06/09/20 第2回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について       第2回医療施設体系のあり方に関する検討会                    日時 平成18年9月20日(水)                       14:00〜                    場所 厚生労働省共用第7会議室 ○企画官 定刻になりましたので、第2回医療施設体系のあり方に関する検討 会を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ、当検 討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。  はじめに、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は愛知県 健康福祉部健康担当局長の五十里明委員、社団法人日本精神科病院協会副会長 の山崎學委員から、ご欠席の連絡をいただいております。梁井委員は遅れてご 出席と伺っております。また、事務局に異動がありましたので、ご紹介いたし ます。医政局総務課長の二川、医政局指導課長の佐藤、医政局医事課長の栗山、 医政局看護課長の野村、健康医政担当参事官の上家です。最後に、私は医政局 企画官の朝川です。よろしくお願いいたします。  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表および 委員名簿のほか、次のとおりです。資料1として「平成19年度医政局概算要 求の概要」、資料2として「新医師確保総合対策」、資料3として「地域医療 支援病院制度について」、資料4として「地方医療支援病院機能アンケート調 査」について、最後に参考資料として、第1回検討会において委員より要求の あった資料です。なお、資料4は武藤委員よりご提出いただいたものです。 また参考として、第1回検討会において委員の皆様から求めのあった資料をお 配りしております。それでは以降の進行については、座長からよろしくお願い いたします。 ○座長(田中) 本日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございま した。議事に入る前に、本検討会では初回に決めたとおり、委員欠席の際に代 わりに出席される方に関しては、当日、この場で参考人として参加し、発言す ることを毎回認めることになっております。それに従い、本日は愛知県健康福 祉部健康担当局長の五十里委員の代理である、埼玉県保健医療部長の中村健二 参考人のご出席を認め、発言も許可したいと思いますが、いかがでしょうか。              (異議なし) ○座長 では中村参考人、積極的にどうぞ。 ○中村参考人 よろしくお願いします。 ○座長 では議事に入ります。本日の議題は、まず資料1と資料2、「平成19 年度医政局概算要求の概要」と、8月31日に取りまとめられ、新聞などにも 報道された「新医師確保総合対策」についてご報告いただきます。その後の本 日のメインの議題は、資料3の「地域医療支援病院制度について」になります。 はじめに資料1、資料2についての説明をよろしくお願いいたします。 ○総務課長 それでは「平成19年度医政局概算要求の概要」について、資料 1に沿ってご説明申し上げます。資料1の1頁ですが、医政局の概算要求は対 前年度109.7%増ということで、要求は少し多めにしておりますが、なかなか 厳しい状況で、これから年末まで頑張っていきたいと考えております。  主な中身ですが、次の頁が主要施策の1頁目です。いちばん最初にあるのが、 地域や診療科による医師不足問題等に対応し、地域医療提供体制を確保すると いった観点から、いくつかの予算要求をしております。(1)が(新規)です。 医療法の中で位置付けられた都道府県の地域医療対策協議会、さらにその都道 府県の協議会を厚生労働省でも支援していこうということで、中央会議(仮称) を設置し、地域医療で医師を確保するといった取組を支援していく予算を要求 しております。  (2)が、「小児科・産科をはじめ、急性期の医療をチームで担う拠点病院 づくり」です。いろいろな地域の医療機関で、どこの医療機関でもすべて揃え ばいいのかもしれませんが、すべてで揃えようとすると、逆に共倒れしてしま うかもしれません。むしろ拠点をつくって、その地域の医療を確保していくと いうやり方も1つではないかと。そういったことをしていく場合に施設整備な り設備整備なり、いろいろな形のものが必要になるだろうということで、予算 要求をしています。  併せて「小児科医師確保事業」では、集約化・重点化を図ってもなお困難な 地域について、医師の確保のために必要な支援を行う場合の予算措置をしてい るというのが(3)です。  (4)が救急医療体制の確保です。最初の○に「小児救急電話相談事業の充 実強化」というのがあって、中に「短縮ダイヤル♯8000」というのがあります が、この充実強化です。全都道府県でまだ実施できておりませんが、すべての 都道府県で実施をお願いしようということです。また、深夜帯でも相談が受け られる体制を組んでいただき、携帯電話から掛けられないような所も掛けられ るようにしようと。そのような形で小児救急医療体制の充実を図る予算を要求 しております。その他、ドクターヘリなども含めて、救急医療体制の確保を図 ろうということです。  (5)が「へき地などの保健医療対策の充実」です。へき地巡回診療につい ては、これまで船や車はありましたが、ヘリコプターも新規につくっていきた いということで、要求しております。その他、新規で申し上げますと、2頁の いちばん下にありますように、離島の患者の支援経費ということで、離島の方 がなかなか通院できない場合に、病院にやって来られるときの宿泊経費を支援 しようということも、要求しております。  (6)が「臨床研修における地域医療や産婦人科・小児科での研修への支援」 で、へき地・離島の診療所における医師の不足を補うための研修を要求してお ります。  3頁の大きな2番が、「安全・安心で質の高い医療の基盤整備」です。診療 行為に関連した死亡の調査分析モデル事業というのは、これまでもしてきてお りますが、これをさらに継続していきます。併せてそれらのモデル事業の成果 を踏まえて、死因究明制度あるいは裁判外紛争処理制度を本格的に検討してい くということで、来年度に具体的な検討を行うことにしております。  それから、予算要求まではまだつながっておりませんが、2番の(2)の※ にありますように、分娩時の医療事故に遭った患者に対する救済制度について も、現在検討を継続しているところです。これにより安心して産科医療が受け られるようにしたいということです。  (3)「終末期医療のあり方についての調査・検討」ということでは、国民 の皆様の意識調査と併せて、どういったあり方がよいかという検討も、来年行 いたいということで要求しております。  4頁が「医師、看護師等の資質向上」ということで、いろいろな養成事業、 あるいは検討会といったものを要求しております。  4頁の(5)が、「在宅緩和ケア対策の推進」です。わが国においてはご承 知のように、緩和ケアという発想はまだなかった、普及していなかったと考え ております。緩和ケアというものをもう少し普及していくという形で、在宅緩 和ケア支援センターを設置して、そういった考え方をもう少し普及していきた いということで、予算を要求しているところです。  5頁が「医療分野における情報化の推進」ということで、EBMの推進と電 子カルテの普及、そういった関連のものをいくつか要求しております。  6頁が「医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化」ということで、医薬品・ 医療機器産業ビジョンの実現に向けた取組の推進を行いたいと。その中で新規 で言いますと、(1)の3番目の○に、「後発医薬品の使用促進」とあります ように、後発医薬品の使用促進をするためのメーカーに対する安定供給の指導、 あるいは医療関係者等々に対し、後発薬品の品質についての理解を深めていた だくためのPR活動をしたいということです。  6頁の(2)が、我が国の医薬品・医療機器について、治験が遅いといった 問題が指摘されておりますので、治験拠点病院をつくっていくといった形で、 治験がもう少しスムーズにいくような体制を組んでいきたいということで、新 規の予算要求をしております。  7頁は国立センター、国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所に ついての予算です。  8頁は再掲ですので省略させていただきます。 ○企画官 続いて資料2、「新医師確保総合対策」をご紹介させていただきま す。文科省と総務省とわが省の三省で、先月末の8月31日に新医師確保総合 対策ということで、深刻になっている医師偏在対策についてのまとめを行いま した。カラーのA3横紙でご説明いたします。左側で全体の状況や背景を整理 して、右側で今回の対策の内容の主なものを整理しております。  まず左側のピンク色の所を見てください。全体状況としては日本全体という ことで、7月末に医師需給の検討会で、新しい推定を出しております。平成 34年(2022年)には需給と供給がおおむね均衡し、マクロ的に必要医師数は 充足するのではないかと。毎年3,500〜4,000人ぐらいずつ医師の数は純増し ており、平成34年には大体30.5万人ぐらいでバランスするのではないかとい う見通しです。  一方、地域間あるいは診療科間、さらには病院・診療所間での偏在という問 題があります。まずは地域偏在ですが、非常に大括りで申し上げますと、西高 東低の傾向があります。東北地方でいきますと、人口10万人対医師数187.6 ということで、全国平均と比べて下回っているという状況です。さらに、ここ には書いてありませんが、県内における偏在問題もあります。  もう1つが診療科偏在です。よく指摘されるのが小児科・産科です。ただ小 児科の総数を見ますと、絶対数も増加しておりますし、小児人口が減っており ますので、小児人口当たりで見ても増加しております。産科については、総数 は減少しておりますが、出産の数が減っておりますので、出産当たりで見ると 横這いになっているという状況です。では小児科・産科で特に何が問題かとい うと、病院の勤務医の繁忙感が深刻化して、病院・診療所間で医師の偏在があ るのではないかということが指摘されております。  下の緑色の所で整理しておりますのが、近年の医師不足に関して指摘のある 主なものをピックアップしたものです。1つは、医師の意識に起因するものが あるのではないかということです。病院を辞めて開業医が増加したり、さらに は特徴や魅力の乏しい病院において、医師の不足が生じたりしているのではな いかということです。  また、大学を取り巻く環境に変化があります。制度的な要因としては、両方 とも平成16年度からですが、1つには卒後臨床研修制度というものが新しく 実施されて、大学病院における若手医師の確保という現象が見られます。もう 1つが国立大学の法人化ということがあって、研修医の指導体制の確保のため、 中堅医師の確保を図っています。こういうことから、従来のように大学が地域 の医療機関からの医師紹介に応じることが難しいという状況が生じています。  対策としては、大きく分けて短期的対応と長期的対応に分けております。短 期的対応の中での「平成19年度概算要求への反映」では、ただいま総務課長 から説明申し上げた内容の主なものをピックアップしております。1つ目が都 道府県を中心に、医局に代わって医師派遣体制を構築する必要があるというこ とです。2つ目が、まず都道府県が医師確保の中心となって、その役割を果た していただくのですが、国も都道府県の取組をサポートしていこうという内容 です。3つ目が電話相談事業、4つ目が拠点病院づくりということで、重点化・ 集約化を図っていこうということです。また必ずしも概算要求には反映してお りませんが、ピンク色の所で開業医の役割の明確化と評価、あるいは分娩時に 医療事故に遭った患者に対する救済制度の検討といったことも、対策の内容に 盛り込んでおります。  最後に、長期的対応としては医学部卒業生の地域定着です。最近、非常に取 組が増えてきている、都道府県による地域定着を条件とした奨学金の積極的活 用ということで、大学医学部における地域枠を拡充していくというのが1つ目 です。2つ目、3つ目は、基本的な方向性として、医学部の入学定員の削減に 取り組むというのが政府の方針ですが、その一部例外として、今回新しく対策 として打ち出しているのが(2)、医師不足深刻県における暫定的な定員増です。 もう1つ、自治医大の暫定的な定員増というのを盛り込んでおります。  以上ですが、後から来ました審議官と国立病院課長をご紹介いたします。こ の9月1日に人事異動がありました。医政・医療保険担当審議官の白石、医政 局国立病院課長の関山です。 ○座長 それでは、ただいま説明があった資料1、資料2に関する質問、ご意 見がありましたら、どうぞお願いします。 ○梁井委員 資料1の頁のない所に、平成19年度の概算要求額が2,200億円 とありますね。平成18年度の予算額と平成18年度の概算要求額というのは、 大体同じようなものですか。平成19年度の概算要求額と平成18年度の予算額 を比べるよりは、平成18年度の概算要求額を比べたときに、どのぐらい増え ているかということがわからないと、実際に去年と今年でどのぐらい違ってい るかがわからないのです。どうしてこういうことを申し上げるかというと、ご 存じのとおりこの4月から3.16%、全体で診療報酬点数が下がりました。こ ういう場合に、どのように概算要求に響いてくるのかというのが知りたかった のです。 ○総務課長 いま手元に去年の要求額の資料はないのですが、例年要求どおり に認められるということは、なかなかありません。予算全体の削減方針がずっ と続いており、特に政策的経費については、前年度の3%減というのが政府全 体の方針ですので、実はなかなか厳しい状況の中で、10%近い増要求をしてい るという状況で、今後も予断を許さない部分はあろうかと思っております。 ○座長 そのほかに資料1、資料2に関するご質問、ご意見はありますか。な いようでしたら先に進みます。また何か思い出しましたら、後でどうぞ。  では、本日の中心の議題である「地域医療支援病院制度について」を討議い たします。はじめに事務局より、資料の説明をしていただきます。また武藤委 員よりご提出いただいた地域医療支援病院アンケート調査についてご説明い ただき、それを受けてご自由に意見交換をしてまいりたいと存じます。企画官 からよろしくお願いします。 ○企画官 それでは資料3についてご説明いたします。1頁に「地域医療支援 病院制度に係る論点」というのがあります。これは第1回の本検討会において、 全体の論点を出させていただいた地域医療支援病院関係の所を、そのまま抜粋 しております。地域医療支援病院についても、委員の先生方はご案内だと思い ますが、簡単に振り返りますと、3頁を開いてください。どんな病院だったか と言いますと、趣旨としては紹介患者に対する医療提供、あるいは医療機器等 の共同利用の実施などを通じて、かかりつけ医を支援し、その上で地域医療の 確保を図ります。  役割としては主に紹介患者に対する医療の提供、医療機器の共同利用の実施、 救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施という4つが位置付け られております。具体的な承認要件としては、2つ目の矢印にありますように、 紹介率が80%を上回っているか、(2)(3)のように紹介率が60%で、逆紹介率が 30%以上、紹介率が40%以上で逆紹介率が60%以上という要件を中心として おります。その上で救急医療の提供能力や機器設備など、地域の医師等が利用 できる体制を確保していること、あるいは200床以上の病床を持っていること 等々といった要件があります。  その上で、18頁にとんでください。今回、地域医療支援病院のあり方を議 論していただく上で、今回の医療制度改革の医療法の改正で、医療計画制度と いうものを見直しております。そこで医療連携体制ということを位置付けてお りますので、まずそのご紹介をさせていただけたらと思います。  18頁は、昨年末に社会保障審議会医療部会で取りまとめいただいた最終意 見書の抜粋です。この「医療計画制度の見直し」の2つ目の○、医療計画の記 載事項に、主要な事業として、疾病系ではがん対策、脳卒中対策、急性心筋梗 塞対策、糖尿病対策という4つ、さらに小児救急を含む小児医療対策、周産期 医療対策、救急医療対策、災害医療対策、へき地医療対策という計9つについ て、医療連携体制を記載事項として追加しようと。  具体的には19頁の左下の箱を見てください。ただいま申し上げた需給事業 については、都道府県の医療計画でその事業ごとに、地域の医療連携体制を構 築していってはどうかということです。その1つ下の○で、地域の医療連携体 制内においては、地域連携クリティカルパスの普及などを通じて、切れ目のな い医療を提供することを目指していくものです。  右側の下の箱を見てください。具体的にどういう法律の改正がされているか と言いますと、まず国が医療計画策定の基本方針を策定して、ビジョンを提示 していき、その上で都道府県が策定する医療計画において、事業別にわかりや すい指標、あるいは数値目標を住民にイメージさせ、事後評価できる仕組みに していこうと。3つ目の☆で、実際に医療連携体制を医療計画に位置付けるわ けですが、具体的に構築した医療連携体制を位置付けて、その地域住民に対し て、地域の医療機関の連携の状況がわかりやすくなるよう明示していこうと。  その連携体制の構築に際しては、まず地域の医療機能調査を実施した上で、 住民、医療関係者、介護サービス事業者等と協議をしていただいて、医療連携 体制を構築していこうという内容になっております。イメージとしては、22 頁で脳卒中の例を挙げております。これはあくまでもイメージですが、急性期 から回復期、療養期、さらには在宅へと復帰する流れを、そういう連携体制を それぞれの地域で事業ごとに構築していただこうという見直しをしておりま す。  その上で1頁に戻ってください。論点としては、ただいまご説明した医療連 携体制の構築を各地域で行うこととし、医療計画にそれを位置付けていくとい うこととの関係で、地域医療支援病院というものをどう考えていったらいいか というのが、1つ目の論点です。2つ目は、そもそも地域医療支援病院に求め られる機能として、先ほど4つほど紹介いたしましたが、どういうものなのか ということです。3つ目は具体的な承認要件として、どういったものがよろし いか、4つ目は、その他全般をどう考えるべきかということです。  これに関連して2頁で、第1回の本検討会において地域医療支援病院に関し て、委員の先生方からいただいたご意見を、4つほどご紹介させていただいて おります。1つ目は外来に主力を削らなくても、病院が十分やっていけるよう な診療報酬の設定が必要ではないかということです。  2つ目は、地域医療支援病院の機能について、紹介患者の医療、救急医療と の役割というのは、最近は一般の病院でもある程度やってきているので、地域 医療支援病院としてふさわしい新しい要件を描いていくことが重要ではない かということです。  3つ目は、地域医療支援病院について平均在院日数の短縮も含めて、地域の 中核病院として再定義してはどうかということです。  4つ目は、ただいまご説明した医療連携体制を、疾病別、事業別に構築して いくに当たって、その中における中核的な病院として位置付けるとか、そもそ も制度創設のときの考え方として、現在二次医療圏におおむね1個となってお りますが、そういったことも見直しをしていってはどうか、あるいは新しく診 療報酬制度上設けられた、在宅療養支援診療所というのがありますので、それ との連携等、事業目標を承認要件として盛り込むことも必要、さらに地域医療 支援病院は、いろいろな連携に関連した情報提供センターでもあるべきだとい うご意見をいただいております。  次に、現在の地域医療支援病院の状況がどうなっているかというのが、6頁 以降にいくつか整理してあります。6〜9頁は、設置主体別に地域医療支援病 院を見たものです。平成18年8月現在で123あります。まず医師会立病院と いう類型が、34個ほどあります。その次に自治体立病院、日赤がありまして、 さらに国立病院機構も地域医療支援病院として10数個あります。さらに済生 会や労災病院などもあります。いちばん下の「その他」は、医療法人立の地域 医療支援病院という状況です。  10頁をご覧ください。特に最近、数自体は増えてきており、平成17年度現 在で113です。先ほど見ていただいた数字でいきますと、123の病院が地域医 療支援病院になっています。ただし11頁、12頁を見てください。これは二次 医療圏ごとに地域医療支援病院の設置状況を見たものです。ブランクになって いる所が、二次医療圏に地域医療支援病院がない所です。ブランクが非常に多 いというのが見て取れるかと思います。一方、2とか3とか埋まっている所も あって、二次医療圏に複数ある地域もあるという状況になっております。  次に、14頁をご覧ください。これは社会保障審議会医療部会で地域医療支 援病院をご議論いただいたときに主に出たご意見を、ざっと整理したものです。 1つ目の○は、要件が厳しすぎるので、「門前クリニック」的なものをつくる 傾向があるのではないか。2つ目の○は、紹介率の考え方あるいはその整理に ついて考えるべきではないか。4つ目の○は、紹介率の要件に関連してのご意 見だったかと思いますが、救急医療を担っている地域中核病院が、地域医療支 援病院になれないというのは問題ではないか。あとは15頁のいちばん下の所 で、いまの承認要件というのは、構造設備とか紹介率という外形的な標準で定 められているが、実際にどのような方法で地域の医療機関と連携を図っていく かという視点から、連携の方法について審査すべきではないかというご意見が ありました。  次に、17頁をご覧ください。実は今回の医療法改正で、地域医療支援病院 関係も若干改正しておりますので、そのご紹介をさせていただきます。1つは 医療法改正関係として、地域医療支援病院の管理者の義務の見直しということ で、在宅医療の支援という機能を明示的に位置付けました。もう1つは、都道 府県に対して毎年度事業報告をするという仕組みになっており、都道府県はそ れを受け取っても、現在は公表するという仕組みにはなっていませんが、今後 は公表していくというように見直しております。もう1つは、平成18年度の 診療報酬改定において、紹介率についての診療報酬上の全体の整理があった関 係での見直しと、それとともに地域医療支援病院についての点数の引上げ等の 見直しが行われています。資料3の説明は以上です。 ○座長 引き続き武藤委員より資料4、「地域医療支援病院アンケート調査」 についての説明をお願いいたします。 ○武藤委員 1枚めくっていただきますと、まず調査の概要を示しております。 平成18年6月に、日本医療マネージメント学会の地域医療委員会において、 地域医療支援病院のあり方について、既存の地域医療支援病院に対してアンケ ート調査を行うこととし、8月に実施しました。この委員会の規約等は、資料 1に付けております。日本医療マネージメント学会というのは、クリティカル パスや医療安全、連携の問題等を考える現場の医師、看護師等からなります。 いまは会員数が大体5,000人ぐらいでしょうか。理事長は国立病院機構熊本医 療センターの宮崎院長です。その中に地域医療委員会というのがあり、私はこ の委員会の委員をさせていただき、アンケート調査を実施させていただきまし た。このアンケートは、平成17年12月末までに承認された地域医療支援病院 に行いました。このときは111病院でしたので、これを対象にアンケートを配 付し、返ってきた答が42病院、回答率が37.8%ということで若干低かったの ですが、その結果をご報告したいと思います。  パワーポイントの資料をご覧ください。中ほどの「地域医療支援病院アンケ ート調査、日本医療マネジメント学会地域医療委員会」の次の頁にありますよ うに、地域医療支援病院111に対し、8月にアンケート調査を配付し、回収率 が37.8%でした。  次の頁ですが、回答していただいた42の地域医療支援病院の開設主体は、 国公立が27%、公的が21%、医療法人が19%、医師会が14%、その他が19% となっております。  問1をご覧ください。問1は「貴院の病床数、直近月の病床利用率、平均在 院日数、外来患者数をお答えください」ということです。病床数は400〜599 床のところにピークがあります。病床利用率については、90%台のところにピ ークがあります。平均在院日数に関しては、16日台のところにピークがあり ます。外来患者数に関しては199、200人未満のところと799、つまり800人、 中には1,400人の大型の外来を持つ地域医療支援病院も5カ所ほどありまし た。このようなプロフィールがあります。  問2は、「地域医療支援病院として直近月の紹介率、逆紹介率をお答えくだ さい」という設問です。これによると、紹介率は70%台のところにピークが あります。逆紹介率は40%台と80%台の2つのピークがあります。  問3は、「地域医療支援病院の現在の機能の中で、もっとも力を入れている のはどれですか。最大3つを選んでください」ということで、複数回答でお聞 きしました。そうしますと「救急医療」がいちばん多かったのです。2番目は 「紹介率の向上・逆紹介率の向上」でした。救急医療に関しては、救急医療を 頑張ってやりますと、初診患者が増えてしまって、地域医療支援病院の紹介率 が悪くなってしまいます。それにもかかわらず、救急医療に注力しているとい うことが言えます。また紹介率・逆紹介率については、平成16年の見直しの ときに紹介率・逆紹介率の要件が変わりましたことから、逆紹介率等にも力を 入れているということでしょうか。  問4、「紹介率・逆紹介率の要件は、地域医療支援病院の承認に必要と思わ れますか」と聞きましたら、「必要と思う」というのが74%でした。これをク リアーして地域医療支援病院になっている病院に聞きましたから、こういうよ うになるのですが、19%、8件ぐらいが「不必要」と答えられているところも 注目されます。  問5は、問4で「必要でない」とお答えになった方にお聞きしております。 では紹介率・逆紹介率に代わる代替指標を設けるとすれば、どのような指標が 考えられるでしょうかということで、複数回答でお聞きしました。これも「救 急患者受け入れ率」です。やはり救急をもうちょっと評価してほしいというこ とでしょうか。それから「機器など共同利用」「地域での研修会開催実績等」 です。  問6は、「地域医療支援病院は原則200床以上が要件ですが、この病床要件 については、どのように思われますか。1つを選んでください」ということで お聞きしました。いちばん多かったのが、「200床以上であるべき」と答えら れた方が60%でした。これはグラフの濃い部分の所です。それから「200床未 満も含めるべき」と答えたのが38%でした。おそらく既存の200床以上の病 院はこういうように答えて、200床未満の病院はこういうように答えているの ではないかと思います。  問7は、「地域医療支援病院はおおむね二次医療圏に1箇所とされています が、これについてはどのように思われますか。1つ選んでください」というこ とです。55%が「複数箇所必要」ということで、33%が現行の「概ね1箇所で よい」ということでした。要は複数箇所必要だという意見が多数を占めており ます。  問8は、「医療法の見直しで、地域医療計画の中でがん、循環器疾患、糖尿 病などの疾病別、あるいは小児救急などの事業別の診療ネットワーク、あるい は医療連携体制の構想がスタートします。以下より地域医療支援病院にふさわ しいと思う機能を1つ選んでください」という設問です。1番が、地域医療支 援病院も疾病別・事業別に機能的な特色を出して、診療ネットワーク、医療連 携体制の中核となるべきとする答えで、これがいちばん多くて59%、25病院 がお答えになっております。2番目の答えである「地域医療支援病院はオール ラウンドな診療機能をもって地域医療に貢献すべき」というのが12病院、29% です。第2位です。3番目の「地域医療支援病院は、へき地医療支援や救急医 療などの不採算な医療を担うべき」という答えがいちばん少なく、3カ所、7% でした。  最後の問は、「今後地域医療支援病院の施設認定に追加すべき機能は以下の どれですか。最大3つを選んでください」ということで、選択していただきま した。断トツに多かったのが、「地域連携クリティカルパス」でした。2番目 が「在宅療養支援診療所との連携」。それから「在宅支援機能」。そして「情報 発信」です。これは「連携に関する情報発信をすべき」という答えと、「そう した機能を担うべき地域医療連携室を整備すべき」というお答えが返ってまい りました。  まとめとして、このアンケートから見えることは、地域医療支援病院はやは り疾患別・事業別の医療連携体制の中の中核的な病院であるべきである、した がって二次医療圏の中に複数箇所必要ではないか、新たな付加的な機能として は、連携パスや在宅支援、それらの連携の情報の発信といったことが浮かび上 がってきたのではないかと思います。 ○座長 ありがとうございました。では資料3、資料4への質問でも結構です し、資料3の1頁にまとめられていた論点をめぐるご意見でも結構です。この 段階で緊急の課題をめぐる討論ではありませんので、これからの将来の医療制 度の要素の1つである地域医療支援病院について、ビジョンを基にそれぞれの 方のご意見を伺って、お互いに次のステップに進む材料としたいと思います。 専門家の先生方からの積極的なご発言をお願いいたします。 ○藤川委員 いまご説明いただいた資料3の28頁に、地域医療連携の事例が 掲載されておりますね。これを見ますと、地域医療支援病院が必ずしもこの事 例の中にきちんと入り込んでいないような印象というか、感じを持ったのです。 極端な言い方になるかもしれませんが、必ずしも地域医療支援病院がなくても、 現状において地域連携ができているということからしますと、地域医療支援病 院というのは、果たして本来の機能を果たしているのかどうかという疑問を感 じます。  もう一方、非常に興味深い資料として、資料4にアンケートの結果が出てい ます。これを見ますと、本来地域医療支援病院に求められているオールラウン ドな機能というよりも、各支援病院自らがいわゆる機能的な特色を出して、ネ ットワークを持っていくという意向を持っています。そうだとすると、やはり 地域医療支援病院のあり方というものを、きちんと現状に合わせながら、ある いはこれからやろうとしている医療計画の中での地域連携という中で、中核病 院としての支援病院とはどうあるべきかという論議をしていくべきではない かと思います。その1つのヒントが、機能分化というところに承認の要件を考 えていくのではないかと思います。 ○和田委員 私は患者、市民の立場からということでの発言です。まず私ども のNPO法人の中で、「地域医療支援病院にかかっているという認識があるか」 そもそも「地域医療支援病院という病院が存在していることを知っているか」 と聞きましたら、ほとんどの方が知らないという反応でした。  地域医療支援病院というのは、地域の医療、かかりつけ医を支援するための 病院だという前提で議論しようとしましたが、「そもそもかかりつけ医という のが何なのかがよくわからない」という議論になりました。医療を受け入れる 側からすると、今は何でも診てくれ、適在適所に振り分けてくれるかかりつけ 医というモデルは成り立っていないように思います。特に都市部ではそういう モデルは成り立っておらず、むしろ現状は自分の症状や病気に応じて複数のか かりつけ医を持っており、使い分けているという実態が浮かび上がりました。  この前提を踏まえて、地域医療支援病院に対する今後のニーズを申し上げま す。これからは疾患別の医療連携体制が構築される中で、診療ネットワークの 中で患者を診てくれる専門を持っていらっしゃる開業医と、いわゆる何でも診 てくれる開業医、仮に家庭医と呼びます、とがあります。開業医の中にも2タ イプあって、専門を持つ開業医と家庭医の機能とをきちんと分けていただきた い。それぞれの開業医の先生がどういう役割を担っているのかがわかるよう、 明確にしていただきたい。  第2に、地域医療支援病院に求められる役割として、それぞれの専門ネット ワークごとに中核病院があるとすれば、先ほどの武藤委員の調査結果とは少し 意見が異なってしまうのですが、地域医療支援病院は、むしろ家庭医を支援す る機能を有してほしいと思います。例えば開放型病床や共同診療、24時間救 急、在宅を支援するようなこと、また、家庭医をきちんと育成するような役割 を担ってほしい、最後に情報提供も、連携の情報提供だけではなく、地域医療 支援病院が市民や患者自身の病気について学習できる場を提供するという役 割をもち、昨今言われている「患者情報室」というものをつくっていただきた い。 ○座長 具体的な調査に基づくご提案をありがとうございました。 ○内田委員 いま和田委員のお話の中で、専門性のある開業医と、何でも診る 家庭医というお話がありましたけれども、実際のいまの医療提供体制の中で開 業医の先生を見ると、専門教育、専門性を持って診療に当たってきた経験を持 ちながら、地域で開業しているケースがほとんどですので、両方を兼ねている ケースなのです。皮膚科とか眼科とか耳鼻科とか、そういう特殊な診療科では なく、内科とか小児科という場合には、そこまで細かい分化をされた専門性で はなく、ほとんどの場合が両方の機能を兼ねている場合が多いのではないかと 思っています。  それから本題の地域医療支援病院の話に戻りますが、やはり「地域」という 名前が付くだけで、地域特性が非常に大きくあるのではないかと思います。そ の点では承認要件について、ある程度地域に委ねることがあってもいいのでは ないかと思っています。全国一律の紹介率とか逆紹介率というような、地域特 性を踏まえないところでの統一した基準ではなく、地域特性を活かせるような 承認案件を、それぞれの地域で反映するような形でつくっていったほうがいい のではないかというのが1つです。  もう1つは、今回の武藤委員の調査にもありましたが、一旦承認を受けた後 で紹介率がだんだん下がってくるということが見られるケースがあるように 思います。やはり地域医療支援病院としてきちんと機能しているかどうか、最 初の承認のときの要件ですね。これは今後、地域特性に従って検討されると思 いますが、それがきちんと守られているか、あるいはキープされているかどう か、というところを評価するような機構が必要ではないかという気がしていま す。それなりのインセンティブを与えてあるわけですから、そこのところをき ちんとチェックしないで、1回承認したらそのままというのは許されないとい うか、ふさわしくないのではないかという感じがします。 ○座長 地方分権の時代に合わせて、地域別があってもいいのではないか、ま た事後的な評価の仕組みも必要ではないかというご意見でした。 ○内田委員 もう1つは、いま療養病床の削減というのが、非常に大きな問題 になっております。この是非はともかくとして、病床を減らしていくというの が大きな流れとしてある中で、当然施設から居宅へという流れができてきます。 そのときに居宅で見ている患者というのは、やはりこの後どうなるのだろうと いう不安が非常に強いわけです。急変した場合はもちろん急性期病院に入るわ けですが、そうではなく、急性期で受け皿にならなくてもいいようなケース、 つまり亜急性の状態になったときに、どこで受けてもらえるかというところで、 地域の医療機関も患者にとっても非常に不安なところがあると思うのです。そ ういうものの受け皿としての役割というのが、地域医療支援病院には非常に大 きいところがあって、これからますます出てくるのではないかという気がして おります。この辺の機能は、やはりきちんと踏まえなくてはいけません。  特に在宅緩和ケアなどですと、いつ病院に受けてもらわなくてはいけないと か、そういう状況がいくらでも出てきます。在宅で寝たきりのケースでも脱水 になったり、ちょっと風邪をひいたりというように、短期間入院すればすぐに 治るけれどというようなところもありますし、家族や周囲のサポートが非常に 大変になったときに、2週間ぐらいの入院をして全身管理をし、評価もして帰 すというような機能を、今後、地域医療支援病院に持たせる必要があるのでは ないかということを考えました。 ○座長 新しい機能についてご提示いただきました。 ○鈴木委員 地域医療支援病院なものですから、地域との信頼関係が構築され ていますから、そういう求心力のあるような、アクティブな病院であってほし いと思います。問題は地域の定義です。二次医療圏で考えますと、各県で非常 に論のあるところだと思います。少なくとも今のところの地域医療支援病院と いうのは、二次医療圏だけではなく、存在する病院を1つのコンパスとして、 多少地域からはみ出てもいいぐらいの病院になっていかないと、とてもうまく はいかないのではないかと思います。 ○座長 「地域」という言葉の意味が、必ずしも二次医療圏でなくてもいいの ではないかとのご意見ですね。 ○鈴木委員 はい。 ○島崎委員 紹介率に関して質問があります。これまで「紹介率の向上」と言 ってきたのが、今般の診療報酬改定では、いわゆる紹介率加算がなくなったと いうか、簡素化されていますが、これはどういう理由で、どのような整理をし ているのか、お伺いしたい。また、紹介率加算が基本的にはなくなった、ある いは見直しされたわけですが、特定機能病院と地域医療支援病院について、紹 介率の算定のメルクマールの違いはともかくとして、紹介率を要件として残し ているというのは、どういう整理になっているのかということをお伺いしたい と思います。 ○企画官 十分なお答えになるかどうかはわかりませんが、今回の診療報酬改 定では、確かに委員がおっしゃるとおり、紹介率に関して大きく簡素化された というか、基本的に紹介率に着目した点数設定がなくなりました。しかし地域 医療支援病院と特定機能病院については、制度上、紹介率というのがあります ので、まだ残っているということです。診療報酬改定の考え方として、私ども が伺っているところによりますと、地域医療支援病院も特定機能病院も含めて、 算定方法が複数存在して複雑になっていました。さらに細かく分かれていて、 そもそも複雑な体系になっていたということと、救急医療を担う医療機関の紹 介率が下がってしまうという問題等々、いくつかの問題点があって、今回見直 されたと聞いております。  一方、地域医療支援病院は診療報酬上も紹介率要件が残っているではないか という点については、経緯論で申し訳ありませんが、このたびの医療制度改革 を行うに向けて、社会保障審議会医療部会でも地域医療支援病院の見直しにつ いて、いろいろご議論いただいたわけですが、最終的に大きくこういう方向性 でいったほうがいいという結論までは至りませんでしたので、そもそも制度の 見直しは図られなかったということで、現在に至っています。本検討会では、 まさにそこのところも含めてご議論いただければというのが、私どもの考えで す。 ○島崎委員 先ほどの資料の中にありますとおり、調査時点がちょっとずれて いるので単純には何県かということは申せませんが、地域医療支援病院が全く ない県も現実に存在しているわけです。それから、少なくとも二次医療圏単位 で見たときに、整備されていない地域もたくさんあるわけです。それならば、 そういう地域は、地域医療支援病院が存在している地域に比べて、医療機関等 の連携の水準や健康水準で見たときに劣後しているかというと、個別具体的に は申し上げませんが、とてもそういうようには思えません。  そもそも地域医療を支援しない病院というものは、おそらく存在しない。基 本的には、程度の差の問題だろうと思います。そうした中で、先程なぜ紹介率 の話を聞いたかというと、地域医療支援病院としての役割というか要件は、紹 介、共同利用、救急医療、研修というこの4つだと思います。紹介率の問題と いうのは、それが連携を評価する際の適切なメルクマールかどうかについては 議論があるにしても、紹介機能が重要なのは別にこれは地域医療支援病院に限 った話ではありません。  そうすると残りの3つについて、果たしてその3つをセットで合わせて持つ ことの意味がどこにあるのかということになります。つまり「プライマリーケ ア」と言おうが、「かかりつけ医機能」と言おうが、その3つをセットで持つ ことによって相乗効果があって、そこが中核になって「プライマリーケア」を 支援するというイメージや捉え方が、本当に適切なのか。極端なことを言えば、 共同利用と研修はやるけれども、救急の機能は違う所で担っていますという病 院や地域があったときに、それぞれの機能を適切に評価して点数を付けてあげ れば、それでいいのではないかという考え方も十分あるのではないかと、私は 思います。  逆に言うと、地域医療支援病院が存在していない二次医療圏が多数あるとい うのは、まさにそういうことを逆に証明していることになるのではないかとい う気がいたします。もちろん違ういき方として、むしろ3つセットで持たせる ことによって、より高い相乗効果があって、そういうものが地域完結型の医療 を構築していく上では重要だという議論があるのなら、それはそれで1つの考 え方だと思います。その点をきちんと議論すべきではないかと私は思います。 ○座長 先ほど藤川委員もご指摘になったように、地域医療支援病院がなくて も機能している所はたくさんあるというのが、やはり根源的に問われなくては なりません。また要件というのも、単に足し算では意味がなくて、相乗効果が あるという証拠がない限り、別に並べても大した意味はないわけです。本当に あるかどうかをやはり検証すべきであると。だいぶ根源的なご意見で、大変結 構だと思います。ほかの方もどうぞいろいろなご意見をお願いいたします。 ○齋藤委員 先ほど藤川委員からご指摘のあった、28頁にあるわかしお医療 ネットワークが、地域連携とは言い難いのではないかというご指摘がありまし たが、私は近くに住んでおりますので、これをつぶさに歴史的に見てまいりま した。言葉はどうでもよろしいのですが、ここに掲げられているような、イン スリン療法とかホスピス支援などの医療に限って見た場合、この地域でインス リンを導入するというときに、いわゆる地域の中核病院に紹介する、開業医の 先生から専門医に委ねるという率が約80%です。こんなに安全な歴史のある 薬が、どうして一般の医療の中で実現されていかないのかということに、ここ の院長先生が疑問を持たれ、中核病院として地域の教育をされました。そして、 これをネットワークで通じて教育をした結果、地域でインスリン療法が積極的 に行われるようになったということで、それをまた継続していくということで は、こういう中核になる主導的な立場の病院というのも、地域連携としては必 要ではないかと思います。なにも救急の医療を救うというだけではなく、いろ いろ幅広い医療の質を上げて、中核病院に頼らないでやっていくような方向性 を見出すような地域医療も必要ではないかという気がします。 ○座長 地域医療のあり方は多様であって、ここで定義する地域医療支援病院 でなくても、わかしおの例のようにあり得るということですね。 ○古橋委員 現在、新しく医療計画が動こうとしているときには、いままでの ピラミッド型ではない、もっとフラットな関係で機能分担をし、拠点病院をつ くってという医療計画構想が、がん診療拠点病院などの承認を含めて動き出し ております。そういうときに、この医療計画がダイナミックに動くことを期待 しますが、従来の地域医療支援病院というのが本当に要るのかどうかという辺 りを、もう一回スタートラインに復帰して考えてみることも必要ではないかと 思います。  ただ、いままでの地域医療支援病院というのは、3頁の役割に書いてあるよ うに4つあります。この中では、主に地域の中の医療機関同士の支援、あるい は医療機関の、例えば診療所の先生方への医療機器の共同利用や研修、その地 域に暮らしている医療を受ける人の影が少し薄かった、そういう地域医療支援 病院だったのではないかということ。従来は、紹介率が一人歩きをして、地域 医療支援病院に付加された診療報酬上の優遇を目的として、紹介状そのものが 自己目的になっている。  本日いただいた資料で驚いたのは、例えば大都市があって、大きな病院もあ る兵庫県辺りでは、地域医療支援病院は淡路島に1つしかないという実態です。 法で、地域医療支援病院を置いた趣旨というのは、必ずしも成功しなかったと いうところに立って、これからの地域医療支援病院があるとするならば、どう いう内容と機能が要るのかということが大事ではないかと思います。  その点で、いままではその地域内の医療者、医療機関を主としてバックアッ プするとか機能連携するという視点がありましたが、今回の医療法の改正上も、 在宅医療の支援ということを重要視するのだということが謳われました。そう いう点では、これからの地域医療支援病院というのは、医療計画に基づく疾患 別の拠点病院とは別にどういう機能を持っていったらいいかということを考 えるときに、ある意味で地域医療連携を推進する病院、もう1つは在宅療養、 拠点病院というのは高度先進的な、専門特化的な医療機能があるとするならば、 幅広い疾患の支援をする病院。  もう1つは、千葉県から情報を得たのですけれども、在宅支援診療所が動き 出している。熱心にその在宅医療支援をしている診療所の開設者は、実態的な 必要として緊急事態、それは急変ばかりでなく、臨時応急的に入院が必要なと きになかなか受け皿がない。そういう点で、在宅医療を受けている人たちへの 臨時応急的入院をも受けていく支援をする病院、というようなものも要るので はないか。  もう1つは、武藤先生のアンケートで大変興味深かったのは、今後の地域医 療支援病院の必要な項目としての連携パスとか、在宅療養支援、診療所との連 携、連携室を置く、というものがアンケート結果でも出てまいりました。いま までのような、地域医療支援病院を一回ガラガラポンして原点に立って、地域 医療を推進する病院、そのための連携率やパスをどのぐらい動かしているとか、 退院カンラファレンスを連携してどのぐらいやっているといった項目での連 携指標をもって、そこが承認要件になるという発想が要るのではないかと思い ます。  あくまでそこの地域で暮らす人たちを、医療面でどうバックアップしている かという視点を重視する。医療計画でいう、拠点病院との機能の違いを明らか にしておくという辺りが要るのではないかと思います。 ○武藤委員 新たな医療計画に対して標準を合わせて、この地域医療支援病院 を再定義していかなければいけないと思うのです。いままでのあり方では実態 に合わないのは明白なのです。新たな医療計画の中では、疾病別、事業別の医 療連携体制の中で、地域医療支援病院も再定義する。  アンケート調査にもありましたように、地域医療支援病院の中でも機能分化 し、疾患のフラッグを立てたりする。救急も、これから機能分化しなければい けないと思うのです。すべての救急などとても受けられませんから、救急に関 しても機能分化させる。そういうことを実際にやっている病院に関しては、地 域医療支援病院として認定していくというように実情に合わせていく。さらに これから疾患フラッグを立ててやっていこうという病院に対しては、積極的に 地域医療支援病院に取り込んでいく、というやり方がいいと思うのですがいか がでしょうか。 ○座長 現在の段階では、それぞれいろいろな意見があっていいと思います。 共通しているのは、疾病別という別の拠点病院があるので、地域医療支援病院 の役割は改めて定義する必要がある、と皆さんがおっしゃっています。  直接患者との距離感については、先ほど和田委員なり古橋委員が言われまし たし、在宅医療を支援する点は内田委員も言われましたし古橋委員も言われま した。これから指標をいろいろ考えようとほぼ全員が言っておられます。さら に付け加えて自由なご意見を伺いたいと思います。 ○西澤委員 いままでの委員の発言を聞いていますと、重装備で高度な医療、 あるいは救急もやる、それで在宅支援もやるということで、何でもかんでもオ ールラウンドにやるということで、逆にその機能が見えなくなってきているの ではないかと思います。  皆さんの意見の条件を考えるといまのは一般病床、即ち急性期病院全部が地 域医療支援病院にならなければならないというように見えます。それであれば、 逆に地域医療支援病院は必要ないのではないかということに行き着くのでは ないか。まず急性期病院の要件は何なのかということをきちんと把握して、そ の次に地域医療支援病院は何をするのかという辺りを押さえたほうがいいの ではないかという気がします。  私としては、地域医療支援病院は、直接診療所を支援する病院ではないと思 っています。二次医療圏に1つか2つですから、医療圏の診療所全部を支援で きるわけがない。中間にもっと別の医療機関があると思うのです。それが、私 たちが四病協で主張した地域一般病棟という概念なのです。それは、小学校区 制に1つずつぐらいある民間の中小病院の役割だと思うのです。そういう病院 が中心となって、診療所との連携の中で、かかりつけ医の直接的な支援、何か あったときには内田先生がおっしゃったような、亜急性期とか軽い急性期を受 け入れる、即ち連携をする。  そのように連携している所をまとめたものを支援するのが、地域医療支援病 院ではないかと思っています。その辺りで整理した上で、地域医療支援病院が どうあるべきかというのを考えたほうがいいのではないかと思います。 ○座長 診療所を支援する点では、この数では事実上不可能です。したがって 地域医療を支援する、あるいは地域連携を支援するにも、もう少し機能を個別 に考える必要があるとのご指摘でした。 ○中村参考人(五十里委員の代理) いま、医療計画を立てている立場からの 見方になります。地域完結型で医療提供体制をこれから作っていこうと。いま までの病院完結型から、地域の中でどういう役割を各病院又は診療所が担って ほしいか、という絵を医療計画の中に描いていこうと考えております。そのと きに、先ほどからお話がありますように、そのいちばん高い極みに地域医療支 援病院が必ずしもあるわけではなくて、それぞれ専門特化したような、非常に 高い医療水準を誇る所、回復期や亜急性期又は長期の療養というような形で、 それぞれどの役割を担うかということを、それぞれいまの地域の中で手を挙げ ていただくことになると思うのです。  そこをうまくコーディネートしていくことは、いま西澤先生のお話もありま したけれども、診療というよりも別の作業が医療的な観点から求められるので はないかと思っています。地域連携室が各病院でいまだんだん整備されてきて いますけれども、その間、患者をどう追っていくことができるか、そのことに よってその地域全体で、平均在院日数がどう変わってきたか、又はアウトカム がどうなったというようなことを、その地域全体で専門的な目から検証できる 機能というのはとても行政ではできないので、専門家の中でやっていっていた だけるといいなと。そういう機能をある病院組織の中に持っていただいて、そ れをもって地域完結型がうまくいっているとかうまくいっていない、というよ うなことが表に出てくるというシステムを作っていきたいと思っています。  いまの医療制度改革の中では、そのことによっても医療費適正化の大きな柱 になっていますけれども、もう1つその前の段階の、かかりつけ医の方が早期 にいろいろな症状又は病態を発見し、重症化させないということについても大 きな医療費適正化のターゲットになっていますので、そこは誰がコーディネー トしていくのか。保険者がそれを管理することになっていますけれども、実際、 専門的にそれがうまくいっているのかどうかということについて、結果だけで 評価するのではなくて、複数の専門家が集まって、個々のかかりつけ医の先生 方が実際にやっている事業を評価していくような、生活習慣病対策を評価して いくような支援というものもこれからは大きくなっていくのではないか。いま までは、どちらかというと軸足が急性期にあって、その後はどうするのかとい うところにあったわけですけれども、その前のほうのかかりつけ医がどう重症 化させないか、発症を抑制していくか、というところにも大きな軸足を持った 地域のコーディネート機能とか、アドバイス病院があると、今度の医療制度改 革の全体がバランスよく進んでいくのではないかと考えています。 ○座長 いままでなかった、名前は何になるかわかりませんけれども、必要な 機能を2つご提示いただきました。 ○山本委員 少し議論が外れるかもしれませんが、診療報酬の議論になると常 に薬のことが話題になって、本日のようなテーマの議論になると薬がどこかへ 行ってしまうような気がしています。全体の新しい医療計画を作る中で、地域 医療支援病院という仕組みがある中で、これから検討される医療計画の考え方 が急性期から慢性期を経て在宅から終末期まで適切に医療を提供する体制を 作るという大きな流れの中で考えてみると、地域医療支援病院というもともと あったものの性格づけと同時に、皆さん方がおっしゃったように、その中間的 な在宅療養支援診療所、あるいはそれがある場合にはかかりつけ医になるかも しれませんが、そうした施設を通じて医療を提供するという中で、ときとして 薬が忘れられてしまうような気がします。  そういう意味で言えば、全体の流れを考える医療計画全体の中で、個々の医 師が提供する医療と合わせてかなり重要な役割を担っているし、かつ在宅の中 では薬を使うケースが多いことを考えると、医薬品の提供も1つの流れとして 考えた、地域医療支援病院あるいは地域療養支援診療所、もっといえば在宅も 含めた大きな仕組みを考えていただければと思います。そうしませんと、結果 として形はできても、中でさまざまなサービスを受ける、国民の立場からする と極めて困ったことが起きてしまうという気がしますので、そういう視点も含 めて地域医療支援病院というのはどういう役割を担うのかという議論が要る のではないかという気がします。 ○鈴木委員 しつこいようですけれども、地域をもう一度整理させていただき ます。いまお話に出ました在宅とか予防という部分は町内規模が望ましいので はないかと思うのです。二次医療圏も申し上げたようにいろいろありますけれ ども、私が記憶している二次医療圏は100万人です。ところが3万人という二 次医療圏もあるでしょう。そこで、おおむね地域1つぐらいの支援病院という ことだと、属している地域でイメージが違ってしまうと思います。地域をどの ように定義して議論するのでしょうか。 ○座長 それは、事務局に原案があるわけではなくて何を話してもいいのでし ょう。 ○企画官 地域に定義はありませんが、制度を創設したときの説明でいくと、 おおむね二次医療圏に1つ、ただ1つに限らなくてもいいというやり取りが国 会でもやられています。今回の医療制度改革で、地域の医療連携体制を疾病ご とというか、事業ごとに構築していくといったときの地域は、二次医療圏にこ だわることはないということを私どもは申し上げています。何か基になるもの がないと議論が進まないのであれば、二次医療圏を念頭に置いて、そこから議 論を始めていただいてもいいのですが、それは事業ごとに気にしなくていいだ ろうということを議論していますので、必ずしも二次医療圏にこだわっていた だく必要はありませんが、この制度創設のときの説明としては、二次医療圏に 1個というイメージがあったということです。 ○座長 鈴木先生が言われるように、あるいは皆さんから意見が出ているよう に、いろいろな機能を新しく、紹介率ではなくて別の機能を考えていくと、場 合によってはもっと小さいほうが地域としてふさわしいこともあるでしょう し、大きいものもあるかもしれない。この検討会では、差し当たりそれぞれの 立場で、地域を自在に考えようでもいいですし、地域というのはこういうふう に定義しろでもいいのですが言っていただいて結構です。 ○梁井委員 地域医療支援病院はいろいろな齟齬があるということで、いまの 医療情勢には合わないということで考えているわけです。平成10年から最近 では平成18年5月に地域医療支援病院に認定されている。過去、現在、未来 と考えたときに、過去どのような意義があったか、あるいはどういうところが 具合が悪かったのかということをまずは整理してみる必要があるだろう。  いま拝見しますと、二次医療圏の中でも、ほんの一部でしかカバーできない ということからすると齟齬はそれなりにあるのだろうと思います。いまの医療 情勢に合わせて、先生方のいろいろな話をお聞きしてみると、決して紹介率だ けではないのだと。紹介率ありきという縛りがあると、門前クリニックという ような非常に不自然な形での紹介率アップがある。今後はどうしても定義を変 えなければいけないと思いますが、変える場合には紹介率のところは除いて、 地域支援の活動が活発になれば紹介率が上がる。紹介率が上がっているから支 援ができるのだろう、というのは今後考えたほうがよろしいのではないかと思 います。 ○座長 紹介率は結果指標であって目的ではないということでした。 ○遠藤委員(座長代理) 梁井委員の発言と関連するのですが、従来何らかの 目的を持って設立した制度でありますので、これが現状においてどのように機 能しているのかということを確認することは必要な作業ではないかと思いま す。  紹介率については、実際の数値を把握しているわけですけれども、例えば機 器の共同利用であるとか、開放病床という制度はあっても、実際どのぐらいそ れが利用されているのか、その辺の情報がおそらくないのではないかと思うの です。もしあるのであれば、どのように実態として機能しているのか、そうい うところから現状の問題点、新たな定義が出てくるかと思います。梁井委員の 意見に若干付加する形で発言させていただきました。 ○企画官 いまの遠藤先生のご指摘で、例えば開放型病床としての実績につい ては、大変恥かしながら、現時点で私どもは把握していないです。これは、先 ほどありました都道府県に毎年度事業報告がされております。都道府県にはあ る程度の実績報告がされていますので、私どもから都道府県に照会し、何らか の形で集計ができるかどうか試してみたいと思います。 ○鈴木委員 紹介率に関してちょっと違ったイメージなのですけれども、地域 医療支援病院は継続性と公平性が担保されるべきだと思うのです。そうすると、 門前クリニックなどというのは論外であって、本当の意味での紹介率というの は、そういうものを担保するものではないかと思います。紹介率というのはい い指標だと思います。 ○藤川委員 先ほどのアンケートの結果で、支援病院自らが見た、支援病院に ついての評価・反省があったのですけれども、わからない点は、地域における 患者あるいは診療所、中小病院といった所は、支援病院をどのように見ている か、評価しているかということについては私ども何らデータがないのですが、 もしそういうものがありましたら、これまでの支援病院の実績なり評価を、ま ずは反省・評価し、その上で今後どうするかという話をしていくのが相当だと いう話がありました。地域における患者、あるいは中小病院・診療所はどのよ うに支援病院を見てきているのか、評価しているのかが必要だと思います。  それから、先ほど島崎委員がおっしゃった、地域における医療が効率的に、 あるいは質を担保しながら進めていくという意味の地域連携の中に、この支援 病院の意味するところがあるのだろうと思うのです。そういう中で医療水準だ とか医療費の水準がどうであるのか、あるいは在院日数がどういう状況にある のか、支援病院との関係においてそういうものがあるのかないのかということ も関心のあるところであります。 ○座長 これは、すべて可能であればという前提でいいのだと思うのですがい かがですか。 ○企画官 全体を受け止めきれているかどうかわかりませんが、本日は武藤先 生から、地域医療支援病院から見たご発表をいただきましたが、一方でかかり つけ医側から見て、地域医療支援病院にはどういう機能が必要か、というアン ケートみたいなものがあればということと受け止めればよろしいですか。既存 のデータがあるかどうかも含めて確認してみます。確かに私どもも制度を考え ていて、そもそもこの地域医療支援病院をつくったときには、3頁の趣旨のと ころにもあるのですが、かかりつけ医を支援する能力を備えた病院だとありま す。この4つの役割も、おそらくかかりつけ医を支援するという機能に着目す るとこういう機能が要るのではないかということで設けられた要件なのだと 思うのです。それが、かかりつけ医側から見て必要なのか必要でないのかとい うのがあればよろしいかと思いますので調べてみます。 ○武藤委員 まさに原点に返って、地域医療支援病院がかかりつけ医をサポー トする病院であるということで、それを今度の新しい医療計画の中で疾病別に、 例えば糖尿病に関してどのようにかかりつけ医を支援するのか、ストロークに 関してはどうするのか、がんに対してはどうするのか。そしてこれからは地域 医療支援病院を評価するためには指標が必要になってくると思いますので、こ れから考える際には具体事例と指標の収集が必要になってくるのではないか と思います。  かかりつけ医を、具体的にどのように糖尿病でもって支援するのか、そうし た議論のほうがいいのではないか。過去の反省もいいのですけれども、前向き な議論のほうがいいのではないかと思います。 ○中村参考人 先ほどの和田委員の話と重なるのですけれども、集約していく といいますか、地域完結型にしていく中で、かかりつけ医に住民がアクセスし たときに、かかりつけ医が専門でなくても住民は許容できるのですけれども、 そこから先をちゃんと紹介してくれるのかどうか。私の専門ではありません、 よくわかりません、どこかへ行ってください、というふうになることにものす ごく信頼をおきにくいといいますか、かかりつけ医の使い分けをされていると いいますか、近所に医師がいても、ここはお腹が痛くなったときに使うとか風 邪をひいたときに行く。ちょっと難しいときには、大学病院にストレートに行 く、というような実態が少なくないと思います。  そこを、かかりつけ医の方々が、どこにそういう患者が来たときに、地域の ネットワークがまだ十分できていないような先生でも、地域医療支援病院とネ ットワークをつなげれば、あちこち適切にワンストップで専門の先生に紹介で きる。かかりつけ医ワンストップで、どこにでも患者が必要な医療に結び付く ようなシステムができると、まさに地域完結型でやってくださいという世論と いうか、地域住民の方々の納得が得られるのではないかと思っています。  かかりつけ医の方々に軸足を置いて、アンケートなり実態評価をするよりも、 そこの住民の要望が全部ワンストップでできているかというところが、行政的 には非常に関心があるというか、いまは医療安全相談とか、患者住民からの電 話相談がたくさん来ております。そういうことを踏まえると、いまのような印 象を持っております。 ○齋藤委員 地域の医療を支援するということの意味において、支援病院であ るかどうかということは別としても、かかりつけ医を、地域にある大きな病院 が支援することになると、それを十分に発揮していくことになると、地域の大 きな病院の医師不足は一層強くなって、医師が辞めてしまうような状況がいま は起こりかねないところにあると思います。そのようなことを、やはり対策の 中に含めてこれを進めないと、地域で円滑な連携は持ち得ないのではないかと 思います。  その1つとして、先ほど武藤委員からありましたように、重複評価させない ように、誰がコーディネートするかということも非常に重要な課題です。やは り、中核の病院が、今日の新しい医療の進歩を常に地域に還元していって、で きるだけ大きな病院の力を借りないでも、地域できちんと完結できるような疾 患単位の教育といいますか学習をしていく、というシステムを一方では持たな いといけないのではないかと思います。  なおかつ、地域のそういう大きな病院には、地域を支援するための定員をき ちんと確保していくような制度も持たないと、なかなか要求度に応じた体制は とりにくいのではないかと思います。 ○座長 最初に話があった、医師不足と絡めたお話でした。 ○梁井委員 紹介率に戻りますが、鈴木委員がおっしゃるように、門前クリニ ックというのは言語道断だと思います。実際に131の地域医療支援病院があり ますけれども、その131のうちいくつ、門前クリニックを持っているための紹 介率アップという実態がどのぐらいあるかというのはわかりますか。 ○企画官 非常に答えにくいというか、そういう数としては把握しておりませ ん。そういう病院があるという話が指摘されているということです。平成16 年だったと思いますけれども、直近で要件を見直したときに、紹介率を算定す るときに、門前クリニック的なものを含めては駄目ですよ、ということは明確 化しています。  門前クリニック的なところとの関係が深い場合は、必要に応じて都道府県の 医療審議会とも話し合いながら、しっかり見直しを要請していく必要があると いうことも通知上触れております、というのがいまの現状です。 ○梁井委員 いま企画官がおっしゃった、門前クリニック的なという、「的な」 というところが門前クリニックかどうかということがはっきりと区別できな いことを意味しているように思います。しかし、門前クリニック、イコールか かりつけ医というのはちょっと考えにくいところがあります。その辺の定義は やはりはっきりさせて、それから進まないと、同じような紹介率云々というと きに、また上げるという非常に不自然な形の体制が生まれてくると思いますの で、門前クリニックというものの見極め方といいますか、その定義をしっかり していただきたいと思います。 ○島村委員 紹介率というのは、私の認識が違っていれば別なのですけれども、 紹介率というのは患者数ですよね。そういう意味で、紹介医療機関数をその中 に加味したら、その医療圏における、その医療機関から何パーセントぐらいの 紹介があったか、ということを加味することによって、まさに地域の医療支援 の度合がわかるような気がします。また、いま問題になっている門前クリニッ クということも、1カ所ばかりに集中することは何かで精査できるような気が いたします。  私自身は健保連の代表で来ているので、健保連の保険者としての役割という 観点から、いまのテーマについてもっと調べてこなければいけないのですが、 現実はあまりそういう討議もしていないので、皆さんの意見を本当にそうだと 思いながら聞いているところなのです。二次医療圏の中に1つという定義にも ともとの趣旨になっていながら、358ある医療圏の中で88しかなくて、それ があまり適用がないということになれば、先ほど来出ていますから当然のこと なのですが、やはり次の医療法の改正の中で、本当に見直しが必要だと思いま す。 ○島崎委員 いちばん最初に申し上げたことに加えて言いますと、おそらく全 国画一的に同じようなパターンでやっていくというのは、正直言って無理なの ではないかという気がしてしようがないのです。特に、疾患別の体系を組んで いくといったときに、先ほどから指摘されていますようにように、地域のエリ アにしても、人口の密度にしても全然違います。さらに言えば、そこにおける 医療資源がどのように集積・分布しているかということも全く異なるわけです。 そうすると、この4つの連携、共同利用、救急医療、研修の機能は、それぞれ の地域における「持ち方」は別になってきます。  極端な話をすると、例えば研修はこの施設でやるが、共同利用はこの施設で やるということがあっても全然おかしくないわけです。そのときに3つ揃って、 あるいは4つ揃って初めて高い点数が付くということは、逆に言うと1つの機 能を持っていることに対する評価が相対的には薄くなってしまうので、医療資 源の効率的な配分という観点から見て好ましくない。結果的にその4つの機能 を全部合わせ持てば、それぞれの機能が個別に評価された結果として他より高 い点数が付くということがあり得るとしても、この3つないし4つを全部ワン セットで持たなければいけないというのは、正直言って実態に合わないのでは ないかという気がいたします。  もう1つは先ほどから指摘されていますように、プライマリーケアの支援病 院ということで言えば、西澤委員がおっしゃるように、実はこれはフィットし ておらず、むしろ地域の中小病院のほうが支援していたり、あるいは中小病院 そのものがプライマリーケアを担っている場合もあるわけです。そうだとする と、例えば、極めてプライマリーの「底」のレベルの支援という機能と、地域 全体の医療のアウトプットの評価をするという機能は、機能として全然レベル が違う話なので、それぞれをゴチャゴチャにして議論すべきではない。また、 アンケートをするにしても、その点を「同床異夢」のまま行うと、一体何のた めのアンケートなのか分からないし、評価も全然違ってきてしまいますので、 まずその点をきちんと議論すべきです。  そのことを考えてみると、そこは武藤委員の意見に賛成なのですけれども、 ある程度既存のデータでわかることは分析することを先にすべきだと思いま す。むしろいま求められているのは、医療計画にせよ、医療政策が大きく転換 していく中で、果たしてこういう「セット物」を全国画一的に作っていくこと が必要なのかどうなのか。機能別に一つひとつのものを評価して、地域の中で それを組み合わせてやっていくことを考える方がむしろ適切ではないのか。そ の基本論について議論することが重要だという気がいたします。 ○座長 必要な事柄は、地域医療体制をつくることであって、地域医療支援病 院をつくることは手段としてはあり得ても、目的ではないですね。支援病院そ のものは、機能別にいろいろどこが果たしていくかを考えるとのご指摘です。 ○西澤委員 先ほどから、門前クリニック、イコール悪という議論ですけれど も、病院が外来分離することが本当に悪なのか、というのは別の所で議論して いただきたいと思います。それこそ患者・住民の立場からして、病院が外来分 離したのがどういう悪い影響を与えているのか、その辺りについて私はよくわ かりません。場合によっては、非常にたくさんの外来をやっている大病院があ り、医師が午前中は全部外来に取られて入院患者の所へ行っていない、という ことを考えると、分離するほうがもしかしたらサービスの質が上がっているか もしれない。だから、決して悪い点だけではないと思います。  その辺りはきちんと議論して、門前クリニックあるいは病院が外来分離した ときの何が悪いのか、ということを分けて考えていただかないと、機能的にし ようと思ってやっているものをすべて悪と捉えられてしまうとおかしいので はないかと思います。 ○鈴木委員 そういう意味で、病院の機能に外来は邪魔なのです。医者も余計 なエネルギーを使わなくてはいけませんし、したがって形としてはかかりつけ 医を救済するような支援病院みたいな形にしていただいて、病院は外来をやめ るという形でないと改革にならないのではないでしょうか。 ○梁井委員 先ほどの紹介率と外来部門を分けるというのは非常に良いメリ ットが多いと思います。それを紹介率に入れるかどうかというのはまた別の問 題です。 ○座長 機能の話と紹介率の計算の話は別ですね。先ほど和田委員が言ってお られたのは何かデータがあるのですか。患者が見て、地域医療支援病院など知 らないと言っておられましたが、あれは個別の経験ですか、それともデータが あるのですか。 ○和田委員 この検討会に出席するに当たり、私だけでは勉強不足ですので、 法人内でワーキンググループをつくりました。いまは20名ぐらいの定性的な ヒアリングデータですけれども、できれば次回か次々回ぐらいまでに、n= 1000、2000ぐらいで、それを定量的に言えるような準備をしたいと思ってお ります。今は、定性データで、ニーズや現状を申し上げています。 ○座長 それはありがたいことですね、お願いいたします。 ○遠藤委員 先ほど来、地域医療支援病院に対する機能でいくつかのご意見が 出ているわけです。その中の1つにありました在宅療養支援診療所に対して病 院が何らかの形のサポートすることが必要ではないかと思います。地域医療支 援病院という名前がふさわしいか、あるいは先ほど西澤委員が言われたように、 地域支援一般病棟というようなものがふさわしいのかわかりませんが、何らか の形で病院機能として在宅療養支援診療所のサポートは必要なのではないか と思うのです。  新しく作った制度でありますし、診療所の機能を在宅医療に向けさせるため の大きな報酬上の評価システムなわけですが、それをサポートする仕組みとい うのはまだはっきり見えていないわけです。かなりいろいろな所が手を挙げて いるようですけれども、これがうまく機能するためには、今度はその診療所を バックアップする何らかのものが必要なのではないか。もっともあまりバック アップしすぎますと、また病院に戻ってしまって、在宅医療ではなくなってし まうかもしれませんのでその辺は難しいと思います。  診療所だけに新しい機能を作っていて、病院のほうはそれに対応する機能を 付け加えていないというのがいまの状態だと思っていますので、その辺のとこ ろは考える必要があると思っています。 ○座長 地域医療支援病院については一当り言いたいことは言えましたか。 ○鈴木委員 在宅療養支援診療所が診療所だけというのは現在であって、先々 いろいろ手を挙げるか挙げないかというのはまた議論しなければいけないの です。そういう意味で、私はあまり賛成ではないのですけれども、病院もそう いうところに手を挙げていくと、課題というのはある程度収斂していくのかも しれないと思います。 ○座長 この問題については一当り意見が出たようなので、この先の進め方を 少し説明していただいて、それについて意見があれば伺います。 ○総務課長 今後の進め方ですけれども、私ども事務局としては、この検討会 は今回が2回目ということで7月から始めていただきました。一応の目処とし ては、今後は月1回ぐらいのペースで開こうということは第1回のときに話が 出ていたかと思います。そのぐらいのペースで一当りご議論いただいて、中間 まとめといいますか、そういうものをスタートから1年後ぐらいのところ辺り を目処に、何がしかおまとめいただければ、事務局としても助かると考えてお ります。 ○座長 差し当たりまたテーマを決めてお話するということですね。 ○総務課長 3回目以降については、1回目で論点ということでお示ししてお ります。本日は地域医療支援病院ということでしたけれども、その他いろいろ な体系のものがあろうかと思います。また、新しい課題も出していただいても 結構なのですけれども、順次論点を区分けしながら何回か議論していただいて、 中間まとめが来年の中ごろということであれば、そのちょっと前ぐらいから議 論の集約に入るような進め方をしていただければ助かります。 ○座長 いま進め方について説明がありましたが、ご意見はありますか。 ○武藤委員 テーマ選定の具体的なプログラムはあるのですか。 ○総務課長 本日のところは、何回目は何でというところまではないのですけ れども、1回目に全体の論点をお出ししておりますので、それをどのように区 切っていこうかというのを、座長と相談しながら考えていきたいと思います。 ○中村参考人 いま都道府県で、平成20年4月を目処に医療計画をはじめと して、今後医療資源をどう整備していくかという話がありますので、その話と これがどのように連携するのか。それに大きく作業が伴うような話になると、 早めにいろいろ詰めていただくようなスケジュールになります。今回平成20 年4月よりも次の5年後に向けて、というような余裕をいただければ詰めてい けるのではないかという立場におりますので、その辺はご検討いただければと 思います。 ○総務課長 基本的に言えば、今回の検討会については、今後の法改正にまで 行くのかどうかわかりませんけれども、今後の医療法のあり方をもっと中期的 に考えていただくということです。今回、医療法改正が成立し、それに基づい て医療計画が始まるという段階で言いますと、必ずしもここの議論が平成20 年の新しい医療計画までに何かまとめておいていただかなければいけないと いうことではなくて、その次をさらににらんだ検討をこの場ではしていただき たいというのが基本です。 ○座長 だそうです。地域医療支援病院について一当りさまざまな意見が出ま した。指標について、機能のあり方について、地域の考え方について、事務局 としても是非いろいろなことを考えるきっかけをいただけたと思います。途中 で資料の請求がありましたが、可能なものについては準備してください。また、 和田委員も協力していただけるそうです。あとは、議論を踏まえて、この先の 資料も準備をお願いいたします。ほかに何か言っておきたいことはございます か。   (特に発言なし) ○座長 次回の日程等についてお願いいたします。 ○企画官 次回の日程については追ってご連絡させていただきます。 ○西澤委員 参考資料というのは、参考にすればいいということですね。 ○企画官 本日は参考資料のご説明は省略いたしましたが、1回目にいただき ました宿題、要求のありましたことについて不十分なものがあるのですが、現 段階で調べた範囲で付けさせていただいたものです。  参考資料の1つ目は、収支状況で、外来と入院では収益がどのように寄与し ているのかという宿題がありました。それについて1頁では十分な資料を見つ け出せてなくて、十分な資料は付けておりません。これについては、さらにも う少し既存の資料を当たってみたいと思います。  2つ目は、主体別にどれぐらい医療費の配分がされているかという宿題があ りましたので付け足しております。3頁以降が、専門医に関する現状の資料で す。これは、今回のテーマとうよりも、専門医を議論するときの参考にしてい ただけたらと思います。  最後に付けておりますのは、医療監視のデータです。医師や看護師の配置が どれぐらいになっているのか。医師の場合を全国平均でいくと、医療法上の配 置標準に対して8割強ぐらい、看護師でいくと99%ぐらいというデータを付 けております。 ○西澤委員 参考資料の最後にある立入検査の結果なのですが、通し番号の 10頁と15頁は同じく医師の適合率です。たぶん、後ろのほうは精神科だと思 うのですが、きちんと書いてないのですが、後ろ3枚が精神科ですね。 ○企画官 すみません。資料の付け方として、これは偶数頁が飛んでいるので、 コピーのし誤りだと思います。大変失礼いたしました。 ○西澤委員 何か抜けているのですね。 ○座長 よく気がついていただきました。本日は、お忙しいところをお集まり いただきまして、またそれぞれのご専門の立場から貴重なご意見をありがとう ございました。本日は、これにて閉会いたします。 照会先 医政局総務課 山口、小野田 連絡先:03−5253−1111(内線2518)