06/10/18 第1回研修・技能実習制度研究会議事録 第1回 研修・技能実習制度研究会 日時 平成18年10月18日(水)10:00〜 場所 厚生労働省職業安定局第1会議室 ○外国人研修推進室長 事務局を担当させていただきます、職業能力開発局外国 人研修推進室長の藤枝です。ただいまから、第1回「研修・技能実習制度研究会」 を始めます。開会にあたり、職業能力開発局長の奥田よりご挨拶を申し上げます。 ○職業能力開発局長 9月1日付で、職業能力開発局長になりました奥田です。皆 様方には、研修・技能実習制度研究会のメンバーということでお願いしたところ、お 引き受けをいただきましてありがとうございました。大変お忙しい皆様でございます ので、これからの日程調整等につきましてもよろしくご協力をいただけたらと思って おります。私からは、この研究会の趣旨等をお話するということで挨拶とさせていた だきます。  研修・技能実習制度については、平成5年4月に制度が発足いたしましたので、 それ以来13年余りを経過したわけです。この制度が発足いたしましたときの関係省 庁連絡会議では、技能実習制度の趣旨として、「より実践的な技術、技能又は知識 の開発途上国等への移転を図り、発展途上国等の経済発展を担う人づくりに協力 するという広義の研修制度として位置付けた上、研修制度の拡充の観点からこれ を創設する」ということで制度が始まって今日に至ったということです。制度が始まっ たのは13年前のことですので忘れがちですけれども、そういう考え方の下で制度が 始まってまいりました。  その後、制度そのものは非常に発展してきたと思います。平成17年度においては、 研修という在留資格で入国した人が8万3,000人おりますが、そこから1年後に技能 実習に移ることができますので、その中で技能実習へ移行された方が平成17年に は3万2,000人という数になっております。これは、年々数が増加してきているという ことです。  技能実習への移行が可能な職種は、最初は17ぐらいから始まり、同じ年の中で だいぶ追加されまして、今は62職種にまで拡大されてまいりました。受入れの多い 職種としては繊維・衣服関係、機械・金属関係、食品製造関係といった所で多く研 修を受けているということです。  しかしながら、最近では一部の受入れ機関において、本制度の趣旨から逸脱をし た利用がなされているということも見られます。中には、研修手当が払われない事 例、あるいは労働基準法の違反事例も見られることもあります。また、最初に申し 上げましたように、本制度の目的である技能移転ということの実効性が十分確保さ れていない、という問題点も出てきております。  このような実態を反映してということですが、今年3月には規制改革・民間開放推 進3カ年計画が閣議決定されました。その中で、研修期間中の研修生の法的保護 の在り方等について、平成18年度中に結論を出すということとされております。ま た、いわゆる骨太方針の中で、これは今年7月7日に閣議決定されましたが、ここ の中でも制度の見直しが求められたということ。それから、外国人労働者問題に関 する副大臣会議が行われ、これは6月下旬にまとまりましたけれども、ここでもこの 制度についての見直しについて提言されています。また、自民党の中でも、外国人 労働者問題等特別委員会でこの制度の見直し等が言われております。それらの資 料はみんな付けておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。  このような状況の下で、私どもといたしましては、本制度の見直しに向け、専門的 な見地から問題点の整理・検討を行っていただく必要があるということで、今回お集 まりいただきました研修・技能実習制度研究会を設け、検討していきたいということ になりました。委員の皆様方には、専門的な見地からご意見をいただきまして、この 制度がさらにより良い制度として発展できますようにご意見をいただけたらと思って おります。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○外国人研修推進室長 本日お集まりの委員のご紹介をいたします。首都大学東 京准教授の丹野委員です。独立行政法人労働政策研究・研修機構の渡邊委員で す。法政大学教授の上林委員です。学習院大学教授の今野委員です。慶應義塾 大学教授の樋口委員です。慶應義塾大学大学院教授の山川委員です。なお、社 会経済生産性本部の北浦委員、獨協大学教授の森永委員は欠席です。  本研究会の座長の選任を行います。事務局としては、今野委員に座長をお願い できないかと考えますがいかがでしょうか。 (異議なし) ○外国人研修推進室長 ありがとうございました。それでは今野委員に座長をお願 いいたします。 ○今野座長 ご指名でございますので、座長を務めさせていただきます。当研究会 の運営については、お手元の開催要領によることとして、議事については別に研究 会において申し合わせた場合を除いて公開としたいと考えておりますがよろしいで しょうか。 (異議なし) ○今野座長 本日は第1回ということで、フリートーキングをしたいと考えております。 まず事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○外国人研修推進室長 資料No.1から資料No.5まで用意させていただきました。そ れから、ピンク色のJITCO編集の「JITCO白書」、クリーム色の「制度概説」をお配 りしておりますので、これは適宜必要に応じてご参照いただければと思います。特 に、入管法関係の告示等は若干細かいものになりますので、そのクリーム色の概 説の後ろのほうに付いておりますので、法令集代わりとしてお使いいただければと 思います。  資料No.1は「研修・技能実習制度関係資料」ということで、基本的な制度の概要や データを集めたものです。皆さん十分ご承知の点も多いかと思われますので、恐縮 ですがかい摘んで要点だけご説明いたします。3頁は、制度の概要を簡単に図示し たものです。この技能実習制度は黄色の部分で、原則1年の研修で座学あるいは 実務の研修を受けていただいた方について、その後最長2年間、計3年間の下で、 後半の緑の部分については、雇用関係の下で雇用契約を結んでいただいて実習 に移っていただくというものです。  研修から実習への在留資格の変更を1年終了時に行っていただきますけれども、 この時点での要件としては、そこに「対象者」と書いてありますが、所定の技能評価 試験(技能検定基礎2級相当)に合格した方が、基本的には在留資格を特定活動 という形に変更が認められ、実習に移るという制度です。現在、対象職種は62職種 で、次の頁に一覧を付けております。  5頁で、技能実習制度の創設の経緯が書いてあります。この制度は、平成5年4 月にスタートしました。その前の段階として、平成2年の時点で研修生については、 それまでは企業単独型であったものが、いわゆる団体監理型と呼ばれる団体受入 型の研修がこの時点で導入されております。その後平成5年に、この実習制度をさ らにプラスした研修・技能実習制度という形で拡大してきました。  6頁は、この技能実習制度の中心的な役割を担っておりますのがJITCO(財団法 人研修協力機構)という公益法人ですが、その役割を簡単にまとめたものです。 JITCOにおいては、まず研修生の入国時において受入れ相談や研修システムの紹 介、並びに入国手続き支援をサービスという形で、書類の事前点検を無料で行った り、財団ですので会員でありますが、会員に対しての申請取次サービスも実施して おります。  技能実習移行時ですが、ここも移行手続きに係る申請書類の事前点検等を行う とともに、受入れ機関に対する調査・指導、そして評価ということです。この評価が 制度としての根幹の一部で、ここで研修成果の評価、実際には技能検定基礎2級 レベルの試験を実施した上でその評価をする。向こう2年間の技能実習についての 計画を受入れ企業が作りますので、その実習計画が適正かどうかを見るというの がJITCOの大きな役割の1つになっています。  実習期間中については、巡回指導であるとか、研修生・実習生に対する相談援助 といったことも行っております。実習修了時には、技能実習修了認定証明書という 形で、実習が適切に行われたかどうか確認の上で、それを報告する形になっており ます。  7頁以降の詳細な説明は割愛させていただきますが、この技能実習制度につい ての基本的枠組みを決められているものがここにあります。外国人労働者問題関 係省庁連絡会議での取決めです。基本的には、これがこの技能実習制度の骨格 のすべての枠組みをつくっている大本になっております。この中で、滞在期間は、研 修・実習を合わせて3年にする、研修成果の評価をJITCOが行うなど、この制度の 基本的な枠組みが定まっております。  9頁以降は、研修生の要件を定めた基準省令です。研修についての要件として、 基準表の5番目にイロハニとありますが、イとして、研修生用の宿泊施設を確保し ていること、ロとして、研修施設を確保していること、ハとして、受入れ人数が職員の 総数の20分の1以内であること、ニとして、生活指導員が置かれていること、ホとし て、負傷・疾病に際する保険の保障措置が講じられていること、ヘとして、安全衛生 法上必要な措置が講じられていること等の要件、その他が定まっております。  12頁は、技能実習制度にかかわる法務省の告知です。入管法の体系上、研修は 研修という在留資格が法律の別表に定められ、先ほどの基準省令等がありますけ れども、技能実習についてはこの指針がその制度を定めるものという形になってお ります。この中で、3の実習実施機関等の要件を見ますと、一で「日本人が従事す る場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とする雇用契約が締 結されること」ということで、実習生に対する同等報酬要件もここで定めております。 五では「過去三年間に不正行為がないこと。不正行為があった場合、三年間受入 れが停止される」ということも定まっています。  14頁は、厚生労働省が技能実習制度の運営をどのように行うかを明らかにしたも のです。運営基本方針という形で公示しているものです。説明は割愛させていただ きますが、どのように運営していくかについて詳細に書き、また留意点等について 明らかにしたものです。  19頁は在留資格一覧ですので、適宜ご参照いただければと思います。繰り返しに なりますけれども、研修は研修という在留資格がありますけれども、技能実習につ いては真ん中より下の辺りに「特定活動」の1つという位置づけになっております。  20頁以降は、各種データです。技能実習生・研修生の状況のデータです。追って さまざまなデータはご説明いたしますけれども、平均的な技能実習生・研修生の平 均像という形で、皆様にイメージを持っていただくためにまとめたものが20頁です。 研修・技能実習生の平均年齢は大体25歳、26歳、27歳ぐらいです。1年目の研修 時に受け取る研修手当の平均は、団体監理型ですと6万3,000円、企業単独型の 受入れでは8万2,000円。実習移行後の予定賃金で見ますと、団体監理型で11万 7,000円、企業単独型で12万円。主な職種としてはここにあるようなことです。  21頁は研修生の状況です。研修目的の入国者数、これは法務省データですが、 平成17年で8万3,319名、平成5年の倍以上という伸びになっています。下の表に あるように、中国からの研修生が約7割ということで大勢を占めています。続いてイ ンドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアという状況です。  22頁は、研修生の受入れ機関別のデータです。研修生については、いわゆる国 として、政府ベース、あるいは政府関与ベースで受け入れているものもあります。そ れが平成17年で8万3,000のうちの1万3,985名です。一般的な民間ベースの受 入れとなると下の表のように6万9,334名です。  このうちJITCO支援というのは、先ほどJITCOの役割の冒頭にありましたが、申 請手続きにおいて、JITCOが申請の取次をしたり、無料で事前点検をしたり、何ら かの形でJITCOが把握した研修生をここでは「JITCO支援」と呼んでおります。そ のJITCO支援の数でいくと5万7,050名となっております。JITCOを経由せずに、 直接入管に申請するケースもありまして、入管直接申請は1万2,284名となっており ます。  23頁は、受入れ企業の規模別です。300人未満の中小企業が多くを占めている ということです。  24頁は職種別の受入れ状況です。衣服・繊維製品製造、いわゆる縫製関係、食 料品製造、輸送用機械器具製造、農業といったところが多くなっております。  25頁は、都道府県別の研修生受入れ状況です。北海道、茨城、岐阜、静岡、愛 知、広島といった所が多くなっております。特徴的なことを申しますと、茨城では農 業、岐阜では縫製、愛知では機械・金属系が多くなっております。  26頁は年齢です。先ほど平均像のところで申し上げましたが、平均年齢は25.7歳、 男性は26.7歳、女性は25.1歳という状況です。  27頁は繰り返しになりますが、研修手当の平均です。研修手当についていくら払 えという決まりはありませんが、相場として6、7万円といわれていて、JITCOの統 計によっても平均額が6万5,979円となっております。  28頁以下は技能実習です。技能実習生についても、傾向としては研修生と同じで す。平成17年の、研修から技能実習への移行者数は3万2,394名ということで非常 に増えています。国籍別に見ると、中国からの実習生が8割という状況です。  29頁は受入れ機関別です。ここの合計のところで4万993という数字が出ていま す。先ほど移行者数3万2,000名と言いましたが、若干データの取り方に違いがあ り、法務省が暦年で取った数が3万2,394名です。4万993というのは、JITCOが年 度ベースで、いわゆる申請件数として把握した数です。ですから、暦年と年度の違 いもありますが、申請しても実際には入管で認められなかったケース、あるいは何 らかの理由で実習に移行しなかったケースがあってずれがあります。JITCOで取っ ているデータは、職種別であるとか、年齢別であるとか少し詳しいデータが取れると いうこともあり、JITCOデータについてはこの4万993が基になっているということで ご理解いただければと思います。  受入れ機関別で見ると、圧倒的に団体監理型が多くなっていて、研修生の数にし て3万9,000人が団体監理型です。その中でも、協同組合等、いわゆる中小企業団 体による受入れが3万2,000名という形で多くなっております。  30頁は規模別です。これは研修生と同様、中小企業が多いという状況です。  31頁は職種別です。これも研修生と同様ですが、多いのが繊維・衣服、いわゆる 縫製で、これはずっと伸びた形できております。2番目は機械・金属系で、若干伸び が鈍った時期がありましたが、景気の回復も影響しているのか、平成14年辺りから また伸びが大きくなっています。その後が食料品、食品製造関係ということです。若 干見にくいのですが、下から2番目のペケ印は農業で、これが最近は増えている傾 向にあります。  32頁は都道府県別の状況です。これは研修生と同じ状況です。茨城、岐阜、愛 知、広島といった所が上位を占めております。  33頁は年齢です。実習生の平均年齢は26.3歳で若い方が中心です。  34頁は支給賃金です。これは、JITCOにおいて把握した支給予定賃金ということ で、実習移行申請の際に、雇用契約の予定賃金を書類として出すことになっていま すので、それに基づいて把握した数です。平均額は11.8万円、男性は12.3万円、 女性は11.5万円が平均です。下の棒グラフで職種別に見ますと、機械・金属系は やや高い傾向にあります。  35頁はアンケート調査ですけれども、実習生3,325名分について、実際の支払賃 金を調べたものです。これも同様の傾向があり、繊維関係が13.7万円、機械・金属 系が16.9万円、溶接が20万円ということで、業種によるバラつきがかなりある状況 にあります。  36頁は、不正事案の関係です。法務省入管局が不正行為として認定した数です。 過去3年間で482件の認定を行っていて、そのうち団体監理型が470件ということ でその多数を占めている状況にあります。  37頁で、不正行為の内訳を団体監理型の表を見ますと、多いのが研修・技能実 習計画と実際との齟齬とか、いわゆる飛ばしといわれている名義貸し、実際の受入 れ企業が予定の受入れ企業と違う場所である、所定時間外の活動等が多くなって います。  38頁は指導状況です。財団法人国際研修協力機構JITCOが実施した研修は、 平成17年度が5,945件で、4,770企業に訪問指導を行っております。その中で見ま すと、労働基準法に抵触するような点、健康診断の未実施、社会保険の未加入と いうところを多く指摘しております。下のほうは労働基準監督署の対応です。2つ目 の○ですが、監督指導の件数として、平成17年は906件の実施事業場数で、違反 事業場数が731件で80.7%という状況です。  39頁は失踪数です。昨日の読売新聞に出ていましたけれども、過去5年の研修 生、実習生の失踪報告があったものを法務省がまとめたものです。過去5年間で研 修生、実習生を合わせると報道にあった8,340という数字になります。平成17年で 見ますと、研修生は652名、実習生は1,236名という報告になっております。棒グラ フは、当該年における技能実習生や研修生に対する割合を数字化したものです。  40頁は、送出し国政府が認定している現地の送出し機関の数です。これも年々 増えていて、送出し国が認定したものに限っても424団体という形になっておりま す。  41頁は受入れの費用の関係です。これは、経済産業省がJITCOに委託をして調 査をしたものです。受入れに当たってどのぐらいの費用がかかるか、3年間調べた ものです。右端の全体の平均を見ますと、支出額は3年間で770万円強です。黄色 の上のところで、送出し管理費として、これは現地法人(送出し機関)に対する支払 管理費ですが、3年間で119万円ということで、単純に3で割っても年間40万円近 い支出になっております。その上の受入れ管理費は、第一次受入れ機関が組合で ある場合に、第二次受入れ機関の企業がその組合に対して支払っている管理費で すが、3年間で102万円という数字が出ています。  42頁以降は、技能・実習制度にかかわりマスコミ等で指摘された事件等を簡単に まとめたものですのでご参照ください。  46頁は簡単な表ですが、諸外国において技能実習制度に似た制度として、ドイツ ではゲスト労働者協定、韓国では産業研修制度があります。ただ、韓国においては 2006年でこの制度は廃止されていて、いわゆる雇用許可に基づく新しい制度に変 わっています。以上が資料No.1です。  資料No.2は、技能実習制度に関する各種提言ですが、時間の関係もありますの でポイントだけ説明させていただきます。1頁は、規制改革・民間開放推進3か年計 画です。規制改革会議における答申を基にした閣議決定もので、この中で3点の指 摘があります。(1)は実務研修中の法的保護の在り方、ということで下線を引いてあ りますが、実務研修中、いわゆるOJTでの研修生が、実質的な低賃金労働者とし て扱われる等問題があるので、制度本来の目的である技能移転が適正に行われ、 研修手当が適切に支払われるよう、法的保護の在り方を幅広く検討して結論を得 るべき。(2)は技能実習生に対する在留資格です。いまは特定活動という形になって おりますが、技能実習生の安定的な法的地位を確立する観点から、在留資格の付 与について結論を得る。  2頁で、法令以外の規定に基づく規制等の見直しということで、冒頭にご紹介しま したように、技能実習制度については法務大臣告示であるとか、厚生労働大臣の 公示という形で、運用上でかなりやられているということです。入管法に基づく政省 令への格上げなどの形で整理すべきではないかという提言をいただいております。 その際、不正行為を行った受入れ機関の新規受入れ停止期間、現在3年間ですけ れどもこれを5年に延長するなど、規制の厳格化について検討することになっており ます。これらの点について、平成18年度中に検討し、結論を得なさいというのが閣 議決定されています。  3頁は骨太方針です。この中でも、研修・技能実習制度の見直しを図ることが言 われております。  4頁は、政府内の副大臣会議の中に、外国人労働者に関するプロジェクトチーム があり、平成18年6月に考え方を取りまとめております。その中で、研修・技能実習 制度についての指摘があり下線を引いてありますが、いろいろ指摘がされた上で、 研修・技能実習制度について、単純労働者の受入れを認めない原則に沿って制度 を廃止すべきであるとの意見もあるが、制度が定着していることを踏まえ、当面は 現行制度の厳格な運用を行うとともに、制度の実施状況等を踏まえ、必要な制度 の見直しを検討していくことが適当とされております。  また、検討に当たってはということで視点が書いてあり、なによりも国内労働市場 に悪影響を及ぼさないこと。国内の劣悪な就労を助長することのないようにすること。 研修・技能実習制度が定住につながらないようにすることを最大限配慮することが 不可欠との指摘になっております。  5頁は、自民党の外国人労働者等特別委員会が7月にまとめたものです。技能 実習制度についても提言がされております。ポツが3つあり、1ポツ目はチェック体 制の強化、適正化を図れという話です。3ポツは制度の在り方として、再度入国して 2年間技能実習を受けられる、再技能実習というものの制度化を図ったらどうかと いう提言になっております。  6頁は、河野法務副大臣が9月にまとめたものです。ここでは、技能実習制度とは 別の新たな就労資格の枠組みをつくった上で、いまの技能実習制度については廃 止すべきだという意見になっております。  7頁以降は、経団連、日商、連合のコメント等を付けておりますので後ほどご覧く ださい。以上が資料No.2です。  資料No.3は、事務局から当研究会に対する検討事項として、こういうことをお願い できないかという形でまとめたものです。先ほどご説明しましたように、規制改革・民 間開放推進3カ年計画において、平成18年度中に検討・結論をすべしという事項 がありますので、そういう点を中心にご議論いただければと思います。繰り返しにな りますので割愛しますが、(1)は実務研修中の法的保護の在り方、(2)は技能実習に 係る在留資格の創設、(3)は法令等以外の規定に基づく規制等の見直し、こういう 点についてご議論をお願いしたいと考えております。(4)として同等報酬要件ですが、 これはいま法務大臣の指針の中で、技能実習生についての同等報酬要件が要件 としてかかっておりますが、この実効性確保についてもご議論いただければと思っ ております。以上、現行制度の適正化に関する事項を中心にお願いしたいと考えて おります。  またそうは言っても、いろいろな所で制度の在り方にかかわる見直しについても提 言がされておりますし、適正化の議論に当たっては、その制度全体の議論も当然 出てくると思っておりまして、制度の在り方に関する事項についても、一定の論点の 整理なり、検討課題の提示などを行っていただければありがたいと思っております。 論点として考えられますのは、技能移転の実効性確保、いまの技能実習の技能レ ベル・職種についてどうするか、送出し機関・受入れ機関の在り方、受入れ企業の 条件という点についても、併せてご議論いただければありがたいと思います。  資料No.4は、後ほどご意見を賜れればと思います。先ほどご紹介したデータだけ ではなかなか実態がわからない点も多いですので、事務局を中心にJITCOの協力 を得て、受入れ団体等へのヒアリングを行いたいと思っております。できれば、委員 の方々にもお時間の許す範囲でご参加いただければと思っております。繊維関係、 機械・金属、食料品、農業又は異業種も含めて5職種、各2、3団体で、1団体当た り2企業程度で、今月末から11月にかけてヒアリングをして、その結果を当研究会 に報告させていただければと思います。ヒアリング項目も案として付けておりますの で、本日でも後ほどでも結構ですのでご意見をいただければと思います。  資料No.5は、本研究会のスケジュール(案)です。これも、事務局の希望ということ でお受け止めいただければと思います。本日は全体的なフリートーキングをしてい ただき、次回の10月31日には、まず適正化に関する事項を中心にご議論いただ ければと思います。11月22日には、まだこれから打診するところですけれども、労 使等関係者からのヒアリングなどもできればと思います。先ほど申し上げた、受入 れ機関に対するヒアリング調査の結果もまとめてご報告したいと思っております。そ の後2回ほど全体的な議論をしていただき、年内に1度中間的な取りまとめという 形で、特に適正化に関する事項については、平成18年度中に結論と言われている こともあり、一定の方向性をお示しいただければありがたいと思います。以上です。 ○今野座長 ただいまの、資料の説明に対するご質問、ご意見がありましたらお願 いいたします。 ○上林委員 質問です。39頁の失踪者のところで、3割というのは何に対する割合 ですか。 ○外国人研修推進室長 平成17年の数字で申し上げますと、実習生が大体6万 人ですので、その6万人に対する1,236名の割合が2.1%です。 ○上林委員 それはわかります。右側の70%とか、もっと比率の大きいほうの数値 です。 ○外国人研修推進室長 2.1の目盛りのつもりです、あまり意味のないものです。 ○上林委員 これは、左だけ見ておけばいいのですね。 ○外国人研修推進室長 はい。 ○渡邊委員 38頁で、いろいろ適正な管理のために指導を行っている、その結果こ ういう実績があるということです。いますぐでなくてもいいのですが、どういう企業規 模であるとか、そういうことまでわかると業種による違いであるとか……性等々がわ かると助かります。後で、おわかりになる範囲でご説明いただければと思います。 ○外国人研修推進室長 そこは、精査して後ほどご報告いたします。 ○今野座長 これは、上が法務省で下が基準局ですが、できれば両方ということで すね。 ○上林委員 上のほうはJITCOです。 ○今野座長 その前の頁が法務省ですかね。 ○樋口委員 この制度の目的として、発展途上国における経済発展を担う人づくり、 ということが目的になっているわけです。論点としても、技能移転の実効性確保とい うことが挙がっています。これで研修を受けた人が、その後どのようになっているの かということについての調査やインフォメーションは存在するのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 正直申しまして、そこは十分な数字がないところです。向 こうですぐに就職するわけではなかったり、就職しなくても実習生同士で新たな会社 を起こすという例はあるようですけれども、実際に帰った後どうだったか十分なフォ ローは現状としてはできていません。 ○樋口委員 6頁のJITCOの役割というところで、技能実習制度を2年終わったと ころで証書の交付で終わっています。この後はかかわりを持たないのですか。帰国 しているのかどうか等々のチェックはどうなっているのですか。 ○上林委員 帰国のチェックはしています。 ○樋口委員 どこがやっているのですか、JITCOではないのですか。 ○審議官 基本的にR&Dを結んで、送出し国がその後の状況を報告することにな っています。しかし、実態の問題としてその報告がなされていないのが現状です。中 には、帰ってから会社を起こしたりということもあるので、中国についてはJITCOの ほうで、帰った実習生のOB会などをやっていますので、そこを通じて帰った人たち がどういうことになっているかを調べる努力はしております。まだデータとしては十分 集まっておりませんが、そういう努力はJITCO側としてもしています。基本的には、 送出し国が報告することになっておりますが、そこのところが真に不十分であるとい うのが実態です。 ○樋口委員 制度の目的が達成されているかどうかという根幹にかかわるところで あるわけですから、その人たちがどうなっているのか、本当に人づくりにこの制度は 貢献しているのか、また職種等々を考えて、その職種の適用を考えるときに、この 職種が適当であるのか、ほかにもあるのかどうかというようなインフォメーションがな いと、制度の運用、目的の達成というのはなかなか評価できないのかと思うのです。 是非お願いしたいと思います。 ○山川委員 受入れ機関について、第一次と第二次があって、団体監理型といっ た類型の場合、1番目に、送出し国と受入れ国との間で、国レベルでの協議事項な いし協定みたいなものがあるのかということ。2番目に、JITCOに相当するような外 国の機関との協定、審議官がR&Dと言われましたけれども、そういうものがあるの かということ。3番目に、日本の受入れ団体と、それに相当するような送出し国での 送出し団体みたいなものとの間で協定のようなものがあるのかということ。4番目に、 送出し企業と日本の受入れ企業との間に協定みたいなものがあるのかということ。 その辺りの資料や整理されたものがあるのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 政府間レベルでの協定はありません。あくまで民間ベー スで研修生、実習生を受け入れている状況です。JITCOについては、資料の40頁 で送出し機関を認定している政府がありますので、ここと先ほど申し上げましたR& Dという形で覚書を締結し、技能実習制度の運用を円滑に進めるためのいろいろな 協議を、相手国の対象政府機関とJITCOが窓口になって行う仕組みになっており ます。  現地の送出し機関と受入れ組合、あるいは送出し企業と受入れ企業の関係です が、実態としてどこまでどうなっているか十分把握できておりませんが、聞いている 範囲では送出し機関から直接働きかけがあり、民間ベースといいますか、直接その 送出し機関と受入れ機関で話をして、研修生の送り出しについての契約なりを結ん で、追って入管に対しての申請という形で上がってくるというのが実情と聞いており ます。 ○今野座長 いまの点で、例えば中国なら中国に派遣機関があって、日本に受入 れ機関がある、その間で受入れ契約は結んでいるはずです。JITCOではその標準 フォームを持っていて、大体それに沿って機関同士の契約は結んでいると思います。 ただ、いちばん最後におっしゃられた個別企業間ではないと思います。 ○山川委員 外国の送出し機関がどういうものであるかというデータは取れるかど うかわかりませんけれども、認定でしたらあると思います。日本の中の商工会とか 公益法人とかいろいろありますが、その内訳みたいなものの資料はあるのでしょう か。 ○外国人研修推進室長 29頁、協同組合、いわゆる中小企業団体が3万2,000名、 あと公益法人であるとか、10号団体というのは入管法が平成元年に改正されて在 留資格が再編される前から、研修事業として受け入れていたということで10号団体 と呼んでおります。その他商工会等となっております。 ○山川委員 (2)の公益法人というのでしょうか、社団、財団、民法上の法人という のはどういうものなのでしょうか。 ○今野座長 全部はわかりませんけれども、例を挙げると建設業だったら建設何と か研修団体・社団であってそこが受入れ機関になっている。私の想像だと、社団・ 財団の場合は少ないですけれども、1団体当たりの受入れ人数は多いです。いま は建設しか思い浮かばないけれども、ほかに何かあるのではないですか。 ○外国人研修推進室長 中小企業の福利厚生を目的としたような公益法人であり ますとかそのような所です。 ○上林委員 中小企業の地域事業協同組合はここに入るわけですか。 ○今野座長 それは事業協同組合ですから。建設のほかにもありましたよね、もし あれだったら調べておいてください。 ○外国人研修推進室長 調べておきます。 ○丹野委員 27頁と34頁に、研修生のときに労働者がいくら貰っているのかという ことと、実習生になってからいくらになるのかというようなお金の話が出ているので すが、これは労働者にいくら渡るのかだけが問題になっていると思うのです。この問 題は、基本的に労働者がいくら貰うのかというか、その個人としての人間の問題と、 企業の問題は別に考えるべきであります。そのときに企業からすると、いくら払って いるかのほうが問題だと思うのです。  そうすると、研修生のときに1人受け入れていることによって、払う金額と、実習生 になったからといって金額的にすごく上昇しているわけでもなんでもないではないで すか。要するに、労働者の取り分があたかも多くなってしまうというか、団体監理型 として入れているときだったら、団体管理費のほうで取られてしまっている部分が、 たぶん労働者に回るから労働者の金額が多少なりとも増えているというだけであっ て、受入れ企業からしたら、そんなにコスト的に上昇しているとは思えないです。  そうすると、労働者にいくら回っているのかというデータも必要なのですけれども、 研修生のときに受入れ企業がいくらのコストで1人当たりを考えているのかというこ とと、実習生になったときに果たしてそれが上がっているのかどうなのか。要するに、 変わっているのかどうなのか、もしくは賃金が変わるほど賃金の大きな上昇という か、7万円が中心だったのが11、12万円まで上がってしまうぐらいに、随分費用そ のものが上がるものであるのかどうなのか、というところまでできればあるとわかり やすいかと思います。 ○今野座長 41頁に。 ○丹野委員 これは、全体ですよね。 ○今野座長 この報告書というのは、研修生の時代だったらいくら、技能実習生の 時代だったらいくら、トータルだったらいくらというデータになっていて、ここはトータ ルになっています。もし必要でしたら、研修生の場合はいくら、技能実習生の場合 はいくらというデータがあったはずですので。 ○丹野委員 それを分けて出してもらえると、それぞれの問題がよりはっきりすると 思うのです。 ○外国人研修推進室長 おっしゃるように、研修生の段階と実習生の段階、それか ら受入れ企業と受入れ組合が負担している費用と分けて分析できますので、これ は次回以降にお出しいたします。 ○丹野委員 私は、どちらかというと現実の問題のほうが興味があります。要する に、研修生がなぜここまで問題になってしまうのかというと、実質的な管理団体など は半ばブローカーと変わらない存在になってしまっているわけです。私は、そういう 研修生団体の営業活動に付いて回ったことが1回あります。そうすると、地域の中 小企業などを回っていきます。お宅だったらこれぐらいの人数いるでしょうとかきち んと営業活動をしながら、外国人労働者が働いている所を同時に見つけます。そう すると、そこに不法で働いている人、要するに資格外で働いている人がいると、そこ の所を入管に電話をかけて摘発させてしまうのです。労働者がいなくなった後に自 分が行って、売り込みをかけてしまうみたいなことをやっていました。やっていること は本当にブローカーですよ。  それは、人を送り出すことによって、いくらというある種のレントが発生してしまって いて、しかもそのレントが企業と変わらないぐらいの利益が生まれるわけです。それ は、当然そういう人が生まれてきてしまうわけなのです。もちろん、完全な公益法人 として、利益を度外視してやれとは言いませんけれども、でも何らかの形で、人材派 遣業と変わらないようなことが、特定の事柄だから、要するに外国人だから可能に なるとか、そういう構造的な枠組みは取り除かないと、たぶんどこまで行っても同じ だと思います。 ○今野座長 いまおっしゃられたような機関というのは、29頁に分類があるわけで すが、ここのどれに当たるのですか。 ○丹野委員 団体監理型の多くがそれに当たります。 ○今野座長 もちろんそうなのですけれども。 ○上林委員 協同組合員になると思います。 ○丹野委員 協同組合等というのはそうです。 ○今野座長 協同組合が営業をやっているわけですか。 ○上林委員 受入れ団体の性格がだいぶ変わりました。できたころは、業種別に組 合をつくって、足りない所に助け合いでやりましょうということだったのですが、その うちにそういう経験を踏んでいくと、これはなかなか儲かるビジネスだということで、 自分たちで組合をつくるのです。つくるからには異業種ですから、受け入れて、いか がですか、うちからは訓練をしたちゃんとした人が来ますからいかがですかというこ とで、中小企業を集めて説明会を開いて、需要を喚起するわけです。それは、人材 派遣のビジネスになっています。  当初、1993年にできたころの、足りないから入れましょうというのとは違って、ニー ズを喚起してたくさん入れましょう、というふうにコマーシャルベースに変わってきま した。それが、こんなに急に広がったということもそうですし、異業種というか、公的 な機関の比率がだんだん下がってきて、1の比率が高まってきた理由もそういうとこ ろにあるのではないかと思います。 ○今野座長 協同組合をつくるにはルールが何かあるんですよね。 ○外国人研修推進室長 中小企業団体法に基づいて、要件を満たせば設立できる ことになっています。確かに聞くところによると、いわゆる異業種という形で、実習生、 研修生の受入れをまさに業としている組合もあると聞いています。 ○今野座長 普通、事業協同組合というのは業種別かなという感じがしたのですけ れども、そうでもないのですか。 ○上林委員 最初のころはそうだったのです。昔、異業種は中小企業が加盟すると、 高速道路の券が安くなるようなものもありました。もう廃止されましたが、そういう福 利厚生の団体がありました。ああいうものは、片手間に組合企業のニーズを聞いて、 人を送るということをやっていたのですが、だんだんこれはうま味のあるビジネスだ ということがわかりますと、そちらのほうに専業になってきているというのが実態で す。 ○丹野委員 ファクシミリで……って、それが入ってきたというのはよく聞きます。 ○今野座長 そのときの法人格はどうなっているのですか。 ○丹野委員 受入れ団体としては組合がまずあって、研修生の場合だと、受け入 れている企業がダイレクトに労働者にお金を払うわけではなくて、一旦組合にお金 を入れるではないですか。要するに、あくまでも研修生自体は組合からお金を貰う という形になってしまっていますから、まさに派遣業というか、請負業と大して変わら ないというか。 ○山川委員 技能実習生になったら、賃金直接払いの原則がかかるから、直接払 っているのではないでしょうか。 ○丹野委員 直接払うわけですよね。 ○上林委員 そうです。その間に受入れのノウハウを教えてあげるわけです。こうい う外国人を受け入れて大変だろうとか、移行試験の受け方、合格の仕方、すべての サービスを一括して行うということです。 ○丹野委員 そうすると、手数料が入るわけですか。 ○上林委員 はい。 ○丹野委員 課税のほうはどうなりますか。 ○上林委員 もちろん収入が上がりますから、税務署はきちんと目を付けます。き ちんとしたことをやっているかということで、いちばん最初に税務署が目を付けます。 だから、全うな事業として税金も払います。 ○今野座長 いまの話というのは、29頁の協同組合の中のある部分ですよね。 ○上林委員 そうです。 ○今野座長 (2)から(8)は意外に問題がないわけですか。 ○上林委員 どうなのでしょうか。私はすべて知っているわけではないので。だから、 公的な機関が、例えば真面目にやっていくと、とてもとても職員の人数や、体制が 追いつかないのです。ですから、少しずつこういう仕事から引いていきます。ルーチ ンワークでは済まないのです。 ○今野座長 ということは、少ないけれど比較的問題はないということですか。 ○丹野委員 1つには制度の問題があって、厳しくしようとすればするほど、用意し なければいけない書類は膨大な書類です。1人入れるのに2センチも3センチも書 類を用意しなければいけないような仕組みになっているから、善意の人などは手を 出さないです。そこまで面倒をつけてまで入れるというか、用意しなければいけない ということを、あえてするというのは、そこに金銭的な利害があるから初めて携われ るような仕事になってしまっています。その意味でいうと、やはり厚労省はもうちょっ と、一方での簡素化という問題と、要するに受入れ、特に中小企業で多く働いてい る所なんていうのは、社長さんと言っても、言葉は悪いのですが、普通のおじさんで すから、あの人たちが用意できる書類ではないのですよ。  要するに、受け入れている場が処理できないような様式を要求してしますからこそ、 そういう中間団体がどうしても必要になってしまう。そのために現場というか、受け 入れる側が用意できるもの、それを判断できるような仕組みを本来はつくるべきな のであって、そうではなくて、受け入れる側が用意できないものをつくらせといて、入 れるという仕組みが残っていると、これは永遠に続きます。 ○上林委員 理由が書類というのですが、それだけが理由とは私は思いません。と にかく儲かるビジネスとして非常に着目、人材派遣業の一環というふうに考えたほ うがいいと思います。 ○渡邊委員 書類の多さというのはスクリーニングの意味もあるわけですから、一 概にそれが悪いとは言えないところがあると思います。 ○丹野委員 一概にそれが悪いとは言えないのですけれども。 ○樋口委員 申請した人数というのは、大体確保されているものなのですか。 ○上林委員 何人ほしいですかというように、まずニーズを聞いて、それを調達して くるという形なのです。 ○樋口委員 それは大体確保されるのですか。 ○上林委員 それは送り出しの。 ○樋口委員 人数の制限は全くないのですか。 ○上林委員 ないです。 ○渡邊委員 先ほど丹野委員がおっしゃったように、そこは数だけを確保すればい いのです。請負と同じといえば、そういうことですよね。 ○上林委員 そうです。 ○樋口委員 人数でいうと、ここ3、4年ですか、急増していますよね。これは景気が 回復しているからだと思いますが。それでニーズが出てくるとそれに応じて、あとは、 申請がチェックされて、OKであれば自動的に。 ○上林委員 ただ、従業員数に応じて受入れ枠がありますから。1社につき、最高 3人です。それを3年間ですから9人まではどこでも受け入れられるのです。だけど 9人を受け入れるかどうかというのはコストの問題がありますし、住宅の供与の問 題もありますから、企業に応じて、うちは何人ほしいという形で人数を決めていきま す。 ○今野座長 いまおっしゃられたようなブローカーが入ったとして、そのブローカー が入った研修生の研修条件というのは、すごく悪い。つまり、いろいろな可能性があ りますね、ブローカーが入ったからしっかりするというケースもあるので、その辺はど うなのですか。 ○上林委員 それは商売ですからきちっと法律は守るというように、いい所はやりま す。 ○今野座長 いい所はですか。 ○上林委員 悪い所は分からないですけれど、いい所はきちっとします。ですから、 受け入れる前に何の仕事をしていたのかと言ったら、今と同じ仕事を書くようにと、 きちんと指導します。 ○今野座長 いや、研修のときはきちんと研修手当は払われているかとか、住宅は きちんと用意されているとか、研修はちゃんと、off−JTはちゃんとやっているとか。 ○上林委員 off−JTというのは、例えば、地域のお祭りに参加するのはoff−JTだ し。 ○丹野委員 あれは定義上問題がありますね。 ○上林委員 普通に働いている以外の時間、日曜日に集めて交通安全講話をさせ たり、それは全部off−JTになるわけですね。 ○丹野委員 一部上場企業のoff−JTとは全然違いますから。 ○上林委員 だから、仕事以外がすべてoff−JT。 ○今野座長 例えば日本語教育は。 ○丹野委員 それは入ります。 ○今野座長 あるいは技能実習に移行するための試験勉強をやるとか。 ○上林委員 もちろんします。 ○今野座長 一種のoff−JTですけれども、そういうのはブローカーを通さない場合 と通す場合があるわけですが、ブローカーを通した場合は、どうなるのかなと思った ものですから。 ○上林委員 通さないと試験が受からないです。どういう試験問題が出るのかが。 ○今野座長 ブローカーの定義は難しいですよね。極端なことを言うと、事業協同 組合も全部ブローカーと言えばブローカーなので。 ○丹野委員 片方の対象としては、するとなったら全部がブローカーになってしまい ますからね。 ○今野座長 協同組合だって、ほかの公益団体だって一定の事務費は必要なので、 そのコストは取りますのでね。 ○上林委員 はい、取ります。 ○今野座長 ですから、ブローカーと言えば全部ブローカー。 ○上林委員 そうです。 ○今野座長 いま言われたような意味でのブローカーというのは、ほかに比べてサ ービス内容のクオリティーはどうなのかなと思ったのです。 ○上林委員 ほかというのは。 ○今野座長 公益法人でもいいですし、あるいは、普通の事業協同組合がやって いるのもありますよね。言ってみれば伝統的でもいいのですけれども。 ○丹野委員 ピンからキリまでとしか言いようがないと思いますよ。 ○今野座長 それだと、伝統的なものもピンキリですよね。 ○上林委員 それと同じです。 ○山川委員 ビジネスをそういう部門でやってはいけないということは必ずしもなく て、制度に不十分なところがあるから、そちらを直すというのが先決だといえば、そ のとおりですけれども。 ○樋口委員 制度の問題と運用の問題があって、制度ではきちんとできていたとし ても、運用面において、そこがチェックされていないということもありそうなお話です よね。 ○上林委員 1つは運用面ですので。 ○今野座長 私の経験だと、ブローカーが入るからどうかというのは認識なかった のです。例えば事業協同組合とか経営者団体でも、これは一般論で言うと、業種限 定でやっている所はクオリティーがいい。 ○上林委員 割合いいですね。 ○今野座長 それで業種を超えてやっている所はクオリティーが悪い。したがって、 商工会は駄目。どうしてかというといろいろな業種が入っているから上手に研修効 果は上げられないわけです。極端なことを言うと商工会議所もそれに近くなる。小さ いけれども、例えば機械産業を地域でやっている業界団体は、意外としっかりやっ ているというのが私の印象だったです。それはブローカーとは別で。 ○丹野委員 それは同じだと思います。一般的な傾向として言えば。 ○上林委員 そういういい所以外の、要するに異業種の比率がすごく増えてしまっ たということです。 ○今野座長 私が言いたいのは、異業種だったら商工会も異業種だぞ、という意味 なのです。 ○上林委員 サービスは全然違いますね。 ○樋口委員 ちょっと質問してよろしいですか。資料3で、今回、研究会における検 討事項で、制度の適正化が挙がってきて、その背景には今のような問題があるとい うようなことを十分理解したと思うのです。(4)同等報酬要件の実効性、これはすでに 文面に入っているわけですから何らかのチェックはやっているだろうと思うのです。 本来、報酬が日本人と同等であれば、その手数料を払う分だけ、逆にこの制度が 高くなってくるはずです。先ほどの11万8,000円というのが支給予定賃金の平均だ となっていますが、これは日本人に比べて安いのではないのと、この統計自身がで すね、というようなことを感じるのです。これは、認めるときにどうチェックしているの か。日本人と同等という要件が満たされているかどうかというのは、事務手続き上 どうチェックしているのかというのは、どうなのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 入管に申請をするときに雇用契約書を付けることになっ ております。そこで最賃は上回っていなければいけないでしょうが、一定の金額が 入っていれば、基本的には、するとなってしまう。 ○樋口委員 日本人と同等というチェックではない。最賃をクリアしているかどうかと いうことですか。 ○外国人雇用対策課長 一般的にこの同等報酬要件というのは、就労目的の在 留資格みんなにかかっている要件なのです。ですから入管はみんなチェックしてい るのですが、聞いたところでは、同じ企業で働いている日本人がいるわけで、賃金 体系のようなものを出させるらしいのです。一応添付させる。それを見て、これはあ まりにもひどいというのはハネているというのが実際らしいです。絶対一緒であるか ないかというのは厳密に立証不能らしくて、大体見て、あまりにおかしいというもの 以外は、まあいいかとなっていると聞いていますが、入管の話も、そんなに表に出 ていることではありませんので。 ○樋口委員 これは就業日数とか、労働時間とかについての情報はあるのですか。 11万というと、例えば、22日なり、週休2日で働いて日給5,000円を切ってくるので すよね。5,000円で8時間というと、最賃は。 ○上林委員 最賃はクリアする。 ○丹野委員 最賃ぎりぎりですね。 ○上林委員 そうです、最賃でやっています。 ○樋口委員 最賃さえクリアしていれば、逆に、いいということであって、この(4)の要 件、チェック、実効性確保はもともとチェックされていないのではないのという気がし ないでもないのですが、どうなのでしょうか。 ○上林委員 先ほど調べがありましたよね、労働基準局と、それから入管とJITCO と。 ○樋口委員 違法のあれですね。 ○上林委員 はい。そういう所が不定期、要するに予告せずにチェックはしているわ けです。 ○樋口委員 そのときは最賃を守っているかどうかということであって、ほかの日本 人と同等の賃金が払われているかということもチェックしているのですか。 ○上林委員 それはしてもあまり意味がないことですから。法律違反ではないから チェックしないです。 ○外国人研修推進室長 ……3条に均等待遇とありますけど。 ○樋口委員 今度、もう一度申請を出すときに、そういうチェック要項で入ってこな いのですか。 ○今野座長 日本の現状を考えて均等待遇、均衡待遇でもいいですが、それでや ったときに、何をもって均衡というのだろう。 ○樋口委員 それは今のパート法で。 ○今野座長 それと同じ問題なのですよ。 ○上林委員 微妙な問題があるから、そこはチェックしない。 ○樋口委員 そうすると、(4)はもうできないということですよ。 ○今野座長 いや、できないというか困難を抱えている。 ○樋口委員 だって、法制度にはもう入っているのですよ。だから、それをちゃんと 実行しろということですよ。 ○今野座長 つまり、パートで実行してもらう。 ○上林委員 そう、そこが問題。11万もらえて、実質的に11万で入っているかとい うと、住居費、食費、光熱費という形で、手取りいくらになりますかが、実は問題なの です。全部もらえればいいものを、それさえも保証されていないと。 ○今野座長 でも、それは問題ではないと思うよ。 ○上林委員 だけど、現実には。 ○樋口委員 会議のほうで、要望でアンダーラインが引いてありますが、「実質的な 低賃金労働者として扱われる等労働に従事させることなく」、ない制度にしろと言っ ているのですよね、ここでは。 ○今野座長 それは研修の話、技能実習ですか。 ○樋口委員 ええ、「研修・技能実習制度の見直しの中で、在留資格『研修』の在 留活動の一部である『実務研修』中の研修生」と書いてあります。 ○外国人研修推進室長 そこで言っているのは、研修中。1年目の計でして、雇用 関係のない状態の部分です。研修生の中の実務研修という意味です。 ○樋口委員 先ほどの7万というものですか。 ○外国人研修推進室長 そうです。 ○樋口委員 だけど、7万は賃金ではない。低賃金労働。 ○山川委員 これは労働に従事させる実態をもたないようにすると。労働者になら ないようにという趣旨ではないかと思います。研修の趣旨、技能移転に特化した方 向を徹底させるということではないかと思います。 ○今野座長 丹野さんが先ほど言われたように、費用の資料がありましたが、そこ で住宅費を計算すると、1カ月3万5,000円ぐらいは取られているわけですね。そう すると、研修手当に3万5,000円か4万乗せると、ちょうど11万ぐらいになるわけで す。 ○上林委員 そうです。 ○今野座長 そうすると、技能実習のときの賃金になるわけ。そういう意味では、コ ストはあまり変わらないのではないかと思う。 ○上林委員 手取りも変わらないのです。研修生と実習生の間で、手取りは変わら ないように企業も気を配っている。そうでなければ、同じ仕事をしているのに賃金が 違うという、要するに、もらうお金が違うというので、ものすごく喧嘩になるのですね。 それで、じゃあ3年間については。 ○今野座長 ただし、それが過度の低賃金と言えるかどうかは別の問題です。極端 な話、最賃クリアして11万払っています、それで住宅を用意するのだから住宅費を 取るのは当たり前です、食事を用意するのだから食費を取るのは当たり前ですと、 そこで過度に取っているわけです。したがって、手取りは6万になったりします。そん なの当たり前ではないですか。その6万をもって低賃金というと、その話はちょっと 違うと思います。 ○樋口委員 問題は、低賃金だということではなくて、まさに(4)で検討しろと言われ ていることが、どうかということなのですよ。同等報酬要件の労働条件の適正化。 ○上林委員 いや、こういう話でしたら、パートとか、すべてのあれに。 ○今野座長 まあ、いいじゃないですか、今度頑張りましょうということで。 ○上林委員 その程度にしか言えないでしょう。 ○樋口委員 ここで議論しろという意味。 ○今野座長 そうです。 ○上林委員 先ほどは運用の話で、制度上、41頁の費用を見れば分かりますが、 業種別受入れ費用支出合計で研修手当、あるいは実習生賃金というのは、この程 度なんです。それ以外の送出し管理費とか帰国とか、この部分は研修生、実習生、 受入れが大きいですよね。これは賃金に対して、雇うほうから言えば上乗せになる わけです。だから、研修生や実習生を雇っても賃金の節約にはならない。 ○今野座長 ならないと思いますよ、真面目にやっていれば。 ○上林委員 そうするとどこにポイントがあるかというと、3年間は必ず拘束される、 絶対辞めない、逃げない限りいるという、ここの安定性が非常にメリットになる。 ○今野座長 なるほど。 ○上林委員 ということは、普通の労働者からみたら、労働移動ができない。もし今 度5年となったら、5年間移動できないという前提になって、基本的な労働移動の権 利がない人が出てくるので、非常にまずいことになるというのが1つです。 ○山川委員 労働基準法上、雇用期間の上限は3年で、1年経てば今の段階だと 直ちに辞められることになっているのですが、実態として契約で2年の拘束をかけて いいのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 1年更新でやっています。 ○山川委員 その前に帰ってしまう、帰国せざるを得ないことが多くなるということで しょうか。その前に退職してしまうと。 ○樋口委員 転職の自由が国内にないということをおっしゃっているわけです。 ○上林委員 1年で転職するという。 ○今野座長 転職ではなくて、帰ると手を挙げるということですね。 ○上林委員 それはできるけど。 ○山川委員 実質上日本にいられないために転職が制約されるということでしょう か。 ○上林委員 そうです。 ○外国人研修推進室長 在留条件として、ここで実習をしますということが明記され ますので、基本的に実習場所を変わることは制度上ないということですね。 ○上林委員 ないです。 ○外国人研修推進室長 仮にその実習先の企業がたまたま倒産してしまったよう な場合は、法務省やJITCOが別の企業を斡旋することもあります。 ○山川委員 1年経過後の退職の自由自体は、制度的にあるということでよろしい でしょうか。 ○外国人研修推進室長 退職して帰国すれば、それはできます。 ○樋口委員 いま言われたのは(2)の所に関連してくるのですよね、在留資格の創 設。いまは技能実習だから、特定活動だから国内での転職はできないということで しょう。 ○上林委員 海外から入った場合には、雇用主が在留資格を申請しますから、帰 国する以外は、外国人の就労は移動ができないのです。 ○樋口委員 ただ、ほかの外国人、日系人は認めていますから。 ○上林委員 日系人は定住者ですから違います。 ○樋口委員 法の扱いは、そうしろということなのですよ、(2)は。 ○丹野委員 日系人の場合は就労資格ではなくて、定住資格という、住むことの資 格で出るだけですから、だから移動できるだけで。 ○樋口委員 実質的に雇用主が全部申請するのですけれども、実態としては転職 できるのですよ。 ○上林委員 いや、違う。定住ビザは、雇用主は申請しないのです。 ○樋口委員 定住ではなくて、例えば外国人の先生を呼んできますね、それだって できるのですよ。文面を読むと、形式的にはできないとなっているのですが、実質的 にはできるのです。 ○外国人雇用対策課長 それは在留資格の範囲内であれば可能です。ノバが、例 えばイーオンに行くことができます。 ○樋口委員 特定資格だと、この場合は特定活動だけれど、これは問題だと言って いるわけでしょう。 ○外国人雇用対策課長 それは先ほど来、室長が説明している法務省の指針の 中で、これはなんの指針かというと、研修という在留資格から、特定活動という在留 資格へ、資格変更許可を出すときの運用の指針なのですが、実習実施機関、つま り技能実習を行う機関は研修を行った所と同一でなければならないと書いてあるの です。要するに、そこでやりなさいということが入管法体系上担保されている。だか ら、ほかでやったらアウトになるという仕掛です。 ○丹野委員 入管法別表4−1は職種によって区別されていますから、職種をまたぐよ うなというか、自由に企業を選ぶことがあってはならない、ということにしかならない のではないですか。 ○樋口委員 企業は変わってもいいのですよ、職種が変わらなければ。 ○丹野委員 それはそうです。 ○樋口委員 転職で同一職種の、別の企業への転職は認められているのです、普 通は。 ○外国人研修推進室長 規制改革会議で(2)を指摘しているのは、私の理解では、 例えば研修という在留資格であれば、入管法上の別表に定められていて、その在 留要件や受入れ要件が入管法の省令という形で明確になっています。この特定活 動については、個々の実態を見て、法務大臣が認め許可を与えるという形になって おり、まさに運用上の措置になっています。技能実習生の受入れ要件とか、先ほど 外対課長が申し上げました、実習場所は研修場所と同じでなければならないという のは、法務大臣の指針でしか定まっていないということで、ここでは法的なレベルと して不安定ではないかということを言っておりますので、必ずしも、いまの技能実習 生について就労とか転職を認めるという趣旨ではないということです。 ○樋口委員 問題提起は、むしろ移動できないことが問題だという趣旨ですか。 ○上林委員 企業にとっては、黄色・紫の所以外の部分を受入れ企業が負担して いますから、受け入れた企業としては離したくないし、動かしたくない。よほど困って 帰国させる以外は確保しておきたいだろうと。それがしばしば住居を隔離しておい たり、門限があったり、ほかの外部の人と接触するのをやめさせたり、いろいろな人 権侵害につながることにもなっているわけです。このコストを誰が負担するのか。今 の制度では受入れ企業が負担していますから、コストの上からいって動かしたくな いと思うのは当然だろうということです。 ○樋口委員 気持は分かるのですが、例えば自分の社員を海外に留学させて、コ ストは会社が持って、帰ってきて離職できるかどうかという問題と相通じるところが あるのです。教育訓練費を誰が負担しているか。雇用主がしているのだから、それ をペイするまでは転職の自由は認めないと。これは日本人については駄目なので すね。 ○上林委員 しばしばタラの移動のような形で引き抜きがあるわけです。もっと高い 賃金を払うからうちへ来いという。それは逃亡という形になりますが、それをさせる 動きも確かにあるわけです。ある程度日本語ができて慣れていたら簡単です。その 辺が制度上、非常に難しい問題になっております。 ○丹野委員 労働者としても逃亡したほうが得なのです。もともと低い賃金で働い ているときに、上がるチャンスをみすみす逃がすのは非合理的な人間ですよ。労働 者に、正直でいるほうが非合理的であるような状態に置いておくことのほうが問題 があって、それは当人が合理的に選べて、いちばんいい所に行ける。もちろん、そ れはある枠の中ですけれども。そこの部分を担保すべきだと思います。 ○渡邊委員 個人からみれば、研修手当も賃金も同じお金ですからね。高い額を 提示されたら、そっちに行きたがるのは分からないでもない。 ○今野座長 いまの話はここの論点でいうと、同等報酬要件の実効性確保をきち んとしろという話になるのかな。 ○丹野委員 それに近いと思います。それこそJITCOのほうで出してもらえば分か ると思います。要するに、明らかに企業規模によって逃亡率が違うわけではないで すか。企業規模の大きい所だと逃亡率が低くなるというのは、端的に言えば、海外 の現地法人から幹部候補生がやってくるという割合が高くなるからこそ、彼らからす ると、将来は、日本でいま低いかもしれないけれども、戻ったときには幹部候補生に なれるというか、自分の将来につながっているからこそ逃亡するインセンティブもな いし、ましてや日本で研修することの意味もあるのだけれども、そうではなくて、まさ に低賃金だけを期待されている形で働いている人からすれば、逃亡するほうが合 理的ですよね。 ○今野座長 何となく研修生、技能実習生について十把一絡げにしゃべっているけ れど、企業単独型というのは、皆さんは念頭にないのですよね。 ○上林委員 ないです。 ○今野座長 それは問題ないですよね。企業単独型というのは、先ほど入管の統 計がありましたが、人数の問題ですけれども、その辺を頭に入れておこうかなと思う のです。22頁に、民間受入れが平成17年だと、約7万人です。その中の、いちばん 下の入管に直接申請というのは、これはほぼ企業単独型でしょう。これが1万2,000 人ですね。JITCOベースで7,500人だから、約2万人は企業単独型だと。  いま一生懸命ここで問題にしているのは、残った団体監理型の約5万人。 ○外国人研修推進室長 実習生に対する移行段階で見ますと、29頁になりますが、 企業単独型の場合、研修だけで帰る方も多いと思われますので、実習に移行する 人数で考えますと、29頁にありますように企業単独型は1,891名となっています。 ○今野座長 ずっと少なくなっていますね。 ○外国人研修推進室長 はい。 ○今野座長 技能実習だと、実質上は団体監理型ということですね。 ○外国人研修推進室長 はい。 ○今野座長 それで、ほとんど中小企業ですよね。 ○外国人研修推進室長 はい。 ○山川委員 その場合、研修と技能実習が同じであるからという場合に、それでは 研修について労働にしようという方向と、そうではなく、研修は研修で徹底させると いう方向の2つが論理的にあり得て、規制改革会議のこの指摘事項は、研修の趣 旨は技能移転、労働者ではないということを徹底させて、一方で法的保護を与える と。そちらの方向を指摘しているように思う。私自身は、こういう方向が妥当ではな いかと思います。  労働者としても、研修は研修で、技能実習は実習であって、働き方とか活動内容 が違っているのだということを予め納得していれば、不満としても違ってくるし、自分 のスキルに役立つということであれば、それはそれでいいことではないかという気は します。 ○職業能力開発局長 上林先生と丹野先生は非常にお詳しそうなので教えていた だきたいのです。お手元にお配りした黄色い本があるのですが、こちらの12頁、13 頁に、JITCOが制度を解説した中に入っていますが、受入れ団体と受入れ企業と の要件ということで、先ほどから議論になっていた団体のことも書いてあります。留 意点の2では、事業協同組合は組合員の相互扶助を目的としなければならないと 定めている中小企業等協同組合法の趣旨に、斡旋して入れるのは違反だと。その ことともう1つ、研修生の受入れ枠の要求が極めて重要なことのようで、中小企業 団体は、下の2の3表を見ますと、中小企業団体Bとなっています。だから、Bで上 の2の3表を見ますと、このBの所に入るわけですが、そもそもは5%以内に収めな さいというのが基本的な考え方だったはずなのです。中小企業の要件を緩和したと きに50以下は3人入れていいとなったわけです。  そうすると先ほどの話で、最初3人の中小企業があったとします、そこに3人入っ てくることは可能ですよね。 ○上林委員 はい。 ○職業能力開発局長 翌年また3人入ってくるのですよね。 ○上林委員 はい。 ○職業能力開発局長 その次も3人入ってきますよね。 ○上林委員 はい。 ○職業能力開発局長 ということは、その企業は当初3人から始まったけれども、4 年目には12人になっていて、全部が研修生となると、この制度を使ってその会社に 入って来たら、その人たちに払っている給料は同等の賃金になってしまいますよ ね。 ○上林委員 はい。 ○職業能力開発局長 それが最賃を上回っていれば問題はなくなってしまうのかな と思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○上林委員 1年間に3人ですから、研修生3人と移行した実習生6人の、合計9 人までいいです。先ほど3年間の保証というのがありましたが、あとは、本当に来な いのです。要するに中高年の人しかいない所に入って来ているわけです。そうする と、誰が同等かというと、パートの40〜50歳のおばさんなのです。パート賃金の人と 研修生の20歳の人と比べますから。 ○今野座長 ほぼ同等。 ○上林委員 同等。 ○職業能力開発局長 研修生自体もその企業の従業員になってしまいますね、2 年目、3年目になってくると。 ○上林委員 はい。 ○職業能力開発局長 だから、比較の対象は、結局自分たちだというようになって いくのではないですか。 ○樋口委員 私もそれを考えたのです。実は、現実あるのですよ。パートタイマーだ けしかいない会社があって、一般労働者の4分の3以上というのが厚生年金の支 給要件。一般労働者がいない場合の4分の3とは何かという問題が出てくるのです。 ここで、例えば社会保険の話も2年目以降は発生するわけです。これはどういう扱 いになっているのか。雇用保険や厚生年金は。 ○__ 適用されている。 ○樋口委員 4分の3要件が、30時間と書いてあればいいのに、一般労働者の4 分の3と書いてあるのです。一般労働者がいないと言われたときに、実際そういう問 題がいまいくつかの企業で起こっていて。 ○今野座長 技能実習生は一般労働者ではないの。 ○外国人研修推進室長 一般労働者です。 ○今野座長 労働者ですよね。 ○樋口委員 一般労働者というのは何だか分からないのですよね。 ○山川委員 常勤というのは、所定労働時間で決定するということなのでしょうか。 契約期間で。 ○今野座長 技能実習者は所定労働時間働いている、きちんと。 ○樋口委員 この間の厚生年金の改革のときに我々が出したのは、20時間以上と いう、2分の1という。 ○審議官 その点はかなり中核労働で働いていまして、残業も相当やっているとい う実態ですから、4分の3は問題なくクリアしていると思います。入るべきという。 ○上林委員 その人たちは大抵入っています。それで、これは非常に不満が高い のですが、脱退一時金として、帰国したことを確認した上で払い込む、要するに帰 国担保の1つの要件になっています。帰ったことが分かれば、事前に支払った年金 を送り返しますよという形です。 ○樋口委員 一時金の趣旨からいうと、そうでしょうね。帰らないと、ちょっとね。 ○上林委員 それが逃亡とか足止め策の1つにもなっているわけです。 ○外国人研修推進室長 先ほど山川委員が、研修期間中は研修としての性格を むしろはっきりさせるほうがいいのではないかというご意見をいただきましたが、ほ かの委員の実態を聞いていますと、研修といっても、実際は実習とあまり変わらな いといいますか、実際には働いているということで、行政としてどこまでそこを担保で きるかというのは、正直難しい面があるかなと。その辺はどうすればいいのでしょう か。 ○今野座長 面倒くさいのは、いわゆるOJTです。OJTで安く使っているから問題 だというのは一概には言えない。どうしてかというと、例えばドイツのデアルシステム で、OJTでやっていますが、あれは最賃以下でやっているのです。あれは低いと言 えるのかという話になって、なかなか難しい問題です。一概に金額が低いから安い というわけには、単純にはいかないのではないかと思います。 ○上林委員 ただ研修を前面に掲げたときに、いま増えている農業や水産加工の 部分が、技能実習制度の枠と同じ枠組みで入るわけです。金属加工の熱処理や鋳 造など高い部分もありますが、これも一緒に技能実習生に入ると、これは誰が見て も収穫だけをやったりする単純作業で。 ○今野座長 そこはない。たぶんいろいろな理屈がある。収穫だってコツがある。そ こが難しいところです。 ○上林委員 いま何でも、拡大、拡大で28職種から63まで増えたときに、何でも入 れ込んで研修だと言ったときに、研修の概念がすごく曖昧になってしまう。 ○審議官 一応職種として認めるときに、基礎2級なり3級なりということが設定で きる。いわば仕事にある程度深みがあって評価制度ができるということを条件として いますので、農業であってもレベルの評価をする以上、中身について単純ばかりを やらせるということではないということは、ある程度担保しながら制度としては設計し ています。 ○今野座長 いま上林さんの言われていることが、もし問題だとすると、基礎2級で 設定してあるけれど、職種によってきちんと均衡がとれていますか、という問題提起 になるのだと思うのです。 ○山川委員 逆の面もあるかもしれない。例えば対人サービスみたいな、よくデパ ートで日系のデパートが中国に進出したりすると、お客様に対する対応の仕方自体 から徹底的に鍛え直すところもある。そういうのは試験に馴染まないのかもしれま せんが、ある意味、技能移転ということからすると、現在の評価の仕組みがせばま るかもしれない部分と、広がるかもしれない部分、そういうのを検討することもあ るのかなという気もしますが。 ○今野座長 業種でいうと、例えば機械とか金属の場合は基礎2級をやっても、技 能検定をずっとやっていたから、能力検定には長い歴史とノウハウがあるからいい のですが、農業とかそういうのは本当に始まったばかりなので、なかなか難しい面 があるかもしれないですね。ただ、農業だから技能は要らないと言われると怒られ ると思う、それだけで単純に言ってしまうと。 ○上林委員 農業のほうは、そこにこだわらないで、不足なんだから入れる。単純 労働者を入れる方向でいきたいというのが農業のほうです。技能にこだわっていた ら枠が狭くてしようがないです。今それが一緒になって技能実習制度の中に入って いるので、当然矛盾が入っている。 ○今野座長 雇いたい人の気持の問題と制度の問題は違うのです。上林さんが言 うことを制度上翻訳すると、基礎2級というのは職種間のバランスがちゃんととれて いるかどうかという問題になるのだろうと思っただけです。  先ほどの話で申し訳ないのですが、ドイツのデアルシステムは、昔から、低賃金で 人を雇いたいから企業は受け入れているのだろう、という批判はいつもついて回る のですよ。それはOJTになっているから。だから、ちょっとグレー、いつも真ん中で勝 負するような。あの制度もそうですけれども。 ○樋口委員 職種を認定するときの基準というのは、実態としてどこがやっている のか。そのときに基準が何になっているのかというのは、たぶん、制度の趣旨から 考えて、発展途上国の経済に貢献するだとか、あるいは、人づくしという2級という のが入っているのかもしれませんけれども。それが入っていて、それはどこが認定 しているのですか。 ○外国人研修推進室長 基本的には評価試験、評価制度が全国的なものとして、 公的な評価試験があるかどうかというのが、まず大前提になります。いま技能検定 職種のほかに「JITCO認定職種」があります。そういう公的な評価試験がある職種 であって、送出し国のニーズがあると認められる問題については、JITCO認定で職 種を拡大する形になっています。 ○樋口委員 本来であれば、本当に貢献しているのかどうかというのを受入れ側が チェックしないと。向こうが言っているから必要なんですね、ニーズありますね、とい う話ではないと思うのです。そこがチェックできていないからという気がするのです。 冒頭にした質問との関連で。 ○山川委員 記憶がはっきりしませんが、確かJITCOまたは別の団体で「フォローアッ プ調査」みたいなものをしていなかったでしょうか。 ○__ していますね。 ○樋口委員 昔、見たことはあった。確か特定の国でしたよ。 ○渡邊委員 そうですね。井口先生たちが確か実施されたと思います。 ○樋口委員 職種の拡大というのはJITCOが行うことができるのですか、いまの JITCO認定ということで。 ○審議官 はい。まず職種を認めてほしいと業界団体などが来た場合には、評価 制度があることが大前提だということで、業界団体のほうで、その辺は努力して評 価制度を作って来るわけです。それについて、JITCOのほうで技能検定3級とか、 それと同等かどうかというのを見て認定をするわけです。認定されれば、一応受入 れ職種としての評価制度があるということになります。あとは送出し国のニーズがあ るかどうかを見ながら、職種として認めて追加してきております。いまもずっとありま す。 ○外国人研修推進室長 先ほどの「フォローアップ調査」を毎年やっているようです。 また資料を渡したいと思います。 ○樋口委員 その資格があるか……。 ○今野座長 その資格があるかどうかというのは、現実的には前提となる。原則と してというか理論的にいうと、途上国の人材育成の協力という点での効果が非常に 重要だと、したがって、その観点から、もう一度見るべきだということです。そのとお りなのですが、現実にやろうと思うと、この効果の測定が難しくて。 ○樋口委員 少なくともこちらで習った技能を使っているかどうかを見ないと。全く違 う仕事に就いていますというのは、効果がないという、否定法ですよ。 ○今野座長 もし本当にそういうことをするのだったら考え方の問題なので、いろい ろな考え方のパターンはあり得るわけです。いま樋口さんが言われたように、いま やった仕事を必ず帰ってやっているのがいちばん分かりやすいです。よく日本の企 業の人たちが、自分の企業の従業員を自分の所に呼んできて教育したときに、何 がいちばん効果がありますかと言うと、その技能ができるというよりか、働く態度が 形成できた、安全意識が高まった、品質管理意識が高まったと。これを効果というと どこへ行ってもいいのですよ。 ○樋口委員 それは2級にすることはないですよ。2級レベルを要件とするというの は。それはあくまでも技能で、職業態度というのはちょっと。 ○上林委員 帰ったら失業しているという場合も結構ありますのでね。 ○樋口委員 それはあるでしょうね。 ○上林委員 そこで測定までいくと。 ○渡邊委員 大変ですよね。当初は、帰って送出し国の企業の管理職なり中間管 理職なりになって活躍している人は結構多くて、そこは効果と言われていたのです。 送出し国も経済発展するわけですから、必要とする技術、ニーズなどもだんだん変 わってきていて、だけど、こちらでは何か違う方向にどんどん広がっていて、そこの ギャップも結構出てきていますね。 ○樋口委員 そうすると河野副大臣みたいな案が出てきますよ。これは別のものだ と。 ○上林委員 現実には、こっちのほうで動いていると思うのです。仕事が違う、例え ば冷凍とか、いろいろな技術レベルが違うときに使えないということがある。 ○渡邊委員 日本と送出し国の技術が違う、物のつくり方が違う。それと、評価とい うときに、例えば日本に来て金型なら金型で働いた、そういう技術を帰って活かすと いうのと、日本語ができるようになったからガイドになって、そこで自分で仕事をする というのも結構多いですよね。 ○上林委員 いちばんいいのは、日系企業に就職する。これは日系企業の賃金レ ベルが高いですから、そこがいちばんの目標かしら。 ○樋口委員 私はこれがすごく役立っている面があって、この間、中国の上海でそ ういう調査をやったのですが、これを受けて企業経営者の一員になったという人も いるのです。そういうのをちゃんと評価してあげないと、受入れ側としてもインセンテ ィブが働かないですよ。 ○上林委員 真面目に受入れ側はやると、3年間で帰ってしまうのではまだ十分で はないという意見も出てきて、ニーズは本当にピンからキリまでなんですね。 ○今野座長 すごく真面目にやっている所もありますし、すごく不真面目にやってい る所もあるから。 ○樋口委員 それを全部同じにするところに問題が出てくるのですよ。 ○渡邊委員 すごい真面目はすごいですよね。3年で10年分ぐらいの技能を身に つけるというのは、聞くと結構あります。そういうところもあるかと思えば、3年目なの に日本語がたどたどしくて、当然技能もたいしたことなくて。 ○山川委員 今回日系人の話はあまり出てこないのですが、トータルとして受入れ の在り方を考える場合には、日系人との比較みたいなもの、渡邊先生が調査されたこ とありますが、そういう点でも見ていく必要があるかなと思います。例えば生活指導 とか、日本語指導をきちんとやって、かつ、帰国担保が制度的にしっかりしていると いう点では、たぶんこちらのほうがいろいろな意味でいい面もあるわけでして、その 辺りの比較もあったほうがいいかなと思います。 ○上林委員 日系人を雇っていた企業が、それを少なくしてこちらにシフトした大企 業があったのです。理由を聞いたら、3年間必ずいるということと、日系人の資源が 枯渇してきて、来てくれる人のレベルが当初に比べて下がってしまったので、という 言い方をしていました。 ○丹野委員 日系人は、私が思うに、日本政府にとっては外国人労働者のマーケ ットとしてみると、いちばんいい存在だと思うのです。なぜかというとパイが限られて いるから。要するに、間違って多く入って来るというようなことがあったとしても、限界 が決まっているわけではないですか。ブラジルでさえ130万しかいないわけだし、全 部合わせて、せいぜい150万です。そのうちいま30万強来ているわけですから、就 労可能人口を、ほぼ来尽くしちゃっているわけです。だからこそ、もう次がないという 話になるのだと思うのです。その点、政策的に間違った政策をやったとしても、限界 値が決まっていたというのと、これは無限の労働力供給地がある所が対象になって いるから、失敗するととんでもないことになって。  今日の話には出てこなかったのですが、私が愛知県に住み込みで調査していたと き、そのときちょうどアジア通貨危機があって、要するに、あのとき東南アジアの工 場を日本企業が、バババッと一時的に操業停止とか、ラインの活動を下げた時期 があったのです。あの時期、1、2年間だけ東海地域に異常に研修生が増えたので す。なぜかというと、要するにタイやインドネシアとかで操業させて、そこで働かしは じめた労働者群が、折角仕事を覚えたところで工場停止とか、明日から来なくても いいと言った途端に他の会社に勤めてしまった。それでは困るというので、なおか つ安い労働力にもなるということで、研修生としてパーッと受け入れているのです。 これは静岡から三重辺りの自動車関連はみんなそれをやっていました。  今後はグローバル化の中で、海外の工場との関係の中で、要するによそで操業 が落ちたときに、日本で一時的に研修生として受け入れて労働力の一部になってし まうということが本当に出てくると思うのです。今はただ研修生として受け入れるだ けだと思うのですが、そうではなくて、大企業などは全世界の中での人的資源の効 率配分の中で研修生を位置づけてしまうということも出てくるので、中長期的にはそ ういった事柄にも対応できないと危ないかなという気がします。 ○渡邊委員 今のお話はよくある話で、企業単独でやる場合は、それがかなり多い です。マッチングさせるブローカーが入る必要がないわけですから。その都度スム ーズにいって、現地の技術もそれなりの高さなんで、こっちに来てもすぐ労働者とい うか、研修ですけれども、ちゃんとラインに着いて仕事ができるということで。おっし ゃるように、今後そういうのが非常に増えてくる可能性はありますね。 ○今野座長 それは問題と考えるのか、問題でないと考えるのですか。 ○丹野委員 前の年まである地域に200人ぐらいしか研修生がいなかったのだけ れども、ある年と次の年だけ、そこに3,000人、4,000人の研修生がいて、それで向 こうの工場が通常の操業状態になると、一斉にワーッといなくなってしまう。ある種、 地域的にみると極端に外国人人口がポンと1,000人単位で増減するということが、 一民間企業のお家事情だけで生起するという。 ○今野座長 それは地域社会に対する影響をちょっと横に置くと、研修生、技能実 習生制度としては問題ないのかな、問題あるのかな。どちらでしょうか。 ○渡邊委員 制度の視点から言えば問題ですね。 ○丹野委員 本来の制度の対象者ではないですからね。 ○今野座長 これもいろいろな言い分があって、タイで操業が落ちたのだから、その 間、日本に送って、日本で研修をして、それでまた帰して、レベルは上がる。 ○丹野委員 研修生にしているのですが。 ○今野座長 でも、これを全面的に否定するのは難しいですよ。そういう面があると 言えばあるから。それと、タイにとってみると失業対策もしたわけだ。 ○樋口委員 少なくとも短期的には、今の制度目的が明記されているわけですから、 その制度目的に合っているところは褒めてどんどん伸ばすし、逆に、そこに問題が あるのだったらそこにペナルティを科すと。  もう1つの問題は、制度の趣旨がいいかというのは長期的に議論していかないと、 ODAだけではないよという話が片方であるわけで、ということではないですかね。 ○今野座長 それでは、今日は自由に議論していただきました。大変自由に議論し ていただきました。今日はこの辺にしたいと思います。最後に事務局から、先ほども ご説明があったのですが、受入れ機関のヒアリングのことと今後のスケジュールに ついて、お話をいただきたいと思います。 ○外国人研修推進室長 繰り返しになって恐縮ですが資料4で、現地ヒアリングと ありますが、これは受入れ団体、受入れ企業に対するヒアリングをJITCOさんに協 力をお願いして、事務局、それから渡邊委員と研究関係で熱心なところもあります ので、研究会の委員でも、先方との関係で日程調整が困難ですが、もしお時間が 許せば、ご同行いただいて実施したいと思っております。先ほどお話のありました異 業種団体も、是非行ってみたいと思っております。ヒアリング項目については、なか なかデータで取れないような受入れの経緯とか、研修生、実習生の採用方法など、 できれば聞ければと思っております。また、まとめて報告したいと思っております。  スケジュールについては、資料5で一応の案を示しておりますので、ご意見いただ ければと思います。 ○今野座長 もしヒアリングに行きたいという人がいたら、事務局に連絡を差し上げ ればいいですね。 ○外国人研修推進室長 受入れ団体との調整をして、日程が固まり次第、ご連絡 を申し上げて、参加できる委員の方には参加いただければと思います。 ○今野座長 それでは、今日はこの辺で終わりたいと思います。ありがとうございま した。 (照会先) 職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室 TEL:03-5253-1111(内線5952)03-3502-6804(夜間直通) FAX:03-3502-8932