06/03/23 第11回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録       今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会(第11回)             厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第11回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2006年3月23日(木)13:00〜16:00 場所:厚生労働省専用第16会議室(13階) 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、上廣委員、小野委員、川崎委員、後藤委員   菅野委員、高橋委員、前橋委員  事務局   山本虐待防止対策室長、太田児童福祉専門官、内山総務課長補佐   川鍋総務課長補佐 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:   資料1 第10回研究会における主な議論の概要   資料2 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会報告書(素案) ○山縣座長  それでは、第11回の研究会を開催したいと思います。年度末のお忙しい時期にお集 まりいただきましてありがとうございます。基本的には、今日で最終回ということにな ります。その辺を踏まえ、忌憚のない意見を交換できたらと考えています。よろしくお 願いします。  早速ですけれども、事務局から出席状況等をお願いします。 ○内山総務課長補佐  本日は岩佐委員、江成委員、佐藤委員、関根委員、濱田委員が所用により欠席です。 小林委員におかれては所用により遅れ、一部分の出席になりますのでご了承いただけれ ばと思います。  今回の議題ですけれども、研究会報告書の取りまとめについてです。配布資料ですが、 お手元に資料2というものがあると思います。資料2は報告書(素案)ということで委員 の方々には先週の段階でいったんお送りしたものがあり、それに委員の方々からいただ いた意見を溶け込ませた形で、今日再度配っております。先週の段階で郵送したものか らの変更点は、赤字が入ったものです。それらをすべて現段階で溶け込ませたものが、 少し字の大きな形になっている資料2報告書(素案)で、赤字が入っていないものになっ ています。  今日は最終回となりましたので、この報告書(素案)についてご議論いただいて、また、 本日の議論を反映させた上で最終的な取りまとめという形にさせていただきたいと思い ますのでよろしくお願いします。 ○山縣座長  今の説明にありましたように最終回ということになりますけれども、すでに先週でし たか、事前にメール等で素案を提示させていただいております。それを踏まえて修正箇 所を示したものと、現在における完成版という二つの資料を準備しております。修正の 方を見ますと、結構単純な文字の間違い以外にも内容に踏み入ったところが若干あるよ うですので、その辺の確定も含めご意見をいただきたいと思います。非常に大部になり ますので、できれば幾つかのパートに分けて進めていきたいと思います。  とりあえず最初は「1 はじめに」と「2 都道府県(児童相談所等)における児童家庭 相談機能の強化」の辺りについて、事務局から簡単な修正点のポイントなどをご説明い ただけますでしょうか。 ○内山総務課長補佐  「はじめに」と2番の「都道府県」ですけれども、基本的には夏にまとめていただい た「中間的な議論の整理」、それから、それ以降の議論を反映させたことが大きな点です。 もう一つは、各ブロックごとに実践例という形で、先進的な取組を入れ込んでいます。 あと幾つかあります。例えば、3ページの終わりから4ページの頭にかけての児童福祉 司の配置の件ですが、下線を引いた上で(P)という形にさせていただいております。ここ は、この研究会としてどういう書き方にするのが一番望ましいかを、もう少し議論して いただければと思った所です。事務局でもどう書いたら良いか迷った所ですので、そこ のところは改めてご議論いただければありがたいと思っています。そのように(P)が幾つ か出ています。例えば6ページの上の方ですけれども、児童福祉司や児童心理司の専門 職採用の議論が出ていましたが、「望ましい」のか「必要である」と書くのか、その辺り をどのような表現にするかもご議論いただければありがたいと思っています。1と2の 所は大体そのようなことです。 ○山縣座長  ありがとうございます。特に下線が引いてあって(P)、ポイントとか論点とかそういう 意味でしょうか、そこについてはこの文言で良いかどうか若干ご意見をいただいて詰め をお願いしたいと思います。  いかがでしょうか。これまでの経過の中で、例えば最初の(P)の所の児童福祉司の配置 についてですが。人口以外の要素で議論してきたものは、問題が幾つか出ていましたね。 ウエート付けと言いますか、そんな感じのもので、相談内容によってやったらどうかと か。私の記憶に間違いなければ、民生委員の配置は母子家庭数とか。いろいろなものを 少し組み込んで配置基準をつくっているということで。ここで言うと虐待とか非行の量 とか、あるいは今厚生労働科学研究で一部の先生方にやっていただいているような問題 ごとのケースのウエート付けみたいなものがありましたよね。どれぐらいの重みになっ ているかを加味したようなもの。例えばそういうことではないかと思います。  いかがでしょうか。その辺は、一番実践的な児童相談所の現場にいらっしゃる方々が 良いのではないかと思うのですが。今、ケース数と児童数という二つのことを言われて いますが、国の方で計算をしていただいた結果、正確には覚えていませんが、確か人口 数と児童数はあまり変わらなかったと思います。そこに児童数の要素、18歳未満の要素 を組み込んだとしても、人口数そのものとあまり変わらなかったから、これは入れても よいけれど、結果的には大して意味や効果を持たないということでした。ケース数は計 算していませんから、各児童相談所の相談件数の差を見ると、恐らくこれはある程度差 が出てくるのではないかと予想できます。 ○川崎委員  やはりここのポイントは、その前に書いてあるように法改正があったとしても、つま り市町村が第一義的に相談を担うとしても、児童福祉司の不足は深刻なのだということ。 ですから充実が望まれるということがポイントなのです。その「例えば」というのは、 細かく言えばあまり意味がない表現なのです。つまり児童数や件数を基準にしたからと いって、即、充実につながるとは言い切れないわけです。ですから配置基準としてこう いうものを要素にすることは意味があると思うのですけれども、充実するときにこうい うものを基準にすれば充実できるということではないのです。  ですから、こういうものを標準とするのは一つの考え方として有効だと思いますけれ ども、問題は充実するというところにある。ここの部分に関して言うと、その配置の基 準としてはこういう形で考えていくことも検討すべき、検討したらどうかということだ と思うのです。  ですから良いとか悪いというよりも、これは一つの考え方として提示していくべきも のであると思います。 ○山縣座長  これ以上具体化する必要はない。この程度の表現で良いということですね。 ○川崎委員  「例えば」という言葉が引っ掛かっています。変なところが引っ掛かって申し訳あり ません。 ○菅野委員  私どもの児童相談所の場合は年度変わりで担当を決めていくわけですが、そのときに どんな基準でやっているかというと、その前年度の受付の状況、その辺から大体担当エ リアを決めているニュアンスがあります。現実問題として、その中に要素としてもう一 つ入れなければならないのは、先ほどおっしゃっていただいたように、それぞれの相談 の中身によって労力が違うということです。その辺のウエートを加味してケース数と相 談の中身、それで前年度実績という形になると思うのですが、そういう形で地区担当を 決めていくことが必要だという気がします。でも、やはり人口というのが一番わかりや すいです。説明もしやすいですし、わかりやすいですから。そこに今度は相談の中身・ 重み付けという要素を加味していただけると良い。すごく忙しい児童相談所の場合、相 談件数の多い所にはたくさん人がいるということになると思います。 ○上廣委員  私も相談件数でやったらどうかと思ってやってみたのです。三重県の場合は児童相談 所管理システムというものがあり、コンピューターで相談件数等を管理していますので、 受付件数をカウントする場合、新規ケースと継続ケースと再受付というのが出てくるわ けです。それを個人別で出してみたら、菅野委員がおっしゃったように、例えば重いケ ースを1ケース持っている人と、軽いケースを10ケース持っている人はやはり違うの です。だから、ケースでやるのだったらウエート付けをきちんとやった上でやらないと まずいと思います。  もう一つ考えたのは、児童相談所の人たち、児童福祉司のキャパシティーがあり、例 えば10人居れば10人分の相談があるわけです。15人居れば15人分の相談があります ので、なかなか何に基準を置いて配置するかは、難しいと思います。そういう意味では、 やはり人口当たりでやってしまうか、児童養護施設の定数でやるとか、そういう決まっ たものでやった方が良いのかなということを試行錯誤しながら考えているところです。 ○山縣座長  ありがとうございます。ここについて何かありますでしょうか。今の辺りを参考にし ながら、最終的に事務局と調整をさせていただいて、さらに委員の方に意見を伺うとい う形にしたいと思いますが、今日はできるだけ最後まで、ポイントとなるところについ てはすべて意見をいただいて、結論が出るところについては当然結論付ける。もし、た くさんの意見をいただいた場合には、私と事務局で最終調整をして今月末ぐらいまでに 下案を各委員に提示させてもらい、それで確定していくという方向にしたいと思います ので、よろしくお願いします。  では、二つ目のポイントである6ページの最初の○です。1回目の第1案では「望ま れる」という比較的穏やかな表現になっていたのですが「必要である」と言い切ったら どうかと。ただし、下の方にそうでない場合について救済策が書かれているという形で、 原則は、必要性を認めるという方向でどうかということなのですが、これは都道府県に よってそういう採用方法が非常に難しい場合があるというご意見があったということも 踏まえつつ、こういうところで考え方が揺れているということだと思いますが。  横須賀市はどうされるのですか。指定都市・設置市ですけれども。 ○高橋委員  児童福祉司については、専門職採用ではないです。今の段階では事務職採用です。 ○山縣座長  事務職で任用資格のある人を配置していくということですね。 ○高橋委員  いずれ専門職採用をという形で検討していますけれど。 ○山縣座長  いかがでしょうか。採用枠として確保するか、配置において任用資格がある人をきち んと配置すれば良い、しかも「その他」でないところできちんと配置すれば良いのだと いう考え方をするか。とにかく我々は現場にきちんと児童福祉司の有資格者がいるとい うことを目標としていると思うのですが、枠そのものの議論から入るか、どちらから入 るかということだと思います。  この辺も、最終確定はやはり近い立場の方に意見を聞くしかないかな。いかがでしょ う、上廣委員。 ○上廣委員  児童心理司は専門職採用しなければいけないと思うのですが、児童福祉司については 半々かなという感じなのです。要するに半分が専門職採用で、半分が一般行政職の中か ら資格のある者をということ。というのは、ある意味、専門集団になってしまうと、何 か一般常識から外れてしまうところがあるのではないかという指摘もあるので、我々児 童相談所の中では半々ぐらいが良いのではないかという議論をしています。 ○山縣座長  あとは、京都府、滋賀県という順番になりますが。後半の市町村になったら少し楽に なりますから、前半はよろしくお願いします。 ○川崎委員  私のところの所長は行政職の職員なのですけれども、常々、今おっしゃっていただい たように専門職ばかりではという意見なのです。ただ、ここは児童相談所の職員に聞く というよりも、やはり住民の立場で考えれば専門職。私のところは専門職採用になって いないのですけれども、基本的には専門職採用という形で。少なくともこの法改正で市 町村が第一義的に相談を受けて、児童相談所は専門的技術を必要とする者に応ずるとい うことがうたわれているわけなので、もちろん「望まれる」ということも当然なのです けれども、一歩踏み込んで「必要である」と言っても良いかなと思う。ただ、すぐに義 務化してそうしなければいけないということにはならないと思うのですが、今後のこと を考えたときに、この研究会としてどういう姿勢を打ち出すのかということだと思うの です。  京都府はそうなっていないのですけれども、今後の児童相談の体制・あり方を考え、 児童相談所は市町村の後方支援を行い、専門的技術を必要とする者に応ずる機関とする ならば、あえてこういうことを提言しても良いのではないかと思いました。 ○井上委員  少しとんちんかんなことを言うかもしれませんが、先日、研修で千葉県に行きました。 千葉県の児童福祉司は、今50名ほどで半数が教員であるという話でした。教員が少し 余ってきているという事情もあって、半数は教員が来ている。良いこともあるし悪いこ ともあると。良いことは、短期の効果は認められないのだけれども長期の効果が認めら れるであろう、つまり児童相談所を経験した先生が現場の中学校などでやっていく分に は、市町村を通じた連携体制は将来とてもうまくいくようになるだろう。ただ、短期と しては、どこの県に聞いてもそうなのですけれども、3年で戻るという任用のあり方、 人事交流のあり方だと、3年で来てもらっても覚えたころに出て行かれる。ただもう一 つ良いことは、教員は土日に部活で体を動かすことをちゃんと鍛えられているから、土 日のフットワークがとても良いとか。  今のことは置いておいて、ここでは採用のこともそうなのだけれども、採用だけに限 らずその後のローテーションの組み方で、任用の範囲を拡げて他職種を入れるなら単な る交流の形で3年で返してしまうのではなくて、もう少し実効性があるようにしたい。 年数は限りませんけれど3年よりはもう少し長く居てもらうとか。そこを一貫したシス テムにしていく採用から任用・人事・配置までが必要だという気がしました。 ○菅野委員  ここの話は川崎委員の意見と同じで、研究会としてはそこを目指してほしいという意 味で「必要である」の方が良い。ただ、児童福祉司として採用するのではなくて、福祉 職というか、いろいろな福祉の領域で学んでいただきながら、例えば生活保護をやった りとか、施設もあるかもしれませんし、老人もあるかもしれない。そういういろいろな 家族支援、福祉のケアというところで経験を積んで、一定の経験の中から児童福祉司に 異動してくるという形をイメージしていただいた方が良いという気がします。そうでな いと多分ローテーションを非常に組みにくいということになるでしょうし、どちらかと いうと心理の人間は、私もそうですけれども、心理で雇われて心理でずっと仕事をして いるので、非常に世間が狭いとよく言われます。そのように児童相談所が狭い領域の専 門特化してしまってはまずいでしょうし、社会性も必要だというところで、幅広い専門 職の採用の中から児童福祉司に任用されるというイメージが一番妥当なのかなという気 がします。 ○上廣委員  三重県も教員との交流人事をやっているのですが、今ご指摘のあった通り、マイナス 面として、やはり2年、3年で転勤していきスキルが蓄積されないという欠点がありま す。私が担当になってからは教員を減らしてくれと要望をして、来年も9名から7名に 2名減らすことでお願いして、その通りになりました。来られる先生もやはり中堅どこ ろが来ますので、次に上にあがっていくレベルの人が教員で占められます。職員のキャ リアデザインを考えた場合に、ある意味、非常に人事構成がやりにくい面があります。 ただし、一時保護所には入所児童の教育権を保障するということがあるものですから、 一時保護所には教員の配置をお願いしたいということで今年も2カ所あります一時保護 所に各1名ずつ教員の配置をしております。 ○山縣座長  教育保障という意味では一時保護所が教員配置を積極的にされるというのは、むしろ 適切な方向ではないかという考えがあります。  いかがでしょう。今のご意見を聞いていましたら、例えば一つ目の○の所の専門職採 用の後ろに括弧で、一つは福祉職としての採用を含むと。児童福祉司という非常に狭い 意味ではありません、福祉職ぐらいの幅で考えているという文言を一つ入れると。  それから、もう一つは、二つ目の○に実際非常に難しい地域を想定して「専門職採用 を行っていない場合であれば」ということもはっきり書いてありますから、その場合に は「なおのこと、有資格者の配置および現任研修の充実が不可欠である」というぐらい で、専門職採用でない場合のあり方も少し示すくらいであれば、ひょっとしたら各委員 の意見の間ぐらいになれるのかなという気がしたのですけれど、いかがでしょうか。そ ういう形で、いったん文章を作っていただいて、再度文言を見ていただくということに させていただきましょうか。  大きなポイントはその2点でしたけれども、他に、この「1」「2」の所で何か他にご 意見がありますでしょうか。 ○川崎委員  読ませていただいて意見を返す暇もなく今日来ています。確認ができないまま言うの ですが、5ページの保健師の配置について、下から2番目の○で、医師が必要であるこ とに加えて「児童相談所の中に保健師を配置することも有効と考えられる」という文言 があるのですけれども、確か児童相談所の組織、運営指針の中に、A級かB級だったか、 保健師の配置が標準とされているわけなのです。ですので「有効」というよりも必要と かそういう形で、もう少し運営指針に沿って考えるのであれば、表現を変える必要があ るのではないか。私どもの所も保健師がいない。京都府宇治児童相談所というのは中央 児童相談所のはずなのでB級になるのですが、保健師が標準配置されてない。今虐待対 応協力員の方が保健師資格を持っているということでお願いをしているのです。日常的 に虐待対応しているときには保健師が必要で、常勤配置すべきだと思うのですけれども、 そうなっていないのです。「有効」というより、もう少し強い表現をしていただければと 思います。 ○山縣座長  はい。今の点で、高橋委員何かありますか。まず事実関係を、私も正確に覚えていな いのですけれども。 ○高橋委員  私もここのところについては、さらっと読んでいくと、どうしても一時保護所の中で の保健師の役割の方が前に出てきてしまうような気がしました。一時保護所での健康面 の評価ももちろんそうなのですが、今看護師さんが一時保護所に入っている所が多いと 聞いています。あえて保健師という形で出していただくのであれば、一時保護所という 閉ざされた中ではなく、フィールドの中の子どもたちを見ていくという前の部分で保健 師の配置というところを強調していただいた方がいいのかなと思っています。 ○川鍋総務課長補佐  運営指針の中に、川崎委員がおっしゃったように希望別職員構成の標準ということで、 B級の所に保健師と明記されています。 ○山縣座長  B級のみに明記されている。 ○川鍋総務課長補佐  そうです。例えばA級については今申し上げたB級に定める職員の他に理学療法士等 と書かれているので保健師が入ります。そういうことだと思います。 ○山縣座長  ということはこの文章は大して意味を持たない。むしろ運営指針を守ってほしいとい うことの方にしなければ効果がないということですね。 ○上廣委員  三重県の場合、規模の大きな2カ所の児童相談所に各1名の保健師を配置しています。 今年、職員定数を要求するときに、児童相談所における保健師の業務としてどのような 内容のものがあるか整理しまして出したのですけれども、それを考えていくと、児童相 談所においてたくさんの保健師の役割があるのです。資料を持ってきていないのでここ では言えないのですが、今、高橋委員がおっしゃったようにもっと保健師の仕事を整理 して、だから置くべきだというような論法で書いていただければなと思います。 ○山縣座長  その辺について反対意見の方はありますでしょうか。 ○前橋委員  反対意見ではなくて、保健師さんを保健師さんとして配置することについては非常に 必要だと思っているのです。賛成なのです。ただ保健師を児童福祉司に振り替えるとい うような、先ほどの例えば教員を何年間か児童福祉司とするというのと同じような形で、 保健師を児童福祉司でとなると結局何しているかわからない恐れがあるのではないか。 だから書き方としてその辺に配慮というか、気を付けていただきたいと思います。 ○菅野委員  同じ意見になるかもしれません。うちも虐待対応のところで保健師資格を持っている 人が活躍してくれているのですが、保健師のフィールドワークは、児童福祉司がやるケ ースワーク、フィールドを持った動きとは違いますし、専門性を持っている。例えば親 と出会えるというのは一つ武器です。だから児童福祉司の誰々ですという形ではなくて、 やはり児童相談所の保健師として活動してもらうという方が持ち味を生かしてもらえる のではないか。だから児童福祉司は児童福祉司、保健師は保健師という形でそれぞれの 専門性がチームになるようなイメージでとらえていただいた方がいい。もともと児童相 談所に保健師が置かれたのは一時保護所の関係でということがあって、多分この文章が あったと思うのですが、今はもう時代の要請が変わってきて、フィールドを持ってその 独自性で動いてもらうということで、そこを表明していただけると非常にありがたいと 思います。 ○山縣座長  ありがとうございます。今の点はすぐに文章を提示できませんけれども、第1のポイ ントはまず運営指針に従ってすべての児童相談所に保健師が配置される必要があるとい うことをまずはっきり書く。2点目は保健師が児童相談業務において何をするかという ことを幾つか例示を書く。今菅野委員や前橋委員がおっしゃった部分については「保健 師を置く」として保健師の業務を書いた場合には、当然それは児童福祉司として配置さ れた保健師が文章上は除かれていると思います。あくまでも保健師で、児童福祉司は保 健師でないわけですから、保健師がいるのだという前提で読み込んでいただく。最後に 加えてここにある文章です。一時保護所のこと、過去の経緯があるならば書いておく。 むしろ前に本体用語の方を積極的に位置付けて一時保護所でも機能していただきますと、 そういう流れでまた少し事務局と案を考えてみたいと思います。   ○内山総務課長補佐  3ページの最初の論点の所で少し説明を落としていたところがあるのですけれども、 ケース件数とかその他の要素があるかどうかという所と、今までの議論の中で先ほど川 崎委員からもいただいたのですが、児童福祉司の配置の充実が必要だということで、ど のくらい充実が必要だという所。一時期3倍とか10倍とか、あれをどう扱うか。何か3 倍という根拠もないですし、事務局でもその辺りをどう扱うか悩んだところです。そこ を言い忘れていました。 ○太田児童福祉専門官  議論の参考に、平成16年度に児童相談所が受け付けました相談件数は、35万1,838 件あります。それを人口5万人標準で考え、5万人当たりに置きかえますと、164件に なります。相談の総数のうち68%、約7割が助言指導という形で処理をされております。 ですから助言指導に当たりますのは約112件、残りの52件が継続ないしはその他の措 置が取られたことになります。 ○山縣座長  あくまでも新規ケースについてということですね。今のはそういうことですね。 ○太田児童福祉専門官  そういうことです。 ○山縣座長  プラス従来の既存のケースが背後にはある。恐らくこの助言指導の部分が、市町村体 制が整備されてくると一定程度減っていく。1番減りやすいのがここではないかという ことですね。そうでもないか。障害がここに入っている可能性がありますよね。療育手 帳部分がここにある可能性がありますね。 ○太田児童福祉専門官  数字だけ並べてしまえば少ない感じがしてしまいますので、やはりウエート的な議論 をしていただいた方がいいのかなと思います。 ○山縣座長  いかがでしょうか。今具体的なものが出てこないのですけれども。少なくとも前回の 基準の改正が、確かに配置基準はあがったのだけれども結果として事実を追認したぐら いの量にしかならなかったということがありますね。現場は相当都道府県が配置で頑張 らなければ、大した効果はなかったと言おうと思えば言える。配置基準通りになってい る、むしろ我々は頑張ったのだと、その一言で終わってしまいそうな文言があって、ど こまで応援になったかというと、次の応援としてはあの基準では都道府県の格差を埋め るということには効果があるかもしれないけれども、あまり頑張っている地域の応援に はならないという実態が、恐らくあるのだろうと考えています。 ○川崎委員  基本的にはここの主張としては充実が望まれるということを入れてほしいわけなので す。表現的に言うとややこしいのですが、今の議論でいきますと下から2行目「今後、 政令改正も踏まえたより一層の児童福祉司の配置の充実が望まれる」となっているので すが、「政令改正を踏まえたと」いう部分で、逆に言うと政令改正の基準になっていない 所は頑張りなさいという表現にする。今後のありかたを考えると、政令改正については 当然非常に大きな前進と評価できると思うのですが、今後のことを考えると、具体的に 何倍というのは言いにくいと思うのですが、この辺りを少し考える余地があるのではな いかという気がしました。 ○山縣座長  ここもあまり正確な数値を踏まえずに発言すると問題がある。あるいは錯誤している かもしれません。前いただいた数値を見た直感的なイメージで言うと、基準より高めに 配置をしておられる所は、相談等でも大変な思いをされたり頑張ったりしている児童相 談所はたくさん配置しているという感じだったと思うのです。相談件数が少ないとか、 問題が少ないから配置が少ないというふうに表面的に捉えるならば、そこを応援する方 が充実になるのか、国民全体が対等な関係で相談できる、児童福祉司がいるという形を つくる方が効果的なのか、より必要な地域には基準をどんどん越えてでも配置するよう な形を応援する方が効果的なのかというのは、ここも考え方が分かれると思うのです。 標準値が上がればそれでいいではないかというのも一つの充実ですけれども、それでは しんどい地域の人たちにとってはなかなかしんどいままで終わってしまう。そういう 方々に地域にも応援するとすると、人口を越えたウエートのようなもの、ケース数とウ エートというのを、加味していくとそこに具体的に手を差し延べることが少しでもでき るかもしれない。  はい、どうぞ。 ○前橋委員  きれいに整理されているわけではないのですけれども、児童福祉司の配置の基準と生 活保護の配置の基準が違うのですけれども、ここなぜそういうふうになったのがそもそ もよくわからない。やはり基本的にはケース数でいくべきなのだろうなと思うのです。 その場合、特に虐待等の場合については、アメリカとかカナダとかそういう所は大体ケ ース数でやっています。そうすると逆に人数の配置も動かしやすいのではないか。ケー ス数がきちんとケース数に従った人数を配置しているというのであれば、ケース数が増 える場合には、どんどん増やす。ケース数が減っていけば減らすというようなことで、 何かその仕組みを取り入れる方がいいのではないのかなと思います。 ○山縣座長  今の前橋委員の意見は大体ここに書いているスタイル。基礎数としての人口と、プラ ス、ウエート付けとしてのケース、生活保護もそうですね。確か世帯数をベースにして、 あとは件数等によって変化していく。それぐらいの意見をいただいておいて、ここの所 は少し事務局と案を修正するということですね。基本的な、しかも充実の方向を具体的 に示すということで、少し文章の調整をさせていただきたいと思います。  2番の部分、他にいかがでしょうか。では少し進めさせていただいて、また最後に全 体に戻りたいと思います。今日は最終回なのでできるだけ丁寧に議論をしたいと思いま す。  3番目の所について、ポイント、特に事務局が迷っているような所がありましたら、 説明をいただきたいと思います。 ○内山総務課長補佐  11ページから18ページまでが3番でございますが、ここは特に(P)と書いたところは なく、基本的には中間的な取りまとめからその後の委員の意見を反映するとともに、具 体的な例示・実践例を入れたものです。そういう意味で前回ご議論になったような、例 えば18ページに都道府県児童福祉審議会が出てきますが、審議会についてはこの18ペ ージに書いているような状況にございます。以上です。 ○山縣座長  ありがとうございます。一応、今の段階では大きな論点はないということです。これ までの研究会の委員からの発言をベースに作っているということですが、いかがでしょ うか。 ○菅野委員  18ページの滋賀県の実践例の、ケース・マネジメント・アドバイザーに関することで すが、この登録メンバーというのは平成16年度の内容です。本庁の担当と話しまして、 最近の状況はもっと増えています。弁護士が14人になっていたりする。これは県の弁 護士会、県の臨床心理士会との交渉の中でこういう形になっています。それ以外に来年 度は社会福祉士会とか、現実にこれは県が県庁のレベルでやっている内容です。各児童 相談所にもこの事業がありまして、そこで実際に協力してもらっている先生方がいろい ろおられますので、ここの文章は早急に本庁の方で取りまとめて、訂正をさせていただ き、送り直しさせていただくことになると思います。 ○山縣座長  今の点、ここに委員が出席しておられる所については各委員の方でぜひとも事例が出 されている所は確認いただきたいということになります。事務局的にはどうでしょうか。 ○内山総務課長補佐  そういう意味では、今回委員の皆さま方に報告書の前の段階の案を送る際に、実は事 例で出てきた自治体には併せて送っております。恐らく自治体の方からすべて返事が来 ていないところもありますので、そこは具体的に滋賀県もそうですし、事例が出てくる 自治体には最終的に確認を取らせていただきたいと思っています。 ○山縣座長  ありがとうございます。ぜひともそこをよろしくお願いします。  NPO法人等にも送っていると考えていいですか。CAPNAとか、子どもNPOセンタ ーには。自治体のレベルで送っている。 ○内山総務課長補佐  自治体のレベルです。そういう意味では確かにCAPNAとか、NPOにも確認した方が いいかもしれません。 ○山縣座長  そのページだけでもいいと思うのです。他はあまり触れなくてもいい範疇ですから。 ○内山総務課長補佐  事例の所は各団体にお送りするようにします。 ○小野委員  11ページの3の連携強化の所で、最初の○の中間ですが「必ずしも相互理解に基づく 連携が十分に図られているとは言いがたい」、「相互理解に基づく実質的な連携確保」が 必要だということで、まさにその通りだなと思います。いろいろなカ所で先進事例が挿 入されているのですが、例えばこういう所でどういうふうに連携確保をやっているかと いう事例などがあるといいのかなと思っていました。  例えば実際連携をしながらケース対応していく。一時保護とか施設入所に至る、ある いは至らない場合にあっても、それまでにはいろいろな学校や児童相談所等関係機関が かんかんがくがくの議論をし、それぞれの立場を出し合いながら進めていくわけですが、 できればそういうことが一段落ついたときに機関同士で振り返りを行い、役割の認識や そういう議論を通して得た変化とか、そういうものをちゃんとお互いに認識できる取り 組みがあるといいと思っているのです。そういう取り組みが事例として提示できればと 思っています。いかがでしょうか。 ○山縣座長  去年の調査で何かいい事例がありませんか。あるいは各委員からここの地域の連携は 紹介に値するいい取り組みではないかというようなことがございますでしょうか。 ○小野委員  今の続きなのですが、例えばそういう振り返りをコーディネートするときに、児童相 談所がコーディネートするよりは今求められている地域協議会の事務局あたりがその役 割を担ってリードしていくというものがあるといい。第三者的に、いわばいろいろな機 関から等距離にあるという関係を生かして対応できるという意味では、地域協議会の事 務局の育成にもなると思っていますので、そういう事例があればと思っています。 ○山縣座長  主眼をどちらに置いて書くかということになる。地域協議会中心に書くと後半に入れ た方が好ましくなるし、この場合は児童相談所レベルの連携ということになろうかと思 います。主体はあくまでも児童相談所なので、地域協議会の方はむしろ小野委員の意見 に反対ということではなくて、26ページとかそういう所でむしろ必要があれば増やして いくという方向で、とりあえず児童相談所レベル・県レベルの取り組みとして良いもの を。 ○井上委員  さかのぼってすみません。10ページの1番最後の一時保護の所なのですが、何回か読 んでも意味がはっきりしない。1番下の○の所ですが、「職権による一時保護のほか、柔 軟で多様な形態の受け皿を拡充することにより一時保護の機能を充実していくことも必 要である。たとえば今後、市町村が児童家庭相談の第一義的な役割を担う中で一時保護 の目的によっては、ショートステイ事業や一時保育の実施など、市町村の子育て支援事 業の活用も考えられる」。この「ショートステイ事業や一時保育の実施など、市町村の子 育て支援事業の活用も考えられる」というときに、ショートステイ事業や一時保育の受 け皿を利用してそこを一時保護という場合もあり得るということなのか、これは一時保 護ではなく、ただ、一時保護が持つべき機能をこういった事業で担うということなのか、 どちらなのかと思いました。 ○山縣座長  基本的には後者の意味です。一時保護としてショートステイを活用するのではなくて、 ショートステイで結果的に一時保護機能をいけたらと。ただ、安易な外部資源の活用や 委託一時保護は避けようというのが全体の研究会の流れでしたから、アセスメントを必 要としないなど、当然そういうものに限る。その辺はむしろ名称変更を含めて、「一時保 護」という何か軽い言葉のイメージから、児童相談所がやるべき一時保護はもっと重要 な意味がある、単に瞬間的な危険回避のものだけではなく、アセスメントという非常に 重要な機能を持たせているということを、この研究会では強調してきましたので。 ○井上委員  わかりました。 ○前橋委員  先にこれをお送りいただいたときに、私もここの所でどう理解したらいいのかと思い ました。一時的にそういう資源を利用するのと、職権で一時保護をするのとでは、だい ぶ違うと思います。利用するところをもっと活用してもいいのではないかという主旨で あれば、ここの「一時保護」の所に書いてしまうと、少し市町村レベルで混乱しないか 心配です。そういう分については、児童相談所で本来的に一時保護の役割があり、費用 の負担はかからないし、そちらの方を活用してくださいとなってしまうと、たぶん本来 の児童相談所がやる一時保護とは違ってくる恐れがあるような気がします。 ○上廣委員  17ページにNPOの実践例があるのですが、ここは追加してもらえる事例があれば、 追加していただきたい。  三重県は今年度、森田ゆりさんが開発した、いわゆる虐待した親の再生プログラムと いう「MY TREEペアレンツプログラム」をやっていますが、それが結構うまくいきま したので、できればそこへそのことを追加していただければということです。  それから気になっていたのは、前回後藤委員から、「里親制度について、市町村の理解 がない」という話がありまして、帰ってみて、やはり三重県においても市町村の理解が ないと思いました。例えば、里子の住民票の問題で市町村の窓口に行っても、いろいろ な無理解の中で、冷たくあしらわれて困ったという事例があがっていますので、市町村 の里親制度に対する理解を深めるような形で、どこかに書いていただければと思います。 どこに書くのかといえば11ページか、15ページに里親制度が出ているのでそこに書く のか、よくわかりませんが書いていただければと思います。 ○山縣座長  ありがとうございました。  先に前橋委員と上廣委員から意見があったところで、10ページの最後の○はもう少し 工夫をしましょう。確かに前橋委員が言うように、誤解をされるかもしれません。まる でこれが一時保護のように思われてしまうといけないと思います。 ○川崎委員  「名称変更」については若干の説明がありましたが、「名称変更」が加わった部分を、 もう少し意味というか、どういうことか説明をしていただければと思いました。 ○山縣座長  これは何回か前の研究会で私が発言をしたところですが、「一時保護」という言葉が軽 い意味で、一時、保護するだけの機能のように思える。実際に児童相談所が専門職員を 配置してやるのは、決して単に預かって、保護をしているわけではなく、特に子どもの 様子を観察したりするなど、そういう機能があるのだと。むしろアセスメント機能とい うのを、ある程度イメージしたもので、それが次の下の○の中のアセスメントという言 葉などにリンクしています。  これも不謹慎な発言かもしれませんが、いろいろな事件等で子どもたちが保護される ときのテレビ等の発言を聞いていると、「〜で一時保護されました」と。単に連れて帰っ ただけかと、軽く聞こえてくるときがあります。児童相談所は、そのような形で単に連 れてきただけではないという思いが私の中にあって、もう少し適切な言葉があればいい なと思ったのです。単純に保護する機能も当然ありますが、今の虐待などで求められて いるのはそういうことではない。終戦直後の浮浪児に対しては、こういう意味が強かっ たと思いますが、今はむしろそれよりももっと他の部分を強調することで、そこの専門 性を高めていくことになるのではないかと思います。そうなれば、これも制度的には難 しいかもしれませんが、今は一時保護所の基準が、児童養護施設をかなりイメージした 職員配置基準になっている。児童養護施設は最低基準以外のところで、相当専門性を高 めていく努力をしているにもかかわらず、一時保護所はそこがなかなかリンクしてこな い。つい、後になってしまうという辺りも、少し気にしていくことができるのではとい う、私の個人的な思いが若干あります。 ○川崎委員  よくわかりました。ただ、この「一時保護」という名称については、ある意味では保 護者に説明するときに、「一時的に保護するのであって、ずっといるわけではない」とい う説明を割としているので、名称を変更というよりも、名称の検討くらいで。「一時保護」 はある意味でわかりやすい部分もあるので、少し考えていただきたいと思います。 ○山縣座長  これは前回の案に私が付け加えた部分だと思いますので、今のような「名称の再検討 を含め」くらいで、あるいは適切な名称を。はい、菅野委員。 ○菅野委員  私も名称変更について、多分名は体を表すという話をしたと思います。何がいいのか はイメージできません。私もこれを読んだときに、この研究会で議論できていなかった という形で、事務局にはメールしました。人的配置ということと、今滋賀県には2カ所 の児童相談所、2カ所の一時保護所があります。ところが1カ所集中方式でやっている 所があったりするので、その辺の配置・あり方のようなものも今後は少し見直していく 必要があるのではないかと思いました。集中方式が本当にいいのかということは、今後 議論していただけたらと思います。もともと滋賀県は中央の1カ所にしかなかった。そ れを平成2年に彦根市内にある施設に併設し、施設が廃止になって、平成8年から単独 になり、平成11年に新築移転という形で統合になりました。彦根児童相談所は、昭和 53年にできています。そこから一時保護所が欲しいということをずっとやってきて、こ ういう形になっています。今になって、虐待問題などを扱うようになると、やはり身近 なところに一時保護所があるのがとても良かったと振り返っています。組織・機構のあ り方や、職員配置と共に、そういった位置関係なども、どこか今後の議論の中でしてい ただけたらと思います。 ○山縣座長  はい。何回か前に少しだけ話はしたような記憶があります。何年前くらいでしょうか、 結構一時保護所がたくさんあったのが、ぐっと集中していき、滋賀県はまだしも、例え ば兵庫県などでは日本海側に全く一時保護機能がないので、日本海側の子どもには委託 しかない。仮に中央の方に一時保護してしまうと、今度は児童福祉司が大変な作業にな って、豊岡市からものすごい距離を移動してこないと子どもに会えないような状況にな って、結構苦しんでいるという話も聞いたことがあります。  大阪府堺市はどうしているのでしょうか。堺市が独立して、堺市は一時保護所は堺市 児童相談所に作って、大阪府の一時保護所は今のままですか。そこは児童相談所はどう なるのでしょうか。一時保護所だけはまた残るのでしょうか。 ○前橋委員  一時保護所は残りますが、相談機能の部分はほとんどがなくなるので、エリアを少し 分けて、また別の所に持っていく形になります。堺市は堺市で、児童相談所と少し離れ たところに一時保護所を作ります。 ○山縣座長  もう1点の上廣委員からありました事例を増やすことが可能かについては、基本的に は良い事例であれば当然紹介していいと考えられますので、事例の紹介の仕方を含めて。 ○上廣委員  またメールでお伺いします。 ○山縣座長  それだけでしたでしょうか。もう一つありましたか。 ○上廣委員  市町村の里親制度のことです。 ○山縣座長  里親のことを15ページに書くのが適切か、さらにもう1回市町村の所で再度書くか、 2回書くかということになるかと思います。ここでは県との関係を書いているので、市 との関係でもう1回丁寧に書こうというのも一つの考え方ですし、あまり二重、三重に 書いても分散するから、ここで一気に「市町村と里親の関係」を一つ○を起こしていく か。後藤委員はどう思いますか。市町村との関係は前回もおっしゃっていましたが、や はり一般的に弱いと考えていいのでしょうか。 ○後藤委員  弱いです。全く理解されていません。例えばもう過ぎたことで、今はかなり改善され ていると聞いていますが、養育で預かっている場合で、子どもの名前と保護者の名前が 違うということで、保険証なども子どもの名前と違う。私の場合はそんなはずはないと、 無理にうちの名前を医療保険に付けてもらって、事なきを得ましたが、それで子どもが 困る場合もずいぶん聞きます。例えば措置解除になって、保護者がいないが、まだ学校 に行きたいということになると、役所で健康保険の問題が出てきます。私は国民健康保 険ですが、この扶養家族として扱ってもらうために、役所に何回説明をしてもよく理解 してはもらえませんでした。かといって保険に入っていなければ、病気になったときに 多額の費用がかかるし、それと同時に、これは一度申し上げたことがあるかもしれませ んが、実際に生活をして衣食住を里親宅で持っていても、税務上の控除は受けられませ ん。こういう盲点もやはり市町村が税務署にも、ぜひきちんと訴えてほしい、法律で決 めてほしいと思います。  今日が最終回で、言いたいことは山ほどあるのですがなかなか上手に表現ができず、 資料を見ますときちんと書いていただき、とても良かったと思います。一つ、初めから 気になっているのは、一時保護所、児童養護施設にしても、担当の児童福祉司はご存じ だと思いますが、センター長たちが中の子どもの実態や状態をしっかりつかんでいるの か、その辺が少し不安です。  それから、先ほどの児童福祉司の専門性についても、私が言うと愛知県と名古屋市の ことになりますので、自分のところはこうだったということは言いづらい点があります が、この際なので言います。児童福祉司は2、3年くらいで替わってしまったり、以前 は土木の方をやっていて、今は児童福祉司をやっているような、よくわからないまま児 童福祉司になることが今までずっとありましたので、ぜひ専門性を持ってかかわってく れる人を選んでいただきたいのが希望です。  里親を増やす運動もされていますが、子どもがいないので養育里親ではなく、養子が 欲しいという理由で里親になるという人はまだまだ多く感じられます。養育里親や虐待 の専門里親にしても、今の世の中の仕組みから考えると、犬や猫、ときには公園にまで 「里親」という言葉が使われるなど、里親を理解されない部分がまだまだあります。こ のごろラジオで女優さんが30秒くらいで里親のPRをしていますが、そういうことでは なく、もう少し家庭で養育されない子どもたちが、少しでも家庭で暮らせるようにとい うのが私たちの願いですので、そういう人間の数を増やしたいのが希望ですが、なかな か増えないようです。  もう一つ、児童相談所が忙しいのはよくわかりますが、解除後のフォローもこれから さらに考えていただきたいと思います。特に親類縁者がどこかにいればいいのですが、 置き去りなどで、まるっきり誰もいない子どもたちは、根無し草のような状態です。そ ういう子どもが世の中にはたくさんいますので、せっかくこういう研究会を設けていた だいたので、そういう子どもたちがいることを心に留めていただきたいと思います。  最後に、これだけ子どもの養育についてしっかりと意見を出していただき、そう捨て たものでもないというのが私の気持ちでした。こんなことを言うと、今までやったこと は何だったのかと叱られるかもしれませんが、できれば、今子どもを育てているお母さ ん、その上のお母さん、そしてこれからお母さんになる方々が、もう少し人間らしい心 を持って子どもを養育できるような社会になってほしいというのが私の願いです。以上 です。 ○山縣座長  ありがとうございました。  今の所で、県が里親や里子の家庭、あるいはその子について市町村に情報を提供する というのは、制度的には問題がありますか。いわゆる義務教育になってくると、基本的 には市町村が主たる管轄になります。そうしたときに学校場面での問題や、国民健康保 険や医療保険の問題、また乳幼児期の医療助成をやっている市町村があります。そうい う関係で言うと、市町村にもある程度知っておいてもらうと、事前に準備をしてもらえ るというプラス面と、そういうものをあまりに広げるのはいかがなものかというマイナ ス面と、両方ある気がします。まず、制度的にはそれができるのかできないのか。例え ば小野委員の所でしたら、福岡県からお宅の町に里子がやってきましたなどという情報 は、基本的に全くないですか。 ○小野委員  ないです。 ○山縣座長  そこで問題が発生して初めて相談があって、この人は里子だったのかと気が付くと考 えた方がいいですか。法律的には何かありますか。本人の了解があれば出してもいいで すか。 ○太田児童福祉専門官  本人の了解があれば。それぞれの法律に情報を提供する規定が盛り込まれていないの で、善意で本人の了解なしに情報をやり取りするのは問題が生じると思います。 ○山縣座長  本人の了解あればということですね。 ○前橋委員  その場合、本人は誰かというのも問題になります。 ○山縣座長  実親かどうかを含めて、非常に複雑になります。 ○前橋委員  だいぶ前のことですが、実務上、地域振興券を子どもに配るというときに、施設に入 所している、あるいは里親に委託している子どもに対して、都道府県が市町村に情報提 供ができないというのが最後まで困りました。市町村は把握できません。 ○山縣座長  なるほど。あのときは里子はどうやってクリアしたのでしょうか。 ○前橋委員  覚えていないです。 ○山縣座長  施設の子どもはきっと施設がグループで対応してやったような記憶があります。里親 の場合はそのような話をあまり聞いたことがない。後藤委員は地域振興券はどうされま したか。どちらにしても簡単にはできないということですね。しかし、里親と子どもの 立場で言うと、市町村の方にも本当は知っておいてほしい部分がありますよね。 ○高橋委員  今まで里親という言葉で相談があると、里親即児童相談所ということで、極端な話で すが、話を十分に聞かないままで流れてしまう。やはり里親についての知識が市町村に ほとんどない。横須賀市だけではないと思います。そういう図式でいくから、この報告 書も県の所に里親が書かれていると、市町村はこれは関係ないという認識になってしま う気がします。最近里親たちと話すチャンスがあって、実は里親・里子の関係ではなく、 ステップファミリーなどの養父母と子どもとの関係が、里親と里子との親子関係と似た ような葛藤が起こるだろうということで、勉強会を始めたところです。そういうことを 考えると、市町村においても、里親制度そのものももちろんですが、そこに絡む問題を 十分に知っておいた方がいいという気がしています。今話のあった情報を公開する・し ないとは別のところで、里親制度を知ってもらいたいと思います。 ○山縣座長  制度そのものについての勉強は当然してもらわなくてはならない。そこまでは書いて もきっと大きな問題にはならないと思います。個人の情報まで流すということについて、 ここで触れるかどうかは、今の段階では少し慎重であった方がいいかもしれないと思い ます。里親については、市町村にはっきりと伝わるような記載をさせてもらうというこ とで、よろしいでしょうか。  3の所について、他の論点で何かありますでしょうか。 ○川崎委員  細かいことで申し訳ありませんが、家庭裁判所の所で最初の素案から少し表現が変わ っています。最初にいただいたものは「家庭裁判所は児童相談所と家族を平等に扱い、 公平な判断を下す機関である」とされていましたが、今回の資料では、「家庭裁判所は、 児童福祉法28条第1項及び第2項に基づく承認を行う機関である」とされています。 表現的には「承認を行う」というと、行うことになります。行うかどうかを判断する機 関ですので、その辺りはおかしいということです。それと公平にうんぬんというところ は外されていますが、その変更された根拠を聞かせてください。 ○山縣座長  これは私の指摘ではないので、事務局サイドで委員名を出す必要はありませんから、 根拠があったらお願いします。 ○内山総務課長補佐  根拠と言いますか、ここも委員からの指摘で今はこの形になっていますが、それはこ の場でもどんな表現がいいか議論していただければ、ありがたいと思います。 ○山縣座長  もしここに出席の委員で、こういうところが気になったのでこういう案を出してみた という変更の主旨があったらお願いします。  では川崎委員から引っ掛かったポイントについて2点ほどありましたが、私は特に気 にならないといいますか、修正した方がむしろ適切なのではないかという気がしました。 他の委員の方々はいかがでしょうか。  特に異論がなければ、川崎委員の修正提案を採用ということでよろしいでしょうか。 では事務局で留めておいてください。  18ページの半ばほどまでの3番の所で、特にないようでしたら、4に行きたいと思い ます。ちょうど時間的にも量的にも真ん中ですので、40分まで10分少々休憩とします。 休憩 ○山縣座長 それでは、再開したいと思います。 18ページからになります、4の所につきまして、また事務局の方から修正のポイント 等をお願いいたします。 ○内山総務課長補佐  4の所は18ページから20ページまでの短い部分でありまして特にございませんが、 今までのものに、これから終わるまでの論点から実践例を少し厚めに入れてあります。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます、ページ数も少ないですし大幅な変更もないということ ですが、各委員から何かありますでしょうか。  次のところの量が少し多いので、もしあれば4の方の意見も聞くということで、5に 行っていただきましょう。 ○内山総務課長補佐  それでは5の市町村の所です。20ページ以降です。  ここは、これまで論点の整理ということでお出ししていたものを、少し整理・文章化 したところが大きな変更点でございます。基本的にすべて、文章化してあります。  それからこの市町村の部分につきましても、今までの実践例、今までこの研究会で報 告された実践例などを入れてあります。  あと幾つか、まだ事務局でうまく書けなかった部分が、(P)としてあります。  一つ目は22ページの真ん中辺の「市町村の相談窓口」です。「児童福祉司任用資格相 当の職員の確保に努めることが望ましい」と書けるかどうかというところが一つです。  それから、もう一つ(P)としてありますのは、少し技術的なところですけれども、30 ページで、保健分野と福祉分野がなかなか言葉が通じないとご指摘がありまして、書い てはみたのですが、委員の方から少し情緒的な表現なので、もう少し何とかできないか とご指摘がありまして、ここのところはまだそのままになっております。  市町村の所は文章化したのがある意味今回が初めてですので、少し丁寧にご議論いた だければありがたいと思っています。  以上です。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  長いですし、初めてという部分もありますので、半分ぐらいに切りましょうか。  26ページの3までと4以降という感じで、まず3番目の所で各委員のご意見をいた だきたいと思います。  特に22ページの(P)が付いているところで、これまでの研究会で丁寧に議論してきた わけではないのと、専門性をどう確保するか、という言葉使いをしてきましたが、具体 的にはそれをどうするかということはあまり言っていなかったと思うのです。  これは私の提案なのですが、任用資格相当の職員というぐらいのレベルででも書き込 めないでしょうか。  それは前回の改正で、保健師とか保育士といった人たちに研修によって任用資格が出 ると書いてあるから、そこをある程度斟酌してもらうと、新規職員をどんどん採用する というよりも、むしろきっちりした任用資格のための研修をしてもらうことによって、 ある程度可能になるのではないか。研修をやってもらえれば、そういう人たちを配置し てもらうことがある程度可能ではないか。  それから、福祉事務所がある市について言うと、今、結構社会福祉士が採用されつつ ある。福祉職採用ではないけれども実際福祉士を持っている人が、市レベルで採用され てきている。そういう人たちに幾つか任用用件を絡めていくと、そこそこの人数は市町 村にいらっしゃるのではないかと思います。  特に4月以降、介護保険で地域包括支援センターが市町村に設置され、半分ぐらいは とりあえず直営になりそうだと聞いています。  そこには社会福祉士の設置が必須になるということになると、一定の社会福祉士要素 の方たちもいらっしゃるということが、多くの市町村で想定できる状況にあることもあ ります。本当は、理想的なのは、新規の専門職採用が望ましいのですが、そこまでは今、 理想は言えないので、今ある体制の中ででも子ども相談にはそういう人を置くという姿 勢を研修等で示してほしいということを、この2行の中に入れてみたということです。  「望ましい」とか「相当」と、あまり強く書いていないのは、そこら辺の事なのです が、いかがでしょうか。新しい提案なので、この辺についてご意見を、とりあえず小野 委員お願いします。町という立場でありますし、むしろ心理職だということかもしれま せんが。 ○小野委員  まとまった意見というわけではないのですが、市町村窓口の職員も専門性を高めると いうことでいろいろ議論があがっていて、いつかの会議のときにも言ったかと思うので すが、市町村の専門性というのは、児童福祉司が居るか居ないかということではないの ではないか。保育士とか保健師というと、実際には水巻の相談センターで言うと保育士 がいますが、「相当」の職員というのは、保育士でもよいということですか。  児童福祉司の研修というのは私もよく承知していないのですが、市町村における相談 がきちんと行えるようにするための研修が児童福祉司の研修の中で行われればそれでい いと思うのですが、児童福祉司という名前が先行していて、その研修のカリキュラムな ど中身というのが見えてこない。むしろ市町村では兼務の職員だとしても、きちんとし た相談が受けられる、相談に対応できる職員の育成とか、そういうカリキュラムの提案 が具体的にあったほうが良いと思いますが、いかがでしょう。 ○山縣座長  「相当」という言葉を使った私なりの意味は、例えば、社会福祉士であれば、はっき りした資格だから社会福祉士と書ける。しかし、児童福祉司の場合はあくまでも児童相 談所に置くというふうに法律に書かれているから、市町村に児童福祉司を置くという法 律を作らない限り一気にその言葉は使いにくいのではないか。だから県の児童福祉司に 当たる要件を満たしている人を、「相当」という言葉使いで書いてみたというのがここの 趣旨です。  だから、本体の法改正で市町村にも児童福祉司を置くと書いてしまえば、児童福祉司 を置くように努めようということになるのでしょうけれど、その法律の方がよくわから なくて、一気に書けるかどうかわからないのです。 ○菅野委員  同じようなことを(3)の「必要な職員の確保」というところで、私もどこへどういうふ うに含めていただいたらいいのかわからないという形で、修正の意見を事務局の方に出 させていただきました。社会福祉士のようなケースワークができる人材の雇用が急務だ と考える、児童だけでなく幅広い領域を意識して福祉職としての採用が望まれるという ことを、どこで入れてもらったらいいかわからないですが、そういう人材が必要なので はないかと思うのです。  今は市町村の状況を見ていますと心理系の職員がお仕事をされていることが、家庭児 童相談室の中では多いと思うのですが、そうではなくてソーシャルワーク・ケースワー クのできる人材というのが、まず第一に要るのではないか。ケースワークができて、そ の後で治療や支援の分野が要るのかなという形で、やはりケースワークをできる人が欲 しいと思って、意見は出させていただいたのですが、なかなかそれをどういうふうに入 れていただいたらいいのかは、私としても、まとまっていません。 ○前橋委員  私もここに何らかの形で入れていくのは賛成なのですが、先ほどのをここへ合体して、 できれば「社会福祉士など」という形で、明記しておいたほうがわかりやすいかなとい う気がしました。 ○山縣座長  先程の、菅野委員の意見について一点少し修正していただきたいところがあります。  実は、事務局には修正案を出したのですが、採用されず、22ページの一番上から2 行目のところなのですけど、「戦略的なケースワークを行う」と書いてあるんですが、戦 略的という言葉がもう一つだと思う。別に戦争をしなくてもいいのではという気はしま す。ケースワークという言葉が、大学等では徐々になくなりつつあって、一括してソー シャルワークという言葉で、もっと広い意味を持たせている。当然、個別支援をやるの だけれども、もっと地域の問題などを広く考えてやろうということで、ソーシャルワー クという言葉で置き換えていこうという流れがあるのです。私はそのほうが望ましいと 思っています。という意味で、ここも確かソーシャルワークと修正をしてみたのですが、 採用されておりませんでした。 ○前橋委員  それで、ここに「さらに、中期的には、ソーシャルワークを担う社会福祉司等、児童 福祉司任用資格相当の職員の確保に努めることが望ましい」とか、何かそういうふうに。 ○山縣座長  その辺は特に私は。この辺り、いがでしようか。 ○菅野委員  私も、座長が言われた戦略的ケースワークという所、22ページの上から2行目ですが、 ここに引っ掛かっていました。突然戦略的というのが出てくるので、辞書を引いて、戦 術とは異なる長期的展望、闘争の準備・計画、運用の方法というのが戦略という言葉な のだということになったので、これは計画的に強制的な関与を伴うと言う意味で使われ ているのかなと思うのですが、ここだけ唐突だと思います。この「戦略的」という辺り を少しいじれないかなと思いました。 ○小野委員  私も言葉としては突然出てきたなという印象を持っていましたけれども、意味として は、必要とされるサービスが適切に受けられるよう自立を積極的に促す支援ということ と受け止めております。 ○山縣座長  戦略的についてはですね。そこは言葉を変えるということで。 ○高橋委員  児童家庭相談の統計、市町村の実態の報告があったように思いますが、そのときに、 対応職員の中に事務職だけという所もまだまだあったように思うのですが。 ○山縣座長  23ページの(1)の最初の○の所に少しデータがあります。 ○高橋委員  そうですね、37パーセントは一般行政職。これがあるので、やはりここには今言われ たようなソーシャルワークを担う社会福祉司などと言う言葉を添えていただいて、この 言葉を入れていただくと、とてもありがたいと思います。  ただ、任用資格があればいいだけではないというところがずっと引っ掛かっていまし たので、それは今議論されたソーシャルワークを担うというところで、整理されるかな と思っております。 ○上廣委員  座長の意見を補足する意味で、今年度、前も言いましたように、児童福祉司の任用資 格の講習をやりましたら、三重県という田舎の県でもずいぶん、60名ぐらいの保健師や 保育士の参加がありましたから、私は市町村はそんなに負担ではないと思うのです。そ して、これをやることによって市町村が第一義的な相談窓口になるのだという、ある程 度の意識付けができるのかと思っております。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。  中央福祉学院(LOFOS SHONAN)に委託している児童福祉司任用資格研修に、今ま では市町村の方々が参加できる枠がなかったが、確か来年度から参加できることになっ たということも頭にあって、そうすると市町村の方々にも少し協力いただけるのではな いかと。その辺の情報は皆さんに伝わっておりますでしょうか。 ○川鍋総務課長補佐  後で申し上げようと思ったのですが、厚い資料の中の資料10という所です。ここの 83ページの真ん中の少し上ぐらいに、太字で、対象者、市町村職員というものも、一応 18年度から入りました。 ○山縣座長  そういうこととくっ付けて考えることもできますし、そういう配慮も少しは制度的に もできている。  前橋委員も行っておられましたか。 ○前橋委員  いいえ、行っていない。 ○山縣座長  私は何回か行っているのですが、担当者に聞くと、市町村から来た場合には「これは 対象ではありませんので」と今までは断っていたと。もったいない。「受講者が減ってい るのに断らなくてもいいのではないの」という話をした記憶があったので、仕組みが変 わったのは非常にありがたいですし、市町村の方々にとってもそういう研修を受けるこ とができる。 ○川崎委員  少し他のことを考えたのですが、先ほどの児童福祉司任用資格相当の職員の確保とい うことなのですが、(2)のところは「市町村の相談体制 (1)市町村の相談窓口」というこ とになっているのですが、(3)は「市町村の職員体制の確保・専門性の向上」ということ なのですね。その中でやはり整合性を確保すべきと思うのは、(3)のところの(1)の2番目 の○です。  要するに1番目は、市町村としては専門性の確保が難しいという状況の中で、当面、 市町村において現有勢力で対応せざるを得ない場合には、要するに母子保健分野に一定 程度の経験を積んだ保健師を配置することが望まれるということになっているのです。 それと、先ほど言った児童福祉司任用資格相当の職員、恐らく「当面」のことと「中長 期的には」という形で、こちらに収めるのがいいのかと思うのですが、(2)との整合性を 少し図る必要がある。  この文書を読むと、当面ということなのでいいのですが、最後に母子保健の保健師を 配置することが結論という感じがするのです。この辺をどう考えるのか。  基本的には、先ほどソーシャルワークということが議論されていますので、必要な職 員ということの中で、ソーシャルワークを行う、しかし、それが難しい場合にはこうい う形のことも工夫としては必要だという、こういう流れで整理した方がいいのではない かという気がしました。 ○山縣座長  場所については確かにご指摘の通りで、「中期的」と入れたのは、まさにその通りなの です。そういうことが頭にあって、今すぐと言われてもちょっとしんどいだろうと。目 標としてはソーシャルワークのできる人たちの配置をということ。第一段階を保健師と 限定するかということについては確かにどうかという気はします。 ○川崎委員  少し検討すべきかな。 ○上廣委員  中期的というのは、5年くらいですか。 ○山縣座長  いいえ、そんなに具体的な考えではなく、今すぐはしんどいだろうということです。 長期的と書かなかったのは、あまりにも先送りしてもらっても困るからで、中長期的と 書かずに中期と書いたらすごいことになった。姿勢としても、最初からそれを今すぐと いう形で書いていいのであるならば、その方が本当は適切だと。 ○菅野委員  可及的速やかにとか。 ○山縣座長  あまり難しい言葉はできるだけ使わずに。  ここでいう保健師も、先ほどの児童相談所と一緒で、要は単に保健師が保健師の業務 をするというのではなく、本当は保健師にソーシャルワーク研修を積んでもらって、児 童福祉司任用資格相当のレベルに達していただくというのが、一つです。 ○井上委員  言葉のあやかも知れませんが、先ほど児童相談所における保健師は、児童福祉司とし てではなく保健師として家庭訪問や子どもの観察を行うと。この場合は、保健師として というよりは、やはりソーシャルワークの研修を積んだ児童福祉司として。 ○山縣座長  市町村には、保健師は保健師でいるからという前提です。児童相談所には保健師がい ない場合があるけれども、基本的に保健師がいない市町村は、恐らくもはやないと考え る。しかも1人ではなくて、相当数がいる。水巻町は何人くらいいらっしゃいますか。 ○小野委員  嘱託職員も入れたら13人です。 ○山縣座長  そういう人たちの1部にソーシャルワーク研修を積んでもらって、相談の窓口に来て もらうというのが第一段階であり得るのではないかと。全てがそうなるわけではなく、 保健師本来の業務の人たちは当然残っているというイメージ。児童相談所の場合はそう なっていないという前提です。 ○川崎委員  こんなことを言ってあれなのですが、あえて具体的な案を申し上げます。○の中で、 現状を踏まえて、今後のこととして任用資格を持った職員が必要だということにした上 で、「当面それができない場合には、保健所・保育所などの」ということにする。私の意 見で言いますと、案としてですが、「基礎的な素養のある者を優先的に」というのは、こ れは保健所・保育所を優先的に当てろと読めるので、「優先的に」という言葉を削除して、 「すべきである」以下の4行を削除してしまったらどうか。案として提案しておきます。 ○高橋委員  すみません。私も十分に読み込まないで「母子保健分野に」という言葉を入れていた だいて、非常に嬉しいと思うところで終わっていたのですが、この当面という所は、児 童家庭相談に当たる職員ということで、保健師・保育士に限定する必要はないのではな いかという思いがやはりあります。  先ほど(2)の(1)の方で皆さんが議論されたことをこちらに持ってきて、「当面」以下の 文章は、今、川崎委員がおっしゃったように「工夫をすべきである」まででいいのかと 思います。母子保健分野には母子保健分野でやはり経験を積んだ保健師が必要なわけで、 それを持って行かれる、母子保健分野の保健師の力が落ちていくことをとても危惧して いるので、それはそれで別に書いていただけると嬉しいと思います。 ○山縣座長  どうも据わりはそういうところで、川崎委員の案をベースにする。ただ一つだけ、「工 夫をすべきである」というのも、もう少し和らげて「工夫が考えられる」ぐらいにした らどうか。「すべきである」というのは、まず「それをやってください」ということにな ってしまいますから。そこも少し強調を下げていくという感じでいかがでしょうか。で は、ここはその形で修正させていただきます。  (3)は、事例の所が大きく変わっているだけで、本文は今の所以外はそんなに変わって ないのです。  では、いいですか。 ○小野委員  「(3)市町村の職員体制の確保・専門性の向上」という所です。「(1)必要な職員の確保 について」の行を見ますと、どうしても県から市町村を養成していく、専門性を向上さ せていくという方向に読めるのです。  市町村の職員自らがどのように相談対応力を維持向上させていくかという主体的な対 応のあり方というのは、書かれていないという印象があるのです。やはり方向性として は、県や児童相談所から研修体制を充実していくことの他に、自らの努力で自主的に維 持向上していくことも必要なのかということで、そういう観点の文章を少し考えている のです。市町村担当職員のケースに対する対応力の維持向上のためには、日頃から自主 的な研修などを行うなどの体制作りが求められているのではないかと。その研修のあり 方、実施に当たっては、当該自治体が単独での研修も必要なのだけれども、近隣の自治 体と共同で研修を実施するということも検討してもいいのではないか。その際には児童 相談所が積極的にその環境作りを担う役割も果たしてもらいたいということを、やはり ここでは入れておいた方がいいのではないかと思っています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。  これは(2)の(1)の所の文章を強化するか、もしくはその次に入れて、市町村の主体的な 努力を書いて、それから県のサポートあるいは外部研修の利用という、そういう感じで 最初に市町村自身のことを書くということでいいのではないかと思います。  では、後半(4)以降で何かありますか。(4)以降は(P)は1カ所、30ページにあります。 これも私が書いたのですが、中身がどうこうというよりも、土俵に立てないとか言語が 違うとか、あるいは他にももう一つどこでしたか、迫真に迫る演技とかがあって、報告 書としてはあまりにもロマンチックすぎるのではないか、何か良い言葉がないかと。 ○前橋委員  これは、国の方にお尋ねなのですけれども。要保護児童対策地域協議会の設置がまだ 5%ぐらいで非常に低調。少なくとも半数以上はネットワークが整備されているのに、 衣替えが進まないということで、この原因がもう一つよくわからないのです。今の段階 で、何かこれを促進するためのインセンティブになるようなシステムを考えておられる のかどうか、教えていただけたらと思うのですが。 ○太田児童福祉専門官  今の段階ではまだ具体策はありませんので、宿題としていただいておきます。 ○山縣座長  これは実は、今年の厚生労働科学研究の一部を使わせていただいて、3分の1抽出で 調査させてもらっているのです。市町村の方々の回答は、一つは6月1日の5%は、要 は、協議会、もとの児童虐待防止ネットワークの会議の総会は年に1回ぐらいしか開か ない。そうすると6月1日時点ではまだ1回目を開いていなくて、年度末までには変え るのですという答えが結構あったのです。実は昨日、豊岡市がネットワーク協議会から 地域対策協議会に変換した第1回の総会で、記念の話をしてほしいと言われて行って来 たのです。どうもそういう所が結構あるというのが一つわかりました。  恐らく今の年度末の段階で調べたら、かなりの割合で上がっていると思うのです。そ れはすごく積極的な意味合いを持って変えたというよりも、1回目の会合を年度の後半 に開いたから、そこで変わりましたということです。  変えたくないという積極的な理由を示された所には、やはり虐待より広げてやるのは 難しいから、当面は国もいいと言っているし、このままで行きたいというのが、調査の 中ではパーセントが計算できるくらいの数で来ていました。他はあまり丁寧に覚えてい ない。四つ五つ、比較的集まった理由がありました。最大は「年度途中なのでまだ書い ていないだけです」という事務的なレベルの答えでした。何番目かにあったのが「合併 するから、今年度末にはうちはなくなります」という、これが結構ありました。  実際に、この調査の時点で市町村の数は2,400。今は1,800〜1,900。2,000を切って いますよね。 ○太田児童福祉専門官  4月1日時点で、1,800です。 ○山縣座長  1,800ですね。恐らく、それでもう市町村としてはどうにもできないというか、市が なくなる調査についても考えていなかった。豊岡市でも1市5町ぐらいが合併されたの だそうですが、残る5町にはもともとネットワークがなかった。それが去年合併して、 この豊岡市の本体にはネットワークがあったからそこに吸収されていく。だから市町村 は多分調査を放っていました。それが合体して、協議会に機能が変わったという状況で す。そういうところも結構実際にはあるのではないかと思われます。  やはり市町村がある程度安定した段階で丁寧に調査をして、どのようなインセンティ ブを与えていくかということを考えていった方がいい。今はあまりにも過渡期すぎて少 しつらい部分があると調査をしてみて思いました。  これは別に、作りましたと国に報告するようなものではないから、結果的には積極的 に調べなければわからないということなのですね。 ○川鍋総務課長補佐  毎年調べるようにしています。 ○川崎委員  この要保護児童対策地域協議会のことなのですが、27ページに協議会のことが書かれ ている。その前に「5 市町村における児童家庭相談体制の整備」の中で、21ページに 協議会のことが少し述べられているのですが、「(1)市町村が担う機能ついて」の2番目 の○の所の意味がもう一つわかりにくいので、少し整理していただければということで す。「虐待を受けた子どもなど要保護児童の適切な保護を図るために」、「要保護児童対策 地域協議会の調整機関・事務局は市町村の児童福祉担当課や福祉事務所が担っている場 合が多く、協議会としてこれらの過程に取り組むことも各市町村において検討すべきで ある」と。これは「調整機関として取り組むように」という意味なのかどうか。ここの調 整機関と協議会との意味が、もう一つ読んでいてわかりにくいところがあるのです。  この部分と協議会の関係でいいますと、表現としては今後のあり方を考える上では、 本当は協議会がどのような役割を担っているのかということを検証していくことが重要 ではないかと思うのです。しかし、現状では先ほども言いましたように、京都府も非常 にお寒い状況でなかなかできていませんが、やはり協議会を設置促進していく中で、あ り方についても吟味検討していく。まずは積極的に設置していく必要があるということ と、その中身の検証という感じのことが加えられたらいいのでなはいかと。確かに前回 の会議のときに、私も都道府県の役割ということを言っていたのですが、これについて は積極的に都道府県としてやっていこうという表現がありまして、それはそれで良かっ たと思うのですが、この協議会の件が2カ所出てきているのですが、もう少し整理して いただければということです。 ○山縣座長  はい。私は、これはチェックをしていませんでした。何やら触ったような気はしたの ですが、「これらの」というのがきっとわかりにくかったのではないかと思います。何や らここを少し修正したような記憶もあります。「これらの」というのは、きっと前の段の (1)〜(7)を指しているのでしょう。そこを書きつなげた方がいいという、何かそんな感じ の修正をしたか何か、ごちゃごちゃ触ったような記憶があるのですが。違ったかな。  私は「これらの」が何を指しているのか、よくわからなくなって、協議会は独立機関 だけれども事務局が市町村にあるから、(1)〜(7)について協議会が行う、について両方で 考えた方がいいですという、そういう流れだと理解したのです。  今、川崎委員が言われたその部分をわかりやすくするというのが1点と、もう一つは 21ページと後ろの26ページ以降との関係をどうするか。これはまた別の話です。  二つ目の○はもう外して、全部後ろの方に統合するというのも一つかという気はしま す。あるいは書いておいて、詳細は後述みたいな感じで、再掲型にするというのも一つ です。 ○川崎委員  ここでは、(1)で協議会が必要だと。そのためにやはり協議会を設置すべきだというこ とにして、具体的な調整機関の問題を後ろの方に含める。 ○前橋委員  私も川崎委員が言われたような整理の仕方がわかりやすいと思いました。  「(1)市町村が担う機能について」で、こういうことを市町村がする必要がある、それ を適切に行うために協議会を積極的に設置する必要があるということで、その協議会の 内容については後のところで詳しく触れるというふうにしていただいたら、よりわかり やすいと思います。 ○山縣座長  いかがでしょうか。そういう方向でよろしいでしょうか。では、少しその関係を整理 させていただくということで。  他のところで何かございますか。 ○菅野委員  先ほど30ページの同じ土俵に立てない、それから言語が違うという、(P)が付いてい る所がありましたよね。もとの文章はそうなっていて、私は同じ土俵に立てないという のはあまり引っ掛からなかったのですが、言語という言い方で「同じ言葉でも意味や使 われ方が違う」くらいに説明をするとわかりやすいのかと思いました。 ○山縣座長  そこは良いのはないですか。要は言葉だけではなくて視点、保健師の視点とソーシャ ルワーカーの視点は少し違う。教員の視点とソーシャルワーカーの視点にしてもまた少 し違う。その辺のことを言いたいので、こういう文章を書いておられて、そのこと自体 は間違っていないと思うのですが、どうすれば適切に伝わるか。  これは菅野委員の宿題で。主旨自体はきっとご理解いただいていると思いますので、 1、2回の修正の中で、もしあれば。 ○高橋委員  今の所については、多分それぞれの母子保健の役割と児童福祉の役割をお互いに理解 し合わないまま動いて行くことによって、こういうずれが生じているのだろうと思うの で、「お互いの役割や機能を十分理解した上でやっていく必要がある」というような表現 にしていただいたらどうかと思ったりもしました。  それからもう一つ、前の29ページの(5)の所で母子保健のことについていろいろ触れ ていただいて、私はここで「良かった」という思いだけでずっときてしまったのですが、 先ほどの24ページで「母子保健分野に一定程度の経験を積んだ保健師を配置すること が望まれる」というところを削りましたよね。ここで削ったものを何とかこちらに入れ 込んでいただけないかと、欲張りなことを考えています。29ページの一番上の○の最後 辺りの「市町村において母子保健事業に改めて積極的に取り組むことが望まれる」の後 に、「そのために保健師の分散配置によって、経験を積んだ保健師が母子保健から薄くな ることを避けてほしい」みたいなことを入れていただいたら嬉しく思います。 ○山縣座長  今の意見は、いかがでしょう。  ここは母子保健のセットの中だから、相談業務に直接影響しない。当面、高橋委員の ご意見をリンクして、少し文章を作ってみた後で。 ○井上委員  これから文章を作られるということなので、一言。虐待でこれからやはり多職種で取 り組むという、先進的な国のやり方に倣うという例から行くと、この市町村に降りてき たときに、既存の職種の活用のところばかりが強調されている。新しい体制作りだから 仕様がないとは思うのですが、ソーシャルワーカーと母子保健といっても、やはり市町 村に降りれば降りるほどもっと幅が広がるわけで、教員もだし、現在使われている非常 勤の心理相談員にしてもそうだし、何かどこかで多職種で取り組むみたいなニュアンス が入るといいかなと少し思ったので、欲張りを言ってすみません。 ○山縣座長  事例の中では入っていたのですよね。 ○井上委員  事例には入っていますね。 ○山縣座長  事例に、ものすごく変な日本語になっていると発見したのはどこでしたか。 ○井上委員  相模原市のところです。 ○山縣座長  チームアプローチなり、そういう共同による援助なり、何かそういうところが少し本 文の方で弱いということですよね。  その視点も今まで我々が議論をした中の一つで、大きな異論はないのではないかと考 えられます。入れる場所も含めて少し考えさせていただくということで。 ○菅野委員  先ほど、私がという話がありましたが。30ページの(2)の所です。ここの部分は、母子 保健だけではないのですよね。児童家庭福祉と母子保健の関係だけではなくて、確か教 育のことも絡んでいるのではないかと思います。いわゆる生涯学習の中で行われる就学 前の子どもたちへの支援のところも絡んでくると思いますので、取り立てて母子保健と 児童家庭福祉だけではなくて、子育て支援にまつわるいろいろな機関が、という内容で 良いのですよね。一応確認です。 ○山縣座長  そうですね。それは、暗に他の所が弱いぞということを言っているのですね。母子保 健ばかり強調してあると。 ○菅野委員  頑張ってやっているところばかりなので。 ○山縣座長  確か滋賀県の所で学校現場のプラス面が若干入っていました。全体として、この研究 会自体が、教育にやや否定的な議論をこの1年強やってきた傾向があると思います。そ うやって否定ばかりしていてもいけないので、どう新しい関係、良い関係をつくってい くか。教育場面の子どもたちの相談というのは非常に重要ですし、スタート時点はやは り教育にあるのでしょうが、いかに福祉・保健パートと協力していくかというところが なければいけない。確かに、その辺がやや弱いかもしれないですね。 ○前橋委員  学校関係には全然触れていないですね。 ○山縣座長  例として滋賀県の中に少し入っていた。市町村レベルでは学校がほとんど出ていない のです。 ○井上委員  今のところで言えば、特に自治体によっては、母子保健と児童家庭福祉と教育を担当 する組織が分かれている。一回入ったからどうということはないと思うのですが、ここ は(5)の「子育て支援サービスの活用による総合的支援の実施」だから、入っても変では ないですよね。子育て支援は当然児童家庭福祉の中に入るわけですよね。 ○山縣座長  枠組みとして、教育が一緒になっている所はほとんどないだろう、福祉と保健が一緒 になっている所は相当あるだろうというニュアンスでずっと議論してきているのです。 だからあえて分かれている所というのは、そこについてだけしか書いていなくて、教育 は最初から分かれている。本当はそこをリンクさせなければいけない。間違いなく視点 がちょっと弱い。今ごろになって、ちょっと大変な課題です。この研究会だけで議論で きるような課題ではないと思いますけれども、先ほど言いました厚生労働科学研究でや らせていただいている研究のヒアリングでは、市町村の教育委員会制度そのものを廃止 したらどうかという意見を言われている方々もいらっしゃるのです。教育との関係を円 滑にするには教育委員会という仕組みを外してしまうか、逆に全部教育委員会の中に持 ち込んで、そこから抜き出してくるみたいな。教育委員会は義務教育がありますから全 市町村に制度化されているので、そこの担当を今のような仕組みにしないで、義務教育 担当のイメージから外して、子ども部門というような形で独立させて引き抜いてくると いう考え方もどうだろうかと。  ただ、教育との関係をどうするかというのは、やはり多くの人たちが悩んでおられる というのが、前にお渡ししたヒアリングの中にも幾つか出ていました。今すぐ文章を作 るのは難しいのですが、やはり入れないといけないと思います。(5)の(1)の中か、母子保 健とか教育を独立させて項を起こすか、そこは預からせていただいて、そういう位置に、 母子保健と同じレベルで取り扱わせていただくということにさせてください。もうだい ぶ時間が迫ってきましたが、全体を通してでも結構ですので、言い残しているようなと ころがありましたら。今の段階でご意見をいただくと、3月末までの第一次修正に間に 合うということになります。 ○井上委員  埼玉県の話がどこにもあがっていないという話が最初にあったと思うのですが、19ペ ージを見て、ガイドラインや手引きを作って積極的に市町村への研修を行っているとい う点では、以前に関根委員から毎月のようにやっていると伺ったことがあって、大阪府 の年10回に相当するかなと思いました。 ○山縣座長  どこを埼玉県の特徴として全国に紹介・発信できるかを関根委員に聞きましょう。 ○前橋委員  ぐっと戻ってしまうのですが。遅れて来たので聞き漏らしたかもしれないのですが、 1ページ目の○の三つ目ですけれども、「市町村レベルのシステムをつなぐ新たなシステ ムが必要」とある。これは「必要である」となっているのですけれども、この辺が、ど ういうシステムかというイメージがまだ持てないのと、どんな議論の経過になっていた かというのがあまり記憶になくて、申し訳ありませんけれども、この辺を教えていただ けたらと思います。 ○山縣座長  具体的につなぐシステムは、そんなに議論をしていないです。ただ、両者をつながな ければいけないということについては認識をしている。だから後ろにあまり具体的なシ ステムの話が出てきていない。 ○井上委員  私がここを読んだときは、要保護児童対策地域協議会のことを言っているのだと思っ てしまったのですが、そうではないのですね。 ○山縣座長  もう少し広いことを指していると思うのです。 ○前橋委員  「新たなシステム」というと、もう少し踏み込んだ書き方になっているかという気が したのです。 ○山縣座長  要保護児童対策地域協議会が大きな意味を持っていることは間違いないと思います。 それも含めた関係を、どういう絵を描くかと。まだ完成していないので、ちょっと見せ られないのですけれども、一生懸命描いているところです。以前、岩佐委員に「それを 描くのは、あなたの仕事だ」と言われて、描かなければと一生懸命メンバーで描いてい るところなのです。やはり、いろいろな地域差があって具体的なものを想定すると、と ても描きづらくなってしまう。3層で描いていこうと。3層というのは、県レベルと市 町村レベルとさらに小地域レベルの3層で、その間をつなぐ仕組みをつくっていかなけ ればいけない。今ここに描いているのは県と市のことを描いているわけですけれども、 我々が議論している中では、市もいろいろなレベルの市があるから、市として一括で捉 えるより、もう一つ下の仕組みを考えていく。それは、頭の中には「高齢者の地域包括 支援センター」というイメージが一つあるということなのです。子どもで言うと、それ が今の要保護児童対策地域協議会の小学校区化なり中学校区化なのか。地域子育て支援 センターなり、そういうものを、今の国の標準の進め方で言うと、地域子育て支援セン ターとつどいの広場を中学校区に1カ所ぐらいという緩やかな目標値を持っておられま すから、そういうレベルで何か一つの仕掛けをということなのか。要は、大きな市など では、もう一つ下をつくらないといけないのかと。そういう絵を一生懸命描いてみよう としているのですが、なかなかうまく描けなくて、年度末までに描こうと思いましたが 間に合いませんでした。そこには福祉も保健も一応教育も、グループとしては入ってい て、その想定はしているのですが、今の段階で、こういう案でどうですかとはちょっと 言いづらい。  研究会として、この段階で報告書を出さないといけませんので、あまり無理して書く よりも必要であるということを逆にしっかり強調しておいて、「今後の検討課題である」 というぐらいの方が、あまり曖昧なものを出して、それで議論されて変な方向に行くよ りも良い。それについて、我々が書きづらいのは、要保護児童対策地域協議会がどうい う動きをされるか、どういう形で出来上がるかが今の段階ではわからないというのが、 並行で調査をしてみて頭にあるのです。要保護児童対策地域協議会のイメージがある程 度できないと、それを良い位置に置いて書けるのか、非常に形式的なものだから使えな いものとして書くのか、そこが非常につらいところですね。  いかがでしょうか。非常に重要なポイントで、一番頭に書いてある割には後ろに答え を何も書いていないというところかもしれませんけれど。前橋委員、何か具体的なもの がありますか。この辺でやっているようなモデルとか。 ○前橋委員  それがないのです。一応、必要性だけはきちんと置いておく。それはこれから検討し ましょうと。その検討の種というか、そのイメージがあれば、それは進んでいくと思い ます。 ○川崎委員  あまり本質的な問題ではないのですけれども、今回の報告書の表現です。運営指針が 改定されて、今回の前に改定されたときから「ケース」という言葉をほとんど使わなく なっています。ケースワークという言葉は若干残ったかもしれないのですけれども。そ の辺りの表現として、どうするのかというのが若干。あまり意味のないことですけれど。 才村さんがやっていたときだと思うのですけれど、ほぼ全面的に改定されているのです。 その辺をちょっと。 ○山縣座長  これは、皆さま方の中にこだわりがありますか。こだわりというのは、「ケース」で残 さないといけないというこだわりがありますかということ。なければ今標準的に使われ ている方向に合わせた方が。絶対に「ケース」でなければ駄目だというのがあれば別で すけれども。その辺は、一括して変換していただいたらと思います。よろしいでしょう か。  大体、ほぼ予定した時間通りになってしまいました。これで第11回の研究会を終わ ると同時に、この研究会自体も最終回ということにさせていただきたいと思います。途 中で言いましたように、今日の修正意見、既にある程度確定した所と、文章を今後考え るという部分がありますが、それを含めて、できれば数日中に、今日が23日木曜日で すから、最低月曜日までに意見をいただいて、それを含め月末までに3回目の下案を作 る。それを各委員に配布させていただいて、さらに修正を求めるという形です。もう研 究会を開催することはできませんので、「こういうところについて検討いただきたい」と いう形のものは非常に整理しづらいので、できれば「こう変えてほしい」という具体的 な書き方をしていただくと、それを全員に届けることができます。修正についてはその 形でお願いしたいと思います。事務局にはそれをやっていただくことと、実践例・事例 等について追加すべきものがあれば追加するということ。それから、既に掲載予定のも のについては、それぞれの担当に直接確認していただくという作業を月末までによろし くお願いしたいと思います。各委員の方でも、あまりたくさん追加すると報告書として 不格好になりますのでできませんが、抜けている所で、「ここにもこういう事例を入れた 方が良いのではないか」ということがあれば、そういう事例をいただけたらとお願いし たいと思います。  ということで、とりあえず研究会の方はこれで終了させていただきたいと思います。 1年半ですか。確か第1回目が台風で大騒ぎして集まりました。入り口が波乱であった 割には、中は各委員の見識でまとめることができたということを感謝しております。つ たない座長でしたけれども、進行にご協力いただきましてありがとうございました。そ れでは、事務局の方にバトンタッチをしたいと思います。 ○内山総務課長補佐  ありがとうございました。本来、これは私どもの局長の会議ということで、局長があ いさつに来る予定でしたが、国会用務で、まだ国会が長引いているようで局長からお礼 を申し上げることはできませんでしたけれども、本日までどうもありがとうございまし た。また、座長からお話しいただいたように、事務局の方で少し整理をさせていただい た上で送付させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。本当にどうもあ りがとうございました。 ○山縣座長  どうもありがとうございました。では、これで終わります。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 03−5253−1111(内線7829) 36