06/09/27 第4回生協制度見直し検討会議事録 第4回生協制度見直し検討会議事録 日  時:平成18年9月27日(水)10:00〜12:00 場  所:厚生労働省17階 専用第18・19・20会議室 出席委員:清成座長、大塚委員、小川委員、品川委員、土屋委員、山下委員、吉野委員 議  題:(1)購買事業の現状と見直しについて      (2)その他  ○清成座長  定刻になりましたので、ただいまから第4回生協制度見直し検討会を開催させていた だきます。  初めに委員の出席状況について事務局から説明をお願いいたします。 ○千田課長補佐  本日は朝早くからお集まりいただきましてまことにありがとうございます。委員の出 欠状況でございますけれども、本日は委員全員が御出席でございます。よろしくお願い いたします。 ○清成座長  それでは早速議事に入ります。本日は購買事業の現状と見直しに関する議論を行うと いうことになるわけでございますが、まず前回の議論の確認のため、事務局から資料の 説明をお願いしたいと思います。 ○花咲課長補佐  それでは御説明させていただきます。資料1をごらんください。事務局の責任で前回 の御議論をまとめたものでございます。御意見等ございましたら、後ほどの議論の中で も、後日でも結構ですので、事務局の方へお寄せいただきたいと思います。  まず1、生協共済と保険の異同についてでございます。そもそも生協共済と保険は異 なるべきである、あるいは異なるとする御意見に対し、生協共済と保険は基本的には同 じであるとする御意見や、協同組合の二面的な性質から、規模が大きくなるにつれ、対 外的には保険会社と同様になるとの御意見がございました。  2、契約者保護に係る規制の要否に関する御議論でございます。協同組合の特性は、 保険業法などに見られる契約者保護という観点とは融和しないのではないかという御意 見の一方で、生協共済についても、そのリスクの大きさから何らかの規制が必要である との御意見や、保険と生協共済の競争条件を対等にすることが基礎的条件であるとの御 意見がございました。  2ページでございます。3、契約者保護のための規制を課す場合に、程度の違う規制 をどのように振り分けるかについての基準について、規制の振り分けの座標軸としては 少額かどうかや、実質的自治が機能しているかどうかがあるとの御意見や、生協らしさ がどこまで保持できているかで判断すべきとの御意見がありました。  個別の論点について、兼業規制のあり方に関する御議論がございました。生協は単位 組合も連合会も兼業を行っており、完全な兼業禁止は困難であり、むしろ区分経理や明 確な分離勘定を導入すべきであるとの御意見がございました。また、農協では信用事業 と他の事業の兼営が認められているが、いろいろな方法で問題が生じないようにしてい るとの御紹介がございました。一方、金融事業の性格からは、兼業可能とするのに協同 組合の特性だけでは説明がつかないのではないかとの御意見がございました。  以上でございます。 ○清成座長  どうもありがとうございました。今の時点で何か御意見がございましたら、いかがで しょうか。  時間も限られておりますので、何かございましたら、後ほど議論の際でも結構ですし、 あるいは事務局の方に御連絡をお願いいたします。  引き続き、購買事業の現状及び見直しについて、事務局から資料の説明をお願いいた します。 ○花咲課長補佐  引き続き私から資料の御説明をさせていただきます。  資料2、購買事業の実態について御説明いたします。まず目次をごらんください。本 資料の構成でございますが、1として小売業全体の状況、2が生協の購買事業の状況に 関するデータとなっております。それぞれについて傾向を比較できるよう、いくつかの データに関しては同種のデータを御用意しております。3では、生協と一般スーパーを 経営分析指標ごとに比較しております。さらに4で、生協における食品の安全に対する 取り組みを御紹介するとともに、5として、生協に対する組合員の期待について御紹介 する予定でおります。  早速ですが、小売業の全体状況について御説明させていただきます。1ページをごら んください。小売業における年間商品販売額の推移をお示しした資料でございます。年 間商品販売額は平成9年度をピークに減少しております。  2ページでございます。従業員数規模別に事業所数の構成比の推移をお示ししたもの でございます。青い線で示した従業員1〜2人の事業所の占める割合が減少している一 方で、従業員5人以上の事業所については増加傾向にございます。  3ページでございます。従業員数規模別年間商品販売額の構成比の推移をお示しした ものでございます。従業員数4人以下の事業所が占める割合が減少する一方で、10人以 上の事業所の占める割合は増加しております。特に小売業年間商品販売額に占める従業 員10人以上の事業所における年間商品販売額の割合は、平成16年度には18.2%まで増加 しております。  4ページでございます。業態別に年間商品販売額の推移をお示ししたものでございま す。百貨店は減少傾向にあり、総合スーパーがほぼ横ばいとなっている中で、食料品ス ーパーやコンビニエンスストアの年間商品販売額が増加していることがおわかりになる かと思います。右上に参照としてお示しした番号は、後に出てまいります生協に関する 同種の資料の番号でございます。適宜御参照いただければと思います。  5ページをごらんください。売り場面積規模別事業所数の推移に関する資料でござい ます。売り場面積1000平方メートル未満の事業所数は減少する一方で、1000平方メート ル以上の事業所数は増加しております。  6ページでございます。売り場面積規模別に1平方メートル当たりの年間商品販売額 の推移をお示ししたものでございます。すべての売り場面積規模で減少しております が、特に3000平方メートル以上の店舗における1平方メートル当たりの年間商品販売額 の幅が大きくなっております。  続きまして、2、生協の購買事業の状況でございます。7ページでございます。生協 の事業所数は徐々に減少しておりますが、会社の事業所数はおおむね横ばいで推移して おります。  続く2ページは、いずれも第1回検討会で提出させていただいた資料を再提出させて いただいたものでございます。8ページでございますが、生協の購買事業高は平成7年 度をピークに減少しております。また、9ページは購買生協の経常剰余率の推移をお示 ししたものでございます。  10〜13ページは購買事業を行う生協について、組合員数規模別に赤字組合、黒字組合 の数をお示しした資料でございます。まず10ページをごらんください。購買事業を行う 生協について組合員数規模別に単年度で見た赤字・黒字別の組合数を見ますと、おおむ ね組合員数が多いほど赤字組合の数が少なくなっております。また、11ページは地域生 協と職域生協別に見たものでございますが、地域生協の方が赤字組合の割合が高くなっ ていることがおわかりになるかと思います。  12、13ページは累積での赤字・黒字状況についてお示ししたものでございます。累積 で見た場合には単年度と比べて赤字組合数が増加しますが、傾向としては組合員数が多 いほど赤字組合数が少なくなっているかと思います。  14ページをごらんください。生協が行う店舗事業と共同購入事業を各種指標により比 較したものでございます。供給高で見ますと共同購入事業の割合が大きくはなっている ものの、店舗事業も依然として全体の約4割を占めております。  15ページでございます。地域生協の取り扱い商品の構成について見ますと、食品が約 8割を占めており、生鮮品等だけで5割強となっていることがおわかりになるかと思い ます。  16、17ページは日本生活協同組合連合会の会員のうち福祉事業を行っている生活協同 組合について、その兼業状況とあわせて事業ごとの経常剰余率をまとめたものでござい ます。16ページですが、グループ(1)として、購買、福祉、共済の3事業すべて実施して いる生活協同組合に関する資料でございます。共同購入事業や共済事業の経常剰余率が プラスであるのに対して、店舗事業や福祉事業ではおおむねマイナスとなっていること がおわかりになるかと思います。  17ページでございます。グループ(2)としまして、購買事業と福祉事業のみを行ってい る生協について見ますと、福祉事業で見た経常剰余率がマイナスの組合の割合は少なく なっております。また、グループ(3)として、共同購入事業と福祉事業のみを行う生協に 至りましては、福祉事業で見た経常剰余率がマイナスの組合は2組合のみとなっており ます。  18ページ以降は、生協が行う購買事業を店舗事業に限ってそのデータをお示ししたも のでございます。業態別に年間商品販売額の推移を見ますと、総合スーパーはほぼ横ば いであるのに対して、食料品スーパーの年間商品販売額は増加しております。  19ページでございます。店舗面積規模別に店舗数の構成比をお示ししたものでござい ます。総合スーパーや食料品スーパーといった業態別の全体像や、スーパー個社など主 として購買事業を行う地域生協、称して地域購買生協を比較しております。お示しして ありますA〜Eという個社との比較は、A〜C社はそれぞれ業績が異なる関東地方を中 心に食料品スーパーを展開する企業、また、D社、E社は全国に総合スーパーを展開す る企業のデータでございます。地域購買生協の有する店舗の面積規模別構成比は、食料 品スーパーに近い構成になっているかと思います。  20ページでございます。今ごらんいただきました地域購買生協の店舗面積規模別店舗 数を推移で見たものでございます。日生協会員の地域購買生協について見ますと、小売 業全体における傾向と同様、店舗面積が1000平方メートル未満の店舗数は減少しており ます。また、地域購買生協においては1000平方メートル以上3000平方メートル未満の店 舗数は増加しているものの、3000平方メートル以上の店舗数は近年減少しており、3000 平方メートル以上の店舗数も増加している小売業全体とは若干傾向が異なっております。  21ページでございます。地域購買生協について店舗の面積規模別に1平方メートル 当たりの購買事業高の推移をお示ししております。小売業全体と同様に、すべての店舗 面積規模において購買事業高は減少しており、地域購買生協の場合は特に1000平方メー トル未満の店舗に関して減少幅が大きくなっております。  22〜25ページは、業績が好調な店舗と不振な店舗について、日本生活協同組合連合会 からいただいた事例をそれぞれ2店舗ずつ御紹介しております。まず22ページのA生協 a店でございますが、業績が好調な理由として、売り場面積を拡張し、品ぞろえをよく することで組合員のニーズへ積極的に対応してきたことが挙げられております。  23ページのB生協b店も、店舗の拡張については同様でございますが、生鮮部門に力 を入れていた点が好調の理由として挙げられております。  一方、不振な店舗の例でございますが、24ページ、C生協c店でございます。不調の 原因として、生鮮品の鮮度や品ぞろえについて問題があるという点が挙げられておりま す。  25ページ、D生協d店でございますが、こちらは立地上の課題や、他の事業者との競 争が理由として挙げられております。  26〜30ページは、地域生協と一般スーパーを各種経営分析指標により比較したもので ございます。(1)安全性に関する指標について比較したものが26、27ページでござい ます。まず26ページ、流動比率でございます。流動比率は、1年以内に資金化できる流 動資産と、返済しなければならない流動負債の比率でございますが、この数値が低いと 借り入れを行う必要が出てまいります。この流動比率について見ますと、地域購買生協 は一般スーパーよりも総じて高くなっております。  27ページでございます。固定比率でございます。固定比率は、固定資産と資本の比率 でございまして、この値が100以下の場合には保有する固定資産が自己資本の範囲内で あることを示しております。固定比率について見てみますと、地域購買生協は一般スー パーよりも総じて低くなっております。  28ページは、効率性に関する指標として使用総資本回転率について比較したものでご ざいます。使用総資本回転率は、総事業高を総資本で除したものであり、この値が高い ほど効率よく資金を使っていると言えるものでございます。この指標で比較しますと、 地域購買生協は一般スーパーと比べて総じて低くなっております。  (3)収益性に関する指標について比較したものが29、30ページでございます。まず 29ページでございますが、売上高経常利益率に関する比較でございます。売上高経常利 益率は、事業を行った結果生じた利益に関する指標でございまして、地域購買生協は一 般スーパーと比較しますと総じて低くなっております。  30ページは収益性に関するもう一つの指標として、労働分配率について比較したもの でございます。労働分配率は、収益に対する人件費の割合を示したものでございまして、 地域購買生協は一般スーパーと比較しますと若干高めとなっております。なお、グラフ の左側にあります四角の中に、店舗事業と共同購入事業の別に労働分配率をお示しして おります。店舗事業における労働分配率が高いことがおわかりになるかと思います。  31〜33ページは、生協における食品の安全のための取り組み等についてまとめたもの でございます。まず31ページでございますが、生協による食品の安全のための取り組み についてまとめております。地域購買生協が組合員による食の安全に関する学習の場等 を提供し、組合員の意見などをくみ上げ、一方、連合会は、会員生協や自らがくみ上げ た組合員の意見を踏まえて、商品検査の実施等による安全な商品の開発を行い、それを 会員生協に供給し、さらには、会員生協は各組合に提供するという形で食品の安全のた めの取り組みが行われています。商品検査や生協のプライベート商品の開発等に関する 取り組みの内容や、そのために要している経費を御参考までにお示ししております。  32ページ、商品で見る食品の安全に関する生協の実績でございます。各生協のプライ ベート商品は、公害問題や有害食品問題等の時代背景を受け、組合員のニーズを生かし、 低価格で優良な品質のものを提供することを目的として開発されております。ここでは 生協のプライベート商品の一部を御紹介しております。  34〜36ページは、生協に対する組合員の期待と評価に関する資料でございます。まず 34ページでございますが、組合員が生協に対して何を求めているかを組合員アンケート から探りますと、食品の鮮度や商品の質や、食品の安全性強化や情報提供がともに6割 強となっており、次いで食品の低価格化、品ぞろえの充実等が続いております。  35、36ページは、組合員の生協の購買事業に対する評価をまとめたものでございます。 食品の安全性や生鮮品の鮮度に対する評価は、食料品の品ぞろえや商品の価格に対する 評価よりも高くなっております。そのうち食品の安全性や生鮮品の鮮度について、店舗 事業と共同購入事業のそれぞれについて見ますと、いずれも店舗事業の方が高くなって おります。また、共同購入事業については、配送される便利さの満足度が約7割と非常 に高くなっております。  続きまして資料3をごらんください。こちらは第1回検討会において生協の破綻事例 について御質問等がございましたのでまとめさせていただいた資料でございます。  1ページでございます。日生協会員生協のうち平成2〜17年度までに組合の解散を理 由に同会を脱退した生協の数を、生協法に定めます解散事由別に分類したものでござい ます。第1回検討会で品川委員より、解散事例の多くを占めていると御紹介いただきま した職域生協の解散は、全体で69組合となっております。また、地域生協の合併による 解散は90組合となっております。さらに、職域と地域を合わせまして組合の合併による 解散以外の解散が103組合となっておりますが、そのうち2組合を除く101組合について は経営状況の悪化による解散であるとのことでございます。  2、3ページは具体的な破綻の事例として、財政状況が悪化した後の処理方法別に破 綻事例を御紹介しております。まず2ページでございますが、財政破綻に陥り、その後 解散したケースを法的整理によるものと任意整理によるものに分けてお示ししておりま す。1の法的整理による解散としては、破産法に基づく破産処理が行われたものとして、 具体的には由利生協などの例がございます。一方、任意整理により解散したケースにつ いては、単に任意の解散を行った大日本インキ生協、これは職域生協でございますが、 の例などがございます。また、解散前に同じ県内にある比較的経営規模が大きく経営状 態が安定している生協に事業譲渡をした後解散したものとして、高崎市民生協のような 例がございます。  3ページでございます。こちらは財政破綻に陥った後再建したケースを、法的整理に よるものと任意整理によるものに分けてお示ししております。法的整理による再建とし ましては、当時の和議法に基づき再建した釧路市民生協の例がございます。また、法律 上の再建手続によらずに再建する場合には、日生協が会員生協と合わせて資金を拠出し ておつくりになった連帯基金により資金を貸し付けたり、他の生協からの人的支援を受 けたりして再建を行っているとのことでございます。  4ページでございます。財政状況が悪化した際の行政庁のかかわりをお示ししており ます。組合の財政状況が悪化し、破綻する場合には、組合が自主的判断により総会議決 や合併等を事由とする解散を行うこととされております。この際、一定の場合について は行政庁の解散認可が必要とされております。次に、生協の会計経理が著しく不適正な 場合等には、行政庁が報告徴収や検査を行うことが可能とされており、場合によっては 組合に対して必要な措置をとるよう命令したり、事業停止を命ずることが可能とされて おります。  5ページでございます。合併と事業譲渡の際について図示したものでございます。合 併と事業譲渡の際は、合併が合併当事者間において権利義務を包括承継させるものであ る一方、事業譲渡は権利義務を契約に基づき個別承継させるものであることが大きな違 いとなっております。  続きまして資料3の参考資料として別冊の資料を配付させていただいております。こ ちらの資料は破綻した個別の生協に関する資料でございますので、委員限り配付とさせ ていただいております。なお、検討会終了後回収させていただく予定でございますので、 よろしくお願いいたします。詳しくはお読みいただきたいと思いますが、中をごらんい ただきますと、破綻した組合の組合員数規模がさまざまであることや、地域生協につい て見た場合、生協によっては財務がずさんだったために経営状況が悪化した組合や、破 綻に至る過程において数年間にわたる粉飾決算が発覚した組合もあることがおわかりに なるかと思います。また、職域生協については、生協という組織形態での事業継続が不 要との判断のもと解散した例もあるようでございます。  続きまして資料4、生協間の関係についてでございます。こちらも第1回検討会でお 尋ねがございましたことから準備させていただきました。  まず1ページでございます。都道府県別生協加入者の状況としまして、1人の組合員 がいくつの生協に加入しているかをお示ししたものでございます。例えば東京では、複 数生協加入率が約2割となっていることがおわかりいただけるかと思います。  2ページでございます。例として東京都内の主として購買事業を行う生協の事業実施 状況をお示ししたものでございます。事業実施区域の範囲や、店舗事業と共同購入事業 の比重等において、生協ごとにそれぞれ特色を有しております。こうしたことから、生 協はお互いに競争関係にあると言えると同時に、補完関係にあるとも言えるのではない かと考えております。  3ページでございますが、東京都内の生協店舗の分布を御参考までにお示ししており ます。  続きまして資料5、購買事業等に係る規制の見直しについてでございます。第3回で 御議論いただきました共済事業に係る制度の見直しと同様、本日の御議論のたたき台と していただくべく改正の方向性について一案をお示ししております。あくまでもたたき 台でございますので、後ほどいろいろな御意見をいただければと思っております。なお、 本日御議論いただきたい論点としましては、員外利用規制に関するものと、県域規制に 関するものの2つがございます。  1ページからが員外利用規制に関する資料でございます。2ページをごらんいただき たいと思います。員外利用規制について御説明しております。員外利用規制とは、組合 が組合員以外の者にその事業を利用させることができないとする規制でございます。生 協法では員外利用は原則禁止されており、厚生労働省令で定める場合を除き、行政庁の 許可がなければ員外利用させることはできないとされております。許可がなくても員外 利用が可能な場合としては、自賠責共済契約を締結している場合に、契約の対象たる自 動車が組合員以外に相続された場合等のみが規定されております。  3ページでございます。生協法上、員外利用の禁止、許可制度が設けられた経緯につ いてお示ししております。  4ページでございます。こちらの表は、生協法と他の協同組合法に定められた組合員 資格を比較したものでございます。生協は、地域生協であれば、一定の地域内に住所を 有する者であって、定款で定める者、職域生協であれば、一定の職域内に勤務する者で あって、定款で定める者が組合員となることができるとされております。一方、農協で は農業者、事業協同組合では組合の地区内で事業を行う小規模事業者で、定款で定める 者が組合員となり得るとされております。  5ページでございます。生協法上、員外利用が認められる場合をまとめております。 (1)行政庁の許可なく員外利用が可能とされております省令で定める場合、先ほど申し上 げましたように、現在、自賠責の関係のみが認められております。これに関しては利用 限度額についての定めは特にございません。(2)行政庁の許可を得た場合がございます。 どのような場合に許可を受けることができるかについては通知で定められており、利用 限度についても通知で規定されております。なお、購買事業に係る員外利用許可につい ては、商業調整規定がございます。  6ページをごらんください。員外利用許可制度の有無と主な利用限度についてまとめ たものでございます。許可により員外利用を認めるとする許可制度は生協法にしかござ いません。ただし、これは許可制度の有無についてまとめたものでございまして、農協 法等においても原則として組合員が事業を利用する者であり、一定の場合に例外的に員 外利用が認められるという考え方をとっていることに違いはございません。また、利用 限度ですが、農協は事業協同組合においては原則として組合員の利用分量の100分の20 以内とされておりまして、その他、例えば農協の場合には、老人福祉事業については 100分の100以内であればよいなどとされております。なお、農協や事業協同組合につい ては、員外利用が可能な場合や、その場合の利用限度に関して法令上定めが置かれてお ります。  7ページでございます。生協の員外利用に関して定められております利用限度につい て、その設定がないものと、おおむね5分の1以内とされているものに分けた上で、具 体的な許可事由をお示ししております。  8ページでございます。員外利用規制の見直しに関して、方向性の案をお示ししてお ります。生協は一定の地域または職域による人と人との結合体であり、組合員の相互扶 助組織という性格を有しております。その一定の地域や職域で結びついた組合員のみを 対象としている点が、生協が行う購買事業や共済事業と、その他の小売業や保険業とは 異なる点でございます。次に、生協をめぐる状況の変化がございます。生協をめぐって は災害時の緊急物資供給など、組合員以外に対する活動ではあるものの、社会に貢献す ることが求められている場面が増加しております。  こうしたことを踏まえて改正の方向性でございますが、生協が農協や事業協同組合と は異なり、自然人一般が結合した相互扶助組織であることから、現行の員外利用の禁止、 許可制度を引き続き維持することとしてはどうかと考えております。また、員外利用が 例外的に認められる場合については、法令上個別具体的に限定して定めることとしては どうかと考えております。さらに、許可により員外利用が認められる場合には、その利 用限度を法令上定めることとしてはどうかと考えております。  9、10ページは、ヒアリングの際に出された員外利用規制に関する御意見や、員外利 用が具体的に必要だとされた事例について添付させていただいたものでございます。  11ページをごらんください。もう一つの論点でございます県域規制に関する資料でご ざいます。  12ページでございます。県域規制について御説明した資料でございます。県域規制と は、職域生協でやむを得ない事情があるものや連合会を除き、組合は都道府県の区域を 越えて設立することができないとする規制でございます。  13ページをごらんください。県域規制が存在するのは生協法だけでございまして、農 協や事業協同組合については、定款にその組合の地区を記載しなければならないとはさ れておりますが、その広さに関する規制はございません。  14ページでございます。県域規制が設けられた理由でございますが、法制定当時、昭 和23年当時に中小商工業者との関係や、その適正規模の観点から設けられたものでござ います。  15ページをごらんください。県域規制の見直しについて方向性の案をお示ししており ます。まず、生協が実施する購買事業をめぐる状況の変化がございます。法制定時から の状況の変化として、昭和23年当時は小売業者が中小零細事業者中心となっていた時代 であるのに対し、現在ではチェーンストアが都道府県域を越えて全国的に展開しており ます。また、道路整備やモータリゼーションの進展に伴う変化がございます。例えば、 県境を越えた隣県内に存在するとはいえ、そこが同一経済圏に属する場合、その店舗を 利用したいという組合員のニーズがあることや、効率的な事業展開に必要なエリアは現 在では必ずしも都道府県域とは一致しないということがございます。さらに、生協の状 況として、店舗事業は生協の中核事業の一つであり、生協が行う福祉活動は店舗の空き スペースを利用して行われていることなどにかんがみれば、生協が引き続き店舗事業を 発展させていくことは意義あるものとなっております。一方、生協は一定の地域による 人と人との結合体でございます。また、共済事業の兼業禁止の論点にも絡むのですが、 現在のところ生協は購買事業や共済事業を兼業している場合が多くなっております。こ の生協が実施する共済事業と保険業の相違点の一つは、一定の地域で結びついた限られ た範囲の組合員のみを対象としているかどうかという点にございます。  こうしたことから改正の方向性としまして、例えば、主たる事務所の所在地である都 道府県の連接都府県までといった、一定の範囲に限って都道府県の区域を越えて地域生 協の区域を設定できるようにしてはどうかという案をお示ししております。なお、次の ページは県域規制に関するヒアリング時に出された御意見でございますので、適宜御参 照いただければと思います。  以上でございます。 ○清成座長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明について、御意見、 御質問等ちょうだいするわけですが、実態面と規制の見直しと2通りあるわけですが、 最初に購買事業の実態面で何か御質問等ございましたら、そこから始めたいと思います。 いかがでしょうか。  小売業全体の中で生協のシェアというのはそんなに変わらなくて、安定的に推移して るんですが、小売業そのものが大分変わってしまっているということがあるわけですが。  吉野さん、小売業全体の売り上げが低下してますよね。これは本当に低下してるのか、 これはデフレの影響ですよね。だから数量的には低下してない可能性がありますよね。 ○吉野委員  低下してないんじゃないかと思うんですけどね。 ○清成座長  私もそう思うんですね。それと商業統計の癖がありますよね。把握率がどんどん低下 してますよね。だから本当は小売業全体としては縮小してないんじゃないかと思うんで すがね。 ○吉野委員  かなり乱暴な断定だと思います、私も。 ○清成座長  その辺を前提にしておかないと。というのは、生協がその他の業態に与える影響みた いな議論がどうしても出てきますよね。なかんずく、小規模事業に対する影響が出てき ますよね。そういう場合にどう見たらいいのかというのは一つ論点になりますよね。  しかし、昔のように小規模企業が生協を脅威に感じなくなってきてるということはあ るんでしょうかね。 ○吉野委員  競合関係としては、地域において主な競合相手であるという実態はほとんど存在しな いんじゃないかと思うんですね。 ○清成座長  いかがですか。何か御意見ございましたら。 ○大塚委員  むしろ質問で、土屋委員にお聞きしたいんですが、農協の単協のものを売るという事 業がありますね。それと生協を比較すると、規模とか実態、あるいは理論の上でどうい う相違があるんでしょうか。 ○土屋委員  農協の場合は購買事業で一番大きいのは農業関係の肥料とか、農薬とか、機械とか、 そういうのがまずあって、それ以外に生活関係の購買がある。生活関係の中ではLPガ スだとか、ガソリンとか、そういう関係が大きいです。Aコープという名前をつけて店 舗事業だとか、組織購買があるんですけども、それはかなり地域差があって、すべての JAが同じレベルでやってるということでもなくて、熱心なところとそうでないところ とあるような状態です。 ○大塚委員  競合は特にすることはないんでしょうか。 ○土屋委員  生協と農協とということですか。場面ではあると思いますけれども、JAの方は何が なんでもそれをやらないといけないということじゃなくて、だめならば撤退する、ほか の生協さんなりスーパーさんが肩がわりしてる部分もあるんじゃないかと思います。 ○山下委員  質問ですが、資料2の16ページ、17ページで、生協がどういう事業をやっているか のカテゴリーで経常剰余率が随分違うというのがあるんですが、全般的には店舗事業は ほとんど赤。実際に生協にかかわっていらっしゃる方々、この店舗事業の将来というの をどういうふうに考えておられるのかというのと、福祉事業については16ページのグル ープ(1)の方だと真っ赤なんだけども、17ページのグループ(2)とか(3)になると必ずしもそ うでないと。その原因がどうなっていて、グループ(1)も将来ノウハウを蓄えていけば収 益が改善していくことになるのかどうかとか、そのあたり、この分野は全く素人なもの ですから、どういう見通しなのかというのを教えていただければありがたいんですが。 ○品川委員  一つは店舗事業の赤字問題ですけれども、経営指標の御説明が同じ資料の後段にござ いますが、効率性という点で他のスーパーとの関係で非常に効率が悪いという状況がご ざいまして、そこのところをどうシステム化しながら効率化を図っていくかということ が大きい課題です。そういう点では店舗事業そのものとしての物流ですとか、情報です とかいうことを含む一定地域での展開がまだまだ希薄だったり、まばらだったりするこ とも、効率性を上げる上では問題点の一つとしてあります。一方で無店舗事業が伸長し ているわけですけれども、消費者の大多数に御利用いただく、あるいは生鮮食品を多様 に御利用いただくということでいうと、やはり店舗というのが地域住民には必要な施設 でもありますので、効率性回復などをしながら店舗事業についてどう全国で赤字克服で きるかというのを大きいテーマにしてチャレンジしているところでございます。  それから福祉事業につきましては、実際に取り組んでいる生協は数の上ではまだまだ 少ない。それぞれの規模自体が小さい規模で福祉事業が行われていて、その中で赤字の 構造というのはかなり多くて、たまたまグループ(1)、(2)、(3)の関係で赤字の数というこ とになってますけれども、全体としては赤字の福祉事業が多いという状況です。加えて 介護保険制度の制度変更等があった中で、そこをどうするのかというのが大きい課題な んですが、事業の利用を拡張することと、購買生協でやっている場合には小売業と同じ 人件費構造でやっているということが一方にあったりして、そんなことも含めて、私ど もの言い方ですと、地域で食品の安全と共済の安全と福祉の安全、3つの安全で役に立 つ存在になりたいと思って再建策等も検討しているところでございます。 ○吉野委員  店舗事業なんですけども、ここには出てないんだけども、スクラップの実績というの がどのくらいあるか。それから、経営の状況が悪化したときにスクラップするかどうか の基準を持っているかどうか。 ○品川委員  スクラップして閉店するという数値は今ここに持っておりませんけれども、小売業全 体の状況でも説明がありましたように、小規模の店舗では品ぞろえ等が今日の消費者の 生活に合わなくて、食品を中心にする場合にも一定規模以上でないとニーズに応えられ ないという関係がありまして、特に小規模店舗を閉鎖して1000平方メートルとか1000数 百平方メートルとかいうお店に切りかえていこうというふうに全体的に考えております が、赤字店舗の場合に閉鎖の基準というのはそれぞれの生協ごとに一応持っているとこ ろが多くなってきています。ただ、現実には生協のお店をつくる際に、そのお店の周辺 の住民がお店を建設するために出資金を集めたり、地域で加入促進活動をお互いに進め たりというような、店舗を開設するための準備活動が周辺の消費者組合員の中でいろい ろ行われて店舗がつくられるということが歴史的にはあるわけです。そうしますと、閉 店基準になったからといって、そうやってお店をつくった方々からするとそれは困ると いう声が非常に強く起こって、そういう意味で、基準は持ちながら地域の方々に理解・ 納得いただく努力に大変エネルギーをかけながら、何とか御理解いただきながら、周辺 にもう少し規模の大きいお店のできる立地を探しながらやっているというのが実態です。 ○清成座長  今のお二方の御質問と関係するんですが、品川さんにお伺いしたいんですが、いわゆ る株式会社の大規模小売店というのは開発輸入というのをやってますね。例えば中国で つくらせて輸入するといったようなことを大いにやってますよね。商店街の零細小売業 はそれができませんからつぶれていくのは当然といえば当然なんですけども、生協の場 合は開発輸入というのはおやりになってるのか、あるいはどの程度やっておられるのか ということを教えていただきたいんですが。 ○品川委員  特に食品を中心にして、例えば中国で日本生活協同組合連合会流の農薬使用基準で農 水産物を生産してもらう。あるいは中国の工場で、私どもから品質管理の担当者が現地 に行って、工場の品質管理、衛生管理等についての指導も行いながら、現地で製品化し て輸入するというのはいろいろございます。東南アジアでもあるし、オーストラリアな どでは牛肉についても、量は多くありませんけれども、私どもの肥育基準で肥育してと いうことをやっています。 ○清成座長  全体の中の割合ははっきりつかまえておられないですか。 ○品川委員  今数値はお持ちできませんので、改めてと思いますが。 ○清成座長  いや、ざっとしたところで結構です。 ○品川委員  一般スーパーに比べるとそういう商品の割合は少ないというのが現実ではあります。 ○清成座長  そうですか。それから、先ほど効率性と収益性ということで表も出てたんですけど、 効率性というのは資本の回転率ですよね。回転率は別に効率性と関係ないんじゃないか という感じがするんですね。食品だったら回転率は高くなるし、高額な衣料品なら低く なるだけの話で、効率とは何の関係もないように思うんですね。逆に収益性も、これも 売上高利益率ですよね。これも食品なら低いし、衣料品なら高いしというだけの話で、 両方掛け合わせたものが利益率ですよね。だからこういうふうに分解してしまうとかえ ってわかりにくくなるんじゃないかと思うんですけどね。 ○品川委員  ここでは回転率の資料を出していただいていますけれども、私どもが競争関係にある 地域にある食品スーパーなどと比べて大変問題点が多いのは、むしろ労働生産性が非常 に低いと。その問題をどう向上させていくかというのが店舗の効率性という上で第一優 先のテーマになっています。労働生産性といいますと、お店の中だけの問題ではなくて、 バックヤードの構造がどうなってるかということも非常に大きいわけでありまして、そ この改善・改革をどうするかというのを店舗事業再建のときに第一テーマに考えている ところでございます。 ○清成座長  そのほか。小川委員、何か。 ○小川委員  今の品川さんの言葉を聞いて、生協は果てしなくスーパーにいってしまうのかなとい うふうに思っているんですが、先ほど複数の生協に加入しているというのがあったと思 うんですね。この委員会は、生活スタイルに合わせて生活協同組合の法律をどう変える かという話だと思うんですが、この生協ではこれが魅力だからこれを購入しよう、この 生協は福祉を一生懸命やってるから福祉を使うために入ろうとか、あるいは店舗に行か ないで、品物は高いけれど安全性がより明確になっているから共同購入でこれをしよう と、共同購入の優位性のもう一つは、生活スタイルとして昼間働きに行っているという ことで、みんなで分け合うということがないので個配が進んできているということをう まく使い分けて、自分の生活を仕事と日常生活と地域生活の中で、あるいは介護や子育 ての中での道具として使っているなというのが見えてきてると思うんですね。特に都市 部で高いというのはそういうことだと思うんです。そういう中で果たして店舗生協が、 今こういう経営状況というのは生協だけの問題ではないと思うんですけれども、何を主 眼として店舗を見直していくのかというときの、日生協での経営の分析をどのようにし たかというのはまだ聞けてないと思ってます。事務方からは広さの問題、品ぞろえの問 題、いろいろ出ましたけれども、先ほど気になったのは、例えば大きな道路に面してい ないところとか、交通の便の悪いところが収益性が悪いとなったときに、じゃあそこか ら撤退したら生活協同組合をあてにしている人の生活を切り捨てることになるわけです から、それを含めて、もう少し購買の経営分析を日生協内部でどういうふうに議論して いるかを報告してもらいたいなと思います。 ○土屋委員  農協の場合、Aコープなんかも撤退してる場合があるとお話ししましたけど、経営が なかなか厳しくて、それを何とかしていくという中で、連合会の方に譲渡するとか、運 営を委託するとか、いろんな形でそれぞれの農協が単独でやるという形をだんだん変え てきている面があるんですけれども、生協の場合、単位生協と連合会との関係が変化し てきているのかどうか、ちょっとお尋ねしたかったんですが。 ○品川委員  一方で先ほど申し上げましたような事情があるものですから、日生協とは別に仕入を 統合するような形で、一定の地域で単位生協同士が地域の連合会をつくって、仕入の共 同化を行いながら商品調達での条件整備をしていくという努力が全国でいろいろされて いるケースが増えているということが一つございます。  それから、地方の仕入の共同体づくりと合わせて、そこと日生協との関係を整理する、 あるいはさらに合理的にしていくという努力をいろいろしているというのが最近の大き な側面です。 ○吉野委員  今のお二人の議論はかみ合ってないというか、よく理解できないところがあるんです けど、普通の小売業であっても、立地にしても、マーチャンダイジングにしても、その 最も効率的なものは何かというと店に来るお客のニーズに合致してるものだと。一般論 として言えばですね。であるわけですから、非効率であるのは地域の組合員のためにや むを得ないことだという説明は、それはちょっとおかしいんじゃないかという気がする んです。そういう意味で地域に縛られている……という言い方がいいかどうかわからな いけれども、地域に密着しなければならないというものであるならば、県域規制につい てもこれはやむを得ないという話に逆になると思うんですね。そうじゃなくて、組合員 のために最も組合員のニーズに合致したもの、業態は何かということで効率化を図って いくんだったらば、その延長線上に県域規制はもはや時代遅れであるという議論なら筋 が通ってると思うんですけれども、今おっしゃったように、地域のために赤字覚悟でや らねばならないということが生協の存在意義であるとすれば、それは県域規制もしょう がないという話になるんじゃないかと思うんですけど。 ○小川委員  そういう意味で言ったわけじゃないんです。ただ、店舗、共同購入、福祉、共済とや っている、あるいは共同購入と福祉をやっているというところで利益率が違ってきてい たり、あるいは福祉に関して参加のあり方にある意味きつくクローズしてるところとい いますか、共同購入で、そこのところが福祉の事業が比較的赤字が少ないというのはど ういうことなのかということも見ていかなければならないと思います。県域の問題とク ローズにしてしまうということとどっちですかという短絡的な話ではなくて、今ある現 状をもう少し分析していかないと、ただ広げていく、そうしたら限りなくスーパーに近 くなって、最終的には生活協同組合というのは何なのかというのが問われたら、税の優 遇も含めて全部話が変わってくるのではないかというふうに考えています。 ○清成座長  先ほどの小川委員の御意見はよくわかるんですが、多分それがマネージメントの質に 影響してくる可能性がありますね。私なんかは学校法人の理事長をやってましたからよ くわかるわけですけど、教育事業で非営利だという名目のもとにやっていると、マネー ジメントの質がどんどん下がるんですね。そういうことがあるんですね。つまり、マネ ージメントの質を上げたらかえって教育内容もよくなるという論理が働くんですけど ね、生協だけじゃなくて非営利組織一般に当てはまる傾向なんですね。それで効率が悪 くなる弁明として、これは教育事業なんだからとか、生協の相互扶助なんだからという ところに逃げ込んでしまうような、どうしてもそういう部分があるだろうと。全部そう だなんていう乱暴なことは言いませんけど、非営利組織というのはそういうのが当ては まるんじゃないかという感じがしてならないんですよね。 ○小川委員  今座長がおっしゃったのは、ある意味あると思います。福祉も、福祉だからこれでい いんだとかいうのが社会福祉法人でも問題ありますし、NPOでも、NPOだからこれ でいいんだということで、結局マネージメント力がとても弱いというのは、特にこの2、 3年強く言われていることだと思いますし、生協だからこれでいいとは思っていません。 ただ、生活協同組合として地域で何をするかという議論をもう一度押さえていかないと、 きょうは店舗生協の問題だからあれですけれども、経営のマネージメントがどうだった かということをまだ聞き切れていないと思っていますので、そこをもう少し聞きたいと いう話でして、経営マネージメントの問題が一つはすごく大きかったのではないかと思 っていますし、その経営責任はどうなっているかということが公開されているかいない かというのも、市場から見るとまだ甘いのではないかと思う部分はあります。 ○清成座長  そんなことを言いましたのは、昭和39年に私は小売業の調査をやったんですね。当時 ものすごい勢いで伸びていたダイエーに行ったんですね。中内社長に会ったんです。当 時まだ若くて非常に元気よくて。そのときに灘神戸生協をつぶしてみせると彼は言った んですよ。あれは素人さんだからつぶしてみせると。ところが実際はそうならなかった ということは、マネージメントの論理だけではなくて、組合員のさまざまなニーズにき め細かく対応していたという、品ぞろえとか、商品の質とか、配送とか、そういうのの 反映だろうと思うんですね。そういう面があることはもちろん確かなんですけどね。し かしマネージメントの質というのがどうも非営利組織には気になってしょうがないとい うのがあるので、あえて申し上げたわけで、他意はございません。 ○吉野委員  その点に関連して、この事業別の売り上げと特に収益の寄与度がどれくらいであるか ということですね。つまり、生協というのは何で地に足をつけて成り立っているのかと いうことがはっきりしないものだから、私が外から見ていての印象では、購買事業でも って支えなければ生協というのは事業として成立しないんじゃないかと。だから購買事 業を効率的にやらなければいけないという話になるので、福祉が購買事業を支えるとい う話だったら、福祉の効率的なあり方をどうするかということをもっぱら議論すればい い話だけどそうじゃない。購買事業というのはそういう意味で生協の柱となるものだと いうことがあるから、ここでこういう話をしてるんじゃないかと思うんですが。 ○品川委員  先ほどの資料でも、購買事業と福祉事業の剰余率とか、率の対比は出ておりますけれ ども、購買事業というのは全国でいいますと3兆円近い事業規模を年間やっている。購 買事業がやっている福祉事業というのは100億になるかならないかくらいの規模でやっ てるわけです。ですから率でいえばこういう表になるんですけど、まさに購買事業とし て地域の方々の支持を得ながら周辺でいろんなことを広げていくという関係でやってい るということが一つです。  それから、座長が御指摘のように、協同組合ということで、ともすればマネージメン トの弱さを言いわけする材料があるという傾向は私自身もあると思っております。地域 の方々のいろんな活動があって新しい店ができているのでなかなか閉鎖するのも大変だ というふうに言うわけですけど、それも事実なんですけれども、そのことでお店が赤字 を継続し、広げ続けていくとすれば、マネージメント上はそれはあり得ない。消費者、 組合員に迷惑をかけることですから、そのことをやり切るということが必要なんだとい うのは強く感じているところです。 ○清成座長  それでは、もう一方の規制の見直しの議論でありますけれども、これにつきまして御 意見をちょうだいしたいんですが。 ○土屋委員  前々回、保険業界の方のヒアリングのときにお二人の方から員外利用のところで、農 協は農業者が組合員になってますということで説明があって、私は違うなと思ったんで すが時間がなくて発言できなかったので。この資料にもありますけれども、農協の組合 員は農業者だけじゃなくて、その農協が置かれている地域の人はだれでも組合員になれ るというふうになっています。実際に4割くらいは農業者以外の組合員になってるんで す。最近では、その地域に住所がなくても、その地区の外の方でも合理的な理由があれ ば組合員になれますよというふうに変えてるんですね。ただ、正組合員と准組合員と分 けてますので、農業者以外の方には議決権とか選挙権はないんですけれども、それ以外 の組合員としての権利は行使できるようになっているということと、事業利用はもちろ んOKという、そんなふうに広く組合員になれる形にしてあるということと、さらに加 えて、一定の割合で員外利用を認めるというふうになっているので、そのことからする と、生協の員外利用規制は余りにも厳し過ぎる面があるんじゃないかなと。原則は組合 員が利用するというのが基本なんですけれども、しかしそこをあまりがちがちにしちゃ いますと法令違反がいっぱい発生してしまうということになるんじゃないかと。社会通 念上妥当な範囲であれば一定の許容範囲を設けないと法令としてはまずいんじゃないか なという感じがしてます。 ○品川委員  資料5の8ページに見直しの考え方のメモをお出しいただいておりますけれども、一 番下の四角で、生協の組合員は特定の業種を対象にした農協、漁協と異なりというふう になってますけど、組合員資格ということでは農協さんの場合もそうですし、同じよう な准組合員制というのが漁協さんの場合も法律で定められておりますし、生協の場合と 加入資格という意味ではほとんど同等だろうと思っています。そういう意味では、この ことをもって員外利用の禁止、許可制度を維持するというのはもう一度お考えいただく 余地がありはしないかと思うことが一つです。  それから、現行の原則禁止、行政庁の許可があるときのみ員外利用可という仕掛けで すけれども、過去この構造のために、折に触れて生協の店で一人でも員外利用があると、 生協が違法を犯していると。同時にそれは生協だけの問題ではなくて、監督官庁も指導 不行届ということで県議会なり市議会なりで糾弾されるようなことが過去しばしばあっ たわけです。それは過去だけじゃなくて今日的にも、つい最近ある県で行政の方が生協 の員外利用調査をしようということでおいでになって、1〜2時間お店でチェックをさ れた。たまたま近所で道路工事をしていて、そこの方々が弁当を買いに立ち寄られた。 そんなことも含めて員外利用をもっときちんとやれという指導を、口頭でしたが、され るという事例がしばしばある。法律にはまさにそういうふうに書かれていますから、そ ういうことが出てくる可能性は当然あるわけでありまして、そこのところは現実生活に 合わせてぜひ見直しをお願いしたいと思うことが一つ。  それから、許可制度というのが、行政通知が出されて許可ということは先ほども御説 明がありましたけれども、実態はそれぞれの都道府県知事が行うわけです。いろんな個 別の事例について都道府県ごとに許可されたりされていなかったりという事例がたくさ ん存在しているというのが事実でありまして、そんな点では行政の許可によるというこ とだけでなしに、法的に明確にしていただくということが必要なのではないかと思って おります。  そういう点では、8ページのところで員外利用が例外的に認められる場合について、 法令上個別具体的に限定して定めることはどう考えるかという指摘もされておりまし て、一つこれは考える余地はあるのかと思いますが、それを具体的に事例で書くと、生 活の状況というのは多様にありますから、かなり難しいだろうと思います。  そんな意味で、事務局にお願いして一枚ペーパーで私の名前で配らせていただきまし た。ごく一例ですけども、例えば私どもが考える案ということでいいますと、こんなケ ースは員外利用を妥当としていただいていいのではないかという事例の5類型というふ うにしてみました。一つは公共政策の観点からの員外利用。これは既に行政の許可で認 められている事項だったりするわけですけれども、行政の許可というのもどうか。一番 下にあります、行政の助成を受けた子育て支援事業ということがこの間急速にいろんな 生協で広がってる部分なんですけれども、こんなことも当然行政の助成を受けますから 員内だけではいかないということがありまして、公共政策の観点から。  2つ目が、生協間相互支援の観点からの員外利用。これも生協間の取引、ある生協が 仕入れている商品を他の生協にも融通するようなケースについては既に員外利用の許可 をいただく構造になっておりますけれども、それ以外にも他の生協からの要請に基づい て、ほかの生協の組合員がその生協の事業を利用するようなことを双方の生協が認め合 えば、そんなことも認めていただいてもいいのではないかというのが2つ目。  3つ目の類型が、地域への貢献という観点からの員外利用。これは山間僻地等という のは戦後直後から員外利用の許可基準ということで認めていただいておりますけれど も、地域の保育園とか老人ホームとかいうところへの食材提供だとか、文化・教養施設 のようなものが組合員以外には使わせちゃいけないんだということではなくて、あいて いる時間は使っていただくという地域貢献。  それから職域への貢献という観点では、ヒアリングのときにも職域生協から出ていま したが、母体企業なり、あるいは大学生協で学会で見えた方とか、受験生の食堂利用と いう類も員外利用ということになっておりまして、そんなこと。  最後に実践上の観点からということで、これがある意味わかりにくいわけですけれど も、何度も出ておりますお試し利用というふうなことですね。これも単に試供品を一つ 使ってみるということではなくて、生協の組合員になるという場合はお店に実際に入っ て、魚の売り場や全体を回って、それで入ろうかどうか決めるというのが普通のパター ンでありまして、そういうお試し利用であるとか、一時的来店者とか、こんな5類型く らいを認めていただけないかというふうに思っているところでございます。  それから県域規制の問題についてあわせて触れさせていただきます。資料の15ページ で、都道府県の区域を越えて隣県くらいまでできるようにしてはどうかと書いていただ いておりまして、現行のがんじがらめの構造からすると大変ありがたい御指摘をいただ いていると思っておりますが、先ほど来出ておりますように、現在の小売業界で食品ス ーパーやコンビニが全体の中でも伸長率が非常に大きいという資料がございました。か つ、食品スーパーという場合は、それぞれの地域でウエイトの高い食品スーパーという のは、数県にまたがってチェーンを展開する。生鮮を中心にした商品の調達上も、物流 等の効率上も適切な規模だというところで、そういうところがかなり大きいポジション を占めているという実態も一方でございまして、そこらを合わせてもう少しお考えいた だく余地はなかろうかと思うのが一つ。  それから、関連して、現在生協というのは地域か職域か、どちらかしかつくれないと いうふうになっております。昭和23年の配給制度を想定して、その受け皿ということで 出発したことからそういう形になっているんですけど、地域生協が何らかの県域規制が 残る場合は、職域生協とすぐ一緒にしてしまうというふうにはならないかと思いますが、 地域生協と職域生協の混合組合ということは、職域生協が法律の5条ただし書きで、や むを得ない場合には県域制限を受けない扱いになっているのと同じように、混合組合に ついても5条の扱いを同じにすれば十分成り立ち得るのではないかということを考えま すし、ぜひ御検討いただけないかと思っております。  それともう一つ、大学生協。大学生協の学生というのが、付近に住所を有する者とい う扱いで組合員になれる仕掛けになってるわけですね。これも戦後長くそういうことな んですが、実態上はもう少し考える余地はなかろうかと思っております。  長くなって恐縮です。 ○清成座長  そうですね、私どもの大学でやっていることも違反なんだなということをつくづく… …。例えば多摩キャンパスなんていうのは周りに商店が全然ないんですよね。外食産業 もないんです。そうすると中で会合があるときに、弁当なんかは全部生協から供給して もらうということをやってますし、学会があってもそうだったり、学会が生協に交渉し て手当てしてもらうというような話になっちゃって、現実にはそういうことって随分あ るんでしょうね。金額はそんなに大きくないにしても。余り具体的にという話になると 非常にややこしいですね、そこは。 ○小川委員  私は社会福祉法人なので、福祉のところでも介護保険制度で具体的な例を出すと、限 りなく具体的な例が出てきて、その対応をしようと思うと法律制度ができない状況にな るわけです。どこで切るか、どこで緩和するかという問題だと思うんですが、品川委員 が出された5つの論点のところで、公共政策の観点からというのは、これから地域福祉 のリーダーシップをとらなきゃいけないと私は思っていますが、そういう意味で、員外 利用という問題なのか、きょうは購買ですからあれですけれども、利用事業のときには これがかなり出てくるだろうと思っています。ただ、品川さんに一つ質問ですけれども、 生協間の相互支援の観点からというところでは、複数加入の問題と、先ほどの幾つかの 生協のものをとっている、あるいは加入しているということと、このことと何か関連し ているのかどうかをお伺いしたい。  それから、地域への貢献の観点からということで保育園や老人ホーム等への食材提供 という、これは員外利用の要因で解決するのか、会員になってもらう方法を拡大して解 決するのかというところを、議論があったら教えていただきたいと思います。 ○品川委員  御指摘の、他の生協からの要請に基づくというのは、先ほどのようにこういうことが できないものですから、複数生協に加入する方々がいらっしゃって、そのこと自体はそ れで結構なんですけど、これも県境みたいなことが絡む面があるんです。県を越えた向 こうに割合近くに店がある。こちら側で共同購入を使ってるけど、生協の店も使いたい という場合、そちらの組合員にはなれませんから、そういう関係でいえば、双方に認め 合って、隣の県の住所だけども店を利用させるというようなことも県域制限の問題とは 別にあるかもしれないと思ったりしています。  それから、保育園や老人ホームへの食材提供というのは、これらはすべての場合法人 格を持って経営をしているわけです。そうすると供給先が法人になるわけです。法人と いうのは生協の組合員になれません。自然人に限りますから。そういうことでありまし て、論議としては法人も組合員にということはあり得なくはないのですが、法人も生協 の組合員になると、これは組織の性格をかなり変えていくことになると考えておりまし て、そういうケースは法人を加入させるということではなくて、員外利用という形で御 利用いただけるような道を開くということではなかろうかと思っております。 ○大塚委員  当時の厚生省の国会における説明でも触れられているので、もしわかれば御担当の方 にお教えいただきたいんですけど、44年の国会で、連合会形式はもう成り立ってるんだ から、連合会形式というのは、「大量に販売するという流通近代化の法則に従うという のであれば、現行法でも連合会形式というものが活用できるのではなかろうか。連合会 形式をとれば府県単位の消費生活協同組合の独立性を保ちつつ、しかも大量仕入、大量 販売というような活躍ができるのではなかろうか。かように考えております」という説 明があるんです。これは当時の厚生省からするとかなり踏み込んでいるので、先ほどの 吉野委員の理論的にいうと、売ってるところの生協は府県単位で県域制限があるけれど も、連合会で大量購入する、あるいは共通製品をつくる、そうするとそれは連合会に加 入してる生協がAとBとあって、AでもBでも売るわけですね。恐らく値段も同じとい うことになれば、連合会でものをつくって、それをAでもBでも売ってて、それが県境 だって意味がないじゃないかという意味になるわけですね。そうすると、既に昭和44年 の段階で厚生省がそれを考えていたということについて、そのこと自体発展はないんで すかね。当時は購買のことで質問を受けたので購買なわけですけど、先ほどの品川委員 のまとめでいくと左下のものをさらに発展させているわけですね。個別生協がお互いに 要求するんじゃなくて、連合会でまとめてやれば大量生産で仕入れ値も安くなるし、共 通した安全性も図れるじゃないかと。実際に現在やっているわけですから、そのことは 既に実態的に県域制限を理論的に破壊してることにはつながらないんですかね。そこの ところをはっきりさせたいんですけど、もしそうでなければ、共通製品であっても売っ てる生協が違えば県域制限はかかるということになるんでしょうか。 ○赤澤企画官  事務局の方からお答えさせていただきます。現在でもエリアごと、ブロック単位で事 業連合会という制度がございまして、こちらの方は基本的には商品の開発とか仕入、物 流関係について統合した処理を行っております。ただ、個別の組合員に対しての商品供 給というのはやっておりませんで、そこは私どものスタンスとしましては、単位組合の 方の、組合としての性格というものを尊重するべきではないかということでございます。 ○吉野委員  唐突かもしれないんですけど、品川委員にお聞きしたいんだけど、生協は税優遇を返 上するということは考えたことないんですか。もしこれをすれば、この議論は全部必要 なくなるんですけど。私はそれが一番いいんじゃないかという気もするんですけど。 ○品川委員  税優遇制度というのは生協だけの制度ではなくて、協同組合横並びの協同組合税制と いうことで法人税軽減措置とか税優遇措置がとられています。そういう点では今回私ど もがお願いしているような員外利用を緩和していただけないかとか、県域制限について 見直していただけないかというような範囲は、ほかの協同組合との関係でいいますと同 等か、あるいはそれでもなお規制の範囲としては他の協同組合よりも少ない範囲での規 制緩和ということで要請しておりまして、その点では生協だけの問題ではなくて、協同 組合横並びで優遇税制という問題になってくると思っております。今回ぜひ検討をお願 いしたいのはその範囲のことなんだというふうに考えているということです。 ○山下委員  税の問題に入ると非常に政治的な話になって、それは最後のところでそういうことに なるかと思いますが、その前提として、今日の問題になっている員外利用規制にしろ、 県域規制にしろ、今日の御説明を伺っていて、一つは生協の本質として地域で人が集ま って団体、組織をつくるということから、組合の本質として一定の地域的な制限という のがあるんだという説明が一面であったようにも伺ったし、他方、資料でこの2つの規 制が何で具体化してきたかというと、やっぱり中小企業者との関係で一定の制約を人為 的に課してという、経済政策的な面があって、その両面が絡まっちゃって、なかなかよ く理解できないんですが、経済政策的な規制の方はあまりそういう規制は今の時代はな い方が望ましいだろうということで、それは合理的な範囲で規制を緩和していく、素直 に出てくる話だと思いますが、一方の本質論の方から、どこをどういう判断ができるの かというのがよくわからないところでして、そのあたりがきちんと整理できれば、どこ まで規制を緩和できるかということも答えが見えてくるのかなという感じを持ちまし た。 ○小川委員  私はずっと税の問題が頭にあります。吉野さんと山下さんの狙いはそこにあるのでは ないかと思ってこの間お話をずっと伺ってきていましたけれども、地域とは何かという 問題も改めて、地域生協と言われている地域とは何かというのが、県域の考え方も一回 そこで話をしなきゃいけない。これは多分次の利用事業の話のときにもう少し具体的に 出てくるのではないかと思っていますが、私は生活者として、あるいは一組合員として、 あるいは福祉を担当している者としても、員外利用の問題や県域問題というのは、品川 委員がおっしゃっていることは非常にあるんですね。ところが、今の社会的流れからし て、それイコール税の優遇の問題がぐーっと浮上してくるだろうと。そうすると、生活 協同組合の社会的な役割というのは何なんだろうということをもっと議論しないとそこ には行けないというので、一生懸命ここで抵抗している、品川さんに抵抗していると言 った方が早いかもしれないんですが、そこを言ってしまっていいんだろうかって。員外 利用と地域問題というのを片一方では行き詰まっている福祉なんかもそうなんです。組 合員だけに提供しますということにすごく罪悪感を感じる場面は多々あったりします し、先ほどのような個別のテーマで、それは員外利用じゃないかというのも何なんだろ うというふうに現実には思いますけれども、そのことが税の優遇にすとんと行ってしま ったら困るなということで、今の国全体の流れからしても、公益法人、中間法人のあり 方、あるいはNPOの税の優遇問題もずっと出ていましたよね。そういう意味で、もう 少し社会的な存在価値、生活協同組合あるいは協同組合の存在価値というのを議論した いなというところです。  それからもう一つは、先ほど農業協同組合と同一にとおっしゃったんですが、農業協 同組合と生活協同組合、あるいは漁業協同組合が本当に同一でいいのかどうか。農業協 同組合が考える地域というのと、生活協同組合が考える地域というのはどう違うかとい うこともまだここでは議論してないと思いますので、それは議論していただきたいと思 います。 ○品川委員  山下委員からの御指摘がございましたけれども、私ども生活協同組合の本質というこ とについて、メンバーシップ制というのがある。一定の地域または職域で人と人とのつ ながりということが協同組合の本質なんだろうと思っています。それが一つ。  それから、地域という場合、これもいろんなレベルの地域がある。生活場面の地域と いうことでいいますと、1つの県全部というのも広過ぎて、生活圏ということでいうと もっと狭い地域で生活の上での地域というのがある。同じ県内でも嗜好性の違うような 県もたくさんありますし、そういう意味では県内で1つの生協で事業としては進めてい ても、県内の特定の地域、生活の場面にふさわしい商品提供なりということをそれぞれ やらないといけない場合というのは多々ありますし、事業上の問題だけじゃなくて組合 員相互の諸活動ということもそれぞれの地域ごとに行っているということが現実に多々 あるわけです。事業の規模、単位ということでいいますと、生活の場としての地域とは 違う意味で広いエリアが経済合理性ということからも必要になるということは多々ある と思っております。 ○土屋委員  15ページのところなんですけど、生協としての特質というのが書いてあって、ここに 書かれていることに若干違和感があるんですけれども、生協が人と人との結合体という ことはもちろんそのとおりなんですけど、それは生協の運営ですとか、意思反映だとか、 そういうところについてあるんじゃないかなと思うんです。それを事業の方から見ると さまざまであって、福祉事業があって、共済事業があって、購買事業があって、それぞ れ事業の方から見ると合理的というエリアもまた違うんじゃないか。一定の地域で結び ついたって書いてあるけど、例えば共済事業なんていうのは本来はそんな小さなところ でやるべきものじゃないんじゃないかと。もっと大きくなって大数の法則が働かないと そもそもいけないんじゃないか。あるいは、福祉事業はもっと狭い地域で具体的にやっ ていくんじゃないか。購買事業はどういうエリアがあるんだろうかというのは、もう少 し社会経済的におのずとできてくるものであって、それをすごい小さなところに無理に 閉じ込めるというのは違うんじゃないかと。ここで言われている人と人との結合体とい うのは、その範囲の中でどういうふうに活動なり意思反映、運営をやっていくのかとい う部分じゃないかなという気がするんですけど。 ○清成座長  だんだん本質的な問題が出てきたように思うんですね。先ほどの免税措置というのは、 協同組合横並びでと、そのあたりの理論的な根拠は何なんでしょうか。つまり、税の優 遇というのは公共性ということがあれば税の優遇措置があり得るわけですね。公共性と いうのは何かといったら、組合員個人には当然メリットがありますよね。生協でも農協 でも。ところがそれを超えて社会的にメリットがあれば公共性があると判断されるわけ ですよね。その場合の社会的メリットというのはどうなんでしょうかね。 ○小川委員  私は神奈川で福祉活動をずっと、生協を足場として非営利の福祉活動、生協が寄附行 為をした社会福祉法人を立てて公共性を、メンバーシップの中から別な法人をつくって 社会福祉法人で公的福祉をやっています。今座長がおっしゃった話になると、今度は出 資金等の資本の扱いの問題になってくるのではないかなと思っています。生活協同組合 のメンバーのためにこの出資金をどう使っていくかという問題と、それを社会に還元す るということで、再投資として公共性をどうするかで税の優遇の価値が出てくるのかな と、神奈川の自分の狭い範囲の活動の中で見てきているんですが、そういう意味の生活 協同組合が持っている資本の扱いについての議論は、いつか必ずこの中では必要ではな いかなと思っています。それが公共性を広げる可能性があると思っています。 ○清成座長  農協の場合には割と説明しやすいんですよね。農業の維持、ひいては農村地域社会の 維持というところに結びつけば公共性というふうに割とわかりやすいんですよね。とこ ろが生協の場合には生活者のごく一部という話になりますよね。地域住民全体をカバー しないという問題があるわけです。そこがちょっとわかりにくいところはどうしてもあ るんですね。つまり公共性は何か。例えば私とか大塚先生の属している学校法人という のは、学生は授業料を納入して授業を受けることによって個人的にメリットがあるわけ です。知識を取得できるとか、学位を取得できると。だけどこれは私的なメリットであ って、全く公共性じゃないんですよね。しかし、その結果社会に人材が蓄積されれば社 会的なメリットがあるだろうと。だから学校法人というのは私立であっても公共性があ るというので税の優遇措置があり、かつ公的資金も投入されるという説明になるわけで すね。そういうような論理で生協の場合どう説明できるのかなと。学校法人でも営利事 業をやれば、営利事業によって所得が発生すればそれは税がかかるという話になってく るし、学校法人の敷地の中に駐車場があって、それを教職員が利用すれば、これは教育 に関係ないというような判断を最近では税務当局がするようになってるんですね。すぐ 税金取ろうというふうにきてるわけです。そういうものに対する防御の論理として、何 か生協の公共性というのをどう説明したらいいのかよくわからない点があるものですか ら。 ○大塚委員  これも厚生労働省当局に影響してしまうところなんですけど、恐らく現在でも生きて ると思うんですけれども、24年に社会局長の通達が出てまして、そこで地域について、 「地域組合は原則として家族を中心とする消費者の地縁的結合体」という定義があるん ですね。今座長がおっしゃった公共の利益を図るべき、維持すべき実態というのは、家 族を中心とする地縁的結合ということになると思うんですけれども、これが山下委員が おっしゃった本質に極めて……今これを維持すべきなのかという論争になってしまうん だと思うんですけれども、厚生労働省の見解としてはまだこれは変わってないんでしょ うね、きっと。 ○花咲課長補佐  家族を中心とするというところに重きを置くかどうかは別として、一定の地域での結 合体であることについては生協の特質として今でも重視すべきものの一つなのではない かと考えておりますので、本日お示ししたような案をお示ししております。 ○清成座長  コミュニティのコアになるんだという説明であれば説明がつくかもしれませんけど ね。 ○吉野委員  それを言っても、まだ積極的なあれにならない。というのは、例えば県域規制を緩和 するということは、コープ東京がどんどん神奈川にも埼玉にも出ていくという話になれ ば、それじゃコープ東京が横浜の地域コミュニティのコアになるんだと頑張り始めたら、 それはいいじゃないかという話になるわけだから、名前が東京であろうと何であろうと そこで活動はできるわけですから。それは非常に自然な流れだと私は思うんですよ。だ から県域規制なんて全部なくしちゃった方がいいと。極論をすればですね。員外利用も、 品川委員が出された話の中に箱が5つありますが、最初の4つは現状でもって例外規定 を設ければいいという例外定義としてやればいいわけだから、これは大した話じゃない。 最後の、実践上の観点のところだけですよね、問題は。それが今の話につながるんだと すれば、私はどうしても、ある特定の地域に、東京と冠をいただく以上は東京から離れ ちゃいかんという話でこの話を説明するにはどうしても無理があるので、そこで税優遇 の話に問題を整理……小川委員がおっしゃることは非常にわかるんです。とりわけこう いう状況下で地域社会が完全に崩壊してますし、都市部でも農村でも大変な問題だと思 うんですね。恐らく新政権の最大の課題になるだろうなと思うんですが、そういうとき に客観的に外から生協に対してそういう課題にどう取り組むのかという要請があるとい うことは、客観的にいえばそう。だけど、生協自身がそれをどう位置づけるかという話 はまた別になるわけで、生協自身がそうであるならば理論的にそこで齟齬を来している ところをどういうふうに説明して乗り越えるのかということは、生協自身の説明をお聞 きしないといけないと最初から私は申し上げてるんですけど。 ○清成座長  私は昨年まで武蔵野市に住んでたんですが、武蔵野市の小売り商業がどうなっている かというと、吉祥寺一極集中なんですよね。商店街54あったのが今は5つくらいしか繁 栄してない。残りはみんな壊滅状態になっちゃってるわけです。そうすると若い人は吉 祥寺まで買い物に行きますけど、高齢者は困るわけですね。それをカバーしたのは生協 なんですよ。生協の利用率からすると、恐らく年齢別構成からすると高齢者の利用率が ものすごく高いと。そういう高齢者が多く住んでいる地域を維持しようと思ったら、生 協というのは社会的メリットを相当もたらしていると。その論理が当てはまれば、例え ば過疎地域であるとか、離島や老人ホーム等というのがありましたね。そういうところ では生協の公共性は認められる。だからどこにでも認められるというよりも、何か特定 の類型の地域には非常に生協の公共性というのがあり得ると。問題はそれを規制緩和と いうことで一般論として全部外せるかどうかという話が出てくるわけです。その辺をど うバランスとっていくかという話にもなるんだろうと思うんですね。現実の経済という のは入り組んでわかりにくくなってますので、それがすぱっと切りにくい、規制を外す とか残すとかという場合に非常に判断しにくくしてるような感じがしてならないんです ね。 ○品川委員  生協の公共性ということで言われてますけれども、生協の場合、公益法人という扱い ではなくて、中間法人みたいな言い方をされたりするわけですが、非営利法人であるこ とは間違いない。戦後いろいろな関係の中で協同組合税制という体系がつくられている わけですが、私どもの理解としましては、一方で公益法人制自体の見直しが進んでいま すし、公益法人についての税制というようなことも、おっつけ税制トータルについて俎 上に上り、検討対象になってくるということがあるんだろうと思っております。そうい うときに、関連して改めて協同組合税制ということが税体系としてどうなのか。公益性 なのかどうなのかということが俎上に上ることは十分あり得るだろうと思っておりま す。ただ、今回の生協制度見直しの中で、生協の税制の部分だけが他の協同組合税制と 切り離されて論点に上るという理由はあまりないのではないだろうかと私は思っており ます。 ○清成座長  今の御意見は非常によくわかるんですが、私どもの学校法人というのは前身は財団法 人だったんですよね。それが私立学校法で学校法人になったわけですけれども、だから 公益法人なんですよね。だけど、公益法人だから税が免除されるかというと、どうもそ うじゃないんじゃないか。むしろ教育事業の公共性という点の方が重要じゃないかと。 そうじゃないと防御できないというふうに思ってるんですね。公益法人の見直しという 御議論が今あるものですから、特に我々は公共性ということを違う根拠で目指そうとし ているということなんですけどね。 ○山下委員  私は税を変えろとかいう意図は全くありません。生協が盛んになればいいという考え 方ですので。何か事業に公共性があるから何らかの特典があるというのが一つなんです が、じゃあその特典を認めるのに何らかの意味で強く認められることしかやっちゃいけ ないかというとそうじゃなくて、そういう公益をするためにはある程度収益も上がるよ うな事業もあわせてできるようにする、そうやって基盤を整えていくとまた公益性も発 揮できると、そういう視角で少し自由な面も考えていけばいいと思う。ただ、それをあ まり言っちゃうと郵政の山間僻地をやるからということになりますが、あれは極端な例 なので、少しそういう自由な面も当然生かしていくべきだろうと思います。 ○清成座長  全く同感で、御指摘のとおりだと思います。  予定された時間が近づいてまいりました。議論はまだまだ活発に続くと思いますけれ ども、きょうのところは時間の制約ということで、この辺で議論をとどめておきたいと 思います。 ○吉野委員  誤解のないように、私は税を返上しろと言ってるんじゃなくて、それをもしするんだ とすれば生協の側がするんであるから私はそんなことを要求する資格も何もない。ただ し、問題は、それに対する生協の方からの説明責任があるだろうということを再三要求 していて、納得できる答えがまだ聞けてないと思うから繰り返し繰り返し申し上げてい る次第であります。 ○小川委員  十分そう理解していますけれども、結局ここでの議論が生協の社会的な存在価値が議 論できなかったら、そっちに行ってしまうのは早いだろうというふうに危機感を持って いるということです。 ○清成座長  それでは、次回の日程について事務局から説明をお願いいたします。 ○千田課長補佐  次回の日程につきましては、10月18日の水曜日、10時から12時までを予定しており ます。なお、開催場所等詳細につきましては後日追って御連絡を差し上げたいと思いま す。  なお、資料の一部につきましては回収させていただきますので、御退席の際に机の上 に残しておいていただきますようお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。 ○清成座長  それでは、以上で本日の検討を終了いたします。大変ありがとうございました。                                     (了) (照会先)  生協制度見直し検討会事務局          厚生労働省社会・援護局地域福祉課(内線 2854、2875)