06/07/07 平成18年7月7日先進医療専門家会議議事録 06/07/07 第11回先進医療専門家会議 議事録 (1)日時  平成18年7月7日(金)14:00〜 (2)場所  霞ヶ関東京會舘 エメラルドルーム (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        岩砂和雄構成員 加藤達夫構成員 金子剛構成員         北村惣一郎構成員 田中良明構成員 辻省次構成員        樋口輝彦構成員 福井次矢構成員 渡邊清明構成員       <事務局> 審議官 企画官 医薬食品局審査管理課長 医薬食品局医療機器審査管理室長  他 (4)議題 ○先進医療の科学的評価(5月受付分)について       ○先進医療の届出状況(6月受付分)について       ○医療機器等を適応外使用する技術等の先進医療における取扱いについて       ○その他(医療制度改革の概要について) (5)議事内容 ○猿田座長  ただいまより第11回先進医療専門家会議を開催いたします。  まず、構成員の出欠状況ですが、赤川構成員、飯島構成員、越智構成員、片山構成員、 笹子構成員、竹中構成員、谷川原構成員、田中憲一構成員、坪田構成員、永井構成員が御 欠席です。  また、人事異動がありましたことから、寺岡構成員が退任され、後任の構成員について は、医療法人社団友愛会岩砂病院第一理事長の岩砂和雄先生にお願いすることになりまし たので御報告いたします。  それでは、新任の岩砂構成員より一言ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○岩砂構成員  ただいま御紹介がありました寺岡先生の後を継ぎまして、私が次の役目をさせていただ きますが、まだまだ不慣れでございます。よろしく御指導のほどお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  それでは、早速ですが議題に入らせていただきます。  まず、5月に届出のありました新規技術に関する審議から始めたいと思います。今回提 出されております先進技術の内容及び事前評価をお願いしていた先生方の御意見が事務局 に届けられておりますので、その状況につきまして、事務局より説明をお願いします。 ○福田企画官  医療課企画官でございます。お手元の資料の先−1をごらんいただきたいと思います。 先進医療の届出状況について(5月受付分)でございます。  1ページですが、表にお示ししてありますように、先進医療に関して5月に届出があり ましたのは整理番号32から37までの6件です。  32番は「難治性自己免疫疾患に対する自己末梢血幹細胞移植」というものです。適応症、 先進医療に係る自己負担分、特定療養費保険給付分については、この表でお示ししている とおりです。  33番は「非高齢者に発症した脈絡膜新生血管に対する光線力学療法」、34番は「難治性 心臓血管疾患に利用する凍結保存同種心臓血管組織」、35番は「キメラ遺伝子を有する腫 瘍の分子病理学的診断」、36番は「高頻度経頭蓋磁気刺激によるうつ病の治療」、37番は 「ミニマム創内視鏡下泌尿器手術」というものです。  次に2ページですが、先進医療として届出のあった新規技術に対する事前評価結果等に ついてです。  32番ですが、「その他(事務的対応等)」の欄をごらんいただきますと、「当該技術に 係る医療機器が薬事法上の適応外使用に該当しているため」とあります。自己末梢血幹細 胞を分離する分離装置の適応として、白血病等の悪性腫瘍という形で薬事法上の承認が得 られていますので、そういった観点から適応外使用に該当するということです。  33番ですが、これもその他(事務対応等)のところをごらんいただきますと、「当該技 術に係る医薬品が薬事法上の適応外使用に該当しているため」とあります。これはビスダ インというものを静注してレーザーをかけるという治療法ですが、加齢による黄斑変性症 に対する眼科的な治療については保険適用になっていまして、それ以外のところが薬事法 の承認がとれていませんので、適応外という整理になっています。  34番については、当専門家会議で2回ほど御議論いただいて認めていただきましたが、 先進医療の既存技術である「凍結保存同種組織を用いた外科治療」に該当しており、既に 先進医療の枠組みに入っているということです。  35番については、平成18年度の診療報酬改定で、高度先進医療の方から入っているわけ ですが、「悪性腫瘍の遺伝子検査」において保険適用されているものという整理になって います。  36番については、筋電図測定用の刺激装置を用いるものですが、当該技術に係る医療機 器が薬事法上の適応外使用に該当しているということです。なお、この技術については高 度先進医療においても審議がされていまして、内容面も含めて総合的な判断から採用され ていないという情報があります。  37番は届出名は「ミニマム創内視鏡下泌尿器手術」となっていましたが、事前評価の先 生の評価を踏まえて、「内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術」と修正されております。後ほど 吉田先生から御説明いただきますが、総評としては「適」ということです。適応症として は、泌尿生殖器腫瘍(腎腫瘍、前立腺がん、副腎腫瘍)となっています。  評価の詳細については別紙ということで、後ほど吉田先生から御説明いただきます。事 務局からは以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。5月の受付分も多かったんですが、32番については医療機器 が薬事法上の適応外であること、33番については医薬品が薬事法上の適応外であること、 34番については先進医療の既存技術に入っていること、35番については平成18年から保険 適用されているということで、いずれも受け入れられておりません。  36番は高度先進医療の時に一回出てきたものですが、内容的にふさわしくないというこ とで否定されております。技術に関しても薬事法上の適応外の部分があるということです。  37番だけが適ということですが、御意見はございませんでしょうか。 ○辻構成員  35番について質問があります。キメラ遺伝子の検出ということで、病理標本からRNA を抽出して、それからc-DNAにして、キメラ遺伝子を同定するという特異性の高い診断 法で、一般的にはかなり先進性があるかなと感じるんですが、従来の悪性腫瘍遺伝子検査 に含められるという判断になるんでしょうか。 ○福田企画官  18年の改定で新たに高度先進医療の枠組みから入ったものですが。それぞれの技術につ いて細かく規定してありませんで、D004の13の悪性腫瘍遺伝子検査という形で、そこに用 いられる方法は例示で示しています。その中でいろんな手法を用いたものについては、こ の考え方で保険適用になりますという形で整理しております。点数は比較的高めで、2000 点ぐらいになっていたかと思います。事務局の解釈として、18年改定で新規に保険適用と なった検査に該当するのではないかということで整理させていただいているということで す。 ○辻構成員  遺伝子検査といっても幅があると思うんですね。私は専門ではありませんが、特異性の 高いキメラ遺伝子の検出というのは一定の価値を認めた方がいいのではないかと感じます が。 ○猿田座長  おっしゃるとおり非常に幅が広くて、高度先進医療の時にいろんな形で出てきまして、 今説明があったような形で進んできたということです。渡邊先生、これに関して何か御意 見はございますか。 ○渡邊構成員  私はこれの担当になったんですが、キメラ遺伝子は骨軟部腫瘍に限ったところの部分で RNAを抽出して、それからPCRにかけて分析するという方法です。厚生労働省で話し 合いをした結果、18年度から保険収載された悪性腫瘍遺伝子検査に包括されるということ です。患者さんから7万円を取るということなんですね。専門家の先生に聞きましたら7 万円というのは負担が大きいので保険収載の中で認めていただいた方が患者さんにとって もいいだろうということもありまして、判断いたしました。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、37番を担当されました吉田先生から説明をお願いいたします。 ○吉田座長代理  先−1の3ページ、別紙をごらんいただきたいと思います。  先ほど名称について企画官から説明がありましたように、泌尿科領域ですと「ミニマム 創」で通じるんですが、ほかの科の場合はよくわからないし、何センチ以下をミニマムと いうのかということで、日本泌尿器科学会の中の先進医療検討委員会においていろいろ議 論されまして、「ミニマム創」という名称は変えた方がいいのではないかということにな りました。  適応疾患として腎癌があったんですが、腎の良性腫瘍もできますので、腎については腎 腫瘍にさせてもらう。前立腺については癌に限定しよう。副腎に関しても良性腫瘍があり ますので、副腎腫瘍としました。  内視鏡手術が出たころ、あまりにも内視鏡手術の器具が高すぎるものですから、各大学 で工夫しまして、オープンの手術の利点と内視鏡手術の利点を同時にとった新しい手技を 開発しようということで、ほとんどの大学で始まったわけです。できるだけ小切開で腎癌 とか前立腺癌の手術を行う。泌尿器疾患は後腹膜腔ですので、わざわざ腹腔鏡を使って腹 膜からいく必要はないんじゃないか。むしろ腹膜を開けないで後腹膜から、しかもオープ ン手術の傷を小さくしておいて、内視鏡を併用しながら三次元で見ていって手術できない かということで取り組まれました。  内視鏡手術に比べてコストが安いんですが、オープンに比べて2時間ほど余計にかかり ますので、2時間分のドクターのフィーとか麻酔のフィーだけを計算してあります。手術 は5センチぐらいでできます。腹腔鏡でいきませんのでガスを使わないので、ガス塞栓と いう危険が少ない。オープンに近いですから、いざという時にはオープンの手術に切りか えられるという利点があります。傷が小さいですから、翌日から歩けますし、食事も翌日 からできます。腹腔鏡下手術みたいに高価なトロッカー等も使いませんし、小切開で、内 視鏡と直視と両方でいくということと、若いドクターの教育にも非常にいいんですね。い ざという時には上級医師を大切開に加えますので、研修用にも使われています。我々のと ころでも5〜6年前からこの手法でやっています。  保険請求できないので、当時、医療課長の西山課長に相談しましたら、切ってるんだか らオープンでいいじゃないかということだったんですが、今回の保険改正で内視鏡手術が 全科別にされますと、内視鏡でもないし、オープンでもないし、相談しまして、先進医療 として提出して、御理解いただこうということです。  費用ですが、時間が2時間ほど余計にかかりますので、その分のドクターフィー、麻酔 科のフィー、看護師の費用などで6万4千円ということです。  申請書では、DPCの病院ですので、後半の2日間を内科に通ってるんですね。末端肥 大症で内科に通って、内科にかかった費用が2日間ほど入ってるんです。最初6万5千円 と出たんですが、少し引いた方がいいのではないかということで6万4千円としています。  教授が全部やるのではなくて、助教授、講師、助手などに幅広く教育できるんですね。 約800例やっていますが、若いドクターも経験できるという手術法です。  次に4ページですが、先進医療としての適格性です。  適応症については、先ほど言いましたように腎癌だけでなく腎の良性腫瘍にもできると いうことで、「妥当でない」として、修正してもらっています。  有効性については「大幅に有効である」。  安全性についても、直視下でもいけますので「問題なし」。  技術的成熟度はAにしたかったんですが、遠慮して「B」にしておこうという意見でし た。  社会的妥当性については、オープンの手術とほぼ一緒ですので「倫理的問題はない」。  現時点での普及性については、だんだん普及していってるんですが、内視鏡下手術が保 険と分離されまして、そっちへ一部いってますので、「B」に評価しました。  効率性も遠慮して、「やや効率的」。  将来の保険収載の必要性については、「保険収載が妥当」。ただし、手術料ではなくて 加算です。オープン手術に加算として、将来、保険収載が妥当であろう。  総合判定は「適」としました。  次に5ページですが、当該技術の医療機関の要件(案)です。  I.実施責任医師の要件です。  診療科は、泌尿器科が必要であろう。  資格としては、内視鏡もちょっと使いますので、泌尿器科の専門医である必要がある。  当該技術の経験年数は5年あれは十分できる。  当該技術の経験年数については申請では5年だったんですが、簡単ですので3年でいい のではないか。  当該技術の経験症例数ですが、助手、術者とも5例あれば十分訓練できるということで す。  II.医療機関の要件です。  実施診療科の医師数は「要」。具体的には3年以上の経験を有する常勤の泌尿器科専門 医が1名以上。  他科診療科の医師数も「要」。麻酔医が1名以上。これは常勤でなくても構わないとい うことで常勤を外しています。  看護配置は1床以上あればできるということで「不要」であろう。  その他医療従事者の配置は「不要」であろう。  病床数については入院が必要ですので、1床以上の病床が必要です。  診療科は泌尿器科。  当直体制は、手術ですので必要です。  緊急手術の実施体制も、いざという時に出血がありますので「要」。  他の医療機関との連携体制は、院内で処理できますので「不要」。  院内検査については検査は必要ですので「要」。  医療機器の保守管理体制は、内視鏡をちょっと使いますので、内視鏡の管理体制が必要 であろう。  倫理委員会による審査体制は「不要」であろう。  医療安全管理委員会の設置は必要でしょう。  医療機関としての当該技術の実施症例数ですが、5症例以上あれば十分であろう。  III.その他の要件ですが、頻回の実績報告は「不要」です。  以上のような判断で、委員会としてはこの件については適応であろう。保険としては手 術点数そのものじゃなくて、加算として認めていただきたいという意見でした。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。ただいま御説明がありましたように、先方から出てきた先進 医療の名称を「内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術」に変えさせていただいたということと、 大切開の手術に比べて侵襲が少ないし、これまで多く行われてきた内視鏡手術に比べて技 術的にも比較的楽だし、小さい手術創ですむ。費用の面でもかなり少なくてすむというこ とで、先生としては適であろうということですが、御意見はございますでしょうか。 ○北村構成員  泌尿器科の領域では内視鏡の手術として保険収載されたものは何もないんですか。 ○吉田座長代理  腹腔鏡だけです。 ○北村構成員  腹腔鏡の手術としては内視鏡ですよね。それの泌尿器科の手術にはすべて含めた保険点 数がついてるわけですね。そうすると、これは…。 ○吉田座長代理  後腹腔鏡なんですね。経腹でいきますと術後のイレウスとか、けっこう合併症が多いん ですよ。 ○北村構成員  後腹膜の方に背中側から入るわけですか。そうすると保険がついてるものに合わせるわ けにいかんわけですね。適正じゃないわけですね。 ○吉田座長代理  本来ですとガバッと開いてやりますので、その点数なんですね。それを小切開で、特殊 な工具を考えまして、いろんな鉗子も考えて、創からいくわけです。 ○北村構成員  保険収載が「内視鏡による」となっていれば含まれていたのに、「腹腔鏡下」と書いて あるからだめなわけですね。 ○福田企画官  内視鏡下のものは例えば腎臓の系統は30万前後で、開腹でいきますと20万ぐらいです。 今回は後腹膜の方から小切開で入っていくということで、内視鏡ほどは金額的な面での負 担もなく、中間ぐらいになります。将来的に保険適用を考えた時に、一つのアイディアと しては、高い方とか低い方に振れるのではなくて、技術によるベネフィットみたいなとこ ろを加算で評価をする。今回の申請では6万4千円という額が出ていますが、それが一つ の参考とになるのではないかと思います。 ○福井構成員  私は専門外ですが、肺の手術の時も似たような状況ではないかと思います。かつてより は小さな切開で、ギネのスコープを使って、部分的に肺の切除なども、かつてみたいには 大きく切開して手を入れてやらないで、ミニマムにやっているんじゃないかと思うんです が、すべての領域でこういう形になっていくんでしょうか。これ一つを認めることによっ て。 ○吉田座長代理  学会でも議論がありましたが、ほかの外科系でも意見が出てくるのではないか。その第 一歩になろう。これは腹腔鏡じゃありませんから、違うんですね。胸腔鏡下の手術は保険 であるんです。関節鏡もあるんですね。泌尿器科だけ全部が腹腔鏡下になっちゃった。2 年後の改正の時には統一していただいて、全科を鏡視下とか鏡視補助下という名前にして いただければ一番いいと思います。 ○田中(良)構成員  私も専門外なんですが、これは3つの適応症があがっていまして、腎臓とか副腎は比較 的近い領域で、前立腺は離れてますよね。手術の難易度に違いはないのか。道具もほとん ど一緒のものでできるのかと思うんですが、費用はどうなのかということをお聞きしたい んですが。 ○吉田座長代理  適応疾患を拡大しますと、何でもかんでもやられちゃうんですね。小切開で腎悪性腫瘍、 腎良性腫瘍、副腎もやっています。尿管結石とか腎結石もできるんですよ。広げちゃうと どんどんいっちゃうので、今回は腫瘍だけにしようということで、腎は上へいきます。副 腎も上ですけど、前立腺がんについても腹膜外で本来いきますから、本来のオープンの手 術と同じ経路です。手技については前立腺が一番難しいです。  費用は出てませんけど、内視鏡でやりますから教えながらやるので時間が2時間かかる んですよ。2時間分のドクターのコストと麻酔医のコストと看護師のコストを含めてやっ ています。 ○北村構成員  患者側からすると、同じ副腎腫瘍の手術を内視鏡下で受ける、それを腹腔から入れば保 険点数として何割負担かになってる。しかし背中から入ると6万円払ってくれという形に なるんですよね。医療側から見ると、例えば副腎腫瘍で腹腔鏡から入った点数はいくらに なるんですか。 ○吉田座長代理  3万点ぐらいですか。 ○福田企画官  30万円前後です。 ○北村構成員  内視鏡を使うと、切開手術に比べてどのくらい点数は増えるんですか。 ○福田企画官  腹腔鏡下の腎の悪性腫瘍の手術ですと42,300点になります。腹腔鏡を使わない場合は32, 900点で、10,000点ほどの差があります。 ○北村構成員  10万円ほど違う。これは6万円に抑えておられるということですね。そうすると病院と してはどうなんだろうな。 ○吉田座長代理  トロッカーは使い捨てなんですけど、ほとんど使わないんです。その分だけコスト安に なる。腹腔鏡を使いますとトロッカーは全部使い捨てですし、鉗子も場合によっては使い 捨てなんですね。無駄があるというので、鉗子も再生しますし、内視鏡も再生しますし、 開創鉤という特殊な鉤を使うんですが、それも再生できるんですね。使い捨てが少量しか ないんです。 ○北村構成員  病院としては高度技術をやって6万円いただいても…。 ○吉田座長代理  損はしないと思います。ある国立大学ですけど、できるだけ患者に負担させたくないと いうことで、この方法でやってます。腹腔鏡でやると高いんですよ、しかも器具が相当高 くなっちゃう。もう一つは、腹腔鏡を使うと結紮ができないんですね。この場合は鏡視下 と直視と両方やってますので結紮ができるんです。しかも、これはロボットサージェリー にもうまく連動できるんです。 ○北村構成員  患者側としては、どちらの支払いが多くなるんですか。保険本人だったら。6万円払う か、40万円の1割ですか。 ○吉田座長代理  若い人は3割でしょうね。 ○福田企画官  保険の負担が3割ですから、全体としては保険の方が安くなります。6万円の部分はそ のまま乗っかる形になりますので、微妙なところになるかと思います。 ○北村構成員  説明される時に、腹腔鏡をとりますか、背中からの内視鏡をとりますかと、2つ説明を することになるわけですか。 ○吉田座長代理  そうです。説明します。 ○猿田座長  前立腺が大変でしょうね。 ○吉田座長代理  前立腺もオープンですと安全ですからね。内視鏡でやると無理をして出血を起こすんで すよ。この場合、上級医師がモニターを見てますので、いざという時は開けるんですね。 腹腔鏡だけだと大変なんです。体位をとったりして。 ○猿田座長  高度先進の方で前立腺手術を通してるんですね。 ○金子構成員  大切開の場合と比べて入院日数はどのくらい短縮できるんですか。 ○吉田座長代理  1週間以内に退院できます。手術をやった翌日は歩きますし、食事も開始します。抜糸 といっても5センチですのでフックですから、1週間でフックを外して退院します。 ○金子構成員  医療費としては減になるわけですよね。 ○吉田座長代理  総医療費はオープンの時よりも減ですね。 ○金子構成員  これだけの器材を購入して、技術をトレーニングして、それで2時間分の手間賃だけで いいのかなと思うんですけど。 ○吉田座長代理  ありがとうございます。 ○岩砂構成員  トロッカーというのはいくらぐらいするんですか。 ○吉田座長代理  昔は7万円ぐらいしてましたね。腹腔鏡でやると4本使いますから、足が出ちゃうんで す。 ○金子構成員  当直体制の「要」というのは泌尿科医じゃなくても外科医ならいいということですね。 ○吉田座長代理  はい。 ○猿田座長  この技術に関してはお認めいただけますでしょうか。 (異議なし) ○猿田座長  先ほどお話がありましたように「適」という総評を受けたものは37番だけですが、これ をお認めいただいたということになります。  次に、6月受付分の先進医療の届出状況について、事務局より報告をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料の先−2をごらんいただきたいと思います。6月受付分の先進医療の届出 状況です。表にお示ししておりますように2つの技術が受け付けられています。  1つは「Double fiber methodによる上部消化管病変の管腔内手術」です。  もう1つは「画像支援ナビゲーションシステムによる内視鏡下鼻内副鼻腔手術」です。 ○猿田座長  6月は今のところこの2件だそうですが、よろしいでしょうか。  次に、前回の会議において指摘のありました、医療機器等を適応外使用する技術等の取 り扱いについて、議題としたいと思います。まずは、事務局から説明をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料の先−3をごらんいただきたいと思います。まず私から、先進医療に係る 届出等の取扱いについて、当初、この会議を発足にするにあたって議論され、取りまとめ られたもののポイントを説明させていただきます。その後、今日まで議論を重ねてきたわ けですが、その結果について全体像と、それを少し整理したものを説明させていただきた いと思います。次に、関係課長から関係することについて説明していただく形で進めさせ ていただきます。  まず2ページの「先進医療に係る届出等の取扱いについて」ですが、1.先進医療に係 る基本的な考え方のところをごらんいただきたいと思います。  「国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民 の選択肢を広げ、利便性を向上するという観点から、選定療養として位置付け、保険診療 との併用を認めることとしたものである」。これが先進医療についての基本的な考え方で す。  「具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準 を設定し、施設基準に該当する保険医療機関及び特定承認保険医療機関は届出により保険 診療との併用ができるものとした」ということです。こういった基準等につきましては、 この場で先生方に御議論いただいております。  「また、先進医療については、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険 診療との併用を認めたものであり、実施保険医療機関から定期的に報告を求めることとし ている」ということです。  有効性、安全性の確保という観点と、将来的な保険導入を念頭に置いて評価を行うとい うところが特色になってくるということです。その前提としては、国民の選択肢を広げて 利便性を向上するということです。  次に3ページの2.薬事法上未承認である医療機器又は医薬品を使用する医療技術の取 扱いですが、ここがたびたび議論になった部分です。  未承認の場合、又は適応外の技術については以下のとおり取り扱うこととしています。  (1)使用する医療機器又は医薬品はその有効性及び安全性が確立していることが必要で あり、薬事法上の承認を受けていること。  (2)未承認医療機器等を使用する技術については、臨床試験(治験)を実施するなど、 承認を受けることが優先されることから、先進医療の対象とはしないこと。  (3)医療機器等を適応外使用する技術については、臨床試験(治験)を実施するなど、 当該適応外の効能又は効果等に係る一部変更承認を受けることが優先されることから、先 進医療の対象とはしないこと。  (2)では未承認のもの、(3)では適応外使用について、それぞれ必要な承認を受けている こととして、その間は先進医療の対象とはならないということを示しています。  以下は細かい届出の話ですので省略させていただきまして、7ページをごらんいただき たいと思います  7ページは「先進医療専門家会議における科学的評価結果の一覧」ですが、今まで先生 方に具体的な届出内容について御議論いただいたことを一覧表としてまとめております。 当初、届出の方法など手続面について御議論いただいたあと、9月以降、具体的な届出の 内容について御審議いただきましたが、平成17年9月から18年5月までの会議の内容をま とめております。  上から見てまいりますと、書類不備のため再届出とか、薬事法の承認が優先されるため、 薬事法の承認後に再届出とか、適切なデザインによる研究が行われ、有効性が明らかにさ れる必要があるという内容面からの問題もありました。きょうもありましたが、既に保険 適用になっていると整理をしたものとか、高度先進医療で既に対応されているものなど、 いろいろなパターンがあります。  議論になりました適応外、未承認という観点から、もう少しわかりやすく整理をしたも のが9ページ以降です。  9ページは、先進医療として届出があり、医療機器の使用法が薬事法上の適応外使用に 該当するため認められなかったものは3件でした。2番の「盲腸ポート増設術」、22番の 「慢性創傷・難治性潰瘍に対する自己骨髄細胞を用いた組織再生療法」、28番の「仙骨表 面治療的電気刺激療法」というのは、ある特定の機器については承認が取られているよう ですが、ここで使われる低周波治療器は適応範囲に入っていないということです。  先進医療として届出があり、使用する医療機器が未承認であったものは、下の表に示し ている5番と10番が該当します。  10ページは医薬品の関係について整理をしたもので、上の表が薬事法承認上の適応外使 用に該当したものです。29番の「培養骨髄の併用による脚延長術」で用いられるトロンビ ン、30番の「子宮動脈塞栓による子宮筋腫治療」で用いられるスポンゼル、そのほか25番 のリツキサン、21番のラベプラゾール等、この4件が該当しています。  下の表は、使用する医薬品が未承認であったものですが、皮膚科領域でケミカルピーリ ングを用いる際の医薬品が未承認の例として3件あがっております。  これまで議論されましたものを具体的に、医療機器なのか医薬品なのか、適応外のもの と薬事法で未承認なのかという観点から整理いたしました。先生方からいろいろ御意見が あろうかと思いますが、議論に供するために、薬事法の適応外とか未承認というものにつ いてどのようになっているのかという全体像をわかりやすく整理をさせていただいたとい うことです。 ○猿田座長  ただいまの説明について何か御質問等はありますでしょうか。この前から議論がありま して、私からも説明させていただいたんですが、こうやって整理していただくと、どこが 問題であったかということがおわかりいただけると思います。 ○加藤構成員  適応外の使用と未承認というものが全く同じバランスで議論されていいのかどうか、ち ょっと違和感を感じます。そもそも先進医療をやっていいかどうかということ自体が適応 外のことをやっているはずなので、そこに入ってくるのはやむを得ないことではなかろう かと思います。  適応外というのは、きょうも血球分離をする機器が出てきましたね。そのこと自体は認 められていることなので、大きな問題ではないし、前回出ましたトロンビンとかスポンゼ ルについても医学的に大きな問題になるものではないと思いますので、適応外と未承認に は差をつけていただいた方がよろしいのではないかと思われます。 ○猿田座長  先に説明していただいた方がいいでしょうかね。それでは、国内未承認薬の使用につい て説明をお願いします。 ○川原審査管理課長  先ほど福田企画官から説明いたしましたように、薬事法との関係については、ここでの 議論を踏まえて保険上の整理がされています。薬事法上、「物が承認されていない」、 「適応外」といった場合、学会とかいろんなところの要望を受けて、どういう形で対応す るスキームがあるかということと、どのように対応してきているかということを説明させ ていただきたいと思います。  11ページからは「物が未承認」の場合の説明です。10ページのこれまでの事例で申しま すと、下の表の3つの品目になります。  一昨年の暮れに混合診療の関係で未承認の抗がん剤等を併用療法で使った場合、問題が 生じるということで、結果的には、できるだけ早く治験を進めてもらう。承認審査にかか っている品目であっても、審査と並行して安全性確認試験といった治験も実施することを 要請するというスキームを昨年1月に立ち上げました。左に「未承認薬使用問題検討会議 (仮称)」とありますが、そういうものを立ち上げて対応しております。  12ページにこの検討会議の開催要綱があります。現在、薬事法上の治験に該当する薬剤 の使用ということになりますと特定療養費制度の対象となりますので、保険との併用がで きるという形になります。そういう中で未承認薬へのアクセスも改善するし、我が国で医 薬品の評価を行うためのデータもきちっと取るという両方を行うためにこういうスキーム をつくったわけです。  昨年1月から4月までは毎月開催しましたが、その後は3カ月に1度ということで年4 回、定期的に開催しております。  13ページにメンバー表がございます。このような構成員で行っております。  先般の4月の検討会までに、日本で認められていない医薬品の成分として26成分につい て検討を行っておりまして、抗がん剤が多いんですが、小児の難病の治療薬など26成分に ついて検討されています。  未承認の医薬品について学会とか患者団体からの要望もいただいておりますが、そうい うものがあれば検討会にかけていくという形になっています。  16ページ以降は適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて、適応外の効能追加の 関係ですが、私どもと医政局の研究開発振興課長の連名で平成11年に通知をしておりまし て、2課長通知といわれているものです。  オフラベルユースというのは日本だけの問題ではありませんで、欧米でも同じような問 題があると承知しています。適応外使用について、場合によっては新たに我が国で治験を 行ってもらうことは難しいケースもありますし、それまでに科学的なエビデンスが集積さ れている場合もあります。物としては薬価基準に収載されていて医療用医薬品として使わ れているが、効能が適応外といった場合には、学会等から要望があって医療上必要と認め られて、研究開発振興課が追加について企業に要請した場合は企業で効能の追加をすると いうスキームをルール化しています。  医学薬学上公知であると認められる場合には、新たな臨床試験を国内で行わなくても適 応外使用に係る効能又は効果が追加できるものとして、次のものを掲げています。  (1)本邦と同等の水準にあると認められる承認の制度又はこれに相当する制度を有して いる欧米において、既に当該効能又は効果等により承認され、審査当局に対する承認申請 に添付されている資料が入手できる場合。  (2)教科書とか国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的根拠となる論文又は国 際機関で評価された総説等がある場合。  簡単に言いますと、ランダム化した臨床試験のメタアナリシスみたいなものがかなりあ る場合には容易にできるという形になります。  18ページから30ページまでは「適応外通知に基づく承認品目リスト」を示しています。  1番目のシスプラチンは日本癌治療学会からの要望によるものですが、いろんな学会か らの要望を受けて、いろんな品目について2課長通知による効能の追加を行っていただい ております。効能追加についてはこういうスキームで対応しているということです。  27ページをごらんいただきたいと思います。平成11年の通知以降、61の品目について効 能追加をしております。この中には、前回、吉田先生から言及がありましたM−VAC療 法の用法・用量、効能も入っています。  28ページから30ページまでは「抗がん剤併用療法検討会報告に基づくもの」です。抗が ん剤については、至急、効能の追加をしなければいけないということで、学会の先生方に 御協力いただきましてオープンの検討会を開き、そこで日本でのエビデンスの集積状況も 検討するという形で、1年の間に効能の追加の措置をしたものです。  医薬品については以上です。 ○山本審査管理室長  続きまして、医療機器について説明させていただきます。31ページの「適応外使用に係 る医療向け医療機器の取扱いについて」、これは今年5月に通知を出させていただいたも のですが、医療機器についても医薬品と同じスキームで、適応外について追加臨床試験デ ータなどがなくして承認のための枠組みをつくったところでして、これに基づいて、現在、 具体的な品目の検討を進めているところです。  先ほど説明をスキップしました14ページですが、「医療機器に関する臨床試験のうち外 国で実施したものの取扱いについて」という通知を出しております。医療機器については 医薬品と同じように外国で実施された臨床試験データを受け入れていますが、医療機器の 場合は外国臨床試験データのみで承認できる場合が多くなっています。  昨年の前半、28品目について臨床試験で評価をして承認していますが、そのうち21品目 は外国臨床試験を用い、うち20品目については外国臨床試験のみ評価で承認しています。  外国臨床試験成績については、昨年4月の薬事法改正によって医薬品と同じように臨床 試験の実施に関する基準GCPというものを適用することを定めています。外国で行われ た臨床試験に我が国のGCPは使えないのではないかという疑義がありまして、それを解 消するために出した念のための通知です。考え方としては、我が国と同等以上の臨床試験 の実施に関する基準を持っているところのデータであれば、それについては受け入れると いうことで、念頭に置いているのは米国のFDAの臨床試験の実施に関する基準に従って いる試験であれば我が国でも評価するということを念のために明示をした通知です。以上、 補足の説明でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  いろんな問題がありましたことをまとめていただきましたが、何か御意見はありますで しょうか。  先ほどお話がありましたように、5月28日付でこういった形のものも出て、かなりのも のが実際に動いてるんですね。学会からの要望で、いろんなことが確認されているものと、 もう一つは米国とか、日本と同等あるいはそれ以上のいろんな評価をされているところの ものは優先的に、がんの場合は必要に応じてそういった形でやられているということです。 ○北村構成員  薬事承認も適応外も外国の治験あるいは臨床試験に準じたもので承認していくことにな れば、最初から先進医療を経ずに保険医療として認めてほしいという形で、内保連、外保 連を通して行動するパターンと、各施設が自分のところで先進医療としてやる場合にも同 じような成績あるいはデータを出していくのと、どのようにふるい分けるんですか。それ は各施設の判断だけですか。 ○福田企画官  医薬品と医療機器ではニュアンスの違う部分はあろうかと思いますが、医薬品の場合は 承認が保険にダイレクトにつながりやすいという傾向があります。医療機器については現 状も適応があっても、技術との兼ね合いとか、技術の普遍性とか、ほかの要素もあったり しますので、そこに幅があるということはあろうかと思います。  医療機器についても従来は新機能、新技術を要する医療機器を用いたものが保険適用に なっていくというのは診療報酬の改定のタイミングというか、2年に1度というのが原則 でした。医療機器というのは新技術と新機能と両方を合わせたC2というものと新機能の みのC1との2つのカテゴリーがあるんですが、そういうものについても年4回収載しよ うということで、3カ月に1度は入っていくという形になっています。有効性とか安全性 が公知されれば、ただちに保険適用をねらっていくというオプションもあり得るとは思っ ております。  幅広い世界ですので、先進医療への議論を経て入っていくものもかなりあると思います し、現にいろいろ取り組まれているものは先進医療で実績を積んで、そこから保険適用に 入っていくという、保険適用の前段階としての位置付けというのも先進医療の持つ特色で すので、そこをどう振り分けるかというのは私の能力では申し上げにくいんですが、現状 を踏まえながらという形になると思います。 ○北村構成員  普及性の問題等が大きなポイントになるのかなと御説明を伺っていて感じたんですが、 そういうことですかね。広く日本中で受け入れられている方式になれば保険になるという のは、先進医療は初めからそうなっているわけですけど、そこ(適応外使用など)を撤回 したいというのが高度先進医療のような気もするんですけどね。 ○岩砂構成員  先進医療を早く皆様方にというところもありますけど、念には念を入れるということも あります。取り入れられたということは使えるわけで、不可能ではありませんので、ある 程度の慎重さというのも必要ではないかと思います。安全を確かめていくというのが科学 をやる者の基本的に大事なことではないかと思います。だれが見ても明らかというのはと もかくとして、多少心配なところもあるのではないかと思いましたので。 ○猿田座長  これまで見ていると、学会で検討されたものは比較的通りやすくなっているのではない かという気はいたしますね。 ○金子構成員  医療機器に関心があるんですが、日本と同等以上の医療機器GPCというのはアメリカ だけと考えてよろしいでしょうか。そうするとアメリカで承認されないものは日本に入ら ないという図式になってしまうんですが。 ○山本審査管理室長  実施されている基準としてはFDAの基準になりますけど、実施されている国としては FDAの水準をクリアするような臨床試験が旧東欧地域で行われているという実例もあり ます。医療機器は医薬品と違って欧州においては承認制度にはなっておりませんで、日本 と同じような承認制度を持っている国の基準はFDAの臨床試験の基準が近いんですが、 臨床試験を行っている場所としては米国の試験でも受け入れるという考え方をとっている わけではありません。 ○金子構成員  昨年28件承認されたうちの20件が外国臨床試験のデータのみという数字は、もっと厳し いのかと思っていたので、びっくりしました。治験をしないでも承認される可能性のある 医療機器があるとしますね。治験をしないで働きかけていながら、しかし先進医療として は使えない。先進医療に承認いていただくには20例とかの経験を得なくてはいけない。そ こが続かないような気がするんですが、そこはどうつなげるんでしょうか。例えば私が個 人輸入して、院長に使わせてくださいといっても使わせてくれなかったり、普通はそうい う図式になりがちですよね。そこがどうつながっていくのかよく見えてこないところがあ るんですが。 ○山本審査管理室長  オフィシャルなパスウェイを申しますと、適応外であっても未承認機器であっても、患 者さんの人権が確保されており、科学的な客観性が保証されていて、申請企業が責任を持 つような臨床試験の成績があれば、それを評価、検討しますというのが薬事商品の開発に なっています。それが表の考え方ですが、それ以外に適応外公知というのはそうではなく て、企業の責任で臨床試験を送るということはなくても、ほかのデータでそれと等しい評 価ができるものがあれば、それも援用するという考え方を新たにとっています。 ○金子構成員  企業がそうやって動いてくれるまでは使えないということですね。承認が得られない限 りは、公的な病院ではそれは使えないわけですから、それを待ってから20例やって、よう やく先進医療の申請にこぎつけるという図式になってしまう。しょうがないといえばしょ うがないのかもしれませんが。 ○川原審査管理課長  医薬品の未承認薬のところで説明いたしましたが、薬事法という法律が、企業の業とし て医薬品を販売したり医療機器を販売したり、市販している間は世界中の副作用情報とか いろんなものについて責任を負うわけです。日本でそういうことをしますという人が現れ て、その人が承認申請をしてくるというのが前提になっているわけです。  未承認薬の場合、国内での患者さんの数が数名とか20名前後とか、まれな先天性の病気 の薬も出てきてるんですが、そこをやってくれる企業が現れないということがあります。 学会や患者さんからの要望を受けて、欧米で承認されているものについては未承認薬使用 問題検討会議にかける。まだ日本で企業が決まってなければ、日本にもベンチャー的な企 業が出てきておりますので、これは医政局の研究開発振興課が中心になっておりますが、 日本での販売権を得て、承認申請に向かうようなところの探し出しというか、そういう働 きかけもしております。  医薬品と医療機器で物がない場合と、物はあるけど適応外というのではいろいろなパタ ーンがあって、原則は原則としても、ここでの御議論はいろいろあるのかなと思います。 ○猿田座長  先進医療に関しては、この会議ができあがる時に先生方に書類を検討していただきまし たが、このあいだお配りしたように、スタートのところは厳格にいこうということで、適 応外その他を…。ここまで来ましたので、これからはそういった点も考慮していこうとい うことで、きょうは先生方に御議論いただいて、状況をわかっていただいて、どういうも のが問題だったかということがわかりますから、これからさらに検討していく。受け付け のところでそういったことを確認して、こういう状況で動いてますよということを出され てくる先生方にもよくわかっていただく。受け付ける方もそのことを注意してやっていく。 スタートしてから1年ちょっとですから、厳格にやっていこうということで来たわけです。 ○渡邊構成員  この委員会で先進医療に関して思ったより数が通らないので、一般の人から見ると、シ ステムがうまくファンクションしてないとか、医療機関が受け入れられないんじゃないか という誤解があると思うんです。その一つの原因として規制みたいなものが強くて、やろ うと思っても難しいということがあると思うんです。今のお話ですと、今までどおりの規 制でやるんであって、それを理解していただくということなんでしょうか。 ○猿田座長  スタートして、最初のところは厳格に始めようということで来たわけです。1年たって みて、これだけのものが認可されて、どういうところでだめだったということがわかりま したから、これからそこのところを変えていこうということでの議論です。 ○渡邊構成員  今から規制を少し変えていこうということですか。 ○猿田座長  最初は保険適用等の問題がありますから、しっかり厳格にやっていかなくてはいけない だろうということでスタートしたわけです。1年たったところで、これしか通らなかった。 いろんな疑問もありましたので、クリアにさせようということです。 ○吉田座長代理  未承認薬使用問題検討会議で検討されて、後はどうするんですか。中医協を通って、ど うなっていくんですか。ここはかなりの決定権がありますよね。 ○川原審査管理課長  ここは治験の早期開始とか早期申請とか、国内で開発する企業が決まってない場合には、 できるだけ早く見つけて、治験を早く開始させてくださいということになるわけです。そ こに入ってしまいますと、審査中に安全性確認試験という形で、国内で審査をしているの と同時並行で治験を行ったりということはありますが、残りの部分は通常の薬事承認から 保険適用への流れと同じです。薬事承認が行われますと、薬価算定組織での薬価の算定と か中医協での了承を経て、薬価収載で保険適用になっていくという流れになります。 ○吉田座長代理  薬についてはありますけど、医療機器に関する委員会はないんですね。 ○川原審査管理課長  今のところ国内未承認の医療機器についてのこういうスキームは、これまでの経緯もあ りまして、まだないという状況です。 ○渡邊構成員  遺伝子検査の試薬がありますよね。体外診断薬に関しては医薬品に入るわけですか。 ○川原審査管理課長  そうです。 ○渡邊構成員  飲む薬と体外検査で使う薬の重みづけというか、評価というか違いというのは何かある んでしょうか。それを教えていただきたいんですが。 ○山本審査管理室長  体外診断薬の場合は臨床で性能試験をすることはありますが、承認に関しては、診断に どのように寄与するかということがわかっていれば承認することになっております。薬価 基準に収載するということではなくて、診療報酬の点数の中で評価する仕組みになってお りますので、そこのところは違いますが、評価に関しては臨床性能を評価して承認をする ことになっています。 ○金子構成員  高度先進の場合は適応外使用のことはどうなってるんでしょうか。 ○猿田座長  考えは同じですね。 ○福田企画官  現状を申し上げますと、基本的には同じ考えで運用されております。したがいまして、 薬事法の承認をベースとして御議論いただくという形になっております。あとは技術の高 度性といった観点から…。 ○猿田座長  特定機能病院でなければ出さなかったという、本当に特殊なところから出してくる技術 ということだったのを、一般的になったのが先進医療ということです。 ○金子構成員  今度、統一されるとお聞きしたんですけど。 ○猿田座長  そういう方向で動いておりますけど、これから高度先進をどうするかということを決め てかからなくてはいけない。同じような状況になってきておりますので。 ○金子構成員  まだ公表はされてないんですね。 ○猿田座長  今は特定機能病院から出たものを高度先進としてますね。そこのとこをどうするかとい う問題も出てきますから、厚生労働省側でもうちょっと議論した上で、いずれは重なって くるものだと思っています。 ○福田企画官  少し補足させていただきますと、高度先進につきましても規制改革の流れで、昨年7月 から医療機関についても大幅に対象を緩和しております。考え方としても今までは病院と 技術をセットで審議をするという形でしたが、ある新しい高度先進という技術については どのようなスタッフや施設の設備が医療施設に必要かということを高度先進医療専門家会 議においてお決めいただきました。先進医療の方で施設基準とか人員の配置基準を御審議 いただいてるのと同じような形でお決めいただきまして、昨年の夏以降はその基準に該当 するという形で医療機関に承認の手続をしていただくと、そこで高度先進医療も適用にな るという形で、考え方の枠組みは近づきつつあります。  後ほど今回の法改正でどのような大きな動きがあるのかということを説明させていただ きますが、その中に、金子先生からお話のありました点も含まれております。個別の検討 は、これから別の委員会で大枠の議論をした上で、その進捗状況は先進医療専門家会議に も関係することですので、逐次報告をさせていただきながら、先ほど提起していただいた 問題につきましてもいろいろ議論をしていただくという方向性になっていくのかなと考え ております。 ○猿田座長  それでは、先の通常国会で成立しました医療制度改革関連法案について、事務局から概 要の説明をお願いいたします。 ○福田企画官  お手元の資料の先−4をごらんいただきたいと思います。「医療制度改革の概要につい て」ですが、先般、国会において医療制度改革について関連する法案が通りましたので、 その概要について説明させていただきます。何分にも大部ですので、どんなことが書いて あるかということを中心にして説明させていただきたいと思います。  今回の医療制度改革は医療提供体制に係る医療法の部分と医療費の保障という形での健 康保険法の関係、さらには老人保健法等関係する法律のいくつかが一括で審議されました が、そのうち医療法改正の主な部分を2ページ、3ページにお示ししています。  概要としては、1.患者等への医療に関する情報提供の推進ですが、患者等が医療に関 する情報を十分に得られ、適切な医療を選択できるよう支援する。こうした流れの中で、 都道府県が医療機関に関する情報を集約し、わかりやすく住民に情報提供し、住民からの 相談等に適切に応じる仕組みを制度化するとか、広告規制の見直しが行われるということ です。  2.医療計画制度の見直し等を通じた医療機能の分化・連携の推進ですが、具体的な内 容はその下に書いてあります。  3.地域や診療科による医師不足問題への対応ですが、へき地等の特定地域、小児科、 産科などの特定の診療科における医師不足の深刻化に対応し、医師等医療従事者の確保策 を強化する。具体的なことはその下の○でいくつか示されています。  そのほか4.医療安全の確保、5.医療従事者の資質の向上、6.医療法人制度改革な どを中心として今回の医療法改正がなされたということです。  4ページは健康保険法等の一部を改正する法律の骨子です。上の四角にありますように、 医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合等所要 の措置を講ずるということで、概要のところにいくつかお示ししてあります。  1.医療費適正化の総合的な推進です。  (1)医療費適正化計画の策定ですが、計画期間5年で、平成20年4月から国及び都道府   県が計画を策定することになります。  (2)保険者に対する一定の予防検診等の義務付け。  (3)保険給付の内容・範囲の見直し等ですが、これは患者さんの負担の部分が中心にな   ります。  (4)介護療養型医療施設の廃止ですが、6年間の猶予期間を設けて、平成24年4月から   実施に移されます。  2.新たな高齢者医療制度の創設ですが、平成20年4月に75歳以上の後期高齢者の医療 制度が新たに創設され、後期高齢者にふさわしい診療報酬について議論される予定になっ ています。  3.保険者の再編・統合ですが、都道府県を単位とした再編・統合が進められる予定に なっています。  4.その他です。  保険診療と保険外診療との併用について、将来的な保険導入のための評価を行うかどう かの観点から再編成を行うことになっています。現在は高度先進医療の部分と選定療養と いう形で特定療養費制度の中で様々なものが動いてる部分とがございまして、先進医療に ついては選定療養の中に位置付けられていますが、現在のこのような位置付けを改めて、 将来的な保険導入のための評価を行うかどうか。患者さんのアメニティの向上に資するよ うなものと医療技術を医療保険の中に導入していくかどうか、そういった大きな2つのカ テゴリーに分けて全体を再構成していくという形になっています。  施行時期は平成18年10月ですので、7月、8月、9月でこの部分の具体的なあり方につ いて御議論いただくことになります。  保険給付と保険外との併用の関係ですので、中医協で御議論いただき、大きなフレーム ワークが整理されると思いますので、先進医療専門家会議にも逐次御報告を申し上げたい と考えております。高度先進医療と統合する方向で考えておりますので、そのための手続 とかプロセスとか内容について改めて中医協等で御議論いただく必要があるかもしれませ んので、これからの議論の進みぐあいを見ながら、先進医療専門家会議に報告させていた だく形になろうかと思っております。  中医協そのものも委員構成の見直し等が法改正の中で示されています。  以上、概要を説明いたしました点について、それぞれ資料がつけてありますが、内容的 には制度を説明するような形になっておりますので、先生方の御関心と一致するところは 必ずしも多くないと思いますので、説明は省略させていただきます。大きな流れとしてい くつか柱立てになるようなものがございまして、先進医療専門家会議もその中の一つとし て全体の動きと整合をとりながら進めていく必要があるということだけ申し上げておきま す。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。膨大な資料ですが、時間のある時にお読みいただければと思 います。  ただいまの説明について、何か御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。  きょうは適応外使用とか未承認機器の取扱いについて、この委員会としてどうやってい くかということを議論していただきましたが、これを踏まえて考えていきたいと思ってお ります。  それでは、次回の予定をお願いできますでしょうか。 ○福田企画官  先ほど説明申し上げましたように受付分が2件ございますので、8月に会議を開催させ ていただきたいと思いますが、具体的な日にちにつきましては先生方の御予定を調整した 上で御連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  それでは、第11回先進医療専門家会議を終了いたします。本日はお忙しい中をありがと うございました。 − 了 − 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)