06/07/12 第1回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について 第1回医療施設体系のあり方に関する検討会 日時 平成18年7月12日(水) 14:00〜 場所 中央合同庁舎5号館共用第8会議室 ○企画官 定刻ですので「第1回医療施設体系のあり方に関する検討会」を開 催いたします。委員の皆様におかれましてはご多忙中のところ、当検討会にご 出席いただき、まことにありがとうございます。  まず、資料の確認をいたします。座席表と議事次第、「医療施設のあり方に 関する検討会について」と名簿で2枚、資料1として2枚、分厚い資料2があ ります。不足がありましたらご指摘ください。また乱丁・落丁等がありました ら、随時ご指摘いただければと思います。  議事に入る前に、私からこの検討会の委員の皆様のご紹介をさせていただき ます。アイウエオ順で申し上げます。まず愛知県健康福祉部健康担当局長、五 十里明委員です。社団法人日本医師会常任理事、内田健夫委員です。学習院大 学経済学部教授、遠藤久夫委員です。社団法人日本歯科医師会常務理事、太田 謙司委員は本日ご欠席の連絡をいただいています。代理として社団法人日本歯 科医師会専務理事、内山文博参考人です。千葉大学医学部附属病院長、齋藤康 委員です。  国立社会保障・人口問題研究所政策研究調整官の島崎謙治委員です。日本通 運健康保険組合理事長、島村勝巳委員です。社団法人日本医師会常任理事、鈴 木満委員です。慶應義塾大学経営大学院教授、田中滋委員です。社団法人全日 本病院協会副会長、西澤寛俊委員です。東芝人事・業務企画部部長付、藤川康 立委員です。社団法人日本看護協会副会長、古橋美智子委員です。特定非営利 活動法人日本医療マネジメント学会理事(地域医療委員会委員長)武藤正樹委 員です。順天堂大学医学部附属順天堂医院長、梁井皎委員です。社団法人日本 精神科病院協会副会長、山崎學委員です。社団法人日本薬剤師会副会長、山本 信夫委員です。特定非営利活動法人ヘルスケア・リレーションズ理事長、和田 ちひろ委員です。  続いて、事務局を紹介いたします。医政局長の松谷です。医政局総務課長の 原です。同じく、指導課長の谷口です。看護課長の田村です。国立病院課長の 外山です。歯科保健課長の日高です。このほか、審議官の宮島と医事課長の中 垣が出席の予定ですがまだ遅れています。私は医政局企画官の梶尾です、よろ しくお願いいたします。  事務局を代表して、医政局長の松谷からご挨拶申し上げます。 ○医政局長 医政局長の松谷でございます。委員の皆様方には大変お忙しい中、 医療施設体系のあり方に関する検討会委員ご就任をお引き受け賜り、まことに ありがとうございます。また、本日はお忙しい中をご出席いただき、重ねて御 礼申し上げる次第であります。  ご存じのとおり、今般、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医 療法等の一部を改正する法律」が成立いたしました。去る6月21日に公布さ れたところです。今回の法律改正においては、地域における医療機能の分化・ 連携を推進するための医療計画制度の見直しをはじめとして、患者の視点に立 った医療提供体制のあり方に関する改正が行われたところであります。  今回の改正に当たりましては、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、ま ず平成15年8月に医療提供体制の改革のビジョンを取りまとめました。その 実現に向けた施策のあり方について、平成16年9月から「社会保障審議会医 療部会」において医療提供体制全般にかかる議論が行われてきたところでござ います。  その議論の成果として、昨年末、平成17年12月8日に「医療提供体制に関 する意見」が取りまとめられました。先ほど申し上げました医療法等の改正の 中にその内容が盛り込まれたところです。いくつかの検討課題がこの意見の中 で残されています。具体的に申し上げますと、1つには「地域医療支援病院制 度のあり方」、2つ目には「特定機能病院制度のあり方」、3つ目には医療法 施行規則にある「病院における外来患者数に基づく医師数の配置標準」規定の 必要性、この3つの課題について「医療施設体系のあり方に関する検討会」を 開催して検討を進める旨が指摘されたところです。  また、かかりつけ医のあり方についても、患者の視点に立ってどのような役 割が期待されるのかなど、各地域での医療連携が適切に行われますよう、引き 続き検討が必要とされているところでございます。本検討会はこうした経緯を 踏まえ、開催することになった次第です。  さらに、先の通常国会の法案の審議におきましては、特定の地域や診療科に おける医師確保対策について大変多くの質疑が取り上げられたところでした。 主要な事業ごとに医療連携体制を構築していく中で、病院・診療所等の開設者 はどのように取り組むべきか。あるいは、病院・診療所は地域に必要な医師の 確保方策との関係においてどのような役割を担っていくことになるのかとい った論点についても、当医療施設体系の一環として幅広くこの検討会でご議論 いただければと考えている次第です。  厚生労働省としては、本検討会でのご議論を踏まえ、次期医療法等の改正や 診療報酬改定の議論にも反映させていくこととしたいと考えています。こうし た本検討会の開催の趣旨についてご理解をいただき、医療施設体系のあり方に 関し、医療等に対し高い識見を有しておられる委員の皆様方の幅広い視点から の重ねてお願いを申し上げ、私からの挨拶としたいと思います。どうぞ、よろ しくお願いします。 ○企画官 続いて、本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。事前に 委員の皆様方にもご相談させていただいていますけれども、座長には慶應義塾 大学経営大学院教授、田中委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう か。   (異議なし) ○企画官 ありがとうございました。また、座長が不在の場合に議事の進行を お願いする座長代理については、学習院大学経済学部教授の遠藤委員にお願い したいと思います。いかがでしょうか。 (異議なし) ○企画官 ありがとうございます。委員の皆様のご賛同を得ましたので、田中 委員に座長、遠藤委員に座長代理をお願いしたいと思います。田中委員、遠藤 委員におかれましては、恐れ入りますが座長席、また代理席にお移りいただき たいと思います。 (移動) ○企画官 座長に一言ご挨拶いただいたのち、以降の議事運営をお願いいたし ます。 ○座長(田中) 皆様のご賛同を得て、座長を務めさせていただくことになり ました。一言ご挨拶申し上げたいと思います。  いま、局長からご挨拶を頂戴しましたように、この検討会はついこの間、国 会を通ったばかりの医療法のさらに次を担う、大変早いスピードですが、積み 残した問題をいくつかご指摘いただきました。委員のそれぞれのお立場から忌 憚のないご意見を伺い、良い方向に進めていくようにしたいと思います。遠藤 座長代理のご協力を得てうまく進めたいと思いますので、どうぞよろしくご協 力のほどお願い申し上げます。  まず、議事に入らせていただく前に手続論ですが、「委員欠席の際の手続き」 というものがあります。委員欠席の際、代わりに出席される方の扱いについて お諮りいたします。先ほども既に紹介されているのですが、本検討会において は委員欠席の際、代わりに出席される方に関しては、事前に事務局を通じて座 長の了解を得ること。さらに、当日の検討会において承認を得ることにより参 考人として参加し、発言をいただくことを認めることにしたいと思います。以 上のような取扱いでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○座長 異議なしということでした。先ほど、既にご挨拶いただいていますが、 本日の会議については社団法人日本歯科医師会専務理事の内山参考人のご出 席を認めています。  もう1つ、検討会の進め方について確認をしたいと存じます。当検討会につ いては公開で行い、議事録についても事務局でまとめたものを各委員にお目通 しいただいたのち、厚生労働省のホームページで公表することとしたいと思い ます。この点についてもご了解をお願いいたします。  早速、議事に入りましょう。事務局から本検討会の趣旨、および当面のスケ ジュールについて説明をお願いします。 ○総務課長 この検討会の開催趣旨について、大枠としては先ほど医政局長の 挨拶にあったとおりです。社会保障審議会医療部会の昨年12月の意見におい て、さらに検討が必要であるとされた論点がいくつかあります。本年に入って からの医療部会での議論、さらに通常国会でのさまざまな議論等を踏まえ、医 療法等にさまざまな定めのある医療施設体系のあり方についてご審議いただ く。次期医療法改正や次回診療報酬改定への反映も視野に入れてご審議いただ きたいということです。  当面のスケジュールですが、本日はこの検討会のテーマとしてご審議いただ きたい事項について、どのような課題があるのか。大枠はいま申し上げたよう なことなのですが、のちほどご説明します「論点メモ」、過不足もあろうかと 思いますのでご自由にご議論いただきたいと思います。今日は全体についての フリートーキングをしていただきたいと思います。  年内はこのあと、8月はお休みをさせていただいて、9月から月1回程度の ペースで3回ほど開催したいと思っています。各回テーマを決めて、今日全体 を議論していただいた中からテーマを分け、改めて突っ込んだご議論をいただ きたいと思います。  年が明けて、その先についてですが、これは今日を含めた皆様方からの議論 次第であり、委員の方々とご相談しながら決めていくことになります。先ほど 言いましたように、次回の診療報酬改定に関連してくる可能性もありますので、 一応来年の夏には一旦中間的な整理をお願いすることになるのではないか。こ れはもちろん、これからの議論次第ですし、そもそも診療報酬改定もあるかど うか、決まったことではないのでわかりません。ただ、例年だとそういうこと になりますので、皆様方とのご意見も踏まえながら、一旦中間的な整理をお願 いすることもあろうかと今のところ予定しています。以上です。 ○座長 ありがとうございました。ただいまの説明にありましたように、まず 本検討会における検討課題について事務局よりご説明いただき、それから自由 に意見交換をしていこうと思います。事務局から資料についての説明をお願い します。 ○企画官 資料1の2枚、資料2の分厚いものがありますが、資料1を基本に 説明したいと思います。  資料2が非常に分厚い資料ですけれども、資料2の構成として61頁以降に 「参考資料」ということで、昨年12月8日の医療部会の「医療提供体制に関 する意見」があります。概要が6枚あって、本文が68頁から20頁にわたって 付けています。また最後の2枚、88、89頁はその意見を受けて整理した医療法 等の法律案の概要、どういった内容であったかという概要が2枚付いておりま す。  先ほど局長が申しましたように、平成15年8月に医療提供体制の改革のビ ジョンを取りまとめ、その中で患者の視点の尊重、質が高く効率的な医療の提 供などを柱に掲げ、その具体化をどう図るかをこの61頁からある医療部会で やってきたところで、その意見集約、法案という流れにあったわけです。議論 の経過の中で、議論を集約をせずに、至らずに引き続き検討すべしとされた論 点を中心に、この検討会ではご議論をいただきたいということであります。  この検討会の名前は「医療施設体系のあり方に関する検討会」ということで すけれども、現在の医療法の医療施設体系がどういうことになっているのか。 この資料の頭のほうに戻って、1頁に「医療法に基づく病院・診療所の体系に ついて」を付けています。◎で病院が9,014施設、中ほどの下のほう、診療所 が16万5,673施設となっています。病院の医療法上の定義は、「20人以上の患 者を入院させるための施設を有し」云々ということであり、診療所は「患者を 入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるため の施設を有するもの」ということで、病院と診療所が区分されています。  診療所の中には一般の診療所と歯科の診療所があります。一般の診療所の中 で、入院させるための施設を有しないのが「うち無床」という8万4,686施設。 19床以下を有するというのが1万3,719施設ということで、ここは有床の診療 所ということであります。  病院については「20人以上の患者を入院させるための施設」です。その中に 医療法上2つ類型があって、1つは「地域医療支援病院」、これは平成9年の 医療法改正で制度ができたものであります。「地域における医療確保のために 必要な支援に関する要件」ということで紹介外来制、救急、200床以上等の要 件が定められています。それを満たす病院として知事の承認を受けたものとい うことで、120の施設が現在承認を受けています。また「特定機能病院」は平 成4年に制度化されたものです。高度の医療を提供する能力を有する、高度の 医療技術の開発及び評価という要件で、現在81の施設が定められているとい う医療法上の体系になっています。  資料1に沿い、どのような検討課題があるか。1つ目の「地域医療支援病院」 については、資料2では2頁以下に制度創設時の考え方の趣旨や現状、これま での制度の改正経過などを付けています。資料1で言うと「医療連携体制の構 築」ということで、今回の医療法改正を踏まえ、各地域で事業ごとの医療連携 体制を関係者の協議のもとに作っていくことを進めていくわけです。そういう こととの関係において、先ほど言ったような、地域のかかりつけ医等の支援を 一手に引き受ける位置付けである地域医療支援病院の制度を、どう考える必要 があるのか。  2つ目の○以降については、現在想定されている機能があって、それに対応 した形での要件が定められているわけです。そもそも求められる機能というの はどうあるべきか、その機能に対応した要件というのはどうあるべきかという 「そもそも論」から議論があっていいのではないかということで、このような 論点が○でまとめられています。  2つ目に「特定機能病院について」とあります。これについては資料2では 15頁以降、同様に制度創設時の趣旨、これまでの経緯・現状等を付けておりま す。資料1の論点について申しますと、1つ目を飛ばして2つ目のところ、 「高度な医療技術や専門性を必要とする治療などの医療需要に対応できる機能 を有する医療機関である」として特定機能病院制度が設けられているわけです。 現状、大学病院の本院とナショナルセンター及び大阪府立成人病センターが承 認を受けているわけです。  これについて、今後、医療機関間における機能分化と連携を図っていく中で どのような位置付けを持つべきか。今回の改正においては現行制度での若干の 手直しということで、地域連携、医療連携体制が適切に構築されるような高度 医療になっているという立場から、適切に配慮することを特定機能病院の要件 に今回改正の中で入れたということがあります。  それに加えて、現状、大学病院が特定機能病院となっている中で、医育機関 と特定機能病院という要件に鑑み、その関係についてどう考えていく必要があ るか。また、この資料の厚いほうでも21、22頁あたりに医療部会でどのよう な議論があったかを紹介しています。大学病院が特定機能病院であり、また教 育研究の機関でもあるということで、ちょっとわかりにくい面もあるのではな かろうか。求められる機能、承認の要件、あるいは名称、その全般についてど う考えていくべきかという話があろうかと思います。  先ほど飛ばした1つ目の○、資料1の2枚目にも専門医の話が出てくるので すが、専門医の育成という関係において実際教育研修機能を持つ大学病院、し かも高度な医療になっているということで、特定機能病院が専門医との関係で どのような役割が期待され得るのかも論点だろうというところです。  3つ目の「医療連携体制・かかりつけ医について」は、資料2では29頁以 降になります。医療計画の中で医療連携体制を作っていくに当たって各関係者、 病院、診療所、病院の中でも大病院や中小病院などさまざまあります。それぞ れが機能に応じてどのように取り組む必要があるか。  2つ目の○、大病院が紹介患者を中心とした入院機能を求められていくこと になるのだろうと思います。そうした場合、大病院における外来診療をどう考 えていくのか。一方、医療連携体制の中で、主に開業医が担うプライマリケア はどのように位置付けられるか。資料の中で33、34、35頁に医療連携体制に ついてのイメージ図をいくつか付けております。プライマリケアを担うかかり つけ医が機能を果たし、各関係者の連携の中で役割を発揮していくというイメ ージ図になっているわけです。  こういった連携体制の構築に当たり、プライマリケアを支えるかかりつけ医 が患者を支える立場に立って、診療時間外でも患者の病態に応じて連絡が取れ るようにすることなど、適切に対応すること等が求められてくるわけです。こ のような方のためにどういったことが必要か。以下の2つ、患者の視点に立っ て、どのような役割が期待されるか等々がかかりつけ医に関してあるのではな いかと思っています。  次に資料1の2頁目、「専門医について」であります。資料2では36頁以降 になります。現在、専門医の質の確保については、国の関与というのは広告規 制制度の中で一定のものは広告できるという形での関与で、質の確保について は学会に委ねている。これについて国あるいは公的な第三者機関が一定の関与 を行うという仕組みが考えられるのではないか、という論点があるわけですが、 これについてどう考えていくのか。そのことを含め医療の質の向上、医療安全 といった観点から、専門医の育成のあり方についてどのように考えていく必要 があるかということが出てこようかと思っています。  5つ目の「医療法に基づく人員配置標準について」、資料2は42頁からです。 今後、人員配置標準そのものの中で情報の開示ということ、医師を何人配置し ているか等、情報の開示が行われる中では、国が一律に外来患者当たりの医師 数に関してどういった基準を定めていく必要があるのかどうかという議論が あるわけです。ただ、一方で、病院の外来というものを今後どのように位置付 けていくかの議論ともまた兼合いが出てくるわけです。その関係を含め、人員 配置標準制度ということについて、施設体系のあり方でどのように考えていく 必要があるのかということが論点としてあろうかと思っています。  最後に、国会審議でも大きく取り上げられた「医師確保との関係について」、 資料2の56頁以降にそれに関連する資料を付けています。救急医療、あるい はへき地医療など、事業ごとに地域の医療連携体制を作っていく中で必要な医 師をどう確保していくかとの関係において、病院や診療所はそれぞれどのよう な役割を担っていると考えるべきであるか。プライマリケアを中心として担う 診療所の管理者にはどういった能力、あるいは経験、機能といったものが求め られてくるのか。  また、救急、へき地医療等に必要な医師の確保の方策との関係において、現 在、都道府県で「医療対策協議会」を設けて、都道府県が中心となって大学や 地域の医療機関の参画のもと、医師派遣の調整など行っている都道府県の例も あるわけです。それとの関係で、現状において医育機関が大宗を占めている特 定機能病院のあり方、あるいは主要な事業ごとに構築することが求められる地 域の医療連携体制との関係といったことをどう考えるべきか。こういったこと が検討課題ということになるのではなかろうかと考えています。事務局からは 以上です。 ○座長 検討課題の説明、ありがとうございました。本日は第1回ですので、 皆様方からの自由な意見交換会のつもりでおります。もちろん、いまの資料に 対する質問でも結構です。遠藤委員には座長代理としての取りまとめというよ り、折角の貴重な頭脳ですので、中立の立場でとんどん意見を言っていただい たほうが我々としては助かります。どなたからでも結構ですので、どうぞお願 いします。この資料に対する質問でも結構ですし、資料にかかわるご自分の意 見の開示でも結構です。 ○鈴木委員 医療供給体制というか、病院と診療所との機能分化というか、お 話したいことは国民医療費の半分以上を病院が使っています。そのうち入院が 3分の2、外来が3分の1の収入で成立しています。  もともと、病院というのは入院を主として診なければならないはずであり、 一方で診療報酬体系のせいなのでしょうか、外来も診なければ病院として成立 しない状況があります。それに派生して門前診療所の問題とか、医療連携では なくて、抱え込みみたいな形が時として見られるという現状があります。病院 の患者だけを診て済むような形づくりというのはやはり、本来必要であるべき ではないかという話をさせていただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございました、病院の機能についてのご意見でした。 ○山崎委員 いまのご意見に追加です。事務局にお願いします。次回の会議ま でに準備してほしいのですが、診療報酬は30兆円強と言われています。その 30兆円強が、国立の病院、自治体立の公立病院、民間病院、一般診療所、歯科 の診療所、調剤薬局というところで使われています。そのパーセンテージの、 整理した表を作っていただきたいと思います。 ○座長 準備してもらうようにしましょう。第1回ですのでお気軽にどうぞ。 しゃべらないと、私が1人1人指名して行かなければなりませんので。 ○座長代理(遠藤) 病院の機能ということと同時に、かかりつけ医の機能と 関連するのかもしれません。いま、鈴木委員のお話で、病院機能を入院に特化 した場合経営上どうなるのか。診療報酬体系そのものから考える必要があると いうお話だったと思います。その辺はきちんと考察すべきだと思います。従前 は外来のほうが収益率が高く、入院が低く、外来部門から入院部門へ、ある意 味で院内で補助しているという形になっていると一般的には考えられていた わけです。  現状はどうなっているのか、支払い方式もDPC対象の病院もありますし、 そうでない病院もある。方式がだいぶ変わっていますので、その辺をもう少し 調べられる範囲で、実は結構難しいのを知っていますが、できる範囲で調べて いただければと思います。DPCなど、もしかしたら入院のほうが利益率が高 い可能性が強いので、その辺を調べていただきたいと思います。  もう1つ、ちょうどいくつかの課題の中で「大病院の外来診療のあり方」と 関連しますけれども、ここのところは微妙なところだと思います。確かに、高 機能の病院に必要のないような患者が行って、本当に必要な患者が医療を受け られないということは非常に非効率的であります。これは十分検討することが 必要ですし、実際、国立がんセンターなどは完全予約制にして、予約は医療機 関でなければということを原則としてやっているようです。このような方法で がんセンターは事実上の紹介患者以外をリジェクトしていく、という方法で動 いているというのが私の理解です。  ただ、一方で患者の立場からすると、やはり高機能の病院で正しい診断を受 けたいという気持も非常に強いものがあるわけです。国民の大病院志向という のはそれなりの理由があるわけで、結果的に不必要と言われても、やはり最初 の段階ではきちんとした誤診のないような、精度の高い診断を受けたいという 気持は持っているのが実態です。その誘導をどうするのか。現状では特定療養 費によって初診料に差を付ける形で多少のバリアを設けている。現状ではその 方向でできるわけです。  さらに一歩進んで、本当に紹介状がないと診られないというところまで踏み 込むかどうかというのは、なかなか一般患者、国民の合意形成をするには難し いものがあるだろうと思います。その辺、患者の視点からも十分に考える必要 があるかなと思っています。  ここに「大病院の外来」と書いてありますけれども、大病院とは何かという 点も非常に重要になるわけです。特定機能病院のようなものをイメージするの か、200床以上の病院をイメージするのかで全然違ってきます。その辺も含め た議論が必要かと思います。以上、関連したことでお話させていただきました。 ○座長 ありがとうございました。外来入院のコストについては、遠藤委員が 委員である中医協に提出した「コスト分科会」の資料だと、共通経費の振分け 方によっては外来のほうが赤字になる調査結果もありました。それから患者の 振分けの仕方、大病院の意味等について問題提起をいただきました。 ○齋藤委員 確かに大病院にかかる患者が多いという事実はあります。その結 果として勤務医が疲弊して、いまどんどん辞めているという状況があり、それ が医師の偏在を生んでいる大きな要因だと思います。なぜ国民は大病院に行く のかについて、決して開業医の先生の診療技術が落ちているというわけではな いと思っています。技術が劣っているということではなくて、国民がそういう 気持を持つような社会になってしまったということが1つあるのではないか。 何が誘導したかということは、やはりこれから議論していくべきことだと思い ます。もう少し連携という視点に立って、例えば診療時間のセッティングにつ いても地域ぐるみでやるとか。医師が、大病院も開業の先生も我々も、もう少 し地域医療の実践について教育をされていくべきだと思います。  専門医から見ると、プライマリケアというものは何となく、言葉がうまく出 てきませんが格下のようなことを言われることがあります。地域医療を支える ことも何となく、医学的には低いレベルで見られることがあると思います。や はり地域医療の専門医、地域医療をコーディネートするような専門医とか、本 当にプライマリケアの専門医ということも育成していくことを考えた上でこ の制度を考えないと、なかなか解決していかないのではないかと思います。 ○座長 医師の教育のところまで踏み込んでいただきました。 ○座長代理 ただいま齋藤委員からありました、私の申し上げ方がまずかった かもしれません。決して、プライマリの医師の技術が劣るというようなことを 申し上げたわけではありません。  実は昔、かかりつけ医に関して意識調査をしたことがあります。サンプルが あまり大きくないので代表性がどこまであるかわかりませんが、直接大病院で 受診をした患者に聞いたアンケートをやったことがあります。それを見ると、 なぜ直接行ったのかという理由は、このアンケートでは「専門的な検査等が必 要だと自分で認識したから」が大体43%、「施設の整った大病院のほうが安心 だから」が52%、「大病院の医師のほうが技術が信頼できる」が19%というこ とでした。医師の技術についての差ではなくて、施設や総合力というものに対 して非常にアトラクトされているところがある。その辺、まさにおっしゃられ るようにシステム全体の問題かなと考えるわけです。以上です。 ○古橋委員 この検討会で1つ重要なテーマにしていただきたいのが地域で の連携医療です。医療計画では昨年度にわたり、紙の上では医療計画をいろい ろ議論いたしました。それがいろいろなところで少しずつ、ポツポツと点の状 態で取組みが始まっているように思います。やはり、これがあまねく伝わるよ うに、国民にもわかるよう、できるところから、地域連携医療というものが実 体を伴う形になる。そのような提供のあり方を具体的に検討する必要があると 思っています。  その1つには、地域医療支援病院のこれからのあり方があります。現在、 120の地域医療支援病院とそうではない病院の機能にどれほどの違いがあるかと いうと、従来の承認要件で定まってきた病院では、これから期待される地域連 携をする病院の機能や、形には少し遠いように思います。したがって、地域医 療支援病院というのはまず地域連携をする医療の拠点になるというような形 で、それを現実に連携率が具体的、客観的指標であるならばそういうものを作 って、そこが確実に実態として実施されているような病院体系が要ると思って います。  いまもお話が出ましたけれども、人々は信頼する医療機関にまずはいらっし ゃいます。いらっしゃいますけれども、例えばそこの病院が連携に対してある 意味で方法論を持ち、そして、地域の医療資源としてのかかりつけ医、診療所、 あるいは大規模・中規模・小規模の病院との連携を確実に作り上げていくよう な方向を作れば、最初に大きい病院に行ってしまう国民に対して良い支援がで きるのではないか。理想論かもしれませんが、私はできると思っています。東 京都でも予算を使って助成し、拠点病院的なところと診療所が連携するという 実態も動き始めています。  是非とも地域連携医療をどう具体的にしていくかというあたりをこの場で 十分ご議論していただきたい。その先に、在宅医療がどこまで進むかわかりま せんが、国民がそれをも選択してみようと思うような、そこまで行きつけるよ うな実態の伴うあり方を是非話し合っていただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございました。在宅医療を含む地域連携医療を話し合いた い。そのためには、旧来の地域医療支援病院と本当の意味での地域連携拠点病 院の条件は、多少ずれるのではないかという指摘でした。 ○武藤委員 まさに古橋委員のご意見に全く賛成です。地域医療支援病院もこ れから大きく見直さないといけないと思います。1つは今回の疾患別、事業別 の医療連携体制、その中における中核的な病院としてこの支援病院を位置付け ることがまず大事だと思います。そうすると地域医療支援病院も機能分化とい うか、疾患あるいは事業別にある機能を持たせてネットワークを張っていく。 そういうやり方が必要ではないかと思っています。  それから、現在、二次医療圏の中に概ね1つという形なのですが、もう少し 考え直したほうがいいのではないかという気もします。いま、古橋委員がおっ しゃったように在宅との連携、特に今回診療報酬改定で在宅療養支援診療所と の連携、例えば在宅との連携パスをどうやって構築するか。そうした具体的な 事業目標を支援病院の承認要件等に盛り込むことも必要だと思います。  もう1点、地域医療支援病院が住民に対して情報提供というか、セカンドオ ピニオンというか、いろいろな連携に関連した情報提供のセンターでもあるべ きではないかと考えています。以上です。 ○座長 ありがとうございました。地域医療支援病院のあり方について3点ご 指摘をいただきました。 ○内山参考人 参考人に発言を許していただき、ありがたく思っています。平 成9年の医療法の一部改正で地域医療支援病院が制定され、資料2の3頁にあ るような趣旨で設置されたという形であるわけです。「第一線の地域医療を担 うかかりつけ医、かかりつけ歯科医等」となっているわけですが、実態として は地域医療支援病院に指定された医療機関に、私どもかかりつけ歯科医機能を 忠実に実践していこうという立場からすると、例えば11頁、東京に6病院が 指定されているわけですが、歯科医がいるのが3病院しかないのです。  ですから実態としては、現在の地域医療支援病院というのはかかりつけ医の 支援病院であって、かかりつけ歯科医の機能を活かして病診連携を実施、実践 するような立場には実際にはない。こういう実態をやはり認識しておいていた だかないといけないのではないかと思っています。うまく病診連携が、かかり つけ歯科医の機能の限界を超える医療を紹介することによって、身近なところ で特定機能病院等、大きな大学病院に紹介をしなくても済んでいる事実もまた あるということです。  それと同時に、古橋委員から病診連携、地域医療の連携を非常にうまく行っ ていかなくてはいけないということでした。全くそのとおりだと思います。こ れは地域医療支援病院だけではないのですが、大きい公的な医療機関の病院と 言えども、病院長のものの考え方で積極的に受け入れると同時に、ある程度回 復したならば返す。紹介から逆紹介という考え方が、積極的に地域に返す病院 長と同時に、その意識が薄れてくる病院長も中にはあるのです。やはり、地域 医療支援病院だからではないのですが、大きな病院の考え方というものも、病 診連携の基本的なものをしっかりとつかんだ上で参加していかないといけな いのではないかと考えています。以上です。 ○座長 ありがとうございました。紹介、逆紹介、かかりつけ歯科医との関係 のご指摘でした。 ○内田委員 今回の「医療施設体系のあり方に関する検討会」は第6次の医療 法改正につながるというお話です。医療費適正化の流れの中で、効率的で質の 良い医療提供体制をどう作っていくかがいちばんの大きな論点だと思ってい ます。その中で、特に地域医療支援病院、あるいは特定機能病院の外来機能を どのようにしていくのかは非常に大きな問題であります。病院の外来機能、収 入の面では先ほどお話があったように3割強の収入を占めている。勤務医の労 力という点から考えると、外来に削かれている勤務医の労力というのは40%ぐ らいあるという話もあります。  そういう点を考えると、地域医療支援病院なり特定機能病院の機能、中身を 考えると、本当にそれでいいのかという話になってくると思います。これはも ちろん、鈴木委員からもお話がありましたが、診療報酬上の手当、要するに外 来に主力を削かなくても病院が十分やっていけるような、診療報酬の設定が必 要になってくると思います。そういう点での見直しを、しっかり根拠のある形 で出していく必要があるのではないかということが1つです。  もう1つ、かかりつけ医のお話が先ほどから出ています。主治医でも、家庭 医でもよろしいのですが、内容は一緒だと思います。かかりつけ医の機能がも っともっときちんと整理されて、国民に周知されなければいけないということ は非常に強く感じています。かかりつけ医というのは地域住民の医療への接点 である、1つはそうですね。もう1点、かかりつけ医というのは、地域医療提 供体制の要になると考えています。この点を踏まえて、かかりつけ医というの は常に研鑽を積み、地域医療資源に精通し、その活用を心掛ける。市民の立場 で対応していくことが求められていると思います。  こういう点で、いまのかかりつけ医、あるいは先々を考えると在宅医療、タ ーミナルケアまでつながっていく話かと思います。その辺の体制的整備がなけ れば病院との機能分担は当然できないし、今後療養病床の整理という話になっ たとき、「病院から家庭へ」という話につながることなのですが、その辺の基 盤整備が進まなければ絵に描いた餅になる。それこそ医療難民、介護難民とい う話にもつながってきます。その点、制度としてどうするかという問題と診療 報酬上の手当をどうするか、基盤整備にどう取り組むかというところでの検討 が必要ではないかと思っています。 ○座長 問題だけでなく考えるときの視点、基盤整備か報酬か、それとも制度 の話か、それぞれで検討していくべきだという指摘をいただきました。 ○島崎委員 まず、2つばかり申し上げたいと思います。1つは進め方に関す る話です。先ほど来出ている特定機能病院の話、地域医療支援病院の話、かか りつけ機能の話、それぞれ重要な問題だと思います。もちろん、あまり抽象的 に全体像をいくら議論しても仕方がないわけで、パーツに分けて議論していく ことについて異を唱えるつもりは全くありませんが、それぞれが密接に関連し ていますので、やはり全体と個というか、全体像と個別課題の問題を絶えず意 識しながら、例えばある程度議論を重ねたところで全体をもう1回見直してみ る。そういうことがどうしても必要になってくるのではないかと思います。  先ほど来お伺いしていると、第5次医療法改正のときに医療部会で審議があ った。言葉が悪いかもしれませんが、そこの積残し事項をこの場で議論してく れという話なのかもしれません。それぞれが分かれて問題として存在している わけではありませんので、医療全体のビジョンの中でそれぞれの問題がどのよ うなポジションに置かれているのか、を考えていく必要があるだろうと思って います。その点について、議事の運営上も配慮していただければというのが1 つです。  2つ目は若干各論めいた話になるのですが、私はプライマリケアを我が国の 医療体系の中できちんと位置付けることについては、前々から医療部会の議論 の中でもそこの部分に踏み込むべきではないかと思っていましたので、それに ついて議論することは大賛成です。ただ、お手元の資料2、35頁をご覧くださ い。「脳卒中の場合の医療連携体制のイメージ」というよく使われている図が あります。これを見て、素朴にいくつか疑問に思うというか、議論すべき点が あるのではないかと思っています。  例えば「かかりつけ医機能」と言ったとき、その下のところに「診療所・一 般病院等」と書いてあるわけです。つまり、診療所だけではない。おそらく、 いまの日本の実態を踏まえて見たときに、プライマリケアとは何かというのは それこそ非常に議論があるところだと思いますが、診療所ですべて対応できな い。あるいは職住分離をしていて通常の診療所では24時間対応できない場合 に、多くの場合は中小病院かもしれませんが、そこがカバーをしているという 実態になっているのだろうと思います。  ここで求められている「かかりつけ医機能」というのはそもそも何を念頭に 置いているのか。申し上げたいことは、医療機関の機能分化が進んでいくと、 患者の立場からすると、いままでとは違って「場所」が変わってくるというこ とです。変わっていけば当然情報伝達ロス(インターフェース・ロス)が起こ るわけで、情報の伝達がきちんとされなければいけない。したがって、そのつ なぎの機能として、田中先生は、どこかの論文の中で「コンシェルジェ機能」 という言葉を使っておられたように思いますが、「つないでいく」ことがどう しても必要になる。患者からしても、何もいきなり大病院の外来に行きたくて 行ったわけではなくて、きちんとした紹介をどこで受けられるか、本当に診療 所がそういう役割を担ってもらえるのかという点に対する疑心暗鬼という点 もあるのではないかと思っています。  「かかりつけ機能」と言ったとき、そこの機能がいま申し上げた意味でのコ ンシェルジェ的な機能なのか、そうではなくてほかの国でみられる家庭医と言 ってもいいし、プライマリケア医と言ってもかまわないのですが、ある程度コ モンディジーズまではきちんとブロックするというかそこまで診切ることを イメージするかによって、絵の描き方が相当違ってくるのだろうと思います。  さらに申し上げると、35頁の「かかりつけ医機能」から急性期、回復期リハ、 生活リハ、退院調整のところをイメージしているかどうかわかりませんが、か かりつけ医のところから「…→」が出ています。例えば、急性期の病院から回 復期リハの病院に転院されたとき、かかりつけ医機能として、そこまで本当に コミットしていくことなのか。逆に言えば、もしそうだとすると、いろいろな 情報を「かかりつけ医機能」を持つ診療所・中小病院に対して戻してもらわな ければいけない。体系のイメージによってシステムの組み方、それに伴うコス トが変わってくると思います。  これは1つの例として申し上げたのですが、そのような基本的な議論をして いかないと、絵だけ描いても、国民の期待しているものとは乖離するし、実際 に地域の中でうまく機能分化と連携を進めていこうと思っても実態と齟齬し てしまう。そういうことが起こるのではないかということを危惧しています。  全体と個との関係をよく考えていかなければいけないといいうこと。それと、 特に基本にかかる部分についてはきっちりした議論をしていかないとうまく いかないのではないかという危惧を持っていることを申し上げたいと思いま す。 ○座長 ありがとうございました。かかりつけ医機能を例に、図1つにもいろ いろな意味がある。かかりつけ医がコンシェルジュなのか、それとも治す人な のかによって図が違ってくる。指導課で作ったこれは、第何バージョンかです よね。おっしゃるとおり点線だったり、線が細かったり、中ぐらいだったり、 太かったり、1つ1つに微妙な意味があるのです。第何バージョンで線の太さ が0.何ポイント違う。さすが深く読んでいらっしゃるので、この図に現れるよ うにかかりつけ医とは何かを議論しなくてはならない。私もそう思います。  議事の進め方についてはおっしゃるとおりです。全体像の話は事務局と相談 して、そもそもそういう方向でよろしいわけですか。ありがとうございました。 ○島村委員 私自身がトレーニングみたいなもので、私だけが知らないのかも しれません。「かかりつけ医」と一言で言っても、先ほど内田委員や島崎委員 からお話があったように各国の制度や論者、団体などで意見が違うように思い ます。そういう意味で、議論の土台として各国の制度比較、国内での論者、団 体の意見をまとめて、もう少しイメージとしてかかりつけ医とはどういうもの かを固めてから議論していきたいと思います。事務局にその辺の整理があれば、 私自身が知らないのであれば教えていただきたいし、資料として出していただ ければと思います。 ○座長 「これがかかりつけ医」と言える人は実は誰もいないのです。かかり つけ医について、これこれ言っている人がいるといった羅列は、もしいくつか 出来ればと思います。 ○山崎委員 人員の配置標準についてです。資料の45頁、医療法の制定で人 員配置標準については昭和23年に制定されている。約60年前に決められた、 医療法の人員配置基準をずっと60年弱踏襲しているわけです。諸外国で国が 一律に人員配置基準、あるいは構造基準を決めている国があるのかをのちほど 資料として頂戴したいと思います。若干、診療報酬というか、支払いの体系の 仕組みが違うと思うのですが、前に調べたときに欧米で一律に人員配置基準を 国が決めているという例はないような気がします。是非とも次回の検討会まで に、そういう例があるのかどうかを知りたいと思います。 ○座長 もし可能であればという感じになるかもしれません。 ○山崎委員 追加ですが、構造基準についても外国で病院を建てた場合、病院 の使用許可を出すのはどういう基準で出しているのか。日本の場合は建築基準 法があります。建築基準法があって、消防法があって、診療報酬で構造基準を 決める。三重でやっているわけです。果たして、三重の縛りが必要なのかどう かも疑問ですので、その辺も教えていただきたいと思います。 ○総務課長 まず、人員配置標準については、確か山崎委員から医療部会の場 でお尋ねがあったように思います。私たちも詳細な調査をしてはおりませんが、 研究をやっている方々に聞いてみたところ、日本のような細かい基準というも のはないのではないか。もちろん支払い基準として、例えば診療報酬で基準を 設ける。これはあると思いますが、いわゆる医療法という、衛生規制法の中で 配置要員を決めているというのは見たことがないという回答がありました。な お次回までに、さらに確認をしてみたいと思います。もう1つは構造設備基準 についての調査をせよということでしょうか。 ○山崎委員 病院を建ててみて非常に不合理だと思ったのは、例えば精神科病 棟を造るときに、廊下幅を2.7mで造らされるのです。総合病院の廊下は2.4 mでいいのです。廊下幅というのは本来ストレッチャーの擦れ違えるというこ とで決めているという説明を受けているのですが、それでしたら、精神科の病 棟の廊下幅のほうが、どうして頻繁にストレッチャーが往来している総合病院 よりも広い廊下幅で造らなければいけないのかというのが理解できません。  そういうことを含めて、無駄なスペースを造らされていて、その過剰費用が 結局病院の経営を圧迫しているという実態があると思います。 ○総務課長 いまの山崎委員からのご質問として2つのお尋ねがあったと思 います。1つは医療で衛生規制として構造設備基準を定めていますが、その手 前に建築基準法というのがあって、そういうダブルスタンダードみたいなもの が外国ではどうなっているのかということですね。これは調査をさせていただ きます。  もう1つは、そもそも日本の医療法で規制している構造設備基準の考え方、 例えば精神科病院の廊下幅ですが、おそらく療養環境や長期入院ということを 考えて、少し違いが出ているのかもしれませんが、その辺もいずれにしても、 規制の考え方をもう一度整理して、次回に説明したいと思います。 ○山崎委員 もう1つ追加させていただくと、診療報酬に、療養環境加算とい うのが一般科の病棟の場合は付いています。8平米で造るといくらというのが 付いているのですが、療養病棟の場合は広く造っても、一般の環境の加算とい うのは付いていないのです。いちばん最初に構造基準を決めたときに、1ベッ ト当たり4.3平米で造ると法律で決めたわけです。その4.3平米というのがど のような根拠で決められたかというのが、全然はっきりしていないのと、次に 6.4平米で造れというようなことが出ました。この6.4平米も、4.3平米から どのようなエビデンスで6.4平米にしろとなったのか。  あるいは療養だと8平米で造れというのですが、8平米というのもどのよう な根拠で8平米というスペースが生活空間として必要か、という説明が全然な いのです。4.3、6.4、8平米というのが独り歩きをして、既存の数字で病院を 含めて施設が造らされています。本当にそれだけのスペースが必要なのかどう かというのも検証したほうがいいと思います。 ○座長 わかりました。五十里委員どうぞ。 ○五十里委員 いまの外来の配置基準の問題ですが、確かにかなり古いもので、 いまの疾病構造の変化に対応して見直すことは必要であろうと思います。ただ、 それを見直す場合に、それを廃止するのかどうかということになりますと、医 療の質の確保という観点から、何をもってその質を見るのかという、そのとこ ろも合わせて検討していただきたいということを要望します。  いま医療法に基づいて医療機関の立入りをしているわけですが、それが1つ の基準として使われているわけなので、それにもし代わるものがあれば、もち ろんそれも基準として取り上げていただきたい、そういうことも検討していた だくということを要望します。 ○西澤委員 先ほど島崎委員がおっしゃった、個々の論点だけで見てしまうと、 全体が見えなくて議論がおかしい方向にいくのではないか、というのに賛成で す。是非、1つの地域、全体の中にどのような機能の医療機関がどの位あるか ということを私たちの共通認識として、常に頭に置いて議論することが必要で はないかと思います。  例えば、地域医療支援病院についての機能でいえば、こういう機能は大事だ、 必要だということで議論するのですが、例えば資料2の3頁に「役割」と書い てありますが、紹介患者の医療、救急医療など、どれをとっても地域において いま急性期医療をやっている一般病院はすべてやっていることです。ですから、 決して地域医療支援病院だけの条件だけでない。こういうことはすべての一般 病院がやっているのだということを前提に、地域医療支援病院はどうあるべき かと、そのように議論をもっていかないと、実態が見えてこないかと思います。  私の知っている中でも、地域医療支援病院としてふさわしい病院もあります が、その地域においてはほかの一般病院と全く変わらない病院もかなりありま す。そういう現状もいくつかの例で是非見せていただいて、新しい姿を描いて いくことが大事ではないかと思います。 ○座長 昔の要件だけでは駄目で、もっと広く地域の暮らしに着目しなさい。 古橋委員もご指摘になった点です。次は藤川委員どうぞ。 ○藤川委員 先ほどから医療機関の機能分化、そして連携の必要性がありまし たが、私もまさにそのとおりだと思っています。そこで、それぞれの医療機関 に求められる役割を、もっときちんと明確にすることがまず大事だと思います。 その上でその役割に集中できるよう体制を整備することが重要です。例えば特 定機能病院についていえば、本来の役割は高度な医療提供となっているわけで すが、そうであるならば、その役割に見合った必要な資源を集中していく。医 師や機器、あるいは看護師の方々の集約を図っていく必要があるのではないか と思います。現状を見ると、これは聞いている話なので実態をつぶさに承知し ているわけではありませんが、かなりの外来の方々が特定機能病院に集中して いるという話を聞きますと、本来の高度な医療提供に支障をきたすのではない かと懸念します。本来の機能に特化できるように、特定機能病院における外来 のあり方についても、是非この場で検討してもらいたいと思っています。  もう1つ付け加えますと、かかりつけ医、地域医療支援病院についても一言 申し上げたいのですが、平成20年に実施される医療費適正化計画の1つの柱 になるのが、平均在院日数の短縮です。この平均在院日数の短縮のキーになっ ていくのが、地域における医療連携体制の構築です。これは今回の地域医療計 画の中でも、地域医療連携の構築を定めることになっています。そういう意味 で重要なキーパーソンになっているのがかかりつけ医ですので、そのかかりつ け医の役割を患者の視点で考えていくことが極めて重要だと思っています。加 えて地域医療支援病院についても、現行の決め方ではなくて、平均在院日数の 短縮など、地域の中核病院としての再定義をしたらどうかと考えており、そう いったことを論議していただきたいと思います。 ○座長 論議すべき点を多々ご指摘いただきました。武藤委員どうぞ。 ○武藤委員 連携のアウトカム評価がいままでなされていなかったので、こう した場で是非とも知っていただきたいのです。おっしゃるように、いま連携の 機能がきちんとできていれば地域における総入院日数が減るとか、それによっ て医療費が減る、あるいは場合によっては疾患別の死亡率や合併症率が減るな ど、さらには患者満足度が上がるなど、そういうアウトカム評価の仕組みをど うしたらいいのか、それを議論していただきたいと思います。  ただ、結構これは大変で、それには疾病別にやらなければいけないから、疾 病別の疾患登録をやらなくてはならないとか、なかなか大変な面もありますが、 そこまで踏み込んでいく時代だと思いますので、是非ともその辺の議論をお願 いしたいと思います。 ○座長 議論すると同時に、最後は学会ベースなのでしょうけれども、何とか アウトカムを計ろうという意見ですね。 ○山本委員 先ほど来、地域医療連携体制を組み上げるという話が出ていて、 私もその意見には大賛成です。ここの議論が資料1にありますように、専ら、 中心が病院の機能をどう区分けするかというところに論点があるわけですが、 その1頁の「医療連携体制・かかりつけ医について」という議論を進めていき ますと、資料2の34頁のような絵柄ができるのだろう。その時に今回の医療 部会の議論、あるいはその報告書の地域医療提供体制を組み上げる上で、地域 の医療機能はどのような連携体制を組むかというのがポイントになってくる と思います。  そういった観点からすると、医療の現場、あるいはそばにいる薬剤師の仕事 はたぶん見えるのですが、そこから外れて地域にいて、実際に在宅の患者に対 して薬を提供するような仕事をする薬局、薬剤師の姿がなかなか見えてきにく く、ややもするとこうした議論から抜け落ちてしまいます。具体的に在宅医療 を進めていこう、あるいは地域医療連携体制を進めていこうとする、かかりつ け医を中心とした地域の医療提供体制を考える上で、薬の供給体制は、きちん とフォローしなくてはいけない問題だと思います。議論の中で具体的な問題は もちろん地域医療支援病院、あるいは特定機能病院のあり方という問題は大事 なことだとよくよく存じています。その地域医療を考える上での薬局のあり様 についても、是非ご議論の対象にしていただきたいと思いますので、よろしく お願いいたします。 ○和田委員 患者、国民の立場から、かかりつけ医に対して何を求めたらいい のかが、わからない状況だと思うのです。先ほどのそれぞれの委員の先生方の お話をお聞きしていて、かかりつけ医といえば、行けば何でも診てくれて、何 でも治してくれるというような、そういう神話はもう壊れてしまっていると思 います。例えば血圧や腰が痛い、胃が痛いということで診療所にかかっていて も、その先生が消化器の専門なのか、整形外科の専門なのかということは口コ ミで患者はだんだんわかってくるので、それぞれを専門としている所に行くよ うになると思います。  眼科、皮膚科、耳鼻科といった疾患になると、やはりそれぞれの診療所に行 く。となると、かかりつけ医には、どのような時に、何を期待してかかればよ いのか?総合病院の外来に行けばカルテも1つだし、すべての疾患に関して情 報共有してくれるので、どうしても大きな病院に行ってしまう。しかも大きな 病院は予約制が導入されているが、診療所はそうではないところも多く、待ち 時間が長いとなると、大病院の外来に行ってしまうというのは、致し方ないの で、その辺りのことを解決していきながら、機能分化を話し合っていく必要が あると思います。  もう1つは、いま申し上げたように、かかりつけ医が何を専門としているの かがわからない。自由標榜制の中で、内科、外科、小児科と書かれていると、 この先生は何の専門なのかということが全くわからずに、行ってみて初めてわ かるという状況だと思います。大きな病院では、いまはほとんどのところでホ ームページがありますので、どういうことを専門としていて、どういうポリシ ーを持ってやっているかが受ける側にわかると思うです。診療所の先生は高齢 の方が多かったりすると、なかなかホームページを開設していないので、産科 婦人科と書いてあって、行ってみたら不妊治療専門で、妊婦健診はやっていな かったということも、妊婦の間ではよく聞く話です。  そういった中で、かかりつけ医の役割が何なのかということをもう少し明確 に、現実に即した形で情報提供をしていくことが必要だと思います。病院の情 報提供は十分にとは言わなくても、少なくともある程度はできつつあると思い ます。かかりつけ医を選ぶその情報がまだない現状だと思いますので、そうい った情報提供のあり方も考えていく必要があると思います。 ○座長 かかりつけ医の機能だけでなく、その機能を住民に知らしめる方法を 考えなくてはならない、もっともなことです。 ○内田委員 かかりつけ医というと、病気になったときにかかるとかかりつけ 医という感覚でいまの話を受け止めました。ですから、私が感じているのはそ うではなくて、自分にはこの先生がついているというのがかかりつけ医なので す。ですから、日本医師会の総研で調査をした結果では、かかりつけ医がいる 患者にアンケートを取った結果では、あなたが受けた医療に対する満足はどれ くらいですかと聞いたときに、90%近い満足度をお持ちなのです。かかりつけ 医がいなくて、病気になったときにたまたまかかったという形での患者の満足 度は、全然低くなってしまいます。ちょっと何パーセントか忘れましたが。  もう1つは、日本の医療に対してあなたは満足していますかと聞くと、これ は50%ちょっとしかないです。自分が受けた医療に対する満足度はかかりつけ 医がいれば非常に高くなるという特徴があるというのは、いまおっしゃったよ うに病気になったときに初めてどこにかかるかという話ではなくて、普段から この先生は信頼できて、かかることに決めているのだというのがかかりつけ医 であって、そうすると、受ける医療に関する満足度も非常に違ってくるという 話です。それはもうかかりつけ医の中で完結する医療ではなく、かかりつけ医 が紹介してくれる病院で受ける医療に関しても、同じようにこの先生が紹介し てくれた医療だということで、満足度が高くなるという調査結果になっていま す。その辺を踏まえて、いまのお話を議論していただきたいと思います。 ○座長 よろしいですか、困った時に初めてつくかかりつけ医ではなくて、い つでも接する医師がかかりつけ医ですね。1回言われた方はまた別の論点で結 構です、この検討会で今後論じていったり、資料を出してほしいことがありま したらどうぞ。 ○内田委員 別の話題でもよろしいですか。専門医制度の検討ということが話 題に載っていましたので、これは医師会でどうこうと検討した結果ではないの ですが、方向性としてお話しておきたいと思います。専門医制度は学会によっ て非常にばらつきがあって、学会の会員のほとんどが専門医である場合もあれ ば、非常に厳しい試験をやって、10%未満の専門医という学会もあります。そ ういう中で、今後の専門医のあり方としては、地域別、あるいは全国規模でも 当然どれくらい専門医が必要なのか、どのくらいの配置をすればよいのかとい う検討を、今後進めていかなくてはいけないし、それを踏まえた専門医制度で ないと、ただ専門医だけが溢れてくるという状況では問題があるかという気が 1つしています。  資格認定に関しては、やはり学会、医師会、日本医学会、統括的には医師会 や日本医学会が統括的な立場に立つと思われるのですが、そういう中での第三 者的な公正な立場での専門医認定制度を、各学会できちんと統一基準みたいな 形で設けていく必要があるのではないか。  もう1点は、専門医制度について、当然診療報酬による差別化、格付けとい うようなものの是非が出てくると思うのです。現状では厚労省ではこれを、一 部広告を認めるという形で専門医制度を認めているわけですが、私は診療報酬 による差別化はあえて必要はないと思います。専門医という看板を出せば、そ こに専門的な治療を必要とする患者が集まってくる。それが専門医のメリット であると考えていますので、診療報酬上の格付けは必要ない、差別化は必要な いと考えています。これは今後、この中で各学会の専門医制度がどうなってい るかということを、具体的に資料として出していただければと思います。 ○齋藤委員 専門医制度というのは、一般にいままでは臓器別であるとか、疾 患別できていると思うのです。しかしながら、先ほど来お話がありますように プライマリケア、ファミリー・メディスンという言い方もしますが、本当にど ういう病気かわからない、患者の訴えだけで来られた、そういう患者のある一 定の方向性を見出して、重症であればこういうケアを、自分でできるならこう いうケアをというような、そういう人たちの果たす役割が、医学会の責任かも しれないのですが、いままではあまりそういうことが出てこなかったというこ とがあります。  大学には総合診療部がそれを担ってやっていくべきであるということで、教 育機関の中に設けてありますが、必ずしもうまくいっていないということがあ るのではないか。そういう人材の育成も一方では図っていかないと、いわゆる 臓器別専門医、疾患別専門医とは違った位置付けで、診療報酬云々ではなくて、 臓器別専門医と同じ格付けをして、医療に貢献することを評価していくという システムが必要ではないかと思います。  先ほど和田委員がおっしゃった、この人がどれだけ自分のことを知っている かどうかということについては、私どもはあまり大きい地域ではありませんが、 カルテを地域で診療する先生方がすべて共有するという形で行います。プライ バシー云々のこともありますが、そういうことで患者情報をあまりダブって検 査をしたりしないで、的確に得ることができるというシステムは、考えれば構 築できることではないかと思います。 ○島崎委員 私が人口問題の研究所に属しているから申し上げるわけではな いのですが、意識をしておかなければいけないのは、よく日本の総人口が減り 始めていますということが言われていますが、社会保障、とりわけ医療や介護 にとってみると、総人口が減るということよりも、人口構造が急激に変化する ことのほうが、はるかに影響が大きいということです。  特に団塊の世代の人たちが、60間際になっていて、もう何年かすると、前期 高齢者に入り、2025年になると後期高齢者の仲間入りをするという、そういう 人口動態にあるということをよく考えておかないといけない。それと同時に、 高齢者の単独世帯が非常に増えてきている。老夫婦だけとか、象徴的にいうと、 夫にも先立たれおばあさん1人で暮らしていて、子供は東京に勤務をしている、 あるいはニューヨーク勤務をしているという、そんなことがどんどん増えてい くという、そういう人口動態にあるわけです。  申し上げたいことは、特に医療や介護の供給(デリバリー)は、釈迦に説法 になりますが、ある方向を目指してから定着するまで、2、3年ということは なく5年、10年という時間がかかってしまう。そういうことを考えると、実を いうと時間はほとんどない。つまり、いま大きな方向を決める必要があるとい うことです。しかも先ほど来からあったように、国民からすると、特定機能病 院といったって何を言っているかわからないし、地域医療支援病院といっても 何を言っているかわからない。かかりつけ医とプライマリケアと家庭医と、何 かイギリスに行って来た人がGPというのがいるらしいけれど、何がどう違っ ているのかわからないということではないかと思います。最後に言ったことは かなり専門的な話かもしれませんが、そういう実態になっているのだろうと思 います。  そうしますと、国民のほうにもきちんと情報を提供して、こういう方向に進 みますということを言わないと、医療の現場と実態がますます乖離してしまう。 例えば機能分化と連携にしても、機能分化と連携はなぜ重要で、何のために必 要なのということが国民がみんなわかっているかというと、必ずしもわかって いるわけではない。「おじいちゃんの代にはこの病院で最期まで診てくれたの に、孫の代になったら急に2週間経ったら出て行けという。何ごとか。」とい う部分(反応)もあるわけです。そうしますと、どういう方向を目指して、何 のために、いま日本が置かれている状況がこういう中でこういう方向を目指し ていくのだということを、もう少しきちんと言わないといけない。最終的に国 民が社会保障のあり方を決めるわけですから、そうしないとまずいだろうと思 います。申し上げたいことは、あまり時間がないということ、なおかつ国民に きちんと方向を提示していくとなると、密度の高い議論をしていかなければい けないということです。  その上で申し上げると、政策としてどういう方向にもっていくかといったと きに、手法としては、1つは、おそらく医療計画をきちんと作って、お互いに 地域の中で役割分担を決めてというやり方もあるでしょうし、2つ目には診療 報酬で誘導していくというやり方もあるでしょう。3番目は情報をきちんと開 示して、国民・患者が選択をするという方法もある。どれか1つですべてとい うわけではなくて、その3つを組み合わせていかなければいけないのでしょう けれども、それぞれどういう手法を使うことが、いまの日本の医療の現状や課 題に照らしてみたときに、フィットするのかをよく考えてみないとまずい。  つまり、例えば、地域の中でこういう機能を持つ病院は地域医療支援病院と して位置付け、医療計画の中でも位置付けていくというやり方も1つだし、そ ういう機能に着目して、そこに点数を付けていくというやり方もありだろうし、 そうではなくて、そういうものをきちんと標榜させ患者(国民)に選択させて いけばいいではないか、というやり方もあると思います。  それによって、求められるものであるとか、そこに必要になってくるものは かなり違ってくるのだろうという感じがします。例えば機能の分化がきちんと 進めばいいという立場に立てば、むしろ紹介要件というのではなく、別の代理 変数があるかもしれませんが、こういう手法を使えばこういう方向に誘導でき るというものが見つかるのであれば、それを使えばいいという、そんな議論に なっていくのだろうと思います。  そういう視点を持ちながら、あるべき姿とそれに向けてどういう手法を使え ばそういう方向に持っていけるのかという具体的な政策手段も絶えず意識し ながら議論をしていかないと、うまくないのではないかという気がしています。 ○座長 人口の年齢構成に関する危機意識に満ちたご意見で、私の世代に対す る忠告です。あと数年すると、前期高齢者になるが、それまでにきちんと作る ためにはもう時間がない。私たちにはそういう責務があるということですね。 あとは具体的な疑問についてはいろいろと出ました。では古橋委員どうぞ。 ○古橋委員 いま島崎委員から国民に提供する情報の重要性というご意見が ありました。私も本当に思っておりまして、このたび医療法が改定されて、各 医療機関は都道府県に一定の事項について報告する義務が法律的にも成り立 ったわけです。その一定の事項がどのように決まっていくかが非常に重要だと 思っております。その事項をどういう項目で、情報として地域に暮らす人々が 県の発信するホームページ、あるいは独自に医療機関が発信するホームページ 等で知っていけるか、という項目に非常に関心があり、どのように決まるか。 それについては厚労省の中の検討でいくという方向のようですが、中途でもい いのですがどういう内容でその情報の項目が集約されようとしているか、そこ が知りたいと思っています。  診療報酬で誘導するとか、あるいは病院種別の名称を付けて法律上で保障す るということはやってきたけれども、結果としてそれがあるべき、国民にとっ てより良い方法というよりは、診療報酬を取ること自体が自己目的化してしま い、機能は積み残してきてしまっているとか、そういう歪みが起こり今回議論 が出ていると思います。ですから、意見の1つは、国民が今後情報として、県 や医療機関が独自に発信する情報として、何が今後得られるようになっていく のか、医療法の改定に基づいて、それがどのように具体化しようとしているの かは、この場でも知っておきたいと思っています。  もう1つ、全く別ですが、特定機能病院に対して、国民は大学病院、国立の センター的な病院だというのはわかっていても、特定機能病院としてはよく理 解ができないだろうと思います。いま承認要件のある高度先進医療の数や内容 からいっても、ゼロの所もあれば、8つの高度先進医療をやっているような所 があり、この特定機能病院という名称も議論されていいと思いますし、すべて の医学部の附属病院の本院が特定機能病院である必要はないように思うので す。やはり先進医療をやっている病院という形での整理のされ方のほうが、私 は受ける側、受診する国民的な立場に立てば、特定機能病院の存在と要件は議 論されて、すべての医学部、附属の母体大学病院がそれであることに対して、 事実からいっても整理がされていいのではないかと思っています。何しろ情報 がどのように国民に知らされる情報になろうとしているか、その議論はどこま で進んでいるのか、その辺りを知りたいと思っています。 ○総務課長 和田委員、古橋委員からお尋ねがありました情報提供の制度です が、資料2のいちばん最後の88頁、すでにご案内かと思いますが、今回の医 療法改正で「患者等への医療に関する情報提供の推進」ということですが、一 定の範囲の情報については医療機関に対して都道府県に情報届出を義務化に し、都道府県がわかりやすい形にしてインターネットなどで提供するという制 度を、来年の4月からスタートさせる。  これまでは大きな病院はお話がありましたように、自院のホームページで広 報という形で自由に情報提供されたり、あるいは広告ということで一定の規制 の中で限られた情報を広告していくというようなものだったのですが、必ずし もいまおっしゃったように、診療所みたいな所ではなかなか広告というわけに もいきませんし、ホームページも立ち上げられないということで、情報がきち んと伝わらないのではないか。医療機関を選択する上で必要な情報をきちんと 提供する。それは大きな病院であろうが、小さい診療所すべてを含めて、提供 する制度を今回創設したところです。そのことを1つご理解いただきたいこと と、そのために問題はどういう範囲の情報を提供していくかということです。  古橋委員からのお尋ねですが、これについてはいま事務局で作業をしており、 この後、ある程度案ができましたら、県の意見も聞かなければいけませんし、 パブリックコメントみたいなものも取る必要があります。最終的にはまた別の 検討会になるのですが、9月ぐらいになると思いますが立ち上げて、常設の検 討会として医政局長の諮問機関のようなものですが、公開の下で範囲について 決めていきたいと思います。ある程度整理ができましたら、この検討会のテー マにも深くかかわると思いますので、検討状況等についてご報告をさせていた だきます。 ○座長 ありがとうございます。最後の医師確保のことはどなたも触れていら っしゃいませんが、いかがでしょうか。 ○梁井委員 医師確保の件ではないのですが、ホームページ等々で各医療施設 がいろいろな情報を公開するということは非常に大事なことだと思います。私 どもは1,020床の病院でホームページを開いてオープンにしています。先ほど 委員がおっしゃった特定機能病院という名前はどうでもいいのですが、大学病 院というところが臨床だけではなくて、臨床、教育、研究の3本柱で、現在は 特定機能病院の責務と私どもが考えているのは高度な医療のほかに、重症患者 の受入れ、研修医の教育、生涯教育、卒業後いろいろな新しい医療が出たとき には、それをいかに教育をするか、医師会の人たちの協力もですが、そういう ことが大事だと思っています。  ただ、先ほどのかかりつけ医の話がありましたが、私どもの病院も、病病連 携、病診連携を自分たちで積極的にやるようにしています。病病連携、すなわ ちどこの病院でどういうような受入体制があるかを自分たちで探さなければ いけない。病診連携をどのような診療所で術後の患者や、ある程度一定の糖尿 病であれば糖尿病のあとのフォローをいかにやってくれるか、その辺の情報が 非常に欠けている。個々の病院にアンケートをしても、なかなか的確に答えが 返ってこない。ですからその辺の情報公開をそれぞれの受入先の病院でやって くださると助かる。  私どもは3,000人から4,000人の外来患者がいますが、これは患者が選ぶも のですから、患者としてはかかりつけ病院が私どもの病院だと思っている方も います。また、慢性期の患者で近くの病院を紹介しようとしますと、療養病床 を減らしましたとか、病院が少なくなっていて困るときがあります。これはお そらく3.16%減のマイナス改定でもって、ある程度急性期のほうに移ったり、 病床数を減らしたり、病院をつぶしたりいろいろな形が原因ではないかと思い ます。その辺の経済基盤がしっかり整っていないと、つぶれそうな病院には紹 介もできないということがあります。是非とも今回のいろいろな検討が医療法 の改定並びに診療報酬の改定につながるようにということなので、3.16%とい うのがあった、これはどういう経過でこうなったかをまず理解する必要がある と思います。  ただ、聞いたところでは最初に3.16%ありき。厚生労働省側でいろいろ全体 のことを考えて枠内で一生懸命に努力をしたということです。努力は大変だっ たと思いますし、うまくまとめてくださったという感じはするのですが、今後 の改定について、内容はいまひとつなのですが、ある程度の枠がどれだけ大き く必要か、あるいは小さくて済むのかということを、全般的に検討する必要が あるやに思います。  特に療養病床が減ると、先ほど内田委員がおっしゃった医療難民、介護難民 の行く場所がなくなって、日本のいまの住宅事情を考えると、いまのままで療 養病床がボーンと減ったところで、難民が当然出てくるだろうと思いますので、 その辺をどのようにするか、減らせばいいのかというとそうでもなさそうだと。 その辺の改定幅をどのくらいにするかが1つ。  もう1つ大きいのが、もともとこの会合等でいつも議論になると思うのです が、消費税5%を、最終消費者が負担するというのは当然なのですが、いまは 100円の薬を病院が105円で買って100円で患者に渡すという非常な不合理。 その辺をしっかりと、今回は財務省の方はいらしていないようですが、その辺 のところを押さえておく必要があるのではないかと思います。 ○座長 この委員会で報告が出せるテーマではないけれども、診療報酬や消費 税も頭の中にきちんと置いて議論をしたい。この検討会の中身でいえば、大学 病院側では連携をしたいけれども、相手の病院のことがよくわからないし、そ もそもなくなったりするようでは困ると思う、そのような問題提起もいただき ました。 ○武藤委員 地域連携クリティカルパスが、私が実際にやってみて、非常に連 携ツールとして効果的ですし、在院日数の短縮にもつながります。是非ともこ の検討会の中で議論していただきたいと思います。  私ども日本医療マネジメント学会では連携パスに関して実態調査等を行っ ており、結構全国に連携パスが広がっていることが分かりました。整形疾患も そうですが、脳卒中、がん、糖尿病、心疾患など、全国各地でいろいろな連携 パスが実施されていますので、そうした調査も、この検討会でその調査議論ま で入れるかどうかはわかりませんが、そうしたことも俎上に乗せていただけれ ばと思います。 ○座長 逆に資料を提供いただいたらよろしいですね。提供いただいて、それ を基に私どもが議論をするほうがむしろよい。私どもはすぐ調査はできません のでお願いいたします。 ○山崎委員 医師の確保についてです。先だって医師の需給のあり方の検討会 が最終報告書の案を出しました。あの報告書では医師の数は足りているという 結論の報告書だったと思うのですが、実際に医師は地域偏在があったり、高齢 化していたり、実際の現場で感じているのは医師の数はかなり足りないと思い ます。したがって、ああいう検討会で報告書が出たから足りているというので、 医師はこれからこのままのペースで養成していけば十分だということではな く、しかもあの報告書を読んでいると、2035年のことを推計して言っています。 30年後のことなどはどうでもいいので、今日ドクターが足りているのか、足り ていないのかということのほうが、ずっと大事だと思います。  ドクターの場合は来年度から養成をしても、最低8年かかるわけです。そう した新しい制度を作っても10年後にならないとその効果は出ないわけです。 医師の医療監視の結果は毎年厚生労働省で発表しているので、その直近のデー タを次回の検討委員会で頂戴したい。  もう1つは、先だってある記事を読んでいたら、厚生労働省立の国立療養所 も医師の3割標欠、4割標欠しているとありましたが、どうしてドクターが足 りているのだという報告書が出せるのかわからないと思います。その点を含め て、検討会で医師の需給のあり方についても、議論をしてほしいと思います。 ○齋藤委員 私もそのことについては 大賛成です。医療従事者を供給すると いうだけではなく、医療従事者が働く環境をどのように良くしていくかも非常 に重要なことではないか、合わせて検討していただきたいと思います。 ○山崎委員 もう1つ追加でお願いします。結局いまどういう状態になってい るかというと、病院の勤務医が非常に過重労働です。先だっても厚生労働省の 調査で勤務医の平均の労働時間が週66時間ぐらいで、開業医は48時間ぐらい でした。正確な数字は忘れましたが、週66時間労働というのは、明らかに労 働基準法に違反しているはずです。その労働基準法に違反しているというよう な勤務をしなければ、病院の機能が回らないという実態が一方ではあるわけで す。  このような状態で勤務医はどうなるかというと、もう疲れてしまって、勤務 医をしていられないから開業をしてしまうということで、開業の先生がどんど ん増えて、病院の勤務医が少なくなって、病院の勤務医が少なくなるからもっ と過重労働になるという悪循環で、ネガティブなサイクルに完全に陥っている のです。したがって、ここで抜本的なサイクルの回転を変えるような速効的な 措置を講じないと、完全に病院の医療提供体制は崩壊していってしまうと思っ ています。  療養病床のまとめで、先ほども梁井委員からご意見があったように、地域で 大都市で療養をしていた病院が次から次へと病院を閉めているわけです。今度 の医療区分とADL区分の1に入っている患者の多い療養病床は、経営してい けない状態になっていますから、当然閉めてしまうわけです。そうすると、急 性期の病院の患者の受皿であった地域の療養病院が閉まってしまうと、今度は 急性期の患者を持っていく所がなくなってしまいます。そうすると、急性期の 病院が空かなければ、急性期の病院の玄関に救急車が並んでしまうということ が起こってくるはずです。だから、今度の療養病床の改正のような唐突な、制 度の改正をしないでいただきたいと思います。 ○内山参考人 いま医師の需給問題で医師の需給が足りていないのではない かというご発言があったのですが、医師、歯科医師、あるいは薬剤師の需給問 題は総合的に、看護師を含めて医療従事者の数はどこが的確なのかということ も踏まえて、総体的な医療従事者として議論していかなければいけないだろう と思います。  ちなみに歯科医師の需給問題に関しては、すでにWHOから特定の日本の国 を指摘されているわけではないのですが、ある国においては歯科医師数が多す ぎるという勧告が、暗に我が国を指して出されていると思います。歯科医師の 需給は大体適切なのは10万人に50というのが1つの目標で、厚労省もそれを 目標として立ち上げて、歯科医師の養成がなされてきたわけなのですが、すで に我が国においては歯科医師の数は10万人に対して72人を上回ってきたとい う状況です。これ以上の歯科医師の数は不必要で、税金を無駄な形で使ってい るという状況下にあるということですので、需給問題という形の中で議論され る場合には、歯科医師削減の方向に努めていただくという議論にしていただけ ればありがたいと思っています。 ○山崎委員 歯科医師が多いということですが、諸外国では美容形成、口腔外 科はダブルライセンスになっています。つまり、歯科医師であり、医師である。 口腔外科の分野では一部は口腔外科の先生が手術のときに麻酔をしています。 いま日本の医療の中で麻酔医がものすごく不足しています。また欧米では看護 師の人に教育をして麻酔の一部を看護師もできるようにしているという制度 もあります。医師のする仕事と看護師あるいはほかの職種を含めて、もう少し 業務の見直しをきちんとかけていくということもしたほうがいいのではない かと思います。 ○座長 一応検討課題として事務局から出していただいた事柄は、ほぼひとわ たり意見を言っていただきました。地域医療支援病院、特定機能病院、連携体 制、かかりつけ医、専門医、外来の人員配置、医師確保と、ここでもちろん議 論をしていただくことは自由ですが、委員会の報告書のテーマであるかどうか は別な話で責任範囲を超えていることもあります。広く議論をすることも大切 ですので、いずれも貴重なご意見だったと思います。また、進め方について山 崎委員をはじめ何人の方から全体像と個別のテーマを適宜絡ませながらとい う指摘もいただきました。  大体時間となってまいりましたので、皆さん方からいただいた意見を事務局 で次回以降の審議にあたって、資料で可能なものについてはできる限り、次回 あるいはその次までにご用意いただきます。また、委員の皆様方からいただい たご意見を踏まえて、さらに議論の資料を整えるようにお願いいたします。  もう少し時間がありますので、さらに何か言っておきたいことがあれば、1 回しか発言しないのは悔しい方もあるかもしれません。よろしいですか。 ○内田委員 先ほど医療費の削減の問題も出ましたし、医師需給の問題にも絡 んでくると思うのですが、医療提供体制を考える上で、欧米並みの人員配置を 考えると、それはいくら金があっても足りないという話になってきます。医療 というのはアクセス、クォリティ、そしてコストという構成要素でごく単純に 考えますと、日本のいまの医療というのはほぼ8割方は良い内容で医療提供を しているのではないかと思います。これをマスコミの皆さんも国民の皆さんも すべて100%求めるということであれば、どこかに歪みが出るのは当たり前で す。これ以上の良い医療を求めるというのであれば、それなりの金を付けなけ れば話にならないということだと思います。よくこの辺のところを委員会の中 でお話が出てくればということで考えています。 ○座長 中医協でないから、ここで支払い側からの反論はないでしょうね。そ ういうことを踏まえよというご指摘でした。ほかによろしゅうございますか。 ないようでしたら、次回以降の進め方について、事務局から説明をお願いしま す。 ○企画官 次回以降の日程については各委員の皆様方から日程調整させてい ただきまして、ご連絡させていただきたいと思います。委員の方々には、机の 上に年内のカレンダーを置いてあります。ご都合の悪い日をチェックいただき まして、今日置いて帰られるか、後日ファックスを送っていただければと思い ます。その上で調整をしまして、ご連絡を申し上げたいと思います。 ○座長 それでは本日は多岐にわたるテーマについて、非常にそれぞれご専門 からの良いご意見を伺うことができました。誠にありがとうございます。お忙 しい中をご出席いただきましてありがとうございます。これにて閉会いたしま す。 照会先 医政局総務課 山口、小野田 連絡先:03−5253−1111(内線2518)