりま すからというのはチョイスがなさ過ぎると思います。  久道座長 きょうはこれをまとめようと意気込んではいたんですが、いろいろ議論を お聞きしてますと、きょうはもう無理だなと。もう一度練り直しをする。特に連携拠点 病院、議論が足りなかった人材育成のところもありますので、きょう無理にまとめない で、もう少し事務局にも検討していただいて、皆さんの御意見を参考にした形でまた案 をつくって、もう一度この懇談会で議論させていただきたいと思いますけれども、よろ しいですか。  西村委員 検討していただくときに、がん診療連携拠点病院の例が先ほどから出てま したけども、そちらの方は、がんセンターの中に情報センターをつくって稼働し始めて ますよね。今回肝炎の診療連携拠点病院なり専門医療機関のネットワークをつくるとい うことなんですけど、都道府県の横の連携のネットワークをまとめるところというのは どこになるんですか。それも明らかに検討の中でしていただいた方がいいんじゃないか なと思うんですけど。拠点病院はできたが、横の調整をどうしていくのかというところ がなければ……  小俣委員 それは私が提案しましたように、公募制にして、予算がなくても拠点病院 としてやれる、スタッフもいる、ネットワークづくりができるんだというのを公募した らどうでしょうか。そうしたら都道府県の中でも策が出てくるんじゃないでしょうか。  久道座長 いや、西村委員の質問は、各都道府県にできた連携拠点病院をさらにまと めてという意味でしょ。  西村委員 そうですね。情報発信するにしても、各都道府県がばらばらに、治療方法 が違うような情報発信をされると大変ですので、それを調整するところが必要になって くるんじゃないかと。  久道座長 各都道府県の情報をまとめて分析して、あるいは調整をするというね。  小俣委員 それは厚生労働省でしょうね。  久道座長 それはイメージしてるんでしょ、当然。  飯沼委員 もう一回やられるならお話し申し上げておきますが、さっき西村さんが、 介護保険対応の御心配までされていたようですけれども、肝がんならいざ知らず、C型 肝炎ならば自然史からしても介護保険適用の人が要支援か何かでもとに戻っちゃうとい うなら別ですけど、ある程度年齢とか条件を決めて、少しそこはたがをはめた方がいい んじゃないかと思います。地域包括支援センターに通ってる人たちまでも、その人たち は肝炎でもがんにはならないですから、自然史からして。そういう人たちは治療しなく てもいいという教育をするようにして、診療だけはしてもいいけども、治療の体制から は外すようなことをお書きになってもいいんじゃないかと思います。  もう一点は、小俣先生がおっしゃっている話で非常にいい例だと思って聞いてたんで すけど、高血圧と糖尿病と同じ扱い方をするほどレベルが上がっているということを大 事にしてほしいんです。インターフェロン治療とかそういう治療は御指示さえいただけ れば皆さんやれるわけですから。定期的に上の病院に行って診察をしてもらえば、開業 医でそれができるということもはっきりお書きいただいて、そこに専門性は要らないと 僕は思うので、そこのところは強調しておいてほしいと思います。  久道座長 今の点は多分また御議論がある方もいるかと思うんですが、ただ、今日は 時間がありませんので、先生から出された課題も次回に御議論いただきたいと思います。  座長の不手際もありますけれども、やはりこの連携拠点病院のところが一番議論があ ったので、もう少し整理していただいて、わかりやすくまとめてもう一度出していただ きたいと思います。人材育成のところはちょっとだけお話が出ましたけれども、これは 積み残しましたので、これも次回きちんと議論したいと思います。  ちょうど時間になりましたけれども、事務局から何か連絡など。  正林調整官 特にありません。次回の日程は先生方の御都合を聞かせていただいて決 めたいと思います。  久道座長 それでは、今日はちょうど時間になりましたので、これで本日の懇談会は 終了させていただきます。どうもありがとうございました。 (終了) 照会先:厚生労働省健康局疾病対策課 中村(内線2943)