06/01/19 未承認薬使用問題検討会議 第7回速記録 第7回 未承認薬使用問題検討会議 速記録 日時: 平成18年1月19日(木) 14:00〜16:00 場所: 航空会館7階大ホール  川原医薬食品局審査管理課長 まだ有吉先生と篠山先生がお見えでございませんが、 定刻になりましたので、ただいまより第7回未承認薬使用問題検討会議を開催いたしま す。  議事に入ります前に、構成員の異動について報告させていただきます。この会議につ きましてはちょうど1年前の1月24日に設置させていただきまして以来、座長をお願い しておりました黒川清先生から、一身上の都合によりまして本検討会議の構成員を辞任 したいとのお申し出がございまして、昨年12月に辞任届を受け取りました。つきまして は、開催要領にのっとりまして、新たな座長の選出をお願いしたいと思いますが、事務 局としましては、これまで座長代理をお願いしておりました堀田知光先生に座長をお願 いできないかと思っておりますが、委員の先生方、いかがでございましょうか。 〔拍手〕  川原課長 それでは堀田先生に座長をお願いすることといたします。堀田先生よろし くお願いいたします。座長席に移動をお願いいたします。  それでは、以後の議事進行を堀田先生にお願いいたしますけれども、議事に入る前に 堀田先生から座長代理の御指名をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  堀田座長 堀田でございます。不慣れではありますが、これから進めさせていただき たいと思います。黒川先生は大変御多忙で、なかなか日程調整が難しい状況で辞任され ました。大役でありますが、その後を受けてやってまいりたいと思います。  そして、座長代理をやっていただきたいという件がございます。私は医師であります ので、薬剤系の方にお願いしたい。堀内構成員にお願いしたいと思いますが、よろしく お願いしたいと思います。堀内先生、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、事務局の方から委員の出席状況の報告と、本日の資料の確認をお願いした いと思います。  事務局 本日の委員の御出席状況をお知らせ申し上げます。本日は大澤先生が御欠席 でございます。その他の先生は本日御出席でございます。  本日御検討いただきます個別の品目につきましては、ワーキンググループの専門家の 先生方にあらかじめ御検討いただいております。そのリストは資料5として配付させて いただいておりますけれども、本日の会議で検討結果を御報告いただくために、国立が んセンターの藤原先生と、国立成育医療センターの中村先生に参考人として御出席いた だいておりますので、御紹介申し上げます。  配付資料の確認でございますが、議事次第、資料一覧、座席表のほか、資料1として、 トシツモマブの報告書でございます。  資料2として、昨年10〜12月の3カ月間に欧米4カ国で承認された薬のリスト。  資料3として、学会・患者団体から追加で検討の御要望をいただいた品目リスト。  資料4−1から4−4が、資料3の4品目についてのワーキンググループ検討結果報 告書でございます。  資料5が、ワーキンググループの専門家リスト。  資料6−1と6−2でございますが、6−1の方はこれまでの検討会議で検討された 薬のリストと現在までの状況を一枚紙にまとめたものです。資料6−2は、適応外通知 に基づく承認品目のリストということで配付させていただいております。  参考資料1から5までは、いつも配っております会議の開催要綱などでございます。  参考資料6が、適応外に関連する通知、いわゆる二課長通知というものを御参考まで に配付させていただきました。  そのほか、構成員の先生方の机の上には、今回個別に御検討をお願いする資料1〜3 まで合計13の医薬品の、欧米の添付文書のコピーを置かせていただいております。かな りボリュームがあり、英文なんですけど、傍聴されている方々の中でこの資料を御希望 される方は、恐縮ですけど会議終了後、事務局までお声をかけていただきますようよろ しくお願いいたします。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。資料の欠落等がありましたらお知らせ願いたい と思います。  それでは、ただいまから議事に入りたいと思います。個別の検討に入ります前に、前 回、昨年10月の会議で検討が行われました、早期に治験の開始もしくは承認申請を行う べきと結論された品目について、現在までの状況を事務局の方から御報告願いたいと思 います。  事務局 前回の会議で御検討いただきました薬についての状況報告をさせていただき ます。昨年1月からこの会議で検討された品目のリストを資料6−1として配付させて いただいております。このリストの全体については議題の最後で事務局から報告させて いただく予定でございますけれども、この資料を参照しながら説明させていただきます。  前回御検討いただきましたのが、12番から下でございます。12番のガルスルファーゼ、 VI型ムコ多糖症の薬でございますけれども、本剤は昨年6月にアメリカにおいて、世界 で初めて承認された薬剤でございます。アメリカの承認取得企業でありますバイオマリ ン社というところなんですけれども、バイオマリン社の支社が日本にございませんので、 事務局としても国内の開発に取り組んでいただける企業探しに苦労しているところでご ざいます。現在、学会の関係の先生とも御相談しながら、また、アメリカのバイオマリ ン社とも連絡をとりながら、何とか前に進めないか調整中ということでございます。  13番、イブリツモマブチウキセタンでございます。こちらはB細胞性非ホジキンリン パ腫の薬でございますけれども、これは日本シエーリング社に対して早期の承認申請を 行うように要請を行いましたところ、現在、申請資料の取りまとめなどの作業を行って いるところでございまして、検討会議での御意見を踏まえ、早期の承認申請に向けたで きる限りの対応をしたいという意向が示されております。  14番、リポソーマルドキソルビシンでございます。卵巣がんとエイズ関連カポジ肉腫 についての御検討をいただきまして、ヤンセンファーマ社に対して、これまでに得られ ている欧米での臨床試験成績、国内で進行中の、進行再発卵巣がんに対する第II相試験 の成績をもとに、早期の承認申請を行うように要請いたしました。これを受けまして、 エイズ関連のカポジ肉腫については、昨年末にHIV感染症治療薬の迅速審査のスキー ムに基づきまして、事前評価の申し込みがなされたところでございます。卵巣がんの方 については、今治験が進行中でございまして、その終盤にあるということでございます。  こちらの品目については、前回の会議において、ドキソルビシンをリポソーマル化し たものなんですけれども、その親化合物でございますドキソルビシンの卵巣がんに対す る適応、本剤とドキソルビシン自身との比較の必要性について御質問がございましたの で、事務局の方で調査・検討させていただきました。その結果、卵巣がんに対するファ ーストラインの化学療法としては、シスプラチンを基本とする併用化学療法が広く行わ れておりますけれども、1990年代半ばまでは主にCAP療法、シクロホスファミドとド キソルビシンとシスプラチン、それからCP療法が用いられておりましたけれども、そ の後、パクリタキセルの有効性が報告されて以来、90年代後半から現在まではパクリタ キセルまたはドセタキセルとカルボプラチンの併用療法がファーストラインとして多く の研究者に支持されている。ドキソルビシン自身の必要性はなくなったというふうに判 断されております。アメリカにおいてセカンドラインを対象にした本剤の比較臨床試験 が行われた際にも、対照群としてのドキソルビシンの設定は、その有効性が非常に限ら れたものであると考えられたことから、その検討の俎上にも上がらなかったというふう に聞いているところでございます。前回御質問のあったことについて、以上のような形 で回答させていただきます。  続きまして、資料6−1の15番、リファブチンでございます。エイズ患者のMAC感 染症の効能でございますけれども、ファイザー社に対して、HIV感染症治療薬の迅速 審査スキームに基づいた、本剤の日本での早期の承認申請を要請いたしました。これを 受けまして、現在、同社において対応の検討が行われているという状況でございます。  最後の16番、クロファラビンでございます。小児急性リンパ性白血病でございます。 本剤の開発販売権はアメリカのバイオエンビジョン社というところが持っているという ことがわかりまして、国内で本剤の開発に取り組む意向を示してくれた企業が、今同社 とライセンスの交渉などを行っているところというふうに聞いております。  一点追加なんですけれども、11番のストレプトゾシンでございますけれども、これは 前回の会議でも状況を報告いたしまして、企業を探しているという報告をしたと思うん ですけれども、本剤については、国内で開発に取り組む意向を示してくれた企業がござ いまして、現在、その関係者の間で交渉が行われていると聞いております。本日、その 個別の企業の名前を出すことはできないんですけれども、少しずつ前に進んでいるとい うことを御報告させていただきます。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありま したらいただきたいと思います。  ガルスルファーゼについては、日本に法人を持っていないということですので、どう いうふうに開発を進めるかというのは大変大きな問題ではございますが、米国バイオマ リン社との交渉をしているということでございます。  イブリツモマブについては、前回もいろいろ問題になったところでございますけれど も、何か先生方からございますでしょうか。これはワーキンググループの検討結果を出 していただいたものに基づいて議論があったんですが、その点はいかがでしょうか。  川原課長 残りのものについては、本日この後また御審議をいただきます。ヨードの ラベルコンパウンドの方は前回ペンディングという形になりましたので、この後また御 審議いただきます。  堀田座長 わかりました。それでは、リポソーマルドキソルビシンについて、この件 に関しては有吉構成員から御意見をいただいたんじゃなかったかなと思うんですが、い かがでしょうか。  有吉構成員 ここに表現されていますように、早期に承認申請が行われるべきという 表現ですので、早期に承認が行われるべきという意味じゃないので、この表現でよろし いかと思います。  堀田座長 よろしいでしょうか。特に問題がなければ、このままでよろしいかと思い ます。  ほかはいかがですか。リファブチンとかクロファラビンについて、何か御意見いただ けますでしょうか。  よろしいでしょうか。順次動いているということで、まだ会社名までは発表できない ようでありますが、幾つかの会社が手を挙げて、それで交渉に入っていただいていると いうことでございます。よろしいでしょうか。  それでは、具体的な議事に入りたいと思います。まず、前回から継続になっておりま した品目について検討したいと思いますので、事務局から資料1について御説明いただ きます。  事務局 御説明申し上げます。資料1でございます。前回の検討会議において、非ホ ジキンリンパ腫に用いられるトシツモマブ、アメリカの販売名がベクサールでございま すけれども、これについて御検討いただいた際、同じく前回御検討いただきました類似 薬、イブリツモマブ、ゼバリンとの比較の観点から、追加の情報収集をして、ワーキン ググループの検討結果を見直す必要があるかどうかということを今回再度検討するとい うことになりました。その御指示に基づいて事務局でいろいろ情報を調べさせていただ きましたので、御紹介申し上げます。  アメリカにおける承認のタイミングでございますが、イブリツモマブの承認が2002 年2月でございまして、トシツモマブの承認が2003年6月ということで、1年少し後に トシツモマブが承認されているということでございます。トシツモマブの承認に当たっ ては、リツキサン抵抗性の非ホジキンリンパ腫に対する有効性を示すデータが提出され ておりますけれども、先行するイブリツモマブとの直接の比較データ等は示されていな いということでございます。申請データにおける両薬剤の有効性、安全性を添付文書等 を参考に比べてみましたけれども、両方とも同程度という理解をしております。  アメリカの臨床現場においては、両薬剤の明確な使い分けというものはなされていな いという情報を得ております。これらの情報を含めまして、ワーキンググループの先生 にも御意見を伺いましたけれども、前回の報告書、本日の資料1でございますけれども、 その内容を特に見直す必要はないという判断に至りましたので、本日御報告申し上げる 次第でございます。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。前回出していただいて、承認が1年ちょっとず れているのはどういう理由かというのが問題になりましたが、今の御説明のような形で、 これが出てきてからイブリツモマブとの使用実績については6:4くらいで、だんだん 近づいてきているということでありました。この点について何かございますでしょうか。 比較試験はないけれども、双方の成績を見てみますと、安全性、有効性については大き な差がないんじゃないかというワーキンググループからの報告でございます。どうぞ。  篠山構成員 後から出てくる場合は、効果が同じでも少し安いとか、そういった価格 の差というようなものはないんですか。  堀田座長 その辺は何か情報ありますか。  川原課長 米国での価格はまだ把握しておりませんけど、もし我が国で保険での薬価 ということになりますと、大体同じ薬効を示すものについては同じくらいの価格になる はずでございます。  先ほど説明不足でございましたけれども、前回御了解いただきましたイブリツモマブ、 こちらは国内の治験が終了して承認申請を準備しているという状況、片やトシツモマブ についてはまだ治験が実施されていないという状況の中で、有効性、安全性等について は先ほど報告したような状況であったということで、ワーキンググループの報告として は、それほど医療上の必要性が特にトシツモマブについて高いとは言えないという結論 のままという形にさせていただいたということでございます。  堀田座長 よろしいでしょうか。もちろんあればそれにこしたことはないということ でしょうけれども、このスキームに乗っかって迅速に対応するほどの必要性については ないのではないかというワーキンググループの報告については、そのままでよいとさせ ていただいてよろしいでしょうか。  はい、ありがとうございます。本剤についてはワーキンググループからの報告をその まま対応したいと考えております。  それでは資料2の方に移っていただきます。昨年10〜12月の3カ月間に欧米4カ国の いずれかで承認された医薬品のリストが配付されておりますので、これに従って検討に 移りたいと思います。まず事務局から簡単に説明をお願いいたします。  事務局 資料2について、概略を御紹介申し上げます。昨年10〜12月の間に欧米4カ 国のいずれかの国で新たに承認された医薬品、いわゆる類型Iに当たりますけど、今回 9つございましたので、資料2に沿って御紹介申し上げます。  1番、成分名ガドホスベセットでございます。EUで10月3日に承認がなされており ます。効能・効果ですが、MRA(磁気共鳴血管造影)におけるコントラスト促進とい うことで、ガドリニウム系造影剤ということでございます。診断薬であるということ、 同種同効楽が幾つかあるということを紹介させていただきます。国内の状況については、 企業が開発の検討を行っているところという状況でございます。  2番、ポサコナゾールでございます。こちらはEUで10月25日に承認になったもの でございまして、トリアゾール系抗真菌薬の内用懸濁液ということでございまして、効 能・効果として、アムホテリシンB、イトラコナゾールに耐性等の侵襲性真菌感染症と いう薬剤でございます。トリアゾール系の薬というのは既に幾つかございますので、同 種同効薬があるということでコメントを書かせていただいております。国内の状況は、 開発検討中という段階でございます。  3番、イバブラジンでございます。こちらもEUで10月25日に承認された薬でござ います。錠剤でございまして、β遮断案が禁忌又は不耐容の洞調律の慢性安定狭心症患 者の症状緩和という効能・効果でございまして、作用機序としましては、徐脈作用、心 臓のペースメーカー電流であるIf電流の特異的阻害薬ということでございます。国内の 状況は、治験実施に向けて準備をしている段階ということでございます。  4番、ネララビンでございます。こちらはアメリカで10月28日に承認されておりま す。注射剤でございまして、効能・効果ですが、少なくとも2つの化学療法レジメンに 不応または再発のT細胞性急性リンパ芽球性白血病、T細胞性リンパ芽球性リンパ腫と いうことでございまして、特に小児の用法・用量の承認も得ております。作用機序とし ては、ara-GのプロドラッグでDNA合成阻害ということでございます。こちらについ ては、患者団体から少し前に検討の要望いただいておりましたので、今回類型Iとして 紹介いたしましたけれども、御要望いただいたということで、ワーキンググループで既 に検討を行っていただいておりますので、これについては後ほど詳しく検討をいただき たいと思っております。  5番、デフェラシロックスという薬でございますけれども、アメリカで11月2日に承 認されております。内用懸濁液用の錠剤でございまして、輸血による慢性鉄過剰の効能・ 効果ということでございます。作用機序としては、鉄キレート剤ということでございま す。国内では治験が実施されている最中ということでございます。  6番、ソラフェニブでございます。こちらは12月20日にアメリカで承認された薬で ございまして、錠剤内用薬でございますが、効能・効果は進行性腎細胞がんということ でございます。作用機序としては、マルチキナーゼ阻害薬ということでございます。国 内の状況ですけど、治験が実施されているところでございます。  7番、アバタセプトという成分でございまして、12月28日にアメリカで承認されて おります。注射剤でございまして、リウマチの薬なんですけど、効能・効果が、1つ以 上のDMARDsまたはTNF拮抗薬に十分に反応しない中等度または重度の活動性の関節 リウマチということでございまして、作用機序については、CD80及びCD86に結合する ことによりT細胞の活性化を阻害ということでございます。国内の状況でございますが、 治験実施中というところでございます。  8番、成分がレナリドミドというものでございまして、アメリカで12月28日に承認 されております。カプセル剤でございまして、効能・効果でございますけれども、低中 等度リスクの骨髄異形成症候群による輸血依存性の貧血ということでございまして、サ リドマイドと類似の構造をしたものでございます。作用機序ですけど、まだ十分に明ら かになっていないようなんですけど、一応免疫調節作用、血管新生阻害作用というもの が報告されております。  最後、9番、コニバプタンという成分でございまして、12月29日にアメリカで承認 された薬でございます。注射剤でございまして、効能・効果が、体液正常型の低ナトリ ウム血症、入院患者の方に限るという縛りがついていますけど、そういう効能・効果で ございまして、作用機序としては、アルギニン・バソプレッシンV1A及びV2受容体拮 抗薬ということでございます。  ざっと御紹介申し上げたように9つ該当するものがございまして、そのうち4番のネ ララビンについては別途検討の御要望をいただいておりましたので、後ほどワーキング グループの報告書に基づいて御検討いただきたいと思います。ネララビン以外で、さら にワーキンググループで詳しい検討を行うべき薬があるかなどについて御意見をいただ ければと思います。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。ただいまの説明のように、類型Iに該当するも のが9つ紹介されました。このうちネララビンは前倒しでワーキンググループで検討し ていただいていますので、後ほどこれは個別に検討するとしまして、それ以外の品目に ついてどのように扱ったらいいか、先生方の御意見をいただきたいと思います。  まずガドホスベセット、これについてはいかがでしょうか。これは治療薬ではなくて 検査薬ですね。臨床の現場では類似薬はたくさんあるような気がしますが、どうでしょ う。  堀内構成員 これについては特に急いでやることはないと思います。  堀田座長 林先生、いかがでしょうか。  林構成員 同感です。  堀田座長 それでは、これについてはさらなる検討対象にはしないということにした いと思います。通常の開発をしていただくということであります。ここから外れたから といって開発しないといっているのではなくて、このスキームに乗って早く対応する必 要があるかという判断だけですので、そういう点で御理解いただきたいと思います。  それでは、ポサコナゾールについてはいかがでしょうか。抗真菌薬でありまして、ト リアゾール系の薬は結構日本でも最近新しいものが出ておりますが、この辺については 栗山先生、何か御意見ございますか。  栗山構成員 特別詳しいわけじゃありませんが、ただ、現場では侵襲性の真菌感染と いうのは非常に難治でして、いろいろな薬をそろえておきたい。その割に手持ちの薬は 少ないと僕は思っておりますから、有用であれば検討していただきたいと思います。  堀田座長 後藤先生、いかがでしょうか。  後藤構成員 栗山先生のおっしゃるとおりだと思います。現在、我が国における抗真 菌薬の数は限られておりまして、深在性真菌感染症に対する治療というのは手詰まりに なる場合がございます。トリアゾール系の薬剤に関しては、高分子系の薬剤と低分子系 の薬剤、両方で開発が進んでいるわけですが、ポサコナゾールは高分子系の薬剤になり ます。他の抗真菌薬に耐性の症例に対する有効性とか、あるいは、ムーコルとかフサリ ウムとか、その辺の真菌もターゲットにし得る薬剤ということで、臨床家にとってはメ リットがある薬剤だと思います。この会議のスキームに乗せるのか、その辺のところは さらに考えていく必要があると思いますが、臨床的に有効性が期待できる薬剤であると いうことは間違いないと思います。  堀田座長 川西先生、いかがでしょうか。  川西構成員 私はこのことについて詳しいわけじゃないんですけど、以前聞いたのは、 接合真菌症にほかの薬剤は有効性はないけども、この薬剤は有効なんだという話は聞い たことがあります。このスキームに乗せるかどうかというのは、患者さんが一体どのく らいいるかということも関係しますが、その点を私は知りませんので、判断できません。  堀田座長 ここで最終判断をしなくても、さらなる検討スキームに乗せるかどうかと いう、ワーキンググループの先生方に検討していただくに値するかどうかを判断してい ただくということで御意見いただければいいと思います。  ほかの先生はいかがですか。どうぞ。  林構成員 手元の資料にもあるように、抗真菌薬については幾つか種類がふえてきて いますが、まだまだ足りないというところで、この薬の適応菌種がアスペルギローシス ばかりではなくて、フサリオシスとかコシディオイドマイコシスなどにも効くようなこ とで承認されていることを見ると、できれば侵襲性真菌感染症の方には治療選択肢とし て用意できる方向の下調べをした方がいいと私は思います。  堀田座長 ありがとうございました。今御意見いただきましたように、次のステップ に入った方がいいんじゃないかという御指摘だと思います。トリアゾール系は幾つかあ り、最近ボリコナゾールという非常に強力なものが出てきまして、アスペルギローシス には大変有効だということですが、本剤がそれとはまた別のスペクトラムがあるのであ れば、次のステップに行ってもいいんじゃないかというお考えと理解します。それでは、 このものについてはワーキンググループに検討をお願いしたいと思います。  次に参りたいと思います。イバブラジン、これはいかがでしょうか。これについては 篠山先生にお願いします。  篠山構成員 私自身もこの薬について特別な細かいことは知らないのでありますが、 適応が狭心症の症状を緩和するということであって、作用機序が徐脈ということなんで すね。狭心症というのは病名ではなくて症状名でありますので、いろいろな背景で狭心 症というのは起こります。それを治療するのにもいろいろな、例えば脈が速いために酸 素消費量が亢進するために狭心症が起こるという場合には、脈を遅くするという薬物が 効果があると思います。冠動脈の狭窄がある場合にはそれを拡張する。いろんなことで 狭心症という症候を改善するということになると思います。ですから、ある意味では狭 心症の治療にはバラエティがあっていいと思うんですね。ただ、この薬物に関しては徐 脈作用があるということで、β遮断薬が禁忌なものに限って適応になる、使えない患者 を一応対象にしてということでありまして、今のところ代替薬がたくさんあります。カ ルシウム拮抗薬を中心にしたものもありますし、バソラなんかもそうですし、狭心症の 徐脈作用ということに関してある程度代替作用もありますし、治験が準備中ということ でありますので、その様子を見てからでもいいのではないか。ただし、狭心症に対して は、直接的な病名ではないということで、いろいろなものがあればいいということは事 実であります。  堀田座長 ありがとうございました。手持ちのものがたくさんあった方がいいのはそ うなんですが、このスキームに乗せるかどうかということについては、切迫性という点 で、今回どうしてもというわけではないということだと思います。よろしいでしょうか。  ありがとうございました。ネララビンは後にしまして、デフェラシロックスですね。 これについてはいかがでしょうか。  確かに類似薬のデスフェラールという薬は注射薬で、頻回に打たないと有効でないと されています。現在、デフェラシロックスの治験は進行中ということでございます。  いかがでしょうか。コメントいただけますか。私はこの薬に興味を持っていますけれ ども、緊急性という点でどうかと思います。将来開発されると患者さんにとってのメリ ットは大きいと思いますが、今治験中でもありますので、これをさらに迅速に推し進め る状況ではないんじゃないかと思っております。よろしいでしょうか。  それでは6番目の成分、ソラフェニブについてはいかがでしょうか。進行性腎細胞が んを対象とするマルチキナーゼ阻害薬でございます。有吉先生、いかがでしょうか。  有吉構成員 これはもう治験が終わって、今クリーニングしている最中だと思います ので、別に今ここでプッシュしなくても早々に出てくる薬剤じゃないでしょうか。  堀田座長 そういう段階ですか。申請はまだであるが、治験中ということですよね。 もう登録は終わっているということですか。  有吉構成員 登録は終わっています。  堀田座長 吉田先生、この辺は何か御存じですか。  吉田構成員 そのとおりだろうと思います。ここでプッシュする必要はないかなと思 います。  堀田座長 既に着々と治験が進んでいるのと、学会、患者団体からの特別な要望がな いということで、このものについては通常の枠の中で進めていただくということでよろ しいでしょうか。  有吉構成員 ただ、ヨーロッパのスタディで、この薬が非常に有効性が高いというこ とで、今後、腎がんのプラセボスタディはほぼできなくなる可能性があるという状況に はなっていると思いますので、恐らく近々承認申請がなされると思います。  堀田座長 わかりました。それでは、今のような情報を踏まえて、このものについて は通常のルールで効能・効果の取得をしていただくということにしたいと思います。  7番目の成分、アバタセプトについてはいかがでしょうか。これは抗リウマチ薬であ りますが、患者団体あるいは学会からの要望は特にはない状況で、現在、治験は進行中 ということでございます。TNF拮抗薬に効果が不十分な場合という限定つきになって いるようでございますが、日本ではまだTNF拮抗薬自体がようやく使われる状況にな ってきている段階で、次のステップの薬であるアバタセプトをプッシュしなければなら ないという感じではないように思いますが、臨床の現場で何か御存じの方は教えていた だきたいと思います。  堀内構成員 新しいCD80、CD86に対する作用ということですので、有効性等について 検討しておくのは悪いことではないと思いますので、検討してはいかがかと思います。  堀田座長 という御意見でありますが、ほかに御意見ありますか。  それでは、そういう御意見もありますので、このアバタセプトについてはワーキング グループに検討をゆだねたいと思います。ありがとうございました。  8番目のレナリドミドであります。これはサリドマイドの誘導体で、催奇形性とか、 眠気、神経作用が減じられているものでございますけれども、今回の承認事項は骨髄異 形成症候群ということで、本来多くの患者さんが期待されている多発性骨髄腫とはちょ っと違います。承認としては骨髄異形成症候群の方が先に承認されたということでござ います。いかがでしょうか。何か御意見ございますか。  もし骨髄腫について適応がとれたときには、また別途やることになるんでしょうか。 その辺の取り扱いについて事務局の方から意見がありますか。  川原課長 その場合にはまた別途御相談させていただきたいと思いますけれども、現 時点ではFDAの方は骨髄異形成症候群での承認を行ったという形でございますので。 ワーキンググループで御検討いただくとすれば、場合によっては多発性骨髄腫での開発 状況なども、欧米の学会等での報告などもされていて、この承認をした後に追加の申請 をしているのかどうか、そこもまだはっきり把握しておりませんが、それも含めてワー キンググループで調べていただくということは大変いいことかなと思いますが。  吉田構成員 国内状況で開発なしになってるんですけど、これは日本に支社がないと か、コンタクトもできないという状況という意味ですか。  事務局 アメリカの承認はセルジーン社というところでございまして、日本でその企 業自身が開発するのか、あるいは別の企業にライセンスを渡してやるのかということも 含めて、まだ詳細が決まっていないように聞いています。開発の準備というのは実質な されていないという理解をしております。  吉田構成員 多発性骨髄腫への期待もあって、しかも国内に手がかりがないとすれば、 一回調査の対象にした方がいいような気が私はしますけど。  堀田座長 私が得ている情報では、セルジーン社が日本法人をつくったと聞いており ますが、そこが治験するかどうかということとは確定してはいないようであります。そ れでは、吉田構成員が言ってくださいましたけど、このものは骨髄腫に対しても希望が 持てるものでありますので、それも含めてワーキンググループで御検討いただきたいと 思います。  それでは最後、コニバプタンについてはいかがでしょうか。これは低ナトリウム血症 の治療薬で、入院患者を対象とするということで、日本でこれがどの程度対象になるの か私は存じませんが、体液正常型の低ナトリウム血症というのはどのくらいのものです かね。  寺岡構成員 私の理解によると、例えば慢性の消耗性疾患とか、そういう状態におい て比較的よくあるのではないかと思いますし、なかなか治療しにくい病態のように思い ますので、検討の価値はあるのかなと思っています。  有吉構成員 これは作用機序のところに、アルギニン・バソプレッシン受容体拮抗薬 というふうに書いてございますが、ちょっとお調べいただきたいのは、SIADH、あ るいは抗がん剤のシスプラチンとかエンドキサンを使用したときの低ナトリウム血症、 そういうものがもし対象になるとすれば、そんなにまれではないという意味からいえば、 その辺をお調べいただきたいと思います。  堀田座長 そうしますと、このものの位置づけについて、もう少し調べてほしいとい うことですけど、よろしいですか。  川原課長 それについては、ワーキンググループで検討していただくということで承 知いたしました。会社名はアステラスと書いてございますので、日本が母国の企業でご ざいます。アメリカの方で先に承認がおりたということでございますので。  堀田座長 ワーキンググループの先生の労働がふえそうで心配はしていますが、2番 のポサコナゾール、7番のアバタセプト、8番のレナリドミド、9番のコニバプタンを ワーキンググループの検討対象とするということで進めさせていただきます。  篠山構成員 9番のコニバプタンなんですけど、大塚製薬が同じようなバソプレッシ ンV2アゴニストを開発して、それの検討は日本で行われていませんですかね。  川原課長 ちょっと個別品目の開発中のものですと……  篠山構成員 同じようなものが恐らくあるんじゃないかと、ちょっと私も専門が違う ので……  川原課長 わかりました。それはワーキンググループで検討するときの御参考にさせ ていただきたいと思います。ワーキンググループで報告をまとめていただくときに、企 業秘密にかかわるような部分については場合によっては書けないということもございま すので、できるだけ有効性、安全性に関する部分については全部書いていただくように はしておりますけれども、一応そういう状況でございます。  堀田座長 一応検討していただいて、次回報告していただくということにしたいと思 います。  それでは類型Iについての検討を終わりまして、続きまして資料3に基づいて、4品 目ございますけれども、学会、患者団体からの追加要望のあった医薬品リストでござい ます。事務局の方から御説明いただきたいと思います。  事務局 資料3について簡単に御紹介申し上げます。4つの成分が学会、患者団体か ら追加で検討要望があった医薬品でございます。1番と2番が抗がん剤でございます。  このうち1番のネララビンについては資料2で御紹介申し上げております。2番のペ グアスパラガーゼについては、急性リンパ性白血病という効能・効果で承認されており ます。3番、4番は小児の関係の御要望でございまして、3番のフェニル酪酸ナトリウ ムが尿素サイクル異常症のお薬でございます。4番のオクスカルバゼピンがてんかんと いうことでございます。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。それでは、ただいまからこの4つの薬剤につい て、ワーキンググループの報告をまとめていただいておりますので、この検討に移りま す。中村先生の御都合で、先に小児関係をさせていただきたいと思います。まず資料4 −3、フェニル酪酸ナトリウムについて中村先生から御説明をお願いいたします。  中村参考人 国立成育医療センターの中村でございます。ワーキンググループの検討 結果を御報告いたします。資料4−3と米国の添付文書のコピーを御参照ください。  対象疾患は尿素サイクル異常症でございます。この疾患はアンモニアを尿素に変換す る尿素サイクル内の酵素の遺伝的欠損でございまして、日本での発症頻度は4万6000 例に1例とされています。疾患としては複数の酵素欠損症がありまして、高アンモニア 血症により中枢神経障害を呈して死亡に至ることも多い疾患でございます。進行で分け た病型には、新生児発症型と遅発型があります。新生児発症型は、出生後数日以内に発 症し急激に病状が進行する。重症で、腹膜透析、必須アミノ酸投与、たんぱく制限等の 治療を行っても、その多くが1年以内に死亡するとされてきておりました。報告により ますと、1978〜1995年末までの5年生存率は22%程度、長期生存例でもその多くに中等 度から重度の中枢神経障害が認められるというものでございます。遅発型は、幼児期か ら成人期までに脳症様の症状で発症してくることが多いのですが、感染症等による発熱、 飢餓、疲労などが要因で高アンモニア血症を引き起こし、脳症を起こす。迅速な治療を 行わなければ、脳浮腫等で死亡するという疾患でございます。1978〜1995年末までの本 邦の5年生存率は41%と報告されております。  治療法としては、必須アミノ酸投与、たんぱく制限に加えるものとして、アルギニン 製剤、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウムがございます。アルギニン製剤は 既に本邦でも承認されておりますけれども、必ずしも十分な評価がされていないという こと。それから、アルギナーゼ欠損症やリジン尿性たんぱく不耐症でアルギニンの吸収 阻害が大きい患者に対しては禁忌ということで、使えない病態もあるということでござ います。安息香酸ナトリウムは尿素サイクル以外の窒素排泄系を利用する治療法であり ますが、医薬品として承認されておりません。フェニル酢酸ナトリウムも承認されてい ないという状況でございます。  本剤の医療上の有用性ですけれども、フェニル酪酸ナトリウムはプロドラッグであり まして、β酸化によりフェニル酢酸ナトリウムとなって効果が出ます。1モルで2モル の残余窒素を排泄することができるということです。  欧米でのデータといいますと、米国で1985年3月27日から1994年6月1日までの投 与プログラム及び承認申請以降、1996年2月までの追加投与プログラムに登録された 208例を対象とした第II/III相のオープン試験ということでございます。申請前の投与プ ログラムでの有効性評価対象となった148症例のうち118例が生存した。そのうち遅発 型が69例、新生児発症型が49例であったということでございます。米国の添付文書に よると、本剤開発前の新生児型の生存率は極めて低かったが、本剤等の代替の窒素排泄 系をフルに利用し、血液透析、たんぱく摂取制限等の併用により、新生児型の80%が生 存可能となったとされております。そのうち妊娠中に診断された症例、高アンモニア血 性脳症を起こしてからわかったんじゃなくて、その前にあらかじめ診断がついていた症 例については、生存率は100%であったということでございます。生存率は上がってお りますが、ほとんどに精神発達遅滞を来すということはいまだ変わっておりません。  遅発型については、高アンモニア血性脳症から回復し、その後に慢性的に本剤投与と たんぱく摂取制限を受けた患者群での生存率は98%ということでございます。この試験 はGCP準拠ではなかったようでございまして、細かい情報あるいはコンプライアンス の情報等がどの程度信頼できるかということがわからないということで、コンプライア ンスの影響等が考えられますので、精神発達遅滞や脳症再発に対してどの程度の効果が あるかは評価できないということでございますが、IQテストをされた患者さん46例中 30例はローアベレージ、ボーダーライン程度のIQはあったということが記載されてお ります。  安全性評価対象183例中102例で1件以上の有害事象が報告されたということでござ います。有害事象としては、1回以上の高アンモニア血症が評価可能症例173例中119 例、死亡が18例、その他頻度が高かったのは、神経系、全身、消化器系、泌尿生殖器系、 貧血、その他ここに書いてありますような有害事象が報告されておりますが、本剤に起 因すると考えられる重篤な有害事象は認められておりません。  1996年以降の米国及び1999年以降のEUにおいて、市販後約1000例の患者に投与さ れていますが、死亡症例の報告もありますが、本薬との因果関係が明らかな重篤な有害 事象の報告はありません。また、本邦では医師の個人輸入により4例での使用経験があ りますが、本剤に起因すると判断された有害事象は認められていないということでござ います。  検討結果でございますが、本剤は、1996年に米国、1999年にEUで承認されています が、疾患が重篤であること、有効性が高いこと、有効性が高いというのは、EMEAで のサイエンテイフィックディスカッション等でも、この薬だけで効くということは必ず しも言われておりませんが、この疾患の長期治療について安全かつ有効であることが示 唆されているという評価で、疾患の重篤性も考慮して、有効性は十分に示唆されている ということでございます。個人輸入の薬剤費が非常に高額でございます。米国で年間、 成人で約5万ドル、乳幼児約4000〜6000ドルと非常に高価であるということでございま して、そういうことも勘案しますと、我が国での早期開発が必要な医薬品であると判断 いたしました。疾患が極めて重篤な上に症例数が著しく少なく、新たな治験の実施には かなりの期間がかかることから、欧米での臨床試験データや国内での使用症例に関する データを利用した早期の承認申請がなされるとともに、承認までの間に国内治験データ を収集する等の対応を検討すべきであると考えました。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。大変まれな、しかし重篤な疾患で、治療しない と命もしくは発達にかかわるということで、患者数が少なく、治験は日本で独自にやる 状況はなく、今は個人輸入で対応しているという御説明であります。  ただいまの報告について何か御意見ございますでしょうか。  有吉構成員 質問させていただきたいのは、今の報告の中で、個人輸入により4例の 使用経験があるがというふうに出ておりますが、個人輸入の使用経験を調べる方法はど ういう方法をとられたんでしょうか。  中村参考人 これは学会等で比較的患者を把握している関係で情報が伝わってきやす いということでございます。  有吉構成員 多いのは調べるわけにはいかないわけですよね。仮にほかの薬で個人輸 入の状況を調べられる状況ではない、これは非常に特殊な薬だから個人輸入の……  中村参考人 すべての薬について把握することはなかなか難しいかと思います。  有吉構成員 それからもう一つは、薬剤の表現でいつも有害事象という表現が、これ はアンモニアを下げる薬ですよね。高アンモニアが有害事象の中に入っているというこ とは、要するに薬が効かなかった、あるいは悪くなったということを示すことだと思う んですが、後ろの方には、これに起因する有害事象はないと。一般的に厚生労働省のあ れは、有害事象と副作用というのを分けて表現していると思いますので、一般の方には 大きな誤解を生む表現だと思いますので、この辺をぜひお考えいただきたいと思います。  中村参考人 本剤に起因すると考えられる有害事象というのは、すなわち重篤な副作 用と考えられるものはなかったということです。効かなくて上がったり、病態によるも のが大きいであろうという判断です。  川原課長 今の中村先生の御報告の内容は、欧米での試験結果などに基づいて報告を いただいておりますので、欧米で有害事象ということで資料がまとめられております。 その場合、どうしても今のような形の御報告になりますので、その点は御理解いただけ ればと思います。  堀田座長 ほかの先生、いかがでしょうか。  事務局 本日、大澤先生がお休みなんですけど、小児関係の薬ということで、御出張 先に資料をお送りしてコメントをいただきましたので御紹介申し上げます。  「尿素サイクル異常症は、現在の治療法では完全な治療を行うには困難であり、死亡 率も高い。新しい有効な薬剤が期待されます。フェニル酪酸ナトリウムは欧米において その効果が認められており、本剤が本邦でも早期に使用可能になることが期待されます」 というコメントをいただいております。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。どうぞ。  堀内構成員 こういう患者さんが来ますと、実際はフェニル酢酸ナトリウム等を薬剤 部で試薬から調製をして供給しているというのが現状ですので、きちんとした評価をさ れたものが市販されるというのは大変結構なことだと思います。ぜひ検討する方向で考 えていただきたいと思います。  堀田座長 ありがとうございました。となりますと、これについては海外の臨床デー タ、あるいは国内では個人輸入というレベルではありますが、使った成績等を参照して、 早期の承認申請に入るということで対応していただきたいと思いますが、よろしいでし ょうか。  ありがとうございました。それではそのような対応で、ワーキンググループの結果に 基づいて対応したいと思います。  それでは2番目に移りたいと思います。資料4−4、中村先生、お願いします。  中村参考人 続きまして資料4−4、オクスカルバゼピンでございます。これはてん かん部分発作に対する抗てんかん薬でございます。対象疾病についてですが、てんかん は大脳皮質細胞の過剰な異常放電によって、多彩な中枢神経症状が発作的に反復する慢 性の症候群でございます。てんかんに苦しむ成人及び小児は世界中で5000万人にも及ぶ と言われており、本邦でも約100万人が罹患しているということでございます。てんか んのうち部分発作は60%程度ということですが、てんかんの発作がコントロールできな いと、発作の際に外傷を受ける危険性がある、学校生活も含めた日常生活上の制限を受 ける等の問題があるのみならず、いじめなどの精神的な苦痛も経験することになります。 また、発作が持続してけいれん重積に至れば生命の危険が存在します。さらに、発作を 反復することでてんかんが難治化することも知られています。以上のように、てんかん は日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であり、発作をコントロールすることは極めて重 要であると判断しております。  本剤の医療上の有用性についてですが、てんかんの治療は薬物療法が主体でございま して、従来の第一世代と言われる抗てんかん薬に抵抗性を示す患者が30〜40%存在しま す。新しい抗てんかん薬の開発が望まれており、海外では本剤を含む第二世代の抗てん かん薬が幾つか承認されています。本剤は、成人及び小児における部分発作の単剤療法 が4歳以上に対して、多剤療法が2歳以上で承認されております。米国のてんかん治療 ガイドラインが「Neurology」で発表されておりますが、部分発作に対して有効性が確立 しているという評価をされている医薬品でございます。  本剤は、カルバマゼピンと構造が類似しており、その単剤としての効果はカルバマゼ ピンやフェニトインとほぼ同等であるが、薬物相互作用や副作用が少なく、より使いや すい薬剤であるとされています。新規診断されたてんかん、全般発作を含むものに対し て、オクスカルバゼピンとカルバマゼピンを比較した成人における二重盲検比較試験で すので、安全性のところだけ報告いたしますが、4〜8週の増量期間と、その後の48 週の維持投与期間に副作用のために試験を中止したのは、オクスカルバゼピン群では92 例中13例で、カルバマゼピン群は98例中25例であったということで、有意に少なかっ たという報告がございます。  もう一つ、フェニトインと比較したということで、いつもレビューで引用されている のが、小児を対象とした二重盲検比較試験、5〜18歳の小児を対象としておりますが、 部分発作への効果を比較しております。発作消失の割合はフェニトインと差がなく、4 〜8週の増量期間と、その後の48週の維持投与期間に副作用のために試験を中止したの は、フェニトイン群96例中14例に対して、オクスカルバゼピン群は97例中2例である ということで、副作用による早期治療中止までの期間に有意差が認められたと。また、 運動失調やめまいなど、多くの副作用についても頻度はオクスカルバゼピンが少なかっ たということでございまして、小児神経の先生方にお聞きしますと、いずれの薬も非常 に副作用が多くて、増量するとふらふらになったり、いろんなことが起きるということ でございまして、副作用が少ないということは非常に好ましいという御説明を受けてお ります。  単剤については、海外でも小児での単剤治療の評価は一応されているんですが、成人 の方では有意差が出ておりますけれども、海外での試験が失敗しております。1カ月〜 16歳の92名に対して、低用量と高用量の比較をした試験がございます。これは二重盲 検ではなくて、評価者にブラインドがかかった試験でございますが、これで差が出なか ったということは添付文書にも明確に書いておりますが、ただ、投与期間、評価期間が 短かった、前治療薬のウォッシュアウトが不十分であった等の理由で、この試験は評価 が不可能であると。PKPD等を勘案してということで、4歳以上の適応承認がされている という経緯があるということを追加で御説明しておきます。決してデータを隠している わけではございません。  多剤療法についてですが、多剤療法では成人及び小児における2つのプラセボを対象 に、二重盲検比較試験において1〜3薬剤に追加投与した場合に、プラセボ群に比較し て有意にてんかん発作を減少させているということでございます。例えば小児試験にお ける28日間での発作数減少率の中央値は、オクスカルバゼピン30〜46mg/kg/day投与群 で34.8%、プラセボで9.4%ということでした。   さらに、本剤には小児が服用しやすいシロップ剤があるということでして、コンプ ライアンスがしばしば問題となる小児には使いやすい薬剤であると考えております。  検討結果でございます。本剤は世界50カ国以上で承認された、部分発作に対する単剤 あるいは多剤併用での有効性が確立した薬剤でございます。副作用や薬物相互作用など の面で、カルバマゼピンやフェニトインなどよりも使いやすいこと、カルバマゼピンや フェニトインなどが副作用で使えない、あるいは使いづらい患児にも使用できること、 治療に難渋する多剤抵抗性の部分てんかん症例にも効果が期待できること、小児が服用 しやすいシロップ剤があること等を総合的に評価し、医療上の重要性は高いと判断して おります。国内における部分発作を対象とした本剤の治験が早急に開始されるよう検討 すべきであると考えております。以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。それでは、この品目について御検討いただきた いと思います。御意見のある方は御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。  堀内構成員 ちょっと質問があります。一般にフェニトインは有効濃度域と副作用発 現濃度域が大変狭くて、投与量を上げると急激に血中濃度が上がるというので有名な薬 ですが、このオクスカルバゼピンは比較的副作用が少ないようですが、体内動態との関 連はどうなってるんでしょうか。ちょっと専門的な話になって恐縮ですが、副作用が少 ないということは大変使いやすいということですので、検討に値するのではないかと思 います。  堀田座長 ありがとうございました。大澤先生からこれについて何かコメントいただ いていますか。  事務局 こちらにつきましても大澤先生からコメントをいただいておりますので、御 紹介申し上げます。  「小児に発症するてんかんの中には、現在日本にある薬剤には治療不可能なものも多 く存在します。発作さえなければ学校生活も問題なく送れる子供たちも、発作のために いじめに遭ったり、他の子供とは異なる生活を余儀なくされることもあり、結果として 不登校などの二次的障害を起こすことも知られています。本邦では欧米やアジアに比べ て、使用可能な抗てんかん薬が少なく、国際学会の場では驚かれることがしばしばあり ます。オクスカルバゼピンは副作用が少なく使いやすいと評判が高く、本邦でも早期に 使用可能になることを切望いたします」というコメントでございます。  堀田座長 ありがとうございました。医療上は大変必要性が高いし、安全性あるいは 使いやすさという点でもよいように思われますが、そのほかに御意見いただけますか。  それでは、この品目についてはワーキンググループからの報告のとおりに、早期の治 験開始ということで企業に要請していただきたいと思います。中村先生、どうもありが とうございました。  それでは次は抗腫瘍薬の方に移りたいと思います。ネララビンでございます。藤原参 考人から御説明いただきます。  藤原参考人 資料4−1について御紹介させていただきます。対象疾病はT細胞性急 性リンパ芽球性自血病、T細胞性リンパ芽球性リンパ腫の2種類でございます。これら の疾患は、高率に縦隔腫瘤と骨髄浸潤を伴い、若年男性に好発する高悪性度リンパ系腫 瘍でございまして、T−ALL、T−LBLというのは特殊系と考えられているもので ございます。  本邦におけるT−ALL、T−LBLの年間新規患者数は約500人程度と推定されて います。現在の種々の併用化学療法等を用いますと、成人例の約半数、小児例の半数以 上に治癒が期待できると考えられているものの、寛解導入療法不応例や再発、再燃例の 予後は極めて不良で、有効性の高い新薬、特に造血幹細胞移植の実施率と成功率の向上 につながり得る奏効割合の高い新薬の導入が医療現場では切望されているというのが実 態でございます。  本剤の医療上の有用性についてですが、本剤は、リンパ球系腫瘍、特にT細胞腫瘍に 高い殺細胞効果を有するプリン誘導体でございます。米国において小児例と成人例に対 して、用法・用量の異なる2種類の多施設共同第II相試験が実施されております。一つ はChildren's Oncology Groupによる小児試験、これはCOGのP9673でございまして、 既に公表論文も掲載されております。  結果を見ますと、初再発例で55%、2回以上の寛解導入療法施行例で27%の奏効割合 が得られております。成人試験においても、2回以上の寛解導入療法施行例で21%の完 全奏効割合が出ていると報告されております。  一方、昨年の米国血液学会で報告されておりますのは、再発・再燃もしくは治療抵抗 例に対するドイツの多施設共同第II相試験成績でございまして、60%の奏効割合、47% の完全奏効割合が報告されております。  したがって、これらの有効性からかんがみて、本剤の抗腫瘍効果は十分にすぐれたも のであると考えられると思います。  以上を踏まえまして、検討結果ですが、臨床試験によって報じられたT−ALL、T −LBL治療抵抗例に対する本剤の有効性、2005年10月の本剤の米国FDAによる承 認、米国と欧州における本剤に関する臨床試験の動向などを考慮すると、対象疾患患者 数は決して多くはないものの、本剤の医療上の必要度は高いと判断される。本剤の臨床 開発は、これまで本邦では全く実施されておらず、FDA承認後もこのままの状態を放 置すると、本邦の当該疾患患者に不利益が及ぶことが懸念されることから、我が国での 治験が早期に開始されるよう検討すべきであると考えます。  ただし、本剤は重篤な神経毒性を比較的高頻度で発生し得る殺細胞性抗がん剤であっ て、米国の臨床試験において薬物動態の人種間差が示唆されていることもあり、日本人 患者に対する薬物動態学的検討を含むフィージビリティスタディを全く実施せずに本剤 を承認することは、投与対象患者の安全性確保の観点より適切ではないだろうと思って おります。  ただ、上記に述べたように、対象患者数が著しく少ないことを考慮すると、日本人患 者少数例を対象とするフェーズI/IIスタディを実施しつつ、海外データをできるだけ利 用した臨床開発を行うことが現実的な方向性とワーキンググループは考えました。以上 でございます。  堀田座長 ありがとうございました。ネララビンについては患者団体からの要望のあ るI類ということで、新しい適応をとれた薬剤でございますが、今御説明いただいたこ とについて先生方から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。  主には若年者、小児中心でありますけれども、このものについては大澤先生から特別 御意見はいただいてませんね。ほかの先生、いかがでしょうか。どうぞ。  堀内構成員 全体として御報告のとおりで結構だと思いますけれども、人種差につい て、添付文書等を見ますと、黒人と白人の話は書いていますが、アジア人のことは書い てありません。アジア人ではデータはあるのでしょうか。  藤原参考人 FDAのサイトには膨大な資料があって、クリニカルファーマコロジー のレビューレポートは私は見ておりませんので即答はできないんですけども。  堀内構成員 特に患者数が少ないわけですし、どうのこうのということではないので すが、その辺も考慮していただければと思ったものですから。  堀田座長 既に神経毒性のあるような薬が前には使われたりしているケースになりま すよね。そういう点で、神経毒性については日本人ではどうかということは評価しなけ ればいけないかもしれません。  川原課長 ワーキンググループの報告を御了承いただければ、私どもの方から企業の 方に治験の開始についての働きかけということになりますが、その際には今御指摘があ ったようなところに十分注意して治験を進めるようにということはつけ加えたいと思い ます。  堀田座長 それでは、ワーキンググループの検討結果に基づきまして、これを承認し て、企業に治験を進めていただくように図ってまいりたいと思います。  それでは次ですが、ペグアスパラガーゼにつきまして、藤原先生からお願いいたしま す。  藤原参考人 資料4−2でございます。ペグアスパラガーゼでございます。対象疾患 はそこに書いてあるとおりでございまして、急性リンパ性白血病は成人及び小児の代表 的な血液悪性疾患であり、成人では毎年約6000〜7000例、小児では約450〜600例の発 生が見られております。小児では、成人に比較して、ビンクリスチン、プレドニゾロン、 L−アスパラギナーゼを中心に治療強度を高めた化学療法を行うことで、5年無病生存 率を70〜80%まで向上されております。寛解導入療法及び強化療法において極めて重要 な薬剤なのですが、E.coliとかほかの細菌由来のL−アスパラギナーゼは過敏反応が結 構存在しまして、16〜33%くらいの頻度であり、過敏反応が重篤になるとアナフィラキ シー様、あるいはアナフィラキシーショック等を起こしますので、投与が難しい症例が 出てくるということが問題となっております。過敏反応のある症例においても治療の継 続を可能にする安全かつ有効なアスパラギナーゼの開発が現場では求められているとい う実態がございます。  本剤の医療上の有用性についてですが、この薬の性格から申しますと、ペグアスパラ ガーゼは非免疫原性合成高分子ポリエチレングリコールでL−アスパラギナーゼを化学 修飾することで抗原性を取り除いてアレルギー反応を起こりにくくするとともに、長い 血中半減期により未修飾のL−アスパラギナーゼに比較して長時間安定した抗腫瘍効果 を発揮すると言われております。  検討の際にFDAのサイト等でなかなか資料がとりにくかったので、臨床成績等は主 に現行の発売されている米国の添付文書をもとにまとめさせていただきました。米国の 添付文書によりますと、5つの臨床試験に登録された174例のL−アスパラギナーゼに 過敏反応を示した62例中、本剤にも過敏反応を示したのは20例、32%であったとあり ます。臨床成績的に見ますと、米国で31例の再発白血病症例を登録して行われた第I相 試験、これは公表論文がございまして、「Drug Metab Dispos」の1986年の論文でござ いますけれども、至適投与量が2000〜2500U/平方メートルで、14日間隔投与というのが至適だろ うとI相試験で判断されまして、次に第II相試験では、再発した思春期、小児ALL21 例に対して、単剤での奏効率が22%、そのうち完全寛解が16.7%、部分寛解率が5.6% とすぐれた有効性を示しておりました。さらに、成人を含む42例のL−アスパラギナー ゼ過敏性再発白血病患者に対して第II相試験が行われまして、奏効率は50%であったと いうふうに添付文書上では報告されております。  有害事象としましては、添付文書に記載されている5つの臨床試験に登録された174 例で観察された5%以上の頻度のものとしましては、アレルギー反応、血清GPT上昇、 嘔気・嘔吐、発熱、疲労というものが挙がっておりました。これらの臨床試験成績の結 果を受けまして、1994年2月1日に、L−アスパラギナーゼ過敏症のALLを適応症と して、米国FDAの承認がおりております。  以上、検討結果としましては、米国でのFDA承認を受けて、L−アスパラギナーゼ 過敏反応を示すALLに対する標準治療として使用されている一方、本邦への導入はい まだ検討されていないため、L−アスパラギナーゼに過敏反応を示すALL患者の多く は十分な治療強度を有する化学療法を受けることができず、このことが再発率の増加か ら生存率を低下させる一因となっている。この現状を打開するため、本剤について早期 に治験が開始されるよう、迅速かつ適切な対策が強く望まれると判断いたしました。以 上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。それでは、このペグアスパラガーゼについて御 検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。  このものは、化学修飾してありますが、活性体としてはL−アスパラギナーゼと同じ ものになってくるわけですか。  藤原参考人 ペグがくっついてるのは米国メルク社が販売しているE.coli由来のア スパラギナーゼです。日本でもE.coli由来のやつが協和醗酵から出てますけども、そち らは協和醗酵が独自産生なので、恐らくものはメルクと協和醗酵で少し違うのじゃない かとは思いますけど。  堀田座長 いかがでしょうか。  吉田構成員 既に伺ったかもしれないんですけど、10年以上放置してあった理由とい うのは何なんでしょう。日本には対応する企業がなかったとかいうことなんですか。  川原課長 日本にもL−アスパラギナーゼの製剤はございまして、大腸菌由来の酵素 の製剤でございます。しかしながら、ペグ化したものについては、この会議の検討結果 を受けて、また内部でも調べてみますけれども、アメリカでのエンゾンファーマシュー ティカルズという会社が日本には支社がないかと思いますので、仮に日本の企業が向こ うから持ってこようというふうに動いていなければ、そのまま開発されずに終わってい たということなのではないかと思います。  吉田構成員 私もワーキンググループの結果はそのとおりだと思うんですけれども、 迅速かつ適切な対策が強く望まれるときに、会社がないという状況も考えられますよね。 そうすると、医師主導でやるということまで踏み込むかどうかなんですけど。その辺の 判断はどういう形になるんですかね。  川原課長 この会議を昨年1月に立ち上げましたときに、医療上の有用性が非常に高 いということであれば、ほかの関係局課とも連携しまして企業側に開発を働きかけると いうことをやっておりますし、これは一生懸命やりたいと思いますが、どうしても見つ からないとか、権利関係が複雑になってどうこうということがもしございましたら、場 合によっては医師主導治験をやってもらうということもあるかもしれません。ただ、そ の場合も、どこかが主体になって、承認をとった後、薬剤の供給をし、臨床現場で起こ る副作用の収集をし、それを分析評価して医療現場にフィードバックするという役割を 担ってもらう組織がどうしても必要でございます。医師主導治験でやってもいいという 話があれば、会社側もそれならばという話にもなるかもしれませんし、その辺は今後の 展開の中で御相談させていただくことはあり得ると思います。その場合は関係の学会等 の御協力をお願いすることもあると思います。  堀田座長 よろしいですか。ほかに何か御発言はありませんか。どうぞ。  川西構成員 これはたんぱくをペグ化した製剤なんですけれども、臨床効果という点 では非常に興味ある特性を持ったものであるとは思うんですけれども、開発時期が1994 年という初期であることと、ペグ化タンパク質は一定につくりにくいという特性があり ます。したがって製造方法の確認が必要ですし、この会社自体も私は存じ上げない会社 ですので、その辺は実際に申請データ等を見てみないとわからない部分があるなという 気はしています。ただ、臨床効果が非常に興味あるということがまず第一ですので、そ の上で考えなくちゃならないことだと思います。  堀田座長 ありがとうございました。酵素製剤なものですから、蛋白量と活性が必ず しもパラレルにいくのかどうかとかを知りたいところです。実際使っていても、欧米の 単位数を使うと日本では凝固因子が極端に減ったりするのを経験します。このものにつ いては、ほかに御意見がなければ、今のことも踏まえまして、適切な対応をして、早く 治験に入るように促したいと思います。よろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、個々の品目の検討はここまでにいたしまして、 本日の検討事項は以上でありますけれども、これまでに一体何がどこまで進んできたの かというのを整理してみたいと思います。この会議で検討された品目について、現在の 状況を整理していただいておりますので、その資料について事務局から説明をお願いい たします。  川原課長 それでは資料6−1と6−2をごらんいただきたいと思います。昨年から 先生方に御尽力いただきまして、この検討会議で検討された品目、本日分は入っており ませんけれども、16品目について資料を配付させていただいております。昨年1月に本 検討会議を設置しまして、1〜3月までの3回の会議では、主として本会議での未承認 薬の検討スキーム、医師主導治験につなげる場合もあるというような検討スキームにつ いて御検討いただきました。4月の会議からは個別の未承認薬に関する検討を中心に御 議論いただいたということでございます。  左から、ナンバー、成分名、効能・効果、検討会議開催日、検討会議での主な検討結 果、検討当時その薬の状況はどういう状況であったかということ、現在はどうなってい るかということ、企業名も一番右に書いてございます。資料6−1は、検討結果等につ いて、本検討会議で個別に検討していただいた品目について、現在の状況等をリスト化 したものでございます。個別の説明は省略いたしますけれども、個別品目ごとの検討当 時には国内未承認でありましたけれども、その後、薬事承認されて保険診療で用いられ ているものもございます。国内で治験すら始まっていなかったものについて、治験が開 始されたものも幾つかございます。さらに、既に承認申請がなされて審査中のもの、審 査期間中の安全性確認試験が実施されているといったようなものがございます。  この中の9番、エルロチニブ、販売名タルセバというものでございますけれども、こ れについて少し追加の御説明をさせていただきます。昨年7月の検討会議で御検討いた だきまして、急性肺障害、間質性肺炎などの安全性への注意が必要であることなどから、 非小細胞肺がんに対して進行中であります第II相試験の状況を注視していくべきだとい う結論をいただいております。  その後、米国において2005年11月に、局所進行性切除不能または転移性の膵がんに ついて、ゲムシタビンというものとエルロチニブとの併用の適応がFDAで承認されて おります。この開発企業の中外製薬から、本剤の国内の治験進行状況について聴取をい たしました。その結果、非小細胞肺がん、現在、治験が進行中のものにつきましては、 治験の終盤にあるということでございます。また、膵がんについても、国内での治験実 施に向け、スピードを上げて取り組む予定だということでございました。膵がんについ ては確立された治療法がなく、化学療法の選択肢をふやしていくことが有益と考えられ ることから、米国での膵がんの承認経緯等についてFDAと情報交換をするとともに、 国内での開発の進行状況についても私どもとしてフォローしていきたいと考えておりま す。企業側としても、膵がんについて国内での治験実施に向けてスピードを上げて取り 組む予定になっているということでございます。以上が資料6−1の関係でございます。  続きまして資料6−2、13枚ほどの資料でございます。このリストは、適応外使用通 知に基づく承認品目のリストということで、既に承認されております既承認薬が実地医 療において、薬事法上の効能・効果の範囲外、いわゆる適応外で使用されているという 状況を改善するために、そのような適応外使用法のうち、十分な科学的根拠があるもの については、新たな治験実施を不要とするなどしまして、学術雑誌への掲載論文などを 用いて承認審査を行っておりますが、それによって審査・承認を行った品目をリスト化 したものでございます。  資料の10ページをお開きいただきますと、いわゆる二課長通知というのが平成11年 2月に出ておりまして、これ以降こういう取り扱いでやっておりますけれども、昨年12 月段階で本スキームによって52成分の医薬品について効能追加等の承認が行われたと いうことでございます。このうち抗がん剤は延べ17成分という形でございます。  11ページ以降をごらんいただきたいと思います。抗がん剤については、二課長通知に より、企業側が主体となって資料を集めて申請してきたものが先ほどの二課長通知のも のでございますけれども、これとは別に、抗がん剤併用療法に関する適応外使用の問題 を解決すべく、平成16年1月に設置いたしました、抗がん剤併用療法に関する検討会、 これも黒川清先生に座長をお願いしたわけでございますが、これにおける検討を経て、 効能の追加が承認された抗がん剤というものが延べ30成分ございます。これが資料6− 2の11〜13ページまででございます。したがいまして、資料6−1で、前回までに検討 いただいた抗がん剤の新しい成分としましては、全16成分のうち12が抗がん剤という ことになりますが、適応拡大の方につきましても二課長通知、あるいは抗がん剤併用療 法の適応外の効能拡大の関係で、延べ数にしますと17+30ということで、47の成分数 の追加が行われたということでございます。  この間、各先生方には御協力をいただきましたし、関係学会等にも大変御協力をいた だきまして、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。説明は以上でございます。  堀田座長 ありがとうございました。今の資料と説明について、何か御質問あるいは 御意見がありましたらいただけますでしょうか。  有吉構成員 ここに記されております薬剤のうち、2つの薬剤を通して提案をしたい と思いますが、一つは4番のボルテゾミブ、これについては12月の朝日新聞にも出たと 思うんですが、治験実施施設以外のところで個人輸入の使用をしたケースで、4例の死 亡が報告されています。いずれも間質性肺炎なんですね。安全性確認をすべきというこ となんですが、問題は、安全性確認試験を行っていない施設でも使う可能性が個人輸入 であるわけなんです。私は最初から言っているんですが、治験の公表をもっと、未承認 薬の委員会がすべての企業に対して、どういう治験をやっているかというようなことを きちっと公表していないとこういう問題が、堀田先生は恐らくこの問題を御存じだと思 うんですが、実際、もっと副作用が出てる可能性があるので、私は風聞でしか知らない し、実際の事実は朝日新聞で読んだだけですから、そういう問題がありますので、治験 は、どういう薬剤の治験がどこで行われているかという公表をもっとすべきじゃないか。 アメリカで行われているような状況にしていただきたいと思います。  それからもう一つは、7番のベバシズマブでございますが、これはフェーズIが行わ れたというのは単剤のフェーズIであって、この薬剤は併用じゃなきゃ有効ではないん ですね。FOLFOX4との併用が有効というデータが出ているわけですが、日本ではFOLFOX 4よりもFOLFOX6の方になっていて、だんだん変わっていくわけなんです。そういうデ ータが全く日本ではないと私は思うんですが、吉田先生、ありますか。  吉田構成員 治験のデザインが変わったと聞いてますけど。単剤じゃなくて。  有吉構成員 したがって、いずれにしても、日本できちっとした欧米でやるような併 用試験のデータが全くなしに承認申請が行われるような状況に感じられるんです。抗が ん剤の使用もEBMに基づいてやるわけですので、そういう観点からすると日本のピボ タルスタディが全くない状況が、多用される抗がん剤に起こるわけなんですね。ですか ら2つ目の提案は、未承認薬で承認申請をプッシュする、あるいは承認を早期に獲得し た薬剤については、日本国内のピボタルスタディをある程度義務づけるような状況にし ないと、日本のデータが全くないという状況ができる。そうすると、かえって未承認薬 の検討会の趣旨がなくなると思いますので、ぜひその2つの問題を検討ないし勧告して いただきたいと思います。  堀田座長 今の点について事務局から何かございますか。  川原課長 治験の実施施設の公表の問題ですけれども、現在、ここで御検討いただい た品目については厚生労働省のホームページにおいて、企業の問い合わせ窓口について はオープンにしてございます。したがいまして、一義的にはそこに聞いていただいても らうという形です。患者さん方の方からも要望は強いと聞いておりますけれども、先生 の御指摘はこれは基本的に治験を実施している企業に、どこの医療機関でやってますよ ということを公表させるということでございますか。  有吉構成員 それで何ら支障がないと思ってるんですけど、いかがでしょうか。  川原課長 そこは実際に治験を実施しておられる医療機関側もそれで支障がないかど うかということとか、ちょっと検討すべきところはあるかと思います。  有吉構成員 というのは、個人輸入が非常に多いんです。このベバシズマブなんか一 番多いと言われておりますね。いろいろな情報が入ってきますから。そうすると、それ を使用する以上、これは医師の責任だと思うんですが、例えばボルテゾミブのような問 題が起きて、厚生労働省も恐らくそれはつかんでいないんじゃないかと思うんですね。 そういう問題を安全性の観点からもきちっとやっていかないと、恐らく日本のエビデン スというのがほとんどない状態で承認される可能性があるわけですので、もっとオープ ンにしていいんじゃないかなと私は思うんですけど、いかがでしょうか。  堀田座長 今の点については基本的には先生のおっしゃるとおりで、できるだけ情報 開示して、どこで治験をやっているか、要望がある方がアクセスできるようにするべき だと思うんですね。ただ、例えば治験をやっている施設が勝手に公表することができる のかどうかという問題もあります。これは企業との関係で話し合いがつけば、できるだ け公表して、希望がある方が乗れるようにするというのは筋だろうと思います。このあ たりは今後詰めていただきたいと思います。有吉先生が御指摘のように、個人輸入で使 っている中に、従来、海外では余り報告のなかったような有害事象が、しかも重篤なも のが起こっているのではないかと懸念されます。それもあって、個人輸入されているよ うな薬をなるべく早く未承認薬検討会議で検討して、必要なものは治験につなげて、薬 事法の中で評価していくことにしたいと思います。検討が間に合わなくてこぼれたとこ ろで重篤な有害事象が起こるということについて、何らかの歯どめが必要だろうと思い ますね。この件については学会の対応もしておりますし、現在、製薬企業も協力して状 況の把握に努めているというふうに聞いております。  川原課長 あと、有吉先生から御指摘のありました後段の方でございますけれども、 昨年に抗悪性腫瘍薬の臨床評価ガイドラインというものを改訂いたしまして、その中で 海外のデータもできるだけ活用するという方向で改訂しております。しかしながら、日 本国内でのエビデンスの収集とか、そういったものも必要だろうと。そうはいっても、 やはり海外で有効だと言われている薬剤があるということを患者さんがお知りになれ ば、日本でもできるだけ、なかなか評価としては厳しいところになると思いますけれど も、ぎりぎり日本人での有効性、安全性が評価できるくらいの症例数で申請を認めても らって認可に結びつけてほしいと。そのかわり、III相試験の実施を日本できちっとやる とか、恐らくその辺については個別の審査の中で対応していかなくてはいけないと思い ます。奏効率なんかが既存のものとそれほど違わないようなものまで、そんなに急いで 開発をしてということになりますと、欧米では余り報告されていないような重篤な副作 用が、日本のみで報告されているというようなケースもございますし、そこらは個別の ケースでかなり慎重に対応しなきゃいけないケースもあるかなとは思っておりますが、 基本はガイドラインというものを出しておりますので、それに基づいて開発から承認・ 審査、市販後の指導とかそういったことをやっていきたいと考えております。  有吉構成員 ガイドラインというお言葉だったんですが、私はがん治療学会と臨床腫 瘍学会の合同のガイドラインをつくったときに一番困ったのは、日本のエビデンスが全 くないんです。ほとんどないんです。使用量を明記することができなかったのは、外国 と比べてやや少な目の量になってると思うんですね。例えばドセタキセルという薬なん かは、欧米では90〜100mgというんですけど、日本は60〜70ということになってるわけ ですね、承認が。ですから、この薬剤について国際的な臨床試験に参加できないという、 特に乳がんの施設なんかがそういうクレームをつけるんですが、現実に日本のデータと してはその程度しか使えないというデータで承認して、そして欧米と全く遜色のない成 績が得られているわけなんですね。ですから、日本は日本のエビデンスをつくるという、 どこかで何かを担保しないことには、承認まではともかくとして、承認後でもそういう 努力はしていかないと安全性というものは担保できないだろうと。特に最近、薬剤の民 族差ということをよく言われるわけですので、オーファンドラッグはともかく、きょう 検討された症例数の少ないものはともかくとして、大量に使用されるものというのは、 ある程度日本のEBMのエビデンスをきちっとつくっていく努力をするという、これは 非常に重要なことだと私は思います。  堀田座長 吉田先生はこの問題に御意見があるかと思いますが、最後にまとめていた だけますか。  吉田構成員 時間が迫ってますし、言い出すと大変な論争にはなると思うんですけれ ども、おっしゃってることはわかります。ただ、今後、承認申請に関しては自国のデー タで持ってくるというような形ではなくて、ほとんどの場合がグローバルスタディとか、 アメリカの大きなインターグループスタディとかでその有効性を確認して承認していく という方向にあるので、ますます日本のデータがどこかへ行っちゃうという危険性はあ ると思います。ただ、日本のピボタルスタディを条件にして承認していくとなると、物 すごいスピードで動いている世界の状況に日本が追いつかなくなってしまう。例えばエ ルロチニブで先ほど膵がんの話が出ましたけど、ベバシズマブでは非小細胞肺がんで大 きな差が出たというレポートも出ました。そういった新しい状況が次々出てくるわけで す。そのときに日本が対応し切れなくなってしまう。今のやり方だと、恐らくエルロチ ニブならエルロチニブの肺がんのスタディが終わって、適応拡大に入ったときにあちこ ちが走り出すという格好になると思うんですね。そうすると、それをやってる間でも既 に外国でどんどん適応拡大が進んでいて、日本がおくれていくという状況になってくる と、そちらの方も考えてやらないといけないかなと思うんです。ですから、スピードア ップを図りながら日本のデータをどうやって担保していくかというところが論点だろう と思います。  有吉構成員 私はピボタルスタディを承認条件にするというわけじゃないんですね。 少なくとも承認の後でもいいですからということです。  堀田座長 ありがとうございました。この辺については保険の償還の問題も含めて、 あるいは治験のあり方委員会で治験自体のあり方を検討していただいて、できるだけス ピーディに、しかし確実に安全にできる方策を考えてもらっております。日本の治験や 臨床試験は世界の周回おくれという表現で言われており、世界のエビデンスについてい ってないという現状をよく指摘されますけれども、ここのところ、抗がん剤併用療法検 討会、あるいは未承認薬検討会議で随分キャッチアップはしてきたけど、まだまだ足り ないというところだと思います。今後この辺は、未承認薬検討会と治験のあり方検討委 員会との歩調を合わせて、日本できちんとした治験が早くできるようにする必要があり ます。もう一つは、グローバルに比べて日本の治験がどうしても着手が遅いというとこ ろを何とか掘り起こさなきゃいけないなと思っています。  時間も迫っておりますので、検討はここまでにいたしまして、最後に事務局から連絡 事項をお願いしたいと思います。  川原課長 本日御検討いただきました品目につきましては、会議の結論を事務局から 該当企業に伝達いたしまして、早期の治験開始等の要請を行うとともに、その後の状況 等につきましては次回の本検討会議で報告させていただきます。  次回の本会議でございますが、既に御案内のとおり、4月27日木曜日、午後2時から 開催させていただきます。次回は本日の会議で個別に検討すべきとされました品目につ きまして、ワーキンググループでの検討結果を報告の上、御議論をいただきたいと思い ます。  1〜3月までの3カ月間に欧米4カ国で承認されました国内未承認のものにつきまし て、今回と同様の方法でリストを提示しまして、御検討をいただく予定でございます。  以上でございます。どうもありがとうございました。  堀田座長 最後に先生方から御質問もしくはコメントございますか。  よろしいですか。特になければ、これで本日の検討会議を終了したいと思います。ど うもありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL:03−5253−1111