06/03/27 第2回院内がん登録のあり方に関する検討会議事録                      照会先 健康局総務課がん対策推進室 村重(内線4124) 友永(内線3827)           第2回院内がん登録のあり方に関する検討会                   議 事 録            日時  平成18年3月27日(月) 13:00〜15:30             場所  国立がんセンター特別会議室(管理棟1階)  村重補佐 定刻となりましたので、第2回院内がん登録のあり方に関する検討会を 開催いたします。  皆様方には御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。  私は、健康局総務課生活習慣病対策室の村重でございます。しばらくの間、進行役 を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります前に官房参事官の梅田よりごあいさつ申し上げます。  梅田参事官 官房参事官の梅田でございます。本日は年度末のお忙しいところ、第 2回院内がん登録のあり方に関する検討会に御出席いただきましてまことにありがと うございます。  がん対策の推進のためには、全国や都道府県レベルのがんの罹患数や病棟数、我が 国のがんの実態把握が必須でございます。この重要性につきましては、日ごろから我 々行政の場におきましても国会等でその必要性を指摘されているところでございま す。  それらのデータを集中したがん登録は非常に重要でございますが、なかなか遅々と して進みません。地域のがん登録を進めるためにはまずは院内できちんとがん登録を どのようにしたらできるかということが重要であるということで、院内がん登録のあ り方をまず検討しようということでこの検討会が始まったわけでございます。  昨年11月末に開催いたしまして、その際もがん登録の目的と定義について、地域が ん登録とは何か、院内がん登録とは何か、ということを御議論いただいたところでご ざいます。 本日の検討会におきましては、がん診療連携拠点病院における院内がん 登録の必須項目について御議論いただきたいと考えております。これは、後々には地 域がん登録にどうつながるかという視点を持っての御議論をお願いしたいと考えてお ります。  本日は先生方の専門的かつ大局的見地からの貴重な御意見をいただきますようお願 い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。 よろしくお願いいたします。  村重補佐 本日の第2回院内がん登録のあり方に関する検討会は、がん診療連携拠 点病院の整備に関する指針に別途定める、とありますように、拠点病院が実施するが ん登録の必須項目を決めていただくための検討会でございます。  それでは、本日の資料について確認させていただきます。  お手元の資料、まず議事次第でございます。きょうの議事は、(1)がん診療連携 拠点病院が実施する院内がん登録の項目について。これはまさに指針にありますとお り、まず、拠点病院で集めるべき項目、ミニマムの部分は何かということを御議論い ただきたいと思います。 (2)今後の課題と方針について。がん登録に関するさまざまな検討すべき課題が残 っておりますので、そこも御議論いただきたいと思います。  次のページはこの検討会のメンバー表でございます。  資料1は、主要検討課題に係る論点整理(たたき台)となっております。  1.第1回の議論のまとめですが、これもがん登録に関する考え方の一つですが、 (1)現行のがん登録事業というのは都道府県が実施主体となって管内の医療機関と ともに実施するものであり、医療機関内でのデータ集積を行う「院内がん登録」と、 それらの提供を受けて都道府県で行う「地域がん登録」とからなります。 (2)地域がん登録は、がんに係る地域特性の把握に寄与し、行政施策の企画・立案 ・重点化等、がん対策の評価やモニタリングに必要なデータを提供する。 (3)地域がん登録は、がん診療連携拠点病院等の病院だけでなく、入院施設のある 診療所も含めたすべての病院での院内がん登録のデータ集積をすることによって、が んに係る地域特性の把握に寄与する、というものです。 (4)さらに、院内がん登録は、各医療機関のがん医療の機能評価に寄与する側面も ある。ということもご議論いただきたいと思います。こちらにつきましては、多面的 に評価する必要がある上、当該の指標はいまだに未開発でありまして、臓器がん登録 との整合性を検討する必要もあることから、今後の課題の一つと考えていただきたい と思います。  2ページ目もございますが、詳細な御説明は後ほどさせていただきます。  資料2は、資料1の考え方に基づいて、まず、全国の拠点病院で実施していただく 院内がん登録の必須項目はこんなものではないかという一覧表でございます。  資料3は、今後の方針と課題を並べております。こちらも御議論いただくべきこと がたくさんあると思いますので、よろしくお願いいたします。  次の、参考資料1は、学会等による臓器がん登録におけるステージ分類の事例を、 まず事例として挙げさせていただきました。これは、項目の御議論で出てくると思い ますが、院内がん登録で使っているUICCという分類と、臓器ごとに学会等で行っ ているステージ分類が取扱規約等のUICCと別の分類を使っている場合がございま すので、それは臓器ごとに調整をいただく必要があるものがあるかと考えております。 そちらの参考資料としていただければ幸いでございます。  次の参考資料2は、がん登録に関する論点整理のイメージ(案)となっております。 研究班でつくっていただきました標準様式2006年版の項目の中から拠点病院におい て最低限やっていただきたい項目というものを左側のラインのところにしておりま す。こちらから取り出せる資料は・地域の罹患率 ・地域の治療前ステージ分布 ・ 地域特性に関する5年生存率、といったものが抽出されまして、主たる目的としては、 がんの実態把握、政策立案に活用することができるのではないかということです。  次の参考資料3は、厚生労働科学研究班から御提供いただきました登録項目2006 年度版の確定版でございます。右から2番目の列に拠点病院における必須項目、とご ざいますが、こちらが先ほどの資料3の一覧になっている項目です。2006年度版から 抽出した項目を拠点病院における必須項目としてはどうかということであります。  次の参考資料4は、第1回の検討会の概要ということで主な論点を抜粋させていた だきました。  次の参考資料5は、今後のがん情報提供ネットワークのあり方(案)となっており ます。こちらはがん登録だけではないのですが、皆さん非常に御関心が高いがんセン ターにおけるがん対策情報センター(仮称)の機能とそれに対応する拠点病院側では どういった機能が対応していくかといったところのイメージ図になっております。  次の参考資料6は、前回、第1回の検討会のときに、拠点病院におけるがん登録の 現状はどうなっているのか、調査すべきという御意見をいただきまして、調査いたし ましたその結果でございます。見ていただきますと、有効回答数118のうち、(2) 人員配置のところでは、(1)診療情報管理士が実務を行っているところがほとんどです が、(3)医師が院内がん登録の実務に携わっているといったところが半分ぐらいありま す。  また、診療録が電子化されていますか、という質問に対して、半数弱が電子化され ていない。半数弱が一部電子化されている、と答えておりまして、全部電子化されて いると答えたのはわずか18となっております。  Q7、Q8のところ、がん登録のために電子媒体に再入力していたり、紙媒体に転 記していたりといったかなり手作業が多いのかな、と思われる部分がかなりの数を占 めています。(4)データ活用について、データをどんなことに役立てていますか、 という問いに対して、いくつか事例を挙げさせていただきました。 (5)データ管理について、院長が行っているところ、その他になっていますが、情 報管理にかかわる方々が管理しておられるのかと見られます。  資料の御確認はよろしいでしょうか。不足等はございませんでしょうか。  西本委員 前回、2006年版のドラフトのような表を参考資料として提出させていた だきました。準備がちょっと間に合いませんで、きょうこの場で2006年版の定義とい うような形の冊子と、今までの経過の中で2003年版、既にフィックスされたものがあ りますので、それを参考資料として配布させていただきたいと思いますが、よろしい でしょうか。  村重補佐 それでは、資料配布中ではございますが、議事を進めていただきたいと 思います。土屋座長、よろしくお願いいたします。  土屋座長 どうもありがとうございます。それでは本日は第2回ということで、先 ほど事務局から御案内あったように、がん診療連携拠点病院が実施する院内がん登録 の項目についてを主眼に議論を進めてまいります。時間が許せば、今後の課題と方針 のところまで行ければと思います。  それでは、通常の会議ですと、前回の議事録がありますが、資料1に前回議事のま とめというのがありますので、事務局からもう一度詳しく御説明いただけますか。資 料1と参考資料4ですね。  村重補佐 参考資料4ですが、最初は1.説明・確認事項ですが、これは御議論い ただいたというよりは、現状こうなっておりますという説明事項になっております。 ・がん登録事業は、都道府県が実施主体となって管内の医療機関とともに実施するも のであり、「院内がん登録」と「地域がん登録」が含まれます。 ・学会等が実施主体となって医療機関とともに実施する「臓器がん登録」もあります。 ・「地域がん診療拠点病院のあり方に関する検討会」におけるがん登録部分の説明を 前回いたしましたけれども、がん登録拠点病院になったら実施すること、というよう な記載があるかと思います。 ・がん登録事業については、個人情報の保護を定める「疫学研究に関する倫理指針」 は適応されない、ということは既に確認されておりますが、誤解されている部分もあ るかと思いますので、周知していただきたいと思います。  2.御議論いただきました内容ですが、 ・院内がん登録はがん診療連携拠点病院だけではなくてすべての病院、入院施設のあ る診療所も含めた全施設のデータをとることによって地域がん登録に寄与する、つま り、罹患率をとるためには全病院を網羅することが必要であるということです。 ・地域がん登録は、地域特性の把握に寄与して、行政施策の企画・立案・重点化等、 がん対策の評価、モニタリングに必要なデータを収集するものです。 ・しかしながら、現状においては、すべての病院を網羅しているとは言いがたく、地 域全体の把握といったレベルまでは達していません。 ・医師が、がん登録の作業をするのはほとんど不可能に近いという意見もございまし た。 ・診療情報管理士等への研修を行っていますが、研修を修了した人が雇用されるかど うかということは別問題であり、そこまではつながっていないという現状です。 ・作業量については、最初の狭義の報告、この患者さんはがんを発症しているという ことで登録するといった最初の時点で登録できる内容よりも、後々何年も追跡して別 の病院にかかったりする個人の同定を行って、調査・解析といったことを継続してい くという作業量の方がはるかに多いという意見がございました。 ・実際に作業に当たる人の実態を調査すべきであるという御意見があり、これは参考 資料6にございます。 ・診療録管理加算というのは、入り口の狭義の登録作業、つまり最初にわかる患者さ んの特性、診断名といったものの登録を想定した加算であって、追跡調査、解析、ア ウトカムの評価等、作業量が多いという御指摘のあった部分までは含んでいないとい うことです。 ・韓国のがん登録が例示に出ましたけれども、韓国では全国民にID番号がついてい て、保険とリンクしているから、診療した時点で情報がとれるシステムができていて、 追跡作業はかなり簡便化されているということです。 ・各拠点病院のがん登録の実態と水準の質的評価は、病院の機能評価といった視点で すが、こちらは地域との連携がどういう形で進んでいるかといったような指標を含め てかなり多面的に評価することが必要でしょうという御意見があり、そのような指標 は未開発である。5年生存率はアウトカムの一つではあるが、5年生存率だけで病院 の機能評価ができるわけではない、という御意見がございました。  資料1に戻ります。主要検討課題に係る論点整理(たたき台)ですが、今のような 御議論を踏まえて、(1)現行のがん登録事業は「院内がん登録」と「地域がん登録」 からなっておりまして、都道府県が実施主体となって管内医療機関とともに実施する ものである。ということです。 (2)地域がん登録は、がんに係る地域特性の把握に寄与し、行政施策の企画・立案 ・重点化等、がん対策の評価やモニタリングに必要なデータを提供する、という考え 方です。(3)地域がん登録は、がん診療連携拠点病院等の病院だけでなく、入院施 設のある診療所も含めたすべての病院での院内がん登録のデータ集積することによっ て、がんに係る地域特性の把握に寄与する、ことができます。 (4)さらに、院内がん登録は、各医療機関のがん医療の機能評価に寄与する側面も ある。ということもご議論いただきたいと思います。こちらにつきましては、多面的 に評価する必要がある上、当該の指標はいまだに未開発であります。臓器がん登録と の整合性を検討する必要もあることから、今後の課題の一つとして御議論いただきた いと思います。  次のページ、2.がん診療連携拠点病院における院内がん登録の必須項目に関する 概念整理で、いろんな考え方があるとは思いますけれども、まずは拠点病院において 実施する院内がん登録は当面どうすればいいのかということの考え方の整理です。  目的は、当面は、地域や全国における罹患等のがんの実態把握とする、ということ です。また、ほかにもいろいろな考え方があり、医療機関の機能評価や院内がん患者 数の把握等による病院管理を院内がん登録の目的とする考え方もあり、専門家の間で も御意見が分かれるところで、さらに十分な議論が必要であると考えております。  利用は、がん対策推進のための政策立案、政策評価等に用いるといったことをまず 考えています。  把握する指標についての考え方は、上記の目的に合致して、政策立案、政策評価に 役立つ指標として次のように考えられます。 (1)人口動態統計や患者調査等の既存の方法では把握できない指標であること。つまり、 重複した作業ではないこと。 (2)必要最小限の指標であること。全国の拠点病院にやっていただくと前提から、どこ の病院でも実行可能な指標であることということです。 (3)整合性を担保するために、厚生労働科学研究班による標準項目2006年度版を基本に 用いるという考え方になっております。 3.がん診療連携拠点病院における院内がん登録の必須項目については、上記の概念 整理を踏まえて、拠点病院が実施する院内がん登録を用いて集計する主たる指標は、  (1)地域や全国における罹患率  (2)地域や全国における治療前のステージ分布  (3)地域や全国における5年生存率 としてとっていきたいということです。  (2)の治療ステージ分布について注釈がありますが、治療前ステージに関して、臓器 ごとに分類の仕方が違う臓器がありますので、そちらは臓器がん登録との整合性を確 保する上で今後の検討課題である、ということです。  土屋座長 資料1で切りましょう。前回の議事について論点整理をしていただきま したが、きょうの本題に入るに当たって、前回からの引き続きで、ここを確認してお きたいということがありましたら、委員の先生方から御意見をちょうだいしたいと思 います。  西本委員 少し私自身の認識と違うようですので、ちょっとはっきりさせておきた い点がいくつかございます。1つは、地域がん登録は都道府県が実施主体というのは 当然そうなんですが、院内がん登録も都道府県が実施主体と本当に考えていいのかど うかという点。実施主体である限りは、その部分について例えば、財政的な裏付けと かを都道府県側が院内がん登録についてカバーするということになるのではないかと 思うんですが、その点がどうかという点が1点ございます。確かに院内がん登録を進 めていくことで地域がん登録の精度が上がるということは非常に大事な論点だと思い ますが、前回議論のまとめの1.(4)で、各医療機関のがん医療の機能評価に寄与 する側面、むしろこれが院内がん登録の第1義的な目的であって、それをした上で地 域がん登録にもその結果が反映できるというふうに私は考えていますが、ほかの委員 の先生方はどうお考えなのかという点がちょっと心配です。  もう1点は、確かに、院内がん登録を全部の施設でできて、なおかつ、例えば開業 医の先生方、ベッドを持たない診療所の先生方からも地域がん登録の側にデータが出 てくれば、罹患の把握は精度の高いものができると思いますけど、今の枠組みの中で、 院内がん登録を進めていくことは議論の余地はないと思いますが、進めていって、果 たして罹患率が出るのかどうか。それから、あくまで罹患の把握という意味で院内が ん登録を使うというよりは、むしろ罹患の部分は地域がん登録の本来の役割であろう というふうに考えますが、その点がどうなのかということがちょっと気になります。  土屋座長 2点御指摘があって、がん登録の実施主体が地域がん登録のみならず院 内がん登録も都道府県がやる。この点について、事務局から。  矢島室長 生活習慣病対策室長ですが、前回第1回のときにお示しした資料10「「疫 学研究の倫理指針」とがん登録事業の取り扱いについて」という中で「がん登録事業 は都道府県が実施主体となって、管内の医療機関とともに全県的に実施するものであ る」と定義づけられているというふうに我々認識しておりますので、そういう意味で は、院内がん登録、ここに書いてありますとおり、がん登録事業という観点であるな らば、都道府県が実施主体であるという認識でございます。  それから、西本先生の御指摘の後半の方ですが、そういうような議論もあるかと思 いますが、私どもからすると、このがん登録事業というものは、院内がん登録、地域 がん登録一体となってこれからどうしていくという議論の中で役割もその中で少しず つ変わっていく可能性もあるんだとは思いますので、そういうことは将来も含めて御 議論いただければと思っています。  山口委員 今の室長の御説明の中で、指針の中で書かれている部分、がん登録事業 というのは、あれはちょっと文言上の問題で、地域がん登録のことを言っているんだ と思いますね。院内がん登録をその中に含んでの議論ではないと理解していますが。 実施主体はどこかということを言いますと、院内がん登録はあくまでも医療機関が実 施主体と思った方が整理もつくんじゃないかと思いますが。  矢島室長 そうすると、大変ややこしいことに、今回のがん診療連携拠点病院に出 している財源的な根拠がなくなってしまうものですから、都道府県と国が1/2ずつ 出すんですけれども、その辺のところはがん登録をやらないのかということになって しまうと困るんですが。  山口委員 いきなり核心の話になりましたけど、院内がん登録というのは、西本先 生の先ほどの御発言にほぼ賛成なんですが、院内がん登録の主たる目的は、あくまで もそれぞれの医療機関のがん医療の質の向上のため、ということを第1義的な目的と して実施する。ただし、せっかくの院内がん登録ですから、地域がん登録にもぜひデ ータを提供して、地域がん登録の質の向上にも資するというのは、がん診療連携拠点 病院に指定された以上はそれは義務だと思うんですね。その義務を履行するに当たっ て国と県がその部分はちゃんとやってくださいよ、ということで財政的な補助をして いるというふうな理解で、オールオアナッシングではなくて、地域がん登録の部分に ついてはきちんと補助していますと。ただ、院内がん登録自身はそれぞれの病院が実 施主体でいいと思うんですけど、どうですかね。  土屋座長 座長を離れて、病院の管理者の一員としては、事業に入っていないと予 算面の保障がなくなってしまうという心配があると思うんですね。ですから、今、室 長がおっしゃったがん登録事業の中に院内がん登録を含むという解釈であれば、これ は安心できるわけですが、これは別物だという議論になると、地域がん登録は都道府 県が主体になって面倒をみるけれども、院内がん登録は各施設で面倒をみなさいとい う解釈が成り立つので、そこがちょっとひっかかる。  山口委員 そうすると、将来的には全医療機関の全院内がん登録を補助しちゃうと いう。行き着く先はそういうことに。  矢島室長 そこまでどうするかは別にして、今回、がん診療連携拠点病院というシ ステムをつくらせていただきました。これはいろんな意味でがん医療の均てん化とい うことで全国のがんに関係する医療機関が情報のネットワークをつくって、患者さん にどういう情報を提供するか。これについてある程度患者さんに情報を提供するもの については、標準化されていないとなかなかできないわけですね。患者さんから強い 要望がありますので、我々はがん診療連携拠点病院だけでもまずやっていくというこ とが第一歩の対策として、将来、全国のどこまで広げられるかというのは、広げれば 広げるほどいいことなんでしょうけれども、そこまではいつになったらできるのかと いうことで、患者さんの方からすると、なるべく早く標準化されたいろんなデータが 見れるような形も大事だという御意見も承っておりますので、今回の線でがん診療連 携拠点病院、新しくつくる制度のところでどういう形の標準的な、動かないと意味が ありませんから、やってもなかなかデータが出てこないということでも困るわけです ので、そういう意味では最低限になってしまうかもしれませんが、それぞれのものに ついては、ちゃんと標準化してなるべく早くそれを示して、がん診療連携拠点病院で は今全国で準備をしていただいていますので、なるべく早く周知徹底できればありが たいと思っております。  山口委員 室長のおっしゃることの意味はとてもよく理解できます。書きぶりのイ メージだと思うんですが、実は事前に村重さんに見せていただいて、読んだ瞬間に、 地域がん登録という非常に大きな丸があって、その中に小っちゃな院内がん登録の丸 があるような、そういうイメージで読めちゃうんですね。そうじゃなくて、地域がん 登録という一つの丸があって、もう一つ院内がん登録という大きな丸があって、その 重なりの部分について今回ミニマムの項目の整理をして、院内がん登録もやる以上は 地域がん登録にもきちっとデータを出して、地域がん登録の充実も図りましょうと。 ただし、院内がん登録を持っていない病院もいっぱいありますので、そういうデータ をもとにしてきちっとやらなかったら地域がん登録は成り立ちませんので、2つの丸 の重なりの部分の外側にももちろん地域がん登録で考えなければいけない部分はあり ますし、院内がん登録も地域がん登録の外側で議論しなければいけないものもあると 思うんですね。  その2つながらの共通している部分を今回はきちんと詰めます、というふうな論点 の整理なんだなと、何回も読んでみますとね。その部分が書きぶりにもう少し出てい た方がよろしいんじゃないですかと。実施主体等も含めて、というのが多分、西本先 生も同じようなことを考えているんだと思います。  矢島室長 もし具体的に、どの辺の部分をどういうふうに配慮するという御意見な らば私ども検討させていただくことは十分できると思いますが、まさに山口先生おっ しゃったように、今回はがん診療連携拠点病院が動いていますので、せめて枠だけで もありませんと、最初でつまずいて、これから延々と議論したのではまずいのかなと いうことで、なるべくならまずできるところからやらせていただければありがたいと いうことでお願いしています。  土屋座長 資料1の(1)に「現行の」という枕詞がありますので、今、室長がお っしゃったように、がん診療連携拠点病院でのがん登録事業、今やろうとしているの はそこに限ったことで、日本全体を見ますと、山口先生おっしゃったように、地域が ん登録、院内がん登録、もっと大きなものを考えないといけないんですが、とりあえ ず、現行で走っているものについてきょうは議論するということで御理解いただけれ ばと思います。よろしいですか。  西本委員 そういう整理であれば、基本的に個人情報保護法を含めて適用除外にな るのは、今までがん登録の関係者は地域がん登録の事業だというふうに理解をしてい た。院内がん登録の事業も、これは個人情報保護法の適用外という健康局長通知を拡 大解釈する形でよろしいんですか。  矢島室長 多分、先ほどの話の繰り返しになるんですが、自分の病院で院内がん登 録をどういうふうにするかという話と、先ほど共通として、ネットワークとしていろ んな情報についても標準化していこうというところの話で、今回はまずは均てん化の 中、連携という流れの中でどういう情報をやっていくのかというところで先ほど申し ましたようなもので提案させていただいておりますので、病院としてどのようながん 登録の項目をやっていくのかというのは、山口先生から御指摘がありますけども、従 来どおりの考え方になると思います。そこはどういう形で項目とかをやっていくかと いうことは議論があるんだと思っております。  土屋座長 西本先生、もう一つ言われたのは、全例やらないと罹患率の問題に入ら ないんだという、この点については。  矢島室長 厳密な意味での話というのはあると思いますが、私ども、すべてのがん を担当している医療機関を全部カバーできるのかどうかということもありますし、そ ういうことができるような時代になってくればそれはそれで我々としてありがたいの ですが、そこに向かって少しでも、今は日本として出せる資料の最善の方法という形 でがん診療連携拠点病院としてやっていただいているところを中心にやらせていただ きながら、将来の課題として、ちゃんとそういうものがカバーできるようなシステム に少しずつ近づいていくというんでしょうか、そういう方向で行くということで、私 は現段階ではまずはこのところでやらせていただければというふうには思っておるん ですけど。  土屋座長 恐らく、2ページ目の3の(1)に地域や全国における罹患率、と断定され ているのが、多分抵抗のあるところだと思いますね。罹患の実態を知るということは 皆さん反対はないと思いますが、罹患率となると、母数はどうするのかということが ある。西本先生、そういうことでよろしいですか。ほかの委員の先生方、御意見あり ますか。  武藤委員 質問ですけど、院内がん登録というのは、現状で一体どれぐらいの病院 がやっているんですか、クオリティは除いてね、クオリティはいろいろあるでしょう けど、どのぐらいやってるんですかね、パーセンテージで。  村重補佐 第1回でも同様の御指摘をいただきまして、現況調査を行いましたので、 参考資料6をごらんください。  135の拠点病院に調査を行いまして、有効回答数が118で、Q1「院内がん登録を 行っていますか」という問いに対して114が行っていると答えております。  武藤委員 もっとオールジャパン。ほんとは拠点病院だったら100%じゃなくちゃ 困るんですよね。それが現状なんだから。これはスタートして広げるというのが本来 の目的であって、そこを見失っちゃうと、実際の母数がちゃんとしていなければしょ うがないので、それでこういう質問をしたんです。少なくとも、拠点病院は100%じ ゃなければ困るんでね。  矢島室長 そういう意味で、今回の新しい指針では院内がん登録をやることになっ ていますが、135の医療機関は2年間の経過期間がございますが、一応2年後にはす べての連携拠点病院は院内がん登録をやっていただくことになると信じております。  土屋座長 よろしいですか。それを要求するに当たって登録の必須項目がどうかと いうところが恐らくこの完遂技術にかかわってくると思いますので、前回の議事をも とにした論点整理について、よろしければ、いよいよ本題に移って、登録の必須項目 についての議論に移りたいと思います。では、事務局から資料2について御説明お願 いします。  村重補佐 資料2ですが、これは厚生労働科学研究班からいただきました標準項目 2006年度版、参考資料3からの抜粋でございます。  資料1にあります、(1)の罹患率、罹患率と断定するのはちょっと抵抗があるという 御意見でしたが、罹患を追及するベースとなるデータということでしょうか。それと (2)のステージ、(3)の5年生存率を追いかけられるもの、といったものを基本に、この くらいの項目をとっていただければ、政策立案に役立てられるようなデータをとれる のではないか、といった考え方で案をつくってございます。  資料2の項目番号は、厚生労働科学研究班による標準項目2006年度版にあります項 目番号をそのまま用いております。  この必須項目に加えて、2006年度版がございますが、こちらのほかの項目について も、各医療機関の自主的な判断によって登録するかどうかということをぜひ検討して いただきたいということでございます。  項目ですが、上から順に、患者ID番号、氏名、性別、生年月日、住所といったと ころまでは特に御議論はないかと思います。  130、140の診断日についてですが、下の※3に書きましたが、当該施設で診断をさ れた場合は140の診断日2の方に記入をしていただく。他施設で診断されてから紹介 されてきた患者さんの場合には、130他施設での診断日1に入力していただくといっ た、いずれかに記入する形になります。  150は、来院経路ですが、こちらは主に、自主的に患者さんが来たのか、紹介によ ってきたのか、紹介の中で、がん検診、健康診断、人間ドックで発見されて来たのか、 あるいは症状があったりとか、当該施設で他疾患の経過観察中であったり、ほかの理 由で紹介されてきたのか、といった来院経路がわかる項目になっております。  160と170は、※4にありますが、160診断結果の1新発生確診というのは、初めて がんという診断がついた患者さんです。2は他の医療施設で診断及び治療が開始され てから、紹介されて来た患者さん、3は疑診、つまり生検や組織診によって確定診断 がついていない場合という項目です。  170の診断時の指示は、初めて診断されたときに、1そのまま入院して治療するか、 2外来で治療するか、あるいは、3外来で経過観察をするのか、この1、2、3とい うのが自施設で診療をするという選択肢ですが、4他院へ紹介といった項目に分かれ るかと思います。160の1新発生確診、つまり、自分の施設で初めて診断がついた患 者さんで、かつ170の項目の1、2、3、つまり、自分の施設で治療をした患者さん について、生存率算定の対象とする、というのが追加した部分です。  200は部位コード(診断名)ですが、こちらは340の組織診断名と併せて御説明い たしますが、部位コード、ICDのコード番号によって登録するということは望まし いのですが、コード化する作業はかなり作業量が多いといったこともございまして、 現時点ですべての拠点病院にコード化する作業をやっていただくというのは現実的で ないということで、テキストでの入力も可となっております。  230は治療前のステージですが、※5で、臓器がん登録と違う分類のステージ表を 使っている場合には、そこの調整、整合性の確保といったことは課題になると思いま す。  460から560の治療の有無ですが、がん治療の主たる治療法になります外科手術、 放射線、化学療法の別について、治療の有無、または不明といったことを入力してい ただく。  最後の2つ、640と最終生存確認日と650死亡日で、これは登録した後に何年も追 跡をして生存率の算定に用いるということになっております。  資料2の説明はよろしいでしょうか。  土屋座長 どうもありがとうございます。それでは、項目を追って委員の御意見を 聞きたいと思いますが、最初に言われた10から100まで、ID、氏名、性別、生年月 日、診断時住所。このあたりはいかがでしょう。これはあくまで院内での話ですね。 また全部集計するとなるとこの辺がまたかかわってくると思いますが。院内でカルテ に書いてある記載どおりということでよろしいですか。  それでは、私ちょっとひっかかったのは、130、140にも関係するんですけど、診断 時住所とありますね。この診断時というのは何を指すんですか。  村重補佐 研究班の2006年度版から直接とってきておりますので、御説明は西本先 生にお願いしたいんですが。  西本委員 診断時住所に関しましては、これは要は院内がん登録ですので、診断を 行ったときにその方がどこに住んでいたかというのを診断時住所とするという形にな ろうかと思います。  土屋座長 細かい話になって申しわけないけど、診断日1、診断日2ということで、 他施設診断日、当該施設診断日のいずれかを記入と。その診断日と診断時住所はフィ ックスするのかしないのか。  西本委員 住所だけにしますと、基本的に病院情報システムを持っているところで 書き換えられていく可能性がありますので、最初の段階での住所ということで、まず きちんとおさえておく必要があるということです。  土屋座長 趣旨は理解したんだけど、字句どおりとったときに、診断時という言葉 と、診断日1、診断日2というのが出てくるので、整合性がユニバーサルに通用する のかなというのが疑問だったんですけど、これは迷わないですか、皆さん使うときに。  西本委員 いろんな質問を受けておりますけど、これについての質問は受けたこと が正直言ってありません。ですので、どの時点でのということについて、恐らく、登 録をされる時点でまず第一に最初に来られた時点での住所ということに普通はなるん じゃないか。細かな違いを言いますと、それは例えば、初診時なのか、診断を受ける までの間にいろんな経過があってという患者さんおられると思いますけど、恐らくこ の部分でそれほど大きな問題は生じないかと思います。  武藤委員 住所が必要なのは、あとの予後の調査のために必要なの?  西本委員 基本的に名寄せをしないといけない。つまり、地域がん登録に出すこと を前提に考えますと、地域がん登録に院内がん登録のデータを出す上で、その人が同 一人物なのかどうかをまず判断しないといけないわけです。そうしますと、地域がん 登録の側で何を使うかというと、患者さんIDは使えないわけです、施設によって違 いますから。ですから、よその施設に行かれたときに共通IDじゃないですから、わ からないので、氏名、性別、生年月日、そして住所、このあたりから大体、この人は 同じ人だろうという整合性を持たせていくということになります。ですから、住所に 関しては動かれる方もおられるのでずれが生じることはありますけれども、かなりは 住所も一緒なので同じ方だという確認ができるということになるかと思います。  それともう一点は、例えば、他府県から来られているような場合に、どこの地域が ん登録に提出するのかということも一つ問題になって来ると思います。ですので、診 断時住所があって、例えば、国立がんセンターであっても、神奈川県から受診されれ ば、神奈川の地域がん登録に提出することが必要になりますので、これはミニマムの データとして必要だろうと思います。  武藤委員 例えば、住所が何番地とまで行かなくたって、どこそこ、○○市でも今 の話だと大丈夫かもしれない。実際にそういうデータがどれぐらいその後のサーベイ なり何なりに必要になってくるのか。要するに、書く側にすれば、おそらく医者が書 くことが多いんですよね。がんの場合は外科医が書くんですけど、住所なんか調べて やるのはかなわないっていうのは必ずあるわけで、何で必要か。必要な意味はわかり ますけど、実際にそれが使われてない、使うのが5%以下だったら、統計的には有意 差はないんだから、書かなくたっていいっていうことになりますよね。どうなんです か、そこら辺。  西本委員 どうでしょうか。実際の地域がん登録の側ではこういう情報を元にして かなりの作業をしているのは事実です。  武藤委員 実際にこれが役に立つ事例はどれぐらいあるの。ほんとにあるんですか。  西本委員 あることはあります。  武藤委員 今までにあっても、例えばそれが1%だったらこれは有意差はないんだ から大勢には影響ない。正確と言ってもしょせんは正確じゃないんですよね、ある程 度のマスでやる仕事だから。そのときにそれだけいろんなことが必要かどうかという、 そこら辺もぜひ。  西本委員 それは院内がん登録の側で議論すべきではなくて、地域がん登録に出す という前提で考えるのであれば、先生おっしゃったことでいうと、今までの地域がん 登録での作業内容を全部見直すとかいうことになりますので、今までのデータはデー タで地域がん登録、歴史があって出されているわけです。その作業内容として、そこ までやるのかやらないのかの議論は地域がん登録の側でしていただくべきことであっ て、現実問題としてはそれをやっていることによって精度を上げているという部分が あるんだというのは、地域がん登録の関係者が皆さんおっしゃるところです。  武藤委員 そういうチェックはしてないじゃないですか。  西本委員 数字として上がっているかということになれば、それは上がっていない と思いますが、ただ、現実問題としては、そういうものを出していただかないと。  武藤委員 もう一つは、診断日を2つに分けて書いてあるけど、これも本当に必要 なのかなあ。  西本委員 これは2006年版の細かい資料、定義という方を見ていただきたいと思い ます。6ページですが、項目番号110から120、130、140、これが診断日になるわけ です。問題は、他施設で診断をしてこちらに来られた場合と、自施設で診断をした場 合と、診断日を2つに分けているわけです。これを1つの診断日にしますと、実際に、 症例がどういう患者さんが来られて、その診断日は他施設で診断した日なのか、自施 設で診断した日なのかというのをチェックのしようがないんです。片方に間違いがあ れば、片方のままで生きてしまいますので、基本的にはシステムを組む側から言いま すと、同じ項目に違う内容を入れないで、別の項目にする。ですから、2つ必要では なくて、自施設で診断されている場合は診断日2だけで結構なわけで、他施設で診断 されて紹介された場合は診断日1だけを書いていただくというような、システム的な 問題になるわけです。システムの中でエラーチェックを行う過程で、できるだけダブ ルチェックができるような形での項目設定をしているというふうな考え方です。  土屋座長 よろしいですか。大分これの決め方が難しそうなんですがね。  武藤委員 難しいけれど、これは走り出すと変えられないから十分チェックする必 要があると思うんですけども、目的が地域の罹患率と治療前のステージ分布と5年生 存率という大きな目標がありますね。これだけじゃなくていろんな他のデータも必要 なんでしょうけど。ですから、それに本当に関係する項目だけに焦点を絞った方がよ り簡潔になるし、とにかく現場の一番若手の人たち、労力を吐き出す方の人に対する 一番のサービスだと思うんですね。その点で本当に必要なのか。例えば、これが一つ だったら、どこが数字としておかしなデータが出てくるかなという、極めて素朴な疑 問から言ってるんですけどね。今までそうだったからこれからもやりますというのは、 ちょっと議論が違うので、そこのところをきちんと検証していただかないと、疫学と いうのは、ほかの人は手がつけられませんので、しっかり検討していただきたい。例 えば、疫学ではスウェーデンが一番信頼できるといわれていると思う、スウェーデン は人が動かないせいもありましてね。そこら辺でどういうふうなとり方をしているか も参考になるかと思います。  土屋座長 よろしいですか。私も若いころ、自分で追跡調査を調査課に頼むと、本 院は開院以来、本籍調査が可能だったということが大変ありがたくて、住所は逆にあ てにならないというのが私の頭にこびりついているものですから。幸い当院は臨床家 がやると100%追跡ができたというのは、本籍地に問い合わせて少なくとも生きてい るか死んでいるか。場合によってはその時点での住所がわかるということが大きな点 ですので、診断時の住所というのは、私どもの経験からはあまり重要視しないという か、書いても、書いてなくても、結果的にはむしろ邪魔になることもあるという気が します。  もう一つ、武藤委員が言われたことで、診断日の根拠になるのは、6ページの130 番を拝見すると、組織学的検査が陽性、細胞診が陽性、顕微鏡的診断による確認、こ の辺まではいいんですが、4番目の採血検査(腫瘍マーカー)による結果が陽性、5 番の肉眼所見による診断、6番の放射線画像診断、7番が一番問題だと思うんですが、 臨床診断(確診)のみ。これはかなり臨床家にとっては抵抗感があると思うんですね。 確診とは確定診断の略語だと。これはにんべんの信なら余り問題ない、固く信じてい るだけならいいんですが、確定診断ということだとちょっと問題になるという気がし ますが、この点は班では検討されましたか。  西本委員 基本的には、院内がん登録、それから地域がん登録もそうですが、アメ リカが一番進んでいる状況にあります。国際的な比較をする意味で、アメリカの登録 項目を参考にしながら決めてきたという経緯はありますが、そこは多分、山口先生が 一番御存じだろうと思います。2003年版で決めるときにそういうような形での議論が あって、順番に並べて一番確からしいところで診断日を決めましょう、というような 形で定義しようという議論で決まったというふうに理解しております。  山口委員 きょう西本先生が配ってくださった資料の6、7ページにあるんですが、 きょうは項目を決めるということなので必要ないかもしれませんが、将来的に配布資 料みたいなものをつくるんですよね、最終的には。そのときには、日の決め方も書き 込んだのがあったと思いますので、そういうのも一緒に出された方が混乱がないと思 いますね。  西本委員 文章では6、7ページにありますし、8、9ページには模式的な図が書 かれていますけど。  土屋座長 先ほど私が質問したのは、確信といった場合には、組織学的診断という のが我々臨床家の常識になるんですが、臨床診断(確診)と書かれるとこれは何を指 しているんだろうと。  山口委員 そうですね、特に外科の先生からは、確診というのは最後になってみな いとわからないよ、というふうに。  土屋座長 いや、最後でなくて、生検でもいいんです。組織学的診断すなわちダイ アグノーシスというのが一般的ながんの解釈だと思うんですが。  山口委員 それは文章の解説編のところで、組織学的な検査をやっていって、それ がポジティブというか、悪性というふうなものがある場合には、その日付をもってこ れに当てるという意味です。  土屋座長 臨床診断(確診)というのは何を指すの?  山口委員 確診というのはとっておいた方がいいかもしれないです。  土屋座長 これは臨床診断(病理診断)があるというのが解釈になっているのかな。  淺村委員 1から7まで書いてあるのは、必要だとはいわれているんでしょう。ち ょっと臨床医にとってはかなりコンフェージングだとは思いますね。例えば、1の組 織学的、これはいいですね。2の細胞診学的、これはいいですね。表現がちょっとち ぐはぐですけど。3の顕微鏡学的診断というのは、これはよくわからないんですね。 顕微鏡学的といえば1も2もそうですね。そして、今言われたように、7の臨床診断 のみ、というのも、確診というのは通常は組織ないしは細胞学的な診断というふうに、 大体そういう認識を共通して持っている。1から7は、今後のあれとしては、ちょっ とわかりやすいものに変える必要があると思います。  西本委員 おっしゃることはよくわかるんです。特に今の議論が基本的には臨床の 先生方が直接全部書くんだという前提の上に成り立っているような気がいたしますの で、もちろん診療録にこういう項目が必要だから書いてくださいという形で運用して いるという施設も当然あるわけで、その意味では臨床の先生方の協力がなければわか らないわけです。がん登録はできないというのはもちろんそうなんですが、ただ、逆 に言いますと、臨床の先生方が書かれた情報の中から、わかる範囲でどこにコード化 して落とし込むかという作業が必要になるケースもありますので、それに対して、要 するにこの3というのは書き方に問題はあるかもしれませんが、1ないし2なのかが はっきりしない書き方であったというような場合に、3をとりあえず採用できるよう にという分類の落とし込み方になっているということで御理解いただきたいと思いま す。  「確診」に関しては、確かにおっしゃるとおり、私自身の感覚からもうん?という ところがちょっとあるんですが、これは基本的には160の診断結果、診断区分に当た るところで、1新発生確診 2治療開始後 3疑診 とあって、この疑診に対する言 葉として確診という言葉があるんだというふうに御理解いただければいいと思いま す。ただ、誤解を招くということであれば、臨床診断のみ、という言葉で、全然問題 ないかと思います。  土屋座長 座長が余り発言して申しわけございません。疑診に対する確信はイの信 じる信で、決して、診断の診ではないと思うんですね。  淺村委員 組織学的、細胞診的な診断のないものは基本的には疑診ですよね。1か ら7までは、アメリカのを持ってきてそのまま訳したんですか。  西本委員 そういう形です。  淺村委員 それは使う必要ないというか、フィジーなものはむしろ下げるべきでし ょう、やっぱり。  土屋座長 臨床家が全部記入しないとなると、他の方がピックアップするとなおさ ら混乱を生むと思うんですね。一体何を書いてあるのか、基準、定義ができない。臨 床家が基準のなしに書いたカルテからピックアップしたら、間違いに間違いを倍加す るようなことになって。  西本委員 先生おっしゃることはわかるんですが、ただ、要は、できるだけ臨床家 の先生方には診療の過程で情報を書いていただいて、その中から誰かがピックアップ するというシステムに将来的に当然考えていかないといけないというのはこの間も議 論があって、医者だけではできないんだというお話があった、というふうに私は理解 しておりますが、そうすると「確診」という言葉の問題はともかく、基本的に医者が とって書いた部分とそうでない部分というのも、両方でできるようなシステムにして おく必要があるのではないかと私は思います。医者が全部決めて書けばということで あれば、それはそれでいいかと思うんですけども、そういう運用が現実問題として、 恐らく日本で完全にやるのは極めて難しいというふうに考えますので、コメディカル のサポートが受けられるような体制にする。ですから、そのために定義があいまいで あるということに関しては、我々を含めて今後それに対するQ&Aの形なりで定義を もう少し詳細にした形で情報を提供させていただくというふうに考えております。  淺村委員 「確診」というのは英語の何を訳したんですか。  西本委員 今すぐにはわかりません。  土屋座長 ほかによろしいですか、診断に関して。ほかにも整理が必要ですね。次 の診断を特定するということは皆さん、特に反対はないと思うんですけども、何をも って診断とするか、ですね。そこが定まらないと、診断時の住所と診断日を1にする のか2にするのか、ということで。ちょっとここはペンディングということで先に進 みます。  次の150来院経路。これはいかがでしょうか。0自主 紹介(1他院より 2がん 検診 3健康診断 4人間ドック) 5当該施設にて他疾患の経過観察中 6剖検に て 8その他 9不明) これは紹介の中に1から4までが入るんですね。  淺村委員 自主というのはどういう意味なんでしょう。紹介状がないということで すか。  西本委員 そうですね、自主的に来られたということですね。  土屋座長 紹介が、1他院より 2がん検診 3健康診断 4人間ドック。揚げ足 をとるようなことばっかり申し上げるけど、2がん検診 3健康診断 4人間ドック は、明確な区別がつくかどうか。  西本委員 それについては、2006年版の12ページのところで、これが明確かと言 われると難しいところはあるかもしれませんが、「がんの早期発見・早期治療を目的 とし、一連の定型的な検査を行う場合をがん検診とし、健康一般に関する診査(健康 尺度の測定)を目的とし、一連の検査を行う場合を健康診断とする。個人を対象にし て行われたより詳細な健康一般に関する診査は人間ドックとする」という定義にはな っております。  淺村委員 剖検はいかがですか。  西本委員 剖検というのはネクロプシーを含むか含まないかという意味でしょう。  淺村委員 来院経路に剖検というのは。  西本委員 これは、来院経路という項目名がそういう形になってしまうんですが、 剖検で初めて診断された場合に、それを区別するためにここの項目があるというふう にお考えください。ですから、剖検物件かどうかをどこかで区別しておく必要がある ので、それをはっきりさせるために組み入れられたものです。来院経路としては少し おかしいかもしれません。つまり、それまでがんが疑われていなかった方が、剖検を したらがんであったというケースです。ですから、その場合は、剖検で発見されたと いう意味で、来院経路で剖検というのは結びつきにくいかもしれませんけど、そうい うふうに項目に落としていきたいということです。  土屋座長 5の他疾患の経過観察中 6剖検 8その他 9不明。剖検というのは そういうのしかあり得ない。  西本委員 基本的には他疾患の経過観察中であることが多いとは思います。  武藤委員 健康診断と人間ドックって、区別つかないんじゃないかなあ。一緒にし ておいていいんじゃないですか、これは。どうして分ける必要がありますか。後でデ ータをとるときに何か意味がありますか。  西本委員 その施設で人間ドックをされているような施設においてはそれを区別し た方が人間ドックでの成績というふうに反映させやすいという意味で項目が立ったと いうことで、一緒にするという案も一つあろうかと思います。  梅田参事官 資料の12ページと13ページで、12ページの来院経路コードでは、健 康診断と人間ドックが分かれていて、13ページの発見経緯状況のコードでは一緒にな っていますね。これはどちらかにした方が。  西本委員 発見経緯というのは、自院に来られる前の段階も含めているということ です。ですから、例えば、他院で人間ドックを受けられて、そこでまず指摘をされて、 紹介状を持ってこちらに来られた場合は、他院からの紹介になります。ですから、そ のがんに関して、発見されるきっかけになったのはどれかというのが発見経緯であっ て、それをもとにして来院されたときには、施設としては紹介で来られたのかどうか をとらえるという意味で、この部分が分かれているということです。ですから、発見 経緯を分けてもいいんですが、基本的にこの部分の項目というのは、地域がん登録の 側で標準登録票項目の側が一つになっているというようなことで発見経緯の方はその ままふやさないでということが一つ。それから、発見経緯の部分については、そこま で詳しい情報がないことが結構多いんですね。紹介状を持って来られたときに、その 紹介状に区別が書いてなければわからないわけで、実際に自院の中で人間ドックをし た結果こうでした、という形で紹介いただいた場合は区別はつくと思うんですけど、 そうでない場合、紹介状で異常が見つかりましたので、みたいな形で、本人から聞く と人間ドックなのか健診なのかわからない、というような場合であれば、発見経緯の 方は健診ないしは人間ドックになり、来院経路については、紹介状が書かれている主 体、人間ドックの機関なのか、それとも健康診断をされた結果として紹介を持って来 られたのかということを区別するという意味で来院経路は詳しく書いているというこ とです。  土屋座長 わかったようでよくわからないんだけど、来院経路で、先ほど先生が、 自分の施設で人間ドックを持っていたときの区別と言ったけど、よその人間ドックで 来たのも人間ドックにしますよね。  西本委員 そうです。  土屋座長 自院や他院かはここだけ見てもわからないでしょう。  西本委員 それはわからないと思います。ただ、人間ドックで来られたということ はわかりますよね。先生方がそこを区別する必要は全然ないんじゃないかということ であれば、それはそれで検討の対象かと思います。先ほどから申し上げているとおり です。  土屋座長 人間ドックの意味合いが どこまであるかという、調査票ではかなり細 かく記入されているが、私ども現場で初診でやると、大概、検診結果という票を持っ てきますので、人間ドックなのか、会社検診で委託されているのか、およその区別は つく。そこをカルテにいちいち記載しない。木へんの検診とにんべんの健診を区別し ないで使っている人は多いですね、現実には。  山口委員 これは一緒でいいんじゃないですかね、健康診断、人間ドックは。  土屋座長 自覚症状で自主的に受診される方なのか、検診をやってひっかかったの か。そのあたりは今後の政策にかなり影響すると思いますが、検診の内容を云々する ところまでの詳細なデータが集まるとは思えない。  武藤委員 そういうのは検診学会の仕事で、自分から金を出してやったのと、地域 でやったのと、どちらが効率がいいか。そういうことを出す。  土屋座長 この辺はむしろそこを専門でやっている学会に頼んでいただいて。検診 についての検討会も今並行して行われていますので、そちらで詳しく結果を見た上で 改めて考える。  160番、診断結果ですが、先ほどちょっと話題になりましたが、1新発生確診 2 治療開始後 3疑診 ということですが、これについて。  淺村委員 やっぱり「確診」という言葉は、全部に関係してくるんですけど、病理 診断がない場合でも、臨床像からがんであることが十分確かであると判断した場合は 「確診」と。十分確かであるというのは、かなり難しいところで、データをとるんで したら、その上の段にも書いてありますけど、組織学的あるいは細胞学的な診断があ るものと、そうでないものが分かれた方が有益なデータが得られるので、十分確かと いう主観的なものによるものまで確診に含めてしまう方がむしろ混乱を生むと思う し、後のデータも信頼性のないものになってしまうと思うんですね。同じ「確診」と いう言葉の使い方が統一的でないと、さっき言ったように、がんに携わっている臨床 医の通常の確診という概念は私が先ほど述べたとおりなので、むしろ混乱を生むので はないかと思いますね。  山口委員 先ほどの1から7のところで、7は確かに表現をもう少し、淺村先生お っしゃるように変えないといけないと思うんですが、これは臨床的にがんと診断され たけれど、診断根拠の1〜6のいずれにも属さないような場合、ということだと思う んですね。だから、そういうふうにもう少し明確に、要するに、疑診ではなくて、と にかくがんだと、主治医というか、担当医はがんと診断している。でも……。  淺村委員 1から6に該当しないでがんと疑う状況というのはどんな状況があるん ですか。  山口委員 逃げ道的にそういうものをつくったということなんですよね。それがな いと困るんじゃないかという。  淺村委員 病理、細胞診もなく、肉眼でもがんがなく、画像診断でもがんがないよ うながん、どこにどういうがんをイメージするのか。  武藤委員 そういうのが頻度が高いとなると、その病院は大きな問題があるという マーカーになりますね。そういう意味でつけたんでしょう、恐らく。だから、それが 確診というのはおかしいんでね。もっとも受け持ちはそう確信してるかもしれない。 それは診が違うんだよね。  土屋座長 ですから、今、淺村委員が言われたように、がんだというのが、がんを 臨床的に取り扱うというのは100%信じられるのは組織学的診断だけだと思うんです ね。臨床の現場では細胞診でポジティブであっても、これはかなり、何十%か疑いの 気持ちを持って診療を進めていかないと、極端な話を申し上げると、裁判で負ける可 能性がありますね。途中で撤回する例がいくらでもある。あくまで細胞診であって、 途中でこれは結核の変性細胞を見ているかもしれないというぐらいで、現場ではかな り慎重にやっていることでありますので、その辺、余計、腫瘍マーカー、画像診断で あっても臨床家にとってはがんという断定は躊躇されるということがあります。そこ にもってきて、得体の知れない臨床診断というのは、診療を進めて行く上でがんとい う診断名は、保険診断名、あるいはいろいろな面でつけると思います。検査の依頼票 にがんと。それと、本格的にがんと考えて治療を進めるというのはまた別問題であっ て、そこはここが微妙に絡んで来るので、そういうものを全部一括してがんだという 母数にしていいのか。あるいは厳格なデータをとるときに、組織診だけが選べるのか、 組織診プラス細胞診が選べるか。すべてのがんの疑いの患者も入れられるのかという 3段階がある。  西本委員 実は、このミニマムの項目とされて事務局案で出てきたところから350 という項目が落ちているんです。我々は必須項目として350の診断根拠という項目を 持っています。言葉を移したときに多分、確診が入ったりして、という部分がちょっ とあるのかもしれませんが、23ページを見ていただきますと、診断根拠という項目が ございます。そこには、1から7、そして、9不明もしくは顕微鏡的診断の不明、9 というのは、情報としてとらえられなかったという場合になってしまうかと思うんで すけども、そこに診断根拠のコードがあって、その点は今、土屋先生がおっしゃられ た診断の確からしさがどうであるのかということはここである程度ふるい分けられ る。  もう一点、診断日の部分については、確診という言葉はともかく、初回治療前の診 断の段階でどうだったかという分類ですので、臨床診断的に肉眼所見も出ていない、 放射線診断も出ていない、というような状況で、最初の治療前の診断が何となくこれ はちゃんと調べてみないといけないというような場合に、基本的に落とし込む場所と して臨床診断があるんだということで、実際には武藤先生おっしゃられたように、こ れが選ばれる状況というのは、あるべきではないということかと思います。  土屋座長 西本先生のそういう観点から言うと、これは診断時住所、診断日1・2、 それから今の診断結果は、ちょっと言葉を変えて伝えた方が正確に記載をされると思 うんですね。今おっしゃったように、がんとして治療を開始する直前に診断をつけた い。その診断根拠は何か、と聞けば、今の項目のとり方だと、記載する人によってま ちまちの結果になってしまう。  西本委員 書き方の問題としては当然、わかるようなもう少し明確な書き方をした 定義、そしてガイドラインに当たるようなものが必要だろうというふうには考えてい ます。  土屋座長 よろしいですか。次が170診断時指示。1入院治療 2外来治療 3外 来経過観察 4他院へ紹介 9来院中断。これは来院中断という言葉でもいいかもし れませんけど、9というのは大体不明でやっていますね。これは、その後の経過は不 明ではなくて、来院中断ですか。  西本委員 これは14ページに170の解説があるかと思うんですが、診断時指示が確 定する前に来院しなくなった場合に来院中断、ということになります。  土屋座長 他によろしいですか。よければ、200。  武藤委員 戻って160の1新発生確診という、新発生という、非常に目新しい言葉 なんだけど、意味はわかるけど、これは普通に使われている言葉? 一般の病理、臨 床なりで新発生というのは余り使わないですよね。どういう意味ですか、これは。  西本委員 基本的には地域がん登録でよく使われる用語ですね。地域がん登録の項 目ではよくこういう項目で出てまいります。要するに、まず一つは、再発と区別をし たいということです、ニュアンスとしては。ですから、再発は診断結果の中には入れ ない。治療開始後に入るんですね。再発を入れる、入れないについて当然議論のある ところですけれども、基本的には再発をここで選んでいただかないようにするために は、新発生という言葉が要るだろうというニュアンスだと理解していただいたらいい かと思います。  武藤委員 2は再発ですね。  西本委員 いえ、そうじゃないんです。再発でもどういう形で治療されたかがわか らないケースも当然ありますので、それはごくまれかもしれませんけど、治療開始後 に再発が普通は入っているということです。  土屋座長 我々は普通、初発例とか、新規とか、そういう言葉で、新発生というの は余り使わないですね。  武藤委員 私は聞いたことがないです。一般の外科医が入れるわけですから、これ は何じゃいなと思ってね。それは変えた方がいいと思うけどな。たとえ地域がん登録 でやられたとしても、全国の医者から比べたらごくマイナーですからね。少なくとも、 医学辞典に出てないと思うよ。  土屋座長 ここも、初発例、初回例にしても、確診という言葉だと、先ほどの画像 診断とかそういうのは入って来ないと思うんですね。  それでは、200部位コード(診断名)もしくはテキスト。17ページのがんの原発部 位をコード化する。原則的にICD−O−3局在コードで登録する。これはよろしい ですか。  西本委員 がん対策情報センターで院内がん登録について全国集計をさせていただ くという予定で我々準備を今進めているわけですが、問題はどういう形で全国集計を 行うかという点が組織論的に問題になって来ると思います。今回2006年版の改定に当 たっては基本的に、補助的にテキストを入れていただくのはいいんですが、原則はコ ードで出していただきたいというふうに考えております。もしもそうでない、フリー テキスト、ないしはテキストで入って来るとしますと、その分を誰がコード化するか。 つまり、標準的な形に誰が直すかという、そこのワークロードの問題が発生してきま すので、この点は実は組織診断を含めてですが、きちんと議論をしていただいた方が ありがたいと思います。  地域がん登録の場合は、コードで書かれているか、ないしはそれは難しいのであれ ば、フリーテキストの欄がもう一つ別にあって、そちらに書かれても結構です、とい う形でデータを提出していただくことになっています。その場合は、中央登録室の側 で各都道府県がコーディングをするという作業をしているわけです。  ですから、それをどこがするかということを含めて、例えば、厚生労働省の側で全 国集計に対してどういうふうにお考えなのかを含めて少しそこを明確にしていただき たいと思うんですけど。  矢島室長 実際に現場の病院、がん診療連携拠点病院は診療情報管理士は必置にな っています。そういう意味では、病院の中の体制、これから病院が動き始めて、今、 通知を出していますので、新しい病院が入ってくれば動き出しますが、問題は今ある 135の病院は2年間の経過期間がありますので、その間にそういう方たちを準備して いただかないと2年後には更新できません、ということになっていますので、それま でにはやっていただくことができると思いますし、これからのがん診療連携拠点病院、 いろいろな形で情報交換しながらやっていかなければいけないんですが、将来的には 部位コードの形でやっていただくということは大事なことだというふうに認識はして います。認識はしていますが、じゃあ、これを動かす段階でどこまでうまく行くのか ということの議論であるならば、テキストという形も今の段階ではやむ得ないのかな と。ただ、将来に向かっては、がん診療連携拠点病院との情報連絡が密になってくる と思います。その段階でなるべくコードで記入していただけるような方向に少しずつ 持っていけるような体制にしていければありがたいなとは思っております。  土屋座長 基本的には、すべてコード化した方が統計的な処理がやりやすい。19ペ ージに両側ある臓器が出ていますが、例えば、私の専門の主気管支・肺、この辺はい いんですが、統計局から出てくる疾病の統計には、気管・気管支がんというのはある けれども、肺がんという項目がないんですね。杉村先生から怒られていたんですけど、 胃がんとか大腸がんという項目はあるのに、どうして肺がんというのはなくて、がん センターが出してくる統計はみんな気管・気管支がんと書いてある。と言われて、つ い数年前からがんセンターオリジナルの表とか図には肺がんと書き直して出していた だいているんですが、恐らく、テキストが必要な部位というのは、そんなことが絡ん でいる部位が多いんだろうと思うんですね。これは小まめに見直してそういう齟齬が ないかどうか。それは語彙が転換できるのであれは転換するだけでコードでいただい た方がまとめるのに便利ということです。全部網羅しているのは間違いないと思いま す。  西本委員 基本的には、例えば、DPCを試行されている病院の先生方は御承知だ と思いますが、ICD−10、国際疾病分類の第10版に非常に近い形でICD−O−3 版というのがつくられています。ですから、国際疾病分類の派生分類としての腫瘍学 の分類がICD−Oですので、国際比較をする場合は、地域がん登録も含めてですけ れども、国際的ながん登録の中で使われているコーディングがこの部位コードであり、 それから組織学的なコーディングであるというような立場になります。  そして、側性の有無に関して地域がん登録は必須にしている一つの理由は、多重が んを判定するときにこの情報が欲しいんです。ですから、そのために参考資料で標準 項目として挙げさせていただいた中では、部位の側性という220のコードも残させて いただきましたし、地域がん登録のがんの標準票登録項目もそこが入っているわけで す。ですので、できることなら、右左わかる場合はそこも項目として入れていただく。 部位コード自身が確かに面倒くさいかもしれませんから、側性を入れる手間がどれぐ らい必要なのか。もちろん、どの部位で側性が発生するかという問題がありますけど、 そこのチェックは論理チェックできるわけですから、できれば、そこへの橋渡しの意 味で側性も残しておいていただくのはありがたいかと私は個人的には思います。  土屋座長 この点について、他に御意見ありませんか。よろしいですか。  それでは230ステージ(治療前)。これは参考資料があるんですね。各臓器によっ てUICCを使ったり、そうでなかったりということがありますが、原則、UICC を使ってほしい。ここはよろしいですか。  西本委員 原則UICCということですと、まざった場合に、UICCを使ってお られない施設は明示できなくなってしまいますよね。部位によっても違うかもしれま せんね。そのあたりを明確にしておかないと、とにかくどれでもいいんですよ、とい う形になると、ある施設からUICCで出てきて、ある施設からは取扱規約で出てく るということになってしまうかと思うんです。  土屋座長 参考資料1ですね。肺がん、食道がん、乳がんは問題なくて、肝がんは 取扱規約の方で、胃がんはUICCによる分類及び取扱規約による分類の両方を登録 している。両方登録しているのであれば、胃がんはUICCによればいい。大腸がん は、UICCによる分類を用いる施設と、取扱規約による分類を用いる施設がある。 これは大腸癌研究会の現時点での状況ですね。これはUICCをお願いすることがで きるかどうかですね、現実的に。肝がんは最初からUICCのUの字も出て来ない。 この辺の実態と、こちらからの要求をどうするかですね。武藤委員、大腸がんについ て。  武藤委員 大腸がんは翻訳できる表をつくってありますから、簡単にできるんです。 施設によって両方出しているところと、片方だけ使っているところとありますね。  土屋座長 この登録にはUICCでという要求を出せば済むと。大体は解決がつく と。肝がんだけは、日本の権威者が多いからなかなかUICCに行かない。肝がんを 除いてはUICCによる登録をお願いするということでよろしいですかね。  西本委員 もう一点、このステージを出す部位というのは限定をするわけですか。 参考資料を見ていただきますと、私どもが研究班の中で標準登録様式として提案させ ていただいているものについては、基本的にUICCのTMNステージについては、 いわゆる主要5部位、肺・乳・肝・胃・大腸、この場合、食道がんはちょっと別にな りますが、この5つについては出していただきますが、あとの部分については、例え ば、血液がんを含めて、いろんな分類がありますので、出しきれない部分があるので、 これは今のところはオプション、出せるところは出してくださいと。ですから、全国 集計もその部分については、今のところはいたしませんというスタンスなんですね。 ですから、そこは少し明示しておかないと困られるのではないかと思います。ですか ら、この5部位についてだけなので、できれば、今後のことも考えて、それから、例 えば、UICCに関して言いますと、DPCの中では調査票をUICCで出していた ことになっておりますので、もちろん全部がDPCの適用病院ではありませんけれど も、そちらの方向で出してください、というような形でお願いできれば、と思います。  土屋座長 肝がんを除いてはUICCで大丈夫なんでしょう。肝がんは今から要求 してもとても無理でしょう。  西本委員 いえ、ほかのがんでしょう。  土屋座長 ほかのがんはもちろん、この5部位以外のがんについてはオブションと。  淺村委員 子宮なんかは出ますよね。  土屋座長 これは主要5部位という、班の方で決めたんですよ。  西本委員 当然、出していただければ一番いいんですが、均てん化の検討会の中で 5部位をまずやりましょうというふうでしたので、子宮についてはありません。ただ、 FIGOの分類はほとんどUICCとは一致しています。  土屋座長 検討会に逆らうようで申しわけないんですが、むしろ、がんとついたも のは全部登録しちゃった方が、この5つを選んでやることの方が実務上の作業は面倒 くさいというか、これは入っていたか、入っていなかったか、というよりも、当院の がんについては登録しちゃって、後から実数についてはじき出す方が実務上楽じゃな いかと思いますね。数が多くなればなるほどそういうわずらわしさがふえる気がしま すけど。  ステージについてはこの5部位について要求する。がんについては、むしろまぎれ 込んだら、まぎれ込んだ中からほかのものをはじいて主要なものについてデータをと る方が先じゃないかという気がしますけど、いかがでしょう。  西本委員 登録自体は基本的に全悪性新生物ということになります。  土屋座長 よろしいですか。それでは、ステージについては5部位の、4部位につ いてはUICC、肝がんについては取扱規約と。  西本委員 もう一点ですが、先ほどから申し上げているように、地域がん登録との 連携をどう考えるかという問題がやはりあるんですが、地域がん登録の側は基本的に、 ステージ、それからTNM分類まで拾えないケースが多いので、22ページに310とい う項目を立ててありますけれども、進展度という分類を今までもずっと採用しており まして、0上皮内 1限局 2所属リンパ節転移有り 3隣接臓器への浸潤有り 4 遠隔転移有り という分類をしていただいて、その進展度でがんの進行の状況を把握 するというような形で行われておりますので、問題はそれをこの必須から除いて、そ れでも入れてくださいというスタンスであればそれはそれでいいと思うんですが、地 域がん登録に出す段階でまた情報をとらないといけないということになってしまいま す。ですので、その点を少し御議論いただきたいと思います。もちろん5部位につい ては、変換ができるテーブルはつくられております。ですから、UICCの分類、T NMが書かれていれば、それによって進展度は変換が可能ではあります。  土屋座長 これは2006年度版には欠けているんですが、2003年度版の21ページに 変換表があります。これは私、昨晩見たんですけど、肺がんのところは間違っていま すね。  西本委員 その資料がまだ完全に修正されている資料ではないので、少しずれてい る部分はあると思います。その辺、もちろん修正した上で変換表は、2006年版では外 したんですけど。  土屋座長 こういう進展度というのが、地域がん登録をやっている人だけの分類法 で、ほかには全く使ってないんですね。  西本委員 でありますけど、今までそれでずっと登録をされている部分があるわけ です。今までの分は、と武藤先生おっしゃいますけど、比較性という意味から言うと、 できることならこれをとれる方が状況的には今までの時系列の流れがどうかというこ とも含めてとらえられるのではないかというふうには思います。  土屋座長 現場の負担としては、無駄なことをやらされてるという意識になると思 うんですね。むしろ、コンピュータで転換ができるなら、勝手に転換してくださいと いうのが現場の声じゃないかと思いますけど。  西本委員 5部位については変換できるんです。ほかの部分について、進展度を記 入していただきたいということです、少なくともです。  土屋座長 どうですかね。TNM分類を要求しないで、進展度を要求するというの は、何か本末転倒のような気がしますが。  淺村委員 ほかの、これに当てはまらない種類の腫瘍もありますしね。これは固形 がんのこういったものを対象にしたものだと思うんですね。リンパ腫にしても、オー ソリティテューマに関しては全然当てはまらないので、これは私は要らないんじゃな いかと思いますけども。  土屋座長 浅村委員、TNM分類の委員会では、進展度というのは話題になります か。  淺村委員 ステージがあれば、基本的には要らないことなので。ステージはこれを 具現化したものですからね。  土屋座長 肺がんなんかを見ても、一時代前に問題になったN3の解釈をどうする か、その辺、10年ごとにUICCを見直すのにたしかにステージが変わりますよね。 TNMの個別のファクターは同じだけれども、組み合わせのステージを変える。それ はまさにステージというのは進展度ですから、それが時代とともに変わる。私は肺が んに関与していますけど、なるたけTNMの個別のファクターは変えないで、ステー ジ分類の組み合わせを変えるということで、過去から現場に基づいた提案でステージ も変えていくというのが基本ではないかと。  淺村委員 この進展度というのは使われてきたかもしれないけれども、例えば、2 より3の方が進展しているがんかというと、あながちそうとも言えないわけです。3 でリンパ節転移がないものの方が実際に予後がいいので、0から4に向かって進展し ていくとは必ずしも言えないところもあるので、重要性は余りないんじゃないかと思 うんですけど。  武藤委員 臓器によって違うんですよ。管は使っているんです、特に胃がん、大腸 がんは。最近、だんだんステージが出てくるようになったのは、それによって化学療 法をするか、しないかというのが出てきたので、臨床の現場ではやっています。それ でも基本的には、進展度分類というのは必ず出ていますね。ですから、使うところは 出していただいて。これが重要なことは、データを集めることじゃなくて、それをど う利用するかということで、大腸癌研究会で全国登録をやっていますけど、全く備蓄 ばっかりして何も使われないというのが現状で、今までのは、胃がんもそうですし、 すべてそうなんですよね。ですから、こういうことに参加するということに基本的な 意欲をなくしているのが重要なポイントなので、これからは集めた以上、それをどの ように利用するかというのをぜひ考える必要があるんです。考えていらっしゃるけど、 過去においてはそれはうまく利用されていなかった。ですから、使うところと使わな いところである程度差ができてもしょうかないんじゃないですか。もともと使ってな いところに出せと言っても出て来ないし、データを出しても余り興味を示さないとい う面がありますね。その辺はもっとプラクティカルに考えた方がいいんじゃないかと 思うんですね。  土屋座長 そういうのを予測すると余りあてにならないということばっかりになっ ちゃうんです。  武藤委員 面倒だからこの辺にパパッとやっちゃおうとか。  土屋座長 きょうの話題ではなくて、臓器がん登録で、浅村先生頑張ってくれて、 肺がんのを94年のを7000名近く登録をやって、ステージのデータを変えるようなデ ータを出しているんですね。恐らく2009年の改定にはそのデータが採用されてステー ジが変更されるだろうということで、この辺もそういう利用をされて後で患者さんの 予後の予測とかに役立つようなデータでみんなで汗をかこうというのが基本じゃない かと思います。今、武藤先生が言われたように、こちらの分類が旧来の進展度でもよ ろしいということであれば、それについてはもちろん登録していただく。その辺もう 少しこまめにグループ別に解釈してもらうといいと思います。よろしいですか。  それでは続いて、340組織診断名(フリーテキスト)、原則はコードを使うわけで すね。フリーテキストでもよろしい。  西本委員 コーディングを誰がするかという問題が当然出てまいりますので。  土屋座長 これについて、御意見ありますか。  武藤委員 病理学会で決まってないんですか。  土屋座長 各臓器ごとにWHO中心で、多少モディファイしている学会はあります けど、WHOに従っているところが多いと思います。  西本委員 病理のシステムによってはSNOMEDを使っています。ですから、S NOMEDとそれから今のWHOのICD−O−3、両方あるわけです。できるだけ ICD−O−3で出していただくということで標準化が図れるのであれば、要するに、 今フリーテキストという文言が仮に残るにしても、可能であればICD−O−3のM コードを使っていただくという形がいいかと思います。  矢島室長 200番と同じような形で、そのような形にさせていただきます。  土屋座長 続いて3つ、460、550、560で、外科的治療の有無、放射線治療、化学 療法、それぞれ……。  西本委員 一ついいでしょうか。外科の先生が多いようですので、例えば、この今 の形ですと、治療前のクリニカルステージですよね。治療されて、要はパソロジカル のステージが出ているケースは、せめて推奨としてパソロジカルステージを入れてい ただく必要はないでしょうか。つまり、外科治療をしているケースにおいては、パソ ロジカルなステージの方が当然確実なわけですから、それをある程度とらえられない と、治療成績を含めて、統計をとっていく上においては、余りよい結果にならないの ではないかと懸念いたしますけど。  土屋座長 私も元外科医ですけど、10年前の外科医の議論がそれだったんですけ ど、今はむしろ、外科医も治療前のステージングでも生命曲線を書いて、それをもと に患者さんに説明をするというのが基本になるわけです。病理になると、うちもステ ージマイグレーションがあって、外科医としては大変カンフォタブルな追跡になるん ですけど、それをお見せして手術の説明をするというのは逆ではないかというのが一 般的な外科系の解釈だと思います。病理学的な勉強をするという意味ではパソロジカ ルなステージングというのは今でも大事なもので、その先どういうふうな発展をして いこうかということであると思いますけども、患者さんへの還元ということから行く と、クリニカルステージにかなり重きが置かれるというような現状だと思います。浅 村先生、どうですか。  淺村委員 土屋先生の意見と変わらないですね。こういうセッティング概念にPの パソロジカルステージは余り意味はないんじゃないか。だって、一方で確信のないよ うながんまで含まれるポピュレーションですね。だから、外科治療を受けた者につい てのどうこうというのは出てくるかもしれない。多分そういったのは臓器がん登録で カバーすればいいんじゃないかなと思いますけど。私は余りPは必要ないと思います。  土屋座長 恐らく、この院内がん登録が臓器がん登録とリンクすると、その辺はか なり細かく分析していくようになると思うんですね。できれば、院内がん登録のミニ マムリクアイアメントが満たされる施設は、臓器がん登録で各学会と全部リンクして 下にぶら下がるというようなことを推奨していただくと世界に冠たる登録システムに なると思うので、決して私は反対はしないんですけども、この義務づけのところに最 初から行くと、余りにも重くしちゃうと、かえって参加が危ぶまれるようになる。む しろ最初の出だしのところの登録で、後は予後を調査すればその部位のミニマムぐら いにしておいて、その後、研究あるいは、さらにアグレッシブにやっていこうという ときには臓器がん登録の方に移行していくというのが望ましいかなと思います。武藤 先生、いかがですか。  武藤委員 同感です。  西本委員 臓器がん登録に関しては、要するに、院内がん登録の側と、共通の合同 班会議を持ってできるだけ項目として共通項をちゃんと入れていきましょう。院内が ん登録で登録されている部分についての情報は、臓器がん登録に出せるような形のや り方、仕掛けをつくりましょうと。ですので、全体の流れから言いますと、院内がん 登録をしていくことで、地域にもデータは出せるし、臓器別のがん登録の側にもデー タの提供がある程度できる。そういう位置づけの中で、院内がん登録の、きょうはミ ニマムというお話をされているというふうに私は理解していますけども、できること であれば、我々が出した標準登録項目までやれる施設はそこまで進んでいっていただ きたい。それができるようになれば、そこの施設からは臓器がん登録に関するデータ というのは院内がん登録とリンクした形で出せるような仕掛けになっていくと思いま すので、基本的にはそこはリンクしていくという、土屋先生がおっしゃった流れにな るというふうに理解しています。ですので、ミニマムにこれだけ必須と決めていただ くのはそれでいいかもしれませんが、拠点病院というのは、スタートはこれでいいか もしれませんが、臓器別のがん登録をされている先生が多い病院で、がん診療に特化 してやっていくというふうにお考えの病院に関しては、標準登録項目をできるだけ入 れていただくように努力をしていただく、という文言は最低限入れていただかないと いけないのではないかと思います。  土屋座長 TNMをここの段階で答える必要はないだろうということはあるんです ね。必要なのはとりますけど、必須で重くすると、参加施設はかなり項目を満たさな いまま提出するということになる。臓器がん登録をやったときも苦労して1万いくつ 集まったけど3000ぐらい落ちちゃうということになりましたから、そこはミニマムで どうなる。しかも、質の高いもので、しかも患者さんに還元できるというところが一 番大事じゃないかと思います。  それから、最終生存確認日、死亡日。これは間違えることはない。よろしいですね。  それでは大分急いでやってきましたが。  山口委員 すみません、ちょっと前に戻ってよろしいでしょうか。340の次に、先 ほど、350がないね、という話があったんですが、診断根拠、これはぜひ入れた方が いいのではないか。350というのはきょう配っていただいた2006年版の23ページで、 組織学的な診断がなされているかとか、そういうものが1番から順番になっているコ ードなんですが、これがあった方がいいのではないかと思います。  土屋座長 そうですね、100、130、140の根拠となるものが表に出て来ない。これ はいかがでしょう。私も賛成です。これがないと、診断日1、2が確認のしようがな いということになる。よろしいですか。  武藤委員 書いてある内容をちょっと検討していただかないと。それから、恐らく、 画像診断はPETも入っているかもしれないし、PETCTも入っているとか、その 辺の具体的なことを追加しておく必要があろうかと思います。  山口委員 もう一つは、ちょっと細かいことかもしれないんですけど、170番の診 断時指示という、これって、例えば、診断時指示は外来治療をしましょうって言って、 でも患者さんが、ほかの病院に移りますとか言って、来院を中断してしまったりする 場合とかありますよね。この指示っていうのは具体的に、実際に何をやったかではな くて、何を指示したかということですか。やったと指示したと、違う場合があり得る と思うんですけど、どっちですか。  西本委員 この部分については、やったというふうに、初回治療の段階で、入院で やった、外来でやった、というふうに理解していただいた方がいいと思います。  山口委員 診断時指示という日本語が適切じゃないと思いますね。  西本委員 そうですね、はい。  淺村委員 それから、160の診断結果。結果が治療開始後という、これも日本語が ちょっと変ですね。  西本委員 イメージとしては区分の方がよろしいんじゃないかと思います。  土屋座長 160は、あるいは、130、140、150の文言をちょっと考える。  山口委員 もう一点あるんですけど、全体の項目の記録が最終的にいつアップデー トされたかという日付が大事だと思うので、一番下かなんかに最終更新日ですか、そ れをぜひ加えた方がいいと思います。  土屋座長 そうですね。これは実際上はその項目がないと、コンピュータでやれば 記録がコンピュータには残っていますけども、目に見えるように表に出すということ。  今、山口先生に指摘されて気がついたんですけど、170番というのは、ほんとにど こまで必要かなという気がちょっとしてきましたね。外科的、放射線、化学療法を行 うということはたしかにありますけど、今、臨床上の話題は、外来化学療法とかそう いうことがありますけれども、果たして、こういう聞き方でそこまで把握ができるだ ろうかという。  西本委員 この項目の一番大きな目的は、生存率の解析対象にするべきか、するべ きでないかというところにあります。ですので、実際に治療されたかどうか、そして、 他院に紹介をされたり、その後の経過がわからなくなったりしていないかどうかとい う点で、区別をするというような目的があります。もともとはアメリカ流に180番、 14ページにございますが、症例区分という形で、診断のみの症例、診断並びに初回治 療に関する決定・施行がなされた症例、他施設で診断確定され云々とあります。こう いう項目を立てていたんですが、この部分について、こういう場合はどうでしょうか、 こういう場合はどうでしょうか、と質問が非常に多いので、もう少し分けて、得られ やすいような項目を残した。もともとの院内がん登録の研究班で検討した内容では、 160、170をペアで登録していただくか、ないしは180の症例区分のところで登録をし ていただくか、どちらかを選んでくださいというふうにお願いしていた項目です。た だ、180の質問が多いので、こちらの方をオプションに落として、160、170を残した というような経緯です。  土屋座長 今の最終目的が生存解析なんかに使われる症例かどうかということから 行くと、外科が放射線療法の治療をしたか、しないかという項目があると、この対象 患者についての予後はどうだった、あるいは全体母数がかかっている患者全体ではど うか。これらの積極治療から外れた者の予後はどうなのか、ということの方が簡単に 示せるような気がするんです。170の分類で、入院か外来かという区別は今や余り意 味がなくなって、他院への紹介を行っている、これで何が還元できるか、ちょっと疑 問に思ったもので。  西本委員 そこの部分については、今の3項目だけで、がんの治療の3本柱は460、 550、560でカバーできていますけど、ほかの治療については網羅できてないんですね。 それと、もう一点は、この部分というのは、例えば、診断だけをして経過観察をして いる患者さんも基本的には解析の対象に含めて考えようという区分で、これは実は全 がん協がそういう形で今データを出しております。ですから、その部分を含めてやり ましょうと。ないしは、外来経過観察になりますと治療してないわけですから、その 部分を除いてどうなるかというデータも区別してとれる。ですから、入院治療、外来 治療を分ける必要がないとおっしゃるのでしたら、要は、初回治療をしたか、それと も外来で経過観察をする形にしたのか、他院に紹介したのか、患者さんが来られなく なったのか、という分け方でもいいかもしれません。  淺村委員 入院して何もできない人ももちろんいるわけですね。これは、入院、外 来と治療したか、しないかだけを言うと、それだけでほんとは2×2で4つあるわけ で。  土屋座長 ちょっとこれは意味づけがわからない。外来でがんと診断はついたけど、 経過を見てるという患者さんがどれだけいるか。例外的にはいますけどね。研究で昔、 療養所でそういうのを調べたことがありますね。国立療養所で肺がんの患者さんで、 治療を受けない方というので、生命曲線を見たら2年以内に全員亡くなったというデ ータが確か20年ぐらい前に発表されていますけど、そういう研究目的以外に何か役に 立つかなというのは、ちょっと疑問が。そうすると、他院へ紹介、その他も全部ひっ くるめて、積極的な治療以外のデータをとると、積極的治療をしない場合にこういう ステージングで診断がついたのはどうか、というデータはもしかして意味があるとい う気がしますね。かなり微に入り細にわたって、になってくるとまた別ですけれど、 という気がしました。ちょっと御検討を。山口委員に指摘されて、気がつきました。  山口委員 また細かいというか、混乱を避けるために、460、550、560、これは既往 も含めるんでしょうか。当該医療機関での治療ですかね。明確にしておいた方が。  西本委員 これは初回治療情報ですので、一連の最初の初回治療として行ったかど うかという形で我々は提供しております。ですから、自施設で、です。  山口委員 自施設ってどこかに書いておかないと、既往が含まれるかどうか、ちょ っと混乱すると思いますね。それから、この3つがあればいいのかもしれないけど、 その他はなくていいんですかね。その他の治療ってありますね。  西本委員 今回、2006年版では、その他の治療というのを、ほかの項目もたくさん ある中で追加しました。今後、いろんな治療がふえてきますので、その他治療をとり あえず入れておかないと、そこにさかのぼってみていけない可能性ももちろんありま すので、その他治療を入れておいて、将来的に、その他治療がふえてくれば、何がふ えているのかということを調べる必要は当然出てくると思います。  淺村委員 初回の診断がついた後の治療というのが結構最近多いと思うんですが、 外科切除をした後アジュバンドをやるという場合は、これは両方に○がつくわけです ね。それで、通常あとケバリジュンとか、どちらか決められないものもあると思うん だけど、主たる医療資源を注ぎ込む治療方法がどれであったかというのは、知る必要 はないんですか、むしろ。例えば、外科のアジュバントという場合、基本的には外科 切除のアウトカムと考えるべきもので、化学療法のアウトカムという結果からもしそ ういったものが出てくると多分これで間違ってくると思うんですね。  土屋座長 DPCの概念が外科医に浸透してきた。その辺が加味できると解釈はし やすい。なかなか難しいね、これは。一応、どういう治療を受けたか、総数を把握し て、その上でそういう細部を見る。西本先生、逆らっても申しわけないけど、その他 の治療の有無を聞くと、170はなくてもかなりさっき言った目的は達せられるような 気もしてきたので、その辺も含めてもう一回御検討願えればと思います。何をやりた いかで聞き方でここは一つにまとめられるかなという気がしてきましたけど。  武藤委員 最後の死亡日ですけど、死因について、がん死なのか、そうじゃないの か、これはなかなか難しいんですけど、実際そういうことがわかっているか、その辺 もちょっと入れる。それが必要じゃないかということと、死亡日の確定を一体どこで 調べたのか、ちゃんと本籍で調べたのか、あるいは親戚の大体いつごろということで 調べたのか。そこら辺は実際的に難しいと思うんですけど、それはどうするんでしょ うか。  西本委員 本来私どもが出した案の中には720調査方法という項目がございます。 そこには、来院情報、死亡退院情報、役場照会、地域がん登録情報、という項目があ って、そこで確からしさを区別しようということで、これを全国集計の対象にしよう としています。死因については、自施設でお亡くなりになった場合はわかるんですけ れども、他施設でお亡くなりになった場合、死亡診断書なり、紹介の情報とかがあり ませんと、拾いきれないのでオプションに落としたという経過があります。もちろん、 わかるのであれば、それは入れていただくのにこしたことはないんですが、必須にす ると多分網羅できないのではないかと考えて、オプションにしました。ただ、先生お っしゃるように、720の調査方法等についてはできれば残していただく方がそこのと ころがはっきりすると思います。  武藤委員 わざわざ調べてなくても、例えば、不明というのが70%あるのか、30% なのか、これは一つの立派なデータでしょう。実態がわかりますね。そういう意味で、 必須じゃなくてわかっていれば、つけておいてもらうというのは情報として意味があ るんじゃないかと思います。  それからもう一つ、死亡日を実際に調べるのに、どういうことを期待するのかしら。 先ほどお話があったように、戸籍を調べるのが一番確実ですけども、個人情報保護法 では大丈夫なのかな。なんか面倒くさいんですよ、とても。登録して役所がオッケー してくれればいいらしいんだけど、役所がその法律を知らなければなかなかできない ということがあるんです。  西本委員 法務局の許可がないとできません。それともう一つは、本籍地を最初の 段階で把握していませんと、どこに照会をかけていいかわからないことになります。 その部分の問題があって、研究班で推奨している方法の一つは、自施設だけで調べよ うと思えば、住民票照会しかない。ただ、これは今のところ個人情報保護法を盾にな かなか知らせていただけないケースがありますので、そこは厚生労働省の方で御尽力 いただきたいと思っているところではございますが、それ以外の部分は、地域がん登 録の側は死亡に関しては把握していますから、その死亡の部分を地域がん登録から還 元させていただくという枠組みがつくられれば、その地域の中で亡くなられた方に関 しては情報がいただけるということになると思います。  土屋座長 全国区になると大変ですけど、東京都でしたら還元すれば。私どもは、 最近の状況はわからないけれども、以前は本籍地調査をやってもらえたので、調査課 に一覧表を出しておくと、大体2週間以内に死亡日が把握できた。そういうのは各役 場で機能していてくれれば問題はないと思いますが、今言われたように抵抗されると、 せっかく今まで100%追跡できたところでもぐあいが悪くなる。  武藤委員 実際に今135の拠点病院では死亡日の調査は簡単にできるんですか。実 態はどうなんですか。それができなければ、情報を整理してみなきゃわかりやしない じゃない。 西本委員 ですので、生存確認、予後情報のところで生存なのか、死亡 なのか、生死不明なのかという項目も立てた上で日付を入れていただいて生存率を出 す。ただ、要するに、この場合に生死不明率が非常に高ければ、そのデータの生存率 は余りあてにならないことになりますので、それも含めて解析していくことになると 思います。  土屋座長 確かに二次医療圏を中心とした拠点病院、地域での都道府県からの還元 がしてもらえれば、かなりはカバーできると思いますけど、問題は全国的な病院です ね。癌研は今本籍地調査はできるんですか。  武藤委員 少なくとも、できないから困るとは聞いてないから、やってるんじゃな いでしょうか。  土屋座長 たしかできるようになっていると思います。それは各病院の調査課ない し、病歴室で御努力いただいて、役場と連絡をとっていただく以外、死亡日しか無理 でしょうね。生存確認は、私ども電話をしたり、手紙を書いたり、かなり皆さん苦労 していると思いますが。外来に通っていらっしゃる方はいいですけども、地方へ戻ら れた方の生存確認はかなり苦労すると思います。  大変駆け足でやってまいりましたが、時間をちょっとオーバーして申しわけありま せんが、その他、ございませんでしょうか。よろしいですか。  では、最後事務局から。  西本委員 最後に一つだけ確認させてください。あくまで今回御議論いただいたの は、がん診療連携拠点病院における院内がん登録の必須項目、ミニマムの部分である という認識を私持っておりますけども、その辺は共有させていただいたというふうに 考えてよろしいんでしょうかということが一つ。もちろん、スタートですから、当然、 全部網羅してというのは難しいので、できればこの何年かの間に、その部分を標準項 目に近いものを、もちろん、今後班の中でもきょうの御意見を伺った範囲を含めて、 登録しやすいものをどうしていくかという議論は深めていくつもりでおりますし、ま たそういう情報も還元をさせていただくつもりでおりますけれども、この標準項目、 それから、できるのであればオプション項目まで一応立てておりますので、そこの部 分を登録できるところはできるだけやってほしい。そして、今、標準項目として我々 が提示させていただいた項目もできる範囲で提出していただく。登録していただくと いうような理解でよろしいのかどうか。そこだけ御確認をいただきたいと思います。  土屋座長 私が答えるべきかどうか、基本的には先生おっしゃるとおりだと思うん ですね。ただ、問題は確かに班研究として出されたのが基本で、本省から通達が出て いるのは私も十分承知しているんですけれども、これが私ども現場から見ると、臨床 サイドの意見をもうちょっと聞いて、地域がん登録の方も考え直すところは考え直し ていただく必要があるんじゃないか。院内がん登録、地域がん登録がリンクして、的 確で正確な情報を提供するというのが患者さんの期待に応える一番の真理といいます か、目的だと思うんですね。したがって、研究班をけなすわけではありませんが、メ ンバーを見ますと、統計、疫学の御専門家は網羅されていますが、もうちょっと現場 から研究班でまとめるときにメンバーに加えていただいて、現場の状況をもうちょっ と把握していただいた方がいいんじゃないか。そうしませんと、先ほど武藤委員から 御指摘あったように、余りにも臨床から離れた用語を使われても、食い違いを生む原 因になると思うので、そうしますと正確なデータがとれないということになりますと、 国民全体の悲劇につながりますので、ぜひ次回以降、その辺を加味して御検討いただ く。皆さんが向かうところ、敵はがんであって、臨床家と疫学家がにらみ合うのが目 的ではありませんので、お互いに十分協力できるような形でお話を進めていただくの が、今回2回の議論で一番感じたところなので、ぜひお互いがよく理解して、なるべ く負担もなく、それで正確に迅速に結果を国民に届けられるというところを目指して いけたらと思います。  今後の方針と課題というところは議論がまだ残っていますが、一旦事務局にお返し します。  村重補佐 いくつか、資料2にあります項目の中でもっとこれを加えた方がいいん じゃないかという項目と、要らないんじゃないかという項目とございましたので、そ のあたりはそれぞれの項目の細かい定義ですとか、よりわかりやすい言葉に変えると いった議論を今後さらに検討していただくということで、拠点病院で行うミニマムの 必須項目ということでは、ここで大枠は合意いただいたということでよろしいでしょ うか。  土屋座長 よろしいですか。結構です。そうしたら、今後はこれを受けてどういう ふうにされますか。  村重補佐 拠点病院の指針に合わせて早急にこちらの項目を通知で出したいと思っ ております。併せて、きょう残りました議論、項目の部分、定義の部分といったよう な細かい議論をさらに進めていただくということと、今後の方針と課題という議論が まだございますので、こちらも併せて進めていただきたいと思います。よろしくお願 いします。  土屋座長 きょうの議論をおまとめいただいて、調査項目を整理して各施設で早急 にできるように御準備を願えればと思います。  その他、御意見ございますか。よろしいですか。  それでは大変長時間にわたって御協力ありがとうございました。事務局は大変でし ょうけど、今後ともよろしくお願いいたします。  矢島室長 どうもありがとうございました。                                    (終了)