06/10/11 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 第2回議事録 第2回 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会議事録 日時:平成18年10月11日(水)15:00〜 場所:厚生労働省専用第18〜20会議室 照会先:保険局総務課医療費適正化対策推進室(内線3181) ○ 出席委員(敬称略・五十音順)  赤星慶一郎、内田健夫、漆ア育子(草間朋子代理)、押野榮司、小池啓三郎、河内山 哲朗、櫻井正人、白川修二、田中一哉、田村政紀、辻一郎、津下一代、対馬忠明、中村 嘉昭、奈良昌治、松岡正樹、水口忠夫、峯村栄司、山本文男  ○厚生労働省出席者  水田保険局長、白石大臣官房審議官、唐澤保険局総務課長、岩渕保険局保険課長、神 田保険局国民健康保険課長、深田保険局総務課医療費適正化対策推進室長、山本保険局 総務課老人医療企画室長、大島保険局総務課医療費適正化対策推進室企画官、梶尾保険 局総務課医療費適正化対策推進室企画官、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、勝又 健康局総務課保健指導室長、金井労働基準局安全衛生部労働衛生課長 ○参考人  熊本市国民健康保険課技術参事 濱田英子 ○次第 1.開会 2.議題  (1)決済及びデータ送受信に関するワーキンググループにおける検討状況について  (2)市町村における衛生部門との連携及び特定健診・特定保健指導の準備状況について    ・熊本市の事例    ・柳井市の事例  (3)その他    ・特定健診・特定保健指導の義務化と労働安全衛生法の健診義務との関係につい て    ・保険者協議会中央連絡会について 3.閉会 ○梶尾企画官 定刻でございますのでただいまより「保険者による健診・保健指導の円 滑な実施方策に関する検討会」の第2回目の会議を開会いたします。委員の皆様にはご 多忙の折お集まりいただきましてありがとうございます。なお、会議に先立ちまして、 委員の異動についてご報告いたします。社会保険庁の人事異動に伴いまして、武田委員 に代わって松岡医療保険課長が就任いたしましたのでご報告申し上げます。併せて、厚 生労働省においても人事異動があり、事務局に一部異動がありましたのでご紹介申し上 げます。大臣官房審議官医政、医療保険担当に就任した白石、保険局総務課医療適正化 対策推進室長の深田、国民健康保険課長の神田、保険課長の岩渕、労働基準局安全衛生 部労働衛生課長の金井、健康局総務課保健指導調査室長の勝又、保険局総務課老人医療 企画室長の山本、以上でございます。なお、国会用務により一部事務局途中退席いたし ますので、ご了承いただきたいと思います。出席の確認ですが、本日小島委員と草間委 員から事前に欠席の連絡をいただいております。田中委員、櫻井委員、水口委員は間も なくお見えになると思います。草間委員については代理で漆ア委員が出席の予定です。 以降の進行につきまして、辻座長お願いいたします。 ○辻座長 それでは、議題に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○梶尾企画官 お手元の資料ですけれども、式次第、座席表、名簿の後に配布資料一覧 ということで資料1〜5と、参考資料1、2があります。ご確認いただきまして、もし 足りないもの、落丁、乱丁があればご指摘いただければと思います。 なお、委員の皆様には『糖尿病予防のための行動変容』という冊子、今日津下委員から 資料提供いただきましたので、お配りしてあります。以上でございます。 ○辻座長 それでは、早速議題に入りたいと思います。議題の1、「決済及びデータ送受 信に関するワーキンググループにおける検討状況について」事務局からご説明をお願い します。 ○梶尾企画官 それでは、資料1、資料2のご説明をいたします。資料1ですけれども、 第1回の検討会の際に、決済及びデータ送受信に関するワーキンググループの設置を認 めていただいたところです。資料1の3頁目にメンバー表がありますけれども、保険者 の団体あるいは健診を実施されている団体、あるいは関係のある方に参画をいただきま して、1頁目にあるようなテーマについて週1回から2回のペースで9月半ば以降、先 週まで会合をしてきました。ここでは特に被扶養者の特定健診・特定保健指導をどのよ うな形でやっていくのかということを中心にご議論をいただきました。  どのような検討をしてきたかを資料2「被扶養者の特定健診・特定保健指導の実施体 制について」を使ってご説明いたします。第1回の際にご説明申し上げたように、医療 保険者において今後計画を定めて40歳から74歳の加入者に対して特定保健指導をやる わけですが、その際、被扶養者については加入者の意向も踏まえて他の保険者に委託し て実施できるという法律の枠組になっているわけですけれども、その際、もし委託とい うのをやれば費用、決済はどうするのか。あるいは健診・保健指導のデータは保険者が 持っておくということで、データの送受信あるいは管理のルールなどが必要になってく るわけですけれど、こういうのはどういう形でやっていくのかということを議論し、事 務的な詰めの検討の作業をやってきました。  どういう検討をしてきたかについて、この資料の5頁をご覧いただきたいと思います。 5頁に「被扶養者に対する特定健診の提供例」があります。健康保険組合あるいは政管 健保といった、被用者保険において、被扶養者に対して特定健診をどうやるのかについ ては、各保険者の規模、広がりについてはさまざまな形態が見られまして、それをどう いう形でやらなければいけないと決まっているわけではありません。この後の6頁以降 に5つのケースを例として書いてありますけれども、このケースだけに限られるわけで もありませんが、いろいろなケースを想定してどういうところを詰めなければいけない かの議論をしてきました。  6頁をご覧いただきますと、これは非常にシンプルなもので、右側に被用者保険の保 険者があり、健診機関と契約をする、あるいは保険者自身が直営で健診機関を持つとい うこともあると思います。そういった形で保険者として健診機関に委託をしてやると決 めた上で、被扶養者の方にこのリストにある健診機関での受診が可能ですよと通知をし て、被扶養者が健診機関で受診をし、その健診結果が保険者にいき、費用の請求は健診 機関から保険者にいくと、こういうのがシンプルな形として考えられます。  7頁以降を見ていただきますと、こういう場合に事務フローとしてどういう形がある のか。これは非常にシンプルなパターンですが、7頁で被用者保険台帳の40歳から74 歳の被扶養者を抽出して案内を送ると。その際に受診券を併せて被扶養者等に送るとい うことで、左側にいきます。8頁ですが、被扶養者の方は健診機関の予約をして、その 健診機関に受診券と被用者保険者証を持って受診をするということで、下のほうにいっ て健診機関の特定健診を受診しましたと。9頁をご覧いただきますと、健診機関の側で は健診データを入力して保険者に送るデータファイルを作って被用者保険に健診データ を送ります。それで、10頁はもし疑義があったら返戻するというようなことも書いてあ りますけれども、保険者のほうで階層化ということを実施して、次に必要な人に保健指 導、動機づけ支援をやっていくという形になります。併せて、健診費用の決済が11頁に あります。これは月次で支払いを行うという案になっていますけれども、被用者保険か ら健診機関に対して健診費用の支払いが行われて、健診機関は支払われたら台帳の消込 処理をします。  なお、12頁は実際の健診の結果の通知を、被用者保険から被扶養者の方に通知をする やり方、あるいは健診機関が通知をするやり方、そのやり方はいろいろあるということ で、それぞれの場合ではこういう流れになるだろうということを書いたものです。ケー ス1は保険者と健診機関が契約をしたときの事務の流れでしたが、次の13頁をご覧いた だきますと、ケース1のパターンは被扶養者の住所が集中していたり、大体どこに住ん でいるかわかっていて、保険者が直接用意する健診機関で利便よく健診を受けてもらえ るという場合だったら使えますが、そうではない保険者はなかなか難しいだろうという ことで、そういう場合については、例えば13頁のケース2の図は左側の3つだけを見る とケース1に似ていますが、どこかの健保組合、あるいは政管健保、ここにある全国の 健康保険業界、健保連といったところが健診機関と契約をしているということがあって、 そこの枠組を個別の健保組合、共済組合なりが使わせてもらうということで、右側の被 用者保険の扶養者が大手健保組合、健保連と契約をするという形でその枠組を使うとい うことが考えられます。その場合は7頁以降で書いておりましたフローとは若干変わり ますが、そういう仕組になるのではないかと。  次の14頁のケース3は、そういう場合に決済を行ったり、データを送ったりするとき、 さまざまな健診機関、さまざまな保険者が混ざっているとどこにどう送ればいいか非常 に煩雑になりますので、そこの支払い、事務点検をやる代行機関があると事務の合理化 が図れるのではないかということです。なお、これとの関係で23頁にとんでいただきま すと、23頁は今の図に似たパターンですけれど、健診機関の側でも各健診機関が個別に 大手健保組合なりと契約をするのではなくて、健診機関側も何かとりまとめ機関があっ て、窓口として、そこと健保連等が契約をすることによって健診機関の健診が利用でき るという仕組も考えられるのではないかと。利便よく健診を受けてもらえるためにどう いった仕組が考えられるか。その際の事務の流れはどういうものが考えられるかの検討 をしてきました。  15頁に戻ってケース4ですが、ここまでのものは被用者保険が健診機関と契約をする という形でしたけれども、実際問題、現在市町村において一般健診で国保の被保険者、 あるいは被扶養者の方もそれを受けていると。これが平成20年度以降は市町村国保が国 保の被保険者がやり、被扶養者については被用者保険という形になるわけですけれども、 現在の枠組に似た形が取れるのであればそういった仕組も考えられるのではないか。そ れが馴染みのあるやり方でもあるということで、市町村国保が健診機関と現在と同じよ うな形で契約をするという枠組があるのであれば、そこの枠組を被用者保険が委託の形 で使うということがあり得るのではないか。太い字で書いてあるのはそういう基本形に なります。  ただし、その際に、楕円が3つほどありますが、健保連等が市町村国保、1800の市町 村国保と個別に契約するのも大変なので、その市町村国保の契約を束ねる機関が右側に あり、そういったのがあったほうが契約時の簡素化がされるのではないか。次に市町村 国保の左側に「とりまとめ機関が入ることも考えられる」と書いてありますけれども、 市町村国保も健診機関と個別に契約するのではなく、健診機関のとりまとめを行う団体、 地区医師会などが入れば契約が円滑にいくのではないか。健診機関側も市町村国保分は 市町村国保に、被扶養者の委託を受けた分は代行機関にというとそこの事務も煩雑にな るので、一箇所でできるような代行機関がもう1個あるということも考えられるのでは ないか。そういったさまざまな検討をしており、楕円形があるとまた複雑ですが、楕円 形なしでのパターンでの事務フローがどうなるかを16頁以降に被用者保険、代行、市町 村国保を被扶養者という形にした場合どうなるかということを、ここの説明は省略いた しますけれども、18、19、20、21、22でつけてあります。以上が健診に関しての流れで す。  保健指導に関しての流れが25頁以降で、これはここまでご説明したのと同様に、ケー スごとに保健指導も健診と同じような形で書いてあります。その際、例えば28頁の保険 者のマルのところにありますけれども、健診の場合と違って保健指導は3カ月なり6カ 月かかったりしますので、どのタイミングで費用を支払うのがいいのか。健診とは違う 論点もあるということで、このフロー図の中で角が丸くなっている、四角で囲まれてい るところはまだ検討しなければいけない論点だという意味で、ほかの頁もご覧いただけ ればと思います。  こういった絵柄を想定しながら、どういう点を詰めなければいけないかを関係者で議 論をしてきました。その経過を辿って現在の状況報告ですが、資料2の1頁をご覧くだ さい。被扶養者の特定健診・特定保健指導の実施体制についてということで、検討状況 の論点で、いまご説明したことの繰り返しになりますけれども、検討の手順として、実 施に当たっての事務の流れについて、まず特定健診を検討して、それから保健指導とい う手順で検討を進めております。健診の基本的な考え方ということで、いわゆる償還払 い方式にすると受診意欲の低下というおそれもありますので、受診時には保険者が自己 負担のみを支払って、残りの費用を決済という仕組がいいだろうと。また、そのデータ はちゃんと保険者に送付される仕組を考えなければならない。  そういったことで1頁の下から2つ目の検討経過と論点例ですけれども、現行制度で も医療保険者の保健事業、あるいは市町村の老人保健事業とさまざまな方式が併存して おりますので、特定健診についてもさまざまな方式が混在して、保険者の実情に応じて 用いられることを想定して仕組を考えるべきではないか。被扶養者にとって馴染みのあ る現在の健診機会は市町村の住民健診ですので、被用者保険の保険者が市町村国保に健 診の実施を委託するというのは1つの形態として考えられます。これが先ほどのケース 4になります。  保険者間の委託方式を採った場合には、健診機関から市町村国保に対して被用者保険 分もまとめて健診データを送り、費用請求することになります。先ほどの楕円形がなか ったらそうなります。そうなると市町村国保において大量の事務が発生し、委託分の事 務を行う代行機関があるのが望ましいのではないか。また、代行機関については被用者 保険委託分を扱うものと、市町村国保分を扱うものというのも考えられるのではないか。 あと、保険者間の委託方式では、非常にたくさんの保険者がそれぞれ契約を結ぶという のも大変ですので、これを年度当初、短期間にやることが必要ですので、それぞれの契 約を束ねる団体があったほうがいいのではないか。もちろん、市町村の健診機会を利用 する以外にも、被用者保険においては被扶養者の健診のために多くの健診機関と契約を している保険者もありますので、その方式を引き続きとることは妨げられるものではあ りません。ケース1、ケース2がこれに当たります。そうした被用者保険があれば、他 の被保険者機関が当該の社保との間で保険者間の委託方式も考えられるのではないかと いう話です。また、健診機関側もとりまとめ団体というのも考えられるというのがケー ス5で先ほどご覧いただいたパターンです。  3頁ですが、健診は現在こういうのをやっているという前提で考えられるのですが、 保健指導はまず体制の確保をどうするのかというのがシステム以前の問題としてあるわ けですけれど、その上で、その事務の流れとしても健診とは違う点を留意しなければい けないと。そういった検討を経て、被扶養者に対する健診・保健指導の提供例というの を先ほどご覧いただいたようなものとして整理をしながら、事務の流れについては検討 を進めているところです。4頁ですが、本日はしたがって、まだ検討途上でありますけ れども、大きな枠組として複数の方式が混在することを前提に検討を引き続き進めると いうことでよろしいかということ、また、簡単な事務点検と振り分けを行って、代行機 関というのは法律にはなく、関係者の合意でという話ですけれども、代行機関が位置づ けられることを想定して検討を進めていく。これに基づいて代行機関ができる場合に機 関の数や有すべき要件をどういう形で考慮していく必要があるのか。少なくとも各健診 機関等が利用できる、利便のある機関を使えることは用意する必要があるのではなかろ うかというようなことをご確認できれば引き続き検討を進めていきたいということです。  なお、資料1に戻っていただきまして、資料1の1頁目のところにある第1回目の2 個目、3個目にあるような支払基金に報告するデータの使用、被保険者への健診結果通 知の様式等についてはワーキンググループのメンバーで原案を考えて議論するという形 を採りましたけれども、こういった一部分だけを先に決めるのはなかなか困難というこ とで、全体の検討の進行の中で使用様式を決めるということにしていきたいと考えてお ります。  次の2頁をご覧いただきますと、保険者間における決済、データ送受信に関しては今 後代行機関の要件、事務フローの詰め、データの使用様式、後半の事業主健診の連携調 整といった辺りについて引き続きワーキンググループで検討を進めていきたい。年内に はおおよその仕組を考えておかないと、具体的な仕組のシステム構築の作業に入ってい きますので、また引き続き精力的に作業を進めて、次の会に状況報告をさせていただき たいと思っております。以上でございます。 ○辻座長 はい、ありがとうございました。ワーキンググループの委員の方々、今日も 会場に多数お見えでいらっしゃいますけれども、資料1の開催状況を拝見すると週に1 回、場合によっては2回開催してくださったということで、非常に短時間の間にこれほ どのものをまとめていただいたことに、心から感謝申し上げたいと思います。今回は検 討状況の中間報告ということで、論点を明確にしたということで更に今後、今日の検討 会の委員の皆様方のご意見をいただいた上で、更に検討を続けるということですので、 委員の先生方からご質問、ご意見をいただきたいと思いますが、その前にもう一度、今 日初めて出てきた言葉「代行機関」「とりまとめ機関」「契約を束ねる機関」、この3つの 役割が出てきたわけですが、そこについて概念整理、定義と言いますか、あるいはその 必要性、あるいはそこでそれぞれどういうことをしてもらうことを想定しているのかに ついて企画官からまとめていただけますか。 ○梶尾企画官 それでは、14頁、15頁を見開きで開いていただくのがよろしいかと思い ます。15頁のケースで右側に被用者保険の保険者がありまして、この被用者保険の保険 者が健保連、あるいは全国健康保険協会なりに委託をする、ここ自体が契約のとりまと め機関という要素があります。現在健保組合1500余り、各市町村国保も1800余りあり ます。それぞれが1500掛ける1800の契約をする形になると非常に大変ですので、市町 村国保の契約の窓口となる機関というのがあり、それが楕円形のところにありますけれ ども、また、被用者保険のサイドも健保連、全国健康保険協会が全体のとりまとめ機関、 契約を束ねる形になって1対1の契約、もうちょっと多いかもしれませんが、1対1の 契約という形で、被用者保険と市町村国保がすべて契約できる形がつくれるのであれば 非常に契約事務が簡素化されるということで、市町村国保の右側にある契約を束ねる機 関はそういうことです。  次に市町村国保の左側に「とりまとめ機関が入ることも考えられる」と書いてありま すが、ある市町村と考えた場合に、ここが健診機関、市町村の中にある病院、診療所、 あるいはその他の健診機関と契約をするのに、10、20の健診機関とそれぞれ契約するの ではなくて、契約をとりまとめる機関、例えば地区の医師会が当たる。ケース5のパタ ーンですと健診機関のとりまとめ機関になるかもしれませんが、そこと1箇所契約を市 町村、あるいは保険者がやることによって、その下に関係の健診機関と契約ができる形 になると利便がいいと。ここまでが契約の部分の話です。  次に代行機関の部分ですが、これは診療報酬の場合と同じようなことですが、健診機 関、医療機関、診療所とありますが、健診機関にはさまざまな被用者保険、健保組合の 扶養者、A健保組合の被扶養者、B組合の被扶養者、あるいは市町村国保の被保険者、 いろいろな方々がくる形になりまして、その場合にA健保組合の被扶養者の費用、ある いはデータはA健保組合に、B健保組合の被扶養者の費用、データはB健保組合にとい う形で、健診機関側が請求書なり、データを送信しなければいけないとなると大変です ので、そこは1箇所に費用の請求、あるいはデータを送るという形だと、費用の請求書 をまとめて代行機関と保険者の間で結ばれる、データを送ることもできる。  その上で、ケース4の場合は、A健保組合の被扶養者、B健保組合の被扶養者のほか に、市町村国保の被保険者の健診もその健診機関が受けている形になりますので、そう すると、健診機関は被用者保険分は代行機関に、Aの分もBの分も出して、市町村国保 分は市町村国保に出すという形、健診機関側になるわけですけれども、そこも1箇所に 出せば国保分は市町村に、被用者分は代行機関にという形になると、健診機関側に利便 があるのではないかというのがいちばん左の、健診機関の横にある長い楕円形の意味合 いです。以上です。 ○辻座長 はい、ありがとうございました。それでは、こういったご説明を踏まえまし て、委員の先生方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。どうぞ。 ○白川委員 質問並びに要望なのですが、いまの15頁の表で申しますと、各健診機関か ら、代行機関あるいは被用者保険の保険者のほうにいろいろなデータ、健診データの送 信が行われると思いますが、これはオンラインということで、検討していただいている のでしょうか。オンラインであるとすれば、いろいろなコードが必要になると思うので すが、例えば健診機関のコードでありますとか、ここは政治的な意味もあって難しいか と思いますが、社会保障番号のような個人ごとの番号がないと、データ処理が非常にし にくくなると思っているのですが、その辺はどういう検討になっているのか、お聞かせ をいただきたいのですが。 ○大島企画官 私どもが、データ処理で考えていますのは、電子処理をした形というこ とで、オンラインということまでは特段考えておりません。基本的にはフロッピーでも 結構ということで、オンラインも場合によっては今後否定するものでもございませんが、 電子媒体を基本に行うということを考えております。それから、健診機関や、保健指導 機関に共通のコード番号を振ったほうがいいのではないかというのもご指摘のとおりで あり、資料の中でも、24頁ですが、健診機関の場合を例に採りまして、1機関に1つの 番号を振るという方式を考えております。既に保険医療機関となっている場合には、そ のコード番号をそのまま使うということにしておりますが、そうでない場合には、そこ の機関に独自の番号を振ります。その番号を使いまして、代行支払なり、事務点検の場 合に健診機関を特定していくということを考えております。  それから、社会保障番号は、まだ現時点ではなく、個人についての個人番号はござい ませんので、名前の特定なりで本人確認をするわけですが、そのために今考えておりま すのは、受診券を発行するという方式を採るということです。委託をする保険者側が受 診券を発行して、その中に保険者番号や、発行番号、こういったものを記載することに よりまして、事務の確実性を図ることができるのではないかと思っています。そこら辺 の具体的な受診券の記載事項ですとか、事務点検なり支払代行をする場合の手続など、 細かいところも今後詰めなければならないと思っておりますが、十分そういう本人を確 定させるようなことも念頭に置いたシステムを作らなければならないとは思っておりま す。 ○辻座長 ほかによろしいでしょうか。 ○津下委員 この流れについてわかりやすい部分もあるのですが、2、3確認させてく ださい。例えば被用者保険の保険者が行う健診なのですが、いままで特定健診の項目以 外の健診項目もやっている所が多いかと思いますが、こういう保険者ごとに付加的にや りたい健診項目があったりする場合、そういうのもこの流れで考えていくわけですね。 要は保険者の立場で健診に対するニーズや、保健指導についても戦略的に考えていると ころがあると思いますが、特に保健指導の場合は保険者が健康課題を分析して優先順位 を決めて保健指導をやっていくという大前提があったかと思います。そうなりますと、 保険者のニーズについて、この図の中でどのように考えていけばよろしいか。  それから、「健診機関のとりまとめ機関」という名称がでていますが、今後、委託条件、 契約条件も厳密にやっていかなければいけないということになりますが、細やかな要求 や方法の違いがある場合には直接行ったほうがよいということなのか、とりまとめ機関 がそこまで踏み込んで行うことが可能なのか。あと、詳細健診について、医師の判断で ということがありましたが、その扱いはこの中で、どのように考えていけばいいのか。 この健診、保健指導の流れの中で詳細健診の扱い方、それから従来やってきた付加的な 特定健診項目以外の項目を実施したいという保険者についてはどうするのか。  それから、特に保健指導についてはその委託条件、プログラム料金等、細かなことが 出てくると思いますが、これもとりまとめ機関にお願いする話でしょうか。とりまとめ 機関である程度整理できる話になるのかどうなのかという辺りを教えていただければと 思います。 ○大島企画官 健診項目は基本的に特定健診の項目ということではあるのですが、いま 津下委員がご指摘のとおり、保険者によってはこういう健診項目をしたいという要望は 当然あろうかと思います。そういうニーズも考えなければならないと思いますが、ただ、 一方で電子的に処理をしていくということになりますので、電子的な処理の仕様書とい うか、どういう項目を、どういう順番で並べていくのかというのを決めなければなりま せん。したがいまして、特定健診プラスいくつかの代表的な、付加的なものは、このシ ステムの中に対応できるのではないかと思っておりますが、本当にオリジナルなものま では、このシステムの中ではちょっと難しい可能性があります。  それから、市町村国保に委託する場合には、市町村によっては独自に市町村で考えて おられる健診項目がございます。そこはその項目に合わせていただくことになると思い ます。、オリジナルでここまでお願いしたいということを個別に市町村との間で手間をか けて調整することも可能ではありますが、大括りの仕組に乗る場合には、市町村のルー ルに従っていただくということになるのではないかと思います。  それから、とりまとめ機関にどういう役割をしていただくかも、実際にはいろいろな ケースがあると思います。今の時点では、明確にこういうところまでと限定せずに、な るべく柔軟に対応できるような形を考えたいと思っております。  詳細健診は、健診に引っかかり、その後保険の適用を受けて行う検診の部分のことで しょうか。 ○津下委員 標準的なプログラムの中に心電図や眼底検査等という話です。 ○大島企画官 わかりました。それは、このシステムの中に対応できるように用意しな ければならないと思っております。 ○櫻井委員 膨大な健診機関とたくさんの保険者がからむので、何らかのとりまとめ機 関が入らないと、事務が流れないと思いますが、いまのご説明の中で、代行機関ととり まとめ機関と、契約を束ねる機関のご説明がありましたが、代行機関はそれぞれのケー スについて書いてあるわけですが、契約を束ねる機関ととりまとめ機関は15頁のケース 4に特有なものだと思いますが、被扶養者について市町村国保に委託をするということ は、これは法律に保険者間の委託という規定があるので、それを活用したいということ だと思いますが、何を市町村国保に委託をするのか、あるいはその必要性というのがい まひとつよくわからないのです。非常に素朴な質問ですが。というのは、15頁の表を見 ても、点線の委託のところはあるのですが、その返りのアウトプットというのはみな代 行機関をとおしてやっているわけですから、現実に被扶養者分については、市町村国保 を通さずに事務の流れがあると思うのですね。  そうすると、要するに市町村国保に何を委託しなければいけないのか。もちろん地元 の市町村国保がたぶん委託するであろう地元の医療機関を被用者保険側がご利用される というのは、非常にいいことだと思うのですが、市町村国保自体に保険者に何を委託し ているのかというのは、あるいはその必要性というのはいまひとつ、よくわからないの ですが、ご説明いただければと思います。 ○大島企画官 実際ご指摘のとおり、市町村国保自体に何がしかの事務が特段に発生す るかというと、代行機関を設ける限りは直接的な事務が発生することはないと考えてお ります。具体的には市町村国保が地元の健診機関と結んでおられる単価を、図の右側の 被用者保険サイドも使わせていただくという感じになるかと思っております。市町村国 保が委託契約を結んでいる健診機関と同じ条件で、被扶養者の方が訪ねたときに、同じ 単価で利用させてもらうという関係の仲介役として、市町村国保の位置づけを行おうと するものです。何か仕事を委託するというよりも、市町村国保で持っておられるネット ワークを使わせてもらうという位置づけで、ここの委託は考えております。  したがいまして、その委託契約の内容は、通常何か仕事をお願いするというよりも、 別の契約関係の活用を図らせてもらうということが明確に出るような工夫が必要になる と考えております。 ○櫻井委員 そういうことかなと思いますが、そうであれば、要するに被用者保険の保 険者さんが市町村国保の指定健診機関を使いなさいと。その場合、その単価を使ってく ださいということを宣言して、そういう単価情報等をいただくような仕組を考えれば、 それでいいということでよろしいのでしょうか。 ○大島企画官 ええ、そこは市町村国保の代わりにそういった情報をどこかが束ねて、 そこが仲介していただいて、契約を結ぶということも考えられると思いますし、より効 率的、かつ現実の契約関係から、すなおに馴染みやすいものがどういう形なのかは、引 き続き検討したいと思っております。  市町村国保ということに、必ずしも拘らずに、例えば国保連や、あるいは保険者協議 会という位置づけがございますから、どこの団体がいちばん、束ねる団体としてふさわ しいのか、あるいはそういう団体を通じないで、形だけの委託というか、事務を伴わな い委託関係を個別に結んだほうがいいのか、ここはまだ関係者とまたご相談しながら、 どれがよりいいのか、検討していきたいと思います。 ○櫻井委員 よくご検討いただければいいと思いますが、市町村国保は直接市町村の保 健センターなりを使ってやる場合は別として、実際の健診機関、地元の医療機関等をご 活用いただくということであれば、前回被扶養者1,000万人というお話がありましたの で、それについて個々の市町村国保との間に委託という概念を使って、かつそのために は束ねる機関が必要だという論理を展開する必要があるのかどうかというのは、いまひ とつわからないものですから、その点またご検討いただければと思います。 ○辻座長 ほかにございますか。 ○白川委員 いまの話の続きですが、とりまとめ機関、あるいは契約を束ねる機関につ いては、既存の団体という想定で議論されているのだと思いますが、代行機関は既存の ものを考えていらっしゃるのか、あるいは民間も含めて、複数の代行機関を想定して検 討されているのか、その辺をお聞かせいただけますでしょうか。 ○大島企画官 ここでは、最初の論点のところの紙にあったかと思いますが、4頁です。 代行機関というのは、関係者の合意によって、そこに支払事務等の委託をするかどうか を決めることになります。したがいまして、1カ所にするとか、あるいは何カ所にする とかということは、あらかじめ決まっているものではありませんで、関係者でこれから、 具体的な代行機関の要件を設定し、処理件数や費用も想定しながら適切な所を検討して いくことになります。  その場合、1つがいいのか、2つがいいのか、もっとたくさんがいいのか、あるいは それを逆に受けてくれる所があるかどうかという問題もからむと思います。それは実態 的に関係者の希望なり、現実の受け皿のことを考えながら、検討することになると思い ます。ただし、これはあくまで、事務の効率化でありますので、代行機関がまたたくさ んあれば、逆に健診機関からどこの代行機関に請求書を出すんだということでそこの振 り分け事務が発生しますので、自ずと一定の数、そもそも件数自体もレセプトよりもぐ っと小さい処理件数になりますので、代行機関そのものの、一定の数には限定されるこ とになるのではないかと思います。  その性格が民間であるかどうであるかというのは、これもまさに要件として、どう考 えるかということでありますので、守秘義務なり、そこのコンプライアンスの位置づけ がどうなっているか、そういう要件は当然必要だと思いますが、最初から民間は駄目だ とか、いいだとかの条件があるわけではありません。 ○白川委員 はい、わかりました。 ○対馬委員 短期間でおまとめいただきまして、前回たしか9つぐらいのタイプでした が、それが今回だいぶわかりやすくしていただいたなと思います。実際に健保組合は 1,500有余あるのですが、どれを選ぶかというのは、まさにこれからですので、一応机 上で考える限りにおいては、こういった分け方をしていただいて、それを選択していく ということだろうと思います。また、これから詰めていく段階では、例えば単価の問題 等もあれば、もう少し縮まってくるのかもしれません。逆にもう少し応用動作を考えな くてはいけないということがあり得るかもしれないのですが、いずれにせよ、方向的に はこういったことでやっていただければ、大変よろしいのではないかと思っています。 ○辻座長 ほかに何かございますか。 ○山本委員 代行機関を作って、こういうふうにやらせるということなのですが、何か きわめて単純な考えのようであって、費用だけがかさばってくるのではないかという考 えも出てくるのです。むしろ、私は受診者側のほうがこういうものを作るよりも、健診 をやる医療側のほうにまとまったものがあったほうが効率は高いと思うのです。ところ が、それらについてはあまり書いていないので、うまくそこら辺りの調整がつくのかど うかという点もあるのです。  それから、もう1つは医療機関というのは大きいところも小さいところもあるのです が、大きいところと小さいところはやり方も違うのですね。ですから、健診の時間もま た自から違ってくるわけです。そこら辺りのまとめが必要ではないかと思います。そし て、健診をする側もこういうふうにしてまとめるということであっていけばいいのです が、何か二重に重なった事務を処理するというやり方のような気がするのですが。私が 初めて来たから、わからないのかもしれませんが、もう少し何か簡略で、しかも経費の かからないやり方はないのかなと考えます。おそらく、これで固まってしまったことで はないだろうと思いますから、よく検討していただいて、片側だけではなくて、両方一 体的なものなら、やりやすい方法が提出されるようにしていただくことをお願いしたい と思います。  ○大島企画官 大変申しわけありません、失礼しました。確かに前回の議論を踏まえ ていたものでしたので、もうちょっと丁寧に説明すべきであったと思います。1つだけ、 私どものこういったややこしいシステムを作ろうとしている問題意識の一端だけ申し上 げたいと思います。いま市町村にお住まいの方は、老人保健事業の基本健診を受けてい らっしゃいますが、これが平成20年4月から仕組が変わりまして、国保の方は引き続き、 市町村国保のいろいろな健診機関を活用して、地元で健診を受けることができます。  ところが、どこか企業にお勤めの奥さんとか、そういう方で地元の住民で、いままで 地元の市町村の健診機関を使われていた方が国保に入っていらっしゃらないという理由 のために市町村国保はその方には、健診を提供できなくなります。そういった方の健診 は、旦那さんが入っている健保組合が提供しなければならないというふうに健診の責任 者が再来年から変わります。そうしますと、費用負担はいままで市町村が出していたの が、そういう健保組合が健診の費用を出すということになります。ただ、その方にとっ ては、いままで身近な所で健診を受けられていたのに、地元から遠い健診機関までわざ わざ行かないと健診が受けられないという不便が生じてしまうおそれがありますので、 それは何とか避けたいと思っておりまして、引き続き、地元の市町村の近い所で健診は 受けられる、しかし費用は市町村が負担するのでなくて、その方が加入している健保組 合のほうが負担をする。データも健保組合のほうに流れていく。そういう仕組を作りた いと思っていまして、それで、いろいろな線を引いた図を作っております。  それは、いま委員がおっしゃったように健診機関側も、いろいろ束ねたりする合理化 が必要だと思いますので、健診機関側を束ねるやり方も、具体的にどうするか、引き続 きワーキンググループで検討してまいりたいと思っております。狙いとしては地元で受 けられて、しかし費用負担は本来払うべき保険者がきちんと払っていただけるような事 務簡素化でありまして、なるべく効率のよい仕組が出来るように考えていきたいと思い ます。 ○山本委員 あまり言うと悪いと思って遠慮しているのですが、1つは今のお話はわか らないでもないのですが、健康組合だとか、ここに書いてあるように、そういう保健団 体はそれはそうかもしれませんが、市町村国保は代行機関まで作ってやらなくてもちゃ んといけると思うのです。だから、この15頁に別枠に書いてあるのですが、ここの代行 機関の中に線だけは引っ張ってきているわけです。だから、私がこう見たときに、何か 無駄なような気がしたのです。ですから、もう少しそこら辺りを考えていただければな と思います。  それと、受診をする側だけでなくて、健診をするほうの側もやはり考えないと、こう いうのは合理的にいかないのです。両者があるわけですから、片側だけでうまくやって も、片側がそれに応じなければ、話にならないわけでしょう。ですから、そこら辺り、 こういうのを出す場合に医療機関と受診をする側と保険団体の両方の構図をちゃんと考 えてやることが必要だと思うのです。ですから、何か図を見ると、確かに国保関係も別 枠になっていますから、そういうお考えだろうとは思ったのですが、線を引いてなけれ ばいいのですよ。大きい線を引いているではないですか。こっちへ来いよと引いてある わけでしょう。  ですから、これが右側の各団体と同じような取扱いになっているから、お尋ねしたの です。今日はもういいですから、少し資料をください。そして、この次に「こういうふ うにしてほしい」ということはお願いするし、あるいは意見も述べさせていただきます。 ○辻座長 よろしいでしょうか。山本委員がおっしゃったのはもっともなお話でありま して、やはり今のような非常に厳しい状況の中で、新しい何か機関を作ると、余計コス トがかかって非効率になるのではないかという気持を、おそらく初めて聞いた方は、お 持ちだと思います。ただ、今回のこの措置は、保険者間の境界を越えて、いろいろな連 携が進んでいく中で、個々の保険者間で連絡折衝し合ったら、途方もないだけの事務コ ストがかかるわけです。  ですから、その辺をうまくやろうという事務的な手続きの簡略化、コストの削減、そ ういったことも含めて、効率的なシステムを作ろうということで、代行機関を今回提案 されたのではないかと思います。  その辺の、代行機関を設けることによって、どのようなメリットがあるのか、あるい はそういうことをしないことで、どのようなデメリットがあるのか、それは職域同士の 場合もあれば、あるいは職域と国保の場合もあれば、そういったいろいろなシナリオの 中で、またお出しいただければと思います。  大体、この議題につきましては、これくらいの時間にしたいと思うのですが、もう一 度4頁に戻っていただきたいのですが、この4頁で確認すべき論点をいくつか書いてい ます。まず、この事務の流れ等について、引き続きワーキングクループで検討していた だくということですが、その1つの前提としまして、今回、ケース1、2、3、4、5 いろいろなケースを出していただきましたが、現状の事業所の在り方、あるいは職域の 健保の在り方、あるいは国保の在り方、いろいろ考えていきますと、様々なパターンが その地域により、職域により、企業規模によりあると思うのです。そういった形で、平 成20年4月からスムーズに移行するには、1つのユニフォームシステムと考えたのでは なかなか機能しないと思われますので、まずこの第1点の複数の方式、つまりケース1 〜5だけではないと思いますが、それ以外にもいろいろ出てくると思いますが、大筋こ のような形で複数の方式が混在するということを前提として、検討を進めることでいい かということがあります。  それから、2つ目といたしまして、その間を取り持つような代行機関が位置づけられ るということを想定した上で、その代行機関が今後どのような機能を果たし、それによ ってどのような効果を持ち、そのためにどのような数ですとか、要件、個人情報保護を 含めて、今後議論をワーキングクループでまた進めていただいて、次回の委員会で諮っ ていくということで、確認してよろしいでしょうか。 (異議なし) ○辻座長 それでは、議題の2に移ります。次は、「市町村における衛生部門との連携及 び特定健診・特定保健指導の準備状況」ということでありますが、本日は熊本市の国保 担当課の保健師であります濱田英子さんをお招きしております。熊本市は従来から、国 保の医療費分析を独自に行なっておりまして、衛生部門の保健師と連携して、保健事業 を推進しているということがありますので、これはおそらく平成20年以降の市町村にお ける在り方の1つの先駈けというか、プロトタイプになるのではないかと思いますので、 こうした状況について、ご説明いただいた上で、委員の方々から、またご意見をいただ きたいと思います。  また話題提供の2人目といたしましては柳井市の河内山市長、委員でいらっしゃいま すが、河内山委員からは柳井市における取組みのご紹介をお願いしたいということです。 まず、濱田さん、河内山委員、それぞれご紹介いただいた上で、まとめてディスカッシ ョンしたいと思います。まず熊本の事例につきまして、濱田さん、よろしくお願いいた します。 ○濱田参考人 こんにちは。熊本市の国保課の保健師をしております濱田と申します。 今日は衛生部門と国保部門の連携についてと、現状の特定健診、保健指導へ向けての現 場の準備状況について、少しお話をいたします。資料3をご覧ください。熊本市の概況 ですが、人口は66万人、高齢化率18.7%の中核市です。国保の加入世帯は47.4%、被 保険者は37%です。熊本市は住宅密集地の地域や農山村地域もありまして、地域により 高齢化率、出生率にかなりの差があります。その中で、全保健師数は112名です。5つ の保健福祉センターを拠点に保健師が小学校区ごとに担当制で80の校区を受け持って おります。それで地域保健活動を展開しておりますが、地域担当の保健師は校区を持た ない係長も含めまして、70名で地域活動をしております。そのほかに介護保険、児童福 祉、障害福祉担当部署への分散配置もありまして、国保課には、私1人の配置です。  私は平成17年度の4月に国保に異動しまして、1年半になるのですが、それまでは、 ずっと衛生部門におりました。衛生部門の役割と現状について少しお話をします。保健 師は本来地域へ出向いて地域の地区組織活動や、いろいろな健康づくりの協議会や自治 会の組織と社会資源などとの実態を把握しながら、個別の家庭訪問事業や相談事業等の 個別の対応の積み重ねと、統計データから地域の健康課題を出しまして、地域住民の方 と一緒に課題を共有しながら、健康づくりや街づくりを展開していくことが衛生部門の 大きな役割です。  でも現状は、最近保健分野以外の介護保険や児童福祉、障害福祉の分野と連携しなが ら活動を展開しております。特に生命の危機に直結すると思われる児童虐待の対応や、 育児不安を抱える親への個別支援等の母子保健活動が大きな役割を占めるようになって きました。  私自身も平成16年度までは国保課のデータを見ても地域の実態と合わせて考えるこ ともあまりなく、母子や精神疾患の個別対応に追われる毎日を送っており、生活習慣病 対策というものに対して緊急性を感じることがなく後回しになっておりました。平成17 年度に国保部門に移りまして、従来の重複頻回の受診の訪問に加え、ここに書いてあり ます2つの「データ分析による健康づくり事業」と、「ヘルスアップ事業」を新規で始め ました。データ分析による健康づくり事業は、平成17年度の5月分のレセプトの生活習 慣病について、市全体、さらに細かく80小学校区の性別、年代別ごとの有病率を出しま して、生活習慣に関する、1万人を対象としたアンケートと合わせて検討会と作業部会 で分析する事業です。  目的は書いておりますように、生活習慣病対策を中心とする市としての総合的な健康 づくり施策に貢献することと、科学的根拠に基づいた効果的な保健事業をすることを目 的としております。検討委員の先生たちは、いろいろな分野の専門家、衛生部門の保健 師、保健福祉センターの医師、保健師管理栄養士など関係職員で行っております。連携 の現状ですが、現在校区ごとの健康課題を明らかにするための医療費のランク順と疾病 状況、軽症化のものと重症化のものをランクで並べ、そのシートと校区の活動状況のシ ートを、つなげて見ることができるものを作成中です。各校区ごとの疾病状況や特性を 明らかにすることは、衛生部門の役割でありますポピュレーション・アプローチが一般 的な啓発というものにとどまらずに、地域特性に応じたその地域の情報を提供して、み んなと一緒に考えていけるような、効果的な、具体的な取組みにつながると思っており ます。  研修会の実施ですが、国保連合会の協力を得まして5つの保健福祉センターを巡回し、 レセプト分析の研修会を行っております。このとき、やはり多くの保健師がレセプトの 現物を初めて見まして、現場の意見としては、成人保健まで手が回らないという意見も ありましたが、今後、やはり健診データと合わせて経年的に見る力が必要という意見も 出されました。  次の国保ヘルスアップ事業は、熊本市男性の若年からの糖尿病の有病率が県に比べて 高かったり、男性の腹囲でメタボリックシンドローム基準を超えている方の生活習慣病 の発症が、そうではない方に比べて早い年代で発症していることが少し分かってきてい ますので、30代から64歳の男性を対象に、メタボリックシンドロームを対象に国保ヘ ルスアップ事業を実施しています。  衛生部門との連携の現状は、対象者への参加の勧奨や血液検査、終了後の訪問による フォローを協力してもらっております。あと、委託事業者と関係機関で実施します定期 的な検討会にも参加してもらって、事業の検討を一緒にしています。このヘルスアップ 事業は平成20年度からの特定健診・保健指導の積極的支援のモデルとなる部分になると 思っておりますので、本市において対象者に合った効果的な支援方法をいま模索中です。 熊本市で予測される支援対象者を考えてみますと、今後、年代やライフスタイルに合っ た豊富なメニュー作りや終了後の継続のための支援方法、地域保健活動との連携という のが今後の課題になっています。  このような2つの事業を実施していますが、市民全体の健康づくりを担う衛生部門の 役割と、被保険者に対してのみの国保部門の役割に、やはり戸惑いを感じることもあり ます。衛生部門にいたときには、緊急性を感じ得なかった生活習慣病対策ですが、病識 がなく、合併症も発症している30代の糖尿病の男性等に訪問したときに、不況による過 酷な労働と不規則な生活をせざるを得ない実態というのを聞きまして、家庭を持つ男性 を、これ以上悪化させてはいけない、他にもたくさん同じような患者さんがいるはずと 思って生活習慣病対策への気持を新たにしております。  あと、特定健診・特定保健指導の準備状況と課題ですが、市では国保課を事務局とす る健康福祉局内に、健診業務改革プロジェクトが発足したばかりでして、特定健診・保 健指導は国保部門の役割という認識が強く、衛生部門との連携の部分では、熊本市と国 保という部分での組織上の問題や、衛生部門が担う具体的な役割、アウトソーシングの 方法と課題は、やはり山積みです。生活習慣病予備群を25%減少させるためには対象者 のスクリーニングが重要で、現在基本健康診査の受診率は30%ぐらいですが、今後受診 率の大幅アップが必要不可欠であると思っています。そのためには保険者それぞれが、 それぞれのやり方を実施していては、先ほどから挙がっておりますように国保政管健保、 健保組合等のさまざまな被保険者、被扶養者で構成される市民にとって、やはり分かり にくく、受診しにくい健診になると思われます。実際に国保ヘルスアップ事業の対象者 を市広報紙で募集したときには、国保の被保険者よりも国保以外の社保の家族の方、社 保の方の申込みが2倍以上ありまして、同じ市民なのにどうして国保だけがといういろ んな質問があり大変苦労しました。今後、保険者間の密な連携のもと、分かりやすく受 診しやすい健診、保健指導を目指すことはもちろんですが、特定健診以外の項目も含む 総合健診を、市民のニーズに合わせて提供していくことが受診率をアップさせて、保健 指導が充実し、市民の健康づくりに結びついて、有病率予備群を減少させることにつな がっていくと思います。そのためには市としての健康政策を確立して、市民を支援する 仕組づくりが不可欠であると思いますので、プロジェクトの中でも検討し、上層部に伝 えていきたいと思っているところです。 ○辻座長 濱田さん、どうもありがとうございました。引き続きまして河内山委員から お願いいたします。 ○河内山委員 濱田さんほどまとまった話はできないのですが、お許しをいただきたい と思います。最初に健診であるとか、健康づくり、保健(ヘルス)という事業は、全国 それぞれの自治体にかなりバラつきがある、いわゆる健診率の問題も含めてバラつきが あります。私どもの所が、とりわけうまくいっているわけでもない、しかし、そう悪く もないと。そんなところだということを前提にお聞きとりをいただければと思います。 多分、町村会の山本会長の添田町のほうが、もっとうまくいっているのではないかと思 いますが、その辺は後ほどご意見があれば、お話いただきたいと思います。  まず、これまでの健診とか保健についてどのようなことをやってきたかという過去の 話と、それから現在やっている話、これからの話をしたいと思います。これからの話を 若干、前ぶれを先にいたしますと、私ども柳井市で将来に向けての基本構想を作ってい ます。副題までは付けていませんが、人口が減っても、高齢化が進んでも、どうやって 地域は生き残っていくべきかが我々地方都市の持っている問題意識です。人口が減る可 能性がある、さらに高齢化が進んだら社会は一体どうなるのだろうと皆不安を持ってお りますが、それでも大丈夫だという開き直りの自治体づくりをテーマにして基本構想を こしらえました。  そういうときに、やはり概念というか、重要視すべき都市の目標像として大事なのは、 1つは健康です。健康な自治体。健康な自治体というのは自治体自身が健康だというこ とと、高齢化しても健康であればいろいろな可能性がいろいろ出てくるという意味では、 健康自治体をつくっていこうというのが柳井市の1つの目標です。これを前提として申 し上げたいと思います。  それで健診の話ですが、今まで老人保健法に基づく健診は、自治体では参加をいただ く数字が上がってきませんでした。お恥ずかしい話ですが平成11年度には、柳井市では 3割の人しか受診しないという状況です。基本健康診査が、最近では42%まで伸びてき たのですが、まあ半分弱です。多分、町村のほうがもっと高い数字が出てきまして、木 目細やかに健診ができる。ただ面白いことに、健診をしますと、平成11年度の3割のと きも、現状でも大体受けていただく方、要指導はどのぐらい出てくるかというと、平成 11年度が29.3%、上がった42.2%になったときは30.9%と。だから健診を受けられる 方々の数が増えても、比率的には要指導の人はあまり増えてこないというのが面白いと ころです。健診を受けることによって3割の要指導の発見ができるという意味では、や はり健診は進めていかなければいけないということだと思います。  今後も健診に取り組む中でどうやって、本当に国保なら国保の中でやっていくか、広 く配偶者の方々の受診の意欲、引き続きこういうことが大事だということをどうやって たくさんの方に知らせていくかを、主体として市町村がやるかやらないかは別として、 非常に大きな課題であり、非常に重要な点だと思っております。  ヘルスの話ですが、それは医療費の適正化にも結果として結び付くわけですから、柳 井市でもとにかく健康を維持しながら、ということが非常に大事なことです。今まで、 例えば平成15年度から人間ドックを国保の方々が受けられる場合は1割負担で受けて いただこうとか、熊本ほど木目細やかではないかもしれませんが、基本健康診査、訪問 指導健康診断のデータを、年齢、地域別、疾病分析など総合的にデータバンクをつくっ て、保健師、栄養士の仕事に活用させていただいているとか、とにかく健康な生活習慣 を続けられる人、ジョギング、ラジオ体操、水泳をやるというようなことを100日間継 続して行った被保険者の方々に「健康チャレンジ100」という認定賞を贈って、認定賞 をもらったからといって喜ぶべき話ではないかもしれませんが、そういう啓発をしたり、 国保の被保険者の方々だけを対象として、いきいきする生活塾ということで、スポーツ だけではなく、趣味の教室に参加してもらうことによって、健康づくりのきっかけにし てもらおうというようなことも平成9年度から続けております。平成15年度からは、特 に栄養師の人を、糖尿病、高血圧、高脂血症の疾病で在宅で治療している方の所に行っ て栄養指導、訪問指導をやっています。そのようなことをずっと続けてまいりました。  そのようなことをやるのですが、どうしてもメタボリックシンドローム、生活習慣病 は減りませんし、要指導、要医療の判定される割合が、例えば柳井市と山口県の平均を 比べますと高い状況なので、国保のヘルスアップ事業の指定を今年から受けまして、平 成18年度、平成19年度、平成20年度といま実施し始めたところです。これは過去いろ いろな自治体で取り組んでおられるいろいろなノウハウがありますし、民間の方々の具 体的なやり方も活用していただくために委託をして、いま実施中です。  将来的な話ですが、もちろんこれから特定健診・特定保健指導に保険者としての立場 で取り組むと同時に、私どもの場合も国保の事務は市民部で行い、衛生部門は健康福祉 部で行っております。私が先ほど言いましたように、健康自治体をつくるためには、単 にそういう部門ではなくて、健康を実現する価値、健康を実現していこうと思ったら、 もっと幅広いところで連携しないと駄目だと思っております。  皆さん方も最近いろいろなアンケート調査で「どういう価値が大事ですか」と言った ら、みんな「健康が大事」「環境が大事」と答えられるのですが、今度、市役所が施策的 に「どういうことを希望されますか」と言ったら、「もっと道路が整備されたほうがいい」 「もっと何々センターをつくってほしい」とか、いまだに実現すべき価値と実施してほ しい施策にずれがありまして、私どもの所は市民の期待に応えていっぱい箱物をこしら えてきました。箱物は造れば造るほど維持管理経費がかかって大変ですが、これは将来 に向かっての先行投資だと思って、たとえば温水プール、体育館はもちろんですが、そ れ以外のものも健康を保持するためにはどういう使い方ができるだろうということで、 今から施策体系の中に健康維持をするために、例えば都市計画部門は何をなすべきか、 農林水産行政は健康づくりのために何をなすべきかを、もう1回施策の体系を洗い直し をしております。  柳井市に山口フラワーランドという花の公園があります。これは花の公園ですが健康 という面からすると、例えば園芸療法というのが今から伸びていきますが、園芸を通じ て人間を元気にするためにはどうしたらいいか、ということで専門のプロを、ヘッドハ ンティングで雇いました。そういうように施策の体系を再構築すると、健康ヘルス事業 はいろいろと展開方法があるだろうと思います。ただ行動変容を多くの方に求めるきっ かけが健康診査の、いわゆる受診率の話と同じで、個人の頭の中ではよく分かっている のですが、今度はどうやってヘルス事業に参加してもらうかについてはいろいろ知恵を 発揮しなければなりません。  いま1つ取り組もうとしているのは「健康マイレージ」です。健康にいいこと、健康 づくりのための健康講座に行ったとか、献血をした、ハイキング大会に出た、健康のた めの施設、温水プールの回数券を買ったというようなことをポイント制にして、ポイン トがたまったら、さらに健康づくりのための施設利用券に使えるとか、市内の商店街の 活性化を目指して、健康づくりに応援してくださる商店で商品購入の割引き券として使 えるとか、いろいろな人が健康づくりのために、知らず知らずのうちにマイレージをた めて活用できる。それが今まであまり参加しなかった方の行動変容につながるきっかけ になればと思っています。これはいま準備をしておりますが、どこまで今まで参加しな かった人にアプローチできるかは、やってみなければ分かりません。  行政でいつも課題になっているのは、いかなる事業にも参加していただける方は、す べてに対して優等生なんです。健康づくりに対して優等生の方は、多分、ゴミの減量化 に対しても優等生、防災や防犯活動のボランティア活動についても優等生です。言い方 は悪いですが、生活習慣の悪い人は、ほかのことについても若干問題ありと。ですから、 そこへアプローチするのは行政としてはなかなか難しい。これは幅広く健康診査、診断、 ヘルス事業をやってみると、同じことが、国保の被保険者というだけではなくて、広く 民間の健保の方々にも該当するのではないかと思います。その辺はどうやってやるのか というのは、市町村は相当ノウハウはありますが、お互い力を合わせて、健康というも のが実現できるように、今までのノウハウが少しでも提供できればと思っております。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいまお二人の方々からご説明いただきました が、何か、これにつきましてご質問、ご意見をいただけますでしょうか。 ○田村委員 総合健診医学会の田村でございます。どうぞよろしくお願いします。いま 熊本と柳井市の取組みを聞いていて、私どもは学会ですから市町村とは違うのですが、 昭和45年から総合健診という健診一筋にやってきた団体で、年間200万人の方々の健診 をやってきました。総合健診ですから全身チェックをやるということです。今回の新し い特定健診・特定保健指導のプログラムに積極的に学会としても協力させていただこう、 ということで機関決定し準備をしております。それで学会として2つの委員会を立てま した。  1つは、先ほどからもお話が出ておりましたが、保健指導を受ける率をいかに効果的 に上げるかということです。私ども総合健診医学会の健診というのは1日で全部終わる。 したがって、各検査の端末とコンピューターをオンラインで結んで、すべての検査をそ の日のうちに出して、しかも、その健診当日に結果を報告し生活指導をする。結果の報 告と生活指導をしないと総合健診とは言わないということにしております。  今回の新しいプロジェクトに私どもが今まで36年間やってきた健診と保健指導を、い かに役立つように働きかけができるかと目下考えております。1つは、保健指導の受診 率をどうしようかと。実際総合健診を年間200万人受けていただく人に、約半数、先ほ ど柳井市のほうは30%の要指導という話がありましたが、総合健診の受診者50%に、治 療ではなく、精密検査でもなく、生活の注意をして、もう一度3カ月以内ないし6カ月 に再検査、チェックを受けてくださいという意味の要指導が出ます。これは健診機関に よって違うのですが、当日面接をしますから、今回の新しいプロジェクトの第1回目、 初回面接は総合健診ではその日のうちに終わります。3カ月ないし6カ月後に、もう一 度生活改善の努力をして受けてくださいという指示を実行し来るかというと、みんな来 るとは限りません。我々の学会のデータでは3カ月ないし6カ月後の受診の受診率のい い所は、大体60%、悪い所で40%、平均をとって半数ぐらいでしょうか。指導が出たう ちの半分の人は、それにレスポンスしてくれる。ところが、あとの半分はノーレスポン スですから、3カ月経っても6カ月経っても、連絡しても全然動いてくれないし返事も ない。それで1年経ったら次の健診に来て、それは結果的にチェックになるというよう なことがあるのです。  今回の新しいプロジェクトで、7年かけてメタボリックシンドロームの人たちを25% 減らそうという、はっきりとした目標があるわけですから、これに向かって、私どもが 今まで36年積んできたノウハウをどう活かして、少しでも3カ月ないし6カ月後の受診 のレスポンスをしてもらえるかと。行政のほうの努力もあるだろうし、保険者の方も目 標がありますから一生懸命になられると思うし、我々健診する側としても、何かできる ことがあるのではないかということで、いま保健指導の効果を上げるための委員会を立 ち上げて、いろいろな意見が出ていますが、それが集約できて、少しでも効果的になれ ばということで進めております。これが第1点です。  もう1つは、柳井市の先生からもお話がありましたように、行動変容ということはと ても難しく、これが悩みの種です。今日ここに来ましたら津下先生の『糖尿病予防のた めの行動変容』という素晴らしいテキストがあるので、是非、これを参考にしていきた いと思います。各健診で、1年経って来ても、やはり1年前と変わらないという人がす ごく多い。それでどうしようかということは学会の各施設の間でも問題になっています。 今までは説明する先生とか、指導する保健師、管理栄養士、栄養士さんたちの個人的な 能力に頼ってやってきたと思うのです。  しかし、今回の新しいプロジェクトの成果を高めるとすれば、健診をやる我々の学会、 あるいは保健指導を勧める学会。総合健診は特定健診と特定保健指導の両方をさせても らおうと機関決定しておりますので、そうしようと思っています。行動変容をうんと高 めないと、とにかくやりました、時間経ちましたということになるとまずいし、効果を あらわしめるのにはどうしたらいいかと。今までは各施設にお任せしていましたが、学 会として行動変容の実現を図る検討委員会を立てようということで、いま検討を始めて おります。  保健現場の健診担当医、保健師、臨床心理士、保健学の専門家などいろいろな人に入 っていただいて、行動変容をどうするか、どうやったら学会全体の各施設の、保健指導 がレベルアップできるかということを、とにかく我々やれることをやろうということで 今やっております。市町村の動きとは別ですが、保健と健診と保健指導を担当しようと いうグループとして取組みをしているご紹介をしました。 ○辻座長 どうもありがとうございます。ほかにございますか。 ○内田委員 医師会の内田です。今回の制度改正で健診・保健指導が保険者の義務化と いうことになりましたので、この会議が保険者の方を中心にして、どういうふうに運用 するかという話になるのは当然だと思いますが、現場の医師、あるいは患者の立場で今 回の制度改正を考えますと、私は半年間この会議に出ておりますし、その前からずっと 議論されてきたと思いますが、未だにこういう体制で本当にうまくいくのかという疑問 がどうしても消えないところがあります。いちばん大きなところでは、やはり保険者の 義務化によってこのシステムが本当にうまくいくのかというところでいくつかあるので す。  1つは、情報管理と継続的なデータ管理を保険者に義務付けるというところがありま す。私はこの点に関しても、いちばん関係があるのは患者自身が自分の健康情報を管理 することが最も基本になければいけないということが第1。それをバックアップするの は、かかりつけ医の役割である。健診を実施する機関の担当者の役割であると思ってい ます。  2点目は、データの突合です。健診データとレセプトデータの突合ということがあり ますが、本当にそれが必要なのかどうか。例えば、医療を現在受けていてデータが非常 に安定していて問題ないケースに関しては、健診データでは引っかかってこないわけで す。そういうものに対しての保健指導が、本当は必要なところがあるのだろうけれども、 それは漏れてしまう可能性がある。本当に突合が必要なのは、受診を中断して、データ が非常に悪くなってきているケースであるとか、あるいはきちんと受診しているのだけ れどもコントロールが不良である、というようなところへの保健指導、関わりが重要に なってきます。ここのところでの役割というのは、やはりかかっている医療機関の所に 主たる場があるのではないかと思っています。そこでの関わりをきちっと整理されない 限りは、なんで私のデータをこの人が知っていて私の所に突然連絡をよこすの、という ような話になりかねませんから、そこのところの医療機関との関わりが非常に重要にな ってくるのではないかと思います。  先ほど柳井市長の河内山委員から発言がありましたが、健診受診率が42%で要指導が 30%という話がありました。実際に現場で健診を行っていますと、健診受診者の中には かなりの部分が、いま受診中である、医療を受けているという部分が結構あると思うの です。 ○河内山委員 実際にそうです。 ○内田委員 その辺のところの整理をしないとこのデータは、そのままではちょっと問 題があるかなという感じがしました。とにかく保険者主体に議論が進められて、いろい ろなものが保険者のほうに集中して管理される。受診率を上げるとか、きちんとした保 健指導につなげるという点で大事なのかもしれませんが、いちばん大事なところは、や はり、かかりつけ医と患者さんの関係であると思っています。そういう点で医師会は、 今後この健診・保健指導に関わりが非常に大きくなってくると思うし、責任も大きいと 思っています。 ○辻座長 ありがとうございました。奈良委員、どうぞ。 ○奈良委員 人間ドック学会理事長でございます。人間ドックも非常に幅広くあり、例 えば乳腺ドック、脳ドック、歯科ドックなど人間ドックのバリエーションが非常に広く なってきています。人間ドックには基礎項目が48項目ぐらいあり、それをきちんとやっ て、いかに受診者の方にお話をするかが務めです。今度メタボリックシンドロームの概 念が入ってきましたが、そうなってくると、メタボリックシンドロームだと腹囲が、男 性なら85cm以上、女性なら90cm以上と。デパートの服売り場に行って聞いてみました、 中年男性のほとんどが90cm以上なんですね。そういうこともありますが、いろいろ健診 のデータを絡み合わせながら的確な指導をするのは大切です。いま内田委員がおっしゃ ったように、医師会の方々と連携をとりながら、そのデータをお互いに活用してやらな ければいけない。  私たちが考えているのは、いま個人情報保護法がありますから、個人の方にデータを インプットしたカードを持たして、どこへ行っても、例えば医師会のある先生の所へ行 っても、また、どこの病院へ行っても出るような仕組をつくろうということを、いま構 築しております。1つ問題なのは健診をした後、やりっ放しがいちばん困るのです。健 診をした後、いかにフォローするかが大切です。保険者の方はそういうことをやってく ださっていたと思うのですが、圧倒的に足りない。  メタボリックシンドロームでどのぐらい引っかかってくるかという概算を、いろいろ 計算はあるのですが、500万人とも1,000万人とも言うのです。糖尿病の予備群が1,000 万人と言われていますから、その1,000万人の人を的確にどのぐらい指導できるかとい うことになると、お医者さんを補助しながら、そういう人を、アドバイスできるような ものをつくらなければいけないということで、人間ドックでも、そういうものをきちん と構築しようといま準備をしているところです。  いずれにせよ21世紀は予防の時代と言われていますから、何とかきちんとした健診体 制を築き上げなければいけないと思うのです。それこそ国の予算に余裕が出てきたら、 生活習慣病の大きなものは、がん、脳卒中、心臓病です。がんの部分はメタボリックシ ンドロームは横に置いてあるのですが、将来は、そういうものも含めてきちんと指導し ていかなければいけないだろうと思っています。それは将来の課題ではありますが、差 し当たってメタボリックシンドロームを立ち上げたからには、メタボリックシンドロー ムで引っかかってきた方、何百万人になるか分からないですが、そういう人たちに懇切 なアドバイスができるような仕組をつくらなければいけない。  今までの話は、どういう仕組をつくるか、どういう予算措置をするか、行政がどうや るかということですが、我々は実際に人間ドック、あるいは健診をやるほうですから、 その辺りは我々に任せていただいて、市町村の健診だったらこの程度、トップ企業の健 診だったら、ここまでありますねと。最近はMRI、ヘッドスキャンを使って、頭の壊 れ具合いまで健診することもできるようになりましたし、近い将来は、おそらく遺伝子 の診断も出てくると思います。いま健診を受けると非常に多くの人が引っかかると言っ ておりますが、これは医学の進歩で今まで絶対わからなかった前立腺がん、PSAとい う検査が非常に敏感で、すぐ分かります。そういうことがありますので、我々も努力い たしますから、どうぞご期待ください。 ○辻座長 ありがとうございました。時間もだいぶ過ぎてきていますのでまとめさせて いただきます。今回、市町村の立場で、平成20年から始まる健診・保健指導を先がけ的 にやっていらっしゃる2つの自治体から事例報告をいただきました。それを受ける形で、 特に討論の中では専門職の方、特に学会あるいは医師会の先生方からご意見をいただい たのですが、先生方がおっしゃるとおりでありまして、今回の制度改革が実を結ぶのは、 やはり国民と保険者と専門職種の三者が知恵を出し合って、共に高めあって、いろいろ なものをつくっていくことが非常に大事なのではないかと考えております。そういった 意味で、医療あるいは健康教育という形になりますと看護協会の方、あるいは管理栄養 士の方々は非常に大きな役目を持っておりますので、そういった方々も含めて、システ ムをこれからつくっていければと思いますので、この検討会の中でも、その辺について は引き続き議論していきたいと思います。  話題を変えたいのですが、第1回の検討会において、健診・保健指導プログラムの研 修実施予定についての調査はどうなっているのかという話がありましたので、それにつ いて、その調査結果がまとまったようですので事務局からご報告をお願いいたします。 ○勝又保健指導室長 それでは参考資料1をご覧ください。健診・保健指導プログラム の研修実施予定に関する調査ですが、アンケートの様式は参考資料の3頁に付けており まして、研修内容、実施回数、主な対象者ということで調査をしているところです。8 月4日に厚生労働省において、「平成18年度生活習慣病予防のための健診・保健指導に 関する企画・運営・技術研修会」の出席団体206団体に対し、このアンケートを配布い たしまして、8月4日から31日まで調査期間をおいたところです。  その結果ですが、調査配布団体が206団体、回収数は104団体、回収率は50.5%とい う状況です。研修を平成18年度と19年度に実施するかどうかについては、18年度は 71.2%が研修会を実施する。19年度については53.8%という結果となっております。  2頁は、研修を企画している団体の研修内容ということで、特に企画・評価、知識・ 技術、それを合体した形の研修ということです。状況を見ていきますと、評価や知識・ 技術がバランスよく実施される予定を立てていただいているところです。3番目は、研 修を企画している団体の受入れ予定数です。これがいちばん重要かと思いますが、平成 18年度は3万1,000人、平成19年度は2万8,000人、全体で約6万人の研修を2年間 でやっていこうという計画を立てていただいています。1回当たり大体100名程度の研 修を、年間2〜5回実施するというお答えをいただいております。  研修の対象者は、医師、保健師、管理栄養士、事務職、看護師、健康運動士、歯科衛 生士などが入っております。特徴的なこととしては、自治体では市町村のほかに民間の 事業者、健診機関を受け入れますとか、医療保険者では在宅の保健師、在宅の管理栄養 士も対象にしていることとか、国レベルの医療保険者では、常勤だけではなく非常勤も 対象としていくというようなことです。  参考として、今後厚生労働省の研修の予定としては、平成19年度は国立保健医療科学 院が「リーダー研修」ということで、指導者の方々を対象にして5月に2回、3日間程 度の研修を開催しようという計画をしているところです。 ○辻座長 続きまして議題3に移ります。1つは、特定健診・特定保健指導の義務化と 労働安全衛生法の健診義務との関係についてです。これは第1回検討会で委員の皆様か ら出された論点について、現時点での検討状況をご報告いただくということであります。 では、お願いします。 ○大島企画官 資料4の3頁をお開きください。このテーマは被用者保険のご本人のこ とであります。被用者保険のご本人は今回特定健診も受けられるし、かつ、事業者が提 供します事業者健診も受けられるということで、2つの健診が提供されます。したがい まして、それぞれがどういう関係になるのか、極端な話、2つ受けないといけないのか ということもあり、両者の健診の整理をしようということです。  法律において一定の枠組みは決まっておりまして、それが3頁です。基本的な考え方 としては、職場の事業者健診のほうが保険者が行う特定健康診査に優先するということ になっております。したがいまして、健診項目が重複する部分は、それを1回でやった 場合には事業者が負担することになります。事業者が保険者に委託した場合には、委託 する部分の費用を事業者が保険者に払うということも定めております。逆に、はみ出る 部分、事業者健診の項目ではなく保険者の特定健診の項目になっているものは、保険者 が負担することになります。  データの管理については、事業者は保険者から事業者健診の結果のデータ提供を求め られたときは、それに応じなければならないと定めております。保健指導については、 事業者においては努力義務になっており、基本的には、保険者のほうがこちらは優先す る、それが全体の枠組みです。  それを前提に、いくつか今の時点で論点として整理しております。1頁に戻っていた だき、1番目の論点は健診の項目です。すなわち、事業者健診と今回の特定健診の項目 が一致しているかどうかという点です。現在、まだ案の段階ですが特定健診の項目案を 現行の事業者健診の項目と比較すると、いくつかの点が合致していません。2枚目の所 に網かけで書いた部分で、LDLコレステロールの検査、血清・尿酸の検査、空腹時血 糖、ヘモグロビンA1C等々、いくつか項目があります。これらについては事業者健診の 項目に入っていないけれども特定健診の項目に入っています。あるいは、事業者健診で は、質問の問診の項目までは決まっていないけれども、今回の健診では質問の項目まで 定めているのが違いです。したがいまして、一度の健診で済むようにするためには、重 なった部分も含めてやっていただくことになるわけです。そうしますと費用負担が、こ こまでは事業者の負担、ここからここまでは健保組合の負担といった、費用負担の按分 の事務も発生いたします。したがいまして、両者の健診の目的が違いがありますので、 厳密に一致できるかどうかまではまだ分かりませんが、極力、受診される立場に立って 健診項目を一致させる方向で、いま双方の検討を継続して行っているところです。これ については、もう少しお時間をいただきたいと思っております。  4頁は論点2です。先ほどもありました健診結果のデータのやり取りです。これにつ いてはデータを保険者が管理するということです。例えば、事業者が行った健診も保険 者、例えば健保組合から求めがあった場合には、その健診データを事業者から健保組合 に提供しなければならないことになっております。その際、どういうやり方で提供する のかについては、保険者間のやり取りは、基本的には電子情報で、電子的な処理を行っ た形でやることを考えております。基本的には事業者とのやり取りも電子情報を念頭に 置きたいと考えております。しかし一方で、現実には各事業者と健保組合のやり取りは、 相当数の事業者がありますので、すべてについて電子的な形でやり取りするのを義務付 けることまでは、なかなか難しい面もあろうかということです。そこで、実態も踏まえ まして、極力電子的な形での提供をお願いするといった方向で、いま検討をしていると ころです。  もう1つの論点は保健指導です。保健指導は、事業者としては努力義務ということで、 すべての事業者で実施されているわけではありませんが、大規模な事業者を中心に産業 医、あるいは産業保健師等を配置して産業保健機能を持っておられる所があります。そ ういう所では、事業者の中で保健指導を提供しておられまして、今回の特定健診と同程 度、あるいは同水準の保健指導を提供する能力をお持ちの事業所も相当数あります。そ ういう場合に、努力義務として実施された事業主サイドの保健指導を、今回の高齢者医 療法に基づく特定保健指導と位置づけまして、保険者が実施したかどうかのカウントに 加えるということも、運用面ですべきではないかという問題意識を持っておりまして、 そういう方向での調整をいま行っているところです。  また、事業者健診と特定健診の間では、実務面においてはより細かい所も詰める必要 があるかと思っており、引き続き論点を整理しながら、労働安全衛生部とも相談しつつ、 出来る限りの調整を行ってまいりたいと思っております。 ○辻座長 ありがとうございました。引き続きまして、保険者協議会中央連絡会につい て、ご説明お願いします。 ○梶尾企画官 資料5です。これについても第1回の検討会の際に、都道府県レベルの 保険者協議会、47都道府県あるわけですが、全国の連絡会がまだない、厚労省が主とな ってやってほしいというご意見がありました。そういった経過もありまして、実はいち ばん下に今日の日付が入っておりますが、本日の13時、この会議に先立った時間ですけ れども、国民健康保険中央会の会議室において第1回の連絡会議を開催したところです。 この件がご報告で、こういった要綱案で出しました。  今日の会議で、目的に保険者間における情報供与を図るというようなことを書いたほ うがいいのではないかとか、あと、第3条(6)で、日本私立学校振興の共済事業団の 共済が抜けているとか、いくつか修正はありますが、必要な修正を行った上で、こうい った条項で補足をしていこうということです。2頁は本日第1回の出席者名簿です。こ ういったものが全国会議で補足したということの報告です。  併せて参考資料2ですが、これも第1回の際に基礎情報として、40〜74歳の人が何人 いるのか、そのうち被扶養者は何人いるのか、そのデータをという求めがありました。 それを平成20年度の推計数ということで出しております。約5,600万人あまりで、その うち被扶養者が880万人ほどということです。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいまの3、その他について2つのご報告をい ただきましたが、一括してご質問をいただきたいと思います。 ○田中委員 参考資料で特定健診の対象となる人数ですが、医者にかかっている人、現 在治療中というのか、そういう人はどのぐらいいらっしゃるのですか。私が言わんとす るところは、現在治療中の人を特定健診の対象者とするのか、どうなのかというところ が1つあります。治療中の人であれば、その医療機関が健診機能を持っていれば、そこ で一発でできるわけですから。結局、5,600万人が一人歩きしてしまうと、いろいろな 思いが駆けめぐるかもしれませんが、どのぐらいいらっしゃるのか。また、治療中の人 をどうするのかについては、どう整理されていたのかという気がしております。  それから、ここで検討するのは、そもそも何なんだろうと思いながら、作業ワーキン ググループはご苦労だけれども、いろいろやってやるけれども、何かそういう作業なの かなという感じが。それも必要なのかもしれませんが。要するに我々保険者が目下の関 心事は、結局健診機関は十分なのか、また、それは本当に頼りになるのか。それから、 我々自前の保健指導の体制に自信がないわけで、熊本でも112人の保健師がいながら国 保課に配属されているのは1人です。こういう実態の中で、どうやって保健指導をして いくのかが全く見えない。そういった体制が整備されていない環境の中で、さも完成し ているからできるのではないかという議論がなされているような気がして仕方がないの です。  いちばん最初の被扶養者の話は、直接的には国保の話ではありませんから黙って聞い ておけばいいわけですが、何かそういう感じがして仕方なくて、その前段の話は、我々 どこにどう物を言えばいいのか、ここではそのことについてはどう対応されようとして いるのか、ちょっと。私自身が不勉強なのかもしれませんが、特定保健指導実施方策に 関する存在意義がよく分からなくなってきたのです。 ○矢島生活習慣病対策室長 最初の医療機関受診中の方、治療を行っている方の扱いで すが、健康局で行っています標準的な健診・保健指導プログラムの検討会の中では、原 則、医療機関で治療中の方でも保健指導が必要な方がいるという前提がありますので、 一応治療を受けて、医療機関に受診していただいていても、健診は受けていただくとい う前提で議論させていただいています。 ○田中委員 それは国が一定の、そういった方針を決めるのですか。保険者の判断では できないのですか。誰を受けさせるとか。そこはどうなっているのですか。保険者の主 体性とか、その辺りと、どうなっているのでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 そこは医療保険者のご判断もあるわけですが、標準的なプ ログラムを作るときの考え方は、そこのところも標準的な考え方というものをお示しを させていただいて、なるべくすべての医療保険者で同じように評価をできる。例えば、 後で加算・減算のシステムがありますので、そのときにどう評価するのかという議論も 多分あるのだと思います。そのときに受診率をどう考えるのかという議論も、これから 将来的にはあるのかと思います。そのときの考え方として、分母は各医療保険者の対象 者の方を分母にしたほうがいいのではないだろうか、ということを前提に議論が進んで おったかというように思っております。それを前提に、特に内臓脂肪の問題の場合は、 もちろん医療機関に受診していればそこで見られる前提はあるのですが、やはり内臓脂 肪が蓄積している場合にそのリスクをいかに減らすかということも大事ですので、医療 機関で治療中の場合でも医療機関と連携を図りながら、医療機関で保健指導が十分でき ない場合には、主治医の指示の下、必要な保健指導は確保されるような調整を行うこと が望ましいということで、医療提携を求めた経緯がありますので、今の田中委員のご指 摘も踏まえまして、私どもは、そこのところはなるべく標準的なやり方で、各被保険者 も同じような形でやられるのが大事と思っております。 ○勝又保健指導室長 保健指導の体制に関してですが、1回目の検討会のときにもアウ トソーシング先の動向把握や、それぞれの市町村なり自治体がどういう形で保健指導を やっていくのかについても、これから調査をし、その体制づくりについて検討をしてま いりたいと考えております。 ○辻座長 田中委員のご発言、本当に重要なポイントだと思います。また、私も室長の 話を聞いていて、現在治療中の人をどうするのかというのは、かなり大きな問題になっ てくるのではないかと思いますので、これは別のときにこの検討会で議論したいと思い ます。おそらく、これは関係者の方々にも重要になってくると思いますし、あるいは、 かかりつけ医の関わり方も、それでかなり決まってくると思いますので、それは是非お 願いしたいと思います。  それから、田中委員が先ほど言われた検討項目についてですが、例えば健診の精度管 理の問題、あるいはアウトソーシングの可能性は本当にどのぐらいあるのだろうか、そ して、それをどうやって各地域で育成していくのだという議論は前回も1つの論点とし て出ておりましたので、これもまた今後、それについて議論していただきたいと思いま す。特に今回の代行機関とか、情報のポータビリティといった話だけではなくて、全体 のシステムを作っていく上で、関わっていくようなアウトソーシングの部分、健診の精 度管理の部分、保健指導のさまざまなことについても、今後また検討していくというこ とで進めたいと思いますので、よろしくお願いします。  それで、一応本日の議題としては以上ですが、何か、全体を通して1人か2人、言い 残したことがある、特に言いたいということがあればお受けしたいと思います。 ○櫻井委員 田中委員の発言に関連するのですが、仮に要医療も含めてということにな りますと、暫定版でいっている動機付け支援や積極的支援を含めた対象者は、どのぐら いの規模を想定されているのか。今後自治体が体制づくりをしていく上でそこがないと、 私どもサービス供給体制とか、あるいは実務をどのぐらい想定しなければいけないのか が分かりませんので、何らかの想定があると思いますので、そこは次回にでもお願いし たいと思います。 ○辻座長 それはご希望ということですね。 ○櫻井委員 はい。 ○津下委員 最後の論点の所で、労働安全衛生法の健診義務との関係が出ていましたが、 対応方針の中で、事務手続を極力簡素化するという方向性ということで、それも大事な ポイントだろうと。実施可能性は大事なポイントですが、保健指導をきちっとやってい く体制を、特に働き盛りの男性が今まで保健指導を十分に受ける機会がなかったという ことを鑑みて、あまり簡素化しすぎて、結局保健指導が十分行き届かないということの ないようにご検討いただければと思います。 ○辻座長 そういったことも含めて今後また議論を進めていきたいと思います。今後の スケジュールについて事務局からご説明お願いします。 ○梶尾企画官 前半で申しました資料2に関連する被扶養者の特定健診・保健指導の実 施体制については、本日のご意見を踏まえまして、引き続きワーキンググループを開催 し検討していきたいと思っております。その他の論点、あるいは検討事項についても、 この検討会以外の、ほかの関係する検討会等もありますが、引き続き検討いたしまして、 また本検討会にも、お諮りさせていただきたいと思っております。  次回の検討会ですが、第1回のときにスケジュール案としてお示ししましたように12 月を予定しておりますが、具体的に日程を調整しまして、またご連絡をさせていただき たいと思います。 ○辻座長 それでは、以上をもちまして第2回の検討会を終了いたします。どうもあり がとうございました。   (了) 1