06/02/27 第11回がん検診に関する検討会議事次第 日時:平成18年2月27日(月) 15:00〜17:00 場所:厚生労働省7階専用第15会議室 1.開  会 2.議  題 (1) 大腸がん検診中間報告書(案)について (2) その他 3.閉  会 <議事内容> ○神ノ田課長補佐 それでは、時間が限られておりますので、ただいまより第11回「が ん検診に関する検討会」を開催させていただきます。 委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、ありがとう ございました。本日の出欠の状況でございますが、委員に先生方におかれましては、全 員出席の予定になっておりまして、後ほど土屋先生につきましても、出席いただけるも のと考えております。 あと事務局の方ですが、老人保健課長は急遽予定が入りまして、ちょっと遅れており ます。最後には間に合うように出席する予定であることを申し添えます。 それでは、以後の進行を垣添先生にお願いしたいと思います。 ○垣添座長 皆さん、こんにちは。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうご ざいます。前回の検討会から大分時間が経ったような感じがいたしますが、ようやく第 11回目のがん検診に関する検討会を開くことができました。 本日はお手元の議題にありますように、大腸がん検診中間報告書(案)のとりまとめ が一番主要な議題になるかと思いますが、議論いただかなくてはいけない内容がたくさ んありまして、時間は限られておりますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願い申 し上げます。 以後、着席させていただきます。 それでは、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。 お手元の資料は、議事次第が1部あります。 その下に報告書(案)ということで、付けさせていただいております。 その後は、別添資料として「事業評価のための点検表(検診実施機関用)」を載せて おります。 その後は、資料の関係でグラフ等を付けております。 資料10−2ということで、資料の追加資料でございます。 あと、委員の先生方のお手元には「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」、 祖父江班でとりまとめられたガイドラインでございますが、これを配布させていただい ております。 傍聴の方には、ちょっと部数に限りがありましたので、2枚紙で配布しておりますが、 こちらについてはすべてホームページに掲載しておりますので、適宜そちからダウンロ ードしていただければと考えております。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。資料で欠けている部分、その他ございませんか。 それでは、議事に移らせていただきます。「(1) 大腸がん検診中間報告書(案) について」ということで、事務局から御説明をいただきたいと思います。ただ、資料を ごらんいただきますと、かなり内容が豊富ですから、これを一気に説明をいただきます と時間の扱いが難しくなりますので、1ページをごらんいただきますと目次があります が、I章〜V章までに分かれておりますから、チャプターごとに順次御説明いただいて、 議論いただくという形で進めさせていただきたいと思います。その間に別添資料とか、 グラフなどの説明が加わるという形で進めさせていただきます。 それでは、事務局からお願いします。 ○神ノ田課長補佐 それでは、御説明いたします。 まず目次のところでありますが、構成としては「I はじめに」から始まりまして「I I 検討の視点」「III 現状と課題」また「IV 検討及びその結果に基づく提言」、最 後に「V おわりに」ということで、5章立てでとりまとめております。 まず「I はじめに」のところでありますが、1つ目の○のところで、がんの状況と いうことで、昭和56年以来死亡原因の第1位となっていると。大変重要な課題であると いうことを書いております。 2つ目の○は、がん研究の取組みとして、対がん10ヵ年総合戦略、がん克服新10か 年戦略、第3次対がん10か年戦略、それぞれの戦略の中でがんの本体解明を目指した基 礎研究や、臨床応用等を目指した研究を進めてきたということであります。 3つ目の○ですが、がん検診の取組みとしては、昭和30年代から一部の先駆的な地域 における保健活動として開始され、その後、全国的な取組みとして普及してきたと。特 に昭和57年度からの老人保健法に基づく取組みということで、全国的に体制の整備がな されてきたと。現状としては、住民に身近な市町村の事業として定着してきているとい う状況を説明しております。 次の○では、昭和57年度、第1次計画では胃がん検診、子宮頚部がん検診、62年度 からの2次計画で肺がん検診、乳がん検診、子宮体部がん検診が追加。平成4年度から、 大腸がん検診が追加されてきたという経緯を説明しております。 次の○のところで、財源の関係を若干説明していますが、昭和57年度以降、国、都道 府県、市町村が3分の1ずつ費用を負担し、市町村の義務的な事業として実施されてき たということですが、平成10年度からは一般財源化されまして、市町村が独自の財源の 中で、自ら企画・立案し、実施する事業として位置づけられるようになったという経緯 を説明しております。 厚生労働省におきましては、技術的な助言ということで、がん予防重点健康教育及び がん検診実施のための指針、いわゆるがん検診指針と呼ばれておりますが、そういった ものを示し、また適宜改正をしてきたということを説明しております。 おめくりいただきまして、最初の○ですが「しかし」ということで、がん検診につい て指摘されている事項を3つ挙げておりまして、1つは有効性評価が十分に実施されて いない。 2つ目は、精度管理が十分になされていない。 3つ目は、受診率が低いといったような問題点が指摘されているということです。 次の○は、15年に策定された第3次対がん10か年総合戦略の中で、がん予防の推進 というのが柱の1つになっているということで、がん検診についても、今後取組みが求 められているということです。 次の○は、こういうような中で平成15年12月に老健局内に検討会が設置されまして、 これまで2つの報告書をまとめてきております。 1つは、平成16年3月にとりまとめられた、乳がん検診及び子宮がん検診の見直しに ついてという中間報告書。もう一つは、平成17年2月にとりまとめられました、乳がん 検診及び子宮がん検診における事業評価の手法について。この2点をまとめているとい うことであります。 次の○は、平成17年3月からは、我が国での増加が著しい大腸がんの検診について検 討を開始し、今般中間報告をとりまとめたいというようなことで「I はじめに」のと ころを整理しております。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。 目次に沿いまして「I はじめに」のところから入りたいと思いますが、今、御説明 いただいたような流れがこの検討の背景になるかと思いますが、何か「I はじめに」 の部分に関して、御質疑がありましたら御発言ください。どうぞ。 ○坪野委員 2ページの一番最後の財源のところで、確認の質問なんですけれども「市 町村が独自の財源」という表現になっていますけれども、これは国が地方交付税で出し ているものの中で、一応国は出しているというスタンスなのか、それともそれはもうな くて、市町村が全部お金を出しているスタンスなのか、そこだけ確認をさせていただき たいです。 ○神ノ田課長補佐 地方交付税交付金により手当されております。ただ、お金に色がつ いていませんので、これはがん検診のために使わなければいけないというようなことま では言われていないです。がん検診にどこまでお金を使うかというところは、市町村そ れぞれが判断するということになっています。必要なものは地方交付税で手当されてい るという整理になっています。 ○藤井企画官 今の御質問にストレートにお答えいたしますと、がん検診のための費用 というは、きちんと手当がされております。その使い方は、市町村がほかのものに使っ ても縛りがかけられないんですけれども、予算としてはきちんとがん検診をやってくだ さいということで、一般財源化されています。それが一般財源化という意味でございま すので、手当はされているということで御理解いただいていいと思います。 ○垣添座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。 では、この流れに沿って、次は「II 検討の視点」に入りたいと思います。 ○神ノ田課長補佐 それでは「II 検討の視点」を御説明いたします。 「II 検討の視点」いたしましては、3点ほど挙げておりまして「1.検診による死 亡率減少効果と不利益」ということ。 「2.検診受診率及び精検受診率」。 「3.事業評価」ということでございます。 「1.検診による死亡率減少効果と不利益」のところでありますが、これまでの検討 の経緯からしますと、乳がん検診、子宮がん検診の見直しについてをとりまとめた際に は、久道班の報告書に基づきまして、死亡率減少効果を第一の指標としてまとめてまい りましたが、今回については、更に検診による不利益についても考慮に入れることとし たという説明をしております。 2つ目の○は、この検討の基礎資料としては、お手元に配布させていただいておりま す祖父江研究班のガイドラインをベースにしたということであります。 次の「2.検診受診率及び精検受診率」についてですが、いかに有効性の高い手法を 用いたとしても、高い受診率あるいは精検受診率を維持できなければ、大腸がん死亡率 の大幅な減少を実現することはできないということを説明しておりまして、そういった 実効性を確保する観点から、受診率、精検受診率の向上についても考慮したということ であります。 「3.事業評価」ですが、がん検診の事業評価につきましては、乳がん検診及び子宮 がん検診について既に報告書をとりまとめておりまして、基本的な事業評価の考え方で すとか、プロセス評価、アウトカム評価などの手法。また国、都道府県、市町村の役割 等を含めまして、事業評価報告書の中で整理をしてきております。 がん検診により死亡率減少を実現するためには、しっかりとした事業の質の確保とい うことが必須になるということで、おめくりいただきまして、しっかりした事業評価が できなければ、期待される死亡率の減少効果がもたらされないということであります。 このため最後の○のところですが、大腸がん検診につきましても、客観的な事業評価 の方向について検討を行ったということで結んでおります。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。「II 検討の視点」ということで、今の御説明 のとおりであります。 死亡率減少効果をこれまで中心にしてきたけれども、大腸がんに関しては、更に不利 益も検討したということ。 検討に際しては、祖父江班の報告書をベースにしていること。 検診の受診率及び精検受診率をどう上げるか。 「3.事業評価」として、アウトカム評価と国、都道府県、市町村の役割を決めて事 業評価をする。これは後ほどまた説明がありますけれども、そんなことを取り入れてい ます。大筋そんなところでありますが、何か御発言ありましょうか。もし後ほど気がつ かれたことがありましたら、また戻ってください。ここまでは恐らく余り大きな問題は ないと思いますので、先にまいります。「III 現状と課題」についてです。 ○神ノ田課長補佐 それでは「III 現状と課題」でございます。 こちらはお手元に配布しておりますグラフ等の載っている資料を横に見ながら、ごら んいただければと思っております。 最初に「1.大腸がんに関する現状」ということで「(1)大腸がんの性質」をまと めております。食事やライフスタイル等が関係するということ。具体的には運動不足、 肥満、動物性脂肪の摂取等が指摘されております。 「(2)大腸がん罹患及び死亡の状況」ということで、増加しているというところを まとめておりますが、1つ目の○のところでは、昭和40年代には、他のがんと比較して 非常に低い水準にありましたが、その後増加の一途をたどって、現在欧米の水準に達し ているということです。 こちらの関係資料は、資料1−1以降をごらんいただきたいと思いますが「資料1− 1 大腸がん罹患率の推移(男性)」ということで、濃いグラフで示しているところが 大腸がんであります。 資料1−2は、女性の方です。女性についても、罹患率が増加してきているというこ とです。 資料2−1は、同様に死亡率について推移を整理しております。増加傾向にあるとい うことが、資料2−1また資料2−2の女性の方でも確認できるかと思います。 お戻りいただきまして、次の○のところですが、罹患率について、将来推計をしてお ります。平成32年、2020年の状況を見ますと、男性では肺がんに次いで第2位、女性 では乳がんに次いで第2位にまでなるということが推計されておりまして、関係の資料 を資料3、4ということで付けております。 資料の方をごらんいただきますと、資料3−1ということで、大腸がん罹患率の予測、 男性について付けております。 おめくりいただいて、資料3−2は女性の方の罹患率の将来予測ということでありま す。 資料4−1は、死亡率について同様に男性と女性についてグラフを付けておりま す。 文章の方にお戻りいただきまして、死亡率についてですが、現状15年の年齢調整死亡 率において、直腸がん、結腸がんについて男女別にデータを示しておりまして、いずれ も昭和50年の状況の約一.五倍から2倍に著明に増加しているということであります。 死亡率に関しても、諸外国と比較して上位の水準に達してきているということで、資 料5をごらんいただきますと、1980年の状況を左の2つのグラフで示し、また右の2つ の方で2001年の男性、女性の状況を示しております。 1980年をごらんいただきますと、英国、米国と比べまして、年齢調整死亡率は低い状 況にありましたが、2001年の状況を見ますと、そういった英国、米国よりも高いか、あ るいは横並びの状況になってきているということがおわかりいただけるかと思います。 お戻りいただきまして、年齢別に見ております。年齢別の罹患率・死亡率を見ますと、 40歳代後半から年齢とともに増加を示し、特に50歳以上で高くなっております。これ は男女ともほぼ共通の傾向ということで、資料6と7にグラフで示しております。 資料6は「大腸がんの年齢別罹患率」で、資料7は「大腸がん年齢階級別死亡率」と いうことでございます。 続きまして「(3)大腸がんの治療法」ということですが、病期によって適用の治療 が変わってくるということで、早期がんにつきましては内視鏡的治療が適用となります が、進行してまいりますと外科療法が適用となって、更に進行したものについては、放 射線治療ですとか化学療法が併用されることもあるということを説明しております。 資料8の方で、一応早期がん、あるいは進行がんの病期を図でわかりやすく示してお ります。 資料8−1の方は「早期大腸がん」。 資料8−2の方は、Dukes分類と呼ばれておりますが、進行がん等の病期を示してお ります。 文章に戻っていただいて「(4)大腸がんの予後」ということですが、早期がんであ ればほぼ治癒が可能ということで、また進行がんであっても壁内に限局したDukes Aで あれば85〜90%、Dukes Bであっても70〜80%、Dukes Cでも50〜70%と、ほかのがん の比べますと、治療成績のよいがんということが言えるかと思います。 治療成績については、資料8−2の右の方に病期ごとにデータを載せております。 「2.老人保健事業に基づく大腸がん検診の現状」ということですが「(1)大腸が ん検診の実施方法」を示しております。「I はじめに」のところでも触れましたが、 平成4年度より老人保健法に基づき市町村の義務的な事業として実施されてきておりま すが、平成10年度に一般財源化されて、先ほど説明したとおり市町村の判断により実施 する事業という位置づけになっております。 次の○ですが、大腸がん検診は広く一般を対象とするスクリーニング検査と、スクリ ーニング検査によって要精密検査と判定されたものを対象に実施する精密検査により構 成されるということです。 次の○のところで、具体的なところを説明しております。スクリーニング検査につき ましては、これは老人保健課長通知で示しているがん検診指針での方法ということです が、40歳以上の者を対象に、免疫法便潜血検査2日法により実施することとなっており ます。また、精密検査については2つの方法を推奨しておりまして、1つが全大腸内視 鏡検査、2つ目がS状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用という2つの方法で す。 これを資料9で一応示しております。全大腸内視鏡検査については、盲腸の辺りまで 見ていくと。S状結腸内視鏡検査についは、S状結腸までを内視鏡で見るという検査で ございます。 お戻りいただきまして、次の○ですが、検診の対象者については40歳以上を対象に実 施することとされておりますが、諸外国においては50歳以上とされている場合が多いと いうことで、実施年齢について検証が必要であるということで、一応課題についても触 れております。 「(2)大腸がん検診の実績」ですが、1つ目の○のところで、年々受診者数は増え てきているということで、平成15年度には約640万人に達しているということです。受 診率については約18%ということで、一応伸びてきてはいますが、他のがん検診同様に まだまだ低い状況にあるということです。 資料10のところで「大腸がん検診の実績(平成15年度)」を載せております。こち らは老人保健事業報告に基づくデータです。 あと追加の1枚紙の資料についても、ごらんいただければと思いますが、受診率につ いては徐々に上がってきております。平成9年度は14.57%であったものが、平成15年 度には18%に達してきていると。要精検率については7%ちょっとのところで、横ばい 状況です。がん発見率については0.15〜0.17%ということで、これも横ばいの状況にあ ります。 お戻りいただきまして、次の○が要精検率の関係ですが、最近5年間ぐらい は約七%で推移してきているということですが、国内外の調査結果を見ますと2〜3% ぐらいというようなデータが得られていますので、それと比べると高くなっているとい う評価でございます。必要以上に要精検率が高いということは、精密検査の実施件数の 増加につながって、偶発症を招く可能性を高めることになると。また、精検受診率の低 下にも関連するという指摘もあるということで、適正な要精検率についての検証を行う 必要があるとしております。 8ページの次の○ですが、精検受診率につきましては約58%ということで、これは他 のがん検診より10〜20%以上低くなっております。 これもデータがあるわけですが、過去に大腸がん検診において要精密検査と判定され たことのある患者について、精密検査をしっかり受けた群と受けなかった群に分けて、 予後を比較した調査がございます。そのデータによりますと、受けなかった群は受けた 群に比べて、大腸がんにより死亡する危険性が4〜5倍高いということが示唆されてお りまして、精検受診率について改善が必要であるということで、課題としてそれを挙げ ております。 資料12をごらんいただきますと、その関係のデータを載せております。 すべてのがんで見ますと、精検受診者を1とした場合に、精検未受診者の死亡リスクは 4.80とかなり高くなっております。 また浸潤がんに限って見ましても、4.07という状況にございます。 次の○ですが、精密検査の検査方法としましては、検診が導入された当初はS状結腸 内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用方法が広く用いられておりましたが、現在は全 大腸内視鏡検査が精密検査全体のうちの約60%に用いられているということです。 これは資料13の方にグラフを載せておりますが、2001年、2002年、2003年の3年間 の状況を見てみましても、41.4%、55.4%、62.8%ということで全大腸内視鏡検査の実 施の割合が大きくなってきているという状況がわかるかと思います。 お戻りいただきまして、次の○ですが、S状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査を 併用した検査につきましては、これは全大腸内視鏡検査と比べますと感度が低いという ことが言われております。精密検査としての妥当性について再度検証する必要があると いうことで、課題として挙げております。 次の○ですが、要精検率、がん発見率、精検受診率等の事業評価の指標について触れ ております。地域格差が非常に大きいということがデータで示されておりまして、また 精検未把握率が40%前後と非常に高い状況にあるということです。 こちらの関係の資料は、資料14〜18ということで、資料14につきましては、要精検 率について年次推移を整理しております。こちらは箱ひげ図で示しておりますが、下の 方から0パーセンタイル、25パーセンタイル、あと真ん中の線が中央値で、次が75パ ーセンタイル、次が100パーセンタイルということでございます。プロットしておりま すが、これは外れ値ということでパーセンタイルを出す際に除外しております。それを 除外した上で、パーセンタイルでグラフとして示しております。 ごらんいただきますと、要精検率については年々都道府県間のばらつきが小さくなる 傾向が見てとれるのではないかと考えております。しかしながら、現状としてもまだま だばらつきは大きいという状況です。 資料15も同様にがん発見率について、同じような形でグラフにしております。これも 同様に、ばらつきはやや減少傾向を示してきております。 資料16は、精検未把握率の推移でございます。 また資料17は、がん発見率と要精検率の都道府県分布ということで、各県ごとにプロ ットをしております。横軸に要精検率をとっていまして、縦軸にがん発見率をとってお ります。非常にばらつきが大きくなってきております。 1つ訂正があります。下の方に文章を載せていますが、発見率については1〜3%と ばらつきがあると書いてありますが、これは0.1〜0.3%ということでけたが間違ってお ります。訂正をお願いします。 資料18もがん発見率と要精検率について、同じような分析をしておりますが、これも 都道府県間で非常に大きなばらつきがあるということが見てとれるかと思います。 次のページのところに参考ということで、先ほどの資料17、18で使いましたプロット している番号を付していますが、これは各県の対応関係を示した表です。 第III章につきましては、以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。 「III 現状と課題」の御説明をいただきましたが、何か御発言ありましょうか。 運動不足が大腸がんを促進するというのは、どういうメカニズムでしたか。これは坪 野先生か祖父江先生か教えていただけませんか。わかりませんか。 ○坪野委員 昔から言われているのは、運動をしている方が腸の蠕動が活発になって、 便通がよくなるということです。最近はインシュリン成長因子などとの関係が言われて いるようです。 ○垣添座長 はっきりとしたことはわかっていないということですね。 ほかに何かありましょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 資料3−1で罹患率の予測が出ているんですが、大腸がんがここの ところへきて急速に増えて肺がんを追い抜いてというのは、2010年ぐらいが頭打ちで、 2020年のところで肺がんが追いついてくるというような、この辺の要因としては、何か 入れてこういう予測が出てくるんですか。 ○垣添座長 祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 大腸がんの方が頭打ちになっているということですね。大腸がんの罹患 率は、地域がんの方のデータがしっかりしていないというところもあって、最近の傾向 として、これが本当に正確かというとちょっと疑わしいところもあります。 特にmがん(粘膜がん)等の登録は、各地域がん登録で扱いが異なるとかというよう なこともあるので、この辺りに関してはちょっと慎重に扱わないと、今後の動向を正確 には読み取っていない可能性もあります。 ○垣添座長 ほかにございますか。どうぞ。 ○清水委員 資料17と資料18は、どう違うのでしょうか。 ○神ノ田課長補佐 誤植です。失礼しました。 資料18の方は、訂正がございます。タイトルのところでは「要精検率」と書いてあり ますが「精検受診率」の間違いです。訂正をお願いいたします。 ○清水委員 わかりました。 もう一つ、質問よろいしでしょうか。資料1に「検診実施がん年齢調整死亡率推移」 と書いてありますが、これは40歳以上の調整死亡率という意味でしょうか。 ○斎藤委員 実施がんで切れるのではないですか。実施がんについての年齢調整死亡率 です。 ○清水委員 実施がんで切ってはおかしい。 ○斎藤委員 大腸、胃、肺がんということではないですか。 ○垣添委員 祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 年齢を検診実施の40歳以上に限ったわけではなくて、全年齢の年齢調整 罹患率という意味だと思います。 ○清水委員 そういうことですか。 ○垣添座長 ほかにございますか。樋渡委員、どうぞ。 ○樋渡委員 資料8−1に「早期大腸がん」の絵があるんですけれども、がんの部分の 形が、進行がんも全部陥凹型の形になっているんですけれども、早期がんは大体隆起型 なので、形としては丸にした方がいいのではないかと思います。これだといわゆる陥凹 型で、まれな早期がんになってしまうので、隆起型というか丸、上に山型のポリープの 形にした方が、絵としてはいいのではないかと思います。 ○垣添座長 そうですね。内空突出型のポリープ型の病変の方がより実態を反映してい るということで、これは図を改めていただけますでしょうか。 ほかにありましょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 資料17、18で都道府県の格差があるということと、かなりのばらつ きがあるというのはわかるんですが、何となく印象では右肩上がりの楕円形の中に収ま りそうな感じなんですけれども、そういう両者の相関関係というのは全く考えなくてい いんでしょうか。 ○斎藤委員 本来であれば、この両図とも縦軸、横軸相関関係があるんです。あるんで すが、その相関とは別に、やはりばらつきが大きいということを表す図だと思います。 もう一回言いますと、17に関しては、要精検率が高くなれば、つまり極端に言うと1 00%精検すれば全部見つかるわけですから、本来は相関があると思います。 2番目に関しては、精検はやはり0よりは100%で見つかるわけでありまして、本来 は相関があるものです。 ですから、御指摘どおりだと思いますが、それにもかかわらずばらつきも大きいとい うことだと思います。 ○土屋(了)委員 それにもかかわらずというのであればいいんですけれども、やはり 第一義的には相関を指摘しておかないと、だから全員精検しろということにはならない と思うんですが、そこの前提の下でばらつきを解釈しないといけないのではないかなと いう気がします。 ○垣添委員 坪野委員、どうぞ。 ○坪野委員 細かいことなんですが、先ほどの6ページの大腸がんのリスクファクター のところで、動物性脂肪というのが挙げられているんですが、これは昔から言われてい たんですけれども、2003年にWHOが出したレポートのまとめの中では、動物性脂肪と いうのは「確実」、「おそらく確実」、「可能性にとどまる」、「証拠不十分」と4段 階あるうちの3段階目に入っていて、最近余り強調されなくなっているんです。むしろ、 「確実」や「おそらく確実」の中に入っているのが、ここにある運動、肥満、そのほか に野菜、果物、ソーセージ、ベーコン、ハムみたいな加工肉となっているので、そうい うWHOのレポートで「確実」、「おそらく確実」と言われているものにそろえるので あれば、そちらの方がいいのかなと思います。 ○垣添座長 では、今のはWHOの報告に合わせて記述するということでよろしいです か。運動不足、肥満、野菜、果物、ベーコンですか。 ○坪野委員 ベーコンとかハムなどの加工肉です。 ○垣添座長 ベーコン、ハムのような加工肉ということですね。よろしいでしょうか。 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 資料12に関連してですが、精検した人と精検受診のない人とのリスクが出 でおりますが、これは単純に精検しないことで手遅れになったという意味でしょうか。 つまり、受ける人と受けない人のがんの性格が違うという意味ではないですね。結局、 未受診の人は精検を受けなかったに等しいということを言っていらっしゃると思ってよ ろしいですか。 ○神ノ田課長補佐 精検を受けなかったということで、治療開始が遅れて、その分進行 したがんが増えますから、治療成績が悪くなったということかと思います。 ○清水委員 もう一つは言葉遣いだけのことと思いますが、7ページの最後から2行目 辺りの「精密検査の実施件数の増加により、偶発症を招く可能性を高める」というのは、 偶発症が起こる、単純に数が増えるというだけで、精密検査をやったら偶発症が起こり やすくなるというわけではないですね。同じような確率で偶発症は起こってきますから。 ○垣添座長 斎藤委員、いかがですか。 ○斎藤委員 そのとおりだと思います。ですから、ここを直すとすれば「偶発症の件数 の増加を招く」だと思います。 ○垣添座長 ここは直しましょう。 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、また必要がありましたら戻り ます。先にまいります。 「IV 検討及びその結果に基づく提言」が最も大事なところだと思います。 ○神ノ田課長補佐 それでは、御説明いたします。 まず「1.大腸がん検診の実施方法」についてまとめております。 「(1)スクリーニング検査の方法」についてですが、現在行われている便潜血検査 について考え方、検討した結果を整理しております。 1つ目の○のところで、便潜血検査には化学法と免疫法の2種類があるということで、 この両者を比べますと、化学法の方は若干感度が低いとされておりますが、化学法につ いても3つの無作為化比較対照試験において有効性が確認されております。 資料11をごらんいただきますと、3つの研究について紹介されておりまして、右端の 欄に載せておりますが、大腸がんの死亡の減少度としては、13%〜33%ぐらい見込める というような報告がございます。 本文の方にお戻りいただきまして、我が国で行われている免疫法については、化学法 より感度が高いということが知られていて、症例対照研究によって、受診群では非受診 群と比較して50〜76%の死亡率減少効果が得られることが報告されております。 資料19の方に表として整理しております。これも一番右端の欄に、オッズ比として載 せておりますが、これだけ死亡率減少が見込めるという報告でございます。 次の○でございますが、また便潜血検査の採便方法として、1日法〜3日法までの手 法があるということで、いずれについても死亡率減少効果が報告されております。ただ、 感度と特異度のバランスを見ますと、2日法が最もバランスがとれているのではないか という考え方を示してあります。 これは資料20の方で便潜血検査の感度・特異度、化学法と免疫法を比較した形で整理 しております。一番右端が免疫法についてで、右から2つめのところが化学法について、 それぞれ感度、特異度、要精検率等についてデータを載せております。 次の○は偶発症の関係ですが、便潜血検査については偶発症の危険性がないというこ と。これもスクリーニング検査として実施する上での大きなメリットであるとしており ます。 こちらは資料21の方で、各検査の不利益ということでまとめております。便潜 血検査については、偶発症の欄についてないというようなことで「−」が引かれており ます。 お戻りいただきまして、結論としてですが、以上のように便潜血検査については、ス クリーニング検査の手法として、死亡率減少効果を示す十分な証拠があると。また実施 に伴う不利益も少ないということで、便潜検査による大腸がん検診の実施を強く勧める としております。また、化学法よりも感度が高いと考えられる免疫法を、引き続き用い ることが望ましいとしております。 次に「(イ)その他の検査」ということで、一応海外では全大腸内視鏡検査等をスク リーニング検査で実施しているようなところもあるようなので、それについても検討し た結果を整理しております。スクリーニング検査において、全大腸内視鏡検査、S状結 腸内視鏡検査を用いることについて、死亡率減少効果を示す相応な証拠があるというこ とですが、まれではありますけれども、腸管穿孔等の重篤な偶発症を伴うことから、ス クリーニング検査として実施することは勧められないとしております。偶発症について は、先ほどの資料21でまとめたとおりであります。 続きまして、次のページの1つ目の○ですが、注腸エックス線検査についてまとめて おります。こちらは死亡率減少効果を判断する相応の証拠があるということですが、検 査に伴う偶発症として、まれではありますけれども、前処置による穿孔や腸閉塞等が指 摘されているということですので、スクリーニング検査として実施することは勧められ ないとしております。 「イ 対象者」ですが、1目の○で現行の大腸がん検診は40歳以上の者を対象として 実施しているということで、これについては我が国の免疫法便潜血検査による症例対照 研究によって、有効性が確認されているということです。 こちらは資料19でまとめたとおりでございます。 一方、欧米においてですが、無作為化比較対照試験の結果、45歳以上あるいは50歳 以上を対象として実施した場合の有効性が示されているということで、検診の対象年齢 についても50歳以上となっているということで、その状況を整理したのが資料22です。 米国、ドイツ、英国、オーストラリア、フランス、イタリア、いずれについても比較 的高い年齢を対象に実施しているということです。 あと、年齢階級別に見た罹患状況のグラフがありました。資料6と7で先ほどお示し したとおりでありますが、我が国の大腸がんの死亡率、罹患率については、40歳代後半 から増加を示して、特に50歳以降の増加が著しいということです。 以上をまとめまして、このためということですが、50歳以上の者については、積極的 に受診勧奨する等の重点的に対応が求められるということですが、大腸がん検診の対象 年齢につきましては、当面我が国の症例対照研究で40歳以上で有効という結論が出てお りますので、その結果に基づいて、現行どおり40歳以上とすることが適当ではないかと いう提言でございます。 最後になお書きですが、こういった年齢階級別の有効性等についてですが、そういっ た研究を今後も実施して、適切な対象年齢に関する検討を継続することが重要としまし ております。 次に「ウ 検証の受診間隔」であります。 受診間隔につきましては、毎年受診する方法と2年に1回受診する手法、いずれにつ いても有効性を示す研究報告がなされております。 先ほどの資料11のところですが、一番上のところに書いてあるMinnesota研究という ことで、この中で逐年で実施した場合と、隔年で実施した場合のデータを示しておりま す。逐年の場合ですが、この場合は33%の死亡の減少効果が得られるということで、ま た2年に1回実施する隔年のところをごらんいただきますと、21%となっております。 こういったデータに基づきまして、次の○のところですが、毎年受診する方法の方がよ り大きな効果が期待できるということで、現行どおり年に1回とすることが望ましいと しております。 11ページの一番上のところですが、検討した内容を囲みのところで「ス クリーニング検査に関する提言」として、4点整理しております。 次に「(2)精密検査の方法」ですが、最初に「ア 全大腸内視鏡検査」について整 理しております。全大腸内視鏡検査は最も感度が高い方法であるということで、全大腸 内視鏡検査を精密検査の第一選択とすべきとしております。 次の○のところですが、ただし、処理能の関係があります。十分実施できるキャパが あるかということですが、平成11年に行われた推計によると、受診率約二十三%ぐらい までは精密検査を全大腸内視鏡検査により実施できると。これは全国的に見て、それぐ らいは対応可能という報告がなされております。 ただ、次の○のところですが、都道府県ごとに処理能を見ていきますと、当然都道府 県ごとに格差がございますので、そういったことを考慮すると、十分全国的に体制が整 った状況にあるとは言い難いということで、今後も処理能の向上策について、例えば関 連学会等の教育プログラムの開発・充実といったこと含めて、内視鏡検査に従事する医 師等の育成システムの構築が必要であるとしております。 次に「イ S状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用」について、まとめてお ります。 1つ目の○のところで、感度を見ますと、全大腸内視鏡検査に次いで高いとなってお ります。 次の○のところですが、前述のとおり、有効性の観点から精密検査の検査手法として は、全大腸内視鏡検査が第一選択になるということですが、地域によって処理可能な検 査数が大きく異なるということですとか、また受診者によっては挿入が困難で実施でき ないということもありますので、そのような場合には次善の手法ということで、この併 用の方法を位置づけることができるとしております。 次のページで、しかしながらということですが、その実施に当たっては、十分な精度 管理の下で、注腸エックス線専門家によって実施することが必要であって、またその際 には深部結腸のがんに対して、感度が低いということを十分考慮する必要があるとして おります。 なお書きのところですが、注腸エックス線検査単独の精密検査ということについても 触れております。これについては、頻度の高い直腸がんやS状結腸がんの見逃しが増え るおそれがあるということで、つまりS状結腸の内視鏡検査を省くということですので、 それに伴う見逃しが増えるおそれがあるということで勧められないとしております。 「ウ 便潜血検査の再検査」ということですが、一部地域で精密検査でも再度便潜血 検査を実施しているようなところがあると聞いておりますが、こういったことで再度便 潜血検査を実施して、その結果のみで大腸がんの有無を判定するということについては、 がんの見落としの増加につながるということで勧められないとしております。 次に「精密検査に関する提言」です。今まで述べたことを、提言として整理しており ます。 「2.検診受診率、精検受診率等の向上策」についてですが、まず「(1)検診受診 率」については、十分に検診従事者や検診の専門家においても、有効性に関する理解が なされていないのではないかということで、検診従事者がこういった重要な課題である ということを十分に認識してもらうとともに、住民の教育・啓発を通じて受診率向上に 努めることが重要としております。 「(2)精検受診率」ですが、こちらもやはり理解の不足ということを指摘しており ます。精密検査を受けない要因の1つとしては、大腸がん検診に対する理解の不足が考 えられるということです。 次のページは、過去に要精密検査と判定されたことのある大腸がん患者のうち、精密 検査を受けなかった群は受けた群と比べて、先ほどのデータですが死亡する危険性が4 〜5倍高い。そういった科学的な知見が、受診者に十分に理解されていないのではない かということです。 したがって、次の○のところですが、検診の申し込み時などに精密検査を受けないこ とによって、治療の開始が遅れ、大腸がん死亡の危険性が上がるんだということを、ち ゃんとデータを示した上で、しっかりと精密検査を受けるべきだということを十分に説 明する必要があるとしております。 更にということですが、市町村においては精密検査の未受診者の把握に努めて、精密 検査を受診していない者については、個別に連絡をして受診勧奨を行う必要があるとい うことです。検診申し込み時もそうですし、受診した後精密が必要と判定されたものに ついても、個別に対応するようにということです。 「(3)全大腸内視鏡検査の処理能」について、再度触れております。こちらも先ほ ど触れたとおり、関連学会等とも連携をして、内視鏡検査に従事する医師等の育成シス テムの構築が必要ということです。 こういった取組みを通じて、次の○のところにありますように、精密検査の信頼性を 高め、結果として受診率や精検受診率の向上にも寄与することが期待されるとしており ます。 以上の内容を、提言として次の囲みのところに整理しております。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。 それでは、まず「1.大腸がん検診の実施方法」ということで「(1)スクリーニン グ検査の方法」です。 11ページの上に四角で囲まれているものがまとめになるかと思いますが、スクリーニ ング検査に関しては、検査手法は、免疫法便潜血検査2日法とすると。対象者は40歳以 上。検診の受診間隔は、年1回。スクリーニング検査の対象年齢、受診間隔については、 科学的知見の収集に努めるべきであるということですが、何か御意見ありましょうか。 土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 その前の10ページの「イ 対象者」の○の2つ目を拝見すると、一 方、欧米においては、無作為云々、45歳以上あるいは50歳以上を対象として云々とい うことで、検診の対象年齢は50歳以上としていると。 3つ目の○では、我が国も大腸がんの死亡率、罹患率は、40歳代後半から増加を示し、 また50歳以降の増加が著しいと。 この2つを読むと、欧米の45歳あるいは検診の対象50歳というものは、我が国の実 態も示唆をしていると解釈できると思います。 その次の4つ目でいくと、このため、50歳以上の者については、積極的に受診勧奨す る等の重点的な対応が求められるがと。その後で結論ありきで40歳以上に落ち着いてし まっている文章に受け取れるんです。 やはり素直にこの3つの文章を生かすとすれば、45歳なり50歳にとるというのが、 文章上からの解釈では成り立つのではないかという気がいたします。 ○垣添座長 ありがとうございました。この点はちょっと議論いただきたいと思います。 ほかに御意見ありましょうか。清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今の議論の続きですが、我が国で行われている症例対照研究が恐らく40 歳以上一括で分析してあると思うんですが、40歳代だけに限ると、どのぐらいの数字が 出ているんでしょうか。 ○垣添座長 斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員 坪野先生が言った方がいいのではないでしょうか。坪野先生が最初の2つ の症例対照研究をメタアナリシスして分析した結果では、40歳代でオッズ比が0.72、5 0以上にしますと0.3台という結果で、一応オッズ比にも差が出ています。ただ、先ほ どの土屋委員の指摘とも関係があるんですが、それで決定版とみなすには、まだ研究の 規模等が十分でないという判断があるかと思います。 ○垣添座長 坪野委員、何かありますか。 ○坪野委員 いえ、特にはありません。 ○垣添座長 土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 今の論理でいきますと、それを30歳以上でやっていれば30歳以上 でやらなければいけないというような結論になってしまうと思います。 資料10で示された「大腸がん検診の実績(平成15年度)」を見ても、これは10代置 きですけれども、40〜49歳のがん発見率、一番下のところでは0.04です。50歳以上に なると、0.1、0.17、0.25と。ここでやはり大きな差があるんです。 そして、何よりも心配になるのは資料21で拝見すると、先ほどから何度から出ている ように、全大腸内視鏡が主流に精査でなってくるとすると、ここのスクリーニング検査、 偶発症頻度は0.069%と。決して無視できない数であるということと、死亡は0.00088 と付いていますが、この辺を考慮すると、かなりここは慎重に判断した方がいいかなと いう気がいたします。 ○垣添座長 私も同意見なのですけれども、もう少し御発言いただけますか。 つまりこれまで毎年やっていたものを、例えば2年に一遍にすると受診率が落ちると か、現実的な対応としていろいろ問題があるということを、多分事務局は配慮しておら れるんだと思いますけれども、ただ、この検討の骨子は、なるべくエビデンスに基づい てということからすると、私もこのデータの読み方は土屋委員の指摘されたような感じ だと思うんですけれども、いかがでしょうか。つまり従来どおり40歳以上で結論づけて しまっていいのか。それとも45歳あるいは50歳以上とするのか。その辺りはいかがで しょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋(隆)委員 とはいえ、10ページのイの5つ目の○には、適切な対象年齢に関す る検討を継続するという言い方をしてしまっておりますので、ということは、まだはっ きりとした結論が出ていないので、当面現行どおり40歳以上にするということを、付記 しているのではありませんか。 ○垣添座長 そのとおりですね。そのとおりではありますが、これはまだ今後データが 出てくるような仕掛けは組まれていますか。つまり我が国のエビデンスは、ちょっと弱 いという感じがします。 斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員 症例対照研究は、新たに出てくる可能性が高いと思います。 ただ、先ほどは申し上げませんでしたが、個人的な意見を申し上げると、私も50歳以 上がよりオプティマムな対象年齢だと個人的には考えています。 ○垣添座長 笹子委員、どうぞ。 ○笹子委員 40歳代の人は、がんのリスクが低いということになると、結局精査率が低 いとか、受診率が低いということに結び付く要因にもなるということからいくと、今の ようないろんなデータから見て、その辺を向上することの方がむしろ大事で、50歳代か らの方がいいように思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。 ほかにございますか。祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 有効性の観点からというよりも、むしろ発見率の観点から40歳代の検診 が適当かどうかということを議論すべきだと思います。現状における発見率の根拠とな っている老人保健事業の精密検査の結果、未把握の割合が40%程度というのは非常に悪 いところで、この発見率のデータを議論しなければいけないところがまず問題なんです。 それはさておき、発見率に関して、恐らく後で出てくるんですけれども、精度管理の 指標を目標値ですとか、基準値とかを定めて管理していく場合に、年齢の幅ができるだ け狭い方が設定しやすいというところがあり、発見率についてもある一定の基準を求め る場合に、できるだけ狭めた方が基準値を提示しやすいという観点からも、発見率の適 当に高いところに限って検診を実施するということが重要だと思います。そういう観点 では、50歳以上からということが重要かと思います。 ○垣添座長 森山委員、どうぞ。 ○森山委員 今の発見率のことでお聞きしたいんですけれども、今、大腸のことをやっ ているので50歳代と比べたら、40歳代は0.04と非常に悪いんですけれども、現行で行 われているもっと頻度の少ないがん、例えば乳がんとか、そういうものでやっているも ので、0.04%ぐらいの発見率でもやっているというものはないんでしょうか。 ○祖父江委員 通常0.1%程度の発見率が確保されている年齢層でやっていると思いま す。○森山委員 そうするとやはり結論として、40歳代は低いということですね。 ○祖父江委員 唯一肺がんはかなり低いです。 ○森山委員 そうすると大腸がんだけやってしまうと、今度は肺がんをやったときに、 例えばそれより低いのに、大腸がんでは打ち切ったのに、肺がんは何で打ち切りになら なくて、横には影響を及ぼすので、ちょっと検討が必要ではないかなと思います。 ○祖父江委員 この発見率あるいは罹患率の観点から年齢を限定するということでいき ますと、大腸がんに限らず、ほかのがん検診に関してもちょっと見直しが必要であると いうところは、確かにそのとおりであります。 ○垣添座長 これは難しい話ですね。 土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 見直しが必要ということは、逆にいうと、最初に設定したときに科 学的根拠がなかったために、割と安全面をとって若い年齢からやっていたということだ と思います。肺がんについても、同じことが言えるのではないかと思います。 ○垣添座長 笹子委員、どうぞ。 ○笹子委員 こういう検診のスタイルで対象群の年齢というと非常に難しいのですけれ ども、ハイリスクの人たちというのは、家族に大腸がんがいると数倍上がりますから、 そんなことは検診のプログラムには組み入れられないので、なかなか難しいんです。そ ういうことを組み入れる方法があるのであれば、個人が申請したときに検診事業でカバ ーするとか、40歳以上であればとか、そういうことはできるかもしれないんですけれど も、それぐらいのリスクの差があるポピュレーションはいるのはいると思います。だけ れども、一般的に言えば40歳代というのはこれぐらいです。 ○垣添座長 そういう家族歴を背景としているような人は、やはり家族のどなたかが病 院にかかっていますから、早目に検診を受けること、40歳代を勧めるとかというような ことは、医療的に、医学的にあり得るのではないかということですが、これは検診の対 象者の選定手法としては、なかなか難しいような気がします。 斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員 今の件に関しては、これはあくまでも平均リスク集団の話ですから、そう いうことでいいと思います。 今後の問題として、特別なシンドロームとかではなくて、ハイリスク者というものに ついても、やはりガイドラインにつくり込むという検討が必要だと思いますが、今回の 話とはちょっと別だと思います。 ○垣添座長 私も全部の検討が終わった段階で、ハイリスクの人をどう絞り込むか。あ るいは逆に検診を余り必要としない人をどう絞り込むかといった検討も、5つのがんに 関して必要なのではないかと思っておりますが、それは別議論とさせていただきます。 樋渡委員、どうぞ。 ○樋渡委員 結局この問題は、92年のスタートする段階で、胃がん検診に合わせようと いうだけで40歳でスタートしたのが原因になっていると思います。確かに効率とか発見 率を考えれば、50という線が出てくるとは思うんですが、この十数年間で日本ではそれ だけのエビデンスは何も出てないんです。ですから、ここで思い切って変えるだけのエ ビデンスが何なんだと言われると、それも困るんです。欧米のデータは確かにあります けれども、日本でこの十数年間で対象年齢を50に引き上げるだけのエビデンスがあった のかと言われると、実際ははっきり言ってないと言わざるを得ないので、今後そういう 検討を継続するという文章が入っているので、現場としては多分40で、このままいきた いという意見が多いのではないかと思います。私も半分現場ではそう思います。 ○垣添座長 確かにこういうものを変えると、現場の担当者に多く影響することは間違 いないという気はしますが、さてどうしましょうかね。 坪野委員、どうぞ。 ○坪野委員 先ほど斎藤先生が紹介しておられた、メタアナリシスですけれども、これ はピアレビューされた論文になっていないんです。研究班の報告書で、しかもかなり初 期の段階でまだ十分に例数がたまっていない時期の検討です。エビデンスにのっとって 判断するという見地からすると、根拠としては弱いものであるということは一応留意し た方がいいかなと思います。 ○垣添座長 土屋隆委員、どうぞ。 ○土屋(隆)委員 世間では俗にがん年齢という言葉を、マスコミ等がいろいろと使い ますけど、やはり40歳代は入るのではないですか。ここに先ほど申し上げましたけれど も、これから適切な対象年齢に関する検討をやってエビデンスを得るんだと言っておる わけで、ということは逆にいいますと、現在そういうエビデンスは乏しいという今の御 意見とやはり同じようなことだと思います。現場の状況を見ますと、そういうことがは っきりするまでは現行どおりが一番スムーズにいけるのではないかとは思います。 ○垣添座長 笹子委員、どうぞ。 ○笹子委員 マスコミの方にも御協力していただいて変えなければいけない部分がある と思います。つまりがん年齢と一区切りで言えないというのが、子宮頚がんとか乳がん とか大腸がんは、全部リスクの年齢が変わってきているわけです。そういったものを皆 さんに知っていただく必要があるわけで、がん年齢一区切りという発想はもう捨てるべ き時代に入っていると私は思います。 ○土屋(隆)委員 では、併せて俗にそういうこととは言えないんだということを、ど っかに文言として盛り込んだらどうでしょうか。 ○垣添座長 それを入れるのは、そんなに問題がないと思います。 坪野委員、どうぞ。 ○坪野委員 斎藤先生にお伺いしたいのですけれども、年代別の有効性とは、一応今の ところきちっとしたデータがないからペンディングという話だと思うんですが、今後こ れは日本人を対象にして、きちっとした答えが出る可能性というのはあるのでしょうか。 ○斎藤委員 先生の言っているきちっとした答えというのは、どのレベルですか。 ○坪野委員 死亡率減少効果が年代によって違うということです。だから、40歳代は効 果が小さいので、ほかの発見率とか効率の観点から見ても、やらない方がいいというよ うなことが言えるようなことはあるんですか。 ○斎藤委員 可能性はあると思います。要するに、観察研究であっても幾つかいいもの が出てくると、欧米のRCTの結果と併せて評価すると多分40歳代と50歳代について の今よりは一歩進んだ評価ができるのではないかという気がします。 ○垣添座長 それはいつごろ出てくるんですか。 ○斎藤委員 わかりません。 ○垣添座長 渡邊委員、どうぞ。 ○渡邊委員 こういう場合、年齢別の罹患率がどのぐらいだと対象にすべきかという、 年齢別の罹患率というものは問題にならないんでしょうか。 資料6を見ますと、40歳代から立ち上がってきまして、確かに乳がんは40〜50がピ ークで高いんですけれども、大腸がんもこれを見ますと40歳代から立ち上がってきて、 40〜49歳というのはかなり人口10万人対は高いレベルではないかと思います。それを 対象にスクリーニングをかけるということは、効率からいっていいのか悪いのかという のは、これからの検討を待たなければいけないんですけれども、罹患率は上がっている し、対象年齢として40〜49もどうせ高くなってくるわけですね。それに併せて、今まで のデータよりもこれからのデータを蓄積するという意味でも、40歳代からやっていって も、私はいいのではないかなと考えます。 ○垣添座長 斎藤先生が先ほど言われた、これからデータが出てくる可能性の試験結果 というのは、40歳を仮に切ってしまうと永遠にわからなくなるということですか。 ○斎藤委員 症例対照研究ですが、今、実際にやっているところもありますので、それ が更に追加で幾つか出ると、今よりは研究の追加があるということで、エビデンスが追 加されるのではないかという意味で申し上げました。 ○垣添座長 わかりました。 森山委員、どうぞ。 ○森山委員 今、話をしていてもわかるように、なかなか結論が出ないということは、4 0歳代の何%とかということは難しいということだと思います。そうすると、50歳代は みんな同じような同意があるから、50歳代はやるということは確実として、40歳代とし てやはりグレーゾーンとして考えざるを得ないので、グレーゾーンとしてやるのかやら ないのかということだけで絞った方がいいのではないかと思います。 私はやはりエビデンスに基づいたということがあるのは、今度はエビデンスが先か、 基づいたラインが先かということになると、まだエビデンスが出ていないので、個人的 にはまだ続けて、将来的に切る可能性もあるけれどもみたいな表現でも、もうちょっと ちゃんとしたデータを集めることに専念すべきではないかと思います。ここはいろいろ な考え方があると思います。 ○垣添座長 祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 現状の受診率が18%で、これをどの程度まで上げるつもりなのかという ことによって対象年齢も変わってくると思うんですけれども、今の欧米における乳がん 検診のように、7割、8割を目指すのであれば、年齢層に相当関しても絞ってやるべき であるということが言えるんだと思います。この場合でも、やはり50から、あるいは上 限をきっちり定めて、ターゲットを決めて、受診率を7割、8割に持っていくつもりで あるということをきっちりメッセージとして出した方がいいと思います。 ○垣添座長 森山委員、どうぞ。 ○森山委員 恐らく非常に重要な問題で、大体40歳代でやっても、この数を見てもはっ きり言ってそんなに来ないと思います。ほかにもっと忙しいというか、子どもの学校が どうだとか、さっきからどう見ても40歳代を入れてしまって、仮に30歳代などを入れ ると全然下がってしまいますね。それと同じで、40歳代をちょっと別に扱うという方法 というのはできないんですか。今みたいに結論が出ていない、グレーゾーンであるから 別である。逆に受診率を出す場合には、かなり同意の得られている50歳代で考えるとか、 そういう柔軟な考え方はいかがでしょうか。 ○垣添座長 祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 ですから、精度管理をしていく中で、受診率をモニタリングする場合に、 50〜69までを限定してモニタリングをし、受診の機会としては40歳以上の人に機会を 与えるというようなことで両者を整理すると、飛躍的に受診率を向上させる年齢層はこ こなんだというターゲットを絞れると思います。 ○垣添座長 それは現実的な対応として、非常によくわかりますね。 土屋委員、どうぞ。 ○土屋(了)委員 私は40歳代を研究としてやるのは、決して反対はないんです。です から、これはスクリーニングで便潜血でやるということであれば、研究でできないわけ ではない。対象をどこに持っていくかですね。これは従業員でやるとか、いろんな手は あると。 ただ、これは行政レベルで、先ほど祖父江委員が言うように受診率を上げるというこ とからいうと、現行で40歳代の対象としてやっているものを、50歳代に更に上乗せし て受診率を上げることの方が、国民全体の健康には必要ではないかと。だから、そうい う意味で先生がおっしゃるように、受診率の向上というものを第一に考えないといけな い時期ではないかと思います。 ○垣添座長 それでは、我が国のエビデンスが非常に弱い現状で判断をするというのは 非常に難しい問題ですけれども、一応年齢は50歳以上を対象にすることにして、40歳 か50歳に関しては、更にデータの集積を待つということにするのはいかがでしょうか。 ○神ノ田課長補佐 済みません。今のは40歳代はもう対象外にするということですか。 ○垣添座長 はい。 ○神ノ田課長補佐 事務局としては、40歳代を対象外とするのであれば、その判断基準 を是非お示しいただきたいと思います。こういう基準に照らすと、40歳代については十 分な効果が上がっていないからやめるんですというような説明ができないと、関係者の 理解を得るのは難しいと思います。 たとえば、利益よりも偶発症の不利益の方が多いということであれば、説得力があり ますが、前回までの議論では、そのような根拠が明確でなかったので、本日の報告書案 では現行どおりというような整理をし、ただし、相対的に50歳以上の方が重要だという ことで、50以上の者については積極的に受診勧奨するというようなまとめ方をしており ます。 もう一点教えていただきたいのは、資料10をごらんいただきますと、がんだけではな くて、がん以外の疾患もたくさん見つかっているということで、この中にポリープなど も入っていると聞いております。それについては治療を行っているというような話もあ るものですから、そういった利益も勘案して、また偶発症のデメリットもてんびんにか けてどうなのかと。そういような検討が必要ではないかなと思います。是非判断基準を お示しいただければと思います。 ○垣添座長 40歳代を切ってしまったら、説明がつかないという事務局の意見に対して、 何かお答えがありますか。笹子委員、それから土屋委員どうぞ。 ○笹子委員 先ほどおっしゃったように、資料21に出ている偶発症の0.069、0.07%と いうのは、発見率の0.04%より倍ぐらい。かなり上回っているということで、9ページ のところにスクリーニングにおいて全大腸内視鏡検査の説明がついていますが、ここで は偶発症があることというのを指摘しているわけです。 実際にはここの表現は2つに変えるべきで、1つはここに書いてある対象者のがんの リスクと検査の重篤な合併症を生じるリスクとのバランスから勧められない。もう一つ は、これは落ちていることですけれども、スクリーニングとして内視鏡を全例でやるだ けの専門家がいない。この2つの理由だと思いますが、そういうふうに書くことで、要 するにリスクとベネフィット、がんのリスクなのか検査のリスクなのかということをは っきりここへ書いて、そうすれば40歳代を切るという根拠が先ほどの2つの数字からは っきり出ます。 ○垣添座長 ありがとうございます。 土屋隆委員、どうぞ。 ○土屋(隆)委員 老人保健法の事業の見直しということがなされましたけれども、が ん検診だけはお話にございましたように、既に一般財源化されています。したがって、 市町村かやるということになっていますけれども、実は老人保健法そのものがこのたび 変わるということになりまして、検診全般を保険者にこれを義務づけるということに制 度が変わります。そうだとしますと、1つの指針をこういう格好で出すに当たって、そ の裁量は保険者に移るわけです。ですから、ここで決めたこういうようなことが保険者 が、がん検診は実は老健マターになっていますけれども、基本健康診査その他は健康局 の方にいくんです。そうなるんですね。まだ決まっていないんですか。 ○三浦老人保健課長 健康局と老健局ですね。 ○土屋(隆)委員 ですから、この際そういうようなことも配慮して考えないといけな いと思います。保険者機能といいますと、それを支えているのは30歳代、40歳代のば りばりの被保険者である人たちなんです。先ほど言いましたように、がんも含めた総合 的な、言うなれば疾病予防というようなことを、これは先ほど厚労省が示された試案で あるとか、あるいは政府与党が示した大綱に基づくいろんな法の整備が、今、改変され ようという中で、がんだけではなくてその他も含めたものとして保険者は必ず考えます。 先ほどこの検診によってがん以外のものが見つかるようになったとか、あるいはそうい う受診の機会を国民皆検診といっているぐらいですので、学問的なそういう側面と実際 にこれを実施する保険者の立場としての、あるいは被保険者の立場としての配慮という ことをちょっとこの中にいれていただいたらよろしいのではないかと思います。 ○神ノ田課長補佐 ちょっと確認ですが、先ほど全大腸内視鏡検査の偶発症のリスクが 0.069、これは資料21の数字です。それとがん発見率0.04%との比較で御説明されてい たと思うんですが、これは分母が違うのかなと思っていまして、偶発症については精検 を受診した方の中での割合ということと、あとこちらのがん発見率というのは受診した 人全員が分母になっていますので、単純には比較できないかなと思います。ですから、 そこを整理するとすれば、要精検率が資料10で見ますと、大体5.29%で精検受診率が5 8%という中での偶発症の発生と。この3つをかけて、がん発見率との比較をする必要が あるのかなと思いますので、そこをいま一度御確認いただければと思います。 ○笹子委員 検査を受ける側の人にとってみれば、自分が検診を受けて、もし本当に大 腸がんがあったときには必ずこの検査を通るわけです。そうしたら、その人にとっての リスクのバリエーションというのは、この検査を受ける固有の検査のリスクだから、こ の数字になるわけです。だから、自分が受けようと思うかどうかとジャッジをするとき は、その検査でどれぐらい合併症が起こるかと考えますね。だから、それはこの検査の リスクなんです。実際受けた人で、何本起こったというリスクです。それは私らが検査 をICするときは、この数字を出すわけです。 ○垣添座長 坪野委員、どうぞ。 ○坪野委員 がん検診の適正な年代を決めるという問題は、大腸がんだけではなくて、 他部位のがんでもいろいろ共通してくることなので、少しそれを意識して普遍性のある 基準というのが必要かと思います。多分だれでも一番納得できるのは、死亡率減少効果 があるかないか。これがないということであれば、それをやめるということに対しては、 だれも多分反対しないと思います。発見率の高低とかリスクとの兼ね合いというような ことで今もし決めてしまうと、それと同じ基準をほかの臓器のがん検診にも同じように 当てはめなければいけないということになるので、そこは少し慎重になった方がいいの かなと思います。 ○垣添座長 私もそれを発言しようと思っていたのですが、これは他のがん検診に直接 関係してきますので、このエビデンスで、要するに例えば今までは40歳だったのを50 歳以上に引き上げるというようなことを決定するのは、どうも苦しいかなという気がし てきているんです。 斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員 ただ、今のはごもっともで、本当にそういう議論は必要だと思いますが、 ずっとコンサーバティブなままでいきますと、一律40歳以上のままで変わらないのでは ないか。そうすると今、抱えている問題の解決につながらないということになってきま す。 先ほどの祖父江委員の御指摘ですけれども、私のとり方では対象年齢を下げろという のではなくて、オファーは40歳代も含めてしてもいいけれども、精度管理をそこに集中 してやるということですね。 ○祖父江委員 ですから、後で出てくる事業評価での対象を50〜69と絞り込んで、オフ ァーは現行どおりでやるというのが、ちょっと折衷案みたいな感じですけれども、いい のではないかなと思います。 ○斎藤委員 それであれば今の議論と全然抵触しない。それでもう少し証拠が出できた ときに、坪野委員の指摘のように議論を深めながら、50歳代に変更するということを考 えればいいのであった、現行ではやはり先ほど来の議論のようにいろいろな問題を解決 するためには、あるいは乳がん、子宮がんから続いてきた議論もそうですが、事業評価 も含めてその辺の精度管理をきちっとしなくてはいない。そのためには現行の精度管理 では、限界がある。そうすると、やはり欧米で用いられているような非常に集中的に範 囲を狭めた精度管理をすると。あるいは今の50歳代がより重点的にカバーされるべきだ という問題にもアプローチできるのではないかと思います。 ○垣添座長 わかりました。 それでは、受診年齢に関しては、ほかのがんとの整合性を持った解決をしなければい けないんですが、一応10ページの真ん中辺にありますように、50歳以上の者について は、積極的に受診勧奨する等の重点的な対応が求められるということで、大腸がん検診 の対象年齢については、当面、我が国症例対照研究の結果に基づき、現行どおり40歳以 上とするということにしておきましょうか。 ○清水委員 総論的に質問なってしまうんですが、よろしいですか。 ○垣添座長 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 ここで出した提言には、どういう縛りがかかるのでしょうか。各市町村に この提言が縛りをかけることになるんですか。 もうちょっと具体的に申しますと、39歳の人が検診してほしいと言って来たら、40 歳以上としていた場合切るのかということです。各市町村はどなたにやられてもいいわ けですし、この委員会としてはこの辺が適正であろうということを出すのは別に問題な いような気がするんですが、この提言はどこまで縛りがかかるのかということついて、 ちょっとお聞きしたいと思いました。 ○垣添座長 どうぞ。 ○神ノ田課長補佐 こちらの報告書(案)の2ページ目のところをごらんいただきたい と思いますが、2ページの一番下の○のところで、現状の位置づけが書かれておりまし て、先ほど来話が出ているとおり、平成10年度以降一般財源化されていて、市町村の判 断で実施ということになっておりますが、一番下の○の中ごろのところにありますよう に、厚生労働省としてはがん検診指針を技術的な助言ということで出しておりまして、 それを参考にしていただいて、市町村が対象年齢なりを設定していくということになり ます。ですから、技術的な助言という位置づけですので、それに縛られる、そのとおり にしなければいけないという法的に縛りまではかかりませんが、それを参考に各市町村 で判断すると。そういう位置づけです。ですから、今回報告書をまとめていただきまし たら、今、老人保健課長通知で出している指針についても、所要の見直しをしたいと考 えております。 ○垣添座長 これで報告書がまとまると、それが老人保健課長の名前で各市町村にこう いうふうに変わったということが通知されるということですね。だから、当然法的に強 制されることはないとはいっても、やはりそれが来れば、市町村にとってみればかなり 大きな意味を持つだろうということになりますね。 土屋委員、どうぞ。 ○土屋(隆)委員 先ほど私が申しましたのは、今のところは市町村におけるがん検診 ということですけれども、したがってこれを見てもわかりますように、受診者数は少な いですね。これは地域におけるがん検診の一部と考えなければいけないわけで、組合健 保あるいは政府管掌の保険でも、検診事業というのは従来もやってきておるわけです。 それがこのデータには入っていないわけです。 しかし、それが一本化された時点では、地域におけるがん検診の1つの指針だけでは なくて、これが日本におけるすべてのがん検診の指針になるんだという前提で考えませ んといけません。地域における云々というようなことは、今のところは書いてございま すけれども、地域においてがん検診が適切に実施されるということは、イコール日本お けるがん検診につながる話であるという認識は持っておらなければいけないと思います。 ○神ノ田課長補佐 もう一点補足しますと、仮に40歳代を対象外ということで整理して、 また指針もそういう形で見直しをするとなりますと、恐らく地方交付税交付金の方も40 歳代については外すというような整理で、当然必要な額を交付するということですので、 40歳代を外すということであれば、その分の調整はかかってくるかと思います。 ○清水委員 今のご説明はよくわかりませんでした。40歳代がもし提言から外れて、市 町村がその分50歳、60歳代の検診を一生懸命やったら、その分だけ受診者が増えるか もしれません。そうしたら交付金を減らすのではなくて、もっと増やさないといけない のではないですか。 ○神ノ田課長補佐 ですから、交付金はこれまでの実績に基づき算定いたしますので、 例えば来年度以降は、40歳代についてはやめるということであれば算定の調整が行われ ると思います。 ○清水委員 50歳代をその分増やすから、もっとくださいと言いたいところです。 ○神ノ田課長補佐 そういう実績が上がってくれば、その次の年度は上がってくるかも しれません。 ○清水委員 実績は今度やるわけですから、来年度はどうなるかわからないんですが。 ○神ノ田課長補佐 実績が上がってくれば対応することになると思います。 ○清水委員 1年分だけは減らすという意味ですか。来年40歳代を減らした分だけ50 歳代で増やそうとすれば、今年と同じだけか、もっとたくさんほしいと思うのが各市町 村の気持ちだと思います。40歳代を減らすんだから、もうあなたの町への交付金は来年 から減らすという理屈は、私にはわかりません。 ○垣添座長 そのとおりでしょうね。行政の立場というのも、なかなか難しいのだろう と思います。 さて、これは極めて重大な決定なので、一応先ほど私は50歳以上を積極的に受診勧奨 すると。一応対象は現行どおり40歳ということで、ここに書いてあるとおりを繰り返し ましたけれども、そういうとりまとめでよろしいですか。これを踏み込んで50歳以上に するということに切り替えるには、ちょっとエビデンスが足りないかなという気がしま す。 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 こんな言い方も妙ですが、私がもし市町村からどんなふうにやったらいい かと尋ねられましたら、今の事務局の方の発言を聞いて思ったのですが、40歳以上もや るからといって予算だけもらって、50歳以上を一生懸命やった方が市町村のためになる と助言します。 ○垣添座長 恐らく実態はそういうことになるかと思います。 ○清水委員 そうしたら、最初から50歳以上としてくださった方がすっきりします。 ○垣添座長 従来やってきたことを変えるというのは、やはりかなり強いエビデンスを 求められるということです。 ○清水委員 それなら、40歳以上にしたという最初のエビデンスを見せなければならな いということにもなります。 ○垣添座長 森山委員、どうぞ。 ○森山委員 今のお金を増やすかどうかというのは、今度のことと別にした方がいいと 思います。ごちゃごちゃにしてしまうとまずいと思います。 確かに出す方からすると、何でもそうですけれども、卵が先か鶏が先かで、実績のな いものには出せないと。片方は出してくれないと、実績を上げられないのではないかと いうことがあるんですけれども、それは今回のこうようなものをどう取り扱うかという 指針がはっきりした段階で、今度はその指針の中で50歳代からはたしかだから、それを 増やすためには今度はどう予算をとるべきかとか、2段階に分けた方が私はいいと思い ます。ここで予算の話まですると、ちょっとしんどいなと思いました。 ○垣添座長 ここで予算の話をするのは、やめておきましょう。 ○笹子委員 これは多分フィロソフィーの問題として、狭くしてもっと精度を高めると いう意識を非常に強調するのか、あるいは現行のままと。現行のままというと、余り変 わらないかなという気はします。だから、一部を切りすてるということが非常に衝撃で あるのだったら、その理由について、精度を高めることの方が、全体の死亡率の減少に 結び付く可能性が高いというようなフィロソフィーで明示できるのであれば、そうすれ ばいいのではないかと思います。 ○森山委員 問題になるのは、それをエビデンスに基づいてやろうということですね。 ところがエビデンスというのは、完璧なエビデンスと傾向程度のエビデンスと、はっき りとしたデータはないけれども普通のデータを見ていくと、よっぽど変なことがなけれ ば確率的にこんなものだろうというがあるとすると、やはり40歳代というのは今グレー ゾーンですから、切ることも勧めることもできないという現状は、現状のままで見てい った方がいいのではないかと思います。 そうすると、今度はわからないからやめた方がいいのか、わからないから続けた方が いいかということですけれども、やはり変えるというのは、個人的に考え方ですと難し いと思います。ただ、取扱いは私は40歳代は別にした方が、現状ではどうしても2段階 にいくしかないのではないかと思いまして、結論として40歳代をやめるのは、ちょっと 早いのではないかと思いました。 ○垣添座長 わかりました。 では、一応10ページの真ん中に辺にあるとおりのまとめにしておきます。特に、大腸 がん検診の受診率の算定に当たっては、50歳以上に絞り込むとか、そういう文言上の工 夫をするようにしたいと思います。 一応最後までいきたいと思いますので、まだ当然議論があると思いますが、先にいか せてください。 ○土屋(隆)委員 今のこととちょっと違うんですけれども、13ページの「(3)全大 腸内視鏡検査の処理能」が、ここに3行ぐらい書いてございますけれども、これと似た ような文言が11ページの3つ目の○のところにも出てきますけれども、後半の3行は削 除してもよろしいのではないですか。「向上策について検討が必要である」とここで言 っておいて、その対応策としては、こうだということを後半で述べればいいのであって、 同じ文言をここで述べるというのは、うまくないのではないでしょうか。 ○垣添座長 事務局、大丈夫ですね。わかりますね。 ○神ノ田課長補佐 はい。 ○垣添座長 では、最後までいってください。 ○神ノ田課長補佐 それでは、14ページの「3.事業評価」のところを御説明いたしま す。 「(1)基本的な考え方」でございますが、こちらの冒頭にも出てまいりました が、大腸がん検診については、有効性は十分な根拠があるということですが、事業評価 によって事業の質を確保しなければ死亡率減少という目的も達成されないということを、 1つ目の○で書いております。 2つ目の○のところでは、これまでの経緯として乳がん検診、子宮がん検診について 事業評価報告書をおまとめいただいておりまして、その中でプロセス評価、アウトカム 評価に分けて説明していると。そういった事業評価を実施する必要があるということで す。 3つ目の○のところで、本検討会では大腸がん検診の事業評価の際に、特に配慮が必 要な事項についてプロセス評価、アウトカム評価に分けて検討を行ったとしております。 「(2)プロセス評価」でございますが、こちらは別添資料の方をごらんいただいた 方がよろしいかと思います。 資料の別添1のところで、検診実施機関用の事業評価のための点検表を整理しており ます。各項目ごとにしっかり実施できているかどうかを確認していくということで、検 診実施機関用としては「1.便潜血検査の技術管理」といったようなこと点検いたしま す。 2番目に受診者への説明をしっかりやっているかどうか。 「3.検体の取扱いについて」ということで、整理しております。 別添2のところで市町村用をつくっておりますが、市町村としては検診対象者につい てしっかり管理しているかどうか、検診方法を把握できているかどうか、受診者の情報 管理をしっかりできているかどうか、さらに要精検率の把握、精検受診の有無の把握と 受診勧奨、精密検査結果の把握というようなことについて、それぞれ実施すべき事項を まとめております。 乳がん検診、子宮がん検診ではつくっておりませんでしたが、今回は別添3のところ で都道府県として実施すべき事項についてもまとめております。 「1.成人病管理指導協議会の組織・運営」。 「2.受診者の把握」。 「3.要精検率の把握」。 「4.精検受診率の把握」。 「5.精密検査結果の把握」。 「6.偽陰性例(がん)の把握」。 「7.がん登録への参加(実施地域のみ)」。 「8.不利益の調査」。 「9.事業評価に関する検討」。 「10.事業評価の結果に基づく指導・助言」ということで、都道府県の方では事業評 価を主に実施しますが、その際にしっかりとクリアーすべき事項をチェックリストの形 でまとめております。 本文にお戻りいただきまして、今、申し上げたようなことを(2)のところでは書い ております。 15ページへいきまして「(3)アウトカム評価」についてですが、アウトカム評価の 指標としては受診率、要精検率、がん発見率といったような検診の各段階での結果に関 する指標が考えられるということで、特に大腸がんにつきましては、精検受診率が非常 に低いという状況にありますので、その改善に向けた取組みが求められるということ。 また、大腸がん検診の精密検査の際の腸管穿孔等の不利益が問題になるということなの で、不利益に関する指標についてもしっかりと評価対象に含めるべきとしております。 次の○のところで、こういったアウトカム評価については、達成すべき目標値あるい は最低限満たすべき基準値を設定することが望ましいということです。 次の○のところで、がん発見率、偽陰性率等については、無作為化比較対照試験のデ ータ等を用いて、基準値設定が可能という説明を付けております。 実例として、次の○にありますように、ヨーロッパ共同体(EC)の方では、乳がん 検診についてガイドラインをまとめているということで、資料23にその紹介をしており ます。 資料23をごらんいただきますと、マンモグラフィについては、こちらに挙げて いるような指標についてそれぞれの許容レベル、あるいは推奨レベルということでガイ ドラインとして示しております。 本文にお戻りいただきまして、15ページの一番下の○ですが、こういった欧州諸国の 取組みを参考に、各指標の基準値を設定することが国の役割として求められるというこ とです。 16ページへ行きまして、都道府県における事業評価では、各指標について地域間の比 較検証を実施することになるということですが、その際に各地域の性・年齢別の人口構 成の違い等による影響を十分に考慮する必要があるということで、国においては、その 補正の方法等について研究を進めるべきとしております。 また、アウトカム評価で用いる指標の多くは、老人保健事業報告のデータを用いて算 出しているということですが、これは老人保健事業報告の報告期限の関係で、十分結果 が把握できていない未把握ですとか、あるいは診断が確定していないがんの疑いといっ た割合が多くなっているということですので、その点については、的確な事業評価が困 難という状況になっています。 従いまして、都道府県において事業評価を実施するに当たっては、老人保健事業報告 のデータをそのまま用いるということではなくて、報告期限後に判明したデータも反映 させた上で、可能な限り正確な情報に基づき実施することが望ましいとしております。 最後の○ですが、以上のように、がん検診の事業評価については、基準値の設定等を 含め、その手法が十分に確立しているとは言えないということで、国の責任の下で、ま た国立がんセンター等の協力の下で、がん検診の事業評価に係る科学的知見の収集を行 っていくことが望ましいとしております。 その後の囲みのところで、以上の点を整理して、提言としてまとめております。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。 事業評価に関して、検診実施機関と市町村と都道府県。プロセス評価とアウトカム評 価に分けて進めるということを御説明いただきましたが、御発言を求めたいと思います。 笹子委員、どうぞ。 ○笹子委員 別添資料の中の1ページ目の「2.受診者への説明について」のところに、 個人情報に関するものですが、本事業に伴って発生する個人情報の扱いと精査後の情報 収集については是非入れていただかないと、こういうことがルーチンにきちっとやるよ うになると、精密検査をした病院の方で個人情報だから出せないと拒否するというよう なことができなくなります。説明して本人が同意しているというスタイルをとっていれ ば。だから、これを是非入れていただきたい。 ○垣添座長 重要なポイントですから、これは是非加えましょう。 ほかにございますか。斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員 事業評価については、前回の乳がん、子宮がんから大分議論が深まったと は思うんですが、今回の大腸がんを見ますと、どういうことをやる、チェックリストを 使ってここにチェックをするということは書かれてあるんですが、これを用いてどうや って改善するかというところが書かれていないんです。 前回の乳がん、子宮がんのときにつくった事業評価の際に、そのことは少し含まれて いた、込められていたのではないかと思うんですが、あの資料は都道府県への課長通知 の中に今後反映されるのでしょうか。あるいは既にもう反映されているんでしょうか。 ○垣添座長 事務局お願いします。 ○神ノ田課長補佐 乳がん検診、子宮がん検診の関係でとりまとめていただいた報告書 については、自治体にすでに配布しておりまして、それを参考に事業評価を行ってほし いということでお願いしています。 ○垣添座長 乳がん、子宮がんに関する事業報告の内容も市町村、都道府県にいってい るんですか。 ○神ノ田課長補佐 繰り返し同じことを書くのはどうかなと思いましたので、前回とり まとめていただいた事業評価報告書に書かれていることを前提に、更に大腸がん検診と して留意しなければいけない事項、むしろ各論部分について今回はとりまとめたという ような形になっています。 ○垣添座長 今回、大腸がんの検診の事業評価をまとめていただいたのは結構なのです が、前の乳がんと子宮がんに関する事業評価の中身は、どういう扱いになっているのか という御質問ですね。 ○神ノ田課長補佐 指針を通知をいたしまして、それに基づいて実施していただくとい う位置づけになっています。 考え方としては、プロセス評価はチェックリストで、これは当然実施してもらわなけ れば困るという事項をまとめていまして、それは全項目チェックがかかるように、実施 できているという状況にもっていくようにということで説明しています。 また、都道府県では各市町村の実施状況をとりまとめて、その状況を積極的に公表を する、公表の意味というのは、自分が住んでいる市町村ではしっかりやるべきことがや られているかどうか。そこらあたりを住民にわかるようにするといった緊張関係の中で、 また市町村としても是正してもらうということもありますし、そういうことでプロセス 評価については、全項目クリアーというようなことを目指して取り組んでもらうという ことでの位置づけです。 あと、アウトカム評価については、やはり基準値をまず設定して、それをクリアーで きているかどうかというところ、まだ基準値が設定できていないという状況であります が、乳がん検診、子宮がん検診でいっていたのは、市町村間を比較して見たときに、ば らつきがあって非常に外れているような、平均的な値から外れているようなところには かなり問題がある可能性があるので、そういうところは個別に聞き取りをしたりして、 その原因が何なのかというところを確認する作業の中で、事業の質の向上を図っていこ うということです。 あと、検診実施機関についても、どうも精度管理上問題があるようなところが見つか れば、そこは実施機関としては認めないと。つまり市町村に対して、この検診機関につ いては問題があるので、委託は差し控えた方がいいのではないかという助言を行うなど、 かなり踏み込んだ取組みを前回の報告書では提言しております。 ○垣添座長 もう一度、斎藤委員、それから祖父江委員、どうぞ。 ○斎藤委員 今の件ですが、この報告書を見て、前回の資料の存在がわかるようにして いただきたいと思います。今、見直しましたが、その引用がないように思うんですが、1 4ページ以降でやはりどこかに引用していただくということが好ましいかと思います。 冒頭に一般財源化して、国は検診に責任を持つのかどうかというようなコメントもあ りましたが、これを読んでも国の役割、あるいは市町村の役割云々というのは前回議論 をしたと思うんですが、それが書いてないという感が否めません。ですから、少なくと もその報告書をこの中に生かしていただきたいと思います。 ○垣添座長 わかりました。要するに、これは重複になりますけれども、非常に重要な ポイントですから入れるようにしたいと思いますが、よろしいですね。 祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 今のことと重複になるかもしれまませんけれども、前回の乳がん、子宮 がんの中間報告というのは、検討会の報告書という扱いであって、老人保健課長名の通 知であるとか、指針の改定にまでは踏み込まれていないという認識なんですけれども、 その認識でOKですか。 ○神ノ田課長補佐 成人病検診管理指導協議会という枠組みは古くからあって、そのため の指針も示されております。前回おまとめいただいたものは、成人病検診管理指導協議 会を実施するに当たっての参考資料というような位置づけになっています。 ○祖父江委員 ただ、やはり市町村側からすると、予防指針に盛り込まれているかどう かということが、かなりの実効性というか拘束力というか、そこに関わってくると思い ますので、是非中間報告としてとりまとめられたものを指針の中に盛り込むという形で、 乳がん、子宮がんについてもそうですし、今回の大腸がんに関しても、それをまとめた 形で指針の中に定義していただくのが、一番わかりやすくていいと思います。 ○神ノ田課長補佐 現行の指針もかなり細かいことに踏み込んで書いていまして、例え ば検診実施機関に立ち入りの検査をするとか、あるいは指標に基づいてちゃんと比較検 証しなさいとか、結構細かいことが書かれておりまして、それを更に具体に説明したも のが前回の報告書かなと思っておりますが、今、御指摘いただいた点を踏まえて、所要 の対応をしたいと思います。 ○垣添座長 お願いします。 ほかにございますか。清水委員、どうぞ。 ○清水委員 全体の点検表のシステムがよくわかっていないのですが、要精検率や精検 受診率など、基本的な項目に関してはフォーマットのようなものを決めて、市町村でそ れを入力したら全国のものが1か所に集まるようなシステムというものが、もう既にあ るのでしょうか。もしないようでしたら、個人情報を入れずに丸めた数字でもよろしい んですが、それをつくられたらよいと思います。 といいますのは、各市町村は県庁から言われた様式に基づいてせっせと資料をつくっ て、それに膨大な時間を費やして、また別なところから言われたら、また別なものをつ くり直してというのが現状ですので、一定の様式があれば一挙に出ますし、それを見れ ば埋まっていないところは受診率を把握していないという答えがすぐに出るわけです。 ○垣添座長 もっともな提案だと思いますが、これはいかがでしょうか。 ○神ノ田課長補佐 1つは、老人保健事業報告ということで国まで上がるようになって いまして、国レベルの取組みとして、前回の報告書でも国としての役割をしっかり果た すようにということで、18年度の新規の予算として額は1,500万円程度ではあるんです が、国としてもがん検診の事業評価において、特に技術的な部分を中心にということで 考えておりますが、整理していきたいと考えています。先生御指摘のような取組みにつ いても検討していきたいと考えています。 ○垣添座長 お願いします。 ほかにございますか。森山委員、どうぞ。 ○森山委員 今のことは非常に大切で、できればたたき台になるような、国で入力する フォーマットのソフトか何かをつくって、それを各施設に分ければお金も少なくて済み ますし、非常に効率がいいと思います。そうしませんと、各都道府県にそれほど検診の ことを理解している人が必ずいるとは思えませんので、何か所か悪いデータが入ってい くと全体の信頼性もあるので、是非フォーマットをつくっていただければと思います。 ○垣添委員 この件に関しては、何かございますか。祖父江委員、どうぞ。 ○祖父江委員 その際に単なる集計値の問題ではなくて、受診者、個人レベルのレコー ドを入力できるようにすると、地域間登録との照合の際に偽陰性例を把握する際のツー ルとしても使えますし、是非個人レコード、個人情報はなしとかありとか、その辺は適 切に対応するべきですけれども、個人レベルの情報を扱えるような形で、更にそれを集 計するというようなソフトが望ましいものだと思います。 ○垣添座長 非常に積極的な提言だと思います。是非実現したいと思います。よろしく お願いします。 ほかになければ、一応最後の「V おわりに」までいってください。 ○神ノ田課長補佐 17ページでございますが「V おわりに」ということで、1つ目の ○で大腸がんについては、死亡率・罹患率が増加を続けており、将来的に上位のがんに なることが予想されている。 2つ目の○は、本報告書では増加を続ける大腸がんの死亡率の減少を目指して、効果 的な大腸がん検診体制を確立することを目的として、この報告書をまとめたということ です。 3つ目の○として、国、都道府県、市町村においては、この報告書を踏まえて 大腸がん検診の実施体制の整備を行うとともに、医療関係者及び国民への普及啓発など 具体的に方策を検討・実施することを期待すると。 次の○は、またということですが、検診実施機関を含む大腸がん検診に従事する関係 者については、あらゆる機会を通じて大腸がん検診の重要性に関する普及啓発に努める ということと、あとは国民が希望する効果のあるがん検診の実施に向けて積極的に取り 組むことを期待するとしております。 更に本報告書を契機として、国民一人ひとりががんの予防についての知識を高め、自 らがんの発生を予防する活動を実践することを願うということで結んでおります。 以上でございます。 ○垣添座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 一応これで「I はじめに」から「V おわりに」まで通して御検討いただきました が、幾つも大変貴重な御指摘をいただきましたし、もしお許しいただければ、私と事務 局に御一任いただいてとりまとめさせていただきます。これはかなり重要な内容を含ん でおりますので、公表する前に是非メールでもいいですから、各委員の皆さん方に御検 討いただいて、それでとりまとめという形にしたいと思いますが、よろしゅうございま しょうか。 (「はい」と声あり) ○垣添座長 それでは、これで予定された時間いっぱいになりましたが、最後に老人保 健課長、冒頭のごあいさつも含めてお願いします。 ○三浦老人保健課長 ありがとうございます。済みません。冒頭ちょっと席を外してお りまして、大変失礼申し上げました。 今日の議論でも何人かの先生から御指摘いただいたとおり、この報告書の持つ意味と いうのは極めて大きいと考えておりまして、それぞれの市町村が行うがん検診の内容を、 言わば事実上の枠組みをつくってしまうというようなこともございますので、極めて慎 重な議論と併せて、やはり新たな知見を踏まえた制度の改善といいましょうか、そうい うものを進めていかなければいけないと考えております。 今日の御指摘でも、40歳代の方々を今後どういうふうに対応するべきか。これについ ては、今まで以上にデータを収集し、その取扱いについて考えていく必要があるだろう と思っておりますし、最後のところで御議論いただいたように、精度管理といのうが具 体の検診と同じように、あるいはそれ以上にしっかりとやっていく必要があるという認 識を私どもも持っております。 担当の方から御説明申し上げましたとおり、18年度がん検診の精度管理について、一 定の成果物を出していきたいと思っていまして、今日御提案いただいたような一人ひと りのデータの収集の方法など、いろいろ検討しなければいけない案件もあろうかと思い ます。このがん検診の検討会とは別途、またそういうような場も設けて、先生方の御意 見を伺うようなこともあろうかと思いますが、その際にはいろいろな新しい考え方も含 めて御指導いただければと思っております。 いずれにせよ、今回一応大腸がんの検診の見直しにつきましては、結論をおおむねと りまとめていただいたという状況でございます。また、引き続き次のテーマに私どもと してはかかっていかなければいけないと思っております。この点についても、引き続き 御協力をいただけましたら、幸いでございます。 長い間御検討いただきまして、ありがとうございました。 ○垣添座長 では、これで本日の検討会を閉じさせていただきます。委員皆様に全員御 出席いただきまして、大変活発な御議論をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。 ありがとうございました。              照会先:老健局老人保健課             連絡先:03-5253-1111             担当者:課長補佐 神ノ田(内線3942)              主査   前田 (内線3947) 34