06/07/25 次期治験活性化計画策定に係る検討会第2回議事録           第2回次期治験活性化計画策定に係る検討会          日時 平成18年7月25日(火)          10:00〜12:00          場所 KKRホテル東京「丹頂の間」 ○楠岡座長 定刻になりましたので、第2回次期治験活性化計画策定に係る検討会を始 めます。本日はご多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。  まず事務局より、本日の出席の確認をお願いします。 ○事務局 お手元の資料2「次期治験活性化計画策定に係る検討会構成員名簿」の構成 員のうち、本日は塚本泰司構成員、辻本好子構成員、山本精一郎構成員がご欠席です。 事務局側からは、厚生労働省及び文部科学省の関係各課より出席しています。 ○楠岡座長 ありがとうございました。引き続き、配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 お手元の資料の第2回次期治験活性化計画策定に係る検討会議事次第という 1枚紙がありますが、その中ほどよりやや上に配付資料となっていまして、「議事次第」 「座席表」と書かれています。資料番号が振ってあるものについては、資料1から資料 5、そのうち資料4は4−1、4−2と枝番を付けています。資料番号はないのですが、 本日ご発表いただきます榎本有希子構成員の提出資料、竹内正弘構成員の提出資料、山 本晴子構成員の提出資料、山本精一郎構成員の提出資料と、それぞれ右肩に構成員の方々 のお名前を付けた資料をお手元に配付しています。以上が、本日の配付資料です。なお、 構成員の皆様のお机の上にのみ、前回議事録の(案)をお配りしています。  また、参考資料集として紙ファイルの資料をお配りしています。このファイルは各回 共通資料ですので、お持ち帰りにならず、お帰りの際は机の上にお残しいただきますよ うにお願いします。当該参考資料集は、傍聴の皆様にはお配りをしていませんが、厚生 労働省の当検討会のWebsiteでダウンロードすることができますので、そちらでご覧い ただきますようお願い申し上げます。以上が配付資料の説明ですが、過不足等がありま したら事務局までお知らせいただきますよう、よろしくお願いします。 ○楠岡座長 ありがとうございました。  早速、本日の議事に入ります。本日は、治験・臨床研究に関係する職員の養成・確保 についてです。本日は主に医師、CRC、生物統計家、医療職(看護師・薬剤師等)並 びに事務職員を対象とした議論をしたいと思います。IRB委員に関しては、次回の検 討会で医療機関の体制について議論することにしていますので、本日は対象としていま せん。その点はご了承ください。  本日の進め方として、前半はそれぞれの人材養成の現状についての把握をしたいと思 います。本日の論点となる事項は、資料3「関係職員の養成・確保に係る論点」並びに 資料5「関係職員等に係る基礎資料」について、事務局より説明いただくことにしてい ます。そのあと、現在この検討会の下で4つの調査班が動いていますが、その班の1つ、 関係職員の養成・確保に係る調査班、これは私が担当していますが、その途中経過報告 をします。併せて、他の3つの調査班の現状を事務局から紹介する予定にしています。 その後、医師、CRC、生物統計家の現状に関わる課題について、山本晴子委員、榎本 委員、竹内委員に発表していただきます。その後、全体での討論に入りたいと思います。 また、本日欠席の山本精一郎委員より意見が提出されていますので、それも併せてご覧 いただきたいと思います。以上のような形で進めますので、よろしくお願いします。  早速ですが、事務局より関係職員の養成に関する論点その他について、ご説明をお願 いします。 ○研究開発振興課長 資料3、資料5について説明します。順番が前後しますが、資料 5から若干説明したほうが頭の整理がよいかと思いますので、資料5から説明します。 これは事実関係として、関係職員等に係る養成について、いまどんなことが行われてい るかの基礎資料ですので、あとでじっくりご覧いただくとして概略だけ申し上げます。  1頁は医師のところです。1−1は、医師の卒前教育にかかるモデル・コア・カリキ ュラムで、到達目標の2)に治験・臨床試験等を記載しています。1−2は医師の国家 試験に関するものですが、臨床試験、治験等に関するものというのが数問あります。3 頁は、卒後の臨床研修が平成16年から始まりましたが、この中の行動目標として(3) の3)に朱で書いてありますが、ここで臨床研究や治験の意義を理解し等々と書いてあ ります。それについてガイドラインが現在試行的に運用されていまして、4頁に到達目 標の記載として、赤く書いてあるbとか3)があります。これが、医師に関しての卒前 から卒後に関する現在の状況です。  5頁の治験コーディネーターCRCについて、2−1はこの間も申し上げました現在 の養成数です。下が5団体による養成研修の参加者の推移を年次ごとに示したものです。 6頁の下の図もこの間ご説明しましたが、養成をしましても、治験に関係する職種にと どまっておられる方が過半とはなかなか言い難い状況にある場合もあるということです。 7頁はCRCで、どういう職種の方がなっておられるかということで、左側が内部のC RC、右側が外部のCRCです。これを見ると、専任とか兼任の看護師が5割以上を占 めていまして、その次が薬剤師、臨床検査技師という順序になっています。8頁は、各 医療機関のタイプ別に見ましたCRCの方々の1病院あたりの数を書いています。9頁 はCRCのキャリアパス、もしくは治験コーディネーターとしての認定について、それ ぞれの職種を書いています。下の臨床薬理、SoCRA、SMOは、あとで若干ご説明 します。10頁は、新薬の開発状況についての1施設あたりの症例数、もしくは1試験あ たりの施設数を日本と海外で比べたものです。日本の場合は、1試験あたりの施設数が あまり違わないのに対しまして、1施設あたりの症例数が大きく異なるということで、 こういうところでも特にメーカーさん等を中心として、非常にニーズが多いことがおわ かりいただけるかと思います。  12頁は、先ほど申し上げましたCRCの認定もしくは教育について、いま我々の把握 する限りで大きく3種類あります。1つ目は、SMO協会がしておられるCRCの教育 を12頁に記載してあります。2つ目は、日本臨床薬理学会の認定CRC制度です。3つ 目は、SoCRA(The Society of Clinical Research Associates,Inc.)、これはアメ リカベースの認定制度です。前述のものとなかなか違うのは、有効期間3年で更新があ って、更新ごとにテストするシステムになっています。  15頁は生物統計家ということで、学会に日本計量生物学会、日本統計学会の大きく2 つがありまして、それぞれに教育の機会が提供されています。いちばん下の○は、大学、 大学院で関連のコースがあるところを我々の把握している範囲で書かせていただきまし たので、もしかしたら漏れがあるかもしれません。次は大学、大学院ではありませんが、 国立保健医療科学院がやっています。17頁は、看護師です。看護師は薬理学というのが 項目の中に入っていますが、治験・臨床試験に該当する項目は現在のところはない。統 計に該当する項目もない。到達目標についても、治験、医療統計というものがないとい うことですので、関連する人権や倫理についてはありますが、もう少し治験・臨床試験 について強化をしていただくことが1つの方向性かもしれません。18頁の看護師の国家 試験にも、同じような傾向があります。  19頁は薬剤師の卒前教育で、モデル・コア・カリキュラムには治験、下の(5)はバ イオスタティスティクスという生物統計があります。20頁の5−2ですが、薬剤師の国 家試験にも同等の項目があります。以上が卒前、資格試験、卒後の教育について、現在 ここに書いてあります5職種がどういう状態になっているかについて記した基礎資料で すので、あとでご覧いただければと思います。  それを踏まえて資料3を説明します。これは、あとで説明しますが、この下に人材に 関する調査班というのがあります。そこの委員の方々に提出していただいた資料、その 他いままでの議論の中で言われていたことをかなり幅広にまとめさせていただいたもの です。長期的にはこの中から、もしくは不足の項目があればこれに加えて、その中から いくつかを選んで、長期計画で具体的に何を規定をしていったらいいのか。一定の期間 の中で、どこまで行けるかを特に今日ご議論いただければと思います。  若干我々のほうで整理をした項目を説明しますと、1は医師です。教育のところは先 ほども申し上げましたが、a)卒前教育、b)国家試験・卒後臨床研修。これは卒後す ぐのところと、そのあとの2年間です。c)専門的教育を、生涯教育でどういうことを したらいいのかということで、いずれにしろ先ほどもご紹介しましたようにある程度の 記載がありますが、実際にそれが実になるようにどう進めたらいいかが今後の課題かな と思います。むしろ、(2)のインセンティブのあり方のほうが現在のところいろいろご指 摘がありまして、なかなかなされていないところではないかと思います。a)治験責任 医師になる前に、どういう研修を積んだらいいかについて現在のところ、はっきりした 規定があるわけでもないし、b)治験や臨床研究の業績をどう評価したらいいか。特に、 学会の専門医の認定要件等で評価することがあり得るのかないのかということです。そ れから、研究時間の確保でなかなか実際に現場で働いておられる医師や医療職種の方は お忙しいですので、そういう中でどういう形で、きちんとした業務として位置づけて評 価をしていくかがあるかと思います。(3)はキャリアパスとして、実際にさまざまな臨床 現場以外でも、そういうキャリアを生かせる道があるのか、キャリアパスを上る方法が あるのかを考えていくべきかと思います。  2番目はCRCです。(1)の教育の制度として、大きく2つあると思います。a)とc) になっていますが、a)とb)の間違いだと思います。教育制度では、現在はいろいろ な制度がありますが、最低限、質をきちんと統一したり向上させたりするようなやり方 があるか。2点目は、その質をさらに向上させる一定程度の経験を積まれたCRCの上 級コースを考える必要があるのではないかです。(2)のキャリアパスは、大きく2つある と思います。現在のところ、おそらく医療機関の中では看護師であったり薬剤師であっ たり、それぞれの医療職種で雇用されているかと思いますが、上に上っていく道がない。 例えば看護師でしたら、普通の看護業務であれば師長とか総師長というパスがあります が、CRCに選任されておられる場合はないのではないかということがあると思います。  ローテーションとして、良い面と良くない面があるかもしれませんが、実際にCRC の経験をされた方がCRCの業務以外でも、院内で働かれることがあると思います。そ ういったものもある程度考慮した上で、養成と稼働の両方を考えたほうがよろしいので はないかということです。(3)その他として、実際に医療機関に勤務されているCRCと SMOに勤務されているCRCで、コミュニケーションをする場が必要なのではないか ということです。  3は生物統計家・データマネジャーです。これは治験そのものというよりも、臨床研 究、臨床試験で医療機関で必要ということになると思いますが、キャリアパスのあり方 として、非常に治験なり臨床試験をかなりこなしておられる拠点となるような医療機関 においては、常駐も含めて考えていただくことが生物統計家については必要だと思いま すが、あまり数が多くないところは1人を丸抱えすることがなかなか難しければ、何ら かの形で外部の生物統計家の関与を委託することができる仕組みが必要なのではないか ということです。データマネジャーについても、実際に特に治験を行うような場合だと 思いますが、生物統計やデータ管理に関する教育がきちんとできるような仕組みが必要 なのではないかということです。  4の表題が「治験事務局員」になっていますが、必ずしも3つ目の・にありますよう に狭い意味での治験事務局員だけではなくて、治験に関係する事務職員全体についての こととご理解をいただければと思います。そういう方々について、基本的なGCPもし くは臨床研究倫理指針に関する知識、大切なのは医療保険・特定療養費等にかかるお金 の知識についても、しっかりと植え付けられるような仕組みが必要ではないかというこ とです。  最後は5その他です。看護師の教育について先ほども申し上げましたが、現在のとこ ろ養成コース、国家試験等についてもここに特化したものはありませんので、そういう ところを少し強化するのが今後の方向性の1つとしてあるかもしれません。あるいはC RCの過半が看護師ということを考えても、その必要性があるかもしれません。(2)は、 先ほどは治験等に関わる病院職員でしたが、これは関わらない病院職員で、そういう方 にも概略として治験とは何ぞやぐらいを教えておいたほうが、病院の中で何か訳のわか らないことをやっているということではなくて、きちんとした役割を果たしていること を全体で理解をして、支援をしていただくことが必要ではないかということです。  最後は何回も議論に出ていますが、治験のみを活性化しようとしてもなかなか難しい 側面があって、臨床試験全体を底上げしていく必要があるということです。その一例と して、CRCについていろいろな訳し方があると思いますが、いまは治験コーディネー ターという訳し方をされている場合が多いのですが、これだとあたかも治験しか関われ ないという誤解を招きかねないということで、ここにあるクリニカル・リサーチ・コー ディネーターなり治験コーディネーターなりが、治験以外にも関わることができること をきちんと位置づけていく必要があるのではないかということです。簡単ですが、以上 が論点ですので、加不足もしくはこの中でどこを強調すべきか、どこをピックアップす べきかについてご議論いただければと思います。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。この時点では説明のみで、議論に関しては各委 員の発表等も含めたところでさせていただきたいと思います。本日の議題に関わる関係 職員の養成・確保に関する論点が、現在こういうところにあるということを認識してい ただければ結構です。  次に、各調査班の現状の説明に移ります。まず初めに、関係職員の養成・確保に関わ る調査班の途中経過ですが、資料4−1をご覧ください。この調査班は2の目的にあり ますように、治験関係に関する人材の養成・確保というところで、現状がどうなってい るか。今後どれぐらいの人たちが必要か。あるいはその質として、どういうものが必要 か。それをどうやって養成していくかに関しての調査を行っているところです。(1)に あるように、治験等を実施する人材として治験実施医師、CRC、生物統計家、データ マネジャー、治験に関わる事務職員、IRB委員、その他関係者の養成課程、業務内容 について調査することにしています。2番目はその1を踏まえて、治験等を実施する人 材の養成、現任教育のあり方、インセンティブ向上について検討する。3番目はこの調 査結果をもって、本会の検討データとすると同時に、ここで決められた計画の今後の効 果を評価するための基礎データとすることになっています。  現在の調査方法の現状についてご説明申し上げます。まず医師、CRC等の人たちが、 いまどこに居るかを把握する必要があるということで、3調査方法の2)にあるように、 日本医師会治験促進センターの大規模治験ネットワーク参加施設、実際にいままでに治 験実績のある施設等に関する情報を集め、それらを対象に調査を行い、その中からさら に詳しい調査を行うという2段階の方法を取っています。第1次調査として、3)調査 方法(1)にありますように、7月11日から7月24日にかけてトータル2,100の施設 に対して一次調査を実施しています。2,100の施設の内訳は4)の途中経過にあります が、国公立大学付属病院、私立大学付属病院、私立病院、ナショナルセンター・国立病 院機構病院・ハンセン療養所、公立病院、公的病院、クリニック・診療所、それからど ういうスタイルの医療施設か診療施設かわからないものも含めて約2,100です。その母 体は右にありますように、日本医師会治験促進センターの大規模治験ネットワーク参加 施設、治験推進協議会の参加施設、その他いろいろなところから情報提供をいただきま した治験実施実績のある施設ということで、重複を除きまして約2,100に調査をしてい ます。  一次調査では病院の設立形態、規模、これは病床数と外来患者数で聞いています。そ れから平成17年度の治験実績、そこでの責任医師数やCRCの数を調査しています。そ の上で、詳細調査に協力していただけるかどうかを確認しまして、していただけるとこ ろにはその窓口を記載していただく形になっています。現在、第二次調査に移るところ で、第二次調査への協力は4)の(2)に「一次調査回収状況」というのがありますが、 7月24日現在で669施設からお返事をいただいていまして、そのうちの399施設から二 次調査への協力を取りつけています。協力いただける二次調査施設に対しまして、施設 の状況をさらに詳しく知るための施設向けの二次調査、治験を担当している治験責任医 師向けのアンケート、CRC向けのアンケート、生物統計家、データマネジャー、IR B委員、治験に関する事務職員についてアンケートを送る予定にしています。アンケー ト内容は決まりまして、それの発送の準備をしている状況です。  対象数は4)の(2)のいちばん下にありますが、一応各施設から治験に関わってい る責任医師数として出てきたものを合計しますと、2,390人です。病院内のCRCは967 人、外部からの派遣のCRCは657人、治験に関わっている事務職員は724人、データ マネジャーは31人、生物統計家は11人と出ています。原則的に、全部の方々に何らか の形で回答いただく。ただし、IRB委員に関しては主として外部委員を中心に、各施 設3名にお願いする。それ以外に関しては、できる限り全数調査を目指してアンケート をお願いする形で進めている段階です。この結果が出ますと、完全な全数把握にはなり ませんが、協力いただいている施設は主立った施設が網羅されているようですので、全 国的にどのぐらいの方々がどう働いているか、その方々が現状に満足しているか、今後 どうありたいかにどう思っているかの辺りに関してのデータが得られるものと期待して います。関係職員の養成・確保に関する調査班の状況は以上のとおりですが、何かご質 問はありますか。  CRCに関しては、施設内のCRCの方と外部のCRCの方がいらっしゃいますので、 施設内のCRCはその施設から直接に、外部のCRCの方で日本SMO協会に属されて いるSMOから来られている方はSMO協会を通じてのアンケートに答えていただく。 SMO協会に属していないSMOからの方は、施設から渡していただくということで、 外部のCRCの方にはどちらか一方だけを答えていただく、原則的には、SMO協会を 通じたものに主として答えていただく形でお願いしています。したがいましてCRCに 関しても、従来の調査はどうしても内部のCRCだけで、外部のCRC全体を把握でき ていなかったのを今回はかなり把握できるのではないかと思います。  この人材関係の調査班以外に、他の3つの調査班、医療機関の治験実施体制に関する 現状調査、治験の啓発活動に関する現状調査、治験の効率化に向けた治験書式、手続、 IT化に関する現状調査の3つの班がありますので、それぞれの現状を事務局から簡単 にご説明いただきたいと思います。 ○研究開発振興課長 資料4−2をご覧ください。いまご説明がありましたように、4 −2の中には3本の調査の現状について経過報告をしています。もう一度全体像を申し 上げますと、座長からご説明がありましたように、さまざまな医療機関のうちで特にご 協力していただけるところを二次調査として、一次調査の中から選びました。その二次 調査で選ばれたところの4本に別々に行くとなかなか大変ですので、いま座長からご説 明のあった所と、これから私が申し上げる3本を一緒にお送りをしてお答えいただくこ とになっていますので、よろしくお願いします。  1の医療機関の治験実施体制に関する現状調査班は中野先生に班長をしていただいて いますが、既に2回開催しています。特に進捗状況、調査項目として4点抽出していま す。1つ目は、治験の中核拠点としてはどういう要件、どういう機能が現在果たされて おり、必要なのだろうか。2つ目は、そういう拠点を中心としてネットワークを組む場 合に、ネットワークの役割なりネットワークで事務局なりをしていただく場合には、そ のネットワークの事務局機能、体制はどうあったらいいか。3つ目はSMOのネットワ ークについてSMO協会が中心に調査をしていただく。4つ目は、被験者の候補登録情 報について情報のセーフガード等の面も含めて、現在どういう状況にあるかを調査した いと思います。次の頁の2に(1)(2)と書いてありますが、今回、治験を中心に医療機関を 選定させていただいたものですから、臨床試験について文書を送る部局も違う可能性も あるということで、今回はなかなか聞けないかもしれない。ただし、この中のご議論に も班の中のご議論にもありましたが、臨床試験についてもきちんと押さえるところを押 さえるべきだろうということですので、今回の4調査を一括して発送するものとは別に、 臨床試験についてはここに書いてあるような(1)(2)の調査をさせていただきたいと思いま す。  2の治験の啓発活動に関する現状調査は、小林先生に班長をしていただいています。 3頁に書いてありますが、既に6月28日と7月12日の2回の会合を持ちまして、実際 に調査の項目としては4点あります。治験の被験者になられた方の意識調査を調査協力 病院の方20人以上にしていただく。それから治験被験者ではなくて、患者の意識調査。 さらに、一般の方の意識調査を2つのhealthクリック、日経リサーチを通じて二重に一 般生活者の意識を見るということで、被験者、患者、一般生活者の方の3つのグループ の調査をしたい。どのぐらいの認知度があるのか、どういう情報を得たいのか、治験を どう考えているのかを調べたいと思います。  3は、伊藤先生に班長をしていただいています。4頁をご覧いただくと、この班で主 に行うことが3つありまして、1)本来医療機関で行うべき業務が実は依頼者である企 業に肩代わりされている場合があるのではないか。それが依頼者の負担感、もしくはス ピードが遅いことにつながっているのではないか。これは企業の側で、本来医療機関で やるべきではないかと思われるところを抽出して、実際にそれがどういう状況で医療機 関で自ら行っているのか、依頼者にやっていただいているのかの調査をします。2)治 験関係の書類について、私どもが理解している限りは国立病院方式、国立大学方式、私 立大学方式の大きく3つあり、その他独自の書式を使っておられる所もあるようです。 もちろん、治験で契約をする、もしくはIRBを通すときにそんなに大きな差はないよ うですが、若干の用語の違いとか、それぞれの組織のあり方による違いがあるようです が、最低限共通の項目が作れるのか作れないのかをきちんと詰めていって、これも負担 感の軽減、スピードの向上につなぎたいと思います。  最後は治験の、特にIT化は一足飛びに日本の治験ですべてIT化をするわけにはい かないかもしれませんが、海外でいまどこまで進んでいて、日本はロードマップとして、 今後3年なり5年の間にどういうステップで、どう進めていくべきかについて検討をし ていただく。特にEDCについてです。以上が、調査班3班の現状報告です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。これらの点に関しては、次回以降に議論するこ とになるかと思います。  いま課長からありましたように、二次調査の中で各班の課題も取り込んだ形で調査す ることになっていますが、人材調査班のほうで先ほど課長がおっしゃられた臨床研究に 関して、別調査をするという話になっています。一次調査が治験をしている所という形 で網を掛けていますので、臨床試験しかしていない施設、そういう所はあまりないと思 いますがそれが抜けているとか、二次調査は治験事務局あるいは治験管理室に行くと思 われますが、そこだと臨床研究に関しては全然別組織が担当していて、回答できなくな ることが起こる可能性もあるという議論になりました。その点に関しては二次調査の中 で簡単なところは調査しますが、それ以上細かいところは別調査がいいだろうというこ とになりまして、実施体制に関する現状調査班のほうへプッシュバックした経緯があり ます。山本晴子委員は両方に入っておられるので経緯はご存じかと思いますが、現状調 査班にしか入っておられない方は、話が変わっていると思われるかもしれませんが、そ ういう経緯ですのでご了承いただきたいと思います。  各委員の方々からのプレゼンに移りたいと思います。最初は山本委員から、医師の養 成に関する現状のご説明をお願いします。 ○山本(晴)構成員 私が提出しています資料に基づいて説明します。説明する内容は、 治験臨床研究に係る医師養成と確保の問題ということで、まとめてみました。  最初に、私が考えている基本的な原則ということで挙げてみました。まず、日本国内 のすべての医師が、治験や臨床試験をする必要はないのですが、すべての医師は治験・ 臨床試験に対する素養は身につけるべきではないかということで、卒前教育については 考えています。同様に、国内のすべての病院・診療所が治験・臨床試験をする必要もあ りませんが、拠点整備は必要であろう。また、拠点を整備するほうが効果的ではないか と考えています。治験・臨床試験は医師から見たときに、原則としてアカデミックな活 動である。実施については一般臨床に加えてするものですから、労力を要する。けれど も、その見返りというのは原則としてキャリアアップにつながるような業績、アカデミ ックな業績の形で変えていくべきだろうと考えています。  一方で、治験・臨床試験というのは当然ながら企業の経済活動でもありますので、そ れに密接に関連してしまいますから、倫理規範の遵守、モラルハザードの防止、被験者 保護の徹底というのは明確にした上でやる必要があると思います。国際的には何人もそ ういう方がいらっしゃいますが、日本でも基礎研究者は国際レベルで活躍する「花形」 の研究者が何人もいらっしゃるわけです。そういう方のような、臨床研究でも国際レベ ルで通用する臨床研究者、リーディングモデルになるような方を育成していくのを1つ の目標にすべきではないかと考えています。  まず、医師への教育ということで卒前教育ですが、全員が臨床試験をするわけではあ りませんが、臨床試験の方法論としての教育は必要だろうと思います。これは人材の班 の中で、臨床試験だけではなくて、本当は実験全般に対する方法論の教育が必要ではな いかという意見も出ましたが、ここでは臨床試験の方法論とさせていただきます。つま り個々の技術を教えるのではなくて、臨床試験とはこう進めるのであるという概説とい うか、そういう知識を伝える。もう1つは、医薬品が開発されていくプロセスというの も、ここに含んでおくべきだと思います。主に数理統計を大学で教える場合が多いと思 いますが、薬剤師の教育で生物統計の基礎教育が非常にされているようですが、医師に も生物統計の基礎教育が必要、それから臨床薬理学の基本的知識も必要だと思います。 これらは、卒前教育の中にある程度入っているように見えますが、残念ながら現在医者 になっている方々を見る印象では、あまり効果的なプログラムにはなっていないのでは ないかと思います。  臨床研究に関連した生命倫理の教育が非常に必要ではないかと思います。ヘルシンキ 宣言等が出てきた経緯はどういうことだったのか。臨床研究に関しては、ダークサイド が歴史的にはあるわけで、特に米国から出ていますが、そういうダークサイドを乗り越 えて、いまの生命倫理の基本原則ができているというステップとその知識。それだけで はなくて、日本の医師に全般的に欠けているかもしれませんが、被験者への敬意をどう 表現していくか。これら一般的に、医者の行動をきちんと教育することにつながると思 いますが、被験者として入っていただいた方に対してどのように敬意を表現して、さら にどういうふうにその方の献身というか、その方の好意を大事にして、その上で臨床試 験をやっていくかの基本的なマナーを身に付けていただく必要があると思います。  卒後は、より専門的・実践的教育を受ける場を数多く作っていただきたいと思います。 現状でも少しありますが、例えばある大学に何日か通わないといけないとか、保健医療 科学院でもやっておられますが、まだ数が少ないと思います。それから私も行ったとこ ろで、規制当局の臨床医学審査官というのはキャリアでもありますが、非常に効果的な 教育にもなっていますので、もう少しこれが活かされるべきではないかと思います。限 られた方だと思いますが、こういうことを受けていって、国際共同臨床試験を立案する 側に入れるような、国際的なリーダー的人材の育成につながっていくのではないかと考 えます。  医師のインセンティブです。先ほども申し上げましたように、学術的なインセンティ ブを付けるべきです。これは既に日本循環器学会などで導入していますが、日本循環器 学会が認めた臨床試験は、何例かを登録したら専門医の点数を1点あげるとか、そうい う非常に効果的なインセンティブを実験的に導入している所もあります。また、治験・ 臨床試験の実施実績、これは治験責任医師あるいは臨床試験責任医師レベルだけだと思 いますが、これを研究費申請採用のときの優先項目にすることもあると思います。経済 的なことは、モラルハザードを誘発しますので、直接的な経済的メリットはあまり付け るべきではないと思いますが、実際には治験だけではなくて、臨床研究もそうですが、 研究費をなかなか使いにくい問題がありまして、これを使いやすい形に変えていくこと で、ある程度解決するのではないかと思います。内容はそこに少し書いていますが、こ ういう現場から直接上がってくる声に対応すべきではないかと思います。  一方でSticksと書いているのは、これをしないとできないよというものも入れるべき だと思いまして、東大や九州大は既に導入されていますが、臨床試験でも治験でも、や る人には必ず講習を事前に受講していないとさせないということもしていますので、こ ういう形で大学だけではなくて学会、あるいは医師会レベルが導入する。それから公的 研究費の申請資格に、そういうものを盛り込んでいく形も有りかなと思います。ただ、 研究費の場合は申請者側をレベルアップしますと、評価側もレベルアップする必要があ りますので、そちらについてはご検討いただきたいと思います。  最後に、米国の事例のご紹介です。ほかの所でも紹介があったかと思いますが、米国 でもただ単に研究費を付けただけでは、なかなか臨床試験のほうに医者は流れないこと を当局側がよくわかっていて、臨床研究に人を流すためにいろいろ工夫をしていまして、 特に若手を臨床研究にできるだけ誘導するようなプログラムを作っています。これらは 非常に若い方に、自分の活動を100%カバーするような研究費をあげて、さらにその指 導者も付けて、将来的には自分で臨床研究を作って、それに対してもっと大型の研究費 を申請して獲得できるような形でキャリアアップを目指すプログラムを作っています。 これは、ここに書いた以外に、米国の医学生というのは大抵ローンを抱えていて、その 学資ローンを持って医者になってローンを返しながら働くのが一般的ですが、23、24は そういうローンの返還プログラムも含んでいて、これに入ると別個に自分の持っている 学資ローンを返却するお金も付いてくるということで、そういうインセンティブも付け て若手をできるだけ臨床研究に誘導しようとしている。ですから、米国でもいま臨床研 究が興盛になっているのは、裏にかなりの努力があるからだと考えています。国内でも、 そういうことを考えていく必要があるのかなと思います。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。議論は後ほど行うことにしまして、いまのご発 表に何か質問等がありましたら、この場でお願いします。  最後のK23、24というのは、給料がここから出るという形ですか。 ○山本(晴)構成員 米国の研究費は大抵サラリーも含んでいますが、これも給料を含 んでいて、なおかつこの2つは自分の職業的活動の75%以上をこの研究にエフォートと して出さないと駄目。つまり、これでほかのデューティをしなくてもいいようにプロテ クトして、研究に没頭できるような環境を作るという研究をしているみたいです。 ○楠岡座長 これは年間、何人ぐらい採択されているかわかりますか。 ○山本(晴)構成員 そのデータは載っていましたが、いまは詳しい数字を見ていませ んが、数百人はあると思います。 ○楠岡座長 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、後ほど議論をさせていた だくことにしまして、次は榎本委員からの発表をお願いします。 ○榎本構成員 日大板橋の榎本です。お手元の資料をご覧ください。私はコーディネー ターとして、治験・臨床研究に係るコーディネーター養成と確保の課題に関してお話し ます。  お手元の資料の5、2のコーディネーター、5頁以降も併せてご覧ください。最初に お詫びですが、事前に今回事務局からいただいた資料と私が作った資料の頁が若干異な っていまして、少しずれていますので、その点をご訂正させていただきますのでご了承 ください。  2頁をご覧ください。養成・教育されたコーディネーター数の現状として、現在こち らに書いてある5つの団体による養成研修会の参加者数は、平成10年から始まりまして 昨年度までで4,524人。こちらは1人が何回か参加されている場合もありますので、若 干これより少ない人数になっているかと思います。お手元の資料5の5頁に、参加者の 推移がありますのでご覧ください。SMO所属のコーディネーターは、主に社内で教育 を受けていらっしゃるようで、現在までにSMOで教育されたコーディネーター数は、 残念ながら把握されていません。資料5の12頁をご参照いただければと思います。ご訂 正をお願いします。  3頁は、実働しているコーディネーター数の現状です。先ほどもご説明ありました、 5団体による養成研修会の参加者数の約50%程度が実働ではないか。その根拠は、お手 元の資料5の6頁の下の図にあります「CRC研修終了者のその後」ということで、約 50%の方がコーディネーターとして勤務されていると回答していますので、2,200〜 2,300人程度と推測しています。それとは別にSMOに所属されているコーディネータ ー数として、平成17年度SMO協会所属56社中36社からのアンケートの回答によりま して1,877人。資料3の12と書いてあるのは、資料5の11頁にご訂正ください。SM O協会に所属されていないSMOもありますので、SMOのコーディネーター数はこれ より少し多い数ではないかと予測できます。上と下で合計しまして、日本では約4,000 人ぐらいのコーディネーターが実際に働いているのではないかと推測できます。  4頁です。養成と確保の課題について述べます。(1)養成研修会の期間や内容に少しば らつきがあると思います。今年度の開催期間をこちらに列記してみましたが、期間は2.5 日から4週間までとかなり差があると考えられます。(2)SMO所属のコーディネーター の先ほど言いました5団体による養成研修会の参加率がまだ低く、社内研修のみを受け たコーディネーターが多いのではないかということです。資料3の7と書いてあります が、資料5の6の表です。表の中の括弧内が、SMOのコーディネーターの方の養成研 修会の参加人数です。全体が4,524人に対してSMOのコーディネーターは204人で、 全体の4.5%にとどまっている現状です。  5頁です。養成と確保の2として(3)です。国立や都立病院などの自治体病院では、非 常勤のコーディネーターが多く、長期雇用体制が整備されていないため、転職率が高く なっています。この非常勤というのはいろいろな解釈がありますが、例えば3年で契約 を見直して更新するなど、私たちコーディネーターとしてはいつまで勤められるかわか らない状態で勤務する体系になっています。(4)医療機関において、コーディネーターの 定員化がなされず、コーディネーターが治験の業務もしながら治験以外の業務も兼任し ている場合も、大学病院などではよく見られることがあります。(5)養成されたコーディ ネーターが施設内の異動により、治験業務から離れてしまう。しかし先ほど事務局から もご説明がありましたように、これは各部署に治験経験のある職員が配置されるという ことで、教育や啓発の観点ではメリットでもあると考えられます。  6頁は、養成と確保に関する提言をまとめてみました。(1)各研修会の特色を生かしつ つ、期間などをある程度統一することが望ましいのではないでしょうか。(2)SMO所属 のコーディネーターに対する、先ほどの5団体の養成研修会の参加を促進していただけ ればと思います。医療機関もSMOも同じ研修会に参加することで、相互理解が深まる ことが期待できます。(3)非常勤のコーディネーターに対する雇用期限の緩和及び専門職 としての地位をある程度確立していただいて、コーディネーターとして<勤め続けられ る環境>の整備が必要ではないかと考えています。(4)看護大学や薬科大学、臨床検査技 師の専門学校などにおける治験などに関する卒前教育。そして看護学生や薬学生など、 病院にお見えになる実習生に対して治験に関する教育や実習を充実することで、<底辺 の拡大>につながり、私もコーディネーターになりたいという学生が増えてくださるこ とを期待しています。  7頁以降は、コーディネーターの質の向上に関するお話です。まずは現状です。(1)学 習の場としてここに書いてあるような関連の学会、セミナー、大学教育なども設立され ています。そして先ほどもご説明にありました、アメリカに本部を置きますNPOのS oCRAも活発にセミナーなどを開催しています。(2)認定の場です。先ほどもご説明が ありましたとおり3つあります。日本臨床薬理学会:認定CRCは、現在442人が認定 されています。SoCRAではCCRPとして、臨床研究の専門職に日本人は144人が 認定されています。SMO協会は昨年度に公認CRCとして1回目の試験が行われて、 597人が公認されています。詳しい資料は資料5の11〜14頁にありますので、後ほどご 参照いただければと思います。  8頁は、質の向上に関する課題です。(1)コーディネーターが、治験依頼者側の担当の 方と施設の外で情報交換ができる場が少ないと思われます。(2)東京以外の地域で、コー ディネーターが技能を向上するために参加できる研修会などが少ない現状にあるのでは ないでしょうか。(3)治験実施施設間のつながりや連携が、まだまだ少ないと考えていま す。(4)コーディネーター経験者や認定取得者に対するインセンティブが、いまのところ はほとんどないのが現状と考えています。  9頁は、コーディネーターの質の向上に対して提言を6つほど述べます。(1)製薬企業 の担当の方、モニター、DM担当、監査の方も交えて意見交換会を実施していただけれ ば、相手の方の立場や業務を知ることにより相互理解が深まるのではないかと考えてい ます。(2)地域ごとのスモールグループディスカッションや事例発表会を開催していただ ければと思います。(3)上級者向けの研修会やアドバンスセミナーの開催。こちらにテー マをいくつか挙げてみましたが、今後質を向上するために、コーディネーターが学んで いきたいと考えるような内容をテーマとして開催いただければと思います。  10頁です。(4)業務を行っている中で、困ったときに質問できる環境の整備。それらを Q&A集などで公表いただければと思います。現在も治験会議室のメーリングリストや 製薬協の治験119番などが、こういった形であります。(5)治験関連の通知や講習会、セ ミナー情報が容易に入手できる環境を整備していただければと思います。現在でも厚生 労働省や促進センターのホームページ、ニュースレターなどでかなり入手できる環境が 整ってきていると感じています。(6)倫理や患者心理などに関する教育を併せて行ってい ただければと思います。患者団体との交流や意見交換会などです。11頁の(8)コーデ ィネーターに対するインセンティブの提言を4つほどまとめてみましたが、時間の関係 で詳しい説明は省略させていただきます。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。何かご質問はありますか。 ○荒川構成員 よくまとめていただいていますが、私どものところで実際に感じている のは、いままでのCRCの業務、SMOのCRCの業務と私どものCRCの業務でカバ ーする範囲が違います。臨床研究とかいろいろなことになってきますと、カバーする範 囲がもっと広がってきますので、こういった研修を考える上でより幅の広がり、先ほど アドバンスセミナーがありましたが、それもステップワイズに考えていく必要があるの ではないかという気がします。 ○中島構成員 6頁の(2)のSMO所属のCRCに対する養成研修会の参加促進というの は、前に出ている5団体が実施している研修に参加ということですか。 ○榎本構成員 そういう観点です。 ○中島構成員 もう1点です。8頁のいちばん上に(1)として、CRCが治験依頼者側の 担当者と情報交換ができる場が少ない。これは施設外でということですが、具体的には どのようなことですか。 ○榎本構成員 いま、私は東京都の病院薬剤師会の治験のグループに入っていますが、 毎年意見交換会を開催していまして、治験依頼者のモニターの方とかCROの方をお呼 びして、10人ぐらいの小さいグループで意見交換を行っています。どうしても施設内で すと仕事でお互い煮詰まってしまうこともあり、モニターの方に企業の開発部の現状は 実際こうなっているというお話も聞きたいという意見が多く出されています。この意見 交換会は薬剤師の実務担当者からは非常に好評で、実際に仕事でご一緒しているモニタ ーの方でなく、もっといろいろな方と交流を持ちたいというのがコーディネーターや治 験事務局側の薬剤師からの要望で、製薬協等の方にご相談した上でこのような他部門の 方との意見交換会を開催しはじめて、今年で3年目になります。なかなかそういう研修 会とかセミナーが少ないので、このような交流の場もあるといいのかなと思います。 ○中島構成員 私どもでやらさせていただいている各企業への訪問研修のようなもので すか。 ○榎本構成員 そういったものも含めてです。 ○安田構成員 非常に詳しい調査をありがとうございます。医療機器から申しますと、 CRCの対象者として、臨床工学技師あるいは放射線技師の参加が非常に望まれるわけ ですが、今回の調査対象に入っていませんので、いずれ調査していただきたいと思いま すが、実態としてはどういう状況でしょうか。CRCの中で臨床工学技師や放射線技師 の実際は。 ○榎本構成員 実際に、当病院もコーディネーターという呼称でなかなか専任というの は難しいのですが、工学技師、放射線技師、臨床心理士といった方を治験の協力者とし て仲間に入れたことがあります。ですから、今後各部署に窓口を作ってお話を持ってい くことで、医療機器に関してもかなり協力をいただけるのではないでしょうか。あと、 文部科学省のコーディネーター研修会で今回講義をさせていただきましたが、研修生の 中にも臨床心理士や工学技師の方が講習を受けられていましたので、是非そういう職種 の方にも今後CRCとしての活躍の場をどんどん広げていければと思います。 ○中島構成員 是非、研修の対象とかそういう形で広めていただいて、CRCとするか 治験協力者とするかは非常に難しいところがありますが、この辺は底上げするというこ とで教育対象、モチベーションを上げて、その方々にもインセンティブを考えていただ ければと思います。  もう1点。CRCのほうでこう書いていただいているということは、逆に受け側、我々 企業側、多くの企業が利用させていただいているCROのモニターのレベルのほうが今 度問われるかなという形になっています。それは、またCRO協会からでもお話いただ ければと思います。 ○楠岡座長 よろしいですか。また後ほど議論を進めていきたいと思います。  1点だけ。先ほど安田委員からあった養成研修ですが、病院へ案内が行ったときに、 とかく薬剤科と看護部で止まってしまう現状があって、ほかのセクションへ回すという 発想がなかなかありません。回せば受けてみたい方も出てくると思います。これはすぐ に改善できるのではないかと思います。榎本委員ありがとうございました。では、次に 竹内構成員からご発表をお願いしたいと思います。 ○竹内構成員 北里大学の竹内です。私は生物統計家・DM養成と確保の課題について 発表いたします。2頁をご覧ください。まず現状ですが治験に関しては、いわゆる企業 主導の臨床試験です。これに関しては企業内にはDMは存在しております。ただし、医 療機関においての医師主導または臨床試験に関しては、ある特定の医療機関を除いては DMの存在は皆無に近いと私は理解しております。  今後の課題ですが、DM業務に関しては、これは治験レベルですが企業主導の臨床試 験ですので、やはりGCPに準拠していなければいけない。この点に関しては既に行わ れていると私は理解しております。ただし、医師主導または医療機関においては、臨床 試験ですが、ここの臨床研究のレベルをどこまでもっていったらいいか、ということを 議論することかなと私は感じております。といいますのは、やはり海外の一流雑誌、ま たはその一流雑誌に発表されたデータが、そのまま海外の規制当局までいってしまうと いうサブミットできる状況を考えますと、やはり、それまである程度、いわゆるICH のGCP等の準拠のレベルが必要ではないかと私は考えております。そこに到達するた めにはDM業務の基盤整備に対して、すべての医療機関に対して基盤整備のお金を投資 するということは必要ではないと思いますが、ある拠点に対しては、DM業務の基盤整 備に投資は非常に必要ではないかと考えております。  もう1つは、現在、私が理解できていないのは、各医療施設に対して、DM業務に関 してアンケート調査をしたところ、ただデータを必要な方が入力をして、それがDM業 務と考えている施設機関等もありますので、DM業務とは一体何なのかということは、 はっきりとここで定義する必要があるかと思っております。それに関しては、やはりD M業務に関しても教育プログラムが、間違っていたら直していただきたいのですが、皆 無に等しいので、どういうようなDM業務に対して、どのような教育プログラムが大事 かということが、これからの課題ではないでしょうか。  次頁をご覧ください。これは必要性とのギャップですが、まず企業主導の臨床試験、 いわゆる治験ですが、先ほど申しましたように、企業内にはDMが存在しておりますの で、各医療機関にはそれ相応のDMの担当者を置く必要はないと私は考えております。 ただ医療機関が実施します医師主導または臨床試験に関しては、その結果の質の担保が 必要です。その結果を担保するということはデータの質ではなく、臨床試験そのものの 質の担保が求められております。いわゆる海外の一流雑誌に投稿しようとする場合には、 どこでDM業務が、どのような形で行われたかという詳細が求められますので、そのよ うな基準に対応できるDM業務が各医療機関、または各拠点を担っている医療機関では 必要ではないかと考えています。  また、このような臨床試験の結果が非常に高くなってきますと、そこに治験、いわゆ る企業主導の治験も行うという効果が随時加わってきますので、各医療機関での医師主 導または臨床試験での、いわゆる臨床試験の質、データだけではなくて、臨床試験その ものの質の確保が必要だと私は感じております。  次頁をご覧ください。これからは少し生物統計家についてお話をします。これは山本 精一郎構成員が今日提出してくださった資料とも関係していますが、第1番目に大学・ 大学院における養成課程の現状としては、大学院での専門コースが日本では、現実には 少数であります。先ほど山本(晴)構成員からもありましたように、数理統計ばかりを 教えるのではなく実際の臨床試験のデータ解析がどのようにして行われるかということ で、実際にデータを、「SASプログラム」と書いてありますが、いわゆる統計プログラ ムを用いて、実際の臨床試験のデータを解析できることが必要だと思います。また、臨 床試験に加わるためには割付がどのようにして行われているのか。また、日本では特殊 な割付の事情がありますので、そういうような割付が日本でできるのか、または国際治 験に入る場合に、例えばヨーロッパ、アメリカとどのような違いがあるのかを、ある程 度大学院レベルでは理解している必要があるかと私は感じております。  もう1つ、プロトコル作成に関しては医療現場の医療従事者の先生方と一諸にプロト コルを作成していくことが、実際に数理統計、または応用統計等で学んだ知識が実際の 医療現場でどのようにして使われるかという意味においては、実践的な教育が必要だと 感じております。  次の点も非常に大事で、実際にニューイングランドジャーナルやランセットとか、ジ ャマ等で発表された、いわゆるメディカル・ジャーナルは、実際に生物統計家から見ま して、それが自分が関与したときにそういうような解析をするのかどうか。また、その ような結果が果たして実際の発表された内容に反映しているかどうかというcriticsが できることが大事です。最新版のニューイングランドジャーナルで1つ問題になってお りますのが、ラガコス先生が今まで発表した内容に関して、非常に疑問であるというこ とを統計学者が実際に書かれておりますので、そういうような実際の生物統計の知識が 臨床現場の先生方に反映できることが必要だと感じております。そういうことを行うた めにも、やはり医療現場または医学系の学会との連携が、これからはますます必要にな ってくると感じております。  次頁はこれからの課題です。いちばん初めに資格のあるという意味を書きましたが、 どういう資格を持った先生方が生物統計を教えられるのかが非常に疑問でして、やはり 資格のある教員の数が非常に不足していると感じております。これは山本精一郎構成員 から今日提出していただいた資料に関係していることですが、いわゆる生物統計学の定 義は、いまのところ少し不明瞭かなという気がいたしております。  2つの生物統計学がありますが、いちばん初めは実務中心。いわゆる医療現場で実務 ができる。このレベルの生物統計学ですが、修士号を持っていれば、ある程度ルーティ ン的に医療現場では生物統計家としての仕事ができるのではないかと思っております。  これから日本の臨床研究が直面していく場合には国際共同治験にどのようにして入っ ていくか、アジアンスタディにどのようにして入っていくか。それに関してサロゲート マーカー、バイオマーカーをどのように使っていくかに関しては、方法論に関しての研 究が非常に重要になってきますので、こういう方法論を研究できる研究者としては、や はりPhDの資格が必要だと思っております。そういう場合には、学術サイドとして大 学各方面に関してPhDの養成機関が必要だと感じております。  このようなことを進めていく場合には、産・官・学との交流が非常に必要ですので、 産・官・学との交流が、いま1つ不足しているのではないかと感じております。先ほど から何回も申し上げしておりますが、生物統計学というのは、いわゆる理論統計を使い、 その理論統計学をいかに臨床現場に返していくかということが、いわゆる応用面で非常 に大事な学問ですので、医療現場からのデータがどのようにして上がってくるかが非常 に必須になってまいります。そういうことですので医療現場への積極的なアプローチが 大切だと感じております。今現在においては医療現場へのアプローチが少し欠如してい るのではないかと感じております。  最後ですが、やはり海外のエキスパート、いわゆる海外では医療現場の先生と生物統 計家が一体になって臨床試験を進めておりますので、海外のエキスパートとの交流が必 要だと感じております。これはただ単に生物統計家との交流ではなく、医療現場で実際 に臨床試験をはしらせている先生方との交流を通して、実際にこれから日本での生物統 計家はどのようにして道を切り拓いていくか、または、どのように貢献できるかという ことに関しても非常に重要になってくると思いますので、やはり海外のエキスパートと の交流・連携が欠如しているのではないかと私は感じております。 ○楠岡座長 ありがとうございました。何かご質問ありますでしょうか。 ○安田構成員 統計の高度化は我々も望んでおります。特に医療機器の場合は、新しい というよりも改良を重ねていくことがあります。そうしますと、わずかな差を検証する のは、いわゆる医薬の統計にあてはめると、治験には膨大な症例数を伴うというロジッ クに入ります。改良を伴いますと、結局、過去のデータ、あるいは市販後のデータも含 めて評価する、どちらかというとGHTFでも出ている臨床評価というような統計も必要か なと。  たまたま5月末ですか、FDAのドラフトガイダンスで医療機器の臨床試験における ベージアン統計学の使い方というものが公表されていますが、こういうことをFDAも やっております。いわゆる医薬品の統計とは違った観点です。これはおそらく臨床研究 の統計のほうにも非常に効果的かと思いますので、そういう点からも、是非研究してい ただければと思っております。 ○竹内構成員 いま安田委員が言われましたように、医療機器においては改良を重ねて おりますので、過去のデータを使いながらどのようにして新しい製品を世の中に出して いくか。いまFDAがガイドラインを出しましたようにベージアンというアプローチが 出てきております。それをもう少し進めますと、いわゆる経験ベース法というアプロー チも進んでおります。ただ、それが日本で実際に解析できる統計家が何人いるかを考え ますと、私はたぶん1人か2人しか、現状では思いあたりません。いわゆるステントと か非常に大事な分野で新しい医療機器がこの世の中に出てくるためには、ベージアンと いう統計解析法を専門家が理解した上で、医療機器の医療現場の事情を理解して、どう 解析していくかが課題になってくると思っております。 ○楠岡座長 ほかにはよろしいでしょうか。1点、4頁で「大学院での専門コースが非 常に少数である」と書かれておられますが、アメリカなどの場合は、例えば生物統計だ けで学部があるとかという話も聞いたことがあるのですが、コース数とか、あるいは、 いわゆる1学年といいますか、養成数はかなりの数になっているのでしょうか。 ○竹内構成員 私の理解では、アメリカで毎年PhDが200名ぐらい出てきていると思 いますが、それでも足りないという現状です。また後でご議論になるかと思いますが、 これも山本精一郎構成員からの提出資料に入っているのですが、生物統計をやっており ますと、抗がん剤は抗がん剤特有の生物統計解析法がありますので、それを専門的にや る。また、神経疾患分野ではデータがありますので、それを専門的に解析すると。非常 に専門分野に特化してくるという状態ですので、どうしても米国では生物統計を養成す る教育の学科が多くなっているのが実情だと思います。 ○楠岡座長 ほかにありますでしょうか。 ○荒川構成員 大学院コースで、実際の臨床試験で学位を取らせるとなると、どうして も臨床研究の実施期間が長いという現状に縛られてしまって、なかなか学位論文をまと めるのは容易ではないという現状があるかと思うのです。その辺、アメリカ等での事情 を、ご存じでしたら教えてください。1つプロトコルを作ることだけでも発表できる雑 誌があると聞いておりますが、そういうことも含めて、どうあるべきかを教えていただ きたいのですが。 ○竹内構成員 私は最後に現状または提言で書いたのですが、やはり医療現場の先生方 と実際に提携または連携しておりますと、そこからデータが上がってきますので、その データを一緒に解析していくと。私はアメリカで教育を受けたのですが、そのときには ダナパーバーキャンス・インスティチュートですとかイーコップとか、そういう大きな 団体がありまして、夏の間または授業のあるときに、1週間に1回そこに行って、実際 にデータを解析して、ルーティンワークなのですが、それを解析しながら実際に医療現 場ではどのようにして動いているかと。それによってアルバイト等もできますので、や はり医療現場から上がってくるデータをどうするかと。実際に医療現場から上がってく るデータは非常に汚いデータばかりです。これはヒトのデータで動物実験のデータでは ありませんので、いかに汚いデータが上がってきて、それを数理統計ではない統計でど う決着をつけるかが、非常に経験上大事になってくるかと思っております。 ○山本(晴)構成員 私もEUの臨床研究関係の研究所を訪問したときに、フランスの 国立がん研究所にいらっしゃった、わりと著名ながん関係の生物統計家の方らしいので すが、要はニーズが少ない、患者数を好きなだけ増やすことができない、そこでどうや って効果的に試験をやって有効性をみていくかということで、どうプロトコルを組んで、 どう解析していってやるかという新しい方法でどんどん作っていくということを言って いました。日本の状況は今までの、わりとトラディショナルなやり方で、これだけの人 数がいるから集めないといけないとか、そういう形でずっと走っていて、あまり効果的 ではないようにそのときは感じたのです。特に医療機器とかですね。膨大な数を入れた りすることができないものについて、人数を集めてとにかくやるのだという医薬品のや り方を、そのまま当てはめてやることは無理があります。あと、トランスレーショナル・ リサーチが始まっていくのに、そういう分野々々に応じたやり方を、これは医師が考え るのではなくて、やはり生物統計家に入っていただき、より少ない被験者でどうやって 効果的にやっていくかを同時に考えていく必要があるので、やはり生物統計家をどんど ん育てていくのは臨床研究全体として、非常に必要なことだろうと思うのです。  1つは、大学であればあまり問題はないと思うのですが、うちは国立の病院で、病院 ですと生物統計家をどうやって置くかというポストの確保が、非常にいまのところは難 しくて、結局病院の中は医療職か事務職しか行けない。そうすると生物統計の方は医療 職ではないので事務職に置くのかというと、事務職ではないのですね。例えば、うちで したら併設している研究所に研究職員として入っていただくようなことしかできません し、ですから施設ごとに、特に医療機関によってはポストの確保がすごく難しいので、 その辺を何というか。大学だけではないので、特にナショナルセンターとか、ある程度 拠点となるべき医療機関に、どうやって生物統計家やデータマネジャーの場所を確保し ていくかということは、また別の問題としてあるのだと思うのです。 ○楠岡座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。 ただ今の3つの発表、並びに、いちばん最初に課長から示していただきました論点、そ の他の資料に基づき議論を進めていきたいと思います。一応資料3の論点を下敷にして、 今後、次期治験活性化計画の中で関係職員等の養成・確保について、どういうふうなこ とを取り組んでいけばいいかということについて、ご発言がありましたらよろしくお願 いしたいと思います。  まず最初に医師の所ですが、山本委員に発表していただいた所に関しましては、いか がでしょうか。先ほどの論点の(3)多様なキャリアパスのあり方の中に「花形」臨床研究 者と。山本委員も書かれているのですが。基礎研究の場合は非常に能力の高いトップが 1人おられて、その下に工場のような組織があると、どんどん研究が進んで成果が出て いくのに対して、臨床研究の場合には、確かに着想という意味での「花形」臨床研究者 も必要かもしれないのですが、どちらかと言うと、アメリカなどを見ていますと、がん のグループとか、あるいは循環器ではTIMIという再灌流療法のグループという、要する に「花形」のグループがあって、そこにどんどんいろいろなテーマが来て、進んでいく というように感じます。  臨床研究の場合は1人に依存するのではなくて、かなり組織に依存するようなところ があると思うのですが、その点はいかがでしょうか。 ○山本(晴)構成員 もちろんそれはあると思うのです。例えばフラミンガムスタディ という有名なものがあります。あれは個人の名前ではなくフラミンガムスタディと呼ば れますし、例えばフィジシャンス・ヘルス・スタディとかアイデアは誰かが出している のだと思いますが、結果的にグループ名で有名になっているところがあります。  その一方で、これは臨床試験というより、どちらかと言うとデータバンクに近いかも しれませんが、循環器領域の地域のデータバンクをつくって、それを何年も何年も持っ てどんどん論文を量産していくことで、例えば私の専門領域の脳卒中であれば、この人、 この人、この人という、やはり個人名で呼ばれる方もあるのです。その中には旬と言っ たらおかしいですけれど、やはり非常に目覚ましい臨床試験の成績を上げている個人の 方もおられます。それはどちらもあると思いますが、どちらにしても個人で名前を上げ ていっている方にしても、もちろんそのベースになるデータバンクあるいは臨床試験の 組織をきちんと作って、動かすことができたから結果が出て、名前が出ていっているわ けです。それは個人として非常に卓越して、着想を持って、そういう組織力があってと いう方もあると思いますし、それをさらに超えた大きなものになりますと、やはりスタ ディで名前が呼ばれる。  ただしフラミンガムスタディというものでも、やはり中心メンバーというものが必ず 上げられると思うので、そういうものを着想して実施できる方がやはり。臨床試験にお いては、ちょっと基礎研究の研究者と違って、着想プラス組織力、実行力がきっと求め られるのだろう思うのです。そういうことができる方も医学の研究の中で活躍できるこ とを示せるような環境があれば、こういう道もあるのだなと。  基礎研究は有名な先生がいろいろあって、ああいうように解析やったらこうなるとか、 再生医療やったらこうなるのだというのがあると思うのですが、臨床研究については、 臨床研究をやるとどうなるのかというのは誰も分からないというか、しんどいなという だけで終わってしまっているのが現状だと思うのです。 ○武林構成員 大学にいますと花形のリーダーになる方が必要だと。確かにそうだと思 うのですが、実際にはほとんどの臨床の現場で、今まで、もし学位を考えますと非常に 多くの方が基礎研究で学位を取っているという事情があります。それを考えますと、若 手・中堅のときに、ここでいいますと卒後に当たるときに、やはり学位を含めてどうい うキャリアを作れるかということを、もう少しこの中で議論いただけると。先ほど荒川 委員の話にもありましたが、時間がかかる中で、どういうクオリティーがあれば学位が 取れるか。そこが変わるだけでずいぶん変わると思いますので、そこを是非、引き続き 検討していただきたいということが1点です。  もう1つは、医師のインセンティブの中で、経済的な側面で直接的なことは触れるべ きではないと。これは確かにそうだと思いますが、先ほどのNIHのグラントや論点に もありましたが、やはり一定の時間、臨床研究の時間を使うということに対して、間接 的といいますか、その部分でのサポートが十分でないと、いまの議論では医療で使う時 間の中での給与、その中で、片手間に研究をやるということが非常に大きな負担になっ ていますので、その点も含めて今後議論をいただけると非常にいいのではないかと思い ました。 ○伊藤構成員 基礎研究に関しては確かに「花形」のアイデア勝負というところがある のでしょうけれど、臨床研究というのは多くの人の地道の努力が積み合わさってからで なければできてこない。その地道な努力が評価されていないことが、特に大学みたいな 所で臨床研究が進みにくい現状があるのだろうと思うのです。  今日お持ちすればよかったのかもしれませんが、国立病院機構では、少なくともいま 臨床研究部とか、臨床研究セクター全体の評価の評価表を作っているのですが、それは 基本的に個人票の積み上げなので、そういう形で、例えば治験のケースを、どのぐらい やったとか、やらないとかというのがアカデミック・キャリアとしての評価にされるよ うな形にしていかないと、地道にこつこつと大きなプロジェクトの中で患者に話をし、 納得いただいてデータを積み上げた人たちが評価されなければ臨床研究は進まない。そ うした努力をした人が、アカデミアの中のボスになっていかなければ、そういう人をモ デルとしてつくっていかない限りは、臨床研究は大学の中では進まないのではないかと 常々思っております。この場、もしくは文科省の方々が、例えば教員の評価をする際に、 評価票の中に入れていただくような努力をするのが近道かなと思っております。 ○山本(晴)構成員 伊藤委員がおっしゃるとおりで、NIHがいま非常に臨床研究に お金を出して、臨床研究者を目指す人に個人的なキャリアを育成するプログラムまで作 って、学費のローンまで返してというのは、これは米国でもそのまま普通に放っておく と、結局医学研究者はみんな基礎研究に流れてしまうという現状があって、それをNI Hが認識していて、なおかつ基礎研究をいくらやっても臨床をしなければ何の意味もな いと。日本ではいま頃になってこういう話をしていますが、これが10年か20年前にア メリカでは既に議論されているのです。かなり国のレベルで意図的に臨床研究に人を誘 導するような政策をいろいろ取っているから、いまここまできているという現状があり ますので、研究費を基礎研究にも臨床研究にも付けて、臨床研究にはこのぐらい要るだ ろうから付けてというだけでも、臨床研究は興盛しないだろうと思うのです。  やはり医学研究者の常としては基礎研究のほうがよほどやりやすいと思うのです。お 金があってアイデアがあって、例えば、ある程度コントロールが可能ですので、きれい なデータが出るし、時間をかけてやれば面白いことが出てますます面白いというように、 どんどんのめり込んでいくのは非常に自然なことで、やはり臨床研究はなかなか形が見 えにくい。治験でも症例を積み上げることが、全体にどういう影響を及ぼすのかという ことを個人としてはなかなか認識しにくいということがあるので、かなり意図的に誘導 していくようないろいろなレベルでいろいろな策を講じないと、結果として臨床研究、 治験もそうですが、活発にならないのではないかと思います。 ○一木構成員 いまはCROの立場ですが、企業時代に長くOncology(抗癌剤)の世界で 仕事をしてまいりました。今日は国立がんセンターの山本精一郎先生が欠席ですので少 しお話しいたします。Oncologyの場合ですと、最終的に生存率を見ますので非常に長期 のフォローアップ、5年、10年となります。そういたしますと当初、中心的な先生方も かわられていたりする事が多くあります。その意味で臨床試験に参加された先生方の評 価をする際にも、時間軸での考えも必要になります。基礎ですと1年とか2年で論文を 書けるのですが、臨床試験だと非常に長いタームで見なければいけませんから、ある期 間で評価できないということが1つであります。  それから、これは企業にいたときに非常に揉めたのですが、他施設協同のグループで 良い試験をやるのですが、主だった雑誌は名前をトップ何人しか載せられないのです。 そうするとニューイングランドやランセットに、非常にいい論文が掲載されたとしても、 論文の上ではほんの一部の先生方になります。そこに載るのは非常に少ない先生しか載 せられないということで、一生懸命貢献した人たちの名前が出る場所がないのです。そ ういう貢献した先生方をどこかで拾ってあげないといけないと思います。  それから、抗癌剤の治験の中でも、症例数の順番に学会発表の機会、論文作成の機会 があたえられますが、国立がんセンターが症例をたくさん入れてきますから、それらの 学会発表の機会、論文作成の機会はそれらの症例をたくさんエントリーできる施設の先 生に偏ります。そうすると周りの共同研究の先生方は、いつまで努力しても、自分の所 の9割の患者を一生懸命入れているのだけれど勝てないということになってきて、その 他の施設の先生は離れていくという場合も出てきます。  いま山本委員のお話もありましたが、その瞬間・瞬間に皆が努力したことを、どう入 れ込んであげるかということも反面考えておかないと、いけないのではないかと思いま す。 ○中島構成員 いま議論されている観点とは違うのですが、同じく医師のインセンティ ブに関して、楠岡座長が専門作業班の報告書のほうでまとめていただいた中に幾つかあ るわけですが、その中に今回事務局でまとめていただいた論点にかなり反映されており ますが、1点、やや視野が狭いのかもしれませんが、「治験を行う医師に対する時間的及 び経済的な自由度を高めることが重要である」と。特に後半の経済的な自由度を高める というところが、この論点に入っていないので、この辺の面からの検討が必要なのかな と思います。もちろん山本委員ご指摘のいろいろな問題点、想定される問題点は留意す る必要があるだろうとは思います。 ○楠岡座長 経済的なところは、山本委員からモラルハザードの問題も指摘されていま すし、結局研究者に直接、極端な場合、給与的なものとして返すのか、それとも研究費 というような形で返すのかということになります。民間の病院の場合は、一部給与的に 返している所もあると思いますが、主に行っている所は公的研究機関なので、給与的に インセンティブは出せないので、結果的に研究費というような形でインセンティブを高 める。ただ、そう言いながらも山本委員が書かれているように、使い勝手が非常に悪い というところがあってインセンティブになっていないという議論もあると思うのです。 この辺りは設立母体等によって少し条件が変わってくるところがあると思いますので、 これは考慮しながら、可能であれば。先ほど山本委員のK23、24と同じように、治験で 全部給料が出れば、極端なことですが、病院で診療をそれほどしなくてもいいというよ うなことになるわけです。そこまではなかなか無理でしょうけれども、そういうのも1 つ考えられるところかと思います。  よろしいでしょうか。後ほどお気付きの点があれば戻っていただくことにいたしまし て、2番目のCRCに関してはいかがでしょうか。 ○荒川構成員 榎本構成員のご指摘にもありましたように施設間の連携が少ない。これ は大学病院だけではないと思いますが、大学病院ひとつ取っても、実は横の連携があり ません。CRCだけの問題ではなくて、事務局の問題とかいろいろなことで連携してい かなければいけないと思っていますが、現状としては、実は実現していません。連絡協 議会とか、そういった本当の実務レベルの機関が必要だと思っています。 ○楠岡座長 榎本構成員から出ている8頁、9頁、先ほど中島構成員からもお話があり ましたが、治験依頼者とCRC、CRCに限らず治験に関わる診療サイドのほうと本音 で意見が言える場所がなかなかないというのも事実で、個別に、例えば国立病院機構の 中では、実はEFPIAと年に1回意見交換をする場を持っています。これもわずか2 時間ぐらいの間で、お互いに言いたいことを言って終わっている状況です。それ以上に なると大変なことになるので、そこで終わりというのが現状だと思うのですが、そうい うようなものがもう少し頻繁にできるところがあればよいと思います。  先ほど中島構成員から企業訪問の話もありましたが、例えば国とか公的なところだと 特定企業1カ所に行ってはいけないみたいな縛りがあって、業界団体だったら話をして もいいが、1つの会社への訪問的なことはあまり好ましくないとする風潮があります。 実際それが問題になるかどうか疑問なのですが、長い歴史の中でいろいろな問題があっ たので、特定のところとのやり取りはやめなさい、やるのだったら団体と団体でやりな さいみたいな形に今はなっているところがあります。それでも、ないよりはましと思う のですが、そういう場の設定というものをどんどん積極的に行うべきと思います。例え ば、いまのCRCのあり方検討会なども、ある意味、1つの場にはなると思うのですが、 例えば製薬協なり他の団体から交流会の申入れがあれば開催する予定があるので、そう いうオーガナイズしてくれる人を募集するとか、そういうのがあればもっと進むのでは ないかと思うのです。  遠くへ出かけて行くというのはなかなか大変なので、せめて日帰り可能な所ぐらいの 地域で、まとまって半日程度ディスカッションをする所があればと思います。依頼者側 には申し訳ないですが、少し遠くになるかもしれないけれど、来ていただくような形で、 そういう場所を持っていくことができると、かなり改善していくところはあるのではな いかと思います。 ○中島構成員 私ども製薬協のほうでさせていただいているのは、CRCの方々等に在 京の5つぐらいの企業にご協力いただいて、開発に携わっておられる方々の仕事を、多 様なものが当然あるわけですが、直接ご覧いただいて、CRCの方々が日頃やっている 仕事が、どういうように開発と結び付いているかというところをご理解いただくという ことで。準備とか、当日丸1日、アテンドを企業側の人間がしなければいけないという ことで、負担はかなりあるとは聞いているのですが、大変重要なことなので、やはり今 後とも続ける必要があるだろうという話をしております。  それ以外にまた違う形態のものでニーズがあるようでしたら、おっしゃっていただけ たらと思っております。 ○榎本構成員 製薬企業に訪問させていただくのは、たぶん看護協会の養成研修会の中 に毎年プログラムとして組まれていまして、看護師の方が訪問して意見を交換するのが あるというのは聞いています。コーディネーターとしては、やはり日頃の業務で煮詰ま ってしまって、例えばケースカード、症例報告書などが非常に書きにくいとか、こんな に厚ぼったいとか、毎回同じ頁に何回も同じことを書かされるとか、そういったことが あったりして。ですが製薬企業のデータマネジメント部門の方たちとお話をすると、な ぜこういう形態が必要なのかと、先ほどの生物統計とか、そういった解釈がどうして必 要であるかということを知ることができます。「それでしたら私頑張ります」という気持 ちになり、そういった些細なことで相互理解が深まるのではないかと思っています。特 に今後IT化になってコンピューターで入力していかなければならない、でも誰がやる のかというと、コーディネーターがやっていかなければならないかもしれないというこ とで不安を感じている方も多いのではないでしょうか。是非、そういうことを業務とし て理解できるように、交流の場を設けていただければと思っています。 ○山本(晴)構成員 私は医師のほうには経済的な、直接的なインセンティブは要らな いのではないかというか、必要ないと書きましたが、CRCとか協力者の方々には、直 接的な経済的なインセンティブをつけるべきだと思っております。彼らは自分の仕事で きちんと経済的に報われることで、その仕事に対するインセンティブは出るし、逆に言 うとこれで生活されているので、生活の基盤を安定させることが、やはり仕事の能率と 質を上げていくことだと思うのです。  私の病院のCRCはほとんどが非常勤で非常に雇用条件が悪いです。CRCだからと いって、例えば看護師、薬剤師の非常勤の時給に何も上に付かない。看護師よりはいろ いろな勉強をしてやっていただいているのに付かないということがあります。うちで研 修というか、実務経験を積んだ後にSMOに逃げられるのではないかといつもどきどき しているのです。  そこでお聞きしたいのです。SMOのCRCではなくて、こういう医療機関で、かな り状況が悪い中で頑張っているCRCにもうちょっと、何というふうにしていったら現 状が良くなっていくのかをお聞きしたいのです。 ○榎本構成員 その辺が非常に難しいのです。コーディネーターに関しては、これは発 表しなかったのですが、私の作った資料の11頁をご覧ください。もしインセンティブを 与えていただけるとしたら、この辺かなというのを記載してみました。まず1番目は安 定した就業環境の整備です。山本先生がおっしゃられるように、最低限生活できる、希 望すればコーディネーターがずっと続けられるということは皆が望んでいることだと思 います。私も大学病院に勤めていますが、たまたま治験の部署に12年間ぐらいいるので すが、明日薬剤部長に異動と言われればすぐに交代する環境にあります。また、定員化 がなされていないというのが現状です。最近、センター化されて東大とか大きな病院で はコーディネーターが専任になっていますが、やはり、まだまだ薬剤部の中、看護部の 中からの出向という形で、いつでも交代可能という感じで働いているコーディネーター がほとんどだと思います。私は薬剤師として当直なども担当していますので兼任として 仕事をしているのも現状です。  今後の課題ですが、やはりコーディネーターとして、管理職として昇進の道もないと、 たぶん途中で行き詰まってしまうという現状があると思います。費用的には生活できる 程度でいいのですが、安定した雇用条件がみんなの望んでいることかなと思っています。 ○武林構成員 最初の論点の中に「治験コーディネーターからクリニカル・リサーチ・ コーディネーター」とありますが、この今後の中で、1つは、質の向上への提言で「製 薬企業担当者」と書いてありましたが、おそらくクリニカル・リサーチになってきます と、直接医学部の中の医師という形になると思うのです。そこに対するCRC側から見 た問題点なども少し整理していただいて、提起いただけると。医学部の中では、ほとん ど理解のない状況の人もおりますので、そこの改善は非常に重要ではないかと感じてお りますが、その辺はいかがでしょうか。 ○榎本構成員 私もこの時点で、製薬企業の方との交流と書いたのですが、もっと医師 とか、生物統計家の方とか、DMの方と是非交流していきたいとコーディネーターは思 っていると思います。ですけれども今の現状として先生方とそういった論点的にお話を できる現場がなかなかないので、是非そういう場を少しずつ作っていただければ。同じ 場所におりてきていただいて、何が必要かとか、こういった試験デザイン、こういうメ リットがあって正しく評価できるのだよ、ということを教えていただければ、たぶんコ ーディネーターにとってすごく財産になりますし、インセンティブになると思っていま す。 ○荒川構成員 私どもの施設はまだそんなに多くはないのですが、いわゆる自主臨床試 験に対してCRC支援をやっております。これはいろいろなレベルでやっております。 人件費がかかってきますので、最近は受益者負担でやっております。CRCが臨床研究 に関わっていく上でのいちばんの問題点は、やはり医師側のレベルがきちんといってい ないといけないということです。プロトコルはじめその他が、はっきり言ってGCPレ ベルになっていないと支援する側がものすごく混乱に巻き込まれます。そういったレベ ルでない試験に対してCRC支援することは最早ナンセンスに近いと実感しています。 ですから、そういうクオリティーがないと駄目です。医師のほうにもCRCの職務がど こまでか、CRCのマンパワーも考慮していただかなければいけません。一旦かかわり だすと、夜中のミーティングにも引ずり込まれていってしまいます。自分たちで始める 前に、ここまではCRCの仕事ですよ、ここは先生の仕事ですよと。あるいは大学院生 の応援がもらえるのだったら、大学院生にもここをやってくださいよということをきち んと取り決めておかないと、ずるずる引き込まれて大変なことになります。これは日ご ろ実感しております。 ○楠岡座長 前半のお話は次の基盤の所で、臨床試験に対してGCP適用をするかどう かという話になってくるかと思いますので、そこでしていきたいと思います。 ○尾芝構成員 感想みたいになってしまうのですが、今までのお話を聞いていますと、 やはりCRCの問題を1つ上げても、いわゆる病院、大規模医療機関の院内CRCと呼 ばれている方の状況と、SMO所属のCRCの状況とは、かなりどころか、すごく違う のではないのかなと。これを一発で話をしてしまって本当にいいのかなというのが素直 な疑問です。経済的なインセンティブ、山本委員が言われたみたいに、これは全然違い ます。でも期待するほど院内CRCがSMOに流れている状況がないのが事実です。明 らかに企業活動をしているSMOと、医療活動を専門とする医療機関に所属するCRC は、基本的に立場が違うのは事実だと思います。  それと同時に、榎本構成員が言われた教育に関してもそうなのですが、既にある外部 の研修機構を使って皆が参加すればいいというのは、これはもっともなことです。SM Oという企業体はサービス業ですので、その教育は自前でやることがハナから期待され ていますので、外部に依存するより自分たちでそういうシステムを作ろうと。ただし、 その最低レベル、ミニマムリクワイアメントは確保しなければいけないので、業界団体 でそのラインを引こうとか、そういった活動にどうしても流れてしまう。時間の制限な どがあり、公の所に出ることよりも自分たちでやろうと、そのための教育専任者を育て ようというアプローチの違いが歴然と行われてしまう。CRCのことは非常に大切なこ と。  それから、企業体としてのSMOが、いわゆる臨床研究にインボルブされる機会は非 常に少ないので、そういう点でも感覚は違ってくるでしょうし、最後に出ましたインベ スティゲーターとの関係。SMOの場合は、皆さんもご存じのように診療所で行われる 場合が圧倒的に多いです。ここにいらっしゃるインベスティゲーターというか、治験責 任医師の方は大病院にいらっしゃる先生方と違って、治験、臨床経験は最近はないとい う方がほとんどです。そういう医師のアティチュードというのは、今度はCRCに頼る わけです。逆に言えば、CRCと対抗するのではなくCRCと十分時間を取って、話を しなければ仕事が前に進まない。これも環境の違いであると。要はどこをカバーしてい るのか、何をターゲットにして、どういう人たちとしているのかというのが、同じCR Cという言葉を使っても、えらく違います。今後、教育にしても制度にしても、ここで 検討していただく場合には、その辺りも意識をして、ある面では切り分けて考えていた だきたいと考えられます。  もう1つは、先ほどの榎本構成員の話のところで、情報がもっと早くほしいというこ とがありました。いろいろな情報もあるのですが、治験ということに限って言えば、治 験に関する規制情報がなかなか現場に届かない。規制の変更に対しても、講習会を待っ ていたらいつになるか分からないというような状況で、そこがミスの原点になる場合も ありますので、情報の共有化というか、CRCの人たちにも発信できるようなことも考 えていくべきなのかなというのを少し感じました。 ○楠岡座長 情報の共有化に関しては単にCRCだけの問題ではなくて、依頼者側、製 薬企業と規制当局と実施医療機関の3者の迅速な情報交換が、いまシステムとしてない のが問題ですので、これは今後の検討課題になってくると思います。  昨年の作業班でも少し話が出ていたのですが、CRCの雇用形態、非常勤であるとか、 雇用制限、3年契約というような問題は、たぶん国立大学が独法化して非公務員型にな ったときに解消されるとみんなは期待していたら全然解消されなかったとか、現にそれ はできるはずなのですが全然動いていないというようなこともあるので、その辺は現段 階で次の5カ年を待たずに、少し検討していける課題ではないかと思っています。ただ、 雇用、労働関係の問題等も絡んできますので、なかなか一概にはいけないところもある かもしれないとは思っております。  時間がありませんので、次に生物統計家、データマネジャーのほうに進みたいと思い ます。この点に関しては、いかがでしょうか。 ○小林構成員 今日ご欠席の山本精一郎委員がメモを出してくださっておりますが、今 まで統計解析というと、試験が終わった後のデータの整理みたいなところのイメージが かなり浸透しているのかなと。山本精一郎委員はメモで、「研究・試験デザインの計画立 案」と箇条書にされていますし、研究開始から終了までのすべての段階に関与すること を前提に議論すべきだということで、資料3の論点にも、生物統計家が計画立案に関わ る体制づくりを推進しようというように、非常にいい論点だなと思っています。ただ、 こうした受け皿づくりが進むのは大変いいのですが、その一方で、医師の教育のほうに 話が戻るかもしれませんが、医師主導治験のプロトコルも、世の中に出ないものもいろ いろ見ているのですが、なかなかあやういものも多くて、そうすると生物統計家が関与 しないということが非常に多くて、身近にそういう人がいないのかもしれないし、そう いう人をうまく巻き込むという考えがもともとないのかもしれません。医学教育で卒 前・卒後を通じて統計の基礎的な話はあると思うのですが、やはり専門的な話は専門家 を巻き込むべきですし、その辺の研究者に対する教育の意識改革というようなことも、 ここは医師教育の今後の取組みかもしれませんが、そういった観点で取組みを進めるべ きではないかと思います。 ○竹内構成員 いまのフォローアップなのですが、キャリアパスのあり方で、いわゆる 生物統計家のポストを医療機関または大学にどのようにして置くか。うちは助教授と講 師と私と3人いますが、いま持っている臨床試験のプロトコルだけで1人が何十本と持 っており、もう目一杯であると。ところが大学の体制ですと、それ以上雇えないという 体制があります。せっかく臨床試験を一緒にやろうとしてプロトコルは書いているので すが、自分のマンパワーが目一杯で壁に達してしまっているということがありますので、 いわゆる生物統計家を各医療機関、または大学機関でどのようにして受けるかという基 盤づくりをしていただくと、非常に助かります。  もう1つはコンサルティング機能の検討です。これは非常にいいことだと私は思って おります。先ほども申しましたが、どうしても各疾患によって生物統計、または採集さ れるデータの性質が違っています。例えば、ハーバードの例ではハーバード関連のホス ピタルとマサチューセッツ・ゼネラルホスピタル、そこのすべての方がハーバードに来 ていて、そこで各専門の方が各コンサルティングをして、皆さんでプロトコルを書いて いくという体制ができてきますので、そういうようなb)の生物統計のコンサルティン グセンターが、もし機能ができるようであれば、ある程度医療機関または学会等と関連 を持ち、それぞれの専門の統計家を置くことができれば、1人10本から20本ぐらい持 てます。ある程度専門にやっていきますと、どういうデータが出てくるか、何を注意し なければいけないかというのも経験上わかってきますので、効率良くいくのではないか と考えられます。  次のデータマネジャーに関しては、臨床研究を行う場合に、臨床研究、データミスト をどうするか。いわゆる日本のGCPに準拠して治験までの質を担保しないといけない のか、または海外の一流雑誌に投稿できる、また投稿できた後にFDA等に申請できる までのデータでいいのか、ということによって非常にDM業務が変わってきますので、 その辺を少し議論していただくと非常に助かるかなと。海外のクオリティーでいいとい うことになりますと、臨床現場の先生方が承認された薬を以って効能拡大をやりたいと。 自分たちは、この薬はこういう患者に効いているということに興味を持たれて、効能拡 大ということで医師主導型の各医療機関で臨床研究をされる場合に、もし臨床の質が高 くなってきますと企業側からそれに対してのお金がおりてくるという道もできます。ま た、海外ではそのようにして臨床研究の資金を稼いでおります。そういうような臨床研 究の質を高めると同時に、企業からの支援も、そこに降りてくるような体制をつくって いただくような形で将来を考えていただければ、臨床研究を行う場合の、いわゆる資金 が、公的資金でないといけないとは限らないと思います。やはりデータの質をどこまで ターゲットにするかというのも非常にネックになってくるかなという気はいたします。 ○中島構成員 いま竹内委員が言われたことに関連しますが、そういう意味では山本委 員が先ほどご説明された中に、いわゆる臨床試験全般に対して、ICH、GCPを適用 するというのは、その基盤をつくるという意味ではいいのかなと。現在のJGCPでは どうかなと思うのですが、そういうようには思います。  もう1点は、こちらの論点の中に出ております「臨床研究の拠点となる医療機関にお いて云々」とありますが、これはすべての項目で臨床研究の拠点となる医療機関いう言 葉が出てきております。これはCRCのインセンティブにしても何にしてもすべてかか ってくるところだと思うのです。拠点医療機関の性格、規模、整備のスケジュールとい ったところは非常に重要なのかなと思います。  先般、井村先生の講演を聞く機会があったのですが、アメリカでは120の大学のうち 80の大学に臨床研究センターを整備してきている。一方、韓国の製薬局がありますが、 そことの意見交換の中で臨床試験、日本で言えば治験も含むのでしょうが、そういうこ とができる施設、エデュケーショナルな施設だと言っておりましたが、そういう所を109、 国が指定して整備を図ってきています。さらにその中に、そろそろ臨床研究センターと いうものも整備しつつあるという事例があるようです。だから、そのくらいの規模を目 指した拠点の整備が必要なのかなと。ここに研究開発振興課が現在やっておられる「臨 床研究基盤整備推進事業の活用」というのがありますが、是非、拡大というところをお 願いしたいと思っております。 ○楠岡座長 拠点のことに関しては、次回以降制度の問題もありますので、また事務局 から意見をいただきたいと思います。  少し時間が過ぎておりますが、最後に治験に関係する事務職員、その他に関して何か ご意見ございますか。 ○荒川構成員 いまの生物統計家のこともありますが、実は、私ども自主臨床試験の支 援をやってきた関係で感じていますのは、支援者側の教育が必要であるということです。 病院機構のほうはやっていらっしゃると聞いておりますが、実はそちらのほうの、例え ばプロトコルづくりの支援とか、そういったことができる人材がまだ不足しております。 それを早急にやらないと質が上がらないという側面があります。そこのプログラムを作 っていかなければならないだろうと思っています。 ○山本(晴)構成員 治験のときはある程度決められた書類でやっていったらいいと思 うのですが、臨床研究もやっていくと。それから臨床試験をさらに、医師主導治験を先 頭としてやっていくということになりますと、少なくとも事務職員の中に、ある程度薬 事のことが分かる、特に法律関係のことが分かる方を養成していく必要があると思いま す。海外の研究所レベルでも、もう既にそういう方を置いて、有害事象の対処や、いろ いろな薬事の書類とか、そういうことをされる方を養成されていると思います。います ぐには難しいと思いますが、そういう事務職員を置かなければいけないということは確 認する必要があると思います。 ○一木構成員 CROでいろいろな所と手続をさせていただく機会が多く、特に事務の 方々と接する機会が多くあります。その際に、例えば特定療養費等ですが、考え方が同 じ国立病院でも病院や事務局によって違ったり、また、研究費の算定の点数も、ある所 は非常にわかっている方が「この試験は、こういう試験なのでこういうように計算いた します」ときちんと説明してくれる所もあるのですが、ある所は、その中身が全然わか らなくて「こうです」と言われて、こちらが試験の内容を説明してもなかなか理解でき なくて、2回、3回と訪問しなければいけないということがあります。すべてのことが できるのがいちばんいいのでしょうけれども、それを望むのはちょっと無理な話なので、 少なくとも事務手続のときに、決まった特定療養費の問題、被験者の負担軽減費の算出 の仕方の問題、研究費の算出の仕方とか、こういうものをもう少し事務の方がよく分か るような教育システムを事務の中に入れていただけると、治験手続がとてもやりやすく なって良いのではないかなと考えられます。  それと用語にしても、こういう書面を持って来ましたと言っても、その書面の名前が わからない人がいたり、その辺を少しクリアするだけでもかなり負担は軽減できるので はないかと思っております。 ○楠岡座長 ほかには、よろしいでしょうか。それではもう時間が過ぎておりますので 本日の意見交換はここで終了させていただきます。本当に活発なご意見をいただきまし てありがとうございました。今日いただきました意見をもとに事務局で取りまとめて、 今後、秋ごろにまとめていく中間報告に盛り込んでいきたいと思っております。  次回は、医療機関の体制整備、それから、患者等の治験参加の促進、という論点で議 論を予定しておりますのでよろしくお願いしたいと思います。最後に事務局から、連絡 事項等ありましたらお願いします。 ○事務局 今回も活発なご議論をいただきましてありがとうございました。次回の日程 ですが、先立って先生方の日程調整をさせていただいております。その結果を踏まえて、 平成18年8月28(月)の17時から19時という時間で開催させていただきたいと思い ます。場所については追ってご連絡申し上げます。  なお、本日の議事録については、作成次第先生方にご確認をお願いして、その後、公 開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。また、冒頭に申し上げ ましたように、前回の議事録については机上に配付しておりますが、各構成員の先生方 にご出席いただいたものですので、よろしければこれで公開ということにさせていただ きたいと存じます。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、これで第2回の次 期治験活性化計画策定に係る検討会を終了させていただきます。本日はどうもあり がとうございました。 (照会先)   厚生労働省医政局研究開発振興課    (03)5253−1111(内線 2545)