06/05/12 平成18年5月12日先進医療専門家会議議事録 06/05/12 第10回先進医療専門家会議 議事録 (1)日時  平成18年5月12日(金)10:00〜 (2)場所  三田共用会議所大会議室(3階B〜E会議室) (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        赤川安正構成員 飯島正文構成員 越智隆弘構成員        片山容一構成員 加藤達夫構成員 金子剛構成員        竹中洋構成員 田中憲一構成員 福井次矢構成員       <事務局> 審議官 企画官 医薬食品局審査管理課長  他 (4)議題 ○先進医療の科学的評価(3月受付分)について       ○先進医療の届出状況(4月受付分)について (5)議事内容 ○猿田座長  ただいまより先進医療専門家会議を開催いたします。  まず、構成員の出欠状況ですが、北村構成員、笹子構成員、田中良明構成員、谷川原構 成員、坪田構成員、辻構成員、寺岡構成員、永井構成員、樋口構成員及び渡邊構成員が御 欠席です。  また、年度がかわりまして、人事異動がありましたことから、佐伯構成員が退任され、 後任の構成員については、国立成育医療センター病院長の加藤達夫先生にお願いすること となりましたので御報告いたします。  それでは、新任の加藤構成員より、一言ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○加藤構成員  4月から国立成育医療センターに参りました、病院長の加藤でございます。御指導のほ どよろしくお願い申し上げます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  それでは、早速ですが議事に入らせていただきます。  まず、3月に届出のありました新規技術に関する審議ですが、今回提出されております 先進医療の内容及び事前評価をお願いしていた先生方の御意見が事務局に届けられており ますので、その状況につきまして事務局より説明をお願いします。 ○医療課企画官  お手元の資料、先−1に基づきまして説明させていただきます。  まず1ページは先進医療の届出状況(3月受付分)についてですが、そこの表にありま す4件を受け付けております。  整理番号28番は「仙骨表面治療的電気刺激療法」という先進医療名で、仙骨の皮膚に電 気刺激を与えて末梢神経を刺激するというものです。適応症としては「頻尿・尿失禁」と なっております。費用としては先進医療費用は次の欄に書いてありまして、その次の欄に 保険給付分が書いてあります。  整理番号29番は「培養骨髄細胞移植の併用による脚延長術」です。適応症としては「軟 骨無形成症、軟骨低形成症、脚長不等、プロント病」です。経費につきましては次の欄に 示しているとおりです。  整理番号30番は「子宮動脈塞栓術による子宮筋腫治療」ですが、子宮動脈の部分を詰め て、そこから先の子宮筋腫の部分を縮小させるという治療法です。適応症としては「子宮 筋腫に伴う過多月経、月経困難症などの症状を有する子宮筋腫症例のうち、外科的治療を 希望しない症例又は合併症のため手術不能な症例」です。費用の内訳につきましては次の 欄にお示ししているとおりです。  整理番号31番は「先天性心疾患診断確定を目的とした胎児心エコー検査」です。適応症 としては「産科スクリーニング胎児超音波検査において心疾患が強く疑われる症例」とな っています。費用につきましては次の欄にお示ししているとおりです。  次に2ページですが、ただいま説明いたしました3月受付分4件に対する事前評価結果 等について示しています。  まず28番の「仙骨表面治療的電気刺激療法」ですが、「その他(事務的対応)」の欄を ごらんいただきますと、「当該技術に係る医療機器が薬事法上の適応外の使用に該当」と しています。この技術を届け出た医療機関からの添付書類に使用する機器が示されていま すが、それについては薬事法上適応外のものであったということです。  添付書類によりますと、肩こり、末梢神経麻痺に対するマッサージ効果ということで薬 事法の承認を得ていた機器を使うということでした。その後、薬事からの情報で、同じよ うな仕組みのもので、尿失禁について適応をとっている機器もあるようだということでし たので、その旨を医療機関に連絡して、次の対応をお考えいただくという形で事務局とし ては対処していきたいと考えております。薬事法の関係はいろいろ議論のあるところです が、承認を得ている医療機器の中にはそういうものもあるということでしたので、その部 分の情報提供をした上で、医療機関のお考えも踏まえて、必要があればここで御議論いた だく形になろうかと思っております。  29番の「培養骨髄細胞移植の併用による脚延長術」ですが、「その他」の欄をごらんい ただきますと、「当該技術に係る薬剤(トロンビン)が薬事法上の適応外使用に該当」と いうことです。  30番の「子宮動脈塞栓術による子宮筋腫治療」ですが、これも「その他」の欄をごらん いただきますと、「当該技術に係る薬剤(スポンゼル)が薬事法上の適応外使用に該当」 ということです。  31番の「胎児心超音波検査」ですが、これは「総評」として「適」となっております。 適応症としては、先ほど申しましたように、産科スクリーニングの胎児超音波検査におい て心疾患が強く疑われる症例に適応するという評価結果になっております。  評価の詳細につきましては別紙にありますが、評価を担当していただきました田中先生 から後ほど詳しく御説明いただければと考えております。  3月受付分の届出状況、その事前評価の概要につきましては以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ただいま報告がありましたように4件あったんですが、28番に関しては医療機器が薬事 法上の適応外であるということ、29番に関してはトロンビンが薬事法上の適応外だという ことです。30番の子宮動脈塞栓術はかなりよくやられている方法だそうですが、スポンゼ ルが薬事法上の適応外ということです。こういう適応外があると今の制度上では認めるわ けにはいかないということですが、御意見はございますでしょうか。 ○越智構成員  今の御説明は一見、理屈が通っているように見えるんですが、残念な結果だと思います。 今ディスカッションしているのは先進医療であって、今まで認められていなかかった医療 技術ですから、それにかかわる物質、29番のトロンビンにしても30番のスポンゼルにして も、承認が得られた時点では先進医療は想定されていませんので、薬事法の適応に入らな いのは当然なわけです。先進医療ということで進められている中で、これにかかわる物質 の承認当時想定されてなかったという理由で、基本的な先進医療の技術が次々と却下され ていくというのは、もう少し対応を考えていただかないといけないんじゃないかと思うん ですが。 ○猿田座長  この前の委員会の時もそうでしたけど、その点でかなりひっかかってしまってるんです ね。そのあたりは事務局として何か御意見はございますか。 ○医療課企画官  先進医療の技術について何をどう取り上げてどう評価していくかというところで冒頭3 回ぐらい枠組みの議論があって、その際に、まず一つは安全性の問題と、新しい技術をな るべく負担の少ない形で広く必要な方々に進めていこうという、この制度導入の趣旨にの っとった部分をこの場でも議論していただきました。その結果、当面の走り出しとしては、 まずは薬事法の承認というのを安全担保のベースとして議論していこうということになり ましたので、そこは一連の手続のルールの中で示されています。  まずはそういう形で議論していこうということでスタートしているわけですが、現実に いろいろな課題が出てきます。安全性の議論や有効性の議論が出てくることはスタートし た時点から想定されていたことですので、ここでいろんな事例や議論を積み重ねていただ いた上で一定の知見なり課題が蓄積された時点で、そういったものの考え方についても議 論していただくような場が必要になってくるのかなと思っております。  この会議を設置する際にも御説明申し上げましたが、高度先進医療と先進医療の部分と いうのは、医療制度改革の議論の結果を踏まえて、将来的には一つの形でイメージしてい くということも想定された上でこの会議をスタートしておりますので、そういった蓄積と、 国会での議論の状況も踏まえながら、必要なタイミングでさらに議論を深めていただくと いう形になろうかと思っております。 ○猿田座長  だんだん回を重ねてきてわかったことは、こういったことでひっかかってるケースが非 常に多い。越智先生がおっしゃったように、技術としてはいい技術でありながら、こうい った点でのひっかかりが出てきてるというのは、この会自体の先の進め方においても問題 になるかと思います。 ○赤川構成員  薬事法の承認が前提であることは理解しています。ただ、届出の新規技術のどこかが薬 事法でひっかかるのであれば、この会議の前にもう少し早く、私たちにそのことを連絡し ていただきたいと思います。 ○猿田座長  いい技術の場合、患者さんにとって非常にいいことですから、できるだけ認める方向で いければと思うんですが、薬事法でひっかかるというのは問題ですので、どう解決するか というのは非常に大切なことだと思います。 ○医療課企画官  先進医療については将来的には保険導入を一つの目的としているわけですので、いずれ にしても薬事法の承認の外で物事を進めていくことはあり得ない話です。この枠組みを議 論する際には、目指す部分との関係の中で安全性とか有効性を何らかの形で薬事法の枠の 中に置いていくという形の努力も併せて医療側、企業側にしていただくことを前提として、 この仕組みが成り立っていくんだろうというという形で議論された経緯があろうかと思い ますので、そういったところも念頭に置きながらこれから御議論いただく必要があろうか と思っております。 ○越智構成員  申請書を一生懸命書いて出したところで門前払いになるんですが、あらかじめ受け付け る時に、こういうことであれば審議できるということが明確化されている必要があると思 います。どういう前提だったら申請が受理されるんだということが不明確すぎて、努力し て申請書を書いた方が「なんだ」ということで、徐々に減ってくるんじゃないかという気 もします。 ○猿田座長  きょうは10回目の会議なんですね。スタートの時にいろいろ議論して、こういう形で始 めてみて、ここへきて初めて気づいたことは、こういう問題が非常に多かった。これは非 常に重要な問題で、私どもは気づかなかったんですね。こんなにも適応外とかいろんなこ とでひっかかる。これだけひっかかるのなら、どうやって解決していったらいいのか、そ ろそろ本格的に考えたいと思います。 ○飯島構成員  日本医師会の疑義解釈委員会で新薬の承認後に保険導入の段階では、医療課と経済課が 日本医師会に出てきて保険導入するんですが、その席には審査管理課はお出になりません。 3月と4月の審議でペンディングになった事例があります。その時に医療課と経済課は 「お伝えします」と言いますが、なかなか審査管理課に伝わってないんですね。1日の最 大量の問題その他で安全審査が臨床家の目から見ておかしいのではないかということもあ りました。一面でそういう厳しいことを言いながら、そういうインフォメーションが伝わ ってない。  今の話に戻りますと、私どもの領域でも化学物質を使う場合、薬事法の承認がだめです と言われてるんですが、化学物質は医薬品で使うことが想定されておりませんから、薬事 法の承認は初めから考えられてない。そういうものを医療に応用しようということですか ら、どうすればいいのかということを優しく御指導いただけると我々は非常にありがたい。 製薬メーカーには厳しいことを言いながら、国民の方に向いて医療を進める時にどうすれ ばいいのかという発想が欠けてるような気がするんですね。厚生労働省が全体として国民 の方に目を向けて非常にいい方向に向いてるんじゃないかと思うんです。その中で薬事の 承認だけはかたくなに城を守ってるような気がするもんですから、今後、お力添えを願い たいと思います。 ○審査管理課長  私どもは先生方の御協力をいただきまして、薬事の承認も一生懸命取り組んでいるつも りでございます。新しい技術とか新しい薬剤に早くアクセスしたいという声と、もう一つ は過去のいろいろな薬とか医療機器による被害というものもありまして、両方から大きな 声がありますので、そういう中で厳しい面もございます。私はこういう立場におりますが、 審査に従事している者も先生方の御協力をいただきながら一生懸命やっておりますので、 そこは御理解いただければと思います。  飯島先生の御指摘につきましては、きちんとフォローさせていただきたいと思います。 先ほどの保険の関係では越智先生から御指摘がありましたように、トロンビンもスポンゼ ルも薬価基準に収載されている薬剤ですので、薬事法上効能追加をされてしまいますと即 保険適用というのが現実の話になってしまいます。先進医療という中で、そこをどう考え るのか、先ほど猿田座長と企画官の間でそういうお話だったのかなと思いますが、ここで の議論を踏まえて、薬事の方もしかるべき対応をとらなくてはいけないと思ったところで ございます。 ○猿田座長  この前からの宿題事項ですが、早急に詰めないと進んでいきません。4月は受付が止ま っちゃってるんですね。私が責任をもって相談させていただいて、構成員の先生方にも必 ず連絡をとられていただくということで対応させていただきます。 ○吉田座長代理  30番のスポンゼルは既に悪性腫瘍に対して幅広く使ってるわけですね。安全性、有効性 についても出ているわけです。子宮動脈を詰めることだけがだめということですか。それ をやっちゃいますと、ほとんど使えませんよね。良性疾患に対して手術じゃなくて、新し く侵襲もなくできるという技術がどんどん消えてっちゃう。特にスポンゼルは腎がん、肝 臓がんで使ってますのでね。こういうものもすべて薬事法上の適応外といっちゃうと、何 もかもなくなってしまう。  いい例が、昨年でしたっけ、尿路上皮がんのMVACという治療法を学会から要望を出しま して、治験をやれというんですけど、症例数がなかなかないんですね。尿路上皮がんのMV ACという治療と精巣腫瘍を特例的に認めましたよね。いくら治験をやれといわれたって、 たくさんの症例がないのに、一方的に適応外だといわれちゃうと国民にとって非常に困る んですね。使えないので死んじゃうというわけですよ。それがあって、急きょエンバック 療法が通ったわけです。  そういう事例があるので、一つのルールとしてこの会議で、スポンゼルみたいに安全に 使ってるものはいいんじゃないかという結論を出して、取り上げる。そういう方向でいっ た方がいいんじゃないですか。 ○審査管理課長  吉田先生御指摘の抗がん剤の適応外の関係につきましては、海外も含めてエビデンスが 収集されているのであれば、学会の協力もいただきまして、そのエビデンスを薬事法上の 申請の根拠とする。必ずしも日本で新たに治験をしていただかなくても薬事法上の効能追 加の資料として認めるということで柔軟な対応を図っているという状況はございます。し たがって、この技術全体と、そこの一構成部分の薬事の承認の部分との全体をどんなふう に見ていただくかというのは、ここの御判断にお任せすることになるのかなと考えており ます。 ○猿田座長  この問題は重要な問題ですので、きっちり相談しまして、こちらで議論していただくこ とにして、きょうのところはそういう形で進めさせていただきます。  それでは、29番、30番は宿題事項として、31番は認められるものだということで、事前 評価について、田中先生に説明をお願いいたします。 ○田中(憲)構成員  御報告申し上げます。先−1の3ページ、別紙をごらんください。  名称は「胎児心超音波検査」です。適応症は産科スクリーニング胎児超音波検査におい て心疾患が強く疑われる症例です。  内容ですが、本申請における先進性は、従来は出生後にしか診断が行われなかった先天 性心疾患について、胎児の時期から心超音波検査を施行することにより、出生前より先天 性心疾患の診断が可能となり、児の周産期管理が改善するというものです。  手技の概要は、母体の腹璧に超音波プローブを密着させ、超音波を腹璧、子宮璧及び羊 水を通過させて、胎児の心臓を抽出、解析いたします。手技の実施には胎児循環器の解剖、 生理、及び胎児心臓に特有の断面に対する理解が必要と思われます。  胎児不整脈の診断には、本手技による超音波診断が必要であり、胎児不整脈の診断が可 能になった場合には、ジキタリス、あるいは抗不整脈の母体投与による胎内治療も可能と 考えられます。一方、大動脈縮窄症、大動脈弁閉鎖症など動脈管依存性の心疾患合併胎児 において、無治療の場合出生後1日か2日で動脈が閉鎖しショック状態に陥ることがあり ます。このような疾患を胎児の時に診断し、予防的にその治療を行う本申請は有用な検査 法であると理解しております。  胎児心超音波検査により他の先天性疾患の診断確定も可能となれば、より適切な周産期 管理を行うことができると理解してもよろしいと思います。  5ページは先進医療としての適格性ですが、「適応症としては妥当である。有効性とし ても、従前このような技術がありませんでしたので、大幅に有効であろう。安全性として も、妊婦に薬剤投与あるいは観血的なインターベーションを全く行いません。おなかの上 からのエコー検査だけですので、問題はない。ほとんど副作用、合併症はない。  技術的成熟度はBで、当該分野を専門として数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下 であれば行える。  倫理的問題もない。  普及性は、罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。」と思います。  効率性も、今までの通常のエコー診断により大幅に有効でありますし、将来的に保険収 載を行うことが妥当と思っております。  総合判定として、「適」といたしました。  5ページに当該技術の医療機関の要件(案)を示しました。  I.実施責任医師の要件ですが、診療科は小児科、循環器科、又は産科といたしました。 申請書には小児科と記載してありましたが、実際には産科および循環器科の医師も同一の 手技を用いた診療を行っているようです。診療科を小児科に限定すると実際に診療してい る他科の医師ができなくなると困るので循環器科、又は産科を加えました。  資格としては小児科専門医、循環器科専門医、又は産婦人科専門医としました。  経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は1例以上で20例以上の経験があることとい たしました。  II.医療機関の要件ですが、申請書には他の診療科の医師は不要、看護配置、病床数も 不要、当直体制も不要と記載され、外来での診療を前提として申請されております。 しかし、分娩時期、方法あるいは出生後の診療等診断した後の対応について患者さまに説 明する時、その後をフォローする産科の医師あるいは循環器科の医師等が立ち会った方が いいのではないかという御意見を参考として、他の診療科として出産のための産科医師2 名以上が必要であるとしました。  このためだけの看護配置、医療従事者は不要ですが、病床数は1床以上、要するに入院 設備が必要と思います。  診療科としては「小児科、循環器科、産科が必要であり、それに伴って当直、緊急手術 の実施体制が必要である。」といたしました。  申請書では他の医療機関との連携が「要」になっていて、具体的には産科と緊急時の連 絡体制を有するとありましたが、私の意見としては「不要」として、施設の中に産科ある いは循環器科が必要と考えました。  それに伴って院内検査は「要」ですし、医療機器の保守点検も必要である。  倫理委員会による審査体制ですが、申請書には「通常、在胎20週前後であれば胎児心臓 の詳細な診断が可能である。」と書いてあります。申請者と同一の診断を行っている施設 の実施者の経験では、在胎17〜18週から診断可能ということでしたので、中絶の問題が出 てくると判断いたしました。診断後、仮にご家族がさまざまな選択肢を希望された場合の 対応に関して倫理委員会で審査する体制があった方がよろしいと思いますので、倫理委員 会は「要」としました。  医療安全管理委員会の設置も「要」。  医療機関としての当該技術の実施症例数は5例以上としました。  III.その他の要件として、頻回の実績報告は不要ですが、年1回の実績報告としました。  基本的には認めるべき有益な検査法であろうと思います。ただし、申請書にあるように 外来だけで行う検査なのか、あるいは入院設備がある医療機関で行うべき検査なのか、構 成員の先生方の御意見をいただきたいと思っております。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。これは診断をつけてから、その後のことが非常に大切である。 もう一つは、こういった技術に関しては倫理的な問題がありますので、倫理委員会の問題 が大切だと思います。  ただいまの説明について何か御質問等はございますか。 ○加藤構成員  国立成育医療センターの加藤でございます。小児科医の立場から意見を申し上げたいと 思います。田中先生が説明されたとおり、この方法は極めて安全で、また有用な検査であ ります。にもかかわらず、保険未収載でありまして、従前は経費が取れずボランティア行 為でした。そのため検査医師や施設が経済的に保護されていないことが大きな問題であっ たわけです。保険未収載でありボランティア行為で行っておりましたために、仮に診断が 正しくなかった場合など何らかの問題が生じた場合には検査医師の行為が医療法上十分に 保護されていなかったと考えられます。  これらを勘案いたしまして、31番の検査方法が適格と判断されたことは小児科医として 極めて妥当であると考えます。ただし、いくつかの問題点もあります。田中先生もおっし ゃいましたが、熟知した方がおやりになることが必須ではなかろうかと私は考えておりま す。例えば動脈管開存症とか卵円孔があいているというのは生理的な状態ですので、それ を病態として把握して診断料をいただくことが正しいかどうかということまでも知ってい るドクターでなければいけないのではなかろうかというのが1点です。  もう1点は、先ほど倫理の問題が出ましたが、かなり複雑な心臓の奇形が見られる方の 症例がたくさんあります。それが17週とか18週、または22週ぐらいまでの間に診断がつい ていたとしますと、そのような複雑な心臓奇形の子供が存在することを母親又は父親に話 さなくてはなりません。そういう子供なら人工流産をした方がいいのではないかと考える 方もおられるし、妊娠を継続して出産するのは心理的に悩まれる可能性もあるということ を勘案して、倫理委員会で十分に精査をしてから行う。この2点が条件ではなかろうかと 私は考えました。 ○猿田座長  外来で行うというのはどうでしょうか。 ○加藤構成員  緊急性はさほどない検査だと思いますので、検査自身は外来で検査してもよろしいかと 思います。 ○吉田座長代理  これは正常分娩ですから自費でやってらっしゃるんですよね。胎児に異常が見つかって、 胎児の疾病と認識した場合は保険が適用できるんじゃないですか。今でも心疾患の場合は 保険請求してくる医療機関があるんですね。異常が見つかれば、胎児にとっては疾病です よね。そういう場合は保険適用できるんじゃないですか。 ○医療課企画官  この件について申し上げますと、超音波による心奇形の診断については保険適用になっ ていないので、そこが課題になっております。18年度の改定の時に保険収載の要望があり ましたが、現時点では胎児スクリーニングという形で胎児に対して超音波検査をやった時 には、保険点数上、どこにも取る項目がないものですから、仮に疾病で保険適用の枠に入 っても、そもそも取れないというか、算定できるものがないという形になっています。 ○加藤構成員  保険収載の件ですが、胎児ですから、どこに保険請求をしていいかわからない。胎児の 人権がインターナショナルでは問題になっていまして、全世界に胎児の人権宣言をしたら どうかという話もあるくらいです。子供の人権もまだ認められないうちに胎児の人権は難 しいんですが。現在、胎児心臓病研究会というところで保険収載をしていただくように働 きかけている最中であると聞いております。点数としては900点ぐらいを想定していると いうことです。認知することは難しい段階にあるという話も伺っておりますが、できれば 保険収載の方向にいっていただきたいと考えております。 ○猿田座長  ともかくこれを通しておいて、早急に保険の方へもっていくということですね。 ○田中(憲)構成員  これは外来だけでよろしいんでしょうか。 ○加藤構成員  理想的には入院施設があるところがよろしいと思います。 ○猿田座長  入院施設があるところにした方がいいという条件について事務局はいかがですか。 ○医療課企画官  先進医療がある程度確立してきて、まさに保険適用をにらみながらという中で、リーズ ナブルな範囲の中で、なるべくいろんなところが参加できるようにという条件があります。 産科と小児科と循環器科と境界領域の部分ですので、余り緩くしてしまった時に、新しい 技術がねらっている内容が担保できるのかという問題があります。緩くしてしまうと、超 音波の機械さえあればどこでもできるという形にもなりかねない。入院施設のベッドの必 要性ということも含めて、どのくらいの縛りをかけたらよろしいのかというところを御議 論いただければと思います。  症例の積み重ねなり経験の積み重ねが次の保険収載に向けての議論の基礎になるところ もありますので、そういった観点からも御議論いただければと思います。 ○木下オブザーバー  日本医師会から来ました木下と申します。本日はオブザーバーとして出席を致しました が、発言してよろしいでしょうか。 ○猿田座長  御意見を聞かせていただければと思います。 ○木下オブザーバー  私は産婦人科なものですから、一言お話しさせていただきたいと思います。産婦人科医 はみんな超音波をいたしますが、あえて心臓に特化して、そこだけを見ようということに なりますと、例えば成育医療センターで訓練なさった先生が自分の診療所に帰られて個人 でなさる場合もありえると思います。病院だけとしますと限られてしまいます。診療所に 勤めていても専門的な勉強をされた先生方もおられますので、産科医師が2人以上いる施 設でなければならないという条件ではなくて、スクリーニングという視点からしても、施 設の大小に限らず幅広く外来レベルでもできる条件にしていただきたいと思います。 ○加藤構成員  検査自身は木下先生がおっしゃるとおりでよろしいと思いますが、倫理上の問題が絡ん でくることがありますので、個別の施設で行うには、どなたが倫理上の問題を解決するの か、どこで倫理的なことをやるのかということになります。クリニックで行う場合、どな たが倫理上の判断をされるのかということも絡んできますので、そこのところは田中先生 の御意見に賛成いたします。 ○木下オブザーバー  おっしゃることはよくわかるんですが、通常心奇形を診断しても診療所レベルですべて 対応することは、できません。対応に関しては大きな専門施設に送らざるをえませんが、 スクリーニングで診断をするレベルにおいてはどこでも可能だと思います。超音波検査で 異常があるかどうかスクリーニングすること自体も倫理的な問題がありますが、心臓に関 する検査のように倫理委員会にかける必要はありませんので、心臓の奇形が見つかった段 階で、その処置について倫理委員会で論議することもありません。通常、専門病院に送る ということである以上は、どこの施設で検査しても問題ないだろうと考えております。 ○猿田座長  木下先生は順天堂大学の産婦人科の教授であられましたから、御意見をありがとうござ いました。  これは非常に有用な検査で、これからもどんどん行われていく検査ですから、できるだ け通せればということでよろしいでしょうか。それでは、倫理の問題、入院の問題を検討 していただいて、認めるということでいきたいと思いますが、事務局から何かありますで しょうか。 ○医療課企画官  先ほどの議論を踏まえますと、II.医療機関の要件のところで、実施診療科の医師数は 常勤医師1名以上で、ここは診療科を問わない。他診療科の医師数は産科医師2名以上と なっています。診療科のところは正確に書く必要がありますので、そこの部分は事務的に 対応させていただきますが、産科単独という場合と小児科又は循環器、及び産科という形 で、組み合わせがいくつか出てくるものですから、そこのところは事務局で整理をする際 にさせていただきます。文言上の整理が少し必要になる部分がありますが、それ以外は特 にございません。 ○福井構成員  この検査をやる前に倫理委員会にかけるということは、あらかじめかなり強く先天性心 疾患を疑っているということですね。エコーをやる前に、病歴や身体所見から先天性心疾 患を疑っているということを前提としているのでしょうか。 ○田中(憲)構成員  私がイメージしておりますのは、このような検査をやる場合、どういう場合には中絶を 認めるとか、いかなる場合でも中絶は認めないとか、施設としての倫理的なスタンスを検 査していただく。もう一つは、実際に事例が出てきて、妊婦が中絶を希望した場合はどう 対応するかということを倫理委員会に諮る。この二つのポイントがあるのではないかと思 っております。 ○加藤構成員  これを行う前から重大な心臓の奇形があるということを術前に認知することはできない と思います。できるとすると、期外収縮があるようなものに対して超音波をやってみたら 見つかるというようなことで見つかる可能性はあると思いますが、17週ぐらいの胎児に最 初から複雑心奇形があることを想定して心エコーをやることはあり得ないのではないか。 あくまでも結果論ということになろうかと思います。 ○木下オブザーバー  倫理委員会の使い方ですが、この症例をどうするかという場合に倫理委員会にかけるこ とは通常はないと思います。中絶することに関し、胎児以上は適応になりません。中絶す るしないというのは全く別問題ですので、まず診断をして、これは本当に重篤な奇形であ って致死的なものかもしれないということもあるし、手術すれば治るかもしれないという ものもありますから、倫理委員会による審査体制がなければならないという条件は必要な いのではないかと思います。診療所の場合は大病院の倫理委員会とは違いますけど、そう いう視点はもってると思いますので、検査そのものに関して倫理委員会は必須条件ではな いと思います。 ○猿田座長  そこは問題もあるところなんですけど、施設としての倫理をどうしておいたらいいかと いう問題も出てくるもんですからね。先生の御意見も一つの考え方だと思いますが、この 場合には倫理委員会は必要としておいた方がいいのではないかと考えます。木下先生の御 意見もよくわかります。 ○金子構成員  適応症を見ますと、産科スクリーニング胎児超音波検査において心疾患が強く疑われる 症例に対しての専門的な検査ということですね。スクリーニングは既に終わってる方の確 定診断ということですから、門戸を広げないで、より専門性の高い方にすることにしてお いた方がいいのではないかと思います。 ○加藤構成員  先ほどちょっと申し上げましたが、胎児循環について熟知している方でないと誤った診 断をしてしまう。正常な胎児循環であるにもかかわらず、成人であれば奇形なんですが、 胎児であれば当たり前だという病態があるので、だれにでも許可すべきではないのではな かろうか、こういう意味で先ほど意見を申し上げました。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますでしょうか。  それでは、細かいところは事務局で詰めていただいて、この技術に関しては認めること にしてよろしいでしょうか。     (異議なし)  ありがとうございます。  それでは次に、先進医療の届出状況(4月分受付)について、事務局から報告をお願い します。 ○医療課企画官  お手元の資料、先−2ですが、4月受付分の先進医療の届出状況につきましては、届出 はないということでございます。 ○猿田座長  少しでも役立つものは患者さんにとっては必要ですので、認められるような方向でどう していったらいいかということは私の宿題事項として事務局とも相談して、ここに諮らせ ていただきたいと思います。宿題事項として、責任をもって対応させていただきたいと思 います。  それでは、先進医療専門家会議の日程について、事務局から説明をお願いします。 ○医療課企画官  先ほど申しましたように4月の受付分はございませんので、6月は会議を開催しないわ けですが、先進医療専門家会議については規制改革との関係もございまして、3カ月ルー ルを厳格に適用しておりまして、届出が出てから3カ月以内に確実に回答を出すという形 で進めております。その結果、原則として毎月開催ということで、先生方にはお忙しい中 をやりくりをしてお集まりいただいておりますが、その都度、事務局より先生方の御予定 をお伺いし、日程調整をさせていただいております。  あらかじめ先生方の御予定をお伺いして、定例日的な形で会議を設定させていただくこ とも一つのオプションとしてあるのかなと考えております。先生方のお考えや御都合をお 伺いした上で、なるべく先生方の御負担にならないような形で進めさせていただければと 考えております。事務局からお伺いさせていただくと思いますが、御協力をお願いできれ ばと思います。 ○猿田座長  皆様方はお忙しい方々ばかりですから、前もって予定を聞かせていただいて、決められ た曜日にやる方がいいかもしれないという意見も出ているものですから、先生方の予定を 聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  もうちょっとのところで通りそうだけど、ペンディングで戻したものがありますね。そ ういった施設から上がってくれば、できるだけ早く上げてもらうといいですよね。 ○医療課企画官  その辺も含めまして、努力させていただきたいと思います。 ○猿田座長  本日予定していました議題は以上ですが、何か他に意見がございましたらお願いいたし ます。 ○金子構成員  蒸し返すようですけど、29番の「培養骨髄細胞移植による脚延長術」というのを私は楽 しみにしてたんです。門前払いになってびっくりしたのですけど、トロンビンは何に使っ てるのですか。トロンビンは何に使っていて、適応外ということになったんでしょうか。 この文面からはわからなかったものですから。多血小板血漿をつくるとか、そういうこと ですか。 ○医療課企画官  「トロンビン及びカルシウムと混合することによりゲル化をして」と書いてあります。 ○金子構成員  そういうことですと日本中で、とんでもない件数が実施されていますね。採血したした ものにトロンビンを加えるわけですよね。そういうものを薬事の適応拡大にうまくできる のでしょうか。通常のトロンビンの使い方とは全く違うような気がするのですが,適応拡 大とおっしゃられても、それにどうやってもっていけばいいのかがわからないんですが。 ○審議官  先進医療として収載するということと、薬事の整理ということを、もう一回、企画官か ら説明を。本質的な議論があったのかどうかということなのですが。 ○医療課企画官  きょうの会議の冒頭でも御説明いたしましたが、現在の考え方、ルールというのは、薬 事の適応をきちっと取っていることを前提とする。早くいろんな技術を入れたいという希 望があることはもちろんですが、安全性が医療の基本である。この会議で安全性について どこまで責任をとれるかという議論もありますので、議論を進める際には安全性について 慎重な意見もあり、一方で新しい技術を入れたいという希望もある中で、薬事法の承認を 取っているというところが出発点であるという形で整理をされたというふうに理解してお ります。 ○審議官  保険に収載するということは、一般国民に広めてしまうということになるので、必ず薬 事法上の承認を取るということが今まで前提できているわけです。先進医療の場合はちょ っと違っていて、技術そのものについては保険でお金を払うわけではないのですが、入院 費用とか初診料とか再診料とか基本的な部分は保険で認めてあげましょうということなの で、薬事法上の承認を取っていなくてもいいのかということを、そこまでこの会議で言い 切れるかどうかという話になってくると思うのです。  私どもも薬事法の承認をやっている審査課と話してみますが、最初の前提では今言った ようなことで、そこの判断はこの会議ではしないという前提があったと思うのです。私ど もの中で検討させていただいて、また御報告させていただくということでどうでしょうか。 ○猿田座長  そうしていただくと助かります。これだけ問題になってますので。この会議をスタート させる最初のころ議論をしていた時には薬事法の問題は出てたんですよね。こういうふう にひっかかってくるとは思わなかったものですから。 ○審議官  薬事法でひっかかるから、そういうものは最初から提出できないというのは、医療の進 歩という面から見ると、若干ひっかかってはいるのですが、その辺も含めまして、よろし くお願いします。 ○猿田座長  越智先生がおっしゃったように、先生方は苦労して書いてらっしゃるのに、戻されたら 気の毒だという、その問題も申し上げたんですけどね。 ○越智構成員  適応を拡大しろと言われましても、少数ですから、企業はそのメリットがありませんの で、適応拡大をしろという要求は事実上できないと思うんです。そのあたりを御検討いた だけたらと思います。 ○飯島構成員  どういうところが抵触するのか、それを解決するにはどういう方法があるのか。希有な 例であっても、例えば全国で10例あった場合、企業ベースではなくて、学会主導でもって いければいいのかとか、そういうところの御支援をいただければ非常にありがたいという ことです。 ○吉田座長代理  この先進医療専門家会議をつくられた小泉さんの国会答弁というのは、薬についても技 術についても海外ではやってるんだけど、日本では時間がかかって通らない。3カ月で結 論を出せと言った首相の趣旨というのはそこなんですよね。国民が受容できない技術があ るじゃないか。日本のいろんな法律があるんでできないから、混合診療としてやれという ので、麦谷さんに命令したと思うんですね。そういう発端があるんですよ。  スポンゼルの場合、安全性は問題ないわけですよね。子宮動脈に使う場合は不適だ、そ ういう理由でしょうね。胃瘻ポートを盲腸に使う時に、それも適応外だと出ましたよね。 適応外ということは治験をやれという意味でしょ。先進医療として提出できるものとして、 薬事法を通ってないとだめという基準がありますよね。あれに「原則」と入れて、原則薬 事法を通ったものにするとしていただいて、提出してもらって、ここで議論する。企画官 もいますので、この場できちんと結論を出して、通すなら通すという筋をつけてあげませ んと、なかなか出てこないので、その辺を検討していただきたいと思います。 ○猿田座長  ともかく相談させていただいて、この次までに結論を出したいと思います。 ○赤川構成員  29番の培養骨に興味をもって今日来ました。多血小板血漿をつくる時に、ここでは遠心 機でやってるんですね。遠心機も薬事にひっかかるのではないかと考えますので、調査を お願いします。遠心機は単なる検査のもので通っていて、生体に入れる時にはだめという ことになってるんじゃないかと思うので、その確認をお願いします。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、第10回先進医療専門家会議を終了いたします。本日はお忙しい中をありがと うございました。 − 了 − 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)