06/03/22 身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会の議事録(第1回)について 身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会 第1回議事録 厚生労働省社会・援護局 第1回 身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会 議事次第             日時:平成18年3月22日(水)10:00 〜12:00             場所:経済産業省別館 10階 1020号会議室 1 開 会 2 委員紹介 3 社会・援護局障害保健福祉部企画課長挨拶 4 議 事  (1)検討会の公開の取扱いについて  (2)本検討会における検討課題について  (3)その他 5 閉 会 ○上村 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「身体障害者補助犬法 の施行状況に関する検討会」を開催いたします。 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 まず初めに、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。 東京都福祉保健局障害者施策推進部在宅福祉課長、太田敏子様。 財団法人日本障害者リハビリテーション協会常務理事、片石修三様。 国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野教授、木村哲彦様。 財団法人エイズ予防財団理事、栗山昌子様。 (NPO)日本介助犬アカデミー専務理事、高柳友子様。 牛久市民福祉の会事務局長、秦靖枝様。 神奈川県保健福祉部障害福祉課課長代理、彦根睦様。 佐野短期大学社会福祉学科教授、日比野清様。 中央大学大学院法務研究科教授、本田純一様。本田様は御都合により、欠席されてお ります。 社会福祉法人全国社会福祉協議会常務理事、松尾武昌様。 続きまして、本検討会のオブザーバーを御紹介いたします。 厚生労働省健康局生活衛生課、加藤係長。 健康局結核感染症課、高橋係長。高橋係長の方は、後ほどお見えになります。 健康局地域保健室、須藤係長。 医薬食品局監視安全課、稲貝課長補佐代理。 職業安定局障害者雇用対策課、浅賀障害者雇用専門官の方は、後ほどお見えになると いうことでございます。 それでは、検討会の開催に先立ちまして、障害保健福祉部企画課長の松嶋よりごあい さつを申し上げます。 ○松嶋 おはようございます。障害保健福祉部企画課長の松嶋でございます。 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中「身体障害者補助犬法の施行状況に 関する検討会」の委員に御就任をいただきまして、御礼を申し上げます。 また、本日は午前の朝10時ということで早い委員会でございまして、大変申し訳なく 思っております。よろしくお願いいたします。 さて、身体障害者補助犬法は平成14年10月に施行されまして、約3年を経過したと ころでございます。法律の施行後3年を経過した場合において、法律の施行状況につい て検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる旨が定められているわけでござい ます。このため現在の補助犬法の施行状況、つまり補助犬の社会での受け入れの状況は どうなっているのかとか、普及啓発が行き届いているのかなど、補助犬に関わる関係者 のそれぞれの立場からの意見をお伺いいたしまして、今後どのような取り組みが有効か などについて御意見を伺う場として、この検討会が立ち上げさせていただいたところで ございます。つきましては、各委員の皆様方の忌憚のない御意見をいただければ幸いか と存じます。 なお、検討会の座長につきましては、障害者福祉を始め、社会福祉全般に関する豊富 な学識と経験をお持ちであります、社会福祉法人全国社会福祉協議会常務理事の松尾委 員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 どうかこの検討会が実のある検討会でありますことを祈念いたしまして、私のごあい さつといたします。今後ともよろしくお願いいたします。 ○上村 それでは、事務局の紹介をさせていただきます。 先ほどごあいさつを申し上げました企画課長の松嶋でございます。 社会参加推進室室長補佐の徳永でございます。 調整係の冨原でございます。 私は、社会参加係長をしております上村でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、以後の議事運営につきまして、座長にお願いしたいと存じます。よろしく お願いいたします。 ○松尾座長 御指名でございますので、私の方で検討会を進めさせていただきます。 一言ごあいさつを申し上げたいと思いますが、私は先ほどごあいさつがありました松 嶋課長の立場のところに11年ぐらい前におりまして、ちょうど国連障害者の10年の最 終年の節目をやって、アジアの10年の始まりをやったときの担当でございました。考え てみますと、あの当時はまだ盲導犬が主で、今の聴導犬や介助犬は余り話題になってお りませんで、国会に初めて盲導犬が入ってくるというので大騒ぎをしたような経験がご ざいました。 それから考えてみますと、まさに昔日の感がありました。今日では障害 者の方々が社会に出ていくための支援をするというのが最大の課題になっております。 そういう意味では、盲導犬、介助犬あるいは聴導犬が大きな力になるんだということが、 まさにこの法案のできた由来だろうと思っております。 ちょうどこの法案の見直しの時期に当たるということで、さまざまな意見をまとめ上 げようという委員会ではなかろうとか思っております。本委員会は、まさに実務家と申 しますか、一番補助犬の近くの関係者の方々の集まりでございますので、忌憚のない御 意見を出し合いながら、この委員会でひとつまとめ上げたいと思っておりますので、ど うか御協力をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。 それでは、早速中に入ってまいりたいと思いますが、まず資料の説明からやっていた だけますか。 ○徳永 ただいまお手元に「第1回 身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会」 という会議の式次第、それとそのほかに配付資料ということで1番〜7番まで書いた資 料を、連続した番号の1冊の冊子でお配りをさせていただいております。 あとブルーのファイルですけれども、こちらにつきましては、いわゆる身体障害者補 助犬法の概要ということで、法律と通知等を束ねたものをそれぞれ1冊お配りしている ところでございます。 以上でございます。 ○松尾座長 それでは、議題の中に入ります前に、本委員会の取り扱いについて提案が あるようでございますので、事務局の方から提案してくれますか。 ○徳永 それでは、配付しておりますお手元の資料の1ページをお開きいただけますで しょうか。これは本検討会の設置要綱でございます。 先ほども松嶋課長からごあいさつがありましたとおり、身体障害者補助犬法は法律の 施行後3年を経過した場合に、法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき 必要な措置を講ずる旨、定められておるところでございます。 このため、身体障害者補助犬法の施行状況を踏まえて、補助犬に携わる関係者のそれ ぞれの立場から意見を伺い、今後どのような取り組みが有効か等について検討を行うこ とを目的に、身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会を設置するものでございま す。 「2 検討会の設置」は、社会・援護局障害保健福祉部企画課長が主催をするという 形でございます。 「3 構成員」につきましては、次のページに添付させていただいてございます。 「4 オブザーバー」につきましては、厚生労働省の関係部局、健康局、医薬食品局、 職業安定局に入っていただいておるところでございます。 検討会での「5 検討事項」でございますが、補助犬の社会での受け入れに関するこ と。あるいは補助犬の普及啓発に関すること。それと「その他」という形で整理をさせ ていただいております。 「6 運営」につきましては、障害保健福祉部企画課社会参加推進室にてまとめたい ということでございます。 続きまして、資料の3ページでございますが、本検討会の公開に関する取り扱いにつ いてでございます。 こちらにつきましては、中央省庁等改革の推進に関する方針についてということで、 いわゆる審議会等の運営に関する指針が示されているところでございますけれども、審 議会につきましては、議事内容の透明性の確保を図るということで、原則会議または会 議録を公開するという取扱いになっているところでございます。 身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会につきましても、これと同様に原則公 開ということで取り扱いをさせていただきたいと考えているところでございます。 参考として、次のページに「審議会等の運営に関する指針(抜粋)」を添付させてい ただいております。 以上でございます。 ○松尾座長 今、事務局から本検討会の設置要綱の説明がありました。施行状況等を踏 まえて、今後どのような取り組みをしていくかということについて検討を行うという設 置要綱と、この検討会の議事の進行に当たりまして、この公開についての説明がござい ました。 これについて何か御質問があれば、今のうちにお聞きして確認をしておきたいと思い ますが、よろしゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○松尾座長 それでは、今の2つの件につきましては、この要綱に基づいて公開という ことで取り扱わさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 補助犬法につきましては、もう皆さん方は大変御認識が深いと思いますけれども、更 にこれを確認し合うということで、補助犬法の概要について説明をお願いしたいと思い ます。では、事務局からお願いできますか。 ○松嶋 ちょっと済みません。本来企画課長がこの会議を主催するということになって おるんでございますけれども、私どもの方ちょうど参議院予算委員会、4月1日の制度 施行の切り替えということがございまして、国会も当たっておりまして、私途中で退席 いたしますけれども、大変申し訳ございませんが、お許しを願いたいと思います。審議 方よろしくお願いいたします。申し訳ございません。 ○松尾座長 では、事務局お願いします。 ○徳永 それでは、資料の5ページ「資料3」と書いてあるところでございます。 こちらでは身体障害者補助犬法及び同施行規則、並びに補助犬に関する通知を添付さ せていただいております。その詳細につきましては、後ほどお目を通していただければ と存じますけれども、私の方からは「身体障害者補助犬法の概要」ということで、簡単 に御説明をさせていただきたいと思います。 資料の6ページでございますけれども、身体障害者補助犬法におけます身体障害者補 助犬につきましては、いわゆる身体障害者の日常生活を支援するということで盲導犬、 介助犬、聴導犬を総称するものでございます。 本法律が制定される以前におきましては、約50年の歴史を持つ盲導犬につきましては、 広く一般国民に周知をさせているというところでございますが、介助犬及び聴導犬につ きましては、その歴史も浅く、実働頭数も極めて少ないということもありまして、また 既に道交法に規定されていた盲導犬とは異なりまして、法的な位置づけもなかったとい うこともあり、公的施設や公共交通機関において受け入れもされていなかったという現 状にございました。 こうした状況を踏まえまして、補助犬を訓練する事業者及び補助犬の使用者の義務等 を明らかにし、良質な補助犬の育成、普及を行うとともに、補助犬を同伴する場合の施 設等の利用の円滑化を図り、身体障害者の自立と社会参加の促進に寄与することを目的 として、平成14年5月に議員立法によりまして、身体障害者補助犬法というものが制定 されたところでございます。 身体障害者補助犬法で先ほど3種類の犬のことで御説明をしましたが、盲導犬につき ましては、視覚障害者の歩行を誘導するという犬でございます。 介助犬につきましては、いわゆる肢体不自由者の日常生活に著しい支障がある障害者 のために、物の拾い上げとか着脱衣の補助とか、あるいは体位の変更とか、起立及び歩 行の際の支持等を行う犬のことをいいます。 聴導犬でございますが、これは聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害 者のために、ブザーの音とか電話の呼び出し音、あるいはいわゆる危険を意味する音等 を聞き分けまして、必要な情報を障害者の方に伝えるという犬のことをいいます。 これらを総称して、先ほど申しましたが身体障害者補助犬と定義がされているところ でございます。 次は「3.身体障害者補助犬の訓練」ということで掲げていますが、いわゆるこれは 訓練事業者の義務を掲げたものでございます。 訓練事業者は、適性を有する犬を選択するとともに、これを使用しようとする身体障 害者の状況に応じた訓練を行うと。それをもって良質な補助犬を育成しなければならな い。 また、身体障害者補助犬の使用状況の調査を行って、必要に応じて再訓練を行わ なければならないと位置づけをされているところでございます。 「4.施設等における身体障害者補助犬の同伴等」ということで、国、地方公共団体、 公共交通事業者、不特定多数の者が利用する施設の管理者等は、いわゆる身体障害者補 助犬の同伴を拒んではならないと位置づけをされまして、これは義務という形になって ございます。 ただし、施設に入って著しい損害が発生するおそれがある場合などは、この限りでは ないと掲げられておりまして、例えば補助犬が大変不衛生である場合とか、あるいは補 助犬自体がかなり攻撃的な態度を見せるといった場合については、拒否ができると取り 扱いがされているところでございます。 次の民間事業主及び民間住宅の管理者につきましては、これについては拒まないよう 努めなければならないと位置づけがされておりまして、いわゆる努力義務の形になって いるところでございます。 この補助犬を同伴して施設等を利用する場合に、身体障害者補助犬である旨の表示を しなさいと取り扱いをしているところでございます。 続きまして「5.身体障害者補助犬に関する認定等」ということでございますが、い わゆる補助犬の認定業務を適切に行うことができるものを指定法人ということで、厚生 労働大臣が指定をしてございます。 指定法人はいわゆる補助犬としての認定を行うわけですが、その際に他人に迷惑を及 ぼさないこと、あるいは不特定多数の者が利用する施設等において、適切な行動をとる かということの能力を有すると認める場合に、その認定を行う形になっておるところで ございます。 続きまして「6.身体障害者補助犬の取扱い等」について掲げておりまして、これは 訓練事業者と使用者の事務的なことを書いておりますが、いわゆる身体障害者補助犬を 清潔に保つということと、予防接種、検診を受けることに公衆衛生上の危害を生じさせ ないよう努めなければならないという形になっております。 国と自治体は補助犬法が果たす役割の重要性について、国民の理解を深めるよう努め なければならないとなっているところでございます。 「7.施行期日等」につきましては(2)の方に書いておりますが、この法律の施行 後3年を経過した場合は、この法律の施行の状況について検討が加えられ、必要な措置 が講ぜられると掲げられておりまして、今回これに基づいて本検討会を立ち上げさせて いただくということでございます。 これまで法の施行状況というものを把握するために、厚生労働省としてアンケート、 あるいは意見交換会というものを通じまして、情報収集というものに努めてきたところ でございます。これらのアンケートや意見交換で得られた情報を基に、今後どのような 取り組みが有効かということで検討を行っていただければと考えております。 なお、身体障害者補助犬法の具体的な見直しに向けた取り組みというものにつきまし ては、いわゆる超党派の国会議員の先生方で組織されております「身体障害者補助犬を 推進する議員の会」で具体的に取り扱われるということになりますが、本検討会の検討 状況につきましては、議員の会の方に報告をさせていただくこととしておるところでご ざいます。 いずれにしましても、アンケートなり意見交換等で得た情報を基に、各委 員の皆様方に御意見をお伺いして、どのような問題点があるかというものを浮き彫りに して議論を整理させた上で、必要に応じて今後どのような対応策とか方向性とか、そう いったものを検討いただければと考えているところでございます。 続きまして、資料の32ページにちょっと飛びますが「身体障害者補助犬の訓練事業者 等の現状」ということで、御説明をさせていただきます。 「1 訓練事業者の推移」ということで、これはいわゆる身体障害者補助犬を育成す る訓練事業者の数が、どのように推移しているかというものを表で整理したものでござ います。 補助犬の種類ごとに、介助犬、聴導犬、盲導犬の数が、18年度3月末のトータルで5 0団体という形になってございます。介助犬、聴導犬につきましては、事業の両方が行 われているところがございますので、下に括弧書きがありますけれども、事業者として のトータルは36団体あるということでございます。 2番目でございますけれども、先ほども御説明しましたが、厚生労働大臣が指定法人 を指定するという形になっておりますので、18年度3月現在で介助犬、聴導犬はそれぞ れ5団体、盲導犬については9団体という形になっております。 ちょっと見にくいと思いますが、小さい字で書いておりますけれども、盲導犬につき ましては、道交法で従来認定制度が存在していたということがございまして、経過措置 として、当分の間、国家公安委員会が指定した法人が認定を行うように取り扱われてい るところでございます。 具体的に補助犬がどのくらい実働しているかというのが、3番目の表でございます。 18年3月現在で、介助犬については30頭、聴導犬は11頭、盲導犬につきましては、 年間に集計をされておりまして957 頭という現状にございます。 次のページに、いわゆる介助犬と聴導犬の都道府県別の分布といいますか、活動して いる状況を付けているところでございます。 以上でございます。 ○松尾座長 資料の概要と現状を御説明いただいたということでいいですか。まずそこ のところで切ってよろしいですね。 ○徳永 はい。 ○松尾座長 これは御意見というよりも、今の説明に当たってよくわからないとか、も う少し説明してくれということがあれば、言っていただければと思います。これから進 めていきますので、後でまたさかのぼって質問をしたいということは一向に構いません ので、とりあえずここで1回切りますけれども、この段階で何かあればひとつお願いし ます。どうぞ。 ○栗山委員 先ほどここの委員の方は、みんな介助犬にすごく近いという御説明があっ たんですが、私は一度も介助犬を見たことも会ったこともない、一番遠い人間だと思い ます。今回そういう遠い立場からということで入れていただいたんだと思うんですけれ ども、1つすごくびっくりしたのは、介助犬の数というのが物すごく少ない。今これを 見せていただいても、推移ということで1つも増える傾向にはなっていないようなんで すが、その辺はどういう目標があって、どういうふうにこれから増やしていきたいと思 っておられるのかというところを、近い方から伺いたいなと思いました。 ○松尾座長 どうですか。何か計画があるんですか。 ○徳永 計画というよりは、要は補助犬に関する国庫補助といいますか、育成事業の補 助金をやっておるところでございます。 後の方でまたデータ的といいますか、調査の結果とかが出てくるんですけれども、い わゆる補助犬を希望されている方というのが、資料で申し上げますと41ページの別添(3) というところで、自治体からアンケートをとったものがございます。いわゆる「補助犬 希望者のうち、育成事業との助成を待機している方は何人いますか」ということで調べ たものがございまして、盲導犬で124 、介助犬で4、聴導犬3というような現状でござ いまして、県で割り勘してしまうと、大体1、2頭程度という状況でございます。それ ぐらいの待機者がいらっしゃると。 ただ、これはあくまでも補助事業を望んでいる方という形になっておりまして、介助 犬なり聴導犬をいわゆる自己負担で入手されるという方も当然ございますので、そうい う方からすれば、現状としては補助金といいますか、補助事業の中で対応できている状 況にございますけれども、まだまだ使用されようとする方の中にも、どういうものかと 御存じのない方もいらっしゃるのではないかと感じているところでございます。 盲導犬につきましては、先ほども申し上げましたとおり50年ほどの歴史があるという ことでございますので、そこは一応計画的に、いわゆる訓練事業者さんの方で、九州と か北海道とか、それぞれのブロック単位で大体対応されておりますので、そういう面で の計画的な育成という形では、行われているということは言えるのではないかと思いま す。 ○松尾座長 私もそういう意味では同じなんです。聴導犬とか介助犬を実際に見たこと がないし、余り触ったこともないので同じレベルです。 私もこれから議論をしていくときに、1つだけお聞きしたいことがあります。国とか 地方公共団体が補助犬について、国民に対するPRとか障害者に対するPR、例えばパ ンフレットを出していますとか、リーフレットを出しているならそれでもいいんだけれ ども、事例でいいので、何かそういうものがあれば1回集めておいてくれますか。まず、 国はそういうものを出していますか。 ○徳永 出しています。 ○松尾座長 まずそれが欲しいし、そういうものはきっと後で議論が出てくると思いま す。補助犬法そのものは利用の制度を規定しているわけではなく、補助犬をどういうよ うに育成して、どういうふうにきちんと利用していくかということを決めて、どういう 利用をするというサービス制度のところはまた別の制度になっているわけですね。だか ら、この検討会では対象にしないと思うんだけれども、しかしそこはこれからの検討の 土台になるから、どんなことを補助犬についてPRしているのかということを少し教え てください。 ○徳永 一応アンケートの方で、資料でいいますと44ページです。これは自治体の方の 関係で、いわゆる都道府県ということでとっているところでございます。 「(13)補助犬法等について住民の理解を得るために、これまで取り組んだ主な活動を記 入してください」という形でとっているものがございまして、大体ポスターとかリーフ レット、ステッカーといったものの印刷物の配布というものが、全県で38件取り組まれ ているという現状でございます。 あと、多いところでは自治体での広報誌の活用とか、自治体の方のセミナーなりシン ポジウムというものが、補助犬法を御理解いただくために開催されているというのが大 体主だったところではないかと思います。 ○松尾座長 それはいいんですが、パンフレットなりリーフレットを1回みんなに配っ てください。まずそれが1つです。 ○徳永 はい。 ○松尾座長 ここでも議論しなければいけないし、さっきの質問にも関連するんだけれ ども、補助犬を利用しようと思ったら、どういうふうにしたらいいのか。例えば障害者 の方はどこへ申し込んだらいいかとか、どういう制度になっているのかという制度の仕 組みみたいなものが、わかるものがあれば欲しいです。ここはそれを充実しろとか、促 進しろとかということを議論するつもりはないし、これはそういう場ではない。 だけれども、恐らくそのために補助犬法というものがあって、ちゃんと育成をしなけ ればならないとか、認定をしなければいけないとか、受け入れる事業所はきちんと受け 入れろとかということを今後議論するわけだから、実際にそれがどういうふうに社会の 中で動いているのかというのを、説明は時間がないので、基礎的な資料を配ってくれる と楽ですね。 テレビでよく感動的な場面がぱっぱっとコマーシャルみたいなもので出 てくるけれども、それが出てくるだけで、ああいうふうに障害者の方々が使うためには どうしたらいいのかということは、我々は余り理解をしていないので、あなたが言った ように制度的なものと個人的にどこに申し込めばできるのか。そういう検討の土台の資 料に差し上げた方がいいのかなと思います。 ○徳永 次回の会議のときに、御用意いたします。 ○松尾座長 どうぞ。 ○栗山委員 それに関連してなんですが、多分いわゆる犬といっても、全然違うものな んだと思うんです。むしろこれだけの法律に守られている特別な犬で、お犬様とでも申 し上げたいような犬なんだと思うので、その特徴をよく教えていただかないと、一般の 人たちがこういう法律を守っていくというところに結び付かないのではないかと思った んです。 と申しますのは、私が外国におりましたときに、盲導犬のチャリティーをや ったんですけれども、そのときに初めて盲導犬というものを皆さんのところへ連れてき てくださいということをお願いして、これが盲導犬で、犬といっても、その辺で連れて 歩く犬とは全く違う。例えばチャリティーのレセプションなどをしても、そこで物は食 べない。においがしても何にも反応しない。この子たちのお手洗いはどうするんですか と伺ったら、この子たちはそこで仕事をしている間は、絶対にお手洗いに行きませんと なると、普通の犬だと自分のうちに連れてくると、どこかに新聞紙を引いておいてくだ さい、そこでお手洗いをしますとか、いろんなことがあるわけです。だけれども、そう ではない犬なんだということを、何百人か来たんですけれども、みんな改めて知ったわ けです。 だから、介助犬というものも多分それに似たような特別な訓練がされていると思うの で、そうなると犬といっても犬でないものですね。その辺がわかって、法律を守るとい うことではないかと思います。 ○松尾座長 わかりました。こうしましょう。その議論をしていると、数回では終わら なくなってしまうので、私もそんなに詳しいわけではないので、各自に勉強する以外に ないと思います。補助犬というのはどういうものかとか、そういう資料をいただきまし ょう。 ○徳永 例えばそういう資料があれば、皆さん方にお渡しいたします。 ○松尾座長 あれば、ちょっと整理して皆さん方に配っておいていただいて、それを読 んで理解をしていただくと。ここの委員会にはそういうことに大変詳しい方もいらっし ゃるし、我々みたいに余り知らない方もいらっしゃるし、関係の薄い先生もおられるし、 多様な立場の方がおられるから、基礎的な土俵をつくり上げる資料を是非つくってくれ ませんかね。 ○高柳委員 それに関連するんですけれども、今、恐らく栗山委員からお話があった点 の一番最初の点は、育成がどうして進まないのかという点だったと思います。それと確 かに世の中一般の方々が目に触れる機会があって、だから理解が進んでということはリ ンクしますので、決して関係ないことではないんですけれども、ここで議論をしていか なければいけないことは、基本的には大きく2つだと思います。 受け入れの問題、要するに国民一般への周知の問題と、お使いになる障害者にどう知 らせ、そしてどう補助犬が増えていくのかと。要するに育成の課題と受け入れ、一般認 知の問題というのは、課題としては基本的には別だと思いますので、その辺は別の課題 であるという認識をしていただいて、進んでいただきたいと思います。 ○松尾座長 余り基礎的なことばかりやっていると、時間が経って、それから先に進ま なくなっても困るんだと思います。 ○高柳委員 そうですね。 ○松尾座長 そこは進行の中で議論を進めながらやっていきましょう。 今も既に議論、問題点が出ていますが、せっかく用意してあるので、とりあえず事務 局であとの資料を説明していただいて、それでもう一回議論をしていただきたいと思い ます。今日はフリートーキングにしてあるので、また後で皆さんに発言していただく時 間が要るので、説明を先にやってくれますか。 ○徳永 それでは、資料の34ページ、いわゆる資料5というところで「身体障害者補助 犬法の施行状況等について」というものがございます。 先ほども説明しましたが、これまで身体障害者補助犬法の施行状況というものを把握 するために、アンケートや意見交換等を通じまして、情報収集に努めてきたところでご ざいます。 まず、その一つとして、(1)で掲げておりますが、身体障害者補助犬法に関するア ンケートというものを実施したところでございます。これはいわゆる補助犬に直接携わ っていただいております各指定法人さんなり、訓練事業者さんなり、自治体に対しまし て、補助犬の認定の状況、あるいは広報活動の状況、また補助犬を推進する上でそれに 対する意見とか要望、今後見直してほしいといった事項について、アンケートを実施し たところでございます。 集計結果ということで、後についております別添(1)〜(3)ということで、それぞれ添付 をさせていただいたところでございます。そこにつきましては、後でお目通しをいただ ければと思います。 次に、関係団体からの要望書というものを受理しております。以下の5つの団体から 補助犬の見直し、改正ということについて要望書を受けているところでございます。 このほかに関係団体との意見交換というものを、それぞれ実施しているところでござ います。約12団体ほどから、それぞれの立場でお話をお聞きしているところでございま す。 これらの意見・要望というものを、次の35ページでございますが「2 アンケー ト及び意見交換等を通じて得た意見・要望」ということで、とりまとめをさせていただ いております。使用者の方、指定法人の方、それぞれの意見ということで、主だったも のをこの表で整理させていただいたところでございます。 続きまして、また資料が飛んでしまいますが、資料の46ページ、資料6というところ で「補助犬の受け入れ等に関する調査・研究」というものを添付させていただいており ます。こちらは平成14年10月から、国などが管理する施設については受け入れの義務 化がされたところでございます。平成15年10月からデパートとか旅館、そういう不特 定多数の方が利用する施設というものが義務化されたということでございます。不特定 多数の方が利用する施設で、義務的に受け入れを行うこととなるホテル、飲食店、病院、 旅館に対して行った調査の結果をまとめたものでございます。 有効回答となった424 件についての状況でございますが、その際にホテル、飲食店、 病院、旅館、それぞれが「法律内容をよく知っている」かということで確認をされた結 果がパーセンテージ書いてございます。ホテルであれば54%、飲食店であれば53%とい った状況であったということでございます。 その下の法律の全面施行、全面施行というのは不特定多数の方が利用できるとなった わけでございますが、その際に「補助犬を自施設に受け入れる」ということについて問 いただしたものでございます。そこには「法施行前」という書き方をしておりますが、 これは15年10月の義務化以前から受け入れを行っていた割合です。それぞれ上に書い てあります。ホテルであれば78%、飲食店であれば58%という状況であった。 それに対して、今度「法施行後」どのように考えるかということで聞いた内容を下に 書いてございます。今後は受け入れるといった割合がそれぞれ95%、88%に数字が増え たということでございます。 受け入れの拒否への罰則についてどう考えますかということで、それぞれの病院、旅 館に対して行いましたところ、全体で71%が不要だという調査結果が出ているというこ とでございます。 その下の表は、病院、ホテルとか全体で「『法律内容をよく知っている』施設」かど うかと。 「『法律の名称は知っている』施設」かどうかと。 「『何も知らない』施設」というような、法施行以前も受け入れるとか、法施行後に 受け入れるという形で、それぞれの数字の割合を整理をさせているところでございます。 これは出典が日本心理学会の第68回の大会の発表ということで、私どもが直接行った 調査ではございませんが、こういう調査があるということで入手したものでございます。 この表でいうと、法律の周知割合が高い業種ほど、補助犬の受け入れ割合も高くて、 施設の受け入れ義務の理解があるという結果になっていると、この報告では言われてい るところでございます。ただ、質問の回答率が低いということから、補助犬の受け入れ に関心のない施設は、回答に応じなかったのではないかという可能性もあって、実際の 受け入れはもっと低いのではないかと、この報告ではまとめられていたところでござい ます。 続きまして、47ページのところでございますが、こちらは47都道府県の調査対象15 の業種に対しまして、郵送によって行われた調査というものでございます。 これは15業種の業者に、それぞれ質問項目がございまして「A:補助犬の受け入れの 可否」「B:身体障害者補助犬法の知識の有無」「C:補助犬受け入れ対応策の有無」 「D:補助犬への対応の知識の有無」などという形でお聞きしていまして、有効回答率 が約549 九件、約20%前後あったということでございます。 そのときにA、B、C、Dの項目で「○:肯定的回答が多い」「△:否定的回答が多 い」という形で出ておりまして、この表で言えるのはデパートなり鉄道につきましては、 他の業界に比べまして、法律の知識があって、補助犬を受け入れ、受け入れ対策も行わ れているということが見えてくるのではないかと思います。 また教育機関なり医院、飲食店、旅館につきましては、法律の知識がある施設も少な く、受け入れ対策もなかなか進んでいないという結果が得られていると報告をされてい るところでございます。 こちらも出典は、第2回日本獣医内科学アカデミー総会というところで発表された資 料ということで、入手したものでございます。 続きまして、48ページのところですが、これは「3.補助犬受け入れの意識調査〔平 成16年11月〕」ということで、インターネットによる選択方式による調査の中身で、2 0代〜50代の男女800 名に対して調査を行ったものでございます。 いわゆる一般成人の方の法律の周知というものと、補助犬の受け入れについて確認を されたものでございまして、対象施設ということで全体の21施設をそれぞれ掲げてあり ます。 その21施設すべてで「各施設に補助犬がいることについて」その受け入れをど う考えますかということでお聞きされた内容でございまして、「21施設全てで『賛成』 または『どちらかといえば賛成』」という割合が36%あったと。 「11〜20種の施設で『賛成』または『どちらかといえば賛成』」という形が52%。「1 1種以上の施設で『わからない』『どちらかといえば反対』『反対』」というのが12% という形になっているということです。 それでは「施設に補助犬がいる場合の自分自身の利用について」どう考えるかという ことでお尋ねしたのが、下の表でございます。 「21施設全てで『気にならない』または『あまり気にならない』」という方が50%前 後あったと。 「11〜20施設で『気にならない』または『あまり気にならない』」という形で40%ほ どあると。 「11種以上での施設で『わからない』『あまり利用したくない』『利用したくない』」 という形が10%程度あるということでございます。 こちらにつきましては、日本社会福祉学会の第53回全国大会ポスター発表ということ で、使われたというデータでございます。 これが受け入れ側の15年及び16年度に行った調査の状況ということでございます。 先ほど厚労省で行ったアンケートなり意見交換会等でまとめた意見・要望ということ で「使用者」なり「指定法人」の方とか、それぞれの意見・要望というものを35ページ で整理させていただいたところでございますが、これらをすべて意見交換という形でや ると大変な時間がかかるということで、事務局として幾つか簡潔に整理したらどうかと いうことで、一番最後の49ページのところに資料7ということで、意見・要望のうち、 今後検討が必要と思われる事項ということで、整理をさせていただいたものでございま す。 検討事項を絞った考え方というものを説明する前に、少し御説明が要るんですが、先 ほど身体障害者補助犬法の具体的な見直しに向けた取組みというものにつきましては、 いわゆる「身体障害者補助犬法を推進する議員の会」というところで具体的に取り扱う とお話をさせていただいたと思いますけれども、今の検討会の検討状況について、議員 の会に報告させていただくという旨お伝えをしているところでございます。 先般、議員の会が3月16日に開催をされておりまして、その中で厚生労働省として、 この検討会を立ち上げて、その結果を報告させていただくという旨をお伝えしていると ころでございます。また、その席上で終わりかけだったんですが、今後幹事会において、 どのようなものを法案としていくかということで、とりまとめをやっていきたいという ような発言をされておりまして、具体的にいいますと、本検討会に余り余裕をもって時 間をかけられないという状況にございます。 このため、この検討事項というものも幾つか的を絞った形で、検討させていただけれ ばということでございます。 大きなテーマとしては「補助犬の社会での受入れに関すること」と「補助犬の普及啓 発に関すること」という2本立てで整理をさせていただいたという経緯でございます。 検討事項を絞るに当たりましては、考え方として補助犬の使用者の方とか、訓練事業者 なり自治体の方からの要望が多いもの。あるいは使用者なり訓練事業者なり自治体の方 で、共通して要望があるというもの。議員の会等で意見等が毎々回ございまして、結構 要望が高いといったものから勘案して、この2点を事務局の案として絞らさせていただ いたという経緯でございます。 一応2点に絞ったそれぞれの考え方といいますか、どういうものかということで御説 明しますと「○法を遵守しない場合の指導、罰則について」ということでございます。 これは補助犬の受け入れ拒否に対する指導、罰則というものについての要望でございま す。補助犬法自体が広く周知されていないという状況下で、罰則規定については賛否両 論あるというところでございますが、罰則がないんだから、受け入れなくてもいいとい った声も聞かれるということから、悪質な拒否事例については、罰則に限らず、業者名 の公表など、何からの措置を講ずるべきではないかといった要望というものでございま す。 次に「○法に関する事項にかかる相談機関(体制)の整備」ということでございます が、これは補助犬の受け入れ拒否などについて、いわゆる苦情申し立てというものがで きる相談機関の整備というものを行ってほしいといった要望のものでございます。相談 窓口として、都道府県で対応をいただいているという現状にあるんですが、自治体とし て納得のいく対応が余りできておらず、相談機関としての実効性の高い対応を望むとい うことと、受け入れ側の方からの相談にも対応できるような機関といったものも、何ら かの整備ができないかという要望でございます。 「○事業所又は事務所、住宅への補助犬の受け入れ義務化について」ということでご ざいますけれども、これは補助犬法について職場、住宅については、先ほども御説明し ましたが、補助犬の同伴を拒まないよう努めなければならないという努力義務になって いるということでございますので、いわゆる障害者の生活基盤となるものでありますの で、努力義務を義務化してほしいという要望でございます。 次は「補助犬の普及啓発に関すること」ということで、2点掲げさせておりますが「○ 法及び補助犬に関する啓発の推進について」ということでございます。これは補助犬法 に関する認知度がまだまだ低いということがありまして、補助犬法の啓発に積極的に取 り組んでほしいという要望でございます。 「○使用者の義務、マナー等の周知方法について」というものでございますが、これ は使用者の義務、マナーを心得ていないのに補助犬を希望する方も多くて、使用者とし ての要件が足りないと思われる人に対する指導をどうしたらいいのかとか、あるいは補 助犬を希望する中には、自己の機能がどの部分を補ってほしいといったものが理解され ないままに、補助犬を持つことのみ優先して希望を出される方というのがそれぞれあっ て、いわゆる使用者に対する教育というものが必要ではないかといった要望というもの でございます。 事務局としては、各委員の皆様方にこの事項で絞って対応するという ことで考えておりますが、この事項に加えて、ほかにこういうものを検討したらどうか というものも御意見をいただければと考えているところでございます。 長々とお話しをしましたが、以上でございます。 ○松尾座長 今、事務局に説明していただきましたけれども、大変話し出すと広い範囲 に奥深くなってくる部分があると思うので、これから残された時間でフリートーキング をするにしても、なかなか時間が足りないのではないかという感じがします。 とりあえず今日は1回目でございますので、それぞれの委員の方々の御意見を披露し ていただいて、それをまた集約をして、後で提案があるようですが、次回は実際の団体 の方やいろいろな方の中からヒアリングをしたいという考えがあるようです。 今、事務局が説明しました「検討事項」に限ってしまうと出なくなってしまいますの で、限らないで、補助犬法の全体を含めて、皆さん方のお考えあるいはこういうことを 検討すべき、大体こういうことをちゃんとすべきだというような意見を含めて、順番と いっては変ですが、皆さんに二言か三言ぐらいしゃべっていただくような感じでお願い していきたいと思います。 まず、日比野さんの方からお願いしましょうか。 ○日比野委員 最後に御説明のあった資料7の「検討事項」についてなんですが、いろ んな各種団体からさまざまな要望が出ていたものを、このように事務局でポイント化さ れたわけですが、失礼な言い方ですけれども、私個人としてはとても的を得た内容だろ うと思います。 ただ、その中で1点お伺いしたいんですが、1番目の分野の「補助犬の社会での受入 れに関すること」の3番目に事業所又は事務所云々というのがありますが、このことに 関連して、公的な施設でそのような受け入れ拒否等の事例、あるいは訴え等が利用者か らあったのかどうか。そういうものが果たしてどのくらいあったのかということ。 それによって、例えばそのほかの公的なといいますか、不特定多数の人たちが利用す る施設に対して、どのようなことが足らないのかなど、ある程度推測もつくような気が するんです。そういった意味で、そういう事例があったのかを是非お伺いしたいなと思 いました。 2つ目に「○法に関する事項にかかる相談機関(体制)の整備について」とあります が、今、御説明があったように苦情解決のための機関なり場所、及び受け入れ側の相談 場所という2つの面で見られるというのは、私はとてもいいことだろうと思うんです。 現実に最初のところでもありましたように、一体どういうふうに受け入れをしたらい いかわからないために、困ってしまっているところが結構多いと思います。一度受け入 れると、これならば次からも大丈夫と広がっていくことというのは、実際的にとても多 いんです。ですから、そういう事例を多く持ち、そしてどうしたらいいかを具体的に指 導なりできる機関があれば、私はもっと普及していくのだろうと考えています。 そういった意味では「補助犬の社会での受入れに関すること」と「補助犬の普及啓発 に関すること」という両面での改正の中に組み入れられることを、是非検討いただけれ ばと思います。 以上です。 ○松尾座長 それでは、彦根先生お願いします。 ○彦野委員 資料7で「検討事項」を大変コンパクトに整理してくださいまして、これ に関連して私が1つ疑問に思ったのは、先ほどもお話が出ていましたけれども、実働頭 数がさほど伸びていない。あるいは待機者数も国庫補助として数字で見る限り、それほ ど多いわけでもない。 その背景として、当事者の方に補助犬を使うことに関して戸惑いとかためらいとか、 あるいは阻害要因といいますか、そもそも当時者のところまで十分なインフォメーショ ンがいっていないのかとか、背景にはどんなことがあるのかなと思いました。 私も次回の検討会までに、それを宿題として持ち帰って考えてまいりたいと思ってお ります。 以上でございます。 ○松尾座長 日比野さんの質問は、後でわかれば教えてくださいね。今わかりますか。 ○徳永 公的機関でどうかというところでは、お話としては聞いていないんですけれど も、身体障害者、いわゆる使用者の方で組織される団体といいますか、長ったらしいん ですけれども、身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会というのがありまし て、簡単に略すると補改使連という言い方をしているんですけれども、そちらの方で補 助犬の同伴拒否に対しますアンケートというものを、2003年10月〜2005年3月に調査 をされているものがございます。 その際、アンケートで実際150 名の方に送付して、その回答が44名あって、回答率 が29%という状況の中で、特に多い事例は、飲食店、いわゆるレストラン、ファースト フード、食堂などにつきまして、同伴の拒否があったというのが20.5%ございます。最 初は拒否されたんですけれども、補助犬法について説明をしたら、同伴がOKになった というのが20.5%。そこら辺を説明しても、同伴を拒否されたというのが約36.4%ほど あったというのが一番高い率で出てきております。 次に多いのが温泉なり健康ランドで、説明してOKになったのが29.4%程度。拒否さ れたのが23.5%という形になっております。 次に出ているのが宿泊施設関係で、ホテルとか旅館なんですけれども、それぞれ18.9 %、21.6%。 その他交通機関で大きく出ているのが、いわゆるタクシーでございまして、12.2%と 17.1%という現状にあるということで、交通機関については、その他航空機とか鉄道と か、そのようなものについては、拒否されたことはないと使用者の方の調査では出てき ているという現状でございます。 ○松尾座長 日比野さんが今お聞きになっているのは、公的機関で拒んではならないと なっているのに、拒んだ事例があるのかということをお聞きになったんですね。 ○日比野委員 そうです。 ○徳永 公的機関ではございません。聞いたことはないです。 ○松尾座長 私は聞いているというか、私の経験なんですが、現在の指定管理者制度で は地方公共団体が民間に委託に出していて、受けた方がこれを余り知らないで、建物は 公的機関なんだけれども、それを運営しているのは民間団体が入っていて、よく理解し ないで拒否したなどというのはあるんです。 ○高柳委員 日比野先生がお聞きになられたのは、公的な事業所あるいは住宅のことで はないんですか。 ○日比野委員 それも含めてです。 ○松尾座長 基本的に拒んではならないとなっているのに、拒んだという事実があるの かというのをお聞きになったのではないかと私は理解しました。 ○日比野委員 そうなんです。拒んではならないというところがどうかというのと、で きるだけ受け入れなさいとなっているところでは当然違うかなと思っているんです。多 分拒んではならないところが拒んだ場合には、どうするんだということになるわけです。 ○松尾座長 そういう問題が出てくるんですね。 ○日比野委員 そういうことです。 ○高柳委員 ただ、拒んではならないというのは、利用する施設としては民間施設もも う拒んではならないことになっていますね。だから、その辺の違いはあるのかなと思う んですけれども、民間の施設で拒んではならないとされているところのアンケート結果 が今の結果ですね。 ○松尾座長 そういうことです。 ○徳永 そうです。 ○高柳委員 では、私どものところでも情報機関として相談をいろいろ受け付けている ので、公的機関で、公民館で断わられたというのは実際にありました。しかも、盲導犬 とか聴導犬とか介助犬の講演会に呼ばれて行った講師が断わられたということがありま して、大変新聞ざたになりました。 ○松尾座長 わかりました。 彦根さんのお話は、要するに何で伸びないのかというところが、何かでわかるか、ま たは全くわからないかということだろうと思うので、それはなかなか難しいんだろうと 思うんだけれども、もしそういうような調査なり何なりがあったら見ておいていただけ ますか。彦根さんは彦根さんで、ちょっと調べていただきたいと思います。 秦さんいかがですか。 ○秦委員 これだけ頭数が少ないと、地域の中で知らないというのは無理もないなと思 うんです。私はたまたま通っている教会の牧師さんが、30年以上も前から盲導犬の育成 を熱心にやっていらっしゃる方なので、ボランティアでラブラドールの赤ちゃんを育て るという活動もずっと教会員がやっているんですけれども、それでもやはり今の表を見 せてもらいましたら、介助犬の方は茨城県ではゼロという状態ですね。実際市内で見る こともないんです。ですから、そういう意味ではよほど努力をして、学校なり地域なり、 そういうところで、さまざまな機会をとらえて教育をしていかなければ、この受け入れ というのはなかなか難しいだろうなと思います。 それと関連して、行政がどれだけ熱心に取り組んで、補助犬を使ってもらうように努 力をしているかということが非常に大きいと思うんです。先ほどの資料を見ましても、 パンフレットを送っているのがほとんどですが、それだけでは絶対に伝わりません。パ ンフレットを送った後で調べると、そのパンフレットが市町村の倉庫に眠っていたみた いな例は幾らでもありますので、そういう意味ではどれだけ熱心に、本当に使ってほし いんだという働きかけをしているのかどうかがポイントになるのではないのかなという 気がします。 地域で実際に盲導犬なり介助犬を受け入れたんだけれども、うまくいかなかったとい う例も幾つか聞いておりますので、そういうケースを考えると、やはりいろいろ相談と か指導できる機関がきちんとあるということは、とても大事なのかなと思います。 他にも、いろいろ意見がありますが、それは後ほど議論の中で述べたいと思います。 ○松尾座長 では、太田先生お願いします。 ○太田委員 東京都でございます。 私も先ほどの「検討事項」で2点あるんですが、いつも感じているのは、障害者への 周知と、先ほど高柳さんがおっしゃいましたけれども、実は東京都も盲導犬を始め身体 障害者補助犬の予算を毎年10頭分確保して、その円滑な執行に努めているんですが、昨 年介助犬、聴導犬等の実績がありませんでした。盲導犬も介助犬も聴導犬もだと思うん ですが、トレーニングされた犬と利用される方とのうまいマッチングというのは、非常 に難しいんだろうなと思いますし、ただ、私ども行政のやり方、周知の仕方が各福祉事 務所等を通じて、希望される方を随時上げていただくような形をしているんですが、先 ほどいった障害者御本人、関係団体を通じてこういった盲導犬、盲導犬は比較的知られ ていると思うんですが、介助犬、聴導犬のメリットというものも、いかに障害者の方へ 周知していくのが私どもとして、まだ欠けていたのかなという反省をしているのが実態 です。 あと、相談機関の整備ということなんですが、私どもも東京都の都民の声というとこ ろに、例えば受け入れ拒否があったとか、具体的な事例があったときには、具体的な施 設名とか事業者名がわかれば、私どもはすぐその場でそことの対応をしております。 今日、配付していただいた資料の一番最後に、福祉サービスの苦情解決の仕組みの概 念図があります。これは都道府県を核としたサービスの運営適正化委員会の仕組みがあ ると思うんですが、新たにというよりも、やはり都道府県と市町村を通じた苦情解決の 仕組みの方が、身体障害者補助犬をより都民、国民に周知するためには適当なのではな いのかなと思っています。 私どもは、補助犬をいかに行政として都民の方に周知していくかについては、高柳さ ん始め、ほかの関係、育成機関の方たちに集まっていただいて御意見を伺って、例えば 毎年障害者週間、月間、ふれあいフェスティバル等でデモンストレーションを行うとか、 そういった中で折々していく。これからも都民への周知と当事者団体へ、どうこの制度 を周知していくかというのが個人的には課題かなと思っております。 以上です。 ○松尾座長 団体の情報の交換は行政もやらなければいけないけれども、団体間、団体 の中で情報をいかに浸透していくかというのは必要なことで、実はこれからの課題かな という感じがします。 今の都の方からお話がありましたが、これがやはり都では範囲が広過ぎてしまって、 市町村みたいな本当に障害者と密接に関わっているところで、そういうのをつかみ上げ るかというのは、これから大事な話かもしれませんね。それはまた後にしまして、片石 さん何かあったらお願いします。 ○片石委員 やはり一番のポイントは実働頭数が、資料でいいますと逆に盲導犬は少し 増えていますけれども、15年4月から介助犬も聴導犬も減っているという数字になって おりますので、これが非常に残念かなという気はいたします。 やはり、せっかく法律ができたので、ある程度頭数が増えていかないと、いろんな受 け入れの拒否をどうするかとかといってみても、狭いところで空転してしまうのではな いかなという気がして、ほとんどの県が1頭もいませんなどというところで、いろいろ 議論してもしようがない。 周知という面では、例えば盲導犬に関して、視覚障害者で盲導犬を知らないなどとい う人はまずいないと思います。介助犬、聴導犬も肢体不自由者、聴覚障害者の方はかな り知っているのではないかなと思います。勿論、知らないとすれば周知してあげなけれ ばいけません。 結局一番大事なことは何かということは、盲導犬は白い杖がなくても盲導犬を連れて 歩きますから、これはもう余り議論する必要はないんですけれども、介助犬、聴導犬に ついて、1日24時間の中でどういうふうに役に立つのか。勿論、使う場合には家族の協 力が必要であるとか、犬をきちっと管理しなければならないということもあるんですが、 それを乗り越えて、なおかつメリットがあるんだというところが、まだいまいち知られ ていないというか、周知し切れていないのかなという気がしています。 例えば兵庫県の資料を見ますと、兵庫県は例の木村さんがシンシアを使って、マスコ ミも非常にキャンペーンをはり、宝塚市も随分力を入れてやったんですけれども、いま だに兵庫県は木村さんの犬しか介助犬がいないということになっているわけです。だけ れども、兵庫県というのは、日本中で一番介助犬のことがPRされていると思います。 結局、24時間の中でこういう役に立つんだということを、2つでも3つでも4つでも やってもらって、それならば使いたいという、そこに役に立つんだというところを、行 政とかからもあるんですけれども、私はできれば現在使っている方がパンフレットでも ビデオでも何でもいいんですけれども、やってもらうと。それをまた訓練事業者とか行 政も一体となって、役に立つんだというところをPRしないと、ただ介助犬、聴導犬を PRするというだけでは、何か人寄せパンダで終わってしまうのではないかなというこ となので、まさに有効度合いをもう少し強調して、障害者に知ってもらって、使っても らうというところが、これからのポイントではないかなと思って見ております。 以上です。 ○松尾座長 木村先生お願いします。 ○木村委員 今まで御発言なさった委員の先生方とそう違った意見ではないんですけれ ども、盲導犬というのはもう既に補助犬の中でも先行して走っておりまして、今それに 対する社会の反応というのは、既に特殊な例を除いては、バリアはほとんどなくなって いると思います。それはやはり数が多いからです。 介助犬に関して言えば、今までの御発言にもありましたように、ほとんど姿を見ない ということもあります。利用者さんが増えてくれば、自然に社会が受け入れる体制が恐 らくできると思うし、今の世の中では動物が一緒に利用者と行動するということについ て、さほどのバリアはなくなっていますね。ですから、数が増えれば恐らくはひとりで に普及は促進されるんだろうと思います。 最初にどうなんだろうと。PRがされているんだろうかというと、余り我々の目につ きません。だから、教育の面にもそれは必要でしょうし、あるいは各団体を通じての普 及促進についての働きかけが必要だと思いますけれども、ちょうど見直しの期間にきて、 ここで1つ、今までせっかく行政主導でここまででき上がった施策を一挙に花を咲かせ ようと思うんだったら、これはちょうどいい折だと思いますので、何かキャンペーンを はるかと、あるいは9月に開かれるH.C.R.ですね。ああいう器械、器具だけでは なくて、動物もそのデバイスの一つなんだという位置づけで、あの辺りでコーナーを設 けて、あそこにお出でになる皆さん方に見てもらうとか、そういうことも必要ではない かなと思います。 とにかく動物が社会の中で御主人のお手伝いをするということにつ いては、レストランその他ではあるかもしれませんけれども、違和感はそんなになくな っていると思いますので、そんなに心配することではないと思うんだけれども、数が少 ないですね。それが一番の原因だと思うので、数を増やす活動をこれから各方面で始め るべきかなと思います。 ○松尾座長 今、H.C.R.とおっしゃったのは、福祉の機器展をやっているんです ね。私の仕事なんです。済みません。肝に銘じます。 ○木村委員 あれは最近もうロボット中心なんです。 ○松尾座長 そうですね。 ○木村委員 ロボット中心なのは結構なんですけれども、それは命もあり、脳の機能、 あるいは運動特性その他を見たら、動物の方が今の段階ではかなり優れていると。介助 ロボットも各方面でやっていますけれども、まだ犬にはかなわないですね。ひところ介 助猿の問題が出ましたね。あれも時期尚早であったということで、何か立ち消えになっ てしまった。とにかくもう世の中の体制は整いつつあるので、普及に関する周知がこれ からは必要になっているのではないかなと思います。 ○高柳委員 済みません。ちなみに先生それに申し込んだんですけれども、器械ではな いのでと言って断られました。多分先生の下には届いていないと思います。すごく末端 で断わられました。 ○木村委員 門前払いですか。 ○高柳委員 門前払いです。 ○木村委員 それはいけないですね。 ○松尾座長 それは私の方でまたよく言っておきます。 ○高柳委員 よろしくお願いします。 ○松尾座長 では高柳さん、どうぞやってください。 ○高柳委員 この課題をまとめていただいたところで、先ほども申し上げたとおり、明 確にしておいていただく必要があるのかなと思うのは、私はせっかくのこういう機会で すので、是非受け入れの問題だけではなくて、木村先生からのお話もありましたとおり、 せっかくの法律ですし、確かにこれから数が増えていかなければいけないと思います。 そういった意味で、かなり歴史と実績が先行している盲導犬の課題と、歴史が浅い聴導 犬、介助犬の課題というのは、随分乖離があるんだと思います。 32ページの訓練事業者の推移を見ていただければ、それが歴然としていると思うんで すけれども、盲導犬の数は平成15年〜18年のわずか3年間で、当たり前ではあります けれども9団体と変わっておらず、介助犬、聴導犬に関しては、1団体、2団体だった のが、今はもう20倍になっているわけです。1団体の聴導犬の場合は、19団体。介助 犬の場合は22団体という、これだけの数があります。 盲導犬は国家公安委員会が指定する法人ということで、道路交通法に規定されており、 すべてが財団法人、社会福祉法人であるという裏打ちと、介助犬、聴導犬に関しては、 NPO法人あるいは任意団体もこの中には含まれていて、都道府県への訓練事業者の届 け出をすればいいというだけになっている関係で、そういっては何ですけれども、盲導 犬よりもずっと手軽にといっては申し訳ありませんが、始められるという現状がありま す。 対して、実際に実働している介助犬、聴導犬の数はというと、3番に書かれていると おり、22団体が作出した頭数が30頭。19団体が作出した頭数が11頭ということで、育 成団体の数が上回っているという現状があります。これが今の補助犬の育成の課題の実 態だと思いますので、これに関してやはり検討する機会がないと、なかなか数は増えて いかないんだろうと率直に思っております。 私どものところに届く相談としては、手を挙げてほしいと言ったけれども、自分が希 望する訓練が得られないというような御相談もありますし、それに対して自治体はどう 応えていけばいいのか。あるいはだれがそれを解決してくれるのかというのは、先ほど からお話が出ている受け入れに関しての救済機関とはまだ別の課題だと思いますので、 そういった意味でも、その辺りはかなり特殊な技術と、それこそ資格化という話も先ほ ど要望の中にありましたが、技術と知識を必要とされる物すごく責任の重い仕事が補助 犬の訓練だと思いますので、育成団体の数が増えれば補助犬の数が増えるとは、決して 私どもは思っておりません。そういった課題についても、何か検討していく場が必要な のではないかなと考えております。 受け入れに関しましては、先ほど来お話が出ていますとおり、確かに数が増えて、受 け入れる準備は社会の中で整っているんだと思います。ですので、この課題にも挙がっ ていて、アンケートの結果にも出ているような特殊なところ、例えば学校ですとか、病 院、医院ですとか、そういった実はえっとびっくりするようなところだけが受け入れが なかなか進まないという現状がありますので、こういったところに関して、どういうふ うに解決していくのかという課題について、せっかくの機会ですから、検討していただ ければと思います。 以上です。 ○松尾座長 私も少し事例を聞いたことがありますけれども、学校というのはなかなか 難しそうですね。 ○高柳委員 そうですね。 ○松尾座長 教室に入れるか入れないかとか、これは盲導犬でもそうだと思います。 ○秦委員 でも、理解を広げるのを学校でやらなかったら、どこがやるんですかね。 ○松尾座長 なかなか難しいですね。 ○秦委員 疑問ですね。 ○松尾座長 わかりました。私が感想を言ってはいけないですね。済みません。 では、最後になりましたけれども、どうぞ。 ○栗山委員 続きのお話を伺って、資料7を拝見した中で、普及啓発というのはやはり すごく大事なことであると思いました。 というのは、その前のページの20歳〜50歳の普通の人たちのアンケートで、これだ け多くの人たちが肯定的に社会に受け入れようとしているという数字を見まして、受け 入れ側の気持ちはとても整ってきているんだなという気がしました。 そこで介助犬なり特別な犬は、こういう習性を持っていると。使う方にとっては、こ ういう犬だからお使いなさいということもあるけれども、一般の人たちにとって、こう いう習性を持っている犬なんだからということもきちんと教えていただければ、こうい う素地ができているので大丈夫ではないかと思いました。 最初の方の「○法を遵守しない場合の指導、罰則について」ということですけれども、 ここの前の7条のところをあれすると、国関連の施設では拒んではならないということ が書いてあるにもかかわらず、当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがあ る場合、その他やむを得ない理由がある場合は、この限りではないという、この一項が ある限り、罰則ということにはもっていけないのではないかなという気がします。 公的なところでというのは、そういう犬であれば、こんなことを起こすことはないと いう模範的なもので、民間の場合はもしかしたら特別な事情があってということはある かもしれないので、その辺はちょっと分けて考えられた方がいいかしらと思いました。 相談機関なんですけれども、これも犬の側からの相談、こういうことがあって自分た ちは困ったという相談が、今度は受け入れ側からの相談、こういう犬でこれだけちゃん と訓練されているにもかかわらず、こういう困ったことがあるという相談もあってはよ いのではないかと。そういう窓口があってもいいのではないかなと思いました。 一応、そんな感想を持ちました。 ○松尾座長 ここにただし云々と書いてありますね。要するに、こういう言葉がただし 書きのときにはこんなことですなどという事例が、何か出ているんですか。例えばこん な施設はだめだとか何とか、ただし書きの説明みたいなものは何かあるんですか。それ は何もないんですか。議員立法だから、役所は余り関係ないのかもしれませんね。○徳 永 その辺の説明はないですね。 ○松尾座長 役所で詰めてとやっても、この法律は国会における議員立法なんですね。 私がこんなことを言うと怒られそうだけれども、役所はむしろ受け身になっているのか もしれないところがありますね。そこはまたいろいろあると思います。 一通りお話をいただいたんですが、要するにこの法律そのものは、利用の円滑化を促 進するみたいな法律だから、制度そのものをこれで決めていこうとなっていないので、 なかなか難しいところはあるんだけれども、私はそこで一番関心があるのは、要するに 頭数を増やさなければいけないと話が随分出ているので、そのためにはどういうふうに するのかというのは、この法律のまさに円滑化のための一つの方策みたいな感じがする から、相談機能とか、これは少し詰めていくようにしましょうかね。いろいろと意見を 言っていただいたので、まだ機会がありますので、また少し各自まとめていただいて、 御議論をするような形にしたいと思います。 今日はいろんなことが出ているから、それをこれに当てはめていって、事務局でまず 整理していけば、少し枝葉が付いていくんだろうと思います。大体このぐらいで今日は 終わるような感じなんですか。 ○徳永 次回の話になってしまうんですけれども、一応これは我々というか厚生労働省 として、今、事務局案ということで柱立てを2つにとりあえず分けさせていただいてお るんですけれども、いわゆる使用者の方、実際に訓練に携わっている訓練事業者の方、 それぞれこの検討会に御意見を申し上げたいというようなことが多分あると思われます ので、できれば次回は、このテーマはテーマであって、それに加えてそのほかに何かあ るかという形で、この場で1回御意見を伺うという形をとっていただけたらなと思って おるところでございます。 そこら辺を1回、2回お話を聞いた上で、3回目ぐらいにそういう議論というものを 少し集約して、どう取り組んだらいいだろうかというものを検討いただけたらと、事務 局としては考えているところでございます。 ○松尾座長 一般の法律と違って、議員立法というところは、行政にとって別の意味が あるところだと思います。だから、さっき言った国会議員連盟というのができていて、 それは恐らく与野党が全部参加されて御議論されて、議員さん方でこの法案はもともと つくってありますので、どういうふうに直していくかということを御議論されるという ことなので、そこにもいろいろな意見がまた集約されていくんだろうと思います。 こちらの検討会は行政庁がおつくりになった検討会に、今度は我々が専門的立場から いろいろ言ってみて、それをまとめてみて、行政庁が意見を集約したらこういうことで したということを、今度は議員連盟に出すということになるということですね。 ○徳永 はい。 ○松尾座長 わかりました。 ちょっと中途半端ですか、時間的にはもう終わった方がいいんですか。 ○高柳委員 ちょっと質問がございます。 ○松尾座長 何か質問があったら、どうぞ。 ○高柳委員 49ページの「検討事項」のところの「補助犬の普及啓発に関すること」の 2番目に、先ほど徳永補佐からは御説明がありましたが「○使用者の義務、マナー等の 周知方法について」ということで御説明いただいたんですけれども、ちょっとはっきり しておきたいと思いまして、これは障害者の方に対して、どういうマナーを守らなけれ ば補助犬法による認定を受けるに至らないんだというようなことを含め、要するに介助 犬とはこんなものです、聴導犬、盲導犬とはこんなものです。だから、ロボットみたい に、ただ歩くために、聞くために、動くためだけに使うというわけにいかないです、あ なたが世話をしなければいけないんです、結構大変なこともありますというようなこと を、一般障害者に知らせなければいけないというような意味合いであるのか。 例えば都道府県、自治町村がそういう情報提供をしなければいけないんだという意味 での「補助犬の普及啓発に関すること」であるのか、それとも先ほどのお話の中では、 使用者教育というお話もあったので、使用者教育だとすると、私はこれは福祉サービス として、第2種社会福祉事業に位置づけられた訓練事業者がきちんと責任を持ってしな ければいけないことだと思うので、それは都道府県や市町村がするのとは違うことだと 思います。それとどちらのことでしょうか。 ○徳永 これはいわゆる使用者の中での管理能力というところなり、使用されようとす る方の管理能力というものを一方的に事業者だけにお任せして、それでいいのかという 問題は当然あると思います。そういう面で自治体さんからも、どういうものですとかと いうのを広く周知していく必要があると思いますので、事業者にとらわれずに、何か問 題があったといいますと変ですけれども、使用者としての要件といいますか、そういう ものはちゃんとお知らせしていくということが必要ではないかという意味で、お話をさ せていただいたつもりでございます。 だから、一方的に何でも犬の訓練は訓練事業者さんがやると言われても、使用者にそ ういう認識がなくて、ただ単に犬が欲しいという方もいらっしゃいまして、実際に使お うとした際にマッチングの問題もあるんでしょうけれども、結果、補助犬として受け取 ったんですけれども、実際はうまく活用されないで、ただの犬になってしまっていると いう実例も幾つか聞いてございますので、そういう面で使用者の方の認識というものを ちゃんと高める必要があるのではないかという意味でございます。 ○高柳委員 それは情報提供をして正しい認識を持っていただくということと、犬を出 す前にきちんとした専門的な評価があって、果たして今のことを理解して本当に補助犬 を求めているのかという評価があって、かつフォローということで、その遂行ができて いるかということですね。 ○徳永 ちょっと広いですけれども。 ○高柳委員 なるほど。わかりました。 ○松尾座長 ほかによろしいですか。 次回でいいんだけれども、指定法人と業者の区別がどうもまだよく理解できていない んだけれども、どうしてこういう2段階になったんだろうね。わかりますか。歴史的な ことがあるような気がするんです。 ○高柳委員 いいですか。 ○松尾座長 わかりますか。 ○高柳委員 私ども法律の立案の段階から少しお手伝いをさせていただいた経緯があり まして、当初はやはり補助犬法というものの大きな目的が社会での受け入れを促進する ということなので、そうするとやはり質の確保を一定にしておかなければ、決して犬に 対して優しい社会ではない日本の中で、受け入れは進まないであろうというところで、 基本的には質の確保という意味での認定を行う。そうするとつくったところが、例えば JIS規格の判こを押すというのがあり得ないだろうという発想からそもそも出たとこ ろなんです。ただ、現実に今まで歴史が一番たくさんある、実績もある盲導犬は、育成 しているところと認定しているところが同じというところで、2段重ねで両方ありとい う形になりました。○松尾座長 盲導犬はもともとそういう2段重ねになくて、ずっと 1段できましたからね。そこに急に2枚重ねても、なかなかうまくいかないということ ですか。わかりました。 ほかに何かございますか。 では、次回の日程を決めるのかな。 ○徳永 先ほどもちょっとお話をしましたように、次回は補助犬の使用者の方とか、訓 練事業者の方というものをちょっとお呼びさせていただいて、ヒアリング形式というこ とで時間を区切った形で御意見を承りたいなと考えているところでございます。実際に どの事業者さんとか使用者をお呼びするかということについては、事務局の方に一任を いただければと思っております。どうしてもここは呼んでほしいといのがございました ら、後で教えていただければ、そこは配慮したいと思っているところでございます。 この検討会の日程的なスケジュールでございますけれども、2回目は4月中旬のいず れかぐらいに設定させていただければと考えておりまして、御予定につきまして、今お 手元に用紙をお配りしておると思いますが、そこで調整をさせていただいて、日付を決 めさせていただければと思っております。 一番最初に議員の会に報告するということでお話をしましたとおり、長い検討という のはなかなか難しい状況にございまして、4月末ぐらいに中間報告という形で議員の会 に報告するのか、いわゆる結論として報告するのかという形です。 ○松尾座長 4月末ですか。 ○徳永 4月末ぐらいですね。ここら辺は議員の会の今後の進め方というところが実は よくわかっていない部分がありまして、この間の発言ではいわゆる問題点のとりまとめ みたいな話がちらっと出ていました。 ○松尾座長 議員連盟の方でですか。 ○徳永 はい。議員の会の方でです。ただ、そこら辺のタイミングはどこら辺に置かれ ているのかが、実はお話だけだったものですから、ちょっと内容が細かく入っていない んですけれども、いずれにしても、そう時間を置けないということで、この検討の場と しましては、4月末か5月の頭前後ぐらいまでには、何らかの回答といいますか、集約 したものができればと、事務局としては考えているということでございます。 ただ、中身的にまだ具体的に詰めていかないといけないという部分が相当あるようで あれば、当然引き続きという形で中間的に1回まとめた形で、継続してやるという方法 もあるのではないかと考えているところでございます。 以上でございます。 ○松尾座長 余り向こうの方の動きにこっちも左右されるわけでもないと思うんだけれ ども、こっちがゆったりしていて物事が終わってしまったのでは意味がなくなってしま うので、事務局で整理してくれました2つの検討項目を中心に置いて、これから派生す る問題はいろいろ出でくると思いますし、関連する問題もありますから、それはそれで また議論をしていくことにしまして、大体これに集中しながら進めていきたい。 次回は、団体なりいろいろな関係者の方からお話を聞くということでやっていきたい という御意見でよろしゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○松尾座長 では、日程はいいんですか。時間、日程はここで決めなくて、後でそちら でということですね。 ○徳永 調整させていただいて、日にちをお知らせさせていただくということで御理解 をいただければと思います。 ○松尾座長 私は個人的にいうと、このことに大変興味を持って、早速何か勉強を始め たんですが、何かやはり奥の深い、いろいろな話があるみたいな感じですね。よろしく お願いいたします。 ○徳永 先ほど幾らか宿題をいただいておりますので、出せるものはなるべく出したい と思います。 ○松尾座長 整理してくださいね。 ○徳永 はい。 ○松尾座長 では、今日はどうも済みませんでした。ありがとうございました。 照会先              [身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会事務局]                       厚生労働省社会・援護局                       障害保健福祉部企画課地域生活支援室                               TEL 03−5253−1111                                  (内線3076)                               FAX 03−3503−1237