06/02/22 国際協力事業評価検討会(第7回労働分野)議事録         国際協力事業評価検討会(第7回労働分野)                  日時 平成18年2月22日(水) 16:00〜        場所 厚生労働省専用第17会議室(16階)        出席者【会員】     吾郷眞一会員(九州大学大学院)                    今野浩一郎会員(学習院大学)                    末廣昭会員(東京大学)                    中村正会員((財)日本ILO協会)                    野見山眞之会員((財)国際労働財団)                    松岡和久会員((独)国際協力機構)                    城内博会員(日本大学)           【専門会員】   藁谷栄専門会員(外務省)                    渡辺元治専門会員(国際協力機構)                    小泉潤一専門会員(厚生労働省)                    釜石英雄専門会員(〃)                    田中伸彦専門会員(〃)                    久知良俊二専門会員(〃)                    木下正人専門会員(〃)                    三富則江専門会員(〃)           【オブザーバー】 田代治徳((独)雇用・能力開発機構)                    篠部悠子((財)海外職業訓練協会)                    横田裕子((独)労働政策研究・研修機構)                    福味恵(中央労働災害防止協会)                    田口晶子(ILO駐日事務所)                    東園盛男((財)国際研修協力機構)                    川上光信(中央職業能力開発協会)                    山崎一雄(厚生労働省)                    小林寛((独)高齢・障害者雇用支援機構)           【事務局】    妹尾国際課長、金井国際協力室長、                    搆補佐、細川専門官                                  〔敬称略〕 ○搆補佐  定刻になりましたので、ただいまより国際協力事業評価検討会、労働分野の第7回会 合を開催いたします。吾郷座長、進行をよろしくお願いします。 ○吾郷座長  この検討会もいよいよとりまとめの時期を迎えました。審議に先立ちまして、厚生労 働省の妹尾国際課長からご挨拶をいただきます。 ○妹尾国際課長  ご紹介いただきました国際課長の妹尾でございます。去年の8月に現職に就きまし て、各先生方には日ごろ国際課の行政運営に多大なご協力を賜っていることに、まず御 礼を申し上げたいと存じます。本日の国際協力事業評価検討会ですが、本日が労働関係 分野の検討会としては最後と伺っております。2年間にわたりまして本日を入れて7 回、検討会としてご議論をいただいたと聞いております。まず、各先生方に御礼を申し 上げたいと存じます。  前回の検討会で事務局から報告書の原案を提示させていただいたところですが、その 原案に対しまして更に各先生からいろいろご指摘・ご意見をいただきました。特に国際 協力のあり方、方針についてこの検討会としても何らかの記述をすべきではないかとい うご助言がありましたので、本日はそのようなご助言も踏まえた形で修正した報告書案 を用意しております。後ほど事務局からご説明しますが、本日ご説明いたします案に対 しまして、また更に今日、十分なご議論をいただければと思います。  今日の議論を踏まえまして、3月15日に分野合同の評価検討会を予定しております。 分野合同と申しますのは、この労働関係のほかに保健医療と水道の合計3つの分野での 国際協力事業の評価検討会を進めていたところで、3月15日には分野合同の検討会を 行い、そこで全体を確定させていこうということにしております。  これまでの議論、議事録なども拝見したところ、非常に濃密な議論をしていただき、 最近は政府全体のODAの在り方についての議論もされています。どういう形で行うこ とが日本の国際協力の在り方としていちばん効率的なのか、あるいはどういう形で国際 協力をしていくことが国民の税金を使う行政の立場としていちばん効果的なのか、すな わちアカウンタビリティがどこまで達成できるのかということに十分目を配りながら国 際協力を進めていくことも必要です。  そういう観点から、今回この検討会のご報告をいただけるということは、非常に意義 深いものであり、単に報告書をいただくだけではなくて、行政側としても報告書の中身 を十分今後の運営に取り入れさせていただければと思っています。簡単でございます が、以上、会議の冒頭に当たってのご挨拶とさせていただきます。今日はよろしくお願 いいたします。 ○吾郷座長  妹尾課長ありがとうございました。議事に入りますが、まず、前回第6回検討会につ いて、事務局から報告をいただきます。 ○搆補佐  昨年10月21日に開催しました第6回検討会の議事録につきましては、既に皆さまの 所にメール等でお送りするとともにホームページに掲載したところです。後ほど配らせ ていただきます。 ○吾郷座長  メールで既にいただきまして、修正点を各自事務局に送って修正していただいていま すので、特段のご質問がなければそのようにお認めして、次に進みたいと思いますが、 よろしいでしょうか。                   (了承) ○吾郷座長  議事次第3、最終報告書案について、事務局から説明をお願いします。 ○搆補佐  第6回に提出しました事務局原案につきまして、コメント等を当日の会合、それから その後も含めてご意見等をいただいたところを踏まえて修正したものを本日再度提出さ せていただいています。本日は変更点を中心に説明させていただきます。  内容の部分の2頁、国際協力の現状についてですが、厚生労働省が直接行っています 国際協力事業について、委託事業の特性等に触れていますが、気を付けなければいけな い留意点について、いくつか加えました。  委託事業をうまく活用することによって、迅速できめ細かい対応ができる、すなわち 委託先の必要な技術・知見を確保、活用することができるということです。一方で行政 そのものでなく関係団体等が実施するために、実務を担当する団体の活動であると誤解 されることも多々あるということから、政府の事業であることを明確にして、それから 単独の事業ではなくて、政府が実施する関連する他の事業と連携を図りながら、成果を 最大限に引き出すため、積極的に関与していくことが必要であるということを明記しま した。これは私ども実際にやっているつもりですが、非常に重要なことであると考えて いるので、あえて記すこととしました。  4頁、これはJICAの技術協力についても一言触れています。(3)のJICAの技術協 力では、労働分野に限った話ですが、最近の協力の動向、分野の手法の動向について触 れています。前半では政策アドバイザー等の話をしていますが、人材育成について成果 を上げた国を挙げて、そこで要請される内容については、これまでと変えていくべきと いうことに触れています。一方でアフリカ、中南米等においては、発展のレベルが大き く違う所もあるということで、場合によっては基礎技能の習得等に重点を置いたところ も必要であるということです。  5頁、JICAの協力の中で長期専門家の派遣、研修員の受入れとありますが、5頁に は専門家が減少している、特に職業能力開発分野で減少しているということは理由を明 記すべきだという観点から、厚生労働省からの推薦により人材を派遣しているプロジェ クトは減少しているが、公募による人選を原則としているJICAの技術協力全体として は、派遣が増加しているということも明記することとしました。  6頁ではJICAの研修受入れについてです。JICA技術協力の一環として行っている 労働分野の研修員受入れについては、厚生労働省でその内容、進め方について担当して いますが、集団研修、特設研修については、労働分野の立場から顕著な特性について明 記しました。  11頁は検討課題のうち前回ご議論いただきまして、たくさんご意見をいただいた協力 方針策定に向けての考え方についてです。ODAが年々削減されて限られた予算を着実 に成果に結び付けていかないといけないということを踏まえて、日本から国際社会に貢 献できる強い分野、それから国際社会からニーズが非常に大きい、特に日本に対して期 待したい分野をしっかり分析して、過去の実績等を整理し、その上で対象国、協力分野 に優先順位を定めて、協力方針を策定する必要がある。その上で限られた予算を必要な 事業に投入することに重点を置く、ということを明記しています。  国際協力を行うに当たっては、事業そのものが成果を上げることはもちろんですが、 国民に十分な理解を得られることも必要で、関係者だけでなく、広く分かりやすい協力 方針である必要があるということを記しました。  これらは前回ご指摘いただきましたとおり、内容そのものを詳しく論ずるには議論が 尽くされていない部分があるので、別添として1つの整理として今回新たに提示させて いただくこととしましたので、後ほど説明いたします。  13頁については、事業間の連携の例を紹介しており、イでは、厚生労働省のODA事 業においても、受益国に対する協力には現地日系企業団体の協力も必要であると同時に 彼らにも裨益するという点を重視しており、現地の事情に詳しいJICA専門家と連携し ていることです。東京の厚生労働省からのアプローチは限られているのでとても助かる 一方、現地の専門家にとっても日系企業への橋渡しができることになるのです。  ウについては、当省からのJICAを通じた派遣は長期あるいは短期派遣専門家は限ら れるわけですが、例えばJICAのシニアボランティア、青年海外協力隊等、各方面で広 く活動している人たちのうち労働分野を担当している人たちに対しても、労働分野の情 報や知見を提供して効果を高められる旨記しています。  14頁、人材育成については、前回申し上げたとおり、非常に重要であるがこれまで議 論が十分尽くされてはいないこと、協力方針や評価を定めた上で知見を集めて初めて、 人材についてもより掘り下げた検討ができるという結論になりました。したがって、残 念ながらこの報告書案に内容を記すことはできませんが、評価に引き続き、今後、人材 育成の検討を本格化させる必要性を明記したものです。本文については以上です。  続いて添付資料についてご説明しますが、前回から差し替えたものがいくつかありま す。基本的には例えば作業過程で作った資料を前回はそのまま出していましたが、報告 書案の本文を裏付ける具体的資料として精査し、分かりやすい形でまとめ直したものが 別添の1、2、3です。基本的にはカバーする内容は同じです。 前回作成中として提出しなかった資料として、別添10から13をご覧ください。別添の 10は分科会も含め評価について詳しく議論をしてきた結果を踏まえ、今後評価に向けて 具体的に取組みが促進されるよう、いくつかの事例を記載しました。  安全衛生の分野では、目的にとして漠然と災害件数の減少している事例をとらえ、目 標、指標、活動に対応して成果等を具体的に表すよう改善する検討段階を記していま す。本文においても、必ずしも全ての5項目の評価を網羅的に行う必要はなく、必要性 に応じて柔軟な対応をするということに対応しています。ただし、こういった目標、指 標等の明確化は重要であり、安全衛生、労使関係など分科会でも触れられた題材につい て示しました。別添の11では、前回のご指摘を踏まえ、労働分野としての協力方針につ いて提出させていただいております。十分な議論がない中で今後の協力方針を示すのは 難しいものですが、今回の検討会の成果の1つとして案であっても示すこととしたもの です。次のページにはこれまでの協力実績と今後に向けての課題を整理してみました。 これが事務局作成の協力方針案の裏付けです。そこから、東アジア地域への重点配分を 掲げ、これまでの協力実績を踏まえて手薄になったところ、特に格差を是正する観点に ついても触れました。  次に、東アジアと隣接し、今まで実績が少ない南・西アジアについても我が国との関 係が深まっていることを踏まえ、順次拡大することを掲げました。その際、我が国政府 機関である在外公館、JICA事務所等援助実施機関の事務所はもとより、ILOなど国際 機関の現地事務所からも協力を得ながら、援助実態を把握し、協力手法を再検討してい くことを考えています。  さらに、アフリカ、中南米等についても、職業訓練など広く薄く行ってきた実態を見 直し、当面の対象を絞り込んで効果を確保する方策を模索していきたいと思います。  2.の留意事項は、補足的に留意点を記したもので、網羅的なものではありません。 例えばGender、性差別への配慮については、現在単独のプロジェクトもILOを通じ て実施していますが、これは限られたものでGenderに対するプロジェクトを各地で実 施するのは現実的に難しかろうということがあります。あるいは安全衛生についても、 単独のプロジェクトを次々立ち上げていくだけの余力はないとしても、しかしながら、 これを社会経済が進んだ所、発展段階初期の所であっても、こういった分野の協力は要 らないということにはならないわけで、それぞれの発展段階に応じて必要な協力がある のではないか、これに優先順位を付けることは難しいことがあります。むしろこういっ た分野については例え薄く広くでもやっていく必要があり、大規模な投入にはこだわら ずに、例えば幅広く行われている集団研修であるとか、職業訓練に併せて、その教育、 訓練カリキュラムの一部としてでも安全衛生やGenderを加えることで、少ない追加投 入で成果を上げるよう、加えました。  職業能力開発分野については、近年になり事業が少なくなってきている旨説明しまし たが、労働分野の中で職業能力開発分野の重要性については、今後とも変わらないと考 えています。効率的な協力のために具体的な協力方針を検討することが必要であり、特 定の訓練実施だけではなくて、カリキュラム設定、実施からその先の就職支援に至るま で一連ものとして整備する必要があることから、これらをシステム化して一体のものと して移転する方法があります。開発段階に応じていろいろな手法がとられていますが、 これを改めて体系化して、効率的な協力を検討することが必要ではないかと考えていま す。  最後に、別添の13は労働政策研究・研修機構の要請研究の概要です。他の援助機関 による援助の動向について、米国、英国、ILO等に関する研究を当省からの要請研究 として実施してきました。まとまったものが手に入りましたので、その概要を記させて いただきます。当初は、成果をこの検討会に提出の上ご議論いただこうと考えていまし たが、並行作業になってしまいましたので、事務局の作業において活用し、検討会資料 作成に反映させていただきました。以上です。 ○吾郷座長  ただいま事務局から報告書案についての説明をいただきましたが、自由にご発言を願 いたいと思います。 ○中村会員  静寂をやぶる意味で発言させていただきます。非常に気配りの利いたペーパーなの で、批判するとか非難する点は全くないと思いますが、あえて言うなら次の2点がある かなと思います。もう既に議論されたことだと思いますし、気配りの利いたペーパーで すから、こう書いてあるよという反論があるかと思いますが、あえて言わせてもらいま す。  1つは別添11、「労働分野の国際協力における課題と方向性の整理」です。確かに東 アジアに傾いているのを西・南アジアに、あるいはアフリカ、中南米にという気持はわ かります。国際社会において生きていくのには、単に東アジアだけでは駄目だというの は分かりますが、1つにはお金が足りないし、人材も足りない。わかるけれども、こう いうときにあまりに広げると手薄になってしまうのではないかなという気がします。  それから、アフリカ、中南米については、我々にその地域の実情についての知識が少 ないから、下手に飛び込むと必ずしも実のある協力にならないのではないかという気が します。確かに東アジア、アフリカ、中南米にというのは分かりますが、資源、能力、 事情を知らないということを十分に考慮した上で慎重にやったほうがいいのではないか というのが第1点です。  第2点は、技術協力終了後の現地のキャパシティビルディングについても留意すべき ことです。最近ラオスに行かせていただいていろいろ触れてみて、前から気がついてい たようなことですが、その思いを深くしたことなのです。職業訓練のために機械を設置 して指導しても、専門家の帰国後は活用されなかったり、報告書があってもそれが現地 で活かされていないなどという事例が見られるようです。評価にあまりにも傾倒しすぎ ると、途上国の能力をあてにせずに派遣された専門家が自らやってしまうことになる が、専門家の帰国後はどうなるのか。3年なら3年の期間、5年なら5年の期間での成 果を評価することにあまりにも力点を置きすぎると、地元のキャパシティ・ビルディン グということを忘れてしまうという傾向があるのではないかと思います。したがっても う既に議論をされて、どこかで触れられているかもしれませんが、技術協力終了後、そ の効果が持続できるような協力手法の確保にも配慮願いたい、その旨を報告書のどこか に入れたいというのが、私の意見です。 ○吾郷座長  ありがとうございました。ほかにご意見がございますか。 ○松岡会員  別添11に関して2つあります。1つはアフリカだけで中近東が抜けているということ です。通常アフリカというと、サブサハラ48カ国が中心になるのですが、中近東と北 アフリカというくくりになるのではないかと思います。JICAではそのようになります。 特に職業訓練の分野ではエジプト、中近東でもかなり実績があるのです。同様に、中南 米に対しても職業訓練の分野では、ブラジルその他かなり実績があり、これらの国々が 周辺の国々を呼んで研修を行うなど、協力の成果という果実を周辺国に移転しつつあり ます。  先般この会合を欠席しましたが、ウガンダのナカワ職訓センターに行きました。そこ でも既に南部アフリカから研修員を呼んで訓練をやっているのです。あるいはセネガル の職業訓練センターも周辺国から留学生を受け入れていまして、料金を取って仏語圏の 人を教育しています。これまでの成果をどのように広げていくかという視点も、もう少 し入れていけばいかがかというのが2点目です。  3点目、特にアフリカ等々の協力を考えるときは、教育と訓練の連携が重要であり、 日本でいう労働省と文部省が現地では一緒にやっているということを理解していただき たい。産業人材の育成という視点で、通常では教育省、文部省が担当しているところが 多いようです。したがって、日本でいえば高専とか工業高校とか、職業訓練的なものは 教育と一緒であり、もう少し下のレベルでは、縫製とか裁縫といった科目になります。 さらに、ホテルの営業とか、大工さんとか、靴を作ったりとか、配電の修理だとか、我 々の考えでは職業訓練とはちょっと違いますが、現地のニーズがかなり高い科目につい ての対応を検討しておいたほうがいいと思います。  4点目がもう少しレベルの低い分野に対する協力を、日本としてやるのかやらないの か、といったことがあります。ちなみに、青年海外協力隊などはやっているのです。以 上です。 ○吾郷座長  ありがとうございました。 ○搆補佐  いまいただいた点について若干コメントというか、事務局から述べさせていただきま す。中村会員のご指摘とも関係するのですが、地域的配分は、1つの試みとして出した だけで、十分詰めたものではない1つの案だというところです。  ご承知いただきたいのは、(1)に重点を置き、(2)はこれまで手薄だったが、新 たに開拓していくべき地域、3番目のアフリカ、中南米等については、絞り込みつつも 効果的な協力を行いたいという、優先順位を明記したつもりでありますが、より明確に 修正したいと思います。  松岡会員が言われた中近東についても、アフリカと中近東一体で書かないといけない のだろうと思います。例えば職業訓練の分野についてはセネガルを中心にした周辺国へ の波及効果、これは成果が出てきたところであり、引き続き行いたいと思います。ウガ ンダについてもその通りでして、ちょうどアフリカでは、前回の議論の中で我々のほう から何ができるか、我が国としての強みを強化する一方、受益国でどのようなニーズが あるかと、両方のアプローチについてご議論をいただいたところです。アフリカであれ ばアフリカの地域でどういう協力手法、あるいはパッケージが求められているかを十分 分析した上で、効果的な手法を選んでいかないといけないと考えています。  例えばウガンダでは非常にうまくいっている職業訓練校はあるけれども、ウガンダの 国全体からすれば、専門家の活動は限られており十分な投入とはいえないと思います。 一方で青年海外協力隊が幅広く活動をし、草の根レベルで何らかの訓練を行っていると ころは多く、裨益は大変大きくなります。したがって、専門家はこうした人たちや他の 援助国とも協力して効果を高めることが期待されているわけで、当省としてもそのよう な人材を選んで送る必要があります。国際協力の枠組みで波及効果、裨益効果を議論す る際には、こうした点も考慮に入れないといけないわけです。  中村会員からいただいたご指摘の前半部分については、今申したとおり(2)、 (3)は(1)と同じ比重でやっていくわけではないということですので、そこを正確 に書き直したいと思います。また、後半にあった、事業が終わった後に実績が活かされ てない実情があるという話は、日本の協力ではなく、各国からなされている国際協力一 般にということで理解すれば、誠にそのとおりであると思います。しかし、手間がかか っても受益国に行わせるという我が国の手法も万能ではなく、分野の特性を無視して効 率のみを重視してはそうした問題が起きないとは言い切れません。本検討会で評価につ いて議論がされてきた中で、たしか労使関係の分野に関する議論だったと思いますが、 長期間の活動が必要なものについては、3年、5年といった短期間の目標も設定し、そ の期間の目標に対する成果・実績を積み上げるとともに、フェーズI、フェーズIIとし て長期的な目標に立った検討も確保するということが重要であり、本文に記載されてい たと思います。受益国のキャパシティ・ビルディングがおろそかにならないようにする ということも重要ですので、反映させていただきます。 ○吾郷座長  ご意見を伺う前に、私がいまの関連で気がついたことを1つ申しますと、東アジア、 南・西アジア、アフリカ、中南米とかなり大雑把な括り方をしておられますが、東アジ アの中にはいわゆる東南アジアが入っているという理解ですね。 ○搆補佐  はい。 ○吾郷座長  先ほど松岡会員のご指摘にもあったように、アフリカには中近東も入っている。ただ し西アジアと言うときには中近東の一部が含まれることもあり得るのかなと思って、そ の辺の地域を確定したほうがいいかなという感想です。(2)では南・西になっていま すが、本文では南西アジア、南西アジアという概念はないのではないかと思うのです が、あるのですか。 ○搆補佐  中点が入っていないのは誤字です。申し訳ありません。 ○吾郷座長  確かに、東アジアと南アジアを一緒にして、東南アジアとは言えませんよね。東南ア ジアというのはサウスイーストアジアの概念で確立したものがありますから、この辺は 整理されたほうがいいかなと思います。それでは末廣会員、ご意見をお願いします。 ○末廣会員  最初に、とりまとめられた事務局の努力にまず敬意を表した上で、ちょっと細かいの ですが、字句の問題をいくつか指摘したいと思います。  4頁目の上から3行目、「自発的な解決を支援する」となっていますが、もう公式的 な表現として、「自立的発展、自主的な解決」という言い方が定着していますので、自 発か他発かはともかく、自主的に解決するのが目的だと思うのです。そこを変えていた だければと思います。  11頁目、政策プログラムの評価のパラグラフの下から4行目の真ん中で、「例えばタ イ、アフリカ協力重視施策の下で」以下があるのですが、私の見方では、前半のほうで は過去の経験をもとに、それを活かすかどうかという話があって、その後に出てくるア フリカへの協力とか、グローバルな化学物質管理の問題というのは過去にはなかった新 しい問題なわけです。したがいまして、グローバルな問題が増えてきているけれども、 そういう新しい課題に取り組む場合でも、やはり過去の問題についても、もう一度整理 することに意義があるというふうに書かないと、ここの意味が取れないのではないでし ょうか。「例えば」の所は「一方」 か何かにして、「労働分野として取り組むべきと 思われる新しい課題が増えてきているけれども」というような書き方をしたほうがいい と思います。そうしますと、一方、一方と続きますので、この点の表現の訂正はお任せ します。  3番目として、13頁のイの書き直し部分は、読んでいて意味が通じないように思いま す。まず、「有力な使用者団体である日系企業集団」という意味は何を指すのか、これ は経団連を指しているのか、個々の企業を指しているのか、いずれにせよ書き直す必要 があります。その上で、私の理解ではJICA専門家が日本人商工会議所に対して緊密に 情報提供をしているということは、あまりないと思います。あるとすればJICA専門家 の出身母体である民間企業の1つと緊密な連携をとっていて、それが間接的に商工会議 所に反映するということはあるかもしれません。むしろ、JICAと日本人商工会議所の 間で緊密な連携がないことの方が問題になっていますので、この部分を書き直してはど うかと思います。  4番目は、7番になってはじめて援助国及び非援助国という表現がでてきているので すが、ほかの部分では全部「受益国」となっています。非援助というのはこの報告書の トーンではないと思いますので、これも「受益国」という表現に統一していただきた い。  最後に別添12の国別援助計画についてです。タイについては去年の8月に既に総合 戦略会議で草案が通っていますが、インドの策定を待っており、タイ、バングラデシュ とインドを一緒に閣議に出す予定であると聞いております。なお、新計画の草案では、 タイに対しては「援助計画」は行わないことで合意しています。私が座長として取りま とめたのは「経済協力計画」であり、これは外務省で確認していただければと思いま す。 できれば、注として「タイは改定中のものは援助計画ではなくて経済協力計画である」 と明記してください。以上です。 ○吾郷座長  ありがとうございます。すぐに答えられますか。 ○搆補佐  修正等のご指摘は、おっしゃるとおりであり、そのように直したいと思います。1つ だけ13頁について趣旨を説明しますと、13頁のイでは、有力な使用者団体というのは、 現地の日系企業はその国の使用者側として重要な位置を占めるという意味で書いたつも りです。現地のある国において、政労使のうち使用者団体をとったときに、その中のか なりの部分を占めるのは日系企業であるという実態です。 ○末廣会員  でも、政労使による賃金委員会とか、社会保障委員会に日系企業の人が入ることはま ずないですね。現地の人は入りますけどね。こういう書き方ですと、特定の日本の企業 団と連携するといった誤解を招きかねないですね。 ○搆補佐  了解しました。 ○野見山会員  いま末廣会員の言われたところの、JICA専門家の日常活動と現地日本人商工会議所 との連携ということについて述べさせていただきます。実は私自身に経験がありまし て、JICA専門家としてタイに行っているときに、私は現地で日本人商工会議所に定期的 に呼ばれまして、例えばタイの雇用情勢だとか、あるいは労働者保護法の運用がどうな っているかという情報を、現地の労働省にいる立場から状況を話しました。立場上、そ ういう法律あるいは制度改正に沿った対応をしてもらうようにという、アドバイスをし たわけです。むしろそういう意味では、企業集団の関係はさておいて、商工会議所など はそういう意味では連携をやっていたことでかなり協力は得られたし、現地の行政機関 と商工会議所との関係改善にもつながったと思いますので、ここはあえて削らないほう がいいというのが、私の考えです。 ○末廣会員  もしそうだとしますと、連携する相手がJICAの派遣専門家というよりは、JICAの 派遣専門家の活動を媒介しながら、向うの商工会議所とかと連携をする、その成功例と して書かれたほうがわかりやすいと思うのです。そういう趣旨ですと、もう少し民間と の連携も図りましょうという意図になりますね。それからいけば上の段は現地の経営者 団体ともっと協力をするとか、そういうことも必要になってくるわけですね。 ○搆補佐  そうですね。確かに特に日系と書かなくても、現地の使用者団体と現地で活動をして いるJICA専門家の... ○末廣会員  同じように日本人商工会議所についても、連携をするけれど、その際に同時にJICA の派遣専門家が間に立って協力することももちろんあるということですね。 ○吾郷座長  いまの問題はそのように修正していただきます。 ○野見山会員  私はこれを拝見しまして、基本的にはもうこれで異存はないのです。ただ1つ、私が JICAの専門家として行っていたことと、いま私が属している国際労働財団がやってい る厚生労働省からの国際協力に対する委託事業の2つの関係で意見を述べたいと思いま す。  1つは例えばJICAを通じた政策支援あるいは制度の仕組みの協力に関する裨益の問 題ですが、この前私どもがこの検討会の中でやりました中国雇用促進プロジェクトで も、裨益期間については、画一的に定めるのではなくて協力の中身によって違ってくる のではないかと申し上げました。まさに政策アドバイスだとか、制度設計になります と、その目標設定をして、例えばある制度が導入されることという具体的なことを書け ば、それは協力期間中に制度がスタートしたかどうかでその目標を達成したかどうかと いう判定が下ります。  問題はその制度が導入されても、それがうまく機能して、その結果、中長期的に予定 していた、例えば雇用水準が改善していくとか、失業状態が改善していくかというのは 制度がスタートした時点では、測ることはできないわけです。そういう意味ではこうい う評価をするときには、制度仕組みの場合にはすぐさま出てくる同じプロジェクトをや ってもそこで出てくる効果と、次代に出てくる効果、そういう意味で評価をする時点と いうのは、かなりロング、ミディアムタームぐらいで、せいぜい5年ぐらいのタームで 見ておかないと、評価が難しいのではないかと思います。これは中国プロジェクトのと きの議論もありましたが、そのような感じを受けたのです。  もう1つ、私が今実施している外務省からの受託事業である「草の根」事業なのです が、これも労働分野で職場の安全衛生改善プログラムをやっています。これは職場単位 で安全衛生に関する、例えば改善点の提案をし、改善例を積み上げていくというまさに グラスルーツの協力です。これでどの程度の改善提案が出てきたか、その改善提案につ いてある一定の期間内にどれだけそれが定着したかという意味では、すぐに効果が発揮 できるわけです。しかしながらそれがスケールの大きな国ベースの評価というところま ではいかないので、各事業所ごとにどうだったかというミクロ的な効果測定になります と、この労働分野の評価であるPCMとかいう難しい手法ではなくて、もっと単純な、 要するに改善例がいくつ出たかとかいうごく単純な指標でもある程度測れます。その意 味で、プロジェクトによってPCMなどで評価を行うことについては異存はありません が、特に労働の場合はプロジェクト、政策的な問題からそういう具体的な改善指導と、 かなり幅が広いものですから、そういう広いさまざまな協力事業の中でふさわしい評価 方法に常に留意していく必要があるという気がしました。 ○吾郷座長  ありがとうございます。事務局として何かお答えになりますか。 ○搆補佐  ありがとうございます。PCMで評価できることは当面の限られた範囲の評価になる ことは十分私ども承知をしていないといけない。つまり、PCMでいい評価がなされれ ばそれでいいということではなくて、単なる1つの出発点として国民に示す必要がある こと、しかし、政策として進めていく限りは、より上の成果を目指すべきであって、例 えば行政のような事業を計画する者としては、そこだけに満足してはいけなくて、その 先の事業の改善に重点があることにつき、いま一度認識した上で進めていきたいと考え ています。 ○吾郷座長  ありがとうございます。ほかの会員の方々いかがでしょうか。 ○城内会員  私は都合が合わなくてしばらくお休みをしていたので、全体の流れが少し分かってい ないところがあるかもしれませんが、改めてこの2頁の予算のグラフを見て、安全衛生 分野はやはり悲しいなという思いを新たにしました。私が意見を言いたいと思ったのは 別添の11です。この文書の扱いがどうなるかはわからないのですが、ちょっと気がつ いた点で、別添11の表の安全衛生ですが、対応のところがどういう書き方をしている かというと、労働安全衛生の知識は職業訓練と同時にしなければいけないという見方を しているので、現状の問題はいいのかなという感じがしました。というのは、労働安全 衛生プロジェクトは、現状の問題を解決するのにどうすればいいかということで、いま までもやってきたと思いますし、もちろん、職業訓練としてやらなければいけないとい うのは当然のこととしてあるのですが、将来的にもそういう意識が必要かなと考えてい ます。  それから、JICAプロジェクトなどは、その国でやらなければいけない要請があって 初めて動くというシステムが基本的にあるわけですが、先ほど末廣会員のお話にもあり ましたが、化学物質管理のグローバル化というのは、いまGHSの真っ直中にいて私は そういう仕事をさせてもらっているのですが、それはその国でニーズがあるかどうかで はなくて、世界的にやらなければいけないことがあって日本でも始めているわけです。 さらに、例えばアジアの国々での日本との化学物質の貿易量を見たらそれを絶対に支援 しなければいけないという状況があったときに、ニーズがないからやらないというのは おかしいと思いますので、それは世界的なプロジェクトとして動いているのだから一緒 にやりましょう、または、プロジェクトを是非発掘していってほしいと思っています。 というのは、GHSに関して非常にニーズがあり、実はいろいろな省庁の方に地域として の問題だから、地域としてのセンターを是非立ち上げてほしいといろいろお願いをして いるのですが、そこでネックになるのはJICAでやるとしても、向こうからの要求がな ければできないと言っているのです。だけれども、2008年には世界的にやりましょうと いうターゲットがあるのに、ニーズが上がってこなければできないということでは、日 本としてどう支援していくかという根幹にかかってくるだろうと思いますので、そうい うところのポリシーをもうちょっと柔軟にしてほしいと思います。それは、そのグロー バル化に関するプロジェクトで少し方向性を考えていただきたいというのが1点です。  もう1つは、日本では労働安全衛生問題が過去数十年あってその中で専門家が育って きた経過があるわけですが、実は、最近はむしろ日本の労働安全衛生はかなりいいレベ ルにきており逆に専門家が育たない状況になってきています。労働安全衛生担当者は経 験しないと専門家にならないという側面もあるわけで、まだ劣悪な労働環境の中で働い ている途上国の現場を知り、一緒に問題を解決することで専門家になることも重要と思 います。その点では、技術移転は一方的なものではなくて、双方で協力して問題を解決 していくことを強調したいと思います。  そういう発想がないと、単なる一方通行で技術移転をするだけでは済まなくなること もありますし、あとはコミュニケーションがうまくできないということにもなります し、お互いにエキスパートを育てなければいけないことを考えると、少しスタンスを変 えて一緒にやっていく、一緒にやっていくというのはつまり我々も経験させてほしいと いうことであり、そういうふうに少し方向性というか、スタンスを変えていただければ いいかと思いますので、よろしくお願いします。以上です。 ○搆補佐  城内会員のご指摘の中で、私ども別添の11では地域的な配分として、安全衛生も含 めて議論した上で、留意点として安全衛生を付加的に述べただけであることをご理解い ただきたいと思います。確かに最近の東アジアへの安全衛生分野の協力は限られた投入 になるけれども、発展段階に応じた協力を考え、別の分野の協力にも上乗せでやってい ったほうがいいという意味で記述しているつもりでありますし、別添11の2ページ目 の標では安全衛生を具体的に記載しています。  それと、本文の6頁でJICAの集団研修でも、例えば労働衛生関係の作業環境測定だ ったか正確な名前は忘れましたけれども、かなり幅広い地域に対して実施している研修 があり、集団研修だと特定の地域に限定した投入ではないために、成果がなかなか見え にくいという議論もあるようですが、一方で、労働衛生の石綿の被害、あるいはじん肺 の予防のように時間がかかる、ある意味で地道な予防対策、活動は、経済発展が進んだ 地域だけでなく初期の段階にある国にも、例えば30年経って問題が出てくるといった ことがないように、幅広く我が国の知見を広める必要があるとの認識から、幅広い地域 に対する集団研修等を実施しています。 ○今野会員  全く修正点はないのですが、つらつら考えていたのは、この評価は誰のための評価か ということです。多分ステークホルダーに対する評価だと考えているのでしょう。先ほ ど野見山会員がおっしゃられたミクロの話で、実際にはステークホルダーに対してちゃ んとやっているという評価と、その事業がうまくいくための評価と別ですよね。だか ら、普通、組織の場合はステークホルダーに対してアウトプットとして行う評価と、そ のアウトプットを上手にするために内部的な評価は数多くあるわけですから、その組合 せです。考えてみると整理しないと内部的な評価も場面場面で評価と言ったり、ステー クホルダーに対する評価も評価と言ったり、多分ここはステークホルダーに対する評価 だと思うのですが、つまりこの場合であれば税金を払っている人、あるいは現地国と か、そういうことですよね。 ○今野会員  だから極端なことを言うと、普通、組織が事業プロセスに関する、事業がうまくいく ために必要な管理目標としての評価項目があるわけです。例えばステークホルダーに対 してAという目標でいきますと言ったときに、Aの目標を実現するためにはBというも のがうまくいったほうがいいとすると、実際に事業を運営している人がAだと言われた って何をやっていいかよく分からないところがあるから、通常はBで動くわけですよ ね。 ○搆補佐  はい。 ○今野会員  そうすると、我々はBのことを言っても仕方がないわけです。会社を例に取ると、株 価を上げるのがステークホルダーの目標だとすると、株価を上げろといわれても従業員 はどう働いていいか分からないですよね。そうすると、最終的なステークホルダーにす るターゲットを実現するために、内部的にうまくいくような評価システムを組んでいる わけです。例えば売上げを上げろでもいいですし、もう少し生産性を上げろでもいい。 そうすると、実際に事業を運営している人はそれをターゲットに動くわけですね。だか ら、そこは基本的に違うのだと思いますが、ここの評価であまり細かいことを言うと後 者のほうまで入ってしまう感じがあります。ここを修正するというのではなく、国際協 力事業の評価と言ったときには、ステークホルダーに対する評価しか考えていないかな と考えていただけです。あまり気にしないでください。 ○松岡会員  4の(4)から(6)のどこかに現地ODAでタスクという言葉を入れたほうがいい のではないかなと思います。新ODA大綱、あるいは中期政策の中ではかなり重要視し ているのは、現地でのオールジャパンとしての協力計画を大使館、JICA、JBIC、 JETRO、そしてまたは商工会議所のケースもありますし、あるいは現地のNGOそう いう所と国別援助計画でもかなり議論して、いわゆる原案を作るとか、あるいは毎年そ ういうものをやって、その後大使館が中心になって政策会議をやります。これまで1年 間のレビューと、そしてまた新たな計画の進め方、国によって、体制の条件によってバ ラつきがありますが、アジアでもいまベトナムとバングラデシュがいちばん進んでいる と言われております。アフリカも進みつつあるのですが。そういう意味でもどこかに、 いま現地が入れる原案を作るのにも案件形成を見てもかなり大きなウェイトを占めつつ ありますので、そこら辺の言葉をどこかに入れたほうがいいと思います。 ○搆補佐  ありがとうございます。私もいままで、例えば国別援助計画等においても現地のタス クフォースの議論が終わって組み上がった段階を見せてもらって最終のときコメントす る形が多かったのですけれども、そうではなく、作成段階で積極的にコメントしていき たいと考えております。  例えば11頁の協力方針策定に向けての考え方の中で、協力方針を予め作っていく中 で、労働分野を反映していく中ではこういったものを組み上げて現地のタスクフォース に対して積極的にアプローチをしていく、そういう中で反映してもらう方法があると思 いますし、具体的には分かりませんけれども、6番目の協力の連携の中でも、現地タス クフォースの連携というのを書き加えることとします。 ○吾郷座長  ありがとうございます。そのほかご意見、コメントはありますか。 ○松岡会員  12頁の6のさまざまな協力手段の連携の上の2行なのですが、先ほどの野見山会員の ご意見を入れて、ここの労働分野のとりまとめを、我が国在外公館、JICA事務所と国 際協力関係者だけに留めないで、更にそこに、特に労働関係というのは民間の企業、N GO、NPOがありますから、それも含めてと広げられたらいかがでしょうか。 ○搆補佐  はい、そのようにいたします。 ○吾郷座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。細かい字句の問題か ら今野会員の評価全体の評価方法と言いますか、評価自体の理念的な問題に至るまでい ろいろなご意見を頂戴しておりますが、大体意見は出そろったかと思いますが、今日出 していただいたご意見を踏まえて事務局で修正をしていただきたいと思います。ただ、 本日は最終会合でありますので、その結果また集まっていただくわけにはいきませんの で、メール等で確認させていただくことにしたいと思います。最終的な報告の字句、そ の他の訂正、書きぶりは座長一任ということでお願いできたらと思います。なお、分野 合同会合となる3月15日なのですが、実は私3月20日まで海外研修に出ております ので、15日は出席できません。そこで座長代理として、今野会員に合同会合で説明をお 願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  本日の議事は大体終わったのですが、この機会に何かご意見、ご質問はおありでしょ うか。 ○野見山会員  1つ要望なのですが、ここで労働分野の国際協力で厚生労働省その他国際機関、JICA と書かれているのですが、労働分野というと協力しているのは政府だけではなく、数多 くのNGO、労働組合などがさまざまな形でやっているわけです。ですから、そういう 意味で、3つが骨格であることは間違いないのですが、周辺にさまざまな労働分野の協 力をしている事業の全体像を把握することは非常に難しいとは思いますけれども、例え ば労働組合ではどういうことをやっているとか、あるいは、それ以外の非営利団体で労 働分野というとどういうのがあるか、そういうことは将来的に把握してというか、そう いうことをできれば進めていただければありがたいなと思います。要望です。 ○吾郷座長  ありがとうございます。ODAと限定すると民間協力は入ってこないのかもしれませ んが、それも含めて、今後のODAその他の分野でどういう形で行政として進めていく つもりかというご質問と捉えますが、これに対して何かお答えはおありでしょうか。 ○搆補佐  ありがとうございます。ほかの分野でもあるのかも知れませんが、労働分野について は、相手側の政府だけでなく関係の人たちは非常に多いということもあり、純粋な政府 間のODAでカバーできる範囲は非常に少ないという認識は政府として持っておくべき でしょう。今後労働分野のODAの協力をどうしていくかは、先ほどの労働政策研究・ 研修機構の研究会の中で、労働行政以外の労働分野の協力をどこまで調べるかという話 になったときに、労働組合での協力、NGOでの協力、それから、民間企業、各大学等 の研究機関も含めて、国の機関以外の協力はかなり大規模であり、特に米国などでは大 学を通した協力はかなりのものを占めているし、政府から出てもNGO等の団体が実施 している協力は非常に大きく占めているということが、研究会の中での議論を通じてよ り鮮明に分かってきたところです。したがって、我が国が労働行政の分野で何ができる かを検討していくわけですが、その中では民間企業などでの実績も調べて重複をなく し、連携をすることも重要です。 ○中村会員  この間ラオスにいたのですが、仕事が終わって次の仕事の間にホテルのロビーで座っ ていたら、「中村さん」と声を掛けられてふっと見たら、東京で私と同じ事務所の経営 者団体の人がいたのです。何をやっているか尋ねたら、経営指導の一環として労務管理 も入っているとのことです。だから政府、労働組合、使用者団体いろいろ立場が違うか ら、そこで調整をすることが必要かもしれない。連絡会をもってみんながどんなことを やっているのかを知るのはいいのではないかと思います。その人は東京では2年間いて 一度も会ったことがなくて、それもわざわざ私が尋ねて1回会っただけなのです、ばっ たりとラオスで会って、1週間後に経営者としての研修があると聞き、しかも向こう側 の出席者が私のセミナーに出ていたということでした。当方の立場が違うことでメッセ ージが異なってもよいのですが、どんなことをやっているのかの意見交換の場が必要で あり、それは厚生労働省でやったらいかがかと思います。 ○吾郷座長  ありがとうございます。私も大学の仕事で出張して別の学部の人とばったり会って何 しているんだと言って、同じ九州大学でありながら全然別な所で偶然会ったという経験 が何度もあります。横の連携がなかなか難しい現実がありますが、それも含めて、今後 労働分野のODAをどう進めるか搆補佐から何かご提案はありますか。 ○搆補佐  全体構想について、私自身には提案する準備はありませんけれども、私からは、これ をもって国際協力の検討が完了したわけではなく、今日いただいたコメントも含め、こ の検討会では今後とも協力を進めていくための課題をいただいたところであり、引き続 き検討を進めていきたい旨述べさせていただきます。本文にもありますが、評価は更な る試行の集積が重要であり、人材育成、協力の方向性については充実した議論が必要と いうことであり、今後ともさまざまな形でみなさま方を含め各方面からご意見をいただ きながら検討を続けていきたいと思います。 ○吾郷座長  ありがとうございます。大体審議も出そろったと思いますので、先ほど申し上げた要 領で修正点その他ご提案を出していただき、最終的には座長と事務局との連携によって 最終報告書を作成することにさせていただきたいと思います。  これで閉会なのですが、私はこの2年間座長を務めさせていただきまして、最後の合 同会合にはそういうことで今野会員にお願いしますので、この際今野会員に1つだけ事 務連絡と言いますか、前回出たときの感想をここでちょっとだけ申し上げます。我々が 議論した労働分野では、評価をどうするかということにずいぶん力を注いできました。 注いだ結果、最初の1年はまず評価に相当技術的なことに立ち入った議論でありまし た。一方、ほかの分野では評価をほとんどおやりになっていなく、今日の報告書で言う ところの、今後の方針というところばかり議論されていた記憶がありますし、合同会合 でそのように述べた記憶があります。  ですから、今度も3月15日にお出でになったら、おそらくほかの分野では非常に夢 のある、こうすべきだという提案が出されるのではないかと思います。そこで少し違和 感をお持ちになるかと思いますが、しかし、我々なりに相当地道な作業をやってきた、 しっかりとした評価についての見識をもったわけですし、その方向を我々なりに習得し たと思いますので、今後将来に向けての政策提言を含めた話題は、また更にいろいろな 形でやっていけるのではないかと思っております。そういうことで、それは次の3月 15日に代わって出ていただく今野会員への伝言と、それと同時に私の最後のご挨拶とし たいと思います。拙い司会ではございましたけれども、2年間にわたりご協力いただき ましてどうもありがとうございます。では、本日はこれで閉会いたします。 【当文書の照会先:大臣官房国際課国際協力室協力調整係(内線:7314)】