05/02/15 第1回標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会議事録 第1回 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会                       平成18年2月15日(水)                       厚生労働省 9F 省議室 ○ 出席構成員及び専門構成員(敬称略・五十音順)  (構成員)石井みどり、漆崎育子、大江一彦、押野榮司、金川克子、河原和夫、窪寺健、 小山和作、酒巻哲夫、鈴木志保子、津下一代、土屋隆、森光敬子(中村健二代理)、中山 健夫、久道茂、水嶋春朔、宮地元彦、住友眞佐美(山口鶴子代理)、吉池信男、渡辺清明  (専門構成員)門脇孝、小池啓三郎、椎名正樹、島本和明、田中一哉、松澤佑次、松田 一美、水口忠男、諸江正義  ○厚生労働省出席者  中島健康局長、岡島大臣官房審議官、梅田大臣官房参事官(健康担当)、中島大臣官房 参事官(社会保険、健康担当)、石井健康局総務課長、矢島健康局総務課生活習慣病対策 室長、野村健康局総務課保健指導室長、柏樹健康局総務課健康フロンティア戦略推進室 長、大島保険局総務課保険システム高度化推進室長、古畑栄養・食育指導官 ○次第 1.開会 2.健康局長挨拶 3.議題  (1)標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の設置について  (2)メタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導の基本的な考え方について 4.閉会 1.開会  矢島生活習慣病対策室長 定刻となりましたので、これより「標準的な健診・保健指 導の在り方に関する検討会」第1回目の会議を開会いたします。  開会に当たりまして中島健康局長よりごあいさつを申し上げます。 2.健康局長挨拶  中島健康局長 健康局長の中島でございます。「標準的な健診・保健指導の在り方に関 する検討会」の第1回会合の開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げます。  お集まりの皆様方におかれましては、この検討会への御参画を快くお引き受けいただ きまして、また本日御多忙の中お集まりをいただきまして厚く御礼を申し上げる次第で ございます。  御承知のように、生活習慣病対策は、近年ますますその重要性を認識されてきており ます。この「生活習慣病」という言葉自体、平成8年にそれまで「成人病」と言ってお りましたものを、生活習慣によって対処する、生活習慣を改善することによって生活習 慣病、いわゆる、これまでの成人病に対応していこうということで、名前をつけかえた というものでございます。  厚生労働省といたしましても、平成12年からいわゆる「健康日本21」の運動を展開 いたしまして、平成15年には健康増進法の施行、そしてさらに今年度からですけれども、 健康フロンティア戦略というようなことで、さまざまな展開をしてきているところでご ざいます。  一方、「健康日本21」の取り組みにつきましては、現在その中間評価を行っていると ころでございますが、必ずしも良好な結果が得られているとは言えないという面もある わけでございます。この取り組みについても、これまでの方法を見直しまして新たな取 り組みが求められているという状況だろうかと思います。  そういった中、昨年「メタボリックシンドローム」という考え方が導入をされまして、 いわゆる内臓脂肪症候群ということで糖尿病などのさまざまな生活習慣病の原因に、内 臓脂肪の蓄積があるということを共通の認識としてこれから取り組んでいこうというこ とになったわけでございまして、このまさに生活習慣病に対しての具体的な解決、対策 の糸口が見つかったというような状況ではないかというふうに考えているところでござ います。  御承知のように、現在厚生労働省では医療制度改革の議論を進めておりまして、いよ いよ国会でもその議論が始められるところでございますけれども、その中で生活習慣病 対策は一つの中心的なテーマとして取り上げてられているわけでございます。  そういった中、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におきましても、昨年の9 月に、今後の生活習慣病対策の推進についての中間取りまとめを行っていただきました。 その中では、メタボリックシンドロームの概念に基づく健診、保健指導の導入でありま すとか、健診機会の段階化と保健指導の階層化、また、保健指導プログラムの標準化、 質の確保ということが指摘をされているわけでございます。  厚生労働省といたしましては、この生活習慣病対策として、保険者のこのことに対す る取り組みの義務化でありますとか人材育成、研究開発、また、国民運動の一層の推進 など、さまざまな取り組みを進めていくこととしておりますけれども、本検討会におき ましては、ライフステージを通じた健康管理、疾病予防の全体像を踏まえた上での、ま ずメタボリックシンドロームに着目しました健診、保健指導のプログラムの具体化をお 願いしたいというふうに考えております。  皆様方の専門的な観点、それぞれのさまざまなお立場からの忌憚のない御意見、活発 な御議論をお願いいたしまして私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしく お願いいたします。  矢島生活習慣病対策室長 本検討会におきましてはまず当面はメタボリックシンドロ ーム、内臓脂肪症候群に着目をいたしました標準的な健診・保健指導のプログラム作成 について御検討をお願いしたいと思っておりますので、今回関連の有識者、関係者の先 生方のうち、メタボリックシンドローム関連疾患の専門の先生方及び各医療保険者の代 表の皆様方には専門構成員として御出席をいただいております。今後検討事項に応じま して新たな専門構成員の方々を追加することも予定をしておりますのであらかじめ御了 承いただければと思います。  本日第1回目の検討会の構成員につきましては、議事次第の次に名簿をつけさせてい ただいております。時間の制約のため構成員の皆様方の御紹介は名簿の確認によること でよろしくお願いをしたいと思います。  出欠の確認でございますが、本日は有原さん、井伊さん、松田さん、宮崎さん、吉池 さんが御欠席となっております。なお、中村さんの代理として森光さん、山口さんの代 理といたしまして住友さんに御出席をいただいております。  では、まず検討会の座長についてでございますが、厚生科学審議会地域保健健康増進 栄養部会の部会長でもあります、久道先生にお願いをしたいと考えておりますが、御賛 同いただけますでしょうか。(拍手)  どうもありがとうございます。  また、本検討会は、健診分科会、保健指導分科会という2つの分科会で、それぞれ専 門的に御議論いただくことを考えております。健診分科会の座長には引き続き久道先生 を、それから保健指導分科会の座長は金川先生にお願いをしたいと思います。よろしく お願いいたします。  では、久道座長、以降の進行をお願い申し上げます。  久道座長 久道でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 3.議題  早速議事に入りますけれども、その前に事務局から資料の確認をしていただきたいと 思います。お願いします。  柏樹健康フロンティア戦略推進室長 それでは資料の確認をさせていただきます。お 手元の議事次第の一番最後のページに資料一覧をつけさせていただいております。資料 は1から5までです。参考資料として1から8まで、それぞれ綴じてつけさせていただ いております。   また、その資料の一番下には、本検討会日程調整表を置かせていただいております。 不足の場合には事務局にお伝えいただきたいと思います。お願いいたします。  久道座長 よろしいですか。それでは早速議事に入りたいと思いますが、議題の1番 目、「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の設置について」事務局から説明 をお願いします。  矢島生活習慣病対策室長 ではお手元の資料1と参考資料は1、2、6になりますが、 左肩に資料1と書いた資料があると思いますが、これに基づきまして本検討会の位置づ け、背景、検討をお願いいたします事項、スケジュール等について説明をさせていただ きます。表紙をお開きいただきたいと思います。  横長の紙で「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会構成」という紙がござ います。この検討の中身といたしましては、本日お願いをいたしております標準的な健 診・保健指導の在り方に関する検討会のほかに、右の方にがん検診に関する検討会とい うのも、これは現在老健局において既に動いているものがございます。こういうものと の今後連携もしていく必要が出てくるということがございますが、このがん検診につき ましては今老健局の方で進めております。将来的にはまたこの検討会の方とも連携をと りながら、御相談をさせていただきながらこのがん検診についても将来的には検討して いかなければいけない分野になるという認識を持っておりますが、今回お願いしており ますのは、この標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の下に、健診分科会と 保健指導分科会の2つを設置しております。  健診分科会の方は、標準的な健診プログラム、健診データの管理方策、健診の委託基 準というふうなことの御検討をお願いするわけですが、これにつきましては既に平成17 年度から健診研究班による研究、健診項目のエビデンスのまとめですとか健診の精度管 理方策のたたき台というものが既にございます。  また、政府のIT新改革戦略の方針決定が1月19日にございまして、健診情報活用の 基盤づくり、健診項目の標準化等につきましてもこの政府としてのIT新改革戦略が示 されているところでございます。ここのところは健診データの管理方策とも関係が出て くるところでございます。  保健指導分科会につきましては、標準的な保健指導プログラム、保健指導データの管 理方策、保健指導の委託基準等を御検討いただくことになりますが、これにつきまして も生活習慣病予備群に対する保健指導に関する研究会ですとか、保健指導実践者、有識 者からなるヒアリング、そういうものが既に行われておりますので、こういうふうなも のをもとにして御議論をいただければというふうに考えています。  最終的にここにございますように、健診等指針の見直し、これは健康増進法に基づく ものでございますが、これの見直しに結びつけていきたいというふうに考えております。  1枚おめくりをいただきたいと思います。ページは2ページでございますが、スケジ ュールでございます。17年度にこの検討会でお願いしたいのは、メタボリックシンドロ ームに着目いたしました標準的な健診・保健指導プログラム暫定版の策定をお願いした いと考えております。今現在進めております医療制度改革、これは、標準的な健診・保 健指導プログラムに沿った健診・保健指導の全国実施を平成20年度から予定をしており ます。これはこれから国会で審議をされることになる医療制度改革の一環でございます が、18年度にはメタボリックシンドローム対策総合戦略事業の実施ということで、全国 の数都道府県、数カ所でございますが、標準的な健診・保健指導プログラム暫定版に沿 った準備事業をお願いをしたいと思っていますし、19年度には18年度の成果も踏まえ、 いろいろな見直しもした上で、全保険者において標準的な健診・保健指導プログラムに 沿った準備事業をお願いをしたいと思っています。20年度の実施に向けて、そのような ことを考えておりますので、そういう意味で18年度に行いますメタボリックシンドロー ム対策総合戦略事業の実施にかかわりますこの標準的な健診・保健指導プログラム、こ れの暫定版の策定をまずお願いをしたいと思っております。  それから、引き続きまして、個人が生涯を通じて健康情報を活用できる基盤づくり等 ということで、ライフステージを通じました健診・保健指導のあり方も大事だというふ うに考えております。メタボリックシンドロームだけではなくて、やはり母子保健から も含めいろいろな高齢者のことも含め、そういうふうなライフステージを通じた健診、 保健指導のあり方につきましても、これも引き続き御検討をお願いしたいというふうに 考えているところでございます。  次のページをお開きいただきたいと思いますが、ただいま御説明をさせていただきま した、18年度に私どもが予定をしておりますメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候 群)対策総合戦略事業の概要でございますが、これは先ほど御説明をさせていただきま したように、全国で数カ所の都道府県にこの準備事業をお願いをしようと思っているも のでございます。  厚生労働省の役割といたしましては、都道府県が実施いたします健康・栄養調査のマ ニュアルを策定したり、健康増進計画改定のガイドライン、この暫定版を作成したり、 それからただいま御説明をさせていただきました、健診・保健指導プログラム(暫定版) の策定、それから委託基準の暫定版の策定ですとか、保健師・管理栄養士等の資質向上 に向けた研修ガイドラインの策定、保健師・管理栄養士等のリーダー研修会の実施、こ ういうものを考えております。また、健診結果の電子的管理のための標準仕様の策定、 これを厚生労働省の役割として実施をしていくということを考えております。  また、その戦略事業を全国で数カ所、これは実施していただくことを考えております 都道府県でございますが、その都道府県では事業の企画・評価委員会、これは仮称でご ざいますがそういうふうなものを設置をしていただきまして、この健診・保健指導プロ グラム、これの実施につきまして実施の計画を策定をしたり、それから国が策定をいた しました健診・保健指導プログラム暫定版の評価ですとか、そういうふうなものを実際 に実施をしていただいた都道府県で評価をしていただくということを考えております。  また、その都道府県では、地域・職域連携協議会の設置・運営ですとか、研修計画の 策定など、ここに書いておりますようなものをお願いをしたいというふうに考えていま す。  それから医療保険者、各都道府県で実際に健診・保健指導を実施していただきます医 療保険者には、この健診・保健指導プログラム(暫定版)及び健診・保健指導の委託基 準に基づきまして、40歳以上75歳未満の被保険者及び被扶養者に対する、メタボリッ クシンドロームに着目した健診及び保健指導を実施をしていただくということでござい まして、具体的にはアウトソーシングも含めましてこういうようなことも、保険者に実 際に準備事業としてやっていただくことを考えています。  また、市町村には、メタボリックシンドロームの概念の普及及び健康日本21の運動、 栄養、喫煙での代表目標の達成に向けた重点的・効果的なポピュレーションアプローチ の実施もお願いしようと思っています。これが資料1でございます。  引き続きまして、本検討会で当面御検討いただきますメタボリックシンドローム予防 のための健診・保健指導に関しまして、これまで示されてきました方向性・検討状況に ついて御説明をいたします。資料といたしましては資料2と3になります。参考資料の 方は3、4、5がこの関係でございます。  まず資料2について御説明をさせていただきます。健診・保健指導に関して示された 方向性、過去の検討状況でございます。ここにございますように平成17年9月15日に 生活習慣病対策の推進について中間取りまとめを行いました。ここに書いてございます ように、過去平成16年10月からいろいろな検討がなされまして、昨年の9月15日に中 間取りまとめが行われております。  その具体的な抜粋はこの四角の中に書かせていただいておりますが、今後の健診・保 健指導につきまして、メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入、 健診機会の段階化と保健指導の階層化、保健指導プログラムの標準化、健診項目の重点 化、精度管理の徹底等、医療保険者による保健事業の取り組み強化、保健指導のアウト ソーシング、保健指導サービスのアウトカム評価の実施などが重要であるというふうに 中間取りまとめがされたところでございます。  それから、この下にございますように、生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する 検討会もこのような形で実施をされております。  次のページをお開きいただきたいと思います。昨年の10月19日に、厚生労働省とい たしまして「医療制度構造改革試案」というものを発表させていただきましたが、その 中にも糖尿病、高血圧症、高脂血症の予防に着目した健診及び保健指導の充実のためと いうことで、医療保険者において、糖尿病等の予防に着目した保健指導の本格的な実施 を図るということ。それから、外部委託も含めまして、民間活力を生かし、効果的で効 率的なものとする必要がある。保健指導プログラムの標準化を行うとともに、都道府県 において研修事業等の取り組みを行うというようなものが盛り込まれてございます。  また、12月1日には、政府・与党医療改革協議会におきまして、「医療制度改革大綱」 が取りまとめられました。この中では、生活習慣病予防のための取り組みといたしまし て保険者の役割を明確化するとともに、健診・保健指導を義務づけ、保健指導プログラ ムの標準化を行うということなどがここに明記をされております。  それからことしの1月19日に、政府のIT戦略本部が「IT新改革戦略」というもの をまとめました。この中でも「生涯を通じて」活用できる基盤づくりということで、国 民みずからの健康状態を把握し、健康の増進に努めることを支援するということで、生 涯にわたる健診結果を電子データとして継続的に収集し、適切に管理するための仕組み を2007年度までに確立するというようなことが盛り込まれてございます。  3ページをお開きいただきたいと思います。関連でございますが、「疾病予防サービス に関する研究班」、ここにございますような研究班が既にいろいろなことで研究をしてお ります。いろいろな検討がされています。  また、6番目でございますが、生活習慣病予備群に対します保健指導に関する研究会 も、ここにありますような形で既に動いております。このような形で検討が進められて いるところでございます。  それから、引き続きまして、資料3でございますが、これについて説明をさせていた だきます。1枚おめくりいただきたいと思います。  ただいま御説明をさせていただきました、9月15日に厚生科学審議会地域保健健康増 進栄養部会の中間取りまとめでございます。大きく5つのポイントがございます。先ほ ど御説明をさせていただきました、メタボリックシンドロームの概念を導入した対策の 推進、健診・保健指導の重点化・効率化、医療保険者による保健事業の取り組み強化、 都道府県の総合調整機能の発揮と都道府県健康増進計画の内容充実、国による科学的根 拠に基づいた効果的なプログラムの開発・普及というものがまとめられております。 1枚おめくりをいただきたいと思いますが、同じような中身でございます。それをイメ ージとしてまとめたものでございます。メタボリックシンドロームの概念を導入すると いうこと、保健指導の徹底をし、サービス全体を体系化する、サービスを必要とする者 を効率的に抽出し、確実にサービスを提供する、それから、サービスの効果を評価する 仕組み、質の向上を図るような仕組み、そういうふうなものをつくるということで、最 終的には健診指針の見直しを行うということでございます。  それから3ページでございますが、今後の方向性といたしまして、従来の現状の健診・ 保健指導から、今後の方向性といたしましてここにございますような形で健診機会の段 階化をする、健診項目の重点化をする、対象者の階層化をするということによりまして、 対象者の生活習慣改善の必要度や状況に応じた適切な支援、保健指導を提供するという ことで、プログラムの標準化を行うとともに、効果の評価ができるような仕組み、そう いうふうなものを考えております。  4ページでございますが、保健指導のイメージでございます。対象者の階層化、プロ グラムの標準化ということを行いまして、保健指導の内容といたしましてはこの四角の 枠の中にございます、(1)情報提供、(2)動機づけの支援、(3)積極的な支援、こういうふう なものを考えておりますし、(4)といたしまして効果の評価ということで、この最終的な サービス終了後の評価というものがすごく大事な視点だというふうに考えております。  5ページでは、今説明をさせていただきましたものをイメージ図としてまとめさせて いただいたものでございます。  それから6ページでございますが、これは現在行われております老人保健法ですとか、 安衛法ですとか政府管掌健康保険等で行われております健診項目の一覧、これは参考で ございます。  7ページでございますが、「医療制度構造改革試案」これは10月19日に厚生労働省と してまとめたものでございますが、この中にも予防重視ということで、生活習慣病予防 のための本格的な取り組みということが明記されています。  8ページのところに具体的に書いてございますが、8ページのちょうど真ん中のとこ ろでございますが、(1)計画の策定のところの、ちょっと小さい字でございますが、平成 27年度における医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標、これは全国目標という ことでございますが、その中に、糖尿病等の患者・予備群の減少率、平成20年、2008 年と比べて25%減少させるということがこの中にうたわれております。  また、下の(2)といたしまして、医療保険者による保健事業の本格実施ということで、 40歳以上の被保険者及び被扶養者を対象とする、糖尿病等の予防に着目した健診及び保 健指導の事業を計画的に行うことを義務づける、あわせて、実施結果に関するデータ管 理を義務づける、ということがここに明記をされております。  それから次の9ページでございますが、これは12月1日の「医療制度改革大綱」でご ざいます。ここにも予防重視ということで、国民運動の展開ですとか生活習慣病予防の ための取り組み体制ということが明記をされています。  10ページのところに、具体的に生活習慣病対策といたしまして糖尿病等の患者予備群 の減少率につきまして政策目標を全国標準を定めるということですとか、都道府県はそ の適正化計画において、全国標準に基づき当該都道府県における糖尿病等の患者・予備 群の減少に関する政策目標を定めるということがここに定められております。  11ページ以降は、「IT新改革戦略会議」の関係でございますが、これにつきまして は省内の担当であります政策統括官社会保障担当参事官室から担当者がまいっておりま すので、説明をさせていただきたいと思います。  事務局(政策統括官社会保障担当参事官室) マイクがございませんがこのままで失 礼させていただきます。「IT新改革戦略」に関しまして、これまでの経緯について簡単 に御説明させていただきます。  平成13年1月ですけれどもIT基本法が制定され施行されております。それに基づき まして現在の形の「IT戦略本部」が設置されておりまして、第1回会合におきまして 平成13年から平成17年までのIT国家戦略としてe-Japan戦略が策定されたところで ございます。それが平成18年にかわるに当たりまして期限が切れるということで、今般 新たに「IT新改革戦略」というものをことし1月に策定したところでございます。  「IT新改革戦略」の中に記載されております厚生労働省関係の主な事項としまして は、主に4つありまして、下の四角のところになりますけれども、レセプトのオンライ ン化ということで、オンラインでのレセプト提出及び受領を2006年度より開始するとい うことを挙げております。  2点目としまして、先ほども御説明がありました、個人が生涯を通じて健康情報を活 用できる基盤づくりということが記載されております。  3点目としまして、医療・介護・年金等の公共分野においてICカードの導入につい て検討するということが書かれております。  4点目としまして、情報化推進体制の整備と情報化のグランドデザインの策定という ことが検討課題として挙げられているところでございます。  以上でございます。  久道座長 どうもありがとうございました。ただいま説明がありました中で何か皆さ んから御質問や御意見ございませんでしょうか。  よろしいでしょうか。それでは2番目の議題に入りたいと思います。メタボリックシ ンドロームに着目した健診・保健指導の基本的な考え方について事務局から説明してい ただきます。お願いします。  矢島生活習慣病対策室長 それでは資料4、資料5に基づきまして説明をさせていた だきます。  資料4をお開きをいただきたいと思います。まず今回のこのメタボリックシンドロー ム、内臓脂肪症候群の予防のための健診・保健指導の基本的な考え方について御説明を させていただきます。  これからの健診・保健指導につきましては、下から右のところの枠の下から2番目の ところに、「糖尿病等の患者・予備群の25%減少(アウトカム評価)」ということが書か れてございます。これは先ほど御説明をさせていただきました、今回の医療制度改革の 中でここのところが一番の大事なポイントになっております。  従来はここにありますように、実施回数ですとか参加人数といったようなアウトプッ ト評価でございましたけれども、これからの健診・保健指導というものは、糖尿病等の 患者予備群の25%減少、これを評価軸にする、これを評価できるような仕組みにすると いうのが大きな流れになっています。  そういうことを考えまして、一番上のところからでございますが、これまでの健診・ 保健指導ということになりますと、健診と保健指導の関係でございますと例えば保健指 導は健診に付加した保健指導、要するに例えば健診の結果等を事後指導するような形で 保健指導が行われていた健診に付加するような保健指導という考え方でございましたが、 今回はこのメタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群を予防することが大事になりま すので、そういう意味では予防のための保健指導を必要とする対象者を抽出する、これ がすごく健診の中で、例えば健診でどういう健診項目を定めるかというときにも重要な キーポイントになってきます。このメタボリックシンドローム予防のための保健指導を 必要とするものを抽出するための健診という考え方がこれからの重要なポイントですし、 それから、特徴といたしましては、今まではプロセス重視の保健指導であったわけです が、結果を出すような保健指導という形になります。  それから個別疾患、がんの検診などは従来どおり早期発見、早期治療これは大事なの ですが、今回のこのメタボリックシンドロームにつきましては、早期に発見して早期に 介入し行動変容を促すということが大事なことになります。内臓脂肪型肥満に着目した 保健指導が重要になりますので、そういう意味でリスクの重複がある対象者に対して医 師、保健師、管理栄養士等が早期に介入し、行動変容につながる保健指導を行うという ことになりますので、ここのところが従来の考え方と変わってくるというふうになりま す。  それから、内容でございますが、保健指導ということにつきましては健診結果の伝達 ですとか理想的な生活習慣に係る一般的な情報を提供させていただいていたということ が、多かったのではないだろうかと思っています。今回は自己選択と行動変容を促して いただくことが大事だと考えています。対象者の方が代謝等の身体のメカニズムと生活 習慣との関係を理解していただいて、生活習慣の改善をみずからが選択していただいて、 みずからが行動変容につなげていただくような、そういうふうなことが大事になります。 そのためには、やはり対象者の方の協力も必要だということで、みずからが選択できる ことも必要だというふうに思っていますし、着実に行動変容につなげていくということ が大事になってくるというふうに思っています。  それから、保健指導の対象者でございますが、今まではどちらかと申しますと健診結 果で「要指導」という形で指摘をされ、それから健康教育等の保健事業に参加された方 が保健指導の対象ということで、かなりそういう意味では限られていた方々になるわけ ですが、今回は健診受診者全員に対しまして、必要度に応じ階層化された保健指導を提 供する。その中には、情報提供だけの場合もございますが、例えば動機づけの支援です とか積極的支援、これをリスクに基づく優先順位をつけまして保健指導の必要性に応じ て行っていくということになっていくのではないだろうかと考えております。  方法といたしましては、従来は一時点、健診をした一時点の結果のみに基づく保健指 導であったり、それから画一的な保健指導であったりということが指摘をされておりま す。これからといたしましては、健診結果の経年変化及び将来予測を踏まえた保健指導 ですとか、データ分析等を通じて集団としての健康課題を設定し、目標に沿った保健指 導を計画的に実施するとか、個々人の健診結果を読み解くとともにライフスタイルを考 慮した保健指導、こういうふうなものが大事になってくるのではないだろうかというふ うに考えております。これが一応私どもの案でございますが、この辺のところにつきま してもいろいろと御意見をいただければというふうに思っております。  それから、実施主体でございますが、これは主に老人保健を念頭に置いているもので すから、実施主体としては現在は市町村でございますが、これからは医療保険者にお願 いをするということを考えております。  資料5でございます。これが先ほどから御説明をさせていただいておりますメタボリ ックシンドローム、内臓脂肪症候群予防のための標準的な健診・保健指導プログラムの イメージでございます。あくまでも案でございますので、今後それぞれ健診分科会、保 健指導分科会でいろいろと御議論いただかなければいけないかというふうに思っており ますが、まずここにありますような形で、評価ということを考えまして計画の策定から 健診、それから健診した後の保健指導対象者の選定・階層化、保健指導をして評価をす るという大きな流れがまず左のところに書かせていただいています。  まず、計画を策定するためにはデータ分析が大事だということで、集団としての健康 実体状況の把握でありますとか、ここに書いてございますようないろいろなリスクの重 複状況ですとか、そういうふうなもののデータ分析が必要だと思っています。  そういうふうなものを踏まえて健診・保健指導の計画が立案され、健診、これは問診 も含みますがここで健診が実施される。その結果に基づきましてリスクですとか生活習 慣上の課題の有無ですとかそういうふうなものを踏まえて、基本的にはすべての方に情 報提供をさせていただきますが、その健診結果、問診等を踏まえまして動機付けの支援 ですとか積極的な支援、ここもこれから御議論があるところではございますが、例えば 私どもがイメージをしておりますのは、動機づけの支援というのは大体リスクが出始め た段階、要するにリスクがまだ少ない段階でございます。数が少ない段階、要するにリ スクが出始めた段階を念頭に置きまして、原則年一回の支援でどうだろうかということ でございます。あくまでも動機づけが大事でございまして、ちゃんと動機づけをした後 その結果については次の年の健診等でフォローアップするようなイメージになるかと思 いますが、これはあくまでも案でございます。ここにございますように、健診結果から 身体状況を理解し、生活習慣との関連が認識できるための内容ですとか、健康的な生活 習慣への行動変容の必要性を理解するための内容ですとか、ここに書いていますような ことを行う。  それから、次の積極的支援。これは保健指導の中身的には動機づけ支援と同じような 中身になるのではないかと思いますが、違うところは支援の継続の期間が違う。ここに ございますように、これはあくまでも案でございますが、3から6カ月程度の支援期間 というものを念頭に置いて継続的に、動機づけ支援と違うのは継続的に実践ができるよ うな、そういうふうな内容にしていくというものが違うのではないだろうかというふう に考えています。  こういうふうなものを実際に実施した後、対象者ごとに評価を行い、ここにございま すような評価に基づいてまた次の計画になっていくというふうなイメージを考えていま す。これはあくまでもたたき台でございますので、これにつきましてもいろいろと御意 見等をいただければありがたいというふうに思っております。  以上でございます。  久道座長 はい、どうもありがとうございます。2番目の議題についての説明がござ いました。皆さんから御意見、質問でも結構です。御意見をいただきたいと思います。 時間はまだ1時間以上ございますので、どうかいろいろな御意見を出していただければ と思います。   私の方から、せっかく専門構成員としてメタボリックシンドロームの専門の先生方が いらっしゃっておりますので、このメタボリックシンドロームについての概念とか、あ るいはそれにあわせた保健指導のプログラムの案というのが出されました。  例えば欧米諸国ではこういった概念がどういうふうな形で普及されているのか、ある いは定義の違いなどが多分あるのだろうと思いますが、そのあたりを例えば門脇先生と か松澤先生いかがでしょうか。門脇先生ひとつお願いします。  門脇専門構成員 東京大学糖尿病・代謝内科の門脇でございます。今日出されたメタ ボリックシンドローム内臓脂肪症候群予防のための健診・保健指導の基本的な考え方と いうものは非常によく考え抜かれたプランではないかなというふうに思って聞いており ました。  現在糖尿病は患者740万人、予備群880万人、1620万人存在いたしまして、過去50 年間に糖尿病の患者数は31.5倍にも伸びている。今なおその増加にストップがかからな い状況であります。それが失明や人工透析のみならず、心血管病の最大の要因ではない かというふうに私ども考えております。  このような糖尿病をいかに予防していくか、あるいは心血管病をいかに予防していく かという位置づけにおきまして、メタボリックシンドロームという概念、糖尿病がまだ 軽いうちから、そして高血圧や高脂血症も軽いうちから、内臓脂肪など生活習慣という ものが不健康なためにそういうものが起ってくる早い時期からそれに介入することによ って未然に糖尿病や心血管病を予防しようという概念はまことに妥当でありまして、こ れは欧米でも同じような考え方ではないかと思います。  ただ、一つ議論があると思いますのは、メタボリックシンドロームの基準につきまし て、現在の米国で使われている基準、またヨーロッパで使われている基準、あるいは国 際的にWHOあるいはインターナショナルダイアベーツフェデレーション、国際糖尿病 連合で使われている基準等に幾つかの違いがあります。その第一は、ウエスト周囲径や 腹囲の違いでありまして、例えば米国の基準では男性102センチ、女性94センチであり ますが、例えば国際糖尿病連合の場合には、男性90センチ、女性80センチということ を、これは南アジアあるいは中国に対してそのような基準を適用しています。また、ヨ ーロッパ人に対しては男性94、女性80という基準を適用しています。我が国の基準は 男性が85で女性が90ということで、国際的な基準に比べて男女が逆転をしているとい う特徴があります。私どものさまざまな調査あるいは京都大学の中尾教授らの調査によ りますと、女性のウエスト周囲径は90という基準では、リスクファクター重積者の多く のものを見逃してしまうということになります。  したがって、メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群というコンセプトは非常に 大事なコンセプトですが、もう少し早い時期からのいわば内臓脂肪症候群、メタボリッ クシンドロームの予備群というものを設定してその時期から介入するという、そのよう な考え方が今回打ち出されていると思いますけれども、まことに適切ではないかという ふうに思っています。その場合の腹囲の基準としてはウエスト周経90ではなくて、75 あるいは80といったところからできるだけ重くならないうちから介入するべきではな いかというふうに思います。  それからもう一つの欧米との違いは、我が国のメタボリックシンドロームの基準は空 腹時血糖値が110以上となっています。その他の欧米あるいは国際的な基準はすべて空 腹時血糖値が100以上というふうに、10低いところからフォローするということになっ ています。最近の糖尿病学会での検討によりますと、空腹時血糖値110はブドウ糖負荷 試験をしますと2時間血糖値が200ということに相当いたしまして、糖尿病になるかな らないかというところから拾うと。これはもう少し早い時期から糖尿病にならないよう に拾うということから見ると、少し高過ぎるのではないかということで見解が一致して います。  具体的には、ブドウ糖負荷試験をしたときの2時間値が140以上、耐糖能異常という ふうに我が国でも国際的にも認めており、そこから将来の糖尿病の発症率及び心血管病 の発症率が有意に高まるということがわかっていますので、ブドウ糖負荷試験2時間値 140に相当する空腹時血糖値を糖尿病学会で求めてみました。何万人もの疫学的な検討 から求められた数字は、空腹時血糖値が2つのコホートで行いましたが、98あるいは99 から拾い上げるべきである、すなわちそこが2時間血糖値の140、国際的にも我が国で も心血管病、糖尿病の頻度が将来の発症が高まってくる時期に相当するということで、 その数字をまとめるとやはり空腹時血糖値100ぐらいからメタボリックシンドロームの 予備群として拾い上げていく必要があるのではないかというふうに思っています。  最後に一言だけ、これまでのメタボリックシンドロームの基準とそれから予備群とい う考え方ですが、メタボリックシンドロームの予備群はまさにここに書いてありますよ うに、できるだけ少しリスクが出始めた時期から生活習慣介入を行うことによって、メ タボリックシンドロームという糖尿病や心血管病の直前の段階にいくのをできるだけ早 く、そこまでいかないうちに措置をするというコンセプトから見ると、予備群という考 え方を導入するという今回の考え方については私は大賛成であります。  少し長くなりましたが、以上でございます。  久道座長 どうもありがとうございました。事前にお願いしていなかったのに、大変 詳しく解説していただきました。松澤先生何か。  松澤専門構成員 この参考資料7にある程度出ていると思うのですが、このメタボリ ックシンドロームという概念というのは、少し簡単にお話ししますと、今まで心血管病 の予防医学というのはほとんどLDLコレステロールをターゲットとしてきましてコレ ステロールの低下剤の開発とかそういうことで一応の治療医学が確立しつつあるわけで すけれども、一方ではコレステロールだけ低下させてもなかなか心筋梗塞、脳梗塞は防 げない部分がかなりあると。特に日本なんかは必ずしもコレステロールだけでは心筋梗 塞の発生が論じられないわけで、そういう中から、今から20数年前にビヨンドコレステ ロール、コレステロールが高くない人でも心筋梗塞、脳梗塞になるバックグラウンドと して、糖代謝異常それから脂質としても必ずしもコレステロールではなくて中性脂肪が 高い、HDLコレステロールが低い、それから高血圧と、そういうものが一人の人に重 なっている重複した人から血管病が非常に多いということがわかって、いわゆる「マル チプルリスクファクター症候群」という名前で呼ばれてきた、あるいは「シンドローム X」と呼ばれたこともありますが、そういう病態を徐々に重要視してきたわけでありま して、これはようやくこれが一時期は一部の糖尿病学者あるいは高血圧の学者の中でし かそういう概念がなかったのですが、1990年代の終わりごろからそれらが一つの疾患概 念として統一しようということで、いわゆる「シンドロームX」と言っていた前に「メ タボリック」をつけて、「メタボリックシンドロームX」と呼ぼうと。  それまでは「シンドロームX」というのは狭心症はあるけど血管は悪くない状態を呼 んでいたのですが「それとまぎらわしいので「メタボリックシンドロームX」と言って いましたが数年前から、それを一応「メタボリックシンドローム」として統一しようと いうことでこの名前ができたということでありまして、必ずしも「代謝症候群」と訳せ ないところはそういうことのところのバックグラウンドがありますので、そういうこと でこの疾患の病態についていろいろと検討がされたわけですが、これは実はもともと肥 満特に腹部肥満に基づくものであることが確認されたのです。他にも偶然重なっている 病態も当然あるのですけれども、偶然重なることは合併症としてあるけれども、それを 一つの症候群とするためにはキープレイヤーが存在するということで、その上流に肥満、 肥満でも欧米のような非常に高度なオベシティだけで論じていると、こういう疾患の意 味はなくなってしまう。そこで彼らもようやく肥満というのはもう質の問題だというこ とでウエストというのを採用して、おなかの腹部の肥満が悪いのだということを提示さ れたわけです。  日本ではずっと以前からCTスキャンを使って、いわゆる腹部といっても内臓脂肪と いう腸間膜の脂肪が非常に悪いということがずっと研究が進められておりまして、日本 にはCTスキャンをベースとした内臓脂肪と病気との関連というのが非常にはっきりと 出ていまして、欧米だとそれらと同じようなことがだんだんと理解されるようになって、 やはり内臓脂肪蓄積をベースとした、それを必須としていろいろ起っている病態をメタ ボリックシンドロームにしようと。  今回そういう中で、それをもう少し内容をあらわして「内臓脂肪症候群」とされたの が非常にわかりやすいということであります。一方、先ほどお話があったウエスト基準 を何cmにするかなどの論議は、マイナーなことでありまして、要するに内臓脂肪とウエ ストというのは、特に女性は非常に相関が弱いので、内臓脂肪を基準としてある程度の データに基づいて、基準を作る必要があって、既存の厚生省の研究、肥満学会の内臓脂 肪の基準に基づいて決めたものです。これはだから今回診断基準ができた後で、長期的 に非常に多数のデータをもとにもう一度見直してもいいと思うのですが、少なくとも内 臓脂肪というものをゴールデンスタンダードにする日本は、それができる可能性がある。 今までもCTスキャンのデータは日本では蓄積されており、今後内臓脂肪は直接簡単に はかるような機械が開発されつつありますので、そういうことが次の視野で、実際には 内臓脂肪が簡単にどの施設でもはかれるように、フィールドでもできるようになったら それが基準になると、そういうふうに思っております。  だから、そういうところで、今回内臓脂肪を減らすことを重要視した一つの予防医学 というものは極めて効率がいいと、一網打尽にできる。しかも、心筋梗塞、脳梗塞の予 防という最終のアウトカムも確実に得られるだろう、そういうふうに思っております。  だから、どこで切るかというのは、これはコレステロールをどこで管理するかという ことと同じようなことでありまして、必ずしもそれは長期的に考えていく必要があると。 少なくとも今の疾患概念としての診断基準はこの前各学会の提案に基づいてつくったわ けで、110というのも糖尿病学会からの提案でありまして、これは100にしても110に しても、これはまた予備群に関しては100にするとかいうようなことはまた決めていた だいていいと、そういうふうに思っております。  久道座長 はい、どうもありがとうございます。委員の方、どなたか質問ございます か。はいどうぞ。  津下構成員 追加的な発言をさせていただきます。あいち健康の森健康科学総合セン ターの津下と申します。  内臓脂肪症候群の概念を取り入れられまして、実際に健診、保健指導の現場で変わっ た、こんなところが変わったという話をさせていただきます。  一つは、BMIを基準にしていましたころは、BMI25以上が肥満で25未満ですと 非肥満ということだったのですが、日本人の場合は糖尿病の方も25未満でもかなりリス クが重なっている方がいる。実際に腹囲をはかってみると85センチ以上ありまして、今 まではその方たちは、肥満じゃないけれど疾患が重なっているというふうに見ていたの ですが、腹囲をはかることによって、やはりこれはBMIでは判定ができないけれども 内臓脂肪を減らさなければいけない対象者であるということが明確にわかるようになっ たということで、そういう点が一つあります。  ですから、昨年の国民健康・栄養調査の結果でも、BMIが25未満でも40代、50代 の男性は15%から20%見逃されているということがありましたので、対象者の確実な把 握につながるのではないかなというふうに思います。  それから逆に、今までは内臓脂肪蓄積のない、例えば遺伝的な背景を持つ高脂血症や、 糖尿病のインシュリンの分泌の悪い方も同じように糖尿病として保健指導をし、肥満の 有無にかかわらず対象者を選定していたと思うのですが、内臓脂肪の考え方では原因を 考えるという視点に立ちますので、そういう遺伝的な背景のものや、別の機序の糖尿病 に関しては薬物治療をより早い段階で考慮するなどの保健指導ではない手段を考えるこ とがより効果的だということになります。このようにより効果的に保健指導を実施する、 生活習慣改善支援をする考え方ができたと、原因がはっきり見えてきたということで現 場としては非常に取り組みやすい考え方ではないかなというふうに思っております。以 上です。  久道座長 はい、どうもありがとうございます。ほかにございませんか。どうぞ。  中山構成員 京都大学健康情報学の中山と申します。すばらしいビジョンが示されて 大変感銘を受けております。  質問なのですけれども、この仕組み自体が直接カバーする国民の割合はどれくらいで しょうか。と申しますのは受診率、今の基本健康診査の受診率の問題が常に無視できな いところかと思いますし、もう一点は人間ドックのように、それぞれの個人の裁量に任 せられているものが今ふえてきているのではないかと思うのです。  先ほど受診を義務づけるというような記述もどこかにありましたけれども、そのとき に実際にどんなインセンティブを持って受診していただくか、何か今の時点で見通しが ありましたら教えていただければと思います。  久道座長 はい、どうぞお願いします。  中島参事官 参事官の中島でございます。受診を義務づけるというか、被保険者の方 に受診をする義務を課すということではなくて、医療保険者に40歳から74歳までの被 保険者御本人、それからサラリーマン保険の場合には被扶養者についてきちんと計画を 立てて、健診・保健指導を実施してくださいよということを法律上書くということです。  それで、現在の老人保健法に基づく老人保健事業は市町村がやっていただいておりま すが、今先生御指摘のように必ずしも対象者の把握が容易ではないものですから、サラ リーマンの奥さんそれから自営業者の方を中心になかなか受診率が上がっていないとい う現状がありましたので、医療保険者に担っていただくことによって確実に対象者を把 握できる。それから、確実に保健指導にもつなげることができる。そしてある意味で中 長期的には医療費適正化といったことにもつながっていくだろうということでありまし て、そういう観点からは40歳から74歳の方々に対しては医療保険者の責任でしっかり 健診・保健指導をやっていただくということで今度の制度改革、国会の方でお認めいた だければそうなるということでございます。  矢島生活習慣病対策室長 人間ドックの話が出ましたので、従来の老人保健事業です とそのところが把握できなかったのですが、今回、参事官から御説明をさせていただき ましたように、医療保険者がデータを把握することになりますので、人間ドックは医療 保険者の方でやっていることが多いものですから、そこのところは漏れなくデータが把 握することができるようになるのではないかというふうに考えております。  中山構成員 はい、どうもありがとうございます。  久道座長 今医療保険者に関連した義務づけるという文言が出てきたのですが、医療 保険者の代表として出ておられる専門構成員の椎名委員なり田中委員なり、何か御意見 ありませんか。はいどうぞ。  椎名専門構成員 幾つか教えていただきたいのですけれども、スケジュールに関係す るようなことも含めてよろしいでしょうか。  先ほどの御説明ですと、この検討会で暫定版を策定して、それでもう18年度からは走 ると。全国数カ所の都道府県でその暫定版をもとにして実際走ると、そのようなスケジ ュールになっているようですけれども、具体的に準備事業と称するものですね、イメー ジ、例えば実施主体とか、あと保険者としてどういうふうなかかわり方をするのか、そ の辺についてまず教えていただきたいと思います。  久道座長 はい、どうぞ。  矢島生活習慣病対策室長 資料1の3ページのところをお開きいただきたいと思いま す。  先ほど簡単に説明をさせていただいたものですから、特に医療保険者のところが御関 心が高いかと思います。  まず厚生労働省の役割と都道府県の役割を書かせていただいていますが、ここのとこ ろにつきましては実際に幾つかの都道府県からも予算を出したときにお問い合わせいた だいております。  具体的には実際にやっていただきます都道府県ともよく相談をしなければいけないと いうふうに思っていますし、実際にどういうふうになるかということはまだ今の段階で は申し上げることはできないのですが、イメージといたしましてはやはり都道府県の中 で、例えば健康保険組合で御参加いただけるところですとか、国保の関係で御参加いた だけるところですとか、そういうところに実際に幾つか、すべてというわけではなくて 幾つかのところに、ある一定期間を定めて、実際にここにあります今回おつくりいただ きます健診・保健指導のプログラム暫定版に沿って実際に試しに準備の事業をしていた だく中で、その中でいろいろな問題点ですとか改善すべき点ですとか、そういうものを そこから抽出していきたいというふうに考えていることで、具体的なやり方だとかとい うのはこれから詰めさせていただければと思っているところでございます。  椎名専門構成員 ありがとうございます。そういう中で最近でしょうか、全都道府県 に設置されたやに聞いております保険者協議会、これとのかかわり合いは準備事業に関 してどんなふうに考えていいのか、その辺を教えていただきたいのですが。  大島保険システム高度化推進室長 保険局企画官の大島と申します。この事業はまさ に都道府県で、どういうやり方でやればうまくいくのかを探るための事業になりますの で、試行錯誤しながら出てきた当初の案に対して、それぞれの立場の異なる保険者がど う見るかという形にしたいと思っております。そういう意味で、幾つかの県で手が挙が れば、その県の中で健康保険組合あるいは国保、あるいは共済あるいは政官、それぞれ にお声かけをして、うまく条件が合えばそれぞれの保険者ごとの立場から事業をやって もらいたいと思っています。  ただ、その情報は皆で共有する必要があると思っていますので、例えば今こういう感 じになっている、あるいはこういうところに問題が出始めているということを随時意見 交換するために、一つの活用の場としては保険者協議会を使いまして、そこでお互いの 情報交換をできないかなと思っています。  それと、もう一つは、ここの3ページの資料の左下の(3)ですけれども、「他保険者サー ビス利用」と書いてございますけれども、今回健診を実際にやる場合には、それぞれの 医療保険者が自前で全部やるというよりは、お互いの保険者に相互に委託し合うという か、院外利用のような形を認め合う方法を考えなければならないと思っております。特 に、被用者保険で被扶養者の方につきましては、住所地が組合があるところとは遠く離 れた市町村にあるという場合もありますので、そういった場合には市町村国保に健診な り保健指導の実施をかわりに委託してやってもらうという場面を考えなければならない と思っておりますので、そういう意味での実務的な保険者間の協力体制を組む必要も非 常に重要なポイントではないかと思っておりますので、そういうための意見交換の場と しても保険者協議会をひとつ活用できないかなと思っております。  ただ、いずれにしても、この事業自体どうやって組むか、具体的なところはまだこれ から詰めないといけないと思っておりますので、いろいろ御相談に乗っていただいてア ドバイスいただければありがたいと思っております。  椎名専門構成員 大分イメージがはっきりしてきました。どうもありがとうございま した。  保険者協議会が設置されて、さあこれから具体的に何を検討するかと、それが実際な かなか見つからないのが現状という声をいっぱい聞いております。  そういう中で、やはりこれは保険者への健診の義務化あるいは保健指導の義務化とい う中で、ぜひ保険者協議会を積極的に活用していくべきと思いますし、18年度に全国数 カ所という話ですけれども、さらにその成果をその数カ所以外の保険者協議会にも伝え ていただきまして、19年度には全都道府県で実施ですけれども、エンジンをアイドリン グするようなことをぜひ考えていく必要があるし、その辺も行政の方もぜひ一緒になっ て考えていただきたいと思います。ありがとうございました。  久道座長 はい。どうもありがとうございます。田中委員何かありましたら。  田中専門構成員 国保中央会の田中ですが、きょうは初会合の感想というかそれだけ 申し上げさせていただきたいのですが、ありがたいことだと思っております。国保の被 保険者の健康の問題についてここまで細かく御検討いただいているわけでございまして、 具体的な方法論までかなり示していただいているわけでございますけれども、本当に恐 れ入っております。  あと、私たちそれじゃ何をしたらいいかと思うぐらいちゃんとしたものを出していた だいておりますけれども、ただ、御指示、御指摘があったなかで、その中でただ一つだ け私ども気になっているところがございまして、どうやったら皆さん方といいますか政 府がお考えになっているとおり市町村で実施できるのかというところが一番頭が痛いと ころであります。読めば読むほど現在の市町村の国保体制でどこまでできるのか、全く 自信がありません。  これだけきめ細かい対応をやるのにどれだけの人とどれだけの金が要るのか。ここら あたりについての早急な財政対策と人的な整備対策というものをしっかり考えていただ かないと、とてもとても医療保険者に落とされても対応できないのではないかというの がひとつ気になるわけであります。ぜひ早急に皆さんでそういった財政対策、人的整備 対策も含めていい知恵を出していただけたら非常にありがたいと思っています。  それと、これからの検討だと思いますけれども、いろいろな考え方が示されています けれども、一般衛生でやったらこういうやり方でということが示されているのかもしれ ませんけれども、実施するのは医療保険者であります。医療保険者が実施する場合には 医療保険者なりの手法とか、視点がやはり大事かと思っております。そういった我々医 療保険者の考え方、現在やっている保健活動の体制、そういったことを十分踏まえて、 我々なりに医療保険者としてやっていかなければいけないのではないかと思っておるわ けでございます。  また、椎名さんのところも頭が痛い問題もたくさんあるかと思いますけれども、個別 的に私が非常に難しいなと思っておりますことの一つは、被用者保険の被扶養者という ものを国民健康保険で対応するような話が漏れ伝わってきておりますけれども、国民健 康保険被保険者の対応ですら現在体制の中でできるかどうかということに極めて懸念が あるわけでございまして、市町村国保にいわんや、被用者保険の被扶養者の面倒見てく れと言われたときに、果たしてどう対応できるかということが極めて大きな問題です。  その点について、実務的な話をしますと、被扶養者の移動それから資格得喪、こうい った問題を市町村単位に、これだけの資格異動等を正確に把握していくということがど れだけのことなのかということを考えたときに、非常に前途厳しいものもあります。  そういった点は、システムの作り方次第では出来るかもしれないが、我々医療保険経 済行為であります。やはり収支バランスをとっていくのが我々の責任でありますので、 そういったところが少し頭をよぎっておりまして、ぜひ皆様方に保険者がやるというこ とであれば保険者が対応できるいい知恵をお借りしたいと思っております。ひとつよろ しくお願いいたします。  久道座長 今の件何か御意見。どうぞ。  大島保険システム高度化推進室長 今田中審議役が御指摘いただいたことが、実はこ の実務上やっていく上で現場で回るかどうかという観点で一番重要なポイントではない かなと思っております。  そういう意味で、市町村の一般行政ヘルス部門の協力体制をどう組むのかという問題 ですとか、あるいは、資格得喪の問題につきましてはこれはもとの医療保険者の方で結 果の管理を含めて一貫してやっていくということにするべきかなと思っておりまして、 実際の健診とか保健指導のサービス提供部分だけを切り離して受けていただく。ではそ のためにどういうシステムをつくればいいかという今度はまたもう一つの問題が出てま いりますけれども、そういったことを今度の18年、19年の中でもシステムとあわせて 考えていく必要があると考えています。  久道座長 ほかに。はいどうぞ。  河原構成員 2点お伺いいたしますが、一つは医療計画が今見直しがされていると思 うのですが、医療計画の中で大きく疾病系と事業系に分かれていると思うのですが、疾 病系の中で主要な五疾患、糖尿病とか脳卒中も含めて主要な五疾患が重点的に取り組ま れる対象というふうになっていると思うのですが、こちらの方の今日の健診あるいは保 健指導の事業のエンドポイントと医療計画の方の主要な五疾患のエンドポイントという のは似てくると思うのですが、一つは医療計画とのかかわりですね。それともう一点は、 資料4で、これまでの保健指導とこれからのと、そのうちの一番下の実施主体が市町村 になっていますが、これからの保健指導が医療保険者と。これは市町村に限定した場合 に、これは従来の保健予防担当課から国保とかそういうところに移行するのかどうか、 そのあたりをお願いします。  中島参事官 まず一点目でございますが、医療計画についてはまさに医療機関の連携 ということを主眼に医政局を中心に都道府県の方で見直しをお願いしたいということで ございます。そういう観点で、ある意味では県がこれにつきましても策定主体である。  一方、こうしたメタボリックシンドロームの健診・保健指導を医療保険者に担ってい ただきますが、それ以外のポピュレーションアプローチの問題、がん検診の問題を含め まして、都道府県健康増進計画ということでトータルをグリップしていただくというこ とになっております。この策定主体も当然都道府県ということでございますので、今後 国レベルでも健康増進計画、医療計画そして医療費適正化計画、さらには介護保険事業 支援計画といったものについて関係局がきちんと連携をして参酌標準その他策定手順を 詰めていく必要があるだろうし、それからそれぞれの計画を具体的につくっていただく という点においては、都道府県においてしっかりグリップをしていただくことで内容面 での連携をしっかり図っていただくということが重要になってくる。きょうの御指摘を 踏まえて、改めてそういう方向でやっていかなければならないと思っています。  それから、2点目でございますが、この資料の4にございますような形で、これはメ タボリックシンドローム予防についての健診・保健指導の部分でございます。したがい まして、それ以外の健診につきましては従来通り市町村の方にお願いをするということ になってございますので、引き続き市町村にお願いしていく。従来の一般健診の中のメ タボの部分の40〜74歳を医療保険者に今度お願いするという形で御理解いただければ と思っています。  矢島生活習慣病対策室長 ちょっと追加させていただきます。先ほど医療計画の話が 出たのですが、先ほど参事官から説明をさせていただきましたように、県では医療計画 と健康増進計画と介護保険事業支援計画と、それから今度新たに医療費適正化計画をつ くることになるのですが、それは県の中でばらばらにつくるということになると大変問 題があるということで、私どもはその計画4つをきちんろ統括するような組織をぜひ都 道府県の中につくっていただいて、その担当の職員の方を私どもは研修をする体制を用 意させていただきますということで、来年度これまた予定ではございますが、来年度の 夏ぐらいに1カ月程度の期間で、保健医療科学院で各都道府県の計画の担当者、それぞ れの整合性ができるように、そういうことの担当の方を、都道府県レベルではきちんと 整合性がとれたようなものになれるように、支援をさせていただければというふうに考 えています。  久道座長 はい、小山委員。  小山構成員 熊本の赤十字で健康管理事業を30年ばかりやってきた小山でございま す。  これからいろいろと話を進めていかれるということでしょうから、おいおいそこで話 が出てくるだろうと考えております。基本的にはこのメタボリックシンドロームを中心 とした考え方には大賛成ですしぜひこれを実現したいと思いますが、ただ先ほど局長の 最初のごあいさつにもありましたように、健康日本21も、決してかけ声だけはなくて本 気でやられたのだろうと思うのですが、必ずしもそれがうまくいかなかったようだとお っしゃったのを聞きますと、今度はかけ声で終わらないようにしないといけないなとい う思いがございます。それにはやはり一番大事なのは人と金だとおっしゃったけれども、 まさにそうではないかと思っております。ドクターもそうですが、保健師、栄養士など、 このメタボリックシンドロームを全国的に掘り起こした場合に相当の人間がいるのでは ないかというのが一つ心配です。ドクターにしろ、そういう予防医学的な理念を持った ドクターがどれくらい今育っているのかということを思うと、非常にさびしい感じがし ております。  それから、結局は今大きな会社、大きな企業にはもちろん産業医もいるでしょうし、 当然保健師さんもいますけれども、地方に行きますとほとんどそういう産業医も保健師 もいない企業ばかりでございます。そういうところは結局は、先ほどのお話もちょっと 出ましたけれども、国保の、つまり市町村の保健師さんが参画するというのも一つの手 だし、私はどうしても全国に、先ほど人間ドックの話も出ましたけれども、人間ドック が施設として約1000近くあります。ここはとにかくそういう健診、健康増進を専門にや ろうとしているところですから、この人たちをもっと活用していただきたいと思います。 しかし、それらの施設の中には、健診はやっていても保健指導をほとんどやっていない ところもあり、施設によって非常にバラバラですので、今施設の機能評価を始めたてお り、保健指導をやらないところはどんどん改善していただくよう指導をしています。そ ういうような形でみずから厳しくやっていこうという方向に今あります。  そういうことを考えますと、ぜひ保健指導に力を出して欲しいと思いますが、ではだ れがするのか。そのお金はだれがどこから出すのか。保険者が出してくれるのでしょう か。それが私は心配です。どうも医療費を出すのに手いっぱいでこちらまで出せないよ とおっしゃるのが本音じゃないかなという気がしないでもありません。  ただ、私は、もう一つは、先ほどの医療計画の話も出ましたけれども、私たちは健診 機関で健診をやった後フォローがなかなかできません。が、その受けた人たちはやはり かかりつけの医者を持っているわけです。そのかかりつけの医者に行ったときに、「あな たは少し肥満もあるし糖もあるじゃないの。ちゃんと栄養指導を受けなさいよ」と一言 言っていただくだけで随分違ってくると思っております。そういう連携を、これはぜひ 日本医師会あたりにも声をかけてもらって共同でやっていこうという方向をしていきた いなと、実は私は思っているのですがいかがでしょうか。  そういう意味では、そこでは開業の先生方は実際には栄養士や保健師を抱えていませ んから、そういうときに別個に、例えば日本栄養士会やあるいは保健師会あたりがそう いう人材を養成して派遣していくというやり方も一つかなと。これはこれから御提案さ れるのでしょうけれども、ぜひお願いしたいということでございます。  久道座長 今の関連ですか。はい。  押野構成員 日本栄養士会ですけれども、今の先生の人とお金と質というのはごもっ ともだというふうに思います。  日本栄養士会では、このメタボリックシンドロームの予防に対するあり方、この方向 性については全面的に協力をしていきたい。そして、そのために日本栄養士会が全面的 に研修を進めて質を担保して、そしてやっていきたい。そして、それに当たって保健師 と日本看護協会とも十分な連携をとって、質の確保に努めていきたいというふうに現在 考えております。以上です。  久道座長 土屋委員、多分そちらに行くと思ったのでよろしくお願いします。  土屋構成員 この資料の1の「厚生労働省」という欄に、「保健指導の委託基準の策定」 とか、一番下の「医療保険者」のところ、〈関係する補助事業等の活用〉の中で「アウト ソーシング」という言葉が使われています。  これはどうも、かつて厚生科学審議会の部会でも示された、民間事業者に委託すると いうことをイメージしているように思うのです。今いろいろな御意見が出まして、医療 関係者が一丸となってこれに取り組むということは大変必要なことだろうと思いますけ れども、勘違いをしないようにひとつ当局にお願いしておきたいのです。この保健指導 は医師法第1条と第23条にうたってあるとおりこれは私ども医師の任務・義務なのです。 保健指導について、相当意見交換した際に「お医者さんが保健指導なんかやってくれる のですか」と、こういう考えから実は発してアウトソーシングでもしようかと。私ども も、では完全にやってきたかというといささかじくじたるものがあるのですが、日本医 師会では新たに、医療保険に対して疾病予防保険の創設をこのたび新たにビジョンとし て打ち出しました。  また、健康スポーツ医も、積極的に健診・保健指導にかかわっていこうということに なってきております。栄養士会の皆さん、あるいは看護協会の皆さん等々と連携をしな がら、私どもも積極的に取り組んでいくつもりでありますので、余り私どもを当てにな さらないで外部委託するとか、だから民間事業者に出すのだというようなことを言わな いでいただきたい。今後マニュアルだとかガイドラインとか作成なさる際には、そこの ところだけはきちんと押さえておいていただくようにあわせてお願いしておきたいと思 います。  久道座長 はい、どうぞ。  中島参事官 土屋先生からも大いに御協力いただけることは大変ありがたい話だと思 っておりまして感謝申し上げます。  先生からは二度目の御指摘でございまして、厚生科学審議会の健康増進栄養部会でも、 このアウトソーシング先の対象をどのように考えているのかということでございますが、 これについてはその場でもお答えいたしましたとおり、医療機関は当然含まれるという ことでございますので、医療機関においても引き続き保健指導等の充実等に努めていた だくということで我々大変期待しているということでございます。  門脇専門構成員 御案内のように、糖尿病学会と日本医師会土屋先生を中心として、 それからあと日本糖尿病協会で既に昨年から糖尿病対策推進会議というものをやってい まして、その中では糖尿病の予防ということで保健指導といったことを第一のテーマに 掲げています。  それは、かかりつけ医と専門医それからコメディカルが連携してやろうということで、 既に全国で数十万人に対していろいろな糖尿病予防のための具体的なリーフレットを活 用した指導等を行っていますので、これはかかりつけそれからコメディカルが共同して という考え方で既に進んでいるのではないかなというふうに思います。  久道座長 はい、どうぞ。  漆崎構成員 日本看護協会の漆崎と申します。今回のこの生活習慣病予防につきまし て、保健師等に期待していただいているということはとても光栄なことだと思っており ますし、これから頑張ってまいりたいというふうに思っております。  ただし、それにつきまして幾つか心配なことが会員の中からもかなり出ておりまして、 その辺を少し考えていただければということで二、三申し上げたいことは、やはりこれ は今までどちらかというと老人保健事業等で保健指導をかなりしてきたのですけれども、 それがかなり評価としては余りされてこなかったということを考えますと、科学的根拠 に基づいた指導、それから体系的網羅的に全数していくのだということになりますと、 どうしても今いる人数でできるかどうかというのは非常に疑問がございます。  それと、健診等がかなり、今までは市町村の老人保健事業でやっておりましたが、保 険者等でかなり多岐にわたってまいりますので、そういう間との連携のあり方とか、そ ういうところできちんと連携がとれるだろうかという心配もございまして、そういう情 報の管理のあり方とか連携のあり方、その辺に対しても少し考慮していただきたいとい うことと、それからやはり今まで老人保健事業等で保健師がかなり、市町村の人員の削 減等がございまして、事務の方たちがかなり削減されてまいりました。保健師はどちら かというとまだ充当されてはいるのですけれども、事務のところまでかなりやるように ということで、事務と保健指導がせめぎ合っているという状態がございまして、その辺 も何とか事務と保健指導分野がうまくいくようにそういうところを少し考えていただい て、全体としてスムーズにできるような体制を考えていただければ、生活習慣病予防に 対する保健指導は十分一生懸命やっていきたいと考えておりますので、よろしくお願い したいと思います。以上です。  松澤専門構成員 よろしいですか。先生。  久道座長 はい、どうぞ。  松澤専門構成員 こういう栄養指導とかライフスタイルのモディフィケーション、そ れをやることが非常に効果があるというその背景がもしあるとしたら、まずそういう指 導を受けることが非常にメリットのある人を正確に選び出すということがまず最初です。 対象。要するにメリットのない人まで全部入れて、日本全員同じように指導してもなか なかアウトカムが出ない。それは先ほど津下先生がおっしゃったことです。  今回メタボリックシンドロームというのは、できるだけそういう、やってメリットの ある人を選びだそうと。しかもいいことに内臓脂肪というのは皮下脂肪に比べて非常に そういうものに反応しやすい。逆にふえるときは非常に速くたまりますし、指導して運 動したら非常に速く減りやすい。そういう意味で、今回そのためのそういう群を選び出 すのに非常に効率の良い診断基準をつくったということが意味があります。  だから、その中で最終アウトカム、それによって心筋梗塞、脳梗塞が減るという、そ ういうので男性がやはり非常に大きな対象になる。女性は更年期以降がもっとも大きな 対象になる。そういうことが基本なのですけれども、もう一つの効果が出る要素は、や はり指導体制をしっかりしておくことが一番大事、もうやはりそこに尽きると思うので す。  以前、僕も久道先生らと一緒に労働省の研究をやりまして、そのときにその結果で、 2001年から「死の四重奏」という概念を労働省がつくられた。これはメタボリックシン ドロームのかなり進んだ段階の「死の四重奏」全部そろっているやつで、そのときウエ ストはないのですが、BMI25以上で全部4つある人というのは、もうそのほとんどは ウエストが今の基準を超える人なのです。  だから、そういう人を対象にして労災の予防給付というのを、これは世界に先駆けて メタボリックシンドロームの予防医学が日本は既にスタートしているわけなのです。た だそれの余りうまく使われていない、非常にもったいないところがあるのですけれども、 ただそれを必死になって使っているところでは既に心筋梗塞、脳梗塞が減るというアウ トカムがちゃんと出ているわけなのです。だから、そういう意味で今回僕らが非常に期 待するのは、こういう中できちんとした症例を選び出すと、そういうことでしっかりし た体制をつくるというのは非常に大きなポイントだと思います。  それと、もう一つは栄養士などのきちんとそろった医療施設、これは200床以上でも そういうことを含めた医療施設がまずコアになって、開業医の方と連携するとかそうい うシステムをやはり構築することが非常にアウトカムが出やすいのではないか。そこら あたりも同時に考えていただければ、我々はこういう診断基準ができた意味が非常にあ ると、そういうふうに思っています。  久道座長 はい、どうぞ。  森光(中村構成員代理) 済みません。代理で出席させていただいております、埼玉 県の健康づくり支援課長をしております。  実は中村の方から幾つか意見を預かってきておりまして、ちょっとそれを少しお話し させていただきたいと思います。  都道府県としてここに座っておりますけれども、都道府県の方では一連の医療制度改 革を含めたこのメタボリックシンドローム対策それから生活習慣病対策ということにつ いて、非常に重要なことと認識はしております。  ただ、都道府県としまして今回生活習慣病の削減について非常に責任を負うというこ となのですが、今回実際生活習慣病対策の中で一番柱を占めている健診それから保健指 導が市町村から保険者の方に移るということについては非常に大変な問題だろうと思っ ています。  保険者に移ることは非常にメリットもある部分があると思います。特に保健指導を実 際に行うについてはメリットがあると思います。しかし、実際都道府県として、これま で市町村に対して指導してきて今の現状があるわけなのですが、これまで余りおつき合 いのない保険者に対してどういう形でこの健診・保健指導をやっていただくように進め ていくのか非常に都道府県の中でも困惑をしている部分がございます。  実際健診・保健指導をするについて、保険者の方々に都道府県としてそういう保険者協 議会ですとか、そういう場でお願いをしていくということになると思うのですが、その 場において、いろいろな保健指導のプログラムがあるというのは、非常に大事なことだ ろうと思い、この会議の成果を期待しているというところでございます。  ただ、1点お願いしたいのは、いろいろな背景それから規模、それからいろいろな地 域的に広がりを持つような保険者の方々いらっしゃるという中で、こういう場合にはこ うした方がいい、こういう保険者の方にはこういう保健指導がお勧めだろうというのを、 我々として勧められるいろいろなツールをいただきたいということです。  いろいろな展開をされている保険者がある中で、その保険者の方々に合った形の健診 のスタイル、それから保健指導のスタイルというのをお勧めするような、我々県として 支援ができるようにしたいと思っております。その意味でいろいろな状況に合わせたプ ログラムをできるだけつくっていただきたいというふうに思います。  特に、私ども埼玉県としては、実はかなりの方は東京都の保険組合に入っていらっし ゃるという状況にあります。ですから、逆に言うと、保険者と被保険者、いわゆる実際 健診を実行するところとそれから健診を受けられる方、保健指導を受けられる方がかな り距離があります。職住接近というわけにはいかないものですから、そういう状況では どういうふうに展開をするのか、できれば知恵をいただくような成果をぜひ期待してお りますのでよろしくお願いしたいと思います。  久道座長 今の件何かありますか、事務局。  中島参事官 これまで県は市町村とはお付き合いがありましたけれども、いわゆる被 用者保険とはお付き合いがなかったということもございますので、今度の制度改革の中 では都道府県が医療保険者との間でいろいろな情報提供をいただいたりという形での規 定も新たに設けさせていただいて、県として市町村国保だけではない医療保険者の保健 事業と連携し得るツールみたいなものを法律上入れさせていただいているということが 一つです。  それから、まさに、埼玉にお住まいだけれども東京の人、そういうところはどうする のかということについても、まさにこのメタボリックシンドローム総合戦略事業なり今 後のプログラムさらにはガイドラインをつくる中でそういうことを念頭に置いて考えて いかなければならないだろうと思っております。  それとともに、もう一つ特に県にお願いしたいのは、マンパワーの育成というところ は、やはり県が中心になってやっていただく。国はリーダーを育成するということでご ざいまして、県もやはり地域における予防を担う医療関係者の研修を医療関係団体、医 療関係者の団体の方々、さらには医療保険者の団体の方々と連携しやっていただくとい う役割も大きくなってくるのかなと思っておりますので、よろしくお願いできればと思 っています。  久道座長 きょうの資料の中に、参考資料6のところで「IT新改革戦略について」 という資料が出ています。先ほど担当の方からも説明いただきましたけれども、委員の 中でIT関連の専門でおられます大江委員あるいは窪寺委員、何か御意見ございますか。  大江構成員 東京大学で医療情報学をやっております大江と申しますけれども、主と して医療情報の電子的な管理の標準化等について仕事をしてまいりました立場から少し コメントと少し質問を少しさせていただきたいと思っております。  これは、当然予備群からさらに医療を受ける立場にかわっていく全過程を経時的に管 理していくことが非常に重要だと思いますので、そういう意味でこれはこれから検討さ れていくべきことだろうと思いますけれども、健診の情報管理とそれから患者になって 医療を受ける状況になった電子カルテなどを含む情報管理といったものが連続的に整合 性がとれるような形での仕組みというのを関係の方々と一緒につくっていく必要がある だろうということのように思います。  それからもう一つ、これは先ほど来、保健指導あるいは被保険者に対するサービスの 提供のあり方主体についてのいろいろお話が出ておりましたけれども、一方で健診のデ ータの経時的な管理、特に被保険者がいろいろ異動されたときに、当然保険者をかわっ ていくに当たってそのデータをどういうふうにうまく経時的に管理していくのかという ことは、この事業を成功させる上でも非常に重要な視点ではないかと思います。  そういう意味で、データの収集、管理、利活用の主体というものをどういうふうに、 これも今後検討されていくわけですけれども、どういうふうにイメージすればよいのか というようなこと。それから、そういう中で、特に個人情報の管理とかそういった難し い面とのうまく解決を見出していく必要があると思いますけれども、特にデータ管理、 利活用の収集の主体のイメージそれからその階層化というものを何か既にイメージがあ るのであれば、幾つか提示していただけると今後の検討の参考になるかと思います。  久道座長 何か今の質問、はい。  大島保険システム高度化推進室長 今度の法律の中では、医療保険者がデータ管理を 行うというふうに明確に書いてございまして、それは省令で手続きを決めるということ になっております。その省令の中では標準様式といいますかフォーマットを決めたいと 思っておりまして、恐らく電子的に管理していただくことになると思いますので、その インターフェースといいますかどういう項目でやってもらうかというのを決めたいと思 っております。  あとは、例えば事業主が労働安全衛生法に基づいて健診をしましたとか、あるいは自 分が別個にこういうデータを持っていますという場合もございますので、それはデータ を例えば事業主健診であった場合も医療保険者がそのデータをもらうことができるとか、 あるいは職場がかわった場合に、自分の加入する医療保険者がかわった場合にもその医 療保険者間でのデータのやりとりが法律上できるという規定が入れてありますので、個 人情報の保護の配慮は当然実務的には必要になってまいりますけれども、法律的には個 人情報保護法の規定によってそのデータのやりとりが保険者間でできなくなるという形 にはならないようになっておりますので、あとは実務的にうまくデータが流れるような 仕組みをシステムとしてつくっていくということが課題になろうかと思っております。  大江構成員 まさに今お考えいただいているような方向で多分いいのではないかと私 も今お聞きしていて思いましたけれども、一方で今保険者で管理しているデータがうま く必要に応じてやりとりされるという仕組みは保険者の層だけに任せていると多分難し い問題もあると思いますので、うまくその辺都道府県あるいは厚生労働省との階層的な 役割分担というのを今後検討していただく必要があるかなと思っております。  久道座長 それでは窪寺委員。  窪寺構成員 保健医療福祉システム工業会から参加をさせていただいております。  工業会に参加するベンダーが保険者に必要なシステムを構築をする際に、この検討会 の結果を反映させていきたいと思っております。  今回のように健診データを蓄積し、大量のデータを扱う際には、標準化が大変重要に なると思っております。今の大江委員からのご発言にもありましたように、データをど うやってだれが管理するかということも含めて、標準化について本検討会で合意をお願 いしたいと思います。  それから今日の検討会の内容を聞かせていただいて、工業界が検討してきた、正常値・ 異常値とか基準値範囲に加え、段階的健診・指導にはスクリーニング値のようなものが 必要になるのではないかと思いました。評価分析においては、都道府県をはじめ保健者 を比較するベンチマーク値が必要になります。これまでにはない新しいコンセプトです ので分科会において検討させていただければ幸です。  久道座長 はい、小山委員。  小山構成員 私が申し上げることもないのかもしれませんけれども、IT、Eプロジ ェクトは内閣総理大臣が本部長でということですから、当然内閣全体でお考えなのでし ょうけれども、私のところの熊本県では既に熊本大学、これは熊本県とそれから我々の 日本赤十字社と九州電力が入りましてコンソーシアムを組みまして、今のようなデータ 管理の問題を既にもう取り組んでおるのです。これは経済産業省の健康サービス支援課 というのでしょうか、そこがやっている仕事で目下しんこうちゅうですので、そちらと も連携してというか話し合いをしていただいて、進めて欲しいと考えます。その辺どう なのでございましょうか。  中島参事官 今の熊本のコンソーシアムの件も存じ上げておりまして、経済産業省の 方はまさに21世紀において新たな産業をどのように活性化させていくかということを 主要テーマとされて、その一つが健康サービス産業ではないかということで、全国でモ デル事業を展開をされているやに聞いております。  私どもといたしましても、経済産業省の担当課と密接に連携をとってやらせていただ いているところでございますけれども、改めて我々の政策の方向性、経済産業省として 取り組むプロジェクトとの整合性といったものをしっかり確保していただくように改め てまた申し入れたいと思いますし、それとともにやはり安全性とか有効性というところ について、とりわけやはり経済産業省の方にはきちんとお伝えをしておかなければなら ない。単なる産業だけですべてが割り切れる問題ではないというところもございますの で、そういう点も十分踏まえて今後とも連携をとっていきたいと思っています。  久道座長 酒巻委員。お願いします。  酒巻構成員 群馬大学の医療情報部の酒巻といいます。資料の4の一番最後のところ に「アウトカム評価」ということで挙げておりまして、こういう目標値を掲げてされる ということについては非常によいと思うのですけれども、先ほど大江先生が質問された のと関連のあることなのですけれども、データの利活用というところで、この事業に対 する利活用についてはこれでよろしいというふうに今お答えいただきましたけれども、 医療保険者が掌握するということになりますと、いわゆる医療にかかわる情報とこちら の健診事業についてのデータとの共有、あるいはアウトカム評価のときにそれを使うか ということについてはどのようにお考えなのかということをちょっとお伺いしたいと思 います。  大島保険システム高度化推進室長 医療保険者としては、まさに医療の給付も保険者 の機能として担当しておりますので、レセプトを初めとする情報と健診のこの情報を突 合するような動きがもうちょっと明確になれば、この健診結果と疾病の状況というのも はっきりすることができるようになろうかと思います。  ただ、これもITの進展と費用対効果のバランスになると思いますので、今後だんだ んとレセプトのIT化などが進めばそういったことが比較的ローコストで取り組めるよ うになると思いますので、徐々にそういう動きが広まってくるかなと思っております。  それはいずれにしても医療保険者が保険者として医療それから健診両方かかわりを持 ってデータについて管理する責任が出てまいりますので、そこを突合して見ていくとい うのは当然そういう流れになっていくと考えております。  島本専門構成員 札幌医大の島本ですけれども、私どもは疫学をやっておりますし、 北海道でも既に幾つかの町村でメタボリックシンドロームについてはかなり厚生労働省 からいろいろ出されておりますので、老健を使った基本審査の結果を用いてもうやって いるところがたくさんあるのですね。そういった中で、今回実施主体がかわってくると いうことで、ぜひここのところはいろいろな意味でトラブルが予想されますのでスムー ズにお願いをしたいと思っております。  それから、もう一つは、この概念につきましてはやはり啓蒙ということも一緒に進め ていかなければいけないと思いますので、先ほど門脇先生から言われましたように糖尿 病学会そして肥満学会、動脈硬化学会、高血圧学会など、各学会でもうかなり啓蒙をや っておりますので、その啓蒙に関しては学会の活用ということもお考えいただければと 思います。  最後に質問なのですけれども、これはメタボリックシンドロームの予防ということが かなり全面に出ているのですけれども、予防ということになりますと腹部肥満があって リスクがゼロないしは1つということが原則になると思うのです。しかし、実際にはメ タボリックシンドロームと診断されていても非常に軽症の方、例えば血圧は高血圧でな いけど正常高値、血糖も糖尿病ではないけれども境界型糖尿病、高脂血症も少しだけ高 い。こういった方はメタボリックシンドロームの診断がついていてもかなり一次予防の 対象に入ってくると思うのです。ですから、ここのあたり、予防という中に一部改善も 含めた対象がきっと入ってくると思われますので、今後検討される中でぜひこの対象の ところの整理をお願いをしたいと思っています。  久道座長 では、渡辺委員。  渡辺専門員 私は健康診断の研究班の班員の一員として、私どもの班研究は健診のガ イドライン指針をつくるのを目標として今やっておりますけれども、その中の一つの論 点は、やはりこういうあり方の中で健診機関の質の向上といいますか、指針ガイドライ ンがたとえできてもそれがきちんと実行されているかどうかの評価ということが非常に 重要で、やはり最終的な疾患のよくなった悪くなったアウトカムの前に、そういう健診 がきちんと施行されているかどうかの評価あるいは、もしあれだったらば第三者認定み たいなものを含めて、そういうことをきちんとやらないといけないのではないか。そこ が一つの重要なポイントなので、そこは議論があるところなのですが、そこのところは ちょっとよく理解できなかったものですから、もちろんお考えだと思いますけれども、 もう少し具体的に説明していただけるとありがたいと思います。  矢島生活習慣病対策室長 まさにそこのところが大事なポイントだと思っていますの で、そういう意味で委託基準ですとか評価とか、そういうことも含めてこれから議論を させていただきたいと思っていますし、準備事業もそういうことを踏まえて事業をする 中で御指摘の質の担保をどういうふうにするのかとか、そういうことも含めて準備事業 の中で我々いろいろな、我々がつくった暫定版を踏まえてまた必要な見直しをしていく ことになるのではないかというふうに考えております。  門脇専門構成員 先ほどの窪寺先生のスクリーニング基準のお話、それから島本先生 からもお話がありましたけれども、資料の5のイメージ図のところに、内臓脂肪蓄積の 前に「内臓脂肪型肥満予備群」というコンセプトを取り入れていただいているのは非常 に重要ではないかというふうに思っています。  と申しますのは、現在のメタボリックシンドロームの基準、これは腹囲を取り入れて 生活習慣改善の必要性がわかりやすく動機づけにもなるという点で画期的なものだと私 は思っています。津下委員と同じ意見でございます。そしてまた、このようなコンセプ トを導入された背景には、このような症候群を提唱なされてこられたお一人の松澤先生 の努力があるものというふうに考えています。  この具体的な基準を見ると、先ほど申しましたように女性のウエスト周経が90センチ メーター以上ないと、ほかに幾つリスクファクターがあってもメタボリックシンドロー ムの基準に該当しないということから、今までの縛りでいうと正常ということになって しまう、これが問題ではないかというふうに思います。また、空腹時血糖値についても、 110ということはむしろ病気があるということで、予備群ということであればもう少し 低いということではないかと思います。  そういったことから、メタボリックシンドロームの診断基準について何か議論してい るわけではなくて、よりリスクファクターの重積者を早くから捉えるという立場から言 うと、メタボリックシンドロームの予備群というところで女性は腹囲はもう少し低いと ころから、それから糖尿病学会としても、メタボリックシンドロームではなくて予備群 ということであれば空腹時100ということを今議論している、そういうことでございま す。  久道座長 はい。それでは。  石井構成員 私日本歯科医師会の石井みどりと申しますが、歯周病と糖尿病あるいは 循環器疾患の関連ということで、今後の健診と保健指導のプログラムの中にぜひ歯周疾 患というところも着目していただきたいと思っているのですが、ただ、今後はこれを見 ますと医療保険者が実施主体ということになりますと、歯科に関しましては医療保険者 とのつながりはほとんどないという現状がございます。政管健保で3年間パイロットを やったぐらいでございますので、先ほどからの御説明を聞いていますとやはり都道府県 が大きなキーワードかなという気がして、都道府県で現在既にもう地域・職域連携推進 協議会、これは多分それぞれの保健医療団体も入っていると思うのですが、ただ保険者 協議会に関しては、保健医療団体が入っていないかと認識しておりますが、医療保険者 と私ども接点がなかったのです。ではこれから先歯科も入れて医療保険者がやることに なったときに、もちろんアウトソーシングとか民間事業者、医療機関も入るということ になっても、接点がないところをどうその仕組みの中に入れていって議論をしていくか というところを、今後都道府県の指導者を養成というか研修をされるということですの で、そのあたりにぜひそこの視点を入れていただけたらというふうに思います。  それから、既に今後数都道府県で18年度から準備事業が始まるということになってお りますが、これは既にもうリストアップされているのでしょうか。そのあたりもお聞か せいただければと思います。  矢島生活習慣病対策室長 先ほどの準備事業ですが、幾つかの県からはまだ内々に意 思表示というのでしょうかやりたいという御希望は伝わっていますが、これについての 予算が今国会で審議されている段階でございまして、私どもの方もまだ具体的にこうい うふうなものですということがお示しできない段階でございます。一応18年度の事業と いうことになっておりますので、その段階で予算が決まった段階で各都道府県に正式に お話をさせていただこうと思っています。具体的にはこれからいろいろと詰めていくこ とになると思っております。  久道座長 時間がそろそろなくなってきましたが、はいどうぞ。  大島保険システム高度化推進室長 済みません。よろしいでしょうか。  実は歯周疾患検診に関しましては、今市町村の老人保健事業の1つとして入っており まして、歯周疾患検診ですとか骨粗鬆検診、こういったものは引き続き市町村の健診の 枠組みを残すことも今考えております。それで、この生活習慣病の切り口で保険者の行 う健診と歯の問題をどう位置づけるかをまさにこの場で御検討をお願いしたいと思って いるのですけれども、そもそも今行われております歯周疾患検診そのものは、今の市町 村の健診の枠組みというものを維持することを含めて今考えたいと思っております。  津下構成員 簡単なのですけれども、スクリーニング値という話もありました基準値、 予備群の基準ということもありましたけれども、どこかに線を引くとどうしても1違う とまだ「異常なし」になってしまうのです。  それでIT化にすごく期待することなのですけれども、経年データを蓄積しまして、 基準値内だけれどもデータがどんどんどんどん右肩上がりに悪化してくるということを 本人がちゃんと自覚できるようにするとよいです。蓄積されたデータをどう本人にこれ を示していくのか、活用していくのかそのあたりが本人自身の教育媒体になると思いま すのでそのあたりの開発が必要だということと、それから専門職の育成という問題もあ りますけれども、ITを使いながら指導中でだんだん指導者自身が育成されていく部分 もあると思いますので、ITの力を使ってその方向をめざして進んでいけばいいのかな というふうに思っております。以上です。  松澤専門構成員 津下先生がおっしゃったことはそのとおりで、これは何も85センチ とか90センチで谷があってどんと落ちるわけじゃないので、基本的にコレステロール値 をどこで来て下げる基準にするかを論議するのと同じように考えていただいて、例えば 85センチいかなかったらだめだということではなくて、90センチの人なら1センチ減る だけでいろいろデータがよくなる、そういう概念を植えつけることが大事で、基準値に こだわって正常か異常かというレルのところと違う次元でやはりやっていただきたいと。 だからやはりそこらあたりをどこらが一番アウトカムとしていいところかというのが、 これは予備群の検討というのはまたいろいろなことで検討していったらいいと思います し、そういうことが一番大きなポイントではないか、そういうふうに思います。  久道座長 予定の時間そろそろだと思うのですけれども。  田中専門構成員 済みません。余り細かいことを言う気はなかったのですけれども、 準備事業の話でちょっと、気になることばかりなのですけれども、きょうお示しいただ いた資料は私が初めて見るのがかなりの部分あるのですけれども、要するにやらねばな らぬ実施主体が医療保険者という設定の中で、だれが対象県を決めるかというところの ことはとんとわかりませんので、そこらあたりのところをもしもお答えできればお聞き したいのですけれども。  久道座長 はいどうぞ。  矢島生活習慣病対策室長 まさにそこも含めてこの検討会で健診・保健指導の実際の プログラムの暫定版をつくらせていたただきます。その中で標準的な健診のあり方とか そういうことの中に一緒に入ってくるものと思いますので、その点につきましても皆さ んこの場でいろいろと御議論いただければありがたいと思っております。  金川構成員 いろいろお話を伺いながら、私も今後保健指導分科会でさらにいろいろ 検討していかなければいけないことが多々あるというふうに感じました。  最終的にはこの保健指導分科会の前身的には生活習慣病予防群に対しての保健指導に 関する研究会が既に発足しているやに伺っておりまして、そこでいろいろなヒアリング を受けながら具体的に保健指導に関しての標準化に向けた検討がなされているというこ とで、多分そういうのを母体にしながら進んでいくというふうに思っておりますが、効 果的で実施可能な保健指導のプログラムを作成していくということが多分大きな課題と いうふうに思っておりますが、先ほどからの医療保険者からのお話が出る中で、保険者 のそれぞれ特徴なりパワー、キャパシティーも考慮しながらということをしていかなけ ればいけないというふうに思っておりますが、ただ先ほどから出ておりますマンパワー の掘り起こしとかあるいは財政支援の堀り起こしという前提というのも非常に大事だと 思うのですが、これはそれぞれの分科会でそこまではしなくても実施可能な学習プログ ラムを作成という段階が検討会の目的でしょうか。さらに、今いった具体的実施方法論 というところも、この検討会の課題になっていくのでしょうか。  久道座長 いろいろな意見を出していただいてよろしいのではないでしょうか。あと それぞれの部会でも検討していただきますし、ここでもやっていただいていいと思いま す。  金川構成員 そうですか。わかりました。  久道座長 ちょうど予定の時間となりました。まだ発言をされていない方が4人ぐら いいらっしゃいますけれども、ぜひにという方はいらっしゃいますか。はい  松田専門構成員 申し上げます。保険者としてやらなければいけないこととやりたい ことがたくさん見えてきたのですけれども、その中の一つとして大きなミッションは示 されたわけなので、それに向かっていくための現状把握というのが、今回初めて保険者 として保健事業を担うということで、同じテーブルについたのは多分初めてだと思うの です。そこでこのミッションを達成するためにどういう現状があるのかということをそ れぞれの保険者で出し合ってそれを一つの成果物として提出するぐらいの意気込みがま ず必要かなと思ったのが一つと、それから、アウトソーシングをするということは、恐 らく健診も事後指導もやれやれといって量の拡大が図られると思うのですけれども、質 が落ちないために研修制度とかを取り入れるということですけれども、やはり保険者と してどういう役割をしなくてはいけないかということを考えていかなければいけないな ということを強く感じました。  久道座長 はい、ありがとうございます。きょうの会議では、事務局から出されまし た健診・保健指導の基本的考え方(案)と、標準的な健診・保健指導プログラムのイメー ジ(案)、2つ出されました。大筋では皆さんの御理解を得られたのではないかと思いま すが、関連して貴重な提案等がございました。これからいろいろ議論しなくてはならな いところがあろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  事務局から今後の進め方、スケジュールについての説明をしていただきます。 4.閉会  矢島生活習慣病対策室長 どうもありがとうございました。今後のスケジュールにつ いてでございますが、健診分科会、保健指導分科会の中にワーキンググループを設置い たしまして、それぞれ標準的な健診プログラム、保健指導プログラムの暫定案を作成を いただきまして、各分科会において御意見をいただくことにしたいと思っております。  ワーキンググループにおきます検討の際には、本日お出ししました資料及び本日いた だきました御意見、それから先ほど資料で御説明をさせていただきました研究会とか研 究班がこれまでに取りまとめました研究結果ですとか検討結果を踏まえまして、改めて 整理する形で事務局から粗々のたたき台を用意したものを参考にしていただくことを考 えております。  なお、両分科会におきますワーキンググループのメンバーにつきましては、分科会座 長であります久道先生、金川先生と相談をいたしまして、それぞれ数名の構成でお願い をしたいというふうに思いますので、別途御案内を申し上げますが、メンバーになられ ました先生方にはお忙しいと思いますが御協力をよろしくお願いを申し上げます。  その後、3月末をめどに本検討会にて両分科会の暫定案の調整を行った上で、標準的 な健診・保健指導プログラムの暫定版を提示をいただきたいと思っております。分科会、 検討会の日程調整につきましては至急にさせていただきます。机の上に配布しておりま す日程調整表に御記入をいただきまして、事務局までファックスをいただければありが たいと考えております。以上でございます。  久道座長 はい。それではきょうの検討会はこれで終了いたします。どうもありがと うございました。(終了) 1