06/05/29 第11回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議平成18年5月29日議事録 第11回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                      日時:平成18年5月29日(月)                                              場所:厚生労働省 専用第22会議室  佐藤座長 それでは定刻になりましたので、ただいまより第11回社会保険新組織の実 現に向けた有識者会議を開かせていただきます。本日の委員の皆様方の出欠は、小林委 員が御欠席です。  本日は国民年金保険料の免除手続等の問題に関しまして、厚生労働大臣から御要請が あり、本日の会議を急遽開かせていただきました。お集まりいただきまして委員の先生 方、ありがとうございます。  それではまず、本日の議論に先立ちまして、厚生労働大臣からごあいさつをいただき たいと思います。よろしくお願いします。  川崎厚生労働大臣 今、佐藤座長からお話しいただきましたように、急遽、有識者会 議を開いていただきたいということで、いろいろ御用がある中を曲げてお集まりいただ きました。連日の報道で大変御心配をいただき、またいろいろな思いを持たれているの だろうと思います。  2年前に年金制度改革を巡りまして、社保庁のあり方について国民の皆さん方から激 しい御批判をいただきました。予算の使い方、公務員のモラルの問題、相次ぐ不祥事の 問題、また一部、国鉄が当時そうであったような労使間のさまざまな問題、こんなもの が重なりまして、やはり解体的な出直しをしなければならない。一方で民間化をしたら どうだ。独立行政法人化はどうだ。こんな御議論もいただいたところでございます。  しかしながら、年金というものを、今20歳の人から言えば65歳でもらうわけですか ら45年後までしっかり責任を持って運用し、45年後には一人一人の人たちに給付をし ていかなければならない、まさに国の仕事としてしっかり年金を位置づけて、国民の皆 さん方に安心と老後の心配がないようにしていかなければならない。その基本となるも のとして年金制度があるわけです。その年金制度をお預かりするのが社会保険庁でござ いますので、そういったものについては国が責任を持つべき組織にすべきである。しか しながら、国が責任を持つべきとしても、この組織は解体的な出直しをする。このよう な結論をいただいたところでございます。  しかし一方で、幾ら御批判をいただきましても、毎日年金をお預かりし、そして御相 談を受けながらサービスをする、そして年金を給付するという仕事は毎日続いてまいり ます。したがって、2年後にこの組織の解体的な出直しを行うといたしましても、毎日 の業務は続いていくわけでありますから、少しずつ立て直しをしながら進めなければな らない。そういう意味では、解体的な出直しをして、2年後は違う組織ですよと言われ た組織を、できるだけ国民サービスのできるような組織に少しずつつくりかえていかな ければならない。こんな仕事を実は村瀬さんにお引き受けいただいて今日まで来ました。 そしてそれを運営するに当たって、皆さん方からさまざまなアドバイスをいただきなが らやってきたわけでありますが、そうした中で、今日のような法律に照らして明らかに 違法である行為を行ってしまったということでございます。  この問題をどうしようかというときに、私自身初めて実は局長を集めまして、直接私 から申し上げましたが、すべてを明らかにすること。すべてを明らかにすることが、こ の問題の出発である。したがって、この会議もいつもそうでありましたが、できるだけ オープンにしながら、そして国民の批判にさらされながら次のものを求めていかなけれ ばならないということで進めさせていただきたい。このように思っております。同時に、 この場でずっと御議論いただいたことでありますので、この場でまたオープンな形で御 議論いただいて、少しでも出直しをするための形づくりを進めることができれば。こん な思いでおります。  実はこの問題、私自身は2つの視点があると思っております。1つは法令で規定され ていることと違う行為を行った。だれかがその判断をし、その業務をやらせた。年金の 免除手続は書類の申請によって行う。そしてその書類は本人が自筆で名前を書くか、判 子をみずから押さなければならない。この法令に対して違う手続がとられた。これは間 違いないことであります。なぜこのような、公務員でありながら法律に照らし合わせて 違う手続を行ったか。実はいろいろなケースがあるようでございますので、後で報告さ せますが、どうしてそのような行為を行ったか。これが1つであります。  もう一つは、この問題が発覚をいたしましたのは2月、本庁のコンピューターに異常 値が出てきた。京都の件でございます。それを発端にしながら、本庁から京都へ出向い てこの問題を整理に入った。同時に、他のところで行われていないかという問い合わせ に対して、一部を除いて「ない」という返事を寄こした。そして5月段階になって、ま た一部があらわれた。大阪でございます。その後におきましてもまた「ない」という返 事をした者がある。  したがって、まず法律の手続によらない行為を行ったのが第1。第2は、そうした行 為をみんなで隠ぺいしようという体質が残念ながら各県におきまして行われてしまった。 そしてぼろぼろと、まさに今日御報告をさせていただくようなものが出てきた。何ゆえ にこうした事実を明らかにしない体質が相変わらず残されていたのか。そこが第2の問 題と思っております。  この1番目、2番目の問題をきちんと解決しますと同時に、もう一つは免除の連絡を いただいた人たち。何も手続していないのですが、免除という通知を受けてしまった、 こういう人たちにしっかり説明をしながら、一方で正規の手続が行われていないのです から取り消しをしなければならないケースもある。取り消しをした上で、どうぞこの手 続をしてくださいという働きかけを一人一人の人にやっていかなければならない。これ は限られた日数でやらなければならないという問題が実は残されているのだろうと思っ ております。  そういった全体の流れの中で、私自身お願いしておりますのは、1つは村瀬さんを中 心にしながら、もう一度、一つ一つの事務所、一つ一つの県を見直してほしいというの が1つでありますと同時に、これは正式には明日になるかもしれませんが、皆さん方か らいろいろ御提言いただいた新しい組織になれば、特別監査官の制度をつくってきちん とやるんだというお話をいただいていましたので、それに近い形で外部からの目を入れ ないとならないんだろう。法律では規定されております。しかし法律では規定されてい ないことを、まだ法律は通っていませんから、その前であっても外部の目を通すという ことをしていかなければならない。内部での調査、外部からの検証、こういうことを踏 まえて国民に対してきちんと説明をしていかなければならない。このように考えており ます。  今、私と村瀬さんに課せられた課題というのは、まずこの3つをしっかりやることか ら始まる。そんな意識のもとで今取り組みを開始したところでございますが、また皆さ ん方からいろいろな御批判、また御意見を賜りながら、修正すべきものは修正をしなが ら進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。本当に急な お願いを申し上げて、こうしてお集まりいただいたことに心から感謝を申し上げてごあ いさつとさせていただきます。  佐藤座長 それでは議事に従いまして、本日の国民年金保険料に係る免除勧奨・承認 等手続につきまして御議論いただきたいと思いますが、まず事務局より御説明いただき ますが、最初に村瀬長官から御発言がおありだと伺っています。  村瀬社会保険庁長官 詳細につきましては事務局の方から御説明させますが、私の方 からは、今回がどういう調査であるのかということについて簡単にお話し申し上げたい と思います。  本件の事案は、国民年金法及び同法施行規則の規定等に定める手続に反する事例とい うことであります。結果的にどういう手続の不備があったかということでございますが、 実は47の事務局のうち26の事務局、312の事務所のうち100の事務所、そして件数か らいきますと現段階で判明している件数は11万件であります。  この前提としまして、どういう形でこの件数が確認できたかということでございます が、先ほど大臣の方からお話がございましたように、27日、先週の土曜日でございます が、臨時の事務局長会議を開催させていただきました。その会議に、各事務所ごとに免 除勧奨・若年者猶予について、全件どういう手続をとっているのかということで、書類 も含めまして調査をした結果を持ち寄らせました。その調査の結果につきましては、あ くまでも事務所長が自分で確認をしたという、自主点検です。それをまた事務局長がす べての事務所長からヒアリングをし、その結果を持ち寄らせております。それに基づき まして本庁の課長、室長で各事務局長と全件ヒアリングをさせていただきました。した がいまして、自主点検を含めた結果ということで、これは第1次調査報告書という形で とりまとめさせていただいております。  私自身は各事務局長、事務所長を信じたいと思っているのですが、あくまでも自主点 検でございまして、第2段としましては、後ほどの対策の中にも入っておりますが、全 件270万件につきまして、本人チェックではなくて他人チェックをやらない限り、本当 の真実は出てこないんだろうと思っております。今後の問題としましては、とりあえず 今回、第1次チェックということで御報告申し上げ、実態をあからさまにさせていただ いた上で、これをどういう形で進めていくのかということについてもぜひ御議論いただ きたいと思います。  その中で私自身が今現在、どういう考え方を持っているかということでございますが、 先ほど大臣からお話がありましたように、全件につきまして実体解明をなぜこういうこ とが起こったのか、またなぜこういう事務処理をしていたのか、職員はどういう考え方 を持っているのか等も含めまして、全部チェックをしたい。時間が許せば、もう一度、 全事務局、事務所を回って、しっかりと対応したいと考えております。  現段階での私自身の判断ですが、明らかに手続を省略して免除を承認した。これにつ いてはやはり厳しく対応せざるを得ないだろうと。一方、間違った事務処理を行った件 につきましては、その内容をつぶさに見てやる必要があるんだろうと思っております。 例えば納付督励、強制徴収、免除勧奨というものに対しまして、一生懸命現場で努力し ていたと。その中で、いい悪いは別にしまして、たまたま間違った事務処理をしたんだ と。こういう者については、単に楽しようとしてやったところと区別してあげる必要が あるのであろうと。そのためには全体の総数の中での今回の不適正な処理の件数である とか、実際の納付率がその事務所はどうなっているんだとか、行動計画でどういう行動 を起こしているんだろうかというところまで含めてきめ細かく見たいと思っております。  一方、今回の調査の中で、全く大丈夫でしたというのもたくさんございます。これに ついては本当に大丈夫だったのかどうかということを見たいと思っておりますが、逆に、 本来の納付活動もしない、免除勧奨もしない中で大丈夫だという者を許しておいていい のかというのもございますので、仕事をしっかりやっているかどうかということも含め た上での結果を見ていく必要があるんだろうと。こんな形で、実態調査には270万件の 1件ごとの調査と同時に、実際の活動はどうしていたかということについて、つぶさに チームをつくって見ていかなければいけないだろうと考えております。  また、それと同時に、今回起こった問題につきましては、間違って免除承認をさせて いただいた方々については、年金権の確保ということで、余り時間がございません。特 に17年度の免除を承認させていただいているのを、中には一たん取り消した上で再度申 請書をちょうだいするという仕事が残ってございます。これについては早急に手をつけ たい。  一方、こういう案件はこれからも起こらないとは限りません。したがいまして、早急 に今後このようなことが起こらないような仕組みを講じたいと思っておりまして、本日 の御提案の中にもその部分が入ってございます。ぜひその点について皆様方から見て、 これで十分なのかどうか、もっとほかに手立てがないのかということについてアドバイ スをちょうだいできたらと思っております。  最後になりますが、委員の皆様方につきましては、社会保険庁改革につきまして多大 な時間をちょうだいしまして御議論を賜り、方向づけをさせていただいたわけでござい ます。その中で、前にもお話し申し上げましたが、組織の改革、業務の改革、そして職 員の意識の改革、これが一体にならないと本当の改革は進まないだろうと考えておりま すが、この職員の意識改革というのは私の最大の仕事であるということで、今まで取り 組んできたつもりでございます。ただ、残念ながらこういうことが起こったということ はまだまだ私自身の努力不足というのも大いにあるんだろうということで、反省をして いる次第です。  ただ、改革の方向というのは、私は決して間違っていないと思っておりまして、今後 も一生懸命改革を進める職員、彼らと一緒になって不退転の決意で改革に取り組んでい きたいと考えておりますので、御議論をちょうだいいただければと思っております。よ ろしくお願い申し上げます。  佐藤座長 ありがとうございます。それでは早速、事務局より資料1につきまして説 明をお願いします。  鈴木年金保険課長 お手元にあります資料1、国民年金保険料の免除等に係る事務処 理に関する第1次調査報告書につきまして御説明を申し上げます。  まず調査に至った経緯等についてですが、御案内のように、社会保険庁では納付率の 向上を図るために、納めやすい環境整備とともに、平成16年10月より市町村から所得 情報の取得が可能になりましたので、それをもとに3段階の対策、ここにありますよう に十分な所得がありながら納付いただけない方への強制徴収拡大、中間層の未納者に対 する納付督励、免除等の対象となる所得の低い方に対する勧奨の拡大といったものに取 り組んできております。  このうち3点目の免除または若年者納付猶予につきましては、国民年金法において被 保険者等からの申請に基づき行うということにされております。免除につきましては、 10年以内ですと保険料を追納でき、障害年金の受給権も確保され、追納できなかったと しても、将来、老齢年金につきまして国庫負担相当分の給付が保障されるということで ありまして、こういったことを踏まえて、こういった要件に該当する方々に対して申請 の勧奨を徹底してきたということであります。  しかしながら今般、被保険者からの申請がないにもかかわらず事務所において手続を 行ったという、国民年金法、同法施行規則、こういったものの規定等に定める手続に反 する事例があるということが明らかになったわけであります。こういう重要な手続の過 程におきまして、こうした問題事例が生じましたことは極めてゆゆしきことであると考 えておりまして、真相を明らかにするために本調査を実施したということであります。  具体的な経緯についてですが、まず京都の事案を契機とした調査というのがありまし た。今年の2月10日、本庁の統計リストにおきまして、免除の取り消し数値というもの が急激に増加するという、普段では見られない異常値が見られました。これを端緒とい たしまして、京都の社会保険事務局管内の社会保険事務所で被保険者からの申請がない ままに免除手続を行っている、こういった事案が判明したわけであります。  これを受けまして3月13日、運営部年金保険課の国民年金事業室におきまして、全社 会保険事務局長に対して同様の事例がないかということをメールによって照会いたしま した。その結果、京都以外には同様の事例はないという報告の結果でありました。この 際、福島、千葉、静岡、長崎、熊本及び鹿児島の各事務局からは、被保険者から申請書 の提出はないけれども、電話等により意思を確認して手続を行っている事例がある。こ ういう旨の報告がありましたので、同室におきましてはこれらの局に対しまして早急に 免除等の正式な申請書を受領するようにということを指示したということであります。  続きまして大阪の事案でありますが、4月21日に局長あてに免除の不適切な処理が行 われているという旨の投書がありました。5月15日、大阪事務局では、報道機関からこ の件についての取材の申し込みを受けたということを機に局長が調査をいたしまして、 結果として京都と同様な事例があるということが判明いたしました。その後、そういっ たことにつきまして大阪事務局から本庁に対し報告がありました。  このため、本庁におきましては翌18日、国民年金事業室におきまして、全局長に対し 再度、適切な事務処理がなされているかどうか、こういったことをメール及び電話によ って照会いたしました。この結果、同様の事例があるという報告が、東京社会保険事務 局と長崎の事務局からありました。このうち長崎につきましては、本人から申請書の受 領ができなかった、そういった結果、京都と同様の事例に該当してしまった。長崎は先 ほど申しましたように、3月13日の時点での照会に報告がありましたが、その後、結局 申請書の受領ができなかったので、結果として京都と同様の事例だったということであ りました。  さらに重ねまして翌19日、同室から全局長に対しまして、すべての事務所において免 除等の勧奨に関しまして被保険者にあてた文書、書類、こういったものを全て出してい ただきたい。それによって点検したいということを要請いたしました。  再々度の調査でありますが、5月24日、こういった事実を的確に把握せず、その後に おいてもこの問題に対する意識が不十分だったということで、大阪の事務局長を更迭い たしますとともに、国民年金事業室におきまして、全局長に対しまして申請書の提出を 待たずに免除等の手続を行っていないかということを再々度電話等によりまして調査い たしました。  この結果、京都などの事務局と同様の事例があるということが、三重の事務局から報 告がありました。また、兵庫、佐賀、沖縄の各局からは、被保険者に対して電話等によ りまして意思確認を行った上で、申請書を事務所の職員が代筆して手続を行っている事 例がありますという旨の報告がありました。  5月26日、こうした経過を踏まえ、不適正な手続を指導し、事実と異なる報告を行っ たということで、三重の局長を更迭いたしました。  そこで今般、全事務局長会議の緊急開催と徹底調査ということで、去る27日、大臣の 御出席のもと、全国の事務局長会議を緊急開催いたしました。業務遂行の際の法令厳守 の徹底ということと、会議終了後、こういった問題事例についての有無、その具体的な 内容につきまして調査を実施したということであります。この調査の結果が本報告だと いうことになるわけであります。  そこで、事務処理手続、問題となっております事案についての手続に関する法令等の 規定について改めて整理をしてみました。国民年金法の90条1項等におきましては、免 除等は被保険者からの申請によることとされております。また、施行規則の77条1項等 におきましては、申請書を社会保険事務所長あて、受理は市町村長ですが、ここに提出 するということが明記されております。  また、その際の申請書の様式につきましては、平成17年の年金保険課長通知におきま して定められており、様式中におきましては署名または記名押印を求めております。こ のほか業務取扱の要領につきましては、申請書の提出を前提とした事務処理手順という ものを示しております。  その上で大きな2番、調査の概要でございます。まず、調査に先立ちまして、5月25 日、各事務局長に指示いたしまして、17年度の免除、猶予に係る勧奨から決定通知まで の一連の事務処理状況につきまして、事務所ごとに調査をさせて、承認までの流れ、件 数につきまして、全て適正な処理を行ったもの、以下、ごらんの4類型に区分して、確 認書によりまして全ての事務所長が記名押印をした上、文書で提出していただきたいと いうことをさせたわけであります。  それを踏まえまして5月27日、先ほども申し上げましたように、全国の局長会議で法 令遵守の徹底を図るとともに、その後、本庁の次長以下で個別にヒアリングを行いまし た。この際、この調査を徹底的に行うという趣旨から、不明な点があれば直ちに事務局、 事務所に待機させておりました職員にその場で確認させ、必要な書類をとるなど、詳細 かつ徹底した調査を行ったということでございます。  その結果の概要が次の大きな3番でございます。調査の結果といたしまして、これま で明らかになっております事例を含めまして、ごらんの表のような不適切事例が明らか となったわけでございます。  これは分類上、同一の事務所が複数に該当しているということがありますので、そう いった意味でごらんいただきたいと存じます。1つは、一番左にありますように、申請 の意思を確認しないまま手続を行ってしまった事例。次にその下にありますように、電 話などによりまして申請意思を確認はいたし、職員が申請書を代筆して手続を行ったと いう事例が大きな2つ目であります。一番下に書いておりますのは、今回の調査の結果 におきましては適正な事務処理を行ったということで認められた事務局であります。  一番最初の(1)の申請の意思を確認しないままというものの中に、さらに手続を進 めまして、御本人に承認等の結果を通知したもの、その結果の通知をしていないもの、 2つ事例があったということであります。  先ほどの2番の、申請意思を確認した上で代筆をしたという事例の中でも、1つは申 請の意思確認、申請書を代筆してほしいという同意、そういったものがきちんと記録と して残されているかどうかということで、残されていないもの、いるものということで (1)、(2)と分けたものであります。  この類型に関しましては、(3)にありますように、結果的に事後ではありますが、御本 人からの正式な申請書を全て受領し切ったという事例があったということであります。  そこで、この調査の概要と結果を踏まえた整理と考え方でありますが、本文をお読み いただきます前に、お手元にA3の長い横長の表を1枚つけてあります。これをごらん いただきたいと存じますが、この表のつくり自体は、今私が御説明を申し上げました分 類で成り立っているものであります。申請の意思を確認しないで手続を行い、御本人に 通知をしたもの。(1)の(1)、これは8局34の事務所であった。同様に、御本人に通知 をしていないものは5局10の事務所であったということで見ていただければと存じま す。  それぞれにつきまして、何が事務手続上問題であったか。それを踏まえまして、では 適正な手続を確保するために、とにかく速やかにやらなければならない措置は何だろう か。こういったものを整理した表であります。  まず一番上の、そもそも申請の意思も確認しないまま手続を行った。これは非常に重 大な法令の規定違反だととらえておりまして、これは手続上の問題点といたしまして、 効力からしても無効な行為だろうと考えております。これを踏まえまして、早急にまず 取り消し処理を行う。無効でありますので、あくまでも処理といたしまして取り消しを 行った上で、こういったことの対象になりました御本人に対しまして個別に経緯の説明 と謝罪を行うべきであろうと。その上で、まず御本人に通知が行っているもの、免除に 該当するといって通知が行ったものにつきましては改めて1から免除等の申請書を提出 していただけるようにお願い申し上げるということであります。  (2)の通知をしていないものにつきましても、基本的には要件が免除に該当する方であ りますので、経過説明、謝罪とともに、改めて免除の勧奨を行うということになろうか と思っております。  次に大きな2つ目のカテゴリーですが、電話等によりまして御本人さんの申請意思、 免除を受けたいという意思は確認されていた。その後の手続プロセスにおいて瑕疵が生 じたという事例であります。具体的には(1)にありますようにまず意思の確認。具体的に は、まず免除を受けたいという申請の意思そのもの、それに続きます手続といたしまし て申請書の提出というのがありますが、その申請書の作成につきまして代筆をしてほし いという意思の確認、こういったものが記録として何年何月何日ということできちんと 残っているかどうかということであります。これは、きちんと仕事をした事務所という のはそれが残っているということでありますが、(1)の事務局・事務所においてはこれが 残されていないということであります。  そういたしますと、手続上の問題点といたしましては、法令等に定める手続に反する ということになるであろう。したがいまして、基本的にはこの免除等の承認は取り消す 必要のある処分だということになります。したがいまして、これを踏まえまして続く措 置といたしましても、一番右にありますように、改めて1から申請書を提出していただ き、しかしながら御本人の意思が、これは免除を受けたいという意思が発端であります ので、御本人の意思に沿った手続を進める。全部無効で取り消しというのではなくて、 改めて申請書をとるという形で御本人の意思に沿った手続を行うということであります。  (2)の(2)ですが、これは御本人の意思確認がきちんと記録として残されているとい うものであります。具体的に記録として残されていると申しますのは、手続上の問題点 の欄にありますように、例えば本人確認がきちんとでき、申請時点の意思も確認でき、 代筆の同意についても確認できる。こういったものが記録として残っている。その手続 が明確になっているということであります。これにつきましては御本人の意思というも のがありますので、その意思に沿いまして正式な申請書を提出していただく。当然、直 ちに取り消しといったことにはしないということであります。(2)のカテゴリーにつき ましては、繰り返しになりますが、基本的に御本人さんの意思がありますので、御本人 の利益というものも考えまして、なるべく意向に沿って手続を進めて瑕疵を治癒すると いうことが適切であろうと考えたところであります。  最後に(2)の(3)ですが、これは結果的に正式な申請書をすべて受領し切ったという ことではありますが、やはり基本的に申請書の提出ではなくて、事後に受領したという ことでありますので、法令等に定める手続に反するということには変わりない。そうい う意味では問題があるということであります。しかしながら、これは当然、行政の処分 として完結しておりますので、改めて全てひっくり返すということではなくて、そうい うことは必要なく、免除は免除として承認して認めるということであろうと。  以上が私どもが調査を通じまして整理いたしました事象と事象ごとの問題点、それを 踏まえました速やかな措置ということであります。  お手元の調査表の4ページの表につきまして、その先も含めて御説明させていただき ましたが、次の5ページからは、それぞれの事務局ごとにどういった経過・内容で事象 があったかということが6ページ、7ページのところまで書かれております。これは一 つずつ読み上げるとまた煩瑣になろうかと存じますので、必要に応じてまたお目通しい ただき、御質問等がありましたら御説明させていただきたいと思っております。  その上で7ページの(13)ですが、こうしたいろいろな事例があった中で、なお広島 事務局の管内の2事務所のように、17年7月以降分の期間の申請書を受領いたしました 際に、本来は4月から6月分の期間に係る申請書もあわせて受領すべきであったのでご ざいますが、7月分以降の申請書の受領によって、御本人さんに2枚書かせるという面 倒くさいことはしていられないということだったのかもしれませんが、7月の申請書の 写しを6月までの期間の申請書として扱いまして承認をしたケースがあります。基本的 にはこれも申請の意思自体は認められるものとして扱うことが適切だろうと思っており ます。  こうした事例とはちょっと趣を異にいたしますが、平成17年7月に東京事務局の管内 の1事務所、18年1月に愛知事務局の管内の1事務所におきまして、それぞれ国民年金 推進員が架空の免除承認書を作成したという事例が判明いたしております。これは今回 の一連の組織的な事案とは異なりまして、国民年金推進員個人によって行われたもので あると承知しております。  大きな4番目ですが、調査結果における問題点と今後の対応であります。事務手続上 の問題点につきましては、先ほど表において整理させていただいたものの繰り返しにな りますが、(1)は本人の申請意思の確認を欠いた手続でありまして、こういうものはそ もそも法令に反する行為である。しかしながら、当該事務局において、あるいは事務所 において法令に反する行為だという認識が希薄であったのではないか。公務員として仕 事を遂行する上で法令の定めに従うことは当然のことでありまして、これを逸脱するこ とは許されるものではないということであろうかと思います。  2番目のカテゴリーの、電話等によりまして御本人の申請意思を確認の上で行った手 続ということでありますが、端的に申しましてこれの問題点は、基本的に申請書の正式 なものにつきましては通達で自署または記名押印が必要とされておりまして、ここの点 が欠ける結果になるということであります。さらに意思確認におきまして、きちんとし た意思確認ができていたかどうかということによっても、この違反の度合いと申します か、手続との齟齬の度合いというものの代償が問われるということになるのではないか ということを書かせていただいております。  8ページの(3)ですが、こうした事案が行われておりました各事務所におきまして は、調査結果による限り、免除等の基準に該当しながら手続を行っていないと。こうい う未納者の方々に対して、免除の手続を行うことが御本人の受給権確保につながるから 許されるのではないか、そういった勝手な解釈によって行われている面があったという ことであります。しかしながら、法令に定める手続に従って行政事務を行うということ は公務員の基本でありまして、いずれの場合であれ、これに反することは許されること ではないと認識しております。  2点目に組織上の問題点についてですが、今回の事案におきましては、事務所が独自 の方法で、いろいろ申し上げましたような事務処理を行い、事務局自体は承知をしてい なかったというケース。あるいは逆に事務局が主導して事務所と一体的に行ったケース などありますが、その事実につきまして本庁の側では承知をしておりませんでした。社 会保険庁では、地方事務官制の当時から、地方が独自の判断によって事務を行い、本庁 が十分にガバナンスできていないという問題点がありまして、この体質がまだ解消され ていないということが明らかになったものでありまして、抜本的な改善策を早急に講じ なければならないということであろうと承知しております。  さらに今般、経過のところで御説明をさせていただきましたように、京都の事案を契 機に3月から3回にわたって調査をいたします中で、悪質な事実がありながら、それと 異なる報告を行った事務局があったということにつきましてはまことに遺憾でありまし て、改革への努力を裏切る行為と言わざるを得ないということであります。  一方、事務局におきましては、被保険者からの申請書の提出を待たずに手続を行って はおりますが、それは京都の事案とは状況が異なるのではないか。こういう認識のもと に報告をしなかったケースも多かったところでありまして、こういった事案の多様性と いうものに対する推察を欠いて行った本庁の調査方法にも反省すべき点があったと存じ ております。  3点目に、適正な手続を確保するための速やかな措置ということでありますが、これ も先ほどごらんいただいた大きな表の一番右の欄に書かせていただいたことを文章にし たものですが、基本的に、御本人さんの申請意思を確認しないまま行ったものにつきま しては、そもそも無効の行為である。したがって、取り消し処理を行って、御本人さん に経過説明、謝罪を行いまして、必要に応じて免除等の申請書の提出なり、勧奨という ものを行っていくということであります。  2番目の、本人意思が電話等で確認されているというものでありますが、そのうちの 1番目につきましては、先ほど申しましたように、意思確認の手続が明確に残されてい るかというと、やはり問題のある面があるということですが、端緒が御本人の意思表示 でありますので、なるべくその意思表示を尊重して、改めて取り消しをするということ でなく、改めて申請書を提出していただくようお願いすることが適切であると考えてお ります。  次の9ページに移りまして2番目の、本人の意思確認が明確にできる。その手続が明 確に残されているというものにつきましては、同じように御本人の意思に沿った手続を 進めていくということであります。  こうした(1)、(2)を通じまして、御本人さんから改めて正式な申請書を御提出いただく わけでありますが、当然のことながら、そういった場合にはできる限り御本人の負担に ならないように、例えば社会保険事務所の職員に自宅を訪問していただくなり、あるい はターンアラウンド方式と申しまして、必要な事項を全て記載した申請書をお送りして、 記名捺印、あるいは自署をしていただければいいだけにする。そういった方式等により まして、御本人の負担を極力かけないようにしてまいりたいと思っております。  一番最後の、順序は逆になっても結果的に申請書を受領できているという場合であり ますが、これは申請書が受領できていたとしても何ら問題点が消されるわけではなく、 不適切さが消されるわけではありませんが、結果的に御本人との間で行政行為が完結し ておりますので、これはそれを尊重して免除というものを続けていただくということで あろうと考えております。  次に、4番の更なる徹底調査等の実施についてですが、今後、平成17年度中の270 万件の申請免除等の全てにつきまして、手続が適正に行われたかどうか。こういったこ とを申請書の一枚一枚まで徹底して確認することを初めといたしまして、今回の事案全 体につきまして改めて調査いたしたいと思っております。  その際には、組織内での対応だけではなくて、外部の方の厳正なチェックを受けると いったことを初めといたしまして、公正・透明な方法で実施をしてまいりたいと思って おります。  また同時に、先ほどのお話にもありましたが、今回問題となりました社会保険事務所 等におきまして、できる限り早期に社会保険庁長官みずから一カ所一カ所に出向き、職 員と対話をし、改善の徹底を指導する。そういったことで一番大事な意識改革を強く求 めることにいたしたいと存じております。  社会保険庁といたしましては、たび重なる不祥事案の発生が社会保険事業に対する国 民の信頼を著しく損ねた。こういうことを重く受けとめまして、深甚なる反省に立ちま して、国民生活の安定を図る上で不可欠な社会保険事業を適切かつ確実に実施していく ことができるように、社会保険庁の抜本的な改革を断行する決意を示しまして、業務改 革、意識改革、組織改革に取り組んでまいったところであります。  御案内のように、官房長官主宰の有識者会議、厚生労働大臣のもとの当有識者会議、 国会の審議、与党の御議論など、各方面から御指摘と御指導をいただきながら改革プロ グラムに取り組み、職員の間にもお客様志向の意識が浸透し始めまして、20年度には社 会保険庁を廃止して「ねんきん事業機構」を設置するという法案を国会に提出していた ところであります。  こうした中で、今回、前記の事務局・事務所で、このような法令等に定める手続に反 する処理が行われていたということが明らかになったことはまことに恥ずかしく残念で あります。今回の事態を生じさせてしまったことを深く反省いたしますとともに、心か らおわびを申し上げる次第であります。  今後、このような事態を二度と生じさせることのないよう、先ほど申しました全数調 査の実施などによりまして、さらに今回の事案全体について徹底した事実の究明を図る と同時に、事務所の業務全体を改めて精査いたしました上で、公正性・効率性・確実性・ サービスの質など、さまざまな観点から、国民が求める業務のあり方を愚直に追求いた しまして、透明で公正な事務処理を確立させる。このほか、都道府県単位の組織・意識 を抜本的に改める。そういったことで不退転の決意によりまして改革を一層進めて、国 民の信頼回復に最善を尽くしてまいらなければならないと思っております。  こうした考え方に立ちまして、厚生労働大臣主宰の当会議の御議論をいただいた上で、 当面の体系的な再発防止策を定めまして、その実施に着手いたしますとともに、事実関 係をさらに詳細に確認した上で、早急に関係者の厳正な処分を行うことといたしたいと 存じております。  佐藤座長 ありがとうございます。引き続き資料2を総務課長さんに御説明いただき ます。  石井総務課長 引き続き、時間も押しておりますので、私の方から簡潔に、今後の再 発防止策について(案)について、御説明申し上げ、御議論に付したいと思っておりま す。  まず当面の対策でありますが、1の事務処理方法等の見直しといたしましては、まず 事務所、事務局の事務手続における法令違反、そうした点について疑いがあった場合に、 被保険者、あるいは受給者の方々から、私ども本庁が直接そういう指摘をお受けする体 制を整備するということであります。  2点目は免除等の処理についてですが、今回のケースにつきましては事務所における 処理というのもあったわけでありまして、その点についての反省に立ちまして、事務所 での処理は行わないことといたしまして、社会保険事務局の共同事務センター、こちら で一括処理をするということに切りかえたいと考えております。  3点目ですが、事務処理の確認検査に関してでありまして、担当部署での日々の確認 は当然でありますが、加えて新たに日々あるいは月次ベースでの確認をきちんとやって いく。そしてこのことを管理者に徹底するということであります。申請書原義との突合 ということであります。  個々の社会保険事務所あるいは事務局において、さまざまな文書、パンフレットが作 成されて出回っているわけでありますが、中には十分な吟味の経ていないものも散見さ れております。したがいまして、その全国統一化を図ることにいたしまして、これを基 本とするとともに、地方独自の作成が必要なものにつきましてはチェック体制をしいた 上でその必要性について吟味していくと。こういうような対応でいきたいと思っており ます。  今後の検討課題ですが、所得情報を活用した低所得者対策についてですが、先ほどの 年金保険課長の説明の中にもありましたように、ターンアラウンド方式の全国導入、イ ンターネットの活用など、簡便な手続による方式の検討を急ぎたいと思っております。  京都において発見の端緒になりました事象と関連いたしますが、大量な取り消し処理 がなされると。異常な事務処理でありますが、本庁サイドにおいて警告リストがキャッ チできるように、システムの構築を早急に検討したいということであります。  柱の2についてでありますが、法令遵守委員会の機能強化でありまして、現在、法令 遵守委員会は社会保険庁に、ここに括弧で記載していますような構成員でやっているわ けでありますが、これまでは職員からの通報に基づいて法令違反、あるいはその疑いの ある事案について調査し、それに関する措置を決めるということで運用してまいりまし たが、今後はこの検討、取扱事項の枠を拡大いたしまして、社会保険事務所から報告さ れる事件・事故・事務処理誤り、ただいま、上の枠囲いの中において説明いたしました、 被保険者や受給者等からの直接的な形で入ってくる声、指摘、こうしたものについても 調査、対応策の協議を行っていきたいということであります。  このような法令遵守委員会の設置につきましては社会保険事務局においても実施して、 本庁と連携をしつつ対応するということであります。  研修等を通じまして職員からの通報制度、方法について周知徹底を図ってまいりたい と思っております。  次のページの法令遵守研修の充実ですが、社会保険大学校における各階層の研修カリ キュラムに法令遵守研修を導入したいと思っております。  もう一つ、事務局、事務所における研修についてですが、これまでの公務員倫理、個 人情報保護に関する取り組みに加えまして、個々の専門業務に特化した、その中で法令 遵守研修を行っていきたいと思っております。  次に、4番目の広域的な人事異動の拡大ですが、都道府県を単位とする閉鎖的で内向 きな組織体質を解消するために、事務所長を含めまして、県域を越えた広域な人事異動 の大幅な拡充を図りたいと考えております。  次に、組織改革による対応についてですが、今回の社会保険庁改革によりまして、御 議論いただきました形で改革の案が取りまとめられ、それが法案となって国会に出され ているわけであります。そういう意味で、既に先生方には御承知の事柄でありますが、 まず1点目として意思決定機能、監査機能への外部人材の参画ということでありまして、 具体的には年金運営会議、特別監査官の設置ということであります。  この関係の2つ目の取り組みといたしましては、この年金運営会議、特別監査官であ りますが、社会保険庁改革法案、現在国会に提出され、御審議いただいているわけです が、成立した暁には、平成20年10月の施行日を待たずに、今年の10月からでも先行的 に設置して、事前・事後の厳しいチェック体制を確保したいと考えているわけでありま す。  4ページ目の地方組織のブロック化についてですが、現在、県単位で設置されており ます社会保険事務局、これを再構築いたしまして、8つから9つのブロック毎に地方年 金局というものの設置を進めるということであります。その趣旨でありますが、アスタ リスクのところの(1)、(2)にありますように、このような観点から積極的に、取り組んで いきたいと思っております。  その具体的な取り組みの一つとして、社会保険庁における監査業務、これについて先 行集約という形で取り組みを進めたいと思っておりまして、具体的には本年の10月から でありますが、各県に置かれております地方社会保険監察官をそれぞれのブロック担当 局に集約いたしまして、自分が出身の県以外の事務局の監察を担当する。クロスチェッ クをきかせながらの取り組みを進めるということであります。社会保険庁の総力を挙げ て、このような取り組みを進めていきたいと思っております。  佐藤座長 ありがとうございます。余り時間もございませんが、今回の事態、対応策 など含めて、御質問あるいは御意見があれば承りたいと思います。  岸井委員 数字の確認だけいいですか。横長の表の中の11万件の中の、概数でいいの ですが、それぞれのカテゴリー毎にどのぐらいの件数がありますか。  鈴木年金保険課長 件数ですが、まず(1)の、申請の意思を確認していないという カテゴリーでありますが、これが大体10万件余りあろうかと思っております。これは通 知をした、しないというのは、今、分けた件数はありません。(2)ですが、申請の意思 確認をきちんとしていないものが1万1,000件余りあります。意思確認の実績がきちん としているものが7,000件余りあります。申請書をとりきった最後の(3)でありますが、 (3)は手元に見つかりませんので早急に調べまして、この場で御報告させていただきたい と存じます。  申し訳ありません。1点、先ほど御説明で漏らしておりましたが、資料1の後ろに統 計資料をつけさせていただいております。11ページからですが、これは免除等の事務処 理の類型別の事務所数でありますが、先ほど申しました申請意思を確認しないまま承認 の(1)というのがありまして、そこをずっと下に見ていただきますと、22番静岡県の ところで、(1)承認通知があるというのが6となっております。大変申し訳ありません。 これは間違いで、5であります。そのすぐ右の欄、静岡県の承認通知がないというのが、 ここは空欄になっておりますが、1であります。したがいまして、これをずっと一番下 まで参りました合計の欄の(1)(1)の承認通知があるというのは34、その右の承認通知 がないというのは10ということになります。訂正させていただきます。  杉山委員 今回の件はテレビとか新聞で私は知ったわけですが、本当にがっかりしま した。本当に残念だなと思って、今日もすごく気が重くここに参加している次第です。 この1年以上、何回もここに来て、改革が進んでいる手ごたえを感じて、私たちも今度 こそはやってくれるんだろうと期待していたのに、これではいけないと思います。何度 もおっしゃっていらっしゃったように、経過をきちんと調べて、それを公表していって いただきたいということを感じております。  幾つか質問や意見をさせていただきたいのですが、だれがやったか、だれが指示をし たかというようなお話が出たのですが、先ほどの説明ですと、責任者である局長さんと か、そういった方の姿は見えてくるのですが、実際の現場でどんなふうにこういった不 正が行われていたのかというイメージというか、そういうのが余り浮かんでこないんで すね。パートの人がやったのか、どこのどの職員がそれを判断したのか、それをしても いいと指示したのはどの上司なのか、一つ一つは難しいかと思うのですが、ヒアリング を徹底的にされたということですので、御存じのところで、こういうケースでしたみた いな具体的なことをお話しいただけないかと思っています。  また、これは勝手に思っているのですが、「うちはこんなふうにやったんだよ」と静岡 県が言って、「これはいい方法だね」と言って大阪もやるみたいな、そういうような悪い やり方をお互いに情報を共有をして、やっていたのではないか。社会保険庁は知らなか ったけれども、事務局レベルではそういう抜け道についてお互いに知っていたみたいな ことまであったんじゃないか。そんな疑いまで持ってしまいます。  もう一つ気になるのが処分ですが、更迭された方がおいでになられるというのは新聞 で知っているのですが、それで終わりなのか。更迭という処分が果たして妥当なのか。 更迭というと、その職を追われて別のところでお勤めになられるわけですが、本当にそ れでいいのかどうか。もっと厳しい処分であってもいいのではないかと私は思いますが、 そのあたりのことは全く触れていなかったので、それについても教えていただければと 思います。  もう一つが、勝手に手続をしてしまった人たちに対して謝罪をするということですが、 その謝罪の仕方はどうするのかと思います。お手紙で「ごめんなさい」とやるのか、ど ういう誠意の示し方をなさるのか。それに対してまたコストをかけるんですかと。どう するのか。これまた、給料もらっておやりになるのかどうなのかというあたりも、どの ようにお考えなのかお伺いしたいと思います。  ここ数日の議論を伺っていたときに、長官からの締めつけというか、目標達成の号令 がすごく厳し過ぎるのでこういうことをしてしまったんだということをおっしゃるよう な報道とかもなされているのですが、それは全くお門違いで、この体質を変えるんだと いうことでずっとやってきて、この改革をとめるわけにはいかないだろうと思っていま す。去年も組合の方が何人かこちらにおいでになられて、ヒアリングさせてもらったわ けですが、そのとき、「長官のもとで一丸となって変わります。変えていきます」とおっ しゃっていたにもかかわらず、マスコミに不正の理由を聞かれて、「長官や社会保険庁か らの締めつけが厳し過ぎて仕方なくやりました」みたいなころを言う人がいるというこ と自体がすごくびっくりです。きちんと正しいやり方で納付率をアップするというとこ ろに向けて一丸となっていただきたいと思っています。  もう一点が、説明を聞いていて思ったのですが、対応が遅いのではないかと。各事務 所の人たちの一つ一つの事務作業とかそういうのが、社会保険庁から連絡があったらす ぐ対応するみたいなところの遅さみたいなものをちょっと感じるのですが、そのあたり もあわせて変えていっていただけたらと思います。  佐藤座長 どうでしょう。幾つか重ねて御質問いただいた上で御回答いただいた方が いいかもしれませんが、いかがですか。  袖井委員 私も杉山委員のような感じを持ったのですが、一つお聞きしたいのは、法 令遵守ということです。各事務所に法令遵守推進担当者、そういうのを置かれていると 聞いておりますが、その人たちは何をやっていたんだろうかという、その辺をお聞きし たいです。  当面の対応策として、法令遵守委員会において何かいろいろなさるのですが、ここに 外部の方を入れるという計画はないのか。つまり担当者とか、そういうのを置いても、 仲間内というか、身内みたいなことで結局隠してきたのではないかという気がするので、 形だけ整えても難しいのではないかと思うので、特に今後、法令遵守ということがすご く重要になると思いますので、その辺のところをお聞きしたいと思います。  大山委員 ちょっと違う観点からの意見としてお聞きいただきたいのですが、私も皆 さんと同じで、非常に重い気持ちで今日は出てきました。残念だなと思うことはもちろ んですが、なぜ起きたのかというのを考えると、いろいろなところで言われているとお りでしょうが、要するに収納率を向上しなければならないというプレッシャーがあり、 それが職員の方にとっては何としても達成しなければならない目標になり、今回のよう なモーティベーションに変わったと思わないでもありません。  職員の方が一方的に考えたことではありますが、実はもう一方、この場合には相手、 すなわちここでいう被保険者等になりますが、この方たちが申請をベースに考えている 以上、その人たちに意識を持っていただかない限り、この問題は解決しないのではない でしょうか。言い換えると、申請をする方たちの意識がない状況で、何か実現しようと すれば、もちろん不正なことではありますが、こういうことが起きてしまう危険性が生 まれると思うわけです。  このことを考慮すると、今回のここに示されている当面の対応策について、これは被 保険者等に対する、簡単に言うと申請をすることによる彼らにとってのメリットという のが説明し切れていないのではないかと思います。資料1のところにも書いてあるので すが、「免除を受けることにより、10年以内であれば云々」と書いてあって、したがっ て、「要件に該当する方々に対して申請の勧奨を徹底してきたところである」と書いてあ りますが、ざっと読んでもスッと頭に入りません。要するに、免除の対象になる人たち にとって、例えばうちの学生も同じですが、君は今申請をする方が得かどうかというの をストレートに説明できなければならないということです。そのことがわからない限り、 決して今回の問題の本質的な解決にはならないと思います。社会保険庁側の職員の方が しっかりやるようになっても、相手があるのですから、相手の気持ちを誘導しなければ なりません。もちろんこのような問題を解消するには、免除申請をやめてしまう、ある いは強制にするなど、もっと大胆な手を打つ方が有効だろうろは思いますが、現状制度 で本来の目標達成をするのであれば、免除を受ける方に対して、うまく説明すべきと考 えます。  ここから先は、不謹慎だといって怒られるかもしれませんが、これだけマスコミで騒 がれているのであれば、被保険者等のメリットを一緒になって説明するのはいかがでし ょうか。それによって、自分も申請する方がいいと思う方がいれば、多分、目標は一気 に達成されるかもしれません。この辺は岸井委員に、テレビでいつも見させていただい ていますが、一言触れていただくと、多くの人が理解するのではないでしょうか。もち ろん制度そのものが複雑で分かり難いという最大の問題点は残りますが、これは別途検 討されているところがあると思います。今日の当面の対応策から見れば、もう一つ対応 すべき点があるのではないかということを私の意見として申し上げます。  木村委員 今の資料の御説明の中では余り明確におっしゃっていなかったのですが、 新聞等では、率を上げるために云々というのが大分出ておりました。したがって、いろ いろな弁解なのか、それともそういう意識がはっきりとあったのかわからないのですが、 一つの要因であったということは確かかなと思います。  これだけ抜本的な改革路線をとり、そして前大臣、現大臣のメッセージ等で回復して いかなければならない納付の率がどうして戻らないのかというのが実は不思議なところ です。前の段階から、不祥事が起きて急激に下がりました。それは出直しをしますと。 そういうことでもっと戻っていいはずだと思うのですが、数字的にそういうところがそ れほど目覚ましく戻っていない。これはちょっと仕組みを変えたということが何らか影 響しているのではないかと。その仕組みを変えたところをもう一度点検してみる必要が あるのか、ないのか。このあたりがちょっと検討課題かなという気がいたします。  今回のこの事象、村瀬長官のほか、皆さん方の心情を思いやるに非常に残念というの は同じなのですが、各現場で一体だれがどこまでのことを知っていたのか。だれがどこ まで知っていたのかというのを当然ヒアリング等で明らかにされておられる、あるいは されつつあるかと思うのですが、そのあたり、どこにメスを入れるべきなのかというこ とは見ていただかないといけないのではないかと思います。なぜみんながそういうこと を止められなかったのか。ここも一つ十分考えないといけない問題かと思います。  特にそういうことが、やはり止められないんだ、全体なんだということになると、例 えば年金運営会議なり、特別監査官の制度を前倒し実施しても、そういうものに参画し ても、それがはっきりチェックできるのかというところにもまた出てくると思うんです。 したがいまして、効果ある対策にこの前倒しがなっているのかどうか。ここも一つ検証 して実施される必要があるかと思います。  袖井委員 私、大山委員の御意見には必ずしも賛成ではなくて、年金保険というのは 保険料を払うのが原則なんですね。だから免除すると得ですよということは余り言うべ きではないと。私は学生なんかにも「払え」と言っているんですね。つまり、後で払え るのですが、それには利息がかかってきますね。その利息というのは銀行の利息より高 いんですよね。ですから私の学生で、「あ、そうですか」と言って払ったのもいたのです が、基本的には払うと。これはやはり国民の義務なので、免除したら得ですよというこ とを余りピーアールすると、では払わないという人がどんどん増えてしまうのではない かという気がするので、ともかく払うのが原則だということをまず言って、そこから次 に免除というふうに考えたいと思います。  佐藤座長 杉山委員から始まって、ざっと7項目ぐらいあったかと思います。木村委 員の御質問を加えるとさらに10項目ぐらい出たんですね。大山委員のはどちらかという と御提言にわたるような部分だったと思いますので、いかがでしょうか。今、事務局の 方でお聞きになっておられたと思うのですが、どういう形で回答していただけますか。  例えば杉山委員の御発言ですと、こういう事態が発生した。それは現場を預かってい るレベルがあるわけですから、そのあたりの人たちから見てどうだったのかとか、実際 どうだったのかということが第1ですよね。悪いなれ合いみたいなものがあったのでは ないかという厳しい御指摘。処分の問題について、あれで終わりなのか、あるいは今後 どうなるのかという話もありましたし、相手方に対しての謝罪をどうやってやるのかと いう話。上からの号令がなかなか厳しい。それについては、必ずしもそうではないんだ けど、それにめげずにどうやって正しく対応するかという、現場と今我々が改革を進め ているその考え方とのずれがあるのか、ないのか、いろいろあると思います。それから 対応が遅い。  法令遵守の問題につきましては先ほど袖井委員もおっしゃったのですが、内部でやっ てもなれ合い的なことになってしまうことについてどうお考えかという、そういう御質 問がありました。  先ほど木村委員のおっしゃった例では、納付率がなぜ上がっていかないのか。制度を 変えたけれども、それがうまく適合しているのか、していないのか。何か問題があるの かというお話もありましたし、誰がどこまでこの状況を知っていたのか。確かに先ほど の御報告だけではわかりません。なぜこういうことが起こって、なぜ、とめられなかっ たかという話もありました。なかなか厳しいお話ですが回答をお願いします。  川崎厚生労働大臣 更迭について、私が命じたので申し上げます。大阪、三重は「な い」という回答をして、調べなさいと言っても「ない」という回答を何回もしてきた。 したがって、そのトップに立つ者が、その時点で調べる意思がなかったのか、うそをつ いたのか、どっちかですね。その人に、それでも調べろというのは無駄だと思いますか ら本省へ戻した。  行政処分というのは、一つ一つの問題点を取り上げて、この人たちにどういう罪があ るのかを確認しなければなりませんから、そこはトップである局長、それを補佐する課 長さん方、そして各事務所長、事務所長を補佐する人たちはどうだったのか、現場でコ ンピューターを打ったのはだれか。今回の事例で申し上げますと、少なくとも署名もし くは自分のサインがなければいけないものを大量に打っているわけですよ。多分打った のは所長じゃないと思います。法律では、名前が書いてあって判子が押してあるものだ け正式の書類として認めるとなっている。それを打ち込んだ人たちがいるんですね。そ れはだれが命じて、だれに打たせたんだと。もしくは代筆をしている者がいる。その代 筆はだれがやったんですかというと、一人一人の現場の人ですね。現場の人は所長に命 じられてやったのか、自分たちがこれで処置をやりましょうと言ったのか。  実はこういうことを一つ一つしていかなければならない。そういう意味では、相当な 調査がかかると思うんです。ではその行為は所長に命じられたのか、下から上がってき たのか。そこは峻別しながら、一つ一つの事案を見ながら、最終処分を決めていかなけ ればならない。そういう意味では、「あした出せ」、「あさって出せ」という人がいるので すが、あくまで第1次調査結果。そして、村瀬さんが最終処分を決めるのは、全ての事 案が明らかになった時点で、そうしないと、先に処分した人と後で処分する人が違った という話になりかねませんから、そういう意味では全体を掌握し切ったときだと御理解 を賜りたい。そのときには厳正な処分をやります。  佐藤座長 事務局の方からどうぞ。あるいは長官を含めて御回答いただきましょうか。  鈴木年金保険課長 幾つか、順不同になって恐縮でありますが、今、大臣のお話にも ありましたように、現場でどういうことがあったかというものは、処分の決定にも絡め て、これからさらに詳細に詰めてまいらなければなりません。また、非常に概括的なま とめ方で恐縮でありますが、不適正な事務処理があった事務局ごとに、事務局が主導し て事務所も了承していたケース、事務所が主導し事務局が了承したケース、事務所がや っていて事務局は知らなかったというケース、これを資料1の13ページにまとめさせ ていただいております。  また、これだけでもなかなかわかりにくいという話があろうかと思いますので、幾つ か私どものヒアリングで出てまいりました中身で申しますれば、最後の事務所が主導し て事務局が知らなかったという例で申しますと、例えば事務所の課長さんが、配達証明 を送れば御本人さんの意思というのはもうとれたものだと全く思い込んで、だれにも相 談しないで事務所内で、当然事務所長は決裁にかかわっていたわけですが、やってしま った。したがって、局にも話が上がってこなかったという事例がありますのと、事務所 が主導して事務局も了承していたという事例ですと、事務所がこういった、例えば御本 人さんの意思なくしてもやりたいというような相談を11月に事務局に持ちかけて、12 月に、特にそれならばやったらいいのではないかということで事務局の了承みたいなも のも会議で取りつけた上で実行した例というものがありますし、さらに一番左の欄にあ ります事務局の主導ということになりますと、これはむしろ事務局内の対策会議のよう なもので局長が提案し、主導し、実行したという例もあります。  このように各地域さまざまな例がありまして、統一的な傾向とか、そういうものはあ りませんので、私ども、ヒアリングをしておりまして、そういったものがいろいろな形 であらわれてきているなということで、一覧表の形で13ページにお示しさせていただい たということであります。  杉山先生からありました謝罪の仕方ですが、まず御本人さんの意思なくしたというの は、これはある意味、あってはならないことでありますので、御本人さんにお目にかか って、まずお詫びを申し上げるというのが基本だろうと思っております。しかしながら、 もともとお会いをしようとして努力を事務所がしていてもなかなか会えなかった方々と いうこともありますので、そこは今先生から御指摘がありましたように、際限なくコス トをかけてもということもあろうかと思いますが、丁寧さを欠いてもいけませんので、 例えば丁寧なお手紙をあわせて出させていただく。  いずれにしましても、この方々は何もしなければ未納ということになりますので、基 本的にこれは仕事の内容でもありますが、免除のお勧めをする。あるいは払っていただ く意思があるなら払っていただくというお勧めもするということをあわせて行いながら、 仕事の一環としてもやっていかなければならないだろうと思っております。  陶山委員 各委員のお話と関連いたしますが、2点ほどお願いを含めて申し上げたい と思います。  1つは、今後の検討課題として資料2に掲記されております、今後の低所得者対策に ついてのいろいろな方式についてでありますが、これは非常に重要なことであろうと思 います。従来、これは社会保険庁に限らずでありますが、役所への申請様式、書式とい うのは非常に煩雑、複雑だというのが一般的に言われている話なのですが、保険関係の 様式というのは、これは制度改正がずっとつながっているということもあって、普通の 方がそれを十分理解して、みずから記載するというのは大変難しい内容になっていると 思います。若い方にはインターネットの活用とかというのは大変有効であろうと思いま すし、一般論として簡便な手続による申請方式というのは、従来の書面による様式の簡 素化を含めて、知恵を絞っていかれることが非常に重要な要素ではないかと思います。  2つ目に、大山委員がおっしゃった御意見、袖井委員からは反論がありましたが、私 はかなり含蓄のある御意見ではなかろうかと思います。つまり、一般の方に対して、被 保険者に対する説明の仕方、ものの言い方について工夫が必要であるということは当然 大事なことなので、そのときの説明の仕方を、どういうものの言い方、説明の仕方の方 がより効果的なのかという観点は、これはいろいろな意見があろうと思います。手続を した方が損になりませんよという、これはものの言い方ですが、直截にどこまで言うか は別として、ほうっておけば不利になりますということは従来にも増してきちんと表に 出して説明をするという、そういう姿勢の方が効果があるのではないかという気もいた しますが、いずれにせよ、実務上、どういう対応の仕方の方がプラスになるかというこ とは当局の方でいろいろな観点から総合的に知恵を絞っていただく価値があるだろうと 思います。  関連いたしますが、杉山委員がおっしゃった納付率の問題であります。従来、目標数 字を掲げて、それに向かって努力をするという姿勢。今回の事件がこうした従来の方針 にいささかもマイナスになることのないようにお願いしたい。あってはならないと私は 思います。その具体的な目標数字がいかようなレベルかということは、これはまた少し く次元の異なる面もありますが、目標を掲げてそれに向かってできるだけ近づけていく という努力をするというのは当たり前のことでありまして、村瀬長官以下、大変にこれ まで努力をされてきた。この努力を今回の事件が足を引っ張るようなことになってはま ことにもって問題が大き過ぎるという思いを強くいたしておりますので、杉山委員のお っしゃったことに重ねて、全く同感であるということを改めて申し上げたいと思います。  石井総務課長 ただいまの陶山委員の前に各委員からいろいろな御指摘をいただいて おります。そのうち袖井委員からちょうだいしております、法令遵守委員会に関するお 尋ねについて御説明を申し上げたいと思っております。  法令遵守委員会ですが、これは資料2にもありますように、委員6名で本庁内に組織 されているわけであります。先ほど、法令遵守推進者というのが別にいると。それはど のような活動をしているのかというのが確認の1点目だったと思います。  この法令遵守推進者というものは委員会の下に設置されているものでありまして、法 令遵守のための研修の実施でありますとか、その他それに関連する取り組みを責任を持 ってやるという位置づけでありまして、具体的には、全体で368名いるわけですが、本 庁と地方組織を足して、本庁の課長、大学校ならば副校長、業務センターならば総務部 長、地方組織に移りまして、地方社会保険事務局の局長と社会保険事務所の所長、これ らを合わせまして368名。それぞれがそれぞれの組織における法令遵守についての研修 等についての実施責任者ということになっているわけであります。  その活動ですが、御案内のように、社会保険庁はいろいろな不祥事を来しているわけ でありまして、例えば国家公務員倫理法に触れますような、利害関係者との不適切な接 し方という問題もありましたし、もう一つ大きな処分に至ったものとしては、年金個人 情報に関しまして目的外閲覧を行うというようなこともありました。いずれもかなりの 処分になったわけですが、このような事案に関しまして研修を行ってきております。  国家公務員倫理に関します研修、昨年の5月、6月にかけて、それから今年の5月か ら始めておりまして6月にかけて、本庁、地方庁、職員全員に対して行うというような ことをやっておりますし、業務目的外閲覧につきましても昨年の6月から7月にかけて、 組織全体において、全職員ということでやらさせていただくと同時に、昨年末、業務目 的外閲覧の大量処分ということを受けまして、今年の1月ですが、1カ月で全職員に研 修を受けた後にサインをするということで決意を改めて固めてもらうという趣旨での特 別研修、そういうようなものをやると。申し上げました法令遵守推進者は、このような 現場における研修について中心的な責任者ということでかかわらせていただいていると いうことであります。  もう一つですが、例えば本庁の法令遵守委員会に外部の方を加えるということも検討 すべきではないかという御指摘がありましたが、基本的には私ども、それはそのような 方向で考えていきたいと思っております。その具体的な方法ですが、先行実施というよ うなことで、年金運営委員会というのが立ち上がると。その中に、これは代表執行責任 者と、それから4名ということでありますが、4名のうち1名は常勤の方であります。 したがって、その方に例えば参画してもらう。あるいは年金運営会議全体として法令遵 守委員会における活動をチェックしてもらうというようなことが考えられるのではなか ろうかと思っているわけであります。  稲葉委員 時間も余りないようですので簡単に申し上げさせていただきたいと思いま す。私も、これからというときに今回のような事態になりまして、誠に残念な思いでい っぱいであります。これによって信頼をさらに失うというダメージはかなりのものであ ろうと思います。  お話を伺っておりまして、本庁幹部の方にも甘さがなかったかというようなことも印 象として率直に申し上げて持つわけであります。最初の第1次調査報告書のところに3 つの推進施策というものが書いてありますが、免除等の勧奨の拡大というのがあります が、具体的にどういうふうにやるべきかということを、そこまで指示されていたのか。 それが不十分であったために今回こういう事態になったという面も恐らくあるのではな いかと思いますし、京都の事案、免除の取り消し数値の急激な増加と言いますが、その 前提として数多くの免除というのがあったということだろうと思うのですが、その辺の 把握というのはできていなかったのかなというような気もしますし、時間もありません のでその程度にしますが、そんなふうに思います。  1つ、今まで出ていない、第1次調査結果の概要というA3版についてコメントを述 べさせていただきたいと思いますが、これまでの新聞記事などを通じての理解としては、 (1)型について、取り消すというような言い方もされていましたので、私はこれは当 然無効であろうと思っておりましたので、今日はぜひその旨を申し上げようと思ってい ましたが、皆さんの方でも十分御理解されているようでありまして、取り消し処理とい うのは事務的な処理という意味でありますよね。  ちょっと確認したいのは、むしろ(2)型の中の(1)と(2)。(3)は要するに瑕疵があった、 違法があったんだけれども、要するに治癒されたという構成だと思うんですね。真ん中 の(2)というのは、瑕疵がない、違法とまでは言えないという処理なのでしょうか。その 点、後で教えていただければと思うのですが、これは違法は違法だと思うんですね。現 段階において瑕疵は治癒されていないけれども、瑕疵が治癒される可能性が強いので直 ちには取り消さないというような、そういうふうに理解すべきではないかと思います。  最後に1点だけ。そうは申しましたが、私は今回の報道等を見ていまして大変危惧し たことは、長官バッシングの傾向がやや見えたということでありまして、これはほかの 委員の方もそろっておっしゃっておりましたが、今、長官を中心に進めておられる改革 の方向というのは、これはもう今後も不退転の決意で進めていただきたいし、そうする しか恐らく再生の道はないんだろうと思っておりますので、その点はむしろ応援したい と思っております。  佐藤座長 時間が過ぎておりますので、特に最後、1つ、2つぐらいでとどめさせて いただいて、どちらかというと注文をつける形で、なお検討していただいて、資料2の 当面の対策にできれば盛り込んだりする。そういう形の御意見をいただいておいた方が いいかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  岸井委員 済みません、提言じゃないんですけどね。今の長官バッシングの傾向があ るというところに関連して、改めてちょっと長官のお考えを聞きたいのですが、確かに ノルマとかプレッシャー、厳しさに負けたというようなところがあるというのは言いわ けにもならないし、公務員として法令遵守というのは当たり前のことなんだということ は、これはわかるんですけどね。現実にこういうことが起きて、それはひょっとして因 果関係があるのかなと見られているところがありますよね。その点について長官の実感 はどうなんですか。  村瀬社会保険庁長官 私自身は全国300の事務所へ回りまして、職員の相当数と話し てきているわけですね。職員の相当数と話すときに出てくるのは、確かに仕事は厳しい とか、いろいろ出てきますが、自分たちはちゃんとやるという方向で私には聞こえてく るんですね。したがって、そういう点からいくと、実は私自身が一番裏切られたという 部分も一部ありまして、逆に私の確認方法が悪かったのか、そこら辺はもう一度しっか り現場へ行って話してきたいと。その中で、今までにない手法を16年の10月から、行 動計画であるとか目標値の設定ということで、国民年金についてやり始めたわけですね。 1年半ぐらいずっと進めているわけですが、それによって確実に行動量も増えましたし、 収納率ということで先ほど木村委員からお話がありましたが、前に比べて見えるように なってきましたので、このまま進めていけば間違いなく収納率は着実に上がっていくん だろうと思っていまして、その中で今回こういう現象が起こったということは極めてシ ョックだというのが今の実情であります。  では、それに対して何か手立てはということからいきますと、これは反省ですが、先 ほどもお話し申し上げましたように、現場が具体的にどう取り組んでいるか、どういう 資料に基づいて仕事をやっているかということを本庁が十分知らない部分があると。一 方、事務局さえも知らない部分があるということで、もう少ししっかり仕事を見る仕組 みを再構築しないとだめではないかと。  それと同時に、先ほどの類型の中で、事務所が勝手に処理しちゃったということがで きる仕組みに今なっているんですね。こんなこと普通ではあり得ないわけですね。した がって、仮に弱い子が出てきて何かしようとしても、それはできない仕組みを講じてあ げるというのは、これは本庁としての責任だろうと思っていまして、それはシステム的 に今回からできないようにしますが、遅まきながらそういう点で、性善説で動いた結果 がこういう現象が起こったということで、少し性悪説も含めてチェック機能も進めなが らしっかりやらなければいけないだろうと私自身は考えております。  佐藤座長 それでは時間が大分過ぎましたので、いかがでしょうか。今日いろいろ御 意見が出ましたので、当然それを御考慮いただいて、直ちに取り組むべきことはさらに 資料2に盛り込んでいただけると考えております。さらに、最初、大臣あるいは長官も おっしゃっておられたように、第2次のきちんとした全数調査。今、現場を実際にもう 一度見直してお考えいただくということもおっしゃっていましたので、そういうところ を含めて対応していただく。  私どもとしては、とにかく年金が我々国民の老後の生命線だということを再度認識し て対応していきたい。したがって、それを国がきちんと見るという、支えていくという、 そういうことでねんきん事業機構をつくることとなったわけですし、そのために法案を 出していただいている。この業務改革を、それに見合う責任を持って、国民が納得でき るような形できちんと進めていただけるかどうかという、そういうことに尽きるわけで ありますので、そういう気持ちはもちろん私どももあるのは当然ですが、長官も大臣も、 あるいは現場の皆さんもお考えいただけると思いますので、包み隠さず全てお調べいた だいて、対応策もきちんとやっていただいて、大山委員もおっしゃっておられましたが、 相手が年金加入者だという立場から見るという面も絶対欠かせないと思うんですね。そ うやって見た場合どうかと。  例の法定免除なんかだと職権でどんどんできるわけですが、それはさっき先生のおっ しゃった、法定免除みたいなものではなくて、納める義務もあるものだから、そのあた りのバランス。しかし大山先生おっしゃられたように、きちんとした説明責任はありま すよね。そういうことなどをお考えいただきながらお進めいただいて、私ども、いささ かでもそういう点で意見等を申し上げて協力できればと思っております。本当ですと、 このような事態を知って皆さん嫌な気持ちで、できれば手を引きたいぐらいの真情なの でしょうが、しかしこれは私どもだけの感情の問題ではなくて、さっき申し上げた、年 金が老後の生命線だという、そういう認識があるものだから、その生命線を皆さんと一 緒に少しでもきちんと維持できるようにということだと思いますので、長官も大変でし ょう、大臣も大変でございましょうが、よろしくお願いしたいと思います。  そういうことで、まとめにもなりませんが、今日の会合はこれで終わらせていただい て、さらに個々の委員の先生方から御意見があれば事務局へお申し出いただくというこ とで、進めていただければと思っております。  今日は長時間になりましたが、特に最後に何か、大臣あるいは長官、お話があればと 思っています。  川崎厚生労働大臣 国会やマスコミにも、最終報告がいつまとまるかについてはなか なか私、日程を区切って言えないと。一つ一つの事象が違います。例えばある県では100 件だけですから、そうなると成績を上げようとしたということでは全くない。全然ポイ ント数には効いてこないわけですから、それは違う。しかしまとめて5万やったところ は、場合によっては局長さんが成績を上げようと思って、おらが成績ということでやっ たか、所長さんがやったかと。こういう一つ一つの事象がありまして、それを分析しな がら前に生かすという方向につなげなければ何の意味もない。したがって、全件掌握は 村瀬さんにしっかりしてもらいながらやっていく。  一方で、途中経過はなるべくオープンにしていきたいと思いますので、こうしてお集 まりいただく機会はそうないと思いますが、また委員の方々に状況を途中で御連絡させ ていただきながら、また何か事象が出てきて、座長初め、集まれということなら、また 御指示いただければ会合をもって報告させていただきたいと思いますので、どうぞよろ しくお願い申し上げます。  本当に2〜3の委員の方が言われたとおり、大変気の重い中、こうやって来ていただ きまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。  佐藤座長 それでは長時間、どうもありがとうございました。閉会いたします。 (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   津曲、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)