05/12/21 第9回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録 第9回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年12月21日(水)14:00〜17:00 場所:厚生労働省専用第16会議室(13階) 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、上廣委員、江成委員、小野委員、川崎委員   後藤委員、佐藤委員、菅野委員、高橋委員、前橋委員  事務局   白石雇用・均等児童家庭局審議官、太田児童福祉専門官   内山総務課長補佐、川鍋総務課長補佐 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第8回研究会における主な議論の概要  資料2 「市町村児童家庭相談実情調査」結果概要  資料3 子どもの虐待防止推進全国フォーラム in さいたま      「すべての子どもと子育てを大切にする社会づくりに向けて」第3分科会  資料4 子どもの虐待防止推進全国フォーラム in さいたま      「すべての子どもと子育てを大切にする社会づくりに向けて」第4分科会  資料5 「市町村における児童家庭相談体制の整備」に関する論点と議論の整理(案) ○山縣座長  定刻になりましたので、ただ今から第9回の研究会を開催します。まず最初に本日の 出席状況等について事務局からお願いします。 ○内山総務課長補佐  本日は、小林委員、濱田委員、関根委員より欠席とのご連絡をいただいております。 岩佐委員も欠席のようです。  配布資料ですが、お手元に二つずつクリップで綴じたものがあると思います。まず一 つ目は、議事次第が付いたもので、研究会の議事次第と資料1〜5の五つの資料が付い ています。  資料1が、「第8回研究会における主な議論の概要」。資料2が委員の皆さまにも行っ ていただいた「市町村児童家庭相談実情調査」の結果の概要。資料3と資料4が「子ど もの虐待防止推進全国フォーラム in さいたま」の分科会の資料。資料5が「市町村に おける児童家庭相談体制の整備」に関する論点と議論の整理です。  別冊のクリップで留めてありますのが参考資料で、これも五つの部分から成り立って おります。まず1が「平成17年市町村児童家庭相談業務の状況について」、それから2 が、ネットワークの状況調査について、3が「児童福祉司と児童委員の連携策と留意点」、 4が児童家庭相談体制のあり方に対する社会福祉士の会からの要望、5が平成16年度の 児童虐待相談処理件数等の資料が付いています。  それと、今回の議題の確認なのですが、市町村における児童家庭相談体制について3 回目の議論をしていただきたいと思っています。前半については、先程申し上げたよう に、11月下旬から今月の上旬にかけて、市町村の児童家庭相談体制について実情調査を 行っていますので、その報告をさせていただいた後に議論をしたいと思っています。そ してその後、参考資料としてお配りしている幾つかの資料について説明をさせていただ きたいと思います。  後半については、今まで市町村の児童家庭相談について2回の議論をしていただきま したが、論点事項の整理をし、年明けの研究会の最終報告の取りまとめに向けて議論を 進めていただければと思っています。以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。今日は、議題に「討議」としか書いてありませんが、中身 は大きく三つということです。とりわけ実情調査と、論点整理以降の中身の充実という ところにウエートを置いた会議にしたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いしま す。  それでは早速ですけれども、委員の方々にも大変ご負担をおかけしました「市町村児 童家庭相談等実態調査」の結果について報告をいただきたいと思います。よろしくお願 いします。 ○太田児童福祉専門官  それでは、報告をさせていただきます。「市町村児童家庭相談等実情調査」ということ で、平成17年6月に全市町村を対象に実施した「市町村児童家庭相談業務調査」およ び「要保護児童対策地域協議会・虐待防止ネットワーク調査」の補完調査として、実情 調査を実施しています。  訪問地については4カ所、4道県を選定して訪問しています。北海道については、江 成委員と私ども事務局、山梨県については関根委員と事務局、三重県においては上廣委 員と事務局、福岡県においては小野委員と事務局で調査させていただきました。  資料2の1ページ目をご覧いただきたいと思います。1〜2ページの一覧表で整理して います。ここでは1ページの「概要」の所をご覧いただきたいと思います。北海道喜茂 別町・大滝村については、人口の所をご覧いただくと、それぞれ2,700人と1,500人と 極めて規模の小さい自治体であります。  また山梨県においては、早川町という所が1,600人。ここも人口規模は極めて小さい 所です。また、旧大和村は合併して甲州市となっていますが、旧大和村自体も1,500人。 そして、三重県の旧紀和町も1,700人。志摩市は、6万人を超える市。福岡県中間市が 4万8000人。そして稲築町が1万9,000人の町。合計8の町・村・市を調査させてい ただいたことになります。3ページ目以降に、それぞれの町・村・市別に概要をまとめ ています。そちらをご覧いただきながら説明させていただきたいと思います。  まず3ページ目の北海道の喜茂別町です。喜茂別町は北海道の南西部、北海道をイメ ージしていただくと、尻尾のような所の付け根辺りになります。札幌市から車で90分 ほどの所で、基幹産業は、馬鈴薯を中心とした畑作農業地域です。人口が約2,700人、 児童人口は260人程度です。毎年の出生児数は20人弱ということでした。高齢化率は 30%をわずかに超えています。役場の職員そのものが64人というような小さな自治体 です。  ここの児童家庭相談の状況ということで、相談窓口においては、「主たる相談窓口」 は特定の1カ所ということではなく、住民福祉課、健康福祉課、教育委員会、保育所、 保育所に地域子育て支援センターを併設しており、それぞれがそれぞれの機能を活かし て相談に対応しているという状況でした。ただ、総括的な役割を担うのが住民福祉課と いうことです。  その下の○の所をご覧いただきたいと思います。「主たる相談窓口の担当職員」という ことで、児童家庭相談が発生した場合には、住民福祉課の係長と健康推進課に保健師が おり、この方々が中心に相談に対応していくということになっていました。  一つ飛ばして、「相談処理件数について」の所をご覧ください。毎年、新生児が20人 弱生まれるということですが、すべての新生児宅を保健師が訪問して、発育状況を把握 しているという状況です。また、乳幼児健診についても100%の受診がなされていると いう状況でした。  この他に、民生委員などを中心とした地域での取り組みや、就学前の何年かはすべて の幼児が保育園に所属するという状況ですので、すべての子育て家庭について、細かな 状況まで把握しているという状況です。ここ何年来具体的な相談はないというような、 のどかな地域でした。  さらに一つ飛ばして、「夜間・休日の対応について」。対応体制そのものは組まれてい ませんでした。人口規模が少ないということもあって、村民が役場の職員の自宅の電話 番号も常に承知している。何課の係長・課長が誰で、電話番号は何番だということを知 っているということもあって、問題が起きれば直通で電話が入ってくることもあり得る ということでした。  4ページをご覧いただいて、二つ目の○「研修の受講状況について」。北海道では児童 相談所を中心にした研修会を開催しており、その研修会を受講しています。また、この 地域の保育連絡協議会が実施した児童虐待に関する研修会にも担当の保健師、保育士が 参加しています。  さらに1つ飛ばして、「児童家庭相談を実施する上での困難点について」ということ で、生の声をお伺いしましたが、さまざまな業務が市町村に降りてきて手一杯の状況だ と。のどかな地域で、相談そのものがないので対応する必要がない状況だが、専任職員 の配置が望まれるということでした。  「要保護児童対策地域協議会」の部分については、地域協議会は平成14年11月に不 登校児童への取り組み、学校との連携を推進するために組織した「児童福祉対策連絡会 議」があり、それを発展させた形で17年4月1日に協議会がスタートしています。た だ、協議会そのものは設立会議を開催しただけで、以降の会議予定はまだ定まっていな いという状況でした。  北海道でもう1カ所、5ページの大滝村という所をご覧ください。大滝村は、喜茂別 町から車で1時間と少しの所にあります。千歳市から車で90分ほどの所です。その間 信号が数カ所しかないような所でした。基幹産業は、長芋の栽培・キノコ栽培などの農 業、畜産の他、温泉ホテル、温泉病院、身体障害者の施設、知的障害者施設が誘致され ています。人口は約1,500人ですが、そのうち施設に入所する方で、この村に住民登録 をしている方が250人含まれている地域です。児童人口は195人、毎年の出生児数は 10人程度、高齢化率は28%を超えた状況です。また、役場の一般職員は50人の村です。 来年の3月に伊達市と飛び地合併が予定されています。  児童家庭相談の調査状況ですが、「主たる相談窓口」は、役場の住民福祉課に窓口を置 いています。そこで担当する職員については、住民福祉課の補佐、係長および保健師が 対応の中心になっています。いずれの職員も兼務で業務を行っています。  一つ飛ばして、「相談処理件数」の所は、先程言ったように、毎年生まれる新生児は 10人弱であり、この村においても、すべての新生児宅に保健師が2回から3回程度訪問 して発育状況を確認しています。また、乳幼児健診についても100%の受診率です。こ の地域も、同じように民生委員が比較的地域の状況を把握しているので、相談に至るよ うなケースはないという状況でした。  ただ、病院とか施設関係がありますので、そこに従事している方のようですけれども、 伺った直前に転入してきた家庭で問題が発生して、児童相談所が対応しているケースが ありました。このケースについては、村が中心的な役割を果たせずに、病院から児童相 談所に連絡が入るという状況で、村の主体性がまだ発揮できない状況ではありました。  6ページの「夜間・休日の対応について」をご覧いただきたいと思います。役場が宿 日直体制を敷いており、そこに連絡が入った場合には、そこから担当者に連絡が行くと いうことになっています。宿日直体制そのものも役割分担されていて、休日昼間は役場 職員、夜間は広域消防組合があるので、そこに連絡が入るようになっています。  三つ飛ばして、「児童家庭相談を実施する上での困難点について」。やはり専門性のあ る専任の職員が望まれています。今後、伊達市と合併して大きな自治体となることもあ って、その後に解決すべき機能ではないかというような見込みも持たれていました。  「地域協議会の設置状況について」は、現段階では未設置でした。地域協議会そのも のは未設置ですけれども、平成16年2月に「児童虐待防止対策連絡チーム」を設置し ており、これは民生委員が中心になっています。民生委員児童委員協議会と協力して、 村役場に事務局を設置したということです。伊達市と合併した暁には、伊達市の地域協 議会に組み入れられることが予定されています。  次に7ページをご覧ください。山梨県早川町は静岡県との県境に位置しており、山梨 県一の広大な面積を持つということです。ただ、その96%が山林という状況です。人口 は現在1,600人程度、20年後には半減するという予測もされているということです。児 童人口は150人程度、毎年の出生児数は7〜8人ということでした。高齢化率はかなり 高くて48%。役場の職員は約70人の地域です。  児童家庭相談での調査事項で、「主たる相談窓口」を保健福祉課に置いて対応していま す。ここでは、担当窓口として指名された1人の保健師が中心に動いています。課長以 下7名が他の業務と兼務をしつつ対応しています。  一つ飛ばして、「相談処理件数」の所をご覧いただくと、この町も7〜8人の新生児数 ですので、すべての新生児宅に3回程度訪問して、発育状況を確認しているということ です。  また、小さな町なので家庭の情報は入りやすく、相談に至るケースはほとんどないと いう状況です。7年前に、虐待ではないかという事例が発生した程度だということです。 また、母子保健活動として、地元で里帰り分娩をした方にも保健師さんが対応している ということでした。  一つ飛ばして、「夜間・休日の対応について」の所です。役場に宿日直体制が敷かれて おり、必要に応じて担当者に電話が入ることになっています。ただ実際この地域でも、 相談そのものが起きていないというような状況です。  8ページの「研修の受講状況」の所をご覧ください。研修については、児童相談所が、 面接技術などを中心とした研修会を実施するとともに、地方振興局が、児童福祉法の改 正などについての説明等の研修を行い、それぞれの職員が参加したという状況でした。  一つ飛ばして、「児童家庭相談を実施する上での困難点について」。これは対応事例が ないので、具体的に事例を想定した職場内でのそれぞれの職員の役割、協議会内の役割 をシミュレーションするのがなかなか難しいということでした。  「地域協議会の設置状況について」は、平成17年3月に「要保護児童対策地域協議 会」を設置しています。その時点で設立会議を行ったけれども、それ以後の会議につい ては定例化されていないという状況です。対応事例が発生した場合には随時担当者を招 集するということを想定しているが、今まで事例が発生していないという状況でした。  そのページの最後の○の所で、「地域協議会設置によるメリットと活動上の困難点」を ご覧いただきたいと思います。協議会の設置により、養護教員や保健師が問題を抱え込 むことが避けられ、精神的負担が軽減されるというメリットがあるということでした。  また、当町は小さな町であることから関係機関の職員数も少なく、同じ委員がさまざ まな会議に重複して出席せざるを得ないことや協議会で受理するケースかどうかの判断 基準が曖昧であるなどの問題点が残されているということを指摘されていました。  また、小さな町で町民が顔見知りであることから、協議会に守秘義務がかかっている ものの、協議会に問題が提示された場合には、多くの関係者が事実を知ることになるの で、公然の秘密になってしまう恐れがあるのではないかということを心配していました。  9ページ、山梨県の甲州市です。平成17年6月1日の調査において、大和村が特色 ある取り組みをしているということで甲州市を訪問しました。本年11月1日に塩山市、 勝沼町、大和村の合併によって甲州市が誕生しています。そのこともあり、甲州市を中 心に聞き取りをして参りました。  甲州市は、人口3万6,000人、児童人口が6,000人、高齢者比率は27.4%、市の職員 は、正規職員だけでも440人を超え、その他に非常勤の職員が多数雇用されているとい う説明でした。  甲州市の相談窓口については、「主たる相談窓口」を市役所の子育て支援課に置くとと もに、旧勝沼町と旧大和村に置かれた地域総合局の市民福祉課にも相談を受け付ける体 制を敷いていました。  「主たる相談窓口の担当職員」ということで、本庁の子育て支援課においては、家庭 相談員1名と保健師4名がおり、保健師は母子保健事業のかたわら児童家庭相談に対応 することになっていました。また、地域総合局の市民福祉課では、課員が事務のかたわ ら相談に対応するということになっています。家庭相談員が本庁に勤務していたのです けれども、非常勤での配置という状況の中で、さらに増員を検討したいということでし た。  一つ飛ばして、「相談処理件数について」。甲州市においても、新生児は300人程度と いうことです。妊娠届けを受理した後、妊娠中に2回家庭訪問をし、出生届けを受理し た後、すべての新生児宅を少なくとも2回は訪問して発育状況を確認する。また、必要 に応じて家庭訪問事業による育児支援や家事支援を行う体制を取っており、重篤化する 前に対応している。母子保健分野が主導的に活動していました。  10ページの「夜間・休日の対応について」をご覧いただきたいと思います。市役所に 宿日直者がおり、緊急の場合には、この宿日直者を通じて担当課の課員に連絡が入るこ とになっています。  大和村が特徴的であったということを冒頭にご説明しましたが、この「なお」書きの 所で、旧大和村では、保健師が在宅介護支援センターの業務で携帯を所持していたので、 緊急時にはこれを活用することが考えられていたという回答をいただいておりました。  一つ飛ばして、「研修の状況について」。早川町と同じように、児童相談所が主導的に 研修を行い、地方振興局が別途法律的な面での研修を開催し、そこに参加しています。 さらに、早川町と若干違っているのは、保健所が児童虐待に関する内容の研修会を開催 していることもあり、保健師が受講しているということです。  一つ飛ばして、「児童家庭相談を実施する上での困難点」。児童家庭相談を主体的に実 施するには、人員増や専門職の配置などの課題がある。合併によるメリットを活かして、 人員の確保を図りたいとういうことでした。ただ、合併した段階で、合併前のそれぞれ の児童福祉担当職員数と比較すると、減員になっているという状況があるということで、 今後職員の確保に努めていきたいという状況であるようです。  地域協議会の関係の調査事項です。地域協議会については、合併直前に要綱案まで作 成していたが、一時中断している。年度内には設置できるよう今後準備を進めていきた いということでした。合併後間もないということもあって、まだ担当課そのものも、担 当課長や係長にも細かい情報が把握しきれていないような印象を受けております。  次に12ページをご覧ください。三重県の熊野市、旧紀和町です。町の概要、紀和町 そのものは人口1,718人で、児童人口は147人、全国第2位の高齢化率(52%)の山間の 町です。甲州市と同じように、平成17年11月1日に熊野市と合併しています。合併に よって、児童家庭相談は福祉事務所が担当することになったようです。紀和町時代には 紀和保健センターにおいて児童家庭相談も担当していました。  「主たる相談窓口」については、紀和町時代のことを聞き取りしています。相談窓口 は、紀和町保健センターで対応しております。保健センターが相談窓口となった理由と しては、保健センターの保健師が子育て相談を行っていたことや、母子保健事業を実施 していたことから相談窓口として位置付けられたということです。  13ページをご覧ください。「主たる相談窓口の担当職員」は、兼任で2名の職員が配 置されています。1名は保健師で精神保健福祉士の資格を持っており、もう1名は保育 所担当の一般行政職の方です。  一つ飛ばして、「相談処理件数について」。平成17年4月〜5月の処理状況は12件で、 いずれも助言指導で処理をしたようです。児童相談所に通告すべきか否かについては、 関係者である課長、診療所医師、保育所の保育士、精神保健福祉担当者、警察の駐在員 などがケースに応じて協議をして判断し、場合によっては町長まで加わって検討したと いうことです。  併せて、その下の「受理会議、ケース検討会議」をご覧いただくと、紀和町では、成 人から児童まで、三障害の分野や介護保険も含めてケース検討会議を行っていたという ことです。  その次の○「夜間・休日の対応について」の所です。保健グループと福祉グループ各々 に待機順番が決められており、役場の当直から各々の業務携帯に連絡が入る仕組みにな っております。常に2名の体制で対応していたということです。これまでの実績として、 問題ケースが2ケースあり、連絡があったということです。  次に14ページ、「研修の受講状況について」をご覧いただきたいと思います。三重県 においても、県の児童相談センターが開催した研修会を受講しています。  一つ飛ばして、「児童家庭相談を実施する上での困難点」。児童家庭相談のための人材 確保が必要であると言われています。特に、ケース検討会議に際しては、児童心理司な どの専門職員の配置が必要である。ただ、その確保は難しい現状があるということです。  次の「要保護児童対策地域協議会」の所です。地域協議会および虐待防止ネットワー クともに未設置の状況でした。未設置の理由としては、その下の所に書いていますが、 母子保健分野を中心とした「紀南地域母子保健医療推進協議会」が実際に稼働していた ために設置する必要がなかった。来年の4月をめどに、紀南地域で広域の地域協議会を 設置予定で動いているという状況だそうです。  15ページをご覧ください。三重県の志摩市は、平成16年10月1日に浜島町、大王 町、志摩町、阿児町、磯部町の5町が合併して誕生した市です。三重県の南西部に位置 し、市全域が伊勢志摩国立公園に含まれており、大小の島々が点在する自然豊かな地域 です。人口は6万1,336人、児童人口は9,885人、児童数は年々減少傾向となっていま す。  児童家庭相談の調査事項の「主たる相談窓口」については、家庭児童相談室が対応し ています。主管は児童福祉課で、主管課と同じフロアに設置されています。  「主たる相談窓口の担当職員」として、専任の職員は、福祉畑10年の経験を持つ社 会福祉主事が1名と、非常勤の特別職の相談員1名、計2名で対応しているようです。  「外部人材の活用」の所をご覧いただきたいと思います。要保護児童対策地域協議会 が設けられていますけれども、そこの委員である大学教授、弁護士、心理職の3人の方 を外部人材として活用しているということでした。  16ページをご覧いただきたいと思います。「相談処理件数について」、平成17年の4 月〜5月の処理状況は26件で、その内、虐待通告が1件あり、児童相談所が継続指導を 行っています。志摩市では、児童相談所との役割分担においてケースによる振り分けは していないということです。市に相談や通告があったケースすべてを児童相談所に連絡 を入れて、児童相談所の判断を仰いでいるという状況になります。  一つ飛ばして、「夜間・休日の対応」の所をご覧いただきたいと思います。本年11月 より、虐待通告に関しては、市の宿日直が電話等で連絡を受け、児童福祉課職員へ連絡 する体制を取っています。  一つ飛ばして、「研修の受講状況について」は、三重県も、児童相談所が主体となった 研修を受講しています。  17ページをご覧いただきたいと思います。「要保護児童対策地域協議会調査」の所で、 設置については、平成17年6月23日に「志摩市児童虐待防止ネットワーク」から移行 して、「志摩市子ども家庭支援ネットワーク」という名称で設置されています。  次に18ページをご覧いただきたいと思います。協議会の中の「守秘義務について」 ということで事項立てしておりますが、関係者の間に、会議の中で発言しても大丈夫と いう安心感が生まれ、情報伝達が円滑になされるようになったということです。  また、その次の○「地域協議会の目的について」の所で、協議会の目的が、当初は「早 期発見・早期対応」にウエートが置かれていましたが、これからは「発生予防」「保護・ 支援」のウエートが高まっていくのではないかと考えています。  その下の○「地域協議会の児童虐待防止以外の業務分野」で、この協議会では、「非行 対策」、「不登校」、「ひきこもり」および「配偶者からの暴力対策」の取り組みも併せて 対応するということです。  19ページの「地域協議会の中で特に工夫していること」で、二つ目の・の所をご覧い ただきたいと思います。現在、「知恵を出し合って、支え合う」をキャッチフレーズにし て、関係機関自らの手作りによるマニュアルを作成しており、「知恵」を出し合い、その 「知恵」を関係者全員で共有していくことを目指している。それぞれの機関自らが主体 的にかかわることで、虐待への認識がさらに深まり、日常業務の中で常に虐待への視点 を持つことができると考えているということでした。  さらに20ページ、「地域協議会機能充実のための課題」ということで、「宿題方式」 の代表者会議の形式を心がけており、各委員には、事前に出身母体となる職種全体の意 見を集めた上で会議に臨んでもらう。また、会議においても、委員から積極的に意見を 求めたり、その意見を集約したものを委員に返したりするなどを行っているということ です。  次の21ページ、福岡県中間市。市の概要は、人口が約4万8,000人、北九州市の南 に隣接し、いわゆる産炭地域だったようです。人口は、年々減少傾向で、高齢化率は25% になっています。  「主たる相談窓口」は、中間市の場合、民生部ではなく総務部内の「明るい街づくり 課」内に家庭相談係を置いているということです。明るい街づくり課の横に、6名程度 を収容可能な相談室も設置されています。  次の○の所をご覧いただきたいと思います。「主たる相談窓口の担当職員」ということ で、女性の係長が専任で1名配置されています。他に嘱託職員として警察OBが3名い るということです。相談に来られるのが、女性が多いという配慮から、相談には専任の 女性相談員が当たるということを原則としているようです。また、家庭相談係とは別に 3名の職員がおり、1名は少年相談センター担当でもう1名はヤングテレフォン担当。 いずれも学校の関係者ということで、ヤングテレフォン担当の方は教員を退職した方で す。残りの1名は生活安全相談担当ということで、かなり豊富な人材がいるという状況 です。  「外部人材の活用」の所をご覧いただきたいと思います。外部人材として、弁護士を お願いしている。ただし、報酬はナシ。旅費のみ支出ということだそうです。弁護士を お願いするに至った経緯が、担当係長のつながりということで、個人的なつながりを活 かしてのお願いというような状況のようです。  そのページの一番下、「相談処理件数」について、児童相談所に連絡するか否かの振り 分け基準はない。担当係長の経験則に基づいた判断で、児童相談所に連絡するか否かを 振り分けているという状況です。  22ページをご覧ください。「夜間・休日の対応」ということで、福岡県がこのような 対応を取っているということになるのかもしれませんが、夜間・休日の一義的な窓口は 中央児童相談所が担っているということです。中央児童相談所に電話が入り、市に要請 する必要がある場合には、市が作っている連絡網を活用して、その連絡網の順番で連絡 を取っていくという仕組みを取っています。  23ページをご覧ください。「要保護児童対策地域協議会調査」の部分です。要保護児 童対策地域協議会については、市の保健センターの保健師、市立病院および遠賀医師会 の小児科医、弁護士(福岡県弁護士会に依頼)ということで、これらのスタッフを含めて 協議会を設定しているようです。  一つ飛んで、「要保護児童対策地域協議会の目的」の所で、ここの協議会の目的そのも のは「保護・支援」から「早期発見・早期対応」「発生予防」に重点が移行したというこ とです。幅が拡がったということでよいと思います。  その次の○「要保護児童対策地域協議会の児童虐待防止以外の業務分野」ということ で、虐待やいじめ、非行、不登校、ひきこもり、DVが複合的に絡んでいることから、 すべてを対象としているということです。  一つ飛ばして、「要保護児童対策地域協議会の運営上の工夫」ということで、関係機関 との定例連絡会議を実施し、関係強化に努めているということです。小中学校は年5回、 保育園は年3回、民生児童委員会への出席、また子ども会の役員会への出席などに努め ているということです。  25ページの福岡県の稲築町。ここが最後です。市の概要。稲築町は人口が約2万人。 福岡県の真ん中に位置する町で、ここも産炭地域でした。人口は年々減少していますが、 多いときには倍以上の4万5,000人だったということです。高齢化率は26%で、来年3 月27日に合併が予定されています。  その下、「市町村児童家庭相談調査」の部分です。この地域は、今までにない所が担当 しています。「主たる相談窓口」が、地域子育て支援センターとなっています。その相談 窓口の担当職員は、センター職員の女性1名です。保育士ということで、小学生以上の 子どもの児童家庭相談に対する対処法などに苦慮している状況だそうです。それを補う ために、「子どもの虹情報研修センター」の研修や、児童相談所が主催する研修に積極的 に参加して、自己研鑽を積んでいます。また、その他に臨時職員として保育士資格を有 する方を配置して、協議会の準備であるとか、児童相談所との連絡などの担当をしてい ただいているという状況です。今後、合併後には市となりますので、家庭児童相談室の 職員を主たる相談窓口・相談職員とする予定になっています。  一つ飛ばして「相談処理件数」の所。現段階で、受け付けた相談はすべて児童相談所 に連絡をしている状況です。児童相談所と相談した上で対処しているようです。  受理会議については、月1回開催しています。受理会議のメンバーは、二つ前に外部 人材の所で出ております「子育て支援連絡会」のメンバーを、検討会議のメンバーとし て相談しているようです。  26ページをご覧ください。「夜間・休日の対応」については、ここも一義的な窓口を 田川児童相談所が担っており、町は緊急連絡網を作って緊急の場合に対応する仕組みを 取っています。  一つ飛ばして、「研修の受講状況」についても、県等が開催する研修に積極的に参加し ています。  一つ飛んで、「児童家庭相談を実施する上での困難点」ということで、相談を担当して いる方が保育士であるということから、小学生以上の子どもへの対応についての専門知 識が乏しいということで、専門知識を有する職員の配置が必要である。児童福祉司たる 資格を有する方であるとか、心理職員等の配置が必要ではないかと考えています。  要保護児童対策地域協議会の設置の所ですが、現在設置されていません。市町村合併 が目前に迫っているために設置はされていませんが、現段階では、虐待防止ネットワー クが設置されています。  次のページをご覧いただきたいと思います。「虐待防止ネットワークの参加機関」とい うことで、ネットワークは形成されているのですけれども、ネットワークそのものがボ ランティアであり報酬が出ないために、医師、弁護士については参加を依頼していない という状況です。関係機関が中心に組まれているようです。  大分時間をオーバーしてしまいました。概要は以上です。 ○山縣座長  今回、江成委員、上廣委員、小野委員が一部の地域の視察に同行して、調査をしてい ただいたようですので、お三方、何かご感想などがありましたら。今の結果に対して、 特に強調したいようなところがありましたら、どうぞ。 ○上廣委員  内容については、今、太田児童福祉専門官が言われたような中身ですけれども。一番 印象に残ったのは、特に志摩市などは、三重県でもかなりトップレベルのことをやって いるのですが、なぜそういうことになったかというと、非常に熱心に取り組む職員が1 人いて、それをきちんと支えて理解する上司がいるという形で、これだけのものができ たのかという印象を持ちました。  紀和町については、小さな町で、年間6人〜8人ぐらいの出生だということで、生ま れてくる子どもを、ある意味では、町をあげて守り育てているという印象を持っていま す。外部人材の中に岩佐委員が入っているのですが、そういう意味では、非常に熱心な 職員が特に志摩市においては、外部委員をうまく活用しながらコーディネート力を発揮 して、それをまた上司が支えるという構図で、うまく行っているという印象を持ちまし た。以上です。 ○江成委員  私は北海道へ行かせていただいたのですが、2カ所とも、規模的にはかなり小さな町 と村でした。そういった中で、新生児については、全家庭についてきめ細かく把握でき ているというところで、特に問題になるようなところまで行く前に対応ができていると いうお話をいただいたところです。  ただ、幾つか驚いたというか、印象に残ったところがあります。まず、保健師が中心 で対応しているということになっておりますので、保健師の気持としては、何かあった ときに、児童相談所というよりは、まず道の保健所へ相談をするようなケースが多いと いうお話をいただきました。  また、大滝村で具体的に1件ケースがあり、最終的には児童相談所に保護されたと聞 いているのですが、途中で問題が起こったときに、町の担当者に連絡したのだけれども、 連絡がつかない中で病院が保護をしていると。一時保護ではなく、病院が、自宅に帰せ ないという判断の基に緊急人院させているという経過があったのです。そのときに、「も し、病院で入院させてもらえなかったらどうしたでしょうか」と、一つ質問を投げかけ てみました。それに対して、学校がらみのケースだったので、「校長先生か担任の先生の 家に泊めていたでしょう」というような話で、その時点では、すぐに児童相談所に連絡 をするという考えがなかったという話だったようです。  また、大滝村は今後合併をしていくという所だったのですが、もともと大滝村では民 生委員を中心にして民生委員たちが学校を回るような形で「児童虐待防止対策連絡チー ム」というものを持っています。それがうまく活用されている中で、伊達市と合併して しまうことで逆にそれがなくなってしまうのではないかと心配をして、質問を投げかけ たところ、そういったものは地区の中では大事にしていきたいというお話をいただいた のが印象的でした。以上です。 ○小野委員  私は、福岡県の中間市と稲築町の方に同行させていただきましたが、中間市で印象に 残っているのが、民生部ではなく総務部内に課を設置しているというところでした。そ こでは女性の係長が専任で1名、嘱託職員に警察OBが3名ということで、かなり非行 に力を入れているような印象を受けました。  実際中間市は旧産炭地ということもあって、隣の私の町も同様ですが、非行が比較的 多い自治体なのです。多分そういうこともあって嘱託職員に警察OBを入れているのだ なという印象を受けました。  その中で、相談に女性の相談員が当たっていて、1人でいろいろな対応をしていると いうことで、かなりハードで、とても1人では大変だろうという印象を受けたというこ とと、後任の女性の補充を求めているけれども、行政の方からは適任者がいないという ことで、なかなか補充がないということを大変切実に思っているというのが印象的でし た。  稲築町は、来年に合併を控えています。合併する自治体の中では、稲築町はこういう 虐待防止の取り組みは進んでいるということなのですけれども、それでも子育て支援セ ンターの中の専門職の保母が1人で頑張っているということで、現場の中での児童相談 体制というのはとても大変だという印象を受けました。以上です。 ○山縣座長  今の事務局あるいは直接参加された委員の方々からの報告についてご質問等がありま したら、ご自由に発言いただけたらと思います。  これは後半の議論にもなろうかと思うのですけれども、福岡県が非常に特徴的だった と思うのですが、市町村で受けた相談を児童相談所に(どういう手続きかというレベルは 別にして、とりあえず)連絡するかどうかという、その辺の考え方が稲築町では基本的に は全部あげ、かたや中間市では、この書き方からするとそんなに積極的にあげていると いう感じではないような受け止め方をしました。特にそういうコメントは入っていませ んでしたけれども、他の所では、この辺に何か一定の基準があるとか、こういう場合に は電話だけでなくて書類を通じてであるとかケースを共有するぐらいのレベルで情報を あげるなど、そういう話はどこかでありませんでしたか。どこでもいいです。  要は今日の最後のパートでの議論の一つのポイントはそこではないかと思います。ど ういう状況になった場合に市が県と連絡を取り合っていくのか。その基準がずれてくる と、いい相談体制になるかどうかに地域差がとても出てきてしまうのではないか。誰が 担うかによっても違い、保健師が担うと保健所に行く場合もあるというお話もありまし たが、それは別にしまして、相談するレベルの判断というのは今どんな形で行われてい るのか。国の緩やかな指針は軽いものと重いものという非常にあいまいな表現です。こ の辺りを明確化しようということです。そんなことをすると返ってぎくしゃくしてうま くいかないという考え方もあるでしょうし、現地の方で感じられたようなことがありま したら。 ○川崎委員  今の福岡県の話の中で、志摩市の報告の中でも市に相談したケースすべてが順調に連 絡が入っている、児童相談所の判断を仰いでいると書いてあるのですが、これは児童相 談所サイドでは連絡を受けるということで、受理している形になるのですか。市の対応 と児童相談所の対応とについて質問なのですが。 ○山縣座長  県のケースとして受付記録に載るかどうかという事ですね。 ○上廣委員  児童相談所として受理をしておりまして情報を共有しながら実際にケースを動かして いくときに、このケースは市の方でやってもらおうとか、このケースについては県の方 が主体的にやろうとか、そういう役割分担をしているようです。 ○川崎委員  両方で相談受理をしているということですか。 ○上廣委員  そうです。 ○川崎委員  私どもは各市町村で違うのですが、一応すべて通告受理するようにということはこち らからは申していません。やはり援助依頼をする場合と送致をする場合の違いもある程 度話をしています。ある市で相談ケースの事を聞いていましたら、その中で児童相談所 に通告した件数と市で対応した件数を見てみましたら、すべてではないという事がはっ きりわかりましたけれども、一応そういう形で対応しています。 ○山縣座長  現地に行かれて、その逆のパターンというのは経験されませんでしたか。従来の仕組 みがあるから、市町村を経ずに県の児童相談所の方に先に来たが、このレベルであれば 市の方がいいのではないかということで県から市のほうに移管というか、情報提供なり チームでやっていきましょうという事も含めて積極的に市の方に県から降りてきたとい うようなケースの話は出ていませんでしたか。 ○上廣委員  調査した市でですか。 ○山縣座長  県の児童相談所の方でしたら、こういう場合には実際に降ろしているという事例の話 でも結構です。 ○上廣委員  三重県の場合は今のところ市町村抜きに直接児童相談所の方に来るケースがほとんど です。その中で特に虐待ケースにつきましては、以前にも言いましたようにA・B・C とランク付けをしまして、Cケースは見守りケースということになっていますので、そ の件については市町村に返すという作業をこの一年続けています。そうなった児童相談 所と、まだまだそこまで行っていない児童相談所があるというのが実態です。 ○山縣座長  青森はどうですか。佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員  児童相談所から市町村にという話は聞いておりません。一義的には児童相談所が受け て処理をしているということです。 ○山縣座長  その辺は最後のところで議論させていただきたいと思います。 ○太田児童福祉専門官  最初の山縣座長のご質問ですが、10ページをご覧ください。  山梨県に私は行ってきたのですが、山梨県については四つ目の○「県からの支援」と いう所に書いてありますけれども、簡単な助言指導で終わるようなものについてはその 場で対応してもらい、それ以上の継続指導が必要なものについては基本的には児童相談 所が一緒に対応するということを原則としています。山梨県では全体でそういう対応を 進めているという状況です。ただ甲州市は担当課長が具体的には要領を得ていないよう な状況で、どのケースがどういう状況で進行しているか把握されていない状況ではあり ます。 ○山縣座長  ありがとうございます。幾つか話をしたいこともあるのですが、今の話は第三のパー トで十分議論することができると思いますので、二つ目の案件に進みます。国の方で整 理をされた幾つかの資料なり、この間にありました催し物に関する動きを紹介していた だきたいと思います。  それに先立ちまして、お手元の資料3と資料4をご覧ください。11月の22日から23 日にかけまして、今年はさいたま市の方で「子どもの虐待防止推進全国フォーラム」と いうものが行われました。そこで相談に関する大きな部会が、第3分科会と第4科会と 二つありまして、その資料として資料3・4を提出していただいています。特に第3分 科会の方は私自身も関わらせていただきましたので、その話を1、2分させていただき ます。第4分科会の方は私は直接参加していませんので、事務局の方から全体の様子も 含めてご報告をお願いしたいと思います。  まず資料3の方ですが、第3分科会では「都道府県(児童相談所)と市町村の連携のあ り方とは」というテーマで、事例報告者4名を含め、5名で議論をしました。大体ここで 議論していたような事を中心にやっていたのですが、議論を整理していきますと、大き く分けて三つくらいが県の方においても市町村の方においても課題になっているのでは ないかという事が明らかになりました。それは1ページ目のまとめの第二段落の辺りに 書いてあります。  一つは今議論していたような県と市町村との関係です。どういう分担をしていくのか。 後々のデータを見ますと、小さい市町村では虐待よりもむしろ障害の方が県の方にたく さん持ち込まれています。「送致」という言葉がどこまでの意味合いを持っているのかわ かりませんが、とりあえず割合的には、障害相談が県に持ち込まれる割合が高いという 数字が後で出てくると思います。その辺も含めて虐待以外のことも相当考えていかなけ ればならない状況があるらしいということです。市町村の場合、虐待だけではないとい うことが議論になっていました。  その辺の「どう作っていくのか」ということは三重県のようにはっきりとした考え方 を明示している所も幾つかあるようなのですが、例えば大阪府もそういう考え方を示し ているということで、「大阪府市町村児童家庭相談援助指針」というものを府の方で作り、 市町村に提示をして進められているということです。これは資料3の9ページに目次だ けを掲載してあり、なおかつ国の援助指針との若干の違いを一覧表にしたものを担当者 の方から提出をしていただきました。こういう具体的なものに基づいて県が主導的にラ インを決めているという話を伺いました。  二つ目は市町村内部の問題です。これは今日も議論になっていましたが、人の量の問 題と専門性・質の問題ということが非常に大きな課題になっていました。特に質の問題 が市町村レベルではなかなか確保できないということです。  ここでは都の単独事業である葛飾区の子ども家庭支援センターの担当の方がお見えに なりました。ここは非常に優れた活動をしておられます。都の単独事業を丁寧に理解さ れていないと難しいかもしれませんが、公立が先駆的なものをやると相談やネットワー クを重視した家庭児童相談室が出来上がっていくというイメージなのです。東京都の場 合、家庭児童相談所をほとんど置いていませんから、その分をそこが担っているのでは ないかと推察されます。私が幾つか行った子ども家庭支援センターの中でも非常に優れ た実践をしておられる方で、この方は臨床心理士だったと思うのですが、臨床心理士の 割にはと言うと申し訳ないのですが、ネットワークなどに興味を持っておられて、組織 作りをうまくやっておられました。  もう一つこの方が言われて面白かったのは、先程上廣委員が熱心に取り組んでいる一 つの理由に、興味を持った良い職員が偶然いたということをおっしゃいましたが、そう いう感じで、葛飾区の場合は庁内公募で「こんな業務が新たに起こるけれどもやりたい 人は手を挙げてください」として、そこで選考していくということです。常時このやり方 だと全体の仕組みが動かなくなりますから、行政の仕組みとしては問題があるかもしれ ませんけれども、立ち上げ時においてそういう方式を取るというのは一つの考え方では ないかなという気がしました。  最後は市町村レベルのネットワークの話ということだったのですが、結局時間があま りありませんでしたので十分な議論を尽くせず、なおかつ第4分科会がそういうことに 特化した議論をしておられましたので、結果はそちらの方からも詳しく聞きましょうと いうことで終わりました。そこで特に三鷹市の立ち上げられた人たちに、どのように経 過していったのかというところを聞いてきました。ここも同じように公立の子ども家庭 支援センターという形が中心になって組織されていたということです。第3分科会はこ れぐらいにさせていただきます。第4分科会の方を事務局のどなたかご説明いただけま すでしょうか。 ○太田児童福祉専門官  第4分科会では、加藤曜子先生にコーディネーターになっていただきまして、「要保 護児童対策地域協議会(虐待防止ネットワーク)が果たす役割と関係機関の連携のあり方 とは」というテーマでご議論をいただきました。  事例報告は、大阪府吹田子ども家庭支援センターの油谷豊さん、NPO法人埼玉子ども を虐待から守る会代表で弁護士でもある海老原夕美さん、沼津市子育て支援課の笹井康 治さん、大阪府摂津市教育委員会の西村友司さんにしていただきました。  概要の所ですが、分科会の後全体会が開催されまして、その全体会で加藤先生に総括 的なまとめをしていただいております。それをお借りして、ご報告をしたいと思います。  まず、沼津市の笹井さんからはネットワークが成功する秘訣という辺りのお話をして いただいております。さらに弁護士の海老原先生にはネットワーク会議・協議会の会議 の持ち方への問題提議がなされております。次の2ページをご覧ください。3番目にご 報告いただいた西村先生からは、摂津市のネットワークの状況と教育委員会の果たす役 割についてお話をいただいております。4番目にご報告いただいた大阪府の油谷さんか らは、児童相談所の立場からのお話をいただいております。総括して加藤先生にまとめ ていただいております。2ページの中段辺りの「まとめますと」という所です。  二つの視点からまとめていただいておりまして、一つ目は、「ネットワークは何のため にあるのか」。これは「子どもの安全を守るためにある、家族を支援するためにある」の だということを共通認識したいと。そのためには機関同士が連携をして、機関がお互い に知るということ、そして情報を共有しながら、どういったことを機関でやってくれる のかということを知っていく。リスクをきっちりと把握できるような研修体制や問題の 共有理解をしていくことが課題である。  二つ目には「何のためのネットワーク会議なのか」ということ。代表者会議の役割、 あるいは実務者会議の役割、それから個別ケース検討会議はそれぞれの役割がある。た だ、まだこれも流動的である。ですから地域の中で何ができるのか、出席して役に立つ 会議づくりを検討していくことが必要です。特に個別ケース検討会議はアセスメント、 それから役割分担を明らかにし、支援につなげる。誰かがやっているだろうと思わずに、 情報は一つに集中させ把握しておくこと。そして、まとめ役あるいは見守り役、そして キーパーソン、役割を決めていく、これがとても重要だということ。  また、児童相談所等の関係は、当面一緒にやっていく姿勢が重要である。市町村ネッ トワークやがては要保護児童対策地域協議会において、失敗事例が出ても再検討してい くこと、また成功事例を通して「子どもが地域で安全に家族と暮らすため」に創意工夫 を凝らし、いい援助、防止策を求めて互いに切磋琢磨していく。これらが今の私たちに 与えられている課題だとまとめていただきました。 ○山縣座長  ありがとうございました。このフォーラム全体でのことは何かありますか。併せて、 残りの資料も事務局の方から説明していただけますか。 ○内山総務課長補佐  クリップで留めております参考資料の方です。  資料の1・2は委員の皆さまには既に郵送で送付しているものです。前回・前々回の この会議の場で、市町村児童家庭相談業務の状況について、それから要保護児童対策地 域協議会あるいはネットワークの状況について速報版という形でご説明いたしましたけ れども、今回最終版として11月18日にまとめておりますので、これを委員の皆さま方 に郵送したものであります。そういうことで説明自体は省略をさせていただきます。  参考資料3「児童福祉司と児童委員の連携策と留意点」ということで、これは事務局 宛に矢満田さんという方からこういう研究をしていると資料提供があったものです。中 身を簡単にご説明します。  1ページと書いてある方の下ですが、要は児童委員が各担当地区の児童福祉司を知っ ているかどうか。2ページ目には児童委員が担当児童福祉司に会ったことがあるかどう か、それぞれの地区の児童委員・民生委員の会議に児童福祉司がどれぐらい参加してい るかということを調査したものです。結果的には、それぞれの知名度や参加率はあまり 高いものではなかったということです。提言は2ページの中ほどに書いてありますが、 児童福祉司と児童委員の顔つなぎをもう少し積極的にすべきではないかというご意見で す。  次に参考資料4と書いてありますのは、日本社会福祉士会から私どもの事務局に出さ れた要望書です。児童家庭相談のあり方の研究会を進めるに当たって社会福祉士の活用 を十分に検討してほしいという内容です。記の下に書いてありますが、一つ目は社会福 祉士会でも児童虐待の早期発見・早期対応ができる研修を開発・実施しているので活用 してほしいということ。裏面に参りまして、二つ目は要保護児童対策地域協議会でも社 会福祉士の活用をしてほしいということ。3点目は児童相談所の職員も含めて市町村相 談業務に携わっている職員について、社会福祉士の勧奨・採用を進めてほしいというこ とです。  最後に参考資料5ですが、毎年度公表されております社会福祉行政業務報告、いわゆ る福祉行政報告例ですけれども、今年は11月14日に公表されておりますのでその概要 を付けています。1ページ目は児童相談所に寄せられる相談件数でして、平成16年度は 35万2,000件余となっています。2ページ目は、児童虐待関係の相談件数ですので3万 3,000件程度になっています。3ページ目は経路別の相談件数ですけれども、近隣・知 人からの相談が増加しているという特徴があるということと、虐待の内容別件数につき ましては心理的虐待が著しい伸びを示しているという結果が出ています。4ページは主 たる虐待者で、5ページは虐待相談の年齢構成です。主たる虐待者は実母・実父、虐待 相談の年齢については小学生が多くを占めていますが、低年齢児も当然あるということ です。6ページは家庭への立入調査ですけれども、これもやはり年々増えておりまして 平成16年度は300件弱になっています。7ページ目の一時保護につきましても、8,400 件で7%増ということです。9ページ以降は処理状況ですけれども、ここについては面 接指導がこれまで通り一番多い形になっています。最後に11ページです。児童福祉法 28条の措置あるいは33条の親権喪失宣告の請求をした件数ですけれども、28条の措置 はこれも年々増えておりまして、平成16年度は請求件数が186件、内承認件数が147 件となっています。 ○山縣座長  何回か前に県レベルの話をしていただきました。安易な委託・一時保護はいかがなも のかという議論をしましたが、このデータを見ると平成16年に非常に傾向が変わって います。平成15年がイレギュラーだったのでしょうか。7ページを見ますと、平成15 年の数字が少しおかしかったということでしょうか、一時保護所の利用件数が1,000件 ほど増えてもう一度6,000件台に戻っていて、委託の方が500件ほど減っています。総 件数は8,400件ですから増えているということです。トータルで見たときに、児童相談 所の現場ではその辺の考え方が全国的に変化しているというような話はありますか。  あるいは施設がいっぱいで活用できないから、仕方なしに一時保護所に残すしかない のだということかもしれませんが。  菅野委員、この数字を見られて感覚的に何かありますか。立ち入り調査などは岸和田 市など、幾つか世相を反映しているところがあるのですが、ここは読めないです。 ○菅野委員  具体的に全国的にどうかというのはわからないのですが、確かに施設がいっぱいで入 れなくて、一時保護所の中で期間的に長くなるケースが多くなったり、一時保護委託も 施設がある程度枠を持っていてくれたりするのですがそれでも無理で、里親への一時保 護委託の検討という形もあります。多分施設の定員数の問題などいろいろな要件がある と思うのですけれども、滋賀県の場合には、一時保護の定員は人口に対しては多い方だ と思うのです。それでも現状を見ますと定員いっぱいになってしまうようなことが年間 に何回か起こってくるということがあります。一時保護委託も限界まで来ているので、 一時保護所の方でかなり面倒を見ていかなければならないという状況は続いています。 ただ、仕事をしていて、平成14年から16年でアップダウンしているという印象はあり ません。 ○川崎委員  全国傾向はどうかわからないのですけれども、私の所も一時保護所はかなり大きな問 題なので統計を取っているのですが、少なくとも京都府では大体右肩上がりになってい ます。この件数は日数ということではないのですね。 ○山縣座長  件数です。 ○川崎委員  やはり一時保護をしていますと実際には日々何人の子どもが一時保護所にいるのかと いうことが大きな問題になっています。職権で保護したり児童福祉法第28条の申し立 てをするまでにもいろいろと時間がかかったりしますので、子ども一人当たりの一時保 護期間が長くなるということも含めて、私の所では今年度は特に昨年度の1.5倍から2 倍近く一時保護所の在所人員がいますので、全国傾向はわからないのですが、私の所は 少なくとも右肩上がりで件数も日数も増えてきているという実情があります。 ○太田児童福祉専門官  以前にも山縣座長からお話があって、虐待だけにとらわれずに他の一時保護について も増減の激しかった地域に聞き取りをしたのですけれども、虐待以外のものも含めてと いうことで、一時保護所で例えば泊まりなしの日帰りの一時保護というようなことをや っている自治体もあって、それを計上していた時期があって膨らみ、翌年は日帰りの一 時保護というのはやはり本来の使用目的から反するということで、統計から外したとい う地域もありました。 ○山縣座長  日帰りの一時保護のイメージというのは具体的にどのような形で利用しているのです か。 ○太田児童福祉専門官  訓練的な意味合いです。例えば障害の子どもの訓練的な意味合いで、昼間に一時保護 所で預かって訓練をするというような使い方をしている地域も中にはありました。それ が平成14年から16年の間での動きかと言うと、この辺りの動きなのですけれども、虐 待以外の動きが強いと思います。  虐待に関係しては、ある地域では非行の傾向の強い子どもを保護しました。児童自立 支援施設に措置をされていたのだけれども児童自立支援施設でもやっていけないという ような子どもがいて、その子どもを一時保護所でお受けするときにその子どもが長期間 滞在をした関係で、虐待などの子どもを一時保護所で受けられない時期があって、委託 でお願いをしたという地域もありました。これは全国的な傾向というよりは一部地域で の動きが重なってきたものもあろうかと思います。 ○山縣座長  先程の埼玉県の報告の所で大阪府の援助指針の話を紹介させていただきましたけれど も、前橋委員はあの作成にはかかわっておられるのですか。 ○前橋委員  あれにはかかわっていません。 ○山縣座長  大阪府の指針を児童相談所レベルでお持ちの方はいらっしゃいますか。入手しておら れる県というのはありますか。あまり関心はないですか。今何を言おうとしているかと いうと、次の委員会までに一冊分ぐらい事務局で集めて配付するぐらいの価値があるか どうか、前橋委員の方から「配った方かいいよ」という一言がほしいなと思いながら話し ているわけです。 ○前橋委員  直接はかかわっていなくて外からなのですけれども、国の運営指針、それから手引き、 そういうもののベースの上に府の方が全体の業務の手引き、そして虐待についての手引 きというような形で乗っかっていって、府内の各市町村にそれを配って研修をやってと いう形になっているので、形としてはあのように、国のもの・都道府県レベルのもの・ 市町村のものと乗せていく、少なくともそれはやはりきちんと整備すべきであろうとい うようには思います。 ○山縣座長  国でできるものというのはどうしても標準的というか、地域差まで組み込んだものは 事実上不可能ですから、後はいかにそれぞれの地域に合ったものに修正していくかとい うときに、児童相談所が一つの核になりますが、まずは県レベルのものがいるのではな いか。それを作るには市町村からの情報なり市町村がどういうところで苦しんでいるか を吸い上げないと、県のものは出来上がってこないと思いますので、どういう工夫があ るかをまとめることは事務局で可能ですか。前回に福岡の似通ったものをいただきまし たけれども、大阪府から一冊取り寄せていただくよう、よろしくお願いします。 ○前橋委員  一時保護なのですけれども、平成14年から16年で警察への一時保護委託が14年か ら15年で倍以上になって、また15年から16年について半分以下になっているという、 かなり大きな変動があるのですが、この辺は何か背景なり理由が特にあるのでしょうか。 ○太田児童福祉専門官  この時期に特に警察で動きがあったとは聞いていません。 ○山縣座長  今、中身までというのは答えにくいと思いますので、次回までにお願いします。どう も平成15年の一時保護の動きが全体としてイレギュラーになっているようですが、単 なるイレギュラーと捉えていいのか。社会的な事件性に関する意味であるならば解決で きるけれども、考え方としてイレギュラーな考え方をしたかどうかというのは大きな問 題だと思いますので、その辺のことがわかれば次回までによろしくお願いします。  この枠組みでは病院は「その他」になるのですね。大阪的感覚で言うと乳児などの一 時保護を考えたときに、意外と病院が少ないという感じがするのです。もう少しあるか と思うのですが、大阪辺りでは使うけれども全国的には病院は使っていないのでしょう か。 ○前橋委員  一時保護という形を取らないで、入院という形にしているからです。 ○菅野委員  一時保護委託の契約を結んで一時保護委託費を払うと一時保護委託になりますけれど も、入院の場合は単に入院ということになります。 ○山縣座長  病院が本当は退院させたいというときに、どうにかしてつなぎたいという場合ですね。 ○菅野委員  職権でやった場合、強制の枠組みを入れるとするときに、やはり一時保護ということ を含めて入れるということです。 ○山縣座長  児童福祉法第28条で退院させようかどうかというときに使っているということでし ょうか。保護者は引き取りを求めてきているけれどもどうにか入院を継続させたいとい うときに、職権で止めてしまうというイメージですね。 ○菅野委員  おっしゃる通りです。 ○山縣座長  この辺も議論の中で数値が必要であれば一緒にしていただくということでお願いしま す。 ○菅野委員  統計の5ページにある虐待相談の年齢構成の事で一つだけ気になるのですが、これは 小学生が多いわけではないのですね。ここだけ6年分になりますから。 ○山縣座長  そうですね。 年齢的には半分にしないといけないですね。 ○菅野委員  そうですね。 この統計はいつも見ていて、小学生が多いと語られることが多いのです が、ここだけ倍の年齢になっていることだけはどこかで考えでおかなければならないと 思います。いつもこういう統計が出てくるのです。年齢区分など出し方も考えなければ いけないと思いました。 ○山縣座長  むしろ一番年齢幅で多いのは3歳から学齢児童ということです。 ○太田児童福祉専門官  各歳別に平成15年から取り始めていますので、報告例で各歳別に見ますと2・3歳の 所が結構増え方が大きかったように思います。その辺りの資料も次回準備します。 ○山縣座長  ありがとうございます。少し休憩をさせていただいて、45分に再開します。 休憩 ○山縣座長 再開します。 ○太田児童福祉専門官  今お配りした資料ですが、児童虐待の受付件数を各歳別に取って、平成15年・16年 で比較したものです。見ていただきますと2・3歳のところが伸びも大きいですし、件 数そのものもこの世代が多くなっています。なぜかという分析の答えは持っていません。 平成14年以前は統計を取っておりませんので比較することはできません。 ○山縣座長  相談や虐待に関する特徴的な予算要求について何かありますか。 ○事務局  今回三位一体改革の関係でいろいろもめたのですが、要保護関係・虐待関係について は従来どおり国としての支援が継続されるということで、内容的に特に見ていただきた いのは8ページの所ですけれども、一番上の4に「児童虐待への対応など要保護児童対 策等の充実」という所で、全体の予算枠としては対前年よりも増えた形で138億円程度 の予算規模になっています。主なものとして以下に掲げてあるものの中で、育児家庭支 援訪問事業を強化するために妊娠期間の継続した支援ということで、分娩にかかわった 医療機関の助産師による訪問支援の話であるとか、あるいは虐待防止については児童相 談所に里親委託の推進委員を置くというような事が書かれています。児童相談所の家族 療法事業を後押しするための経費を再編しています。児童福祉施設についても、他の施 設も含めてですが特に児童養護施設では小規模グループケアの配置を増やしていくこと や、施設の心理療法担当職員が今まで非常勤だったものを常勤化する、児童自立支援施 設にも配置されていませんでしたけれども、心理療法担当職員を置くなどといった内容 です。 ○山縣座長  最後のパートになります。資料5です。  これまでの議論の経過の内容を少し整理していただいておりますので、そのポイント を説明していただいて、それに基づいて中身の充実を皆さん方と一緒にやっていきたい と思います。できましたら市町村に関する集中的な話は今日で終わりにして、次回から は再度全体の話をするということにさせてください。 ○内山総務課長補佐  資料5です。今までの2回のご議論と出された資料などから、機械的にテーマ別に並 べたような格好になっています。  まずI「市町村の相談体制、都道府県との関係」ですけれども、(1)「市町村の相談窓口」 につきましては、市部については福祉事務所あるいは福祉事務所の機能を有する児童福 祉主管課に窓口を設置しているところが多い。町村部はどうしても法施行に対応して役 場に相談窓口を設置しているケースが多いということがあります。それから(1)の一番下 の○ですが、ハード面についても少し配慮が必要ではないかというご意見がありました。  (2)「受理会議、ケース検討会議などの体制」ですけれども、受理会議やケース検討会議 を不開催の市町村が半数程度です。特に小さい町村ほど相談担当者個人が担っているよ うな状況があります。  (3)「夜間・休日等の体制」ですけれども、ここも半数の市町村が対応していません。こ の体制整備は必要ですけれども、どういう具体性があるかというところが少し悩ましい ところです。また、先程の実情調査で、小さい町村ですとそれぞれの担当の電話番号を 知っているという話もありますので、その辺りも少し整理が必要かと思っております。  (4)「都道府県との役割分担・連携について」ですけれども、業務マニュアルの作成が5 割程度にとどまっています。また、前半の議論でもありましたが、どのような場合に都 道府県が担って、どのような場合に市町村で処理をするのかという辺りの整理も少し必 要ではないかと思っています。  II「市町村児童家庭相談の役割」ですが、市町村が担う機能につきましてはやはり単な る児童相談の初期窓口だけではなく、ケース処遇(方針)を関係者で決め、実際に援助を 行っていく役割を果たすということがあると思います。ただ、どういうところまで市町 村で実際に担えるかというところはまだまだ整理が必要な状態です。相談所別ごとの対 応につきましても、なかなか障害や非行までは扱いにくいという声もありますけれども、 第一義的には市町村で担っていただくことが原則ではないかと思っています。  III「市町村の職員体制の確保・専門性の向上」ということで、必要な職員の確保につい て今までの状況ですと4割が一般行政職、4分の1が保健師ということでありますし、 各市町村とも人材確保に苦労しています。保健師が担っている部分は多いのですけれど も、一方で母子保健担当の保健師はなかなか経験を積んだ方が来られないという点も指 摘されています。  (2)「専門性の向上、対応力の強化」ですけれども、研修を受けていない市町村が4割程 度にあがるとか、あるいは3ページですが、研修を行ってもなかなか市町村の職員が人 事異動をしてしまうという問題点が指摘されていました。また市町村と児童相談所の人 事交流、あるいは互いの研修といったものも効果的ではないかというご意見をいただい ています。  IV「要保護児童対策地域協議会(ネットワーク)による取り組み」ですけれども、これ についてもなかなか設置が進んでいないということですので、そのネットワークを設置 していくにはどういうことが必要かということがあるかと思っています。  (2)「要保護児童対策地域協議会の役割について」ですけれども、「発生予防」「早期対応」 「保護・支援」とありますが、7割弱がすべてに対応していて、「保護・支援」に対応し ている所が増えてきているという状況です。また代表者会議・実務者会議よりも個別ケ ース検討会議を開催している市町村が多いということですので、個別ケースの対応をネ ットワークで行っている様子がうかがえるのではないかと思っています。  4ページですが、要保護児童対策地域協議会と児童相談所の関係、役割の明確化など も課題としてあげられていますので、その辺りにも注意をしていく必要があると思って います。  (3)「要保護児童対策地域協議会の人材について」ですが、実際に相談に当たる市町村の 人材もそうですし、保護のところも人材確保というところで各市町村が苦労しています。  Vに行きまして、「福祉事務所(家庭児童相談室)、児童家庭支援センターの扱い」です。 福祉事務所(家庭児童相談室)については、市部については最近合併もあり、次第に増え ていくのではないか、あるいは増えるべきではないかというご指摘がありました。郡部 における家庭児童相談室は、逆に、やはり市町村サポートの拠点として活用するなど、 今後のあり方を検討することが必要ではないかというご指摘がありました。  (2)の児童家庭支援センターですが、児童相談所の機能を補完するように整備されてい る自治体もありますが、今後児童家庭支援センターをどう位置付けていくのか、さらに 議論をすべきではないかと考えております。  5ページに参りまして、「子育て支援サービスの活用による総合的支援の実施」ですが、 「つどいの広場」、「子育てサロン」というのが、早期発見・予防、問題点の把握という 意味で有効という指摘もありましたし、地域子育て支援センターが、児童家庭相談の一 翼を担っている自治体もあることがわかりました。  母子保健活動は、早期から親子とかかわりがあるので、早期発見、重症化予防という 役割は大きいということですが、下の方に書いてありますように、こうした子育て支援 サービスと市町村の児童相談窓口、児童相談所のつながり、こうしたものにまだまだ課 題があるというご指摘もありました。  VII「政令市の扱い」ですが、政令市と区の関係は、やはり同じ自治体なので、そうし たことを活用しながら、少し政令市と区の整理をしていくべきではないかと思っていま す。  最後にVIII「その他」ですが、市町村が各種の調査を進めるに当って、個人情報保護法 を盾に調査を拒否する機関、医療機関などがあるという話でしたので、そこは個人情報 保護法の主旨を、もう少し徹底する。要は児童の健全育成のために特に必要である場合 は、この個人情報保護法は外れるといったところを、もう少し周知すべきではないかと 考えています。  あくまでも、まだ、今までご議論していただいたもの、あるいは資料として出された もの、私どもが資料として用意したものから抜粋をしていますので、当然、ここは少し 違うのではないかという所もございますでしょうし、足りない部分もたくさんあるかと 思いますが、とりあえず、仮置きとしてこのような形で、いったんまとめてみたもので す。 ○山縣座長  ありがとうございました。  これから、残る1時間の議論ですが、今の中身は8項目に分かれておりましたが、大 きく4つに分けて、10分、15分ずつという形で議論を進めさせて下さい。  一つはIの市町村と県の関係を中心にしたパート。その次が市町村の内部の話という ことで、IIとIII、これは一緒に議論させて下さい。3番目が、この項目でいうIVのネッ トワークです。ネットワークに関する話を、三つめの中身にしたいと思います。IV以下 の所を最後、一括して議論していただきたいと思います。1つの項目に取られる時間が、 大体10分から15分ということになりますので、ご協力お願いしたいと思います。  今の段階では議論されたものとか、作られた資料の数値を書き込んでみましたという ことで、全くウエートはありませんが、特に補足的なご意見、追加すべきこととか、修 正、特に最終報告に向けて強調してほしいような所がありましたら、各委員の方からご 自由に。とりあえず、Iの所につきまして、お考え、ご意見をお願いしたいと思います。  江成委員、先程私が言いかけた部分で、県と市町村の関係ですが、その辺について、 何かご意見ありませんでしょうか。ケースのやり取りに関して。 ○江成委員  今回の市町村調査の方に間に合えばと思いまして、山縣座長にメールを送らせていた だいたという経過もあります。先程、山縣座長にも少し議題に出していただいた所です が、市町村と県の役割分担の中で、自分が今困難性を持っているということで、いろい ろな市町村の方に会う度に、児童相談所との関係はどうしていますかと話を伺っている と、虐待だということになったら、全部児童相談所の方に投げている、児童相談所と一 緒にアセスメントしていくとか、児童相談所にアセスメントしてもらって、その中で対 応しているのですという所と、ケースの状況に応じて振り分けをした上で、児童相談所 に送っているというような所の、大きく二つに分かれる傾向がありました。そういった ところが全国的に見て、何かうまい基準ができているとか、市町村のレベルの問題もあ ると思います。レベルとかケースの件数とか、そういったところもあると思いましたの で、各市町村の実状がわかるといいだろうと、お話をさせていただきました。  逆に、児童相談所も引き続いて通告を受ける機関ということになっておりますので、 通告・相談を受ける中で、先程もお話があったように、軽微なものについては、今回の 法改正の主旨で言うと市町村が対応すべきということになっているかと思いますが、児 童相談所から、これは市町村の方でやってくださいという形で投げられているようなケ ース、そういう役割分担がきちんとされているようなケースがどのくらいあるのか、少 し気になるところです。児童相談所の方が通告を受けたのだから、児童相談所の方でや ってくださいみたいな所があったりするのか。市町村の方で、そういう拒否感が強かっ たり、そういった所も逆にあったりとか、市町村から児童相談所にケースを送るという 所でも、この件についてはどうしようかと、かなり悩んだ末に、振り分けているという 所であれば、悩むようなこともあるのではないかと思います。その辺はいかがでしょう か。 ○山縣座長  高橋委員の所が、一番具体的に抱えておられるのではないかと。実際に児童相談所を 作るから、どうしようという話があると思います。 ○高橋委員  児童相談所との関係では、先程の、いろいろな視察された所の報告を見てみますと、 全部児童相談所に報告というか、投げているという報告もありましたが、多分自治体の 規模によってこれは可能だろうと思いながら聞いていました。  例えば、横須賀の場合で言えば、重度のものは当然児童相談所。中程度のもので迷う ときは、まずは相談して、通告するかどうかということを、今まではやってきておりま す。児童相談所と一緒に動いているというケースが多くあって、今回市の児童相談所に なるということで、いろいろとケースを整理していく中で、今までYCAPという所で持 っていたケースを整理しますと、3分の2くらいが児童相談所と一緒にかかわっている というケースでした。ですので、児童相談所だけに送ったケースもありますが、一緒に かかわりながら動いているケースがそのくらいあったということです。今後についても、 市町村として受けていく部分と、児童相談所と一緒に動いていく部分は、ずっとあるか と思っています。ケースが揺れて、動いていきますので、どちらかだけで持つという整 理は難しいかと思っています。その辺の、どこでどう判断するかということが、いつも 悩むところなのですが、ガイドラインとかマニュアルとかしっかりしたものがあっても、 きっと悩むだろうと思いながらやっているのです。  実は私たちも、保健師の団体である全国保健師長会の方で、いろいろとアンケートを 取っていく中で、児童相談所にどの段階で通告・連絡するかという指標を持っているか どうかというアンケートを取ったところ、先程のまとめにあります、ほとんど個人の判 断でという所がかなりありました。組織として会議を開いて決定している所はまだまだ 少ない。これは母子保健というサイドだけではなく、市町村というレベルの中で、受理 するところ、児童相談所に送るところ、それから終結するところ、すべてにおいて、会 議で皆で決めていくという体制がまだまだ取れていないと感じています。 ○山縣座長  ありがとうございました。 ○川鍋総務課長補佐  志摩市の例で申し上げますと、実は、志摩市のヒアリングのときに、所管の児童相談 所長も一緒に来られていたので、お聞きしました。今までの都道府県と市町村の役割分 担が、今回の法改正で明確化したということを受けて行ってきたのですが、志摩市の場 合は、その役割分担をどう考えたかというと、基本的にまず、ケースで分けないという ことです。要するにこういうドライな言い方をすれば分かりやすいので言いますが、市 民の相談にかかわる情報は、すべて市が基本的に把握するべきである。ですから、市に は全部情報が来るわけです。しかし、その情報はすべてまた、児童相談所に連絡してく ださいとなっている。ですから、そこで通告すべきかどうかの迷いはない。どういう役 割分担をするかというと、児童相談所ではそういう情報がすべて来るのですが、児童相 談所が判断するのは、関わり方の度合いとか、中身をどうすべきかということです。そ のときに市町村中心の対応になるのか、児童相談所中心の対応になるのかというのがあ るのですが、そこで判断するのです。従って、ケースによっては、本当に定期的に判定 だけというのもあるそうです。逆に、児童相談所がほとんど継続的にフォローするとき もある。こういうやり方をされているので、お聞きしたのですが、所長としてもこうい う対応の方が、実は一番安心できると言っていました。 ○山縣座長  所長というのは、児童相談所のという意味ですか。 ○川鍋総務課長補佐  児童相談所の所長が、この志摩市の今のやり方は、今の段階では一番安心ができる対 応の仕方であると。 ○山縣座長  経過的な考え方ではなくてですか。 ○川鍋総務課長補佐  それはまだ少し、わかりません。将来的にどうなるのかというのはあるのですが、た だ、少なくとも児童相談所の方もこのやり方が一番安心できる対応の仕方であると言っ ていました。   ○山縣座長  これは今、志摩市だけの話ですか。 ○川鍋総務課長補佐  志摩市だけです。実は、例えば周辺の市が同じようなことをやっているかというと、 そうではない。志摩市については、少なくともそういうやり方をしているということで す。 ○山縣座長  市であればまだいいかも知れませんが、全市町村がやったら県の児童相談所はえらい ことだと。別に県の児童相談所を守るつもりはないのですが。その辺どうでしょうか。 ○上廣委員  今のやり方は、あくまでも経過的なことでありまして、当然のことながら、志摩市が 力をつけてくれば、その辺は整理をしていかねばならないということで、私も南勢志摩 児童相談所長には、そういう方向でやってくれとは言っております。 ○山縣座長  一つのシステムを作るまでに、市町村の判断力を高める意味では、非常に重要なやり 方ですが、それを全市で同時に並行的にやってしまうと、ものすごいことが起こりそう です。 ○菅野委員  今議論になっていると思うのですが、ケースをどこが主管するかということと、どん な役割を担うかということの住み分けなのだと思います。児童相談所は、例えば、その 家族に対して果たすべき機能がある場合には、若干のかかわりがあって、その比率にな るのかなと思っています。例えば、児童相談所の関与がゼロのケースが、市が単独で持 っているケースとなる。ところが、100%児童相談所が持っているケースは、実はない。 措置されているケースであっても、保護者が地域にいますから、100%児童相談所とい うのはない。そういう幾つかの段階なのではないかという感じはします。それぞれの市 や町がもっている機能のところで、持合の比率が変わってくるというイメージでしょう か。ですから、大きな市で独自にいろいろな機能を持っている所のケースなどでは、児 童相談所が全然知らないケースがある。児童相談所に言ってあるのは半分もないです、 みたいな所があったりすることはあります。全部を一緒に出して、アセスメントをして、 児童相談所も大変ですが、アセスメントに行って、これはこういう所だから、町の中で、 これでやったらいいのではないですかという、会議の所への関与というようなレベルで 児童相談所が担当するような。ですから、ケースによる住み分けとそれぞれの持ってい る市町村の機能による住み分けという感覚の方がいいのかと。ただ、責任の問題がある ので、その辺りをはっきりしなくてはいけないのかと思いますが、実務上、実際はそう いう形になるのかなと思っています。 ○山縣座長  他、いかがでしょうか。今、現場で実際にやっておられる方にとっては、双方とも一 番悩んでおられるところではないかと。特に市町村は一番苦しんでいるのか。 ○江成委員  なかなかうまく説明ができないのですが、自分の市の状況をお話しするのを忘れてい ましたので、話をさせていただきます。相模原市の場合ですと、市の方に通告が入った ものについて、児童相談所にかかわってもらうかどうかという判断については、まずや はり、市の中で対応できるものについては、すべて市で対応しようと。それについては、 情報を児童相談所には全く入れない、連絡ということでも入れていないという状況です。 では児童相談所の役割とは何だろうというと、まず、市が対応に困ったときには相談を するというのが、一つのレベルとしてある。さらに児童相談所が、法的に持っている役 割、権限を行使して、一時保護が必要だとか、児童福祉司による指導が必要などと市が 判断するところで、これは児童相談所に送致をしようと。勝手に送致するわけではなく て、児童相談所と相談した上で送致を行うわけですが、そういうような住み分けをして おります。また中間の段階では、児童相談所もかかわるし、市もかかわるしというとこ ろでは、そういったケースを持っています。  どちらにするかという話ではなくて、先程からもお話に出ているように、市町村の規 模によって、全然違うところになるかと思います。ただ、やはり最終的には、ある程度 市町村で持てるところについては、市町村でやる、児童相談所にすべて投げるのではな いというところを目指していくのか、先程の安心という話がありましたが、小さな所で、 一通り児童相談所に話をしておかないと心配だという所では、とりあえず規模に応じて、 最終的にでも児童相談所にという形を取っていくのか、そういった目標と言うのか、そ ういうところが、何らかの形でこの場で話し合いが出てくるといいということで、投げ かけをさせていただきました。   ○上廣委員  私も各市町村の担当の課長と話すときに、児童相談所がかかわるのは、児童相談所が 持っている児童福祉法上の権限、例えば、立入調査、一時保護、措置等といった権限に 関わる事案については、児童相談所が関わることになる。究極はここだと。それまでは 市町村でやってくださいと、極端にはそういう言い方をしているのですが、それともこ の予算の内示に出ているように、児童相談所で家族療法とか、心理療法をしていくと。 将来的にはそういう児童相談所をイメージしながら、そこに到達するためにいろいろな 段階がありますので、段階を経ながら進めていくのかと考えております。 ○山縣座長  この辺はまた、今のを整理していただきながら次の所でもう少し議論をしましょう。  一つの考え方として、今までの話を聞いておりましたら、経過的には、いろいろと調 整しながらがあるかもしれませんが、やがて市町村の力がついていくと、一次的な判断 は市町村がして、情報提供ぐらいの単純なもので、相談というよりも、「今このケースは ほとんど市がやっております」というくらい流しておいて、ときどき県の方でスクリー ニングして、「ちょっと待って。危険度が高いからこれはもう少し持って来なさい」とい うようなやり方もあるのかと。中心は、市町村の判断能力を高めるという方に行かない と、この児童福祉法の改正はあまり意味がない、単に業務を増やすだけのものになって しまって、大変だという気がしている。これは私の個人的意見です。座長としてのまと めではありませんので、決して座長の見解と思わないでください。  では、2番目、3番目の辺り、市町村の内部の話につきまして、体制とか職員、量的 な問題は増やしてほしいという以上のことは出てこないと思うのですが、質の問題につ いては、いろいろな質の高め方とか、あろうかと思いますが、この辺についてご意見が ございましたら。 ○小野委員  先程の実状調査とか、水巻町の取り組みとかを混ぜながらの提案というか、質問とい うか、そういうものになるかと思うのですが、実状調査の中でも、各自治体が、専門性 の確保ということを盛んに言っていらっしゃる訳です。その市町村における専門性とは どういうものかということが、大きく、一つの課題なのかと。  それでいきますと、例えば、手引きだとか、指針の中にもかなり、市町村に求められ ている専門性というのを、具体的に書いているわけです。問題の一つは、なかなかそれ が、市町村が求める具体的な専門性という、目に見えるような形に迫っていっていない という印象を持っている。  水巻町は遠賀郡という所にありまして、四つの町があります。そこの保健師に、自分 たちで研修をしようという提案をしています。自分たちで研修体制を作って、どこかに 委託するなり、講師を呼んで来たらどうかと、今提案しています。具体的には、傾聴の 基礎研修のようなものなのですが、そういうもので、何時間か取ってやったらどうかと。 それには一定の外部人材というよりは、外部団体になるのですが、外部人材であれ、外 部団体であれ、外に委託をして、そこから、基本的な傾聴訓練とかができる講師を招い て、自前の研修をしようと。個々の指針などで言っているのは、異動で福祉の職場など に着任した職員に対する研修なのです。それは必要なことなのですが、分かり出した頃 に異動になるわけです。むしろ福祉関係や保健、教育関係の職員を対象に日頃から研修 を行い、人事の幅を広げるような対応が自治体では必要ではないかと思うのです。  ですから、私が進めて提案している研修というのは、教職員だとか、保健師とか、福 祉の一般事務職員とか、そういうものを少し広めに見て、今後の人事のローテーション に含んでも、耐えられるような見通しを持った、傾聴の基礎訓練のような研修を自前で やったらどうかということを提案しています。それを郡内の保健師に持ち帰ってもらっ て、各職場で検討していただいた。そうすると、大方いいだろうと。あったら参加して もいいという返事だったのです。ただ、財政的に、私の個人的な計算では、各町が負担 金を出すとしても、20万円ぐらい要るのではないかと。その負担金が財政難でなかなか 出しづらいという問題と、兼務職員なので、なかなか継続的に研修に出られるか心配が ある、ということがあって、あったら出てもいいけれども課題は多いと。それと、どん なふうに研修プログラムを立てて、研修日程を調整して、外部団体と調整して、それを どういうふうに実施していくかという事務局をどこにするかということが、はっきりし ない。いろいろな問題が出てきて、今そういう途中にあるのです。できることならば、 駄目でもともとと思いながら、各郡内の担当課と協議しながら、18年度はそういう協議 を進めていこうと思っています。  一つはお願いですが、外部で持っていくときに、どういう研修をしたら、傾聴の基礎 訓練として、ある程度聞けるというレベルになるのか。例えば、指針とか、手引きの中 で言われているものを、一般の窓口の職員が研修を受けたときに、ある程度聞けるとい うレベルは、研修プログラムとしてはどういうものなのかというのがわからない。それ を、できればスタンダードなものを提案していただくと、この研修を何時間、例えば、 15時間とかいう研修プログラムを立てて、これを受けた職員であれば、一般の窓口の事 務職員でも、ある程度の相談には応対できるのではないかと思います。また、そういう スタンダードなものがあると、それを基にして受託する事業者に対しても、こういう研 修プログラムで研修をするなら、どのくらいかかるかとか、そういうものも提案しやす くなるのかと、今考えています。  ただ、そういうものを作ったとして、今財政難の折ですから、各町が、各20万円と か幾らか負担することで、全部自費でやるというのも、少し抵抗がある。指針の主旨は、 先ずは自治体の自主的な努力で研修してください、その次に児童相談所なりが応援しま すという流れになっていると思うのですが、それにしても、ある程度、県なり、国なり の、補助とか、誘導するものがあれば、自主的に研修をする自治体も出てくるのかとい う気がするのです。そういうところで、財政的な支援とか、カリキュラムと言いますか、 基本的な傾聴訓練の基礎研修になるようなものを検討していただければと思います。そ れを踏まえて、例えば事例の書き方とか、ケースワークの仕方とか、そういうものは、 各児童相談所が上乗せする形でいろいろな専門研修が提案できると思うのです。今の段 階で県がやっている研修を見ますと、かなり専門的な研修なので、確かに受けるに越し たことはないのですが、もう少しその前にやるものがあるのではないかという気がして いる。基礎研修レベルは各自治体が自前でやって、専門的な研修は、各児童相談所辺り がオプションで上乗せするような形の研修をするというようになると、5年か10年くら いのスパンで考えていくと、人事のローテーションとか、人材もかなり育成していける のではないかということを考えています。もちろんそれまで私がいるわけではありませ んが、そういう見通しを立てた、郡内の調整のようなものができるのではないかと、今 考えているところです。それに対してのお願いです。 ○川崎委員  今日は実状調査の報告をしていただいたのですが、私も管内を幾つか訪問して、実状 とかいろいろ聞いていたのです。十分とは言えないが、やはり法改正があったというこ とで、各市町村、凸凹はあるのですが、取り組みをしなければならないという気持ちは あって、それなりの対応はしていました。家庭相談員を増やしたりとか、あるいは非常 勤の職員を1名、正規の職員で対応するようにしたりとか、いろいろな取り組みをして いるのです。しかし、今小野委員が言いましたように、専門性であるとか、相談の体制 であるとか、正直言って、各市町村は努力はしているけれども、十分とはとても言えな いと思います。児童相談所そのものが、専門性はどうなのかということから、いろいろ な体制から非常に批判をされたと思うのですが、今の市町村の実状を見ていましたら、 それを上回って、中には、十分そこまで体制が取りきれていないという所も含めて、相 談などは考えていないという所が、やはりあるかという気がします。児童相談所の立場 からすると、市町村のそういう体制というのは、児童相談所の側から見ても、これは何 とかしなくてはならないというのはあるわけです。  今研修の話が出たので言いますと、市町村が相談の体制を整えるというのは、児童相 談所の側からも、非常に切実な課題だと思います。予算はないので、一応、今京都府で 考えているのは、当分の間、市町村の職員を対象にした研修会というのを、我々がやる ということなのです。不十分ですが新任福祉士の研修会を年に5回やっていますけれど も、来年、市町村の職員を集めて年5回ぐらいやろうかと考えています。  一つは児童福祉法の改正の中身は当然周知しているかもしれませんが、やはり新しく なった方に児童福祉法改正の中身とか児童相談所との連携とかそういうことから始まっ て、例えば「子どもの人権とは」というようなちょっとした講演会のようなものも用意 したり、あとは相談の面接技術ということでロールプレイをやってみるとか、それぞれ 取り組んでいる市町村の事例を出してもらうとか、そういったことを何年間かは同じよ うなプログラムで、児童福祉法の改正の中身といっても徐々に変わっていくわけですか ら、そういうことを含めて児童相談所の予算がなく自前でやるとしたら、忙しいので年 5回ぐらいしかできないと思います。市町村の側からも要望としてあると思いますが、 我々の側から見てもそういう取り組みはやっていく必要があると思います。これは児童 相談所から見ても結構切実な課題かなという感じはしています。 ○菅野委員  専門性の話が出ている中でまとめの2ページのIIIの(1)の所ですが、一番のキーになる のが兼務の問題なのかなという気がします。専任という形になると、集中して研修を受 けたり学習をしたりすることができると思います。ポイントになるのは、ここで7割が 兼務という形が出ていることです。  児童相談所の職員たちが研修を受けに行くというのは、児童相談が自分たちの仕事で あるからそれを受けに行けばいいのですが、兼務ということになるといろいろな仕事に ついてのエキスパートな部分を要求されるわけですから、一点に集中するわけにはいか ないということです。専門性を上げていく上でキーになるのは「当面3年間あなたはこ の仕事の専任ですよ」というふうな位置付けです。そういうものがあるということでス タートしていき、先程いろいろな報告の中で、専任でやっている熱心な職員とそれを支 えサポートする管理職がいるという話があったと思いますが、最低限2〜3人ぐらい、1 人の専任とそれを支える兼任の管理職が必要かなと思いました。  前のページの受理会議の所で会議ができていないとなっていますが、会議の位置付け で、例えば専任の職員が自分の管理職と相談をしてこれどうしようと言っているのは実 は会議なのではないか。会議の位置付けでも、最低限ここを押さえて協議をしたらこれ は会議ですというふうにしておくことも必要ではないかと思います。定義付けの問題で すけれども、全く1人で動くとなると危険ですが誰かとしゃべることで考えるというこ とを一つの会議という形で位置づけると、もっと気楽にいろいろなことができると思い ます。 ○山縣座長  その辺は形式の問題ですね。そういうものを認めてくれると相談をしやすくなるし、 何月何日何時からどこで会議を開きますというような形にとらわれずに実質的なことを 採ればいいということですね。 ○上廣委員  三重県の場合は、当初は児童福祉法が変わって市町村が第一義的な窓口になるといっ たときに、市町村の職員が何をしていいのかわからないという状態のところに、こうし たらいいということを教えれば自分たちで動いてくれるのではないかと思い、17年度は かなり市町村職員の研修に力を入れてきました。これも児童相談センターができたおか げかと思っています。  研修は、市町村の職員で初めて児童相談の仕事をする職員と、今回の法改正の中で保 健師や保育士が一定の研修を受ければ児童福祉士の資格を得られるということになって いますので、児童福祉司資格認定研修と一般初任者研修の二つに分けてやりました。  一般初任者研修の場合は県下を3ブロックに分けて、月1回のペースでやっています。 研修の中身も例えば「相談・援助の心得とケースワーク」「虐待通告の受理と初期対応」 などいろいろありますが、「ケース記録の書き方」など具体的に、講義形式ではなくロー ルプレイも入れて、あまり予算がないので一般初任者研修の講師は児童相談所の所長や 担当の児童福祉士や児童心理司のベテランが担当して、今も続いています。  それとは別に市町村の援助指針の中で児童福祉士と同等の資格要件を有する職員配置 が求められていますという規定があり、それを受けて児童福祉法施行規則第6条に基づ く指定講習会をやりました。これについては予算がかかることなので本庁と話をしてお 金を出してもらいました。この研修が大事な後方支援の一つであることを説明して、7 月から10月にかけて4カ月間、延べ8回土曜日も含めて研修をしました。かなり専門 的な研修なので日本福祉大学の長谷川教授や才村先生など大学の教授に来ていただき、 児童福祉概論など専門的な研修をしていただきました。研修を終わった後何もなしでは 何も残らないということで、知事名で児童福祉士と同等の資格を有するものと認めると いう証書を勝手に作り渡しました。受講は60名ぐらいあり、参加者のほとんどが保健 師、保育士、心理判定員などあまり人事異動がない人が参加され、こういう方々がこれ から市町村において中心的に組織を作ってくれると期待して、来年も続けるつもりです。  これとは別に、先程何か抜けているものがないかという話の中で、随分前に川崎委員 が言われていたように、例えば市町村には相談する部屋がないなどハードの部分が整備 されていないところが随分あります。その辺を言及してほしいと思いますのでこれを書 き込んでほしいと思います。 ○山縣座長  それは事務局の方でぜひ記録にとどめて置いてください。 ○高橋委員  人の確保や専門性の確保となると、市町村はそんなに人を採用してもらえるとは思え ない部分がたくさんあります。相談部門に学校との渡りをつけられる人が必要であると か、警察との関係ということを考えると、今の調査の中からもその辺の人材が少ないと いうこともありますので、その辺を盛り込んでいただければという思いがあります。そ んなに採用してもらえないということを考えると、その辺とうまく連携するようなシス テムを作っておかなければいけないと思っています。  県の少年保護・相談センターというのは全国的にあるものなのでしょうか。 ○山縣座長  県レベルで大体あります。 ○高橋委員  非行の問題は市単独でやってもうまくいかないでしょうし、そことうまく連携を取っ ていくことが必要だと思っています。 ○山縣座長  ありがとうございました。  今のご意見は、一気に専門の子ども家庭相談の研修でやると、つい児童相談所レベル の専門性になってしまう傾向があるけれども、もっと基礎的なところが要るということ です。まず人の話の聞き方、人に対する話の仕方、記録の書き方などもやらないと、市 町村の場合はそういうことをやっていなかった人たちが担当する可能性があるというの が1点です。  もう一つは、70%兼務状況を改善するというのは、人が増えないという前提で考える と、実際なかなか難しいのではないか。そうすると、兼務の中身です。保健センターの 保健師が相談を兼務するというのは許容範囲かなと思います。どういうところと兼務さ せているかというところを考えていく必要がこれから出てくるのではないか。中でも、 地域子育て支援センターというのも出ていましたし、来年から社会福祉士会からは地域 包括支援センターという仕組みができ、公立で包括支援センターが作られると社会福祉 士が配置されますから、ひょっとしたら小さい市町村ではそういう所に行く可能性が結 構出てくると思います。あるいはその人たちが異動によって来る可能性もあるのではな いかと思います。その辺をにらんだ研修や配置のあり方、単独配置をお願いしたいけれ ども難しいならば、保健福祉に近い兼務をねらっていく、その辺りがここのポイントで はないかと思います。  では4番目のパートです。ネットワークの所について何かご意見がございましたらよ ろしくお願いします。 ○井上委員  要保護児童地域対策協議会について2点ほどあります。1点はここで何をやっていく かということに関しては、先程出ていた市町村と県とがどう役割分担していくかという ことにも関係していると思いました。  私が参加しているある町の協議会でもそうなのですが、多くの協議会では市町村が主 催しながらも、県の担当児童福祉士さんに来ていただくことになります。その2時間の 中で県が主担当のケースと町が主担当のケースの両方をあげていって経過をかなり細か く扱っていきます。ケース数が合わせて10ほどなのでそれができるということなのか もしれませんけれども、そういうところで何を丁寧にやっていくかというところがもう 少し明らかになっていくと、市町村と児童相談所の役割分担が進むと思います。  2点目は、先月NPOのネットワークの会に出たところ、地域によって差はありますけ れども、NPOによっては直接支援員というような形の参画をしようとしている所があり ます。こちらの研究会でも紹介があったようにCAPNAなどは愛知県や名古屋市との協 議の中で、契約のような形ができているということもありますし、他の地域のNPOで もネットワークを推進する動きの中で、NPOと県が一緒になって各市町村を回って協議 会ではなくネットワークの段階で進めて調査を取りまとめていったという所もありまし た。  それから、少し具体的な話になりますが、被虐待児に障害があったり、親に精神障害 があったりするとヘルパーさんを使うということがありますが、そこに該当しないよう な子どもを家から学校まで送迎するとか、一時保護所から学校まで送迎するとか、そう いう小さなところや短期のものでは民間のNPOの送迎も実際に行われているようです。 ここには入っていないネットワーク地域対策協議会というところにNPOも参画すると か、直接支援ではなくても地域で電話相談をやっている人たちの声がこういったところ に反映されるといいと思います。ただしそれを具体的に進めるためには、県によっては 児童相談所が市町村での地域対策協議会の設置を進めているという所もあって、その段 階で県の方から市町村に民間ネットワークの活用のことも含めて言っていただけると市 町村も取り入れやすいと思いました。 ○江成委員  要保護児童対策協議会の中で、今回の実情調査に行った小さな市町村でも代表者会議 とケース検討会議はたいがい開かれていると思います。国の指針でも児童相談所での実 務者会議というものをうたってはいるのですが、小さな市町村は実際にその実務者会議 を開催するのは難しいとか、逆に大きな市町村であれば、具体的なケースの事例を出す とそのケースに直接かかわっていない方々にも出ていただかなければいけないのかなど、 どういった方々に参加していただくかといったような問題が出てくると思います。逆に そこの部分について自分自身も困難性を感じているところですが、何らかの形でこの会 の中で提言ができるといいと考えています。 ○山縣座長  実務者会議のあり方ですね。中間部分も重要な位置にあり、代表者会議よりも場合に よっては重要かもしれないと思われるときもあります。 ○川鍋総務課長補佐  また志摩市の話ですが、協議会の位置付けと市町村の相談窓口との関係がなかなかイ メージしにくかったのですけれども、例えば志摩市では市町村が受けた受理会議・ケー ス検討会議を協議会でやっています。協議会の実務者会議で受理会議をやり、協議会の ケース検討会議でケース検討会議をやっています。こういうやり方をすることによって どうなるかというと、当然メンバーには児童相談所が入っていますので協議会が活性化 するというか機能せざるを得ないという形になってかなり活発になっています。ちなみ に代表者会議についても「宿題型」と書いてありますけれども、係の責任を持った活発 なやり方が工夫されて取り組まれています。立命館大学の野田先生が会長をされていま すので、その辺はかなり仕切られてやっているという状況でした。 ○山縣座長  今の会議は月どれぐらいですか。ケースが来たら受理であるということで会議をやる と大変なことですね。皆必死で集まっていただかないと、かなり頻繁にやらないと対応 できないですね。 ○川鍋総務課長補佐  そうですね。そこが市町村の担当者としては非常に大変なところらしいです。 ○山縣座長  先程菅原委員が提案された形の受理会議が認められるならばいいけれども、庁内なら ばできますが協議会としてそのような形でできるかどうか。志摩市は相当工夫をしてお られるという感じがします。否定しているつもりはありません。大変なことだと思いま した。  他に何かございませんか。  皆さまは最終の提案に関して、協議会を具体的な日々動くようなものを扱うイメージ で捉えておられるのか、最終と捉えておられるのか、私のイメージがずれているのです が。やはり協議会組織であって、深刻なケースについて時々事例検討してみよう、偶然 あればそこで個別ケース検討してみようというのはあり得ても、常設型の機能を持たせ るというイメージがあまりなくて私はここに臨んでいたのでちょっと意外です。 ○高橋委員  私たちも協議会を設置するときに、この真ん中の実務担当者会議をどう運営するかと いうことで協議会の位置付けを一番迷いました。  県の児童相談所からは周りの市町村がこうやっているという情報はいただきます。小 さな市町村ですとそれぞれの事例についてどうであるかという協議ができるようですが、 横須賀の場合は4地区に分けて、1カ所が人口10万くらいの協議会になっています。そ うするとその中で一つ一つの事例について協議するというのは無理であり、回数もそう 何回もということはできません。一応年に2回というふうに位置付けて、4カ所ですの で事務局は年8回です。児童相談所も含め8回出ていただく方も出てくるということを 考えると、これ以上回数を増やすこともきついという中では、個々のケースについての 検討は基本的に考えていません。事例検討や研修のような形でやろうとは考えています が、もう少し地域の中の問題をその地域でどういうことが起きているかということを皆 で情報提供し合って検討するという場に位置付けています。 ○菅原委員  例えば二つの機関がかかわる場合には情報交換の連携でいいと私は思います。ある家 族に対して三つぐらいの機関がかかわるとなったときに、うちはこんなことをしようと いうふうに3者ぐらいが集まって協議をすることになると協議会的なニュアンスになる と思います。通常のケースのやり取りで、例えば福祉と保健が障害児の家族の支援で福 祉のサービスはこんなものがありますがどうですか、というやり取りをする分に関して は協議会というよりも通常の相談業務の流れだと思います。幾つか集まった時点が協議 会というのが私のイメージです。振り分けにしないと通常の業務の流れというのはある と思いますし、志摩市は先進市として滋賀県の市町村研修でも来ていただいて話をして もらったのですが、やはりいろいろな工夫をしながら結局その中心になる職員の人が走 り回っていろいろなネットをつないでいっているという感じがあります。真ん中にある この会議をどうしていこうかというのは課題としてあるという話をしておられましたし、 フットワークの軽い人ですのでそれに合わせて皆が動かざるを得ないというのがありま す。いろいろな工夫をしてテスト的にたくさんのことを試していただいているので、こ れからもいろいろな情報を発信していただけるのではないかということで、私は非常に 参考にさせてほしいと思っているところです。 ○山縣座長  ありがとうございます。  最後のパートに行かせてください。めくっていただきまして、福祉事務所以降、Vか らVIIIまでについてのご意見を10分ぐらい伺いたいと思います。 ○川崎委員  ちょっと流れと違うことになるかもしれませんが、私も幾つか市町村の福祉事務所を 訪問して話を聞いたときに、ある市で相談をやらなければいけないというので、これは 法改正とは関係ないのですが、昨年相談員や保健師がそろって各集会所を利用して「相 談を受けます」と出前相談をしました。いろいろな人がいるからどんな相談も受けられ るとやったのですが、もうひとつ相談がなかったということで今年は体制を変えようと いうことになりました。むしろ遊びの広場のような形で、その中にスタッフがさりげな くいて困ったことがあったら相談を受けますよという感じで声をかけたりすると、集ま って来る人がたくさんいるという話を聞きました。今回の法改正で第一義的な相談は市 町村がやるということになりましたが、これまで児童相談所がやってきたようなスタイ ルを市町村がそのままやらなければいけないというふうに考えることは必ずしもないと 思います。  やはり市町村は子育て支援センターでもいろいろなところがさまざまな事業をやって、 住民との関係では相談ということを明らかにしなくてもいろいろな関係があります。む しろそういう関係の中で、何かあれば相談を拾っていく。本当に軽微な相談でもちょっ と情報を与えると助かりましたというような人たちはたくさんいると思います。  一方では相談とは何なのかというところから相談体制をちゃんと整えていくというこ とと、いろいろな事業をしていく中で本当に相談と言えるかどうかわからないような住 民の声を拾っていくという市町村の役割を改めてはっきりさせていく。その中で本当に 相談したいという人を家庭児童相談室や保健師とかいろいろな形がありますとつないで いく。さらに本当に大変な場合は児童相談所も紹介できるというその一連の流れの中で それぞれが役割を担うという相談体制をどうやって作っていくのか。そのために各層を どういうふうにうまく結びつけていくのか、その辺が課題になってくるのではないかと 感じたものですから一言申し上げました。 ○山縣座長  相談の動機付けがあれば相談の窓口を作っても来るのでしょうが、それがない場合に ちょっとした悩みから相談を拾い上げていくときには、ここにあるようなつどいの広場 とかサロンとか、そういう事業に、むしろ仕組みとして相談員や保健師さんが入ってい くということかなという気がします。   ○後藤委員  その他の意見でよろしいでしょうか。 ○山縣座長  はい結構です。 ○後藤委員  先程の一覧表の中で虐待が実父母という所がありました。このことについて質問した いのですが、例えば実母の場合は戸籍上の親なのかということです。と言うのは連れ子 をしてきて、次に子供が生まれてなつかないということで命を落とすようなことが最近 多くあります。ですからこのデータはそういうのを分けて入れていますか、それとも「そ の他」の方にそれが入っていますか、どちらでしょう。 ○山縣座長  継母等の扱いですね。分類上どうなっているかわかりますか。本当の戸籍上の実母な のかどうか。 ○事務局職員  実母は戸籍上の実母です。 ○後藤委員  そうしますと養子縁組すると実母になりますよね。 ○山縣座長  養母になるから違うと思います。 ○事務局職員  実母ではないです、養母です。実父以外の方に計上されます。 ○後藤委員  ここをどうして申し上げたかといいますと、戸籍などはどうでもいいのです。子ども というのは里子・連れ子の両方とも親試しということをします。その親試しの段階でし つけと称してたたいたりして命を落としてしまう場合が最近多いので、その辺を分けて あるのかどうかということを伺いたかったのです。  保健師さんの仕事が増えますけれど、例えば赤ちゃんが生まれると巡回して見てくれ ますが、子連れで再婚して来た親というのは今多いと思いますけれど、そのときにそう いう子どもたちのフォロー、どんなふうなのかを見ていただくことはできないかという ことをあえて取り上げたいと思います。例えばお父さんが連れ子して来てかわいがろう と思って育てていたと思いますが、子どもから見ると新しくお母さんになった人に本当 に自分は愛されているのか、たらい回しにされて新しいお母さんの元に来たけれどもど うだろうかとさまざまな試し行動を起こします。新しい特に若いお母さんはそういうこ とに気がつきませんので、だんだん憎らしくなってこれを直さなければいけないと虐待 に走るケースが随分多いと思います。ですから、そういうことを防ぐために、個人情報 などいろいろ問題があるかもしれませんがそこまで踏み込んで、再婚した先の子どもに 事故が起きないようにしていただきたいと思います。 ○山縣座長  児童相談所がらみの養子縁組や里親であるならば市町村も把握しやすいけれども、通 常の何もない形で再婚された場合の親子の問題も視野に入れてほしいというご意見です。  最後になりましたが高橋委員。これで終わりにしたいと思います。 ○高橋委員  先程の川崎委員の話に絡んできますが、今回いろいろな児童家庭相談の市町村の統計 が出ました。これを取るに当たって県とのやり取りをしたりしてきたのですが、どこま でをこれに入れるのかということで本当に迷いました。  第一義的な相談というのは何なのかというのがいつも迷うところで、例えば青少年相 談というとそれは専門相談ではないか、母子保健の統計はここには入らないのではない かという意見もあります。小さな市町村は統合化になりこの中に数が反映されていると 思いますが、青少年の問題も含めて大きな市町村の中でその辺は十分反映されていない のではないかという思いでいます。これからこの統計がどうなっていくのかというとこ ろは第一義的な相談をどう位置付けるかということだと思います。 ○山縣座長  これは前から話題になっていますが、市町村だけで扱った場合には児童相談所に虐待 児はあがってこなくなるという、その辺まで含めて全体の子どもたちの様子をどう把握 していくか、これは直接の課題ではありませんけれども仕組みを管理していく上では厚 生労働省の方でも検討していただきたいと思います。  時間が超過しそうなのでこれで皆さん方のご意見は終わらせていただいて、次回に向 けてまたご意見がありましたら事務局の方に届けていただけたらと思います。よろしく お願いします。  最後に今後の日程等につきまして事務局からよろしくお願いします。 ○内山総務課長補佐  今後は年明けに2回ほど予定をしており、最終的な取りまとめに向けた議論をしてい ただきたいと思います。次回の日程ですが、現在のところ年明け2月2日木曜日午後1 時からを予定しております。最終回も日程を入れていただければと思いますが、3月23 日木曜日、同じく午後1時からを予定しております。正式なご案内は追ってご連絡いた しますのでよろしくお願いいたします。 ○山縣座長  ありがとうございました。  これで第9回の委員会を終わらせていただきます。お疲れさまでした。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 03−5253−1111(内線7829)