06/07/28 未承認薬使用問題検討会議 第9回速記録             第9回未承認薬使用問題検討会議 速記録                            平成18年7月28日(金)                              於・弘済会館「萩の間」 ○ 川原審査管理課長  それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまより第9回未承認薬使用問題検討会議を開 催させていただきます。  議事に入ります前に、構成員の先生方の異動について報告いたします。前回の4月の会 議より日本医師会治験促進センターのセンター長の岩砂和雄先生に構成員に御就任いただ いておりますが、岩砂先生は前回は御欠席でございましたので、本日、改めて御紹介申し 上げます。岩砂先生、よろしくお願いいたします。 ○ 岩砂構成員  4月1日から日本医師会副会長になりました岩砂でございます。ひとつよろしくお願い 申し上げます。 ○ 川原課長  また、構成員の先生方の出欠でございますが、本日は栗山先生が御欠席でございますが、 他の先生方は御出席いただいております。  本日御議論をお願いする個別品目の検討にあたりましては、事前に堀田座長よりワーキ ンググループの専門家5名を御指名いただいております。これは後ほど説明いたしますが、 資料の5になります。  それから、本日の会議で検討結果を御報告いただくために御出席をいただいております 参考人の先生でございますが、国立がんセンター中央病院の藤原先生、国立成育医療セン ターの中村先生にお願いをいたしております。  それでは堀田先生、以降の議事進行お願いいたします。 ○ 堀田座長  ただいまから議事に入りたいと思いますが、本日の配付資料の確認をまずさせていただ きます。 ○ 事務局  本日の配付資料でございますが、議事次第、配付資料一覧、座席表のほかに、資料1は、 今回、個別に御検討いただく四つの医薬品の概要の紙でございます。  資料2−1から2−4は、ワーキンググループ検討結果報告書でございます。  資料3が、今年の4月から6月の3カ月間に欧米諸国で日本に先立って承認をされまし た医薬品のリストでございます。  資料4は、前回まで8回の検討会議で御検討いただいた結果の個別の医薬品のリストを、 情報をアップデートしてお配りをいたしております。  資料5が、ワーキンググループの専門家の先生方のリストでございます。  参考資料は、1として開催要綱、2として構成員などでございますが、これはいつも配 っております資料でございますので省略をいたします。  そのほか、構成員の先生方のお机の上には、今回、個別に御検討をお願いします資料2、 資料3の合計12の医薬品の欧米の添付文書を、これは毎回英文で恐縮でございますが、 置かせていただいております。大部でかつ英文でございますが、傍聴されている方々の中 でこの資料を御希望される方は、恐縮でございますが会議終了後に事務局まで声をおかけ いただきたいと思います。  以上でございます。 ○ 堀田座長  どうもありがとうございました。それでは、今御紹介の資料の欠落があるようでしたら お申し出いただきたいと思います。  それでは議事に入りますが、いつもですと個別品目の検討に入る前に、前回の会議での 検討品目の現在までの状況をまず最初に報告させていただいておりますが、今回はそれを まとめてこれまでのものの一覧をつくっておりますので、後ほどざっと全体の流れを見て いただくために議事の後の方にそれをもっていきたいと思います。そのような次第で行い たいと思いますので、具体的な議事に入ります。  まずは、前回の会議でワーキンググループで検討を行うべきとされました医薬品、ある いは学会、患者団体からの追加で検討要望のあった医薬品について検討したいと思います。 事務局から資料1について説明していただきます。 ○ 事務局  資料1に基づきまして御説明をいたします。  資料1の四つの医薬品のうち1と2については、前回4月の検討会議において、今年の 1月から3月の間に欧米4カ国で新たに承認をされました医薬品を紹介した際に、ワーキ ンググループでさらに詳しい検討を行った上で今回の検討会議に報告をするように、とい う御指示をいただいた医薬品でございます。1番がスニチニブ、2番がソラフェニブでご ざいます。3番、4番については、学会、患者団体さんから検討要望をいただいた医薬品 で、3番がフォスフェニトインというてんかんのお薬で、これは学会から御要望をいただ いております。4番がデフェラシロックス、鉄過剰症の薬で、これは患者団体さんから御 要望をいただいております。  以上、四つの医薬品についてワーキンググループに検討結果の報告書をおまとめいただ きましたので、御検討をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  それでは、今御紹介の四つの薬剤につきましてワーキンググループで報告書をまとめて いただいておりますので、この検討に移りたいと思います。  まずは資料2−1、スニチニブについて、国立がんセンター中央病院の藤原先生から御 説明をお願いします。 ○ 藤原参考人  お手元の資料2−1を読み上げさせていただきます。  ワーキンググループの報告書でございますが、スニチニブは欧米で消化管間質性腫瘍、 これはGISTとかジストと呼ばれるものですが、消化管間質性腫瘍と進行性の腎細胞が んの両者に最近、承認が出たものでございます。  疾病でございますが、ジスト、消化管間質性腫瘍は、消化管の筋層神経叢より発生する 間葉系腫瘍でありまして、胃、小腸、大腸及び大網/腸管膜に発生することが多い。消化 管間質性腫瘍の90%が増殖因子の受容体であるKITを発現しておりまして、治療は切 除可能例には手術療法が標準的でございます。進行切除不能あるいは再発例に関しては、 KITのチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ、これはグリベックという商品名です が、イマチニブが現時点で有効な薬物療法として知られております。イマチニブの奏効率 は50から60%、1年生存率は80%程度でございますが、イマチニブにて治癒は得ら れず、大半は治療抵抗性となってまいります。したがって、現時点でイマチニブ抵抗例に 対する有効な治療法は存在しません。我が国における消化管間質性腫瘍の正確な頻度は今 のところ不明ですが、再発あるいは切除不能例は年間1000から1500例あると推定 されております。したがって、イマチニブ抵抗性のジスト、消化管間質性腫瘍に対する有 効性の高い薬剤が待ち望まれている状態にございます。  一方、腎細胞がんでございますが、年間約9000人が罹患して、経年的に増加傾向を 示している疾患でございます。死亡数は2003年の統計では3573人、罹患例の約3 分の1が死亡に至る難治性の疾患でございます。自覚症状に乏しく、早期診断及び治療の 困難な悪性腫瘍として認識されておりまして、最近ではCTや腹部超音波の普及で早期に 発見される症例も増加しておりますが、遠隔臓器への転移例や、手術不能の進行性疾患に 対する全身治療としては、これまでインターフェロンα・γ、あるいはインターロイキン 2などによる免疫療法が行われてきましたが、それぞれの治療効果はインターフェロンが 奏効率で15%、無増悪生存期間6カ月、インターロイキン2は奏効率で15%、無増悪 生存期間は18カ月程度でございます。いずれの治療法も十分な効果をあげているとは言 いがたいもので、有効性の高い薬剤が待ち望まれている状態でございます。  本剤の医療上の有用性ですが、スニチニブは、腫瘍の増殖、血管新生、及び転移に関連 する細胞表面に存在する受容体チロシンキナーゼの働きを阻害する経口の分子標的薬でご ざいます。種々のチロシンキナーゼを抑制することが知られております。  臨床試験の成績でございますが、公表論文がまだ少のうございますので、主に米国の添 付文書を参考にここの部分は記載しております。  まず、消化管間質腫瘍、ジストでございますが、イマチニブ治療後の増悪あるいはイマ チニブ不応と判断されたジストに対して、本剤を1日50mg、4週投薬・2週間休薬す る群と、プラセボ投与の二重盲検の群間比較の第III相試験が米国で実施されております。  各群で病状の増悪、あるいは何らかの理由で薬剤供与が継続的にできなくなるまで投与 を継続しております。プライマリーエンドポイントは無増悪生存期間、タイムトゥープロ グレッションでございます。本剤群207例、プラセボ群105例、これは2対1の割り つけですが、行われまして、背景はそこに書いてあるとおりであります。投与開始後以内 の増悪、無増悪、その3行目にございますが、無増悪生存期間の中央値はそれぞれ本剤群 が27.3週、プラセボ群が6.4週と、明らかに本剤群の方がすぐれておりまして、奏 効率についてはスニチニブ本剤が6.8%、プラセボが0%という成績が発表されており ます。  一方、進行性の腎細胞がんに関しては、大きな試験としては2本ありまして、一つはイ ンターロイキン2あるいはインターフェロンの前治療歴を有する転移性腎がん、もう一つ は薬物治療歴のない転移性の腎細胞がんに対する試験が行われております。  既治療例の腎細胞がんに対する試験でございますが、投与法は前回と同じでございまし て、106例が登録され、奏効率は34%。すべてPR、これはパーシャルレスポンスで すね、すべて消えたというのではないのですが、50%以上の腫瘍の縮小等がみられた症 例と考えていただいていいのですが、奏効率は34%。無増悪生存期間は8.3カ月。こ れは米国医師会雑誌の『JAMA』に最近パブリケーションがされています。  一方、比較試験としては、未治療例の腎細胞がんに対して本剤群とインターフェロンα 9万単位週3回皮下注というものを比較する試験がアメリカで行われておりまして、スニ チニブ群及びインターフェロン群にそれぞれ375例が割りつけられまして、奏効率はそ れぞれ24.8、インターフェロン4.8、無増悪生存期間中央値はスニチニブ群で47. 3週、インターフェロンが24.9週という結果が、本年のアメリカ臨床腫瘍学会の、L BAと書いてありますのはレイト・ブレーキング・アブストラクトですが、それで公表さ れております。明らかに本剤群では有効性がすぐれていたという成績でございます。  一方、安全性についてみてみますと、ジストに対する臨床試験で認められたスニチニブ の主な有害事象は、好中球減少、貧血、肝機能異常、クレアチニン上昇、リパーゼ上昇、 左心室の駆出率低下,全身倦怠感、発熱、下痢、悪心、口内炎、嘔吐、便秘、腹痛、高血 圧、発疹、皮膚の脱色素、手足症候群、味覚異常、頭痛、関節痛、筋肉痛、食欲不振、出 血等となっております。これは、前治療歴を有する転移性腎細胞がん等でも同じような成 績になっておりますので、その下に書いてございます。  以上を総括いたしますと、消化管間質腫瘍に対しては従来の薬物療法であるイマチニブ 治療後の増悪あるいは不応例に対して、スニチニブはプラセボと比較して無増悪生存期間 を延長させることが示されています。また、進行性の腎細胞がんについての従来のサイト カインによる薬物療法歴のない症例に対しても、従来広く使われてきましたインターフェ ロンαとの比較試験で無増悪生存期間が延長されることが示されております。したがって、 これらの臨床試験成績から、有効な薬物療法のないイマチニブ治療後の増悪あるいは不応 の消化管間質腫瘍及び進行性の腎細胞がんに対してスニチニブは有効な治療となり得るこ とが予想されております。  一方、安全性についてですが、主な副作用は骨髄抑制、リパーゼ上昇、高血圧、皮膚障 害、発疹及び下痢の消化器症状、それから一部ではありますが心毒性の頻度も認められて おりまして、結構な副作用が広い種類にわたって認められております。したがって、本剤 の投与に際しては、これらの副作用へ十分対応できるようにしておかなければいけないと ワーキンググループでは考えております。  最終的に臨床試験成績及び現在進められている国内の第II相試験成績を参考にしまして、 早期の承認申請がなされるべきと判断いたしました。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それでは、ただいまからこの品目について御検討いただきま すが、その次に御紹介いただくソラフェニブも同じライン上にある薬ですが、まずはスニ チニブに関して御質問もしくはコメントをいただきたいと思います。いかがでしょうか。 これは新しい形の受容体型のマルチキナーゼ阻害剤でありますが、こういう分子標的薬と 一般的に言われる新しいタイプの薬でありますので、今、藤原先生がおっしゃったように、 これまでの抗がん剤とは随分違う副作用のプロフィールがあります。そういったことも含 めて御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。まずは、何か御質問はござい ますか。 ○ 篠山構成員  こういう問題が出てくるといつもお聞きするのですが、私は循環器の医者で、オンコロ ジーは全く知らないのですが、イレッサなどが同じようにチロシンキナーゼのドメインを ブロックする薬物ですよね、あの場合にかなり人種差が問題になると思うのですが、そう いう問題に関しては、こういう薬物に対して今後どういう検討がなされていくべきか、あ るいは今のところどういうところまでわかっているのかということに関してお聞きしたい と思うのです。 ○ 堀田座長  その辺に関して、藤原先生、何かありますかね。 ○ 藤原参考人  うちの病院でも治験をやっていますが、まだ治験の成績がまとまっているわけではない ので、それは審査の段階で人種差というのは明らかになるのではないかと思いますが、詳 細は私は存じません。 ○ 篠山構成員  そういうものがある可能性はあるわけですか。 ○ 藤原参考人  ええ、どの薬もあると思います。ただ、例えば欧州などでもいろいろな人種の方がいら っしゃいますし、必ずしも人種差だけですべてのものが差が出るとは思いませんが、さら に臨床試験成績が全部そろったところでだんだんと明らかになってくるものだと思います し、例えば承認されて市販後でマーケットに出まして広く使われないと、処方対象数がか なりふえてこないと、頻度の低いものの差は検出できないと思いますので、今後、その辺 は厳重に監視していかないといけないかなとは思います。 ○ 堀田座長  先生がおっしゃるように、こういう新しい機序の薬は人種差とかあるいは個体差という のがかなりある可能性はあるわけですが、現在のところ治験は進行中ですから、これはま とまった形でデータが解析できれば、日本人でのその頻度は出てくるかと思います。いず れにいたしましても間質細胞腫瘍あるいは進行性の腎細胞がんには有効な薬が今のところ ないという現状からみると、新しい薬が望まれていることは事実だと思いますので、今言 ったような点を留意しながら治験を進めていただいて、早めに申請にこぎつけていただき たい、これが検討会ワーキングの報告の内容でありますが、何か御異議はございますでし ょうか。有吉先生はいいですか。 ○ 有吉構成員  はい。 ○ 堀田座長  そのほかの先生、いかがでしょう、よろしいでしょうか。それでは、この薬については ワーキンググループの報告のとおりに早期の承認申請をお願いしたいということで、あく までも今御指摘があったような安全性について十分配慮した形で進めていただきたいと思 います。それでは、この件についてはそのようにさせていただきたいと思います。  次に、ソラフェニブに移ります。先ほど申し上げたように同列の流れの中にある薬であ りますが、このものについても藤原先生から御紹介いただきたいと思います。 ○ 藤原参考人  資料2−2でございます。ソラフェニブ、これはバイエル薬品からの品目で、今度は対 象は進行性腎細胞がん。ジストはございませんで、進行性腎細胞がんでの承認が米国でお りております。  お手元の報告書の対象疾病については、先ほどのスニチニブと全く同じでございますの で、省略いたします。腎細胞がんは難治で、難しい治療であるということでございます。  本剤の医療上の有用性については、ソラフェニブも種々のチロシンキナーゼを阻害しま すやはり経口のお薬の分子標的薬でございます。  臨床試験成績でございますが、これもなかなか公表文献は少ないのでございますが、な るべく今公表されている学会成績等で記載させていただきました。  一つ目は、治療歴のある進行性腎細胞がんに対するソラフェニブ800mg/日とプラ セボ投与の二重盲検比較第III相試験が米国で実施されておりまして、昨年のアメリカ臨床 腫瘍学会でも報告されております。これは、添付文書のスタディ1に相当する試験でござ います。ソラフェニブ群の451例とプラセボ群の451例が登録されまして、各群につ いてメモリアルスローンケタリングキャンサーセンターのリスク・カテゴリー・ロー/イ ンターメディエイトリスクの無増悪生存期間中央値が、ソラフェニブ群が167日、プラ セボ群が84日と非常に大きな差を示しておりまして、奏効率は2%と0%でございまし た。  一方、薬物療法の治療歴のない進行性腎細胞がんに関して、本剤800mg/日とイン ターフェロン9万単位週3回投与群のランダム化試験、II相の比較試験が行われておりま すが、これは今年のアメリカ臨床腫瘍学会で発表されましたが、本剤群97例とインター フェロン92例が登録されまして、無増悪生存期間中央値がソラフェニブ群が7カ月、こ れは「プラセボ」と書いてありますのは誤記で「インターフェロン群」でございますが、 インターフェロン群が5カ月でございました。  さらに、ランダマイズドディスコンティニュエーションスタディという精神科などのお 薬の領域で使われる手法を用いた新しいタイプの臨床試験成績が、アメリカの臨床腫瘍学 会の機関誌でございます『JCO』、ジャーナル・オブ・クリニカルオンコロジーの今年の 6月号に発表されているのですが、その次の第3パラグラフのところがそれを紹介してい ます。  継続投与に関して、ソラフェニブ本剤800mg投与を受けている進行性腎細胞がんの 症例で、治療開始前と比較してソラフェニブを投与開始して12週間後に腫瘍の大きさが 25%以上縮小しているという患者さんに限ってソラフェニブ群を投与を継続する群とプ ラセボ投与にスイッチするという比較試験が米国で実施されております。それによりまし て、ソラフェニブ群、プラセボ群の無増悪生存期間中央値はそれぞれ24週間と6週間と いう顕著な差が見出されております。  安全性については、これまでの臨床試験成績を全部集めて比較してみますと、ソラフェ ニブ群、プラセボ群でそれぞれ高血圧、全身倦怠感、発赤/紅斑、手足症候群、脱毛、掻 痒症、皮膚乾燥感、下痢、悪心、食欲不振、嘔吐、便秘、出血、知覚障害、腹痛、関節痛 等がこれらの頻度で認められております。  その下にも、未治療例に関する有害事象、同じような副作用プロファイルで認められて おります。  以上を踏まえましてワーキンググループとしては、従来の薬物療法であるインターロイ キン2の治療歴を大半が有する進行性腎細胞がんに対して、ソラフェニブはプラセボと比 較して無増悪生存期間を延長させること、及び薬物療法歴のない症例に関して従来のイン ターフェロンとの比較でも無増悪生存期間を延長させることが示されておりますので、有 効な薬物療法のない進行性腎細胞がんに対する有効な治療となり得ると予想すると考えま した。しかしながら、先ほどのスニチニブと同様でございまして、安全性については高血 圧や皮膚障害、下痢、疼痛などがしっかりみられておりまして、今のところ、従来のイン ターフェロンやインターロイキン2の療法と比較してソラフェニブの方が特に毒性が高い とは報告されていないものの、投与に際しては副作用に対して十分対応ができるようにし ておかなければいけないと考えます。  なお、本剤は6月末の時点で既に国内での承認申請が行われているところと聞いており ますので、迅速な審査が行われることが望ましいと思っております。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。このものは既に治験を終了いたしまして承認の申請が行われ ておりますので、現在、審査中という状況でございます。いかがでしょうか。これは、国 内の治験も進行性の腎細胞がんだけを対象にしているのですか。 ○ 藤原参考人  申請はそうなのですが、臨床開発全体に関しては私ではなくて。 ○ 川原課長  腎細胞がんが行われたということは承知しておりますが、それ以外については事務局は 詳細を承知しておりません。 ○ 堀田座長  前のスニチニブの方は、ジストのイマチニブ抵抗性、あるいは不耐容が入っていますが、 これは対象に入っていないのですよね。もともと治験の設定がそういうことだったのかも しれませんが。 ○ 川原課長  このものについてジストもやったという話は聞いておりません。 ○ 堀田座長  わかりました。いかがでしょうか。 ○ 堀内構成員  このマルチキナーゼ阻害薬というのはやはり安全性のことが気になります。イリノテカ ンとの併用で活性体のSN38を、米国の添付文書を見ますと、67から120%ぐらい 高めると書いてあるのですが、併用についても是非注意して審査をしていただけるとあり がたいと思うのですが。 ○ 堀田座長  現在、治験自体は単剤での治験になっていますが、市販後は併用も考えられます。 ○ 堀内構成員  実際の使用上、かなり大きな問題になるかと思います。 ○ 堀田座長  実際の使われ方としては、市販後には併用療法ということになるのでしょうかね。その 辺は藤原先生、どんなふうに使われているということはわかりますか。 ○ 藤原参考人  腎細胞がんについては抗がん剤が効かないという観念が割と浸透しているので、わかり ません、それは市場の判断というか処方する側の先生方の判断だと思いますが、通常はこ ういう単剤投与が今は。あとは従来の免疫療法との併用が当初は行われるのではないかと 思いますが、結構治験をみていても副作用が出ていますので、気軽に併用療法に踏み込む のはなかなか難しいかもしれないです。 ○ 林構成員  国内の治験も大分進んでいるというお話を伺いましたので、もしわかりましたら教えて いただきたいのですが、海外の添付文書を見ますと、少数例ではあるけれど日本人の6例 ぐらいとコーカシアンを比べた場合に、日本人の投与量当たりのAUCが半分程度、ここ では45%低いというような表記もあります。民族差については、本剤の臨床導入が待た れていると思うので、並行して調査が行われることが望ましいと思うのですが、どんな進 捗か、もし情報がありましたら教えていただけますでしょうか。 ○ 堀田座長  その辺、何か情報はありますかね。たしか数例は入っていましたよね、日本人というか エイジアンが。 ○ 川原課長  一般論でお答えする形になりますが、米国の添付文書でそういう記載がございますれば、 日本における承認審査の段階でも、先ほど前の薬でも出ましたが、人種差といいますか、 場合によっては個人差かもしれませんが、そこのところはかなり念入りに審査が行われる ことになるかと思います。 ○ 林構成員  逆に言うと、審査段階でものすごく時間を要するような追加試験などが出てしまうと、 臨床には出るのがおくれてしまう側面もあると思うので、予め御指導いただける部分があ るようでしたら、その辺も並行して検討するような御指導がいただけると、臨床へ出るの が早まるのかなということも含めて、よろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  では、その辺はよく勘案して。 ○ 川原課長  はい。こちらでの御意見等については、私どもからまた審査を行うところにも伝達をい たしまして、適切に対応していきたいと思います。 ○ 堀田座長  迅速に審査を進めるというのは、いいかげんにやるということではなくて早くやるとい うことですが、質としては同じ質を求めるということですので、そのように対応していた だきたいと思います。 ○ 有吉構成員  この薬も前の薬もそうなのですが、先ほど意見が出ましたように民族差といいますか人 種差というのもあり得ると思いますし、特に日本ではこの種の薬において肺障害が起こる 確率が割と高いということも言われておりますので、私は特に市販後1年ぐらいはこうい うたぐいの薬は、迅速審査が行われましても、最近、育薬という言葉が使われております が、1年間ぐらいはきちっとしたフォローアップをして安全性に十分注意しないと、未承 認薬検討委員会でその審査を促進し、さらに世に出たら副作用が強かったということでは 大変になると思いますので、その辺を十分企業にフォローアップしていただくような形を、 迅速審査の結果とともにお願いするということをしていただかないと、大変なことになる と思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。大変重要な指摘だと思います。今、こういう新しい作用機序の 薬で、これまでの抗がん剤の常識でははかれない副作用が出る可能性があるというものが たくさん出てまいりますので、市販後に、治験の段階では十分わからなかった頻度の低い、 しかし重篤なものが出る可能性について、市販後の安全性のファイリングを十分やってい くことが重要であると思います。 ○ 有吉構成員  それにつけ加えまして、例えばソラフェニブのときもそうだったのですが、100例前 後の第II相試験がかなりのスピードで行われたのですね。ということは、患者さんの側に もこういうたぐいの薬の要望が非常に多いわけでございますので、ただその要望に沿って 使うだけということになりますとイレッサのときのような問題が起こると思いますので、 医療者側にも慎重な使用を呼びかけるべきだと思います。 ○ 堀田座長  そのほか、いかがでしょうか。 ○ 林構成員  二つの薬剤に共通のことだと思うのですが、迅速に臨床へ導入できるような検討を行う ことに加えて、いずれも血管新生を抑制する薬なので、妊婦さんに投与した場合には慎重 な注意が必要だろうということは、動物実験レベルでしかまだわかっていないことだと思 います。ですが、もちろん治療する御本人にとっては腎がんですから、妊娠という状況で はないのですが、薬品管理として薬剤師による管理とか何かそういうことが米国ではきち っと行われているのかというようなことも、もし並行して調査しておけるようでしたら、 この薬が迅速に審査されて臨床に出たときに、臨床現場での安全確保という意味でも、御 本人様への未知の副作用の注意と同時に、社会としての有害事象への対応もあわせて御検 討いただいておければ、より有効で安全な国民医療になるのかなと思いますので、よろし くお願いいたします。 ○ 堀田座長  その辺は、何か事務局からの意見はありますか。 ○ 川原課長  特に米国の添付文書ではプレグナンシーカテゴリーはDということで、胎児に対して有 害性が想定されるということになっておりますので、ほかの抗がん剤との並びということ もあるかもしれませんが、御指摘の点を踏まえて審査に生かしていきたいと思います。 ○ 堀田座長  そのほか、御指摘いただく点はありますでしょうか。後藤構成員、川西構成員、いかが ですか。よろしいですか。岩砂先生、何か。 ○ 岩砂構成員  特にございませんが、安全というのは非常に重要でございますので、よろしくお願いい たします。 ○ 堀田座長  浜田先生、よろしいですか。 ○ 浜田構成員  これは6月に申請になっているのですか。 ○ 藤原参考人  申請は今年の6月の末でございました。 ○ 浜田構成員  それで審査期間はどれくらいかかりますか。 ○ 川原課長  申請しまして審査の段階では、いわゆる申請者側とのやり取りというのがございまして、 一般論で申し上げることになりますが、通常の審査の場合は審査側の持ち時間が1年でご ざいます。それから優先審査、これは承認をされたときに優先審査されたということはオ ープンになります。申請中の現段階ではオープンになりませんが、優先審査される場合に は審査側の持ち時間はその半分の6カ月ということになっております。ただ、やりとりが ございますので、総審査期間としてはどれぐらいかというのは私どもとしてはお答えしづ らい部分がありますが、一般的にはやりとりですので半分半分ということになりますと、 倍ぐらいというのを大ざっぱに考えていただければと思いますが、基本的に申請のデータ とかそういうものがかなり整備されておりますと、かなり早いものもあるということにな ります。 ○ 堀田座長  というわけで、結局、やりとりがあって、企業側がすぐにレスポンスすればそれだけ早 くなるのですが、そこが随分遅くなるとお互いに延びていってしまうということになりま すね。ですから一概には言えないのですが、きちんとした資料にもとづいて適切に迅速に 進めていただきたいと思います。  それでは特にそれ以上御意見がなければ、ソラフェニブについても安全性に十分注意し つつ迅速な審査をお願いしたい、ということで御対応願いたいと思います。よろしいです ね。ありがとうございました。  それでは、きょうの3番目の資料2−3になりますがフォスフェニトインにつきまして、 これは成育医療センターの中村先生から御説明いただきます。 ○ 中村構成員  右肩に資料2−3と書いてあります報告書をごらんください。  フォスフェニトイン、英国、米国等で承認されておりますが、抗てんかん薬。全般性の てんかん重積症等、ここに書いております適応について承認されております。  対象疾患については、前回、オクスカルバゼピンのときにも申し上げましたが、てんか んは大脳皮質細胞の過剰な異常放電によって、多彩な中枢神経症状が発作的に反復する慢 性の症候群でございまして、てんかんに苦しむ成人及び小児は世界じゅうで5000万人、 本邦で約100万人といわれております。てんかんの発作がコントロールできないと、発 作の際に外傷を受ける危険性がある、学校生活も含めた日常生活上の制限を受ける等の問 題があるのみならず、いじめなどの精神的な苦痛も経験することになります。発作が持続 するけいれん重積においては、生命の危険が存在いたします。また、発作が反復しますと てんかんが難治化することも知られております。  以上のように、てんかんは日常生活に著しい影響を及ぼす疾患でございまして、発作を コントロールすることは極めて重要となります。  本剤の医療上の重要性についてでございます。フォスフェニトインは、フェニトインの プロドラッグでございまして、静脈内・筋肉内投与後、速やかに血中・組織中でフェニト インへと代謝され、効果を発揮します。  フェニトインは水に難溶性で、静注用製剤にはプロピレングリコール、エタノール、水 酸化ナトリウムが添加され、pHが12に調整されております。このフェニトイン静注製 剤は急速な投与による心停止、一過性の血圧低下、呼吸抑制等の循環呼吸障害を起こすこ とがあることがよく知られています。また、組織障害性が強く、静脈炎を起こす、また万 が一点滴から漏れた場合には組織壊死を起こす等のことがございまして、末梢血管確保の 難しい小児に対する使用は容易ではございません。  フォスフェニトインは、静脈炎を起こさない、血圧低下が軽い等の理由で、フェニトイ ンに比べて投与しやすいといわれております。このため、米国の多くの施設では、実質的 にけいれん重積症の標準的治療薬の一つとして小児及び成人に使用されるようになってき ております。  公表論文が非常に少ないこと、それからEMEA等でもセントラルプロシージャーで評 価されておりませんので、米国、主に添付文書の公表と一部公表されている情報を御紹介 します。  米国添付文書には、ローディング・ドース、15〜20mgPE/kg、このPEといいま すのはフェニトインイクイバレントということで、実質的にこれはフェニトインの用量を もとに投与量を換算しておりますが、この15から20mgPE/kgとしてフォスフェニト インを150mgPE/minで静脈内投与した場合と、フェニトインを50mg/minで 静脈内投与した場合の投与部位における忍容性を比較した二重盲検比較試験の結果が掲載 されております。実施時期が公表論文等でも同じデータをみつけることができませんで不 明ですが、恐らく90年代の前半であろうと想定されます。  投与部位の痛みと灼熱感は、フェニトイン群22例では90%に認められたのに対し、 フォスフェニトイン群90例ではわずか9%。投与中断の頻度は、フェニトイン群67% に対してフォスフェニトイン群21%。平均投与時間は、フェニトイン群44分に対して フォスフェニトイン群13分ということでございました。フォスフェニトイン群での投与 中断の多くは、全身性の灼熱感、掻痒、知覚異常によるものでございました。  この報告書には載せておりませんが、97年前後にアブストラクトが幾つか出ています。 そしてそのサマリー的な論文が出ていますが、アブストラクトレベルでは62例で小児で のオープンの試験が行われていまして、フォスフェニトインの半減期、すなわちフォスフ ェニトインからフェニトインへの変換については新生児から17歳まで似通っているとい うふうな論文が出ておりますが、詳細なデータがありませんので報告書には記載しており ません。  お手元にあります米国での添付文書では、小児におけるフォスフェニトインの安全性は 確立していないとされておりますが、英国においては、5歳以上の小児に対して承認され ております。フォスフェニトイン静脈内投与後の小児PKデータが成人と同様であったこ とから、PKデータから予測された小児用量が添付文書に記載されております。現在、F DAではフォスフェニトインの小児治験についてのリトン・リクエスト、文書でこういっ た試験をやるべきであるという要請書を発出しておりますし、また、2005年12月の ものですが、EMEAの小児のワーキングパーティからも、5歳未満の小児への適応拡大 が必要であるといった文書も出ておりまして、このことからも本剤の小児科領域における 必要性の高さが示唆されると考えられます。  検討結果でございますが、本剤はフェニトインのプロドラッグであり、フェニトインと 比較して安全性プロフィールにまさるとされており、米国でも多くの施設で標準的治療薬 の一つとして小児及び成人に使用されております。末梢血管への刺激性がなく、循環動態 への影響が少ない等の安全性プロフィールと、より短時間での投与が可能であることは、 点滴の確保そのものが非常に困難な小児にとって非常に重要でございます。また、現在、 小児の適応は海外でもございませんが、筋肉内投与も可能であると言われております。こ れらの点から総合的に判断しますと、医療上の重要性は高いと判断しました。  対象疾患としては、てんかん重積症のみならず、海外で承認されている脳外科手術及び 頭部外傷時のてんかんの予防及び治療、経口フェニトイン製剤を含む他のフェニトイン製 剤の投与が不可能、または禁忌の場合の投与の適応も必要であると考えます。国内におけ る本剤の治験が早急に開始されるよう検討すべきであると結論いたしました。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。この薬は抗てんかん薬ですが、フェニトインのプロドラッグ で、体内に入るとすぐにフェニトインに変わるということですが、製剤そのものが局所の 刺激性とかいろいろなこともあって、特に小児では使いづらいという状況を解決できる可 能性がある薬ということで紹介をいただきました。今のワーキンググループの検討結果の 報告について、何か御質問、あるいはコメントはありますでしょうか。 ○ 大澤構成員  女子医大小児科の大澤でございます。今、中村先生がおっしゃったとおりなのですが、 特にこの薬はてんかんの重積状態、要するに子供のひきつけが30分とか1時間とか3時 間とか、ずうっと長く続いてしまうことがあるわけですが、そういうひきつけが長時間継 続していることに対する薬剤でございまして、一般にそういうてんかん重積に対してはま ずベンゾジアセピン系の薬が最初に使われて、それでとまらなかったときには、今はフェ ニトインを使っています。  私自身の経験からいきましても、フェニトインの静注の場合にはpHが12ですから、 pHが12というアルカリの薬剤を静脈内投与するわけで、当然痛みもありますし血管炎 を起こしてしまったりということもあるわけなのですが、実際に血管炎を起こして、退院 後、皮膚科通いが2カ月ぐらい続いたというような患者さんも数例経験しております。  そういう薬なので、実際に点滴投与する場合にフェニトインですとゆっくり静注しなけ ればいけない。それに対してこのフォスフェニトインは、pHが、やはりアルカリではあ りますが8.6から9に調節されているということで、そこの物理的といいますか化学的 な性格が違いますので、生体に対する局所の影響が違うというところです。  さらにフェニトインでとまらないときはバルビツレートに移るわけなのですが、てんか ん重積、けいれん重積の場合は迅速にとめることが一番重要で、早ければ早いほど脳への 後の影響が少なくて済むということもございますので、そういう点からいきまして日本で フェニトインのかわりにフォスフェニトインが使える状況になるということは、非常に重 要であると現場の立場からは考えています。  また、けいれん重積は一般に5歳未満のお子様及び高齢者の方に多く、血管が弱い年齢 層の方でもありますので、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。 ○ 吉田構成員  治験が我が国で行われていない理由は何か、お聞かせください。 ○ 事務局  そこは事務局でも詳細は承知をしていないのですが、開発の着手はまだされていない状 況でございます。 ○ 吉田構成員  要するに企業が動かない、あるいは日本にブランチがないとか、どういう理由で。 ○ 事務局  このものはアメリカの添付文書の最後にございますように、パーク・デイビス、ファイ ザーの一部門でございますが、開発の俎上に上がってこなかったということだと思います。 ○ 吉田構成員  そして、今の要望はどういう対応になるのでしょうか。 ○ 事務局  ただいまのような結論をいただければ、関係する企業に日本での開発の要請をいたした いと思っております。 ○ 堀田座長  ということで、日本に会社がない場合には直接海外がやれるのかどうかということもあ りますし、日本でどこかが手を挙げられるのかということですね。それから、どうしても ない場合は、医師主導治験でやるのかというようなことが、この検討会のスキームにはな っているということです。 ○ 林構成員  このケースはエーザイが販売会社として名前が出ていますが。 ○ 川原課長  はい。したがいましてこの品目については、本日こういう御結論をいただけますれば、 関係企業は日本国内にもあるかと思いますので、そちらにここの結論を伝達をして開発に つなげていただくことになるかと思います。 ○ 吉田構成員  でも、基本的には強制力はないですものね(笑い)。だから、これだけ現場が必要だと言 っているときに、何とかする方法というのは、例えば企業が動かなかったらどうするとか という手もあるのでしょうかね。医師主導でもやれるとか。 ○ 川原課長  いろいろな側面があると思います。私ども承認審査を担当しておる部署だけではござい ませんで、同席しておりますが医政局の研究開発振興課でオーファンドラッグの指定とい うものもございますので、そういたしますとある程度、開発面での支援とかそういったス キームもございますので、ものによりでございますが、そういったこと。それから、ここ の会議で取り上げていただくと、企業側としても学会の先生方の協力も得やすいと理解を してくれますので、そういう意味では今までのところ、非常に患者さんの数が少なかった りいろいろな経緯があったり、開発権の関係が入り組んだりしておりまして、後々御説明 いたしますが、まだ開発企業が決まっていない品目もございますが、先ほど御説明しまし たような状況で、ここで一定の結論を出していただきますと学会の方の御協力も得られや すいということで、大体は企業も見つかって開発に着手してくれるという状況になってい るのではないかと認識しております。 ○ 堀田座長  この品目は学会からの要望であがってきたものでもありますから、そういう意味では小 児科あるいは脳神経関係の先生方からの要望は強いと考えられます。 ○ 有吉構成員  この未承認薬検討委員会で俎上にのぼる薬というのは、絶対に早期に必要であろうとい う薬というある一定の条件があったと思うのですね。大澤先生にお聞きしたいのですが、 ベンゾジアゼピンでコントロールできないケースでこれを使わなければいけないというの がどのくらいあるかということと、それから、こういう薬はある意味ではリスクもあるわ けですからかなり専門医が使わなければいけない。そういう場合に、こういう検討会でぜ ひ早急にという結論を簡単に下していいかどうかという問題があると思うのですが、その 辺はいかがでしょうか。 ○ 大澤構成員  御指摘ありがとうございます。てんかん重積状態は、15歳未満の症例数しか把握して おりませんが、年間約8000人発生しております。年間約8000人発症しているうち、 6〜7割の症例はベンゾジアゼピン系の薬剤の静注でとめることができます。ですから、 残りの3〜4割の患者さんに対しては今まではフェニトインをまずセカンドの薬剤として は使っているわけです。そのフェニトインを使うときに、ただ、点滴を落とす速度がゆっ くりでなければならないとか、もちろんフェニトインも心肺停止や不整脈の問題もござい ますので、それに加えて血管炎の問題があるわけです。そういう意味ではフェニトインも フォスフェニトインも、循環器系に対する作用はほとんど副作用的には同じだと思うので すが、あとは局所に対する血管のダメージとか、もちろんフォスフェニトインそのもので も血管炎を起こしたという報告もございますので、私たちはオールマイティだとは思って いないのですが、フェニトインよりは使いやすい薬剤ということです。その使いやすさを 無視するか無視しないかということかと思いますが、よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  ほかに御意見は。 ○ 川西構成員  私は、伺っている限りだとこれは重要なお薬のような気がするのですが、ちょっとメカ ニスティックに考えると、これはこの添付文書にも書いてあるのですが、フェニトインに いくためはリンとホルマリンが出てくるようですが、リンのことに関する注意書きが多少 ともありますが、それが何か実際にお使いになって悪さをするみたいな感じはないですか。 それは、例えば腎疾患がある人とかそういう人の場合はなかなか問題があろうという注意 書きにもつながるかと思うのですが、それは特に問題はございませんか。 ○ 大澤構成員  その点に関しては、私自身、詳しく検討したことはございませんが、ただ、米国の添付 文書のテーブル2とテーブル3を比較しまして、フェニトインとフォスフェニトインでの 副作用の出方の違いというものをみましたときに、フォスフェニトインの方がより強く出 ているものとしては小脳症状みたいなものが0%に対して4%ぐらい出るとか複視が0% に対して3%出るとかということでして、そういう点から申しますと、リンの影響は現在 のところはわかりません。ただ、先生に御指摘いただいたことについては、今後検討する 必要があるかとは思いますが。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。 ○ 川西構成員  私も決してネガティブに考える必要はないと思います。実際にやるときに注意を要する 点ではないかということでコメントをさしあげました。 ○ 中村参考人  ちょっと追加で御説明いたしますが、短期間での投与が原則となる薬でございますので、 確かに腎不全等の患者様、あるいは新生児では注意が必要かと思いますが、長期の蓄積と かそういうことを心配する必要はないかと思いますが。 ○ 岩砂構成員  現場では、緊急を要する、血管の確保が非常に難しい、そういう方が血管炎を起こした り、れん縮を起こすというのは非常にいやなことでございますので、こういう安全性が高 いというか、60%は無効であって残りの方には効く可能性が高いというのは、やはり現 場にとっては非常に重要なお薬ではないかと思います。 ○ 林構成員 私も、けいれん性疾患の治療にこういう薬剤が必要だろうという御議論に 同じ意見なのですが、一つ、この検討が公開で行われているので外にも出るということを 含めて記載内容の確認です。検討結果の下から2行目に「禁忌の場合の投与の適応も必要 である」と書かれているのですが、一般にフェニトインの禁忌というのはコンパウンドに 対する過敏症、もう一つは、先ほどもちょっと議論に出ましたが心臓の伝導系の抑制とい う問題だと思います。日本の添付文書でも、洞性徐脈、高度の刺激伝導障害のある患者は 禁忌となっております。米国の添付文書でも同様の注意があると思います。  ですので、ここを「禁忌の場合の適応も必要である」と書くのは、この検討会の承認す るサマリーとしては安全面への配慮をもう少し配慮した表現にすべきではないかと考える のですが、いかがでしょうか。 ○ 堀田座長  小児の重積のてんかん発作についてということで今まで議論してきまして、そのあとに 2番目として脳外科の話もあります。外科手術後のてんかん予防ですね。それから今の話 と、少し違った適応も入ってきているので、このあたり、中村先生、御解説願えますか。 ○ 中村参考人  フェニトインそのものに対する禁忌という趣旨ではここには書いておりませんでしたの で、この報告書の「禁忌の場合」という記載ぶりは、確かに御指摘のように不適切であっ たかと思います。「投与ができない」あるいは「投与を途中で中止しないといけない」、 そういう感覚だと思いますが、実際の英国の情報が余り入ってきておりませんので、英国 での適応のとり方をもうちょっと詳しく調べれば、それを審査の際に反映できるのではな いかと思います。 ○ 堀田座長  よろしいですか。 ○ 林構成員  はい、よろしくお願いいたします。 ○ 堀田座長  今のてんかんの重積以外に、脳外科の術後のけいれん予防、これもこの件の対象として 含むということでよろしいのでしょうか。そこはコメントいただきたい。もしこれを治験 をやるとなったら、両方ということになるのか、別々にやるのか、ということが起こって まいりますね。 ○ 有吉構成員  日本の薬事法のあれからいくと、別々にやらざるを得ないのではないでしょうか。適応 のあれから言いますと。ですから、例えば先ほどから問題になっているてんかんの重積状 態のようなときに、この有効性を調べる手段が非常に難しいのではないかと思うのですが、 こういう場合、大澤先生、これはどうするのでしょうか。インフォームドコンセントも緊 急では必要ないわけですが、一方では未承認の薬ですから、こういうものはどうやってい けばいいのでしょう。 ○ 大澤構成員  これでもし治験をする場合、やはり血管炎の有無ということが目安になるのではないか と思うのです。投与時間の短さという点ではフォスフェニトインの方がよりよいとは思う のですが、けいれんがとまるという効果に関しては、変わらないので、慢性的にけいれん 重積を繰り返されているようなてんかんの患者さんにあらかじめお話しをしてICを取っ て、そして次回のときにフォスフェニトインを使い、血管炎の有無を比べてみることかな というふうには思います。ただ、先ほどお話に出たリンが遊離されてくることの影響とか については、どのようにしてよいかわかりませんが。 ○ 堀田座長  いずれにしてもこの場合、治験という形を取る必要があるわけですね。そういうてんか んの重積の場合と外科手術の場合、少し対応が別になるかもしれませんが、いずれにして も必要な薬だという認識でよろしいでしょうか。 ○ 中村参考人  これまで私どもがレビューしてきた薬に比べて論文データが乏しいので何とも言えませ んが、きちっと各疾患について、この薬について治験がやられたかどうかというのは私も 定かではございません。どうもみていますと、フォスフェニトインからフェニトインのコ ンバージョンをみてフェニトインの血中濃度が同じだったよ、と。それから、安全性を中 心にみた比較試験を持って、これまでのフェニトインの適応と見比べてここに持ってきた という印象を持っておりますので、それも含めて今後、実際に治験の実施についてアプロ ーチされる際に、そこらあたりの情報をもうちょっと収集していただけると、不必要な治 験をすることは、その分、そのメーカーがほかの薬を開発するお金を減らすことになりま すので。 ○ 堀田座長  血中に入ってフェニトインとなり、安全性については、フェニトインとしては変わりは ないのであれば、局所の刺激性とかそういったことで評価して、いいものなら入れかえて いくということになるのではないかと思います。 ○ 川原課長  いろいろ御意見をありがとうございます。具体的に企業に働きかけをしまして実際に治 験を開始するという段階になりますと、これは本当に全くの新しい化合物というわけでは ございませんので、今、先生方から御意見をいただいたようなところも踏まえ、それから 先ほど大澤先生からもコメントがございましたが、小児に対する治験ということでいろい ろ制約もあるかと思いますので、そういう中で治験のデザイン等についても、治験相談と かそういったところで適切に対応していくのかなと考えております。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。大体皆さんそんなところでよろしいでしょうか。それでは、 本剤については、ワーキンググループの報告に従いまして治験の開始を企業に要請するこ とといたします。 ○ 川原課長  それから事務的でございますが、ワーキンググループの報告書の、先ほど林先生から御 指摘がありましたところの修正については、中村先生の御発言の趣旨を踏まえて修正した ものでホームページ等には掲載することにいたしたいと思います。 ○ 堀田座長 ありがとうございます。  それでは、ちょっと時間が押しておりますが、きょうの最後の検討品目であります。資 料2−4、デフェラシロックスです。これについては、藤原先生から御説明をお願いしま す。 ○ 藤原参考人  資料2−4、デフェラシロックス。  これは鉄のキレート剤、経口の製剤でございます。欧米での適応は、ここには慢性鉄過 剰症と日本語で書きましたが、実際には添付文書を読んでいただくと、もう少し長いナレ イティブなインディケーションの記載になっています。  対象疾患でございますが、鉄過剰症は、体内鉄過剰に伴って、肝硬変、皮膚の色素沈着、 糖尿病、関節症、心筋症などの症状を引き起こす慢性的な病態で、生命予後は心筋症や肝 硬変が規定します。  過剰鉄の除去は、肝臓、脾臓のサイズの縮小、心不全の改善をもたらすことが知られて おります。先天性の一次性、後天的な二次性とこの鉄過剰症は大きく病態としては分けら れておりまして、一次性には、染色体6番にあるHFE遺伝子によるものが多いけれども、 その他の遺伝子異常等も知られております。もう一つ問題になるのは二次性でございます が、二次性の原因としては、無効造血による貧血、輸血及び非経口鉄過剰の投与によるも の、過剰摂取によるもの、慢性肝疾患によるもの等がございまして、現行の治療法は赤血 球系の造血能が保たれている場合は瀉血、そのほかの多くの二次性の鉄過剰症のような場 合には貧血のための輸血を併用して行っておりますことから、実際にはこれらの症状では 瀉血は不可能というのが病態です。  従来から同効薬としてメシル酸デフェロキサミンというものが注射剤として使用されて まいりましたが、頻回の投与が必要であること、半減期が短く、効果を持続させようとす ると筋肉注射あるいは持続皮下注が必要になりまして、血小板減少を伴うような再生不良 性貧血や骨髄異形成症候群などではコンプライアンスが悪くて、この注射剤を使用するこ とが非常に非現実的ということがたびたび経験されてまいりました。  一方、米国においては経口剤としてデフェリプロンというものが存在しておりましたが、 破壊性の関節炎とか好中球減少等の毒性が一定の割合で生じることから、頻回のモニタリ ングが必要であったということがいわれております。  このデフェラシロックスでございますが、経口剤でございまして、米国での承認のため の試験はβ−サラセミア、骨髄異形成症候群、ダイアモンドブラックファン貧血の患者で 行われております。いずれも二次性で、長期にわたって輸血をせざるを得ない状態の疾患 でございます。  これらの試験においては、肝生検により得た肝臓組織中の鉄濃度、以下、LICと略さ ていただきますが、このLICの減少をプライマリーエンドポイントとして、メシル酸デ フェロキサミンに対する非劣性を示すための無作為化比較試験として行われております。 これは、米国血液学会の機関誌であります『Blood』の2006年にその成績が公表 されております。  当該試験においては、全患者群における解析で主要評価項目における非劣性というもの は残念ながら示されなかったのですが、20mg/kgでLICが不変でしたが、30mg/kg の投与でLICが減少しておりまして、開始用量としては最終的に20mg/kgが推奨され るという結果となっております。  毒性は、臨床的に問題とならない軽度の腎障害、肝障害、15%の症例は一過性の胃腸 障害、11%で発疹を認めております。  検討結果でございますが、本邦においては今まで経口剤は存在しませんでしたし、また 本剤が使用できることになれば、現実的に今まで治療法がなかった血小板減少を伴う輸血 依存性のある患者さんにとっては大きな朗報になるのではないかとワーキンググループは 考えております。しかし、軽度の骨髄異形成症候群や再生不良性貧血の患者さんに対して 安易に使用されるべきではなく、使用しなければ心不全や肝硬変に進展するような長期頻 回輸血患者がその対象となるべきであろうと思っております。  本剤については、国内で悪性貧血患者を対象とした第I相試験が実施されているところ で、外国臨床データの活用も考慮した上で早期に承認申請が行われることが望ましいと考 えます。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。今までに検討したことのない鉄のキレート剤ということで、 主に輸血性の鉄過剰症が対象です。繰り返し輸血をしますとどうしても体の中に鉄が沈着 していく。鉄というのは再利用される金属なものですから、一回体に入ると、それが通常 ですと10年間は体の中に残るというぐあいですので、たまったものはほとんど自然には 体外に出ないと考えられます。結局、輸血依存症の患者さんは鉄過剰症を避けられない状 況になってくる。それに対して今まで、薬としては注射薬があったのですが、なかなか使 いづらいという問題があって、このようなものが出てきたということですが、御検討をお 願いいたします。 ○ 有吉構成員  この報告書の中で、『Blood』へ報告された使用評価項目、これは肝臓組織中の鉄 濃度だと思うのですが、それでは非劣性は示されなかったといいながらFDAでは承認し ているのですが、FDAの承認は何をもとにされたのでしょうか。 ○ 藤原参考人  私はFDAのメディカルレビューのレポート自体は見ておりませんので、最終的な判断 をFDAがどういうふうにしたかということはこの時点ではお答えできないのですが。 ○ 有吉構成員  何か理由があったのでしょうね、承認したということは。この文章だけではわからない ので、ぜひお調べ願えませんでしょうか。 ○ 浜田構成員  有吉先生のこととも関連するのですが、添付文書の8ページを見ますと、有効率に関し てプライマリーエンドポイントに到達したのが、この薬は52.9%に対して相手の薬は 66.4ということで、有効率自体は劣っていて、経口剤で使いやすいということで認め られていると思うのですが、その辺の根拠はもうちょっと明らかにされた方がいいのでは ないかと。非劣性は証明されていないわけですから。 ○ 川原課長  御指摘ありがとうございます。私もすぐに思い出せないのでありますが、過去に日本で も注射剤と同じような作用の経口剤が開発されまして、そのときに、今、浜田先生が御指 摘になったように、やはり注射剤よりは効果は少し落ちる。しかしながらこういうドーズ リスポンス、用量反応性はちゃんとあって効いてはいる。そういうときに、先ほどるる藤 原先生から御指摘があったように、注射という形と経口剤で使えるということのメリット みたいなものをどのように判断するかというのは、日本でもたしか過去にそういう議論の あった製剤があると思いますし、FDAもその辺の議論を恐らくしているのではないかと 思いますので、そこは少し調べてまいりたいと思います。 ○ 堀田座長  実際問題、私も注射薬を使って治療をやっているのですが、毎日の注射はなかなかでき なくて、しかも時間依存性なものですから、ゆっくり点滴もしくは皮下注射しないとだめ か、あるいは筋注しないといけないので、かなりの量になります。そういうことで、使い づらいというのがあるのと、もう一つ気になっているのは、免疫抑制作用があって、ムコ ール症を合併しやすい注射薬ではそういうことが問題になっておりました。藤原先生の報 告の最後に、安易に使うべきでないという理由の一つになっているのではないかと思いま す。  ほかにいかがでしょうか。これは患者団体からの要請があって検討対象にさせていただ いた経緯がございます。輸血依存性の患者さんにとっては鉄過剰症がどんどん進行すると いうのは重篤な状況になりますし、それに対して有効な薬が使いづらい、使いやすい薬が 少ないという状況は、解決すべき問題と思っているのですが、岩砂先生、いかがでしょう か。 ○ 岩砂構成員  特にございません。 ○ 堀田座長  ほかによろしいですか。そうしましたら、デフェラシロックスについてはワーキンググ ループからの報告のとおりに、先ほどの非劣性の問題等々、もう少しく調べてみる点はあ りますが、いずれにしましても既にこれは日本で治験をしておりますので、早期の承認申 請を企業に要請していただくようにお願いいたします。  今回の具体的な検討品目はこれで終了でありますが、次に、今年の4月から6月の3カ 月間に欧米4カ国のいずれかで承認された医薬品のリストが資料3として配付されており ますので、これについての検討に移りたいと思います。事務局から簡単に御説明いただき ます。 ○ 事務局  では、資料3について御説明申し上げます。本年4月から6月に日本に先立ちまして欧 米4カ国で承認された薬、全部で8個ございました。簡単に内容を御紹介申し上げます。  まず一つ目はデシタビンという薬でございます。注射剤でございますが、骨髄異形成症 候群を効能効果としてアメリカで5月に承認をされたものでございます。こちらはアメリ カのIII相試験においても奏効率17%という成績が添付文書に記載をされておりました。  2番目は、バレニクリンという禁煙治療の補助薬でございます。ニコチン性アセチルコ リン受容体α4β2の部分作用薬ということで、アメリカで5月に承認をされたものでご ざいます。こちらは日本でも申請されまして、現在、審査中でございます。  3番目は、帯状疱疹生ワクチンでございます。注射剤でございまして、帯状疱疹の予防、 60歳以上という効能効果で、アメリカで5月に承認をされております。  4番目が、こちらもワクチンでございまして、ヒトパピローマウイルス四価のワクチン でございます。9歳から26歳の女性におけるヒトパピローマウイルスによる子宮頸がん、 尖圭コンジローマ等の予防ということ。こちらは6月にアメリカで承認をされております。 4番のこちらのワクチンは、日本でも治験を実施中という状況でございます。  5番はリモナバントでございます。これは経口剤でございますが、抗肥満薬でございま して、カンナビノイド1受容体拮抗作用ということでございます。こちらは、日本で今、 治験を実施中でございます。  6番目はダルナビルでございます。これはHIV感染症を効能効果といたしました経口 剤、HIV1のプロテアーゼ阻害薬でございます。こちらの抗HIV薬の審査のスキーム にのっとりまして、企業が承認申請の準備をしているという状況でございます。  7番目はダサチニブでございます。これは経口剤で、イマチニブを含む前治療に抵抗性 または不耐容の成人慢性骨髄性白血病、それから前治療に抵抗性または不耐容のフィラデ ルフィア染色体抑制の成人急性リンパ性白血病という効能で承認をされております。国内 では治験実施中という状況でございます。  最後の8番はラニビズマブでございます。これは、新生血管を伴う加齢黄斑変性症、目 の病気でございますが、それに対する注射剤でございます。本剤については、国内では今 年の3月にオーファンドラッグ指定をいたしまして治験が実施をされているという状況で ございます。  以上、今回御報告8剤でございます。  それから、1点追加の御報告でございますが、実は今週の月曜日、7月24日にアメリ カにおいてムコ多糖症II型、別名ハンター症候群と呼ばれていますが、それに対する酵素 補充療法の医薬品、成分名がイデュルスルファーゼというものが承認をされたという報道 がございました。実は過去に本検討会においてムコ多糖症のI型、VI型のお薬について御 検討をいただいておるところで、今御紹介したムコ多糖症のII型の本剤についても既に患 者団体さんから御要望をいただいておりますので、よろしければ次回10月の検討会議ま でにワーキンググループで御検討をお願いをして、報告書を御準備をいただければと考え ております。  先ほど申し上げた八つの薬の中で、次回までにさらに詳しい御検討をいただくものがあ るかどうかということについて御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それではこのI類に属するものについて、重篤性、緊急性、 学会もしくは患者団体からの要望のぐあい、それから代替治療ある・なし、この辺も目安 にして順次御検討いただきたいと思います。  まず、デシタビンについていかがでしょうか。これは骨髄異成形症候群という、これも なかなか決定的な治療法がない重篤な疾患でございます。以前にファイブアザシチジンが 1回俎上に乗ったことがあります。そのときには検討対象にしなかったのですが、その流 れのお薬ですね。今回はファイブアサデオキシシチジンでありますが、これについてはい かがでしょうか。 ○ 有吉構成員  これは骨髄異形成症候群のどういうタイプに、何でもいいのですか。何を対象にするの ですか。 ○ 堀田座長  どちらかといえばハイリスクですね。ですから、白血病に転換しやすいタイプのものが 対象となっています。 ○ 有吉構成員  そういう意味だったら非常に重要な薬剤だろうと。 ○ 堀田座長  私はそのように考えますが、これは次回、ワーキンググループに検討結果を報告してい ただく対象としたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  では2番目のバレニクリン、これはいかがでしょうか。 ○ 篠山構成員  実は私が日本循環器学会の理事長をしておりましたときに、循環器学会の中に禁煙推進 委員会を作りました。各学会が今、禁煙宣言をいたしましたが、日本循環器学会はその中 でかなり早い時期に禁煙宣言を公表いたしました。その趣旨は幾つかあるのですが、ポイ ントの一つに、たばこが体に悪いですよということを言っても、もうみんなわかっている ことであって、今さらそんなことを言ってもしょうがない。実際にたばこを吸っている人 の中で70%の人はやめたいと思っているのですから、いかにやめたいと思っている人に 救いの手をさしのべるか、というのが我々がやるべきことではないかということを提案し たことがございます。  この薬物もニコチンに対する中枢性のリセプターをブロックするということです。中枢 性のリセプターにニコチンがくっつきますとドーパミンが遊出されて非常に快感をもたら します。本薬はこのようにして生じる依存性の機序をブロックするという、新しい機序を 持った薬物ということでございます。今、市場にあります薬物、ザイバンなどに比べて有 効性がかなりすぐれているというデータもございますので、ぜひこれは我が国でも使える ように早く承認に向かっていっていただければと思うわけでございます。 ○ 堀田座長  という御意見でございます。学会からの要望もこの件では出ているわけですね。これは 承認の見込みというのはどんなものですか。迅速にするという対応が有効なくらいなとこ ろにあるのかどうか。(笑い) ○ 川原課長  先ほど事務局から説明しましたように、米国での承認が5月でございますが、日本では 申請があったばかりという状況でございます。ただ、今後、承認審査は行われていくとい うことで、学会からの早期承認の要望はいただいておるという状況でございます。  ただ、ちょっと申し上げにくい部分がございますが、本日も参考資料の4でお配りして おりますが、早期治験とかそういった枠組みをつくってまで検討するかどうかということ で、当検討会議の対象としてワーキンググループに検討をいただくかどうかということに ついては、参考資料の4からみると難しいかなと事務局としては危惧いたしますが。もち ろん学会から早期承認の要望がございますし、今、篠山先生からも御発言がございました ので、これは会議の記録としてテイクノートはいたしたいと思います。 ○ 堀田座長  この会議で特に取り上げるのは超法規的にやろうというぐあいでやっているものですか ら、それだけの緊急度とかいうのがありまして、このものについても大変重要なのであり ますが、既に承認申請に入っております。これを重要性がないとはだれも言いませんが、 通常のルートで早めにやってくださいということで、特にワーキンググループの報告を求 めなくてもよろしいのではないかと思いますが、篠山先生、よろしいですか。 ○ 篠山構成員  結構でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。 ○ 川原課長  どうもありがとうございました。 ○ 堀田座長  その次の二つはワクチンで、帯状疱疹生ワクチン、それからパピローマウイルスのワク チンであります。ワクチン製剤はいわゆる治療薬ではないものですから、ここで取り上げ るのはどうかなというのが私の考えであります。その辺、御異議がございますでしょうか。 確かに新しく承認されたI類には入ってまいりますが、このものは本検討会議では対象外 になるのではないかと考えます。 ○ 後藤構成員  たしか今までの薬剤と違って予防薬ということになりますので、緊急性云々というとこ ろの問題は一つございます。具体的に例えば帯状疱疹生ワクチンということに関して考え てみますと、これは高齢者になると細胞性の免疫がこのウイルスに対して落ちてきて帯状 疱疹を起こしやすいという状況の中で、これに対する生ワクチンを打つことによってそれ を回復させるというものです。実際に効果があるかどうかというと、例えば痛みの期間、 痛みの強さ、あるいは実際に発症する患者さんが50%あるいは60%あるという有効性 をどのように評価するか、なかなか難しいと思うのです。だから、何%あれば有効か、そ れに関しては十分な議論が必要でしょうから、通常の治験に載せて十分に評価をして、そ れから導入をするということでよろしいのではないかと考えますが。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。 ○ 岩砂構成員  やはり抗がん剤のことはたくさん出てきておりますが、そういうお薬を使った方は非常 に免疫力が下がっておりまして、ほとんどの人が出るとは言いませんが、たくさんの方々 はこれが出まして、本当にいつまでもいつまでも苦しんでいるというのを我々臨床屋はみ ているわけですから、ここでどういう位置づけにあるか私は知りませんが、抗がん剤がこ れだけ重要視されている以上はひとつ考えていただく必要があるのではないかと、コメン トだけはしておきます。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。確かに私も帯状疱疹で苦しむ患者さんを何度もみておりまして、 特に骨髄移植後の患者さんは必発するような状況でありますので、必要な薬だとは思いま す。しかし予防薬でもありますので、通常の治験の枠組みをやるようにこの会として報告 を求めることはしないという形でまいりたいと思います。ありがとうございます。  この二つは、そのような形で取り扱わせていただきたいと思います。  リモナバント、これはいかがでしょうか。経口の肥満予防薬、あるいは治療薬でしょう か。これも緊急度という点では迅速性をというわけでもないような気がいたしますが、い かがでしょうか。よろしいですか。ではこれは緊急度という点で、あるいは重篤度という 点で少し位置づけが違うのではないかということで、通常のルートで治験を開発していた だきたい。既に試験実施中のようでございます。  6番目のダルナビル、これはエイズ治療薬でありますので、これはもともと治験なしに 海外で承認されたものは承認していくという別のルートがございますので、この会の対象 薬とは違うのではないかということで処理させていただきたいと思います。  7番目のダサチニブはいかがでしょうか。これは、イマチニブに抵抗性の白血病に対す る経口薬でありますね。既にこれは国内で治験が実施されております。 ○ 有吉構成員  ニューイングランドジャーナルオブメディスンの6月12日号に、このイマチニブレジ スタンスのCMLのケースで非常に有効性が証明されております。CMLの成績が非常に 改善されている中で、この薬はイマチニブのレジスタンスになったケースで非常に有効で ある。さらにもう1種類、続いて、このダサチニブはCMLのイマチニブレジスタンスに なったので非常に有効であると同時に、もう一つ、恐らく近々、ニロチニブという薬も非 常にいい成績が出ておりますので、これは私は検討に値する薬剤だというふうに。 ○ 堀田座長  ニロチニブはまだ承認はなかったのですね。これから出てくるものですね。 ○ 川原課長  まだ世界的にどこでも承認されていないと承知しています。 ○ 堀田座長  イマチニブは非常に画期的な薬ではありますが、やはり何年かたってみますとイマチニ ブの耐性あるいはその後の再発といったことが一部問題になってきています。イマチニブ 耐性例や不耐容例に治療できる薬、あるいは将来的にはそれがもっと前の段階で使えるよ うな薬になるかもしれませんが、ダサチニブについてどのように扱ったらいいか、御意見 を賜りたいと思います。吉田先生、いかがですか。 ○ 吉田構成員  ソラフェニブと同じような形でしばらく注意をしてみていた方がいいのではないかと思 いますので、私もワーキンググループで詳しく検討していただければと思いますが。 ○ 堀田座長  ほかの先生、浜田先生。 ○ 浜田構成員  私も同様で、検討に値するのではないかと思います。 ○ 堀田座長  堀内先生もよろしいですか。後藤先生、川西先生もよろしいですか。 ○ 川西構成員  同じ意見です。 ○ 堀田座長  では、大体皆さんそのようなことでございましたら、ダサチニブについては次回の検討 会までにワーキンググループの報告をまとめていただきたい。藤原先生、申しわけないで すがよろしくお願いします。  では最後になりますが、ラニビズマブはいかがでしょうか。加齢の黄斑変性症に対する 薬ですが、これも実感としては重篤かもしれませんが、患者団体から、あるいは学会から の要望は特にないということでございます。既に治験は現在行っているということですね。 いかがでしょうか。ここで取り上げて早くするかどうかということについて、やった方が いいという方はございますか……。もしなければ、これも既に試験中でございますので、 そうしてオーファンドラッグとして既にやられておりますので、これは通常の治験を進め ていただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。  きょうの検討の結果、デシタビンとダサチニブの二つについて次回の検討会議で報告を お願いしたいと思います。それから先ほどのタイプIIのものについては、これは中村先生 から次回に報告をお願いします。 ○ 川原課長  今、座長におっしゃっていただきましたのは、事務局から説明しましたムコ多糖症II型 の治療薬でございますね。承知いたしました。 ○ 堀田座長  次回はその三つということになりますね。 ○ 川原課長  はい、承知いたしました。 ○ 堀田座長  よろしくお願いします。  それでは最後になりますが、資料4を御参照いただきたいのですが、これまでの検討会 議で検討してきた品目の現在までの取り扱い状況といいますか現状が一覧になっておりま すので、これを事務局から御説明願います。 ○ 事務局  では、資料4に基づきまして、過去の検討品目の御説明を申し上げます。  まず2ページに、前回の会議で御検討いただきました品目がナンバー21から26まで ございますので、そちらを先に御説明申し上げます。  まず21番のポサコナゾールでございます。こちらは、シェリング・プラウ社に対して 検討会議で御検討いただきましたように欧州における承認後の臨床試験の状況をみつつ、 治療の選択肢をふやすという観点からも、本剤の開発について検討するように要請をいた しました。同社からは、本剤については実は1990年代後半に一度、国内で治験を開始 をしたのですが、製剤上の理由などから開発を一時中断をしていたものでございますが、 今般の検討結果を踏まえまして、国内の臨床開発を再開をすることにしたというお返事を いただきました。そして、第I相の追加試験について今年の秋口にも治験届を提出をする 予定であるという報告を受けております。  22番のアバタセプトでございます。こちらは、ブリストル・マイヤーズ社に対して、 検討会議で御結論いただいたように、現在、国内で進行中の治験を見守ることが適当とい う検討の結果をお伝えをしたところでございます。  23番のレナリドミドでございます。こちは、セルジーン社、これは実は昨年の終わり ぐらいに日本の法人が設立をされまして、その日本法人のセルジーン社に対して、本剤に 関する早期の治験開始を要請をいたしました。それとともに、その際には妊婦、妊娠可能 な女性には使用されないようにするなど、薬剤管理等について十分に留意をしてほしいと いうことをお伝えしております。セルジーン社からは、前回の検討会議で検討対象とされ ました骨髄異形成症候群とともに、実はこのレナリドミドについては、アメリカでは最近、 多発性骨髄腫についても追加承認されたところでございまして、この多発性骨髄腫につい ても国内で治験を開始をすべく準備中であるという報告を受けたところでございます。  24番のコニバプタンでございます。こちらはアステラス製薬に対して、注射剤である 本剤の利点も踏まえて、我が国における有効性、安全性を注意深く検討しつつ開発をすす めるべき、という旨をお伝えをいたしました。当社からは、検討会議の結論は理解をする ものの、開発の決定には種々の検討が必要でございまして、少しお時間をいただきたいと いう旨の回答をいただいております。  25番のニチシノンでございます。こちらは、これも日本に法人がございますスウェー デンオーファン社に対して、本剤の投与対象となる国内症例が極端に少ないことから、欧 米での臨床試験データをもって承認申請を行い、また、長期の製造販売後調査等で国内情 報を収集してほしいという旨を要請をいたしました。同社からは、承認申請に向けた作業 を早期に開始をしたいという回答をいただいております。  最後のアルグルコシダーゼでございます。こちらは、ジェンザイム・ジャパン社に対し まして、日本人患者のデータを含む欧米での臨床試験データをもって承認申請を行うこと と、それから長期の製造販売後調査等で国内情報を収集すべきであること、また、本剤の 審査期間中に国内の患者さんに対する本剤のコンパッショネートユース的な供給を検討し ていただきたいということを要請をいたしました。これを受けまして同社から、6月30 日に本剤の承認申請が行われました。現在、もう審査を始めているところでございます。 また、審査期間中の本剤の供給についても、同社において今、検討がなされているところ と聞いております。  前回の品目については以上でございます。  それから資料4の1ページに戻っていただきますと、おかげさまでこれまで、本日の検 討も含めますと全部で30個の医薬品についての詳しい御検討をいただいたことになりま すが、それを前回までの26について一覧にして資料4としてお配りしたわけでございま す。表をごらんいただきますと、「検討会議での主な検討結果」と「検討当時の状況」と 「現在の状況」ということを記載してございます。例えば2番のペメトレキセド、これは 悪性胸膜中皮腫の薬でございますが、これは承認申請がなされまして、今、審査をやって いるところでございます。それから、安全性確認試験については、今、同社で準備をして いるところでございます。  特に進展があったものとしては、7番のベバシズマブ、9番のエルロチニブ、こちらは いずれも承認申請がなされまして、今、審査をしているところでございます。  10番のテモゾロミド、これは悪性神経膠腫のお薬でございますが、これはおとといの 7月26日付で薬事法上の承認をいたしました。先ほど、審査期間の話が出ましたので参 考までに申し上げますと、このお薬は1年前の平成17年の8月の末に承認申請がなされ ておりますので、約11カ月ぐらいで承認が下りているということでございます。  13番のイブリツモマブについては、承認申請がなされまして、今、審査をやっている ところでございます。  17番のネララビンについては、これも承認申請がなされまして審査をやっています。 そして、並行して安全性確認試験という形で治験が国内でなされているところでございま す。  19番のフェニル酪酸ナトリウムでございますが、これは前々回ぐらいに御報告したと きにはまだ国内の引受企業が決まっていないと申し上げたと思うのですが、ノーベルファ ーマという会社が開発の意向を示していただきまして、アメリカの承認取得企業と最終的 な交渉をしております。それがうまくいけば、国内でも治験が始まったり申請がなされる ということかと思います。  そのほか、企業名のところで(調整中)と書いている品目が全部で四つございます。こ れらは全く企業のめどが立っていないというものはございませんで、一つあるいは複数の 会社がライセンスの交渉とかそういうことをやっている状況で、今の段階でお名前をお出 しすると交渉がこじれたりということがございますので、そこはまた表に出せる段階にな りましたらこの検討会議にもその旨を御報告させていただくということを考えております。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。この検討会が始まって以来の30品目について、全体の流れ がこのようになっているということであります。皆さんの御期待に十分にこたえているか どうかは難しいところもありますが、それぞれの対応で努力をして進んできておるところ であります。何かこの資料について御質問、あるいはコメントがございましたら。 ○ 有吉構成員  この会は、外国で使われていて日本でどうしても必要な薬をできるだけ早くベッドサイ ドへ持っていこうという趣旨で始まっているわけですから、ここに書かれた内容は非常に 重いものがあると思うのですが、これはどういう形で周知徹底といいますか広報されてい るのでしょうか。 ○ 堀田座長  この検討内容ですか。 ○ 有吉構成員  例えば安全性確認試験が行われているということがありますね。これは対象患者さんは こういう情報は知りたいわけですね。ですから、せっかくここで検討し、安全性確認試験 が行われているとすれば、それは何らかの形で対象患者さんが知った方が、この会の存在 の趣旨にも合致すると思うのですが、そういう動きはございませんでしょうか。 ○ 堀田座長  では、事務局から。 ○ 川原課長  この会議で配付いたしました資料、それから議事録はできあがりましたら、しかるべく 全部公開をしております。したがいましてこの資料も、本日ももちろんお配りをしており ますし、公開する情報となっております。それから、厚生労働省のウェブサイトに、実は 「未承認薬使用問題検討会議の検討結果を受けて国内で治験準備中または実施中の医薬品 に関する情報」ということで、やや網羅的に企業の連絡先も含めたリストをもう別に1ペ ージつくっておりまして、そこでコンタクト先がわかる形になっております。その辺、も う少し充実していきたいとは思っております。 ○ 有吉構成員  ありがとうございました。 ○ 堀田座長  そのほか、御意見はございますか……。では、事務局側で何か検討すべき点があります か。 ○ 川原課長  先生方には御協力いただきまして、大変感謝いたしております。  それから、当初、抗がん剤の関係が非常に多かったわけでございますが、この仕組みで 小児の希少疾病とか小児科の薬剤のようなものにつきましても、学会とか患者さんの団体 からの要望といったものもあがってまいりまして、それを早く先生方に、日本の現時点で の評価といったことをしていただけるということで大変ありがたいと思っています。  私どもとしてここで申し上げるかどうかは別でございますが、もう一つ、審査の実務を 担当しております医薬品・医療機器総合機構というところがございます。ここがまだそれ ほど体制的に整備されていないところがございますが、ここの結論を受けて彼らも非常に 頑張ってやってくれています。ここで日米比較とかそういうところまでやるのはちょっと 不適当かもしれませんが、そういう中で頑張ってくれておりますので、そういう中でまた 機構の体制整備とかいろいろな充実強化といったところも頑張っていきたいと考えており ます。  以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。この検討会が始まって1年半ぐらい、このようにやってまい りまたが、ようやく海外で承認されたものをキャッチアップしていく体制がとれるように なりました。その中で重要なものを検討会議が取り上げて、それをワーキンググループで 評価していただいて迅速に対応するべきものについてで企業に要請をかける、こういうぐ あいでやってきています。しかし、これはあくまでキャッチアップであって、本当に同列 になるためにはまた別の仕組みを別のところで考えなければいけないと思います。そうい う根本的な問題は含んでおりますし、それから安全性確認試験でも、企業側にとってはそ れをやるのは大変重要なのだけれども、それがかえって企業のリソースをたくさん食いす ぎてしまうと本来の治験の申請がおくれていってしまうことになったら、これはもともと の趣旨から外れてしまうわけですから、企業が対応可能な範囲内でやらざるを得ない、こ ういう現状もあることはあるわけですね。  ですから、ちょっとペースが鈍いのではないかという御意見をいただく部分もあるかも しれませんが、その点はいろいろなことを別なところでまた議論させていただくこととし て、いずれにしても我々としては重要な薬で、患者さんや医療現場で必要とされるものを なるべく早く患者さんの手元に届けることが趣旨でありますので、引き続き御協力願いた いと思います。それでは、この件についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。  本日の議題は以上であります。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。 ○ 事務局  ありがとうございました。本日御検討いただいた品目については、本日いただいた御結 論を事務局から該当企業に伝達をいたしまして、その後の状況については次回の検討会議 で報告をさせていただきたいと思います。  次回会議の日程でございますが、既に御連絡をさしあげておると思いますが、10月2 7日・金曜日、午後2時から開催をさせていただきます。次回は、本日の会議で個別に検 討すべきとされた品目につきまして、ワーキンググループで検討いただいて報告をお願い をいたします。それから、今後、7月から9月の3カ月間に欧米で承認をされます薬につ いて、今回と同様にリストを御提示をいたしまして御検討をいただく予定でございます。  以上でございます。 ○ 堀田座長  よろしいでしょうか。特に御発言等がなかったら、きょうの検討会はこれで終わりたい と思います。どうもありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111