06/05/11 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 保健指導分科会 第2回議事録 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第2回保健指導分科会議事録 開催日:平成18年5月11日(木) 場 所:中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室 時 間:15:00〜17:00 照会先:健康局総務課保健指導室(内線2392) ○出席構成員(敬称略・五十音順)  有原一江、井伊久美子、内田健夫 漆ア育子、押野榮司、金川克子、小池啓三郎、  椎名正樹、田中一哉、池主憲夫、津下一代、松田一美、水口忠男、宮崎美砂子、  宮地元彦、諸江正義、吉池信男 ○厚生労働省出席者  梅田大臣官房参事官(健康担当)、中島大臣官房参事官(社会保険、健康担当)、  矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、野村健康局総務課保健指導室長、  大島保険局総務課保険システム高度化推進室長、清野健康局総務課生活習慣病対策室栄養専門官、  山本健康局総務課保健指導室長補佐 ○議題  1 標準的な保健指導プログラム(暫定版)について  2 「健診・保健指導」の研修ガイドライン(案)について  3 その他 山本室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから標準的な健診・保健指導の在り方に 関する検討会、第2回保健指導分科会を開会いたします。 本日は第2回目でございますが、4月に構成員の変更がございましたので御紹介いたしま す。お手元の構成員名簿をごらんください。社団法人日本医師会常任理事、内田健夫構成 員でございます。社団法人日本歯科医師会常任理事、池主憲夫構成員でございます。なお、 鈴木構成員からは御欠席との連絡をいただいております。また、吉池構成員からは少々お くれるとの御連絡をいただいております。 それでは、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。お手元に配布した資料 ですが、上から順に、座席表、議事次第、構成員名簿、その後に資料、参考資料がござい ます。資料1、標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)。こちらは、第1回保健指 導分科会後に訂正したものを健診分科会の資料に合わせたものとなっております。資料2、 標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)「第4編」に関する論点メモ。資料3、 「健診・保健指導」の研修ガイドライン(案)。資料4、研修体系の整理。参考資料、平 成16年国民健康・栄養調査結果の概要。以上でございます。なお資料1、標準的な健診・ 保健指導プログラム(暫定版)、資料3「健診・保健指導」の研修ガイドライン(案)に つきましては、先日郵送させていただきました資料と同じものとなっております。不足落 丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。 それでは、この後の進行は金川座長にお願いいたします。 金川座長 それではどうぞよろしくお願いいたします。本日の議題は既にお手元の、今御 説明があったとおりでございますが、標準的な健診・保健指導プログラムの暫定版につい てでございます。第1回の分科会におきまして、この資料1のプログラムの目次にござい ますが、第1編と第3編については検討いたしましたので、本日は主に、4ページの目次 にござ います体制・基盤整備を中心に検討をお願いしたいと思います。 それでは初めに、前回第1回の保健指導分科会での御意見を踏まえて訂正いたしましたプ ログラム暫定版につきまして、訂正部分等を事務局の方から御説明お願いしたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 事務局 それでは、第1回の保健指導分科会等でいただいた御意見を参考に、「第3編保 健指導」について事務局で加筆または修正した箇所が4カ所ございました。その4カ所に ついて御説明いたします。 資料1の35ページをごらんください。「第1章保健指導の基本的考え方」につきましては、 第1回分科会では6つの項目について記載しておりました。35ページ「(3)生活習慣改 善につなげる保健指導の特徴」、37ページ「(7)地域・職域におけるグループ、ボラン ティア等との協働」、この2項目を今回加筆しております。 初めに「(3)生活習慣改善につなげる保健指導の特徴」ですが、記載しました内容は、 最初に生活習慣病の特徴を踏まえた保健指導が必要であるということです。生活習慣病の 特徴を最初に(1)から(3)まで3つ上げ、具体的には生活習慣病発症のリスク等について明快 に説明すること、生活習慣は個人が築いてきたものであるので簡単には変えられないこと、 対象者がみずから改善すべき生活習慣を認識し行動目標を立てること、自己効力感を高め ることなど、フォローアップが保健指導では重要であると記載しております。 続きまして37ページ「(7)地域・職域におけるグループ、ボランティア等との協働」で すが、こちらは第1回でいただいた意見をまとめて記載しております。地域・職域ではセ ルフヘルプグループや健康づくり推進員等、組織化されたグループが多く存在するため、 それらのグループに所属する地域住民、職域では労働者と協働し対象者を支援することが 効果的であるということを記載しております。 3点目ですが、39ページ「第2章保健指導計画の作成」についてです。ここでは1カ所加 筆しております。40ページ「3)分析の方法と保健事業(保健指導)計画への活用」です。 第1回分科会では、この下線部分ですが、「健康課題を明らかにして」のみの記載でござ いましたが、今回、保健指導の効果が期待される対象者集団や効果が期待される方法等も 明らかにして健康課題の解決に向けて保健指導計画を策定することが重要だという御意見 をいただき、その点をつけ加えてございます。 最後に48ページ「第3章保健指導の対象者」です。50ページをごらんください。「(5) 保健指導を実施する際の問診」ですが、ここは第1回分科会では「情報提供に活用するた めの問診」という項目でございました。それで、情報提供に関する問診についてのみ記載 しておりました。動機づけ支援ですとか積極的支援の際に必要な詳細な問診については、 次の章「第4章保健指導の実施」に記載しておりました。しかし、前回の分科会で、問診 については非常にわかりにくいという意見が多数ございましたため、ここを「(1)情報提供 の内容を判断するための問診」、51ページに(2)として「動機づけ支援、積極的支援のため の詳細な問診」と分け、保健指導の問診には2つあるということがわかるように修正いた しました。修正した点については以上でございます。 金川座長 どうもありがとうございます。第3編について、暫定版に関していろいろ訂正 後の説明をしていただということでございますが、今説明されましたことに関して何か御 意見とか、あるいは御質問ございますでしょうか。生活習慣改善につなげる保健指導の特 徴でありますとか、職域・地域における協調の問題とか、保健指導の計画の段階での分析 のところ、それから問診のところ、そういったところに関しまして前回の意見も踏まえた 形でここに出されているということでございますが、何か御意見とかございますでしょうか。 椎名構成員 ちょっとよろしいでしょうか。今の訂正された部分あるいは加筆された部分 以外のことで、通して読んだ場合にちょっと引っかかった部分があるのですけれども、そ れは発言してよろしいでしょうか。 金川座長 はい。発言していただいて結構ですので。 椎名構成員 50ページの(3)留意事項の(1)ですが、いきなり書き出しで「単一健保組合」 という書き方をしているのですが、これは何ゆえ単一健保組合なのでしょうか。 金川座長 わかりますでしょうか。50ページの最初の、留意事項の単一健保組合というこ との意味合いですが。 野村室長 健保組合のヒアリングを行わせていただいた中で、単一健保組合の報告は、か なり濃厚な保健指導が行われているという状況。それから、総合健保の中ではなかなか厳 しい、対象者が非常に多い割には指導する人が少なくて非常に苦労されているという御報 告などもありましたので、非常に濃厚に保健指導をやっている場合についてはここに留意 事項として書かせていただきました。 椎名構成員 実態を見ますと、単一健保でも余りやられていないところもあるし、逆に総 合健保でもきっちりやられているところもあるわけです。そういうことで要望ですけれど も、この「単一」という文字を外していただけたらと思いますが。 金川座長 とおっしゃいますと、「単一」を外して「健保組合」という表現で、というこ とでしょうか。 椎名構成員 そのとおりです。 野村室長 実態に合わせた方がよろしいかと思います。 金川座長 ありがとうございます。ほかに何か御意見、はいどうぞ。 津下構成員 津下です。前回の意見が反映されていてとてもわかりやすくなったと思いま すが、最初の35ページのところですが、(3)のパラグラフの8行目ですね。「簡単に変 えられるものではないことを念頭に」と書いてありますが、そう対象者は思っているかも しれませんが、指導者側は「簡単に変えられることから変えましょう」というスタンスを とることが多いので、「対象者にとっては簡単に変えることが難しいという思い込みがあ ることを念頭に置いて」というようなところで表現していただいたらどうでしょうか。私 たちは、簡単に変えられることを見つけていくというのが仕事になるわけですので。 それから37ページですけれども、先ほどのボランティアとの協働のところで、さまざまな グループが存在するかどうかというのは、これも存在の密度というのはかなりばらばらで す。ですので、口頭での御説明の中では多く存在すると言われておりましたので、存在す るところもあるし、ないところもあるというような、これは断定的な表現は避けた方がよ いのかなと。 それから、存在していてもグループの存在を知らないということが結構あると思いますの で、こういうグループが存在することを健診・保健指導の機会に知らせていくということ が非常に重要ではないかと思いました。その点の修正をお願いできたらと思います。 金川座長 わかりました。表現をもうちょっとやわらかくというような意味合いかなと思 います。では御意見として承るということで。はい、どうぞ。 井伊構成員 今の津下先生の御意見ですけれども、35ページの「簡単に変えられるもので はない」と言い切ってしまうと、やっても仕方ない等間違ったメッセージになるのでない かというご意見だと思います。しかしながら、本当にこの生活習慣を改善するというのは、 普段全く意識をしていないことについて意識化していかないといけないという意味合いで は非常に難しい。その難しさにおいては、それを念頭に置かなくてはいけないということ ではないかと思います。とりわけ、関わる専門職が習慣を変えるという問題を過小評価し てはいけないと思います。ですので、「簡単に変えられるものではない」という表現にか なり工夫が要るかなと思います。 実際の取組は出来ることからやっていくのだが、変えること自体は難しいことであるとい う認識が必要であると言う表現ではいかがでしょうか。 津下構成員 賛成です。今メタボリックシンドロームがすごく話題になっています。そし て簡単には生活を変えられないと皆さんおっしゃいます。ということで、簡単に変えるこ とができないという思い込みが強い。皆さんはそう思っているけれども、保健指導では少 し話していけば「生活の中で変えられることを発見ができる」というのを目指したいとい うことで、やはりこういう思い込みがかなり強いということは強調していただいてもよろ しいのではないかと思いますけれども。 池主構成員 歯科医師会の池主ですけれども、今の論議に多少絡むと思いますが、メタボ リックシンドロームという形で問題がまとめられて、多分法的には今でいろいろあった法 を健康増進法の中にまとめるという流れが基本にあると思いますが、今までそういう活動 をしてきた者にとって、変わったことによって自分の役割がどうなるのかというのがまだ 余り鮮明に伝わってこないような気がするんですよね。 今の御意見の中にも関連すると思いますが、やはり基本的には、面倒だという認識を一般 の人に持たせるというのはまずいのではないかと。本当に面倒なものを変えていくという 概念が根底にあると、よほど意識の高い人でないと多分なかなか取り組まないということ があるだろうと思うので、我々が1つ自分たちの関連から考えるのは、例えばかむことと か食という問題に、食が前提だと思いますが、そういった行動変更の中でこういう問題を 考えていくというのが最もベーシックにあるべき考え方ではないかと思います。 自分たちの関連でしかなかなか考えられないのですけれども、いわゆる口腔の問題がこれ からどういうふうに絡むのかというのが、この基本の中から余りイメージとして受け取れ ないというのが、文化の問題としてそぐわないのかもしれませんけれども、一番心配と言 えば心配です。そこを何とか、例えば情報提供の問診の問題の中に一言入れるだけでも大 分変わってくるのではないかという感じはするのですけれどもね。その辺はまた各論の方 で述べさせていただきますけれども、基本線はそんな感じがします。 金川座長 思っていることは同じような思いがあっても、表現の仕方が非常に難しいとい うことで、生活習慣はなかなか変えることは難しいことではあるけれども、何かこういう ふうにばさっと書いてしまうとちょっと抵抗があるということで、少し表現の工夫という ことで、例えば個別的な形でいけば困難性を伴うとか、例えばの話ですけれども、表現を 少しこの意を酌んだ中で、でも余り断定的ではない表現ということで受けるということで よろしいでしょうか。はい、どうぞ。 椎名構成員 ばらばらに申し上げて恐縮です。60ページ、事例の内訳の表がございますけ れども、その中で動機づけ支援の下から2番目、富士電機というところで「職域(健保)」 とありますけれども、また積極的支援の下から3番目のあいち健康の森「職域(健保)」 とありますけれども、資料に当たってみますとこれは事業主で健保ではないのではないか と思いましたので、その点御訂正いただければと思います。ささいなことで恐縮です。 金川座長 このことに関しては何か。 椎名構成員 事務レベルで処理していただければ結構です。 野村室長 それでは、もう一度ヒアリングをしていただいた方に確認させていただきます。 一応見てもらってはいたところでしたけれども、もう一度確認して訂正したいと思います。 金川座長 ありがとうございます。ほかに、はいどうぞ。 津下構成員 修正していただいた部分ではないのですけれども、39から「保健指導計画の 作成」のところで、分析と目標設定云々ということですが、41ページの(2)の表題「保 健事業の目標設定」というタイトルを修正していただいてはいかがか、というのが要旨です。 何かと言いますと、分析をした結果で、大きな集団全体の分析項目からは大目標というか 大きな目標が出ると思うのですけれども、41ページの保健事業というのは、大目標をブレー クダウンした具体的な目標という形になるので、保健事業の目標設定のところ、読めばわ かる話ですけれども、具体的な保健事業の目標設定とか、小目標だという、具体的にブレー クダウンしたものだということを示していただいた方が、分析の項目と目標がリンクする と思いますので、題を少し工夫していただけるといいかと思います。 金川座長 ありがとうございます。今の御質問ということでは、(2)の「保健事業(保 健指導)の目標設定」というのはあくまで全体のところから出てきたもの、そこから次の 保健指導に移っていく。そういうことで、具体的な形での保健指導の目標だという表現が あったらいいという感じですか。 津下構成員 44ページの表1の集団全体の分析項目から、生活習慣病予備群25%減少とい う大きな目標はあるのですが、具体的にそこの集団での大目標というのは集団全体の分析 項目から出てくるだろう。その目標設定という意味が1つと、もう一つは、ここに記載し ているのは具体的な事業目標の設定、計画を書かれていますので、集団全体の分析のとこ ろが対応する目標と、この事業に関する大目標をブレークダウンしたような目標だと。こ こに書かれているのは個別な具体的な事業の目標設定になるので、大きな大目標の設定と いう項目が実は抜けているのかなと。集団全体の大きな目標設定をし、それを達成するた めに具体的な個々の事業の目標設定をするというのに分析項目がそれぞれ対応して役に立 つということだろうと思いますので、そこの整理を、もう少し見えるような書き方をして いただくといかがかと思いますが。 金川座長 わかりました。ほか何か。 押野構成員 35ページの目的のところですが、アンダーラインのないところで済みません。 「そのことにより、対象者が自分の健康に関するセルフケア」と書いてありますが、「そ のことにより、対象者がみずから実践し自己監視を通して自分の健康に関するセルフケア ができるようになることを目的としている」というふうに、対象者がみずから実践するん だよということを入れるといいかなと思いました。1点です。 2点目が、35ページのアンダーラインで下から7行目。上から行きますと「保健指導従事 者は、それを軸にしてどのような生活習慣を身につけることが必要であるかを対象者とと もに課題や優先順位を考え、実行可能な行動目標を対象者がみずから立てるように支援す ることが重要である」というふうにして、課題や優先順位をともに考える。すべて考える のでしょうけれども、具体的にそこを少し書いたらわかりやすいかと思いました。 金川座長 ありがとうございました。 椎名構成員 これは全体に係る話になろうかと思いますが、100ページ「第6章地域・職域 における保健指導」の中で、真ん中あたりに例えば地域ですと、国保部門と衛生部門が十 分な連携をとって、と。それはそのとおりだと思います。それ以下の、職域について連携 とか事業主の理解を得る必要がある、と。それはそのとおりですが、これは保健指導に限 らず今回の健診あるいはデータの管理について、私ども健保組合ですと、常に事業主との 関係、事業主との協力、理解、そういったものが極めて大切なんですね。 御承知のように、事業主に対しては労働安全衛生法に基づく健康診断等が義務づけられて いるわけです。一方、私ども健保組合は、健診あるいは保健指導は現時点では努力義務で す。健診の方で資料が出ていますけれども、健診の項目などもかなり重複している。その 場合に大切なのはやはり事業主の理解と協力ですね。今回の制度改革における健診あるい は保健指導等の義務化、これをぜひ厚生労働省として周知徹底して、事業主の理解をいた だきたいと思うんです。職域、特に健保組合においては、この事業が成功するかどうかの 鍵はそこに大きなポイントがあると思います。 ですから野村さん、ここの部分で書いていただくのではなくて、全体を統括する部分にぜ ひその辺の趣旨を取り入れていただきたいんです。例えば、これは実際に平成20年度に実 施する以前に準備事業をやるにしても、労働基準局サイドに事業主の今回の制度改正にか かわる事柄、この義務化について周知徹底と、健保サイドへの協力ですね。これをぜひ国 レベルでお願いしたいと思います。 それとこれはちょっと付随的な話ですが、下から3行目に、職域では対象者が職場に存在 する、だからやりやすい、いろんなことができる、と書いてあるのですが、確かにそうい う傾向はあるけれども、私ども健保組合にとって最大の問題は、被扶養者をどうやって把 握して、被扶養者の健診とか保健指導、データ管理をきちんとやっていくか。それが最大 の関心事というか、最も難しいところなんです。被保険者の方は事業主との連携協力であ る程度目鼻がつきそうですけれども、被扶養者の健診、保健指導の視点をぜひ入れていた だきたいと思います。これは要望です。 金川座長 ありがとうございます。はい。 有原構成員 狭山市の健診状況ですが、40歳から65歳以下の受診者では、国保が半数 でそれ以外は社保等です。ということは、被扶養者か、もしくは本人と考えられます。国 保の方の場合ですと保健センターの健診データを国保で活用することも何とかできるかも しれませんけれども、他の場合ですと恐らく非常に難しいのではないかと考えております。 ただ、対市民ということになりますと、国保だから、社保だからという区別はできないと いう状況にあります。データのやりとりがうまくいかないと、広く市民にサービスを提供 するというところが欠けてくるかなという懸念を持っているところです。 金川座長 ありがとうございます。それでは今の御両人のお話も踏まえながらということ ですが、かなり次の第4編の体制・基盤整備、あるいはこれを進めていくに当たっての体 制づくりというところにも非常に関連する特に大事な部分になってまいりますので、次の 第4編の体制・基盤整備に進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。多分今のも少し関連してくるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。それでは事務局の方から第4編の説明をよろしくお願いいたします。 事務局 それでは「第4編体制・基盤整備」について御説明いたします。第4編につきま しては、健診分科会で出された資料でございます。第4編は資料1、111ページからになり ます。第4編は3章に分かれております。「第1章人材育成体制の整備」「第2章最新の 知見を反映した健診・保健指導内容の見直しのための体制整備」「第3章健診・保健指導 に関連する標準的なデータ管理と評価」でございます。第4編の書き方につきましては第 3編とは異なっており、点線枠で囲ってある部分は御意見をいただきたいという意図で記 載しております。 「第1章人材育成体制の整備」についてです。ここでは、国の役割、都道府県の役割、市 町村の役割、医療保険者の役割、医療関係団体の役割という5項目に書いてございます。 具体的には、国の役割で言いますと、国が保健医療科学院に健診を依頼する際の留意点で すとか、「(2)都道府県の役割」では、(1)都道府県は関係団体と協力して、事業企画や 現場で健診・保健指導を実施する専門家の知識と技術を担保・向上させるために、定期的 に人材育成の研修を実施すべきではないかといった、保健事業従事者の知識とか技術を向 上させるための研修方法や、現実的な人材育成のあり方について。 あるいは「(5)医療関係団体の役割」の(2)に記載されておりますように、医療機関が保 健師・管理栄養士を確保できない場合に、保健指導が提供できる環境をつくることが必要 ではないかなど、人材育成体制の整備についての内容が記載されてございます。 続いて115ページから第2章が書かれております。第2章につきましては4項目に分かれ ておりまして、学会・研究班の役割、国立保健医療科学院、独立行政法人国立健康・栄養 研究所の役割、地域・職域連携推進協議会、保険者協議会の役割、その他という形になっ ております。 具体的には「学会・研究班の役割」で(1)では、健診・保健指導のデータを追跡し、疫学的 分析を行う研究班の設置や、(3)すべての都道府県で研修会ができるような講師リストの作 成。「(2)国立保健医療科学院、独立行政法人国立健康・栄養研究所の役割」の(1)に上 げております学習教材等の開発などのほかに、どんな役割が期待されているかと記載して ありますように、それぞれ期待される役割は何であるかということや、それらの役割が適 切かということ。「(4)その他」の(2)、健診・保健指導を行う民間事業者の質の管理の ために第3者評価機関が必要なのではないか。(3)、これは前回こちらの分科会でもいただ いた意見でございますが、市町村国保部門と衛生部門の連携を円滑に推進していくために はどのような方策が必要か。最後116ページその他の(4)でございますが、保健師・栄養士 の養成カリキュラムの見直しを行うことが必要なのではないか、等の記載がされてござい ます。 最後「第3章健診・保健指導に関連する標準的なデータ評価と管理」についてでございま すが、(1)から(3)につきましてはレセプトデータとデータ分析等について書かれて おりまして、健康課題の抽出や評価のために健診データ、レセプトデータをどのように活 用すべきかというようなことが書かれてございます。 118ページの「(4)健診・保健指導の総合的評価に関するデータ」の(1)につきましては、 新たな健診・保健指導の最終的な政策目標は、糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の減 少であるが、毎年の事業評価を行うためには有病者・予備群への移行者数の減少のほか、 補足的な評価項目が必要ではないか。続いて(2)に、その場合、カテゴリーとしては有病者 あるいは予備群のままであったとしても、リスク数の減少などについて評価することが考 えられるのではないか等、どのようなデータを収集すべきかということが記載されており ます。 そのほか(4)(4)では、都道府県間比較、医療保険者間比較ができるよう、データの標準 化が必要ではないかということで、データの標準化をどのようにやっていくかということ が記載されてございます。以上でございます。 金川座長 ありがとうございます。第4編の体制・基盤整備の部分ということでございま すが、大きくは第1章、第2章、第3章に分かれておりますので、それぞれの章に関して もとても大事な内容が詰まっておりますので、1章ずつ検討させていただくということで、 まず第1章の人材育成体制の整備から御意見を伺いたいと思っております。(1)からずっ とございますが、そこまで区切ると小さくなり過ぎますので、第1章を全般的にというこ とで、きょうはそれぞれのお立場、あるいはそれぞれの団体からの御出席も大変多いよう でございますので、ぜひこの整備に関して御意見を賜ればと思います。どうぞよろしくお 願いいたします。はい、どうぞ。 田中構成員 最初にちょっと確認をしておきたいのですが、私が不勉強なのかもしれませ んけれども、体制・基盤の整備というときに、いわゆる人材確保対策とか、財源対策とい うのは、この検討会の検討対象なのかどうかということが1点。それと第2点は、国の役 割というときに、国とは健康局のことなのか、厚生労働省全体、厚生労働省だけでなく他 省もあるかもしれませんけれども、どこまで広がるのか。その2点についてお答えをお願 いしたいと思いますけれども。 金川座長 多分検討の前提というような意味合いもあるかと思いますが、繰り返しはなし ですけれども、質問よろしいでしょうか。人材確保あるいは財源確保という面に関しては どうなのかということと、国といったときにどこを指すのか。具体的に厚生労働省とか、 あるいは局のところまでとか、その辺について少し御意見なり、何かございましたらお願 いします。 野村室長 この第4編自体が、表紙にありますように標準的な健診・保健指導プログラム の第4編という位置づけですので、健診・保健指導のプログラムを実施するための基盤整 備というところです。広げていけばもちろん財源のことも入るわけですけれども、ここで は技術的にといいますか、サービスとして事業として実施していくためのプログラム、こ の基盤部分でございますので、財源のことを基盤整備に含めて書くということではないか と認識しています。 それから国というところにつきましては、当然健康局だけということではございませんで、 厚生労働省というようなスタンスで書いております。 金川座長 今、財政確保という話でございましたが、人材確保ということに関してはどう かということですが。 野村室長 その点については、当然このサービスを提供する基盤整備でございますので、 ある程度の内容はこの中に含まれていくものだと思っております。 田中構成員 わかりました。それでは人材確保も入れるということですね。人材育成とい うのは、確保したり現在の人材を育成するというふうに読み取るわけですから、新たなる 人材の確保もここで検討するというふうに理解していいわけですね。 野村室長 体制整備としては、ある程度含まれると思っております。 水口構成員 これから健診・保健指導は、保険者の役割といいますか義務になるというこ とですが、保険者として一番関心があるというか心配な点は今の御意見のところでして、 まず人材が確保できるのだろうかということですね。十分な人材を既に持っている保険者 というのはそうはいないのではないかというのが私の印象です。この中にも今後アウトソ ーシングが進んでいくだろうという話があるのですけれども、ということは、個々の保険 者では十分でないという御認識があるのだろうと思います。ただ、そのアウトソーシング といったところで、地方でもそういうことが今後可能になるのだろうかということを非常 に心配しております。 それからもう一つは、それをやるとした場合の財源の問題ですよね。財源をどうするのだ ろうか。どこの保険者も保険財政は非常に厳しいのが一般的でして、こういう新たな大き な事業をやるとなると当然財源が必要なわけです。これを保険料に求めるとすると、被保 険者の理解を当然得ていかないとならないわけでして、将来的にこれが保険財政に寄与す るということは抽象的にはわかるわけですけれども、当面体制を整備するための財源をど こに求めたらいいのだろうか。それは、この検討会なり、これを所管しているところとは 関係ないという話で済ませていいのだろうかと私は思っております。 金川座長 ありがとうございます。御質問される意味とかおっしゃる意味はよくわかるの ですが、最初の野村室長の話の中からは、あくまでここは標準的な健診・保健指導プログ ラムを実施するための体制づくりという形で、比較的技術的な部分が出てくるということ でございます。そのためには多分先ほどの御質問のように人材あるいは財政確保の問題と いうのは決して避けて通ることはできないということですが、人材育成、確保ということ に関しましては、どういう形でということはこれから出てくる、多分この中に入るという ことですが、財政に関しましては私どもの範囲としてはちょっと超えておりますが、厚生 労働省あるいは国の問題ということになれば、ちょっと御意見なり、お願いできれば。 大島室長 今度の保険者の健診それから保健指導の財源としては、基本的には保険料を考 えているんです。それは、今まで保健事業という形で保険者の1つの事業として位置づけ があったわけですけれども、そこは今でも保険料ということになっていまして、保健事業 をどこまでやるかというのは、かなり保険者間でばらつきがあったかと思います。そこに ついて最低部分は標準化して、一定の基準のもとでの健診と保健指導をやっていただくと いうことになりますので、原則保険料ということになります。 ただしその場合は、効果がないといけませんし、当然被保険者あるいは被扶養者の理解を 得られなければなりませんので、今回は事業についての評価や見直しがポイントになって こようかと思います。やりっぱなしではなくて、事業評価を行ってどれだけ効果が出てい るのか。出ていなければ見直しを行うということになろうかと思います。 ただ、これまでは市町村の老人保健事業という形で公費を投入した健診も行われておりま すので、一定部分は公費による助成なり負担というのも考える予定にしておりますが、そ の点につきましては、ここの場というよりは、それぞれの所管省庁の事項ということにな ろうかと思います。費用の問題も非常に重要だと思いますし、どういうふうに円滑に確保 し、それをもとに事業計画をつくっていくのかということとも関連すると思いますけれど も、一応この場ではそこは切り離しまして、技術的あるいは実施面での問題を考えていく。 その背景として費用的なものもあるということであれば、議論は当然あってもいいかと思 いますが、中心的なここで求めていく結論としましては、実際にこれをやっていく上での まさに技術的なことについての結論を出していくという方がいいのではないかと思ってお ります。 金川座長 ということで、若干すれ違いも出ると思いますが。 水口構成員 この検討会でないとすれば、どういう場を今後用意されているのかなと。つ まり保険者としてはこれからやっていかないといけないわけですから。今、人がいないか らやらないというわけにもいきませんし、財源がないからやらないというわけにもいかな いわけです。ですから、そういうことを検討する場は今後何かの形で設けられるのだろう かということと、今の大島さんのお話で、保険料を想定しているということであれば、被 保険者を説得しないといけないわけでしょう。そうすると、少なくともこの検討委員会で も財源はこういうことで考えているという方向性ぐらいは書いておかないと、保険者とし てはとても被保険者の説得はできないのではないかと私は思います。 金川座長 ここの議論になると非常に難しい問題があるのですけれども、何か一言。 大島室長 財源的は制度として決まっている仕組みをもとに、現実にどうするかというこ とになりますと、その相談の場というのはやはり監督官庁というのが基本になろうかと思 います。 田中構成員 先生、もう一言だけ。今の御発言と関連するのだけれども、要するに国民健 康保険であれ健保であれ、共済はまた別かもしれませんし、政管健保は別の局かもしれま せんけれども、それを所管している、いわゆる医療保険者を所管している局は要するにこ のことについて何を検討するのですか。 例えば国保の保険者の健診・保健指導についての義務化について、当然保険局は責任を持 たなければいけないと思うけれども、要するにこの健診・保健指導のどの部分を保険局は 責任を持ってこれから議論していこうとしているのか。そこをちょっと聞かせてもらえま せんか。 大島室長 保健指導なり健診を行う上でまず基本になりますのは、どういう項目で、どう いうやり方で、それから頻度、データ管理の仕方をどうするか。そういうまさに技術的な 問題は、ここで整理し議論をするということで考えています。一方、保険者の監督官庁と してどういう立場かというと、これは20年度以降にどうやって各保険者が円滑にこの事業 を実施できるかということになりますので、こういう技術的な問題を整理した上で、それ を実際に展開するまでの支援、具体的にはそれぞれの保険者がそれぞれの被保険者の状況 を調べた上で事業計画をつくっていただき、それに基づいて健診事業それから保健事業を 実施していくことになりますので、その事業計画を円滑につくり、実際に実践に移せるよ うにするためのもろもろの支援、これが保険者の監督者たる行政官庁の役割ではないかと 思っております。 田中構成員 そうしますと、先ほど人材確保対策というのは野村さんがここでの検討課題 とおっしゃいましたけれども、ここでやっても構いませんけれども、それはやはり所管局 の方の対策というか対応になるのではないかという気がするのですけれどもね。そこは野 村さん、どうなんですか。あなたはここで検討するとおっしゃったけれども、これはでき るんですか。 大島室長 人材確保は重なる部分があると思います。共通の考え方に基づいた研修のガイ ドラインをつくるというのは、多分ここの仕事になると思います。その上で、適切な保健 指導を提供していただける人材や事業所を育成するのは共通の基盤ということになると思 いますので、そこまではここの検討会の範囲だと思います。あとは、個別の保険者が自前 でやっていくのか、市町村とタイアップしてやっていくのか、あるいはどこかにアウトソ ースしていくのかというのは、それぞれの保険者の話になりますので、そこは保険者の監 督官庁ということになると思いますが、厳密にどこまでという線は引けない部分もあるか と思いまして、その範囲ではこの中で議論していくこともあり得るのかなと思っておりま す。 小池構成員 関連して、お2人の先生方の御発言と同じですが、この国の役割のところに ついてうたいつつも人材確保という面が投影されているとすれば、どこかの場面で人材確 保と財源の担保というのでしょうか、そういったものについて国の役割としてきちんと書 くべきではないかと思います。監督官庁に任せるような形だけでは、実効あらしめるよう な形にはならないだろうと思うんですね。 したがいまして私は、先般もちょっと御発言したのですが、ここは技術的な記述だとして も、例えば学校教育の場面でこの事柄についてどう扱うのかということに触れていないん ですよね。ですから、まさに国民的課題としてこの問題をとらえたときには、国の役割と してそういった広い意味で学校教育の場面、あるいは家庭教育の場面について言及し、そ れについての財源確保も含めて国が主体的に担うんだということによって、我々保険者に とっても責任の度合いがまたより高まってくるのではないか。 今の状況だと、保険者にお任せだということですから、例えば私学の共済について申し上 げますと、私学共済と各学校法人との関係というのは職域でして、つまり私どもが義務的 にこうやりなさいということはできないんですね。さっきおっしゃったように、ある種の 努力義務なんですよね。そういった意味で、非常にそれぞれの保険者の地合いも違うとい うことからすれば、その辺を何か囲い込むような表現もぜひお願いしたいと思っておりま す。 金川座長 ありがとうございました。ここで国の役割としては、国立保健医療科学院にお いて指導者等の育成云々という形では1つ入っているけれども、それ以外で人材確保ある いは財源確保、あるいは学校教育、家庭教育、文言は別として、そういうことにおいて国 がきちんと責任を持っていくのだという内容のことがここに網羅できないかということで すが。 池主構成員 ちょっとよろしいですか。僕はここでさっきのことを言うべきだったのかと 思いますが、特に歯科保健なんていうのは、母子保健、学校歯科保健、それから成人歯科 保健というふうに段階を追って今までやってきたものが、いきなりこのメタボリックシン ドロームという概念の中にぽんと全体が入ってしまうようなイメージがあるわけですよね。 そうすると、今までのそういったもの対するこれからの取り組み。我々が今までやってき たことをどういうふうにシフトしていったらいいのかということが少し僕らに伝わってこ ない。どうやっていいかわからないというのが現場の考え方だと思います。 例えば8020運動というのは随分やっていますけれども、それが今度はどんな位置づけでこ のメタボリックシンドロームの中に入っていけるのかということですね。ですから、この 辺はこの場で細かくやるテーマではないのかもしれませんけれども、その関係だけは明確 にしておいていただかないと僕らが動けなくなってしまう。そういう危惧は非常にありま す。 押野構成員 学校教育の部分については、僕は非常に大事だなというふうに思うんですね。 この保健指導の一番最初の部分に、生活習慣というのは非常に変わりにくいんだというふ うに書いてあるわけです。ということは、できるだけ若いときからの教育がメタボリック シンドローム対策に有効だということではないかと思います。そうすると、学校教育の中 でリンクしていくということは、例えば養護教諭の先生もいらっしゃるし、これから栄養 教諭もいるわけですから、そういう中でリンクしていくような形で言及していただくとよ いのではないか。 もう一つ、入学試験問題に例えば出すということになれば、皆さん、より一層勉強される のではないかというふうなことも思ったりもします。 梅田参事官 今回議論していただきますのは、健康問題全体の中でメタボリックシンドロ ームということに非常に特化した中で、この健診・保健指導のあり方についてです。我々 の課題としましては、今まで我々がやっております健康問題全体の中に健診・保健指導を どう位置づけるかというのが非常に重要な問題でありますし、またそれは別途検討しなけ ればならないと思います。学校保健、母子保健の連携等につきましても、当然これはどう やるのか。先ほども言っていただきましたように被扶養者の問題になりますと、子供たち のことも入ってまいります。それも考えないと、そこら辺から教育していかないと、高齢 者の問題というのは、何十年先にしか結果は出ませんけれども、出ると思います。 両員の池主先生、押野先生の御指摘の点は踏まえまして、またこれとは別のところで、き ょう御参加の皆様方に御相談しながら、健康局全体で御相談しなければならない非常に重 要な問題だと考えております。 松田構成員 今回はこの標準的な健診・保健指導のプログラムということなので、これに 限局した話し合いをするのかなと思って参画しております。これが完成した暁には、各保 険者それから各実施主体になるところが、どう人材を確保していくのか、予算を確保して いくのかというお話になっていくのかなという思いでいるのですけれども、それでよろし いでしょうか。 金川座長 はい。余りいい表現ではないですけれども、鶏が先か卵が先かという、両面が 非常に大事であるということ。それはもう垣根のない事実ということですが、今回はその 中で、ここでは標準的な健診と保健指導に関してのプログラムをまず作成していく、その ためにかなり技術的な内容が持ち込まれているということで、そこを議論していきたいと いうことでございます。もう一つの柱ということでは非常に大事ということで、ここの検 討委員会でそういう意見が出てきているということに関しては、記録にとめるのか、ある いは承知してとらえていただけるのかちょっとわかりませんけれども、とりあえずここで はそういう意見があったということに関しては事実として受け取っていただければと思っ ておりますので、よろしくお願いいたします。 松田構成員 ありがとうございます。そうしましたら、この113ページに戻ってちょっと 意見を言わせていただきたいのですけれども、この人材育成体制の整備というところです が、突然役割というお話になっているのですが、既存のパワーが本当に効率的に稼働して いるのかを見直すことが前段にあるべきだと思います。それで初めて、どのくらい人材を 確保していこうか、財源がどのくらい必要なのかということになっていくのかと思います ので、現存のパワーの稼働状況の見直しを入れていただきたいということ。 それから113ページの一番下の下線部分ですけれども、これは本当にすごく大事なことだ と思うのですが、専門職が非常に不足しております。社会保険の場合はやはり保健師720名 しか今おりませんので、とてもカバーできません。そこで今考えているのがリーダーを育 成していくことで、社会保険委員さん方たちを集めたリーダー育成ということも念頭に置 きながら、片や走ろうとしているところです。 金川座長 ありがとうございます。特に前段の既存のパワーがどうなのかという再点検と いう部分も必要ではないかということで、ありがとうございます。 宮崎構成員 千葉大の宮崎と申します。大変しつこいようで申しわけございませんが、人 材確保の点で。私は今大学で保健師の養成にかかわってございます。ですが、昨今保健師 の養成というものは、どれくらいの人材を養成したらいいかということが、大学でもかな り議論の対象になってございます。ですので、この分科会に参加している限りにおいては、 これから保健師というものがかなり必要になる、マンパワーとしても期待されているとい う機運を感じるのですが、一方で、なかなか保健師の雇用が促進されないというところも 現実的にございます。 ですから私が、しつこいようですがここでお願いしたいことは、やはり国としてどのよう な将来展望を持って人材を育成していくのか、人数的に養成していくのかというところを、 健康局の直接的な所管ではないかもしれませんが、関連部署と連携を持ちながらそちらに 関しても働きかけるなどして、ぜひ人材確保という点で明確にこれから人材を養成してい くんだ、そしてそれを国は支援していくんだということを出していただけると、養成する 立場としても積極的に取り組めるかというふうに思っております。よろしくお願いいたし ます。 金川座長 ありがとうございます。 諸江構成員 共済組合連盟の諸江です。今の話と若干関連するのですが、この保健師とか 管理栄養士について、保険者に必置義務があると考えるかどうか。これは非常に重要なこ となんです。今回のこの保健指導の中心をなすのは、保健師とか管理栄養士でしょう。 医療保険者グループの一員として考えるときに、財政の問題もいろいろありますけれども それは別にしまして、現実問題としてこういう保健指導をだれがやるのか。恐らく、一部 は別として大半はなかなかマンパワーがないわけです。そうしますと、結局委託というこ とが当然考えられるわけですね。委託の基準とかはこれから議論されるのでしょうけれど も、その委託の中に、全部委託、一部委託ということが書いてありますけれども、結局は、 現実的には委託に頼らざるを得ないのかなと思うわけです。そのときに例えば全部委託の 場合には、保健師とか管理栄養士とかは置かなくてもいいのだろうか。一部委託の場合は 絶対に置かなければいけないのかなと。それによって、保険者としてこういう方を置く、 置かないの判断をしなければいけないわけです。 ここでは、医療保険者に所属する保健師、管理栄養士と記載されているわけですけれども、 これは前にも1回聞いたのですけれども、ほとんどの保険者にこういう方が現にいるのか どうか。大半はいないとすると、各保険者は保健師等を置かなければいけないのか。置か なくてはいけないとすると、この技術の向上以前に、置くべきかどうかという問題がある わけです。そうすると宮崎先生のお話のように、じゃあ保健師はそんなに大勢いるのかと か、そういう話にもなるわけでしょう。 だからここはやはり何か言及しておいていただいた方がいいのではないかと、私はそんな 気がしてしょうがないんです。置くという前提で考えるのか、いや、置かなくても委託と いう方法でできるという前提で物を考えるのか。それによって保険者の対応は変わってく るわけです。しかもこれは一番重要な人物なんです。何かその辺の言及が要るのではない かという感じがします。 金川座長 わかります。質問の意味、あるいは思いというのはよくわかりますが。 漆崎構成員 看護協会ですが、毎年保健師の免許を持った者は約8,000人卒業しているわ けですが、実際に保健師として就業できている人は1,000人ぐらいしかいないという実態 がありまして、あとの7,000人は看護師等で、保健師になれない人がかなりいるわけです。 そういう意味でも、卒業して国家試験を取った段階で何とか雇っていただける門戸を開い ていただければと思います。 あと、退職保健師等がおりますのでその辺の活用もお願いして、なるべく就職していない 保健師を何とか探してつくように開拓をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 諸江構成員 それはいいけれども、もっと根っこの問題に戻って、保険者は保健師を設置 しないとこの仕事はできないのか。あるいは、置かなくてもできるように、知恵を出して、 そういう仕組みを築くことができるのか、そういうことなのではないかと思いますけれども。 金川座長 とても核心をついたことですが、後で少しコメントをいただいた方がいいのか なと思います。 小池構成員 諸江先生の今の御指摘は、私も次のフレーズで申し上げようかと思ったので すが、まさにここのところがポイントなんですね。保険者としての役割としたときに、所 属する保健師とか管理栄養士というのは、私どもの場合もおりません。したがって、財源 の担保も含めて、先ほどの話にまた戻ってしまうのですけれども、きちんと明記すべきで はないのか。あわせてこの役割を考えたときに、都道府県、市町村及び医療保険者という 縦割りの体制整備を、横断的な取り組みとして考えていただければ、研修のあり方を含め 人的体制の整備ができるのではないかと思います。 私どもの場合、各都道府県に職域として学校法人が存在していることを考えれば、地域と 同化しており、3者の関係が密接不可分の関係で進めていくんだという考え方を取り入れ るべきではないかと思っています。 津下構成員 今の保健指導の体制、またはその企画だとかアウトソーシングするところを 評価するためにもやはり専門の目は必要だろうと思います。ただ、それを全部雇用という 形にすれば財政的な負担が大きいということですけれども、事業主ということであれば、 産業保健師、産業看護師または産業医が健康管理に当たっているという現実もあるわけで すから、保険者が事業主、産業保健師等との連携をまず密にとっていただくということが、 具体的にはまず考えられる第一歩かなと。そして、その作業を進めながら、やはり保険者 として、全体をカバーするのは難しいのですけれども、保険者としてのレベルを上げてい くためにも中に専門職をおいた方がいいという御判断になるような人材をつくっていくと いうことが大事なのではないかと思います。 ここに、第3者的な意見ですけれども、すべしというのも結構きついような気もしており ます。ですから、既存の市町村で言えば保健部門に、それから事業主であれば事業主が健 康管理担当者として雇っている、そういう部分の活用というのもぜひ視野に入れるべきだ ろうと思いますが。 諸江構成員 私は必置しろと言っているんじゃないですよ。現実にそういう問題が起きま すねと。だから今おっしゃったように、それは事業主に協力してもらって、企業であれば 産業医を抱えているわけですから、それは活用してもらうとか道を開く。それはそれでい いと思います。ただ、やっぱりこういうやって法律ができて、事業主の方が、これは保険 者の義務じゃないか、自分らで雇え、と言われても困るのでね。そこはお互いの連係プレー でしょうけれども、何らかの抜け道ではなくて協力関係を開きながら現実にできるように、 そういうバックアップ態勢なり何なりをしていただく必要があるのではないかという意味 で言っているわけです。 金川座長 ありがとうございます。御質問のストレートな意味合いの中では、医療保険者 がミニマムのこの事業をするときには保健師なり栄養士なりを、例えばですが置かなくて はいいのではないか。必置ということに関してどの程度の必置義務なりが必要なのか。あ るいは本当にそうなのか。あるいは、いらっしゃらなくても、すべてアウトソーシングと いう形で可能なのか。そこらあたりは、保険者もいろんな業界、それからいろんなレベル がございますので、非常にしっかりと自前にそういった方々を持ってやれる場合と、ほと んどゼロに近いという場合には多分委託になると思いますが、それでも可能なのかどうか という意味合いもあるのかと思ったのですが、ちょっとそれは言い過ぎでしょうか。 大島室長 制度的な話で申し上げますと、保険者はこの健診と保健指導の事業を行う義務 がありますけれども、人員的にどうこうという規制はありません。ですので、どういう形 の保健指導事業、あるいは健診事業かという基準はここでつくりますが、その基準を実施 するに当たって、自前でやるか委託でやるかというのは、法律的には委託できるという形 です。保険者がみずから人材を抱え込んでやるという必要はございません。むしろ適時適 切な方法というか、一番効率的な方法を組み合わせて保険者が提供するということが期待 されているのだと思います。 ただ、保険者がそういう事業を行うに当たっては、それぞれ企画立案して計画をつくって 事業を遂行してもらうことになりますので、ある程度こういう知識を持つ方がそれぞれの 保険者の中にあった方がよりスムーズに企画立案できると思います。しかし、中の人材を レベルアップする時間がないということであれば、その場合は市町村行政とか都道府県行 政の方とタイアップして、そのアドバイスを得て事業計画をつくっていくという方法もあ ろうかと思います。一方、実際に現場で健診とか保健事業を行う部分は、全部アウトソー スでもできます。そういう意味で、保険者に何か職員を抱え込まないといけないという制 約はございませんので、それを前提に議論していただいてよろしいかと思います。 諸江構成員 わかりました。 金川座長 よろしいでしょうか。多分最初の疑問が解けるというか、少し関連してきてい るのかなと思いますが。 水口構成員 確認ですけれども、これからこの分科会なり親検討会の議論に参加させてい ただくに際して、臨むための私の気持ちの整理ですけれども、おととしになりますか、健 診の指針を示されましたね。あのときに、あの指針を受けて各保険者を所管する省庁から 個別にまた指針を示されましたね。ああいうことをイメージしておけばいいのでしょうか。 したがってここは標準的なプログラムになっていますから、個別的なプログラムというの はそういうことで所管省庁からまた示されるという理解をしておけばいいのですか。 大島室長 指針はまた所管省庁から示されます。 水口構成員 わかりました。 金川座長 それでは、まだ御意見いろいろあろうかと思いますが、次に進んでもよろしい でしょうか。あるいは、ぜひこの機会に第1章に関して、このことに関してはもうちょっ と追加したいということがございましたら、よろしくお願いします。 押野構成員 日本栄養士会ですが、健保組合の方から、人材がいないではないかというお 話があって、管理栄養士は、きのう国家試験の発表がありましたけれども、毎年6,000人ぐ らいの卒業生が出てまいります。ですから、管理栄養士としての人材は十分あると思いま す。それを活用していただけるかどうか。そういうところが大事なところなのではないか と思います。よろしくお願いします。 金川座長 それは先ほど看護協会からのお話にもございましたように、保健師の国家試験 を合格している者も非常に数も多いということで、人材そのものとしてはあるのではないか。 でも、それを実際に活用というと、それは雇用してほしいということでしょうか。 押野構成員 それは非常に難しいでしょうが、管理栄養士を活用してほしいということです。 金川座長 それはちょっと横に置いて、人材そのものとしては、教育の中からは国家試験 の合格者は出ているということでございます。 津下構成員 そういう意味では、いろいろな人材が出ているけれども、どこにどういうふ うにいるかわからない。それから、その人の質というか、どういうことをやってもらえる 人なのか、大学卒業して実務が本当にやれる人なのかどうかもわからないということで、 やはりこれはストラクチャーの部分に関係するところだと思いますが、人材のバンク的な ものを各都道府県で整備を――都道府県かどうかわかりませんが、自治体が整備をすると いうのも1つの方法かなと。そして、非常勤とかいろんな形があると思いますが、そうい う形で人材を活用できる仕組みをつくるということ。 愛知県の場合は、健康づくりリーダーというボランティアをリーダーバンクとして登録し ているので、各市町村での健康づくり活動のところで、そのバンクから行っていただける、 得意種目もわかるという形の登録をしておりますので、保健師とかすべての専門職種につ いて保健指導にかかわる人材バンクというのを1つ整備するということ。 それから、各学会とか団体がいろいろ研修会をやっておりますけれども、私はもっと相互 乗り入れをしてお互いに聞きにいけるといいのではないかと。それぞれが似たようなもの を幾つもやっているという実態があるように思いますので、それも研修会のリストみたい なものを、会員と非会員と料金は違ってももちろん構わないと思いますが、広く情報が人 材バンクの人たちに行き渡る仕組みをつくっておけば、どういうところで、また困ってい るところはどこにあるかということもマッチングできると思うので、そういう仕組みをス トラクチャーとしてつくった方が円滑に進むのではないかと思いますが。 池主構成員 今の人材の問題からいけば、僕はやっぱり大きな問題になるのは、例えば1 つのメタボリックシンドロームというテーマが出てきたのは、いわゆる我々そういうもの を提供する側のテーマではなくて、基本的には受ける国民といいますか、そういう人たち が自分たちで何かできるということが最大の眼目だったのではないかと思うんです。そう いうことに関してはどこも利害関係が生まれませんし、国民も幸せになるという発想が基 盤にあるのだと思うんです。ですから、そういうものに対応する今一番我々が考えなけれ ばいけない問題は、もしかしたらそういうことに対応する垣根をもう少し、だれがやって もやれる部分はやればいいじゃないかという論議が僕は必要なのではないかと思います。 そうすると、僕は人材がそんなにいないわけではないと思います。これはちょっと勝手な 思い込みですけれども、思っています。ですから、今あるいろんな職域的な垣根みたいな ものをどこまで外せるかというようなことが具体化していけば、決して人材はいなくはな いと思います。 金川座長 ありがとうございます。縦割り的と先ほどおっしゃいましたけれども、例えば 市町村の役割の中にボランティアという部分も出てきているということで、今のお話が直 ボランティアというわけではないかもわかりませんけれども。 池主構成員 それも含まれますね。 金川座長 そういう意味で、対応する人材というのはかなりいるということですね。 田中構成員 今の池主先生の発言に関して、そういった意味で私はここでの括弧書きの中 は非常にありがたいと思って読ませていただいたのですけれども、市町村の役割のところ で、市町村は、市町村国保の保険者としての役割と、他の住民への対応の役割があるとい うことで、マンパワーで言えば市町村の保健師さんですね、市町村の保健師さんが国民健 康保険のことをちゃんとやるのよという書き方をされているということが、僕は非常にあ りがたいというか、本則に戻ってやっと理解してもらえたと思っているわけですけれども、 後の方にもそういった書き方が出てきますが、ぜひそういった記述で進めていただけたら と思います。 有原構成員 関連してお話をさせていただきたいのですが、狭山市での経験でしか言えな いのですけれども、16万の人口で国保の加入世帯が2万8,000世帯あります。単純計算し ても64歳から40歳という方が3万人近くいるだろうという予測が立ちます。その中で、現 実に受診をされている方が、4,000人弱で、人間ドックを受けている方が1,300人ぐらいで す。ですから、約5,300人しか受けていないというのが実態なんですね。それを今保健セン ター単独で実施しています。これが3万人を全部対象として健診を実施するという話にな りますと、1日200人実施しても150日かかるという話になり、ほかの仕事は何もできない という状況になってくるのですね。 先ほど人材の確保の問題がありましたけれども、それは私としても課題として感じている ところです。アウトソーシングにしても何にしても、質の担保の問題があります。それか ら、未受診対策という問題もあるわけです。受診していない人をどうするかという問題で す。国保の場合ですと未受診者の把握ができるだろうとは思いますが、それも健診のデー タと国保のデータが統合していない限りは無理です。 それから、健診を受けた人に保健指導を実施するように、保健指導を100%しなさいとあり ますが、現状では、100%どころではなく、頑張っても2割位が最高です。頑張った結果、 2割位なのです。それを100%に持っていくとしたら、保健師はこれだけをやっていかなけ ればいけないような状態に追い込まれていくのではないかという危惧を持っております。 そういったときに、お金の問題は後の問題よと言われてしまうと、19年の夏に計画や予算 要求のときに、健診回数や受診者数をどうするか、それに対しては人員がどのくらい要る のかという試算時に、非常に大きな問題だと私は考えております。ですから、ここは避け て通れない問題だという認識をしております。 田中構成員 僕は先ほどから、できるかできないかということは別として、こういうこと をやりましょうということを決める会議だとおっしゃるから、結構なことだと思って申し 上げているだけでございましてね。 漆崎構成員 確かにここの人材育成体制の整備のところで、市町村の役割の中に、市町村 の保健師と衛生担当に触れていてこれは大変いいと思いますが、ただ都道府県の役割の中 に、あくまでも都道府県は関係団体と協力して質の担保を向上させるためにということで 研修を上げております。今は市町村の保健師の力量にかなりのばらつきがあります。そう いう意味で、113ページの都道府県の役割の中に研修がメーンに入っていますが、保険 者としての市町村保健師等の力量が付くように相談・モニタリング・評価できるような市 町村支援システムを構築することも視野に入れるべきではないかと思います。市町村全体 の格差の是正とか、技術の是正とか、市町村支援検討が出来るようなシステムを考えられ ないかと思っております。 金川座長 ありがとうございます。いろいろと建設的な御意見をいただいているというこ とでございますが、そのほかに何かございませんでしょうか。1章に関してということで す。 内田構成員 初めての参加で、どういう議論が行われるのかというのを興味深く聞かせて いただいたのですけれども、厚労省の描いている青写真ですね。生活習慣病の予防改善を 強力に推し進める。その受け皿としては健診の枠組みを変えるということで、保険者の方 に大きな責任負担をかけるという内容になっていますよね。実際に現実を見てみますと、 この取り組みが厚労省の青写真どおりに進むとすると、保険者の負担というのはかなり大 きいものがあるという気がしております。 ですから、その辺のところは実際にできるのかどうかという現実との兼ね合いをやはり考 えていかないと、机上の議論だけやっていても実際の実効が全然上がらないという気がし ます。今出ていた基盤整備の話にしましても、マンパワーの質とか量という話もあります し、財源をどこから持ってくるかということもありますし。受診率を向上させて生活習慣 病を減らそうとすれば、当然金も人もかかるし、なおかつ有病者がたくさん出てきて短期 的には財政を逼迫させるのは目に見えている話ですから、その辺のところをどういうふう にこれから進めていくのかということを、厚労省の方からぜひお話しいただきたい。ただ 青写真だけ掲げて市町村に投げて、保険者に投げて、それでいいのかという話が出てくる のではないですか。 金川座長 それでは中島参事官もお見えですので、少し厚労省の青写真、あるいは厚労省 のお考えを御披露ということですが。 中島参事官 今、内田先生に御指摘いただいたことは我々も痛感しておりまして、青写真 で終わらせてはいかんのだろうと思っているわけです。ただ御理解いただきたいのは、一 気に医療保険者に、健診受診率を100%にし、保健指導の実施率を100%にということは困 難ですから、健診・保健指導の段階的な実施というものを計画していただいてやっていく のだろうということであります。そうした中で、保険局の方でも国保なり、被用者保険の 被扶養者に対する健診については、一定の助成措置といったものも講じさせていただけれ ばと思っています。 しかし一方で、1つには保健師、管理栄養士といった者をどのように確保し、そしてどの よう形で資質をアップしていくのかということは大変重要になってきますので、その点に ついては看護協会、栄養士会を始め、職能団体も含め、都道府県、医療保険者の方々の役 割分担を適宜やって、やはりこれも計画的に確保、研修をやっていかなければならないだ ろうという形で思っているところであります。 なかなか大変な作業が今後待っていると思うわけですが、私どもの基本スタンスとしては、 やはり健康寿命をいかに延ばすかという点。それから、国民が健康であり続け医療費の伸 びを合理的なものに抑える。その中で、健診・保健指導のあり方を見直していく必要があ る。その1つとして、やはり対象者をいかに把握するかという点。そして、健診・保健指 導というものに取り組むことに、よりインセンティブを用うる人にいかにやってもらうか という点で、医療保険者に御無理をお願いしてやっていただくということにしたわけです。 それとともにもう一つは、これまでの国の反省として、健康づくりといったものがいささ か総花的であったのではないかという点。それから、目標だけを掲げて、じゃあ具体的に だれが責任をとってどのようなやり方でやっていくのかというところについて、はっきり 言って必ずしも明確ではなかった。ちょっと言葉は悪いのですが、かけ声だけをかけて、 あとは国民の行動変容をと言っていた部分がありますので、そこについては、本日の分科 会等のように、エビデンスに基づいてメタボリックシンドロームというものにまずは着目 して重点的に、どのような健診・保健指導をすることが効果的なのかという標準的なプロ グラムといったものも、国が音頭をとって先生方にお集まりいただいて提示する。 そして、それを踏まえて医療保険者、医師、保健師、管理栄養士さんたちが、その地域、 職域の実情に応じて、標準的なプログラムをより改善していっていただいて効果を上げて いただくということでございますので、正直言って内田先生がおっしゃるように本当に簡 単な話ではないわけですけれども、厚生労働省としては組織を挙げて今度の医療制度改革、 生活習慣病対策を重要な柱の1つとしておりますので、この場での御議論を始めとして、 着実に先生方のお知恵を借りてやっていこうと思っておりますので、よろしくお願いでき ればと思っております。 内田構成員 今の中島参事官の話で目指すところはよくわかるのですけれども、やはりと りあえずこの事業を着実に進めるためには、現状をしっかり把握しない限り、それから短 期、中長期の目標をきちっと立てない限り、絶対に進まないと思うんですよ。保険者なり 事業主なりというのは経済効率を最大限に考えると思いますから、そうなったときにこの 話に素直に乗れるかというと、なかなか乗れないという感じを今までの話の中で私は受け ておりますので。 医師会としましてももちろん、ほかの医療関連団体の方々もそうだと思いますけれども、 こういう方向性で進むということには大賛成ですけれども、実際にどう進めるかというこ とをもっと具体的に取り組んでいただかないと、とりあえずは先ほど松田委員もおっしゃ ったように現状をしっかり把握していただいた上で短期の目標、1年後2年後に健診受診 率をどのぐらいに上げるとか、その辺のところをもっと具体的な取り組みで……。 それからもう一つは、アウトソーシングやボランティアという話がしばしば先ほどから出 てきますけれども、やはりその部分に関しては質の担保というのをしっかりやっていただ かないと、ただ安易に外出ししてそれで受けてもらえばやったということにはならないと 思いますので、その辺の取り組みもしっかりやっていただきたい。 津下構成員 今までの議論を聞いていて、税金でやっていたときには評価はこんなに厳し く言われなかったけれども、保険料にということになると、やはり費用対効果ということ が非常に言われるということで、保健事業にかける質の評価、効果の見方、そして意気込 み、そういうものが随分変わってくるように思います。今までの税金でやっていた事業と か、事業主が健診に投じていた費用がむだとは言いませんけれども、やはりその効果とい うものに対する見方がやや甘いような気が実はしております。ですから、この仕組みが大 きく変わる中で、保健事業というものの効果やあり方、それから保健指導というものの経 済効果ですね。経済効果だけでなく、本当に健康を守っていくということに関してどれだ け寄与しているかをしっかり議論できる枠組みが、これで準備されたところかなと。 実際に私どものようなところに、健康科学センターですけれども、外部から保健指導の事 業の委託はあるわけですけれども、やはり保険者が出してくるときというのは、かなり真 剣に、これだけ出していくんだからという意気込みを感じる部分があります。ですから、 内田先生がおっしゃるように、保険者の方がおっしゃるように、いろいろな大変なことが あるのですけれども、税金で出していたときには見えなかったものがこうやって見えてく るということに関して、保健事業をする指導者は、より責任と自覚を持ってしていく必要 があるということを強く思うわけです。 ですから、この人材育成の部分でも、保健指導をすればいいという、ただそういうことで はなくて、やはり生活習慣病予防に実際に寄与し、そして経済的な面での効果も期待でき るということをしっかりと認識した人材を育成するということを、今までと変わるところ としてはそこだろうと。今までの保健事業のいろいろな積み重ねというのが急に変わった りとか、むだになったりということではないのですけれども、その辺の自覚が随分変わっ てくるということが大きな意味合いがあるのかなと聞かせていただいております。甘いと 言われるかもしれませんが、まずはそういう自覚でもってやれることから進んでいくとい う部分なのかと感じておりますが。 中島参事官 今津下先生のお話もあったので、先ほどちょっと言わなかったことを補足さ せていただくと、保険者に健診・保健指導のお仕事をお願いするという点においては、対 象者を正確に把握できるということが重要であるし、インセンティブが働くということで すが、実は今津下先生が奇しくも御発言いただいたように、やはり保険料を使ってやって いただくということになる以上、その効果、結果がいかに出せるかということに対してよ り厳しくなっていくということが大いにあると思います。そして、当然効果を出すととも に、それがいかに効率的な形でできるかということは、当然医療保険者の方は真剣に考え ていただくのだろうということになるわけです。 実はいろいろな研究成果はあるわけですが、これまでは健診の実施主体が老人保健事業に おける市町村だった。そして、一方で疾病になってからのものは医療保険者ということで すから、どういう健診・保健指導をすることがどのような形での健康度改善、さらには医 療費に影響するのかというところについて、散発的な蓄積しかなかったというところはあ るでしょう。 だから、今度医療保険者にやっていただくことによって、どのような健診・保健指導をす ることがどのように健康度をアップし、かつ医療費にどのような形で効果を発揮し得るの かというところが、やはり医療保険者が一貫してやっていただくことによって、その経済 的エビデンスといったものも蓄積していくだろうというところにも大きなメリットがある のかな、前進があるのかなと思っています。 そういう観点では、今後中長期的にやっていただく中で、今回の検討会でおまとめいただ けるであろう標準的プログラムの内容といったものもさらに改善、工夫がなされていくこ とになるだろうと思いますので、まずは第一歩を踏み出していくという状況なのかなとい う認識で私どもはおります。 金川座長 ありがとうございます。いろんな側面から意見なり御質問が出ております。時 間的な関係を申し上げるのも酷でございますが、関連することもございますし、さらに技 術的内容を上げていくという意味の中では、2章3章という部分もまだ残っておりますの で、次に2章に移らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 2章に関しましては、最近の知見を反映した形での健診あるいは保健指導の内容を見直し するための体制整備ということで、先ほど御説明がございましたように、学会とか研究班 の役割、ここにありますような国の国立保健医療科学院あるいは国立健康栄養研究所の役 割、あるいは地域、職域の連携推進協議会、保健所の協議会の役割、その他といったよう な形で内容に関しての見直しのための体制整備ということで上がっております。御意見な りを賜って、さらにアップさせた内容に行けばいいと思います。 井伊構成員 この保健指導内容ということですけれども、これは標準的な保健指導プログ ラムということですので、私はこの検討の課題全体が、保健指導技術を中心にして、保健 指導技術の支援がどうあったらいいかということを軸にして検討がなされているのだろう とまず認識をしております。 そういう意味で、前編の第4章に「保健指導の実施」ということで、これはかなり御苦労 があってこういうふうに整理されてきていると思いますけれども、実際には、この情報提 供とか動機づけ支援をした対象の方々が間もなく積極的支援に入っていくだろうというこ とが予測できるような現実が既にあると思うんですね。今後はともかくとして、今現在保 健指導の多くを担っているのは市町村の保健師や栄養士です。そういう人たちの役割が、 この2章のところには書き切れていないなと。枠組みは示されても、それを具体的に行う 専門職がこの(4)までの間にどう登場するのかが不明確だと思いますので、その役割を 明記していただきたい。 というのは、市町村の現在やっている保健師、栄養士が悪戦苦闘しているわけです。そし て、毎年同じことの繰り返しになるのはどうしようとか、実際にどういうふうに働きかけ ていけばいいのかという具体の部分の保健指導技術に関しては、決して手抜きをしている わけではないという前提があります。 この保健指導の標準化プログラムが出されても、じゃあどのようにそれが行われていけば 後の3章の評価項目になるようなアウトカムにつながるのかという部分は、まだブラック ボックスだと私には見えますので、そこのところをどう検討するか。つまり、現実にこの 保健指導を実際にやっていく専門職のサポート体制と、専門職自身が自分でプロセス評価 がきちんとできるという観点を、この体制整備の中に入れていただきたいと思います。 金川座長 ありがとうございます。専門職のサポートシステムの形でいけば、もしかした ら第1章にもまたがることと思いますが、特に内容的な形で、実際の現場での専門職の方 々が、場合によっては試行錯誤のことも出てくるかもしれませんが、そういったことの中 で工夫しながら進めていくことそのものも保健指導内容の見直しに通ずるということで……。 井伊構成員 保健指導内容の見直しの体制整備において、都道府県とか国立保健医療科学 院とか、学会には役割があるが、市町村の現場の専門職の役割が明記されていないという ことで、ぜひ入れていただきたいと思いました。実際の保健指導を行っていくには、これ に携わる専門職には相当の熟練を要すると考えますので、そうした意味でも、実践の自己 評価やサポート体制は重要だと思います。 金川座長 ありがとうございます。ほかに。 吉池構成員 (2)と(4)の(4)についてコメントさせていただきたいと思います。(2) は、教材のエビデンスとなる中身的なことについては、私どもの研究所も役割を担わなけ ればいけないと思っています。今回はいろいろな場で実際に保健指導をしながら評価をし て、効果を検証しつつよりよくするというサイクルの中でやっていき、それが(1)の学 会・研究班の中での研究評価的なものにつながり、そういうプロセスの中で得られた知見、 より効果的に進めるためのエビデンスについては、(2)の中に含めて、開示をしていく ことが大事だと思います。 また(2)で、ホームページを介しての情報提供も大事だと思います。これは保健指導を行う 人に対する情報ツールの提供という意味合いだと思いますが、今回直接的、個別的に保健 指導を行う対象とはならないけれども、動機づけや行動変容のステージを上げていくとい ったアプローチをする場合は、eラーニング的なものによってサービスを提供していくこ とも組み合わせて考えていく必要があると思います。(2)のところはeラーニング的なイン ターネットを使ったツールもうまく組み合わせていくと良いのではないかと思います。 また(4)の(4)、養成カリキュラムの見直しということについては、今回の議論をどの程 度のタイムスパンで考えるかによると思います。カリキュラムを見直して新たなものにし ていくというと、何年も先に効果があらわれることになると思います。本質的にはそうい う中期的なビジョンを持って今から取り組むべきところもあるかと思いますが、例えば平 成20年までにということであれば、より即効性のあるやり方、例えば養成校であればそこ の教育、実習等について、質なり内容を高めていくというようなこともあわせて考えてい く必要があると思います。 金川座長 ありがとうございます。2番の問題、それから4番の中での養成カリキュラム に関しての言及と思います。そのほかに関しまして、はいどうぞ。 津下構成員 (4)の(2)ですね。第3者評価機関ですね。アウトソーシングがもう1つの 選択肢となった場合に、やはりここが、きちっと質の担保ができるような仕組みが必要だ ろうと思いますが、どこが主体を担うべきかというのがかなり難しくて、この細かい一つ 一つの教材についてとか指導法について、または実施体制について、国のレベルでは大き 過ぎるような気もしますし、そのあたりはどこの役割になるのかなと。都道府県レベルな のでしょうか。または、こういう保険者協議会でそういうものを持ち寄って協議をしたり、 そのような形になるのでしょうか。実際に非常に大事なポイントだと思うのですけれども、 どこがやるのが一番効率的で、実際の実態を評価できるのかというのを、一度しっかりと 議論する必要があるのかと思います。 金川座長 大変時間が迫ってきておりまして、私の進め方が悪かったということでござい ますが、今のことに関しましても、例えば第3者評価機関が必要ではないか、ではどうい う主体が担うべきかということを投げかけるというのではなくて、ここで本当は御議論を 願うということで、どういうようなところがこの内容を担っていったらいいのか、あるい はどういう条件が必要であるのかということで、本当はここでいろいろと御意見を賜って それを形にしていきたいと考えるのですけれども、何か御意見ございませんでしょうか。 津下構成員 意見としましては、やはりどうでしょうか、保険者がということになれば保 険者協議会というのが1つの場になるのかどうかよくわかりませんけれども、あとは県の レベルで研修会等がいろいろ予定されるということになりますと、そこで教材を持ち合っ て議論するとかいろんな形があると思いますが、研修会もやりっぱなしの研修ではなくて 実際に使っている教材とかそういうものを持ち寄った参加型の研修会をしながら、教材も そこで吟味するようなことができれば、研修と評価を兼ね合わせる方法として1つの形か なという意見です。 椎名構成員 関連していいですか。今保険者協議会というお話が出たのですけれども、こ れはまだまだ何をやっていいかわからないのが実情なんです。ただ、国会の医療制度改革 の審議の中で、保険者協議会にいろんなものが今盛り込まれそうな気配なんです。そうい う中で、今回の医療制度改革の中で保険者に対する健診・保健指導の義務化という大きな 課題が提示されているわけです。ですから、これは保険者協議会の格好のテーマになろう かと思うんです。今後仕掛けていかなければいけないし、そういう現状です。 この第3者評価機関は、質の担保のために私は絶対必要だと思うんですね。しかし、保険 者協議会に第3者評価をやらせるのは現実的に無理だと思います。病院の評価機構という のがありますけれども、ああいった形で国がきちっとどこかの公益法人か何かにやらせる。 あるいは、新たに公益法人みたいなものをつくってやらせる。そしてお金もつぎ込む。そ ういう形できちんと、やっぱり仕掛けるのは国ですし、国が責任を持ってそういったもの を仕掛けて第3者評価機関をつくるべきだと、私は個人的にそう思います。 金川座長 ありがとうございます。もしこれに関連してございましたら。 有原構成員 第3者評価につきまして必要だと感じております。県の行動計画が立てられ て、それに基づいて市町村の計画が立てられるわけですから、本来ならば県が進捗状況の 管理をしつつ、事業の成果や結果について評価をするわけですから、県の段階で評価とい うものが行われるべきという考え方を持っています。 市町村の中でいろんな業者がいる状況であれば、市町村が選定なりには自治体として責任 を持つべきだと思いますが、広域になってきたときには、第3者評価ということになりま すと、やはり県単位というところが最初の部署ではないかという認識を持っています。 金川座長 国、県あるいは市町村という中で、いわゆる公的な機関、地方公共団体という ことでのくくりということも考える。じゃあ具体的にはどうというのはまだこれからかも わかりませんけれども、御意見の中では第3者評価はやはり必要であろうという形でのお 考えが多いというように受け取ってよろしいでしょうか。 一応終わるのは5時ですよね。それでは第3章に関しまして「健診・保健指導に関連する 標準的なデータの評価と管理」、ここも非常に重要なことがいっぱい出ているのですけれ ども、時間が非常に迫っておりますが、簡潔な形で御意見なりございましたら、ぜひよろ しくお願いしたいと思います。 有原構成員 済みません何度も。国保の実情と意見で、データの管理に関してですが、国 保のデータについては埼玉県の場合、共同の電算システムがありますから県内の統一がで きるだろうと思います。ただ、社保とか、国保以外になってきますと、データの取り扱い が非常に難しいのではないかと国保の担当者が言っております。 それからレセプトですが、第1病名第2病名をきちんと記載しているところもあれば、そ うでないところもあるようです。主病名として記載しているのか、初診日のときの病名か ら順番に書いているものもある状況で、レセプトも平準化がなされていないのではという 状況もあるのではないかとの話もありました。 いろいろと考えてきますと、先ほど狭山市の例を述べさせていただきましたけれども、半 分は国保以外ですので、国保もそれ以外の組合等のデータも管理をするとなりますと、保 険者協議会なりに期待をかけているのですが、協議会の中でデータの管理とか関連して 平準化ということが果たしてできるのだろうか不安も抱きます。しかし、それをやってい ただかないと市町村での実施は、なかなか困難なのではないだろうかと思います。以上です。 金川座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでございましょうか。 椎名構成員 (1)の(3)ですけれども、ここにも前に出てきたのと同じような表現で「医 療保険者に所属する医師、保健師云々」と。これは先ほど来、私が申し上げた点から見て、 なかなか現実的ではない。私ども健保組合ですと、医師、保健師、管理栄養士をちゃんと 自前でそろえているところは極めて少ないわけです。一方、事業主には、労働安全衛生法 で現時点でも健診等が義務づけされている。したがってそちらの方には非常に医師も含め たマンパワーが厚く配置されているんですね。ですから健保組合サイドから言うと、所属 する云々というのは、所属する人がいないというのをどうするかという話につながってい くわけです。ですからこういうふうな書き方とみると、読んでいてずっと引っかかるんで すね。 ですから最初のころに申し上げましたけれども、あくまでも事業主への周知徹底ですね。 そして相互乗り入れというか、そういったマンパワーも含めて、ぜひ事業主の理解と協力 をいただかないと、この健診あるいは保健指導の事業はうまくいかないという、それにつ ながってくる話だと思います。 金川座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。実は議題といたしましては、 もう一つ研修のガイドラインのことに関してきょう出てきております。多分3章に関しま しても若干論議不足のところもございますが、ちょっと残っておりますこの研修ガイドラ インに関して一言でも御説明をいただいて、何かコメントがあればと思いますが。野村室 長さんよろしいでしょうか。お時間は一応5時ということですが、5時10分までいいとい うことでございますので、5時10分には絶対終わらせていただくということですが、簡単 によろしくお願いします。 野村室長 それでは資料3と資料4を使って簡単に御説明いたします。この健診・保健指 導研修ガイドラインは、都道府県、関係団体が研修を行うためのガイドラインです。これ は、4月18日に健診分科会、保健指導分科会の構成員の方々にワーキンググループとして 集まっていただきまして、議論をして、たたいていただいたものでございます。 研修体系全体のことをまず最初に御説明いたしますと、資料4、1枚紙でございますが、 この資料4で体系的に研修の実施をしていこうと思っておりまして、1つは、リーダー育 成については国、中央レベルで行うこととしております。実施機関としては厚生労働省、 もしくはそれぞれの医療保険者または国レベルの関係団体等がリーダー育成をしていく。 こうやって育成されたリーダーの方々が都道府県においては研修の実施主体となり、この 方々が実際にやられる方に対して研修を行うというところです。 この資料3でお示ししている研修ガイドラインは、都道府県レベルで研修をする場合に使 われるものです。47都道府県で実施されることになりますので、それぞれ余りばらばらに ならないようにということで、ガイドラインという形でお示ししてはということで整理し ております。 内容は、これは既に皆様方にお送りしてありますので、お読みいただけていると思います ので詳細の説明は省かせていただきますが、どんな能力が必要かということを書いた背景 は、当然のことながらこの標準的な保健指導プログラムの暫定版の、資質の向上のところ を引っ張ってきて、それを整理しているというものでございます。後ろの方には、どうい った方法で研修、教育をしていくのかですとか、使いやすいような教材ですとか、そうい ったものも添付してはどうかと思っております。現在作成途中のものでございますが、こ んな考え方で進めていこうと思っております。以上です。 金川座長 短時間でお願いして申しわけありません。ただいま説明されたとおりというこ とでございまして、内容の重複は避けさせていただきたいということで、この研修ガイド ラインの位置づけ、それからどこから取ってきたかということに関しての御説明でおわか りかと思います。既にお読みいただいているということでございますので、ぜひこのガイ ドラインについて何か御意見とかありましたら。はい、どうぞ。 漆崎構成員 看護協会ですが、研修の対象者の(1)のところと、研修の実施体制の(2) に「医師、保健師、管理栄養士、事務職等」となっておりますけれども、今産業の分野に かなり看護師が入っているということもあって、この辺を事務職等と書いてあるのですが、 できれば「看護師」というふうに入れていただくわけにはいきませんでしょうか。 椎名構成員 よろしいでしょうか。関連して、私ども健保組合ですと、実際に保健師さん 以外に看護師さん、あるいは准看護師さん、そういった方々が実際に保健指導等に携わっ ていることが非常に多い現状がございます。したがって今の御意見にはぜひともその辺も 酌み取っていただきたいと思います。まず、現状の手持ちの人材の役割を見直すという御 指摘がございましたけれども、それはそのとおりで、なおかつ私どもは基本的に保険者の 中央団体としてステップを踏みながら、時間はかかるかもしれないのですけれども、なる だけそういった専門職種を各健保組合さらには都道府県支部に、この機会にというか、こ の事業をきっかけにして雇ってもらう。その大きな契機としたいと考えているわけです。 話を戻しますと、現状では看護師さん、准看護師さんも実際にそういった現場で携わって いるといった意味で、ぜひともそういった職種の方々も加えていただきたいということです。 中島参事官 大いにその点は御議論いただければいいのですけれども、看護師でも保健指 導ができるということを看護協会はお認めになるということでいいんですね。 漆崎構成員 そういう意味ではないのですが、そう捉えられてしまったようです。確かに 産業看護師として保健師等とチームの一員として就業しています。その辺はこれからどう いうふうに考えるかは考えなければいけないと思いますが。 中島参事官 わかりました。そういう御意見もあるということは当然私としては尊重しな ければいけませんが、やはり中長期的に看護職というのはどうあるのかということを踏ま えて恐らく書いていく必要があるのだろう。やはり保健指導のプロは、私は保健師がまず 第一にあると。産業看護師さんというのもおられるし、御活躍だということもあるわけで すが、やはり保健師と看護師を対等な形で並べるのは、私としては、あれっという感じが 正直言ってちょっとしたものですから。今後は、疾病予防というのは保健師さんがしっか り担う、そして急性期医療さらにはターミナルを含めた訪問、在宅医療みたいなものは看 護師さんがしっかり担っていく。そういう中長期的な形の中でやっていかないと、そこを 入り口の段階でとにかくマンパワーがいないからとか、そして既に産業看護師さんがいる からという形でやっていくのが本当にいいのかどうかというのは、この場でも大いに御議 論いただいた方が、今後の看護職はどういう形でやっていくのかというところは大変本質 的な部分にかかわるような気もしたものですから、ちょっと余計なことですが。 漆崎構成員 まずは保健師による保健指導を充実させることが必要です。そして看護師に ついては、健診を行うチームの一員として生活習慣病予防を推進する上で重要と捉えて申 し上げました。したがいましてあくまでも関係者の研修の中の一員として、ここの事務職 等としないで看護師及び事務職などとしていただきたいのです。保健指導の分野を担当す るのではなくて、健診等のチームの一員として研修を位置づけてほしいと申し上げており ます。 金川座長 ありがとうございます。若干の課題を残した形で、この研修ガイドラインはま だまだあろうかと思いますが、事務局としても今後のスケジュールのこともございますの で、とりあえずここで議論は終わらせていただくということで。 きょうは本当に建設的な意見がたくさん出てまいりました。事務局においては、このプロ グラム暫定版に追加あるいは訂正という作業を進める形になると思いますので、どうぞよ ろしくお願いいたします。それでは少し事務局の方から、今後のスケジュールに関してよ ろしくお願いいたします。 山本室長補佐 今後のスケジュールですが、本日御議論いただきました事項は、健診分科 会の議論と関連が深い事項が数多くございますので、健診分科会開催後に関連事項につい て調整し、今後議論を深めていただくことになると考えております。追って日程について は調整させていただきます。以上でございます。 金川座長 ほかによろしいでしょうか。という事務局からの御連絡でございますので、こ の分科会は、本日の分に関しましては終了させていただきたいと思います。5時の予定が ちょっと過ぎましたけれども、失礼いたしました。終了ということで、ありがとうござい ました。 (終了)