06/01/26 第9回治験のあり方に関する検討会議事録 第9回治験のあり方に関する検討会議事録 厚生労働省医薬食品局審査管理課          平成18年1月26日(木)          10:00〜12:00 於:弘済会館4階 菊梅 ○ 事務局  それでは、定刻になりましたので、ただいまより治験のあり方に関する検討会を開催 させていただきます。  本日は全員御出席の予定でございますが、今井委員が少しおくれておられるようでご ざいます。ちょっと列車の事情等あるやに聞いておりますが、いずれお見えになるもの と思います。それから、事務局では医薬食品局長が所用のため失礼させていただいてお ります。それから、本日は議題2におきまして、前回延期となりました日本CRO協会 副会長の植松尚参考委員、日本SMO協会会長の尾芝一郎参考委員からのプレゼンテー ションをいただくことになっておりますので、本日もお二方に御出席をいただいており ます。それから、議題3の治験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班(ワーキン ググループ)からの報告に当たりまして、楠岡英雄・独立行政法人国立病院機構大阪医 療センター副院長にこのワーキンググループの座長をお願いしておりますが、楠岡先生 から御報告をいただく予定でおります。よろしくお願い申し上げます。  特にカメラの撮影等がございましたら、ここまでとさせていただきます。  それでは池田先生、以降の議事進行をお願いいたします。 ○ 池田座長  おはようございます。池田でございます。よろしくお願いいたします。前回は植松参 考委員、尾芝参考委員にご出席をいただいたにも関わらず御発表いただけなくて、大変 申しわけございませんでした。本日はよろしくお願いしたいと思います。  それではまずいつものように、事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○ 事務局  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。本日机の上にお配りし た資料でございますが、まず本日の検討会の議事次第、配付資料一覧、次が座席表でご ざいます。座席表はスライド等の関係で一部変更させていただいております。  それから後が配付資料になりますが、配付資料一覧をごらんいただければと思います。 資料3−1と3−2が「治験のあり方に関する検討会中間まとめ(その2)(案)」とそ の概要(案)ということでございます。先生方からいただいた意見をもとに取りまとめ たものでございまして、前回長時間御議論をいただいたものでございます。資料4−1 が、後ほどプレゼンテーションをいただきますCROの関係、資料4−2がSMOの関 係でございます。資料5−1から5−4までが、治験を含む臨床研究基盤の整備に係る 専門作業班の関係の資料でございまして、5−3が報告書の骨子、5−4が専門作業班 の報告書ということで、この辺を中心に御報告をいただく予定になっております。それ から、資料6−1から6−5までが医学研究に関する指針の関係ということで、臨床研 究倫理指針等についての資料ということになっております。そのほかに資料7といたし まして、「臨床研究基盤整備推進研究について」ということで、こちらも後ほど研究開発 振興課から御説明をさせていただきたいと思います。  それから、参考資料につきましては、大体毎回お配りさせていただいておるものが中 心でございますが、この中で参考資料4につきましては、前回これを中心に御議論をい ただいたというものでございますので、これも加えております。  それから、資料番号を振るのが間に合っておりませんが、当日配付資料といたしまし て、「中間まとめ(その2)案についての私の意見」ということで、加藤良夫委員の意見 をお配りさせていただいております。  配付資料は以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。配付資料について、皆様お手元にございますでしょうか。 よろしいですか。もし不足がございましたら、事務局の方へお申しつけいただきたいと 思います。  本日は3つの議題を用意してあります。前回2時間にわたって非常に熱心に討論をい ただいたということで、CRO、SMOの役割と費用についてのプレゼンテーションが できなかったわけでございますが、前回御議論いただいた内容、そしてその後委員の先 生方からいただいた御意見も踏まえまして、当日配付資料として加藤先生からもこのよ うな御意見をいただいておりますが、先生方に方向として御議論いただいた内容につい て事務局の方でまとめて、中間まとめ(その2)として、そして資料3−2には概要と いう形でまとめております。それについては私も目を通させていただきましたが、基本 的には先生方の御議論の方向でよくまとまっているのではないかなと思っております。 ただ、これは恐らく具体的な事項については今後も引き続き御議論をいただかなければ いけない、そういう要項だというふうに思いますが、現時点ではこの中間まとめを概要 ということで先生方に御理解いただきたいと思いますし、特に加藤先生からは、常に被 験者の保護という観点で御意見をいただいておるわけですが、その意見も踏まえて、今 後も幾つか具体的な作業に入るときには、そのような方向は確実に遵守されていくもの だろうと理解をしております。  本日は、それについて事務局から簡単に御説明をいただいた後、治験におけるCRO 及びSMOの役割と費用ということで、お2人の参考委員の先生方から御発表をいただ いて、それについて質疑応答を少しさせていただきます。後半は、これまで議論をして いただきました専門作業班の議論がある程度まとまりましたので、その報告、そして臨 床研究倫理指針などについて、医政局研究開発振興課から説明をしていただきたいと思 っております。本日もまた盛りだくさんでございますが、よろしくお願いしたいと思い ます。一応そういう格好で議論を進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでし ょうか。  それでは、今申し上げましたように先生方の御意見も踏まえて、「治験のあり方に関す る検討会中間まとめ(その2)(案)」というものがお手元に、資料3−1と3−2とい うことでございますので、このことについて簡単に御説明いただいて次の議題に入りた いと思いますが、事務局の方、よろしくお願いします。 ○ 事務局  それでは事務局から、この検討会の中間まとめ(その2)につきまして、御説明をさ せていただきます。資料の方は3−1と3−2でございます。先ほど池田座長からもお 話がございましたように、本日も参考資料4としてお配りしておりますが、前回、「治験 審査委員会の質及び機能の向上のための対応策(案)」をもとに、長時間の御議論をいた だきまして、これをもとに、年明けになりましたが、事務局より先生方の方に一度(案) の素案を送らせていただきまして、それに対する御意見も踏まえて修正したものを再度 お送りさせていただいて、御確認をいただいたものを本日お配りしておるという形でご ざいます。資料3−1は少し長くなりますし、先生方にはお目通しをいただいておりま すので、資料3−2で内容を簡単に申し上げます。資料3−2をごらんいただきたいと 思います。  資料3−2、「中間まとめ(2)の概要(案)」ということでございます。中間まとめ (1)を取りまとめていただいた後に、IRBについての議論を進めて、(1)〜(8)までと いうことで、その後の検討についても少し触れてまとめてございます。  (1)につきましては、基本的に治験実施医療機関ごとに一のIRBを設置しなければな らないとの原則は引き続き維持しつつ、専門分野の委員の確保が難しい現状を踏まえて、 そういう場合には新たに外部のIRBに審議を行わせることができることとする。  (2)につきましては、外部IRBの設置主体の範囲を拡大し、新たに、IRBの質を確 保できる一定の要件、ここにつきましては事務局の方でも今後また詰めますが、ここに 概略を書いてございますが、そういう法人にも新たにIRBを設置できることとする。  (3)につきましては、専門委員の確保が難しい場合に、外部のIRBに全部の審議事項 の審査を行わせることに加え、一部の審議事項のみを行わせることも可能とする。  (4)につきましては、複数の医療機関が共同で治験を実施する場合には、全部または一 部の審議を当該各医療機関が設置したIRBとは別のIRB──これはいわゆる中央I RBという言葉を使わせていただいておりますが──に共同で行わせることができるこ ととする。  (5)としましては、治験薬に係る重要情報が明らかとなった場合等においては、被験者 の人権、安全等を守るために、IRBが速やかに審議を行うこととする。これはこうい った規定が現在ないということで、こういったものも追加の必要があるだろうというこ とでございます。  (6)につきましては、IRBの委員としてふさわしい資質のある人材の確保という観点 から、委員の教育研修システムの構築を検討するということでございます。  (7)は、IRBの透明性を確保するために、被験者への同意説明文書において、IRB に関する情報を記載することとする。  (8)は、IRBの実態把握や透明性の向上が図られるように、米国における例も参考と して「登録公開制度」を導入するということで、これも先ほど座長から御指摘がござい ましたが、登録機関や登録内容等につきましてはさらに事務局で案を詰めまして、また こちらの方とも御相談させていただいて検討してまいりたいと思っております。  概要の方は以上でございます。  なお、先ほどこれも座長からお話がございましたが、昨日の午後に加藤先生より御意 見が提出されました。各先生方にも加藤先生から送信をされておられましたので、先生 方におかれましては既にごらんいただいておられると思いますが、本日は傍聴の方々も 含めまして全体に配付をさせていただいております。  簡単でございますが、説明は以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。先ほども申し上げましたように、加藤先生のこの当日配付 資料については、前回加藤先生からいろいろ御意見をいただいたものをまとめて、皆さ んに改めて先生の御意見を提出していただいたというふうに受け取っておりますが、加 藤先生、それでよろしいですよね。 ○ 加藤委員  1点だけ。きょうの資料3−2の中に、(4)で中央IRBという言葉が出てきています が、こういった言葉の問題というのは被験者に誤解を与えることも出てくると思うので、 きちっと適切な言葉を考えていただけるように、事務局にもお願いしておきたいと思い ます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。その点については事務局あるいは景山先生もまた御相談い ただいて、被験者の方が理解しやすいような形で、どういう言葉にするかということも 御検討いただきたいと思います。  IRBの委員の資質、あるいは教育研修システムの問題、あるいは透明性を確保する ための方策、あるいは「登録公開制度」等、IRBをより良くしていくための方向性が 出ていると思いますが、前回の議論を踏まえてこのような格好でまとめさせていただき ました。一応先ほど申し上げましたように、個々のディテールについては煮詰めていか なければいけないところが恐らくあると思いますので、その辺は事務局がこちらの委員 会に出していただくということで進めたいと思いますが、事務局、それでよろしいです か。 ○ 事務局  承知いたしました。 ○ 池田座長  それでは、一応中間まとめという格好で、これを先生方にお認めいただきたいと思い ます。ありがとうございました。  それでは、大変お待たせいたしましたが、次の議題であります、我が国の治験におけ るCROやSMOの役割と費用というものに移りたいと思います。初めに、植松参考委 員からよろしくお願いいたします。 ○ 植松参考委員  CRO協会の副会長をしております植松と申します。本日はよろしくお願いいたしま す。また、このような発表の機会をいただきまして、大変感謝をしております。時間の 制限もございますので、早速御説明に移らせていただきたいと思います。  きょうはたくさん資料を用意しましたが、要点を説明させていただきたいと思います。 本日の説明はこのような形で歴史から始まりまして、このようなことについて御説明を させていただきたいと思います。次をお願いいたします。  「CROの歴史、定義、業務」でございます。次をお願いします。  CROはまず欧米で発展してまいりまして、このCRO業務というのは1970年代か らあらわれましたが、実際には1980年代から活性化をしてまいりました。その理由と しましては、バイオベンチャーなどの医薬品候補が出てまいりましたが、それを受け入 れる臨床する組織がない。あるいは日本も一つかかわっておりまして、日本の企業がア メリカで臨床試験をする場合に、その組織がない。こういうようなことも一因としてあ りまして、このようなCROというものの需要が増大してまいりました。  これはアメリカにおけるCROの数を示しているものでございます。上の青いのが臨 床のCROでございますが、1980年代からバッとふえてまいりました。赤いのが非臨床 試験の受託産業、そして下が製造関係の受託産業、このような形になって臨床のCRO の数がかなりふえてまいりました。次をお願いいたします。  欧米におきましてなぜCROが使われるか。これは調査をしたのですが、一つはやは りキャパシティーの問題で足りないということ。そして、その製薬企業さんのコアの治 療領域でないという部分についてCROを利用したい。あともう一つは、これは経営的 な問題かと思いますが、人の固定費からやはり変動費にしていきたい。こういうような ことが主な理由として挙げられております。次をお願いします。  日本におきましては、CROは開発業務受託機関ということでGCP上言われており ます。医薬品の開発段階での臨床試験、それから医薬品の市販後の臨床試験、製造販売 後試験ですが、これにかかわる一部の代行、あるいは支援する企業ということで、いわ ゆるアウトソーシングの企業でございます。  日本におきましては1980年代後半に誕生いたしまして、協会としては1994年に設立 されて既に10数年たっております。CROにおける臨床試験の信頼性の確保というこ とで、いろいろと検討しております。実際には1997年の新しいGCPで初めてCRO が法律的に認知されまして、それからかなり活性化をしております。次をお願いいたし ます。  省令でCROが法律上認知され、「治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管 理に係る業務の一部を委託する場合には」というような形で書かれております。その後、 医師主導型の治験ということで、これに関しても「業務の一部を委託する場合」と、こ ういう形でつけ加えられております。上に書きましたのはICHの条文で、ICHの方 は日本と若干違いまして「any or all」というふうに書いてありまして、一部または全部 というような形で、ICHの条文との違いがございます。私どもCRO協会としては、 今後バイオベンチャーなどが薬を出してきた場合に、全く臨床組織もないというような ことがございますので、ICHの方に合わせるような形でお願いできないかということ で、今厚労省にお願いをしている段階です。次をお願いします。  CROの業務ですが、業務範囲は各CROによって異なりますけれども、その範囲は 極めて広うございます。ここに書きましたようなことでいろいろな業務をしております が、やはり中核はモニタリング業務。そのほかデータマネジメント、統計解析というの が主な業務でございます。次をお願いします。  そのほか申請にかかわるような業務、あるいは製造販売後の支援業務。そのほかCR Oの中には非臨床試験をやっているところ、あるいはMRなどの派遣というようなこと を業務としてやっているところもございます。次をお願いします。  先ほど申しましたように、CROの中核はモニタリング業務、データマネジメント、 統計解析業務ということですが、もう御存じかと思いますけれども、モニタリング業務 というのは新GCPと治験実施計画書を守って、治験の「質」と成績の「信頼性」を確 保するための業務です。省令では「モニター」というふうに書かれておりますが、「CR A」あるいは「臨床開発モニター」と言う場合もございます。このモニターの業務とい うのは、必須文書の作成など非常に細かな作業もございまして、緻密な性格も求められ ております。次をお願いします。  もう御存じかと思います。モニタリングの目的は、被験者の人権、安全及び福祉が保 護されていること、そして、治験実施計画書、GCPに規定する基準を遵守して実施さ れていること、それから、得られたデータが正確かつ完全で、原資料等の治験関連記録 に照らして検証できることを確認すること。これがモニタリングの目的でございます。 次をお願いします。  データマネジメント業務は、得られたデータに関しましてその入力、チェック、修正、 管理を通じてデータベース化する業務をいいます。略してDMとも言います。そのほか 統計解析業務は、そのデータを生物統計学の手法を用いて、有効性や安全性を統計学的 に説明する業務でございます。  日本での「CROの必要性」ということで、次をお願いします。  CROへのニーズが高まってきた背景といいますのは、やはり製薬企業さんが医薬品 の開発でスピードということをかなり求めておりますし、また新しいGCPにおいて、 治験実施要件が非常に厳格化・複雑化してまいりました。そこでたくさんのモニターが 必要になってきたということでございます。そのほかに治験の大型化や、最近ではバイ オベンチャーがCROに臨床試験を頼むということもございますし、医師主導の治験も 始まってモニタリングや品質保証、そのほか治験だけではなく臨床試験というところで、 医療機関への人的な支援でデータマネジメント、統計、あるいは疫学調査のお手伝いな どもさせていただいている現状です。次をお願いします。  これは製薬企業にとってのCRO委託のメリットということでございますが、やはり 製薬企業にとってはスピードアップということが大きな課題です。それからやはり開発 コストの削減。これが2つの大きな要素だと思います。そのほかCROは製薬企業にな い専門性を有しているという場合の補完というようなことがございます。  CROの業務の内訳でございます。これは現在37社がCRO協会に属しております が、その4分の3がやはり医薬品の業務をしているという数字でございます。次をお願 いします。  その臨床試験の中で60%がモニタリングの売り上げ、25%がデータマネジメント、統 計解析の売り上げを示して、ほぼこれが中核的な事業になっております。次をお願いし ます。  現在、このCRO協会に属している会社の人数は約7,000名というような形になって おります。次をお願いします。  その中核の、特にモニタリング業務についてこれからちょっとお話をさせていただき たいと思います。次をお願いします。  これは既に御存じだと思いますが業務内容です。細かいことは省きますが、治験の準 備、各部門との協議・合意、治験の契約、治験実施状況の調査・確認、医師及び協力者 への資料・情報提供、有害事象への対応、CRFの回収・点検、SDVと呼ばれている 原資料などの直接閲覧の実施、治験の終了の手続と、モニターはかなりいろいろな業務 をしております。  モニターの要件ですが、やはりかなり知識的なことがないといけませんし、それから コミュニケーション能力と。こういうようなことで、私どもは新しい学生さんを採るの ですが、やはり2年、3年たたないとなかなか使い物にならないというのが現状でござ います。次をお願いします。  CROとSMO、後ほどSMOの御説明があると思いますが、CROは医薬品企業の お手伝いをする、SMOさんは治験施設の支援機関ということで、CRC、治験事務局 などの業務を行っているということを書かせていただきました。  「CROとSMOの関係」という言葉で書いてありますが、CROが治験依頼者をお 手伝いするということで、こちら側は「治験の依頼・管理」、そして実施医療機関の方は SMOが「治験実施」のお手伝いということで、それぞれ立場の異なるSOPを遵守し まして、治験の実施や独立性を担保してやっております。次をお願いします。  この検討会で費用について議論が出たということで、「モニター費用について」御説明 をさせていただきたいと思います。  これはCROでの標準的な比率ですが、やはりモニターという労働集約的な業務で人 件費というのが一番で、ここにモニターのAさんという人がいますと、この方の年収を 月で割りましたその月収。それとこの方のほかにB子さんやC子さんというサポートす る方がおります。そういう方々の人件費ということでございます。ただ、Aさんの場合 に、私どもは受託産業ですので、1年間すべて受託をしているかどうかというところで、 空くようなときもございます。そういうことで、稼働率というようなところも加味して この中には入れております。そのほかに、やはり企業でございますので経理の方や教育 の方など、そういうような間接の人件費が約10%。それから設備費という建物やパソコ ン等借りているもの、この辺が15%。そのほか会議やもろもろの経費は販売管理費とい うことで3%。それに利益をつけさせていただいているということでございます。そう いうことで、日本において今CROモニターの費用が高いということが時々聞かれます が、私どもは現状としては高いとは思っておりません。製薬企業さんのモニターより低 いのではないかなと。時々直接的にこのトータルの経費を個々の人々の月収とかそうい うのと比較されると高いように見えますが、やはり企業としてはこのような下の半分の ところも加味して、請求をさせていただいているということでございます。  製薬会社さんとCROとで、製薬会社がCROを使うことのメリットということで、 一番上の図は、開発には人が必要な場合と要らないといいますか、空いている場合があ り、製薬企業さんが開発のピークにあわせて全部確保してしまいますと、余剰が出てき てしまいます。理想的には開発のミニマムにあわせてモニターを確保して、その不足部 分はCROが補っていくというのがございます。ただ欧米においては、既にそのモニタ ーをすべてCROに委託をするというような企業も幾つかございます。次をお願いしま す。  これは日米間のモニタリングコストを、米国のCROのデータから比較してみました。 これがすべてではないですが、これは産婦人科領域の薬剤で、同じプロトコールで後期 第II相試験、15施設、350例で行ったときの比較であります。このときのスピードはF PI〜LPO、最初の患者さん組み入れから最後の患者さんの治験終了まで4カ月とい う形で終わっておりますが、費用の方を見てみますと、平均しますと米国が1に対して 日本が2.2倍というようなことが出ておりました。特に依頼契約のところが1対4.5 と、このような形のデータが示されておりました。次をお願いします。  この辺のところをさらに調べてみたところ、やはり訪問回数が日本のモニターの場合 はかなり多い。特に依頼・契約で施設に対して月6回という形で出ておりまして、この 約2.2倍という経費の差ですが、これだけで結論が出るわけではありませんけれども、 高いと感じるのはやはり日本の試験は、そのものにかける手間がアメリカに比べて多い のではないかと考えられております。  これは参考として製薬協のニューズレターで、1症例に当たる費用ということで、日 本が314万円、海外が219万円というようなことが出ておりました。ただ海外と日本で は事業構造や組織構造が違いますので、もう少しこの分析が必要かなと思っております。  「治験の問題点、課題、今後の予測」ということでございますが、次をお願いします。  やはり私どもが感じているのは、治験業務は手続作業が多いということで、モニター はこの手続のために走り回っております。それから訪問回数も、最近はオーバークオリ ティーというようなことも言われておりますが、非常に多い。それから欧米におきまし ては、モニター1人当たりが10〜15施設と、10施設以上持てる。日本は現状でいうと 3〜4施設ぐらいしか持てないということでございます。医療機関の役割もかなりまだ まだ負担しているのではないか。そして1施設当たりの実施症例数が少ない。こういう ことで、多数のモニターが必要になってきているというのが現状ではないかと思います。  あとは今後の課題ということで、先ほど申しましたように、今CROの一部というも のを、一部または全部ということに改訂していただきたいという要請と、今後はやはり グローバルスタディー/大型臨床試験への対応、それから新しい分野の臨床試験への対 応、特にIT関係・EDC、EDCというのは電子CRFのことでございますが、こう いうことへの対応ということで、やはり治験を効率化することで対応していくというこ とがございます。もちろんその下に書いてありますように、モニターの教育研修という こともさらに強めていく必要があると思います。  これは今後の予測ということで、CRO協会も10年たちまして、CRO業務も10年 以上になります。こういうことで、だんだんと経験を積んでまいりましたので、モニタ ーとしての経験もふえてきました。そうしますと、パートナーシップというような委受 託の関係や、あるいは疾病特化型のCROというようなものも出てくるのではないか。 創薬ベンチャーではやはり積極的に活用されていくのではないか。それから、国際展開 ではアジアンスタディーといいますか、日本のCROで中国や韓国にも既に進出してい る企業がございます。そういう取り組みも大きくなっていくと思いますし、国際臨床試 験というものも日本に入ってくると思います。そういうところで、CROは国際的なマ ネジメントの要求もされるのはないか。ビジネス的には治験ばかりでなくて、今後いろ いろなエビデンスをつくるというようなことの受け手とか、あるいは創薬ベンチャー的 なCROと、こういうようなものが出てくるのではないかと考えております。  以上、CROの御説明をさせていただきました。ありがとうございました。 ○ 池田座長  植松参考委員、ありがとうございました。それでは、引き続き尾芝参考委員から、「治 験におけるSMOの役割と費用について」ということでお話しいただいて、その後に委 員の先生方から御質問、御意見をいただきたいと思います。それではよろしくお願いし ます。 ○ 尾芝参考委員  今御紹介いただきましたSMO協会の尾芝と申します。前のスライドの方は日付が前 回の日付になっておりますが、御容赦いただきたいと思います。きょうはSMOの内容 について、簡単に御紹介をさせていただきます。  ここに出しておりますスライドは、SMOの利用に関する標準指針策定検討会、平成 14年11月に発表されたものでございまして、SMOに重点を置いてというか、SMO に対して出た検討会の報告でございます。そこで初めてSMOが「治験施設支援機関」 というふうに日本語で呼ばれるように定義されて、「治験の実施に係る業務の一部を実施 医療機関から受託または代行する者」というふうに定義づけられました。その中で下に 代表的なものを出しておりますが、こういった業務を治験を実施する医療機関から請け 負う、あるいはお手伝いをする業態というふうに決められたようなことでございます。 これを見ていただきますと、実施できる業務とできない業務、両方書かれておりますが、 治験にかかわるもので法律で医療機関外の者が行ってはいけないものであるとか、医師 あるいは医療機関内部の者しか基本的に治験の実施ができないもの以外はほとんどカバ ーされている、あるいは請け負うことができるというふうにお考えいただいて結構かと 思います。次をお願いいたします。  先ほど植松参考委員からもお話がございまして、ちょっと重複いたしますが、SMO、 CROの位置づけを図示させていただきました。皆さん御存じのように、治験といいま すのは基本的には治験依頼者と治験の実施医療機関、この2つで行われるのが原則でご ざいますが、それぞれ行う業務、依頼者でございますと先ほどお話がありましたように、 治験の依頼準備からモニタリング業務、DM、そして最終的にはライティングと呼ばれ る申請書づくりまで、このような業務がございまして、これをお手伝いする、あるいは 受託するのがCROでございます。一方、実施に伴いまして医療機関でも多岐にわたる 業務が発生いたします。当然、実施前の準備でございますとか実施そのもの、それから 報告をしなければいけませんのでCRFと呼ばれています症例報告書の作成、そして当 然患者さんに被験者として御協力いただきますので患者さんのケア、そういった業務が 発生しております。そういった医療機関で行われる多岐にわたる業務を受託するのがS MO(Site Management Organization)と呼ばれている機関だと御了解いただければ 結構でございます。次をお願いいたします。  SMOでございますが、先ほどCROの背景や歴史の御紹介がありましたが、国内に おきましてはSMOといいますのはCROと比べて短い歴史でございます。簡単に言い ますと、現行のGCPの施行後に、あるいは施行と同時に発生してきたような仕組みと 考えていただいていいと思います。ここにございますように、GCPの施行によりまし て治験の手数が増加してきたと。それと昨今、先ほどもありましたが、治験の複雑化・ 大型化によりまして、非常に手数がふえてきたわけでございます。それ以前、かつては 治験といいますのは、大学病院など大規模医療機関で主に実施されていたわけでござい ますが、そのように手数がふえてきますとかつてのプレーヤーの能力に限界が出てきま す。要はできる治験の数が限られてくると。一方、薬剤はどんどん開発されてきますの で、それを行う新たな場所が必要になってきました。そういたしますと、ここにござい ますが新たな場所が必要になってきて、大学病院以外と考えますと、それまで治験を実 施していない中小の医療機関等が、治験の実施場所としてクローズアップされるわけで す。次をお願いいたします。  もう一方の背景といたしまして、昨今いわゆる生活習慣病と呼ばれているような、さ ほど重篤ではないけれども慢性的に経緯するような疾患に対する薬剤の開発が非常に盛 んになってきております。こういった薬剤を開発するためには、当然生活習慣病の患者 さんに御協力いただかないとなりませんので、そのような患者さんがいる医療機関で治 験を実施する必要があります。これは実は大学病院等巨大病院ではなくて、町の中、あ るいは皆さんの近くにある診療所など中小の医療機関にかかっている患者さんが多いと いうことから、こちらの方でも中小の医療機関がクローズアップされてきたようなわけ でございます。  これはSMOの支援業務を書きますが、今2つのスライドで示しましたように、ここ 数年、いわゆる中小の医療機関、あるいは民間の医療機関と呼ばれている医療機関での 治験実施がふえてきたわけですが、このような医療機関はそれまで治験を実施した経験 がなかったり、治験を実施するためのインフラストラクチャーと呼ばれていますが仕組 みがなかったり、治験に割くことができる院内のヒューマンリソース、人材が不足して いたりということで、行いたいけれども行えないと。医療機関の方も、興味を持ってそ ういった新薬の開発にかかわってみたいけれども、なかなかできないという状況になっ たわけです。そこで出てきたSMOが、ここにございますような2つの機能を提供する ことになりました。SMOの会社によりましてサービスや形態はいろいろ違っておりま すが、代表的なものとしてお考えいただければいいと思います。  一つは治験コーディネーター、CRCとよく呼ばれていますが、このようなファンク ション、もう一つは治験事務局担当者、SMAと呼ばれることも多いですが、そのよう なファンクション、この2つでございます。CRCの方は主に担当医師のそばにいて、 担当医師を中心にお手伝いするというような考えでいていただければ結構かと思います。 実施の実際的な面をサポートして、治験担当医師あるいは責任医師の負担を軽減して、 円滑になおかつ質の高い治験が実施できるようなお手伝いをします。一方、事務局担当 者と申しますのは、IRBの事務業務をサポートしたり、あるいは当然治験ですので治 験依頼者、製薬メーカーの方と病院の間のいろいろなコミュニケーション、あるいは準 備、会合等が発生しますが、そういったもののアレンジメント、それから医療機関サイ ドでつくらなければいけない必須文書の整備等、あるいは負担軽減費の支払いのお手伝 いなども行っています。こういった事務的な機能、あるいは実際的なベッドサイドでの 機能、この2つの組み合わせで、医療機関で治験が円滑に行われるように支援させてい ただいております。  これは治験コーディネーターとSMAと分けて書いておりますが、治験コーディネー ターはわかりますように、治験開始前は主にプロトコールの把握に努めたり、資材の準 備に努めたりしておりまして、さらに本当に忙しくなるのは治験の開始から終了までで す。同意説明のお手伝いをしたり、被験者さんのスケジュールの管理をして、検査が漏 れたり来院日にいらっしゃらなかったりというようなことから発生する逸脱を防いだり、 最終的にはSDVの資料の準備ですとか、そういったこともしております。次をお願い します。  一方、SMAは事務的なお仕事ですので、準備のときに治験依頼者と医療機関との間 に立っていろいろな準備、あるいはIRBのセッティングのお手伝い、そういったよう なことを行って、開始後は主に文書的な事務的なお仕事がさらに中心になります。この 間、治験開始後も有害事象が発生したりしますと、適宜IRBを開催して御報告をして 審議をお願いするようなことを進言させていただいたり、そういったことでミスが起こ らないようにしております。次をお願いします。  SMOといいますのは歴史が短い割にはいろいろなタイプの会社がございまして、そ れが一般にSMOという業務をわかりにくくしているところではございますが、ここで 皆さんには典型的な2つのタイプを御紹介しておきたいと思います。左にありますフル サービスといいますのは、今御紹介したSMA業務、要は事務局業務とCRC業務の両 方を提供して、トータルで医療機関の治験実施をサポートします。時には、サイトマネ ジメントをするのでマネジメント機能を持っていなければいけませんので、そういった 意味では狭義のSMOというふうに言われておりまして、どちらかというと診療所など 治験の経験が浅かったり、小規模でリソースがない、そういった医療機関に提供される ことが多いサービスでございます。  もう一つがCRCの単独サービスで、これはCRCだけを医療機関に派遣します。も うその医療機関自身が基本的な治験実施のインフラストラクチャーを持っていたり、治 験事務局――大学病院などの場合は治験センターだとかいろいろな名前で呼ばれており ますが――そういった機能を持っているので、日々の診療に忙しい治験責任医師や分担 医師の業務にフォーカスを当てて支援をするサービス、これがCRCの単独サービスで す。これはどちらかといいますと国公立などの病院ですとか大学病院ですとか、大規模 な病院に提供されることが多いタイプのサービスと考えていただいて結構です。次をお 願いいたします。  さらに、今度は費用の方に少し入らせていただきたいと思います。サービスのタイプ の違いもある上に費用のタイプも違うという、またややこしいことがございますが、一 つは症例実績対応型のタイプといいまして、要はある医療機関で目標を持って計画通り に被験者の方に御協力をいただくように活動するわけですが、例えば10名の被験者さ んを一施設で必要とするという計画を立てた場合に、その実際に協力をいただいた被験 者さんの数に応じて費用が支払われる場合。ですから、8例の場合は当然10例の場合 よりも低くなるというタイプでございます。もう一つは業務実働型と申しまして、この 言葉は私どもが勝手につくっているわけですが、要はこれは時間で費用を請求すると。 週に2回ずつ治験のお手伝いにお伺いすると、大体月に8回になるわけですが、1回お 幾らですよというような価格設定をしておいて、要望に応じた回数訪問させていただい て、その費用を請求します。これはどちらかといいますとCRCの、先ほど言いました 単独サービスの方に多いようなタイプでございます。次をお願いいたします。  では実際上、コストというのは、プライスはどのように構成されているのかというと、 これは先ほど植松参考委員からお話がありました企業の価格設定、それもこれは人材を 用いてのサービスでありますので、基本的には同じでございます。直接その仕事にかか る経費と、会社として必要な間接的な経費に分かれているということでございます。こ れはもう世の中一般的なお話ですので詳細は省きますが、実際施設に赴くSMAやCR Cの人件費ですとか交通費ですとか通信費といったもの、間接経費はその人たちを教育 したり維持するための部分というようになっております。これを直接経費と間接経費と いうふうにしてブレークダウンで書いてございまして、直接経費の方がザッとのところ で、当然プライスのうちの半数以上になっておりますが、それが80%も90%も占めて いるということではなくて、普通皆さんが考えられる以上に間接経費がかかっていると いうことでございます。間接経費というのは例えば一番簡単な例ですと、診療所で治験 をするような場合に備えて、診療所のインフラストラクチャーをあらかじめ整備してお きませんと、依頼をしたときにはすぐに実施ができません。それは試験が始まろうと始 まるまいと、我々医療機関を支援する者としては、先生から御依頼がありましたらそう いうふうな準備をしておくわけです。これはあるプロトコール専門に、ある試験専門に かかったコストではございませんので、間接経費となりまして、こういったものの経費 というのは結構大きなものになります。次をお願いいたします。  さらに今度は違う観点からいたしますと、先ほど症例変動型というのがございました が、今こちらの方が大体トレンドになって、症例の数に応じて費用が変動すると。こう いった部分については、固定費部分と変動費部分というのがまたございます。当然患者 さんの数、IRBの開催頻度、こういったものによって変動する部分がございますし、 別途先ほど言いましたインフラを整備したりとか、症例の数にかかわらず必ずかかるコ ストというのがございまして、これが固定費として考えられているわけでございます。 次をお願いいたします。  変動費と固定費と言いましたが、変動費、固定費の中にも当然間接の部分と直接の部 分がございますので、合計としてわかりにくい図でこれは一体何なんだと思われるかも わかりませんが、それぞれがそれぞれのパートを持っています。要は変動費にも間接部 分と直接部分があって、固定費も同じような感じになっていますよということを示させ ていただきました。  スライドはここまででございますが、SMOのコストはこのように構成されています。 したがいまして、基本的に手数がふえればふえるほど、このようなコストは上がってい くとお考えいただければいいと思います。それは当然治験には多くの作業を必要といた しますので、必要な作業にかかるものであればこれは仕方がないことでございますが、 時には不必要な作業が発生している場合がございます。当然我々はやる方でございます ので、みずから進んで不必要な作業をしたいと思ってやっているわけではございません が、例えば依頼者の方からこういうこともやってくれないだろうか、それが必ず必要か どうかということを場合によっては十分吟味されずに、頼めるのだから頼めるだけは頼 んでしまおうというような感じで頼まれますと、これは手数の増大になります。あるい は、これは基本的には医療機関の方にも、当然治験依頼者の方から研究費ですとか施設 の使用料等が払われている、あるいは施設管理費が払われているので、施設サイドで基 本的には行っていただきたいことも、そういう費用が発生しているわけですから、その ことも今度SMOに頼んだ方が楽だからというように頼まれる場合も発生してきます。 こういった場合には、極端に言えば費用が2度発生しているような形になりまして、こ れも費用の増加を伴うというふうになってくるわけでございます。  したがいまして、やはりこの辺のコストをよく考える場合は、治験依頼者、医療機関、 そして我々が一緒になって、一体だれがどこまでのことをやるのか。やったことはリワ ークが起こらないように確実に分担をして行うようなこと。それからそこの治験、プロ トコールの中にもあるのですが、これは本当にやらなければいけないことなのだろうか と。不必要なエントリークライテリアがあって、患者さんを選ぶときにややこしくして いないだろうか。これは非常に時間をとることでございますので、こういったことも事 前によく、だれが悪いとかいう問題ではなくて、準備がされていないのでむだな費用が 発生している場合があるのではないだろうかと、そのように最近は考えております。  世の中で言われておりますオーバークオリティーの問題もあるのかもわかりませんが、 こういったことをやはりよく吟味していきませんと、人件費というのは手間がかかれば かかるほど単に上がっていくだけでございますので、これは下げるわけにはいきません ので、その辺はこれからの課題として、これはCROさんも先ほど植松さんがおっしゃ ったみたいにお持ちで、御提示されていましたが、我々も同じような課題を感じている というような次第でございます。  どうもありがとうございました。 ○ 池田座長  どうもありがとうございました。お2人の参考委員の先生方には、それぞれCRO、 SMOの役割について、特に費用の問題についても言及していただいて御説明いただき ました。それでは、各委員の先生方の御質問、あるいは御意見をここで伺いたいと思い ますが、どうぞ遠慮なく御質問いただきたいと思います。どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  木村です。植松参考委員にお聞きしたいのですが、CRAの教育や業務の標準化とい うのは協会の中で何かされているのでしょうか。そこら辺について教えていただけます か。 ○ 植松参考委員  今まで現状としては、各CROがそれぞれ自分のところの教育プログラムを持ちまし て、新卒ですと2カ月とか3カ月座学をして、それからOJTというような形で、社内 での認定制度を設けてやっていたというのがございますが、私どもCRO協会として各 会社が最低限の質を保とうということで、現在CRO協会の中では教育プログラムの作 成を今ちょうどしております。ただ、それはCROのモニターの認定制ということも考 えたのですが、モニターは製薬企業の方にもおりますので単独ではなかなか難しい面も ありますけれども、現在協会としてはそのような形で今ちょうど作成中でございます。 ○ 池田座長  そのほかいかがでしょうか。どうぞ、藤原委員。 ○ 藤原委員  2点ほど教えていただきたいんですけれども、これは審査管理課に聞いた方がいいか もしれませんが、CROさんに業務を委託するというところが日本では一部となってい て、恐らくあれは前の承認が製造承認というのにあったから、一部委託というふうにな ったのかもしれませんが、今販売承認になっていろいろな業務をどんどん外に出せるよ うになった中で、全部を委託させずに一部をCROさんに委託させる背景というのは、 どうしてそういうふうに変わったのか聞いておきたいというのが1点目です。  もう一つは、利益率のところを見ると10%ぐらいですが、ほかのいろいろな会社、製 造業でもいい、車の開発さんとか、ほかの業態の人たちの利益というのはこんなに高く ないような気もするのですが。 ○ 池田座長  植松参考委員、お答えになられますか。 ○ 植松参考委員  私どもは、これだと10%ぐらいになりますが、平均かなと思っていますし、今製薬企 業さんがだんだんコストを下げる、臨床開発の経費を下げるというような意味で、現状 としてはますます厳しくなっている状況でございます。 ○ 池田座長  どうぞ、課長。 ○ 事務局  最初の方でございますが、これは植松さんの御説明にもございましたように、5ペー ジの業務委託のところでICHでは確かに全部または一部という形になっておりまして、 欧米の場合は契約で基本的に全部をアウトソーシングすることができることになってい るわけでございますが、日本の場合はそこは少しは開発をやっている企業に残っていな ければならないという形に、現状はなっているということでございます。  そのあたりでのお話が出てしまって、ここはまた個別の論点みたいな話になるかと思 いますが、私どもが植松参考委員、尾芝参考委員にお話をしていただきましたのは、い ろいろな関係者が加わって治験というものが行われている状況だということを、皆様方 に御理解いただきたいということ。それから、こういうふうにいろいろな方が関係して まいりますと、関係者の方々の相互の信頼関係や、また相互のチェックといったことも 当然必要になってくるわけでございまして、いずれにしましても実態をできるだけお話 ししていただいて、相互理解を深めるところからスタートしていただければということ でございますので、今後の論点としてはあるかと思いますが、そこだけを今取り上げて お話というふうには考えておりません。 ○ 池田座長  ありがとうございます。どうぞ。 ○ 吉村委員  吉村です。尾芝参考委員に2つほどお聞きしたいのですが、先ほど植松参考委員の方 から日米の比較ということが行われたのですが、一つはその日米比較というのがSMO の費用に関してはなされているかどうか。もしあれば教えていただきたい。  もう一つは、先ほどのお話の中で費用として、医療機関の設備みたいなものを整備す ることが費用の中に多少入っていると言われたと思いますが、それはいわゆるイニシャ ルコストですから、単純に固定費というよりは初期投資といいますか。だから一度やっ てしまえば、それはその後治験をいつ依頼していても使えるようなものであるから、そ ういうものを先ほどの費用の中に入れるのはちょっと違和感を抱くのですが、それにつ いての御意見をお聞きしたいです。 ○ 尾芝参考委員  まず日米あるいは欧米との比較でございますが、残念ながら今のところなされてはお りません。といいますのは、SMOのポジショニングというのはやはり各地区といいま すか、各極で違っておりまして、例えば米国の場合ですとかつてはといっていいのだと 思いますが、明確なSMOのポジショニングというのがございましたが、今は余り明確 にはなっていません。といいますのは、SMO自身がCROというファンクションの中 に組み入れられてきておりまして、要は私もアメリカの会社にいたのですが、もうCR Oに丸投げになってしまうわけですね。だから、サイトを選ぶのと同じことになります ので、CROがSMOを選んでしまって、そこで治験をすると。その費用もすべてCR Oに入ってしまっておりますと、これは独立して出てこない数字になります。そういっ た意味で、米国の方ではクリアなデータがございませんし、よく見えなくなっていると いうことでございます。  それから、私の説明の仕方が悪かったと思いますが、病院の何か機器を買うとか、治 験のために機器を導入するとか、そういった費用をあそこの固定費というふうにしたの ではなくて、施設の使用料ですとか、例えば小さいところですが光熱費とか、そういう ものを一定の比率で製薬企業の方から医療機関に支払うことになっている場合が非常に 多ございますので、そういったものを指していると御理解いただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。 ○ 池田座長  どうぞ、吉村委員。 ○ 吉村委員  吉村です。今のお返事に対する確認ですが、今言われた電気代というような感じのも のであれば、これは言ってみれば先ほど言われていた二重請求とでもいいますか、別に 本来ならば治験依頼者の方から払われていてしかるべき費用のような気がするのですが、 そうではないのですか。 ○ 尾芝参考委員  それは治験依頼者の方から払われて、我々がそういったものを取るということではご ざいません。二重になってしまっているといいますのは、そういったものを全部入れ込 んだ形で施設の調整費、要はサイトマネジメント費用的なものを当然我々は調整いたし ますので、費用として請求することがある。だから元来医療機関の方に、そういったも のがもともと歴史的に支払われていたと。それを変わらずに我々の方で、我々の方は作 業をいたしますので、やはり御請求することになってしまうというところに問題がある だろうと。もともとの仕組みを完全によく吟味して変えないで、新しい仕組みがオンさ れてしまったので、そこの部分はこれから検討しなければいけないだろうという意味で ございます。 ○ 吉村委員  吉村です。もう一つ確認ですが、先ほどアメリカの場合にはSMOとCROが一体化 していることが多いと。日本の場合はそういうふうにはなっていないのですか。 ○ 尾芝参考委員  日本の場合にはなっておりません。今のところはSMOとCROの間には明確な組織 上、あるいは監督上、指揮命令上の区別をつけましょうというのが、規制当局の方から の期待値でもございますし、我々の方もそれに従ってやっていこうということになって おります。 ○ 池田座長  どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  木村です。今のことに関連してですが、日本ではCROとSMOは明確に独立してい ると。独立した方向を目指しているということかもしれませんが、今までの歴史的な経 緯からいえば、CROとSMOはかなり近い関係にある場合が多いのではないかと思う んですね。先ほど植松参考委員からのプレゼンテーションでも、独立性を担保している というお話がありましたが、独立性に関してどういうふうに担保されているかというこ とを、具体的にお話しいただきたいのですが、よろしくお願いします。 ○ 植松参考委員  SMOの業務はCROから発生したものも多いかと思います。ただ現在は企業として 会社名を分けて、そしてそこではピシッとした区分けをして、それぞれのSOPを持っ ておりまして、それでまじらないような形で仕事をしているというのが現状でございま す。 ○ 木村委員  木村です。そうすると、指揮命令系統は全く違うというふうに考えてよろしいですか。 ○ 植松参考委員  はい。指揮命令系統が違う……。一部どうですか、SMOさん。 ○ 尾芝参考委員  SMO協会としまして、すべてのSMOを把握しているわけではないですが、ほぼ全 部の組織が分かれています。ただ、中には会社の中にCRO部門とSMO部門というふ うに、組織上分けて対応されているところもございます。しかし、その場合はそれぞれ のファンクションがそれぞれのオペレーションのマニュアル、いわばSOPを持って、 その独立性を担保する仕組みはつくられているはずでございます。 ○ 木村委員  ありがとうございます。 ○ 池田座長  そのほかいかがでしょうか。どうぞ、寺岡委員。 ○ 寺岡委員  寺岡でございます。そこでお聞きするのですが、私がよく知らないからの質問かもし れませんが、今のSMOにしろCROにしろ、そういった会社は日本に相当な数がある ということですが、どのような企業体が幾つあって、両方全部兼ね備えているのが幾つ あって、単独のものがどのような形でそれぞれ幾つあるのかということと、それからも う一つ、その会社は本当に純粋に独立した会社なのか。あるいはメーカーとか製薬業界 との関連において会社がつくられているのか。そこら辺の実態と、全体像がちょっとよ く私にわからないのですが、御説明いただけませんでしょうか。  それともう一つは、それぞれの会社の質と機能というものがどのようにして担保され ているのか。全体像を把握されていないというような言葉が今ちょっとありましたが、 そこら辺のこともお教えいただければありがたいと思います。 ○ 池田座長  では植松参考委員、よろしいですか。 ○ 植松参考委員  CROに関してですが、あくまでもCROというのは製薬企業からは独立しておりま して、製薬企業の委託によって受託をするということで、資本関係もありませんし何ら の関係もなく、純粋に委受託の関係で仕事をしているということでございます。  それから、全体像の中で私はCROの方では1〜2社、先ほど言った組織を会社の中 で分けてやっているという話をつかんでおりますが、ほぼ多数はCROとSMOの会社 を分けているということです。  それから、質と機能ということでございますが、やはりこれは私どもが製薬企業から 依頼をされるわけですので、私どものやる仕事の質を担保しなければいけない。そうい う意味でその中には、先ほどちょっとコストの中にも入れましたが、品質管理をする部 門、あるいは品質保証をする部門を必ず設けてありまして、その中で仕事が正しく行わ れているかどうかと、こういうことを機能として持ってやっております。 ○ 池田座長  非常に多くの数の会員がCROの協会にいらっしゃいますよね。それで、あるCRO が受託する仕事は決まった製薬企業からがほとんどであるというような、そういう関係 はないかということもあるかと思いますが。 ○ 植松参考委員  それはないと思います。各CROはいろいろな会社さんから受けているということで ございます。  それからあと、37社といいましても、私どもは正会員が17社、準会員が11社、賛 助会員が9社ということで、そのうちモニタリングをやっている会社というのは15〜16 社であると思います。あとはデータマネジメントとかIT関係とか、そういうような業 務をしているというのが今CROの業界の実態でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございます。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  いろいろありがとうございました。植松参考委員と尾芝参考委員にお尋ねしたいので すが、先ほど木村委員からも研修の話が出ましたが、職員研修といいましょうか、それ ぞれがかなり大切な役割を担うことになりますね。特に被験者の保護というか、人権の 保護の観点でどのぐらいの時間、どんなふうに職員研修をされているのかというあたり、 それに対してできれば行政の方から、少なくともこういう形で教育プログラムを立てな さいというような指導とか何かあれば、どういうふうにそういうことを反映しているの か、その辺をちょっと教えていただけますか。 ○ 植松参考委員  教育の件でございますが、先ほどちょっと申しましたけれども、新しい方がいらっし ゃった場合、各社2〜3カ月ぐらい座学というような形で、GCPに伴って、それから いろいろな企業の最初はマナーとかそういうことから始まりまして、GCP研修、それ から実際のモニ的なもの。それで、やはり私どもは企業から依頼をされているわけです ので、かなり厳しくやらないと企業様の方から逆に批判をいただいてしまいますので、 その意味ではかなりピシッとした形で業務をするということでやっております。  先ほど申しましたように、あとはまだビジネスにはつけないという形で、先輩社員に ついていろいろと教えていただく。これは知識だけではなくて、やはりコミュニケーシ ョンの問題とかそういうようなものもかなり能力として必要でございますので、その辺 については実務をサポートするようなところでつけさせて、そしてまたあと途中途中で いろいろな新しい法律が出たり、新しい薬学の知識、そういうようなものも随時やって いるということでございます。  その後も、各社とも年間教育時間というのを設けまして、40時間とか50時間とか、 それを受けないと次のモニターの認定が受けられないとか、そういうようなシステムで やっているところが多いと思います。 ○ 池田座長  ありがとうございます。尾芝参考委員に私の方からちょっとお聞きしたいのですが、 パワーポイントの7頁の「CRCの業務」ということで、治験開始後〜終了まで、「カル テからのスクリーニング」と書いてありますが、これは実際に何をどういうふうにする のか、あるいは個人情報との関係でどう考えていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせ願 えますか。 ○ 尾芝参考委員  わかりました。この作業自身は、治験が始まりましたら、先生方が被験者を先生方の 患者さんの中から選びたいというときに、プロトコールのクライテリアをCRCの方が 認識しておりますのでそれをもとに、先生に当然指示をしていただくわけですが、それ でカルテを見て、この患者さんはプロトコールの選択基準に基本的に合致する患者さん ですよというようなところにマークをつけて、先生の方に、その患者さんが来たときに 患者さんにお声をかけていただくのを忘れないようにするために行っている業務という ことでございます。 ○ 池田座長  そうすると、CRCがカルテは見るわけですか。 ○ 尾芝参考委員  ええ。その場合は、当然先生の指示なしでは見ませんが、責任医師に指示をしていた だいて、このカルテの中から選んでくださいというようにされる場合が、これはすべて の場合ではございませんが、要望があった場合はそのようにされているということでご ざいます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。どうぞ、寺岡委員。 ○ 寺岡委員  寺岡でございます。もう一つ大変具体的な質問ですが、SMOのコスト構成というの がございましたけれども、ここのスライドの中には書き込んでありませんが、お話の中 で例えば診療所のインフラストラクチャーの整備等に費用がかかる項目もあるというよ うな説明もあったと思いますが、もうちょっとわかるように説明していただけませんか。 ○ 尾芝参考委員  非常に漠然とした言い方で申しわけございませんでしたけれども、先ほど申しました ように、特に今まで治験をされたことがないような医療機関で、治験ができるように準 備をする場合、SOPの策定ですとか、各医療機関の先生方がIRBを構成しなければ いけない場合に、どういった人を選んだらいいかというコンサルテーション的なところ もございますし、治験が始まったらどのように患者さんを御案内したらいいかというよ うなミーティングを開いたり、機械という意味でのハードウエアのインフラストラクチ ャーではなくて、そういうソフトのところを皆さんにお話をしたり御説明をしたり。あ とハードがあるとすると保管をしなければいけない書類などをつくる場所、それをつく って置いたり、先生方が同意説明をするのをお手伝いするような場所を確保したり、そ ういったことをしますが、基本的にはソフト的な意味でのインフラストラクチャーとい うふうにお考えいただければと思います。 ○ 寺岡委員  わかりました。 ○ 池田座長  ありがとうございました。まだ幾つか御質問があるかと思いますが、次の臨床研究に 関する基盤整備の問題もございますので、この辺でCRO、SMOの御説明については 打ち切らせていただきたいと思います。植松参考委員、尾芝参考委員、本当にありがと うございました。  第1回のときに、先生方から治験費用が高いということで、なぜそのように高くなる のかというような御質問がたくさんございまして、今お話を聞いて必ずしも単一の要素 ではないと。幾つかの要素がある。例えば一施設でエントリーする患者さんが少ないこ ともやはり問題かもしれませんし、幾つかの要素が混在していると思いますが、現在の 日本の治験実施体制を考えると、やはりCRO、SMOへの委託というようなものをし ていかないと、いずれにしても臨床治験が回っていかないということは明らかだと思い ますので、きょうのお話を参考としていただいて、また今後の議論に生かしたいと思い ます。お2人の参考委員の先生、本当にありがとうございました。  それでは、次の3番目の議題でございますが、専門作業班の報告を事務局の方からお 願いしたいと思います。これについては、事務局の御説明をまずしていただいてお話を 伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 鈴木研究開発振興課長  医政局研究開発振興課の鈴木でございます。よろしくお願いを申し上げます。お手元 の資料のまず5から御紹介をしたいと思いますが、私どもで今日お話をさせていただく のが3点ございます。1点目はこの治験のあり方検討会の下にある、通称「専門作業班」 と呼んでおりますが、正式には「治験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班」で、 これは昨年の8月に設置をされまして、6回審議をされまして、今回報告がまとまりま したので、その報告を親委員会たるこの委員会に御報告申し上げるということです。2 点目は資料6関連になりますが、臨床研究倫理指針ということで、これは治験そのもの ではありませんが、広い意味での臨床研究に係るガイドライン的な指針、これを告示と して示してありまして、それに関する御説明を申し上げます。3点目が資料7の3枚組 でございまして、これは平成18年度から新しくうちの課で始めさせていただく、「臨床 研究基盤整備推進研究」というものについての概略で、これは臨床基盤を特に支える人 材をどう育成するかという観点から説明をさせていただきます。  それではちょっと戻らせていただきまして、資料5−1から説明をさせていただきま す。先ほどちょっと申し上げましたように、この親委員会の下に昨年8月、いわゆる子 委員会ですが、治験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班をつくらせていただき まして、その開催要領がこの5−1のとおりになっております。検討事項は2の(1) 〜(7)までということでございまして、名簿は先ほど座長の方からありましたが、資 料5−2にございます。  その次の資料5−3、5−4を中心に、座長であられました楠岡先生から御説明をい ただきたいと思います。5−4が正式の報告書ですが、ただ5−4ですと少し文字が多 いということで、5−3に原則的には検討事項に沿った形で整理をした骨子表というの をつくらせていただきましたので、それを中心に楠岡座長から御説明をいただければと 思います。よろしくお願いいたします。 ○ 楠岡専門作業班座長  座長を担当いたしました楠岡でございます。まず資料5−4の報告書でありますが、 膨大なものでありますので、今課長からありましたように、資料5−3の骨子を使って 説明させていただきたいと思います。  まずこの骨子の全体の構成でありますが、治験を含む臨床研究基盤の整備ということ でありますので、「治験」のみならず「臨床研究」に関するところにも触れております。 それから2番目に、全体の構成としまして、骨子左側には「平成18年度に実施する事 項」、右側には「平成18年度に検討する事項」と、実施する事項と検討する事項とに分 けております。この趣旨といたしましては、現在行われている全国治験活性化3カ年計 画が本年度で終了いたします。そうしますと、平成18年度以降に新たに3カ年計画の ようなものをつくって進めるかという議論が最初にあったのでございますが、この全国 治験活性化3カ年計画の親になっている医薬品産業ビジョンがございますので、それと の関係を考えました。このビジョン・プログラムは平成18年度も続いておりますので、 平成18年度はまず3カ年計画の評価を行う。その中で出てきた点に関しまして、19年 度以降において実施していく形の方が妥当ではないかという作業班の結論となりました。 それに基づきまして、まず18年度に実施する事項と、18年度に検討して19年度以降 必要があれば実施する事項という形になっております。  それでは具体的に報告させていただきます。まず1番目の治験を含む臨床研究の活性 化のための新たな計画の必要性及びその内容の検討でございますが、実施する事項とし ては、先ほど申しました3カ年計画の目標達成度合いの評価を行う。検討する事項とし ましては、以降の次期計画策定を検討するということになっております。また、国際共 同治験が問題になりますので、これに関する方策も検討するという形にしております。  2番目、医療機関の治験実施体制の充実の(1)治験に係る医療機関ネットワーク及び 個々の治験実施施設のさらなる質の向上方策の検討という点では、実施に関しましては、 現在既にある大規模治験ネットワーク、あるいは国立病院機構ネットワークに関しては、 その機能強化を図る。それから、現在まだ完全には動いていないと思われる大学及び大 学間ネットワーク、あるいは地域ネットワークについては、現状調査を行うということ にしております。次のページにわたりますが、患者パネルに関しましては個人情報保護 に留意したあり方を検討する。それから、現在行われている医師主導型治験に関しまし ては、モデル研究の実施を踏まえ、課題を調査するというような形になっております。 右の検討事項でございますが、既存の治験ネットワークをさらに連携させる方策を検討 する。それから、患者パネルのあり方に関する検討を踏まえて、どういうところを支援 すべきかを検討する。それから、この「治験のあり方に関する検討会」の結果を受けて、 中央IRB制度に関して、治験ネットワークにおける中央IRBとはどうかということ について検討する。それから、一番大きな問題ですが、医療機関における治験の位置づ けを明確にするための方策を検討するという形になっております。  (2)治験に関与するデータマネジメント担当者等の研修等を行う制度の検討に関しまし てでありますが、まず実施事項としては、生物統計家、データマネジャーに関する課題 を調査する。このあたりがまだよく把握できておりませんので、以下にある例のような 事柄を調査するとしております。検討事項としては、データマネジャー、あるいは生物 統計家の課題に関する調査を踏まえ、効果的な養成方法及び質の向上方策を検討すると しております。  次に3番、治験に関与する関係職員等の養成・確保であります。まず(1)は医師に関し てで、さらなる医師の治験参画意識とインセンティブの向上方策の検討に関してであり ます。実施事項に関しては医師への治験に関する教育を充実するということで、これは 卒前教育及び卒後教育を含めてとしております。次に検討事項でありますが、やはり治 験実施医師に対するインセンティブがまだ不十分であるということで、これを高めるた めの方策を検討する。それから、卒後研修において、治験等に関する到達目標の達成に 成功した例を収集・紹介するということを入れております。それから、医師に基本的な 生物統計学の知識を持たせるための方策を検討するとしております。  次に、(2)治験関係者の養成等と質の向上方策の検討でございます。まずCRCに関し ましては、当初3カ年計画における養成数に関しては達成できたと考えますが、それの 現状調査がまだ十分ではありませんのでその把握を行う。2つ目に、治験に関与する医 療関係者への治験に関する教育の充実、これは医師以外の治験関係者、看護師等でござ います。3つ目に、治験事務局員その他の治験関係者への教育を開始する。治験の実施 に必要な人材は単に医療関係者だけではありませんで、事務局員の関与も非常に大きい ところでありますが、それへの教育がまだ不十分であるという認識でございます。4つ 目に、「治験のあり方に関する検討会」におけるIRB制度に関する議論を踏まえて、治 験活性化の観点からIRB委員への教育を開始するということをしております。検討事 項としましては右側ですが、今後のCRCのあり方についての検討。それから、医療関 係者の養成課程における治験に関する教育の現状調査を踏まえて、充実させるための方 策を検討する。それから、生物統計家等以外に、やはり医療関係者に基本的な生物統計 学の知識を持たせる必要があるという認識で、その方策を検討するとしております。  (3)CRO及びSMOの健全な育成と適切な選択の促進方策の検討でございますが、本 日の「治験のあり方に関する検討会」での検討等を踏まえ、SMOの現状把握を行う。 CROに関しましてはかなり現状把握ができているのに対して、SMOがまだできてい ないという認識でございます。右の検討事項は、CRO、SMOが果たしている役割を 評価した上で、その健全な育成方策について検討するとしております。  4番目、患者等の治験等への参加の促進で、(1)治験等の意義等についての効果的な啓 発方策の検討で、やはり治験等に関する啓発活動について調査するということでござい ます。特にこの啓発活動の調査に関しましては、啓発活動というと最近はすぐITに依 存することが多いのですが、治験の対象になる方というのはITに触れない方もありま すので、ITに依存しない啓発方法も考えるべきと特記をしております。それから右の 検討事項でありますが、学校教育等、すなわちもっと基本からということで、学校教育 等にこういう医療の提供に関する教育ということを入れていただきたいという点です。 2つ目に、治験に参加した被験者に対して、その結果をフィードバックする方法を考え るということが入っております。  (2)患者や被験者への情報提供の拡充のための治験等登録制度の整備の検討でございま す。現在WHOにおいて治験等の登録制度を検討しておりますが、それに留意しつつ、 登録基準及び公開基準について、最小限の必須条件を定め統一を図るということ。2つ 目に、この登録情報を国民・患者にわかりやすく公開する方法で、ここでもITによら ないことを考えるという特記を入れております。検討事項としましては、登録された内 容の保証をどのようにするかということを検討する。それから、国内で行われる治験等 が広く登録されるための方策を検討するということにしております。  5番目、治験実施企業における取り組みの促進でございますが、(1)治験業務に係るI T化、手続及び書式の標準化等企業負担の軽減方策の検討でございます。治験書式が標 準化されていない等が企業の負担になっているという認識でありまして、その書式の標 準化及び運用についても現状調査し、これを標準化するような取り組みを促す。2つ目 に、ITに関するデータ変換様式の標準化等について、海外の動向を把握する。3つ目 に、医療機関側が行うべき業務が依頼者側に転嫁されているという状況が指摘されてお りますので、これについて現状把握を行い、適正化に取り組むという点であります。そ れから、こういうようなことをすることによって、モニター・監査担当者の負担軽減を 図ることを目的としております。検討事項としましては、治験のIT化を目的としたロ ードマップを検討する。医療機関側のデータマネジメント機能を強化することによって、 モニタリングの効率化の方策を検討する。それから、国際共同治験への参加を踏まえ、 ここで使われる用語・言語のあり方についての検討を行うということを入れております。  (2)ベンチャー企業の育成及び企業の研究開発の促進方策の検討でございますが、これ は検討事項のみでありまして、ベンチャー企業等に対する支援策について、その推進方 策を検討するとしております。  6番目、医薬品・医療機器の開発に係る研究開発の推進の(1)画期的な医薬品・医療機 器の開発のための基盤研究及びトランスレーショナル・リサーチを含む臨床研究のさら なる推進方策の検討でございますが、実施事項としては、臨床研究を行う現場における 「臨床研究に関する倫理指針」の遵守状況について、予備的調査を行う。2つ目に、医 師への臨床研究に関する教育を充実するという点であります。それから、右の検討事項 としては、基盤研究及びトランスレーショナル・リサーチを含む臨床研究をさらに推進 するための具体的な方策を検討する。それから、生物統計家等以外の臨床研究に関与す る医療関係者に、臨床研究及び生物統計学に関する基礎的教育を行う必要があるという ことで、その方策を検討するとしております。  (2)臨床研究に関与するデータマネジメント担当者等の研修等を行う制度の検討で、実 施事項としましては、臨床研究に関与する生物統計家等に関する課題等を調査する。そ れから右の検討事項としましては、この課題調査を踏まえて、効果的な養成方法及び質 の向上方策を検討するという形になっております。  資料5−3は骨子でありますので、かなり唐突な感じの結論というところもあるかも しれませんが、それに至りました議論の過程に関しましては報告書の方にございますの で、また後ほどご覧いただければ幸いでございます。  以上、報告を終わらせていただきます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。では課長、引き続き。 ○ 鈴木研究開発振興課長  では引き続き、2点目の臨床研究倫理指針について御説明を申し上げます。資料は6 −1〜6−5まで5枚でございます。まず6−1に、治験というのは薬事法に基づく法 令、省令上に基づく制度ですが、それ以外のいわば臨床研究等を対象とする指針が4つ ございまして、ここに書いてございますが、一番新しいのが臨床研究倫理指針で、それ 以外にもヒトゲノム、遺伝子治療、疫学研究ということで、3省庁もしくは2省庁合同 で、平成13年以降順次できてございます。  それぞれの関係でございますが、次の6−2をごらんいただきたいと思います。ちょ っと漫画チックな絵で恐縮ですが、まずピンクのところが臨床研究倫理指針ということ で、これは一般的な規定になっていますが、右のところの疫学研究倫理指針、これはい わば疫学研究するときに投薬等を用いない場合に用いる指針でございます。それから、 臨床研究の中でも例えばヒトゲノムを使う場合、もしくは遺伝子治療をするような場合、 それはそれぞれ個別に指針がございますし、下の左のところに少し点々になってござい ますが、ヒトの体性幹細胞を用いた臨床研究に関する指針は、今現在子委員会で専門委 員会としては結論をいただきましたが、これから親委員会で審査をした上でパブリック コメントを経て、正式な指針にするということでございます。それから、もちろん治験 というものを除きましてそれ以外のところが、今これから御説明します臨床研究倫理指 針の対象になるという相互関係になります。  6−3でございますが、これは平成15年7月に施行をされました臨床研究倫理指針 の概要でございます。特に「内容」のところをごらんいただければと思いますが、基本 的にはきちっとインフォームド・コンセントをとりなさい、それから、個人情報の保護 に配慮をしなさい、それから、倫理審査委員会において研究の適否、継続の審査をきち っと実施しなさい、そのほか臨床研究を行う機関の長の責務等を規定しております。具 体的にインフォームド・コンセントをとるべき事項については、一番下の○のところに 数項目列挙をされていっております。  この中で、次の6−4の資料をごらんいただければと思いますが、御承知のように昨 年4月から個人情報保護法が施行されました。それにあわせまして、この臨床研究倫理 指針だけではなくて、4つのすべての指針について、個人情報保護法との関係をきちっ と整理すべきであるということで、関係各省、それから厚生労働省の中では4つの指針 を一緒に、平成16年6月〜12月まで厚生科学審議会で審議を行いました。  ちょっと次の資料6−5をごらんいただきたいのですが、実はこの右上の部分の学術 機関等が行う学術研究、このもの自体は個人情報保護法の実際の適用範囲外にはなって おるのですが、同じような規定ぶりをきちっと指針の中で書くべきだろうということで 検討を行いました。  6−4にお戻りいただきたいと思います。主な改正点が3のところにございますが、 基本的な個人情報とは何かということをきちっと定義した上で、公表、開示、訂正、利 用停止等について、保護法と同等の責務を規定いたしました。さらに利用制限、適正取 得、通知、正確性等々についての詳細を規定いたしました。3の最後のところで、きち っと安全管理、苦情処理というところも規定しておりますということで、内容について は個人情報保護法にあわせて変えましたというところが3でございます。  4のところで、個人情報保護法ともあわせて、今までガイドラインでやってきたこの 4つの指針について実効性を担保する等の観点から、法制化する必要がないのかという 御議論もございました。それについて検討したのが4のところですが、確かに実効性の 観点等もございましたけれども、また科学の進歩に応じて柔軟に対応していく必要があ るということや、4つの指針が他省庁にまたがるというようなこともございましたので、 結論としては当面は法制化は見送るけれども、きちっと実施についてフォローアップを していきますと。ここには書いてございませんが、中身としては平成20年を目途に、 再度きちっと見直しをいたしますということになりまして、平成16年12月に告示をし て、昨年の4月に施行をしておるというところでございますので、先ほど楠岡座長の方 からございましたけれども、この臨床研究倫理指針の遵守の状況について、予備的調査 を18年度に私どもの方でさせていただきたいと思っております。  最後は資料7でございますが、これは臨床研究・治験の体制を支える大きく3つとい たしまして、医療機関・人材、左下が第三者審査機関、右下がデータ管理という横長の 表でございます。このうち第三者審査機関については、今この治験のあり方検討会で検 討していただいておりますし、データ管理についてもまた厚生科学課等で検討していた だいておりますが、特に私どもの方で臨床基盤を支える人材の育成をこれからどうして いけばいいかということについて、平成18年度から新しい研究事業を開始することに いたしました。  それが次の2ページ目、「臨床研究基盤整備推進研究」というものでございまして、政 府予算案としては1,081百万円ということになっております。大きく2つタイプがあり まして、医療機関タイプ、教育研究機関タイプというふうにございますが、基本的には きちっとEBMを積み重ねられるような形で、一部若手の医師や生物統計の方の人件費 も見られるような形で、3年間でできる計画をつくってくださいと。その上で、臨床研 究の基盤をそれぞれの医療機関なり教育機関でどう強化していただけるかということに ついて、御研究いただきたいということが概要でございます。  最後の3ページ目でございますが、これは厚生科学研究全体と同様に、昨年の12月 12日で公募の締め切りをしましたけれども、医療機関タイプへの応募が35課題、研究 機関タイプへの応募が18課題ということで、合計53課題、かなり多く応募いただいて おります。ちょっと次のところでミスプリがあって恐縮ですが、審査自体は平成18年 2月下旬〜平成17年ではなくて平成18年3月です。ちょっと御訂正願いたいと思いま す。この間に書面審査、ヒアリング審査を通して課題を採択させていただいて、これを なるべく早く交付申請して、4月1日、審査を通った方々に研究を開始していただきた いと思っております。  以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。研究開発振興課の報告、あるいは専門作業班の報告をいた だいたわけですが、ただいまの説明について御質問はございますでしょうか。どうぞ、 吉村委員。 ○ 吉村委員  吉村です。資料6−3のちょうど真ん中ぐらいですが、「内容」の上から4行目で、「倫 理審査委員会において、臨床研究の適否やその継続の審査を実施すること」と書いてあ りますが、適否や実施の継続というのは、先ほどIRBの役割の中に入っていたのです が、IRBがこの倫理審査委員会の役回りを兼ねても構わないのですか。 ○ 鈴木研究開発振興課長  IRB自体は治験のための組織でございますが、IRBを臨床研究を実施する際の倫 理審査のための仕組みというふうに定義されれば、その中で審議していただくというこ とは十分あり得ると思います。 ○ 事務局  景山先生から補足をもしいただければと思いますが。ちょっと実態の方を。 ○ 景山委員  このあり方検討会の初めのころに、プレゼンテーションで少し触れたことがあると思 いますが、我が国では研究審査委員会の用語に混乱、あるいは誤りを来しています。I RBという言葉がなぜか治験審査委員会になってしまっていますが、これは米語です。 米国英語ですね。それに対してヨーロッパ系は、倫理委員会という言葉を使っています。  それで、今、吉村委員が御質問なさって、私も実は質問というよりは要望で申し上げ たかったのですが、資料6−1ですけれども、そこにも例えばヒトゲノムの関連ですと 倫理審査委員会という言葉が記載されています。それから、遺伝子治療では審査委員会 です。それから疫学の方はまた倫理審査委員会、そして臨床研究の方も倫理審査委員会、 そして治験に関しては治験審査委員会です。これはいずれも研究審査委員会ですので、 行政の方でも用語を統一していただくとよいと思います。そうしませんとIRBにかけ るものは治験であって、IRBを通すものは倫理委員会とは全く関係がないというよう な、大変妙な解釈がちまたではあるわけです。そういう意味で、例えば研究審査委員会 という名称で、ほかの用語でも結構ですが、統一していただいて、そうすれば治験審査 委員会とその他の研究審査委員会を兼ねてはいけないかどうかというような御質問も生 まれないのではないかと思いますので、統一的な名称を採用していただけると助かると 思います。  ただ現状では、多くの医療機関や大学では幾つもの研究審査委員会を設けて、現実に は治験審査委員会、さらに言えば薬物治験審査委員会、医療用具治験審査委員会、それ からヒトゲノム遺伝子解析の倫理審査委員会、あるいは遺伝子治療審査委員会と、たく さんあるわけです。それを兼ねてはいけないわけではないのですが、現実には各委員会 の負担が膨大になりますので、ある程度複数の委員会は設けざるを得ませんけれども、 その辺について御検討いただければと思います。 ○ 池田座長  事務局の方はいかがですか。よろしいですか。 ○ 事務局  御指摘の点を踏まえて、今後検討してみたいと思います。 ○ 池田座長  そうですね。ぜひよろしくお願いします。はい、どうぞ。 ○ 吉村委員  つまらないことですが、資料5−4の報告書というのは、これは公開されていって、 インターネットか何かで入手可能でしょうか。 ○ 鈴木研究開発振興課長  これは本日初めて公開の場に出したものでございますので、この検討会で全体を御審 議いただいた上で、よろしければ公開をさせていただきたいと思います。 ○ 事務局  この会議で配付いたしました資料につきましては、本日というわけにはまいりません が、厚生労働省のホームページの治験のあり方検討会のウエブのところに、1週間以内 ぐらいには大体掲載されるという状況でやっております。 ○ 吉村委員  少なくともきょうの夜、この中身をどこかでしゃべっても別に問題はないわけですね。 ○ 事務局  それはよろしいと思います。こういう公開の席でやっておりますので。 ○ 池田座長 どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  先ほど景山委員がおっしゃったことに関連するのですが、実際にはIRBが複数ある というような感じで私たちは考えていたんですけれども、もう一つ、CRCの呼び名が 治験コーディネーターというのも、実際にはCRCが治験以外の臨床研究に携わってい る医療機関もあると思うんですね。実際ありますので、今後は治験コーディネーターと いう言葉自体も、考え直さなければいけないのではないかなと思っています。 ○ 池田座長  そうですね。それはもう本当に医師主導の臨床治験もそうですが、試験も当然のこと ながらこれから非常に多くなってまいりますので。どうぞ、ではまず藤原委員。 ○ 藤原委員  藤原です。2点ほどあります。楠岡先生にちょっとお伺いしたい。議論の中で専門作 業班がどういう議論をされたかというのを、この5−4をサッと見てわからないところ があるので教えていただきたいのですが、まず(2)の治験関係者の養成等と質の向上方策 の検討で、今年度内にCRCの現状調査をされるということですが、今、木村委員もお っしゃっていましたけれども、どうも日本のCRCさんを見てみると大半が治験管理室 のいろいろな事務作業ですね。契約行為とか依頼者さんとの交渉とか、そういうところ にタッチし過ぎる人が多くて、一番海外で求められているCRC、海外ではリサーチナ ースと呼ばれる方がむしろ多いと思いますが、被験者ケアや被験者の管理、あるいは採 血をしたり血圧をはかるのもそうですし、いわゆる医療行為というところをむしろやっ ていただいた方が、私ども医師は非常に助かるところがあるのですが、現行の例えば労 働者派遣法では派遣されるCRCさんに関しては医療行為ができないので、結局事務作 業とかCRF書きだけをお願いするとか。その医療チームとしての医療行為の軽減に、 今のCRCが余りつながっていないというところが私はあると思うんですけれども、そ のあたり現行のCRCの養成システムや現状について議論というのはされたのかという ことが1点。  それからもう1点は、IRBの委員の教育というのは非常に大事で、私が昔イギリス のIRBにGCPの査察か何かで行ったときに、委員長は細かいことよりも、IRBの 委員というのはその試験のリスク・アンド・ベネフィットを正確に判断するという、大 所高所からの判断を要求するということをおっしゃっていました。今の日本のIRBの 委員を見てみると、そういう大所高所よりも、これは法令に遵守しているかとか適用外 使用じゃないかとか、何かサイエンスやその被験者に関するメリットを余り考えずに議 論されている方が多いので、IRB委員の教育を今後どういうふうに考えていらっしゃ るのかということが議論されたかというところ。  最後に一つ追加で、一番後の6の(1)で、医薬品・医療機器の開発に係る研究開発の推 進、これは治験以外のところも含めての作業だと思いますが、平成18年度以降のアク ションプランとして書いてあるところが、後ろの5−4の方では余り明示されていなか ったのでお聞きしたいんですけれども、日本の臨床研究で一番ハードルになっているの は、一つは研究的診療というのが療養担当規則や健康保険法で禁止されていて、表立っ ては臨床研究を保険診療下で実施することができないというのが大きな問題の一つだと 思います。例えば心臓移植や移植関係はようやく今回診療報酬に乗りましたが、それ以 前は全然そんなこともなく、各医療機関がどこかから金を捻出してきてやるとか、そう いうファジーな状況を許容しているから、被験者の安全性もどこで担保したらいいのか わからないという現状があると思うので、その研究的診療と保険診療の兼ね合いという のをどういうふうに専門作業班で考えられたか。  それから、もう一つはトランスレーショナル・リサーチですね。狭義で言って、フェ ーズI以前の段階の臨床開発の一番初期の段階、人へ初めて投与するような段階の臨床 試験において、日本の臨床研究のハードルをもたらしているのは、細かいGMPやGL Pの対応が各医療機関ができていないというところであると思うんですね。そのGMP の弾力的運用などについての議論はされたか。  それから、アメリカでは臨床研究推進法や被験者保護法というのがありますが、その 辺を日本に導入するというような議論はここではされていなかったのかというところで すね。  ちょっと長いんですけれども。 ○ 池田座長  いずれも非常に基本的な問題で、重要な問題も随分含んでいると思います。恐らくこ こでもこれから議論していかなければいけないことが随分多く含まれていると思うので すが、今の藤原委員の御質問に、どんな状況で議論が進んだかだけ御説明いただけます でしょうか。 ○ 楠岡専門作業班座長  CRCの今の問題点に関しましては、まず一つは実際CRCが、どういう職種の人が どういう業務についているかという実態すらも把握されていない。それから、医療資格 を持っていないCRCも現実に存在しているという状況もあるので、これはやはり調査 する必要があるということで、御指摘の点は踏まえた上で調査をしないといけないとい う認識であります。それから、派遣のCRCが医療業務につけないということも、これ も議論に上がったのですが、作業班でできる範囲をちょっと超えているということで、 あえて報告書には入っておりません。  IRBの委員の教育ということも、教育内容に関してもこれだけで多分一つの作業班 が必要なぐらいの問題でありますので、そのことの内容も多少は議論をしておりますが、 具体的に何が必要かというところまではいっていないのが実情であります。  トランスレーショナル・リサーチ等に関する部分に関しましても、この作業班の中で も結局治験や臨床研究に関与する法令が非常に多岐にわたっていて、組織横断的である。 先生がおっしゃったような保険診療の問題もあれば、それ以外の薬事法の問題でも、例 えば臨床研究のために提供する薬剤も、現在の薬事法では治験という形をとらない限り はもらえないというような、そういう指摘は随分あったのですが、これもちょっと組織 横断的な問題になって、やはり作業班の範疇を少し超えてしまうということで、あえて 報告書には入っておりませんが、議論の中には踏まえております。そういうのを抽象的 な意味として検討すべきというような形にしているのが現状でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。CRCのことで、先ほど私は尾芝参考委員にカルテのスク リーニングのことをちょっとお聞きしたのですが、CRCがどういう仕事を実際にして いくかというのは、やはり患者さんとの関係というのも重要に考えていかなければいけ ないので、先ほどカルテのスクリーニングでこの人が治験に入れるかどうかという、そ ういうスクリーニングを主治医の同意を得てやるという話ですが、主治医は実際に患者 との関係でそういうことをやるということを、患者と了解を得た上であればいいわけで すが、患者と医師とのそういう関係を抜かして医師が初めからカルテを開示することに なると、実際にはもともとのカルテの意味とは全く違ったことになるので、その辺は倫 理の問題として今後も少し議論していかなければいけないこともあるかなと思います。  CRCについては今、藤原委員が言われたこと、あるいは楠岡先生のお答えも含めて、 今後やはりまだまだ議論していかなければいけないことがあるのではないかなと思いま す。  何かございますか。 ○ 望月委員  全く違う話になってしまうのですが、資料6−2になりますが、臨床研究倫理指針と 治験のGCPとの関係をわかりやすく図式化していただいていると思いますが、私はち ょっとよくわかっていないので教えてください。先ほどの倫理委員会という文言がいい のか治験審査委員会がいいのか、いろいろな議論がありましたが、例えば治験というも のの中でヒトゲノム解析をしていくような治験があったり、あるいは遺伝子治療の治験 があったり、そういうケースはこれからたくさん出てくると思うんですね。そういった ときにこの図のように別個別個の形で整理をするのか。それは一つのくくりの中で整理 をするのか。そのことがはっきりしないと、先ほどのような一本化した委員会とか、そ ういう話がうまくまとまっていかないのではないかと思ったのですが、そのあたりはい かがでしょうか。 ○ 鈴木研究開発振興課長  私の理解しているところですと、治験に関するものであれば基本的にはその法律、省 令に基づくものでありますので、すべてそれはこの治験の四角の中に入ってくると。そ れ以外の法律に基づかない臨床研究のうちで、ヒトゲノムに関するものや遺伝子治療に 関するものについては別個にありますが、今御指摘の治験に関するものであれば、すべ てこのだいだい色の四角の中に落ちますということです。  ただ、御指摘にありましたように、名称をきちっと統一した方がいいとか、そういう ところは平成20年の改訂に向けていろいろ議論をしたいと思っております。 ○ 池田座長  楠岡先生、何かございますか。 ○ 楠岡専門作業班座長  追加として、例えばヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針は治験に関するも のは除くというふうに、そこは今課長が説明されたように明確になっています。しかし、 GCPにはヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に含まれている内容が必ずし も100%含まれておりませんので、治験のときにはしばしばヒトゲノム解析を含んでい るにもかかわらず、説明文書等にヒトゲノム解析が求めているレベルに達しない説明文 書が実際出てきたりするという問題がございます。その辺に関してはやはりきっちり整 合性をとっておかないと、非常に大きな問題になると思います。これはいつもIRBで 問題になる点ということでございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。まだこの点についてはいろいろ御意見もあるかと思います が、専門作業班に頻回にわたって御議論いただいた報告をおまとめいただきましたので、 それをもとにこの検討会の報告もまとめていければと思っております。  今、御議論がありました倫理指針については、これは非常に重要な課題でございまし て、治験にしろいわゆる臨床研究にしろ、これがベースになるということはもう間違い ないことでございますので、先生方からいただいた御意見について、あるいは今後もい ろいろ御意見をいただきたいと思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。  一応きょうこちらで用意させていただいた議題についてはこれで済ませたと思います ので、事務局から次回の予定について報告をお願いできますでしょうか。 ○ 事務局  本日専門作業班の報告をいただきましたので、今後その報告をもとに、本検討会にお ける報告の取りまとめをお願いいたしたいと考えております。  なお、きょうCRO、SMOの方々からのお話をお聞きできたわけでございますが、 まだほかにここでプレゼンテーションをしていただく適切な方がいらっしゃるかもしれ ませんので、その辺をあわせながら議論を進めていけばと考えております。次回以降の 進め方につきましては、池田座長と相談して決めさせていただきたいと思います。  また、本日中間まとめ(その2)を取りまとめていただきましたので、その方向に沿 いまして所要の改正手続等に入らせていただきたいと思います。状況等につきましては 適宜報告をさせていただきます。  次回につきましては、3月10日の金曜日、午前10時からの予定でございます。事務 局からの連絡等は以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。それでは、本日の検討会はこれで閉じさせていただきたい と思います。本日は全委員に御出席いただきまして、活発な御討論をいただきましてあ りがとうございます。次回以降、またよろしくお願いしたいと思います。それではこれ で終わりたいと思います。ありがとうございました。 <了> 照会先: 医薬食品局審査管理課 近澤・関(内線2737、2741)