06/03/06 介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 第1回議事録 介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議                  第1回議事録 1 日時及び場所 : 平成18年3月6日(月)12:30〜14:30           メルパルク東京 5階「瑞雲」 2 出席委員:大島、大森、小方、貝塚、喜多、京極、関、竹中、花井、堀、松下、矢 野(代理:松井本部長)、山本の各委員、矢田委員は欠席   事務局:老健局 磯部、御園、山崎、川尻、桑田、榎本、渡辺       社会・援護 中村        障害保健福祉部 中谷、松嶋、藤木、新村 3 議題  (1)被保険者及び受給者の範囲をめぐる基本的課題について  (2)上記検討を踏まえた今後の進め方について (山崎総務課長)  それでは定刻となりましたので、介護保険制度被保険者・受給者範囲に関する有識者 会議の第1回を開催させていただきます。  まず初めに、磯部老健局長からごあいさつ申し上げたいと思います。 (磯部老健局長)  本日はお忙しいところ、有識者の皆様方にお集まりいただきましてどうもありがとう ございます。  介護保険制度の被保険者及び受給者の範囲につきましては、御承知のとおり介護保険 制度創設のときからさまざまな議論を経て現在の範囲が設定されてきております。すな わち、現在は介護保険制度の被保険者及び受給者の範囲につきましては40歳以上の方と なっており、40歳から64歳までの第2号被保険者の方々につきましては老化に伴う特 定疾病による場合のみサービスの利用が可能ということになっております。そして、昨 年6月に成立いたしました介護保険法の改正の際にも、審議会あるいは国会審議の場に おきましてさまざまな議論がなされ、大きな論点の一つであったわけでございます。  そして、こうした議論の結果、昨年成立いたしました介護保険法改正法の附則におき まして、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと合わせて検討を行い、 平成21年度を目途として所要の措置を講ずる旨の規定が設けられたところでございま す。これを踏まえまして、厚生労働省におきましては老健局長、社会・援護局長、障害 保健福祉部長の三者の私的検討会として、今回このような有識者会議を設けさせていた だいたところでございます。  この問題は若年層を含め、幅広く国民各層に関わるものでございますし、また障害者 施策とも非常に関係の深いものでございます。この会におきます検討を通じまして、更 に国民の御理解と合意の形成に役立てればと願っておるところでございます。  いずれにせよ、本会の有識者の皆様におかれましては、こうした経緯も踏まえまして 是非活発な御議論をいただき、御示唆をいただければと思っておる次第でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。開会に当たりまして、私からのごあいさつとさせて いただきます。 (山崎総務課長)  それでは、続きまして委員の方々を御紹介申し上げたいと思います。お手元の資料の 中に委員の名簿がございます。50音順で御紹介させていただきたいと思います。  まずは大島伸一委員でいらっしゃいます。  大森彌委員でいらっしゃいます。  小方浩委員でいらっしゃいます。  貝塚啓明委員ですが、少し遅れて参加されます喜多洋三委員でいらっしゃいます。  京極高宣委員でいらっしゃいます。  関ふ佐子委員でいらっしゃいます。  竹中ナミ委員でいらっしゃいます。  花井圭子委員でいらっしゃいます。  堀勝洋委員でいらっしゃいます。  松下正明委員でいらっしゃいます。  矢田立郎委員は本日は御欠席ということでございます。  矢野弘典委員でいらっしゃいますが、本日は代理で松井さんが御出席でございます。  山本文男委員ですが、少し遅れて参加されます。  事務局の方でございますが、この有識者会議は厚生労働省の老健局長、社会・援護局 長、障害保健福祉部長の3局部長の検討会ということでございます。  老健局でございますが、今ごあいさつ申し上げました磯部でございます。  審議官の御園でございます。  社会・援護局長の中村でございます。  障害保健福祉部長の中谷でございます。  以上でございます。  それでは、議事に先立ちまして本有識者会議の運営に関しまして少し御説明申し上げ ます。  第1点でございますが、議事は原則公開でございます。  また、第2点目としまして、議事録も原則公表されるということでございます。  まず本会議の座長の選出を行いたいと思います。大変僣越でございますが、事務局か ら提案をさせていただきたいと思っておりまして、座長を京極高宣委員にお願いしたい と思いますが、いかがでしょうか。               (「異議なし」と声あり) (山崎総務課長)  ありがとうございます。それでは、京極委員の方に座長をお願いすることとしまして、 これより先の進行は京極委員の方にお願い申し上げたいと思います。               (京極委員 座長席へ移動) (京極座長)   御指名ですので、座長を引き受けさせていただきました。  なお、座長代理として大森委員を指名したいと思いますが、よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) (京極座長)  では、よろしくお願いいたします。  大森委員、恐れ入りますけれども、座長代理席へお移りください。              (大森委員 座長代理席へ移動) (京極座長) それでは、本日の議題に入ります。まず、事務局から本日の資料の確認及び説明をさ せていただきます。 (渡辺介護制度改革本部事務局次長) 介護制度改革本部事務局次長の渡辺でございます。私の方から、資料の御説明をさせ ていただきたいと思います。座ったままで失礼いたします。 ○ 渡辺介護制度改革本部事務局次長より資料説明 (京極座長) どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御質問等がござ いましたらお願いいたします。これからじっくり議論をしていくということなので、今 日は若干ブレーンストーミング的なことになるかと思いますけれども、できるだけ大勢 の方に御発言いただきたいと思います。  では、堀委員どうぞ。 (堀委員) 介護保険制度の改正法の附則の意味について若干お伺いしたいと思います。ここには 「社会保障制度に関する一体的な見直しと合わせて」と書いてありまして、一体的な見 直しをする必要があるということは認識していますし、また内閣で一体的な見直しとい うか、一体的な在り方についての検討がなされたことは承知しているのですが、被保険 者あるいは受給者の関係で一体的な見直しというのはどういう意味を持たせたのか。法 律ですから立法者の考えもあると思うのですが、例えばほかの保険では皆年金皆保険に なっているのですが、介護保険だけは40歳以上となっている。このようにほかの保険と の整合性をとるとか、そういった意味も含まれているのかをお伺いしたいと思います。 (中村社会・援護局長)  私は今、社会・援護局長ですが、当時老健局長をしておりましたので、経過について のお話でございますが、審議会での御議論もございましたし、また当時は今、御指摘が ございましたように、官房長官の下に社会保障の在り方についての見直しの検討会など も置かれておりました。それから、国の経済財政の運営の基本方針を議論するという意 味では、経済財政諮問会議でも実は介護保険の見直しのヒアリングなどがあったところ です。  それで、私ども当時の老健局あるいは厚生労働省は、そういった意味で2005年に介護 保険制度の見直しの改革を提案するということの是非についても、いわば社会保障制度 を一体的に見直す中で介護保険だけ2005年にやることについての是非も含めてヒアリ ングを受けたという経過がまず1点ございます。ですから、大きな意味では介護保険制 度を2005年に改革するかどうかについても是非の議論はあった。そのくらい社会保障制 度に関する一体的な見直しということと、各制度の見直しとどう位置付けるかというの は一方で議論がありました。  もう一つ、介護保険制度の見直しの中では年齢問題についてどうするのか。これは審 議会の方もいわば普遍化すべきという御意見と、極めて強い慎重な御意見があって、率 直に言って両論あってなかなかまとまらない状況にあるという中で政府の方でも検討し たわけですが、経済財政諮問会議や官房長官の下での会議の中でも、実は年齢問題につ いても委員の方から御意見が出て、是とする意見と、慎重にという御意見と2つあった ということでございます。  ここで「社会保障制度に関する一体的な見直しと合わせて」と書いてありますのは、 年齢拡大あるいは普遍化について是とするか非とするかは別として、そもそも一体的な 見直し議論を片方でやろうとしている。それで、被保険者・受給者の範囲についてはや はり社会保障の費用負担に関わる問題と密接に関連している。これは、そもそもそ社会 保障制度を一体的に見直してほしいというような年金、医療、介護、ばらばらに、例え ば保険料が上がる、あるいは公費負担が上がるというのはいかがなものか。  こういう中から出てきておりますので、そういった意味でとにかく今回の法律でこの 普遍化の部分について手を触れるのではなく、そこについてはまず一体的見直しと合わ せて検討したらどうかという議論が経済財政諮問会議や官邸の会議にも出され、そうい ったことを踏まえて私ども提案させていただく際に、そういう進め方についてまずそう いう御指摘がございましたことと、先送りするのではなくて時期的にいつまでに結論を 出すのかということが問われましたので、ここに書いてございますように「社会保障制 度に関する一体的な見直し」、これは政府としては18年度中にするということをお約束 しておりますので、そのときに結論を出すということを明示したわけです。  堀委員からお話のありました、他の制度と比べてこの介護保険だけ40歳にしている、 していないというような具体的な御指摘がここの中であったわけではありませんので、 少なくとも私ども原案の検討規定を書かせていただいた立場としてはそこまで踏み込ん だ意識で書いているわけではないということでございます。 (京極座長)  ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。  この附則ができたときは、まだ障害者施策の在り方の方向が出ていなくて、障害者自 立支援法という形になりまして今年の4月から施行され、10月から本格実施ということ になりますけれども、私は部会長でございましたので若干発言させていただきますと、 当時、障害者施策の方向がまだ決まらない中でどうやって介護保険との結合といいます か、介護保険を活用するかがまだ見え切っていなかったところが多分にあったというこ とが若干違う状況かと思います。  では、どうぞ御自由に。 (矢野委員(代理・松井氏))   矢野委員の代理の松井と申します。  資料1の11ページには、被保険者・受給者の範囲の拡大に関する厚生労働大臣の答弁 要旨があり、範囲の拡大の検討対象となる者を代表する者の参加も検討したいと明記さ れています。本日から始まるこの有識者会議には、この検討対象となる者を代表する者 も入っているという認識でよいのでしょうか。それは、例えば、私どもの会員企業にも 若い従業員がいるということで考えるのでしょうか。あるいは、資料2には、関係者に 対するヒアリングや有識者調査の実施ということが書かれていますが、この中に若い人 たちが含まれていると理解すればよいのでしょうか。どんなようなことを考えておられ るのか教えていただきたいと思います。 (山崎総務課長)  御指摘の点でございますが、全般にわたって今回の御議論というのは年齢の問題がご ざいますので、今、御指摘がありますようにまさに国民各層にわたる御意見が必要だと 思っております。国会においても、まさしく若年のそういう方々の問題も含めて十分検 討するようにという御指摘をいただいています。そこで、本会議のメンバーも各層の方 々に入っていただいていますし、幅広い参加という意味で、先ほどありましたようなヒ アリングも行いたいと思いますし、かつ調査も行いたいと思っております。  今回の検討会自体そういう位置付けでございまして、介護保険制度に非常に関係する 方々が幅広く参画するということで、各層を代表したという趣旨で有識者にお集まりい ただいたという形で進めさせていただきたいと考えております。 (京極座長)  ほかにどうでしょうか。 (喜多委員)  今日は自由に発言させていただいてよろしゅうございますか。 (京極座長)   どうぞ。   (喜多委員)  先ほどからの説明を聞いておりますと、何か結論ありきというような説明と私は受け 取っておるわけです。もともと人間が少し偏っていますので、ひが目で見ているかもわ かりません。しかし、この介護保険制度については当初から私は参画させていただいた 一人として、途中から、16年度の議論の結果とか、いろいろなデータが出ておりますけ れども、唐突に出てきたものがそのまま正当な評価としてここに資料として出ているの ではないかと思っています。  ちょっとわかりにくい言い方をしてしまいましたけれども、いずれにしても介護保険 制度を改革する中で障害者を入れるとか入れないとか、受給者をどうするか、年齢をど うするかという議論を徹底してされた経過というのは私はないと思うんです。いいかげ んにぽっと出てきて、給付の範囲とか、それから対象者がどうだというふうなことで出 てきて、普遍化ということについて大筋皆さん賛成で、普遍化について反対だとおっし ゃる方はまずないと思います。私自身も普遍化については賛成だと言いましたけれども、 しかし、今すぐやるのはおかしいですよということを当時申し上げたわけであります。 慎重にやってくださいという意見がここに載っておりますけれども、その一員でもある わけであります。 それは何かと言いますと、介護保険の出発時から私は申し上げてお りますが、10年たてば2.5倍の費用が要るのに、財政対策はそれで十分いけるんですか ということを私は事あるごとに申し上げてきたわけですが、最近の新聞を見ましても、 10年たって22年になれば10兆の金が要ってとてももたないというような記事も載って おるわけであります。もたないというのは、初めからそういう計画で出てきてそのまま 順調にいっているものを、途中から急にお金が足りない、足りないと言われても、それ は責任を持ってやらされている保険者としてはたまったものではないわけであります。  今年から3期目の計画で保険料が3年間上がるわけです。今回、その保険料の5段階 のランクが6段階ないしは8段階に分かれてやるようになりましたが、私どもで試算を いたしますと、8段階でやりますと、一番上の8段階目の所得400万円以上の人になれ ば9,500円くらい月額取られるということになるわけです。これで果たして皆さんの納 得が得られるのかどうか。  なぜそうなるかといいますと、要するにランク3以下のいわゆる非課税世帯の方が70 から75%おいでになる。つまり、所得の少ない方が非常に多くて、その人たちに少しで も安くしていただくためには残りの25%の人からそのお金を取らなければならない。し たがって、当然価格が上がってくるわけです。これをこのまま放置しておくのかどうか ということを再々申し上げてきましたけれども、それはそのままになっておるわけです。  16年から17年にかけて、座長をなさっている京極先生は障害者の委員会の代表であ ったわけですが、支援費で失敗したものをいきなり介護保険に入れてくれとおっしゃっ たから市町村は反対をしたわけであります。幸い国の方でもいろいろ努力をされまして、 支援費制度はやめて今年から自立支援法ということになりました。自立支援法はまだ実 施されておらないわけで、これからやるわけです。どうなるかわかりもしないのに障害 者をここに入れろと言われても、いきなりこれに応じるわけにはいかないわけでありま す。  いずれにしても、私どもの立場からいけば、その運営する財政力を一体だれがどのよ うに担うかということになれば、いろいろなものを支出の部分に加えれば当然その歳入 を図らなければなりませんから、保険料を上げるなり、または公費のうち税金で回すも のをどうするのかという手当てをしなければならない。  そんな議論は一切なしでいきなりここで言われると、どうも自立支援法をつくったけ れども、これはうまくいかないから介護保険に入れようかと、衣の下のよろいがちらち ら見える感じが私にはするわけであります。  現に、自立支援法ができましたけれども、それまではやいやいと市長会の方にもいろ いろなことをおっしゃってこられました。法律ができてしまうと、あとはおまえたちが 勝手にやれということで今、市町村は説明するのに大変です。私どもの職員でも毎日席 におりません。課長や課長補佐はそれぞれの団体とかいろいろなところに行って説明を し、また自分自身が勉強するために講習会に出ていかなければならない。それで、最終 的にはそれに当てる地方財源は一体どうなるんですかとなれば、この返事もないわけで あります。  そんな状態でこのまま自立支援法がうまくいくはずがないと私は思っています。それ を承知でおやりになったとすれば、先ほどの説明で介護保険の中に当初の予定どおり障 害者もありきという話でこれから進められるのではないか。私はひが目でそのように見 ております。その辺を少し整理していただかないと、単に受給者の範囲とか、年齢をど うするかということをどの枠でやるのか。  先ほどの御説明の中にありましたけれども、社会保障の全体の見直しの中で17年、18 年でやるとあるんですが、社会保険の全体の見直しとはどんなものかというのは示して いただいていないわけです。それぞれ個々に健康保険では、医療保険では75歳の後期高 齢者はやりますよとか、年金は民営化していって公社方式でやりますとか、いろいろな ことをおっしゃっていますけれども、社会保障全体をどうするんだ。国民負担はその中 でどの部分の人がどれだけ払うのかということが私どもには見えてこない。その中でこ の分だけ議論をしろということになりましたら、非常にその議論には戸惑いがあるわけ であります。  これからずっと時間をかけておやりになりますから、その都度いろいろ発言をさせて いただけると思いますし、また考え方が変わるような資料も出していただけると思いま す。しかし、初めから何々ありきというのは私はないと思っております。議論をしてい く中で介護保険を永続性を求めて改善することにはやぶさかではありませんが、それは ほかの理由ではなしにやはり国民に初めに説明した老後の安定化のためにした介護保険 であれば、そのための対策を講ずるべきであり、その老後の介護のところにいろいろな ものを入れるのであれば、その入れるものについて国民のコンセンサスを得られるよう なことをやっていただかないと、単に保険者は市町村だから、もう決まったんだからお まえたちがやれと言われても、我々としては非常に迷惑だと、このことを最初に申し上 げておきたいと思います。 (京極座長)  今、障害者自立支援法の話が出ましたけれども、いかがですか。 (中村社会・援護局長)  今、座長からもお話がありましたので、障害者自立支援法については喜多市長の方か らお話がございましたように、4月1日施行で市町村の方には大変御努力いただいてお ります。  先ほど渡辺次長の方からもお話がありましたように、障害者自立支援法の内容につい ても次回御説明をさせていただきます。我々は一生懸命やっておりまして今、喜多委員 からお話があったように、障害者自立支援法は支援費制度の反省の上に立っております ので、是非とも成功させなければ、これは障害者の方々にとっても大変切実な問題だと 考えておりますし、市町村の仕事としてお願いしております。また、国の財政責任も明 確にしておりますし、我々としてもそのことをきちんと担保してまいりたいと思ってお ります。また、次回に十分御説明させていただきたいと思います。 (山崎総務課長)  喜多委員の御指摘の点で、今、私ども事務局はこれまでの検討の経緯について資料等 を御説明いたしました。もうこれは言うまでもございませんが、もともとこういう会議 が行われるということは、そもそもこの被保険者・受給者の範囲についてどう考えるか という基本的な課題について議論いただくわけでございますので、何か一定の方向性が あるわけではございません。  ただ、この議論というのは急に今日始まった話ではなくてかなり長い間の懸案でござ いますし、ちょうど今回の制度見直しに当たりまして結論的には両論あったわけでござ いますけれども、その過程においてはこういう論点が大分出されて実際に議論がござい ました。御参考にということでございまして、そういうことで一応説明させていただく ということでございます。もちろん今から更にこれについては御議論をいただき、いろ いろな御意見をいただきたいと思っている次第でございます。 (京極座長)  貝塚委員、どうぞ。 (貝塚委員)  私は去年、介護保険部会をやっていて、そのときも結構大変でした。大変というのは、 要するに意見が分かれて、先ほど局長の言われたことは大体正確な経過でした。要する に、両論に分かれて議論がはっきり言って対立したということです。  それはそれですが、もう一つは官邸ないしあちこちで一体的改革と称するもので、こ れは日本の政治でも非常によさそうな言葉が出てきてやるのですが、その具体的な中身 は何か。一体的というのはどういう意味か。そこのところはかなり具体的な姿がないと、 介護保険の問題も多分なかなかはっきりした議論は出てこない。  一体的改革というのは何かというと、私などが考えるところでは社会保険制度でやる わけですが、介護保険は社会保険制度の中でやや言ってみれば特殊な制度になっている。 それで、年金、医療保険その他がありますが、その受給者の範囲とか、保険料とか、い ろいろな点で割合少しずつはそろってきているのですが、そういうものと全体として合 わせてと言ったときに、その合わせてというのはどういうことなのか。  私が言うのも変ですけれども、一体的改革という言葉を信じてやっていても余り具体 的な方向は出てこないのではないか。これは私の個人的な予想ですけれども、結構一体 的改革を本格的にやれば、ある意味では日本の社会保障制度全体を今の時点で方向があ る程度変えるのかという話がもともと一番大きな問題なので、そういうことは考えずに とりあえず従来のやり方の延長線上で議論をしていくのか。そこの辺りのスタンスがか なり重要だという気がいたします。  それからその他、これは私の個人的な意見ですが、政治情勢がかなり流動化しており まして、恐らくお役所の方がそれはずっとお詳しいと思うんですが、経済財政諮問会議 というのはざっくばらんに申し上げれば与謝野さんが議長になられてから竹中さんのと きと違ってがらりと変わったんです。したがって、経済財政諮問会議の機能は竹中氏が やっていたときとはかなり違う。それは今年の9月で終わりで、9月でたしか任期が皆 さん終わりになると思います。この間、吉川君に会ったら、私は9月で解放されます、 助かりましたとか言っていましたが、とにかくものすごい会議でしてあらゆることをい ろいろやっていたのですが、それが多分今はかなり合議制で、しかも議論を整理して余 りはっきりした提案をするというスタイルには必ずしもなっていない。  ですから、私はやじ馬的に言えば、経済財政諮問会議が余り権限を持つと各省庁は正 直言って多少迷惑だと思っている。だけど、これからはむしろ各省庁がそれぞれやって いかないと、経済財政諮問会議の調整機能は余り大きくない。次はどうなるかだれにも わからないですが、ただ、事態が流動化しているということは確かなので、それを読み 込んでおいて、ここではできる限りそういうことに左右されないところで議論をなるべ くしていって、そしていろいろ出てくればそれに応じて議論を拡大していく。あるいは、 そもそも初めから割合理想論的に議論していくやり方もあると思うんですが、その辺の やり方は十分考慮していただいた方がいいんじゃないか。これは全く私の個人的な意見 です。 (京極座長)  ほかにいかがでしょうか。特に社会保障審議会は私がやっていました障害者部会と貝 塚先生がおっしゃった介護保険部会と両方で並行に議論していましたけれども、なかな かクロスしなくて、最後はちょっと時間切れという感じもいたしましたが、やや財政論 議が先行して喜多市長がおっしゃったように衣の下からよろいが見えるというか、介護 保険の財政的な基盤を強化するために第3号被保険者をつくって障害者もちょっと入れ るというようなニュアンスで受け取られた向きもないわけではない。  他方、障害者部会の方は支援費制度がスタートから破綻しておりましたので、その財 政的な失敗を介護保険という大きなエンジンを付ければ何とかなるのではないかと、議 論があるべき論というよりは財政的な議論からスタートしてしまった向きがあって、そ れも十分まとまらなかった原因の一つではないかと私個人はちょっと反省しております。  大森委員は当初から携わっておられましたが、いかがでしょうか。 (大森座長代理)  座長代理が発言していいかどうか、ちょっと迷っていましたけれども、座長からの御 指名でございますので、こういう趣旨のことを申し上げたいと思います。  結論的に言うと、私は今回はまなじりを決してこれについて決着をつけるべきだと考 えています。これ以上先延ばしにしたらよくないというのが私の結論でございます。  当初、この制度設計に少しお手伝いしたときに、やはり介護を必要とするような事態、 リスクと呼んでいますけれども、だれにでも起こり得る。このリスクは必ずしも年齢に 関係ない。当初はだれでもそういうリスクに直面したときには自助努力は無理なので、 何とかしてこのリスクを全体として支え合うような日本の社会の在り方というものを念 頭に置きながら、私どもはリスクの共同化、社会化と申し上げて、その仕組みを考えよ う。当時は高齢化というものが足早にきているものですから、しかも量も質も非常に低 くて、このままでいったら私どもの老後は成り立たないという非常に強い危機感の中で 高齢者についてまず何とかしたいということで乗り出したんです。  そのときに私どもの頭にあったのは、やはり介護リスクを全体に社会化するというの は本来ならば高齢者に全く限っていない。したがって、このリスクに必要な経費をどう やって負担するかについて言えば、少し当時でも気恥ずかしかった思いはございますけ れども、やはり私は社会的連帯だと思うんです。同世代、異世代がどうやって担い合う かという、その仕組みを国民的な理解の中で達成していくということでございます。  したがって、当初私どもが考えましたのは、20歳からにしたい。社会の一員として責 任ある大人になってからはきちんとそれで組み込んでいただきたいということで、当時 はそういう思いでやっていました。したがって、当初の制度設計は幅広く、余り特定の 高齢者の人たちだけに費用が集まらないようにしたいということも含めまして、基本的 連携に基づいて幅広くいろいろな方々に負担していただきたい。したがって20歳という のは筋が立つではないかということだったんですけれども、それが当初だと私は理解し ています。  それから、これを実際に法律にするときに40歳になりました。このときは嵐のような 日々でございまして、なぜ40歳にするのかということについて私はあのときも簡単には 納得できませんで20歳説をずっと取っていたんですけれども、最終的に言えばこれは政 治の責任でお決めになるということだったものですから40歳になりました。  そして、今回法律改正のときにこれは決着がつくんだというふうに私は期待していた んですけれども、今日御説明のようにこれがまた足踏み状態でして、足踏み状態になっ た挙げ句、再び附則のような状態でこれが持ち越されている。ただ、附則の読み方は今、 局長がおいでになりますけれども、今回は「所要の措置を講ずるものとする」となった わけです。  ただ、それが一体的な検討の結果、それを踏まえてということになっていたものです から、そちらの方がめどがたたないとこちらはできないのかどうか。こういう文章の解 釈は難しいんですけれども、私の理解は、今回は「所要の措置を講ずるものとする」わ けですから、その講ずる内容についてこういうさまざまな検討会を通じて必ず所要すべ き内容を決めていって政府が選択する方向に向かうものと考えています。  その一つの状況認識は、この法律が制定する直前にもいろいろ御意見があってこうい う形になったんですけれども、1つは財界の皆さん方がなかなか御負担について難色を 示されていました。これもいろいろ御意見がございますので十分議論を必要としますけ れども、もう一つは障害者の皆さん方の団体が必ずしも一致していなかった雰囲気がご ざいました。私の見方では、最終段階でほぼ合意を見るに至っているのではないか。中 には非常にきつい御意見があったかもしれませんけれども。  したがって、全体とすると今回の法律の附則を書き込まれた段階にとってみれば、こ の問題については今回は決着がつけられる段階まで至っているのではないか。ですから、 そもそも論からこの会議が始まるということはない。今までの検討経緯を含めてこれか ら先に進むということではないかと思って、私は参っております。  そういう状況認識が間違っているかどうかということを局長からひとつ聞きたいと思 います。附則の読み方ですけれども、「所要の措置を講ずるものする」と書いてあるの は相当強い御決心ではないかと見ているのですが、それはどういう理解であろうかとい うことです。 (中村社会・援護局長)  先ほど来、御議論になっております点は2点だと思います。  1つは附則の読み方のお話になっておりますけれども、この点については先ほど堀委 員にお答え申し上げましたとおり、社会保障制度の一体的見直しというのをこの2年間 で政府はやりますので、我々としては先ほど御紹介いたしました中で負担の在り方の問 題であるから、先ほど貝塚委員の方からは具体的な方向性まで一体的見直しについて御 懸念も表明されましたけれども、私どもとしてはそういう負担の見直しの中で議論をす べきだという御指摘も踏まえて、この記述を盛り込んだ。  そういった意味で我々が拘束されておりますのは、政府全体として一体的見直しが検 討されますので、それとの整合性を図らなければなりませんけれども、もう一つは21 年度を目途としてという介護保険制度としてのスケジュールも出しておりますので、そ れを行うとした場合にはやはり18年度中にある程度の結論を得ていないと、21年とい うのは市町村の準備とか、いろいろ実務的なことも考えますと難しいのではないかとい うことで、一体的な見直しというスケジュールと21年度ということをお出ししたという ことであります。  この検討をしていただいて何を直さなければならないかということの結論を得て所要 の措置を講ずるということでございますので、その検討の第1ステップとして国会でも 先ほど渡辺次長から御説明いたしましたように、どういうふうに審議するのか。審議の 場についても御注文がつき、そういういわば立法府の意思を尊重して我々はこの検討の 場をお願いしているわけでございますので、まずここでの検討が第1ステップであり、 また国会での議論にお答えする場になると思います。  ここでどういう方向性を出していただけるかということが21年度の所要の措置の内 容につながると思いますので、何とぞまずここの場で御議論をいただきたいというお願 いでございます。 (京極座長)  喜多委員、どうぞ。 (喜多委員)  誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、議論することに反対をしている わけではございません。初めからある前提があって議論をするのはおかしいのではない かと私は申し上げているわけでありまして、そういう意味では大森座長代理がおっしゃ ったように、当初大森先生はたしか小委員会か何かの委員もなさって、初めの原案をお つくりになったお1人だと思います。私はそれも読ませていただいて非常に世間が広ま ったといいますか、そういう思いで今までまいりました。先ほど大森先生がおっしゃっ たように、年齢で制限をしたり、所得で制限をしたりではなしに、全国民でやるべきだ ということは私も初めから申し上げております。医療保険も含めて1枚の保険証ですべ てやれるようにすればいいじゃないですかというのが、最初の老健審からの私の持論で もあるわけです。  したがって、そういう思いの中で議論をするというのはやぶさかではございませんが、 何をどうするかという中で私は先ほど衣の下からよろいが見えていると申し上げました けれども、今後の論議の進め方の中にも、例えば障害者制度の概要等とはっきり書いて あるわけです。それ以外はないのかということにもなってくるわけで、この辺がどうも 釈然としないから先ほど申し上げたわけでありますが、21年度をめどに18年に全体の 見直しの検討がなされる中で何を我々が答えを出していくかということについて議論す ることはやぶさかではないということをあえて申し上げておきたいと思います。 (京極座長)  資料2の「今後の議論の進め方」でございますけれども、「概要等」と書いてありま して、これは障害児の問題とか、あるいは難病とかいろいろ入ってくると思いますが、 スケジュール的には議論の整理がここでなされて、それを踏まえて審議会や国会の議論 に入っていくと思いますので、基礎的な議論はこの場で行うことになると思います。そ れでは、ほかにどうぞ。 (大森座長代理)  当初、この議論をしたときに「統合」という言い方が出まして、随分誤解を与えてい ろいろな人を不安に追い込んだと思うんですけれども、今日書かれている文章の中では 明白に「制度の普遍化」とおっしゃっているものですから、基本的に制度をこれからい ろいろ構想するときに、制度の理念に当たる部分は非常に重要になるわけで、それで盛 り込まれるべきサービスとか、仕組みとか、それを裏付ける財政はどうするかというこ とですから、今日せっかく文章が出ていますので、とりあえず事務方からもう一度制度 の普遍化というのはこういうことだという説明をしていただいて、その上で一応そうい うことを議論の前提にして、理解として議論したらどうか。そこは私は重要だと思うん ですけれども、どうでしょうか。 (渡辺次長)  それでは今、座長代理から御指摘がございましたので、お手元の参考資料の2−2と いう資料でございますが、この18ページからごらんいただきたいと思います。  18ページに図が載ってございますけれども、現行の介護保険は被保険者の範囲は40 歳以上ということになっているわけでございますが、介護ニーズが生じたときに介護保 険から給付がされるのは65歳以上のところでございまして、40歳以上65歳未満の2号 被保険者につきましては被保険者ではございますが、給付については一定の制限がござ います。加齢に伴う疾病による要介護状態のみが給付の対象となっているということで ございます。それ以外は40歳以上65歳未満の方は対象になっておりませんし、また40 歳未満はそもそも制度から外れているということでございます。  次の19ページでございますが、先ほど障害者施策との関係について御指摘がございま したけれども、介護保険のサイドから見ますと、あくまでも若年の要介護ニーズという ものをどう考えるかということでございます。もちろん障害者施策といたしましては介 護施策だけではなくて就労とか、さまざまな施策があるわけでございます。その中で介 護部分というものにどうこたえていくかということでございまして、実はここにつきま しては19ページにございますように、現在65歳以上の方につきましてはこの介護保険 制度と障害者制度との関係については一定のルールというものがございます。  図がございますけれども、介護保険の中で提供されているサービスの中で、障害者、 この場合は65歳以上でございますが、この方々の介護ニーズに対応するサービスが既に あるもの、これにつきましてはいわゆる保険優先ということで介護保険からの給付が行 われ、そして、そういったところでは賄い切れないような、上乗せ横出しと言っており ますが、そもそも今の介護保険にないサービスでありますとか、あるいは介護保険の場 合は支給の限度額というものがございますので、それを超える量的な部分、こういった ところについては介護保険にいわば上乗せ横出しをするという形で障害者施策で補う。 このような関係が既にできているわけでございまして、これは実は介護保険だけではな くて医療保険の場合も保険優先というルールがあるわけでございます。  この65歳以上のところでできておりますルールというものを65歳未満、40歳から65 歳未満のところについては一部介護保険が適用されておりますけれども、ここの部分を どうしていくか。更に、40歳未満の方も含めてこのルールというものをどう適用してい くか。これが介護ニーズを保険というインシュアランスで見るという仕組みの普遍化を、 年齢を越えてしていくかどうかということでございます。 (京極座長)  ありがとうございました。それでは、ほかにどうぞ。 (大島委員)  私は今までの経過を肌でほとんど知らなくて、文章上でしか知らないものですから、 今の御議論をやはり大分感覚で違いがあるのかなという感じがしながら伺っていたんで す。  私の問題意識としては、高齢者が非常に急速に増えてきて、介護ニーズが極端に増え る。将来、これはとんでもなく増えていく。それに対して財源が追いつかない。この財 源を一体どうするのか。簡単に言ってしまえば、そのことを具体的にどう考えるのかと いうのがこの会議での最終的な結論というのか、持っていく一番の結論なのかなと。  それまでに、いろいろな物の考え方があるかと思うのですが、この会のスタート時点 を何を根拠にしてどこからするのかということについて少し考え方に差があるのかなと いう感じがいたしています。  そこのところを確認をさせていただきたいのですが、ばかなことを言うと思われるか もわかりませんけれども、少なくとも今、走っている介護保険制度そのものをいじると か、極端なことを言うとなくしてしまうとか、そういう議論はまずないわけです。介護 保険制度は基本的に認める。そして、今これは改正されたばかりですから、この介護保 険制度は守っていくという点についても、これは一応前提条件として文句はない。それ から、自立支援法についても4月から施行されるわけですから、これはこれできちんと 守ってやっていくということについても、いろいろやってみなければわからないという 不確定要素があるにしても、これを前提として認めるということでよろしいんですね。 何かそこのところに触れるような議論になると頭がごちゃごちゃになってしまいますの で。  そうなりますと、どういう算定の仕方をするかということは別にしまして、今の介護 保険制度を認めればその介護のニーズというか、中身については一応それなりに決まっ ているわけですから、それに合わせて高齢者あるいはこれから少し議論の余地があって 幅が広がるかもわかりませんけれども、高齢者が増えるとすれば、それに従って介護ニ ーズがどういうふうに増えていくのかということもシミュレーションができるわけでし て、その介護ニーズが増えていくに従って予算も必要な経費もどれほど増えていくのか ということも大体決まってくると思うんです。決まってくるとすれば、それをどういう 形態でだれがどのように負担するのかということで、今までの御議論がずっとあった。  それは今日の話しを聞きながらなるほどなというふうに私の頭の中では多少整理がつ いてきているのですが、今まで議論というのは仮定の話ですから、それは全く元のとこ ろへ戻ってしまってやってもいいんだというような話なのか。今までの議論を尊重した 上で先へいこうではないかというような考え方の上に乗るかによって大分違うのかなと いう感じがします。一般的に考えれば結論がまだ出ていないにしても、今までの議論と いうのは基本的に尊重しながら、その上に立って議論をしていくということになるので すが、そんなことは許されないというような話にまで戻るのかどうかということについ て、全体の中で確認をしていただきたいというのが一つです。もし今までの議論を尊重 するということであれば、こういった議論の延長上にいくんだという、こういった議論 のところを少し整理をしていただきたいと思います。  それで、これはちょっと別に私が疑問に思っていることなのですが、今のところ費用 が足らないということははっきりしていますので、これに対してどのように手当てをす るのか。簡単に考えれば自己負担を増やす。そして、保険料を増やす。いろいろな増や し方がありますけれども、そのほかにもちろん公費からという考え方がありますし、ほ かの財源を持ってくるという考え方もあると思いますが、今までの議論の中ではほかの 財源をこれに当てるというようなことについては全く考えられなかったのか、あるいは そんなことは議論になるような話ではないのか。その点について教えていただければと 思います。 (京極座長)  それは、介護保険のサービスメニューに限定してですか。それとも、障害者施策も入 れてですか。  では、介護保険に限定してお願いします。 (山崎総務課長)  お手元に、後でお配りしました有識者会議の1枚紙がございます。これは既に公表さ せていただいております今回の趣旨でございますので、今の大島委員の御指摘に私の方 からお答えするのがいいかどうかわかりませんが、今回の有識者会議の主な検討課題を もう一度整理させていただきたいと思います。  この問題は確かにいろいろな側面がございまして、切り口によって随分変わるわけで すが、逆に言いますとその切り口がたくさんありますのでこれだけ議論がずっと続いて いるという状況でございます。  その中で、本会の「主な検討課題」と書いてございますが、介護保険ということが中 心ではございますけれども、「被保険者及び受給者の範囲をめぐる基本的課題」という 形になっています。その中で、例えば見方としまして「給付の側面」ということで将来 的に介護保険制度の給付の対象をどう考えるかという問題の切り口もございますし、負 担という面から考えますと、保険料を納めていただくという面で考えたら介護保険財政 の観点から制度の「支え手」の範囲をどう考えるかという問題がございます。  一方、若年の方に関しましては「障害者施策との関係」ということで介護保険制度と 障害自立支援制度等の他施策との関係をどう考えるか。  こういった基本的な考え方を踏まえた上で今後進め方をどう考えるかということでご ざいまして、何も財政だけに偏って決めるとか、そういうことではございません。むし ろこの問題というのはあらゆるものに関係するということでこれだけの議論がずっと進 んでいるわけでございますので、まさに多角的な観点から御議論いただきたいというこ とが私どものお願いでございます。  加えまして、財政面の他の財源というのは趣旨が私どもとしていまひとつ明確ではご ざいませんが、介護保険としては保険料と自己負担と公費負担の三者構成でございます ので、これにほかの財源を導入するとすれば、公費の部分を少し増やすか、税でも構い ませんけれども、どこかからお金を持ってくるということがあるかもしれませんが、少 なくともその全体の構造に関しましては昨年の介護保険制度改革の中で大きな構造につ いては公費の部分を含め、一応現行制度をベースにしながら当面は進めていくというこ とで議論が整理されていると考えている次第でございます。 (京極座長)  まだ発言されていない方がたくさんいらっしゃいますので、若い委員ということでお 入りになったのかどうかわかりませんが、関委員からお願いします。 (関委員)  一応若手の意見をということでこの場に入れていただいたのかと思いますが、まだ勉 強不足ですので、幾つかお伺いしたいことが議論を聞いていてあります。  まず1点目は全体の話です。財源が厳しいというお話があちこちで聞かれますが、介 護保険の財源が厳しいということで、こういったことが課題となっているのか。それと も、障害者の制度の方の財源が厳しいということで統合した方がいい、普遍化した方が いいというお話があるのか。その前提の認識があちこちで異なっているような気がしま すので、そこを御説明お願いします。  論点として給付に関する論点と負担に関する論点と大きくあるわけですが、2点目は、 給付と負担の関係についてです。ここで介護保険という保険制度を維持した場合、保険 制度というのは保険料を支払う人と、被保険者とは大体同一、または家族が含まれてい る場合がありますけれども、同一というふうに理解をすると、この保険原理をどう修正 するのかという点について説明が必要となります。例えばゼロ歳まで普遍化した場合、 ゼロ歳児からは保険料を取らないとします。すると、保険料を払っている人、それが20 歳からでも25歳からでも30歳からでも、その人たちが保険料を払って、どうして保険 料を払っていないゼロ歳の人の保険給付について負担するのかというところの説明をど う理念的にするのでしょうか。こういったことを整理しないと、保険制度を維持するに 当たって難しいのでないかと思いまして、そこをどう説明するのかを伺えればと思いま す。  繰り返しになりますが、保険は保険料を払った人が被保険者だというふうな考え方を すると、負担に関する論点の方で25歳からがいいだろうと、25歳から負担するという 話になると、20から25歳の人は負担していないので被保険者にはなれないことになり ます。では、その人たちが障害者になった場合の保障はどうするのかといった問題が出 てきます。保険制度を維持していく上でそこをどうするのかということを御説明いただ けたらと思っています。  3点目は全体に関係するのですが、介護保険制度をつくった当初からかかわられてい る方々がいらっしゃいますので、その当時の状況をもう少し伺いたいと思っています。 先ほど障害者の団体が反対されたというお話がありましたが、どういった形でどのよう な団体の方が反対されたのか。そもそも最初に介護保険制度を創設するときに、なぜ普 遍化した制度をつくらなかったのか。そこの説明をもう少ししていただいて、そこをク リアすれば、そもそも普遍化した方がいいのかどうかという話も見えてきやすいのでは ないかと思いました。  私自身よくわからないのですが、統合して普遍化することに反対する障害者の方の御 意見を聞いてみると、特に若い障害者の方には、介護保険が、いまだにどうしても家族 が支えるということを前提にした制度である点を危惧する声がありました。どうしても 家族と障害者は、それは高齢者の場合も同じなのですが、利害が対立します。すると、 今は障害者の制度はそれなりに若い世代については自立が支援されているのに、家族を 前提とした介護の制度に寄っていってしまうのではないかということで、反対をすると いうような意見を聞いたことがあります。  実際に介護保険制度では、例えば入所基準について定める厚生省令などを見ると、厚 生省令第39条第6条の3で、「介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し」と定める ように、介護を社会化したとはいえ、家族というものがいまだに関わっている形になっ ていると思います。そこを変えるなり切り離していかないと、難しいのではないかとい う印象をもちました。  長くなりましたが、もう少し話をしてよければですが、これから先は意見です。こう いった疑問とは別に、それぞれ負担に関する論点と給付に関する論点を考えてみた際に、 若い人の代表と言っても私は20歳ではないところ、社会福祉法という講義で100人くら いの学生に教えているので、実際に払うことになったらどうかという意見を色々と聞い てみました。それなりに、20歳から払ってもいいのではないかという意見と、やはり20 歳から25歳くらいはフリーターも多いし、負担能力がないから、払うのは25歳くらい からにした方がいいんじゃないかといった意見に分かれました。払うことについて、そ れほど否定的な意見が占めていたというわけではありませんでした。  その前提は、多分答えた人達が社会保障の講義を受けていた学生で、問題状況につい て色々と説明した上で、どうかというふうに意見を聞いたからだと思っています。学生 自身も、こういうふうに意見は述べるけれども、払いたくないとか、自分は払うのは嫌 だという意見に直接つながらないのは、問題が分かり色々と考えると、「やはり誰かが 払わなければならない。それならば何歳からか」というふうに考えたからだということ を言っていました。こうしたことから、教育の場などでもう少し介護保険制度や色々な 社会保障制度について説明する場を設けないと、保険料を若い人に負担してもらうのは 難しいのではないかと思っています。  他に色々と意見として寄せられたなかには、もう少し払いやすい制度であれば払いに 行くのではないかという話がありました。未納が多いのは、単に面倒だから払いに行っ ていない人も多いのではないかという意見です。カードでの決済や、ホームページ上で の支払いといったことに加えて、面白い意見としては、例えば他の制度たくさん早目に 払うとポイントがたまるとか、サッカーのチケットが当たるとか、そういったものがあ ると払いに行きたいというインセンティブが高まるというものがありました。実は制度 に反対して払っていないという強い反対者よりも、面倒で払っていない人も結構いるで あろうから、もう少し払いたくなるような工夫をしてはということです。  次に、全額か、半額かというような説明がここにありましたけれども、額についてで す。私自身は、世代間の扶養だけではなく、もう少し世代内の扶養を強化するとこれか らはいいのではないかと思っています。高齢者であれば高齢者の世代内で、団塊の世代 であれば団塊の世代内でもう少し支え合う。その中で、お金のある人からそうではない 人に資産が移動するという形にする方が、それぞれ同じ世代、時代を生きてきています ので、理解も得やすいのではないかと思っています。そういう意味では、半額くらいに したら、若い人は同世代の障害者を支援するという形になりますから、もう少し同世代 を支援するという要素が強まり、理解も得やすいのではないかと思っています。  同時に、やはり免除制度というものをしっかり設けていかないと、払えない人に加え て、下流意識というものが非常に強まっていますので、反発が高まるのではないかと思 っています。  最後ですが、先ほど、給付に関する支援をゼロ歳までにした場合は、保険制度との関 係でどう理念的に整理するのかという話をしました。普遍的にゼロ歳までとするのは、 育児・年少者支援の考え方を、ここに盛り込んだからでしょうか。保険料を、ゼロ歳か ら20歳の人は負担しないのに給付を受けられるようにするのは、介護の必要な世代を将 来支える若い人を支援するという発想が盛り込まれるということでしょうか。そこら辺 も明確にする必要があるかと思いました。以上です。 (京極座長)  どうもありがとうございました。これから議論を深める点と、御質問として答えてい ただいた方がいいものと2つありますが、御質問については山崎課長からお願いします。 (山崎総務課長)  今日は全体の第1回でございますので資料等は用意してございませんので、御質問に ついてはまた次回以降に説明したいと思っていますが、財政問題から申し上げますと、 特に介護保険、障害の問題、どちらがどうだというわけではございません。全般にわた って社会保障は大変厳しい状況でございまして、当然そういう全般状況をどうするかと いうことも視点として入ってございます。  ただ、それだけでもない。むしろ給付の面も含めて、そもそも論としてこの介護保険 の被保険者の問題は今日、昨日始まった問題ではございませんで、制度をつくった段階 からある課題ですので、財政もございますけれども、それ以上にそもそも制度の基本的 な在り方としてこの問題があると私ども考えている次第でございます。  あとは、御指摘の中で統合という言葉がございましたが、まさに統合でございません し、加えて介護保険の今の御指摘の入所というのは決して家族がいらっしゃるから入所 できないということにはなっていません。むしろ緊急性を見てくださいという趣旨で現 在、入所の方はしてございまして、つまり要介護度が大変重い方とか、特に一人暮らし で介護が大変な方は、軽い方等に比べたらなるべく優先順位を上げて入所をお願いした いという形で考えている次第でございまして、介護保険そのものが家族が支えることを 前提にしているという形にはなっておりませんので、その点は申し上げておきたいと思 います。 (京極座長)  ゼロ歳児の問題が出ましたけれども、医療保険などは成人と児童が分かれていて、児 童は扶養義務者が保険で入っていますね。介護保険もそういう形にするかどうかをこれ から議論をして決めていくということなので、ゼロ歳に金を払えということではないと いうことです。  では、山本委員どうぞ。 (山本委員)  私はちょっと遅れてきたものですから、ずっと遠慮しておりました。実は、前回のと きに私は範囲として今の障害者の皆さんも入れるべきではないか。むしろそれを入れる ならば、この受給者はゼロ歳からにしたらどうだという意見を出しました。  それで、この被保険者の年齢については20歳というのは余り適当ではない。というの は、まだ学校に行っている人たちもいるし、25歳になれば皆、社会人になるのではない かと思われる。これが一応の基準ではないか。だから、25歳以上の人に負担をしていた だくようにしたらどうか。  ただし、それを一挙にやるのは大変衝撃が大きいので、2段階くらいでやったらどう かという意見を出しました。このペーパーにも書いてありますように、ゼロ歳からとか、 そういうことを申し上げたのは、私もその中の一人でございます。  ところが、当時の介護保険制度の実施状況というのは今のようではありませんでした。 介護保険制度がまだまだ安定をしておりませんでしたし、これからどうなっていくかと いう見通しも非常に暗かったんですけれども、最近の介護保険の進み方というのは、私 に言わせると少し異常ではないかと思います。  特に、施設の許認可権が県からそれぞれの市町村へ移ることになりました。それに乗 り遅れまいとしてこの3月までに、私どもとしてはそういうものは要らないんじゃない かと思われるようなものがたくさん申請が出されて山積みになっております。私は今、 福岡県の中で広域連合を組んで介護保険制度の実施をしておりますけれども、それだけ でも170くらいの施設をつくってほしいという申請が出ているんです。そのほかに130 くらいが後からついていっているんです。そんなに要るんだろうかと思うんですけれど も、ばかみたいな話をしたんですが、施設に施設が入るようになるぞと、そういう話ま でしました。  それは、介護保険制度が甘いからなんだと私は思います。それと、規制がない。何で もいいからやってくださいと、こういうやり方をしていると私は思うんです。さっき喜 多委員から意見が出されておりましたけれども、私もそういう点については同感なんで す。介護保険制度の環境がもう少し整備されないと、こういう議論には入れないのでは ないでしょうか。もし入ったとしますと、ある意味では介護保険制度そのものを破壊す るようなことになりかねないと思います。  ですから、私は今日お願いを申し上げておきたいのは、これからもずっと議論をして いくことになると思いますけれども、いま少しきちんとした現行の介護保険制度の実施 の実態を把握されて、そしてこういうところは言うならば是正をすべきである。こうい うところは更に進展させるべきであるというような整理をしたデータを出すことが必要 ではないでしょうか。  同時にまた、きちんと本当の意味での介護保険制度が実施されるように厚労省として 努力をする必要が私はあると思います。そこが少しというような感じがしないでもあり ません。したがって、私はそれがきちんと整理されてこの介護制度が安定しますと持続 性が高まってきますから、そのときにこの年齢の引下げ、いうならば給付の対象の拡大、 こういった議論をしてもいいと思うんですが、現状から考えるとちょっと無理なような 感じがします。  それで、もう少し現場の我々の意見を十分聞いていただいた上でこういう議論をした らどうでしょうかということを決めたらいかがでしょうか。ほかの人は知らないと言っ ているんじゃありません。私たちは直接住民の皆さんたちに対処しながらこの制度を実 施しているわけですから、さっき申し上げたようなことをごちゃごちゃやられている中 で更にこういうものを加えていくということになりますと、混乱以外の何物でもない。 むしろかえってうまくいかなくなって、この介護保険制度に大きな遺恨を残すようなこ とになるのではないでしょうか。  そういうふうな気がしますので、議論するのは大いに結構だと思いますけれども、実 態をもう少し資料として提示をしていただいて、その実態の資料の上に立って皆さんに 議論をしていただくようにすることが大事ではないかと思いましたので、是非ひとつ議 論のしやすい環境、あるいは議論のしやすい資料を出していただくようにお願いしたい と思いますが、その点はいかがでしょうか。御返事をいただきたいのですが。 (山崎総務課長)  今日は第1回目で別の資料は準備してございませんので、先ほど関委員の御意見もご ざいましたし、皆さんの御意見も踏まえまして、次回以降、資料としてできるものは準 備したいと思っております。 (京極座長)  では、小方委員の後、竹中委員、花井委員と、まだ発言されていない方、どうぞ。 (小方委員)  今、出ました御意見に全く賛成でございまして、現状をまず整理をしていただくとい うことがこの会を進めていく上でも必要なのかと思います。そして、次回に詳しくまた 資料に基づいて御説明いただけるということでございますが、この会議のテーマである 被保険者あるいは受給者の範囲というところが大きな論点でございます。  そういう意味からいきますと、現在40歳以上というものを下げるのかという問題が一 つのテーマになると思うのでありますけれども、先ほど来も出ていましたように必ずし も高齢者の方だけが介護のリスクを背負っているわけではありませんで、若年の方も当 然ながらそういうリスクはあるかと思います。ただ、ウェートがどのくらいなのかとい うとまた別問題であろうかと思いますので、できることであればある程度の年齢別の現 状で介護の必要な方がどのくらいのウェートがあるのかとか、あるいは人数はどのくら いなのかとか、こういったデータも是非できればお示しをいただきたいと思います。  もう一つは、介護が必要となる要因でございますが、大変不幸にして生まれながらに そういう状況で出生される方もいらっしゃれば、後年いろいろな事故に遭ってそういう 状態になるという方もあろうかと思います。その辺も対象の範囲の拡大云々を議論する 上では、ある程度そういう要因も踏まえた上で参考になるのではないかという気がいた しますので、そういったデータがもしあるのであればその辺のところも御提示をいただ いたら結構かと思っている次第であります。  それから、先ほど御説明がありましたように、障害者自立支援法もまだこの4月から 施行されるという段階かとは思いますが、現状でどういった状況なのかということも教 えていただければこれもまた参考になるかという気がいたしますので、先ほどの御意見 と全く同感でありますが、少し広い意味でのいろいろなデータなり実態をお示しいただ いて、次回以降の検討をさせていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げ たいと思います。以上です。 (京極委員)  ありがとうございました。全国データでなかなか出ないものもあった場合、地方のデ ータを複数集めて参考にするということもあると思いますので、よろしくお願いします。  それでは、竹中委員どうぞ。 (竹中委員)  竹中です。よろしくお願いいたします。  私はちょっと視点というか、論点が違って、当事者の立場からということで少し発言 したいと思います。  実は、私自身は娘が重症心身障害で授かりまして、今33歳になるんですが、一生赤ち ゃんなんですね。ですから、この介護の問題というのは彼女がこの世に生を受けたとき からずっと私にとって非常に大きな関わりがあって、介護をしている途中で自分自身も 体を壊すようなこともあって、自分もそうなるかもしれないというような状態があって、 お陰様でというか、諸般の事情もいろいろありまして今、娘は国立療養所の重症棟でお 世話になっております。  そうすると、お世話になっていることに対して今、税で非常に援助を受けているとい うことを知って、税という問題と介護という問題が非常に密接だというようなことから、 私自身はプロップステーションという活動ボランティアのグループを立ち上げました。 それは、本当に純粋に介護を受けながら生きていくという状態の人と、介護を受けなが らも何らかの社会貢献のできる方々と両方いらっしゃるんだということを知ったことか ら、やはり自分の娘のような存在がこれから増えてくる日本の中で、それを支える側の 人も増えていってほしいというようなことでプロップステーション、重度の障害があっ ても働ける道をつくっていこうという活動を長年進めてきました。  そうするうちに、私自身も間もなく60になりますが、母が80になりまして、今度は 母の介護の問題が目の前に迫ってきて、母の介護をしているときに今度はいよいよ自分 もきっと介護を受ける側になるんだなと。つまり、自分にとっては介護の問題というの は一生継続的に訪れてくる問題で、恐らく日本の多くの介護を担っている皆さんにとっ ては同様のことであるかなと。そういう意味で言うと、税の問題や保険の問題、介護の 問題というのは非常に今、喫緊の課題となっていて、こういうふうに受給が拡大する、 あるいは支える側の人も拡大していこうというような意見が出てきた。私は全くそのと おりだと思っておりまして、この会議でできるだけ多くの人が支え手となってこれから の介護の問題を解決していけるようにしてほしいと思っております。  もう一つは、実は今日ここへ来る前に財政制度審議会がありまして、私は今、委員の 3期目をさせていただいておりますが、ちょうど社会保障とか地域福祉といったような 問題を議論しております。その中でもやはり税の問題が大きくて、私としては先進諸国 の中で最も率の低い消費税というものが本当にこのままで大丈夫なんだろうかというと ころを財務省には提言をさせていただいておりまして、消費税について議論ができない ような財政審ならば財政審は要らないとか言ったりしてひんしゅくを買っております。  そういう意味で、本当に厚労省さんだけが御苦労をされる問題ではないかとは思うの ですが、やはりここは厚生労働省の場ということですので、是非厚生労働省として国民 と一緒に何ができるんだろうかという議論をまずはここでしっかりとやっていただいて、 その上で日本の国全体としてどうできるんだろうかという議論に私自身もつなげていけ るように努力したいと思っております。以上です。 (京極座長)  ありがとうございました。それでは、花井委員、山本委員とどうぞ。 (花井委員)  花井でございます。私はそもそも介護ニーズというのは年齢で切ることはできないと いうふうに考えておりまして、当然何歳であろうが介護保険制度を使うことができるよ うにすべきだとずっと主張してきております。  創設当時、高齢者介護が社会的な問題になってきたということもあり、とりあえず40 歳以上を被保険者として、給付は主に65歳以上ということで制度がスタートしたわけで す。しかし、負担と給付が一致するという社会保険制度の優位性を考えれば、今の介護 保険制度というのは真の意味での社会保険制度にはまだ到達していないと考えておりま す。  64歳と65歳で何が違うのか。今も65歳以上の障害者の方は介護保険制度が優先適用 されているわけです。ですから、その年齢を引き下げるということは当たり前のことだ ろうと思っています。ですから、介護保険部会がスタートしたときに、介護保険制度の 5年後の見直しでは当然、法の附則第2条のところがクリアされるためのものだと思っ たのですが、残念ながらそうはなりませんでした。 また、7月から12月にかけて議論 されました。、私自身は十分検討されたと考えているわけですが、12月の取りまとめの ときに普遍化すべきという意見が多かったにもかかわらず意見が一致しなかったわけで す。国会では更に進んだ形で、平成21年度に所要の措置を講ずるということまで明記さ れたということは、むしろ国会の方が進んだのかなと思っております。  そういう意味で言うと制度創設前から、平成6年からの今日の資料がございますが、 ずっと残されてきた課題につきまして、今回やはり決着をつけるべきだろうと考えてお ります。自立支援法もスタートするわけですから、何が課題で何をクリアすればそれが できるのかということもあわせて詳細に、検討していっていただきたいと考えておりま す。 (京極委員)  では、山本委員お願いいたします。 (山本委員)  参考にしてもらいたいのですが、私がさっき申し上げた意見はこの資料から言ってい るのですが、未納者が非常に多いんです。私の調べたところでは、未納者で国民年金が トップで、これは21%です。私の調べたところですよ。どこと言うと差し障りがありま すから。21%と、国民年金は極めて不人気です。その次は国保で、国保は13%なんです。 それから、介護は特別徴収を除きますと21%なんです。  ですから、その3つの部分は負担になるわけですけれども、こういうものがこんなに 高いと、もし新たに今の負担の方を広げたとすると、こういうものがどんどん顕著にな って出てきますから不満が大きくなってきて、むしろやらなくなるという可能性が高い んです。もちろん皆さんたちの方でもこういう数字はつかんでおられると思いますけれ ども、やはりこういう会議のときはそういう資料を出していただいて、こういう状況で すよということを報告をして検討していただくということが大事ではないでしょうか。  私自身は25歳にまで下げろと言った本人ですから、今更25歳を撤回する意思はあり ません。同時にまた、対象者をゼロ歳にまでしろと言ったことも撤回する意思はありま せん。ただ、それらが実現できるように厚労省側が十分環境整備をすることが必要だと いうことを申し上げているわけですから、その点だけはひとつ誤解のないように受け止 めて対応していただければと思います。現場の意見をよく聞いて、そして案をつくって くださるようお願いしたいと思います。以上です。 (京極座長)  松井委員、どうぞ。 (矢野委員(代理・松井氏))  介護ニーズの有無については世代に関係ないというご指摘はそのとおりだと思います けれども、小方委員も先ほどご指摘されたように、その程度はやはり年代によって相当 違うのではないかと思います。  私ども日本経団連としては、「被保険者・受給者の範囲拡大は極めて慎重であるべき であり、現行の基準を維持すべきである」と繰り返し主張してまいりました。その点か らすると、大森座長代理のご発言では、すでにある程度一定の方向が出ているのではな いかというお話のようにも聞こえたのですけれども、必ずしもそうではないと私どもと しては理解しております。  今、山本委員からは、広げるべきだというお考えを持ちつつも、他の保険の実態を見 ると非常に難しいというお話もございました。そういう意味では、被保険者の範囲を拡 大するかどうかについては、やはり国民に対して公平性とか納得性が十分あるのかどう かを見極めなければなりません。負担と給付の関係を明らかにして理解を得る必要があ ると思います。  確かに、理念上では、ゼロ歳から介護ニーズはあり得ると思いますけれども、負担す る方からすればそれでいいのかどうか。それから今、障害者の施策は基本的に税で行っ ておりますけれども、本当に保険制度ということになじむのかどうか。仮に、保険制度 にしますと、先ほどの同世代間での支え合いというようなことであれば、もしかすると そのような考え方も一方で成り立ち得るのかもしれないという感じがしますけれども、 その場合どんな仕組みを考えていくのかということもやはり慎重に議論しなければなら ないと思います。  現行の介護保険の被保険者・受給者の範囲を仮に変えるとするならば、そもそも今の 介護保険の目的が変わるということについての国民的コンセンサスを得るにはどのよう なやり方をしていくべきかということも、もう一つ重要なのではないかと思っておりま す。  社会保障制度の全般的な見直しの中で今後議論していくことになっておりますけれど も、今、既に決まっている、あるいは決まろうとしていることを思い起こしていただき たいと思います。年金保険料が毎年のように上がっていくことは、厚生年金にしても国 民年金にしても決まっております。更に、今般の税制改正で現役層の負担も確実に増え ていきます。もちろん高齢者の公的年金等控除の縮減ということもあります。  そして、今、国会に提出されております新たな高齢者医療制度の創設においては、ゼ ロ歳から74歳までの頭割りで支援金を負担するという考え方が出ております。また、前 期高齢者についての納付金というものもあって、いろいろな形での財政調整の仕組みに より、現役層に対して更に相当の負担が増えるということは、既にある程度の方向性が 出ています。この前提も踏まえなければならないと思います。そのような点から、負担 の余力が本当にあるのかどうかということも考えていただきたい。  いわゆるフリーターあるいはニートの方々も含めて本当にその負担をしてもらえる仕 組みをつくっていくということを考えると、どのような仕組みになるのでしょうか。長 くなりましたが、以上です。 (京極座長)  貴重な指摘だと思います。データの面では数字で物を言わないと、なかなか理念論だ けになってしまいましていけませんので。  それでは、堀委員どうぞ。 (堀委員)  財政の問題とか、具体的な制度構築あるいは施策の在り方というのも重要な問題で、 これからいろいろ議論していく必要があると思います。その前に、もう少し理念的に見 てどういう制度がいいのかということを考える必要があるのではないか。  その際、参考になるのは1995年に総理府の社会保障制度審議会が総理大臣に対して勧 告を行ったのですが、その中で5つの基準というものを言っているわけです。それは、 公平性、普遍性、権利性、有効性、総合性といったものです。社会保障審議会の介護保 険部会では、普遍性というのは出ているわけですが、それ以外の面については余り議論 がなされなかったように思います。  それで、年齢を引き下げるというのは負担あるいは給付の面の議論だと思います。し かし、これは社会保険か税方式かという議論もからんでくるのではないかと思います。 介護保険制度の創設時には社会保険方式か社会扶助方式かという議論がありましたが、 その後、余り議論になっていないわけです。年齢を引き下げるというのは、税方式の障 害者施策を社会保険方式に変えるという意味もあります。社会保険方式は普遍的である し、権利性もあるし、それから税方式よりは財源を確保しやすいとか、そういった面も あるわけです。  具体的なことをこれから議論するに当たっては、そういった5つの原則とか社会保険 方式、税方式とかの問題についても議論をしていく必要があるのではないかと思います。 (京極座長)  それでは、老健局長からお願いします。 (磯部老健局長)  先ほど山本委員が、現行の介護保険制度について若干甘いのではないかというような ニュアンスのことをおっしゃったので、現時点での特殊事情を申し上げておきますと、 特に施設につきましてこの4月から三位一体改革法案に関連いたしまして、特定施設の うちの混合型という今まで都道府県知事の指定を要しなかったものが今後、指定を要す るというふうに制度が変わります。それから、小規模多機能型の施設というものを今度 4月から市町村長さんの指定によって新たに設けるということがございまして、恐らく 両方相まって、今そういう意味での指定申請がたくさん出てきているのではないかと思 われます。したがいまして、4月以降そうした状況が整理されれば、一般にはもう少し 落ち着いた状況になるのではないかと思われます。  昨年の10月の食費・居住費を対象外として御負担いただく等、片や非常に最近の運営 は厳しいのではないかという御指摘もあることを御紹介しておきたいと思います。 (京極委員)  では、一応時間がきましたので貝塚委員を最後にして終わりにしたいと思います。 (貝塚委員)  先ほど山本委員がおっしゃった点は各制度に共通する非常に重要なもので、英語で言 うとコンプライアンスですね。要するに、納税者とか保険者が協力してくれるかどうか という程度の問題というのは本当はかなり深刻な問題で、アメリカの保険料はほとんど 年金に関しては九十何%払っていると言われますが、日本ですとやはり先ほどの例があ りますし、それからもともとクロヨンの問題もあるし、そこの部分が網の目から落ちて しまうわけです。  結果的に社会保険制度の網の目から落ちてしまった人をどうするかということは長期 的に考えると本当は深刻な問題で、私などはドライに今、生活保護の施策を適用をせざ るを得ないという状況になっていると思いますが、本当に社会保険制度の持続可能性を 保つためには、当たり前の話ですが、そこへなるべくたくさんの人が加入してちゃんと 払ってくれていることが極めて重要で、そのための方策を総合的に厚生労働省、もちろ ん租税当局も関係していますけれども、なかなか主税局が簡単にはうんと言わないだろ うけれども、それなりに協力してそこの精度を上げていくというのは非常に重要だとい うことだけ申し上げておきたいと思います。 (京極座長)  どうもありがとうございました。今回は第1回ということでいろいろ参考になる御意 見をいただきましたけれども、予定された時間となりましたので本日の討議はこれで終 了いたしたいと思います。  あとは、事務局から連絡があればよろしくお願いいたします。 (山崎総務課長)  ありがとうございました。次回は障害制度の現状もございますし、今日御質問いただ いた点で説明できる資料も用意しましてまた御議論をお願いしたいと思っております。 日程の方はまた御連絡申し上げたいと思います。 ○京極座長より閉会の宣言   照会先 老健局総務課 上村 連絡先 03−5253−1111(内線3918)