06/06/21 「第9回医療安全対策連絡会議の議事録の掲載」について             第9回 医療安全対策連絡会議 日時 平成18年6月21日(水) 14:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室5階 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから第9回「医療安全対策連絡会議」を開催させて いただきます。皆様方におかれましては、お忙しい中、本会議にご出席いただきまして、 厚く御礼申し上げます。  本日の出席団体及び出席者の紹介につきましては、時間の都合上、資料にまとめてお ります。お手元の「議事次第」と書いてあります1頁目に座席表が、2頁目に出席者名 簿がございますので、ご覧いただきますようお願い申し上げます。  それでは開会に当たりまして、松谷医政局長よりご挨拶を申し上げます。 ○医政局長   松谷でございます。大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうござい ます。御礼を申し上げます。第9回の「医療安全対策連絡会議」でございます。関係の 団体の方を中心にお集まりいただいておりますけれども、医療安全に関することについ ては、国民の関心は引き続き高いものがございます。国民の関心というよりも、医療を 提供する上で、いちばん大事な根幹ですので、引き続きよろしくお願いを申し上げたい と思っております。  またご出席の方々には、常日ごろから医療行政につきまして、ご支援、ご指導賜って おります。改めまして御礼を申し上げたいと思います。  医療事故につきましては、相次いで報道等もされているわけですが、安心・安全の医 療を願う声ということにつきましては、医療を提供する上での基本ということで、引き 続きその対策を続けていくことが肝要である。厚生労働省としても医療提供体制の充実 という観点から、引き続き施策を続けてまいりますし、それぞれの団体におかれまして も、その活動の中心にこれを据えていただきたいと考えている次第でございます。  この関連でご存じのとおり、医療法等の改正案につきまして、先般の通常国会に提出 をしたところでございますが、先日、6月14日の会期終わり近くになり、可決成立をい たしたところでございます。この法改正の中におきまして、良質な医療を提供する体制 の確立を図るためということで、患者などへの情報提供の推進といった措置を中心に、 いくつかの柱を立てて改正が行われたところでございますが、そのうちの1つの柱とし て医療安全の確保があります。医療安全に関しては、医療機関に対しまして、医療安全 の体制の確保を義務づける。今まで一部医療機関のみに限っていたものもありますが、 すべての医療機関にその体制の確保を義務づけて、より一層の医療安全管理体制の充実 ・強化を図ることをお願いしております。  また都道府県等に設置してある医療安全支援センターについても、これを医療法に基 づく制度として制度化して、患者、国民からの相談に適切に助言を行う体制の整備、推 進を図ることとしているところでございます。  本日ご出席をいただいております団体におかれましては、平成12年度より患者の安全 を守るための医療関係者の共同行動、Patient Safety Action(PSA)という考え方を基 に、さまざまな対策に取り組んでいただいているところでございますが、本日の連絡会 議におきまして、医療安全対策について意見交換を行い、より一層充実した取組を進め ていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくご協力のほどお願い申し上げまして、 ご挨拶といたします。 ○事務局  それでは、議事を進行させていただきます。申し遅れましたが、本日の進行を担当し ております、医療安全推進室長の田原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず資料の確認をさせていただきます。お手元の資料は1から7まであり ます。まず「議事次第」が表紙にあります。資料については、ひと綴りになっており、 資料1、2、3、4、6、7とまとまっていますが、大きなA3の紙で、資料5「医療 安全対策連絡会議関係団体の取組」が別添としてございます。  また団体のほうから別途提供いただいております「国立大学附属病院長会議」の提供 資料ということで1部あります。以上、資料ですが、よろしいでしょうか。過不足がご ざいましたら、事務局にお知らせください。  続きまして「議事次第」について簡単にご説明いたします。「第9回医療安全対策連 絡会議議事次第」と書いてある資料です。まず議事として、第9回医療安全対策連絡会 議の開催の趣旨についてご説明をし、2番目として、先ほど局長からお話のあった法律 の概要についてご説明します。3番目には、医療安全対策にかかる平成18年度事業、予 算についてご説明をいたします。4番目には、平成18年度、本日ご参集いただいており ます各団体の医療安全に関する取組についてご発言をいただこうと思っております。 5番目には、本年度「医療安全推進週間」を11月に予定しておりますが、それについて 現状をご説明して、ご意見を賜りたいと思います。その後、全体を通しての意見交換を したいと考えております。時間が限られておりますので、議事進行にご協力いただきま すよう、お願い申し上げます。  それでは議事に入らせていただきます。まず第9回医療安全対策連絡会議の趣旨につ いてご説明をいたします。お手元の資料の3頁の資料1です。この連絡会議については、 すでにご案内のとおり、平成12年から開催しており、団体についても35団体が参加して おります。  4に目的がありますが、医療安全対策に関し、医療関係者の意識向上、医療機関及び 関係団体等における組織的取組の促進等を図ることを目的といたしまして、開催をして きました。開催の実績については、5頁にまとめております。  今回は、平成18年度の医療安全対策連絡会議ですが、医療安全対策のさらなる推進を 図るために、昨年6月に医療安全対策検討会議で報告書をまとめております。この内容 が、先ほどお話をした法案に盛り込まれ、先日その法案が可決成立したということです。 今後、患者、国民との情報共有と患者、国民の主体的参加を図るため、PSAを推進す ることが重要だと考えておりまして、関係各団体が一体となってPSAの推進に取り組 むことができるように、この会議を開催して、現状について紹介し、意見交換を行うと いう趣旨です。  以上、議事の1番目の開催の趣旨についてご説明いたしました。ご質問等ございます でしょうか。なければ次に議事の2番目の良質な医療を提供する体制の確立を図るため の医療法等の一部を改正する法律と、3番目の医療安全対策にかかる平成18年度事業の 2項目について、一括して事務局より説明をいたします。 ○事務局  勝又でございます。資料の7頁です。本日は医療安全対策連連絡会議ですので、特に 時間の関係上、医療の安全確保についてご説明したいと思います。  8頁の4の医療安全の確保という視点からです。今回の法律においては、1点目が医 療安全支援センターの制度化。2点目には、医療安全の体制確保の義務づけということ で、医療法の中に盛り込まれました。3点目は、行政処分を受けた医師、歯科医師、薬 剤師及び看護師等に対する再教育の義務化を盛り込み、平成19年4月1日を基本に施行 することとしております。  具体的には、9頁以降の基本的な医療安全の確保に関する考え方ですが、◎で書いて ありますように、「医療における安全の確保」と「医療における信頼の確保」という従 来の視点に加えて、「医療の質の向上」という視点を一層重視した医療安全対策を推進 する、ということが1点目です。  2点目は、医療の質の向上を図るために、これまでの医療機関とか、医療従事者によ る取組に加えて、さらに医療に関する情報を国民、患者と共有して、国民、患者による 医療への積極的な参加を推進する、ということが基本的な考え方として位置づけられて おります。  その下のほうですが、これまでの施策としては、医療機関における安全管理体制の整 備、「医療安全支援センター」の設置や事故事例、ヒヤリ・ハット事例の収集・分析を 行ってきましたが、まだ十分な医療安全体制が確立していないことから、今回の改正内 容としては、大きく4点の改正を盛り込みました。1点目は、医療安全支援センターの 制度化で、平成15年から各都道府県において医療に関する患者、家族の苦情や相談を受 け付けていましたが、平成16年5月には、全都道府県に1カ所の設置が完了したところ です。しかし、法律上の位置づけがなく、機能が明確でないということもあって、今回、 医療法に設置を位置づけたところです。  ☆の2番目の、医療機関の管理者に医療安全確保の義務づけを行うということで、1 つ目は、医療機関における安全管理体制の充実・強化で、平成14年10月からは規則で病 院、有床診療所については、指針を作成したり、研修をしたり、院内報告を行ったりと いうことが位置づけられていましたが、今回は無床診療所、あるいは歯科診療所、助産 所等に対しても、一定の安全管理体制の構築を制度化するというものです。  2点目には、医療機関における院内感染対策の充実です。これも特定機能病院等に位 置づけられていたものを一般病院等にも拡大を図り、指針の策定、研修、院内報告等を 行うものです。  3点目では、医薬品あるいは医療機器の安全確保ということで、安全使用にかかる責 任者の明確化や安全使用にかかる業務手順、定期的な保守点検等についても位置づけを することを新たに盛り込みました。  3つ目の☆ですが、行政処分を受けた医師等への再教育の義務化ということで、そう いった医師や看護師等について再教育を義務化していこうということ。  4つ目の☆は、国・地方公共団体の責務や役割を明確化するということで、医療安全 に関する情報提供、研修の実施、意識の啓発等については、国の責任を明確にしました。 詳細については次の頁から記載しておりますので、ご覧いただきたいと思います。  時間の関係で端折りますが、15頁の医療安全にかかる平成18年度の事業や予算の内容 の主なものについて、ご説明いたします。まず医政局担当からいきますと、主な事業と して、1の医療紛争における調整・調停を担う人材の養成研修事業ということで、患者 や家族からの苦情、相談への対応が不適切であったために訴訟に至ることがあることか ら、その患者や家族に対して、きちんと相談を受け付けられるような人材の養成を行っ ていこうということで、こういった人材の養成研修事業を平成18年度から行っていくこ とにしております。  2番目には、医療安全緊急情報提供事業で、日本医療機能評価機構において収集され ている数多くの事故等の事例から、患者に重大な影響を及ぼすことが予想される行為や 技術の情報を迅速に医療機関等に対して発信し、予防・再発防止に取り組んでいこうと いう事業です。  3点目は、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業で、2年目を迎えています が、現在6地域で22の事例を基にしてモデル事業を展開しているところです。その他医 政局としては、医療安全管理者の業務内容の指針、あるいは必要な研修のプログラムの 開発等を行うような検討会。さらにはICUの医療安全管理指針等を策定するための検 討会を行ったり、周産期の医療施設のオープン病院化モデル事業を行ったりしておりま す。  17頁です。真ん中辺りに、医薬食品局で行っている事業として、医薬品表示コード化 による医療事故防止対策の推進や、独立行政法人医薬品機構においても医療の安全確保 のための事例の収集体制の整備等について、事業を行っています。  資料4の平成18年度診療報酬の改定です。特に医療安全に関するものとして2つ掲げ ています。1つは、医療安全対策等に係る評価についてで、これまで減算方式でやって いたのを廃止して、新たに医療安全対策加算の新設ということで、急性期入院医療にお いて、医療安全対策に係る専門の教育を受けた看護師・薬剤師等を医療安全管理者とし て専従で配置した場合については、入院基本料に対する加算を新設するとか、褥瘡ハイ リスク患者ケア加算の新設等が行われました。  さらに産科医療に係る評価では、ハイリスク分娩管理加算の新設・ハイリスク妊産婦 共同管理料の新設ということで、平成18年度の診療報酬の改定においても、医療安全に 関するものが追加されました。以上が資料2から資料4までの説明です。 ○事務局  以上、平成18年度の取組、医療法等の一部を改正する法律の概要についてご説明をい たしました。この点についてご質問やご意見がございましたらお願いいたします。  ないようですので、次に行きます。次に行く前に先ほどの開催の趣旨で説明を忘れて おりましたが、資料23頁に昨年6月にまとまった資料9の医療安全対策検討会議の報告 書を添付しておりますので、具体的にご覧いただければと思います。  それでは、議題次第の4番目の「各団体からの取組状況について」です。あらかじめ 各団体から医療安全対策の取組のお話を伺っており、それをまとめたものがA3の横書 の資料5です。平成17年度と平成18年度の取組をまとめています。これに関していくつ かの団体からご発言を求められておりますので、1人最大5分程度でご発言をお願いい たします。そのほかの団体については、後ほどご発言の機会を設けたいと思っておりま すので、何人か発表していただいたあと、まとめて質疑応答の時間としたいと思います。 それでは、まず最初に国家公務員共済組合会から発言を求められておりますので、よろ しくお願いいたします。 ○国家公務員共済組合連合会(藤原)  資料5の上から2番目の団体の取組に簡単に記載がありますが、私どもは国家公務員 共済組合連合会という職域の団体があって、基本的には国家公務員の組合員の皆様のた めの職域の病院を運営しているという性格です。全国で34の病院を運営しており、一応 は国家公務員の組合員の皆様のための病院という位置づけで設置の根拠になっているも のの、実際には地域の住民に医療を提供している団体です。  私どもには34の病院がありまして、主に本部がやっていることは、日々経営改善をし なさいということで、いかに収入を上げて、いかに経費を削減し、独立採算で運営をし ていくかを、日ごろ経営指導しているというのが主な事業の内容になっています。近年 は、このような経営の観点からも医療安全とか、医療の質の向上が不可欠になってきて いると通感しており、我々本部には技術職配置はなく、事務職員のみの配置になってい ますが、病院長、看護部長等のプロジェクトを作り、いろいろな形で医療の問題につい ても鋭意検討している状況です。  平成18年度の取組について少しご紹介したいと思います。右側の1つ目の○ですが、 これは病院に医療安全の委員会を持っているのは当然のことで、本部でも医療安全の対 策の推進委員会を設置して、病院のレベルの底上げを図ったり、医療事故の報告事例を まとめたり、あるいはフィードバックをしたりという機能を新しく作ろうということで、 これは今年度設置するということで、いま準備を進めております。むしろ大きな病院グ ループであれば、当然本部機能を持っておられると思いますので、私ども連合会は遅れ ばせながら、いまやっとそういう段階にきているという状況です。  2つ目の○は今年度の新規の事業ですが、私どもの連合会病院の中で川崎市にある虎 の門病院分院において、連合会病院全体の医師、看護師のための実務研修を行うための シミュレーション・ラボセンターを開設しました。既に4月以降、新人の初期臨床研修 医の職員、2次救急の実技の研修、来週になりますが、今年度の診療報酬改定で医療安 全の加算が設定されましたが、そこでの専任者の研修の要件にも合致するような5日間 40時間の研修ということで、リスクマネージャー等の管理者への指導・研修を計画して おります。  私どものそのセンターには、常時マネージャーが2人おりまして、その2人が輪番で、 必ずどちらか1人常駐をする形で指導に当たり、2次救急の研修については、虎の門病 院をはじめとする資格を持った指導医を派遣してもらい、指導に当たるという形で実技 の研修を行うというセンターの事業を開始したところです。  私ども連合会として、いろいろな取組をやっていくときに、例えば日々医療事故の報 告が上がってきたりするときに、いざ何か事故があれば放っておいてもマスコミの皆さ んに来ていただいて、取材をされたりということもありますが、逆に常日ごろ、こうい うことで一生懸命努力をしているという情報発信をすることも、我々の義務ではないか と思い、このセンターの設置に当たっては、厚生労働省記者会で記者発表をしたり、プ レスの方々に積極的に説明をすることで努力をしております。  3点目は、ここには書いてありませんが、国にお願いしたいのです。現場で日々医療 事故の発生の届出を見ておりますと、医師法21条の届出の対象になるのだろうかとい う非常に微妙なケースや医療過誤も明らかなミスという事例ではなく、本当は合併症な のかどうか非常に迷うようなケースのほうがほとんどで、日々現場でも対処を迫られて いて、一刻を争う形で判断を迫られます。特に先ほどの説明にもあったような診療行為 に関連した死亡の調査分析に係るモデル事業については、裁判外の紛争処理機関に対す る期待が、現場からはすごく感じられます。22の事例の実績があるということでしたの で、今後そういうものを活用されて、具体的な機関の検討を是非お願いしたいですし、 当面のスケジュールがもしあれば、ご説明いただければと思います。 ○事務局  質問等については、後ほどまとめて対応したいと思います。それでは、次に国立大学 附属病院長会議からご発言を求められております。 ○国立大学附属病院長会議(齋藤)  平成18年度の取組としては、大きく2つ掲げております。1つは、医療事故等の包括 的な公表システムの稼働です。もう1つは、従来から行っている国立大学間の相互チェ ックをさらに充実して実施するということです。  後者の相互チェックというのは、目的は第三者的な視点から検証を受けることが基本 にありますが、そのようなことをすることによって、医師、看護師だけではなく、薬剤 師、臨床衛生検査技師、放射線技士等々、病院に働く多くの職種の人たちが同一に参加 して、大学間で訪問したり訪問されたりということを通じて、医療事故の防止、あるい はそういうことを引き起こしたときの意識、あるいはそういうことに対する意識を高め ていくことには、大いなる評価を受けているところであり、これをさらに推進したいと いうのが現状です。平成12年度から開始され、その年度毎にクリアしなければならない テーマ、例えば、感染症、あるいは個人保護法のことなど、実際的なテーマも含めた取 組をしてきました。  そのようなことを通じて各大学間にいろいろな安全システムの細かいところを、お互 いにチェックし合うことのなかから工夫、そのようなことの改善に結び付けることが多 く取り組まれてきたことも評価されるべきことではないかと思います。このことをより 一層充実させていきたいというのが、1つのテーマです。詳しいチェック項目などは、 本日お配りした中に抜粋したものを挙げておりますので、ご参照いただければと思いま す。  もう1つの医療事故の包括的公表システムですが、今日お配りした最後に別表1があ ります。公表する医療上の事故等の範囲及び方法の一覧表ですが、もちろん公表をする ことを通じて、いろいろな社会的義務を果たす、あるいはさらに医療の安全性の向上に 役立てていくということがあるわけですが、一定の公表基準に従って、これらをしてい こうということで、このような基準を策定し、進めております。  左下にある「公表の方法」の(3)、(4)です。いずれも病院会議全体として取りまとめて 報告するとか、年度報告で行うということですが、この公表の仕方については、大学病 院間の情報ネットワークを通じて公表していく、というシステムを確立することになっ ています。今回の平成18年度については、明日、明後日と弘前で開かれる病院長会議で、 これらが公表されることになっております。 ○事務局  それでは、3番目に日本医師会からご発言が求められておりますので、よろしくお願 いいたします。 ○(社)日本医師会(木下)  私は医療安全を担当しております。この資料に、過去から現在に至る日医の取組に関 するものです。簡単に申し上げますと、平成13年ぐらいから今日まで続いている「医療 安全推進者養成講座」があります。これは通信教育システムですが、今まで累積3,941 名の受講者がありました。平成18年度は930名で、年々徐々に増えつつあります。こう いう方を病院あるいは診療所で養成することによって、現場の医療安全を積極的に推し 進めていくという視点で、この講座をすすめております。そこでの教育内容は、医療安 全の総論から各論にわたる内容です。  現在では、その方々の医療安全推進者ネットワークを作り、メール等でいろいろな情 報交換をし、問題点をお互いに共有しつつ、医療安全に努めているという現状です。  昨年来、リピーターと申しますか、たまたま同じような内容ではありませんが、医療 事故を繰り返した方たちに対して、医療事故防止研修会を開いています。これは少しで も医療安全をリマインドしてもらうための研修会です。  日本医師会が新しい体制になったのはこの4月です。医療安全に関して、ただいま司 会をされている田原室長にもいろいろ伺い、国の視点でどのような取組をされているか をベースにして、日本医師会として全医療関係者に対して、どのような方向性で行くか も考えております。  本当に医療行為を真剣にやっていても、医療事故がおきることもあります。今までは 民事責任だけではなく刑事責任を問われる事態が増えており、医師の間で自信を失いつ つあるというのが現状です。このことは国民にとって影響が大きいことですから、そう いう視点から取り組みたい課題が2つあります。  1つは、産科医療に関することです。現在、無過失補償制度というのがいろいろ討議 されています。何か過失があったときには、医師賠償責任保険で賠償金が支払えますが、 無過失の結果であったとすると、被害者に対して何の救済も行われません。そういう被 害者に対して、社会保障制度の一環として、何か救済をすべきであると思います。しか し、すべての無過失に対しての補償は財源の点で不可能です。そこで現在、いちばん問 題になっている分娩に関連した脳性麻痺に対して、過失・無過失を問わず補償制度を立 ち上げようということで積極的に取り組んでおります。これは厚労省の皆様方からもい ろいろお知恵を拝借しつつ、制度化をやり遂げようという思いでおります。その結果は、 産婦人科医が安心して仕事ができるという意味での意義ある制度として考えております。  もう1つは、異常死への届出の問題があります。先刻、福島県で起こった産婦人科医 師に対する逮捕事例がありました。この事例は、業務上過失致死傷罪と異常死届出の違 反も罪状にありました。この問題に対して第三者機関をつくれなどの話があり、厚生労 働省のモデル事業として動います。  しかしながら、我々医療サイドで21条のことを問題にしますと、常にそのような話に なってまいります。省関係者、特に検察関係、刑事法学者はこれをどう見てるかという 視点から、医療サイドと真剣にディスカッションして、1つの方向性を出したい。例え ば異常死に対するガイドラインができないか、あるいは大変むずかしい問題ですが、業 務上過失致死傷罪に対する特則みたいなものはできないかということにまで踏み込んだ ディスカッションをしたいと考えており、そういう委員会を作って、近々発足させたい と思っております。  今申し上げたことは、医療安全のこととは言え、事が起こってしまったあとの話で、 医療安全に関しては、予防ということが極めて大事です。この視点から今日お集まりの 方々はいろいろな試策を講じておられると思います。我々のサイドでは、例えば自陪責 で評価委員会で見ておりますと、各診療科に特徴的な大変危険な領域があることもはっ きりしております。そこで、そういうことに関して再教育をしていくという取組も必要 かと思いますので、それも医療安全の広い意味で取り組んでまいりたいと存じます。  どこの病院でもそうですが、指導者や、あるいは先ほどの推進担当がいるだけでは駄 目で、実は本当に現場の、例えば看護師、助産師、あるいはドクターもそうですが、彼 らからこの問題は危険だから予防策を考えるという視点からいかないと有効性にとぼし く、上から押し付けたものでは有効ではないと考えております。  病院の幹部の問題だけではなく、従業員の問題であるという視点から、彼らに取り組 ませて、問題点は何かというところを明らかに持ち上げてくることが重要です。  その意味で医療安全対策委員会では、総論的なことは、言い尽くされておりますので、 各論的に診療所、有床診療所、あるいは小さな病院などの安全マニュアルを整理して、 実現可能な対策を考えていきたいと思います。 ○事務局  それでは、次に日本看護協会からお願いいたします。 ○(社)日本看護協会(楠本)  日ごろは皆様にはお世話になりまして、ありがとうございます。ただいまの医師会の ご発言のとおり、政府が声を枯らし、旗を振っているわりには医療事故は減らず続出し ております。昨年の私どもの調べでは、看護職20数名が書類送検され、同じぐらいの 数が刑事罰を受け、禁固1年6月、執行猶予3年という事例も本当に増えております。 これが看護職の知識や技術が未熟ということも多々あるわけですが、医療の提供のシス テムや管理体制の辺りの本当に大きな問題が、まだまだ解決されていないという状況が あると思います。そういったことを解決していく1つがこの場だと思っております。  私どもの取組についてご紹介させていただきたいと思います。資料は大まかに書いて ありますので、少し具体的にお話したいと思います。日本看護協会では、平成12年から 医療安全に向けて組織的な取組を進めております。柱が5本あって、1つは医療安全を 推進していく、いわゆるリスクマネージャーという人たちの養成です。この養成につい てはステップ1、ステップ2と30時間ずつ、2回という養成をしておりまして、すでに この養成を終わった人が1,200名おります。この人たちを推進者として各都道府県協会 でリスクマネージャーの養成が進んでいるという状況です。  今年については、診療報酬の改定で専従のリスクマネージャーが評価されることにな りましたので、大変要請が多い状況があって、11月に衛星通信を使って1,000名単位の 養成を、今までのものに合わせて行う予定をしております。看護師、薬剤師等という他 職種のことも明記されておりますので、看護職のみならず、他職種も要望があれば、日 本看護協会の修了証書でよければ受けていただこうと考えて、いま計画をしているとこ ろです。今年は2,200名ぐらいのリスクマネージャーが養成できるのではないかと考え ております。  情報提供ということで、医療事故が起こったときに、できるだけ詳しく情報収集をし て、情報提供をする。それから繰り返し起こることについては、協会ニュースを真っ赤 に塗った形で警告ということで出したりしています。最近では、医療機能評価機構の事 故防止センターから情報を早めにいただいて、看護業務に関することについては、でき るだけ早く現場に届けるような形で報告書が出るのと同時ぐらいに、緊急ニュースが出 るという仕組みで取り組んでおります。  PSAのことに関しては、平成12年から事業計画の中に医療安全推進週間への企画展 の開催等ということで、ほかを見ても日本看護協会だけだなと密かな自負を持って見て おりますが、グッズを作ったりパンフレットを作ったり、2回目からはシンポジウムと いう形でずっと進めてまいりました。シンポジウムに関しては、ここにおられるさまざ まな団体の方にもご協力をいただいて進めてまいりました。  JNAのホールで2,200名程度でやってまいりましたが、昨年はもう少し打って出よ うということで「病院は安全か」というタイトルでいたしましたところ、定員をはるか に超える応募があって、急遽六本木ヒルズを借りて開催いたしました。今年もそういう 観点で少し一般の方々にもたくさん入っていただけるような診療報酬改定や介護報酬改 定に伴う現場に起こるさまざまな問題等を取り上げて、国民の皆様ともディスカッショ ンできるようなシンポジウムをしていきたいと思っています。  そのテーマに関連した企画展も実施しております。これは医療機器団体の方々にご協 力いただきながら、事故が起こった機器を展示したりという形でセットで進めておりま すので、今年もそういう企画展と同時にシンポジウムをしていきたいと思っております。  もう1つは、医療従事者の良心を支える会などもできてきて、私どもの倫理的な意思 決定や行動が大変重要視というか注視されております。12月10日は「世界人権デー」 ですので、この前後ぐらいを看護倫理強化月間、強化週間を設けて、臨床の現場で起こ っている倫理的な問題解決の取組に向けたキャペーン等も実施していきたいと考えてお ります。 ○事務局  それでは、最後に日本医療機器産業連合会からご発言をいただこうと思います。お手 元の資料は5頁で、左側に33と書いてある所です。 ○日本医療機器産業連合会(石川)  一応医機連という名前になっておりますが、私たちのほうは安全性情報管理講習会を 毎年続けておりまして、今年も継続しております。これの相手は物を作っている立場の 人が多いわけですが、その方々に対して医療安全に対する情報の管理ということで、ど のように情報を収集し、伝えるのかに重きを置いてやっています。特に昨年度からの薬 事法の改正に伴って、省令が2つ出ております。また製造販売業という新しい業態がで きたこともあり、それにおける法人の役割として、どのように情報を管理しなければな らないかという点から、昨年、今年にかけては、そういう法的な面もベースに行ってお ります。  さらにいま取り組んでいることは何かと言いますと、私たちがやらなければいけない ことは情報をいかに収集して、それを提供するかということ。そのために医療機器情報 担当者という新しい名前の担当者を置くということになっていますが、果たしてこの方 々が何を、どのようにすればいちばん効果的なのかを、これから少し時間をかけてやっ ていこうとしています。  特に情報は欲しいわけですが、残念ながら、いま評価機構でやっているヒヤリ・ハッ トのことや、私たちが自らやっている不具合、または回収という報告で、自らのことし かないのですが、もう少しその中に含まれている複雑な情報がたくさんある。つまり、 物がひとりでに壊れることもありますが、使う方と物との間、要するに人が介在するこ とによっていろいろなことが起きているということで、反省の意味も含めながら、どう いう状況で、どのように起きたのかという事情をもっと知りたいというのがあります。 一方では早くそのデータを渡したいということがあって、いま国としてIT戦略という ことでいろいろな情報戦略をIT化しようとしていると思います。そういう電子化の流 れに乗って、いまの情報の収集と提供が、いかにできるのかということをいろいろ検討 しているところだと思います。  紙上キャンペーンというのがここに書いてあります。「紙」でもいいですし、雑誌の 「誌」でも構わないのですが、私たち物を作るほうだけではなく、使っている方々、技 師、または患者などからの医療安全に関してどのように思っているかということの情報 をいただいて掲載しています。それを会員に回覧することによって、使用者がどのよう に考え、どのように使うかは患者の立場で考えたらいいのかを啓蒙しながら、情報をシ ェアしているという行動をとっています。  最初に申し上げましたように、物だけで解決することは絶対ないので、ユーザービリ ティということもありますし、人の関係で使い方ということもあるでしょう。そういう 意味ではできるだけ情報をたくさん集められるような環境が欲しい。そういうところへ ちょうど医療法の改正があって、今日ご説明がありましたように、たぶん現場での管理 という意味で、そういう情報が集中してできるような環境に徐々になってくるのだろう と思っています。 ○事務局  予定しておりましたご発言については以上です。ほかの団体からでも結構ですので、 ご発言の希望がありましたらお願いしたいと思います。先ほどご発言のあった団体、あ るいは事務局に対する質問、ご意見も含めお願いしたいと思います。 ○健康保険組合連合会(椎名)  私どもがやっている取組を1つだけご紹介させていただきます。資料の1枚目の1に あり、これは若干説明不足のような書き方になっていますが、けんぽれん病院情報「ほ すぴたる!」を1つだけ紹介させていただきます。これは私ども健保連が、病院に関す るいろいろな情報を病院のご協力の下に集めて、提供している事業です。これは平成13 年度に私どもの内部に調査検討組織を作り、約2年間にわたって医療関係者、病院関係 者、研究者、健保組合関係者で議論してまいりました。当初、我々は保険者団体として、 こういうものを企画して成り立つのかどうかといろいろ議論があったのですが、平成15 年10月に約2,700の病院のご協力をいただいて、病院からいただいた情報をサイトに掲 載しました。  中身は、その病院で扱っている医療の中身で、診療内容、検査の内容、治療の内容を リンクした形、あるいはセカンドオピニオン等に対応できるかどうかです。今回の医療 法改正でも情報提供が1つの大きな柱になっていますが、それを平成15年10月から試行 事業として始めております。昨年度は行政当局のご理解とご協力によって、いわゆる施 設基準の情報の提供を受けて、これを併せて提供しています。言い換えますと、施設基 準については全病院9,200の病院の施設基準が入っており、患者あるいは国民が病院あ るいはセカンドオピニオンを受ける場合の病院の情報を検索できる。ひいては広い意 味での医療安全対策、医療の質の確保のための取組をやっています。  ちなみに昨年12月の社会保障審議会医療部会の最終報告にも、私たちのこの取組が取 り上げられ、今後ともこういった取組の推進に期待するということで、我々としては非 常に自信を持った次第です。 ○事務局  そのほかにございますでしょうか。 ○(社)全日本病院協会(中村)  本日は、各団体の取組がこのようにして資料を整えていただきましたので、大変助か るのですが、この取組の効果がどのようなものであったかを、さらに知らせていただけ たら、大変助かると思います。  実は私どもの福岡県北九州市小倉医師会では、平成13年度から医療安全対策に取り組 み、平成17年度時点で医事調停届出件数を半減することができました。これは極めては っきりした実績です。それを踏まえて昨年は福岡県医師会で医療安全推進者行政という のをやりましたら、これも250名近い参加がありました。  先ほど日本医師会、四病協、看護協会等で養成講座が行われているという報告があり ましたが、これを県レベルでやる場合には、どのぐらいの内容、あるいは時間であれば いいのか等々を、もう具体的に決めていただいたほうがいいのではないか。できるだけ 地方でもいいですよという方向に持っていっていただきたいと思います。何しろコスト 削減はそれなりに意味があることです。  医療安全推進週間は後ほどまた取り上げられるかと思いますが、この間に医療安全推 進に関するイベントを開くというのは、なかなか困難です。できれば月間ということで 拡大していただきますと、地方の各支部からの要請にも応えることができるかと思って います。 ○(社)日本病院会(村上)  日本病院会は、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全日本病院協会と4つの病 院に団体で四病協と称しております。そこで医療安全について取り組んでまいりました。 厚労省の科研費をいただき、医療安全管理者の教育に関してのプログラム等も作ってお ります。それに従った形で管理者を養成しているわけですが、特にかなり専門的なアメ リカの管理者のものを使っているせいで、トータル・クオリティー・マネージメントが 中心となりますので、かなり事務系の人が受講しており、卒業しています。  これはここで言っていいのかどうかわかりませんし、本来は中医協に出す問題かもし れませんが、医療安全管理者、保険の点数を付けるのは看護師、または薬剤師という歯 止めをかけられてしまいました。しかし医療安全に病院として取り組む場合に、何も看 護師、薬剤師、医師だけの問題ではないと思います。保険局もこの問題については医政 局の意見も聞いて範囲を絞ったのだと思いますので、この点についてもう少し配慮をし ていただきたいと思っています。    ○事務局  その他ございますか。いただいている質問については、後ほどまとめてご説明をした いと思います。 ○(社)全国自治体病院協議会(中島)  この取組の表に載っていることは申し上げませんが、診療報酬改定が今般講じられ、 一定の前進があったわけですが、医療安全管理者の要件が専従となっています。そうい うことになりますと、専従にするためには1人の給与が十分払える額でなければ全くナ ンセンスなわけで、雇えなければ全くやらないということになってしまいますから、こ こは是非とも専従から専任に改めていただきたいと思います。  また、医療事故の原因や対策を具体的に解説した、しっかりした視聴覚の教材を作成 して、配布することが非常に大切なのではないか。話だけ聞いてもわからないわけで、 きちんと見る、聴くという両方の作業が必要なのではないかと思いますので、この点も 予算上、許されればお願いしたいと思います。  もう一つ、現在行われている医療安全に関するワークショップがありますが、今は特 定機能病院だけを対象としておられると思います。できれば今後、参加範囲を広げてい ただければありがたいと考えております。 ○事務局  このほかご発言はございますでしょうか。それでは、いくつかご質問がありましたの で、事務局からお答えしたいと思います。まず国共済や日本医師会からお話があった医 師法21条の関係、あるいは萎縮医療があるのではないかというお話がありました。これ については、先ほどからも出ておりましたが、診療行為に関連した死亡の調査分析モデ ル事業を実施しております。実は法案の審議の際に、国会でも取り上げられており、参 議院の厚生労働委員会で審議をされたあとに、付帯決議がなされております。付帯決議 の中には、医療事故対策については、医師法第21条に基づく届出制度の取扱いを含めて 第三者機関による調査、紛争解決の仕組み等について、必要な検討を行うこと、という ことが決議されております。  また衆議院では付帯決議ではありませんが、別途「安全で質の高い医療の確保・充実 に関する件」がなされておりまして、同様な第三者的な立場による調査、医療事故の問 題ですが、こういったことが得られるような環境を整備する必要がある、というご指摘 がありますので、厚生労働省としても、このような体制をどのように確保していくのか 検討を進めていこうと考えております。「診療行為に関する死亡の調査分析モデル事業」 は5年の予定で実施しているわけですが、5年のモデル事業の実施を終えてから検討を するのではなくて、モデル事業の実施状況を踏まえながら、並行して第三者機関による 救急医療体制確保あるいは紛争解決のための体制について検討をしてまいりたいと考え ております。  2番目として、医療安全対策加算、診療報酬上の加算の話がありました。この要件は 保険局で中医協の意見を踏まえて決めたと理解しておりますが、我々のほうでは、こう いった研修について、ある程度きちんと標準化していかなければならないし、質も高め たいと考えております。お手元の「議事次第」と書いてある資料の15頁、資料3平成18 年度の事業の「その他」に医療安全管理者の質の向上のためのガイドライン作成検討会 を啓上しており、間もなくこの検討会を開催したいと考えております。保険局では要件 が定められておりますが、医政局の検討会の中で、医療安全管理者の業務の内容あるい は安全管理者を養成するための研修の内容をさらに具体的に検討し、それをお示しする。 そういうことによって診療報酬上の評価がまた変わってくるのではないか、と期待して いるところです。  3番目として、医療安全推進週間を月間にする、あるいは「医療安全推進週間」のワ ークショップに特定機能病院以外の方も呼ぶというような提案がありましたが、これは 次の議題、医療安全推進週間に向けての議論のときに合わせてご議論いただきたいと思 います。以上がご質問いただいたものについての回答ですが、さらに追加して質問や意 見がありましたらお願いいたします。 ○(社)日本臨床衛生検査技師会  2の医療安全対策加算の件で、先ほど2、3の方から質問がありましたが厚労省でガ イドライン作成等いろいろな研修会のプログラムがあるわけです。当会も、先ほど看護 協会からお話があったPSAに関して、マニュアルを作って研修会を開いており、その ときは厚労省からも講師として来てもらっているわけです。こういう教育は厚労省が主 催で、厚労省に集まってやる研修会もあれば、各団体が厚労省のプログラムに則ってや る研修会もありますが、そういう研修会を通じて修了証書等を発行した場合に、それは 有効でしょうか。例えば病院などの医療機関が厚労省に、この者をこういう形で専任あ るいは専従にする、というような申請手続をすれば、この加算は取れるのですか。 ○事務局  現状につきましては、解釈のQ&Aが保険局から出されておりまして、「国や関係団 体が開催する研修会」と示されています。具体的な内容につきましても、含まれる項目 を具体的に掲げておりますし、また、実習を含まないといけない、というようなことも 具体的に保険局から示されております。  関係団体の研修を修了した場合に、それを社会保険事務局に提出すれば加算が取れる のではないかと考えておりますが、詳細なところまではお答えができかねます。 ○(社)日本臨床衛生検査技師会 保険局から出されたそういう見解は、医療機関には全部通達という形で送られるのです か。 ○事務局  Q&Aは厚生労働省のホームページに掲載されております。 それでは議題第5「平成18年度の医療安全推進週間に向けて」に参りたいと思います。 お手元の資料では19頁の資料6です。 ○事務局  資料6として平成18年度「医療安全推進週間」の実施要綱(案)と題する資料を付 けてあります。  医療安全の確保は医療政策上の最も重要な課題の1つであることから、医療安全対策 に関し、医療関係者の意識向上、医療機関、関係団体等における組織的取組の促進等を 図ることを目的とし、平成13年度から、11月25日を含む1週間を「医療安全推進週 間」と位置づけ、医療安全対策の推進を図っているところであるということで、この目 的を基にしております。期間を11月25日にしたのは「いい医療に向かってゴー」の語呂 合せのもとで決められております。  平成18年度は11月19日(日)から11月25日(土)を予定しておりますが、各実施地域 については地域の実情に応じて変更できるものとする、としております。主催・ 後援団体は略します。  5として、平成18年度実施方針を掲げております。これまでは、実施方針として実施 の重点、実施する行事など大まかな項目を挙げておりました。しかし、平成17年度6月 の医療安全対策検討会議において、資料9にあるような「今後の医療安全対策について 」という報告書が取りまとめられ、資料36頁の3のように、患者、国民との情報共有と 患者、国民の主体的参加の促進とあり、将来像のイメージと当面取り組むべき課題を挙 げております。詳細は略しますが、今年度は、こういう理念を基に取組を実施すること としております。  20頁に基づいて詳細を述べます。通年1日で終了していたものを1.5日の設定にしま した。会場は、国立オリンピック記念青少年総合センター大ホールを確保しており、日 時を11月21日の午後と22日の終日としております。21日の半日のほうは、対象を主とし て一般市民とし、患者、国民の主体的参加を得て、医療関係者の共同行動により医療事 故防止の推進を図るという趣旨のもと、内容を5点挙げております。  (1)として、医療安全推進週間の標語募集を予定しております。(2)として、日頃から患 者誤認の防止が叫ばれておりますが、ヒヤリ・ハット事例のビデオを用いて、解説を含 めた、一般市民にわかりやすいものを上映してはどうかと提案しております。  (3)は基調講演、(4)はパネルディスカッション、(5)は展示コーナーとして、ブースを使 用して、医療安全に関係する団体の協力による展示コーナーを設けてはどうか、そのよ うなことを案として挙げております。  22日は、通年行っている特定機能病院の方を中心にしたワークショップです。こちら のほうは、主として医療従事者を対象にしておりますが、先ほど要望がありましたよう に、特定機能病院の方に限らず、対象者を広げたいとは考えております。これが医療安 全推進週間の取組です。  次の頁に具体的な標語の募集の実施要綱を案として挙げております。この標語をどう いったテーマで募集するかというのは、先ほどの医療安全対策検討会議の報告書の文章 を基に、医療安全に関し、患者、国民と医療従事者との情報共有や、患者、国民の主体 的な参加を促すものとして行いたいと思いますが、これも案です。  その他の取組の一環として、資料8にあるような医療安全のホームページを開設して はどうかということで案を付けました。これはトップページのイメージですが、真ん中 に、医療安全推進週間のプログラムの1つであるワークショップ等を載せ、右側で標語 の募集ができるようになっているわけです。そして左側に、PSAの共同行動関連の団 体にリンクできるようなサイトにできればと思って案を載せてあります。 ○事務局  以上の説明は、今年度の医療安全推進週間に向けてどういう取組を我々のほうで検討 しているかという紹介でした。まだ確定したものではありませんが、こういう内容を現 時点では考えているということです。先ほど、週間ではなくて月間にしてほしいという お話でしたが、19頁の「期間」のところにあるように、地域の実情に応じて変更できる ようにしております。対象につきましても、特定機能病院を対象にしたワークショップ がございますが、今回は昨年度よりも広い場所を取っておりますので、対象を広げて実 施することは可能ではないかと思っております。それでは、この医療安全推進週間の案 について、ご意見やご質問がありましたらお願いいたします。 ○(社)全国自治体病院協議会  ここに「患者誤認等のヒヤリ・ハット事例についてのビデオ上映と解説」というのが あるのですが、この日だけに限られると、おそらく東京都民あるいはその近辺というこ とになるのだと思います。そこで、このビデオ等に関しては、地方への貸出しも考えて おられるのか。併せて「解説に行ってあげるよ」とかいうことも考えておられるのか伺 いたいのですが。 ○事務局  現時点ではまだそういうところまでは考えていないのですが、著作権辺りのところを 整理し、いまの意見も踏まえて考えていきたいと思います。 ○(社)全国自治体病院協議会  先ほどもお願いしましたが、できるだけ全国津々浦々でこういうものを推進していけ るようにお図りいただきたいと思います。 ○日本医療機器産業連合会  22日のほうの対象として、主として医療従事者とあるのですが、先ほど私も申し上げ たように、ヒヤリ・ハットの報告などというのは、人との関係、物との関係が大変重要 なので、ここも対象をあまり限定しないで、我々ものづくりをやっているほうも参加さ せていただけるような仕組みにできないでしょうか。 ○事務局  限定するつもりではありません。ターゲットとして医療従事者の方ということを念頭 に書いたものですので、医療機器や医薬品メーカーの方その流通の方など広く声をかけ ることは可能だと思っております。そのほかにはございますか。ここに書かれている取 組ではなくて、全く新しい提案でも結構だと思いますが。  医療安全推進週間まで、あと5カ月ぐらいですが、いまから準備をしてまいりたいと 思いますが、その都度その都度関係団体の皆様方には相談をしながら進めていくかと思 います。特に20頁の真ん中にある展示コーナー、こういった所に出していただくような 具体的なものについて、積極的にご参加をいただければと思います。  以上で5番目までの議事を終わりまして、最後の6番目、意見交換にまいりたいと思 います。医療安全に関する取組の全般的なこと、あるいは、この医療安全対策連絡会議 の運営そのものについてでも結構ですので、発言がありましたらよろしくお願いいたし ます。 ○(社)日本医師会  このたび医療法で新しく制度化された医療安全支援センターのことです。基本方針は 「中立的な立場」ということではありますが、ニュアンスとしては、何か患者さん方の   苦情相談窓口というようなことが強調されている感じがするのです。しかし、このセン ターは、やり方によっては、実は非常に大事だと思うのです。各都道府県に設置すると いうことになりますと、患者サイドのみならず、医師や医療機関に対しても情報という か、いわば安全に関するいろいろな相談も含めて積極的に対応していただきたい、そう いう機能を持たせていただきたいと思うのです。  こういうセンターが駆込み寺ではないですが、今いちばん大事なことは、この医療安 全のことも含めて、医師のいろいろな医療行為に対して、本当に大丈夫かというニュア ンスの思いがあるようなことが頻繁に見受けられます。しかし、これはお互いに不幸な ことでありまして、本当に安心して医者にかかる。事実こういう事故があることは当然 として「国民皆保険」ということで、非常に安くこれだけ高度の医療をやれる国は世界 中にないはずなのです。結果として世界一の長寿国になったわけですが、そういうこと を忘れて目先のことだけでどうこう言う、ということは極めて不幸なことではないかと 思うのです。  そういう意味で、いろいろなことを言ってはきても本当に医療サイド、つまり病院も 含めて医療安全の体制をとって、しっかりやっているではないかというような宣伝も含 めて、こういう支援センターの役割も極めて大事で、むしろ、こういう所から患者や一 般国民の不安感を消していく、そのような役割も考え方によってはできるのではないか と思います。つまり患者の苦情といった小さなことだけではなくて、いま申し上げたよ うなことも含めた役割を是非演じていただきたい。各県にこういう施設がある以上、我 々としても、医療安全対策の担当者はおりますが、それと密接な関係を持った上でこれ を利用していくことも今後可能になるかと思いますので、この機能は是非濃密なものに していただきたいと思いますので発言いたしました。 ○事務局  医療安全支援センターの機能につきましては、お手元の資料の11頁にある苦情、相談 への対応、必要な情報の提供あるいは研修の実施のほかに、医療安全確保のために必要 な支援を行う、というようなことも書かれておりますので、具体的な運用上の検討をす る際には、いまのような意見も踏まえて検討を進めたいと思います。どうもありがとう ございました。 ○日本医療機器産業連合会  資料の32頁にあるように、医療安全確保について、機器の安全確保という意味でお話 が出ました。今回の医療法も含めて、管理をする人や保守をする人の問題をきちんとし なさいということが書かれてきたわけなのですが、もう少し具体的に情報の提供先、つ まり我々が情報を提供しなければならない、また、もらわなければいけないといったと きに、相手がどこかということもあると思うのです。よく言われているのが医療機器情 報室ですが、そういうものをきちんと設置してほしい、ということをどこかにうまく盛 り込めないかと思うわけです。  薬の場合には薬剤部があってできるわけですが、機器の場合には、扱っている方が薬 剤師ではなくて、いろいろな方が扱っているわけなので、どこかでまとめて情報を管理 しなければいけない。確かに「管理」という言葉はあります。物の管理もしろ、保守の ことも書けとあるのです。「ME室」という言葉はあったかもしれませんが、そういう 形を明確にしていただけると非常に進めやすいのではないかと思うのです。臨床工学技 士学会からもそういう話があったと思いますし、看護協会からもあったと思うのですが、 私たちとしては、できればそれを明確にしていただくと非常にありがたいと思っており ます。 ○事務局  省令事項や通知事項について検討する際に、これも併せて検討を進めたいと思います。 医療機器といっても、病院によって持っている機器がいろいろ違いますので、その辺の 実態を踏まえながら検討を進めていかなければならないと思っております。そのほかに ございますか。 ○(社)日本看護協会  22頁の医療安全推進プロジェクトのホームページが出来るという話で、共同行動参加 団体というのがリストされるようですが、今ご提案の企画展に参加している団体がここ に書かれるわけですか。 ○事務局  それについては、まだそこまで具体的なイメージは持っておりませんが、例えば、こ こにお集まりの35団体の方が入り、それ以外にも追加して、参加したいという団体を掲 載する等、取扱いについてもこれからの検討かと思います。医療安全推進週間の後援団 体が別途あり、その後援団体は医療安全対策連絡会議の団体とかなり重複しております が、特に患者さんの団体等、こういう取組には参加したいというようなことはあると思 われますので、そういうものも念頭に置きながら呼びかけて、希望があれば登録してい くと、具体的に目に見えやすいのではないかという内容です。  これで医療安全対策連絡会議を終了させていただきます。個別の対策を進めていく上 でいろいろと相談をすることもあろうかと思いますが、その際にはよろしくお願いいた します。また、各団体での積極的な取組をお願いいたしまして今回の連絡会議を終わり たいと思います。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。 (紹介先) 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室  医療安全対策専門官 小林 03−5253−1111(2579)