06/01/31 第1回薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会議事録 第1回薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会         日時  平成18年1月31日(火)        10:00〜 場所  厚生労働省17階専用第20会議室 ○総務課長(北村) 定刻になりましたので、ただいまから「第1回薬剤師の行政処分 の在り方等に関する検討会」を開会します。委員の皆様におかれましては、大変ご多忙 の中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本検討会の座長が選出され るまでの間、事務局の方で進行役を務めます医薬食品局総務課長の北村です。どうぞよ ろしくお願いします。  まず、本日の委員の出欠状況について、ご報告します。本日は本検討会の委員11名の 先生方全員にご出席をいただいています。  続きまして、本検討会の開催に当たりまして、福井医薬食品局長から、一言ご挨拶を 申し上げます。 ○医薬食品局長(福井) おはようございます。医薬食品局長の福井でございます。薬 剤師の行政処分の在り方等に関する検討会の開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。 委員の皆様方におかれましては、ご多用にもかかわらず、本検討会の構成委員となるこ とをご快諾いただきまして、心から御礼申し上げます。  さて、近年、医療の高度化、医薬分業の進展など、薬剤師を取り巻く環境が大きく変 化するとともに、最適な薬物療法の提供、医療安全対策など、薬剤師が医療の担い手と して幅広い役割を担うことが求められております。このため知識、技術はもとより、高 い倫理観、医療人としての教養なども含めた、薬剤師の資質の一層の向上を図る必要が あります。このような状況の中、安全で質の高い、よりよい医療の実現に向け、昨年12 月に社会保障審議会医療部会において、医療安全対策の総合的推進、医療を担う人材の 養成と医療に従事する者の資質の向上といった観点から意見書が出されたところです。  これを受けて、行政処分を受けた薬剤師の再教育、戒告の新設等の見直し等の具体的 内容について検討を行うため、本検討会を設置することといたしました。  委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門分野における高いご見識に基づき、 精力的にご検討をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。簡単ではございま すが、私の挨拶とさせていただきます。 ○総務課長 次に、本日は第1回目の検討会ですので、私の方から五十音順に委員をご 紹介させていただきます。  こちら側から宇賀克也委員です。 ○宇賀委員 宇賀です。よろしくお願いします。 ○総務課長 お隣りは、倉田雅子委員です。 ○倉田委員 倉田です。よろしくお願いします。 ○総務課長 武政文彦委員です。 ○武政委員 武政です。よろしくお願いします。 ○総務課長 七海朗委員です。 ○七海委員 七海です。よろしくお願いします。 ○総務課長 橋田充委員です。 ○橋田委員 橋田です。よろしくお願いします。 ○総務課長 平林勝政委員です。 ○平林委員 平林です。よろしくお願いします。 ○総務課長 武立啓子委員です。 ○武立委員 武立です。よろしくお願いします。 ○総務課長 堀内龍也委員です。 ○堀内委員 堀内です。よろしくお願いします。 ○総務課長 堀江孝至委員です。 ○堀江委員 堀江です。よろしくお願いします。 ○総務課長 南砂委員です。 ○南委員 よろしくお願いします。 ○総務課長 望月正隆委員です。 ○望月委員 望月です。よろしくお願いします。 ○総務課長 引き続いて、お手元の配付資料の確認をします。大きなクリップを外して いただき、資料が整っているかどうかを確認します。  1枚目の議事次第の下に資料1、2、あるいは参考資料が1からナンバーを振ってあ ります。右上に資料1、資料2と枠で囲ってあります。そのあとが今回は初めての会で すので、いくつかの参考資料にナンバリングを振って、1−1、1−2、2−1、2− 2、3−1、3−2、3−3、4、5、6−1、6−2、7−1、7−2、8と、それ ぞれ右上にナンバリングを振っていますので、もしお手元にない場合は差し替えますの で、一応ご確認ください。落丁などございませんでしょうか。  よろしければ、これより議事に入ります。まず、議題の第1の座長の選出です。資料 1にあります検討会の開催要綱のほうで、座長を互選により選任することとしています。 どなたかご推薦をいただけませんでしょうか。 ○堀江委員 私は、行政処分を受けた医師に対する再教育に関する委員会に出席させて いただいたことがありますが、今回は薬剤師の方々の行政処分並びに再教育に関する委 員会ということで、やはり薬学に関連した方が座長を担当するのが適当ではないかと思 います。そういう意味では、薬科大学の学長として薬学教育に従事されている望月委員 を座長として推薦させていただきたいと思います。 ○総務課長 ただいま堀江委員から望月委員をご推薦いただきましたが、皆様いかがで しょうか。 (異議なし) ○総務課長 それでは、望月委員に座長をお願いします。望月委員は、座長席にお移り ください。 ○望月座長 ただいまご指名をいただきました望月です。大変重い役割で緊張していま すが、もとよりそのような重い役割ができるわけではないので、進行係という形で務め させていただければと思います。  薬剤師はこの4月から6年制の教育を受けないと国家試験を受けられないということ ですので、資質をさらに向上するという意味で、今回のような行政処分の在り方、また 道を間違えた薬剤師の再教育を考えることは非常に大切なポイントで、この検討会は非 常に重要な働きを持たねばいけないことは理解されています。  しかしながら、本当はこの検討会で決めたことは何も役立たずに、行政処分を全く出 さなくて済むような薬剤師が望ましいものであります。少なくとも、というのはちょっ とおかしいですが、この4月から入った学生にはそのような教育を私どもはしなければ いけないと、しっかりと胸に持っております。その点も含めて、今回、大事な処分の在 り方を決めるに当たって、いかに対象者にならない薬剤師を育てるかという観点を持っ ていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  議事の資料1−4の運営等の(3)の座長代理を決めたいと思います。検討会の開催 要綱に、座長に事故があるときは、あらかじめ指名する者が職務を代理するとあります ので、私としては医事法規にお詳しい平林委員にお願いしたいと思いますが、いかがで しょうか。 (異議なし) ○望月座長 では平林委員、どうぞ座長代理席にお移りください。  それでは、事務局から連絡をお願いします。 ○事務局 事務連絡を1つ申し上げます。検討会の最中にいろいろなことが想定されて いる中で、場合によっては医薬食品局長、大臣官房審議官が所用のため途中退席するこ とがあり得ることを、あらかじめお断り申し上げますので、ご了解いただければと思い ます。 ○望月座長 議題2の薬剤師の行政処分の在り方等についてに進みたいと思いますが、 その前に事務局から連絡事項をお願いします。 ○事務局 これより、議題2に入りますので、マスコミの方によるカメラ撮りは、ここ までとさせていただきます。ご協力のほどよろしくお願いします。 ○望月座長 本日は最初の検討会ですので、本検討会の設置の経緯などを交えながら、 まず事務局から今後の方向性を議論する上で、薬剤師の行政処分の現状や、医師などに ついての検討状況を紹介していただきます。 ○事務局 お手元の資料に関しては資料1と参考資料1−1〜8を用いて本検討会の設 置の経緯、あるいは今後の方向性を議論する上で、行政処分の現状、あるいは医師など における検討状況をご紹介します。  まず資料1ですが、こちらは本検討会の開催要綱です。目的が書いてありまして、医 療における国民の信頼を一層高めていくとともに、医療の担い手としての薬剤師の資質 向上を図ることを目的として、行政処分を受けた薬剤師の再教育の問題、あるいは戒告 の新設等の見直しに関しまして、具体的な内容の検討を行うことを目的としています。 したがいまして検討事項として書き出すとすれば、2の所に(1)と(2)として大き く分けて、薬剤師の再教育についてと戒告の新設等の見直しといった検討事項になると 考えています。メンバーについては先ほど紹介がありましたので、省略させていただき ます。  検討会の設置の経緯ということで、参考資料を用いて説明します。まず参考資料1− 1及び1−2を2つ併せてご覧いただくと、比較的わかりやすいのではないかと考えて います。参考資料1−1ですが、こちらは薬剤師法の条文を少し抜粋してきたものです。 第4条、第5条、第7条、第8条という形で書いています。  また、参考資料1−2に関しては、医師に関する法律の医師法の抜粋です。条文の番 号は第3条、4条、6条、7条を2頁にわたり書き出しています。条文の番号では多少 ずれていますが、絶対的欠格条項に関しては、薬剤師法では参考資料1−1において第 4条、医師法に関しては第3条という形になっています。違いを見ていただく上で参考 資料1−1で申し上げれば、第8条免許の取消し等のところをご覧ください。  これと比べるものとして、参考資料1−2の第7条をご覧ください。見た目でもかな りボリュームが違うことがわかりますが、内容的な部分に関しても、まず医師法の参考 資料1−2、第7条の2をご覧ください。1行目に、医師としての品位を損するような 行為があったときはという表現があります。それに対して参考資料1−1の薬剤師法の ほうには、このような記載がないことが違いです。  医師法では第4項以降、左端に4、5、6と振っている所を見ると、この部分に該当 するものが薬剤師法にはありません。その辺りが現行の薬剤師法と医師法との中での取 扱いの違いというように、ご理解をいただければと思います。こういったところから薬 剤師に関しても、この部分をどうするかというところで、後ほどまた具体的な内容をご 紹介させていただきます。  次に参考資料2−1、2−2をご覧ください。こちらに関しては薬学教育の6年制が 導入された際に、薬剤師法において受験資格を盛り込むために、薬剤師法の改正があり ましたが、そのときに国会のほうからいただいた附帯決議というものです。参考資料2 −1が、参議院のほうでご審議をいただいた際にいただいた附帯決議になります。参考 資料2−2が、衆議院のほうでご審議をいただいた際の附帯決議です。それぞれ内容的 には、ほぼ同じ内容になっています。本検討会に関する部分をご紹介しますと、それぞ れ共通ですが、例えば参考資料2−1の大きな四のアンダーラインが引いてある所に、 医療の担い手としての薬剤師の資質の向上を図るための取組みと併せて、患者からの信 頼が得られるよう、薬剤師免許の取消し等の行政処分を厳正かつ公正に行うための仕組 みについて検討を行うとあります。したがいまして、ここでいう行政処分を厳正かつ公 正に行うための仕組みを今回考えているところでして、これに関しても資料2のほうで、 後ほどまた紹介します。このような国会での附帯決議ということもあり、我々は行政処 分の仕組みについて検討するということになっています。  続いて参考資料3−1及び3−2をご覧ください。こちらも本検討会設置の経緯に当 たる部分ですが、参考資料3−1に関しては、社会保障審議会医療部会でまとめられた 意見の概要です。参考資料3−2に関しては、医療部会でまとめられた意見の全体のフ ルペーパーになっています。この中にも今回の検討会に関する事項がありまして、この 意見を踏まえた形で、具体的な検討を今後行うということで、本検討会を設置させてい ただいています。その内容を掻い摘んでご紹介します。  参考資料3−2は、まず冒頭に医療提供体制に関する意見をまとめるに当たり、基本 的な考え方が1頁目に書いてあります。インフォームドコンセントから始まる次の行の 中ほどに、患者本位の医療を実現していくとあります。この辺りが、今回の医療部会検 討でのキーになっている所です。それらを踏まえて、具体的な内容を紹介します。  5頁の冒頭大きな3として、医療安全対策の総合的推進というタイトルがありますが、 その中ほどの4つ目の○に、まず医療の質と安全性の向上の観点からということで、そ の下に(1)〜(7)まで意見が書かれています。  (7)のアンダーラインが引いてある所は、薬剤師に特化した部分ではありませんが、医 師及び歯科医師、薬剤師並びに保健師、助産師及び看護師の行政処分に関して、被処分 者に対して再教育の受講を義務付けるとともに、長期の医業停止処分等の見直し、戒告 の新設等の見直しを行うという意見を医療部会からいただいています。したがって、薬 剤師に関して再教育の受講を義務付けるという点と、ここでは医業という言い方をして いますが、薬剤師の場合でも同じように行政処分がありますので、そういった処分の見 直しや戒告の新設等の見直しを行うという意見ですので、これを踏まえて後ほどご紹介 するような方向性で考えていきます。まずいまの時点では経緯ということで紹介させて いただきます。  16頁の中ほどから下の所に大きな7番がありますが、医療を担う人材の養成と医療に 従事する者の資質の向上というタイトルです。17頁に(2)医療に従事する者の資質の 向上と見出しが付いている所があります。このうち2つ目の○も、先ほど医療安全の5 頁で紹介した内容と同じことが再掲されていて、医療に従事する者の資質の向上という 観点からも、やはり再教育の義務付けや戒告の新設が必要であろうという意見をいただ いています。  以上が、医療部会における意見の紹介です。参考資料3−3は、いま紹介した意見書 をまとめた際の部会のメンバーのリストですので、ご参照いただければと思います。  続きまして、薬剤師の行政処分の現状について、少しご紹介します。参考資料の4は、 横長の資料で2枚紙です。タイトルは「薬剤師の行政処分事例について」ということで、 過去10年間をまとめたものです。最初の1頁に、10年間の分がすべて納まっていまし て、少しまぎらわしいのですが、2頁を紹介しますと、左の上に(戒告)という見出し が付いていますが、ここでいう戒告というのは、表の右から3つ目のカラムを見ていた だければわかるのですが、行政指導という形での戒告です。したがって、いずれも調剤 報酬の不正請求の事案ですが、これは行政指導としての戒告ということで、参考として 付けました。  1頁に戻りまして、こちらが過去10年間にわたる処分の事例ということで、合計22 件あります。左端に1〜22で番号を振ってありますが、平成15年が欠けていますが、 平成15年には該当事例がなかったということで、ご理解いただければと思います。22 件のうちで免許の取消しという処分に当たるのが、7件あります。業務停止という処分 が15件で、トータル22件となっています。  事件の内容別に分けますと、薬事関係の不正ということでとらえれば14件で、そのほ か道交法の違反などを理由にしたところが8件という内訳になっています。これが、過 去10年間における薬剤師の行政処分の事例です。全く行政処分がなかった年があります ので見にくい部分もありますが、過去10年を調べたところ22件ということになります。 これで薬剤師の現状は終わります。  続いて、医師等における検討状況の紹介ですが、少しお時間を取りまして申し訳あり ません。参考資料5は、行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会の報告書 です。頁は振ってありませんが、最初の2枚が概要版でして、3枚目以降が報告書の本 体になります。概要版で紹介させていただきたいと思いますが、行政処分の現状と問題 点ということで、医師の場合は大きなタイトルの2に書いてありますが、処分を受けた 医師が医業の停止期間を過ぎた場合に、特段の条件なく医業に復帰することができるこ とがまず取り上げられています。その処分にはいくつかありまして、職業倫理の欠如や 医療技術の未熟さといった中で、ある意味反省や適正な医業の実施が期待できないとい う指摘もあった中で、それらが医業再開後に適正な医業が行われるようにするための具 体的な過程を整理することが必要という観点で、検討が始められています。その結果が 3の所に書いてありますが、再教育というものの必要性ということで、その目的として は、国民に対して安心・安全な医療、質の高い医療を確保するという観点に立ったもの になっていまして、被処分者の職業倫理を高めて、併せて医療技術を再確認することを 目的としています。  再教育の内容に関して、いくつか(2)に書いてありますが、助言指導者を選んで、 その方にいろいろな再教育をやっていただく。内容に関しては職業倫理に関する再教育 と、技術的な部分での再教育に関する記述が、その下に続いています。  (3)再教育を受けるべき対象者として、処分が職業倫理に関する場合と、医療技術 に関する場合の2つに書き分けてありますが、倫理研修に関しては、行政処分を受けた 方すべてを対象にしてはどうか、という意見がまとめられているという理解をしていま す。  (4)は、再教育の助言指導者の在り方について書かれています。再教育の提供者と しては、助言指導者自身が提供する場合もありますが、それ以外にも第三者が提供する 場合があることが(5)の所に書かれています。そのほか再教育を修了した旨の認定や、 再教育の実効性を担保する方法、あと国の役割が全体としてまとめられています。実効 性を担保する方法として(7)に書いてありますが、被処分者に対して再教育を義務付 けることが必要という扱いになっていて、医師もこの方向にいまあると承知しています。 後ほど必要があれば、本文を使ってご紹介しますが、とりあえず参考資料5に関しては、 以上です。  参考資料6−1は、医師等における行政処分の在り方に関する検討会の報告書です。 最初の2枚が概要版で、その後ろが報告書の本体です。概要版に基づいて紹介しますと、 大きなタイトル2の所に、行政処分類型の見直しがありまして、その中には医業停止等 を行うことなく再教育を課すことが適切と考えられるものがあったり、あるいは行政指 導としての戒告としていた事例の中にも再教育を課して、被処分者の反省を促すことが 適切と考えられるものがあるのではないかということで、医業停止を伴わないような「戒 告」という処分類型を設けるべきではないかという意見として、まとめられています。  大きな3に、長期の医業停止処分の見直しがありますが、医師の場合ですと、長期間 の医業停止処分というものは、医業等の再開に当たっての支障が大きいと。医療の安全 と質を確保する観点からは適切ではないということを踏まえて、医業停止処分の期間は 上限として3年ということがまとめられています。  4の所では、行政処分を迅速かつ適切に行う観点に立ち、国に対して調査権限を創設 すべきということも言われています。  5は、医籍等の登録事項です。再教育を義務付ける場合の義務付けに伴い、再教育を 修了した旨を医籍等に登録すべきというご意見が、検討会でまとめられています。  7は、国民からの医師資格の確認方法についての議論です。医師等でない人から医療 の提供を受けることを防ぐ。それにより国民の生命や健康を保護するという観点に立ち まして、氏名、性別、登録年月日を国民が知る方法を設ける必要があるということで、 それを可能にするために、ホームページ上で資格確認を行うことをすることが適当では ないかという意見が出ています。その下の2つ目の○は、行政処分の情報で医業停止処 分等については、処分終了時、又は再教育修了時までの間に提供することが適当である ことと、戒告処分に関しては、再教育修了時までの間に提供することが適当であるとい うことで、解釈すれば、再教育が終わったあとに提供することは、必要ないのではない かという意見が、本文のほうにあったと思います。そういった取扱いも、この検討会で 議論されているというご紹介です。  参考資料6−2は、医師、歯科医師の行政処分の流れが書いてあります。それぞれ事 案が把握できた段階で、上から下にチャートが流れていく形で、処分の流れが進んでい くことになりますが、いちばん最初に医師法の条文でもお示ししたとおり、それぞれの ステップが一応規定されていまして、途中意見の聴取や弁明の聴取、そのほか下のほう には医道審議会医道分科会の答申内容の決定といった審議会での議論も踏まえた形での 全体の流れが出来上がっているものです。  2頁は、行政処分を受けた医師に対する再教育についての整理表です。先ほど紹介し た内容とほぼ近い内容になっていますので、説明は省略します。こういった整理表に倫 理研修と技術研修を分けた形で、再教育が整理されているという紹介です。  参考資料7ですが、これに関しては参考資料6の関係で医師の例を紹介しましたが、 こちらは保健師、助産師、看護師の場合です。内容的にほぼ同じ部分が多いので、時間 の関係で一つひとつの説明はしませんが、一応検討の経緯として医療安全の確保に向け たという所にフォーカスを当てて、それを契機に検討を進めてきたという内容です。ま た後ほど必要があれば、この内容についても紹介します。参考資料に関する説明は以上 です。かなりいろいろなことを話しましたが、本検討会の設置の経緯ということでの前 段階にあるさまざまな議論と、薬剤師の行政処分の現状、さらにはほかの職種における 取扱いをご紹介しました。以上です。 ○望月座長 ただいまの事務局の説明によりまして、薬学教育6年制の導入に当たる国 会の附帯決議により、国民から信頼される薬剤師になるには、行政処分を厳正かつ公正 に行う仕組みが求められているということ。また、医療を提供する体制において、薬剤 師の資質向上が求められていること。また、医師等についての検討においては、再教育 の必要性や行政処分の在り方等が議論され、一定の方向性が示されていることがわかる わけです。  したがいまして本検討会では、このような点を踏まえて、今後の議論をしていく必要 があると考えます。今後の議論の方向性につきまして、事務局が資料2として整理して いますので、まず事務局に説明していただき、その後各委員の皆様方からご意見をいた だきたいと思います。 ○事務局 お手元の資料2をご覧いただき、併せて資料2の中で引用している部分があ りますので、参考資料8もご覧ください。  まず資料2に基づいて、全体の改正の方向についての紹介をします。全体で4頁にわ たる資料ですが、そのうち3頁までの内容に関しては、1頁の冒頭※に書いてあるとお り、次のような方向で薬剤師法等の改正案について検討中という内容です。最後の4頁 目に書いたものが、この検討会で今後検討していく内容であり、1枚紙に整理してあり ます。  1頁の行政処分を受けた薬剤師の再教育についてですが、方向性としては、まず再教 育を受けるべき対象者に関して、行政処分を受けた薬剤師とする方向で考えていて、矢 印の右側に、再教育の対象者:行政処分を受けた薬剤師ということで書いてあります。  2つ目は、再教育の実効性を担保するための方策ということで、先ほど医師について 紹介しましたが、薬剤師に関しても義務付けをするとともに、再教育を修了していなけ れば、薬局の管理者にはなれない、という方向で考えています。  3つ目は、再教育修了に係る情報の薬剤師名簿への登録です。再教育研修を修了した 旨を薬剤師名簿に登録するとする方向で検討をしています。  4点目は、免許取消処分を受けた場合の取扱いです。その場合の再教育に関しては、 免許取消処分を受けた薬剤師が、再免許を受けようとする場合について、再教育を命ず ることができるという取扱いにしようということです。以上が再教育の関係で、2頁目 が戒告等行政処分の類型に関する取扱いです。  まず1つ目が、行政処分の類型に関して、現行では業務停止、免許取消しの2つの類 型になっていますが、その2つに加えて、戒告を新設する方向です。したがいまして、 矢印の右側では、類型として戒告、業務停止、免許取消しという3つの区分、類型にな るということです。  2つ目は、長期間の業務停止の在り方についてです。先ほど医師の場合は紹介しまし たが、業務停止期間の上限として、3年という形で設定する方向で考えています。再免 許に関する手続きですが、免許取消処分の日から5年を経過しない方について、再免許 を与えない方向で検討しています。以上が行政処分の類型、あるいは戒告の新設等に関 する事項です。そのほかに、先ほどこれまでの議論の経緯や医師等における取扱いに関 して、再教育あるいは行政処分以外の事項についても、3頁に書いています。  まず、3頁の行政処分の手続きの整備ですが、現行は審議会への付議規定がありませ ん。先ほど薬剤師法と医師法を両方照らし合わせて見ていただいた際にお分かりかと思 いますが、これに関しては医道審議会に付議する方向で検討しています。  2点目は、免許取消し等の処分の際の取扱いです。都道府県知事が被処分者から意見 聴取等をできるような仕組みにしようという方向で検討しています。行政処分の事由に ついては、医師法との関係でご紹介しましたが、品位を損するような行為がありません でしたので、この部分を追加する方向で検討しています。  行政処分に係る調査権限ですが、これも処分を行う上で必要な情報をきちんと集めら れるようにということで、行政処分をするために必要な調査権限を創設する方向で検討 しています。国民からの薬剤師資格の確認は、薬剤師の氏名等に関する情報を公表する 方向で検討することにより、薬剤師の資格の確認を行えるようにする方向です。  以上が、大きな制度的な中で薬剤師法の改正につながっていくことで、我々が考えて いるところです。これらを踏まえて、こういった制度ができた後に、再教育であればそ の内容についていろいろ検討していく部分が出てきますので、その辺を中心に、この検 討会でご議論をいただきたいと思っています。  4頁に、薬剤師の行政処分等についてというタイトルが付いていますが、その他を含 めて3つに分けて書いています。まず、再教育の内容の例示として、倫理面と技術面を 分けて考える考え方、あるいは行政処分の理由に応じて内容が違ってくるのではないか ということです。あと、処分の期間に応じて、その内容もまた変わってくる可能性があ るということで、検討する際の視点として、いくつか例示をさせていただきました。こ の辺りは、これから委員の皆様方にもいろいろご議論をいただきたいと思います。いず れにしても再教育の内容について、これからご検討をお願いします。  これに関して、併せて参考資料のほうにも引用している部分がありますので、それも ご覧ください。いま申し上げました再教育の内容に関しては、先ほどご紹介した報告書 から医師の場合の部分を、参考資料の2頁に抜粋して書いてありますので、医師につい ては参考資料にある内容で、検討会の中でまとめられていますので、これを参考にしな がら薬剤師の場合はどうしていくかという検討になるということで、参考資料と併せて 用意しています。  資料2の4頁に戻ります。1の2つ目の○の再教育を受ける対象者ですが、処分の理 由に応じた再教育の対象者を区分していく、あるいは処分の期間に応じて区分していく という切口の中で検討をしていくのではないかということです。再教育の修了評価です が、再教育の修了をどのような形で確認するかが、3つ目に書いてあります。その際の 評価基準が必要になるのであれば、そういったものも検討対象かと思います。  次に、再教育の提供者ですが、研修の提供者、あるいは指導者をどうやって養成して いくかということが、1つの検討課題になるのではないかということで、医師の場合に おいても、参考資料8の7、8頁に書いてありますので、今後これらを参考にしながら ご議論をいただくことになろうかと思います。資料2の4頁目の2ですが、戒告の新設 等の見直しについてですが、業務停止処分の在り方についてと免許取消し処分の在り方 についてということで、いずれも処分の類型が3つになるわけですが、それぞれに対す る該当基準が、おそらく必要になってくるのではないか、ということが検討対象と考え て、まず事務局でこういったものを用意しました。したがいまして、この資料2に書い た最初の3頁は、制度の中で対応していくことが1つ前提にありまして、その際に、4 頁に書いてある具体的な再教育の内容について、詳細なご議論を検討会で今後お願いで きればと考えている次第です。説明は以上です。 ○望月座長 ありがとうございます。資料2を主に検討するような会になると思います が、これから各委員の皆様方からのご意見、あるいはご質問をいただきたいと思います が、いかがでしょうか。  最初に私のほうから言ってはいけないのですが、医師の行政処分関係のお仕事でご経 験があります宇賀委員が、もしその辺りの経験から、検討のポイントを押さえていただ けるとありがたいのですが。 ○宇賀委員 資料2の1〜3頁までに改正の方向がまとめられていまして、これは大体 医師と歯科医師に対する行政処分の改正の方向とが平仄を合わせたものだと思います。  戒告制度の新設や業務停止についての上限を設けることは当然なされるべきことだと 思います。また、行政処分の権限があって調査権限がなく任意調査しかできないのは大 きな問題ですので、調査権限を創設することも当然の方向かと思っています。  医師の場合と比較して、若干ご質問したい点があります。再教育の実効性の担保に関 して、医師等の検討の場合には、管理者の問題のほかに罰則等を設けることも検討する となっていますが、薬剤師法については再教育を受けない者に対する罰則等は、検討は されているのかが1点です。  もう1点は、医師等の検討のときに、行政処分の回避目的による免許の自主的返納へ の対応も検討されましたが、薬剤師法の改正の場合にも同じような対応をされるのか、 あるいは何か運用で対応されるのか、ちょっとその点だけご質問させていただければと 思います。 ○望月座長 その点について、事務局のほうからお答えできますか。 ○事務局 1点目ですが、基本的には管理者要件のほかに罰則も同じような形で盛り込 もうと考えています。あと、自主的な返納のケースは、確か医師のほうの検討では、そ れを避けるような方向ではなかったかと思いますが、返納してしまってそれであとは何 もお咎めなしということはまずかろうという視点に立ち、それを具体的にどういう形で 担保するかというのは、我々も一応同じようにそれを念頭に置いて、検討しているとこ ろです。 ○望月座長 ただいまの点について、ほかの委員の方からのご意見はありますか。  では、また一般的なご意見、ご質問をいただきたいと思いますが、保健師と助産師、 看護師の在り方でご活躍されている平林委員、申し訳ありませんが、何かポイントはご ざいますか。 ○平林座長代理 薬剤師の行政処分のいままでの例を、先ほど拝見させていただきまし たが、保健師、助産師、看護師等の場合とかなり違っています。要するに、技術が不足 して行政処分を受けたというケースは、かなりというか、ほとんどないように思われま す。それが薬剤師の場合と、保健師、助産師、とりわけ看護師の場合との違いの1つか と思います。そして、その点がまた薬剤師の行政処分の在り方等の全体を考えるときに、 どういう意味を持ってくるのか、1つのポイントになろうかと思います。  もう1つ、そのときに議論されたのは、医療過誤あるいは看護過誤に関連して、場合 によっては看護師の技術不足だけの問題ではなく、それを取り巻く医療体制そのものの 問題が、実はその背景に隠れているのであって、それとの関係をどうするのかという点 でした。その点について薬剤師の場合がどうなっているのか、というのが2つ目です。  それに関連して、薬剤師の場合は病院の中で働いている薬剤師の場合と、薬局で働い ている薬剤師の場合と、少し状況が変わってくると思います。その実態に即して、どう いう問題の取扱い方をしていくのかということも、今後考えていかなければならないの かなと思っています。とりあえず、以上3点です。 ○望月座長 ただいまのご指摘について、何かご意見はございますか。 ○堀内委員 いまの平林委員のご指摘は、大変重要だと思います。特に私も感じたのは、 これまでの行政処分の内容が、医師等と薬剤師とかなり違うということです。病院薬剤 師等の置かれていた立場が、だいぶ違うように感じます。薬剤師が病院の中で果たす役 割が、急激に変わってきているので、今後の内容についてはかなり変わってくると思い ます。  私は、病院の中での医療安全の責任者を3年ぐらいやっておりましたが、医薬品に関 する医療過誤等が最も多いわけです。現実問題として言えば、看護師等が起こしている 例もたくさんありますが、最近は病棟等広い分野で薬剤師が働いておりまして、これま で看護師が担っていた部分についても、医薬品に関しては患者に実際に投与したり、評 価をすることも多くなってきていますので、処分の内容が医療過誤等も含めた内容に変 わってくることが予想されますので、この点も是非考慮して検討をしていただきたいと 思います。 ○望月座長 確かに医療体制の在り方で、医師、看護師が医療過誤でいろいろと問題に なって、薬剤師が何で出てこないのかということは、非常に私どもも問題意識を持って います。その点についてもそのような背景に基づいて、やはり考えなければいけないと 思います。 ○七海委員 先ほどの資料4の行政処分についての10年間をみますと、非常に少ないよ うに見られます。しかしながら先ほども堀内委員も病院のことでおっしゃっていました が、薬局でも調剤ミスに起因する事故が、もっとあるのではないかという気がします。 したがって、調剤ミスに起因する処分をどのように明確にしていくのかという点も、検 討していただければと思います。せっかく医療提供体制の中に入って、薬局もその中に 入った段階では、薬局においての調剤ミスの医療事故でありますので、それをもう少し クリアに抽出できるというシステムも要るのではと感じました。 ○望月座長 たしか薬局では調剤ミスが起こらないように、必ず複数の目を通している のですが、それでも起こるのはなぜだろうと、そういう点からいかなければいけないの だと思うのです。ほかにはどなたかご意見がありますか。 ○倉田委員 「納得して医療を選ぶ会」という、医療の受け手の立場から参加させてい ただいています。ただいま委員の方々から薬局でもあるのではとか、あといろいろ伺い ましたが、私ども受け手の立場から薬剤師を見るときに、どうも医師の後ろに隠れてし まって、良いも悪いもよく見えてこない。その活躍もわからないかわりに、多分苦情も あまりないというのは、そういうところにあるのではないかと思って見ています。私、 長い間生きていても薬局に行って薬を買うときに、重篤な副作用の、このままいったら 危ないよというような注意をただの一度も聞いたことがありません。これから医薬品の 販売が変わると聞いています。ますます薬剤師の責任と立場が問われます。私どもの期 待に応えていただきたいと思います。 ○望月座長 薬剤師全体にとっては厳しいご指摘だと思うのです。処分問題以前の薬剤 師が医療の中でどうあるべきか、その点も含めて今度6年制ということで、資質をどん どん上げていくうちに、そういうことがなくなるということを目指しているのですが、 問題点はこれから出てくると思います。いまご指摘をいただいたところで武政先生、薬 局の立場からいかがでしょうか。 ○武政委員 いまご指摘ありましたように、一般医薬品の販売制度も、今般の国会に法 案が提出されて、今後変っていくという意味で、いま現在は倉田委員のお話で、薬の危 険性に関する説明を受けたことがないというのは、一般医薬品に関しても、きちんとし た説明の義務を果たさないケースが今後も万が一出ないとも限らない。そういう意味で はきちんとした医薬品の情報が欲しいという一般の方々の要望に応える形での制度改正 がいま求められているわけです。それをきちんと担保する意味でも、この行政処分の在 り方、再教育の在り方はすごく大事なポイントだと私も思っています。ますます今後重 要性が増えると思います。  1つ質問ですが、参考資料の5、これは医師に対する再教育に関する検討会、詳細に 検討がなされているのですが、その中で私1つ気になったのは、報告書の16頁に5−2 として「助言指導者の確保」とあります。助言指導者の確保です。いわゆる再教育を受 ける者に助言をしながら更正していく指導者なのですが、医師のほうは当面100名程度 の助言者を確保するということ、カリキュラムについては助言指導者のために講習会を 2日ないし3日程度設けるという内容が示されています。  それと比較して、同じ資料の最後のほうにイギリスとアメリカの例が載っているわけ です。イギリスの例が参考資料の6−1と6−2です。特にイギリスの例を見ますと、 再教育指導者を統括する担当者として、再教育監督者が各リージョンごとに任命されて、 そこが指導者を選定するような内容になっているのです。  日本の場合、今後どうなるかはわかりませんが、医師の場合に関しては一般の中から 助言指導者を養成するのだという仕組みです。それを統括するのは厚生労働省とダイレ クトな関係なのですが、イギリスの場合は一旦現場に委託して、その委託された専任者 が助言指導者を統活するという二段構えになっている。この方式をとりますと、委託を 受けた、イギリスのこの表現で言えば、生涯教育・卒後教育の責任者、Postgraduate Deans とGeneral Practice Directorsというのが、再教育の技術あるいはカリキュラム作りに ついても、さまざまな知識、技術を集積できるような気がします。どういうふうに教育 をしていったら実効性があるかとか、どういう形でのフォローアップがその方にとって 適切なのかという技術と知識の集績ができる形をイギリスではとっているような感じが します。この辺もっと詳しい説明がいただけたらありがたいと思うのです。 ○堀江委員 医師の再教育について検討した委員会の議論について記憶をたどりますと、 ここで言う助言指導者というのは再教育の内容として、1つは倫理的な問題等に対して の教育を担当する者が必要です。この場合は医師に限らず非医師の人たちも教育者とな ります。もう1つは医療技術に関連した事故を起こしたような場合に技術面の再教育を する指導者が必要です。再教育の事例は全国のいろいろな地域で起こる可能性があると 思いますが、その場合には例えば都道府県単位で指導する役割を担ってくれるような人 を設定する必要があります。医師の場合ですと、例えば専門医制度があり、指導医資格 を持った医師がいますので、そのような方に助言指導者をお願いする。そして再教育の 現場では指導者の下で実際の教育を担うことのできる能力を持った専門医がいますから、 きちんとした組織で再教育を行うということだったと思います。どこが担当するかはこ れからでしょうが、対応できる施設、助言指導者の候補は多いと思います。  発言したついでにと言っては申し訳ありませんが、医学部におりました時に薬学部の 6年制への移行に関していろいろと議論の場がありました。その経験を踏まえながら本 委員会に参加させていただくにあたって、例えば専門薬剤師制度とか、技術的な面で再 教育を指導する資格者の評価はどうなのかということが気になりました。  例えば6年制薬学部の学生教育で、病院における実務実習が10週間組まれると思いま す。医学部では学生に許容される医行為が設定されていますし、それを患者に実際に行 為として行うときにどういう指導体制が必要かとか慎重に検討しましたし、患者の了解 を求めることも行っているわけです。従って、薬学部学生が実行為を行うときの内容等 についての検討はどうなのか、薬剤師の方、あるいは薬学部の学生たちの実務教育にお けるリスクに関する認識はどうなのか、さらには学生の実習や当委員会で検討する再教 育などに対応する薬剤師の指導者は充足しているのか、その辺がどうなっているのかな ということが気になっておりました。 ○望月座長 その点は厚生労働省がいま検討を開始しているというか、もう既に始まっ ていることがいくつかありますので、事務局から説明をしてください。 ○事務局 いま堀江委員からご指摘がありました学生に対する部分ですが、まさに6年 制における実務実習をやっていく際の1つの整理すべき点になっていて、どこまでの行 為を直接実施できて、どこまでは見学型になるかとか、その辺りの区分けを実際に実習 が始まるまでの間に議論をしていこうということで大学の先生方と、現場で学生を受け 入れる薬局あるいは病院の薬剤師の先生方と議論を始めるということが一応確認できて いるので、具体的にはこれから内容は詰めていくことになりますが、一応そういう問題 意識はもっています。  提供者の関係は本日ご紹介した資料の2の4頁にありますが、どういった指導をする 指導者を養成していくかとか、再教育研修の提供者はどうするかといったところは、こ の検討会でご議論をいただく範囲かなと思っています。 ○望月座長 専門薬剤師のことに触れていただけますか。 ○事務局 本検討会の議題というか内容とは外れますが、薬剤師に関しても専門性があ る意味、必要な領域が結構あるのではないかということです。専門性といいますといろ いろな領域がありますので、全て一遍にはできませんが、まず国として大事な部分はが んの領域ではないかということで、がんの専門薬剤師に関しては、一応予算的な措置も した上で養成していきたい、ということを18年度以降考えている状況です。 ○堀内委員 実習につきましては、全部を調べているわけではありませんが、今も1カ 月実習の中で、病棟で服薬指導等の実習もやっている所は多いと思います。患者に対し ても担当医や患者等に対して了解を得てやっている所が多いだろうと私は思っています。  ただし、いまご指摘のようなことについてはきちんとやる体制をつくる必要があると 思います。安全性を確保するために、例えば我々の所ではチューターの薬剤師を付けて、 必ず学生が行くときには一緒に行ってチェックをする、ということはやっていますが、 リスクをどう担保するかは、6年制で長期に実習をやる場合には、これからの問題にな るだろうと思っています。  私は日本病院薬剤師会の代表ということで来ていますので、専門薬剤師制度の点につ いて、今後専門性を活かした薬剤師を養成しなければいけないという議論がかなりやら れています。いまお話がありましたように、ガンについては厚生労働省に大変予算的に もサポートしていただきまして、来年度スタートすることになっています。感染症の専 門薬剤師はついこの間第1回目の試験をやりまして、中心になる人たちの養成が始まっ たところです。精神病、高齢者、小児、糖尿病とか、これは薬剤師だけではありません が、いろいろな形での専門薬剤師の養成をできるだけ早く、しかもレベルをできるだけ 担保した形でやる方向で、いま検討が進んでいます。 ○橋田委員 いま教育の関係のことが話題になりましたので、私も少し述べさせていた だきたいと思います。教育、今回の問題についての全般的な話につきましては、望月委 員がおっしゃいましたように、6年制学部教育という教育改革の話と、医療の実践の場 における規範なりルール作りという今回のお話が両輪の形で動く、ということかと思っ ています。  いまのお話と関連して申しますと、今回の目的は、医療を担う医療人としての薬剤師 に関する資質向上ですが、お話に出ましたように、今度の教育制度改革に伴いまして、 長期実務実習が病院で10週間、それから開局薬局で10週間という制度になりますので、 いろいろな形で薬剤師の先生方に教育にも参加していただく機会が非常に増えることに なろうかと思います。もちろん厚生労働省あるいは薬剤師会等で認定指導薬剤師等々の 制度を作りご準備をいただいていますが、おそらく今回の議論の中でも、医療そのもの の活動だけではなしに、少しそういった部分すなわち教育に関連した活動も場合によっ ては要素として入ってくる余地もあるとは考えています。  もう1点、これは議論を拡散させることになるのかもしれないのですが、少し考えて おりますのは、この会は医療人としての薬剤師の業務を中心に据えておりますので、医 療現場を舞台にした議論が中心になるのは当然だと思います。ただ、薬剤師の場合には 先ほども出ていましたが、免許取得者が実際に活動する職業の範囲が非常に広いという 面があり、例えば企業に勤める薬剤師が大勢おられ、しかもその中には薬事法上規定さ れた資格として活動されている例が数多くあります。  教育の側から言いますと、そういった人たちに対する職業倫理教育の問題も非常に大 事だと思われ、我々も取り組んでいるのですが、そうした職種に就く薬剤師に対する行 政処分や再教育の問題が医療人としての業務に比較的限定した議論とどういう関係にな るかについては、この会でもどこかで一度考える必要があるとは思っています。 ○望月座長 ほかにどなたかございますか。 ○武立委員 医療現場から少しお話をさせていただきます。今回の行政処分の検討会の ことをお伺いしまして、それと関連して常々感じていることを申し上げたいのです。先 ほど堀内先生からもいま医療現場が大きく変わってきて、薬剤師の仕事も変わってきて いるというお話がありましたが、全くそのとおりです。医療安全もさることながら、質 の高い医療を提供するという意味では、チーム医療が欠くことのできないものとなって きています。  私の病院でもいまいろいろなチーム医療に薬剤師が参画するようになってきています。 チーム医療というのは医師、看護師、薬剤師、その他の職種の方たちが専門性を活かし て患者に対して、最適な医療を提供していこうというものです。例えば褥瘡対策とか、 栄養のサポートチームとか、院内感染対策とか、さまざまなチーム医療が動いてきてい ますので、そこで薬剤師が薬剤師の専門性をこれから活かしていく場になっていくかと 思っています。いままで「顔の見えない薬剤師」と言われて、確かにそういう面は多々 あったかと思いますが、チーム医療の中でそれぞれの専門を担うようになってきますの で、必然的にこれからは前面に薬剤師も出ていく時代になってくるかと思っています。 それだけ責任も大きいことになりますので、こういう行政処分というのも、そういう流 れに沿った考え方なのかと私は思っています。   私が危惧しているのは、こういう大きな流れの中で、卒業してもう何年も経った薬剤 師が本当に技術的にも付いていけるのかというところなのです。仕事も非常に多岐にわ たってきていまして、その内容もこの数年で驚くほどに大きく変わってきています。例 えばガンの話も出ましたが、抗ガン剤の混注も薬剤部で一手に引き受けようと、そうい うリスクの高いものは薬剤部でやっていこうという大きな動きがありますので、そこに も関与していかなくてはいけない。今まで内服薬、外用薬の調剤だけですんでいたのが、 もちろん注射もしないといけませんし、服薬指導もする。リスクマネージメントもやって いくということで、本当に大丈夫なのでしょうかというところを、私はとても心配して います。  生涯教育が日本薬剤師研修センターを中心に進められており、その中で切磋琢磨して いる方もいらっしゃると思いますが、全体的にはまだ十分とはいえません。今回の検討 会が生涯教育を更に推進していく1つのきっかけになればよろしいのではないかとも思 っています。 ○望月座長 ありがとうございます。生涯学習、生涯教育と今回の再教育とはやや視点 が違うのです。今まで4年制できている薬剤師と、6年制で資質を上げた薬剤師という ことを考えるときには、研修センターだけではなくて、私は日本中の大学あるいは病院 も一部はそうですし、薬局もそうだと思うのですが、本腰を入れて全体の薬剤師の資質 を上げることにならないと、いろいろな問題は解決しないかと思うのです。もちろん再 教育についても大学も大きく絡んでその中に入っていくことは必要だと思うのです。  以前、厚生労働省の薬剤師問題検討会に参加されて、これまでの薬剤師と、こうある べき薬剤師ということをずっと検討していただきまして、今回も参加していただいてい ます南委員にその辺りのご意見をいただけるとありがたいのですが、いかがですか。 ○南委員 先生方のお話をいろいろ伺っていまして、共感できることが、非常に多くあ りました。特に、武立先生のおっしゃったことは、かなり私も感じていたことです。資 料4に出ている22件を見ますと、印象としては、少ないな、ということと、内容が非常 に多岐にわたっている、ということです。つまり、医療上の薬事行為に絡むものよりむ しろ、かつての医道審議会が対象にした医師の処分のように、ほとんどが刑事事件のよ うなものです。医師の処分も、そのことが問題になって今日の流れになってきたわけで す。  薬剤師の場合もこれからのチーム医療などを考えますと、今後はこうした内容でなく なるのだろうと思います。しかし、薬剤師教育が4年教育から6年に変わるこの過渡期 の大変さを思いますと、処分について、きちんと決めておくことはもちろん必要なので すが、薬剤師の質の向上が、セットで行われないと意味がないことになる、という印象 を受けました。 ○望月座長 ありがとうございます。一通り先生方からご意見を伺ったのですが、更に 追加していただけるご意見があれば言っていただきたいのですが、いかがですか。 ○宇賀委員 私も参考資料の4を見まして、全体的に10年間にしては非常に件数が少な いということと、この22件を見ますと、いわゆる技術面での問題ではなくて倫理面で問 題になるようなケースだけが挙がっているのです。これは技術面で問題がないからそう だというわけでは必ずしもないのではないか。その1つの背景として今まで強制力をも った行政調査権限がなかったことがあるのではないかという感じがいたしました。  今回、薬剤師法を改正して、おそらく間接強制という形をとると思うのですが、調剤 違反に対して罰則を伴った行政調査権限ができてくるということになると思うのです。 その際にいろいろな所から調査の対象になる情報が行政のほうに寄せられてくる。それ が自治体にいったり、厚生労働省にきたりという形で寄せられてくると思います。医師 のほうの行政処分でも検討をした点ですが、それを適切にふるい分けをする必要が出て きます。中には取るに足りないような苦情みたいなものもあるでしょうし、中には重要 で行政調査権限を発動すべき事案も出てくると思うのです。それを適切にふるい分ける 体制というか仕組み、手続の整理が実際上非常に重要になってくるのではないかと思い ました。 ○望月座長 その辺りの検討方向はいかがでしょうか。 ○事務局 貴重なご意見だと思いますので、これからそういったものも全体の中で必要 かということで、考えさせていただければと思います。 ○武政委員 これからの検討課題になると思うのですが、私たちは薬剤師法で規定され ている薬剤師ですが、医師は医師法、看護師は保助看法とかを、さまざまなレギュレー ションの中で規制を受けている人たちがいますが、チーム医療の話が出ましたが、これ からどんどん進むという中で、チーム医療という観点から言えば、身分制度の下にさま ざまなレギュレーションを受けている者同士の、どういった再教育の在り方がいいのか を、法律を超えて横断的に何か検討する場が今後必要ないのかなということが気になり ました。すぐにはできないと思いますが、医療をチームで行うという面で考えると、今 後レギュレーションをする側も、お互いのノウハウとかさまざまなイノベーションのた めの方策を練る場を設定したほうがいいのかなという気がしました。 ○望月座長 確かに医師の裏に隠れて見えなかった薬剤師とか、看護師が薬剤師がいな いので忙しくて、つい過誤にいってしまったということを考えますと、それを全部考え たチーム医療全体としての考え方は、こういう所に出していくことは重要なことだと思 いました。ありがとうございます。 ○堀内委員 医療過誤を考えますと、いちばん問題になるのはリピーターだと思います。 同じようなことを繰り返す人はいるわけですから、これをどうするかというのがいちば ん大きな問題になると思います。戒告というのがどういう位置付けになるのか、まだこ れからの議論だとは思いますが、そのリピーターをどう教育して矯正していくかは、医 師の場合も薬剤師と同じことが言えるだろうと思いますので、今後の議論の中に入れて いただければと思っています。 ○望月座長 戒告の場合は方向としては再教育をして現場に戻るということになるわけ ですね。それがどのぐらい実効性があるかという堀内先生から厳しいご指摘なのです。 ○堀内委員 うまく利用できるシステムになれば良いと思っています。 ○望月座長 そういうシステムを利用するということですね、わかりました。ほかには ご意見がございますか。 ○平林座長代理 議論を1つ前に戻させていただきます。武政先生が先ほどおっしゃら れましたレギュレーションの違ういろいろな職種がチーム医療をやっていくという点で す。この点について、医療の現場を病院から在宅へと少し視野を広げていきますと、実 は医療関係者だけではなくて、ホーム・ヘルパーとか介護福祉士とかといった福祉関係 の人も入ってチームを作るわけですが、こういった在宅でも薬剤師の役割は、今後、大 きくなってくると思うのです。そうなってまいりますと、実はそのレギュレーションの 違う職種によるチーム医療というものを考えていくときに、業務をどういうふうに整理 をして分担をし、それぞれの職種がどういう責任を負うべきなのかということ辺りをき ちんと議論をしていかないと、実は現実の医療は、もうほとんど対応しきれない状態に なっているのだと思うのです。これは今回のこの検討会の検討からはずいぶん離れてし まいますが、そういう点も少し、もしかしたら視野に入れながら行政処分の在り方を考 えていく必要があるのかもしれないと思いまして、発言させていただきました。 ○望月座長 ありがとうございます。先ほど資料の医療提供体制に関する意見でも在宅 医療の推進というのは、非常に大きい項目になっていますし、いま先生が言われたよう な介護福祉を全部含めたような形で考えるのは必要になってくるのだと思います。ほか にはどなたかございますか。これまで先生方からいただいた意見によりますと、本日の 資料2に示されている事項については、概ね共通の理解ではないかと思うのですが、本 日いろいろとご意見をいただきましたが、これらを踏まえまして、今後、再教育の内容 や戒告や業務停止等の行政処分をどのような事案に当てはめていくか等について、更に 今後議論を深めていきたいと思います。全般的でほかに先生方何かご意見ございますか。 ○七海委員 先ほど専門性、専門薬剤師の問題なども討議されましたが、我々開局の場 合は非常に幅広い領域です。専門薬剤師制度の問題と薬剤師としての専門性とは別のよ うに思います。ですから生涯教育制度ともちょっと外れるのではないでしょうか。薬剤 師の現場での技術的な過失及びそれに対応した経緯等、さらに薬剤師の品位を損なう事 例等の報告の義務付けとかが必要になってくるのではないでしょうか。参考資料4が非 常に少ないと私も驚いたのですが、今後それが明確に情報が上がるような手続きという のですか、関連情報をどうやって引き出すかということを明確にしていったら自ずと医 療関係者、医師、看護師とか、同じようなレベルで討議できる。いまの状態では同じよ うなレベルでは討議できないような状況なので、よろしくお願いします。 ○望月座長 ありがとうございます。生涯学習というのは確かに再教育とは同じ問題で はないのですが、とにかく資質を上げるということは、全ての点に繋がっていくかと思 うので、全部関係者がやっていきたいとは思っているわけです。ほかにはございますか。 よろしければ本日の議論はここまでとしたいと思います。事務局から連絡事項がござい ますか。 ○事務局 本日はご議論をありがとうございました。次回の検討会については、国会の 状況等を見ながら改めて委員の先生方のご都合もお聞きした上で、日程調整をさせてい ただきたいと思います。その上でご案内させていただきますのでよろしくお願いいたし ます。 ○望月座長 以上で本日の検討会を終わりにします。どうも長い時間ありがとうござい ました。   −23−